(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】遺伝子操作された細胞由来ワクチン
(51)【国際特許分類】
A61K 39/00 20060101AFI20240910BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20240910BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240910BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240910BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240910BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240910BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61K39/00 H
C12N5/10
C12N15/63 Z
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/867 Z
C12N15/31
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
A61P35/00
A61P37/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507860
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022040243
(87)【国際公開番号】W WO2023018984
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】クオン、ヨン、ジク
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ジー、ヨン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA45
4C085AA03
4C085BA99
4C085DD62
4C085EE01
(57)【要約】
本開示は、特異的抗原を発現するよう遺伝子操作されたか、または感染された細胞から誘導された細胞由来小胞を含む組成物および方法、ならびにそれらの使用(無細胞、細胞様ワクチンとしてを含む)を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原を発現するよう遺伝子操作された細胞由来の細胞外ブレブを含むワクチン製剤であって、
該細胞外ブレブが、該細胞をブレブ形成剤で処置することによって該細胞から産生され、
該抗原が、該細胞外ブレブの表面に表示される、ワクチン製剤。
【請求項2】
前記細胞が、マクロファージ、B細胞および樹状細胞から選択される、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項3】
前記細胞が樹状細胞である、請求項2に記載のワクチン製剤。
【請求項4】
前記細胞が不死化抗原提示細胞である、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項5】
前記細胞が、ヒト対象由来のヒト胚幹細胞(hESC)または人工多能性幹細胞(iPSC)から分化されている、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項6】
前記細胞がヒト初代細胞である、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項7】
前記抗原が、治療転帰の改善のために遺伝子改変された外来抗原または内因性抗原である、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項8】
前記外来抗原が、病原性または疾患を引き起こす微生物由来である、請求項7に記載のワクチン製剤。
【請求項9】
前記病原性または疾患を引き起こす微生物が、細菌、真菌、またはウイルスである、請求項8に記載のワクチン製剤。
【請求項10】
前記細菌が、アクチノミセス・イスラエリイ(Actinomyces israelii)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、セレウス菌(Bacillus cereus)、バルトネラ・ヘンセラ(Bartonella henselae)、バルトネラ・クインターナ(Bartonella quintana)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボレリア・ガリニイ(Borrelia garinii)、ボレリア・アフゼリ(Borrelia afzelii)、ボレリア・レクレンチス(Borrelia recurrentis)、ブルセラ・アボルツス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、オウム病クラミジア(Chlamydophila psittaci)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、レプトスピラ・サンタロサイ(Leptospira santarosai)、レプトスピラ・ウェイリイ(Leptospira weilii)、レプトスピラ・ノグチイ(Leptospira noguchii)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、リケッチア・リケッチア(Rickettsia rickettsia)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ソンネ菌(Shigella sonnei)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ペスト菌(Yersinia pestis)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、および仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)から選択される、請求項9に記載のワクチン製剤。
【請求項11】
前記真菌が、アブシディア・コリンビフェラ(Absidia corymbifera)、アブシディア・ラモセ(Absidia ramose)、アコリオン・ガリナエ(Achorion gallinae)、アクチノマヅラ属種(Actinomadura spp.)、アジェロミセス・デルマチディディス(Ajellomyces dermatididis)、アレウリスマ・ブラジリエンシス(Aleurisma brasiliensis)、アレルシェリア・ボイディイ(Allersheria boydii)、アルスロデルマ属種(Arthroderma spp.)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガツ(Aspergillus fumigatu)、バシディオボラス属種(Basidiobolus spp.)、ブラストミセス属種(Blastomyces spp.)、カドフォラ属種(Cadophora spp.)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、セルコスポラ・アピイ(Cercospora apii)、クリソスポリウム属種(Chrysosporium spp.)、クラドスポリウム属種(Cladosporium spp.)、クラドスリクス・アステロイズ(Cladothrix asteroids)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、クリプトコッカス・アルビヅス(Cryptococcus albidus)、クリプトコッカス・ガッチイ(Cryptococcus gattii)、クリプトコッカス・ラウレンチイ(Cryptococcus laurentii)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クニンガメラ・エレガンス(Cunninghamella elegans)、デマチウム・ウェルネクケ(Dematium wernecke)、ディスコミセス・イスラエリイ(Discomyces israelii)、エモンシア属種(Emmonsia spp.)、エモンシエラ・カプスラテ(Emmonsiella capsulate)、エンドミセス・ゲオトリクム(Endomyces geotrichum)、エントモフトラ・コロナテ(Entomophthora coronate)、エピデルモフィトン・フロッコスム(Epidermophyton floccosum)、フィロバシディエラ・ネオフォルマンス(Filobasidiella neoformans)、フォンセケア属種(Fonsecaea spp.)、ゲオトリカム・カンジヅム(Geotrichum candidum)、グレノスポラ・クハルトウメンシス(Glenospora khartoumensis)、ギムノアスカス・ギプセウス(Gymnoascus gypseus)、ハプロスポランギウム・パルブム(Haplosporangium parvum)、ヒストプラズマ属(Histoplasma)、ヒストプラズマ・カプスラツム(Histoplasma capsulatum)、ホルミシウム・デルマチディディス(Hormiscium dermatididis)、ホルモデンドルム属種(Hormodendrum spp.)、ケラチノミセス属種(Keratinomyces spp.)、ランゲロニア・ソウダネンセ(Langeronia soudanense)、レプトスファエリア・セネガレンシス(Leptosphaeria senegalensis)、リクテイミア・コリンビフェラ(Lichtheimia corymbifera)、ロブミセス・ロボイ.(Lobmyces loboi.)、ロボア・ロボイ(Loboa loboi)、ロボミコーシス(Lobomycosis)、マヅレラ属種(Madurella spp.)、マラセチア・フルフル(Malassezia furfur)、ミクロコッカス・ペレチエリ(Micrococcus pelletieri)、ミクロスポルム属種(Microsporum spp.)、モニリア属種(Monilia spp.)、ムコール属種(Mucor spp.)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ナンニッツィア属種(Nannizzia spp.)、ネオテスツディナ・ロサチイ(Neotestudina rosatii)、ノカルジア属種(Nocardia spp.)、オイディウム・アルビカンス(Oidium albicans)、オスポラ・ラクチス(Oospora lactis)、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、ペトリエリディウム・ボイディイ(Petriellidium boydii)、フィアロフォラ属種(Phialophora spp.)、ピエドライア・ホルタエ(Piedraia hortae)、ピチロスポルム・フルフル(Pityrosporum furfur)、ニューモシスチス・イロベシイ(Pneumocystis jirovecii)(またはニューモシスチス・カリニイ(Pneumocystis carinii))、プルラリア・ゴウゲロチイ(Pullularia gougerotii)、ピレノカエタ・ロメロイ(Pyrenochaeta romeroi)、リノスポリジウム・セーベリ(Rhinosporidium seeberi)、サボウラウディテス属(Sabouraudites)(ミクロスポルム属(Microsporum))、サルトリア・フミガテ(Sartorya fumigate)、セペドニウム属(Sepedonium)、スポロトリクム属種(Sporotrichum spp.)、スタキボトリス属(Stachybotrys)、スタキボトリス・カルタルム(Stachybotrys chartarum)、ストレプトミセス属種(Streptomyce spp.)、チネア属種(Tinea spp.)、トルラ属種(Torula spp.)、トリコフィトン属種(Trichophyton spp.)、トリコスポロン属種(Trichosporon spp.)、およびゾフィア・ロサチイ(Zopfia rosatii)から選択される、請求項9に記載のワクチン製剤。
【請求項12】
前記ウイルスが、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリアコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマフォレストウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ブニヤウイルスラクロス、ブニヤウイルスカンジキウサギ、オナガザルヘルペスウイルス、チャンディプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、コロナウイルス、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ダグベウイルス、デュベンハゲ(Duvenhage)ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エボラウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス(lyssavirusalitis)、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ペギウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、馬痘ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパラインフルエンザ、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプーマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、イスファハン(Isfahan)ウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、レイクビクトリアマールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデール(Lordsdale)ウイルス、跳躍病ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎ウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、オルフウイルス、オロプーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、鷺山ウイルス、サリウイルスA、サシチョウバエ熱シチリアウイルス、サッポロウイルス、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、サルウイルス、シンドビスウイルス、サザンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルスO、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ウエストナイルウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ様疾患(Yaba-like disease)ウイルス、黄熱ウイルス、およびジカウイルスからなる群から選択される、請求項9に記載のワクチン製剤。
【請求項13】
前記ヒトコロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項12に記載のワクチン製剤。
【請求項14】
前記抗原が癌または腫瘍抗原である、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項15】
ウイルスベクターが、前記抗原を発現するよう前記抗原提示細胞を遺伝子操作するのに使用される、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項16】
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクターである、請求項15に記載のワクチン製剤。
【請求項17】
前記ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、請求項16に記載のワクチン製剤。
【請求項18】
アジュバントをさらに含む、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項19】
アジュバントを含まない、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項20】
前記細胞外ブレブが、下記表面および成熟マーカーCD11c、MHC I、CD40、CD80、および/またはCD86の1つまたは複数を含む、請求項1に記載のワクチン製剤。
【請求項21】
請求項の1から20のいずれか一項に記載のワクチン製剤を作製する方法であって、
前記細胞を1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤と3分から24時間接触させることによって、細胞外ブレブを遺伝子操作された細胞から生成させることと、
該細胞外ブレブを単離すること
とを含む、方法。
【請求項22】
前記1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤が、塩化水銀、p-クロロ水銀ベンゼンスルホン酸、塩化第二金、p-クロロ水銀ベンゾエート、クロルメロドリン、メラルリドナトリウム、ヨードアセトミド、パラホルムアルデヒド、ジチオトレイトール、およびN-エチルマレイミドからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤がN-エチルマレイミドである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
N-エチルマレイミドが、0.2mMから30mMの濃度で使用される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記細胞が、マクロファージ、B細胞および樹状細胞から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記細胞が樹状細胞である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記細胞が不死化抗原提示細胞である、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記細胞が、ヒト対象由来のヒト胚幹細胞(hESC)または人工多能性幹細胞(iPSC)から分化されている、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞がヒト初代細胞である、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記抗原が外来抗原である、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記外来抗原が、病原性または疾患を引き起こす微生物由来である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記病原性または疾患を引き起こす微生物が、細菌、真菌、またはウイルスである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記細菌が、アクチノミセス・イスラエリイ、炭疽菌、セレウス菌、バルトネラ・ヘンセラ、バルトネラ・クインターナ、百日咳菌、ボレリア・ブルグドルフェリ、ボレリア・ガリニイ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・レクレンチス、ブルセラ・アボルツス、ブルセラ・カニス、ブルセラ・メリテンシス、ブルセラ・スイス、カンピロバクター・ジェジュニ、クラミジア・ニューモニエ、クラミジア・トラコマチス、オウム病クラミジア、ボツリヌス菌、クロストリジウム・ディフィシル、ウェルシュ菌、破傷風菌、ジフテリア菌、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、大腸菌、野兎病菌、インフルエンザ菌、ヘリコバクター・ピロリ、レジオネラ・ニューモフィラ、レプトスピラ・インターロガンス、レプトスピラ・サンタロサイ、レプトスピラ・ウェイリイ、レプトスピラ・ノグチイ、リステリア・モノサイトゲネス、らい菌、結核菌、マイコバクテリウム・ウルセランス、マイコプラズマ・ニューモニエ、淋菌、髄膜炎菌、緑膿菌、リケッチア・リケッチア、チフス菌、ネズミチフス菌、ソンネ菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・サプロフィチカス、ストレプトコッカス・アガラクチア、肺炎レンサ球菌、化膿レンサ球菌、梅毒トレポネーマ、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、コレラ菌、ペスト菌、エルシニア・エンテロコリチカ、および仮性結核菌から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記真菌が、アブシディア・コリンビフェラ、アブシディア・ラモセ、アコリオン・ガリナエ、アクチノマヅラ属種、アジェロミセス・デルマチディディス、アレウリスマ・ブラジリエンシス、アレルシェリア・ボイディイ、アルスロデルマ属種、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・フミガツ、バシディオボラス属種、ブラストミセス属種、カドフォラ属種、カンジダ・アルビカンス、セルコスポラ・アピイ、クリソスポリウム属種、クラドスポリウム属種、クラドスリクス・アステロイズ、コクシジオイデス・イミチス、クリプトコッカス・アルビヅス、クリプトコッカス・ガッチイ、クリプトコッカス・ラウレンチイ、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クニンガメラ・エレガンス、デマチウム・ウェルネクケ、ディスコミセス・イスラエリイ、エモンシア属種、エモンシエラ・カプスラテ、エンドミセス・ゲオトリクム、エントモフトラ・コロナテ、エピデルモフィトン・フロッコスム、フィロバシディエラ・ネオフォルマンス、フォンセケア属種、ゲオトリカム・カンジヅム、グレノスポラ・クハルトウメンシス、ギムノアスカス・ギプセウス、ハプロスポランギウム・パルブム、ヒストプラズマ属、ヒストプラズマ・カプスラツム、ホルミシウム・デルマチディディス、ホルモデンドルム属種、ケラチノミセス属種、ランゲロニア・ソウダネンセ、レプトスファエリア・セネガレンシス、リクテイミア・コリンビフェラ、ロブミセス・ロボイ.、ロボア・ロボイ、ロボミコーシス、マヅレラ属種、マラセチア・フルフル、ミクロコッカス・ペレチエリ、ミクロスポルム属種、モニリア属種、ムコール属種、結核菌、ナンニッツィア属種、ネオテスツディナ・ロサチイ、ノカルジア属種、オイディウム・アルビカンス、オスポラ・ラクチス、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、ペトリエリディウム・ボイディイ、フィアロフォラ属種、ピエドライア・ホルタエ、ピチロスポルム・フルフル、ニューモシスチス・イロベシイ(またはニューモシスチス・カリニイ)、プルラリア・ゴウゲロチイ、ピレノカエタ・ロメロイ、リノスポリジウム・セーベリ、サボウラウディテス属(ミクロスポルム属)、サルトリア・フミガテ、セペドニウム属、スポロトリクム属種、スタキボトリス属、スタキボトリス・カルタルム、ストレプトミセス属種、チネア属種、トルラ属種、トリコフィトン属種、トリコスポロン属種、およびゾフィア・ロサチイから選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記ウイルスが、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリアコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマフォレストウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ブニヤウイルスラクロス、ブニヤウイルスカンジキウサギ、オナガザルヘルペスウイルス、チャンディプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、コロナウイルス、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ダグベウイルス、デュベンハゲウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エボラウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ペギウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、馬痘ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパラインフルエンザ、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプーマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、イスファハンウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、レイクビクトリアマールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデールウイルス、跳躍病ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎ウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、オルフウイルス、オロプーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、鷺山ウイルス、サリウイルスA、サシチョウバエ熱シチリアウイルス、サッポロウイルス、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、サルウイルス、シンドビスウイルス、サザンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルスO、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ウエストナイルウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ様疾患ウイルス、黄熱ウイルス、およびジカウイルスからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記ヒトコロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記抗原が癌または腫瘍抗原である、請求項21に記載の方法。
【請求項38】
前記遺伝子操作された細胞が、前記細胞を、抗原をコードするウイルスベクターで形質転換することによって作製される、請求項21に記載の方法。
【請求項39】
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクターである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
対象を免疫化する方法であって、治療有効量の請求項1から20のいずれか一項に記載のワクチン製剤を該対象に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月13日に出願された米国仮出願第63/233,190号の米国特許法第119条に基づく利益を主張しており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、特異的抗原を発現するよう遺伝子操作されたか、または感染された細胞から誘導された細胞由来小胞を含む組成物および方法、ならびにそれらの使用(無細胞、細胞様ワクチンとしてを含む)を提供する。
【背景技術】
【0003】
感染症に対するワクチンの使用は、医学の進歩にとって極めて重要となっている。コロナウイルス(CoV)は、軽度の症状から致命的な転帰に及ぶヒトにおける呼吸器感染を引き起こす可能性のある関連ウイルスの一群である。ヒトコロナウイルス229E(HCoV-229E)、OC43(HCoV-OC43)、NL63(HCoV-NL63)、およびHKU1(HCoV-HKU1)は、比較的軽度で自己限定的な呼吸器症状を引き起こすことが知られている。あるいは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、および重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、他の3種のCoVであり、病原性が高く、感染患者に重度の呼吸器疾患および致命的な転帰をもたらし得る。これら3つのコロナウイルスの臨床所見は、無症候性および軽度のインフルエンザ様症状から、急性呼吸窮迫症候群および死亡まで様々であり得る。SARS-CoV-2は、SARS-CoVおよびMERS-CoVと比較して、伝染性が強く、パンデミックを緩和するためには有効なワクチンが必要とされる。種々の製造業者によって開発された複数のSARS-CoV-2ワクチンが、米国食品医薬品局によって承認されている。
【0004】
COVID-19の高い罹患率および死亡率により、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチンの迅速な開発が必要とされている。mRNA、ウイルスベクター、および組換えタンパク質に基づくワクチンが迅速に開発されており、SARS-CoV-2の初期の株に対して有効な防御を示している。しかしながら、これらのワクチンは、軽度およびさらには重度の副作用を示し、それらが誘発する防御は短期間である。それらのワクチンは、オミクロン株などのSARS-CoV-2の新興株に対しては、とりわけ効果が低い。
【0005】
核酸プラットフォーム、非複製ウイルスベクタープラットフォーム、不活化ウイルス、または組換えサブユニットワクチンなどのワクチン候補を開発するために、プラットフォーム技術が用いられている。これらのワクチンは、ウイルス抗原またはウイルス遺伝子配列の投与を用いることで、ウイルススパイク(S)タンパク質に対する中和抗体を誘導する。従来のワクチンは生物全体または大きなタンパク質を含み、それらはアレルギー反応の可能性の増加を伴い、不必要な抗原負荷をもたらす。そのようなワクチンの欠点は、特異的抗原ベースのワクチンを遺伝子操作して、強力で標的を定めた免疫応答を誘発する能力を有する短い免疫原性断片に妥協し、アレルギー反応の可能性を回避することによって克服することができる。遺伝子操作されたワクチンは、免疫化対象の体内で標的抗原エピトープの発現を誘導し、液性および細胞性免疫応答を含む免疫応答を誘発することができる。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)または抗原(例えば、外来抗原)を発現するよう操作された非抗原提示細胞から誘導された細胞由来小胞を含む製剤(例えば、ワクチン製剤)、組成物(例えば、医薬組成物)および方法を提供する。本明細書において提示される研究において、SARS-CoV-2スパイク糖タンパク質を発現する操作された樹状細胞から産生された細胞外ブレブが、in vivoで強力な免疫応答を誘発することがわかった。本開示は、細胞を遺伝子操作する方法、ブレブ形成剤(blebbing agent)を用いて上記細胞においてブレブ形成(blebbing)を誘導する方法、その産生された細胞外ブレブ(EB)の単離、およびEBを含む製剤(例えば、ワクチン製剤)、組成物(例えば、医薬組成物)をさらに提供する。さらに、ウイルス、細菌、または真菌に感染された細胞はまた、ワクチン製剤に関する本開示の方法において使用することができる(例えば、COVID-19ワクチン用にブレブ形成されるべきSARS-CoV-2感染された肺上皮細胞、クラミジア属(Chlamydia)ワクチン用のクラミジア属感染された子宮頸部細胞など)。
【0007】
特定の実施形態では、本開示は、抗原を発現するよう遺伝子操作された細胞から誘導された細胞由来小胞を含むワクチン製剤を提供し、ここで、EBSは、抗原細胞をブレブ形成剤で処置することによって細胞から産生される。別の実施形態では、細胞は、マクロファージ、B細胞および樹状細胞から選択される。さらに別の実施形態では、細胞は樹状細胞である。さらなる実施形態では、細胞は、不死化抗原提示細胞系である。さらなる実施形態では、細胞は、ヒト対象由来のヒト胚幹細胞(hESC)または人工多能性幹細胞(iPSC)から分化される。別の実施形態では、細胞はヒト初代細胞である。さらに別の実施形態では、抗原は、治療転帰の改善のために遺伝子改変された外来抗原または内因性抗原である。さらなる実施形態では、外来抗原は、病原性または疾患を引き起こす微生物由来である。さらなる実施形態では、病原性または疾患を引き起こす微生物は、細菌、真菌、またはウイルスである。ある特定の実施形態では、細菌は、アクチノミセス・イスラエリイ(Actinomyces israelii)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、セレウス菌(Bacillus cereus)、バルトネラ・ヘンセラ(Bartonella henselae)、バルトネラ・クインターナ(Bartonella quintana)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボレリア・ガリニイ(Borrelia garinii)、ボレリア・アフゼリ(Borrelia afzelii)、ボレリア・レクレンチス(Borrelia recurrentis)、ブルセラ・アボルツス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、オウム病クラミジア(Chlamydophila psittaci)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、レプトスピラ・サンタロサイ(Leptospira santarosai)、レプトスピラ・ウェイリイ(Leptospira weilii)、レプトスピラ・ノグチイ(Leptospira noguchii)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、リケッチア・リケッチア(Rickettsia rickettsia)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、ソンネ菌(Shigella sonnei)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ペスト菌(Yersinia pestis)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、および仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)からなる群から選択される。別の実施形態では、真菌は、アブシディア・コリンビフェラ(Absidia corymbifera)、アブシディア・ラモセ(Absidia ramose)、アコリオン・ガリナエ(Achorion gallinae)、アクチノマヅラ属種(Actinomadura spp.)、アジェロミセス・デルマチディディス(Ajellomyces dermatididis)、アレウリスマ・ブラジリエンシス(Aleurisma brasiliensis)、アレルシェリア・ボイディイ(Allersheria boydii)、アルスロデルマ属種(Arthroderma spp.)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガツ(Aspergillus fumigatu)、バシディオボラス属種(Basidiobolus spp.)、ブラストミセス属種(Blastomyces spp.)、カドフォラ属種(Cadophora spp.)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、セルコスポラ・アピイ(Cercospora apii)、クリソスポリウム属種(Chrysosporium spp.)、クラドスポリウム属種(Cladosporium spp.)、クラドスリクス・アステロイズ(Cladothrix asteroids)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、クリプトコッカス・アルビヅス(Cryptococcus albidus)、クリプトコッカス・ガッチイ(Cryptococcus gattii)、クリプトコッカス・ラウレンチイ(Cryptococcus laurentii)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クニンガメラ・エレガンス(Cunninghamella elegans)、デマチウム・ウェルネクケ(Dematium wernecke)、ディスコミセス・イスラエリイ(Discomyces israelii)、エモンシア属種(Emmonsia spp.)、エモンシエラ・カプスラテ(Emmonsiella capsulate)、エンドミセス・ゲオトリクム(Endomyces geotrichum)、エントモフトラ・コロナテ(Entomophthora coronate)、エピデルモフィトン・フロッコスム(Epidermophyton floccosum)、フィロバシディエラ・ネオフォルマンス(Filobasidiella neoformans)、フォンセケア属種(Fonsecaea spp.)、ゲオトリカム・カンジヅム(Geotrichum candidum)、グレノスポラ・クハルトウメンシス(Glenospora khartoumensis)、ギムノアスカス・ギプセウス(Gymnoascus gypseus)、ハプロスポランギウム・パルブム(Haplosporangium parvum)、ヒストプラズマ属(Histoplasma)、ヒストプラズマ・カプスラツム(Histoplasma capsulatum)、ホルミシウム・デルマチディディス(Hormiscium dermatididis)、ホルモデンドルム属種(Hormodendrum spp.)、ケラチノミセス属種(Keratinomyces spp.)、ランゲロニア・ソウダネンセ(Langeronia soudanense)、レプトスファエリア・セネガレンシス(Leptosphaeria senegalensis)、リクテイミア・コリンビフェラ(Lichtheimia corymbifera)、ロブミセス・ロボイ.(Lobmyces loboi.)、ロボア・ロボイ(Loboa loboi)、ロボミコーシス(Lobomycosis)、マヅレラ属種(Madurella spp.)、マラセチア・フルフル(Malassezia furfur)、ミクロコッカス・ペレチエリ(Micrococcus pelletieri)、ミクロスポルム属種(Microsporum spp.)、モニリア属種(Monilia spp.)、ムコール属種(Mucor spp.)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ナンニッツィア属種(Nannizzia spp.)、ネオテスツディナ・ロサチイ(Neotestudina rosatii)、ノカルジア属種(Nocardia spp.)、オイディウム・アルビカンス(Oidium albicans)、オスポラ・ラクチス(Oospora lactis)、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、ペトリエリディウム・ボイディイ(Petriellidium boydii)、フィアロフォラ属種(Phialophora spp.)、ピエドライア・ホルタエ(Piedraia hortae)、ピチロスポルム・フルフル(Pityrosporum furfur)、ニューモシスチス・イロベシイ(Pneumocystis jirovecii)(またはニューモシスチス・カリニイ(Pneumocystis carinii))、プルラリア・ゴウゲロチイ(Pullularia gougerotii)、ピレノカエタ・ロメロイ(Pyrenochaeta romeroi)、リノスポリジウム・セーベリ(Rhinosporidium seeberi)、サボウラウディテス属(Sabouraudites)(ミクロスポルム属(Microsporum))、サルトリア・フミガテ(Sartorya fumigate)、セペドニウム属(Sepedonium)、スポロトリクム属種(Sporotrichum spp.)、スタキボトリス属(Stachybotrys)、スタキボトリス・カルタルム(Stachybotrys chartarum)、ストレプトミセス属種(Streptomyce spp.)、チネア属種(Tinea spp.)、トルラ属種(Torula spp.)、トリコフィトン属種(Trichophyton spp.)、トリコスポロン属種(Trichosporon spp.)、およびゾフィア・ロサチイ(Zopfia rosatii)からなる群から選択される。さらに別の実施形態では、ウイルスは、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリアコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマフォレストウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ブニヤウイルスラクロス、ブ
ニヤウイルスカンジキウサギ(Bunyavirus snowshoe hare)、オナガザルヘルペスウイルス(Cercopithecine herpesvirus)、チャンディプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、コロナウイルス、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ダグベウイルス、デュベンハゲ(Duvenhage)ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エボラウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス(lyssavirusalitis)、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ペギウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、馬痘ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパラインフルエンザ、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプーマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、イスファハン(Isfahan)ウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、レイクビクトリアマールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデール(Lordsdale)ウイルス、跳躍病ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎ウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、オルフウイルス、オロプーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、鷺山ウイルス、サリウイルスA、サシチョウバエ熱シチリアウイルス、サッポロウイルス、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、サルウイルス、シンドビスウイルス、サザンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルスO、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ウエストナイルウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ様疾患(Yaba-like disease)ウイルス、黄熱ウイルス、およびジカウイルスからなる群から選択される。特定の実施形態では、ヒトコロナウイルスはSARS-CoV-2である。さらなる実施形態では、抗原提示細胞は、ウイルスベクターを導入することによって操作される。さらなる実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクターである。別の実施形態では、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。さらに別の実施形態では、ワクチン製剤は、アジュバントを要さないが、アジュバントが含まれてもよい。
【0008】
ある特定の実施形態では、本開示はまた、細胞を1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤と3分から24時間接触させることによって、細胞由来小胞を遺伝子操作された細胞から誘導することと、細胞由来小胞を単離することとを含む、本開示のワクチン製剤を作製する方法を提供する。さらなる実施形態では、1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤は、塩化水銀、p-クロロ水銀ベンゼンスルホン酸、塩化第二金、p-クロロ水銀ベンゾエート、クロルメロドリン、メラルリドナトリウム、ヨードアセトミド、パラホルムアルデヒド、ジチオトレイトール、およびN-エチルマレイミドからなる群から選択される。さらなる実施形態では、1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤は、N-エチルマレイミドである。さらなる実施形態では、N-エチルマレイミドは、0.2mMから30mMの濃度で使用される。別の実施形態では、細胞は、マクロファージ、B細胞および樹状細胞から選択される。さらに別の実施形態では、細胞は樹状細胞である。さらなる実施形態では、細胞は不死化抗原提示細胞である。さらなる実施形態では、細胞は、ヒト対象由来のヒト胚幹細胞(hESC)または人工多能性幹細胞(iPSC)から分化されている。別の実施形態では、細胞はヒト初代細胞である。さらに別の実施形態では、抗原は、治療転帰の改善のために遺伝子改変された外来抗原または内因性抗原である。特定の実施形態では、外来抗原は、病原性または疾患を引き起こす微生物由来である。別の実施形態では、病原性または疾患を引き起こす微生物が、細菌、真菌、またはウイルスである。さらに別の実施形態では、細菌は、アクチノミセス・イスラエリイ、炭疽菌、セレウス菌、バルトネラ・ヘンセラ、バルトネラ・クインターナ、百日咳菌、ボレリア・ブルグドルフェリ、ボレリア・ガリニイ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・レクレンチス、ブルセラ・アボルツス、ブルセラ・カニス、ブルセラ・メリテンシス、ブルセラ・スイス、カンピロバクター・ジェジュニ、クラミジア・ニューモニエ、クラミジア・トラコマチス、オウム病クラミジア、ボツリヌス菌、クロストリジウム・ディフィシル、ウェルシュ菌、破傷風菌、ジフテリア菌、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、大腸菌、野兎病菌、インフルエンザ菌、ヘリコバクター・ピロリ、レジオネラ・ニューモフィラ、レプトスピラ・インターロガンス、レプトスピラ・サンタロサイ、レプトスピラ・ウェイリイ、レプトスピラ・ノグチイ、リステリア・モノサイトゲネス、らい菌、結核菌、マイコバクテリウム・ウルセランス、マイコプラズマ・ニューモニエ、淋菌、髄膜炎菌、緑膿菌、リケッチア・リケッチア、チフス菌、ネズミチフス菌、ソンネ菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・サプロフィチカス、ストレプトコッカス・アガラクチア、肺炎レンサ球菌、化膿レンサ球菌、梅毒トレポネーマ、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、コレラ菌、ペスト菌、エルシニア・エンテロコリチカ、および仮性結核菌から選択される。さらなる実施形態では、真菌は、アブシディア・コリンビフェラ、アブシディア・ラモセ、アコリオン・ガリナエ、アクチノマヅラ属種、アジェロミセス・デルマチディディス、アレウリスマ・ブラジリエンシス、アレルシェリア・ボイディイ、アルスロデルマ属種、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・フミガツ、バシディオボラス属種、ブラストミセス属種、カドフォラ属種、カンジダ・アルビカンス、セルコスポラ・アピイ、クリソスポリウム属種、クラドスポリウム属種、クラドスリクス・アステロイズ、コクシジオイデス・イミチス、クリプトコッカス・アルビヅス、クリプトコッカス・ガッチイ、クリプトコッカス・ラウレンチイ、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クニンガメラ・エレガンス、デマチウム・ウェルネクケ、ディスコミセス・イスラエリイ、エモンシア属種、エモンシエラ・カプスラテ、エンドミセス・ゲオトリクム、エントモフトラ・コロナテ、エピデルモフィトン・フロッコスム、フィロバシディエラ・ネオフォルマンス、フォンセケア属種、ゲオトリカム・カンジヅム、グレノスポラ・クハルトウメンシス、ギムノアスカス・ギプセウス、ハプロスポランギウム・パルブム、ヒストプラズマ属、ヒストプラズマ・カプスラツム、ホルミシウム・デルマチディディス、ホルモデンドルム属種、ケラチノミセス属種、ランゲロニア・ソウダネンセ、レプトスファエリア・セネガレンシス、リクテイミア・コリンビフェラ、ロブミセス・ロボイ.、ロボア・ロボイ、ロボミコーシス、マヅレラ属種、マラセチア・フルフル、ミクロコッカス・ペレチエリ、ミクロスポルム属種、モニリア属種、ムコール属種、結核菌、ナンニッツィア属種、ネオテスツディナ・ロサチイ、ノカルジア属種、オイディウム・アルビカンス、オスポラ・ラクチス、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、ペトリエリディウム・ボイディイ、フィアロフォラ属種、ピエドライア・ホルタエ、ピチロスポルム・フルフル、ニューモシスチス・イロベシイ(またはニューモシスチス・カリニイ)、プルラリア・ゴウゲロチイ、ピレノカエタ・ロメロイ、リノスポリジウム・セーベリ、サボウラウディテス属(ミクロスポルム属)、サルトリア・フミガテ、セペドニウム属、スポロトリクム属種、スタキボトリス属、スタキボトリス・カルタルム、ストレプトミセス属種、チネア属種、トルラ属種、トリコフィトン属種、トリコスポロン属種、およびゾフィア・ロサチイから選択される。さらなる実施形態では、ウイルスは、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリアコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマフォレストウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ブニヤウイルスラクロス、ブニヤウイルスカンジキウサギ、オナガザルヘルペスウイルス、チャンディプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、コロナウイルス、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ダグベウイルス、デュベンハゲウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エボラウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ペギウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、馬痘ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパラインフルエンザ、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプーマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、イスファハンウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、レイクビクトリアマールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデールウイルス、跳躍病ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎ウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、オルフウイルス、オロプーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、鷺山ウイルス、サリウイルスA、サシチョウバエ熱シチリアウイルス、サッポロウイルス、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、サルウイルス、シンドビスウイルス、サザンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルスO、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ウエストナイルウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ様疾患ウイルス、黄熱ウイルス、およびジカウイルスからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、ヒトコロナウイルスはSARS-CoV-2である。別の実施形態では、抗原は癌または腫瘍抗原である。さらに別の実施形態では、遺伝子操作された細胞は、細胞を、抗原をコードするウイルスベクターで形質転換することによって作製される。さらに別の実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクターである。さらなる実施形態では、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。
【0009】
特定の実施形態では、本開示は、治療有効量の本明細書において開示されるワクチン製剤を対象に投与することを含む、対象を免疫化する方法をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1C】SARS-CoV-2スパイクタンパク質(S)発現DC2.4細胞に由来するEBの調製および特徴付けを示す図である。(A)S発現のためのDC2.4細胞のレンチウイルス形質導入、続くブレブ形成および同系マウスのワクチン接種。簡潔に述べると、DC2.4細胞を、ピューロマイシン選択に先立ってS発現レンチウイルスで形質導入した。次に、DC2.4S細胞をブレブ形成緩衝液で処置し、EBを産生した。マイクロサイズのEBを、遠心分離によって単離し、動物をワクチン接種するのに使用し、続いてSへの抗体結合およびSシュードタイプウイルスの中和についてアッセイを行った。(B)DC2.4細胞、DC2.4S細胞、DC2.4EBおよびDC2.4S EBを、S発現についてフローサイトメトリーによって分析した。(C)2.5×10
5個のDC2.4S細胞および2.5×10
5個のDC2.4S細胞に等価な表面積のDC2.4S EBを溶解し、それらのS含有量をELISAによって定量化した。
【
図2】2mM N-エチルマレイミド(NEM.)を使用して、DC2.4細胞およびDC2.4スパイク細胞から誘導された細胞外ブレブ(EB)の画像を示す図である。
【
図3】DC2.4およびDC2.4S細胞ならびにそれらの細胞外ブレブ(EB)の表面積を示す図である。細胞を、ブレブ形成前にPKH26で標識した。単離および精製後、2.5×10
5個のDC2.4およびDC2.4S細胞から産生されたEBを溶解し、570nmのEm/590nmのExでPKH26の蛍光によって定量化した。EBは、それらの親細胞と類似した蛍光強度を示し、高度に保存された膜変換を示した。
【
図4】DC2.4S細胞およびDC2.4S EBの表面マーカー分析を提供する図である。DC2.4細胞を、SARS-CoV-2スパイクタンパク質(S)発現レンチウイルスを使用して形質導入し、DC2.4S EBの調製に使用した。DC2.4S細胞およびDC2.4S EBはともに、フローサイトメトリーによる分析前に、蛍光標識した抗体で染色することによってCD11c、MHC I、CD40、CD80、およびCD86(Biolegend、CA、USA)に関して標識された。とりわけ、CD11c、CD80、およびCD86の発現は、DC2.4S細胞よりもDC2.4S EBでわずかに高かった。
【
図5】フローサイトメトリーを使用して共刺激分子発現について分析したDC2.4細胞を示す図である。DC2.4細胞を、LPS活性化の前および後にCD11c、CD40、CD80、CD86、およびMHC I(Biolegend、CA、USA)に対する蛍光抗体で標識した。
【
図6】フローサイトメトリーを使用して共刺激分子発現について分析したDC2.4スパイク細胞を示す図である。樹状細胞を、LPS活性化の前および後にCD11c、CD40、CD80、CD86、およびMHC I(Biolegend、CA、USA)に対する蛍光抗体で標識した。
【
図7】in vivoワクチン接種実験の概略図を提供する図である。
【
図8】マウス血清由来のスパイクIgG ELISAの結果を示す図である。PBS、スパイクタンパク質(10μg/マウス)、2.5×10
5個の細胞の等価なスパイクタンパク質(15ng/マウス)、2.5×10
5個のDC2.4細胞およびDC2.4スパイク細胞、表面積による等価な量の2.5×10
5個のDC2.4およびDC2.4スパイクEBによる免疫化後の0日目(プライム)、14日目(ブースター)および24日目(ブースターの10日後)に、血清をマウスから収集した。
【
図9】マウス血清から得られた中和アッセイの結果を示す図である。血清およびシュードタイプSARS-CoV-2スパイクGFPレンチウイルスを、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、1×10
4個のACE-2発現293T細胞を添加し、48時間インキュベートし、フローサイトメトリーを使用して分析した。平均蛍光強度(MFI)を使用して、血清試料のIC
50を決定した。
【
図10】マウス血清由来のスパイクIgG ELISAの結果を示す図である。PBS、S(マウス1匹あたり10μg、従来のタンパク質ワクチン接種用量)、S(15ng/マウス、DC2.4SおよびDC2.4S EBの用量と等価なS用量)、2.5×10
5個のDC2.4細胞およびDC2.4スパイク細胞、表面積による等価な量の2.5×10
5個のDC2.4およびDC2.4スパイクEBで免疫化した後の60日目に、血清をマウスから収集した。
【
図11】IVAX-1アジュバントで免疫化したマウスからのスパイクIgG ELISAの結果を示す図である。PBS、スパイクタンパク質(10μg/マウス)、2.5×10
5個の細胞の等価なスパイクタンパク質(15ng/マウス)、2.5×10
5個のDC2.4細胞およびDC2.4スパイク細胞、表面積による等価な量の2.5×10
5個のDC2.4およびDC2.4スパイクEBによる免疫化後の0日目(プライム)、14日目(ブースター)および24日目(ブースターの10日後)に、血清をマウスから収集した。
【
図12】14日目(ブースターショット)および24日目(ブースターショットの10日後)のIVAX-1アジュバント注射を用いた、または用いないスパイクIgG ELISAの結果を示す図である。
【
図13】IVAX-1アジュバントで免疫したマウス血清から得られた中和アッセイの結果を提供する図である。血清およびシュードタイプSARS-CoV-2スパイクGFPレンチウイルスを、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、2×10
4個のACE-2発現293T細胞を添加し、48時間インキュベートし、フローサイトメトリーを使用して分析した。平均蛍光強度(MFI)を使用して、血清試料のIC
50を決定した。
【
図14C】抗体生成およびウイルス中和によって測定されたDC2.4S EBによる動物ワクチン接種を示す図である。(A)同系C57/BL6マウスのIVAXによるワクチン接種、および採血レジメン(n=5)。(B)PBS、S(マウス1匹あたり10μg、従来のタンパク質ワクチン接種用量)、S(15ng/マウス、DC2.4SおよびDC2.4S EBの用量と等価なS用量)、DC2.4およびDC2.4S細胞、ならびにDC2.4およびDC2.4S EB(2.5×10
5個の相当する細胞の表面積による等価な量)でワクチン接種したマウス由来の血漿中の抗S抗体を、ELISAによって定量化した。(C)ワクチン接種したマウスから採取した血漿の中和能を、293T ACE2細胞を形質導入する前に、SシュードタイプGFP発現レンチウイルスとともにインキュベートした。プライム注射時(0日目)に収集した血漿中では、抗体は定量化しなかった(データは示していない)。テューキーの事後検定を用いた一元配置ANOVAにより
*p<0.05、p<0.001、
***p<0.001。
【
図15】アジュバント、IVAX-1を用いた、または用いないIgG産生を示す図である。PBS、S(マウス1匹あたり15ng、DC2.4S EBの用量と等価なS量)、S(マウス1匹あたり10μg、従来の用量)、2.5×10
5個のDC2.4細胞、2.5×10
5個のDC2.4S細胞、DC2.4 EB、およびDC2.4S EB(ここでは、2.5×10
5個の細胞と等価な表面積を有するEBを使用した、IVAX-1を用いて、または用いずに)をワクチン接種したマウスから収集した血漿中のSに対するIgGのレベル。マウスを14日間隔で2回免疫化し(プライムショットおよびブースターショット)、血漿をブースターショット時(14日目)およびブースターショットの10日後(24日目)に収集した。データは、平均値±SDとして表す(1群あたりn=5)。テューキーの事後検定を用いた一元配置ANOVAにより
**p<0.01、
***p<0.001。
【
図16B】IgG中和Sシュードタイプレンチウイルスの産生を示す図である。(A)血漿を、(B)Sシュードタイプレンチウイルスの中和に先立って、アジュバントを用いずに、PBS、遊離SPK(15ngおよび10μg)、DC2.4およびDC2.4S細胞、ならびにDC2.4およびDC2.4S EB(n=5)でワクチン接種したマウスから、ブースター時(14日目)およびブースターの10日後(24日目)に収集した。24日目に高用量(マウス1匹あたり10μg)のSおよびDC2.4S EBでワクチン接種したマウスから収集した血漿中のIgG量に顕著な差が見られたにもかかわらず(
図15を参照)、それらは、同等のウイルス中和能力を示した。このことは、EBが遊離タンパク質よりも高い中和能を有するIgGを産生することを示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他の状況を指示しない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「細胞外ブレブ」に対する言及は、複数のそのような細胞外ブレブを包含し、「ワクチン」に対する言及は、1つまたは複数のワクチンおよび当業者に公知のそれらの等価物に対する言及を包含する。
【0012】
また、「または」の使用は、別記されない限り、「および/または」を意味する。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含んでいる」、「包含する(include)」、「包含する(includes)」、および「包含している」は交換可能であり、限定すると意図されるものではない。
【0013】
様々な実施形態の記載が「含んでいる」という用語を使用する場合、いくつかの具体例において、一実施形態が「本質的にからなる」または「からなる」という言語を使用して代替的に記載され得ることが当業者に理解されることは、さらに理解されよう。
【0014】
別記されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語は全て、本開示が属する技術分野における当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。多くの方法および試薬は、本明細書に記載されるものと同様または等価であるが、例示的な方法および材料が本明細書において開示されている。
【0015】
本明細書で言及される刊行物は全て、方法論を記載および開示する目的で、参照により本明細書に完全に組み込まれ、それらは本明細書における記載に関連して使用され得る。さらに、本開示において明確に定義された用語に類似しているか、またはそれと同一である1つまたは複数の刊行物において提示される任意の用語に関しては、本開示において明確に提供されるような用語の定義が、全ての点で優先される。
【0016】
本開示は、本明細書において記載される特定の方法論、プロトコール、および試薬などに限定されるものではなく、したがって多様であり得ることが理解されるべきである。本明細書において使用される用語は、特定の実施形態について記載することのみを目的としており、特許請求の範囲によってのみ規定される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0017】
実用例におけるもの、または別記される場合を除いて、本明細書において使用される成分の量または反応条件を表す数は全て、全ての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。「約」という用語は、パーセントに関連して本発明について記載するのに使用される場合、±1%を意味する。
【0018】
「ブレブ形成」、「原形質膜ブレブ形成」または「細胞膜ブレブ形成」という用語は、本明細書において使用される場合、全てが、細胞外ブレブ(EB)の産生をもたらす細胞内において原形質膜ブレブ形成を誘導する本明細書において開示される方法を指す。ブレブは、細胞骨格が原形質膜から局所的に分断することによって引き起こされる細胞の原形質膜における不規則なバルジである。バルジは最終的に、ともに細胞質に関わる親原形質膜から分離して、小胞、即ち、細胞外ブレブを形成する。ブレブ形成はまた、細胞の移動運動および細胞分裂を含むいくつかの正常な細胞プロセスに関与している。原形質膜の典型的なブレブ形成は、後期アポトーシスを経験した細胞の形態学的特徴であるのに対して、化学的または物理的に誘導されたブレブ形成は、細胞および分子プロファイルが保存され、一貫して高収率の任意の細胞段階での原形質膜を変換する能動的な方法である。したがって、細胞ブレブ形成は、物理的または化学的処置によって操作することができる。細胞ブレブ形成は、微小管の分解後、アクチン重合の阻害、膜の剛性の増加またはミオシン運動の不活性化によって、および細胞内圧力を調整することによって誘導することができる。EBはまた、スルフヒドリル基を結合する薬剤(即ち、スルフヒドリル遮断剤)への曝露などの様々な細胞外化学刺激に応答して産生され得る。
【0019】
「ブレブ形成剤」という用語は、本明細書において使用される場合、細胞に投与されると、細胞が原形質膜ブレブ形成を経験するよう誘導するスルフヒドリル遮断剤などの化学剤を指す。
【0020】
「細胞外ブレブ」または「EB」という用語は、本明細書において使用される場合、「誘導細胞由来小胞」または「ICV」と同義であり、細胞とブレブ形成剤との接触からの直接的な結果として形成される細胞外小胞を指す。したがって、EBは、天然に存在する細胞外小胞と同義ではない。というのは、後者はブレブ形成剤の存在なしで形成されるのに対して、前者は産生されるのにブレブ形成剤の使用を必要とするためである。本明細書において記載される方法および組成物は、全てのサイズのEBに適用することができる。特定の実施形態では、本明細書において記載される方法および組成物は、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、950nm、1000nm、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nm、1600nm、1700nm、1800nm、1900nm、2000nm、2500nm、3000nm、3500nm、4000nm、5000nm、10μm、15μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、または前述の値のいずれか2つを含むか、もしくはその間に存在する任意の範囲(その小数増分を含む)の平均直径を有するEBを含む。さらに、本明細書において開示されるEBは、治療転帰の改善のために遺伝子改変された外来抗原もしくは内因性抗原を発現する遺伝子操作された細胞または感染された細胞から産生される。本開示のEBは、核酸、タンパク質、ペプチド、脂質、オリゴ糖などの生体分子;抗ウイルス薬、抗生物質、および抗真菌薬のような医薬品などの治療剤;プロドラッグ;遺伝子サイレンシング剤;化学療法;診断剤;CRISPR-Cas系、CRISPRi系、またはCRISPR-Cpf1系などの遺伝子編集系の構成成分などをさらに封入してもよい。特定の実施形態では、本明細書において開示されるEBは、本明細書において開示されるような外来抗原を発現する遺伝子操作された抗原性提示細胞または感染された細胞から産生され、ここでEBは、封入された抗ウイルス剤、抗生物質、および/または化学療法剤をさらに含む。
【0021】
「ナノメートルサイズの細胞外ブレブ」、「nEB」または「nICV」という用語は、本明細書において使用される場合、ナノメートルサイズ範囲の直径を有する本明細書において記載されるようなブレブ形成剤を使用して細胞から産生されたEBを指す。特定の実施形態では、nEBは、5nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、最大1000nmの直径を有するか、または前述の値のいずれか2つを含むか、もしくはその間に存在する範囲(その小数増分を含む)である。
【0022】
「マイクロメートルサイズの細胞外ブレブ」、「mEB」または「mICV」という用語は、本明細書において使用される場合、全てがマイクロメートルサイズ範囲の直径を有する本明細書において記載されるようなブレブ形成剤を使用して遺伝子操作された細胞または感染された細胞から産生された細胞外ブレブを指す。特定の実施形態では、mEBは、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、10μm、15μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、または前述の値のいずれか2つを含むか、もしくはその間に存在する範囲(その小数増分を含む)の直径を有する。
【0023】
「外来抗原」という用語は、本明細書において使用される場合、体外に由来する抗原を指す。外来抗原の例として、ウイルスもしくは微生物(細菌および原生動物など)の一部またはそれらによって産生された物質、ならびにヘビ毒中の物質、食品中のある特定のタンパク質、および他の個体由来の血清および赤血球の構成成分が挙げられる。
【0024】
「内因性抗原」という用語は、対象自体の細胞に由来する抗原を指す。内因性抗原の例として、癌または腫瘍抗原、ならびに病原体(例えば、細菌、ウイルス、または真菌)による感染の結果で産生された細胞抗原が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
「感染された細胞」という用語は、病原性ウイルス、細菌または真菌で感染された細胞を指す。そのような感染された細胞から作製された細胞外ブレブは、本明細書において開示されるようなワクチン製剤を作製するのに使用することができる。病原性ウイルス、細菌または真菌は、その自然な状態で見出される場合もあり、あるいはその自然な状態から改変される場合もある。
【0026】
「スルフヒドリル遮断剤」という用語は、本明細書において使用される場合、スルフヒドリル基が、通常アルキル化もしくはジスルフィド交換反応を介してスルフヒドリル遮断剤によって遮断または結合されるように細胞のスルフヒドリル基と相互作用する化合物または試薬を指す。スルフヒドリル基を遮断もしくは結合する本明細書において開示される方法または組成物において使用することができる化学剤として、塩化水銀、p-クロロ水銀ベンゼンスルホン酸、塩化第二金、p-クロロ水銀ベンゾエート、クロルメロドリン、メラルリドナトリウム、ヨードアセトアミド、パラホルムアルデヒド、ジチオトレイトール、およびN-エチルマレイミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
「有効量」という用語は、本明細書において使用される場合、所望の結果または効果の少なくとも再現可能に検出可能な量を生じるのに十分な量を指す。有効量は、特定の状態および状況によって異なる。そのような量は、所与の状況に対して当業者によって決定され得る。
【0028】
「患者」、「対象」および「個体」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、予防処置(例えば、ワクチン接種)を含む処置が提供される動物、特にヒトを指す。これには、ヒトおよび非ヒト動物が含まれる。「非ヒト動物」という用語は、本明細書において使用される場合、全ての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類(特に高等霊長類)、ヒツジ、イヌ、齧歯類(例えば、マウスまたはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ、ウシなどの哺乳動物およびニワトリ、両生類、爬虫類などの非哺乳動物を含む。1つの実施形態では、対象はヒトである。別の実施形態では、対象は、実験動物または疾患モデルとしての動物代用である。「哺乳動物」は、ヒト、非ヒト霊長類、家畜動物および農場動物、動物園の動物、スポーツ動物、またはペット動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギなどを含む哺乳動物として分類される任意の動物を指す。患者または対象には、前述の任意のサブセット、例えば、上記の全てが含まれるが、ヒト、霊長類もしくは齧歯類などの1つまたは複数の群または種は排除される。対象は、雄または雌であり得る。対象は、完全に発達した対象(例えば、成体)または発達過程を経験している対象(例えば、子供、乳児または胎児)であり得る。
【0029】
「単離された」という用語は、本明細書において開示されるEBに関連して使用される場合、EBが、それが生成されたか、またはそれが通常自然に存在するたいていの他の細胞構成成分から分離されているという事実を指す。本明細書において開示されるEBは通常、それらが、たいていの他の細胞構成成分および細胞砕片から実質的に単離されている状態乃至完全に単離されている状態に調製されている。
【0030】
「治療有効量」という用語は、本明細書において使用される場合、状態を有する典型的な対象に投与された場合に、状態の1つまたは複数の症状における治療上有意な低減に影響を及ぼすのに十分な量を指す。症状における治療上有意な低減は、例えば、対照または非処置対象と比較した場合に例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、またはそれ以上である。
【0031】
「処置する」または「処置」という用語は、本明細書において使用される場合、症状を排除または減少することが目的である治療的処置を指す。有益な、または所望の臨床結果として、症状の排除、症状の軽減、状態の程度の減少、状態の安定化(即ち、悪化しないこと)状況、状態の進行の遅延または緩徐化が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
ワクチンは、免疫応答を誘導するように設計された有用な生物学的製剤である。場合によっては、ワクチンは、特定病原体に対する免疫を高めるのに使用される。理想的なワクチンは、下記要件:(1)疾患から防御するだけでなく、それほど免疫不全状態でない個体を含むワクチン接種された個体において感染も防止すること、(2)抗原または抗原コード材料をプロセシングし、所望の抗原材料を抗原提示細胞(APC)によってT細胞に提示すること、(3)最小限の免疫化またはブースター用量で長期的な免疫応答を誘発すること、および(4)容易に製造、保管することが可能であり、手の届くコストおよび限られた時間で世界規模のワクチン接種を利用可能にさせることを満たすべきである。生物全体または大きなタンパク質を含む従来のワクチンは、アレルギー反応の可能性の増加とともに不必要な抗原負荷をもたらし、多くの場合、免疫活性化の上昇のために免疫原性アジュバントを必要とし、所望の免疫の活性化の発生を保証しない。したがって、新規ワクチン技術および既存の方法および戦略のさらなる改良は、ワクチン有効性を高めるのに必要とされる。抗原性タンパク質からなるワクチンの伝統的な形態は、複数のエピトープを標的とする抗体の生成において安全性および有効性が証明されている一方で、不活化ウイルスおよび弱毒ウイルスは、多くの場合、細胞性免疫および液性免疫の両方を生成するのに最も強力であると考えられている。急速に開発され、現在承認されているmRNAおよびウイルスベクターCOVID-19ワクチンの欠点として、軽度から重篤な副作用、有効性の制限、および懸念される変異株(VOC)に対する耐持続性、ならびに保管および流通の難しさが挙げられる。
【0033】
ワクチン抗原、特に精製または組換えサブユニットワクチンは、多くの場合、免疫原性が乏しく、防御免疫を刺激するのに役立つアジュバントの使用を要する。現在承認されているアジュバントの成功にかかわらず、特にワクチン接種に対する応答が乏しい集団において、防御抗体反応を増強する改善されたアジュバントおよび送達プラットフォームの開発が依然として必要とされている。本開示は、ワクチン用途用の抗原を発現する操作された細胞または感染された細胞からの細胞外ブレブの産生を誘導するプラットフォーム技術を提供する。無細胞の細胞模倣プラットフォームは、アジュバントを必要とせずに液性免疫応答を誘発するための特異的抗原を含有する。例えば、本明細書において提示される研究において、DCはブレブ形成前にすでに免疫刺激されており、アジュバントの使用は、ワクチン接種有効性をほんのわずかに改善した。したがって、本明細書において開示されるEBを含むワクチン製剤は、液性免疫応答を誘発するためのアジュバントを必要としないことによって、さらなる安全上の利点を有する。
【0034】
特異的免疫原性断片を含む遺伝子操作されたワクチンは、強力で標的を定めた免疫応答を誘発し、アレルギー反応の可能性を回避する上でより効率的である。本開示は、選り抜きの抗原を提示するために容易に適応される操作されたEBの迅速かつ大規模な産生を提供する。本明細書において示される研究は、操作された樹状細胞に由来するEBが、分解を伴わずに抗原性タンパク質またはペプチドの発現を維持し、in vivoで安全でかつ有効な免疫原性応答を提供したことを実証している。操作されたEBは無細胞であり、液性応答の増強を誘発するように抗原を提示することができる。本開示の方法および組成物の利点の1つは、操作された細胞由来のEBが抗原用量を維持することができ、免疫応答の増強および全身性有害作用の潜在的な低減をもたらすことである。本開示の方法および組成物の別の利点は、操作された細胞由来のEBが、免疫系が衰弱した患者をワクチン接種するのに使用することができることである。
【0035】
細胞の細胞膜の急速なブレブ形成を開始する特有で効率的な化学的に誘導された生産技術を用いることによって、操作された細胞または感染された細胞からのEBの産生を誘導することができる方法が本明細書において提供される。他の細胞外小胞生産技術に反して、本開示の方法は、それらの親細胞への提示が同一である、操作された細胞から高収率の誘導された細胞小胞(EB)を急速に生成する。
【0036】
抗原提示細胞(APC)またはアクセサリー細胞は、その表面に主要組織適合複合体(MHC)タンパク質によって結合された抗原を示す細胞であり、このプロセスは、抗原提示として既知である。T細胞は、それらのT細胞受容体(TCR)を使用してこれらの複合体を認識し得る。APCは、抗原をプロセシングし、それらをT細胞に提示する。
【0037】
ほとんど全ての細胞型が、何らかの方法で抗原を提示することができる。それらは、様々な組織型において見出される。マクロファージ、B細胞および樹状細胞を含むプロフェッショナル抗原提示細胞は、外来抗原をヘルパーT細胞に提示するのに対して、ウイルス感染された細胞(または癌細胞)は、細胞内に由来する抗原を細胞傷害性T細胞に提示することができる。抗原提示は、MHCファミリーのタンパク質に加えて、APCおよびT細胞の両方の表面の他の特殊なシグナル伝達分子に依存している。
【0038】
抗原提示細胞は、細胞傷害性T細胞およびヘルパーT細胞の両方の機能がAPCに依存しているため、有効な適応免疫応答にとって極めて重要である。抗原提示は、適応免疫の特異性を可能にし、細胞内および細胞外病原体の両方に対する免疫応答に寄与し得る。また、抗原提示は、腫瘍に対する防御にも関与している。癌療法によっては、適応免疫系をプライミングして悪性細胞を標的とする人工APCの創出を包含する。
【0039】
抗原提示細胞は、プロフェッショナルおよび非プロフェッショナルの2つのカテゴリーに分類される。共刺激分子およびパターン認識受容体とともにMHCクラスII分子を発現する細胞は、多くの場合、プロフェッショナル抗原提示細胞と呼ばれる。非プロフェッショナルAPCは、MHCクラスI分子を発現する。
【0040】
T細胞は、分裂して、それらの機能を果たすことができる前に活性化されなくてはならない。これは、それらのT細胞受容体によって認識される抗原を提示するプロフェッショナルAPCと相互作用することによって達成される。T細胞の活性化に関与するAPCは通常、樹状細胞である。T細胞は、「遊離」または可溶性抗原を認識することができない(したがって、それらに応答することができない)。T細胞は、MHC分子のような担体分子を介して細胞によってプロセシングおよび提示された抗原を認識して応答することができるのみである。ヘルパーT細胞は、MHCクラスIIに提示される外因性抗原を認識することができるのに対して、細胞傷害性T細胞は、MHCクラスIに提示される内因性抗原を認識することができる。体内のたいていの細胞は、抗原を、MHCクラスIを介してCD8+細胞傷害性T細胞に提示することができるが、「抗原提示細胞」という用語は、プロフェッショナルAPCについて記載するのに具体的に使用される場合が多い。そのような細胞は、MHCクラスIおよびMHCクラスII分子を発現し、CD4+ヘルパーT細胞ならびに細胞傷害性T細胞を刺激することができる。
【0041】
APCはまた、MHCクラスIファミリーと構造的に類似しているCD1ファミリーのタンパク質を使用することによって、外来および自己脂質をT細胞およびNK細胞に提示することができる。
【0042】
プロフェッショナルAPCは、T細胞へ抗原を提示することを専門としている。プロフェッショナルAPCは、食作用(例えば、マクロファージ)、または受容体媒介性エンドサイトーシス(B細胞)のいずれかによって抗原を内部移行し、抗原をペプチド断片へとプロセシングし、続いてそれらのペプチド(MHC分子に結合されている)をそれらの膜上に表示するのに非常に効率的である。T細胞は、抗原提示細胞の膜上の抗原-MHC分子複合体を認識し、それと相互作用する。次に、さらなる共刺激シグナルが、抗原提示細胞によって産生され、T細胞の活性化につながる。共刺激分子およびMHCクラスIIの発現は、プロフェッショナルAPCの決定的な特徴である。また、プロフェッショナルAPCは全て、同様にMHCクラスI分子を発現する。
【0043】
プロフェッショナル抗原提示細胞の主なタイプは、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、および樹状細胞である。
【0044】
マクロファージは、インターフェロンのT細胞分泌によって刺激され得る。この活性化後、マクロファージは、MHCクラスIIおよびB7複合体を含む共刺激分子を発現することが可能であり、貪食されたペプチド断片をヘルパーT細胞に提示することができる。活性化は、病原体感染されたマクロファージが感染を除去するのを助けることができる。マクロファージは、白血球の一種である単球に由来し、血液を循環して、患部に入り、単球からマクロファージへ分化する。患部では、マクロファージは、食作用と呼ばれるメカニズムで、感染または組織損傷の部位をその膜で取り囲む。
【0045】
B細胞は、それらのB細胞受容体に結合する抗原を内部移行し、それをヘルパーT細胞に提示することができる。T細胞とは異なり、B細胞は、それらのB細胞受容体が特異的である可溶性抗原を認識することができる。続いて、B細胞は、抗原をプロセシングし、MHCクラスII分子を使用してペプチドを提示することができる。T細胞によって活性化されると、B細胞は、抗体アイソタイプの切り替え、親和性の成熟、ならびにメモリー細胞の形成を経験することができる。
【0046】
樹状細胞は、最も広範囲の抗原提示を有し、ナイーブT細胞の活性化、ならびに抗原を内部移行し、MHC分子上に抗原ペプチドを提示した後の適応免疫応答および液性免疫応答の誘導に必要である。DCは、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞の両方に抗原を提示する。また、DCは、それらがMHCクラスI分子上の外因性抗原をCD8+細胞傷害性T細胞に提示するプロセスである交差提示を遂行することができる。交差提示は、これらのT細胞の活性化を可能にする。樹状細胞はまた、末梢性トレランスにおいて役割を果たし、それは自己免疫疾患の防止に寄与する。DCはまた、リンパ組織と非リンパ組織との間を遊走し、持続的な免疫応答を誘導するためにサイトカインおよびケモカインの勾配を調整する。ワクチン接種のためのDCの有効な使用は、非効率的な抗原提示、限られた遊走能、およびDC疲弊とも呼ばれるin vivoでの持続不可能な免疫刺激に起因して臨床的に実証されていない。ワクチン接種のために生DCを用いることの技術的欠点を克服する際、DC由来細胞外小胞(EV)は、SARS-CoV-2の抗原特異的中和を誘発する可能性を実証してきた。しかしながら、ワクチン開発は、EVの相反する免疫特権のある特性によって、ならびに高い構造的および機能的な不均一性から生じるそれらの特徴付けおよび製造の難しさによって課題を抱えており、代替のDC模倣ワクチンを必要としている。
【0047】
本開示は、生細胞および細胞由来EVの制限を回避する新規細胞外ブレブ(EB)ワクチンプラットフォーム技術を提供する。本明細書において提示される研究で示されたように、DCは、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(S)を効率的に発現するよう遺伝子操作され、化学ブレブ形成を介して無細胞のDC模倣ワクチンに変換された。化学ブレブ形成は、非常に効率的で、迅速で、かつスケーラブルな様式で細胞模倣小胞を創出し、結果として得られるEBは、構造および機能の両方において均質である。S発現DC由来EBを使用して、マウスをワクチン接種し、収集した血漿をSARS-CoV-2中和について検査した。この研究は、本開示のEBワクチンプラットフォーム技術の有用性を実証している。より具体的には、本開示のEBワクチンプラットフォーム技術は、所望の抗原を発現するよう細胞を遺伝子操作することを、次いで、上記抗原を無細胞の細胞様EBにおいて提示することを提供する。さらに、本開示のEBは、疲弊されるようになる細胞ベースのワクチンおよびすぐに除去されるタンパク質/核酸ワクチンとは正反対に、長期間にわたって抗原を提示するよう安定的にロックされていることに留意すべきである。
【0048】
本開示は、抗原(例えば、治療転帰の改善のために遺伝子改変された外来抗原または内因性抗原)を発現するよう操作された細胞(例えば、抗原提示細胞)を提供する。抗原を発現するよう細胞を操作する方法として、非ウイルスベクター;ウイルスベクター、またはそれらから作製されたウイルス;Sleeping Beauty(SB)トランスポゾン系を使用することによって導入遺伝子を導入すること;およびCRISPRベースの系、TALEN、ジンクフィンガーヌクレアーゼなどの遺伝子編集技術を使用することによってAPCのゲノムを改変することが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる実施形態では、細胞は、ウイルスベクターを細胞へ導入することによって抗原を発現するよう操作されている。ウイルスベクターの例として、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、アルファウイルスベクター、水疱性口内炎ウイルスベクター、ワクシニアアンカラウイルスベクター、センダイウイルスベクター、サイトメガロウイルスベクター、インフルエンザウイルスベクター、麻疹ウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、およびスプーマウイルスベクターが挙げられる。特定の実施形態では、細胞は、レンチウイルスベクター系を使用することによって抗原を発現するよう操作される。
【0049】
本開示は、病原性ウイルス、細菌または真菌に感染された細胞由来のEB(例えば、SARS-CoV-2感染された肺上皮細胞、クラミジア属ワクチン用のクラミジア属感染された子宮頸部細胞から産生されたEBなど)の産生および使用を提供する。それらから作製されたEBは、本明細書において開示されるようなワクチン製剤を作製するのに使用することができる。
【0050】
ワクチン接種のために生APCを用いることの技術的欠点を克服する際、APC由来細胞外小胞(EV)は、SARS-CoV-2の抗原特異的中和を誘発する可能性を実証してきた。しかしながら、ワクチン開発は、EVの相反する免疫特権のある特性によって、ならびに高い構造的および機能的な不均一性から生じるそれらの特徴付けおよび製造の難しさによって課題を抱えており、代替の細胞模倣ワクチンを必要としている。
【0051】
本開示は、生APCおよびAPC由来EVに対する代替物を提供する。本明細書において提示される研究で、DCは、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(S)を効率的に発現するよう遺伝子操作され、化学ブレブ形成を介して無細胞のDC模倣ワクチンに変換されることがわかった。化学ブレブ形成は、非常に効率的で、迅速で、かつスケーラブルな様式で細胞模倣小胞を創出し、結果として得られるEBは、構造および機能の両方において均質である。S発現APC由来EBを使用して、マウスをワクチン接種し、収集した血漿をSARS-CoV-2中和について検査した。この研究は、APCによる標的取り込みおよび所望の抗原提示のための抗原プロセシングを含む、ワクチン接種における困難を迂回することが可能な新規ワクチンプラットフォームを開発する実現可能性を実証した。
【0052】
EBは、本明細書においてさらに記載されるように、細胞を、ブレブ形成を誘導する化学剤と接触させることによって、細胞から産生され得る。EBは、CB1、DC2.4、3C10、MG38、GL7、I-11.15、162-21.2、DEC-205、VM-2、mSXL5、9AE10、GL1、M1/M89.18.7.HK、L11/135、M1/9.3.4.HL.2、D8/17、M1/69.16.11.H、KC-4G3、KC-4M1、M1/22.25.8.HL、XMMCO-791、PI 153/3、HO-2.2、4D11、I-13.35、5c8、K117、3G5、33D1、LCL 8664、F19、G253、LK 35.2、LS102.9、LB 27.4、M3/84.6.34、M3/38.1.2.8 HL.2、mSXL 114、UC10-4F10-11、A1G3、mSXL 18、7E11C5、16H3、およびA20などの不死化抗原提示細胞系から産生することができる。あるいは、EBは、抗原を発現するようさらに遺伝子改変された幹細胞または前駆細胞から分化された細胞から産生することができる。幹細胞の例として、ヒト胚幹細胞(hESC)および人工多能性幹細胞(iPSC)が挙げられる。これらの未分化細胞は、Senjuら、Gene Therapy 18:874~883ページ(2011)によって記載されるように、培養増殖されて、続いてAPCに分化させることができる。iPSCおよびhESC由来APCおよびAPC細胞系由来のものは、特定基準を維持するために広範囲に検査および特徴付けされ得るという利点があり、適正製造基準(GMP)ガイドラインを受けてAPCを製造する特有の機会を提供する。あるいは、細胞は、多細胞生物、特にヒトから初代細胞として単離され得る。初代細胞は、単離されてそのまま使用されてもよく、あるいは実験室で短期間成長または増殖させてもよい(例えば、10回またはそれ未満の継代、50回またはそれ未満の継代、100回またはそれ未満の継代)。さらに、初代細胞は、処置されるべき(即ち、個別化処置)対象から得られたAPCであってもよい。換言すると、対象は、抗原を発現するよう遺伝子操作された対象自体の細胞から産生されるEBで処置される。さらに、本開示は、病原性ウイルス、細菌または真菌に感染された細胞由来のEB(例えば、SARS-CoV-2感染された肺上皮細胞、クラミジア属ワクチン用のクラミジア属感染された子宮頸部細胞から産生されたEBなど)の産生および使用を提供する。
【0053】
本明細書において開示されるEB生産技術は、工業的および医学的適用性を有する無細胞の細胞様ワクチンを製造するためのスケーラブルな選択肢を提示する。さらに、本明細書において記載されるブレブ形成剤を使用することによって、遺伝子操作された細胞を誘導して、ワクチンとして使用することができるナノスケールおよびマイクロスケールのEBを産生することができる。細胞の生理活性特性を維持することによって、EBは投与時に免疫応答を誘発することができる。本発明において提示される研究において、EBは、アジュバントの非存在下でさえ、強力な免疫応答を誘発することができる。さらに、本明細書において開示されるEBは、所望であれば、他の治療剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬など)またはアジュバントを負荷することができる。
【0054】
本明細書において提示される研究において示されるように、SARS-CoV-2を標的とする抗原を発現するよう遺伝子操作された樹状細胞から産生されたEBは、マウスに免疫化されるとSARS-CoV-2に対する強力な免疫応答を誘発した。これらの結果に基づいて、本開示の組成物、方法およびキットは、(1)規定されたMHC IまたはMHC II制限エピトープを有する細胞ベースのワクチン、および(2)多価エピトープからなる細胞ベースのワクチンとして利用される。本開示の組成物、方法およびキットの潜在的な利点として、免疫応答の調整により特異的抗原に対してより有効なタイプの免疫を生じることが可能となること、抗体力価および細胞媒介性免疫の改善をもたらすこと、応答を広げること、抗原用量および所要用量数を低減させることが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
特に、本開示は、遺伝子操作された細胞から、または感染された細胞から、わずか数時間で高収率のEBを提供し、マイクロスケールおよびナノスケールサイズのEBの両方を産生する技法ならびに方法を規定する。例えば、本明細書において記載されるブレブ形成剤の使用は、8時間またはそれ未満でEBの産生を誘導することができる。
【0056】
さらなる実施形態では、ブレブ形成を誘導する化学剤は、スルフヒドリル遮断剤である。スルフヒドリル遮断剤の例として、塩化水銀、p-クロロ水銀ベンゼンスルホン酸、塩化第二金、p-クロロ水銀ベンゾエート、クロルメロドリン、メラルリドナトリウム、ヨードアセトミド、パラホルムアルデヒド、ジチオトレイトール、およびN-エチルマレイミドが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、EBは、遺伝子操作されたAPCを、(1)パラホルムアルデヒド、(2)パラホルムアルデヒドおよびジチオトレイトール、または(3)N-エチルマレイミドと接触させることによって、遺伝子操作されたAPCにおいて誘導されるブレブ形成から産生される。さらなる実施形態では、EBは、細胞を、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、110mM、120mM、130mM、140mM、150mM、160mM、170mM、180mM、190mM、200mM、210mM、220mM、230mM、240mM、250mM、または20mMと250mMから、および25mMから50mMを含む、前述の濃度のいずれか2つを含む範囲のパラホルムアルデヒドを含む溶液と接触させることによって、遺伝子操作された細胞において誘導されるブレブ形成から産生される。
【0057】
さらなる実施形態では、パラホルムアルデヒド(PFA)を含む溶液は、0.2mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.8mM、1mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、1.45mM、1.5mM、1.55mM、1.6mM、1.65mM、1.7mM、1.75mM、1.8mM、1.85mM、1.9mM、1.95mM、2.0mM、2.1mM、2.2mM、2.3mM、2.4mM、2.45mM、2.5mM、2.55mM、2.6mM、2.65mM、2.7mM、2.75mM、2.8mM、2.85mM、2.9mM、2.95mM、3.0mM、3.1mM、3.2mM、3.3mM、3.4mM、3.45mM、3.5mM、3.55mM、3.6mM、3.65mM、3.7mM、3.75mM、3.8mM、3.85mM、3.9mM、3.95mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM、5.5mM、6.0mM、6.5mM、7.0mM、7.5mM、8.0mM、8.5mM、9.0mM、9.5mM、10mM、または1.0mMから3mM、および1.5mMから2.5mMを含む、前述の濃度のいずれか2つを含むか、またはその間に存在する任意の範囲の濃度のジチオトレイトール(DTT)をさらに含む。代替的な実施形態では、EBは、細胞を、0.2mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.8mM、1.0mM、1.5mM、2.0mM、2.5mM、3.0mM、3.5mM、4.0mM、4.5mM、5.0mM、5.5mM、6.0mM、6.5mM、7.0mM、7.5mM、8.0mM、8.5mM、9.0mM、9.5mM、10.0mM、10.5mM、11.0mM、11.5mM、12mM、12.5mM、13.0mM、13.5mM、14.0mM、14.5mM、15.0mM、15.5mM、16.0mM、16.5mM、17.0mM、17.5mM、18.0mM、18.5mM、19.0mM、19.5mM、20mM、または2.0mMから20.0mM、および2.0mMから5.0mMを含む、前述の濃度のいずれか2つを含むか、またはその間に存在する任意の範囲の濃度のN-エチルマレイミド(NEM)を含む溶液と接触させることによって、遺伝子操作された細胞において誘導されたブレブ形成から産生される。さらなる実施形態では、PFA;PFAおよびDTT;またはNENを含む溶液は、緩衝平衡塩溶液を含む。緩衝生理食塩水の例として、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)、アール平衡塩溶液(EBSS)、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)、TRIS緩衝生理食塩水(TBS)、およびリンゲル平衡塩溶液(RBSS)が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる実施形態では、PFA;PFAおよびDTT;またはNEMを含む溶液は、0.5倍、0.6倍、0.7倍、0.8倍、0.9倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、および10倍、または前述の濃度/希釈のいずれか2つを含むか、もしくはその間に存在する任意の範囲(それらの小数値を含む)の濃度/希釈の緩衝平衡塩溶液を含む。
【0058】
ある特定の実施形態では、本開示はまた、EBが任意の適切な手段によって収集されて、EBをAPCまたはAPCの細胞砕片と分離し得ることを提供する。一部の実施形態では、EBを単離するために、細胞および細胞砕片は、1000から1500rpmで1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10分間の遠心分離、続くAPCおよびAPCの細胞砕片の除去によって除去することができる。続いて、mEBおよびnEBは、10,000×gから18,000×gで5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15分間の遠心分離によって回収することができる。EBは、濃縮器を使用してさらに濃縮され得る。本明細書において開示されるEBのサイズは、本明細書において提示される単離方法を使用することによって制御することができる。
【0059】
本開示はさらに、本明細書において開示されるEBが、(1)他の薬剤もしくは分子と組み合わせて、および/または(2)生体分子、治療剤、プロドラッグ、アジュバント、診断剤、および/または遺伝子編集系の構成要素などの他の薬剤または分子を負荷して使用され得ることを提供する。特定の実施形態では、EBは、1つまたは複数の抗ウイルス薬、抗生物質、抗真菌薬および/またはアジュバントを含むカーゴと組み合わせて、またはカーゴを負荷して使用される。
【0060】
本開示の実施形態に従って産生されたEBはまた、直接的な膜透過、化学的標識およびコンジュゲーション、静電コーティング、吸着、吸収、エレクトロポレーション、またはそれらの任意の組合せを介してカーゴを負荷され得る。さらに、本開示のある特定の実施形態に従って産生されたEBは、一部のカーゴがブレブ形成に先立ってAPCに導入され得るのに対して、さらなるカーゴがブレブ形成中またはブレブ形成後に負荷され得るように、複数の負荷工程を経験してもよい。さらに、EBは、ブレブ形成中にカーゴが負荷され、ブレブ形成後に別のカーゴがさらに負荷されてもよい。さらなる実施形態では、EBは、APCまたはEBを、25pg/mL、50pg/mL、100pg/mL、200pg/mL、300pg/mL、400pg/mL、500pg/mL、600pg/mL、700pg/mL、800pg/mL、900pg/ml、1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL、1μg/mL、10μg/mL、または前述の濃度の任意の2つを含むか、もしくはその間に存在する任意の範囲の濃度を有するカーゴとともにインキュベートすることによって、上記で規定されるようなカーゴで負荷され得る。さらに、インキュベーションは、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、24時間、48時間、または前述の時点のいずれか2つを含むか、もしくはその間に存在する任意の範囲で行われ得る。あるいは、負荷条件は、EBと化合物の比1:20~20:1、1:15~15:1、12:1~1:12、11:1~1:11、10:1~1:10、9:1~1:9、8:1~1:8、7:1~1:7、6:1~1:6、5:1~1:5、4:1~1:4、3:1~1:3、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、または1:1で行われ得る。さらに、カーゴ負荷されたEBの多分散性は、無負荷のEBと類似した多分散性指数(PDI)を有し得る。したがって、カーゴ負荷されたEBは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、または前述の値のいずれか2つを含むか、またはその間に存在する任意の範囲のPDIを有し得る。
【0061】
本開示はさらに、指定の投与様式用の本明細書に記載されるEBを含むワクチン製剤、ならびに医薬組成物および配合物を提供する。1つの実施形態では、ワクチン調製物または医薬組成物は、EBおよび薬学的に許容可能な担体を含む。「薬学的に許容可能な担体」という用語は、本明細書において使用される場合、対象薬剤を身体の臓器の1つ、もしくは一部から、身体の別の臓器、もしくは一部に運搬または輸送することに関与する、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料などの薬学的に許容可能な材料、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、組成物の他の成分と適合性であるという意味で「許容可能」でなければならず、対象、例えばヒトへの投与と適合性である。そのような組成物は、本明細書において記載される投与経路などの多数の経路のうちの1つまたは複数を介した投与用に特異的に製剤化され得る。補足的な有効成分も、組成物に組み込むことができる。
【0062】
本開示はさらに、無細胞ワクチンとしての本開示のEBを含む医薬組成物の使用を提供する。さらなる実施形態では、本開示はまた、ある量の本開示のEBを投与して、対象において免疫応答を誘発することを含む、対象を免疫化する方法を提供する。本明細書に記載されるEB製剤を患者に投与する適切な方法として、EBを患者に送達するのに適したin vivo投与の任意の経路によるものが挙げられる。好ましい投与経路は、使用されるワクチンのEBの製剤のタイプ、および標的細胞集団に応じて、当業者に明らかである。in vivo投与の好ましい方法として、静脈内投与、腫瘍間投与、腹腔内投与、筋内投与、冠動脈内投与、動脈内投与(例えば、頸動脈への)、皮下投与、経皮送達、気管内投与、皮下投与、関節内投与、心室内投与、吸入(例:エアロゾル)、脳内投与、鼻腔投与、経口投与、肺投与、カテーテルの含浸、および組織への直接注射が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、EBまたはそれらを含む製剤は、筋内投与される。ある特定の実施形態では、EBまたはそれらを含む製剤は、皮下投与される。
【0063】
静脈内投与、腹腔内投与、および筋内投与は、当該技術分野において標準的な方法を使用して実施することができる。エアロゾル(吸入)送達も、当該技術分野において標準的な方法を使用して実施することができる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるStriblingら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 189:11277~11281ページ、1992を参照)。経口送達は、本発明のEB製剤を、動物の腸における消化酵素による分解に抵抗することが可能な担体に複合体形成させることによって実施することができる。そのような担体の例として、当該技術分野において公知のものなどのプラスチックカプセルまたは錠剤が挙げられる。
【0064】
本明細書において記載されるワクチン接種方法に関する適切な投薬および処置レジメンは、送達されるEBおよび対象の特定の状態に関して多様である。1つの実施形態では、投与は、所望の効果が達成される(例えば、感染性病原体に対する強力な免疫応答)まで、一定期間にわたる。
【0065】
本明細書において提示される研究において、S発現樹状細胞(DC)に由来するEBは、中和抗体応答を誘発するのに要されるSの用量を実質的に低減させた(
図14を参照)。さらに、アジュバントは、EBベースのワクチンを用いた場合では不要であり(
図15および
図16を参照)、アジュバントによって引き起こされる副作用およびより簡素なワクチン配合物を用いた場合の規制当局の承認の制約が低下し、全体として臨床解釈が有望であった。EBベースのワクチンはまた、親DCの成熟状態に基づいて生物学的に調整可能な免疫活性化の可能性を提供する。本明細書において提示される予備的研究において、成熟状態を変化させることが不可能なDC2.4の樹立された細胞系が使用された。しかしながら、様々な共刺激シグナルを有する初代DCまたは骨髄由来DCに由来するEBの使用により、免疫活性化のレベルの制御が可能となり得る。
【0066】
DC由来S発現EBは、Sシュードタイプウイルスに対する中和抗体を生成した一方で、それらはまた、S特異的な細胞傷害性CD8+T細胞(CTL)を誘導することが可能であった可能性がある。最近の証拠によれば、細胞性免疫は、COVID-19からの回復に重要な役割を果たす。したがって、DC由来EBは、COVID-19処置戦略として研究された。DC2.4S EBは、MHC上に抗原性ペプチドを提示するだけでなく、内部にタンパク質を運搬する。研究により、MHC I負荷エクソソームは、免疫原性に乏しかったのに対して、完全長タンパク質を負荷したエクソソームは、in vivoで強力なCD8+T細胞応答を誘発したと報告されている。エクソソームと同様に、S封入EBは、APCによって取り込まれ、プロセシングされ、提示されることが可能であり、場合によって指向性細胞性免疫をもたらした。EBがT細胞への直接抗原提示と抗原性タンパク質送達を介した中和抗体生成にどれくらい寄与したかは不明確であり、それは内部のタンパク質が枯渇した中空のEBによってさらに研究することができる。
【0067】
したがって、本開示は、現在のCOVID-19ワクチンの限界に対処する、おそらく直接的な抗原送達とともにT細胞へのDCの抗原提示を模倣する新たなワクチンプラットフォームを提供する。SARS-CoV-2スパイクタンパク質を発現するように形質導入されたDCに由来する得られたEBは、タンパク質ワクチンによって誘発されたレベルに匹敵する中和抗体を、はるかに低用量で生成した。非常に安定でかつ凍結乾燥を許容するEB由来ワクチンは、現在承認されているCOVID-19ワクチンとは異なり、コールドチェーン輸送および保管が利用できない場所でCOVID-19を防止する有用な戦略を提供する。
【0068】
本明細書において記載される治療用途における使用のために、キットおよび製造品も、本明細書において記載される。そのようなキットは、バイアル、チューブなどの1つまたは複数の容器を受け入れるように区画化されているキャリア、パッケージ、または容器を含むことができ、容器はそれぞれ、本明細書において記載される方法において使用されるべき別個の要素のうちの1つを含む。適切な容器として、例えば、ビン、バイアル、シリンジ、および試験管が挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料で形成され得る。
【0069】
例えば、容器は、任意選択で組成物中に、または本明細書において開示されるような別の薬剤と組み合わせて、本明細書において記載される1つまたは複数のEBを含むことができる。容器は任意選択で、滅菌アクセスポートを有する(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈溶液バッグまたはバイアルであり得る)。そのようなキットは任意選択で、本明細書において開示される化合物を、本明細書において記載される方法におけるその使用に関する識別説明またはラベルまたは説明書とともに含む。
【0070】
キットは通常、1つまたは複数のさらなる容器を含み、それぞれが、本明細書において記載される化合物の使用のための商業的観点およびユーザの観点から望ましい各種材料(任意選択で濃縮形態の試薬、および/またはデバイスなど)のうちの1つまたは複数を有する。そのような材料の非限定的な例としては、緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ;使用のための内容物および/または説明書を列挙しているキャリア、パッケージ、容器、バイアルおよび/またはチューブのラベル、ならびに使用説明書を備えた添付文書が挙げられるが、これらに限定されない。説明書一式も、通常含まれる。
【0071】
ラベルは、容器上に、または容器に付随して存在し得る。ラベルを形成する文字、数字、またはその他の文字が容器自体に取り付けられているか、成形されているか、またはエッチングされている場合、ラベルは容器上に存在することができ、ラベルが例えば添付文書として、容器も保持するレセプタクルまたはキャリア内に存在する場合、ラベルは、容器に付随させることができる。ラベルは、内容物が特定用途に使用されるべきであることを示すのに使用することができる。ラベルはまた、本明細書において記載される方法におけるような、内容物の使用法を示すことができる。
【0072】
本開示は、本明細書において記載される方法および組成物が下記の態様(態様1から態様41)によってさらに規定され得ることをさらに提供する。
【0073】
1.抗原を発現するよう遺伝子操作された細胞由来の細胞外ブレブを含むワクチン製剤であって、
該細胞外ブレブが、該抗原提示細胞をブレブ形成剤で処置することによって該細胞から産生され、該抗原が、該細胞外ブレブの表面に表示される、ワクチン製剤。
【0074】
2.前記細胞が、マクロファージ、B細胞および樹状細胞から選択される、態様1のワクチン製剤。
【0075】
3.前記細胞が樹状細胞である、態様1または態様2のワクチン製剤。
【0076】
4.前記細胞が不死細胞である、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0077】
5.前記細胞が、ヒト対象由来のヒト胚幹細胞(hESC)または人工多能性幹細胞(iPSC)から分化されている、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0078】
6.前記細胞がヒト初代細胞である、態様1から態様4のいずれか1つのワクチン製剤。
【0079】
7.前記抗原が、治療転帰の改善のために遺伝子改変された外来抗原または内因性抗原である、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0080】
8.前記外来抗原が、病原性または疾患を引き起こす微生物由来である、態様7のワクチン製剤。
【0081】
9.前記病原性または疾患を引き起こす微生物が、細菌、真菌、またはウイルスである、態様8のワクチン製剤。
【0082】
10.前記細菌が、アクチノミセス・イスラエリイ、炭疽菌、セレウス菌、バルトネラ・ヘンセラ、バルトネラ・クインターナ、百日咳菌、ボレリア・ブルグドルフェリ、ボレリア・ガリニイ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・レクレンチス、ブルセラ・アボルツス、ブルセラ・カニス、ブルセラ・メリテンシス、ブルセラ・スイス、カンピロバクター・ジェジュニ、クラミジア・ニューモニエ、クラミジア・トラコマチス、オウム病クラミジア、ボツリヌス菌、クロストリジウム・ディフィシル、ウェルシュ菌、破傷風菌、ジフテリア菌、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、大腸菌、野兎病菌、インフルエンザ菌、ヘリコバクター・ピロリ、レジオネラ・ニューモフィラ、レプトスピラ・インターロガンス、レプトスピラ・サンタロサイ、レプトスピラ・ウェイリイ、レプトスピラ・ノグチイ、リステリア・モノサイトゲネス、らい菌、結核菌、マイコバクテリウム・ウルセランス、マイコプラズマ・ニューモニエ、淋菌、髄膜炎菌、緑膿菌、リケッチア・リケッチア、チフス菌、ネズミチフス菌、ソンネ菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・サプロフィチカス、ストレプトコッカス・アガラクチア、肺炎レンサ球菌、化膿レンサ球菌、梅毒トレポネーマ、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、コレラ菌、ペスト菌、エルシニア・エンテロコリチカ、および仮性結核菌から選択される、態様9のワクチン製剤。
【0083】
11.前記真菌が、アブシディア・コリンビフェラ、アブシディア・ラモセ、アコリオン・ガリナエ、アクチノマヅラ属種、アジェロミセス・デルマチディディス、アレウリスマ・ブラジリエンシス、アレルシェリア・ボイディイ、アルスロデルマ属種、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・フミガツ、バシディオボラス属種、ブラストミセス属種、カドフォラ属種、カンジダ・アルビカンス、セルコスポラ・アピイ、クリソスポリウム属種、クラドスポリウム属種、クラドスリクス・アステロイズ、コクシジオイデス・イミチス、クリプトコッカス・アルビヅス、クリプトコッカス・ガッチイ、クリプトコッカス・ラウレンチイ、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クニンガメラ・エレガンス、デマチウム・ウェルネクケ、ディスコミセス・イスラエリイ、エモンシア属種、エモンシエラ・カプスラテ、エンドミセス・ゲオトリクム、エントモフトラ・コロナテ、エピデルモフィトン・フロッコスム、フィロバシディエラ・ネオフォルマンス、フォンセケア属種、ゲオトリカム・カンジヅム、グレノスポラ・クハルトウメンシス、ギムノアスカス・ギプセウス、ハプロスポランギウム・パルブム、ヒストプラズマ属、ヒストプラズマ・カプスラツム、ホルミシウム・デルマチディディス、ホルモデンドルム属種、ケラチノミセス属種、ランゲロニア・ソウダネンセ、レプトスファエリア・セネガレンシス、リクテイミア・コリンビフェラ、ロブミセス・ロボイ.、ロボア・ロボイ、ロボミコーシス、マヅレラ属種、マラセチア・フルフル、ミクロコッカス・ペレチエリ、ミクロスポルム属種、モニリア属種、ムコール属種、結核菌、ナンニッツィア属種、ネオテスツディナ・ロサチイ、ノカルジア属種、オイディウム・アルビカンス、オスポラ・ラクチス、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、ペトリエリディウム・ボイディイ、フィアロフォラ属種、ピエドライア・ホルタエ、ピチロスポルム・フルフル、ニューモシスチス・イロベシイ(またはニューモシスチス・カリニイ)、プルラリア・ゴウゲロチイ、ピレノカエタ・ロメロイ、リノスポリジウム・セーベリ、サボウラウディテス属(ミクロスポルム属)、サルトリア・フミガテ、セペドニウム属、スポロトリクム属種、スタキボトリス属、スタキボトリス・カルタルム、ストレプトミセス属種、チネア属種、トルラ属種、トリコフィトン属種、トリコスポロン属種、およびゾフィア・ロサチイから選択される、態様9のワクチン製剤。
【0084】
12.前記ウイルスが、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリアコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマフォレストウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ブニヤウイルスラクロス、ブニヤウイルスカンジキウサギ、オナガザルヘルペスウイルス、チャンディプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、コロナウイルス、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ダグベウイルス、デュベンハゲウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エボラウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ペギウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、馬痘ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパラインフルエンザ、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプーマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、イスファハンウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、レイクビクトリアマールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデールウイルス、跳躍病ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎ウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、オルフウイルス、オロプーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、鷺山ウイルス、サリウイルスA、サシチョウバエ熱シチリアウイルス、サッポロウイルス、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、サルウイルス、シンドビスウイルス、サザンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルスO、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ウエストナイルウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ様疾患ウイルス、黄熱ウイルス、およびジカウイルスからなる群から選択される、態様9のワクチン製剤。
【0085】
13.前記ヒトコロナウイルスがSARS-CoV-2である、態様12のワクチン製剤。
【0086】
14.前記抗原が癌または腫瘍抗原であり、好ましくは、該癌または腫瘍抗原が、CD19、BCMA、アルファ-フェトプロテイン、癌抗原125、癌抗原15-3、炭水化物抗原19-9、癌胎児性抗原、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、および前立腺特異抗原から選択される、態様1から6のいずれか1つのワクチン製剤。
【0087】
15.ウイルスベクターが、前記抗原を発現するよう前記抗原提示細胞を遺伝子操作するのに使用される、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0088】
16.前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクターである、態様15のワクチン製剤。
【0089】
17.前記ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、態様16のワクチン製剤。
【0090】
18.前記ワクチン製剤がアジュバントをさらに含み、好ましくは、該アジュバントが、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、AS04、MF59、AS01B、CpG 1018、およびIVAX-1から選択される、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0091】
19.アジュバントを含まない、態様1から17のいずれか1つのワクチン製剤。
【0092】
20.前記細胞外ブレブが、下記表面および成熟マーカーCD11c、MHC I、CD40、CD80、および/またはCD86の1つまたは複数を含み、好ましくは、前記細胞外ブレブが、CD11c、MHC I、CD40、CD80、およびCD86表面および成熟マーカーを含む、先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤。
【0093】
21.先述の態様のいずれか1つのワクチン製剤を作製する方法であって、
前記細胞を1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤と3分~24時間接触させることによって、細胞外ブレブを遺伝子操作された細胞から生成させることと、
該細胞外ブレブを単離すること
とを含む、方法。
【0094】
22.前記1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤が、塩化水銀、p-クロロ水銀ベンゼンスルホン酸、塩化第二金、p-クロロ水銀ベンゾエート、クロルメロドリン、メラルリドナトリウム、ヨードアセトミド、パラホルムアルデヒド、ジチオトレイトール、およびN-エチルマレイミドからなる群から選択される、態様21の方法。
【0095】
23.前記1つまたは複数のスルフヒドリル遮断剤がN-エチルマレイミドである、態様21または態様22の方法。
【0096】
24.N-エチルマレイミドが、0.2mMから30mMの濃度で使用される、態様23の方法。
【0097】
25.前記細胞が、マクロファージ、B細胞および樹状細胞から選択される、態様21から24のいずれか1つの方法。
【0098】
26.前記細胞が樹状細胞である、態様21から25のいずれか1つの方法。
【0099】
27.前記細胞が不死化細胞である、態様21から26のいずれか1つの方法。
【0100】
28.前記細胞が、ヒト対象由来のヒト胚幹細胞(hESC)または人工多能性幹細胞(iPSC)から分化されている、態様21から27のいずれか1つの方法。
【0101】
29.前記細胞がヒト初代細胞である、態様21から27のいずれか1つの方法。
【0102】
30.前記抗原が外来抗原である、態様21から29のいずれか1つの方法。
【0103】
31.前記外来抗原が、病原性または疾患を引き起こす微生物由来である、態様30の方法。
【0104】
32.前記病原性または疾患を引き起こす微生物が、細菌、真菌、またはウイルスである、態様31の方法。
【0105】
33.前記細菌が、アクチノミセス・イスラエリイ、炭疽菌、セレウス菌、バルトネラ・ヘンセラ、バルトネラ・クインターナ、百日咳菌、ボレリア・ブルグドルフェリ、ボレリア・ガリニイ、ボレリア・アフゼリ、ボレリア・レクレンチス、ブルセラ・アボルツス、ブルセラ・カニス、ブルセラ・メリテンシス、ブルセラ・スイス、カンピロバクター・ジェジュニ、クラミジア・ニューモニエ、クラミジア・トラコマチス、オウム病クラミジア、ボツリヌス菌、クロストリジウム・ディフィシル、ウェルシュ菌、破傷風菌、ジフテリア菌、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、大腸菌、野兎病菌、インフルエンザ菌、ヘリコバクター・ピロリ、レジオネラ・ニューモフィラ、レプトスピラ・インターロガンス、レプトスピラ・サンタロサイ、レプトスピラ・ウェイリイ、レプトスピラ・ノグチイ、リステリア・モノサイトゲネス、らい菌、結核菌、マイコバクテリウム・ウルセランス、マイコプラズマ・ニューモニエ、淋菌、髄膜炎菌、緑膿菌、リケッチア・リケッチア、チフス菌、ネズミチフス菌、ソンネ菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・サプロフィチカス、ストレプトコッカス・アガラクチア、肺炎レンサ球菌、化膿レンサ球菌、梅毒トレポネーマ、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、コレラ菌、ペスト菌、エルシニア・エンテロコリチカ、および仮性結核菌から選択される、態様32の方法。
【0106】
34.前記真菌が、アブシディア・コリンビフェラ、アブシディア・ラモセ、アコリオン・ガリナエ、アクチノマヅラ属種、アジェロミセス・デルマチディディス、アレウリスマ・ブラジリエンシス、アレルシェリア・ボイディイ、アルスロデルマ属種、アスペルギルス・フラブス、アスペルギルス・フミガツ、バシディオボラス属種、ブラストミセス属種、カドフォラ属種、カンジダ・アルビカンス、セルコスポラ・アピイ、クリソスポリウム属種、クラドスポリウム属種、クラドスリクス・アステロイズ、コクシジオイデス・イミチス、クリプトコッカス・アルビヅス、クリプトコッカス・ガッチイ、クリプトコッカス・ラウレンチイ、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、クニンガメラ・エレガンス、デマチウム・ウェルネクケ、ディスコミセス・イスラエリイ、エモンシア属種、エモンシエラ・カプスラテ、エンドミセス・ゲオトリクム、エントモフトラ・コロナテ、エピデルモフィトン・フロッコスム、フィロバシディエラ・ネオフォルマンス、フォンセケア属種、ゲオトリカム・カンジヅム、グレノスポラ・クハルトウメンシス、ギムノアスカス・ギプセウス、ハプロスポランギウム・パルブム、ヒストプラズマ属、ヒストプラズマ・カプスラツム、ホルミシウム・デルマチディディス、ホルモデンドルム属種、ケラチノミセス属種、ランゲロニア・ソウダネンセ、レプトスファエリア・セネガレンシス、リクテイミア・コリンビフェラ、ロブミセス・ロボイ.、ロボア・ロボイ、ロボミコーシス、マヅレラ属種、マラセチア・フルフル、ミクロコッカス・ペレチエリ、ミクロスポルム属種、モニリア属種、ムコール属種、結核菌、ナンニッツィア属種、ネオテスツディナ・ロサチイ、ノカルジア属種、オイディウム・アルビカンス、オスポラ・ラクチス、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス、ペトリエリディウム・ボイディイ、フィアロフォラ属種、ピエドライア・ホルタエ、ピチロスポルム・フルフル、ニューモシスチス・イロベシイ(またはニューモシスチス・カリニイ)、プルラリア・ゴウゲロチイ、ピレノカエタ・ロメロイ、リノスポリジウム・セーベリ、サボウラウディテス属(ミクロスポルム属)、サルトリア・フミガテ、セペドニウム属、スポロトリクム属種、スタキボトリス属、スタキボトリス・カルタルム、ストレプトミセス属種、チネア属種、トルラ属種、トリコフィトン属種、トリコスポロン属種、およびゾフィア・ロサチイから選択される、態様32の方法。
【0107】
35.前記ウイルスが、アデノ随伴ウイルス、アイチウイルス、オーストラリアコウモリリッサウイルス、BKポリオーマウイルス、バンナウイルス、バーマフォレストウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ブニヤウイルスラクロス、ブニヤウイルスカンジキウサギ、オナガザルヘルペスウイルス、チャンディプラウイルス、チクングニアウイルス、コサウイルスA、コロナウイルス、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、デングウイルス、ドーリウイルス、ダグベウイルス、デュベンハゲウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、エボラウイルス、エコーウイルス、脳心筋炎ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス、GBウイルスC/G型肝炎ウイルス、ペギウイルス、ハンタンウイルス、ヘンドラウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、馬痘ウイルス、ヒトアデノウイルス、ヒトアストロウイルス、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ヒトパラインフルエンザ、ヒトパルボウイルスB19、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ヒトライノウイルス、ヒトSARSコロナウイルス、ヒトスプーマレトロウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、ヒトトロウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、イスファハンウイルス、JCポリオーマウイルス、日本脳炎ウイルス、フニンアレナウイルス、KIポリオーマウイルス、クンジンウイルス、ラゴスコウモリウイルス、レイクビクトリアマールブルグウイルス、ランガットウイルス、ラッサウイルス、ローズデールウイルス、跳躍病ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、マヤロウイルス、MERSコロナウイルス、麻疹ウイルス、メンゴ脳心筋炎ウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、モコラウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、サル痘ウイルス、ムンプスウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、ニューヨークウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、オニョンニョンウイルス、オルフウイルス、オロプーシェウイルス、ピチンデウイルス、ポリオウイルス、プンタトロフレボウイルス、プーマラウイルス、狂犬病ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ロザウイルスA、ロスリバーウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルスB、ロタウイルスC、風疹ウイルス、鷺山ウイルス、サリウイルスA、サシチョウバエ熱シチリアウイルス、サッポロウイルス、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、サル泡沫状ウイルス、サルウイルス、シンドビスウイルス、サザンプトンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介ポワッサンウイルス、トルクテノウイルス、トスカーナウイルス、ウークニエミウイルス、ワクシニアウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、痘瘡ウイルスO、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、WUポリオーマウイルス、ウエストナイルウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバ様疾患ウイルス、黄熱ウイルス、およびジカウイルスからなる群から選択される、態様32の方法。
【0108】
36.前記ヒトコロナウイルスがSARS-CoV-2である、態様35の方法。
【0109】
37.前記抗原が癌または腫瘍抗原であり、好ましくは、該癌または腫瘍抗原が、CD19、BCMA、アルファ-フェトプロテイン、癌抗原125、癌抗原15-3、炭水化物抗原19-9、癌胎児性抗原、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、および前立腺特異抗原から選択される、態様21から29のいずれか1つの方法。
【0110】
38.前記遺伝子操作された抗原提示細胞は、前記抗原提示細胞を、抗原をコードするウイルスベクターで形質転換することによって作製される、態様21から36のいずれか1つの方法。
【0111】
39.前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはガンマレトロウイルスベクターである、態様38の方法。
【0112】
40.前記ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、態様39の方法。
【0113】
41.対象を免疫化する方法であって、治療有効量の態様1から20のいずれか1つのワクチン製剤を該対象に投与することを含む、方法。
【0114】
下記の実施例は、本開示を説明するものと意図されるが、本開示を限定するものではない。実施例は使用され得るものの典型であるが、当業者に公知の他の手順が代替的に使用されてもよい。
【実施例】
【0115】
SARS-CoV-2スパイクタンパク質発現細胞の調製。マウス樹状細胞(DC)系、DC2.4(ATCC、マナッサス、VA)を、全てThermo Fisher Scientific(ウォルサム、MA)の10%(v/v)FBSおよびペニシリン-ストレプトマイシン(100U/mL)を補充した高グルコースDMEM中で37℃にて5%CO2で培養し、1日おきに継代培養した。細胞を5×105個/ウェルの密度で6ウェルにおいて24時間播種し、次に、5μg/mlのポリブレン(Thermo Fisher Scientific)の存在下で2×106のTU/ウェルのSARS-CoV-2スパイクタンパク質(Sアルファ)コードレンチウイルス(BPS bioscience、サンディエゴ、CA)で形質導入した。形質導入の72時間後、0.5μg/mLのピューロマイシン(Thermo Fisher Scientific)を含有する培地によってさらに2週間、細胞を選択した。得られたDC2.4 S細胞におけるS発現を、抗S1一次抗体(BPS Bioscience)およびFITCコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG二次抗体(Thermo Fisher Scientific)で染色した後、フローサイトメトリーによって分析した。
【0116】
樹状細胞のレンチウイルス形質導入。
図1は、樹状細胞系(DC2.4細胞系)におけるSARS-CoV-2スパイクコードレンチウイルス形質導入に関する概略図を示す。レンチウイルスを、無血清培地中で7μg/mLのポリブレンの存在下でMOI 50で4時間形質導入し、30分ごとにプレートを回旋させて、形質導入効率を高めた。SARS-CoV-2スパイク糖タンパク質レンチウイルスは、ピューロマイシン耐性マーカーを含み、形質導入の48時間後、5μg/mLのピューロマイシンを使用して2週間、スパイク発現形質導入細胞を選択した。ピューロマイシンを含有する培地は、2日ごとに交換した。
【0117】
DC由来細胞外ブレブ(EB)の産生、収集、および特徴付け。N-エチルマレイミド(NEM、Thermo Fisher Scientific)ストック溶液は、NEMをDI水10mL中に37℃で2mMの濃度になるよう溶解することによって調製し、0.22μMのシリンジフィルターを使用して滅菌ろ過した。NEMストック溶液90μLを、10mL DPBSに添加することによって、0.22mM NEMを含有するブレブ形成緩衝液を使用直前に調製した。DC2.4またはDC2.4S細胞(2.5×10
5個の細胞)を温DPBS中で3回洗浄し、ブレブ形成緩衝液中で37℃および5%CO
2で6時間インキュベートして、マイクロサイズのEBを産生した。上清を収集し、1,000×gで5分間遠心分離して、細胞および細胞砕片をペレット化し、続いて16,100×gで10分間上清をさらに遠心分離した。収集したDC2.4およびDC2.4S EBを16,100×gで10分間繰り返し遠心分離を介して、1×DPBSで3回さらに洗浄し、いかなる残留ブレブ形成試薬も除去した。DC2.4およびDC2.4S EBペレットは、最終的に1×DPBS中に再懸濁し、顕微鏡下で細胞または細胞砕片および砕片がないことを確認した。得られたブレブを、光学顕微鏡法を使用して画像化し、代表的な画像を選び、樹状細胞およびスパイクタンパク質を発現する樹状細胞の両方において均質なブレブが示された(
図2を参照)。EBの表面上のS発現は、先でDC2.4S細胞について説明したように、フローサイトメトリーによって分析した。EBの表面積を、相当するDC2.4細胞の表面積と比較した。簡単に述べると、等数のDC2.4細胞およびDC2.4S細胞の膜を、製造業者の説明書(Thermo Fisher Scientific)に従ってPKH26で染色し、続いて先述されるようにEBへとブレブ形成した。PKH26で染色したDC2.4およびDC2.4S細胞ならびにDC2.4またはDC2.4S EBを緩やかなボルテックスによりRIPA緩衝液中に溶解し、均質化された膜を得た。得られた溶解物は、BioTek Synergyプレートリーダー(Agilent、サンタクララ、CA)を使用して、Ex550nm/Em570nmで蛍光について分析し、それらの蛍光を、表面積による等価な量を使用して比較した。
【0118】
樹状細胞系におけるスパイク発現の定量化。ピューロマイシン選択の2週後、スパイク発現DC2.4細胞(DC2.4S細胞)を、フローサイトメトリーを使用して分析した。細胞を、10%FBSおよび1%Pen-strepを補充したRPMI培地中で80%コンフルエンシーになるように成長させた。コンフルエント細胞を収集し、1×106個の細胞を、抗体結合緩衝液中で、抗スパイク抗体で1時間標識し、非結合抗体を300×gで5分間、3回洗浄した。スパイク標識した細胞をAlexa fluor 488-抗ウサギIgG(H+L)、F(ab’)2断片と30分間コンジュゲートさせ、フローサイトメトリーを使用して分析した。
【0119】
in vivoワクチン接種、抗体定量化、およびウイルス中和。動物研究は全て、UCI Institutional Animal Care and Use Committee(IACUCプロトコール#AUP-20-116)によって審査および承認された。7~10週齢の雌C57BL/6マウス(Charles River Laboratories、ウィルミントン、MA)に、1×PBS、S(マウス1匹あたり10μg;従来のタンパク質ワクチン接種用量)、S(15ng/マウス;DC2.4SおよびDC2.4S EBの用量と等価なS用量)、2.5×105個のDC2.4もしくはDC2.4S細胞、またはDC2.4およびDC2.4S細胞と等価な表面積のDC2.4もしくはDC2.4S EB 100μLを、滅菌PBS中にMPLA 1nモルおよびCpG-1018 3nモルを含有するIVAXとともに皮下注射し、等容量のAddaVax(商標)(Front Immunol.2021;12:692151)と混合した。マウスに、0日目にプライミング注射を、また14日目にブースター注射を付与した。ブースター注射の直前および10日後(14日目および24日目)に、伏在静脈からヘパリン処理した微小毛細血管チューブへと血液を採取した。6,000×gで15分間遠心分離した後、得られた血漿をELISAによってSARS-CoV-2スパイクタンパク質への特異的結合について検査した。簡単に述べると、組換えSARS-CoV-2スパイクタンパク質(Raybiotech、ピーチツリーコーナーズ、GA)を、96ウェルプレートのウェル1つあたり100μLのコーティング緩衝液(Thermo Fisher Scientific)中2μgで一晩コーティングした。プレートを、0.05%(w/v)Tween-20を含有するDPBS中の5%(w/v)脱脂粉乳からなるブロッキング緩衝液をウェル1つあたり100μL添加することによってブロックし、室温で2時間インキュベートした。次に、プレートをELISA洗浄緩衝液(Thermo Fisher Scientific)を使用して3回すすいだ。血漿試料を1×ELISA希釈剤緩衝液150μL中で20倍に希釈し、ウェルに添加し、室温(RT)で2時間インキュベートした。プレートを、ELISA洗浄緩衝液を使用して3回洗浄し、検出抗体(マウスIgG-HRP[H+L]、ウォルサム、MA)を製造業者の推奨濃度で添加した後、室温でさらに1時間インキュベーションを行った。プレートを5回洗浄した後、TMB基質溶液(Thermo Fisher Scientific)100μLを各ウェルに添加した後、室温で15分間インキュベートした。1ウェルあたりELISA停止溶液(Thermo Fisher Scientific)100μLによって反応を停止し、吸光度を、SpectraMax Plusプレートリーダー(Molecular Devices、USA)を使用して450nmおよび570nmで測定した。570nmでの吸光度の読取りを、光学補正のために450nmでの読取りで差し引いた。血漿試料中の抗体濃度を、標準物質の較正曲線を比較することによって定量した。ウイルス中和アッセイについて、段階希釈した血漿100μLを、10%FBSおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシンを補充したDMEM培地中のSARS-CoV-2スパイクアルファタンパク質(BPS bioscience、サンディエゴ、CA)を有する1×104個のシュードタイプのGFP発現レンチウイルス100μLとともに37℃で1時間インキュベートした後、ヒトアンジオテンシン変換酵素2(hACE2)を発現する1×104個のHEK 293T細胞(BEI Resources[NR-52511]、NIAID/NIH)を添加し、48時間インキュベートした。参考のため、Marit J.van Gils氏(アムステルダム大学)から寄贈されたCOVA1-18と名付けられた抗S抗体を、最高濃度の1μg/mLから一連の希釈後に使用した。細胞を、フローサイトメトリーを使用してGFP発現について分析し、相対形質導入阻害を平均GFP蛍光強度によって決定した。
【0120】
統計学的解析。全てのin vitro研究について、三重反復データを解析した。in vivo研究において統計学的有意性を達成するために、処置群1つあたり5匹の動物(n=5)を使用した。両側スチューデントt検定(GraphPad Prism Ver.8)を使用して、2つの群間の比較の統計学的有意性を算出し、0.05未満のp値を有意であるとみなした。ELISAによるS抗体の定量化およびS-シュードタイプレンチウイルス中和アッセイは、亜群間の多重比較のために、テューキーの事後検定を用いた一元配置分散分析(ANOVA)を使用して解析した。
【0121】
スパイク発現樹状細胞に由来する細胞外ブレブにおけるスパイク発現。DC2.4S EB上に保存されたDC2.4S細胞による中等度のS発現が、フローサイトメトリーによって確認された(
図1Bを参照)。とりわけ、溶解物中の等価なS含有量から明らかであるように、DC2.4S EB上のS発現は、おそらく表面上の同じS密度に対するDC2.4S細胞よりも小さいDC2.4S EBの非特異的な光学バックグランドシグナルに起因して、DC2.4S細胞上のS発現よりも高かった(
図1Cを参照)。DC2.4およびDC2.4S細胞の、相当するEBへの高効率な変換は、PKH26標識細胞の蛍光溶解物と、得られたEBを比較することによって確認された(
図3を参照)。
【0122】
スパイク発現樹状細胞に由来する細胞外ブレブにおける樹状細胞表面および成熟マーカーの発現。S発現に加えて、DC表面および成熟マーカーであるCD11c、MHC I、CD40、CD80、およびCD86は、フローサイトメトリーによって特徴付けられた場合、DC2.4およびDC2.4S細胞と、それらの相当するEBとの間で同等であることがわかった(
図4を参照)が、EBは、おそらくS発現の定量化について記載される理由で、CD11c、CD80、およびCD86について細胞よりもわずかに高いシグナルを示した。したがって、結果により、分子プロファイルを入念に模倣するEBが産生されるS発現DCの非常に効率的な調製が確認された。
【0123】
スパイク発現樹状細胞に由来する細胞外ブレブにおける樹状細胞表面および成熟マーカー発現に対するリポ多糖の影響。DC成熟は、高レベルの共刺激分子および免疫賦活サイトカインを発現し、それは、DCが表現型的に、および機能的に成熟状態にあることを示している。リポ多糖(LPS)は、樹状細胞の表現型を調整することが知られている。LPSがin vitroでDC表現型を調整するかどうかを決定するために、DC2.4およびDC2.4スパイク細胞を、20ng/mLのLPSとともに24時間インキュベートした。CD11c、CD40、CD80、CD86およびMHC Iに対する蛍光標識抗体を使用して共刺激分子を、フローサイトメトリーを使用して分析した。1×10
6個の細胞を、上述の蛍光抗体で標識した。LPS誘導成熟は、DC2.4(
図5を参照)およびDC2.4スパイク細胞系(
図6を参照)の両方において分子提示を変化させなかった。
【0124】
in vivoワクチン接種のスキーム。C57BL/6マウスを、14日間隔で皮下注射を介して2回(プライムおよびブースター)免疫化した。プライムショット時(0日目)およびブースターショット時(14日目)ならびにブースターショットの10日後(24日目)に血清を収集した(
図7を参照)。
【0125】
DC2.4スパイク細胞およびDC2.4スパイクEBにおけるスパイク発現の量。2.5×10
5個のDC2.4およびDC2.4スパイク細胞によるC57BL/6マウスの免疫化に先立って、DC2.4スパイク細胞およびEBを、ELISAを使用して分析し、2.5×10
5個の細胞におけるスパイク発現の量および2.5×10
5個のDC2.4スパイクEBの表面積による等価な量を決定した(
図8を参照)。DC2.4スパイク細胞およびEBを収集し、1×RIPA緩衝液を使用して溶解し、スパイク発現について分析した。プレコーティングしたスパイクELISAウェルを洗浄緩衝液で洗浄し、細胞溶解物試料100μLをウェルに添加し、室温で2時間インキュベートした。スパイク抗体(HRP結合型2°Ab)に対する検出抗体を各ウェルに添加し、吸光度を450nmで測定した。総計300μL中に、スパイクタンパク質約15ngが存在し、さらなる免疫化研究に関して、2.5×10
5個のDC2.4スパイク細胞と等価なスパイク用量(15ng)を使用した。
【0126】
遊離スパイクタンパク質、DC2.4細胞、DC2.4スパイク細胞およびそれらの相当する細胞外ブレブを皮下的にワクチン接種したマウス由来の抗スパイクタンパク質IgG。C57BL/6マウスに、遊離スパイクタンパク質(10μg/マウス)、2.5×105個の細胞に対する等価な量のスパイクタンパク質(15ng/マウス)、2.5×105個のDC2.4細胞およびDC2.4スパイク細胞、表面積による等価な量の2.5×105個のDC2.4およびDC2.4スパイクEBを、皮下注射を介して14日間隔で2回、ワクチン接種した。プライムショット時(0日目)およびブースターショット時(14日目)ならびにブースターショットの10日後(24日目)に血清を収集し、収集した血清を6000×gで10分間遠心分離し、その安定性を維持するために-80℃で保管した。血清スパイクIgGは、ELISAを使用して検出した。組換えSARS-CoV-2スパイクタンパク質を、ウェル1つあたり2μgで一晩コーティングした。ブロッキング緩衝液を各ウェルに添加し、室温で2時間インキュベートした。血清試料を20倍に希釈し、ウェルに添加し、室温で2時間インキュベートした。検出抗体(マウスIgG-HRP)を各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。TMB基質を各ウェルに添加し、停止溶液を使用して反応を停止させ、吸光度を450nmおよび570nmで検出した。結果により、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するスパイク発現EBによる効率的な抗体産生が示されたのに対して、対照DC2.4EBによる活性化は観察されなかった。重要なことに、DC2.4スパイクEBは、スパイク抗体生成において、スパイク発現樹状細胞よりも1.4~2.0倍、および遊離Sタンパク質よりもおよそ335倍効率的であった。
【0127】
ワクチン接種マウスから得られた血清からの中和アッセイ。コロナウイルスSARS-CoV-2(2019-nCoV)、SARS-CoV、エボラウイルス、H5N1などのウイルスは、感染力が高く、病原性が高く、それらは、中和抗体のスクリーニングに大きな困難および危険をもたらしてきた。天然ウイルスと比較して、偽ウイルスは1ラウンドでのみ細胞を感染することができ、広い宿主範囲、高い力価を有し、血清補体によって容易に不活化されない。スパイクタンパク質(10μg/マウス)、2.5×105個の細胞に対する等価な量のスパイクタンパク質(15ng/マウス)、表面積による等価な量の2.5×105個のDC2.4およびDC2.4スパイクEBで免疫化したマウスから血清を収集した。マウスを14日間隔で2回(プライムおよびブースター)免疫化し、プライム時、ブースター時およびブースターショットの10日後に、血清を収集した。陽性対照として、SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対するモノクローナル抗体を使用して、中和実験の可変性をモニタリングした。スパイクタンパク質由来の血清試料は、1:30から1:270の範囲の中和力価でSARS-CoV-2スパイクシュードタイプウイルスに対する中和活性を示した。DC2.4スパイクEB由来の血清試料は、1:30で中和活性を示したのに対して、DC2.4EB、およびスパイクタンパク質(15ng/マウス)から得られた血清試料は、いかなる有効な中和活性も示さなかった。
【0128】
遊離スパイクタンパク質、DC2.4細胞、DC2.4スパイク細胞およびそれらの相当する細胞外ブレブを皮下的にワクチン接種したマウスからの抗スパイクタンパク質IgGの長期効果。遊離スパイクタンパク質(10μg/マウス)、2.5×105個の細胞に対して等価な量のスパイクタンパク質(15ng/マウス)、2.5×105個のDC2.4およびDC2.4スパイク細胞、表面積による等価な量の2.5×105個のDC2.4およびDC2.4スパイクEBを、皮下注射を介して14日間隔で2回ワクチン接種したC57BL/6マウス。プライムショット後のD60で血清を収集し、収集した血清を6000×gで10分間遠心分離し、その安定性を維持するために-80℃で保管した。血清スパイクIgGを、ELISAを使用して検出した。組換えSARS-CoV-2スパイクタンパク質を、ウェル1つあたり2μgで一晩コーティングした。ブロッキング緩衝液を各ウェルに添加し、室温で2時間インキュベートした。血清試料を20倍に希釈し、ウェルに添加し、室温で2時間インキュベートした。検出抗体(マウスIgG-HRP)を各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。TMB基質を各々に添加し、停止溶液を使用して反応を停止させ、吸光度を450nmおよび570nmで検出した。結果により、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するスパイク(10μg)、およびスパイク発現EBにおいて抗体生成の減少が示された。
【0129】
アジュバントスパイクタンパク質、DC2.4細胞、DC2.4スパイク細胞、およびそれらの相当する細胞外ブレブを皮下的にワクチン接種したマウス由来の抗スパイクタンパク質IgG。C57BL/6マウスに、アジュバントスパイクタンパク質(10μg/マウス)、2.5×105個の細胞に対する等価な量のスパイクタンパク質(15ng/マウス)、2.5×105個のDC2.4およびDC2.4スパイク細胞、表面積による等価な量の2.5×105個のDC2.4およびDC2.4スパイクEBを、皮下注射を介して14日間隔で2回ワクチン接種した。プライムショット時(0日目)およびブースターショット時(14日目)ならびにブースターショットの10日後(24日目)に血清を収集した。収集した血清を6000×gで10分間遠心分離し、その安定性を維持するために-80℃で保管した。アジュバントは、免疫応答を増強および組織化し、B細胞およびT細胞応答の機能的プロファイルに影響を与えるのに使用される。カチオン性アジュバントは、タンパク質ベースの抗原を用いて検査した場合に強力なT細胞応答を誘導することが示されている。カチオン性リポソームアジュバント(IVAX-1)の添加は、SARS-CoV-2 Sタンパク質に対するスパイク発現EBによる効率的な抗体生成を示したのに対して、対照DC2.4EBによる活性化は観察されなかった。しかしながら、アジュバントなしで免疫化したマウスと比較した場合、スパイク抗体生成において大きな増加は見られなかった。
【0130】
アジュバントワクチン接種したマウスから得られた血清からの中和アッセイ。IVAX-1アジュバントの存在下で、スパイクタンパク質(10μg/マウス)、2.5×10
5個の細胞に対する等価な量のスパイクタンパク質(15ng/マウス)、表面積による等価な量の2.5×10
5個のDC2.4およびDC2.4スパイクEBで免疫化したマウスから、血清を収集した。マウスを14日間隔で2回(プライムおよびブースター)免疫化し、プライム時、ブースター時およびブースターショットの10日後に、血清を収集した。陽性対照として、SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対するモノクローナル抗体を使用して、中和実験の可変性をモニタリングした。スパイクタンパク質由来の血清試料は、1:30から1:810の範囲の中和力価でSARS-CoV-2スパイクシュードタイプウイルスに対する中和活性を示した。DC2.4スパイクEB由来の血清試料は、1:30で中和活性を示した。一方でDC2.4EB、およびスパイクタンパク質(15ng/マウス)から得られた血清試料は、いかなる有効な中和活性も示さなかった(
図16を参照)。
【0131】
SARS-CoV-2スパイク発現ウイルスに対する中和抗体を誘導するDC2.4S EBの能力を検討するために、C57BL/6マウスを、PBS、S(従来のワクチン接種用量として10μg)、S(15ng;2.5×10
5個のDC2.4SおよびDC2.4S EBにおけるS量に対して等価)、2.5×10
5個のDC2.4細胞またはDC2.4S細胞、ならびに2.5×10
5個の相当する細胞の等価な表面積のDC2.4EBまたはDC2.4S EBで2回ワクチン接種した。EBを、表面積による等価な量の相当する細胞で、14日間隔で皮下的に注射した。抗S IgGおよびウイルス中和アッセイ用の血漿を、プライム時およびブースター時、ならびにブースターの10日後に収集した(
図14Aを参照)。DC2.4SおよびDC2.4S EBは、同様のレベルの抗S抗体を生成したのに対して、抗体産生は、SフリーDC2.4細胞およびそれらのEBによって観察されなかった(
図14Bを参照)。とりわけ、DC2.4S EBによる抗体産生は、特にブースターの10日後にDC2.4S細胞の抗体産生よりもわずかに高く、in vivoでのDC2.4S EBによる液性免疫の効率的な活性化を示した。等価な量のワクチン接種したS(マウス1匹あたり15ng)と比較して、DC2.4S EBは、抗体産生を駆動する際に遊離Sよりも実質的により効率的であった(およそ350倍)。ブースターは、S(マウス1匹あたり10μg)を用いておよそ2倍IgG産生を増加させたが、DC2.4S EBによってはIgG産生を増加せず、単一ショットのワクチン接種達成の実現可能性が示唆された。アジュバント、IVAX-1の使用は、Sワクチン(マウス1匹あたり15ng)による抗体産生を5倍増加させた(
図15を参照)。対比して、IVAX-1は、DC2.4SおよびDC2.4S EBによる抗体産生にわずかに影響を及ぼし、その理由は、おそらくこれらのワクチンがT細胞活性化のためにすでに備えられているからである。
【0132】
シュードタイプレンチウイルスを使用したウイルス中和は、S(マウス1匹あたり10μg)およびDC2.4S EBをワクチン接種したマウスから収集した血漿試料を用いて観察された(
図14Cを参照)。野生型SARS-CoV-2と対比して、シュードタイプレンチウイルスは1ラウンドでのみ細胞を感染することができ、広い範囲の宿主細胞を有し、より高い力価で調製され、血清補体によって容易に不活化されない。Sの用量においておよそ670倍差にもかかわらず、10μgをワクチン接種した動物は、DC2.4S EBをワクチン接種した動物と類似しているが、わずかに高い中和抗体応答を有し、DC2.4S EBによる高い中和有効性を示していた。DC2.4EBまたは15ngでのSのいずれかによるワクチン接種は、あったとしてもごくわずかな中和抗体応答をもたらした。これらの結果により、非常に低用量で付与されたS提示DC由来EBは、Sシュードタイプウイルスを中和することが可能な抗S抗体の産生に効率的であったことが実証される。
【0133】
本開示の主旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われ得ることが理解されよう。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
【国際調査報告】