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特表2024-533839軟骨前駆細胞凝集体形成装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】軟骨前駆細胞凝集体形成装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20240905BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240905BHJP
   C12M 1/42 20060101ALI20240905BHJP
   C12N 5/077 20100101ALI20240905BHJP
【FI】
C12M3/00 A
C12M1/34 A
C12M1/42
C12N5/077
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520530
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 KR2022014557
(87)【国際公開番号】W WO2023055072
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0130406
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524122897
【氏名又は名称】ユース バイオ グローバル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YOUTH BIO GLOBAL Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】A-06, 196-25 Osongsaengmyeong 1-ro, Heungdeok-gu, Cheongju-si, Chungcheongbuk-do, 28160 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ユ,スン ホ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チ ヨン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA07
4B029BB11
4B029CC02
4B029DG10
4B029FA15
4B029GA03
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BC50
4B065CA44
4B065CA46
(57)【要約】
本実施例に係る軟骨前駆細胞凝集体を形成する装置は、それぞれマイクロマス(micromass)が配置された複数のウェル(well)と、前記マイクロマスに電気刺激を提供する電気刺激部と、前記複数のウェルに配置されたマイクロマスを予め定められた時間毎に撮影してイメージを取得するイメージ取得部と、前記イメージから前記電気刺激の提供を決定する刺激提供決定部とを含み、前記刺激提供決定部は、前記電気刺激が提供された前記マイクロマスの凝集程度から前記電気刺激の提供を決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟骨前駆細胞凝集体を形成する装置であって、
前記装置は、
それぞれマイクロマス(micromass)が配置された複数のウェル(well)と、
前記マイクロマスに電気刺激を提供する電気刺激部と、
前記複数のウェルに配置されたマイクロマスを予め定められた時間毎に撮影してイメージを取得するイメージ取得部と、
前記イメージから前記電気刺激の提供を決定する刺激提供決定部と、
を含み、
前記刺激提供決定部は、前記電気刺激が提供された前記マイクロマスの凝集程度から前記電気刺激の提供を決定する装置。
【請求項2】
前記マイクロマスは、間葉系幹細胞及び線維芽細胞の何れか1つであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記間葉系幹細胞は、脂肪由来間葉系幹細胞であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記電気刺激は、
0より大きく20Hz以下の周波数と、
-20V以上、20V以下の振幅と、
0より大きく80%以下のデューティ比と、を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記電気刺激は、電圧信号及び電流信号の何れか1つ以上であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、
前記電気刺激を6日以内に持続的又は断続的に前記マイクロマスに提供することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記刺激提供決定部は、
学習された人工ニューラルネットワーク回路(artificial neural network)を含み、
前記刺激提供決定部は、
前記イメージの提供を受け、前記マイクロマスが最大に凝集した時を推定して前記電気刺激を遮断することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記マイクロマスが最大に凝集した際に、
前記軟骨前駆細胞は、スフェロイド(spheroid)状に凝集することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、
蛍光物質で染色された前記マイクロマスが位置するウェルと、
染色された前記マイクロマスが蛍光を発生するように光を提供する光源と、
前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスを撮影してイメージを取得する蛍光イメージ取得部と、
を更に含み、
前記電気刺激部は、前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスに電気刺激を更に提供することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記蛍光イメージ取得部は、
前記電気刺激が提供された後、
6時間以後40時間以内に前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスで発生するカルシウムオシレーション(calcium oscillation)イメージを取得することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
軟骨前駆細胞凝集体を形成する方法であって、
前記方法は、
複数のウェル(well)に配置されたマイクロマス(micromass)に電気刺激を提供する電気刺激提供段階と、
前記マイクロマスを予め定められた時間毎に撮影してイメージを取得するイメージ取得段階と、
前記イメージから前記電気刺激の提供を決定する刺激提供決定段階と、
を含み、
前記刺激提供決定段階では、前記電気刺激が提供された前記マイクロマスの凝集程度から前記電気刺激の提供を決定する方法。
【請求項12】
前記マイクロマスは、間葉系幹細胞及び線維芽細胞の何れか1つであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記間葉系幹細胞は、脂肪由来間葉系幹細胞であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電気刺激提供段階は、
0より大きく20Hz以下の周波数と、
-20V以上、20V以下の振幅と、
0より大きく80%以下のデューティ比と、を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記電気刺激は、電圧信号及び電流信号の何れか1つ以上であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電気刺激提供段階では、
前記電気刺激を6日以内に持続的又は断続的に前記マイクロマスに提供することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記刺激提供決定段階は、
学習された人工ニューラルネットワーク回路(artificial neural network)を用いて行い、
前記刺激提供決定段階では、
前記イメージの提供を受け、前記マイクロマスが最大に凝集した時を推定して前記電気刺激を遮断して行うことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記マイクロマスが最大に凝集した際に、
前記軟骨前駆細胞は、スフェロイド(spheroid)状に凝集することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、
蛍光物質で染色された前記マイクロマスが位置するウェルに染色された前記マイクロマスが蛍光を発生するように光を提供する段階と、
前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスを撮影して蛍光イメージを取得する段階と、
を更に含み、
前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスには、電気刺激が提供されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記蛍光イメージ取得段階では、
前記電気刺激が提供された後、
6時間以後40時間以内に前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスで発生するカルシウムオシレーション(calcium oscillation)イメージを取得することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記イメージ取得段階は、前記電気刺激提供段階と並列的に行われることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟骨前駆細胞凝集体形成装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
膝を多く使用して軟骨がすり減ると同時に、膝関節と靭帯に炎症が生じて退行性関節炎が発生し、韓国の65歳以上の高齢者10人に8人が患っている。老人性疾患として知られていた退行性関節炎が、近年は誤った生活習慣、運動ブームによる外傷性関節炎の増加などにより、若年層の関節炎を加速させる要因になっている。軟骨関連疾患を治療するために、肋骨軟骨から分離された軟骨細胞を含む人工軟骨を使用する方法が研究されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
膝の軟骨は、大体2~3mmの厚さで薄いが、周囲の組織に衝撃を分散して関節の円滑な運動と関節の損傷を防ぐ役割を果たす。膝の軟骨は、再生不可能な代表的な組織であって、過度な使用及び外部からの衝撃による損傷などによる外部的な要因によっても年齢に関係なく減少する可能性があり、関節リウマチのような病理的な要因によっても軟骨組織の損傷が誘発される恐れがある。
【0004】
年を取るにつれて軟骨組織が減少して発病する退行性関節炎は、損傷した軟骨が正常に作動できず、下部の骨が露出し、これによる炎症と痛みにより動きが制限され、軟骨組織の減少が加速化する結果を生む。
【0005】
このような関節関連障害を解消するための従来の技術は、幹細胞を活用する方法があり、主に高価な成長因子の添加を通じて軟骨細胞に分化させる方法を用いているので、臨床に活用されるためには、コスト問題を解決する必要がある。これらのコストや免疫などのような問題はまだ解決されていない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、前述した従来技術の難点を解消することにある。即ち、間葉系幹細胞、線維芽細胞を用いて軟骨細胞及び/又は軟骨全能性細胞凝集体を形成して退行性関節炎だけでなく、関節リウマチなどの関節関連疾患の治療剤を製造できる装置及び方法を提供することが本発明で解決しようとする課題の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施例に係る軟骨前駆細胞凝集体を形成する装置は、それぞれマイクロマス(micromass)が配置された複数のウェル(well)と、前記マイクロマスに電気刺激を提供する電気刺激部と、前記複数のウェルに配置されたマイクロマスを予め定められた時間毎に撮影してイメージを取得するイメージ取得部と、前記イメージから前記電気刺激の提供を決定する刺激提供決定部とを含み、前記刺激提供決定部は、前記電気刺激が提供された前記マイクロマスの凝集程度から前記電気刺激の提供を決定する。
【0008】
本実施例に係る装置のある一側面によれば、前記マイクロマスは、間葉系幹細胞及び線維芽細胞の何れか1つである。
【0009】
本実施例に係る装置のある一側面によれば、前記間葉系幹細胞は、脂肪由来間葉系幹細胞である。
【0010】
本実施例に係る装置のある一側面によれば、前記電気刺激は、0より大きく20Hz以下の周波数と、-20V以上、20V以下の振幅と、0より大きく80%以下のデューティ比とを有するパルス状電気刺激である。
【0011】
本実施例に係る装置のある一側面によれば、前記電気刺激は、電圧信号及び電流信号の何れか1つ以上である。
【0012】
本実施例に係る装置のある一側面によれば、前記電気刺激を6日以内に持続的又は間欠的に前記マイクロマスに提供する。
【0013】
本実施例に係る装置のある一側面によれば、前記刺激提供決定部は、学習された人工ニューラルネットワーク回路(artificial neural network)を含み、前記刺激提供決定部は、前記イメージの提供を受け、前記マイクロマスが最大に凝集した時を推定して前記電気刺激を遮断する。
【0014】
本実施例に係る装置のある一側面によれば、前記マイクロマスが最大に凝集した際に、前記軟骨前駆細胞は、スフェロイド(spheroid)状に凝集する。
【0015】
本実施例に係る装置のある一側面によれば、前記装置は、蛍光物質で染色された前記マイクロマスが位置するウェルと、染色された前記マイクロマスが蛍光を発生するように光を提供する光源と、前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスを撮影してイメージを取得する蛍光イメージ取得部とを更に含み、前記電気刺激部は、前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスに電気刺激を更に提供する。
【0016】
本実施例に係る装置のある一側面によれば、前記蛍光イメージ取得部は、前記電気刺激が提供された後、6時間以後40時間以内に前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスで発生するカルシウムオシレーション(calcium oscillation)イメージを取得する。
【0017】
本実施例に係る軟骨前駆細胞凝集体を形成する方法は、複数のウェル(well)に配置されたマイクロマス(micromass)に電気刺激を提供する電気刺激提供段階と、前記マイクロマスを予め定められた時間毎に撮影してイメージを取得するイメージ取得段階と、前記イメージから前記電気刺激の提供を決定する刺激提供決定段階とを含み、前記刺激提供決定段階では、前記電気刺激が提供された前記マイクロマスの凝集程度から前記電気刺激の提供を決定する。
【0018】
本実施例に係る方法のある一側面によれば、前記マイクロマスは、間葉系幹細胞及び線維芽細胞の何れか1つである。
【0019】
本実施例に係る方法のある一側面によれば、前記間葉系幹細胞は、脂肪由来間葉系幹細胞である。
【0020】
本実施例に係る方法のある一側面によれば、前記電気刺激提供段階は、0より大きく20Hz以下の周波数と、-20V以上、20V以下の振幅と、0より大きく80%以下のデューティ比とを有するパルス状電気刺激を提供して行う。
【0021】
本実施例に係る方法のある一側面によれば、前記電気刺激は、電圧信号及び電流信号の何れか1つ以上である。
【0022】
本実施例に係る方法のある一側面によれば、前記電気刺激提供段階では、前記電気刺激を6日以内に持続的又は間欠的に前記マイクロマスに提供する。
【0023】
本実施例に係る方法のある一側面によれば、前記刺激提供決定段階は、学習された人工ニューラルネットワーク回路(artificial neural network)を用いて行い、前記刺激提供決定段階では、前記イメージの提供を受け、前記マイクロマスが最大に凝集した時を推定して前記電気刺激を遮断して行う。
【0024】
本実施例に係る方法のある一側面によれば、前記マイクロマスが最大に凝集した際に、前記軟骨前駆細胞は、スフェロイド(spheroid)状に凝集する。
【0025】
本実施例に係る方法のある一側面によれば、前記方法は、蛍光物質で染色された前記マイクロマスが位置するウェルに染色された前記マイクロマスが蛍光を発生するように光を提供する段階と、前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスを撮影して蛍光イメージを取得する段階とを更に含み、前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスには、電気刺激が提供される。
【0026】
本実施例に係る方法のある一側面によれば、前記蛍光イメージ取得段階では、前記電気刺激が提供された後、6時間以後40時間以内に前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスで発生するカルシウムオシレーション(calcium oscillation)イメージを取得する。
【0027】
本実施例に係る方法のある一側面によれば、前記イメージ取得段階は、前記電気刺激提供段階と並列的に行われる。
【発明の効果】
【0028】
本実施例によれば、マイクロマスに電気刺激を提供して、軟骨前駆細胞を形成できる装置と方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施例に係る軟骨全能性細胞凝集体形成装置の概要を示す概要図である。
図2】本実施例に係る軟骨全能性細胞凝集体形成方法の概要を示す手順図である。
図3】電気刺激部が電極を通じて提供する電気刺激の実施例を概要的に示す図である。
図4】ウェル内に含まれている培養液内のマイクロマスに電気刺激を加えた際に時間に応じて観察されるイメージの例をモデリングして示す図である。
図5】任意のイメージで内側閉曲線を決定する方法を説明する図である。
図6】時間に応じて本発明の一実施例に係る電気刺激システムの推定部が出力する値を示すグラフの例である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、添付の図面を参照して、本実施例を説明する。
【0031】
図1は、本実施例に係る軟骨前駆細胞凝集体形成装置10の概要を示す概要図であり、図2は、本実施例に係る軟骨全能性細胞凝集体形成方法の概要を示す手順図である。図1及び図2を参照すると、軟骨前駆細胞凝集体形成装置10は、それぞれマイクロマス(micromass、M)が配置された複数のウェル(well、W)と、マイクロマスMに電気刺激を提供する電気刺激部100と、複数のウェルWに配置されたマイクロマスMを予め定められた時間毎に撮影してイメージを取得するイメージ取得部200と、イメージから電気刺激の提供を決定する刺激提供決定部300とを含み、刺激提供決定部300は、電極刺激が提供されたマイクロマスMの凝集程度から電気刺激提供を決定する。
【0032】
本実施例に係る軟骨前駆細胞凝集体形成方法は、複数のウェル(well)に配置されたマイクロマス(micromass)に電気刺激を提供する電気刺激提供段階(S100)と、マイクロマスを予め定められた時間毎に撮影してイメージを取得するイメージ取得段階(S200)と、イメージから電気刺激の提供を決定する刺激提供決定段階(S300)とを含み、刺激提供決定段階(S300)は、電気刺激が提供されたマイクロマスの凝集程度から決定する。
【0033】
複数のウェル(well、W)には、マイクロマス(micromass、M)が配置される。マイクロマスには、後続する過程で電気刺激が提供されて凝集し、軟骨前駆細胞に凝集する。一実施例として、マイクロマスMは、間葉系幹細胞及び線維芽細胞の何れか1つであって、間葉系幹細胞は、脂肪由来間葉系幹細胞であり得る。
【0034】
何れか1つ以上のウェルWfには、蛍光物質で染色されたマイクロマスMfを配置できる。蛍光物質で染色されたマイクロマスMfは、光源(図示せず)が提供した特定波長の光の提供を受けて蛍光を発生する。蛍光イメージ取得部(図示せず)は、蛍光物質で染色されたマイクロマスMfから発生するカルシウムオシレーション(calcium oscillation)を検出でき、これからマイクロマスMfが損傷せずに機能することを把握し、残りのマイクロマスMの状態を類推できる。蛍光イメージ取得部は、イメージ取得部200が検出する光の波長と異なる帯域の光に対するイメージを取得してカルシウムオシレーションを検出する。
【0035】
一実施例として、カルシウムオシレーションの検出は、電気刺激の提供後6時間以後40時間以内に1回以上行うことができ、好ましくは電気刺激の提供後6時間以後40時間以内に周期的に行うことができる。
【0036】
一実施例として、マイクロマスMfは、染色剤で染色されることができ、光源は、染色剤で染色されたマイクロマスMfが吸収して蛍光を発生させることができる波長の光を提供する光源であり得る。
【0037】
ウェルWには、電極(electrode、E)が配置され、電極Eは、電気刺激部100が提供する電気刺激をウェルW内に位置するマイクロマスMに印加する。また、染色剤で染色されたマイクロマスMfが位置するウェルWfにも電極Eを配置することができ、染色剤で染色されたマイクロマスMfに電気刺激を印加できる。
【0038】
電気刺激部100は、電極Eを通じてマイクロマスMに電気刺激を印加する。電気刺激が印加されたマイクロマスMは、球形に隣接するスフェロイド(spheroid)状に凝集する。
【0039】
図3は、電気刺激部100が電極Eを通じて提供する電気刺激の実施例を概要的に示す図である。図3で例示された実施例において、パルス状の電流信号及び/又は電圧信号であり得る。例示された実施例において、電気刺激は互いに異なる極性で振動するパルス状であり得るが、これは実施例に過ぎず、正の極性或いは負の極性のうち単一の方向に振動するパルスであり得る。
【0040】
一実施例として、電気刺激は、0より大きく20Hzの周波数を有することができ、-20Vと20Vとの間で振動でき、0より大きく80%以下のデューティ比を有することができる。電気刺激は、6日以内に持続的又は断続的に提供できる。但し、これらは全て実施例であり、本発明の範囲は、これに限定されないのは当然である。
【0041】
更に図1及び図2を参照すると、電気刺激部100が電気刺激を提供することによって、マイクロマスMは、スフェロイド(spheroid)状に凝集する。機能が損傷していないマイクロマスは、カルシウムイオンが細胞膜の内部と外部に流入及び流出するカルシウムオシレーション現象が発生する。従って、カルシウムオシレーション現象を観察できると、マイクロマスの機能に損傷なく軟骨前駆細胞に凝集していることが分かる。
【0042】
イメージ取得部200は、ウェルWに配置されたマイクロマスMを撮影してイメージを取得する。イメージ取得部200は、一実施例として、光学系(図示せず)と、光学系で形成されたイメージを電気的信号に変換する撮像素子(図示せず)を含むことができ、ウェルWの内部に位置するマイクロマスMを撮影する。一例として、光学系は、凸レンズ、凹レンズなどのレンズを含むことができ、撮像素子は、CCD(charge coupled device)及びCIS(CMOS image sensor)センサのうちの何れか1つ以上を含むことができる。イメージ取得部200で撮影されて形成されたイメージは、刺激提供決定部300に提供される。
【0043】
イメージ取得部200は、予め定められた時間毎にウェルWに配置されたマイクロマスMを撮影してイメージを形成し、形成されたイメージを刺激提供決定部300に提供する。イメージ取得部200が取得したイメージは、時間の経過に伴ってウェルWに配置されたマイクロマスMが凝集した程度を示すイメージであり得る。
【0044】
刺激提供決定部300は、学習可能であり、学習の結果によって推論を行うニューラルネットワーク回路を含む。学習されたニューラルネットワーク回路を含む刺激提供決定部300は、イメージ取得部200が提供したイメージから電気刺激部100が電気刺激を提供するかを決定する。
【0045】
以下、学習に利用されるラベルを決定する方法を含むニューラルネットワーク回路の学習方法を説明する。
【0046】
刺激提供決定部300に含まれているニューラルネットワーク回路の学習のために、専門家(人)は、イメージ取得部200が出力した複数のイメージを時間順に観察し、複数のイメージのうち軟骨前駆細胞の生成量が最大値に達したと判断された最初のイメージである第1イメージ(=基準イメージ)に特定値を有する基準ラベルを付与できる。一例として、基準ラベルの特定の値は1 であり得る。即ち、電気刺激によって生成された軟骨前駆細胞の量が最大になった時にイメージ取得部200によって取得されるイメージに基準ラベルを関連付けることができる。
【0047】
撮影された複数のイメージは、以下で説明する現象による特徴を有することができる。即ち、電気刺激を加える以前にウェル内に含まれていたマイクロマスMは、ウェルに含まれている培養液内に均一に分布できる。電気刺激が提供されることによって、マイクロマスMが凝集して軟骨前駆細胞に変化し、このように生成された軟骨前駆細胞は凝集体をなす。
【0048】
しかし、軟骨前駆細胞の生成量が増加し、電気刺激が継続して印加されると、凝集した軟骨前駆細胞は再び散乱し、結局のところ、軟骨前駆細胞の量が減少する。このような現象は、図4を参照して更に詳しく説明する。
【0049】
図4は、ウェルW内に含まれている培養液内のマイクロマスMに電気刺激を加えた際に時間に応じて観察されるイメージの例をモデリングして示すものである。図4(a)乃至図4(h)に示した大きな円は、ウェルWの枠が円形の場合において、上から下に見下ろした際にウェルWの外郭縁の形状を示す。図4(a)から図4(h)に行くほど時間に応じて電気刺激が更に提供された結果を示す。図4(a)は、電気刺激を開始した時点を示すものである。図4(b)乃至図4(h)に示した小さな円は、電気刺激によって生成される軟骨前駆細胞凝集体の外郭縁の形状を示すものである。実際に軟骨前駆細胞凝集体の形状は、正確な円形ではないこともできるが、略円形にモデリングできる。図4の(b)乃至(h)に示した小さな円の中には、生成された軟骨前駆細胞だけでなく、マイクロマスMが共に混合されて含まれていることができるが、軟骨前駆細胞が密集しているので、軟骨前駆細胞の凝集領域と見なすことができる。
【0050】
図4を参照すると、図4(a)では電気刺激が提供される時点であるので、別途の軟骨前駆細胞の凝集体が観察されない。図4(a)から図4(e)に行くほど電気刺激によって軟骨前駆細胞の群集の面積が次第に減少することが観察できる。軟骨前駆細胞の凝集体の面積が減少しても、実際にこの凝集体内に存在する軟骨前駆細胞の量は、時間に応じて次第に増加する。図4(e)のように、軟骨前駆細胞の量が最大値に達すると、電気刺激を加えても図4(f)のように、軟骨前駆細胞が更に生成されず、最大値の状態を維持できる。
【0051】
しかし、その後、電気刺激を中断せずに提供し続けると、図4(g)及び図4(h)で示すように、軟骨前駆細胞の凝集体の面積が再び増加し始め、実際には生成された軟骨前駆細胞の量が減少する。従って、マイクロマスMから軟骨前駆細胞を最大限に多く生成するためには、マイクロマスMに提供される電気刺激を適切な時点で遮断する必要がある。図4で例示された実施例において、図4(e)と図4(f) の状態で電流を遮断することが好ましい。一例として、図4(e)の段階で電流を遮断すると、軟骨前駆細胞を最大限に得ることができ、マイクロマスMから軟骨前駆細胞を得るための時間を最小化し、消耗電流を減少させることができるという長所がある。
【0052】
更に図1及び図2を参照して、上述した基準ラベルの値を設定する方法を説明する。軟骨前駆細胞の凝集体に含まれる軟骨前駆細胞の量(個数)が実質的に最大値になった際に撮影された基準イメージに付与された基準ラベルの値は特定値、例えば1に設定できる。
【0053】
ここで、軟骨前駆細胞の生成量が最大値に達したと判断する主体は、専門家(人)である。最大値に対応する軟骨前駆細胞の生成量を第1生成量又は基準生成量又は最大生成量と称することができ、基準生成量は、上述したように、特定の値に正規化できる。例えば、基準生成量は1であると提示することもできる。
【0054】
本発明の一実施例によって提供される刺激提供決定部300は、イメージ取得部200が提供した複数のイメージのうち、基準イメージを除いた残りのイメージのそれぞれにアルゴリズムによって固有のラベル値を付与できる。残りのイメージのそれぞれに付与されるラベル値は、基準ラベルが有する特定値以下であり得る。例えば、残りのイメージのうち任意の第2イメージに付与されるラベル値は、1以下の値であり得る。
【0055】
刺激提供決定部300は、残りのイメージのそれぞれに付与するラベル値を、基準ラベルの値、基準撮影イメージ、及びそれぞれの撮影イメージに基づいて決定できる。例えば、基準撮影イメージから推定される軟骨前駆細胞の生成量を基準生成量とし、第2イメージから推定される軟骨前駆細胞の生成量を第2生成量とし、そして第2イメージに付与されるべきラベルを第2ラベルとすれば、数1の関係が成立する。
【0056】
【数1】
【0057】
前記数1において、基準ラベル値は、専門家によって既に付与された値である。例えば、基準ラベルの値は1であり得る。そして、基準生成量は予め設定された値を基準に正規化された値であり得る。一実施例において、生成された軟骨前駆細胞の総数の具体的な値に関係なく専門家が判断した軟骨前駆細胞の最大生成時点での軟骨前駆細胞の生成量を1と定義することもできる。また、第2生成量は、後述する方法によって決定できる値である。従って、第2イメージに対して付与されるべき第2ラベルの値は、以下の数2のように決定できる。
【0058】
【数2】
【0059】
数2を一般化すると、第kイメージに対する第kラベルの値は、以下の式3のように決定できる。
【0060】
【数3】
【0061】
それぞれのイメージから軟骨前駆細胞の生成量を推定する方法は、次のように提示されることができる。まず、刺激提供決定部300は、イメージからウェルWの縁を識別できる。ウェルWは、円形又は四角形の皿であり得る。このとき、培養器ウェルWの縁は一例として、図4に示すように円形の閉曲線であり得る。
【0062】
続いて、刺激提供決定部300は、ウェルW内に存在するマイクロマスMに対する撮影イメージを所定の基準に従って2つの領域に分類できる。2つの領域は、図4に示されている。2つの領域のうち、第1領域(外側領域、110)は、外側閉曲線111と内側閉曲線112を有するドーナツ状の領域であり得る。外側閉曲線111は、ウェルWの外側縁であり得る。そして、2つの領域のうち第2領域(内側領域、120)は、内側閉曲線112内部の領域であり得る。一実施例において、内側閉曲線112は、円形又は楕円形にモデリングして定義することもできる。
【0063】
以下、図5を参照して、本発明の一実施例によって任意のイメージで内側閉曲線を決定する方法を説明する。任意のイメージで内側閉曲線112を決定する方法は、次の段階を含むことができる。まず、刺激提供決定部300は、任意の撮影イメージにおいて、ウェルWの縁の地点である第1外郭地点1110からウェルWの中心点1120を繋ぐ経路P1を決定できる。経路P1は、直線又は曲線であり得る。経路P1の長さをL1としたとき、第1外郭地点からdLだけ中心点に移動した第2地点を定義できる。
【0064】
このように第k地点からdLだけ中心点に移動した第k+1地点を連続して定義できる(kは1以上の自然数、dL<L1)。第k地点でのイメージ属性値と第k+1地点でのイメージ属性値との差値をDkと定義できる。イメージ属性値は、例えば、任意のイメージの各地点での明度又は彩度などの属性値であり得る。イメージ属性値は、イメージプロセッシング分野においてイメージの属性を区分する基準に従えば十分であり、その具体的な属性の選択によって本発明が制限されるものではない。
【0065】
このように定義されたイメージ属性値間の差値Dk(k=1、2、3、...)のうち最も大きな値を選択できる。例えば、もし差異値D3が最も大きい値であれば、経路P1上で第3地点1131と第4地点1141との間で前記イメージ属性値が最も大きく変化したものと見られる。これから、内側閉曲線112を構成する第1内側地点1121は、第3地点1131と第4地点1141との間に存在するものと決定できる。
【0066】
第1内側地点1121を決定する過程は、ウェルWの縁の第1外郭地点を選択する段階から始まったものである。第1内側地点を決定する過程をウェルWの縁の多様な他の外郭地点から始めて行うと、内側閉曲線112を構成する複数の他の内側地点を決定できる。このように決定された複数の内側地点を互いに補間(interpolation)して繋ぐと、内側閉曲線112を完成できる。その結果、第1領域(外側領域、110)と第2領域(内側領域、120)を定義できる。
【0067】
もし、差値Dk(k=1、2、3、...)のうち最も大きい値が予め決定された値よりも小さければ、第1内側地点1121は、第1外郭地点1110であると決定できる。場合によって、第2領域(内側領域、120)と第1領域(外側領域、110)が存在しない場合もあり得る。このような状況は、例えばマイクロマスMに電気刺激を全く加えていない状態で発生することもできる。例えば、図4(a)では、内側領域120と外側領域110を定義できない。
【0068】
上述した第1内側地点を決定する方法は、円形又は楕円形に近似する第2領域(内側領域、120)と第2領域(内側領域、120)の外側に存在する第1領域(外側領域、110)とを区分するための多様なアルゴリズムの1つとして提示されたものである。即ち、上述した内容は、ウェルW内に存在するマイクロマスM培養液のイメージを上述した2つの領域に分けられるという実施可能性を説明するものであり、本発明がこのような実施例に限定されるものではない。
【0069】
撮影イメージを2つの領域に分ける過程は、電気刺激が加えられる時間の流れによって撮影された複数のイメージそれぞれ及び複数のウェルWに含まれているマイクロマスMそれぞれに対して行われるものである。このように、第2領域(内側領域、120)が定義されると、第2領域(内側領域、120)の面積SBを算出できる。
【0070】
第kイメージから推定される軟骨前駆細胞の生成量を第k生成量とし、第kイメージから算出された第2領域(内側領域、120)の面積を第k面積とするとき、第kイメージから推定される軟骨前駆細胞の第k生成量は第k面積に反比例するものと定義することもできる。しかし、実施例によっては、第k生成量が第k面積に基づいて推定されるものとし、第k生成量と第k面積との関係に非線形関数が介入するものとして規則を定めることもできる。本発明の一態様によれば、第k生成量が第k面積に基づいて推定されるが、その具体的な関数関係によって本発明が制限されるものではない。このように、第kイメージから第k生成量が推定されると、数3を用いて第kラベルの値を決定できる。
【0071】
上述した過程を通じて電気刺激が印加されてその状態が変化するウェル内のマイクロマスMを撮影した一連のイメージに対して割り当てられたラベルを定義するか、又は算出して取得できる。
【0072】
刺激提供決定部300は、ニューラルネットワーク回路の入力層に前記第kイメージを入力して、ニューラルネットワーク回路が出力した値が第kイメージに対応する第kラベルとの誤差が減少するようにニューラルネットワーク回路を更新できる。
【0073】
一実施例において、ニューラルネットワーク回路は、例えばCNN(Convolutional Neural Network)であり得る。複数枚のイメージ及びこれらに対して生成したラベルを用いてニューラルネットワーク回路の学習を繰り返すことができる。また、複数のウェルWに配置されたマイクロマスMにそれぞれ電気刺激を加えながら撮影した複数のイメージ及びこれに対応するラベルを用いてニューラルネットワークの学習を繰り返すことができる。
【0074】
上述したニューラルネットワーク学習方法において、ニューラルネットワークの学習用入力データは、前記撮影データであり、それぞれの学習用入力データに対応する正解枝に該当するラベルを作る方法に本発明の1つの特徴が存在すると見られる。
【0075】
ウェルWに入ったマイクロマスM培養液に提供する電流を遮断する時点を決定できる。まず、電気刺激部100は、マイクロマスM培養液が入ったウェルWに一対の電極Eを用いて電流を印加する(S100)。続いて、イメージ取得部200は、所定の時間間隔でマイクロマスM培養液を撮影してイメージを取得(S200)し、刺激提供決定部300に伝達する。刺激提供決定部300は、伝達されたそれぞれの撮影イメージを刺激提供決定部300のニューラルネットワーク回路の入力レイヤに入力する。
【0076】
刺激提供決定部300は、電気刺激部100が電気刺激を提供するかを判断し(S300)、電気刺激部100を制御する制御信号を出力する。電気刺激部100は、刺激提供決定部300が出力した制御信号に応じて電気刺激を提供するか、電気刺激の提供を終了する。一例として、刺激提供決定部300は、提供されたイメージから決定されたラベル値がこれ以上増加しないと判断されるとき、電流の印加を終了することで、制御信号を提供できる。このために、例えば、刺激提供決定部300は、ニューラルネットワーク回路が出力したラベル値の移動平均値を観察し、移動平均値が減少し始める時点、又は一定期間飽和してこれ以上増加しない時点に電気刺激の提供を終了する信号を提供できる。
【0077】
他の実施例として、刺激提供決定部300は、スカラー値であるラベル値を出力できる。電気刺激部100は、刺激提供決定部300が出力した一連の出力値の時間に応じたヒストリに基づいて電気刺激の提供を終了するか否かを決定できる。
【0078】
一例として、電気刺激部100は、刺激提供決定部300が出力した出力値がこれ以上増加しないと判断される瞬間、電流の印加を終了することによって決定できる。このために、例えば、駆動電流制御部30は、推定部50が出力した出力値の移動平均値を観察し、移動平均値が減少し始める時点、又は一定期間飽和してこれ以上増加しない時点に電流の印加を終了することを決定できる。
【0079】
上述したように、駆動電流制御部30がマイクロマスM培養液に提供する電気刺激を遮断する方法を、図6を参照して説明する。
【0080】
図6は、時間に応じて本発明の一実施例に係る電気刺激システムの推定部が出力する値を示すグラフの例である。図6のグラフは、推定部50が出力する原形値をそのまま示すものであることもでき、又は原形値を時間に応じた区間平均を出して示すものであることもできる。
【0081】
図6において、t0~t1区間ではニューラルネットワーク回路が演算したラベル値が単純増加し、t1~t2区間ではニューラルネットワーク回路が演算したラベル値が維持され、t2~区間では値が減少する。場合によっては、t1~t2の時区間が実質的に存在せず、t1以降に直ぐにラベル値が減少し始める可能性もある。
【0082】
図6に示す曲線を時間に応じてリアルタイムで観測する場合、理想的にはt1時点で電気刺激の終了を命じなければならないが、軟骨前駆細胞の生成量が最大値に達したか否かをニューラルネットワーク回路が演算したラベル値を観察して決定するためには、ある程度の時間遅延が必要であるため、実質的には、t1時点以降に電気刺激の終了が命じられる可能性がある。
【0083】
本発明に対する理解を助けるために図面に示された実施例を参照して説明されたが、これは実施のための実施例であり、例示的なものに過ぎず、当該分野における通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点が理解できる。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟骨前駆細胞凝集体を形成する装置であって、
前記装置は、
それぞれマイクロマス(micromass)が配置された複数のウェル(well)と、
前記マイクロマスに電気刺激を提供する電気刺激部と、
前記複数のウェルに配置されたマイクロマスを予め定められた時間毎に撮影してイメージを取得するイメージ取得部と、
前記イメージから前記電気刺激の提供を決定する刺激提供決定部と、
を含み、
前記刺激提供決定部は、前記電気刺激が提供された前記マイクロマスの凝集程度から前記電気刺激の提供を決定する装置。
【請求項2】
前記マイクロマスは、間葉系幹細胞及び線維芽細胞の何れか1つであり、
前記間葉系幹細胞は、脂肪由来間葉系幹細胞であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電気刺激は、
0より大きく20Hz以下の周波数と、
-20V以上、20V以下の振幅と、
0より大きく80%以下のデューティ比と、を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、
前記電気刺激を6日以内に持続的又は断続的に前記マイクロマスに提供することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記刺激提供決定部は、
学習された人工ニューラルネットワーク回路(artificial neural network)を含み、
前記刺激提供決定部は、
前記イメージの提供を受け、前記マイクロマスが最大に凝集した時を推定して前記電気刺激を遮断し、
前記軟骨前駆細胞は、前記マイクロマスが最大に凝集した際に、スフェロイド(spheroid)状に凝集することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、
蛍光物質で染色された前記マイクロマスが位置するウェルと、
染色された前記マイクロマスが蛍光を発生するように光を提供する光源と、
前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスを撮影してイメージを取得する蛍光イメージ取得部と、
を更に含み、
前記電気刺激部は、前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスに電気刺激を更に提供することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記蛍光イメージ取得部は、
前記電気刺激が提供された後、
6時間以後40時間以内に前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスで発生するカルシウムオシレーション(calcium oscillation)イメージを取得することを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項8】
装置によって実行される、軟骨前駆細胞凝集体を形成する方法であって、
前記方法は、
複数のウェル(well)に配置されたマイクロマス(micromass)に電気刺激を提供する段階と、
前記マイクロマスを予め定められた時間毎に撮影してイメージを取得する段階と、
前記イメージから前記電気刺激の提供を決定する段階と、
を含み、
前記電気刺激の提供を決定する段階では、前記電気刺激が提供された前記マイクロマスの凝集程度から前記電気刺激の提供を決定する方法。
【請求項9】
前記マイクロマスは、間葉系幹細胞及び線維芽細胞の何れか1つであり、
前記間葉系幹細胞は、脂肪由来間葉系幹細胞であることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記電気刺激は、
0より大きく20Hz以下の周波数と、
-20V以上、20V以下の振幅と、
0より大きく80%以下のデューティ比と、を有することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記電気刺激を提供する段階では、
前記電気刺激を6日以内に持続的又は断続的に前記マイクロマスに提供することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記電気刺激の提供を決定する段階は、
学習された人工ニューラルネットワーク回路(artificial neural network)を用いて行い、
前記電気刺激の提供を決定する段階では、
前記イメージの提供を受け、前記マイクロマスが最大に凝集した時を推定して前記電気刺激を遮断することを決定し、
前記軟骨前駆細胞は、前記マイクロマスが最大に凝集した際に、スフェロイド(spheroid)状に凝集することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、
蛍光物質で染色された前記マイクロマスが位置するウェルに染色された前記マイクロマスが蛍光を発生するように光を提供する段階と、
前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスを撮影して蛍光イメージを取得する段階と、
を更に含み、
前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスには、電気刺激が提供されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記蛍光イメージを取得する段階では、
前記電気刺激が提供された後、
6時間以後40時間以内に前記蛍光物質で染色された前記マイクロマスで発生するカルシウムオシレーション(calcium oscillation)イメージを取得することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記イメージを取得する段階は、前記電気刺激を提供する段階と並列的に行われることを特徴とする請求項に記載の方法。

【国際調査報告】