(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】二次電池用の集電体及びそれを含む円筒形バッテリーセル
(51)【国際特許分類】
H01M 4/64 20060101AFI20240905BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20240905BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20240905BHJP
H01M 50/538 20210101ALI20240905BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20240905BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20240905BHJP
H01M 4/131 20100101ALI20240905BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/152 20210101ALI20240905BHJP
H01M 50/179 20210101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M4/64 A
H01M4/66 A
H01M10/0587
H01M50/538
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/131
H01M50/107
H01M50/184 D
H01M50/152
H01M50/179
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520038
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 KR2022017470
(87)【国際公開番号】W WO2023080761
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0152634
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0166230
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0089235
(32)【優先日】2022-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ユン-ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク-ヒョン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】クァン-ヒ・イ
(72)【発明者】
【氏名】セ-ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】グン-ホ・パク
(72)【発明者】
【氏名】スン-ヨン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ス・ジャン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H017
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011AA09
5H011CC06
5H011FF02
5H011GG02
5H017EE05
5H017HH00
5H017HH03
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029BJ14
5H029DJ02
5H029DJ03
5H029DJ05
5H029DJ07
5H029HJ04
5H029HJ19
5H043CA12
5H043EA07
5H050AA19
5H050BA15
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA08
5H050DA20
5H050HA04
5H050HA19
(57)【要約】
本発明は、二次電池用の集電体を開示する。二次電池用の集電体は、延伸率が1.5~3.0%、引張強度が25~35kgf/mm2であることを特徴とする。本発明によれば、集電体延伸率と引張強度が最適に設定されることで、電極板の製造時にキャンバー長さが20mm未満に低くなり、ゼリーロールの巻取過程で蛇行不良や断線不良が発生しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸率が1.5~3.0%であり、引張強度が25~35kgf/mm
2であることを特徴とする、二次電池用の集電体。
【請求項2】
前記集電体は、アルミニウム集電体であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用の集電体。
【請求項3】
延伸率が1.5~3.0%であり、引張強度が25~35kgf/mm
2である二次電池用の集電体と、
前記集電体の上に形成された活物質層と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用の電極板。
【請求項4】
前記集電体がアルミニウム集電体であることを特徴とする、請求項3に記載の二次電池用の電極板。
【請求項5】
前記集電体が、短辺と長辺を有するシート状であり、前記集電体の長辺端部には、前記活物質層が形成されていない非塗布部を含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の二次電池用の電極板。
【請求項6】
前記電極板において、前記集電体の短辺に沿う方向の幅が60~110mmであり、前記集電体の長辺に沿う方向の長さが3~5mであり、キャンバーの長さが20mm未満であることを特徴とする、請求項5に記載の二次電池用の電極板。
【請求項7】
前記集電体の短辺に沿う方向で測定した前記非塗布部の長さが2~20mmであることを特徴とする、請求項6に記載の二次電池用の電極板。
【請求項8】
前記非塗布部の少なくとも一部区間が、複数の分節片に分割されていることを特徴とする、請求項5に記載の二次電池用の電極板。
【請求項9】
前記非塗布部が、前記集電体の短辺に沿う方向へノッチングされていることを特徴とする、請求項8に記載の二次電池用の電極板。
【請求項10】
前記ノッチングされている部位の前記非塗布部に断線やクラックを含まないことを特徴とする、請求項9に記載の二次電池用の電極板。
【請求項11】
前記活物質層の単位面積当たりのエネルギー密度が1~6mAh/cm
2であることを特徴とする、請求項3または4に記載の二次電池用の電極板。
【請求項12】
前記集電体がアルミニウム集電体であり、前記活物質がリチウム遷移金属酸化物を含むことを特徴とする、請求項3に記載の二次電池用の電極板。
【請求項13】
シート状の第1電極板及び第2電極板と、これらの間に介在された分離膜が一方向へ巻き取られた構造を有するゼリーロール型の電極組立体であって、
前記第1電極板及び前記第2電極板の少なくとも一つが、集電体と前記集電体の長辺端部に活物質層がコーティングされていない非塗布部を含み、
前記非塗布部の少なくとも一部が、前記分離膜の外部に露出されて電極タブとして用いられ、
前記集電体の延伸率が1.5~3.0%であり、引張強度が25~35kgf/mm
2であることを特徴とする、電極組立体。
【請求項14】
前記集電体がアルミニウム集電体であることを特徴とする、請求項13に記載の電極組立体。
【請求項15】
前記第1電極板または第2電極板において、前記集電体の短辺に沿う方向の幅が60~110mmであり、前記集電体の長辺に沿う方向の長さが3~5mであり、キャンバーの長さが20mm未満であることを特徴とする、請求項13に記載の電極組立体。
【請求項16】
前記非塗布部は、前記電極組立体のコアに隣接するコア側非塗布部と、前記電極組立体の外周表面に隣接する外周側非塗布部と、前記コア側非塗布部と前記外周側非塗布部との間に介在された中間非塗布部と、を含み、
前記中間非塗布部の少なくとも一部区間が複数の分節片に分割されていることを特徴とする、請求項13に記載の電極組立体。
【請求項17】
前記分節片の形状は、上部幅が下部幅よりも小さいことを特徴とする、請求項16に記載の電極組立体。
【請求項18】
前記複数の分節片は各々、四角形、台形、三角形、平行四辺形、半円形または半楕円形の構造を有することを特徴とする、請求項16または17に記載の電極組立体。
【請求項19】
前記外周側非塗布部及びコア側非塗布部は、非塗布部の分節構造を有さないことを特徴とする、請求項16または17に記載の電極組立体。
【請求項20】
前記複数の分節片は、前記電極組立体の半径方向へ折り曲げられて多重に重畳されることを特徴とする、請求項16または17に記載の電極組立体。
【請求項21】
前記複数の分節片の間には、断線やクラックを含まないことを特徴とする、請求項16または17に記載の電極組立体。
【請求項22】
前記活物質層の単位面積当たりのエネルギー密度が1~6mAh/cm
2であることを特徴とする、請求項16または17に記載の電極組立体。
【請求項23】
前記集電体がアルミニウム集電体であり、前記活物質がリチウム遷移金属酸化物を含むことを特徴とする、請求項16または17に記載の電極組立体。
【請求項24】
シート状の第1電極板及び第2電極板と、これらの間に介在された分離膜が一方向へ巻き取られた構造を有するゼリーロール型の電極組立体と、
前記電極組立体が収納され、前記第1電極板及び前記第2電極板のうちいずれか一つと電気的に接続して第1極性を帯びる電池缶と、
前記電池缶の開放端を密封する密封体と、
前記第1電極板及び前記第2電極板のうち残りの一つと電気的に接続し、表面が外部に露出した第2極性を帯びる端子と、を含み、
前記第1電極板及び前記第2電極板の少なくとも一つは、集電体と前記集電体の長辺端部に活物質層がコーティングされていない非塗布部を含み、
前記非塗布部の少なくとも一部が、前記分離膜の外部に露出されて電極タブとして用いられ、
前記集電体の延伸率が1.5~3.0%であり、引張強度が25~35kgf/mm
2であることを特徴とする、円筒形バッテリーセル。
【請求項25】
前記集電体がアルミニウム集電体であることを特徴とする、請求項24に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項26】
前記第1電極板または第2電極板において、前記集電体の短辺に沿う方向の幅が60~110mmであり、前記集電体の長辺に沿う方向の長さが3~5mであり、キャンバーの長さが20mm未満であることを特徴とする、請求項24に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項27】
前記非塗布部は、前記電極組立体のコアに隣接するコア側非塗布部と、前記電極組立体の外周表面に隣接する外周側非塗布部と、前記コア側非塗布部と前記外周側非塗布部との間に介在された中間非塗布部と、を含み、
前記中間非塗布部の少なくとも一部区間が複数の分節片に分割されていることを特徴とする、請求項24から26のいずれか一項に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項28】
前記複数の分節片の間には断線やクラックを含まないことを特徴とする、請求項27に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項29】
前記中間非塗布部の少なくとも一部区間が外周側からコア側へ折り曲げられており、
前記電極組立体のコアには空洞が備えられ、
前記空洞は、前記中間非塗布部の折曲構造によって閉塞されないことを特徴とする、請求項27に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項30】
前記第1極性を帯びる第2電極板の非塗布部と電気的に接続され、前記電池缶の側壁に縁部の少なくとも一部が結合した集電プレートをさらに含むことを特徴とする、請求項24から26のいずれか一項に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項31】
前記密封体は、非極性のキャッププレートと、前記キャッププレートの縁部を囲み、前記電池缶の上端部にクリンピングされるガスケットと、を含むことを特徴とする、請求項24から26のいずれか一項に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項32】
前記電池缶は、閉鎖面の中央部に形成された貫通孔に絶縁可能に設けられ、前記第1電極板と電気的に接続して前記第2極性を帯びるリベット端子を含むことを特徴とする、請求項24から26のいずれか一項に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項33】
前記活物質層の単位面積当たりのエネルギー密度が1~6mAh/cm
2であることを特徴とする、請求項24から26のいずれか一項に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項34】
前記集電体がアルミニウム集電体であり、前記活物質がリチウム遷移金属酸化物を含むことを特徴とする、請求項24から26のいずれか一項に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項35】
請求項24から26のいずれか一項に記載のバッテリーセルを少なくとも一つ含むことを特徴とする、バッテリーパック。
【請求項36】
請求項35に記載のバッテリーパックを少なくとも一つ含むことを特徴とする、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に使用される集電体及びそれを含むバッテリーセルに関する。また、本発明は、このようなバッテリーセルを含むバッテリーパック及び自動車にも関する。
【0002】
本出願は、2021年11月8日出願の韓国特許出願第10-2021-0152634号、2021年11月26日出願の韓国特許出願第10-2021-0166230号及び2022年7月19日出願の韓国特許出願第10-2022-0089235号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器及び電気自動車に対する技術開発と需要が増加するにつれて、エネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加しつつある。現在、広く使用される二次電池はリチウムイオン電池であり、単位バッテリーセルの作動電圧は約2.5V~4.5Vである。これより高い出力電圧が求められる場合、複数のバッテリーセルを直列に接続してバッテリーパックを構成してもよく、バッテリーパックに求められる充放電容量に応じて複数のバッテリーセルを並列に接続してバッテリーパックを構成してもよい。
【0004】
単位バッテリーセルの種類として、円筒形、角形及びパウチ型が知られている。円筒形バッテリーセルの場合、ゼリーロール型の電極組立体を含む。ゼリーロール型の電極組立体は、シート状の正極板と負極板を分離膜が介在された状態で巻き取った構造を有する。
【0005】
図1は、電極板の構造を示した平面図であり、
図2は、ゼリーロール型の電極組立体を製造するための電極板の巻取り工程を示した図である。
【0006】
図1及び
図2を参照すると、正極板10と負極板11は、シート状の集電体20に活物質層21がコーティングされた構造を有し、巻取り方向Xに沿って一側長辺に非塗布部22を含み得る。電極組立体は、正極板10と負極板11を
図2に示したように二枚の分離膜12と共に順次に積層した後、コアを中心にして一方向(X方向)へ巻き取って製作する。この際、正極板10と負極板11の非塗布部22は、互いに反対方向に配置され得る。
【0007】
正極板10と負極板11は、巻取方向(X方向)へ長く延びた集電体20と集電体20の上面及び/または下面にコーティングされた活物質層21を含み得る。集電体20の端部は、所定の幅で活物質層21がコーティングされない。当業界において活物質層21がコーティングされていない領域は、非塗布部22、活物質層21がコーティングされた領域は塗布部と呼ぶ。
【0008】
電極板製造工程は、集電体20の上に活物質層21を設計厚さでコーティングする段階と、コーティングされた活物質層21を乾燥する段階と、ローラーを用いた圧延工程によって活物質層21を所望の密度に圧着する段階と、を含む。
【0009】
図3は、ローラーを使用して電極板を圧延する過程を説明する模式図である。
【0010】
図3を参照すると、集電体20の上面及び下面に活物質層21がコーティングされた電極板1は、一対のローラー30の間を通ることによって圧延が行われる。これによって、実質的に電極板1を延伸させる変形力は、電極板1の長手方向(
図1のX方向と同一)に沿って作用するといえる。活物質層21が圧着されるときに、塗布部と非塗布部22は延伸量が相異なる。
【0011】
したがって、実際の電極板1は、
図1のように理想的な形態から脱するようになり、
図4に示したように、(a)の圧着前の状態と異なり、(b)のように圧延工程が行われて圧着された後には、電極板1の長手方向(ローラー30の進行方向)へうねりが発生するようになり、これによって
図5に示したようなキャンバー(camber)現象が発生する。キャンバー現象とは、電極板1を広げたとき、非塗布部22と維持部の延伸率差によって非塗布部22側へ反る現象を意味する。
【0012】
延伸率は、下記の数式1のように定義される。
【数1】
【0013】
即ち、延伸率は、長さLの物体が変形されて長さがL’になったときの増加程度を%で表したものである。延伸率は、引張試験で材料が延伸する割合を意味し、延伸率が大きい材料であるほど、外部の衝撃によって破断することなく延びる性質が大きい。即ち、延伸率は、材料の破断(fracture)性能を示す尺度として使用される。これによって、延伸率が小さい材料であるほど、外部の衝撃によって判断される傾向が大きく、延伸率が大きい材料であるほど外部の衝撃に破断されることなく延びる傾向が大きい。
【0014】
参考までに、キャンバーの長さは、うねりが発生した電極板1を一直線に広げたとき、電極板1の下端部の各地点で測定した変形量の最大値に定義される。最大値は、
図5に示したように、活物質層21の圧延工程が終了する地点で測定した変形量(「キャンバー長さ」参照)になる。
【0015】
キャンバーが発生した電極板1をそのまま使用すると、非塗布部22のノッチング作業や電極板1の巻取工程時に蛇行不良を起こし得る。また、蛇行不良は、ゼリーロール型の電極組立体において分離膜12を挟んで対向している正極板10と負極板11との間に内部短絡を起こす原因になる。
【0016】
既存には、非塗布部22と維持部の延伸率差を減らすために、維持部の活物質のロード量を減少させるか、または圧延後に電極板1に対してさらなる熱処理を行う場合がある。しかし、活物質のロード量を減少させる場合、エネルギー密度が低下する。なお、追加の熱処理を行う場合、工程を複雑にし、コスト増加の原因となる。
【0017】
そこで、本発明が属する技術分野におけては、集電体自体の物性を調節して活物質層の圧延工程で発生するキャンバー現象を最小化できる技術が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記のような従来技術の背景下に創案されたものであって、延伸率と引張強度を調節して電極板の製造過程でキャンバー現象を緩和させることが可能な二次電池用の集電体を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、前記集電体を含む電極板、それを含む電極組立体、バッテリーセル、バッテリーパック及び自動車を提供することを他の目的とする。
【0020】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の課題に制限されず、言及していないさらに他の課題は、下記する発明の説明から通常の当業者にとって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の課題を達成するための本発明による二次電池用の集電体は、延伸率が1.5~3.0%であり、そして引張強度が25~35kgf/mm2であることを特徴とする。
【0022】
よく知られているように、引張強度と延伸率は、IPC-TM-650に基づく引張強度試験によって得られる値である。特に、IPC-TM-650(2.4.19)方法によって測定され得る。
【0023】
望ましくは、前記集電体はアルミニウム集電体である。
【0024】
本発明においては、このような二次電池用の集電体を含む二次電池用の電極板も提供する。本発明による二次電池用の電極板は、延伸率が1.5~3.0%であり、引張強度が25~35kgf/mm2である二次電池用の集電体と、前記集電体上に形成された活物質層と、を含む。
【0025】
前記集電体は、短辺と長辺を有するシート状であり、前記集電体の長辺端部には前記活物質層が形成されていない非塗布部を含み得る。
【0026】
前記電極板において、前記集電体の短辺に沿う方向の幅が60~110mmであり、前記集電体の長辺に沿う方向の長さが3~5mであり、キャンバーの長さが20mm未満であり得る。
【0027】
望ましくは、前記集電体の短辺に沿う方向で測定した前記非塗布部の長さが2~20mmである。前記非塗布部の長さは、前記集電体の幅方向で測定した長さである。前記集電体の幅方向は、前記集電体の長さ方向と垂直な方向である。
【0028】
前記非塗布部の少なくとも一部区間は、複数の分節片に分割され得る。
【0029】
この際、前記非塗布部は、前記集電体の短辺に沿う方向へノッチングされ得る。
【0030】
望ましくは、前記ノッチングされている部位の前記非塗布部に、断線やクラックを含まない。
【0031】
前記活物質層の単位面積当たりのエネルギー密度は1~6mAh/cm2であり得る。
【0032】
前記集電体はアルミニウム集電体であり、前記活物質はリチウム遷移金属酸化物を含むものであり得る。このように前記電極板は正極板であり得る。
【0033】
本発明による電極組立体は、シート状の第1電極板及び第2電極板と、これらの間に介在された分離膜が一方向へ巻き取られた構造を有するゼリーロール型の電極組立体であって、前記第1電極板及び前記第2電極板の少なくとも一つが、集電体と前記集電体の長辺端部に活物質層がコーティングされていない非塗布部を含み、前記非塗布部の少なくとも一部が、前記分離膜の外部に露出されて電極タブとして用いられ、前記集電体の延伸率が1.5~3.0%であり、引張強度が25~35kgf/mm2であることを特徴とする。
【0034】
望ましくは、前記組立体において、前記集電体はアルミニウム集電体であってもよく、前記第1電極板または第2電極板において、前記集電体の短辺に沿う方向の幅が60~110mmであり、前記集電体の長辺に沿う方向の長さが3~5mであり、キャンバーの長さが20mm未満であり得る。
【0035】
前記電極組立体において、前記非塗布部は、前記電極組立体のコアに隣接するコア側非塗布部と、前記電極組立体の外周表面に隣接する外周側非塗布部と、前記コア側非塗布部と前記外周側非塗布部との間に介在された中間非塗布部と、を含み、前記中間非塗布部の少なくとも一部区間が複数の分節片に分割され得る。
【0036】
前記分節片の形状は、上部幅が下部幅よりも小さいものであり得る。
【0037】
一面で、前記複数の分節片は各々、四角形、台形、三角形、平行四辺形、半円形または半楕円形の構造を有してもよく、前記外周側非塗布部及びコア側非塗布部は、非塗布部の分節構造を有しなくてもよい。
【0038】
他面で、分節片の形状は、下部の幅が上部の幅よりも大きく、下部から上部へ進むほど段階的及び/または漸進的に減少し得る。
【0039】
前記複数の分節片は、前記電極組立体の半径方向、例えばコア側へ折り曲げられて多重に重畳され得る。
【0040】
前記複数の分節片の間には、断線やクラックを含まない。
【0041】
本発明による円筒形バッテリーセルは、シート状の第1電極板及び第2電極板と、これらの間に介在された分離膜が一方向へ巻き取られた構造を有するゼリーロール型の電極組立体と、前記電極組立体が収納され、前記第1電極板及び前記第2電極板のうちいずれか一つと電気的に接続して第1極性を帯びる電池缶と、前記電池缶の開放端を密封する密封体と、前記第1電極板及び前記第2電極板のうち残りの一つと電気的に接続し、表面が外部に露出した第2極性を帯びる端子と、を含み、前記第1電極板及び前記第2電極板の少なくとも一つは、集電体と前記集電体の長辺端部に活物質層がコーティングされていない非塗布部を含み、前記非塗布部の少なくとも一部は前記分離膜の外部に露出されて電極タブとして用いられ、前記集電体の延伸率が1.5~3.0%であり、引張強度が25~35kgf/mm2であることを特徴とする。
【0042】
前記円筒形バッテリーセルにおいて、前記非塗布部は、前記電極組立体のコアに隣接するコア側非塗布部と、前記電極組立体の外周表面に隣接する外周側非塗布部と、前記コア側非塗布部と前記外周側非塗布部との間に介在された中間非塗布部と、を含み、前記中間非塗布部の少なくとも一部区間が複数の分節片に分割されている。
【0043】
前記中間非塗布部の少なくとも一部区間が外周側からコア側へ折り曲げられており、前記電極組立体のコアには空洞が備えられ、前記空洞は、前記中間非塗布部の折曲構造によって閉塞されない。
【0044】
前記円筒形バッテリーセルは、前記第1極性を帯びる第2電極板の非塗布部と電気的に接続され、前記電池缶の側壁に縁部の少なくとも一部が結合した集電プレートをさらに含み得る。
【0045】
前記密封体は、非極性のキャッププレートと、前記キャッププレートの縁部を囲み、前記電池缶の上端部にクリンピングされるガスケットと、を含み得る。
【0046】
前記電池缶は、閉鎖面の中央部に形成された貫通孔に絶縁可能に設けられ、前記第1電極板と電気的に接続して前記第2極性を帯びるリベット端子を含み得る。
【0047】
本発明による技術的課題は、前述した円筒形バッテリーセルを少なくとも一つ含むバッテリーパックと、当該バッテリーパックを少なくとも一つ含む自動車によっても達成され得る。
【発明の効果】
【0048】
本発明の一面によれば、集電体の延伸率と引張強度が最適に調節された。そのため、当該集電体から製造された電極板におけるキャンバー発生を最小化することができ、当該電極板を用いてゼリーロール型の電極組立体を製造したとき、蛇行不良が発生することを防止することができる。
【0049】
本発明による集電体は、延伸率と引張強度が最適に調節されたため、大面積の集電体に帯状に活物質層をパターンコーティングして圧延する場合にも、うねりが発生しにくい。そのため、パターンコーティングされた活物質層の間の非塗布部に沿うスリッティングが容易になることにより、複数の電極板の生産に非常に適し、生産された電極板はキャンバのー発生が最小化される。
【0050】
本発明による集電体は、大型電池の製造に適する。特に、ゼリーロール型の電極組立体の上端及び下端に各々正極非塗布部及び負極非塗布部が位置するように設計し、このような非塗布部に集電プレートを溶接して集電効率が改善された構造を有するようにする円筒形二次電池、所謂タブレス(Tab-less)円筒形二次電池の製造に非常に適する。なぜなら、このようなゼリーロール型の電極組立体は、非塗布部をノッチングして折り曲げる段階を含んで製造され、本発明による集電体は、非塗布部をノッチングするに際し、分節片の断線の発生を最小化できるため、ノッチング工程性が良好であるためである。
【0051】
本発明の他面によれば、電極組立体の上方及び下方へ突出した非塗布部を電極タブとして用いることで、バッテリーセルの内部抵抗を減少させてエネルギー密度を増加させることができる。
【0052】
また、本発明の他面によれば、電極組立体の非塗布部の構造を改善して、電池缶のビーディング部の形成過程で電極組立体と電池缶との内周面が干渉を起こさないようにすることで電極組立体の部分的変形による円筒形バッテリーセルの内部短絡を防止することができる。
【0053】
本発明のさらに他面によれば、電極組立体の非塗布部の構造を改善して非塗布部が折り曲げられるときに非塗布部が破れる現象を防止し、非塗布部の重畳レイヤー数を充分に増加させて溶接強度を向上させることができる。
【0054】
本発明のさらに他面によれば、電極組立体のコアに隣接する非塗布部の構造を改善して、非塗布部が折り曲げられるとき、電極組立体のコアにおける空洞が閉塞することを防止し、電解液の注入工程と電池缶と集電プレートの溶接工程を容易に行うことができる。
【0055】
本発明のさらに他面によれば、内部抵抗が低く、内部短絡が防止され、かつ集電プレートと非塗布部の溶接強度が向上した構造を有する円筒形バッテリーセル、それを含むバッテリーパック及び自動車を提供することができる。
【0056】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】
図1は、電極板の構造を示した平面図である。
【
図2】ゼリーロール型の電極組立体の製造のための電極板の巻取工程を示した図である。
【
図3】ローラーを用いて電極板を圧延する過程を説明する模式図である。
【
図4】従来技術によって集電体にコーティングされた活物質層が圧着されるときに電極板の長手方向に沿ってうねりが発生する現象を説明するための図である。
【
図5】うねりが発生した電極板を一直線に広げたとき、電極板が非塗布部側へ反るキャンバー現象を説明するための図である。
【
図6】本発明の一実施例による集電体から製造した第1実施例の電極板の構造を示す平面図である。
【
図7】本発明の第2実施例による電極板の構造を示す平面図である。
【
図8】
図7の電極板において、分節片の幅、高さ及び離隔ピッチの定義を示した図である。
【
図9】分切片の離隔ピッチ及び形状によって走行張力によるクラックが発生するかを確認した実験結果写真である。
【
図10】本発明の第3実施例による電極板の構造を示す平面図である。
【
図11】
図10の電極板において、分節片の幅、高さ及び離隔ピッチの定義を示した図である。
【
図12】本発明の実施例によって延伸率と引張強度が最適化した集電体を用いて電極板を製造した場合と従来技術による集電体を用いて電極板を製造した場合のキャンバー現象の発生程度を比較した写真である。
【
図13】第1実施例の電極板を第1電極板(正極板)及び第2電極板(負極板)に適用したゼリーロール型の電極組立体をY軸方向(巻取軸方向)に沿って切った断面図である。
【
図14】第2実施例及び第3実施例(これらの変形例)の電極板のいずれか一つを第1電極板(正極板)及び第2電極板(負極板)に適用したゼリーロール型の電極組立体をY軸方向(巻取軸方向)に沿って切断した断面図である。
【
図15】本発明の他の実施例による電極組立体をY軸方向(巻取軸方向)に沿って切断した断面図である。
【
図16】本発明の一実施例による円筒形バッテリーセルをY軸方向に沿って切断した断面図である。
【
図17】本発明の他の実施例による円筒形バッテリーセルをY軸方向に沿って切断した断面図である。
【
図18】本発明の実施例によるバッテリーパックの構成を概略的に示した図である。
【
図19】本発明の実施例によるバッテリーパックを含む自動車を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。
【0059】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0060】
なお、発明の理解を助けるために、添付の図面は、実際の縮尺ではなく一部構成要素が誇張して示され得る。なお、相異なる実施例で同じ構成要素に対しては同じ参照番号が付与され得る。
【0061】
本発明による集電体は、延伸率が1.5~3.0%、そして引張強度が25~35kgf/mm2であることを特徴とする。よく知られているように、引張強度と延伸率は、IPC-TM-650に基づく引張強度試験によって得られる値である。特に、IPC-TM-650(2.4.19)方法によって測定され得る。本発明による集電体は、IPC-TM-650(2.4.19)方法によって測定された延伸率が1.5~3.0%、そして引張強度が25~35kgf/mm2であることを特徴とする。
【0062】
従来、集電体に使用される材料の通常の延伸率が10~15%であることを勘案すると、本発明による集電体は非常に低い延伸率を有する。引張強度は、材料の引張試験において試験片が破断するまでの最大引張荷重を試験前の試験片の断面積で割った値である。その製造方法によって変わるが、純アルミニウムホイルは、普通の場合、引張強度が50~100Mpa、即ち、5.1~10.2kgf/mm2範囲である(1kgf=9.8N、N/mm2=MPa)。この点に鑑みると、本発明による集電体は高い引張強度を有する。
【0063】
本発明による集電体は、二次電池用の集電体として使用され得る。集電体には、活物質層がコーティングされ得る。本発明による集電体は、ゼリーロール型の電極組立体の正極板と負極板の製造時、集電体として使用され得る。以下では、このような集電体を含む電極板を説明することで、本発明による集電体について詳しく説明する。
【0064】
図6は、本発明の一実施例による集電体から製造した第1実施例の電極板の構造を示す平面図である。
【0065】
電極板50は、集電体41及び活物質層42を含む。集電体41は、電極板50の極性に応じて適切に選択される。集電体41の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケルまたはステンレススチールを使用し得るが、必ずしもこれに限定されることではなく、通常の集電体材質として使用される金属及び金属合金を採択し得る。例えば、集電体41がアルミニウム集電体である場合、二次電池において正極電流集電体として使用され、活物質層42は正極活物質層であり、電極板50は正極板になる。集電体41が銅集電体である場合、二次電池において負極電流集電体として使用され、活物質層42は負極活物質層であり、電極板50は負極板になる。
【0066】
集電体41は、短辺と長辺を有するシート状であり、活物質層42は、集電体41の少なくとも一面に形成され、巻取方向Xの長辺の端部に非塗布部43を含み得る。非塗布部43は、活物質がコーティングされていない領域、即ち、活物質層42が形成されていない領域である。活物質層42と非塗布部43の境界には、絶縁コーティング層44がさらに形成され得る。絶縁コーティング層44は、少なくとも一部が活物質層42と非塗布部43の境界と重畳するように形成され得る。絶縁コーティング層44は高分子樹脂を含み、Al2O3、AlOOH、Al(OH)3のような無機物フィラーを含み得る。絶縁コーティング層44は省略可能である。
【0067】
このような電極板50は、集電体41の上に活物質層42を設計厚さにコーティングした後、これを乾燥して、圧延工程によって活物質層42を所望の密度に圧着して製造し得る。
【0068】
この際、大面積の集電体に帯状で活物質層42を長手方向に沿ってパターンコーティングして圧延した後、パターンコーティングされた活物質層42の間の非塗布部に沿って長手方向へスリッティングし、必要な長さ分ずつ幅方向へ切り、大面積の集電体から複数の電極板50を一度に製造し得る。ここで、集電体41と電極板50の長手方向とは、電極板50がゼリーロール型の電極組立体の製造のために使用されるとき、電極板50が巻き取られる方向である巻取方向(X方向)である。そして、ローラーを用いて活物質層42を圧延して所望の密度に圧着するとき、ローラーが進む方向である。
【0069】
集電体41は、本発明による二次電池用の集電体であって、前述したように、延伸率が1.5~3.0%、そして引張強度が25~35kgf/mm2であることを特徴とする。電極板50から集電体41の短辺に沿う方向の幅は60~110mmであり、前記集電体41の長辺に沿う方向の長さは3~5mであり得る。電極板50は、集電体41に形成した活物質層42に対する圧延工程を行って圧着したものであって、圧着後のキャンバーの長さは20mm未満である。キャンバーの長さが20mm未満に小さくなるため、電極板50の巻取工程に蛇行不良が発生しない。
【0070】
延伸率が小さいほど破断しやすい。集電体41の延伸率が1.5%未満である場合、集電体41の圧延工程性が低下し、集電体41に活物質層42をコーティングして製造した電極板50を圧延するとき、集電体41に断線やクラックが発生し得る。断線とは、材料の連続性が切れ、切れた部分では物理的に完全に分離された状態を意味する。クラックとは、表面部のみに材料の連続性が切れ、その下方の部分では連続性が維持される状態を意味する。一方、集電体41の延伸率が3.0%を超過する場合、電極板50の維持部(活物質層42が形成されている部分)の延伸が大きくなり、キャンバーが大幅に増加する。
【0071】
集電体41の引張強度が25kgf/mm
2未満または35kgf/mm
2を超過すると、電極板50の電極工程性、例えば、下記で
図7~
図11を参照して説明する場合のノッチング工程性の確保が不可能である。
【0072】
このように集電体41の延伸率と引張強度を所定の範囲にするために、集電体41の製造工程の変化及び/または集電体41の材料の変更が行われ得る。延伸率は、集電体に活物質層を形成した電極板に対してローラーを用いた圧延を行うときに電極板に加えられる圧力によって延びる程度から判断し得る。集電体は通常、延性と展性の良い金属からなるので、圧延時の圧力が大きいほど多く延び得る。また、圧延時の温度が高いほど多く延び得る。圧延ローラーの硬度値が大きいもので圧延するほど多く延びる。また、延伸率は、集電体の材質及び厚さにも依存し得る。本発明の集電体41の延伸率が1.5~3.0%ということは、通常の圧延時の圧力、温度、圧延ローラーの硬度値、集電体の材質と厚さなどの範囲内で圧延工程を経た後に増加した程度を示す。
【0073】
例えば、既存の集電体に使用されるアルミニウムホイルは、ストリップ形態のアルミニウムをターゲット厚さのホイルになるまで圧延を行って製作し、このような圧延工程の条件(圧力、温度)や回収調節によって延伸率を変更し得る。他の例で、従来の集電体に使用される銅ホイルの製作時、追加で行う熱処理温度及び時間を調節する方法で具現することも可能である。さらに他の例で、従来の集電体に使用される銅ホイルを電解めっきで製作するとき、電解めっき液に含まれる有機添加剤の量及び/または特定のイオンの量を調節し得る。例えば、有機添加剤の量が増加すると、引張強度が向上し、延伸率が低下し得る。塩素イオンの添加量が増加すると、延伸率が増加する。
【0074】
キャンバー現象は、従来のアルミニウム集電体である正極集電体において特に問題になる。本発明によって、延伸率が1.5~3.0%、そして引張強度が25~35kgf/mm2になるようにするアルミニウム集電体を用いると、キャンバー現象を抑制することができる。このような集電体の上にリチウム遷移金属酸化物を含む活物質層を形成して正極板として使用可能であるため、望ましい。このようなアルミニウム集電体から所定の範囲の延伸率と引張強度を得るための他の例として、集電体を構成する材料を純アルミニウムにせず、アルミニウム合金にし、その組成変化を用いることも可能である。即ち、Alを主な原料にするが、ここに含まれる他の元素の含量を調節して延伸率と引張強度を変えることができる。例えば、合金のうちAlの含量を97.5~99.5%にし得る。Alの含量が前記範囲に属すると、純アルミニウムに比べて延伸率は小くなり、引張強度は大きくなる。Alの含量が97.5%未満であれば、電池物性を低下させる恐れがあって望ましくなく、99.5%を超過すると、引張強度が低下してキャンバー防止効果がなくなるため、望ましくない。アルミニウム合金に含まれ得る他の元素としては、例えば、Si、Fe、Cu、Mg、Mn、Zn、Ni、Sn、Crなどである。例えば、SiやMgを添加すると、延伸率を減少させ得る。Cuを添加すれば、引張強度が向上し得る。その他にも、集電体41の延伸率と引張強度は、他の具体化手段によって通常の技術者が調節可能であり、本発明においては、特に望ましい延伸率と引張強度の範囲を提示したことに意義がある。
【0075】
集電体41は、大面積の集電体の原緞からカッティングされたものであり得る。集電体の原緞は、所定の幅と長さを有するように長方形の薄いホイルに製造したものを巻き取った状態で電極板50の製造に用いる。標準幅の集電体原緞は、400~800mmの幅を有し得る。広幅の集電体原緞は1,000~1,800mmの幅を有し得る。このような集電体原緞は、その長さが数~数百メートルであってロールに巻かれた状態で用い得る。
【0076】
電極板50の大きさは、製造しようとするゼリーロール型の電極組立体の大きさ、製造しようとする円筒形バッテリーセルの大きさによって変わり得る。18650や21700のフォームファクターを有する小型の円筒形バッテリーセルに含まれる電極板の大きさよりも46800のフォームファクターを有する大型の円筒形バッテリーセルに含まれる電極板の大きさが大きい必要がある。本発明の実施例による集電体41は、このような大型の電極板の製造に適する。
【0077】
ここで、フォームファクターとは、円筒形バッテリーセルの直径及び高さを示す値を意味する。本発明の一実施例による円筒形バッテリーセルは、例えば、46110セル、48750セル、48110セル、48800セル、46800セルであり得る。フォームファクターを示す数値において、最初の数字二つはセルの直径を示し、その次の数字二つはセルの高さを示し、最後の数字0はセルの断面が円形であることを示す。
【0078】
望ましい実施例において、円筒形バッテリーセルのフォームファクターは46800であり、電極板50は、このような円筒形バッテリーセルに含まれるゼリーロール型の電極組立体に含まれ、電極板50において集電体41はアルミニウム集電体であり、非塗布部43の長さは2~20mmである。非塗布部43の長さは集電体41の幅方向、即ち、短辺に沿う方向で測定した長さである。集電体41の幅方向は、集電体41の長手方向と垂直である方向である。電極板50の幅は60~110mmであり、長さは3~5mであり得る。
【0079】
本発明による集電体41は、延伸率と引張強度が最適に調節されたため、大面積の集電体に帯状に活物質層42をパターンコーティングして圧延する場合にもうねりが発生しにくい。そのため、パターンコーティングされた活物質層42の間の非塗布部に沿うスリッティングが容易になり、複数の電極板50を生産するのに非常に適する。
【0080】
集電体41が長方形である帯状であり、非塗布部43も帯状であり得る。本発明では、非塗布部43の形態も特徴を有する。非塗布部43は、電極組立体のコア側に隣接するコア側非塗布部B1と、電極組立体の外周側に隣接する外周側非塗布部B3と、コア側非塗布部B1と外周側非塗布部B3との間に介在された中間非塗布部B2と、を含む。第1実施例において、非塗布部43の高さは、一定ではなく、巻取方向(X方向)において相対的な差がある。即ち、外周側非塗布部B3の高さ(Y軸方向の長さ)は、コア側非塗布部B1及び中間非塗布部B2よりも相対的に小さい。集電体41の延伸率と引張強度が所定の範囲を有することによって非塗布部43を上述したように高さに差を付与することで裁断に適した工程性を確保するという効果も奏する。非塗布部43の裁断は、超音波カッティングや打抜けなどの公知の金属箔カッティング工程を行い得る。非塗布部43の高さを一定せず、巻取方向(X方向)において相対的な差を付与した電極板50は、電極組立体の上端及び下端に各々正極非塗布部及び負極非塗布部が位置するように設計し、このような非塗布部に集電プレートを溶接して集電効率が改善された構造を有するようにする円筒形二次電池、所謂タブレス円筒形二次電池の製造に非常に適合する。
【0081】
コア側非塗布部B1と外周側非塗布部B3の高さは0以上であり、中間非塗布部B2よりも相対的に小さい。また、コア側非塗布部B1と外周側非塗布部B3の高さは、同一であるか、または相異なり得る。
【0082】
望ましくは、中間非塗布部B2の高さがコア側から外周側へ進むほど段階的に増加する階段状であり得る。
【0083】
パターン1~7は、非塗布部43の高さが変化する位置を中心にして中間非塗布部B2を区分したものである。望ましくは、パターンの数と各パターンの高さ(Y軸方向の長さ)と幅(X軸方向の長さ)は、非塗布部43の折曲過程で応力を最大限に分散させるように調節され得る。応力分散は、非塗布部43の破れを防止するためである。
【0084】
コア側非塗布部B1の幅dB1は、中間非塗布部B2のパターンをコア側へ折り曲げられたとき、電極組立体コアの空洞を遮らない条件を適用して設計する。
【0085】
一例で、コア側非塗布部B1の幅dB1は、パターン1の折曲長さに比例して増加し得る。折曲長さは、パターンの折曲地点を基準にしたパターンの高さになる。
【0086】
望ましくは、コア側非塗布部B1の幅dB1は、コア側非塗布部B1が形成する巻回ターンの半径方向の幅がパターン1の折曲長さ以上になるように設定し得る。
【0087】
具体的な例において、電極板50は、フォームファクターが46110、46800、48750、48110、48800程度のような大型円筒形セルの電極組立体を製造するのに使用する場合、コア側非塗布部B1の幅dB1は電極組立体のコアの直径に応じて180~350mmに設定し得る。
【0088】
一実施例において、各パターンの幅は、電極組立体の同じ巻取ターンを構成するように設計され得る。
【0089】
一変形例において、中間非塗布部B2の高さは、コア側から外周側へ進むにつれ、増加してから減少する階段状であり得る。
【0090】
他の変形例において、外周非塗布部B3は、その高さが外周側へ進むほど漸進的に減少し得る。
【0091】
さらに他の変形例において、中間非塗布部B2に適用されたパターン構造が外周側非塗布部B3まで拡張され得る(点線参照)。
【0092】
一方、集電体41の延伸率と引張強度を所定の範囲にすることで、活物質層42のロード密度を充分にしても圧延後のキャンバーの長さが短くなる。これによって、本発明では、活物質層42の単位面積当たりのエネルギー密度を1~6mAh/cm2に大きくすることができる。活物質層42のエネルギー密度が前記範囲を満たす場合、中大型かつ高容量のバッテリーセルに好適に使用可能であり、電極の重さ当たりのロード量は低くなって電極の厚さが薄くなる効果が得られる。活物質層42の厚さは15μm~200μmであり得る。集電体41の厚さが厚くなるほど引張強度は小くなり、逆に、延伸率は大きくなるため、延伸率と引張強度を所定の範囲にするために集電体41の厚さも適切な範囲を有し得る。例えば、集電体41は、3μm~500μmの厚さを有してもよく、厚すぎるものは巻取時に望ましくない。例えば、7μm~20μmの厚さを有し得る。集電体41の表面に微細な凹凸を形成して活物質との結合力を強化させてもよい。例えば、集電体41は、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質、発泡体、不織布体などの多様な形態であり得る。
【0093】
図7は、本発明の第2実施例による電極板の構造を示す平面図である。
【0094】
図7における電極板60は、
図6における電極板50と比較して非塗布部43の形態のみが異なるだけであり、残りの構成は実質的に同一である。電極板60は、タブレス円筒形二次電池の製造にさらに適する。
【0095】
非塗布部43は、
図7に示したようにノッチング工程によって複数の分節片61に分割され得る。分節片61は、レーザーでノッチングされたものであり得る。即ち、非塗布部43は、集電体41の短辺に沿う方向へノッチングされたものであり得る。その他、分節片61は、超音波カッティングや打抜けなどの公知の金属箔カッティング工程によっても形成可能である。本発明においては、集電体41の延伸率と引張強度の設計をしたため、分節片61がノッチングされるとき、ノッチング部位、即ち、ノッチングされている部位の非塗布部43に断線やクラックが発生することが最小化されることが可能である。望ましくは、本発明による電極板60においてノッチングされている部位の非塗布部43に断線やクラックを含まない。
【0096】
コア側非塗布部B1と外周側非塗布部B3の高さは、中間非塗布部B2よりも相対的に小さくてもよい。また、コア側非塗布部B1と外周側非塗布部B3の高さは同一または相違し得る。
【0097】
望ましくは、中間非塗布部B2は、少なくとも一部区間が複数の分節片61を含み得る。複数の分節片61は、コア側から外周側へ進むにつれ、高さが段階的に増加し得る。
【0098】
巻き取られた後、複数の分節片61は、電極組立体の半径方向、例えば、コア方向へ折り曲げられて複数枚が重畳され得る。このように折り曲げられて重畳された分節片61に集電プレートを溶接することで集電効率が改善された構造のバッテリーセルを製造し得る。集電体41の延伸率と引張強度を所定の範囲にすることによって分節片61の折曲時における当該部位の破れまたは折れ、応力集中、或いは断線の発生なくスムーズに折り曲げられる効果もある。
【0099】
一面において、分節片61の形状は、上部の幅が下部の幅よりも小さくてもよい。分節片61は、四角形、台形、平行四辺形、三角形、半円形または半楕円形であり得る。他の面で、分節片の周りを形成する辺の少なくとも一つは曲線に変形され、頂点の形状も丸い形状に変形され得る。さらに他面で、分節片の模様は、下部の幅が上部の幅よりも大きく、下部から上部へ進むにつれ、幅が段階的及び/または漸進的に減少し得る。
【0100】
非塗布部43の折曲加工時における活物質層42及び/または絶縁コーティング層44の損傷を防止するために、分節片61の間の切断溝の下端(
図8のC4)と活物質層42との間に所定の隙間を置くことが望ましい。非塗布部43が折り曲げられるときに、切断溝の下端付近に応力が集中するためである。ギャップは0.2mm~4mmであることが望ましい。ギャップがこのような数値範囲に調節されると、非塗布部43の折曲加工時に発生する応力によって切断溝の下端付近の活物質層42及び/または絶縁コーティング層44が損傷することを防止することができる。また、ギャップは、分節片61のノッチングまたは切断時の公差による活物質層42及び/または絶縁コーティング層44の損傷を防止できる。望ましくは、電極板60が電極組立体として巻き取られたとき、絶縁コーティング層44の少なくとも一部は分離膜の外側に露出し得る。この場合、分節片61が折り曲げられるとき、絶縁コーティング層44が折曲地点を支持し得る。
【0101】
複数の分節片61は、コア側から外周側へ進むほど複数の分節片グループをなし得る。同じ分節片グループに属した分節片の幅、高さ及び離隔ピッチは実質的に同一であり得る。
【0102】
図8は、
図7の電極板60において、分節片61の幅、高さ及び離隔ピッチの定義を示した図である。
【0103】
図8を参照すると、分節片61の幅C1、高さC2及び離隔ピッチC3は、非塗布部43の折曲加工時、非塗布部43が破れることを防止し、溶接強度を向上させるために、非塗布部43の重畳レイヤー数を充分に増加させて非塗布部43の異常変形を防止するように設計する。異常変形とは、折曲地点の下部の非塗布部が直線状態を維持できずに崩れて不規則に変形されることを意味する。重畳レイヤー数は、望ましくは10重以上であり得る。
【0104】
分節片61の折り曲げは、切断溝62の下端を通過する地点C4またはその上部で行われる。切断溝62は、電極組立体の半径方向において分節片61のスムーズかつ容易な折り曲げを可能にする。
【0105】
分節片61の幅C1は、分節片61の両側辺62bから延びた二本の直線と切断溝62の底部62aから延びる直線が交わる二つの地点間の長さに定義される。分節片61の高さC2は、分節片61の最上端の辺と切断溝62の底部62aから延びた直線との最短距離に定義される。分節片61の離隔ピッチC3は、切断溝62の底部62aから延びた直線と前記底部62aが交わる二つの側辺62bから延びた直線が交わる二つの地点間の長さに定義される。側辺62b及び/または底部62aが曲線である場合、直線は、側辺62bと底部62aが交わる交差点で側辺62b及び/または底部62aから延びる接線に代替し得る。
【0106】
望ましくは、分節片61の幅C1は、1~6mmの範囲で調節し得る。C1が1mm未満であれば、分節片61がコア側へ折り曲げられたときに溶接強度を充分に確保できる程度に重畳しない領域または空間(隙間)が発生する。一方、C1が6mmを超過すると、分節片61が折り曲げられるとき、折曲地点付近の非塗布部43が応力によって破れる恐れがある。
【0107】
また、分節片61の高さは、非塗布部43の長手範囲内で調節し得る。例えば、非塗布部43の長さは2~20mmである。望ましくは、分節片61の高さは2~20mmの範囲または2~10mmの範囲で調節し得る。C2が2mm未満であれば、分節片61がコア側へ折り曲げられたとき、溶接強度が充分に確保できる程度に重畳しない領域または空間(隙間)が発生する。集電体41の延伸率と引張強度を最適化したので、従来の集電体を用いる場合よりはC2の制限が少ないといえる。従来の集電体は、C2を大きくするためには非塗布部が長くなる必要があり、非塗布部が長くなると、巻取方向(X方向)へ非塗布部の平坦度を均一に維持しながら電極板を製造しにくい。即ち、非塗布部の高さが大きくなると、うねりが発生する。しかし、本発明においては、延伸率と引張強度が最適化した集電体41を使用するため、うねりの発生を抑制しながらC2の範囲を大きくすることができる。C2が大きいほど、後続する折曲工程が容易になり、広い重畳面積と溶接面積、それによる溶接強度を確保することができる。
【0108】
また、分節片61の離隔ピッチC3は、0.05~1mmの範囲で調節し得る。C3が0.05mm未満であれば、分節片61が折り曲げられるときに応力によって折曲地点C4付近の非塗布部43が破れ得る。一方、C3が1mmを超過すると、分節片61が折り曲げられたときに溶接強度を充分に確保できる程度に分節片61が互いに重畳しない領域または空間(隙間)が発生し得る。
【0109】
延伸率と引張強度が最適化した集電体41を使用するため、分節片61の離隔ピッチC3を0.05~1mmの範囲で調節すると、クラックや断線の発生なく分節片61を形成することができる。分節片61を形成した後の工程で電極板60を巻き取るとき、分節片61の形成時にクラックが発生しなかったとしても走行張力によってクラックが発生する場合があり得る。本発明が提案する範囲の延伸率と引張強度を有する集電体41においては、分節片61の離隔ピッチC3が0.5mm以上であれば、走行張力によるクラックの発生が防止されることを実験によって確認しており、これは
図9を参照して後述する。
【0110】
巻取方向(X方向)に隣接する二つの分節片61の間には、切断溝62が介在される。切断溝62は、非塗布部43が除去されることで生じた空間である。望ましくは、切断溝62の下部両端の角部分はラウンド形状を有する。即ち、切断溝62は、実質的に扁平な底部62aとラウンド部62cを含む。ラウンド部62cは、底部62aと分節片61の側辺62bとを連結する。変形例において、切断溝62の底部62aは、円弧形状に代替可能である。この場合、分節片61の側辺62bは、底部62aの円弧形状によってスムーズに連結され得る。
【0111】
ラウンド部62cの曲率半径は0超過0.5mm以下、望ましくは0超過0.1mm以下、より望ましくは0.01mm~0.05mmであり得る。ラウンド部62cの曲率半径が前記数値範囲を満たす場合、電極板60が巻取工程などで走行される間に切断溝62の下部でクラックが発生することを防止することができることを実験によって確認しており、これを
図9を参照して説明する。
【0112】
図9は、分節片の離隔ピッチ及び形状によって走行張力によるクラックが発生するかを確認した実験結果の写真である。
【0113】
図9の(a)と(b)は、分節片の離隔ピッチC3が各々0.1mmと0.3mmであって、走行張力によってクラックが発生した(クラックの発生部位を点線の円で示した。)。そして、(a)と(b)は、切断溝62の底部62aが円弧形状である場合であって、底部62aの中心に各々最大14.4MPa、10.9MPaの応力が発生することを確認した。このような最大応力が発生する部位でクラックが発生した。
【0114】
図9の(c)、(d)、(e)は、分節片の離隔ピッチC3が各々0.5mm、0.7mm及び0.9mmであって、走行張力によってクラックが発生しなかった。特に、(c)、(d)、(e)は、切断溝62が実質的に扁平な底部62aとラウンド部62cを含む場合であって、(c)は底部62aに最大10.3MPa、(d)と(e)は各々ラウンド部62cに最大9.5MPa、8.5MPaの応力が発生することを確認した。このような最大応力は、(a)、(b)に比べて小さいだけでなく、クラックを誘発しなかった。したがって、分節片の離隔ピッチC3が0.5mm以上であることが望ましいことが分かる。
【0115】
特に、離隔ピッチC3が0.5mmよりも大きいことで、底部62aとラウンド部62cの区分がより確実になる(d)と(e)においては、最大応力が底部62aに集中せず、ラウンド部62c側へ分散され、底部62aはかえって応力緩和区間として作用するため、クラック発生阻止の面でより優秀であることを確認することができた。また、(d)と(e)においては、ラウンド部62cの曲率半径が0.02mmであって、(a)のような状態で14.4MPaに達する最大応力を各々9.5MPa、8.5MPaにまで減少させることができることを示すことから、クラックの発生を阻止する面で非常に望ましいことが分かる。
【0116】
図7をさらに参照すると、コア側非塗布部B1の幅d
B1は、中間非塗布部B2の分節片61をコア側へ折り曲げたとき、電極組立体のコアの空洞を遮らない条件を適用して設計する。コアの空洞は、電極組立体の巻取工程に使用される巻心を抜き取った箇所に形成され、当該空洞は、電解液が注入される通路として用いられる。ところが、当該通路が閉塞されると、電解液の注入が困難になる。そのため、電極組立体のコアに隣接するコア側非塗布部B1が折り曲げられて電極組立体のコアにおける空洞を全部または相当部分閉塞しないようにコア側非塗布部B1の幅d
B1を決定し得る。
【0117】
一例で、コア側非塗布部B1の幅d
B1は、グループ1の分節片61の折曲長さに比例して増加し得る。折曲長さは、折曲地点(
図8の63)を基準にした分節片61の高さとなる。
図8を参照すると、C4は、折曲最低点を示す。折曲地点は、C4の上部に適切に設定され得る。折曲地点に関わり、C4は、折り曲げが行われ得る最低点であり、折曲地点は図示されたものより上部へ移動し得る。折曲長さは、折曲部の最低点から分節片61の上端までの長さである。具体的には、折曲地点は、C4を基準にして分節片61の高さC2の所定の地点に設定され得る。所定地点は、分節片61の折曲時に生ずる応力が、活物質層42または絶縁コーティング層44に物理的損傷を起こすことを防止し、分節片61が電極組立体の半径方向に折り曲げられるときに半径方向へ重畳するレイヤー数を十分に確保することで、分節片61が折り曲げられた領域に集電プレートを溶接したときに十分な溶接強度が確保されるように設定され得る。
【0118】
望ましくは、所定の地点は、分節片61の高さC2を基準にして少なくとも20%以上、少なくとも30%以上、少なくとも40%以上、少なくとも50%以上、少なくとも60%以上、少なくとも70%以上、少なくとも80%以上の高さに設定され得る。
【0119】
具体的な例において、電極板60がフォームファクターが46110、46800、48750、48110、48800などのような大型の円筒形バッテリーセルの電極組立体を製造するのに使用される場合、コア側非塗布部B1の幅dB1は電極組立体コアの直径に応じて180~350mmに設定し得る。
【0120】
このように本発明によれば、電極組立体のコアに隣接する非塗布部43の構造を改善して非塗布部43が折り曲げられるとき、電極組立体のコアにおける空洞が閉塞することを防止して、電解液注入工程及び電池缶と集電プレートとの溶接工程を容易に行うことができる。
【0121】
一実施例で、各分節片グループの幅は、電極組立体の同じ巻取ターンを構成するように設計され得る。
【0122】
ここで、巻取ターンは、電極板60が巻き取られた状態にあるとき、コア側非塗布部B1の端部を基準にして計数し得る。
【0123】
他の変形例において、各分節片グループの幅は、電極組立体の少なくとも一つ以上の巻取ターンを構成するように設計され得る。
【0124】
また、他の変形例において、同じ分節片グループに属した分節片61の幅及び/または高さ及び/または離隔ピッチは、グループ内で漸進的に及び/または段階的に及び/または不規則的に増加または減少し得る。
【0125】
図7に示した例において、グループ1~8は、分節片グループの一例に過ぎない。グループの数と、各グループに含まれる分節片61の数は、非塗布部43の折曲過程で応力を最大限に分散させて溶接強度を充分に確保できるように分節片61が多重に重畳するように調節され得る。
【0126】
他の変形例において、外周側非塗布部B3の高さは漸進的にまたは段階的に減少し得る。また、中間非塗布部B2の分節構造は、外周側非塗布部B3まで拡張可能である(点線参照)。この場合、外周側非塗布部B3も中間非塗布部B2と同様に複数の分節片を含み得る。この場合、外周側非塗布部B3の分節片は、幅及び/または高さ及び/または離隔ピッチが中間非塗布部B2よりも大きくなってもよい。
【0127】
具体的な例において、電極板60が、フォームファクターが46110、46800、48750、48110、48800などのような大型の円筒形バッテリーセルの電極組立体を製造するのに使用される場合、8個のグループとして分節片が形成され得る。望ましくは、コア側非塗布部B1の幅dB1は180~350mmであり得る。グループ1の幅は、コア側非塗布部B1の幅に対して35~40%であり得る。グループ2の幅は、グループ1の幅に対して130~150%であり得る。グループ3の幅は、グループ2の幅に対して120~135%であり得る。グループ4の幅は、グループ3の幅に対して85~90%であり得る。グループ5の幅は、グループ4の幅に対して120~130%であり得る。グループ6の幅は、グループ5の幅に対して100~120%であり得る。グループ7の幅は、グループ6の幅に対して90~120%であり得る。グループ8の幅は、グループ7の幅に対して115~130%であり得る。
【0128】
グループ1~8の幅が一定の増加または減少パターンを示さない理由は、分節片の幅はグループ1からグループ8へ進むほど徐々に増加するが、グループ内に含まれる分節片の数は整数個に制限されるためである。そのため、特定の分節片グループでは、分節片の数が減少し得る。したがって、グループの幅は、コア側から外周側へ進むにつれ、前記の例示のように不規則な変化の様相を示し得る。
【0129】
中間非塗布部B2の分節構造は、コア側非塗布部B1にも適用可能である。但し、コア側非塗布部B1に分節構造が適用されると、コアの曲率半径によって中間非塗布部B2の分節片61が折り曲げられるとき、コア側非塗布部B1の端部が外周側へ反る逆成形(reverse forming)現象が発生し得る。そのため、コア側非塗布部B1には、分節構造がないことが望ましい。
【0130】
集電体41の延伸率と引張強度が所定の範囲を有することで、非塗布部43を上述したように分節構造化する場合、本発明は、非常に好適な工程性、例えば、ノッチング工程性を確保できるという効果を奏する。ノッチングされた部位には、断線やクラックが存在しないため、電極板60及びそれを含む電極組立体の構造的剛性が保障され、無駄な電気的接点や電流路が発生しない。
【0131】
このような電極板60は、タブレス円筒形二次電池の製造に非常に適する。これによって、本発明による集電体41及びそれを含む電極板60は、フォームファクターが46110、48750、48110、48800、46800などである円筒形バッテリーセルのような大型電池の製造に非常に適する。
【0132】
図10は、本発明のさらに他の実施例による電極板の構造を示す平面図である。
【0133】
図10を参照すると、
図10の電極板70は、
図7の電極板60と比較して分節片61’の形状が四角形から台形へ変更されたことを除いては、残りの構成は
図7の電極板60と実質的に同一である。
【0134】
図11は、台形分節片61’の幅、高さ及び離隔ピッチの定義を示す。
【0135】
図11を参照すると、分節片61’の幅D1、高さD2及び離隔ピッチD3は、
図8を参照して説明した分節片61の幅C1、高さC2及び離隔ピッチC3の説明をそのまま適用し得る。また、分節片61’の最上部における幅は、0.5mm~6mmであり得る。分節片61’の折り曲げは、切断溝62の下端を通過する地点D4またはその上部で行われる。
【0136】
複数の分節片61’は、コア側から外周側へ進むほど台形の下部内角θが増加し得る。電極組立体の半径が増加すると、曲率が増加する。もし、分節片61’の下部内角θが電極組立体の半径が増加するにつれて共に増加すると、分節片61’が折り曲げられるとき、半径方向及び円周方向へ発生する応力を緩和させることができる。また、下部内角θが増加すると、分節片61’が折り曲げられたとき、内側の分節片61’と重畳する面積及び重畳レイヤー数も共に増加することで、半径方向及び円周方向において溶接強度が均一に確保でき、折曲面を平坦に形成できる。
【0137】
一例において、電極板70が、フォームファクターが46110、48750、48110、48800、46800などである円筒形バッテリーセルの電極組立体を製造するのに使用される場合、電極組立体の半径が4mmから22mmまで増加するとき、時分節片61’の内角は60°~85°区間で段階的に増加し得る。集電体41の延伸率と引張強度が所定の範囲を有することで、前記のような分節片61’を有するように非塗布部43を変形するとき、本発明は非常に好適な工程性、即ち、ノッチング工程性を確保できるという効果を奏する。ノッチングされた部位には、断線やクラックが発生しない。
【0138】
下記の実験結果は、アルミニウム集電体の延伸率と引張強度の変化によってキャンバー長さとノッチング工程性を測定した結果を示す。
【0139】
アルミニウム集電体に活物質層をコーティングした後、アルミニウム集電体の非塗布部は、
図7及び
図10で説明したように非塗布部の長手方向に沿ってノッチングされ、複数の分節片に分割され得る。ノッチング工程性は、ノッチング部位に断線(クラック)の発生有無から判断し得る。断線が発生すれば「不合格」、断線が発生しなければ「合格」として表1に示した。
【0140】
延伸率は、万能試験装置(例えば、Instron 3345、3365 UTM)のサンプルグリップ部に集電体サンプルを装着した後、一定の速度で引っ張りながら引張変形率を測定し、サンプルが破断するときの引張変形率を延伸率にして測定し得る。引張強度も、このような万能試験装置を用いてIPC-TM-650の測定法によって測定し得る。そして、常温でIPC-TM-650に基づく引張強度試験においてサンプルが破断したときの変形量から延伸率を求めることができる。IPC-TM-650において引張強度試験に関する規格は、2.4.18、2.4.19などにある。例えば、IPC-TM-650(2.4.19)方法によって測定し得る。
【0141】
具体的には、集電体サンプルの大きさは、幅が12.7mm、長さが150mmであり、測定速度は20mm/分である。サンプルの中央部で延伸が行われるように測定する方法であることから、サンプル中央部に標点距離50mmを表示しておき(例えば、50mm長さのラインをサンプルの長手方向に並んでサンプルの中央部に表示しておく。)、使用装備はUTMである。準備した集電体サンプルをUTMに装着した後、基準速度(20mm/分)で試験を行い、サンプルの中央部で破断が発生したときの力の大きさを試片の断面積(試片の幅×試片の厚さ)で割って引張強度値を求め、破断されたサンプルを長手方向へ並べ、最初に表示しておいた標点距離50mmが増加した程度から数式1によって延伸率を計算する。
【0142】
【0143】
実験結果を参照すると、遠心率が3.0%を超過するアルミニウム集電体から電極板を製作した場合(比較例1、3、4)、キャンバーの長さは約20mmまたはそれ以上の水準に測定された。一方、延伸率が1.5~3.0%の範囲に属するアルミニウム集電体から電極板を製作した場合(実施例1、2)、キャンバーの長さは各々16mm及び11mmで測定された。キャンバーの長さの測定値が20mmを超える場合、蛇行不良が発生して断線が発生した。一方、比較例2は、延伸率が3.0%を超過しないが、ノッチング部位に断線が発生してノッチング工程性が良くなかった。これは、引張強度が25kgf/mm2よりも小さいためである。実施例1、2の場合、このような問題が発生しなかった。このように本発明によれば、集電体の延伸率と引張強度の設計によって、キャンバーの発生を最小化するだけでなく、分節片がノッチングされるときの断線の発生を最小化できる。
【0144】
図12は、比較例3の集電体と実施例1の集電体から電極板を製造したとき、うねりの発生程度を比較するための写真である。(a)に示した写真は、比較例3の集電体から製造した電極板(正極板)であり、(b)に示した写真は、実施例1の集電体から製造した電極板(正極板)である。
【0145】
図12を参照すると、実施例1の集電体から製造した電極板でうねりの発生が少なかったことを目視で確認可能である。
【0146】
上述した実施例(変形例)の電極板40、60、70の構造は、ゼリーロール型の電極組立体に含まれた、極性の異なる第1電極板及び第2電極板の少なくとも一つに適用され得る。また、第1電極板及び第2電極板のいずれか一つに実施例(変形例)の電極構造が適用される場合、残りの一つには従来の電極板構造が適用され得る。また、第1電極板及び第2電極板に適用された電極板構造は同一ではなく、相異なり得る。
【0147】
一例で、第1電極板と第2電極板が各々正極板及び負極板である場合、第1電極板には実施例(変形例)のいずれか一つが適用され、第2電極板には従来の電極板構造(
図1参照)が適用され得る。
【0148】
他の例で、第1電極板と第2電極板が各々正極板及び負極板である場合、第1電極板には実施例(変形例)のいずれか一つが選択的に適用され、第2電極板には実施例(変形例)のいずれか一つが選択的に適用され得る。
【0149】
本発明において、集電体にコーティングされる正極活物質と負極活物質は、当業界における公知の活物質であれば、制限なく使用可能である。
【0150】
一例として、正極活物質は、一般化学式A[AxMy]O2+z(Aは、Li、Na及びKのうち少なくとも一つ以上の元素を含む;Mは、Ni、Co、Mn、Ca、Mg、Al、Ti、Si、Fe、Mo、V、Zr、Zn、Cu、Al、Mo、Sc、Zr、Ru及びCrより選択された少なくとも一つ以上の元素を含む;x≧0、1≦x+y≦2、-0.1≦z≦2;化学量論係数x、y及びzは、化合物が電気的中性を維持するように選択される。)で表されるアルカリ金属化合物を含み得る。
【0151】
望ましくは、正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物を含む。ニッケル-コバルト-マンガン系リチウム酸化物、この中でも遷移金属のうちニッケル含量が高い高濃度のニッケル-コバルト-マンガン系リチウム酸化物を含み得る。
【0152】
他の例で、正極活物質は、US6,677,082、US6,680,143などに開示されたアルカリ金属化合物xLiM1O2‐(1‐x)Li2M2O3(M1は、平均酸化状態3を有する少なくとも一つ以上の元素を含む;M2は、平均酸化状態4を有する少なくとも一つ以上の元素を含む;0≦x≦1)であり得る。
【0153】
さらに他の例で、正極活物質は、一般化学式LiaM1
xFe1‐xM2
yP1‐yM3
zO4‐z(M1は、Ti、Si、Mn、Co、Fe、V、Cr、Mo、Ni、Nd、Mg及びAlより選択された少なくとも一つ以上の元素を含む;M2は、Ti、Si、Mn、Co、Fe、V、Cr、Mo、Ni、Nd、Mg、Al、As、Sb、Si、Ge、V及びSより選択された少なくとも一つ以上の元素を含む;M3は、Fを選択的に含むハロゲン族元素を含む;0<a≦2、0≦x≦1、0≦y<1、0≦z<1;化学量論係数a、x、y及びzは、化合物が電気的中性を維持するように選択される。)、またはLi3M2(PO4)3[Mは、Ti、Si、Mn、Fe、Co、V、Cr、Mo、Ni、Mg及びAlより選択された少なくとも一つの元素を含む。]で表されるリチウム金属ホスフェートであり得る。
【0154】
望ましくは、正極活物質は、一次粒子及び/または一次粒子が凝集した二次粒子を含み得る。
【0155】
一例で、負極活物質は、炭素材、リチウム金属またはリチウム金属化合物、ケイ素またはケイ素化合物、すずまたはすず化合物などを使用し得る。電位が2V未満であるTiO2、SnO2のような金属酸化物も負極活物質として使用可能である。炭素材としては、低結晶性炭素、高結晶性炭素などがいずれも使用され得る。
【0156】
分離膜は、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルムを単独でまたはこれらを積層して使用し得る。他の例で、分離膜は、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラスファイバー、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を使用し得る。
【0157】
分離膜の少なくとも一表面には、無機物粒子のコーティング層を含み得る。また、分離膜自体が無機物粒子のコーティング層からなることも可能である。コーティング層を構成する粒子は、隣接する粒子の間にインタースティシャルボリューム(interstitial volume)が存在するようにバインダーと結合した構造を有し得る。
【0158】
無機物粒子は、誘電率が5以上である無機物からなり得る。非制限的な例として、前記無機物粒子は、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)、Pb1-xLaxZr1-yTiyO3(PLZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3(PMN-PT)、BaTiO3、ハフニア(HfO2)、SrTiO3、TiO2、Al2O3、ZrO2、SnO2、CeO2、MgO、CaO、ZnO及びY2O3からなる群より選択された少なくとも一つ以上の物質を含み得る。
【0159】
図13は、本発明の実施例による電極組立体の断面図である。
図13は、
図6に示した第1実施例の電極板50を第1電極板(正極板)及び第2電極板(負極板)に適用したゼリーロール型の電極組立体をY軸方向(巻取軸方向)に沿って切断した断面図である。
【0160】
電極組立体80は、
図2によって説明された巻取工法で製造し得る。シート状の第1電極板及び第2電極板とこれらの間に介在された分離膜とが、一方向へ巻き取られた構造を有する。説明の便宜のために、分離膜の外部へ延びた非塗布部43a、43bの突出構造を詳しく図示し、第1電極板、第2電極板及び分離膜の巻取構造の図示は省略する。上方へ突出した非塗布部43aは、第1電極板から延びたものであり、下方へ突出した非塗布部43bは、第2電極板から延びたものである。上部非塗布部43aと下部非塗布部43bの少なくとも一部は、分離膜の外部に露出されて電極タブとして使用される。
【0161】
図13を参照すると、第1電極板の非塗布部43aは、電極組立体80のコアに隣接するコア側非塗布部B1と、電極組立体80の外周表面に隣接する外周側非塗布部B3と、コア側非塗布部B1と外周側非塗布部B3の間に介在された中間非塗布部B2と、を含む。
【0162】
外周非塗布部B3の高さ(Y軸方向の長さ)は、中間非塗布部B2の高さよりも相対的に小さい。そのため、電池缶のビーディング部に外周側非塗布部B3が圧迫されることによる内部短絡を防止することができる。このように本発明によれば、非塗布部43a、43bの構造を改善して電池缶のビーディング部の形成過程で電極組立体80と電池缶の内周面が干渉を起こさないようにすることで電極組立体80の部分的な変形による円筒形バッテリーセルの内部短絡を防止することができる。
【0163】
下部非塗布部43bは、上部非塗布部43aと同じ構造を有する。一変形例において、下部非塗布部43bは、従来の電極板構造や他の実施例(変形例)の電極板構造を有し得る。
【0164】
上部非塗布部43aと下部非塗布部43bの端部81は、電極組立体80の半径方向、例えば、外周側からコア側へ折り曲げられ得る。この際、外周側非塗布部B3は、実質的に折り曲げられない。
【0165】
図14は、第2実施例及び第3実施例の電極板60、70のいずれか一つを第1電極板(正極板)及び第2電極板(負極板)に適用したゼリーロール型の電極組立体100をY軸方向(巻取軸方向)に沿って切断した断面図である。
【0166】
図14を参照すると、第1電極板の非塗布部43aは、電極組立体100のコアに隣接するコア側非塗布部B1と、電極組立体100の外周表面に隣接する外周側非塗布部B3と、コア側非塗布部B1と外周側非塗布部B3の間に介在された中間非塗布部B2と、を含む。
【0167】
非塗布部43a、43bの高さが変化するパターンは概略的に示した。即ち、断面が切断される位置によって非塗布部43a、43bの高さは不規則に変化し得る。一例で、台形分節片61、61’のサイド部分が切断されると、断面における非塗布部の高さは、分節片61、61’の高さよりも低くなる。したがって、電極組立体の断面を示した図面に図示した非塗布部43a、43bの高さは、各巻取ターンに含まれた非塗布部の高さ(
図8のC2、
図11のD2)の平均に対応すると理解する。
【0168】
コア側非塗布部B1の高さは、中間非塗布部B2の高さよりも相対的に小さい。また、中間非塗布部B2において最内側に位置した非塗布部43aの折曲長さは、コア側非塗布部B1の半径方向の長さRと同一であるか、または小さい。折曲長さHは、非塗布部43aが折り曲げられる地点(
図8のh、
図11のh)を基準にした非塗布部43aの高さに該当する。D4は、折曲地点の最低点であり、折曲地点はD4の上部に設定され得る。
【0169】
したがって、中間非塗布部B2が折り曲げられても、折曲部位が電極組立体100のコアの空洞102を閉塞しない。空洞102が閉塞されない場合、電解質注液工程に困難がなく、電解液注液の効率が向上する。また、空洞102をから溶接ジグを挿入して負極側の集電プレートと電池缶との溶接工程を容易に行うことが可能である。
【0170】
外周側非塗布部B3の高さは、中間非塗布部B2の高さよりも相対的に小さい。そのため、電池缶のビーディング部に外周側非塗布部B3が圧迫されることによる内部短絡の発生を防止できる。
【0171】
一変形例において、外周側非塗布部B3の高さは、
図14に示したこととは異なり、漸進的にまたは段階的に減少し得る。また、
図14には、中間非塗布部B2の高さが外周側の一部分が同一であるが、中間非塗布部B2の高さは、コア側非塗布部B1と中間非塗布部B2の境界から中間非塗布部B2と外周側非塗布部B3の境界まで漸進的にまたは段階的に増加し得る。
【0172】
下部非塗布部43bは、上部非塗布部43aと同じ構造を有する。一変形例において、下部非塗布部43bは、従来の電極板の構造や他の実施例(変形例)の電極板構造を有し得る。
【0173】
上部非塗布部43aと下部非塗布部43bの端部101は、電極組立体100の半径方向、例えば、外周側からコア側へ折曲加工され得る。この際、コア側非塗布部B1と外周側非塗布部B3は、実質的に折り曲げられない。
【0174】
中間非塗布部B2が複数の分節片を含む場合、折曲応力が緩和して折曲地点近所の非塗布部43aが破れるか、または異常変形することを防止できる。また、分節片の幅及び/または高さ及び/または離隔ピッチが上述した実施例の数値範囲によって調節される場合、分節片がコア側へ折り曲げられながら溶接強度が充分に確保できる程度に多重に重畳して折曲面(Y軸から見た表面)に穴(隙間)を形成しない。また、集電体41の延伸率と引張強度を最適化するため、前記複数の分節片の間には断線やクラックを含まない。
【0175】
図15は、本発明のさらに他の実施例による電極組立体110をY軸方向(巻取軸方向)に沿って切った断面図である。
【0176】
図15を参照すると、電極組立体110は、
図14の電極組立体100と比較して、外周側非塗布部B3の高さが中間非塗布部B2の最外側の高さと実質的に同一であるという点を除いては、残りの構成は実質的に同一である。外周側非塗布部B3は、複数の分節片を含み得る。
【0177】
外周非塗布部B3は、複数の分節片を含み得る。複数の分節片に関わる構成については、前述した実施例(変形例)の説明を実質的に同一に援用する。
【0178】
電極組立体110において、コア側非塗布部B1の高さは、中間非塗布部B2の高さよりも相対的に小さい。また、中間非塗布部B2において最内側に位置した非塗布部の折曲長さHは、コア側非塗布部B1の半径方向の長さRと同一であるか、または小さい。
【0179】
したがって、中間非塗布部B2が折り曲げられても折曲部位が電極組立体110のコアの空洞112を閉塞しない。空洞112が閉塞されない場合、電解質注液工程に困難がなく、電解液注液の効率が向上する。また、空洞112から溶接ジグを挿入して負極側の集電プレートと電池缶との溶接工程を容易に行うことが可能である。
【0180】
一変形例において、中間非塗布部B2の高さがコア側から外周側に向かって漸進的にまたは段階的に増加する構造は、外周側非塗布部B3まで拡張され得る。この場合、非塗布部43aの高さは、コア側非塗布部B1と中間非塗布部B2の境界から電極組立体110の差外側の表面まで漸進的にまたは段階的に増加し得る。
【0181】
下部非塗布部43bは、上部非塗布部43aと同じ構造を有する。一変形例において、下部非塗布部43bは、従来の電極板構造や他の実施例(変形例)の電極板の構造を有し得る。
【0182】
上部非塗布部43aと下部非塗布部43bの端部111は、電極組立体110の外周側からコア側へ折曲加工され得る。この際、コア側非塗布部B1は、実質的に折り曲げられない。
【0183】
中間非塗布部B2及び外周側非塗布部B3が複数の分節片を含む場合、折曲応力が緩和して折曲地点付近の非塗布部43a、43bが破れるか、または異常変形することを防止できる。また、分節片の幅及び/または高さ及び/または離隔ピッチが上述した実施例の数値範囲によって調節される場合、分節片がコア側へ折り曲げられながら溶接強度を充分に確保可能な程度に多重に重畳されて折曲面(Y軸から見た表面)に穴(隙間)を形成しない。また、集電体41の延伸率と引張強度を最適化するので、前記複数の分節片の間には断線やクラックを含まない。
【0184】
本発明の実施例による多様な電極組立体の構造は、ゼリーロール型の円筒形バッテリーセルに適用され得る。
【0185】
望ましくは、円筒形バッテリーセルは、例えば、フォームファクターの比(円筒型バッテリーの直径を高さで割った値、即ち、高さHに対する直径Φの割合に定義される。)が約0.4よりも大きい円筒形バッテリーセルであり得る。
【0186】
フォームファクターの比が0.4を超過する円筒形バッテリーセルにタブレス構造を有する電極組立体を適用する場合、非塗布部を折り曲げるとき、半径方向へ加えられる応力が大きいため、非塗布部が破れやすい。また、非塗布部の折曲面に集電プレートを溶接するとき、溶接強度を充分に確保して抵抗を低めるためには、非塗布部の重畳レイヤー数を充分に増加させる必要がある。このような要求条件は、本発明の実施例(変形例)による電極板と電極組立体によって達成可能である。
【0187】
本発明の一実施例によるバッテリーセルは、ほぼ円柱状のセルであって、その直径が約46mmであり、その高さは約110mmであり、フォームファクターの比は約0.418である円筒形バッテリーセルであり得る。
【0188】
他の実施例によるバッテリーセルは、ほぼ円柱状のセルであって、その直径が約48mmであり、その高さが約75mmであり、フォームファクターの比が約0.640である円筒形バッテリーセルであり得る。
【0189】
また、他の実施例によるバッテリーセルは、ほぼ円柱状のセルであって、その直径が約48mmであり、その高さが約110mmであり、フォームファクターの比が約0.436である円筒形バッテリーセルであり得る。
【0190】
また、さらに他の実施例によるバッテリーセルは、ほぼ円柱状のセルであって、その直径が約48mmであり、その高さが約80mmであり、フォームファクターの比は約0.600である円筒形バッテリーセルであり得る。
【0191】
さらに他の実施例によるバッテリーセルは、ほぼ円柱状のセルであって、その直径が約46mmであり、その高さが約80mmであり、フォームファクターの比が約0.575である円筒形バッテリーセルであり得る。
【0192】
従来には、フォームファクターの比が約0.4以下であるバッテリーセルが用いられていた。即ち、従来には、例えば、18650セル、21700セルなどが用いられた。18650セルの場合、その直径が約18mmであり、その高さは約65mmであり、フォームファクターの比は0.277である。21700セルの場合、その直径が約21mmであり、その高さは約70mmであり、フォームファクターの比は0.300である。
【0193】
以下、本発明の実施例による円筒形バッテリーセルについて詳しく説明する。
【0194】
図16は、本発明の一実施例による円筒形バッテリーセル170をY軸に沿って切断した断面図である。
【0195】
図16を参照すると、本発明の一実施例による円筒形バッテリーセル170は、第1電極板、分離膜及び第2電極板を含む電極組立体141を含む。円筒形バッテリーセル170は、リベット端子172が貫通して設けられた電池缶171を含む。電池缶171は、アルミニウムやスチールのような導電性の金属材質からなる。電池缶171は、内側空間に電極組立体141を収容し、電解質も共に収容する。
【0196】
電解質は、A+B-のような構造を有する塩であり得る。ここで、A+は、Li+、Na+、K+のようなアルカリ金属陽イオンまたはこれらの組合せからなるイオンを含む。そして、B-は、F-、Cl-、Br-、I-、NO3
-、N(CN)2
-、BF4
-、ClO4
-、AlO4
-、AlCl4
-、PF6
-、SbF6
-、AsF6
-、BF2C2O4
-、BC4O8
-、(CF3)2PF4
-、(CF3)3PF3
-、(CF3)4PF2
-、(CF3)5PF-、(CF3)6P-、CF3SO3
-、C4F9SO3
-、CF3CF2SO3
-、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、CF3CF2(CF3)2CO-、(CF3SO2)2CH-、(SF5)3C-、(CF3SO2)3C-、CF3(CF2)7SO3
-、CF3CO2
-、CH3CO2
-、SCN-及び(CF3CF2SO2)2N-からなる群より選択されたいずれか一つ以上の陰イオンを含む。
【0197】
また、電解質は、有機溶媒に溶解して使用され得る。有機溶媒としては、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylenecarbonate;EC)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、ジプロピルカーボネート(dipropyl carbonate;DPC)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、アセトニトリル(acetonitrile)、ジメトキシエタン(dimethoxyethane)、ジエトキシエタン(diethoxyethane)、テトラハイドロフラン(tetrahydrofuran)、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone;NMP)、エチルメチルカーボネート(ethyl methyl carbonate;EMC)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)またはこれらの混合物が使用され得る。
【0198】
電極組立体141は、ゼリーロール形状を有し得る。電極組立体141は、
図2に示したように、下部分離膜、第1電極板、上部分離膜及び第2電極板を順次に少なくとも一回積層して形成された積層体を巻取中心Cを基準にして巻取することで製造され得る。
【0199】
第1電極板と第2電極板は極性が異なる。即ち、一つが正の極性を帯びると、他の一つは負の極性を帯びる。第1電極板と第2電極板の少なくとも一つは、上述した実施例(変形例)による電極板構造を有し得る。また、第1電極板と第2電極板のうち残りの一つは、従来の電極板構造または実施例(変形例)による電極板構造を有し得る。
【0200】
例えば、第1極性は負極であり、第2極性は正極である。電池缶171は、前記第1電極板及び前記第2電極板のうちいずれか一つと電気的に接続して第1極性を帯びる。第1極性が負極であり、電池缶171は負の極性を帯びる電極板に接続される。例えば、電池缶171は第2電極板に接続される。
【0201】
電極組立体141の上部と下部には各々第1電極板の非塗布部146aと第2電極板の非塗布部146bが突出する。リベット端子172は、電池缶171の閉鎖面(図面における上面)に設けられる。リベット端子172は、絶縁性の第2ガスケット173が介在された状態で電池缶171の貫通孔にリベッティングされる。リベット端子172は、重力方向と反対方向に向かって外部に露出する。リベット端子172の表面は外部に露出している。
【0202】
リベット端子172は、端子露出部172a及び端子挿入部172bを含む。端子露出部172aは、電池缶171の閉鎖面の外側に露出する。端子露出部172aは、電池缶171の閉鎖面のほぼ中心部に位置し得る。端子露出部172aの最大直径は、電池缶171に形成された貫通孔の最大直径よりも大きく形成され得る。端子挿入部172bは、電池缶171の閉鎖面のほぼ中心部を貫通して第1電極板の非塗布部146aと電気的に接続し得る。端子挿入部172bは、電池缶171の内面上にリベット(rivet)結合し得る。即ち、端子挿入部172bの端部は、電池缶171の内面に向かって曲げられた形態を有し得る。端子挿入部172bの端部の最大直径は、電池缶171の貫通孔の最大直径よりも大きくてもよい。リベット端子172は、前記第1電極板及び前記第2電極板のうち電池缶171と接続していない他の一つと電気的に接続される。例えば、リベット端子172は、正の極性を帯びる第1電極板に接続され、それによって第2極性である正の極性を帯びるようになる。
【0203】
円筒形バッテリーセル170は、第1集電プレート144をさらに含み得る。第1集電プレート144は、アルミニウム、銅、ニッケルなどのような導電性の金属材質からなり、第1電極板の非塗布部146aと電気的に接続される。第1集電プレート144は、その下面に放射状に形成された複数の凹凸(図示せず)を備え得る。放射状の凹凸が備えられた場合、第1集電プレート144を押し付けて凹凸を第1電極板の非塗布部146aに圧入させ得る。
【0204】
第1集電プレート144は、第1電極板の非塗布部146aの端部に結合する。非塗布部146aと第1集電プレート144との結合は、例えば、レーザー溶接によって行われ得る。レーザー溶接は、集電プレートの母材を部分的に溶融する方式で行われ得る。変形例において、第1集電プレート144と非塗布部146aとの溶接は、はんだを介在した状態で行われ得る。この場合、はんだは、第1集電プレート144と非塗布部146aよりも低い融点を有し得る。レーザー溶接は、抵抗溶接、超音波溶接などに代替可能である。
【0205】
望ましくは、第1電極板の非塗布部146aと電気的に接続したリベット端子172は、第1電極端子として使用される。第1電極板が正の極性を有する場合であるとすれば、これに接続するリベット端子172は正極端子になる。
【0206】
端子挿入部172bの下端面は、第1電極板の非塗布部146aに接続した第1集電プレート144と溶接され得る。第1集電プレート144と電池缶171の内面との間には、絶縁物質からなる絶縁キャップ174が介在され得る。絶縁キャップ174は、第1集電プレート144の上部と電極組立体141の上端の縁部をカバーする。これによって、電極組立体141の外周側非塗布部B3が異なる極性を有する電池缶171の内面と接触して短絡を起こすことを防止できる。リベット端子172の端子挿入部172bは、絶縁キャップ174を貫通して第1集電プレート144に溶接され得る。
【0207】
第2ガスケット173は、電池缶171とリベット端子172との間に介在され、互いに反対極性を有する電池缶171とリベット端子172が電気的に互いに接触することを防止する。これによって、ほぼフラットな形状の電池缶171の上面が円筒形バッテリーセル170の第2電極端子として機能し得る。例えば、負極端子になり得る。
【0208】
第2ガスケット173は、ガスケット露出部173a及びガスケット挿入部173bを含む。ガスケット露出部173aは、リベット端子172の端子露出部172aと電池缶171との間に介在される。ガスケット挿入部173bは、リベット端子172の端子挿入部172bと電池缶171との間に介在される。ガスケット挿入部173bは、端子挿入部172bのリベッティング(riveting)時に共に変形され、電池缶171の内面に密着し得る。第2ガスケット173は、例えば、絶縁性の高分子樹脂からなり得る。
【0209】
第2ガスケット173のガスケット露出部173aは、リベット端子172の端子露出部172aの外周面をカバーするように延びた形態を有し得る。第2ガスケット173がリベット端子172の外周面をカバーする場合、バスバーなどの電気的接続部品を電池缶171の上面及び/またはリベット端子172に結合させる過程で短絡が発生することを防止できる。図示していないが、ガスケット露出部173aは、端子露出部172aの外周面のみならず、上面の一部も共にカバーするように延びた形態を有し得る。
【0210】
第2ガスケット173が高分子樹脂からなる場合において、第2ガスケット173は、熱溶着によって電池缶171及びリベット端子172と結合し得る。この場合、第2ガスケット173とリベット端子172の結合界面及び第2ガスケット173と電池缶171の結合界面における気密性が強化できる。一方、第2ガスケット173のガスケット露出部173aが端子露出部172aの上面まで延びた形態の場合において、リベット端子172は、インサート射出によって第2ガスケット173と一体に結合し得る。
【0211】
電池缶171の上面において、リベット端子172及び第2ガスケット173が占める領域を除いた残りの領域175が、リベット端子172とは反対極性の第2電極端子になる。
【0212】
第2集電プレート176は、電極組立体141の下部に結合する。第2集電プレート176は、アルミニウム、スチール、銅、ニッケルなどの導電性の金属材質からなり、第2電極板の非塗布部146bと電気的に接続される。
【0213】
望ましくは、第2集電プレート176は、電池缶171と電気的に接続される。このために、第2集電プレート176は、縁部の少なくとも一部が電池缶171の内面と第1ガスケット178bとの間に介在されて固定され得る。一例で、第2集電プレート176の縁部の少なくとも一部は、電池缶171の下端に形成されたビーディング部180の下端面に支持された状態で溶接によってビーディング部180に固定され得る。ビーディング部180は、電池缶171の外周面を圧入して形成する。変形例において、第2集電プレート176の縁部の少なくとも一部は、電池缶171の内壁面に直接的に溶接され得る。
【0214】
第2集電プレート176は、非塗布部146bと対向する面の上に放射状に形成された複数の凹凸(図示せず)を備え得る。凹凸が形成された場合、第2集電プレート176を押し付けて凹凸を非塗布部146bに圧入し得る。望ましくは、第2集電プレート176と非塗布部146bの端部は、溶接、例えば、レーザー溶接によって結合し得る。
【0215】
非塗布部146a、146bは、図示した構造のみに限定されない。そのため、非塗布部146a、146bは、従来の非塗布部の構造のみならず、実施例(変形例)による電極板の非塗布部構造を選択的に有し得る。
【0216】
電池缶171の下部開放団を密封する密封体178は、キャッププレート178a及び第1ガスケット178bを含む。第1ガスケット178bは、キャッププレート178aと電池缶171を電気的に分離する。クリンピング部181は、キャッププレート178aの縁部と第1ガスケット178bとを共に固定する。
【0217】
キャッププレート178aには、ベント部179が備えられる。ベント部179は、キャッププレート178aにおいて、周辺領域よりも薄い厚さを有する領域である。ベント部179は、周辺領域に比べて構造的に弱い。そのため、円筒形バッテリーセル170に異常が発生して内部圧力が一定の水準以上に増加すると、ベント部179が破裂して電池缶171の内部に生成されたガスが外部へ排出され得る。ベント部179がキャッププレート178aに円を描いて連続的にまたは不連続的に形成され得る。変形例において、ベント部179は、直線パターンまたはその他のパターンに形成され得る。
【0218】
望ましくは、キャッププレート178aは、導電性の金属材質からなる。しかし、キャッププレート178aと電池缶171との間に第1ガスケット178bが介在されているため、キャッププレート178aは電気的極性を帯びない。キャッププレート178aは、電池缶171の下部の開放端を密封し、バッテリーセル170の内部圧力が臨界値以上に増加したとき、ガスを排出させる機能を果たす。
【0219】
第2集電プレート176を介して第2電極板の非塗布部146bと電気的に接続された電池缶171の上部表面において、リベット端子172を除いた残りの領域175は、第1電極端子と極性が異なる他の第2電極端子として使用される。このように、第1電極端子と第2電極端子、二つの電極端子が円筒形バッテリーセル170の上部に位置する場合、バスバーなどの電気的接続部品を円筒形バッテリーセル170の一側のみに配置することが可能である。これによって、バッテリーパック構造の単純化及びエネルギー密度の向上を図ることができる。また、第2電極端子として使用される領域175は、ほぼフラットな形態を有するので、バスバーなどの電気的接続部品を接合することにおいて、十分な接合面積の確保が可能である。これによって、円筒形バッテリーセル170は、電気的接続部品の接合部位における抵抗を望ましい水準に低めることができる。
【0220】
このような円筒形バッテリーセル170は、電極組立体141の上方及び下方へ突出した非塗布部146a、146bを電極タブとして使用することでバッテリーセルの内部抵抗を減少させ、エネルギー密度を増加させることができる。
【0221】
一方、電極組立体141の構造と非塗布部の構造は、図示されたものに限定されず、上述した実施例(変形例)の構造に代替可能である。
【0222】
図17は、本発明の他の実施例による円筒形バッテリーセルをY軸方向に沿って切断した断面図である。
【0223】
図17を参照すると、円筒形バッテリーセル200は、
図15に示した電極組立体110を含み、電極組立体110を除いた残りの構成は、
図16に示した円筒形バッテリーセル170と実質的に同一である。
【0224】
図17を参照すると、電極組立体110の非塗布部146a、146bは、電極組立体110の半径方向、例えば、外周側からコア側へ折り曲げられる。この際、コア側非塗布部B1は、高さが他の部分よりも低いため、実質的に折り曲げられない。第1集電プレート144は、非塗布部146aの折曲面に溶接され、第2集電プレート176は、非塗布部146bの折曲面に溶接され得る。
【0225】
電極組立体110は、コア側非塗布部B1の高さが他の部分よりも相対的に低い。また、
図15に示したように、中間非塗布部B2において最内側に位置した非塗布部の折曲長さHは、コア側非塗布部B1の半径方向の長さRと同一であるか、または小さい。
【0226】
したがって、非塗布部146a、146bをコア側に向かって折り曲げても電極組立体110のコアの空洞112が閉塞することなく上部で開放され得る。
【0227】
空洞112が閉塞しない場合、電解質の注液工程が容易になり、電解液の注液効率が向上する。また、空洞112から溶接ジグを挿入して第2集電プレート176と電池缶171との溶接工程を容易に行うことができる。
【0228】
非塗布部146a、146bが分節構造を有する場合、分節片の幅及び/または高さ及び/または離隔ピッチを上述した実施例の数値範囲を満たすように調節すると、分節片が折り曲げられるとき、分節片が溶接強度を充分に確保可能な程度で多重に重畳され、折曲面上に空間(隙間)を形成しない。また、集電体41の延伸率と引張強度を最適化するので、前記複数の分節片の間には断線やクラックを含まない。
【0229】
非塗布部146a、146bの構造は、図示したものとは異なり、上述した実施例(変形例)による構造にいくらでも変更可能である。また、非塗布部146a、146bのいずれか一つに従来の非塗布部の構造が適用されることを制限しない。
【0230】
上述した実施例(変形例)による円筒形バッテリーセルは、内部抵抗が低く、内部短絡が防止され、かつ集電プレートと非塗布部との溶接強度が向上した構造を有する。このようなバッテリーセルは、バッテリーパックの製造に使用され得る。
【0231】
図18は、本発明の実施例によるバッテリーパックの構成を概略的に示した図である。
【0232】
本発明の実施例によるバッテリーパック300は、円筒形バッテリーセル301が電気的に接続された集合体及びそれを収容するパックハウジング302を含む。円筒形バッテリーセル301は、上述した実施例(変形例)によるバッテリーセルのうちいずれか一つであり得る。図面においては、図示の便宜上、円筒形バッテリーセル301の電気的接続のためのバスバー、冷却ユニット、外部端子などの部品の図示は省略した。
【0233】
バッテリーパック300は、
図19に示されたように自動車に搭載され得る。
図19は、本発明の実施例によるバッテリーパックを含む自動車を概略的に示した図である。自動車は、一例で、電気自動車、ハイブリッド自動車またはプラグインハイブリッド自動車であり得る。自動車は、四輪自動車または二輪自動車を含む。
【0234】
図19を参照すると、本発明の一実施例による自動車Vは、本発明の一実施例によるバッテリーパック300を含む。自動車Vは、本発明の一実施例によるバッテリーパック300から電力を受けて動作する。
【0235】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0236】
41 集電体
42 活物質層
43、43a、43b、146a、146b 非塗布部
44 絶縁コーティング層
50、60、70 電極板
61、61’ 分節片
80、100、110、141 電極組立体
102、112 空洞
144 第1集電プレート
170、301 円筒形バッテリーセル
171 電池缶
172 リベット端子
173 第2ガスケット
174 絶縁キャップ
176 第2集電プレート
178 密封体
178a キャッププレート
178b 第1ガスケット
179 ベント部
180 ビーディング部
181 クリンピング部
300 バッテリーパック
302 パックハウジング
B1 コア側非塗布部
B2 中間非塗布部
B3 外周非塗布部
C 巻取中心
V 自動車
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸率が1.5~3.0%であり、引張強度が25~35kgf/mm
2であることを特徴とする、二次電池用の集電体。
【請求項2】
延伸率が1.5~3.0%であり、引張強度が25~35kgf/mm
2である二次電池用の集電体と、
前記集電体の上に形成された活物質層と、を含むことを特徴とする
、二次電池用の電極板。
【請求項3】
前記電極板において、
前記集電体が、短辺と長辺を有するシート状であり、前記集電体の長辺端部には、前記活物質層が形成されていない非塗布部を含み、
前記集電体の短辺に沿う方向の幅が60~110mmであり、前記集電体の長辺に沿う方向の長さが3~5mであり、キャンバーの長さが20mm未満であることを特徴とする、請求項
2に記載の二次電池用の電極板。
【請求項4】
シート状の第1電極板及び第2電極板と、これらの間に介在された分離膜が一方向へ巻き取られた構造を有するゼリーロール型の電極組立体であって、
前記第1電極板及び前記第2電極板の少なくとも一つが、集電体と前記集電体の長辺端部に活物質層がコーティングされていない非塗布部を含み、
前記非塗布部の少なくとも一部が、前記分離膜の外部に露出されて電極タブとして用いられ、
前記集電体の延伸率が1.5~3.0%であり、引張強度が25~35kgf/mm
2であることを特徴とする、電極組立体。
【請求項5】
前記非塗布部は、前記電極組立体のコアに隣接するコア側非塗布部と、前記電極組立体の外周表面に隣接する外周側非塗布部と、前記コア側非塗布部と前記外周側非塗布部との間に介在された中間非塗布部と、を含み、
前記中間非塗布部の少なくとも一部区間が複数の分節片に分割されていることを特徴とする、請求項
4に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記分節片の形状は、上部幅が下部幅よりも小さいことを特徴とする、請求項
5に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記外周側非塗布部及びコア側非塗布部は、非塗布部の分節構造を有さないことを特徴とする、請求項
5または6に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記複数の分節片は、前記電極組立体の半径方向へ折り曲げられて多重に重畳されることを特徴とする、請求項
5または6に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記複数の分節片の間には、断線やクラックを含まないことを特徴とする、請求項
5または6に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記活物質層の単位面積当たりのエネルギー密度が1~6mAh/cm
2であることを特徴とする、請求項
5または6に記載の電極組立体。
【請求項11】
シート状の第1電極板及び第2電極板と、これらの間に介在された分離膜が一方向へ巻き取られた構造を有するゼリーロール型の電極組立体と、
前記電極組立体が収納され、前記第1電極板及び前記第2電極板のうちいずれか一つと電気的に接続して第1極性を帯びる電池缶と、
前記電池缶の開放端を密封する密封体と、
前記第1電極板及び前記第2電極板のうち残りの一つと電気的に接続し、表面が外部に露出した第2極性を帯びる端子と、を含み、
前記第1電極板及び前記第2電極板の少なくとも一つは、集電体と前記集電体の長辺端部に活物質層がコーティングされていない非塗布部を含み、
前記非塗布部の少なくとも一部が、前記分離膜の外部に露出されて電極タブとして用いられ、
前記集電体の延伸率が1.5~3.0%であり、引張強度が25~35kgf/mm
2であることを特徴とする、円筒形バッテリーセル。
【請求項12】
前記第1電極板または第2電極板において、前記集電体の短辺に沿う方向の幅が60~110mmであり、前記集電体の長辺に沿う方向の長さが3~5mであり、キャンバーの長さが20mm未満であることを特徴とする、請求項
11に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項13】
前記非塗布部は、前記電極組立体のコアに隣接するコア側非塗布部と、前記電極組立体の外周表面に隣接する外周側非塗布部と、前記コア側非塗布部と前記外周側非塗布部との間に介在された中間非塗布部と、を含み、
前記中間非塗布部の少なくとも一部区間が複数の分節片に分割されていることを特徴とする、請求項
11または12に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項14】
前記複数の分節片の間には断線やクラックを含まないことを特徴とする、請求項
13に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項15】
前記中間非塗布部の少なくとも一部区間が外周側からコア側へ折り曲げられており、
前記電極組立体のコアには空洞が備えられ、
前記空洞は、前記中間非塗布部の折曲構造によって閉塞されないことを特徴とする、請求項
13に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項16】
前記第1極性を帯びる第2電極板の非塗布部と電気的に接続され、前記電池缶の側壁に縁部の少なくとも一部が結合した集電プレートをさらに含むことを特徴とする、請求項
11または12に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項17】
前記密封体は、非極性のキャッププレートと、前記キャッププレートの縁部を囲み、前記電池缶の上端部にクリンピングされるガスケットと、を含むことを特徴とする、請求項
11または12に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項18】
前記電池缶は、閉鎖面の中央部に形成された貫通孔に絶縁可能に設けられ、前記第1電極板と電気的に接続して前記第2極性を帯びるリベット端子を含むことを特徴とする、請求項
11または12に記載の円筒形バッテリーセル。
【請求項19】
請求項
11または12に記載のバッテリーセルを少なくとも一つ含むことを特徴とする、バッテリーパック。
【請求項20】
請求項
19に記載のバッテリーパックを少なくとも一つ含むことを特徴とする、自動車。
【国際調査報告】