(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】開口部カバーを有するトランスファー装置
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61J1/20 314B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024520573
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2022077526
(87)【国際公開番号】W WO2023057424
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】102021125666.6
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518435666
【氏名又は名称】エスエフエム・メディカル・ディバイシイズ・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】sfm medical devices GmbH
【住所又は居所原語表記】Bruckenstrase 5,63607 Wachtersbach,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウーアバッハ、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュティッカー、コリンナ
(72)【発明者】
【氏名】ブレムセン、オラフ
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047CC04
4C047CC13
4C047CC14
4C047DD22
4C047DD34
4C047DD35
4C047HH01
4C047HH06
(57)【要約】
本発明は、媒体の移送をするためのトランスファー装置に関し、媒体を案内する、第1の開口部(58)を有する第1のルーメン(54)と、移送ユニットの先端部(60)に対して第1の開口部よりも小さい間隔を有する第2の開口部(56)を有する第2のルーメン(52)とを有する移送ユニット(38)を含み、第1の開口部(58)に対して間隔をおいて、第1の開口部を有する第1のルーメン(54)の長軸(55)により交差されるカバー(64)が延びている。カバー(64)と第1のルーメン(54)との間に、移送ユニット(38)により穿刺される容器の閉止部の材料を、第1の開口部から離れるように保つ抑制部材(98)が延びている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体などの媒体の、供給又は排出などの移送をするためのトランスファー装置(10)であって、前記媒体を案内し、第1の開口部(58)を有する第1のルーメン(54)と、移送ユニットの先端部(60)からの間隔が前記第1の開口部よりも小さい間隔を有する第2の開口部(56)を有する第2のルーメン(52)とを有し、好ましくは底面壁(25)又は操作部又は侵入制限部を起点として延びる移送ユニット(38)を備え、前記移送ユニット(38)を起点として延びているか、又はその一区域であるカバー(64)であって、前記第1の開口部を有する前記第1のルーメン(54)の長軸(55)によって交差される前記カバー(64)が、前記第1の開口部(58)から間隔をおいて延びている、トランスファー装置において、
抑制部材(98)が、前記移送ユニット(38)により穿刺される容器の閉止部の材料を、前記第1の開口部から離れるように保つために、前記カバー(64)と、前記第1のルーメン(54)との間に延びていることを特徴とする、トランスファー装置。
【請求項2】
前記抑制部材(98)は、前記カバー(64)と、前記第1のルーメン(54)の前記第1の開口部(58)を取り囲む縁部との間に、又は前記第1のルーメンを取り囲む壁部(84)との間に、又は前記移送ユニット(38)が延びる起点となる壁部(25)との間に、延びていることを特徴とする、請求項1に記載のトランスファー装置。
【請求項3】
前記カバー(64)は、前記移送ユニット(38)の前記先端部(60)へと移行する、第1の側面(68,70)を有する第1の区域(66)と、前記側面を起点として延びる、第2の側面(74,76)を有する第2の区域(72)とを有し、各々の前記第1の側面は前記移送ユニット(38)の長軸方向に対して角度αを形成し、各々の前記第2の側面は前記長軸に対してα<βをもって角度βを形成することを特徴とする、請求項1に記載のトランスファー装置。
【請求項4】
前記第2の区域(72)は、前記第2の側面(74,76)に対して優角を形成する2つの第3の側面(80,82)を有する、前記カバー(64)の第3の区域(78)へと移行することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【請求項5】
前記第1、第2、及び第3の区域(66,72,78)は前記第2のルーメン(52)から離れて位置する側で正面領域(100)によって区切られ、この正面領域は、前記先端部(60)に対して平行に、又はほぼ平行に、相互間隔をおいて延びる第1の縁部を有する、前記第1の側面(68,70)へと移行する先端側の第1の端面領域、及び/又は第1の等辺台形のジオメトリーの、引き続いて前記第2の側面(74,76)へと移行する第2の端面領域(102)、及び/又は第2の等辺台形のジオメトリーの、前記第3の側面(80,82)へと移行する第3の端面領域(104)が組み合わされてなっており、この第3の端面領域の長いほうの底辺は、前記第2の端面領域の長いほうの底辺と一致するか、又はこれに隣接することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【請求項6】
前記第3の区域(78)を起点として、移送されるべき媒体のための自由空間又は通過開口部(94,96)を区切るウェブ状の区域が前記抑制部材(98)として延びており、この抑制部材は好ましくは第3の等辺台形のジオメトリーを有し、その短いほうの底辺は好ましくは第3の端面領域の短いほうの底辺であり、又はその一区域であり、又はこれへと移行することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【請求項7】
前記ウェブ状の区域は前記移送ユニット(38)の底面側の部分環状区域(86)へと移行し、又はその一区域であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【請求項8】
部分環状区域(86)における先端側に延びる自由縁部は、前記自由空間(94,96)を形成するために前記第3の区域(78)に対して間隔をおいており、それぞれ1つの前記自由空間が、前記ウェブ状の区域の長辺縁部と、前記部分環状区域と、前記移送ユニット(38)の内側の長壁区域とで区切られることを特徴とする、少なくとも請求項6に記載のトランスファー装置。
【請求項9】
前記長壁区域は、一方における前記第1のルーメン(54)及び他方における前記第2のルーメン(52)を少なくとも部分領域で取り囲む移送ユニット壁へと移行することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【請求項10】
前記カバー(64)の複数の区域は、前記先端部(60)と、前記第1のルーメンの長軸(55)とが位置する平面に対して対称に構成されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【請求項11】
前記第1の端面領域(100)は前記先端部(60)を起点として前記平面に対して対称に凸面状に延びる外側表面を有することを特徴とする、少なくとも請求項10に記載のトランスファー装置。
【請求項12】
前記移送ユニット(38)は前記トランスファー装置(10)の特にインサート(34)の底面壁(25)を起点として延びており、前記底面壁は段差又は段部(125)を介して、前記段差ないし前記段部の上に開口部側で支持される容器を収容する円周壁(35)へと移行し、前記移送ユニットは前記底面壁の領域に少なくとも1つの開口部(43)を有し、この開口部を通じて前記底面壁の領域から空気を前記第2のルーメン(52)の中へ吸込可能であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【請求項13】
前記第3の側面(80,82)は互いに移行し合うことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【請求項14】
互いに移行し合う前記第3の側面(80,82)は、1部分からなるトランスファー装置を介して供給される媒体の場合、媒体のための側方への誘導部として作用することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【請求項15】
前記カバー(64)は、前記第1の開口部(58)から間隔をおいて延びて前記第1のルーメン(54)の長軸(55)により交差される誘導面を有し、この誘導面は前記長軸に対して垂直に延びる面(80,82)に対して凸面状の推移を有することを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【請求項16】
前記第1のルーメン(54)の長手方向における前記第1の開口部(58)の投影は、前記第1の開口部から上方に、間隔をおいて延び、前記第1の開口部に向く前記カバーの前記面(80,82)よりも小さいことを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【請求項17】
前記移送ユニット(38)の本体(61)は底面側に楕円形のジオメトリーを有する断面を有し、及び/又は前記移送ユニットの前記先端部(60)は前記移送ユニット(38)を取り囲む円周壁(35)に関して偏心的に延びることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【請求項18】
前記移送ユニット(38)の長さは、前記移送ユニットを取り囲む、前記トランスファー装置(10)の円周壁(34)の高さよりも小さいことを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【請求項19】
前記移送ユニットは2ルーメンのダブルエンド・トランスファー装置の少なくとも1つの端部領域であることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体などの媒体の供給や排出などの移送をするためのトランスファー装置に関し、媒体を案内する、第1の開口部を有する第1のルーメンと、移送ユニットの先端部に対して第1の開口部よりも小さい間隔を有する第2の開口部を有する、圧力平衡をするための第2のルーメンとを有する、移送ユニットを含み、第1の開口部に対して間隔をおいて、移送ユニットを起点として延びる、またはその一区域である、第1の開口部を有する第1のルーメンの長軸により交差されるカバーが延びている。
【背景技術】
【0002】
2013年10月版のDIN EN ISO22413では移送器具と呼ばれている薬剤調合用のトランスファー装置は、1つの容器から別の容器へ液体を移すために用いられる。移送器具は液体を混合し、または乾燥した物質を溶かし、点滴容器や注射容器との組み合わせで使用することができる。
【0003】
トランスファー装置という用語が使われているとき、これをトランスファー器具または移送器具という用語で置き換えることもできる。
【0004】
トランスファー器具は、たとえば欧州特許第1329210B1号明細書(通気されない2部分からなるトランスファー器具)、欧州特許第1498097B1号明細書(溶剤側で通気される2部分からなるトランスファー器具)、国際特許出願公開第2018/111970A2号明細書(1部分からなる簡易なトランスファー器具)、またはドイツ実用新案出願公開第1822605U号明細書(通気される1部分からなるトランスファー器具)から読み取ることができる。
【0005】
2部分からなるトランスファー器具は、負圧を有する薬剤バイアルの中にある粉末状の医薬品を再調製するためにしばしば利用される。タンパク質ベースの医薬品を例として挙げることができる。このような医薬品は非常に繊細であり、変性しやすい傾向があるので、保存期間を長くするために冷凍乾燥によって水分を取り除かれ、これは凍結乾燥とも呼ばれる。その際に、プロセスに起因して薬剤バイアルの中で負圧が発生する。通気されない2部分からなるトランスファー器具を用いた再調製では、薬剤バイアルの中の負圧によって液体が溶剤バイアルから吸引される。その際には、事前に第1のステップで溶剤バイアルをトランスファー器具の第1のアダプタと結合し、次いで180°回してから、他方のアダプタを薬剤バイアルに嵌め合わせる。薬剤バイアルの中の負圧に基づき、液体が他のバイアルから吸引される。このことは、圧力平衡が成立するまで行われる。
【0006】
しかし若干のケースでは、薬剤バイアルの中の負圧は、液体を他方のバイアルから完全に吸引するのに十分な大きさではない。したがって、溶剤側で通気される2部分からなるトランスファー器具が公知であり、これにより、液体側の別のルーメンによって周囲との接続が確立され、それにより溶剤側では移送中に負圧が発生することがなく、常に周囲圧力が生じることになる。このことは、溶液全体が吸い出されることに帰結する。
【0007】
しかし、溶剤側に2つのルーメンを有する相応の2部分からなるトランスファー器具では、それぞれのルーメンの開口部の間で空気短絡が起こり、それがバイアルの間の全面的または部分的な圧力平衡につながり、そのために液体の吸引を行えなくなり、もしくは完全には行えなくなるというリスクがある。短絡を回避するための通常の解決法は、両方のルーメンの上側の開口部を軸に沿って、明らかな相互間隔をもって離れるように位置決めすることにある。しかしその場合にはトランスファー器具が、これに安定性を与えるために、明らかに長く構成され、肉厚に製作されなければならないという欠点が生じ、それにより、ひいては実際の適用時に、バイアルの閉止栓が差込時にバイアルの中へ押し込まれる可能性があり、そのために移送が行わないという欠点が生じ得る。
【0008】
2部分からなるトランスファー器具のほか、1部分からなるトランスファー器具(たとえばいわゆるバイアルアダプタ、採取スパイク)が知られている。1部分からなる簡易なトランスファー器具は、溶剤で充填された注射器によって、液体状または粉末状の薬剤をバイアルに供給するために利用される。再調製された薬剤が引き続いて注射器により採取されるとき、バイアルの中では採取が進むにつれて高くなる負圧が発生し、これがひいては、注射器の操作部分での次第に高くなる力、いわゆる吸入力につながる。通気される1部分からなるトランスファー器具は、周囲との圧力平衡によって、このような吸入力の増大を防止する。
【0009】
冒頭に述べた種類のトランスファー装置が、米国特許出願公開第2015/0083950A1号明細書から公知である。
【0010】
欧州特許第2512399B1号明細書より、2つのルーメンを有するトランスファー装置を読み取ることができ、一方のルーメンは液体の輸送のために、他方のルーメンは通気のために、用途が規定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第1329210B1号明細書
【特許文献2】欧州特許第1498097B1号明細書
【特許文献3】国際特許出願公開第2018/111970A2号明細書
【特許文献4】ドイツ実用新案出願公開第1822605U号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2015/0083950A1号明細書
【特許文献6】欧州特許第2512399B1号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】2013年10月版のDIN EN ISO22413
【発明の概要】
【0013】
本発明の課題は、冒頭に述べた種類のトランスファー装置を改良して、液体が移送されるべきである使用時に、空気短絡が起こる可能性なしに圧力平衡が行われ、ただしそれと同時に、コンパクトな設計形態が可能となることが保証されるようにすることにある。このとき、液体の貫流が妨げられないことが保証されるのがよい。
【0014】
さらに別の側面として、薬剤を含んでいるバイアルの中へ液体がトランスファー装置を通じて保全的に移行されるべきである、トランスファー装置の用途が考慮される。それと同時に、トランスファー装置と溶解した薬剤との接触が可能な限り少なく保たれるのがよい。
【0015】
これらの側面のうち少なくとも1つを解決するために、本発明は、カバーと第1のルーメンとの間に、特に、第1のルーメンの第1の開口部を取り囲む縁部または第1のルーメンを取り囲む壁部またはトランスファー装置の底面壁部と、第1のルーメンとの間に、移送ユニットにより貫通される、容器の閉止部の材料を第1の開口部から離れるように保つ抑制部材が延びていることを意図する。
【0016】
本発明の教示によれば、開口部のうちの一方がこれから間隔をおいてカバーされ、それにより、それぞれの開口部の間の直接的な流動経路が与えられることがなく、むしろカバーを迂回して流れなくてはならず、それによって短絡が回避される。
【0017】
カバーは屋根型である。
【0018】
そのような短絡は、場合によっては、それぞれの開口部の間隔が比較的大きい場合にも回避することができるであろう。このことは、本発明の教示に基づいて必ずしも必要ではなく、それにより、トランスファー装置の軸方向で移送ユニットの短い設計高さが生じ、その帰結として、溶解した薬剤との接触を従来技術と比較して減らすことができる。
【0019】
移送ユニットの可能な短い長さは、さらに別の利点も提供する。バイアルを収容する円周壁部をトランスファー装置が有している場合、円周壁部の縁部が円周で移送ユニットの先端部の上に延びることができ、それにより、利用者にとっての怪我の危険が排除され、もしくは大幅に低減される。それに対して、たとえば欧州特許第3463250B1号明細書や欧州特許第2512399B1号明細書などから読み取れる従来技術では、移送ユニットの先端部は円周壁部の縁部を通って広がる平面に延びている。
【0020】
本発明によるトランスファー装置は、移送ユニットのコンパクトで短くて薄い設計形態のもとで、バイアル栓の押込みが防止されるだけでなく空気短絡も回避されることを保証する、溶剤側で通気される2部分からなるトランスファー器具であってよい。理想的には移送ユニットは、移送ユニットの周りに円筒状に配置されるハウジングの内部に位置し、それによって利用者による接触から防護され、そのようにして汚染されることがない程度に、コンパクトに短く製作されるのがよい。さらに、取り囲むハウジングを有するこのようなコンパクトな設計形態により、同時に、栓に対する移送ユニットのセンタリングも具体化され、それにより栓が中央で、もしくはほぼ中央で、挿通され、そこでは栓がもっとも薄くなっていて、押込みの危険が最小化される。
【0021】
本発明によるトランスファー装置は、移送ユニットのコンパクトで短く薄い設計形態のもとで、バイアル栓の押込みが防止されるだけでなく、移送ユニットが溶解した薬剤の中に沈まないことによって、溶解した薬剤とトランスファー器具との接触が可能な限り少ないことを保証する、換気される1部分からなるトランスファー器具であってもよい。さらに移送ユニットにより、凍結乾燥された特別に繊細なタンパク質の保全的な再調製を具体化することができ、それは、溶剤噴射がバイアルの壁部へと側方に誘導されるという形で、粉末への溶剤の直接的な噴射が回避されることによる。このような保全的な導入により、変性およびこれとしばしば結びつく泡形成が減り、再調製時間の短縮が可能となる。このことは、特に緊急薬剤の場合に特別に好ましい。
【0022】
特に、移送ユニットは先端部を有するカニューレ状の本体であり、第1の開口部から先端部までの間隔Aは、別の第2のルーメンの別の第2の開口部から先端部までの間隔Bと相違し、特にA>Bであり、好ましくは第2のルーメンは第2の開口部をもって、場合によりフィルタを介して、周囲と接続され、または2ルーメンのダブルエンド型トランスファー装置の場合には、バイアルの1つの内部空間ないしバイアルの複数の内部空間と接続されることが意図される。
【0023】
このように、第2の開口部からトランスファー装置の底面壁部までの間隔は、第1の開口部から底面壁部までの間隔よりも広い。
【0024】
第1の開口部に対して間隔をおいて延びるカバーは、第1の側面を有する、先端部へと移行する第1の区域と、これを起点として延びる、第2の側面を有する第2の区域とをカバーが有するように構成されるのが好ましく、各々の第1の側面は本体の長軸に対して角度αを形成し、各々の第2の側面は長軸に対してα<βをもって角度βを形成する。
【0025】
このとき第2の区域は、第2の側面とともに優角を形成する2つの第3の側面を有する、カバーの第3の区域へと移行することが意図されていてよい。
【0026】
好ましくは本発明は、第1、第2、および第3の区域が、第2のルーメンに対して離れて位置する側で正面領域によって区切られることを提案し、この正面領域は、先端部に対して平行に、またはほぼ平行に、相互間隔をおいて延びる第1の縁部を有する、第1の側面へと移行する先端側の第1の端面領域、および/または第1の等辺台形のジオメトリーの、引き続いて第2の側面へと移行する第2の端面領域、および/または第2の等辺台形のジオメトリーの、第3の側面へと移行する第3の端面領域が組み合わされてなっており、この第3の端面領域の長いほうの底辺は、第2の端面領域の長いほうの底辺と一致するか、またはこれに隣接する。
【0027】
このとき第3の区域を起点として、移送されるべき媒体のための自由空間または通過開口部を区切るウェブ状の区域が抑制部材として延びており、この区域は好ましくは第3の等辺台形のジオメトリーを有し、その短いほうの底辺は好ましくは第3の端面領域の短いほうの底辺であり、またはその一区域であり、またはこれへと移行する。
【0028】
このウェブは、特に、閉止部が穿刺されたときに材料が、カバーと、第1のルーメンを取り囲む縁部の開口部との間の中間スペースに押し除けられ、そのために開口部が少なくとも部分的に閉止されることがないという利点を有する。したがって本発明によると、カバーと、第1のルーメン、特に第1のルーメンの第1の開口部を取り囲む縁部、または第1のルーメンを取り囲む壁部もしくは底面壁部との間に、ウェブなどのスペーサが延びており、このスペーサが、移送部材により穿刺されるバイアルの閉止部による、第1の開口部とカバーとの間の中間スペースへの浸入を防止し、または、第1の開口部の閉止が行われ得ないような程度に防止することが意図される。
【0029】
ウェブ状の区域は、移送ユニットの底面側の部分環状区域へと移行する区域であり、またはその一区域であってよいのが好ましい。
【0030】
部分環状区域の、先端側に延びる自由縁部は、自由空間を形成するために第3の区域に対して間隔をおくことが可能であり、それぞれ自由空間は、ウェブ状の区域の長辺縁部と、部分環状区域と、移送ユニットの内側の長壁区域とで区切られる。
【0031】
このとき長壁区域は、一方では第1のルーメンおよび他方では第2のルーメンを少なくとも部分領域で取り囲む移送ユニット壁へと移行する。
【0032】
それには関わりなくカバーの各区域は、先端部と、第1のルーメンの第1の開口部の長軸とが位置する平面に対してほぼ対称に構成されることが意図される。
【0033】
このとき第1の端面領域は先端部を起点としてこの平面に対して対称に、凸面状に延びる外側表面を有することができる。
【0034】
特に、第3の側面はそれぞれ互いに移行し合うことが意図される。
【0035】
このとき互いに移行し合う第3の側面は、トランスファー装置を介して媒体が供給されるときに媒体のための側方への誘導部として作用する。
【0036】
この点に関わる第3の側面の構成により、溶解されるべき薬を含んでいるバイアルの中にトランスファー装置を介して液体が案内されるときに、液体が第3の側面を介してバイアルの横壁に向かって側方へ離れるように案内されて、そこで下方に向かって流れ落ちてから、薬剤を通って広がる平面にほぼ垂直に当たり、それにより泡形成がほぼ回避されることが保証される。このようにして保全的な再調製が可能である。
【0037】
十分な安定性を保証するために、底面側でカニューレ状の本体を起点として、すなわち移送ユニットを起点として、径方向に延びて底面壁から突出するウェブが延びることができる。
【0038】
移送ユニットの底面領域で、かつ特に底面壁によって区切られて、少なくとも1つの開口部が、好ましくは2つの開口部が延びていて、これが、ないしはこれらが、第2のルーメンと接続されて、これを介して圧力平衡のために空気を、たとえば周囲空気を、空になったバイアルへ供給することができる。
【0039】
第1の開口部が移送ユニットの先端部に対して第2の開口部よりも大きい間隔を有し、カバーと抑制部材とを有する本発明による移送ユニットの設計は、2ルーメンのダブルエンド・トランスファー装置にも適用可能である。このとき2ルーメンのダブルエンド・トランスファー装置の両方の端部が、またはトランスファー装置の各端部のうちの一方だけが、カバーおよび抑制部材に関して相応の設計を有することができる。
【0040】
本発明のその他の詳細、利点、および構成要件は、特許請求の範囲およびそこから読み取ることができる構成要件から-それ自体として、および/または組み合わせとして-だけでなく、図面の以下の説明から読み取ることができる実施例からも明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】トランスファー装置を部分的に断面で示す図である。
【
図2】
図1のトランスファー装置のインサートを示す平面図である。
【
図3】
図2のインサートを斜視図として、および拡大して再現する図である。
【
図6】移送ユニットを斜め上から示す側面図である。
【
図8】移送ユニットを下から前面の方向に示す図である。
【
図12】本発明による移送ユニットのインサートの原理図である。
【
図13】本発明による移送ユニットのインサートの原理図である。
【
図14】本発明による移送ユニットのインサートの原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1~11を参照して、トランスファー器具と呼ぶトランスファー装置またはトランスファーデバイスのダブルルーメン機構を対象として本発明の教示を説明する。これを用いて、負圧または過圧によって、特に負圧によって、薬剤の再調製が可能となる。
【0043】
そのために適したトランスファー器具10を
図1から見て取ることができ、その構造は欧州特許第3240520B1号明細書のものに相当し、その開示を明文をもって引用する。欧州特許第3240520B1号明細書の開示は本明細書の構成要素である。
【0044】
本発明の教示はどのようなトランスファー器具にも適しており、たとえば液体ないし薬剤溶液が、バイアルないし注射器本体などの1つの容器から別の容器へと移送される、欧州特許第3454818B1号明細書のものにも適している。
【0045】
ただし本発明の教示はそれ以外の先行技術から、たとえば冒頭に挙げた先行技術から、読み取ることができるトランスファー器具での用途にも定められている。その場合、それ自体として周知であるダブルルーメンが改良されて、適正な操作時にそれぞれのルーメンの間の短絡が排除され、そのようにして、負圧によって媒体を1つの容器から別の容器へ移送するための、または媒体を圧力によって容器に注入するための、圧力平衡を十分な程度に行えることを保証する。適正な移送を保証するために、ルーメンのうちの1つが必要な圧力平衡を保証するからである。それと同時に、液体を移送するルーメンの開口部が、たとえばバイアルなどの容器の栓などの、穿刺されるべき閉止部の材料によって閉止され得ないことが保証される。
【0046】
図1には、本発明による混合器具またはトランスファー器具10が純粋に原理的に示されている。
【0047】
トランスファー器具10は、ねじ結合によって互いに結合される2つのアダプタ12,14を有している。アダプタ12,14は、内容物が互いに混合されるべきである、バイアルとも呼ぶ図示しない容器を収容するための役目を果たす。このとき特に、一方のバイアルは特に凍結乾燥物の形態の医療用の物質を含み、他方のバイアルは液体を含むことが意図される。凍結乾燥物は負圧のもとにあり、それにより、これらのバイアルの間で接続が確立されたときに、一方のバイアルからの液体が、凍結乾燥物を含んでいるバイアルの中に吸引され、そのようにして薬剤の再調製を行うことができる。
【0048】
図1の図面では、アダプタ12は液体を含むバイアルを収容する役目を果たし、アダプタ14は医療用の物質を含むバイアルを収容する役目を果たす。
【0049】
アダプタ12,14は、ハウジングと呼ぶ中空円筒状の外側体16,18をそれぞれ有しており、これらは本実施例では円周側で閉じており、形状安定的なプラスチックでできていてよく、それにより形状安定性が与えられる。
【0050】
図面の図ではそれぞれの外側体16,18が中空円筒として構成されているが、多角柱状のジオメトリーなどのこれ以外の形状も可能である。
【0051】
各々の外側体16,18は、アダプタ12,14の長軸に対して垂直に延びる中間壁24,26を有している。それぞれの中間壁24,26と、外側体16,18の円周壁30,32との間のスペースに、底面壁25,27と円周壁35,37とを有するインサート34,36が挿入されている。各々の底面壁25,27を起点としてそれぞれのインサート34,36の開口部の方向に、通常行われているようにカニューレ体またはスパイクとも呼ばれる移送ユニット38,40が延びている。ここでは以下においてスパイクと呼ぶ移送ユニット38は、本発明の教示に基づいて構成されており、すなわち、スパイク38は2つのルーメンを有し、そのうち一方は場合によりフィルタを介して周囲と接続されて、圧力平衡を可能にする。それに対して、上で行った説明に準じて再調製されるべき薬剤で充填されたバイアルの中に侵入する他方のスパイク40は単一のルーメンを有しており、このことは図面の図から見て取ることができる。
【0052】
インサートと反対を向くほうで中間壁24,26を起点として、アダプタ12,14がねじ止め接合されたときに封止をするように互いに係合する中空円筒状の本体41,42が延びており、これらは特にルアーロックとして構成される。
【0053】
インサート34,36の間に、すなわちその底面壁25,27と中間壁24,26の間に、フィルタが設けられていてよい。
【0054】
さらにインサート34,36は、バイアルの縁部領域に後方係合し、それに伴ってそれぞれのアダプタ12,14での固定を保証するために、内方に向かって突出する係止突起を有することができる。図面では、見やすさの理由から係止突起は図示していない。
【0055】
インサート34,36の円周壁35,37は、少なくとも区域的に、外側体16,18の内壁に対して間隔をおいている。
【0056】
さらにインサート34,36は、外側体16,18よりも柔軟な材料でできている。外側体16,18とインサート34,36が間隔をおくことで、いわばデカップリングが行われる。
【0057】
負圧によって薬剤が再調製される場合、まず、図面の表示で上側のアダプタ12の中に、溶剤を入れたバイアルが差し込まれ、弾性作用のある突起によって固定され、次いで、トランスファー装置10を180°回転させて、負圧のもとにある薬剤バイアルにアダプタ14を嵌め合わせる。
【0058】
溶剤バイアルの中では近似的に周囲圧力が生じているので、それぞれのバイアルの間の接続が成立した後に、薬剤バイアルの中で生じている負圧に基づいて液体が吸引される。
【0059】
スパイク38が1つのルーメンしか有していなければ、液体転移は、すなわちその吸引は、それぞれのバイアルの中の圧力が等しくなったときに中断されることになる。薬剤バイアルの中の負圧が十分に高くないと、液体移送が終わる前に圧力平衡に達してしまう。それを阻止するためにルーメンが周囲と接続され、それにより液体を十分な程度に移送することができる。吸い出しのときに、液体バイアルの中で負圧が生成されることがないからである。
【0060】
インサート34の底面壁25を起点として延びるスパイク38は、周囲と接続された第2のルーメンと呼ぶルーメン52と、インサート34に嵌め合わされたバイアルの閉止部をスパイク38が貫通して、負圧が中で生じている薬剤バイアルの栓をスパイク40が貫通したときに溶剤などの液体が流れる、第1のルーメンと呼ぶルーメン54とを有している。そのためにバイアルは、突起によってインサート38,40の中で固定される。
【0061】
図面の表示から明らかなように、圧力平衡を可能にする第2のルーメン52の第2の開口部と呼ぶ開口部56は底面壁25に対して、第1のルーメン54の第1の開口部と呼ぶ開口部58よりも大きい間隔をおいて延びている。
【0062】
第2のルーメン52の開口部56に対して間隔をおいて、スパイク38の先端部60が延びていて、これによってバイアルの栓が貫通される。スパイク38の特別な形状により、いわば点状の負荷印加による穿刺が可能となり、ただしそれと同時にスパイク38の断面拡張に基づき、穿刺されるべき栓がスパイクの侵入のその後の過程でさらに開裂されることが十分な程度に保証され、スパイク38の外面の形状によって軽い動作が実現される。このとき本発明によると、特に、栓は第1のルーメン54の開口部58の領域で円周開裂され、栓による流動抵抗を回避したうえで、またはほぼ回避したうえで、液体を薬剤バイアルの中に吸引できることが意図される。それと同時に栓ないし栓の材料によって、後で説明するとおり、第1の開口部58が閉止され得ず、または、液体移行が妨げられるように閉止され得ないことが保証される。
【0063】
さらに本発明の教示に基づき、ルーメン52,54の開口部56,58の間の短絡が阻止され、すなわち空気が第1のルーメン54へ直接吸い込まれ得ないことが保証される。
【0064】
これらの利点は、第1のルーメン54の開口部58が、スパイク38の本体の一区域であるカバー64がその上方に設けられるように、スパイク38の中を延びることによって実現される。ここではカバー64は、上で説明した利点を実現するためにバイアルの閉止栓の点状の開放とその開裂とを可能にするために、スパイク38の先端部40まで延びる区域を含む外側ジオメトリーを有している。カバー64は第1のルーメン54の長軸55により交差され、インサート34の底面壁25とほぼ平行に延びて、長軸方向での第1の開口部58の投影がカバー64の内部に延びるようになっている。
【0065】
図9を参照して、スパイク38の構造を純粋に原理的に説明する。以降の図面では強調されるべき構成について説明する。
【0066】
図9には、インサート34の底面壁25が、底面壁25を起点として延びるスパイク34とともに純粋に原理的に再現されている。
【0067】
スパイク38は、スパイク34の本体61の方向で先細になる、底面壁25を起点として延びる底面区域39を有している。底面区域39の中に、第2のルーメン52を周囲と接続する通路43,44が設けられている。
【0068】
図9aの斜視図から明らかなように、第1の開口部58に対して、すなわち互いに係合するルアー接続部材41,42を介してスパイク40との接続が行われる第1のルーメン54の開口部に対して、間隔をおいて、特に屋根型のジオメトリーのカバー64が延びており、このカバーにより、第2のルーメン52を介して入ってくる空気が第1の開口部58の中へ直接的に流れ得ず、すなわち短絡が起こらないことが保証され、むしろ空気は方向転換され、それにより第1のルーメン54を介して必要な程度に、第1のアダプタ12に収容されたバイアルの中にある液体を吸い出すことができる。
【0069】
図9bには、スパイク38を有する底面壁25の平面図が示されている。第2のルーメン52と接続された通路状の開口部43,44を有する、底面壁25を起点として延びる底面区域39を見ることができる。
【0070】
断面
図A-Aを
図9cから見て取ることができ、この図により、スパイク38を有する底面壁25、開口部58,56を有する第1のルーメン54と第2のルーメン52、およびカバー64を再度明確に見ることができる。さらにこの図は、第2の開口部56がスパイク38の先端部60に対して、第1のルーメン54の第1の開口部58よりも小さい間隔を有することを明瞭に示している。
【0071】
先端部60までの第1のルーメン54の第1の開口部58の間隔と、先端部60までの第2の開口部56の間隔との比率は3:1から2:1、特に2.4:1であるのが好ましく、すなわち、先端部60までの第1の開口部58の間隔は、先端部60までの第2の開口部の間隔よりもたとえば2倍から3倍だけ大きい。ここでは、先端部60に対してもっとも遠く離れて位置する、相応の開口部56,58の縁部領域が考慮される。これは
図4でいえば、第2の開口部56の領域57と、第1の開口部58の領域53ということになる。
【0072】
図6から8を参照して、空気が吸引されるときにスパイク38によって閉止部が貫通される、液体を含んでいるバイアルへの望ましくない短絡が根本的に排除されることを保証する、カバー64を有するスパイク38の好ましい形態について説明する。
【0073】
スパイク38は、第1のルーメン54ないしその開口部58を覆う区域に、第1の側面68,70を有する、先端部60へと移行する第1の領域または区域66を有しており、これが第2の側面74,76を有する第2の区域72へと移行し、第1の区域66の各々の第1の側面68,70はスパイク38の長軸に対して、すなわちその本体に対して、角度αを形成し、第2の区域72の各々の第2の側面74,76は長軸に対して角度βを形成し、このときαはβよりも小さい。特に第1の側面68,70は、互いにほぼ平行かつスパイク38の長軸に対して平行に延びる。
【0074】
第2の区域72は第3の区域78へと移行し、この区域は側面80,82を有し、これらの側面は第1のルーメン54の開口部58のほうを向くとともに、これに対していわば凸面状のジオメトリーすなわち湾曲を有し、さらにこれが、図面から原理的に明らかとなるように各区域で構成されていてよい。これらの区域は、側面74,76の方向で見たとき、断面でV字型のジオメトリーを構成する。
【0075】
第1、第2、および第3の領域66,72,および78から構成されるスパイク38のこの部分を、全体として、第1の開口部58のためのカバー64と呼ぶ。ただし、第3の側面80,82は本来の意味で第1の開口部58を間隔をおいて覆ってはいない。領域または区域66,72,78は、スパイク本体61の、第1のルーメン54が延びる部分に構成されている。
【0076】
第1のルーメン54は円周側で区域的に、外面84を有するスパイク本体61の部分環状壁によって取り囲まれる。その後に、スパイク38の長軸と平行に延びるスパイク本体の仕切面88が後続しており、これがスパイク本体61の区域90を区切り、その中に開口部56を有する第2のルーメン52が延びている。
【0077】
部分環状区域86は、先端側に延びるその縁部92をもって、第3の側面80,82に対して間隔をおいて延びており、それにより、ウェブ98によって分離された2つの開口部94,96が形成され、このウェブは、特に
図7が明示するように、部分環状体86を起点として第3の区域78まで延びている。このウェブ98は、平面図で見て台形ジオメトリーを有しており、その短いほうの底辺が第3の区域78へと移行し、ないしはその区域となる。
【0078】
ウェブ98により、トランスファー装置の強調されるべき発明的特性がもたらされる。
【0079】
移送ユニットの、すなわちスパイク38の、コンパクトな設計形態のもとで、第1のルーメン54の第1の開口部58が底面25の領域の近傍に存在していてよい。スパイク38によって、たとえばゴム栓などの閉止部が穿刺されるとき、ウェブ98がなければ、カバー64と第1の開口部58の間の中間スペースに、これが少なくとも部分的に閉止される程度の閉止材料が浸入するというリスクが存在し得る。ウェブ98により、閉止材料が第1の開口部58から離れるように保たれることが保証され、それにより、通過開口部94,96および第1の開口部58を介して液体を必要な程度に吸引することができる。
【0080】
特に
図6から8に見て取れるように、第1の側面68,70は、スパイク38の先端部60まで通じる、部分領域で長方形である第1の端面領域100へと移行し、第2の側面74,76は、これに後続する、等辺台形のジオメトリーを有する第2の端面領域102へと移行し、第3の側面80,82は、等辺台形のジオメトリーを有する第3の端面領域104へと移行し、第2の端面領域102の長いほうの底辺と、第3の端面領域104の長いほうの底辺とが一致し、ないしは互いに移行し合う。
【0081】
開口部56,58の間の空気短絡を回避するために、およびそれぞれの毛管力を平衡化するために、空気出口開口部56はスパイク38の先端部60の近傍に配置されている。それによって同時に先端部60の角度が制限される。
【0082】
第1のルーメン54の第1の開口部58の上方でのスパイク本体61のジオメトリーにより、バイアルの閉止部へ穿刺されたとき、最初に、ほぼ点状の負荷印加が行われることが実現され、それにより低い力しか消費されない。このことは特に、先端部60を起点として延びる、互いに平行に延びる、またはほぼ互いに平行に延びる、側面68,70を有する第1の領域または区域66によって、および、外方に向かって凸面状に延びる端部領60によって、実現される。このとき第1の領域または区域66は、スパイク38の長軸と平行に延びて第1の区域66により下位区分される各面によって区切られ、これらの面の区域69,71は、スパイク38の長軸と平行に延びる共通の平面に延びており、好ましくはこの平面が先端部60と交差する。面区域69,71は、第1のルーメン54に関して改変されて延びて第2のルーメン52の周囲に延びる、スパイク38の区域を区切る。
【0083】
その後の過程で先端領域は、第2の側面74,76に起因して、第2および第3の側面74,76ないし80,82の間の移行部で最大幅まで拡張され、それにより、閉止部を所要の程度に開裂することができる。
【0084】
それからスパイク本体61は、ウェブ98および環状区域86の領域で断面に関してほぼ一定に延び、それにより、スパイク本体61に沿った閉止部の確実な摺動が可能である。このようにして、閉止部が十分な程度に環状区域86の領域に当接することができ、それにより、開口部94,96が溶剤の通過のために覆われることがなく、そのようにして、第1のルーメン54を介しての吸い出しが保証される。
【0085】
カバー64は第3の区域78で第1の開口部58よりも大きいので、第1のルーメン54の縁部によって閉止栓のゴム粒子が打ち抜かれることが防止されるという別の利点が得られる。
【0086】
第1および第2の側面68,70,74,76が、スパイク38の幅を規定する区域69,71の外側縁部へと引き込まれるようにオフセットされて延びていることにより、閉止栓を穿刺するための負荷印加が、先端領域に相応の断面縮小を有さないスパイクと比較して低減される。
【0087】
開口部94,96の間に延びて第3の区域78へと移行するウェブ98は、スパイク38を取り囲む閉止栓が第2の開口部58を閉止し得ないことを保証する。環状区域86からカバーにかけてウェブ98が先細になっていることで、液体を第1のルーメン54へと流れさせるために、開口部94,96が十分に広くなる。
【0088】
このことは特に、原理的に
図2から見て取れるように、スパイク38の先端部60がインサート35の中で偏心的に、すなわちその長軸63に対して間隔をおいて、延びることによって補強される。
【0089】
液体入口開口部58の高さは、さまざまなバイアル部材と閉止部材のための最小の残存容積の必要性から、および、十分に大きい圧力差が生じるようにする、圧力平衡を可能にする開口部56との最善の間隔から、帰結される。このことは、液体を通すルーメン54と比較して高い、空気を通すルーメン52の毛管力が低減されることを可能にし、そのようにして、第2のルーメン52への液体流入を回避し、ないしは是認できる程度まで低減する。
【0090】
第2および第3の側面74,76,80,82が、およびスパイク本体61の最大の幅広さが、第1の開口部58の上方で第3の区域78を通るように延びていることで、空気バイパスすなわち短絡のリスクが最小化される。
【0091】
換言すると、第1のルーメン54の長手方向における第1の開口部58の投影は、第1の開口部58の上方に延びて開口部58のほうを向く、第3の側面80,82の面よりも小さい。第1の開口部58は、相応の投影においては、完全に第3の側面80,82の内部に位置する。
【0092】
互いに移行し合う、すなわち閉じた面を形成する、第3の側面80,82は、第1の開口部58に関して凸面状の推移を示すので、さらに、本発明に基づいて構成されたスパイク38を有するトランスファー装置が、液体を過圧によって容器へ導入するために利用される場合に、すなわち先端部60が、液体出口開口部に相当する開口部58よりも下方に延びている場合に、開口部58から出ていく液体が斜めに延びる側面80,82に当たり、そのようにしてバイアルの内面へと液体噴射が側方へ方向転換されるという利点が得られ、それにより、バイアルの中にある薬剤がさほど擾乱されず、それに伴って保全的に溶解させることができる。
【0093】
本発明に基づいて構成されたスパイク38を有するトランスファー装置によって、溶解された薬剤がバイアルから排出されるとき、本発明に基づくスパイクの構成に基づき、先行技術と比較して取出しが大幅に低い力で可能となる。
【0094】
図2から5には、本発明によるスパイク38の構成を明確に理解できるようにするために図解をする、インサート35のさまざまな図面ないし断面が再度示されている。特に断面
図F-FおよびH-Hも、スパイク38の先端部60が、インサート34の円周壁35の上側の縁部を通って広がる平面135に対して引き込まれるように、すなわち底面壁25の方向に、オフセットされて延びることを示している。このように先端部60はインサート34から突出しておらず、それにより、利用者にとっての怪我の危険が最小化される。汚染のリスクも低減される。
【0095】
特に
図3の斜視図は、第1のルーメン54の第1の開口部58の上方で間隔をおいて延びるカバー64の特徴的な構成要件を再度示している。
【0096】
さらに、円周壁35に切欠きがあり、そのうち2つが符号48,50で表されていることがわかる。切欠き48,50の領域に、バイアルの縁部に後方係合してこれを固定する、インサート34の内部に突入する図示しない突起が延びている。
【0097】
さらに、中間壁25は周回する段差125または段部を介して円周壁35へと移行することがわかる。段差125ないし段部の上にバイアルの端縁が載り、それにより、第2のルーメン52と周囲空気との接続を成立させる通路状の開口部43,44は覆われずに保たれる。この点に本発明の1つの特徴を見ることができる。当然ながら、第2のルーメン52との接続部の数は2つより多いか、または少なくてもよい。
【0098】
先端部60が偏心的に延びていることで、液体通過開口部94,96に対して間隔をおいて延びるスパイク38の円周面が、先端部が中央に配置される、すなわち長軸63により貫通される、構造と比較して、アダプタ12の長軸63のいっそう近くに延びることができることが実現される。このようにして、穿刺されるべき栓材料のためにいっそう広いスペースないし断面積が通過開口部94,96の領域で提供され、それにより、開口部94,96の閉止が起こることなく、栓材料がスパイク38の円周面に沿って摺動することができる。
【0099】
屋根型のカバー64は、底面壁25の方向に流れる液体にとっての流動抵抗を形成し、底面壁25の方向に拡張する屋根型の実施形態に基づき、すなわち先端部60から底面壁25の方向に行われてカバー64によって惹起される、非対称の円錐状の推移を示す断面拡張に基づき、液体が方向転換されて、いわば第1のルーメン54の長軸55に対して平行には流れない。この液体は、閉止部がスパイク38によってパーフォレーションされるバイアルの中にある液体である。
【0100】
流動挙動への影響について、
図10および11を参照しながら純粋に原理的に説明する。
図10には、液体の主流動線が符号110で表されており、第1のルーメン54の第1の開口部58のカバーは存在していない。
【0101】
第2のルーメン52を介して供給される、バイアルの中へと流れる空気の主流動栓が符号112で表されている。それぞれの主流動線110,112の間の間隔がaで表されている。
【0102】
第1のルーメン54の第1の開口部58に対して間隔をおいて本発明によるカバー64が存在し、液体が開口部94,96を介して、カバー64と第1の開口部58の間の中間スペースに入り、第2のバイアルの中に存在する負圧によって吸引されるとき、吸引される液体の主流動線114はスパイク38からさらに離れたところを延び、それにより、吸引される空気の主流動線112と液体の主流動線114との間隔はbとなり、
図10および11から自明であるように、このときb>aである。吸引される液体の方向転換は、液体が高速で流動ないし移送されるほどいっそう顕著となり、それに伴って間隔bはいっそう広くなる。相応の影響は、吸引される空気については起こらない。このことが重要である理由は、第2の開口部から外に出る空気は、間隔aないしbが狭いほど、その本来の上昇方向と反対向きにいっそう引きさらわれるからである。このようにカバー64の屋根型のジオメトリーに基づき、第2のルーメン52の第2の開口部56と第1のルーメン54の第1の開口部58との間の短絡が防止され、ないしは、スパイク38が中に延びるバイアルの中の液体を十分な程度に吸引できる程度に低減されることが実現される。
【0103】
第1の開口部58と、カバー64との間の、すなわち第3の区域78の側面80,82の交点に位置する、第1のルーメンの長軸55により貫通される面との間の、間隔は、好ましくは2mmから3mm、特に2.5mm、または約2.5mmである。この交点を起点として、上で説明したとおり、第1の開口部58に関する側面80,82の間隔が拡大していく。
【0104】
図12~14を参照して、本発明による移送ユニットの実施例について純粋に原理的に説明する。ここで
図12および13は、上で説明した実施形態の原理的な構造と適用ケースに相当しており、
図12ではバイアル2と呼ぶ容器が医療用の物質を含んでおり、好ましくは上で説明した設計の本発明による移送ユニット38ならびに移送ユニット40を介して、バイアル2が液体を含むバイアル1と接続され、次いで、バイアル2の中で生じている負圧に基づき、移送ユニット40,38を介して、バイアル1の中にある液体を吸引する。ここで
図12では、移送ユニット38が少なくとも1つの開口部43,44を介して周囲空気と接続されており、このことは上で説明したとおりである。
【0105】
図13が
図12と唯一相違するのは、移送ユニット38を介してバイアル1の中に流れる周囲空気がその前にフィルタ144を貫流し、それにより無菌換気が行われることによる。
【0106】
図14は、バイアル1および2が2ルーメンのダブルエンド・トランスファー装置を介して互いに接続されることを明示するためのものである。移送ユニットは2つのルーメンを有している。移送ユニットの中央領域には、トランスファー装置の先端部がバイアル1および2の閉止栓を穿刺できるようにするために、操作部が延びている。操作部は同時に侵入制限部を形成する。
【0107】
ダブルエンド・トランスファー装置の少なくとも1つの端部領域は移送ユニット38に準じて構成されており、すなわち、移送ユニットの先端部に対して大きい間隔を有する開口部-第1の開口部58に相当する-に、カバーが付属している。穿刺された閉止栓が、操作部の近くに延びるほうの開口部を、すなわち
図1~11では第1の開口部58を、閉止し得ないことを保証する抑制部材もある。
【0108】
移送ユニットのこれと向かい合う端部は、同様に2つの開口部を有している。バイアル2の中を延びるダブルエンドカニューレの先端部に対して、バイアル2の開口部が第2のルーメンの開口部よりも大きい間隔を有しているルーメンを介して、バイアル1の中で生じる負圧に基づき、液体がバイアル2から吸い出される。
【0109】
2ルーメンのダブルエンド・トランスファー装置の場合に通常であるように、各ルーメンの開口部は移送ユニットのそれぞれの端部のところで互いに間隔をおいている。
【0110】
ダブルエンド・トランスファー装置の一方の端部では、第1のルーメンの開口部が先端部に対して、第2のルーメンの開口部よりも大きい間隔をおいて延びており、ダブルエンド・トランスファー装置の他方の端部にある第2のルーメンの開口部は他方の端部の先端部に対して、第1のルーメンの開口部よりも小さい間隔を有している。
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】
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【手続補正書】
【提出日】2024-06-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体などの媒体の、
トランスファー装置(10)に接続された容器の中に、又は外に、供給、又は排出などの移送をするためのトランスファー装置(10)であって、前記媒体を案内し、第1の開口部(58)を有する第1のルーメン(54)と
、第2の開口部(56)を有する第2のルーメン(52)とを有し、好ましくは底面壁(25)又は操作部又は侵入制限部を起点として延びる移送ユニット(38)を備え、
前記第2の開口部は、移送ユニットの先端部(60)からの間隔が前記第1の開口部よりも小さい間隔を有し、前記移送ユニット(38)を起点として延びているか、又はその一区域であるカバー(64)であって、前記第1の開口部を有する前記第1のルーメン(54)の長軸(55)によって交差される前記カバー(64)が、前記第1の開口部(58)から間隔をおいて延びている、トランスファー装置において、
前記第2のルーメン(52)が前記容器内の圧力平衡を可能にすることと、抑制部材(98)が、前記移送ユニット(38)により穿刺される容器の閉止部の材料を、前記第1の開口部から離れるように保つために、前記カバー(64)と、
前記第1の開口部(58)を取り囲む縁部、又は前記第1のルーメン(54)との間に延びていることを特徴とする、トランスファー装置。
【請求項2】
前記カバー(64)は、前記移送ユニット(38)の前記先端部(60)へと移行する、第1の側面(68,70)を有する第1の区域(66)と、前記側面を起点として延びる、第2の側面(74,76)を有する第2の区域(72)とを有し、各々の前記第1の側面は前記移送ユニット(38)の長軸方向に対して角度αを形成し、各々の前記第2の側面は前記長軸に対してα<βをもって角度βを形成することを特徴とする、請求項1に記載のトランスファー装置。
【請求項3】
前記第2の区域(72)は、前記第2の側面(74,76)に対して優角を形成する2つの第3の側面(80,82)を有する、前記カバー(64)の第3の区域(78)へと移行することを特徴とする、請求項
2に記載のトランスファー装置。
【請求項4】
前記第1、第2、及び第3の区域(66,72,78)は前記第2のルーメン(52)から離れて位置する側で正面領域(100)によって区切られ、この正面領域は、前記先端部(60)に対して平行に、又はほぼ平行に、相互間隔をおいて延びる第1の縁部を有する、前記第1の側面(68,70)へと移行する先端側の第1の端面領域、及び/又は第1の等辺台形のジオメトリーの、引き続いて前記第2の側面(74,76)へと移行する第2の端面領域(102)、及び/又は第2の等辺台形のジオメトリーの、前記第3の側面(80,82)へと移行する第3の端面領域(104)が組み合わされてなっており、この第3の端面領域の長いほうの底辺は、前記第2の端面領域の長いほうの底辺と一致するか、又はこれに隣接することを特徴とする、請求項
3に記載のトランスファー装置。
【請求項5】
前記第3の区域(78)を起点として、移送されるべき媒体のための自由空間又は通過開口部(94,96)を区切るウェブ状の区域が前記抑制部材(98)として延びており、この抑制部材は好ましくは第3の等辺台形のジオメトリーを有し、その短いほうの底辺は好ましくは第3の端面領域の短いほうの底辺であり、又はその一区域であり、又はこれへと移行することを特徴とする、請求項
3に記載のトランスファー装置。
【請求項6】
前記ウェブ状の区域は前記移送ユニット(38)の底面側の部分環状区域(86)へと移行し、又はその一区域であることを特徴とする、請求項
5に記載のトランスファー装置。
【請求項7】
部分環状区域(86)における先端側に延びる自由縁部は、前記自由空間(94,96)を形成するために前記第3の区域(78)に対して間隔をおいており、それぞれ1つの前記自由空間が、前記ウェブ状の区域の長辺縁部と、前記部分環状区域と、前記移送ユニット(38)の内側の長壁区域とで区切られることを特徴とする、請求項
5に記載のトランスファー装置。
【請求項8】
前記長壁区域は、一方における前記第1のルーメン(54)及び他方における前記第2のルーメン(52)を少なくとも部分領域で取り囲む移送ユニット壁へと移行することを特徴とする、請求項
7に記載のトランスファー装置。
【請求項9】
前記カバー(64)の複数の区域は、前記先端部(60)と、前記第1のルーメンの長軸(55)とが位置する平面に対して対称に構成されていることを特徴とする、請求項
4に記載のトランスファー装置。
【請求項10】
前記第1の端面領域(100)は前記先端部(60)を起点として前記平面に対して対称に凸面状に延びる外側表面を有することを特徴とする、請求項
9に記載のトランスファー装置。
【請求項11】
前記移送ユニット(38)は前記トランスファー装置(10)の特にインサート(34)の底面壁(25)を起点として延びており、前記底面壁は段差又は段部(125)を介して、前記段差ないし前記段部の上に開口部側で支持される容器を収容する円周壁(35)へと移行し、前記移送ユニットは前記底面壁の領域に少なくとも1つの開口部(43)を有し、この開口部を通じて前記底面壁の領域から空気を前記第2のルーメン(52)の中へ吸込可能であることを特徴とする、請求項
1に記載のトランスファー装置。
【請求項12】
前記第3の側面(80,82)は互いに移行し合うことを特徴とする、請求項
3に記載のトランスファー装置。
【請求項13】
互いに移行し合う前記第3の側面(80,82)は、1部分からなるトランスファー装置を介して供給される媒体の場合、媒体のための側方への誘導部として作用することを特徴とする、請求項
12に記載のトランスファー装置。
【請求項14】
前記カバー(64)は、前記第1の開口部(58)から間隔をおいて延びて前記第1のルーメン(54)の長軸(55)により交差される誘導面を有し、この誘導面は前記長軸に対して垂直に延びる面(80,82)に対して凸面状の推移を有することを特徴とする、請求項
1に記載のトランスファー装置。
【請求項15】
前記第1のルーメン(54)の長手方向における前記第1の開口部(58)の投影は、
前記カバー(64)の中に延びている、請求項
1に記載のトランスファー装置。
【請求項16】
前記移送ユニット(38)の本体(61)は底面側に楕円形のジオメトリーを有する断面を有し、及び/又は前記移送ユニットの前記先端部(60)は前記移送ユニット(38)を取り囲む円周壁(35)に関して偏心的に延びることを特徴とする、請求項
1に記載のトランスファー装置。
【請求項17】
前記移送ユニット(38)の長さは、前記移送ユニットを取り囲む、前記トランスファー装置(10)の円周壁(34)の高さよりも小さいことを特徴とする、請求項
1に記載のトランスファー装置。
【請求項18】
前記移送ユニットは2ルーメンのダブルエンド・トランスファー装置の少なくとも1つの端部領域であることを特徴とする、請求項
1に記載のトランスファー装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
ダブルエンド・トランスファー装置の一方の端部では、第1のルーメンの開口部が先端部に対して、第2のルーメンの開口部よりも大きい間隔をおいて延びており、ダブルエンド・トランスファー装置の他方の端部にある第2のルーメンの開口部は他方の端部の先端部に対して、第1のルーメンの開口部よりも小さい間隔を有している。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[C1]
液体などの媒体の、供給又は排出などの移送をするためのトランスファー装置(10)であって、前記媒体を案内し、第1の開口部(58)を有する第1のルーメン(54)と、移送ユニットの先端部(60)からの間隔が前記第1の開口部よりも小さい間隔を有する第2の開口部(56)を有する第2のルーメン(52)とを有し、好ましくは底面壁(25)又は操作部又は侵入制限部を起点として延びる移送ユニット(38)を備え、前記移送ユニット(38)を起点として延びているか、又はその一区域であるカバー(64)であって、前記第1の開口部を有する前記第1のルーメン(54)の長軸(55)によって交差される前記カバー(64)が、前記第1の開口部(58)から間隔をおいて延びている、トランスファー装置において、
抑制部材(98)が、前記移送ユニット(38)により穿刺される容器の閉止部の材料を、前記第1の開口部から離れるように保つために、前記カバー(64)と、前記第1のルーメン(54)との間に延びていることを特徴とする、トランスファー装置。
[C2]
前記抑制部材(98)は、前記カバー(64)と、前記第1のルーメン(54)の前記第1の開口部(58)を取り囲む縁部との間に、又は前記第1のルーメンを取り囲む壁部(84)との間に、又は前記移送ユニット(38)が延びる起点となる壁部(25)との間に、延びていることを特徴とする、C1に記載のトランスファー装置。
[C3]
前記カバー(64)は、前記移送ユニット(38)の前記先端部(60)へと移行する、第1の側面(68,70)を有する第1の区域(66)と、前記側面を起点として延びる、第2の側面(74,76)を有する第2の区域(72)とを有し、各々の前記第1の側面は前記移送ユニット(38)の長軸方向に対して角度αを形成し、各々の前記第2の側面は前記長軸に対してα<βをもって角度βを形成することを特徴とする、C1に記載のトランスファー装置。
[C4]
前記第2の区域(72)は、前記第2の側面(74,76)に対して優角を形成する2つの第3の側面(80,82)を有する、前記カバー(64)の第3の区域(78)へと移行することを特徴とする、C1~3のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
[C5]
前記第1、第2、及び第3の区域(66,72,78)は前記第2のルーメン(52)から離れて位置する側で正面領域(100)によって区切られ、この正面領域は、前記先端部(60)に対して平行に、又はほぼ平行に、相互間隔をおいて延びる第1の縁部を有する、前記第1の側面(68,70)へと移行する先端側の第1の端面領域、及び/又は第1の等辺台形のジオメトリーの、引き続いて前記第2の側面(74,76)へと移行する第2の端面領域(102)、及び/又は第2の等辺台形のジオメトリーの、前記第3の側面(80,82)へと移行する第3の端面領域(104)が組み合わされてなっており、この第3の端面領域の長いほうの底辺は、前記第2の端面領域の長いほうの底辺と一致するか、又はこれに隣接することを特徴とする、C1~4のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
[C6]
前記第3の区域(78)を起点として、移送されるべき媒体のための自由空間又は通過開口部(94,96)を区切るウェブ状の区域が前記抑制部材(98)として延びており、この抑制部材は好ましくは第3の等辺台形のジオメトリーを有し、その短いほうの底辺は好ましくは第3の端面領域の短いほうの底辺であり、又はその一区域であり、又はこれへと移行することを特徴とする、C1~5のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
[C7]
前記ウェブ状の区域は前記移送ユニット(38)の底面側の部分環状区域(86)へと移行し、又はその一区域であることを特徴とする、C1~6のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
[C8]
部分環状区域(86)における先端側に延びる自由縁部は、前記自由空間(94,96)を形成するために前記第3の区域(78)に対して間隔をおいており、それぞれ1つの前記自由空間が、前記ウェブ状の区域の長辺縁部と、前記部分環状区域と、前記移送ユニット(38)の内側の長壁区域とで区切られることを特徴とする、少なくともC6に記載のトランスファー装置。
[C9]
前記長壁区域は、一方における前記第1のルーメン(54)及び他方における前記第2のルーメン(52)を少なくとも部分領域で取り囲む移送ユニット壁へと移行することを特徴とする、C1~8のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
[C10]
前記カバー(64)の複数の区域は、前記先端部(60)と、前記第1のルーメンの長軸(55)とが位置する平面に対して対称に構成されていることを特徴とする、C1~9のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
[C11]
前記第1の端面領域(100)は前記先端部(60)を起点として前記平面に対して対称に凸面状に延びる外側表面を有することを特徴とする、少なくともC10に記載のトランスファー装置。
[C12]
前記移送ユニット(38)は前記トランスファー装置(10)の特にインサート(34)の底面壁(25)を起点として延びており、前記底面壁は段差又は段部(125)を介して、前記段差ないし前記段部の上に開口部側で支持される容器を収容する円周壁(35)へと移行し、前記移送ユニットは前記底面壁の領域に少なくとも1つの開口部(43)を有し、この開口部を通じて前記底面壁の領域から空気を前記第2のルーメン(52)の中へ吸込可能であることを特徴とする、C1~11のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
[C13]
前記第3の側面(80,82)は互いに移行し合うことを特徴とする、C1~12のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
[C14]
互いに移行し合う前記第3の側面(80,82)は、1部分からなるトランスファー装置を介して供給される媒体の場合、媒体のための側方への誘導部として作用することを特徴とする、C1~13のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
[C15]
前記カバー(64)は、前記第1の開口部(58)から間隔をおいて延びて前記第1のルーメン(54)の長軸(55)により交差される誘導面を有し、この誘導面は前記長軸に対して垂直に延びる面(80,82)に対して凸面状の推移を有することを特徴とする、C1~14のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
[C16]
前記第1のルーメン(54)の長手方向における前記第1の開口部(58)の投影は、前記第1の開口部から上方に、間隔をおいて延び、前記第1の開口部に向く前記カバーの前記面(80,82)よりも小さいことを特徴とする、C1~15のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
[C17]
前記移送ユニット(38)の本体(61)は底面側に楕円形のジオメトリーを有する断面を有し、及び/又は前記移送ユニットの前記先端部(60)は前記移送ユニット(38)を取り囲む円周壁(35)に関して偏心的に延びることを特徴とする、C1~16のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
[C18]
前記移送ユニット(38)の長さは、前記移送ユニットを取り囲む、前記トランスファー装置(10)の円周壁(34)の高さよりも小さいことを特徴とする、C1~17のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
[C19]
前記移送ユニットは2ルーメンのダブルエンド・トランスファー装置の少なくとも1つの端部領域であることを特徴とする、C1~18のいずれか一項に記載のトランスファー装置。
【国際調査報告】