(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】高度呼吸支援用バッグ及びバルブ
(51)【国際特許分類】
A61M 16/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61M16/00 390Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544358
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 US2021061250
(87)【国際公開番号】W WO2023055407
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524125201
【氏名又は名称】コンパクト メディカル インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン メレル
(72)【発明者】
【氏名】アダム スコット
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ フラーグル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル レイン
(57)【要約】
呼吸装置(3000)は患者に呼吸支援を提供する。呼吸装置(3000)は、拡張可能なバッグ(3004)と硬質弁ハウジング(3001)を含む。拡張可能なバッグは、空気入口弁と、第1及び第2の硬質側部パネルによってそれぞれ囲まれる第1及び第2の側部(3002a、3002b)とを有する。第1及び第2の硬質側部パネルのそれぞれは、バイアス部材突起(3081a、3081b)を含む。硬質弁ハウジングは拡張可能なバッグと流体連通している。硬質弁ハウジングは、第1及び第2の硬質側部パネルのそれぞれのバイアス部材突起と相互作用して、非圧縮構成又は圧縮構成における拡張可能なバッグの複数の所定の一回換気量のうちの1つを設定する調節可能な一回換気量制御装置(3012)を含む。硬質弁ハウジングは、追加的に、患者呼吸インタフェース接続部材を含む。
【選択図】
図46A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に呼吸支援を提供する呼吸装置であって、
空気入口バルブと、第1及び第2の硬質側部パネルにそれぞれ囲まれる第1及び第2の側部とを有する拡張可能なバッグであって、前記第1及び前記第2の硬質側部パネルのそれぞれは、バイアス部材突起を含む、拡張可能なバッグと;
前記拡張可能なバッグと流体連通する硬質弁ハウジングであって、非圧縮構成又は圧縮構成における前記拡張可能なバッグの複数の所定の一回換気量のうちの1つを設定するため前記第1及び前記第2の硬質側部パネルのそれぞれの前記バイアス部材突起と相互作用する調節可能な一回換気量制御装置を含み、追加的に、患者呼吸インタフェース接続部材を含む、硬質弁ハウジングとを備える、呼吸装置。
【請求項2】
前記調節可能な一回換気量制御装置は、前記第1及び前記第2の硬質側部パネルのそれぞれの前記バイアス部材突起とそれぞれ相互作用するための、深さが変化する第1の面及び深さが変化する反対の第2の面を提示する、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項3】
前記調節可能な一回換気量制御装置は、前記硬質弁ハウジングの本体部分に取り付けられ、かつ、前記呼吸装置は、
前記本体部分内に維持される調節可能な最高気道内圧(PIP)機構と;
前記本体部分に独立して取り付けられ、所定の最高気道内圧値を提供するために前記PIP機構を調節する調節可能なPIP制御装置とをさらに備える、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項4】
前記調節可能な一回換気量制御装置は、前記硬質弁ハウジングの本体部分に取り付けられ、かつ、前記呼吸装置は、
前記本体部分内に維持される二方弁であって、前記拡張可能なバッグから前記二方弁の第1の部分を通って第1の方向に空気が移動可能であるようにし、前記二方弁の第2の部分を通って反対の方向に空気を向け、呼気終末陽圧(PEEP)を生じさせる、二方弁と;
前記本体部分に独立して取り付けられ、所定のPEEPを提供するために前記二方弁を調節する調節可能なPEEP制御装置とをさらに備える、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項5】
前記本体部分内に維持される二方弁であって、前記拡張可能なバッグから前記二方弁の第1の部分を通って第1の方向に空気が移動可能であるようにし、前記二方弁の第2の部分を通って反対の方向に空気を向け、呼気終末陽圧(PEEP)を生じさせる、二方弁と;
前記本体部分に独立して取り付けられ、所定のPEEPを提供するために前記二方弁を調節する調節可能なPEEP制御装置とをさらに備える、請求項3に記載の呼吸装置。
【請求項6】
前記調節可能な一回換気量制御装置は、身長、体重及び/又は年齢に基づいて患者に必要となる空気量を決定するために使用される規格に対応する表示がラベル付けされている、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項7】
前記調節可能なPIP制御装置は、PIP規格に対応する表示がラベル付けされている、3の呼吸装置。
【請求項8】
前記第1及び前記第2の硬質側部パネルをそれぞれ前記硬質弁ハウジングにヒンジ式に固定する第1及び第2のヒンジピンをさらに備える、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項9】
前記第1及び前記第2の硬質側部パネルのそれぞれの前記バイアス部材突起は、それぞれの前記ヒンジピンの前方に位置する、請求項8に記載の呼吸装置。
【請求項10】
前記第1及び前記第2の硬質側部パネルのそれぞれは、(a)輪郭形成縁部;及び(b)タブのうち少なくとも1つの拡張可能バッグ変形防止機能を含む、
請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項11】
前記第1及び前記第2の硬質側部パネルは、前記拡張可能なバッグが完全に圧縮されているときに前記拡張可能なバッグを完全に包囲する縁部を含む、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項12】
前記第1及び第2の硬質側部パネルのそれぞれは、呼吸装置の過圧縮を防止するストップ機能を含み、前記ストップ機能は、
(a)硬質弁ハウジングに位置するリングと相互作用する突出外部ストップ;
(b)それぞれの前記硬質側部パネルの内面から延びる内部ストップであって、
前記第1及び前記第2の硬質側部パネルの前記内部ストップは、互いに対向し、
前記呼吸装置の完全圧縮時に互いに接触する、内部ストップ;
(c)それぞれの前記硬質側部パネルの上面及び/又は下面から外側に延びる輪郭形成縁部であって、前記第1及び前記第2の硬質側部パネルの前記輪郭形成縁部は、互いに対向し、前記呼吸装置の完全圧縮時に互いに接触する、輪郭形成縁部;及び
(d)それぞれの前記硬質側部パネルの上面及び/又は下面から外側に延びるタブであって、前記硬質側部パネルのそれぞれの一方の前記タブの一部分は、前記硬質側部パネルの他方の前記タブの一部分と相互作用する、タブ
のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項13】
圧縮ガス及び/又は周囲空気が前記拡張可能なバッグと連通するアパーチャのサイズを調節する膨張調節ダイヤルをさらに備える、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項14】
排気バルブと、前記排気バルブが閉塞されていない第1の位置及び前記排気バルブが閉塞されている第2の位置を含む2つの位置の間で移動可能である、閉塞キャップとをさらに備える、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項15】
前記呼吸装置は、(a)圧縮ガスが圧縮ガス入口ポートを介して前記呼吸装置に供給されており;かつ(b)調節可能なPEEP制御装置が係合されている場合に、持続的気道陽圧(CPAP)を提供する、請求項12に記載の呼吸装置。
【請求項16】
前記第1及び前記第2の硬質側部パネルのそれぞれは、呼吸装置を片手で操作するためのテクスチャ加工された人間工学的凹部を含む、請求項1に記載の呼吸装置。
【請求項17】
(a)前記硬質弁ハウジング;及び(b)前記PEEP制御装置のうちの少なくとも1つに固定されたフィルタ本体であって、呼吸装置から出る患者の呼気をフィルタリングするバイオ/ウイルスフィルタを含むフィルタ本体をさらに備える、請求項4に記載の呼吸装置。
【請求項18】
前記フィルタ本体は、呼気終末CO
2モニタと結合可能な呼気ポートを含む、請求項17に記載の呼吸装置。
【請求項19】
前記バイオ/ウイルスフィルタは、それ自体のPEEPを発生させる、請求項17に記載の呼吸装置。
【請求項20】
前記硬質弁ハウジングの主本体に取り外し可能に固定される取り外し可能なPEEPロックをさらに備え、前記PEEPロックは、PEEPをゼロに維持し、前記PEEP制御装置の調節を防止する、請求項4に記載の呼吸装置。
【請求項21】
前記硬質弁ハウジングの主本体と前記調節可能なPEEP制御装置との間にあるシールをさらに備える、請求項4に記載の呼吸装置。
【請求項22】
患者に呼吸支援を提供する際に使用する弁ハウジング部分であって、
患者呼吸インタフェースに接続可能な本体部分と;
前記本体部分内の調節可能な最高気道内圧(PIP)機構と;
前記本体部分内の二方弁であって、前記拡張可能なバッグから前記二方弁の第1の部分を通って第1の方向に空気が移動可能であるようにし、呼気終末陽圧(PEEP)を生じさせるために前記二方弁の第2の部分を通って反対の方向に空気を向ける、二方弁と;
前記本体部分に取り付けられ、所定の最高気道内圧を提供するように前記PIP機構を調節する第1の調節可能な制御装置と;
前記本体部分に取り付けられ、所定の一回換気量を提供するように前記拡張可能なバッグの一回換気量を調節する第2の調節可能な制御装置と;
前記本体部分に取り付けられ、所定のPEEPを提供するように前記二方弁を調節する第3の調節可能な制御装置と
を備え、前記第1、前記第2及び前記第3の調節可能な制御装置のそれぞれは、互いに独立して取り付けられている、弁ハウジング部分。
【請求項23】
(a)前記弁ハウジング;及び(b)前記第3の調節可能な制御装置のうちの少なくとも1つに固定されるフィルタ本体をさらに備える、請求項22に記載の弁ハウジング部分。
【請求項24】
前記フィルタ本体は、呼気終末CO
2モニタと結合可能な呼気ポートを含む、請求項23に記載の弁ハウジング部分。
【請求項25】
前記フィルタ本体は、患者の呼気をフィルタリングするバイオ/ウイルスフィルタを含む、請求項22に記載の弁ハウジング部分。
【請求項26】
前記第2の調節可能な制御装には、身長、体重及び/又は年齢に基づき患者に必要となる空気量を決定するために使用される規格に対応する表示がラベル付けされ、及び/又は前記第1の調節可能な制御装置は、PIP規格に対応する表示がラベル付けされている、請求項22に記載の弁ハウジング部分。
【請求項27】
前記第2の調節可能な制御装置は、第2の調節可能な制御装置の調節を提供する、深さが変化する複数の歯の2つの同一の組を含む、請求項22に記載の弁ハウジング部分。
【請求項28】
前記第2の調節可能な制御装置は、前記第2の調節可能な制御装置の調節を提供する、深さが変化する2つの同一の傾斜面を含む、請求項22に記載の弁ハウジング部分。
【請求項29】
前記弁ハウジング部分の前記本体部分に取り外し可能に固定される取り外し可能なPEEPロックをさらに備え、前記PEEPロックは、PEEPをゼロに維持し、前記第3の調節可能な制御装置の調節を防止する、請求項22に記載の弁ハウジング部分。
【請求項30】
前記第1の調節可能な制御装置及び前記第2の調節可能な制御装置の両方の設定位置を表示する単一の制御装置インジケータをさらに備える、請求項22に記載の弁ハウジング部分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、PCT国際特許出願として2021年11月30日に出願され、2021年11月29日に出願された米国非仮特許出願第17/537,169号及び2021年10月1日に出願された米国仮特許出願第63/251,373号の利益及び優先権を主張するものであり、これらの開示全体は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、現場環境で患者の人工呼吸に使用されるバッグ・バルブ・マスク(bag-valve-mask)又は蘇生器に関する。
【背景技術】
【0003】
手動式蘇生器又はバッグ・バルブ・マスク(BVM)は、意識がないなど自力で呼吸ができない患者の肺に一時的に空気を送り込むための装置である。この装置は、国中、そして世界のほとんどの先進地域の病院や救急車に設置されている。
【0004】
BVMは何年も前から存在している。BVMには、長年にわたって数多くの改良と改善が加えられてきており、改良された二方弁、高圧を逃がす「ポップオフ(pop-off)」バルブの追加、自己膨張バッグ部分に流入する空気の酸素含有率を高めるためのバッグへの酸素リザーバの取り付けなどが含まれる。
【0005】
自己膨張バッグは嵩張る。使用しないときでも、通常1リットル以上(成人用モデル)の空気を保持する。二方弁も嵩張り、最も一般的な90度の角度を持つ硬質プラスチック製の構造体を使用する。マスクは同様に嵩張り、通常、周囲の周囲に柔らかいゴム製のバルーンを有し、被害者の口及び鼻周りに接触して封止を形成する、硬質プラスチック製の三角形状の装置を採用している。これらの構成部品はそれぞれが嵩張るものであり、これらを合わせると、使用訓練を受けた個人が公共の場で持ち運ぶには大きすぎて鈍重な装置となる。そのため、ほとんどの非臨床現場で緊急事態が発生した場合、BVMは通常、救急車が到着するまで利用できない。
【0006】
過去には、これらの装置が占める全体的なスペースを減らす努力がなされてきた。これには、容器に収納できる柔軟な中空本体を備えた、完全に折り畳み可能なバッグが含まれる。装置を小型化する試みでは、より薄い材料が使用されてきた。その結果、バッグ・バルブ・マスクは、使用後に機能が失われるため、1回限りの使用に適することになる。したがって、BVMは通常、病院や同様の臨床現場でしか使用できない。
【0007】
嵩張るだけでなく、従来のBVMは過換気を引き起こしやすい。患者に過剰な空気が与えられる状態である。その結果、死に至ることもある。従来のBVMは急速に膨張するため、救命者は推奨されているよりも頻繁に呼吸を与えることになり、過換気を引き起こす。
【0008】
最後に、従来のBVMは、BVMのサイズ(成人、小児又は新生児)に応じた一定の圧力開放点の有無にかかわらず、一定の一回換気量を供給することしかできない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一般に、本開示は、弁ハウジングと患者呼吸インタフェースを備えた拡張可能なバッグを有する呼吸装置に関する。呼吸装置は、ユーザが患者に呼吸支援を提供することを可能にする。
【0010】
特定の態様では、本開示は、拡張可能なバッグ及び硬質弁ハウジングを含む呼吸装置に関する。拡張可能なバッグは、第1及び第2の硬質側部パネルにそれぞれ囲まれる第1及び第2の側部と、空気入口弁とを有する。第1及び第2の硬質側部パネルのそれぞれは、バイアス部材突起を含む。硬質弁ハウジングは、拡張可能なバッグに流体連通している。硬質弁ハウジングは、第1及び第2の硬質側部パネルのぞれぞれのバイアス部材突起と相互作用し、非圧縮構成又は圧縮構成における拡張可能なバッグの複数の所定の一回換気量のうちの1つを設定する、調節可能な1回換気量制御装置を含む。硬質弁ハウジングは、追加的に、結合可能な患者呼吸インタフェース接続部材を含む。
【0011】
特定の態様では、調節可能な一回換気量制御装置は、複数の所定の一回換気量のうちの1つを設定するために、第1及び第2の硬質側部パネルのそれぞれのバイアス部材突起とそれぞれ相互作用するための、深さが変化する第1の面及び対応して深さが変化する反対する第2の面を提示する。特定の態様では、調節可能な一回換気量制御は、硬化弁ハウジングの本体部分に取り付けられる。
【0012】
特定の態様では、呼吸装置は、追加的に、本体部分内に維持される調節可能な最高気道内圧(PIP)機構と、本体部分に独立して取り付けられる調節可能なPIP制御装置とを含む。調節可能なPIP制御装置は、複数の所定の最高気道内圧値の1つを提供するようにPIP機構を調節する。
【0013】
特定の態様では、呼吸装置は、追加的に又は代替的に、硬質弁ハウジングの本体部分内に維持される二方弁であって、拡張可能なバッグから二方弁の第1の部分を通って第1の方向に空気が移動可能であるようにし、二方弁の第2の部分を通って反対の方向に空気を導き、呼気終末陽圧(PEEP)を生じさせる二方弁を含む。
【0014】
特定の態様では、調節可能な一回換気量制御装置には、身長、体重、及び/又は年齢に基づいて患者に必要となる空気量を決定するために使用される規格に対応する表示がラベル付けされている。特定の態様では、調節可能なPIP制御装置には、PIP規格に対応する表示がラベル付けされている。
【0015】
特定の態様では、呼吸装置は、第1及び第2の硬質側部パネルをそれぞれ硬質弁ハウジングにヒンジ式に固定する第1及び第2のヒンジピンをさらに含む。特定の態様では、第1及び第2の硬質側部パネルのそれぞれのバイアス部材突起は、それぞれのヒンジピンの前方に配置される。
【0016】
特定の態様では、第1及び第2の硬質側部パネルのそれぞれは、(a)輪郭形成縁部;及び(b)タブのうち少なくとも1つの拡張可能バッグ変形防止機能を含む。特定の態様では、第1及び第2の硬質側部パネルのそれぞれは、呼吸装置の過圧縮を防止するストップ機能を含む。ストップ機能は、(a)硬質弁ハウジングに位置するリングと相互作用する、突出外部ストップ;(b)それぞれの硬質側部パネルの内面から延びる内部ストップであって、第1及び第2の硬質側部パネルの内部ストップは、互いに対向し、呼吸装置の完全圧縮時に互いに接触する、内部ストップ;(c)それぞれの硬質側部パネルの上面及び/又は下面から外側に延びる輪郭形成縁部であって、第1及び第2の側部パネルの輪郭形成縁部は、互いに対向し、呼吸装置の完全圧縮時に互いに接触する、輪郭形成縁部;及び(d)それぞれの硬質側部パネルの上側及び/又は下面から外側に延びるタブであって、硬質側部パネルのそれぞれの一方のタブの一部分は、硬質側部パネルの他方のタブの一部分と相互作用する、タブのうち、少なくとも1つを備える。
【0017】
特定の態様では、呼吸装置は、追加的に、拡張可能なバッグと流体連通する圧縮ガス入口ポートを含む。特定の態様では、呼吸装置は、圧縮ガス及び/又は周囲空気が拡張可能なバッグと連通するアパーチャのサイズを調節する膨張調節ダイヤルを含む。特定の態様では、呼吸装置は、追加的に、排気弁と、排気弁が閉塞されていない位置及び排気弁が閉塞されている位置の間で移動可能である閉塞キャップとを含む。特定の態様では、呼吸装置は、(a)圧縮ガスが圧縮ガス入口ポートを介して前記呼吸装置に供給されており;かつ(b)調節可能なPEEP制御装置が係合されている場合に持続的気道陽圧(CPAP)を提供する。
【0018】
特定の態様では、第1及び第2の硬質側板のそれぞれは、呼吸装置を片手で操作するためのテクスチャ加工された人間工学的凹部を含む。
【0019】
特定の態様では、呼吸装置は、硬化弁ハウジングに固定されたフィルタ本体をさらに含み、フィルタ本体は、呼吸装置から出る患者の呼気をフィルタリングするバイオ/ウイルスフィルタを含む。特定の態様では、フィルタ本体は、(a)硬質弁ハウジング、及び(b)PEEP制御装置の少なくとも1つに固定される。特定の態様では、フィルタ本体は、呼気終末CO2モニタに連結可能である呼気ポートを含む。特定の態様では、バイオ/ウイルスフィルタはそれ自身のPEEPを発生させる。特定の態様では、呼吸装置は、硬質弁ハウジングの本体と調節可能PEEP制御装置との中間にあるシールを含む。
【0020】
特定の態様では、呼吸装置は、剛性弁ハウジングの主本体に取り外し可能に固定される取り外し可能なPEEPロックをさらに含む。PEEPロックは、PEEPをゼロに維持し、PEEP制御装置の調節を防止する。
【0021】
特定の態様では、本開示は、患者に呼吸支援を提供する際に使用する弁ハウジング部分に関する。弁ハウジング部分は、患者呼吸インタフェースに接続可能な本体部分と、本体部分内の調節可能なPIP機構と、本体部分内の二方弁であって、拡張可能なバッグから二方弁の第1の部分を通って第1の方向に空気が移動可能であるようにし、PEEPを生じさせるために二方弁の第2の部分を通って反対の方向に空気を向ける二方弁とを含む。弁ハウジング部分は、追加的に、第1、第2及び第3の調節可能な制御装置を含む。第1の調節可能な制御装置は、本体部分に取り付けられ、複数の所定の最高気道内圧のうちの1つを提供するようにPIP機構を調節する。第2の調節可能な制御装置は、本体部分に取り付けられ、所定の一回換気量を提供するように拡張可能なバッグの一回換気量を調節する。第3の調節可能な制御装置は本体部分に取り付けられ、所定のPEEPを提供するように二方弁を調節する。第1、第2及び第3の調節可能な制御装置は、互いに独立して取り付けられる。
【0022】
特定の態様では、弁ハウジング部分はさらに、弁ハウジングに固定されるフィルタ本体を含む。特定の態様では、フィルタ本体は、患者の呼気を濾過するバイオ/ウイルスフィルタを含む。特定の態様では、フィルタ本体は、呼気終末CO2モニタに結合可能である呼気ポートを含む。
【0023】
特定の態様では、第1の調節可能な制御装置には、PIP規格に対応する表示がラベル付けされる。特定の態様では、第2の調節可能な制御装置には、患者の身長、体重、及び/又は年齢に基づいて患者に必要な空気量を決定するために使用される基準に対応する表示がラベル付けされる。
【0024】
特定の態様では、第2の調節可能な制御装置は、第2の調節可能な制御装置の調節を提供する、深さが異なる複数の歯の2つの同一の組を含む。特定の態様では、第2の調節可能な制御装置は、第2の調節可能な制御装置の調節を提供する、深さが変化する2つの同一の傾斜面を含む。
【0025】
特定の態様では、弁ハウジング部分は、追加的に弁ハウジング部分の本体部分に取り外し可能に固定される取り外し可能なPEEPロックを含み、PEEPロックは、PEEPをゼロに維持し、第3の調節可能な制御装置の調節を防止する。
【0026】
特定の態様では、弁ハウジング部分は、さらに、第1の調節可能な制御装置及び第2の調節可能な制御装置の両方の設定位置を表示する単一の制御装置インジケータを含む。
【0027】
本開示の発明的態様は、詳細な説明及び以下の図面を考慮することで、より容易に理解することができ、そのさらなる利点及び用途がより容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本開示による発明的態様の例である特徴を有する拡張可能なバッグの例示的実施形態を示す図である。
【0029】
【
図2】
図2は、
図1の拡張可能なバッグの背面側斜視図である。
【0030】
【
図3】
図3は、拡張可能なバッグの第1の側面図である。
【0031】
【
図4】
図4は、拡張可能なバッグの第2の側面図である。
【0032】
【0033】
【
図6】
図6は、拡張可能なバッグの第3の側面図である。
【0034】
【
図7】
図7は、拡張可能なバッグの第4の側面図である。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【
図11】
図11は、拡張構成にある拡張可能なバッグの上面図である。
【0039】
【
図12】
図12は、拡張構成にある拡張可能なバッグの底面図である。
【0040】
【0041】
【
図14】
図14は、二方弁部分の別の実施形態の断面図である。
【0042】
【
図15】
図15は、二方弁部分の別の実施形態の断面図である。
【0043】
【
図16】
図16は、二方弁部分の別の実施形態の断面図である。
【0044】
【
図17】
図17は、一体型PEEP弁のバレル弁の実施形態の上面断面図である。
【0045】
【0046】
【
図19】
図19は、一体型PEEP弁の溝とトラックの実施形態の代替図である。
【0047】
【
図20】
図20は、PEEP制御装置の代替実施形態を示す図である。
【0048】
【
図21】
図21は、拡張可能なバッグを含む拡張可能なバッグ装置を示す図である。
【0049】
【0050】
【
図23】
図23は、弁ハウジング部材の例示的な実施形態を示す図である。
【0051】
【
図24】
図24は、拡張構成にある拡張可能なバッグ装置の上面図である。
【0052】
【
図25】
図25は、拡張可能なバッグ装置の代替側面図である。
【0053】
【
図26】
図26は、拡張可能なバッグ装置の別の側面図である。
【0054】
【
図27】
図27は、拡張構成にある拡張可能なバッグの底面図である。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【
図31】
図31は、PIPオーバライドタブを強調した弁ハウジング部材を示す図である。
【0059】
【0060】
【0061】
【
図34】
図34は、弁ハウジング部材を通して見たPIPオーバライドタブの位置を示す図である。
【0062】
【0063】
【
図36】
図36は、拡張可能なバッグが拡張構成にある拡張可能なバッグ装置を示す図である。
【0064】
【0065】
【
図38】
図38は、圧縮された状態の拡張可能なバッグ装置の上面図である。
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【
図42】
図42は、拡張した状態の拡張可能なバッグを示す図である。
【0070】
【
図43】
図43は、スライドが第1の位置にある空気取り入れ機構の実施形態を示す図である。
【0071】
【
図44】
図44は、スライドが第2の位置にある空気取り入れ機構の実施形態を示す図である。
【0072】
【
図45】
図45は、スライドが第3の位置にある空気取り入れ機構の実施形態を示す図である。
【0073】
【
図46A-46C】
図46A~
図46Cは、それぞれ、拡張可能なバッグ装置の代替実施形態の斜視図、
図46Aの拡張可能なバッグ装置と共に使用可能な一回換気量制御装置の近接斜視図、及び
図46Aの拡張可能なバッグ装置と共に使用可能な一回換気量制御装置の代替実施形態を示す図である。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【
図50A-50C】
図50A~50Cは、それぞれ、フィルタ本体の代替実施形態の分解図、組立図、及び断面図を示す。。
【0078】
【0079】
【0080】
【
図53】
図53は、拡張可能なバッグが取り外された状態の
図46Aの拡張可能なバッグ装置の背面側斜視図である。
【0081】
【0082】
【
図55A-55B】
図55A~55Bは、それぞれ、PEEPロックを含む
図46Aの拡張可能なバッグ装置の第1の側面図及び第2の側面図を示す。
【0083】
【
図56A-56B】
図56A~56Bは、それぞれ、完全圧縮位置及び不完全圧縮位置にある、突出外部ストップを含む
図46Aの拡張可能なバッグ装置の上面図を示す。
【0084】
【
図57A-57C】
図57A~
図57Cは、それぞれ、輪郭形成縁部を組み込んだ各側部を有する
図46Aの拡張可能なバッグ装置の下方斜視図、輪郭形成縁部を組み込んだ各側部を有する
図46Aの拡張可能なバッグ装置の上方斜視図、及びタブを組み込んだ各側部を有する
図46Aの拡張可能なバッグ装置の上方斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
発明の詳細な説明
本明細書で提供される図及び説明は、本明細書で説明されるデバイス、システム、及び方法を明確に理解するために関連する態様を例示するために簡略化されている可能性があるが、一方で、典型的なデバイス、システム、及び方法に見られる可能性のある他の態様は、明確にする目的で排除されている可能性がある。当業者であれば、本明細書に記載の装置、システム、及び方法を実施するために、他の要素及び/又は操作が望ましく、かつ/又は必要であり得ることを認識し得る。そのような要素及び動作は当該技術分野において周知であり、本開示のより良い理解を促進しないため、そのような要素及び動作の議論は本明細書では提供されない場合がある。しかしながら、本開示は、当業者に公知であろう記載された態様に対するすべてのそのような要素、変形、及び修正を本質的に含むものとみなされる。
【0086】
本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」等への言及は、記載される実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含む可能性があることを示すが、すべての実施形態がその特定の特徴、構造、又は特性を含むとは限らない。さらに、このような表現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して記載されている場合、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、又は特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であることが提示される。さらに、「少なくとも1つのA、B、及びC」の形式でリストに含まれる項目は、(A);(B);(C);(A及びB);(A及びC);(B及びC);又は(A、B、及びC)を意味し得ることが理解されるべきである。同様に、「A、B、Cのうち少なくとも1つ」という形で記載されている項目は、(A);(B);(C);(A及びB);(A及びC);(B及びC);又は(A、B、及びC)を意味し得る。
【0087】
図面において、いくつかの構造的特徴又は方法的特徴は、特定の配置及び/又は順序で示されている場合がある。しかしながら、そのような特定の配置及び/又は順序は必要でない場合があることを理解されたい。むしろ、いくつかの実施形態では、そのような特徴は、例示的な図に示されているものと比べて異なる態様及び/又は順序で配置され得る。さらに、特定の図に構造的特徴又は方法的特徴を含めることは、そのような特徴がすべての実施形態において必要であることを意味するものではなく、いくつかの実施形態では、含めなくてもよいし、他の特徴と組み合わせてもよい。
【0088】
一般に、バッグ・バルブ・マスク(BVM)は、自己膨張式バッグ、二方弁、マスクの3つの主要部品で構成されている。バッグは、拡張し、空気を満たして一定容積を保持するように設計されている。この容積が、患者が次に受けるべき「呼吸」を構成する。救命者の手(以下、ユーザと称する)によってバッグが圧縮されると、呼吸はバルブを通って装置のマスク部分に押し込まれる。マスクは患者の顔に接触した状態に保たれ、呼吸を下方へ、患者の口又は鼻腔へ、そして肺へと導く。バッグの圧縮が解除されると、バッグは拡張し、新たな容積の「新鮮な」空気がバッグに吸い込まれる一方、「使用済み」の元の息は患者から出て、二方弁を介して周囲空気に放出される。
【0089】
本開示は、一般に、拡張可能なバッグ及び硬質弁ハウジング部分を含む、患者に呼吸支援を提供するための呼吸装置に関する。拡張可能なバッグは、空気取り入れ弁と、所定の調節可能な一回換気量と、拡張可能なバッグを非圧縮構成において所定の一回換気量に維持するように構成されたヒンジとを含む。硬質弁ハウジング部分は、膨張式バッグと流体連通しており、本体部分と、本体部分内の調節可能な最高気道内圧(PIP)機構と、本体部分内の二方弁であって、拡張可能なバッグから二方弁の第1の部分を通って第1の方向に空気が移動可能であるようにし、第2の部分を通って反対の方向に空気を導き、呼気終末陽圧(PEEP)を生じさせる二方弁と、PIP値、一回換気量及びPEEP値をそれぞれ調整するための第1、第2及び第3の調整可能ダイヤルと、患者呼吸インタフェースとを含む。
【0090】
図1は、拡張可能なバッグ装置100の例示的な実施形態を示している。拡張可能なバッグ装置100は、拡張可能なバッグ部分102及び接続部材150を含む。拡張可能なバッグ装置100は、気管内チューブ又は喉頭マスク気道など、任意の種類及びサイズのマスク又は他の患者呼吸インタフェース装置に取り付けることができる。拡張可能なバッグ部分102は、拡張可能なバッグ104、第1の側部パネル106a、第2の側部パネル(図示せず)、第1の取手部分108a、第2の取手部分(図示せず)、及び少なくとも1つの空気取り入れ弁110を含む。
【0091】
例示的な実施形態では、拡張可能なバッグ104は、蛇腹などの複数の折り目114a、114b、又は他の同様の機構からなるアコーディオン状の設計を有する。複数の折り目114は、拡張可能なバッグ104の拡張及び収縮を可能にする。これにより、拡張可能なバッグ104は、非使用時のスペースを最小限とし得る。拡張可能なバッグ104は、可撓性プラスチックなどの様々な材料から作ることができる。拡張可能なバッグ104は、拡張可能なバッグ104よりも硬い側部パネル106を含み、ユーザが側部パネル106aを持って拡張可能なバッグ104を圧縮できるようにする。側部パネル106aは、拡張可能なバッグ104よりも高い剛性を有するプラスチックから作られる。側部パネル106aはまた、取手部分108aを備える。取手部分108aは、拡張可能なバッグ104を圧縮する際にユーザの指が握り及び/又はつかむための表面を提供するために、任意に側部パネル106aから隆起又は窪んでいてもよい。
【0092】
側部パネル106aの剛性は、拡張可能なバッグ104を圧縮するためにユーザが側部パネル106aを押し付けることを可能にする。これにより、ユーザが側部パネル106aを圧縮すると、側部パネル106aが拡張可能なバッグ104の全長を圧縮するので、ユーザは拡張可能なバッグ部分102を完全に圧縮することができる。
【0093】
側部パネル106はまた、ユーザの手で容易に保持できるように構成されてもよい。一例では、側部パネル106はそれぞれ、拡張可能なバッグ104に対するユーザの握りが緩んでいる場合でも、バッグを膨張させたり収縮させたりする間、ユーザが片手で持ちやすくする角度のついたプレートを含んでいてもよい。追加的に又は代替的に、側部パネル106は、持ちやすくするゴムなどのグリップ材を含んでもよい。さらに別の実施形態では、側部パネル106は、ユーザが手で握ることができる凹部又は脚部を含む。さらに別の実施形態では、側部パネル106は、ユーザが装置の側面との接触を維持するのを助けるストラップ(図示せず)を含み得る。
【0094】
第1の側部パネル106a及び拡張可能なバッグ104はまた、第1の空気取り入れ弁110aを含む。第1の空気取り入れ弁110aは、第1の側部パネル106aを貫通して拡張可能なバッグ104内に延びている。第1の空気取り入れ弁110aは、拡張可能なバッグ104を再膨張させるために、拡張可能なバッグ104に周囲空気の取り入れを供給する。一実施形態では、各側部パネル106は空気取り入れ弁110を含んでいてもよい。代替実施形態では、第1の側部パネル106aは第1の空気取り入れ弁110aを含む。
【0095】
拡張可能なバッグ104は自己膨張式バッグであり、拡張可能なバッグ104は環境からの外部入力なしに拡張した構成をとる。拡張可能なバッグ104の内部にはばねが含まれており、以下で詳しく説明する。
【0096】
拡張可能なバッグ部分102は、接続部材150に接続されている。接続部材150は、接続部材150の上部152に位置する圧力開放弁154と、ダイヤル158と、マスク接続部材162とを含む。一実施形態では、圧力開放弁154は、接続部材150の内部から外部環境への空気の流れのみを許容する一方弁である。
【0097】
ダイヤル158は、呼気流の制御された抵抗である呼気終末陽圧(PEEP)弁を制御する。ダイヤル158は、バレル弁(
図13~
図17に示す)のような内部弁の側部パネルの位置を制御する。ダイヤル158を上方に回すと、側部パネルが互いに近づくので、患者はそれに対して息を吐きにくくなる。ダイヤル158は、0~20mmHgのような異なる値を有することができる。代替的に、プッシュボタン(
図20に示す)を使用してPEEPを制御してもよい。
【0098】
接続部材150はまた、2つの任意選択の外部圧力計接続部材156、160を含む。任意選択の外部圧力計接続部材156、160は、拡張可能なバッグ装置100の異なる構成要素の内部圧力レベルを示すために使用することができる。外部圧力計接続部材156、160は、吸気時の患者の肺の圧力(PIP-最高気道内圧)を測定するために使用することができる。外部圧力計接続部材156、160は、呼気時の患者の肺の圧力(PEEP)を測定するために使用することができる。他の実施形態では、これら2つの弁は存在しないか、又は閉じることが可能である。
【0099】
接続部材150は、ユーザが片手で拡張可能なバッグ装置100を保持できるように、硬質な材料から作られている。ユーザは片手で拡張可能なバッグ部分102を圧縮することができ、同時に同じ手で患者の顔にマスクの密閉を維持することができる。接続部材150の剛性により、拡張可能なバッグ装置100を片手で使用することができる。
【0100】
図2は、拡張可能なバッグ装置100の背面図である。図示されるように、拡張可能なバッグ部分102は、第2の取手部分108bを有する第2の側部パネル106bと、第2の空気取り入れ弁110bとを含む。第2の取手部分108bを有する第2の側部パネル106b、及び第2の空気取り入れ弁110bは、
図1に示す第1の側部パネル106a、第1の取手部分108a、及び第1の空気取り入れ弁110aと同様であり、説明を簡潔にするためにその説明を省略する。第1の側部パネル106a及び第2の側部パネル106bは、拡張可能なバッグ104を挟持する。
【0101】
各側部パネル106を拡張可能なバッグ104に取り付けるために、複数の取り付け点116が各側部パネル106に沿って配置されている。各側部パネル106を拡張可能なバッグ104に取り付けるために、接着剤や機械的接続など、様々な種類の取り付け機構を使用することができる。
【0102】
さらに
図2を参照すると、拡張可能なバッグ104は、バッグ接続部材120を介して接続部材150に取り付けられている。接続部材150は、拡張可能なバッグ部分102に固定的に接続されてもよく、あるいは、取り外し可能であってもよい。取り外し可能な実施形態では、取り付け機構は、スナップフィット、フリクションフィット(friction fit)、又は他の同様の機構から選択することができる。
【0103】
例示的な実施形態では、接続部材150は「過呼吸」バルブ(図示せず)を含む。
図17でより詳細に示すように、過呼吸バルブは、拡張可能なバッグ104が空気を供給しなくても、患者が自分で呼吸することを可能にする。例えば、患者がマスクをしていて、患者が自分で呼吸できる、又は呼吸し始めた場合、過呼吸バルブは患者が呼吸することを可能にする。
【0104】
拡張可能なバッグ装置100は、収納時に最小限のスペースしか取らないような形状になっている。拡張可能なバッグ装置100を使用しないときには、マスク(図示せず)をマスク接続部材162から着脱自在とし、拡張可能なバッグ部分102の隣に収納することができる。また、最小限のスペースしか取らないように、拡張可能なバッグ部分102は、マスク部が当接可能な形状を有しており、例えば、拡張可能なバッグ部分102が丸みを帯びた凹形状を有している。さらに、拡張可能なバッグ装置100は、拡張可能なバッグ部分102が圧縮可能であり、不使用時に空気を保持しないように設計されている。
【0105】
拡張可能なバッグ装置100は、患者に呼吸支援を提供するためにユーザが使用するように構成されている。使用時、拡張可能なバッグ装置100は、マスク接続部材162でマスク(図示せず)に接続され、必要な患者に空気を供給する。拡張可能なバッグ装置100は、ユーザにより、関節点112でバイアス可能である。関節点112は、拡張可能なバッグ104を開いた構成又は拡張構成に維持する(
図11~
図12において以下に詳細に示す)。ユーザが側部パネル106a、106bを圧縮すると、拡張可能なバッグ104が圧縮され、バッグ接続部材120(以下でさらに詳細に説明する)を通って、接続部材150を通り、マスク(図示せず)に空気が導入される。代替的に、接続部材150は、気管内チューブ、呼気終末CO
2コネクタ、又は喉頭マスク気道などの別の患者呼吸インタフェースに接続することもできる。
【0106】
一実施形態では、関節点112は拡張可能なバッグ104内に配置されたばねである。関節点112は、金属、ガラス繊維、炭素繊維、プラスチック、又は拡張可能なバッグ104を膨張又は拡張構成にバイアスをかける他の構造材料などの材料から作られてもよい。関節点112は、外力を受けないときにバッグを開いた状態に保つのに十分な強度を有するが、ユーザが片手で、関節点112にバイアスをかける側部パネル106を押し込めることができる程度には弱い。さらに、関節点112は、拡張可能なバッグ104があまり速く開かないような材料で設計されている。例えば、関節点112は、拡張可能なバッグ104を5~6秒で膨張させるように構成されたヒンジからなるが、他の時間を使用してもよい。
【0107】
拡張可能なバッグ装置100は、ユーザが側部パネル106a,106bを圧縮すると、拡張可能なバッグ104全体が圧縮されるように構成されている。これにより、拡張可能なバッグ104は、特大サイズにすることなく、必要な空気量に応じたサイズを有することができる。また、これにより、拡張可能なバッグ104をできるだけコンパクトにすることができる。
【0108】
ユーザが後続の「呼吸」を提供したいと望むとき、ユーザは拡張可能なバッグ104の側部パネル106a、106bの圧縮を緩め、拡張可能なバッグ104が拡張構成に拡張することを可能にする。空気取り入れ弁110により、空気が外部環境から拡張可能なバッグ104の内部に移動することが可能である。
【0109】
別の実施形態では、拡張可能なバッグ部分102は、酸素源(図示せず)に接続可能な酸素ポート121をさらに備える。使用時、酸素ポート121は、拡張可能なバッグ部分102内に所定量の純粋な酸素を注入することができる。拡張可能なバッグ部分102が拡張すると、周辺から周囲空気を引き込んで、酸素ポート121によって拡張可能なバッグ部分102に結合される酸素源からの酸素と混合させることができる。
【0110】
酸素ポート121は、酸素が拡張可能なバッグ104に流入していることをユーザに示すインジケータ(図示せず)をさらに含むことができる。例示的なインジケータは、酸素の流れによって動くフラップ、スピナー、又はバルブであってよく、ユーザはインジケータの動きを見ることができる。このような例では、インジケータは半透明であってもよく、インジケータは着色されていてもよい。別の例では、インジケータは、酸素がインジケータを通って拡張可能なバッグ104に流れ込むときに笛を鳴らす音発生装置を備えていてもよい。
【0111】
図3は、拡張可能なバッグ装置100の側面図である。バッグ接続部材120は、拡張可能なバッグ部分102を接続部材150に接続する。バッグ接続部材120は管腔を含み、弁を含んでも含まなくてもよい。弁を含む一実施形態では、弁は、拡張可能なバッグ部分102から接続部材150への空気の移動のみを可能にする一方弁である。
【0112】
例示的な実施形態では、拡張可能なバッグ部分102はまた、バックル302を含む。バックル302は、ストラップ(図示せず)を第1の側部パネル106a及び第2の側部パネル106bに接続することを可能にする。ストラップの長さは、拡張可能なバッグ104がどれだけ拡張できるかを決定することができる。例えば、バックル302のそれぞれに接続された第1の長さを有するストラップは、拡張可能なバッグ104が第1の所定の充填量より多く開くことを制限する。第2の長さを有するストラップは、拡張可能なバッグ104が第2の所定の充填量より多く開くことを制限することができる。これにより、拡張可能なバッグ装置100を肺のサイズが異なる患者に使用することができる。例えば、新生児患者には短いストラップが必要であり、小児患者には長いストラップが必要である。成人患者にはストラップは必要ない場合がある。
【0113】
代替実施形態では、単一のストラップが所定の長さの複数のバックルを含んでもよく、単一のストラップを異なる所定の充填量に使用することができる。ストラップには、患者の種類ごとにどのバックルを使用するかを示す表示を含めることができる。
【0114】
ストラップ(図示せず)には、各患者サイズの蘇生に適切な情報を伝える表示をそれぞれに含めることができる。例えば、年長の小児患者用の短いストラップは、ユーザが心肺蘇生を行う場合、2回の救助呼吸に対して15回の圧迫を行うようユーザに思い出させることができる。
【0115】
さらに別の実施形態では、ダイヤル又はプッシュボタン機構303を使用して、一回換気量を制御することができる。プッシュボタン機構303は、拡張可能なバッグ部分102がどの程度のサイズに膨張できるかを制御する。例えば、プッシュボタン機構303は、新生児患者用の一回換気量、小児患者用の第2の一回換気量、及び成人患者用の第3の一回換気量のような、3つの異なる所定の容量を含むことができる。これにより、拡張可能なバッグ装置100を肺のサイズが異なる患者に使用することができる。
【0116】
図4は、拡張可能なバッグ装置100の反対側の側面図を示す。例示的な実施形態では、接続部材150は、第1の外部圧力計接続部材156及び第2の外部圧力計接続部材160を含む。上述したように、これらの外部圧力計接続部材156、160は、ユーザが、外部圧力計接続部材156、160のそれぞれで供給又は受給される圧力を決定するための圧力計を取り付けることを可能にする。反対側はまた、バックル302を含むが、その詳細は簡潔にするために省略する。
【0117】
一実施形態では、圧力開放弁154は、圧力開放弁154が空気を排出する圧力を調整可能なダイヤル155を含む。一実施形態では、圧力開放弁154は、40cmの水圧で空気を開放するように構成されている。別の実施形態では、圧力開放弁154が空気を排出する圧力は調節可能である。調節可能な圧力開放弁154は、ダイヤル155又は他の同様の機構で制御可能であってもよい。
【0118】
図5は、拡張可能なバッグ装置100の垂直断面図である。接続部材150は、接続部材150の上部に位置する圧力開放弁154、PEEP弁501、及びマスク接続管腔506の上方に位置する二方弁を含む。二方弁504はダックビル弁であってもよい。
【0119】
圧力開放弁154は、過剰な圧力を開放するボールアンドスプリング弁であってもよい。あるいは、圧力開放弁154は、ポップオフ弁、硬化ダックビル弁又は他の種類の弁であってもよい。圧力開放弁154は一方弁であるため、空気は接続部材150の内部から外部環境へのみ移動する。
【0120】
PEEP弁501は、それぞれが二方弁504の側方に配置された2つの別個の弁で構成されていてもよい。例示的な実施形態では、PEEP弁501は2つのバレル弁502を含む。例えば、バレル弁502aの第1の側部は二方弁504の第1の側部に位置し、バレル弁502bの第2の側は二方弁504の第2の側に位置する。これは
図13~16により詳細に示されている。上述したように、PEEP弁501はダイヤル158によって制御される。
【0121】
二方弁504は、接続部材150からマスク接続管腔506を通って、患者が呼吸するためのマスク(図示せず)に空気が移動するのを可能にする。これは
図13~16に詳細に示されている。
【0122】
代替実施形態では、PEEP弁501は、トーション弁や圧縮弁などの異なる種類のバルブであってもよい。他の種類のバルブには、ダックビル、ダイヤフラム、スプール、バタフライ、ニードル、ボール、ゲート、ポペット、プラグ、及びフラッパが含まれる。
【0123】
拡張可能なバッグ装置100は、関節点112でバイアス可能である。拡張可能なバッグ部分102は、接続点510で拡張可能なバッグ104の前側部及び後側部に接続されたバイアス部材512を含む。バイアス部材512は、バッグが関節点112で関節運動することを可能にするばね、又は他の種類の部材であってもよい。バイアス部材512は、使用時に拡張可能なバッグ104が速く開き過ぎないような強度を有する。他の種類のバイアス部材には、ねじり部材、圧縮部材、伸長部材、弓状部材、リーフ部材、円錐状部材、平板部材、及びディスク/カップ部材が含まれるが、これらに限定されない。
【0124】
また、拡張可能なバッグ104の空気取り入れ弁110も示されている。空気取り入れ弁110は、外部環境からの空気が拡張可能なバッグ104を満たすことを可能にする。空気取り入れ弁110は、拡張可能なバッグ104が膨張中であること及び拡張可能なバッグ104の膨張が完了したことをユーザに示すインジケータ(図示せず)をさらに含むことができる。例示的なインジケータは、拡張可能なバッグ104が膨張しているときに笛を鳴らし、拡張可能なバッグ104が満量になったときに音を立てるのを止める音発生装置を備えてもよい。例えば、インジケータは、薄いプラスチックや薄いゴムなどの可撓性材料から作られてもよい。
【0125】
図6は、拡張可能なバッグ部分102が背後に位置する接続部材150の斜視図である。図示のように、拡張可能なバッグ部分102の拡張可能なバッグ104は圧縮されている。圧縮された構成では、拡張可能なバッグ104は、対向する端部の幅と同じである第1の端部の幅を有する。例えば、拡張可能なバッグ部分102の幅w1は、約2cm~約15cmであってもよい。
【0126】
図7は、圧縮された構成の拡張可能なバッグ部分102の別の図を示す。一実施形態では、拡張可能なバッグ部分102の第2の幅w2は、約4cm~約30cmであってもよい。
【0127】
図8は、拡張可能なバッグ装置100の上面図である。拡張可能なバッグ104は、複数の折り目114a、114bを含むアコーディオン状の形状を有する。複数の折り目114は、拡張可能なバッグ104が最大容量まで膨張することを可能にする。最大容量は1流体リットルであってもよい。代替実施形態では、最大容量は、それ以上、たとえば1.5流体リーダ、又はそれ以下、例えば0.5流体リーダであってもよい。拡張可能なバッグ部分102の長さlは、約5cm~約50cmであってもよい。
【0128】
拡張可能なバッグ104は、接続部材150に接続された端部に関節点112を含む。拡張可能なバッグ104の対向する端部は、関節点112がバイアスされた構成にあるときに拡張する。
【0129】
接続部材150の上部は圧力開放弁154を備える。上述したように、圧力開放弁154は、患者の肺に過度の圧力が加えられた場合に、空気が接続部材150から外部環境へ流れるのを可能にする。
【0130】
図9は、拡張可能なバッグ装置100の底面図である。接続部材150はマスク接続管腔506を含み、これにより接続部材150はマスク又は他の患者呼吸インタフェースユニット(図示せず)に接続することができる。
【0131】
図10は、拡張可能なバッグ装置100の水平断面図である。関節点112は、拡張可能なバッグ部分102の第1の端部に配置されている。関節点112は、ユーザによって拡張可能なバッグ104を折り畳むために拡張可能なバッグ部分102に外部から圧力が加えられるまで、開いた拡張構成を維持するように構成されている。バイアス部材512は、接続点510a、510bにおいて、拡張可能なバッグ104の前側部1002及び後側部1004に接続される。バイアス部材512は、ばね、又はバッグが関節点112で関節運動することを可能にする他の種類の部材であってもよい。他の種類のバイアス部材には、ねじり部材、圧縮部材、伸長部材、弓状部材、リーフ部材、円錐部材、平板部材、及びディスク/カップ部材が含まれるが、これらに限定されない。
【0132】
図11は、拡張構成にある拡張可能なバッグ装置100の上面図を示す。図示のように、拡張可能なバッグ部分102は、拡張構成にあるとき、概ね三角形状の形状を有する。バッグは、球形、卵形、正方形、矩形、又は他の多角形などの他の形状をとり得る。接続部材150の反対の拡張可能なバッグ部分102の端部1102は拡張し、拡張可能なバッグ104が空気で満たされることを可能にする。バイアス部材(図示せず)は、拡張可能なバッグを所定の流体容積まで開く。
【0133】
図12は、拡張構成である拡張可能なバッグ装置100を底面から見た図である。接続部材150は、マスク接続部材162と、マスク接続管腔506内に位置する二方弁504とを含む。
【0134】
図13~16は、接続部材150の断面図である。特に、
図13は、マスク接続管腔506の中央に位置する二方弁504を含む接続部材150を示している。二方弁504は、マスク接続管腔506の中央で互いに接触する2つのフラップを含む。接続部材150はまた、PEEP弁501を含み、このPEEP弁501は、二方弁504の側方に位置する少なくとも1つのバレル弁502を含む。例えば、第1のバレル弁502aは二方弁504の第1の側部に位置し、第2のバレル弁502bはダックビル弁の反対の側部に位置する。
【0135】
PEEP弁501はダイヤル(図示せず)によって制御され、所定の呼気圧力量に調節することができる。PEEP弁501は、患者の肺内の所定の圧力を維持する。二方弁504は、拡張可能なバッグ104からの空気を患者に供給し、呼気をPEEP弁501を通して強制的に排出させる。
【0136】
図14は、二方弁504の代替実施形態を示す。例えば、ダックビル弁は単一のフラップのみを含み、単一のフラップはバルブの側縁に接する。
【0137】
図15~16はまた、二方弁504及びダイヤル158の溝機構1502の代替実施形態を示す。二方弁504は、中間部分で接触する2つのフラップを含み、フラップは、接合前に小さな関節部を有する。
【0138】
図17は、二方弁504とバレル弁502a、502bの上面切断図である。ダイヤル158は、バレル弁502a、502bのサイズを制御する。ユーザは、バレル弁502のサイズを大きくするためにダイヤル158を第1の方向に回転させることができ、バレル弁502のサイズを小さくするためにダイヤル158を反対方向に回転させることができる。
【0139】
ダイヤル158は、切り欠き1702、1704の相対位置を調節するために使用される。ダイヤル158が一方向に完全に回されたとき、例えば時計回りに完全に回されたとき、切り欠き1702、1704は重ならず、患者から周辺への呼気の流れを制限する。ダイヤル158が他の方向、例えば反時計回りに完全に回されると、切り欠き1702、1704が重なり、呼気がバレル弁502b、502bの孔1710、1712を通って周辺部へ容易に排出されるようにする。ダイヤル158は、反時計回りの全開と時計回りの全閉との間の無数の位置に設定することができ、PEEPの無数の調節を可能にする。
【0140】
図18は、接続部材150上に過呼吸弁1802を有する例示的な拡張可能なバッグ装置100を示す。過呼吸弁1802は、拡張可能なバッグ部分102によって提供される空気を使用せずに、患者が自分で吸入することを可能にする一方弁である。過呼吸弁1802は、ダイヤフラム弁であってもよいし、当該技術分野において一般的に知られている他の種類の一方弁であってもよい。患者からの呼気、又は拡張可能なバッグ部分102からの陽圧は、動作中に過呼吸弁1802を効果的に閉じる。
【0141】
過呼吸弁1802の内部には、追加の弁ユニット(図示せず)を設けることができる。追加の弁ユニットは、形状がダックビルであってもよいし、他の潜在的な実施形態であってもよい。この弁は、患者に空気を送るためにユーザが拡張可能なバッグ部分102を圧縮しているか否かに関係なく、患者が周辺部から空気を吸入することを可能にする。ユーザが拡張可能なバッグ部分102を圧縮すると、過呼吸弁1802が閉じて、バッグから周辺への吸気損失を防止する。
【0142】
図19は、PEEP弁501の代替実施形態を示す。PEEP弁501は、溝及びトラックの実施形態と、ダイヤル158とを含む。ダイヤル158は、ダックビル型弁に対してリフト片1902を持ち上げるために使用される。これは、溝1904内でリフト片1902の相対位置を動かすことによって行われる。この実施形態では、溝内のリフト片の3つの潜在的な位置、すなわち、低位置1906、中間位置1910、及び高位置1908が存在する。リフト片1902が低位置1906に位置するとき、リフト片1902はダックビル弁に対して最も低く、最も制限の少ない位置にある。これにより、患者からの容易な呼気が可能となり、PEEPを発生させない。リフト片1902が中間位置1910に位置するとき、リフト片1902はダックビル弁に対してわずかに持ち上げられる。これにより、周辺に排気するための追加の呼気力が必要となり、低いPEEPを発生させる。リフト片1902が高位置1908に位置するとき、リフト片1902はダックビル弁に対して強く持ち上げられる。これにより、周辺に排気するためのかなりの呼気力が必要となり、高いPEEPを発生させる。PEEPのさらなる調節のため、溝1904内の位置を追加することもできる。
【0143】
図20は、PEEP制御装置の別の実施形態を示す。プッシュボタン機構159がPEEP弁の制御に使用される。プッシュボタン機構159は、呼気流の制御された抵抗であるPEEP弁を制御する。プッシュボタン機構159は、バレル弁(
図13~
図17に示す)のような内部弁の側部パネルの位置を制御する。プッシュボタン機構159が一端まで押されると、側部パネルが互いに近づき、患者はそれに対して息を吐きにくくなる。プッシュボタン機構159が別の端まで押されると、側部パネルが動いて離れ、患者は息を吐きやすくなる。プッシュボタン機構159は0~20mmHgのような異なる値を有することができる。
【0144】
プッシュボタン機構159は、複数の選択可能なボタンを含むことができ、各選択可能なボタンは所定の値に対応する。ユーザは、所望のPEEP値に対応するボタンを選択することができる。
【0145】
代替実施形態では、プッシュボタン機構159の形態のPEEP制御機構は、二方弁504の上面に対して圧力を加えるプランジャ(図示せず)を適用することによってPEEPを発生させることができる。このプランジャは、二方弁504の上昇を制限し、呼気に抵抗してPEEPを発生させる。
【0146】
図21~
図44は、拡張可能なバッグ装置2000の代替実施形態を示している。
図21は、第1の側部パネル2002aと第2の側部パネル2002bとの間に配置された拡張可能なバッグ2004を含む拡張可能なバッグ装置2000を示す。拡張可能なバッグ装置2000はまた、第1及び第2の側部パネル2002a、2002bの第1の端部から延びる弁ハウジング部材2001を含む。弁ハウジング部材2001は、気管内チューブや喉頭マスク気道など、任意の種類及びサイズのマスク又は他の患者呼吸インタフェース装置に取り付けることができる。
【0147】
第1の側部パネル2002a及び拡張可能なバッグ2004はまた、空気取り入れ機構2040を含む。空気取り入れ機構2040は、第1の側部パネル2002aを貫通して拡張可能なバッグ2004内に延びる少なくとも1つのアパーチャを含む。代替的な実施形態では、空気取り入れ機構2040は第2の側部パネル2002bに配置され、さらに空気取り入れ機構2040は第1の側部パネル2002a及び第2の側部パネル2002bの両方に配置されてもよい。空気取り入れ機構2040は、例えば
図37及び
図40において、以下で詳細に説明される。
【0148】
例示的な実施形態では、拡張可能なバッグ2004は、蛇腹などの複数の折り目2005a、2005b、2005c、又は他の同様の機構からなるアコーディオン状の設計を有する。複数の折り目2005a、2005b、2005cにより、拡張可能なバッグ2004は、空気を充填しながら拡張及び収縮することができ、また、非使用時のスペースを最小限にすることができる。拡張可能なバッグ装置2000は、拡張可能なバッグ2004を圧縮するためにユーザが側部パネル2002a、2002bを持つことができるように、拡張可能なバッグ2004よりも硬い第1の側部パネル2002a及び第2の側部パネル2002bを含む。
【0149】
側部パネル2002a、2002bの剛性は、ユーザが拡張可能なバッグ2004を圧縮することを可能にし、これと弁ハウジング部分2001の剛性との組み合わせにより、ユーザは、拡張可能なバッグ2004を片手で完全に圧縮することができ、同時に、同じ手で患者の口の周りの患者呼吸インタフェースとの密閉を維持することができる。以下により詳細に説明するように、拡張可能なバッグ装置2000は、ユーザが片手で使用することを可能にする。
【0150】
拡張可能なバッグ2004は自己膨張式バッグであり、拡張可能なバッグ2004は環境からの外部入力なしに拡張構成をとる。拡張可能なバッグ装置2001は、拡張可能なバッグ2004の容積を増加させるために、側部パネル2002a、2002bを互いから離れるように押すばね(図示せず)を含む。拡張可能なバッグ2004の最大容積は、以下でさらに詳細に説明するように、制御ダイヤル2012内の一回換気量制御装置によって制御される。
【0151】
拡張可能なバッグ装置2000は、硬質材料から作られた弁ハウジング部材2001を含む。弁ハウジング部材2001は、拡張可能なバッグ2004を患者の呼吸インタフェースに接続する。弁ハウジング部材2001は、制御ダイヤル2012によってキャップされた圧力開放開口2013を含む。弁ハウジング部材2001はまた、少なくとも、PEEPダイヤル2010、ポート2008、及びマスク接続部材2006を含む。
【0152】
圧力開放開口2013は、弁ハウジング部材2001の上部に位置し、弁ハウジング部材2001内の圧力が所定のレベル以上である場合にのみ、弁ハウジング部材2001内から外部環境への空気の流れを許容する一方弁である。代替実施形態におけるこの開口2013は、弁ハウジング部材内の別の位置に移動させることができる。
【0153】
制御ダイヤル2012は、拡張可能なバッグ2004の一回換気量と患者の肺が経験する最高気道内圧(PIP)を同時に制御する。言い換えれば、制御ダイヤル2012は、拡張可能なバッグ2004の第1及び第2の側部パネル2002a、2002bがどの程度拡張するかを制限し、これにより患者に投与される空気の体積及び患者の肺が経験するPIPが決定される。制御ダイヤル2012は、例えば、大柄な成人、成人、小児、及び幼児を含む複数の所定の設定を含む。これらの設定のそれぞれは、患者のサイズに依存する適切な一回換気量を提供する。図に示すように、「LA」、「A」、「P」、及び「I」などの表示が使用されるので、ユーザは患者に適切な一回換気量サイズを選択することができる。成人患者は一般に約500mL~約750mLの空気量を必要とし、小児患者は一般に約150mL~約500mLの空気量を必要とし、幼児患者は一般に約30mL~約150mLの空気量を必要とする。
【0154】
ユーザが制御ダイヤル2012の設定を変更するには、制御ダイヤル2012を押し下げると同時に、制御ダイヤル2012を回転させて所望の設定に調節する必要がある。この安全機能により、ユーザが誤って制御ダイヤル2012を患者にとって不適切な容積に回してしまうことを防ぐことができる。代替実施形態では、ラッチの使用、回転前に制御ダイヤルを上方に引くことをユーザに要求すること、又は一回換気量の不注意な調節を防止するための別のロック機構など、他の安全機構が企図される。
【0155】
制御ダイヤル2012は、第1及び第2の側部パネル2002a、2002bが開く幅を制限するために、第1の側部パネル2002aのタブ(図示せず)及び第2の側部パネル2002bの別のタブと嵌合する少なくとも1つの中空部分を含み、そうすることによって、ユーザが次にこの制限された幅から完全に閉じた位置まで拡張可能なバッグ2004を圧縮するとき、送出される空気の体積は一貫しており、小さなばらつきの範囲内で既知である。代替実施形態では、制御ダイヤル2012は、第1及び第2の側部パネル2002a、2002bが完全に開くことを可能にする一方で、その代わりに、第1及び第2の側部パネル2002a、2002bがどの程度閉じるかを制限することができる。制御ダイヤル2012の制御のメカニズムは、以下により詳細に説明される。
【0156】
図に示すように、制御ダイヤル2012は、弁ハウジング部材2001の上部分に配置されている。しかしながら、他の実施形態では、制御ダイヤル2012は、弁ハウジング部材2001の垂直な側部パネル又は他の場所に配置されてもよい。
【0157】
一回換気量を制御することに加えて、制御ダイヤル2012は、内部のPIP弁のばねの長さを調節することもできる(
図34~
図35でより詳細に示す)。このばねの調節により、PIP弁の上側(図示せず)に可変量の下向きの圧力を加えることが可能になる。PIP弁が完全に制限されると、過剰な圧力の排出ができなくなる(大柄な成人に必要になる場合がある無限ピーク圧弁をシミュレートする)。このように、PIPの調節により、過剰圧力が弁ハウジング部材2001の内部から周辺に排出される圧力を変更することができる。
【0158】
制御ダイヤル2012がより小さな患者設定に回転されると、制御ダイヤル2012はポップオフばね機構の長さを調節し、PIP弁がより低い圧力(選択された設定に応じて多数)で排気することを可能にする。一実施形態では、PIP値は、圧力開放がないことを意味する大柄な成人に対しては、無限、小柄な成人に対しては、60cmH2O、及び小児又は幼児に対しては、40cmH2Oである。しかし、開放圧力又は患者のサイズ又はグループ分けに対する他の値も可能である。制御ダイヤル2012は、一回換気量とPIPの両方を、所与のサイズの患者に所望かつ適切な設定に同時に調節することを可能にする。代替実施形態では、一回換気量とPIPの調節は分離してもよい。
【0159】
PEEPダイヤル2010は、二方弁(図示せず)が弁ハウジング部材2001内で垂直に動く能力を制御する。PEEPダイヤル2010を回すと、患者が息を吐くのに必要な圧力が変化する。PEEPダイヤル2010は、PEEPダイヤル2010上で選択可能なスライド可能な増分で、0~20cmH2Oのような異なる値を有することができる。代替的に、PEEPダイヤル2010は、5cmH2O以下の増分のような不連続の増分で調節可能であってもよい。
【0160】
ポート2008は、例えば薬剤注入装置や呼気終末CO2検出器など、複数の接続に使用することができる。ポート2008は、二方弁とマスク接続部材2006の間に位置する。これにより、蘇生処置中に患者から放出されるCO2をモニタしたり、弁ハウジング部材2001の弁の1つを経由せずに、患者の気道に直接薬剤を投与したりすることができる。
【0161】
弁ハウジング部材2001は硬質材料から作られており、第1の側部パネル2002a及び第2の側部パネル2002bの剛性と組み合わせることにより、ユーザは拡張可能なバッグ装置2000を片手で保持することができる。ユーザは片手で拡張可能なバッグ2004を圧縮することができ、同時に同じ手で患者の顔にマスクの密閉を維持することができる。弁ハウジング部材2001の剛性と、第1及び第2の側部パネル2002a、2002bの剛性により、拡張可能なバッグ装置2000は片手で使用することが可能である。
【0162】
図22は拡張可能なバッグ装置2000の代替図を示す。拡張可能なバッグ2004は、空気が拡張可能なバッグ2004から弁ハウジング部材2001を通って患者に流れることを可能にするバッグ接続部材2030を介して、弁ハウジング部材2001に取り付けられている。弁ハウジング部材2001は、第1及び第2の側部パネル2002a、2002bに接続されている。
【0163】
拡張可能なバッグ装置2000は、第1及び第2の側部パネル2002a、2002bによる拡張可能なバッグ2004の圧縮が、患者のマスクの平面に平行な平面に沿って生じるように設計されている。さらに、拡張可能なバッグ2004が圧縮される平面は、マスク接続部材2006に対して垂直又は直角である。言い換えれば、拡張構成では、拡張可能なバッグ2004は、弁ハウジング部材2001に隣接する端部よりも、弁ハウジング部材2001の反対側の端部の方が大きい。
【0164】
また、PIPオーバライドタブ2020も示されている。PIPオーバライドタブ2020には2つの構成がある。第1の構成では、PIPオーバライドタブ2020は、空気がPIP弁を通して排出されないオーバライド状態にあり、無限PIP値をシミュレートする。第2の構成では、PIPオーバライドタブ2020が90°又は180°などの回転がなされ、PIPオーバライドタブ2020はオーバライド状態ではなく、圧力開放開口2013を通して空気が排出される。側部パネル2002bは、拡張可能なバッグ2004が拡張状態にあるとき、PIPオーバライドタブ2020の上にわずかにかかるように形成されている。この実施形態では、PIPオーバライドタブ2020をロック位置又はロック解除位置に回転させるためには、ユーザはまずバッグを完全に圧縮しなければならない。これは、PIPオーバライドタブ2020の意図しない操作を防止する安全機構として機能する。
【0165】
図23は、弁ハウジング部材2001の例示的な実施形態を示す。弁ハウジング部材2001は、使用中の患者に向けられたときの弁ハウジング部材2001の上部のような第1の端部に制御ダイヤル2012を含み、下端部にマスク接続部材2006を含み、その間に位置するPIPオーバライドタブ2020、マノメータポート(図示せず)、PEEPダイヤル2010、及び投薬ポート又は呼気終末CO
2接続ポート2008を含む。
【0166】
拡張可能なバッグ装置2000の内部圧力レベルを示すために、マノメータポート(図示せず)を使用することができる。この実施形態では、マノメータポート2022は、弁ハウジング部材2001の中間部分から延びるが、他の実施形態では、マノメータポート2022は、弁ハウジング部材2001又はバッグ接続部材2030の他の部分から延びてもよい。
【0167】
制御ダイヤル2012は、一回換気量とPIPを同時に制御できる内部機構(図示せず)を囲んでいる。制御ダイヤル2012の内部機構は、
図30、
図32、及び
図34でより詳細に示されている。制御ダイヤル2012は、拡張可能なバッグ装置2000がどの種類の患者に使用されているかを示すために、指標によって識別される設定を含む。例えば、「I」は幼児用を示し、「P」は小児用を示し、「A」は成人用を示す。一実施形態では、制御ダイヤル2012は、大柄な成人のような追加の設定を含むことができる。制御ダイヤル2012は、所与の患者サイズクラス内で異なる一回換気量及びPIPを提供する。
【0168】
図23に示すように、拡張可能なバッグ2004は拡張構成になっている。弁ハウジング部材2001から離れた位置にある拡張可能なバッグ2004の端部は、弁ハウジング部材2001の近傍に位置する拡張可能なバッグ2004の幅よりも大きい幅を有する。
【0169】
マスク接続部材2006は、弁ハウジング部材2001の第2の端部から延び、マスク又は気管内チューブや喉頭マスク気道のような他の患者接続装置に接続可能である。
【0170】
図24は、拡張構成にある拡張可能なバッグ装置2000の上面図である。図示されているように、拡張可能なバッグ2004は、拡張構成にあるとき、概ね三角形の形状を有する。バッグは、球形、卵形、正方形、矩形、又は他の多角形などの他の形状をとり得る。
弁ハウジング部材2001の反対側の拡張可能なバッグ2004の端部2154は、弁ハウジング部材2001に隣接する端部2156よりも拡張する。
【0171】
バッグ接続部材2030が示されており、バッグ接続部材2030は、患者に空気を供給するために、拡張可能なバッグ2004と弁ハウジング部材2001との間に流体連通を提供する。バッグ接続部材2030はまた、弁ハウジング部材2001から拡張可能なバッグ2004への空気の逆流を防止する弁2031を含むことができる。
【0172】
弁ハウジング部材2001はまた、ライト2152を含むことができる。過呼吸を防止するために、より具体的には過呼吸を誘発しないようにユーザを支援するために、弁ハウジング部材2001は、電池式の点滅するライト2152を含む。ライト2152は、制御ダイヤル2012と連動し、コントロール上で選択された一回換気量及びPIP(幼児、小児、成人、大柄な成人)に固有のケイデンスで点滅し、患者に空気を送るのに適切な速度をユーザに示す。さらに、光の点滅の持続時間は、ユーザが患者に空気を送るためにかかる時間を示す。
【0173】
ライト2152は、患者のサイズに応じて異なる速度で点滅してもよい。例えば、ライト2152は、幼児に対しては1~2秒毎に点滅し、幼児又は小児患者に対しては2~3秒毎に点滅し、成人に対しては5~6秒毎に点滅してもよい。しかし、他の時間間隔も考えられる。点滅する光は、拡張可能なバッグ2004を圧縮する頻度をユーザに示す。
【0174】
ライト2152は、制御ダイヤル2012上で選択された患者のサイズに応じた入力を受ける導電性バンドを介し、制御ダイヤル2012に取り付けることができる。ライト2152は、ユーザがバッグを圧縮して患者に空気を与える適切なタイミングを表示するために、ライト2152が点滅するケイデンスを決定することができる。また、ライト2152は、ユーザが拡張可能なバッグ2004を完全に圧縮するのに要すべき時間に対応する時間、例えば1秒などの時間、点滅してもよい。
【0175】
一実施形態では、ライト2152は、拡張可能なバッグ装置2000がユーザによって適切に使用されているときに第1の色で点滅することができる。ユーザが拡張可能なバッグ装置2000を適切に使用していない場合、ライト2152は異なる色で点滅することができる。例えば、拡張可能なバッグ2004が正しい速度及び正しい持続時間で圧縮されている場合、ライト2152は緑色で点滅する。拡張可能なバッグ2004が圧縮される速度が速すぎたり遅すぎたりしている場合、ライト2152は赤色で点滅してもよい。
【0176】
ライト2152は、アラームやメトロノームなどの音と関連付けることもできる。拡張可能なバッグ2004の圧縮が速すぎたり遅すぎたりする場合、赤色の点滅光に加えて、又はその代わりに、アラームが鳴ってもよい。さらに、正しいケイデンス、速度、圧縮時間、もしくは信号エラーを示すため、又は、ユーザに他のフィードバックを提供するために、音だけを利用することもできる。
【0177】
ライト2152は、充電式バッテリや非充電式バッテリなどのバッテリを電源とするLEDやその他の種類のライトであってもよく、ライト2152に電力を供給するために拡張可能なバッグ2004の圧縮を利用した機械的充電システムを電源とするものであってもよい。
【0178】
図25は、拡張可能なバッグ装置2000の代替側面図である。上述したように、拡張可能なバッグ装置2000は、弁ハウジング部材2001に接続された拡張可能なバッグ2004を含む。拡張可能なバッグ装置2000は、拡張可能なバッグ装置2000が最小限のスペースを取る圧縮された実施形態で示されている。
【0179】
第1の側部パネル2002aはまた、空気取り入れ機構2040を含む。空気取り入れ機構2040は、酸素排気弁2044、周囲空気入口弁2046、及び酸素入口ポート2042を含む。空気取り入れ機構2040は、空気が拡張可能なバッグ2004に流入することを可能にする。
【0180】
空気取り入れ機構2040は、酸素入口ポート2042、酸素排気弁2044、空気入口弁2046、拡張可能なバッグ入口弁(図示せず)、及び過換気オーバライドスライド(図示せず)を含む。
【0181】
使用時には、酸素入口ポート2042を介して拡張可能なバッグ2004に補助酸素を供給することができる。空気取り入れ機構2040は、ユーザが、時間と共に拡張可能なバッグ2004内に特定量の酸素のみを入れる一方で、過剰な酸素は酸素排気弁2044を通って周辺に排気されるようにすることで制御された速度で拡張可能なバッグ2004内の周囲空気に補助酸素を加えることができる、チェック弁システムを含む。このシステムは、酸素が酸素入口ポート2042に流入する設定速度、例えば10L/分、15L/分などに関わらず、酸素と周囲空気とが拡張可能なバッグ内に入る速度を調節する。
【0182】
更なる実施形態において、聴覚インジケータは、拡張可能なバッグ2004が膨張している間、第1の音を提供し、拡張可能なバッグが最大容積に達したとき、第2の音を提供してもよい。
【0183】
図26は、拡張可能なバッグ装置2000の別の側面図である。拡張可能なバッグ装置2000は最小限のスペースを取る圧縮された実施形態で示されている。さらに、第2の側面パネル2002bは、空気取り入れ機構2040を含まない。しかしながら、他の実施形態では、第2の側部パネル2002bは、空気取り入れ機構2040、又は重複するもしくは代替の空気取り入れ機構を含んでもよい。
【0184】
図27は、拡張構成にある拡張可能なバッグ装置2000の底面図である。弁ハウジング部材2001は、バッグ接続部材2030を介して拡張可能なバッグ2004に接続されており、このバッグ接続部材2030は、拡張可能なバッグ2004から弁ハウジング部材2001への空気の流れを可能にする一方弁(図示せず)を含んでいる。また、マスク接続部材2006内のマスク接続管腔2007が示されており、このマスク接続管腔2007は、マスク又は他の患者インタフェース装置(図示せず)を介して患者に空気を供給するために、バッグ接続部材2030を介して拡張可能なバッグ2004と流体連通している。
【0185】
図28は拡張可能なバッグ装置2000の別の図を示す。上述したように、拡張可能なバッグ装置2000は、拡張可能なバッグ2004と流体連通する弁ハウジング部材2001を含む。空気取り入れ機構2040は、第1の側部パネル2002aに配置されている。
【0186】
図29は、弁ハウジング部材2001の分離図である。弁ハウジング部材2001は、使用方向で示されている。マスク接続部材2006は、弁ハウジング部材2001の下端に位置し、制御ダイヤル2012は、弁ハウジング部材2001の上端に位置する。
【0187】
弁ハウジング部材2001の本体2032は、制御ダイヤル2012の下方に位置し、少なくともライト(図示せず)及びPIPオーバライドタブ2020を収容する。本体2032の下にはPEEPダイヤル2010がある。ポート2008は、マスク接続部材2006の近傍に位置するが、正確な位置は、拡張可能なバッグ(図示せず)から入ってくる空気の経路に沿って、二方弁の下であればどの位置でもよい。一実施形態では、ポート2008は投薬ポートであってもよく、これにより、いずれかの弁を通して投薬することなく患者に直接投与することができる。
【0188】
PIPオーバライドタブ2020は、拡張可能なバッグ(図示せず)に対して垂直な平面に沿って指向するタブ2606を有する。タブ2606は、弁ハウジング部材2001に対して垂直に延びる平面に沿って指向するようにユーザが回転させることができ、これにより無限PIP弁が形成される。
【0189】
図30は、弁ハウジング部材2001の切断図を示す。特に、弁ハウジング部材2001の切断図には、マスク接続管腔2007の中央に位置する二方弁2124が図示されている。二方弁2124は、拡張可能なバッグ(図示せず)から患者に空気を送る機能を果たすと同時に、PEEP機能を提供する。
【0190】
一実施形態では、二方弁2124は、マスク接続管腔2007の中央で互いに接触し、マスク(図示せず)に向かう方向を指す2つのフラップを含むダックビル弁である。別の実施形態では、二方弁2124は、マスク接続管腔2007内に固定されるアンブレラ弁である。
【0191】
所望のPEEP値は、PEEPダイヤル2010によって制御され、ユーザが望む所定のPEEP値に調節することができる。二方弁2124は、リフト片2125との組み合わせにより、患者の肺に所定の圧力を維持するためのPEEPを作り出す。二方弁2124は、拡張可能なバッグ2004からの空気を患者に供給でき、呼気がリフト片2125から二方弁2124を持ち上げることを強制する。
【0192】
PEEPダイヤル2010は、内部スレッド2120を介してPEEP値を制御する。例えば、PEEPダイヤル2010を回転させると、二方弁2124に対するリフト片2125の張力が増減し、患者がPEEP弁を通して空気を吐き出すのに必要な力が効果的に変化する。リフト片2125間に張力がない場合、PEEPは発生しない。リフト片2125と二方弁2124の接続部の張力が低いと、PEEP値は低くなり、リフト片2125と二方弁2124の間の張力が高いと、PEEP値は高くなる。PEEP弁及び機構は、
図35でより詳細に示されている。
【0193】
患者からの呼吸圧力が高くなると、圧力はPEEP値を超えるが、呼吸圧力が低下すると、二方弁2124はリフト片2125に対して静止位置に戻り、圧力を患者の肺内に維持させる。これにより、患者への後続の呼吸の投与が容易になり、より効率的かつ効果的なバギング(bagging)が可能になる。
【0194】
また、制御ダイヤル2012によって制御されるPIP制御機構2100も示されている。制御ダイヤル2012を調節することにより、空気が周辺に排気される圧力が変更され、拡張可能なバッグ2004によって提供される一回換気量が変更される。制御ダイヤル2012の調節により、過剰な圧力が拡張可能なバッグ装置2000の内部から周辺に排気される圧力が変更される。
【0195】
PIP値が完全に制限されると、過剰圧力での排出が不可能になる(特定の臨床シナリオで必要とされることがある無限ピーク圧弁をシミュレートする)。制御ダイヤル2012が回転され、その後さまざまな患者設定に開放されると、制御ダイヤル2012の高さは、反転ウェル2112、2114、2116、2118の使用によって制限される。これらの反転ウェル2112、2114、2116、2118の相対的な高さは、ポップオフばね2119の長さを調節し、ポップオフ弁が様々な圧力で排気できるようにする。所定のPIP値は、大柄な成人では無限大、小柄な成人では60cmH2O、小児又は幼児では40cmH2Oであるが、他の値も可能である。
【0196】
PIP制御機構2100は、少なくとも4つの設定、すなわち所定のPIP値に対応する反転ウェル2112、2114、2116、2118を含む。制御ダイヤル2012を回すと、所望の設定が選択される。一実施形態では、第1の反転ウェル2112は長さが短く、成人のPIP値H20の60cmに対応する。第2の反転ウェル2114は中程度の長さを有し、小児患者のPIP値H20の40cmに対応する。第3の反転ウェル2116は長さが長く、幼児のPIP値H2O40cmに対応する。第4の反転ウェル2118は長さが最も短く、無限大のPIP値に対応する。
【0197】
PIP制御機構2100は4つの反転ウェルを含み、各反転ウェルは反転ウェル2112、2114、2116、2118に対応する。制御ダイヤル2012はまた、制御ダイヤル2012を回転させるために所定の力を必要とするばねを含む。代替実施形態では、同じ機構を右上がりのウェルを使用して実現することもできる。これは特に、制御ダイヤル2012が、調節するために押し下げられ、回転させられる代わりに、調節するために上方に引っ張られ、回転させられる実施形態において適用されるであろう。
【0198】
二方弁2124はまた、弁ハウジング部材2001に戻る流体の流れを制限することによって、付加的な機能を提供する。例えば、患者が嘔吐した場合、二方弁2124は、PEEP設定の結果として空気が流れる方向と同様に、流体が弁ハウジング部材2001に入るのを防ぎ、弁ハウジング部材2001から流出させる。
【0199】
図31は、PIPオーバライドタブ2020を強調する弁ハウジング部材2001の図を示す。ユーザがPIPオーバライドタブ2020を作動させると、PIP弁は作動せず、従って、圧力開放開口を通って空気が排出される圧力はない。PIPオーバライドタブ2020は、弁ハウジング部材2001の中心から延出している。第1の実施形態では、PIPオーバライドタブ2020がオーバライド状態にあるとき、タブ2606は拡張可能なバッグ2004の方を指向している。第2の実施形態では、PIPオーバライドタブ2020がオーバライド状態にないとき、タブ2606は、マスク接続部材2006に沿った方向などの、拡張可能なバッグ2004とは反対の方向に指向している。しかしながら、他の方向も可能であり、第1又は第2の実施形態に対応するタブ2606の方向を限定的なものと見なすべきではない。
【0200】
ユーザは、必要に応じて、PIPオーバライドタブ2020を、例えば、第1の実施形態から第2の実施形態へ、及びその逆へ、所望のように回転させることができる。PIPオーバライドタブ2020は、タブ2606と、同心ばね機構2604に接続する延長部分2602とを有する。延長部分2602の端部2608は、PIP弁(図示せず)の対応する形状と嵌合する半円形又は他の形状を有する。
【0201】
一実施形態では、PIPオーバライドタブ2020と半円嵌合部は同心の半円を形成せず、相互作用しないため、空気が所望の圧力で装置上部から排出される。PIPオーバライドタブ2020がオーバライド状態にあるとき、延長部分2602の切り抜きとPIPオーバライドタブ2020の半円部分は相互作用し、同心円状になる。ここで、半円形の嵌合部分は、定位置にロックされ、弁ハウジング部材2001の上部の圧力開放開口を閉鎖し、空気を排出させない(又は、PIP弁を無限圧力に設定する)。実施形態では、PIPオーバライドタブは弁ハウジング部材2001の外部にあり、持ち上げられて制御ダイヤル2012の上面に下向きの力を加えることによって機能し、ロッド2602上のばねを圧縮し、過剰な圧力の排出を防止することができる。
【0202】
図32は、異なる様式の二方弁2124を備えた弁ハウジング部材2001の切断図を示す。弁ハウジング部材2001はまた、拡張可能なバッグ(図示せず)及びPIP反転ウェル2112、2114、2116、2118の一回換気量を制御する制御ダイヤル2012を含む。さらに、二方弁2124の可動量を決定し、PEEPを提供する内部スレッド2120が示されている。
【0203】
図33は、弁ハウジング部材2001を示し、空気が流れる方向を示している。空気の流れは、拡張可能なバッグ(図示せず)からバッグ接続部材2030を通り、弁ハウジング部材2001に入り、マスク接続部材2006を通り、最終的にマスク(図示せず)を介して患者に至る経路Aをたどる。
【0204】
呼気により、患者は息を吐き出し、空気は経路Bをたどる。呼気はマスク接続部材2006を通って戻り、弁ハウジング部材2001内の二方弁を動かすことにより形成される開口を通って外に出る。
【0205】
図34は、弁ハウジング部材2001を通して見たときの、PIPオーバライドタブ2020の位置を示す。上述したように、PIPオーバライドタブ2020は、タブ(図示せず)と、同心ばね機構(図示せず)に接続するロッド(図示せず)とを有する。ロッドの端部2608は、PIP機構(図示せず)の対応する形状と嵌合する円形形状を有する。
【0206】
図35は、弁ハウジング部材2001の分解図を示す。制御ダイヤル2012は、弁ハウジング部材2001の端部に位置するが、制御ダイヤル2012の正確な位置は可変である。制御ダイヤル2012が回転すると、所定のPIP値に対応する反転ウェル2112、2114、2116、2118のうちの1つとコミュニケートする。ばね(図示せず)は制御ダイヤル2012を正しい位置に維持し、その結果、制御ダイヤル2012を回転させるにはばねの強さに打ち勝たなければならない。
【0207】
制御ダイヤル2012はまた、拡張可能なバッグによって提供される一回換気量を制御する。制御ダイヤル2012は、第1の側部パネル2002a及び第2の側部パネル2002bとコミュニケートし、パネルが拡張を許される幅を制御する一回換気量制御装置を含む。第1の構成では、一回換気量制御装置は、第1の側部パネル2002a及び第2の側部パネル2002bが拡張を許容される幅を制限する八角形状(4組の設定)を有する。拡張可能なバッグ2004に配置されたヒンジは、第1の側部パネル2002aと第2の側部パネル2002bを開くように強制し、一回換気量制御装置は、第1の側部パネル2002aと第2の側部パネル202bが開くことを許される量を決定する。
【0208】
代替構成では、一回換気量制御装置は、第1の側部パネル2002aと第2の側部パネル2002bとが相対的に閉じることを許される幅を制限する。拡張可能なバッグ204に配置されたヒンジは、第1の側部パネル2002a及び第2の側部パネル2002bを開くように強制し、一回換気量制御装置は、ユーザによって圧縮されるときに、第1の側部パネル2002a及び第2の側部パネル2002bが閉じることを許される量を決定する。
【0209】
バッグ接続部材2030は、拡張可能なバッグから弁ハウジング部材2001への空気の流入のみを可能にする弁2031を含む。弁2031は、弁ハウジング部材2001から拡張可能なバッグへの空気の逆流を防止する。一実施形態では、弁2031はアンブレラ弁である。
【0210】
二方弁2124は、空気が弁ハウジング部材2001から患者へ第1の方向に流れることを可能にし、患者からの呼気が周辺に排気されることを強制する。図示されるように、PEEPダイヤル2010は内部スレッド2120内に位置し、リフト片2125が弁ハウジング部材2001内で垂直に動くことを許容される範囲は、内部スレッド2120に沿ったPEEPダイヤル2010の位置によって規定される。図示のような実施形態では、二方弁2124はダックビル弁であり、代替実施形態では、二方弁2124はアンブレラ弁であってもよい。
【0211】
PEEPダイヤル2010は、二方弁2124の位置を囲んでいる。PEEPダイヤル2010は、リフト片2125と二方弁2124との間の張力量に対応する所望のPEEP値までユーザが回すことができる。リフト片2125から二方弁2124を動かすために呼気が必要とする力は、選択されたPEEP値に対応する。
【0212】
二方弁2124はまた、弁ハウジング部材2001内への流体の逆流を防止する。二方弁2124は、流体が弁ハウジング部材2001に入るのを防ぎ、PEEP設定の結果として空気が流れる方向と同様に、流体を弁ハウジング部材2001の外に導く。
【0213】
図36は、拡張可能なバッグ2004が拡張構成にある拡張可能なバッグ装置2000を示している。第1の側部パネル2002aは、空気取り入れ機構2040を含む。空気取り入れ機構2040は、酸素入口ポート2042、酸素排気弁2044、空気入口弁2046、蛇腹入口弁(図示せず)、及び過換気オーバライドスライド2048を含む。
【0214】
酸素入口ポート2042は、拡張可能なバッグに酸素を供給するために、酸素源に接続可能である。
酸素排気弁2044は、空気取り入れ機構2040内の圧力が高すぎる場合に、空気取り入れ機構2040から過剰な酸素を周辺に排気する。空気入口弁2046は、周囲空気が空気取り入れ機構2040に入り、最終的に1つ又は複数の調節可能なアパーチャ(図示せず)を介して拡張可能なバッグ2004に入ることを可能にする。
【0215】
図37は、空気取り入れ機構2040の切断側面図を示す。入口圧力弁2050は、外部の空気が空気取り入れ機構2040の内部から拡張可能なバッグに入ることを可能にする。入口圧力弁2050はアンブレラ弁である。空気は、外部の周囲空気又は周囲空気と酸素との組み合わせであってもよい。周囲空気は、空気入口弁2046を介して空気取り入れ機構2040に入り、酸素は、酸素入口ポート(図示せず)を介して空気取り入れ機構2040に入る。空気入口弁2046もアンブレラ弁である。
【0216】
空気取り入れ機構2040は、拡張可能なバッグに入る酸素の割合を制御するための酸素入口ポート(図示せず)を含む。使用時、酸素は、酸素タンクに指定された速度で空気取り入れ機構2040に流入し、これは通常10~15L/分の間である。酸素入口ポート2042からの圧力は、大気圧と組み合わされ、空気取り入れ機構2040と拡張可能なバッグ2004との間に圧力差を生じさせる。圧力が入口圧力弁2050より高く、酸素排気弁2044より低ければ、酸素含有空気は拡張可能なバッグ2004に充填される。
【0217】
一実施形態では、酸素タンクからの流量は高く(例えば10~15L/分)、酸素排気弁2044のクラッキング圧力は、空気取り入れ機構2040に流入する酸素によって生じる圧力差を制限するために低く保たれる。
【0218】
空気取り入れ機構2040は、酸素タンクからの流量に関係なく、拡張可能なバッグ2004が一定した流量で酸素で充填されることを可能にする。空気取り入れ機構2040はまた、空気の供給源(純粋な周囲空気、純酸素、又は周囲空気と酸素の混合物)に関係なく、拡張可能なバッグ2004の一貫した膨張速度を提供する。
【0219】
さらなる実施形態では、空気取り入れ機構2040は、オーバライドスライド2048を含む。オーバライドスライド2048は、スライドホイール、シンチスレッド(cinch threading)機構、2つのスライドプレート、又はプッシュボタン機構であってもよい。オーバライドスライド2048は、空気が拡張可能なバッグ2004に入ることを可能にする複数の調節可能なアパーチャ(図示せず)のサイズを制御することによって過換気を可能にするために使用することができる。一実施形態では、オーバライドスライド2048は、側部パネル2002a上のアパーチャをオーバライドスライド2048上の対応するアパーチャと整合させる。このスライドは、1つ又は複数のアパーチャサイズを可能にし、それにより拡張可能なバッグ2004の完全に制限された(遅い)速度と完全に開いた(速い)速度との間の1つ又は複数の膨張速度を可能にするバレル弁又は他の機構であってもよい。
【0220】
図38は、圧縮構成における拡張可能なバッグ装置2000の上面図を示す。第1の側部パネル2002aと第2の側部パネル2002bは概ね互いに平行であり、その間に拡張可能なバッグ2004が配置されている。
【0221】
図39は、バッグ接続部材2030を強調する弁ハウジング部材2001の部分切断図である。空気は拡張可能なバッグ2004からバッグ接続部材2030の弁2131を通って弁ハウジング部材2001に流れる。弁2131は、空気が弁ハウジング部材2001から拡張可能なバッグ2004に逆流することを防止する。
【0222】
図40は、空気取り入れ機構2040と拡張可能なバッグ2004の分解図である。周囲空気は空気入口弁2046を通って空気取り入れ機構2040に入り、酸素は酸素入口ポート2042を通って空気取り入れ機構2040に入る。周囲空気と酸素は、空気取り入れ機構2040内で混合し、1つ又は複数のアパーチャ2158a、2158bを介して拡張可能なバッグ2004に入り、拡張可能なバッグ2004に開けられるアパーチャのサイズと数は、オーバライドスライド2048によって制御される。
【0223】
空気取り入れ機構2040は、空気取り入れ機構2040を通して大気空気と酸素の流れを提供する酸素入口ポート2042を含む。酸素入口ポート2042は、酸素が空気取り入れ機構2040に流入することのみを可能にする。
【0224】
酸素排気弁2044は、余分な酸素を大気に排気し、拡張可能なバッグ2004に酸素が入らないようにし、酸素源から空気取り入れ機構への酸素流量に関係なく、拡張可能なバッグ2004の充填時間を一定にすることができる。オーバライドスライド2048は、空気取り入れ機構2040から拡張可能なバッグ2004への空気が入ることを許可されるアパーチャ2158のサイズ又は数を決定する、アパーチャカバー機構2052を制御する。
【0225】
図41は、制御ダイヤル2012を強調する弁接続部材2001の切断底面図を示す。制御ダイヤル2012は、弁ハウジング部材2001の外側を取り囲むように延びている。制御ダイヤル2012は、第1の側部パネル2002a及び第2の側部パネル2002bが拡張を許容される幅を制限する八角形状(4組の設定2202a、2202b、2204a、2204b、2206a、2206b、2208a、2208b)を有する一回換気量制御装置を備える。
【0226】
図42は拡張構成における拡張可能なバッグを示す図である。示されるように、拡張可能なバッグ2004の弁ハウジング部材2001と反対側の端部2154は、弁ハウジング部材2001に隣接する端部2156よりも拡張する。示される実施形態において、空気取り入れ機構2040は側部パネルの端部2154の近傍に配置されているが、空気取り入れ機構2040は、拡張可能なバッグ2004と流体連通する他の場所に配置されてもよい。
【0227】
図43~
図45は、スライドが様々な位置にある空気取り入れ機構2040の実施形態を示す。
図43は、スライドが第1の位置にある空気取り入れ機構2040の実施形態を示す。
図44は、スライドが第2の位置にある空気取り入れ機構2040の実施形態を示す。
図45は、スライドが第3の位置にある空気取り入れ機構2040の実施形態を示す。
【0228】
オーバライドスライド2048の各位置は、空気取り入れ機構2040から拡張可能なバッグ2004への異なる流量に対応する。オーバライドスライド2048の第1の位置は、空気が、拡張可能なバッグ装置2004に第1のレートで流入することを可能にし、オーバライドスライド2048の第2の位置は、空気が、拡張可能なバッグ装置2004に第2のレートで流入することを可能にし、オーバライドスライド2048の第3の位置は、空気が、拡張可能なバッグ装置2004に第3のレートで流入することを可能にする。
【0229】
図46A~
図49Bは、拡張可能なバッグ装置3000の他の代替的な実施形態を示しており、その構成及び作動は、拡張可能なバッグ装置2000の構成と、以下に述べられる例外を除き概ね対応する。しかしながら、拡張可能なバッグ装置の実施形態1000、2000及び3000のそれぞれにおける異なる特徴は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、他の拡張可能なバッグ装置の実施形態のいずれにも利用できることに留意すべきである。
【0230】
図46Aは、第1の側部パネル3002aと第2の側部パネル3002bとの間に位置する拡張可能なバッグ3004を含む拡張可能なバッグ装置3000を示す。拡張可能なバッグ装置3000はまた、第1及び第2の側部パネル3002a、3002bの第1の端部から延びる弁ハウジング部材3001を含む。弁ハウジング部材3001は、例えば気管内チューブ又は喉頭マスク気道などの、任意の種類及びサイズのマスク又は他の患者呼吸インタフェース装置に取り付けることができる。
【0231】
第1の側部パネル3002a及び拡張可能なバッグ3004はまた、空気取り入れ機構3040を含む。空気取り入れ機構3040は、排気弁3044、空気入口弁3046、及び圧縮ガス入口ポート3042を含む点で、拡張可能なエアバッグ装置2000の空気取り入れ機構2040に概ね対応し、同様に作動する。しかしながら、
図46Aの空気取り入れ機構3040は、1つ又は複数のアパーチャ、例えばアパーチャ2158a、2158b(
図40参照)を通って拡張可能なバッグ3004に供給される、圧縮ガス若しくは複数の圧縮ガス(例えば、酸素、ヘリウムなど)又は周囲空気の流量を調節するための機械的膨張調節制御装置3041を追加的に含む。膨張調節制御装置3041は、1つ又は複数のアパーチャ3043のサイズを、拡張可能なバッグ3004に流入する圧縮ガス/周囲空気の流量を減少させる1つ又は複数のより小さいサイズのアパーチャ3043に調節し、それにより拡張可能なエアバッグ装置3000の膨張時間を遅くし、また、拡張可能なバッグ3004に流入する圧縮ガス/周囲空気の流量を増加させる1つ又は複数のより大きいサイズのアパーチャ3043に調節し、それにより拡張可能なエアバッグ装置3000の膨張時間を速くする。
【0232】
特定の実施形態では、空気取り入れ機構3040は、追加的に、排気弁3044を塞ぐ又は閉鎖するために使用され得る閉塞キャップ3045を含む。排気弁3044の閉塞は、(a)拡張可能なバッグ装置3000が圧縮ガス入口ポート3042を介して圧縮ガス供給に接続され、かつ(b)PEEP弁3020が係合されているときに、拡張可能なバッグ装置3000が、持続的気道陽圧(CPAP)を提供することを補助できる。CPAPは、拡張可能なバッグ装置3000を利用する患者が既に呼吸している場合に望ましい機能である。特定の実施形態では、拡張可能なバッグ装置がCPAPを提供するために排気弁3044の閉塞は必要ではなく、項目(a)及び(b)のみが必要である。
【0233】
特定の実施形態では、空気取り入れ機構3040は、構造を簡略化するために、排気弁3044及び圧縮ガス入口ポート3042の一方又は両方を除外する。。
【0234】
拡張可能なバッグ3004の第1及び第2の側部パネルの3002a、3002bは、ユーザが、側部パネル3002a、3002bを保持し、拡張可能なバッグ3004を圧縮することが出来るように、拡張可能なバッグ3004の材料よりも硬い材質である。第1及び第2の側部パネルの3002a、3002bは、好ましくはテキスチャ加工された人間工学的凹部3003を追加的に含み、拡張可能なバッグ3000を片手で使用するためにユーザの手に適合する。片手での使用は、拡張可能なバッグ装置3000で患者の口の密閉を維持しながら、拡張可能なバッグ装置3000の圧縮/減圧を行うことが含まれ、また、拡張可能なバッグ装置3000の両手での使用も可能である。
【0235】
各側部パネル3002a、3002bに近接する拡張可能なバッグ3004内に、内部ストップ(
図52の3083a、3083b参照)が設けられている。拡張可能なバッグ装置3000が完全に圧縮されると、内部ストップは、聴覚的反応(クリック音、笛音など)及び/又は機械的停止点を提供しながら接触し、拡張可能なバッグ装置3000が完全に圧縮されたことをユーザに示し、不正確な空気量が供給されることを防止する。特定の実施形態では、
図57A~57Bを参照すると、側部パネル3002a、3002bは、拡張可能なバッグ装置3000の完全圧縮を示すための外部ストップとして作用する相互作用する輪郭形成縁部3005a、3005bを含む。輪郭形成縁部3005a、3005bは、代替的に又は追加的に、拡張可能なバッグ3004の1つ又は複数の折り目3007が外側に膨張することを防止する拡張可能バッグ変形防止機能として作動し、それにより、拡張可能なバッグ3004から弁ハウジング部材3001への空気の排気を促進するのに役立つ。輪郭形成縁部3005a、3005bを備える側部パネル3002a、3002bはまた、側部パネル3002a、3002bが完全に圧縮されるときに、拡張可能なバッグ3004を完全に包囲し、拡張可能なバッグ3004に保護的な硬質シェルを提供する役割を果たす。
図57Cを参照すると、代替的に又は輪郭形成縁部3005a、3005bに加え、側部パネル3002a、3002bのそれぞれは、拡張可能なバッグ3004の1つ又は複数の折り目3007上に延びる1つ又は複数のタブ3009a、3009bを含み、当該タブ3009a、3009bは、外部ストップ及び/又は拡張可能なバッグ3004の折り目3007の変形防止機能として機能し得る。特定の実施形態では、輪郭形成縁部3005a、3005b及び/又はタブ3009a、3009bは、側部パネルの上部表面及び下部表面の両方において提示される。
【0236】
特定の実施形態では、拡張可能なバッグ装置3000は、次の圧縮/非圧縮が生じるべき時をユーザに知らせるための調節可能なタイミング機構(例えば、タイミングライト、聴覚的通知など)を備える。例えば、タイミングライトは、所定の秒数毎に点灯するようにプログラムされ、各点灯が、別の圧縮/非圧縮が起こるべきことを示す。特定の実施形態では、調節可能なタイミング機構は、異なる種類の患者(例えば、小児、乳児、又は成人)に対応するように予めプログラムされる。
【0237】
弁ハウジング部材3001は、拡張可能なバッグ2000の弁ハウジング部材2001から再設計されている。弁ハウジング部材3001は、患者呼吸インタフェース接続部材3006、機械的PIP制御装置3010、機械的一回換気量制御装置3012、PIP制御装置3010及び一回換気量制御装置3012の位置を表示するための第1及び第2のインジケータ3016a及び3016bを含む制御装置インジケータ3014、機械的PEEP制御装置3020、及び、1つ又は複数の圧力開放開口3013a、3013bを提示する本体部分を含む。特定の実施形態では、一回換気量制御装置3012は、図示されるように、PIP制御装置3010に対して垂直に位置するが、PIP制御装置に対する一回換気量制御装置3012の他の配置も可能である。機械的制御装置3010、3012及び3020は、ダイヤルとして図示されているが、他の任意の適切な調節可能な制御装置(例えば、複数位置のスイッチ、ボタン又はレバーなど)も可能であることに留意されたい。
【0238】
PIP制御装置3010は、弁ハウジング部材3001の本体の上のスレッドを回転することによって、内部PIP弁(追加詳細は
図34~
図35参照)のばねの長さを調節する。このばねの調節により、PIP弁(図示せず)の上面に対する可変量の下向きの圧力を加えることが可能になる。PIP弁が完全に制限されると、過剰な圧力の排気が出来なくなる(使用中に必要になる場合がある無限ピーク圧力をシミュレートする)。このように、PIPの調節により、過剰な圧力が弁ハウジング部材3001の内部から1つ又は複数の圧力開放開口3013a、3013bを通って周辺に排気される圧力を変更可能である。特定の実施形態では、PIP制御装置3010は、異なるサイズの患者に適応するために、PIP規格に対応する複数のPIP設定の代表的な表示を含む。例えば、ある構成では、PIP制御装置3010及びその下にある弁は、乳児、児童、成人のうちの1又は複数に適応する複数のPIP設定で較正され、ラベル付けされてもよく、別の構成では、PIP制御装置3010及びその下にある弁は、全ての患者に適応する複数のPIP設定で較正され、ラベル付けされてもよい。PIP制御装置3010は、過剰な圧力を周辺に排気するために持ち上げられる内部構成要素に対する圧力を増加/減少させる。内部構成要素に対する圧力の増加(内部構成要素上のばねの圧縮によって行われる)は、排気に必要な圧力を上昇させる。内部構成要素に対する圧力の減少(ばねの伸長によって行われる)は、内部構成要素上の圧力を低下させ、排気が容易になる。
【0239】
PEEP制御装置は、患者が息を吐くために必要とされる圧力を変化させるために回転され、
図19、
図20、
図30及び
図35に関して提供される詳細を含め、本明細書の他の箇所でさらなる詳細が記載される。特定の実施形態では、患者の呼気がPEEP制御装置3020の上縁から漏れることを防止するために、Oリング又は他の種類のシール材が、PEEP制御装置3020と弁ハウジング部材3001の主本体3059との間に設けられる。例として、
図49Bは、PEEP制御装置3020が、患者の呼気が漏れることを防止するために、PEEP制御装置3020と弁ハウジング部材3001の主本体3059の間のシール縁部3071を含むPEEPインジケータリング3069によりキャップされることを示す。
【0240】
一回換気量制御装置3012は、第1の側部パネル3002a及び第2の側部パネル3002bから延びるバイアス部材突起3081a、3081b(
図51参照)を調節し、拡張可能なバッグ3004がどの程度広く拡張するかを制御するように作動する。バイアス部材突起3081a、3081bは、第1の側部パネル3002a及び第2の側部パネル3002bを弁ハウジング部材3001に固定するヒンジピン3070から前方に突出する。一回換気量制御装置3012は、対向して配置される2組の複数の歯3017(
図46B参照)備える。複数の歯3017の各組内において、各歯3017は、隣接する歯3017と深さが異なる。対応する対向する複数の歯3017は、所望の容積を提供するため、対応するバイアス部材突起3081a及び3081bと、それぞれ相互作用可能である。特定の実施形態では、隣接する各歯の深さが増加する個別に形成された2組の複数の歯を提示するのではなく、
図46Cに図示されているように、それぞれが徐々に深さが増加する対向する2つの傾斜面3018が、提供される。複数の歯3017(又は傾斜面3018上の位置)のそれぞれは、患者に届けられる空気の異なる一回換気量に対応し、各歯によって提供される一回換気量を反映する一回換気量スケール3019は、一回換気量制御装置3012上に提供される。例えば、一回換気量スケール3019は、現在の蘇生ガイドラインに基づく幼児又は児童に適した一回換気量と、成人に適した一回換気量との間の一回換気量の増分(各増分が、それぞれの歯3017(又は、傾斜面の位置)に対応する)を識別することができる。特定の実施形態では、一回換気量は、幼児、児童、及び成人用の単一の拡張可能な装置3000に構成される。特定の実施形態では、一回換気量制御装置3012は、追加的に、患者の体長/身長、体重、及び/又は年齢に基づいて患者に必要な空気の体積を決定するために使用される規格に対応する色分けされた表示3023が付されている。
【0241】
特定の実施形態では、
図47~
図49Bを参照すると、拡張可能なバッグ装置3000は、弁ハウジング部材3001に固定的に又は取り外し可能に固定されているフィルタ本体3050を含む。示される実施形態では、フィルタ本体3050はPEEP制御装置3020を介して弁ハウジング部材3001に固定されている。フィルタ本体3050は、PEEP制御装置3020の下方部分に固定されているネック部分3051と、環状のフィルタ保持部分3053とを含む。中央開口3054は、その位置を患者呼吸インタフェース接続部材3006に適応させるように、フィルタ本体3050を通って延びている。環状のバイオ/ウイルスフィルタ3055は、フィルタ本体3050の環状のフィルタ保持部分3053内にあり、患者の呼気をフィルタリングする。特定の実施形態では、バイオ/ウイルスフィルタ3055は、それ自体のPEEP(又は呼気に対する抵抗)を生成する。特定の実施形態では、フィルタ本体3050は、拡張可能なバッグ装置3000から分離可能である。バイオ/ウイルスフィルタ3055は、フィルタ本体3050内にあり、患者の呼気からウィルスやバクテリアをフィルタリングするように機能する。
【0242】
図50A~50Cを参照すると、フィルタ本体3050は、フィルタ本体のネック部分3051に固定的又は取り外し可能に固定され得る、ルアーロック3056の形態の呼気ポートを備える。ルアーロック3056は、第1の端部3057から第2の端部3058に延びるチャネルを含む。第1の端部3057は、ネック部分3051の内部など、フィルタ3055の上の位置において患者の呼気へのアクセスを提供し、第2の端部3058は、ネック部分3051から外側に延びる。第2の端部3058は、管材により呼気終末CO
2モニタ又は他の適切なモニタ装置と結合可能である。呼気終末CO
2モニタリングは、拡張可能なバッグ3000を操作するユーザに、患者の呼気中に存在するCO
2の割合についての洞察を提供する。CO
2の割合が低いことは、拡張可能なバッグ装置3000を操作しているユーザが、装置の圧縮/拡張を減らすべきことを示し、CO
2の割合が高いことは、当該ユーザが装置圧縮/拡張を増やすべきことを示し得る。特定の実施形態では、呼気終末CO
2が必要でないか、又は利用できないとき、ルアーロック3056の第2の端部3058には、取り外し可能なキャップが被せられる。
【0243】
特定の構成では、拡張可能なバッグ装置3000は、特に小児(児童及び/又は幼児)用途向けに構成され、適切に構成された構成要素、例えば、ダイヤル、弁、及びバイアス部材を含む。特定の構成では、拡張可能なバッグ装置3000は、特に成人用途向けに構成され、適切に構成された構成要素、例えば、ダイヤル、弁、及びバイアス部材を含む。特定の構成では、単一の拡張可能なバッグ装置は、全ての種類の患者用に構成される。
【0244】
拡張可能なバッグ装置3000の追加的な特徴は、
図51~
図55Bに関連して理解することができる。
【0245】
図51は、弁ハウジング部材3001の分解図である。図示されているように、弁ハウジング部材3001は、一回換気量制御装置3012、PIP制御装置3010、及びPEEP制御装置3020と相互作用する主本体3059を含む。PIP制御装置3010は、主本体3059に固定されると、内側制御装置3060と係合して、外側ばね3061及び内側ばね3062の一方又は両方を圧縮/非圧縮し、PIP弁3063に可変量の下向きの圧力を加える。制御装置インジケータ3014は、PIP制御装置3010及び一回換気量制御装置3012の設定位置を示す。制御装置インジケータ3014は、主本体3059に配置されたリング3014aによって支持される。弁ハウジング部材3001は、追加的に、弁ハウジング部材3001から拡張可能なバッグ3004への空気の逆流を防止するために、主本体3059と相互作用する逆流弁3064及びカバー3065を含む。さらに、弁ハウジング部材3001は、主本体3059と相互作用し、患者が息を吐くのに必要な圧力を制御するためPEEP弁3068に圧力を及ぼすためのばね3067を圧縮/非圧縮する内側PEEP制御装置3066と係合するPEEP制御装置3020を含む。PEEPインジケータリング3069はまた、PEEPの設定を示すために提供される。第1及び第2の側部ピン3070a、3070bは、弁ハウジング部材3001を第1及び第2の側部パネル3002a、3002bに接続するヒンジとして機能する。特定の実施形態では、PEEPインジケータリング3069はPEEP制御装置3066とは別個であるが、他の実施形態では、PEEPインジケータリング3069はPEEP制御装置3066と一体である。
【0246】
図52は、弁ハウジング部材3001以外の拡張可能なバッグ装置3000の後方部分3080の分解図を提供する。示されるように、後方部分3080は、ファンネル部分3004aを有する拡張可能なバッグ3004と、前方狭化突起3081a、3081bを含む第1及び第2の側部パネル3002a、3002bとを含む。第1及び第2のリング3082a、3082bは、拡張可能なバッグ3004を第1及び第2の側部パネル3002a、3002bの内部突起3083a、3083bに固定するように機能し、内部突起3083a、3083bは、拡張可能なバッグが完全に圧縮したときにユーザに表示を与える互いに対するストップとして機能する。拡張可能なバッグ装置3000の後方部分3080は、追加的に、圧縮ガス入口ポート3042と、空気入口弁3046への開口3040bと、排気弁3044への開口3040cとを組み込んでいるカバー部分3040aを含む空気取り入れ機構3040を含み、ピン3040dが、閉塞キャップ3045を固定するために提供される。空気取り入れ機構のカバー部分3040aは、膨張調節制御装置3041の本体部分3041aに固定される。本体部分3041aは、アパーチャ3041bの上に配置される内部弁3084を通して拡張可能なバッグ3004内への圧縮ガス又は周囲空気の流量を調節する1つ又は複数のアパーチャ3041bを含む。
図53及び
図54は、組み立てられた拡張可能なバッグ装置3000の背面図を示すことにより拡張可能なバッグ装置3000の構成についての追加的な洞察を提供し、
図53では、拡張可能なバッグ3004が取り除かれており、
図54では拡張可能なバッグ3004は存在している。
【0247】
図55A~55Bは、PEEP制御装置3020に隣接して、弁ハウジング部材3001の主本体3059に固定された取り外し可能なPEEPロック3090を備える拡張可能なバッグ装置3000を示す。主本体3059に固定されたとき、PEEPロック3090は、PEEP制御装置3020の移動/調節を防止し、PEEP値をゼロに維持する。タブ3091を引くことによりPEEPロック3090を取り外すと、PEEP制御装置3020の調節と、対応するPEEP値の増加が可能となる。
【0248】
本明細書で記載したとおり、拡張可能なバッグ装置3000は、拡張可能なバッグ装置3000の完全圧縮時に接触する内部突起3083a、3083b(
図52参照)を含むことができ、それらは、ユーザに拡張可能なバッグ装置3000の完全圧縮が生じたことを示し、不正確な空気量の供給を防止するため、聴覚的反応(例えば、クリック音、笛音など)及び/又は機械的停止点を提供する内部ストップとして機能する。特定の実施形態では、
図56A~56Bを参照すると、拡張可能なバッグ装置3000は、追加的に又は代替的に、第1の側部パネル3002a及び第2の側部パネル3002bのそれぞれに、突出外部ストップ3092を含む。突出外部ストップ3092のそれぞれは、拡張可能なバッグ装置3000の圧縮中に制御装置インジケータのリング3014aに形成される凹部3093と相互作用し、拡張可能なバッグ装置のさらなる圧縮又は過圧縮を防止し、不正確な空気量の供給を防止する。
【0249】
本明細書に記載の呼吸装置は、中心軸を有する入口を介して弁ハウジングと流体連通する拡張可能なバッグを通して患者に呼吸支援を提供する。呼吸支援は、出口が入口の中心軸に対して垂直な中心軸を有する弁ハウジングの出口を通じて患者に提供される。
【0250】
本出願において提供される1つ又は複数の実施形態の説明及び図示は、請求される本発明の範囲をいかなる形でも限定又は制限することを意図するものではない。本出願で提供される実施形態、例、及び詳細は、占有を伝え、他人が請求される本発明発明の最良の態様を製造し使用することを可能にするのに十分であると考えられる。請求される本発明は、本出願で提供される実施形態、例、又は詳細に限定されると解釈されるべきではない。組み合わせで示され、説明されるか、又は別々に示され、説明されるかにかかわらず、様々な特徴(構造及び方法の両方)は、特定の特徴のセットを有する実施形態を生成するために、選択的に含まれるか、又は省略されることが意図される。本出願の説明及び図示を提供された後、当業者は、本発明の請求の範囲及び本出願に具体化された一般的な発明概念の広範な精神の範囲内に含まれる、より広い範囲から逸脱しない変形、修正、及び代替実施形態を想定することができる。
【国際調査報告】