(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】医療デバイスを埋め込むための送達システム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/372 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
A61N1/372
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505628
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2022074493
(87)【国際公開番号】W WO2023036709
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン オーイェン、アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ、デニー
(72)【発明者】
【氏名】メーリッヒ、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シーゲル、フィリップ コンスタンチン
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053KK02
4C053KK10
(57)【要約】
本発明は、医療デバイス1を埋め込むための送達システム2に関し、送達システム2は、内部ルーメン201を有する送達カテーテル20と、送達カテーテルの内部ルーメン内に受け入れられ、送達カテーテルに対して移動可能なマンドレル23と、第1の端部211、第2の端部212、及び前記第2の端部212に固定されたポジティブロッキング部材213を含む係留部材21とを備える。オートメーション化された製造を改善するために、送達システムはさらに、長手方向軸Lを有し近位端面221、321、421及び側面220、320、420を含むアダプタ・ピース22、32、42であって、マンドレルの遠位端231と係留部材の第1の端部との間に固定接続を形成するアダプタ・ピース22、32、42とを備え、アダプタ・ピースは、送達カテーテルに対してマンドレルを移動させることによって、送達カテーテルの内部ルーメンの内部の第1の位置と、アダプタ・ピースが送達カテーテルの内部ルーメンの外側に配置される第2の位置との間を変位することができ、アダプタ・ピースの第1の位置では、係留部材の第2の端部は、ポジティブロッキング部材がアダプタ・ピースの近位端面と近接し、以てアダプタ・ピースとのロック式接続が実現されるように、長手方向軸に実質的に平行なアダプタ・ピースの側面に沿って、アダプタ・ピースの近位端面を越えて延びる。さらに、本発明は、医療デバイス1及び送達システム2を含むそれぞれのアセンブリ、並びに、送達システム2から医療デバイス1を解放するための方法を対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイス(1)を埋め込むための送達システム(2)であって、
内部ルーメン(201)を有する送達カテーテル(20)と、
前記送達カテーテルの前記内部ルーメン内に受け入れられ、前記送達カテーテルに対して移動可能なマンドレル(23)と、
第1の端部(211)、第2の端部(212)、及び前記第2の端部(212)に固定されたポジティブロッキング部材(213)を含む係留部材(21)と、
長手方向軸(L)を有し近位端面(221、321、421)及び側面(220、320、420)を含むアダプタ・ピース(22、32、42)であって、前記マンドレルの遠位端(231)と前記係留部材の前記第1の端部との間に固定接続を形成するアダプタ・ピース(22、32、42)とを備え、
前記アダプタ・ピースは、前記送達カテーテルに対して前記マンドレルを移動させることによって、前記送達カテーテルの前記内部ルーメンの内部の第1の位置と、前記アダプタ・ピースが前記送達カテーテルの前記内部ルーメンの外側に配置される第2の位置との間を変位することができ、
前記アダプタ・ピースの前記第1の位置では、前記係留部材の前記第2の端部は、前記ポジティブロッキング部材が前記アダプタ・ピースの前記近位端面と近接し、以て前記アダプタ・ピースとのロック式接続が実現されるように、前記長手方向軸に実質的に平行な前記アダプタ・ピースの前記側面に沿って、前記アダプタ・ピースの前記近位端面を越えて延びる、送達システム(2)
【請求項2】
前記アダプタ・ピース(22、32、42)は、その長手方向軸(L)に対して回転対称である、請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記長手方向軸(L)と前記アダプタ・ピース(22、32、42)の前記側面(220、320、420)との間の半径距離(D1)は、その外周方向に沿って変動する、請求項1又は2に記載の送達システム。
【請求項4】
前記送達カテーテル(20)の前記内面と前記アダプタ・ピース(22、32、42)とは、1つから6つの接触線又は接触面を有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項5】
前記アダプタ・ピースは、前記マンドレル(23)の前記遠位端(231)、及び/又は、前記係留部材(21)の前記第1の端部(211)を受け入れるように構成された、その長手方向軸(L)に沿って又は平行に延びる貫通穴(223、323、423)を有する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項6】
前記貫通穴(223、323、423)は、前記長手方向軸(L)に対して垂直に延びる当接面(429)を有する、請求項5に記載の送達システム。
【請求項7】
前記アダプタ・ピース(42)は、その遠位端において管状セクション(427)を有し、前記管状セクションは、前記係留部材(21)の前記第1の端部(212)を受け入れるように構成されており、前記管状セクション(427)は、前記アダプタ・ピース(42)の近位セクション(428)より小さな外径を有する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項8】
前記アダプタ・ピース(22、32、42)の前記側面(220、320、420)は、前記長手方向軸(L)に対して平行に延びる少なくとも1つの溝又は湾曲ノッチ(326、426)を有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項9】
前記係留部材(21)の前記ポジティブロッキング部材(213)は、台形形状、しずく形形状、又は球体形状を有する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項10】
前記係留部材(21)は、前記アダプタ・ピース(22、32、42)が前記第1の位置にある間、ループを形成する、請求項1から9までのいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項11】
前記送達カテーテル(20)の前記内部ルーメン(201)、前記アダプタ・ピース(22、32、42)、及び前記ポジティブロッキング部材(213)の寸法は、前記ポジティブロッキング部材が、前記第1の位置では前記アダプタ・ピースからの係合解除を阻止し、しかし、前記第2の位置では前記アダプタ・ピースから係合解除をできるようにするように、選択される、請求項1から10までのいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項12】
前記マンドレル(23)及び/又は前記アダプタ・ピース(22、32、42)及び/又は前記係留部材(21)は、生体適合性ポリマー、又は金属材料を含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項13】
ストッパ(40)が、前記マンドレル(23)上に、前記アダプタ・ピース(22、32、42)に対して近位に配設される、請求項1から12までのいずれか一項に記載の送達システム。
【請求項14】
請求項1から12までの一項に記載の送達システム(2)と、接続部材(13)を含む医療デバイス(1)とを備えるアセンブリであって、前記係留部材(21)は、前記アダプタ・ピースが前記第1の位置にある間、前記接続部材に結合されている、アセンブリ。
【請求項15】
前記接続部材(13)は、前記アダプタ・ピース(22、32、42)が前記第1の位置にある間に、前記ループ形状の係留部材(21)が通って延びる開口(130)を含む、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
送達システム(2)から医療デバイス(1)を解放するための方法であって、
前記医療デバイスが前記送達システムに結合されている状態の前記送達システムを提供することを含み、前記送達システムは、内部ルーメン(201)を有する送達カテーテル(20)と、前記送達カテーテルの前記内部ルーメン内に受け入れられ、前記送達カテーテルに対して移動可能なマンドレル(23)と、第1の端部(211)、第2の端部(212)、及び前記第2の端部に固定されたポジティブロッキング部材(213)を含む係留部材(21)と、長手方向軸(L)を有し近位端面(221、321、421)及び側面(220、320、420)を含むアダプタ・ピース(22、32、42)とを備え、前記アダプタ・ピースは、前記マンドレルの遠位端と前記係留部材の前記第1の端部との間に固定接続を形成し、前記アダプタ・ピースは、前記送達カテーテルに対して前記マンドレルを移動させることによって、前記送達カテーテルの前記内部ルーメンの内部の第1の位置に配置され、前記アダプタ・ピースの前記第1の位置では、前記係留部材の前記第2の端部は、前記ポジティブロッキング部材が前記アダプタ・ピースの前記近位端面と近接し、以て前記アダプタ・ピースとのロック式接続が実現され、前記医療デバイスとの接続のためのループが形成されるように、前記長手方向軸に実質的に平行な前記アダプタ・ピースの前記側面に沿って、前記アダプタ・ピースの前記近位端面を越えて延び、
前記方法はさらに、
前記第1の位置から第2の位置に前記アダプタ・ピースを変位させることによって、前記ポジティブロッキング部材を前記アダプタ・ピースから係合解除できるようにすることを含み、前記第2の位置では、前記マンドレルを移動させることによって、前記アダプタ・ピースが前記送達カテーテルの前記内部ルーメンの外側に配置される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の身体内に医療デバイスを埋め込むための送達システムを対象とする。そのような医療デバイスは、ペースメーカー、例えばリードレス・ペースメーカーであり得る。本発明はさらに、送達システムを含むアセンブリと、送達システムから医療デバイスを解放するための方法とを対象とする。
【背景技術】
【0002】
リードレス・ペースメーカーなどの医療デバイスを患者の身体内に埋め込むための送達システムは、典型的には、送達カテーテルを含み、医療デバイスは、前記医療デバイスを埋め込みロケーションに案内するために、前記カテーテルに接続される。埋め込み中、医療デバイスは、埋め込みロケーションに到達した時点で、送達カテーテルから取り外されて、埋め込みロケーションに留まり、送達カテーテルは患者の身体から除去される。
【0003】
医療デバイスを埋め込むためにそのような送達システムを使用するとき、医療デバイスは、不慮の外れにより困難な状況が生じるおそれがあるため、埋め込みロケーションに到達するまで、埋め込み手技中に送達カテーテルに堅固に接続されることが保証されなければならない。さらに、送達システムは、医療デバイスが、目標ロケーション、すなわち、埋め込みロケーションで、送達システムから解放されることができることを保証しなければならない。しかしながら、いくつかの医療デバイスは、前記医療デバイスが正しく機能することを保証するために、解放前にテストすることを必要とする。
【0004】
そのようなテストは、いわゆる引張テスト及び/又は電気テストであり得、引張テストは、医療デバイスが患者の身体の組織に十分に固定されているかどうかチェックするために、医療デバイスに引張力を作用させることによって行われる。電気テストは、電磁場を使用して、医療処置、例えば、適切なペーシング動作、及びリードレス・ペースメーカーの電気信号受信が所望の方式で行われるかどうかに関する情報を提供する。そのようなテストでは、医療デバイスは、医療デバイス自体に運動の自由空間を与えるために、少なくとも部分的に送達システムから取り外される必要がある。医療デバイスの、送達システムからの解放は、テストが成功裏に完了した場合にのみ行われるべきである。別の状況で、テストが成功しなかった場合、医療デバイスを位置合わせし直すこと、又は、さらに完全に除去することが確実にできるようにしなければならない。
【0005】
上述による埋め込みに適した送達システムは、文書国際公開第2020/043481A1号において開示されている。知られているシステムは、送達システムの送達カテーテル内でマンドレルと共に移動可能なアダプタ・ピースを含み、アダプタ・ピースは、第1の位置では、係留部材を介して、医療デバイスを前記送達システムに固定し、第2の位置では、医療デバイスを解放するために使用され、アダプタ・ピースは、第1の位置では、送達カテーテルの内側に配置され、第2の位置では、送達カテーテルの外側に配置される。知られている送達システムは、医療デバイスの埋め込みに適しており、しかし、特にアダプタ・ピースには、したがって送達システム全体には、いくつかの欠点がある。知られているシステムのアダプタ・ピースは、複雑な設計を有するため、システムは、オートメーション化された製造及び組立てには適さない。さらに、マンドレルを引っ張るときのみならず押すときも、マンドレルの接続、並びに、アダプタ・ピースの中心からオフセットした係留部材の接続は、アダプタ・ピースの好ましくない傾きにつながるおそれがある。知られているアダプタ・ピースのさらなる不利な点は、その形状及び寸法のため、アダプタ・ピースが送達カテーテル内で移動すると、比較的大きな摩擦力が発生し、それにより引張テストが妨げられ得ることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2020/043481A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、従来技術の上記欠点に関して改善された送達システム及びアセンブリを提供することである。さらに、本発明の目的は、そのような送達システムから医療デバイスを解放するための容易且つ信頼性が高い方法を規定することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題は、請求項1による送達システム、請求項13によるアセンブリ、及び請求項15による、送達システムから医療デバイスを解放するための方法によって解決される。
【0009】
特に、問題は、送達カテーテル、アダプタ・ピース、マンドレル、及び係留部材を含む医療デバイスを埋め込むための送達システムによって解決される。送達カテーテルは、内部ルーメンを含み、マンドレルは、送達カテーテルの内部ルーメン内に受け入れられ、送達カテーテルに対して移動可能である。さらに、係留部材は、第1の端部、第2の端部、及び第2の端部に固定されたポジティブロッキング部材を含む。その上、アダプタ・ピースは、長手方向軸を有し、近位端面及び側面を含み、アダプタ・ピースは、マンドレルの遠位端と係留部材の第1の端部との間に固定接続を形成する。送達カテーテルに対してマンドレルを移動させることによって、アダプタ・ピースは、送達カテーテルの内部ルーメン内の第1の位置と、アダプタ・ピースが、送達カテーテルの内部ルーメンの外側に配置される第2の位置との間で変位することができる。アダプタ・ピースの第1の位置には、係留部材の第2の端部が、アダプタ・ピースの側面に沿って実質的に平行に、すなわち、平行に、又は長手方向軸に対して小さな角度で(20°未満)、アダプタ・ピースの近位端面を越えて延びており、その結果、ポジティブロッキング部材が近位端面に隣接し、それにより、アダプタ・ピースとのロック式接続がもたらされる。第1の位置では、アダプタ・ピースは、少なくとも部分的に、送達カテーテルの内部ルーメン内に配置される。
【0010】
本発明による送達システムは、埋め込み可能な医療デバイスに対して近位に配置された送達カテーテルを含み、手術中、送達カテーテルは、医療施術者(HCP:health care practitioner)の方に向けられる。エンド・キャップがもたらし得る送達カテーテルの遠位端は、アダプタ・ピースがその第1の位置にある限り、医療デバイスに接続される。例えば、上大静脈を通って患者の心臓内に案内されて、右心房を介して右心室にアクセスするため、送達カテーテルは、柔軟な材料を含んでもよい。
【0011】
マンドレル、アダプタ・ピース、係留部材、及びそのポジティブロッキング部材は、送達カテーテルの内部ルーメン内に配置されたプッシング・カテーテルを形成することができる。
【0012】
マンドレルは、アダプタ・ピースから近位に配置され、送達カテーテルの近位端に延び、その遠位端によってアダプタ・ピースに固定される。マンドレルは、例えば、円形又は角張った断面を有する、堅いが曲げ可能なワイヤによって形成されてもよく、アダプタ・ピースを押し、又は、引っ張り、それによって、医療デバイスは、所望の位置で係留部材に結合される。マンドレルは、送達カテーテルの近位端に設けられたハンドルで、手作業で又は自動的に、押されてもよく、又は、引っ張られてもよい。
【0013】
アダプタ・ピースは、医療デバイスと送達システムの接続の確立及び解放を制御する働きをし、解放まで接続を提供する。送達カテーテルに対するアダプタ・ピースの位置は、その制御機能にとって決定的に重要である。アダプタ・ピースの位置は、アダプタ・ピースに固定接続されたマンドレルを押す又は引っ張ることによって調整される。アダプタ・ピースの近位端面は、その長手方向軸に対して実質的に直角に又は傾けられて延びている。近位端面は、平坦面又は湾曲面によって形成されてもよい。側面は、長手方向軸に少なくとも部分的に又は完全に平行に、且つ、アダプタ・ピースの近位端面と遠位端面との間に延びている。遠位端面は、アダプタ・ピースの長手方向に沿って近位端面の反対側に位置する。側面は、アダプタ・ピースの近位端面と遠位端面との中間に外面を形成する。例えば、実質的に円筒形状のアダプタ・ピースでは、側面は、アダプタ・ピースの近位端面と遠位端面との間に位置し、円筒形の側面は、アダプタ・ピースの長手方向軸から半径方向にオフセットされて設けられる。アダプタ・ピースの長さは、その長手方向軸に平行な方向へのその延長であり、言い換えると、近位端面と遠位端面との間のその寸法である。
【0014】
接続状態では、すなわち、送達カテーテルに対するアダプタ・ピースの第1の位置では、アダプタ・ピースの遠位端に位置する係留部材はループを形成し、ループは、医療デバイスが送達システムに結合されるように、医療デバイスの接続部材の開口を通って延びている。したがって、係留部材は、必要とされるループを形成するように構成された柔軟な部材である。ループは、係留部材の第1の端部がアダプタ・ピースに固定される、アダプタ・ピースの遠位端で始まり、ポジティブロッキング部材で(すなわち、係留部材の第2の端部で)終了する。接続状態では、アダプタ・ピースの近位端面とポジティブロッキング部材は、ポジティブ/インターロック接続を形成し、アダプタ・ピースの近位端面と送達カテーテルの内面は、アダプタ・ピースに対して遠位方向へのポジティブロッキング部材の移動を妨げる。言い換えれば、アダプタ・ピースの側面と送達カテーテルの内面との間の中間スペースは、ポジティブロッキング部材がアダプタ・ピースの近位端面で捕捉されるように非常に小さい。したがって、ポジティブロッキング部材の外径は、アダプタ・ピースの側面と送達カテーテルの内面との中間距離よりも大きい。しかしながら、この中間距離は、アダプタ・ピースの外周のうちの少なくとも一部において、ポジティブロッキング部材とは異なるセクションにおいて係留部材がアダプタ・ピースの側面に沿って、且つ、アダプタ・ピースの長手方向軸に実質的に平行な送達カテーテルの内面に沿って延びるように選択される。アダプタ・ピースが、送達カテーテルの内部ルーメンの外側に配置されている、アダプタ・ピースの第2の位置では、送達カテーテルの内面は、ポジティブロッキング部材の遠位移動に対していかなる制限面ももはや形成しておらず、ポジティブロッキング部材を有する係留部材の第2の端部は、アダプタ・ピースに対して自由に移動することができ、それによって、ループを開放し、送達システムから医療デバイスを解放することができる。第2の位置では、係留部材の第2の端部は、送達カテーテルの内面とアダプタ・ピースの側面との間にもはや挟持されることも詰まらせられることもないため、係留部材の第2の端部とアダプタ・ピースとの間のポジティブロッキング接続は解放される。したがって、それ故、アダプタ・ピースと係留部材の第2の端部との接続は、概して、アダプタ・ピースの第1の位置から第2の位置への単純な単軸移動によって、すなわち、遠位方向にマンドレルを押すことによって解放される。その一方、同様の単軸移動がまた、製造中、又は手術の準備の際に、例えばマンドレルを、以てアダプタ・ピースを近位方向に引っ張って第1の位置に到達させることによって、係留部材の第2の端部をアダプタ・ピースと接続するのに、十分である。
【0015】
ポジティブロッキング部材のポジティブロッキングは、アダプタ・ピースの近位端面によって実現されるため、アダプタ・ピースの側面において、ポジティブロッキングのためのさらなる特殊構造は必要とされない。したがって、単純な設計/形態が、アダプタ・ピースのために選択され得る。そのような設計のための実例は、下記において詳細に説明される。単純な設計により、例えば、旋削、フライス削り、及び/又は穿孔による、費用効果の高いオートメーション化された製造及び組立てが可能になる。
【0016】
アダプタ・ピースの近位端でのポジティブロッキング部材の収容はさらに、アダプタ・ピースと、送達カテーテルの内面と相互作用する係留部材の遠位端と、における摩擦面が低減され、その結果、引張テストによる干渉が低減されるように、アダプタ・ピースの構築を可能にする。さらに、アダプタ・ピースのマンドレルとの、及び係留部材の第1の端部との接続は、従来技術におけるより、中心に設けられ得るため、アダプタ・ピース全体は、送達カテーテル内でより中心にあるように移動することができる。
【0017】
医療デバイスが、その埋め込みロケーションに到達した後、上記で説明されたように、アダプタ・ピースをその第1の位置からその第2の位置に移動させる、例えば、押すことによって、送達カテーテルと医療デバイスとの結合を解放することができる。しかしながら、完全に解放する前に、引張テスト及び/又は電気テストなどのテストを行うこととする場合、アダプタ・ピースもまた、医療デバイスがエンド・キャップから解放され、しかし、アダプタ・ピースが依然として、送達カテーテルの内部ルーメンの内側に留まるように、いわゆる中間位置に変位させることができる。アダプタ・ピースのこの(第1の)位置では、医療デバイスと送達カテーテルの係留部材を介した結合は、ポジティブロッキングによって依然として効力があるままとなる。
【0018】
電気テストと同様に引張テストも中間位置において実行することができる。引張テストは、例えばマンドレルを使用して、送達システムを介して、医療デバイスを近位方向に引っ張り込むことによって、目標ロケーションにおける、アンカー部材による、組織に対する医療デバイスの適正な固定をチェックする。さらに電気テスト実施により、医療デバイスに配置された電極による電気刺激が確実に適正に機能するようにすることができる。テスト中、医療デバイスが配置し直されなければならないことが判明した場合、アダプタ・ピースは、マンドレルを、及びマンドレルと一緒にアダプタ・ピースを近位方向に引っ張ることによって、送達カテーテルの中に再び後退させることができ、その結果、医療デバイスが再び送達カテーテルのエンド・キャップと係合するようになる。次いで、医療デバイスは、新たな埋め込みロケーションに位置合わせされ直されてもよい。1つの実施例では、アダプタ・ピースは第2の位置にのみ移動させてもよく、すなわち、医療デバイスは、テストが成功した後にのみ、送達システムから解放されてもよい。
【0019】
製造中、マンドレルの遠位端は、例えば溶接によって、アダプタ・ピースに固定接続される。さらに、係留部材の第1の端部は、下記でより詳細に説明されるように、例えば、やはり溶接によって、又はかしめによって、アダプタ・ピースに固定接続される。したがって、アダプタ・ピースは、マンドレルの遠位端と係留部材の第1の端部との間の固定接続を形成する。1つの実施例では、マンドレル、及び/又は係留部材の第1の端部を受け入れるために、ボアホールが、アダプタ・ピースの近位端面上に、及び/又は、アダプタ・ピースの遠位端に設けられてもよい。代替的に又は追加的に、マンドレルの遠位端及び/又は係留部材の第1の端部は、アダプタ・ピースの端面に直接接続されてもよい。アダプタ・ピースと、マンドレルとの、又は係留部材の第1の端部との接続のタイプにかかわらず、中心にある接続、特にマンドレルの中心にある接続は、押圧力及び/又は引張力がマンドレルを介してアダプタ・ピースに印加されたときに、アダプタ・ピースが傾くのを防止する。
【0020】
マンドレルの遠位端の及び係留部材の第1の端部の、アダプタ・ピースとの接続後、係留部材は医療デバイスに、すなわち、医療デバイスの接続部材に接続することができる。
【0021】
1つの実施例では、アダプタ・ピースは、その長手方向軸に対して回転対称である。本発明の文脈では、回転対称とは、アダプタ・ピースが回転の軸、すなわち長手方向軸を有することを意味し、前記軸の周りに、360°とは異なるある角度についての回転が、回転体に、開始位置における回転体との一致を生じさせるものである。アダプタ・ピースの回転対称設計により、製造はかなり単純化される。このようにして、対称設計は、例えば、旋削及びフライス削りなどの共通機械加工工程による製造を可能にする。例示的なアダプタ・ピースは、任意選択で、丸み付きエッジ、面取りされたエッジ、つぶれたエッジを備える、回転対称の円筒とすることができる。さらに、アダプタ・ピースの対称設計のため、アダプタ・ピースの側面と、送達カテーテルの内部ルーメンの内面との間の摩擦面は、アダプタ・ピースの外周方向に見たとき、平らに構成されている。これにより、アダプタ・ピースが送達カテーテルの内部ルーメン内に配置されている場合、アダプタ・ピースと送達カテーテルとの間の摩擦力の平坦な分布が可能になり、例えば、アダプタ・ピースが好ましくなく傾くのを防ぐことができる。
【0022】
1つの実施例では、長手方向軸とアダプタ・ピースの側面との間の半径距離は、アダプタ・ピースの外周方向に沿って変動し、この変動は、アダプタ・ピースの長さの少なくとも一部に、又は、アダプタ・ピースの全長に沿って延びる。1つの実施例では、アダプタ・ピースは、長手方向に延びるその側面に、係留部材がアダプタ・ピースの第1の位置に配置され得る、単一溝などを有することができる。別の実施例では、アダプタ・ピースは、例えば湾曲エッジをその側面に含み、その断面で実質的にスター形状設計を形成する、長手方向に延びる複数のリブ及び溝又はノッチを有することができる。この設計は、依然として費用効果が高く製造され組み立てられることが可能であり、アダプタ・ピースの第1の位置において、係留部材のための明確に規定されたロケーションを提供する。
【0023】
1つの態様では、送達カテーテルの内部ルーメンの表面(すなわち、内面)とアダプタ・ピースとは、1つから6つの接触線又は接触面を有する。例えば、円筒形状のアダプタ・ピースは、送達カテーテルの内面との1つの接触面を有する。別の実施例では、溝又はノッチが、側面全体にわたってアダプタ・ピースの長手方向軸に平行に延び、その断面では上述のスター形状のアダプタ・ピースが、例えば、2つから6つの接触面又は接触線を有することができ、各接触線は、アダプタ・ピースの長手方向延伸リブと送達カテーテルの内面との間の接触を表している。したがって、そのような設計におけるリブの数は、回転対称を規定する回転の角度の数字で決まる。
【0024】
2つのコンポーネント間の摩擦力は、特に摩擦面、すなわち、アダプタ・ピースと送達カテーテルの内面との間の接触線又は接触面のサイズによって影響を及ぼされる。この実施例では、摩擦面の低減は、適切な設計、例えばスター形状設計によって達成される。代替的に、又は追加的に、アダプタ・ピースの寸法は低減され得る。アダプタ・ピースの全長は、3mmから4mmの間、好ましくは、3mmから3.4mmの間であり得る。さらに、アダプタ・ピースの直径、又はアダプタ・ピースの側面の2つのポイント間の最大面内距離は、1mmから2mmの間、好ましくは、1.1mmから1.6mmの間であり得る。さらに、アダプタ・ピースは、送達カテーテルの内部ルーメンの内側に配置された後、その長手方向範囲の一部にわたって、送達カテーテルの内面と接触し得る。先述の方法により、送達カテーテル内でのプッシング・カテーテルの増加した追従性がもたらされる。
【0025】
1つの実施例では、アダプタ・ピースは、マンドレルの遠位端、及び/又は、係留部材の第1の端部を受け入れるように構成された、その長手方向軸に沿って又は平行に延びる貫通穴を有する。マンドレル、及び/又は、係留部材の第1の端部は、アダプタ・ピースの貫通穴の内部に固定されて、例えば溶接又は接着による、恒久的な接続を形成することができる。貫通穴の内側に最初に部分的に受け入れられ、(例えば溶接によって)固定されたマンドレルは、その後に挿入された、係留部材の第1の端部のための止め面として働くことができる。長手方向軸に沿った貫通穴の構成は、以前に言及した、有利な中心にある締結を、特にマンドレルの遠位端の締結を保証し、それによって、押圧力及び/又は引張力が、中心にある様式でアダプタ・ピースに作用し、こうして傾きが防止される。繊細なアダプタ・ピースの製造については、オートメーション化された製造における貫通穴の使用により、他の方法ではボアホール内に蓄積するおそれがあるチップを除去する必要がないので、大幅に容易になり、より労働集約的でなくなる。別の実施例では、貫通穴はまた、長手方向軸に対して角度付けされることがある。
【0026】
別の実施例では、貫通穴は、長手方向軸に対して垂直に延びる当接面を有する。当接面は、特に、最初により小さい直径の貫通穴を穿孔し、次いで、より小さい貫通穴の位置に、より大きい直径のボアホールを穿孔し、それにより、より大きい直径を有する貫通穴の第1のセクションと、より小さい直径を有する第2のセクションとが形成されることによって製造することができる。当接面は、第1のセクションと第2のセクションとを互いに分離する。このようにして形成された当接面は、マンドレル及び/又は係留部材のアダプタ・ピース内の挿入深さをあらかじめ規定するのに助けとなり得る。さらに、マンドレル及び係留部材の第1の端部の異なる直径のために、異なるボアホール直径を使用することにより、マンドレル及び/又は係留部材の第1の端部のアダプタ・ピースとの簡易な締結が提供され得る。1つの実施例では、より大きい直径を有する貫通穴の第1のセクションは、貫通穴の近位端に配置され、マンドレルの遠位端を受け入れるように適合される。
【0027】
1つの態様では、アダプタ・ピースはその遠位端に管状セクションを有し、管状セクションは、係留部材の第1の端部を受け入れるように構成されており、管状セクションは、アダプタ・ピースの近位セクションより小さな外径を有する。したがって、管状セクションの外径は、0.3mmから0.8mmの間、好ましくは0.5mmから0.7mmの間であってもよい。管状セクションの長手方向長さは、1.3mmから2mmの間、好ましくは1.5mmから1.7mmの間であってもよく、近位セクションは、先述の直径か、又は最大面内距離を有してもよい。さらに、管状セクションは、係留部材の第1の端部を受け入れるために、ボアホール又は貫通穴を有してもよい。貫通穴はまた、アダプタ・ピースの近位セクションにおいて、マンドレルの一部分を受け入れるように構成されてもよい。さらに、遠位管状セクションは、管状セクションの内側で受け入れられると、係留部材の第1の端部がかしめによってアダプタ・ピースに接続され得るように、かしめられるように構成され得る。これは、特に、マルチストランド型係留部材のための有利な、信頼性が高い固定方法である。アダプタ・ピースは、マルチピース・コンポーネントであってもよいが、代替的には、ワンピース・コンポーネントである。
【0028】
すでに上記で示したように、1つの実施例では、アダプタ・ピースの側面は、長手方向軸に平行に延びる少なくとも1つの溝又は湾曲ノッチを有する。溝又は湾曲ノッチは、アダプタ・ピースがその第1の位置にある間、係留部材の第2の端部が、前記溝又はノッチに沿って延びるように、係留部材の第2の端部を受け入れるように構成され得る。アダプタ・ピースはまた、近位端面と遠位端面との中間に、スター形状を有する断面をそれによって形成する、複数のそのような湾曲ノッチを有し得る。これらの溝及びノッチは、送達システムの近位端から遠位端に、又は反対の方向に、空気並びに/又はフラッシュ/リンス流体及び/若しくは放射線不透過性流体を案内することができる。
【0029】
1つの態様では、係留部材のポジティブロッキング部材は、台形形状、しずく形形状、又は球体形状を有する。ポジティブロッキング部材の形状にかかわらず、ポジティブロッキング部材は、アダプタ・ピースが第1の位置にある場合、常にアダプタ・ピースの近位端面と隣接するように構成される。ポジティブロッキング部材は、係留部材と一体的に形成され得るか、又は、それに固定される別個の要素を形成し得る。ポジティブロッキング部材の形状は、アダプタ・ピースの形状に最良に適合し、アダプタ・ピースの第1の位置において最良の最も信頼性が高い形態のロッキング接続を実現するように、選択され得る。
【0030】
上記で示したように、1つの実施例では、アダプタ・ピースがその第1の位置にある間、係留部材はループを形成する。これは、その第1の端部によってアダプタ・ピースに取り付けられた係留部材を、医療デバイスの接続部材の開口に通すことによって達成され得、次いで、係留部材は、アダプタ・ピースの遠位端の方に戻って延び、係留部材の第2の端部は、アダプタ・ピースの側面に沿って延び、それによってループを形成する。こうして、医療デバイスは、ループの一端に配置され、アダプタ・ピースは反対端に配置される。アダプタ・ピースをその第1の位置からその第2の位置に変位させることにより、係留部材の第2の端部とアダプタ・ピースとの接続が解放され、それによってループが開放される。
【0031】
さらに、係留部材は、例えば、ケーブル、縫合糸、又はワイヤによって形成されてもよく、ワンストランド型、又はマルチストランド型であってもよい。係留部材は、一般に柔軟であってもよく、医療デバイスを送達システムに接続するためにループを形成するように適合されてもよい。さらに、係留部材は、(十分な曲げ性を許容しつつ)かなりの剛性を呈し得る。
【0032】
上述のように、1つの実施例では、送達カテーテルの内部ルーメン、アダプタ・ピース、及びポジティブロッキング部材の寸法は、ポジティブロッキング部材が、第1の位置ではアダプタ・ピースからの係合解除を阻止し、しかし、アダプタ・ピースが送達カテーテルの内部ルーメンの外に完全に移動されたときの、第2の位置ではアダプタ・ピースから係合解除をできるようにするように、選択される。
【0033】
1つの実施例では、マンドレル及び/又はアダプタ・ピース及び/又は係留部材及び/又はポジティブロッキング部材は、生体適合性ポリマー、又は金属材料、例えばステンレス鋼を含む、又は、からなる。さらに、アダプタ・ピースは、良好な追従性を提供する材料を含み得る。したがって、コーティングは、それぞれのコンポーネントの摩擦を低下させるために、アダプタ・ピース及び/又は係留部材及び/又は送達カテーテルの内面で提供され得る。さらに、係留部材及び/又はアダプタ・ピースは、係留部材が例えばX線検査の際に可視化され得るように、放射線不透過性材料を含み得る。
【0034】
さらに、送達システムは、マンドレル上に、アダプタ・ピースに対して近位に配設されたストッパを有し得る。ストッパは、アダプタ・ピースと同じ材料でできていてもよく、アダプタ・ピースと同じやり方で(溶接されて、接着されて、押圧されて、又は任意の他の適切なやり方で)マンドレルに固定されてもよい。この実施例では、ストッパは、マンドレルが遠位方向に押された場合に、ポジティブロッキング部材及び係留部材が不用意に、送達カテーテルの内部ルーメン内に押し戻されないことを保証する。
【0035】
上記の問題はまた、前述の説明による送達システムと、接続部材を含む医療デバイスとを含むアセンブリによって解決され、係留部材は、アダプタ・ピースが第1の位置にあるとき、接続部材に接続される。
【0036】
1つの実施例では、接続部材は、アダプタ・ピースが第1の位置にある間に、ループ形状の係留部材が通って延びる開口を含む。したがって、医療デバイスは、アダプタ・ピースがその第1の位置にある場合、及びある間、送達システムに固定接続される。医療デバイスの接続部材は、医療デバイスのハウジングコンポーネントに接続され得、接続部材の代替形状が提供され得る。しかしながら、接続部材の形状とは無関係の、丸い、及び/若しくは、湾曲輪郭、又は、少なくともエッジのない輪郭の使用が、ポジティブロッキング部材がアダプタ・ピースから解放されたとき、ポジティブロッキング部材が確実に引っ掛からないようにする助けとなり得る。さらに、エッジのない輪郭の使用は、係留部材が裂けないことを保証する。したがって、ポジティブロッキング部材がアダプタ・ピースから解放されると、医療デバイスが送達システムから解放されるように、係留部材は、特に、ポジティブロッキング部材を、接続部材によって形成された開口に通すことによって、接続部材からの係合から引き外され得る。したがって、この実施例では、接続部材の開口は、ポジティブロッキング部材が開口を通り抜けることができるように、ポジティブロッキング部材の外径よりも大きい。
【0037】
さらに、上記の問題は、送達システムから医療デバイスを解放するための方法によって解決され、方法は、
●医療デバイスが送達システムに結合されている状態の送達システムを提供することを含み、送達システムは、内部ルーメンを有する送達カテーテルと、送達カテーテルの内部ルーメン内に受け入れられ、送達カテーテルに対して移動可能なマンドレルと、第1の端部、第2の端部、及び第2の端部に固定されたポジティブロッキング部材を含む係留部材と、長手方向軸を有し、近位端面及び側面を含むアダプタ・ピースとを備え、アダプタ・ピースは、マンドレルの遠位端と係留部材の第1の端部との間に固定接続を形成し、アダプタ・ピースは、送達カテーテルに対してマンドレルを移動させることによって、送達カテーテルの内部ルーメンの内部の第1の位置に配置され、アダプタ・ピースの第1の位置では、係留部材の第2の端部は、ポジティブロッキング部材がアダプタ・ピースの近位端面と近接し、以てアダプタ・ピースとのロック式接続が実現され、医療デバイスとの接続のためのループが形成されるように、長手方向軸に平行なアダプタ・ピースの側面に沿って、アダプタ・ピースの近位端面を越えて延び、
方法はさらに、
●第1の位置から第2の位置にアダプタ・ピースを変位させることによって、ポジティブロッキング部材をアダプタ・ピースから係合解除できるようにすることを含み、第2の位置では、マンドレルを移動させることによって、アダプタ・ピースが送達カテーテルの内部ルーメンの外側に配置される。それによって、医療デバイスの係留部材からの接続解除もできるようになる。
【0038】
上記の方法及びシステムは、埋め込み可能なリードレス・ペースメーカー(ILP:implantable leadless pacemaker)、又は、心臓のチャンバ内への埋め込みに適した任意の他の種類の埋め込み可能なセンサ・デバイスなどの医療デバイス向けに使用され得る。そのようなセンサは、圧力、カリウム濃度及び/又は酸素飽和度を測定することができる。
【0039】
ポジティブロッキング部材のアダプタ・ピースからの係合解除前に、医療デバイスは、送達システムから医療デバイスを部分的に解放することによって、埋め込み目標ロケーションに、例えば、心筋組織などの患者の身体の組織上に移動されて配置される。医療デバイスはアンカー部材を有することができ、アンカー部材は、医療デバイスから延びるタイン、ワイヤ、シート、又は管の形状を有することができ、医療デバイスをこのロケーションにおいて組織に固定するために使用される。引張テスト及び/又は電気テストは、医療デバイスの固定に続いて行われ得る。テストが合格であれば、HCPは、アダプタ・ピースをその第1の位置から第2の位置に変位させることによって、医療デバイスを解放することができる。しかしながら、テストが不合格であれば、HCPは、送達システムを使用して医療デバイスを配置し直すことができる。このケースでは、必要な場合、医療デバイスは、適切な埋め込みロケーションに到達し、テストに合格するまで、送達システムに接続されたままとなる。
【0040】
次に添付の概略図を参照して、本発明をさらに詳細に説明することとする。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】埋め込まれた医療デバイス及び送達システムを含むヒトの心臓の断面図である。
【
図2】患者の心臓に埋め込まれるべき医療デバイスの側面図である。
【
図3】医療デバイスに結合された、医療デバイスを埋め込むための送達システムの第1の実施例の側面図である。
【
図4】ループ形状の係留部材がそれを通って延びる接続部材を含む、
図3による医療デバイスの近接側面図である。
【
図5A】
図3による送達システムにおいて使用され得るアダプタ・ピースの第1の実施例の側面図である。
【
図5B】
図5Aのアダプタ・ピースの近位端面の正面図である。
【
図5C】
図5Aによるアダプタ・ピース及び第1の位置のポジティブロッキング部材を含む、
図3の送達システムの送達カテーテルの部分的に切り取った描写の概略図である。
【
図6A】
図3による送達システムにおいて使用され得るアダプタ・ピースの第2の実施例の側面図である。
【
図6B】
図6Aのアダプタ・ピースの近位端面の正面図である。
【
図6C】
図6Aによるアダプタ・ピース、及び第1の位置のポジティブロッキング部材を含む、
図3の送達システムの送達カテーテルの部分的に切り取った描写の概略図である。
【
図7A】
図3による送達システムにおいて使用され得るアダプタ・ピースの第3の実施例の側面図である。
【
図7B】
図7Aにおける、軸C-Cに沿った、
図7Aのアダプタ・ピースの断面を示す図である。
【
図7C】
図7Aのアダプタ・ピースの遠位端面の正面図である。
【
図7D】
図7Cに示される軸D-Dに沿った、
図7Aのアダプタ・ピースの長手方向断面を示す図である。
【
図7E】
図7Cに示される軸A-Aに沿った、
図7Aのアダプタ・ピースの長手方向断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、右心房RA、右心室RV、左心房LA、及び、左心室LVを含むヒトの心臓、並びに、右心室RVの中に埋め込まれている医療デバイス1を描写しており、医療デバイス1は、例えば、右心室RVにおける心臓の動作のペーシングを提供するためのリードレス・ペースメーカー・デバイスである。
【0043】
埋め込みのため、医療デバイス1は、送達システム2によって埋め込みロケーションに、例えば、
図1に示されるように右心室RV内に配置され、その結果、医療デバイス1は、心筋組織M上で静止するようになり、そのアンカー部材12を使用してそこに固定される。
【0044】
図2は、ハウジング10を有するリードレス・ペースメーカー・デバイスである医療デバイス1の実例を示しており、医療デバイス1は、医療デバイスを患者の心筋組織Mに固定するために、医療デバイス1のハウジング10から延びるタインの形状の複数のアンカー部材12を有する。さらに、医療デバイス1は、その遠位端に電極11を有し、電極11は、ペーシング及び心臓刺激のための働きをする。第2の電極が、ハウジングの近位端のそばに形成されてもよい。医療デバイス1を目標ロケーションに案内するため、医療デバイス1は、係留部材21によって送達システム2に接続され、係留部材21は、医療デバイス1が機械的に患者の組織に固定された後、解放される。しかしながら、医療デバイスが解放される前に、医療デバイス1が、確実に機械的に固定されること並びに正しく機能することを保証するため、通常、引張テスト及び/又は電気テストなどのテストが行われる。医療デバイス1は接続部材13を有し、接続部材13は、係留部材21を介して医療デバイス1を送達システム2に解放可能に接続するために使用される。接続部材13の実施例は、
図4においてより詳細に示される。
【0045】
図3に示される送達システムは、内部ルーメン201を有する送達カテーテル20と、マンドレル23、アダプタ・ピース22、及びポジティブロッキング部材213を含む係留部材21によって形成されたプッシング・カテーテルとを備える。
【0046】
図3に示されるように、送達システム2の係留部材21は、アダプタ・ピース22に、例えば溶接によって固定接続されている第1の端部211と、ポジティブロッキング部材213を有する第2の端部212とを備える。
図3に示されるポジティブロッキング部材213は、球体形状を有する。形状にかかわらず、ポジティブロッキング部材213は、アダプタ・ピース22が第1の位置にある間に、アダプタ・ピース22とのポジティブロッキングを実現するように常に構成される必要がある。これは、とりわけ、アダプタ・ピース22が、送達カテーテル20の内部ルーメン201内に配置され、係留部材21の第2の端部212が、アダプタ・ピース22の側面220に沿って延び、ポジティブロッキング部材213がアダプタ・ピース22の近位端面221に隣接していることによって達成されるものであり、ポジティブロッキング部材213と、したがって、係留部材21の第2の端部212とは、アダプタ・ピース22が移動することなく、遠位方向Dに移動させることはできず、しかしながら、アダプタ・ピース22はマンドレル23に、例えば溶接によって接続される。アダプタ・ピース22の第1の位置は、
図5Cに示されている。
【0047】
図3に示されるアダプタ・ピース22は、その第2の位置にあることが描写されているにもかかわらず、係留部材21の第2の端部212は、依然として、長手方向軸L(
図5A参照)に平行なアダプタ・ピース22の側面220に沿い、アダプタ・ピース22の近位端面221を越えて延びており、ポジティブロッキング部材213は、アダプタ・ピース22の近位端面221に近接している。しかしながら、
図3に示される係留部材21は、アダプタ・ピース22がその第2の位置にある場合、アダプタ・ピース22とのロック式接続をもたらさず、したがって、いつでも解放されることが可能である。アダプタ・ピース22の実施例は、
図5A~7Eに関してより詳細に説明されることになる。ポジティブロッキング部材213の、アダプタ・ピース22の側面からの解放が、送達カテーテル20によって妨げられないことは、
図3において容易に理解される。したがって、下記でより詳細に説明するように、第2の位置では、医療デバイス1は、送達システムから切り離すことができる。
【0048】
図3はさらに、送達システムの遠位方向D及び近位方向Pを指し示す2つの矢印D及びPを示している。アダプタ・ピース22の近位端面221は、近位方向Pに向いている。遠位端面は、アダプタ・ピース22の遠位端に(近位端面221の反対側に)配置されている。
【0049】
送達システム2はさらに、エンド・キャップ200及び内部ルーメン201を含む、近位に配置された送達カテーテル20を有する。送達カテーテル20の内部ルーメン201を通って延びるマンドレル23は、その遠位端230によってアダプタ・ピース22に接続されている。マンドレル23は、生体適合性ポリマー又は金属材料を含む。通常、マンドレル23は、係留部材21と比較して、より大きな、又は、少なくとも等しい直径を有する。係留部材21は、ケーブル、縫合糸、又は、生体適合性ポリマー若しくは金属材料でできているワイヤによって形成されてもよい。
【0050】
マンドレル23は、送達カテーテル20を患者の身体部分の中を通して案内するとき、送達カテーテル20と一緒に変形することができるように十分に柔軟であり、同時に、送達カテーテル20に対して移動することができるように堅く、耐キンクである。さらに、マンドレル23を使用して、マンドレル23に、押圧力及び/又は引張力を印加することによって、アダプタ・ピース22を変位させる。ポジティブロッキング部材213がアダプタ・ピース22とポジティブな形態のロッキング接続を実現する(
図5C参照)アダプタ・ピース22の第1の位置は、第1の位置において、アダプタ・ピース22が送達カテーテル20の内部ルーメン201の内部に少なくとも部分的に配置される点で、
図3に示す第2の位置とは異なる。
【0051】
その上さらに、
図3は、送達システム2の遠位方向Dの一端に示される
図2の医療デバイス1を描写している。しかしながら、医療デバイス1は、送達システム2の一部ではなく、医療デバイス1と送達システム2とを含むアセンブリの一部である。係留部材21は、接続部材13の開口130(
図4参照)を通して案内され、アダプタ・ピース22に戻り、それによってループを形成する。このループは、埋め込み後に医療デバイスを解放するために、接続部材13から接続解除される。したがって、接続部材13の開口130の寸法並びに形状は、医療デバイス1の安全な解放をできるようにするため、ポジティブロッキング部材213の寸法及び形状よりも大きい必要がある。
【0052】
埋め込みのため、アセンブリを患者の身体の中を通して目標ロケーションに案内する間、アダプタ・ピース22はその第1の位置にある。マンドレル3は、アダプタ・ピース22が送達カテーテル20の内部ルーメン201の完全に内側に配置されるように、後退させられる。アダプタ・ピース22はさらに、医療デバイス1がエンド・キャップ200に向かって確実に、引き寄せられ、以て送達カテーテル20に固定接続されるように、位置合わせされる。したがって、医療デバイス1と送達カテーテル20との確実な結合が確立される。この状態では、医療デバイス1は、送達システム2によって、目標ロケーションに向かって案内され得る。送達システム2はさらに、アダプタ・ピース22に対して近位に、マンドレル23に配設されたストッパ40を有する。
【0053】
医療デバイス1が目標ロケーションに到達し、すべての必要なステップが行われた、すなわち、例えば、医療デバイスがアンカー部材12によって患者の組織Mに固定された後、マンドレル23は、アダプタ・ピース22を変位させるために動作され(すなわち、押され)、その結果、医療デバイス1は、エンド・キャップ200から解放され、アダプタ・ピース22は、送達カテーテル20の内部ルーメン201の内側に依然として残ったままとなる。それによって、医療デバイス1は、送達カテーテル20のエンド・キャップ200から空間的に除去され、一方、係留部材21を介した接続は、依然として効力があるままとなる。
【0054】
このいわゆる中間位置では、引張テスト並びに電気テストが行われ得る。したがって、送達システム2の係留部材21を介して組織Mから医療デバイス1を引き離すことによってアンカー部材12による組織Mにおける医療デバイス1の適正な固定を、並びに、電極11による刺激が適正に機能することを保証することができる。引張テストは、例えば、マンドレル23をアダプタ・ピース22と一緒に近位方向Pに引っ張ることによって行うことができる。
【0055】
テストステップの間、医療デバイス1は、確実には組織Mに固定されておらず、しかし、引張テスト中に、あらかじめ規定された力が印加されたときに、解放されると判明した場合、又は、医療デバイス1が、その電気的機能(例えば、接触抵抗が、あらかじめ規定された値よりも高い)を実行するために、正しく位置合わせされていないと判明した場合、医療デバイス1は、位置合わせされ直さなければならない場合がある。このため、アダプタ・ピース22は、マンドレル23を、及びマンドレル23と一緒にアダプタ・ピース22を近位方向Pに引っ張ることによって、送達カテーテル20の中に再び後退させることができ、その結果、医療デバイス1が再びエンド・キャップ200と係合することができるようになる。次いで、医療デバイス1は、別のロケーションに位置合わせすることができ、テストは、医療デバイス1が適正に位置合わせされていること及び機能することが確認されるまで繰り返すことができる。
【0056】
医療デバイス1が、適正に埋め込まれ組織Mにおいて固定されて、正しく機能すると判明した後、医療デバイス1は、係留部材21から解放されることになる。このため、マンドレル23を遠位方向Dに押し込むことによって、アダプタ・ピース22は、
図3に示されるように、送達カテーテル20の内部ルーメン201の完全に外に移動させられる。アダプタ・ピース22の第2の位置では、アダプタ・ピース22の近位端面221に近接するポジティブロッキング部材213は、もはやロックされず、その結果、ポジティブロッキング部材213は、アダプタ・ピース22から解放され、係留部材21によって形成されたループは開放される。ストッパ40は、マンドレル23の遠位押圧により、ポジティブロッキング部材213が不用意に再度送達カテーテルに押し込まれないことを保証する。
【0057】
次いで、係留部材21の解放、したがって、医療デバイス1の解放は、例えば、係留部材21をその近位方向Pに引っ張ることによって行われ、ポジティブロッキング部材213は、接続部材13の開口130を通してスライドする。ポジティブロッキング部材213が、アダプタ・ピース22から解放されると、係留部材21、及び、第2の端部212のポジティブロッキング部材213は、それぞれ、開口130を通して引っ張られる。
【0058】
接続部材13の代替的な形状及び寸法は、異なるように成形されたポジティブロッキング部材213とのアセンブリにおいて使用され得る。しかしながら、接続部材の形状とは無関係の、丸い、及び/若しくは、湾曲輪郭、又は、少なくともエッジのない輪郭の使用が、ポジティブロッキング部材213がアダプタ・ピース22から解放され、医療デバイス1の接続部材13の開口130を通して引っ張られたとき、ポジティブロッキング部材213が確実に引っ掛からないようにする助けとなる。
【0059】
図5Aから7Eを参照すると、送達システム2の内部で使用することができるアダプタ・ピースの3つの例示的な実施例が示されており、
図5Aから5Cに示されるアダプタ・ピース22は、これ以降、第1のアダプタ・ピース22と称され、
図6Aから6Cに示されるアダプタ・ピース32は、これ以降、第2のアダプタ・ピース32と称され、
図7A及び7Eに示されるアダプタ・ピース42は、これ以降、第3のアダプタ・ピース42と称される。
【0060】
すべての3つのアダプタ・ピース22、32、42は、側面220、320、420、すなわち外周方向の表面と、アダプタ・ピース22、32、42が第1の位置にある際にポジティブロッキング部材212と隣接して使用される近位端面221、321、421と、遠位端面222、322、422と、係留部材21及びマンドレル23を受け入れ固定するための貫通穴223、323、423とを備える。さらに、
図5Aから7Eのすべてのアダプタ・ピース22、32、42は、面取りされたエッジ224、324、424を有する。さらに各アダプタ・ピース22、32、42は、(中心にある)長手方向軸Lと、それぞれの側面220、320、420と長手方向軸Lとの間の距離である半径距離D1とを有する。したがって、アダプタ・ピース22、32、42の設計に応じて、距離D1は、アダプタ・ピース32、42の外周方向に対してばらつきがあり得る。3つのアダプタ・ピース22、32、42のそれぞれは、それぞれの長手方向軸Lに対して、回転対称である。さらに、3つのアダプタ・ピース22、32、42のそれぞれの貫通穴223、323、423は、長手方向軸Lに沿って延び、それによって、係留部材21及びマンドレル23と、それぞれの貫通穴223、323、423の内部におけるそれぞれのアダプタ・ピース22、32、42との接続が中心にある接続をもたらし、それによって、それぞれのアダプタ・ピース22、32、42の傾きが防止される。
【0061】
図5Aから5Cに示される第1のアダプタ・ピース22は円筒形状を有し、第1のアダプタ・ピース22がその第1の位置にあるとき、係留部材21の第2の端部212は、円筒の側方シェル表面220に沿って延びている。第1のアダプタ・ピース22が、送達カテーテル20の内部ルーメン201の内部に受け入れられた後、内部ルーメン201の内面と、第1のアダプタ・ピース22の側面220とは、1つの接触面を形成する。第1のアダプタ・ピース22の距離D1は、円筒の半径によって形成され、第1のアダプタ・ピース22の外周方向に対してばらつかない。第1のアダプタ・ピース22の円筒形態は、アダプタ・ピースの費用効果の高い製造を、例えば、旋削によってもたらす。さらに、組立ては非常に単純であり、それによって、非常に費用効果が高くなる。何故なら、係留部材21の第2の端部212が、側面220の外周の任意の位置に配置されてもよいからである。さらに、アダプタ・ピース22の近位端面221は、実質的に平坦であり、長手方向軸Lに対して直角に延びている。
【0062】
図6Aから6Cは、6つの(スター)先端(
図6Bにおいて断面で見た場合)又はリブ(3次元的に見た場合)325と、2つの連続したリブ325の中間の湾曲ノッチ326とを有する回転対称のスター形状設計を含む第2のアダプタ・ピース32を示している。したがって、スター形状(その断面で)を有する第2のアダプタ・ピース32は、その外周方向に沿ってさまざまな距離D1を有する。第2のアダプタ・ピース32が、その第1の位置にあるとき、すなわち、送達カテーテル20の内部ルーメン201の内側に受け入れられるとき、長手方向に延びるリブ325のみが、内部ルーメン201の内面に接触して6本の接触線を形成し、それによって、より大きい第1のアダプタ・ピース22の接触面と比較して、追従性を増大させる。さらに、長手方向Lに平行に延びる湾曲ノッチ326は、
図6Cに示されるように、係留部材21の第2の端部212を案内するために使用される。アダプタ・ピース32の近位端面321はわずかに湾曲している。これは、このアダプタ・ピース32がその第2の位置に到達したとき、ポジティブロッキング部材213が第2のアダプタ・ピース32からより容易に滑り落ちるのに助けとなる。ポジティブロッキング部材213の寸法は、アダプタ・ピース22、32が、送達カテーテル20に対して、
図5C及び
図6Cに示される第1の位置にある間に、遠位方向Dにおいて、送達カテーテル20の内部ルーメン201の内面と、アダプタ・ピース22、32の側面220、320との中間を、アダプタ・ピース22、32を通過させることができないように、選択される。
【0063】
次に
図7Aから7Eへの参照を行うと、アダプタ・ピース42の第3の実施例が示されている。第3のアダプタ・ピース42は、第3のアダプタ・ピース42の遠位端に位置する概略円筒管状セクション427と、5つの長手方向延伸リブ425(すなわち、送達カテーテル20の内部ルーメン201の表面との5つのあり得る接触線)を含む第3のアダプタ・ピース42の近位端に位置するスター形状近位セクション428(その断面に関して)とを備える。
図7A、D及びEから導くことができるように、管状セクション427の外径(例えば、0.2mmと0.4mmとの間)は、第3のアダプタ・ピース42の半径距離D1よりも小さく、半径距離D1は0.5mmと0.8mmとの間で変動させることができる。管状セクション427の長さは、1.5mmと1.7mmの中間とすることができる。第3のアダプタ・ピース42の近位セクション428の形状及び使用法は、第2のアダプタ・ピースの形状及び使用法と同様である。
【0064】
3つのアダプタ・ピース22、32、42のそれぞれの全長は、例えば、3mmと3.4mmとの間とすることができる。
【0065】
第3のアダプタ・ピース42はさらに貫通穴423を有し、貫通穴423は、近位セクション228におけるより、管状セクション427に沿った方がより小さい直径を有し、それにより、中間に垂直延伸当接面429が形成される(
図7B、7D及び7E参照)。当接面429は、溶接前の送達システムを製造中、マンドレル23が滑って入り込むことを制限するために使用される。マンドレル23は、貫通穴423の内部で溶接又は接着によって、アダプタ・ピース42に固定される。
【0066】
係留部材21のアダプタ・ピース42への取り付けのため、係留部材21の第1の端部211は、アダプタ・ピース42の管状セクション427で、貫通穴423の内部に受け入れられる。次いで、管状セクション427は、係留部材21の第1の端部211と第3のアダプタ・ピース42との間の恒久的な接続を形成するようにかしめられる。
【0067】
送達システム2の要素のために使用される材料は、例えば、ステンレス鋼、PEEK、セラミックである。
【0068】
したがって、本発明において開示された送達システムは、特にアダプタ・ピースの改善された構築を通じて、製造をより費用効果を高くさせるのみならず、医療デバイスの埋め込み中の取り扱いを容易にする。
【符号の説明】
【0069】
1 医療デバイス(リードレス・ペースメーカー)
10 ハウジング
11 電極
12 アンカー部材
13 接続部材
130 開口
2 送達システム
20 送達カテーテル
200 エンド・キャップ
201 内部ルーメン
21 係留部材
211 第1の端部
212 第2の端部
213 ポジティブロッキング部材
22、32、42 アダプタ・ピース
220、320、420 側面
221、321、421 近位端面
222、322、422 遠位端面
223、323、423 貫通穴
224、324、424 面取りエッジ
325、425 リブ
326、426 湾曲ノッチ
427 管状セクション
428 近位セクション
429 当接面
23 マンドレル
230 遠位端
D 遠位方向
L 長手方向軸
LA 左心房
LV 左心室
M 組織(心筋)
P 近位方向
RA 右心房
RV 右心室
【0070】
説明された実例及び実施例の多くの修正及び変形が、上記の教示に鑑みて実現可能であることが、当業者には明らかであろう。開示された実例及び実施例は、例示のみの目的で提示されている。他の代替の実施例は、本明細書において開示された特徴のうちのいくつか又はすべてを含むことができる。したがって、本発明の真の範囲内に入り得るすべてのそのような修正及び代替の実施例をカバーすることが意図される。
【国際調査報告】