(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】繊維コーティング方法
(51)【国際特許分類】
D06M 11/36 20060101AFI20240910BHJP
D06M 11/83 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
D06M11/36
D06M11/83
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547197
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 KR2022021102
(87)【国際公開番号】W WO2024025057
(87)【国際公開日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】10-2022-0092861
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517161360
【氏名又は名称】メクソムソク ジーエム カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】クァク,ソン グン
(72)【発明者】
【氏名】クァク,ダ-ウン
【テーマコード(参考)】
4L031
【Fターム(参考)】
4L031AB01
4L031AB31
4L031BA04
4L031BA09
4L031BA20
4L031BA31
4L031BA33
4L031BA34
4L031DA01
4L031DA12
4L031DA13
(57)【要約】
本発明は、メクソムソクまたは粘土鉱物を繊維にコーティングする方法に関するものであり、メクソムソク(Macsumsuk)または粘土鉱物、ケイ酸ジルコニア、銀ナノ、及びユッカ抽出物等を原料として、湿式混合粉砕してドライ工法で顆粒を製造し、これを乾式粉砕した後、溶剤と混合して生地にコーティング処理することによって、使用回数が増加してもコーティング層がよく分離せず、脱臭性能を維持できるようにする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)メクソムソク(Macsumsuk)または粘土鉱物を準備した後、0.1-5m/mの大きさに粉砕して800-1100℃の温度で焼成して焼成鉱物粒子を準備する焼成鉱物粒子の準備段階と;
2)ケイ酸ジルコニア(ZrSiO
3)、銀ナノ、及びユッカ抽出物を準備して前記焼成鉱物粒子と混合して混合物を製造する混合段階と;
3)前記混合物に水を添加した後、ボールミルを用いて湿式混合粉砕してスラリーを製造する湿式粉砕段階と;
4)顆粒機を用いて前記スラリーをスプレードライ工法で加工して顆粒を製造する顆粒製造段階と;
5)製造された顆粒を0.1-50μmの大きさに乾式粉砕して顆粒粉末を製造する乾式粉砕段階と;
6)前記顆粒粉末とウレタン系列溶剤を混合して繊維にコーティングする段階と;
7)コーティング処理が完了した繊維表面をグラビアロールに通過させて表面を処理する表面処理段階と;
8)前記表面処理が完了した生地の表面をTPUをラミネーティングして接着するラミネーティング段階と;を含んで構成された繊維コーティング方法。
【請求項2】
前記混合段階は、
前記焼成鉱物粒子90-98.8重量%と、ケイ酸ジルコニア0.1-5重量%と、銀ナノ0.1-1重量%と、ユッカ抽出物1-4重量%とを混合することを特徴とする請求項1に記載の繊維コーティング方法。
【請求項3】
前記湿式粉砕段階で、水は、混合物100重量部を基準として20-50重量部を添加することを特徴とする請求項2に記載の繊維コーティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メクソムソク(Macsumsuk)または粘土鉱物を繊維にコーティングする方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マット、布団、パッド、衣類(登山服)などを製造するための織物は、使用者の身体と接触するため、従来のように単に使用者の身体を外部から保護する機能の他、近年では断熱、通風、防水、撥水などより多様な機能の適用が要求されている実情である。
【0003】
本出願の発明者は、メクソムソク(Macsumsuk)を主に取り扱う当業者であり、このような要求に符合するためのメクソムソク(Macsumsuk)の活用にその間多くの工夫をしてきた。
【0004】
メクソムソク(Macsumsuk)は、下記の表1に示すような構成成分からなる火成岩類中の石英斑岩に属する岩石で全体的には風化されて割れやすいことが特徴であり、特に白い長石はカオリン化されていることが多く、黒雲母もほとんど酸化されて酸化鉄の形態で散在している。角閃石が多量含有されている点が特徴であり、酸化アルミナが多量含まれており、α線が存在し、生物に良い影響を与える作用があることが知られている。メクソムソク(Macsumsuk)から発生する波長は、8-14μmの範囲以内として生体に最も有益な波長帯の遠赤外線として知られている。
【0005】
【0006】
図1は、大韓民国遠赤外線応用評価研究院で測定したメクソムソク(Macsumsuk)の遠赤外線放射量が示されている。
図1での放射量単位は70℃で測定することを基準にしてW/m
2・μmであり、黒体と類似に高い遠赤外線放射量を示すことを確認することができる。
【0007】
このようにメクソムソク(Macsumsuk)の機能を繊維生地製品に適用するための関連技術として、「遠赤外線放射メクソムソクマットレスを有する熟睡ベッド」(韓国登録特許第10-1034698号公報、特許文献1)には、遠赤外線の放出、抗菌、及び脱臭等の機能を有するメクソムソク(Macsumsuk)をセラミック片に適用させて寝具類にメクソムソク(Macsumsuk)の有益な機能が適用できるようにしたことがある。
【0008】
また、「メクソムソク(Macsumsuk)粉末混合物と銀を用いた不織布とその製造方法」(韓国登録特許第10-0933138号公報、特許文献2)には、メクソムソク粉末を不織布繊維生地にコーティングする技術を提供したこともある。
【0009】
前記特許文献1では、メクソムソク粉末を非常に小さく加工して生地に適用させる。
【0010】
しかしながら、近年、ナノ粒子の肺健康に及ぼす悪い影響などが報告されており、加工時の粒子分布の均一性等の影響など、種々の要因で、微細ナノ粒子としての適用よりは、よりサイズの大きい粒子の適用がよいという見解が多数提示されている。
【0011】
そこで、本出願の発明者は、「メクソムソク(Macsumsuk)顆粒を利用した遠赤外線と陰イオン放射シリコーンゴム組成物及びその製造方法」(韓国登録特許第10-2097714号公報、特許文献3)と「メクソムソク顆粒抗菌プラスチックマスターバッチの製造方法」(韓国登録特許第10-1975955号公報、特許文献4)では、ゴム及びプラスチック加工過程中にメクソムソク(Macsumsuk)を基盤とした顆粒を適用させる技術を提示したこともある。
【0012】
上記したゴムやプラスチックは、顆粒化されたメクソムソク(Macsumsuk)を製造過程に適用させやすい方であるが、織物の場合、フィラメントの太さが非常に多様であるだけでなく、最近には非常に薄い厚さのフィラメントが提供されているため、特許文献3及び特許文献4のように繊維生地をなす糸の製造に直接的にメクソムソク顆粒を適用させるには無理がある。
【0013】
したがって、繊維生地にはコーティングを適用させることが好ましいが、未だ顆粒化されたメクソムソク(Macsumsuk)を生地にコーティングさせる技術は開発されていない実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1034698号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-0933138号公報
【特許文献3】韓国登録特許第10-2097714号公報
【特許文献4】韓国登録特許第10-1975955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明のメクソムソク(Macsumsuk)又は粘土鉱物を繊維にコーティングする方法は、上記のような従来技術から発生する問題点を解消するためのものであり、メクソムソク又は粘土鉱物を繊維生地(織物生地)に円滑に適用できるコーティング方法を提供しようとするものである。
【0016】
より具体的には、メクソムソク(Macsumsuk)、粘土鉱物、ケイ酸ジルコニア、ユッカ抽出物(Yucca Extract)、銀ナノなどを原料として顆粒を製造した後、この顆粒を乾式で粉砕した後、繊維生地にコーティング処理することによって、繊維生地に容易に適用させることができるようにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のメクソムソク(Macsumsuk)または粘土鉱物を繊維にコーティングする方法は、前記課題を解決するために、1)メクソムソク(Macsumsuk)または粘土鉱物を準備した後、0.1-5m/mの大きさに粉砕して800-1100℃の温度で焼成して焼成鉱物粒子を準備する焼成鉱物粒子の準備段階と;2)ケイ酸ジルコニア(ZrSiO3)、銀ナノ、及びユッカ抽出物を準備して前記焼成鉱物粒子と混合して混合物を製造する混合段階と;3)前記混合物に水を添加した後、ボールミルを用いて湿式混合粉砕してスラリーを製造する湿式粉砕段階と;4)顆粒機を用いて前記スラリーをスプレードライ工法で加工して顆粒を製造する顆粒製造段階と;5)製造された顆粒を0.1-50μmの大きさに乾式粉砕して顆粒粉末を製造する乾式粉砕段階と;6)前記顆粒粉末とウレタン系列溶剤を混合して繊維にコーティングする段階と;7)コーティング処理が完了した繊維表面をグラビアロールに通過させて表面を処理する表面処理段階と;8)前記表面処理が完了した生地の表面をTPUをラミネーティングして接着するラミネーティング段階と;を含んで構成されることを特徴とする。
【0018】
前記構成において、前記混合段階は、前記焼成鉱物粒子90-98.8重量%と、ケイ酸ジルコニア0.1-5重量%と、銀ナノ0.1-1重量%と、ユッカ抽出物1-4重量%とを混合することを特徴とする。
【0019】
前記構成において、前記湿式粉砕段階で、水は、混合物100重量部を基準として20-50重量部を添加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、メクソムソク(Macsumsuk)又は粘土鉱物を繊維生地(織物生地)に円滑に適用できるコーティング方法が提供される。
【0021】
より具体的には、メクソムソク(Macsumsuk)、粘土鉱物、ケイ酸ジルコニア、ユッカ抽出物、銀ナノなどを原料として顆粒を製造した後、この顆粒を乾式で粉砕した後、繊維生地にコーティング処理することにより、繊維生地に容易に適用させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】メクソムソク(Macsumsuk)の遠赤外線放射量を示すグラフである。
【
図2】本発明が進行される間に製造された顆粒を示した電子顕微鏡の測定写真である。
【
図5】実験例2による試験結果を示す試験成績書である。
【
図6】実験例2による試験結果を示す試験成績書である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のメクソムソク(Macsumsuk)または粘土鉱物を繊維にコーティングする方法について詳細に説明することにする。
【0024】
1)焼成鉱物粒子の準備段階
メクソムソク(Macsumsuk)または粘土鉱物を準備した後、0.1-5m/mの大きさに粉砕した後、800-1100℃の温度で焼成する。
【0025】
メクソムソク(Macsumsuk)は、前述したような構成成分からなり、火成岩類中の石英斑岩に属する岩石で全体的には風化されて割れやすいことが特徴であり、特に白い長石はカオリン化されていることが多く、黒雲母もほとんど酸化されて酸化鉄の形態で散在している。
【0026】
角閃石が多量含有されている点が特徴であり、酸化アルミナが多量含まれており、α線が存在し、生物に良い影響を与える作用があることが知られている。
【0027】
メクソムソク(Macsumsuk)から発生する波長は、8-14μmの範囲以内で生体に有益な波長帯の遠赤外線を放射する鉱物として知られている。
【0028】
この波長帯の遠赤外線は、生体細胞を活性化させて新陳代謝を促進させることが知られている。
【0029】
メクソムソク(Macsumsuk)は、岩石状態で発生する遠赤外線の放射率よりもメクソムソク(Macsumsuk)を微粉末化したときに発生する遠赤外線の放射率が高くなるという点に基づいてメクソムソク(Macsumsuk)を粉砕する。
【0030】
加えて、メクソムソク(Macsumsuk)の他の粘土鉱物も同様に進行する。
【0031】
すなわち、メクソムソク(Macsumsuk)と粘土鉱物は単独で準備されてもよく、二つの混合物で準備されてもよく、二つの混合比率は、メクソムソク(Macsumsuk)と粘土鉱物が1:0.1-5の重量比になってもよい。
【0032】
2)混合段階
ケイ酸ジルコニア(ZrSiO3)、銀ナノ、ユッカ抽出物を準備して前記焼成鉱物粒子と混合して混合物を製造する。
【0033】
ケイ酸ジルコニアは、約10-100μm程度の粒子で構成され、他の原料の間の微細な気孔内部に染み込ませるか、不規則な表面の溝に固着化されて顆粒の表面が凸凹になることを防止し、滑らかになるようにし、強度をより増進させることになる。
【0034】
銀ナノは、抗菌物質であり、顆粒内で抗菌特性を発揮することができるようにする。
【0035】
ユッカは米国南部から中米に渡って糸膜地帯で自生するサボテンの一種であって、古くからアメリカ先住民は、ユッカを治療及び保健の目的で利用してきた。これらはまた、ユッカを花、実、種子、茎及び根などの様々な方法で調理して食用に利用することもできる。医療用としては、リウマチと関節炎などを治療するのにユッカを効果的に利用してきたが、ユッカの茎を切って水で沸かして液状濃縮物を作って、これを関節炎患者に服用させたり、関節に塗るなどの方法で利用した。このような方法は現代科学でも立証されて今も世界様々な国でこれらを関節炎治療剤として使用している。
【0036】
ユッカ抽出物は家畜飼料用に適用された事例はあったが、繊維コーティングに適用された事例はこれまでなく、本発明において、ユッカ抽出物は繊維生地自体が有している臭い、生地に汗や排泄物などが接触した後に発生する臭いなどを脱臭する役割を果たす。
【0037】
このための原料の配合比は、焼成鉱物粒子90-98.8重量%と、ケイ酸ジルコニア(ZrSiO3)0.1-5重量%と、銀ナノ0.1-1重量%と、ユッカ抽出物1-4重量%とで構成されることが好ましい。
【0038】
【0039】
前記組成でケイ酸ジルコニア(ZrSiO3)が前記最低含量未満含まれる場合、繊維生地の質感が滑らかに行われず、最高含量を超えると、生地価格が過度に高くなる。
【0040】
銀ナノも最低含量未満含まれる場合、抗菌機能が低下し、最高含量を超えると、生地価格が高くなる。
【0041】
ユッカ抽出物の場合、前記最低含量未満である場合、脱臭効果が低下し、過多含有時に特異臭があって適切ではない。
【0042】
以上のような混合段階による原料の配合は、上記表2のように行われる。
【0043】
3)湿式粉砕段階
前記混合物に水を添加した後、ボールミルを用いて湿式混合粉砕してスラリーを製造する。
【0044】
このとき、水は、混合物100重量部を基準として20-50重量部添加されてもよい。
【0045】
4)顆粒製造段階
顆粒機を用いて前記スラリーをスプレードライ工法で加工して顆粒を製造する。
【0046】
顆粒製造はより具体的に、顆粒機の熱風でバーナーを点火して温度を上昇させて炉の内部温度を150-500℃に高めた状態で、送風機を稼動して熱をサイクロン内部に移動させ、内部温度が一定温度になると、サイクロン下端部にノズルを投入させ、高圧ポンプを用いてスラリーを上部に抱き上げる。
【0047】
この際、放射された液相は、サイクロン上部側面から流入する熱風により渦流を起こして落下し、内部熱によって原料に含有された水分が蒸発し、これによる気孔が形成された顆粒が収得される。
【0048】
図2には、このように製造された顆粒の顕微鏡写真が示されている。
【0049】
図面から分かるように、顆粒粒子に含まれた水分が内部で急激に気化しながら、このとき形成された気泡の温度膨張により圧力が高くなり、一定の圧力以上になると、球状の表面を突き破って、図面のような環状の顆粒形態を形成するようになる。
【0050】
水蒸気が抜け出た環状形態の顆粒は、水分子があった箇所に小さな気孔を形成する。
【0051】
5)乾式粉砕段階
製造された顆粒を0.1-50μmの大きさに乾式粉砕して顆粒粉末を製造する。
【0052】
粉砕は、ピン式粉砕機や乾式ボールミルなどを利用することができ、粉砕後、ふるい分けによって前記範囲の大きさの顆粒粉末のみを選別する。
【0053】
乾式粉砕過程を経る理由は、成形された顆粒をそのまま生地に適用する場合、生地表面の異物感が大きくなり、生地から容易に分離される現象が生じ得るため、粒子サイズを小さくすることである。
【0054】
6)コーティング段階
前記顆粒粉末とウレタン系溶剤とを混合して繊維にコーティング(捺染)する。
【0055】
ウレタン系溶剤としては、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などがある。
コーティング方式は、通常の知られたコーティング方式を適用することができるし、捺染方式も適用することができる。
【0056】
7)表面処理段階
コーティング処理が完了した繊維表面をグラビアロールに通して表面を処理する。
【0057】
グラビアロールを通過させると、表面が滑らかになり、撥水効果が向上する。
【0058】
8)ラミネート段階
前記表面処理が完了した生地の表面に熱可塑性ポリウレタン(TPU)をラミネートして接着する。
【0059】
この場合、防水効果が得られるようになる。
【0060】
ラミネーティング工程では、生地に綿や網糸などを重ねた後、部分的にラミネーティングし、所望の模様とボリューム感を得ることもできる。
【0061】
以下では、本発明による実施例と、実施例と比較するための比較例について説明することになる。
【0062】
メクソムソク(Macsumsuk)を0.1-5m/mの大きさに粉砕した後、1、000℃の温度で焼成した粒子で製造し、粒子サイズ10-100μmに選別したケイ酸ジルコニア、銀ナノ及び液状のユッカ抽出物を準備した。
【0063】
その後、下記表3の配合比で原料を混合して混合物を製造した。
【0064】
【0065】
次いで、混合物100重量部と、混合物100重量部に対して30-50重量部の水を混合した後、ボールミルを用いて湿式混合粉砕してスラリーを製造した。
【0066】
その後、スプレードライ工法が適用される顆粒機にスラリーを投入及び加工して顆粒を製造した。
【0067】
次いで、製造された顆粒を乾式ボールミルを用いて粉砕して0.1-50μmの大きさに選別して顆粒粉末を製造した。
【0068】
次いで、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を準備して顆粒粉末と混合した後、スエード生地、純綿、綿ポリ50%混紡生地にそれぞれコーティングした。
【0069】
次いで、コーティングされた生地をグラビアロールに通して表面処理した後、表面処理が完了した生地の表面に熱可塑性ポリウレタン(TPU)をラミネートして接着した。
【0070】
[実験例1] 抗菌実験
実施例1によるコーティングスエード生地を大韓民国建設生活環境試験研究院に抗菌実験を依頼した。
【0071】
実験方法は、KCl-FIR-1003:2018に基づいており、実験の結果、大腸菌および黄色ブドウ球菌を接種して37℃内外の環境に24時間経過させた結果、大腸菌99.1%、黄色ブドウ球菌96.6%減少する結果を得た。
【0072】
図3には、試験成績書が示されており、
図4には、試験結果による結果物が写真で示されている。
【0073】
[実験例2] 脱臭試験
実施例1の製造過程中の顆粒粉末をサンプルとして大韓民国建設生活環境試験研究院に脱臭実験を依頼した。
【0074】
実験方法は、試料20gを5リットルの大きさの反応器に入れて密封した後、ガス初期濃度を50μmol/molに注入し、試験ガスの濃度を0分、30分、60分、90分、120分で測定し、これをサンプル濃度に策定し、試験ガスの濃度は、ガス検知管(SPS-KCL 12218-6218)で測定した。試験中の温度は23.0℃、湿度は相対湿度50%を維持した。これと別途に試料がない状態で同じ方法で測定し、これをブランクに策定した。
【0075】
各時間帯別の試験ガス濃度減少率は、次式により計算した。
【0076】
試験ガスの濃度減少率(%)={(ブランク濃度-サンプル濃度)/ブランク濃度}×100
【0077】
試験項目はアンモニア及び硫化水素であり、実験結果は
図5及び
図6に示した。
【0078】
実験の結果、アンモニアガスの場合、サンプル濃度が30分経過時から99.5%減少率を示し、硫化水素の場合にも濃度が減少することが分かる。
【0079】
[実験例3] 洗濯回数に応じたコーティング層の剥離度合いの測定
実施例及び比較例の生地を種類別10枚ずつ洗濯と乾燥を繰り返してコーティング層の剥離が始まる洗濯回数を測定し、その平均値を算出して下記表4に示した
【0080】
【0081】
前記表4に示したように、洗濯と乾燥を繰り返す場合、比較例に比べて実施例がはるかに長い間、コーティング層が保存されることが分かった。
【0082】
[実験例4] 触感(滑らかさ)に対する官能評価
専門家10人を選定し、前記実施例及び比較例のコーティング生地について生地の種類別に触感を評価して、その触感の平均値を算出して下記表5に示した。
【0083】
【0084】
前記表5に示すように、実施例の生地は、比較例に比べて肌触りがより優れていることが分かった。
【0085】
[実験例5] 洗濯後の触感に対する官能評価
専門家10人を選定し、前記実施例及び比較例のコーティング生地に対して生地の種類別に製造直後の触感及び20回洗濯後の触感を比較した。
【0086】
触感を評価し、その触感の平均値を算出し、下記の表6-8に示した
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
上記表6ないし8に示すように、実施例の生地は、最初と20回洗濯後の触感の差がほとんど感じられないのに対し、比較例は、肌触りがはるかに悪くなったことが分かった。
【0091】
[実験例6] 洗濯前後の消臭性能変化の測定実験
28%体積濃度のアンモニア水を4倍体積の水に希釈して希釈液を製造し、希釈液0.15ccを300ccの三角フラスコに入れてアンモニア濃度が160ppmになるようにした後、実施例及び比較例の生地(スエード生地)を切断して試片をそれぞれ20gずつ入れて試験液を5cc添加した後、密閉、放置して3分後及び60分後の悪臭源濃度を測定してその偏差を計算した。
【0092】
この時、製造直後のサンプルと、20回洗濯と乾燥を繰り返したサンプルに対してそれぞれの偏差を下記表9に示した。
【0093】
濃度偏差=3分経過後の濃度-60分経過後の濃度
【0094】
【0095】
前記表9に示されているように、実施例の生地は、製造直後や、20回洗濯乾燥を行った生地のいずれも濃度偏差が大きい数値を有しながら、互いに似ているが、比較例の場合、製造直後の濃度偏差が実施例に比べて少ないだけでなく、20回洗濯乾燥を実施した場合、濃度偏差が8に過ぎず、消臭能力をほとんど失うことが分かった。
【国際調査報告】