IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国科学院寧波材料技術與工程研究所の特許一覧

特表2024-533904高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質及びその製造方法
<>
  • 特表-高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質及びその製造方法 図1
  • 特表-高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質及びその製造方法 図2
  • 特表-高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質及びその製造方法 図3
  • 特表-高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質及びその製造方法 図4
  • 特表-高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質及びその製造方法 図5
  • 特表-高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質及びその製造方法 図6
  • 特表-高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質及びその製造方法 図7
  • 特表-高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質及びその製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-13
(54)【発明の名称】高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/10 20060101AFI20240906BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20240906BHJP
   H01B 1/08 20060101ALI20240906BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20240906BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240906BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240906BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H01B1/10
H01B1/06 A
H01B1/08
H01B13/00 Z
H01M10/0562
H01M10/052
H01M4/62 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565939
(86)(22)【出願日】2023-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 CN2023097287
(87)【国際公開番号】W WO2024051220
(87)【国際公開日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】202211077906.4
(32)【優先日】2022-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515319518
【氏名又は名称】中国科学院寧波材料技術與工程研究所
【氏名又は名称原語表記】NINGBO INSTITUTE OF MATERIALS TECHNOLOGY AND ENGINEERING, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】519 Zhuangshi Road,Zhenhai District Ningbo, Zhejiang 315201(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】姚 霞銀
(72)【発明者】
【氏名】劉 高瞻
(72)【発明者】
【氏名】楊 菁
【テーマコード(参考)】
5G301
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5G301CA02
5G301CA05
5G301CA16
5G301CA19
5G301CA22
5G301CA23
5G301CD01
5H029AJ05
5H029AJ06
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL12
5H029AM12
5H029HJ02
5H029HJ20
5H050AA07
5H050AA12
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA11
5H050CB12
5H050DA13
5H050EA01
5H050HA02
5H050HA17
(57)【要約】
本発明は電池の技術分野に属し、高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質及びその製造方法に関する。前記高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質の分子式はLi6±i1-e5±i-gCl1±i±tの式Iに示され、式I中、0≦i<1、0≦e<1、0<g≦0.5、0.2≦t<1であり、EがGe、Si、Sn、Sbのうちの1つ又は複数であり、GがSeとOとの複合体又はOであり、TがBr及びIのうちの1つ又は2つであり、前記高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質が純相である。純相電解質はより高いイオン伝導率を有し、且つ優れた空気に対する安定性、優れた有機溶媒に対する安定性、及び優れたリチウムに対する安定性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質であって、
分子式が下記式Iに示され、
Li6±i1-e5±i-gCl1±i±t 式I
式I中、0≦i<1、0≦e<1、0<g≦0.5、0.2≦t<1であり、EがGe、Si、Sn、Sbのうちの1つ又は複数であり、GがSeとOとの複合体又はOであり、TがBr及びIのうちの1つ又は2つであり、
前記高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質が純相であることを特徴とする高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質。
【請求項2】
前記高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質の室温におけるイオン伝導率が1×10-3~8×10-2S/cmであることを特徴とする請求項1に記載の高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質。
【請求項3】
前記高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質は乾燥室において-40℃の露点で4時間露出すると、イオン伝導率が≦15%低減することを特徴とする請求項1に記載の高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質。
【請求項4】
前記高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質は室温で有機溶媒中に2時間浸漬すると、イオン伝導率が≦20%低減することを特徴とする請求項1に記載の高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質。
【請求項5】
有機溶媒は炭酸エチレン、炭酸フルオロエチレン、炭酸エチルメチル、炭酸ジメチル、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、1,3-オキソラン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ノルマルヘプタンのうちの1つ又は複数であることを特徴とする請求項4に記載の高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質。
【請求項6】
請求項1に記載の高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質の製造方法であって、
硫化リチウム材料を製造するステップa)と、
硫化リチウム材料と酸化剤とを含む原料をモル比で秤取して混合するステップb)と、
ステップb)で得られた粉末をアニール焼成して、高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質を得るステップc)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質の製造方法。
【請求項7】
硫化リチウム材料の製造方法はボールミル法と、炭素熱還元法と、リチウム化硫黄含有化学物質、硫化金属リチウムナノ粒子、リチウム含有物質及び硫黄含有物質の相互反応のうちの1つ又は複数を含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記酸化剤がLiO、P、LiPO、Iのうちの1つ又は複数であることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
ステップb)における混合方法は手動研磨、機械撹拌、機械振動、機械ボールミリング、高エネルギーボールミリング、ロールミリングのうちの1つ又は複数を含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
ステップb)における混合方式が高エネルギーボールミリング又はロールミリングである場合、ボールと材料との比が(1~60):1であり、回転速度が200~600rpmであり、時間が4~24時間であることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
ステップc)におけるアニール焼成温度が400~600℃であり、時間が1~48時間であることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項12】
全固体リチウム二次電池であって、
正極、負極及び請求項1に記載の高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質を含むことを特徴とする全固体リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池の技術分野に属し、高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体電解質は全固体電池の重要な部材であり、その中でアルジロダイト相硫化物固体電解質はより高い室温におけるイオン伝導率及びより低い電子伝導率を有するとともに、良好な機械性質を有し、全固体電池において電極/電解質が良好な固体/固体接触界面を形成することに寄与する。ところが、現在、多数のアルジロダイト相硫化物固体電解質相が純粋でなく、原料又は焼成中間生成物などの不純物相を含有し、電解質の化学安定性及び電解質/電極界面反応生成物に影響してしまう。また、高純度相のアルジロダイト相硫化物固体電解質は一般的に前駆体のボールミル時間を延ばして、熱処理時間を延ばすことで製造され、製造時間が一般的に1週間乃至2週間であり、且つ得られた電解質の室温におけるイオン伝導率がより低い。高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質の高速製造及び室温におけるイオン伝導率の向上は電解質及び全固体リチウム電池の性能の最適化において重要な位置を占める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は従来技術におけるアルジロダイト相硫化物固体電解質の欠点に対して、純相である高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質、及び高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様では高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質を提供し、前記高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質の分子式は下記式Iに示され、
Li6±i1-e5±i-gCl1±i±t 式I
式I中、0≦i<1、0≦e<1、0<g≦0.5、0.2≦t<1であり、EがGe、Si、Sn、Sbのうちの1つ又は複数であり、GがSeとOとの複合体又はOであり、TがBr及びIのうちの1つ又は2つであり、
前記高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質は純相であり、原料相がなく、そのX線回折スペクトルに不純物ピークがない。
【0005】
アルジロダイト相結晶構造はPS 3-四面体がフレームを構成し、Liイオン、ハロゲンイオン(Cl、Br、I)及び一部のS2-イオンがその間に規則正しく分散する。ドープしたOがPS 3-四面体におけるSを優先的に置換し、一部のP-S結合がP-O結合になる。しかしながら、P-O結合の結合距離がP-S結合の結合距離よりも小さく、このため、OドープによりPS 3-基の体積が縮小して、結晶構造の変化を引き起こしてしまう。LiPSClにおけるOドープ量が多すぎる場合、PS43-基の体積が大幅に収縮し、結晶フレームが縮小され、その間に遊離するLiイオン、S2-イオン及びClイオンがしぼり出されてLiS、LiClなどの成分の不純物相を形成しやすい。従って、本発明は不純物相の生成を回避するために、Gの原子数を0<g≦0.5に限定して、O添加量が多すぎることを回避する。それと同時に、Oドープの後で結晶構造が元の体積を維持するように確保するために、ハロゲンの位置もドープイオンの半径がより大きなBr又はIイオンに対応し、Oドープ量がより多い場合、寸法のより大きなハロゲンイオンはOドープによる体積の縮小を補ってフレームを支える目的を実現することができるように確保し、その間に遊離するLiイオン、S2-イオン及びハロゲンイオンがしぼり出されて不純物相を形成することを回避する。
【0006】
好ましくは、前記高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質の室温におけるイオン伝導率が1×10-3~8×10-2S/cmである。本明細書における室温は15~35℃を指す。
【0007】
好ましくは、前記高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質は優れたリチウムに対する安定性を有する。
【0008】
好ましくは、前記高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質は乾燥室において-40℃の露点で4時間露出すると、イオン伝導率が≦15%低減する。
【0009】
好ましくは、前記高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質は室温で有機溶媒中に2時間浸漬すると、イオン伝導率が≦20%低減する。
【0010】
好ましくは、有機溶媒は炭酸エチレン、炭酸フルオロエチレン、炭酸エチルメチル、炭酸ジメチル、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、1,3-オキソラン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ノルマルヘプタンのうちの1つ又は複数である。
【0011】
本発明の他の態様では高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質の製造方法を提供し、
硫化リチウム材料を製造するステップa)と、
硫化リチウム材料と酸化剤とを含む原料をモル比で秤取して混合して、電解質前駆体を得るステップb)と、
ステップb)で得られた前駆体をアニール焼成して、高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質を得るステップc)と、を含む。
【0012】
好ましくは、硫化リチウム材料の製造方法はボールミル法と、炭素熱還元法と、リチウム化硫黄含有化学物質、硫化金属リチウムナノ粒子、リチウム含有物質及び硫黄含有物質の相互反応のうちの1つ又は複数を含む。
【0013】
好ましくは、ステップb)における酸化剤がLiO、P、LiPO、Iのうちの1つ又は複数である。原料に酸化剤を加えることは、酸化剤の酸化作用によって、アルジロダイト相硫化物固体電解質が高純度相を得ることに寄与する。
【0014】
好ましくは、ステップb)における混合方法は手動研磨、機械撹拌、機械振動、機械ボールミリング、高エネルギーボールミリング、ロールミリングのうちの1つ又は複数を含む。
【0015】
ステップb)における混合方式が高エネルギーボールミリング又はロールミリングである場合、ボールと材料との比が(1~60):1であり、回転速度が200~600rpmであり、時間が4~24時間である。
【0016】
好ましくは、ステップc)におけるアニール焼成温度が400~600℃であり、時間が1~48時間である。
【0017】
本発明の別の態様では全固体リチウム二次電池を提供し、正極、負極及び前記高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質を含む。
【発明の効果】
【0018】
従来技術に比べて、本発明は以下の有益な効果を有する。
第1として、本発明に係るアルジロダイト相硫化物固体電解質は純相であり、そのX線回折スペクトルに不純物ピークがなく、
第2として、本発明に係る高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質はより高いイオン伝導率を有し、
第3として、本発明に係る高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質は優れた空気に対する安定性、優れた有機溶媒に対する安定性、及び優れたリチウムに対する安定性を有し、
第4として、本発明は硫化リチウム材料と酸化剤とを含む原料を混合反応して、酸化剤の作用によって高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質の製造を実現し、
第5として、本発明に係る高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質を全固体リチウム電池に応用すると、電池性能を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1におけるLiPS4.80.2Cl0.5Br0.5電解質のX線回折グラフである。
図2】実施例1におけるLiPS4.80.2Cl0.5Br0.5電解質の室温交流テストインピーダンスを示す図である。
図3】実施例1におけるLiPS4.80.2Cl0.5Br0.5電解質のリチウムに対する安定性を示す図である。
図4】Li/LiPS4.80.2Cl0.5Br0.5/NCM電池の定電流充放電曲線を示す図である。
図5】Li/LiPS4.80.2Cl0.5Br0.5/NCM電池のサイクルを示す図である。
図6】比較例1におけるLiPSCl0.5Br0.5電解質のX線回折グラフである。
図7】比較例1におけるLiPSCl0.5Br0.5電解質の室温交流テストインピーダンスを示す図である。
図8】比較例1におけるLiPSCl0.5Br0.5電解質のリチウムに対する安定性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、具体的な実施例及び図面によって本発明の技術案を更に記述・説明し、理解すべきことは、ここに説明した具体的な実施例は単に本発明を理解しやすくするためのものであり、本発明を具体的に制限するためのものではない。特に説明しない限り、本発明の実施例に用いる原料はいずれも本分野においてよく使用される原料であり、実施例に用いる方法はいずれも本分野における通常の方法である。
【0021】
実施例1
本実施例における高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質は、分子式がLiPS4.80.2Cl0.5Br0.5であり、
硫化リチウム材料の製造であって、リチウム含有物質及び硫黄含有物質の相互反応により製造し、金属リチウム及び元素状硫黄をそれぞれエーテルに溶解し、物質の量比率を2.1:1にし、混合後に減圧蒸留して反応して、LiSを得るa)と、
LiS、P、P、LiCl、LiBrをモル比で秤量してメノー乳鉢に入れて、手動で30分間研磨した後、電解質前駆体を得るb)と、
電解質前駆体を真空において550℃で4時間焼成して、LiPS4.80.2Cl0.5Br0.5電解質を得るc)と、を含む製造方法により得られる。
【0022】
LiPS4.80.2Cl0.5Br0.5電解質相はアルジロダイト相であり、電解質は純相であり、原料相がなく、そのX線回折グラフは図1に示され、電解質に不純物ピークがないことが見られる。
【0023】
LiPS4.80.2Cl0.5Br0.5電解質の元の室温交流テストインピーダンス図は図2に示され、その室温におけるイオン伝導率が表1に示され、16mS/cmである。
【0024】
得られたLiPS4.80.2Cl0.5Br0.5電解質をアニソール溶媒中に浸漬し、室温で2時間浸漬してから乾燥し、浸漬後に室温交流テストインピーダンス図は図2に示され、その電解質伝導率が表1に示され、14.73mS/cmである。
【0025】
得られたLiPS4.80.2Cl0.5Br0.5電解質を乾燥室において-40℃の露点で4時間露出した後、室温交流テストインピーダンス図は図2に示され、その室温におけるイオン伝導率が表1に示され、14.56mS/cmである。
【0026】
表1 LiPS4.80.2Cl0.5Br0.5電解質の室温におけるイオン伝導率
【0027】
製造されたLiPS4.80.2Cl0.5Br0.5電解質材料のリチウム金属電極に対する安定性を更に研究して、リチウム金属電極を負極として用いる実現可能性を考察するために、電解質と金属リチウムとを組み立ててなる対称電池に対して定電流充放電テストを行い、テスト結果は図3に示される。Li/LiPS4.80.2Cl0.5Br0.5/Li対称電池はテスト電流密度が1mA/cmであり、1回の充放電時間が1時間であり、テスト容量密度が1mAh/cmである。テスト結果によれば、Li/LiPS4.80.2Cl0.5Br0.5/Li対称電池が1mA/cmの電流密度において12000時間サイクルすることができ、分極電圧が大幅に変化しないことが明らかになり、LiPS4.80.2Cl0.5Br0.5電解質が優れたリチウムに対する安定性を有すると説明される。
【0028】
金属リチウムを負極、LiNi0.8Co0.1Mn0.1(NCM)を正極として組み立ててなる全固体リチウム一次電池に対して電池充放電テストを行う。図4はLi/LiPS4.80.2Cl0.5Br0.5/NCM電池の定電流充放電曲線を示す図であり、図5はLi/LiPS4.80.2Cl0.5Br0.5/NCM電池のサイクルを示す図である。電池を0.5Cにおいてテストし、初回放電比容量が3.31mAh/cmであり、初回クーロン効率が80.7%である。50回サイクルした後、放電比容量が3.04mAh/cmとなる。
【0029】
実施例2
本実施例における高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質は、分子式がLi5.4PS4.30.1Cl1.40.2であり、
硫化リチウム材料の製造であって、ボールミル法と、リチウム含有物質及び硫黄含有物質の相互反応により製造し、金属リチウム及び元素状硫黄をそれぞれテトラヒドロフランに溶解し、物質の量比率を2.2:1にし、200r/minで24時間ボールミル混合してから減圧蒸留して反応して、LiSを得るa)と、
LiS、LiPO、LiCl、Iをモル比で秤量して撹拌タンクに入れて機械撹拌し、300r/minで1時間撹拌し、以上が完了した後に高エネルギーボールミリングタンクに入れて高エネルギーボールミリングし、ボールと材料との比を30:1にし、300rpmの回転速度で24時間高エネルギーボールミリングして、電解質前駆体を得るb)と、
電解質前駆体を真空において540℃で12時間焼成して、Li5.4PS4.30.1Cl1.40.2電解質を得るc)と、を含む製造方法により得られる。
【0030】
Li5.4PS4.30.1Cl1.40.2電解質相はアルジロダイト相であり、電解質は純相であり、原料相がない。
【0031】
Li5.4PS4.30.1Cl1.40.2電解質の元の室温におけるイオン伝導率が10.5mS/cmである。
【0032】
得られたLi5.4PS4.30.1Cl1.40.2電解質をアニソール+テトラヒドロフラン溶媒中(アニソール:テトラヒドロフランの体積比が1:2である)に浸漬し、室温で2時間浸漬してから乾燥し、浸漬後に電解質の室温におけるイオン伝導率が9.03mS/cmとなる。
【0033】
得られたLi5.4PS4.30.1Cl1.40.2電解質を乾燥室に置いて-40℃の露点で4h露出した後、その室温におけるイオン伝導率が9.77mS/cmとなる。
【0034】
製造されたLi5.4PS4.30.1Cl1.40.2電解質材料のリチウム金属電極に対する安定性を更に研究して、リチウム金属電極を負極として用いる実現可能性を考察するために、電解質と金属リチウムとを組み立ててなる対称電池に対して定電流充放電テストを行う。Li/Li5.4PS4.30.1Cl1.40.2/Li対称電池はテスト電流密度が2mA/cmであり、1回の充放電時間が1時間であり、テスト容量密度が2mAh/cmである。テスト結果によれば、Li/Li5.4PS4.30.1Cl1.40.2/Li対称電池が2mA/cm電流密度において500回サイクルすることができ、分極電圧が大幅に変化しないことが明らかになり、電解質が優れたリチウムに対する安定性を有すると説明される。
【0035】
リチウム金属を負極、FeSを正極として組み立ててなる全固体リチウム一次電池に対して電池充放電テストを行う。電池を2mA/cmにおいてテストする。500回サイクルした後、放電比容量が2.21mAh/cmとなる。
【0036】
実施例3
本実施例における高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質は、分子式がLi5.4PS4.20.2Cl1.1Br0.5であり、
硫化リチウム材料の製造であって、乾燥した硫黄粉末と水素化リチウム粉末とを物質の量比率1:1で混合してボールミルタンクに入れて、室温において100r/min条件下で24時間ボールミリングして、LiSを得るa)と、
LiS、P、LiCl、LiBrをモル比で秤量して撹拌タンクに入れて機械撹拌し、400r/minで8時間撹拌して、電解質前駆体を得るb)と、
電解質前駆体を真空において580℃で24時間焼成して、Li5.4PS4.20.2Cl0.5Br0.5電解質を得るc)と、を含む製造方法により得られる。
【0037】
Li5.4PS4.20.2Cl0.5Br0.5電解質相はアルジロダイト相であり、電解質は純相であり、原料相がない。
【0038】
Li5.4PS4.20.2Cl0.5Br0.5電解質の元の室温におけるイオン伝導率が19mS/cmである。
【0039】
得られたLi5.4PS4.20.2Cl0.5Br0.5電解質を炭酸ジメチル+炭酸フルオロエチレン溶媒中(炭酸ジメチル:炭酸フルオロエチレンの体積比が4:1である)に浸漬し、室温で2時間浸漬してから乾燥し、浸漬後に電解質の室温におけるイオン伝導率が16.72mS/cmとなる。
【0040】
得られたLi5.4PS4.20.2Cl0.5Br0.5電解質を乾燥室に置いて-40℃の露点で4h露出した後、その室温におけるイオン伝導率が17.37mS/cmとなる。
【0041】
製造されたLi5.4PS4.20.2Cl0.5Br0.5電解質材料のリチウム金属電極に対する安定性を更に研究して、リチウム金属電極を負極として用いる実現可能性を考察するために、電解質と金属リチウムとを組み立ててなる対称電池に対して定電流充放電テストを行う。Li/Li5.4PS4.20.2Cl0.5Br0.5/Li対称電池はテスト電流密度が5mA/cmであり、1回の充放電時間が1時間であり、テスト容量密度が5mAh/cmである。テスト結果によれば、Li/Li5.4PS4.20.2Cl0.5Br0.5/Li対称電池が5mA/cm電流密度において1000回サイクルすることができ、分極電圧が大幅に変化しないことが明らかになり、電解質が優れたリチウムに対する安定性を有すると説明される。
【0042】
リチウムホウ素合金を負極、NCMを正極として組み立ててなる全固体リチウム一次電池に対して電池充放電テストを行う。電池を5mA/cmにおいてテストする。1000回サイクルした後、放電比容量が5.71mAh/cmとなる。
【0043】
実施例4
本実施例における高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質は、分子式がLiPS4.70.3Cl0.4Br0.40.2であり、
硫化リチウム材料の製造であって、硫化金属リチウムナノ粒子法により製造し、金属リチウムナノ粒子がテトラヒドロフラン-ノルマルヘキサン媒体に分散し、内部に硫化水素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを通じて、24時間反応した後、LiSを得るa)と、
LiS、P、LiCl、LiBr、LiIをモル比で秤量して乳鉢に入れて研磨し、以上が完了した後にロールミリングタンクに入れてロールミリングし、ボールと材料との比を5:1にし、200rpmの回転速度で24時間ロールミリングして、電解質前駆体を得るb)と、
電解質前駆体を真空において420℃で48時間焼成して、LiPS4.70.3Cl0.4Br0.40.2電解質を得るc)と、を含む製造方法により得られる。
【0044】
LiPS4.70.3Cl0.4Br0.40.2電解質相はアルジロダイト相であり、電解質は純相であり、原料相がない。
【0045】
LiPS4.70.3Cl0.4Br0.40.2電解質の元の室温におけるイオン伝導率が25mS/cmである。
【0046】
得られたLiPS4.70.3Cl0.4Br0.40.2電解質を炭酸フルオロエチレン溶媒中に浸漬し、室温で2時間浸漬してから乾燥し、浸漬後に電解質の室温におけるイオン伝導率が20.25mS/cmとなる。
【0047】
得られたLiPS4.70.3Cl0.4Br0.40.2を乾燥室に置いて-40℃の露点で4h露出した後、その室温におけるイオン伝導率が24mS/cmとなる。
【0048】
製造されたLiPS4.70.3Cl0.4Br0.40.2電解質材料のリチウム金属電極に対する安定性を更に研究して、リチウム金属電極を負極として用いる実現可能性を考察するために、電解質と金属リチウムとを組み立ててなる対称電池に対して定電流充放電テストを行う。Li/LiPS4.70.3Cl0.4Br0.40.2/Li対称電池はテスト電流密度が15mA/cmであり、1回の充放電時間が1時間であり、テスト容量密度が15mAh/cmである。テスト結果によれば、Li/LiPS4.70.3Cl0.4Br0.40.2/Li対称電池が15mA/cm電流密度において1000回サイクルすることができ、分極電圧が大幅に変化しないことが明らかになり、電解質が優れたリチウムに対する安定性を有すると説明される。
【0049】
リチウムインジウム合金を負極、LFPを正極として組み立ててなる全固体リチウム一次電池に対して電池充放電テストを行う。電池を15mA/cmにおいてテストする。1000回サイクルした後、放電比容量が16.3mAh/cmとなる。
【0050】
比較例1
比較例1における電解質は、分子式がLiPSCl0.5Br0.5であり、
硫化リチウム材料の製造であって、リチウム含有物質及び硫黄含有物質の相互反応により製造し、金属リチウム及び元素状硫黄をそれぞれエーテルに溶解し、物質の量比率を2.1:1にし、混合後に減圧蒸留して反応して、LiSを得るa)と、
LiS、P、LiCl、LiBrをモル比で秤量してメノー乳鉢に入れて、手動で30分間研磨した後、電解質前駆体を得るb)と、
電解質前駆体を真空において550℃で4時間焼成して、LiPSCl0.5Br0.5電解質を得るc)と、を含む製造方法により得られる。
【0051】
LiPSCl0.5Br0.5電解質相はアルジロダイト相であり、電解質に不純物相があり、そのX線回折グラフは図6に示され、電解質にLiS不純物ピークがあることが見られる。
【0052】
LiPSCl0.5Br0.5電解質の元の室温交流テストインピーダンス図は図7に示され、その室温におけるイオン伝導率が表2に示され、5mS/cmである。
【0053】
得られたLiPSCl0.5Br0.5電解質をアニソール溶媒中に浸漬し、室温で2時間浸漬してから乾燥し、浸漬後に室温交流テストインピーダンス図は図7に示され、その電解質伝導率が表2に示され、3.75mS/cmである。
【0054】
得られたLiPSCl0.5Br0.5電解質を乾燥室において-40℃の露点で4時間露出した後、室温交流テストインピーダンス図は図7に示され、その室温におけるイオン伝導率が表2に示され、3.5mS/cmである。
【0055】





表2 LiPSCl0.5Br0.5電解質の室温におけるイオン伝導率
【0056】
製造されたLiPSCl0.5Br0.5電解質材料のリチウム金属電極に対する安定性を更に研究して、リチウム金属電極を負極として用いる実現可能性を考察するために、電解質と金属リチウムとを組み立ててなる対称電池に対して定電流充放電テストを行い、テスト結果は図8に示される。Li/LiPSCl0.5Br0.5/Li対称電池はテスト電流密度が0.1mA/cmであり、1回の充放電時間が1時間であり、テスト容量密度が0.1mAh/cmである。テスト結果によれば、Li/LiPSCl0.5Br0.5/Li対称電池が0.1mA/cm電流密度において1700時間サイクルすることができ、分極電圧が大幅に増大することが明らかになり、電解質のリチウムに対する安定性がより低いと説明される。
【0057】
比較例2
比較例2における電解質は、分子式がLiPS4.40.6Cl0.5Br0.5であり、
硫化リチウム材料の製造であって、リチウム含有物質及び硫黄含有物質の相互反応により製造し、金属リチウム及び元素状硫黄をそれぞれエーテルに溶解し、物質の量比率を2.1:1にし、混合後に減圧蒸留して反応して、LiSを得るa)と、
LiS、P、P、LiClをモル比で秤量してメノー乳鉢に入れて、手動で30分間研磨した後、電解質前駆体を得るb)と、
電解質前駆体を真空において550℃で4時間焼成して、LiPS4.40.6Cl0.5Br0.5電解質を得るc)と、を含む製造方法により得られる。
【0058】
LiPS4.40.6Cl0.5Br0.5電解質相はアルジロダイト相であり、電解質にLiS不純物相がある。
【0059】
LiPS4.40.6Cl0.5Br0.5電解質の室温におけるイオン伝導率が4.2mS/cmである。
【0060】
得られたLiPS4.40.6Cl0.5Br0.5電解質をアニソール溶媒中に浸漬して、室温で2時間浸漬してから乾燥し、その室温におけるイオン伝導率が3.07mS/cmである。
【0061】
得られたLiPS4.40.6Cl0.5Br0.5電解質を乾燥室において-40℃の露点で4時間露出した後、その室温におけるイオン伝導率が2.90mS/cmとなる。
【0062】
製造されたLiPS4.40.6Cl0.5Br0.5電解質材料のリチウム金属電極に対する安定性を更に研究して、リチウム金属電極を負極として用いる実現可能性を考察するために、電解質と金属リチウムとを組み立ててなる対称電池に対して定電流充放電テストを行う。Li/LiPS4.40.6Cl/Li対称電池はテスト電流密度が0.1mA/cmであり、1回の充放電時間が1時間であり、テスト容量密度が0.1mAh/cmである。テスト結果によれば、Li/LiPS4.40.6Cl/Li対称電池が0.1mA/cm電流密度において950時間サイクルすることができ、分極電圧が大幅に増大することが明らかになり、電解質のリチウムに対する安定性がより低いと説明される。
【0063】
比較例3
比較例3における電解質は、分子式がLiPSe4.80.2Cl0.5Br0.5であり、
LiSe、PSe、P、LiCl、LiBrをモル比で秤量してメノー乳鉢に入れて、手動で30分間研磨した後、電解質前駆体を得るa)と、
電解質前駆体を真空において550℃で4時間焼成して、LiPSe4.80.2Cl0.5Br0.5電解質を得るb)と、を含む製造方法により得られる。
【0064】
LiPSe4.80.2Cl0.5Br0.5電解質相はアルジロダイト相であり、電解質にLiSe不純物相がある。
【0065】
LiPSe4.80.2Cl0.5Br0.5電解質の室温におけるイオン伝導率が1.7mS/cmである。
【0066】
得られたLiPSe4.80.2Cl0.5Br0.5電解質をアニソール溶媒中に浸漬して、室温で2時間浸漬してから乾燥し、その室温におけるイオン伝導率が1.02mS/cmである。
【0067】
得られたLiPSe4.80.2Cl0.5Br0.5電解質を乾燥室において-40℃の露点で4時間露出した後、その室温におけるイオン伝導率が0.85mS/cmとなる。
【0068】
製造されたLiPSe4.80.2Cl0.5Br0.5電解質材料のリチウム金属電極に対する安定性を更に研究して、リチウム金属電極を負極として用いる実現可能性を考察するために、電解質と金属リチウムとを組み立ててなる対称電池に対して定電流充放電テストを行う。Li/LiPSe4.80.2Cl0.5Br0.5/Li対称電池はテスト電流密度が0.1mA/cmであり、1回の充放電時間が1時間であり、テスト容量密度が0.1mAh/cmである。テスト結果によれば、Li/LiPSe4.80.2Cl0.5Br0.5/Li対称電池が0.1mA/cm電流密度において50時間サイクルすることができ、分極電圧が大幅に増大することが明らかになり、電解質のリチウムに対する安定性がより低いと説明される。
【0069】
比較例4
比較例4における高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質は、分子式がLiPS4.80.2Clであり、
硫化リチウム材料の製造であって、リチウム含有物質及び硫黄含有物質の相互反応により製造し、金属リチウム及び元素状硫黄をそれぞれエーテルに溶解し、物質の量比率を2.1:1にし、混合後に減圧蒸留して反応して、LiSを得るa)と、
LiS、P、P、LiClをモル比で秤量してメノー乳鉢に入れて、手動で30分間研磨した後、電解質前駆体を得るb)と、
電解質前駆体を真空において550℃で4時間焼成して、LiPS4.80.2Cl電解質を得るc)と、を含む製造方法により得られる。
【0070】
LiPS4.80.2Cl電解質相はアルジロダイト相であり、電解質にLiS不純物相がある。
【0071】
LiPS4.80.2Cl電解質の室温におけるイオン伝導率が9.8mS/cmである。
【0072】
得られたLiPS4.80.2Cl電解質をアニソール溶媒中に浸漬して、室温で2時間浸漬してから乾燥し、その室温におけるイオン伝導率が6.86mS/cmである。
【0073】
得られたLiPS4.80.2Cl電解質を乾燥室において-40℃の露点で4時間露出した後、その室温におけるイオン伝導率が6.57mS/cmとなる。
【0074】
製造されたLiPS4.80.2Cl電解質材料のリチウム金属電極に対する安定性を更に研究して、リチウム金属電極を負極として用いる実現可能性を考察するために、電解質と金属リチウムとを組み立ててなる対称電池に対して定電流充放電テストを行う。Li/LiPS4.80.2Cl/Li対称電池はテスト電流密度が0.1mA/cmであり、1回の充放電時間が1時間であり、テスト容量密度が0.1mAh/cmである。テスト結果によれば、Li/LiPS4.80.2Cl/Li対称電池が0.1mA/cm電流密度において1000時間サイクルすることができ、分極電圧が大幅に増大することが明らかになり、電解質のリチウムに対する安定性がより低いと説明される。
【0075】
比較例5
比較例5における高純度アルジロダイト相硫化物固体電解質は、分子式がLiPS4.80.2Brであり、
硫化リチウム材料の製造であって、リチウム含有物質及び硫黄含有物質の相互反応により製造し、金属リチウム及び元素状硫黄をそれぞれエーテルに溶解し、物質の量比率を2.1:1にし、混合後に減圧蒸留して反応して、LiSを得るa)と、
LiS、P、P、LiClをモル比で秤量してメノー乳鉢に入れて、手動で30分間研磨した後、電解質前駆体を得るb)と、
電解質前駆体を真空において550℃で4時間焼成して、LiPS4.80.2Br電解質を得るc)と、を含む製造方法により得られる。
【0076】
LiPS4.80.2Br電解質相はアルジロダイト相であり、電解質にLiS不純物相がある。
【0077】
LiPS4.80.2Br電解質の室温におけるイオン伝導率が1.1mS/cmである。
【0078】
得られたLiPS4.80.2Br電解質をアニソール溶媒中に浸漬して、室温で2時間浸漬してから乾燥し、その室温におけるイオン伝導率が0.71mS/cmである。
【0079】
得られたLiPS4.80.2Br電解質を乾燥室において-40℃の露点で4時間露出した後、その室温におけるイオン伝導率が0.66mS/cmとなる。
【0080】
製造されたLiPS4.80.2Br電解質材料のリチウム金属電極に対する安定性を更に研究して、リチウム金属電極を負極として用いる実現可能性を考察するために、電解質と金属リチウムとを組み立ててなる対称電池に対して定電流充放電テストを行う。Li/LiPS4.80.2Br/Li対称電池はテスト電流密度が0.1mA/cmであり、1回の充放電時間が1時間であり、テスト容量密度が0.1mAh/cmである。テスト結果によれば、Li/LiPS4.80.2Br/Li対称電池が0.1mA/cm電流密度において100時間サイクルすることができ、分極電圧が大幅に増大することが明らかになり、電解質のリチウムに対する安定性がより低いと説明される。
【0081】
最後に説明すべきことは、本明細書に説明される具体的な実施例は単に本発明の主旨を例示的に説明するものであり、本発明の実施形態を限定するものではない。当業者であれば、説明される具体的な実施例に対して種々の修正又は追加を行い、又は類似の方式で代替することができ、ここで全ての実施形態を網羅することができず、その必要もない。本発明の本質から派生したこれらの明らかな変化又は変更は依然として本発明の保護範囲に属し、それらをいかなる追加の制限として解釈することはいずれも本発明の主旨に違反するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】