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  • 特表-酸を含有する喫煙物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-13
(54)【発明の名称】酸を含有する喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/14 20060101AFI20240906BHJP
   A24B 15/30 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A24D3/14
A24B15/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566960
(86)(22)【出願日】2023-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 KR2023007483
(87)【国際公開番号】W WO2024043451
(87)【国際公開日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】10-2022-0106844
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、キュン ビン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チャングーク
【テーマコード(参考)】
4B043
4B045
【Fターム(参考)】
4B043BC02
4B043BC19
4B045BA02
4B045BB03
(57)【要約】
本発明は、フィルタ部および刻みタバコ部を含む喫煙物品において、フィルタ部および刻みタバコ部は、互いに同一または異なる組成物を含み、前記組成物は、ピルビン酸、乳酸、およびクエン酸からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含む喫煙物品を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ部および刻みタバコ部を含む喫煙物品において、
フィルタ部および刻みタバコ部は、互いに同一または異なる組成物を含み、前記組成物は、ピルビン酸、乳酸、およびクエン酸からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含む、喫煙物品。
【請求項2】
前記フィルタ部は、ピルビン酸を含む、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記ピルビン酸の含量は、刻みタバコに対し0.01重量%以上0.1重量%未満である、請求項2に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記刻みタバコ部は、乳酸を含む、請求項2に記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記乳酸の含量は、刻みタバコに対し0.01重量%以上2重量%以下である、請求項4に記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記刻みタバコ部は、乳酸およびクエン酸を含む、請求項2に記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記乳酸の含量は、刻みタバコに対し0.01重量%以上2重量%以下である、請求項6に記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記クエン酸の含量は、刻みタバコに対し0.01重量%以上10重量%以下である、請求項6に記載の喫煙物品。
【請求項9】
香料をさらに含む、請求項2から8のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記香料は、ウンデカラクトン(undecalactone)である、請求項9に記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸を含有する喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にタバコは、ナス目カス科の多年草をいうが、最近は、タバコの葉を紙で包み、一側にフィルタ部が構成されて、喫煙を目的に製造された製品を指す名称でもある。このようなタバコは、全世界に数千種に至り、様々な模様や形態で発売されている。
【0003】
タバコを燃焼または加熱すると、タバコ煙が生成される。喫煙を通じて生じられるタバコ煙は、フィルタを通過して口に伝達される主流煙(mainstream smoke)と、フィルタを通過せず大気中に発せられる副流煙(sidestream smoke)とに区分することができる。このようなタバコ煙の成分にはニコチンがある。
【0004】
タバコ煙中のニコチンは、フリーニコチン(free nicotine)と、ニコチン塩から構成されている。ニコチン塩は、比較的刺激が少なく、まろやかな味を提供するが、フリーニコチンは、喫煙中にからからな刺激、きつい味を誘発して喫煙者の喫煙満足感を阻害する。
【0005】
喫煙中に煙成分による否定的な喫味、すなわちからからな刺激、異臭味などを減らしたタバコが求められている。そこで、塩基性を有するフリーニコチンを中和することができる酸を添加してニコチン塩を形成しようとする試みがあるが、依然としてより改善された喫味を提供する喫煙物品が求められつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、前記のような従来技術の問題点および/または限界点を克服するために、ピルビン酸、乳酸、およびクエン酸からなる群から少なくとも1つ以上を含有する組成物を喫煙物品のフィルタ部および刻みタバコ部に適用した。ピルビン酸、乳酸、およびクエン酸は、喫煙物品に添加する様々な酸の中で安定性および刺激減少効果が最も優れ、本発明を完成するに至った。このとき、フィルタ部と刻みタバコ部は、互いに同一または異なる組成物を含有してもよい。前記酸の組み合わせをフィルタ部および刻みタバコ部に適用して最も優れた喫味を提供する喫煙物品を提供することを目的とする。
【0007】
しかしながら、本発明が解決しようとする課題は、以上で述べた課題に限定されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から当該技術分野の通常の知識を有する者に明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例によると、フィルタ部および刻みタバコ部を含む喫煙物品において、フィルタ部および刻みタバコ部は、互いに同一または異なる組成物を含み、前記組成物は、ピルビン酸、乳酸、およびクエン酸からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含む喫煙物品を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明を利用すると、喫煙中の否定的な刺激を低め、まろやかな味を提供して、喫煙満足感を高めることができる。
【0010】
本発明の効果は、前記の効果に限定されるのではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載した発明の構成から推論可能なすべての効果を含むことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例によるフィルタ部10および刻みタバコ部20を含む喫煙物品100を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して実施例を詳細に説明する。しかしながら、実施例には様々な変更を加えることができるので、特許出願の権利範囲はこれらの実施例によって制限または限定されない。実施例に対するすべての変更、均等物または代替物が権利範囲に含まれることが理解されるべきである。
【0013】
実施例で使用された用語は、説明の目的のためだけに使用されたものであり、限定する意図として解釈されるべきではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定するためであり、1つまたは複数の他の特徴または数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものの存在または追加の可能性を予め排除しないことが理解されるべきである。
【0014】
特に定義されない限り、技術的または科学的用語を含んでここで使用されるすべての用語は、実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に使用される、辞書で定義されているような用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願において明確に定義されない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0015】
なお、添付の図面を参照して説明するにあたり、参照符号にかかわらず同一の構成要素には同一の参照符号を付し、これに対する重複説明は省略する。実施例の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が実施例の要旨を不必要に不明瞭にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0016】
また、実施例の構成要素を説明する際に、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。この用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためだけのものであり、その用語によってその構成要素の性質、順番、順序などが限定されない。
【0017】
いずれかの実施例に含まれた構成要素と共通の機能を含む構成要素は、他の実施例において同一の名称を用いて説明することとする。断りのない限り、いずれかの実施例に記載した説明は他の実施例にも適用可能であり、重複される範囲で具体的な説明は省略する。
【0018】
明細書全体において、「喫煙物品」とは、タバコ(シガレット)、葉巻などのように、エアロゾルを発生させることができる品物を意味することができる。喫煙物品は、エアロゾル発生物質またはエアロゾル形成基質を含み得る。また、喫煙物品は、板状葉タバコ、刻みタバコ、再構成タバコなどのタバコ原料を基礎とする固体物質を含み得る。喫煙物質は揮発性化合物を含み得る。
【0019】
図1に記載の本発明の一実施例による喫煙物品100は、フィルタ部10および刻みタバコ部20を含み、フィルタ部10および刻みタバコ部20は、互いに同一または異なる組成物を含み、前記組成物は、ピルビン酸、乳酸、およびクエン酸からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含むことができる。
【0020】
本発明の一実施例によれば、好ましくは、フィルタ部10は、ピルビン酸を含んでもよい。
【0021】
このとき、ピルビン酸の含量は、刻みタバコに対し0.01重量%以上0.1%未満、好ましくは0.03重量%以上0.1重量%未満、最も好ましくは0.04重量%であってもよい。
【0022】
また、刻みタバコ部20は、乳酸、好ましくは乳酸およびクエン酸を含んでもよい。この場合、乳酸の含量は、刻みタバコに対し0.01重量%以上2重量%以下、好ましくは0.1重量%であってもよく、クエン酸の含量は、刻みタバコに対し0.01重量%以上10重量%以下、好ましくは0.1重量%であってもよい。ただし、これに制限されない。
【0023】
前記酸の含量が刻みタバコに対し0.01重量%未満の場合、フリーニコチンが充分に中和されることができず、からからな刺激を誘発することがある。酸の含量が前記範囲を超える場合、酸による異臭味を誘発することがある。
【0024】
本発明の他の1つの実施例による喫煙物品100において、刻みタバコに対し0.01重量%以上0.1%未満ピルビン酸を含むフィルタ10は、香料をさらに含んでもよい。
【0025】
好ましくは、香料は、刻みタバコに対し0.005%のウンデカラクトン(undecalactone)であってもよいが、これに制限されない。
【0026】
前記フィルタ部を含む喫煙物品において、刻みタバコ部は、刻みタバコに対し0.01重量%以上2重量%以下の乳酸および刻みタバコに対し0.01重量%以上10重量%以下のクエン酸を含んでもよい。
【0027】
以下、表を参考して実施例の構成について説明する。
【0028】
【表1】
【0029】
実施例1
フィルタ部にピルビン酸、刻みタバコ部に乳酸およびクエン酸を含む喫煙物品を製造した。このとき、ピルビン酸の含量は、刻みタバコに対し0.04重量%、乳酸の含量は、刻みタバコに対し0.1重量%、クエン酸の含量は、刻みタバコに対し0.1重量%である。
【0030】
実施例2
【0031】
刻みタバコ部に乳酸のみを含むこと以外は、実施例1と同様の方法で喫煙物品を製造した。
【0032】
比較例1
【0033】
フィルタ部に刻みタバコに対し0.04重量%のピルビン酸を含む喫煙物品を製造した。
【0034】
比較例2
【0035】
フィルタ部に刻みタバコに対し0.1重量%の乳酸を含む喫煙物品を製造した。
【0036】
比較例3
【0037】
フィルタ部に刻みタバコに対し0.1重量%のクエン酸を含む喫煙物品を製造した。
【0038】
比較例4
【0039】
刻みタバコ部に刻みタバコに対し0.04重量%のピルビン酸を含む喫煙物品を製造した。
【0040】
比較例5
【0041】
刻みタバコ部に刻みタバコに対し0.1重量%の乳酸を含む喫煙物品を製造した。
【0042】
比較例6
【0043】
刻みタバコ部に刻みタバコに対し0.1重量%のクエン酸を含む喫煙物品を製造した。
【0044】
比較例7
【0045】
フィルタ部に刻みタバコに対し0.04重量%のピルビン酸および刻みタバコに対し0.1重量%の乳酸を含む喫煙物品を製造した。
【0046】
実験例1:喫煙物品への適用による刺激減少効果の官能評価
【0047】
前記実施例1、2および比較例1から6の喫煙物品を適用して刺激減少効果を調べるために官能評価を実施した。官能評価は、喫煙者が喫煙中で感じるタバコ味を確認して数値で評価した。官能評価は、12名の評価パネルを対象に実施し、合計7点満点を基準とした。
【0048】
官能評価結果は、下記表2に示した。
【0049】
【表2】
フィルタ部に前記酸をそれぞれ添加した場合(比較例1から3)、および刻みタバコ部に前記酸をそれぞれ添加した場合(比較例4から6)のうち、比較例1の刺激減少効果が最もよかった。そこで、効果が最もよかった比較例1を基準とし、フィルタ部または刻みタバコ部に酸を添加して、官能評価を実施した。
【0050】
フィルタ部に最も効果がよかったピルビン酸および乳酸をともに添加した場合(比較例7)、比較例1との刺激減少効果の差は少ないが、フィルタ部で乳酸による酸性異臭が生じる問題があった。
【0051】
一方、実施例2の場合、比較例1に比べて刺激減少効果に優れる結果を示した。すなわち、フィルタ部にピルビン酸、刻みタバコ部に乳酸を添加すると、フィルタ部にピルビン酸のみを添加した場合に比べ、喫煙中の刺激を低めることができる。
【0052】
実施例1は、実施例2よりも刺激減少効果に優れており、比較例1に比べて刺激減少においてさらに有意な効果があった。すなわち、フィルタ部にピルビン酸、刻みタバコ部に乳酸およびクエン酸を添加する場合、最も異臭味が少ないながらも刺激減少効果に優れた喫煙物品を提供することができる。
【0053】
前記実験例よると、本発明の請求項に記載された酸の質量費の範囲内で刺激減少効果があることが分かる。
【0054】
実験例2:喫煙物品への適用による香、喫味、刺激に対する官能評価
【0055】
実施例1から3、および比較例1の喫煙物品を適用して香、喫味、刺激の変化を調べるために官能評価を実施した。
【0056】
実施例1から3、および比較例1の具体的な成分および含量は、下記表3に示した。官能評価は、表3に記載された量だけフィルタ部および刻みタバコ部のそれぞれに目的物質を注入した。具体的に、フィルタ部は目的物質をMCTGに希釈し、刻みタバコ部は目的物質を酒精(エタノール)に希釈して注入した。
【0057】
【表3】
TJNSは、transfer jet nozzle systemであり、MCTGは、中鎖脂肪酸トリグリセリド(medium chain fatty acid triglyceride)である。
【0058】
官能評価は、12名の評価パネルを対象に実施し、合計7点満点を基準とした。官能評価の結果は、下記表4に示した。
【0059】
【表4】
実施例1の場合、対照区に比べ、喫味と刺激減少の側面で優れている。香強さの増加は、酸の臭いによるものである。
【0060】
実施例1の官能評価の結果、香料を添加しただけの喫味の強さと刺激減少効果を示す。本実施例には、香原料の1つとして、普通タバコでまろやかな味と香を与える香料として用いられるウンデカラクトンを少量添加した。ウンデカラクトンの含量は、刻みタバコに対し0.005%であった。
【0061】
したがって、フィルタ部に刻みタバコに対し0.01重量%以上0.1重量%未満のピルビン酸、刻みタバコ部に刻みタバコに対し0.01重量%以上2重量%以下の乳酸、および刻みタバコに対し0.01重量%以上10重量%以下のクエン酸を含む喫煙物品は、否定的な喫味の強さおよび刺激減少効果に優れていることがわかる。
【0062】
以上のように、実施例が限定された図面によって説明されたが、該技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記に基づいて多様な技術的修正および変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる手順で行われ、および/または説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合または組み合わされ、または他の構成要素または均等物によって交換または置き換えられても、適切な結果が達成されることができる。
【0063】
よって、他の具現例、他の実施例および特許請求の範囲と等しいものなども、後述の特許請求の範囲に属する。
図1
【国際調査報告】