(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-13
(54)【発明の名称】バルク音響共振器及びその製造方法、フィルタ、電子機器
(51)【国際特許分類】
H03H 9/17 20060101AFI20240906BHJP
H03H 3/02 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H3/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528585
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 CN2022121571
(87)【国際公開番号】W WO2024040679
(87)【国際公開日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】202211034177.4
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520296211
【氏名又は名称】見聞録(浙江)半導体有限公司
【氏名又は名称原語表記】JWL (ZHEJIANG) SEMICONDUCTOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】BUILDING 3, NO.55, DACHUANWAN ROAD, LONGXI SUB-DISTRICT, HUZHOU, ZHEJIANG 313000, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【氏名又は名称】地代 信幸
(72)【発明者】
【氏名】リ リンピン
(72)【発明者】
【氏名】ツェイ メイフェイ
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA01
5J108BB08
5J108CC08
5J108CC11
5J108DD06
5J108EE03
5J108FF02
5J108KK01
5J108KK02
5J108MM11
5J108MM14
(57)【要約】
本出願はバルク音響共振器及びその製造方法、フィルタ、電子機器を開示している。
当該バルク音響共振器は基底と、基底に背離する方向に沿って順に配列された音響反射構造、下部電極、圧電層、上部電極とを含み、下部電極の、基底に背離する表面には第1の凹み部が設けられ、圧電層を下部電極の、基底に背離する側に形成した場合、第1の凹み部の形状は圧電層の、基底に背離する表面に転写され、圧電層の、基底に背離する表面には第2の凹み部が形成され、圧電層の各箇所の厚さが等しく、即ち、圧電層に対してエッチングなどの何れの物理的損傷も行わないため、圧電層の、第2の凹み部付近での局所応力分布を損傷せず、圧電層における応力分布がより均一になって、バルク音響共振器の性能及び良品率を向上させ、且つ第1の凹み部及び第2の凹み部は実効共振領域のエッジ付近に位置することで、横波共振を抑制し、横波の漏れを減少させ、バルク音響共振器の品質係数を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク音響共振器であって、
基底と、
前記基底上に位置するか、又は前記基底内に嵌り込まれた音響反射構造と、
前記音響反射構造と前記基底の一方に位置して順に配列された下部電極、圧電層、上部電極であって、前記下部電極の、前記基底に背離する表面には第1の凹み部が設けられ、前記第1の凹み部には前記圧電層が充填され、前記圧電層の、前記基底に背離する表面には第2の凹み部が設けられ、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記圧電層の各箇所の厚さが等しく、前記第1の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影は、前記第2の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影をカバーする下部電極、圧電層、上部電極と、を含むことを特徴とするバルク音響共振器。
【請求項2】
前記音響反射構造及び前記基底から構成された全体の、前記下部電極へ向く表面には第3の凹み部が設けられ、前記第3の凹み部には前記下部電極が充填され、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記下部電極の各箇所の厚さが等しく、前記第3の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影は、前記第1の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影をカバーすることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項3】
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記音響反射構造のエッジは前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なり、
前記第2の凹み部は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、前記第2の側辺は前記第1の側辺の外側に位置し、
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部の第1の側辺は前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項4】
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記音響反射構造のエッジは前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なり、
前記第2の凹み部は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、前記第2の側辺は前記第1の側辺の外側に位置し、
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部の第2の側辺は前記上部電極のエッジ内側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項5】
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記上部電極の、前記第2の凹み部に対応する部分の延伸方向は前記基底が所在する平面に平行し、
又は、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記上部電極の、前記第2の凹み部に対応する部分は、前記基底に背離する側へ突起することを特徴とする請求項4に記載のバルク音響共振器。
【請求項6】
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記音響反射構造のエッジは前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なり、
前記第2の凹み部は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、前記第2の側辺は前記第1の側辺の外側に位置し、
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部の第1の側辺は前記上部電極のエッジ内側に位置し、前記第2の凹み部の第2の側辺は前記上部電極のエッジ外側に位置することを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項7】
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記上部電極のエッジは前記音響反射構造のエッジ外側に位置し、
前記第2の凹み部は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、前記第2の側辺は前記第1の側辺の外側に位置し、
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部の第1の側辺は前記音響反射構造のエッジ内側に位置するか、又は前記音響反射構造のエッジと重なり、前記第2の凹み部の第2の側辺は前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項8】
前記上部電極は第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分の延伸方向は、前記基底が所在する平面に平行し、且つ前記第1の部分は前記圧電層の、前記基底に背離する表面と接触し、前記第2の部分は前記第2の凹み部の上方にぶら下がって、
前記第2の部分の延伸方向は、前記基底が所在する平面に平行し、
又は、前記第2の部分の延伸方向と前記第1の部分の延伸方向との間の夾角は0°より大きく、90°より小さいことを特徴とする請求項6又は7に記載のバルク音響共振器。
【請求項9】
前記第2の凹み部の第1の側辺は前記上部電極のエッジ内側に位置し、前記第2の凹み部の第2の側辺は前記上部電極のエッジ外側に位置し、
前記第2の部分の延伸方向は、前記基底が所在する平面に平行し、前記第2の部分の、前記第1の部分に背離する端面は、前記基底が所在する平面に垂直することを特徴とする請求項8に記載のバルク音響共振器。
【請求項10】
前記上部電極は複数の側辺を含み、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部は前記上部電極の少なくとも1本の側辺に対応するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項11】
前記第2の凹み部は、前記上部電極の各側辺に対応する少なくとも1つの連続的なトレンチを含み、
及び/又は、前記第2の凹み部は、前記上部電極の少なくとも1本の側辺に対応する複数のスポット状トレンチを含むことを特徴とする請求項10に記載のバルク音響共振器。
【請求項12】
前記音響反射構造はキャビティ又はブラッグ反射鏡構造であることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項13】
前記第1の凹み部及び前記第2の凹み部は何れも逆台形、逆三角形、四角形又は不規則形状であることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項14】
前記第2の凹み部内には充填媒体が設けられ、前記充填媒体は空気、リンドープされた二酸化ケイ素、炭素ドープされた二酸化ケイ素、誘電体樹脂又はベンゾシクロブテンを含むことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項15】
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第1の凹み部の深さは前記下部電極の厚さ以下であることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項16】
前記下部電極のエンドは垂直状、傾斜状、階段状又は弧状を呈していることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項17】
バルク音響共振器の製造方法であって、
基底を提供するステップと、
下部電極を前記基底に形成して、第1の凹み部を前記下部電極の、前記基底に背離する表面に形成するステップであって、前記下部電極と前記基底との間には音響反射構造又は犠牲層が設けられるステップと、
圧電層を前記下部電極の、前記基底に背離する側に形成するステップであって、前記第1の凹み部には前記圧電層が充填され、前記圧電層の形成過程で、前記第1の凹み部の形状は前記圧電層の、前記基底に背離する表面に転写され、第2の凹み部を前記圧電層の、前記基底に背離する表面に形成し、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記圧電層の各箇所の厚さが等しく、前記第1の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影は、前記第2の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影をカバーするステップと、
上部電極を前記圧電層の、前記基底に背離する側に形成するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記下部電極を形成する前、当該方法は、
音響反射構造又は犠牲層を形成するステップであって、前記音響反射構造又は前記犠牲層は前記基底上に位置するか、又は前記基底内に嵌り込まれるステップと、
第3の凹み部を前記音響反射構造、又は前記犠牲層及び前記基底から構成された全体の一方に形成するステップと、をさらに含み、
前記下部電極の形成過程は、
下部電極を前記音響反射構造、又は前記犠牲層及び前記基底から構成された全体の一方に形成するステップであって、前記第3の凹み部には前記下部電極が充填され、前記下部電極の形成過程で、前記第3の凹み部の形状は前記下部電極の、前記基底に背離する表面に転写され、前記第1の凹み部を前記下部電極の、前記基底に背離する表面に形成し、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記下部電極の各箇所の厚さが等しく、前記第3の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影は、前記第1の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影をカバーするステップを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
フィルタであって、請求項1~16の何れか1項に記載のバルク音響共振器を含むことを特徴とするフィルタ。
【請求項20】
電子機器であって、請求項19に記載のフィルタ又は請求項1~16の何れか1項に記載のバルク音響共振器を含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年08月26日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202211034177.4であり、発明の名称が「バルク音響共振器及びその製造方法、フィルタ、電子機器」である中国特許出願の優先権を主張して、その全ての内容は本出願に援用さる。
【0002】
本出願は、半導体の技術分野に関し、特にバルク音響共振器及びその製造方法、フィルタ、電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
電磁スペクトルがますます混雑になって、無線通信機器の周波数帯及び機能が継続的に増えて、無線通信電磁スペクトルが500MHz~5GHz以上へ高速に成長していることに連れて、性能が高く、コストが低く、電力消費が低く、体積が小さい無線周波数フロントエンドモジュールに対するニーズが日々増えている。無線周波数フロントエンドモジュールの1つとして、フィルタは信号の送受信を改善する機能を備え、無線周波数フロントエンドモジュールにおいて重要な作用を発揮する。トポロジネットワーク構造で複数のバルク音響共振器(Thin film bulk acoustic resonator、Fbar)が接続されて構成されたフィルタは、体積が小さく、集積能力が強く、高周波でも高品質係数及び強い電力処理能力を有するという特点のため、無線周波数フロントエンドモジュールの高規格要求を満たしている。従って、高性能バルク音響共振器の製造は、現在、人気のある研究の1つになっている。
【0004】
バルク音響共振器は一般的に上下電極及び上下電極の間に介在される圧電層から構成され、即ち、「サンドイッチ」構造になって、上下電極に電界を印加する場合、圧電層は電気エネルギーを力学的エネルギーに変換し、力学的エネルギーは音波の形態で存在し、上電極の上面は空気と接触することで、音波は上電極と空気との境界箇所で全反射が生じて、これによってエネルギーの漏れを抑制し、その同時に、下電極の下面には音響反射素子が設けられることで、エネルギーは基底まで漏れることがなく、バルク音響共振器内に貯蔵される。このように、バルク音響共振器における圧電層の品質は、バルク音響共振器の性能及び良品率を直接的に決定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バルク音響共振器の製造過程で、圧電層をウエハに形成する時、圧電層材料は基底材料と熱膨張係数、格子定数の何れも異なって、外部環境温度変化に影響されるため、圧電層内の応力分布が不均一になって、圧電層の、ウエハでの応力分布全体は高低変動するように分布されるため、バルク音響共振器の性能及び良品率に大きく影響し、さらに、フィルタの性能及び良品率に影響する。
【0006】
上記の技術問題を解决するために、本出願の実施例はバルク音響共振器及びその製造方法、フィルタ、電子機器を提供することで、圧電層における応力分布が均一であるバルク音響共振器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するために、本出願の実施例は以下の技術案を提供し、
本出願の第1の態様によれば、バルク音響共振器であって、
基底と、
前記基底上に位置するか、又は前記基底内に嵌り込まれた音響反射構造と、
前記音響反射構造、前記基底の一方に位置して順に配列された下部電極、圧電層、上部電極であって、前記下部電極の、前記基底に背離する表面には第1の凹み部が設けられ、前記第1の凹み部には前記圧電層が充填され、前記圧電層の、前記基底に背離する表面には第2の凹み部が設けられ、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記圧電層の各箇所の厚さが等しく、前記第1の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影は、前記第2の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影をカバーする。
【0008】
好ましくは、前記音響反射構造及び前記基底から構成された全体の、前記下部電極と対向する表面には第3の凹み部が設けられ、前記第3の凹み部には前記下部電極が充填され、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記下部電極の各箇所の厚さが等しく、前記第3の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影は、前記第1の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影をカバーする。
【0009】
好ましくは、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記音響反射構造のエッジは前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なり、
前記第2の凹み部は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、前記第2の側辺は前記第1の側辺の外側に位置し、
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部の第1の側辺は前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なる。
【0010】
好ましくは、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記音響反射構造のエッジは前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なり、
前記第2の凹み部は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、前記第2の側辺は前記第1の側辺の外側に位置し、
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部の第2の側辺は前記上部電極のエッジ内側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なる。
【0011】
好ましくは、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記上部電極の、前記第2の凹み部に対応する部分の延伸方向は前記基底が所在する平面に平行し、
又は、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記上部電極の、前記第2の凹み部に対応する部分は、前記基底に背離する側へ突起する。
【0012】
好ましくは、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記音響反射構造のエッジは前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なり、
前記第2の凹み部は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、前記第2の側辺は前記第1の側辺の外側に位置し、
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部の第1の側辺は前記上部電極のエッジ内側に位置するか、前記第2の凹み部の第2の側辺は前記上部電極のエッジ外側に位置する。
【0013】
好ましくは、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記上部電極のエッジは前記音響反射構造のエッジ外側に位置し、
前記第2の凹み部は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、前記第2の側辺は前記第1の側辺の外側に位置し、
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部の第1の側辺は前記音響反射構造のエッジ内側に位置するか、又は前記音響反射構造のエッジと重なり、前記第2の凹み部の第2の側辺は前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なる。
【0014】
好ましくは、前記上部電極は第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分の延伸方向は、前記基底が所在する平面に平行し、且つ前記第1の部分は前記圧電層の、前記基底に背離する表面と接触し、前記第2の部分は前記第2の凹み部の上方にぶら下がって、
前記第2の部分の延伸方向は、前記基底が所在する平面に平行し、
又は、前記第2の部分の延伸方向と前記第1の部分の延伸方向との間の夾角は0°より大きく、90°より小さい。
【0015】
好ましくは、前記第2の凹み部の第1の側辺は前記上部電極のエッジ内側に位置し、前記第2の凹み部の第2の側辺は前記上部電極のエッジ外側に位置し、
前記第2の部分の延伸方向は、前記基底が所在する平面に平行し、前記第2の部分の、前記第1の部分に背離する端面は、前記基底が所在する平面に垂直する。
【0016】
好ましくは、前記上部電極は複数の側辺を含み、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部は前記上部電極の少なくとも1本の側辺に対応するように配置される。
【0017】
好ましくは、前記第2の凹み部は前記上部電極の各側辺に対応する少なくとも1つの連続的なトレンチを含み、
及び/又は、前記第2の凹み部は前記上部電極の少なくとも1本の側辺に対応する複数のスポット状トレンチを含む。
【0018】
好ましくは、前記音響反射構造はキャビティ又はブラッグ反射鏡構造である。
【0019】
好ましくは、前記第1の凹み部及び前記第2の凹み部は何れも逆台形、逆三角形、四角形又は不規則形状である。
【0020】
好ましくは、前記第2の凹み部内には充填媒体が設けられ、前記充填媒体は空気、リンドープされた二酸化ケイ素、炭素ドープされた二酸化ケイ素、誘電体樹脂又はベンゾシクロブテンを含む。
【0021】
好ましくは、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第1の凹み部の深さは前記下部電極の厚さ以下である。
【0022】
好ましくは、前記下部電極のエンドは垂直状、傾斜状、階段状又は弧状を呈している。
【0023】
本出願の第2の態様によれば、バルク音響共振器の製造方法であって、
基底を提供するステップと、
下部電極を前記基底に形成して、第1の凹み部を前記下部電極の、前記基底に背離する表面に形成するステップであって、前記下部電極と前記基底との間には音響反射構造又は犠牲層が設けられるステップと、
圧電層を前記下部電極の、前記基底に背離する側に形成するステップであって、前記第1の凹み部には前記圧電層が充填され、前記圧電層の形成過程で、前記第1の凹み部の形状は前記圧電層の、前記基底に背離する表面に転写され、第2の凹み部を前記圧電層の、前記基底に背離する表面に形成し、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記圧電層の各箇所の厚さが等しく、前記第1の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影は、前記第2の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影をカバーするステップと、
上部電極を前記圧電層の、前記基底に背離する側に形成するステップと、を含む。
【0024】
好ましくは、前記下部電極を形成する前、当該方法は、
音響反射構造又は犠牲層を形成するステップであって、前記音響反射構造又は前記犠牲層は前記基底上に位置するか、又は前記基底内に嵌り込まれるステップと、
第3の凹み部を前記音響反射構造、又は前記犠牲層及び前記基底から構成された全体の一方に形成するステップと、をさらに含み、
前記下部電極の形成過程は、
下部電極を前記音響反射構造、又は前記犠牲層及び前記基底から構成された全体の一方に形成するステップであって、前記第3の凹み部には前記下部電極が充填され、前記下部電極の形成過程で、前記第3の凹み部の形状は前記下部電極の、前記基底に背離する表面に転写され、前記第1の凹み部を前記下部電極の、前記基底に背離する表面に形成し、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記下部電極の各箇所の厚さが等しく、前記第3の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影は、前記第1の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影をカバーするステップを含む。
【0025】
本出願の第3の態様によれば、フィルタであって、上記の何れか1項に記載のバルク音響共振器を含む。
【0026】
本出願の第4の態様によれば、電子機器であって、上記のフィルタ又は上記の何れか1項に記載のバルク音響共振器を含む。
【発明の効果】
【0027】
従来技術に比べると、上記の技術案は以下の利点を備え、
本出願の実施例が提供するバルク音響共振器は基底と、基底に背離する方向に沿って順に配列された音響反射構造、下部電極、圧電層、上部電極とを含み、下部電極の、基底に背離する表面には第1の凹み部が設けられ、圧電層を下部電極の、基底に背離する側に形成した場合、第1の凹み部の形状は圧電層の、基底に背離する表面に転写され、圧電層の、基底に背離する表面には第2の凹み部が形成され、そうすれば、基底が所在する平面に垂直する方向で、圧電層の各箇所の厚さが等しく、即ち、圧電層に対してエッチングなどの何れの方式の物理的損傷も行わないため、圧電層の、第1の凹み部及び第2の凹み部付近にある局所応力分布を損傷することがなく、単一のバルク音響共振器にとって、圧電層の局所応力制御がより容易であり、圧電層における応力分布がより均一になって、バルク音響共振器の性能を向上させる。
【0028】
ウエハ全体での各バルク音響共振器の圧電層にとって、何れも圧電層に対して何の物理的損傷もない場合、第1の凹み部の形状を転写することで、第2の凹み部を各バルク音響共振器の圧電層に形成し、基底が所在する平面に垂直する方向で、ウエハの各箇所に対応する圧電層の厚さが等しく、圧電層の、ウエハでの応力分布全体が高低変動するように分布されず、均一な分布に向かって、圧電層における応力の、ウエハ全体での変動を低減させ、ウエハの異なる位置に対応する圧電層の応力差が小さくなって、ウエハ全体での圧電層の応力分布の均一性を高めて、ウエハでのバルク音響共振器の良品率を向上させる。
【0029】
また、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、圧電層に対してエッチングなどの何れの方式の物理的損傷も行わないため、バルク音響共振器の機械的強度及びデバイス確実性を保証する。
【0030】
また、バルク音響共振器において、圧電層の厚さ方向に沿って伝搬される縦波は主な作用を発揮するが、基底が所在する平面に平行する方向に沿って伝搬される横波を不可避的に励起し、且つ横波は実効共振領域の側辺エッジから漏れやすくて、エネルギー損失を招致する。本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、基底が所在する平面に垂直する方向で、第1の凹み部及び第2の凹み部は実効共振領域のエッジ付近に位置し、この場合、第2の凹み部は圧電層と第2の凹み部に充填される空気又は他の媒体との境界を形成し、第1の凹み部は圧電層と下部電極との境界を形成するため、第1の凹み部及び第2の凹み部から構成された2層凹み部構造は実効共振領域のエッジ付近で音響抵抗変化を生成し、干渉構造を形成して、横波共振を抑制し、横波の音響エネルギー比率を減少させ、バルク音響共振器の品質係数を向上させ、そして、第1の凹み部は横波トラップ構造をさらに形成し、横波は実効共振領域から横方向に第1の凹み部に伝搬される時、第1の凹み部から形成された横波トラップ構造において、実効共振領域に複数回反射され、これによって、横波の漏れを減少させ、即ち、音響エネルギー損失を減少させる一方、横波共振をさらに抑制し、横波の音響エネルギー比率を減少させ、バルク音響共振器の品質係数を向上させ、同時に、第1の凹み部の周辺の圧電層の形状が変化し、これによって、同じように、横波を反射し、横波の漏れを減少させ、バルク音響共振器の品質係数を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本出願の実施例又は従来技術における技術案をより明らかに説明するために、以下、実施例又は従来技術の記載の必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に記載の図面は本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、進歩性に値する労働をしないことを前提として、これらの図面に基づいて他の図面を取得できる。
【
図1a】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図1b】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図1c】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図1d】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図1e】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図1f】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図1g】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図1h】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図2a】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図2b】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図2c】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図2d】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図2e】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図3a】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図3b】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図3c】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図3d】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図4a】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図4b】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図4c】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図4d】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図4e】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図5】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図6】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図7】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図8】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図である。
【
図9】圧電層及び基底が引張応力を受けて湾曲した概略図である。
【
図10】圧電層及び基底が圧縮応力を受けて湾曲した概略図である。
【
図11】従来のバルク音響共振器及び本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、ウエハでの圧電層の応力分布全体の比較概略図である。
【
図12】従来のバルク音響共振器において、ウエハでの圧電層の応力分布全体の平面概略図である。
【
図13】圧電層でエッチングを行って凹み部を形成するバルク音響共振器において、ウエハ上での圧電層の応力分布全体の平面概略図である。
【
図14】本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、ウエハでの圧電層の応力分布全体の平面概略図である。
【
図15】本出願の実施例が提供するバルク音響共振器及び伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器の抵抗が周波数に連れて変化する関係概略図である。
【
図16】
図15における実線丸で示した部分の拡大概略図である。
【
図17】本出願の実施例が提供するバルク音響共振器及び伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器のスミスチャートである。
【
図18】本出願の1の実施例が提供するバルク音響共振器において、上部電極及び第2の凹み部の平面概略図である。
【
図19】本出願の別の実施例が提供するバルク音響共振器において、上部電極及び第2の凹み部の平面概略図である。
【
図20】本出願の他の実施例が提供するバルク音響共振器において、上部電極及び第2の凹み部の平面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本出願の実施例の図面を結合して、本出願の実施例の技術案を明らか且つ完全に記載し、明らかに、記載の実施例は全ての実施例ではなく、本出願の一部の実施例に過ぎない。本出願の実施例に基づいて、当業者が進歩性に値する労働をしないことを前提として取得した他の全ての実施例は何れも本出願の保護範囲に属する。
【0033】
本出願を十分に理解するために、以下の記載において、多くの具体な細部を説明するが、本出願はここと異なっている他の形態で実施されてもよく、当業者は本出願の精神を逸脱しない場合で、類似的に普及してもよいため、本出願は以下に開示される具体的な実施例に限定されない。
【0034】
そして、本出願は概略図を結合して詳しく記載し、本出願の実施例を説明する時、説明を容易にするために、デバイス構造を示す断面図は一般的な比率によらなく局所的に拡大し、前記概略図はただ例示的なものであるため、本出願の保護範囲を限定しない。また、実際の製造において、長さ、幅及び深さの3次元空間サイズを含むべきである。
【0035】
背景技術部分に記載したように、現在、圧電層における応力分布が均一であるバルク音響共振器を提供する必要がある。
【0036】
これに鑑みると、本出願の実施例はバルク音響共振器を提供し、
図1a~
図1h、
図2a~
図2e、
図3a~
図3d、
図4a~
図4e及び
図5~
図8は本出願の各実施例が提供するバルク音響共振器の断面構造概略図を示し、図面から分かるように、当該バルク音響共振器は、
基底100と、
基底100上に位置するか、又は基底100内に嵌り込まれた音響反射構造200と、
音響反射構造200と基底100の一方に位置して順に配列された下部電極300、圧電層400、上部電極500であって、下部電極300の、基底100に背離する表面には第1の凹み部10が設けられ、第1の凹み部10には圧電層400が充填され、圧電層400の、基底100に背離する表面には第2の凹み部20が設けられ、基底100が所在する平面に垂直する方向で、圧電層400の各箇所の厚さが等しく、第1の凹み部10の、基底100が所在する平面での正投影は、第2の凹み部20の、基底100が所在する平面での正投影をカバーする下部電極300、圧電層400、上部電極500と、を含む。
【0037】
本出願の実施例において、下部電極300及び上部電極500に電界を印加すると、下部電極300と上部電極500との間に位置する圧電層400は電気エネルギーを音波形態の力学的エネルギーに変換し、且つ上部電極500の、基底100に背離する表面は空気と接触して反射面を形成し、下部電極300と基底100との間には音響反射構造200が設けられ、何れも音波を反射でき、これによって、音波を、基底100が所在する平面に垂直する方向に沿う音響反射構造200、下部電極300、圧電層400及び上部電極500の重畳領域に貯蔵し、公知するように、基底100が所在する平面に垂直する方向で、音響反射構造200、下部電極300、圧電層400及び上部電極500の重畳領域は実効共振領域を構成するため、音波は実効共振領域内に貯蔵される。
【0038】
ここで、圧電層400材料(例えば、AlN材料)は基底100材料の格子定数と一致しなく、且つ熱膨張係数も異なるため、外部環境温度が変化する場合、例えば圧電層の形成過程又は使用過程で温度が変化すると、圧電層400及び基底100が引張応力を受けて上に湾曲し(
図9を参照)、又は圧縮応力(
図10を参照)を受けて下に湾曲し、
図9及び
図10は応力変化を示すために、圧電層400及び基底100のみを描いている。圧電層の応力は圧電層の実効電気機械結合係数Kt
2に大きく影響し、例えば、AlN圧電薄膜の応力が圧縮応力-2200MPaから引張応力1000MPaに変化した場合、AlN圧電薄膜の実効電気機械結合係数Kt
2は4.86%から7.22%に増えて、AlN圧電薄膜の実効電気機械結合係数Kt
2はこのように激しく変化すれば、バルク音響共振器の性能に大きく影響し、さらに、フィルタの通過帯域変動、挿入損失及び帯域幅などの性能に影響する。従って、バルク音響共振器の性能を向上させるために、圧電層400の実効電気機械結合係数Kt
2の一致性を保証しなければならなくて、即ち、圧電層400の応力分布が均一であるように要求する。特に、大きなサイズのウエハ、例えば6インチ、8インチ及び12インチのウエハなどについて、ウエハサイズの増加に連れて、圧電層から生じた応力も相応的に大きくなるため、圧電層の応力の均一性の制御はより重要である。
【0039】
これに基づいて、本出願の実施例において、基底100が所在する平面に垂直する方向で、圧電層400の各箇所の厚さが等しく、圧電層400に対してエッチングなどの何れの方式の物理的損傷も行わなくて、圧電層400の、基底100に背離する表面に形成された第2の凹み部について、まず、第1の凹み部10を下部電極300の、基底100に背離する表面に形成してから、圧電層400を下部電極300の、基底100に背離する側に形成する場合、第1の凹み部10の形状を圧電層400の、基底100に背離する表面に直接的に転写し、これによって、第2の凹み部20を圧電層400の、基底100に背離する表面に形成し、そうすれば、圧電層400は第1の凹み部10及第2の凹み部20の内部、且つ第1の凹み部10及び第2の凹み部20の両側で何れも同じ厚さを有し、圧電層400の、第1の凹み部10及び第2の凹み部20付近での局所応力分布を損傷することがなく、単一のバルク音響共振器にとって、圧電層400の局所応力をより容易に制御し、圧電層400における応力分布がより均一になって、さらに、圧電層400の応力分布がより均一になるため、圧電層400の実効電気機械結合係数Kt2分布もより均一になって、バルク音響共振器の性能を高める。
【0040】
そして、ウエハ全体での各バルク音響共振器の圧電層にとって、従来技術において、圧電層400の形成過程で、応力重畳などの各種の要素のため、各バルク音響共振器の圧電層の応力分布が不一致になって、
図11は従来のバルク音響共振器において、ウエハでの圧電層の応力分布全体の概略図を示し、
図11から分かるように、従来技術において、圧電層の応力はウエハのエッジ領域からウエハの中心領域への方向に沿って、高低変動するように分布され、
図12は従来のバルク音響共振器において、ウエハでの圧電層の応力分布全体の平面概略図を示し、
図12から分かるように、従来技術において、ウエハで圧電層は環状変動するように分布され、ウエハの中心領域に接近しても、相変わらず応力変化が存在し、圧電層のウエハでの応力分布全体の不均一性のため、ウエハで圧電層の応力差が大きな位置に対応するバルク音響共振器の性能差が大きくなって、さらに、バルク音響共振器の良品率が悪くなる。
【0041】
図13は、圧電層でエッチングを行って、凹み部を形成するバルク音響共振器においてウエハでの圧電層の応力分布全体の平面概略図を示し、
図13から分かるように、ウエハでの圧電層の応力分布全体の変化が大きく、且つウエハの中心領域に接近しても、相変わらず応力変化が存在し、なぜならば、圧電層をエッチングして凹み部を形成し、圧電層に対して物理的損傷を招致して、圧電層の、凹み部付近での応力が激しく変化し、応力変化の範囲が大きく、応力変化も不規則になるためである。
【0042】
これに基づいて、本出願の実施例において、ウエハ全体での各バルク音響共振器の圧電層にとって、圧電層に対して何の物理的損傷もなく、第1の凹み部10の形状を転写することで、第2の凹み部20を各バルク音響共振器の圧電層400に形成し、基底100が所在する平面に垂直する方向で、ウエハの各箇所に対応する圧電層400の厚さが等しいため、圧電層の、ウエハでの応力分布全体は大きく高低変動するように分布されず、均一な分布に向かっている。
【0043】
図11及び
図14は何れも本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、ウエハでの圧電層の応力分布全体の概略図を示し、
図14は平面概略図であり、
図11及び
図14から分かるように、ウエハでの圧電層の応力分布全体は均一に向かって、ウエハエッジ領域に対応する圧電層の応力も変化するが、その変化が小さく、且つウエハ中心領域に対応する圧電層の応力分布の均一性が高く、即ち、ウエハでの各バルク音響共振器において、ウエハ全体で圧電層の応力変動が小さく、ウエハの異なる位置に対応する圧電層の応力差が小さく、ウエハ全体での圧電層の応力分布の均一性を高めて、ウエハでのバルク音響共振器の良品率を向上させる。
【0044】
また、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、圧電層に対してエッチングなどの何れの方式の物理的損傷も行わないため、バルク音響共振器の機械的強度及びデバイス確実性を保証して、バルク音響共振器の性能及び良品率をさらに向上させる。
【0045】
ここで、バルク音響共振器の理想的な動作モードは、音波が圧電層の厚さ方向に沿って伝搬され、即ち、縦方向モードであり、この場合、音波は実効共振領域内に貯蔵される。但し、音波のバルク音響共振器内での伝搬は縦方向モードだけではなく、横方向モードもあり、即ち、基底が所在する平面に平行する方向に沿って伝搬される横波がさらに存在し、横方向モードは縦方向モードの場合と同時に生じる。ここで、横波は実効共振領域内で横方向に伝搬されることで、縦波の総的音響エネルギーにおける比率が低下し、バルク音響共振器のエネルギーの損失及び散逸を招致し、さらにバルク音響共振器の品質係数(即ち、Q係数)を低減させ、バルク音響共振器の品質係数(即ち、Q係数)は一般的に、バルク音響共振器が、付与された1つの無線周波数(RF)信号周期内に貯蔵した最大音波エネルギーを当該周期内の散逸又は損失の総エネルギーで割ると定義され、横波モードで共振が生じた場合、横波の、総的音響エネルギーでの比率がより高くなって、縦波の音響エネルギー比率がより小さくなって、バルク音響共振器のエネルギー損失がさらに大きくなって、横波は基底が所在する平面に平行する方向に沿って伝搬されるため、横波は実効共振領域の側辺エッジから漏れやすくて、同じように、バルク音響共振器のエネルギー損失を招致する。
【0046】
これに基づいて、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、基底100が所在する平面に垂直する方向で、第1の凹み部10及び第2の凹み部20は上部電極500のエッジ付近に位置し、一般的に、音響反射構造200の、基底100が所在する平面での正投影は上部電極500の、基底100が所在する平面での正投影をカバーすることで、上部電極500の、音響反射構造200を超えた部分が圧電層400と接触して寄生発振を生成することを回避するため、一般的に、実効共振領域は上部電極500のエンドによって決定され、本実施例において、第2の凹み部20は第1の凹み部10の形状を転写することで形成されるため、基底100が所在する平面に垂直する方向で、第1の凹み部10の位置と第2の凹み部20の位置とは対応し、そうすれば、第1の凹み部10及び第2の凹み部20を上部電極500のエッジ付近、つまり、実効共振領域のエッジ付近に配置する。
【0047】
この場合、第2の凹み部20は、圧電層400と第2の凹み部20に充填された空気又は他の媒体との境界を形成し、第1の凹み部10は圧電層400と下部電極300との境界を形成し、音響抵抗は媒体の材料に関係があり、第2の凹み部20に充填された空気又は他の媒体は圧電層400の音響抵抗と異なって、下部電極300も圧電層400の音響抵抗と異なっているため、第1の凹み部10及び第2の凹み部20は実効共振領域のエッジ付近で音響抵抗変化を生成し、干渉構造を形成して、これによって、横波共振を抑制し、横波の音響エネルギー比率を減少させ、バルク音響共振器の品質係数を向上させる。同時に、第1の凹み部10及び第2の凹み部20は2層凹み部構造を形成し、2重干渉効果を備え、両者の結合は横波に対する抑制効果をさらに強化させる。
【0048】
そして、第1の凹み部10内には圧電層材料が充填され、圧電層400は下部電極300の材料と異なっているため、圧電層400は下部電極300と音響抵抗も異なって、例えば、圧電層はAlN圧電層であり、下部電極はMo金属層であり、AlN圧電層の音響抵抗は36 Mraylsであり、下部電極Mo金属層の音響抵抗は63 Mraylsであるため、第1の凹み部10の下部電極材料及び圧電層材料は横波トラップ構造を形成し、横波は実効共振領域から横方向に第1の凹み部10に伝搬される場合、第1の凹み部10に形成された横波トラップ構造において実効共振領域に複数回反射され、これによって、横波の漏れを減少させ、即ち、音響エネルギー損失を減少させる一方、横波共振をさらに抑制し、横波の音響エネルギー比率を減少させ、バルク音響共振器の品質係数を向上させる。同時に、第1の凹み部10の周辺の圧電層の形状が変化し、同じように、横波を反射でき、横波の漏れを減少させ、バルク音響共振器の品質係数を向上させる。
【0049】
図15は、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器及び伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器の抵抗が周波数に連れて変化する関係概略図を示し、図面から分かるように、伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器の直列抵抗Rsは3.5Ωであり、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器の直列抵抗Rsは1.5Ωであり、即ち、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器の直列抵抗Rsはより低い。
【0050】
図16は、
図15の実線丸で示した部分の拡大概略図を示し、図面から分かるように、伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器の並列抵抗Rpは2700Ωであり、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器の並列抵抗Rpは3000Ωであり、即ち、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器の並列抵抗Rpはより高い。
【0051】
これから分かるように、伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器に比べると、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、第1の凹み部10を下部電極300の、基底100に背離する表面に形成して、形状を転写することで、第2の凹み部20を圧電層400の、基底100に背離する表面に形成し、これによって、バルク音響共振器の直列抵抗Rsが低くなって、並列抵抗Rpが高くなる。公知するように、共振器のQ値(Qs及びQpで表される)と抵抗値(Rs及びRpで表される)との関連性が大きく、バルク音響共振器の面積が一定である場合、RsとQsとの間には負の関連があり、RpとQpとの間には正の関連があるため、本実施例において、バルク音響共振器の直列抵抗Rsを低減させると、Qsを向上させ、又はバルク音響共振器の並列抵抗Rpを向上させると、Qpを向上させ、Qs及びQpの向上は何れもバルク音響共振器のQ係数の向上を示す。一般的に、各バルク音響共振器のQ値(Qs及びQpで表される)が大きいほど、バルク音響共振器の音波損失がより小さくなって、バルク音響共振器の性能がより良くなって、カスケードされたフィルタ通過帯域の挿入損失がより小さくなって、全体性能がよりよくなる。
【0052】
図17は、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器及び伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器のスミスチャートをさらに示し、図面から分かるように、伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器に比べると、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器の曲線はスミスチャートのエッジにより近接して、且つよりなだらかであり、これによって、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器の寄生発振が少なく、即ち、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器の寄生共振の強度を大きく改善することを示す。
【0053】
ここで、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、第1の凹み部10及び第2の凹み部20は実効共振領域のエッジ付近に設けられなければならないように限定されず、基底100が所在する平面に垂直する方向で、第1の凹み部10及び第2の凹み部20は実効共振領域全体の内部に位置してもよく、例えば、
図2bに示すように、この場合、第1の凹み部10及び第2の凹み部20は上部電極500のエッジの内側に位置し、無論、第1の凹み部10及び第2の凹み部20が所在する位置に対応する音響反射構造200、下部電極300、圧電層400及び上部電極500は重畳しないため、第1の凹み部10及び第2の凹み部20が所在する位置は非実効共振領域であり、第1の凹み部10及び第2の凹み部20の両側は何れも実効共振領域であってもよい。
【0054】
つまり、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、第1の凹み部10を下部電極300の、基底100に背離する表面に形成して、形状を転写することで、第2の凹み部20を圧電層400の、基底100に背離する表面に形成し、これによって、圧電層400に対して何の物理的損傷もないことを前提として、第2の凹み部20を圧電層400の、基底100に背離する表面に形成することで、従来技術において圧電層400に対してエッチングなどの物理的損傷を行って、凹み部を圧電層400に形成するため、圧電層400の応力分布が不均一になるという問題を解决し、圧電層400の応力分布の均一性を改善し、バルク音響共振器の性能及び良品率を向上させ、そして、第1の凹み部10及び第2の凹み部20は実効共振領域のエッジ付近に位置するため、横波共振を抑制し、横波の漏れを減少させ、即ち、音響エネルギー損失を減少させる上で、横波の音響エネルギー比率を減少させ、バルク音響共振器の品質係数を向上させる。
【0055】
本実施例において、第1の凹み部10の形状を圧電層400の沈積過程で転写して、第2の凹み部20を圧電層400の、基底100に背離する表面に形成するため、理想的な場合、第2の凹み部10の形状と第1の凹み部20の形状とは完全に同様であり、即ち、第1の凹み部10の基底が所在する平面での正投影は、第2の凹み部20の基底が所在する平面での正投影と完全に重なっている。但し、実際の工程で、第1の凹み部10の基底が所在する平面での正投影は第2の凹み部20の基底が所在する平面での正投影より大きい可能性があり、即ち、第1の凹み部10の基底が所在する平面での正投影は第2の凹み部20の基底が所在する平面での正投影をカバーする。
【0056】
具体的に、基底が所在する平面に垂直する方向で、第2の凹み部20の深さは第1の凹み部10の深さ以下であり、基底が所在する平面に平行する方向で、第2の凹み部20の幅は第1の凹み部10の幅以下である。
【0057】
第1の凹み部10に対して、基底が所在する平面に垂直する方向で、第1の凹み部10の深さは下部電極300の厚さ以下であってもよい。好ましくは、第1の凹み部10の深さは10nm~50nmであってもよく、第1の凹み部10の幅をその深さの1.5倍~3倍に設定することで、第1の凹み部10を充填する時の圧電層400の形状の突然変異を減少させ、圧電層400の応力変化を最大限に低減させる。必要に応じて、第1の凹み部10の深さを50nm~100nm、さらに150nm以上(例えば300nm)に設定し、この場合、第1の凹み部10の幅を相応的に広く調節することで、圧電層400の、第1の凹み部10での形状の突然変異を減少させ、性能と安定性とのバランスを実現する。第2の凹み部20について、その厚さ及び幅は何れも第1の凹み部の厚さ及び幅以下である。
【0058】
本実施例において、第1の凹み部10及び第2の凹み部20は何れも逆台形、逆三角形、四角形又は不規則形状であってもよく、具体的に状況に応じて決定すればよく、第1の凹み部10及び第2の凹み部20の側壁は傾斜状である場合、圧電層400の、第1の凹み部10及び第2の凹み部20での形状の突然変異を減少させ、圧電層400の応力変化を最大限に低減させる。
【0059】
本実施例において、第2の凹み部20内には充填媒体が設けられ、当該充填媒体は低音響抵抗、低誘電定数又は高絶縁性の媒体材料を含み、具体的に空気、リンドープされた二酸化ケイ素(PSG)、炭素ドープされた二酸化ケイ素(即ち、SiOC、SiC、SiNのポリマ)、誘電体樹脂(商業的に、SiLKと呼ばれる誘電体樹脂)又はベンゾシクロブテン(BCB)などを含み、具体的に、状況に応じて決定すればよいが、ここで、第2の凹み部20内には何れの金属材料も充填できない。
【0060】
本実施例において、基底が所在する平面に平行する方向で、下部電極300のエンド(即ち、下部電極300のエッジ)は第1の凹み部10の外側エッジを超えて、即ち、第1の凹み部10は下部電極300のエッジ内側に設けられ、且つ圧電層400のエンドは下部電極300のエンドを超えなければならない。具体的に、基底が所在する平面に平行する方向で、第1の凹み部10の外側エッジと下部電極300のエンドとの間の距離は2μm~5μmであってもよい。
【0061】
本実施例において、下部電極300のエンドは、基底が所在する平面に垂直し、即ち、垂直状を呈してもよいし、基底が所在する平面との間の夾角は0より大きく、90度より小さく、即ち、傾斜状を呈してもよいし、また階段状又は弧状を呈してもよく、下部電極300のエンドは傾斜状、階段状又は弧状を呈している場合、以降、圧電層400を沈積させる時、圧電層400を下部電極300のエンドに沈積させる時生じる材料の不連続さを弱めて、圧電層400の圧電の一致性を向上させる。
【0062】
本実施例において、好ましくは、
図1a~
図1h、
図2a~
図2e、
図3a~
図3d、
図4a~
図4e、
図6~
図7に示すように、音響反射構造200はキャビティ210であってもよく、また、好ましくは、キャビティ210は基底内に嵌り込まれてもよく、この場合、基底100の下部電極300へ向く表面には凹溝が設けられ、当該凹溝はキャビティを形成する。好ましくは、キャビティ210は基底100の表面の上方に位置してもよく、この場合、基底100の下部電極300へ向く表面は水平状を呈し、下部電極300は、基底100に背離する方向へ突起し、基底100の表面と突起した下部電極300との間にはキャビティが形成される。
【0063】
好ましくは、
図5及び
図8に示すように、音響反射構造200をブラッグ反射鏡(DBR)構造220にすることで、ソリッドマウント(SMR)共振器を形成してもよく、同じように、ブラッグ反射鏡構造220は基底100に位置してもよいし、基底100内に嵌り込まれてもよい。ブラッグ反射鏡構造220は低音響抵抗材料と高音響抵抗材料が交互的に積層されることで形成され、キャビティの代わりとして、ブラッグ反射鏡構造を音響反射構造として採用することで、キャビティの上方の実効共振領域が圧力作用のため陥没することで、招致された機械的安定性及び確実性が悪くなるという問題を改善し、即ち、バルク音響共振器において実効共振領域の機械的安定性及び確実性を向上させる。
【0064】
上記の実施例に基づいて、好ましくは、本出願の1つの実施例において、
図1a~
図1h、
図2a~
図2e、
図3a~
図3d、
図4a~
図4e及び
図5に示すように、下部電極300の、基底100に背離する表面に設けられた第1の凹み部10は、下部電極300の、基底100に背離する表面をエッチングすることで形成された第1の凹み部10であってもよく、エッチング方法はドライエッチング、ウェットエッチング又はドライ・ウェットエッチングを含んでもよい。
【0065】
好ましくは、本出願の別の実施例において、
図6~
図8に示すように、下部電極300の、基底100に背離する表面に設けられた第1の凹み部10について、第2の凹み部20を圧電層400の、基底100に背離する表面に形成するように、第1の凹み部10を形状転写の方式で下部電極300の、基底100に背離する表面に形成してもよい。
【0066】
具体的に、本出願の1つの実施例において、
図6~
図8に示すように、音響反射構造200及び基底100から構成された全体の、下部電極300に向く表面には第3の凹み部30が設けられ、第3の凹み部30には下部電極300が充填され、基底100が所在する平面に垂直する方向で、下部電極300の各箇所の厚さが等しく、第3の凹み部30の、基底100表面での正投影は、第1の凹み部10の、基底100表面での正投影をカバーする。
【0067】
本実施例において、音響反射構造200及び基底100から構成された全体の、下部電極300へ向く表面には第3の凹み部30が設けられているため、音響反射構造200及び基底100の一方に下部電極300が形成される場合、第3の凹み部30の形状は下部電極300の、基底100に背離する表面に直接的に転写され、下部電極300の、基底100に背離する表面には第1の凹み部10が形成され、且つ第3の凹み部30には下部電極300が充填され、さらに、下部電極300の、基底100に背離する側に圧電層400が形成される場合、第1の凹み部10の形状は圧電層400の、基底100に背離する表面に直接的に転写され、圧電層400の、基底100に背離する表面には第2の凹み部20が形成され、且つ第1の凹み部10には圧電層400が充填され、つまり、下部電極300及び圧電層400の沈積過程で、第3の凹み部30の形状は第1の凹み部10及び第2の凹み部20に順に転写され、即ち、第1の凹み部10、第2の凹み部20の形状と第3の凹み部30の形状とは同様であり、基底が所在する平面に垂直する方向に沿ってその位置は対応する。
【0068】
この場合、基底が所在する平面に垂直する方向で、圧電層400の各箇所の厚さが等しい上に、下部電極300の各箇所の厚さも等しく、即ち、圧電層400に対してエッチングなどの何れの方式の物理的損傷も行わなくて、第2の凹み部20を圧電層400の、基底に背離する表面に形成するとともに、下部電極300に対してエッチングなどの何れの方式の物理的損傷も行わなくて、第1の凹み部10を下部電極300の、基底に背離する表面に形成するため、本実施例が提供するバルク音響共振器において、圧電層400の応力分布がより均一になって、デバイスの性能及び良品率がよりよくなる。
【0069】
本実施例において、下部電極300の沈積過程で第3の凹み部30の形状を転写することで、第1の凹み部10を下部電極300の、基底100に背離する表面に形成するため、理想的な場合、第1の凹み部10の形状と第3の凹み部30の形状とは完全に同様であり、即ち、第3の凹み部30の、基底が所在する平面での正投影は、第1の凹み部10の、基底が所在する平面での正投影と完全に重なるべきである。但し、実際の工程で、第3の凹み部30の、基底が所在する平面での正投影は第1の凹み部30の、基底が所在する平面での正投影より大きい可能性があり、即ち、第3の凹み部30の、基底が所在する平面での正投影は第1の凹み部10の、基底が所在する平面での正投影をカバーする。
【0070】
ここで、音響反射構造200はキャビティ210であってもよいし、ブラッグ反射鏡構造220であってもよいため、音響反射構造200は異なる構造である場合、第3の凹み部30を音響反射構造200及び基底100から構成された全体の、下部電極300へ向く表面に形成する過程は異なっている。
【0071】
具体的に、音響反射構造200が基底100の内部に嵌り込まれたキャビティ210である場合、
図6及び
図7に示すように、第3の凹み部30を音響反射構造200及び基底100から構成された全体の、下部電極300へ向く表面に形成する過程は以下のステップを含み、
まず、基底100にエッチングして凹溝を形成する;
次に、犠牲材料を基底100の凹溝内に充填して、犠牲材料に対して研磨を行うことで、犠牲材料を基底100の表面と整合させ、犠牲材料はリンケイ酸塩ガラス(PSG)、例えば8%のリン及び92%の二酸化ケイ素を含み、以降、フッ化水素酸を使用して当該犠牲材料をエッチングして除去する;
そして、基底100のみにエッチングして第3の凹み部30を形成してもよく、具体的に
図6を参照すればよく、無論、基底100の凹溝内に充填された犠牲材料にエッチングして第3の凹み部30を形成してもよく、具体的に、
図7を参照すればよく、基底100上及び基底100の凹溝内に充填された犠牲材料にエッチングして第3の凹み部30を形成してもよく、即ち、第3の凹み部30はキャビティ210のエッジを跨っている;
その後、下部電極300を基底100及び犠牲材料の一方に形成した場合、下部電極300を第3の凹み部30に充填し、第3の凹み部30の形状を下部電極300の、基底100に背離する表面に転写し、第1の凹み部10を下部電極300の、基底100に背離する表面に形成し、圧電層400及び上部電極500を下部電極300の、基底100に背離する側に順に形成し、且つ第1の凹み部10の形状を圧電層400の、基底100に背離する表面に転写し、第2の凹み部20を圧電層400の、基底100に背離する表面に形成する;
以降、腐食性溶液によって基底100の凹溝内の犠牲材料を除去し、具体的に、下部電極300、圧電層400及び上部電極500を順に形成してから、圧電層400をキャビティ210までエッチングして、リリース孔を形成し、キャビティ内の犠牲材料を除去し、下部電極300、圧電層400及び上部電極500をキャビティ210の上方に吊り下げ、下部電極-空気の反射界面を提供する。
【0072】
ここで、音響反射構造200がキャビティであり、且つキャビティ210が基底100の上方に位置する場合、まず、犠牲材料を基底100の表面に形成してから、基底100及び犠牲材料から構成された全体の一方をエッチングして第3の凹み部30を形成し、以降、下部電極300を沈積させる場合、第3の凹み部30の形状を下部電極300の、基底100に背離する表面に転写して、第1の凹み部10を形成し、圧電層400を沈積させる場合、第1の凹み部10の形状を圧電層400の、基底100に背離する表面に転写して、第2の凹み部を形成し、最後、上部電極500を形成し、以降、腐食によって基底100に位置する犠牲材料を容易に除去し、下部電極300と基底100との間にキャビティ210を形成する。
【0073】
音響反射構造200がブラッグ反射鏡構造220である場合、同じように、ブラッグ反射鏡構造が基底100内部に嵌り込まれることを例として説明する。
図8に示すように、第3の凹み部30を音響反射構造200及び基底100から構成された全体の、下部電極300と対向する表面に形成する過程は以下のステップを含み、
まず、基底100にエッチングして凹溝を形成する;
そして、基底100の凹溝内にブラッグ反射構造220を形成し、この場合、基底100及びブラッグ反射鏡構造220の全体にエッチングして第3の凹み部30を形成し、即ち、基底が所在する平面に垂直する方向で、第3の凹み部30はブラッグ反射鏡構造220のエッジ外側、エッジ内側に位置してもよいし、又はブラッグ反射鏡構造220のエッジを跨ってもよいが、ブラッグ反射鏡構造に対する影響を減少させるために、好ましくは、ブラッグ反射鏡220のエッジ外側に位置する;
さらに、基底100及びブラッグ反射鏡構造220の一方に下部電極300を形成することで、下部電極300を第3の凹み部30に充填し、第3の凹み部30の形状を下部電極300の、基底100に背離する表面に転写し、第1の凹み部10を下部電極300の、基底100に背離する表面に形成するとともに、圧電層400及び上部電極500を下部電極300の、基底100に背離する側に順に形成し、第1の凹み部10の形状を圧電層400の、基底100に背離する表面に転写し、第2の凹み部20を圧電層400の、基底100に背離する表面に形成し、結果として、上部電極500を形成する。
【0074】
ここで、音響反射構造200がブラッグ反射鏡構造220であり、且つブラッグ反射鏡構造220が基底の上方に位置する場合、ブラッグ反射鏡構造が基底内に嵌り込まれた状況に類似するため、贅言しない。
【0075】
本実施例において、音響反射構造200及び基底100から構成された全体の、下部電極300へ向く表面に設けられた第3の凹み部30は、音響反射構造200及び基底100から構成された全体の、下部電極300へ向く表面をエッチングすることで形成された第3の凹み部30であってもよいし、圧電層400が第2の凹み部20を圧電層400の、基底100に背離する表面に形成するように、形状転写の方式で第3の凹み部30を音響反射構造200及び基底100から構成された全体の、下部電極300へ向く表面に形成してもよく、これに対して本出願は限定しない。
【0076】
第1の凹み部10は下部電極300に位置し、第2の凹み部20は圧電層400に位置し、実効共振領域は基底100表面に垂直する方向で音響反射構造200、下部電極300、圧電層400及び上部電極500の重畳領域であるため、第1の凹み部10及び第2の凹み部20と実効共振領域との位置関係は主に第1の凹み部10及び第2の凹み部20と上部電極500との位置関係、及び音響反射構造200との位置関係に依存する。また、基底が所在する平面に垂直する方向で第1の凹み部10と第2の凹み部20との位置が対応するため、第2の凹み部20と上部電極500、及び音響反射構造200との位置関係は、第1の凹み部10及び第2の凹み部20と上部電極500、及び音響反射構造200との位置関係を代表する。以下、音響反射構造は、基底100内に嵌り込まれたキャビティ210であることを例として具体的に説明する。
【0077】
以上から分かるように、実際の適用において、音響反射構造200の、基底100が所在する平面での正投影は一般的に、上部電極500の、基底100が所在する平面での正投影をカバーすることで、上部電極500の、音響反射構造200を超える部分が圧電層400と接触して寄生発振を生成することを回避し、従って、上記の何れか1つの実施例に基づいて、好ましくは、本出願の1つの実施例において、
図1a~
図1hに示すように、基底100が所在する平面に垂直する方向で、音響反射構造200のエッジは上部電極500のエッジ外側に位置し、又は上部電極500のエッジと重なっている;
第2の凹み部20は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、第2の側辺は第1の側辺の外側に位置する;
基底100が所在する平面に垂直する方向で、第2の凹み部20の第1の側辺は上部電極500のエッジ外側に位置し、又は上部電極500のエッジと重なっている。
【0078】
具体的に、基底100が所在する平面に垂直する方向で、音響反射構造200のエッジは上部電極500のエッジと重なっている場合、実効共振領域は音響反射構造200に対応する領域、又は上部電極500に対応する領域であり、この場合、第2の凹み部20の第1の側辺は上部電極500のエッジ(又は音響反射構造200のエッジ)と重なってもよく、具体的に
図1aを参照すればよく、第2の凹み部20の第1の側辺は上部電極500のエッジ(又は音響反射構造200のエッジ)外側に位置し、即ち、第2の凹み部20の第1の側辺と上部電極500のエッジとは一定の距離を有してもよく、具体的に
図1bを参照すればよい。
【0079】
基底100が所在する平面に垂直する方向で、音響反射構造200のエッジが上部電極500のエッジ外側に位置する場合、実効共振領域は上部電極500に対応する領域であり、この場合、第2の凹み部20の第1の側辺は上部電極500のエッジと重なっていると、第2の凹み部20の第2の側辺は音響反射構造200のエッジ内側に位置してもよく、具体的に
図1cを参照すればよく、第2の凹み部20の第2の側辺は音響反射構造200のエッジと重なってもよく、具体的に
図1dを参照すればよく、第2の凹み部20の第2の側辺はさらに音響反射構造200のエッジ外側に位置し、即ち、第2の凹み部20は音響反射構造200のエッジを跨ってもよく、具体的に
図1eを参照すればよい;
第2の凹み部20の第1の側辺が上部電極500のエッジ外側に位置し、即ち、第2の凹み部20の第1の側辺と上部電極500のエッジとの間が一定の距離を有すると、第2の凹み部20は音響反射構造200のエッジ内側に位置してもよいし、又は音響反射構造200のエッジと重なってもよく、具体的に
図1fを参照すればよく、第2の凹み部20は音響反射構造200のエッジを跨ってもよく、この場合、第2の凹み部20の第1の側辺は音響反射構造200のエッジ内側に位置し、且つ第2の凹み部20の第2の側辺は音響反射構造200のエッジ外側に位置し、具体的に
図1gを参照すればよく、第2の凹み部20はさらに音響反射構造200のエッジ外側に位置してもよく、この場合、第2の凹み部20の第1の側辺は音響反射構造200のエッジ外側に位置してもよく、又は音響反射構造200のエッジと重なってもよく、具体的に
図1hを参照すればよい。
【0080】
ここで、上記の各実施例において、音響反射構造200の、基底100が所在する平面での正投影は上部電極500の、基底100が所在する平面での正投影の以上であり、且つ第2の凹み部20の、基底が所在する平面での正投影は上部電極500の、基底100が所在する平面での正投影と重ならなくて、又は境界のみで接触するため、実効共振領域は上部電極500のエッジから画成される。
【0081】
好ましくは、本出願の別の実施例において、
図2a~
図2eに示すように、基底100が所在する平面に垂直する方向で、音響反射構造200のエッジは上部電極500のエッジ外側に位置し、又は上部電極500のエッジと重なっている;
第2の凹み部20は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、第2の側辺は第1の側辺の外側に位置する;
基底100が所在する平面に垂直する方向で、第2の凹み部20の第2の側辺は上部電極500のエッジ内側に位置し、又は上部電極500のエッジと重なっている。
【0082】
具体的に、基底100が所在する平面に垂直する方向で、音響反射構造200のエッジが上部電極500のエッジ外側に位置する場合、第2の凹み部20の第2の側辺は上部電極500のエッジと重なってもよく、具体的に
図2aを参照すればよく、この場合、第2の凹み部20の第1の側辺の間に位置する音響反射構造200、下部電極300、圧電層400及び上部電極500の重畳領域は実効共振領域であり、第2の凹み部20の第2の側辺は上部電極500のエッジ内側に位置してもよく、即ち、第2の凹み部20の第2の側辺と上部電極500のエッジとの間は一定の距離を有し、具体的に
図2bを参照すればよく、この場合、第2の凹み部20の第1の側辺の間に位置し、及び第2の凹み部20の第2の側辺と上部電極のエッジとの間に位置する音響反射構造200、下部電極300、圧電層400及び上部電極500の重畳領域はいずれも実効共振領域である。
【0083】
基底100が所在する平面に垂直する方向で、音響反射構造200のエッジは上部電極500のエッジと重なっている場合、第2の凹み部20の第2の側辺は上部電極500のエッジと重なってもよく、具体的に
図2cを参照すればよく、この場合、第2の凹み部20の第1の側辺の間に位置する音響反射構造200、下部電極300、圧電層400及び上部電極500の重畳領域は実効共振領域であり、第2の凹み部20の第2の側辺は上部電極500のエッジ内側に位置してもよく、即ち、第2の凹み部20の第2の側辺と上部電極500のエッジとの間は一定の距離を有し、具体的に
図2dを参照すればよく、この場合、第2の凹み部20の第1の側辺の間に位置し、及び第2の凹み部20の第2の側辺と上部電極のエッジとの間に位置する音響反射構造200、下部電極300、圧電層400及び上部電極500の重畳領域はいずれも実効共振領域である。
【0084】
上記の何れか1つの実施例に基づいて、好ましくは、本出願の1つの実施例において、
図2a~
図2dに示すように、基底100が所在する平面に垂直する方向で、上部電極500の、第2の凹み部20に対応する部分の延伸方向は基底100が所在する平面に平行し、即ち、上部電極500の、第2の凹み部20に対応する部分は水平状を呈している。
【0085】
好ましくは、本出願の別の実施例において、
図2eに示すように、基底100が所在する平面に垂直する方向で、上部電極500の、第2の凹み部20に対応する部分は、基底100に背離する側へ突起し、即ち、上部電極500の、第2の凹み部20に対応する部分はアーチ橋に類似する構造を形成し、この場合、第2の凹み部20もアーチ橋構造になって、アーチ橋構造の第2の凹み部20は横波反射効果をさらに高めて、バルク音響共振器の品質係数を向上させる。
【0086】
好ましくは、本出願の他の実施例において、
図3a~
図3dに示すように、基底100が所在する平面に垂直する方向で、音響反射構造200のエッジは上部電極500のエッジ外側に位置し、又は上部電極500のエッジと重なっている;
第2の凹み部20は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、第2の側辺は第1の側辺の外側に位置する;
基底100が所在する平面に垂直する方向で、第2の凹み部20の第1の側辺は上部電極500のエッジ内側に位置し、第2の凹み部20の第2の側辺は上部電極500のエッジ外側に位置する。
【0087】
本実施例において、第2の凹み部20は上部電極500のエッジを跨って、基底100が所在する平面に垂直する方向で、音響反射構造200のエッジは上部電極500のエッジと重なっている場合、第2の凹み部20が上部電極500のエッジ(又は音響反射構造200のエッジ)を跨っている状況について、
図3aを参照すればよく、この場合、実効共振領域は、第2の凹み部20の第1の側辺の間の対応している音響反射構造200、下部電極300、圧電層400及び上部電極500の重畳領域である。
【0088】
基底100が所在する平面に垂直する方向で、音響反射構造200のエッジは上部電極500のエッジ外側に位置する場合、第2の凹み部20の第2の側辺は音響反射構造200のエッジ内側に位置してもよく、具体的に
図3bを参照すればよく、第2の凹み部20の第2の側辺は音響反射構造200のエッジと重なってもよく、具体的に
図3cを参照すればよく、第2の凹み部20の第2の側辺はさらに音響反射構造200のエッジ外側に位置してもよく、具体的に
図3dを参照すればよく、以上の3つの場合で、実効共振領域は、第2の凹み部20の第1の側辺の間の対応している音響反射構造200、下部電極300、圧電層400及び上部電極500の重畳領域である。
【0089】
上記各実施例において、基底100が所在する平面に垂直する方向で、上部電極500は何れも音響反射構造200のエッジ内側に位置し、具体的に、上部電極500のエッジは音響反射構造200のエッジと重なってもよく、又は音響反射構造200のエッジ内側に位置してもよく、発明者の研究により、第2の凹み部20が上部電極500のエッジを跨っている場合、上部電極500のエッジは音響反射構造200のエッジ外側に位置することで、上部電極500の、音響反射構造200のエッジを超える部分は第2の凹み部20にぶら下がって、これによって、上部電極500の、音響反射構造200のエッジを超えた部分は圧電層400と接触して寄生発振を生成することがないことが分かった。従って、
図4a~
図4eに示すように、好ましくは、本出願の別の実施例において、基底100が所在する平面に垂直する方向で、上部電極500のエッジは音響反射構造200のエッジ外側に位置する;
第2の凹み部20は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、第2の側辺は第1の側辺の外側に位置する;
基底100が所在する平面に垂直する方向で、第2の凹み部20の第1の側辺は音響反射構造200のエッジ内側に位置し、又は音響反射構造200のエッジと重なって、第2の凹み部20の第2の側辺は上部電極500のエッジ外側に位置し、又は上部電極500のエッジと重なっている。
【0090】
具体的に、基底100が所在する平面に垂直する方向で、第2の凹み部20の第1の側辺は音響反射構造200のエッジ内側に位置する場合、第2の凹み部20の第2の側辺は上部電極500のエッジ外側に位置してもよく、具体的に
図4aを参照すればよく、第2の凹み部20の第2の側辺は上部電極500のエッジと重なってもよく、具体的に
図4bを参照すればよく、以上の2つの場合で、実効共振領域は、第2の凹み部20の第1の側辺の間の対応している音響反射構造200、下部電極300、圧電層400及び上部電極500の重畳領域である。
【0091】
基底100が所在する平面に垂直する方向で、第2の凹み部20の第1の側辺は音響反射構造200のエッジ内側と重なっている場合、第2の凹み部20の第2の側辺は上部電極500のエッジ外側に位置してもよく、具体的に
図4cを参照すればよく、第2の凹み部20の第2の側辺は上部電極500のエッジと重なってもよく、具体的に
図4dを参照すればよく、以上の2つの場合で、実効共振領域は、第2の凹み部20の第1の側辺の間の対応している音響反射構造200、下部電極300、圧電層400及び上部電極500の重畳領域である。
【0092】
ここで、上記の各実施例において、上部電極500のエッジは音響反射構造200のエッジを超えるが、音響反射構造200エッジの外側で、上部電極500と圧電層400との間は第2の凹み部20によって仕切られて接触しないため、寄生共振を生成することがない。
【0093】
上記の各実施例に基づいて、上部電極500は第1の部分510及び第2の部分520を含み、第1の部分510の延伸方向は基底100が所在する平面に平行し、且つ第1の部分100は圧電層400の、基底100に背離する表面と接触し、第2の部分520は第2の凹み部20の上方にぶら下がって、即ち、上部電極500の第2の部分520は「帽子つば」構造を形成する。
【0094】
好ましくは、本出願の1つの実施例において、
図3a~
図3d、
図4a~
図4dに示すように、上部電極500の第2の部分520の延伸方向は基底100が所在する平面に平行し、即ち、本実施例において、上部電極の第1の部分510と第2の部分520との延伸方向は同じであり、何れも基底が所在する平面に平行し、水平状を呈している。
【0095】
好ましくは、本出願の別の実施例において、
図4eに示すように、上部電極500の第2の部分520の延伸方向と上部電極500の第1の部分510の延伸方向との間の夾角は0°より大きく、90°より小さく、即ち、本実施例において、上部電極500の第2の部分520は第2の凹み部200の上方で、基底100に背離する方向へ反り返る。この場合、音響反射構造200のエッジは上部電極500のエッジ内側、外側に位置してもよいし、又は上部電極500のエッジと重なってもよい。
【0096】
上記の各実施例に基づいて、好ましくは、本出願の1つの実施例において、
図3a~
図3d、
図4a及び
図4cに示すように、第2の凹み部20の第1の側辺は上部電極500のエッジ内側に位置し、第2の凹み部20の第2の側辺は上部電極500のエッジ外側に位置し、即ち、第2の凹み部20は上部電極500のエッジを跨っている。
【0097】
この場合、上部電極500の第2の部分520の延伸方向は基底100が所在する平面に平行し、且つ上部電極500の第2の部分520の、第1の部分510に背離する端面は基底100が所在する平面に垂直し、即ち、上部電極500の、第2の凹み部20の上方にぶら下がっている部分の側壁は垂直側壁であり、当該垂直側壁はドライエッチングされることで形成され、ドライエッチングの過程で、上部電極500の側辺と、圧電層400の、基底に背離する表面との間は、空気又は他の媒体が充填された第2の凹み部20によって仕切られたため、少しエッチングしすぎても、圧電層400に対して何の損傷もなく、圧電層400の圧電の一致性を保護する。
【0098】
上記各実施例において、結論として、第2の凹み部20は上部電極500のエッジの内側に位置し、上部電極500のエッジを跨るか、又は上部電極500のエッジ外側に位置してもよく、上部電極500は一般的に多角形、例えば五角形であるため、
図18~
図20に示すように、上部電極500は複数の側辺を含み、そうすれば、基底が所在する平面に垂直する方向で、第2の凹み部20は上部電極500の少なくとも1本の側辺に対応するように配置される。
【0099】
好ましくは、本出願の1つの実施例において、基底が所在する平面に垂直する方向で、第2の凹み部20は上部電極500の1本の側辺に対応するように配置される。
【0100】
好ましくは、本出願の別の実施例において、基底が所在する平面に垂直する方向で、第2の凹み部20は上部電極500の複数の側辺に対応するように配置される。
【0101】
好ましくは、本出願の別の実施例において、基底が所在する平面に垂直する方向で、第2の凹み部20は上部電極500の各側辺に対応するように配置され、本出願は第2の凹み部20が上部電極500の1本の側辺に位置するか、それとも複数の側辺に位置するかということについて限定せず、具体的に、状況に応じて決定する。
【0102】
上記の実施例に基づいて、好ましくは、本出願の1つの実施例において、
図18及び
図19に示すように、第2の凹み部20は、上部電極500の各側辺に対応する少なくとも1つの連続的なトレンチを含み、具体的に、本出願の1つの実施例において、第2の凹み部20は上部電極500の各側辺を取り囲む1つの連続的なトレンチ(
図18を参照)であってもよく、この場合、上部電極500の各側辺に対応するトレンチは規則的形状であってもよいし、不規則形状であってもよく、そして、上部電極の各側辺に対応するトレンチの長さ、幅及び深さは何れも同様であってもよいし、異なってもよく、具体的に、状況に応じて決定する。
【0103】
具体的に、本出願の別の実施例において、第2の凹み部20は上部電極500の各側辺を取り囲む複数の連続的なトレンチ(
図19を参照)であってもよく、この場合、各連続的なトレンチの形状、長さ、幅及び深さは何れも同様であってもよいし、異なってもよく、具体的に、状況に応じて決定する。
【0104】
好ましくは、本出願の別の実施例において、
図20に示すように、第2の凹み部20は、上部電極500の少なくとも1本の側辺に対応する複数のスポット状トレンチを含んでもよく、この場合、各スポット状トレンチの形状、長さ、幅及び深さは何れも同様であってもよいし、異なってもよく、具体的に、状況に応じて決定する。
【0105】
好ましくは、本出願の別の実施例において、
図18~
図20に示すように、第2の凹み部20は上部電極500の各側辺に対応する少なくとも1つ連続的なトレンチを含むとともに、上部電極500の少なくとも1本の側辺に対応する複数のスポット状トレンチを含んでもよく、具体的に、状況に応じて決定する。
【0106】
ここで、上記の各実施例において、基底100が所在する平面に垂直する方向で、第2の凹み部20は上部電極500エッジの外側に位置してもよいし、上部電極500のエッジを跨ってもよいし、さらに上部電極500のエッジ内側に位置してもよく、即ち、第2の凹み部20と上部電極500のエッジとの距離は0以上であってもよく、この場合、第2の凹み部20と上部電極500の各側辺との対応距離は何れも等しくてもよいし、等しくなくてもよく、具体的に、状況に応じて決定する。
【0107】
例えば、上部電極500の1本の側辺に対応するように、第2の凹み部20と上部電極500の当該側辺との距離は0より大きく、上部電極500の別の側辺に対応するように、第2の凹み部20と上部電極500の当該側辺との距離は0に等しい。
【0108】
好ましくは、第2の凹み部20と上部電極500の各側辺との間の距離は0μm~10μmであってもよく、具体的に、状況に応じて決定する。
【0109】
上記の何れか1つの実施例に基づいて、好ましくは、本出願の1つの実施例において、音響反射構造200は矩形であってもよく、この場合、基底が所在する平面に垂直する方向で、音響反射構造200のエッジを容易に区別でき、そうすれば、第2の凹み部20と音響反射構造200との位置関係は上記の各実施例のように、音響反射構造200のエッジ外側、エッジ内側に位置するか、又は音響反射構造200のエッジを跨っている。
【0110】
好ましくは、本出願の別の実施例において、音響反射構造200は逆台形であってもよく、この場合、基底が所在する平面に垂直する方向で、音響反射構造200のエッジは逆台形の上底のエッジである。そうすれば、第2の凹み部20と音響反射構造200との位置関係は上記の各実施例のように、音響反射構造200のエッジ外側、エッジ内側に位置するか、又は音響反射構造200のエッジを跨っている。
【0111】
本出願の実施例はバルク音響共振器の製造方法をさらに提供し、
図1a~
図1h、
図2a~
図2e、
図3a~
図3d、
図4a~
図4e及び
図5~
図8に示すように、当該方法は以下のステップを含み、
S100:基底100を提供する。
好ましくは、基底100は高抵抗のSi基板であってもよいし、他の基板、例えば二酸化ケイ素(SiO2)、砒化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、ガラス又はセラミックス材料であってもよい。
S200:下部電極300を基底100に形成するとともに、第1の凹み部10を下部電極300の、基底100に背離する表面に形成し、下部電極300と基底100との間には音響反射構造200又は犠牲層が設けられる。
下部電極10の1本の側辺は外部に接続されることで、電気信号を下部電極に提供する。
【0112】
好ましくは、音響反射構造200はキャビティ210であってもよいし、ブラッグ反射鏡構造220であってもよい。
【0113】
具体的に、音響反射構造200がキャビティ210である場合、キャビティ210は基底100に位置してもよく、この場合、基底100に犠牲材料を沈積させて犠牲層を形成し、後続で、下部電極300を犠牲材料及び基底100に形成すると、下部電極300と基底100との間には犠牲材料が充填され、最後、圧電層400及び上部電極500を下部電極300の、基底100に背離する側に順に形成してから、圧電層400を犠牲材料までエッチングして、リリース孔を形成し、腐食性溶液によって犠牲材料を除去し、キャビティ210を下部電極300と基底100との間に形成し、下部電極300、圧電層400及び上部電極500をキャビティ210の上方に吊り下げて、下部電極-空気の反射界面を提供する。
【0114】
音響反射構造200がキャビティ210である場合、キャビティ210は基底内に嵌り込まれてもよく、この場合、基底100にエッチングして凹溝を形成してから、犠牲材料を基底100の凹溝内に充填して犠牲層を形成し、犠牲材料に対して研磨を行うことで、犠牲材料を基底100が所在する平面と整合させ、下部電極300、圧電層400及び上部電極500を基底100及び犠牲材料の一方に順に形成してから、圧電層400を犠牲材料までエッチングし、リリース孔を形成して、犠牲材料を除去し、キャビティ210を下部電極300と基底との間に形成し、下部電極300、圧電層400及び上部電極500をキャビティ210の上方に吊り下げて、下部電極-空気の反射界面を提供する。
【0115】
音響反射構造200がブラッグ反射鏡構造220である場合、ブラッグ反射鏡構造220は基底に位置してもよく、この場合、ブラッグ反射鏡構造220を基底100に直接的に形成する。ブラッグ反射鏡構造220は基底100内に嵌り込まれてもよく、この場合、基底100にエッチングして凹溝を形成してから、ブラッグ反射鏡構造220を基底100の凹溝内に形成し、当該2つの場合で、後続で、何れも下部電極300、圧電層400及び上部電極500を基底100及びブラッグ反射構造220に順に形成できる。
【0116】
S300:圧電層400を下部電極300の、基底100に背離する側に形成し、第1の凹み部10に圧電層400が充填され、圧電層400の形成過程で、第1の凹み部10の形状を圧電層400の、基底100に背離する表面に転写することで、第2の凹み部20を圧電層400の、基底100に背離する表面に形成し、基底が所在する平面に垂直する方向で、圧電層400の各箇所の厚さが等しく、第1の凹み部10の、基底が所在する平面での正投影は第2の凹み部20の、基底が所在する平面での正投影をカバーする。
S400:上部電極500を圧電層400の、基底に背離する側に形成する。
上部電極500の1本の側辺は外部に接続されることで、電気信号を上部電極に提供する。
【0117】
ここで、好ましくは、上部電極500及び下部電極300の材料、厚さ、形状は何れも同様であるが、異なってもよく、上部電極500より下部電極300は大きな面積を有してもよく、好ましくは、上部電極500及び下部電極300の材料はモリブデン(Mo)であってもよいし、他の材料、例えば金(Au)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)、チタン(Ti)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)などであってもよい。好ましくは、圧電層400の材料は窒化アルミニウム(AlN)であってもよいし、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛 (ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、チタン酸鉛[PT](PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛[PZT](Pb(Zr、Ti)O3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)又はジルコン酸チタン酸ランタン鉛シリーズの他のメンバーから製造されてもよい。
【0118】
また、ここで、下部電極300は単層電極であってもよいし、2層及びそれ以上の複合電極であってもよく、同じように、上部電極500は単層電極であってもよいし、2層及びそれ以上の複合電極であってもよく、好ましくは単層電極である。圧電層400はさらに他の元素がドープされて、その圧電性を変更してもよく、例えばスカンジウム、イットリウム、マグネシウム、チタン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムなどがドープされる。
【0119】
また、ここで、第2の凹み部20には空気が充填されてもよいし、他の低音響抵抗、低誘電定数又は高絶縁性の媒体材料が充填されてもよい。低音響抵抗材料を第2の凹み部20内に充填する方法は、第2の凹み部内の犠牲材料を除去してから、他の媒体材料を充填してもよいし、犠牲材料の変わりとして、直接的に媒体材料を使用してもよいが、以降のステップで、第2の凹み部内の充填材料を除去しない。
【0120】
本実施例において、第1の凹み部10を下部電極300の、基底100に背離する表面に形成して、形状を転写することで第2の凹み部20を圧電層400の、基底100に背離する表面に形成し、これによって、圧電層400に対して何の物理的損傷もないことを前提として、第2の凹み部20を圧電層400の、基底100に背離する表面に形成して、従来技術において圧電層400に対してエッチングなどの物理的損傷を行って凹み部を圧電層400に形成するため、圧電層400の応力分布が不均一になるという問題を解决し、圧電層400の応力分布の均一性を改善し、バルク音響共振器の性能及び良品率を向上させ、そして、第1の凹み部10及び第2の凹み部20は実効共振領域のエッジ付近に位置するため、横波共振を抑制し、横波の漏れを減少させ、即ち、音響エネルギー損失を減少させる上で、横波の音響エネルギー比率を減少させ、バルク音響共振器の品質係数を向上させる。
【0121】
上記の実施例に基づいて、好ましくは、本出願の1つの実施例において、下部電極300の、基底100に背離する表面に設けられた第1の凹み部10は、下部電極300の、基底100に背離する表面をエッチングすることで形成された第1の凹み部10であってもよく、エッチング方法はドライエッチング、ウェットエッチング又はドライ・ウェットエッチングを含んでもよい。
【0122】
好ましくは、本出願の別の実施例において、下部電極を形成する前、当該方法はさらに以下のステップを含み、
S210:音響反射構造200又は犠牲層210を形成し、音響反射構造200又は犠牲層210は基底100上に位置するか、又は基底100内に嵌り込まれる;
S220:第3の凹み部30を音響反射構造200、又は犠牲層210及び基底100から構成された全体の一方に形成する。
【0123】
以上から分かるように、音響反射構造200はキャビティ210であってもよいし、又はブラッグ反射鏡構造220であってもよく、音響反射構造200がキャビティ210である場合、まず、犠牲材料をキャビティが所在する領域に代えてから、下部電極300、圧電層400及び上部電極500を形成した後、犠牲材料を除去するため、基底100、又は犠牲材料、或いは同時に基底100及び犠牲材料にエッチングして第3の凹み部30を形成し、以降、下部電極300及び圧電層400を基底100、犠牲材料及び第3の凹み部30に順に沈積させて形成し、下部電極300及び圧電層400の沈積過程で、第3の凹み部30の形状を下部電極300の、基底に背離する表面に順に転写して第1の凹み部10を形成し、及び圧電層400の、基底に背離する表面に第2の凹み部20を形成し、即ち、以降、犠牲材料を除去しても、下部電極300の、基底に背離する表面の第1の凹み部10、及び圧電層400の、基底に背離する表面の第2の凹み部20に影響することがない。音響反射構造200がブラッグ反射鏡構造220であると、最後に、犠牲材料の除去過程を必要としない。
【0124】
本実施例において、下部電極300の形成過程は以下のステップを含み、
下部電極300を音響反射構造200、又は犠牲層210及び基底100から構成された全体の一方に形成し、下部電極300を第3の凹み部に充填し、下部電極300の形成過程で、第3の凹み部30の形状を下部電極300の、基底に背離する表面に転写し、第1の凹み部10を下部電極300の、基底に背離する表面に形成し、基底が所在する平面に垂直する方向で、下部電極300の各箇所の厚さが等しく、第3の凹み部30の、基底が所在する平面での正投影は第1の凹み部10の、基底が所在する平面での正投影をカバーする。
【0125】
本実施例において、基底が所在する平面に垂直する方向で、圧電層400の各箇所の厚さが等しい上に、下部電極300の各箇所の厚さも等しく、即ち、圧電層400に対してエッチングなどの何れの方式の物理的損傷も行わない上で、第2の凹み部20を圧電層400の、基底に背離する表面に形成するだけではなく、下部電極300に対してエッチングなどの何れの方式の物理的損傷も行わない上で、第1の凹み部10を下部電極300の、基底に背離する表面に形成し、従って、本実施例が提供するバルク音響共振器において、圧電層400の応力分布がより均一になって、デバイス性能及び良品率がよりよくなる。
【0126】
本出願の実施例はフィルタをさらに提供し、上記の何れか1つの実施例が提供するバルク音響共振器を含む。上記のバルク音響共振器について、上記の各実施例において詳しく説明したため、ここで、贅言しない。
【0127】
本出願の実施例は電子機器をさらに提供し、上記のフィルタ又は上記の何れか1つの実施例が提供するバルク音響共振器を含む。上記のバルク音響共振器について、上記の各実施例において詳しく説明したため、ここで、贅言しない。
【0128】
本明細書における各部分は並列と漸進とを結合した方式で記載され、各部分は何れも他の部分との相違点を主に説明し、各部分の間の同様又は類似の部分について互いに参照すればよい。
【0129】
開示された実施例に対する上記の説明について、本明細書における各実施例に記載の特徴を互いに置き換え又は組み合わせてもよく、これによって、当業者は本出願を実現又は使用できる。これらの実施例に対する多種の修正は当業者にとって自明であり、本明細書に定義された一般的な原理は本出願の精神又は範囲から逸脱しない場合、他の実施例において実現されてもよい。従って、本出願は本明細書に示された実施例に限定されず、本明細書に開示された原理及び新規特点と一致する最も幅広い範囲に合う。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク音響共振器であって、
基底と、
前記基底上に位置するか、又は前記基底内に嵌り込まれた音響反射構造と、
前記音響反射構造と前記基底の一方に位置して順に配列された下部電極、圧電層、上部電極であって、前記下部電極の、前記基底に背離する表面には第1の凹み部が設けられ、前記第1の凹み部には前記圧電層が充填され、前記圧電層の、前記基底に背離する表面には第2の凹み部が設けられ、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記圧電層の各箇所の厚さが等しく、前記第1の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影は、前記第2の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影をカバーする下部電極、圧電層、上部電極と、を含
み、
前記上部電極は複数の側辺を含み、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部は前記上部電極の少なくとも1本の側辺に対応するように配置されることを特徴とするバルク音響共振器。
【請求項2】
前記音響反射構造及び前記基底から構成された全体の、前記下部電極へ向く表面には第3の凹み部が設けられ、前記第3の凹み部には前記下部電極が充填され、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記下部電極の各箇所の厚さが等しく、前記第3の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影は、前記第1の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影をカバーすることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項3】
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記音響反射構造のエッジは前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なり、
前記第2の凹み部は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、前記第2の側辺は前記第1の側辺の外側に位置し、
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部の第1の側辺は前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項4】
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記音響反射構造のエッジは前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なり、
前記第2の凹み部は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、前記第2の側辺は前記第1の側辺の外側に位置し、
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部の第2の側辺は前記上部電極のエッジ内側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項5】
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記上部電極の、前記第2の凹み部に対応する部分の延伸方向は前記基底が所在する平面に平行し、
又は、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記上部電極の、前記第2の凹み部に対応する部分は、前記基底に背離する側へ突起することを特徴とする請求項4に記載のバルク音響共振器。
【請求項6】
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記音響反射構造のエッジは前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なり、
前記第2の凹み部は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、前記第2の側辺は前記第1の側辺の外側に位置し、
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部の第1の側辺は前記上部電極のエッジ内側に位置し、前記第2の凹み部の第2の側辺は前記上部電極のエッジ外側に位置することを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項7】
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記上部電極のエッジは前記音響反射構造のエッジ外側に位置し、
前記第2の凹み部は対向している第1の側辺と第2の側辺とを有し、前記第2の側辺は前記第1の側辺の外側に位置し、
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第2の凹み部の第1の側辺は前記音響反射構造のエッジ内側に位置するか、又は前記音響反射構造のエッジと重なり、前記第2の凹み部の第2の側辺は前記上部電極のエッジ外側に位置するか、又は前記上部電極のエッジと重なることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項8】
前記上部電極は第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分の延伸方向は、前記基底が所在する平面に平行し、且つ前記第1の部分は前記圧電層の、前記基底に背離する表面と接触し、前記第2の部分は前記第2の凹み部の上方にぶら下がって、
前記第2の部分の延伸方向は、前記基底が所在する平面に平行し、
又は、前記第2の部分の延伸方向と前記第1の部分の延伸方向との間の夾角は0°より大きく、90°より小さいことを特徴とする請求項
6に記載のバルク音響共振器。
【請求項9】
前記上部電極は第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分の延伸方向は、前記基底が所在する平面に平行し、且つ前記第1の部分は前記圧電層の、前記基底に背離する表面と接触し、前記第2の部分は前記第2の凹み部の上方にぶら下がって、
前記第2の部分の延伸方向は、前記基底が所在する平面に平行し、
又は、前記第2の部分の延伸方向と前記第1の部分の延伸方向との間の夾角は0°より大きく、90°より小さいことを特徴とする請求項7に記載のバルク音響共振器。
【請求項10】
前記第2の凹み部の第1の側辺は前記上部電極のエッジ内側に位置し、前記第2の凹み部の第2の側辺は前記上部電極のエッジ外側に位置し、
前記第2の部分の延伸方向は、前記基底が所在する平面に平行し、前記第2の部分の、前記第1の部分に背離する端面は、前記基底が所在する平面に垂直することを特徴とする請求項8に記載のバルク音響共振器。
【請求項11】
前記第2の凹み部の第1の側辺は前記上部電極のエッジ内側に位置し、前記第2の凹み部の第2の側辺は前記上部電極のエッジ外側に位置し、
前記第2の部分の延伸方向は、前記基底が所在する平面に平行し、前記第2の部分の、前記第1の部分に背離する端面は、前記基底が所在する平面に垂直することを特徴とする請求項9に記載のバルク音響共振器。
【請求項12】
前記第2の凹み部は、前記上部電極の各側辺に対応する少なくとも1つの連続的なトレンチを含み、
及び/又は、前記第2の凹み部は、前記上部電極の少なくとも1本の側辺に対応する複数のスポット状トレンチを含むことを特徴とする請求項
1に記載のバルク音響共振器。
【請求項13】
前記音響反射構造はキャビティ又はブラッグ反射鏡構造であることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項14】
前記第1の凹み部及び前記第2の凹み部は何れも逆台形、逆三角形、四角形又は不規則形状であることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項15】
前記第2の凹み部内には充填媒体が設けられ、前記充填媒体は空気、リンドープされた二酸化ケイ素、炭素ドープされた二酸化ケイ素、誘電体樹脂又はベンゾシクロブテンを含むことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項16】
前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記第1の凹み部の深さは前記下部電極の厚さ以下であることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項17】
前記下部電極のエンドは垂直状、傾斜状、階段状又は弧状を呈していることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項18】
バルク音響共振器の製造方法であって、
基底を提供するステップと、
下部電極を前記基底に形成して、第1の凹み部を前記下部電極の、前記基底に背離する表面に形成するステップであって、前記下部電極と前記基底との間には音響反射構造又は犠牲層が設けられるステップと、
圧電層を前記下部電極の、前記基底に背離する側に形成するステップであって、前記第1の凹み部には前記圧電層が充填され、前記圧電層の形成過程で、前記第1の凹み部の形状は前記圧電層の、前記基底に背離する表面に転写され、第2の凹み部を前記圧電層の、前記基底に背離する表面に形成し、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記圧電層の各箇所の厚さが等しく、前記第1の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影は、前記第2の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影をカバーするステップと、
上部電極を前記圧電層の、前記基底に背離する側に形成するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記下部電極を形成する前、当該方法は、
音響反射構造又は犠牲層を形成するステップであって、前記音響反射構造又は前記犠牲層は前記基底上に位置するか、又は前記基底内に嵌り込まれるステップと、
第3の凹み部を前記音響反射構造、又は前記犠牲層及び前記基底から構成された全体の一方に形成するステップと、をさらに含み、
前記下部電極の形成過程は、
下部電極を前記音響反射構造、又は前記犠牲層及び前記基底から構成された全体の一方に形成するステップであって、前記第3の凹み部には前記下部電極が充填され、前記下部電極の形成過程で、前記第3の凹み部の形状は前記下部電極の、前記基底に背離する表面に転写され、前記第1の凹み部を前記下部電極の、前記基底に背離する表面に形成し、前記基底が所在する平面に垂直する方向で、前記下部電極の各箇所の厚さが等しく、前記第3の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影は、前記第1の凹み部の、前記基底が所在する平面での正投影をカバーするステップを含むことを特徴とする請求項1
8に記載の方法。
【請求項20】
フィルタであって、請求項1~1
7の何れか1項に記載のバルク音響共振器を含むことを特徴とするフィルタ。
【請求項21】
電子機器であって、請求項
20に記載のフィル
タを含むことを特徴とする電子機器。
【請求項22】
電子機器であって
、請求項1~
17の何れか1項に記載のバルク音響共振器を含むことを特徴とする電子機器。
【国際調査報告】