(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/496 20060101AFI20240910BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240910BHJP
A61K 9/52 20060101ALI20240910BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61K31/496
A61K9/08
A61K9/52
A61K9/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500627
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 CN2022115484
(87)【国際公開番号】W WO2023036003
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】202111043276.4
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517273294
【氏名又は名称】シチュアン ケルン ファーマシューティカル リサーチ インスティテュート カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リー, ミン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】スー, ジェンシン
(72)【発明者】
【氏名】イー, ツォン
(72)【発明者】
【氏名】リー, ダン
(72)【発明者】
【氏名】リャン, シャンヨン
(72)【発明者】
【氏名】クー, ドゥオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ, ドン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ジンイー
(72)【発明者】
【氏名】リウ, スーチュアン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076AA22
4C076AA29
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB15
4C076CC01
4C076DD23
4C076DD26
4C076DD35
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD39
4C076DD41
4C076DD42
4C076DD46
4C076DD52
4C076DD55
4C076DD63
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4C076EE32
4C076FF31
4C076GG05
4C076GG44
4C076GG47
4C086BC50
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA23
4C086MA43
4C086MA66
4C086NA03
4C086NA04
4C086NA05
4C086NA12
4C086ZA02
(57)【要約】
注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤およびその調製方法。そのための調製方法は、(a)有機溶媒にブレクスピプラゾールを溶解してブレクスピプラゾール溶液を形成することと、(b1)ブレクスピプラゾール溶液を剪断または激しく撹拌された沈殿溶媒中に送り込み、ブレクスピプラゾールを沈殿させること、または(b2)沈殿溶媒を剪断または激しく撹拌されたブレクスピプラゾール溶液中に送り込み、ブレクスピプラゾールを沈殿させることと、(c)得られた固体を濾過し、任意に水を使用して洗浄することと、(d1)得られた固体を乾燥させ、乾燥させた固体および補助材料溶液をそれぞれ包装して、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤を得ること、または(d2)得られた固体を補助材料溶液に分散させて、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤を得ることと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤の調製方法:
(a)有機溶媒にブレクスピプラゾールを溶解してブレクスピプラゾール溶液を形成するステップであり、前記有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ジクロロメタン-メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド-イソプロパノール、ジメチルホルムアミド-水、テトラヒドロフラン-水、テトラヒドロフラン-イソプロパノール、エタノール、および氷酢酸-水からなる群から選択され、好ましくは、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ジクロロメタン-メタノール、エタノール、および氷酢酸-水からなる群から選択されるステップ、
(b1)剪断下または激しく撹拌しながら、前記ブレクスピプラゾール溶液を沈殿溶媒中に送り込み、ブレクスピプラゾールを沈殿させるステップ、または(b2)剪断下または激しく撹拌しながら沈殿溶媒を前記ブレクスピプラゾール溶液中に送り込み、ブレクスピプラゾールを沈殿させるステップであって、前記沈殿溶媒が、水、エタノールおよびジメチルスルホキシドからなる群から選択される有機溶媒、ならびにそれらの混合物からなる群から選択され、任意にTween20、Tween80、Span20、Span40、Span60、Span80、コハク酸塩およびモノステアリン酸グリセリルからなる群から選択される界面活性剤を含むステップ、
(c)得られた固体を濾過し、任意にステップ(b1)または(b2)における前記ブレクスピプラゾール溶液の体積の5倍以上、好ましくは8倍~20倍、より好ましくは10倍~15倍の量の水で洗浄するステップ、および
(d1)前記固体を乾燥させ、前記乾燥した固体と賦形剤溶液とを別々に包装して、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤を得るステップ、または(d2)乾燥後または乾燥せずに直接前記固体を賦形剤溶液中に分散させて、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤を得るステップ。
【請求項2】
ステップ(a)が窒素保護下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)における前記有機溶媒がジメチルスルホキシドであり、40℃~80℃、好ましくは50℃~70℃、より好ましくは60℃~70℃、より好ましくは約60℃~65℃の温度で撹拌しながら、前記溶解が行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(b1)または(b2)において、前記沈殿溶媒が、水もしくはエタノール、または20:1~1:20、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:5の体積比の水-エタノールもしくは水-ジメチルスルホキシドであり、前記沈殿溶媒が、前記送り込みの完了後に得られる系中にブレクスピプラゾールの0.1重量%~3重量%、好ましくは0.5重量%~2重量%の量でTween80を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(b1)または(b2)において、前記送り込みが単一のポンプヘッドまたは複数のポンプヘッドによって実行され、各ポンプヘッドが、70mL/分~300mL/分、好ましくは70mL/分~220mL/分、好ましくは100mL/分~200mL/分、例えば150mL/分の送り込み速度であり、前記沈殿溶媒に対する前記ブレクスピプラゾール溶液の体積比が、2:1~1:10、好ましくは2:1~1:5、より好ましくは1:1~1:4、例えば1:2である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(b1)または(b2)において、前記沈殿溶媒が-20℃~25℃、好ましくは0℃~20℃の温度である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b1)または(b2)において、前記激しい撹拌が、200rpm~2000rpm、好ましくは500rpm~1000rpmの速度であり、剪断が1.57m/s~15.7m/sの線速度である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(b1)において、前記剪断が1.57m/s~15.7m/s、好ましくは1.57m/s~4.71m/sの線速度であり、ステップ(b2)において、前記剪断が7.85m/s~12.56m/sの線速度である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(c)で得られた固体が、塩化ナトリウムなどの粒子バインダを含まない、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤であって、懸濁液であるか、または前記製剤に含まれる固体と賦形剤溶液とを混合することによって懸濁液として調製することができ、前記懸濁液が5重量%~40重量%、好ましくは5重量%~20重量%、より好ましくは7重量%~17重量%のブレクスピプラゾールを含有する、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤。
【請求項11】
前記懸濁液中の粒子が、以下のような粒度分布:前記粒子の3%以上が5μm未満の粒径を有し、前記粒子の15%以上が20μmより大きい粒径を有する、請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
前記懸濁液中の前記粒子が、以下のような粒径分布:前記粒子の3%~25%が5μm未満の粒径を有する;前記粒子の50%~75%が5μm~20μmの粒径を有する;前記粒子の10%~15%が20μm~30μmの粒径を有する;残りの粒子が30μmより大きい粒径を有する、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記懸濁液中の前記粒子が、以下のような粒度分布:前記粒子の5%以上が5μm未満の粒径を有する;前記粒子の15%以上が20μmより大きい粒径を有する、請求項10に記載の製剤。
【請求項14】
前記懸濁液中の前記粒子が、以下のような粒径分布:前記粒子の15%~25%が5μm未満の粒径を有する;前記粒子の20%~30%が5μm~10μmの粒径を有する;前記粒子の25%~30%が10μm~20μmの粒径を有する;前記粒子の10%~15%が20μm~30μmの粒径を有する;残りの粒子が30μmより大きい粒径を有する、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法によって得ることが可能である、または得られる、請求項10~14のいずれか一項に記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、医薬製剤の分野に属し、持続型ブレクスピプラゾール製剤およびその製造方法に関する。具体的には、本発明は、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤およびその製造方法に関する。
【0002】
[背景技術]
アリピプラゾールの反復製品であるブレクスピプラゾールは、第2世代の抗統合失調症薬であり、以下の構造式を有する。
【化1】
5-HT1A受容体およびドーパミンD2受容体の部分的アゴニスト、5-HT2A受容体のアンタゴニストとして、ブレクスピプラゾールは、成人統合失調症または成人大うつ病の補助的治療に臨床的に用いられている。アリピプラゾールと比較して、ブレクスピプラゾールは、ドーパミンD2受容体に対する固有活性が低く、5-HT1および5-HT2受容体との結合能が高く、錐体外路副作用が低く、アカシジア有害作用が低いため、統合失調症を治療するための第1選択薬である。しかしながら、現在市販されているブレクスピプラゾールの製品は、1日1回の経口投与のための錠剤のみであり、臨床使用において依然として多くの問題がある。例えば、統合失調症は、比較的長い経過を有し、患者は、現在市販されているブレクスピプラゾール錠剤を頻繁に投与する必要があるため、薬剤を隠したり、薬剤の服用を忘れたりする傾向がある。患者の服薬遵守および長期治療遵守を改善し、治療の有効性を高め、疾患の再発および悪化を回避するために、持続型(>7日)のブレクスピプラゾール製剤を開発することは臨床的に非常に重要である。
【0003】
中国特許出願公開第107536802号明細書は、少なくとも1週間のブレクスピプラゾールの持続放出を達成することができる注射用ブレクスピプラゾールの水性懸濁液を開示している。しかしながら、中国特許出願公開第107536802号明細書に開示されている水性懸濁液は持続放出の特性を有するが、ラットにおけるその血漿薬剤濃度試験は、薬剤の初期放出が遅く、血漿薬剤濃度が大きく変動し、穏やかに有効な血漿薬剤濃度を維持することを困難にすることを示す。したがって、その臨床的利点は重要ではない。さらに、この製剤の調製は、粒子バインダを添加して二次粒子を形成し、次いでこれを水溶液に懸濁させることに依存する。初期段階では、一次粒子を形成するために粒径を小さくするためにボールミルなどの方法を使用する必要がある。そのため、調製方法が煩雑である。
【0004】
したがって、急速に放出され始め、注射後に有効治療レベルに達し(例えば、筋肉内注射後)、ゆっくりと放出され続けて有効治療レベルを30日間以上維持し、それによって患者のコンプライアンスを最大限に改善することができる、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤を提供することが依然として必要とされている。
【0005】
本発明は、上記の利点を有する注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤およびその調製方法を提供する。特に、本発明の調製方法は、操作が簡単で便利であり、このようにして提供される注射用ブレクスピプラゾール懸濁液は、制御可能な粒径、良好な再現性、および良好な安定性という利点を有する。
【0006】
[発明の概要]
第1の態様では、本発明は、以下のステップを含む、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤を調製するための方法を提供する。
(a)有機溶媒にブレクスピプラゾールを溶解してブレクスピプラゾール溶液を形成するステップであり、有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ジクロロメタン-メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド-イソプロパノール、ジメチルホルムアミド-水、テトラヒドロフラン-水、テトラヒドロフラン-イソプロパノール、エタノール、および氷酢酸-水からなる群から選択されるステップ、
(b1)剪断下または激しく撹拌しながら、ブレクスピプラゾール溶液を沈殿溶媒中に送り込み、ブレクスピプラゾールを沈殿させるステップ、または(b2)剪断下または激しく撹拌しながら沈殿溶媒をブレクスピプラゾール溶液中に送り込み、ブレクスピプラゾールを沈殿させるステップであって、沈殿溶媒が、水、エタノールおよびジメチルスルホキシドからなる群から選択される有機溶媒、ならびにそれらの混合物からなる群から選択され、任意にTween20、Tween80、Span20、Span40、Span60、Span80、コハク酸塩およびモノステアリン酸グリセリルからなる群から選択される界面活性剤を含むステップ、
(c)得られた固体を濾過し、任意にステップ(b1)または(b2)におけるブレクスピプラゾール溶液の体積の5倍以上、好ましくは8倍~20倍、より好ましくは10倍~15倍の量の水で洗浄するステップ、および
(d1)固体を乾燥させ、乾燥した固体と賦形剤溶液とを別々に包装して、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤を得るステップ、または(d2)乾燥後または乾燥せずに直接固体を賦形剤溶液中に分散させて、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤を得るステップ。
【0007】
具体的には、本発明の方法のステップを以下に説明する。
【0008】
ステップ(a).有機溶媒にブレクスピプラゾールを溶解してブレクスピプラゾール溶液を形成するステップ
ステップ(a)において、有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ジクロロメタン-メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド-イソプロパノール、ジメチルホルムアミド-水、テトラヒドロフラン-水、テトラヒドロフラン-イソプロパノール、エタノール、および氷酢酸-水からなる群から選択され得る。好ましくは、有機溶媒は、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ジクロロメタン-メタノール、エタノールおよび氷酢酸-水からなる群から選択され、より好ましくはジメチルスルホキシドである。
【0009】
ステップ(a)において、有機溶媒中のブレクスピプラゾールの溶解度は、加熱および/または撹拌によって増加させることができ、したがって溶解プロセスを容易にする。好ましくは、40℃~80℃、好ましくは50℃~70℃、より好ましくは60℃~70℃、より好ましくは約60℃~65℃の温度で撹拌しながら、溶解が行われる。
【0010】
任意に、未知のプロセス不純物の形成を効果的に防止するために、ブレクスピプラゾールの溶解プロセス全体の間に保護のために窒素が導入される。
【0011】
ステップ(b1).剪断下または激しく撹拌しながら、ブレクスピプラゾール溶液を沈殿溶媒中に送り込み、ブレクスピプラゾールを沈殿させるステップ;またはステップ(b2).剪断下または激しく撹拌しながら、沈殿溶媒をブレクスピプラゾール溶液中に送り込み、ブレクスピプラゾールを沈殿させるステップ
ステップ(b1)およびステップ(b2)において、沈殿溶媒は、水、有機溶媒またはそれらの混合物、好ましくは水またはエタノール、または20:1~1:20、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:5の体積比の水-エタノールまたは水-ジメチルスルホキシドであり得る。
【0012】
ステップ(b1)およびステップ(b2)において、沈殿溶媒は、分散を容易にするために界面活性剤をさらに含んでいてもよい。界面活性剤は、送り込みの完了後に得られる系中のブレクスピプラゾールの重量に対して0.1%~3%、好ましくは0.5%~2%の量であり得る。界面活性剤には、ポリソルベート20(Tween20)、ポリソルベート80(Tween80)、ソルビタン脂肪酸エステル(Span20、40、60または80)、コハク酸塩、およびモノステアリン酸グリセリルが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、沈殿溶媒は、送り込みの完了後に得られる系中のブレクスピプラゾールの重量の0.1%~3%、好ましくは0.5%~2%の量でTween80を含む。界面活性剤は、析出したブレクスピプラゾール沈殿物に含まれていてもよく、後ステップで水洗浄することにより実質的に除去してもよい。
【0013】
ステップ(b1)およびステップ(b2)において、生成物の粒径を制御する目的は、例えば、溶液の送り込み速度を制御するために蠕動ポンプを使用することによって達成され得る。送り込みは、単一のポンプヘッドで実行されてもよい。試料の調製を加速するために、複数のポンプヘッドが同時の送り込みにさらに使用されてもよい。好ましくは、各ポンプヘッドは、70mL/分~300mL/分、好ましくは70mL/分~220mL/分、より好ましくは100mL/分~200mL/分、例えば150mL/分の送り込み速度である。
【0014】
ステップ(b1)およびステップ(b2)において、送り込まれたブレクスピプラゾール溶液と沈殿溶媒との体積比は、2:1~1:10、好ましくは2:1~1:5、より好ましくは1:1~1:4、例えば1:2であり得る。
【0015】
ステップ(b1)およびステップ(b2)において、生成物の粒径を制御する目的は、冷却プロセスを制御することによって達成することができる。一般に、冷却速度が速いほど、生成物の粒径は小さくなる。通常、沈殿した試料の粒径は、沈殿溶媒の温度を制御することによって制御される。本発明のいくつかの実施形態では、沈殿溶媒の温度は-20℃~25℃である。具体的には、沈殿溶媒として水を用いる場合、その温度は1℃~25℃であり、沈殿溶媒として有機溶媒を用いる場合、沈殿溶媒の温度は-20℃~0℃であり、析出溶媒として水と有機溶媒との混合物を用いる場合、析出溶媒の温度は-10℃~25℃である。好ましくは、沈殿溶媒の温度は0℃~20℃である。
【0016】
ステップ(b1)およびステップ(b2)において、生成物の粒径は、剪断速度または撹拌速度を調節することによって制御することができる。例えば、激しく撹拌するのは、200rpm~2000rpm、好ましくは500rpm~1000rpmの速度であり、剪断は1.57m/s~15.7m/sの線速度である。特に、ステップ(b1)において、剪断は1.57m/s~15.7m/s、好ましくは1.57~4.71m/sの線速度であり、ステップ(b2)において、剪断は7.85m/s~12.56m/sの線速度である。
【0017】
本明細書で使用される「線速度」という用語は、物体上の任意の点が固定軸の周りを円運動する速度を指し、一般に、質点(または物体上の各点)が曲線運動(円運動を含む)をする瞬間速度として定義される。線速度は、モーショントラックの接線方向であるため、接線速度とも呼ばれる。これは、曲線運動を行う質点の運動速度および方向を記述する物理量である。
【0018】
上記の制御された条件下で沈殿させたブレクスピプラゾール粒子の粒径は、3μm~100μmの範囲内で制御可能である。ここでいう粒径とは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)を用いた湿式法測定によって得られる体積分布の50%に相当する粒径、すなわちDv50であり、好ましくは5μm~30μm、より好ましくは7μm~20μmである。
【0019】
ステップ(c).得られた固体を濾過し、任意に水で洗浄する
【0020】
ステップ(c)では、得られた固体を濾過によって分離し、任意に大量の水で洗浄して、得られた固体が界面活性剤を含まないように、その中に存在し得る少量の界面活性剤を除去する。洗浄に用いる水の量は、ステップ(b1)または(b2)のブレクスピプラゾール溶液の体積の5倍以上が一般的であり、8倍~20倍が好ましく、10倍~15倍がより好ましい。
【0021】
好ましくは、ステップ(c)で得られた固体は、塩化ナトリウムなどの粒子バインダを含まない。
【0022】
ステップ(d1).固体を乾燥させ、乾燥した固体と賦形剤溶液とを別々に包装して、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤を得るステップ、または(d2).賦形剤溶液中に固体を分散させて、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤を得るステップ
ステップ(d1)において、乾燥は、これらに限定されないが、加熱乾燥または真空加熱乾燥を含む当技術分野で公知の方法によって行われてもよく、塊状化を防止するために、乾燥中に撹拌を行ってもよい。乾燥後に得られる無菌原料は、50mg~400mgの範囲であり得る単位用量で所定の用量に従って包装され得、賦形剤溶液とは別個に包装される。使用前に、賦形剤溶液は、ブレクスピプラゾールの濃度が5重量%~40重量%、好ましくは5重量%~20重量%、より好ましくは7重量%~17重量%となるように、振盪、ボルテックスまたは超音波処理などの方法によって無菌原料と混合される。
【0023】
ステップ(d2)では、乾燥後の賦形剤溶液に、ステップ(d1)と同様に固体を分散させてもよいし、乾燥させずにそのまま分散させてもよい。分散は、撹拌、剪断、超音波処理、またはそれらの組み合わせによって行うことができる。5重量%~40重量%、好ましくは5重量%~20重量%、より好ましくは7重量%~17重量%のブレクスピプラゾールの濃度を有する懸濁液が得られ、異なる仕様の製品に瓶詰めされる。
【0024】
上記賦形剤溶液は、以下を含む:
1)1つ以上の懸濁化剤、
2)1つ以上の湿潤剤、
3)1つ以上のpH調整剤、
4)1つ以上の浸透圧調整器、および/または
5)分散剤。
【0025】
懸濁化剤としては、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール4000)、カルボキシメチルセルロースまたはそのナトリウム塩、ポリビニルピロリドン(例えば、PVP K12またはPVP K30)、ヒプロメロース、メチルセルロース、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188または407)またはポリビニルアルコールを含むがこれらに限定されない当業者に周知のものを使用することができる。好ましくは、懸濁化剤は、カルボキシメチルセルロースまたはそのナトリウム塩である。上記ステップ(d1)を有する方法では、懸濁化剤は、賦形剤溶液の体積基準で、好ましくは0.01%~20%(w/v)、より好ましくは0.05%~10%(w/v)、最も好ましくは0.2%~5%(w/v)の濃度である。上記ステップ(d2)を有する方法では、懸濁化剤は、好ましくは、得られた注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤(懸濁液)の体積基準で、0.01%~20%(w/v)、より好ましくは0.05%~10%(w/v)、最も好ましくは0.2%~5%(w/v)の濃度である。
【0026】
湿潤剤として、ポリソルベート(Tween20、40、60または80)、ソルビタン脂肪酸エステル(Span20、40、60または80)、ポロキサマー、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、脂肪酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンヒマシ油またはレシチンを含むがこれらに限定されない当技術分野における一般的な界面活性剤を使用することができる。好ましくは、湿潤剤は、Tween80などのTweenである。上記ステップ(d1)を有する方法では、懸濁化剤は、賦形剤溶液の体積基準で、好ましくは0.01%~20%(w/v)、より好ましくは0.05%~10%(w/v)、最も好ましくは0.2%~5%(w/v)の濃度である。上記ステップ(d2)を有する方法では、湿潤剤は、好ましくは、得られた注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤(懸濁液)の体積基準で、0.01%~20%(w/v)、より好ましくは0.05%~10%(w/v)、最も好ましくは0.1%~2%(w/v)の濃度である。
【0027】
pH調整剤としては、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、トロメタモール、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、メグルミン、アルギニン、トリエタノールアミン、クエン酸および/または酢酸を用いることができる。好ましくは、pH調整剤は、リン酸水素二ナトリウムおよび/またはリン酸二水素ナトリウムである。好ましくは、賦形剤溶液のpH値は4~9、より好ましくは6~8、最も好ましくは6.5~7.5である。
【0028】
浸透圧調整剤としては、塩化ナトリウム、グルコースおよび/またはマンニトールを用いることができる。好ましくは、浸透圧調整剤はマンニトールまたは塩化ナトリウムである。
【0029】
分散剤としては、水性ビヒクル、好ましくは注射用水を使用することができる。
【0030】
第2の態様では、本発明は、懸濁液であるか、または製剤中に含まれる固体と賦形剤とを混合することにより懸濁液として調製することができ、懸濁液が5重量%~40重量%、好ましくは5重量%~20重量%、より好ましくは7重量%~17重量%のブレクスピプラゾールを含有する、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤を提供する。
【0031】
いくつかの実施形態では、懸濁液中の粒子は、以下のような粒度分布を有する:粒子の3%以上は5μm未満の粒径を有し、粒子の15%以上は20μmより大きい粒径を有する。好ましくは、懸濁液中の粒子は、以下のような粒度分布を有する:粒子の3%~25%は5μm未満の粒径を有する;粒子の50%~75%は5μm~20μmの粒径を有する;粒子の10%~15%は20μm~30μmの粒径を有する;残りの粒子は30μmより大きい粒径を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、懸濁液中の粒子は、以下のような粒度分布を有する:粒子の5%以上は5μm未満の粒径を有し、粒子の15%以上は20μmより大きい粒径を有する。好ましくは、懸濁液中の粒子は、以下のような粒度分布を有する:粒子の15%~25%は5μm未満の粒径を有する;粒子の20%~30%は5μm~10μmの粒径を有する;粒子の25%~30%は10μm~20μmの粒径を有する;粒子の10%~15%は20μm~30μmの粒径を有する;残りの粒子は30μmより大きい粒径を有する。より好ましくは、懸濁液中の粒子は以下のような粒度分布を有する:粒子の20%~23%は5μm未満の粒径を有する。粒子の23%~27%は5μm~10μmの粒径を有する;粒子の27%~29%は10μm~20μmの粒径を有する;粒子の13%~15%は20μm~30μmの粒径を有し、残りの粒子は30μmより大きい粒径を有する。
【0033】
本発明の第2の態様の製剤は、本発明の第1の態様の方法によって得ることができるかまたは得られる。
【0034】
本発明の注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤は、溶媒沈殿法を用いて調製され、ブレクスピプラゾールの粒径は、プロセスパラメータを調節することによって制御することができ、無水形態のブレクスピプラゾールは、筋肉内注射後に迅速に放出され始めて有効な治療レベルに達し、血漿薬剤濃度を有効な治療レベルで30日間以上維持するためにゆっくりと放出され続けることができる。調査後、有機溶媒にブレクスピプラゾールを溶解するプロセス中の窒素保護は、特定の未知の不純物の形成を効果的に防止し、試料の純度を改善することができる。
【0035】
さらに、本発明の注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤の持続放出効果は、ブレクスピプラゾールの粒径および投与量を制御することによって達成することができ、賦形剤とは無関係であり、ポリ(乳酸-co-グリコール)酸またはポリ乳酸などのポリマー賦形剤を含まない。したがって、薬剤負荷能力が最大化され、注入量が減少し、患者の服薬遵守が最大限に改善される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】ラットにおける対照製剤としてのブレクスピプラゾール懸濁液、ならびに実施例2および実施例15のブレクスピプラゾール懸濁液の血漿中薬剤濃度曲線を示す。
【
図2】実施例2および実施例15のブレクスピプラゾール懸濁液中の薬剤粒子の粒径分布を示す。
【
図3A】実施例16-1のブレクスピプラゾール粉末の関連物質の高速液体クロマトグラムを示す。
【
図3B】実施例16-2のブレクスピプラゾール粉末の関連物質の高速液体クロマトグラムを示す。
【
図3C】実施例17-1のブレクスピプラゾール粉末の関連物質の高速液体クロマトグラムを示す。
【
図3D】実施例17-2のブレクスピプラゾール粉末の関連物質の高速液体クロマトグラムを示す。
【0037】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明の範囲を限定することは意図していない。
【0038】
実施例
実施例1.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
10gのブレクスピプラゾール(無水、自製)に100mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
200mLの純水および0.1gのTween80を500mLビーカーに入れた。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を3.14m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間36秒)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・懸濁液の調製:
(i)分散剤の調製:2.5gのカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.2gのリン酸二水素ナトリウムおよび12.5gのマンニトールを500mLビーカーに入れ、249mLの水を加えて完全に溶解するまで撹拌した。
(ii)試料の分散:試料調製ステップで得られた乾燥粉末5.7gに44.3gの分散剤を添加し、手動で約5分間上下に振とうして均一に混合し、懸濁液を得た。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は3.639μmである。
【0039】
実施例2.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
10gのブレクスピプラゾールに100mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
200mLの純水および0.1gのTween80を500mLビーカーに入れた。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を1.57m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間60秒)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・懸濁液の調製:
(i)分散剤の調製:0.1gのTween80、0.1gのリン酸水素二ナトリウム、0.06gのリン酸二水素ナトリウムおよび0.9gの塩化ナトリウムを250mLビーカーに入れ、99mLの水を加え、完全に溶解するまで撹拌した。
(ii)試料の分散:試料調製ステップで得られた乾燥粉末5.7gに分散剤44.3gを添加し、手動で約5分間上下に振とうして均一に混合し、懸濁液を得た。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は10.617μmである。
【0040】
実施例3.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
20gのブレクスピプラゾールに200mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
400mLの純水および0.2gのTween80を1000mLビーカーに入れた。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に撹拌パドルを入れ、回転速度を500rpmに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を70mL/分の速度(送り込み時間120秒)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを2000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・懸濁液の調製:
(i)分散剤の調製:0.1gのTween80、0.1gのリン酸水素二ナトリウム、0.06gのリン酸二水素ナトリウムおよび0.9gの塩化ナトリウムを250mLビーカーに入れ、170mLの水を加え、完全に溶解するまで撹拌した。
(ii)試料の分散:試料調製ステップで得られた乾燥粉末5.7gに44.3gの分散剤を添加し、手動で約5分間上下に振とうして均一に混合し、懸濁液を得た。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は10.848μmである。
【0041】
実施例4.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
15gのブレクスピプラゾールに150mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・サンプルの調製:
ブレクスピプラゾール溶液に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を4.71m/sに調整した。室温の水を150mL/分の速度(60秒の送り込み時間)でブレクスピプラゾール溶液中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1500mLの純水で洗浄し、後の使用のために排水した。
・懸濁液の調製:
(i)分散剤1の調製:0.2gのTween80を250mLビーカーに入れ、60mLの水を加え、完全に溶解するまで撹拌した。
(ii)懸濁中間試料の分散:試料調製ステップで得られた濾過ケーキを分散剤1に添加し、剪断機を用いて線速度1.57m/sで分散させて懸濁中間試料を得たところ、薬剤含有量は133.3%であった。
(iii)分散剤2の調製および試料の均一な混合:0.6gのカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.3gのTween80、0.1gのリン酸二水素ナトリウムおよび8.1gのマンニトールを50mLビーカーに入れ、20mLの水を加え、完全に溶解するまで撹拌し、分散剤2を得た。続いて、ステップ(ii)で得られた懸濁中間体試料に分散剤2を添加し、均一に混合されるまで撹拌した。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は19.495μmである。
【0042】
実施例5.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
15gのブレクスピプラゾールに150mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・サンプルの調製:
ブレクスピプラゾール溶液に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を4.71m/sに調整した。4℃の水を150mL/分の速度(60秒の送り込み時間)でブレクスピプラゾール溶液中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1500mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・懸濁液の調製:
(i)分散剤の調製:1.7gのカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.4gのTween80、0.1gのリン酸二水素ナトリウムおよび8.3gのマンニトールを250mLビーカーに入れ、170mLの水を加えて完全に溶解するまで撹拌した。
(ii)試料の分散:試料調製ステップで得られた乾燥粉末5.7gに44.3gの分散剤を添加し、手動で約5分間上下に振とうして均一に混合し、懸濁液を得た。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は17.021μmである。
【0043】
実施例6.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
15gのブレクスピプラゾールに150mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・サンプルの調製:
ブレクスピプラゾール溶液に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を10.99m/sに調整した。室温の水を150mL/分の速度(60秒の送り込み時間)でブレクスピプラゾール溶液中に送り込んだ。得られた懸濁液を剪断線速度10.99m/sで20分間さらに剪断した後、吸引濾過し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1500mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・懸濁液の調製:
(i)分散剤の調製:1.7gのカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.4gのTween80、0.1gのリン酸二水素ナトリウムおよび8.3gのマンニトールを250mLビーカーに入れ、170mLの水を加えて完全に溶解するまで撹拌した。
(ii)試料の分散:試料調製ステップで得られた乾燥粉末5.7gに44.3gの分散剤を添加し、手動で約5分間上下に振とうして均一に混合し、懸濁液を得た。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は15.184μmである。
【0044】
実施例7.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
30gのブレクスピプラゾールに300mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
100mLの純水、100mLのジメチルスルホキシド、0.1gのTween80を500mLビーカーに入れ、氷水浴で20℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を1.57m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間60秒)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・懸濁液の調製:
(i)分散剤の調製:1.7gのカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.4gのTween80、0.1gのリン酸二水素ナトリウムおよび8.3gのマンニトールを250mLビーカーに入れ、170mLの水を加えて完全に溶解するまで撹拌した。
(ii)試料の分散:試料調製ステップで得られた乾燥粉末5.7gに44.3gの分散剤を添加し、手動で約5分間上下に振とうして均一に混合し、懸濁液を得た。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は11.678μmである。
【0045】
実施例8.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
50gのブレクスピプラゾールに500mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
0.7gのTween80を1400mLの水で数回すすぎ、ジャケット付きスチールカップに入れ、循環冷却装置で15℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を3.14m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を200mL/分の速度(送り込み時間2分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを4000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は7.968μmである。
【0046】
実施例9.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
50gのブレクスピプラゾールに500mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
0.7gのTween80を1400mLの水で数回すすぎ、ジャケット付きスチールカップに入れ、循環冷却装置で5℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を7.85m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を200mL/分の速度(送り込み時間2分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを3000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は3.025μmである。
【0047】
実施例10.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
50gのブレクスピプラゾールに500mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
0.6gのTween80を1200mLの水で数回すすぎ、ジャケット付きスチールカップに入れ、循環冷却装置で10℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を7.85m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間4分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを3000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は9.120μmである。
【0048】
実施例11.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
50gのブレクスピプラゾールに500mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
0.6gのTween80を1200mLの水で数回すすぎ、ジャケット付きスチールカップに入れ、循環冷却装置で10℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を7.85m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を200mL/分の速度(送り込み時間1.5分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを3000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は8.785μmである。
【0049】
実施例12.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
50gのブレクスピプラゾールに500mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
0.6gのTween80を1200mLの無水エタノールで数回すすぎ、ジャケット付きスチールカップに入れ、循環冷却装置で-20℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を7.85m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を200mL/分の速度(送り込み時間1.5分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを3000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は17.856μmである。
【0050】
実施例13.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
50gのブレクスピプラゾールに500mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
960mLの純水および240mLの無水エタノールをジャケット付きスチールカップに入れ、0.6gのTween80を添加し、循環冷却装置で-10℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を7.85m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を200mL/分の速度(送り込み時間1.5分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを3000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は15.346μmである。
【0051】
実施例14.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
30gのブレクスピプラゾールに300mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
120mLの純水および80mLのジメチルスルホキシドをジャケット付きスチールカップに入れ、0.1gのTween80を添加し、氷水浴で20℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を1.57m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間1分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は8.577μmである。
【0052】
実施例15(比較例).ボールミル粉砕法によるブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ボールミル前試料の調製:
2.5gのカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.4gのリン酸二水素ナトリウムおよび25.0gのマンニトールに201gの水を加え、完全に溶解するまで撹拌した。次いで、68.4gのブレクスピプラゾールを加え、薬剤が完全に濡れるように均一に撹拌し、ボールミル粉砕前の試料を得た。
・懸濁液試料の調製::
ボールミル前の試料をボールミル粉砕用ボールミルに加えた。ボールミル粉砕は、冷却水として水道水を用い、ジルコニウムビーズサイズ2.2mm、充填量60%、ボールミル回転速度1500rpm、流速600ml/minの条件で行った。ボールミル粉砕終了後、薬液を取り出し、水で2倍に希釈した後、瓶詰めした。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は11.678μmである。
【0053】
実施例16.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
20gのブレクスピプラゾールに200mLのジメチルスルホキシドを加え、60℃で撹拌し溶解した(窒素バブリング無)。
・沈殿溶媒の調製:
200mLの純水をジャケット付きスチールカップに入れ、0.1gのTween80を添加し、氷水浴で20℃に冷却した。
・サンプルの調製:
ブレクスピプラゾールが完全に溶解した後、直ちに沈殿溶媒中に剪断ヘッドを設置し、剪断の線速度を2.35m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間1分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、実施例16-1の乾燥粉末を得た。
4時間のブレクスピプラゾール完全溶解後、沈殿溶媒中に剪断ヘッドを設置し、剪断線速度を2.35m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間1分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、実施例16-2の乾燥粉末を得た。
・関連物質の決定:
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。充填材としてオクタデシルシラン化学結合シリカを用いた(YMC-Pack Pro C18、4.6mm×150mm、3μm、または同等の効率のクロマトグラフィーカラム);0.02mol/Lリン酸二水素カリウム溶液(10%水酸化カリウム溶液でpH値を6.5に調整)を移動相Aとした;アセトニトリル-水(90:10)を移動相Bとした。
【0054】
実施例17.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
20gのブレクスピプラゾールに200mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素をバブリングし完全に空気を抜いた後、60℃で撹拌して溶解させた。
・沈殿溶媒の調製:
200mLの純水をジャケット付きスチールカップに入れ、0.1gのTween80を添加し、氷水浴で20℃に冷却した。
・サンプルの調製:
ブレクスピプラゾールが完全に溶解した後、直ちに沈殿溶媒中に剪断ヘッドを設置し、剪断の線速度を2.35m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間1分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、実施例17-1の乾燥粉末を得た。
窒素保護下で、ブレクスピプラゾールを4時間完全に溶解させた後、沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を2.35m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間1分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、実施例17-2の乾燥粉末を得た。
・関連物質の決定:
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。充填材としてオクタデシルシラン化学結合シリカを用いた(YMC-Pack Pro C18、4.6mm×150mm、3μm、または同等の効率のクロマトグラフィーカラム);0.02mol/Lリン酸二水素カリウム溶液(10%水酸化カリウム溶液でpH値を6.5に調整)を移動相Aとした;アセトニトリル-水(90:10)を移動相Bとした。
【0055】
表1および
図3は、実施例16および17の4つのサンプルにおける関連物質の試験結果を示す。ブレクスピプラゾールの溶解プロセス中に窒素保護を導入すると、未知の不純物の形成を効果的に防止できることが分かった(RRT0.59)。(RRT:相対保持時間)
【表1】
【0056】
実施例18.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
10gのブレクスピプラゾール(無水、自製)に100mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌して溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
200mLの純水および0.1gのTween80を500mLビーカーに入れた。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を3.14m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間36秒)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・懸濁液の調製:
(iii)分散剤の調製:カルボキシメチルセルロースナトリウム2.5g、リン酸二水素ナトリウム0.2gおよびマンニトール12.5gを500mLビーカーに入れ、水249mLを加えて完全に溶解するまで撹拌した。
(iv)試料の分散:試料調製ステップで得られた乾燥粉末5.7gに分散剤44.3gを添加し、手動で約5分間上下に振とうして均一に混合し、懸濁液を得た。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は3.578μmである。
【0057】
実施例19.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
10gのブレクスピプラゾールに100mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
200mLの純水および0.1gのTween80を500mLビーカーに入れた。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を1.57m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間60秒)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・懸濁液の調製:
(iii)分散剤の調製:0.1gのTween80、0.1gのリン酸水素二ナトリウム、0.06gのリン酸二水素ナトリウムおよび0.9gの塩化ナトリウムを250mLビーカーに入れ、99mLの水を加え、完全に溶解するまで撹拌した。
(iv)試料の分散:試料調製ステップで得られた乾燥粉末5.7gに44.3gの分散剤を添加し、手動で約5分間上下に振とうして均一に混合し、懸濁液を得た。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は10.586μmである。
【0058】
実施例20.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
20gのブレクスピプラゾールに200mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
400mLの純水および0.2gのTween80を1000mLビーカーに入れた。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に撹拌パドルを入れ、回転速度を500rpmに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を70mL/分の速度(送り込み時間120秒)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを2000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・懸濁液の調製:
(iii)分散剤の調製:0.1gのTween80、0.1gのリン酸水素二ナトリウム、0.06gのリン酸二水素ナトリウムおよび0.9gの塩化ナトリウムを250mLビーカーに入れ、170mLの水を加え、完全に溶解するまで撹拌した。
(iv)試料の分散:試料調製ステップで得られた乾燥粉末5.7gに分散剤44.3gを添加し、手動で約5分間上下に振とうして均一に混合し、懸濁液を得た。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は10.294μmである。
【0059】
実施例21.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
15gのブレクスピプラゾールに150mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・サンプルの調製:
ブレクスピプラゾール溶液に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を4.71m/sに調整した。室温の水を150mL/分の速度(60秒の送り込み時間)でブレクスピプラゾール溶液中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1500mLの純水で洗浄し、後の使用のために排水した。
・懸濁液の調製:
(iv)分散剤1の調製:0.2gのTween80を250mLビーカーに入れ、60mLの水を加え、完全に溶解するまで撹拌した。
(v)懸濁中間試料の分散:試料調製ステップで得られた濾過ケーキを分散剤1に添加し、剪断機を用いて線速度1.57m/sで分散させて懸濁中間試料を得たところ、薬剤含有量は133.3%であった。
(vi)分散剤2の調製および試料の均一な混合:0.6gのカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.3gのTween80、0.1gのリン酸二水素ナトリウムおよび8.1gのマンニトールを50mLビーカーに入れ、水20mLを加え、完全に溶解するまで撹拌し、分散剤2を得た。続いて、ステップ(ii)で得られた懸濁中間試料に分散剤2を添加し、均一に混合されるまで撹拌した。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は19.418μmである。
【0060】
実施例22.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
15gのブレクスピプラゾールに150mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・サンプルの調製:
ブレクスピプラゾール溶液に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を4.71m/sに調整した。4℃の水を150mL/分の速度(60秒の送り込み時間)でブレクスピプラゾール溶液中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1500mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・懸濁液の調製:
(iii)分散剤の調製:1.7gのカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.4gのTween80、0.1gのリン酸二水素ナトリウムおよび8.3gのマンニトールを250mLビーカーに入れ、170mLの水を加えて完全に溶解するまで撹拌した。
(iv)試料の分散:試料調製ステップで得られた乾燥粉末5.7gに44.3gの分散剤を添加し、手動で約5分間上下に振とうして均一に混合し、懸濁液を得た。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は17.127μmである。
【0061】
実施例23.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
15gのブレクスピプラゾールに150mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・サンプルの調製:
ブレクスピプラゾール溶液に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を10.99m/sに調整した。室温の水を150mL/分の速度(60秒の送り込み時間)でブレクスピプラゾール溶液中に送り込んだ。得られた懸濁液を剪断線速度10.99m/sで20分間さらに剪断した後、吸引濾過し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1500mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・懸濁液の調製:
(iii)分散剤の調製:1.7gのカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.4gのTween80、0.1gのリン酸二水素ナトリウムおよび8.3gのマンニトールを250mLビーカーに入れ、170mLの水を加えて完全に溶解するまで撹拌した。
(iv)試料の分散:試料調製ステップで得られた乾燥粉末5.7gに44.3gの分散剤を添加し、手動で約5分間上下に振とうして均一に混合し、懸濁液を得た。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は15.035μmである。
【0062】
実施例24.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
30gのブレクスピプラゾールに300mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
100mLの純水、100mLのジメチルスルホキシド、0.1gのTween80を500mLビーカーに入れ、氷水浴で20℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を1.57m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間60秒)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・懸濁液の調製:
(iii)分散剤の調製:1.7gのカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.4gのTween80、0.1gのリン酸二水素ナトリウムおよび8.3gのマンニトールを250mLビーカーに入れ、170mLの水を加えて完全に溶解するまで撹拌した。
(iv)試料の分散:試料調製ステップで得られた乾燥粉末5.7gに分散剤44.3gを添加し、手動で約5分間上下に振とうして均一に混合し、懸濁液を得た。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は11.766μmである。
【0063】
実施例25.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
50gのブレクスピプラゾールに500mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
0.7gのTween80を1400mLの水で数回すすぎ、ジャケット付きスチールカップに入れ、循環冷却装置で15℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を3.14m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を200mL/分の速度(送り込み時間2分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを4000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は7.796μmである。
【0064】
実施例26.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
50gのブレクスピプラゾールに500mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
0.7gのTween80を1400mLの水で数回すすぎ、ジャケット付きスチールカップに入れ、循環冷却装置で5℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を7.85m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を200mL/分の速度(送り込み時間2分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを3000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は3.134μmである。
【0065】
実施例27.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
50gのブレクスピプラゾールに500mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
0.6gのTween80を1200mLの水で数回すすぎ、ジャケット付きスチールカップに入れ、循環冷却装置で10℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を7.85m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間4分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを3000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は9.021μmである。
【0066】
実施例28.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
50gのブレクスピプラゾールに500mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
0.6gのTween80を1200mLの水で数回すすぎ、ジャケット付きスチールカップに入れ、循環冷却装置で10℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を7.85m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を200mL/分の速度(送り込み時間1.5分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを3000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は8.702μmである。
【0067】
実施例29.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
50gのブレクスピプラゾールに500mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
0.6gのTween80を1200mLの無水エタノールで数回すすぎ、ジャケット付きスチールカップに入れ、循環冷却装置で-20℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を7.85m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を200mL/分の速度(送り込み時間1.5分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを3000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は17.742μmである。
【0068】
実施例30.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
50gのブレクスピプラゾールに500mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
960mLの純水および240mLの無水エタノールをジャケット付きスチールカップに入れ、0.6gのTween80を添加し、循環冷却装置で-10℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を7.85m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を200mL/分の速度(送り込み時間1.5分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを3000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は15.468μmである。
【0069】
実施例31.ブレクスピプラゾール粉末の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
30gのブレクスピプラゾールに300mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・沈殿溶媒の調製:
120mLの純水および80mLのジメチルスルホキシドをジャケット付きスチールカップに入れ、0.1gのTween80を添加し、氷水浴で20℃に冷却した。
・サンプルの調製:
沈殿溶媒中に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を1.57m/sに調整した。ブレクスピプラゾール溶液を100mL/分の速度(送り込み時間1分)で沈殿溶媒中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1000mLの純水で洗浄し、得られた固体を40℃の乾燥オーブンに移して乾燥させ、乾燥粉末を得た。
・粒径の測定:
粒径は、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定し、平均粒径Dv50は8.321μmである。
【0070】
実施例32.ブレクスピプラゾール懸濁液の筋肉内注射後のSDラットにおけるブレクスピプラゾールの血漿濃度
実験動物:12匹のSDラット(雄)を体重に従ってランダムに3つの群(n=4)に分け、A群、B群およびC群とした。
対照製剤:0.4gのカルボキシメチルセルロースナトリウムに20gの水を加えて撹拌溶解した後、0.04gのブレクスピプラゾールを加え、薬剤が均一に分散するまで撹拌して調製したブレクスピプラゾール懸濁液(2mg/mL)。
投与様式および用量:
群A:ブレクスピプラゾール懸濁液対照製剤、10mg/kg、強制経口投与。
群B:実施例2のブレクスピプラゾール懸濁液、30mg/kg、大腿外側への筋肉内注射。
群C:実施例15のブレクスピプラゾール懸濁液、30mg/kg、大腿外側への筋肉内注射。
サンプリングおよび検出:B群およびC群については投与前(0時間)、および投与日の0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、および投与後1日目(24時間)、2日目(48時間)、3日目(72時間)、4日目(96時間)、5日目(120時間)、6日目(144時間)、7日目(168時間)、9日目(216時間)、11日目(264時間)、13日目(312時間)、15日目(360時間)、17日目(408時間)、19日目(456時間)、21日目(504時間)、25日目(600時間)、29日目(696時間)、36日目(864時間)、42日目(1008時間)、49日目(1176時間)、56日目(1344時間)および63日目(1512時間)に、尾静脈から0.25mlの血液(EDTA-K2抗凝固法を用いて)をサンプリングし、A群については投与前(0時間)、投与日の0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、6時間および8時間、投与後1日目(24時間)、2日目(48時間)に静脈から0.25mlの血液(EDTA-K2抗凝固法を用いて)をサンプリングした。採取した全血を室温で一時的に保存し、1時間以内に4000rpmで10分間遠心分離して血漿を分離した(4℃)。回収した血漿は、後の検出のために-80℃の冷凍機で保存した。投与後の血漿試料を検出し、薬剤-時間曲線を測定された血漿薬剤濃度と適合させて、薬剤動態パラメータを計算した。
【0071】
図1は、経時的なラット血漿中のブレクスピプラゾール濃度の曲線を示す。
図1から、実施例2および実施例15における試料はともに30日間の徐放効果が得られたことが分かる。しかし、実施例15のボールミル法で調製した懸濁液は、初期段階でラットにおいてゆっくりと放出され、血漿中薬剤濃度の変動が大きく、滑らかで有効な血漿中薬剤濃度を維持することが困難であった。これに対して、実施例2の溶媒沈殿法により調製された懸濁液は、効果が早く、放出が安定であり、血漿中薬剤濃度の傾向が緩やかであり、臨床投与により有利である。
【0072】
実施例33.ブレクスピプラゾール懸濁液の粒径分布および比表面積の調査
実施例2および実施例15の懸濁液中の粒子の比表面積を測定した(機器:全自動比表面積・多孔度分析装置BET、機種:Micromeritics ASAP2460)。その結果、実施例2の懸濁液中の粒子の比表面積は2.0m
2/gであり、実施例15の懸濁液中の粒子の比表面積は1.0m
2/gであることが分かった。比表面積が大きいため、実施例2の懸濁液中の粒子は、初期段階でより迅速な放出を有した。
さらに、実施例2および実施例15のブレクスピプラゾール懸濁液中の薬剤の粒度分布を
図2および表2に示す。実施例15の懸濁液中の粒子は、粒径が5~20μmに主に集中した非常に狭い粒度分布を有し、実施例2と比較して、粒径の小さい粒子および粒径の大きい粒子を欠いていることが分かる。これが、実施例15の生体内での初期段階での遅い放出および後期段階での速い放出の理由であった。一方、実施例3、実施例6、実施例23および実施例24のサンプルの粒度分布の結果も以下の表に列挙する。溶媒沈殿法により調製された試料は、より広い粒度分布を有し、リーディングエッジピークを有するものとして生体内で迅速に放出され得ることが分かる。一方、大きな粒径を有する含有粒子は、生体内で有効な血漿薬剤濃度を維持するためにゆっくりと放出され得る。
【表2】
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤の調製方法:
(a)有機溶媒にブレクスピプラゾールを溶解してブレクスピプラゾール溶液を形成するステップであり、前記有機溶媒が、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ジクロロメタン-メタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド-イソプロパノール、ジメチルホルムアミド-水、テトラヒドロフラン-水、テトラヒドロフラン-イソプロパノール、エタノール、および氷酢酸-水からなる群から選択され、好ましくは、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、ジクロロメタン-メタノール、エタノール、および氷酢酸-水からなる群から選択されるステップ、
(b1)剪断下または激しく撹拌しながら、前記ブレクスピプラゾール溶液を沈殿溶媒中に送り込み、ブレクスピプラゾールを沈殿させるステップ、または(b2)剪断下または激しく撹拌しながら沈殿溶媒を前記ブレクスピプラゾール溶液中に送り込み、ブレクスピプラゾールを沈殿させるステップであって、前記沈殿溶媒が、水、エタノールおよびジメチルスルホキシドからなる群から選択される有機溶媒、ならびにそれらの混合物からなる群から選択され、任意にTween20、Tween80、Span20、Span40、Span60、Span80、コハク酸塩およびモノステアリン酸グリセリルからなる群から選択される界面活性剤を含むステップ、
(c)得られた固体を濾過し、任意にステップ(b1)または(b2)における前記ブレクスピプラゾール溶液の体積の5倍以上、好ましくは8倍~20倍、より好ましくは10倍~15倍の量の水で洗浄するステップ、および
(d1)前記固体を乾燥させ、前記乾燥した固体と賦形剤溶液とを別々に包装して、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤を得るステップ、または(d2)乾燥後または乾燥せずに直接前記固体を賦形剤溶液中に分散させて、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤を得るステップ。
【請求項2】
ステップ(a)が窒素保護下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)における前記有機溶媒がジメチルスルホキシドであり、40℃~80℃、好ましくは50℃~70℃、より好ましくは60℃~70℃、より好ましくは約60℃~65℃の温度で撹拌しながら、前記溶解が行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(b1)または(b2)において、前記沈殿溶媒が、水もしくはエタノール、または20:1~1:20、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:5の体積比の水-エタノールもしくは水-ジメチルスルホキシドであり、前記沈殿溶媒が、前記送り込みの完了後に得られる系中にブレクスピプラゾールの0.1重量%~3重量%、好ましくは0.5重量%~2重量%の量でTween80を含む、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(b1)または(b2)において、前記送り込みが単一のポンプヘッドまたは複数のポンプヘッドによって実行され、各ポンプヘッドが、70mL/分~300mL/分、好ましくは70mL/分~220mL/分、好ましくは100mL/分~200mL/分、例えば150mL/分の送り込み速度であり、前記沈殿溶媒に対する前記ブレクスピプラゾール溶液の体積比が、2:1~1:10、好ましくは2:1~1:5、より好ましくは1:1~1:4、例えば1:2である、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(b1)または(b2)において、前記沈殿溶媒が-20℃~25℃、好ましくは0℃~20℃の温度である、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b1)または(b2)において、前記激しい撹拌が、200rpm~2000rpm、好ましくは500rpm~1000rpmの速度であり、剪断が1.57m/s~15.7m/sの線速度である、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(b1)において、前記剪断が1.57m/s~15.7m/s、好ましくは1.57m/s~4.71m/sの線速度であり、ステップ(b2)において、前記剪断が7.85m/s~12.56m/sの線速度である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(c)で得られた固体が、塩化ナトリウムなどの粒子バインダを含まない、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤であって、懸濁液であるか、または前記製剤に含まれる固体と賦形剤溶液とを混合することによって懸濁液として調製することができ、前記懸濁液が5重量%~40重量%、好ましくは5重量%~20重量%、より好ましくは7重量%~17重量%のブレクスピプラゾールを含有する、注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤。
【請求項11】
前記懸濁液中の粒子が、以下
の粒度分布:前記粒子の3%以上が5μm未満の粒径を有し、前記粒子の15%以上が20μmより大きい粒径を有する、請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
前記懸濁液中の前記粒子が、以下
の粒径分布:前記粒子の3%~25%が5μm未満の粒径を有する;前記粒子の50%~75%が5μm~20μmの粒径を有する;前記粒子の10%~15%が20μm~30μmの粒径を有する;残りの粒子が30μmより大きい粒径を有する、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記懸濁液中の前記粒子が、以下
の粒度分布:前記粒子の5%以上が5μm未満の粒径を有する;前記粒子の15%以上が20μmより大きい粒径を有する、請求項10に記載の製剤。
【請求項14】
前記懸濁液中の前記粒子が、以下
の粒径分布:前記粒子の15%~25%が5μm未満の粒径を有する;前記粒子の20%~30%が5μm~10μmの粒径を有する;前記粒子の25%~30%が10μm~20μmの粒径を有する;前記粒子の10%~15%が20μm~30μmの粒径を有する;残りの粒子が30μmより大きい粒径を有する、請求項13に記載の製剤。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
湿潤剤として、ポリソルベート(Tween20、40、60または80)、ソルビタン脂肪酸エステル(Span20、40、60または80)、ポロキサマー、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、脂肪酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンヒマシ油またはレシチンを含むがこれらに限定されない当技術分野における一般的な界面活性剤を使用することができる。好ましくは、湿潤剤は、Tween80などのTweenである。上記ステップ(d1)を有する方法では、湿潤剤は、賦形剤溶液の体積基準で、好ましくは0.01%~20%(w/v)、より好ましくは0.05%~10%(w/v)、最も好ましくは0.2%~5%(w/v)の濃度である。上記ステップ(d2)を有する方法では、湿潤剤は、好ましくは、得られた注射用持続型ブレクスピプラゾール製剤(懸濁液)の体積基準で、0.01%~20%(w/v)、より好ましくは0.05%~10%(w/v)、最も好ましくは0.1%~2%(w/v)の濃度である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
実施例21.ブレクスピプラゾール懸濁液の調製
・ブレクスピプラゾール溶液の調製:
15gのブレクスピプラゾールに150mLのジメチルスルホキシドを加え、窒素バブリング後、60℃で撹拌溶解した。
・サンプルの調製:
ブレクスピプラゾール溶液に剪断ヘッドを入れ、剪断の線速度を4.71m/sに調整した。室温の水を150mL/分の速度(60秒の送り込み時間)でブレクスピプラゾール溶液中に送り込み、吸引濾過に供し、その後の濾液を除去した。濾過ケーキを1500mLの純水で洗浄し、後の使用のために排水した。
・懸濁液の調製:
(iv)分散剤1の調製:0.2gのTween80を250mLビーカーに入れ、60mLの水を加え、完全に溶解するまで撹拌した。
(v)懸濁中間試料の分散:試料調製ステップで得られた濾過ケーキを分散剤1に添加し、剪断機を用いて線速度1.57m/sで分散させて懸濁中間試料を得たところ、薬剤含有量は133.3%であった。
(vi)分散剤2の調製および試料の均一な混合:0.6gのカルボキシメチルセルロースナトリウム、0.3gのTween80、0.1gのリン酸二水素ナトリウムおよび8.1gのマンニトールを50mLビーカーに入れ、水20mLを加え、完全に溶解するまで撹拌し、分散剤2を得た。続いて、ステップ(v)で得られた懸濁中間試料に分散剤2を添加し、均一に混合されるまで撹拌した。
・粒径の測定:
懸濁液中の粒子のサイズは、MasterSizer3000レーザー回折式粒度分析計(Malvern社)により、水を測定ビヒクルとして測定したところ、平均粒径Dv50は19.418μmである。
【国際調査報告】