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▶ トス. ベントレー アンド サン リミテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ヘアコンディショナー組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20240905BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K8/44
A61Q5/12
A61K8/37
A61K8/36
A61K8/34
A61K8/92
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520845
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 GB2022052531
(87)【国際公開番号】W WO2023057763
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】2114319.3
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509112501
【氏名又は名称】トス. ベントレー アンド サン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Thos. Bentley & Son Limited
【住所又は居所原語表記】Brookfoot House Low Lane Horsforth Leeds West Yorkshire LS18 5PU United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ストーリー ジョン マイケル
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AB051
4C083AB332
4C083AC071
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC241
4C083AC302
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC582
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC792
4C083AD352
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB06
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD21
4C083FF05
(57)【要約】
固体ヘアコンディショナー組成物本組成物は、成分(a)少なくとも2重量%の非イオン性または両性界面活性剤、(b)少なくとも0.1重量%のヘアコンディショニング剤、(c)少なくとも45℃の融点を有する少なくとも30重量%のキャリア、(d)少なくとも1重量%の乳化剤、および(e)少なくとも3重量%の水を含み、本組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体である。組成物は良好なコンディショニング性能、感触および摩耗速度、所望のpHを有する固体ヘアコンディショナーバーを提供することができ、従来の石鹸製造方法および装置を使用して製造することができる。固体ヘアコンディショナー組成物の製造方法、および固体ヘアコンディショナー組成物を調製するためのエマルジョンも開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(a)~(e)を含む固体ヘアコンディショナー組成物:
(a) 少なくとも2重量%の非イオン性または両性界面活性剤、
(b) 少なくとも0.1重量%のヘアコンディショニング剤、
(c) 少なくとも45℃の融点を有する少なくとも30重量%のキャリア、
(d) 少なくとも1重量%の乳化剤、および
(e) 少なくとも3重量%の水、
ここで、前記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体である。
【請求項2】
成分(a)がベタインである、請求項1に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項3】
成分(a)が、固体ヘアコンディショナー組成物の2~20重量%を提供する、請求項1または2に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項4】
成分(b)が、カチオン性界面活性剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項5】
成分(b)が、固体ヘアコンディショナー組成物の0.1~5重量%を提供する、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項6】
成分(c)が、ワックス、トリグリセリド、脂肪酸および脂肪アルコールのうち1種以上を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項7】
成分(c)が、固体ヘアコンディショナー組成物の30~70重量%を提供する、請求項1~6のいずれか1項に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項8】
成分(d)が2~6のHLBを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項9】
成分(d)が、ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、および脂肪酸のグリセロールエステルまたはポリグリセロールエステルから選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項10】
成分(d)が、固体ヘアコンディショナー組成物の2~12重量%を提供する、請求項1~9のいずれか1項に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項11】
成分(e)が、固体ヘアコンディショナー組成物の5~20重量%を提供する、請求項1~10のいずれか1項に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項12】
少なくとも15重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤の成分(f)を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項13】
固体ヘアコンディショナー組成物が、ヌードル、ペレット、フレークまたは粉末の形態である、請求項1~12のいずれか1項に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項14】
固体ヘアコンディショナー組成物が、ブロック、バーまたはタブレットの形態である、請求項1~12のいずれか1項に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項15】
固体ヘアコンディショナー組成物が石鹸を含まない、請求項1~14のいずれか1項に記載の固体ヘアコンディショナー組成物。
【請求項16】
固体ヘアコンディショナー組成物の製造方法:ここで、固体ヘアコンディショナーは、
(a) 少なくとも2重量%の非イオン性または両性界面活性剤、
(b) 少なくとも0.1重量%のヘアコンディショニング剤、
(c) 少なくとも45℃の融点を有する少なくとも30重量%のキャリア、
(d) 少なくとも1重量%の乳化剤、および
(e) 少なくとも3重量%の水、
を含み、前記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体であり、
かつ、前記方法は下記ステップを含む、
(i) 成分(a)~(e)を含有するが、固体ヘアコンディショナー組成物中よりも多量の水を含有し、かつ少なくとも45℃の温度を有するエマルジョンを調製すること、
(ii) エマルジョンを冷却および固化し、冷却および固化中に含水量を減少させて、定義された量の成分(a)~(e)を有する固体ヘアコンディショナー組成物を生成すること。
【請求項17】
エマルジョンが、少なくとも45℃の温度で自由流動性液体である、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
ステップ(i)におけるエマルジョン中に最初に存在する水の量が、ステップ(ii)後の固体ヘアコンディショナー組成物中に存在する水の量よりも少なくとも40%高い、請求項16または17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記製造方法が、固体ヘアコンディショナー組成物を、固体ヘアコンディショナー組成物のブロック、バーまたはタブレットに固結するステップ(iii)を含む、請求項16~18のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項20】
固体ヘアコンディショナー組成物の調製のためのエマルジョンであって、下記成分(a)~(e)を含むエマルジョン:
(a) 少なくとも2重量%の非イオン性または両性界面活性剤、
(b) 少なくとも0.1重量%のヘアコンディショニング剤、
(c) 少なくとも45℃の融点を有する少なくとも30重量%のキャリア、
(d) 少なくとも1重量%の乳化剤、および
(e) 少なくとも10重量%の水、
ここで、エマルジョンは少なくとも45℃の温度である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体ヘアコンディショナー組成物およびその製造方法に関する。特に、本発明は、有効性を保持しながら固体バー形態に製剤化するのに特に適し、従来の固体石鹸バー製造装置を用いて製造することができるヘアコンディショナー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルケア製品の固体製剤は、そのような製品の環境影響を低減する可能性があるため、消費者にますます普及している。例えば、固体パーソナルケア組成物は、液体パーソナルケア組成物が典型的に供給される堅牢なプラスチック包装なしで供給することができる。このような固体パーソナルケア組成物は、リサイクル可能な紙に単純に包装することができる。さらに、固体パーソナルケア組成物は、同等の液体パーソナルケア組成物よりも少ない水を含有し得、したがって、より軽量であり、輸送に必要なエネルギーがより少ない。したがって、そのような固体パーソナルケア組成物は、パーソナルケア製品の包装および輸送の環境影響を劇的に低減する可能性を有する。
【0003】
これらの環境上の利益は、固体パーソナルケア組成物が同等の液体パーソナルケア組成物と同じくらい効果的にその意図された機能を果たすことができ、かつ、十分に費用効果の高い方法で製造することができ、その結果、製品およびその価格が消費者にとって魅力的である場合にのみ得ることができる。
【0004】
石鹸(すなわち、脂肪酸塩)は、大規模に効率的に製造することができる安価な固体パーソナル洗浄組成物である。しかしながら、石鹸は、消費者によって普遍的に好まれる製品ではない。ほとんどの石鹸のpHは約9~10であるが、皮膚の自然のpHは約5.5である。石鹸は有効な洗浄剤であるが、皮膚に有害であると広く考えられている。この理由から多くの消費者は石鹸を避け、代わりに、石鹸を含まないかまたは石鹸の割合が低い「クレンジングバー(cleansing bars)」を使用する。
【0005】
多くのクレンジングバー(「洗剤バー(detergent bars)」または「シンデットバー(syndet bars)」とも呼ばれる)は、主成分としてイセチオネート界面活性剤(isethionate surfactant)を含有する。しかしながら、成分の費用に関連する理由、または製造に関連する理由、またはその両方のために、クレンジングバーは、典型的には石鹸バーよりも著しく高価である。
【0006】
従来の石鹸(脂肪酸塩)を含有しない固体ヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物を製造するためのこれまでの試みは、消費者にとって許容可能な外観および感触を有し、効率的かつ費用効果の高い方法で製造することができる有効な固体ヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物を配合することが困難であることから、限られた成功しか収めていない。これは、固体ヘアコンディショニング組成物の製造において特に問題であった。現在の固体ヘアコンディショナーバーは、一般的な液体ヘアコンディショナーと比較して、高いpHを有し、および/または、比較的低いスループットの製造方法によってしか製造することができず、はるかに低いヘアコンディショニング性能を有する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1つの目的は、とりわけ、先行技術の少なくとも1つの欠点に対処する固体ヘアコンディショナー組成物、固体ヘアコンディショナー組成物の製造方法、および固体ヘアコンディショナー組成物を調製するためのエマルジョンを提供すること、または既存の固体ヘアコンディショナー組成物、方法およびエマルジョンの代替物を提供することである。例えば、本発明の目的は、従来の石鹸製造技術および装置を用いて製造することができる固体ヘアコンディショナー組成物を提供することであり得る。
【0008】
本発明の態様によれば、添付の特許請求の範囲に記載の固体ヘアコンディショナー組成物、方法、およびエマルジョンが提供される。本発明の他の特徴は、従属クレームおよび以下の説明から明らかになるであろう。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、成分(a)~(e)を含む固体ヘアコンディショナー組成物が提供される:
(a) 少なくとも2重量%の非イオン性または両性界面活性剤、
(b) 少なくとも0.1重量%のヘアコンディショニング剤、
(c) 少なくとも45℃の融点を有する少なくとも30重量%のキャリア、
(d) 少なくとも1重量%の乳化剤、および
(e) 少なくとも3重量%の水、
ここで、上記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体である。
【0010】
この第1の態様の固体ヘアコンディショナー組成物は、好適には本発明の第2の態様による方法によって製造される。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、固体ヘアコンディショナー組成物の製造方法が提供され、ここで、固体ヘアコンディショナーは成分(a)~(e)を含み、
(a) 少なくとも2重量%の非イオン性または両性界面活性剤、
(b) 少なくとも0.1重量%のヘアコンディショニング剤、
(c) 少なくとも45℃の融点を有する少なくとも30重量%のキャリア、
(d) 少なくとも1重量%の乳化剤、および
(e) 少なくとも3重量%の水、
上記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体であり、
かつ、上記方法は、
(i) 成分(a)~(e)を含有するが、固体ヘアコンディショナー組成物中よりも多量の水を含有し、かつ少なくとも45℃の温度を有するエマルジョンを調製すること、
(ii) エマルジョンを冷却および固化し、冷却および固化中に含水量を減少させて、定義された量の成分(a)~(e)を有する固体ヘアコンディショナー組成物を生成すること、を含む。
【0012】
この第2の態様の方法は、好適には本発明の第1の態様による固体コンディショナー組成物を生成する。
【0013】
ステップ(i)のエマルジョンは、好適には本発明の第3の態様によるエマルジョンである。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、固体ヘアコンディショナー組成物の調製のためのエマルジョンが提供され、エマルジョンは成分(a)~(e)を含む:
(a) 少なくとも2重量%の非イオン性または両性界面活性剤、
(b) 少なくとも0.1重量%のヘアコンディショニング剤、
(c) 少なくとも45℃の融点を有する少なくとも30重量%のキャリア、
(d) 少なくとも1重量%の乳化剤、および
(e) 少なくとも10重量%の水、
ここで、エマルジョンは少なくとも45℃の温度である。
【0015】
好適には、この第3の態様のエマルジョンは、本発明の第1の態様による固体ヘアコンディショナー組成物を製造するためのものであり、好適には第2の態様による方法によって得られる。
【0016】
第2の態様の方法は、適切には従来の石鹸製造装置で実施することができる従来の石鹸製造方法に類似している。
【0017】
本発明者らは、第1の態様の固体ヘアコンディショナー組成物がこのような従来の石鹸製造方法および装置を使用して製造することができ、したがって、公知の固体ヘアコンディショナー組成物よりも製造するのに費用対効果が高いことを見出した。さらに、この生産効率は、公知の固体ヘアコンディショナー組成物と比較して有利な感触、摩耗速度、pHおよびヘアコンディショニング性能を有する有効なヘアコンディショナー製品を得ながら、達成され得る。
【0018】
以下に記載される特定の特徴は、必要に応じて、本発明の第1、第2および第3の態様に適用される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
固体ヘアコンディショナー組成物は、成分(a)少なくとも2重量%の非イオン性または両性界面活性剤を含む。成分(a)は、非イオン性界面活性剤と両性界面活性剤との混合物によって提供することができる。好適には、成分(a)は、1種の両性界面活性剤(または両性イオン界面活性剤)または複数種の両性界面活性剤の混合物である。好適な両性界面活性剤は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルイミノジプロピオネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホジアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホジプロピオネート、アルキルイミノジプロピオネートもしくはアルキルイミノジアセテート、またはそれらの混合物から選択され得る。好適には、両性界面活性剤はベタインである。好適には、両性界面活性剤は、アルキルベタインまたはアルキルアミドベタインであり、好適にはC8-16アルキルベタインまたはC8-16アルキルアミドベタインであり、好適にはC8-18アルキルベタイン、例えばラウリルベタインである。
【0020】
両性界面活性剤は、ナトリウムラウロアンホアセテート、ジナトリウムラウロアンホアセテート、ココアミドプロピルベタイン、ココアミドプロピルヒドロキシスルタインまたはラウリルベタインから選択され得る。適切には、成分(a)はラウリルベタインである。
【0021】
好適には、成分(a)は、いずれの場合も、少なくとも45℃の融点を有するように選択される。適切には、成分(a)は、少なくとも50℃、好ましくは少なくとも55℃、より好ましくは少なくとも60℃の融点を有する。いくつかの好ましい実施形態において、成分(a)は、少なくとも65℃の融点を有する。
【0022】
成分(a)の非イオン性または両性界面活性剤は、固体ヘアコンディショナー組成物の少なくとも2重量%、好適には少なくとも3重量%、好適には少なくとも5重量%、好適には少なくとも7重量%、例えば固体ヘアコンディショナー組成物の少なくとも9重量%を提供する。
【0023】
適切には、成分(a)の非イオン性または両性界面活性剤は、固体ヘアコンディショナー組成物の最大20重量%、適切には最大18重量%、適切には最大15重量%、適切には最大13重量%、例えば固体ヘアコンディショナー組成物の最大12重量%を提供する。
【0024】
適切には、成分(a)の非イオン性または両性界面活性剤は、固体ヘアコンディショナー組成物の2~20重量%、適切には固体ヘアコンディショナー組成物の3~15重量%、適切には7~15重量%、または10~13重量%、または6~10重量%を提供する。
【0025】
固体ヘアコンディショナー組成物が、シャンプー機能を有さないコンディショナーであるいくつかの実施形態では、成分(a)および成分(b)は組成物中に存在する唯一の界面活性剤である。このような実施形態では、固体ヘアコンディショナー組成物は、アニオン性界面活性剤を含まない。
【0026】
固体ヘアコンディショナー組成物は、成分(b)少なくとも0.1重量%のヘアコンディショニング剤を含む。ヘアコンディショニング剤は、シリコーン化合物、カチオン性ポリマーおよびカチオン性界面活性剤またはそれらの混合物から選択され得る。
【0027】
適切なシリコーン化合物は、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、フェニルプロピルジメチルシロキシシリケート、ジフェニルジメチコン、ビスフェニルプロピルジメチコン、ジメチコン、ジメチコノール、およびジビニルジメチコン/ジメチコンポリマーから選択され得る。
【0028】
好適なカチオン性ポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-10およびポリクオタニウム-67から選択され得る。
【0029】
好適なカチオン性界面活性剤コンディショニング剤は、第4級アンモニウム化合物であることができ、好適にはベヘントリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリドおよびステアラルコニウムクロリドから選択され得る。
【0030】
好適には、成分(b)は、カチオン性界面活性剤、好適にはベヘントリモニウムクロリドである。
【0031】
固体ヘアコンディショナー組成物は、成分(b)少なくとも0.1重量%のヘアコンディショニング剤、好適には少なくとも0.3重量%、好適には少なくとも0.5重量%のヘアコンディショニング剤を含む。
【0032】
適切には、固体ヘアコンディショナー組成物は、最大5重量%のヘアコンディショニング剤、適切には最大3重量%、適切には最大2重量%のヘアコンディショニング剤を含み、例えば最大1重量%である。
【0033】
適切には成分(b)は、固体ヘアコンディショナー組成物の0.1~5重量%、適切には固体ヘアコンディショナー組成物の0.5~3重量%、適切には0.5~2重量%または0.5~1重量%を提供し、適切にはヘアコンディショニング剤は、ベヘントリモニウムクロリドなどのカチオン性界面活性剤である。
【0034】
固体ヘアコンディショナー組成物は、成分(c)少なくとも45℃の融点を有する少なくとも30重量%のキャリアを含む。
【0035】
好適には、成分(c)は、少なくとも50℃、好ましくは少なくとも55℃、より好ましくは少なくとも60℃の融点を有する。いくつかの好ましい実施形態において、成分(c)は、少なくとも65℃の融点を有する。
【0036】
適切には、成分(c)キャリアは、ワックス、トリグリセリド、脂肪酸および脂肪アルコールのうちの1つ以上を含む。適切には、成分(c)は、トリグリセリド、脂肪酸、脂肪アルコールおよびワックス(これらの成分のいずれかの混合物を含む)から選択される。好適には、成分(c)キャリアは、蜜蝋であるか、または植物由来のトリグリセリド、脂肪酸、脂肪アルコールもしくは蝋であり得る。
【0037】
好適には成分(c)はトリグリセリドであり、その脂肪酸鎖はC脂肪酸または高級脂肪酸の残基である。好適には、トリグリセリドの脂肪酸鎖は、C-C32脂肪酸、好適にはC10-C24脂肪酸、好適にはC14-C22脂肪酸、最も好適にはC16-C20脂肪酸の残基である。好適には、トリグリセリドの脂肪酸鎖は、C18脂肪酸の残基である。
【0038】
適切には、成分(c)は飽和トリグリセリドである。好適には、トリグリセリド中の実質的に全ての脂肪酸鎖は飽和している。適切には、成分(c)は水添(hydrogenated)トリグリセリドである。
【0039】
好適には、成分(c)は水添植物油である。好適には、成分(c)は、水添菜種油、水添大豆油、水添ヒマワリ油、水添パーム油、水添ヒマシ油、水添サフラワー油および水添ピーナッツ油のうちの少なくとも1つを含む。このような油は、単独で、またはこれらの水添油の2つ、3つ、4つまたはそれ以上またはすべての混合物として使用することができる。好適には、これらの油(1種より多い場合には合計)は、キャリア成分(c)の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、好ましくは100重量%を構成する。
【0040】
適切なキャリアとしては、脂肪酸、好適にはC脂肪酸、または高級脂肪酸、例えばC-C32脂肪酸、好ましくはC10-C24脂肪酸、好ましくはC14-C22脂肪酸、最も好ましくはC16-C20脂肪酸も挙げられる。いくつかの実施形態では、キャリアはステアリン酸である。
【0041】
適切なキャリアとしては、脂肪アルコール、好適にはC16脂肪アルコール、または高級脂肪アルコール、例えばC-C32脂肪アルコール、好ましくはC10-C24脂肪アルコール、好ましくはC14-C22脂肪アルコール、最も好ましくはC16-C20脂肪アルコールも挙げられる。
【0042】
上記のトリグリセリド、脂肪酸または脂肪アルコールの脂肪酸鎖のアルキル鎖長(C18などのCxで示す)は、トリグリセリド、脂肪酸または脂肪アルコール中に存在する残基の平均を表すこと、または脂肪酸もしくは脂肪アルコールの総残基重量の半分を超える鎖長を表すことが意図される。所与のアルキル鎖長範囲についてのこれらの定義のいずれかが、一定のキャリア成分(c)によって満たされる場合、そのキャリアは所与のアルキル鎖長範囲に含まれる。
【0043】
適切なワックスとしては、植物由来のワックス、例えばカルナウバワックス、および蜜蝋が挙げられる。
【0044】
好適には、固体ヘアコンディショナー組成物は、少なくとも35重量%のキャリア、好適には少なくとも40重量%、好適には少なくとも45重量%、または少なくとも50重量%のキャリアを含む。
【0045】
適切には、固体ヘアコンディショナー組成物は、最大80重量%のキャリア、適切には最大75重量%、適切には最大70重量%、または最大65重量%のキャリアを含む。
【0046】
適切には成分(c)は、固体ヘアコンディショナー組成物の30~80重量%、適切には固体ヘアコンディショナー組成物の30~70重量%、適切には40~70重量%、適切には50~65重量%を提供し、適切にはキャリアは水添植物油であるか、またはキャリアはステアリン酸である。
【0047】
適切には、キャリア成分(c)の重量%は、固体ヘアコンディショニング組成物中の非イオン性または両性界面活性剤成分(a)の重量%を超える。
【0048】
キャリア成分(c)の量およびタイプは、固体ヘアコンディショナー組成物の所望の硬度、摩耗速度および外観を達成するために、上記の範囲および選択肢内で調整され得る。
【0049】
固体ヘアコンディショナー組成物は、成分(d)少なくとも1重量%の乳化剤を含む。
【0050】
好適には、乳化剤成分(d)は、少なくとも2、好ましくは少なくとも3のHLB値を有する。
【0051】
好適には、乳化剤成分(d)は、最大6、好適には最大5のHLB値を有する。
【0052】
好適には、乳化剤成分(d)は、2~6、好適には3~6のHLB、例えば3~5または3.2~4.2のHLB値を有する。
【0053】
所望のHLB値は、単一の乳化剤のものであってもよく、または2つ以上の乳化剤の選択によって達成されてもよく、これらの組み合わせは、それらの個々のHLB値およびブレンド中のそれらの量を考慮して加重平均として計算され、好ましい範囲2~6、3~6または3~5内の所望のHLB値を達成する。乳化剤A1、A2、A3...についてのこのような加重平均は、次式を用いて計算することができる。
【数1】
【0054】
好適な乳化剤(d)としては、ソルビタン脂肪酸エステルおよびエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。適切な非エトキシル化のソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレートおよびソルビタントリステアレートが挙げられる。適切なエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートおよびポリオキシエチレンソルビタントリステアレートが挙げられる。
【0055】
好適な乳化剤(d)としては、脂肪酸のグリセロールエステル、すなわち、脂肪酸とグリセロールまたはポリグリセロールとのエステルが挙げられる。非常に広範囲の適当なグリセロールエステルは、グリセロールまたはポリグリセロールとC-C36の脂肪酸、例えばC12-C24脂肪酸との反応によって製造することができる。脂肪酸は、脂肪酸として、または前駆体エステル化合物、例えばトリグリセリドとしてエステル化反応に供給することができる。本発明での使用に適した例には、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、グリセロールパルミテートおよびグリセロールモノラウレートが含まれる。
【0056】
成分(d)は、ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステルおよび脂肪酸のグリセロールエステルまたはポリグリセロールエステルから選択することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、乳化剤成分(d)は、グリセロールモノオレエート(グリセリルモノオレエートまたはグリセロールオレエートと称され得る)である。グリセロールモノオレエートは、約4のHLB値を有する。
【0058】
いくつかの実施形態において、乳化剤成分(d)は、グリセロールモノステアレート(グリセリルモノステアレートまたはグリセロールステアレートと称され得る)である。グリセロールモノステアレートは、約4のHLB値を有する。
【0059】
いくつかの実施形態において、乳化剤成分(d)は、ポリグリセロール-4オレエートである。ポリグリセロール-4オレエートは、約5のHLB値を有する。
【0060】
本発明者らは、上記の範囲のHLB値を有する乳化剤成分(d)、例えば約4のHLBを有するグリセロールモノオレエート、または約5のHLBを有するポリグリセロール-4オレエートを使用することが、固体ヘアコンディショナー組成物の成分を乳化して第3の態様のエマルジョンを効果的に形成するのに特に有利であり得、第2の態様の方法を使用して所望の感触、摩耗速度、およびコンディショニング性能を有する固体ヘアコンディショナー組成物の形成を可能にすることを見出した。
【0061】
好適には、乳化剤成分(d)は、固体ヘアコンディショナー組成物の少なくとも2重量%、好適には固体ヘアコンディショナー組成物の少なくとも3重量%、好適には少なくとも4重量%または少なくとも5重量%を提供する。
【0062】
適切には、乳化剤成分(d)は、固体ヘアコンディショナー組成物の最大12重量%、適切には固体ヘアコンディショナー組成物の最大10重量%、適切には最大9重量%、または最大8重量%を提供する。
【0063】
好適には、乳化剤成分(d)は、固体ヘアコンディショナー組成物の2~12重量%、好適には固体ヘアコンディショナー組成物の4~10重量%、好適には4~9重量%または5~8重量%を提供する。
【0064】
固体ヘアコンディショナー組成物は、成分(e)少なくとも3重量%の水を含む。適切には、成分(e)は、固体ヘアコンディショナー組成物の少なくとも6重量%、適切には固体ヘアコンディショナー組成物の少なくとも8重量%または少なくとも10重量%を提供する。
【0065】
適切には、水成分(e)は、固体ヘアコンディショナー組成物の最大20重量%、適切には固体ヘアコンディショナー組成物の最大18重量%、適切には最大16重量%、または最大14重量%を提供する。
【0066】
好適には、水成分(e)は、固体ヘアコンディショナー組成物の5~20重量%、好適には固体ヘアコンディショナー組成物の5~18重量%、好適には8~16重量%または10~14重量%を提供する。
【0067】
固体ヘアコンディショナー組成物中の水(e)の含量は、組成物の製造方法の結果であり得る。固体ヘアコンディショナー組成物は、適切には固体ヘアコンディショナー組成物の含水量と比較して、過剰な水を含有するエマルジョンを形成すること、次いで、エマルジョンを噴霧乾燥して、上記で論じた量の水を含む固体組成物を形成することを含む、従来の石鹸製造方法によって製造される。固体ヘアコンディショナー組成物中に記載された量の水を有することにより、有利には、同じ装置を使用するそのような従来の石鹸製造方法によって、その組成物を形成することが可能になる。
【0068】
適切には、成分(a)~(e)は、固体ヘアコンディショナー組成物の少なくとも70重量%、少なくとも80重量%または少なくとも90重量%を提供する。成分(a)~(e)は、固体ヘアコンディショナー組成物の最大100重量%を提供することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、固体ヘアコンディショナー組成物は下記成分を含む:
(a) 3~15重量%の非イオン性または両性界面活性剤、
(b) 0.5~3重量%のヘアコンディショニング剤、
(c) 少なくとも45℃の融点を有する30~70重量%のキャリア、
(d) 4~10重量%の乳化剤、および
(e) 5~18重量%の水、
ここで、上記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体である。
【0070】
いくつかの実施形態では、固体ヘアコンディショナー組成物は下記成分を含む:
(a) 3~15重量%の両性界面活性剤、
(b) 0.5~3重量%のカチオン性界面活性剤ヘアコンディショニング剤、
(c) 少なくとも45℃の融点を有する30~70重量%の水添植物油キャリア、
(d) 3~6のHLBを有する4~10重量%の乳化剤、および
(e) 5~18重量%の水、
ここで、上記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体である。
【0071】
いくつかの実施形態では、固体ヘアコンディショナー組成物は下記成分を含む:
(a) 3~15重量%の両性界面活性剤、
(b) 0.5~3重量%のカチオン性界面活性剤ヘアコンディショニング剤、
(c) キャリアとしての30~70重量%のステアリン酸、
(d) 3~6のHLBを有する4~10重量%の乳化剤、および
(e) 5~18重量%の水、
ここで、上記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体である。
【0072】
固体組み合わせヘアシャンプーおよびコンディショナー組成物
いくつかの実施形態では、固体ヘアコンディショナー組成物は、追加の界面活性剤を含み、ヘアクリーニング機能ならびにヘアコンディショニング機能を有する。したがって、そのような実施形態は、固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物(固体2-in-1組成物または固体ヘアコンディショニングシャンプー組成物と称され得る)を提供し得る。
【0073】
そのような実施形態では界面活性剤は、適切には非石鹸アニオン性界面活性剤であり、したがって、固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物は、非石鹸アニオン性界面活性剤成分(f)を含む。
【0074】
好適な非石鹸アニオン性界面活性剤は、サルフェート、スルホネート、アンホアセテート、スルホアセテート、スルホサクシネート、ホスフェート、またはカルボキシレートの非石鹸アニオン性界面活性剤から選択することができ、それぞれの場合に、少なくとも45℃の融点を有するように好適に選択される。
【0075】
好適には、成分(f)は、少なくとも50℃、好ましくは少なくとも55℃、より好ましくは少なくとも60℃の融点を有し得る。いくつかの好ましい実施形態において、成分(f)は、少なくとも65℃の融点を有する。
【0076】
サルフェート非石鹸アニオン性界面活性剤としては、アンモニウムラウリルサルフェート、ナトリウムラウリルサルフェート(SLS)、ナトリウムココサルフェート(SCS)、脂肪アルコールサルフェート、およびアルキルエーテルサルフェート(例えば、ナトリウムラウレスサルフェート(SLES)、ナトリウムミレスサルフェート、およびポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルサルフェート)を挙げることができる。
【0077】
スルホネート非石鹸アニオン性界面活性剤としては、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルケニルスルホネート、アルキルサクシネートスルホネート、アルキルフェノールスルホネート、パーフルオロアルキルスルホネートおよびアシルイセチオネートを挙げることができる。適当なアルキルサクシネートスルホネートは、ジナトリウムラウレススルホサクシネートである。
【0078】
アンホアセテート、スルホアセテート、およびスルホサクシネートの非石鹸アニオン性界面活性剤としては、ナトリウムラウリルスルホアセテートおよびジナトリウムラウレススルホサクシネートを挙げることができる。
【0079】
ホスフェート非石鹸アニオン性界面活性剤としては、アルキルアリールエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルホスフェートを挙げることができる。
【0080】
カルボキシレート非石鹸アニオン性界面活性剤としては、サルコシネート、例えばナトリウムラウロイルサルコシネート、およびカルボキシレート系フルオロ界面活性剤、例えばパーフルオロノナノエートおよびパーフルオロオクタノエート(PFOAまたはPFO)を挙げることができる。適切なカルボキシレート非石鹸アニオン性界面活性剤としては、アシルグルタメート、例えば、ナトリウムココイルグルタメートまたはナトリウムステアロイルグルタメートを挙げることができる。
【0081】
本発明で使用するための好ましい非石鹸アニオン性界面活性剤(f)は、アシルイセチオネートである。
【0082】
本発明における使用のためのアシルイセチオネートは、好適には式(I)で表せられる。
【化1】
式中、Rは、8~24個の炭素原子を有するアルキル基またはアルケニル基であり、
は、水素原子または1~8個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルケニル基であり、
は、水素原子または1~8個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルケニル基であり、
は、水素原子または1~8個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルケニル基であり、
は、水素原子または1~8個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルケニル基であり、
はカチオンである。
【0083】
好ましくは、Mは、置換されていてもよいアンモニウムカチオン、または最も好ましくは金属カチオンを表す。適切なアンモニウムカチオンとしては、NH およびトリエタノールアミンのアンモニウムカチオンが挙げられる。適切な金属カチオンとしては、アルカリ金属カチオン、例えば、ナトリウムカチオン、リチウムカチオンおよびカリウムカチオン、ならびにアルカリ土類金属カチオン、例えば、カルシウムカチオンおよびマグネシウムカチオンが挙げられる(ここで、Mがアルカリ土類金属カチオンを表す場合、Mは二価の正電荷を有し、その化合物は2つのアニオンを有することに留意されたい)。好ましくは、Mは、カリウムカチオン、またはとりわけナトリウムカチオンを表す。
【0084】
は、アルキル基またはアルケニル基であってもよい。好ましくは、Rはアルキル基である。いくつかの実施形態では、成分(f)は、脂肪酸の混合物から誘導された界面活性剤を含むことができ、Rが異なっていてもよい式(I)の化合物の混合物を形成してもよい。
【0085】
は、好ましくは脂肪酸の残基である。天然油から得られる脂肪酸はしばしば、脂肪酸の混合物を含む。例えば、ココナッツオイルから得られる脂肪酸は、C12ラウリン酸、C14ミリスチン酸、C16パルミチン酸、Cカプリル酸、ならびにC18ステアリン酸およびオレイン酸を含む脂肪酸の混合物を含む。
【0086】
は、1種以上の天然に存在する脂肪酸および/または1種以上の合成脂肪酸の残基を含み得る。いくつかの好ましい実施形態において、Rは、本質的に、単一の脂肪酸の残基からなる。
【0087】
が誘導され得るカルボン酸としては、例えば、ココ酸、酪酸、ヘキサン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ドコサヘキサンリグノセリン酸、天然に存在する脂肪酸(例えば、ココナッツ油、牛脂、パーム核油、バター脂肪、パーム油、オリーブ油、コーン油、アマニ油、ピーナッツ油、魚油および菜種油から得られるもの)、単鎖長または鎖長の選択された分布として作製された合成脂肪酸、ならびにそれらの混合物が挙げられる。最も好ましくは、Rは、12個の炭素原子を有する飽和脂肪酸であるラウリン酸の残基、またはラウリン酸鎖が優勢であるココナッツ油に由来する混合脂肪酸の残基を含む。
【0088】
は、好ましくは水素原子または1~4個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルケニル基である。最も好ましくは、Rは水素原子である。
【0089】
は、好ましくは水素原子または1~4個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルケニル基である。最も好ましくは、Rは水素原子である。
【0090】
は、好ましくは水素原子または1~4個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルケニル基である。最も好ましくは、Rは水素原子である。
【0091】
は、好ましくは水素原子または1~4個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアルケニル基である。最も好ましくは、Rは水素原子である。
【0092】
いくつかの実施形態において、R、R、RおよびR全体のうちの3つは水素であり、1つのみが、1~8個の炭素原子を有するアルキル基またはアルケニル基である。このような実施形態では、好ましくはR、RおよびRは水素であり、Rはアルキル基またはアルケニル基である。
【0093】
しかしながら、とりわけ好ましい実施形態では、R、R、RおよびRは全て水素である。
【0094】
いくつかの特に好ましい実施形態において、成分(f)は、ナトリウムラウロイルイセチオネート(SLI)、ナトリウムオレオイルイセチオネートおよびナトリウムココイルイセチオネート(SCI)(これはSLIと密接に関連するが同一ではない)のうちの1種以上または全てを含む。
【0095】
最も好ましくは、本発明の組成物の成分(f)は、ナトリウムココイルイセチオネートおよび/またはナトリウムラウロイルイセチオネートを含むか、またはそれらからなる。
【0096】
アシルイセチオネートは、成分(f)の唯一の構成成分として機能することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、成分(f)は、1つ以上のさらなる非石鹸アニオン性界面活性剤(例えば前述したもの)のいずれかと混和されたアシルイセチオネートを含んでもよい。このような混合物の実施形態では、アシルイセチオネートは、適切には成分(f)の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも65重量%を構成する。
【0097】
適切には、成分(f)は、固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物の少なくとも10重量%、適切にはその組成物の少なくとも12重量%、適切には少なくとも13重量%、または少なくとも15重量%を提供する。
【0098】
適切には、成分(f)は、固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物の最大40重量%、適切にはその組成物の最大30重量%、適切には最大25重量%、または最大22重量%を提供する。
【0099】
適切には、成分(f)は、固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物の10~40重量%、適切にはその組成物の12~30重量%、または15~25重量%を提供する。
【0100】
このような実施形態では、成分(a)の非イオン性または両性界面活性剤は、好適には固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物の2~10重量%、好適にはその組成物の2~5重量%、好適には2~4重量%を提供する。
【0101】
このような実施形態では、固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物は適切には上記の量の成分(b)を含む。
【0102】
このような実施形態では成分(c)は、好適には固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物の30~60重量%、好適にはその組成物の30~50重量%、好適には35~45重量%を提供し、好適にはキャリアは水添植物油またはステアリン酸である。
【0103】
このような実施形態では、固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物は適切には上記の量の成分(d)を含む。
【0104】
このような実施形態では乳化剤成分(d)は上記の範囲のHLBを有し得る。
【0105】
あるいはより高いHLBを有する乳化剤を含むことは、固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物にとって有益であり得る。したがって、そのような実施形態では、成分(d)は、好適には7~11、好適には8~10の範囲のHLB、例えば約9のHLB値を有する。
【0106】
このような実施形態では、固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物は適切には上記の量の成分(e)を含む。
【0107】
このような実施形態では、固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物は下記成分を含む:
(a) 少なくとも2重量%の非イオン性または両性界面活性剤、
(b) 少なくとも0.1重量%のヘアコンディショニング剤、
(c) 少なくとも45℃の融点を有する少なくとも30重量%のキャリア、
(d) 少なくとも1重量%の乳化剤、
(e) 少なくとも3重量%の水、および
(f) 少なくとも10重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤、
ここで、上記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体である。
【0108】
このような実施形態では、固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物は下記成分を含む:
(a) 2~10重量%の非イオン性または両性界面活性剤、
(b) 0.5~3重量%のヘアコンディショニング剤、
(c) 少なくとも45℃の融点を有する30~50重量%のキャリア、
(d) 4~10重量%の乳化剤、
(e) 5~18重量%の水、および
(f) 12~30重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤、
ここで、上記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体である。
【0109】
このような実施形態では、固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物は下記成分を含む:
(a) 2~10重量%の両性界面活性剤、
(b) 0.5~3重量%のカチオン性界面活性剤ヘアコンディショニング剤、
(c) 少なくとも45℃の融点を有する30~50重量%の水添植物油キャリア、
(d) 4~10重量%の乳化剤、
(e) 5~18重量%の水、および
(f) 12~30重量%のアシルイセチオネート界面活性剤、
ここで、上記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体である。
【0110】
このような実施形態では、固体組み合わせヘアシャンプーおよびヘアコンディショナー組成物は下記成分を含む:
(a) 2~10重量%の両性界面活性剤、
(b) 0.5~3重量%のカチオン性界面活性剤ヘアコンディショニング剤、
(c) キャリアとしての30~50重量%のステアリン酸、
(d) 4~10重量%の乳化剤、
(e) 5~18重量%の水、および
(f) 12~30重量%のアシルイセチオネート界面活性剤、
ここで、上記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体である。
【0111】
本発明の固体ヘアコンディショナー組成物は、ヌードル、ペレット、フレークまたは粉末の形態であってもよい。このような形態の固体ヘアコンディショナー組成物は、固体ヘアコンディショナー製品へのさらなる成分と一緒に、ブロック、バーまたはタブレットなどへのさらなる加工に好適であり得る。
【0112】
本発明の固体ヘアコンディショナー組成物は、ブロック、バーまたはタブレットの形態であってもよい。
【0113】
適切には、固体ヘアコンディショナー組成物は石鹸を含まない、すなわち、いかなる脂肪酸石鹸(脂肪酸の塩)を含有しない。
【0114】
適切には、固体ヘアコンディショナー組成物はデンプンを含有しない。
【0115】
好適には、固体ヘアコンディショナー組成物は、いかなる石鹸またはデンプンを含有しない。
【0116】
さらなる成分
任意のさらなる成分としては、(限定されないが)多価アルコール、キレート剤および脂肪アルコールが挙げられ得る。さらなる構成要素は、製造上の利点、例えば、製造中の泡制御、および/または最終製品の使用者の利点、例えば、洗浄中の泡制御または皮膚軟化を提供することができる。さらなる成分は、好ましくは合計で、固体ヘアコンディショナー組成物の最大30重量%の量で存在し得る。
【0117】
好適な多価アルコールとしては、C-Cアルコール、とりわけグリコールおよびグリセロール、例えばモノプロピレングリコールおよびモノプロピレングリセリンが挙げられる。多価アルコールは、存在する場合、合計で固体ヘアコンディショナー組成物の最大15重量%、好ましくは最大10重量%、または最大5重量%の量で、適切に存在し得る。
【0118】
好適なキレート剤としては、DTPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)、HEDP(ヒドロキシエチリデンジホスホン酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、EDDS(エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸)、GLDA(N,N-ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩)(グルタミン酸二酢酸四ナトリウム)、およびPDTA(プロピレンジニトリロテトラ酢酸)、ならびに上記のいずれかの類似体のキレート剤が挙げられる。キレート剤は、存在する場合、合計で固体ヘアコンディショナー組成物の最大0.5重量%、好ましくは最大0.3重量%の量で、適切に存在し得る。
【0119】
本発明の組成物の成分、特に成分(a)および(b)は、天然由来のものであってもよく、平均炭素値に関する分子の分布を含んでいてもよいことが理解されるであろう。このような成分は、鋭い融点を有するのではなく、ある温度範囲にわたって溶融することが予想される。本明細書で規定される融点は、材料が完全に溶融する温度を指す。Renata Tieko NassuおよびLireny Aparecida Guaraldo Goncalvesによる示差走査熱量測定(DSC)法による植物油の融点の測定に関する論文Grasas y Aceites,Vol.50.Fase.1(1999),16-22に記載された方法を参照されたい。この論文に記載されているDSCは、材料が完全に液体状態にあるときを決定するために使用することができる。
【0120】
固体ヘアコンディショナー組成物の製造方法
本発明の第2の態様は、固体ヘアコンディショナー組成物の製造方法を提供し、ここで固体ヘアコンディショナー組成物は下記成分を含む:
(a) 少なくとも2重量%の非イオン性または両性界面活性剤、
(b) 少なくとも0.1重量%のヘアコンディショニング剤、
(c) 少なくとも45℃の融点を有する少なくとも30重量%のキャリア、
(d) 少なくとも1重量%の乳化剤、および
(e) 少なくとも3重量%の水、
ここで、上記組成物は、0℃~40℃の範囲にわたって固体であり、
かつ、上記方法は、
(i) 成分(a)~(e)を含有するが、固体ヘアコンディショナー組成物中よりも多量の水を含有し、かつ少なくとも45℃の温度を有するエマルジョンを調製すること、
(ii) エマルジョンを冷却および固化し、冷却および固化中に含水量を減少させて、定義された量の成分(a)~(e)を有する固体ヘアコンディショナー組成物を生成すること、を含む。
【0121】
この方法によって製造された固体ヘアコンディショナー組成物は、上述の適切な特徴および利点のいずれかを有し得る。
【0122】
適切には、成分(a)~(e)は、エマルジョンの少なくとも70重量%、適切には少なくとも80重量%、少なくとも90重量%または少なくとも95重量%を構成する。成分(a)~(e)は、エマルジョンの重量の最大100重量%を提供することができる。
【0123】
好適には、この第2の態様の方法のステップは、ステップ(i)の後にステップ(ii)が続く順番で実施される。
【0124】
適切には、ステップ(i)におけるエマルジョンは、それが自由流動性液体である温度である。好適には、少なくとも45℃の温度のエマルジョンが自由流動性液体である。
【0125】
好適には、成分(a)は少なくとも50℃の融点を有し、キャリア(b)は少なくとも50℃の融点を有し、エマルジョンは少なくとも50℃の温度であり、その温度でエマルジョンは自由流動性液体である。
【0126】
好適には、成分(a)は少なくとも55℃の融点を有し、キャリア(b)は少なくとも55℃の融点を有し、エマルジョンは少なくとも55℃の温度であり、その温度でエマルジョンは自由流動性液体である。
【0127】
好適には、成分(a)は少なくとも60℃の融点を有し、キャリア(b)は少なくとも60℃の融点を有し、エマルジョンは少なくとも60℃の温度であり、その温度でエマルジョンは自由流動性液体である。
【0128】
好適には本方法のステップ(i)において、エマルジョンは少なくとも60℃、好適には少なくとも70℃、好適には少なくとも75℃、好適には少なくとも80℃、好適には少なくとも85℃の温度である。
【0129】
好適には本方法のステップ(i)においてエマルジョンは、最大100℃、好適には最大95℃、好適には最大90℃の温度である。
【0130】
好適には本方法のステップ(i)において、エマルジョンは80℃~95℃の範囲、好適には85℃~90℃の範囲の温度である。
【0131】
好適には、エマルジョンは水中油型エマルジョンである。
【0132】
エマルジョンは、国際公開第2014/170641号に開示された方法に従って調製することができる。
【0133】
適切には、成分(a)は、選択された高温の水(e)に添加される。乳化剤(c)は、好適には界面活性剤(a)と同時に、または続いて添加される。キャリア(b)は、好適には界面活性剤(a)および乳化剤(c)の添加後に水に添加される。キャリアの前の乳化剤の水中への添加は、直ちにキャリアを乳化し始め、そうでなければ方法を妨害する可能性がある膜の形成を防止することを意味する。
【0134】
他の成分が存在する場合には、都合のよいときに添加することが好ましい。しばしば、界面活性剤と共にまたはその前に、それらを水に添加することが好適である。
【0135】
適切には、エマルジョンは、成分(a)~(e)を効果的に乳化および混合するために、ステップ(i)において完全に撹拌される。
【0136】
この第2の態様の方法では、エマルジョンは、固体ヘアコンディショナー組成物の含水量と比較して過剰な水を含有することが重要である。過剰の水の存在は、塊の温度を制御することを可能にする。水は、典型的には冷却および凝固の間の蒸発によってエマルジョンから失われる。これは噴霧乾燥機、またはエマルジョンを液滴またはペレットに分離し、これらを空気に曝露し、そしてこれらが冷却することにつれて急速に熱を失い得る任意の他の方法を使用することによって実施され得る。
【0137】
適切には、水成分(e)は、エマルジョンの少なくとも12重量%、適切にはエマルジョンの少なくとも16重量%または少なくとも20重量%を提供する。
【0138】
適切には、水成分(e)は、エマルジョンの最大40重量%、適切にはエマルジョンの最大30重量%、適切には最大26重量%、または最大24重量%を提供する。
【0139】
適切には、水成分(e)は、エマルジョンの12~30重量%、適切にはエマルジョンの16~26重量%、適切には18~26重量%、または20~24重量%を提供する。
【0140】
好ましくは、製造方法に使用される水の量は、固体ヘアコンディショナー組成物中に存在する水の量よりも少なくとも30%高く、好ましくは少なくとも40%高く、好ましくは少なくとも50%高く、好ましくは少なくとも60%高く、いくつかの好ましい実施形態では少なくとも70%高くなる。いくつかの特に好ましい実施形態では、水の量は、固体ヘアコンディショナー組成物中の水の量よりも少なくとも100%高く、少なくとも125%高くてもよい。
【0141】
適切には、ステップ(i)におけるエマルジョン中に最初に存在する水の量は、ステップ(ii)後の固体ヘアコンディショナー組成物中に存在する水の量よりも少なくとも40%高い。
【0142】
好ましくは、製造方法に使用される水の量は、固体ヘアコンディショナー組成物中に存在する水の量よりも300%以下高く、好ましくは250%以下高く、好ましくは200%以下高く、または100%以下高い。
【0143】
上記規定は、製造プロセスにおいて使用される水の量(すなわち、エマルジョン中の水の量)を、固体ヘアコンディショナー組成物中に存在する水の量と比較していることに留意されたい。それらは、エマルジョン中の成分の総量に関して表されるエマルジョン中の水の量、または固体ヘアコンディショナー組成物中の成分の総量に関して表される固体ヘアコンディショナー組成物中の水の量を規定するものではない。
【0144】
この第2の態様の方法のステップ(ii)において、エマルジョンを冷却し、固化させて、微粒子、例えば、ヌードル、ペレット、フレークまたは粉末などを形成し、次いで、これらを塊に固結させ、ブロック、バー、タブレットなどに分離することができる。
【0145】
したがって、この第2の態様の方法は、固体ヘアコンディショナー組成物を、固体ヘアコンディショナー組成物のブロック、バーまたはタブレットに固結するステップ(iii)を含んでもよい。ステップ(iii)は、適切な機器上で押出(plodding)することによって実施することができる。固体ヘアコンディショナー組成物を、例えば押出によって、ブロック、バーまたはタブレットに固結するための方法および装置は、当技術分野で公知である。押出は、固体ヘアコンディショナー組成物のビレットを生成し得る。ステップ(iii)は、好適には冷却されたダイを用いて、このようなビレットを、固体ヘアコンディショナー組成物のブロック、バーまたはタブレットに打ち抜くことを含み得る。
【0146】
最終的に、コンディショナーバーの消費者に提供される製品は、従来のサイズ、例えば50~200g、典型的には80~130gのバーまたはタブレットであり得る。あるいは製品は、ヌードル、ペレット、粒子、フレーク、チップなどの形態で提供することができ、これらから製造業者は上記のようなバーまたはタブレットを製造することができる。
【0147】
粒子および得られた固体の固結塊は、異種ではなく、その微細構造が適切に均質である。好ましい実施形態では、固体ヘアコンディショナー材料への任意の成分の凝固後の添加はなく、全プロセスは好ましくは液相中で行われる。
【0148】
これまで使用されてきた方法による固体非石鹸パーソナルケアバーの製造は、石鹸バーの製造と比較して遅かった。これは、シンデットバーが石鹸バーと比較して高価である1つの理由である。固体ヘアコンディショナーバーの製造にもこの欠点がある。さらなる固体ヘアコンディショナーバーを製造するこの高いコストは、成分の比較的高いコストによって悪化し、特にバーがあまりに急速に摩耗する場合、そのような比較的高価な成分を無駄にしてしまい、または、あまりにもゆっくりと摩耗する場合、使用中に毛髪に十分な活性成分を提供できない。使用される成分およびプロセスパラメータのおかげで、第2の態様の方法は、従来の石鹸製造の機器および技術を本質的に使用することができ、予想されるよりも、固体ヘアコンディショナーバーの製造のための著しく高い生産効率をもたらす。さらに、本発明の固体ヘアコンディショナーバーは、有利には皮膚刺激性を最小限に抑えるための最適なpHを有し、また、上記活性成分の消耗を最小限に抑えながら、使用中の所望のコンディショニング性能のための活性成分の十分な放出を提供するための適切な摩耗速度を有することができる。
【0149】
本発明は、以下の実施例を参照して、例示としてさらに記載される。
【実施例
【0150】
実施例1
固体ヘアコンディショナーバー実施例1を、以下の成分および以下の手順を用いて形成した。成分の重量%は、エマルジョンを形成するために使用される量(2番目の欄)および形成後に固体ヘアコンディショナーバー中に存在する量(3番目の欄)で以下の表に示され、これは噴霧乾燥工程中に水のいくらかを除去することを伴う。
【0151】
【表1】
【0152】
ラウリルベタインは、30重量%のラウリルベタイン、63重量%の水および7重量%の塩を含有する34重量%のMackam LAB30を使用することによって提供された。上記の表中の水の大部分は、Mackam LAB30中に存在する水によって提供された。残りの水は、グルタミン酸二酢酸四ナトリウムの供給源に存在する水によって供給された。ベヘントリモニウムクロリドは20%IPA中で提供した。したがって、上記のイソプロピルアルコールは、ベヘントリモニウムクロリドの供給源によって提供された。
【0153】
使用した水添植物油は、ADM-SIO社から入手したVGB506MOLTENであった。
【0154】
使用したグリセリルオレエートMBは、プライム・サーファクタンツ社から入手したプライムサーフGMO RSPO MBであった。グリセロールオレエートMBのHLBは3.8である。
【0155】
使用したベヘントリモニウムクロリドは、クラリアント社から供給されたゲナミンKDMPまたはプライム・サーファクタンツ社から供給されたプライムサーフBTAC80であった。
【0156】
水を含むラウリルベタイン(Mackam LAB30)をグリセリルオレエートと混合し、90℃に加熱した。水添植物油を他の成分と一緒にこの混合物に添加し、混合物を溶融させたまま約5時間作業した。次いで、得られたエマルジョン、容易に流動可能な液体を、0.5mmメッシュを有する針板を通して2回ポンプで送り、粒子として凝固させた。処理のこの段階の間、水は蒸発によって失われ、それによって、得られた固体ヘアコンディショナー組成物に基づいて、含水量は約12重量%に減少した。粒子を冷却した後、独自の押出機(plodder)にかけた。典型的な押出機は、イタリア、ブスト・アルシーツィオのマッツォーニS.P.A.社によって製造されたDuplexモデルM400-2/M400-4押出機である。押出中、固体ヘアコンディショナー組成物の温度は、38℃~42℃に維持された。押出によって作製され、まだ38~42℃であるビレットを、チルドダイス上で棒状にプレスした。この装置を用いて製造された固体ヘアコンディショナー組成物は、この装置上で良好な加工性を有し、これは、従来の石鹸製造装置をより大規模に用いる高スループット製造に適していることを示している。
【0157】
固体ヘアコンディショナー組成物のpHは、市販のpHメーターを使用して、水中の組成物の40℃の10重量%溶液で試験したとき、7~8の範囲であった。
【0158】
得られた生成物は高品質であり、使用に完全に適していた。固体ヘアコンディショナー組成物バーは、繰り返し使用において十分な寿命を有しながら、有効なコンディショナー性能にとって許容される摩耗速度を有した。
【0159】
実施例2
実施例2の固体ヘアコンディショナーバーは以下の成分から、実施例1について上述したのと同じ手順を用いて形成した。
【0160】
【表2】
【0161】
使用したグリセリルモノステアレートは、プライム・サーファクタンツ社から供給されたプライムサーフGMS NE40顆粒RSPO MBであった。グリセリルモノステアレートのHLBは約3.8である。
【0162】
実施例1と同様に、得られた固体ヘアコンディショナー組成物バーは高品質であり、使用に完全に適しており、有効なコンディショナー性能にとって許容可能な摩耗速度を有し、一方、繰り返し使用において十分な寿命を有し、良好な加工性を有し、実施例1と同様のpHを有していた。
【0163】
実施例3
実施例3の固体ヘアコンディショナーバーは以下の成分から、実施例1について上述したのと同じ手順を用いて形成した。
【0164】
【表3】
【0165】
実施例1と同様に、得られた固体ヘアコンディショナー組成物バーは高品質であり、使用に完全に適しており、有効なコンディショナー性能にとって許容可能な摩耗速度を有し、一方、繰り返し使用において十分な寿命を有し、良好な加工性を有し、実施例1と同様のpHを有していた。
【0166】
実施例4
実施例4の固体ヘアコンディショナーバーは以下の成分から、実施例1について上述したのと同じ手順を用いて形成した。
【0167】
【表4】
【0168】
デュロソフトPG4L-SGは、英国、リーズのステファンソン・グループ・リミテッドの商標である。これは、パーム核油とポリグリセロール-4(平均Mw=250)とのエステルであり、8~10のHLB値を有する。
【0169】
実施例1と同様に、得られた固体ヘアコンディショナー組成物バーは高品質であり、使用に完全に適しており、有効なコンディショナー性能にとって許容可能な摩耗速度を有し、一方、繰り返し使用において十分な寿命を有し、良好な加工性を有し、実施例1と同様のpHを有していた。実施例4のこの固体ヘアコンディショナーバーは、所望の硬度および非常に少ない量の粗粒子を有していた。
【0170】
実施例5
実施例5の固体ヘアコンディショナーバーは以下の成分から、実施例1について上述したのと同じ手順を用いて形成した。
【0171】
【表5】
【0172】
クエン酸は、50重量%クエン酸水溶液の0.08重量%を使用することによって提供された。クエン酸を使用して、組成物のpHを調整した。
【0173】
実施例1と同様に、得られた固体ヘアコンディショナー組成物バーは高品質であり、使用に完全に適しており、有効なコンディショナー性能にとって許容可能な摩耗速度を有し、一方、繰り返し使用において十分な寿命を有し、良好な加工性を有する。実施例5のバーのpHは約6であった。
【0174】
実施例6
実施例6の固体ヘアコンディショナーバーを、以下の成分から、実施例1について上述したのと同じ手順を用いて形成した。39重量%のMackam LAB30を用いて、11.70重量%のラウリルベタイン、24.57重量%の水、および2.73重量%の塩化ナトリウムを得た。
【0175】
【表6】
【0176】
実施例1と同様に、得られた固体ヘアコンディショナー組成物バーは高品質であり、使用に完全に適しており、有効なコンディショナー性能にとって許容可能な摩耗速度を有し、一方、繰り返し使用において十分な寿命を有したが、バーはわずかに柔らかく、それらの摩耗速度は実施例1のバーよりも高かった。
【0177】
実施例6の固体ヘアコンディショナー組成物バーは良好な加工性を有し、実施例1と同様のpHを有した。
【0178】
実施例7
実施例7の固体ヘアコンディショナーバーを、以下の成分から、実施例1について上述したのと同じ手順を使用して形成した。37.5重量%のMackam LAB30を使用して、11.25重量%のラウリルベタイン、23.63重量%の水、および2.63重量%の塩化ナトリウムを得た。
【0179】
【表7】
【0180】
実施例1と同様に、得られた固体ヘアコンディショナー組成物バーは高品質であり、使用に完全に適しており、有効なコンディショナー性能にとって許容可能な摩耗速度を有し、一方、繰り返し使用において十分な寿命を有するが、バーは柔らかく、それらの摩耗速度は実施例1のバーよりも高かった。
【0181】
実施例7の固体ヘアコンディショナー組成物バーは良好な加工性を有し、実施例1と同様のpHを有した。
【0182】
実施例8
実施例8の固体組み合わせヘアシャンプーおよびコンディショナー組成物(2イン1)を、以下の成分から、実施例1について上述したのと同じ手順を用いて形成した。9重量%のMackam LAB30を用いて、2.7重量%のラウリルベタイン、5.67重量%の水および0.63重量%の塩化ナトリウムを得た。非石鹸アニオン性界面活性剤としてSCIを含めた。
【0183】
【表8】
【0184】
ピュアアクトI-78は、イギリス、エレスメア・ポートのイノスペック・パフォーマンス・ケミカルズの商標である。その主成分は、ナトリウムココイルイセチオネート(SCI)83~89重量%であり、一般に、<1重量%の水、<14重量%のココナッツ脂肪酸および4~7重量%のナトリウムイセチオネートも有する。
【0185】
得られた固体組み合わせヘアシャンプーおよびコンディショナー組成物バーは高品質であり、使用に完全に適しており、有効なシャンプーおよびコンディショナー性能にとって許容される摩耗速度を有し、一方、繰り返し使用において十分な寿命を有し、良好な加工性を有し、約6のpHを有した。
【0186】
実施例9
実施例9の固体組み合わせヘアシャンプーおよびコンディショナー組成物バーを、以下の成分から、実施例1について上述したのと同じ手順を用いて形成した。9重量%のMackam LAB30を用いて、2.7重量%のラウリルベタイン、5.67重量%の水および0.63重量%の塩化ナトリウムを得た。非石鹸アニオン性界面活性剤としてSCIを含めた。
【0187】
【表9】
【0188】
得られた固体組み合わせヘアシャンプーおよびコンディショナー組成物バーは高品質であり、使用に完全に適しており、有効なシャンプーおよびコンディショナー性能にとって許容される摩耗速度を有し、一方、繰り返し使用において十分な寿命を有し、良好な加工性を有し、約6のpHを有した。
【0189】
実施例10
実施例10の固体ヘアコンディショナーバーは以下の成分から、実施例1について上述したのと同じ手順を用いて形成した。
【0190】
【表10】
【0191】
実施例1と同様に、得られた固体ヘアコンディショナー組成物バーは高品質であり、使用に完全に適しており、有効なコンディショナー性能にとって許容可能な摩耗速度を有し、一方、繰り返し使用において十分な寿命を有し、良好な加工性を有し、実施例1と同様のpHを有していた。
【0192】
実施例11
実施例11の固体ヘアコンディショナーバーは以下の成分から、実施例1について上述したのと同じ手順を用いて形成した。
【0193】
【表11】
【0194】
実施例1と同様に、得られた固体ヘアコンディショナー組成物バーは高品質であり、使用に完全に適しており、有効なコンディショナー性能にとって許容可能な摩耗速度を有し、一方、繰り返し使用において十分な寿命を有し、良好な加工性を有し、実施例1と同様のpHを有していた。
【0195】
実施例12
実施例12の固体ヘアコンディショナーバーは以下の成分から、以下に記載の手順を用いて形成した。
【0196】
【表12】
【0197】
15重量%のMackam LAB30を使用して、4.50重量%のラウリルベタイン、9.75重量%の水および0.75重量%の塩化ナトリウムを得た。
【0198】
ナトリウムステアロイルグルタメートおよびナトリウムココイルグルタメートは、非石鹸アニオン性界面活性剤として含まれ、両方ともアミノ酸ベースのアニオン性界面活性剤であった。使用したナトリウムステアロイルグルタメートは、味の素オムニケム社から入手可能なアミソフトHSであった。使用したナトリウムココイルグルタメートは、味の素オムニケム社から入手可能なアミソフトCSであった。
【0199】
使用した塩化ナトリウムは、20重量%塩化ナトリウム水溶液の2.50重量%であった。
【0200】
使用したクエン酸は、50重量%クエン酸水溶液の0.05重量%であった。
【0201】
グアーHPTMクロリドは、ソルベイ社から入手可能なジャグアーC162によって提供された。
【0202】
他の成分は上記の通りであった。
【0203】
エマルジョンの総含水量は、Mackam LAB30中に存在する水、塩化ナトリウム溶液、クエン酸溶液、および13.15重量%添加水によって提供された。
【0204】
グアーHPTMクロリドおよびグリセリンを室温で30分間撹拌した。13.15重量%の水を加え、撹拌を15分間続けた。次いで、塩化ナトリウムおよびクエン酸溶液を加え、混合物を90℃に加熱した。ラウリルベタインMB、ナトリウムステアロイルグルタメートおよびナトリウムココイルグルタメートをこの混合物に添加し、次いで、水添ヒマワリ油およびオレイン酸グリセリルMBを添加し、90℃で再循環しながら30分間加熱を続け、上記の組成を有するエマルジョンを得た。
【0205】
エマルジョンを、実施例1について上述した方法を用いてバーに形成した。
【0206】
実施例1と同様に、得られた固体ヘアコンディショナー組成物バーは高品質であり、使用に完全に適しており、有効なコンディショナー性能にとって許容可能な摩耗速度を有し、一方、繰り返し使用において十分な寿命を有し、良好な加工性を有し、実施例1と同様のpHを有していた。
【0207】
要約すると、本発明は、固体ヘアコンディショナー組成物を提供する。組成物は、成分(a)少なくとも2重量%の非イオン性または両性界面活性剤、(b)少なくとも0.1重量%のヘアコンディショニング剤、(c)少なくとも45℃の融点を有する少なくとも30重量%のキャリア、(d)少なくとも1重量%の乳化剤、および(e)少なくとも3重量%の水を含み、組成物は、0℃~40℃の範囲全体にわたって固体である。組成物は、良好なコンディショニング性能、感触および摩耗速度、所望のpHを有する固体ヘアコンディショナーバーを提供することができ、従来の石鹸製造方法および装置を使用して製造することができる。固体ヘアコンディショナー組成物の製造方法、および固体ヘアコンディショナー組成物を調製するためのエマルジョンも提供される。
【0208】
いくつかの好ましい実施形態が示され、説明されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正が行われ得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0209】
本明細書を通して、「含む(comprising)」または「含む(comprise)」という語は特定された成分を含む意味であり、他の成分の存在を排除するものではない。「本質的に・・・からなる(consisting essentially of)」または「本質的に・・・からなる(consists essentially of)」とは、特定された成分を含む意味であって、他の成分(ただし、不純物として存在する物質、上記成分を提供するための工程の結果として存在する不可避の物質、および本発明の技術的効果を達成する以外の目的のために添加された成分を除く)を排除する意味である。典型的には組成物に言及する場合、成分のセットから本質的になる組成物は5重量%未満、典型的には3重量%未満、より典型的には1重量%未満の非特定成分を含む。
【0210】
「からなる(consisting of)」または「からなる(consists of)」とは、特定された成分を含み、他の成分の付加を排除する意味である。
【0211】
適宜、文脈に応じて、用語「含む(comprising)」または「含む(comprise)」の使用は、「本質的に・・・からなる(consisting essentially of)」または「本質的に・・・からなる(consists essentially of)」という意味を包含するものとみなすこともでき、また「からなる(consisting of)」または「からなる(consists of)」という意味を包含するものとみなすこともできる。
【0212】
疑義を避けるために、組成物中の成分の量が重量%で記載された場合、これは言及された組成物全体に対する特定の成分の重量パーセントを意味する。
【0213】
本明細書に記載の任意の特徴は、適切な場合には個々に、または互いに組み合わせて、特に、添付の特許請求の範囲に記載の組み合わせで使用することができる。本明細書に記載された本発明の各態様または例示的実施形態の任意選択の特徴は、必要に応じて、本発明の任意の他の態様または例示的実施形態に適用可能であると読まれるべきである。言い換えれば、本明細書を読む当業者は、本発明の各例示的な実施形態のための任意選択の特徴を、異なる例示的な実施形態間で交換可能かつ組み合わせ可能であると見なすべきである。
【0214】
本出願に関連して本明細書と同時に、または本明細書の前に提出され、本明細書との公衆の閲覧に供されるすべての論文および文書に注目し、すべてのそのような論文および文書の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0215】
本明細書(添付の特許請求の範囲および図面を含む)に開示されたすべての特徴、および/またはこのように開示された方法もしくはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴および/またはステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0216】
本明細書(添付の特許請求の範囲および図面を含む)に開示されている各特徴は、明示的に別段の記載がない限り、同一、同等または類似の目的を果たす代替的な特徴に置き換えることができる。したがって、明示的に別段の記載がない限り、開示されている各特徴は、同等または類似の特徴の一般的な一連の一例にすぎない。
【0217】
本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲および図面を含む)に開示された特徴の新規なもの、または新規な組み合わせ、あるいはこのように開示された方法またはプロセスのステップの新規なもの、または新規な組み合わせに及ぶ。
【国際調査報告】