(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-13
(54)【発明の名称】フレキシブル箔材の製造システム
(51)【国際特許分類】
C25D 7/06 20060101AFI20240906BHJP
C25D 17/12 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
C25D7/06 C
C25D17/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577832
(86)(22)【出願日】2023-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-12-17
(86)【国際出願番号】 CN2023083518
(87)【国際公開番号】W WO2024051152
(87)【国際公開日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】202222378968.0
(32)【優先日】2022-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522118469
【氏名又は名称】重慶金美新材料科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHONGQING JIMAT NEW MATERIAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.12,Jinfu 2nd Road,Qiaohe Industrial Park,Gunan Street,Qijiang District,Chongqing 401421,China
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【氏名又は名称】柳元 八大
(72)【発明者】
【氏名】臧 世偉
【テーマコード(参考)】
4K024
【Fターム(参考)】
4K024AA09
4K024BC02
4K024EA02
(57)【要約】
本発明は、電気めっきの技術分野に関し、フレキシブル箔材の製造システムを開示する。当該システムは、フィルムの伝送方向に沿って順に配列された第1液溜まりローラ、テンションローラ、第1導電ローラ及び第2導電ローラを含み、前記フィルムは、第1液溜まりローラ、テンションローラ、第1導電ローラ及び第2導電ローラを順に通過し、且つテンションローラ及び第2導電ローラは、フィルムの上面に接触し、第1導電ローラは、フィルムの下面に接触し、前記フィルムとテンションローラとが接触する接触位置の水平高さは、フィルムと第1液溜まりローラとが接触する接触位置の水平高さより大きい。本発明は、導電ローラへの銅めっきを大幅に減少させ、導電ローラにめっき液の結晶が生ずることを避け、結晶がフィルムを突き刺すことを防止することができるという有益な効果を奏する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムの伝送方向に沿って順に配列された第1液溜まりローラ、テンションローラ、第1導電ローラ及び第2導電ローラを含み、
前記フィルムは、前記第1液溜まりローラ、前記テンションローラ、前記第1導電ローラ及び前記第2導電ローラを順に通過し、且つ前記テンションローラ及び前記第2導電ローラは、前記フィルムの上面に接触し、前記第1導電ローラは、前記フィルムの下面に接触し、
前記フィルムと前記テンションローラとが接触する接触位置の水平高さは、前記フィルムと前記第1液溜まりローラとが接触する接触位置の水平高さより大きい
ことを特徴とするフレキシブル箔材の製造システム。
【請求項2】
めっき槽をさらに含み、
前記第1液溜まりローラは、前記めっき槽の下流端に位置し、構造が一致するとともに並列された二つのローラ体を含み、
前記フィルムは、二つの前記ローラ体の間を通過する
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル箔材の製造システム。
【請求項3】
チタンバスケットをさらに含み、
前記チタンバスケットは、前記めっき槽のめっき液内に位置し、
前記チタンバスケットの内部には、銅製ボールが設けられ、
前記フィルムは、前記めっき槽のめっき液内に位置し、隣接する前記チタンバスケットの間を通過する
ことを特徴とする請求項2に記載のフレキシブル箔材の製造システム。
【請求項4】
第2液溜まりローラをさらに含み、
前記第1液溜まりローラ及び前記第2液溜まりローラは、それぞれ前記めっき槽の両端に位置し、
前記フィルムは、前記めっき槽内で前記第2液溜まりローラ、前記チタンバスケット及び前記第1液溜まりローラを順に通過する
ことを特徴とする請求項3に記載のフレキシブル箔材の製造システム。
【請求項5】
前記めっき槽の下方には、貯液槽がさらに設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載のフレキシブル箔材の製造システム。
【請求項6】
前記第2導電ローラの後方には、速度調整ローラが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル箔材の製造システム。
【請求項7】
前記第1導電ローラの電流と前記第2導電ローラの電流とが等しくなるように、前記第1導電ローラと前記第2導電ローラとは、導線によって接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル箔材の製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気めっきの技術分野に関し、具体的に、フレキシブル箔材の製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代工業技術の発展に伴い、フレキシブルフィルム基材の表面にめっきするニーズがますます大きくなる。また、フレキシブルフィルム基材の表面にめっきすることは、高性能カーフィルム、プラズマテレビフラットパネルディスプレイ、タッチパネル、太陽電池、フレキシブルプリント配線板(FPC)、チップオンフィルム(COF)などの分野に広く用いられている。工業製造では、通常、電気めっき設備を用いてフレキシブルフィルム基材に電気めっきを行い、即ち、各種本体及びめっき層の需要に対して、めっき液を配置し、フレキシブルフィルム基材をめっき液に通過させることにより、比較的短時間で完了させることができる。
【0003】
従来技術において、電気めっきは、一定の導電性能を有するフィルム製品を製造する方法の一つである。しかしながら、現在、電気めっきプロセスにおいて、導電ローラへの銅めっき、ひいては導電ローラへのめっき液の結晶が生じるという問題がある。
【発明の概要】
【0004】
従来技術の欠陥を克服するために、本願はフレキシブル箔材の製造システムを提供し、導電ローラへの銅めっきが生じるという問題を解決した。
【0005】
技術的課題を解決するために、本発明の態様によれば、フィルムの伝送方向に沿って順に配列された第1液溜まりローラ、テンションローラ、第1導電ローラ及び第2導電ローラを含み、前記フィルムは、第1液溜まりローラ、テンションローラ、第1導電ローラ及び第2導電ローラを順に通過し、且つテンションローラ及び第2導電ローラは、フィルムの上面に接触し、第1導電ローラは、フィルムの下面に接触し、前記フィルムとテンションローラとが接触する接触位置の水平高さは、フィルムと第1液溜まりローラとが接触する接触位置の水平高さより大きいフレキシブル箔材の製造システムが提供される。
【0006】
上記構造において、前記フレキシブル箔材の製造システムは、めっき槽をさらに含み、第1液溜まりローラは、めっき槽の下流端に位置し、構造が一致するとともに並列された二つのローラ体を含み、フィルムは、二つのローラ体の間を通過する。
【0007】
上記構造において、前記フレキシブル箔材の製造システムは、チタンバスケットをさらに含み、前記チタンバスケットは、めっき槽のめっき液内に位置し、チタンバスケットの内部には、銅製ボールが設けられ、フィルムは、めっき槽のめっき液内に位置し、隣接するチタンバスケットの間を通過する。
【0008】
上記構造において、前記フレキシブル箔材の製造システムは、第2液溜まりローラをさらに含み、第1液溜まりローラ及び第2液溜まりローラは、それぞれめっき槽の両端に位置し、フィルムは、めっき槽内で第2液溜まりローラ、チタンバスケット及び第1液溜まりローラを順に通過する。
【0009】
上記構造において、前記めっき槽の下方には、貯液槽がさらに設けられている。
【0010】
上記構造において、前記第2導電ローラの後方には、速度調整ローラが設けられている。
【0011】
上記構造において、前記第1導電ローラの電流と前記第2導電ローラの電流とが等しくなるように、前記第1導電ローラと前記第2導電ローラとは、導線によって接続されている。
【0012】
本発明は、導電ローラへの銅めっきが生じることを大幅に減少させ、導電ローラへのめっき液の結晶が生じることを避け、結晶がフィルムを穿通することを防止することができるため、めっきフィルム製品の品質を向上させることができるという有益な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のフレキシブル箔材の製造システムを示す構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面と実施例を参照しながら、本発明を説明する。
【0015】
以下、本願の目的、特徴及び効果を十分に理解させるために、実施例及び図面を参照しながら、本願の構想、具体的な構造及び得られた技術的効果を的確に、完全に説明する。明らかなように、説明された実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではなく、本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得られた他の実施例はいずれも本願保護の範囲に属する。また、本願に係る全ての連結/接続関係は、部材の直接接続だけではなく、具体的な実施状況に応じて、連結補助部材を追加又は減少させることにより、より優れた連結構造を構成することができるのを意味する。本願における各技術的特徴は、矛盾しない限り相互に組み合わせることができる。
【0016】
図1に示すように、本発明によれば、フレキシブル箔材の製造システムが提供される。具体的に、当該システムは、フィルム50の伝送方向に沿って順に配列された第1液溜まりローラ10、テンションローラ20、第1導電ローラ30及び第2導電ローラ40を含む。前記フィルム50は、第1液溜まりローラ10、テンションローラ20、第1導電ローラ30及び第2導電ローラ40を順に通過し、且つ、テンションローラ20及び第2導電ローラ40は、フィルム50の上面に接触し、第1導電ローラ30は、フィルム50の下面に接触している。そして、第1導電ローラ30及び第2導電ローラ40によってフィルム50の上下面に対して導電する。
【0017】
本実施例において、前記フィルム50とテンションローラ20とが接触する接触位置の水平高さは、フィルム50と第1液溜まりローラ10とが接触する接触位置の水平高さよりも大きい。
図1に示すように、第1液溜まりローラ10とテンションローラ20との間に位置するフィルム50は、水平面と夾角を呈し、テンションローラ20の方向に沿って反り上がる。これにより、めっき液がフィルム50を伝って第1導電ローラ30に到達し、電流によって銅を第1導電ローラ30にめっきすることを防止することができる。
【0018】
さらに、前記第1導電ローラ30と第2導電ローラ40とは、導線によって接続されることにより、第1導電ローラ30の電流と第2導電ローラ40の電流とが等しくなる。このため、フィルム50の両端の電圧が等しくなり、フィルム50に微小な孔があっても、短絡が発生せず、焼き付き現象が発生しない。
【0019】
続いて、
図1に示すように、本発明によれば、具体的な実施例に係る前記フレキシブル箔材の製造システムが提供される。当該フレキシブル箔材の製造システムは、めっき槽60、チタンバスケット70及び第2液溜まりローラ80をさらに含む。第1液溜まりローラ10及び第2液溜まりローラ80は、めっき槽60の両端に位置する。フィルム50は、めっき槽60内において、第2液溜まりローラ80、チタンバスケット70及び第1液溜まりローラ10を順に通過する。第1液溜まりローラ10と第2液溜まりローラ80とは、構造が同じであり、いずれも構造が一致するとともに上下に並列された二つのローラ体を含む。フィルム50は、二つのローラ体の間を通過する。前記チタンバスケット70は、めっき槽60のめっき液内に位置する。そして、チタンバスケット70の内部には、銅制ボールが設けられている。フィルム50は、めっき槽60のめっき液内に位置し、隣接するチタンバスケット70の間を通過する。
【0020】
また、上記実施例において、前記めっき槽60の下方には、貯液槽90がさらに設けられ、貯液槽90の役割は、めっき液を循環させることである。前記第2導電ローラ40の後方には、速度調整ローラ401が設けられている。
【0021】
第1導電ローラ30とフィルム50とにより形成されたラップ角は、第2導電ローラ40とフィルム50とにより形成されたラップ角の2倍である。これにより、ラップ角に対応するフィルムの弧長を長くさせ、フィルム50とローラとが接触する接触面積を大きくすることができる。
【0022】
上記構造によれば、本願のフレキシブル箔材の製造システムは、導電ローラへの銅めっきが生じることを大幅に減少させ、導電ローラへのめっき液の結晶が生じることを避け、結晶がフィルム50を穿通することを防止し、めっきフィルム製品の品質を向上させることができる。
【0023】
以上、本願の好適な実施例について具体的に説明したが、本願は前記実施例に限定されるものではなく、本願の趣旨に反しない限り、当業者が様々な同等の変形又は置換を行うことができ、これら同等の変形又は置換はいずれも本願の特許請求の範囲によって規定される範囲に含まれる。
【0024】
本発明のフレキシブル箔材の製造システムによれば、導電ローラへの銅めっきが生じることを大幅に減少させ、導電ローラへのめっき液の結晶が生じることを避け、結晶がフィルムを穿通することを防止し、めっきフィルム製品の品質を向上させることができる。よって、本発明のフレキシブル箔材の製造システムは、実用性を有する。
【国際調査報告】