(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】電流測定デバイス
(51)【国際特許分類】
G01R 15/20 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G01R15/20 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520885
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 CN2022118642
(87)【国際公開番号】W WO2023056827
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】202111172335.8
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514116947
【氏名又は名称】江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MULTIDIMENSION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building D & E, No.2 Guangdong Road,Zhangjiagang Free Trade Zone,Zhangjiagang,Jiangsu,215634 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グオ、ハイピン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チン
(72)【発明者】
【氏名】チン、イエ
(72)【発明者】
【氏名】シェン、ウェイホン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ、ソンション
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA04
2G025AB01
2G025AC01
(57)【要約】
3つ以上の異なる位置を備え、各位置が少なくとも2個の磁気抵抗器を有する、電流測定デバイス。2個の磁気抵抗器は、第1の検知方向と反対向きの第2の検知方向とをそれぞれ有する、2個の磁気抵抗器である。設定された範囲内で、磁気抵抗器の抵抗値は、磁気抵抗器が位置する位置の磁場と線形の関係にある。異なる位置にある全ての磁気抵抗器の検知方向は、同じであるかまたは反対である。測定対象磁場は磁気抵抗器の検知方向の成分を有する。少なくとも1つの位置において、上記磁場の検知方向の成分は、他の位置における上記磁場の検知方向の成分とは異なる。全ての磁気抵抗器は電気接続されて、出力信号が上記磁場の信号を含み、第1の事前設定された強度未満の干渉磁場信号を含まないかまたは含む、抵抗器ネットワークを形成する。電流測定デバイスは、電流測定への干渉磁界の干渉を排除する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個の異なる位置を備え、各位置には少なくとも2個の磁気抵抗器を備え、Nは3以上である、電流測定デバイスであって、
同じ位置にある2個の該磁気抵抗器は第1の検知方向を有する磁気抵抗器と第2の検知方向を有する磁気抵抗器とを備え、該第1の検知方向と該第2の検知方向は反対であり、該磁気抵抗器の抵抗値は設定された範囲内で該磁気抵抗器が配置されている該位置の磁場と線形の関係にあり、
該N個の異なる位置にある全ての該磁気抵抗器の該検知方向は同じかまたは反対であり、測定対象磁場は該磁気抵抗器の該検知方向の成分を有し、
少なくとも1つの位置における該測定対象磁場の該検知方向の該成分は、他の位置における該測定対象磁場の該検知方向の該成分とは異なっており、
全ての該磁気抵抗器は電気接続されて抵抗器ネットワークを形成しており、該抵抗器ネットワークの出力信号は該測定対象磁場の信号を含み、第1の事前設定された強度未満の干渉磁場信号を含まないかまたは含み、該干渉磁場信号は均一な干渉磁場と勾配のある干渉磁場とを備える、電流測定デバイス。
【請求項2】
前記N個の異なる位置は同一直線上に分布している、請求項1に記載の電流測定デバイス。
【請求項3】
前記N個の異なる位置は等間隔に配置されるように分布している、請求項1に記載の電流測定デバイス。
【請求項4】
前記抵抗器ネットワークは電源端子とグランド端子と出力端子とを有する、請求項1に記載の電流測定デバイス。
【請求項5】
前記抵抗器ネットワークの構造は少なくとも2個のハーフ・ブリッジ構造を備え、該ハーフ・ブリッジ構造は上側ブリッジ・アームと下側ブリッジ・アームとによって形成されており、該上側ブリッジ・アームの一方の端子は前記電源端子に電気接続されており、該下側ブリッジ・アームの一方の端子は前記グランド端子に電気接続されており、該上側ブリッジ・アームの他方の端子と該下側ブリッジ・アームの他方の端子はいずれも前記出力端子に電気接続されており、
該ハーフ・ブリッジ構造のいずれにおいても、該上側ブリッジ・アーム中の前記磁気抵抗器は1つまたは複数の位置に磁気抵抗器を備え、該上側ブリッジ・アーム中の前記磁気抵抗器は同じ検知方向を有し、該下側ブリッジ・アーム中の前記磁気抵抗器は1つまたは複数の位置に磁気抵抗器を備え、該下側ブリッジ・アーム中の前記磁気抵抗器は同じ検知方向を有し、該上側ブリッジ・アーム中の前記磁気抵抗器の検知方向は該下側ブリッジ・アーム中の前記磁気抵抗器の検知方向とは異なる、請求項4に記載の電流測定デバイス。
【請求項6】
電流線を更に備え、該電流線は測定対象磁場を、該電流線の電流の大きさおよび方向を反映するように発生させ、
前記抵抗器ネットワークの前記構造は、前記抵抗器ネットワークの出力信号が、該測定対象磁場の信号を含み、第1の事前設定された強度未満の干渉磁場信号を含まないかまたは含むことを可能にするために使用され、その結果前記電流測定デバイスは、干渉磁場の影響を受けることなく、該電流線の該電流の該大きさおよび方向を反映するようになる、請求項5に記載の電流測定デバイス。
【請求項7】
Nが3であり、前記N個の異なる位置が順に第1の位置、第2の位置、および第3の位置であり、
該第1の位置および該第3の位置にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成しており、
該第1の位置および該第3の位置にあるその他の磁気抵抗器は電気接続されて前記第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成しており、
該第2の位置にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成しており、
該第2の位置にあるその他の磁気抵抗器は電気接続されて該第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成しており、
前記電流線の前記電流の前記大きさおよび方向が反映されるように、該第1のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号と該第2のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号とが組み合わされている、請求項6に記載の電流測定デバイス。
【請求項8】
Nが3であり、前記N個の異なる位置が順に第1の位置、第2の位置、および第3の位置であり、
該第1の位置にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成しており、
該第1の位置にある他の磁気抵抗器は電気接続されて該第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成しており、
該第2の位置にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成しており、
該第2の位置にあるその他の磁気抵抗器は電気接続されて該第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成しており、
該第3の位置にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて第3のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成しており、
該第3の位置にある他の磁気抵抗器は電気接続されて該第3のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成しており、
前記電流線の前記電流の前記大きさおよび方向が反映されるように、該第1のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号と、該第2のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号と、該第3のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号とが組み合わされている、請求項6に記載の電流測定デバイス。
【請求項9】
Nが4であり、前記N個の異なる位置が順に第1の位置、第2の位置、第3の位置、および第4の位置であり、
該第1の位置および該第4の位置にある前記磁気抵抗器は電気接続されて第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成しており、
該第1の位置および該第4の位置にある前記磁気抵抗器は電気接続されて該第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成しており、
該第2の位置および該第3の位置にある前記磁気抵抗器は電気接続されて第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成しており、
該第2の位置および該第3の位置にある前記磁気抵抗器は電気接続されて該第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成しており、
前記電流線の前記電流の前記大きさおよび方向が反映されるように、該第1のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号と該第2のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号とが組み合わされている、請求項6に記載の電流測定デバイス。
【請求項10】
前記磁気抵抗器が電気接続されて前記ハーフ・ブリッジ構造が形成されている電気接続の形態は、直列電気接続および/または並列電気接続である、請求項7から9のいずれか一項に記載の電流測定デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は磁気センサの技術分野に関し、特に電流測定デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電流測定は、電力システム、風力発電、太陽光発電、周波数変換器、鉄道輸送、産業用制御、および他の産業において、常に一般的かつ重要なものとして要請されてきた。今日、人工知能およびスマートなモノのインターネットの急速な発展に伴い、電流測定に対する需要が大幅に増加しているが、一方で、電流測定モジュールの性能パラメータにはより高い課題が突き付けられている。
【0003】
電流センサは測定対象電流の大きさを、その電流によって発生する磁場の大きさを検出することによって検出する。しかしながら多くの場合、環境中には干渉磁場が存在し、これにより電流センサの感度が低くなり、性能が不安定になる。干渉磁場の影響を低減するために、磁気シールドを使用して検出正確度を改善することができる。「ELECTRICAL CURRENT SENSOR」と題する特許出願第CN109313223A号には電流センサのある実施形態が提案されているが、これは、磁気検出要素の周囲にあり磁気検出要素および電流経路を挟み、以って磁気検出要素に対する外部磁束の影響をシールドするように構成されている、少なくとも2個の磁気シールドを含む。「ELECTRICAL CURRENT SENSOR」と題する特許出願第CN111308154A号は、異なる物理的位置にある2個のセンサを含む。処理回路は磁気センサに接続され、2つのセンサの信号の差に基づいて電流を決定し、電流センサは外部の干渉場の影響を受けないようになっている。
【0004】
磁気シールドによってセンサのサイズが大きくなる傾向があり、またセンサの構成および回路処理においても複数の追加の構成要素が導入されるが、これらはいずれも試験システムを複雑にし、コストを増加させる。一方で、上記の処理回路が扱えるのは、干渉磁場が均一な外部の場である状況だけである。しかしながら実際の用途では多くの場合、多種多様な形態の外部の干渉場、特に不均一な外部の場が存在する。不均一な外部の場からの干渉は電流検出の正確度に影響を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、干渉磁場からの干渉に関する既存の電流センサの問題を解決するための電流測定デバイスを提供する。
【0006】
本発明の実施形態は、N個の異なる位置を含む電流測定デバイスであって、各位置に少なくとも2個の磁気抵抗器が存在し、Nが3以上である、電流測定デバイス、を提供する。
【0007】
同じ位置にある2個の磁気抵抗器は第1の感知方向を有する磁気抵抗器と第2の感知方向を有する磁気抵抗器とを含み、第1の感知方向と第2の感知方向は反対であり、磁気抵抗器の抵抗値は、設定された範囲内で、磁気抵抗器が配置されている位置の磁場と線形の関係にある。
【0008】
N個の異なる位置にある全ての磁気抵抗器の感知方向は同じかまたは反対であり、測定対象磁場は磁気抵抗器の感知方向の成分を有する。
【0009】
少なくとも1つの位置での感知方向における測定対象磁場の成分は、他の位置での感知方向における測定対象磁場の成分とは異なる。
【0010】
全ての磁気抵抗器が電気接続されて、抵抗器ネットワークが形成されている。抵抗器ネットワークの出力信号は、測定対象磁場の信号を含み、第1の事前設定された強度未満の干渉磁場信号を含まないかまたは含む。干渉磁場信号は均一な干渉磁場と勾配のある干渉磁場とを含む。
【0011】
更に、N個の異なる位置は同一直線上に分布している。
【0012】
更に、N個の異なる位置は等間隔に配置されている。
【0013】
更に、抵抗器ネットワークは電源端子とグランド端子と出力端子とを有する。
【0014】
更に、抵抗器ネットワークの構造は、少なくとも2個のハーフ・ブリッジ構造を含む。ハーフ・ブリッジ構造は上側ブリッジ・アームと下側ブリッジ・アームとによって形成される。上側ブリッジ・アームの一方の端子は電源端子に電気接続され、下側ブリッジ・アームの一方の端子はグランド端子に電気接続され、上側ブリッジ・アームの他方の端子および下側ブリッジ・アームの他方の端子はいずれも出力端子に電気接続される。
【0015】
ハーフ・ブリッジ構造のいずれにおいても、上側ブリッジ・アーム中の磁気抵抗器は1つまたは複数の位置に磁気抵抗器を含み、上側ブリッジ・アーム中の磁気抵抗器は同じ感知方向を有し、下側ブリッジ・アーム中の磁気抵抗器は1つまたは複数の位置に磁気抵抗器を含み、下側ブリッジ・アーム中の磁気抵抗器は同じ感知方向を有する。上側ブリッジ・アーム中の磁気抵抗器の感知方向は、下側ブリッジ・アーム中の磁気抵抗器の感知方向とは異なる。
【0016】
更に、電流測定デバイスは電流線も含み、この電流線は測定対象磁場を、電流線の電流の大きさおよび方向を反映するように発生させる。
【0017】
抵抗器ネットワークの構造は、抵抗器ネットワークの出力信号が、測定対象磁場の信号を含み、第1の事前設定された強度未満の干渉磁場信号を含まないかまたは含むことを可能にするために使用され、その結果電流測定デバイスは、干渉磁場の影響を受けることなく、電流線の電流の大きさおよび方向を反映するようになる。
【0018】
更に、Nは3であり、N個の異なる位置は順に、第1の位置、第2の位置、および第3の位置である。
【0019】
第1の位置および第3の位置にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて、第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。
【0020】
第1の位置および第3の位置にあるその他の磁気抵抗器は電気接続されて、第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。
【0021】
第2の位置にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて、第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。
【0022】
第2の位置にあるその他の磁気抵抗器は電気接続されて、第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。
【0023】
電流線の電流の大きさおよび方向が反映されるように、第1のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号と第2のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号とが組み合わされる。
【0024】
更に、Nは3であり、N個の異なる位置は順に、第1の位置、第2の位置、および第3の位置である。
【0025】
第1の位置にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて、第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。
【0026】
第1の位置にある他の磁気抵抗器は電気接続されて第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。
【0027】
第2の位置にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて、第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。
【0028】
第2の位置にあるその他の磁気抵抗器は電気接続されて、第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。
【0029】
第3の位置にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて、第3のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。
【0030】
第3の位置にある他の磁気抵抗器は電気接続されて、第3のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。
【0031】
第1のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号、第2のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号、および第3のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号が組み合わされて、電流線の電流の大きさおよび方向が反映されるようになっている。
【0032】
更に、Nは4であり、N個の異なる位置は順に、第1の位置、第2の位置、第3の位置、および第4の位置である。
【0033】
第1の位置および第4の位置にある磁気抵抗器は電気接続されて、第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。
【0034】
第1の位置および第4の位置にある磁気抵抗器は電気接続されて、第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。
【0035】
第2の位置および第3の位置にある磁気抵抗器は電気接続されて、第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。
【0036】
第2の位置および第3の位置にある磁気抵抗器は電気接続されて、第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。
【0037】
電流線の電流の大きさおよび方向が反映されるように、第1のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号と第2のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号とが組み合わされる。
【0038】
更に、磁気抵抗器が電気接続されてハーフ・ブリッジ構造が形成されている電気接続の形態は、直列電気接続および/または並列電気接続である。
【0039】
本発明のこれらの実施形態では、電流測定デバイスはN個の異なる位置を含み、各位置には少なくとも2個の磁気抵抗器が存在し、Nは3以上である。同じ位置にある2個の磁気抵抗器は第1の感知方向を有する磁気抵抗器と第2の感知方向を有する磁気抵抗器とを含み、第1の感知方向と第2の感知方向は反対であり、磁気抵抗器の抵抗値は、設定された範囲内で、磁気抵抗器が配置されている位置の磁場と線形の関係にある。N個の異なる位置にある全ての磁気抵抗器の感知方向は同じかまたは反対であり、測定対象磁場は磁気抵抗器の感知方向の成分を有する。少なくとも1つの位置における測定対象磁場の感知方向の成分は、他の位置における測定対象磁場の検知方向の成分とは異なっている。全ての磁気抵抗器が電気接続されて、抵抗器ネットワークが形成されている。抵抗器ネットワークの出力信号は、測定対象磁場の信号を含み、第1の事前設定された強度未満の干渉磁場信号を含まないかまたは含む。干渉磁場信号は均一な干渉磁場と勾配のある干渉磁場とを含む。本発明の実施形態では、電流測定デバイスによって出力される信号には干渉磁場信号が含まれないかまたはほとんど含まれず、このため電流測定に対する干渉磁場の干渉が効果的に排除または低減され、電流の正確な検出が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明の実施形態または先行技術における技術的解決法をより明確に説明するために、以下でそれら実施形態または先行技術の説明で使用する必要のある図面への簡単な導入を行う。自明のことであるが、以下の説明中の図面には本発明のいくつかの具体的な実施形態が描かれているが、当業者であれば、本発明の様々な実施形態によって開示され提示されているデバイスの構造、駆動方法、および製造方法の基本概念に基づいて、他の構造および図面への拡張および展開を行うことができ、これらは全て本発明の特許請求の範囲内にあるものとする。
【0041】
【
図1】既存の電流センサにおける磁気抵抗器間の接続を示す概略図である。
【
図2】本発明のある実施形態によって提供される電流測定デバイス中の、磁気抵抗器の位置の概略図である。
【
図3】本発明のある実施形態によって提供される電流測定デバイス中の、干渉防止ブリッジ構造の概略図である。
【
図4】本発明のある実施形態によって提供される別の電流測定デバイス中の、干渉防止ブリッジ構造の概略図である。
【
図5】本発明のある実施形態によって提供される更に別の電流測定デバイス中の、干渉防止ブリッジ構造の概略図である。
【
図6】本発明のある実施形態によって提供される更に別の電流測定デバイス中の、磁気抵抗器の位置の概略図である。
【
図7】本発明のある実施形態によって提供されるまた更に別の電流測定デバイス中の、干渉防止ブリッジ構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の目的を達成し本発明の技術的解決法および利点をより明確にするために、本発明の技術的解決法を、本発明の実施形態についての添付の図面を参照した詳細な説明を通して、明確かつ完全に説明する。自明のことであるが、記載されている実施形態は本発明の実施形態のうちの一部であって、全部ではない。本発明の実施形態によって開示され提示されている基本概念に基づく場合、当業者によって得られる他の全ての実施形態は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0043】
図1を参照すると、これは既存の電流センサにおける磁気抵抗要素間の接続を示す概略図である。任意選択で、電流センサは電流測定用の線形電流センサである。
図1に示すように、電流センサは少なくとも2個のハーフ・ブリッジを含む。一方のハーフ・ブリッジは磁気抵抗器R11およびR12を含み、他方のハーフ・ブリッジには磁気抵抗器R13およびR14を含む。同じハーフ・ブリッジ上に配置された磁気抵抗器の検知方向は反対であり、異なるハーフ・ブリッジ上に対角線方向に配置された磁気抵抗器の検知方向は同じである。自明のことであるが、磁気抵抗器R11およびR12の検知方向は反対であり、R13およびR14の検知方向は反対であり、磁気抵抗器R11およびR14の検知方向は同じであり、R13およびR12の検知方向は同じである。
【0044】
電流センサはビオ・サバールの法則を用いて電流を測定する。一般的に言えば、通電された真っ直ぐな電線の電流をIとすると、この電線から垂直距離rにおける磁場強度はHであり、すなわちH=I/(2πr)である。電流センサ中の磁気抵抗器は、プロセス全体にわたって、その抵抗値が特定の範囲内で、磁気抵抗器が配置されている位置の磁場の強度と正の相関を有するように設計されている。同じハーフ・ブリッジ上の磁気抵抗器R11およびR12の感知軸線は方向が反対であるため、距離rにある2個の磁気抵抗器の抵抗値はそれぞれ以下のように計算できる:
R11=R0-kH=R0-kI/(2πr)、および
R12=R0+kH=R0+kI/(2πr)、
上式で、R0は磁場がない場合の磁気抵抗器の抵抗値であり、kは定数である。
【0045】
このとき、電流センサのフル・ブリッジ信号出力値Vfは以下のように計算できる:
【数1】
上式でVccは電源電圧である。自明のことであるが、出力信号Vfの式から、電流センサの出力信号Vfが、通電された真っ直ぐな電線の電流Iと正の相関を有することが分かる。言い換えれば、電流センサの出力信号Vfは、電流センサ付近の磁場の強度と正の相関を有する。最後に、電流強度の大きさを出力電圧信号に基づいて求めることができる。
【0046】
しかしながら、実際の用途では、電流センサ中の磁気抵抗器によって検出される磁場信号は、電流によって発生する誘導磁場だけでなく、干渉磁場も含まれる。したがって、電流センサの出力信号は干渉磁場からのノイズも含み、これが試験正確度に影響を与える。複数の磁気抵抗器を含む電流センサでは、磁気抵抗器間の間隔が比較的小さいため、この小さな範囲内では、不均一な干渉磁場を、ほぼ一様に変化する線形干渉磁場とみなすことができる。
【0047】
本発明の実施形態によって提供される電流測定デバイスは、この小さな範囲内で一様に変化する線形干渉磁場による誤差を排除し、電流測定に対する干渉場の影響を低減することができる。特に、本発明の実施形態は、他の構成要素を導入せずに干渉防止ブリッジ構造を提供し、そのセンサ出力は勾配のある干渉磁場および均一な干渉磁場の両方からの影響を排除しており、検出正確度を改善し、様々な用途シナリオに適している。特に、本発明の実施形態は、正確な電流測定を達成し、勾配のある干渉磁場および均一な干渉磁場からの影響を排除することのできる、ブリッジ構造および電流線構成を提案する。以下では、電流測定デバイスの構造およびその中の干渉防止ブリッジ構造について詳しく説明する。
【0048】
図2を参照すると、これは本発明のある実施形態によって提供される電流測定デバイス中の、磁気抵抗器の位置の概略図である。本発明のこの実施形態によって提供される電流測定デバイスはN個の異なる位置を含み、各位置には少なくとも2個の磁気抵抗器が存在し、Nは3以上である。同じ位置にある2個の磁気抵抗器は第1の検知方向を有する磁気抵抗器と第2の検知方向を有する磁気抵抗器とを含み、第1の検知方向と第2の検知方向は反対であり、磁気抵抗器の抵抗値は、設定された範囲内で、磁気抵抗器が配置されている位置の磁場と線形の関係にある。N個の異なる位置にある全ての磁気抵抗器の検知方向は同じかまたは反対であり、測定対象磁場は磁気抵抗器の検知方向の成分を有する。少なくとも1つの位置における測定対象磁場の検知方向の成分は、他の位置における測定対象磁場の検知方向の成分とは異なっている。全ての磁気抵抗器が電気接続されて、抵抗器ネットワークが形成されている。抵抗器ネットワークの出力信号は、測定対象磁場の信号を含み、第1の事前設定された強度未満の干渉磁場信号を含まないかまたは含む。干渉磁場信号は均一な干渉磁場と勾配のある干渉磁場とを含む。
【0049】
この実施形態では、電流測定デバイスは少なくとも3個の異なる位置を含み、各位置には少なくとも2個の磁気抵抗器が存在し、Nは3以上である。同じ位置にある2個の磁気抵抗器は第1の検知方向を有する磁気抵抗器と第2の検知方向を有する磁気抵抗器とを含み、第1の検知方向と第2の検知方向は反対であり、磁気抵抗器の抵抗値は、設定された範囲内で、磁気抵抗器が配置されている位置の磁場と線形の関係にある。電流測定デバイスの位置が同じであることは、その位置で電流によって発生する磁場が同じであることを意味することが理解できる。
【0050】
任意選択で、N=3であれば、電流測定デバイスの3つの異なる位置は順にL1、L2、およびL3と表すことができる。位置L1には少なくとも2個の磁気抵抗器R1およびR2が設けられ、位置L2には少なくとも2個の磁気抵抗器R3およびR4が設けられ、位置L3には少なくとも2個の磁気抵抗器R5およびR5が設けられている。つまり、L1の位置において電流が発生させる磁場は同じであり、L2の位置において電流が発生させる磁場は同じであり、L3の位置において電流が発生させる磁場は同じであり、異なる位置において電流が発生させる磁場は異なる。同じ位置に配置されている磁気抵抗器R1およびR2の検知方向は反対であり、同じ位置に配置されている磁気抵抗器R3およびR4の検知方向は反対であり、同じ位置に配置されている磁気抵抗器R5およびR6の検知方向は反対である。電流測定デバイス中の磁気抵抗器の物理的位置および基準方向を
図2に示す。
【0051】
任意選択で、隣り合う位置の間の間隔が同じである場合には、L1とL2との間の間隔およびL2とL3との間の間隔は同じであり、これらの間隔はともにmである。
【0052】
N個の異なる位置にある全ての磁気抵抗器の検知方向は、同じであるかまたは反対である。例えば、3つの異なる位置にある磁気抵抗器R1、R3、およびR5の検知方向は同じであり、3つの異なる位置にある磁気抵抗器R2、R4、およびR6の検知方向は同じであるが、全ての磁気抵抗器の検知方向は、磁気抵抗器の物理的位置の配列方向と平行である。実際の設計では、全ての磁気抵抗器の検知方向と磁気抵抗器の物理的位置の配列方向は平行でなくてもよく、むしろ互いに交差する可能性のあることに留意されたい。
【0053】
測定対象磁場は、電流測定デバイスに電流が流れた後に発生する。測定対象磁場は各磁気抵抗器の検知方向の成分を有する。電流によって同じ位置で発生する磁場が同じであり、異なる位置で発生する磁場が異なる場合には、少なくとも1つの位置で検知される測定対象磁場の検知方向の成分は、他の位置における測定対象磁場の検知方向の成分とは異なることが知られている。
【0054】
電流測定デバイス中の全ての磁気抵抗器が電気接続されて、抵抗器ネットワークが形成されている。抵抗器ネットワークの出力信号は、測定対象磁場の信号を含み、第1の事前設定された強度未満の干渉磁場信号を含まないかまたは含む。干渉磁場信号は均一な干渉磁場と勾配のある干渉磁場とを含む。
【0055】
任意選択で、N個の異なる位置は同一直線上に分布している。任意選択で、N個の異なる位置は等間隔に配置されるように分布している。
【0056】
以下では、電流測定デバイスによる干渉磁場を排除または低減するプロセスについて、具体的な例で説明する。具体的には、電流測定デバイス中のN個の異なる位置にある磁気抵抗器が電気接続されて、ハーフ・ブリッジ構造が形成される。
【0057】
任意選択で、抵抗器ネットワークは、電源端子Vccと、グランド端子と、出力端子とを有する。任意選択で、抵抗器ネットワークの構造は、少なくとも2個のハーフ・ブリッジ構造を含む。ハーフ・ブリッジ構造は上側ブリッジ・アームと下側ブリッジ・アームとによって形成される。上側ブリッジ・アームの一方の端子は電源端子に電気接続され、下側ブリッジ・アームの一方の端子はグランド端子に電気接続され、上側ブリッジ・アームの他方の端子および下側ブリッジ・アームの他方の端子はいずれも出力端子に電気接続される。ハーフ・ブリッジ構造のいずれにおいても、上側ブリッジ・アーム中の磁気抵抗器は1つまたは複数の位置に磁気抵抗器を含み、上側ブリッジ・アーム中の磁気抵抗器は同じ検知方向を有し、下側ブリッジ・アーム中の磁気抵抗器は1つまたは複数の位置に磁気抵抗器を含み、下側ブリッジ・アーム中の磁気抵抗器は同じ検知方向を有する。上側ブリッジ・アーム中の磁気抵抗器の検知方向は、下側ブリッジ・アーム中の磁気抵抗器の検知方向とは異なる。任意選択で、磁気抵抗器が電気接続されてハーフ・ブリッジ構造が形成されている電気接続の形態は、直列電気接続および/または並列電気接続である。
【0058】
任意選択で、電流測定デバイスは電流線を更に含み、この電流線は測定対象磁場を、電流線の電流の大きさおよび方向を反映するように発生させる。抵抗器ネットワークの構造は、抵抗器ネットワークの出力信号が測定対象磁場の信号を含み、第1の事前設定された強度未満の干渉磁場信号を含まないかまたは含むことを可能にするように使用され、その結果電流測定デバイスは、干渉磁場の影響を受けることなく電流線の電流の大きさおよび方向を反映するようになる。
【0059】
任意選択的に、Nは3であり、N個の異なる位置は順に、第1の位置L1、第2の位置L2、および第3の位置L3である。第1の位置L1および第3の位置L3にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて、第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。第1の位置L1および第3の位置L3にあるその他の磁気抵抗器は電気接続されて、第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。第2の位置L2にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて、第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。第2の位置L2にあるその他の磁気抵抗器は電気接続されて、第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。電流線の電流の大きさおよび方向が反映されるように、第1のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号と第2のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号とが組み合わされる。
【0060】
図3を参照すると、これは本発明のある実施形態によって提供される電流測定デバイス中の、干渉防止ブリッジ構造の概略図である。
【0061】
図3に示すように、抵抗器ネットワークは、電源端子Vccと、グランド端子と、出力端子(V+およびV-)と、を有する。電流測定デバイス中の3個の磁気抵抗器群、すなわち6個の磁気抵抗器は、2個のハーフ・ブリッジ構造を形成するように接続されている。R1およびR5は第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成し、R2およびR6は第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成し、R3は第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成し、R4は第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成する。第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームと第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームの検知方向は同じであり、第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームと第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームの検知方向は同じであり、上側ブリッジ・アームと下側ブリッジ・アームの検知方向は反対である。
【0062】
電流測定デバイスに流れ込む電流の強度がIであるとすると、検知方向に存在する干渉場は、勾配のある干渉場Hg(単位距離ごとに変化する磁場)と均一な干渉磁場Huの合成場とみなすことができる。このことに基づいて以下が得られる:
R1=R0-aI-nHu、R2=R0+aI+nHu、
R3=R0-bI-n(Hu+Hg)、R4=R0+bI+n(Hu+Hg)、
R5=R0-cI-n(Hu+2Hg)、R6=R0+cI+n(Hu+2Hg)、
上式で、aは同じ位置にある磁気抵抗器R1およびR2の電流強度に対する感度であり、bは同じ位置にある磁気抵抗器R3およびR4の電流強度に対する感度であり、cは同じ位置にある磁気抵抗器R5およびR6の電流強度に対する感度である。R1、R3、およびR5の位置が異なるため、電流強度に対する3個の磁気抵抗器群の感度は必ずしも同じではない、つまり、a、b、およびcは完全に同じではない。nは干渉磁場に対する磁気抵抗器の感度である。
【0063】
このことに基づいて、電流測定デバイスは、第1のハーフ・ブリッジ構造の出力信号V+、および第2のハーフ・ブリッジ構造の出力信号v-を、それぞれ以下のように得ることができ、
【数2】
上述したように、第1のハーフ・ブリッジ構造の出力信号V+および第2のハーフ・ブリッジ構造の出力信号V-は、勾配のある干渉磁場Hgおよび均一な干渉磁場Huによって干渉される。
【0064】
ここで、V+およびV-に対して一次微分演算を行って、以下のように最終的な出力信号Voutを得る。
【数3】
上述したように、測定対象電流は、磁気抵抗器の検知方向に磁場成分を発生させる。磁気抵抗器の抵抗値は、磁気抵抗器のそれぞれの位置における測定対象電流の誘導磁場および干渉磁場の変化に伴って変化する。ハーフ・ブリッジ構造を通して対応する電圧信号が出力され、そこから電流の大きさを計算することができる。自明のことであるが、電流測定デバイスの最終的な出力信号Voutでは、勾配のある干渉磁場Hgおよび均一な干渉磁場Huからの干渉が排除されている。
【0065】
全ての磁気抵抗器が電気接続されて抵抗器ネットワークが形成された後では、抵抗器ネットワークの出力信号は干渉磁場信号を含まないか、または干渉磁場信号をほとんど含まないことが理解され得る。ここで、第1の事前設定された強度は、抵抗ネットワークの出力信号が干渉磁場信号を含まないかまたはほとんど含まないことを単に示すための、事前設定された最小強度値である。干渉磁場信号は均一な干渉磁場と勾配のある干渉磁場とを含む。
【0066】
その他の実施形態では、更に任意選択で、第1および第2のハーフ・ブリッジ構造における対応する位置の検知方向は、必ずしも同じではない。例えば、R3およびR4の検知方向を入れ替えることで、電流測定デバイスは、第1のハーフ・ブリッジ構造の出力信号V+および第2のハーフ・ブリッジ構造の出力信号V-をそれぞれ以下のように得ることができる。
【数4】
この構成では、電流測定デバイスの最終的な出力信号Voutは以下のようになる。
【数5】
自明のことであるが、電流測定デバイスの最終的な出力信号Voutでは、やはり勾配のある干渉磁場Hgおよび均一な干渉磁場Huからの干渉が排除されている。
【0067】
電流測定デバイスを実際に設計する場合、3つの物理的位置の間の距離はわずかに異なっていてもよく、等間隔であることに限定されないことに留意されたい。干渉磁場を排除できれば、当業者は3つの物理的位置の間の間隔を合理的に設計することができる。
【0068】
本発明のこれらの実施形態では、電流測定デバイスはN個の異なる位置を含み、各位置には少なくとも2個の磁気抵抗器が設けられ、Nは3以上である。同じ位置にある2個の磁気抵抗器は第1の検知方向を有する磁気抵抗器と第2の検知方向を有する磁気抵抗器とを含み、第1の検知方向と第2の検知方向は反対であり、磁気抵抗器の抵抗値は、設定された範囲内で、磁気抵抗器が配置されている位置の磁場と線形の関係にある。N個の異なる位置にある全ての磁気抵抗器の検知方向は同じかまたは反対であり、測定対象磁場は磁気抵抗器の検知方向の成分を有する。少なくとも1つの位置における測定対象磁場の検知方向の成分は、他の位置における測定対象磁場の検知方向の成分とは異なっている。全ての磁気抵抗器が電気接続されて、抵抗器ネットワークが形成されている。抵抗器ネットワークの出力信号は、測定対象磁場の信号を含み、第1の事前設定された強度未満の干渉磁場信号を含まないかまたは含む。干渉磁場信号は均一な干渉磁場と勾配のある干渉磁場とを含む。本発明の実施形態では、電流測定デバイスによって出力される信号は干渉磁場信号を含まないかまたはほとんど含まず、このため電流測定に対する干渉磁場の干渉が効果的に排除または低減され、電流の正確な検出が実現される。
【0069】
一例として、上記の実施形態とは異なり、任意選択でNは3であり、N個の異なる位置は順に、第1の位置、第2の位置、および第3の位置である。第1の位置にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。第1の位置にあるその他の磁気抵抗器は電気接続されて第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。第2の位置にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて、第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。第2の位置にあるその他の磁気抵抗器は電気接続されて、第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。第3の位置にあるいくつかの磁気抵抗器は電気接続されて、第3のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。第3の位置にあるその他の磁気抵抗器は電気接続されて、第3のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。電流線の電流の大きさおよび方向が反映されるように、第1のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号と、第2のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号と、第3のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号とが組み合わされる。
【0070】
図4を参照すると、これは本発明のある実施形態によって提供される別の電流測定デバイス中の、干渉防止ブリッジ構造の概略図である。
【0071】
図4に示すように、抵抗器ネットワークは、電源端子Vccと、グランド端子と、出力端子(V1、V2、およびV3)と、を有する。6個の磁気抵抗器の位置は
図2の場合と同じであるが、抵抗器ネットワークは3個のハーフ・ブリッジ構造で形成されている。この場合、R1およびR2はそれぞれ第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームおよび下側ブリッジ・アームを形成し、R3およびR4はそれぞれ第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームおよび下側ブリッジ・アームを形成し、R5およびR6はそれぞれ第3のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームおよび下側ブリッジ・アームを形成する。第1のハーフ・ブリッジ構造の出力信号はV1、第2のハーフ・ブリッジ構造の出力信号はV2、第3のハーフ・ブリッジ構造の出力信号はV3である。
【0072】
3個のハーフ・ブリッジ構造の出力信号V1、V2、およびV3の式は以下の通りである。
【数6】
ここで、V1、V2、およびV3に対して一次演算を行って、以下のように最終的な出力信号Voutを得る。
【数7】
自明のことであるが、電流測定デバイスの最終的な出力信号Voutでは、やはり勾配のある干渉磁場Hgおよび均一な干渉磁場Huからの干渉が排除されている。
【0073】
図5を参照すると、これは本発明のある実施形態によって提供される更に別の電流測定デバイス中の、干渉防止ブリッジ構造の概略図である。
図5は
図4の3個のハーフ・ブリッジ構造の変形例であり、この場合抵抗器ネットワークは、電源端子Vccと、グランド端子と、出力端子(V1、V2、V3、およびV4)と、を有する。抵抗器ネットワークは
図5に示した4個のハーフ・ブリッジ構造の接続パターンを使用しているが、このことは、ブリッジを後続のオペ・アンプ(「OP-AMP」)回路に接続するのに有益である。この場合、位置L2には、2個の同一の磁気抵抗器R3と2個の同一の磁気抵抗器R4とが設置されている。
【0074】
その場合、4個のハーフ・ブリッジ構造の出力信号V1、V2、V3、およびV4の式は以下の通りである。
【数8】
4個のハーフ・ブリッジ構造の出力信号は2個の差動オペ・アンプに入力され、その演算結果に対して微分演算が行われる。電流測定デバイスの最終的な出力信号Voutは以下のように得ることができる。
【数9】
自明のことであるが、電流測定デバイスの最終的な出力信号Voutでは、勾配のある干渉磁場Hgおよび均一な干渉磁場Huからの干渉が排除されている。
【0075】
一例として、上記の実施形態とは異なり、任意選択でNは4であり、N個の異なる位置は順に、第1の位置、第2の位置、第3の位置、および第4の位置である。第1の位置および第4の位置にある磁気抵抗器は電気接続されて、第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。第1の位置および第4の位置にある磁気抵抗器は電気接続されて、第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。第2の位置および第3の位置にある磁気抵抗器は電気接続されて、第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成している。第2の位置および第3の位置にある磁気抵抗器は電気接続されて、第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成している。電流線の電流の大きさおよび方向が反映されるように、第1のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号と第2のハーフ・ブリッジ構造の出力端子信号とが組み合わされる。
【0076】
図6を参照すると、これは本発明のある実施形態によって提供される更に別の電流測定デバイス中の、磁気抵抗器の位置の概略図である。
【0077】
図6に示すように、電流測定デバイスの4つの異なる位置は順に、L1、L2、L3、およびL4と表すことができる。位置L1には少なくとも2個の磁気抵抗器R1およびR2が設けられ、位置L2には少なくとも2個の磁気抵抗器R3およびR4が設けられ、位置L3には少なくとも2個の磁気抵抗器R5およびR6が設けられ、位置L4には少なくとも2個の磁気抵抗器R7およびR8が設けられている。L1の位置において電流が発生させる磁場は同じであり、L2の位置において電流が発生させる磁場は同じであり、L3の位置において電流が発生させる磁場は同じであり、L4の位置において電流が発生させる磁場は同じであり、異なる位置において電流が発生させる磁場は異なる。同じ位置に配置されている磁気抵抗器R1およびR2の検知方向は反対であり、磁気抵抗器R3およびR4の検知方向は反対であり、磁気抵抗器R5およびR6の検知方向は反対であり、磁気抵抗器R7およびR8の検知方向は反対である。
【0078】
電流測定デバイス中の磁気抵抗器の物理的位置および基準方向を
図6に示す。この場合、磁気抵抗器R1、R3、R5、およびR7の検知方向は同じであり、磁気抵抗器R2、R4、R6、およびR8の検知方向は同じであり、R1およびR2の検知方向は反対である。磁気抵抗器の検知方向は磁気抵抗器の位置の配列方向と交差することが理解され得る。
【0079】
任意選択で、位置L1とL2との、位置L2とL3との、および位置L3とL4との間の間隔は同じである。例えば、それらは全てmである。
【0080】
任意選択で、8個の磁気抵抗器によって形成される抵抗器ネットワークは、2個のハーフ・ブリッジ構造を有する。
図7を参照すると、これは本発明のある実施形態によって提供される更に別の電流測定デバイス中の、干渉防止ブリッジ構造の概略図である。
【0081】
図7に示すように、抵抗器ネットワークは、電源端子Vccと、グランド端子と、出力端子(V+およびV-)と、を有する。この場合、R1およびR7は第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成し、R2およびR8は第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成し、R3およびR5は第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成し、R4およびR6は第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成する。第1のハーフ・ブリッジ構造の出力信号はV+であり、第2のハーフ・ブリッジ構造の出力信号はV-である。
【0082】
同様に、電流測定デバイスに流れ込む電流の強度がIであるとすると、検知方向に存在する干渉場は、勾配のある干渉場Hg(単位距離ごとに変化する磁場)と均一な干渉磁場Huの合成場とみなすことができ、その場合以下を得ることができる:
R1=R0-aI-nHu、R2=R0+aI+nHu、
R3=R0-bI-n(Hu+Hg)、R4=R0+bI+n(Hu+Hg)、
R5=R0-cI-n(Hu+2Hg)、R6=R0+cI+n(Hu+2Hg)、
R7=R0-dI-n(Hu+3Hg)、R8=R0+cI+n(Hu+3Hg)。
【0083】
このことに基づいて、2個のハーフ・ブリッジ構造の出力信号V+およびV-の式は以下のように得ることができる。
【数10】
ここで、V+およびV-に対して一次微分演算を行って、以下のように最終的な出力信号Voutを得る。
【数11】
自明のことであるが、電流測定デバイスの最終的な出力信号Voutでは、勾配のある干渉磁場Hgおよび均一な干渉磁場Huからの干渉が排除されている。
【0084】
他の実施形態では、更に任意選択で、電流測定デバイスにおいて、Nは5以上の奇数である。異なる位置の数Nが奇数である解決法の場合、各位置には2個の磁気抵抗器が設けられ、その場合N個の位置における磁気抵抗器R1~R2Nの抵抗値は以下のようになる:
位置1:R1=R0-aI-nHu、R2=R0+aI+nHu
位置2:R3=R0-bI-n(Hu+Hg)、R4=R0+bI+n(Hu+Hg)
位置3:R5=R0-cI-n(Hu+2Hg)、R6=R0+cI+n(Hu+2Hg)
…
位置N:R(2N-1)、R(2N)。
【0085】
この場合、R1、…、R(4N+1)は第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成し、R2、…、R(4N+2)は第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成し、R3、…、R(4N-1)は第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成し、R4、…、R(4N)は第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成する。2個のハーフ・ブリッジ構造の差動出力信号は、勾配のある干渉磁場Hgおよび均一な干渉磁場Huの干渉を排除した信号である。
【0086】
例えば、N=7であり、各位置に2個の磁気抵抗器が設けられている場合には、7つの位置における磁気抵抗器R1~R14の抵抗値は以下のようになる:
位置1:R1=R0-aI-nHu、R2=R0+aI+nHu
位置2:R3=R0-bI-n(Hu+Hg)、R4=R0+bI+n(Hu+Hg)
位置3:R5=R0-cI-n(Hu+2Hg)、R6=R0+cI+n(Hu+2Hg)
位置4:R7=R0-dI-n(Hu+3Hg)、R8=R0+dI+n(Hu+3Hg)
位置5:R9=R0-eI-n(Hu+4Hg)、R10=R0+eI+n(Hu+4Hg)
位置6:R11=R0-fI-n(Hu+5Hg)、R12=R0+fI+n(Hu+5Hg)
位置7:R13=R0-gI-n(Hu+6Hg)、R14=R0+gI+n(Hu+6Hg)。
【0087】
この場合、R1、R5、R9、およびR13は第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成し、R2、R6、R10、およびR14は第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成し、R3、R7、およびR11は第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームを形成し、R4、R8、およびR12は第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームを形成する。
【0088】
その場合、2個のハーフ・ブリッジ構造の出力信号V+およびV-の式は以下の通りである。
【数12】
ここで、V+およびV-に対して一次微分演算を行って、以下のように最終的な出力信号Voutを得る。
【数13】
自明のことであるが、電流測定デバイスの最終的な出力信号Voutでは、勾配のある干渉磁場Hgおよび均一な干渉磁場Huからの干渉が排除されている。
【0089】
他の実施形態では、更に任意選択で、電流測定デバイスにおいて、Nは5以上の偶数である。異なる位置の数Nが偶数である解決法の場合、各位置には2個の磁気抵抗器が設けられる。
【0090】
例えば、N=6であり、各位置に2個の磁気抵抗器が設けられている場合には、6つの位置にある磁気抵抗器R1~R12の抵抗値は以下のようになる:
位置1:R1=R0-aI-nHu、R2=R0+aI+nHu
位置2:R3=R0-bI-n(Hu+Hg)、R4=R0+bI+n(Hu+Hg)
位置3:R5=R0-cI-n(Hu+2Hg)、R6=R0+cI+n(Hu+2Hg)
位置4:R7=R0-dI-n(Hu+3Hg)、R8=R0+dI+n(Hu+3Hg)
位置5:R9=R0-eI-n(Hu+4Hg)、R10=R0+eI+n(Hu+4Hg)
位置6:R11=R0-fI-n(Hu+5Hg)、R12=R0+fI+n(Hu+5Hg)。
【0091】
6つの位置にある磁気抵抗器R1~R12は、様々な解決法のハーフ・ブリッジ構造を形成できる。
【0092】
1番目の解決法では、R1、R3、R9、およびR11は第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームであり、R2、R4、R10、およびR12は第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームであり、R5およびR7は第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームであり、R6およびR8は第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームである。
【0093】
その場合、2個のハーフ・ブリッジ構造の出力信号V+およびV-の式は以下の通りである。
【数14】
ここで、V+およびV-に対して一次微分演算を行って、勾配のある干渉磁場Hgおよび均一な干渉磁場Huからの干渉を排除した、最終的な出力信号Voutを得る。
【0094】
2番目の解決法では、R1およびR11は第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームであり、R2およびR12は第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームであり、R3、R5、R7、およびR9は第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームであり、R4、R6、R8、およびR10は第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームである。
【0095】
その場合、2個のハーフ・ブリッジ構造の出力信号V+およびV-の式は以下の通りである。
【数15】
ここで、V+およびV-に対して一次微分演算を行って、勾配のある干渉磁場Hgおよび均一な干渉磁場Huからの干渉を排除した、最終的な出力信号Voutを得る。
【0096】
例えば、N=8であり、各位置に2個の磁気抵抗器が設けられている場合には、8つの位置にある磁気抵抗器R1~R16の抵抗値は以下のようになる:
位置1:R1=R0-aI-nHu、R2=R0+aI+nHu
位置2:R3=R0-bI-n(Hu+Hg)、R4=R0+bI+n(Hu+Hg)
位置3:R5=R0-cI-n(Hu+2Hg)、R6=R0+cI+n(Hu+2Hg)
位置4:R7=R0-dI-n(Hu+3Hg)、R8=R0+dI+n(Hu+3Hg)
位置5:R9=R0-eI-n(Hu+4Hg)、R10=R0+eI+n(Hu+4Hg)
位置6:R11=R0-fI-n(Hu+5Hg)、R12=R0+fI+n(Hu+5Hg)
位置7:R13=R0-gI-n(Hu+6Hg)R14=R0+gI+n(Hu+6Hg)
位置8:R15=R0-hI-n(Hu+7Hg)、R16=R0+hI+n(Hu+7Hg)。
【0097】
8つの位置にある磁気抵抗器R1~R16は、2個のハーフ・ブリッジ構造を形成できる。この場合、R1、R3、R13、およびR15は第1のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームであり、R2、R4、R14、R16は第1のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームであり、R5、R7、R9、およびR11は第2のハーフ・ブリッジ構造の上側ブリッジ・アームであり、R6、R8、R10、およびR12は第2のハーフ・ブリッジ構造の下側ブリッジ・アームである。
【0098】
その場合、2個のハーフ・ブリッジ構造の出力信号V+およびV-の式は以下の通りである。
【数16】
ここで、V+およびV-に対して一次微分演算を行って、以下のように最終的な出力信号Voutを得る。
【数17】
このように、勾配のある干渉磁場Hgおよび均一な干渉磁場Huからの干渉は排除される。
【0099】
異なる位置の数Nが偶数の場合には、一般式は存在しない。勾配のある干渉磁場Hgおよび均一な干渉磁場Huの信号成分が互いに打ち消し合うように、複数の位置で磁気抵抗器を用いて少なくとも2個のハーフ・ブリッジ構造が形成されるいかなる解決法も、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【0100】
本発明の実施形態によって提供される電流測定デバイスでは、他の構成要素を導入することなく干渉防止ブリッジ構造が提供され、その磁気抵抗器の出力は勾配のある干渉磁場および均一な干渉磁場の両方の影響を排除しており、検出正確度を改善し、様々な用途シナリオに適している。
【0101】
本発明の複数の実施形態では、磁気抵抗器の検知方向として、特定の方向、例えば水平方向が一例として選択されるに過ぎないことが理解され得る。ただし実際の製造では、測定対象電流によって誘導される磁場が磁気抵抗器の選択された検知方向の磁場成分を有する限りは、磁気抵抗器の検知方向はどの方向であってもよい。
【0102】
上記したものは本発明の好ましい実施形態および使用される技術的原理に過ぎないことに留意されたい。当業者は、本発明が本明細書に記載する特定の実施形態に限定されるものではないこと、および、当業者には本発明の保護範囲から逸脱することなく様々な明白な変更、再調整、相互の組合せおよび置換を行うことができることを理解する。したがって、本発明を上記の実施形態を用いて詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の概念から逸脱することなくより多くの他の等価な実施形態を含めることも可能であり、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって規定される。
【国際調査報告】