IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-533824線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器
<>
  • 特表-線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器 図1
  • 特表-線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器 図2
  • 特表-線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器 図3
  • 特表-線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器 図4
  • 特表-線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器 図5
  • 特表-線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器 図6
  • 特表-線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器 図7
  • 特表-線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器 図8
  • 特表-線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器 図9A
  • 特表-線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器 図9B
  • 特表-線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器 図10
  • 特表-線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】線形遷移トーテムポール変調を有するスイッチング増幅器
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H02M3/155 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519827
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022044204
(87)【国際公開番号】W WO2023055626
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】17/491,133
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】インライ シア
(72)【発明者】
【氏名】ヨゴシュ クマール ラマダス
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA01
5H730AA14
5H730AA15
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730BB82
5H730DD03
5H730DD12
5H730EE59
5H730FD31
5H730FF01
5H730FG05
5H730XX03
5H730XX15
5H730XX23
5H730XX35
(57)【要約】
スイッチング増幅器(106A)が、電力段(144A)の第1の部分(242)と、電力段の第2の部分(252)と、電力段の第1の部分の制御入力(130A、132A)に結合されるパルス幅変調(PWM)制御ループ(110A)と、電力段の第2の部分の制御入力(134A、136A)に結合される線形増幅器(118A)とを含む。PWM制御ループは、電力段の第1の部分の第1のスイッチ(S1、図3)及び第2のスイッチ(S2、図3)を制御する。第1のスイッチと第2のスイッチの電流端子の間は、スイッチング増幅器の第1の信号出力(147A、図2;147B、図3)である。線形増幅器は、電力段の第2の部分(252)の第3のスイッチ(S3、図3)及び第4のスイッチ(S4、図3)を制御する。第3のスイッチと第4のスイッチの電流端子の間は、スイッチング増幅器の第2の信号出力(149A、図2、149B、図3)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング増幅器であって、
電力段の第1の部分であって、第1の制御入力と、第2の制御入力と、前記第1の制御入力に結合される第1の制御端子を有する第1のスイッチと、前記第2の制御入力に結合される第2の制御端子を有する第2のスイッチとを含む、前記電力段の第1の部分と、
電力段の第2の部分であって、第3の制御入力と、第4の制御入力と、前記第3の制御入力に結合される第3の制御端子を有する第3のスイッチと、前記第4の制御入力に結合される第4の制御端子を有する第4のスイッチとを含む、前記電力段の第2の部分と、
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチの電流端子の間の第1の信号出力と、
前記第3のスイッチ及び前記第4のスイッチの電流端子の間の第2の信号出力と、
パルス幅変調(PWM)制御ループであって、第1のソース信号入力と、第2のソース信号入力と、前記第1の信号出力に結合される第1のフィードバック入力と、前記第2の信号出力に結合される第2のフィードバック入力と、前記第1の制御入力に結合される第1のPWM制御ループ出力と、前記第2の制御入力に結合される第2のPWM制御ループ出力とを有する、前記PWM制御ループと、
増幅器入力と、第1の増幅器出力と、第2の増幅器出力とを有する線形増幅器であって、前記増幅器入力が前記第2のソース信号入力に結合され、前記第1の増幅器出力が前記第3の制御入力に結合され、前記第2の増幅器出力が前記第4の制御入力に結合される、前記線形増幅器と、
を含む、スイッチング増幅器。
【請求項2】
請求項1のスイッチング増幅器であって、
前記第1のソース信号入力と前記第1のフィードバック入力との間の第1の抵抗器と、
前記第2のソース信号入力と前記第2のフィードバック入力との間の第2の抵抗器と、
前記第1のフィードバック入力と前記第1の信号出力との間の第3の抵抗器と、
前記第2のフィードバック入力と前記第2の信号出力との間の第4の抵抗器と、
を更に含む、スイッチング増幅器。
【請求項3】
請求項1のスイッチング増幅器であって、前記PWM制御ループが、
第1のフィルタ入力と、第2のフィルタ入力と、フィルタ出力とを有するループフィルタであって、前記第1のフィルタ入力が前記第1のフィードバック入力に結合され、前記第2のフィルタ入力が前記第2のフィードバック入力に結合される、前記ループフィルタと、
第1の加算器入力と、第2の加算器入力と、加算器出力とを有する加算器であって、前記第1の加算器入力が前記フィルタ出力に結合され、前記第2の加算器入力が前記第2の信号出力における電圧に基づくフィードフォワード信号を受信するように構成される、前記加算器と、
第1の比較器入力と、第2の比較器入力と、比較器出力とを有する比較器であって、前記第1の比較器入力が前記加算器出力に結合され、前記第2の比較器入力が基準ランプ信号に結合されるように適合される、前記比較器と、
を含む、スイッチング増幅器。
【請求項4】
請求項3のスイッチング増幅器であって、
前記PWM制御ループが、前記比較器出力に結合されるゲートドライバ回路を含み、前記ゲートドライバ回路が、ゲートドライバ入力と、第1のゲートドライバ出力と、第2のゲートドライバ出力とを含み、前記ゲートドライバ入力が前記比較器出力に結合され、前記第1のゲートドライバ出力が前記第1のPWM制御ループ出力に結合され、前記第2のゲートドライバ出力が前記第2のPWM制御ループ出力に結合される、
スイッチング増幅器。
【請求項5】
請求項4のスイッチング増幅器であって、前記ゲートドライバ回路がレベルシフタ回路要素を含む、スイッチング増幅器。
【請求項6】
請求項1のスイッチング増幅器であって、前記線形増幅器が、前記第2のソース信号入力において入力信号に利得を印加するように構成され、前記利得が少なくとも100である、スイッチング増幅器。
【請求項7】
請求項1のスイッチング増幅器であって、前記線形増幅器が、前記第2の信号出力において出力信号をクランプするように構成される、スイッチング増幅器。
【請求項8】
請求項1のスイッチング増幅器であって、前記第1の信号出力が、第1のキャパシタ及びインダクタを有する第1のフィルタを介して負荷の第1の端部に結合されるように適合され、前記第2の信号出力が、第2のキャパシタを有しインダクタを有さない第2のフィルタを介して前記負荷の第2の端部に結合されるように適合される、スイッチング増幅器。
【請求項9】
システムであって、
前記システムがスイッチング増幅器と負荷とを含み、
前記スイッチング増幅器が、第1のソース信号入力と、第2のソース信号入力と、第1の信号出力と、第2の信号出力とを有し、前記スイッチング増幅器が、
前記第1のソース信号入力から第1のソース信号を、前記第2のソース信号入力から第2のソース信号を、前記第1の信号出力から第1のフィードバック信号を、及び前記第2の信号出力から第2のフィードバック信号を受信するパルス幅変調(PWM)制御ループに基づいて、第1の出力信号を前記第1の信号出力において提供し、
線形増幅器及び前記第2のソース信号に基づいて、第2の出力信号を前記第2の信号出力において提供する、
ように構成され、
前記負荷が、フィルタ回路要素を介して前記第1の信号出力及び前記第2の信号出力に結合される、
システム。
【請求項10】
請求項9のシステムであって、
前記スイッチング増幅器が、第1の抵抗器と、第2の抵抗器と、第3の抵抗器と、第4の抵抗器とを含み、
前記第1の抵抗器が、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の抵抗器の前記第1の端部が前記第1のソース信号入力に結合され、前記第1の抵抗器の前記第2の端部が前記PWM制御ループの第1のフィードバック入力に結合され、
前記第2の抵抗器が、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第2の抵抗器の前記第1の端部が前記第2のソース信号入力に結合され、前記第2の抵抗器の前記第2の端部が前記PWM制御ループの第2のフィードバック入力に結合され、
前記第3の抵抗器が、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第3の抵抗器の前記第1の端部が前記第1の信号出力に結合され、前記第3の抵抗器の前記第2の端部が前記第1のフィードバック入力に結合され、
前記第4の抵抗器が、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第4の抵抗器の前記第1の端部が前記第2の信号出力に結合され、前記第4の抵抗器の前記第2の端部が前記第2のフィードバック入力に結合される、
システム。
【請求項11】
請求項9のシステムであって、前記PWM制御ループが、
前記第1のソース信号、前記第2のソース信号、前記第1のフィードバック信号、及び前記第2のフィードバック信号に基づいてループフィルタ出力を生成し、
前記ループフィルタ出力と、前記第2の信号出力における電圧に基づくフィードフォワード信号との加算値を生成し、
前記加算値と基準ランプ信号との比較結果を判定する、
ように構成される、
システム。
【請求項12】
請求項11のシステムであって、前記スイッチング増幅器が、スイッチの第1のセットを有する電力段の第1の部分を含み、前記PWM制御ループが、前記比較結果に基づいてスイッチの前記第1のセットに対する駆動信号を生成するように構成されるゲートドライバ回路を含み、前記ゲートドライバ回路がレベルシフタ回路要素を含む、システム。
【請求項13】
請求項9のシステムであって、前記スイッチング増幅器が、スイッチの第2のセットを有する電力段の第2の部分を含み、前記線形増幅器が、
スイッチの前記第2のセットに対する駆動信号を生成するように第2のソース信号に少なくとも100である利得を印加し、
前記第2の信号出力において前記第2の出力信号をクランプする、
ように構成される、
システム。
【請求項14】
請求項9のシステムであって、前記フィルタ回路要素が、第1のフィルタ及び第2のフィルタを含み、前記第1のフィルタが、前記第1の信号出力と前記負荷の第1の端部との間にあり、前記第1のフィルタが、第1のキャパシタ及びインダクタを有し、前記第2のフィルタが、前記第2の信号出力と前記負荷の第2の端部との間にあり、前記第2のフィルタが第2のキャパシタ及びインダクタを有する、システム。
【請求項15】
請求項9のシステムであって、前記第2のキャパシタの寸法及び関連する充電間隔が、前記スイッチング増幅器のスイッチング損失を低減するように選択される、システム。
【請求項16】
請求項9のシステムであって、前記負荷がスピーカであり、前記第1及び第2のソース信号が音声信号である、システム。
【請求項17】
第1の信号出力及び第2の信号出力を有するスイッチング増幅器とともに用いるための方法であって、前記方法が、
第1の電圧を第1のソース信号入力において受け取り、第2の電圧を第2のソース信号入力において受け取ることと、
前記第1の電圧と、前記電圧と、前記第1の信号出力からの第1のフィードバック信号と、前記第2の信号出力からの第2のフィードバック信号とを受け取るパルス幅変調(PWM)制御ループに基づいて、第1の出力信号を前記第1の信号出力において提供することと、
線形増幅器及び前記第2の電圧に基づいて、第2の出力信号を前記第2の信号出力において提供することと、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項17の方法であって、
前記第1の出力信号に対して前記第1のフィードバック信号をスケーリングすることと、
前記第2の出力信号に対して前記第2のフィードバック信号をスケーリングすることと、
を更に含む、方法。
【請求項19】
請求項17の方法であって、前記第1の出力信号を前記第1の信号出力において提供することが、更に、前記第2の信号出力における電圧に基づくフィードフォワード信号を有するループフィルタ出力を加算することに基づく、方法。
【請求項20】
請求項17の方法であって、
前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号を、第1のフィルタ及び第2のフィルタを含むフィルタ回路要素を介して負荷に結合することであって、前記第1のフィルタが前記第1の信号出力と前記負荷の第1の端部との間にあり、前記第1のフィルタが第1のキャパシタ及びインダクタを有し、前記第2のフィルタが前記第2の信号出力と前記負荷の第2の端部との間にあり、前記第2のフィルタが第2のキャパシタを有し、インダクタを有さないことと、
前記第2のキャパシタの寸法及び関連する充電間隔を、前記スイッチング増幅器のスイッチング損失を低減するように選択することと、
を更に含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
新しい電子デバイスが開発され、集積回路(IC)技術が進歩するにつれて、新しいIC製品が商品化される。電子デバイスのためのIC製品の一例は、アナログ信号チェーン又は関連するスイッチング増幅器(例えば、D級増幅器)である。幾つかの例において、アナログ信号チェーンは、スピーカに出力されるべき音声信号のボリューム又はイコライゼーションを制御するための音声システムの一部である。
【0002】
音声再生に対して最良の音質を提供するには、スイッチング損失が少なく、高調波歪が少なく、電磁干渉が少ないスイッチング増幅器が望ましい。例示のスイッチング増幅器トポロジーには、各出力(例えば、OUTP及びOUTM)に対してハイサイド及びローサイドスイッチを有する電力段と、電力段の各スイッチに対して制御信号を提供するように構成される変調制御回路とが含まれる。異なる変調制御回路オプションは、性能及び/又は実装コストに関して異なる。
【0003】
一つの従来のアプローチにおいて、変調制御回路は、「BD」又はフィルタレス変調を実施する。BD変調を用いる場合、出力信号の差のデューティサイクルは、その平均値が入力アナログ信号と一致するように変調される。また、ブリッジ接続負荷(BTL)出力は、アイドル時には、互いに同相であり、相補的ではない。これにより、負荷の両端の電圧差がゼロになり、フィルタを必要とせずに、静止電力消費を最小限に抑える。BD変調を用いる場合、出力において有意なコモンモードコンテンツが存在し、スピーカケーブル内のスイッチング成分を除去するためにコストのかかるフィルタが付加される。
【0004】
別の従来のアプローチにおいて、変調制御回路はトーテムポールローサイドリサイクル(LSR)変調を実施する。トーテムポールLSR変調を用いる場合、良好な全高調波歪(THD)を確実にするために、OUTPとOUTMがゼロ交差付近でトグリングを有し得る。トグリング時間が非常に短い場合(ゼロ交差付近のみ)、電磁干渉電磁干渉(EMI)パルスは小さくなりOUTM上のLCフィルタは必要ない。しかしながら、ドライバスイッチに対する最小オン時間は制限される。入力信号が非常に低い場合(常にゼロ交差付近)、デューティサイクルは10%未満になり、OUTM上に多数のパルスが存在し得る。OUTMに対するこのスイッチング行為は電力を消費する。また、トーテムポールLSR変調では、OUTMがスイッチング状態から低ドロップアウトレギュレータ(LDO)直流(DC)電圧に遷移するときに、「ポップ」雑音が導入される。
【発明の概要】
【0005】
一つの例示の実施例において、スイッチング増幅器が、電力段の第1の部分を含む。第1の部分は、第1の制御入力と、第2の制御入力と、第1の制御入力に結合される第1の制御端子を有する第1のスイッチと、第2の制御入力に結合される第2の制御端子を有する第2のスイッチとを含む。スイッチング増幅器は、電力段の第2の部分も含む。第2の部分は、第3の制御入力と、第4の制御入力と、第3の制御入力に結合される第3の制御端子を有する第3のスイッチと、第4の制御入力に結合される第4の制御端子を有する第4のスイッチとを含む。スイッチング増幅器は更に、第1のスイッチ及び第2のスイッチの電流端子の間の第1の信号出力と、第3のスイッチ及び第4のスイッチの電流端子の間の第2の信号出力とを含む。スイッチング増幅器は付加的に、第1のソース信号入力と、第2のソース信号入力と、第1の信号出力に結合される第1のフィードバック入力と、第2の信号出力に結合される第2のフィードバック入力と、第1の制御入力に結合される第1のPWM制御ループ出力と、第2の制御入力に結合される第2のPWM制御ループ出力とを有するパルス幅変調(PWM)制御ループを含む。スイッチング増幅器はまた、増幅器入力と、第1の増幅器出力と、第2の増幅器出力とを有する線形増幅器を含む。増幅器入力は、第2のソース信号入力に結合される。第1の増幅器出力は第3の制御入力に結合される。第2の増幅器出力は第4の制御入力に結合される。
【0006】
別の例示の実施例において、システムが、第1のソース信号入力と、第2のソース信号入力と、第1の信号出力と、第2の信号出力とを有するスイッチング増幅器を含む。スイッチング増幅器は、第1のソース信号入力から第1のソース信号、第2のソース信号入力から第2のソース信号、第1の信号出力から第1のフィードバック信号、及び第2の信号出力から第2のフィードバック信号を受信するPWM制御ループに基づいて、第1の出力信号を第1の信号出力において提供するように構成される。スイッチング増幅器は更に、線形増幅器及び第2のソース信号に基づいて、第2の出力信号を第2の信号出力において提供するように構成される。このシステムはまた、フィルタ回路要素を介して第1の信号出力及び第2の信号出力に結合される負荷を含む。
【0007】
更に別の例示の実施例において、第1の信号出力及び第2の信号出力を有するスイッチング増幅器とともに用いるための方法が説明される。この方法は、第1の電圧を第1のソース信号入力において受信し、第2の電圧を第2のソース信号入力において受信することと、第1の電圧、第2の電圧、第1の信号出力からの第1のフィードバック信号、及び第2の信号出力からの第2のフィードバック信号を受信するPWM制御ループに基づいて、第1の出力信号を第1の信号出力において提供することと、線形増幅器及び第2の電圧に基づいて、第2の出力信号を第2の信号出力において提供することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示の実施例に従ったスイッチング増幅器を有するシステムのブロック図である。
【0009】
図2】例示の実施例に従ったスイッチング増幅器を有する音声システムのブロック図である。
【0010】
図3】例示の実施例に従った、フィルタ回路要素を介して負荷に結合されるスイッチング増幅器の電力段の概略図である。
【0011】
図4】例示の実施例に従ったスイッチング増幅器に関連する信号の図である。
【0012】
図5】例示の実施例に従ったスイッチング増幅器に関連する信号の別の図である。
【0013】
図6】例示の実施例に従った、フィードフォワードシグナリングを有するスイッチング増幅器に関連する信号の図である。
【0014】
図7】例示の実施例に従った、フィードフォワードシグナリングを有するスイッチング増幅器に関連する信号の別の図である。
【0015】
図8】例示の実施例に従った、アイドル状態のスイッチング増幅器に関連する信号の図である。
【0016】
図9A】例示の実施例に従ったスイッチング増幅器に関連する信号の図であり、スイッチング損失を示す。
【0017】
図9B】例示の実施例に従ったスイッチング増幅器に関連する信号の図であり、低減されたスイッチング損失を示す。
【0018】
図10】第2の信号出力における電圧変動を、例示の実施例に従ったスイッチング増幅器に対する第2のソース信号入力における電圧変動の関数として示す図である。
【0019】
図11】例示の実施例に従った、第1の信号出力及び第2の信号出力を有するスイッチング増幅器とともに用いるための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書では、電力段と、パルス幅変調(PWM)制御ループと、線形増幅器とを有するスイッチング増幅器を説明する。PWM制御ループは、電力段の第1の部分における第1のスイッチ及び第2のスイッチを制御する。第1のスイッチ及び第2のスイッチの電流端子の間には、スイッチング増幅器の第1の信号出力がある。線形増幅器は、電力段の第2の部分における第3のスイッチ及び第4のスイッチを制御する。第3のスイッチ及び第4のスイッチの電流端子の間には、スイッチング増幅器の第2の信号出力がある。説明されるスイッチング増幅器のトポロジーは、本明細書では線形遷移トーテムポールトポロジーと称することもある。本明細書で使用されるように、「線形遷移トーテムポール」トポロジーは、高周波出力(例えば、本明細書におけるVOUTP)及び低周波出力(例えば、本明細書におけるVOUTM)を有するスイッチング増幅器トポロジーを指す。入力信号のゼロ交差付近で、低周波出力は、ゆっくりと直線的に遷移してスイッチング増幅器に対する全高調波歪(THD)を低減又は除去する。線形遷移トーテムポールトポロジーの別の特徴は、低周波出力がクランプされる(例えば、閾値より大きいVOUTMは0又は電源電圧「PVDD」にクランプされる)ことである。
【0021】
線形遷移トーテムポールトポロジーを用いる場合、負荷とスイッチング増幅器の第1及び第2の信号出力との間のフィルタ回路要素によってインダクタが回避され、システム全体の費用が削減される。幾つかの例示の実施例において、フィルタ回路要素は、第1のフィルタ及び第2のフィルタを含む。第1のフィルタは、第1の信号出力と負荷の第1の端部との間にある。幾つかの例示の実施例において、第1のフィルタは、第1のキャパシタ及びインダクタを含む。第2のフィルタは、第2の信号出力と負荷の第2の端部との間にある。幾つかの例示の実施例において、第2のフィルタは、第2のキャパシタを含み、インダクタを含まない。幾つかの例示の実施例において、システムは、負荷としてスピーカを有する電子デバイスである。幾つかの例示の実施例において、PWM制御ループは、第2の信号出力における電圧に基づくフィードフォワード信号を受信し、フィードフォワード信号は、スイッチング増幅器のTHDを改善する。別のオプションとして、フィルタ回路要素の第2のキャパシタの寸法及び充電間隔が、スイッチング増幅器のスイッチング損失を低減するように選択される。
【0022】
図面において、(構造的及び/又は機能的に)同一又は類似の特徴を示すために同一の参照番号(又は他の参照番号)が使用されている。図1は、例示の実施例に従ったスイッチング増幅器を有するシステム100のブロック図である。幾つかの例示の実施例において、システム100は、音声サブシステム及びアナログ信号チェーンを有する電子デバイス(例えば、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、又は他の電子デバイス)である。図示されるように、システム100は、第1のソース信号(VINP)をスイッチング増幅器106の第1のソース信号入力140に提供するように構成される入力ソース102を含む。入力ソース102はまた、第2のソース信号(VINM)をスイッチング増幅器106の第2のソース信号入力142に提供するように構成される。幾つかの例示の実施例において、入力ソース102は、DAC、又は他のアナログ音声信号のソースを含む。システム100は更に、スイッチング増幅器106のそれぞれのPVDD入力146にPVDDを提供するように構成される電源104を含む。スイッチング増幅器106はまた、第1の信号出力148及び第2の信号出力150を含む。
【0023】
図1の例において、スイッチング増幅器106は、第1の制御入力130と、第2の制御入力132と、第3の制御入力134と、第4の制御入力136とを有する電力段144を含む。電力段144はまた、スイッチング増幅器106のPVDD入力146に結合される電源入力138と、第1の信号出力148に結合される第1の電力段出力147と、第2の信号出力150に結合される第2の電力段出力149とを含む。
【0024】
図1の例において、スイッチング増幅器106はまた、第1の制御信号(CS1)を第1の制御入力130に、第2の制御信号(CS2)を第2の制御入力132に、第3の制御信号(CS3)を第3の制御入力134に、第4の制御信号(CS4)を第4の制御入力136に提供するように構成される変調コントローラ108を含む。これらの制御信号(CS1、CS2、CS3、CS4)は、電力段144のそれぞれのスイッチ(例えば、図3のS1~S4を参照)を制御する。
【0025】
幾つかの例示の実施例において、変調コントローラ108は、ループフィルタ112及び比較回路116を有するPWM制御ループ110を含む。図示されるように、PWM制御ループ110は、第1のソース信号入力140に結合される第1の入力120と、第2のソース信号入力142に結合される第2の入力122と、第1の信号出力148に結合される第1のフィードバック入力124と、第2の信号出力150に結合される第2のフィードバック入力126とを含む。ループフィルタ112は、第1及び第2のソース信号入力140及び142における電圧間の差を第1及び第2の信号出力148及び150における電圧に対して積分する(すなわち、VINPとVINMの差を、VOUTPとVOUTMの差に対して積分する)ように構成される。ループフィルタ112の出力は比較回路要素116に提供され、比較回路要素116は、基準ランプ信号を有するループフィルタ112の出力を比較する。比較結果は、PWM制御ループ出力113及び115においてCS1及びCS2を生成するために用いられる。幾つかの例示の実施例において、VOUTMフィードフォワード(FF)回路要素114が、PWM制御ループ110内にある。そのような場合、VOUTMフィードフォワード回路要素114は、VOUTMに基づいてPWM制御ループ110の結果を調整するように構成される。例えば、VOUTMフィードフォワード回路要素114は、VOUTM又はVOUTMのスケーリングされたバージョンをループフィルタ出力に付加し得る。そのような場合において、比較回路要素116は、ループフィルタ出力とフィードフォワード信号の合計を、その入力の1つとして用いる。VOUTMフィードフォワード回路要素114を用いる場合、スイッチング増幅器106のTHDは、VOUTMフィードフォワード回路要素114のないスイッチング増幅器106と比較して改善される。
【0026】
図1の例において、変調コントローラ108はまた、増幅器入力121と、第1の増幅器出力117と、第2の増幅器出力119とを有する線形増幅器118を含む。幾つかの例示の実施例において、線形増幅器118は、VINM及び線形増幅器118の利得に基づいて、CS3を第1の増幅器出力117において提供し、CS4を第2の増幅器出力119において提供するように構成される。CS1、CS2、CS3、及びCS4に応答して、電力段144は、第1の信号出力148における電圧(VOUTP)と第2の信号出力150における電圧(VOUTM)とを制御する。
【0027】
変調コントローラ108を用いる場合、負荷162と第1及び第2の信号出力148及び150との間のフィルタ回路要素160(例えば、電磁干渉又は「EMI」を低減するためのもの)は、フィルタ回路要素160におけるインダクタの数が(例えば、2つのインダクタから1つのインダクタに)削減されるため、他のフィルタオプションと比較して簡素化される。フィルタ回路要素160は、例えば、第1のフィルタ及び第2のフィルタを含む。第1のフィルタは、第1の信号出力148と負荷162の第1の端部164との間にある。幾つかの例示の実施例において、第1のフィルタは、第1のキャパシタ(例えば、図2及び図3におけるC1)と、インダクタ(例えば、図2及び図3におけるL1)とを含む。第2のフィルタは、OUTM出力150と負荷162の第2の端部166との間にある。幾つかの例示の実施例において、第2のフィルタは、第2のキャパシタ(例えば、図2及び図3のC2)を含み、インダクタを含まない。
【0028】
フィルタ回路要素160のこの簡素化は、インダクタの寸法に起因する有意なコスト削減である。スイッチング増幅器106の性能を改善するために、PWM制御ループ110は、本明細書で説明されるようにVOUTMに基づくフィードフォワード信号を受信し得、それによってスイッチング増幅器106のTHDが改善される。別のオプションとして、フィルタ回路要素160の第2のキャパシタ(例えば、図2及び図3におけるC2)の寸法及び充電間隔が、スイッチング増幅器106のスイッチング損失を低減するように選択される。
【0029】
図2は、例示の実施例に従ったスイッチング増幅器106A(図1におけるスイッチング増幅器106の一例)を有する音声システム200のブロック図である。音声システム200は、スイッチング増幅器106Aによって提供される音声信号増幅を有するシステム(例えば、図1におけるシステム100)の一部であり得る。図示されるように、音声システム200は、フィルタ回路要素160A(図1におけるフィルタ回路要素160の一例)を介してスピーカ162A(図1における負荷162の一例)に結合されるスイッチング増幅器106Aを含む。
【0030】
図2の例において、スイッチング増幅器106Aは、PWM制御ループ110A(図1におけるPWM制御ループ110の一例)と線形増幅器118A(図1における線形増幅器118の一例)とを有する変調コントローラ108A(図1における変調コントローラ108の一例)を含む。PWM制御ループ110A及び線形増幅器118Aは、電力段144A(図1における電力段144の一例)に結合される。より具体的には、電力段144Aは、第1の部分242(「OUTP部分」と標記されている)及び第2の部分252(「OUTM部分」と標記されている)を含む。電力段144Aの第1の部分242は、第1の制御入力130A(図1における第1の制御入力130の一例)及び第2の制御入力132A(図1における第2の制御入力132の一例)を含む。幾つかの例示の実施例において、電力段144Aの第1の部分242は、第1の制御入力130Aに結合される第1の制御端子(例えば、図3におけるCT1)を有する第1のスイッチ(例えば、図3におけるS1)と、第2の制御入力132Aに結合される第2の制御端子(例えば、図3におけるCT2)を有する第2のスイッチ(例えば、図3におけるS2)とを含む。電力段144Aの第2の部分252は、第3の制御入力134A(図1における第3の制御入力134の一例)、及び第4の制御入力136A(図1における第4の制御入力136の一例)を含む。幾つかの例示の実施例において、電力段144Aの第2の部分252は、第3の制御入力134Aに結合される第3の制御端子(例えば、図3におけるCT3)を有する第3のスイッチ(例えば、図3におけるS3)と、第4の制御入力136Aに結合される第4の制御端子(例えば、図3におけるCT4)を有する第4のスイッチ(例えば、図3におけるS4)とを含む。
【0031】
図2の例において、スイッチング増幅器106Aは、第1の信号出力148A(図1における第1の信号出力148の一例)も含む。図示されるように、第1の信号出力148Aは、電力段144Aの第1の部分242の第1の電力段出力147A(図1における第1の電力段出力147の一例)に結合される。幾つかの例示の実施例において、第1の電力段出力147A、及び従って第1の信号出力148は、電力段144Aの第1の部分242の第1のスイッチ(例えば、図3におけるS1)及び第2のスイッチ(例えば、図3におけるS2)の電流端子の間にある。
【0032】
スイッチング増幅器106Aは更に、第2の信号出力150A(図1における第2の信号出力150の一例)を含む。図示されるように、第2の信号出力150Aは、電力段144Aの第2の部分252の第2の電力段出力149A(図1における第2の電力段出力149の一例)に結合される。幾つかの例示の実施例において、第2の電力段出力149A及び従って第2の信号出力150Aは、電力段144Aの第2の部分252の第3のスイッチ(例えば、図3におけるS3)及び第4のスイッチ(例えば、図3におけるS4)の電流端子の間にある。
【0033】
図2において、PWM制御ループ110Aは、第1の入力120A(図1における第1の入力120の一例)を含み、第1の入力120Aは、第1のソース信号入力140A(図1における第1のソース信号入力140の一例)に結合され、第1のソース信号(例えば、VINP)を受信する。PWM制御ループ110Aは更に、第2の入力122A(図1における第2の入力122の一例)を含み、第2の入力122Aは、第2のソース信号入力142A(図1における第2のソース信号入力142の一例)に結合され、第2のソース信号(例えば、VINM)を受信する。PWM制御ループ110Aは付加的に、第1の信号出力148Aに結合される第1のフィードバック入力124A(図1における第1のフィードバック入力124の一例)と、第2の信号出力150Aに結合される第2のフィードバック入力126A(図1における第2のフィードバック入力126の一例)とを含む。PWM制御ループ110Aは更に、第1の制御入力130Aに結合される第1のPWM制御ループ出力113A(図1における第1のPWM制御ループ出力113の一例)と、第2の制御入力132Aに結合される第2のPWM制御ループ出力115A(図1における第2のPWM制御ループ出力115の一例)とを含む。
【0034】
図示されるように、線形増幅器118Aは、増幅器入力121A(増幅器入力121の一例)、第1の増幅器出力117A(図1における第1の増幅器出力117の一例)、及び第2の増幅器出力119A(図1における第2の増幅器出力119の一例)を有する。増幅器入力121Aは、VINMを受信するように、第2のソース信号入力142Aに結合される。第1の増幅器出力117Aは、第3の制御入力134Aに結合される。第2の増幅器出力119Aは、第4の制御入力136Aに結合される。
【0035】
図2の例において、スイッチング増幅器106Aはまた、第1のソース信号入力140Aと第1のフィードバック入力124Aとの間の第1の抵抗器(R1)、第2のソース信号入力142Aと第2のフィードバック入力126Aとの間の第2の抵抗器(R2)、第1のフィードバック入力124Aと第1の信号出力148Aとの間の第3の抵抗器(R3)、及び第2のフィードバック入力126Aと第2の信号出力150Aとの間の第4の抵抗器(R4)を含む。抵抗器R1、R2、R3、及びR4を備える場合、PWM制御ループ110Aのループフィルタ202が、VINP、VINM、VOUTP、及びVOUTMのスケーリングされたバージョンを用いて動作する。
【0036】
図示されるように、ループフィルタ202は、第1のフィルタ入力204、第2のフィルタ入力206、及びフィルタ出力210を含む。第1のフィルタ入力204は、第1のフィードバック入力124Aに結合され、第2のフィルタ入力206は、第2のフィードバック入力126Aに結合される。動作において、ループフィルタ202は、VINPとVINMの差を、VOUTPとVOUTMの差に対して積分するように構成され、その結果、VINTP及びVINTMとなる。幾つかの例示の実施例において、PWM制御ループ110Aは更に、第1の加算器入力214と、第2の加算器入力216と、加算器出力218とを有する加算器212を含む。第1の加算器入力214は、VINTMを提供するフィルタ出力210に結合される。第2の加算器入力216は、第2の信号出力150Aにおける電圧(例えば、VOUTM)に基づくフィードフォワード信号を受信する。例示のフィードフォワード信号は(VOUTM-PVDD/2)/7であるが、これに限定されない。PWM制御ループ110Aはまた、第1の比較器入力224と、第2の比較器入力226と、比較器出力228とを有する比較器222(図1における比較回路要素116の一例)を含み得る。第1の比較器入力224は加算器出力218に結合される。第2の比較器入力226は基準ランプ信号227(例えば、PVDD/7)を受信する。基準ランプ信号227は、例えば、ランプ生成器220によって提供される。
【0037】
図2の例において、PWM制御ループ110Aは、比較器出力228に結合されるゲートドライバ回路232を付加的に含む。幾つかの例示の実施例において、比較器出力228とゲートドライバ回路232の間にロジック230がある。ロジック230は、非オーバーラップロジックと称することもある。動作において、ロジック230は、電力段144Aの第2の部分252のローサイドスイッチ及びハイサイドスイッチ(例えば、S3及びS4)における貫通電流を回避するために、ゲートドライバ回路232から出力される制御信号(例えば、CS1及びCS2)の間に不感時間があることを確実にする。
【0038】
ゲートドライバ回路232は、第1のゲートドライバ入力234、第2のゲートドライバ入力236、第1のゲートドライバ出力237、及び第2のゲートドライバ出力239を含む。第1のゲートドライバ入力234及び第2のゲートドライバ入力236は、(ロジック230を介して)比較器出力228に結合される。第1のゲートドライバ出力237は、第1のPWM制御ループ出力113Aに結合される。第2のゲートドライバ出力239は、第2のPWM制御ループ出力115Aに結合される。幾つかの例示の実施例において、ゲートドライバ回路232は、電圧/電流レベルをシフトしてゲート駆動制御信号(例えば、図1におけるCS1及びCS2)を提供するためのレベルシフタ回路要素235を含む。
【0039】
幾つかの例示の実施例において、線形増幅器118Aは、第2のソース信号入力142Aからの入力信号(例えば、VINM)に利得を印加するように構成される。利得は少なくとも160であり得るが、これに限定されない。利得選択には、THDと損失との間のトレードオフが関与する。利得が低い場合、線形遷移領域はより長い時間を要し、THDが改善されるため、低電力線形損失が大きくなる。利得が高い場合、THDは悪化するが、低電力線形損失が小さくなる。別のオプションとして、線形増幅器118Aは、第2の信号出力150Aにおいて出力信号(例えば、VOUTM)をクランプするように構成される。従って、VINMが閾値を超えると、線形増幅器118Aは、VOUTMがPVDDにクランプされるようにVOUTMを制御するハイサイドスイッチ(例えば、図3におけるS3)を完全にオンにするか、或いは、VOUTMが接地にクランプされるようにVOUTMを制御するローサイドスイッチ(例えば、図4におけるS4)を完全にオンにする。
【0040】
図2の例において、スイッチング増幅器106Aの第1の信号出力148Aは、フィルタ回路要素160Aの第1のフィルタを介してスピーカ162Aの第1の端部164A(図1における負荷162の第1の端部164の一例)に結合されるように適合される。幾つかの例示の実施例において、第1のフィルタは、図示された配置におけるC1及びL1を含む。スイッチング増幅器106Aの第2の信号出力150Aは、フィルタ回路要素160Aの第2のフィルタを介してスピーカ162Aの第2の端部166A(図1における負荷162の第1の端部166の一例)に結合されるように適合される。幾つかの例示の実施例において、第2のフィルタは、図示された配置におけるC2を含み、インダクタを含まない。幾つかの例示の実施例において、スイッチング増幅器106Aはまた、電力段144Aの第1の部分242のスイッチを通る電流を監視するように構成される電流検知回路260を含み得る。また、スイッチング増幅器106Aは、電力段144Aの第2の部分252のスイッチを通る電流を監視するように構成される電流検知回路262を含み得る。電流検知回路260及び262は、スイッチング増幅器106Aのための過電流又は不足電流監視システムの一部であり得る。
【0041】
音声システム200の場合、スイッチング増幅器106Aのトポロジーにより、他のトポロジーと比較してフィルタ回路要素160Aを簡素化できる(インダクタが省かれ得る)。また、VOUTMに基づくフィードフォワード信号(例えば、加算器212において印加される)は、スイッチング増幅器106AのTHDを改善する。また、C2の寸法及び関連する充電間隔が、スイッチング増幅器106Aのスイッチング損失を低減するように選択され得る。
【0042】
幾つかの例示の実施例において、システム(例えば、図1におけるシステム100)が、スイッチング増幅器(例えば、図1におけるスイッチング増幅器106、又は図2におけるスイッチング増幅器106A)を含み、スイッチング増幅器は、第1の信号ソース入力(例えば、図1における第1のソース信号入力140、又は図2における第1のソース信号入力140A)と、第2のソース信号入力(例えば、図1における第2のソース信号入力142、又は図2における第2のソース信号入力142A)と、第1の信号出力(例えば、図1における第1の信号出力148、又は図2における第1の信号出力148A)と、第2の信号出力(例えば、図1における第2の信号出力150、又は図2における第2の信号出力150A)とを有する。スイッチング増幅器は、PWM制御ループ(例えば、図1におけるPWM制御ループ110、又は図2におけるPWM制御ループ110A)に基づいて、第1の出力信号(例えば、VOUTP)を第1の信号出力において提供するように構成され、PWM制御ループは、第1のソース信号入力から第1のソース信号(例えば、VINP)を受信し、第2のソース信号入力から第2のソース信号(例えば、VINM)を受信し、第1の信号出力から第1のフィードバック信号(例えば、VOUTP又はVOUTPのスケーリングされたバージョン)を受信し、第2の信号出力から第2のフィードバック信号(例えば、VOUTM又はVOUTMのスケーリングされたバージョン)を受信する。スイッチング増幅器は更に、線形増幅器(例えば、図1における線形増幅器118)に基づいて、第2の出力信号(例えば、VOUTM)を第2の信号出力において提供し、第2のソース信号を第2のソース信号入力において提供するように構成される。システムはまた、フィルタ回路要素(例えば、図1におけるフィルタ回路要素160)を介して第1の信号出力及び第2の信号出力に結合される負荷(例えば、図1における負荷162、又は図2における負荷162A)を含む。
【0043】
幾つかの例示の実施例において、スイッチング増幅器は、第1の端部及び第2の端部を有する第1の抵抗器(例えば、図2におけるR1)を含む。第1の抵抗器の第1の端部は第1のソース信号入力に結合され、第1の抵抗器の第2の端部は、PWM制御ループの第1のフィードバック入力に結合される。スイッチング増幅器はまた、第1の端部及び第2の端部を有する第2の抵抗器(例えば、図2におけるR2)を含む。第2の抵抗器の第1の端部は第2のソース信号入力に結合され、第2の抵抗器の第2の端部は、PWM制御ループの第2のフィードバック入力に結合される。スイッチング増幅器は更に、第1の端部及び第2の端部を有する第3の抵抗器(例えば、図2におけるR3)を含む。第3の抵抗器の第1の端部は、第1の信号出力に結合され、第3の抵抗器の第2の端部は、第1のフィードバック入力に結合される。スイッチング増幅器は付加的に、第1の端部及び第2の端部を有する第4の抵抗器(例えば、図2におけるR4)を含む。第4の抵抗器の第1の端部は、第2の信号出力に結合され、第4の抵抗器の第2の端部は、第2のフィードバック入力に結合される。
【0044】
幾つかの例示の実施例において、PWM制御ループは、第1のソース信号と、第2のソース信号と、第1のフィードバック信号と、第2のフィードバック信号とに基づいてループフィルタ出力(例えば、図2におけるループフィルタ202の出力)を生成し、ループフィルタ出力と、第2の信号出力における電圧(例えば、VOUTM)に基づくフィードフォワード信号との加算値(例えば、図2における加算器212の出力)を生成し、加算値と基準ランプ信号との比較結果(例えば、図2における比較器222の出力)を判定するように構成される。
【0045】
幾つかの例示の実施例において、スイッチング増幅器は、スイッチの第1のセット(例えば、図3に示される配置におけるS1及びS2)を有する電力段(例えば、図3における電力段144B)の第1の部分を含む。そのような例示の実施例において、PWM制御ループは、比較結果に基づいて、スイッチの第1のセット(例えば、図3におけるS1及びS2)に対する駆動信号(例えば、図1及び図3におけるCS1及びCS2)を生成するように構成されるゲートドライバ回路(例えば、図2におけるゲートドライバ回路232)を含む。幾つかの例示の実施例において、ゲートドライバ回路は、レベルシフタ回路要素(例えば、図2におけるレベルシフタ回路要素235)を含む。
【0046】
幾つかの例示の実施例において、スイッチング増幅器は、スイッチの第2のセット(例えば、図3に示される配置におけるS3及びS4)を有する電力段の第2の部分(例えば、図3における電力段144B)を含む。そのような例示の実施例において、線形増幅器は、スイッチの第2のセットに対する駆動信号(例えば、図1及び図3におけるCS3及びCS4)を生成するため第2のソース信号に利得を印加するように構成され、利得は少なくとも100である。線形増幅器はまた、第2の信号出力において第2の出力信号をクランプするように構成され得る。
【0047】
幾つかの例示の実施例において、フィルタ回路要素(例えば、図1におけるフィルタ回路要素160、又は図2におけるフィルタ回路要素160A)は、第1のフィルタ(例えば、図2又は図3に示される配置におけるL1及びC1)、及び第2のフィルタ(例えば、図2又は図3に示される配置におけるC2)を含む。第1のフィルタは、第1の信号出力と負荷の第1の端部との間にある。幾つかの例示の実施例において、第1のフィルタは第1のキャパシタ及びインダクタを含む。第2のフィルタは、第2の信号出力と負荷の第2の端部との間にある。幾つかの例示の実施例において、第2のフィルタは、第2のキャパシタ(例えば、C2)を含み、インダクタを含まない。幾つかの例示の実施例において、第2のキャパシタの寸法及び関連する充電間隔が、スイッチング増幅器のスイッチング損失を低減するように選択される。幾つかの例示の実施例において、負荷はスピーカであり、第1及び第2のソース信号は音声信号である。
【0048】
図3は、例示の実施例に従った、フィルタ回路要素160B(図1におけるフィルタ回路要素160、又は図2におけるフィルタ回路要素160Aの一例)を介して負荷162B(図1における負荷162又は図2における負荷162Aの一例)に結合されるスイッチング増幅器(例えば、図1におけるスイッチング増幅器106又は図2におけるスイッチング増幅器106A)の電力段144B(図1における電力段144又は図2における電力段144Aの一例)の概略図300である。図3の例において、電力段144Bは、n型金属酸化物半導体電界効果(nMOSFET又は単に「nMOS」)トランジスタの形態の4つのスイッチ(S1、S2、S3、S4)を含む。
【0049】
図示されるように、S1の第1の電流端子がPVDDに結合され、S1の第2の電流端子が、S2の第1の電流端子に結合され、S2の第2の電流端子が接地に結合される。また、S1の制御端子(CT1)が、CS1を受信するように構成され、S2の制御端子(CT2)が、CS2を受信するように構成される。図示されるように、第1の電力段出力147B(図1における第1の電力段出力147又は図2における第1の電力段出力147Aの一例)が、S1の第2の電流端子とS2の第1の電流端子との間にある。図3において、図示された配置におけるS1及びS2は、図2における電力段144Aの第1の部分242の一例である。
【0050】
また、S3の第1の電流端子がPVDDに結合され、S3の第2の電流端子が、S4の第1の端子に結合され、S4の第2の電流端子が接地に結合される。また、S3の制御端子(CT3)が、CS3を受信するように構成され、S4の制御端子(CT4)が、CS4を受信するように構成される。図示されるように、第2の電力段出力149B(図1における第2の電力段出力149、又は図2における第2の電力段149Aの一例)が、S3の第2の電流端子とS4の第1の電流端子との間にある。図3において、図示された配置におけるS3及びS4は、図2における電力段144Aの第2の部分252の一例である。
【0051】
図3の例において、負荷162Bは、抵抗負荷及び容量負荷を直列に有するスピーカである。図示されるように、負荷162Bの第1の端部が、L1と、C1と、C2とを含むフィルタ回路要素160Bを介して第1の電力段出力147Bに結合される。より具体的には、第1の電力段出力147BはL1の第1の端部に結合され、一方、L1の第2の端部が負荷162Bの第1の端部に結合される。また、負荷162Bの第2の端部は、フィルタ回路要素160Bを介して第2の電力段出力149Bに結合される。また、第2の電力段出力149Bは、負荷162Bの第2の端部及びC2の第1の端子に結合される。C2の第2の端子は接地に結合される。図3の例において、C1の第1の端子がL1の第2の端部に結合され、C1の第2の端子がC2の第1の端子に結合される。
【0052】
図3の例では、CS1及びCS2は、PWM制御ループ(例えば、図1におけるPWM制御ループ110、又は図2におけるPWM制御ループ110A)によって提供され、その結果、第1の電力段出力147BにおけるVOUTPに対するスイッチング挙動が生じる。また、CS3及びCS4は、線形増幅器(例えば、図1における線形増幅器118、又は図2における線形増幅器118A)によって提供され、その結果、第2の電力段出力149BにおけるVOUTMに対する線形挙動が生じる。
【0053】
本明細書で説明されるように、線形遷移トーテムポールトポロジーを用いてCS1、CS2、CS3、及びCS4を提供することにより、他のスイッチング増幅器トポロジーに比べて、フィルタ回路要素160Bが簡素化される(インダクタが省かれ得る)。所望により、VOUTM(例えば、図2における加算器212等の加算器に印加される)に基づくフィードフォワード信号が、線形遷移トーテムポールトポロジーを有するスイッチング増幅器のTHDを改善する。別のオプションとして、C2の寸法及び関連する充電間隔が、線形遷移トーテムポールトポロジーを有するスイッチング増幅器のスイッチング損失を低減するように選択され得る。
【0054】
図4は、例示の実施例に従った、スイッチング増幅器(例えば、図1におけるスイッチング増幅器106、図1におけるスイッチング増幅器106A)に関連する信号のグラフ400である。グラフ400において、信号は、VINM、VOUTM、VOUTP、Vnet0174、VINTM、VINTP、及びVnet065を含む。本明細書で説明されるように、VINMは、スイッチング増幅器の第2のソース信号入力(例えば、図1における第2のソース信号入力142、又は図2における第2のソース信号入力142A)に対する入力電圧である。VOUTMは、スイッチング増幅器の第2の信号出力(例えば、図1における第2の信号出力150、又は図2における第2の信号出力150A)における出力電圧である。VOUTPは、スイッチング増幅器の第1の信号出力(例えば、図1における第1の信号出力148、又は図2における第1の信号出力148A)における出力電圧である。VINTPは第1のループフィルタ出力信号である。VINTPは第2のループフィルタ出力信号である。VCMPは、CS1及びCS2を生成するために、VINTP及びVINTMと比較される高周波(例えば、2.1MHz)信号(例えば、三角波)である。VSPKRは、スピーカの両端の電圧(スイッチング増幅器からの出力信号)である。図示されるように、グラフ400において、VINMが正弦波であるのに対して、VOUTMはより線形であり、クランプされることを除いて、VOUTMはVINMの形状に従う。
【0055】
図5は、例示の実施例に従った、スイッチング増幅器(例えば、図1におけるスイッチング増幅器106、図1におけるスイッチング増幅器106A)に関連する信号の別のグラフ500である。グラフ500において、信号は、VOUTP、VOUTM、VG_HS、VG_LS、VL2/PLUS、VSPKR、VINTM、及びVINTPを含む。VG_HSは、スイッチング増幅器に対する第2の信号出力に関連するハイサイドスイッチ制御信号(例えば、CS3)である。VG_LSは、スイッチング増幅器に対する第2の信号出力に関連するローサイドスイッチ制御信号(例えば、CS4)である。VIL1は、L1を介して測定されるインダクタ電流を表す電圧である。グラフ500において示されるように、VOUTMのほぼ線形の上昇及び下降勾配は、VG_HS及びVG_LSに対する多段階値に基づく。
【0056】
図6は、例示の実施例に従った、フィードフォワードシグナリングを有するスイッチング増幅器(例えば、図1におけるスイッチング増幅器106、図1におけるスイッチング増幅器106A)に関連する信号のグラフ600である。グラフ600において、信号は、VOUTP、VOUTM、VSPKR、Vfeedforward、Vramp、及びVINTPを含む。グラフ600において示されるように、Vfeedforwardは、VOUTMのスケーリングされたバージョンであり、VOUTMは、ほぼ線形であり、クランプされる。
【0057】
図7は、例示の実施例に従った、フィードフォワードシグナリングを有するスイッチング増幅器(例えば、図1におけるスイッチング増幅器106、図1におけるスイッチング増幅器106A)に関連する信号の別のグラフ700である。グラフ700において、信号は、VOUTP、VOUTM、VSPKR、Vfeedforward、Vramp、及びVINTPを含む。グラフ700に示されるように、Vfeedforwardは、VOUTMのスケーリングされたバージョンであり、VOUTMは、ほぼ正弦波である。
【0058】
図8は、例示の実施例に従った、アイドル状態にあるスイッチング増幅器(例えば、図1におけるスイッチング増幅器106、図1におけるスイッチング増幅器106A)に関連する信号のグラフ800である。グラフ800において、信号は、VCMP、VINTP、VINTM、VOUTP、VOUTM、及びVSPKRを含む。グラフ800に示されるように、入力信号は0(アイドルモード)であり、そのため、VSPKRも0であるべきである。アイドルモードの間、VOUTMは、PVDD/2(例えば、PVDD=14.4V、VOUTM=7.2Vの場合)になるように制御され、PWM制御ループは、VOUTPが50%に近いデューティサイクルを有するように制御する。VOUTPの平均は、VOUTMと同じになり、その結果、(フィルタ回路要素のLCフィルタの後)スピーカの両端において、音声周波数電圧はゼロになる(VOUTP-VOUTM=0)。
【0059】
図9Aは、例示の実施例に従ったスイッチング増幅器(例えば、図1におけるスイッチング増幅器106、図1におけるスイッチング増幅器106A)に関連し、スイッチング損失を示す信号のグラフ900である。グラフ900において、信号は、VOUTM、VIL_fund、及びVG_LSを含む。VIL_fundは、L1の左側におけるインダクタ電流である。図示されるように、VOUTMは、第1の部分902及び第2の部分904を含む。VOUTMの第1の部分902は、インダクタ電流に基づくフィルタ回路要素のC2のための充電間隔に関連する。VOUTMの第2の部分904は、スイッチング電流に基づくフィルタ回路要素のC2のための充電間隔に関連し、それは非効率である。
【0060】
グラフ900の場合、C2上の損失は、VOUTMの第2の部分904に関連する。これは、C2上の電圧は、VOUTMがPVDDのときにPVDDになり、VOUTMが0のときに0になるためである。インダクタ電流が正しい方向でない場合、C2は、C2×VOUTM の損失を有し得る。これは、C2に対するハード充電状態と称する。VOUTMの第1の部分902のように、C2上の電圧がインダクタ電流に起因して減少する場合、損失が回避される。これは、C2に対するソフト充電状態と称する。より具体的には、VOUTMの第1の部分902において、C2上の電圧は減少し、L1電流は負である。従って電流は、第2の電力段出力(例えば、図1における第2の電力段出力149、図2における第2の電力段出力149A、又は図3における第2の電力段出力149B)から、第1の電力段出力(例えば、図1における第1の電力段出力147、図2における第1の電力段出力147A、又は図3における第1の電力段出力147B)に逆流し、その結果、C2の充電がL1によって引き出される。従って、VOUTMのこの第1の部分902は、C2に対するソフト充電状態に対応する。第2の部分904において、C2上の電圧は、減少し、インダクタ電流は正であり、それは、電流が第2の電力段出力に流れていることを意味する。従って、VOUTMの第2の部分904において、C2上の電圧変化は、ローサイドスイッチ(例えば、S3)がオンにされたことに起因するものであり、それは、VG_LSを用いて確認され得る。従って、VOUTMのこの第2の部分904は、関連する損失を備えるC2に対するハード充電状態に関連する。
【0061】
図9Bは、例示の実施例に従ったスイッチング増幅器(例えば、図1におけるスイッチング増幅器106、図1におけるスイッチング増幅器106A)に関連し、低減されたスイッチング損失を示す信号のグラフ910である。グラフ910において、信号は、VOUTM、VIL_fund、及びVG_LSを含む。VOUTMの第1の部分912が、インダクタ電流に基づくフィルタ回路要素のC2に対する充電間隔に関連する。VOUTMの第2の部分914が、スイッチング電流に基づくフィルタ回路要素のC2に対する充電間隔に関連し、それは、非効率である。C2の寸法及び、第1及び第2の部分912及び914によって表される関連する充電間隔を制御することにより、スイッチング増幅器のスイッチング損失が低減され得る。より具体的には、VOUTMの第1の部分91において、インダクタ電流はL1の左側で測定される。インダクタ電流が正である場合、それは、電流が第1の電力段出力から第2の電力段出力に流れていることを意味する。VOUTMの第1の正の部分の寸法を増大させるために(ソフト充電間隔をできるだけ大きくするように)、アイドルモード(Vin=0のとき)の間、VOUTMの電圧が変更され、その結果、VOUTM第の1の部分912が、第2の部分914に比べて増大する。注:グラフ910におけるVOUTMの第1の部分912は、グラフ900におけるVOUTMの第1の部分902より大きい。
【0062】
図10は、第2の信号出力(例えば、図1における第2の信号出力150、又は図2における第2の信号出力150AにおけるVOUTM)における電圧変動を、例示の実施例に従ったスイッチング増幅器(例えば、図1におけるスイッチング増幅器106、図1におけるスイッチング増幅器106A)に対する第2のソース信号入力(図1における第2のソース信号入力142、又は図2における第2のソース信号入力142AにおけるVINM)における電圧変動の関数として示すグラフ1000である。図示されるように、VINMの値がより小さい(例えば、500mV未満のVINM)場合、VOUTMはほぼ正弦波でありクランプされない。VINMの値がより大きい(例えば、600mVより上のVINM)場合、VOUTMはほぼ台形であり、クランプされる。
【0063】
図11は、例示の実施例に従った、第1の信号出力(例えば、図1における第1の信号出力148、または図2における第1の信号出力148A)及び第2の信号出力(例えば、図1における第2の信号出力150、又は図2における第2の信号出力150A)を有するスイッチング増幅器(例えば、図1におけるスイッチング増幅器106、図1におけるスイッチング増幅器106A)とともに用いるための方法1100を示すフローチャートである。図示されるように、方法1100は、ブロック1102において、第1のソース信号(例えば、VINP)及び第2のソース信号(例えば、VINM)を受信することを含む。ブロック1104において、第1のソース信号と、第2のソース信号と、第1の信号出力からの第1のフィードバック信号(例えば、VOUTPに基づくフィードバック信号)と、第2の信号出力からの第2のフィードバック信号(例えば、VOUTMに基づくフィードバック信号)とを受信するPWM制御ループ(例えば、図1におけるPWM制御ループ110、又は図2におけるPWM制御ループ110A)に基づいて、第1の出力信号(VOUTP)が第1の信号出力(例えば、第1のスイッチングコンバータ)において提供される。幾つかの例示の実施例において、ブロック1104で、第1の出力信号を第1の信号出力において提供することは、更に、第2の信号出力における電圧(例えば、VOUTM)に基づくフィードフォワード信号を有するループフィルタ出力(例えば、図2におけるループフィルタ202の出力)を加算することに基づく。ブロック1106Aにおいて、線形増幅器(例えば、図1における線形増幅器118、又は図2における線形増幅器118A)に基づいて、第2の出力信号(例えば、VOUTM)が第2の信号出力において提供される。
【0064】
幾つかの例示の実施例において、方法1100はまた、第1のフィードバック信号を、第1の出力信号に対してスケーリングすることと、第2のフィードバック信号を、第2の出力信号に対してスケーリングすることとを含み得る。別のオプションとして、方法1100は、第1の出力信号及び第2の出力信号を、フィルタ回路要素(例えば、図1におけるフィルタ回路要素160、又は図2におけるフィルタ回路要素160A)を介して負荷(例えば、図1における負荷162、又は図2における負荷162A)に結合することを更に含み得る。フィルタ回路要素は、第1のフィルタ(例えば、図2又は図3の配置において示されるL1及びC1)及び第2のフィルタ(例えば、図2又は図3の配置におけるC2)を含む。第1のフィルタは、第1の信号出力と負荷の第1の端部との間にある。幾つかの例示の実施例において、第1のフィルタは、第1のキャパシタ(例えば、図2及び図3におけるC1)及びインダクタ(例えば、図2及び図3におけるL1)を含む。第2のフィルタは、第2の信号出力と負荷の第2の端部との間にある。第2のフィルタは、第2のキャパシタ(例えば、図2及び図3におけるC2)を含み、インダクタを含まない。幾つかの例示の実施例において、方法1100は、スイッチング増幅器のスイッチング損失を低減するように、第2のキャパシタの寸法、及び関連する充電間隔を選択することを含む。
【0065】
本記載において、用語「結合する」は、本記載の説明と一貫する機能的関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を網羅し得る。例えば、デバイスAが、制御デバイスBを制御して或るアクションを実施する信号を生成する場合、(a)第1の例において、デバイスAは、直接接続によってデバイスBに結合され、或いは(b)第2の例において、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を変更しない場合、デバイスAは、介在する構成要素Cを介してデバイスBに結合され、デバイスAによって生成された制御信号を介してデバイスBがデバイスAによって制御されるようにする。
【0066】
本明細書に用いられるように、用語「端子」、「ノード」、「相互接続」、「ピン」、「コンタクト」、及び「接続」は交換可能に用いられる。特に反対の記載がない限り、これらの用語は、概して、デバイス要素、回路要素、集積回路、デバイス、又は他の電子機器又は半導体構成要素の間の相互接続又は終端を意味するために用いられる。
【0067】
上述の例示の実施例は、nMOSトランジスタを利用するが、他の例示の実施例が、pMOSトランジスタ、NPNバイポーラ接合トランジスタ(BJT)、PNP BJT、又は任意の他のタイプのトランジスタを利用し得る。従って、電流端子を参照する場合、そのような端子は、エミッタ、コレクタ、ソース、又はドレインであり得る。また、制御端子は、ベース又はゲートであり得る。
【0068】
或るタスク又は機能を実施するように「構成された」デバイスは、製造時に製造者によってその機能を実施するように構成され得(例えば、プログラム及び/又は配線接続される)、或いは、製造後にユーザによりそういった機能及び/又は他の付加的な又は代替的な機能を実施するように構成可能(又は再構成可能)であり得る。こういった構成は、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアプログラミングを介してもよく、又は、ハードウェア構成要素の構成及び/又はレイアウト、デバイスの相互接続、又はそれらの組み合わせを介してもよい。
【0069】
或る構成要素を含むと説明される回路又はデバイスが、代わりに、それらの構成要素に結合されるように適合されて、説明された回路要素又はデバイスを形成してもよい。例えば、一つ又は複数の半導体要素(トランジスタ等)、一つ又は複数の受動要素(抵抗器、キャパシタ、及び/又はインダクタ等)、及び/又は、一つ又は複数の供給源(電圧及び/又は電流電源等)を含むとして説明される構造が、代わりに、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)内に半導体要素のみを含んでもよく、受動要素及び/又は供給源の少なくとも幾つかに結合されるように適合され、そのため、製造時又は製造時以降の時点のいずれかで、例えば、エンドユーザ及び/又は第三者によって、説明された構造を形成してもよい。
【0070】
本明細書で説明される回路は、交換された構成要素を含むように再構成可能であり、構成要素の交換の前に利用可能であった機能性に少なくとも部分的に類似した機能性を提供し得る。特に明記されていない限り、抵抗器として図示されている構成要素は、概して、図示された抵抗器によって表されるインピーダンスの量を提供するため直列又は並列に結合された任意の一つ又は複数の要素を表す。例えば、本明細書に単一の構成要素として説明された抵抗器は、代わりに、それぞれ、同じノード間に並列に結合され得る複数の抵抗器であり得る複数の抵抗器又はキャパシタであり得る。例えば、本明細書に単一の構成要素として図示及び説明された抵抗器又はキャパシタは、代わりに、単一の抵抗器又はキャパシタとして、同じ2つのノード間に直列に結合された複数の抵抗器又はキャパシタであり得る。
【0071】
本記載の「接地」という語句の使用は、本記載の教示に適用可能な又は適したシャーシ接地、アース接地、フローティング接地、仮想接地、デジタル接地、共通接地、及び/又は任意のその他の形式の接地接続を含む。特に明記されない限り、数字の前にある「約」、「およそ」又は「実質的に」は、記載された値の+/-10パーセントを意味する。
【0072】
特許請求の範囲内で、説明した実施例における改変が可能であり、他の実施例が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
【国際調査報告】