IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 晶科能源(海▲寧▼)有限公司の特許一覧

特表2024-533902太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール
<>
  • 特表-太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール 図1
  • 特表-太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール 図2
  • 特表-太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール 図3
  • 特表-太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール 図4
  • 特表-太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール 図5
  • 特表-太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール 図6
  • 特表-太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール 図7
  • 特表-太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール 図8
  • 特表-太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール 図9
  • 特表-太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール 図10
  • 特表-太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール 図11
  • 特表-太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-13
(54)【発明の名称】太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/05 20140101AFI20240906BHJP
   H01L 31/042 20140101ALI20240906BHJP
【FI】
H01L31/04 570
H01L31/04 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559733
(86)(22)【出願日】2023-08-29
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2023115390
(87)【国際公開番号】W WO2024051519
(87)【国際公開日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】202211075516.3
(32)【優先日】2022-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522171073
【氏名又は名称】晶科能源(海▲寧▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】黄 世亮
(72)【発明者】
【氏名】郭 志球
(72)【発明者】
【氏名】▲関▼ 迎利
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 敬国
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251EA19
5F251FA14
5F251JA03
5F251JA04
5F251JA05
5F251JA06
(57)【要約】
【課題】本願は、太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュールに関する。
【解決手段】太陽光発電モジュールの製造方法は、カバープレート及び封止層を含む正面封止構造、太陽電池セル及びバックシートを提供するステップと、太陽電池セルの少なくとも一方側の表面に絶縁層と貫通孔を設け、貫通孔と太陽電池セルのグリッド線との位置を対応させるステップと、バックシート上に導電層を設けるステップと、貫通孔内及び/又は導電層上に導電性接着剤を設けるステップと、バックシートを太陽電池セルに接続し、絶縁層を導電層に貼り合わせ、導電性接着剤によって貫通孔を介してグリッド線と導電層とを電気的に接続させるステップと、封止層を太陽電池セルのバックシートから離間する側に設けるステップと、カバープレートを封止層の太陽電池セルから離間する側に設けるステップと、カバープレート、封止層、太陽電池セル及びバックシートをラミネートして、太陽光発電モジュールを形成するステップとを含む。本願による太陽光発電モジュールの製造方法では、太陽光発電モジュールのプロセスの複雑さを低減させ、プロセスステップをより簡単にすることができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電モジュールの製造方法であって、
カバープレート(5)と封止層(4)とを含む正面封止構造、太陽電池セル(2)及びバックシート(1)を提供するステップと、
前記太陽電池セル(2)の少なくとも一方側の表面に絶縁層(21)と貫通孔(211)を設け、前記貫通孔(211)と前記太陽電池セル(2)のグリッド線(20)との位置を対応させるステップと、
前記バックシート(1)上に導電層(11)を設けるステップと、
前記貫通孔(211)内及び/又は前記導電層(11)上に導電性接着剤(3)を設けるステップと、
前記バックシート(1)を前記太陽電池セル(2)に接続し、前記絶縁層(21)を前記導電層(11)に貼り合わせ、前記導電性接着剤(3)によって前記貫通孔(211)を介して前記グリッド線(20)と前記導電層(11)とを電気的に接続させるステップと、
前記封止層(4)を前記太陽電池セル(2)の前記バックシート(1)から離間する側に設けるステップと、
前記カバープレート(5)を前記封止層(4)の前記太陽電池セル(2)から離間する側に設けるステップと、
前記カバープレート(5)、前記封止層(4)、前記太陽電池セル(2)及び前記バックシート(1)をラミネートして、前記太陽光発電モジュールを形成するステップと、を含む、ことを特徴とする太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記太陽電池セル(2)の少なくとも一方側の表面に絶縁層(21)及び貫通孔(211)を設ける場合、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、具体的に、
前記太陽電池セル(2)の少なくとも一方側の表面に絶縁接着剤を印刷するステップと、
前記絶縁接着剤を硬化処理して、前記絶縁層(21)を形成し、前記太陽電池セル(2)の表面の絶縁接着剤が印刷されていない領域に前記貫通孔(211)を形成するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記絶縁接着剤は、透明絶縁接着剤である、ことを特徴とする請求項2に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記太陽電池セル(2)の少なくとも一方側の表面に絶縁接着剤を印刷する前に、又は前記絶縁接着剤を硬化処理して前記絶縁層(21)を形成し、前記太陽電池セル(2)の表面の絶縁接着剤が印刷されていない領域に前記貫通孔(211)を形成した後に、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、前記太陽電池セル(2)に対して電気性能テストを行うことをさらに含み、
及び/又は、前記絶縁接着剤を硬化処理して前記絶縁層(21)を形成し、前記太陽電池セル(2)の表面の絶縁接着剤が印刷されていない領域に前記貫通孔(211)を形成した後に、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、前記太陽電池セル(2)の色及び外観に基づいて選別することをさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記絶縁層(21)の厚さはD1であり、前記導電性接着剤(3)の厚さはD2であり、1.2≦D2:D1≦1.5である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記バックシート(1)上に導電層(11)を設ける場合、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、具体的に、
前記バックシート(1)上にマスクプレートを設けるステップと、
前記マスクプレートの開口部を介して前記バックシート(1)の表面に透明金属酸化物を堆積して、金属導電層(111)を形成するステップと、
前記マスクプレートを除去し、前記バックシート(1)の前記透明金属酸化物が堆積されていない領域に絶縁溝(113)を形成するステップと、を含む
、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記マスクプレートを除去し、前記バックシート(1)の前記透明金属酸化物が堆積されていない領域に絶縁溝(113)を形成した後に、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、さらに、
前記金属導電層(111)の表面に印刷、焼結により電極接続層(112)を形成し、前記金属導電層(111)と前記電極接続層(112)とが共同で前記導電層(11)を構成するステップを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記バックシート(1)の材料は、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートのうちの1種である、ことを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記バックシート(1)の材料は、ポリフッ化ビニル、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンのうちの1種であり、かつ、前記カバープレート(5)、前記封止層(4)、前記太陽電池セル(2)及び前記バックシート(1)をラミネートして前記太陽光発電モジュールを形成する前に、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、さらに、
前記カバープレート(5)、前記封止層(4)、前記太陽電池セル(2)及び前記バックシート(1)を全体的に反転させ、前記カバープレート(5)を下にし、前記バックシート(1)を上にするステップを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造された太陽光発電モジュールであって、
前記太陽光発電モジュールの厚さ方向に沿って、前記太陽光発電モジュールは、バックシート(1)と、グリッド線(20)を含む太陽電池セル(2)と、導電性接着剤(3)と、封止層(4)と、カバープレート(5)とを含み、
前記バックシート(1)には、導電層(11)が設けられ、
前記太陽電池セル(2)の少なくとも一方側の表面に絶縁層(21)及び貫通孔(211)が設けられ、前記貫通孔(211)は、前記グリッド線(20)の位置に対応し、
前記導電性接着剤(3)は、前記貫通孔(211)内に位置し、前記導電性接着剤(3)の両端がそれぞれ前記導電層(11)と前記グリッド線(20)に接続され、
前記封止層(4)は、前記太陽電池セル(2)の前記バックシート(1)から離間する側を覆い、
前記カバープレート(5)は、前記封止層(4)の前記太陽電池セル(2)から離間する側を覆い、前記カバープレート(5)は、前記バックシート(1)と共に前記封止層(4)及び前記太陽電池セル(2)を挟持する、ことを特徴とする太陽光発電モジュール。
【請求項11】
前記導電層(11)は、金属導電層(111)と電極接続層(112)とを含み、前記電極接続層(112)は、前記金属導電層(111)の前記太陽電池セル(2)に近接する側の表面に設けられ、
前記導電性接着剤(3)は、一端が前記太陽電池セル(2)の正極又は負極に接続され、他端が前記電極接続層(112)に接続される、ことを特徴とする請求項10に記載の太陽光発電モジュール、
【請求項12】
前記電極接続層の材料は、Au、Ag、Cu、Al、Bi、Sn、Pbのうちの1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項11に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項13】
前記バックシート(1)には、絶縁溝(113)が形成され、前記導電層(11)は、前記絶縁溝(113)を囲んで設けられ、
前記電極接続層(112)が前記太陽電池セル(2)の正極に接続される領域と、前記電極接続層(112)が前記太陽電池セル(2)の負極に接続される領域とは、前記絶縁溝(113)の両側に位置する、ことを特徴とする請求項11に記載の太陽光発電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、2022年09月05日に中国特許庁に提出され、出願番号が202211075516.3であり、出願名称が「太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュール」である中国特許出願の優先権を要求し、その内容の全ては、引用により本願に結合される。
【技術分野】
【0002】
本願は、太陽光発電技術分野に関し、特に、太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
太陽光発電モジュールは、通常、正面封止構造と、背面封止構造と、太陽電池セルと、絶縁層と、導電層とを含み、太陽電池セルにおける正極グリッド線及び負極グリッド線は、それぞれ導電層に接続されて電気接続通路を形成する必要がある。絶縁層は、太陽電池セルにおいて正極グリッド線、負極グリッド線の接続に用いられる位置以外の領域と導電層とを絶縁分離するために用いられる。
【0004】
従来技術における太陽光発電モジュールは、製造時にプロセスに対する精度要求が高いため、プロセスステップが複雑であるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、太陽光発電モジュールを製造するプロセスの複雑さを低減することができる太陽光発電モジュールの製造方法及び太陽光発電モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1態様は、太陽光発電モジュールの製造方法を提供し、当該太陽光発電モジュールの製造方法は、
カバープレート及び封止層を含む正面封止構造、太陽電池セル及びバックシートを提供するステップと、
前記太陽電池セルの少なくとも一方側の表面に絶縁層と貫通孔を設け、前記貫通孔と前記太陽電池セルのグリッド線との位置を対応させるステップと、
前記バックシート上に導電層を設けるステップと、
前記貫通孔内及び/又は前記導電層上に導電性接着剤を設けるステップと、
前記バックシートを前記太陽電池セルに接続し、前記絶縁層を前記導電層に貼り合わせ、前記導電性接着剤によって前記貫通孔を介して前記グリッド線と前記導電層とを電気的に接続させるステップと、
前記封止層を前記太陽電池セルの前記バックシートから離間する側に設けるステップと、
前記カバープレートを前記封止層の前記太陽電池セルから離間する側に設けるステップと、
前記カバープレート、前記封止層、前記太陽電池セル及び前記バックシートをラミネートして、前記太陽光発電モジュールを形成するステップとを含む。
【0007】
1つの可能な設計では、前記太陽電池セルの少なくとも一方側の表面に絶縁層及び貫通孔を設ける場合、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、具体的に、前記太陽電池セルの少なくとも一方側の表面に絶縁接着剤を印刷することと、前記絶縁接着剤を硬化処理して、前記絶縁層を形成し、前記太陽電池セルの表面における絶縁接着剤が印刷されていない領域に前記貫通孔を形成することと、を含む。
【0008】
1つの可能な設計では、前記絶縁接着剤は、透明絶縁接着剤である。
【0009】
1つの可能な設計では、前記太陽電池セルの少なくとも一方側の表面に絶縁接着剤を印刷する前に、又は前記絶縁接着剤を硬化処理して前記絶縁層を形成し、前記太陽電池セルの表面の絶縁接着剤が印刷されていない領域に前記貫通孔を形成した後に、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、前記太陽電池セルに対して電気性能テストを行うことをさらに含み、及び/又は、前記絶縁接着剤を硬化処理して前記絶縁層を形成し、前記太陽電池セルの表面の絶縁接着剤が印刷されていない領域に前記貫通孔を形成した後に、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、前記太陽電池セルの色及び外観に基づいて選別することをさらに含む。
【0010】
1つの可能な設計では、絶縁層の厚さはD1であり、導電性接着剤の厚さはD2であり、1.2≦D2:D1≦1.5である。
【0011】
1つの可能な設計では、前記バックシート上に導電層を設ける場合、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、具体的に、前記バックシート上にマスクプレートを設けるステップと、前記マスクプレートの開口部を介して前記バックシートの表面に透明金属酸化物を堆積して、金属導電層を形成するステップと、前記マスクプレートを除去し、前記バックシートの前記透明金属酸化物が堆積されていない領域に絶縁溝を形成するステップと、を含む。
【0012】
1つの可能な設計では、前記マスクプレートを除去し、前記バックシートの前記透明金属酸化物が堆積されていない領域に絶縁溝を形成した後に、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、さらに、前記金属導電層の表面に印刷、焼結により電極接続層を形成し、前記金属導電層と前記電極接続層とが共同で前記導電層を構成するステップを含む。
【0013】
1つの可能な設計では、バックシート材料は、ガラス、ポリカーボネート、およびポリエチレンテレフタレートのうちの1種である。
【0014】
1つの可能な設計では、前記バックシート材料は、ポリフッ化ビニル、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンのうちの1種であり、かつ、前記カバープレート、前記封止層、前記太陽電池セル及び前記バックシートをラミネートして前記太陽光発電モジュールを形成する前に、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、前記カバープレート、前記封止層、前記太陽電池セル及び前記バックシートを全体的に反転させ、前記カバープレートを下にし、前記バックシートを上にするステップをさらに含む。
【0015】
本願の第2態様は、上記の製造方法により製造された太陽光発電モジュールを提供し、前記太陽光発電モジュールの厚さ方向に沿って、前記太陽光発電モジュールは、バックシートと、グリッド線を含む太陽電池セルと、導電性接着剤と、封止層と、カバープレートとを含み、
前記バックシートには、導電層が設けられ、
前記太陽電池セルの少なくとも一方側の表面に絶縁層及び貫通孔が設けられ、前記貫通孔は、前記グリッド線の位置に対応し、
前記導電性接着剤は、前記貫通孔内に位置し、前記導電性接着剤の両端がそれぞれ前記導電層と前記グリッド線に接続され、
前記封止層は、前記太陽電池セルの前記バックシートから離間する側をい、
前記カバープレートは、前記封止層の前記太陽電池セルから離間する側を覆い、前記カバープレートは、前記バックシートと共に前記封止層及び前記太陽電池セルを挟持する。
【0016】
1つの可能な設計では、前記導電層は、金属導電層と電極接続層とを含み、前記電極接続層は、前記金属導電層の前記太陽電池セルに近接する側の表面に設けられ、前記導電性接着剤は、一端が前記太陽電池セルの正極又は負極に接続され、他端が前記電極接続層に接続される。
【0017】
1つの可能な設計では、電極接続層の材料は、Au、Ag、Cu、Al、Bi、Sn、およびPbのうちの1種又は複数種である。
【0018】
1つの可能な設計では、前記バックシートには、絶縁溝が形成され、前記導電層は、前記絶縁溝を囲んで設けられ、
前記電極接続層が前記太陽電池セルの正極に接続される領域と、前記電極接続層が前記太陽電池セルの負極に接続される領域とは、前記絶縁溝の両側に位置する。
【発明の効果】
【0019】
本願による太陽光発電モジュールの製造方法では、絶縁層を太陽電池セルの表面に直接的に設けることにより、太陽光発電モジュールを製造するプロセスの複雑さを低減することができ、さらに貫通孔の位置の正確性を向上させ、グリッド線に対応する位置に開設されることを確保し、貫通孔とグリッド線との位置ずれによる導電性接着剤の接触不良のリスクを低減することができる。ラミネート工程において、絶縁層と太陽電池セルとのラミネート過程における位置ずれによって導電性接着剤の位置が変化してしまい、接触不良及び短絡が発生するリスクを低減することもできる。それと同時に、さらに導電層をバックシートの表面に直接的に設けることにより、同様に、導電性接着剤の位置ずれによって接触不良が発生するリスクを低減することができる。
【0020】
以上の一般的な記述及び後の詳細な記述は、例示的なものに過ぎず、本願を限定するものではないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
ここでの図面は明細書に組み込まれ、明細書の一部を構成し、本願に適合する実施例を示し、明細書とともに本願の原理を説明するために用いられる。
【0022】
図1】本願による太陽光発電モジュールの製造の構成模式図である。
図2】本願による太陽光発電モジュールの製造のフローチャートである。
図3】太陽電池セルの一方側の表面の構成模式図である。
図4】本願による太陽光発電モジュールの製造のフローチャートである。
図5】本願による太陽光発電モジュールの製造のフローチャートである。
図6】本願による太陽光発電モジュールの製造のフローチャートである。
図7】太陽光発電モジュールの断面構成模式図である。
図8】太陽電池セルの断面構成模式図である。
図9】本願による太陽光発電モジュールの製造のフローチャートである。
図10】本願による太陽光発電モジュールの製造のフローチャートである。
図11】バックシートの構成模式図である。
図12】本願による太陽光発電モジュールの製造のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願の技術案をより良く理解するために、以下、図面を参照しながら本願の実施例を詳細に説明する。
【0024】
記載される実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではないことを明確にすべきである。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに取得し得る他の全ての実施例は、本願の保護範囲に属するものとする。
【0025】
本願の実施例で使用される用語は、特定の実施例を記載するだけの目的に用いられるものに過ぎず、本願を限定するものではない。本願の実施例及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形の「1種」、「前記」及び「当該」は、文脈上他の意味が明確に示されない限り、複数形を含むことも意図される。
【0026】
本明細書において使用される用語「及び/又は」は、関連対象を記載する関連関係に過ぎず、3つの関係が存在し得ることを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、Bが単独で存在することという3つの状況を示すことができると理解されるべきである。また、本文における文字「/」は、一般的に、前後の関連対象が「又は」の関係にあることを示す。
【0027】
なお、本願の実施例に記載の「上」、「下」、「左」、「右」などの方位語は、図面に示す角度で記載されたものであり、本願の実施例を限定するものものと解されるべきではない。また、文脈において、ある素子が他の素子の「上」又は「下」に接続されると言及した場合、他の素子「上」又は「下」に直接的に接続されるだけでなく、中間素子を介して他の素子「上」又は「下」に間接的に接続されてもよいことを理解すべきである。
【0028】
従来の太陽光発電モジュールの製造方法は、通常、絶縁層と導電層を単独で設置してから、さらに太陽電池セル、絶縁層、導電層及びバックシートをラミネートして組み立てることであり、プロセスが複雑で、太陽電池セルとバックシートとの間の接触不良を引き起こしやすい。
【0029】
そのため、本願の実施例は、図1及び図2に示すように、次のステップを含む太陽光発電モジュールの製造方法を提供する。
【0030】
ステップS1では、カバープレート5及び封止層4を含む正面封止構造、太陽電池セル2及びバックシート1を提供する。
【0031】
図1に示すように、太陽光発電モジュールは、カバープレート5、封止層4、太陽電池セル2及びバックシート1をラミネートして封止した後、屋外で長期間使用可能な太陽光発電モジュールを構成する。封止プロセスにより、太陽電池セル2が良好な力学的強度を有することを保証し、雹の衝撃、風の吹き付け、機械的振動などの状況による影響を軽減することができ、封止プロセスは、太陽電池セル2の密封性を向上させ、その耐浸食能力及び安全性を向上させることもできる。
【0032】
ステップS2では、太陽電池セル2の少なくとも一方側の表面に絶縁層21及び貫通孔211を設け、貫通孔211と太陽電池セル2のグリッド線20との位置を対応させる。
【0033】
図3に示すように、太陽電池セル2の表面が絶縁層21によって覆われており、太陽電池セル2の正極グリッド線と負極グリッド線との連通による短絡を防止することができ、絶縁層21における太陽電池セル2のグリッド線20に対応する位置に複数の貫通孔211が形成され、貫通孔211が太陽電池セル2とバックシート1との電気的接続を実現するために用いられる。従来技術において絶縁層21を単独で設けてから、それを太陽電池セル2に接続することに比べて、本実施例では、絶縁層21を太陽電池セル2の表面に直接的に設けることにより、太陽光発電モジュールのプロセスの複雑さを低減し、絶縁層21の組版処理を省略し、プロセスステップをより簡単にすることができ、太陽光発電モジュールの製造コストを低減することもできる。後続のラミネート工程においても、絶縁層21と太陽電池セル2とのラミネート過程における位置ずれによって導電性接着剤3の位置が変化してしまい、接触不良及び短絡が発生するリスクを低減することができる。
【0034】
また、絶縁層21を太陽電池セル2の表面に直接的に設けることにより、絶縁層21と太陽電池セル2との間の付着力を向上させることもでき、絶縁層21の絶縁効果を向上させることに有利であり、太陽光発電モジュールの電気絶縁性を改善し、さらに太陽光発電モジュールの使用寿命及び安全性を向上させることができる。
【0035】
具体的には、絶縁層21と貫通孔211は、スクリーン印刷又はマスク印刷の方式で同期して製造されてもよく、先に太陽電池セル2の表面全体に絶縁層21を塗布してから、グリッド線20に対応する位置における絶縁層21の一部を除去して貫通孔211を形成してもよい。
【0036】
本願における太陽電池セル2は、フルセルであってもよく、複数枚の電池ストリングを並列に接続して構成されてもよい。
【0037】
ステップS3では、バックシート1上に導電層11を設ける。
【0038】
従来技術において導電層11を単独で設けてから、それをバックシート1及び太陽電池セル2に接続することに比べて、本実施例では、導電層11をバックシート1の表面に直接的に設けることにより、太陽光発電モジュールのプロセスの複雑さをより一層低減することができる。
【0039】
ステップS4では、貫通孔211内及び/又は導電層11上に導電性接着剤3を設ける。
【0040】
導電性接着剤3を貫通孔211内及び/又は導電層11上に設け、導電性接着剤3は、太陽電池セル2の正極グリッド線及び負極グリッド線と導電層11との間の電気的接続を実現するために用いられる。
【0041】
ステップS5では、バックシート1を太陽電池セル2に接続し、絶縁層21を導電層11に貼り合わせ、導電性接着剤3によって、貫通孔211を介してグリッド線20と導電層11とを電気的に接続させる。
【0042】
太陽電池セル2がバックシート1に接続される場合、導電性接着剤3が貫通孔211を介してグリッド線20と導電層11とを電気的に接続することにより、太陽光発電モジュールの電気的接続の安定性を向上させ、さらに太陽光発電モジュールの良品率を向上させることができる。
【0043】
ステップS6では、封止層4を太陽電池セル2のバックシート1から離間する側に設ける。
【0044】
封止層4は、太陽電池セル2のバックシート1から離間する側を保護するために用いられるとともに、カバープレート5、太陽電池セル2及びバックシート1を一体に接着することができる。封止層4の材料は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(Ethylene-Vinyl Acetate Copolymer EVA)、ポリオレフィンエラストマー(Polyolefin Elastomer POE)、ポリビニルブチラール(Polyvinyl Butyral PVB)などの材料のうちの1種であってもよく、且つ太陽光発電モジュールの封止要求を満たすために、厚さを300μmよりも大きくすべきであり、好ましくは、封止層4の厚さが400~800μmであり、太陽光発電モジュールが良好な機械的強度を有することを保証でき、太陽光発電モジュールの良品率及び信頼性の向上に寄与する。
【0045】
ステップS7では、カバープレート5を封止層4の太陽電池セル2から離間する側に設ける。
【0046】
カバープレート5は、太陽光発電モジュールの最上層に位置し、太陽光を透過させるために用いられ、さらに太陽光発電モジュールの防水・防湿能力を向上させるために用いられ、バックシート1と共に太陽光電池2を密封する。カバープレート5は、強化ガラス、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate PET)、ポリカーボネート(Polycarbonate PC)などの剛性材料のうちの1種又はポリフッ化ビニル(Polyvinyl Fluoride PVF)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(Ethylene-Tetra-Fluoro-Ethylene ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidene Fluoride PVDF)などの可撓性材料のうちの1種であってもよい。これらの材料は、高い光透過率を有するため、より多くの光が太陽電池セル2の表面に照射されることを保証し、太陽光発電モジュールの光吸収を増加させることができる。
【0047】
ステップS8では、カバープレート5、封止層4、太陽電池セル2及びバックシート1をラミネートして、太陽光発電モジュールを形成する。
【0048】
ラミネートは、一定の温度、圧力及び真空条件下で、太陽光発電モジュールの各構成部材を接着して融合することにより、太陽電池セル2を保護する。
【0049】
本願による太陽光発電モジュールの製造方法では、絶縁層21を太陽電池セル2の表面に直接的に設けることにより、太陽光発電モジュールを製造するプロセスの複雑さを低減することができ、貫通孔211の位置精度を向上させ、グリッド線20に対応する位置に開設されることを確保し、導電性接着剤3が貫通孔211とグリッド線20との位置ずれによって接触不良が発生するリスクを低減することができる。ラミネート工程においても、ラミネート中に絶縁層21と太陽電池セル2とがずれて導電性接着剤3の位置が変化してしまい、接触不良や短絡が発生するリスクを低減することができる。同時に、さらに導電層11をバックシート1の表面に直接的に設けることにより、同様に、導電性接着剤3の位置ずれによって接触不良が発生するリスクを低減することができる。
【0050】
なお、太陽電池セル2は、対向して設けられた両側の表面を有し、具体的には、太陽電池セル2の受光面及び光裏面であり、受光面とは、太陽電池セル2における光源に向かって直射太陽光を受光する側の表面を指し、光裏面とは、太陽電池セル2における光源から背反して地面で反射された太陽光を受光する側の表面を指す。
【0051】
具体的には、本実施例では、太陽電池セル2の少なくとも一方側の表面に絶縁層21及び貫通孔211を設けることは、光裏面に絶縁層21及び貫通孔211を設けること、又は、受光面及び光裏面の両側にいずれも絶縁層21及び貫通孔211を設けることを指す。好ましくは、太陽電池セル2は、バックコンタクト電池セルであり、通常の太陽電池セルに比べて、正極グリッド線及び負極グリッド線がいずれも太陽電池セル2の光裏面に設けられ、且つ受光面に金属グリッド線が設けられていないため、太陽光に対する遮蔽を減少させ、太陽電池セル2の受光面積を向上させ、太陽光発電モジュールの光電変換効率を向上させることができ、かつ、太陽電池セル2がバックコンタクト電池セルである場合、光裏面のみに絶縁層21及び貫通孔211を設けるだけでよく、太陽光発電モジュールの製造コストを低減することもできる。
【0052】
また、本実施例は、グリッド線20の形状について限定されず、貫通型、セグメント型グリッド線又は点状電極点であってもよい。
【0053】
1つの具体的な実施形態において、図4に示すように、太陽電池セル2の少なくとも一方側の表面に絶縁層21と貫通孔211を設けるステップS2について、太陽光発電モジュールの製造方法は、具体的に、次のステップを含む。
【0054】
ステップA1では、太陽電池セル2の少なくとも一方側の表面に絶縁接着剤を印刷する。
【0055】
絶縁接着剤の印刷は、スクリーン印刷の方式を採用して、パターン付きテンプレートをスクリーンに付着させて印刷を行うことができ、具体的には、太陽電池セル2をテンプレート付きスクリーンの下に配置し、絶縁接着剤がスキージの押圧でスクリーンの中央のメッシュを通過し、太陽電池セル2の表面に印刷される。スクリーン上のテンプレートがスクリーンの小孔の一部を封止し、絶縁接着剤が通過できないため、太陽電池セル2の表面にスクリーンの画像に対応する位置のみに絶縁接着剤が塗布され、残りの位置に貫通孔211が形成される。具体的には、スクリーンのテンプレートにおけるグリッド線20に対応する位置において、スクリーンの小孔の一部が封止されて、貫通孔211の位置が正確であることを確保し、スクリーンの厚さが10~200μmであり、印刷後の絶縁接着剤の厚さが15~300μmであり、最終的に形成される絶縁層21が良好な絶縁効果を有することを確保する。
【0056】
また、絶縁接着剤の印刷は、マスク印刷の方式を採用して、パターンが印刷されたマスクプレートを採用して印刷することもでき、原理及び効果は、スクリーン印刷の方式と類似するため、ここでは説明を省略する。
【0057】
ステップA2では、絶縁接着剤を硬化処理して絶縁層21を形成し、太陽電池セル2の表面における絶縁接着剤が印刷されていない領域に貫通孔211を形成する。
【0058】
太陽電池セル2が絶縁接着剤の印刷を完成した後、硬化工程に進み、絶縁層21を形成する。一般的には高温硬化プロセスを採用し、硬化温度が100℃~200℃であり、温度が高すぎることによる絶縁接着剤の失効を回避するとともに、太陽光発電モジュールの製造効率を向上させるために、硬化時間を10min以下に制御すべきである。
【0059】
具体的には、本実施形態における絶縁接着剤は、太陽電池セル2の貫通孔211以外の表面全体を優先的に覆い、ラミネート過程において、絶縁接着剤は、絶縁作用に加えて、太陽電池セル2とバックシート1に対して緩衝作用を果たすことができ、これにより、ラミネートのチッピング率を低下させ、太陽光発電モジュールの良品率を向上させる。
【0060】
また、絶縁接着剤は、硬化処理を行う際に、完全に硬化されなくてもよく、一定の粘性を維持し、太陽電池セル2とバックシート1とを接続する際に、絶縁接着剤は、太陽電池セル2とバックシート1とを接続する役割を果たし、仮固定の効果を達成することができ、後続の工程において、太陽電池セル2とバックシート1とを仮固定処理する必要がなく、太陽光発電モジュールを製造するプロセスステップをより一層簡略化する。ラミネート工程において、絶縁接着剤の完全硬化が達成される。
【0061】
1つの具体的な実施形態において、絶縁接着剤は、透明絶縁接着剤である。
【0062】
絶縁接着剤は、有機ケイ素、アクリル及びエポキシ樹脂のうちの1種又は複数種であってもよく、その硬化前の粘度が0~50Pa・sであり、且つ硬化後の光透過率が75%以上に達することができ、太陽電池セル2の光裏面が高い光透過率を保持するようにし、これによって地面から太陽光発電モジュールに反射された光線をより多く受け、太陽光発電モジュールの両面発電の実現に有利である。
【0063】
1つの具体的な実施形態において、図5及び図6に示すように、太陽光発電モジュールの製造方法は、ステップA1の前又はステップA2の後に、太陽電池セル2に対して電気性能テストを行うステップA0をさらに含む。
【0064】
電池製造条件のランダム性により、製造された太陽電池セル2の性能が異なるため、性能が一致又は近い太陽電池セル2を効果的に組み合わせるために、その性能パラメータに基づいて分類すべきである。太陽電池セル2に対するテストにより、利用率を向上させ、品質が良好な太陽光発電モジュールを製造することができる。電気性能テストは、主に太陽電池セル2の基本特性をテストして、この太陽電池セル2の屋外発電能力を検出する。
【0065】
本実施形態において、電気性能テストは、絶縁層21と貫通孔211を設ける工程の前又は後であってもよく、テスト過程において、テスト結果の正確性を保証するために、テストツール押え針の位置は、貫通孔211の位置と一致すべきである。
【0066】
及び/又は、太陽光発電モジュールの製造方法は、ステップA2の後に、太陽電池セル2の色及び外観に基づいて選別するステップA3をさらに含む。
【0067】
絶縁層21及び貫通孔211を設ける工程の後に、さらに太陽電池セル2の色及び外観を選別する必要があり、主に目視により、太陽電池セル2の厚さ、欠陥、平坦度等を検査するとともに、太陽電池セル2の色には明らかな色差がなく均一に維持すべきである。
【0068】
1つの具体的な実施形態において、図7及び図8に示すように、絶縁層21の厚さはD1であり、導電性接着剤3の厚さはD2であり、1.2≦D2:D1≦1.5である。具体的には、D2:D1は、1.2、1.3、1.4、1.5などであってもよい。
【0069】
本実施例において、導電性接着剤3の厚さD2は、絶縁層21の厚さD1よりも大きいが、大きすぎたり小さすぎたりするべきではない。具体的には、導電性接着剤3の厚さD2と絶縁層21の厚さD1とは、1.2≦D2:D1≦1.5を満たす必要がある。D2:D1が大きすぎる(例えば、1.5よりも大きい)場合、導電性接着剤3の使用量が増大し、太陽光発電モジュールの製造コストが高くなるが、導電性接着剤3の導電効果が顕著に向上せず、D2:D1が小さすぎる(例えば、1.2よりも小さい)場合、導電性接着剤3の厚さD2が絶縁層21の厚さD1に近く、導電性接着剤3の使用量が不足し、貫通孔211を満充填することができず、導電性接着剤3がグリッド線20と導電層11とを安定して電気的に接続できることを保証できない。
【0070】
下表に示すように、D2:D1の値が異なる場合、太陽光発電モジュールの完成品の基本的な状況は、下表に示す通りである。
【0071】
【表1】
【0072】
また、導電性接着剤3は、ディスペンス方式により、導電性接着剤3を貫通孔211内に直接的に塗布してもよく、或いは、印刷方式により、導電性接着剤3を導電層11の貫通孔211に対応する位置に印刷してもよい。
【0073】
1つの具体的な実施形態において、図9に示すように、バックシート1上に導電層11を設けるステップS3について、太陽光発電モジュールの製造方法は、具体的に次のステップを含む。
【0074】
ステップB1では、バックシート1上にマスクプレートを設ける。
【0075】
パターン付きマスクプレートをバックシート1の表面に貼り合わせ、導電層11を設ける必要がある領域を示すことに用いられる。
ここで、バックシート1は、高い光透過率を有する材料を用いることができ、これによって太陽光発電モジュールの両面発電能力をより一層向上させることができる。
【0076】
ステップB2では、マスクプレートの開口部を介してバックシート1の表面に透明金属酸化物を堆積し、金属導電層111を形成する。
【0077】
透明金属酸化物を物理的及び/又は化学的方法によりバックシート1の表面に堆積し、金属導電層111が形成され、その厚さが10~100μmである。透明金属酸化物は、In2O3、SnO2、ZnO、CdO、CdIn2O4、Cd2SnO4、Zn2SnO4及びIn2O3-ZnOのうちの1種又は複数種であってもよく、透明な金属導電層111は、より多くの地面で反射された光が太陽電池セル2の光裏面に照射されることを保証することができ、太陽光発電モジュールの両面発電の実現に有利である。
【0078】
ステップB3では、マスクプレートを除去し、バックシート1における透明金属酸化物が堆積されていない領域に絶縁溝113を形成する。
【0079】
図11に示すように、バックシート1の表面におけるマスクプレートによって遮蔽された領域には透明金属酸化物が堆積されていないため、絶縁溝113が形成され、金属導電層111が太陽電池セル2の正極に接続された領域と、金属導電層111が太陽電池セル2の負極に接続された領域とを絶縁隔離し、短絡を防止することができる。
【0080】
1つの具体的な実施形態において、図10に示すように、太陽光発電モジュールの製造方法は、ステップB3の後に、金属導電層111の表面に印刷、焼結により電極接続層112を形成し、金属導電層111と電極接続層112とが共同で導電層11を構成するステップB4をさらに含む。
【0081】
電極接続層112を設けることにより、金属導電層111とグリッド線20との電気的接続の安定性を向上させ、太陽光発電モジュールの接触不良のリスクを低減することができる。具体的には、電極接続層112は、電極接続層112が金属導電層111に強固に付着できるように、高導電性材料を含むペーストによって印刷されて焼結されて構成される。
【0082】
本実施例は、電極接続層112の具体的な構造について限定されず、線状、点状又は他の構造であってもよい。
【0083】
1つの具体的な実施形態において、図12に示すように、バックシート1の材料は、ポリフッ化ビニル、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンのうちの1種であり、かつ、太陽光発電モジュールの製造方法は、ステップS7の前に、カバープレート5、封止層4、太陽電池セル2及びバックシート1を全体的に反転させ、カバープレート5を下にし、バックシート1を上にするステップC2をさらに含む。
【0084】
バックシート1の材料は可撓性材料であり、可撓性材料が供給台と接触してラミネート中に変形して破裂することを防止するために、ラミネート工程を行う前に、カバープレート5、封止層4、太陽電池セル2及びバックシート1を全体的に反転させて、カバープレート5を下にし、バックシート1を上にしてから、反転後の太陽光発電モジュールをラミネート機の供給台に配置する必要があり、これによってバックシート1がラミネート中に破損することを回避し、太陽光発電モジュールの良品率を向上させることができる。
【0085】
また、ポリフッ化ビニル(Polyvinyl Fluoride PVF)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(Ethylene-Tetra-Fluoro-Ethylene ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidene Fluoride PVDF)は、いずれも透明材質であり、高い光透過率を有し、0.2mm~6mmであり、より多くの地面で反射された光が太陽電池セル2の光裏面に照射されることを保証でき、太陽光モジュールの両面発電の実現に有利である。
【0086】
別の具体的な実施形態において、バックシート1の材料は、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートのうちの1種である。
【0087】
本実施形態において、バックシート1の材料は剛性材料であり、ラミネート工程を行う際に、太陽光発電モジュール全体を反転させる必要がなく、直接的にラミネート機の供給台に配置すればよく、このとき、バックシート1は供給台に接触し、その硬度が大きいため、ラミネート過程において変形して破損することがなく、可撓性材料で製造されたバックシート1に比べて、本実施例のバックシート1では、プロセスの複雑さを低減し、ラミネート前の反転ステップを省略し、太陽光発電モジュールの製造過程における不良リスクを低減することができる。
【0088】
また、ガラス、ポリカーボネート(Polycarbonate PC)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate PET)は、いずれも透明材質であり、高い光透過率を有し、その厚さが0.2mm~6mmであり、より多くの地面で反射された光が太陽電池セル2の光裏面に照射されることを保証でき、太陽光発電モジュールの両面発電の実現に有利である。
【0089】
本願の実施例は、さらに太陽光発電モジュールを提供し、当該太陽光発電モジュールが上記各実施形態に記載された製造方法で製造され、図1図3及び図7に示すように、太陽光発電モジュールの厚さ方向Xに沿って、太陽光発電モジュールは、バックシート1と、太陽電池セル2と、導電性接着剤3と、封止層4と、カバープレート5とを含む。ここで、バックシート1上に導電層11が設けられ、太陽電池セル2がグリッド線20を含み、太陽電池セル2の少なくとも一方側の表面に絶縁層21及び貫通孔211が設けられ、貫通孔211がグリッド線20の位置に対応し、導電性接着剤3が貫通孔211内に位置し、導電性接着剤3の両端がそれぞれ導電層11及びグリッド線20に接続され、封止層4が太陽電池セル2のバックシート1から離間する側を覆い、カバープレート5が封止層4の太陽電池セル2から離間する側を覆い、カバープレート5がバックシート1と共に封止層4及び太陽電池セル2を挟持する。
【0090】
本実施例において、太陽電池セル2の表面が絶縁層21によって覆われており、グリッド線20と導電層11とを絶縁して、太陽電池セル2の正極グリッド線と負極グリッド線が連通して短絡することを防止することができる。絶縁層21の太陽電池セル2のグリッド線20に対応する位置に複数の貫通孔211が形成され、太陽電池セル2がバックシート1に接続される場合、導電性接着剤3を貫通孔211内及び/又は導電層11上に設け、貫通孔211を介してグリッド線20と導電層11とを電気的に接続することにより、太陽光発電モジュールの電気的接続の安定性を向上させ、さらに太陽光発電モジュールの良品率を向上させることができる。
【0091】
本実施例では、絶縁層21を太陽電池セル2の表面に直接的に設けて、導電層11をバックシート1の表面に直接的に設けることにより、太陽光発電モジュールのプロセスの複雑さを低減することができ、絶縁層21と導電層11との組版処理を省略し、プロセスステップをより簡単にする。同時に、導電性接着剤3が貫通孔211とグリッド線20との位置ずれにより接触不良が発生するリスクも低減される。ラミネート工程においても、ラミネート中に絶縁層21と太陽電池セル2とがずれることによって導電性接着剤3の位置が変化してしまい、接触不良や短絡が発生するリスクを低減することができる。
【0092】
具体的には、図11に示すように、導電層11は、金属導電層111及び電極接続層112を含み、電極接続層112は、金属導電層111の太陽電池セル2に近接する側の表面に設けられ、導電性接着剤3は、一端が太陽電池セル2の正極又は負極に接続され、他端が電極接続層112に接続される。
【0093】
図2に示すように、太陽電池セル2の表面に間隔をあけて複数本のグリッド線20が設けられ、グリッド線20は、正極グリッド線及び負極グリッド線を含み、貫通孔211は、正極グリッド線の部分領域を露出させ、導電性接着剤3は、貫通孔211内で当該領域と導電層11とを連通させ、太陽電池セル2の正極と導電層11とを電気的に接続する目的を達成し、同様に、貫通孔211は、負極グリッド線の部分領域を露出させ、導電性接着剤3は、貫通孔211内で当該領域と導電層11とを連通させ、太陽電池セル2の負極と導電層11とを電気的に接続する目的を達成する。
【0094】
具体的には、導電層11は、金属導電層111と電極接続層112とを含み、電極接続層112は、金属導電層111に強固に付着され、金属導電層111とグリッド線20との電気的接続の安定性を向上させ、太陽光発電モジュールに接触不良が発生するリスクを低減するために用いられる。
【0095】
1つの具体的な実施形態において、電極接続層112の材料は、Au、Ag、Cu、Al、Bi、Sn、Pbのうちの1種又は複数種である。
【0096】
本実施形態において、Au、Ag、Cu、Al、Bi、Sn、Pbはいずれも強い導電性を有し、以上材料のうちの1種又は複数種を選択し、それを高導電性ペーストに製造し、さらに金属導電層111上に印刷し、焼結して電極接続層112となるように製造することにより、導電層11が良好な導電効果を有することを保証し、太陽光発電モジュールに接触不良が発生することを回避することができる。
【0097】
1つの具体的な実施形態において、図11に示すように、バックシート1に絶縁溝113が形成され、導電層11は絶縁溝113を囲んで設けられ、電極接続層112が太陽電池セル2の正極に接続される領域、および、電極接続層112が太陽電池セル2の負極に接続される領域は、絶縁溝113の両側に位置する。
【0098】
本実施形態において、絶縁溝113は導電層11に形成され、金属導電層111が太陽電池セル2の正極に接続される領域と、金属導電層111が太陽電池セル2の負極に接続される領域とを絶縁隔離することができ、太陽電池セル2の正極、負極の接続による短絡を防止し、太陽光発電モジュールの信頼性及び安全性を向上させることができる。
【0099】
上述したのは、本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を限定するものではなく、当業者にとって、本願は様々な変更及び変化が可能である。本願の精神と原則内で行われるいかなる修正、同等置換、改良などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0100】
1-バックシート
11-導電層
111-金属導電層
112-電極接続層
113-絶縁溝
2-太陽電池セル
20-グリッド線
21-絶縁層
211-貫通孔
3-導電性接着剤
4-封止層
5-カバープレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電モジュールの製造方法であって、
カバープレート(5)と封止層(4)とを含む正面封止構造、太陽電池セル(2)及びバックシート(1)を提供するステップと、
前記太陽電池セル(2)の少なくとも一方側の表面に絶縁層(21)と貫通孔(211)を設け、前記貫通孔(211)と前記太陽電池セル(2)のグリッド線(20)との位置を対応させるステップと、
前記バックシート(1)上に導電層(11)を設けるステップと、
前記貫通孔(211)内及び/又は前記導電層(11)上に導電性接着剤(3)を設けるステップと、
前記バックシート(1)を前記太陽電池セル(2)に接続し、前記絶縁層(21)を前記導電層(11)に貼り合わせ、前記導電性接着剤(3)によって前記貫通孔(211)を介して前記グリッド線(20)と前記導電層(11)とを電気的に接続させるステップと、
前記封止層(4)を前記太陽電池セル(2)の前記バックシート(1)から離間する側に設けるステップと、
前記カバープレート(5)を前記封止層(4)の前記太陽電池セル(2)から離間する側に設けるステップと、
前記カバープレート(5)、前記封止層(4)、前記太陽電池セル(2)及び前記バックシート(1)をラミネートして、前記太陽光発電モジュールを形成するステップと、を含む、ことを特徴とする太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記太陽電池セル(2)の少なくとも一方側の表面に絶縁層(21)及び貫通孔(211)を設ける場合、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、具体的に、
前記太陽電池セル(2)の少なくとも一方側の表面に絶縁接着剤を印刷するステップと、
前記絶縁接着剤を硬化処理して、前記絶縁層(21)を形成し、前記太陽電池セル(2)の表面の絶縁接着剤が印刷されていない領域に前記貫通孔(211)を形成するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記絶縁接着剤は、透明絶縁接着剤である、ことを特徴とする請求項2に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記太陽電池セル(2)の少なくとも一方側の表面に絶縁接着剤を印刷する前に、又は前記絶縁接着剤を硬化処理して前記絶縁層(21)を形成し、前記太陽電池セル(2)の表面の絶縁接着剤が印刷されていない領域に前記貫通孔(211)を形成した後に、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、前記太陽電池セル(2)に対して電気性能テストを行うことをさらに含み、
及び/又は、前記絶縁接着剤を硬化処理して前記絶縁層(21)を形成し、前記太陽電池セル(2)の表面の絶縁接着剤が印刷されていない領域に前記貫通孔(211)を形成した後に、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、前記太陽電池セル(2)の色及び外観に基づいて選別することをさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記絶縁層(21)の厚さはD1であり、前記導電性接着剤(3)の厚さはD2であり、1.2≦D2:D1≦1.5である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記バックシート(1)上に導電層(11)を設ける場合、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、具体的に、
前記バックシート(1)上にマスクプレートを設けるステップと、
前記マスクプレートの開口部を介して前記バックシート(1)の表面に透明金属酸化物を堆積して、金属導電層(111)を形成するステップと、
前記マスクプレートを除去し、前記バックシート(1)の前記透明金属酸化物が堆積されていない領域に絶縁溝(113)を形成するステップと、を含む
、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記マスクプレートを除去し、前記バックシート(1)の前記透明金属酸化物が堆積されていない領域に絶縁溝(113)を形成した後に、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、さらに、
前記金属導電層(111)の表面に印刷、焼結により電極接続層(112)を形成し、前記金属導電層(111)と前記電極接続層(112)とが共同で前記導電層(11)を構成するステップを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記バックシート(1)の材料は、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートのうちの1種である、ことを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記バックシート(1)の材料は、ポリフッ化ビニル、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンのうちの1種であり、かつ、前記カバープレート(5)、前記封止層(4)、前記太陽電池セル(2)及び前記バックシート(1)をラミネートして前記太陽光発電モジュールを形成する前に、前記太陽光発電モジュールの製造方法は、さらに、
前記カバープレート(5)、前記封止層(4)、前記太陽電池セル(2)及び前記バックシート(1)を全体的に反転させ、前記カバープレート(5)を下にし、前記バックシート(1)を上にするステップを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電モジュールの製造方法。
【請求項10】
請求項に記載の製造方法を用いて製造された太陽光発電モジュールであって、
前記太陽光発電モジュールの厚さ方向に沿って、前記太陽光発電モジュールは、バックシート(1)と、グリッド線(20)を含む太陽電池セル(2)と、導電性接着剤(3)と、封止層(4)と、カバープレート(5)とを含み、
前記バックシート(1)には、導電層(11)が設けられ、
前記太陽電池セル(2)の少なくとも一方側の表面に絶縁層(21)及び貫通孔(211)が設けられ、前記貫通孔(211)は、前記グリッド線(20)の位置に対応し、
前記導電性接着剤(3)は、前記貫通孔(211)内に位置し、前記導電性接着剤(3)の両端がそれぞれ前記導電層(11)と前記グリッド線(20)に接続され、
前記封止層(4)は、前記太陽電池セル(2)の前記バックシート(1)から離間する側を覆い、
前記カバープレート(5)は、前記封止層(4)の前記太陽電池セル(2)から離間する側を覆い、前記カバープレート(5)は、前記バックシート(1)と共に前記封止層(4)及び前記太陽電池セル(2)を挟持する、ことを特徴とする太陽光発電モジュール。
【請求項11】
前記導電層(11)は、金属導電層(111)と電極接続層(112)とを含み、前記電極接続層(112)は、前記金属導電層(111)の前記太陽電池セル(2)に近接する側の表面に設けられ、
前記導電性接着剤(3)は、一端が前記太陽電池セル(2)の正極又は負極に接続され、他端が前記電極接続層(112)に接続される、ことを特徴とする請求項10に記載の太陽光発電モジュール、
【請求項12】
前記電極接続層の材料は、Au、Ag、Cu、Al、Bi、Sn、Pbのうちの1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項11に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項13】
前記バックシート(1)には、絶縁溝(113)が形成され、前記導電層(11)は、前記絶縁溝(113)を囲んで設けられ、
前記電極接続層(112)が前記太陽電池セル(2)の正極に接続される領域と、前記電極接続層(112)が前記太陽電池セル(2)の負極に接続される領域とは、前記絶縁溝(113)の両側に位置する、ことを特徴とする請求項11に記載の太陽光発電モジュール。
【国際調査報告】