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特表2024-533971複合抵抗材料の製造方法およびそれによって得られる抵抗材料
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】複合抵抗材料の製造方法およびそれによって得られる抵抗材料
(51)【国際特許分類】
   F41H 5/04 20060101AFI20240910BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20240910BHJP
   B32B 37/12 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
F41H5/04
B32B5/02 Z
B32B37/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506757
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 IB2022056937
(87)【国際公開番号】W WO2023012603
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】102021000021047
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケブラー
(71)【出願人】
【識別番号】524044533
【氏名又は名称】ビー-マックス エッセ.エッレ.エッレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チオッフィ,コジモ
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AA01A
4F100AA01D
4F100AA01E
4F100AA16A
4F100AA16D
4F100AA19A
4F100AA19D
4F100AA19E
4F100AA20E
4F100AA31A
4F100AA31D
4F100AB01A
4F100AB01D
4F100AB01E
4F100AB03E
4F100AB10A
4F100AB10D
4F100AB10E
4F100AB17A
4F100AB17D
4F100AB18A
4F100AB18D
4F100AB23A
4F100AB23D
4F100AB31A
4F100AB31D
4F100AD00E
4F100AD11A
4F100AD11D
4F100AD11E
4F100AK01E
4F100AK46A
4F100AK46D
4F100AK47A
4F100AK47D
4F100AK47E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100BA10E
4F100CB00B
4F100CB00C
4F100DC01A
4F100DC01D
4F100DG01A
4F100DG01D
4F100DG01E
4F100EH36B
4F100EH36C
4F100EH46B
4F100EH46C
4F100EH61B
4F100EH61C
4F100EJ08B
4F100EJ08C
4F100EJ42
4F100EJ67B
4F100EJ67C
4F100EJ85A
4F100EJ85D
4F100GB72
4F100JB13B
4F100JB13C
4F100JK02
4F100JK08
4F100YY00E
(57)【要約】
複合抵抗材料(5)の製造方法であって、繊維材料、例えば炭素繊維、アラミド繊維、金属無機繊維もしくは非金属無機繊維、またはセラミック材料、例えばアルミナ、ホウ素もしくは炭化ケイ素、金属材料、例えばアルミニウム、真鍮、鉛、鋼、プラスチック材料、例えばポリアミドから選択される材料から構成される少なくとも2つの構成要素本体(13,14,15,16)を準備するステップと、前記本体(13,14,15,16)の外側カップリング表面を洗浄するステップと、自由ギャップ(11)を有する少なくとも2つの隣接する本体を準備するステップと、前記本体(13,14,15,16)のきれいな表面を接着剤でコーティングするステップと、前記本体(13,14,15,16)を乾燥させるステップと、前記接着剤の表面粘度が低下するまで前記本体(13,14,15,16)を予熱するステップと、前記ギャップ(11)を充填するまで、前記本体(13,14,15,16)を熱硬化性ポリマーでカップリングするステップと、ポリマーを硬化させ、前記接着剤と前記ポリマーとの結合を完全に活性化するステップとを含む、方法。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合抵抗材料(5,5´)の製造方法であって、
繊維材料、例えば炭素繊維、アラミド繊維、金属無機繊維もしくは非金属無機繊維、またはセラミック材料、例えばアルミナ、ホウ素もしくは炭化ケイ素、または金属材料、例えばアルミニウム、真鍮、鉛、鋼、またはプラスチック材料、例えばポリアミドから選択される材料から各々構成される少なくとも2つの構成要素本体(13,14,15,16,20,21)を準備するステップと、
前記本体(13,14,15,16)の各々の少なくとも1つの外側カップリング表面(23,24)を、好ましくは、ショットピーニングまたはサンドブラストまたはタンブリングによる機械的洗浄によって、任意の表面不純物が除去されるまで洗浄し、任意のダスティングを行うステップと、
それぞれのカップリング表面の間に自由中間ギャップ(11)を有する少なくとも2つの隣接する構成要素本体を準備するステップと、
前記本体(13,14,15,16)のきれいなカップリング表面を接着剤でコーティングするステップと、
前記コーティングされた本体(13,14,15,16)を、水分の非存在下、好ましくは15℃~25℃の温度で乾燥させるステップと、
好ましくは50℃~200℃の温度で、前記接着剤の表面粘度が低下するまで前記本体(13,14,15,16)を予熱するステップと、
粘性状態の前記接着剤でコーティングされた前記本体(13,14,15,16)のカップリング表面を、前記本体(13,14,15,16)の間にポリマー(P)の中間層を形成すべく前記ギャップ(11)を充填するように配置された、少なくとも1つが前記接着剤と相溶性である2つ以上の成分からなる一定量の熱硬化性ポリマーとカップリングするステップと、
前記ポリマーを硬化させ、前記接着剤と前記ポリマーとの結合を完全に活性化するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記硬化が、好ましくは50℃~200℃の温度で前記ポリマーにカップリングされた前記本体(13,14,15,16)を加熱することによって起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つの本体が、モノリシックプレートの形態であるか、またはいくつかの部分で構成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つの本体が、セラミック材料の六角形プリズム(20,21)の形態であり、ギャップ(11)を介して互いに接合され、場合によってはフレーム(22)によって収容される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記カップリングが、射出、展延、鋳造、浸漬または噴霧によって行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記カップリングステップは、前記ギャップ(11)を充填し、隣接する本体の間に中間バインダー層(P)を形成するまで、前記本体(13,14,15,16)を収容する型枠(10)内に前記ポリマーを注入または鋳造することによって行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーが、2つ以上の成分を有するポリウレタンまたはシリコーンから選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ギャップが、好ましくは前記カップリングポリマーと同じ材料のスペーサ(12)によって形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法によって得られる複合抵抗プレートであって、
繊維材料、例えば炭素繊維、アラミド繊維、金属無機繊維もしくは非金属無機繊維、またはセラミック材料、例えばアルミナ、ホウ素もしくは炭化ケイ素、または金属材料、例えばアルミニウム、真鍮、鉛、鋼、またはプラスチック材料、例えばポリアミドから選択される材料から各々構成される少なくとも2つの構成要素本体(13,14,15,16,20,21)と、
少なくとも1つの外側カップリング表面(23,24)が、好ましくは、ショットピーニングまたはサンドブラストまたはタンブリングによる機械的洗浄によって、任意の表面不純物が除去されるまで洗浄され、任意のダスティングが行われた前記本体(13,14,15,16)の各々であって、前記本体(13,14,15,16)の前記洗浄されたカップリング表面は接着剤でコーティングされている、前記本体(13,14,15,16)の各々と、
前記少なくとも2つの隣接する構成要素本体(13,14,15,16)の間にポリマー(P)の中間層を形成すべく、少なくとも1つが前記接着剤と相溶性である2つ以上の成分からなる一定量の熱硬化性ポリマーで充填された少なくとも2つの隣接する構成要素本体のそれぞれのカップリング表面の間の中間ギャップ(11)と
を含む、複合抵抗プレート。
【請求項10】
前記少なくとも2つの構成要素本体(13,14,15,16)が、衝撃到達側に配置された金属材料、好ましくはアルミニウムの第1の出発プレート(13)と、セラミック材料の第2のプレート(14)とを含む、請求項9に記載の複合プレート。
【請求項11】
前記少なくとも2つの構成要素本体(13,14,15,16)が、好ましくはプラスチック材料または繊維または鋼でできた衝撃吸収材料の少なくとも第3のプレートをさらに含む、請求項10に記載のプレート。
【請求項12】
前記第3の少なくとも2つの構成要素本体(13,14,15,16)が、
好ましくは厚さ2~4mm、好ましくは3mmの第1のアルミニウム出発プレート(13)と、
好ましくは4~6mm、好ましくは5mmの厚さの、第2のセラミック出発プレート(14)、例えばアルミナ、またはホウ素もしくは酸化ケイ素と、
炭素繊維もしくはケブラー繊維、または無機繊維、金属繊維および/もしくは非金属繊維から選択される繊維材料の第3の出発プレート(15)と、
好ましくは厚さ2~4mm、好ましくは2mmの鋼製の第4の出発プレート(16)と
を含み、
好ましくは厚さ2~4mm、好ましくは厚さ3mmのポリマーの中間バインダー層(P)をさらに含む、請求項11に記載のプレート。
【請求項13】
前記第2のセラミックプレートが、いくつかのセラミックプレート(14,14´)を並べて形成されている、請求項9から12のいずれか一項に記載のプレート。
【請求項14】
予想される衝撃の到達方向(d)に向かって凸状の湾曲を有するように成形された、請求項10から13のいずれか一項に記載のプレート。
【請求項15】
防弾装甲としての、好ましくは車両または航空機または防護服としての、請求項9から14のいずれか一項に記載のプレートの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的負荷、特に集中的な衝撃および爆発に耐えることを意図した複合抵抗性材料を作製方法に関する。
【0002】
この種の製品は、例えば、補強プレートまたはカバープレート、飛散防止パネルおよび保護カバーまたは防弾装甲である。
【背景技術】
【0003】
現在、コンクリート使用において集中的な機械的負荷に耐えることを意図した多種多様な材料が知られており、市販されている。
【0004】
焼結ナノ粒子から得られるセラミック層を含み、熱接着剤によって延性材料、例えばKevlar(登録商標)の層に接合された抵抗プレートを得る方法が、特許文献1から知られている。
【0005】
しかしながら、既知の種類の抵抗材料は、集中的な衝撃に耐える能力、ならびに高速での物体の通過に耐える能力および貫通能力に大きな限界がある。
【0006】
さらに、抵抗セラミックプレートをベースとする既知の種類の材料は、使用時に脆弱であり、防弾プレートとしての使用には適しておらず慎重に取り扱われなければならない。
【0007】
一般に、この種類の材料は、応力に耐えるだけでなく、軽量で小型であること、それに容易に利用可能な技術で製造され、メンテナンスを必要とせずに長時間持続できることも望ましい。
したがって、激しい衝撃および高強度、例えば貫通発射体の衝撃からでさえ、軽量で高度に保護性の複合抵抗材料の製造を可能にする方法を提供できる必要性が感じられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8545652号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、既に知られている解決策の欠点を克服し、被覆表面の単位当たりの重量が制限された高強度の複合材料を製造する方法を提案することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的は、生産的な方法および材料、例えば添付の特許請求の範囲の少なくとも1つによる複合プレートによって達成された。
【0011】
第1の利点は、本発明の処理により、複合材料の耐衝撃性能を大幅に向上させることが可能であり、これは、材料の構成部品の分離層間剥離(detachment delamination)を打ち消す高い能力を有し、したがって、その後の衝撃に対しても抵抗特徴を維持できる。
【0012】
本発明の第2の利点は、同じレベルの保護を得ることにあるが、現在使用されている解決策に対して少なくとも10~35%少ない重量を有し、現在使用されている解決策と比較して、マルチヒットの吸収能に関して有意な改善を有する。
【0013】
本発明の更なる利点は、高性能、軽量であり、特に砲塔および装甲車両または航空機の防弾保護としての使用に適した複合プレートが、限られたコストおよび工業プロセスで入手可能であり、装甲車両の装甲に使用されるアルミニウムまたは鋼の使用が軽減されることである。
【0014】
本発明の更なる利点は、得られたプレートが、極端な海洋条件および大気条件に対する強度/弾力性に関して優れた結果を示すことである。
【0015】
本発明の更なる利点は、得られたプレートが、米国司法省によって発行されている「Ballistic Resistance of Body Armor NIJ Standard-0101.06」のレベル4(AP-API発射体抵抗)の要件を満たすことである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
これらおよび他の利点は、非限定的な例として与えられる以下の説明および添付の図面から当業者によってよりよく理解されるであろう。
図1a】分解立体図を示す。
図1b】製造中に型枠に挿入されたプレートを示す。
図1c】得られた複合プレートの断面図を示す。
図1d】本発明によるプレートの更なる実施形態を示す。
図1e】製造中の型枠に挿入されたプレートの更なる実施形態を示す。
図1f】製造中の型枠に挿入されたプレートの更なる実施形態を示す。
図2】本発明によるプレートの第2の実施形態を断面図で示す。
図3】本発明によるプレートの第3の実施形態を断面図で示す。
図4】六角形の角柱セクタで構成された本発明による複合プレートを上面図で示す。
図5】本発明による方法を概略的に示す。
図6a】防弾装甲用の従来のアルミニウムプレートの入口孔の画像を示す。
図6b】防弾装甲用の従来のアルミニウムプレートの出口孔の画像を示す。
図7a】本発明による複合プレートの入口孔の画像を示す。
図7b】本発明による複合プレートの出口孔の画像を示す。
図8a】マルチヒットによってヒットした本発明による第2の複合プレートの入口孔及び出口孔の画像を示す。
図8b】マルチヒットによってヒットした本発明による第2の複合プレートの入口孔及び出口孔の画像を示す。
図9a】本発明の方法で製造された2つの異なる組のサンプルの歪み応力図を示す。
図9b】本発明の方法で製造された2つの異なる組のサンプルの歪み応力図を示す。
図10a図9aの線図に示されるサンプルの機械的特性評価測定の結果を示す。
図10b図9aの線図に示されるサンプルの機械的特性評価測定の結果を示す。
図11a】貫通ヒットが到達した従来技術の抵抗プレートの到着側を示す。
図11b】貫通ヒットが到達した従来技術の抵抗プレートの出口側を示す。
図12】焼夷貫通発射体を示す。
図13】本発明による抵抗材料を用いて製造されたヘルメットの一例を示す。 詳細な説明
【0017】
添付の図面を参照して、複合材料、例えば、(図1図3)ギャップ11の少なくとも2つの離間された構成要素本体から出発する複合プレート5を製造するための本発明による方法の好ましい実施形態が説明されており、この複合プレート5は、出発プレート13,14で説明される例からなり、各々が、金属材料、例えば鋼、アルミニウム、真鍮、鉛、チタン、またはセラミック材料、例えばアルミナ、ホウ素もしくは酸化ケイ素、または繊維材料、例えば炭素繊維プレート、アラミド繊維もしくはケブラー繊維、金属繊維および/または非金属無機繊維、不織布または織物、さらにはプラスチック材料、例えばポリアミドでできている。
【0018】
図4は、本発明による材料を用いて得られた抵抗プレート5´の更なる実施形態を示しており、構成要素本体は、セラミック材料の六角形プリズム20,21からなり、ギャップ11と共に接合され、場合によってはフレーム22によって収容される。
【0019】
例として、使用に適したセラミック材料は、ビッカース硬度が1500よりも大きく、炭化ホウ素の場合は最大約2500ビッカースのセラミック材料、すなわち、例えば発射体を構成する材料よりもはるかに大きい硬度を有する材料である。
【0020】
例として、適切なセラミック材料は、約2.6g/cm3の比重量および2500/2600のビッカースの硬度を有する炭化ホウ素、約3.2g/cm3の比重量および2200/2300のビッカースの硬度を有する炭化ケイ素、または約3.9g/cm3の比重量および1800/2000のビッカースの硬度を有するアルミナまたは酸化アルミニウムである。
【0021】
図5に概略的に示す本発明の方法によれば、構成要素本体の隣接する外面23,24は、表面からの残留物、特に酸化材料中のプレートの場合には酸化トレースの完全な除去、および接着剤の接着のための改善された前処理された表面の生成まで、洗浄ステップF1、例えばショットピーニングまたはサンドブラストまたはタンブリングによる、好ましくは機械的洗浄ステップに供される。
洗浄ステップは、例えば表面ショットピーニングによって生成されたダストの除去を含むことができる。
【0022】
好ましい例として、プレートの表面洗浄は、例えば4つの5kw遠心インペラを使用することによって、16度のアルメンショットピーニングで実行され、特に効果的であることが分かった。
【0023】
次いで、プライマーまたはグルーとも呼ばれる接着剤によって形成されたコーティングが、例えば注入、コーティング、鋳造、浸漬または噴霧によって、洗浄および前処理されたプレートの表面に適用される(ステップF2)。
【0024】
コーティングが完了すると、構成要素本体は、水分のない環境で、好ましくは15℃~25℃の温度で乾燥される(ステップF3)。乾燥ステップは、プレートの予熱(ステップF4)によって継続され、これは、例えば、このステップでは接触に対して粘着性である接着剤に結合するように適合された適合性熱硬化性ポリマーのその後の結合を容易にするために、50℃~200℃の温度で加熱することによって、接着剤の表面粘度が低下するまで延長される。
【0025】
上記の処理は、各構成要素本体またはスペーサ分配によって組み立てられた構成要素本体に別々に適用することができる。
【0026】
図1~3のプレートの図示の場合、スペーサは、連結された出発プレート間にギャップ11をもたらすように配置された、出発プレート間に介在するブロック12によって形成され、図4の例では、プリズム20,21は、フレーム22によって離間され得るか、または適切に離間されたシートに配置され得る。
【0027】
予熱ステップの終わりに、構成要素本体、すなわち記載された場合には、スペーサ12で組み立てられた出発プレート13,14、または離間されたプリズム20,21は、次いで、少なくとも一方が接着剤と相溶性である2つ以上の構成要素で構成された熱硬化性ポリマーを用いて、粘性状態の接着剤で既にコーティングされた材料の連結ステップ(ステップF5)に供される。
【0028】
本開示の範囲内で、接着剤適合性ポリマー成分は、接着剤と組み合わせて、ポリマーと接着剤被覆表面との間に接着結合を確立できる成分として理解されるべきである。
【0029】
連結ステップは、材料の形状および組成に応じて、射出、鋳造、コーティング、浸漬、ライニング、噴霧、またはポリマーを適用するように適合された他の技術によって行うことができる。
【0030】
好ましくは、ポリマーは2成分ポリウレタン、例えばadiprene(登録商標)として市販されているポリウレタンであるが、使用される接着剤と相溶性の少なくとも1つが接着結合を形成することができる限り、異なる種類のポリマー、例えばシリコーンポリマー、および異なる数の成分を有するポリマーを使用することができる。
【0031】
好ましくは、ポリマーと連結するステップは、ポリマーが中間結合層Pを構成するように、出発プレート13,14間のギャップ11を充填するまで、プレートを収容するための型枠10にポリマーをキャストすることによって行うことができる。
【0032】
有利には、ギャップ11におけるポリマーの拡散は、材料の構成要素本体の予熱によって促進され、したがって、ミリメートルオーダーの非常に小さい厚さであっても中間ポリマー結合層Pを形成することができることが分かった。
【0033】
好ましくは、ギャップは、最終プレート5の所望の強度特性に基づいて予め決定された厚さを有し、連結ステップに使用されるのと同じポリマー材料で構成することができ、場合によっては出発プレートに対して行われるのと同じ処理に供されるプレート13,14間のスペーサ12をブロックすることによって得られる。
【0034】
次いで、ポリマーに連結された出発プレートと組み立てられたプレート5を処理して(ステップF6)、ポリマーと接着剤との間の結合の完全な硬化および完全な活性化を得る。
【0035】
好ましくは、結合を硬化および活性化するステップは、出発プレートの材料の耐熱性に応じて、好ましくは10分~数時間、例えば3~5時間、例えば50℃~200℃の温度で、ポリマーが硬化し、前述の接着剤とポリマーとの結合が完全に活性化されるまで、例えばオーブン中で加熱することによって行われる。
【0036】
しかしながら、このステップは、使用されるポリマーに応じて、室温で行われ得る。
【0037】
本発明の材料を用いて得られたプレート5は、発射体、例えば、貫通コアNPと焼夷弾Cとを収容するケーシングIで構成された図13に示される種類のAPI焼夷貫通発射体の衝撃側に配置される第1のプレート13がアルミニウムプレートであり、第2のプレート14がセラミック材料、例えばホウ素、シリコンまたはアルミナカーバイドのプレートである場合に、弾道装甲として特に有効であることが分かった(図1、1c)。
【0038】
好ましくは、図1cの構造は、本発明の方法で発射体の出口側に適用された更なる鋼層16と関連付けることができ、その場合、結果として得られる構造は図1dに概略的に示されているものになる。
【0039】
有利には、本発明の材料は、本方法で得られた複合プレートの1つ以上の外面上にポリマーPの外層をさらに提供することができる。
【0040】
図1e、図1fでは、表面および側面の両方に配置されたスペーサ12を提供することによって得られるポリマーPを有する完全なシェルを含む図1dの種類のプレートと、その目的に適した型枠10とが、それぞれ例として概略的に示されている。
【0041】
この構成では、発射体が到達したセラミック材料は、交差することはできるが、ポリマー層との密接な結合によって分散されず、複合材料の層間剥離を打ち消し、したがってセラミックが自由に破損するのを防ぎ、最初の打撃後に破損する傾向があり、したがって無用になるセラミックプレートに基づく既知のアームとは異なり、マルチヒットに耐えることを可能にすることが分かった。
【0042】
その効果のために、セラミックは実際に、はるかに低い硬度を持つセラミックを通過する発射体の材料を消費し、出口側でその残留エネルギーを減少させ、そこで残留衝撃の更なる吸収プレートを有利に提供することができ、これは、例えば、発射体の残りのコアの運動エネルギーに起因し、好ましくはプラスチック材料、例えばポリアミド、または繊維もしくは鋼材で構成され、その抵抗性および延性のために、発射体の残留質量を変形させて収容することができ、装甲の着用者に対する外傷を回避または軽減する。
【0043】
一般に、本発明のプレートは、構造の重大な変化を回避するために、発射体との衝撃によって引き起こされる運動エネルギーを吸収することを可能にすることが分かった。
【0044】
特に、発射体の到着側にアルミニウムの第1のプレート(または他の延性材料)が存在することと、隣接するプレートに強く接着するポリマー結合層が存在することとの組み合わせは、上述したように、層間剥離する傾向を抑制し、したがって入口孔のサイズを最小にし、発射体によって放出される高いエネルギーに起因して従来の装甲(示されている例では、25mmのアルミニウムプレート)が発射体の入口側で受ける典型的な「アーティチョーク(artichoke)」の外向きに屈曲した開口部(図6a,6b)を防止する効果をもたらし、一方、本発明の複合プレートは、第1のプレート(図7a,8a)の損傷および発射体の同じ出口(図7b,8b)の両方を低減することを可能にすることが分かった。
【0045】
これに関して、図11a~11bは、繊維層、例えばDyneema(登録商標)にカップリング(coupling)されたセラミック本体CCで構成された伝統的な弾道プレートが受けた貫通ショットの入口および出口側の孔Fを示す。
【0046】
図8a、図8bは、2つの貫通タイプ30-06 APIおよびタイプSS 109 NATO-NATOの18のマルチヒットを受けた本発明によるプレートの一例を示し、図8aでは、様々な入口孔の存在を理解することができ、図8bでは、出口孔の欠如を理解することができる。
【0047】
受けたヒット間の距離を明確にするために、図8a,8bに示されるプレートの寸法は115mm×115mm、厚さ25mmと規定される。
【0048】
図2は、防弾装甲として使用するためのプレートの好ましい実施形態を示しており、該プレートは、
好ましくは厚さが1~4mm、好ましくは3mmの第1のアルミニウム出発プレート13と、
好ましくは厚さ4~6mm、好ましくは5mm、場合によっては複数のプレート14,14´を並べて形成した、第2のセラミックプレート14、例えばアルミナ、またはホウ素もしくは酸化ケイ素と、
好ましくは厚さが4mm~6mm、好ましくは厚さが5mmの第3の出発プレート15と
を含む。好ましくは、プレート15は、発射体または中空弾のダーツによって引き起こされる温度をさらに2倍に抑えることができ、例えば、ダーツに関してはStanag 4569および発射体に関してはStanag 2920 AEP 55の仕様に従って対戦車ミサイルを停止させるのに有用な、炭素繊維またはケブラー繊維、アラミド繊維、または高融点で不燃性の金属無機繊維および/または非金属無機繊維、例えば3M(登録商標)社から「nextel」(登録商標)の名称で販売されている繊維と、
好ましくは厚さ2~4ミリメートル、好ましくは2mmの鋼製の第4の出発プレート16と、
好ましくは厚さ3mmの、プレート13,14,15,16の間のバインダーポリマーの中間層Pと
からなる。
【0049】
図3は、図2のプレートの湾曲した構成を示しており、図3に概略的に示す方向に従って、予想される衝撃の到達方向(d)に向かって凸状の湾曲を有し、第1のプレート13に対する偶発的な衝撃を保護するための防弾装甲として特に有用である。
【0050】
有利には、図2および図3のプレートは、約25mmの全体的な厚さを含み、同じ性能を有する従来の装甲に対して重量を大幅に低減しながら、高い防弾性を得ることを可能にし、したがって、防弾性装甲としての使用に適している。
【0051】
好ましい実施形態では、本発明のプレートは、1mm~1.5mmの厚さ、好ましくは1.2mmの厚さを有し、1mmのアルミニウム層および約1mmのポリマー中間層とカップリングした鋼層からなり、図9および図10は、それぞれ、2つの異なる一連の3つのサンプル(図9a、図10a)およびこのようにして製造された3つのストリップ(図9b、図10b)の応力/ひずみ線図および機械的特性評価表を示す。有利には、この構成では、約3mmの厚さを有するプレートは、1800MPaをわずかに下回る引張強度を示し、同時に大幅な伸びが可能であることが証明され、したがって機械加工および成形に適している。
【0052】
例として、本発明のプレートは、
・大使館、領事館、パイプライン/石油パイプライン、原子力発電所、鉄道駅、空港、自動車、トラック、船舶、救急車、病院(鉛板を使用したX線からの同時保護のためにも)、危険物のコンテナ、テロ防止車両(anti-riot vehicles)、銀行のセキュリティ金庫などの民生用の場所および車両、
・装甲貯蔵庫、弾薬庫、軍用救急車、軍用野戦病院、防護壁(ゲート、検問所、監視所)、ヘリコプターおよび航空機(座席および床)、指令室、手術室、核燃料庫、船舶および潜水艦、防護服、例えばベストおよびヘルメット、軍事用の場所および車両(図13
に使用可能である。
【0053】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明したが、本工業所有権の範囲から逸脱することなく、同等の変更を行えることが意図されている。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b
図11a
図11b
図12
図13
【国際調査報告】