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▶ ナイキ イノベイト シーブイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】動的通気構造を有する衣料品
(51)【国際特許分類】
   A41D 31/14 20190101AFI20240905BHJP
   A41B 1/00 20060101ALI20240905BHJP
   A41D 1/02 20060101ALI20240905BHJP
   A41D 1/06 20060101ALI20240905BHJP
   A41D 1/14 20060101ALI20240905BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20240905BHJP
   A41D 31/02 20190101ALI20240905BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A41D31/14
A41B1/00 B
A41D1/02
A41D1/06 501B
A41D1/14 501B
A41D31/00 502A
A41D31/00 502C
A41D31/00 504B
A41D31/00 503
A41D31/02 A
A41D13/002
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520594
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 US2022046742
(87)【国際公開番号】W WO2023069321
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】17/505,198
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ピー モーガン
(72)【発明者】
【氏名】カイル シェプケ
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア パトリック ウィリアムズ
【テーマコード(参考)】
3B031
3B211
【Fターム(参考)】
3B031AB06
3B211AC18
(57)【要約】
本明細書の態様は、第1のパネルおよび第2のパネルの縁部を重ね合わせることにより形成された通気開口部を有する衣料品を対象とする。通気開口部に隣接する第2のパネルに、複数の個別オーバーレイフィルム構造が適用される。衣料品が外部刺激に曝されると、フィルム構造は、少なくともz方向に可逆的に寸法が増加し、それにより第2の材料パネルは、通気開口部の長手方向軸の方向に可逆的に寸法が減少し、これにより通気開口部は閉状態から開状態に動的に移行する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の布地材料で形成された第1のパネルであって、前記第1のパネルは、第1のパネル縁部を有する、第1のパネルと、
第2のパネル縁部を有する第2のパネルであって、前記第1のパネル縁部は、第1の固定点および第2の固定点において、前記第2のパネル縁部に不連続に付着されて、前記第1の固定点と前記第2の固定点との間に通気開口部を形成する、第2のパネルと、
第1の場所と、前記第1の場所から離隔した第2の場所とにおいて、少なくとも前記第1のパネルにそれぞれ付着された、第1の個別オーバーレイフィルム構造および第2の個別オーバーレイフィルム構造であって、前記第1の個別オーバーレイフィルム構造および前記第2の個別オーバーレイフィルム構造の各々は、長軸および短軸を有し、それぞれの前記長軸は、前記通気開口部の長手方向軸に対して実質的に垂直に向けられ、湿気に曝されると、前記第1の個別オーバーレイフィルム構造および前記第2の個別オーバーレイフィルム構造は、少なくともz方向に寸法が増加して、前記通気開口部を閉状態から開状態に移行させる、第1の個別オーバーレイフィルム構造および第2の個別オーバーレイフィルム構造と、
前記第1の個別オーバーレイフィルム構造と前記第2の個別オーバーレイフィルム構造との間において少なくとも前記第1のパネルに付着された2つ以上の離隔した補強パネルと、
を備える衣料品。
【請求項2】
前記2つ以上の離隔した補強パネルは、前記第1のパネル縁部に隣接して位置付けられている、請求項1に記載の衣料品。
【請求項3】
前記第1の個別オーバーレイフィルム構造および前記第2の個別オーバーレイフィルム構造は、前記第1のパネルの内側表面に付着されている、請求項1に記載の衣料品。
【請求項4】
前記2つ以上の離隔した補強パネルは、前記第1のパネルの外側表面に付着されている、請求項3に記載の衣料品。
【請求項5】
前記2つ以上の離隔した補強パネルのうちの第1の補強パネルと第2の補強パネルとの間に間隙が形成され、前記通気開口部の頂点は、前記間隙と整列されている、請求項1に記載の衣料品。
【請求項6】
前記第1のパネルを形成する前記第1の布地材料は、第1の程度の剛性を有し、前記2つ以上の離隔した補強パネルは、前記第1の程度の剛性よりも大きい第2の程度の剛性を有する、請求項1に記載の衣料品。
【請求項7】
前記第1の個別オーバーレイフィルム構造の前記長軸は、前記第1の固定点と整列され、前記第2の個別オーバーレイフィルム構造の前記長軸は、前記第2の固定点と整列されている、請求項1に記載の衣料品。
【請求項8】
前記第1のパネル縁部は、前記第2のパネル縁部と重なり合っている、請求項1に記載の衣料品。
【請求項9】
前記第1の布地材料はニット材料である、請求項1に記載の衣料品。
【請求項10】
前記第1の個別オーバーレイフィルム構造の前記長軸は、前記ニット材料のコース方向に整列されている、請求項9に記載の衣料品。
【請求項11】
前記第2の個別オーバーレイフィルム構造の前記長軸は、前記ニット材料の前記コース方向に整列されている、請求項10に記載の衣料品。
【請求項12】
第1の布地材料で形成された第1のパネルであって、前記第1のパネルは、第1のパネル縁部を有する、第1のパネルと、
第2のパネル縁部を有する第2のパネルであって、前記第1のパネル縁部は、前記第2のパネル縁部に不連続に付着されて、第1の方向に延びる長手方向軸を有する通気開口部を形成する、第2のパネルと、
2つの離隔した場所において、少なくとも前記第1のパネルに付着された第1の個別オーバーレイフィルム構造および第2の個別オーバーレイフィルム構造であって、湿気に曝されると、前記第1の個別オーバーレイフィルム構造および前記第2の個別オーバーレイフィルム構造は、少なくともz方向への寸法変化を受けて、前記第1のパネルの前記第1の方向への寸法減少を生じさせ、それにより前記通気開口部は閉状態から開状態に移行する、第1の個別オーバーレイフィルム構造および第2の個別オーバーレイフィルム構造と、
前記第1の個別オーバーレイフィルム構造と前記第2の個別オーバーレイフィルム構造との間において少なくとも前記第1のパネルに付着された2つ以上の離隔した補強パネルと、
を備える衣料品。
【請求項13】
前記第1のパネルを形成する前記第1の布地材料は第1の程度の剛性を有し、前記2つ以上の離隔した補強パネルは、前記第1の程度の剛性よりも大きい第2の程度の剛性を有する、請求項12に記載の衣料品。
【請求項14】
前記第1の個別オーバーレイフィルム構造および前記第2の個別オーバーレイフィルム構造は、熱可塑性ポリエステルエラストマーを含む、請求項12に記載の衣料品。
【請求項15】
前記第1の個別オーバーレイフィルム構造および前記第2の個別オーバーレイフィルム構造の各々は、約30マイクロメートル~約50マイクロメートルの厚さを有する、請求項14に記載の衣料品。
【請求項16】
前記2つ以上の離隔した補強パネルは、前記第1のパネル縁部に隣接して位置付けられている、請求項12に記載の衣料品。
【請求項17】
前記2つ以上の離隔した補強パネルのうちの第1の補強パネルと第2の補強パネルとの間に間隙が形成され、前記通気開口部の頂点は、前記間隙と整列されている、請求項12に記載の衣料品。
【請求項18】
通気開口部を有する衣料品の製造方法であって、前記製造方法は、第1の布地材料から形成された第1のパネルの第1のパネル縁部を第2のパネルの第2のパネル縁部に不連続に付着させて、前記通気開口部を形成することであって、前記通気開口部は、長手方向軸を有し、前記第1のパネルおよび前記第2のパネルは、少なくとも部分的に前記衣料品を形成する、ことと、
第1の個別オーバーレイフィルム構造および第2の個別オーバーレイフィルム構造を、2つの離隔した場所において、少なくとも前記第1のパネルに付着させることであって、前記第1の個別オーバーレイフィルム構造および前記第2の個別オーバーレイフィルム構造の各々は、長軸および短軸を含み、それぞれの前記長軸は、前記通気開口部の前記長手方向軸に対して実質的に垂直に向けられている、ことと、
前記第1の個別オーバーレイフィルム構造と前記第2の個別オーバーレイフィルム構造との間において、前記第1のパネルに2つ以上の離隔した補強パネルを付着させることと、
を含む通気開口部を有する衣料品の製造方法。
【請求項19】
前記第1の布地材料はニット材料である、請求項18に記載の通気開口部を有する衣料品の製造方法。
【請求項20】
前記第1の個別オーバーレイフィルム構造および前記第2の個別オーバーレイフィルム構造を前記2つの離隔した場所において少なくとも前記第1のパネルに付着させることは、前記第1の個別オーバーレイフィルム構造および前記第2の個別オーバーレイフィルム構造の各々の前記長軸を前記ニット材料のコース方向に整列させることを含む、請求項19に記載の通気開口部を有する衣料品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の態様は、外部刺激に応答して1つ以上の通気開口部を閉状態から開状態に動的に移行させる個別オーバーレイフィルム構造を利用する衣料品を対象とする。
【背景技術】
【0002】
従来の衣料品の通気構造は一般に、人間の操作を必要とする機械的構造、例えばジッパーもしくはファスナーの使用により開閉する、通気構造に出入りする空気に応じて受動的に開閉する、または常時開放などの静的構造で存在する。
【発明の概要】
【0003】
以下の条項は、本明細書で企図される概念の例示的な態様を表す。次の項のいずれかを複数の従属方式で組み合わせて、1つ以上の他の項に依存させることができる。また、従属項(前の項に明示的に依存する項)の任意の組み合わせは、本願で想定される態様の範囲内を逸脱することなく、組み合わせてもよい。以下の条項は例示に過ぎず、限定的なものではない。
【0004】
条項1.第1のパネル縁部を有する第1のパネルと、第2のパネル縁部を有する第2のパネルであって、第1のパネル縁部は第2のパネル縁部に不連続に付着されて、長手方向軸を有する通気開口部を形成する、第2のパネルと、第2のパネルに付着された複数の個別オーバーレイフィルム構造であって、複数の個別オーバーレイフィルム構造の各々は、長軸および短軸を有し、複数の個別オーバーレイフィルム構造の各々の長軸は、通気開口部の長手方向軸に対して実質的に垂直に向けられ、複数の個別オーバーレイフィルム構造は、湿気に曝されると、少なくともz方向に寸法が増加して、通気開口部を閉状態から開状態に移行させる、複数の個別オーバーレイフィルム構造と、を備える衣料品。
【0005】
条項2.複数の個別オーバーレイフィルム構造は、第1のパネルに付着されていない、条項1に記載の衣料品。
【0006】
条項3.複数の個別オーバーレイフィルム構造は、第2のパネルの内側表面に付着されている、条項1~2のいずれかに記載の衣料品。
【0007】
条項4.複数の個別オーバーレイフィルム構造は、第2のパネルの外側表面に付着されている、条項1~3のいずれかに記載の衣料品。
【0008】
条項5.複数の個別オーバーレイフィルム構造は、熱可塑性ポリエステルエラストマーを含む、条項1~4のいずれかに記載の衣料品。
【0009】
条項6.複数の個別オーバーレイフィルム構造の各々は、約30マイクロメートル~約50マイクロメートルの厚さを有する、条項1~5のいずれかに記載の衣料品。
【0010】
条項7.通気開口部の長手方向軸は第1の方向に延びている、条項1~6のいずれかに記載の衣料品。
【0011】
条項8.複数の個別オーバーレイフィルム構造が湿気に曝されると、第2のパネルは第1の方向に寸法が減少する、条項7に記載の衣料品。
【0012】
条項9.複数の個別オーバーレイフィルム構造は、通気開口部に隣接する場所において第2のパネルに付着されている、条項1~8のいずれかに記載の衣料品。
【0013】
条項10.衣料品は、上半身用衣類である、請求項1~9のいずれかに記載の衣料品。
【0014】
条項11.衣料品は、下半身用衣類である、請求項1~9のいずれかに記載の衣料品。
【0015】
条項12.第1のパネル縁部を有する第1のパネルと、第2のパネル縁部を有する第2のパネルであって、第1のパネル縁部は第2のパネル縁部に不連続に付着されて、第1の方向に延びる長手方向軸を有する通気開口部を形成する、第2のパネルと、第2のパネルに付着された複数の個別オーバーレイフィルム構造であって、湿気に曝されると、複数の個別オーバーレイフィルム構造は、少なくともz方向への寸法変化を受け、第2のパネルの第1の方向への寸法減少を生じさせ、それにより通気開口部は閉状態から開状態に移行する、複数の個別オーバーレイフィルム構造と、を備える衣料品。
【0016】
条項13.複数の個別オーバーレイフィルム構造の各々は長軸および短軸を含む、条項12に記載の衣料品。
【0017】
条項14.複数の個別オーバーレイフィルム構造の各々の長軸は、通気開口部の長手方向軸に対して実質的に垂直に向けられている、条項13に記載の衣料品。
【0018】
条項15.複数の個別オーバーレイフィルム構造は、第1のパネルに付着されていない、条項12~14のいずれかに記載の衣料品。
【0019】
条項16.複数の個別オーバーレイフィルム構造が湿気に曝されたとき、第1のパネルは第1の方向に寸法が減少しない、条項12~15のいずれかに記載の衣料品。
【0020】
条項17.複数の個別オーバーレイフィルム構造は、熱可塑性ポリエステルエラストマーを含む、条項12~16のいずれかに記載の衣料品。
【0021】
条項18.複数の個別オーバーレイフィルム構造の各々は、約30マイクロメートル~約50マイクロメートルの厚さを有する、条項12~17のいずれかに記載の衣料品。
【0022】
条項19.通気開口部を有する衣料品の製造方法であって、製造方法は、第1のパネルの第1のパネル縁部を第2のパネルの第2のパネル縁部に不連続に付着させて、通気開口部を形成することであって、通気開口部は長手方向軸を有し、第1のパネルおよび第2のパネルは、少なくとも部分的に衣料品を形成する、ことと、複数の個別オーバーレイフィルム構造を第2のパネルに付着させることであって、複数の個別オーバーレイフィルム構造の各々は長軸および短軸を含み、複数の個別オーバーレイフィルム構造の長軸は、通気開口部の長手方向軸に対して実質的に垂直となるように付着されている、ことと、を含む製造方法。
【0023】
条項20.複数の個別オーバーレイフィルム構造は、通気開口部に隣接する場所において第2のパネルに付着されている、条項19に記載の通気開口部を有する衣料品の製造方法。
【0024】
条項21.布地であって、布地の第1の表面から布地の反対側の第2の表面まで延びるスリットであって、スリットは、第1の縁部、反対側の第2の縁部、第1の端部、第2の端部、および第1の端部と第2の端部との間に延びる長手方向軸を含む、スリットと、スリットの第1の縁部に隣接して位置付けられた第1の複数の個別オーバーレイフィルム構造と、スリットの第2の縁部に隣接して位置付けられた第2の複数の個別オーバーレイフィルム構造であって、第1の複数の個別オーバーレイフィルム構造の各々、および第2の複数の個別オーバーレイフィルム構造の各々は、長軸および短軸を含み、第1の複数の個別オーバーレイフィルム構造の各々、および第2の複数の個別オーバーレイフィルム構造の各々の長軸は、スリットの長手方向軸に対して実質的に垂直に向けられている、第2の複数の個別オーバーレイフィルム構造と、を備える布地。
【0025】
条項22.布地が外部刺激に曝されると、第1の複数の個別オーバーレイフィルム構造および第2の複数の個別オーバーレイフィルム構造は、少なくともz方向に寸法が増加して、スリットを閉状態から開状態に移行させる、条項21に記載の布地。
【0026】
条項23.第1の複数の個別オーバーレイフィルム構造および第2の複数の個別オーバーレイフィルム構造は、熱可塑性ポリエステルエラストマーを含む、条項21~22のいずれかに記載の布地。
【0027】
条項24.第1の複数の個別オーバーレイフィルム構造および第2の複数の個別オーバーレイフィルム構造は、約30マイクロメートル~約50マイクロメートルの厚さを有する、条項21~23のいずれかに記載の布地。
【0028】
条項25.スリットの長手方向軸は、第1の方向に延びている、条項21~24のいずれかに記載の布地。
【0029】
条項26.第1の複数の個別オーバーレイフィルム構造および第2の複数の個別オーバーレイフィルム構造が外部刺激に曝されると、スリットの第1の縁部および第2の縁部の寸法が第1の方向に減少する、条項25に記載の布地。
【0030】
条項27.布地は、上半身用衣類に組み込まれる、条項21~26のいずれかに記載の布地。
【0031】
条項28.布地は、下半身用衣類に組み込まれる、条項21~26のいずれかに記載の布地。
【0032】
条項29.布地構成体であって、第1の複数のアパーチャを有する第1の材料パネルであって、アパーチャは第1の材料パネルを貫通している、第1の材料パネルと、第1の材料パネルに隣接して位置付けられた第2の材料パネルであって、第2の材料パネルは第2の複数のアパーチャを有し、第2の複数のアパーチャは第2の材料パネルを貫通し、布地構成体が閉状態にある場合、第1の複数のアパーチャは第2の複数のアパーチャから少なくとも部分的にオフセットしている、第2の材料パネルと、第2の材料パネルの第1の端部の幅を横断して付着され延びているオーバーレイフィルム構造であって、布地構成体が湿気に曝されると、オーバーレイフィルム構造は、少なくともz方向に寸法が増加して、第2の材料パネルを長さ方向にシフトさせ、それにより、第2の複数のアパーチャを第1の複数のアパーチャに少なくとも部分的に整列させて、布地構成体を開状態に移行させる、オーバーレイフィルム構造と、を備える布地構成体。
【0033】
条項30.第2の材料パネルの第1の端部は、第1の材料パネルに付着された第1の縁部を含む、条項29に記載の布地構成体。
【0034】
条項31.第2の材料パネルの追加縁部の第1のセットは、第1の材料パネルに付着されている、条項29~30のいずれかに記載の布地構成体。
【0035】
条項32.第2の材料パネルの追加縁部の第2のセットは、第1の材料パネルに付着されていない、条項29~31のいずれかに記載の布地構成体。
【0036】
条項33.オーバーレイフィルム構造は、熱可塑性ポリエステルエラストマーである、条項29~32のいずれかに記載の布地構成体。
【0037】
条項34.オーバーレイフィルム構造は、約30マイクロメートル~約50マイクロメートルの厚さを有する、条項29~33のいずれかに記載の布地構成体。
【0038】
条項35.オーバーレイフィルム構造は長軸および短軸を含み、オーバーレイフィルム構造の長軸は、第2の材料パネルの第1の端部の幅を横切って延びている、条項29~24のいずれかに記載の布地構成体。
【0039】
条項36.布地構成体が湿気に曝されると、第2の材料パネルは、オーバーレイフィルム構造の長軸に対して実質的に垂直な方向にシフトする、条項35に記載の布地構成体。
【0040】
条項37.布地構成体は、上半身用衣類に組み込まれる、条項29~36のいずれかに記載の布地構成体。
【0041】
条項38.布地構成体は、下半身用衣類に組み込まれる、条項29~36のいずれかに記載の布地構成体。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下では、図面を参照して、本明細書における態様の例を詳細に説明する。
図1A】本明細書の態様による、布地が外部刺激に曝される前の、複数の個別オーバーレイフィルム構造を有する例示的な布地の第1の表面の斜視図である。
図1B】本明細書の態様による、図1Aの布地の反対側の第2の表面の斜視図である。
図1C】本明細書の態様による、切断線1C-1Cに沿って取られた図1Aの布地の断面図である。
図1D】本明細書の態様による、切断線1D-1Dに沿って取られた図1Aの布地の断面図である。
図2A】本明細書の態様による、布地が外部刺激に曝された後の図1Aの布地の第1の表面の斜視図である。
図2B】本明細書の態様による、図2Aの布地の反対側の第2の表面の斜視図である。
図2C】本明細書の態様による、切断線2C-2Cに沿って取られた図2Aの布地の断面図である。
図2D】本明細書の態様による、切断線2D-2Dに沿って取られた図2Aの布地を断面図である。
図3A】本明細書の態様による、複数の個別オーバーレイフィルム構造と、閉状態にある例示的な通気開口部とを有する、例示的な上半身用衣類の、上半身用衣類が外部刺激に曝される前の正面図である。
図3B】本明細書の態様による、上半身用衣類が外部刺激に曝され、通気開口部が開状態に移行した後の、図3Aの上半身用衣類の正面図である。
図3C】本明細書の態様による、通気開口部が閉状態にあることを示す、図3Aの切断線3C-3Cに沿って取られた断面図である。
図3D】本明細書の態様による、通気開口部が開状態にあることを示す、図3Bの切断線3D-3Dに沿って取られた断面図である。
図3E】本明細書の態様による、図3Aの通気開口部の長手方向軸に沿って取られた図である。
図3F】本明細書の態様による、図3Bの通気開口部の長手方向軸に沿って見た図である。
図4A】本発明の態様による、複数の個別オーバーレイフィルム構造と、閉状態にある例示的な通気開口部とを有する、例示的な上半身用衣類の、上半身用衣類が外部刺激に曝される前の背面図である。
図4B】本明細書の態様による、上半身用衣類が外部刺激に曝され、通気開口部が開状態に移行した後の、図4Aの上半身用衣類の背面図である。
図5A】本発明の態様による、複数の個別オーバーレイフィルム構造と、閉状態にある例示的な通気開口部とを有する、例示的な下半身用衣類の、下半身用衣類が外部刺激に曝される前の正面図である。
図5B】本明細書の態様による、下半身用衣類が外部刺激に曝され、通気開口部が開状態に移行した後の、図5Aの下半身用衣類の正面図である。
図6A】本明細書の態様による、オーバーレイフィルム構造用の異なる形状構成を示す。
図6B】本明細書の態様による、オーバーレイフィルム構造用の異なる形状構成を示す。
図7A】本明細書の態様による、布地が外部刺激に曝される前の、異なる厚さを有するオーバーレイフィルム構造を有する例示的な布地の側面図である。
図7B】本明細書の態様による、布地が外部刺激に曝された後の、図7Aの布地の側面図である。
図8】本明細書の態様による、個別オーバーレイフィルム構造および通気開口部を含む衣料品を製造する例示的な製造方法のフロー図である。
図9A】本明細書の態様による、外部刺激に曝される前の例示的な布地を表し、布地は、スリットと、スリットに隣接して位置付けられたオーバーレイフィルム構造とを有する。
図9B】本明細書の態様による、外部刺激に曝された後の、スリットが開状態にある図9Aの布地を示す。
図10A】本明細書の態様による、外部刺激に曝される前の布地構成体であって、第1の複数のアパーチャを有する第1の材料パネルと、第1の複数のアパーチャからオフセットされた第2の複数のアパーチャを有する第2の材料パネルとを含む布地構成体を示す。
図10B】本明細書の態様による、図10Aの切断線10B-10Bに沿って取られた断面図である。
図10C】本明細書の態様による、図10Aの切断線10C-10Cに沿って取られた断面図である。
図10D】本明細書の態様による、図10Aの切断線10D-10Dに沿って取られた断面図である。
図10E】本明細書の態様による、図10Aの切断線10E-10Eに沿って取られた断面図である。
図10F】本明細書の態様による、外部刺激に曝された後の図10Aの布地構成体であって、第1のパネルの第1の複数のアパーチャが第2のパネルの第2の複数のアパーチャに少なくとも部分的に整列されている、布地構成体を示す。
図10G】本明細書の態様による、図10Fの切断線10G-10Gに沿って取られた断面図である。
図10H】本明細書の態様による、図10Fの切断線10H-10Hに沿って取られた断面図である。
図10I】本明細書の態様による、図10Fの切断線10I-10Iに沿って取られた断面図である。
図11】本明細書の態様による、外部刺激に曝される前の第1の例示的な通気構造であって、通気構造は、通気開口部を制御するための補強パネルを含む、通気構造を示す。
図12】本明細書の態様による、外部刺激に曝された後の図11の第1の例示的な通気構造を示す。
図13】本明細書の態様による、外部刺激に曝される前の第2の例示的な通気構造であって、通気構造は、通気開口部を制御するための補強パネルを含む、通気構造を示す。
図14】本明細書の態様による、外部刺激に曝された後の図13の第2の例示的な通気構造を示す。
図15】本明細書の態様による、外部刺激に曝される前の第3の例示的な通気構造であって、通気構造は、通気開口部を制御するための補強パネルを含む、通気構造を示す。
図16】本明細書の態様による、外部刺激に曝された後の図15の第3の例示的な通気構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の主題は、法定要件を満たすために本明細書に特定性を伴って記載される。しかしながら、説明自体は、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。むしろ、発明者らは、特許請求または開示される主題が、異なるステップ、または本明細書に記載されているステップに類似したステップの組み合わせを含むように、他の現在または将来の技術に関連して実施されることができることを想定する。さらに、用語「ステップ」および/または「ブロック」は、本明細書では、使用される方法の異なる要素を意味するために使用され得るが、これら用語は、個々のステップの順序が明示的に述べられていない限り、または述べられている場合を除いて、本明細書で開示される様々なステップのなかで、またはそれらの間で、任意の特定の順序を暗示すると解釈されるべきではない。
【0044】
従来の衣料品の通気構造は一般に、人間の操作を必要とする機械的構造、例えばジッパーもしくはファスナーの使用により開閉する、通気構造に出入りする空気に応じて受動的に開閉する、または常時開放などの静的構造で存在する。本明細書の態様は、衣料品が、例えば発汗の形態の湿気などの外部刺激に曝されたときに開状態に動的に移行し、外部刺激が取り除かれたときに閉状態に動的に移行する、1つ以上の通気開口部を有する衣料品を提供する。これにより、着用者が衣料品および/または通気開口部を全く操作することなく、例えば着用者が運動しているときに必要な通気が可能になり、着用者が休憩しているときに通気を減らすことが可能になる。開状態と閉状態との間での通気開口部の動的移行は、通気開口部を形成するパネルのうちの1つに付着された個々の個別オーバーレイフィルム構造の使用により実現される。オーバーレイフィルム構造は、外部刺激に曝されると寸法変化を受け(例えば、z方向に増加し)、それにより下にあるパネルが寸法変化を受け(例えば、x方向に減少し)、それにより通気開口部が開状態に動的に移行する。いったん外部刺激が取り除かれると、オーバーレイフィルム構造とその下にあるパネルは、その曝露前の寸法に戻り、通気開口部は閉状態に移行する。
【0045】
高いレベルでは、通気開口部は、第1のパネルおよび第2のパネルの縁部を第1の場所および第2の場所において付着させ、第1の場所と第2の場所との間では第1のパネルおよび第2のパネルの縁部を付着させることなく、対向する縁部の間に通気開口部を形成することにより形成される。通気開口部は、第1の方向に延びる長手方向軸を有する。湿気などの外部刺激に応答して膨張または寸法増加する複数の個別オーバーレイフィルム構造が、通気開口部に隣接する第2のパネルに付着されている。個別オーバーレイフィルム構造は長軸および短軸を含み、フィルム構造は、フィルム構造の長軸が通気開口部の長手方向軸に対して実質的に垂直に向くように向けられる。例示的な態様では、フィルム構造は第1のパネルに適用されない。衣料品が外部刺激に曝されると、フィルム構造は、例えば、z方向への高さの増加、y方向への長さの増加、および/またはx方向への幅の増加などの寸法変化を受ける。フィルム構造は第2のパネルに完全に接着されているため、フィルム構造の寸法変化により、第2のパネルが、オーバーレイフィルム構造の下にある領域で「皺が寄る」またはz方向に引っ張られることに起因して、第2のパネルの寸法は第1の方向に(すなわち、通気開口部の長手方向軸に沿って)減少する。第1のパネルはいかなるフィルム構造も含まないため、第1のパネルは、外部刺激に曝されたとき、顕著な寸法変化を受けない。
【0046】
オーバーレイフィルム構造に起因する第1の方向への第2のパネルの寸法減少と、第1のパネルの寸法変化の欠如とにより、通気開口部は閉状態から開状態に移行する。これを言い換えると、衣料品が外部刺激に曝されると、第1のパネル縁部の長さは基本的に変化しない一方、第2のパネル縁部は長さが減少し、その結果、第1のパネル縁部の付着された端部が互いに向かって引っ張られて、通気開口部は開状態に移行する。外部刺激が取り除かれると、オーバーレイフィルム構造は曝露前の状態に戻り、第2のパネルの皺または変形が緩和され、通気開口部は閉状態に移行する。
【0047】
本明細書で使用する場合、用語「衣料品」は、着用者によって着用されることが意図される任意の数の製品を包含し、上半身用衣類(例えば、シャツ、ジャケット、パーカー、プルオーバー)、下半身用衣類(例えば、パンツ、ショーツ、レギンス)、靴または靴下などの履物物品、帽子物品(例えば、帽子)、手袋、スリーブ(例えば、腕袖、カーフスリーブ)などを含む。衣料品を説明するときに使用される位置用語、例えば、前部、後部、内側表面、外側表面、上部、下部、近位、遠位、内側、横方向などは、着用者が直立した状態で、意図されているように着用されている衣料品に関するものである。したがって、衣料品が上半身用衣類または下半身用衣類の形態である場合、衣料品の前部は、例えば、着用者の胴体前部領域、前腕領域、または前肢領域を覆うように構成され、衣料品の後部は、着用者の胴体後部領域、後腕領域、または後肢領域を覆うように構成される。同様に、衣料品の内側表面は、着用者の皮膚表面またはベース層と面を共有して接触している(第1の基材の表面が、第2の基材の表面に接触している、または近似的に接触しているものとして定義される)ように構成され、衣料品の外側表面は、外部環境に面するように構成されている。
【0048】
用語「z方向」は、例えば、オーバーレイフィルム構造および/またはフィルム構造が付着されているパネルにおける寸法変化を説明するために本明細書で使用される場合、上半身用衣類または下半身用衣類の表面から離れる方向に正方向または負方向に延びる方向を意味する。用語「x方向」および「y方向」は、例えば、オーバーレイフィルム構造および/またはフィルム構造が付着されているパネルの寸法変化に言及する場合、上半身用衣類または下半身用衣類の表面に沿って延びる方向を意味する。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「外部刺激」は、温度、圧力、湿気、電気エネルギー、磁気エネルギー、光、音などの任意の数の刺激を包含する。例示的な一態様では、外部刺激は湿気であり、この湿気は、液体の水、水蒸気、発汗などの形態であり得る。
【0050】
本明細書で使用する場合、用語「通気開口部」は、外部環境と衣料品の内部との間(例えば、衣料品の内側表面と着用者の身体との間の空間)に流体(例えば、気体、液体)連通経路を提供する、衣料品に形成された開口部を意味する。通気開口部は、第1のパネルと第2のパネルのパネル縁部を離隔した固定点において付着させることによって形成される。本明細書で使用する場合、用語「縁部」は、パネルの付着されていない末端部を意味する。通気開口部を説明する場合に使用される用語「長手方向軸」は、通気開口部の最長寸法に平行な軸である。これを言い換えると、通気開口部の「長手方向軸」は、隣接する固定点の間で直線的に延びている。通気開口部を説明する場合、用語「閉状態」は、第1および第2のパネル、並びにそれらの対応する縁部が、隣接する固定点の間の場所において当接関係にある状態を意味する。当接関係は、パネルの表面間の接触、パネルの対応する縁部間の接触、並びに第1および第2のパネルの表面および/または縁部間の近似的接触を意味し得る。通気開口部を説明する場合、用語「開状態」は、第1および第2のパネル、並びにそれらの対応する縁部が、隣接する固定点の間の場所において、もはや当接関係にない状態を意味する。例えば、第1および第2のパネルの表面および/または縁部は、約1mm~約30mmで離隔されていてもよい。本明細書で使用する場合、用語「約」は、指定値から±5%以内を意味する。通気開口部が閉状態から開状態に、またはその逆に移行することを説明するときに使用する「動的」または「動的に」という用語は、一般に、衣料品が、未着用のとき、制御された環境(標準的な周囲温度および圧力(摂氏25度、および101.325kPaの圧力))にあるとき、および風の影響を受けていないときに、衣料品に対する人間の操作なしに生じる機械的動作を意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「第1のパネル」および/または「第2のパネル」は、少なくとも部分的に、衣料品および/または衣料品上の通気構造を形成するために使用される任意の布地、材料、または織物を意味する。第2のパネルに関して、オーバーレイフィルム構造の膨張によって引き起こされる、z方向への第2のパネルの皺または移動の程度は、第2のパネルに関連する複数の要因に依存し得る。例えば、z方向への第2のパネルの移動の程度は、第2のパネルを形成するために使用される糸の水分率の値に依存する場合があり、ここで水分率は、オーブン乾燥された繊維またはフィラメントが、標準の温度および相対湿度において空気から吸収することになる水分の百分率として定義される。一例として、第2のパネルが、水分率の低い糸、例えばポリエステルまたはナイロンから形成されている場合、第2のパネルは、第2のパネルが水分率の高い糸、例えば綿から形成されている場合と比較して、より大きな程度の変形または皺が生じる場合がある。これは、高い水分率を有する糸は、典型的には、水分を吸収して、糸は膨張または拡大し、それにより、オーバーレイフィルム構造の膨張によって生じる張力を相殺し、その結果、第2のパネルの皺の程度が小さくなるからである。
【0052】
z方向への第2のパネルの移動の程度に影響を及ぼす別の要因は、その重量である。態様では、第2のパネルは、軽量の織物(例えば、平方メートル当たり約30グラム(gsm)~約150gsm)、または超軽量の織物(例えば、約10gsm~約100gsm)を含み得るが、より重い織物が本明細書では企図される。軽量および超軽量の織物は、より重い織物よりも皺の程度がより大きくなる場合がある。さらなる例示的な態様では、z方向への第2のパネルの移動の程度は、例えばSpandex(登録商標)などの伸縮性および回復特性を示すエラストマー糸の存在に依存する場合がある。例えば、布地の種類、布地の重量、および布地の構成(例えば、ニットまたは織布)が同じである場合、第2のパネルがエラストマー糸を含まない場合と比較して、エラストマー糸が存在する場合は、z方向への第2のパネルのより大きな程度の移動を生じさせ得る。したがって、z方向への第2のパネルの移動の程度は、第2のパネルを形成するために使用される糸の種類、第2のパネルの重量、および/または第2のパネルにおけるエラストマー糸の使用に基づいて調整することができる。
【0053】
本明細書で使用する場合、用語「個別オーバーレイフィルム構造」は、各フィルム構造が、全ての側部においてパネルの広がりまたは一部分により、隣接するフィルム構造から離隔されている(すなわち、個別になっている)ような、パネル上へのフィルムの適用を指す。例示的な態様では、フィルムは、例えば中間接着剤層を介してパネルに完全に接着されており、中間接着剤層はパネルに塗布されるときにフィルムを溶融または部分的に溶融する。本明細書の態様は、フィルムが、湿気などの外部刺激に曝されたときに、パネルに付着または接着された状態のまま、x方向、y方向および/またはz方向のうちの1つ以上の方向に拡大する、任意のフィルムを含み得ることが企図される。例示的な一態様では、フィルムは、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、より具体的には、湿気をフィルムの一方の表面からフィルムの反対側の第2の表面へと輸送または拡散するように構成されたポリブチレンテレフタレートベース(PBTベース)のTPEEフィルムを含んでもよい。湿気の輸送は、フィルム中の親水性分子(水を引き寄せる、または水に対して親和性を有する分子)の存在により容易になる場合があり、親水性分子の数が多いほど湿気の輸送が大きくなる場合がある。フィルムを通る湿気の移動は、例えばASTME96Bなどの水蒸気透過試験を使用して測定されてもよく、例示的な態様では、フィルムの水蒸気透過率は、約600g/m/日~約10,000g/m/日、約1,000g/m/日~約9,000g/m/日、約3,000g/m/日~約8,000g/m/日、約5,000g/m/日~約7,000g/m/日、または約6,000g/m/日であり得る。例示的なPBTベースのTPEEフィルムは、台湾、台北のFarEasternNewCenturyCorporationによって製造されるTPEE48である。
【0054】
下にあるパネルのz方向への移動量は、フィルム構造の厚さに依存する場合がある。フィルム構造によって引き起こされる下にあるパネルのz方向への移動量は、フィルム構造の表面積に依存する場合もある。本明細書の態様は、約20マイクロメートル~約100マイクロメートル、約25マイクロメートル~約90マイクロメートル、約30マイクロメートル~約80マイクロメートル、約35マイクロメートル~約70マイクロメートル、または約40マイクロメートルの厚さを有するフィルム構造を企図している。一般に、より厚いフィルム構造が、湿気が妥当な時間枠内でフィルム構造を通って拡散できるようなフィルム構造の厚さに応じて、より薄いフィルム構造よりも大きなz方向へのパネルの移動を引き起こすことになる。加えて、より大きな表面積を有するフィルム構造が、より小さな表面積を有するフィルム構造よりも大きな第2のパネルの変形を引き起こすことになる。
【0055】
特に明記しない限り、本明細書で提供される全ての測定値は、着用されていない、静止状態にある、標準的な周囲温度および圧力にある衣料品によるものである。
【0056】
図1は、衣料品(例えば、上で参照した第2のパネル)に通気開口部を形成するために使用される布地100の第1の表面105の、布地100が外部刺激に曝される前の斜視図を表す。布地100は、x方向の幅112、およびy方向の長さ114を有する。布地100は、複数の個別オーバーレイフィルム構造110を含む。図1の拡大図に示すように、個別オーバーレイフィルム構造110は、y方向に向いた各フィルム構造110の長軸115と、x方向に向いた各フィルム構造110の短軸117とを有する略楕円形の形状を有し、長軸115は短軸117よりも長い。長軸115および短軸117の寸法は可変であり、オーバーレイフィルム構造110の使用目的に依存する。個別オーバーレイフィルム構造110の形状および向きは単なる例示であり、本明細書では他の形状および向きが企図される。連続的なフィルムとは対照的に、複数の個別オーバーレイフィルム構造を使用することにより、より多くの布地100の曝露が可能となり、湿気吸い上げ、透湿性、通気性などの布地100の特性に基づく機能的利点を提供することができる。また、連続的なフィルムとは対照的に、個別オーバーレイフィルム構造を使用することにより、布地100の変形が望まれる場所の微調整が可能になる。
【0057】
個別オーバーレイフィルム構造110は、布地100の第1の縁部113に隣接する第1の場所116におけるオーバーレイフィルム構造110の密度が、布地100の反対側の第2の縁部119に隣接する布地100の第2の場所118と比較して、より高くなるように勾配パターンで適用されるものとして示されている。布地100が衣料品に組み込まれる場合、第1の縁部113は、少なくとも部分的に通気開口部を形成してもよい。密度の差は、例えば、第2の場所118における単位面積当たりのフィルム構造110の数の減少に起因してもよい。密度の差は、単位面積当たりの個別フィルム構造110のサイズまたは表面積の変化に起因する場合もある。本明細書で使用する場合、用語「単位面積」は、1cm×1cmの正方形の面積を意味する。フィルム構造110を勾配パターンで適用することにより、布地100が外部刺激に曝されたときの布地100の変形の程度をカスタマイズすることが可能になる。例えば、第2の場所118と比較して、第1の場所116において布地100のより多くの変形が生じてもよい。例示的な態様では、示されるように、オーバーレイフィルム構造110は、フィルム構造110の略直線状の列および行を有する格子パターンで適用される。フィルム構造110を格子パターンで適用することにより、布地100が、フィルム構造110の隣接する列および/または行の間の領域で直線的に屈曲するかまたは折れ曲がることが可能になり、これにより、例えば布地100の柔軟性が向上する。
【0058】
図1Bは、布地100が外部刺激に曝される前の、布地100の反対側の第2の表面130の斜視図である。図示するように、第2の表面130は、概ね平面的または滑らかである。例示的な態様では、第2の表面130はいかなるフィルム構造110も含まなくてもよいが、本明細書では、フィルム構造110が追加で、布地100の第2の表面130に適用されてもよいことが企図される。
【0059】
図1Cは、布地100のx方向での断面図(図1Aの切断線1C-1C)であり、図1Dは、布地100のy方向での断面図(図1Aの切断線1D-1D)である。フィルム構造110は、外部刺激に曝される前は、厚さ140を有する。図示するように、フィルム構造110は布地100の第1の表面105に付着されており、布地100に完全に接着されている。
【0060】
図2Aは、布地100が外部刺激に曝された後の、布地100の第1の表面105の斜視図である。外部刺激に曝されると、フィルム構造110は、主に例えば正のz方向に、膨張するおよび/または寸法が増加する。フィルム構造110はまた、正および/または負のx方向、および/または、正および/または負のy方向に寸法が増加し得る(すなわち、フィルム構造110は全方向に拡大する)。外部刺激が湿気であり、フィルム構造110がPBTベースのTPEEフィルムから形成されている場合、フィルム構造110の膨張は、フィルムを通って拡散する水分子に起因する場合がある。フィルム構造110は布地100に接着されているため、フィルム構造110の寸法が増加するにつれて、フィルム構造110は、フィルム構造110の下の領域において布地100を「持ち上げる」か、またはフィルム構造110の下にある領域において布地100を正のz方向に移動させる場合がある。その結果、布地100に「皺が生じ」、布地100の第2の表面130から第1の表面105に向かって凹状に延びるデボス領域210が形成される。布地100が外部刺激に曝された後の布地100の第2の表面130の描写である、この態様を図2Bに示す。
【0061】
例示的な態様では、フィルム構造110は外部刺激に曝されると、その短軸117と比較して、その長軸115に沿っておよび/または長軸115に平行に、より大きく折れ曲がるか屈曲し、その結果、布地100は、y方向と比較してx方向に、より大きく変形する場合がある。長軸115に沿ったより大きな折り曲げまたは屈曲は、フィルム構造110の短軸117を横切って測定した、移動する布地100の体積が、フィルム構造110の長軸115に沿ったものと比較して少ないからであり得る。これを、布地100のx方向での布地100の断面図(図2Aの切断線2C-2C)である図2Cと、y方向での布地100の断面図(図2Aの切断線2D-2D)である図2Dとに示す。図2Cに示すように、外部刺激に曝された後、フィルム構造110は厚さ216を有し、厚さ216は厚さ140よりも大きい。図2Cは、フィルム構造110がその長軸115に沿って折れ曲がるか屈曲して、下にある布地100もx方向に折れ曲がるか屈曲してデボス領域210が形成されることをさらに示す。図2Dに示すように、フィルム構造110の短軸117に沿った折り曲げまたは屈曲が小さく、したがってy方向への布地100の変形が小さくなる。デボス領域210の累積効果に基づいて、布地100の全幅112は、新たな幅212まで減少し得る。布地100の全長114が新たな長さ214まで減少することもあり得る。例示的な態様では、フィルム構造110の向きゆえに、布地100の長さと比較して、布地100の幅が、より大きく減少し得る。これをより一般的に説明すると、特定の方向への布地100の所望の減少を実現するために、フィルム構造110は、その長軸が特定の方向に対して垂直になるように向けられてもよい。
【0062】
フィルム構造110が、例えば湿気にもはや曝されなくなると、フィルム構造110を通って移動する水分子の減少または停止に起因して、フィルム構造110の膨張が減少する。フィルム構造110は、その曝露前の、概ね平面的な状態に戻り、デボス領域210は緩和し、布地100は、曝露前の幅112および長さ114に戻る。したがって、フィルム構造110の使用により、布地100の寸法の可逆的かつ動的な変化が可能になる。
【0063】
布地の寸法変化を実現するためのフィルム構造の使用が、衣料品上の通気開口部を閉状態から開状態へ、またはその逆に、動的に移行させるために使用されてもよい。例えば、図3Aは、上半身用衣類300が外部刺激に曝される前の上半身用衣類300の正面図を示し、上半身用衣類300は閉状態の通気開口部を有する。図3Bは、上半身用衣類300が外部刺激に曝され通気開口部が開状態に移行した後の上半身用衣類300の正面図を示す。
【0064】
上半身用衣類300は、首開口部312および腰開口部314を有する胴体領域310を含む。第1の袖316および第2の袖318が胴体領域310から延びている。上半身用衣類300は長袖を有するように示されているが、上半身用衣類300は袖なしであってもよく、四分の三袖、半袖、四分の一袖などを含んでもよいことが本明細書では企図されている。加えて、胴体領域310は、スライダ機構(例えば、ジッパー)を介して互いに結合された第1の前半分と第2の前半分を含むように示されているが、胴体領域310は、スライダ機構を含まず、それにより上半身用衣類300の正中線を横切って材料が延びているTシャツまたはプルオーバーの形態であってもよいことが、本明細書では企図されている。
【0065】
上半身用衣類は、第1の通気構造320および第2の通気構造322を含む。第1の通気構造320および第2の通気構造322は同様に形成され、したがって、第1の通気構造320がどのように形成されるかに関する説明が、第2の通気構造322にも同様に適用可能である。図3Aを参照すると、第1の通気構造320は、第1のパネル縁部326を有する第1のパネル324と、第2のパネル縁部330を有する第2のパネル328とを含む(通気開口部が閉状態にある場合、通気開口部は一般に見えないように隠れていることを示すため、破線で示している)。例示的な態様では、第1のパネル縁部326は第2のパネル縁部330に重なり合い、そこで不連続的に付着されている。例えば、第1のパネル縁部326は、固定点332などの複数の離隔した固定点において第2のパネル縁部330に付着されていてもよい。固定点332は、縫合、貼り付け、接着剤、結合などによって形成されてもよい。第1のパネル縁部326は、離隔した固定点332の間の領域において第2のパネル縁部330に付着されておらず(または付着が外されており)、1つ以上の通気開口部334が形成されている。通気開口部334の長手方向軸は、矢印336によって示されるように第1の方向に延びている。第1および第2の通気構造320および322の場所および数は単なる例示であり、1つ以上の通気構造が、例えば、胴体領域310他の場所、第1の袖316、第2の袖318、および/または上半身用衣類300の背面を含む、上半身用衣類300の他の領域(図4Aおよび図4Bに示す)に位置していてもよいことが、本明細書では企図される。
【0066】
図3Aは、通気開口部334または第2のパネル縁部330に隣接して(例えば、約0cm~約10cm以内で)第2のパネル328に付着された複数の個別オーバーレイフィルム構造338をさらに示す。図示するように、第1のパネル324は、本明細書の態様による個別オーバーレイフィルム構造を含まない。フィルム構造338は、第2のパネル328の外側表面に付着されて示されている。例示的な態様では、フィルム構造338は代わりに、図3Aおよび図3Bに示すものと同様のパターンで、第2のパネル328の内側表面に適用されてもよい。フィルム構造338を第2のパネル328の内側表面上に配置することにより、フィルム構造338が、着用者の体表面および着用者によって生成されるあらゆる発汗と接触(またはほぼ接触)することが可能になる。フィルム構造338が第2のパネル328の内側表面と外側表面との両方に適用されてもよいことが、本明細書では企図される。任意の態様および全ての形態、並びにそれらの任意の変形形態が、本明細書の態様に含まれることが企図される。
【0067】
図1A図1Dのフィルム構造110と同様に、フィルム構造338は長軸340および短軸342を有する。フィルム構造338の長軸340は、通気開口部334の長手方向軸に対して実質的に垂直(すなわち、垂直から±10度以内)となるように向けられている。換言すれば、フィルム構造338の長軸340は、第1の方向336に対して実質的に垂直となるように向けられている。例示的な態様では、通気開口部334および/または第2のパネル縁部330から遠く離れたところと比較して、通気開口部334および/または第2のパネル縁部330に近いところでは、フィルム構造338の密度がより高く、通気開口部334が開状態に移行することを容易にしている。フィルム構造338の密度の減少は、フィルム構造338の数の減少に起因する場合がある。密度の減少は、フィルム構造338の表面積の減少に起因する場合もある。密度の減少は、加えて、フィルム構造338の数の減少およびフィルム構造338の表面積の減少の両方に起因する場合がある。任意の態様および全ての形態、並びにそれらの任意の変形形態が、本明細書の態様に含まれることが企図される。フィルム構造338の数および形状は単なる例示であり、フィルム構造338の他の形状および数が利用されてもよいことが本明細書では企図される。
【0068】
図3Bは、衣類300が湿気などの外部刺激に曝された後の上半身用衣類300を示す。フィルム構造338が上半身用衣類300の内側表面に付着されている場合、湿気は着用者によって生成される発汗の形態であり得る。布地100に関して説明したように、フィルム構造338が外部刺激に曝されると、フィルム構造338は、例えば、少なくともz方向に、および/またはx方向およびy方向に拡大し、少なくともその長軸340に沿って折れ曲がるか屈曲する。長軸340の各々が通気開口部334の長手方向軸に対して実質的に垂直に向けられているため、フィルム構造338がその長軸340に沿って折れ曲がるか屈曲すると、図3Bの折り目360で示すように、フィルム構造338によって引き起こされる第2のパネル328の持ち上がりまたは皺に基づいて、第2のパネル328および第2のパネル縁部330は第1の方向336に短くなる。第1のパネル324はフィルム構造を含まないため、上半身用衣類300が外部刺激に曝されても、第1のパネル324または第1のパネル縁部326が第1の方向336に短くなることはない。第2のパネル328および第2のパネル縁部330が短くなると、第1のパネル324および/または第1のパネル縁部326が、隣接する固定点332の間において外向きに(例えば、正のz方向に)延び、それにより、図3Bに示すように通気開口部334を開状態に動的に移行させる。
【0069】
通気開口部334の閉状態から開状態への移行は、図3C図3Fにさらに示されている。図3Cは、上半身用衣類300が外部刺激に曝される前の、図3Aの切断線3C-3Cに沿って見た通気開口部334の断面図を表す。図3Cは、第2のパネル328の第2のパネル縁部330と重なり合っている第1のパネル324の第1のパネル縁部326を示す。図示するように、第2のパネル縁部330は、第1のパネル縁部326の内側に位置付けられている。通気開口部334は、重なり合っている縁部326と330との間に形成されており、閉状態で示されている。図3Dは、上半身用衣類300が外部刺激に曝された後の、図3Bの切断線3D-3Dに沿って見た通気開口部334の断面図を表す。図示するように、第1のパネル324および第1のパネル縁部326は、第2のパネル328および第2のパネル縁部330から離隔されて、通気開口部334を開状態に移行させている。
【0070】
図3Eは、上半身用衣類300が外部刺激に曝される前の、通気開口部334の長手方向軸に沿って見た通気開口部334を表す。第1のパネル縁部326は、固定点332において第2のパネル縁部330に付着されている。第1のパネル縁部326は、固定点332の間で第2のパネル縁部330に付着されておらず、通気開口部334が形成されている。上半身用衣類300が外部刺激に曝される前は、第2のパネル縁部330は固定点332の間の長さ350を有し、第1のパネル縁部326は固定点332の間の長さ352を有する。例示的な態様では、第2のパネル縁部330の長さ350は、第1のパネル縁部326の長さ352と実質的に同じである。
【0071】
図3Fは、上半身用衣類300が外部刺激に曝されが後の、通気開口部334の長手方向軸に沿って見た通気開口部334を表す。フィルム構造338が、フィルム構造338の下の領域において第2のパネル328を持ち上げるか、皺を生じさせることに起因して、第2のパネル縁部330の長さは、長さ350よりも短い新たな長さ354まで減少する。フィルム構造338が第1のパネル324に適用されていないため、上半身用衣類300が外部刺激に曝されたとき、第1のパネル縁部326は、長さの顕著な変化を受けない。したがって、第2のパネル縁部330が短くなると、第1のパネル縁部326の付着された端部は互いに向かって引っ張られて、第1のパネル324および第1のパネル縁部326は上半身用衣類300から外向きに延び、通気開口部334は開状態に移行する。図3C図3Fは、上半身用衣類300の追加の通気開口部、並びに図5A図5Bの下半身用衣類500などの他の衣料品上の通気開口部の議論にも同様に適用できる。
【0072】
上半身用衣類300の背面図を示す図4Aおよび図4Bは、上半身用衣類300の通気構造410を示す。通気構造410は、第1の通気構造320および/または第2の通気構造322に加えるもの、またはそれらの代わりであってもよい。図4Aは、衣服300が外部刺激に曝される前の上半身用衣類300の図を表し、図4Bは、例えば湿気などの外部刺激に曝された後の衣類300を示表す。
【0073】
図4Aに関して、通気構造410は、第1のパネル縁部414を有する第1のパネル412と、第2のパネル縁部418を有する第2のパネル416とを含む(通気構造は通常は見えないように隠れていることを示すため、破線で示している)。第1のパネル縁部414は第2のパネル縁部418と重なり合っており、1つ以上の離隔した固定点420によって第2のパネル縁部418に固定されている。第1のパネル縁部414は、離隔した固定点420の間の領域において第2のパネル縁部418に付着されておらず(または付着が外されており)、1つ以上の通気開口部422が形成されている。通気開口部422の長手方向軸は、矢印424によって示されるように第1の方向に延びている。図4Aに示す態様では、第1の方向424は、第1の袖316と第2の袖318との間で水平に延びている。通気構造410の場所は単なる例示であり、通気構造は、上半身用衣類300の、例えば首開口部312にもっと近くに、または例えば腰開口部314のもっと近くに配置されてもよいことが、本明細書では企図される。追加の通気構造が上半身用衣類300の背面に配置されてもよいことも、本明細書では企図される。任意の態様および全ての形態、並びにそれらの任意の変形形態が、本明細書の態様に含まれることが企図される。
【0074】
図4Aは、通気開口部422および/または第2のパネル縁部418に隣接して(例えば、約0cm~10cm以内で)第2のパネル416に付着された複数の個別オーバーレイフィルム構造426をさらに示す。図示するように、第1のパネル412は、本明細書の態様による個別オーバーレイフィルム構造を含まない。フィルム構造426は、第2のパネル416の外側表面に付着されて示されている。例示的な態様では、フィルム構造426は、代わりに、着用者の体表面および着用者によって生成されるあらゆる発汗と接触する(またはほぼ接触する)ように、示されるものと同様のパターンで、第2のパネル416の内側表面に適用されてもよい。フィルム構造426は、第2のパネル416の外側表面と内側表面との両方に適用されてもよいことが本明細書では企図される。任意の態様および全ての形態、並びにそれらの任意の変形形態が、本明細書の態様に含まれることが企図される。
【0075】
フィルム構造426は、長軸428および短軸430を有する。フィルム構造426の長軸428は、通気開口部422の長手方向軸および/または第1の方向424に対して実質的に垂直(すなわち、垂直から±10度以内)となるように向けられている。例示的な態様では、通気開口部422および/または第2のパネル縁部418から遠く離れたところと比較して、通気開口部422および/または第2のパネル縁部418に近いところでは、フィルム構造426の密度がより高く、通気開口部422が開状態に移行することを容易にしている。フィルム構造426の密度の減少は、フィルム構造426の数の減少に起因する場合がある。密度の減少は、フィルム構造426の表面積の減少に起因する場合もある。密度の減少は、フィルム構造426の数およびフィルム構造426の表面積の両方の減少に起因する場合もある。フィルム構造426の数および形状は単なる例示であり、フィルム構造426の他の形状および数が利用されてもよいことが本明細書では企図される。
【0076】
図4Bは、衣類300が湿気などの外部刺激に曝された後の上半身用衣類300を示す。フィルム構造426が第2のパネル416の内側表面に付着されている場合、湿気は着用者によって生成される発汗の形態であり得る。フィルム構造426が外部刺激に曝されると、フィルム構造426は、例えば、少なくともz方向、および/またはx方向、および/またはy方向に拡大し、少なくともその長軸428に沿って折れ曲がるか屈曲する。長軸428の各々が通気開口部422の長手方向軸および/または第1の方向424に対して実質的に垂直に向けられているため、フィルム構造426がその長軸428に沿って折れ曲がるか屈曲すると、折り目450で示すように、フィルム構造426によって引き起こされる第2のパネル416の持ち上がりまたは皺に基づいて、第2のパネル416および第2のパネル縁部418は第1の方向424に短くなる。第1のパネル412はフィルム構造を含まないため、上半身用衣類300が外部刺激に曝されても、第1のパネル412または第1のパネル縁部414が第1の方向424に顕著に短くなることはない。第2のパネル416および第2のパネル縁部418が短くなると、第1のパネル412および第1のパネル縁部414が、隣接する固定点420の間において外向きに(例えば、正のz方向に)延び、それにより、図4Bに示すように、通気開口部422を開状態に動的に移行させる。
【0077】
本明細書の態様は、本明細書に記載の通気構造を下半身用衣類などの他の衣料品に組み込むことをさらに企図している。図5Aおよび図5Bは、第1の通気構造510および第2の通気構造512を有する下半身用衣類500の正面図を示す。図5Aは、下半身用衣類500が外部刺激に曝される前の下半身用衣類500を示し、図5Bは、下半身用衣類500が外部刺激に曝された後の下半身用衣類500を示す。
【0078】
下半身用衣類500は、腰開口部516を有する胴体領域514と、胴体領域514から延び第1の脚開口部520にて遠位で終わる第1の脚部518と、胴体領域514から延びて第2の脚開口部524にて遠位で終わる第2の脚部522とを含む。下半身用衣類500は、ズボンとして示されているが、ショーツ、タイツ、カプリズボン等の形態であってもよいことが本明細書では企図される。
【0079】
第1の通気構造510および第2の通気構造512は同様に形成され、したがって、第1の通気構造510がどのように形成されるかに関する説明が、第2の通気構造512にも同様に適用可能である。図5Aを参照すると、第1の通気構造510は、第1のパネル縁部528を有する第1のパネル526と、第2のパネル縁部532を有する第2のパネル530とを含む(通気開口部が閉状態にある場合、通気開口部は一般に見えないように隠れていることを示すため、破線で示している)。例示的な態様では、第1のパネル縁部528は第2のパネル縁部532に重なり合い、そこで不連続的に付着されている。例えば、第1のパネル縁部528は、固定点534などの複数の離隔した固定点において第2のパネル縁部532に付着されている。第1のパネル縁部528は、離隔した固定点534の間の領域において第2のパネル縁部532に付着されておらず(または付着が外されており)、1つ以上の通気開口部536が形成されている。通気開口部536の長手方向軸は、矢印538によって示されるように第1の方向に延びている。第1および第2の通気構造510および512の場所および数は単なる例示であり、通気構造は、例えば、胴体領域514上の(例えば、腰開口部516に隣接する)場所、第1の脚部分518および/または第2の脚部分522の他の場所、および/または下半身用衣類500の背面を含む、下半身用衣類500の他の領域に位置してもよいことが、本明細書では企図される。
【0080】
図5Aは、通気開口部536および/または第2のパネル縁部532に隣接して(例えば、約0cm~10cm以内で)第2のパネル530に付着された複数の個別オーバーレイフィルム構造540をさらに示す。図示するように、第1のパネル526は、本明細書の態様による個別オーバーレイフィルム構造を含まない。フィルム構造540は、第2のパネル530の外側表面に付着されて示されている。例示的な態様では、フィルム構造540は、代わりに、着用者の体表面および着用者によって生成されるあらゆる発汗と接触する(またはほぼ接触する)ように、図5Aおよび図5Bに示されるものと同様のパターンで、第2のパネル530の内側表面に適用されてもよい。例示的な態様では、フィルム構造540は、第2のパネル530の外側表面と内側表面との両方に適用されてもよい。任意の態様および全ての形態、並びにそれらの任意の変形形態が、本明細書の態様に含まれることが企図される。
【0081】
フィルム構造540は、長軸542および短軸544を有する。フィルム構造540の長軸542は、通気開口部536の長手方向軸および/または第1の方向538に対して実質的に垂直(すなわち、垂直から±10度以内)となるように向けられている。例示的な態様では、通気開口部536および/または第2のパネル縁部532から遠く離れたところと比較して、通気開口部536および/または第2のパネル縁部532に近いところでは、フィルム構造540の密度がより高く、通気開口部536が開状態に移行することを容易にしている。フィルム構造540の密度の減少は、フィルム構造540の数の減少に起因する場合がある。密度の減少は、フィルム構造540の表面積の減少に起因する場合もある。密度の減少は、フィルム構造540の数の減少および表面積の減少の両方に起因する場合もある。任意の態様および全ての形態、並びにそれらの任意の変形形態が、本明細書の態様に含まれることが企図される。フィルム構造540の数および形状は単なる例示であり、フィルム構造540の他の形状および数が利用されてもよいことが本明細書では企図される。
【0082】
図5Bは、衣類500が湿気などの外部刺激に曝された後の下半身用衣類500を示す。フィルム構造540が下半身用衣類500の内側表面に付着されている場合、湿気は着用者によって生成される発汗の形態であり得る。フィルム構造540が外部刺激に曝されると、フィルム構造540は、例えば、少なくともz方向、および/またはx方向およびy方向に拡大し、少なくともその長軸542に沿って折れ曲がるか屈曲する。長軸542の各々が通気開口部536の長手方向軸および/または第1の方向538に対して実質的に垂直に向けられているため、フィルム構造540がその長軸542に沿って折り曲がるか屈曲すると、折り目550で示すように、フィルム構造540によって引き起こされる第2のパネル530の持ち上がりまたは皺に基づいて、第2のパネル530および第2のパネル縁部532は第1の方向538に短くなる。第1のパネル526はフィルム構造を含まないため、下半身用衣類500が外部刺激に曝されても、第1のパネル526または第1のパネル縁部528が第1の方向538に顕著に短くなることはない。第2のパネル530および第2のパネル縁部532が短くなると、第1のパネル526および第1のパネル縁部528が、隣接する固定点534の間において外向きに(例えば、正のz方向に)延び、それにより、図5Bに示すように、通気開口部536を開状態に動的に移行させる。
【0083】
通気開口部を閉状態から開状態に、およびその逆に動的に移行させるためにオーバーレイフィルム構造を使用することは、本明細書で説明されているものに加えて、他の衣料品にも適用できることが本明細書では企図される。例えば、通気開口部が帽子物品上に位置付けられてもよく、通気開口部を開状態と閉状態との間で移行させるためにオーバーレイフィルム構造が使用されてもよい。本明細書で企図される他の衣料品には、例えば、靴下、靴(例えば、アッパー)、手袋などが含まれる。
【0084】
フィルム構造について示される楕円形は、フィルム構造のための異なる形状構成の一例にすぎない。図6A図6Bは、フィルム構造の代替形状の例を示す。図6Aは、菱形形状のフィルム構造620を有する布地615を示す。菱形形状は概ね等しい長さと幅を有するため、フィルム構造620の膨張により、布地615の幅と長さの両方が概ね等しく減少することになる。図6Bは、互いに隣接する2対の等しい長さの辺を有する四辺形の形状のフィルム構造630を有する布地625を示す。楕円形と同様に、フィルム構造630は長軸および短軸を有し、したがって、布地625が外部刺激に曝されると、一般に、布地625の不均一な寸法変化を生じさせることになる。三日月形、有機的形状、半円形状、英数字形状などの非対称形状を含むフィルム構造の追加の形状が本明細書では企図される。同様に、布地が、複数の異なる形状のフィルム構造、および/または異なるサイズおよび/または表面積を有するフィルム構造を含んでもよいことが本明細書では企図される。任意の態様および全ての形態、並びにそれらの任意の変形形態が、本明細書の態様に含まれることが企図される。
【0085】
本明細書に記載される衣料品に適用されるフィルム構造は、異なる厚さを有してもよい。図7Aは、布地705が外部刺激に曝される前の布地705を示す。布地705は、第1の厚さ715を有する第1のフィルム構造710と、第1のフィルム構造710の第1の厚さ715よりも薄い第2の厚さ725を有する第2のフィルム構造720とを含む。図7Bは、湿気などの外部刺激に曝された後の布地705を表す。第1のフィルム構造710は、少なくともz方向に厚さ730まで寸法が増加し、第2のフィルム構造720は、少なくともz方向に厚さ735まで寸法が増加し、ここで厚さ735は厚さ730よりも小さい。第1のフィルム構造710は第2のフィルム構造720よりも厚いため、第1のフィルム構造710は、外部刺激に曝されると、z方向への布地705のより大きな移動を生じさせる場合があり、これは、布地705が外部刺激に曝された後に、第1のフィルム構造710が、第2のフィルム構造720に関連するオフセット742よりも大きいオフセット740を有することによって示される。
【0086】
図8は、通気開口部を有する衣料品、例えば衣類300および500を製造する例示的な方法800のフロー図を示す。ステップ810では、第1の材料パネルの第1のパネル縁部が第2のパネルの第2のパネル縁部に不連続に付着されて、衣料品上に通気開口部が形成される。通気開口部は、第1の方向に延びる長手方向軸を有する。
【0087】
ステップ812では、複数の個別オーバーレイフィルム構造が、少なくとも第2のパネル縁部に隣接して第2のパネルに付着される。例示的な態様では、オーバーレイフィルム構造は第1のパネルには付着されない。各フィルム構造は長軸および短軸を含み、フィルム構造の長軸は、通気開口部の長手方向軸に対して実質的に垂直になるように、第2のパネルに付着される。フィルム構造が外部刺激に曝されると、フィルム構造は、例えばz方向に拡大し、これにより、第2のパネルは、フィルム構造の下にある領域を持ち上げるか皺を生じさせる。この結果、第2のパネルおよび第2のパネル縁部の寸法が、第1の方向または通気開口部の長手方向軸の方向に減少する。第1のパネルはフィルム構造を含まないため、第1のパネル縁部の寸法は減少せず、その結果、通気開口部は開状態に移行する。このプロセスは可逆的であるため、外部刺激が除去されると、通気開口部は閉状態に戻る。
【0088】
図9Aおよび図9Bは、本明細書に記載の通気構造と組み合わせて使用することができる、または独立型の通気構造として使用することができる、追加の通気構造を示す。図9Aは、布地900が湿気などの外部刺激に曝される前の布地900を示す。布地900は、例えば、上半身用衣類300などの上半身用衣類、下半身用衣類500などの下半身用衣類、または帽子、手袋、靴下、靴などの他の衣料品に組み込まれてもよい。布地900は、布地900に形成されたスリット910を含む。スリット910は、機械切断プロセス、レーザー切断、ウォータージェット切断、溶解性糸、スリット910を形成するためのニット、不織布、または織布の構成体の処理などによって形成できる。スリット910は、布地900の第1の表面901から布地900の反対側の第2の表面902まで延びて、貫通通路を提供する。スリット910は、第1の縁部912、反対側の第2の縁部914、第1の端部913、および反対側の第2の端部915を含む。スリット910の長手方向軸は、スリット910の第1の端部913と第2の端部915との間で第1の方向に延びている。第1の縁部912は第2の縁部914に当接しているように示されるが、第1の縁部912と第2の縁部914が互いに直接接触しないように、第1の縁部912と第2の縁部914との間に小さな空間が存在してもよいことが本明細書では企図される。スリット910は直線として示されているが、本明細書では、スリット910が、湾曲形状、幾何学的形状、曲線形状、英数字形状などを含む他の形状を有してもよいことが企図される。
【0089】
布地900は、スリット910の第1の縁部912に隣接して位置付けられた第1の複数の個別オーバーレイフィルム構造916と、スリット910の第2の縁部914に隣接して位置付けられた第2の複数の個別オーバーレイフィルム構造918とをさらに含む。第1の複数のフィルム構造916および第2の複数のフィルム構造918の各々は、長軸924などの長軸と、短軸926などの短軸とを有するように成形されている。例示的な態様では、第1および第2の複数のフィルム構造916および918の各々の長軸924は、スリット910の長手方向軸に対して実質的に垂直になるように向けられている。
【0090】
フィルム構造916および/または918の数は、スリット910から遠ざかるにつれて減少してもよいことが本明細書では企図される。フィルム構造916および/または918のサイズおよび/または表面積は、スリット910から遠ざかるにつれて減少してもよいことが本明細書では企図される。加えて、フィルム構造916および/または918の数および表面積の両方が、スリット910から遠ざかるにつれて減少してもよい。
【0091】
図9Bは、水または湿気などの外部刺激に曝された後の布地900を示す。第1の複数フィルム構造916および第2の複数のフィルム構造918は、外部刺激に曝されると、例えば、少なくともz方向および/またはx方向および/またはy方向に拡大し、少なくともその長軸924に沿って折れ曲がるかまたは屈曲する。長軸924の各々が、スリット910の長手方向軸に対して実質的に垂直に向けられているため、フィルム構造916および918がそれらの長軸924に沿って折れ曲がるか屈曲すると、図9Bの折り目920および922で示すように、フィルム構造916および918によって引き起こされる布地900の持ち上がりまたは皺に基づいて、第1の縁部912および第2の縁部914は、長手方向軸の方向、または第1の方向に短くなる。第1の縁部912および第2の縁部914が短くなることにより、第1の縁部912および第2の縁部914が布地900の表面平面から離れるようにz方向に延び、それによりスリット910が閉状態から、通気開口部925を有する開状態に移行することができる。いったん外部刺激が取り除かれると、布地900はその曝露前の状態に戻り、スリット910は閉状態に移行する。
【0092】
図10A図10Iは、本明細書に記載の通気構造と組み合わせて使用することができる、または独立型の通気構造として使用することができる、さらに別の通気構造を示す。図10Aは、布地構成体1000が湿気または発汗などの外部刺激に曝される前の布地構造体1000を示す。布地構成体1000は、例えば、上半身用衣類300などの上半身用衣類、下半身用衣類500などの下半身用衣類、または帽子、手袋、靴下、靴などの他の衣料品に組み込まれてもよい。
【0093】
布地構成体1000は、第1の縁部1012、第1の縁部1012の反対側の第2の縁部1014、第3の縁部1016、および第3の縁部1016の反対側の第4の縁部1018を有する、第1の材料パネル1010を含む。縁部1012、1014、1016、および1018の描写は例示に過ぎず、第1の材料パネル1010が、追加の縁部またはより少ない縁部を含んでもよく、非線形の縁部(例えば、湾曲した縁部)を含んでもよく、縁部は、例えば、衣料品の一部(例えば、フードの縁部、ウエストバンドの縁部、前面開口部の縁部など)を形成してもよいことが本明細書では企図される。例示的な態様では、布地構成体1000が上半身用衣類または下半身用衣類に組み込まれる場合、第1の材料パネル1010は衣類の外側に面する層を形成してもよい。第1の材料パネル1010は、第1の材料パネル1010の厚さを通って延びる第1の複数のアパーチャ1019を含む。第1の複数のアパーチャ1019は、図10Aでは、以下で説明する第2の材料パネルによって視野から概ね隠されていることを示すために破線で示されている。第1の複数のアパーチャ1019の数、形状、およびサイズは例示に過ぎず、本明細書では、第1の複数のアパーチャ1019は、異なる形状のアパーチャ、異なるサイズのアパーチャ、および異なる数のアパーチャを含んでもよいことが企図される。任意の態様および全ての形態、並びにそれらの任意の変形形態が、本明細書の態様に含まれることが企図される。
【0094】
布地構成体1000は、第1の材料パネル1010と面を共有して接触している第2の材料パネル1020をさらに含む。例示的な態様では、布地構成体1000が上半身用衣類または下半身用衣類に組み込まれる場合、第2の材料パネル1020は衣類の内側に面する層を形成する。例示的な態様では、第2の材料パネル1020は、その縁部のうちの1つ以上において第1の材料パネル1010に固定されてもよい。例えば、第2の材料パネル1020の第1の縁部1022が、固定点1030によって示されるように、第1の材料パネル1010に固定されてもよい。第2の材料パネル1020の反対側の第2の縁部1024が、固定点1030によって示されるように、第1の材料パネル1010に固定されてもよいことも企図される。本明細書では、第1の縁部1022および第2の縁部1024の両方が、第1の材料パネル1010に固定されてもよいことも企図される。固定点1030は、縫合、糊付け、接着剤、スポット溶接、接合、シームテープなどの付着技術を含んでもよい。第2の材料パネル1020の1つ以上の追加の縁部、例えば、第2の材料パネル1020の第3の縁部1026および/または反対側の第4の縁部1028が、第1の材料パネル1010に付着されていなくてもよい。縁部1022、1024、1026、および1028の描写は例示に過ぎず、第2の材料パネル1020が、追加の縁部またはより少ない縁部を含んでもよく、非線形の縁部(例えば、湾曲した縁部)を含んでもよく、縁部は、例えば、衣料品の一部(例えば、フードの縁部、ウエストバンドの縁部、前面開口部の縁部など)を形成してもよいことが本明細書では企図される。
【0095】
例示的な態様では、互いに面を共有して接触している第1の材料パネル1010および第2の材料パネル1020の表面は、第1の材料パネル1010および第2の材料パネル1020のそれぞれの表面の間に空間が存在するように、互いに付着されているわけではない。以下でさらに説明するように、これにより、第2の材料パネル1020の表面が第1の材料パネル1010の表面に対してシフトすることが可能になる。いくつかの例示的な態様では、第2の材料パネル1020が第1の材料パネル1010に付着される前に、第1の縁部1022と第2の縁部1024との間で測定された第2の材料パネル1020の長さは、布地構成体1000の第1の端部と第2の端部における固定点1030の間の距離よりも大きくてもよいことが本明細書ではさらに企図される。これにより、例えば、第2の材料パネル1020の長さが固定点1030の間の距離と同じである場合よりも、第2の材料パネル1020の体積が大きくなる。過剰な材料により、第1の材料パネル1010に対する第2の材料パネル1020のシフトを容易にすることができる。
【0096】
第2の材料パネル1020は、第2の材料パネル1020の厚さを通って延びる第2の複数のアパーチャ1031を含む。例示的な態様では、第2の複数のアパーチャ1031は、第1の複数のアパーチャ1019と同様の数、サイズ、および形状を有してもよい。図10Aに示すように、布地構成体1000が閉状態にある場合、第1の複数のアパーチャ1019は、第2の複数のアパーチャ1031から、布地構成体1000の平坦な表面に平行な方向にオフセットされている、または少なくとも部分的にオフセットされており、それにより、布地構成体1000の第1の表面と布地構成体1000の反対側の第2の表面との間に開いた連通経路は存在しない。これをさらに説明すると、布地構成体1000が閉状態にある場合、第2の複数のアパーチャ1031は、第2の材料パネル1020の第1の縁部1022に対して、第1の複数のアパーチャ1019から遠位方向にオフセットされており、第2の材料パネル1020の第1の縁部1022に対して実質的に垂直な方向にオフセットされている。
【0097】
布地構成体1000は、第2の材料パネル1020の第1の縁部1022に隣接して第2の材料パネルに付着されたオーバーレイフィルム構造1032をさらに含む。1つだけのオーバーレイフィルム構造が示されているが、布地構成体1000は、図10Aに示す向きを有する複数のオーバーレイフィルム構造を含んでもよいことが、本明細書では企図される。オーバーレイフィルム構造1032は、長軸1033および短軸1035を有し、長軸1033は、第2の材料パネル1020の幅を横切って延びている。オーバーレイフィルム構造1032は、第2の材料パネル1020の幅を横切って延びているものとして説明されているが、本明細書ではより一般的に、オーバーレイフィルム構造1032の長軸1033が、第2の材料パネル1020の付着された縁部に隣接し、かつそれに平行に位置付けられてもよいことが企図される。
【0098】
図10Bは、図10Aの切断線10B-10Bに沿って見た断面図を示す。図示するように、第2の材料パネル1020は第1の材料パネル1010に隣接して位置付けられ、その結果、対応する表面は近似的に接触している。材料パネル1010および1020のそれぞれの表面は互いに付着されておらず、図示するように、表面の間に空間が形成されている。オーバーレイフィルム構造1032は、第1の材料パネル1010と面を共有して接触している表面の反対側の第2の材料パネル1020の表面に付着されているように示される。布地構成体は外部刺激に曝されていないため、オーバーレイフィルム構造1032および第2の材料パネル1020は、第1の材料パネル1010と概ね平面的な関係にある。
【0099】
図10Cは、図10Aの切断線10C-10Cに沿って見た断面図を示す。図10Cは、第2の材料パネル1020の第1の縁部1022と第1の材料パネル1010との間の付着点を表す固定点1030を示す。ここでも、布地構成体1000は外部刺激に曝されていないため、オーバーレイフィルム構造1032および第2の材料パネル1020は、第1の材料パネル1010と概ね平面的な関係にある。
【0100】
図10Dは、図10Aの切断線10D-10Dに沿って見た断面図を示す。図10Dは、第1の材料パネル1010の厚さを貫通して形成された第1の複数のアパーチャ1019を示す。布地構成体1000が閉状態にある場合、第1の複数のアパーチャ1019は第2の複数のアパーチャ1031からオフセットされているため、第2の材料パネル1020は、第1の複数のアパーチャ1019を閉塞または遮断する連続パネルとして示されており、それにより、例えば、布地構成体1000を通る空気の移動が最小化される。
【0101】
図10Eは、図10Aの切断線10E-10Eに沿って見た断面図を示す。図10Eは、第2の材料パネル1020の厚さを貫通して形成された第2の複数のアパーチャ1031を示す。図10Dと同様に、布地構成体1000が閉状態にある場合、第2の複数のアパーチャ1031は第1の複数のアパーチャ1019からオフセットされているため、第1の材料パネル1010は、第2の複数のアパーチャ1031を閉塞または遮断する連続パネルとして示されており、それにより、例えば、布地構成体1000を通る空気の移動が最小化される。
【0102】
図10Fは、湿気または発汗などの外部刺激に曝された後の布地構成体1000を示す。前述したことと同様に、布地構成体1000が、例えば湿気に曝されると、オーバーレイフィルム構造1032の寸法は、少なくともz方向および/またはx方向および/またはy方向に増加する。その後に、オーバーレイフィルム構造1032がその長軸1033に沿って折れ曲がることにより、図10Fに示すように、オーバーレイフィルム構造1032の下にある第2の材料パネル1020の領域において、第2の材料パネル1020も、オーバーレイフィルム構造1032の長軸1033に少なくとも平行な方向に折れ曲がる。第2の材料パネル1020の折れ曲がりにより、第2の材料パネル1020の第1の縁部1022に向かう方向への第2の材料パネル1020の移動(すなわち、第2の材料パネル1020の長さ方向への移動)が生じる。換言すれば、第2の材料パネル1020の折れ曲がりにより、第2の材料パネル1020は、オーバーレイフィルム構造1032の長軸1033に対して実質的に垂直な方向に移動する。第2の材料パネル1020が、第1の材料パネル1010に対して、オーバーレイフィルム構造1032の長軸1033に実質的に垂直な方向にシフトすることにより、第2の複数のアパーチャ1031は、第1の複数のアパーチャ1019と整列、または少なくとも部分的に整列して、布地構成体1000は開状態に移行し、それにより、整列したアパーチャ1019および1031を通る空気および/または水蒸気の移動が可能になる。
【0103】
第1の材料パネル1010に対する第2の材料パネル1020のシフトは、第2の材料パネル1020の第1の縁部1022を第1の材料パネル1010に付着させることによって容易になる。固定点1030は、第2の材料パネル1020の第1の縁部1022を固定し、第2の材料パネル1020の残りの部分がシフトまたは移動できるようにする、アンカーとして機能する。第1の材料パネル1010に対する第2の材料パネル1020のシフトは、上述したように、第2の材料パネル1020が余剰体積を有するように形成することによっても容易にできる。
【0104】
図10Gは、図10Fの切断線10G-10Gに沿って見た断面図を示す。図示するように、オーバーレイフィルム構造1032は、外部刺激に応答して厚さが増加している。図示していないが、オーバーレイフィルム構造1032の短軸1035に沿った、オーバーレイフィルム構造1032および下にある第2の材料パネル1020の僅かな折れ曲がりがあってもよいと企図される。図10Hは、図10Hの切断線10H-10Hに沿って見た断面図を示し、オーバーレイフィルム構造1032の長軸1033に沿って、かつそれに平行に、オーバーレイフィルム構造1032および第2の材料パネル1020が折れ曲がり、第1の材料パネル1010に対してオフセット1040が形成されていることを表す。換言すれば、第2の材料パネル1020およびオーバーレイフィルム構造1032は、外部刺激に応答して、第1の材料パネル1010から離れるようにz方向に延びている。これにより、第2の材料パネル1020の残りの部分は、オーバーレイフィルム構造1032の長軸1033に対して実質的に垂直な方向に移動する。
【0105】
図10Iは、図10Fの切断線10I-10Iに沿って見た断面図を示す。図示するように、第1の材料パネル1010に対して第2の材料パネル1020をシフトさせることにより、第2の複数のアパーチャ1031は、第1の複数のアパーチャ1019と整列するか、または少なくとも部分的に整列する。整列されたアパーチャ1019および1031は、布地構成体1000を通る空気および/または水蒸気の移動を容易にする。
【0106】
上述したように、布地構成体1000は、様々な衣料品に組み込むことができる。例示的な実施例として、布地構成体1000が上半身用衣類に組み込まれる場合、布地構成体1000は、例えば着用者の背中領域など、大量の熱および/または水蒸気を発生する領域に位置付けられてもよい。運動中に着用者によって生成される発汗は、オーバーレイフィルム構造1032の寸法変化を誘起し、第2の材料パネル1020を第1の材料パネル1010に対してシフトさせ、第2の複数のアパーチャ1031を第1の複数のアパーチャ1019に整列させてもよい。
【0107】
第1および第2の複数のアパーチャ1019および1031は、布地構成体1000が外部刺激に曝される前に、最初に互いに整列するように構成されてもよいことが本明細書ではさらに企図される。この例では、第2の材料パネル1020は、例えば、オーバーレイフィルム構造1032が衣類の外側表面上に位置付けられるように、衣類の外側の層であってもよい。布地構成体1000が降水または雪などの外部刺激に曝されると、オーバーレイフィルム構造1032の寸法の増加により、第2の材料パネル1020が第1の材料パネル1010に対してシフトし、その結果、第2の複数のアパーチャ1031が第1の複数のアパーチャ1019に対してオフセットされ、それにより、降水が衣類内に侵入することが防止される場合がある。任意の態様および全ての形態、並びにそれらの任意の変形形態が、本明細書の範囲に含まれることが企図される。
【0108】
図11図16は、開口部の方向、量または大きさなどの通気開口部に関連する1つ以上の態様を制御するために補強パネルを利用する、いくつかのさらなる例示的な通気構造を示す。本明細書で使用する場合、用語「補強パネル」は、それが付着または固定されている、下にある布地よりも硬いおよび/またはドレープ性が低い布地(ニット、織布、不織布、編組、または他の構造を有する構成体)、フィルム、または他のタイプの材料を指す。いくつかの態様では、補強パネルは、例えば、硬いニット、織り、または編組パターン、表面処理の適用などに起因して、布地の残りの部分よりも硬いまたはドレープ性が低い、布地の一体形成された部分を含んでもよい。硬さは、例えば、パース(Peirce)カンチレバー試験、シャーリー(Shirley)剛性試験などを含む複数の異なる試験方法を使用して測定することができる。
【0109】
図11は、第1の例示的な通気構造1100を示す。第1の例示的な通気構造1100は、本明細書に記載の通気構造と組み合わせて使用することができる、または独立型の通気構造として使用することができる。第1の例示的な通気構造1100は、第1の布地材料で形成され第1のパネル縁部1112を有する第1のパネル1110と、第2の布地材料で形成され第2のパネル縁部1116を有する第2のパネル1114とを含む。図11および図12に示す態様では、第1のパネル縁部1112と第2のパネル縁部1116とは一致している。言い換えると、第1のパネル縁部1112は、第2のパネル縁部1116に概ね重なり合っていない。例示的な態様では、第1の布地材料は第2の布地材料と同じであってもよいが、本明細書の態様では、第1および第2の布地材料が異なっていてもよいことが企図される。第1および第2のパネル1110および1114は、例えば、上半身用衣類300などの上半身用衣類、下半身用衣類500などの下半身用衣類、または帽子、手袋、靴下、靴などの他の衣料品に組み込まれてもよい。
【0110】
第1のパネル縁部1112は、第1の固定点1118および第1の固定点1118から離隔した第2の固定点1120において、第2のパネル縁部1116に不連続に付着されている。例示的な態様では、第1のパネル縁部1112は、第1の固定点1118と第2の固定点1120との間で第2のパネル縁部1116に付着されておらず、通気開口部が形成されている(図12に、より分かりやすく示されている)。第1および第2の固定点1118および1120は、縫合、貼り付け、結合、接着剤、面ファスナーなどを含んでもよい。
【0111】
第1の例示的な通気構造1100は、第1のパネル1110の内側表面に、第1の場所、および第1の場所から離隔した第2の場所にそれぞれ付着された、第1の個別オーバーレイフィルム構造1122と第2の個別オーバーレイフィルム構造1124とをさらに含む。図11の視点からは、フィルム構造1122および1124は一般に見えないことを示すために、破線が使用される。例示的な態様では、第1および第2の場所は、第1のパネル縁部1112に隣接していてもよい(約0.1mm~約1cm)。第1および第2の個別オーバーレイフィルム構造1122および1124の各々が、長軸1126(第1の個別オーバーレイフィルム構造1122に関して示される)および短軸1128(第1の個別オーバーレイフィルム構造1122に関して示される)を含む。第1および第2の個別オーバーレイフィルム構造1122および1124の各々の長軸1126は、通気開口部の長手方向軸1130に対して実質的に垂直に向けられている。さらなる例示的な態様では、第1および第2の個別オーバーレイフィルム構造1122および1124の各々の長軸1126は、それぞれ、第1の固定点1118および第2の固定点1120と同一線上に(または整列して)位置付けられている。
【0112】
通気構造1100は、任意選択で、第2のパネル縁部1116に隣接して(約0.1mm~約1cm)第2のパネル1114の内側表面に固定された追加の個別オーバーレイフィルム構造1132を含んでもよい。本明細書の態様は、追加の個別オーバーレイフィルム構造1132が、代わりに、第2のパネル1114の外側表面に固定されてもよいことを企図している。図11および図12は、3つの追加の個別オーバーレイフィルム構造1132を示すが、より少ないまたはより多い数のフィルム構造が本明細書では企図される。例示的な態様では、追加の個別オーバーレイフィルム構造1132は、第1の固定点1118と第2の固定点1120との間に位置する。例示的な態様では、追加の個別オーバーレイフィルム構造1132は各々が長軸および短軸(図示せず)を有し、追加の個別オーバーレイフィルム構造1132の各々の長軸は、通気開口部の長手方向軸1130に対して垂直に向けられている。追加の個別オーバーレイフィルム構造1132は、フィルム構造1132が外部刺激に曝されたとき、通気開口部をさらに容易にすることができる。
【0113】
通気構造1100は、第1のパネル縁部1112に隣接して(約0.1mm~約1cm)第1のパネル1110上に位置付けられた2つ以上の離隔した補強パネル1134をさらに含む。図11および図12は、三角形の形状を有する4つの補強パネルを示す。これは単なる例示であり、異なる形状構成を有するより少ないまたはより多くの補強パネルが本明細書では企図される。補強パネル1134は、第1の個別オーバーレイフィルム構造1122と第2の個別オーバーレイフィルム構造1124との間に位置付けられる。図11に示すように、補強パネル1134は、第1のパネル1110の外側表面上に位置付けられている。換言すれば、図11に示す構成では、補強パネル1134は、第1および第2の個別オーバーレイフィルム構造1122および1124とは反対側の第1のパネル1110の表面上に位置付けられている。
【0114】
隣接する補強パネル1134の間に間隙1136が形成され、間隙1136は、通気開口部の長手方向軸1130に対して略垂直に向けられた長手方向軸1138を含む。図11に示す例示的な態様では、間隙1136は概ね通気開口部の中点に位置する。換言すれば、間隙1136は、概ね第1の固定点1118と第2の固定点1120との間の中間に位置する。他の例示的な態様では、間隙1136は、第1の固定点1118または第2の固定点1120のより近くに位置付けられてもよい。
【0115】
図12は、水または湿気などの外部刺激に曝された後の通気構造1100を示す。第1および第2の個別オーバーレイフィルム構造1122および1124は、外部刺激に曝されると、例えば、少なくともz方向および/またはx方向および/またはy方向に拡大し、少なくともそのそれぞれの長軸1126に沿って折れ曲がるか屈曲する。長軸1126は、ここでは通気開口部1200として示す通気開口部の長手方向軸1130に対して実質的に垂直に向けられているため、フィルム構造1122および1124がそれらの長軸1126に沿って折れ曲がるか屈曲することにより、第1のパネル縁部1112は、通気開口部1200の長手方向軸1130の方向に短くなる。これは、フィルム構造1122および1124によって引き起こされる第1の布地材料の持ち上がりまたは皺に基づいている。第1のパネル縁部1112が短くなることにより、第1のパネル縁部1112が第1のパネル1110の表面平面から離れるようにz方向に延び、それにより通気開口部1200が閉状態から開状態に移行する。いったん外部刺激が取り除かれると、通気開口部1200は閉状態に戻る。
【0116】
追加の個別オーバーレイフィルム構造1132が使用される場合、フィルム構造1132は外部刺激に曝されると、例えば、少なくともz方向および/またはx方向および/またはy方向に拡大し、それらのそれぞれの長軸に沿って折れ曲がるか屈曲する。長軸は、通気開口部1200の長手方向軸1130に対して実質的に垂直に向けられているため、フィルム構造1132がその長軸に沿って折れ曲がるか屈曲することにより、第2のパネル縁部1116が通気開口部1200の長手方向軸1130の方向に短くなる。これは、フィルム構造1132によって引き起こされる第2の布地材料の持ち上がりまたは皺に基づく。第2のパネル縁部1116が短くなることは、通気開口部1200を閉状態から開状態に移行させるのにさらに役立つ場合がある。
【0117】
例示的な態様では、補強パネル1134は通気開口部1200の方向を導き、通気構造1100が衣料品に組み込まれる場合、通気開口部の予測可能性および均一性を可能にする。補強パネル1134は第1の布地材料よりも硬いか柔軟性が低いため、補強パネル1134の下にある第1の布地材料は移動/変形しにくい場合がある。間隙1136は補強パネルを含まないため、補強パネル1134の配置および位置決めを構成することにより、第1の布地材料の移動を主に間隙1136において生じるように誘導することができる。この態様では、通気開口部1200の頂点は、間隙1136に生じ得る。これを言い換えると、補強パネル1134間の間隙1136において、通気開口部1200の最大開口(または変位)1210が生じ得る。
【0118】
図13および図14は、第2の例示的な通気構造1300を示す。第2の例示的な通気構造1300は、本明細書に記載の通気構造と組み合わせて使用することができる、または独立型の通気構造として使用することができる。第2の例示的な通気構造1300は、通気構造1100と同様の特徴、並びにいくつかの異なる特徴を含む。以下の開示は、概して、通気構造1100と通気構造1300との間での異なる特徴に焦点を当てる。通気構造1100と同様の特徴には、図11図12について述べたものと概ね同じ説明が含まれる。
【0119】
第2の例示的な通気構造1300は、第1の布地材料で形成され第1のパネル縁部1312を有する第1のパネル1310と、第2の布地材料で形成され第2のパネル縁部1316を有する第2のパネル1314とを含む。図13および図14に示す例示的な態様では、第1のパネル縁部1312は第2のパネル縁部1316と所定の量だけ重なり合っている。図13および図14に示す例では、第1のパネル縁部1312は、第2のパネル縁部1316の外側に位置付けられているが、逆の構成が本明細書では企図される(例えば、第1のパネル縁部1312は、第2のパネル縁部1316の内側に位置付けられている)。例示的な態様では、所定量は、約0.1mm~約5cm、約0.5mm~約3cm、または約1mm~約2cmであってもよい。第1および第2のパネル1310および1314は、例えば、上半身用衣類300などの上半身用衣類、下半身用衣類500などの下半身用衣類、または帽子、手袋、靴下、靴などの他の衣料品に組み込まれてもよい。
【0120】
第1のパネル縁部1312は、第1の固定点1318および第1の固定点1318から離隔した第2の固定点1320において、第2のパネル縁部1316に不連続に付着されている。例示的な態様では、第1のパネル縁部1312は、第1の固定点1318と第2の固定点1320との間で第2のパネル縁部1316に付着されておらず、通気開口部が形成されている(図14に、より分かりやすく示されている)。第1および第2の固定点1318および1320は、縫合、貼り付け、結合、接着剤、面ファスナーなどを含んでもよい。
【0121】
第2の例示的な通気構造1300は、第1のパネル1310に、第1の場所、および第1の場所から離隔した第2の場所にそれぞれ付着された、第1の個別オーバーレイフィルム構造1322と第2の個別オーバーレイフィルム構造1324とをさらに含む。例示的な態様では、第1および第2の場所は、第1のパネル縁部1312に隣接していてもよい(約0.1mm~約1cm)。図13および図14に示す例示的態様では、第1および第2の個別オーバーレイフィルム構造1322および1324は、衣料品に適用されるように、第1のパネル1310の外側表面に付着される。
【0122】
通気構造1300は、任意選択で、第2のパネル縁部1316に隣接して(約0.1mm~約1cm)第2のパネル1314に固定された追加の個別オーバーレイフィルム構造1332を含んでもよい。図13および図14は、4つの追加の個別オーバーレイフィルム構造1332を示すが、より少ないまたはより多い数のフィルム構造が本明細書では企図される。例示的な態様では、追加の個別オーバーレイフィルム構造1332は、第1の固定点1318と第2の固定点1320との間に位置する。図13および図14に示すように、追加の個別オーバーレイフィルム構造1332は、第2のパネル1314の外側表面に付着されている。本明細書では、追加の個別オーバーレイフィルム構造1332が第2のパネル1314の内側表面に付着されてもよいことも企図される。
【0123】
通気構造1100は、第1のパネル縁部1312に隣接して(約0.1mm~約1cm)第1のパネル1310上に位置付けられた2つの離隔した補強パネル1334をさらに含む。補強パネル1334は、矩形の形状を有するものとして示されているが、本明細書では他の形状構成も企図される。補強パネル1334は、第1の個別オーバーレイフィルム構造1322と第2の個別オーバーレイフィルム構造1324との間に位置付けられる。図13に示すように、補強パネル1334は、第1のパネル1310の外側表面上に位置付けられている。換言すれば、図113に示す構成では、補強パネル1334は、第1および第2の個別オーバーレイフィルム構造1322および1324と同じ第1のパネル1310の表面上に位置付けられている。
【0124】
隣接する補強パネル1334の間に間隙1336が形成され、間隙1336は、通気開口部の長手方向軸に対して略垂直に向けられた長手方向軸を含む。通気構造1100と同様に、間隙1336は概ね通気開口部の中点に位置する。換言すれば、間隙1336は、概ね第1の固定点1318と第2の固定点1320との間の中間に位置する。他の例示的な態様では、間隙1336は、第1の固定点1318または第2の固定点1320のより近くに位置付けられてもよい。
【0125】
図14は、水または湿気などの外部刺激に曝された後の通気構造1300を示す。本明細書に記載の通気構造と同様に、第1および第2の個別オーバーレイフィルム構造1322および1324は外部刺激に曝されると拡大し、それらのそれぞれの長軸に沿って折れ曲がるか屈曲する。これにより、第1のパネル縁部1312が通気開口部(通気開口部1400としてラベル付けされている)の長手方向軸の方向に短くなり、第1のパネル1310の表面平面から離れるようにz方向に延び、それにより通気開口部1400は閉状態から開状態に移行する。いったん外部刺激が取り除かれると、通気開口部1400は閉状態に戻る。
【0126】
追加の個別オーバーレイフィルム構造1332が使用される場合、フィルム構造1332は外部刺激に曝されると拡大し、それらのそれぞれの長軸に沿って折れ曲がるか屈曲し、それにより、第2のパネル縁部1316は、通気開口部1400の長手方向軸の方向に短くなる。第2のパネル縁部1316が短くなることは、通気開口部1400を閉状態から開状態に移行させるのにさらに役立つ場合がある。
【0127】
通気構造1100と同様に、補強パネル1334は通気開口部1400の方向を導く。例えば、補強パネル1334の配置および位置決めを構成することにより、第1の布地材料の移動は主に間隙1336で起こり得る。この態様では、通気開口部1400の頂点は、間隙1336に生じ得る。これを言い換えると、間隙1336において、通気開口部1400の最大開口(または変位)が生じ得る。
【0128】
図14は、本明細書に記載される通気構造の追加の態様を示す。例示的な態様では、第1および/または第2の布地材料がニット構造を含む場合、個別オーバーレイフィルム構造1322、1324、および1332などの個別オーバーレイフィルム構造の長軸は、拡大図で示すように、ニット布地材料のコース方向に整列されてもよく、ニットコースは参照番号1410で示されている。個別オーバーレイフィルム構造の長軸をコース方向に整列させることは、個別オーバーレイフィルム構造がパネルの内側表面またはパネルの外側表面に付着されるときに起こり得る。個別オーバーレイフィルム構造の長軸をコース方向に整列させると、フィルム構造の長軸に沿った、下にある布地材料の屈曲または折れ曲がりが、より大きくなることが判明している。例示的な態様では、これは、フィルム材料が、隣接するコース間ではより厚く配置され、コース上ではより薄く配置されていることに起因する場合がある。フィルム材料はコースの上部ではより薄いため、ニットコースは外部刺激に応じて、より大きく変形または屈曲する場合がある。
【0129】
オーバーレイフィルム構造の長軸を下にあるニット布地のコース方向に向けることが、衣料品を形成するためにパターンピースがどのように切断および位置決めするかに影響を及ぼす場合がある。例えば、図3を参照すると、上半身用衣類300がニット布地で形成されている場合、ニット布地は、コース方向が個別オーバーレイフィルム構造338の長軸340に整列するように(例えば、斜めの向きで)向けられてもよい。
【0130】
図15および図16は、本明細書に記載の通気構造と組み合わせて使用することができる、または独立型の通気構造として使用することができる、第3の例示的な通気構造1500を示す。図15は、パネル1510が、湿気などの外部刺激に曝される前のパネル1510を示す。パネル1510は、例えば、上半身用衣類300などの上半身用衣類、下半身用衣類500などの下半身用衣類、または帽子、手袋、靴下、靴などの他の衣料品に組み込まれてもよい。パネル1510は、パネル1510に形成されたスリット1512を含む。スリット1512は、機械切断プロセス、レーザー切断、ウォータージェット切断、溶解性糸、スリット1512を形成するためのニット、不織布、または織布の構成体の処理などによって形成できる。スリット1512は、パネル1510の第1の表面1514からパネル1510の反対側の第2の表面1516まで延びて、貫通通路を提供する。スリット1512は、第1の縁部1518および対向する第2の縁部1520を含む。スリット1512の長手方向軸は、スリット1512の第1の端部1522と第2の端部1524との間で第1の方向に延びている。第1の縁部1518は第2の縁部1520に当接しているように示されるが、第1の縁部1518と第2の縁部1520が互いに直接接触しないように、第1の縁部1518と第2の縁部1520との間に小さな空間が存在してもよいことが本明細書では企図される。スリット1512は直線として示されているが、本明細書では、スリット1512が、湾曲形状、幾何学的形状、曲線形状、英数字形状などを含む他の形状を有してもよいことが企図される。
【0131】
パネル1510は、スリット1512の第1の縁部1518に隣接して位置付けられ、スリット1512の第1の端部1522に整列された長軸を有する、第1の個別オーバーレイフィルム構造1526と、スリット1512の第1の縁部1518に隣接して位置付けられ、スリット1512の第2の端部1524に整列された長軸を有する、第2の個別オーバーレイフィルム構造1528とをさらに含む。第1および第2の個別オーバーレイフィルム構造1526および1528の長軸は、スリット1512の長手方向軸に対して略垂直に向けられている。第1および第2の個別オーバーレイフィルム構造1526および1528は、パネル1510の内側表面に付着されて示されているが、本明細書の態様は、第1および第2の個別オーバーレイフィルム構造1526および1528が、パネル1510の外側表面に付着されてもよいことを企図している。
【0132】
通気構造1500は、任意選択で、第2の縁部1520に隣接して(約0.1mm~約1cm)パネル1510の内側表面に固定された追加の個別オーバーレイフィルム構造1530を含んでもよい。例示的な態様では、追加の個別オーバーレイフィルム構造1530は、スリット1512の第1の端部1522と第2の端部1524との間に位置する。本明細書では、追加の個別オーバーレイフィルム構造1530がパネル1510の外側表面に付着されることも企図される。
【0133】
通気構造1500は、第1の縁部1518に隣接して(約0.1mm~約1cm)パネル1510上に位置付けられた2つの離隔した補強パネル1532をさらに含む。補強パネル1532は、三角形の形状を有するものとして示されているが、本明細書では他の形状構成も企図される。補強パネル1532は、第1の個別オーバーレイフィルム構造1526と第2の個別オーバーレイフィルム構造1528との間に位置付けられる。図15に示すように、補強パネル1532は、パネル1510の外側表面上に位置付けられている。
【0134】
隣接する補強パネル1532の間に間隙1534が形成され、間隙1534は、スリット1512の長手方向軸に対して略垂直に向けられた長手方向軸を含む。通気構造1100および1300と同様に、間隙1534は概ねスリット1512の中間点に位置する。換言すれば、間隙1534は、スリット1512の第1の端部1522と第2の端部1524との間の概ね中間に位置する。他の例示的な態様では、間隙1534は、スリット1512の第1の端部1522または第2の端部1524のより近くに位置付けられてもよい。
【0135】
図16は、水または湿気などの外部刺激に曝された後のパネル1510を示す。フィルム構造1526、1528、および1530は、外部刺激に曝されると、例えば、少なくともz方向および/またはx方向および/またはy方向に拡大し、少なくともそれらの長軸に沿って折れ曲がるか屈曲する。長軸の各々がスリット1512の長手方向軸に対して実質的に垂直に向けられているため、フィルム構造1526、1528、および1530がその長軸に沿って折れ曲がるか屈曲することにより、第1の縁部1518および第2の縁部1520がスリット1512の長手方向軸の方向に短くなる。第1の縁部1518および第2の縁部1520が短くなることにより、第1の縁部1518および第2の縁部1520がパネル1510の表面平面から離れるようにz方向に延び、それによりスリット1512が閉状態から、参照番号1600で示すような開状態に移行することができる。いったん外部刺激が取り除かれると、パネル1510はその曝露前の状態に戻り、スリット1512は閉状態に移行する。
【0136】
通気構造1100および1300と同様に、補強パネル1532はスリット開口部1600の方向を導く。例えば、補強パネル1532の配置および位置決めを構成することにより、パネル1510の移動は主に間隙1534で起こり得る。この態様では、間隙1534において、スリット開口部1600の頂点が生じ得る。これを言い換えると、間隙1534において、スリット開口部1600の最大開口(または変位)が生じ得る。
【0137】
本開示の態様を、限定的というよりも例示的な意図で説明してきた。当業者には、その範囲から逸脱しない別の態様が明らかになるであろう。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、上記改良を実現する代替手段を開発することもできる。
【0138】
特定の特徴およびサブコンビネーションは有用であり、他の特徴およびサブコンビネーションを参照せずに利用される場合があり、特許請求の範囲内で企図されることが理解されるであろう。様々な図に記載されている全てのステップを、記載されている特定の順序で実行する必要はない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図10I
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】