(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-13
(54)【発明の名称】振動モーター、電子機器及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20240906BHJP
H02K 33/12 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B06B1/04 S
H02K33/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576883
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 CN2022120233
(87)【国際公開番号】W WO2024050873
(87)【国際公開日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】202211096709.7
(32)【優先日】2022-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】毛路斌
(72)【発明者】
【氏名】湯贇
(72)【発明者】
【氏名】馬傑
(72)【発明者】
【氏名】李子昂
【テーマコード(参考)】
5D107
5H633
【Fターム(参考)】
5D107BB08
5D107CC09
5D107CD03
5D107CD08
5D107DD03
5D107DD12
5D107FF10
5H633BB08
5H633GG02
5H633GG06
5H633GG09
5H633GG17
5H633HH05
5H633HH08
5H633JA03
(57)【要約】
【課題】本発明には、振動モーター、電子機器及び制御方法が提供される。
【解決手段】当該振動モーターは、収容空間を有するハウジングと、収容空間に収容され振動子アセンブリ及びソレノイドアセンブリと、を備え、振動子アセンブリは、両端がハウジングに弾性的に接続され、かつ収容キャビティを有する質量ブロックと、質量ブロックに固定され、かつ収容キャビティ内に位置する磁石鋼と、を備え、磁石鋼が斜めに着磁されることで、第1方向と第2方向の駆動力を提供することができ、第1方向は第2方向に対して垂直であり、振動子アセンブリは、第1振動周波数で第1方向に沿って振動することができ、振動子アセンブリは、第2振動周波数で第2方向に沿って振動することができ、または、ソレノイドアセンブリは、第3振動周波数で第2方向に沿って振動することができ、ここで、第1振動周波数、第2振動周波数及び第3振動周波数はいずれも異なっている。本発明の振動モーターは異なる方向の振動感を提供することができ、かつ、異なる応用シナリオに対していずれも大きな振動感を与えることができ、複数の振動フィードバックを実現するのに有利である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を有するハウジングと、前記収容空間に収容され振動子アセンブリ及びソレノイドアセンブリと、を備え、前記振動子アセンブリは、両端が前記ハウジングに弾性的に接続され、かつ収容キャビティを有する質量ブロックと、前記質量ブロックに固定され、かつ前記収容キャビティ内に位置する磁石鋼と、を備える振動モーターであって、
前記磁石鋼が斜めに着磁されることで、第1方向と第2方向の駆動力を提供することができ、前記第1方向は前記第2方向に対して垂直であり、前記振動子アセンブリは、第1振動周波数で前記第1方向に沿って振動することができ、前記振動子アセンブリは、第2振動周波数で前記第2方向に沿って振動することができ、または、前記ソレノイドアセンブリは、第3振動周波数で前記第2方向に沿って振動することができ、ここで、前記第1振動周波数、前記第2振動周波数及び前記第3振動周波数はいずれも異なっている、
ことを特徴とする振動モーター。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記収容空間を有するベースと、前記ベースをカバーするように前記ベースに組み立てられるカバープレートと、を備え、前記ソレノイドアセンブリは、前記カバープレートに固定接続されるコアと、前記コアの外側に外嵌固定されるコイルと、を備え、前記コアは前記収容キャビティ内に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動モーター。
【請求項3】
前記カバープレートは、前記ベースに固定されかつ取付貫通孔が開設された本体部と、前記本体部に接続されかつ前記取付貫通孔内に位置するバネ構造と、を備え、前記コアは前記バネ構造に接続され、かつ、前記コアは前記第3振動周波数で前記第2方向に沿って振動する、
ことを特徴とする請求項2に記載の振動モーター。
【請求項4】
前記バネ構造は、両端がそれぞれ前記本体部の側壁に接続される弾性リングと、前記弾性リング内に位置しかつ両端がそれぞれ前記弾性リングに接続される接続部と、を備え、前記接続部の接続端は前記弾性リングの接続端と隣接して設けられ、前記コアは前記接続部に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載の振動モーター。
【請求項5】
前記カバープレートは平板構造であり、前記振動子アセンブリは前記第2振動周波数で前記第2方向に沿って振動する、
ことを特徴とする請求項2に記載の振動モーター。
【請求項6】
2つの前記磁石鋼は前記質量ブロックの対向する両側に設置され、前記コイルは2つの前記磁石鋼の間に設けられ、前記振動モーターは、前記磁石鋼と前記質量ブロックとの間に固定接続される磁極芯をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動モーター。
【請求項7】
前記振動モーターは、前記ハウジングと前記質量ブロックとの間に接続される弾性部材をさらに備え、前記弾性部材は前記収容空間内に収容される、
ことを特徴とする請求項1に記載の振動モーター。
【請求項8】
筐体と、筐体内に取り付けられる請求項1~4のいずれか1項に記載の振動モーターと、を含む、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
前記電子機器は、前記筐体の片側に固定されるディスプレイと、前記ディスプレイと前記振動モーターにそれぞれ接続される接続部材と、をさらに備え、前記ディスプレイは前記ソレノイドアセンブリの駆動によって前記第2方向に沿って振動して音を発することができる、
ことを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
請求項8~9のいずれか1項に記載の電子機器の振動モーターに適用される制御方法であって、前記制御方法は、
応用シナリオを認識し、振動タイプを決定することであって、ここで、前記振動タイプは、前記振動子アセンブリが前記第1方向に沿って振動することと、前記振動子アセンブリまたは前記ソレノイドアセンブリが前記第2方向に振動することと、を含むことと、
前記振動タイプに基づいて、駆動周波数を決定することであって、ここで、前記駆動周波数は前記第1振動周波数、前記第2振動周波数または前記第3振動周波数であることと、
前記駆動周波数に基づいて、前記振動モーターを振動させるように駆動するための振動信号を生成することと、を含む、
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーター技術分野に関し、特に振動モーター、電子機器及び制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯ゲーム機、ナビゲーション装置、携帯型マルチメディア機器・エンタテイメント機器などの携帯型コンシューマーエレクトロニクス製品は、一般的にリニアモーターを用いてシステムフィードバック、例えば携帯電話の着信通知、ゲーム機の振動フィードバックなどを行う。
【0003】
従来技術では、リニアモーターは通常、単一X方向または単一Z方向の振動であり、振動方式が単一であるため、モーターが異なる応用シナリオに応じて提供できる振動感が小さく、単一の振動フィードバックしか実現できない。
【0004】
従って、新たな振動モーターを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少なくともある程度で従来技術の欠陥を解消できる振動モーター、電子機器および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術案は、以下の通りである。
【0007】
収容空間を有するハウジングと、前記収容空間に収容され振動子アセンブリ及びソレノイドアセンブリと、を備え、前記振動子アセンブリは、両端が前記ハウジングに弾性的に接続され、かつ収容キャビティを有する質量ブロックと、前記質量ブロックに固定され、かつ前記収容キャビティ内に位置する磁石鋼と、を備える振動モーターであって、前記磁石鋼が斜めに着磁されることで、第1方向と第2方向の駆動力を提供することができ、前記第1方向は前記第2方向に対して垂直であり、前記振動子アセンブリは、第1振動周波数で前記第1方向に沿って振動することができ、前記振動子アセンブリは、第2振動周波数で前記第2方向に沿って振動することができ、または、前記ソレノイドアセンブリは、第3振動周波数で前記第2方向に沿って振動することができ、ここで、前記第1振動周波数、前記第2振動周波数及び前記第3振動周波数はいずれも異なっている。
【0008】
好ましくは、前記ハウジングは、前記収容空間を有するベースと、前記ベースをカバーするように前記ベースに組み立てられるカバープレートと、を備え、前記ソレノイドアセンブリは、前記カバープレートに固定接続されるコアと、前記コアの外側に外嵌固定されるコイルと、を備え、前記コアは前記収容キャビティ内に位置する。
【0009】
好ましくは、前記カバープレートは、前記ベースに固定されかつ取付貫通孔が開設された本体部と、前記本体部に接続されかつ前記取付貫通孔内に位置するバネ構造と、を備え、前記コアは前記バネ構造に接続され、かつ、前記コアは前記第3振動周波数で前記第2方向に沿って振動する。
【0010】
好ましくは、前記バネ構造は、両端がそれぞれ前記本体部の側壁に接続される弾性リングと、前記弾性リング内に位置しかつ両端がそれぞれ前記弾性リングに接続される接続部と、を備え、前記接続部の接続端は前記弾性リングの接続端と隣接して設けられ、前記コアは前記接続部に接続される。
【0011】
好ましくは、前記カバープレートは平板構造であり、前記振動子アセンブリは前記第2振動周波数で前記第2方向に沿って振動する。
【0012】
好ましくは、2つの前記磁石鋼は前記質量ブロックの対向する両側に設置され、前記コイルは2つの前記磁石鋼の間に設けられ、前記振動モーターは、前記磁石鋼と前記質量ブロックとの間に固定接続される磁極芯をさらに備える。
【0013】
好ましくは、前記振動モーターは、前記ハウジングと前記質量ブロックとの間に接続される弾性部材をさらに備え、前記弾性部材は前記収容空間内に収容される。
【0014】
電子機器であって、上記のいずれか1項に記載の振動モーター、を含む。
【0015】
好ましくは、前記電子機器は、前記筐体の片側に固定されるディスプレイと、前記ディスプレイと前記振動モーターにそれぞれ接続される接続部材と、をさらに備え、前記ディスプレイは前記ソレノイドアセンブリの駆動によって前記第2方向に沿って振動して音を発することができる。
【0016】
上記のいずれか1項に記載の電子機器の振動モーターに適用される制御方法であって、前記制御方法は、応用シナリオを認識し、振動タイプを決定することであって、ここで、前記振動タイプは、前記振動子アセンブリが前記第1方向に沿って振動することと、前記振動子アセンブリまたは前記ソレノイドアセンブリが前記第2方向に振動することと、を含むことと、前記振動タイプに基づいて、駆動周波数を決定することであって、ここで、前記駆動周波数は前記第1振動周波数、前記第2振動周波数または前記第3振動周波数であることと、前記駆動周波数に基づいて、前記振動モーターを振動させるように駆動するための振動信号を生成することと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。磁石鋼は斜めに着磁され、質量ブロックはハウジングに弾性的に接続され、コイルは振動子アセンブリに斜め方向の駆動力を与えることができ、斜め方向の駆動力は第1方向の第1駆動力と第2方向の第2駆動力とに分解することができ、第1駆動力によって、振動子アセンブリが第1振動周波数で第1方向に沿って振動するように駆動でき、第2駆動力によって、振動子アセンブリが第2振動周波数で第2方向に沿って振動するように駆動できまたはソレノイドアセンブリが第3振動周波数で第2方向に沿って振動するように駆動でき、これによって、振動モーターは異なる方向の振動感を提供することができ、かつ、異なる応用シナリオに対していずれも大きな振動感を与えることができ、複数の振動フィードバックを実現するのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施例に係る振動モーターにおいてカバープレートにバネ構造が設けられた場合の全体構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例に係る振動モーターにおいてカバープレートにバネ構造が設けられた場合の分解図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例に係る振動モーターにおける磁石鋼の着磁方向及びコイルによる駆動力の方向を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例に係る振動モーターにおいてカバープレートが平板構造である場合の全体構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例に係る振動モーターにおいてカバープレートが平板構造である場合の分解図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例に係る電子機器の上面図である。
【
図9】
図9は、
図8におけるカバープレートがディスプレイに接続されるときのC―C方向の一部の断面図である。
【
図10】
図10は、
図8におけるカバープレートがディスプレイと間隔をあけて設置されるときのC―C方向の一部の断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施例に係る制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面及び実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
【0020】
図1~10に示すように、本発明の実施例には、電子機器20が提供され、筐体201と、筐体201内に取り付けられる振動モーター10と、を含み、振動モーター10は、収容空間111を有するハウジング1と、収容空間111に収容され振動子アセンブリ2及びソレノイドアセンブリと、を備え、振動子アセンブリ2は、両端がハウジング1に弾性的に接続され、かつ収容キャビティ211を有する質量ブロック21と、質量ブロック21に固定され、かつ収容キャビティ211内に位置する磁石鋼22と、を備え、磁石鋼22が斜めに着磁されることで、第1方向と第2方向の駆動力を提供することができ、第1方向は第2方向に対して垂直であり、振動子アセンブリ2は、第1振動周波数で第1方向に沿って振動することができ、振動子アセンブリ2は、第2振動周波数で第2方向に沿って振動することができ、または、ソレノイドアセンブリは、第3振動周波数で第2方向に沿って振動することができ、ここで、第1振動周波数、第2振動周波数及び第3振動周波数はいずれも異なっている。
【0021】
理解できるように、磁石鋼22は斜めに着磁され、質量ブロック21はハウジング1に弾性的に接続され、コイル3は振動子アセンブリ2に斜め方向の駆動力を与えることができ、斜め方向の駆動力は第1方向の第1駆動力と第2方向の第2駆動力とに分解することができ、第1駆動力によって、振動子アセンブリ2が第1振動周波数で第1方向に沿って振動するように駆動でき、第2駆動力によって、振動子アセンブリ2が第2振動周波数で第2方向に沿って振動するように駆動できまたはソレノイドアセンブリが第3振動周波数で第2方向に沿って振動するように駆動でき、これによって、振動モーター10は異なる方向の振動感を提供することができ、かつ、異なる応用シナリオに対していずれも大きな振動感を与えることができ、複数の振動フィードバックを実現するのに有利である。
【0022】
本発明の実施例では、振動モーター10は、第1方向(X方向)の振動を有してもよいし、第2方向(Z方向)の振動を有してもよく、異なる振動周波数を入力することで異なる方向の振動を実現できるため、異なるシナリオに適用されることができる。第1振動周波数を入力する場合、振動モーター10は第1方向における振動を有し、ここで、振動子アセンブリ2は第1方向に沿って振動する。第2振動周波数または第3振動周波数を入力する場合、振動モーター10は第2方向における振動を有し、振動子アセンブリ2は第2振動周波数で第2方向に沿って振動し、ソレノイドアセンブリは第3振動周波数で第2方向に沿って振動し、ここで、第2振動周波数は第3振動周波数よりも大きい。
【0023】
図2、
図4、
図6(
図4における矢印付きの直線はコイルが駆動力を与える方向であり、矢印なしの直線は磁石鋼の着磁方向である)に示すように、さらに、ハウジング1は、収容空間111を有するベース11と、ベース11をカバーするようにベース11に組み立てられるカバープレート12と、を備え、ソレノイドアセンブリは、カバープレート12に固定接続されるコア4と、コア4の外側に外嵌固定されるコイル3と、を備え、コア4は収容キャビティ211内に位置する。具体的には、磁石鋼22は矩形ブロックであってもよく、磁石鋼22は斜め45°で着磁され、コイル3の軸線の延伸方向は磁石鋼22の板面に垂直であり、これによって、コイル3が与える斜め駆動力の斜め方向は磁石鋼22が斜め着磁される斜め方向に垂直であり、すなわち、駆動力が斜め45°で設置され、コイル3の設置方式によって斜め駆動力の斜め方向を制御するのに有利である。好ましくは、ハウジング1には、間隔をあけて設置される2つのコア4が設けられており、2つのコア4にはいずれもコイル3が固定されており、かつ、2つのコア4はカバープレート12の中心線を対称軸として対称的に設置され、2つのコイル3を組み合わせることによって、任意の周波数を有する駆動力を提供することができ、振動モーター10の振動方向と振動幅を正確に制御するのに有利である。必要に応じて、磁石鋼22は、15°、30°、60°、75°などの任意の斜め角度で着磁されることができる。
【0024】
図1~3に示すように、一実施例では、カバープレート12は平面バネ構造であり、この場合、振動子アセンブリ2は第1振動周波数で第1方向に沿って振動し、ソレノイドアセンブリは第3振動周波数で第2方向に沿って振動することができる。
【0025】
図1~3に示すように、さらに、カバープレート12は、ベース11に固定されかつ取付貫通孔1211が開設された本体部121と、本体部121に接続されかつ取付貫通孔1211内に位置するバネ構造122と、を備え、コア4はバネ構造122に接続され、かつ、コア4は第3振動周波数で第2方向に沿って振動し、コア4をカバープレート12上のバネ構造122に接続するように設置することで、コア4の第2方向に沿う振動に対応する第3振動周波数を小さくし、この場合、振動子アセンブリ2の第2方向に沿う振動に対応する第2振動周波数はコア4の第2方向に沿う振動に対応する第3振動周波数よりも大きいため、振動子アセンブリ2は第1方向に沿って振動し、ソレノイドアセンブリは第2方向に沿って振動することを実現する。必要に応じて、カバープレート12は、コア4の第2方向に沿う振動に対応する第3振動周波数が小さくなるように、弾性材料で製造されてもよい。
【0026】
図1及び
図3に示すように、好ましくは、バネ構造122は、両端がそれぞれ本体部121の側壁に接続される弾性リング1221と、弾性リング1221内に位置しかつ両端がそれぞれ弾性リング1221に接続される接続部1222と、を備え、接続部1222が弾性リング1221に接続される接続端は弾性リング1221が本体部121に接続される接続端と隣接して設けられ、コア4は接続部1222に接続される。具体的には、弾性リング1221が本体部121に接続される接続端は円弧構造であってもよく、接続部1222の端側の中央領域は弾性リング1221に接続され、これによって、バネ構造122の変形能力を高める。好ましくは、バネ構造122は、カバープレート12の中心軸線を対称軸として対称的に設置され、これによって、2つのコア4の同期振動を確保するのに有利である。
【0027】
図5~7に示すように、一実施例では、カバープレート12は平板構造であり、振動子アセンブリ2は第1振動周波数で第1方向に沿って振動してもよく、かつ、振動子アセンブリ2は第2振動周波数で第2方向に沿って振動してもよい。具体的には、カバープレート12は、剛性のある平板であり、即ちカバープレート12の剛度が大きくて、コア4の第2方向に沿う振動に対応する第3振動周波数が大きくなり、このとき、振動子アセンブリ2の第2方向に沿う振動に対応する第2振動周波数は、コア4の第2方向に沿う振動に対応する第3振動周波数より小さくなり、これによって、振動子アセンブリ2は第1方向または第2方向に沿って振動し、すなわちソレノイドアセンブリは振動モーター10の固定子であることを実現する。
【0028】
図3と
図7に示すように、一実施例では、2つの磁石鋼22は質量ブロック21の対向する両側に設置され、コイル3は2つの磁石鋼22の間に設けられ、コイル3は磁石鋼22によって形成される磁界を十分に活用することができ、駆動力の大きさの向上に有利であり、振動モーター10は、磁石鋼22と質量ブロック21との間に固定接続される磁極芯23をさらに備え、磁極芯23は磁石鋼22に貼り合わせており、磁極芯23は磁石鋼22の磁界を収束させるために使われ、磁石鋼22のコイル3に近い側の磁界を強める。
【0029】
図3と
図7に示すように、一実施例では、振動モーター10は、ハウジング1と質量ブロック21との間に接続される弾性部材5をさらに備え、弾性部材5は収容空間111内に収容される。具体的には、ハウジング1内には2つの弾性部材5が設けられ、質量ブロック21は弾性部材5を介してハウジング1に可動的に接続され、弾性部材5は、弾性アーム部51と、弾性アーム部51の一端から延びてベース11に接続される第1支持部52と、弾性アーム部51の他端から延びて質量ブロック21に接続される第2支持部53と、を備え、第2支持部53は第1支持部52と質量ブロック21との間に位置し、第1支持部52と第2支持部53との間のギャップは、振動子アセンブリ2の第1方向に沿う運動距離である。好ましくは、第1支持部52と第2支持部53とが対向して設置される側には、いずれも第1支持部52と第2支持部53との衝突摩擦を低減するための軟質ゴムブロックが固定され、質量ブロック21が弾性部材5に接続される側壁の厚さは、質量ブロック21が弾性アーム部51を押圧しないように、第2支持部53の弾性アーム部51に向かう方向に沿って次第に小さくなり、第1支持部52のベース11に近い側には矩形板が固定されており、矩形板によって第1支持部52をベース11に固定することが容易になる。
【0030】
図8~10に示すように、一実施例では、電子機器20は、筐体201の片側に固定されるディスプレイ202と、ディスプレイ202と振動モーター10にそれぞれ接続される接続部材204と、をさらに備え、ディスプレイ202はソレノイドアセンブリの駆動によって第2方向に沿って振動して音を発することができる。具体的には、筐体201内には組立空間が設けられており、振動モーター10は組立空間に収容され、具体的には、カバープレート12のバネ構造122は接続部材204に貼り合わせて接続され、ベース11がフォーム205を介して筐体201の内壁に接続され、これによって、振動モーター10は組立空間に押圧固定される。電子機器20は、筐体201の内壁から内側に延出して形成される支持プレート203をさらに備え、支持プレート203はディスプレイ202を支持するために使われ、接続部材204のカバープレート12から離れる側は支持プレート203を貫通してディスプレイ202に貼り合わせており、これによって、接続部材204が振動伝達できるようになり、ここで、接続部材204は矩形ブロックであってもよい。振動モーター10のコア4が第2方向に沿って振動するときに、カバープレート12が変形してディスプレイ202を音を発するようにし、受話器の代わりにソレノイドアセンブリによってディスプレイ202は第2方向に沿って振動して音を発するように駆動し、電子機器20全体はモーターを設置するだけでモーターと受話器の機能を実現でき、電子機器20のコストを下げることができる。
【0031】
一実施例では、振動モーター10のカバープレート12は支持プレート203に固定接続され、すなわち振動モーター10はディスプレイ202と間隔をあけて設置され、ここで、振動モーター10のコア4とカバープレート12との間は固定接続され、カバープレート12は支持プレート203のディスプレイ202から離れる側に接続される。
【0032】
図11に示すように、本発明は、上記のような電子機器の振動モーターに適用される制御方法をさらに提供し、前記制御方法は、以下のステップを含む。
【0033】
ステップS10:応用シナリオを認識し、振動タイプを決定する。
【0034】
具体的には、応用シナリオはタイピング、ゲーム、通話などであってもよく、振動タイプは、振動子アセンブリが第1方向に沿って振動することと、振動子アセンブリが第2方向に沿って振動すること、またはソレノイドアセンブリが第2方向に振動することと、を含む。例えば、応用シナリオがタイピングであると認識された場合、ユーザーのタイピングのクリック感を提供するために振動子アセンブリは第2方向に沿って振動する必要があり、応用シナリオがゲームであると認識された場合、ユーザーに関連する操作を提示するために振動子アセンブリは第1方向に沿って振動する必要があり、応用シナリオが通話であると認識された場合、ディスプレイの発音機能を実現するためにソレノイドアセンブリは第2方向に沿って振動する必要がある。
【0035】
ステップS11:振動タイプに基づいて、駆動周波数を決定する。
【0036】
具体的には、カバープレートが平面バネ構造である場合、振動子アセンブリは第1方向に沿って振動し、ソレノイドアセンブリは第2方向に沿って振動することができ、この時、第2振動周波数は第3振動周波数よりも大きく、駆動周波数は第1振動周波数または第3振動周波数であり、カバープレートが平板構造である場合、振動子アセンブリは第1方向と第2方向に沿って振動することができ、この時、第2振動周波数は第3振動周波数よりも小さく、駆動周波数は第1振動周波数または第2振動周波数である。
【0037】
ステップS12:駆動周波数に基づいて、振動モーターを振動させるように駆動するための振動信号を生成する。
【0038】
具体的には、駆動周波数が第1振動周波数である場合、振動子アセンブリが第1方向に沿って振動する振動信号を生成し、駆動周波数が第2振動周波数である場合、振動子アセンブリが第2方向に沿って振動する振動信号を生成し、駆動周波数が第3振動周波数と第2振動周波数の間にある場合、ソレノイドアセンブリが第2方向に沿って振動する振動信号を生成する。
【0039】
以上は、本発明の実施形態に過ぎない。当業者にとって、本発明の創造思想から逸脱することなく、改良を行うこともできるが、これらの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれるとここで指摘すべきである。
【国際調査報告】