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特表2024-533861コロイド状ガスアフロン(CGA)を用いて水からパーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)を分離する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】コロイド状ガスアフロン(CGA)を用いて水からパーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)を分離する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/24 20230101AFI20240905BHJP
   C09K 3/30 20060101ALI20240905BHJP
   E21B 43/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C02F1/24 C
C09K3/30 J
E21B43/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537297
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 US2022074697
(87)【国際公開番号】W WO2023028417
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/237,595
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/721,529
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524074552
【氏名又は名称】ジーエスアイ エンバイロメンタル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GSI ENVIRONMENTAL INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】ニューウェル,チャールズ,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】クルカーニ,プーナム,アール
(72)【発明者】
【氏名】ジャベド,ハッサン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ニコラス,ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン,スティーブン,ディ
【テーマコード(参考)】
4D037
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AB14
4D037BA03
4D037BB04
4D037BB05
4D037BB07
4D037BB08
4D037CA04
(57)【要約】
1種以上のPFASを含有する水の汚染除去のための方法であって、気体と、水と、1種以上の界面活性剤とを共に高せん断力で混合することにより、コロイド状ガスアフロン(CGA)を生成させるステップと、CGAとPFAS含有水とを、CGAが本来の浮力により水中を上方に移動する密閉空間に導入するステップと、複数のCGAに、PFASを水から抽出させるステップと、処理または廃棄をさらに行うために、PFAS含有CGAを密閉空間内の水面から分離し、PFAS濃度の低い水を容器内に残すステップと、を含む方法。アフロンはアニオン性であってもカチオン性であってもよく、混合速度または界面活性剤濃度によって作成されもよい。処理は、水のガス気泡からPFASを除去するガス気泡によるもの、プラズマ反応器によるPFASの分解によるもの、または地層中に井戸を通じてin situで行われるものでありうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のPFASを含有する水の汚染除去のための方法であって、
気体と、水と、1種以上の界面活性剤とを共に、高せん断力下で混合することにより、コロイド状ガスアフロン(CGA)を生成させるステップと、
前記CGAとPFAS含有水とを、前記CGAが本来の浮力により前記水中を上方に移動する密閉空間内に導入するステップと、
前記PFASを前記CGAに吸着させて、前記水からPFASを抽出するステップと、
処理または廃棄をさらに行うために、前記PFAS含有CGAを前記密閉空間内の前記水面から分離し、PFAS濃度の低い前記水を容器内に残すステップと、を含む方法。
【請求項2】
1種の界面活性剤、または同じ電荷(アニオン性またはカチオン性)を有する界面活性剤類を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
異なった電荷(アニオン性とカチオン性)を有する少なくとも2種の界面活性剤を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
せん断力と、混合速度と、界面活性剤濃度との少なくとも1つにより、前記CGAの特性を調整する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ガス気泡とCGAを前記PFAS含有水に導入して汚染物質を除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらなる処理または廃棄のための前記密閉空間がバッチ式である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記密閉空間が連続反応器である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記密閉空間が容器である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
PFASを分解するためのプラズマ反応器をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記PFAS処理技術が、ガス気泡を利用してPFASを水から除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記水が1種のPFASを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記水が複数種のPFASを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記PFASの1種以上がアニオン性PFASである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記PFASの1種以上がカチオン性PFASである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記PFASの1種以上が双性イオン性PFASである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記PFASの1種以上が長鎖PFASである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記PFASの1種以上が短鎖PFASである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記PFASの1種以上がPFAA類である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記PFASの1種以上が前駆物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
静電作用と疎水作用の両方により、複数のCGAがPFASを前記水から抽出する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記CGAが前記密閉空間からポンプで汲み出される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記CGAが前記密閉空間からデカンテーションされる、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
CGAが直接処理または廃棄される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記CGAが、処理または廃棄のために輸送される前に、自然に液体に戻ってもよい、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記CGAが、処理または廃棄のために輸送される前に、液体に戻るよう促される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記容器内の流れ方向を変えて、前記容器から前記アフロンが分離しやすくなるように、バッフルを前記密閉空間内に配置する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
1種以上のPFASを含有する水の汚染除去のための方法であって、
気体と、水と、静電荷を帯びた界面活性剤とを用いてコロイド状ガスアフロン(CGA)を生成させるステップであって、水がPFASを含有するステップと、
静電的分配および疎水的分配により前記PFASを前記CGAに吸着させ、PFASをバルク液から除去するステップと、
前記PFAS含有CGAを廃棄するステップと、を含む方法。
【請求項28】
プラズマ反応器を用いてCGAを処理する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
1種以上のPFAS汚染物質を含有する滞水層の汚染除去のための方法であって、
気体と、水と、少なくとも1種の界面活性剤とを高せん断力で混合することにより、コロイド状ガスアフロン(CGA)を生成させるステップと、
前記CGAを、開放管を通じて、自然の帯水層材を通る地層に注入し、1種以上のPFAS汚染物質を複数のCGA上に蓄積させるステップと、
CGAと高濃度PFASとの層を、前記地層中の地下水面上に生成させるステップと、を含む方法。
【請求項30】
前記帯水層材が、砂利、砂、シルト、粘土、亀裂のある地質媒体、またはこれらの組み合わせの1種以上からなる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
濃縮されたPFASとCGAを抽出するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
濃縮されたPFASを地層の地表下に保持させるステップさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
トレンチ内に多孔性物質をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年8月27日に出願された米国仮特許出願第62/237,595号「Process to Separate Per- and Polyfluoroalkyl Substances (PFAS) from Water using Colloidal Gas Aphrons (CGAs)(コロイド状ガスアフロン(CGA)を用いて水からパーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)を分離する方法)」および2022年4月15日に出願された米国実用特許出願第17/721,529号「Method and Apparatus to Separate per- and Polyfluoroalkyl Substances (PFAS) from Water using Colloidal Gas Aphrons (CGAs)(コロイド状ガスアフロン(CGA)を用いて水からパーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)を分離する方法および装置)」の利益を主張し、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)は、非常に安定したフッ素化化合物の種類であり、過去70年にわたって消費財や商業製品に広く使用されてきている。PFASは、熱安定性、水性膜(泡)形成性、疎水性/疎油性などのユニークな特性により、泡消火剤、撥水/撥油コーティング、調理器具の焦げ付き防止コーティングなど、幅広い用途に使用されている。
【0003】
過去20年間で、科学者達は、PFASが十分な濃度で存在すれば、様々な影響を通じてヒトや環境衛生に悪影響を及ぼす可能性があることを認識し始めた。さらに、パーフルオロオクタノエート(PFOA)やパーフルオロオクタンスルホネート(PFOS)などの多くのPFASは、いずれも大変安定で、地表下で移動する可能性がある。これらの化合物は通常、地表水や地下水の滞水層等で認められる周囲環境条件下では分解されない。この難分解性のために、PFASで汚染された水を飲料水源として用いる場合には、PFASをまず、ヒトの健康を守るのに妥当なレベルまで除去しなければならない。
【0004】
いくつかの要因が、PFASを水から除去することを難しくしている。第一に、PFASは非常に安定で水に溶けるので、生分解、多くの高度酸化方法、熱処理などの従来処理技術の多くは、概して効果がない。第二に、PFASには、物理的特性や化学的特性(静電荷や疎水性など)の異なる非常に多様な種類があるので、PFASの全範囲に対処可能な単一の水処理技術はまだ開発されていない。例えば、長鎖PFASは通常、吸着法によって十分除去されるが、短鎖PFASはそうではない(Gagliano, E., Sgroi, M., Falciglia, P.P., Vagliasindi, F.G.A., Roccaro, O., Removal of poly- and prefluoroalkyl substances (PFAS) from water by absorption; Role of PFAS chain length, effect of organic matter and challenges in absorbent regeneration, Water Research (2020), https://doi.org/10.1016/j.watres.2019.115381)。第三に、PFASの毒性学に関する現在の知見に基づいて、米国環境保護庁(USEPA)は、PFOA+PFOSの組み合わせに対する予備的な浄化目標を、現在容認されている健康勧告水準である1リットルあたり70ナノグラム(ng/L)と同等とする、暫定勧告案を公表している(USEPA、2019年)。これは、ベンゼンやトリクロロエテンなどの、別の一般的な地下水汚染物質の浄化基準(5,000ng/L)よりも2桁近く厳しい。
【0005】
石油炭化水素や塩素系溶媒などの別の汚染物質の分解に用いられる、現在利用可能な地下水浄化技術は、地下水プルームや水源域におけるPFASの処理には有効ではない。従来型汚染物質の多くを分解または無毒化できるバイオレメディエーションにおいて、PFASの十分な分解は、限られた制御下の実験室条件以外では実証されていない(Shan Huang and Peter R. Jaffe, Defluorination of Perfluorooctanoic Acid (PFOA) and Perfluorooctane Sulonate (PFOS) by Acidimicrobium, Environmental Science & Technology, 2019, 53 (19), 11410-11419, https://doi.org/10.1021/acs.est.9b04047)。熱処理には、ベイドスゾーン中のPFAS汚染に対処できる可能性がいくらかあるが、揮発性が限られており、(水の沸点より高い)高温を必要とするため、地下水中のPFASを分解することはできない(Crownover E, Oberle D, Kluger M,Heron G., Perfluoroalkyl and polyfluoroalkyl substances thermal desorption evaluation, Remediation, 2019; 29:77-81, https://doi.org/10.1002/rem.21623)。PFAS汚染処理への高度酸化の適用はほとんど成功しておらず、達成可能な分解レベルや最終生成物の完全解明についての明確なコンセンサスは得られていない(Erika F. Houtz and David L. Sedlak, Oxidative Conversion as a Means of Detecting Precursors to Perfluoroalkyl Acids in Urban Runoff, Environmental Science & Technologies, 2012, 46, 17, 9342-9349, https://doi.org/10.1021/es302274g; Erica R. McKenzie, Robert L. Siegrit, John E. McCray, and Christopher P. Higgins, Effect of Chemical Oxidants on Perfluoroalkyl Acid Transport in On-Dimentional Porous Media Columns, Environmental Science & Technologies, 2015, 49, 3, 1681-1689, https://doi.org/10.1021/es503676p)。Carey, G.R., Mcgregor, R., Pham, A.L., Sleep, B., Hakimabadi, S.G., Evaluating the longevity of a PFAS in situ colloidal activated carbon remedy, Remediation, 2019, 29(2), 17-31, US. https://doi.org/10.1002/rem.21593も参照のこと。PFASは多くのユニークで様々な特性を有し、これらの化合物がヒトや環境衛生に影響を与えないようにするには、新たな浄化技術や既存の浄化技術の組み合わせの形でのイノベーションが必要である。
【0006】
現在、有効な浄化技術が存在しないので、多くの場合、大量で希薄なPFAS地下水プルームの管理には、ポンプと処理のシステムの使用が必要である。この戦略では、大量の水を必要とし、この水を、地上の水処理プラントにおける分離や分解のために抽出しなければならない。Kulkarni, P.R., Aranzales, D., Javed, H., Holsen, T., Johnson, N.W., Richardson S.D., Mededovic Thagard, S., Newell, C.J., 2022, Process to Separate Per- and Polyfluoroalkyl Substances (PFAS) from Water Using Colloidal Gas Aphrons (CGAs), Remediation Journal, accepted, 2022で議論されているように、泡沫分離では、PFAS含有水の容量を減少させる分離/濃縮ステップを含む地上での代替案が提案されている。その後、濃縮されたPFAS含有泡を廃棄、焼却、または処理可能である。PFAS汚染水を含む分離カラムに空気または窒素ガスをバブリングする、泡沫分離を適用した近年の研究では、有望な結果が得られている。ここでは、PFASを、気泡の気液界面に蓄積させることでバルク溶液から除去し、泡層を除去、崩壊させて、低容量の高濃度溶液とすることができる(J. Merz, G. Schembecker, Stephanie Riemer, M. Nimtz, H. Zorn, Purification and identification of a novel cutinase from Coprinopsis cinerea by adsorptive bubble separation, Separation and Purification Technology, 69:1, 2009, 57-62, 1383-5866, https://doi.org/10.1016/j.seppur.2009.06.021; J. Merz, B. Burghoff, H. Zorn, G. Schembecker, Continuous foam fractionation: Performance as a function of operating variables, Separation and Purification Technology, 82, 2011, 10-18, 1383-5866, https://doi.org/10.1016/j.seppur.2011.07.023; Burns, D. J., Stevenson, P., & Murphy, P. J. C0, PFAS removal from groundwaters using Surface-Active Foam Fractionation, Remediation, 2021, 1-15, https://doi.org/10.1002/rem.21694)。泡沫分離は、汚染された地下水(Burns et al., 2021)や埋立地浸出水(McCleaf, P., Kjellgren, Y., & Ahrens, L., Foam fractionation removal of multiple per- and polyfluoroalkyl substances from landfill leachate, AWWA Water Science, 2021, e1238, http://doi.org/10.1002/aws2.1238)を用いて試験され、長鎖PFASに対しては高い除去率(>90%)を示したが、短鎖PFAS(~20-70%)や前駆物質(11-90%)では同じ処理時間で著しく低い効果しか示さなかった(McCleaf et al., 2021)(Kulkarni et al., 2022)。全体として、CGAを利用して、水からの除去が困難で難易度の高いPFAS化合物(短鎖PFASおよび前駆物質)を補足することにより、既存の泡沫分離法を改善できる。したがって、本発明の好ましい実施形態は、処理を必要とする、抽出された地下水を濃縮し、その量を減らす方法を提示する。さらに、本発明の好ましい実施形態をin-situで使用して、既存の井戸中泡沫分離法を改善したり、先端のガススパージング技術を改善したりすることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ex-situ(地上)またはin-situ(地表下)での水からのPFAS除去を容易にする、水中のPFASをex-situまたはin-situで濃縮するための方法が開示される。本方法は、空気と、界面活性剤と、水との特別な混合物である、コロイド状ガスアフロン(CGA)の使用に基づいている。CGAは強力な吸着性を有し、静電的分配作用や疎水的分配作用による分離に利用される。CGAは、染料、食品産業、重金属、またトリクロロエチレン(TCE)などの汚染物質で試験され、高い性能を示している(95~98%除去)(S. Basu & P.R. Malpani, Removal of Methyl Orange and Methylene Blue Dye from Water using Colloidal Gas Aphron-Effect of Processes Parameters, Separation Science and Technology, 36:13, 2997-3013, https://dx.doi.org/10.1081/SS-100107642; Hashim, M.A., Mukhopadhyay, S., Gupta, B.S. and Sahu, J.N., Application of Colloidal Gas aphrons for pollution remediation, J. Chem. Technol. Biotechol., 2007, 87: 305-324, https://doi.org/10.1002/jctb.3691; Wei Tao, Changgen Mei, Nurhidayah Hamzah, The application of surfactant colloidal gas aphrons to remediate contaminated soil: A review, Journal of Contaminant Hydrology, 2020, 231, 103630, 0169-7722, https://doi.org/10.1016/j.jconhyd.2020.103620)。気泡と比較して、CGAは基本的に異なる構造を有し、その直径は、一般的な気泡の直径(例えば、ディフューザープレートの孔径)が100~50,000μm(SSI, 2019; Hiblow, 2021)であるのに対し、約10~100μmと著しく小さい(E. Fuda, P. Jaruegi, An insight into the mechanism of protein separation by colloidal gas aphrons (CGA) generated from ionic surfactants, Journal of Chromatography B, 2006, 843:2, 317-326, 1570-0232, https://doi.org/10.1016/j.jchromb.2006.06.032; Aysan Molaei, Kristian E. Waters, Copper ion removal from dilute solutions using colloidal liquid aphrons, Separation and Purification Technology, 2015, 152, 115-122, https://doi.org/10.1016/j.seppur.2015.08.001)。またCGAはより安定で、処理プロセスにおいてより簡単に分離される。CGAの直径が小さいので、泡沫分離でPFASを除去するのに通常使用される小さな気泡よりも、約100倍の接触面積(アフロンの直径を100μm、気泡の直径を10,000μmと仮定)と、長い処理時間が得られる(Kulkarni et al., 2022)。さらに、炭化水素を除去するために掘削流体の注入も試験されている(Pasdar, M., Kazemzadeh, E., Kamari, E. et al. (2020), Insight into selection of appropriate formulation for colloidal gas aphron (CGA)-based drilling fluids, Pet. Sci. 17, 759-767, https://doi.org/10.1007/s12182-020-00435-z)。しかし、我々の知る限り、CGAでは、汚染水中のPFAS処理で一般的に直面するような、多様な静電特性や疎水特性を有する汚染物質の複雑な混合物の処理は検討されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ガス気泡とは異なり、CGAはアニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤を用いて作成できるので、カチオン、アニオン、双性イオンなどの異なった電荷を有するPFASを同時に捕捉できる。したがって、異なった静電表面電荷を有する混合CGAは、廃棄物流中の多種多様なPFASを除去できる。ほとんどのPFAS廃棄物流は、化学的特性が大きく異なる、数百から数千種類の異なったPFASから構成されているので、これは重要な利点となる。
【0009】
CGAは、(通常、臨界ミセル濃度を超える濃度の)アニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤を、ミキサーを用いて高速(>8,000rpm)で混合することにより作成される。混合タンク中にバッフルを使用し、高せん断力により、内部が気体、中間層が水、外層が界面活性剤で構成され、表面上に静電荷を有する、小径CGAを作成する。
【0010】
CGAのex-situ分離用途では、PFAS含有水を分離カラムに導く。CGAを分離カラムの底部に導入し、静電的分配作用や疎水的分配作用により、水に溶解したPFASをCGAに吸着させる。その後、CGAと吸着したPFASとは、CGAの浮力のために、分離カラム内を上方に移動する。CGAが分離カラムの上部に蓄積すると、ポンプによる汲み上げ、すくい取り、またはデカンテーションによって除去される。除去されたCGAを収容する容器内で、CGAは自ら崩壊し、低容量、高濃度の廃棄物流が残る。それを、分解処理(例えば、焼却やプラズマ処理)や廃棄のために送液したり、または別の方法で管理することができる。分離容器から排出された水流には、検出不可能または非常に低濃度のPFASしか存在せず、さらなる処理を必要としないか、簡単な仕上げステップだけを行ってPFAS濃度を許容レベルまで下げる。
【0011】
PFAS廃棄物流の容量を減らすことには、輸送と廃棄のコストに重要な意味がある。少量で高濃度の廃棄物量は、大量で低濃度の廃水よりも、輸送がはるかに容易である。さらに、分解技術によっては、高流量または大量への対応のためのスケールアップが困難なものもある。したがって、低容量で高濃度の廃棄物流は、処理能力の低い分解技術には理想的である。
【0012】
場合によっては、CGAをPFAS分解技術に直接組み込むことも可能である。例えば、プラズマに基づく処理技術(Nau-Hix, C., Multari, N., Singh, R.K., Richardson, S.D., Kulkarni, P.R., Anderson, R.H., Holsen, T.M., Mededovic Thagard, S., 2021, Field Demonstration of a Pilot-Scale Plasma Reactor for the Rapid Removal of Poly-and Perfluoroalkyl Substances in Groundwater, Environmental Science and Technology (ES&T), Water, 1 (3), 680-687)では、現在、アルゴンガス気泡を利用して、プラズマ反応器内で水からPFASを分離している。その気泡は水面に上昇し、そこで電気的に発生したプラズマと遭遇し、PFASは分解されうる。CGAは、プラズマ反応器内での同じ目的に好適であるかもしれず、水からPFASを除去するための異なったメカニズムを提供する。
【0013】
CGAはまた、従来のex-situ泡沫分離法およびin-situ泡沫分離法に、より効率的な手法を提供できるかもしれない。この手法では、気泡とCGAを併用してPFAS含有水を処理する。
【0014】
汚染された地下水を処理するin-situ用途では、滞水層中のPFASプルーム内および/またはその下に、CGAを注入可能である。CGAを地下水処理ゾーン中に導入すると、PFASは静電的分配作用や疎水的分配作用により外表面上に集まり、注入されたCGAの浮力によって上方に引き寄せられる。CGA注入により、iゾーンの深い部分でのPFAS濃度が低くなり、滞水層のこの部分が浄化される。また、CGA注入により、滞水層の上部付近で、PFAS濃度が高くなり、場合によっては、CGA-PFAS浮力層が形成される。したがって、少量の地下水のポンプによる汲み上げやすくい取り、かつ/またはCGA-PFAS層を直接除去することで、PFASの除去がより容易になる。さらに、CGA注入を、浸透性トレンチまたは井戸(垂直または水平)中への注入によりin-situで行うこともできる。
【0015】
本発明の主な利点は、CGAが、水に溶解した、疎水性化学物質、帯電した化学物質、または疎水性で帯電した化学物質を除去可能なことである。規制されたすべてのPFASは、帯電した疎水性の化学物質である。
【0016】
CGAの別の利点は、小径であり、帯電性および/または疎水性の化学物質を除去するための接触面積が、小さなガス気泡と比較しても、大きいことである。
【0017】
さらに、CGAには、CGA本来の浮力により、水体または水流から自己分離するという利点がある。
【0018】
別の利点は、CGAの寿命が数分と短く、崩壊して液相に変わり、その後の処理や廃棄のために容易に輸送可能なことである。
【0019】
さらに、個々のアフロン上に異なる電荷を有するCGAを作成可能で、これにより、通常カチオン性、アニオン性、双性イオン性のPFASからなる混合物であるPFAS廃棄物流の処理が可能になる。
【0020】
本発明の別の利点は、垂直井戸または水平井戸を介した注入による、地下水帯水層からPFASを除去するためのシステムであって、帯水層の上部にPFASを濃縮し、それによって濃縮されたPFASの除去を容易にするシステムを提供することである。
【0021】
本発明のさらに別の利点は、浸透性トレンチを流れる地下水中のPFASを除去するシステムであって、トレンチ内の飽和媒体の上部付近にPFASを濃縮することで除去を容易にするシステムを提供することである。
【0022】
本発明のさらに別の利点は、地下水井戸にCGAを注入することでPFASを除去するシステムであって、井戸の高所でCGA上に濃縮されたPFASを回収可能なシステムを提供することである。
【0023】
本発明のさらに別の利点は、バルク液からPFASの濃縮を必要とする既存のex-situまたはin-situ処理技術構造で使用可能な、PFASを除去するためのシステムを提供することである。
【0024】
本発明の別の目的および利点は、添付図面と関連した、以下の説明から明らかになるであろう。以下の説明では、図や例を用いて本発明の実施形態が開示されている、
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面は本明細書の一部を構成し、本発明の例示的な実施形態を含み、様々な形態で具体化されうる。本発明を理解しやすくするために、本発明の様々な態様が誇張または拡大されて示される場合があることを理解されたい。
【0026】
図1】先行技術からの抜粋であり、染料がPFASの代替物になることが示されている。
【0027】
図2】概念実証実験用の装置であって、CGAが、回転ディスク構造を用いて生成され、汚染水を含むカラムにポンプで送られる装置を示す図である。
【0028】
図3】概念実証実験中に形成されたCGAのユニークな多層構造(空気、水、静電的に帯電した界面活性剤)を、顕微鏡とカメラで観察した図である。
【0029】
図4】CGAを染料溶液にポンプで送った実験の結果を示す図である。
【0030】
図5A】トリフルオロメタンスルホン酸(脱プロトン化したものはトリフレートと呼ばれる)、TFA、PFBA、PFBS、PFOA、PFOSの6種の異なったPFAAを含む液体溶液に、CGAをポンプで送った実験の結果を示すグラフである。
図5B】トリフルオロメタンスルホン酸(脱プロトン化したものはトリフレートと呼ばれる)、TFA、PFBA、PFBS、PFOA、PFOSの6種の異なったPFAAを含む液体溶液に、CGAをポンプで送った実験の結果を示すグラフである。
【0031】
図6】CGAによる短鎖PFAS(PFBA)の除去を、ガスバブリングのみ(N2)による除去効果およびCTAB存在下でガスバブリング(N2)による除去効果と、バルク溶液中で比較した対照実験を示す図である。
【0032】
図7】PFAS汚染水をex-situで分離カラムを使って処理するモデルであって、CGAをカラムの底にポンプで注入し、さらなる処理または廃棄のために、CGAの高濃度PFAS層をすくい取るまたはポンプで汲み上げるモデルを示す図である。
【0033】
図8】本発明の好ましい実施形態による、CGAと流入流との接触時間を長くするための、分離カラム内のバッフルを示す図である。
【0034】
図9】好ましい実施形態による、より均一な送達を可能にするための、CGA用分配プレートの追加を示す図である。
【0035】
図10】処理または分離のために、ガス気泡とCGAの両方を使用する、好ましい実施形態を示す図である。
【0036】
図11】別の好ましい実施形態を用いたin-situ用途のモデルであって、CGAが帯水層に直接注入されるモデルを示す図である。
【0037】
図12】さらに別の好ましい実施形態を用いたin-situ用途の概念モデルを示す図であって、CGAが人工トレンチに注入されるモデルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
好ましい実施形態の詳細な説明が、本明細書に記載されている。しかしながら、本発明は様々な形態で具現化されうることを理解されたい。したがって、本明細書に開示された具体的詳細は、限定的なものとして解釈されず、むしろ、後述の特許請求の範囲のための基礎として、また、実質的に本発明を、任意の適切で詳細なシステム、構造または方法で採用することを、当業者に教示するための、代表的な基礎として解釈されるものである。
【0039】
概念実証実験を行い、人工的に汚染された水系からのPFAS代用物の除去を、視覚的かつ定量的に評価した。PFASは化学物質の多様な種類であり、その分析は複雑で費用と時間がかかる。Sorengard, M., Ostblom, E., Kohler, S., Ahrens, L., 2020, Adsorption behavior of per- and polyfluoralkyl substances (PFASs) to 44 inorganic and organic sorbents and use of dyes as proxies for PFAS sorption, Journal of Environmental Chemical Engineering 8, 103744, https://doi.org/10.1016/j.jece.2020.103744 (2020) などの先行技術は、以下と図1で説明されるように、染料を代替物としてうまく利用して、PFAS吸着を評価できることをすでに明らかにしている。メチレンブルー(MB)は、主に静電力を介する、短鎖PFAS(パーフルオロブタン酸など)の吸着とよく相関し、ローズベンガル(RB)は、主に疎水力を介する、長鎖PFAS(パーフルオロオクタンスルホン酸など)の吸着とよく相関することが明らかになっている(Sorengard et al., 2020)。そこで、概念実証の目的で、MBとRBを用いて、短鎖PFASと長鎖PFASの除去におけるCGAの有効性を評価した。CGAによる汚染物質除去の主なメカニズムは、静電相互作用と疎水性相互作用の両方を介するので、汚染物質とCGAが反対の電荷を帯びているか、疎水性の場合に、最適な除去が達成される。MBとRBはそれぞれカチオン性とアニオン性である。そのため、MBとRBの実験では、それぞれアニオン性(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(NaDBS))界面活性剤とカチオン性(臭化セトリモニウム(CTAB))界面活性剤を用いてCGAを作製した。
【0040】
図1には、パーフルオロアルキル物質とポリフルオロアルキル物質(PFAS)の、44種類の無機吸着剤と有機吸着剤への吸着挙動、およびPFAS収着の代替物としての染料の使用が示されており、PFSA、PFCA、FTSA、FOSAなどの複数のPFAS化合物について、x軸を疎水性収着、y軸を静電収着として示されている。さらに、主に静電力を介する短鎖PFAS(パーフルオロブタン酸など)の吸着とよく相関するメチレンブルー(MB)と、長鎖PFAS(パーフルオロオクタンスルホネートなど)の吸着とよく相関するローズベンガル(RB)も示されている。
【0041】
本発明の好ましい実施形態にしたがい、実験装置を図2に示し、さらに以下に説明する。ビーカー114内のバルク界面活性剤溶液100が模式的に示されており、界面活性剤102と液体104と気体106とからなるCGAを含む。シャフト110を介してディスク112に接続されたモーター108を有する回転ディスク構造を用いて、CGAを発生させた。モーター108などの回転具は、毎分約5,000~35,000回転(rpm)が可能であり、直径2.5インチのディスク112が取り付けられた、3Dプリントされたシャフト110に接続された。Longe(1989年)らの方法にしたがい、CGAを5Lビーカー114内で製造した。このビーカーは、適切に空気を導入できる4つのバッフル115を有し、最大せん断となる回転ディスクゾーンを流体全体が通過可能である。臨界ミセル濃度(CMC)を超えるように調製された1Lの界面活性剤溶液116で、ビーカー114を満たした。実験で使用したCTAB溶液とNaSDS溶液の濃度は、それぞれ380ppm(CMCは約330ppm)と700ppm(CMCは約540ppm)であった。CGAを生成させるために、回転ディスクを界面活性剤溶液の表面から約1~2インチ下に下げ、回転ディスクを12,500rpmで1分間回転させて、CGAを含む白濁液を発生させた。
【0042】
蠕動ポンプ120により、CGAを40mL/分の速度でビーカー114から方向118に輸送し、1.5LのMBまたはRB染料溶液117(PFAS代用物溶液)を含む、高さ21インチの2L垂直分離カラム122の底部に導いた。使用したMBとRBの濃度は、それぞれ20ppmと5ppmであった。空気/水界面に蓄積するCGAを、カラム122から方向124に連続的に除去した。
【0043】
この実験をバッチモードで行った。実験中、CGAをバッチ分離カラムから連続的に除去した。ビーカー114内の界面活性剤溶液100は模式的に示されており、界面活性剤102と液体104と気体106とからなるCGAを含んでいる。
【0044】
ユニークな多層構造を持つCGAは、実験中にうまく生成され、顕微鏡を用いて確認したところ、図3に示されるようであった。画像140は、バルク水148中の複数のCGA145を示しており、各CGAは中心に空気142を有し、その周りを水層144が取り囲み、さらにその周りを、静電荷を帯びた界面活性剤層146が取り囲んでいる。CGAはスピニングディスク構造を用いて回転数12,500rpmで生成され、光学顕微鏡法で画像化された。
【0045】
バルク液中の染料濃度を分光光度計で測定した。まず、特定濃度の色素を作成し、その吸光度を測定することで、検量線を作成した。RBの波長は550nm、MBの波長は663nmとした。
【0046】
分離カラムからバルク液中の染料溶液を毎分採取し、測定用キュベットに満たした。吸光度を記録し、各検量線を用いて染料濃度を算出した。
【0047】
図4は、CGAスパージング実験で観察された、染料除去の結果を示すグラフである。2種の溶液それぞれについて、除去率をy軸に示す。メチレンブルー(MB)150を斜めのクロスハッチングで、ローズベンガル(RB)152を方形のクロスハッチングで表す。CGSを、1.5Lの染料溶液に40mL/分の速度で導入した。全体としては、図4に示すように、CGAバッチ除去試験において、6~8分で81%のMB除去と91%のRB除去が認められた。これはCGAを利用して、短鎖PFASと長鎖PFAS、ならびにアニオン性PFASとカチオン性PFASをいずれも除去可能であることを示している。
【0048】
いくつかの染料試験では、除去率は最初の数分間は高いが、試験を継続するにつれて低下した。これは、CGAの一部が分離カラムの水層上部に残り(例えば、試験中にCGA除去ステップが非効率であり)、これらのCGAが自然に崩壊して液相に戻り、それによって染料が水相に放出されたためであると、後に判明した。この性能低下は、より効率的なCGA除去ステップを採用することで、後の実験室試験や現場での用途において、容易に回避できる。
【0049】
シグマアルドリッチ社から購入した分析グレードのPFASを含有する液体溶液を用いて、2回目の実験を行った。液体クロマトグラフィーをタンデム質量分析(LC-MS-MS)と共に使用した標的分析によって、採取したサンプル中のPFASを測定した。
【0050】
まず、超短鎖PFAS(トリフレート、TFA)と短鎖PFAS(PFBA、PFBA)と長鎖PFAS(PFOA、PFOS)とを含む液体溶液を用い、処理時間10分で、CTAB(カチオン性界面活性剤)で生成させたCGAを利用して、実験を行った。
【0051】
除去率は以下の通りであった。超短鎖PFASは60~90%、短鎖PFASは91~95%、長鎖PFASは0~88%。PFOAの除去率は90%で、PFOSの減少は観察されなかった(Kulkarni et al., 2022)。図5Aにこの実験の結果を示す。y軸は正規化濃度、x軸は時間であり、トリフレート(TFA)と短鎖PFAS(PFBA、PFBS)と長鎖PFAS(PFOA、PFOS)のデータを示している。図5Bにこの実験の結果を示す。y軸はPFAS除去率(%)、x軸は時間である。処理時間10分でCGAを用いた場合の、超短鎖PFAS(トリフレート、TFA)と短鎖PFAS(PFBA、PFBS)と長鎖PFAS(PFOA、PFOS)の除去率は、以下の通りであった。超短鎖PFASは60~90%、短鎖PFASは91~95%、長鎖PFASは0~88%。PFOAの除去率は90%で、PFOSの減少は観察されなかった。
【0052】
さらに対照実験を行い、CGAによる短鎖PFAS(PFBA)の除去を、ガスバブリングのみ(N)による除去と、CTAB存在下でのガスバブリング(N2)による除去と、バルク溶液中で比較した。
【0053】
図6に示すように、x軸を分単位の時間、y軸をPFBA/正規化濃度としたグラフが描かれている。グラフは、CGAと、N2バブルと、NSバブル+CTABの結果を示している。示されているように、CGAを介した除去率は、10分間の処理で有意に高かった(CGAの90%と、CTAB溶液中の窒素バブリングの11%と、窒素バブリングのみの0%)。さらに、PFBA(短鎖PFAS)の除去において、CGAは、バルク溶液中のCTABの有無にかかわらず、窒素バブリングよりも速い速度を示した(Kulkarni et al., 2022)。
【0054】
図7に示す好ましい実施形態の分離システム200では、PFAS含有水217を流入水として、方向218で分離カラム220にポンプで注入する。別途CGAを生成させ、PFAS汚染水を含む分離カラム220の底部にポンプ214から方向216に導入する。このポンプは、モーター202に連結されたシャフト204によって回転するディスク206の回転作用によって生成されたCGA溶液208を、方向212に吸引する。バッフル210はビーカー211内に配置され、CGAの生成を促進する。
【0055】
PFASは、静電作用と疎水作用によりCGA上に吸着する。PFASが付着したCGAは、CGA本来の浮力により、分離カラム220内を上方に移動する。その後、分離カラム220の上部で、より高濃度のPFASを含むCGA層222が形成され、ポンプによる汲み上げまたはすくい取りによって分離カラム220から方向226に除去され、受入容器228に入る。受入容器228に入ると、除去されたCGAは数分で自然に崩壊し(科学文献によると、CGA崩壊までの典型的な半減期は約4分である)、濃縮されたPFASを含む液体が形成される。この低容量で高濃度の液体を方向229に送り、既存のex-situ処理技術230(例えば、分解技術)によって処理するか、人工的な保管場所や埋立地で安全に処分するか、または何らかの別の方法で管理する。廃水224は、カラム220から排出される。
【0056】
図8に、本発明の好ましい実施形態による分離カラム240内のバッフル248を示す。バッフル248を分離カラム240に追加し、流入流244とCGA混合物との接触時間を長くすることにより、廃水からのCGAの分離や回収を改善することが可能である。PFAS汚染水の流入流244を分離カラム240に導入しながら、CGAを流入流246を介して分離カラム240に導入する。PFASとCGAは方向250に移動し、セパレーターカラム250の上部242に集まる。廃水252は分離カラム240の上部から流れ出る。CGAは、流れ254を介して分離カラム240からポンプで汲み出される。
【0057】
図9に、流入路262を有する分離カラム260に加えることができる有孔分配プレート266の追加を示す。流路264から導入されたCGA268はプレート266を通り、このプレートを通ってCGA混合物が流れ、好ましい実施形態によるCGAのより均一な送達と分配が可能になる。廃水は出口270を通って流れ、崩壊したCGAと濃縮PFASは出口272を通って流れる。
【0058】
図10に、既存の気体/液体PFAS処理プロセスにおける分離システムを示す。CGA286を流路284からタンク280に導入し、気体294をポート288から導入する。流入水を流路282から導入する。直接処理(プラズマ反応器など)や分離(泡沫分離)296のために、CGAを従来のガス気泡と併用できる。その後、廃水流は流路292から流れ出る。
【0059】
図11に示すin-situ用途では、CGA304を、井戸302を介して、地面300の下に横たわる帯水層311中のPFASプルーム316内および/またはその下に直接注入する。この用途では、井戸302を地層307(垂直または水平)中に掘り、CGA304を井戸302を通じて下降させ、井戸302の底部近くの井戸スクリーン306から排出させる。CGAが地下水処理ゾーン310に導入されると、PFASは静電的分配作用や疎水的分配作用により外表面に集まり、注入されたCGAの浮力によって上方に引き寄せられる。CGA注入により、注入ゾーン深部のPFAS濃度が低下し、帯水層311のこの部分が浄化される。また、CGA注入により、帯水層311上部付近のPFAS濃度313が高くなるので、高濃度のPFASを含有する低容量の地下水をすくい取る、かつ/または浅い抽出井戸を使用してCGAを直接除去することで、PFASの除去が容易になる。濃縮されたCGA/PFAS312は、浅い井戸315を通って方向314に移動し、さらなる処理や廃棄のためにすくい取りが可能になる。
【0060】
図12に示すさらに別の実施形態においては、in situトレンチ除去320はCGA注入322を利用する。この除去は、帯水層316に地盤330を通して掘削された、砂利や砂などを用いる人工トレンチ325内の多孔質媒体324を通して実施可能である。方向308の自然水平流勾配の下で、地下水はトレンチ325の片側を通って反対側に流れ出る。トレンチ325内の井戸326からスクリーン327を通してCGAを注入することにより、PFASを方向328で地表に向かわせ水面で濃縮する。したがって、高濃度で低容量の汚染された地下水またはCGA-PFAS層の除去または処理が容易になる。
【0061】
本発明を、好ましい実施形態に関連して説明したが、本発明の範囲を、説明した特定の形態に限定することを意図するものではなく、逆に、後述の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に含まれうるような代替物、修正物、および均等物を対象とすることを意図するものである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】