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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】支持体
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G01B5/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520974
(86)(22)【出願日】2022-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 GB2022052506
(87)【国際公開番号】W WO2023057745
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】21200859.3
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ポール ハンター
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド アンドリュー ラーカム
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA04
2F062CC09
2F062CC22
2F062EE01
2F062EE62
2F062FF02
2F062FG01
2F062GG17
2F062HH01
2F062MM06
(57)【要約】
第1の方向にのびる支持体(108)と、第2の方向にのびる梁(108)とを含む位置決め装置(100)。梁(110)は、第1の方向に移動可能であるように支持体(108)に可動に取り付けられ、支持体に荷重を及ぼす。支持体は、梁(110)が荷重を及ぼすと、支持体(108)に沿った梁(110)のすべてのロケーションに対し実質的に一定の向きに梁が維持されるように、支持体(108)の輪郭が変形される輪郭(302)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向にのびる支持体と、第2の方向にのびる梁であって、前記梁は、前記第1の方向に移動可能であるように前記支持体に可動に取り付けられ、前記支持体に荷重を及ぼす、梁とを備え、前記支持体は、前記梁が前記荷重を及ぼすと、前記支持体に沿った前記梁のすべてのロケーションに対し実質的に一定の向きに前記梁が維持されるように、前記支持体の輪郭が変形される前記輪郭を含むことを特徴とする位置決め装置。
【請求項2】
前記梁により加わる前記荷重による前記支持体の変形は、前記支持体に沿った前記梁のすべてのロケーションに対し実質的に一定の高さに前記梁が維持されるような変形であることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項3】
前記梁は、水平面に関し実質的に一定の角度に維持されることを特徴とする請求項1または2に記載の位置決め装置。
【請求項4】
前記梁は、前記支持体と、実質的に柔軟性のない支持体との間にのびていることを特徴とする請求項3に記載の位置決め装置。
【請求項5】
前記支持体は、実質的に平行に間隔をあけて離れた支持体のペアを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の位置決め装置。
【請求項6】
前記梁は、間隔をあけて離れた支持体の前記ペアの間にのび、前記第1の方向に移動可能であるように可動に取り付けられることを特徴とする請求項5に記載の位置決め装置。
【請求項7】
平行に間隔をあけて離れた支持体の前記ペアのうちの第1の支持体は、一定の角度に前記梁を維持するために最適化され、平行に間隔をあけて離れた支持体の前記ペアのうちの第2の支持体は、一定の高さに前記梁を維持するために最適化されることを特徴とする請求項5または6に記載の位置決め装置。
【請求項8】
前記位置決め装置は座標測定機を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の位置決め装置。
【請求項9】
位置決め装置用の支持体であって、請求項1ないし8のいずれか一項に定義されている前記輪郭を含むことを特徴とする支持体。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の位置決め装置を製造する方法であって、前記梁が前記荷重を及ぼすと、前記支持体に沿った前記梁のすべてのロケーションに対し実質的に一定の向きに前記梁が維持されるように、前記支持体の輪郭が変形されるような前記輪郭を有する前記支持体を機械により作ることを備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記輪郭は非線形輪郭であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
輪郭の少なくとも一部は湾曲していることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
エラーマップは、前記支持体に沿った前記梁のロケーションに対する前記梁の高さおよび/または角度の偏差に関して作成されることを特徴とする請求項10ないし12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の位置決め装置を用いて対象物を測定する方法であって、前記支持体に沿った前記梁のすべてのロケーションに対し実質的に一定の向きに前記梁が維持されるように、前記第1の方向に前記支持体に沿って前記梁が移動するときに、前記梁により加わる荷重によって前記支持体を変形させることを備えることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記支持体に前記梁により加わる前記荷重は、前記梁の重さのためであることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、位置決め装置の支持体に関し、特に、座標測定機(coordinate measurement machine:CMM)の支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばCMMなどの位置決め装置は、たとえばインスペクションデバイスなどのツールをワークピース/アーティファクトに相対的に位置決めするために、互いに相対的に移動可能である1つまたは複数の部材を含むことが可能である。例えば、CMMは、従来、複数の可動部材、例えば直列に配列された線形に可動な部材を含む。一般に、位置決め装置は、少なくとも2つまたは3つの相互に直交する軸、例えばX、YおよびZにおけるツールおよび/または対象物の相対的な運動を容易にするように構成される。上記位置決め装置は、普通、「デカルト」位置決め装置(またはデカルトCMM)として知られている。
【0003】
普通、ツールと対象物との間の相対的な移動は、対象物をプラットフォームに取り付けることと、対象物に相対的なツールの移動とにより達成されることが可能である。3つの直交方向におけるツールの移動は、Y梁(Y-beam)と呼ばれることがよくある、2つ(または3つ以上)の支持体に取り付けられた固定した梁を提供することによって達成されることが可能である。別の梁は、Y梁に沿った移動を可能にするようなやり方において、Y梁に垂直に取り付けられることがあり、今述べた梁は、X梁(X-beam)と呼ばれることがよくある。さらなる梁は、X梁に沿った移動を可能にし、さらなる梁の長く伸びた方向(Z方向と呼ばれることがよくある)におけるさらなる梁(またはさらなる梁の一部)の移動を可能にするようなやり方において、X梁とY梁との両方に直交して、X梁に取り付けられることが可能である。さらなる梁は、クイルと呼ばれることがよくある。上記配列の例は、US5505004およびEP2594893により開示されている。
【0004】
EP2594893は、支柱に取り付けられた縦方向の部材を有し、縦方向の部材が、フレームを形成する十字方向の部材により連結されて、フレーム自体の変形に、支柱の変形からつながらせないようにさせる装置を開示する。
【0005】
US5505004は、梁に、脚の垂直面において回転することを許すピボットジョイントにより第1の脚に連結され、梁に、第2の脚に関して、垂直面において回転し長手軸の方向に移動することを許す連結部により第2の脚に連結される装置を開示する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の側面によれば、第1の方向にのびる支持体と、第2の方向にのびる梁とを含み、梁が、第1の方向に移動可能であるように支持体に可動に取り付けられ、支持体に荷重を及ぼし、支持体は、梁が荷重を及ぼすと、梁が、支持体に沿った梁のすべてのロケーションに対し実質的に一定の向きに維持されるように、支持体の輪郭(profile)が変形される輪郭を含む位置決め装置が提供される。オプションとして、第1の方向と第2の方向とは垂直である。オプションとして、第1の方向は水平面にある。オプションとして、第2の方向は水平面にある。オプションとして、支持体の上に梁により加わる荷重は、垂直成分を含む。
【0007】
支持体は、2本以上の支柱に取り付けられることがある。オプションとして、支持体は、長さに関して少なくともの2メートル、オプションとして長さに関して少なくとも2.5メートル、オプションとして長さに関して少なくとも3メートル、オプションとして長さに関して少なくとも3.5メートル、オプションとして長さに関して少なくとも4メートル、オプションとして長さに関して少なくとも5メートルであり得る。
【0008】
支持体に沿ったすべてのロケーションに対し梁を一定の向きに維持することにより、気象性能の改善ができることが可能である、および/またはより長い梁の使用ができることが可能である。今述べたことにより、より大きな対象物を、CMMにより測定することができることが可能である。さらに、本発明は、同一の測定空間を提供する一方、従来技術と比較してより軽い梁の使用ができることも可能である。今述べたことは、移動の質量を減少させることが可能であり、動学的な利点を提供することが可能である。
【0009】
オプションとして、梁により加わる荷重による支持体の変形は、支持体に沿った梁のすべてのロケーションに対し、梁が実質的に一定の高さに維持されるようにする。梁は、水平面に関して実質的に一定の角度に維持されることがある。
【0010】
オプションとして、支持体はYRXの変形を補償するように構成される。オプションとして、支持体はYRZの変形を補償するように構成される。オプションとして、支持体はYRXとYRZとの両方の変形を補償するように構成される。オプションとして、支持体はXRYの変形を補償するように構成される。オプションとして、支持体はXRZを補償するように構成される。オプションとして、支持体はXRYとXRZとの両方を補償するように構成される。
【0011】
梁は、支持体と、実質的に柔軟性のない支持体との間にのびることがある。オプションとして、実質的に柔軟性のない支持体は花崗岩を含む。オプションとして、梁は、第1の方向に移動可能であるように、可動に取り付けられる。オプションとして、支持体は(さらなる)梁を含む。オプションとして、支持体は、実質的に平行に、間隔をあけて離れた支持体のペアを含む。
【0012】
オプションとして、梁は、間隔をあけて離れた支持体(梁を含むことがある)のペア間にのび、第1の方向に移動可能であるように、可動に取り付けられる。
【0013】
平行に間隔をあけて離れた支持体のペアのうちの第1の支持体は、梁を一定の角度に維持するために最適化されることがあり、平行に間隔をあけて離れた支持体のペアのうちの第2の支持体は、梁を一定の高さに維持するために最適化されることがある。あるいは、平行に間隔をあけて離れた支持体の両方が、梁を一定の角度に維持するために最適化されることがある。オプションとして、平行に間隔をあけて離れた支持体の両方が、梁を一定の高さに維持するために最適化されることがある。オプションとして、平行に間隔をあけて離れた支持体の両方が、まったく同じ輪郭を有することがある。
【0014】
オプションとして、位置決め装置は座標測定機を含む。
【0015】
本発明の第2の側面によれば、あらゆる先行する主張の定義されている輪郭を含む位置決め装置の支持体が提供される。
【0016】
本発明の第3の側面によれば、第1の側面の位置決め装置の製造する方法が提供される。第1の側面の位置決め装置を製造する方法は、梁が荷重を及ぼすと、梁が、支持体に沿った梁のすべてのロケーションに対し実質的に一定の向きに維持されるように、支持体の輪郭が変形されるような輪郭を有するように支持体を機械により作ることを含むことがある。オプションとして、輪郭は非線形輪郭である。オプションとして、輪郭の少なくとも一部は湾曲している。オプションとして、エラーマップは、支持体に沿った梁のロケーションに対する梁の高さおよび/または角度の偏差に関して作成される。
【0017】
本発明の第4の側面によれば、第1の側面の位置決め装置を用いて対象物を測定する方法が提供される。第1の側面の位置決め装置を用いて対象物を測定する方法は、支持体に沿った梁のすべてのロケーションに対し梁が実質的に一定の向きに維持されるように、梁が、支持体に沿って第1の方向に移動するときに、梁により加わる荷重によって支持体を変形させることを含むことがある。オプションとして、fist梁により第2の梁に加わる荷重は、第2の梁の重さのためである。
【0018】
本発明の態様は、単なる例として、添付の図面を参照して、ただちに説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】先行技術のCMMを示す。
図2】CMMの一部のセマンティックな表現を示す。
図3】CMMの一部を示す。
図4】3.5メートルのYトラベルのY梁の計算結果を示す。
図5】Y梁の非線形輪郭を示す。
図6図6(a)がCMMの一部の変形を図式により示し、図6(b)がCMMのY梁を図式により示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、第1の支持体4と第2の支持体6とが取り付けられた土台2を含む先行技術の座標測定機(CMM)を示す。Y梁は、土台2に対し遠位の第1の支持体4および第2の支持体6の端部に固定して取り付けられる。X梁10は、1つの端部において、Y梁へ可動に取り付けられ、X梁10の第2の端部において、X梁10がY梁8の長く伸びた方向と垂直な方向においてのびるように、Y梁8と平行であり、Y梁8から離れて間隔をあけられている追加の支持体(図示せず)へ移動可能に取り付けられる。X梁がないと、Y梁は、線形であり、y軸に平行にのびる輪郭を有する。X梁10は、Y梁8の長さに沿って移動することが可能である。クイル12は、X梁10に可動に取り付けられる。クイル12は、Y梁と追加の支持体との間においてX梁10に沿って移動することが可能である。ツール14、例えばプローブヘッドおよび測定プローブは、土台2に近接したクイル12の端部に取り付けられる。クイル12は、ツール14を土台2のより近くに、または土台2からより遠くに動かすために、X梁10に垂直に移動可能であるように取り付けられる。今述べた配列により、ツール14が、測定されることになる対象物16に関して、3次元において移動可能であることにできることを可能にする。Y梁8に沿ったX梁10の移動は、ツール14をY方向に移動させ、X梁10に沿ったクイル12の移動は、ツール14をx方向に移動させ(x方向は図1のページの平面の中におよび外にある)、X梁10に垂直なクイル12の移動は、ツール14をz方向に移動させる。
【0021】
図1に見られることが可能であるように、クイル12およびX梁10は、y軸に関して角度18にある。今述べたことは、X梁およびクイルによってY梁に加わる荷重のためであり、今述べた場合では、X梁およびクイルの重さが、Y梁をたるませる。X梁およびクイルの重さのためにY梁がたるむことは、X梁およびクイルの向きの変化、すなわち、垂直z軸に関する高さおよび/または角度の変化を引き起こす。垂直z軸に関するX梁およびクイルの角度の変化は、ロールまたはYRXと呼ばれる(すなわち、x軸についてのロールに導くy軸に沿った移動)。X梁により加わる荷重によるY梁の変形(たるみ)は、Y梁に沿ったX梁の異なったロケーションに対して変わり、X梁およびクイルのYRXおよび高さも、Y梁に沿ったX梁の異なったロケーションに対して変わる。
【0022】
図2は、CMMの一部のセマンティックな表現を示す。土台102および支持体が示されている。今述べた態様では、支持体は、Y梁108を含む。Y梁108は、第1の支柱104と第2の支柱106の間に取り付けられ、のびている。今述べた態様では、Y梁108は、第1の支柱104を越えて距離1のび、第2の支柱106を越えて距離Yのび、-1がY2より小さい。図3は、Y梁108に沿ったX梁110の移動を容易にするために、配列120を介してY梁108に取り付けられたX梁110の態様を示す。X梁110は、第1のマウント121と第2のマウント122とを介してY梁に取り付けられ、第1のマウント121および第2のマウント122の各々は、支持部分を介してY梁108に取り付けられる。前方のおよび後方の支持部分は、Y梁108の長く伸びた方向に離れて間隔をあけられている。さらに、図3は、クイルマウント(quill mount)111を介して垂直方向に移動可能であるクイル112も示す。クイルマウント111は、X梁110の長く伸びた方向に沿って移動可能であるように構成される。
【0023】
梁理論を用いて、Y梁108に沿ったX梁110のあらゆる位置に対してYRXを計算することができる。さらに、Y梁108に沿ったX梁110のあらゆる位置に対してYRXを実験的に計算することもできる。さらに、Y梁108に沿ったX梁110のあらゆる位置に対して、数値的な手法を用いて、YRXを計算することもできる。
【0024】
図4は、3.5メートルのYトラベルの梁(すなわち、測定の目的のためにY梁に沿ってX梁の3.5メートルの移動を考慮に入れるY梁、追加の移動によりツールの交換が容易にできることがある)に関する支持部分(bearing)のたわみとYRXに関する計算結果を示す。
【0025】
図4は、X梁による荷重がないとき真っ直ぐな輪郭を有するY梁、すなわちY梁が線形である、に関する計算結果の第1のセットを示す。第1のダッシュ線202は、梁理論を用いて計算されたY梁に沿ったX梁の前方の支持部分についてのロケーションに対するY梁の(X梁の重さのため)たわみを表す。第2のダッシュ線204は、梁理論を用いて計算されたY梁に沿ったX梁の後方の支持部分についてのロケーションに対するY梁の(X梁の重さのため)たわみを表す。
【0026】
計算結果202、204からYRX値206を計算することが可能である。今述べたことは、Y梁に沿ったX梁の特定のロケーションに対するたわみにおける差を見つけるために、特定のロケーションに対する前方の支持部分のたわみから後方の支持部分のたわみを減算することにより達成されることが可能である。次に、差は、支持部分のピッチ(例示されている態様ではピッチは850mm)により除算される。今述べたことは、Y梁に沿ったX梁の特定のロケーションに対するYRXの値を与える。今述べた計算をY梁に沿ったX梁のすべてのロケーションに対して行い、各後続の位置からYRXのY=0の値を減算することは、図4に示されている第3のドット線206を与える。
【0027】
測定精度を向上させ、測定動作も同様に簡素化するために、YRXを減少させることまたは除去することが望ましい。今述べたことは、Y梁の輪郭を変更することにより達成されることが可能である。
【0028】
Y梁に沿ったX梁のすべての位置に対しYRXを実質的に零に減らせることが要求されるY梁の輪郭を計算することができる。図2を参照すると、X梁が支柱104、106のいずれかの上に直に位置されるとき、Y梁108に対する歪みの量は最小になることが理解されるだろう。さらに、X梁が支柱104、106の中間に位置されるとき、Y梁108の変位量が最も大きくなることも理解されるだろう(図2に示される距離Y2が等しくないので、最大の変位量は、X梁が支柱104、106の間において正確に中央に位置されるときではないことがあるということが特筆される)。依然としてさらに、もしX梁が2本の支柱104、106の中間の外側に(すなわち、Yまたは2に対応する点に)位置されるならば、X梁により加わる荷重によるY梁108の変形があるだろうということが理解されるだろう。
【0029】
Y梁108に沿ったX梁のすべてのロケーションにおいてX梁により加わる荷重によるY梁108の変形を阻止するために、線形輪郭を有するY梁にX梁により加わる荷重によって生じるたわみの量に基づいてY梁の輪郭が高さ(z方向)において増加するように、梁が輪郭を描かれることが可能であることが理解されるだろう。2本の支柱104、106によって支持されるY梁の現在の態様では、今述べたことは、形の4次多項式に対応する輪郭を有する輪郭の(すなわち非線形の)Y梁を意味するだろう。
z=A+By+Cy+Dy+Ey
係数A、B、C、D、Eのあらゆる与えられた値に対して、梁理論を用いて、Y梁に沿ったX梁の前方の支持部分についてのロケーションに対するY梁の(X梁の重さによる)たわみと、Y梁に沿ったX梁の後方の支持部分についてのロケーションについてのY梁の(X梁の重さによる)たわみを計算することが可能であり、すなわち、Y梁のあらゆる輪郭に対する図4の線202、204に類似した値を計算することができる。これらの値からX梁のYRXは、計算されることが可能であり、すなわち、図4に示される線206に類似した値である。
【0030】
数値的な手法、例えばMicrosoft XL(RTM)のGRG非線形モデルを用いて、X梁がY梁に沿ったすべてのロケーションに対し実質的に一定の向きに維持されるような係数A、B、C、D、Eの値を繰り返し決定することができる。
【0031】
図5は、X梁がY梁に沿ったすべてのロケーションに対し実質的に一定の向きに維持されるように、Y梁に要求された望まれる非線形輪郭302を示す。図5に示される輪郭302に関して、(線202に類似した)Y梁208に沿ったX梁の前方の支持部分についてのロケーションに対するY梁の(X梁の重さによる)たわみと、(線204に類似した)Y梁210に沿ったX梁の後方の支持部分についてのロケーションに対するY梁の(X梁重さによる)たわみが計算されており、図4に示されている。また、図4では、図5に示される輪郭302を有するY梁に沿ったX梁のすべてのロケーションのYRX値を示す(線206に類似した)線212が示されている。
【0032】
あるいは、さらに計算によって係数A、B、C、Dを決定することもできる。
【0033】
他の態様では、Y梁について望まれる輪郭を、実験的に決定することが可能である。
【0034】
一態様では、望まれる輪郭を有する梁は、CMMの支持体に対応する2つの支持体に、望まれる長さを有する線形の梁が位置されることにより製造され、そして、望まれる輪郭を与えるように機械により作られることが可能である。
機械により作ることに用いられる技法に依存して、たとえば図5の線304により表されるなどのカッター半径のオフセットを適用することが必要であり得る。
【0035】
別の態様では、望まれる輪郭を有する梁は、梁を歪ませ、平らに梁を機械により作ることによって製造される。今述べたことは、2本の柱に梁を位置させること(ないしは別の仕方により梁を吊るし、梁に荷重が加わること)により達成されることが可能である。例えば、梁(線形の梁であり得る、または線形の梁ではないことがある)は、少なくとも1つの重りによる荷重があることが可能であり、例えば、2本の支柱の間の梁に沿って1つまたは複数のロケーションからつるした重りを用いて、梁を歪ませることが可能である。次に、梁の上面を、平らに機械により作ることが可能である。梁が平らに機械により作られた後、重りは、取り除かれることが可能であり、荷重がない梁は、望まれる形を仮定する。重りの位置と質量とは、機械により作られた後の梁について望まれる形に依存し、さらに梁の長さ、梁の断面、梁の剛性、使用中に(例えば)X梁により加わる荷重を含む要因に依存する。必要とされる重りの質量およびロケーションを決定するための計算結果は、梁理論を含むことが可能である、または実験的に決定されることが可能である。
【0036】
YRXを減少させることに関係する態様を説明したが、他の態様では、例えばXRY(すなわち、X梁に沿った位置におけるクイルのロール)を減少させるために、Y梁およびX梁に関して上に説明されたように、同様の方法論をX梁およびクイルに適用することが可能であることが理解されよう。依然としてさらなる態様では、Y梁の輪郭は、X梁の高さ(すなわちz位置)の変化が、Y梁に沿ったX梁のすべてのロケーションに対し減少するような輪郭である。今述べた場合では、梁理論、または実験、または数値的な手法は、Y梁に沿った位置においてX梁の高さを決定するのに用いられることがあり、数値的な手法、または計算、または実験は、Y梁の望まれる輪郭を計算するのに用いられることがある。他の態様は、X梁に沿ったクイルの位置におけるクイルの高さの変化を減少させるような輪郭のX梁を含むことが可能である。
【0037】
図6(a)は、X梁110により加わる荷重のために起こることが可能である支持体108の変形の別の例を平面図において図式により示し、図面では、Y梁108の変形は、例示的な目的のために誇張されている。図6(a)に示される例では、Y梁108は、X梁110により加わる荷重がないときは、水平面(すなわち、y軸に平行)において線形である輪郭を含む。X梁110がY梁108に荷重を及ぼすと、Y梁108は、測定領域、すなわち、X梁の下の領域に向かって変形する。図6(a)から理解されることが可能であるように、Y梁108の変形のために、X梁110は、もはやx軸に平行にのびずに、X梁110は、z方向の軸(YRZ)を中心に回転する。
【0038】
図6(b)は、図6(a)に示されるY梁の変形を補償し、X梁の回転(YRZ)を減少させる、または除去するように構成されたY梁108を図式により示す。図6(b)に示されるY梁108の輪郭は、X梁が取り付けられる前のである。図6(b)のY梁108の輪郭は、先の態様に対し説明したのと同様のやり方にて、梁理論または実験を用いて、X梁からの荷重がY梁に沿ったすべてのロケーションに対し加わるときの真っ直ぐなY梁(すなわち、図6(a)のY梁)の変形を決定することによって計算されることが可能である。Y梁の変形が分かれば、上記の手法を用いて、Y梁108の輪郭を決定し、YRZを減少させるまたは実質的に除去することが可能である。
【0039】
いくつかの態様では、Y梁は、YRXおよびYRZの変形を補償するように構成された輪郭を有するように製造されることが可能である。
【0040】
上の態様のうちのいくかでは、間隔をあけて離れた2つのY梁を含む座標測定機が説明されたが、さらなる態様では、間隔をあけて離れた2つの支持体が提供されることがあり、間隔をあけて離れた支持体のうちの第1の支持体は、(2つ(または3つ以上)の支柱に支えられる梁を含む)上に説明されたY梁を含み、第2の支持体は、実質的に柔軟性のない支持体、すなわち、支持体におけるX梁の重さのために輪郭を変化させない支持体を含む。支持体は、固い花崗岩の支持体、例えば、望まれるX梁の移動量を可能にするのに要求されるY方向の長さを有し、X梁を取り付けるために適切に形作られ、支持体が土台から支持体の望まれる高さまでのびるような(Z軸に関する)高さを有する花崗岩の一片を含むことが可能であるだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】