(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】インテリジェント・アドバンスド・エンジン制動システム
(51)【国際特許分類】
F02D 29/02 20060101AFI20240910BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240910BHJP
B60T 8/1761 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
F02D29/02 341
G08G1/00 J
B60T8/1761
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506624
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 CN2022107373
(87)【国際公開番号】W WO2023016230
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】ドイル、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ダングラー、ジョン アール
(72)【発明者】
【氏名】ベルゲ、レイン エー
(72)【発明者】
【氏名】ビョルガード、ジェイソン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター、マシュー エー
(72)【発明者】
【氏名】ショネック、カイル
(72)【発明者】
【氏名】リアン、トーマス ダブリュー
【テーマコード(参考)】
3D246
3G093
5H181
【Fターム(参考)】
3D246DA01
3D246EA03
3D246GB01
3D246GB19
3D246GC14
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3D246LA02Z
3G093AA01
3G093BA07
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3G093EB04
3G093FB02
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181EE12
5H181FF05
5H181LL09
(57)【要約】
車両を減速させるためのシステムおよび方法。車両周囲の道路状況が監視され、それらの道路状況が危険であるか否かが判断される。エンジン制御ユニットは危険な道路状況を通知され、危険な道路状況に応答してエンジン制御ユニットの動作を変更する。車両の操作者が車両を減速させたいときには、車両を減速させる意図を示す指示が受信される。受信後、真空を印加してエンジンのマニホールドの真空を増加させることにより、エンジン制御ユニットの変更された動作に基づいて車両が減速させられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のためのエンジン制動システムであって、
エンジンと、
前記エンジンの動作を制御するように構成されたエンジン制御ユニットと、
前記エンジンから前記車両の複数の車輪に回転エネルギーを伝達するように構成されたトランスミッションと、
少なくとも1つの機械的手段によって前記複数の車輪の回転を抑制するように構成された制動システムと、
前記車両の中および周囲の道路状況を検出するように構成された外部道路状況検出器と、
前記エンジンの動作中に前記エンジンに関連するマニホールドの真空を増加させるように構成された、前記エンジンに接続された真空システムと
を含む、エンジン制動システム。
【請求項2】
前記真空システムは、前記エンジンが前記エンジンのアイドリング速度を上回る速度で動作しているときに前記マニホールドの真空を増加させる、請求項1に記載のエンジン制動システム。
【請求項3】
前記真空システムは、前記外部道路状況検出器が危険な道路状況を検出したことに応答して運用される、請求項1に記載のエンジン制動システム。
【請求項4】
前記真空システムは、前記エンジン制御ユニットによって運用される、請求項3に記載のエンジン制動システム。
【請求項5】
前記エンジン制御ユニットは、前記車両のアクセルの解放に応答して前記真空システムを運用する、請求項4に記載のエンジン制動システム。
【請求項6】
前記制動システムは、アンチロック制動システムをさらに含む、請求項1に記載のエンジン制動システム。
【請求項7】
前記アンチロック制動システムは、前記真空システムの運用に応答して前記少なくとも1つの機械的手段の適用を遅らせるように構成される、請求項6に記載のエンジン制動システム。
【請求項8】
前記エンジン制御ユニットは、前記真空システムが運用されるときに前記エンジンに追加の燃料が提供されるのを防ぐように構成される、請求項1に記載のエンジン制動システム。
【請求項9】
前記外部道路状況検出器は、ネットワーク接続を介して道路状況情報を受信するように構成される、請求項1に記載のエンジン制動システム。
【請求項10】
前記外部道路状況検出器は、前記車両上に配置されたセンサから道路状況情報を受信するように構成される、請求項1に記載のエンジン制動システム。
【請求項11】
車両を減速させる方法であって、
前記車両により道路状況を監視することと、
前記道路状況が危険であるか否かを判断することと、
エンジン制御ユニットに前記危険な道路状況を通知することと、
前記危険な道路状況に応答して前記エンジン制御ユニットの動作を変更することと、
前記車両を減速させる意図を示す前記車両の操作者からの指示を受信することと、
前記エンジン制御ユニットの前記変更された動作に基づいて前記車両を減速させることと
を含む方法。
【請求項12】
前記車両を減速させることは、
前記エンジン制御ユニットによって制御されるエンジンのマニホールドの真空を増加させるために真空を印加すること
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
機械的制動システムの適用を遅らせること
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記遅らせることは、アンチロック制動システムによって行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記車両を減速させることは、前記真空が印加されるときに前記エンジンに追加の燃料が提供されるのを防ぐ、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記真空は、前記エンジンが前記エンジンのアイドリング速度を上回る速度で動作しているときに印加される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
監視することは、前記車両に搭載されたセンサから情報を受信することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
監視することは、前記車両の外部のソースから情報を受信することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記指示は、前記車両内のアクセル・ペダルの引き上げである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
車両上の少なくとも1つのプロセッサ上で実行されると前記少なくとも1つのプロセッサに
前記車両により道路状況を監視させ、
前記道路状況が危険であるか否かを判断させ、
エンジン制御ユニットに前記危険な道路状況を通知させ、
前記危険な道路状況に応答して前記エンジン制御ユニットの動作を変更させ、
前記車両を減速させる意図を示す前記車両の操作者からの指示を受信させ、
前記エンジン制御ユニットによって制御されるエンジンのマニホールドの真空を増加させるために真空を印加することにより、前記エンジン制御ユニットの前記変更された動作に基づいて前記車両を減速させる
コンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制動中の車両の制御に関し、特に、危険な道路状況が存在するときの制動中の車両の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
車両は世界中の道路を走行する。天候および道路状況は絶えず変化する。これらの道路状況の一部は、運転者が車両の制御を維持できるように車両を減速させることを困難にしうる。アンチロック制動システムの開発は、車両の制御を維持し、自動車の安全性を改善できることに役立っている。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態は、車両のエンジン制動システムを対象とする。このシステムは、内燃エンジンと、エンジンを制御するエンジン制御ユニットとを含む。トランスミッションがエンジンに接続されて、エンジンの回転エネルギーを車両の車輪に伝達する。機械的アプローチを用いて車輪の回転を抑制するために、制動システムが存在する。道路状況を検出し、それらの状況が危険であるか否かを判断するために、外部道路状況検出器が存在する。車両は、検出された危険な道路状況に応答してエンジンの動作中にエンジン・マニホールドの真空を増加させる、エンジンに接続された真空システムにより補強される。
【0004】
本開示の実施形態は、車両を減速させるためのコンピュータ実施プロセスを対象とする。本プロセスは、車両周囲の道路状況を監視し、それらの道路状況が危険であるか否かを判断する。本プロセスが、道路状況が危険であると判断した場合には、エンジン制御ユニットに危険な道路状況を通知する。本プロセスはさらに、危険な道路状況に応答してエンジン制御ユニットの動作を変更する。車両の操作者が車両を減速させたいときには、車両を減速させる意図を示す指示が受信される。次いで本プロセスは、真空を印加してエンジンのマニホールドの真空を増加させることにより、エンジン制御ユニットの変更された動作に基づいて車両を減速させる。
【0005】
本開示に含まれる図面は、本明細書に組み込まれその一部を形成する。これらの図面は、本開示の実施形態を例示し、記述とともに本開示の原則を説明するのに役立つ。図面は、ある実施形態の例示に過ぎず、本開示を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態によるコンテンツ配信システムのブロック図である。
【
図2】実施形態によるマルチ・ユーザ・コンテンツ配信システムにおけるユーザへのコンテンツの提供を最適化するためのプロセスを示した流れ図である。
【
図3】一実施形態によるコンピューティング・システムを示したブロック図である。
【
図4】例示的なクラウド・コンピューティング環境の図表示である。
【
図5】1つの例示的実施形態によるクラウド・コンピューティング環境によって提供される機能抽象化層のセットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、様々な改変および代替形態の余地があるが、その詳細が図面に例として示されており、詳細に説明される。しかし、その意図は本発明を記載された特定の実施形態に限定することではない。反対に、その意図は、本発明の範囲内に入る全ての改変物、等価物、および代替例を網羅することである。
【0008】
本開示の態様は、制動中の車両の制御に関し、特に、危険な道路状況が存在するときの制動中の車両の制御に関する。本開示は必ずしもそのような用途に限定されないが、この文脈を用いた様々な例の議論を通じて本開示の様々な態様が認められうる。
【0009】
車両は乗客および貨物を乗せて世界中の道路を走行する。天候および道路状況は絶えず変化する。雪、氷、および雨など、これらの道路状況の一部は、運転者が車両の制御を維持できるように車両を減速させることを困難にしうる。アンチロック制動システムは、車両の制御を維持できることに役立っているが、常に最も有効であるわけではない。アンチロック制動システムは、ある道路状況でしばしば停止距離の増加をもたらす。これは、車両におけるブレーキの適用のオン/オフの性質によるものである。この停止距離の増加は、雪または氷に覆われた路面で最もよく観察される。停止距離の増加により、さらなる回避可能な衝突がもたらされうる。これらの衝突は、衝突の結果として損傷される車両および貨物の両方に対する毎年数百万ドルの損害の原因となる。したがって、車両の制御の維持および停止距離の短縮の両方を支援するためにアンチロック制動システムを補強するシステムにより、人および貨物の両方のより安全な輸送がもたらされうる。
【0010】
図1は、本開示の様々な実施形態によるインテリジェント・エンジン制動システム100のコンポーネントを示したブロック図である。車両に設置されるシステム100は、エンジン110、エンジン制御ユニット120、トランスミッション130、制動システム140、および外部道路状況検出器150を含む。
【0011】
エンジン110は、車両に推進動力を提供するシステム100のコンポーネントである。エンジン110は、ガソリン、ディーゼル、または天然ガスを燃料として用いてエンジン110内の燃焼を提供する内燃エンジン110である。エンジン110は、火花の印加または燃料の圧縮による燃料の点火前に燃料を圧縮する1つまたは複数のシリンダを有する。存在する各シリンダに関連する1つまたは複数の燃料噴射器を用いて、エンジン110内に燃料が噴射される。燃料噴射器によりエンジン110に燃料が提供される速度により、シリンダがそれらの段階を循環する速度が決まる。一実施形態では、エンジン110は4ストローク・エンジン110である。4ストローク・エンジン110では、シリンダの燃焼プロセスの完全なサイクルが、燃料および空気が混合される吸気段階、燃料空気混合物がピストンによって圧縮される圧縮段階、燃料空気混合物が燃焼し、ピストンを押し下げるパワー段階、そして燃焼からのガスがシリンダから押し出される排気段階の4段階で生じる。ピストンは各段階を通って動く際にコンロッドを通じてクランクシャフトと相互作用して、回転動力を生成する。
【0012】
エンジン制御ユニット120は、エンジン110およびエンジン110に関連するコンポーネントの機能を制御するシステム100のコンポーネントである。エンジン制御ユニット120は、アクセル・ペダルの作動に応答して、エンジン110に提供される燃料の量を制御する。エンジン制御ユニット120は、バルブタイミング、または燃料節約のためのエンジン110の様々なシリンダのオフ切り替えなど、エンジン110の他の機能および特徴も制御する。エンジン制御ユニット120は、本開示の真空システム145も制御しうる。
【0013】
トランスミッション130は、エンジン110から車両の車輪およびタイヤ135に回転動力を伝達し、それにより車両が動くことを可能にする、システム100のコンポーネントである。トランスミッション130は、エンジン110の出力を駆動輪に適合させる。低速で駆動輪の回転速度と比較してエンジン110が相対的に高い回転速度で動作する際には(例えばエンジンは700RPMであるのに対して車輪は10RPM未満)、トランスミッション130は、より高いエンジン速度をより低速の車輪速度に減少させ、その過程で1つまたは複数のギアを用いてトルクを増加させる。同様に、高速では逆のことが当てはまりうる。すなわち、車輪速度がエンジン速度よりも相対的に高いということである。この場合には、トランスミッション130は、より低いエンジン速度をより高い車輪速度にマッチするように上昇させる。トランスミッション130は、車両の速度が変化する際にギア間またはギア比を切り替えうる。ギアにより、トランスミッション130がエンジン速度を車輪速度にマッチさせることができる。さらに、一部のギアは車輪の回転方向を変えることができ、そのため前進および後退運動を可能にする。
【0014】
トランスミッション130は一般に、例えばフライホイール、クラッチ、または流体継手を介してエンジン110のクランクシャフトに接続される。トランスミッション130の出力は、ドライブシャフトを介して車輪を駆動する1つまたは複数のデファレンシャルに伝達される。
【0015】
制動システム140は、車輪からエネルギーを吸収することによって車輪の回転を抑制して車両を減速または停止させるシステム100のコンポーネントである。制動システム140は、車輪の一部に摩擦を加えて、回転エネルギーを別の形態のエネルギーに変換する。通常、ブレーキ・パッドをロータに当てることにより、摩擦の結果として熱が生成される。しかし、いくつかのアプローチでは、回生制動システム140などによる追加の抵抗を用いて制動アクションが提供されうる。制動システム140は、アンチロック制動システム143によって補強されうる。
【0016】
アンチロック制動システム143は、スレショルド制動およびポンピング制動の原理を適用して、車輪のロックを引き起こさずに運転者が車両の制御を維持することを可能にしながら車両の減速を助ける自動システムである。アンチロック制動(ABS:Anti‐lock braking)システムは、車両制御の改善、および乾いた路面および一部の滑りやすい路面での停止距離の減少を可能にする。しかし、緩い砂利または雪に覆われた路面では、アンチロック制動システムにより制動距離が大幅に増加する。この停止距離の増加により、運転者はステアリングを制御することがなお可能でありながら、車両の物体(例えば別の車両または人)への衝突が引き起こされうる。しかし、氷などの一部の路面では、アンチロック制動システム143の働く全ての車輪が回転を止めると、アンチロック制動システム143が無効になりうる。この回転の休止により、アンチロック制動システム143は、車両がまだ摺動しているにもかかわらず、車両の動きが停止していると認識する。
【0017】
これらおよび他の状況においてアンチロック制動システム143を補強するために、制動システム140はエンジン制動システムをさらに含む。エンジン制動システムは、エンジン110の抵抗を用いて車両の減速を助けるとともに、ブレーキ・パッドもしくはドラムおよびロータまたはこれらの組み合わせの摩耗を軽減する。エンジン制動システムは、特定の道路状況が検出されるとき、またはある制動アクションが検出されるときに、アンチロック制動システム143と併せて追加のブレーキとして車両によって利用される。一般的なエンジン制動システムとは異なり、エンジン制動システムは、このシステムが乗用車または軽/中型トラックおよびバンなどのより幅広い種類の車両で利用されることを可能にする真空補強を含む。
【0018】
真空システム145は、アイドリング速度を上回るエンジン速度でエンジン110のマニホールドの真空の増加を可能にする制動システム140のコンポーネントである。内燃エンジン110においては、マニホールドの真空は、エンジン110がアイドリング状態であるときに最も高く、エンジン速度がより高いRPMに上昇するにしたがい徐々に減少する。マニホールドの真空を増加させることによって、システムは、エンジン110がアイドリング状態であるときに存在する内部状態を再現することができる。マニホールドの真空を増加させるために、真空ポンプがエンジン110の吸気口に接続される。真空ポンプが作動させられると、マニホールドの真空が増加し、これによりエンジン110が同じエンジン出力および回転速度を維持するためにより激しく働く。しかし、エンジンに追加の燃料が供給されないため、真空圧の増加の影響に対抗するために利用できる追加の力はない。この作業負荷要求の増加により、エンジン110が減速し、これによりさらに、車両に機械的ブレーキを一切かけずに、車両も減速する。
【0019】
外部道路状況検出器150は、車両の中および周囲の道路状況を検出するシステムのコンポーネントである。検出器150は、車両に取り付けられた様々なセンサを用いて道路の状況を判断することができる。例えば、検出器150は、バックアップ・カメラまたはミラー内カメラなど、車両周囲に装着されたカメラを用いて、道路の状況を特定することができる。例えば、画像で路面が白く見えた場合には、検出部150は、道路が雪に覆われていると判断することができる。温度センサおよび車両安定性制御センサなどの他のセンサを用いて、外の環境および車両の反応を判断することができる。検出器150によって、道路状況についての追加の情報が取得されうる。例えば、道路状況の判断を支援するために、地方自治体の交通監視システムからの情報が検出器150によって取得され、用いられうる。交通カメラ、ウェブ・カメラ、除雪車カメラ、GPS、他の車両などからのその他の情報が、安全かつ安定した運転を維持する上で問題となりうる道路状況があるエリアを特定するために用いられうる。この情報は、セルラ・ネットワーク、Wi‐Fiネットワーク、携帯電話などのネットワークまたはその他の接続を介して受信されうる。
【0020】
検出器150が雪または氷などの危険な道路状況が存在すると判断すると、検出器150はこの情報をエンジン制御ユニット120に伝え、その結果、真空システム145が必要に応じて車両の減速を支援するように制御されうる。例えば、車両の運転者がアクセル・ペダルを放す際に、エンジン制御ユニット120はマニホールドの真空を増加させて、アクセル・ペダルを放すことによる効果をさらに高めうる。これにより、エンジン110への燃料を調整することによって可能となるよりも劇的に車両が減速する。ブレーキを用いずに車両を減速することにより、運転者は、ブレーキをかけることにより減速する場合よりも大きな車両の制御を維持し、危険な状況で必要な停止距離をかなり短縮しうる。いくつかの実施形態では、検出器150は、アンチロック制動システム143にも危険な道路状況を通知しうる。ABSシステムは、ブレーキの適用を遅らせること、またはABSシステムの車両への適用のされ方を変更することによって反応して、車両の制御の維持および停止距離の短縮をさらに支援することができる。
【0021】
図2は、実施形態によるインテリジェント制動システム140を用いるプロセス200を示した流れ図である。このプロセスは、運転者が車両を始動させ、道路またはハイウェイを運転し始めることから始まる。これがステップ210で示される。
【0022】
車両が道路を走行する際、外部道路状況検出器150は道路状況を監視する。これはステップ220に示される。検出器150は、車両に搭載されたセンサを用いて道路の状況を判断しうる。例えば、車両上のカメラを用いて、道路が雪に覆われている、または濡れていることが判断されうる。いくつかの実施形態では、車上の他のセンサまたはシステムを用いて道路状況が監視されうる。例えば、ABSシステムは、ABSシステムが幾度か運用されているとの情報を検出器150に提供することができ、または、安定性制御システムは、車両の安定性を維持するために安定性制御システムが使用されているとの情報を提供することができる。検出器150は、交通カメラ、除雪車カメラ、他の車両、GPS、インターネット・ソース(例えばニュース、天候、交通ウェブサイト)などの他の外部ソースから道路状況に関係する情報を受信することもできる。しかし、任意の情報ソースを用いて、検出器150に情報を提供することができる。
【0023】
検出器150は、道路の状況についての受信された情報を用いて、危険な道路状況が存在するか否かを判断する。これはステップ230に示される。検出器150は、様々なセンサ、システム、およびソースから受信された情報/データと、危険な道路状況を引き起こす既知の状況からのデータとの比較に基づいて、危険な道路状況が存在すると判断しうる。例えば、道路上の雪に関連するデータは、危険な道路状況と相関付けられうる。これは、例えば路面が白いことを示す車両上のカメラを用いて特定されうる。例えば現在雪が降っていることを示す除雪車のカメラから受信されるデータ(このデータは雪が降っている場合以外は通常利用できないため)、またはエリアの天気予報を提供する天候アプリから受信されるデータなど、他のデータが比較されうる。このデータを、危険な天候状況を示す記憶されたデータと比較して、危険な道路状況が存在するか否かが判断されうる。
【0024】
危険な道路状況が存在しないと判断される場合には、検出器150はステップ220に戻り、道路状況の監視を続ける。しかし、危険な道路状況が存在すると判断される場合には、検出器150はエンジン制御ユニット120にその状況を通知する。これがステップ240に示される。
【0025】
エンジン制御ユニット120は、検出された状況を考慮してその動作を変更することによってこの指示に応答する。これはステップ250に示される。エンジン制御ユニット120は、減速したいという指示に応答して車両のアクセルもしくはブレーキ・ペダルまたはその両方の動きにユニットが応答する仕方を修正しうる。この指示はステップ255に示される。例えば、エンジン制御ユニット120は、エンジン110への燃料流量を減少させることによって、速度を落としたいことを指示するアクセル・ペダルの引き上げに応答しうる。
【0026】
さらに、エンジン制御ユニット120は、真空ポンプを運用して、エンジン110のマニホールドの真空を増加させることができる。このマニホールドの真空の増加により、エンジン110が同じRPMを維持するためにより激しく働く。真空を上回る力を提供する追加の燃料がないため、エンジン110は、燃料流量を減少させただけの場合よりも速い速度で減速し始める。このエンジン110の減速により、追加の制動アクションを適用することを必要とせずに、車両自体が減速する。エンジン制御ユニット120を用いた車両の減速がステップ260に示される。
【0027】
いくつかの実施形態では、エンジン制御ユニット120は、危険な道路状況が存在することを指示するためにABSシステムと通信する。この指示により、ABSシステムがどのように動作するかが修正されうる。これはステップ270に示される。ABSシステムは、エンジン制御ユニット120が危険な状況を検出しているときにブレーキの使用を最小化するようにその動作を変えることができる。ABSシステムは、ブレーキ・ペダルに軽いブレーキ圧がかけられたときにブレーキの適用を遅らせて、エンジン110の減速によって速度の低下が起こることを可能にしうる。あるいは、ABSシステムは、ブレーキの適用を可能にするが、車輪が実際にロックする前にアンチロッキング・プロセスを実施することができる。
【0028】
ここで
図3を参照すると、上記の図で論じられる本開示の実施形態により本明細書に記載される方法、ツール、およびモジュールのうちの1つまたは複数、ならびに任意の関連機能を(例えばコンピュータの1つまたは複数のプロセッサ回路またはコンピュータ・プロセッサを使用して)実施する際に使用されうる例示的なコンピュータ・システム301の高レベル・ブロック図が示される。いくつかの実施形態では、コンピュータ・システム301の主要コンポーネントには、1つまたは複数のCPU302、メモリ・サブシステム304、端末インタフェース312、ストレージ・インタフェース316、I/O(入力/出力)デバイス・インタフェース314、およびネットワーク・インタフェース318が含まれ得、これらは全てコンポーネント間通信のためにメモリ・バス303、I/Oバス308、およびI/Oバス・インタフェース・ユニット310を介して直接的または間接的に通信可能に連結されうる。
【0029】
コンピュータ・システム301は、本明細書ではCPU302と総称される1つまたは複数の汎用プログラム可能中央処理ユニット(CPU)302A、302B、302C、および302Dを含みうる。いくつかの実施形態では、コンピュータ・システム301は、比較的大規模なシステムに典型的な複数のプロセッサを含みうるが、他の実施形態では、コンピュータ・システム301は代わりにシングルCPUシステムであってもよい。各CPU302は、メモリ・サブシステム304に記憶された命令を実行することができ、1つまたは複数のレベルのオンボード・キャッシュを含みうる。
【0030】
システム・メモリ304は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)322またはキャッシュ・メモリ324などの揮発性メモリの形態のコンピュータ・システム可読媒体を含みうる。コンピュータ・システム301は、他の取り外し可能/取り外し不能、揮発性/不揮発性コンピュータ・システム記憶媒体をさらに含みうる。単なる例として、「ハード・ドライブ」などの取り外し不能不揮発性磁気媒体の読み取りおよび書き込みのためのストレージ・システム326が提供されうる。図示はされないが、取り外し可能不揮発性磁気ディスク(例えば「フレキシブル・ディスク」)の読み取りおよび書き込みのための磁気ディスク・ドライブ、またはCD‐ROM、DVD‐ROMもしくは他の光媒体などの取り外し可能不揮発性光ディスクの読み取りおよび書き込みのための光ディスク・ドライブが提供されうる。加えて、メモリ304は、フラッシュ・メモリ、例えば、フラッシュ・メモリ・スティック・ドライブまたはフラッシュ・ドライブを含みうる。メモリ・デバイスは、1つまたは複数のデータ媒体インタフェースによってメモリ・バス303に接続されうる。メモリ304は、様々な実施形態の機能を遂行するように構成されたプログラム・モジュールのセット(例えば少なくとも1つ)を有する少なくとも1つのプログラム製品を含みうる。
【0031】
図3では、メモリ・バス303は、CPU302、メモリ・サブシステム304、およびI/Oバス・インタフェース310の間の直接通信経路を提供するシングルバス構造として示されるが、いくつかの実施形態では、メモリ・バス303は、階層型、星型またはウェブ型構成のポイント・ツー・ポイント・リンク、複数の階層型バス、パラレルおよび冗長経路、または任意の他の適切なタイプの構成など様々な形態のいずれかで設けられうる複数の異なるバスまたは通信経路を含みうる。さらに、I/Oバス・インタフェース310およびI/Oバス308は単一のそれぞれのユニットとして示されるが、コンピュータ・システム301は、いくつかの実施形態では、複数のI/Oバス・インタフェース・ユニット310、複数のI/Oバス308、または両方を含みうる。さらに、I/Oバス308を様々なI/Oデバイスにつながる様々な通信経路から分離する複数のI/Oインタフェース・ユニットが示されるが、他の実施形態では、I/Oデバイスの一部または全部が、1つまたは複数のシステムI/Oバスに直接接続されうる。
【0032】
いくつかの実施形態では、コンピュータ・システム301は、マルチユーザ・メインフレーム・コンピュータ・システム、シングルユーザ・システム、または、直接のユーザ・インタフェースをほとんどまたは全く有しないが他のコンピュータ・システム(クライアント)からの要求を受信するサーバ・コンピュータもしくは類似のデバイスでありうる。さらに、いくつかの実施形態では、コンピュータ・システム301は、デスクトップ・コンピュータ、ポータブル・コンピュータ、ラップトップもしくはノートブック・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、ポケット・コンピュータ、電話、スマート・フォン、ネットワーク・スイッチもしくはルータ、または任意の他の適切なタイプの電子デバイスとして実施されうる。
【0033】
なお、
図3は、例示的なコンピュータ・システム301の代表的な主要コンポーネントを示すことを意図する。しかし、いくつかの実施形態では、個々のコンポーネントは、
図3に示されるよりも複雑度が高くてもまたは低くてもよく、
図3に示されるもの以外にまたはそれらに加えてコンポーネントが存在してもよく、そのようなコンポーネントの数、種類、および構成は変動しうる。
【0034】
それぞれ少なくとも1セットのプログラム・モジュール330を有する1つまたは複数のプログラム/ユーティリティ328がメモリ304に記憶されうる。プログラム/ユーティリティ328は、ハイパーバイザ(仮想マシン・モニタとも呼ばれる)、1つまたは複数のオペレーティング・システム、1つまたは複数のアプリケーション・プログラム、他のプログラム・モジュール、およびプログラム・データを含みうる。オペレーティング・システム、1つまたは複数のアプリケーション・プログラム、他のプログラム・モジュール、およびプログラム・データのそれぞれまたはそれらのいくつかの組み合わせは、ネットワーキング環境の実施態様を含みうる。プログラム328もしくはプログラム・モジュール330またはその両方は通常、様々な実施形態の機能または方法を行う。
【0035】
本開示はクラウド・コンピューティングについての詳細な説明を含むが、本明細書に記載の教示の実施態様は、クラウド・コンピューティング環境に限定されないことが理解されねばならない。むしろ、本発明の実施形態は、現在知られているかまたは後に開発される任意の他のタイプのコンピューティング環境と連動して実施することが可能である。
【0036】
クラウド・コンピューティングは、最小限の管理労力またはサービスのプロバイダとのインタラクションで迅速にプロビジョニングおよびリリースされうる、構成可能なコンピューティング・リソース(例えばネットワーク、ネットワーク帯域幅、サーバ、処理、メモリ、ストレージ、アプリケーション、仮想機械、およびサービス)の共有プールへの簡便なオンデマンド・ネットワーク・アクセスを可能にするためのサービス配信のモデルである。このクラウド・モデルは、少なくとも5つの特徴、少なくとも三つのサービス・モデル、および少なくとも4つの展開モデルを含みうる。
【0037】
特徴は以下の通りである。
【0038】
オンデマンド・セルフ・サービス:クラウド・コンシューマは、サービスのプロバイダとの人的やり取りを要せずに必要に応じて自動的にサーバの時間およびネットワーク・ストレージなどのコンピューティング能力を一方的に設定しうる。
【0039】
幅広いネットワーク・アクセス:能力はネットワーク上で利用可能であり、異種のシンまたはシック・クライアント・プラットフォーム(例えば携帯電話、ラップトップ、およびPDA)による利用を促進する標準的機構を通じてアクセスされる。
【0040】
リソースのプール:プロバイダのコンピューティング・リソースは、マルチテナント・モデルを使用して複数のコンシューマに提供されるようにプールされ、様々な物理的リソースおよび仮想リソースが需要に応じて動的に割り当ておよび再割り当てされる。コンシューマは通常、提供されたリソースの正確な場所についての制御力または知識を有しないが、より抽象的なレベル(例えば国、州、またはデータセンタ)で場所を特定しうるという点で、場所にとらわれない感覚が存在する。
【0041】
スピーディな拡張性:能力は、スピーディに弾力的に、場合によっては自動的に提供されて即座にスケール・アウトし、スピーディに解放されて即座にスケール・インしうる。コンシューマにとって、提供のために利用可能な能力は多くの場合無限に見え、いつでも任意の量で購入されうる。
【0042】
測定されるサービス:クラウド・システムは、サービスの種類(例えばストレージ、処理、帯域幅、およびアクティブなユーザ・アカウント)に適した何らかの抽象レベルで計測能力を活用することにより、リソースの利用を自動的に制御および最適化する。リソースの利用状況は、監視、制御、および報告されることができ、利用されるサービスのプロバイダおよびコンシューマの両方に透明性を提供する。
【0043】
サービス・モデルは以下の通りである。
【0044】
サービスとしてのソフトウェア(SaaS、Software as a Service):コンシューマに提供される能力は、クラウド・インフラストラクチャ上で実行されるプロバイダのアプリケーションを使用することである。アプリケーションは、ウェブ・ブラウザなどのシン・クライアント・インタフェース(例えばウェブベースの電子メール)を通じて、様々なクライアント・デバイスからアクセス可能である。コンシューマは、限られたユーザ固有のアプリケーション構成設定を場合によっては除いて、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、ストレージまたは個々のアプリケーション能力をも含む基礎的クラウド・インフラストラクチャを管理または制御しない。
【0045】
サービスとしてのプラットフォーム(PaaS、Platform as a Service):コンシューマに提供される能力は、プロバイダによってサポートされるプログラミング言語およびツールを使用して作成されるコンシューマが作成または入手したアプリケーションをクラウド・インフラストラクチャ上に展開することである。コンシューマは、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、またはストレージを含む基礎的クラウド・インフラストラクチャを管理または制御しないが、展開されたアプリケーションおよび場合によってはアプリケーション・ホスティング環境構成を制御できる。
【0046】
サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS、Infrastructure as a Service):コンシューマに提供される能力は、処理、ストレージ、ネットワーク、および他の基本的なコンピューティング・リソースを提供することであり、コンシューマは、オペレーティング・システムおよびアプリケーションを含みうる任意のソフトウェアを展開して実行させることができる。コンシューマは、基礎的クラウド・インフラストラクチャを管理または制御しないが、オペレーティング・システム、ストレージ、展開されたアプリケーションを制御でき、場合によっては選抜されたネットワーキング・コンポーネント(例えばホスト・ファイアウォール)を限定的に制御できる。
【0047】
展開モデルは以下の通りである。
【0048】
プライベート・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、ある組織専用に運用される。クラウド・インフラストラクチャは、その組織または第三者によって管理されることができ、構内または構外に存在することができる。
【0049】
コミュニティ・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、いくつかの組織によって共有され、共有の懸念事項(例えばミッション、セキュリティ要件、ポリシー、およびコンプライアンスの考慮事項)を有する特定のコミュニティをサポートする。クラウド・インフラストラクチャは、これらの組織または第三者によって管理されることができ、構内または構外に存在することができる。
【0050】
パブリック・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、一般大衆または大きな業界グループに利用可能にされ、クラウド・サービスを販売する組織によって所有される。
【0051】
ハイブリッド・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、固有のエンティティであり続けるがデータおよびアプリケーションのポータビリティを可能にする標準化されたまたは専用の技術(例えばクラウド間の負荷平衡のためのクラウド・バースティング)によって一緒に結び付けられた2つ以上のクラウド(プライベート、コミュニティ、またはパブリック)の合成物である。
【0052】
クラウド・コンピューティング環境はサービス指向であり、状態非依存性、低結合度、モジュール性、およびセマンティックな相互運用性に重点を置く。クラウド・コンピューティングの中心には、相互接続されたノードのネットワークを含むインフラストラクチャがある。
【0053】
システム100は、クラウド・コンピューティング環境で利用されうる。
図4は、一実施形態による例示的なクラウド・コンピューティング環境450の図表示である。図示のように、クラウド・コンピューティング環境450は、例えばパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA:personal digital assistant)もしくは携帯電話454A、デスクトップ・コンピュータ454B、ラップトップ・コンピュータ454C、もしくは自動車コンピュータ・システム454Nまたはそれらの組み合わせなどのクラウド・コンシューマにより使用されるローカル・コンピューティング・デバイスが通信しうる1つまたは複数のクラウド・コンピューティング・ノード454を含む。ノード454は、互いに通信しうる。これらは、本明細書に上述したプライベート、コミュニティ、パブリックもしくはハイブリッド・クラウドまたはそれらの組み合わせなど、1つまたは複数のネットワークにおいて物理的または仮想的にグループ化されうる(図示せず)。これにより、クラウド・コンピューティング環境450は、クラウド・コンシューマがローカル・コンピューティング・デバイス上にリソースを維持する必要がないサービスとしてインフラストラクチャ、プラットフォームもしくはソフトウェアまたはそれらの組み合わせを提供することが可能になる。
図4に示されるコンピューティング・デバイスのタイプ454A~Nは、例示を意図したものに過ぎず、コンピューティング・ノード454およびクラウド・コンピューティング環境450は、任意のタイプのネットワークもしくはネットワークアドレス可能な接続またはその両方により(例えばウェブ・ブラウザを使用して)任意のタイプのコンピュータ化デバイスと通信しうるものと理解される。
【0054】
ここで
図5を参照すると、クラウド・コンピューティング環境450(
図4)によって提供される機能抽象化層のセットが示される。
図5に示されるコンポーネント、層、および機能は例示を意図したものに過ぎず、本発明の実施形態はそれらに限定されないことが予め理解されねばならない。図示されるように、以下の層および対応する機能が提供される。
【0055】
ハードウェアおよびソフトウェア層560は、ハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントを含む。ハードウェア・コンポーネントの例は、メイン・フレーム561、RISC(縮小命令セット・コンピュータ)アーキテクチャ・ベース・サーバ562、サーバ563、ブレード・サーバ564、記憶デバイス565、ならびにネットワークおよびネットワーキング・コンポーネント566を含む。いくつかの実施形態では、ソフトウェア・コンポーネントは、ネットワーク・アプリケーション・サーバ・ソフトウェア567およびデータベース・ソフトウェア568を含む。
【0056】
仮想化層570は、仮想サーバ571、仮想ストレージ572、仮想プライベート・ネットワークを含む仮想ネットワーク573、仮想アプリケーションおよびオペレーティング・システム574、ならびに仮想クライアント575という仮想エンティティの例が提供されうる抽象層を提供する。
【0057】
一例では、管理層580は、以下に説明される機能を提供しうる。リソース・プロビジョニング581は、クラウド・コンピューティング環境内でタスクを行うために利用されるコンピューティング・リソースおよび他のリソースの動的調達を提供する。計測および価格設定582は、クラウド・コンピューティング環境内でリソースが利用される際のコスト追跡、およびこれらのリソースの消費についての課金または請求を提供する。一例では、これらのリソースはアプリケーション・ソフトウェア・ライセンスを含みうる。セキュリティは、クラウド・コンシューマおよびタスクの識別検証、ならびにデータおよびその他のリソースの保護を提供する。ユーザ・ポータル583は、コンシューマおよびシステム管理者にクラウド・コンピューティング環境へのアクセスを提供する。サービス水準管理584は、必要なサービス水準に達するようにクラウド・コンピューティング・リソースの割り当ておよび管理を提供する。サービス水準合意(SLA:Service Level Agreement)の計画および履行585は、SLAにしたがって将来の必要が見込まれるクラウド・コンピューティング・リソースの事前手配および調達を提供する。
【0058】
作業負荷層590は、クラウド・コンピューティング環境が利用されうる機能性の例を提供する。この層から提供されうる作業負荷および機能の例には、マッピングおよびナビゲーション591、ソフトウェア開発およびライフサイクル管理592、コンテンツ配信および処理593、データ分析処理594、トランザクション処理595、ならびにデータベース596が含まれる。
【0059】
本発明は、任意の可能な技術的詳細レベルの統合におけるシステム、方法、装置、もしくはコンピュータ・プログラム製品またはそれらの組み合わせでありうる。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実施させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(単数または複数)を含みうる。
【0060】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスにより使用するための命令を保持および記憶しうる有形のデバイスでありうる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または以上の任意の適切な組み合わせでありうるがこれらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リードオンリ・メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能リードオンリ・メモリ(EPROMすなわちフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リードオンリ・メモリ(CD‐ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フレキシブル・ディスク、パンチカードまたは命令が記録された溝内の隆起構造などの機械的にエンコードされたデバイス、および以上の任意の適切な組み合わせを含む。本明細書で使用されるところのコンピュータ可読記憶媒体は、電波もしくは他の自由に伝播する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体を通じて伝播する電磁波(例えば光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、またはワイヤを通じて伝送される電気信号などの一時的信号そのものと解釈されてはならない。
【0061】
本明細書に記載されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読ストレージ媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、または、ネットワーク、例えばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークもしくは無線ネットワークまたはそれらの組み合わせを介して外部コンピュータもしくは外部ストレージ・デバイスにダウンロードされうる。ネットワークは、銅線伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、もしくはエッジ・サーバまたはそれらの組み合わせを含みうる。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インタフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受け取り、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体への記憶のためにコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0062】
本発明の動作を実施するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、または、Smalltalk(登録商標)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語もしくは類似のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソース・コードもしくはオブジェクト・コードでありうる。コンピュータ可読プログラム命令は、全体的にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンド・アロンのソフトウェア・パッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で、および部分的に遠隔コンピュータ上で、または全体的に遠隔コンピュータもしくはサーバ上で、実行しうる。後者のシナリオにおいて、遠隔コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続することができ、または(例えばインターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを通じて)外部コンピュータに接続がなされうる。いくつかの実施形態において、例えばプログラム可能論理回路、フィールド・プログラム可能ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラム可能ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を行うためにコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることによってコンピュータ可読プログラム命令を実行しうる。
【0063】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図もしくはブロック図またはその両方を参照して本明細書に説明される。フローチャート図もしくはブロック図またはその両方の各ブロック、およびフローチャート図もしくはブロック図またはその両方のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装されうることが理解されよう。
【0064】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行する命令がフローチャートもしくはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックに指定された機能/行為を実施するための手段を生み出すように、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供されて機械を生成しうる。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体がフローチャートもしくはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックに指定された機能/行為の態様を実施する命令を含む製造品を含むように、コンピュータ、プログラム可能データ処理装置もしくは他のデバイスまたはそれらの組み合わせに特定の様式で機能するように指示しうるコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0065】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイス上で実行する命令がフローチャートもしくはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックに指定された機能/行為を実施するように、コンピュータ実施プロセスを生成するために、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスにロードされてコンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイス上で一連の動作ステップを行わせることもできる。
【0066】
図面のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能性、および動作を示す。この点に関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能(単数または複数)を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、または命令の部分を表しうる。いくつかの代替的実施態様では、ブロックに記された機能は、図面に記された順序とは異なる順序で生じうる。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、関連する機能性に応じて、実質的に同時に実行されてもよいし、またはブロックは逆の順序で実行されうる場合もある。ブロック図もしくはフローチャート図またはその両方の各ブロック、およびブロック図もしくはフローチャート図またはその両方のブロックの組み合わせは、指定された機能または行為を行うかまたは専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを遂行する専用ハードウェアベースのシステムによって実施されうることにも留意されたい。
【0067】
本開示の様々な実施形態の記載は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることまたは開示された実施形態に限定されることを意図するものではない。多数の修正および変形例が、記載された実施形態の範囲から逸脱することなく、通常の技術の当業者に明らかになるであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際の応用例または市場に見られる技術に対する技術的改善を説明するために、または通常の技術を有する他の当業者が本明細書に開示される実施形態を理解できるようにするために選択された。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のためのエンジン制動システムであって、
エンジンと、
前記エンジンの動作を制御するように構成されたエンジン制御ユニットと、
前記エンジンから前記車両の複数の車輪に回転エネルギーを伝達するように構成されたトランスミッションと、
少なくとも1つの機械的手段によって前記複数の車輪の回転を抑制するように構成された制動システムと、
前記車両の中および周囲の道路状況を検出するように構成された外部道路状況検出器と、
前記エンジンの動作中に前記エンジンに関連するマニホールドの真空を増加させるように構成された、前記エンジンに接続された真空システムと
を含む、エンジン制動システム。
【請求項2】
前記真空システムは、前記エンジンが前記エンジンのアイドリング速度を上回る速度で動作しているときに前記マニホールドの真空を増加させる、請求項1に記載のエンジン制動システム。
【請求項3】
前記真空システムは、前記外部道路状況検出器が危険な道路状況を検出したことに応答して運用される、請求項1に記載のエンジン制動システム。
【請求項4】
前記真空システムは、前記エンジン制御ユニットによって運用される、請求項3に記載のエンジン制動システム。
【請求項5】
前記エンジン制御ユニットは、前記車両のアクセルの解放に応答して前記真空システムを運用する、請求項4に記載のエンジン制動システム。
【請求項6】
前記制動システムは、アンチロック制動システムをさらに含む、請求項1に記載のエンジン制動システム。
【請求項7】
前記アンチロック制動システムは、前記真空システムの運用に応答して前記少なくとも1つの機械的手段の適用を遅らせるように構成される、請求項6に記載のエンジン制動システム。
【請求項8】
前記エンジン制御ユニットは、前記真空システムが運用されるときに前記エンジンに追加の燃料が提供されるのを防ぐように構成される、請求項1に記載のエンジン制動システム。
【請求項9】
前記外部道路状況検出器は、ネットワーク接続を介して道路状況情報を受信するように構成される、請求項1に記載のエンジン制動システム。
【請求項10】
前記外部道路状況検出器は、前記車両上に配置されたセンサから道路状況情報を受信するように構成される、請求項1に記載のエンジン制動システム。
【請求項11】
車両を減速させる方法であって、
前記車両により道路状況を監視することと、
前記道路状況が危険であるか否かを判断することと、
エンジン制御ユニットに前記危険な道路状況を通知することと、
前記危険な道路状況に応答して前記エンジン制御ユニットの動作を変更することと、
前記車両を減速させる意図を示す前記車両の操作者からの指示を受信することと、
前記エンジン制御ユニットの前記変更された動作に基づいて前記車両を減速させることと
を含む方法。
【請求項12】
前記車両を減速させることは、
前記エンジン制御ユニットによって制御されるエンジンのマニホールドの真空を増加させるために真空を印加すること
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
機械的制動システムの適用を遅らせること
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記遅らせることは、アンチロック制動システムによって行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記車両を減速させることは、前記真空が印加されるときに前記エンジンに追加の燃料が提供されるのを防ぐ、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記真空は、前記エンジンが前記エンジンのアイドリング速度を上回る速度で動作しているときに印加される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
監視することは、前記車両に搭載されたセンサ
または前記車両の外部のソースから情報を受信することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記指示は、前記車両内のアクセル・ペダルの引き上げである、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
請求項11~18のいずれか1項に記載された方法を、コンピュータに対して実行させるためのコンピュータ・プログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のコンピュータ・プログラムを記録した、コンピュータ可読な記憶媒体。
【国際調査報告】