(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】連結要素を有する成形品
(51)【国際特許分類】
D21J 3/10 20060101AFI20240910BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20240910BHJP
C09D 7/40 20180101ALI20240910BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20240910BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20240910BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20240910BHJP
【FI】
D21J3/10
C09D201/00
C09D7/40
B29C45/14
B65D1/02 100
C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575886
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022065588
(87)【国際公開番号】W WO2022258707
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021114725.5
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102022103327.9
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521456999
【氏名又は名称】パパックス・セールス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】PAPACKS SALES GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】ダグ,タフシン
【テーマコード(参考)】
3E033
4F206
4J038
4J200
4L055
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033AA04
3E033BA10
3E033BA13
3E033BB07
3E033CA09
3E033CA19
3E033CA20
3E033DA06
3E033DA08
3E033DB01
3E033DD03
3E033EA10
3E033EA11
3E033FA01
3E033FA02
4F206AA01
4F206AB25
4F206AB28
4F206AD05
4F206AG07
4F206AH55
4F206JA07
4F206JB12
4F206JE11
4F206JE21
4F206JL02
4F206JW26
4F206JW31
4J038BA012
4J038BA022
4J038BA192
4J038BA202
4J038BA212
4J038HA446
4J038KA08
4J038KA20
4J038MA09
4J038PB04
4J038PC10
4J200AA04
4J200AA06
4J200AA14
4J200AA21
4J200BA07
4J200BA08
4J200BA30
4J200BA36
4J200BA38
4J200CA00
4J200CA02
4J200DA17
4J200EA04
4J200EA07
4J200EA22
4L055AF09
4L055AG18
4L055AG43
4L055AG51
4L055AG53
4L055AJ01
4L055AJ05
4L055BE08
4L055BF06
4L055EA15
4L055GA05
4L055GA30
(57)【要約】
本発明は、連結要素(11”’)を有する繊維材料から作製された成形品に関する。成形品の繊維材料における連結要素(11”’)の特にしっかりとした固定を達成するため、連結要素(11”’)は、それを通して成形品の繊維材料が突出する穴(18)を有する連結壁(17)を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結要素(11”’)を有する繊維材料から作製された成形品(2”’)であって、
前記連結要素(11”’)が、前記成形品(2”’)の繊維材料が通って突出する穴(18)を有する連結壁(17)を有することを特徴とする、繊維材料から作製された成形品。
【請求項2】
以下の構成、
・ 前記成形品(2”’)が、少なくとも1つの開口部(7”’)を有する収納部(2”’)である、
・ 前記連結壁が、前記開口部(7”’)を取り囲んでいる、
・ 前記収納部(2”’)が、前記開口部(7”’)のためのカバーを有している、
・ 前記収納部(2”’)が、生分解性または生体不活性のコーティングを有している、
・ 前記連結要素(11”’)が、射出成形されている、
・ 前記連結要素(11”’)が、生分解性材料から作製されている、
・ 前記連結要素(11”’)が、少なくとも前記開口部(7”’)の領域において局所的に前記収納部(2”’)を補強している、
の少なくとも1つを有していることを特徴とする、請求項1に記載の繊維材料から作製された成形品(2”’)。
【請求項3】
前記コーティングが、以下の成分、
- セルロース繊維、
- カゼイン、
- ホエイ、
- 寒天、
- オオバコの殻、
- SiO
2
の少なくとも1つを含むプライマーであることを特徴とする、請求項2に記載の繊維材料から作製された成形品(2”’)。
【請求項4】
前記カバー(10)が、以下の構成、
・ シーリングフィルムからなる、
・ 前記連結要素(11”’)と同じ材料から作製されている、
の少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項2または3のいずれか1項に記載の繊維材料から作製された成形品(2”’)。
【請求項5】
少なくとも局所的に形成された第2の生分解性コーティングを有することを特徴とする、請求項2~4のいずれか1項に記載の繊維材料から作製された成形品(2”’)。
【請求項6】
前記第2のコーティングが、以下の成分、
・ 亜麻仁油、
・ カルナウバワックス、
・ 蜜蝋
の1つを含むことを特徴とする、請求項5に記載の繊維材料から作製された成形品(2”’)。
【請求項7】
前記連結要素が、補強リング(11”’)として設計されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の繊維材料から作製された成形品(2”’)。
【請求項8】
以下のステップ、
・ 穴を有する連結壁を有する連結要素を、前記連結壁が吸引鋳型の多孔質の壁に対して短い距離を有するように、その中で繊維材料から成形品が形成される吸引鋳型の中に挿入するステップ、
・ 前記繊維材料が前記多孔質の壁に堆積し、堆積した繊維材料が前記連結壁の穴を通して突出するように、前記吸引鋳型の多孔質の壁を通してパルプから繊維材料を吸引し、これによって、前記連結要素を前記繊維材料の得られた層にしっかりと固定する、ステップ
によって特徴付けられる、連結要素を有する繊維材料から作製された成形品を製造する方法。
【請求項9】
前記吸引された繊維材料が、加圧され、脱水されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
以下のステップ、
- 前記繊維材料を収納部へと圧密化するステップ、
- 前記繊維材料を脱水し乾燥するステップ、
- 前記繊維材料をプライマーによってコーティングするステップ、
- 前記連結要素を射出成形するステップ、
- カバーを取り付けるステップ
の少なくとも1つによって特徴付けられる、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記成形品が、第2のコーティングによってコーティングされ、ホットプレスされて冷却されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記成形品が、前記連結要素とともにコーティングされることを特徴とする、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結要素を有する繊維材料から作製された成形品に関する。
【0002】
本発明は、特に、繊維材料から作製され、少なくとも1つの開口部および開口部のためのカバーを有する収納部(container)を有する容器(receptacle)であって、収納部が生分解性または生物不活性のコーティングを有し、射出成形された連結要素が少なくとも開口部の領域を局所的に補強している、容器に関する。なお、繊維材料から作製された成形品への連結要素の固定された連結の課題は、収納部開口部の局所的な補強の適用に限らない。
【背景技術】
【0003】
EP2573008B1は、収納部、特に紙材料から形成され、開口端にフランジを有するコーヒーカプセルを開示している。フランジから半径方向に延在する補強リングがフランジの上に配置され、カバーに接着または溶接され得るものである。補強リングは、特に紙および/または少なくとも1つのレジンもしくはゴムを含む別の材料から作製されている。
【0004】
DE102019101545A1は、繊維材料から作製され、キャップとして指定されたカバーによって閉じることができるカップ状の収納部を有する容器、特にコーヒーカプセルを開示している。開口部において、収納部は環状周辺リムとして指定されたフランジを有している。フランジは、特に未コーティングのボール紙材料から作製された補強リングによって取り囲まれている。
【0005】
化粧品を保持するための容器は、FR2741042A1によって知られている。容器はカップ状の収納部および射出成形された外部ハウジングを有している。収納部は、特に、ポリプロピレンまたは収納部の内容物と化学的に反応しない別の好適な材料から作製されている。ハウジングは、特に、プレキシグラスまたは審美的印象とハウジングに必要な技術的な特性とを兼ね備えた別の材料から作製されている。
【0006】
現状の技術分野において既知の容器は、生分解性成分のみから作製されたものではなく、これらの機械的安定性は比較的低い。
【発明の概要】
【0007】
本発明の根底にある課題は、繊維材料から作製された成形品と連結要素とを確実かつ永久的に連結することにある。これは、生分解性成分のみから形成され、高い気密性および高い機械的安定性を有して、その製造が特に自在でコスト効率が良い容器を提供するという目的を果たし得る。なお、本明細書に記載の技術は、いずれの連結要素に連結される繊維材料から作製された他のいずれの成形品に対しても有利である。
【0008】
この課題は、連結要素が、それを通して成形品の繊維材料が突出する穴を有する連結壁を有することによって解決される。
【0009】
連結要素は、その中にいくつかの穴が配置された薄い連結壁を有してよい。穴は、好ましくは連結壁の表面にわたって均一に分布している。特に、連結壁は格子状であってよく、これによって、穴の面積は穴の間に残存するウェブの面積とほぼ等しいか、これより大きい。連結要素は、その中で繊維材料から成形品が形成される吸引鋳型の中に挿入してよい。吸引鋳型は、パルプの中に、すなわち繊維材料と水の混合物の中に浸漬される。水は、吸引鋳型の多孔質の壁を通って引き込まれ、これによって、繊維材料は、吸引鋳型の表面上の層に堆積する。このプロセスの間、穴を有する連結壁は、吸引鋳型の多孔質の壁から短い距離、例えば1mmの距離に保たれる。穴を有する連結要素の連結壁の領域において、繊維材料は、連結壁の周囲に堆積して開口部から突出し、これによって、連結要素は、成形品を形成する繊維材料の得られた層にしっかりと(firmly)固定される。引き込まれた繊維材料は、加圧され、これによって、形成された繊維材料の層は、連結要素の成形された部分とともに脱水される。
【0010】
連結要素は、任意の形状を有し、任意の機能を満たしてよい。これは任意の固体材料、例えば木材または軽金属から作製してよいが、特に生分解性プラスチックから作製される。連結要素は、繊維成形品の繊維層に固定するために、穴を有する薄い連結壁として設計された部分を有する。連結壁は、繊維成形品の繊維材料の層に上記の様式で埋め込んでよい。
【0011】
上述したように、繊維材料から作製された成形品は容器から出発して開発されたものである。容器は、少なくとも1つの開口部および開口部のためのカバーを有する繊維材料から作製された収納部を有し、収納部は、本発明に係る繊維材料から作製された成形品であってよく、生分解性コーティングを有してよい。あるいはまたはさらに、収納部は、ゾル-ゲルプロセスで収納部の内側に堆積した生物不活性のコーティング、特にSiO2コーティングを有してよい。繊維材料から作製された成形品がシーリング機能を有しない場合、コーティングはなくてもよい。
【0012】
成形品、すなわち繊維材料から作製された収納部は、上記のようにセルロース繊維を含む水性パルプから生産してよい。セルロース繊維は、例えば吸引鋳型を用いる単純な篩分けプロセスによって、成形品を形成する鋳型の中に持ち込まれる。水は、吸引鋳型の細孔を通って吸引除去され、セルロース繊維は、細孔を有する吸引鋳型の表面上に堆積する。移送プロセスでは、吸引鋳型によって形成された成形品が移送鋳型に移送され、これによって、成形品は、両側から成形される。成形品の表面品質を改善するために、更なる熱処理および加圧法を用いてもよい。繊維材料から作製され、このようにして形成された成形品は堅固で寸法的に安定である。
【0013】
繊維材料から作製され、このようにして生産された収納部は、開口部、開口部に対向する基底部、ならびに開口部および基底部を取り囲む周辺壁を有し得る。開口部および基底部は、例えば円形、楕円形、または多角形であってよい。収納部の開口部にカバーが取り付けられ、または取り付けてもよく、これによって、収納部の開口部は、閉じられ、または閉じてもよい。カバーは、収納部の内部が環境から閉じられ、または閉じられてもよいように、収納部と相互作用する。カバーも生分解性であってよい。
【0014】
コーティングを有しない繊維材料は、ある種の気体および水分を有している。これは、成形品のある種の用途において望ましいか、少なくとも不利ではない。本明細書に記載の繊維材料から作製された収納部の1つの実施形態は生分解性コーティングを有し、これによって、特にカバーが収納部と相互作用する場合に気体および水に対する不透過性が増大する。繊維材料のコーティングは、基本的に従来技術において既知なものである。コーティングは、例えば噴霧してよい。あるいはまたはさらに、コーティングは、繊維材料をコーティング浴に浸漬し、次にそれを乾燥することによって適用してよい。例えば、本出願人による公開WO2020/216719A1は、セルロース基質への生分解性バリアコーティングを開示しており、これは本明細書に記載の繊維材料収納部をコーティングするためによく適している。
【0015】
少なくとも開口部の領域において収納部を局所的に補強し得る連結要素を収納部上に配置してよい。すなわち、収納部および連結要素は、少なくとも開口部の領域において局所的に補強された容器を形成し得る。連結要素は、射出成形してよく、および/または生分解性材料から作製してよい。
【0016】
換言すれば、収納部が少なくとも開口部の領域において特に硬く、寸法的に安定であるように収納部と相互作用する射出成形された連結要素を用いてよい。この目的のため、連結要素の材料は、それから収納部が形成される繊維材料よりも高い強度を有する。したがって、容器は、そのような連結要素のない収納部よりも全体として高い機械的負荷を吸収し得る。連結要素は生分解性材料から作製され得るので、容器は生分解性材料のみからなり得る。生分解性とは、材料がある種の嫌気性または好気性の条件下で分解し得ることを意味する。連結要素の生分解性材料はまた、射出成形可能である。特に、これはこの目的のために熱可塑性であってよい。これは、それから連結要素が形成される材料が加熱状態で流動可能であり、冷却されると固化することを意味する。そのような稠度の変化は、熱可塑性材料においては可逆的である。あるいは、射出成形可能な材料が処理の間でのみ流動可能であり、デュロマー(duromer)またはエラストマーの様式で射出成形された状態で不可逆的に固化することもできる。連結要素の射出成形可能な材料が、さらにまたは代替的に、印刷可能、特に3D印刷可能であり、および/または多数の部品を有することが明示的に指摘される。連結要素の材料が射出成形され、および/または印刷されるという事実は、単一の生産システムおよび必要であれば適合した用具を用いて様々な形状をコスト効率良く生産することができ、連結要素の生産が特に自在でコスト効率が良くなることを意味している。
【0017】
実際上、例えば熱可塑的に加工可能なデンプンは、EP0118240A2またはEP0397819B1に記載されるように、連結要素の形成に適している。
【0018】
連結要素がいくつかの部品からなっている場合、モジュラー原理に従って様々な部品を組み立てて様々な連結要素を形成することができ、これによって、生産の自在さおよびコスト効率が増大する。特に、連結要素を射出成形する場合には、連結要素の高い表面品質が達成され、容易に再生産することができる。
【0019】
一方、連結要素は、射出成形可能な材料以外の材料から作製してもよい。提案した連結壁は、成形品を形成する堆積した繊維材料がそこから突出する穴を有しており、連結要素をしっかりと固定して、得られる繊維材料層においていずれの目的も果たし得る。
【0020】
実際上、成形品、特に収納部のコーティングは、少なくとも以下の成分の1つを含むプライマーであってよい。
- セルロース繊維、
- カゼイン、
- ホエイ、
- 寒天、
- オオバコの殻、
- SiO2。
【0021】
プライマーは、収納部の内面(内側)に面する表面に塗布してよい。さらにまたは代替的に、プライマーは収納部の外(外側)に面する表面に塗布してよい。上述のように、コーティングによって収納部の気密性が向上する。これはその強度も増大させ得る。
【0022】
セルロースのナノフィブリルまたはミクロフィブリルは、例えば水に溶解し、収納部に噴霧してよい。ナノセルロースは、30~100nmの範囲のメディアン直径を有するセルロースミクロフィブリルおよび/または5~20nmの範囲のメディアン直径を有するセルロースナノフィブリルを有する。工業的に市販されるセルロースフィブリルは、ミクロフィブリルとナノフィブリルの混合物であることが多い。実際には、98重量%の水の中の2重量%のナノセルロースの混合物がプライマーとして有効であることが証明されている。より高い含量のセルロースを選択すれば、水分による収納部の変形が低減または回避され、プライマーの乾燥時間を短縮できる。実際上、プライマー溶液中のセルロース含量は、2~10重量%が好適である。
【0023】
気体の浸透に対する収納部の不透過性を増大するためのプライマー中で用いられる他の有機材料が存在する。例えば、カゼイン粉末を水と混合して、水酸化カルシウムを用いて変性してよい。カゼインによって収納部の気密性および機械的強度が増大する。水酸化カルシウムによって変性したカゼインは、ある程度、撥水性にもなる。重炭酸ナトリウムによってカゼインを変性することも可能であるが、これはカゼインを撥水性にしない。
【0024】
実際に、30gのカゼイン粉末を100mlの水と約8~10時間、放置して膨潤させ、30gの水酸化カルシウムを加えて撹拌した。さらに50mlの水を加えた後、溶液を篩分けしてプライミングに用いた。このプライマーは、セルロース繊維によるプライマーの後、またはセルロース繊維を含むプライマーの代替として塗布してよい。プライマーは、セルロース繊維とカゼインの両方を含んでもよい。
【0025】
ホエイも、プライマーの成分として好適である。ホエイは、熱(90~100℃)で変性させることができる。プライマーの成分としてのホエイも、コーティングされた収納部の強度を増大させる。ホエイコーティング自体は、非撥水性であり、したがって第2のコーティングによって耐水性にしなければならない。
【0026】
最後に、寒天(藻類由来のゼラチン)またはオオバコの殻(オオバコ種プランタゴ・インディカ(Plantago indica)、プランタゴ・アフラ(Plantago afra)の種子殻)等のゲル形成成分が、プライマーへの添加に好適である。この目的のため、例えば寒天粉末を水と混合し、100℃で1分、変性させる。これを冷却すれば、固化してゲルとなる。ゲルを収納部に塗布してよく、繊維材料の細孔をシールし、強度を増大させ、水をはじく薄層が形成される。
【0027】
粉砕したオオバコの殻を水に浸漬し、約20分、膨潤させた後で収納部に塗布しても、同様の効果が達成される。
【0028】
上述したように、プライマーの成分を合わせて水に溶解し、混合物として塗布してもよい。一方、プライマーは、異なる成分のいくつかの層で収納部に塗布することも可能である。上述のプライマーの可能な成分の全ては生分解性である。
【0029】
二酸化ケイ素SiO2のコーティングも塗布してよい。これは特に緻密で耐性がある。二酸化ケイ素の改変または秩序度に応じて、これは水にわずかしか溶解しない。いずれの場合でもこれは生体不活性であり、すなわち二酸化ケイ素と他の物質との間に化学的および/または生物学的な相互作用はない。コーティングは、例えばゾル-ゲルプロセスを用いて収納部の内側に堆積させてよい。コーティングは、収納部のみに、または収納部と連結要素に同時に塗布してよい。
【0030】
実際上、連結要素の材料は、水溶性および/または堆肥化可能なものであってよい。水溶性とは、連結要素が1週間以内、好ましくは1日以内、特に好ましくは数時間以内に水に溶解することを意味する。これは、連結要素が特に迅速に生分解され得ることを意味する。ポリマーは、これが工業用の堆肥製造プラントにおいて微生物によって6か月以内にCO2に変換されれば、欧州基準EN13432に従って堆肥化可能であり、ここで最初の集塊は無害に分類される最大1%の添加物を含む。好ましくは、連結要素が堆肥化可能なだけでなく、全ての部品、すなわち連結要素、収納部、およびおそらくカバーも堆肥化可能である。実際上、全ての部品は、工業的に定義された条件なしに堆肥化可能であってよい。これは、工業用な堆肥製造プラントなしでも堆肥化が可能であることを意味する。繊維成形品および連結要素が分別された堆肥廃棄物とともに廃棄されず、環境中に放出されたとしても、これらは数か月以内に分解する。対照的に、使用されることが多いポリラクチドを含む大部分の堆肥化可能なポリマーは、通常、工業的に定義された条件下または数年という長期にわたってのみ生分解性である。したがって、繊維材料から作製された成形品および連結要素のエコロジー的なフットプリントは、類似した機械的安定性を有する他の多くの材料から作製された容器と比較して、大幅に小さくなっている。
【0031】
穴を有する連結壁は、特に安定なポジティブロック連結(positive-locking connection)を達成し得る。繊維材料から作製された成形品が開口部を有する収納部として設計され、連結要素が、収納部の開口部を取り囲み、それを通して収納部の繊維材料が突出する穴を有する連結壁を有するならば、連結要素は開口部の領域に固定される。連結要素は、その中に穴が配置された環状の薄い連結壁を有し得る。特に、連結壁は格子状であってよく、これによって、穴の面積は穴の間に残存するウェブの面積とほぼ等しいか、これより大きい。連結要素は、その中で収納部が繊維材料から形成される吸引鋳型の中に挿入してよい。その結果、連結壁は吸引鋳型の多孔質の壁と例えば1mmの短い距離を有する。水は吸引鋳型の多孔質の壁を通してパルプから吸引除去され、これによって、繊維材料は吸引鋳型の多孔質の壁の上に堆積する。連結要素の穴を有する連結壁の領域において、堆積した繊維材料は穴から突出し、これによって、連結要素を、収納部を形成する得られるパルプ層の中にしっかりと固定する。堆積したパルプを加圧する場合には、加圧は、例えば繊維材料の形成された収納部の内側に対して加圧する膨張可能な加圧ツールによって行われ、これによって、連結要素の成形された部分を有する繊維材料製の収納部壁が脱水される。
【0032】
また、繊維材料製の成形品は、熱可塑性連結要素の場合には射出成形された材料がその表面上で軟化または融解して繊維材料の細孔の中に浸透する温度で、連結要素とともに加圧され得る。
【0033】
繊維成形品および連結要素がカバーを有する容器を形成する場合、実際上、容器のカバーは、シーリングフィルムとして設計してよい。シーリングフィルムは、緻密にコーティングされた繊維材料からなっていてよい。これらは一方、薄く可撓性で気密性である。特に、シーリングフィルムのコーティングは収納部のコーティングと同一でよい。しかし、これは異なる組成を有してもよい。カバーのコーティングが収納部のコーティングと同一である場合、および/またはこれら2つのコーティングが同じ溶媒を用いて溶解される場合には、収納部とカバーは、結合材料によって特に容易にかつしっかりと連結できる。例えば、コーティングされ、まだ完全に乾燥していないカバーを、開口部が完全に覆われるように収納部の開口部に設けてよい。次いで収納部とカバーを相互に加圧してよく、これによって、収納部のコーティングが溶解し、後にカバーのコーティングとともに乾燥する。このように覆って連結することによって、容器の材料消費は最小となり、異なる材料は僅かで済み、生分解性および/または堆肥化可能性のために有利である。
【0034】
さらにまたは代替的に、カバーは、連結要素と同様の材料から作製してよい。この場合には、カバーはキャップ、特にスクリューオンキャップであってよい。キャップは収納部の開口部を覆い、開口部から取り外してよく、再び取り付けてよい。この目的のため、カバーは収納部および/または連結要素にポジティブに、例えば内ねじを有するカバーを収納部または連結要素の外ねじにねじ込むことによって、連結される。もちろん、ポジティブ連結(positive connection)は、他の好適な設計手段、例えば掛け金状の突起と相補的な受容部品、またはバヨネット留め金によって達成してもよい。連結要素のようなカバーが射出成形された材料から作製されれば、容器は特に強靭で漏れがない。
【0035】
もちろん、容器は、複数のカバー、例えば上記のようなシーリングフィルム、およびさらに収納部または連結要素にねじ込まれる、上端に配置されたキャップを有してもよい。
【0036】
実際上、上記プライマーは、第1のコーティングであり、成形品/収納部は、少なくとも局所的に塗布されたコーティングを有してもよい。第2のコーティングはプライマーに塗布してよい。プライマーが収納部の一方の側、すなわち内側または外側にのみ塗布される場合には、第2のコーティングは、プライマーが塗布されていない収納部の側にさらにまたは代替的に塗布することも可能である。第2のコーティングは、収納部の気密性および/または強度を増大させ得る。特に、第2のコーティングは、収納部の強度が少なくとも連結要素および/またはカバーが配置されていない領域において増大するような方式で、収納部に塗布してよい。強度の増大によって、収納部は連結要素および/またはカバーから受ける高いまたは周期的な負荷を、特にこの領域でよく吸収することができる。
【0037】
実際上、第2のコーティングは、亜麻仁油、カルナウバワックス、および/または蜜蝋、すなわち天然のワックスおよび/または油/脂から作製されてよい。天然のワックスおよび/または脂質は、主として脂肪酸のエステルからなっており、CEC-L-33-A-93試験法によって油溶性産物として容易に生分解される。
【0038】
亜麻仁油は、第2のコーティングを形成するオイル/ワックス混合物の展性を改善し、乾燥後の脆性を最小化するために用いられる。医薬用の、すなわち完全に清澄化された純粋な亜麻仁油を用いるべきである。亜麻仁油は、数少ない硬化油の1つであり、木材の含浸に数世紀にわたって用いられてきた。しかし、亜麻仁油コーティング単独では開孔しており、すなわち水および空気がある程度通過し、永久的に耐水性の食品包装には適していない。
【0039】
カルナウバワックスは、高い融解温度(ほぼ85~89℃)を有する非常に硬い熱帯性のワックスである。これは、それ自体の臭気または風味をほとんど有さず、耐水性である。これは乾燥時には極めて脆く、数秒以内に硬化する。その硬さのために、これは摩擦に対しても極めて耐性がある。これは食品包装用に承認されており、例えばマンゴー、甘い食品等の保存期間を長くするためのコーティングとして長く使われてきた。
【0040】
蜜蝋は、他の場所の中でも欧州で生産されており、カルナウバワックスほど硬くない。蜜蝋はカルナウバワックスとの混合物中で脆さを低減することを助けている。これはそれ自体の臭気または風味をほとんど有さず、食品との組合せにおける使用のために承認されている。その融点は約65℃である。
【0041】
実際上、連結要素は、補強リングとして設計してよい。補強リングは、スリーブまたはパイプ部分の形態で軸方向に延長された部分を有してよい。延長された部分は、例えば穴を有する連結壁を形成できる。補強リングは、特に収納部の周辺壁における延長された部分とともに埋め込んでもよい。これによって、連結要素が収納部により緊密に適合する。
【0042】
実際上、収納部は、フランジを有してよい。フランジは、コーティングされた繊維材料の収納部と一体的に形成される。特に、フランジは開口部の領域における周辺壁の周りにめぐらせてよい。これによって、カバーが取り付けられる大きな表面が得られる。
【0043】
収納部がフランジを有し、連結要素が補強リングとして設計されれば、補強リングは、収納部の基底部に対面するフランジの側面またはそれに対向するフランジの側面(すなわち、上向きの側)に位置させてよい。繊維成形品および連結要素のそのような設計は特に、例えば飲料の粉末部分の包装、特にコーヒーカプセルとして特に好適である。フランジおよび収納部の隣接する領域は、補強リングによって機械的に補強されている。そのような補強は、繊維材料から作製された収納部を有するコーヒーカプセルのために特に有利である。それは、コーヒーカプセルのためのコーヒーマシンの把持機構が、コーヒーカプセルを第1の位置から第2の位置へと移動させるために、フランジに係合するからである。フランジ上の補強リングは、繊維材料製のコーヒーカプセルに必要な強度を提供する。
【0044】
本明細書に記載の連結要素を有する繊維成形品からなるカプセルの形態のコーヒー部分パックは、未コーティングのセルロース繊維から作製された従来のコーヒーポッドの不透過性より極めて高い、高度の不透過性、および従来のアルミニウム製のコーヒーカプセルより良好な環境適合性を有している。結果として、コーヒーは、大量の廃棄物を生じずに長期に保存できる。本明細書に記載のコーヒーカプセルは、天然の原材料のみからなっており、容易に生分解され、および/または堆肥化される。
【0045】
もちろん、上記の連結要素を有する繊維成形品を、再シール可能なスクリューキャップを有する容器として形成し、それに化粧品、例えばクリーム、または腐敗しない製品、例えばねじを満たすことも可能である。
【0046】
本発明は、請求項8から12に記載の、連結要素を有する成形品を製造する方法にも関する。繊維材料から作製された収納部を含む容器の場合には、カバーおよび生分解性コーティング、収納部上に配置された連結要素は生分解性材料から作製してよく、少なくとも局所的に収納部を補強する。本方法は、以下の方法ステップの少なくとも1つを含み得る。
- 吸引鋳型を用いてパルプから繊維材料を吸引し、繊維材料の収納部へと圧密化するステップ、
- 収納部を脱水し乾燥するステップ、
- プライマーによって収納部をコーティングするステップ、
- 連結要素の生産する、特に射出成形するステップ、
- カバーを取り付けるステップ。
【0047】
プロセスステップの各詳細に関しては、ここで提出した特徴の上記の記載を参照されたい。これらの特徴に関連して述べた利点は、それに応じて本方法に適用される。
【0048】
上記したように、成形品が収納部を形成する場合、収納部は、2つのコーティングを有し得る。特に、第2のコーティングは、収納部を天然のワックスおよび/または油もしくは脂の温浴に浸漬することによって塗布される。浸漬した収納部は、次にホットプレスされ、冷却される。含浸した収納部のホットプレスによってその形状が固定され、第2のコーティングが繊維材料の満たされていない細孔に浸透し得る。
【0049】
以下に、本発明の更なる実用的な実施形態および利点について、図面を関連させて記載する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】コーヒーカプセルとしての実施形態の本発明に係る容器を、穴を有する連結壁のない垂直断面の分解図として示す。
【
図2】カバーのない
図1の容器を、上からの斜めの像として示す。
【
図3】
図1の容器を、下からの斜めの像として示す。
【
図4】化粧品のためのジャーとしての第2の実施形態の容器を、これも穴を有する連結壁のない垂直断面の分解図として示す。
【
図5】化粧品のためのジャーとしての第3の実施形態の容器を、再び穴を有する連結壁のない垂直断面の分解図として示す。
【
図6】収納部として設計された繊維材料から作製された成形品のための連結壁および開口部を有する連結要素の側面図を示す。
【
図7】切断線VII-VIIに沿う
図6の連結要素の断面図を示す。
【
図8】カバーを有する
図6および
図7の連結要素を有する繊維成形品のボトル状の実施形態を示す。
【
図9】
図8のボトルを生産するための吸引鋳型の断面の拡大した平面図を示す。
【
図10】射出成形された材料から作製した
図6および
図7の連結要素が挿入された
図9の吸引鋳型の断面を示す。
【
図11】連結要素が挿入され、繊維層が吸引された
図9の吸引鋳型の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1~
図3に、コーヒーカプセルとして設計された容器1を示す。容器1は、収納部2を有し、本質的に回転対称である。これは、基底部3および基底部3を取り囲む周辺壁4を有する。穿孔領域6を有する中央部の回転対称な凹部5は、基底部3に形成され、穿孔領域6は、回転対称であり凹部5の中央部に配置されている。穿孔領域は、加圧下に容器1に供給された液体が脱出することを可能にするために、少なくとも1つの針によって穿孔されるようになっている。凹部5は、収納部の内側に向かって、すなわち、基底部3に対向する収納部2の開口部7に向かって配向している。収納部2は、開口部7において、開口部7および周辺壁4を回転対称に取り囲むフランジ8を有する。フランジ8は、周辺壁4から半径方向外側に延在しており、基底部3と本質的に平行に配向している。
【0052】
基底部3、周辺壁4、およびフランジ8を有する収納部2は、繊維材料から一体に形成されている。プライマー(図示せず)は、収納部の内部に面する収納部2の内側9およびフランジ8の上向き表面に塗布されている。プライマーは、例えばセルロースおよびカゼインから形成でき、生分解性である。一方、プライマーは、更にまたは代替的に、他の生分解性成分、例えばホエイ、寒天、および/またはオオバコの殻を含んでもよい。プライマーは、収納部2の気密性および機械的な安定性を増大させる。
【0053】
図1に示すように、開口部7は、カバー10によって覆われており、カバー10は、シーリングフィルムとして設計されている。シーリングフィルム10は、可撓性かつ気密性である。シーリングフィルム10は、フランジ8の上の場所に固定されており、これによって、収納部の内部を環境から密閉している。フランジの上に固定するため、シーリングフィルム10は、フランジ8の方向に配向した表面上に、収納部の内側9およびフランジ8の上向き表面と同じコーティング(図示せず)を有している。シーリングフィルム10とフランジ8のコーティングは、相互に結合している。
【0054】
容器1は、開口部7の領域において、射出成形された連結要素11を有し、これは、水溶性かつ生分解性の熱可塑性樹脂から形成されている。生分解性熱可塑性樹脂は、公開EP0118240A2またはEP0397819B1に記載された熱可塑的に加工可能なデンプンであってよい。連結要素は、垂直のリング部分12および水平のリング部分13を有する補強リング11として設計されている。垂直のリング部分12によって、補強リング11は周辺壁4の上部の外側に位置している。
図3で明らかに分かるように、垂直のリング部分12の上に刻み目14が配置されており、これによってコーヒーカプセル1がコーヒーマシンの保持デバイス(図示せず)の中にロックされる。垂直のリング部分12は穴を有する連結壁として設計してもよく、繊維成形プロセスにおける繊維材料成形品(収納部2)の製造中に繊維材料の中に埋め込んでもよい。
【0055】
水平のリング部分13は、垂直のリング部分12の上端からフランジ8を超えて半径方向外側に突出している。フランジ8を受容するための半径方向の凹部が水平のリング部分13の上端に形成されている。フランジ8と水平のリング部分13は、設計において相補的であり、フランジ8と水平のリング部分13は、共通の平面の上で終止している。フランジ8は、水平のリング部分13およびシーリングフィルム10によって完全に包囲されている。
【0056】
シーリングフィルムおよび補強リングは、接着剤、好ましくは生分解性の接着剤によって互いに結合してよい。
【0057】
ここで示した連結要素11と収納部2との間の形態に適合する連結について、代替的に、連結要素11を収納部2に射出成形することによって、連結要素11を収納部2に連結することが可能である。
【0058】
図4に、化粧品を保持するためのジャーとしての容器1’の代替的な実施形態を示す。他に示さなければ、
図4中の構造要素には、上記したものと同様の参照記号を付与し、コーヒーカプセルの構造要素と区別するために、シングルダッシュを付与している。ジャー1’は、基底部3’、周辺壁4’、基底部3’の中の中央凹部5’、基底部3’に対向する開口部7’、および周辺壁4’から半径方向外側に延在するフランジ8’を有する収納部2’を有している。ジャー1’は、本質的に回転対称である。なお、図示していないが、生分解性材料から作製されたプライマーも、収納部2’の内側9’に塗布されており、これは収納部2’の気密性および機械的安定性を増大させる。
【0059】
ここで示すジャー1’のカバーは、キャップ10’として設計されている。キャップ10’を収納部2’に取り付け、収納部2’を開口部7’の領域において補強するため、2部品の連結要素11’は、収納部2’にポジティブ連結(positively connected)されている。
【0060】
2部品の連結要素11’は、下部支持リング11’aおよび上部ねじリング11’bからなる。コーヒーカプセル1に関連して上述したように、下部支持リング11’aは、垂直のリング部分12’によって周辺壁4’の外側に、また水平のリング部分13’によってフランジ8’の上に位置している。垂直のリング部分12’は、穴を有する連結壁として設計してもよく、繊維成形プロセスにおいて繊維材料成形本体(収納部2’)の製造中に繊維材料の中に埋め込んでもよい。水平のリング部分13’は、フランジ8’を超えて半径方向に突出している。水平のリング部分13’はまた、キャップ10’に向かって配向した末端に凹部を有し、その中にフランジ8’が受容される。すなわち、キャップ10’に向かって配向したフランジ8’の表面と、キャップ10’に向かって配向した水平のリング部分13’の表面とは、同一平面上にある。上部ねじリング11’bは、下部支持リング11’aと同じ外径を有している。上部ねじリング11’bの内径は、本質的に開口部7’の直径に対応している。上部ねじリング11’bは、下部支持リング11’aの水平のリング部分13’に取り付けられており、これはフランジ8’を超えて半径方向に延在しており、これによって、フランジ8’は、下部支持リング11’aの水平のリング部分13’および上部ねじリング11’bによって包囲されている。2部品の連結要素11’を収納部2’に取り付けるため、例えば、下部支持リング11’aを下から、すなわち、基底部3’を過ぎ、収納部2’の周辺壁4’を過ぎて、下部支持リング11’aがフランジ8’と接触し、上部ねじリング11’bがフランジ8’および下部支持リング11’aに上から押し付けられるまで、押してよい。下部支持リング11’aおよび上部ねじリング11’bの間の実はぎ連結(tongue and groove connection)15’は、ポジティブ連結を形成してもよい。実はぎ連結15’の溝(groove)および隆起部(tongue)は、互いに掛け止めまたは接着されている。連結した後には、下部支持リング11’aと上部ねじリング11’bは、半径外側方向に互いに同一平面にある。
【0061】
キャップ10’は、ねじ連結16’を介して上部ねじリング11’bに連結し、また取り外すことができる。この目的のため、外ねじは、上部ねじリング11’bに配置され、内ねじは、キャップ10’に配置されている。キャップ10’および上部ねじリング11’bがねじ16’を介して一緒にねじ込まれると、キャップ10’と上部ねじリング11’bは外側で半径方向同一平面上にあり、収納部の内側は環境に対して気密にシールされている。キャップ10’のねじを上部ねじリング11’bに対して緩めれると、収納部の内側は上部ねじリング11’bの開口部を介して環境と連通する。
【0062】
図5に、化粧品を保持するためのジャーとしての容器1”の更なる代替的な実施形態を示す。他に示さなければ、
図5中の構造要素には、上述したものと同様の参照記号を付与し、他の実施形態と区別するためにダブルダッシュを付与している。ジャー1”は、基底部3”、周辺壁4”、基底部3”の中の中央くぼみ5”、基底部3”に対向する開口部7”、および周辺壁4”から半径方向外側に延在するフランジ8”を有する収納部2”を有している。収納部2”は、開口部の領域において、連結要素11”を収容するためにわずかに幅広くなっている。ジャー1”は、本質的に回転対称である。図示していないが、生分解性材料から作製されたプライマーも、収納部2”の内側9”に塗布されており、これは収納部2”の気密性および機械的安定性を増大させる。開口部7”の領域における連結要素11”は、2つの部品から作製されており、収納部2’に形態適合的および材料適合的に連結されている。ここで示すジャー1”のカバーは、キャップ10”としても設計され、これは連結要素11”と相互作用する。
【0063】
2部品の連結要素11”は、内側支持リング11”aおよび外側ねじリング11”bからなる。内側支持リング11”aは、垂直のリング部分12”および水平のリング部分13”を有しており、水平のリング部分13”は、垂直のリング部分12”をほぼ半分まで、かつ外側に直角に取り囲んでいる。水平のリング部分13”の上の領域において、垂直のリング部分12”は外ねじ16”aを有している。水平のリング部分13”の下の垂直のリング部分12”の領域は、収納部2”の幅広くなった領域の表面に対して相補的な、本質的に平滑な円筒状の外表面を有している。したがって、内側支持リング11”aは、収納部2”の中に挿入される。内側支持リング11”aは、垂直のリング部分12”によって周辺壁4”の内側に、かつ水平のリング部分13”によってフランジ8”の上に位置している。当接する表面は、互いに結合されて、高レベルの気密性および機械的安定性が保証される。結合は、例えば収納部2”と垂直のリング部分12”とを互いに適合させ、射出成形された材料が軟化または溶融する温度で互いに加圧することによって、達成できる。垂直のリング部分12”の融解した材料は次に収納部2”に接着し、その細孔に浸透し得る。しかし結合は任意であり、確実な接合は例えば圧し嵌めによって達成してもよい。内側支持リング11”aを収納部2”の中に挿入する代わりに、水平のリング部分13”の下の垂直のリング部分12”を、穴を有する連結壁として設計し、繊維成形プロセスを用いた繊維材料成形品(収納部2’)の生産中に収納部壁の繊維材料の中に埋め込んでもよい。半径方向外側で、水平のリング部分13”はフランジ8”と同一平面にある。上部ねじリング11’bの内径は、本質的に開口部7’の直径に対応する。外ねじ16”aを有する垂直のリング部分12”の領域は、収納部2”から上向きに突出する。
【0064】
外側ねじリング11”bは、内部に面する側に内ねじ16”bを有し、これは内側支持リング11”aの外ねじ16”aと相補的である。外側ねじリング11”bの外部に面する表面は平滑な円筒状であり、その直径は水平のリング部分13”の直径より小さい。したがって、外側ねじリング11”bが内側支持リング11”aにねじ込まれたとき、水平のリング部分13”が外側ねじリング11”bを超えて半径方向に突出する。
【0065】
キャップ10”は、湾曲した上表面10”aおよびそれを取り囲むリング部分10”bを有している。リング部分10”bの内径は、外側ねじリング11”bの外径に対応する。これは、キャップ10”が外側ねじリング11”bに上から取り付けられ、再び除去されることを意味する。
【0066】
このような場合、キャップ10’、10”、下部支持リング11’a、内側支持リング11”a、上部ねじリング11’b、および外側ねじリング11”bは、水溶性かつ堆肥化可能な熱可塑性樹脂から射出成形される。ここで示した2部品の連結要素11’、11”と収納部2’、2”の間の形態に適合する連結の代替として、連結要素11’、11”を一体で形成すること、および/または連結要素11’、11”を収納部2’、2”に射出成形することによって、連結要素11’、11”を収納部2’、2”に連結できる。
【0067】
図6および
図7に、連結要素11”’の更なる実施形態の側面図および長さ方向の断面図を示し、
図8に、連結要素11”’および収納部2”’を有するボトルとして設計した容器1”’を示す。連結要素11”’の上部分は再び、その上にカバー10”’がスクリューキャップの形態でねじ込まれる外ねじ16”’を有している。収納部2”’は、例えば飲料、洗剤、またはその他の液体、ゲル、または粉末状材料を保持できる。容器1”’はスクリューキャップ10”’によって固くシールされる。連結要素が収納部2”’に特に固く、永続的に連結されることを保証するため、これは収納部2”’の開口部7”’を取り囲む外ねじ16”’の下に、薄い環状の連結壁17を有する。連結壁17には複数の穴18が設けてあり、その間に連結壁17を形成するウェブが存在している。
【0068】
図9~
図11に、
図8の収納部を生産するための、多孔質の壁20を有する多部品吸引鋳型19の上部を示す。吸引鋳型19は、吸引鋳型19の中で形成された成形品の取り出しを可能とするために、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の部品を有する。吸引鋳型の多孔質の壁は、多孔質の壁を形成するために篩様の構造がその中に挿入される吸引チャネルを有するプラスチックまたは金属で作製された基底体によって、従来の方法で実現される。示した実施形態では、吸引鋳型19の多孔質の壁20は、3D印刷プロセスを用いて生産され、これによって、液体透過性のチャネルは多孔質の壁20の材料の中に埋め込まれる。
【0069】
吸引鋳型19は、射出成形された連結要素11”’のための上部受容部分21を有する。パルプ収納部2”’を生産するため、連結要素11”’は、連結要素11”’の連結壁17が吸引鋳型19の多孔質の壁20から1mmのオーダーの短い距離dを有するように、吸引鋳型19の受容部分21の中に挿入される。次いで吸引鋳型19がパルプ中に浸漬され、多孔質の壁20を通って水が吸引除去され、これによって繊維材料22の層が吸引鋳型19の多孔質の壁20の上に堆積する。繊維材料22は、連結要素11”’の連結壁17の穴18を通って浸透し、穴18を通って突出する。
【0070】
実際上、収納部2”’の繊維層は次に、堆積した繊維層の内側に向かって膨張可能な加圧ツール(図示せず)を押圧することによって、圧密化される。これによって、繊維層は脱水され圧密化されて、連結壁17の穴18の間のウェブを強固に包囲する。
【0071】
回転対称の容器を図に示す。開口部は環状の明確な断面を有している。当業者であれば、容器およびその開口部は、環状から逸脱した形状を有し得ることが認識される。例えば、収納部およびその開口部は四角形でもよい。この場合、連結要素も、四角形の開口部を包囲する四角形のリングの形状を有する。
【0072】
本明細書、本図面、および特許請求の範囲において開示した本発明の特徴は、その種々の実施形態における本発明の実現のために、個別にもいずれの組合せにおいても必須なものである。本発明は、記載した実施形態に限定されない。本発明は、特許請求の範囲内において、また当技術分野における当業者の知識を考慮して、変動し得る。
[参照符号のリスト]
1 容器、コーヒーカプセル
2 繊維材料から作製された成形品、収納部
3 基底部
4 周辺壁
5 凹部
6 穿孔領域
7 収納部の開口部
8 フランジ
9 収納部の内側
10 カバー、シーリングフィルム
11 連結要素、補強リング
12 垂直のリング部分
13 水平のリング部分
14 刻み目
1’ 容器、クリームジャー
2’ 繊維材料から作製された成形品、収納部
3’ 基底部
4’ 周辺壁
5’ 凹部
7’ 収納部の開口部
8’ フランジ
9’ 収納部の内側
10’、10”’ カバー、キャップ
11’ 2部品の連結要素
11’a 下部支持リング
11’ 上部ねじリング
12’ 垂直のリング部分
13’ 水平のリング部分
15’ 実はぎ連結
16’ ねじ連結
1” 容器、クリームジャー
2” 繊維材料から作製された成形品、収納部
3” 基底部
4” 周辺壁
5” 凹部
7” 収納部の開口部
8” フランジ
9” 収納部の内側
10” カバー、キャップ
10”a カバー区域
10”b リング部分
11” 2部品の連結要素
11”a 内側支持リング
11”b 外側ねじリング
12” 垂直のリング部分
13” 水平のリング部分
16” ねじ連結
16”a 外ねじ
16”b 内ねじ
1”’ 容器、ボトル
2”’ 繊維材料から作製された成形品、収納部
7”’ 開口部
11”’ 連結要素
17 連結壁
18 穴
19 吸引鋳型
20 受容部分
21 多孔質の壁
22 繊維材料
d 距離
【国際調査報告】