IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-マイクロフォンチップ 図1
  • 特表-マイクロフォンチップ 図2
  • 特表-マイクロフォンチップ 図3
  • 特表-マイクロフォンチップ 図4
  • 特表-マイクロフォンチップ 図5
  • 特表-マイクロフォンチップ 図6
  • 特表-マイクロフォンチップ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-13
(54)【発明の名称】マイクロフォンチップ
(51)【国際特許分類】
   H04R 19/04 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
H04R19/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577174
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-04
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 CN2022119299
(87)【国際公開番号】W WO2024040649
(87)【国際公開日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】202222257737.4
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】A-Block, Nanjing University Research Center Shenzhen Branch, No.6 Yuexing 3rd Road, South Hi-Tech Industrial Park, Nanshan District, Shenzhen Guangdong 518057 People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲凱▼杰
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲転▼▲転▼
【テーマコード(参考)】
5D021
【Fターム(参考)】
5D021CC14
5D021CC18
(57)【要約】
【課題】本発明はマイクロフォンチップを提供する。
【解決手段】マイクロフォンチップはフロントチャンバを有するベースと、ベースに設けられてベースに接続されたコンデンサシステムを含み、コンデンサシステムはベースの上部に位置する振動膜と、振動膜と間隔を隔てて設けられたバックプレートを含み、振動膜とバックプレートの間に空気間隔が形成され、振動膜とバックプレートは固定部を介してベースに接続され、振動膜は内膜部、外膜部と支持部を含み、内膜部と外膜部はスリットを介して仕切られ、支持部は固定部に接続され、マイクロフォンチップは、封止部材を更に含み、封止部材はバックプレートに接続され、バックプレートと振動膜の間に位置し、封止部材は内膜部の外周に近接する。振動膜は片持ち状態にある。内膜部は静電気力に誘引して封止部材に吸着され、封止部材は内膜部を支持して動作状態に達し、マイクロフォンの低減衰を低減する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントチャンバを有するベースと、前記ベースに設けられて前記ベースに接続されたコンデンサシステムとを含むマイクロフォンチップにおいて、前記コンデンサシステムが、前記ベースの上部に位置する振動膜と、前記振動膜と間隔を隔てて設けられたバックプレートとを含み、前記振動膜と前記バックプレートとの間に空気間隔が形成されるマイクロフォンチップであって、
前記マイクロフォンチップは、固定部を含み、前記振動膜と前記バックプレートとは、前記固定部を介して前記ベースに接続され、
前記振動膜は、内膜部、外膜部及び支持部を含み、前記内膜部と前記外膜部とは、スリットを介して仕切られ、前記支持部は、前記固定部に接続され、
前記マイクロフォンチップは、封止部材を更に含み、前記封止部材は、前記バックプレートに接続され、前記バックプレートと前記振動膜との間に位置し、前記封止部材は、前記内膜部の外周に近接して設けられていることを特徴とするマイクロフォンチップ。
【請求項2】
前記バックプレートには、排気孔が開設され、前記排気孔は、前記バックプレートにおける、前記封止部材で囲まれた領域内に位置することを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォンチップ。
【請求項3】
前記バックプレートには、ガス抜き孔が開設され、前記ガス抜き孔は、前記バックプレートにおける、前記封止部材で囲まれた領域以外の領域に位置することを特徴とする請求項2に記載のマイクロフォンチップ。
【請求項4】
前記支持部は、前記内膜部のエッジに沿って外向き延在し、且つ前記固定部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォンチップ。
【請求項5】
前記支持部は、1つ又は複数設けられていることを特徴とする請求項4に記載のマイクロフォンチップ。
【請求項6】
前記マイクロフォンチップは、電極シートを更に含み、前記電極シートは、電極本体及び引き出し部を含み、前記引き出し部は、1つ又は複数あることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のマイクロフォンチップ。
【請求項7】
前記電極シートは、前記バックプレートの前記振動膜に接近する側に設けられ、且つ前記電極本体は、前記封止部材内に位置し、
前記封止部材には、1つ又は複数の切り欠きが設けられ、1つ又は複数の前記引き出し部はそれぞれ、前記切り欠きに沿って外向き延在可能であることを特徴とする請求項6に記載のマイクロフォンチップ。
【請求項8】
前記マイクロフォンチップの厚さ方向に沿って、前記切り欠きの高さは、前記封止部材の高さに等しいことを特徴とする請求項7に記載のマイクロフォンチップ。
【請求項9】
前記マイクロフォンチップの厚さ方向に沿って、前記切り欠きの高さは、前記封止部材の高さよりも小さく、且つ前記切り欠きは、前記バックプレートに近接して設けられていることを特徴とする請求項7に記載のマイクロフォンチップ。
【請求項10】
前記電極シートは、前記バックプレートの前記振動膜から離れた側に設けられ、
前記引き出し部は、前記電極本体に沿って外向き延在することを特徴とする請求項6に記載のマイクロフォンチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ型マイクロフォンの技術分野に関し、特にマイクロフォンチップに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信の発展に伴い、全世界の携帯電話ユーザーはますます多くなり、携帯電話に対する人々の要求は、通話の実現に留まらず、高品質の通話効果も要求されている。特に現在のモバイルマルチメディア技術の発展に伴い、携帯電話の通話品質は、より重要になる。携帯電話のマイクロフォンは、携帯電話の音声ピックアップ装置として、その設計の良否が通話品質に直接影響を与える。
【0003】
現在よく使用されるマイクロフォンとして、主にコンデンサ型マイクロフォン及びMEMS(マイクロモータシステム)マイクロフォンがあり、それらは様々な端末装置に広く応用されている。コンデンサ型マイクロフォンは、振動膜及びバックプレートを含み、両者はMEMS音響センシング容量を構成し、且つMEMS音響センシング容量は、更に接続ディスクを介して処理チップに接続されて音響センシング信号を処理チップに出力して信号処理を行う。従来の技術におけるマイクロフォンのフロントチャンバからバックチャンバまで空気漏れ現象が発生し、マイクロフォンの低減衰を引き起こしやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、マイクロフォンの低減衰のリスクを低減するマイクロフォンチップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、マイクロフォンチップを提供する。当該マイクロフォンチップは、フロントチャンバを有するベースと、前記ベースに設けられて前記ベースに接続されたコンデンサシステムとを含み、前記コンデンサシステムは、前記ベースの上部に位置する振動膜と、前記振動膜と間隔を隔てて設けられたバックプレートとを含み、前記振動膜と前記バックプレートとの間には、空気間隔が形成され、前記マイクロフォンチップは、固定部を含み、前記振動膜と前記バックプレートとは、前記固定部を介して前記ベースに接続され、
前記振動膜は、内膜部、外膜部及び支持部を含み、前記内膜部と前記外膜部とは、スリットを介して仕切られ、前記支持部は、前記固定部に接続され、
前記マイクロフォンチップは、封止部材を更に含み、前記封止部材は、前記バックプレートに接続され、前記バックプレートと前記振動膜との間に位置し、前記封止部材は、前記内膜部の外周に近接して設けられている。
【0006】
可能な設計において、前記バックプレートには、排気孔が開設され、前記排気孔は、前記バックプレートにおける、前記封止部材で囲まれた領域内に位置する。
【0007】
可能な設計において、前記バックプレートには、ガス抜き孔が開設され、前記ガス抜き孔は、前記バックプレートにおける、前記封止部材で囲まれた領域以外の領域に位置する。
【0008】
可能な設計において、前記支持部は、前記内膜部のエッジに沿って外向き延在し、且つ前記固定部に接続されている。
【0009】
可能な設計において、前記支持部は、1つ又は複数設けられている。
【0010】
可能な設計において、前記マイクロフォンチップは、電極シートを更に含み、前記電極シートは、電極本体及び引き出し部を含み、前記引き出し部は、1つ又は複数ある。
【0011】
可能な設計において、前記電極シートは、前記バックプレートの前記振動膜に近接する側に設けられ、且つ前記電極本体は、前記封止部材内に位置し、
前記封止部材には、1つ又は複数の切り欠きが設けられ、1つ又は複数の前記引き出し部はそれぞれ、前記切り欠きに沿って外向き延在可能である。
【0012】
可能な設計において、前記マイクロフォンチップの厚さ方向に沿って、前記切り欠きの高さは、前記封止部材の高さに等しい。
【0013】
可能な設計において、前記マイクロフォンチップの厚さ方向に沿って、前記切り欠きの高さは、前記封止部材の高さよりも小さく、且つ前記切り欠きは、前記バックプレートに近接して設けられている。
【0014】
可能な設計において、前記電極シートは、前記バックプレートの前記振動膜から離れた側に設けられ、
前記引き出し部は、前記電極本体に沿って外向き延在する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果は、以下のとおりである。振動膜を加工することにより、それが内膜部、外膜部と支持部に分けられ、内膜部と外膜部がスリットを介して仕切られ、支持部が固定部に接続されることにより振動膜を固定するため、振動膜が片持ち状態にあり、振動膜材料の応力が十分に放出されることを保証し、振動膜の順応性を向上させる。バックプレートと振動膜との間に封止部材を設けることにより、マイクロフォンが動作する時、内膜部は、静電気力に誘引して封止部材に吸着され、封止部材は、内膜部を支持して動作状態に達するとともに、マイクロフォンの低減衰を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に関わるマイクロフォンチップの具体的な実施例における断面図である。
図2図1における振動膜と固定部の構造概略図である。
図3図1における電極板と封止部材の構造概略図である。
図4図3のA部拡大図である。
図5】本発明に関わるマイクロフォンチップの別の具体的な実施例における断面図である。
図6図5における電極とバックプレートの構造概略図である。
図7図6の他の視角での構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面及び実施形態を参照しながら、本発明を更に説明する。
【0018】
本実施例は、マイクロフォンチップ1を提供し、マイクロフォンの低減衰のリスクを低減することを目的とする。
【0019】
具体的には、図1及び図5に示すように、マイクロフォンチップ1は、フロントチャンバ111を有するベース11と、ベース11に設けられてベース11に接続されたコンデンサシステムとを含み、コンデンサシステムは、ベース11の上部に位置する振動膜12と、振動膜12と間隔を隔てて設けられたバックプレート13とを含み、振動膜12とバックプレート13との間に空気間隔が形成される。外部音声がフロントチャンバ111を介して振動膜12に伝達されると、振動膜12は、外部音圧を感じて振動を発生し、振動膜12とバックプレート13との間の距離を変化させて容量変化を生成し、音声信号から電気信号への変換を実現する。
【0020】
マイクロフォンチップ1は、固定部14を含み、振動膜12とバックプレート13は、固定部14を介してベース11に接続されている。振動膜12は、内膜部121、外膜部122及び支持部123を含み、内膜部121と外膜部122とは、スリットを介して仕切られ、支持部123は、固定部14に接続されている。具体的には、振動膜12を加工することにより振動膜12が内膜部121、外膜部122及び支持部123を形成し、外膜部122が内膜部121を囲んで設けられ、内膜部121と外膜部122とは、スリットを介して仕切られ、支持部123は、固定部14に接続されることにより振動膜12を固定し、それにより振動膜12が片持ち状態にあり、振動膜材料の応力が十分に解放されることを保証し、振動膜の順応性を向上させる。
【0021】
図1及び図5に示すように、マイクロフォンチップ1は、封止部材15を更に含み、封止部材15は、バックプレート13に接続され、バックプレート13と振動膜12との間に位置し、封止部材15は、内膜部121の外周に近接して設けられ、動作状態にある時、内膜部121は、封止部材15に吸着することができる。バックプレート13には、排気孔131が開設され、排気孔131は、音を伝導し、音圧をバランスさせるために用いられ、排気孔131は、バックプレート13における、封止部材15で囲まれた領域内に位置する。
【0022】
本実施例において、封止部材15は、一定の高さを有し、マイクロフォンが動作しない時、振動膜12とバックプレート13及び封止部材15は、分離状態にある。マイクロフォンが動作する時、バイアス電圧で、内膜部121は、静電気力に誘引して封止部材15に吸着される。排気孔131をバックプレート13における封止部材15で囲まれた領域内に設けることにより、すなわち、封止部材15を境界にして、バックプレート13は、封止部材15からバックプレート13のエッジ部までの間に排気孔131を完全に設けず、内膜部121を封止部材15に吸着する時、内膜部121とバックプレート13とは、密閉空間を形成し、フロントチャンバ111と内膜部121とバックプレート13との連通を遮断し、封止部材15は、内膜部121を支持して動作状態に達するとともに、マイクロフォンの低減衰のリスクを低減する。
【0023】
いくつかの実施例において、バックプレート13における、封止部材15で囲まれた領域以外の領域に一定の数のガス抜き孔(図示せず)が設けられてもよい。即ち、封止部材15を境界にして、バックプレート13は、封止部材15からバックプレート13のエッジ部までの間にガス抜き孔を設けることができ、当該範囲内のガス抜き孔の数は、ニーズに応じて設定可能とすることにより、マイクロフォンの低減衰値を調整してもよい。
【0024】
図2に示すように、支持部123は、内膜部121のエッジに沿って外向き延在し、且つ固定部14に接続されている。支持部123を設けることにより内膜部121を固定し、内膜部121は、片持ち状態にあることにより、振動膜12の応力を解放し、振動膜の順応性を向上させる。
【0025】
ここで、支持部123は、1つ設けられる。すなわち、振動膜12は、単一アームで接続して固定することができ、振動膜12の応力が解放されることを保証し、振動膜の順応性を向上させる。又は、振動膜12は、設置需要に応じて2つ、3つ等の複数の支持部123を設けてもよく、ここで具体的に限定しない。
【0026】
更に、図3及び図4に示すように、マイクロフォンチップ1は、電極シート16を更に含み、電極シート16は、バックプレート13の振動膜12に接近する側に設けられ、且つ電極シート16は、封止部材15内に位置する。電極シート16は、封止部材15の内側に設けられるため、電極シート16は、封止部材15により遮断され、引き出すことができない。そこで、本実施例において、封止部材15には、切り欠き151が設けられ、電極シート16は、接続された電極本体161及び引き出し部162を含み、引き出し部162は、1つ又は複数あり、引き出し部162は、切り欠き151に沿って外向き延在可能である。このように、電極シート16を切り欠き151に沿って外向きに引き出すことは、実現される。本実施例では、切り欠き151の数について具体的な限定を行わず、引き出し部の数のニーズに応じて1つ、2つ、3つ等設けることができる。
【0027】
ここで、図4に示すように、マイクロフォンチップ1の厚さ方向に沿って、切り欠き151の高さは、封止部材15の高さに等しいものとすることができる。又は、マイクロフォンチップ1の厚さ方向に沿って、切り欠き151の高さは、封止部材15の高さよりも小さく、すなわち切り欠き151の高さは、電極シート16の高さとマッチングすればよい。且つ、切り欠き151は、バックプレート13に近接して設けられている。このように、振動膜12が封止部材15に吸着された場合に、封止部材15上の切り欠き151によって振動膜12と封止部材15との間に隙間が発生することは、回避される。
【0028】
また、図5図7に示すように、電極シート16は、バックプレート13の振動膜12から離れた側に設けられ、電極シート16は、接続された電極本体161及び引き出し部162を含み、引き出し部162は、電極本体161に沿って外向き延在する。このように、電極シート16を引き出すことは、実現される。
【0029】
以上は本発明の実施形態に過ぎず、当業者であれば本発明の思想を逸脱することなく改良を加えることができるが、これらは全て本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1 マイクロフォンチップ
11 ベース
111 フロントチャンバ
12 振動膜
121 内膜部
122 外膜部
123 支持部
13 バックプレート
131 排気孔
14 固定部
15 封止部材
151 切り欠き
16 電極シート
161 電極本体
162 引き出し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】