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特表2024-533900バルク音響共振器、共振器ユニット、フィルタ及び電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-13
(54)【発明の名称】バルク音響共振器、共振器ユニット、フィルタ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/17 20060101AFI20240906BHJP
   H03H 9/54 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H9/54 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546075
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 CN2022121570
(87)【国際公開番号】W WO2024040678
(87)【国際公開日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】202211034164.7
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520296211
【氏名又は名称】見聞録(浙江)半導体有限公司
【氏名又は名称原語表記】JWL (ZHEJIANG) SEMICONDUCTOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】BUILDING 3, NO.55, DACHUANWAN ROAD, LONGXI SUB-DISTRICT, HUZHOU, ZHEJIANG 313000, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(72)【発明者】
【氏名】リ リンピン
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA01
5J108AA07
5J108BB08
5J108CC08
5J108CC11
5J108EE03
(57)【要約】
本出願はバルク音響共振器、その製造方法、フィルタ及び電子機器を開示し、当該バルク音響共振器は基底、基底に背離する方向に沿って順に配列される音響反射構造、下電極、圧電層及び上電極を含み、下電極の、基底に背離する表面には第1凹みが設けられ、下電極の、基底に背離する側には圧電層が形成された場合、第1凹み形状は圧電層の、基底に背離する表面に伝達され、圧電層の、基底に背離する表面には第2凹みが形成され、圧電層の各箇所の厚さが等しく、即ち、圧電層に対してエッチングなどの何れかの物理的破壊を行っていないため、圧電層の、第2凹み付近での局所応力分布を破壊することなく、圧電層における応力分布がより均一になり、バルク音響共振器の性能及び良品率を向上し、第1凹み及び第2凹みは実効共振領域のエッジ付近に位置することで、横波共振を抑制して、横波漏れを減少して、バルク音響共振器の品質係数を向上する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク音響共振器であって、
第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電層を含み、音響反射素子は前記第1電極の、前記圧電層に背離する側に設けられ、前記音響反射素子、前記第1電極、前記圧電層及び前記第2電極の重畳部分は実効共振領域であり、
前記第2電極は、前記実効共振領域内に位置する部分以外に、第2電極接続部をさらに含み、
前記圧電層は、前記第1電極のエンドを超えるように延在して、且つその厚さが不変であり、前記第2電極接続部と前記圧電層との間には第1隙間があり、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記第1隙間の上面は、前記実効共振領域内の圧電層の上面を超えないことを特徴とするバルク音響共振器。
【請求項2】
前記第1隙間の一方は、前記音響反射素子の内側に位置するか又は前記音響反射素子のエッジと重なり、他方は前記第1電極エンドの外側に位置することを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項3】
前記第1隙間は前記第1電極の一部と重畳することを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項4】
前記圧電層は成長欠陥を有する欠陥領域を含み、前記第1隙間は前記欠陥領域の少なくとも一部を覆うことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項5】
前記第1電極のエンドは前記音響反射素子のエッジを超えていることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項6】
前記第1電極は第1厚さ薄肉化領域を有し、前記第1厚さ薄肉化領域の厚さを前記実効共振領域内の第1電極の厚さより小さくすることで、前記圧電層が直接的に前記第1厚さ薄肉化領域を覆うようにし、前記圧電層と前記第2電極接続部との間には前記第1隙間が形成され、前記第1厚さ薄肉化領域の一方は前記音響反射素子の内側に位置することを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項7】
前記第1厚さ薄肉化領域の他方は前記第1電極のエンドと重なるか、又は前記第1電極のエンドと一定の距離を有することを特徴とする請求項6に記載のバルク音響共振器。
【請求項8】
前記第1厚さ薄肉化領域と前記圧電層との接触面は階段状、円弧状又は傾斜状であることを特徴とする請求項6に記載のバルク音響共振器。
【請求項9】
前記第1電極は積層されている第1金属電極と第2金属電極とを含み、前記第2金属電極は前記第1金属電極の、前記圧電層に近接する側に位置し、前記第2金属電極のエンドは前記第1金属電極のエンドに対して収縮して前記第1厚さ薄肉化領域を形成することを特徴とする請求項6に記載のバルク音響共振器。
【請求項10】
基底をさらに含み、前記音響反射素子は前記基底内に嵌め込まれるか、又は前記基底の表面に位置することを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項11】
前記音響反射素子は前記基底表面に位置し、前記第1電極は前記基底の表面で上に突出し、前記音響反射素子が前記第1電極の上に突出した部分と前記基底の表面との間に位置するようにし、前記圧電層が直接的に前記第1電極を覆い、前記圧電層と前記第2電極接続部との間に前記第1隙間が形成されるようにすることを特徴とする請求項10に記載のバルク音響共振器。
【請求項12】
前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記第2電極接続部の上面は、前記実効共振領域内の第2電極の上面を超えないことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項13】
前記第2電極接続部の上面は前記実効共振領域内の第2電極の上面と整合していることを特徴とする請求項12に記載のバルク音響共振器。
【請求項14】
前記第2電極接続部は凹み部を介して前記実効共振領域内の第2電極に接続され、前記凹み部の、前記実効共振領域内の第2電極に接続される部分は、前記圧電層に直接的に接触していることを特徴とする請求項13に記載のバルク音響共振器。
【請求項15】
前記凹み部はV字型又はU字型を呈していることを特徴とする請求項14に記載のバルク音響共振器。
【請求項16】
前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記第2電極接続部の上面は、前記実効共振領域内の第2電極の上面より低く、前記第2電極接続部は傾斜部を介して前記実効共振領域内の第2電極に接続されることを特徴とする請求項12に記載のバルク音響共振器。
【請求項17】
前記傾斜部は前記圧電層に直接的に接触し、
又は、前記実効共振領域内の第2電極が一定の距離だけ水平に延在した後、前記傾斜部に接続されることで、前記傾斜部は前記圧電層に接触しないことを特徴とする請求項16に記載のバルク音響共振器。
【請求項18】
前記第2電極接続部を除いた第2電極は前記実効共振領域から離れるように、延在して第2電極延在部を形成し、前記第2電極延在部と前記圧電層との間には第2隙間があり、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記第2隙間の上面は、前記実効共振領域内の圧電層の上面を超えないことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項19】
前記第1電極は第2厚さ薄肉化領域をさらに有し、前記第2厚さ薄肉化領域の厚さを前記実効共振領域内の第1電極の厚さより小さくすることで、前記圧電層が直接的に前記第2厚さ薄肉化領域を覆い、前記圧電層と前記第2電極延在部との間に前記第2隙間が形成されるようにすることを特徴とする請求項18に記載のバルク音響共振器。
【請求項20】
前記音響反射素子はキャビティ又はブラッグ反射鏡を含むことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項21】
共振器ユニットであって、少なくとも第1共振器、電気素子、及び接続構造を含み、前記第1共振器は請求項1~20の何れか1項に記載のバルク音響共振器であり、
前記接続構造の両端には前記第1共振器の第2電極接続部及び前記電気素子がそれぞれ接続されることを特徴とする共振器ユニット。
【請求項22】
前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記接続構造の上面は、前記第1共振器における実効共振領域内の第2電極の上面を超えないことを特徴とする請求項21に記載の共振器ユニット。
【請求項23】
前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記接続構造の上面は前記第1共振器における実効共振領域内の第2電極の上面と整合し、前記接続構造と前記圧電層との間には第3隙間があることを特徴とする請求項22に記載の共振器ユニット。
【請求項24】
前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記接続構造の上面は、前記第1共振器における実効共振領域内の第2電極の上面より低く、前記接続構造と前記圧電層との間には第3隙間があり、又は前記接続構造は前記圧電層に直接的に接触していることを特徴とする請求項22に記載の共振器ユニット。
【請求項25】
前記第2電極接続部の、前記接続構造に近接する側は少なくとも1つの凹凸構造を有し、前記接続構造は前記少なくとも1つの凹凸構造を介して、前記第1共振器の第2電極接続部及び/又は前記電気素子に接続されることを特徴とする請求項21に記載の共振器ユニット。
【請求項26】
前記電気素子はバルク音響共振器、インダクタ、コンデンサ又はパッドを含むことを特徴とする請求項21に記載の共振器ユニット。
【請求項27】
前記第1共振器の第2電極はその第2電極接続部、前記接続構造及び接続部材を介して前記電気素子に接続され、前記圧電層は貫通しているスルーホールを有し、前記接続部材は前記スルーホール内に位置して前記電気素子に接続され、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記接続部材はさらに前記スルーホールから前記圧電層の上面まで延在していることを特徴とする請求項21に記載の共振器ユニット。
【請求項28】
前記接続部材の、前記圧電層の上面に位置する一端は持ち上げられて持ち上げ部を形成し、前記持ち上げ部と前記圧電層との間には第4隙間があることを特徴とする請求項27に記載の共振器ユニット。
【請求項29】
フィルタであって、請求項1~20の何れか1項に記載のバルク音響共振器、又は請求項21~28の何れか1項に記載の共振器ユニットを含むことを特徴とするフィルタ。
【請求項30】
電子機器であって、請求項1~20の何れか1項に記載のバルク音響共振器、又は請求項21~28の何れか1項に記載の共振器ユニットを含むことを特徴とする電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年08月26日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202211034164.7であり、発明の名称が「バルク音響共振器、共振器ユニット、フィルタ及び電子機器」である中国特許出願の優先権を主張して、その全ての内容は本出願に援用されている。
【0002】
本出願は、半導体の技術分野に関して、特にバルク音響共振器、共振器ユニット、フィルタ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
電磁スペクトルがますます混雑になって、無線通信機器の周波数帯及び機能が段々増え、無線通信電磁スペクトルが500MHzから5GHz以上へ高速に成長していくことに連れて、性能が高く、コストが低く、電力消費が低く、体積が小さい無線周波数フロントエンドモジュールに対するニーズが日々増えている。無線周波数フロントエンドモジュールの1つとして、フィルタは信号の送受信を改善する機能を備え、無線周波数フロントエンドモジュールにおいて重要な作用を発揮する。トポロジネットワーク構造で複数のバルク音響共振器(Thinfilm bulk acoustic resonator、Fbar)が接続されて構成されたフィルタは、体積が小さく、集積能力が強く、高周波でも高品質係数及び強い電力処理能力を有するという特点のため、無線周波数フロントエンドモジュールの高規格要求を満たしている。従って、高性能バルク音響共振器の製造は、現在、人気のある研究の1つになっている。
【0004】
バルク音響共振器は一般的に上下電極及び上下電極の間に介在される圧電層から構成された 「サンドイッチ」構造であり、上下電極に電界を印加した場合、逆圧電効果によって圧電層は電気エネルギーを力学的エネルギーに変換し、力学的エネルギーは音波の形態で存在し、そして、圧電効果によって力学的エネルギーを電気エネルギーに変換して出力し、上電極は空気と接触することで、音波は上電極と空気との境界箇所で全反射が生じて、その同時に、下電極の下方には音響反射素子が設けられることで、音波に対して全反射を行って、エネルギーの漏れを抑制する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のバルク音響共振器の上電極の少なくとも一方は、他方の共振器又はパッド、或いは他の電気素子と接続するように、音響反射素子のエッジ外側に延在する必要があるが、このような接続方式を採用すれば、一般的に、上電極と下電極とが音響反射素子以外の領域で重畳してしまい、当該重畳領域の下方は基底であり、音波全反射を形成できないため、寄生発振が生じて、出力信号では、スプリアス信号になり、バルク音響共振器の性能を劣化させる。
【0006】
また、成長過程で圧電層には成長欠陥が生じて、例えば、圧電層形状が変化した位置で、材料の間の結晶格子の不一致によって多くの成長欠陥が生じて、これによって、共振器の音響エネルギーの損失を招いて、Q係数を低下させる。また、共振器が動作する時に生じる横方向モードの音波も、Q係数を低下させる。
【0007】
従って、如何にバルク音響共振器の音響エネルギー損失を低減して、Q係数を向上するかということは、注目される問題になっている。
【0008】
上記技術問題を解決するために、本出願の実施例はバルク音響共振器、共振器ユニット、フィルタ及び電子機器を提供することで、共振器の音響エネルギー損失を低減して、Q係数を向上する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を実現するために、本出願の第1態様によれば、バルク音響共振器であって、
第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電層を含み、音響反射素子は前記第1電極の、前記圧電層に背離する側に設けられ、前記音響反射素子、前記第1電極、前記圧電層及び前記第2電極の重畳部分は実効共振領域であり、
前記第2電極は前記実効共振領域内に位置する部分以外に、第2電極接続部をさらに含み、
前記圧電層は前記第1電極のエンドを超えるように延在して、且つその厚さが不変であり、前記第2電極接続部と前記圧電層との間には第1隙間があり、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記第1隙間の上面は、前記実効共振領域内の圧電層の上面を超えていない。
【0010】
好ましくは、前記第1隙間の一方は、前記音響反射素子の内側に位置するか又は前記音響反射素子のエッジと重なり、他方は前記第1電極エンドの外側に位置する。
【0011】
好ましくは、前記第1隙間は前記第1電極の一部と重畳する。
【0012】
好ましくは、前記圧電層は成長欠陥を有する欠陥領域を含み、前記第1隙間は前記欠陥領域の少なくとも一部を覆う。
【0013】
好ましくは、前記第1電極のエンドは前記音響反射素子のエッジを超えている。
【0014】
好ましくは、前記第1電極は第1厚さ薄肉化領域を有し、前記第1厚さ薄肉化領域の厚さを前記実効共振領域内の第1電極の厚さより小さくすることで、前記圧電層が直接的に前記第1厚さ薄肉化領域を覆い、前記圧電層と前記第2電極接続部との間には前記第1隙間が形成されるようにし、前記第1厚さ薄肉化領域の一方は前記音響反射素子の内側に位置する。
【0015】
好ましくは、前記第1厚さ薄肉化領域の多方は前記第1電極のエンドと重なり、又は前記第1電極のエンドと一定の距離を有する。
【0016】
好ましくは、前記第1厚さ薄肉化領域と前記圧電層との接触面は階段状、円弧状又は傾斜状である。
【0017】
好ましくは、前記第1電極は積層されている第1金属電極と第2金属電極とを含み、前記第2金属電極は前記第1金属電極の、前記圧電層に近接する側に位置し、そのエンドは前記第1金属電極のエンドに対して収縮して前記第1厚さ薄肉化領域を形成する。
【0018】
好ましくは、前記バルク音響共振器は基底をさらに含み、前記音響反射素子は前記基底内に嵌め込まれるか、又は前記基底の表面に位置する。
【0019】
好ましくは、前記音響反射素子は前記基底表面に位置し、前記第1電極は前記基底の表面で上に突出することで、前記音響反射素子が前記第1電極の上に突出した部分と前記基底の表面との間に位置して、前記圧電層が直接的に前記第1電極を覆い、前記圧電層と前記第2電極接続部との間には前記第1隙間が形成される。
【0020】
好ましくは、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記第2電極接続部の上面は、前記実効共振領域内の第2電極の上面を超えていない。
【0021】
好ましくは、前記第2電極接続部の上面は前記実効共振領域内の第2電極の上面と整合している。
【0022】
好ましくは、前記第2電極接続部は凹み部を介して前記実効共振領域内の第2電極に接続され、前記凹み部の、前記実効共振領域内の第2電極に接続される部分は、前記圧電層に直接的に接触している。
【0023】
好ましくは、前記凹み部はV字型又はU字型を呈している。
【0024】
好ましくは、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記第2電極接続部の上面は、前記実効共振領域内の第2電極の上面より低く、前記第2電極接続部は傾斜部を介して前記実効共振領域内の第2電極に接続される。
【0025】
好ましくは、前記傾斜部は前記圧電層に直接的に接触し、
又は、前記実効共振領域内の第2電極が一定の距離だけ水平に延在した後、前記傾斜部に接続されることで、前記傾斜部は前記圧電層に接触していない。
【0026】
好ましくは、前記第2電極接続部を除いた第2電極は前記実効共振領域から離れるように、延在して第2電極延在部を形成し、前記第2電極延在部と前記圧電層との間には第2隙間があり、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記第2隙間の上面は、前記実効共振領域内の圧電層の上面を超えていない。
【0027】
好ましくは、前記第1電極は第2厚さ薄肉化領域をさらに有し、前記第2厚さ薄肉化領域の厚さを前記実効共振領域内の第1電極の厚さより小さくすることで、前記圧電層が直接的に前記第2厚さ薄肉化領域を覆い、前記圧電層と前記第2電極延在部との間には前記第2隙間が形成されるようにする。
【0028】
好ましくは、前記音響反射素子はキャビティ又はブラッグ反射鏡を含む。
【0029】
本出願の第2態様によれば、共振器ユニットであって、少なくとも第1共振器、電気素子、及び接続構造を含み、前記第1共振器は上記の何れか1項に記載のバルク音響共振器であり、
前記接続構造の両端には前記第1共振器の第2電極接続部及び前記電気素子がそれぞれ接続される。
【0030】
好ましくは、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記接続構造の上面は、前記第1共振器における実効共振領域内の第2電極の上面を超えていない。
【0031】
好ましくは、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記接続構造の上面は前記第1共振器における実効共振領域内の第2電極の上面と整合し、前記接続構造と前記圧電層との間には第3隙間がある。
【0032】
好ましくは、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記接続構造の上面は、前記第1共振器における実効共振領域内の第2電極の上面より低く、前記接続構造と前記圧電層との間には第3隙間があり、又は前記接続構造は前記圧電層に直接的に接触している。
【0033】
好ましくは、前記第2電極接続部の、前記接続構造に近接する側は少なくとも1つの凹凸構造を有し、前記接続構造は前記少なくとも1つの凹凸構造を介して、前記第1共振器の第2電極接続部及び/又は前記電気素子に接続される。
【0034】
好ましくは、前記電気素子はバルク音響共振器、インダクタ、コンデンサ又はパッドを含む。
【0035】
好ましくは、前記第1共振器の第2電極はその第2電極接続部、前記接続構造及び接続部材を介して前記電気素子に接続され、前記圧電層は貫通しているスルーホールを有し、前記接続部材は前記スルーホール内に位置して前記電気素子に接続され、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記接続部材はさらに前記スルーホールから前記圧電層の上面まで延在している。
【0036】
好ましくは、前記接続部材の、前記圧電層の上面に位置する一端は持ち上げられて持ち上げ部を形成し、前記持ち上げ部と前記圧電層との間には第4隙間がある。
【0037】
本発明の第3態様によれば、フィルタであって、上記の何れか1項に記載のバルク音響共振器、又は上記の何れか1項に記載の共振器ユニットを含む。
【0038】
本発明の第4態様によれば、電子機器であって、上記の何れか1項に記載のバルク音響共振器、又は上記の何れか1項に記載の共振器ユニットを含む。
【発明の効果】
【0039】
従来の技術に対して、上記技術案は少なくとも以下の利点を具備し:
本出願の実施例が提供するバルク音響共振器は第1電極、第2電極及び第1電極と第2電極との間に位置する圧電層を含み、音響反射素子は第1電極の、圧電層に背離する側に設けられ、音響反射素子、第1電極、圧電層及び第2電極の重畳部分は実効共振領域であり、第2電極は実効共振領域内に位置する部分以外に、第2電極接続部をさらに含み、圧電層は第1電極のエンドを超えるように延在し、第2電極接続部と圧電層との間には第1隙間が設けられることで、第2電極接続部と圧電層とを離間させ、第2電極接続部、第1電極及び圧電層が音響反射素子以外の領域で重畳して、寄生発振が生じることを回避する。
【0040】
そして、従来の技術において上電極接続部に対して上に突出したエアブリッジ構造を採用することに対して、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、第1電極から第2電極を指向する方向で、第1隙間の上面は、実効共振領域内の圧電層の上面を超えず、即ち、第2電極接続部はブリッジ型構造として上に突出せず、水平に延在し又は圧電層の一方に凹むように延在し、このように、上に突出したブリッジ型構造より、機械的安定性がよりよく、陥没及び破断などの状況が生じにくく、そして、水平に延在し又は圧電層の一方に凹むように延在する第2電極接続部は、共振器の中心領域に対して横方向引張の作用を発揮し、これによって、共振器の中心領域の陥没又は変形を抑制する。
【0041】
また、本出願の実施例所が提供するバルク音響共振器において、圧電層の厚さはそのまま保持され、つまり、圧電層に対してエッチングなどの物理的破壊を行うことで、第2電極接続部と圧電層との間に第1隙間を形成しておらず、圧電層の下方の膜層に対して厚さ薄肉化を行って又は他の方式で斜面形状を形成し、これによって、斜面形状に圧電層を沈積させ、斜面形状を直接的に圧電層の上面に伝達することで、第2電極接続部と圧電層との間に第1隙間を形成し、従って、圧電層の局所応力を破壊することなく、ウェハ全体で、圧電層の水平方向での厚さが同じであり、その応力分布の変動が小さく、応力分布がより均一になるため、デバイスの良品率を高めて、デバイスの実効電気機械結合係数も高くなり、さらに、デバイスの機械的強度及び確実性を保証し、そして、形状伝達の方式で圧電層を成長させ、プロセスが簡単であり、操作しやすい。
【0042】
本出願の他の目的、利点について、図面を結合して以下の実施例において詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本出願の実施例又は従来の技術の技術案をより明らかに説明するために、以下、実施例又は従来の技術の記載の必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に記載の図面は本出願のいくつかの実施例であり、当業者にとって、進歩性に値する労働をしないことを前提として、これらの図面に基づいて、他の図面を取得できる。
図1】従来の下電極が、音響反射素子を部分的に覆うバルク音響共振器の構造概略図である。
図2】従来の下電極が、音響反射素子を完全に覆うバルク音響共振器の構造概略図である。
図3】従来のエアブリッジを上電極接続部とするバルク音響共振器の構造概略図である。
図4】従来の大きな面積を有する共振器の中心領域に陥没変形が出現する概略図である。
図5】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図5-1】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図5-2】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図5-3】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図5-4】本出願の1つの実施例が提供するバルク音響共振器の構造概略図である。
図5-5】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図5-6】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図5-7】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図5-8】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図5-9】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図5-10】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図6図5のバルク音響共振器の拡大概略図である。
図6-1】図6の第1厚さ薄肉化領域10の拡大概略図である。
図7】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図7-1】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図8】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図8-1】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図8-2】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図8-3】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図9】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図9-1】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図9-2】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図9-3】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図9-4】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図10】従来のエアブリッジを上電極接続部とする場合、フォトエッチング及びエッチングプロセスの、理想状態と実際状態での比較概略図である。
図11】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図12】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図13】本出願の異なる実施例が提供するバルク音響共振器及び共振器ユニットの構造概略図である。
図14】本出願の図5のバルク音響共振器及び伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器のSmithチャート概略図である。
図15】本出願の図5のバルク音響共振器及び伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器の抵抗が、周波数に連れて変化する関係概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本出願の実施例の図面を結合して、本出願の実施例の技術案を明らか且つ完全に記載し、明らかに、記載の実施例は全ての実施例ではなく、本出願の一部の実施例に過ぎない。本出願の実施例に基づいて、当業者が進歩性に値する労働をしないことを前提として取得した他の全ての実施例は何れも本出願の保護範囲に属する。
【0045】
本出願を十分に理解するために、以下の記載において、多くの具体な細部を説明するが、本出願はここと異なる他の形態で実施されてもよく、当業者は本出願の精神を逸脱しない前提で、類似的に普及してもよいため、本出願は以下に開示する具体的な実施例に限定されない。
【0046】
本出願は概略図を結合して詳しく記載し、本出願の実施例を説明する時に、説明を容易にするために、デバイス構造を示す断面図は一般的な比率によらず局所的に拡大し、前記概略図はただ例示的なものであるため、本出願の保護範囲を限定しない。また、実際の製造において、長さ、幅及び深さの3次元空間サイズを含むべきである。
【0047】
本出願の「重畳」は、基底に位置する膜層の、基底に垂直する方向での投影領域の重畳を指す。
【0048】
本出願の「第1電極」は、成長基底に近接する電極に定義され、「第2電極」は、成長基底から離れた電極に定義される。
【0049】
本出願において、隙間の「上面」は、隙間全体の形状に対して、底面に対応する表面を指し、水平面の上方に位置する表面を含むだけでなく、水平面に対して傾斜する表面をさらに含む可能性がある。
【0050】
背景技術部分に記載したように、如何にバルク音響共振器の音響エネルギー損失を低減して、Q係数を向上し、上電極と下電極とが音響反射素子以外の領域で重畳することで生じた寄生発振を減少するかということは、注目される問題になっている。
【0051】
発明者が研究して発見したように、バルク音響共振器の上電極01と下電極02とが音響反射素子03以外の領域で重畳することを回避することで、寄生発振の生成を減少するか又は抑制するために、下電極02により音響反射素子03を部分的に覆うことで実現できる。具体的に、図1に示すように、図1において04は圧電層であり、05は基底であり、図面から分かるように、下電極02の1つのエンドは音響反射素子03のエッジの内側に位置して、音響反射素子03のエッジと一定の距離を有し、この場合、上電極01は下電極02に対応するエンドの上方で外部へ延在して他の電気素子に接続し、このように、上電極01は音響反射素子03以外の領域で下電極02と重畳して寄生発振が生じることなく、図1において、両破線の間の領域には寄生発振が生じていない。しかしながら、このような構造の機械的安定性が悪く、下電極02及び圧電層04の沈積プロセスに大きく影響し、特に、音響反射素子がキャビティである場合、キャビティが開放した後、圧電層04の底部の、下電極02によって支持されていない領域は大きなひずみが生じやすく、異なるデバイスの性能の不一致を招くため、デバイスの良品率が悪く、量産プロセスの角度から考えると、あまり使用されていない。
【0052】
下電極02が音響反射素子03を完全に覆って、音響反射素子03がキャビティである場合、具体的に、図2に示すように、下電極02はキャビティ03のエッジを超えて、基底05と部分的に重なり、下電極02は基底05によって支持され、これによって、デバイス構造の機械的安定性を保証するとともに、下電極02及び圧電層04を沈積させる時のプロセスの安定性を保証する。しかしながら、上電極01の一方が他の電気素子に接続されるように、外部へ延在していると、音響反射素子03以外の領域、例えば図2において実効共振領域以外の両破線の間の領域で下電極02と重畳し、当該重畳領域で寄生発振が生じるため、出力信号にはスプリアス信号が出現して、共振器の性能を劣化させる。従って、デバイスの性能と確実性とのバランスを実現するために、如何に下電極を使用して音響反射素子を完全に覆うと同時に、当該寄生発振をできるだけ減少するかということについて、多くの研究者が今研究している。
【0053】
当該寄生発振を減少するか又は取り除くために、上電極01と他の電気素子との接続部分(即ち、上電極接続部)を上に突出したブリッジ型構造に製造する方式を提出し、具体的に、図3に示すように、図3において、01は上電極であり、02は下電極であり、03は音響反射素子であり、04は圧電層であり、05は基底であり、図面から分かるように、ブリッジ型構造と圧電層04とは空気によって離間され、即ち、エアブリッジを形成し、これによって、上電極接続部と圧電層04とを離間させ、上電極接続部と下電極02とが音響反射素子03以外の領域で重畳して寄生発振が生じることを回避する。
【0054】
しかしながら、発明者がさらに研究して分かるように、上に突出したエアブリッジを上電極接続部とすれば、以下の問題がある:
(1)高周波で応用される時、陥没及び破断の状況が生じやすく、機械的安定性が悪い。
【0055】
その原因は以下の通り、即ち、高周波共振器の電極厚さが薄く、例えば、3.5GHz周波数での電極厚さは150nmであり、5GHz周波数での電極厚さはわずかに90nmであり、7GHz周波数での電極厚さはたった50nmであり、且つ、電極が沈積する時、単位体積の材料が一定であり、上に突出したブリッジ型構造の斜辺の長さが増えるため、ここに沈積した材料はより薄くなり、また、電極は一般的に、硬さが大きい材料、例えばMo、Ru又はWなどの金属を採用し、そうすれば、上電極が特に薄く、且つ突起形状の変化がある場合、沈積する時、その湾曲部位はひび割れが生じやすく、特に、上電極の水平部分及び上に突出した部分のコーナーには金属材料がより沈積しにくく、当該コーナーにひび割れがより生じやすいため、外力によって引っ張られて、例えば、環境において共振器が熱による膨張・収縮するか、又は折曲、落下などの条件で、陥没及び破断が生じやすい。
【0056】
(2)共振器の面積が大きい場合、共振器の中心領域には陥没変形が生じやすい。
【0057】
具体的に、図4に示すように、図4において、01は上電極であり、02は下電極であり、03は音響反射素子であり、04は圧電層であり、05は基底であり、図面から分かるように、共振器の面積が大きい場合、共振器の中心領域には陥没変形が生じやすいが、共振器の中心領域に陥没変形が出現した場合、突起したエアブリッジの両側は引っ張られることで、突起したエアブリッジの高さが低くなり、即ち、突起したエアブリッジによって、共振器の中心領域は引張力を受けず、共振器の中心領域の陥没変形をもたらす。
【0058】
上記研究に基づいて、本出願の例示的な実施例はバルク音響共振器100を提供し、図5図7図8及び図9に示すように、当該バルク音響共振器100は、
第1電極10、第2電極20及び第1電極10と第2電極20との間に位置する圧電層30を含み、音響反射素子40は第1電極10の、圧電層30に背離する側に設けられ、音響反射素子40、第1電極10、圧電層30及び第2電極20の重畳部分は実効共振領域に定義され、実効共振領域内に位置する部分以外に、第2電極20は第2電極接続部21をさらに含み、圧電層30は第1電極10のエンドを超えるように延在し、且つその厚さが不変であり、第2電極接続部21と圧電層30との間には第1隙間K1があり、第1電極10から第2電極20と指向する方向で、第1隙間K1の上面は、実効共振領域内の圧電層30の上面を超えない。
【0059】
好ましくは、バルク音響共振器は基底50をさらに含み、音響反射素子40は基底50内に嵌め込まれてもよいし(図5及び図7を参照)、基底50の表面に位置してもよい(図8及び図9を参照)。基底50を成長基底とし、バルク音響共振器は基底50に膜層を沈積させることで直接的に形成されてもよいし、他の仮基底に沈積して形成された後、剥離-結合プロセスによって基底50に結合されてもよい。
【0060】
本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、第2電極接続部21と圧電層30との間は第1隙間K1を介して離間され、これによって、第2電極接続部21、第1電極10及び圧電層30は音響反射素子40以外の領域で接触して重畳することで寄生発振が生じることを回避する。
【0061】
そして、従来の技術において、上電極接続部は上に突出したエアブリッジ構造を採用し、即ち、上電極接続部と圧電層との間の隙間の上面が実効共振領域内の圧電層の上面より高いことに対して、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器によれば、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、第1隙間K1の上面が実効共振領域内の圧電層30の上面を超えず、即ち、第2電極接続部21はブリッジ型構造として上に突出せず、水平に延在するか又は圧電層30の一方に凹むように延在し、上に突出したブリッジ型構造より、機械的安定性がよりよく、陥没及び破断などの状況が生じにくい。そして、水平に延在するか又は圧電層30の一方に凹むように延在している第2電極接続部21は、共振器の中心領域に対して横方向引張の作用を発揮し、例えば、図5の黒い矢印(力の方向)に示すように、水平に延在している第2電極接続部21は共振器の中心領域に対して横方向の引張力を発揮し、これによって、共振器の中心領域の陥没又は変形を抑制する。
【0062】
ここで、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、第2電極接続部21と圧電層30との間の第1隙間K1内には空気であってもよいし、媒体、例えば低音響抵抗の媒体、具体的に炭素ドーピングされたSiO、誘電体樹脂、ベンゾシクロブテンなどが充填されてもよく、具体的に、状況に応じて決定すればよい。
【0063】
また、圧電層30と第2電極接続部21との間に第1隙間K1を形成して、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、第1隙間K1の上面が実効共振領域内の圧電層30の上面を超えないように配置したいと、第2電極接続部21の下方の圧電層30の上面を、実効共振領域内の圧電層30の上面より低くする必要があり、通常のプロセス手段は圧電層30をエッチングして、一部の圧電層を除去するが、エッチングなどの物理的破壊の方式は、圧電層30の局所応力の破壊を招いて、共振器の局所応力制御の困難さを増加し、また、ウェハ全体で、薄膜沈積過程中の応力重畳などの各種要素の影響のため、圧電層の、ウェハ全体の異なる箇所での応力変化が大きく、応力分布が不一致であり、デバイスの製造良品率に影響する。
【0064】
本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、圧電層30の厚さがそのまま保持され、即ち、第2電極接続部21の下方の圧電層30の厚さは、実効共振領域内の圧電層30の厚さに等しく、つまり、実効共振領域外部の圧電層30に対してエッチングなどの物理的破壊を行って、第2電極接続部21の下方の圧電層30の上面を実効共振領域内の圧電層30の上面より低くすることではなく、圧電層30の下方の膜層(例えば、第1電極10など)に対して厚さ薄肉化を行うか又は他の方式で斜面形状を形成することで、斜面形状に圧電層を沈積させて、斜面形状を直接的に圧電層30の上面に伝達して、第2電極接続部21と圧電層30との間に第1隙間K1を形成し、ここで斜面形状は傾斜面、階段面、弧状面などに限定されない。
【0065】
このように、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器によれば、圧電層30の厚さがそのまま保持される場合、圧電層30と第2電極接続部21との間に第1隙間K1が形成され、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、第1隙間K1の上面は、実効共振領域内の圧電層30の上面を超えず、圧電層に対してエッチングなどの何れかの物理的破壊を行っていないため、圧電層の局所応力を破壊することなく、ウェハ全体で、圧電層の水平方向での厚さが同様であり、その応力分布の変動が小さく、応力分布がより均一になるため、デバイスの良品率を高めて、デバイスの実効電気機械結合係数も向上して、さらに、デバイスの機械的強度及び確実性を保証し、且つ、形状伝達の方式で圧電層を成長させ、プロセスが簡単であり、操作しやすい。
【0066】
また、圧電層30と第2電極接続部21との間には第1隙間K1が形成されることで、第2電極接続部21をエッチングする時、第2電極接続部21の下方の圧電層30を破壊しないことを保証するとともに、デバイス平面全体上の圧電層30の完全性を保証して、有効領域付近の圧電層に対する応力変化を回避して、デバイスの許容電力及び静電破壊耐性を最大限で向上する。
【0067】
好ましくは、本出願の1つの実施例において、第1隙間K1の一方は音響反射素子40の内側に位置し(図5図7及び図8を参照)、又は音響反射素子40のエッジと重なり(図9を参照)、他方は第1電極10エンドの外側に位置し(図5図7図9を参照)、この場合、第1隙間K1は実効共振領域が終了するエンドの外部に位置して、当該終了エンドから開始する。第1隙間K1の上方に位置する第2電極接続部21も音響反射素子40の内側、又は音響反射素子40のエッジから圧電層30と離間して第1電極10エンドの外側まで維持し、即ち、第2電極接続部21は音響反射素子40の内側、又は音響反射素子40のエッジから第1電極10エンドの外側まで、圧電層30及び第1電極10と直接的に接触して重畳しない。第1隙間K1の他方は第1電極10のエンドの外側に位置するため、第1電極10のエンドが音響反射素子40のエッジを超える場合、第1隙間K1の他方も音響反射素子40のエッジを超え、第1隙間K1による仕切は、音響反射素子40以外の領域で第2電極接続部21、圧電層30、及び第1電極10が直接的に接触して重畳して寄生発振が生じることを回避できる。第1電極10のエンドが音響反射素子40の内側に位置する場合、第1隙間K1によって、圧電層30の欠陥領域の少なくとも一部は実効共振領域内に位置しておらず、音響エネルギー損失を減少する。
【0068】
好ましくは、本出願の1つの実施例において、図5図7図9に示すように、第1隙間K1は第1電極10の一部と重畳する。第1電極10のエンドが音響反射素子40のエッジを超えた場合、第1電極10を含むエンド全体が音響反射素子40の外側に位置し、又は第1電極10のエンドが傾斜状を呈し、傾斜領域が音響反射素子40のエッジにまたがって、第1隙間K1は少なくとも音響反射素子40以外の第1電極10の領域を覆うことで、第2電極接続部21が当該領域の第1電極10と直接的に接触して重畳しないようにし、寄生発振の発生を回避する。第1電極10のエンドが音響反射素子40の内側に位置し、例えば、第1電極10のエンドが傾斜状を呈していると、第1隙間K1は第1電極10のエンドの傾斜領域と重畳して、実効共振領域内には、当該傾斜領域に対応する圧電層部分が含まれず、傾斜領域の上方の圧電層には多くの成長欠陥が生じるため、実効共振領域内の音響損失を減少できる。
【0069】
上記から分かるように、圧電層30の下方の膜層(例えば、第1電極10)に対して厚さ薄肉化を行って、又は他の形態で斜面形状を形成した後、斜面形状に圧電層30を沈積させて、斜面形状を直接的に圧電層30の上面に伝達することで、第2電極接続部21と圧電層30との間に第1隙間K1を形成するが、実際のプロセスでは、斜面形状に圧電層を形成する際、材料の間の結晶格子差によって成長欠陥を有する欠陥領域を圧電層に形成し、当該欠陥領域の成長欠陥が実効共振領域内の圧電層の欠陥より大きく、当該欠陥領域が実効共振領域内に位置すると、音響エネルギー損失を招くため、実効共振領域外部に位置する第1隙間K1は欠陥領域の少なくとも一部を覆って、より好ましくは、第1隙間K1は欠陥領域全体を覆うことで、欠陥領域が実効共振領域外部に位置し、音響エネルギー損失を減少して、Q係数を向上する。
【0070】
第1電極10に斜面形状を形成することを例とし、斜面形状の開始点が第1隙間の開始点に近接するため、本実施例において、第1隙間K1は圧電層30の欠陥領域の大部分を覆うことで、実効共振領域内には、第1隙間K1によって覆われる欠陥領域が含まれていないため、本実施例が提供するバルク音響共振器において、実効共振領域の音響損失が小さくなり、デバイスの品質係数(Q係数)を向上する。
【0071】
また、実効共振領域内の圧電層に比べると、第1隙間K1の下方の圧電層30は斜面形状を有し、形状変化が生じて、実効共振領域内に生じた横方向モードの音波を反射して、音響エネルギー損失をさらに減少する。また、第1隙間K1は実効共振領域のエンドに位置して、共振器の実効共振領域及び実効共振領域以外の非実効共振領域に、異なる音響抵抗を有する界面を提供し、横方向モードの音波をさらに反射して、音響エネルギー損失を減少する。
【0072】
好ましくは、本出願の1つの実施例において、図5図7図9に示すように、第1電極10のエンドは音響反射素子40のエッジを超え、即ち、第1電極10は音響反射素子40を完全に覆うことで、第1電極10は圧電層を支持し、基底50は第1電極10を支持して、デバイス構造の機械的安定性を保証するとともに、電極及び圧電層を沈積させる時のプロセスの安定性を保証する。
【0073】
好ましくは、音響反射素子40はキャビティであってもよいし、ブラッグ反射鏡であってもよく、音響反射素子40がキャビティである場合、デバイス構造の機械的安定性を保証するために、第1電極10のエンドは音響反射素子40のエッジを超える必要があり、音響反射素子40がブラッグ反射鏡であると、第1電極10のエンドは音響反射素子40のエッジを超えてもよいし、音響反射素子40のエッジを超えなくてもよく、図5-1及び図7-1は、音響反射素子40がブラッグ反射鏡であり、第1電極10のエンドが音響反射素子40のエッジを超えない概略図を示す。
【0074】
ここで、音響反射素子がブラッグ反射鏡である場合、形成されるのはソリッドマウントバルク音響共振器(SMR)であり、ブラッグ反射鏡は音波が共振器から基底の方向に沿って射出されることを防止する。ブラッグ反射鏡は、異なる音響抵抗を有する低音響抵抗材料と高音響抵抗材料とが交互的に積層されることで形成され、低音響抵抗層又は高音響抵抗層の厚さは、音響抵抗層材料における音波波長の1/4であり、高音響抵抗の材料はタングステンを含み、低音響抵抗の材料は酸化シリコンを含む。
【0075】
上記から分かるように、圧電層30の下方の膜層に対して厚さ薄肉化を行うか、又は他の方式で斜面形状を形成することで、斜面形状に圧電層30を沈積させる場合、斜面形状を直接的に圧電層30の上面に伝達して、第2電極接続部21と圧電層30との間に第1隙間K1を形成し、圧電層30の下方の膜層は第1電極10を含むため、第1電極10に対して厚さ薄肉化を行うか、又は他の方式で斜面形状を形成し、以下、実施例ごとに、詳しく説明する。
【0076】
好ましくは、本出願の1つの実施例において、図5図7及び図8に示すように、第1電極10は第1厚さ薄肉化領域11を有し、第1厚さ薄肉化領域11の厚さを実効共振領域内の第1電極10の厚さより小さくすることで、圧電層30が第1厚さ薄肉化領域11を直接的に覆うようにし、圧電層30と第2電極接続部21との間には第1隙間K1が形成され、第1厚さ薄肉化領域11の一方が音響反射素子40の内側に位置する。
【0077】
本実施例において、第1電極10における第1厚さ薄肉化領域11は圧電層30の下方の斜面形状を形成し、第1厚さ薄肉化領域11の一方が音響反射素子40の内側に位置し、即ち、第1厚さ薄肉化領域11は少なくとも音響反射素子40の内側から開始するため、第1電極10に圧電層30を沈積させた場合、第1厚さ薄肉化領域11の斜面形状が直接的に圧電層30の上面に伝達され、圧電層30の上面にも斜面形状が形成され、圧電層の上面の斜面形状の開始点は少なくとも音響反射素子40のエッジ、又は音響反射素子40の内側から開始し、そうすれば、第1隙間K1は少なくとも音響反射素子40のエッジ、又は音響反射素子40の内側から開始して、音響反射素子40の外側で第2電極接続部21と圧電層30とは完全的に第1隙間K1によって仕切られることを保証して、寄生発振を減少又は抑制する。
【0078】
本実施例において、第1厚さ薄肉化領域11と圧電層30との接触面の形状を限定しない。好ましくは、本出願の1つの実施例において、図5に示すように、第1厚さ薄肉化領域11と圧電層30との接触面は階段状であってもよい。
【0079】
好ましくは、本出願の1つの実施例において、図5及び図6に示すように、図6図5のバルク音響共振器の拡大概略図であり、図面から分かるように、第1厚さ薄肉化領域11と圧電層30との接触面は階段状であり、具体的に、第1厚さ薄肉化領域11と圧電層30との接触面は第1斜面X1、第2斜面X2及び第1斜面X1と第2斜面X2とを接続する第1平面X3を含み、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、第1斜面X1は第2斜面X2より高い。
【0080】
本実施例において、エッチングプロセスによって第1電極10に階段状の第1厚さ薄肉化領域11を形成する。
【0081】
本実施例において、第1厚さ薄肉化領域11に圧電層30を沈積させた場合、階段形状は形状伝達の方式で圧電層30の上面に伝達されるため、圧電層30の上面は第3斜面Y1、第4斜面Y2、及び第3斜面Y1と第4斜面Y2とを接続する第2平面Y3を含み、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、第3斜面Y1は第4斜面Y2より高く、第1厚さ薄肉化領域の第1斜面X1は圧電層の第3斜面Y1に対応し、第1厚さ薄肉化領域の第1平面X3は圧電層の第2平面Y3に対応し、第1厚さ薄肉化領域の第2斜面X2は圧電層の第4斜面Y2に対応し、即ち、第1厚さ薄肉化領域11の上面の階段形状と圧電層30の上面の階段形状とは完全に同様である。
【0082】
ここで、バルク音響共振器において、圧電層30の厚さ方向に沿って伝搬される縦波が主な作用を発揮するが、基底50が所在する平面に平行する方向に沿って伝搬される一部の横波を不可避的に励起し、且つ横波は実効共振領域の側辺エッジから漏れやすくて、エネルギー損失を招き、本実施例において、圧電層30の上面において、第3斜面Y1、第2平面Y3及び第4斜面Y2からなる階段形状は実効共振領域のエッジ付近に位置し、当該階段形状は圧電層と、第1隙間K1に充填される空気又は他の媒体との境界を構成して、音響抵抗変化を発生させるため、横波共振を抑制して、横波漏れ、即ち音響エネルギー損失を減少して、バルク音響共振器の品質係数(Q係数)を向上する。
【0083】
本実施例において、第1斜面X1と第2斜面X2とは平行してもよいが、本出願はこれに限定されず、即ち、第1斜面X1と第2斜面X2とは平行しなくてもよい。
【0084】
本実施例において、図6及び図6-1に示すように、図6-1は図6における第1厚さ薄肉化領域11の拡大概略図であり、第1斜面X1と実効共振領域内の第1電極の上面との間の夾角は第1夾角a1であり、第1夾角a1は90°より大きく、同じように、第1斜面X1と第1平面X3との間の夾角は第2夾角a2であり、第2夾角a2も90°より大きく、第2斜面X2と第1平面X3との間の夾角は第3夾角a3であり、第3夾角a3も90°より大きい。第1斜面X1と第2斜面X2とが平行すると、第1夾角a1、第2夾角a2及び第3夾角a3は等しい。ここで、第1夾角a1、第2夾角a2及び第3夾角a3の角度が大きいほど、第1厚さ薄肉化領域11の階段変化が緩くなり、以降、圧電層を成長させる場合、圧電層の成長により有利であり、圧電層の、実効共振領域エッジ付近での応力突然変異を減少するとともに、階段の形状突然変化による圧電層の欠陥、破断などの異常を減少する。
【0085】
第1斜面X1及び第2斜面X2を2つの垂直面に置き換えてもよいが、傾斜面に対して、形状の突然変異のため、圧電層は垂直面で多くの欠陥が生じて、即ち、垂直面に対して、傾斜面は圧電層の成長により有利であるとともに、圧電層の、階段位置での成長の不連続性の減少により有利である。
【0086】
無論、第1斜面X1及び第2斜面X2を2つの弧状面に置き換えてもよく、傾斜面に対して、弧状面であれば、圧電層の成長がより連続になり、圧電層の成長欠陥がより少なくなる。
【0087】
本実施例において、第1厚さ薄肉化領域11と圧電層30との接触面に含まれる具体的な階段数を限定せず、即ち、第1厚さ薄肉化領域11と圧電層30との接触面は1つの階段を含んでもよいし、複数の階段を含んでもよいが、ここで、1つの階段より、複数の階段であれば、圧電層の成長際の応力効果が低下する(なぜならば、2つ又は複数の部分に分けられることで、応力を分散させるためである)とともに、第1厚さ薄肉化領域11の開始位置(即ち、斜面形状の開始位置)で圧電層30に生じる欠陥も少なくなる。
【0088】
本実施例において、図6に示すように、実効共振領域内において、第1電極10の上面と第1斜面X1との交差点はA点であり、実効共振領域内において、圧電層30の上面と第3斜面Y1との交差点はB点であり、A点は音響反射素子40の内側に位置することで、B点も音響反射素子40の内側に位置し、又は音響反射素子40のエッジと重なることを保証する。
【0089】
本実施例において、図6-1に示すように、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、第1電極10の厚さはD1であり、第1平面X3と実効共振領域内の第1電極の上面との間の距離はD2であり、D2をD1の半分以下にすることで、第1厚さ薄肉化領域11の開始位置がよりなだらかになり、圧電層は形状突然変異が生じることなく、圧電層内の欠陥を減少する。
【0090】
第1電極10において、第1厚さ薄肉化領域11の高さ及び幅は第1隙間K1の大きさを决定するから、圧電層の欠陥領域及び応力突然変異を最小にするために、第1隙間K1の高さを10nm~100nmにして、第1厚さ薄肉化領域11の幅W(図6-1におけるW)を100nm~500nmにする。
【0091】
ここで、圧電層30は階段開始箇所(第1厚さ薄肉化領域開始箇所)でわずかな欠陥及び応力突然変異を有すれば、圧電薄膜の実効電気機械結合係数を向上することでそのわずかな影響を相殺し、AlN圧電材料を例として、スカンジウム(Scandium)元素をドーピングし、ドーピング比は7%~25%であり、異なるSc比を有するScAlNを使用して、圧電層の階段開始箇所(第1厚さ薄肉化領域開始箇所)でのわずかな欠陥及び応力突然変異を相殺することができる。
【0092】
好ましくは、本出願の別の実施例において、図7及び図7-1に示すように、第1厚さ薄肉化領域11と圧電層30との接触面は傾斜状であってもよい。
【0093】
本実施例において、エッチングすることで第1電極10のエンドに傾斜側壁(即ち、第1厚さ薄肉化領域11)を形成し、傾斜側壁の開始点が音響反射構造40の内側に位置し、傾斜側壁の傾斜角度が小さいため、傾斜側壁がなだらかであり、圧電層における欠陥が少ない。
【0094】
本実施例において、図7において音響反射構造40はキャビティであり、図7-1において音響反射構造40はブラッグ反射鏡であり、ここで、音響反射構造40がブラッグ反射鏡である場合、第1電極10は音響反射構造40を完全に覆わなくてもよく、即ち、第1電極10は音響反射構造40を部分的に覆って、圧電層の底部が支持されず大きなひずみが生じることがない。
【0095】
好ましくは、本出願の別の実施例において、図8に示すように、第1厚さ薄肉化領域11と圧電層30との接触面は円弧状であってもよい。
【0096】
本実施例において、図8に示すように、音響反射構造40は基底50の表面に位置して、地上型であり、第1厚さ薄肉化領域11と圧電層30との接触面が円弧状であっても、音響反射構造40が基底50内に嵌め込まれる状況に適する。
【0097】
本実施例において、音響反射構造40のエンドは弧状を呈することで、第1電極10が音響反射構造40を覆った後、第1電極10も弧状の斜面形状に形成され、以降、圧電層を沈積させた後形成される第1隙間K1の開始点が音響反射構造40の内側に位置することを確保するために、弧状斜面形状に形成される第1電極10を引き続いてエッチングして、第1厚さ薄肉化領域11を形成する。
【0098】
本実施例において、第1厚さ薄肉化領域11と圧電層30との接触面を円弧状にすることで、圧電層の連続成長に有利であり、圧電層の欠陥がより少なくなり、品質がより高くなる。
【0099】
上記何れか1つの実施例に基づいて、好ましくは、本出願の1つの実施例において、図5図5-1、図7及び図7-1に示すように、第1厚さ薄肉化領域11の他方が第1電極10のエンドと重なることで、圧電層30は実効共振領域から第1厚さ薄肉化領域11に沿って基底50の表面まで延在して、基底50の表面を覆う。
【0100】
好ましくは、本出願の別の実施例において、図8に示すように、第1厚さ薄肉化領域11の他方と第1電極10のエンドとは一定の距離を有し、この場合、圧電層30は実効共振領域から第1厚さ薄肉化領域11に沿って延在した後、第1電極10を一定の距離だけ覆ってから、基底50の表面まで延在して、基底50の表面を覆う。
【0101】
ここで、第1厚さ薄肉化領域11の他方が第1電極10のエンドと重なっても、第1電極10のエンドと一定の距離を有しても、音響反射素子40がキャビティであり、第1電極10のエンドが音響反射素子40のエッジの外側に位置する場合、圧電層を支持して、機械的安定性をよりよくするために、第1厚さ薄肉化領域11の一方がキャビティの内側に位置し、他方がキャビティのエッジ外側に位置する必要がある。音響反射素子40がブラッグ反射鏡である場合、第1厚さ薄肉化領域11の一方がブラッグ反射鏡の内側に位置し、他方がブラッグ反射鏡のエッジ外側に位置してもよいし、ブラッグ反射鏡のエッジと重なってもよいし、さらに、ブラッグ反射鏡のエッジ内側に位置してもよく、具体的に、状況に応じて決定すればよい。
【0102】
以上の実施例は、第1電極10をエッチングすることで、第1厚さ薄肉化領域11を形成して、圧電層30が第1厚さ薄肉化領域11を直接的に覆った後、圧電層30と第2電極接続部21との間に第1隙間K1が形成される。また、第1電極をエッチングすることで第1厚さ薄肉化領域を形成する以外に、金属電極の積層によって第1厚さ薄肉化領域を形成してもよく、この場合、第1電極は複合金属電極である。
【0103】
好ましくは、本出願の1つの実施例において、図5-2に示すように、第1電極10は積層されている第1金属電極M1と第2金属電極M2とを含み、第2金属電極M2は第1金属電極M1の、圧電層30に近接する側に位置し、そのエンドは第1金属電極M1のエンドに対して収縮し、第1厚さ薄肉化領域11を形成する。
【0104】
本実施例において、第1電極10は多層金属電極積層から形成される複合電極であり、2層の金属電極のみを含んでもよいし、多層の金属電極を含んでもよく、上面の1層の金属電極のエンドが下面の1層の金属電極のエンドに対して収縮し、即ち、上面の1層の金属電極のサイズが、下面の1層の金属電極のサイズより小さく、このようにして、第1電極10のエンドに階段状の第1厚さ薄肉化領域11を形成して、圧電層30が第1厚さ薄肉化領域11を直接的に覆った後、圧電層30と第2電極接続部21との間には第1隙間K1が形成される。
【0105】
本実施例において、第1電極10における各層の金属電極の材質が同様であってもよいし、異なってもよく、共振器の性能を強化させるために、第1電極10における各層の金属電極は高音響抵抗、高導電型の材質を使用する。
【0106】
上記各実施例において、第1電極10に対して厚さ薄肉化(エッチング方式又は多層金属電極を積層する方式を含む)を行うことで、第1電極の上面に斜面形状を形成する。以下、如何に第1電極10に対して厚さ薄肉化を行わず、第1電極の上面に斜面形状を形成するかということを説明する。
【0107】
好ましくは、本出願の1つの実施例において、図9に示すように、音響反射素子40は基底50の表面に位置し、第1電極10が基底50の表面に突出することで、音響反射素子40は第1電極の上に突出した部分と基底の表面との間に位置して、圧電層30が第1電極10を直接的に覆った後、圧電層30と第2電極接続部21との間には第1隙間K1が形成される。
【0108】
本実施例において、音響反射素子40は基底の表面に位置し、音響反射素子40のエンドが傾斜状を呈していることで、第1電極10が音響反射素子40のエンドを覆った後、斜面形状として形成され、圧電層30が第1電極10を直接的に覆った後、圧電層30と第2電極接続部21との間には第1隙間K1が形成され、第1隙間K1の開始点が音響反射素子40の内側に位置するか、又は音響反射素子40のエッジと重なり、本実施例における第1電極10は図8の第1電極10に類似し、その相違点は以下の通りであり、即ち、図8において、第1電極10が音響反射素子40を覆って傾斜形状として形成された後でも、依然として、第1電極10の傾斜部分をエッチングして第1厚さ薄肉化領域11を形成することに対して、図9において、第1電極10が音響反射素子40を覆って傾斜形状として形成された後、第1電極10をエッチングせず、これによって、プロセスを簡略化する。
【0109】
本実施例において、音響反射素子40のエンドの傾斜度を制御することで、第1電極10が音響反射素子40を覆って、圧電層30が第1電極を覆った後、形成される第1隙間K1が少なくとも音響反射素子40のエッジ、又は音響反射素子40の内側から開始することを確保する。
【0110】
本実施例において、音響反射素子40のエンドが傾斜状を呈しているため、実際のプロセスでは、第1電極10の、音響反射素子40のエンドに位置する部分は、実効共振領域に位置する部分に対して、その厚さも薄肉化され、具体的な薄肉化程度はプロセスに応じて決定される。
【0111】
本実施例において、第1電極10に対してエッチングなどの物理的破壊を一切行わないため、圧電層30の応力分布がより均一になり、デバイス性能及び良品率がよりよくなる。
【0112】
上記何れか1つの実施例に基づいて、本出願の1つの実施例において、図5図7図9に示すように、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、第2電極接続部21の上面は実効共振領域内の第2電極の上面を超えず、即ち、本実施例において、第2電極接続部21は実効共振領域内の第2電極から水平に延在し、又は上に突出してブリッジ型構造を形成することなく、圧電層30に近接する側に延在する。
【0113】
好ましくは、本出願の1つの実施例において、図5図7図9に示すように、第2電極接続部21の上面は実効共振領域内の第2電極の上面と整合する。
【0114】
一般的に、実効共振領域内の第2電極と第2電極接続部21とは同一の金属電極であり、且つ同一のプロセスで形成されることに対して、本実施例において、第2電極接続部21の上面は実効共振領域内の第2電極の上面と整合し、第2電極接続部21の下方の第1隙間K1の上面は、実効共振領域内の圧電層30の上面を超えないため、第2電極接続部21は折曲がなく、水平平坦状である。
【0115】
本実施例において、第2電極接続部21は折曲がなく、水平平坦状であるため、上に突出したエアブリッジを上電極接続部とすることに存在する問題(1)に対して、本実施例が提供するバルク音響共振器において、第2電極接続部の機械的安定性がより高く、陥没して破断しにくく、そして、上に突出したエアブリッジを上電極接続部とすることに存在する問題(2)に対して、水平平坦状の第2電極接続部の長さが最も短く、エアブリッジのように、外力のため短くなることなく、且つ第2電極の通常のMo材料自体の硬さが大きいため、水平平坦状の第2電極接続部21は共振器の中心領域に対して横方向引張の作用を発揮して、共振器の中心領域の陥没又は変形を抑制する。
【0116】
発明者は、上に突出したエアブリッジを上電極接続部とすることは、上記の問題(1)、(2)以外に、さらに以下の問題(3)が存在し、
(3)エアブリッジの上方に形成される不活性化層が均一でないことを研究して発見した。
【0117】
実際の応用で、第2電極の加工が完成した後、不活性化層をさらに沈積させる必要があり、エアブリッジ構造がでこぼこするため、エアブリッジの上方に形成される不活性化層の不均一を招き、具体的に、不活性化層(典型的な厚さは50nm~100nmである)は傾斜勾配がある位置に沈積する時、その厚さが薄く、平面位置に沈積する時、その厚さが大きく、その結果、不活性化層の厚さの不一致は、周波数分布の均一性に影響し、1nmの厚さごとに、1MHz影響する。
【0118】
本実施例において、水平平坦状の第2電極接続部21は、不活性化層の厚さの均一性を改善して、集中される周波数分布を実現して、デバイス良品率を向上する。
【0119】
(4)エアブリッジを上電極接続部として製造するプロセスは正確に制御しにくい。
【0120】
共振器の実効共振領域は一般的に第2電極20によって決定されるため、第2電極、圧電層及び第1電極の位置合わせは非常に重要であり、位置ずれはデバイスモデルの一致性に影響して、加工される共振器と設計されるモデルとは偏差が存在し、デバイスの良品率にも影響する。
【0121】
エアブリッジを上電極接続部とする場合、上電極には突起形状が存在し、具体的に、図10に示すように、図10において、01は上電極であり、02は下電極であり、03は音響反射素子であり、04は圧電層であり、05は基底であり、突起形状の付近領域のフォトエッチング効果及びエッチング効果は何れも大きく影響され、その理由は以下の通りであり、即ち、フォトエッチングは突起形状によって影響されて、露光及び現像後、フォトレジストに残ったパターンの変形又はずれを招き、エッチングもフォトレジストでの画像の歪みのため、エッチング効果に形状問題が生じる。そして、図10に示すように、上に突出した構造をエッチングする場合、突起構造の側辺のフォトレジストが薄く、フォトエッチングする時、歪みの状況が生じて、パターンがずれるため、カンチレバーの長さの実際状態と理想状態とは偏差が存在し、カンチレバーの長さ変化は、共振器の性能に大きく影響し、カンチレバーの長さが所定値に達していないと、共振器の並列抵抗Rpに影響して、Qpを低減し、さらに、デバイスのQ値(Qs及びQpで表徴される)を低減するため、デバイスの良品率にひどく影響し、プロセス最適化が難しいため、間接的にコストを大幅に増やす。
【0122】
本実施例において、第2電極接続部21は水平平坦状であり、水平平面のフォトエッチング効果、エッチング効果、及び金属層と圧電層との間の整合効果が最適であり、且つ最も簡単であるため、加工プロセスをよりよく制御して、加工プロセスを最適化でき、コストが低く、効果がよりよい。
【0123】
(5)上電極接続部として、エアブリッジの抵抗が大きい。
【0124】
ここで、上電極接続部に対してエアブリッジ構造を採用すると、隣接する共振器の間の電気接続の長さ(突起するブリッジ部のため)が大きくなり、電気信号の伝搬経路が長くなり、損失が大きくなってしまい、特に、高周波の場合、電極の厚さが薄く、電気接続の長さの、抵抗の大きさへの影響が非常に敏感であるため、共振器の直列抵抗Rsに影響する。具体的に、電気接続の長さが大きい場合、電極の抵抗が大きくなり、生じたオーム損失が大きくて、より多くの電気エネルギーは熱エネルギーに変換されて、空気に放散され、損失を増やし、共振器の直列抵抗Rsを高めて、共振器のQsを低下し、さらに、共振器のQ係数(Qs及びQpで表徴される)を低下する。フィルタにおいて、共振器の直列抵抗Rs及び並列抵抗Rpは、通過帯域挿入損失及びエコー損失を決定し、一般的に、共振器の並列抵抗Rpが高く、直列抵抗Rsが低いほど、対応するフィルタの通過帯域挿入損失がよく、これから分かるように、長い電気接続の長さは共振器の性能を劣化させて、さらに、フィルタの性能に影響する。
【0125】
本実施例において、直線接続は最も短く、且つ最適な接続方式であるため、本実施例において、第2電極接続部21を水平平坦状にすることで、隣接する共振器の間の電気接続長さを大幅に短くして、音波損失を減少して、共振器のQ係数を向上する。
【0126】
上記実施例に基づいて、好ましくは、本出願の1つの実施例において、図5図7図9に示すように、第2電極接続部21は実効共振領域内の第2電極に直接的に水平に接続されている。
【0127】
実際プロセスを配慮すると、好ましくは、本出願の別の実施例において、図11に示すように、第2電極接続部21と実効共振領域内の第2電極とは凹み部L1を介して接続され、凹み部L1の、実効共振領域内の第2電極に接続される部分は圧電層30に直接的に接触している。
【0128】
本実施例において、凹み部L1はV字型又はU字型を呈しているが、本出願は凹み部L1の具体的な形状を限定せず、具体的に、状況に応じて決定すればよい。
【0129】
本実施例において、凹み部L1は実効共振領域のエッジの付近に位置し、且つ凹み部L1は第2電極と、凹み部L1に充填される空気又は他の媒体の境界を構成して、音響抵抗変化を発生させるため、横波共振を抑制して、横波漏れ、即ち、音響エネルギー損失を減少して、バルク音響共振器の品質係数を向上する。
【0130】
好ましくは、本出願の別の実施例において、図12及び図13に示すように、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、第2電極接続部21の上面は実効共振領域内の第2電極の上面より低く、第2電極接続部21と実効共振領域内の第2電極とは傾斜部L2を介して接続される。
【0131】
当該実施例に基づいて、好ましくは、本出願の1つの実施例において、図12に示すように、傾斜部L2と圧電層とは直接的に接触している。
【0132】
好ましくは、本出願の別の実施例において、図13に示すように、実効共振領域内の第2電極が一定の距離だけ水平に延在した後、傾斜部L2に接続されることで、傾斜部L2が圧電層30に接触しない。傾斜部L2によって、当該位置に形状変化を発生させ、横方向モードの音波を反射して、音波損失を減少して、Q係数を向上する。
【0133】
上記何れか1つの実施例に基づいて、本出願の1つの実施例において、図5-2~図5-4、図7図7-1、図8及び図9に示すように、第2電極接続部21を除いた第2電極は実効共振領域から離れて延在して第2電極延在部22を形成し、第2電極延在部22と圧電層30との間には第2隙間K2があり、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、第2隙間K2の上面は、実効共振領域内の圧電層の上面を超えない。
【0134】
ここで、実効共振領域内の第2電極は一般的に複数の側辺を含み、第2電極接続部21は実効共振領域内の第2電極の1つの側辺に連結され、本実施例において、実効共振領域内の第2電極の、第2電極接続部に接続される側辺を除いた他の側辺(即ち、第2電極非接続端)は実効共振領域から離れて延在して第2電極延在部22を形成し、第2電極非接続端における1つ又は複数の側辺に第2電極延在部22を形成して、且つ第2電極延在部22と圧電層との間には第2隙間K2があってもよい。
【0135】
本実施例において、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、第2隙間K2の上面は、実効共振領域内の圧電層の上面を超えず、第1隙間K1の上面も実効共振領域内の圧電層の上面を超えず、即ち、第2電極20全体は水平平坦状であってもよいため、機械的安定性がよりよくなる。
【0136】
そして、第1隙間K1に類似して、第2隙間K2は音響反射素子40の内側、又は音響反射素子40のエッジと重なる位置から開始して、音響反射素子40の外側まで延在し、この場合、第2隙間K2は実効共振領域のエンドに位置し、圧電層30と第2隙間K2に充填される空気又は他の媒体との間には音響抵抗変化が生じるため、横波共振を抑制して、横波漏れ、即ち、音響エネルギー損失を減少して、バルク音響共振器の品質係数を向上する。
【0137】
上記実施例に基づいて、好ましくは、本出願の1つの実施例において、図5-2~図5-4、図7図7-1及び図8に示すように、第1電極10は第2厚さ薄肉化領域12をさらに有し、第2厚さ薄肉化領域12的の厚さを実効共振領域内の第1電極10の厚さより小さくすることで、圧電層30が第2厚さ薄肉化領域12を直接的に覆うようにし、圧電層30と第2電極延在部22との間には第2隙間K2が形成される。
【0138】
第1厚さ薄肉化領域11に類似して、第2電極延在部22と圧電層30との間に第2隙間K2を形成するために、第2厚さ薄肉化領域12の一方は音響反射素子40の内側に位置し、他方は第1電極10のエンドと重なってもよいし、第1電極10のエンドと一定の距離を有してもよい。
【0139】
第1厚さ薄肉化領域11に類似して、第2厚さ薄肉化領域12と圧電層30との接触面は階段状、円弧状又は傾斜状であってもよい。また、好ましくは、第2隙間K2は図5-4に示される凹溝形態であってもよく、この場合、第2電極延在部22のエンドは凹溝のエッジを超えず、別途の寄生発振が生じることを回避する。
【0140】
第1厚さ薄肉化領域11に類似して、第1電極10における第2厚さ薄肉化領域12はエッチングプロセスによって形成されてもよいし、多層金属電極を積層するように形成されてもよく、具体的に、状況に応じて決定すればよい。
【0141】
第2電極接続部21と圧電層30との間の第1隙間K1に類似して、第2電極延在部22と圧電層30との間の第2隙間K2は、まず、第1電極10に第2厚さ薄肉化領域12を形成してから、第2厚さ薄肉化領域12に圧電層30を沈積させて、第2厚さ薄肉化領域12の形状を直接的に圧電層30の上面に伝達することで、第2電極延在部22と圧電層30との間に第2隙間K2を形成する。
【0142】
第2電極接続部21と圧電層30との間の第1隙間K1に類似して、第2電極延在部22と圧電層30との間の第2隙間K2は音響反射素子40を基底50の表面に配置して、音響反射素子40のエンドを傾斜状に設置することにより、第1電極10が音響反射素子40のエンドを覆い斜面形状として形成されるようにし、これによって、圧電層30が第1電極10を直接的に覆い、圧電層30と第2電極延在部22との間に第2隙間K2を形成し、第2隙間K2の開始点は音響反射素子40の内側に位置するか、又は音響反射素子40のエッジと重なる。
【0143】
以上のように、本出願の実施例が提供するバルク音響共振器において、第1電極の上面に斜面形状を形成することで、第1電極に圧電層を沈積させる場合、斜面形状を直接的に圧電層の上面に伝達して、圧電層の上面に斜面形状を形成し、さらに、第2電極接続部と圧電層との間に第1隙間を形成して、第2電極接続部と圧電層とを離間させ、第2電極接続部と第1電極とが音響反射素子以外の領域で重畳して寄生発振が生じることを回避し、第1電極から第2電極を指向する方向で、第1隙間の上面は実効共振領域内の圧電層の上面を超えず、これによって、第2電極接続部の機械的安定性がよりよくなり、陥没及び破断などの状況が生じにくく、また、圧電層の厚さはそのまま保持され、圧電層に対してエッチングなどの物理的破壊を行わず、圧電層の局所応力を破壊することなく、応力分布がより均一になり、デバイスの良品率を高めて、デバイスの実効電気機械結合係数も向上して、さらに、デバイスの機械的強度及び確実性を保証し、形状伝達の方式で圧電層を成長させ、プロセスも簡単且つ操作しやすい。
【0144】
図14は、本出願の図5のバルク音響共振器及び伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器のスミスチャート概略図を示し、Smithチャートにおいて、曲線円が小さく、折点が多く、振幅が大きいほど、寄生モードが強く、スプリアスモードが多く、逆に、弱く、Smithチャートにおいて、曲線が円の外側に近接し、滑らかであるほど、共振器のエコー損失が小さいことは既知である。図14から分かるように、伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器に対して、本出願のバルク音響共振器のSmithチャートにおいて、曲線円が小さく、折点が少なく、振幅が小さく、寄生が弱く、曲線が円の外側に近接し、共振器のエコー損失が小さい。
【0145】
図15は、本出願の図5のバルク音響共振器及び伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器の抵抗が、周波数に連れて変化する関係概略図であり、共振器の寄生発振が小さくなると同時に、デバイスの直列抵抗Rsも小さくなるため、デバイスのQ値が高くなり、図15から分かるように、2.1GHz付近の共振器を例として、本出願のバルク音響共振器の直列抵抗Rsは2.7Ωであり、伝統のサンドイッチ構造のバルク音響共振器の直列抵抗Rsは3.5Ωであり、寄生共振は著しく改善され、特に、2.18GHz付近の寄生共振モードが大きく低下する。
【0146】
本出願の実施例は共振器ユニットをさらに提供し、図5図5-3、図7図7-1、図8及び図9に示すように、当該共振器ユニットは少なくとも第1共振器100、電気素子200、及び接続構造23を含み、第1共振器100は上記何れか1つの実施例が提供するバルク音響共振器であり、
接続構造23の両端には第1共振器100の第2電極接続部21及び電気素子200が接続される。
【0147】
ここで、第1共振器は寄生発振が少なく、機械的安定性が高く、圧電層の応力分布が均一であり、デバイス性能及び良品率が何れも高いなどの利点を有するため、当該共振器ユニットの性能もよい。
【0148】
好ましくは、本出願の1つの実施例において、電気素子200もバルク音響共振器であり、即ち、接続構造23には2つのバルク音響共振器が接続される。具体的に、図5図5-3、図5-5~図5-8、図7図7-1、図8図8-3、及び図9図9-3は何れも接続構造23に2つのバルク音響共振器が接続される概略図であり、電気素子200は第1共振器100と完全に同様である共振器であってもよく、即ち、電気素子も第1電極10、第2電極20、及び第1電極10と第2電極20との間に位置する圧電層30を含み、音響反射素子40は第1電極10の、圧電層30に背離する側に設けられ、音響反射素子40、第1電極10、圧電層30及び第2電極20の重畳部分は実効共振領域であり、第2電極20は実効共振領域内に位置する部分以外、第2電極接続部21をさらに含み、圧電層30は第1電極10のエンドを超えるように延在して、その厚さが不変であり、第2電極接続部21と圧電層30との間には第1隙間K1があり、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、第1隙間K1の上面は実効共振領域内の圧電層30の上面を超えない。
【0149】
好ましくは、本出願の別の実施例において、電気素子200はインダクタ、コンデンサ又はパッドなどの他の電気素子を含んでもよく、具体的に、図5-9~図5-10及び図9-4は何れも接続構造に第1共振器100、インダクタ、コンデンサ又はパッドなどの他の電気素子が接続される概略図であり、インダクタ、コンデンサ又はパッドなどの他の電気素子を図示せず、インダクタ、コンデンサ又はパッドなどの他の電気素子と第1共振器100とが接続される金属層のみを図示する。
【0150】
上記何れか1つの実施例に基づいて、本出願の1つの実施例において、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、接続構造23の上面は、第1共振器100における実効共振領域内の第2電極の上面を超えない。
【0151】
好ましくは、本出願の1つの実施例において、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、接続構造23の上面は第1共振器における実効共振領域内の第2電極の上面と整合し、接続構造23と圧電層との間には第3隙間K3があり、具体的に、図5図5-3、図5-8~図5-10、図7図7-1、図8及び図9を参照すればよい。
【0152】
本実施例において、第1共振器100の第2電極接続部21及び接続構造23は何れも第1共振器100における実効共振領域内の第2電極の上面と整合し、圧電層30は第1共振器の実効共振領域から基底50の表面まで延在して、これによって、接続構造23と圧電層30との間には第3隙間K3がある。
【0153】
ここで、実際の応用において、第2電極20と接続構造23とは同時に沈積して形成され、同一の金属層であるが、一般的に接続構造23に対してエッチングを行う必要があり、接続構造23と圧電層30との間には第3隙間K3があり、これによって、接続構造23をエッチングする時、接続構造23の下方の圧電層30を破壊しないことを保証するとともに、デバイス平面全体上の圧電層30の完全性を保証して、実効共振領域付近の圧電層に対する応力変化を回避し、デバイスの許容電力及び静電破壊耐性を最大限で向上する。
【0154】
本実施例において、第1共振器100の第2電極接続部21及び接続構造23は何れも第1共振器100における実効共振領域内の第2電極の上面と整合し、さらに以下の利点を有する:
(a)第2電極20及び接続構造23全体は水平平坦状を呈し、折曲がなく、機械的安定性がより高い;
(b)水平の第2電極接続部21及び接続構造23は長さをこれ以上短くできないため、共振器の中心領域に対して横方向引張の作用を発揮して(具体的な受力は、図5の矢印を参照すればよい)、共振器の中心領域の陥没及び変形を抑制する;
(c)水平の第2電極20及び接続構造23の上方に成長する不活性化層の厚さの均一性が高く、集中される周波数分布を実現して、デバイス良品率を向上する;
(d)水平の第2電極20及び接続構造23のフォトエッチング効果、エッチング効果、及び金属層と圧電層との間の整合効果が最もよいため、加工プロセスを最適化して、コストが最も低い;
(e)水平の第2電極接続部21及び接続構造23によって、第1共振器100と他の電気素子との間の接続距離を最短にして、接続抵抗を最小にして、これによって、音波損失を減少して、デバイスの品質係数(Q係数)を向上する。
【0155】
本出願の別の実施例において、第1電極10から第2電極20に指向する方向で、接続構造23の上面は第1共振器100における実効共振領域内の第2電極の上面より低く、接続構造23と圧電層30との間には第3隙間K3があり、具体的に、図5-6、図8-2及び図9-2を参照すればよく、又は、接続構造23と圧電層30とは直接的に接触し、具体的に、図5-7、図8-3及び図9-3を参照すればよい。
【0156】
上記から分かるように、接続構造23と圧電層30との間に第3隙間K3がある場合、接続構造23をエッチングする場合、接続構造23の下方の圧電層30を破壊しないことを保証するとともに、デバイス平面全体上の圧電層の完全性を保証する。
【0157】
接続構造23は圧電層30と直接的に接触すると、圧電層30によって支持され、接続構造23の機械的安定性がよくなる。
【0158】
上記何れか1つの実施例に基づいて、好ましくは、本出願の1つの実施例において、接続構造23の両端は第1共振器100の第2電極接続部21及び電気素子200にそれぞれ直接的に接続される。
【0159】
好ましくは、本出願の別の実施例において、第2電極接続部21の、接続構造23に近接する側は少なくとも1つの凹凸構造L3を有し、接続構造23は少なくとも1つの凹凸構造L3を介して第1共振器100の第2電極接続部21及び/又は電気素子200に接続され、具体的に、図5-5、図8-1及び図9-1を参照すればよい。
【0160】
ここで、図5-5、図8-1及び図9-1において、第1共振器100の第2電極接続部21と接続構造23とは略整合と見なされ、両者の接続位置には凹凸構造L3が出現し、その原因は、第1共振器100における第2電極接続部21と圧電層30との間の第1隙間K1でも、接続構造23と圧電層30との間の第3隙間K3でも、何れも隙間形成の対象となる位置に犠牲層を充填してから、第2電極接続部21及び接続構造23を形成した後、犠牲層を除去して、第1隙間K2及び第3隙間K3を形成するためである。
【0161】
発明者は、隙間の製造過程で、第2電極接続部21と接続構造23との間に少なくとも1つの突起を形成し、突起の両側は凹んで、即ち、凹凸構造L3を形成し、当該凹凸構造L3はちょうど空気と第2電極との境界を形成して、音響抵抗変化が生じて、従って、横波共振を抑制して、横波漏れ、即ち、音響エネルギー損失を減少して、バルク音響共振器の品質係数を向上することを研究して発見した。
【0162】
本実施例において、電気素子200も共振器である場合、その第2電極接続部21の、接続構造23に近接する側も少なくとも1つの凹凸構造L3を有し、この時、接続構造23は何れも少なくとも1つの凹凸構造L3を介して、第1共振器100の第2電極接続部21及び電気素子200の第2電極接続部21に接続される。電気素子200はコンデンサ、インダクタ又はパッドなどの他の素子である場合、接続構造23は少なくとも1つの凹凸構造L3を介して電気素子200に電気接続されてもよいし、直接的に電気素子200に電気接続されてもよく、且つ少なくとも1つの凹凸構造23を介して第1共振器100の第2電極接続部21に電気接続される。
【0163】
ここで、第1共振器100はその第2電極接続部21及び接続構造23を介して電気素子200に接続される場合、第1共振器100の第2電極接続部21及び接続構造23は実際に同一層の金属層であり、電気素子200において、接続対象となる金属層も第1共振器100の第2電極接続部21及び接続構造23と同一層の金属層、即ち、何れも第2電極が所在する金属層であると、第1共振器100の第2電極接続部21は直接的に接続構造23を介して電気素子200に接続さればよい。電気素子200において、接続対象となる金属層は、第1共振器100の第2電極接続部21及び接続構造23と同一層の金属層でなければ、第1共振器100の第2電極接続部21と接続構造23とは直接的に接続されてもよいが、接続構造23と、電気素子200で接続対象となる金属層との間には、貫通するスルーホールが設けられる必要があり、且つスルーホール内には接続部材が設けられることで、接続構造23と、電気素子200で接続対象となる金属層とは接続部材を介して接続される。
【0164】
以下、電気素子200において接続対象となる金属層と、第1共振器の第1電極10とは同一層の金属層であることを例として詳しく説明する。
【0165】
好ましくは、本出願の1つの実施例において、図5-8~図5-10、及び図9-4に示すように、第1共振器100の第2電極20はその第2電極接続部21、接続構造23及び接続部材24を介して電気素子200に接続され、圧電層30は貫通するスルーホールを有し、接続部材24はスルーホール内に位置するとともに、電気素子200に接続され、第1電極10から第2電極20を指向する方向で、接続部材24はさらにスルーホールから圧電層30の上面まで延在している。
【0166】
具体的に、図5-8~図5-10は何れも第1共振器100の第2電極接続部21、接続構造23及び圧電層30を貫通するスルーホール内の接続部材24が順に接続されて、電気素子200において第1共振器100の第1電極10と同一層にある金属層に接続される概略図を示す。
【0167】
ここで、図5-8において、電気素子200もバルク音響共振器であり、従って、接続部材24は直接的にスルーホールの底部で電気素子200の第1電極に接続される。
【0168】
図5-9、図5-10及び図9-4において、電気素子200はコンデンサ、インダクタ又はパッドなどの電気素子であってもよく、そうすれば、接続部材24は直接的にスルーホールの底部で電気素子200の金属層に接続されてもよいし、圧電層30の上面まで延在してから、電気素子200の金属層に接続されてもよく、これに対して本出願は限定せず、具体的に、状況に応じて決定すればよい。
【0169】
さらに、好ましくは、本出願の1つの実施例において、図5-10及び図9-4に示すように、接続部材24の、圧電層の上面に位置する一端は持ち上げられて持ち上げ部25を形成し、持ち上げ部25と圧電層30との間には第4隙間K4がある。
【0170】
本実施例において、持ち上げ部25と圧電層30との間には第4隙間K4が形成されることで、加工する時、圧電層30までオーバーエッチングすることなく、加工プロセスを簡略化し、圧電層30全体において、開口以外の領域に対して物理的破壊又は除去がなく、実効共振領域付近の圧電層に対する応力変化を回避して、デバイスの許容電力及び静電破壊耐性を最大限で向上する。
【0171】
以上のように、本出願の実施例が提供する共振器ユニットにおいて、第1共振器と電気素子とを接続する接続構造の上面も、第1共振器における実効共振領域内の第2電極の上面を超えず、即ち、第1共振器の第2電極接続部及び接続構造は何れも水平平坦状であり、従って、機械的安定性がより高く、且つ水平の第2電極接続部及び接続構造は共振器の中心領域に対して横方向引張の作用を発揮して、共振器の中心領域の陥没又は変形を抑制し、水平の第2電極及び接続構造で成長する不活性化層の厚さの均一性もより高くなり、集中される周波数分布を実現し、また、水平の第2電極及び接続構造のフォトエッチング効果、エッチング効果、及び金属層と圧電層との間の整合効果が最適であり、従って、加工プロセスを最適化して、コストが最も低く、水平の第2電極接続部及び接続構造によって、接続距離を最短にして、接続抵抗を最小にして、これによって、音波損失を減少して、デバイスの品質係数を向上する。
【0172】
本出願の実施例はフィルタをさらに提供し、上記何れか1つの実施例が提供するバルク音響共振器、又は上記何れか1つの実施例が提供する共振器ユニットを含む。
【0173】
本出願の実施例は電子機器をさらに提供し、上記何れか1つの実施例が提供するバルク音響共振器、又は上記何れか1つの実施例が提供する共振器ユニットを含む。
【0174】
バルク音響共振器及び共振器ユニットについて、上記各実施例において詳しく記載したため、ここで、贅言しない。
【0175】
本明細書における各部分に対して並列と漸進とを結合する方式で記載し、各部分は何れも他の部分との相違点を主に説明し、各部分の間の同様/類似の部分について、互いに参照すればよい。
【0176】
開示された実施例に対する上記説明によれば、本明細書における各実施例に記載の特徴を互いに置き換え又は組み合わせることで、当業者は本出願を実現又は使用できる。これらの実施例に対する多種の補正は当業者にとって自明であり、本出願の精神又は範囲から逸脱しない場合、本明細書に定義される一般的な原理は他の実施例において実現できる。従って、本出願は本明細書に示される実施例に限定されず、本明細書が開示した原理及び新規特点と一致する最も幅広い範囲に合う。
図1
図2
図3
図4
図5
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図5-5】
図5-6】
図5-7】
図5-8】
図5-9】
図5-10】
図6
図6-1】
図7
図7-1】
図8
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図9-4】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク音響共振器であって、
第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電層を含み、音響反射素子は前記第1電極の、前記圧電層に背離する側に設けられ、前記音響反射素子、前記第1電極、前記圧電層及び前記第2電極の重畳部分は実効共振領域であり、
前記第2電極は、前記実効共振領域内に位置する部分以外に、第2電極接続部をさらに含み、
前記圧電層は、前記第1電極のエンドを超えるように延在して、且つその厚さが不変であり、前記第2電極接続部と前記圧電層との間には第1隙間があり、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記第1隙間の上面は、前記実効共振領域内の圧電層の上面を超えないことを特徴とするバルク音響共振器。
【請求項2】
前記第1隙間の一方は、前記音響反射素子の内側に位置するか又は前記音響反射素子のエッジと重なり、他方は前記第1電極エンドの外側に位置することを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項3】
前記第1隙間は前記第1電極の一部と重畳することを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項4】
前記圧電層は成長欠陥を有する欠陥領域を含み、前記第1隙間は前記欠陥領域の少なくとも一部を覆うことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項5】
前記第1電極のエンドは前記音響反射素子のエッジを超えていることを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項6】
前記第1電極は第1厚さ薄肉化領域を有し、前記第1厚さ薄肉化領域の厚さを前記実効共振領域内の第1電極の厚さより小さくすることで、前記圧電層が直接的に前記第1厚さ薄肉化領域を覆うようにし、前記圧電層と前記第2電極接続部との間には前記第1隙間が形成され、前記第1厚さ薄肉化領域の一方は前記音響反射素子の内側に位置することを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項7】
前記第1厚さ薄肉化領域の他方は前記第1電極のエンドと重なるか、又は前記第1電極のエンドと一定の距離を有することを特徴とする請求項6に記載のバルク音響共振器。
【請求項8】
前記第1厚さ薄肉化領域と前記圧電層との接触面は階段状、円弧状又は傾斜状であることを特徴とする請求項6に記載のバルク音響共振器。
【請求項9】
前記第1電極は積層されている第1金属電極と第2金属電極とを含み、前記第2金属電極は前記第1金属電極の、前記圧電層に近接する側に位置し、前記第2金属電極のエンドは前記第1金属電極のエンドに対して収縮して前記第1厚さ薄肉化領域を形成することを特徴とする請求項6に記載のバルク音響共振器。
【請求項10】
基底をさらに含み、前記音響反射素子は前記基底内に嵌め込まれるか、又は前記基底の表面に位置することを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項11】
前記音響反射素子は前記基底表面に位置し、前記第1電極は前記基底の表面で上に突出し、前記音響反射素子が前記第1電極の上に突出した部分と前記基底の表面との間に位置するようにし、前記圧電層が直接的に前記第1電極を覆い、前記圧電層と前記第2電極接続部との間に前記第1隙間が形成されるようにすることを特徴とする請求項10に記載のバルク音響共振器。
【請求項12】
前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記第2電極接続部の上面は、前記実効共振領域内の第2電極の上面を超えないことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項13】
前記第2電極接続部の上面は前記実効共振領域内の第2電極の上面と整合していることを特徴とする請求項12に記載のバルク音響共振器。
【請求項14】
前記第2電極接続部は凹み部を介して前記実効共振領域内の第2電極に接続され、前記凹み部の、前記実効共振領域内の第2電極に接続される部分は、前記圧電層に直接的に接触していることを特徴とする請求項13に記載のバルク音響共振器。
【請求項15】
前記凹み部はV字型又はU字型を呈していることを特徴とする請求項14に記載のバルク音響共振器。
【請求項16】
前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記第2電極接続部の上面は、前記実効共振領域内の第2電極の上面より低く、前記第2電極接続部は傾斜部を介して前記実効共振領域内の第2電極に接続されることを特徴とする請求項12に記載のバルク音響共振器。
【請求項17】
前記傾斜部は前記圧電層に直接的に接触し、
又は、前記実効共振領域内の第2電極が一定の距離だけ水平に延在した後、前記傾斜部に接続されることで、前記傾斜部は前記圧電層に接触しないことを特徴とする請求項16に記載のバルク音響共振器。
【請求項18】
前記第2電極接続部を除いた第2電極は前記実効共振領域から離れるように、延在して第2電極延在部を形成し、前記第2電極延在部と前記圧電層との間には第2隙間があり、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記第2隙間の上面は、前記実効共振領域内の圧電層の上面を超えないことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項19】
前記第1電極は第2厚さ薄肉化領域をさらに有し、前記第2厚さ薄肉化領域の厚さを前記実効共振領域内の第1電極の厚さより小さくすることで、前記圧電層が直接的に前記第2厚さ薄肉化領域を覆い、前記圧電層と前記第2電極延在部との間に前記第2隙間が形成されるようにすることを特徴とする請求項18に記載のバルク音響共振器。
【請求項20】
前記音響反射素子はキャビティ又はブラッグ反射鏡を含むことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項21】
共振器ユニットであって、少なくとも第1共振器、電気素子、及び接続構造を含み、前記第1共振器は請求項1~20の何れか1項に記載のバルク音響共振器であり、
前記接続構造の両端には前記第1共振器の第2電極接続部及び前記電気素子がそれぞれ接続されることを特徴とする共振器ユニット。
【請求項22】
前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記接続構造の上面は、前記第1共振器における実効共振領域内の第2電極の上面を超えないことを特徴とする請求項21に記載の共振器ユニット。
【請求項23】
前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記接続構造の上面は前記第1共振器における実効共振領域内の第2電極の上面と整合し、前記接続構造と前記圧電層との間には第3隙間があることを特徴とする請求項22に記載の共振器ユニット。
【請求項24】
前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記接続構造の上面は、前記第1共振器における実効共振領域内の第2電極の上面より低く、前記接続構造と前記圧電層との間には第3隙間があり、又は前記接続構造は前記圧電層に直接的に接触していることを特徴とする請求項22に記載の共振器ユニット。
【請求項25】
前記第2電極接続部の、前記接続構造に近接する側は少なくとも1つの凹凸構造を有し、前記接続構造は前記少なくとも1つの凹凸構造を介して、前記第1共振器の第2電極接続部及び/又は前記電気素子に接続されることを特徴とする請求項21に記載の共振器ユニット。
【請求項26】
前記電気素子はバルク音響共振器、インダクタ、コンデンサ又はパッドを含むことを特徴とする請求項21に記載の共振器ユニット。
【請求項27】
前記第1共振器の第2電極はその第2電極接続部、前記接続構造及び接続部材を介して前記電気素子に接続され、前記圧電層は貫通しているスルーホールを有し、前記接続部材は前記スルーホール内に位置して前記電気素子に接続され、前記第1電極から前記第2電極を指向する方向で、前記接続部材はさらに前記スルーホールから前記圧電層の上面まで延在していることを特徴とする請求項21に記載の共振器ユニット。
【請求項28】
前記接続部材の、前記圧電層の上面に位置する一端は持ち上げられて持ち上げ部を形成し、前記持ち上げ部と前記圧電層との間には第4隙間があることを特徴とする請求項27に記載の共振器ユニット。
【請求項29】
フィルタであって、請求項1~20の何れか1項に記載のバルク音響共振器を含むことを特徴とするフィルタ。
【請求項30】
電子機器であって、請求項1~20の何れか1項に記載のバルク音響共振器を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項31】
フィルタであって、請求項21に記載の共振器ユニットを含むことを特徴とするフィルタ。
【請求項32】
電子機器であって、請求項21に記載の共振器ユニットを含むことを特徴とする電子機器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5-10
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5-10】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9-4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図9-4】
【国際調査報告】