IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2024-533834リング圧延機およびリング圧延機を運転するための方法
<>
  • 特表-リング圧延機およびリング圧延機を運転するための方法 図1a
  • 特表-リング圧延機およびリング圧延機を運転するための方法 図1b
  • 特表-リング圧延機およびリング圧延機を運転するための方法 図2
  • 特表-リング圧延機およびリング圧延機を運転するための方法 図3
  • 特表-リング圧延機およびリング圧延機を運転するための方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】リング圧延機およびリング圧延機を運転するための方法
(51)【国際特許分類】
   B21B 27/02 20060101AFI20240905BHJP
   B21B 17/02 20060101ALI20240905BHJP
   B21B 31/20 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B21B27/02 J
B21B17/02
B21B31/20 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520018
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2022078220
(87)【国際公開番号】W WO2023061995
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】102021211516.0
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デニス ミヒル
(72)【発明者】
【氏名】アブドゥルアヘド アラシェ
(72)【発明者】
【氏名】コース ファン プッテン
【テーマコード(参考)】
4E016
【Fターム(参考)】
4E016AA10
4E016BA05
4E016BA09
(57)【要約】
本発明は、リング圧延機(1)であって、圧延素材(3)を載せるための機械テーブル(2)と、圧延素材(3)の端面(7,8)を圧延するための少なくとも1つのアキシャルロール、好ましくは2つのアキシャルロール(5,6)を支持するアキシャルフレーム(4)と、を備えるリング圧延機(1)に関する。このようなリング圧延機と、このリング圧延機を運転するための方法とを改良して、迅速な製品変更を圧延機の手間のかかる準備または組換えなしに可能にすることができるようにするために、本発明は、アキシャルフレーム(4)に、圧延素材(3)の外周面(11)を圧延するための少なくとも1つの加圧ロール、好ましくは2つの加圧ロール(9,10)がさらに配置されており、この少なくとも1つの加圧ロール(9,10)は、アキシャルフレーム(4)に対して並進移動可能に配置されていることを提案している。さらに、本発明は、このようなリング圧延機を運転するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング圧延機(1)であって、圧延素材(3)を載せるための機械テーブル(2)と、前記圧延素材(3)の端面(7,8)を圧延するための少なくとも1つのアキシャルロール、好ましくは2つのアキシャルロール(5,6)を支持するアキシャルフレーム(4)と、を備えるリング圧延機(1)において、
前記アキシャルフレーム(4)に、さらに、前記圧延素材(3)の外周面(11)を圧延するための少なくとも1つの加圧ロール、好ましくは2つの加圧ロール(9,10)が配置されており、該少なくとも1つの加圧ロール(9,10)は、前記アキシャルフレーム(4)に対して並進移動可能に配置されていることを特徴とする、リング圧延機。
【請求項2】
前記リング圧延機は、メインロール(12)とマンドレルロール(13)とをさらに備え、前記メインロール(12)と前記マンドレルロール(13)との間で前記圧延素材(3)が圧延可能であることを特徴とする、請求項1記載のリング圧延機。
【請求項3】
前記リング圧延機は、前記圧延素材(3)を機械長手方向軸線(L)に対してセンタリングすることができるセンタリングロール(14,15)をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2記載のリング圧延機。
【請求項4】
前記少なくとも1つの加圧ロール(9,10)を予め設定された力でまたは予め設定された並進送りに応じて前記圧延素材(3)に押圧することができる開ループ制御手段および/または閉ループ制御手段が配置されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のリング圧延機。
【請求項5】
前記アキシャルフレーム(4)に、前記圧延素材(3)の外径を測定することができる測定手段(9,10,16)が配置されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のリング圧延機。
【請求項6】
前記測定手段(9,10,16)は、両方の前記加圧ロール(9,10)と1つの別の測定要素(16)とによって形成されることを特徴とする、請求項5記載のリング圧延機。
【請求項7】
前記別の測定要素(16)はロールまたはレーザ測定機器であることを特徴とする、請求項6記載のリング圧延機。
【請求項8】
前記少なくとも1つの加圧ロール(9,10)の並進移動の方向(T)と、機械長手方向軸線(L)とは、角度(α)を成しており、該角度(α)は、0°~55°、好ましくは25°~55°であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のリング圧延機。
【請求項9】
前記少なくとも1つの加圧ロール(9,10)の並進移動の方向(T)は、機械長手方向軸線(L)に第1の点(P1)で交差しており、前記少なくとも1つのアキシャルロール(5,6)は、前記機械長手方向軸線(L)に第2の点(P2)で交差する軸線(a)を有し、前記第1の点(P1)は、前記第2の点(P2)よりも前記アキシャルフレーム(4)の近くに位置していることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のリング圧延機。
【請求項10】
圧延素材(3)を載せるための機械テーブル(2)と、前記圧延素材(3)を相互間で圧延することができるメインロール(12)およびマンドレルロール(13)と、前記圧延素材(3)の端面(7,8)を圧延するための少なくとも1つのアキシャルロール、好ましくは2つのアキシャルロール(5,6)を支持するアキシャルフレーム(4)と、を備えるリング圧延機(1)を運転するための方法において、
前記圧延素材(3)を、前記少なくとも1つのアキシャルロール(5,6)と、前記圧延素材(3)の外周面(11)を圧延するための少なくとも1つの加圧ロール、好ましくは2つの加圧ロール(9,10)とによって圧延し、前記圧延素材(3)の圧延時に前記少なくとも1つの加圧ロール(9,10)を前記アキシャルフレーム(4)に対して並進移動させ、前記圧延素材(3)の圧延時に前記メインロール(12)と前記マンドレルロール(13)とを前記圧延素材(3)に接触させないことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング圧延機であって、圧延素材を載せるための機械テーブルと、圧延素材の端面を圧延するための少なくとも1つのアキシャルロール、好ましくは2つのアキシャルロールを支持するアキシャルフレームと、を備えるリング圧延機に関する。本発明は、さらに、このようなリング圧延機を運転するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に記載した形態のリング圧延機は、米国特許第2307191号明細書に基づいて公知であり、図1に(一方は側面図および他方は平面図で)示してある。このリング圧延機1は機械テーブル2を有しており、この機械テーブル2には、圧延すべきリングの形態の圧延素材3が配置される。リング3の半径方向の圧延は、マンドレルロール13と協働するメインロール12によって行われる。リング3の軸線方向の圧延は、アキシャルフレーム4に支持された2つのアキシャルロール5,6によって行われる。したがって、圧延素材の外周面11はメインロール12によって圧延され、これに対して、圧延素材の端面7,8は両方のアキシャルロール5,6によって圧延される。さらに、複数のセンタリングロール14,15が設けられており、これらのセンタリングロール14,15はセンタリングアーム17;18に配置されており、センタリングロール14,15によって、圧延素材3は機械長手方向軸線Lに対してセンタリングされる。
【0003】
上述した米国特許第2307191号明細書では、アキシャルフレームは、確かに、リングの外周面に接触するためのロールも有しているが、しかしながら、これらのロールはアキシャルフレームに不動に取り付けられており、ゆえに、アキシャルフレームと一緒に機械長手方向軸線の方向で走行する。
【0004】
したがって、前述したロールの独立した変位を生じさせることはできない。半径方向の圧延間隙と軸線方向の圧延間隙とは常に干渉し合っている。直径またはリング高さの検出は行われない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底にある課題は、冒頭に記載した形態のリング圧延機と、このリング圧延機を運転するための方法とを改良して、迅速な製品変更を圧延機の手間のかかる準備または組換えなしに可能にすることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるこの課題の解決手段は、アキシャルフレームに、さらに、圧延素材の外周面を圧延するための少なくとも1つの加圧ロール、好ましくは2つの加圧ロールが配置されており、この少なくとも1つの加圧ロールは、アキシャルフレームに対して並進移動可能に配置されていることを特徴としている。
【0007】
多くの場合、リング圧延機は、従来のメインロールとマンドレルロールとをさらに備え、メインロールとマンドレルロールとの間で圧延素材が圧延可能である。さらに、圧延素材を機械長手方向軸線に対してセンタリングすることができるセンタリングロールも設けられていてよい。
【0008】
好適な改良形態では、少なくとも1つの加圧ロールを予め設定された力でまたは予め設定された並進送りに応じて圧延素材に押圧することができる開ループ制御手段および/または閉ループ制御手段が配置されていることが特定されている。
【0009】
さらに、アキシャルフレームに、圧延素材の外径を測定することができる測定手段が配置されていてよい。このような構成における特に好適な改良形態では、測定手段は、両方の加圧ロールと1つの別の測定要素とによって形成されることが特定されている。このような構成では、別の測定要素は、好ましくはロールまたはレーザ測定機器である。
【0010】
圧延素材の有利な圧延は、本発明の構成によって、少なくとも1つの加圧ロールの並進移動の方向と、機械長手方向軸線とが、角度を成しており、この角度が、0°~55°、好ましくは25°~55°であることによって可能になる。
【0011】
特に有利な更なる運転モードは、少なくとも1つの加圧ロールの並進移動の方向が、機械長手方向軸線に第1の点で交差しており、少なくとも1つのアキシャルロールが、機械長手方向軸線に第2の点で交差する軸線を有しており、第1の点が、第2の点よりもアキシャルフレームの近くに位置していることによって可能になる。
【0012】
圧延素材を載せるための機械テーブルと、圧延素材を相互間で圧延することができるメインロールおよびマンドレルロールと、圧延素材の端面を圧延するための少なくとも1つのアキシャルロール、好ましくは2つのアキシャルロールを支持するアキシャルフレームと、を備えるリング圧延機を運転するための提案された方法は、本発明によれば、圧延素材を、少なくとも1つのアキシャルロールと、圧延素材の外周面を圧延するための少なくとも1つの加圧ロール、好ましくは2つの加圧ロールとによって圧延し、圧延素材の圧延時に少なくとも1つの加圧ロールをアキシャルフレームに対して並進移動させ、圧延素材の圧延時にメインロールとマンドレルロールとを圧延素材に接触させないことを特徴としている。
【0013】
この方法形態は、リング圧延機の上述した構成によって改良することができる。
【0014】
したがって、公知のリング圧延機、つまり、2ロール型リング圧延に対して、アキシャルプロファイル加工式の加圧圧延(axialprofilierten Drueckwalzen)のための付加装置が提供される。
【0015】
提案された付加装置によって、リング圧延機の製品対応範囲の拡大を実現することができる。この付加装置は、アキシャルフレーム内にまたはアキシャルフレームに接して取り付けられる加圧ロール装置である。このような加圧ロール装置によって、アキシャルフレームにおいて、組み合わされた軸線方向および半径方向の変形加工を行うことにより、半径方向および軸線方向で対称のディスク製品またはリング製品、および、非対称のディスク製品またはリング製品を製造することができる。提案されたリング圧延機の運転の好適な実施形態によれば、ラジアルキャリッジ(つまり、リングを半径方向で圧延するための圧延間隙を形成するための、メインロールおよびマンドレルロールを備えたアセンブリ)は干渉していない。
【0016】
付加装置は、加圧圧延とリング圧延とから成る方法組合せである。
【0017】
提案された解決手段の特に重要な態様は、圧延素材の外側の肉厚の横断面を減じる加圧ロールの位置決めにある。この位置決めは、加圧ロールが圧延素材を軸線方向の工具の側面に対して位置決めし、これによって肉厚を減じ、ひいては圧延素材を変形加工することによって、特に距離と力とに相俟って行われる。
【0018】
両方の加圧ロールは、アキシャルゲージのいわゆる走入/走出側に位置決めされている。加圧ロールが互いに独立して位置決めされることに基づいて、圧延素材を、アキシャルゲージ内で(つまり、アキシャルロール同士の間で)緊締して移動させることができる。この影響は、得ることができる圧延素材ジオメトリに大きな影響を与える。
【0019】
付加的に、要求された圧延素材寸法を得ることが保証される。そのために、好ましくは、圧延素材の外径が検出される。予め設定された直径値が得られると、変形加工プロセスは遮断される。
【0020】
直径検出は、リング圧延機では、通常、測定ポイント(多くの場合にはトレースロールまたはレーザ)によって、位置固定のメインロールと、アキシャルゲージ内のリング位置との間の間隔の測定によって行われる。提案された付加装置の使用に際して、メインロールおよびマンドレルロールを使用しない特に好適な運転では、メインロールに対する圧延素材の接触を保証することができない。したがって、その代わりに、直径検出のために必要な別の測定法が提案される。具体的に言えば、リング周面における少なくとも3つの固有の位置が検出され、3つのうちの2つの位置が、両方の加圧ロールによって与えられ、第3の信号として、アキシャルフレームの内部のリングの位置が使用される。第3の信号は、好ましくは、通常、リング圧延機に既存のトレースロールまたはレーザによって得られる。
【0021】
この場合、提案されたリング圧延機を、付加装置の停止時に引き続き公知の従来技術に基づいて使用することができることが極めて有利である。
【0022】
したがって、提案された付加装置によって、機械の手間のかかる準備または組換えなしに、迅速な製品変更が可能となる。アキシャルフレームに対する移動方向に関して、また、アキシャルロールのジオメトリに関連して、加圧ロールを好適に配置することによって、外側の肉厚を連続的に減じることができ、これによって、変形加工プロセスが行われる。加圧ロールの個別の送りは、圧延素材ジオメトリの質的な向上へと製品をシフトさせることができる。加圧ロールの移動方向の間での上述したジオメトリに基づいて、メインロールおよびマンドレルロールを使用せずとも、圧延素材の肉厚をアクティブに減じることができる。軸線方向圧延間隙に緊締された圧延素材の移動(つまり、両方のアキシャルロールの間での移動)が可能である。
【0023】
加圧ロールのほかに、別の測定要素を使用することによって、外径を簡単に検出することができる。
【0024】
加圧ロールで必要な力需要は、プロセス制御を介して予め設定することができる。
【0025】
提案された解決手段によって、公知のリング圧延機では圧延することができなかった圧延素材を部分的に加工することも可能になり、すなわち、リング圧延機の製品対応範囲を拡大することができる。結局のところ、ある製品から別の製品への迅速な変更が可能となる。
【0026】
図面には、本発明の実施例が示してある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1a】従来技術によるリング圧延機を示す側面図である。
図1b】従来技術によるリング圧延機を示す平面図である。
図2】2つの加圧ロールが移動可能にアキシャルフレーム内にまたはアキシャルフレームに接して配置された本発明の1つの実施形態によるリング圧延機のアキシャルフレームを概略的に示す斜視図である。
図3図2に示したアキシャルフレームを重要な幾何学的なパラメータと共に概略的に示す平面図である。
図4図2に示したアキシャルフレームを、圧延素材の外径を検出するための測定アセンブリと共に概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には、すでに上述した従来技術による解決手段が示してある。
【0029】
図2を見て分かるように、上述した公知の解決手段とは異なり、本発明では、アキシャルフレーム4にさらに(好ましくは2つの)加圧ロール9,10が配置されており、これらの加圧ロール9,10は、圧延素材3の外周面11を圧延する働きをする。ここで重要なのは、加圧ロール9,10は、アキシャルフレーム4に対して並進移動可能に配置されているということである。加圧ロール9;10をアキシャルフレームに対して運動させる並進送りは、図2でZ1,Z2によってマーキングされている。
【0030】
さらに、図3には、圧延素材3の圧延を実現し、その際、外径D(図4参照)を増加させる横断面の延伸が得られるように、圧延素材3の肉厚の領域を減じるために、どのような幾何学的な関係が特に好適に提案されるのかが示してある。
【0031】
図3(平面図)で分かるように、アキシャルフレーム4は、アキシャルロール5または6と、両方の加圧ロール9および10とを支持しており、両方の加圧ロール9,10は、それぞれアキシャルフレーム4に対して並進方向Tに移動させられる(この移動は、図示しないアクチュエータによって行われる)。アキシャルロール5,6の軸線aの方向は、平面図において機械長手方向軸線Lに合致している。
【0032】
方向Tは、平面図で見て、機械長手方向軸線Lと角度αを成しており、この角度αは、本実施例では約35°である。好ましくは、角度αに関する値は25°~55°である。方向Tと機械長手方向軸線Lとの交点は、図3で第1の点P1として記入してある。
【0033】
アキシャルロール5または6の軸線aと機械長手方向軸線Lとが交差している場合、第2の点P2が得られる。
【0034】
この場合、好ましくは、第1の点P1は、第2の点P2よりもアキシャルフレーム4の近くに位置していることが特定されている。
【0035】
したがって、加圧ロール9,10は機械長手方向軸線Lの外側に配置されることになる。方向Tと機械長手方向軸線Lとの間の角度αは、リングの圧延時の主要なパラメータとして重要である。別の重要なパラメータとしては、アキシャルフレーム4に関連した、第1の点P1と第2の点P2との間の相対位置がある。このことが図3に図説したように行われると、リング横断面に対する方向Tでの加圧ロール9,10の連続的な送りを行うことができる。これによって、圧延素材の肉厚の領域を減じることができ、ひいては、横断面の延伸によって直径の増加が生じる。
【0036】
圧延素材3の所望の外径Dが得られると、リングの圧延が停止される。これに関連した測定については、図4を参照されたい。
【0037】
図4で分かるように、コンセプトに基づいて、両方の加圧ロール9,10は、圧延プロセス中、圧延素材3の外周面11に接触しており、これによって、加圧ロール9,10のジオメトリが知られていることにより、第1の測定点M1と第2の測定点M2とが、圧延プロセス中、常に分かっている。図4でさらに認識できるように、ここでは、測定ロールの形態の別の測定要素16が設けられており、この測定要素16によって、第3の測定点M3を検出することができる。このように、3つの測定点M1,M2,M3の認識によって、(円形の)圧延素材の外径Dを簡単に特定することができる。
【0038】
圧延素材3のブランクを出発直径から増加した外径Dへと圧延することが所望されている場合には、記載した幾何学的な配置形態によって、角度αと、アキシャルフレーム4に関する両方の点P1,P2の相対位置とに対する上述した範囲に基づき、送りZ1またはZ2時(図2参照)ひいては両方の加圧ロール9,10に関するx値の減少時(これについては図3および図4における座標系を参照)に、リング直径が増加することが可能となり、これによって、リングの肉厚を減じる、つまりリングを成長させることができる。
【0039】
もし上述した幾何学的な関係が維持されなかった場合には、図2に示した方向での送りZ1またはZ2時、つまり、両方の加圧ロール9,10に関するx値の減少時に、外径Dにおける成長が生じることはあり得ない。したがって、上述したリング成長が所望されるかまたは必要とされる場合には、上述した幾何学的な関係またはパラメータが特別な意味を持っている。したがって、本発明では、加圧ロール9,10を送りZ1,Z2の方向に連続的に送ることができ、一方、同時に圧延素材3の外径Dが増加する。
【0040】
このことは、特に、メインロール12とマンドレルロール13とが干渉しない、つまり、圧延素材に接触しない好適な方法形態の場合に言えることである。
【0041】
リング圧延機のサイズに関連して、加圧ロールはアキシャルフレームの側壁に配置されてよいものの、代替的には、側壁の間にまたは側壁の外側に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 リング圧延機
2 機械テーブル
3 圧延素材(リング)
4 アキシャルフレーム
5 アキシャルロール
6 アキシャルロール
7 圧延素材の端面
8 圧延素材の端面
9 加圧ロール
10 加圧ロール
11 圧延素材の外周面
12 メインロール
13 マンドレルロール
14 センタリングロール
15 センタリングロール
16 測定要素
17 センタリングアーム
18 センタリングアーム
L 機械長手方向軸線
T 加圧ロールの並進移動の方向
Z1 並進送り
Z2 並進送り
α 角度
a アキシャルロールの軸線
P1 第1の点
P2 第2の点
D 圧延素材の外径
M1 測定点
M2 測定点
M3 測定点
図1a
図1b
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング圧延機(1)であって、圧延素材(3)を載せるための機械テーブル(2)と、前記圧延素材(3)の端面(7,8)を圧延するための少なくとも1つのアキシャルロール、好ましくは2つのアキシャルロール(5,6)を支持するアキシャルフレーム(4)と、を備え、
前記アキシャルフレーム(4)に、さらに、前記圧延素材(3)の外周面(11)を圧延するための少なくとも1つの加圧ロール、好ましくは2つの加圧ロール(9,10)が配置されており、該少なくとも1つの加圧ロール(9,10)は、前記アキシャルフレーム(4)に対して並進移動可能に配置されている
リング圧延機(1)において、
前記アキシャルフレーム(4)に、前記圧延素材(3)の外径を測定することができる測定手段(9,10,16)が配置されており、該測定手段(9,10,16)は、両方の前記加圧ロール(9,10)と1つの別の測定要素(16)とによって形成されることを特徴とする、リング圧延機。
【請求項2】
前記リング圧延機は、メインロール(12)とマンドレルロール(13)とをさらに備え、前記メインロール(12)と前記マンドレルロール(13)との間で前記圧延素材(3)が圧延可能であることを特徴とする、請求項1記載のリング圧延機。
【請求項3】
前記リング圧延機は、前記圧延素材(3)を機械長手方向軸線(L)に対してセンタリングすることができるセンタリングロール(14,15)をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2記載のリング圧延機。
【請求項4】
前記少なくとも1つの加圧ロール(9,10)を予め設定された力でまたは予め設定された並進送りに応じて前記圧延素材(3)に押圧することができる開ループ制御手段および/または閉ループ制御手段が配置されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のリング圧延機。
【請求項5】
前記別の測定要素(16)はロールまたはレーザ測定機器であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のリング圧延機。
【請求項6】
前記少なくとも1つの加圧ロール(9,10)の並進移動の方向(T)と、機械長手方向軸線(L)とは、角度(α)を成しており、該角度(α)は、0°~55°、好ましくは25°~55°であり、前記少なくとも1つの加圧ロール(9,10)の前記並進移動の前記方向(T)は、前記機械長手方向軸線(L)に第1の点(P1)で交差しており、前記少なくとも1つのアキシャルロール(5,6)は、前記機械長手方向軸線(L)に第2の点(P2)で交差する軸線(a)を有し、前記第1の点(P1)は、前記第2の点(P2)よりも前記アキシャルフレーム(4)の近くに位置していることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のリング圧延機。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング圧延機(1)であって、圧延素材(3)を載せるための機械テーブル(2)と、前記圧延素材(3)の端面(7,8)を圧延するための少なくとも1つのアキシャルロール、好ましくは2つのアキシャルロール(5,6)を支持するアキシャルフレーム(4)と、を備え、
前記アキシャルフレーム(4)に、さらに、前記圧延素材(3)の外周面(11)を圧延するための少なくとも1つの加圧ロール、好ましくは2つの加圧ロール(9,10)が配置されており、該少なくとも1つの加圧ロール(9,10)は、前記アキシャルフレーム(4)に対して並進移動可能に配置されている、
リング圧延機(1)において、
前記アキシャルフレーム(4)に、前記圧延素材(3)の外径を測定することができる測定手段(9,10,16)が配置されており、該測定手段(9,10,16)は、両方の前記加圧ロール(9,10)と1つの別の測定要素(16)とによって形成されることを特徴とする、リング圧延機。
【請求項2】
前記リング圧延機は、メインロール(12)とマンドレルロール(13)とをさらに備え、前記メインロール(12)と前記マンドレルロール(13)との間で前記圧延素材(3)が圧延可能であることを特徴とする、請求項1記載のリング圧延機。
【請求項3】
前記リング圧延機は、前記圧延素材(3)を機械長手方向軸線(L)に対してセンタリングすることができるセンタリングロール(14,15)をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2記載のリング圧延機。
【請求項4】
前記少なくとも1つの加圧ロール(9,10)を予め設定された力でまたは予め設定された並進送りに応じて前記圧延素材(3)に押圧することができる開ループ制御手段および/または閉ループ制御手段が配置されていることを特徴とする、請求項1記載のリング圧延機。
【請求項5】
前記別の測定要素(16)はロールまたはレーザ測定機器であることを特徴とする、請求項1記載のリング圧延機。
【請求項6】
前記少なくとも1つの加圧ロール(9,10)の並進移動の方向(T)と、機械長手方向軸線(L)とは、角度(α)を成しており、該角度(α)は、0°~55°、好ましくは25°~55°であり、前記少なくとも1つの加圧ロール(9,10)の前記並進移動の前記方向(T)は、前記機械長手方向軸線(L)に第1の点(P1)で交差しており、前記少なくとも1つのアキシャルロール(5,6)は、前記機械長手方向軸線(L)に第2の点(P2)で交差する軸線(a)を有し、前記第1の点(P1)は、前記第2の点(P2)よりも前記アキシャルフレーム(4)の近くに位置していることを特徴とする、請求項1記載のリング圧延機。
【国際調査報告】