IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 青禾晶元(天津)半導体材料有限公司の特許一覧

特表2024-533911複合炭化珪素基板およびその調製方法
<>
  • 特表-複合炭化珪素基板およびその調製方法 図1
  • 特表-複合炭化珪素基板およびその調製方法 図2
  • 特表-複合炭化珪素基板およびその調製方法 図3
  • 特表-複合炭化珪素基板およびその調製方法 図4
  • 特表-複合炭化珪素基板およびその調製方法 図5
  • 特表-複合炭化珪素基板およびその調製方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-13
(54)【発明の名称】複合炭化珪素基板およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/36 20060101AFI20240906BHJP
   C30B 33/06 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
C30B29/36 A
C30B33/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514607
(86)(22)【出願日】2023-02-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 CN2023075242
(87)【国際公開番号】W WO2024040880
(87)【国際公開日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】202211022711.X
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524083945
【氏名又は名称】青禾晶元(天津)半導体材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】TJ INNOVATIVE SEMICONDUCTOR SUBSTRATE TECHNOLOGY CO. ,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】郭 超
(72)【発明者】
【氏名】母 鳳文
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077AB02
4G077BE08
4G077FF06
4G077FF10
4G077FG11
4G077FG12
4G077FH05
4G077HA06
(57)【要約】
【課題】本願は、複合炭化珪素基板およびその調製方法を提供する。
【手段】前記複合炭化珪素基板は、順次積層して設けられた単結晶層、結合層および支持層を含み、前記単結晶層の一方の表面に周期的な原子レベルのステップ構造が設けられ、前記原子レベルのステップ構造は、4幅型ステップ構造、2幅型ステップ構造または1幅型ステップ構造のいずれか1種を含む。前記調製方法は、(1)支持基板とイオン注入された単結晶基板とを互いに結合し、熱処理して剥離した後に複合炭化珪素基板中間品を取得することと、(2)複合炭化珪素基板中間品の単結晶層の一方の表面で酸化改質と砥粒除去とを交互に行い、即ち、単結晶層の一方の表面に周期的な原子レベルのステップ構造を形成し、複合炭化珪素基板を取得することとを含む。本願に係る複合炭化珪素基板は、高電圧電力デバイスの、厚さが大きくて高品質な炭化珪素エピタキシャル層に対する製造要求を満たし、且つ、調製方法が簡単で効率的であり、制御性が良い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次積層して設けられた単結晶層、結合層および支持層を含み、
前記単結晶層の結合層から遠い側の表面に周期的な原子レベルのステップ構造が設けられ、
前記原子レベルのステップ構造は、4幅型ステップ構造、2幅型ステップ構造または1幅型ステップ構造のいずれか1種を含む、
複合炭化珪素基板。
【請求項2】
前記4幅型ステップ構造におけるステップ幅は周期的にW1、W2、W3およびW4であり、且つW1<W3<W2<W4であり、
前記2幅型ステップ構造におけるステップ幅は周期的にW5およびW6であり、
前記1幅型ステップ構造におけるステップ幅は周期的にW7であり、
前記W1、W2、W3、W4、W5、W6およびW7は、それぞれ独立して0.06~0.11nmである、
請求項1に記載の複合炭化珪素基板。
【請求項3】
前記原子レベルのステップ構造は、単結晶層の一方の表面の中央領域に設けられ、且つ、占有する領域の面積割合は70%以上である、
請求項1に記載の複合炭化珪素基板。
【請求項4】
前記単結晶層の(0001)結晶面と単結晶層の表面との間に形成された挟角は2~8°である、
請求項1に記載の複合炭化珪素基板。
【請求項5】
前記単結晶層の結合層から遠い側の表面に酸化層が更に被覆され、且つ、前記酸化層の厚さは1.5nm以下であり、
前記単結晶層の一方の表面の、原子レベルのステップ構造以外の領域に表面下損傷が存在し、且つ、前記表面下損傷の深さは1nm以下である、
請求項1に記載の複合炭化珪素基板。
【請求項6】
前記単結晶層の厚さは0.1~10μmであり、
前記結合層の厚さは1~5nmであり、
前記支持層の厚さは50~500μmである、
請求項1に記載の複合炭化珪素基板。
【請求項7】
支持層とイオン注入された単結晶基板とを互いに結合し、熱処理して剥離した後に複合炭化珪素基板中間品を取得するステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた複合炭化珪素基板中間品の単結晶層の一方の表面で酸化改質と砥粒除去とを交互に行い、即ち、単結晶層の一方の表面に周期的な原子レベルのステップ構造を形成し、複合炭化珪素基板を取得するステップ(2)と、を含む、
請求項1から6のいずれか1項に記載の複合炭化珪素基板の調製方法。
【請求項8】
ステップ(2)に記載の原子レベルのステップ構造の具体的な形式は、酸化改質と砥粒除去との速度比により変調され、且つ、変調関係は、
r=酸化改質の速度/砥粒除去の速度とすると、r>1である場合、前記原子レベルのステップ構造は4幅型ステップ構造であり、r=1である場合、前記原子レベルのステップ構造は2幅型ステップ構造であり、r<1である場合、前記原子レベルのステップ構造は1幅型ステップ構造であることであり、
前記酸化改質の速度は、具体的に、単位時間内で酸化改質により単結晶層の表面に形成されたシリカ薄膜の厚さであり、前記砥粒除去の速度は、具体的に、単位時間内で砥粒除去により単結晶層の表面で損失されたシリカ薄膜の厚さであり、
前記酸化改質の速度および砥粒除去の速度は、それぞれ独立して5~13nm/minである、
請求項7に記載の調製方法。
【請求項9】
ステップ(2)に記載の酸化改質は、
(A)塩基性シリカ溶液を用いて単結晶層の表面を酸化改質する方法と、
(B)過酸化水素と第一鉄塩との混合溶液を用いて単結晶層の表面でフェントン反応を起こさせて酸化改質を行う方法と、
(C)RF電源を用いて水蒸気および/または酸素ガスにラジカルを発生させ、前記ラジカルにより単結晶層の表面を酸化改質する方法と、
のいずれか1種を含み、
ただし、ステップ(C)に記載のRF電源の周波数は10~15MHzであり、
前記ラジカルはヒドロキシ基および/または酸素ラジカルを含む、
請求項7に記載の調製方法。
【請求項10】
前記砥粒除去に用いられる砥粒材料は、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化鉄または酸化ジルコニウムのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、
前記砥粒材料のモース硬度は6~8であり、
前記砥粒除去の後に、順次行われる洗浄および乾燥を更に含む、
請求項7に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体材料の技術分野に属し、複合炭化珪素基板に関し、特に、複合炭化珪素基板およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素単結晶を用いて作製されたデバイスは、耐高温、耐高圧、高周波、大電力、耐放射、効率が高い等の利点を有し、RF、新エネルギー等の分野で重要な応用価値を有する。通常の製造過程は、単結晶炭化珪素基板で1層の高品質な単結晶炭化珪素がエピタキシャル成長した後、エピタキシャル層でMOSFET等の電子デバイスを製造し、最後に、パッケージにより半導体デバイスを取得することである。ここで、エピタキシャル層の品質は、電子デバイスの信頼性に対して極めて重要な影響を与える。研究により、単結晶炭化珪素基板の表面性状はその上で成長するエピタキシャル層の品質に直接的に影響を及ぼすことは明らかとなり、例えば、単結晶炭化珪素基板の反りまたはTTV(総厚の変化)により、エピタキシャル層の成長面の温度分布は不均一となり、エピタキシャル層で格子欠陥を引き起こし、単結晶炭化珪素基板の表面粗さ、研磨による傷、表面下損傷もエピタキシャル層の成長の均一性に影響を及ぼし、エピタキシャル層に欠陥を招来してしまう。
【0003】
従来技術は、単結晶炭化珪素基板の形状および表面品質を厳しく限定し、例えば、TTVが一般的に10μmを超えてはいけず、表面粗さが1nm以下である。しかし、炭化珪素電力デバイスの高圧方向への発展に伴い、エピタキシャル層の厚さは増加しつつあり、例えば、電圧が600V程度である場合、必要なエピタキシャル層の厚さは約6μmであり、電圧が1200~1700Vの間に増加すると、必要なエピタキシャル層の厚さは10~15μmに達し、電圧が10000Vを超えると、100μm以上のエピタキシャル層の厚さが必要となる可能性がある。増加しつつあるエピタキシャル層の厚さは、逆に単結晶炭化珪素基板の表面品質に対してますます厳しくなる要求を出す。
【0004】
CN103608899Aは、表面および裏面を有する基板を開示する。ここで、前記表面の少なくとも一部は単結晶炭化珪素で構成され、前記基板は、0.5nm以下の、前記表面における、標準偏差σが0.2nm以下である表面粗さRaの平均値と、0.3nm以上10nm以下の、前記裏面における、標準偏差σが3nm以下である表面粗さRaの平均値と、110mm以上の前記表面の直径とを有する。前記基板は、エピタキシャル膜または半導体素子を形成するステップで欠陥が発生する確率をある程度で低減することができるが、厚さが大きいエピタキシャル膜の形成に適用されず、基板の表面品質の更なる改善は期待されている。
【0005】
これにより、高電圧電力デバイスの、厚さが大きくて高品質な炭化珪素エピタキシャル層に対する製造要求を満たすための炭化珪素基板およびその調製方法をどのように提供するかは、現在で当業者が早急に解決すべき問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下は、本文について詳細に説明する主題の概要である。本概要は、特許請求の範囲を制限するものではない。
【0007】
本願の目的は、複合炭化珪素基板およびその調製方法を提供することであり、前記複合炭化珪素基板は、高電圧電力デバイスの、厚さが大きくて高品質な炭化珪素エピタキシャル層に対する製造要求を満たし、且つ、調製方法が簡単で効率的であり、制御性が良い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本願は、以下の技術案を採用する。
【0009】
態様1において、本願は、
順次積層して設けられた単結晶層、結合層および支持層を含み、
前記単結晶層の結合層から遠い側の表面に周期的な原子レベルのステップ構造が設けられ、
前記原子レベルのステップ構造は、4幅型ステップ構造、2幅型ステップ構造または1幅型ステップ構造のいずれか1種を含む、
複合炭化珪素基板を提供する。
【0010】
本願は、複合炭化珪素基板の単結晶層の表面に原子レベルのステップ構造を設けることにより、エピタキシャル層の成長に明確な結晶型情報を提供し、ステップフローの方式でエピタキシャル層の成長を実現する。
【0011】
具体的には、ステップのエッジに原子のダングリングボンドが存在し、エピタキシャル層の成長過程において、ガス源原子は、ステップのエッジのダングリングボンドと結合を形成する傾向にあり、ステップにおける原子は凝集し続けて横方向を移動し、これにより、基板の原子層の積み順はエピタキシャル層に伝導し、結晶型の一致性を保持する。
【0012】
本願における原子レベルのステップ構造は規則的に周期的に変化し、更に表面アモルファス層および表面下損傷が存在せず、ほぼ完璧なステップフロー成長を実現し、エピタキシャル層における多形相転移等の欠陥を最大限に減少し、高電圧電力デバイスの、厚さが大きくて高品質な炭化珪素エピタキシャル層に対する製造要求を満たすことができる。
【0013】
好ましくは、前記4幅型ステップ構造におけるステップ幅は周期的にW1、W2、W3およびW4であり、且つW1<W3<W2<W4である。
【0014】
好ましくは、前記2幅型ステップ構造におけるステップ幅は周期的にW5およびW6である。
【0015】
好ましくは、前記1幅型ステップ構造におけるステップ幅は周期的にW7である。
【0016】
好ましくは、前記W1、W2、W3、W4、W5、W6およびW7は、それぞれ独立して0.06~0.11nmであり、例えば、0.06nm、0.065nm、0.07nm、0.075nm、0.08nm、0.085nm、0.09nm、0.095nm、0.10nm、0.105nmまたは0.11nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、該数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0017】
好ましくは、前記原子レベルのステップ構造は、単結晶層の一方の表面の中央領域に設けられ、且つ、占有する領域の面積割合は70%以上であり、例えば、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%または98%であってもよいが、列挙された数値に限定されず、該数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0018】
好ましくは、前記単結晶層の(0001)結晶面と単結晶層の表面との間に形成された挟角は2~8°であり、例えば、2°、3°、4°、5°、6°、7°または8°であってもよく、4°であることが更に好ましいが、列挙された数値に限定されず、該数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0019】
好ましくは、前記単結晶層の結合層から遠い側の表面に酸化層が更に被覆され、且つ、前記酸化層の厚さは1.5nm以下であり、例えば、0.2nm、0.4nm、0.6nm、0.8nm、1.0nm、1.2nm、1.4nmまたは1.5nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、該数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0020】
本願において、前記複合炭化珪素基板は、エピタキシャル層の成長を行う前に、まず、原子レベルのステップ構造を露出するように、単結晶層表面の酸化層をエッチング除去する必要がある。
【0021】
好ましくは、前記単結晶層の一方の表面の、原子レベルのステップ構造以外の領域に表面下損傷が存在し、且つ、前記表面下損傷の深さは1nm以下であり、例えば、0.1nm、0.2nm、0.3nm、0.4nm、0.5nm、0.6nm、0.7nm、0.8nm、0.9nmまたは1nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、該数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0022】
また、90%以上の表面下損傷は、単結晶層のエッジから2~5nmの環状領域内に集中している。
【0023】
好ましくは、前記単結晶層の厚さは0.1~10μmであり、例えば、0.1μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μmまたは10μmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、該数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0024】
好ましくは、前記結合層の厚さは1~5nmであり、例えば、1nm、1.5nm、2nm、2.5nm、3nm、3.5nm、4nm、4.5nmまたは5nmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、該数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0025】
好ましくは、前記支持層の厚さは50~500μmであり、例えば、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μmまたは500μmであってもよいが、列挙された数値に限定されず、該数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0026】
態様2において、本願は、
支持層とイオン注入された単結晶基板とを互いに結合し、熱処理して剥離した後に複合炭化珪素基板中間品を取得するステップ(1)と、
ステップ(1)で得られた複合炭化珪素基板中間品の単結晶層の一方の表面で酸化改質と砥粒除去とを交互に行い、即ち、単結晶層の一方の表面に周期的な原子レベルのステップ構造を形成し、複合炭化珪素基板を取得するステップ(2)と、を含む、
態様1に記載の複合炭化珪素基板の調製方法を提供する。
【0027】
好ましくは、ステップ(2)に記載の原子レベルのステップ構造の具体的な形式は、酸化改質と砥粒除去との速度比により変調され、且つ、変調関係は、
r=酸化改質の速度/砥粒除去の速度とすると、r>1である場合、前記原子レベルのステップ構造は4幅型ステップ構造であり、r=1である場合、前記原子レベルのステップ構造は2幅型ステップ構造であり、r<1である場合、前記原子レベルのステップ構造は1幅型ステップ構造であることである。
【0028】
ここで、前記酸化改質の速度は、具体的に、単位時間内で酸化改質により単結晶層の表面に形成されたシリカ薄膜の厚さであり、前記砥粒除去の速度は、具体的に、単位時間内で砥粒除去により単結晶層の表面で損失されたシリカ薄膜の厚さである。
【0029】
好ましくは、前記酸化改質の速度および砥粒除去の速度は、それぞれ独立して5~13nm/minであり、例えば、5nm/min、6nm/min、7nm/min、8nm/min、9nm/min、10nm/min、11nm/min、12nm/minまたは13nm/minであってもよいが、列挙された数値に限定されず、該数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0030】
好ましくは、ステップ(2)に記載の酸化改質は、
(A)塩基性シリカ溶液を用いて単結晶層の表面を酸化改質する方法と、
(B)過酸化水素と第一鉄塩との混合溶液を用いて単結晶層の表面でフェントン反応を起こさせて酸化改質を行う方法と、
(C)RF電源を用いて水蒸気および/または酸素ガスにラジカルを発生させ、前記ラジカルにより単結晶層の表面を酸化改質する方法と、
のいずれか1種を含む。
【0031】
ただし、ステップ(C)に記載のRF電源の周波数は10~15MHzであり、例えば、10MHz、10.5MHz、11MHz、11.5MHz、12MHz、12.5MHz、13MHz、13.5MHz、14MHz、14.5MHzまたは15MHzであってもよいが、列挙された数値に限定されず、該数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0032】
好ましくは、前記ラジカルはヒドロキシ基および/または酸素ラジカルを含む。
【0033】
本願において、前記ヒドロキシ基が水蒸気から発生し、前記酸素ラジカルが酸素ガスから発生すると、前記ラジカルの具体的な種類は、水蒸気および/または酸素ガスの具体的な組成によって決定され、且つ、異なるラジカルの酸化改質の速度は異なる。一般的には、酸素ラジカルの酸化改質の速度が同じ環境におけるヒドロキシ基よりも低いため、必要な酸化改質の速度に応じて対応するガス種類を選択することができる。
【0034】
好ましくは、前記砥粒除去に用いられる砥粒材料は、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化鉄または酸化ジルコニウムのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、典型的な組み合わせは、酸化ケイ素と酸化セリウムとの組み合わせ、酸化セリウムと酸化鉄との組み合わせ、酸化鉄と酸化ジルコニウムとの組み合わせ、酸化ケイ素と酸化セリウムと酸化鉄との組み合わせ、酸化セリウムと酸化鉄と酸化ジルコニウムとの組み合わせ、または酸化ケイ素と酸化セリウムと酸化鉄と酸化ジルコニウムとの組み合わせを含むが、これに制限的なものではない。
【0035】
好ましくは、前記砥粒材料のモース硬度は6~8であり、例えば、6、6.2、6.4、6.6、6.8、7、7.2、7.4、7.6、7.8または8であってもよいが、列挙された数値に限定されず、該数値範囲内の他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0036】
本願において、前記砥粒材料のモース硬度が砥粒除去の速度に与える影響は著しい。一般的には、用いられる砥粒材料の硬度が高いほど、その砥粒除去の速度も高くなるため、必要な砥粒除去の速度に応じて対応する硬度の砥粒材料を選択することができる。
【0037】
また、前記砥粒除去の速度は、更に砥粒の動き速度、砥粒のサイズ、砥粒材料の触媒効果等の多くの要因から影響を受ける。
【0038】
好ましくは、前記砥粒除去の後に、順次行われる洗浄および乾燥を更に含む。
【発明の効果】
【0039】
従来技術に対し、本願は、以下の有益な効果を備える。
【0040】
(1)本願は、複合炭化珪素基板の単結晶層の表面に原子レベルのステップ構造を設けることにより、エピタキシャル層の成長に明確な結晶型情報を提供し、ステップフローの方式でエピタキシャル層の成長を実現する。
【0041】
(2)本願における原子レベルのステップ構造は規則的に周期的に変化し、更に表面アモルファス層および表面下損傷が存在せず、ほぼ完璧なステップフロー成長を実現できて、エピタキシャル層における多形相転移等の欠陥を最大限に減少し、高電圧電力デバイスの、厚さが大きくて高品質な炭化珪素エピタキシャル層に対する製造要求を満たしている。
【0042】
図面および詳細な説明を閲読して理解してから、他の態様も理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図面は、本願の技術案に対する更なる理解を提供し、明細書の一部を構成し、本願の実施例とともに本願の技術案を解釈するためのものであり、本願の技術案を限定するものではない。
【0044】
図1】本願に係る複合炭化珪素基板の構造模式図である。
図2】本願に係る複合炭化珪素基板における原子レベルのステップ構造の顕微鏡写真である。
図3】本願に係る複合炭化珪素基板における4幅型ステップ構造の模式図である。
図4】本願に係る複合炭化珪素基板における2幅型ステップ構造の模式図である。
図5】本願に係る複合炭化珪素基板における1幅型ステップ構造の模式図である。
図6】本願に係る調製方法における複合炭化珪素基板中間品の調製のフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1…単結晶層;2…支持層;3…結合層;100…単結晶基板;110…弱化層;120…回収待ち層。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、具体的な実施形態により本願の技術案について更に説明する。当業者であれば、前記実施例は、本願を理解するためのものに過ぎず、本願の具体的な制限と見なされるべきではないことを理解すべきである。
【実施例1】
【0047】
本実施例は、複合炭化珪素基板およびその調製方法を提供し、図1に示すように、前記複合炭化珪素基板は、順次積層して設けられた単結晶層1、結合層3および支持層2を含んだ。前記単結晶層1の結合層3から遠い側の表面に周期的な原子レベルのステップ構造が設けられ、図2のミクロ構造から、前記原子レベルのステップ構造に表面アモルファス層および表面下損傷が存在しないことが分かった。
【0048】
図3に示すように、前記原子レベルのステップ構造は、具体的に、4幅型ステップ構造であり、且つ、ステップ幅は周期的にW1=0.06nm、W2=0.073nm、W3=0.068nmおよびW4=0.11nmである。前記原子レベルのステップ構造は、単結晶層1の一方の表面の中央領域に設けられ、且つ、占有する領域の面積割合は80%であり、他の領域に一定程度の表面下損傷が存在するが、表面下損傷の最大深さは0.6nmであり、且つ、90%以上の表面下損傷は単結晶層1のエッジから3nmの環状領域内に集中した。
【0049】
本実施例において、前記単結晶層1は軸から離れ、具体的には、単結晶層1の(0001)結晶面と単結晶層1の表面との間に形成された挟角は4°であった。前記単結晶層1の結合層3から遠い側の表面に酸化層(図示せず)が更に被覆され、且つ、前記酸化層の厚さは1.0nmであった。前記単結晶層1の厚さは5μmであり、前記結合層3の厚さは3nmであり、前記支持層2の厚さは300μmであった。
【0050】
本実施例において、前記調製方法は、以下のステップを含んだ。
【0051】
ステップ(1)支持層2とイオン注入された単結晶基板100とを互いに結合し、熱処理して剥離した後に複合炭化珪素基板中間品を取得し、図6に示すように、具体的には、以下のとおりである。
【0052】
ステップ(1.1)単結晶基板100を用意し、その一方の表面に対して水素イオンを用いてイオン注入を行い、電界によって加速されるイオンは、注入面から一定の深さの位置に入り、炭化珪素材料と結び合うことにより、該位置の材料が弱化され、更に該表面から一定の深さの位置に予め埋め込まれた弱化層110を形成し、残りの部分は回収待ち層120となった。
【0053】
ステップ(1.2)ステップ(1.1)で得られた単結晶基板100のイオン注入面と支持層2の一方の表面とを互いに加圧結合し、即ち、両者の間に結合層3を形成した。
【0054】
ステップ(1.3)ステップ(1.2)で得られた複合基板を熱処理することにより、単結晶基板100が予め埋め込まれた弱化層110に沿って徐々に剥離し、即ち、複合炭化珪素基板中間品を取得し、剥離された回収待ち層120を研削および研磨した後に繰り返して再利用することができる。
【0055】
ステップ(2)ステップ(1)で得られた複合炭化珪素基板中間品の単結晶層1の一方の表面で酸化改質と砥粒除去とを交互に行い、即ち、単結晶層1の一方の表面に周期的な原子レベルのステップ構造を形成し、洗浄して乾燥した後に複合炭化珪素基板を取得した。
【0056】
ここで、前記酸化改質は、具体的に、RF電源を用いて水蒸気に強酸化性のヒドロキシ基を発生させ、該ラジカルが単結晶層1の表面を酸化改質し、かつ酸化改質の速度が12.5±0.5nm/minであることである。前記砥粒除去は、具体的に、モース硬度が7の酸化ケイ素を砥粒材料として用い、研磨盤の回転速度を調節することにより砥粒除去の速度を9.5±0.5nm/minに設定し、最終的に単結晶層1の一方の表面に周期的な4幅型ステップ構造を形成することである。
【実施例2】
【0057】
本実施例は、複合炭化珪素基板およびその調製方法を提供し、図1に示すように、前記複合炭化珪素基板は、順次積層して設けられた単結晶層1、結合層3および支持層2を含んだ。前記単結晶層1の結合層3から遠い側の表面に周期的な原子レベルのステップ構造が設けられ、且つ、前記原子レベルのステップ構造に表面アモルファス層および表面下損傷が存在しなかった。
【0058】
図4に示すように、前記原子レベルのステップ構造は、具体的に、2幅型ステップ構造であり、且つ、ステップ幅は周期的にW5=0.075nmおよびW6=0.11nmである。前記原子レベルのステップ構造は、単結晶層1の一方の表面の中央領域に設けられ、且つ、占有する領域の面積割合は85%であり、他の領域に一定程度の表面下損傷が存在するが、表面下損傷の最大深さは0.7nmであり、且つ、90%以上の表面下損傷は単結晶層1のエッジから2nmの環状領域内に集中した。
【0059】
本実施例において、前記単結晶層1は軸から離れ、具体的には、単結晶層1の(0001)結晶面と単結晶層1の表面との間に形成された挟角は2°であった。前記単結晶層1の結合層3から遠い側の表面に酸化層(図示せず)が更に被覆され、且つ、前記酸化層の厚さは1.2nmであった。前記単結晶層1の厚さは0.1μmであり、前記結合層3の厚さは1nmであり、前記支持層2の厚さは50μmであった。
【0060】
本実施例において、前記調製方法は、以下のステップを含んだ。
【0061】
ステップ(1)支持層2とイオン注入された単結晶基板100とを互いに結合し、熱処理して剥離した後に複合炭化珪素基板中間品を取得し、図6に示すように、具体的には、以下のとおりである。
【0062】
ステップ(1.1)単結晶基板100を用意し、その一方の表面に対して水素イオンを用いてイオン注入を行い、電界によって加速されるイオンは、注入面から一定の深さの位置に入り、炭化珪素材料と結び合うことにより、該位置の材料が弱化され、更に該表面から一定の深さの位置に予め埋め込まれた弱化層110を形成し、残りの部分は回収待ち層120となった。
【0063】
ステップ(1.2)ステップ(1.1)で得られた単結晶基板100のイオン注入面と支持層2の一方の表面とを互いに加圧結合し、即ち、両者の間に結合層3を形成した。
【0064】
ステップ(1.3)ステップ(1.2)で得られた複合基板を熱処理することにより、単結晶基板100が予め埋め込まれた弱化層110に沿って徐々に剥離し、即ち、複合炭化珪素基板中間品を取得し、剥離された回収待ち層120を研削および研磨した後に繰り返して再利用することができる。
【0065】
ステップ(2)ステップ(1)で得られた複合炭化珪素基板中間品の単結晶層1の一方の表面で酸化改質と砥粒除去とを交互に行い、即ち、単結晶層1の一方の表面に周期的な原子レベルのステップ構造を形成し、洗浄して乾燥した後に複合炭化珪素基板を取得した。
【0066】
ここで、前記酸化改質は、具体的に、RF電源を用いて水蒸気に強酸化性のヒドロキシ基を発生させ、該ラジカルが単結晶層1の表面を酸化改質し、かつ酸化改質の速度が12.5±0.5nm/minであることである。前記砥粒除去は、具体的に、モース硬度が8の酸化ジルコニウムを砥粒材料として用い、研磨盤の回転速度を調節することにより砥粒除去の速度を12.5±0.5nm/minに設定し、最終的に単結晶層1の一方の表面に周期的な2幅型ステップ構造を形成することである。
【実施例3】
【0067】
本実施例は、複合炭化珪素基板およびその調製方法を提供し、図1に示すように、前記複合炭化珪素基板は、順次積層して設けられた単結晶層1、結合層3および支持層2を含んだ。前記単結晶層1の結合層3から遠い側の表面に周期的な原子レベルのステップ構造が設けられ、且つ、前記原子レベルのステップ構造に表面アモルファス層および表面下損傷が存在しなかった。
【0068】
図5に示すように、前記原子レベルのステップ構造は、具体的に、1幅型ステップ構造であり、且つ、ステップ幅は周期的にW7=0.069nmである。前記原子レベルのステップ構造は、単結晶層1の一方の表面の中央領域に設けられ、且つ、占有する領域の面積割合は70%であり、他の領域に一定程度の表面下損傷が存在するが、表面下損傷の最大深さは0.9nmであり、且つ、90%以上の表面下損傷は単結晶層1のエッジから5nmの環状領域内に集中した。
【0069】
本実施例において、前記単結晶層1は軸から離れ、具体的には、単結晶層1の(0001)結晶面と単結晶層1の表面との間に形成された挟角は8°であった。前記単結晶層1の結合層3から遠い側の表面に酸化層(図示せず)が更に被覆され、且つ、前記酸化層の厚さは1.5nmであった。前記単結晶層1の厚さは10μmであり、前記結合層3の厚さは5nmであり、前記支持層2の厚さは500μmであった。
【0070】
本実施例において、前記調製方法は、以下のステップを含んだ。
【0071】
ステップ(1)支持層2とイオン注入された単結晶基板100とを互いに結合し、熱処理して剥離した後に複合炭化珪素基板中間品を取得し、図6に示すように、具体的には、以下のとおりである。
【0072】
ステップ(1.1)単結晶基板100を用意し、その一方の表面に対して水素イオンを用いてイオン注入を行い、電界によって加速されるイオンは、注入面から一定の深さの位置に入り、炭化珪素材料と結び合うことにより、該位置の材料が弱化され、更に該表面から一定の深さの位置に予め埋め込まれた弱化層110を形成し、残りの部分は回収待ち層120となった。
【0073】
ステップ(1.2)ステップ(1.1)で得られた単結晶基板100のイオン注入面と支持層2の一方の表面とを互いに加圧結合し、即ち、両者の間に結合層3を形成した。
【0074】
ステップ(1.3)ステップ(1.2)で得られた複合基板を熱処理することにより、単結晶基板100が予め埋め込まれた弱化層110に沿って徐々に剥離し、即ち、複合炭化珪素基板中間品を取得し、剥離された回収待ち層120を研削および研磨した後に繰り返して再利用することができる。
【0075】
ステップ(2)ステップ(1)で得られた複合炭化珪素基板中間品の単結晶層1の一方の表面で酸化改質と砥粒除去とを交互に行い、即ち、単結晶層1の一方の表面に周期的な原子レベルのステップ構造を形成し、洗浄して乾燥した後に複合炭化珪素基板を取得した。
【0076】
ここで、前記酸化改質は、具体的に、RF電源を用いて酸素ガスに強酸化性の酸素ラジカルを発生させ、該ラジカルが単結晶層1の表面を酸化改質し、かつ酸化改質の速度が6.5±1.5nm/minであることである。前記砥粒除去は、具体的に、モース硬度が7の酸化ケイ素を砥粒材料として用い、研磨盤の回転速度を調節することにより砥粒除去の速度を9.5±0.5nm/minに設定し、最終的に単結晶層1の一方の表面に周期的な1幅型ステップ構造を形成することである。
【実施例4】
【0077】
本実施例は、複合炭化珪素基板およびその調製方法を提供し、前記調製方法は、ステップ(2)における酸化改質の方式を、過酸化水素と硫酸第一鉄との混合溶液を用いて単結晶層1の表面でフェントン反応を起こさせ、溶液濃度および反応温度を調節することにより酸化改質の速度を12.5±0.5nm/minに設定することに変更したほか、残りのステップおよび条件はいずれも実施例1と同じであるため、ここで説明を省略する。
【実施例5】
【0078】
本実施例は、複合炭化珪素基板およびその調製方法を提供し、前記調製方法は、ステップ(2)における酸化改質の方式を、塩基性シリカ溶液を用いて単結晶層の表面を酸化改質し、溶液pHおよび溶液濃度を調節することにより酸化改質の速度を12.5±0.5nm/minに設定することに変更したほか、残りのステップおよび条件はいずれも実施例1と同じであるため、ここで説明を省略する。
【比較例1】
【0079】
本比較例は、複合炭化珪素基板およびその調製方法を提供し、前記複合炭化珪素基板は、順次積層して設けられた単結晶層、結合層および支持層を含み、前記単結晶層の結合層から遠い側の表面に周期的な原子レベルのステップ構造が設けられておらず、一定の程度の表面下損傷が存在し、且つ、表面下損傷の最大深さが1.2nmであり、占有する領域の面積割合が50%であった。
【0080】
本比較例において、前記単結晶層は軸から離れ、具体的には、単結晶層の(0001)結晶面と単結晶層の表面との間に形成された挟角は4°であった。前記単結晶層の結合層から遠い側の表面に酸化層が更に被覆され、且つ、前記酸化層の厚さは1.0nmであった。前記単結晶層の厚さは5μmであり、前記結合層の厚さは3nmであり、前記支持層の厚さは300μmであった。
【0081】
本比較例において、前記調製方法は、以下のステップを含む。
【0082】
ステップ(1)支持層とイオン注入された単結晶基板とを互いに結合し、熱処理して剥離した後に複合炭化珪素基板中間品を取得し、具体的には、以下のとおりである。
【0083】
ステップ(1.1)単結晶基板を用意し、その一方の表面に対して水素イオンを用いてイオン注入を行い、電界によって加速されるイオンは、注入面から一定の深さの位置に入り、炭化珪素材料と結び合うことにより、該位置の材料が弱化され、更に該表面から一定の深さの位置に予め埋め込まれた弱化層を形成し、残りの部分は回収待ち層となった。
【0084】
ステップ(1.2)ステップ(1.1)で得られた単結晶基板のイオン注入面と支持層の一方の表面とを互いに加圧結合し、即ち、両者の間に結合層を形成した。
【0085】
ステップ(1.3)ステップ(1.2)で得られた複合基板を熱処理することにより、単結晶基板が予め埋め込まれた弱化層に沿って徐々に剥離し、即ち、複合炭化珪素基板中間品を取得し、剥離された回収待ち層を研削および研磨した後に繰り返して再利用することができる。
【0086】
ステップ(2)ステップ(1)で得られた複合炭化珪素基板中間品の単結晶層の一方の表面で研磨と洗浄と乾燥とを交互に行い、複合炭化珪素基板を取得した。
【0087】
実施例1~5および比較例1で得られた複合炭化珪素基板を用いてエピタキシャル層の成長を行い、エピタキシャル層のマイクロパイプ密度、基底面転位密度を測定し、エピタキシャル層の厚さに対するマイクロパイプ密度、基底面転位密度の変化曲線を取得する。一般的には、エピタキシャル層の厚さの増加につれ、マイクロパイプ密度、基底面転位密度が増加する。エピタキシャル層の高品質標準を、マイクロパイプ密度が0.3/cmよりも低く、基底面転位密度が1000/cmよりも低いと定義し、上記高品質標準を満たす厚さ範囲を、「高品質エピタキシャル層の厚さの最大値」と定義し、関連する測定結果は表1を参照する。
【0088】
【表1】
【0089】
表1から、実施例1~5と比べ、比較例1で得られた複合炭化珪素基板の表面に周期的な原子レベルのステップ構造が設けられていないため、厚さが大きくて高品質な炭化珪素エピタキシャル層の成長を実現できないことが分かった。
【0090】
これにより、本願は、複合炭化珪素基板の単結晶層の表面に原子レベルのステップ構造を設けることにより、エピタキシャル層の成長に明確な結晶型情報を提供し、ステップフローの方式でエピタキシャル層の成長を実現し、また、本願における原子レベルのステップ構造は規則的に周期的に変化し、更に表面アモルファス層および表面下損傷が存在せず、ほぼ完璧なステップフロー成長を実現できて、エピタキシャル層における多形相転移等の欠陥を最大限に減少し、高電圧電力デバイスの、厚さが大きくて高品質な炭化珪素エピタキシャル層に対する製造要求を満たしている。
【0091】
以上の説明は、本願の具体的な実施形態に過ぎないが、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者であれば、当業者が本願に開示された技術的範囲内に容易に想到可能な変更または置換は、全て本願の保護範囲および公開範囲内に含まれることを理解すべきであることを出願人より声明する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】