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特表2024-533958バイオベースのコアシェルマイクロカプセル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】バイオベースのコアシェルマイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/14 20060101AFI20240910BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20240910BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240910BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240910BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240910BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240910BHJP
   C08G 18/64 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B01J13/14
A61K8/87
A61Q19/10
A61Q5/02
A61Q5/12
A61Q15/00
A61Q19/00
A61Q13/00 102
A61K9/14
A61K47/34
C08G18/64 084
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505590
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2021086989
(87)【国際公開番号】W WO2023006234
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】63/227,700
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【弁理士】
【氏名又は名称】小磯 貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【弁理士】
【氏名又は名称】金高 寿裕
(72)【発明者】
【氏名】テッフェンハルト,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】テッキオ,キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】スコット,ローズ
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンハワー,ジーン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4G005
4J034
【Fターム(参考)】
4C076AA61
4C076AA95
4C076BB31
4C076EE22H
4C076FF21
4C076FF68
4C076GG21
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC782
4C083AC862
4C083AD071
4C083AD072
4C083BB51
4C083CC01
4C083CC04
4C083CC17
4C083CC23
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD14
4C083DD39
4C083EE11
4C083EE12
4C083EE17
4C083EE18
4C083EE28
4C083KK03
4G005AA01
4G005AB25
4G005BA01
4G005DB05Y
4G005DB12Y
4G005DC46Y
4G005DD38Z
4G005EA03
4G005EA05
4G005EA06
4J034BA02
4J034BA03
4J034CA03
4J034CA13
4J034CB02
4J034CB05
4J034CB07
4J034CC28
4J034CC37
4J034CC45
4J034CC61
4J034CC62
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4J034CC68
4J034CC69
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4J034HA01
4J034HA07
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4J034HC12
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4J034HC67
4J034HC71
4J034JA03
4J034JA13
4J034JA28
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC23
4J034KD02
4J034QC04
4J034RA02
(57)【要約】
本発明は、完全に合成ベースである市販の最先端のマイクロカプセルと比べて製品配合における高い生分解性、安定性及び性能の良好なバランスを有する、少なくとも1つの脂溶性有効成分を含有する(アミノ)糖ベースのポリ尿素及び/またはポリウレタンベースのマイクロカプセルに関する。さらに、本発明は水相に分散された複数の前記コアシェルマイクロカプセルを含むマイクロカプセルのスラリーを開示する。加えて、本発明はマイクロカプセルのスラリー及びそれ自体に含有されるバイオベースのコアシェルマイクロカプセルの調製プロセスに関する。さらなる態様では、本明細書に記載されている本発明は、種々の消費者製品の製造のための、本発明に係るそのようなマイクロカプセル、またはマイクロカプセルを含むマイクロカプセル分散系の使用に関する。最後に、本発明は、そのようなマイクロカプセルまたはマイクロカプセル分散系を含む消費者製品にも関する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアシェルマイクロカプセルであって、前記シェルが、少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートと、20未満のモノマー単位を有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖との反応生成物である高分子材料を含み、またはそれから成り、前記コアが少なくとも1つの有効成分を含む、またはそれから成る、前記コアシェルマイクロカプセル。
【請求項2】
前記糖(複数可)及び/またはアミノ糖(複数可)が生物由来である、請求項1に記載のコアシェルマイクロカプセル。
【請求項3】
少なくとも2つのイソシアネート基を有する前記1以上のポリイソシアネートの少なくとも1つが脂肪族構造を含む、請求項1または2に記載のコアシェルマイクロカプセル。
【請求項4】
前記少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖が15以下のモノマー単位、好ましくは10以下のモノマー単位を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のコアシェルマイクロカプセル。
【請求項5】
20未満のモノマー単位を有する前記少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖が、単糖類、例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース、キシロース、マンノース、アラビノース、エリスロース、トレオース、リボース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、タロース、フコース、ラムノース、アミノ単糖、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン、二糖類、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、イソマルツロース、トレハロース、ラクツロース、セロビオース、キトビオース、イソマルトース、イソマルツロース、マルツロース、アミノ二糖、直鎖及び/または分岐鎖のオリゴ糖、例えば、マルト-オリゴ糖、例えば、マルトデキストリン、ラフィノース、スタキオース、フルクト-オリゴ糖、メリシトース、ウンベリフェロース、シクロデキストリン、直鎖及び/または分岐鎖のオリゴマーアミノ糖、例えば、キトオリゴ糖など、またはそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載のコアシェルマイクロカプセル。
【請求項6】
前記少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖が1級及び2級のヒドロキシル基(-OH)と同様に1級及び2級のアミン基(-NH、-NH-)から成る群から独立して選択される少なくとも2つの官能基を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のコアシェルマイクロカプセル。
【請求項7】
前記少なくとも1つの有効成分が、化粧品有効成分、例えば、活性がある皮膚製品成分、農薬、香水物質、香油、アロマ物質、アロマ、活性がある医薬成分、染料、UVアクティブ物質、光学的光沢剤、増粘剤、ドレープ及びフォームの制御剤、平滑剤、静電気帯電防止剤、皺防止剤、殺菌剤、消毒剤、細菌制御剤、防カビ剤、カビ汚れ防止剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、乾燥剤、耐汚染剤、防汚剤、悪臭防止剤、布地消臭剤、染料固着剤、カラー維持剤、カラー復元/回復剤、衰退防止剤、摩滅防止剤、耐摩耗剤、布地保全剤、摩耗防止剤、すすぎ助剤、UV保護剤、日光色あせ抑制剤、防虫剤、抗アレルギー剤、耐火剤、防水剤、布地柔軟剤、耐収縮剤及び/または耐伸縮剤、蛍光塗料、溶媒、ワックス、シリコーン油、潤滑剤、冷却剤、TRPV調製剤、と同様に上述の有効成分の混合物から成る群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載のコアシェルマイクロカプセル。
【請求項8】
前記マイクロカプセルが、1μm~100μm、好ましくは5μm~55μm、最も好ましくは5μm~50μmの体積基準粒度中央値(Dv(50))を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のコアシェルマイクロカプセル。
【請求項9】
前記マイクロカプセルのシェルがOECD301F生分解性基準(圧力呼吸計測試験)に従って本質的に生分解性であり、好ましくは易生分解性である、請求項1~8のいずれか1項に記載のコアシェルマイクロカプセル。
【請求項10】
マイクロカプセルのスラリーであって、水相に分散された請求項1~9のいずれか1項に記載のコアシェルマイクロカプセルを複数含み、好ましくは、前記水相内での前記マイクロカプセルの濃度が5重量%を超えて70重量%未満、好ましくは20重量%を超えて60重量%未満、最も好ましくは30重量%を超えて50重量%未満である、前記マイクロカプセルのスラリー。
【請求項11】
マイクロカプセルのスラリーを調製するプロセスであって、以下の工程:
(a)少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートと、1以上の有効成分とを含む、油相を提供する工程と;
(b)少なくとも1つの形成助剤を含む第1の水相を提供する工程と;
(c)20未満のモノマー単位を有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖を含む第2の水相を提供し、任意で、前記水相がさらに1以上の追加の形成助剤を含む工程と;
(d)前記油相と前記第1の水相とを混ぜ合わせて暫定的な水中油エマルションを得る工程と;
(e)前記第2の水相と、工程(d)で得られた前記暫定的なエマルションとを混ぜ合わせてマイクロカプセルのスラリーを得る工程と;
(f)工程(e)で得られた前記マイクロカプセルを硬化する工程とを含む、前記プロセス。
【請求項12】
請求項11に記載のマイクロカプセルのスラリーを調製することによってコアシェルマイクロカプセルを調製するプロセスであって、続いて
(g)前記スラリーから前記コアシェルマイクロカプセルを単離する工程を含む、前記プロセス。
【請求項13】
前記形成助剤(複数可)が表面活性剤(複数可)及び/またはコロイド状保護剤(複数可)である、請求項11または12に記載のコアシェルマイクロカプセルまたはコアシェルマイクロカプセルを含むスラリーを調製するプロセス。
【請求項14】
少なくとも2つのイソシアネート基を有する前記少なくとも1つのポリイソシアネートの、20未満のモノマー単位を有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖に対するモル比が1:3~1:1の範囲にある、請求項11~13のいずれか1項に記載のコアシェルマイクロカプセルまたはコアシェルマイクロカプセルを含むスラリーを調製するプロセス。
【請求項15】
前記形成助剤(複数可)が生体高分子誘導体(複数可)である、請求項11~14のいずれか1項に記載のコアシェルマイクロカプセルまたはコアシェルマイクロカプセルを含むスラリーを調製するプロセス。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか1項に記載のプロセスによって得られるコアシェルマイクロカプセルを含むスラリー。
【請求項17】
請求項12~15のいずれか1項に記載のプロセスによって得られるコアシェルマイクロカプセル。
【請求項18】
請求項1~9もしくは17のいずれか1項に記載のコアシェルマイクロカプセル、または請求項10もしくは16に記載のマイクロカプセルのスラリーを含む消費者製品であって、
前記製品が、化粧品、パーソナルケア製品、特に皮膚洗浄製品、シャンプー、洗い流しコンディショナー、消臭剤、制汗剤、ボディローション、布地ケア製品及びホームケア/家庭製品、特に液体洗剤、万能洗浄剤、洗濯剤及び洗浄剤、布地柔軟剤、香り付け剤、芳香増強剤、と同様に医薬品を含む群、またはそれらから成る群から選択される、前記消費者製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオベースではないセグメントに基づく既存の完全に合成で作り出された最先端のマイクロカプセルよりも、本発明に係るバイオベースのマイクロカプセルのシェル壁をさらに生分解性にする構成要素としてカプセル壁に天然の(アミノ)糖セグメントを含有するバイオベースのコアシェルマイクロカプセルに関する。さらに具体的には、本発明は、モノマーまたは短鎖の糖及び/またはアミノ糖を使用して形成されるポリ尿素及び/またはポリウレタンの構造に基づくマイクロカプセルのシェルを構成要素として含み、且つ少なくとも1つの脂溶性の有効成分を含有する、市販の最先端のマイクロカプセルと比べて製品配合における高い生分解性、安定性と性能(目標とする放出特性)との間で良好なバランスを有するバイオベースのマイクロカプセルに関する。さらに、本発明は、水相にて分散された複数の前記バイオベースのコアシェルマイクロカプセル(マイクロカプセル分散系)を含むスラリーを開示する。加えて、本発明は、スラリー及びそれ自体その中に含有されるコアシェルマイクロカプセルの調製プロセスに関する。さらなる態様では、本明細書に記載されている本発明は、種々の消費者製品を調製するための、本発明に係るそのようなマイクロカプセルまたはマイクロカプセルを含むマイクロカプセル分散系の使用に関する。最後に、本発明はまた、前記マイクロカプセルまたはマイクロカプセル分散系を含む消費者製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、例えば、多数の消費者製品、例えば、洗剤、布地柔軟剤、粉末洗浄剤、液状洗剤、シャワージェル、シャンプー、脱臭剤、ローションなどは芳香物質で香り付けされる、または特定の効果をもたらす化粧品成分を含有する。残念ながら、例えば、そのような製品の芳香物質または化粧品成分は製品配合の他の成分と相互作用し、または香料配合のさらに揮発性の成分は通常より早く蒸発する傾向があることが多い。その結果、このことは、時が経つにつれて芳香印象の望ましくない変化及び/または低下、または化粧品成分の通常より早い「使用」につながり、あるいはさらに、製品配合にて他の成分との不利な反応を引き起こし、製品の品質及び/または安定性の低下を生じ得る。製品の他の成分との芳香もしくは他の活性成分の考えられる相互作用を防ぎ、または例えば、芳香の揮発を防いで、所望の嗅覚印象をゆがめず、もしくは減らさないために、芳香または他の有効成分をカプセル化された形態にて配合に加えることができる。こうして、例えば、所望の嗅覚印象を保証することができる。さらに、製品成分間の相互作用を減らして製品の品質及び保管の安定性を向上させることができる。
【0003】
カプセル化は、活性成分(活性物質または有効成分としても知られる)を保護し、カプセルのコアを形成する前記物質を時間内の特定の時点で目標とする方法にて放出するのに使用される一般的な技法である。加えて、一部の有効成分または活性成分は種々の理由で(例えば、その溶解性、反応性、安定性などのために)そのまま使用できないことが多い。しかしながら、カプセル化法及び選択した材料に基づいて、脂溶性または疎水性の有効成分、例えば、香料、化粧品成分または風味料を種々の製品配合に容易に且つ安定して組み込むことができるので、香り付けした製品における相互作用または高度に揮発性の芳香成分の蒸発を減らす、または完全に防ぐ。
【0004】
コアシェルマイクロカプセルの内容物は、種々の方法、例えば、砕くもしくは剪断することによるカプセル壁の機械的な破壊、壁材料を溶融することによるカプセルの破壊、壁材料の溶解によるカプセルの破壊、または活性化後のカプセル壁を介した有効成分の拡散によって放出することができる。あるいは、生物学的なまたは酵素的な相互作用によってシェル壁を壊し、目標とする方法にて有効成分(複数可)を放出してもよい。
【0005】
界面重合はコアシェルマイクロカプセルの製造のための効率的な且つ一般的なカプセル化プロセスであり、それによって、水における疎水性コア材料、すなわち、有効成分の最初のエマルションまたは懸濁液から出発する懸濁液が作り出される。水相のモノマーもしくは試薬は界面を介して拡散し、油相の反応物質と反応し、または水相のモノマーはそれ自体と反応し、エマルション液滴の周りの層もしくはコア材料の分散している液粒子に堆積し、重合してコンパクトな架橋した且つ連続的なカプセルシェルを形成する。壁材料と架橋の程度とに応じて、マイクロカプセルのさまざまな特性を達成することができる。
【0006】
疎水性の相に溶解したポリイソシアネートと水相に溶解したポリアミン及び/またはジオールまたはポリオールとの間での界面重合によって形成されるポリ尿素ベースの、ポリウレタンベースの、またはポリ尿素/ポリウレタンを混合したマイクロカプセルは、香料製造業を含む種々の技術分野で使用される周知のカプセルである。
【0007】
多数の現在開発されているポリ尿素ベースの及び/またはポリウレタンベースのカプセル化配合には、エマルション安定化剤(例えば、界面活性剤または保護コロイド)と共に、少なくとも1つの多官能性アミン(例えば、グアニジン塩、芳香族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、またはアルキルポリアミン)及び/または少なくとも1つのポリオール(グリセロール、酸化アルキル、酸化アルキレン、脂肪族ポリオール及び芳香族ポリオール)を含有する水相に分散された少なくとも1つのポリイソシアネートで溶解された香料の使用が関与する。あるいは、エマルションの液状コアは、2つの液相間の界面に吸着する保護コロイド及び/または界面活性剤の代わりに1μmサイズより小さい固体粒子(例えば、デンプン、シリカ、金属酸化物)を使用することによって安定化される(いわゆるピッカリングエマルション)。
【0008】
小型モノマー、すなわち、シェルの構成要素の拡散によって、シェルは最初に迅速に形成される。しかしながら、シェルが成長するにつれて、油相に向かうシェルを介したモノマーの拡散速度が低下し、シェル形成反応の速度が低下する。構成要素としてのさらに大きいモノマーの場合、他方で、反応領域(すなわち、油相)への拡散が妨害されるので、徐々に遅くなり、したがって、表面架橋した構造だけが形成されて前記さらに大きい構成要素のポリイソシアネートとの反応の低下を生じ、低下した機械的安定性と併せてカプセル壁の高い多孔性に起因して目標とする放出に先立って、有効成分をカプセルの外に拡散させてしまう。加えて、油性コアシェルマイクロカプセルの調製のためのこれらの配合には、エマルションの油滴の表面に配置して水相の表面張力を低下させる形成助剤として保護コロイド、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、水溶性アクリレートコポリマー、修飾デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体、及び他の大きな多糖類、及び/または表面活性がある非イオン性、カチオン性またはアニオン性の物質(いわゆる界面活性剤)の使用が必要である。それによって、拡散が妨害されるにつれて、油相と水相との界面に向かう構成要素の拡散の程度が低くなることに起因して、油滴の表面上での油相におけるポリイソシアネートと水相におけるポリアミン及び/またはポリオールとの界面重合反応が制限され、したがって同様に、尿素/ウレタンベースの連結の程度が制限された表面架橋した構造を生じる。
【0009】
しかしながら、最先端のコアシェルマイクロカプセルは、その完全に合成のシェル材料が大部分、加水分解に安定であり、環境的分解に耐性であるという短所を有する。
【0010】
生分解性ではないプラスチック粒子はその環境的影響に関する国民の批判にますますされられるので、且つ増加の一途をたどる社会的圧力ならびに環境面及び健康面という点でのプラスチックに関する新しい及び将来の規制当局(政府、国及び地域)による規制のためにバイオベースの且つさらに生分解性の解決策への要求が高まるので、環境におけるマイクロプラスチックの削減及びさらに生態に敏感な製品、好ましくはバイオベースの製品に向かう生分解性の増大を達成するために新しいカプセル化材料の開発が必要である。したがって、今日では、主にバイオベースの且つ生分解性の材料が注目の的である。
【0011】
界面重合によって製造される最先端のマイクロカプセルは、環境にて大部分生分解性ではない(直接否定的な環境影響を有することによってまたは生分解性ではない残留物を生じることによって)、または有効成分の効率的なカプセル化について十分な安定性を示さない、完全に合成で導出されるポリ尿素、ポリウレタン、アミノプラスト、ポリアクリレートの構造、またはこれらの構造の混合物に基づく。したがって、合成のみではなく、環境にて生分解性であり、同時に安定性が高いマイクロカプセルが求められている。
【0012】
さらに天然ベースの製品に向かう第1の工程は、例えば、マイクロカプセルの追加の安定性のためのポリアルデヒド及び多価塩のような物質の代わりにポリウレタンベースのコアシェル基材上での追加のコーティングとして高分子量のマルトデキストリン及びキトサンのような高分子量の多糖類及びアミノ多糖類を使用することによって、「生分解」の印象を達成するための「グリーンウォッシュ」と呼ばれる非分解性のコアシェルカプセル基材上に生分解性のコーティングを調製することによって行われている。しかしながら、キトサンは酸性溶液に数パーセントしか溶けないので、マイクロ粒子のシェルにそのまま組み込むのは強く制限される。さらに、生分解性のデンプン及びセルロースを合成ポリマーに部分的に組み込んで高い「生分解性」の印象を達成する試みが行われた。
【0013】
例えば、WO2020/058044A1(Givaudan)は、分散媒に分散された複数のマイクロカプセルを含む消費者製品を記載しており、その際、マイクロカプセルのシェルはキトサンでコーティングされ、分散媒は追加の遊離のキトサンを含む。それによって、分散媒に含まれる遊離のキトサンは好ましくは、500,000g/モル~3,000,000g/モルの間の分子量を有し、マイクロカプセルのシェルをコーティングするキトサンは好ましくは30,000g/モル~300,000g/モルの範囲の分子量を有する。
【0014】
WO2019/175017A1(Givaudan)では、懸濁媒にて少なくとも1つのコアシェルマイクロカプセルを含む組成物が開示されており、その際、シェルは、アミロペクチン、デキストリン、超分岐デンプン、グリコーゲン及びフィトグリコーゲン及びそれらの混合物から成る群から選択される、1,6-グリコシド結合の1,4-グリコシド結合に対する特定の比を有する超分岐多糖を含む。これらのマイクロカプセルはケラチン基材上での改善された析出挙動及び改善された耐すすぎ性を示す。
【0015】
US2020/0046616A1(国際的な風味及び芳香)は、ポリ尿素ベース及びポリウレタンベースのカプセル組成物、ならびにポリイソシアネートと、ペクチン、キトサン、アルギニン、リシン、ポリリシン、タンパク質、ゼラチン、グアーガム、及びヒドロキシエチルセルロースから成る群から選択される1以上の材料とを含有する活性エマルションに基づいてカプセル組成物を調製する方法に言及している。
【0016】
マイクロカプセル組成物はWO2019/210125A1(国際的な風味及び芳香)に開示されており、その際、カプセル化するポリマーは、多官能性の求電子試薬と多官能性の求核試薬との反応生成物であるポリ尿素ポリマーを含有し、多官能性求電子試薬はポリイソシアネートを含有し、多官能性求核試薬は>30,000g/モルの分子量を有するキトサンのようなポリアミンを含有する。
【0017】
WO2019/179939A1(Firmenich)は、油ベースのコアと、低レベルの高分子量キトサン(N-アセチルグルコサミンポリマー)の存在下でのモノマー及び主要なシェル材料としての修飾デンプンの間の反応から形成されるシェルとで出来たマイクロカプセルを開示している。
【0018】
US5,780,060A(Centre National de la Recherche Scientifique)は、二酸ハロゲン化合物架橋剤によって界面で架橋された少なくとも1つの植物ポリフェノールと、少なくとも1つの植物ポリフェノールと共架橋したタンパク質、多糖、ポリアルキレングリコールまたはそれらの混合物とから形成された壁を含むマイクロカプセルに関する。
【0019】
最先端技術で使用されるキトサンは、約2000モノマー(またはモノマー単位)から成るキチンに由来する天然の生体高分子(生体巨大分子)であり、さらに具体的には、β-1,4グリコシド結合したN-アセチルグルコサミンとD-グルコサミンの単位から成る高分子アミノ糖(ポリアミノ糖とも呼ばれる)である。市販のキトサンはふつう、少なくとも30,000g/モルの高い分子量を示す。上記で示されているように、キトサンはマイクロカプセルのシェル組成物へのわずかな組み込みしか可能でないように有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、またはクエン酸)での溶解性に限界がある。加えて、物質の嵩高性のために効率的な架橋が妨害される。それによって、大きなキトサン分子はコアシェルマイクロ粒子の壁構成にてそれ自体の成分ではなくコーティングを形成する。その結果、そのような嵩高ポリマーを含有するマイクロカプセルについては、安定性及び性能の低下が予想される。
【0020】
上記の観点から、本発明は、同時に一方では高い生分解性で環境にさらに優しい、且つ他方では、保管安定性であり(特に製品配合にて)、有効成分の優れた放出挙動を示す、すなわち、優れた性能を示す、コアシェルマイクロカプセル、と同様にそのようなマイクロカプセルの調製のためのプロセスを提供する複雑な課題に基づく。
【0021】
良好な安定性と良好な放出特性の双方を有するマイクロカプセルを製造するのは特に難しい。有効成分を保持する、したがって揮発性成分の損失を防ぐカプセルの能力は製品基剤におけるカプセルの安定性に特に依存する。シェル組成、したがって、前記カプセルの安定性及び生分解性は使用される出発材料の影響を主として受ける。カプセルの安定性及び放出挙動はシェルの組成、その形態及び厚さの影響を主として受ける。したがって、安定性が良好なカプセルは特に、自然の成り行きで良好な生分解性を示さない。架橋の程度が増すにつれて、マイクロカプセルの安定性は大部分高まる一方で、同時にカプセルシェルを生分解する能力は低下する傾向がある。加えて、非常に安定なマイクロカプセルはふつう、マイクロカプセルの破壊として低い性能を示すので、有効成分(複数可)の放出は妨害される。しかしながら、マイクロカプセルが不安定すぎれば、保管中にすでに破壊される、または有効成分の漏出を生じ、いずれも上手く行かない。
【0022】
したがって、本発明は、好ましくは高い生分解特性を示し、同時に傑出した安定性と同様に優れた放出特性、すなわち、カプセル性能を示す環境的にさらに適合するカプセル壁材料に基づくマイクロカプセルの提供に着目している。カプセル壁自体の高分子材料だけでなく、崩壊の間に作り出される断片のそれぞれもさらに環境的に適合性であることが重要である。
【0023】
したがって、本発明の目的は、高い生分解性を有する持続可能な且つ環境に優しいマイクロカプセル、特に少なくとも1つの疎水性有効成分、好ましくは、最先端のマイクロカプセルと比べて向上した生分解性、安定性及び性能の良好なバランスを示す、単一の臭気化合物または臭気化合物の混合物または香水混合物または化粧品成分から成る芳香物質を含むマイクロカプセルと同様にそのようなマイクロカプセルの分散系(マイクロカプセルのスラリー)の調製のためのプロセスを提供することである。
【0024】
本発明の目的はまた、高い生分解性の追加の恩恵がある環境的に持続可能なマイクロカプセル、と同様に前記マイクロカプセルを含有する消費者製品を提供することである。
【0025】
本発明のこれらの及び他の目的及び利点は以下の開示から明瞭になるであろう。
【0026】
驚くべきことに、この課題は、カプセル壁にて主要な構成要素として、それ自体生分解性である架橋されたバイオベースの、または天然の低分子量または短鎖の材料、特に20未満のモノマー単位を有する天然の(アミノ)糖セグメントを含有する、本発明に係るバイオベースのコアシェルマイクロカプセルによって解決することができることが見いだされた。これらのバイオベース/天然の材料の反応を介したカプセルシェルへの組み込みは、バイオベースではない最先端のカプセルと比べて高い生分解特性を持つ生態にさらに優しいカプセル材料を生じる。例えば、香料、化粧品、ビタミンなどのような有効成分をコアとして含有するそのようなコアシェルマイクロカプセルは、反応性架橋剤と、1以上の-OH基及び/または1以上の-NH-または-NH基及び/または1以上の-SH基を有する官能性のモノマー、ダイマー、オリゴマー及び/または短鎖ポリマーの(アミノ)糖及び/または対応するチオ糖との間での界面反応を介して効率よく形成され得ることが見いだされている。加えて、これらのマイクロカプセルは(特に製品配合にて)非常に安定であり、前記製品配合にて長期間保管した後でさえ、最先端のマイクロカプセルのそれよりも優れている優れた放出特性を示すことが見いだされた。かなり減ったシェル壁部分/厚さを有するマイクロカプセルについても驚くべきことにこれらの優れた且つバランスの取れた特性が見いだされている(実施例11及び12を参照のこと)。
【発明の概要】
【0027】
第1の態様では、本発明はバイオベースのコアシェルマイクロカプセルに関するものであり、その際、シェル組成は、少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、好ましくは少なくとも2つのそのようなポリイソシアネートの混合物と、20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、さらに好ましくは10以下のモノマー単位をそれぞれ独立して有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖(すなわち、反復単位またはモノマー(アミノ)糖単位)との反応生成物である高分子材料を含み、またはそれから成り、且つ、カプセルのコアは少なくとも1つの有効成分を含む、またはそれから成る。
【0028】
第2の態様では、本発明は、水相に分散された本発明に係る複数のコアシェルマイクロカプセルを含むマイクロカプセルのスラリーに関するものであり、好ましくはその際、水相内でのマイクロカプセルの濃度は5%を超えて70%未満、好ましくは20%を超えて60%未満、最も好ましくは30%を超えて50%未満である。
【0029】
第3の態様では、本発明はマイクロカプセルのスラリー(すなわち、マイクロカプセル分散系)を調製するプロセスに関するものであり、以下の工程:
(a)少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、好ましくは少なくとも2つのそのようなポリイソシアネートの混合物と、1以上の、好ましくは疎水性の有効成分(複数可)とを含む油相を提供する工程と;
(b)少なくとも1つのカプセル形成助剤を含む第1の水相を提供する工程と;
(c)20未満のモノマー単位をそれぞれ独立して有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖を含み、任意で当該水相がさらに1以上のカプセル形成助剤(複数可)を含む第2の水相を提供する工程と;
(d)油相と第1の水相とを混ぜ合わせて暫定の水中油エマルションを得る工程と;
(e)第2の水相と工程(d)で得られた暫定の水中油エマルションを混合してマイクロカプセルのスラリーを得る工程と;
(f)工程(e)で得られたマイクロカプセルを硬化する工程とを含む。
【0030】
任意で、プロセスは追加の工程(f2)を含み、その際、天然ガム(例えば、キサンタンガム、ゲランガム、ジウタンガム、セルロースガム)または他の非ガム懸濁助剤、例えば、微細結晶セルロース(Vivapur(登録商標),J.Rettenmeier & Soehne GmbH+Co)から選択される1以上の懸濁助剤または構造化助剤は増粘剤として加えられて高い懸濁安定性を提供する。
【0031】
別の態様では、本発明は、工程(f2)に続いて、または工程(f2)に代わって工程(g)スラリーからコアシェルマイクロカプセルを単離し、得られたままの単離したコアシェルマイクロカプセルを乾燥させる工程を含む、上述のプロセスに係るスラリーを調製することによってバイオベースのコアシェルマイクロカプセルを調製するプロセスに関する。
【0032】
さらに別の態様では、本発明は、上述のような本発明に係るプロセスによって得られるコアシェルマイクロカプセルを含むスラリー(すなわち、マイクロカプセル分散系)に関する。さらに、本発明はまた、それ自体本発明に係るプロセスによって得られるコアシェルマイクロカプセルにも関する。
【0033】
加えて、本発明は、種々の消費者製品の調製のための本発明のコアシェルマイクロカプセル及び/またはコアシェルマイクロカプセルを含む本発明のスラリーの使用に関する。
【0034】
最後に、本発明は、本発明に係るバイオベースのコアシェルマイクロカプセルまたは本発明に係るマイクロカプセルのスラリーを含む消費者製品に関するものであり、その際、消費者製品はとりわけ、化粧品、パーソナルケア製品、特に皮膚洗浄及び皮膚ケアの製品、シャンプー、洗い流しコンディショナー、消臭剤、制汗剤、ボディローション、布地ケア製品、及びホームケア/家庭製品、特に液体洗剤、万能洗浄剤、洗濯剤及び洗浄剤、布地柔軟剤、香り付け剤、液状または固形の形態での芳香増強剤、と同様に医薬品から成る群から選択される。
【0035】
驚くべきことに、本発明に係るバイオベースのコアシェルマイクロカプセルは高い生分解性を示すと同時に、高い機械的、熱的及び化学的な安定性を示し、同様に優れた放出特性を示すことが見いだされた。
【0036】
本発明のこれらの及び他の態様、特徴及び利点は以下の詳細な説明、図面及び特許クレームを検討することによって当業者に明らかになる。本発明の一態様に由来する各特徴は本発明の別の態様で使用することができ、または交換することができる。本明細書に含有される実施例によって本発明を制約することなく本発明が説明される。
【0037】
「糖」という用語は本明細書で使用されるとき、「糖」、「アミノ糖」及び/または「チオ糖」という特徴を包含するものと理解されることになっており、例えば、「糖ベースのマイクロカプセル」に言及する場合、本明細書で定義されているような構成要素を使用して形成されるマイクロカプセルの変形すべてを意味し、すなわち、20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位をそれぞれ独立して有する糖構成要素、アミノ糖構成要素及び/またはチオ糖構成要素の重合に基づいて形成されるカプセルを意味する。
【0038】
「少なくとも1つ」または「1以上」という用語は本明細書で使用されるとき、1以上を指し、同義で使用される。「少なくとも2つ」及び「2以上」または「1より多い」という用語は本明細書で使用されるとき、2、3、4以上を指し、同義で使用される。
【0039】
「x~y」の形態で与えられる数的例は言及される値を含める。いくつかの好ましい数的範囲がこの形式で与えられる場合、異なる端点の組み合わせから生じる範囲すべても含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1A】機械乾燥の後、それぞれ布地柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、最先端のマイクロカプセル(比較例13;ポリ尿素マイクロカプセルに係る)及び実施例1に係るマイクロカプセルの放出特性の感覚評価の結果を示す図である。
【0041】
図1B】ロープ乾燥の後、それぞれ布地柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、最先端のマイクロカプセル(比較例13;ポリ尿素マイクロカプセルに係る)及び実施例1に係るマイクロカプセルの放出特性の感覚評価の結果を示す図である。
【0042】
図2A-B】それぞれ機械乾燥及びロープ乾燥の後、それぞれ布地柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、実施例2に係るマイクロカプセルの放出特性の感覚評価の結果を示す図である。
【0043】
図3A-B】それぞれ機械乾燥及びロープ乾燥の後、それぞれ布地柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、実施例3に係るマイクロカプセルの放出特性の感覚評価の結果を示す図である。
【0044】
図4A-B】それぞれ機械乾燥及びロープ乾燥の後、それぞれ布地柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、実施例4に係るマイクロカプセルの放出特性の感覚評価の結果を示す図である。
【0045】
図5A-B】それぞれ機械乾燥及びロープ乾燥の後、それぞれ布地柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、実施例5に係るマイクロカプセルの放出特性の感覚評価の結果を示す図である。
【0046】
図6A】機械乾燥の後、それぞれ柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、最先端のマイクロカプセル(比較例13に係る;ポリ尿素マイクロカプセル)及び実施例6に係るマイクロカプセルの放出特性の感覚評価の結果を示す図である。
【0047】
図6B】ロープ乾燥の後、それぞれ柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、最先端のマイクロカプセル(比較例13に係る;ポリ尿素マイクロカプセル)及び実施例6に係るマイクロカプセルの放出特性の感覚評価の結果を示す図である。
【0048】
図6C】機械乾燥の後、それぞれ柔軟剤にて4週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、実施例6に係るマイクロカプセルの感覚評価の結果を示す図である。
【0049】
図6D】ロープ乾燥の後、それぞれ柔軟剤にて4週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、実施例6に係るマイクロカプセルの感覚評価の結果を示す図である。
【0050】
図7A-B】それぞれ機械乾燥の後及びロープ乾燥の後、それぞれ柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、実施例7に係るマイクロカプセルの放出特性の感覚評価の結果を示す図である。
【0051】
図8A-D】図8A及び図8Bは、それぞれ機械乾燥の後及びロープ乾燥の後、それぞれ柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、実施例8に係るマイクロカプセルの放出特性の感覚評価の結果を示す。図8C及び図8Dは、柔軟剤にて4週間エイジングを行ったカプセルの放出特性の感覚評価の対応する結果を示す。
【0052】
図9A-B】それぞれ機械乾燥の後及びロープ乾燥の後、それぞれ柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、実施例9に係る2つのマイクロカプセル試料(実施例9A及び9B)の放出特性の感覚評価の結果を示す。
【0053】
図9C-D】それぞれ機械乾燥の後及びロープ乾燥の後、それぞれ柔軟剤にて4週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、実施例9に係る2つのマイクロカプセル試料(実施例9C及び9D)の放出特性の感覚評価の結果を示す。
【0054】
図10A-D】図10A及び図10Bは、それぞれ機械乾燥の後及びロープ乾燥の後、それぞれ柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、実施例10に係るマイクロカプセルの放出特性の感覚評価の結果を示す。図10C及び図10Dは、乾燥の後、柔軟剤にて4週間エイジングを行ったカプセルの放出特性の感覚評価の対応する結果を示す。
【0055】
図11A】ロープ乾燥の後、それぞれ柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における実施例11及び12に係るマイクロカプセルと比べた、最先端のマイクロカプセル(実施例13に係る;ポリ尿素マイクロカプセル)の放出特性の感覚評価の結果を示す。
【0056】
図11B】ロープ乾燥の後、それぞれ柔軟剤にて4週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における実施例11及び12に係るマイクロカプセルと比べた、最先端のマイクロカプセル(実施例13に係る;ポリ尿素マイクロカプセル)の放出特性の感覚評価の結果を示す。
【0057】
図12A-D】図12A及び図12Bは、それぞれ機械乾燥の後及びロープ乾燥の後、それぞれ柔軟剤にて1週間エイジングを行った、布地柔軟剤配合における純粋な芳香油参照と比べた、実施例12に係るマイクロカプセルの放出特性の感覚評価の結果を示す。図12C及び図12Dは、乾燥の後、柔軟剤にて4週間エイジングを行ったカプセルの放出特性の感覚評価の対応する結果を示す。
【0058】
図13】45日に延長したインキュベート期間の間での安息香酸ナトリウム及び毒性対照(本発明に係るマイクロカプセルと安息香酸ナトリウムの混合物)と比べた、OECD 301Fに従った実施例1(試料#1)に係るマイクロカプセルの生分解性の上昇を示す。
【0059】
図14】28日のインキュベート期間の間での安息香酸ナトリウム及び毒性対照(本発明に係るマイクロカプセルと安息香酸ナトリウムの混合物)と比べた、OECD 301Fに従った実施例2(試料#2)に係るマイクロカプセルの生分解性の上昇を示す。
【0060】
図15】比較例13に従って調製され、US6,586,107B2に開示されたカプセルに相当する完全に合成のポリ尿素ベースの最先端のマイクロカプセルのOECD 301Fに従った生分解性の結果を示す。
【0061】
図16A-M】対応するマイクロカプセルスラリー内での実施例1~12に係るマイクロカプセル及び比較例13に係るマイクロカプセル(ポリ尿素マイクロカプセル)の体積基準粒度中央値の分布を示す。図16Iは実施例9Aに対応する。
【0062】
図17】インキュベート期間の間での安息香酸ナトリウム及び毒性対照(本発明に係るマイクロカプセルと安息香酸ナトリウムの混合物)と比べた、OECD 301Fに従った実施例6に係るマイクロカプセルの生分解性の上昇を示す。
【0063】
図18】インキュベート期間の間での安息香酸ナトリウム及び毒性対照(本発明に係るマイクロカプセルと安息香酸ナトリウムの混合物)と比べた、OECD 301Fに従った実施例7に係るマイクロカプセルの生分解性の上昇を示す。
【0064】
図19】インキュベート期間の間での安息香酸ナトリウム及び毒性対照(本発明に係るマイクロカプセルと安息香酸ナトリウムの混合物)と比べた、OECD 301Fに従った実施例8に係るマイクロカプセルの生分解性の上昇を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
第1の態様では、本発明はバイオベースの、または(アミノ)糖ベースのコアシェルマイクロカプセルに関するものであり、その際、シェルは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、好ましくはそれぞれ少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも2つのポリイソシアネートの混合物と、20未満のモノマー単位をそれぞれ独立して有する、すなわち、20未満のモノマー単位(単糖単位及び/またはモノマーアミノ糖単位)を含む、または好ましくはそれから成る少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖との反応生成物である高分子材料を含み、またはそれから成り、コアは、好ましくは自然界では疎水性である少なくとも1つの有効成分、例えば、芳香化合物を含む、またはそれから成る。
【0066】
好ましくは、糖及び/またはアミノ糖の構成要素または構成成分は、単糖、二糖及び/または(直鎖または分岐鎖の)オリゴ糖、及び/またはモノマー、ダイマー及び/または(直鎖または分岐鎖の)オリゴマーのアミノ糖(オリゴアミノ糖としても知られる)、または任意の組み合わせでのこれらモノマー、ダイマーもしくはオリゴマーの化合物の混合物である。しかしながら、それらが20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位を含む限り、またはそれから成る限り、短鎖高分子構造も構成要素として好適である。
【0067】
したがって、さらに、20未満のモノマー単位を持つ、すなわち、19以下のモノマー単位を有する短鎖の(直鎖または分岐鎖の)多糖(高分子糖)及び/またはアミノ多糖(高分子アミノ糖)が好適であり、本発明に係るカプセル壁を形成するのに任意の組み合わせにて単独で、または前述のモノマー、ダイマーもしくはオリゴマーの化合物との組み合わせで構成要素として使用され得る。
【0068】
本発明の文脈では、マイクロカプセルは、カプセルの内部にコア材料として少なくとも1以上の有効成分(複数可)を含有し、且つカプセルシェルまたはカプセル壁によって囲まれる、界面重合によって製造されるマイクロ粒子である。有効成分は好ましくは疎水性または脂溶性の有効成分である。そのような有効成分は水に不溶である、または難溶であるが、脂肪及び油には非常に可溶性である。「マイクロカプセル」と「カプセル」という用語は本発明の文脈内では同義に使用され、「疎水性」と「脂溶性」という用語、及び「シェル」と「壁」という用語も同様である。
【0069】
本発明の文脈では、カプセルシェルまたはカプセル壁は好ましくは、本明細書で特定されているように、反応し、イソシアネートによって架橋されて、優れた放出特性、すなわち、放出性能を持つ、安定で高度に効率的な、しかし同時に生分解性が高いカプセルシェルを作り出す糖及び/またはアミノ糖に基づく。
【0070】
驚くべきことに、本発明のバイオベースの/(アミノ)糖ベースのコアシェルマイクロカプセルは、完全に合成の構造に基づく、さらに具体的にはグアニジンベースの構成要素に基づく最先端のマイクロカプセルと比べて、標準化されたOECD 301F試験手順に従って高い生分解特性を持つ(図13~15及び16~19を参照のこと)ことが見いだされた。最先端技術による完全に合成のカプセルがほぼ全く生分解性を示さない一方で、本発明のカプセルシェルはOECD 301F生分解性基準による相当に高い生分解性を示す。
【0071】
同時に、本発明のマイクロカプセルは、回転式乾燥機または熱にて普及するもののような機械的影響に対して高い機械的な及び熱的な安定性を示す、と同様に例えば、製品配合内での高い化学的安定性を示すが、同時に有効成分(複数可)の効率的な、目標とするシグナルが誘導する放出を可能にする。加えて、感覚実験は、有効成分としての香料の場合、高い芳香強度が感知され得たが、それは、本発明のコアシェルマイクロカプセル内に芳香が効率的に封入されることを示唆しており、有効成分のマイクロカプセルの外への拡散に起因する損失の効率的な低減を示している(図1~12を参照のこと)。同時に、このことはまた、前記カプセルの性能と安定性の間の効率的なバランスも実証している。さらに、本発明のマイクロカプセルは、少なくとも4週間の布地柔軟剤のような消費者製品配合内で高い安定性を示した。その結果、最先端技術の教示に反してバイオベースの構成成分に基づくにもかかわらず、有効成分の効率的なカプセル化及び同時に高い性能を可能にする非常に安定なマイクロカプセルを作り出すことが可能だった。
【0072】
それによって、(アミノ)糖構成要素(及び/またはチオ糖構成要素)は、生物攻撃及び分解のための部位として役立つので、本発明に係るマイクロカプセルの環境影響全体を有意に減らすことが見いだされた。その結果、本発明のバイオベースのコアシェルマイクロカプセルは主に相当に高い生分解性という点で最先端のマイクロカプセルとは異なるので、さらに環境に優しいが、効率的な消費者製品配合の開発にさらに好適である。
【0073】
その結果、好ましい変形では、本発明は第1の態様に係るコアシェルマイクロカプセルに関するものであり、その際、マイクロカプセルは最先端のマイクロカプセルと比べて高い生分解性を示し、好ましくは本質的に生分解性であり、さらに好ましくは易生分解性であるので、OECD 301F生分解性基準(圧力呼吸計測試験)に従って高い生分解特性を示す。いくつかの例については、試験は公式な試験手順に従って45日に延長された。
【0074】
しかしながら、好ましくは2以上のポリイソシアネートの混合物がカプセル壁の形成に、すなわち、イソシアネート成分または架橋剤として使用される。これらはさらに安定な且つ性能が良好なマイクロカプセル、ひいては改善されたカプセル特性を生じる。さらに、例えば、脂肪族構造を有するポリイソシアネートは、例えば、芳香材料のような揮発性の有効成分の効率的なカプセル化を可能にするさらに安定なコアシェルマイクロカプセルを生じ、2以上の異なるポリイソシアネートの組み合わせはカプセル特性という点で、特にこれらのポリイソシアネートの少なくとも1つが脂肪族ポリイソシアネートである場合、または代わりに混合物に含まれるポリイソシアネートのすべてが自然界では脂肪族である場合(例えば、実施例3及び4を参照のこと)に有利であり、安定性及び性能、すなわち、放出挙動のような改善された特性を持つカプセルの形成を可能にすることが観察されている。
【0075】
したがって、代替の実施形態では、コアシェルマイクロカプセルが開示されており、その際、少なくとも2つのイソシアネート基、すなわち、2以上のイソシアネート官能性を有する1以上のポリイソシアネートの少なくとも1つは、本明細書で特定されるように、脂肪族構造、好ましくは脂環式構造を含む。したがって、好ましくは少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートが本発明に係るコアシェルマイクロカプセルの調製に使用される。それに関して、この脂肪族ポリイソシアネートは他の脂肪族ポリイソシアネートとの混合物で、または代わりに芳香族ポリイソシアネートとの混合物で、またはさらなる脂肪族及び芳香族のポリイソシアネートとの混合物で使用することができる。
【0076】
したがって、本発明の一実施形態は、1以上の脂肪族ポリイソシアネートを使用して調製される、または少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートの、それぞれ20未満のモノマー単位を有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖との反応生成物を含む、本発明に係るマイクロカプセルに関する。
【0077】
別の好ましい実施形態では、カプセルは、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートの混合物を使用して調製され、非常に効率的なマイクロカプセルを生じる。
【0078】
それに関して、好ましくは少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートの少なくとも1つ芳香族ポリイソシアネートに対するモル比または重量比、一層さらに好ましくはモル比は、好ましくは1を超えるモノマー単位を有するアミノ糖に好ましくは基づくまたはそれを含むマイクロカプセル(実施例11を参照のこと)については85:15、一層さらに好ましくは90:10~99:10の範囲である。したがって、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートの少なくとも1つ芳香族ポリイソシアネートに対するモル比または重量比、一層さらに好ましくはモル比は好ましくは、好ましくは1を超えるモノマー単位を有するアミノ糖に好ましくは基づくまたはそれを含むマイクロカプセルについては85:15よりも高く、好ましくは90:10よりも高い。これらの比に基づいて、安定性が高いが、同時に性能に優れた、製品配合内で高い安定性を示すカプセル(目標とする放出挙動という点で)を調製することができる。
【0079】
好ましくは、2以上のポリイソシアネートとの混合物が使用される場合、前記混合物は80モル%を超える脂肪族の成分/ポリイソシアネートを含む、またはそれから成る、すなわち、脂肪族の成分/ポリイソシアネートのモル分率は好ましくは、1を超えるモノマー単位を有するアミノ糖に基づくまたはそれを含むマイクロカプセルについてはイソシアネートの混合物にて80%を超える、一層さらに好ましくは81%、さらに好ましくは少なくとも85モル%、最も好ましくは90モル%であることが好ましい。驚くべきことに、イソシアネートの総含量に対してそのように高いモル含量の脂肪族イソシアネートを有するマイクロカプセルは、布地柔軟剤のような液状製品配合にて4週間エイジングを行った後でさえ優れた安定性及び性能を示し、したがってカプセル特性全体のバランスの向上を示すことが見いだされた。これらの優れた特性は、相当に低下したシェル含量を有する、すなわち、シェルの厚さが相当に減っているマイクロカプセルについては特に驚くべきことである(実施例11及び12及び図11~12を参照のこと)。
【0080】
ポリイソシアネート(複数可)の増強された架橋、したがって重合は、好ましくは15以下、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位をそれぞれ独立して有する糖及び/またはアミノ糖について達成されてもよく、さらに安定な且つ性能が良好なカプセルをもたらす。加えて、これらのカプセルについては、安定性、放出性能及び生分解性の間で向上したバランスが観察され得た。対応するチオ糖についても同様である。さらに一層好ましくは、1以上の糖及び/または1以上のアミノ糖はモノマーであり、最も好ましくはそれはグルコサミンである。
【0081】
したがって、少なくとも1つの糖及び/またはアミノ糖が10以下のモノマー単位を有するコアシェルマイクロカプセルが特に好ましい。
【0082】
構成要素、すなわち、イソシアネート構成成分(複数可)と(アミノ)糖構成成分(複数可)との重合に基づく効率的なカプセル化を達成するために、少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖は、ポリウレタン及び/またはポリ尿素ベースの連結の形成を可能にする1級及び2級のヒドロキシル基(-OH)と同様に1級及び2級のアミン基(-NH、-NH-)から成る群から独立して選択される少なくとも2つの官能基を含有することがさらに必要である。
【0083】
代わりに、または上記の(アミノ)糖との組み合わせにて、チオ糖を好適に使用することができ、それは構成要素間にポリチオウレタンの構造/連結、または前述のポリウレタン及び/またはポリ尿素ベースの連結とのこれらの混合物を形成するのを可能にする1以上の官能性チオール基(-SH)を有する。
【0084】
本発明の生態に優しいコアシェルマイクロカプセルは、種々の有効成分の効率的なカプセル化を可能にするので、広範な消費者製品配合への組み込みを可能にする。
【0085】
好適な有効成分は、例えば、毛髪コンディショニング剤または活性がある皮膚製品の成分、例えば、皮膚保湿剤、皺防止剤、皮膚コンディショニング剤、皮膚美白剤、抗ニキビ剤などのような化粧品の有効成分、と同様に単一の香料物質または香水物質を意味する香料または香水(臭気物質または芳香物質とも呼ばれる)、すなわち、臭いまたは匂いを有する化合物、ひいては嗅覚で感知可能な匂いを付与する天然の及び合成の物質すべて、または1以上の芳香物質もしくは香水物質の組成物、すなわち、前述の化合物の混合物もしくは前述の化合物を含む混合物、及び/またはたの香水成分、香油、アロマ物質、及び/またはアロマである。さらなる好適な有効成分は、例えば、農薬、活性がある医薬成分、染料、UVアクティブ物質、光学的光沢剤、増粘剤、ドレープ及びフォームの制御剤、平滑剤、静電気帯電防止剤、皺防止剤、殺菌剤、消毒剤、細菌制御剤、防カビ剤、カビ汚れ防止剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、乾燥剤、耐汚染剤、防汚剤、悪臭防止剤、布地消臭剤、染料固着剤、カラー維持剤、カラー復元/回復剤、衰退防止剤、摩滅防止剤、耐摩耗剤、布地保全剤、摩耗防止剤、すすぎ助剤、UV保護剤、日光色あせ抑制剤、防虫剤、抗アレルギー剤、耐火剤、防水剤、布地柔軟剤、耐収縮剤及び/または耐伸縮剤、蛍光塗料、溶媒、ワックス、シリコーン油、潤滑剤、冷却剤、TRPV-調製剤、と同様に上述の有効成分の混合物である。
【0086】
しかしながら、好ましくは有効成分は香料物質/香水物質、または上記に定義されているような組成物、すなわち、嗅覚的に感知できる匂いを付与する物質または物質の混合物、香油または化粧品成分であり、好ましくは、本発明のコアシェルマイクロカプセルによってカプセル化されたこれらの香料/香水物質または組成物は消費者製品に心地良い匂いを付与している。
【0087】
本発明に係るコアシェルマイクロカプセルは好ましくは、マイクロカプセル分散系内にて、すなわち、マイクロカプセルスラリー内にて1μm~100μm、好ましくは5μm~55μm、最も好ましくは5μm~50μmの体積基準粒度中央値(Dv(50))を有する。それに関して、(Dv(50))値は粒子の体積分布を指し、集団の半分がこの値を下回る粒径として定義される。
【0088】
マイクロカプセルの直径は好ましくは、Malvern Mastersizer 3000(製造説明書による)を使用してレーザー回折によって決定される。それに関して、散乱光の測定された強度値を、例えば好ましくはFraunhoferの回折/近似によって(Dv(50))値に計算する。(Dv(50))値はマイクロカプセルの50体積%が(Dv(50))値よりも細かく、50体積%が粗い粒度である。したがって、(Dv(10))値及び(Dv(90))値はそれぞれ、試料におけるカプセルの総体積の10%及び90%がこれらの値より小さいことを示す。
【0089】
コアシェルマイクロカプセルの粒度中央値がこの範囲内にあれば、布地ケア製品、皮膚ケア製品及びパーソナルケア製品のような用途における活性物質の送達が向上する。さらに大きな粒子、特に100μmを超える粒子は、活性物質の表面への送達に関してあまり効果的ではなく、製品配合に安定して組み込むことができず、凝集する場合がある。さらに、それらは水性の配合または製品配合に懸濁するのが難しく、さらに大きな触感(粗さ)を生じ、このことは意図される用途のほとんどに不利である。加えて、粒度が上記に定義された範囲内にあれば、安定性と放出性能との間の強化されたバランスが達成され得る。
【0090】
好ましくはしかしながら、本発明のマイクロカプセルはスラリーの形態で、すなわち、水相における微細に分散したマイクロカプセル(マイクロカプセル分散系)として得られ、保管される。そのようなスラリーの使用によって製品配合への適用量及び組み込みが容易になり、粒子を蓄積することなく、または酸化することなく強化された保管を可能にし、揮発性成分の蒸発を抑制する。さらに、そのような分散系の使用は、摩擦、熱または環境変化のような外からの力による有効成分の効率的な放出を可能にする。加えて、消費者製品配合(消費者製品基剤のpHなど)の環境条件に対する活性物質の安定性は、放出シグナル(摩擦、pH変化、熱など)の受容に基づく活性物質の放出まで強化することができる。
【0091】
本発明のバイオベースのコアシェルマイクロカプセルを複数含むマイクロカプセルのスラリーは種々の異なる用途に、特に液状(製品)配合に効果的に組み込むことができる。本発明のコアシェルマイクロカプセルは分散系(スラリー)内で高い安定性を示し、長期の保管時間及び消費者製品配合への容易な組み込みや適用量を可能にする。
【0092】
したがって、本発明の別の目的は、水相に分散された本発明に係る複数のコアシェルマイクロカプセルを含むマイクロカプセルのスラリーに関するものであり、好ましくはその際、水相内でのマイクロカプセルの濃度は5重量%を超えて70重量%未満、好ましくは20重量%を超えて60重量%未満、最も好ましくは30重量%を超えて50重量%未満である。
【0093】
さらなる態様では、本発明は、本発明に係るマイクロカプセルのスラリーを調製するプロセスに関する。コアシェルマイクロカプセルのスラリーは、及びそれに続く単離されたコアシェルマイクロカプセルもまた、以下の工程:
(a)少なくとも2つのイソシアネート基、すなわち、2以上のイソシアネート官能性を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、例えば、1以上の直鎖または分岐鎖の脂肪族及び/または芳香族のポリイソシアネート(複数可)またはそれらの混合物と、1以上の好ましくは疎水性の有効成分(複数可)とを含む油相を提供する工程と;
(b)少なくとも1つのカプセル形成助剤を含む第1の水相を提供する工程と;
(c)20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位をそれぞれ独立して有し、好ましくは1級及び2級のヒドロキシル基(-OH)と同様に1級及び2級のアミン基(-NH、-NH-)から成る群から独立して選択される少なくとも2つの官能性反応基を有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖を含む第2の水相を提供し、任意で第2の水相はさらに1以上の追加の形成助剤(複数可)を含む工程と;
(d)油相と第1の水相とを混ぜ合わせて暫定的な水中油エマルションを得る工程と;
(e)第2の水相と工程(d)で得られた暫定的な水中油エマルションとを混ぜ合わせてマイクロカプセルのスラリーを得る工程と;
(f)マイクロカプセルのスラリー内の工程(e)で得られたマイクロカプセルを硬化する工程とに基づいて得ることができる。
【0094】
任意で、プロセスは追加の工程(f2)を含み、その際、天然ガム(例えば、キサンタンガム、ゲランガム、ジウタンガム、セルロースガム、好ましくはジウタンガム)から選択される1以上の懸濁助剤または構造化助剤を増粘剤として加えて高い懸濁安定性を提供する。そのような物質は水と共に自発的にコロイド状分散系を形成するので、懸濁液を安定化する。好適な懸濁助剤は、例えば、CP Kelco由来のKelco-Vis(商標)DG及びKeltrol(登録商標)、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びJ.Rettenmaier & Soehne GmbH+Co KG由来のVivapur(商標)(微細結晶セルロース)である。
【0095】
以下では、第1の態様に係る単一プロセスの工程と同様に好適な構成成分が詳細に開示されている。
【0096】
本発明に係るプロセスの第1の段階では、暫定的な水中油エマルションが形成される。この目的で、内部の非水性相が提供され、さらに具体的には、2以上のイソシアネート基を持つ少なくとも1つのポリイソシアネートと、カプセル化されることになっている少なくとも1つの好ましくは疎水性の有効成分とを含む、またはそれらから成る油相が提供される。
【0097】
本明細書に記載されている製造プロセスで使用される、または第1の態様に係るコアシェルマイクロカプセルで使用される少なくとも1つのイソシアネートは、重合によって高分子ネットワーク、すなわち、カプセルシェルまたはカプセル壁を形成するために少なくとも2つのイソシアネート基を有する。それに関して、ジポリイソシアネート及び/またはさらに高次のポリイソシアネートはそれぞれ、本明細書で特定されているような20未満のモノマー単位をそれぞれ独立して有する少なくとも1つの糖及び/またはアミノ糖の官能基との界面重合によってポリウレタンベース及び/またはポリ尿素ベースの化学結合に基づく安定な高分子構造を形成し、効率的であるが同時に、最先端技術に係る完全に合成のカプセルと比べて高い生分解性を示すバイオベースのカプセル壁を形成することによって有効成分を含む疎水性コアを効率的にカプセル化する。
【0098】
チオ糖の場合、したがって、上記の結合に加えて、またはその代わりにチオウレタンベースの結合が形成される。好適なチオ糖は、例えば、N-アセチルシステイン、5-チオ-D-グルコース、またはメチル6-チオ-6-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシドである。しかしながら、さらに好適な物質はシステイン、ホモシステイン及びグルタチオンである。
【0099】
好ましい変形では、少なくとも2つのイソシアネート基、すなわち、2、3以上の官能性イソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートは好ましくは直鎖、環状及び分岐鎖の脂肪族及び芳香族のポリイソシアネート、と同様にそれらの混合物から成る群から選択される。それに関して、ジポリイソシアネート及び/またはさらに高次のポリイソシアネートは異なる鎖長を有するモノマー、ダイマー、オリゴマーまたはポリマーの構造を含むことができる。例えば、ジポリイソシアネート及びポリイソシアネートは自己反応してダイマー(ウレチジオン)、トリマー(イソシアヌレート)またはさらに高次のイソシアネートオリゴマーを形成することが多い。加えて、ポリイソシアネートは、付加体、例えば、脂肪族ポリイソシアネート付加体プレポリマーである、Mitsui ChemicalsによるTakenate(商標)D-110N及びD-120Nを形成することができる。
【0100】
本発明の文脈内では、「イソシアネート」という用語は本明細書で使用されるとき、式R-N=C=Oを有する官能基を指す。少なくとも2つのイソシアネート基、すなわち、2以上のイソシアネート基を有する化合物はポリイソシアネートと呼ばれる。
【0101】
「脂肪族ポリイソシアネート」という用語によって本明細書に記載されている分子は非芳香族であり、直鎖、分岐鎖、または環状、すなわち、脂環式であってもよい任意のポリイソシアネートを指す。これらの化合物では、官能性イソシアネート基は直接、芳香族環に連結されない。しかしながら、脂肪族イソシアネート(複数可)は芳香族構造を含むことができる。さらに、ポリイソシアネートは、芳香族の性質のものであることができ(「芳香族ポリイソシアネート」)、すなわち、官能性イソシアネート基が直接、芳香族環に連結される構造のものであることができる。本発明の範囲内で使用されるポリイソシアネートはさらに、例えば、脂肪族置換基、芳香族置換基、例えば、ハロゲン、特にフッ素、塩素、臭素及び/またはヨウ素のようなヘテロ原子、及び/または他の官能基、例えば、アルコキシ基を含む任意の置換を示してもよい。それによって、環状構造は複素環またはヘテロ芳香族であることもできる。
【0102】
好ましい変形では、したがって、少なくとも1つのポリイソシアネートは好ましくは、モノマー、ダイマーまたはオリゴマー(連結されたポリイソシアネート)の直鎖または分岐鎖の脂肪族ポリイソシアネート、脂環式(複素環式)ポリイソシアネート、芳香族(またはヘテロ芳香族)ポリイソシアネート、それらの置換生成物、と同様に上述のモノマー、ダイマーまたはオリゴマー化合物の混合物から成る群から選択されるが、脂肪族化合物または脂肪族及び/または芳香族のポリイソシアネートの混合物が好ましくは使用される。
【0103】
好ましくは、少なくとも2つの異なるポリイソシアネートの混合物がカプセル特性の向上したバランスを持つマイクロカプセルを生じる本発明のマイクロカプセルの調製に使用される。一層さらに好ましくは、2つの異なるポリイソシアネートの混合物が使用される。
【0104】
代わりに、またはさらに、対応するポリイソチオシアネートは、カプセルの形成、と同様に双方の混合物、すなわち、少なくとも1つのイソシアネートと少なくとも1つのイソチオシアネートの官能基の混合物を含む化合物の形成に使用することができる。
【0105】
本発明の好ましい実施形態によれば、直鎖または分岐鎖の脂肪族ポリイソシアネート(複数可)は、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI,例えば、Mitsui Chemicals Inc.,JapanによるStabio D-370NまたはD-376N)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、例えば、Desmodur N-3400(HDI-uretdione;Covestro Corp.)、Bayhydur(登録商標)(Covestro Corp.)、エチルエーテルリシントリイソシアネート、リシンジイソシアネートエチルエーテル及びそれらの誘導体から成る群から選択され、好ましくはその際、誘導体のそれぞれは、1を超えるイソシアネート基を含み、任意でさらにビウレト、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオン及びトリメチロールプロパン付加体から成る群から選択される1以上の基を含み、及び/または環状脂肪族ポリイソシアネート(複数可)は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI、例えば、Mitsui Chemicals Inc.,JapanによるTakenate 600)、1,2-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、及びそれらの誘導体から成る群から選択され、好ましくはその際、誘導体のそれぞれは1を超えるイソシアネート基を含み、任意でさらにビウレト、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオン及びトリメチロールプロパン付加体(例えば、H6XDIのTMP付加体、特にMitsui Chemicals Inc.,JapanによるTakenate D-120N)から成る群から選択される1以上の基を含む。
【0106】
好ましいのはまた、再生可能な供給源から得られる脂肪族ポリイソシアネート(複数可)、例えば、PDI(Mitsui Chemicals Inc.,JapanによるStabio D-370NまたはD-376N)である。再生可能な供給源から得られるそのような脂肪族ポリイソシアネートはコアシェルカプセルの品質/特性を妨げないことが見いだされている。例えば、Stabio D-370Nポリイソシアネートは、14C(放射性炭素)含量によって示される物質の総炭素に対しておよそ70%のバイオベースの炭素、すなわち、再生可能な且つ非化石の有機炭素とおよそたった30%の化石ベースの炭素を含有することが見いだされた。
【0107】
バイオベースの、または生物由来の試薬は健康面及び環境面を考慮して好ましい。バイオベースの材料(生物由来の材料)は、例えば、大気と平衡状態にある自然環境に生息する農作植物、動物、真菌、微生物、海洋材料及び森林材料のような、ASTM D6866標準試験に従って定義されているような石油のような化石起源ではない再生可能な起源の有機炭素を含有する化合物を指す。さらに、そのような生物起源の化合物は農作植物、動物、真菌、微生物、海洋材料及び森林材料のような再生可能な起源の炭素(有機及び無機の)を含有する化合物であると定義されている。好ましくは、本発明のコアシェルマイクロカプセルはそのような生物起源のまたはバイオベースの、すなわち、生物由来の材料を含む。したがって、生物由来の材料は好ましくは本発明に係るコアシェルマイクロカプセルの調製に使用される。
【0108】
したがって、本発明のさらに好ましい変形では、好ましくは、STABiO(商標)のようなバイオベースのポリイソシアネート及び/または生物由来の(アミノ)糖、すなわち、天然のもの及び再生可能であるとみなされる、且つ持続可能な原料、すなわち、主に石油化学に由来しない生物由来の原料に由来する構成要素が使用される。
【0109】
重合可能な脂肪族イソシアネートは、バイオベースの系に対するその化学親和力のためにこの文脈では特に好ましい。例えば、リシン及び1,5-ジイソシアナトペンタンは同じ分解産物、1,5-ジアミノペンタンを示すので、環境への配慮を考慮してバイオベースの且つ生分解性のマイクロカプセルの製造での使用に特に好適である。
【0110】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、好ましくは、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートが使用される。
【0111】
好ましくは、直鎖、分岐鎖及び/または環状の脂肪族ポリイソシアネートの誘導体が採用される。誘導体は本明細書で使用されるとき広義には、化学反応によって化合物に由来する化合物として理解されている。誘導体の例には、上述の直鎖または分岐鎖の脂肪族または脂環式のポリイソシアネート(複数可)のオリゴマー及び/または付加体が包含される。好ましいオリゴマーはビウレト、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンであり、好ましい付加体はトリメチロールプロパン付加体である。これらのオリゴマー/付加体は当該技術分野で周知であり、例えば、US4,855,490 AまたはUS4,144,268 Aに開示されている。好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートはモノマー形態及び/またはダイマー形態またはオリゴマー形態で存在する。
【0112】
直鎖、分岐鎖または環状の脂肪族ポリイソシアネートの前記誘導体は、前記ポリイソシアネートのポリアルコール(例えば、グリセリン)、ポリアミン、ポリチオール(例えば、ジメルカプロール)、及び/またはそれらの混合物との反応によっても得られてもよい。
【0113】
本文の枠組みの範囲内で、芳香族ポリイソシアネートは、2以上のイソシアネート残基が芳香族C原子及びその誘導体に直接結合し、誘導体のそれぞれが1を超えるイソシアネート基を含み、さらに、ビウレト、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオン、及びトリメチロールプロパン付加体などから成る群から選択される1以上の基を含む化合物である。
【0114】
芳香族のジポリイソシアネートまたはポリイソシアネートの例には、例えば、モノマーのジフェニルメタン-2,4-または-4,4’-ジイソシアネート(MDI)及びそれらのオリゴマー/ポリマー形態、またはそれらの混合物、2,4-及び/または2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)及び1,5-または1,8-ナフタレンジイソシアネート(NDI)が挙げられる。
【0115】
ポリイソシアネートの中では、ジイソシアネート、すなわち、2つの官能性イソシアネート基を有するイソシアネートが特に好ましいので、本発明の文脈で主に使用される。したがって、好適なポリイソシアネートは、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI;異性体及び誘導体のすべて);トルオールジイソシアネート(TDI);ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI;異性体及び誘導体のすべて);イソホロンジイソシアネート(IPDI);4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI);1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI;Stabio(商標));1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(Takenate(商標)600);親水性の修飾されたヘキサメチレンジイソシアネート(Bayhydur(登録商標))またはそれらの混合物である。
【0116】
上述の化合物は、存在するならば、異なる異性体を単独で、または組み合わせで明白に包含し、同様に対応する誘導体を明白に包含する。例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)は、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)及び/または2,2’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)または脂肪族ポリイソシアネート付加体、例えば、Mitsui ChemicalsによるTakenate(商標)D-110N及びD-120Nを包含する。
【0117】
他の特に好ましいモノマーのイソシアネート化合物は、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-及び1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、2,4-及び2,6-ジイソシアナトメチルシクロヘキサン及びそれらの混合物のようなジイソシアネートである。本発明の範囲内で好ましいポリイソシアネートは双方ともMitsui Chemical由来の1,5-ペンタンメチレンジイソシアネート(PDI)(Stabio(商標))及び/または1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(Takenate(商標)600)であり、非常に安定で且つ性能が良好なコアシェルマイクロカプセルの形成を可能にする。好ましいのはまた、Mitsui ChemicalsによるTakenate(商標)D-110N及びD-120Nのような付加体である。
【0118】
別の変形では、少なくとも2つの異なるポリイソシアネートの組み合わせが好ましい。異なるポリイソシアネートが混合物として使用されると、カプセルシェル内で特に安定で且つ良好な、すなわち、さらに密に分岐した架橋が達成されることが観察された。それに関して、イソシアネートのそのような混合物では、ポリイソシアネートは、直鎖脂肪族すべて、分岐鎖脂肪族すべて、脂環式すべてまたは芳香族すべての組み合わせ、または例えば、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートと少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートの組み合わせであることができる。一般に、前記物質の考えられる組み合わせすべてが本発明に目的に好適であり、さらに安定で効率的なカプセル化をもたらすさらに密な架橋を達成する一方で同時に改善された性能を可能にするのに好適である。
【0119】
しかしながら、好ましくは、少なくとも2つイソシアネート基を有する1以上のポリイソシアネートの少なくとも1つは脂肪族であり、一層さらに好ましくは脂環式である。一層さらに好ましくは、油相のポリイソシアネート成分は、それぞれ少なくとも2つイソシアネート基を有する2以上の脂肪族及び/または芳香族のポリイソシアネートの混合物である。その結果、イソシアネート成分は、2以上の異なる脂肪族ポリイソシアネート、2以上の異なる芳香族ポリイソシアネート、または少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートとの混合物を含むことができる。驚くべきことに、2以上のポリイソシアネートのそのような混合物は、特に香料マイクロカプセルとして使用される場合、さらに安定な且つ性能が良好なカプセル化をもたらすことが見いだされた。好ましくは、そのような混合物に使用されるポリイソシアネートの少なくとも1つは脂肪族、すなわち、直鎖脂肪族、分枝脂肪族または脂環式であるが、これらは、特に消費者製品配合にて、機械的ストレス(例えば、洗濯機や乾燥機)や熱のもとで、高度に安定なマイクロカプセルの形成を可能にし、同時に優れた放出特性を示すからである。
【0120】
さらに、芳香族ポリイソシアネートと比べて脂肪族ポリイソシアネートは毒性が低いことが知られているので、得られる構造は、例えば、芳香族イソシアネートベースのポリウレタンよりも生体適合性である。
【0121】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートが本発明に係るマイクロカプセルの調製に使用され、及び/または第1の態様に係るマイクロカプセルは、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと、それぞれ20未満のモノマー単位を有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖との反応生成物を含むので、本発明に係るマイクロカプセルでは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する1以上のポリイソシアネートの少なくとも1つは脂肪族構造を含む。
【0122】
その一変形では、好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートだけ、すなわち、例えば、直鎖、分岐鎖、または脂環式であることができる2以上の脂肪族イソシアネートの混合物が使用される。
【0123】
上記に示されているように、別の変形では好ましくは、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートとの混合物を使用してカプセルが調製され、すなわち、第1の態様に係るコアシェルマイクロカプセルは、少なくとも1つのポリイソシアネートの20未満のモノマー単位を有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖との反応生成物を含み、その際、少なくとも2つのイソシアネート基を有する1以上のポリイソシアネートの少なくとも1つは非常に効果的なマイクロカプセルの形成を可能にする脂肪族構造を含む。
【0124】
製品配合にて4週間のエイジングを行った後でさえ前記製品配合内で高い安定性を示す(実施例11を参照のこと)、非常に安定であるが、同時に性能が優れたカプセル(目標とする放出挙動という点で)の形成を可能にする、好ましくは1を超えるモノマー単位を有するアミノ糖に好ましくは基づく、またはそれを含むマイクロカプセルについては、好ましくは、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートの少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートに対するモル比または重量比、好ましくはモル比は85:15、一層さらに好ましくは90:10~99:1の範囲である。
【0125】
したがって、重合可能な異なるポリイソシアネートの組み合わせは特に安定なカプセルシェルまたはカプセル壁をもたらし、その結果、それは有効成分のさらに良好なカプセル化及び保管中の損失の低減に反映されるが、同時に、例えば、香料または臭気物質のカプセル化の領域にてカプセルのさらに良好な性能(高い強度で優れた臭気物質の放出挙動)を可能にする。したがって、本発明では、少なくとも2つの重合可能な異なるイソシアネートの組み合わせが一般に好ましい。一層さらに好ましくは、前記イソシアネートの少なくとも1つは、(アミノ)糖成分にかかわらず、脂肪族の性質である。
【0126】
したがって、好ましくはカプセル壁は少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートの反応に基づく。その結果、上記に記載されている工程(a)では、好ましくは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネート及び任意で少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネート、好ましくは少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと1以上の好ましくは疎水性の有効成分とを含む油相が提供される。
【0127】
「ポリイソシアネート」、「イソシアネート」、及び「イソシアネート成分」、「イソシアネート化合物」または「ポリイソシアネート成分」という用語は本開示の全体を通して同義で使用されることに留意すべきである。「(ポリ)イソチオシアネート」という用語も同様である。
【0128】
さらなる実施形態では、イソシアネート化合物及びイソチオシアネート化合物の混合物を油相にて使用することができる。
【0129】
イソシアネート成分の油相全体に対する比率は油相の少なくとも0.2重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、または特に好ましくは少なくとも1重量%である。それに関して、上限は、遊離のイソシアネート基が残らないように官能性の-NCO、-OH、-NH及び-NH-基の量に依存する。しかしながら、好ましくは上限は10重量%である。
【0130】
本発明に基づいて、イソシアネート成分の含量が少ないため、イソシアネート絶対含量が有効成分(複数可)を含有するカプセル全体のごく少量になるマイクロカプセルを製造することが可能である。したがって、本明細書に記載されているプロセスで、イソシアネート含量が有意に低い効率的なマイクロカプセルを製造することが可能であった。イソシアネート含量が少ないにもかかわらず、非常に安定で且つ同時に優れた放出特性を示すマイクロカプセルを得ることが可能であった。加えて、イソシアネートの含量が少ないため、健康面や環境面における懸念もかなり軽減される。さらに、イソシアネートの低い含量に基づいて、本発明のマイクロカプセルの安定性及び/または性能に悪影響を及ぼすことなく、シェル壁の架橋密度を減らし得る。その結果、イソシアネート全体の量はカプセル総重量に対して低い。
【0131】
本発明に係るバイオベースのマイクロカプセルの製造のためのプロセスでは、少なくとも1つの重合可能なイソシアネートが好ましくは先ず、カプセル化されることになっている有効成分(複数可)と共に疎水性媒体に溶解される。好ましくは、有効成分それ自体、例えば、香油または香料物質または混合物、すなわち、嗅覚で感知できる匂いを有する物質または物質の混合物は、イソシアネート化合物が溶解される疎水性媒体として役立っている。本記載の文脈では、したがって、カプセル化されることになっている有効成分は好ましくは疎水性有効成分である。そのような有効成分の選択はカプセル化される材料が油相にあり、外側の水相と混ざり合わないことを保証する。その結果、疎水性成分は分散相を形成し、対応して水相は連続相である。このことは、疎水性の有効成分がコア物質としてマイクロカプセルのシェル内に実際に効果的に封入されることを保証する。
【0132】
この目的での好適な油成分は以下でさらに詳細に特定される:
【0133】
油相は、上記自体で定義されたようなイソシアネート成分と少なくとも1つの有効成分とから成ってもよいが、それはさらに2を超える、好ましくは3を超える、一層さらに好ましくは4を超えるcLogP(オクタノール/水の分配係数)値を有する溶媒としての1以上の油成分、例えば、
(i)15以上のC原子を有する、特に18~45のC原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和パラフィン(鉱油);
(ii)6~30のC原子を有する直鎖または分岐鎖の脂肪酸と、3~30のC原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和のモノオール、ジオールまたはトリオールとの12以上のC原子を有するエステル、その際、これらエステルが遊離のヒドロキシル基を有さない;
(iii)安息香酸と、8~20のC原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和のモノアルコールとのエステル;
(iv)3~30のC原子を有するアルコールと、ナフタレンモノカルボン酸またはナフタレンジカルボン酸とのモノエステルまたはジエステル;特にナフタレンモノカルボン酸C-C18エステル及びナフタレンジカルボン酸C-C18エステル;
(v)直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和のジ-C-C18-アルキルエーテル;
(vi)シリコーン油;
(vii)以下の式:
【化1】
式中、Qは6~24のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキルラジカルであり、Qは4~16のC原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキルラジカルである、2-アルキル-1-アルカノール
を含有することができる。
【0134】
それに関して、vLogP(分配係数)は、特定の物質の親油性または疎水性の測定基準を表す、平衡状態での混和できない2つの溶媒の混合物における化合物の濃度の比として定義される。
【0135】
油相または油成分は本発明の狭義(及び好ましい意味)では物質の以下の基:
(i)20~32のC原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和パラフィン;
(ii)8~24のC原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸と3~24のC原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和のモノオール、ジオールまたはトリオールとの少なくとも14のC原子を有するエステルであって、これらのエステルは遊離のヒドロキシル基を含有しない、エステル;
(iii)安息香酸と10~18のC原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和モノアルコールとのエステル;
(iv)ジカプリル酸カプリン酸アルキレンジオール、特にジカプリル酸カプリン酸プロピレンジオール;
(v)直鎖または分岐鎖の飽和ジ-C-C18-アルキルエステル、特に(直鎖)ジ-C-C12-アルキルエーテル;
(vi)シクロトリシロキサン、シクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、及びそれらのハイブリッド形態の群に由来するシリコーン油;
(vii)以下の式:
【化2】
の12~32のC原子を有する2-アルキル-1-アルカノール(式中、Qは6~18のC原子を有する(好ましくは直鎖の)アルキルラジカルであり、Qは4~16のC原子を有する(好ましくは直鎖の)アルキルラジカルである)
を包含することができる。
【0136】
油相は本発明の狭義(及び最も好ましい意味)では物質の以下の基:
(i)20~32のC原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和パラフィン、例えば、イソエイコサンまたはスクアレン;
(ii)8~18のC原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸と3~18のC原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和のモノオール、ジオールまたはトリオールとの少なくとも16のC原子を有するエステルであって、これらのエステルは遊離のヒドロキシル基を含有しない、エステル;
(iii)安息香酸と12~15のC原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和モノアルコールとのエステル、特に安息香酸C12-C15-アルキル;
(iv)ジカプリル酸カプリン酸アルキレンジオール、特にジカプリル酸カプリン酸プロピレンジオール;
(v)直鎖ジ-C-C10-アルキルエステル、特にジ-n-オクチルエーテル(ジカプリリルエーテル);
(vi)ウンデカメチルシクロトリシロキサン、シクロメチコン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、及びジフェニルポリシロキサンの群に由来するシリコーン油;
(vii)以下の式:
【化3】
の12~32のC原子を有する2-アルキル-1-アルカノール(式中、Qは6~18のC原子を有する(好ましくは直鎖の)アルキルラジカルであり、Qは4~16のC原子を有する(好ましくは直鎖の)アルキルラジカルである);
を包含することができる。
【0137】
油相における(i)型の基の特に好ましい成分は、以下:ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n-ブチル、ラウリン酸n-ヘキシル、オレイン酸n-デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、イソステアリン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソトリデシル、ヤシ脂肪酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジカプリル酸カプリン酸アルキレンジオール、特にジカプリル酸カプリン酸プロピレンジオール、並びにそのようなエステルの合成、半合成及び天然の混合物、例えば、ホホバ油である。
【0138】
脂肪酸トリグリセリド(油相における(i)型の油成分)もまた、合成油、半合成油及び/または天然の油、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、ダイズ油、ピーナッツ油、ナタネ油、アーモンド油、パーム油、ココナッツ油、パーム核油、及びそれらの混合物の形態、またはそれらの構成要素の形態であってもよい。
【0139】
油相における(vii)型の特に好ましい油成分は、以下:2-ブチル-1-オクタノール、2-ヘキシル-1-デカノール、2-オクチル-1-ドデカノール、2-デシルテトラデカノール、2-ドデシル-1-ヘキサデカノール及び2-テトラデシル-1-オクタデカノールである。
【0140】
油相における特に好ましい油成分は、安息香酸C12-C15-アルキルとイソステアリン酸2-エチルヘキシルとを含む混合物、安息香酸C12-C15-アルキルとイソノナン酸イソトリデシルとを含む混合物、安息香酸C12-C15-アルキルと、イソステアリン酸2-エチルヘキシルとイソノナン酸イソトリデシルとを含む混合物、シクロメチコンとイソノナン酸イソトリデシルとを含む混合物、及びシクロメチコンとイソステアリン酸2-エチルヘキシルとを含む混合物である。
【0141】
本発明の範囲内で使用される好ましい油体は、例えば、6~18、好ましくは8~10の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、C-C22-脂肪酸の直鎖または分岐鎖のC-C22-脂肪アルコールとのエステル、または分岐鎖C-C13-カルボン酸の直鎖または分岐鎖のC-C22-脂肪アルコールとのエステル、例えば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、エルカ酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシル及びエルカ酸エルシルである。また好適なのはまた、C-C22-脂肪酸の分岐鎖アルコール、特に2-エチルヘキサノールとのエステル、C18-C38-アルキルヒドロキシカルボン酸の直鎖または分岐鎖のC-C22-脂肪アルコールとのエステル、特にマレイン酸ジオクチル、直鎖及び/または分岐鎖の脂肪酸の多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ジメルジオール及びトリメルトリオール)及び/またはゲルベアルコールとのエステル、C-C10-脂肪酸に基づくトリグリセリド、C-C18-脂肪酸に基づく液体モノ-/ジ-/トリグリセリド、C-C22-脂肪アルコール及び/またはゲルベアルコールの芳香族カルボン酸、特に安息香酸とのエステル、C-C12-ジカルボン酸の1~22の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルコールまたは2~10の炭素原子と2~6のヒドロキシル基を有するポリオールとのエステル、植物油、分岐鎖1級アルコール、置換されたシクロヘキサン、炭酸直鎖または分岐鎖のC-C22-脂肪アルコール、例えば、炭酸ジカプリリル(Cetiol(登録商標)CC)、6~18、好ましくは8~10の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベ炭酸、安息香酸の直鎖及び/または分岐鎖のC-C22-アルコールとのエステル(例えば、Finsolv(登録商標)TN)、アルキル基あたり6~22の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖の対称または非対称のジアルキルエーテル、例えば、ジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)、ポリオールによるエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物、シリコーン油(シクロメチコン、シリコーン、メチコン、グレードなど)及び/または脂肪族のまたはナフテン酸炭化水素、例えば、スクワラン、スクワレンまたはジアルキルシクロヘキサンである。最も好ましい油成分はトリグリセリド、特に天然起源のものである。
【0142】
好ましい実施形態では、本発明のマイクロカプセルは1以上の(疎水性)有効成分、例えば、香料または香油によって負荷される。特定の適用については、他の添加剤も上記で指示されたように使用することができる。香料及び香油に関しては、本発明のポリウレタンベース及び/またはポリ尿素ベースのカプセルはカプセル総重量に基づいて算出された最大80%までの多い量を負荷することを可能にする。活性物質は好ましくは油相に組み込まれるが、その多孔性に応じて第1の水相に組み込むこともできる。
【0143】
「活性物質」という用語は本明細書で使用されるとき、特定の効果に関する物質または成分、例えば、香料、アロマ、染料、医薬、殺虫剤などを意味すると理解すべきである。好ましくは、疎水性活性物質は油相の一部である、すなわち、油相を構成する別の成分を伴う、または本明細書で使用されるときそれ自体油相の油成分を構成する。好ましくは、疎水性物質及びポリイソシアネート成分が油相を構成する。香料及び/または香水は本明細書で使用されるとき、単一の香料物質または香水物質(臭気物質または芳香性物質とも呼ばれる)、すなわち、臭いまたは匂いを有する化合物、ひいては嗅覚で感知できる匂いを付与する天然及び合成の物質すべての双方、と同様に1以上の香料物質または香水物質の組成物、すなわち、前述の化合物の混合物または前記化合物を含む混合物を指す。
【0144】
これらの活性物質及び他の成分のリストは非限定的なものであり、以下でさらに解明されていないさらなる活性物質及び他の成分を含んでもよい。
【0145】
好適な香料及び/または香油は、例えば、単一の臭気物質または天然の及び合成の臭気物質の混合物である。天然の香水には、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎及び葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレン)、果実(アニス、コリアンダー、キャラウエイ、ネズ)、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(ナツメグ、アンジェリカ、セロリ、カルダモン、コスツス、アヤメ、カルムス)、木材(松材、ビャクダン、グアヤクウッド、シダーウッド、シタン)、ハーブ及び草(タラゴン、レモングラス、サージ、タイム)、針及び枝(トウヒ、モミ、マツ、盆栽松)、樹脂及びバルサム(ガルバナム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポポナックス)の抽出物が挙げられる。動物原料、例えば、シベット及びビーバーも使用されてもよい。典型的な合成香水化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール及び炭化水素型の生成物である。エステル型の香水化合物の例は、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、シクロヘキシル酢酸p-tert-ブチル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、グリシン酸エチルメチルフェニル、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリル及びサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えば、ベンジルエチルエーテルが挙げられる一方で、アルデヒドには、例えば、8~18の炭素原子を含有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアル及びボウラゲオナールが挙げられる。好適なケトンの例は、イオノン、イソメチルイオノン、及びメチルセドリルケトンである。好適なアルコールはアネソール、シトロネロール、ユーゲノール、イソユーゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、及びテルピネオールである。炭化水素には主としてテルペン及びバルサムが挙げられる。しかしながら、好みに合う香水を一緒に作り出すさまざまな香水化合物の混合物を使用することが好ましい。他の好適な香油は、アロマ成分として主に使用される相対的に揮発性の低い精油である。例は、セージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ油、ミント油、シナモンリーフ油、ライムブロッサム油、ジュニパーベリー油、ベチバー油、オリバナム油、ガルバナム油、ラダナム油、及びラベンジン油である。以下:ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、リラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレンフォルテ、アムブロキサン、インドール、へジオン、サンデリス、シトラス油、マンデリン油、オレンジ油、グリコール酸アリルアミル、シクロベルタール、ラベンジン油、サルビア油、ダマスコン、ゼラニウム油バボーン、サリチル酸シクロヘキシル、Vertofix Coeur、Iso-E-Super、Fixolide NP、エバーニル、イラルデインガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラット、イロチル及びフロラマットは好ましくは個別にまたは混合物の形態で使用される。
【0146】
しかしながら、好ましくは、カプセル化に使用される香水物質またはアロマ物質は、匂いまたは風味を付与するまたは改変する主目的で使用される化合物である。好ましくは、これらの物質または物質の混合物は積極的な方法でまたは心地良い方法で組成物の匂いまたは風味を付与するまたは改変することができる。本発明の目的で、「香油」または「アロマ」という用語には、匂いまたは風味を改変するまたは付与するための香り付けする成分と風味付けする成分の組み合わせが含まれる。
【0147】
上記に例示的に列挙された香料/香水物質及び香油の他にまたはそれらに加えて、少なくとも1つの疎水性活性物質は、アロマ物質、アロマ、農薬、化粧品での有効成分、例えば、皮膚保湿剤、皮膚または毛髪のコンディショニング剤、皮膚美白剤、ニキビ防止剤などのような活性がある皮膚製品の成分、活性がある医薬成分、UVアクティブ物質、光学的光沢剤、増粘剤、ドレープ及びフォーム制御剤、平滑剤、静電気防止剤、皺防止剤、殺菌剤、消毒剤、細菌防御剤、カビ防止剤、白カビ防止剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、乾燥剤、耐汚染剤、防汚剤、悪臭防止剤、布地消臭剤、染料及び染料固着剤、カラー維持剤、カラー復元/回復剤、フェージング防止剤、摩滅防止剤、耐摩耗剤、布地保全剤、摩耗防止剤、すすぎ補助剤、UV保護剤、日光退色抑制剤、防虫剤、抗アレルギー剤、難燃剤、防水剤、布地柔軟剤、収縮抵抗剤、伸長抵抗剤、蛍光塗料、溶媒、ワックス、シリコーン油、潤滑剤、冷却剤、TRPV調節剤(例えば、TRPV1及びTRPV2調節剤)、含侵剤、汚れ防止剤、減摩剤、と同様に上述の有効成分の混合物から成る広い群から選択することができる。
【0148】
好適な冷却剤は当該技術分野で既知であり、例えば、Frescolat(登録商標)などのようなメントール系の冷却剤である。本発明の枠組み内で使用するのに好ましい個々の冷却剤を以下に列挙する。当業者は多数の他の冷却剤をこのリストに加えることができる;列挙された冷却剤はまた互いに組み合わせて使用することもでき、それらは好ましくは以下のリスト:メントール及びメントール誘導体(例えば、L-メントール、D-メントール、ラセミ体メントール、イソメントール、ネオイソメントール、ネオメントール)メンチルエーテル(例えば、(l-メントキシ)-1,2-プロパンジオール、(l-メントキシ)-2-メチル-1,2-プロパンジオール、l-メンチル-メチルエーテル)、メントングリセリルアセタール、メントングリセリルケタールまたは双方の混合物、メンチルエステル(例えば、ギ酸メンチル、酢酸メンチル、イソ酪酸メンチル、ヒドロキシイソ酪酸メンチル、乳酸メンチル、L-メンチル-L-ラクテート、L-メンチル-D-ラクテート、メンチル-(2-メトキシ)アセテート、メンチル-(2-メトキシエトキシ)アセテート、ピログルタミン酸メンチル)、炭酸メンチル(例えば、炭酸メンチルプロピレングリコール、炭酸メンチルエチレングリコール、炭酸メンチルグリセロールまたはそれらの混合物)、メントールのジカルボン酸またはその誘導体とのセミ-エステル(例えば、モノ-メンチルスクシネート、モノメンチルグルタレート、モノ-メンチルマロネート、O-メンチルコハク酸エステル-N,N-(ジメチル)アミド、O-メンチルコハク酸エステルアミド)、メンタンカルボン酸アミド(この場合、好ましくはメンタンカルボン酸-N-エチルアミド[WS3]またはNα-(メンタンカルボニル)グリシンエチルエステル[WS5]、メンタンカルボン酸-N-(4-シアノフェニル)アミドまたはメンタンカルボン酸-N-(4-シアノメチルフェニル)アミド、メンタンカルボン酸-N-(アルコキシアルキル)アミド)、メントン及びメントン誘導体(例えば、L-メントングリセロールケタール)、2,3-ジメチル-2-(2-プロピル)-酪酸誘導体(例えば、2,3-ジメチル-2-(2-プロピル)-酪酸-N-メチルアミド[WS23])、イソプレゴールまたはそのエステル(I-(-)-イソプレゴール、I-(-)-イソプレゴール酢酸)、メンタン誘導体(例えば、p-メンタン-3,8-ジオール)、キューブボルまたはキューブボル含有の合成または天然の混合物、シクロアルキルジオン誘導体のピロリドン誘導体(例えば、3-メチル-2(1-ピロリジニル)-2-シクロペンテン-1-オン)またはテトラヒドロピリミジン-2-オン(例えば、WO2004/026840に記載されているようなイシリンまたは関連化合物)、さらなるカルボキサミド(例えば、N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)-3-p-メンタンカルボキサミドまたは関連化合物)、(1R,2S,5R)-N-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-2-(1-イソプロピル)シクロヘキサン-カルボキサミド[WS12]、オキサメート及び[(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキシル]2-(エチルアミノ)-2-オキソ-アセテート(X Cool)からここに選択される。特定の相乗効果のために好ましい冷却剤は、L-メントール、D-メントール、ラセミ体メントール、メントングリセロールアセタール(商品名: Frescolat(登録商標)MGA)、乳酸メンチル(好ましくは乳酸L-メンチル、特にL-乳酸L-メンチル(商品名:Frescolat(登録商標)ML))、置換されたメンチル-3-カルボキサミド(例えば、メンチル-3-カルボン酸N-エチルアミド)、2-イソプロピル-N-2,3-トリメチルブタンアミド、置換されたシクロヘキサンカルボキサミド、3-メントキシプロパン-1,2-ジオール、炭酸2-ヒドロキシエチルメンチル、炭酸2-ヒドロキシプロピルメンチル及びイソプレゴールである。特に好ましい冷却剤は、L-メントール、ラセミ体メントール、メントングリセロールアセタール(商品名:Frescolat(登録商標)MGA)、乳酸メンチル(好ましくは乳酸L-メンチル、特に、L-乳酸L-メンチル(商品名:Frescolat(登録商標)ML))、3-メントキシプロパン-1,2-ジオール、炭酸2-ヒドロキシエチル メンチル及び炭酸2-ヒドロキシプロピルメンチルである。
【0149】
加えて、当該技術分野で知られているカプサイシン及び他のTRPV1及び2-反応性物質のようなTRPV1及びTRPV2調節剤は本発明のコアシェルマイクロカプセルによって効果的にカプセル化され得る。本発明に係る好ましいカプセルは、例えば、1以上のTRPV1アンタゴニストを含む。TRPV1アンタゴニストとしての作用に基づいて皮膚神経の過敏症を軽減する好適な化合物は、例えば、トランス-4-tert-ブチルシクロヘキサノール、またはμ-受容体、例えば、アセチルテトラペプチド-15によるTRPV1の直接調節剤を包含する。
【0150】
好適に使用することができる、化粧品としてまたは医薬として活性がある成分及び/または補助剤及び/または添加剤または助剤は、とりわけ、例えば、以下でさらに記載されているような研磨剤、ニキビ防止剤、皮膚の加齢に対する薬剤、抗蜂巣炎剤、フケ防止剤、抗炎症剤、抗菌剤、刺激防止剤、刺激抑制剤、抗酸化剤、収れん剤、臭気吸収剤、発汗抑制剤、消毒剤、帯電防止剤、結合剤、緩衝液、担体物質、キレート剤、細胞刺激剤、洗浄剤、脱毛剤、表面活性物質、脱臭剤、制汗剤、柔軟剤、乳化剤、酵素、酵素阻害剤、精油、繊維、成膜剤、固着剤、発泡剤、泡安定剤、発泡阻止物質、泡ブースター、ゲル化剤、ゲル形成剤、ヘアケア剤、ヘアセット剤、縮毛矯正剤、湿気供給剤、保湿物質、湿気保持物質、漂白剤、強化剤、染み抜き剤、潤滑剤、保湿クリーム、軟膏、乳白剤、可塑剤、被覆剤、艶出し剤、保存剤、光沢剤、グリーンポリマー及び合成ポリマー、粉剤、タンパク質、再度油を添加する作用物質(re-oiling agent)、研磨剤、シリコーン、皮膚鎮静剤、皮膚洗浄剤、スキンケア剤、皮膚回復剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、皮膚柔軟剤、毛髪保護剤、冷却剤、皮膚放熱剤、加温剤、皮膚加温剤、安定剤、界面活性剤、UV吸収剤、UVフィルター、一次日焼け止め因子、二次焼け止め因子、洗剤、布地調整剤、懸濁剤、皮膚日焼け剤、皮膚または毛髪の色素沈着を調節する活性物質、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、皮膚保湿剤、グリコサミノグリカン刺激剤、TRPV1アンタゴニスト、剥離剤、または脂肪増強剤、毛髪成長の活性化剤または阻害剤、増粘剤、レオロジー活性物質、ビタミン、油、ワックス、真珠光沢のあるワックス、脂肪、リン脂質、飽和脂肪酸、モノ-またはポリ不飽和脂肪酸、α-ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤、染料、カラー保護剤、色素、腐食防止剤、香料または香油、臭気物質、ポリオール、電解質、有機溶媒、及び前述の物質の2以上の混合物である。皮膚製品有効成分として、例えば、保湿剤、生物起源の作用物質、酸化防止剤などを使用することができる。
【0151】
再付着防止剤とも呼ばれる好適な防汚ポリマーは、例えば、それぞれの場合、非イオン性セルロースエーテルに基づいて15~30重量%のメトキシ基及び1~15重量%のヒドロキシプロピル基の比率を有する非イオン性セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース及びメチルヒドロキシセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(Klucel(登録商標))、及びまた、フタル酸及び/またはテレフタル酸またはそれらの誘導体の、従来技術で知られているポリマー、特にテレフタル酸エチレンのポリマー及び/またはポリエチレングリコールテレフタル酸及び/またはポリプロピレングリコールテレフタル酸、またはこれらのアニオン性及び/または非イオン性に修飾された誘導体である。好適な誘導体にはフタル酸ポリマー及びテレフタル酸ポリマーのスルホン化誘導体が挙げられる。
【0152】
光学的光沢剤(いわゆる「増白剤」)は、処理した繊維表面の灰色化及び黄ばみを取り除くための本発明に係るカプセルに組み込むことができる。これらの物質は繊維によって吸収され、不可視の紫外線を可視長波長の光に変換することによって繊維を明るくし、漂白効果を模倣するが、その際、日光から吸収される紫外線光はやや青い蛍光として発せられ、灰色化したまたは黄ばんだ洗濯物の黄色を合わさって純粋な白色カラーを付与する。好適な化合物は、例えば、4,4’-ジアミノ-2,2’-スチルベンジスルホン酸(フラボン酸)、4,4’-ジスチリル-ビフェニレン、メチルウンベリフェロン、クマリン、ジヒドロキノリノン、1,3-ジアリールピラゾリン、ナフタル酸イミド、ベンズオキサゾール、ベンズイソオキサゾール及びベンズイミダゾールの系、及び複素環置換したピレン誘導体の物質クラスに由来する。
【0153】
灰色化抑制剤は、液に浮かせた繊維から汚れを取り外し続けるので、汚れの再付着を防ぐ役割を有する。この目的に好適なのは、水溶性コロイド、ふつう、性質、例えば、サイズは有機物、デンプンもしくはセルロースのエーテルスルホン酸の塩、またはセルロースもしくはデンプンの酸性スルホン酸エステルの塩である。この目的に好適なのはまた、酸性基を含有する水溶性ポリアミドである。加えて、上記で特定されたもの以外の可溶性デンプン調製物及びデンプン生成物、例えば、分解デンプン、アルデヒドデンプンなどを使用することが可能である。ポリビニルピロリドンを使用することも可能である。しかしながら、セルロースエーテル、例えば、カルボキシメチルセルロース(ナトリウム塩)、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、及び混合エーテル、例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、及びそれらの混合物を使用することが好ましい。
【0154】
レーヨン、セルロース、綿及びそれらの混合物で出来た織物は、個々の繊維が繊維方向を横断する折り曲げ、折り畳み、圧迫及び押しつぶしに傷つきやすいのでしわになる傾向を有し得るため、本発明に係るマイクロカプセルは合成のしわ防止剤を含有してもよい。これらには、例えば、ふつうエチレンオキシドと反応する脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールエステル、脂肪酸アルキロールアミド、もしくは脂肪アルコールに基づく合成生成物、またはレシチンもしくは修飾リン酸エステルに基づく生成物が挙げられる。
【0155】
高い着心地の良さは帯電防止剤の追加の使用によって達成することができる。帯電防止剤は表面導電性を高めるので、さらに容易に放電される蓄積荷電を可能にする。通例、帯電防止剤は表面上に多かれ少なかれ含水の膜を提供する少なくとも1つの親水性分子リガンドを伴う物質である。ふつう表面活性があるこれらの帯電防止剤は窒素含有(アミン、アミド、四級アンモニウム化合物)、リン含有(リン酸エステル)及びイオウ含有(スルホン酸アルキル、硫酸アルキル)の帯電防止剤に分けることができる。塩化ラウリル(またはステアリル)ジメチルベンジルアンモニウムは織物表面の帯電防止剤として、または洗剤及び洗浄剤への添加剤として好適であり、その際、追加のコンディショニング効果も達成される。
【0156】
保湿剤は皮膚の湿気を調節するのに役立つ。本発明に従って好ましい保湿剤には、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸、乳酸及びその塩、ラクチトール、尿素及び尿素誘導体、尿酸、グルコサミン、クレアチニン、コラーゲンの切断産物、キトサンまたはキトサンの塩/誘導体、及び特に、ポリオール及びポリオール誘導体(例えば、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エリスリトール、1,2,6-ヘキサントリオール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG-4、PEG-6、PEG-7、PEG-8、PEG-9、PEG-10、PEG-12、PEG-14、PEG-16、PEG-18、PEG-20)、糖及び糖誘導体(フルクトース、グルコース、マルトース、マルチトール、マンニトール、イノシトール、ソルビトール、ソルビトールシランジオール、スクロース、トレハロース、キシロース、キシリトール、グルクロン酸及びその塩を含む)、エトキシ化ソルビトール(ソルベス-6、ソルベス-20、ソルベス-30、ソルベス-40)、ハチミツ及び硬化ハチミツ、硬化デンプン加水分解物及び硬化コムギタンパク質とPEG-20アセテートポリマーの混合物が挙げられる。好適な保湿剤として本発明に従って好ましいのはグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、及びブチレングリコールである。
【0157】
生物起源剤は、例えば、トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸及びそれらの断片化産物、β-グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、シュードセラミド、精油、植物抽出物、例えば、スモモ抽出物、バンバラナッツ抽出物、及び複合ビタミン剤を指すと理解されている。
【0158】
酸素の作用及び他の酸化的プロセスが原因で生じる処理した織物表面での望ましくない変化を防ぐために、マクロエマルションは酸化防止剤を含むことができる。このクラスの化合物の例には、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びそれらの誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)及びそれらの誘導体、ペプチド、例えば、D,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン及びそれらの誘導体(例えば、アンセリン)、カロテノイド、カロテン(例えば、α-カロテン、β-カロテン、リコペン)及びそれらの誘導体、クロロゲン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、システアミン及びそのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル、及びラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリル、及びグリセリルエステル)及びそれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸及びそれらの誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド、及び塩)ならびに非常に少ない許容適用量(例えば、ピコモル~マイクロモル/kg)でのスルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタチオニンスルホキシミン)、さらなる(金属)キレート剤(例えば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTA及びそれらの誘導体、不飽和脂肪酸及びそれらの誘導体(例えば、γ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸及びその誘導体、ユビキノン及びユビキノール及びそれらの誘導体、ビタミンC及びそれらの誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、リン酸Mgアスコルビル、酢酸アスコルビル)、トコフェロール及びそれらの誘導体(例えば、ビタミンE酢酸塩)、ビタミンA及びその誘導体(ビタミンAパルミチン酸塩)及び安息香酸樹脂由来の安息香酸コニフェリル、ルチン酸及びその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、スーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛及びその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO)、セレニウム及びその誘導体(例えば、セレニウムメチオニン)、スチルベン及びその誘導体(例えば、酸化スチルベン、酸化トランス-スチルベン)ならびに上述の作用物質(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチド及び脂質)の本発明に係る好適な誘導体が挙げられる。
【0159】
好適なフケ防止剤はピロクトンオラミン(1-ヒドロキシ-4-メチル-6-(2,4,4-トリミチルペンチル)-2-(1H)-ピリジノンモノエタノールアミン塩)、Baypival(登録商標)(クリムバゾール)、Ketoconazol(登録商標)、(4-アセチル-1-{-4-[2-(2,4-ジクロロフェニル)r-2-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)-1,3-ジオキシラン-c-4-イルメトキシフェニル}ピペラジン、ケトコナゾール、エルビオール、二硫化セレニウム、コロイド状イオウ、イオウポリエチレングリコールモノオレイン酸ソルビタン、イオウリシノールポリエトキシレート、イオウ-タール蒸留物、サリチル酸(またはヘキサクロロフェンとの組み合わせで)、ウンデシレン酸スルホコハク酸モノエタノールアミンNa-塩、Lamepon(登録商標)UD(タンパク質-ウンデシレン酸縮合物)、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオン及びマグネシウムピリチオン/ジピリチオン-硫酸マグネシウムである。
【0160】
美容用消臭剤(脱臭剤)は体臭を弱めるまたは体臭を隠すまたは取り除く。体臭は皮膚の細菌のアポクリン発汗に対する効果に起因して発生し、その際、不快な臭いの分解産物が形成される。したがって、消臭剤は抗菌剤、酵素阻害剤、臭気吸収剤及び臭気遮蔽剤として機能する作用物質を含む。
【0161】
抗菌剤としては、グラム陽性細菌に対して活性がある物質はすべて、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸及びその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N’(3,4-ジクロロフェニル)尿素、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシ-ジ-フェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-1,2-プロパンジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロロヘキシジン、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(TTC)、抗菌香料、チモール、タイム油、ユーゲノール、クローブ油、メントール、ミント油、ファルネソール、フェノキシエタノール、モノカプリン酸グリセロール、モノカプリル酸グリセロール、モノラウリル酸グリセロール(GML)、モノカプリン酸ジグリセロール(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミド、例えば、サリチル酸-n-オクチルアミドまたはサリチル酸-n-デシルアミドは一般に好適である。
【0162】
好適な酵素阻害剤の例はエステラーゼ阻害剤である。これらは好ましくは、クエン酸トリアルキル、例えば、クエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル及び特にクエン酸トリエチル(Hydagen(登録商標)CAT)である。これらの物質は酵素活性を阻害するので臭気の形成を低下させる。エステラーゼ阻害剤として好適なさらなる物質は、硫酸ステロールまたはリン酸ステロール、例えば、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステオイルロール及び硫酸シトステロールまたはリン酸シトステロール、ジカルボン酸及びそれらの誘導体、例えば、グルタル酸、グルタル酸モノエチルエーテル、グルタル酸ジエチルエーテル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエーテル、アジピン酸ジエチルエーテル、マロン酸及びマロン酸ジエチルエーテル、ヒドロキシカルボン酸及びそれらのエステル、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸または酒石酸ジエチルエーテル、及びグリシン酸亜鉛である。
【0163】
臭気吸収剤として好適なのは、臭気原因化合物を吸収することができ、主にそれを保持することができる物質である。それらは個々の成分の分圧を低下させるので、拡散の速度を低下させる。この場合、本明細書で特定されている芳香は影響を受けないままでなければならないことが重要である。臭気吸収剤は細菌に対して影響を有さない。それらは、例えば、主成分として、リシノール酸の錯体亜鉛塩、または「固着剤」例えば、ラブダナムもしくはスチラックスの抽出物または特定のアビエチン酸誘導体として当業者に知られている特定の主に臭気中性の物質を含む。臭気遮蔽剤としてのそれらの機能に加えて消臭剤に各芳香を提供する香料または香油は臭気遮蔽剤として作用する。言及され得る香油の例は天然及び合成の香料の混合物である。天然の香料は、例えば、花、茎及び葉、果実、果皮、木材、ハーブ及び草、針及び枝の抽出物、及び樹脂及びバルサムである。好適なのはまた、動物原料、例えば、シベット及び海狸香である。典型的な合成の香料化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール及び炭化水素型の生成物である。エステル型の香料化合物は、例えば、酢酸ベンジル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸フェネチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリル、及びサリチル酸ベンジルである。エーテルの例には、ベンジルエチルエーテルが挙げられ、アルデヒドの例には、8~18の炭素原子を持つ直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアル及びボウラゲオナールが挙げられ、ケトンの例には、イオノン及びメチルセドリルケトンが挙げられ、アルコールには、アネソール、シトロネロール、ユーゲノール、イソユーゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェネチルアルコール及びテルピネオールが挙げられ、炭化水素には主にテルペン及びバルサムが挙げられる。しかしながら、好ましいのは、心地良い芳香を一緒に作り出す種々の香料の混合物である。ふつう風味成分として使用される揮発性の低い精油は、香油、例えば、セージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ油、ミント油、シナモンリーフ油、リンデンフラワー油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバナム油、ラブダナム油、及びラバンジン油としても好適である。好ましいのは、ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、リラール、シトロネロール、フェネチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレンフォルテ、アムブロキサン、インドール、へジオン、サンデリス、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、グリコール酸アリルアミル、シクロベルタール、ラバンジン油、クレイセージ油、β-ダマスコン、ゼラニウム油ボウルボン、サリチル酸シクロヘキシル、Vertofix Coeur、イソ-E-スーパー、Fixolide NP、エバーニル、イラルデインガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、Romilat、Irotyl及びFloramatであり、それらは単独でまたは組み合わせて使用される。
【0164】
制汗剤(発汗抑制剤)はエクリン汗腺の活性に影響を与えるので、腋窩の湿り及び体臭を弱めることによって汗の形成を減らす。制汗剤の水性または無水の配合は通常、以下の成分:収れん剤、油成分、非イオン性乳化剤、共乳化剤、増粘剤、賦形剤、例えば、増粘剤または錯化剤及び/または非水性溶媒、例えば、エタノール、プロピレングリコール、及び/またはグリセロールを含む。収れん性制汗剤として好適なのは、アルミニウム、ジルコニウムまたは亜鉛の1級塩である。そのような好適な制汗活性がある作用物質は、例えば、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロ水和物、アルミニウムジクロロ水和物、アルミニウムセスキクロロ水和物、及び、例えば、ヒドロキシアラントイン酸プロピレングリコール-1,2-アルミニウム、塩化酒石酸アルミニウム、アルミニウムジルコニウムトリクロロ水和物、アルミニウムジルコニウムテトラクロロ水和物、アルミニウムジルコニウムペンタクロロ水和物とのそれらの錯体化合物、及びグリシンのようなアミノ酸とのそれらの錯体化合物である。加えて、制汗剤は一般の油溶性及び水溶性の賦形剤を少量で含んでもよい。そのような油溶性賦形剤は、例えば、抗炎症性、皮膚保護性または芳香性の精油、合成皮膚保護剤及び/または油溶性香油を含むことができる。
【0165】
本発明に係るカプセルは微生物と闘うために抗微生物剤を含むことができる。この場合、抗微生物のスペクトルと、静細菌剤、殺細菌剤、静真菌剤及び殺真菌剤などとの間の作用のメカニズムとに応じて区別が行われる。これらの群由来の重要な物質の例は、塩化ベンザルコニウム、スルホン酸アルキラリル、ハロフェノール及び酢酸フェニル水銀であり、その際、これらの化合物は本発明に係る洗剤及び洗浄剤全体に加えなくてもよい。抗微生物剤として、グラム陽性細菌に対して活性がある物質はすべて、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸及びその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N’(3,4-ジクロロフェニル)尿素、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシ-ジ-フェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-1,2-プロパンジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロロヘキシジン、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(TTC)、抗菌香料、チモール、タイム油、ユーゲノール、クローブ油、メントール、ミント油、ファルネソール、フェノキシエタノール、モノカプリン酸グリセロール、モノカプリル酸グリセロール、モノラウリル酸グリセロール(GML)、モノカプリン酸ジグリセロール(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミド、例えば、サリチル酸-n-オクチルアミドまたはサリチル酸-n-デシルアミドは一般に好適である。
【0166】
水中でHを生成する漂白剤として役立つ化合物の間で、過ホウ酸ナトリウム四水和物及び過ホウ酸ナトリウム一水和物は特に重要である。さらなる有用な漂白剤は、例えば、過炭酸ナトリウム、ペルオキシピロリン酸塩、クエン酸塩過水和物、及びHを生成する過酸性塩、または過酸、例えば、過安息香酸塩、ペルオキソフタル酸塩、ジペルアゼライン酸、フタロイミノ過酸、またはジペルドデカン二酸である。過加水分解条件下で好ましくは1~10のC原子、特に2~4のC原子を持つ脂肪族ペルオキソカルボン酸、及び/または任意で置換された過安息香酸を生じる化合物は漂白活性化因子として使用することができる。好適なのは、上述の数のC原子及び/または任意で置換されるベンゾイル基と共にO-アシル基及び/またはN-アシル基を持つ物質である。好ましいのは、ポリアシル化アルキレンジアミン、特に、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に、1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、アシル化グリコルリル、特に、テトラアセチルグリコルリル(TAGU)、N-アシルイミド、特に、N-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化スルホン酸フェノール、特に、オキシベンゼンスルホン酸N-ノナノイルまたはイソノナノイル(n-またはイソ-NOBS)、無水カルボン酸、特に、無水フタル酸、及びアシル化多価アルコール、特に、トリアセチン、二酢酸エチレングリコール及び2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフランである。従来の漂白活性化因子に加えて、またはその代わりに、本発明のカプセルを介して織物処理剤にいわゆる漂白触媒も組み込むことができる。これらの物質は漂白を増強する遷移金属塩または遷移金属錯体、例えば、Mn-、Fe-、Co-、R-、またはMo-塩錯体または-カルボニル錯体である。窒素含有三脚型リガンドとのMn-、Fe-、Co-、Ru-、Mo-、Ti-、V-、及びCu-錯体及びCo-、Fe-、Cu-及びRu-アミン錯体も漂白触媒として使用することができる。
【0167】
本発明に係るカプセルは保存剤も含むことができる。例は、ソルビン酸及びその塩、安息香酸及びその塩、サリチル酸及びその塩、フェノキシエタノール、ブチルカルバミン酸3-ヨード-2-プロピニル、N-(ヒドロキシメチル)グリシン酸ナトリウム、ビフェニル-2-オール及びそれらの混合物である。好適な保存剤は、7までのpH範囲で使用されてもよいジアゾリジニル尿素、安息香酸ナトリウム及びソルビン酸カリウムの溶媒を含まない水性の組み合わせ(Schulke and MayrからEuxyl(登録商標)K 500として入手可能)である。有機酸及び/またはその塩に基づく保存剤は、皮膚に優しい洗剤及び本発明に係るカプセルを保存するのに特に好適である。
【0168】
シリコーン誘導体は、例えば、再濡れ性を改善し、処理した織物表面のアイロンがけを円滑にするために織物処理で使用されてもよい。これらはさらに、その発泡抑制特性によって洗剤及び洗浄剤のすすぎ挙動を改善する。好ましいシリコーン誘導体は、例えば、アルキル基が1~5のC原子を有し、完全にまたは部分的にフッ素化されるポリジアルキルシロキサンまたはアルキラリルシロキサンである。好ましいシリコーンは、任意で誘導体化することができ、次いで、アミノ官能性である、または四級化される、またはSi-OH、Si-H及び/またはSi-Clの結合を有するポリジメチルシロキサンである。好ましいシリコーンの25℃での粘度は100mPas~100,000mPasの範囲にある。
【0169】
本発明に係るカプセルはまた防虫剤を含むこともできる。好適な防虫剤は、例えば、N,N-ジエチル-m-トルアミド、1,2-ペンタンジオールまたはアミノプロピオン酸エチルブチルアセチル、1-(1-メチルプロポキシカルボニル)-2-(2-ヒドロキシエチル)ピペリジン、p-メンタン-3,8-ジオール、2-ウンデカノン、と同様に精油、例えば、シトロネラ油、レモングラス油、ラベンダー油、ニーム油及びユーカリ油、特に、p-メンタン-3,8-ジオール、精油、例えば、シトロネラ油、レモングラス油、ラベンダー油、ニーム油及びユーカリ油である。
【0170】
本発明に係るカプセルはまた、処理した織物表面に吸収され得る、且つ繊維の光安定性を改善するUV吸収剤も含むことができる。UV光保護因子という用語は、例えば、室温で液体または結晶であり(光保護フィルター)、紫外線を吸収し、吸収したエネルギーを長波長の放射線、例えば、熱の形態で発することができる有機物質を指すと理解されている。UV光保護因子はふつう、0.1重量%~5重量%、好ましくは0.2重量%~1重量%の量で存在する。UVBフィルターは油溶性または水溶性であることができる。油溶性物質の例には、例えば、3-ベンジリデンカンフルまたは3-ベンジリデンノルカンフル及びそれらの誘導体、例えば、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは3-(4-ジメチルアミノ)安息香酸-2-エチル-ヘキシルエステル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸-2-オクチルエステル及び4-(ジメチルアミノ)安息香酸アミルエステル;桂皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシ桂皮酸-2-エチルヘキシルエステル、4-メトキシ-桂皮酸プロピルエステル、4-メトキシ-桂皮酸イソアミルエステル、及び2-シアノ-3,3-フェニル桂皮酸-2-エチルヘキシルエステル(オクトクリレン)、サリチル酸のエステル、好ましくはサリチル酸-2-エチルヘキシルエステル、サリチル酸-4-プロピルベンジルエステル、及びサリチル酸ホモメチルエステル;ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、及び2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;ベンジルマロン酸のエステル、好ましくは4-メトキシベンジルマロン酸ジ-2-エチルヘキシルエステル;トリアジン誘導体、例えば、2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2’-エチル-1’-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジン及びオクチルトリアゾンまたはジオクチルブタミドトリアゾン(Uvasorb(登録商標)HEB);プロパン-1,3-ジオン、例えば、1-(4-tert.-ブチルフェニル)-3-(4’メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン;ケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体が挙げられる。
【0171】
特に、好適なUVA-フィルターには、ベンゾイルメタンの誘導体、例えば、1-(4’-tert.-ブチルフェニル)-3-(4’-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標)1789)、2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)-安息香酸ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標)A Plus)、1-フェニル-3-(4’-イソプロピルフェニル)-プロパン-1,3-ジオン及びエナミン化合物が挙げられる。UVAフィルター及びUVBフィルターは当然、混合して使用することができる。特に好都合な組み合わせは、桂皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシ桂皮酸-2-エチルヘキシルエステル及び/または4-メトキシ桂皮酸プロピルエステル及び/または4-メトキシ桂皮酸イソアミルエステルと組み合わせたベンゾイルメタンの誘導体、例えば、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol(登録商標)1789)及び2-シアノ-3,3-フェニル桂皮酸-2-エチル-ヘキシルエステル(オクトクリレン)で構成される。有利なことに、これらの組み合わせは、水溶性フィルター、例えば、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸及びそのアルカリ塩、アルカリ土類塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩及びグルクアンモニウム塩と一緒に使用される。
【0172】
上述の可溶性物質に加えて、不溶性の光保護色素、具体的には微細に分散された金属酸化物または金属塩もこの目的に好適である。好適な金属酸化物の例は特に、酸化亜鉛及び酸化チタン、と同様に鉄、ジルコニウム、珪素、マンガン、アルミニウム、及びセリウムの酸化物及びそれらの混合物である。珪酸塩(タルク)、硫酸バリウムまたはステアリン酸亜鉛は塩として使用されてもよい。酸化物及び塩はスキンケアや皮膚保護用のエマルション及び装飾用化粧品のために色素の形態で使用される。この場合、粒子は100nm未満、好ましくは5nm~50nm及び特に15nm~30nmの平均直径を有するべきである。それらは球状形状を有することができるが、楕円形形状または球状形状から逸脱する別の形態を有する粒子が使用されてもよい。色素は表面処理した、すなわち、親水化したまたは疎水化した形態で存在することもできる。典型的な例は、コーティングされた二酸化チタン、例えば、二酸化チタンT805(Degussa)またはEusolex(登録商標)T2000、Eusolex(登録商標)T、Eusolex(登録商標)T-ECO、Eusolex(登録商標)T-Aqua、Eusolex(登録商標)T-45D(すべてMerck)、Uvinul TiO2(BASF)である。この文脈で、好適な疎水性コーティング剤は主にシリコーン、具体的にはトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコンである。日焼け止め剤では、いわゆるマイクロ色素またはナノ色素が好ましく使用される。好ましくはマイクロ化した酸化亜鉛、例えば、Z-COTE(登録商標)またはZ-COTE HP1(登録商標)が使用される。
【0173】
加えて、重金属を錯化する物質が本発明に係るカプセル内に封入されてもよい。好適な重金属錯化剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはニトリロトリ酢酸(NTA)のアルカリ塩、及びアニオン性ポリ電解質、例えば、ポリマレイン酸及びポリスルホン酸のアルカリ金属塩である。錯化剤の好ましいクラスはホスホン酸塩であり、それは0.01~2.5重量%、好ましくは0.02~2重量%、特に0.03~1.5重量%の量で好ましい織物処理剤に含められる。これらの好ましい化合物の例には、特にオルガノホスホン酸塩、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMPまたはDETPMP)及び2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBS-AM)が挙げられ、それらはふつう、アンモニウム塩またはアルカリ金属塩の形態で使用される。
【0174】
上記で特定されている好ましい疎水性活性物質は単独で、または上記物質の2または3または4またはそれ以上の混合物で使用することができる。
【0175】
特定の及び好ましい変形によれば、本発明のカプセルが香料またはアロマを付与する、すなわち、送達するまたは移すのに使用されることになっていれば、すなわち、それが本発明の油相に分散されるならば、疎水性活性物質は、本明細書で特定されているような香水物質またはアロマ物質または少なくとも1つの香油またはアロマ、すなわち、前述の物質の対応する混合物を含む、またはそれらから成る。
【0176】
考えられるさらなる成分には一般に、マイクロカプセル化の分野から用途が存在するすべての化合物が含まれる。そのような成分は当該技術分野で周知である。しかしながら、合成起源及び天然起源の双方である香料及び香油のような匂いのある活性物質が好ましい。好ましいのは本発明に係るコアシェルマイクロカプセルであり、その際、コアは、精油、コンクリート、アブソリュート、樹脂、樹脂状物質、バルサム、非1級または2級アルコールを含有するチンキなどのような天然の原料の抽出物から成る群から選択される1以上の臭気物質/香料を活性剤(複数可)として含有する。好ましくは、これらの物質は心地良い匂いを付与する。
【0177】
有効成分の油相全体に対する比率は油相の総重量に対しておよそ15~100重量%、好ましくは30~100重量%、一層さらに好ましくは40~100重量%、さらに最も好ましくは50~100重量%である。
【0178】
したがって、本明細書に記載されているプロセスでは、かなりの量の有効成分(複数可)を効率的にカプセル化することが可能である。
【0179】
代わりに且つ好ましくは、有効成分それ自体は、例えば、香油は少なくとも1つのポリイソシアネートを溶解する油成分として役立つことができる。
【0180】
本発明の生態に優しいコアシェルマイクロカプセルは種々の有効成分の効率的なカプセル化を可能にするので、多数の製品の調製及び広い範囲の製品配合への組み込みでの使用を可能にする。
【0181】
さらに、本明細書に記載されているプロセスの第1段階は少なくとも1つのカプセル形成助剤、すなわち、1以上のカプセル形成助剤を含む第1の水相の提供を必要とする。この目的で、カプセル形成助剤は水性溶媒(好ましくは純水)に溶解されて第1の水相を形成する。
【0182】
本発明の範囲内で使用されるカプセル形成助剤(複数可)は、例えば、表面活性剤(界面活性剤または乳化剤)及び/またはコロイド状保護剤である。
【0183】
一般に、表面活性剤、または単に界面活性剤は、2つの異なる相間の表面張力を低下させ、且つふつう、疎水性官能基と親水性官能基の双方を有する、性質は両親媒性である物質である。その結果、これらの物質は油相と水相の界面、例えば、水中油エマルションの液滴の周りに配置することができ、周囲の水相にて微細に広がった個々の油滴の安定化を可能にするので、前記油滴の凝集が回避される。したがって、これらの表面活性剤は乳化剤として作用してもよく、すなわち、動態安定性を高め、且つ2つの相間の界面張力を低下させることによってエマルションを安定化する物質として作用してもよい。
【0184】
したがって、乳化を円滑にするために、非イオン性、アニオン性、両性、及び/またはカチオン性の界面活性剤及びそれらの混合物から成る群から選択されるそのような乳化剤をカプセル形成助剤として第1の水相に加えることは有用であり得る。
【0185】
好適な非イオン性乳化剤は、例えば、
・直鎖C8-22脂肪アルコールへの、C12-22脂肪酸への、及びアルキル基にて8~15の炭素原子を含有するアルキルフェノールへの2モル~30モルのエチレンオキシド及び/または0モル~5モルのプロピレンオキシドの付加生成物;
・1モル~30モルのエチレンオキシドのグリセロールへの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステル及びジエステル;
・6~22の炭素原子を含有する飽和及び不飽和脂肪酸及びそのエチレンオキシド負荷産物のグリセロールモノエステル及びジエステル及びソルビタンモノエステル及びジエステル;
・ヒマシ油及び/または水素化ヒマシ油への15モル~60モルのエチレンオキシドの付加生成物;
・ポリオールエステル、特にポリグリセロールエステル、例えば、ポリリシノレイン酸ポリグリセロール、ポリ-12-ヒドロキシステアリン酸ポリグリセロール、またはジメレートイソステアリン酸ポリグリセロール。これらのクラスのいくつかに由来する化合物の混合物も好適である;
・ヒマシ油及び/または水素化ヒマシ油への2モル~15モルのエチレンオキシドの付加生成物;
・直鎖、分岐鎖、不飽和または飽和C6/22脂肪酸、リシノレン酸及び12-ヒドロキシステアリン酸及びグリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)及びポリグルコシド(例えば、セルロース)に基づく部分エステル;
・リン酸モノ-、ジ-及びトリアルキル及びリン酸モノ-、ジ-及びトリ-PEG-アルキル及びそれらの塩;
・ウールワックスアルコール;
・ポリシロキサン/ポリアルキルポリエステルコポリマー及び対応する誘導体;
・ペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸と脂肪アルコールの混合エステル及び/またはC6-22脂肪酸、メチルグルコースとポリオール、好ましくはグリセロール、またはポリグリセロールの混合エステル;
・ポリアルキレングリコール;ならびに
・炭酸グリセロール
を包含する。
【0186】
脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、脂肪酸のグリセロールモノ-及びジエステル及びソルビタンモノ-及びジエステルへの、またはヒマシ油へのエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドの付加生成物は既知の市販されている製品である。これらは同族体混合物であり、その平均アルコキシル化度は、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、付加反応が行われる基質との量の比に対応する。グリセロールへのエチレンオキシドの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステル及びジエステルは化粧品配合のための脂質層強化剤として知られている。以下では、好ましい乳化剤がさらに詳細に記載されている:
【0187】
部分グリセリド:好適な部分グリセリドの典型例はヒドロキシステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸ジグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、リシノール酸モノグリセリド、リシノール酸ジグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、リノレン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、クエン酸ジグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド、リンゴ酸ジグリセリド、及び製造過程に由来する少量のトリグリセリドを未だに含有してもよいそれらの技術的混合物である。言及された部分グリセリドへの1モル~30モル、好ましくは5モル~10モルのエチレンオキシドの付加生成物も好適である。
【0188】
ソルビタンエステル:好適なソルビタンエステルはモノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ジイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ジオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノエルカ酸ソルビタン、セスキエルカ酸ソルビタン、ジエルカ酸ソルビタン、トリエルカ酸ソルビタン、モノリシノール酸ソルビタン、セスキリシノール酸ソルビタン、ジリシノール酸ソルビタン、トリリシノール酸ソルビタン、モノヒドロキシステアリン酸ソルビタン、セスキヒドロキシステアリン酸ソルビタン、ジヒドロキシステアリン酸ソルビタン、トリヒドロキシステアリン酸ソルビタン、一酒石酸ソルビタン、セスキ酒石酸ソルビタン、二酒石酸ソルビタン、三酒石酸ソルビタン、モノクエン酸ソルビタン、セスキクエン酸ソルビタン、ジクエン酸ソルビタン、トリクエン酸ソルビタン、モノマレイン酸ソルビタン、セスキマレイン酸ソルビタン、ジマレイン酸ソルビタン、トリマレイン酸ソルビタン及びそれらの技術的混合物である。言及されているソルビタンエステルへの1モル~30モル、好ましくは5モル~10モルのエチレンオキシドの付加生成物も好適である。
【0189】
ポリグリセロールエステル:好適なポリグリセロールエステルの典型例は、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2(Dehymuls(登録商標)PGPH)、ポリグリセリン-3-ジイソステアレート(Lameform(登録商標)TGI)、イソステアリン酸ポリグリセリル-4(Isolan(登録商標)GI 34)、オレイン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ジイソステアロイルポリグリセリル-3(Isolan(登録商標)PDI)、メチルグルコースジステアリン酸ポリグリセリル-3(Tego Care(登録商標)450)、ポリグリセリル-3蜜蝋(Cera Bellina(登録商標))、カプリン酸ポリグリセリル-4(カプリン酸ポリグリセロールT2010/90)、ポリグリセリル-3セチルエーテル(Chimexane(登録商標)NL)、ジステアリン酸ポリグリセリル-3(Cremophor(登録商標)GS 32)及びポリリシノール酸ポリグリセリル(Admul(登録商標)WOL 1403)、ダイマー酸イソステアリン酸ポリグリセリル及びそれらの混合物である。好適なポリオールエステルの例は、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールの任意で1モル~30モルのエチレンオキシドと反応させたラウリン酸、ココ脂肪酸、タロウ脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などによるモノエステル、ジエステル、及びトリエステルである。
【0190】
テトラアルキルアンモニウム塩:カチオン性で活性がある界面活性剤は水溶液における解離によってカチオンでの表面活性に必要とされる疎水性の高分子基を含む。カチオン性界面活性剤の重要な代表の群は一般式(R)Xのテトラアルキルアンモニウム塩である。ここで、RはC-Cアルキル(アルケニル)を表し、R、R及びRはそれぞれ独立して1~22の炭素原子を有するアルキル(アルケニル)ラジカルを表す。Xは好ましくはハロゲン化合物、硫酸アルキル及び炭酸アルキルの群から選択される対イオンである。窒素基が2つの長いアシル基と2つの短いアルキル(アルケニル)基で置換されているカチオン性界面活性剤は特に好ましい。
【0191】
エステルクワット:本発明のための共界面活性剤として特に有用なカチオン性界面活性剤のさらなるクラスはいわゆるエステルクワットによって表される。エステルクワットは一般に四級化された脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩であると理解されている。これらは調製有機化学の関連する方法によって入手することができる既知の化合物である。この関係で国際特許出願WO91/01295A1が参照され、それに従って、次亜リン酸の存在下で脂肪酸によってトリエタノールアミンが部分的にエステル化され、空気を反応混合物に通し、次いで硫酸ジメチルまたはエチレンオキシドによって全体を四級化する。加えて、ドイツ特許DE4308794C1は、トリエタノールアミンエステルの四級化が好適な分散剤、好ましくは脂肪アルコールの存在下で実施される固体エステルクワットの製造プロセスを記載している。
【0192】
本発明に従って使用するのに好適なエステルクワットの典型例は、アシル成分が、RCOが6~10の炭素原子を含有するアシル基である式RCOOHに対応するモノカルボン酸に由来し、アミン成分がトリエタノールアミン(TEA)である生成物である。そのようなモノカルボン酸の例はカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、及びそれらの技術的混合物、例えば、いわゆるヘッド分画された脂肪酸である。アシル成分が8~10の炭素原子を含有するモノカルボン酸に由来するエステルクワットが好ましく使用される。他のエステルクワットは、アシル成分がマロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、ソルビン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸及び/またドデカン二酸のようなジカルボン酸に由来するが、好ましくはアジピン酸に由来するものである。概して、アシル成分が6~22の炭素原子を含有するモノカルボン酸とアジピン酸の混合物に由来するエステルクワットが好ましく使用される。最終的なエステルクワットにおけるモノカルボン酸とジカルボン酸のモル比は1:99~99:1の範囲、好ましくは50:50~90:10の範囲、さらに詳しくは70:30~80:20の範囲にあってもよい。四級化脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩のほかに、他の好適なエステルクワットは、モノ-/ジカルボン酸混合物のジエタノールアルキルアミンまたは1,2-ジヒドロキシプロピルジアルキルアミンによる四級化エステル塩である。エステルクワットは、対応するジカルボン酸との混合物にて脂肪酸及び対応するトリグリセリドの双方から得られてもよい。関連する従来技術の代表であるように意図されるそのようなプロセスの1つは欧州特許EP0750606B1にて提案されている。四級化エステルを作り出すには、モノカルボン酸及びジカルボン酸とトリエタノールアミンとの混合物が利用できるカルボキシ機能に基づいて1.1:1~3:1のモル比で使用されてもよい。エステルクワットの性能特性を考慮すると、1.2:1~2.2:1、好ましくは1.5:1~1.9:1の比が特に有利であることが判明している。好ましいエステルクワットは、1.5~1.9の平均エステル化度でのモノエステル、ジエステル及びトリエステルの技術的混合物である。
【0193】
さらに好適な界面活性剤は非イオン性ポリマー、例えば、ソルビタンエステルエトキシレート(Tween(登録商標))及び/またはポリプロピレンオキシド/エチレンコポリマー、Tergitol(商標)、Triton(商標)(Dow Chemicals)及びアルコールエトキシレートである。
【0194】
アニオン性及び/または両性の界面活性剤の1以上の非イオン性界面活性剤との組み合わせの使用はさらに有利である。本発明に係る好ましい実施形態では、組成物はさらに、必要とされる製品配合にて凝集を引き起こさない、
・リン酸アルキル誘導体;
・オレイン酸クエン酸グリセリル誘導体;
・ステアリン酸クエン酸グリセリル誘導体;
・ステアリン酸エステル;
・ソルビタンエステル;
・エトキシ化ソルビタンエステル;
・エトキシ化モノ-、ジ-及びトリグリセリド;
・メチルグルコースエステル
から成る群から選択される乳化剤を含む。
【0195】
代わりにまたはさらに、コロイド状保護剤(いわゆる保護コロイド)はカプセル形成助剤(複数可)として第1の水相に溶解することができる。
【0196】
好ましくは、第1の水相はカプセル形成助剤(複数可)として1以上のコロイド状保護剤(複数可)を含む。
【0197】
したがって、本発明の好ましい変形では、1以上のコロイド状保護剤(複数可)が少なくとも1つのカプセル形成助剤として使用される。
【0198】
代替の実施形態では、少なくとも1つのコロイド状保護剤と少なくとも1つの界面活性剤の双方が第1の水相に使用される。
【0199】
好ましくは、1以上のコロイド状保護剤は、ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール(加水分解:70%以上)、例えば、Selvol(商標)(Sekisui Specialty Chemicals)、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、化学修飾された生体高分子、好ましくは、化学修飾されたデンプン、修飾されたアラビアゴム、修飾されたセルロースまたはセルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アクリレートポリマーまたはそれらの混合物から成る群から選択される。好適なのはまた、例えば、デンプン(トウモロコシ、キノア、オーツ麦、もち麦、またはジャガイモに由来することが多い)、アラビアゴム、または例えば、無水コハク酸オクテニル(OSA)によって化学的に修飾されているセルロースである。代表的な製品は、例えば、Capsul(登録商標)StarchまたはHi-CAP(登録商標)100(Ingredion Inc.)として入手可能である。
【0200】
好ましくは、コロイド状保護剤(複数可)は、例えば、既知の保護コロイド、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリメタクリル酸及びそれらの混合物から成る群から選択される。
【0201】
ポリビニルアルコールは、本発明に係るバイオベースのマイクロカプセルのすべての型に好適な保護コロイドであることが見いだされた(実施例1~12を参照のこと)。さらに、ポリビニルアルコールは好気性及び嫌気性の双方の条件下で生分解性であるので、生分解性のマイクロカプセル、ひいては環境に適合するマイクロカプセルの調製に特に好適である。
【0202】
さらに、保護コロイドは好ましくは、修飾されたアラビアゴム、無水オクテニルコハク酸で修飾したデンプン(OSA)、例えば、Capsu(登録商標)、HiCap(商標)、ダイズタンパク質、カゼイン酸ナトリウム、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、糖ビートペクチン、加水分解ダイズタンパク質、加水分解セリシン、シュードコラーゲン、生体高分子SA-N、ペンタケア-NAPF、アラビアゴムとレビタリンの混合物、及びそれらの混合物から成る群から選択されるアニオン性または両親媒性のポリマーであることができる。
【0203】
好ましくは、前記保護コロイドは生体高分子(生体巨大分子)、すなわち、再生可能な供給源から抽出される、または生物によって産生される(すなわち、生物起源の;生物由来の)物質、例えば、多糖類、例えば、デンプンまたはセルロースである。生体高分子は1000ダルトンから1,000,000,000ダルトンに及ぶ分子量分布を特徴とし、例えば、炭水化物(糖ベース)、タンパク質(アミノ酸ベース)または双方の組み合わせであることができ、直鎖または分岐鎖であることができる。生体高分子の誘導体(バイオベースのポリマー)は化学的な誘導体化によってそのような生体巨大分子から導出される化合物である。ふつう、これらの物質は生分解性でもある。好ましくは、1以上の保護コロイド(複数可)は、修飾されたアラビアゴム、無水オクテニルコハク酸で修飾したデンプン(OSA)、例えば、Capsu(登録商標)、HiCap(商標)、または(修飾された/誘導体化された)ダイズタンパク質から成る群から選択される。
【0204】
本発明の目的を考慮すれば、本発明の範囲内で使用される少なくとも1つのカプセル形成助剤は好ましくはコロイド状保護剤であり、その際、生体高分子化合物は、特に生態に優しいアプローチを考慮してカプセル形成助剤として特に好ましい。
【0205】
実施例1と実施例5の間での比較は、そのようなバイオベースの保護コロイドが、高い安定性と同時に高い放出特性を示す本発明に係るバイオベースのマイクロカプセルの調製に好適に使用することができることを示している。
【0206】
したがって、好ましい変形では、本発明は本発明に係るコアシェルマイクロカプセルまたはコアシェルマイクロカプセルを含むスラリーを調製するプロセスに関するものであり、その際、少なくとも1つの形成助剤は生体高分子または生体高分子の誘導体、好ましくは、生体高分子の誘導体である。
【0207】
しかしながら、さらに好ましい変形では、少なくとも1つのカプセル形成助剤はポリビニルアルコールであり、上記で示されているような安定性が高い及び性能が優れたマイクロカプセルの形成を可能にする。
【0208】
コロイド状保護剤として本明細書で特定されているこれらの物質に基づいて、理想的にバランスの取れた特性を有する環境に優しいと同時に効率的なマイクロカプセルを調製することが可能である。
【0209】
本発明に係るマイクロカプセルは、本明細書で特定されているような1以上のコロイド状保護剤及び/または1以上の表面活性剤を使用することによって調製することができる。好ましくは、1以上のコロイド状保護剤が使用される。一層さらに好ましくは、これらのコロイド状保護剤は生分解性であり、及び/またはバイオベースまたは生物由来である。
【0210】
通常、カプセル形成助剤(複数可)は0.1~5重量%、好ましくは0.5~5重量%の量で第1の水相に含まれる。
【0211】
カプセル形成助剤(複数可)、例えば、保護コロイド(複数可)がこれらの量で含有されれば、連続水相における油滴の高い程度の安定化を達成することができる。さらに、沈殿が回避され、凝集効果が低減されるので、周囲の水相内で油粒子を微細に分散させ、それによって、得られるマイクロカプセルの均質なカプセル化及び均質なサイズ分布を保証する。
【0212】
加えて、本発明に係る調製プロセスの間の連続撹拌は本発明に係る粒子及び/または得られるマイクロカプセルの凝集、ひいては塊状化、と同様にマイクロカプセルの沈殿を回避するのに役立つ。
【0213】
さらに、第1の水相のpH値は好ましくは7以上である。好ましくは、pHはおよそ8以上である。これらのpH値を達成するために、対応する酸性または塩基性の物質を第1の水相に加えることができ、または代わりに暫定の水中油エマルションに加えることができる。あるいは、pH調整(必要であれば)は第2の水相にて、または前記第2の水相の添加後に実行される。
【0214】
さらに、本発明のプロセスは、20未満のモノマー単位(または反復単位)、すなわち、19以下のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位をそれぞれ独立して有する構成要素としての少なくとも1つの糖及び/またはアミノ糖を含む第2の水相の提供を必要とし、任意でその際、第2の水相はさらに、1以上の追加の形成助剤(複数可)を含む。この目的で、20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位をそれぞれ独立して有する少なくとも1つの糖及び/またはアミノ糖と、任意でカプセル形成助剤(複数可)が水性溶媒(好ましくは純水)に溶解される。
【0215】
しかしながら、本発明のプロセスの代わりの変形では、(アミノ)糖を第1の水相に直接加え、第2の水相を提供する工程及び中間的な水中油エマルションの調製を省くことも可能である。それによって、イソシアネート含有の油相と(アミノ)糖及び形成助剤を含有する水相とを混ぜ合わせて水中油エマルションを得て、続いて硬化する。必要であれば、アルカリ性溶液を加えることによってpH値を調整する。
【0216】
以下では、本発明のコアシェルマイクロカプセルの(アミノ)糖成分、と同様に本発明のプロセス内で使用される対応する成分について説明する。
【0217】
通常、そのようなモノマー、ダイマー、オリゴマー及び小型の、すなわち、短鎖高分子(アミノ)糖は3500Da以下、好ましくは3000Da未満の分子量を有する。したがって、本発明の範囲内では、好ましくは、3500Da以下、好ましくは3000Da以下の分子量を有するアミノ糖及び/または糖が、高度に安定で効率的なバイオベースのコアシェルマイクロカプセルの調製に構成要素として使用される。
【0218】
本発明は、ポリイソシアネートと反応する単糖、二糖、オリゴ糖、と同様に小型の、すなわち、短鎖多糖の特定の比を使用して、コアシェルマイクロカプセルにおけるシェル壁を形成する構造セグメント単位を形成する。本発明の範囲内で好適な糖は炭水化物またはその誘導体、すなわち、炭素原子、水素原子及び酸素原子から成る生体分子の誘導体である。これらの糖は一般に、モノマー単位、すなわち、モノマー糖構成要素の数に基づいて4つの化学的な群:単糖(モノマー単位1つ)、二糖(モノマー単位2つ)、オリゴ糖(モノマー単位3~10)、及び多糖(10を超えるモノマー単位)に分けることができる。それに関して、モノマー単位、すなわち、糖構成要素は2以上のヒドロキシル基(-OH)を有する。オリゴ糖は、3~10単位の重合度(DP)(IUPACの定義)を有するグリコシド結合によって連結された単糖残基の短いポリマーとして定義されている。それらは直鎖または分岐鎖であってもよく、通常、個々にまたは混合物でヘキソースまたはペント―スを含有する。ウロン酸、シアル酸及び無水糖を含む他の単糖が存在してもよい。二糖、オリゴ糖及び高分子糖は、1種類のモノマー単位で、または1を超える種類のモノマー単位、すなわち、2以上の構造的に異なるモノマー単位で構成され得る。
【0219】
本発明の範囲内で最も好適に使用されるそのような炭水化物は、20未満のモノマー単位、すなわち、20未満の連結した単糖残基、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位を持つ糖(口語:シュガー)であり、例えば、単糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース)、二糖(スクロース、ラクトース、マルトース)、直鎖または分岐鎖のオリゴ糖(ラフィノース、スタキオース)及び/または本明細書で定義されているような直鎖または分岐鎖の短鎖多糖である。
【0220】
糖という用語は本明細書で使用されるとき、天然供給源から得られる糖だけでなく、合成で製造された糖及び天然の糖と同等の構造のその誘導体も含む。
【0221】
しかしながら、好ましくは、本出願の範囲内で使用される架橋された糖構成要素は単糖、二糖及び/またはオリゴ糖及び/または本明細書で定義されているような短鎖多糖である。好ましくは、これらの糖は天然供給源に由来する。
【0222】
さらに小さいサイズの分子はカプセル形成助剤(複数可)が取り囲むイソシアネートリンカーを含む油性コアに向かう拡散の促進を可能にするので、さらに密な架橋による強化された界面重合を可能にし、コア材料としての有効成分(複数可)の効率的なカプセル化を可能にする強化された性能と同時にさらに安定なカプセルをもたらす。同時に、バイオベースのカプセル構成要素は、市販の完全に合成の最先端のマイクロカプセルと比べてカプセル壁材料の生分解性の改善を可能にする。カプセルの安定性と同様にその性能は、例えば、デンプンまたはキトサンのようなさらに大きな構成要素に基づくマイクロカプセルと比べて改善される。
【0223】
一般に、アミン構成要素またはアルコール構成要素は壁形成のために水相から有機相に浸透する。それに関して、浸透速度は主に、前記構成要素の溶解性及び拡散速度によって制御され、構成要素の分子サイズは拡散速度、ひいては浸透速度に相当影響を及ぼす。市販のデンプンまたはキトサンのようなさらに大きな構成要素については、拡散速度及び浸透速度はかなり低下し、架橋密度の低下及び効率的ではないカプセル化、と同様にカプセル安定性の低下を生じる。その結果、デンプン及び/またはキトサンのようなさらに大きな構成要素に基づくマイクロカプセルの放出性能も有意に低下する。
【0224】
対応するアミノ糖では、糖構造のヒドロキシル基の1以上がアミン基(-NHまたは-NH-、好ましくは-NH)で置換されている。そのようなアミノ官能性の単糖、二糖、オリゴ糖及び多糖は、例えば、グルコサミン、マンノサミン、ガラクトサミン、ポリグルコサミン及びオリゴグルコサミン、例えば、キトース、キトオリゴ糖またはキトサンオリゴ糖(20未満のモノマー単位を有する)及びキトサン(20以上のモノマー単位)としても知られるオリゴキトサン、ならびにN-アセチル置換アミノ糖である。好ましくは、本発明の範囲内で使用されるアミノ糖は20未満のモノマー単位、すなわち、19以下のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位を有する。したがって、本発明の文脈内で使用されるアミノ糖は好ましくは、アミノ単糖(モノマー単位1つ)、アミノ二糖(モノマー単位2つ)、直鎖または分岐鎖のアミノオリゴ糖(オリゴマーアミノ糖:3~10のモノマー単位)及び/または20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位の鎖長を有し、分岐鎖または直鎖である短鎖アミノ多糖(ポリマーアミノ糖:10を超えるモノマー単位)である。アミノ二糖、アミノオリゴ糖及びアミノ多糖は、1種類のモノマー単位で、または1を超える種類のモノマー単位、すなわち、2以上の構造的に異なるモノマー単位で構成され得る。
【0225】
対応して、好ましい変形では、本出願の範囲内で使用される架橋されたアミノ糖構成要素は、好ましくは天然供給源に由来する、本明細書で定義されているようなアミノ単糖、アミノ二糖、アミノオリゴ糖及び/または短鎖高分子アミノ糖である。
【0226】
アミノ糖という用語には本明細書で使用されるとき、天然供給源から得られるアミノ糖だけでなく、合成で製造されるアミノ糖及び天然のアミノ糖と同等の構造のその誘導体も含まれる。しかしながら、好ましくは、本発明の範囲内では天然供給源に由来するアミノ糖が使用される。
【0227】
さらに、アミンを含まないモノマー単位とアミン含有のモノマー単位の混合物を含むまたはそれから成る糖は本発明の範囲内で好適に使用され、それも「アミノ糖」と呼ばれる。しかしながら、好ましくはアミノ糖では、モノマー単位のすべてがアミン基を含む。
【0228】
さらに好ましい変形では、それぞれ独立して20未満のモノマー単位を有する糖構成要素及び/またはアミノ糖構成要素は直鎖または分岐鎖のいずれかである。カプセル壁の形成については、2以上の直鎖及び/または分岐鎖の構成要素の組み合わせ、すなわち、1以上の直鎖の糖、1以上の直鎖のアミノ糖、1以上の分岐鎖の糖及び/または1以上の分岐鎖のアミノ糖の混合物、と同様に直鎖及び分岐鎖の糖及び/またはアミノ糖の混合物を使用することができる。
【0229】
本発明の好ましい変形によれば、カプセルシェルは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、すなわち、それぞれ2以上のイソシアネート官能基を有する単一のイソシアネート化合物または2以上の異なるイソシアネート化合物の混合物と、20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位をそれぞれ独立して有する、本明細書で定義されているような少なくとも1つの糖との反応生成物である高分子材料で形成される。
【0230】
あるいは、カプセルシェルは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、すなわち、それぞれ2以上のイソシアネート官能基を有する単一のイソシアネート化合物または2以上の異なるイソシアネート化合物の混合物と、本明細書で定義されているような20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位をそれぞれ独立して有する1以上のアミノ糖との反応生成物である高分子材料で形成される。
【0231】
しかしながら、さらに好ましい変形では、カプセルシェルは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、すなわち、それぞれ2以上のイソシアネート官能基を有する単一のイソシアネート化合物または2以上の異なるイソシアネート化合物の混合物と、本明細書で定義されているような少なくとも1つの糖及び少なくとも1つのアミノ糖、20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位をそれぞれ独立して有する、すなわち、少なくとも1つの(すなわち、1以上の)糖構成要素及び少なくとも1つの(すなわち、1以上の)アミノ糖構成要素、糖(複数可)及びアミノ糖(複数可)の組み合わせまたは混合物との反応生成物である高分子材料で形成される。
【0232】
これらの高分子材料に基づいて、効率性の高い、同時に高い生分解特性を示すマイクロカプセル(すなわち、機械的衝撃または熱に対してまたは製品配合にて安定であり、目標の放出が開始されるまで有効成分を効率的にカプセル化することができるが、同時に高い放出性能を示すマイクロカプセル)を調製することができる。
【0233】
それに関して、(アミノ)糖単位は、最先端のマイクロカプセルを超えるその高い分解性のため、生物攻撃、ひいては生分解のための部位として役立つので、カプセル材料の環境への影響の低下させ、したがって、効率性の高い且つ同時に環境にさらに適合性の、ひいては環境にさらに優しいマイクロカプセル代替物の調製を可能にする。
【0234】
本発明のコアシェルマイクロカプセルのカプセルシェルは、ポリイソシアネートの官能基と(アミノ)糖単位の官能性ヒドロキシ基及び/またはアミン基との間の界面重合によって形成され、ポリウレタンベース及び/またはポリ尿素ベースの架橋、ひいては上記で特定されているような有効成分を含むコアの周りに高分子構造をもたらす。それによって、イソシアネート単位は「架橋」または「硬い」セグメントとして役立つのに対して(アミノ)糖単位はシェル材料の大部分を形成する親水性の「軟らかい」セグメントとして役立つ。
【0235】
本発明によれば、「糖」という用語はヒドロキシ官能基を含む糖構造及び/または1以上のアミン官能基を含む糖、すなわち、簡素の目的でアミノ糖の双方を指す。
【0236】
少なくとも1つのポリイソシアネートの少なくとも1つの(アミノ)糖のヒドロキシル基とのポリ付加反応は、イソシアネート基(-N=C=O)の炭素窒素結合の炭素原子への(アミノ)糖(複数可)のヒドロキシル基(-OH)の付加によっていわゆるウレタン架橋(-NH-CO-C-)の形成をもたらす。代わりにまたは同時に、ポリ尿素架橋の形成は、ポリイソシアネート(複数可)のイソシアネート官能基への(アミノ)糖(複数可)のアミン基(-NH、-NH-)のポリ付加によるポリウレタン架橋の形成と類似の方法で行われる。代わりに、対応するチオ糖の場合、ポリチオウレタン架橋が形成される。
【0237】
したがって、強固に架橋されたカプセルシェルは、コア材料としてカプセルに封入された疎水性有効成分(または有効成分の混合物)の拡散または浸透を防止する、結晶性の極性セグメントおよび/またはポリイソシアネート含量が低下した強固に架橋されたセグメントから高分子材料として形成することができる。香料及び香水の場合、例えば、これは感覚的に感知できる有効成分(香料混合物または単一の香料物質)の効果的なカプセル化につながり、それは、たとえば、機械的な活性化によって、または外界の環境変化、例えば、pH値もしくは温度の変化によって、または生物攻撃を介して効果的に放出される。これはさらに、高い性能を達成できるようにカプセルが十分な安定性を示すことを必要とする。本発明のバイオベースのコアシェルマイクロカプセルに基づいて、活性物質(複数可)の蒸発及び/または製品配合の他の成分との相互作用による、及び/または適用中の時期尚早の破壊(例えば、洗濯機などにて)による損失がなく、有効成分(複数可)の効率的なカプセル化を可能にする高度に安定なカプセルを提供することが可能である。同時に、本発明のバイオベースのカプセルは高い性能を示すので活性物質(複数可)の効率的な且つ目標とする放出を可能にする。加えて、それらは、安定性にも性能にも悪影響を与えずに高い生分解性を示す。
【0238】
さらに、驚くべきことに、大幅に減らしたシェル材料によって高度に安定な生物由来の且つ生態に優しいマイクロカプセルを調製できることが見いだされた(実施例11及び12を参照のこと)。これらのカプセルは、本明細書で定義されているような(アミノ)糖セグメントの効率的な架橋のためシェル材料の減少及び低いイソシアネート含量にもかかわらず、高い機械的安定性、熱安定性、及び化学的安定性を示す。
【0239】
架橋している官能基の数が多ければ多いほど、空間的な架橋が大きくなり、最終マイクロカプセルの得られるカプセルシェルまたはカプセル壁がさらに安定になる。官能基の数、すなわち、分岐鎖の数に加えて、個々の構成要素の鎖長は機械的特性、すなわち、カプセルの安定性に有意な影響を有する。しかしながら、高度過ぎる架橋はカプセルの安定性を高めるであろうが、同時にカプセル材料及びカプセル自体の生分解性及び性能、すなわち、放出挙動に悪影響を及ぼす。しかしながら、第1の態様に従って本明細書に記載されているプロセス及び本明細書で特定されている(アミノ)糖に基づいて、これらの特性の向上したまたはさらに理想的なバランスを有するマイクロカプセルを達成することが可能であるので、これらの構成要素は、種々の消費者製品配合における安定な組み込みに好適である優れた性能及び高い生分解性を伴う安定性が高いマイクロカプセルの調製を可能にする。
【0240】
第1の態様に係る本発明のマイクロカプセルは機械的な影響、例えば、回転式乾燥機または熱で優勢なものに対する高い機械的安定性(熱安定性)を示すが、同時に有効成分の効率的な、目標とする、シグナルが誘導する放出を可能にする。加えて、感覚実験は、有効成分としての香料の場合、高い芳香強度が感知され得ることを示し、それは香料が本発明のコアシェルマイクロカプセル内に効率的に封入されていることを示唆しており、消費者製品配合内でのエイジングの後でさえマイクロカプセルの外への有効成分の拡散に起因する損失の効率的な低下を示す。シェルが、本明細書で定義されているような20未満のモノマー単位をそれぞれ独立して有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖を含む、バイオベースのコアシェルマイクロカプセルは高度に安定性であり、且つバイオベースの構成成分に基づくにもかかわらず有効成分の効率的なカプセル化及び高い性能を可能にする。同時にそれらは、市販の最先端のマイクロカプセルと比べて高い生分解性を示す。
【0241】
異なる糖及び/またはアミノ糖の組み合わせを効率的に使用してシェル壁における架橋密度、ひいては得られるカプセル特性を調節できることがさらに見いだされた。
【0242】
したがって、本発明は主として(アミノ)糖ベースのコアシェルマイクロカプセルに焦点を置く。及びさらに具体的には、(アミノ)糖ベースのコアシェルマイクロカプセルでは、シェルは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートと、少なくとも1つの(アミノ)糖、すなわち、20未満のモノマー単位をそれぞれ独立して有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖との反応生成物である高分子材料を含む、またはそれから成り、コアは少なくとも1つの有効成分を含む、またはそれから成る。
【0243】
本発明の範囲内での糖ベースは、本明細書で特定されているような少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖がカプセルシェルの形成のための構成要素として使用されることを意味する。
【0244】
本発明の範囲内でのバイオベースまたは生物由来は、本出願の範囲内で使用される材料が好ましくは、補充可能な、天然供給源に、さらに具体的には、農作物、農業廃棄物、または木材のような再生可能な生物起源の供給源に由来することを意味する。例えば、本明細書に記載されている(アミノ)糖は、天然の生体化合物(すなわち、生物起源の化合物)、さらに具体的には天然分子のクラスを指す。驚くべきことに、これらの生物由来の材料は、安定で且つ効率的なバイオベース/生物由来のまたは(アミノ)糖ベースのコアシェルマイクロカプセルの調製のための主要構成要素として、ひいては化石ベースのマイクロカプセルに対するバイオベースの且つ環境にさらに優しい代替物として好適に使用され得ることが見いだされた。
【0245】
それに関して、本明細書で特定されているような特定の(アミノ)単糖、(アミノ)二糖及び(アミノ)オリゴ糖と同様に短鎖高分子(アミノ)糖、例えば、20未満のモノマー単位(または反復単位)、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位を持つ低分子量のマルトデキストリンは前記生物由来のコアシェルマイクロカプセルのシェル形成にて特に有利である。これらの低分子量(アミノ)糖は高分子量のポリ(アミノ)糖と比べて反応界面にさらに容易に拡散する。拡散が妨げられにくくなり、壁の形成が促進されるため、さらに高度な架橋の形成が可能になり、その結果、さらに安定した、同時に性能の良好なマイクロカプセルが得られる。カプセルは有効成分(複数可)の拡散によって損失することなく有効成分を効率的にカプセル化し、種々の配合、特に消費者製品、例えば、洗剤、布地柔軟剤などにて安定して組み込まれ得る。さらに、これらのバイオベースのマイクロカプセルは高い性能、すなわち、香料カプセルまたは匂いカプセルの場合、優れた香料放出特性を示し、且つ高い生分解性を示す。
【0246】
アミノ糖は自然界に広く存在し、広範な化合物、例えば、構造的多糖類、ムコ多糖類、細菌莢膜多糖類、テイコ酸、リポ多糖類、糖脂質、ムコタンパク質、ヌクレオチドなどに見いだされている。
【0247】
キトサンは、例えば、一般に非毒性の生分解性及び生体適合性の多糖、すなわち、30,000Da~50,000Daの範囲の分子量を有する、β(1-4)結合D-グルコサミンモノマー単位とN-アセチル-D-グルコサミンモノマー単位とに基づく生体高分子であり、それによって、当該高分子は20以上のモノマー単位、すなわち、グルコサミンベースのモノマー単位(D-グルコサミンモノマー単位またはN-アセチル-D-グルコサミンモノマー単位;それぞれ個々にモノマー単位と見なされる)を含み、ふつう100を超えるモノマー単位を含む。しかしながら、キトサンは水または有機溶媒には乏しい溶解性しか有さず、酢酸、プロピオン酸、クエン酸及びギ酸のような酸性有機溶液に数%(1~3%)可溶性であるにすぎない。加えて、酸性化キトサン溶液は界面反応にてポリイソシアネートと非常に反応しにくい。したがって、キトサン自体はコアシェルマイクロカプセルの調製に好適ではない。加えて、分子の大きな構造に起因して、イソシアネート反応物質に向かう拡散が妨害され、あまり密ではない架橋を生じるので、安定性が低下すると共に効率的ではないカプセル化を生じる。
【0248】
しかしながら今や驚くべきことに、20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位を有する、オリゴキトサン(またはキト-オリゴ糖)としても知られる、キトサン(Carbosynth-Biosynth(登録商標)LTD,England)及びその誘導体の酵素的または化学的加水分解によって調製されるキトサンまたはキチンの分解産物である特定の低分子量キトサンオリゴマーは酸性及びアルカリ性の溶媒双方における乏しい溶解性を克服し、10%を超える高いレベルの溶解性を可能にすることが発見された。
【0249】
定義によって、本発明によれば、20未満の重合度(DP)及びおよそ3900Da未満の平均分子量を有するキトサン誘導体をキトサンオリゴマー、キトオリゴマー、オリゴキトースまたはキト-オリゴ糖(COS)と呼ぶ。これらの用語は同義に使用される。何がキトサンオリゴマーを構成するかの定義は、10未満のモノマー単位を有する上記で定義されたようなオリゴマー構造の古典的な定義から逸脱してもよい。しかしながら、本発明によれば、キトサンオリゴマーは20未満のモノマー単位を有すると定義されているので、「オリゴアミノ糖」または「オリゴマーアミノ糖」または代わりに「短鎖アミノ多糖」とも呼ばれる。
【0250】
低分子量キトサンオリゴマー(MW<3900g/モル、好ましくは<3000g/モル;キト-オリゴ糖またはオリゴキトースとも呼ばれる)の独自性は30,000g/モル~5,000,000g/モル以上の分子量を有する一般のキトサンと比べて酸性及びアルカリ性の媒体双方にて高い溶解性を可能にする。加えて、キト-オリゴ糖はその短い鎖長のため、したがって重合度(DP)に応じて水に容易に溶ける。3000g/モル未満の分子量を有するキトサンオリゴマーは10~15のモノマーグルコサミン単位(D-グルコサミンモノマー単位またはN-アセチル-D-グルコサミンモノマー単位)に基づく。このアミノ糖は架橋剤、すなわち、ポリイソシアネートと効率的に重合し、シェル壁に構造単位を形成することができるので、イソシアネート成分との反応を増加させ、コーティングとは対照的にコアシェルマイクロカプセルのシェルにセグメントとして直接組み込むことができる。その上、さらに小さいサイズの構成要素はさらに密な架橋を可能にする。したがって、これらの化合物は糖ベースのまたはバイオベースのコアシェルマイクロカプセルの調製に好適である。その結果、オリゴ糖形態でのキトサンは本発明の範囲内で好ましく使用される。それによって、例えば、グルコサミンとオリゴキトースのさまざまな混合物による配合を使用してシェル壁における架橋密度及びその特性を調節することができる。
【0251】
好ましくは、本発明の文脈内で好適に使用されるキト-オリゴ糖及びその誘導体は3000g/モルまたは3000Da未満の分子量を有する。
【0252】
さらに好ましい変形では、キト-オリゴ糖は20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位を含む。
【0253】
加えて、さらに小さいサイズの分子は、イソシアネート成分と、バイオベースの架橋剤、すなわち、20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位をそれぞれ独立して有する糖及び/またはアミノ糖との間での架橋の効率的な形成を可能にするカプセル形成助剤によって取り囲まれるイソシアネートリンカーを含む油性コアに向かう拡散の促進を可能にする。それによって、カプセルシェルを形成する反応生成物としてバイオベースのまたは(アミノ)糖ベースの高分子材料が形成される。
【0254】
上記に示されているように、バイオベースの試薬は健康面及び環境面を考慮して好ましい。したがって、本発明のコアシェルマイクロカプセルの調製に使用される糖(複数可)及び/またはアミノ糖(複数可)及び/またはポリイソシアネート(複数可)は好ましくは生物由来である。好ましくは、カプセル形成助剤も生物由来である、または少なくとも生分解性である。
【0255】
さらに、上記に記載されているような小型のアルカリ性または中性のキトサンオリゴマー、すなわち、キト-オリゴ糖は長鎖キトサンと比べて油相に溶解されたイソシアネート架橋剤との界面反応の改善を可能にする。ポリイソシアネートは酸性条件下よりも塩基性、すなわち、アルカリ性条件下でさらに好都合にアミノ糖、例えば、グルコサミン及び短鎖キトサンオリゴマーのアミノ基と反応することがさらに見いだされた。したがって、好ましくはpH値は本明細書に記載されている調製プロセス中、8を上回って保たれる。したがって、好ましくは第1及び/または第2の水相のpHはアルカリ性の範囲にあり、好ましくは8を上回る。
【0256】
したがって、本発明の好ましい変形では、本発明の範囲内で好ましく使用される(アミノ)糖は20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位をそれぞれ独立して有する(アミノ)糖である。本発明によれば、少なくとも1つのそのような糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖はポリイソシアネート(複数可)と反応する。
【0257】
別の好ましい実施形態では、好ましくは、本明細書で定義されているような少なくとも1つの糖及び少なくとも1つのアミノ糖の混合物が使用される。
【0258】
好ましくは、本発明のコアシェルマイクロカプセルは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートと、以下の群:グルコサミン、マルトデキストリン及び/またはキト-オリゴ糖から選択される、20未満のモノマー単位をそれぞれ独立して有する少なくとも1つの糖及び少なくとも1つのアミノ糖との反応生成物である高分子材料を含む、またはそれから成り、その際、コアは少なくとも1つの有効成分を含む、またはそれから成る。
【0259】
これらの(アミノ)構成要素は単独でまたは混合物で、消費者製品配合にて長期間(少なくとも4週間)安定であり、且つ高い生分解性を示す、高度に安定であるが、同時に性能が優れたマイクロカプセルの形成を可能にする。キト-オリゴ糖ベースのカプセルについては実施例2及び3を参照のこと、及びマルトデキストリンベースのカプセルについては実施例6~8及び10を参照のこと。
【0260】
しかしながら、一層さらに好ましい実施形態では、20未満のモノマー単位を有する少なくとも1つの(アミノ)糖成分の構成成分はモノマー(すなわち、単糖またはアミノ単糖)であり、一層さらに好ましい(アミノ)糖ベースの構成要素はグルコサミンである(実施例1または5を参照のこと)。
【0261】
グルコサミンは(アミノ)糖構成要素のみとして使用することができ、または本明細書で定義されているような他の(アミノ)糖構成要素、例えば、マルトデキストリン及び/またはキト-オリゴ糖と好適に組み合わせることもできる。グルコサミンはモノマーアミノ糖化合物であり、栄養補助食品としてさらに使用される最も一般的な単糖の1つである。グルコサミンに基づいて調製されるコアシェルマイクロカプセルは製品配合内での優れた安定性、高い放出性能及び改善された生分解特性を示す。
【0262】
本発明の範囲内では一般に、グルコサミンまたはグルコースのような小分子は、その構造の類似性から、本明細書で定義されているような、さらに大きな(アミノ)二糖、(アミノ)オリゴ糖または短鎖(アミノ)糖と自由に混合することができる。
【0263】
したがって、好ましい実施形態では、シェルが少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートと、20未満のモノマー単位をそれぞれ独立して有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖との反応生成物である高分子材料を含む、またはそれから成る、コアシェルマイクロカプセルが開示され、その際、少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖はグルコサミンであり、コアはすくなくとも1つの有効成分を含む、またはそれから成る。
【0264】
尿素ベース及び/またはウレタンベースの架橋を形成することによるポリイソシアネートの、20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位を有する糖(複数可)及び/またはアミノ糖(複数可)の利用可能なアミノ基及び/またはヒドロキシル基との反応は、アミノ糖構成要素について以下に例示的に示されている。
【化4】
【0265】
その結果、本明細書で定義されているようなポリイソシアネートと本明細書で定義されているような(アミノ)糖の反応に基づいて、コアシェルマイクロカプセルを得ることができ、その際、シェル材料は、すくなくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、好ましくは少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネート、すなわち、1を超えるイソシアネート基を有するポリイソシアネート、好ましくは少なくとも2つのポリイソシアネートの混合物(好ましくは前記混合物におけるポリイソシアネートの少なくとも1つは脂肪族である、または前記混合物におけるポリイソシアネートのすべてが事実上脂肪族である)と、20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位をそれぞれ独立して有する、すなわち、それぞれ20未満、15以下または10以下のモノマー単位を含む、またはそれから成る少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖との反応生成物であるバイオベースの高分子材料を含む、またはそれから成り、コアは少なくとも1つの有効成分、例えば、香料化合物を含む、またはそれから成る。
【0266】
それに関して、好ましくは、少なくとも1つのポリイソシアネートは脂肪族である。一層さらに好ましくは、2以上のポリイソシアネートの混合物が使用され、その際好ましくは、ポリイソシアネートの少なくとも1つまたはすべてが脂肪族である。あるいは好ましくは、ポリイソシアネートの混合物のポリイソシアネートの少なくとも1つまたはすべては芳香族である。さらなる代替では、2以上のポリイソシアネートの混合物が使用され、その際、ポリイソシアネートの少なくとも1つは脂肪族であり、ポリイソシアネートの少なくとも1つは芳香族である。好ましくは、2以上のポリイソシアネートの混合物が使用される場合、前記混合物は80モル%を超える脂肪族の成分/ポリイソシアネートを含む、またはそれから成ることが好ましい。後者の場合、好ましくは、脂肪族ポリイソシアネート(複数可)の芳香族ポリイソシアネート(複数可)に対するモル比または重量比は85~15の範囲、一層さらに好ましくは90~10~99:1の範囲である。
【0267】
イソシアネート構成成分は好ましくは(アミノ)糖構成分から独立して選択される。それによって、芳香族イソシアネートと脂肪族イソシアネートの間の反応性の大きな差異に起因して脂肪族/芳香族イソシアネートはアミン/アルコール構成成分とは無関係にシェルにて領域的層化を形成する。
【0268】
したがって、さらなる態様では、本発明は、シェルが少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートと、20未満のモノマー単位をそれぞれ独立して有するすくなくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖との反応生成物である高分子材料を含み、またはそれから成り、コアが少なくとも1つの有効成分を含む、またはそれから成る、コアシェルマイクロカプセルに関する。
【0269】
それに関して、架橋密度、ひいては得られるカプセル特性の調整を可能にする1以上の糖(複数可)及び/またはアミノ糖(複数可)の組み合わせは特に好ましい。これは架橋密度に影響を及ぼす構成要素間の架橋のさまざまな長さをもたらし、構成要素の異なる官能基のため、カプセルの異なる官能性を可能にする。さらに、さまざまな重合度及び架橋が達成され、さらに自由度の高いカプセル壁の組成を提供し、カプセル特性全体に好影響を及ぼす。
【0270】
重合には架橋のための対応する(アミノ)糖(複数可)の活性水素の反応が含まれる。構成要素の重合に基づいた効率的なカプセル化を達成するために、したがって、少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖は、ポリウレタンベース及び/またはポリ尿素ベースの結合の形成を可能にする1級及び2級のヒドロキシル基(-OH)と同様に1級アミン基(-NH)及び2級アミン基(-NH-)から成る群から独立して選択される少なくとも2つの官能基を有することがさらに必要である。
【0271】
1級ヒドロキシル基は1級炭素原子、すなわち、炭素原子1つが直接それに連結している炭素原子に結合しているヒドロキシ基(-OH)であるのに対して、2級ヒドロキシ基は2級炭素原子、すなわち、炭素原子2つが直接それに連結している炭素原子に結合している。
【0272】
その一方で、1級アミンは、3つの水素原子のうち1つを非水素基で置き換えることによってアンモニアに由来することができ、すなわち、窒素原子は非水素原子、例えば、炭素含有基と結合するので、2つの水素原子は残る。2級アミンに言及する場合、3つの水素原子のうち2つが非水素基で置換される、すなわち、これらの2級置換アミンでは、窒素は2つの非水素原子と結合し、水素原子1つだけが窒素に結合したままである。
【0273】
好ましくは、少なくとも1つの糖は少なくとも2つのヒドロキシル基を有する一方で、少なくとも1つのアミノ糖は上記で特定されたリストから選択される少なくとも2つの官能基を有し、その際、これらの官能基は強化された安定性及びさらに密に架橋されたカプセルシェルをもたらす一方で同時に強化されたカプセル放出性能、すなわち、放出挙動を可能にするので、これらの官能基のうち少なくとも1つは、ポリウレタンベース及び/またはポリ尿素ベースの結合の形成のためにアミン基である。
【0274】
さらに好ましい変形では、本発明は本発明に係るコアシェルマイクロカプセルに関するものであり、その際、20未満のモノマー単位を有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖は、単糖類、例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース、キシロース、マンノース、アラビノース、エリスロース、トレオース、リボース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、タロース、フコース、ラムノース、アミノ単糖、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン、二糖類、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、イソマルツロース、トレハロース、ラクツロース、セロビオース、キトビオース、イソマルトース、イソマルツロース、マルツロース、アミノ二糖、直鎖及び/または分岐鎖のオリゴ糖、例えば、マルト-オリゴ糖、例えば、マルトデキストリン、ラフィノース、スタキオース、フルクト-オリゴ糖、メリシトース、ウンベリフェロース、シクロデキストリン、オリゴアミノ糖(オリゴマーアミノ糖)、例えば、キトオリゴ糖など、またはそれらの混合物から成る群から選択される。
【0275】
代わりに、または上記で特定された(アミノ)糖との組み合わせで、20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位を有する、1級及び2級のヒドロキシル基(-OH)及びチオール基(-SH)から成る群から独立して選択される少なくとも2つの官能基を有するチオ糖を好適に使用することができる。好ましくは、これらのチオ糖はポリチオウレタン構造/結合の形成を可能にする1以上の官能性チオール基(-SH)を有する。好ましくは、少なくとも1つのチオール基及び少なくとも1つのヒドロキシル基が存在してポリチオウレタンベース及びポリウレタンベースの構造双方の形成を可能にする。
【0276】
少なくとも1つのチオ糖の少なくとも1つの糖及び/またはアミノ糖との組み合わせは構成要素間のポリチオウレタン結合及びポリウレタン結合及び/またはポリ尿素結合に基づく高分子構造をもたらす。
【0277】
本発明の別の好ましい変形では、したがって、シェルが少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネート、好ましくは2以上のポリイソシアネートの混合物と、20未満のモノマー単位をそれぞれ独立して有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖及び/または少なくとも1つのチオ糖との反応生成物である高分子材料を含み、またはそれから成り、コアが少なくとも1つの有効成分を含む、またはそれから成る、コアシェルマイクロカプセルが記載されている。
【0278】
さらなる代替では、各炭素原子に連結されたヒドロキシル基(-OH)1つを含有する糖アルコール、例えば、ソルビトールまたはマンニトールもイソシアネート構成成分との反応のための構成要素として使用することができる。
【0279】
少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖及び/または少なくとも1つのチオ糖、すなわち、(アミノ)糖及び/またはチオ糖構成成分の油相全体に対する比率は油相の総重量の少なくとも0.2重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、または特に好ましくは少なくとも1重量%である。上限は5~10重量%の範囲である。しかしながら、ポリイソシアネート分子すべてが反応するのを保証するには、水相における過剰な(アミノ)糖及び/またはチオ糖構成要素、すなわち、未反応の構成要素が一般に所望である。
【0280】
糖構成成分(複数可)(糖、アミノ糖、チオ糖)の第2の水相全体に対する比率は1~30重量%、好ましくは5~20重量%である。糖構成成分(複数可)の比率が前記範囲内にあれば、効率的なカプセル化のために理想的な反応条件を達成することができる。
【0281】
上記に示されているように、第2の水相は任意で、1以上の追加の形成助剤、例えば、上記で特定されたようなコロイド状保護剤及び/または表面活性剤を含み、それは第2の水相を基にしておよそ0.1~5重量%、好ましくは0.2~2重量%の量で加えられ得る。
【0282】
第2の水相は、例えば、少なくとも1つの表面活性剤を含有してもよく、その際、前記活性剤は上記に示されているように、好ましくは非イオン性及び/またはカチオン性及び/またはアニオン性のポリマーである。
【0283】
一般に、第2の水相に加えられるカプセル形成助剤(複数可)は第1の水相で使用されるカプセル形成助剤(複数可)と同じであることができ、または異なることができる。
【0284】
好ましくは、本発明に係るバイオベースのコアシェルマイクロカプセルまたは前記コアシェルマイクロカプセルを含むスラリーを調製するプロセスの第1及び/または第2の水相で使用される1以上のカプセル形成助剤(複数可)はしたがって、表面活性剤及び/またはコロイド状保護剤であり、好ましくは、上記で特定されているようなコロイド状保護剤である。さらに、好ましくは、使用される形成助剤(複数可)は生体高分子に基づく。
【0285】
したがって、本発明に係るマイクロカプセルはカプセル形成助剤(複数可)を含有する少なくとも1つの水相を使用してこうして製造されてもよい。活性物質(複数可)の量は、例えば、各相を基にして0.1~5重量%の範囲である。
【0286】
あるいは、これらの物質は、水相内にて微細に分散されたマイクロカプセルの安定性を高めるために最終的なマイクロカプセルのスラリーに加えられ得る。
【0287】
皮膚もしくは毛髪上での組成物の展延性を改善するために、または配合の耐水性及び/または耐汗性及び/または剥がれ落ち耐性を改善するために、及び組成物の保護因子を改善するために第2の水相または最終カプセルスラリーに代わりにまたはさらに加えられ得る好適なポリマーは、例えば、International Speciality Productsによって商品名Antaron(商標)V-220のもとで販売されているVP/Eicoseneコポリマー、International Speciality Productsによって商品名Antaron(商標)V-216及びAntaron(商標)V-516のもとで販売されているVP/ヘキサデセンコポリマー、International Speciality Productsによって商品名Antaron(商標)WP-660のもとで販売されているトリコンタニルPVP、Penrecoによって商品名Versagel(登録商標)MC及びMDのもとで販売されているイソヘキサデカン及びエチレン/プロピレン/スチレンコポリマー及びブチレン/スチレンコポリマー、Penrecoによって商品名Versagel(登録商標)MEのもとで販売されている水素化ポリイソブテン及びエチレン/プロピレン/スチレンコポリマー及びブチレン/スチレンコポリマー、AkzoNobelによって商品名Dermacryl(登録商標)79、Dermacryl(登録商標)AQF及びDermacryl(登録商標)LTのもとで販売されているアクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、Lubrizolによって商品名Avalure(商標)UR 450 & 525のもとで販売されているポリウレタン、例えば、PPG-17/IPDI/DMPAコポリマー、Lubrizolによって商品名Avalure(商標)UR-405、-410、-425、-430及び-445、-525のもとで販売されているポリウレタン-2及び-4、Lubrizolによって商品名Avalure(商標)UR -510及び-525のもとで販売されているポリウレタン5及び酢酸ブチル及びイソプロピルアルコール、BASFによって商品名Luviset(登録商標)P.U.R.のもとで販売されているポリウレタン-1及び-6、Cognisによって商品名Cosmedia(登録商標)DCのもとで販売されている水素化ダイマージリノレイル/炭酸ジメチルコポリマーである。
【0288】
さらに、第2の水相のpH値は好ましくは8~11の間の範囲であり、例えば、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの溶液のようなアルカリ性溶液を使用することによって調整することができる。一層さらに好ましくは、第2の水相のpHは9を超えて11未満である。pH値がこの範囲内にあれば、有機相における架橋剤(複数可)、すなわち、イソシアネート(複数可)の(アミノ)糖(複数可)との反応が促進される。アミン含有成分の場合、高いpH値、すなわち、8を超えて9までのpH値はアミン塩酸塩の遊離のアミン(-NH、NH-)への変換を引き起こす。アミン塩酸塩基は遊離のアミン基よりもイソシアネートとゆっく反応するので、高いpH値は一般に好ましい。糖ベースの構成要素が使用されるならば、同様に、8より高いpH値が有利である。pH値はアルカリ性の水溶性水酸物及び/またはDABCO(登録商標)のような塩基性触媒の添加によって対応して調整することができる。
【0289】
続いて、工程(d)では、油相と第1の水相を混ぜ合わせて、微細に分散され、安定化した個別の液滴を伴う暫定的な水中油エマルションを得る。この工程では、油相(イソシアネート成分と有効成分と任意で追加の油成分とを含む)及び第1の水相(カプセル形成助剤を含む)を混合して連続した水相にて微細に拡散した油滴を形成する。
【0290】
2つの相を含むエマルションは2つの異なる型にさらに分けることができる。水中油(O/W)エマルションでは、油滴が水中に分散される。これがエマルションの最も一般的な型である。逆に、油中水(W/O)エマルションは油中に微細に分散された水滴を含む。本発明の文脈内では、エマルションは油相が水相に分散される水中油(O/W)エマルションである。好ましくは、有効成分は疎水性なので、本発明のコアシェルマイクロカプセルにてコア材料として含まれる。
【0291】
あるいは、親水性活性物質のカプセル化のために対応する油中水エマルションを調製することができる。
【0292】
イソシアネート構成成分(複数可)と(アミノ)糖構成成分(複数可)との界面反応を達成するために、イソシアネート構成成分(複数可)が主に水不溶性である一方で、(アミノ)糖構成成分(複数可)は水溶性を示すことが必要である。
【0293】
コアシェルカプセルはふつう、水相におけるコア材料(複数可)の微細な分散によって製造される。水相と油相の界面の近傍での油相におけるイソシアネート成分と糖及び/またはアミノ糖成分との間の反応に基づいて、高分子壁材料が微細に分散した/個別の油滴の周りに形成される。これは、シェル壁と油コアを有する得られたままのマイクロカプセルを含有する懸濁液を生じる。したがって、油滴のサイズはそのまま、その後形成されるカプセルコアのサイズを決定する。高い回転速度は微細に分散した個別の、均質な油滴の形成を可能にし、均質なコアシェルマイクロカプセルのサイズをもたらす。
【0294】
上記で示されているように、有利に撹拌することが調製プロセス全体にわたって適用される。
【0295】
本発明に係る液体の有効成分の場合のエマルションの形成または固体の有効成分の場合の懸濁液の形成、すなわち、外部の水相または親水性相による内部の非水性相または油相の乳化または懸濁は、高い乱流または強い剪断のもとで行われ、それによって乱流または剪断の強度が得られるマイクロカプセルの直径を決定する。マイクロカプセルの製造は連続的であることができ、または不連続であることができる。水相の粘度の上昇とともに、または油相の粘度の低下とともに、得られるカプセルのサイズはふつう減少する。
【0296】
好ましくは、乳化、すなわち、暫定的な水中油エマルションの形成は好ましくは、個別の粒子のサイズが均質である均質な暫定的水中油エマルションを達成するために、例えば、IKA(登録商標)WorksからのUltra-Turrax(登録商標)を3000rpm~5000rpmで約20秒間~約120秒間使用して混合物を高速剪断に供することによって行われる。続いて、粒子の凝集を防ぐために、例えば、オーバーヘッドミキサーを使用して剪断速度を300rpm~800rpm、好ましくは600rpm~650rpmに低下させた。
【0297】
それに関して、温度は好ましくは0℃~50℃の範囲内に、好ましくは20℃~40℃の間に保たれる。
【0298】
いったん、暫定的な水中油エマルションが調製されると、イソシアネート成分のイソシアネート官能基との少なくとも2つの官能基、すなわち、ヒドロキシル基及び/またはアミン基及び/またはチオール基の反応によってポリウレタンベース及び/またはポリ尿素ベース及び/またはポリチオウレタンベースの結合を形成するために、上記で定義されているような20未満のモノマー単位、好ましくは15以下のモノマー単位、一層さらに好ましくは10以下のモノマー単位をそれぞれ独立して有する少なくとも1つの糖及び/または少なくとも1つのアミノ糖及び/または少なくとも1つのチオ糖を含有する第2の水相とそれを混ぜ合わせる。
【0299】
第2の水相は好ましくは、300rpm~800rpm、好ましくは600rpm~650rpmの撹拌速度で加えられる。好ましくは、第2の水相は0℃~50℃、好ましくは20℃~40℃の間の温度で加えられる。
【0300】
本発明に係るプロセスでは、少なくとも1つの糖及び/またはアミノ糖は、1級及び2級のヒドロキシル基(-OH)と同様に1級及び2級のアミン基(-NH、-NH-)から成る群から独立して選択される少なくとも2つの官能基を有する。
【0301】
好ましくは、1級及び2級のヒドロキシル基(-OH)と同様に1級及び2級のアミン基(-NH、-NH-)またはチオール(-SH)基から成る群から独立して選択される少なくとも2つの官能性反応基を有する糖成分及び/またはアミノ糖成分及び/またはチオ糖成分。
【0302】
好ましくは、第1の態様に係るコアシェルマイクロカプセルまたはコアシェルマイクロカプセルを含むスラリーまたはマイクロカプセルを調製するプロセスでは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する少なくとも1つのポリイソシアネートの、20未満のモノマー単位を有する、好ましくは1級及び2級のヒドロキシル基(-OH)と同様に1級及び2級のアミン基(-NH、-NH-)またはチオール(-SH)基から成る群から独立して選択される少なくとも2つの官能性反応基を有する少なくとも1つの糖及び/またはアミノ糖及び/または少なくとも1つのチオ糖に対するモル比または重量比、好ましくはモル比は、1:3~1:1、好ましくは1:3~1:2の範囲にある。
【0303】
イソシアネートの(アミノ)糖に対する比が上記で特定された範囲内にあれば、効率的な架橋、ひいては高度に安定性の、しかしながら依然として優れた放出特性を示すマイクロカプセルを達成することができる。
【0304】
最後に、マイクロカプセルのスラリーの形態で工程(e)にて得られるマイクロカプセルは硬化される必要がある。
【0305】
いったん暫定的な水中油エマルションが第2の水相と混ぜ合わせられると、ポリ付加が行われ、活性物質をカプセル化している粗製のマイクロカプセルが形成される。カプセル形成助剤(複数可)はカプセルシェルに組み込まれる、またはカプセル表面に結合すると理解されている。同時に、マイクロカプセルは分散系では不十分な安定性を示すので、最終的な硬化工程が必要である:架橋プロセルの完了後、調製したままのマイクロカプセルは水性分散系の形態でカプセルシェルまたはカプセル壁が軟らかく、柔軟である未加工のマイクロカプセルとして存在する。したがって、続いて、未だに軟らかく、柔軟性で不安定な単層のマイクロカプセルのシェルまたは壁を硬化し、すなわち、硬くするので、イソシアネートを消費し、それによってポリマーを成長させることにより十分な安定性を提供するために、マイクロカプセルを追加の硬化工程に供することが必要である。通常、硬化は、約50℃~約90℃の高い温度で約1時間~約12時間の時間にわたって、得られた分散系を処理することによって行われる。粗製のマイクロカプセルの凝集、ひいては集塊を回避するために、硬化プロセス中に非高速剪断刃を使用して300rpm~1000rpmで分散系を連続して撹拌することが有利である。好ましくは、撹拌速度は硬化プロセス中、約650rpmである。
【0306】
所望であれば、溶媒を取り除いて「純粋な」カプセルを得ることができ、それは通常、約5ミクロン~約50ミクロンの平均直径を示す。
【0307】
その結果、スラリーを調製することによってバイオベースのコアシェルマイクロカプセルを調製するプロセスは任意で、スラリー/分散系(工程(g))から好ましくは乾燥形態でマイクロカプセル自体を単離する、それに続く追加の工程を含む。
【0308】
これは、例えば、濾過によって達成することができる。この目的に好適なさらなる一般的な技法は、溶媒(複数可)を取り除くための及び単離したマイクロカプセルを得るための、例えば、濾過またはスプレー乾燥、凍結乾燥または真空乾燥である。また、遠心分離及びその後の乾燥が選択肢であってもよい。
【0309】
任意で、プロセスは工程(f)後のマイクロカプセルの単離の代わりに追加の工程(f2)を含み、その際、天然ガム(例えば、キサンタンガム、ゲランガム、ジウタンガム。セルロースガム)から選択される1以上の懸濁助剤または構造化助剤を増粘剤として加え、高い懸濁安定性を提供する。
【0310】
それに関して、増粘剤(複数可)は好ましくはおよそ1200rpm~1500rpmで1分~5分間撹拌してる間に加えられ、その後、撹拌速度を1000rpm未満、好ましくは約850rpmに低下させる。それによって、増粘剤または構造化剤を加えて粒子の「クリーム化」または沈殿に対してスラリーの安定性を提供する。
【0311】
好ましくは、それに続いて、得られたままのカプセルを追加の工程にて再び硬化し、任意でその後、上記に記載されているようなスラリーからマイクロカプセルを単離する。
【0312】
加えて、好ましくは、特にポリウレタンベースの構造の形成に関して、(アミノ)糖構成要素とイソシアネート架橋剤との間の反応を促進するために触媒(複数可)を加えることができる。好適な触媒は、例えば、スズ、亜鉛、ビスマス、または例えば、DABCO(登録商標)(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;Air Products & Chemicals,Inc;供給業者:Sigma-Aldrich Corp.St.Louis,MO,USA.)のような3級アミンに基づく金属・リガンド触媒である。
【0313】
好ましくは、触媒(複数可)は油相に、及び/または水相の一方または双方に、及び/または(暫定的な)水中油エマルションに直接、加えられる。好ましくは、触媒の相乗効果のために、およそ0.03~0.1重量%の金属ベースの触媒(ネオデカン酸ビスマス)が有機相/油相に加えられ、さらにおよそ0.03~0.1重量%の3級アミン(例えば、DABCO(登録商標))が水相の一方に、または(暫定的)水中油エマルションに直接、加えられる。好ましくは、この化合物は他の金属・リガンド触媒と比べてその低い毒性のため好ましいので触媒としてネオデカン酸ビスマスを使用する。
【0314】
全体として見れば、本明細書に記載されているプロセスは、さらに効率的な架橋のためシェル材料の有意な節約を可能にするので、、カプセルの安定性または性能に悪影響を及ぼすことなく、最先端のカプセルと比べて必要なイソシアネート含量をさらに減らすのを可能にする。安定で且つ性能が良好なバイオベースの、または糖ベースのコアシェルマイクロカプセルの調製を可能にする。加えて、このように製造されるカプセルは非常に良好な基剤適合性及び高い生分解性を有するので、特に今日の社会で高まり続ける健康意識及び環境意識を背景にして
種々の消費財での使用に特に好適である。
【0315】
したがって、本発明の別の目的は、上記に記載されているプロセスによって得られるバイオベースのコアシェルマイクロカプセルを含むスラリー、と同様に前記プロセスにより得られるバイオベースのコアシェルマイクロカプセル自体を提供することである。
【0316】
加えて、本発明のバイオベースのコアシェルマイクロカプセル及び/またはコアシェルマイクロカプセルを含む本発明のスラリーは種々の消費者製品の調製で使用するのに好適である。
【0317】
したがって、本発明は消費者製品を調製するための、本発明に係るコアシェルマイクロカプセルの使用にも関する。本発明のコアシェルマイクロカプセルは限定しないで、以下の用途:化粧品、パーソナルケア製品、特に皮膚洗浄製品及びスキンケア製品、シャンプー、洗い流しコンディショナー、消臭剤、制汗剤、ボディローション、布地ケア製品及びホームケア/家庭製品、特に液体洗剤、万能洗浄剤、洗濯剤及び洗浄剤、布地柔軟剤、香り付け剤、芳香増強剤及び医薬品にて使用するのに好適である。
【0318】
最後に、本発明はまた、本発明に係るコアシェルマイクロカプセルまたは本発明に係るマイクロカプセルのスラリーを含む、好ましくは香り付けされた消費者製品にも関するものであり、その際、消費者製品はとりわけ、化粧品、パーソナルケア製品、特に皮膚洗浄製品及びスキンケア製品、シャンプー、洗い流しコンディショナー、消臭剤、制汗剤、ボディローション、布地ケア製品及びホームケア/家庭製品、特に液体洗剤、万能洗浄剤、洗濯剤及び洗浄剤、布地柔軟剤、香り付け剤、芳香増強剤、と同様に医薬品を含む群、またはそれらから成る群から選択される。
【0319】
パーソナルケア製品の例には、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、石鹸、クリーム、シャワーソルトまたはバスソルトのようなボディウォッシュ、ボディソープ、一般に固形及び液体の石鹸、ボディリキッド、ムース、オイルまたはジェル、衛生製品、一般に化粧品、ボディローション;毛髪の芳香剤及びローションを含む付けたままのパーソナルケア用途、パーソナル洗浄剤または消毒剤、髭剃り前製品、スプラッシュコロン及び香り付けした清涼ワイプ、シャワージェル、髭剃り石鹸、シェービングフォーム、バスオイル、化粧品エマルション、例えば、皮膚クリーム及び皮膚ローション、顔面クリーム及び顔面ローション、日焼け止めのクリーム及びローション、日焼け後のクリーム及びローション、ハンドクリーム及びハンドローション、フットクリーム及びフットローション、脱毛のクリーム及びローション、髭剃り後のクリーム及びローション、日焼けのクリーム及びローション、ヘアケア製品、例えば、ヘアスプレー、ヘアジェル、ヘアローション、ヘアコンディショナー、永続的な及び半永続的な毛髪染料、毛髪変形剤、例えば、コールドパーマ及び縮毛矯正剤、ヘアトニック、毛髪のクリーム及びローション、消臭剤及び制汗剤、例えば、腋窩スプレー、ロールオン、消臭スティック、デオクリーム、または装飾用化粧品が挙げられる。洗い流し製品は任意の物理的形状の液体、固体、ペーストまたはジェルであってもよい。
【0320】
在宅介護製品の例には、固体または液体の洗剤、万能洗浄剤、布地の柔軟剤及び清涼剤、アイロンがけの水及び洗剤、柔軟剤及び乾燥剤のシートが挙げられ、なかでも液体、粉末及び錠剤の洗剤、香り付け剤及び布地柔軟剤が好ましい。さらなる例は、床洗浄剤、窓ガラス洗浄剤、食器洗い洗剤、風呂及びサニタリーの洗浄剤、洗い流しローション、固体及び液体のトイレ洗浄剤、粉末及び泡状のカーペット洗浄剤、食器洗い用または種々の表面洗い用の液体洗浄剤及び粉末洗浄剤、洗濯物予備処理剤、例えば、漂白剤、浸漬剤及び染み抜き剤、布地柔軟剤、布地清涼剤、洗浄石鹸、洗浄錠剤、消毒剤、液体の、ゲル様の、または固体担体を適用する形態での表面消毒剤及び空気清浄剤、アエロゾルスプレー、ワックス及び艶出し剤、例えば、家具艶出し剤、床ワックス及び靴磨き剤である。
【0321】
好ましい洗濯物/布地ケア製品には、特に布地ケア製品及び洗剤入り調製物、例えば、粉末及び液体の洗剤及び布地柔軟剤が挙げられる。
【0322】
本コアシェルマイクロカプセルは香料のような広範な有効成分の効率的なカプセル化を可能にするので、香り付けした製品における製品配合の他の成分との相互作用を減らすまたは完全に防ぐ、と同様に潜在的にやや揮発性の構成成分の蒸発を減らすまたは完全に防ぐ可能性を提供する。マイクロカプセルの使用は、正確に定義された条件下で構成成分(複数可)の目標とする放出を可能にする。したがって、例えば、香料物質を含有するマイクロカプセルの場合、環境条件(空気または製品配合の他の成分が原因で生じる酸化効果)に一般に敏感である香料を封入することができるので、香料物質は保管中に安定である。所望の香料を放出する時だけ、特定のシグナルまたはきっかけ(例えば、機械的ストレス)を適用することによってマイクロカプセルを壊し、香料を効率的に放出するので、本明細書で定義されているような良好な感覚性能を示す。本発明のカプセルはカプセルシェルの破壊の際、(保管の際、損失することなく)有効成分の制御された放出を可能にし、同時に長期間カプセルに十分な安定性を提供する一方で、最先端のカプセルと比べて高い生分解性を示す。
【0323】
[実施例]
【0324】
コアシェルマイクロカプセルの調製
【0325】
以下のカプセル化された粒子(コアシェルマイクロカプセル)を以下に記載されているように調製した。以下に記載されている調製に基づいて、完全に合成された最先端の(バイオベースではない)マイクロカプセルと比べて高い生分解性を示し、優れた放出特性を有し、長期保管でさえカプセルの安定性を有する、水相に分散された複数のバイオベース/(アミノ)糖ベースのコアシェルマイクロカプセルを含む対応するマイクロカプセルのスラリーを得た。
【0326】
表1は本発明及び本発明の実施例の文脈内で使用されているイソシアネート成分の当量及び官能基含量を要約する。
【0327】
【表1】
【0328】
表2は本発明及び実施例の文脈内で使用されているイソシアネート化合物の相対的な重量比及びモル比を要約する。
【0329】
【表2】
【0330】
実施例1:グルコサミンベースのマイクロカプセルI
【0331】
多官能性求核試薬としてグルコサミン及びカプセル形成助剤としてポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を使用して本発明に係るマイクロカプセルを調製した。
【0332】
さらに具体的には、210gの香料材料、ここではTomCap(登録商標)(Symrise,Teterboro,NJ)を250mlのビーカーに量り入れ、双方ともCovestro Corporation由来の6.29gのDesmodur(登録商標)N-3400イソシアネートモノマー(ヘキサメチレンジイソシアネートウレチジオン、HDI-ウレチジオン、脂肪族ポリイソシアネート;当量:193)及び1.57gのMondur(登録商標)Mフレーク(モノマージフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;芳香族ポリイソシアネート;当量:125.2)と合わせ、それぞれ相対重量比80:20または相対モル比72.3:27.7で脂肪族及び芳香族のポリイソシアネートを含む油相を形成した。続いて、0.3gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation,St.Louis,MO,US)を加えた。別の800mlのビーカーにて、水に32.2gのポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を含有する溶液(322g)を調製し、第1の水相を形成した。次いで、0.3gのDABCO(登録商標)(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン,Aldrich Chemical Corporation,St.Louis,MO,USA)の存在下で3500rpmにて約20~60秒間撹拌することによって剪断力(IKA(登録商標)Werke,Staufen,Germanyから市販されているUltra Turrax(登録商標),T-50)を適用することにより、油相を水相に乳化し、5~50ミクロンの平均粒度を有する水中油香料エマルションを得た、すなわち、触媒は乳化の後、暫定的な水中油エマルションに加えられる。微細に分散した油粒子の粒度はMastersizer(登録商標)3000粒度アナライザー(Malvern Instruments,117 Flanders Road,Westborough,MA,USA)を使用して測定した。好ましくは、水相内にて微細に分散した油滴の粒度中央値は20μm~30μmの範囲である。
【0333】
得られたままの暫定的な水中油エマルションをオーバーヘッドミキサーに入れ、60gの10%グルコサミン溶液(第2の水相)を徐々に増やして加えながら600rpmで撹拌した。使用したグルコサミン溶液は54gの脱イオン水に6gのグルコサミンHCL(Biosynth Carbosynth(登録商標),United Kingdom)を溶解することによって調製した。水酸化カリウムを加えることによってpHをおよそ9.5~10.5の値に調整した。得られたカプセルのスラリーを70℃の熱によって少なくとも3時間硬化させた。懸濁液におけるマイクロカプセルは水相(水)とマイクロカプセルの密度との間の密度の差異によって経時的に分離するであろう。このプロセスを回避するために構造化剤を加えて溶液粘度を提供する。したがって、水相内での得られたままのマイクロカプセルを安定化するために、スラリーを1200rpmでおよそ2~4分間撹拌しながら、最後に0.60gのKelco-vis(商標)DG(ジウタンガム,CP Kelco Inc.)を加え、その後、撹拌速度を850rpmに低下させ、続いてさらに1時間硬化させた。
【0334】
得られたままのマイクロカプセルが水相内にてかなり狭い粒度分布範囲を有するということは、バイオベースのコアシェルマイクロカプセルが均一な粒度を有することを示している。コアシェルマイクロカプセルは25.3μmの体積基準粒度の中央値(Dv(50))を有する(図16Aを参照のこと)。
【0335】
さらに、得られたマイクロカプセルは、例えば、製品配合(布地柔軟剤)にて高い機械的及び化学的な安定性を示し、バイオベースではない最先端のマイクロカプセルを明らかに凌ぐ優れた放出特性を示す(図1A及び1Bを参照のこと)。さらに、得られたままのマイクロカプセルは、全く生分解性ではない最先端のマイクロカプセルと比べて有意に増強された生分解特性を示す。
【0336】
実施例2:キト-オリゴ糖ベースのマイクロカプセルI
【0337】
多官能性求核試薬としてキトサンオリゴ糖(キト-オリゴ糖)及びカプセル形成助剤としてポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を使用して本発明に係るマイクロカプセルを調製した。
【0338】
さらに具体的には、210gの香料材料、ここではTomCap(登録商標)(Symrise,Teterboro,NJ)を250mlのビーカーに量り入れ、双方ともCovestro Corporation由来の6.29gのDesmodur(登録商標)N-3400イソシアネートモノマー(ヘキサメチレンジイソシアネートウレチジオン、HDI-ウレチジオン、脂肪族ポリイソシアネート;当量:193)及び1.57gのMondur(登録商標)Mフレーク(モノマージフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;芳香族ポリイソシアネート;当量:125.2)と合わせ、それぞれ相対重量比80:20または相対モル比72.3:27.7で脂肪族及び芳香族のポリイソシアネートを含む油相を形成した。続いて、0.3gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation,St.Louis,MO,US)を加えた。別の800mlのビーカーにて、水に3.02gのポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を含有する溶液(302g)を調製し、第1の水相を形成した。次いで、0.3gのDABCO(登録商標)(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン,Aldrich Chemical Corporation,St.Louis,MO,USA)の存在下で3500rpmにて約20~60秒間撹拌することによって剪断力(IKA(登録商標)Werke,Staufen,Germanyから市販されているUltra Turrax(登録商標),T-50)を適用することにより、油相を水相に乳化して、5~50ミクロンの範囲の平均粒度を有する水中油香料エマルションを得た。微細に分散した油粒子の粒度はMastersizer(登録商標)3000粒度アナライザー(Malvern Instruments,117 Flanders Road,Westborough,MA,USA)を使用して測定した。
【0339】
得られたままの暫定的水中油エマルションをオーバーヘッドミキサーに入れ、10%のキトサンオリゴ糖溶液(第2の水相)80gを徐々に増やして加えながら、600rpmで撹拌した。キトサンオリゴ糖溶液は8gのキトサンオリゴ糖HCL(分子量<3000Da、Biosynth Carbosynth(登録商標),United Kingdom)を72gの脱イオン水に溶解することによって調製した。pH値は水酸化カリウムを加えることによっておよそ10~11に調整した。得られたカプセルのスラリーを70℃の熱によって少なくとも3時間硬化させた。最後に、スラリーを1200rpmでおよそ2~4分間撹拌しながら0.60gのKelco-vis(商標)DG(ジウタンガム,CP Kelco Inc.)を加え、その後、撹拌速度を850rpmに低下させ、続いてさらに1時間硬化させた。
【0340】
最終的なコアシェルマイクロカプセルはスラリー内にて22.9μmの体積基準粒度中央値(Dv(50))を有し(図16Bを参照のこと)、柔軟剤配合にて乾燥機乾燥及びエイジングしたときでさえ良好な安定性及び放出特性を示す(図2A及び2Bを参照のこと)。
【0341】
実施例3:キト-オリゴ糖ベースのマイクロカプセルII
【0342】
多官能性求核試薬としてキトサンオリゴ糖(キト-オリゴ糖)及びカプセル形成助剤としてポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を使用して本発明に係るマイクロカプセルを調製した。
【0343】
さらに具体的には、210gの香料材料、ここではTomCap(登録商標)(Symrise,Teterboro,NJ)を250mlのビーカーに量り入れ、双方ともMitsui Chemicals (Japan)由来の1.57gのSTABiO(商標)D-370N(バイオベースの1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)に基づく脂肪族ポリイソシアヌレート;当量:168.24)及び1.57gのTakenate(商標)600(1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン;脂肪族ポリイソシアネート;当量:97.14)と合わせ、それぞれ相対重量比50:50または相対モル比36.6:63.4で脂肪族ポリイソシアネートを含む油相を形成した。続いて、0.3gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation)を加えた。別の800mlのビーカーにて、水に3.02gのポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を含有する溶液(302g)を調製し、第1の水相を形成した。次いで、0.3gのDABCO(登録商標)(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン,Aldrich Chemical Corporation)の存在下で3500rpm(IKA(登録商標)Werke,Staufen,Germanyから市販されているUltra Turrax(登録商標),T-50)にて約20~60秒間撹拌することによって剪断力を適用することにより油相を水相に乳化し、5~50ミクロンの範囲の平均粒度を有する水中油香料エマルションを得た。微細に分散した油粒子の粒度はMastersizer(登録商標)3000粒度アナライザー(Malvern Instruments,117 Flanders Road,Westborough,MA,USA)を使用して測定した。
【0344】
得られたままの暫定的水中油エマルションをオーバーヘッドミキサーに入れ、10%のキトサンオリゴ糖溶液80gを徐々に増やして加えながら、600rpmで撹拌した。キトサンオリゴ糖溶液は8gのキトサンオリゴ糖HCL(分子量<3000Da、Biosynth Carbosynth(登録商標),United Kingdom)を72gの脱イオン水に溶解することによって調製した。pH値は水酸化カリウムを加えることによっておよそ9.5~10.5に調整した。得られたカプセルのスラリーを70℃の熱によって少なくとも3時間硬化させた。最後に、スラリーを1200rpmでおよそ2~4分間撹拌しながら0.60gのKelco-vis(商標)DG(ジウタンガム,CP Kelco Inc.)を加え、その後、撹拌速度を850rpmに低下させ、続いてさらに1時間硬化させた。
【0345】
最終的なコアシェルマイクロカプセルはスラリー内で25.9μmの体積基準粒度中央値(Dv(50))を有し(図16Cを参照のこと)、布地柔軟剤溶液にて1週間のエイジングを行ったが、特にロープ乾燥の後、優れた放出特性を示す(図3A及び3Bを参照のこと)。この特定の場合、脂肪族イソシアネートの増量は実施例2と比べて安定性に好影響を及ぼすように思われる。
【0346】
実施例4:キト-オリゴ糖及びグルコサミンベースのマイクロカプセルI
【0347】
多官能性求核試薬としてグルコサミンとキトサンオリゴ糖を、及びカプセル形成助剤としてポリビニルアルコール(PVA)(Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を使用して本発明に係るマイクロカプセルを調製した。
【0348】
さらに具体的には、210gの香料材料、ここではTomCap(登録商標)(Symrise,Teterboro,NJ)を250mlのビーカーに量り入れ、双方ともMitsui Chemicals (Japan)由来の3.93gのSTABiO(商標)D-370N(バイオベースの1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)に基づく脂肪族ポリイソシアヌレート;当量:168.24)及び3.93gのTakenate(商標)600(1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン;脂肪族ポリイソシアネート;当量:97.14)と合わせ、それぞれ相対重量比50:50または相対モル比36.6:63.4で脂肪族ポリイソシアネートを含む油相を形成した。続いて、0.3gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation)を加えた。別の800mlのビーカーにて、水に3.02gのポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を含有する溶液(302g)を調製し、第1の水相を形成した。次いで、0.3gのDABCO(登録商標)(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン,Aldrich Chemical Corporation)の存在下で3500rpmにて約20~60秒間撹拌することによって剪断力(IKA(登録商標)Werke,Staufen,Germanyから市販されているUltra Turrax(登録商標),T-50)を適用することにより油相を水相に乳化し、5~50ミクロンの範囲の平均粒度を有する水中油香料エマルションを得た。微細に分散した油粒子の粒度はMastersizer(登録商標)3000粒度アナライザー(Malvern Instruments,117 Flanders Road,Westborough,MA,USA)を使用して測定した。
【0349】
得られたままの暫定的水中油エマルションをオーバーヘッドミキサーに入れ、5%のキトサンオリゴ糖溶液(分子量<3000Da;およそ12~15モノマー単位に相当する)及び5%グルコサミン(双方ともBiosynth Carbosynth(登録商標),United Kingdom由来)の溶液混合物80gを徐々に増やして加えながら、600rpmで撹拌した。混合したキトサンオリゴ糖/グルコサミン溶液は4gのキトサンオリゴ糖と4gのグルコサミンHCLを72gの脱イオン水に溶解することによって調製した。pH値は水酸化カリウムを加えることによって10~11に調整した。得られたカプセルのスラリーを70℃にて少なくとも3時間硬化させた。最後に、スラリーを1200rpmでおよそ2~4分間撹拌しながら0.60gのKelco-vis(商標)DG(ジウタンガム,CP Kelco Inc.)を加え、その後、撹拌速度を850rpmに低下させ、続いてさらに1時間硬化させた。
【0350】
最終的なコアシェルマイクロカプセルはスラリー内で22.6μmの体積基準粒度中央値(Dv(50))を有し(図16Dを参照のこと)、乾燥後優れた性能(放出特性)を示し、同様に配合内にて及び乾燥プロセス中に高い安定性を示す。
【0351】
実施例5:グルコサミンベースのマイクロカプセルII
【0352】
多官能性求核試薬としてグルコサミン(Biosynth Carbosynth(登録商標),United Kingdom)及びカプセル形成助剤としてCapsul(登録商標)デンプン(Ingredion Inc.から市販されている)を使用して本発明に係るマイクロカプセルを調製した。
【0353】
さらに具体的には、210gの香料材料、ここではTomCap(登録商標)(Symrise,Teterboro,NJ)を250mlのビーカーに量り入れ、双方ともCovestro Corporation由来の6.29gのDesmodur(登録商標)N-3400イソシアネートモノマー(ヘキサメチレンジイソシアネートウレチジオン、HDI-ウレチジオン、脂肪族ポリイソシアネート;当量:193)及び1.57gのMondur(登録商標)Mフレーク(モノマージフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;芳香族ポリイソシアネート;当量:125.2)と合わせ、それぞれ相対重量比80:20または相対モル比72.3:27.7で脂肪族及び芳香族のポリイソシアネートを含む油相を形成した。続いて、0.6gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation)を加えた。別の800mlのビーカーにて、水に6.44gの無水コハク酸オクテニル(OSA)デンプン(Capsul(登録商標), Ingredion Inc.)を含有する溶液(322g)を調製し、第1の水相を形成した。次いで、0.6gのDABCO(登録商標)(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン,Aldrich Chemical Corporation)の存在下で3500rpm(IKA(登録商標)Werke,Staufen,Germanyから市販されているUltra Turrax(登録商標),T-50)にて約20~60秒間撹拌することによって剪断力を適用することにより、油相を水相に乳化し、5~50ミクロンの範囲の平均粒度を有する水中油香料エマルションを得た。微細に分散した油粒子の粒度はMastersizer(登録商標)3000粒度アナライザー(Malvern Instruments,117 Flanders Road,Westborough,MA,USA)を使用して測定した。
【0354】
得られたままの暫定的な水中油エマルションをオーバーヘッドミキサーに入れ、60gの10%グルコサミン溶液を徐々に増やして加えながら600rpmで撹拌した。グルコサミン溶液は54gの脱イオン水に6gのグルコサミンHCL(Biosynth Carbosynth(登録商標),United Kingdom)を溶解することによって調製した。水酸化カリウムを加えることによってpHを10~11に調整した。得られたカプセルのスラリーを70℃にて少なくとも3時間硬化させた。最後に、スラリーを1200rpmでおよそ2~4分間撹拌しながら1.8gのKeltrol(登録商標)(キサンタンガム,CP Kelco Inc.)を加え、その後、撹拌速度を850rpmに低下させ、続いてさらに1時間硬化させた。
【0355】
最終的なコアシェルマイクロカプセルはスラリー内で32.1μmの体積基準粒度中央値(Dv(50))を有し(図16Eを参照のこと)、特にロープ乾燥の後、傑出した機械的な及び化学的な安定性と同様にカプセル性能を示す。カプセル形成助剤としてデンプン、すなわち、バイオベースのカプセル形成助剤を使用することは、本発明のコアシェルマイクロカプセルのカプセル安定性及び放出特性に好影響を有すると思われる。
【0356】
実施例6:マルトデキストリンベースのマイクロカプセルI
【0357】
多官能性求核試薬としてマルトデキストリンDE8及びカプセル形成助剤としてポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を使用して本発明に係るマイクロカプセルを調製した。
【0358】
さらに具体的には、210gの香料材料、ここではTomCap(登録商標)(Symrise,Teterboro,NJ)を250mlのビーカーに量り入れ、双方ともCovestro Corporation由来の6.29gのDesmodur(登録商標)N-3400イソシアネートモノマー(ヘキサメチレンジイソシアネートウレチジオン、HDI-ウレチジオン、脂肪族ポリイソシアネート;当量:193)及び1.57gのMondur(登録商標)Mフレーク(モノマージフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;芳香族ポリイソシアネート;当量:125.2)と合わせ、それぞれ相対重量比80:20または相対モル比72.3:27.7で脂肪族及び芳香族のポリイソシアネートを含む油相を形成した。続いて、0.7gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation)を加えた。別の800mlのビーカーにて、1%PVA溶液(およそ241g)(すなわち、1%の濃度を有するPVA溶液)(Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を調製し、第1の水相を形成した。前記溶液は6.5gの10%PVA溶液(したがって、純粋なPVAの0.65gに相当する)を235.2gの脱イオン水と混合することによって調製した。調製したままの溶液は実験の遂行内でのPVAの総添加の0.25%に相当する(すなわち、PVA総添加の4分の1)。次いで、3500rpm(IKA(登録商標)Werke,Staufen,Germanyから市販されているUltra Turrax(登録商標),T-50)にて約20~60秒間撹拌することによって剪断力を適用することにより、油相を前記水相に乳化し、4~50ミクロンの範囲の平均粒度を有する水中油香料エマルションを得た。微細に分散した油粒子の粒度はMastersizer(登録商標)3000粒度アナライザー(Malvern Instruments,117 Flanders Road,Westborough,MA,USA)を使用して測定した。
【0359】
得られたままの暫定的な水中油エマルションをオーバーヘッドミキサーに入れ、650rpmで撹拌した一方で、残りの0.75%のPVA溶液(すなわち、脱イオン水におよそ1.96gのPVAを含有する1%PVAの総添加の残りの4分の3)(Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を加え、同様に0.7gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation)と60gの10%マルトデキストリンDE8溶液とを加えた。合計2.61gのPVAを加えた。マルトデキストリンDE8溶液は8のデキストロース当量を有するマルトデキストリン6gを54gの脱イオン水に溶解することによって調製した。得られたカプセルのスラリーを70℃で少なくとも30分間硬化させた。その後、以前記載されたのと同じ方法で調製した10%マルトデキストリンDE8の追加の60gを加えた。スラリーを再び70℃でさらに30分間硬化させた。最後に、スラリーを1200rpmでおよそ2~4分間撹拌しながら0.60gのKelco-vis(商標)DG(ジウタンガム,CP Kelco Inc.)を加え、その後、撹拌速度を850rpmに低下させ、さらに1時間、温度を80℃に上げた。
【0360】
得られたままのマイクロカプセルが水相内にて狭い粒度分布範囲を有するということは、バイオベースのコアシェルマイクロカプセルが均一な粒度を有することを示している。コアシェルマイクロカプセルは27.6μmの体積基準粒度の中央値(Dv(50))を有する(図16Fを参照のこと)。実施例6に係るコアシェルマイクロカプセルは、比較例13に係るバイオベースでない最先端のマイクロカプセルと比べてかなり改善された安定性と同様に放出特性を示す(実施例6A及び6Bを参照のこと)。さらに、前記完全に合成の最先端のマイクロカプセルと比べて生分解性が改善されている(実施例17を参照のこと)。
【0361】
実施例7:マルトデキストリンベースのマイクロカプセルII
【0362】
多官能性求核試薬としてマルトデキストリンDE8及びカプセル形成助剤としてポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を使用して本発明に係るマイクロカプセルを調製した。
【0363】
さらに具体的には、210gの香料材料、ここではTomCap(登録商標)(Symrise,Teterboro,NJ)を250mlのビーカーに量り入れ、7.07gのBayhydur(登録商標)305イソシアネートモノマー(ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)に基づいた親水性脂肪族のポリイソシアネート,Covestro Corporation;当量:259.6)及び0.785gのTakenate(商標)600(1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン;脂肪族ポリイソシアネート、Mitsui Chemicals;当量:97.14)と合わせ、それぞれ相対重量比90:10または相対モル比77.1:22.9で脂肪族ポリイソシアネートを含む油相を形成した。続いて、0.7gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation)を加えた。別の800mlのビーカーにて、1%PVA水溶液(241g)を調製して第1の水相を形成したが、それは1%PVA(Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)の総添加の0.25%に相当する(実施例6を参照のこと)。次いで、3500rpm(IKA(登録商標)Werke,Staufen,Germanyから市販されているUltra Turrax(登録商標),T-50)にて約20~60秒間撹拌することによって剪断力を適用することにより、油相を水相に乳化し、4~50ミクロンの範囲の平均粒度を有する水中油香料エマルションを得た。微細に分散した油粒子の粒度はMastersizer(登録商標)3000粒度アナライザー(Malvern Instruments,117 Flanders Road,Westborough,MA,USA)を使用して測定した。
【0364】
得られたままの暫定的な水中油エマルションをオーバーヘッドミキサーに入れ、650rpmで撹拌した一方で、PVA添加(脱イオン水に1%PVA溶液)の残りの0.75%(Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を加え、同様に0.7gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation)と60gの10%マルトデキストリンDE8溶液とを加えた。マルトデキストリンDE8溶液は8のデキストロース当量(DE)を有するマルトデキストリン6gを54gの脱イオン水に溶解することによって調製した。得られたカプセルのスラリーを70℃で少なくとも30分間硬化させた。その後、以前記載されたのと同じ方法で調製した10%マルトデキストリンDE8溶液の追加の60gを加えた。スラリーを再び70℃でさらに30分間硬化させた。最後に、スラリーを1200rpmでおよそ2~4分間撹拌しながら0.60gのKelco-vis(商標)DG(ジウタンガム,CP Kelco Inc.)を加え、その後、撹拌速度を850rpmに低下させ、さらに1時間、温度を80℃に上げた。
【0365】
得られたままのマイクロカプセルが水相内にて鋭い粒度分布範囲を有するということは、バイオベースのコアシェルマイクロカプセルが均一な粒度を有することを示している。コアシェルマイクロカプセルは51.5μmの体積基準粒度の中央値(Dv(50))を有する(図16Gを参照のこと)。さらに、完全に合成の最先端のマイクロカプセルと比べて生分解性が改善されている(図18を参照のこと)。
【0366】
実施例8:マルトデキストリンベースのマイクロカプセルIII
【0367】
多官能性求核試薬としてマルトデキストリンDE8及びカプセル形成助剤としてポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を使用して本発明に係るマイクロカプセルを調製した。
【0368】
さらに具体的には、210gの香料材料、ここではTomCap(登録商標)(Symrise,Teterboro,NJ)を250mlのビーカーに量り入れ、双方ともCovestro Corporation由来の6.29gのDesmodur(登録商標)N-3400イソシアネートモノマー(ヘキサメチレンジイソシアネートウレチジオン、HDI-ウレチジオン、脂肪族ポリイソシアネート;当量:193)及び1.57gのMondur(登録商標)Mフレーク(モノマージフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;芳香族ポリイソシアネート;当量:125.2)と合わせ、それぞれ相対重量比80:20または相対モル比72.3:27.7で脂肪族及び芳香族のポリイソシアネートを含む油相を形成した。続いて、0.7gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation)を加えた。別の800mlのビーカーにて、1%PVA水溶液(241g)を調製して第1の水相を形成したが、それは1%PVA(Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)の総添加の0.25%に相当する(以前の実施例を参照のこと)。次いで、3500rpm(IKA(登録商標)Werke,Staufen,Germanyから市販されているUltra Turrax(登録商標),T-50)にて約20~60秒間撹拌することによって剪断力を適用することにより、油相を水相に乳化し、4~50ミクロンの範囲の平均粒度を有する水中油香料エマルションを得た。微細に分散した油粒子の粒度はMastersizer(登録商標)3000粒度アナライザー(Malvern Instruments,117 Flanders Road,Westborough,MA,USA)を使用して測定した。
【0369】
得られたままの暫定的な水中油エマルションをオーバーヘッドミキサーに入れ、650rpmで撹拌した一方で、PVA添加(脱イオン水に1%PVA溶液)の残りの0.75%(Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を加え、同様に0.7gの触媒DABCO(登録商標)(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン,Aldrich Chemical Corporation)と60gの10%マルトデキストリンDE8溶液とを加えた。マルトデキストリンDE8溶液は8のデキストロース当量(DE)を有するマルトデキストリン6gを54gの脱イオン水に溶解することによって調製した。得られたカプセルのスラリーを70℃で少なくとも30分間硬化させた。その後、以前記載されたのと同じ方法で調製した10%マルトデキストリンDE8溶液の追加の60gを加えた。スラリーを再び70℃でさらに30分間硬化させた。最後に、スラリーを1200rpmでおよそ2~4分間撹拌しながら0.60gのKelco-vis(商標)DG(ジウタンガム,CP Kelco Inc.)を加え、その後、撹拌速度を850rpmに低下させ、さらに1時間、温度を80℃に上げた。
【0370】
得られたままのマイクロカプセルが水相内にて鋭い粒度分布範囲を有するということは、バイオベースのコアシェルマイクロカプセルが均一な粒度を有することを示している。コアシェルマイクロカプセルは26.4μmの体積基準粒度の中央値(Dv(50))を有し(図16Hを参照のこと)、改善された生分解性を示す(図19を参照のこと)。さらに、本発明のカプセルは製品配合にて乾燥させ、4週間エイジングを行った後でさえ高い安定性及び性能を示す(図6A~6D、8A~8Dを参照のこと)。実施例6及び8は選択した触媒が異なる。
【0371】
実施例9:マルトデキストリン及びグルコサミンベースのマイクロカプセル
【0372】
多官能性求核試薬としてマルトデキストリンDE8とグルコサミン、及びカプセル形成助剤としてポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を使用して本発明に係るマイクロカプセルを調製した。
【0373】
さらに具体的には、210gの香料材料、ここではTomCap(登録商標)(Symrise,Teterboro,NJ)を250mlのビーカーに量り入れ、双方ともCovestro Corporation由来の6.29gのDesmodur(登録商標)N-3400イソシアネートモノマー(ヘキサメチレンジイソシアネートウレチジオン、HDI-ウレチジオン、脂肪族ポリイソシアネート;当量:193)及び1.57gのMondur(登録商標)Mフレーク(モノマージフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;芳香族ポリイソシアネート;当量:125.2)と合わせ、それぞれ相対重量比80:20または相対モル比72.3:27.7で脂肪族及び芳香族のポリイソシアネートを含む油相を形成した。続いて、0.5gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation)を加えた。別の800mlのビーカーにて、1%PVA水溶液(241g)を調製して第1の水相を形成したが、それは1%PVA(Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)の総添加の0.25%に相当する(以前の実施例を参照のこと)。次いで、3500rpm(IKA(登録商標)Werke,Staufen,Germanyから市販されているUltra Turrax(登録商標),T-50)にて約20~60秒間撹拌することによって剪断力を適用することにより、油相を水相に乳化し、4~50ミクロンの範囲の平均粒度を有する水中油香料エマルションを得た。微細に分散した油粒子の粒度はMastersizer(登録商標)3000粒度アナライザー(Malvern Instruments,117 Flanders Road,Westborough,MA,USA)を使用して測定した。
【0374】
得られたままの暫定的な水中油エマルションをオーバーヘッドミキサーに入れ、650rpmで撹拌した一方で、PVA添加(脱イオン水に1%PVA溶液)残りの0.75%のを加え、それに続いて0.5gの触媒DABCO(登録商標)(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン,Aldrich Chemical Corporation)と60gの10%グルコサミン溶液とを加えた。グルコサミン溶液は6gのグルコサミンHCL(Biosynth Carbosynth(登録商標),United Kingdom)を54gの脱イオン水に溶解することによって調製し、その後、KOHの添加によってpH値を7~8に調整した。得られたカプセルのスラリーを70℃で30分間硬化させ、続いて10%マルトデキストリンDE8溶液の追加の60gを加えた。マルトデキストリンDE8溶液は8のデキストロース当量(DE)を有するマルトデキストリン6gを54gの脱イオン水に溶解することによって調製した。得られたカプセルのスラリーを70℃でさらに30分間硬化させた。最後に、スラリーを1200rpmでおよそ2~4分間撹拌しながら0.60gのKelco-vis(商標)DG(ジウタンガム,CP Kelco Inc.)を加え、その後、撹拌速度を850rpmに低下させ、さらに1時間、温度を80℃に上げた。この手順は実施例9Bに対応する。
【0375】
並行して、上記に記載されているプロセスに従ってマイクロカプセルのスラリーを調製したが、30gの対応するグルコサミン溶液及び30gの対応するマルトデキストリン溶液を第1の硬化工程の前に同時に加え、さらに30gのグルコサミン溶液及び30gのマルトデキストリン溶液を第1の硬化工程の後に加えるという差異があった(実施例9Aに対応する)。
【0376】
得られたままのマイクロカプセルが水相内にて鋭い粒度分布範囲を有するということは、バイオベースのコアシェルマイクロカプセルが均一な粒度を有することを示している。コアシェルマイクロカプセルは27.0μmの体積基準粒度の中央値(Dv(50))を有し(実施例9Aに対応する図16Iを参照のこと)、満足のいく性能及び安定性を示す(図9A及び9Bを参照のこと)。
【0377】
実施例10:マルトデキストリンベースのマイクロカプセルIV
【0378】
多官能性求核試薬としてマルトデキストリンDE8及びカプセル形成助剤としてポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を使用して本発明に係るマイクロカプセルを調製した。
【0379】
さらに具体的には、210gの香料材料、ここではTomCap(登録商標)(Symrise,Teterboro,NJ)を250mlのビーカーに量り入れ、3.93gのBayhydur(登録商標)305イソシアネートモノマー(ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)に基づいた親水性脂肪族のポリイソシアネート,Covestro Corporation;当量:259.6)と、1.57gのTakenate(商標)600(1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン;脂肪族ポリイソシアネート、Mitsui Chemicals;当量:97.14)と、2.36gのSTABiO(商標)370-N(1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)に基づくポリイソシアネート;脂肪族ポリイソシアネート,Mitsui chemicals;当量:168.24)と合わせ、それぞれ相対重量比50:20:30または相対モル比33.4:35.7:30.9で3つの脂肪族ポリイソシアネートを含む油相を形成した。続いて、0.7gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation,St.Louis,MO,US)を加えた。別の800mlのビーカーにて、1%PVA水溶液(241g)を調製して第1の水相を形成したが、それは1%PVA(Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)の総添加の0.2%に相当する(以前の実施例を参照のこと)。次いで、3500rpm(IKA(登録商標)Werke,Staufen,Germanyから市販されているUltra Turrax(登録商標),T-50)にて約20~60秒間撹拌することによって剪断力を適用することにより、油相を水相に乳化して、4~50ミクロンの範囲の平均粒度を有する水中油香料エマルションを得た。微細に分散した油粒子の粒度はMastersizer(登録商標)3000粒度アナライザー(Malvern Instruments,117 Flanders Road,Westborough,MA,USA)を使用して測定した。
【0380】
得られたままの暫定的な水中油エマルションをオーバーヘッドミキサーに入れ、650rpmで撹拌した一方で、PVA添加(脱イオン水に1%PVA溶液)の残りの0.75%(Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を加え、同様に0.7gの触媒DABCO(登録商標)(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン,Aldrich Chemical Corporation)と10%マルトデキストリンDE8溶液60gを加えた。マルトデキストリンDE8溶液は8のデキストロース当量を有するマルトデキストリン6gを54gの脱イオン水に溶解することによって調製した。得られたカプセルのスラリーを70℃で少なくとも30分間硬化させた。その後、以前記載されたのと同じ方法で調製した10%マルトデキストリンDE8溶液の追加の60gを加えた。スラリーを再び70℃でさらに30分間硬化させた。最後に、スラリーを1200rpmでおよそ2~4分間撹拌しながら0.60gのKelco-vis(商標)DG(ジウタンガム,CP Kelco Inc.)を加え、その後、撹拌速度を850rpmに低下させ、さらに1時間、温度を80℃に上げた。
【0381】
得られたままのマイクロカプセルが水相内にて鋭い粒度分布範囲を有するということは、バイオベースのコアシェルマイクロカプセルが均一な粒度を有することを示している。コアシェルマイクロカプセルは13.7μmの体積基準粒度の中央値(Dv(50))を有する(図16Jを参照のこと)。さらに、コアシェルマイクロカプセルは、製品配合における長期の保管の後でさえ、または洗濯機や熱での機械的ストレスのときでさえ優れた放出特性を示し、良好な性能及び安定性を示す(図10A~10Dを参照のこと)。3つの異なる脂肪族ポリイソシアネートの組み合わせは安定性及び性能に好影響を及ぼすと思われる。
【0382】
実施例11:キト-オリゴ糖及びグルコサミンベースのマイクロカプセルII(90/10HDI/MDI;シェル壁の縮小)
【0383】
さらに、シェル壁の縮小を示すバイオベースのマイクロカプセルが調製されている。シェル壁量は当量に基づいて算出される。実施例1~10では、シェル壁の量/厚さは現在の最先端のマイクロカプセルと同等である。実施例11及び12では、シェル壁の分量は最先端のと比べて重量または厚さという点でほぼ半分に減らす。イソシアネート含量を減らすことによって、カプセルの厚さをかなり減らすことができ、さらに薄いシェル壁の形成を達成することができた。
【0384】
多官能性求核試薬としてキトサンオリゴ糖とグルコサミン、及びカプセル形成助剤としてポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を使用して本発明に係るマイクロカプセルを調製した。
【0385】
さらに具体的には、210gの香料材料、ここではTomCap(登録商標)(Symrise,Teterboro,NJ)を250mlのビーカーに量り入れ、双方ともCovestro Corporation由来の4.27gのDesmodur(登録商標)N-3400イソシアネートモノマー(ヘキサメチレンジイソシアネートウレチジオン、HDI-ウレチジオン、脂肪族ポリイソシアネート;当量:193)及び0.48gのMondur(登録商標)Mフレーク(モノマージフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;芳香族ポリイソシアネート;当量:125.2)と合わせ、それぞれ相対重量比90:10または相対モル比85.4:14.6で脂肪族及び芳香族のポリイソシアネートを含む油相を形成した。続いて、0.6gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation)を加えた。別の800mlのビーカーにて、水に3.02gのポリビニルアルコール(PVA、Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を含有する溶液(302g)を調製し、水相を形成した。次いで、0.3gのDABCO(登録商標)(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン,Aldrich Chemical Corporation,St.Louis,MO,USA)の存在下で3500rpmにて約20~60秒間撹拌することによって剪断力(IKA(登録商標)Werke,Staufen,Germanyから市販されているUltra Turrax(登録商標),T-50)を適用することにより、油相を水相に乳化して、5~50ミクロンの範囲の平均粒度を有する水中油香料エマルションを得た。微細に分散した油粒子の粒度はMastersizer(登録商標)3000粒度アナライザー(Malvern Instruments,117 Flanders Road,Westborough,MA,USA)を使用して測定した。
【0386】
得られたままの水中油エマルションをオーバーヘッドミキサーに入れ、600rpmで撹拌した一方で、5%キトサンオリゴ糖(分子量<3000Da)及び5%グルコサミン(双方ともBiosynth Carbosynth(登録商標),United Kingdom由来)の溶液混合物80gを直ちに加えた。混合したキトサンオリゴ糖/グルコサミンの溶液は4gのキトサンオリゴ糖と4gのグルコサミンHCLとを72gの脱イオン水に溶解することによって調製した。pH値は水酸化カリウムを加えることによっておよそ10~11に合わせた。得られたカプセルのスラリーを70℃での熱によって少なくとも3時間硬化させた。最後に、スラリーを1200rpmでおよそ2~4分間撹拌しながら0.60gのKelco-vis(商標)DG(ジウタンガム,CP Kelco Inc.)を加え、その後、撹拌速度を850rpmに低下させ、続いてさらに1時間硬化させた。
【0387】
最終的なコアシェルマイクロカプセルはスラリー内にて22.6μmの体積基準粒度の中央値(Dv(50))を有する(図16Kを参照のこと)。カプセルシェルは有意に縮小されるが、本発明に係るマイクロカプセルは特に4週間のエイジングの後でさえ製品配合内にて優れた放出特性及び安定性を示し、それは比較例13に係る完全に合成の従来技術のマイクロカプセルのそれに匹敵する、(図11A及び11Bを参照のこと)。調製したままのカプセルは標準のカプセルシェルと比べてかなり薄いシェル壁を示すが、実施例11(及び実施例12)に係る本発明のマイクロカプセルは、対応する製品配合にてエイジングの4週間後でさえ、優れた放出特性及び安定性を示す。カプセルの特性はほぼ2倍の厚さのカプセルシェルを有する最先端技術に係るカプセル(例えば、比較例13のもの)の特性に匹敵する。
【0388】
実施例12:キト-オリゴ糖及びグルコサミンベースのマイクロカプセルIII(86/14HDI/MDI;シェル壁の縮小)
【0389】
多官能性求核試薬としてキトサンオリゴ糖とグルコサミン、及びカプセル形成助剤としてポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を使用して本発明に係るマイクロカプセルを調製した。また、これらのカプセルは、最先端技術に係るマイクロカプセル(例えば、実施例13によれば、実施例11及び12と比べてシェルがほぼ2倍である)と比べてかなりな縮小に相当する縮小したシェル壁で構成される最終的なカプセルシェルを示す。
【0390】
さらに具体的には、210gの香料材料、ここではTomCap(登録商標)(Symrise,Teterboro,NJ)を250mlのビーカーに量り入れ、双方ともCovestro Corporation由来の4.09gのDesmodur(登録商標)N-3400イソシアネートモノマー(ヘキサメチレンジイソシアネートウレチジオン、HDI-ウレチジオン、脂肪族ポリイソシアネート;当量:193)及び0.66gのMondur(登録商標)Mフレーク(モノマージフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;芳香族ポリイソシアネート;当量:125.2)と合わせ、それぞれ相対重量比86:14または相対モル比80.1:19.9で脂肪族及び芳香族のポリイソシアネートを含む油相を形成した。続いて、0.6gの油溶性触媒(ネオデカン酸ビスマス、Aldrich Chemical Corporation)を加えた。別の800mlのビーカーにて、水に3.02gのポリビニルアルコール(PVA、Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を含有する溶液(302g)を調製し、水相を形成した。次いで、0.3gのDABCO(登録商標)(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン,Aldrich Chemical Corporation,St.Louis,MO,USA)の存在下で3500rpmにて約20~60秒間撹拌することによって剪断力(IKA(登録商標)Werke,Staufen,Germanyから市販されているUltra Turrax(登録商標),T-50)を適用することにより、油相を水相に乳化し、5~50ミクロンの範囲の平均粒度を有する水中油香料エマルションを得た。微細に分散した油粒子の粒度はMastersizer(登録商標)3000粒度アナライザー(Malvern Instruments,117 Flanders Road,Westborough,MA,USA)を使用して測定した。
【0391】
得られたままの水中油エマルションをオーバーヘッドミキサーに入れ、600rpmで撹拌した一方で、5%キトサンオリゴ糖(分子量<3000Da)及び5%グルコサミン(双方ともBiosynth Carbosynth(登録商標),United Kingdom由来)の溶液混合物80gを直ちに加えた。混合したキトサンオリゴ糖/グルコサミンの溶液は4gのキトサンオリゴ糖と4gのグルコサミンHCLとを72gの脱イオン水に溶解することによって調製した。pH値は水酸化カリウムを加えることによっておよそ10~11に合わせた。得られたカプセルのスラリーを70℃で少なくとも3時間硬化させた。最後に、スラリーを1200rpmでおよそ2~4分間撹拌しながら0.60gのKelco-vis(商標)DG(ジウタンガム,CP Kelco Inc.)を加え、その後、撹拌速度を850rpmに低下させ、続いてさらに1時間硬化させた。
【0392】
最終的なコアシェルマイクロカプセルはスラリー内にて22.8μmの体積基準粒度の中央値(Dv(50))を有する(図16Lを参照のこと)。カプセルシェルは有意に縮小されているが、本発明に係るマイクロカプセルは、特に4週間のエイジングの後でさえ製品配合内にて優れた放出特性及び機械的な及び化学的な安定性を示し、それは比較例13に係る完全に合成の従来技術のマイクロカプセルのそれらに匹敵する(図11A及び11Bを参照のこと)。
【0393】
実施例13:炭酸グアニジンベースのマイクロカプセル(比較例:ポリ尿素ベースのマイクロカプセル)
【0394】
比較例では、多官能性求核試薬として炭酸グアニジン及びカプセル形成助剤としてポリビニルアルコール(PVA,Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を使用してマイクロカプセルを調製した。
【0395】
さらに具体的には、210gの香料材料、ここではTomCap(登録商標)(Symrise,Teterboro,NJ)を250mlのビーカーに量り入れ、双方ともCovestro Corporation由来の6.29gのDesmodur(登録商標)N-3400イソシアネートモノマー(ヘキサメチレンジイソシアネートウレチジオン、HDI-ウレチジオン、脂肪族ポリイソシアネート;当量:193)及び1.57gのMondur(登録商標)Mフレーク(モノマージフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;芳香族ポリイソシアネート;当量:125.2)と合わせ、それぞれ相対重量比80:20または相対モル比72.3:27.7で脂肪族及び芳香族のポリイソシアネートを含む油相を形成した。別の800mlのビーカーにて、水に1%ポリビニルアルコール(PVA、Selvol(商標)523,Sekisui Specialty Chemicals,Japan)を含有する溶液(322g)を調製して第1の水相を形成した。次いで、3500rpmにて約20~60秒間撹拌することによって剪断力(IKA(登録商標)Werke,Staufen,Germanyから市販されているUltra Turrax(登録商標),T-50)を適用することにより、油相を水相に乳化し、5~50ミクロンの平均粒度を有する水中油香料エマルションを得た。微細に分散した油粒子の粒度はMastersizer(登録商標)3000粒度アナライザー(Malvern Instruments,117 Flanders Road,Westborough,MA,USA)を使用して測定した。
【0396】
得られたままの水中油エマルションをオーバーヘッドミキサーに入れ、15%炭酸グアニジン溶液28gを徐々に増やして加えながら、600rpmで撹拌した。炭酸グアニジン溶液は3.2gの炭酸グアニジンを24gの脱イオン水に溶解することによって調製した。得られたカプセルのスラリーを70℃で少なくとも2時間硬化させた。最後に、スラリーを1200rpmでおよそ2~4分間撹拌しながら0.60gのKelco-vis(商標)DG(ジウタンガム,CP Kelco Inc.)を加え、その後、撹拌速度を850rpmに低下させ、続いて80℃でさらに1時間硬化させた。
【0397】
最終的なコアシェルマイクロカプセルはスラリー内で20.6μmの体積基準粒度の中央値(Dv(50))を有し(図16Mを参照のこと)、生分解性を示さない(図15を参照のこと)。
【0398】
香料コアシェルマイクロカプセルの感覚評価
【0399】
感覚評価については、本発明に係るマイクロカプセルを最先端技術に係るマイクロカプセル(比較例13)と比べた、すなわち、上記に記載されているように製造されたマイクロカプセルのスラリーを比べた。
【0400】
0.3gの得られたままのコアシェルマイクロカプセルを30gの市販の布地柔軟剤(Downy(登録商標)Ultra Free & Gentle(商標)液体布地コンディショナー,Proctor & Gamble)に分散させ、1週間以上、好ましくはそれぞれ1週間、2週間及び4週間(図にて1週試料、2週試料などと示した)エイジングを行った。感覚特性を評価するために、異なる布地柔軟剤試料(それぞれ異なるマイクロ粒子を含有する)のそれぞれを10枚の綿ベースのフェイスタオル(小さいタオル)及び10枚の綿ベースのハンドタオル(大きいタオル)に添加した。参照として、0.1gの芳香油(TomCap(登録商標),Symrise,Teterboro,NJ)を30gの布地柔軟剤に直接分散させた。
【0401】
洗浄の指示は以下のとおりである:タオル(綿布)を洗濯機に入れ、対応するコアシェルマイクロカプセルまたは純粋なカプセル化されていない芳香油(参照)を含む布地柔軟剤を上記に示した時間でエイジングを行った後、布地柔軟剤投入口に加え、洗浄プログラムを開始した(装置:自動洗濯乾燥機:Whirlpool(登録商標)(USA);洗浄サイクル:正常洗浄;洗浄温度:温かい(32~44℃);洗濯量:普通)。
【0402】
洗浄した後、タオルを2つの群に分け、物干し用ロープにぶら下げて風乾した(図では「ロープ乾燥」と示した)または乾燥機で機械的に乾燥させた(図では乾燥機乾燥と示した)。その後、タオルを対応して標識し、試験まで大きなプラスチックバッグに保管した。
【0403】
香料の放出を3つの工程で行い、放出された香料強度を10人の訓練されたパネリストが評価した。強度は1(無臭)から6(非常に強い)に及ぶスケールに基づいて盲検評価で決定した。第1の工程は未処理の調製したままのタオルの匂いを嗅ぐことを説明する。第2の工程は軽く揉んだタオルの匂いを嗅ぐことを説明する;この目的のために、タオルを擦ることでわずかな機械的ストレスにさらした。第3の工程は手の間でタオルを前後に激しく数回動かすこよによってタオルを強く擦るので、カプセルを機械的に恐し、カプセル化した芳香油を放出した後、匂いを嗅ぐことを説明する。各工程の後、香りの強度をパネリストが評価した。
【0404】
比較のために使用したマイクロカプセルの配合組成を以下の表3に要約する。
【0405】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0406】
実施例1~6に従って調製したマイクロカプセルの配合組成(図1A/B及び図6A/6B)を比較例13に従って調製した標準のポリ尿素マイクロカプセルと比較した。
【0407】
20未満のモノマー単位を有する糖及び/またはアミノ糖を構成要素として使用したバイオベースの(アミノ)糖ベースのマイクロカプセルの性能は、機械乾燥した後、完全に合成の最先端技術に係るグアニジン架橋したポリ尿素ベースのマイクロカプセルの性能に匹敵し、且つそれよりもさらにやや良好である。しかしながら、ロープ乾燥した試料については、本発明のバイオベースの(アミノ)糖ベースのマイクロカプセルを含む布地柔軟剤によって処理した試料で有意に高い香料強度が評価されている。機械的ストレス及び熱はエマルションで処理した布からの揮発性物質の放出を高めると思われた。乾燥機で乾燥させたタオル試料の低い香料強度は、乾燥機内の機械的衝撃によるマイクロカプセルの破壊の増大及び熱による蒸発の増加に基づいて説明することができる。
【0408】
しかしながら、本発明のバイオベースのマイクロカプセルは、完全に合成の最先端のマイクロカプセルと比べてさらに安定であると思われ、揮発性香料成分の蒸発をさらに効率的に抑制することができる。しわくちゃにした及び/または擦り合わせた後の強度の大きな増大(比較例のカプセルに比べてかなり大きい)は香料物質の効率的なカプセル化を示している。これは図6A及び6Bに基づいて特に明らかである。実験は、本発明のカプセルの高い機械的及び熱安定性(洗濯機、乾燥機)を示す一方で依然として有効成分の目標とする放出を可能にする。さらに、本発明のマイクロカプセルは、例えば、消費者製品配合内にて組み込まれ、エイジングが行われた場合、高い化学的安定性を示し、有効成分の効率的なカプセル化を可能にし、長期の製品品質を効果的に維持する。したがって、本発明のカプセルは効率的なカプセル化及び有効成分の優れた且つ目標とする放出を可能にする。加えて、本発明のマイクロカプセルは完全に合成の最先端のマイクロカプセルと比べて乾燥機内での乾燥プロセスの影響をあまり受けない。その結果、本発明のバイオベースのコアシェルマイクロカプセルは種々の消費者製品配合の組み込みに高度に好適である。
【0409】
さらに、33重量%の活性がある芳香油(0.1重量%の純粋な芳香油に相当する)を含有する実施例1~12に係る0.3重量%の本発明の各香料マイクロカプセルのスラリーを含有する布地柔軟剤の試料は、参照として布地柔軟剤に直接組み込んだ0.1重量%の芳香油と比較し、且つ機械乾燥した及びロープ乾燥したタオル双方について比較した(図1~12)。遊離のカプセル化されていない芳香油が迅速に蒸発し、乾燥プロセス及び保管の後、感知されなかった一方で、本発明に係るバイオベースのマイクロカプセルは香料物質の安定なカプセル化を可能にし、優れた且つ目標とする放出挙動を示し、その結果、高度に感知できる香料強度(すなわち、高い感覚性能)を可能にした。
【0410】
柔軟剤における4週間のエイジングの後でさえ、香料物質の効率的なカプセル化が観察され得たということは、柔軟剤内、ひいては消費者製品配合内での本発明のコアシェルマイクロカプセルの高い安定性を示している(例えば、図8A~8D;図10A~10D;図11A及び11B;図12A~12Dを参照のこと)。
【0411】
さらに、厚さを減らしたシェルを有する本発明に係るマイクロカプセル(実施例11及び12を参照のこと)は、かなり厚いシェル壁を有する最先端のマイクロカプセルに匹敵する優れた性能及び安定性を示す。
【0412】
その結果、本発明に係るバイオベースのコアシェルマイクロカプセルは機械的衝撃及び熱に向かってさらの安定である一方で同時にカプセル化された活性物質の目標とする放出を可能にする(機械乾燥した試料を参照のこと)と結論付けることができる。さらに、本発明のバイオベースのマイクロカプセルは消費者製品配合にて4週間を超えて活性物質を効率的にカプセル化する一方で、最先端のカプセルは経時的に活性物質を相当損失する(ロープ乾燥した試料を参照のこと)。したがって、本発明に係るバイオベースのマイクロカプセルは効率的なカプセル化、安定性、及び目標とする放出特性/性能のバランスの改善を示すと結論付けることができる。
【0413】
本発明のコアシェルマイクロカプセルの生分解の評価
【0414】
本発明のコアシェルマイクロカプセルの生分解性を以下のように決定した。
【0415】
環境におけるマイクロカプセルのスラリーの生分解は本発明による高分子シェルの生物学的分解を含む。シェル材料の生物学的な活性または分解の測定は、特にOECDガイドラインのもとで土壌、海洋、水または汚泥にて異なる環境下で決定され得る。
【0416】
有機化学物質の易生分解性を決定するのに使用することができるOECD試験には、OECD試験ガイドライン第301号A-Fに記載されている6つの試験方法:DOC Die-Away試験(TG301A)、CO評価試験(TG301B)、改変MITI試験(I)(TG301C)、密閉ボトル試験(TG301D)、改変OECDスクリーニング試験(TG301E)及び圧力呼吸計測試験(TG301F)が含まれる。28日以内に得られる生分解の以下の合格レベル:70%のDOC除去(TG301A及びTG301E);60%の理論的二酸化炭素(ThCO)(TG301B);60%の理論的酸素要求(ThOD)(TG301C、TG301D及びTG301F)が易生分解性の証拠と見なされてもよい。さらなる詳細は、化学物質の試験のための公式なOECDガイドライン:OECD(2006),Revised Introduction to the OECD Guidelines for Testing of Chemicals,Section 3,OECD Guidelines for the Testing of Chemicals,Section 3,OECD Publishing,Parisに見いだすことができる。
【0417】
試験系
【0418】
本発明に係るマイクロカプセルの生分解性の分析に使用される試験方法及び試験系(接種材料)は、OECD301F生分解性試験に従った標準の試験ガイドライン及び手順と一致する。
【0419】
シェル材料の単離(試料の調製)
【0420】
コアシェルマイクロカプセル全体(水を差し引いた)の1~10重量%を構成するシェル壁はペイロード(すなわち、コア)の抜き出し及び洗浄による水溶性試薬(保護コロイド、未反応の(アミノ)糖及び塩)の除去によって得られた。
【0421】
シェルの単離は、以下の工程:
1)水により洗浄して任意の可溶性材料を除き、それに続いて遠心分離によりシェルを単離する工程;
2)有機溶媒、例えば、低級アルコール、アセトンなどを使用した疎水性「コア」の溶媒抽出を行う工程;
3)得られたままのシェル材料を熱乾燥させて残りの溶媒及び水を取り除き、続いて粉砕してシェル粉末、すなわち、粉末形態でのシェル材料を得る工程を含む多工程プロセスによって達成された。
【0422】
シェル壁の単離は、他のプロセス、例えば、凍結乾燥、真空乾燥、またはスプレー乾燥、またはさらに複雑なプロセス、例えば、超臨界CO抽出を使用しても達成され得る
【0423】
生分解試験は得られたままの単離したマイクロカプセルのシェル粉末で実施し、標準化されたOECD 301Fの手順のもとで試験に供した。第1の生分解性試験では、実施例1に係るマイクロカプセルのシェル材料は、化学物質の試験第301F号のためのOECDガイドライン(1992)に従って圧力呼吸計測試験にてその易生分解性について標準化されたOECD301Fの手順のもとで分析されている(試料#1)。試験のガイドラインによれば、試験品目の生分解曲線は生分解が開始したが、曝露28日目までにプラトーに達しなかったことを示したので試験を45日目まで延長した。試料#1は固有の一次的生分解性を示すことが見いだされた。加えて、試験品目は100mg/Lの調べた濃度で活性化した汚泥微生物の活性に対して阻害効果を有さなかった。しかしながら、実施例1に係るマイクロカプセルシェル材料の第2の試料(試料#2)は易生分解性がほぼ達成されることを示した(図13及び14を参照のこと)。
【0424】
比較例13に従って調製したカプセルシェルに対応する及びUS6,586,107B2にて開示されたカプセルに対応する比較試験試料の分析はこれらの完全に合成のグアニジンベースのカプセル材料が全く生分解性ではないことを示している(図15を参照のこと)。したがって、分解曲線に基づいて、本発明に係るコアシェルマイクロカプセルは現在利用できる最先端のマイクロカプセルよりも生分解性なので、生態にさらに優しい消費者製品という点でさらに好適であると結論付けることができる。
【0425】
消費者製品配合
【0426】
以下では、効率的なカプセル化及び有効成分の優れた放出を可能にする本発明のコアシェルマイクロカプセルを含む本発明に係る種々の好適な消費者製品配合を示す。
【0427】
【表4】
【0428】
【表5】
【0429】
【表6】
【0430】
【表7】
【0431】
【表8】
【0432】
【表9】
【0433】
【表10】
【0434】
【表11】

図1A
図1B
図2A-B】
図3A-B】
図4A-B】
図5A-B】
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A-B】
図8A-B】
図8C-D】
図9A-B】
図9C-D】
図10A-B】
図10C-D】
図11A
図11B
図12A-B】
図12C-D】
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図16G
図16H
図16I
図16J
図16K
図16L
図16M
図17
図18
図19
【国際調査報告】