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特表2024-533984湿潤性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】湿潤性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20240910BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20240910BHJP
   C08G 77/20 20060101ALI20240910BHJP
   C08J 7/056 20200101ALI20240910BHJP
【FI】
G02C7/04
C08F290/06
C08G77/20
C08J7/056 CEY
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507882
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 IB2022058166
(87)【国際公開番号】W WO2023031818
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/239,694
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520000722
【氏名又は名称】アルコン インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ダーチン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,フェン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,スティーブ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】グゥー,ジュンハオ
(72)【発明者】
【氏名】チュウ,ジャック・ダブリュー
【テーマコード(参考)】
2H006
4F006
4J127
4J246
【Fターム(参考)】
2H006BB01
2H006BB03
2H006BB05
2H006BB07
2H006BC07
4F006AA40
4F006AB43
4F006BA10
4F006CA05
4F006EA05
4J127AA06
4J127BB031
4J127BB111
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4J127BC151
4J127BD291
4J127BD351
4J127BE341
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4J127BF781
4J127BF78X
4J127BG101
4J127BG10X
4J127BG381
4J127BG38X
4J127CB121
4J127CB151
4J127CC091
4J127DA23
4J127DA54
4J127FA27
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4J246AB01
4J246BA020
4J246BA02X
4J246BB020
4J246BB021
4J246BB02X
4J246CA240
4J246CA24X
4J246CA530
4J246CA53X
4J246CA560
4J246CA56X
4J246CA650
4J246CA65E
4J246CA65X
4J246HA12
(57)【要約】
本発明は、コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを費用効果が高く、且つ環境に優しい方法で製造するための方法を提供する。本方法は、レンズ抽出工程を含まず、少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤と、ヒドロキシエチルメタクリレートと、C~Cアルコキシエチル(メタ)アクリレートと、少なくとも1つのフリーラジカル開始剤と、水、プロピレングリコール、及び/又は低分子量ポリエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒と、を含む、重合性組成物をレンズ成形型内で熱硬化又は化学線硬化することと、注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを水性コーティング溶液中で加熱して、バルクシリコーンハイドロゲル材料とバルクシリコーンハイドロゲル材料に共有結合されている架橋された親水性ポリマー材料の層と、を含むコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを形成することと、を含む。得られたコンタクトレンズは、光学的に透明且つ湿潤性であり、比較的高い酸素透過性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法であって、
(1)重合性組成物をレンズ成形型に導入する工程であって、前記重合性組成物が、(a)少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤と、(b)任意選択で、ヒドロキシエチルメタクリレートと、(c)少なくとも1つのC~Cアルコキシエチル(メタ)アクリレートと、(d)全ての重合性成分の総量に対して、約2重量%~約10重量%の少なくとも1つのカルボキシル含有(メタ)アクリルオキシモノマーと、(e)少なくとも1つのフリーラジカルと、(f)任意選択で、水、プロピレングリコール、約400ダルトン以下の分子量を有するポリエチレングリコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒と、を含む、工程と、
(2)前記レンズ成形型中の前記重合性組成物を熱硬化又は化学線硬化させて、カルボキシル基を含むバルクシリコーンハイドロゲル材料を含むシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を形成する工程と、
(3)任意選択で、工程(2)で得られた前記シリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を水又は水溶液中で水和させて、水和されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを得る工程と、
(4)工程(2)で得られた前記シリコーンハイドロゲルレンズ前駆体又は工程(3)で得られた前記水和されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを、約6.8~約8.5のpHを有し、且つ少なくとも1つの水溶性で熱架橋性の親水性ポリマー材料を含む水溶液中で、約60℃~約140℃の温度で直接加熱して、バルクシリコーンハイドロゲル材料と前記バルクシリコーンハイドロゲル材料に共有結合された架橋親水性ポリマー材料の層とを含むコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを形成する工程と、を含み、
コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約5秒の水膜破壊時間(WBUT)、及び少なくとも約50バーラーの酸素透過性を呈する、方法。
【請求項2】
成分(a)~(e)の量の合計が、前記重合性組成物中の全ての重合性成分の総量に対して、少なくとも約90重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重合性組成物が、全ての重合性成分の総量に対して、約30重量%~約65重量%の成分(a)と、約30重量%~約65重量%の成分(b)及び(c)とを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記重合性組成物中の成分(c)対成分(b)の重量比が、約40~約20である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記重合性組成物が、(g)非シリコーンビニル系架橋剤、(h)UV吸収性ビニル系モノマー、(i)重合性UV/高エネルギー紫光線吸収性化合物、(j)重合性フォトクロミック化合物、(k)重合性着色剤、及び(l)それらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の重合性成分を更に含み、但し、前記成分(g)~(l)の合計が、全ての重合性成分の量に対して10重量%未満である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱する工程が、好ましくは、密封されたレンズパッケージ内で緩衝水溶液であるパッケージング溶液中に浸漬された前記シリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を、約115℃~約125℃の温度で、およそ20~90分間オートクレーブ処理することによって実施される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの水溶性且つ熱架橋性の親水性ポリマー材料が、アゼチジニウム基、エポキシ基又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの水溶性且つ熱架橋性の親水性ポリマー材料が、各々が末端エポキシ基を有する1つ以上のマルチアーム型ポリエチレングリコール;末端エポキシ基を有するマルチアーム型ポリエチレングリコールと、各々が一級アミン基、二級アミン基、カルボキシル基、チオール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される末端官能基を有する1つ以上のポリエチレングリコールとの混合物;末端エポキシ基を有するマルチアーム型ポリエチレンとアミノ基、カルボキシル基、チオール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する親水性増強剤との部分的反応生成物である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの水溶性且つ熱架橋性の親水性ポリマー材料がアゼチジニウム基を含み、アゼチジニウム含有ポリマーと一級アミン基、二級アミン基、カルボキシル基、チオール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する親水性増強剤との部分的反応生成物である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記アゼチジニウム含有ポリマーが、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンコポリマー、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン、アゼチジニウム含有ビニル系モノマーと1つ以上の親水性ビニル系モノマーとのコポリマー、又はそれらの組み合わせであり、
前記親水性増強剤が、(a)一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル若しくはチオール含有単糖類;(b)一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル若しくはチオール含有二糖類;(c)一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル若しくはチオール含有オリゴ糖;(d)一級アミン基、二級アミン基、カルボキシル基、又はそれらの組み合わせを有する多糖類;(e)-NH、-SH又は-COOHの1つのみの官能基を有するポリ(エチレングリコール);(f)-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポリ(エチレングリコール);(g)-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアーム型ポリ(エチレングリコール);(h)非反応性親水性ビニル系モノマーのモノアミノ、モノカルボキシル、ジアミノ若しくはジカルボキシル末端ホモ又はコポリマー;(i)(1)約0.1%~約30%の反応性ビニル系モノマーと、(2)少なくとも1つの非反応性親水性ビニル系モノマーとを含む組成物の重合生成物であるコポリマーであり、前記反応性ビニル系モノマーが、カルボキシル基、一級アミン基、及び二級アミン基からなる群から選択される官能基を有するビニル系モノマーであり、前記非反応性親水性モノマーが、いずれかのカルボキシル基、一級アミン基、二級アミン基、エポキシド基、イソシアネート基、アズラクトン基、又はアジリジン基も含まない親水性ビニル系モノマーである、コポリマー、又は(j)それらの組み合わせである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記水溶液が約7.0~約8.2のpHを有し、前記水溶液が約0.01重量%~約2重量%の前記少なくとも1つの水溶性、熱架橋性の親水性ポリマー材料を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであって、バルクシリコーンハイドロゲル材料と、その上の非シリコーンハイドロゲル材料の層と、を含み、
前記バルクシリコーンハイドロゲル材料が、(a)少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤の繰り返し単位と、(b)任意選択で、ヒドロキシエチルメタクリレートの繰り返し単位と、(c)少なくとも1つのC~Cアルコキシエチル(メタ)アクリレートの繰り返し単位と、(d)少なくとも1つのカルボキシル含有(メタ)アクリルオキシモノマーのカルボキシル含有繰り返し単位と、(e)任意選択で、非シリコーンビニル系架橋剤、UV吸収性ビニル系モノマー、重合性UV/高エネルギー紫光線吸収性化合物、重合性フォトクロミック化合物、重合性着色剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの重合性成分の繰り返し単位(但し、前記成分(e)の量が、前記バルクシリコーンハイドロゲル材料の乾燥状態での総重量に対して、10重量%未満であることを条件とする)と、を含み、
前記非シリコーンハイドロゲル材料の前記層が、前記カルボキシル含有繰り返し単位の前記カルボキシル基を通して前記バルクシリコーンハイドロゲル材料に共有結合されており、
前記コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも5秒の水膜破壊時間(WBUT)、少なくとも50バーラーの酸素透過性(Dk)、約0.2MPa~約1.8MPaの弾性率、約20重量%~約75重量%の平衡含水率(すなわち、完全に水和されている場合の)、約3.0以下の摩擦評価、液滴法による約90度以下の平均水接触角を有する、コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤が、少なくとも約1.50ミリ当量/グラム(「meq/g」)の親水性部分を含み、それが好ましくは、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NHRN1(式中、RN1がH又はC~Cアルキルである))、アミド部分(-CO-NRN1N2(式中、RN1がH又はC~Cアルキルであり、RN2が共有結合、H、又はC~Cアルキルである))、N-C~Cアシルアミノ基、ウレタン部分(-NH-CO-O-)、尿素部分(-NH-CO-NH-)、
【化1】

(式中、nが2~20の整数であり、TがH、メチル又はアセチル又はホスホリルコリン基である)のポリエチレングリコール鎖、又はそれらの組み合わせである、請求項12に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤が、(1)ジメチルシロキサン単位及び、各々が、1つのメチル置換基と、2~6個のヒドロキシル基を有する1つの一価C~C40有機ラジカル置換基とを有する親水化シロキサン単位を含むポリシロキサンセグメントと、(2)2つの末端(メタ)アクリロイル基とを含むポリシロキサンビニル系架橋剤である、請求項12若しくは13に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は請求項1~11及び13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤が、式(1)
【化2】

(式中:
ω1/υ1が約0.035~約0.15であることを条件として、υ1は30~500の整数であり、且つω1は1~75の整数であり;
01が、O又はNRであり、ここでRが、水素又はC~C10-アルキルであり;
が、水素又はメチルであり;
及びRは、互いに独立して、置換若しくは非置換C~C10アルキレン二価ラジカル又は-R-O-R-の二価ラジカルであり、ここでR及びRは、互いに独立して、置換若しくは非置換C~C10アルキレン二価ラジカルであり;
が、式(2)~(7)のうちのいずれか1つの一価ラジカルであり、
【化3】

p1が、ゼロ又は1であり;m1が2~4の整数であり;m2が1~5の整数であり;m3が3~6の整数であり;m4が2~5の整数であり;
が、水素又はメチルであり;
が、(m2+1)の価数を有するC~C炭化水素ラジカルであり;
が、(m4+1)の価数を有するC~C炭化水素ラジカルであり;
10が、エチル又はヒドロキシメチルであり;
11が、メチル又はヒドロメチルであり、
12が、ヒドロキシル又はメトキシであり;
は、-S-の硫黄結合又は-NR13-の三級アミノ結合であり、ここでR13が、C~Cアルキル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、又は2,3-ジヒドロキシプロピルであり;
が、
【化4】

のアミド結合であり、ここでR14が、水素又はC~C10アルキルであり、
PCが、-CH-CHR-R15-、-C-O-R16-、
【化5】

の二価ラジカルであり、ここで、q1が1~20の整数であり、R15が直鎖若しくは分枝鎖のC~C10アルキレン二価ラジカルであり、R16が直鎖若しくは分枝鎖のC~C10アルキレン二価ラジカルであり、R17が直接結合又は直鎖若しくは分枝鎖のC~Cアルキレン二価ラジカルである)のポリシロキサンビニル系架橋剤を含む、請求項14に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は方法。
【請求項16】
前記非シリコーンハイドロゲル材料が、少なくとも25モル%の少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーの繰り返しモノマー単位を含む架橋されたポリマー材料であり、前記少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーが、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大1500の重量平均分子量を有するC~C-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12~15のいずれか一項に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項17】
前記非シリコーンハイドロゲル材料が、少なくとも25モル%の少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニル系モノマーの繰り返しモノマー単位を含む架橋されたポリマー材料である、請求項12~16のいずれか一項に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項18】
前記非シリコーンハイドロゲル材料が、ポリ(エチレングリコール)鎖を含む架橋されたポリマー材料である、請求項12~17のいずれか一項に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項19】
前記ポリ(エチレングリコール)鎖が、各々、(a)-NH、-SH又は-COOHの1つの反応基のみを有するポリ(エチレングリコール)、(b)-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポリ(エチレングリコール)、(c)-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアーム型ポリ(エチレングリコール)、並びに(d)それらの組み合わせから直接誘導される、請求項18に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に透明で湿潤性のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを費用効率が高く且つ環境に優しい方法で製造するための方法に関する。本発明はまた、本発明の方法に従って作製される湿潤性シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズにも関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ソフトシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、それらの高い酸素透過性及び心地良さのためにますます普及している。「ソフト」コンタクトレンズは目の形状とぴったり合うことができ、したがって酸素は、レンズを容易にくぐり抜けることができない。角膜は、他の組織のように血液供給から酸素を受け取らないので、ソフトコンタクトレンズは、周囲空気からの酸素(即ち、酸素)が角膜に達することを可能にしなければならない。十分な酸素が角膜に達しない場合、角膜膨潤が起こる。長期の酸素欠乏は、角膜における血管の望ましくない成長を引き起こす。高い酸素透過性を有することによって、シリコーンハイドロゲル(「SiHy」)コンタクトレンズは、十分な酸素がレンズを通して角膜へ透過すること、及び角膜の健康への悪影響を最小限にすることを可能にする。
【0003】
ほとんどの市販のSiHyコンタクトレンズは、使い捨てプラスチック成形型及び一般に、1つ以上のシリコーン含有重合性成分と、少なくとも1つの親水性重合性成分とを含むSiHyレンズ形成組成物(又は、SiHyレンズ配合物)の使用を伴う従来の注型成形技術に従って製造されている。しかしながら、シリコーン含有重合性成分及び親水性重合性成分は、光学的に透明なSiHyコンタクトレンズを作製するための光学的に透明なレンズ配合物を形成するのに十分な混和性(互いに相溶性)ではない。更に、シリコーン含有成分は、典型的には、水又は眼科用に適合可能な溶媒(非反応性希釈剤として)中に可溶性ではない。そのため、1つ以上の眼科的に不適合な有機溶媒が、SiHyレンズ配合物で使用されねばならない。
【0004】
更に、SiHyレンズ配合物中のいくつかの重合性成分は、眼科的に適合性でない場合がある。SiHyレンズ配合物から形成された結果として生じたSiHyコンタクトレンズに残された未反応及び部分的に反応された重合性成分は、1つ以上の眼科的に不適合な有機溶媒の使用を伴う抽出プロセスにおいて除去される必要がある。そのようなレンズ抽出は生産コストを増大させ、生産効率を低下させる。
【0005】
SiHyレンズ配合物中及び抽出プロセスにおける1つ以上の眼科的に不適合な有機溶媒の使用のために、溶媒交換又は水和プロセスが、製造において実行されてきた。そのような溶媒交換又は水和プロセスもまた生産コストを増大させ、生産効率を低下させる。
【0006】
SiHyコンタクトレンズの製造における眼科的に不適合な有機溶媒の使用は費用がかかり、環境に優しくない。SiHyコンタクトレンズを製造するためのプロセスは、いかなる眼科的に不適合な有機溶媒の使用も伴わないことが望ましい。
【0007】
加えて、SiHy材料は、典型的には疎水性(非湿潤性)であり、眼環境からの脂質若しくはタンパク質を吸着しやすい表面、又はその表面の少なくともいくらかの領域を有し、目に固着する可能性がある。したがって、SiHyコンタクトレンズは、一般に、表面改質を必要とする。最近、非シリコーンハイドロゲルコーティングを、SiHyコンタクトレンズに適用するための新しい費用効率が高いアプローチが、米国特許8,529,057号明細書及び同第10,449,740号明細書に記載されており、これは、SiHyコンタクトレンズ上にベースコーティングを形成する工程と、その上にベースコーティングを有するSiHyコンタクトレンズを溶媒(例えば、水、水と有機溶媒との混合物、及び/又は緩衝生理食塩水)で濯ぐ1つ以上の工程と、オートクレーブ中に部分的に架橋された親水性重合材料をレンズパッケージ内のベースコーティングに直接共有結合する工程と、を含む。ベースコーティングの形成及び濯ぎ工程は環境に優しくない場合があり、及び/又は生産コストを増大させ、生産効率を低下させる可能性がある。
【0008】
したがって、SiHyコンタクトレンズ、特に湿潤性SiHyコンタクトレンズを製造するための費用効率が高く、且つ環境に優しい方法が、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一態様において、コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法であって、(1)重合性組成物をレンズ成形型に導入する工程であって、重合性組成物が、(a)少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤と、(b)任意選択で、メタクリル酸ヒドロキシエチルと、(c)少なくとも1つのC~Cアルコキシエチル(メタ)アクリレートと、(d)全ての重合性成分の総量に対して、約2重量%~約10重量%の少なくとも1つのカルボキシ含有(メタ)アクリルオキシモノマーと、(e)少なくとも1つのフリーラジカルと、(f)任意選択で、水、プロピレングリコール、約400ダルトン以下の分子量を有するポリエチレングリコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒とを含む、導入する工程と、(2)レンズ成形型内で重合性組成物を熱硬化又は化学線硬化させて、カルボキシル基を含むバルクシリコーンハイドロゲル材料を含むシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を形成する工程と、(3)任意選択で、水又は水溶液中で、工程(2)で得られたシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を水和させて、水和させたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを得る工程と、(4)工程(2)で得られたシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体又は工程(3)で得られた水和させたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを、約6.5~約9.5のpHを有する水溶液中で直接加熱して、少なくとも1つの水溶性、熱架橋性の親水性ポリマー材料を、約60℃~約140℃の温度で含めてバルクシリコーンハイドロゲル材料及びバルクシリコーンハイドロゲル材料上に共有結合された架橋親水性ポリマー材料の層を含むコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを形成する工程と、を含む方法を提供し、コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約5秒の水膜破壊時間(WBUT)及び少なくとも50バーラー(barrers)の酸素透過性を呈する。
【0010】
別の態様では、本発明は、バルクシリコーンハイドロゲル材料とその上の非シリコーンハイドロゲル材料(すなわち、架橋された親水性ポリマー材料)の層とを含む、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを提供し、バルクシリコーンハイドロゲル材料が、(a)少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤の繰り返し単位と、(b)任意選択で、ヒドロキシエチルメタクリレートの繰り返し単位と、(c)少なくとも1つのC~Cアルコキシエチル(メタ)アクリレートの繰り返し単位と、(d)少なくとも1つのカルボキシル含有(メタ)アクリルオキシモノマーのカルボキシル含有繰り返し単位と、を含み、非シリコーンハイドロゲル材料の層が、カルボキシル含有繰り返し単位のカルボキシル基を通してバルクシリコーンハイドロゲル材料に共有結合されており、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも5秒の水膜破壊時間(WBUT)、少なくとも約50バーラーの酸素透過性、及び0.2MPa~1.8MPaの弾性率を有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
特に定義されていない限り、本明細書で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で用いられる命名法、及び実験手順は、よく知られており、当該技術分野において一般的に用いられている。当該技術分野及び様々な一般参考文献において提供されるものなどの、従来の方法が、これらの手順のために用いられる。用語が単数形で与えられている場合、本発明者らはまた、その用語の複数形も想定している。本明細書において使用される命名法、及び以下で記載される実験室手順は、当該技術分野でよく知られており、一般的に採用されているものである。
【0012】
本出願において、本明細書で使用される「約」という用語は、「約」として言及された数が、記載されている数プラス又はマイナス記載されている数の1~10%を含むことを意味する。
【0013】
「コンタクトレンズ」は、装着者の目上又は目内に配置することができる構造体を指す。コンタクトレンズは、使用者の視力を矯正、改善又は変化させることができるが、そうである必要はない。
【0014】
「ハイドロゲルコンタクトレンズ」は、ハイドロゲルバルク(コア)材料を含むコンタクトレンズを指す。ハイドロゲルバルク材料は、非シリコーンハイドロゲル材料、又は好ましくはシリコーンハイドロゲル材料であることが可能である。
【0015】
「ハイドロゲル」又は「ハイドロゲル材料」は、3次元ポリマーネットワーク(すなわち、ポリマーマトリックス)を有し、水に不溶性であるが、完全に水和した(又は平衡した)ときに少なくとも10重量%の水をそのポリマーマトリックス中に保持することができる架橋ポリマー材料を指す。
【0016】
「シリコーンハイドロゲル」又は「SiHy」は、少なくとも1つのシリコーン含有モノマー又は少なくとも1つのシリコーン含有マクロマー又は少なくとも1つの架橋性シリコーン含有プレポリマーを含む重合性組成物の共重合によって得られるシリコーン含有ハイドロゲルを指す。
【0017】
シロキサンは、しばしばシリコーンとも呼ばれ、少なくとも1つの-Si-O-Si-の部位を有する分子を指し、各Si原子は置換基として2つの有機基を有する。
【0018】
本出願で使用される場合、「非シリコーンハイドロゲル」又は「非シリコーンハイドロゲル材料」という用語は、相互に言い換え可能であり、理論上ケイ素を含まないハイドロゲルを指す。
【0019】
「親水性」は、本明細書で用いられる場合、脂質とよりも水とより容易に会合する材料又はその一部を表す。
【0020】
「室温」という用語は、約17℃~約26℃の温度を指す。
【0021】
溶媒中における化合物又は物質に関して「可溶性」という用語は、化合物又は物質が溶媒に溶解して、室温(即ち約17℃~約26℃の温度)で少なくとも約0.5重量%の濃度を有する溶液をもたらすことができることを意味する。
【0022】
溶媒における化合物又は材料に関連して、「不溶性」という用語は、化合物又は材料が室温(上に定義されたような)で溶媒に溶解して約0.01重量%未満の濃度の溶液を与えることができることを意味する。
【0023】
「ビニル系モノマー」は、1つの唯一のエチレン性不飽和基を有し、溶媒に可溶性であり、化学線的に又は熱的に重合することができる化合物を指す。
【0024】
「オレフィン性不飽和基」又は「エチレン性不飽和基」という用語は、本明細書では広い意味で用いられ、少なくとも1つの>C=CH基を含有する任意の基を包含することが意図される。例示的なエチレン性不飽和基としては、限定されずに、(メタ)アクリロイル
【化1】

、アリル、ビニル、スチレニル、又は他のC=CH含有基が挙げられる。
【0025】
「アクリル系モノマー」は、1つの唯一の(メタ)アクリロイル基を有するビニル系モノマーを指す。アクリル系モノマーの例としては、(メタ)アクリルオキシ[又は(メタ)アクリロイルオキシ]モノマー及び(メタ)アクリルアミドモノマーが挙げられる。
【0026】
「(メタ)アクリルオキシモノマー」又は「(メタ)アクリロイルオキシモノマー」は、
【化2】

の1つの唯一の基を有するビニル系モノマーを指す。
【0027】
「(メタ)アクリルアミドモノマー」は、
【化3】

(式中、Rは、H又はC~Cアルキルである)の1つの唯一の基を有するビニル系モノマーを指す。
【0028】
「(メタ)アクリルアミド」という用語は、メタクリルアミド及び/又はアクリルアミドを指す。
【0029】
「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレート及び/又はアクリレートを指す。
【0030】
「N-ビニルアミドモノマー」は、アミド基の窒素原子に直接結合しているビニル基(-CH=CH)を有するアミド化合物を指す。
【0031】
「エンモノマー」は、1つの唯一のエン基を有するビニル系モノマーを指す。
【0032】
「親水性ビニル系モノマー」、「親水性アクリル系モノマー」、「親水性(メタ)アクリルオキシモノマー」、又は「親水性(メタ)アクリルアミドモノマー」は、本明細書で用いられる場合、それぞれ、ビニル系モノマー、アクリル系モノマー、(メタ)アクリルオキシモノマー、又は(メタ)アクリルアミドモノマーを指し、それは、典型的には水溶性である又は少なくとも10重量パーセントの水を吸収することができるホモポリマーをもたらす。
【0033】
「疎水性ビニル系モノマー」、「疎水性アクリル系モノマー」、「疎水性(メタ)アクリルオキシモノマー」、又は「疎水性(メタ)アクリルアミドモノマー」は、本明細書で用いられる場合、それぞれ、ビニル系モノマー、アクリル系モノマー、(メタ)アクリルオキシモノマー、又は(メタ)アクリルアミドモノマーを指し、それは、典型的には水に不溶性である、及び10重量%未満の水を吸収することができるホモポリマーをもたらす。
【0034】
本出願で使用される場合、「ビニル系架橋剤」という用語は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する有機化合物を指す。「ビニル系架橋剤」は、700ダルトン以下の分子量を有するビニル系架橋剤を指す。
【0035】
「アクリル架橋剤」は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するビニル系架橋剤を指す。
【0036】
「アクリル系繰り返し単位」という用語は、それぞれがポリマー材料を形成するためのフリーラジカル重合でアクリル系モノマー又は架橋剤から誘導されるポリマー材料の繰り返し単位を指す。
【0037】
「末端(メタ)アクリロイル基」という用語は、当業者に知られているように、有機化合物の主鎖(又は骨格)の2つの末端のうちの1つにある1つの(メタ)アクリロイル基を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、重合性組成物、プレポリマー又は材料の硬化、架橋又は重合に関する「化学的に」とは、硬化(例えば、架橋及び/又は重合)が例えばUV/可視照射、電離放射線(例えば、ガンマ線又はX線照射)、マイクロ波照射などの化学線照射によって行われることを意味する。熱硬化又は化学線硬化方法は、当業者によく知られている。
【0039】
本出願で使用される場合、「ポリマー」という用語は、1つ以上のモノマー若しくはマクロマー若しくはプレポリマー又はそれらの組み合わせを重合させる/架橋させることによって形成される材料を意味する。
【0040】
「マクロマー」又は「プレポリマー」は、エチレン性不飽和基を含有し、700ダルトン超の数平均分子量を有する化合物又はポリマーを指す。
【0041】
本出願で使用される場合、ポリマー材料(モノマー材料又はマクロマー材料を含む)の「分子量」という用語は、特に明記がない限り又は試験条件が特に示さない限り、数平均分子量を指す。当業者は、公知の方法、例えば、屈折率検出器、低角レーザー光散乱検出器、マルチアングルレーザー光散乱検出器、示差粘度測定検出器、UV検出器、及び赤外線(IR)検出器のうちの1つ又はそれ以上備えたGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー);MALDI-TOF MS(マトリックス支援脱離/イオン化飛行時間型質量分析);H NMR(プロトン核磁気共鳴)分光法などに従ってポリマーの分子量を決定する方法を認識している。
【0042】
「ポリシロキサンセグメント」又は「ポリジオルガノシロキサンセグメント」は、相互に言い換え可能であり、
【化4】

のポリマー鎖セグメント(すなわち二価ラジカル)を指し、式中、SNは3以上の整数であり、RS1及びRS2のそれぞれは、互いに独立して、C~C10アルキル;フェニル;C~Cアルキル置換フェニル;C~Cアルコキシ置換フェニル;フェニル-C~Cアルキル;C~C10フルオロアルキル;C~C10フルオロエーテル;アリール;アリールC~C18アルキル;-アルク-(OCγ1-OR(ここで、アルクは、C~Cアルキレンジラジカルであり、Rは、H又はC~Cアルキルであり、γ1は、1~10の整数である);ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NRN1N1’)、-NRN1-のアミノ結合、-CONRN1-のアミド結合、-CONRN1N1’のアミド、-OCONH-のウレタン結合、及びC~Cアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するC~C40有機ラジカル、又は直鎖親水性ポリマー鎖からなる群から選択され、ここで、RN1及びRN1’は、互いに独立して、水素又はC~C15アルキルである。
【0043】
「ポリシロキサンビニル系モノマー」は、少なくとも1つのポリシロキサンセグメントと、1つの単独のエチレン系不飽和基とを含む化合物を指す。
【0044】
「ポリジオルガノシロキサンビニル系架橋剤」又は「ポリシロキサンビニル系架橋剤」は、交換可能に、少なくとも1つのポリシロキサンセグメントと、少なくとも2つのエチレン系不飽和基とを含む化合物を指す。
【0045】
「直鎖ポリジオルガノシロキサンビニル系架橋剤」又は「直鎖ポリシロキサンビニル系架橋剤」は、交換可能に、少なくとも1つのポリシロキサンセグメントを含み、主鎖の2つの末端のそれぞれで1つのエチレン系不飽和基で終端する主鎖を含む化合物を指す。
【0046】
「鎖延長ポリジオルガノシロキサンビニル系架橋剤」又は「鎖延長ポリシロキサンビニル系架橋剤」は、交換可能に、少なくとも2つのエチレン系不飽和基と、少なくとも2つのポリシロキサンセグメントとを含み、そのそれぞれの対が1つの二価ラジカルによって連結されている化合物を指す。
【0047】
「流体」という用語は、本明細書で用いられる場合、材料が液体のように流れ得ることを示す。
【0048】
本出願で使用される場合、重合性組成物に関する「光学的に透明」という用語は、重合性組成物が透明な溶液又は液体混合物である(すなわち400~700nmの範囲で85%以上、好ましくは90%以上の光透過率を有する)ことを意味する。
【0049】
「一価ラジカル」という用語は、有機化合物から水素原子を除去することによって得られる、及び有機化合物中の1つの他の基と1つの結合を形成する有機ラジカルを指す。例としては、限定なしに、アルキル(アルカンからの水素原子の除去による)、アルコキシ(又はアルコキシル)(アルキルアルコールのヒドロキシル基からの1つの水素原子の除去による)、チイル(アルキルチオールのチオール基からの1つの水素原子の除去による)、シクロアルキル(シクロアルカンからの水素原子の除去による)、シクロヘテロアルキル(シクロヘテロアルカンからの水素原子の除去による)、アリール(芳香族炭化水素の芳香環からの水素原子の除去による)、ヘテロアリール(任意の環原子からの水素原子の除去による)、アミノ(アミンからの1つの水素原子の除去による)などが挙げられる。
【0050】
「二価ラジカル」という用語は、有機化合物から2つの水素原子を除去することによって得られる、及び有機化合物中の他の2つの基と2つの結合を形成する有機ラジカルを指す。例えば、アルキレン二価ラジカル(すなわち、アルキレニル)は、アルカンからの2つの水素原子を除去により得られ、シクロアルキレン二価ラジカル(すなわち、シクロアルキレニル)は、環状環からの2つの水素原子の除去により得られる。
【0051】
本出願において、アルキル又はアルキレニルに関連して「置換された」という用語は、アルキル又はアルキレニルが、アルキル又はアルキレニルの1つの水素原子と置き換わる、並びにヒドロキシル(-OH)、カルボキシル(-COOH)、-NH、スルフヒドリル(-SH)、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ(アルキルスルフィド)、C~Cアシルアミノ、C~Cアルキルアミノ、ジ-C~Cアルキルアミノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの置換基を含むことを意味する。
【0052】
本出願において、「ポリオキサゾリン」という用語は、
【化5】

(式中:Rは、水素、メチル、エチル、N-ピロリドニルメチル、N-ピロリドニルエチル、N-ピロリドニルプロピル又は-alk-(OCm3-ORの一価ラジカル(ここで、alkは、C~Cアルキルジラジカルであり;R”は、C~Cアルキル(好ましくはメチル)であり;m3は、1~10の整数(好ましくは1~5)である)であり;xは、5~500の整数である)のポリマー又はポリマーセグメントを指す。
【0053】
本出願において、「ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)」という用語は、
【化6】

(式中:Rは、水素、メチル、エチル、N-ピロリドニルメチル、N-ピロリドニルエチル、N-ピロリドニルプロピル又は-alk-(OCm3-ORの一価ラジカル(ここで、alkは、C~Cアルキルジラジカルであり;R”は、C~Cアルキル(好ましくはメチル)であり;m3は、1~10の整数(好ましくは1~5)である)であり;xは、5~500の整数であり;zは、x以下の整数である)の式を有する統計的コポリマー又はそのポリマーセグメントを指す。ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)は、ポリオキサゾリンを加水分解することによって得られる。
【0054】
本出願において、「ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリン」という用語は、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)をエピクロロヒドリンと反応させて、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)の二級アミン基の全て又はかなりのパーセント割合(≧90%)をアゼチジニウム基に変換することによって得られるポリマーを指す。ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンの例は、係属中の米国特許出願公開第2016/0061995A1号明細書に開示されている。
【0055】
「エピクロロヒドリン官能化ポリアミン」又は「エピクロロヒドリン官能化ポリアミドアミン」は、ポリアミン又はポリアミドアミンをエピクロロヒドリンと反応させて、ポリアミン又はポリアミドアミンの二級アミン基の全て又はかなりのパーセント割合をアゼチジニウム基に変換することによって得られるポリマーを指す。
【0056】
「ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン」という用語は、エピクロロヒドリンで官能化されたアジピン酸-ジエチレントリアミンコポリマーを指す。
【0057】
本出願において、「アゼチジニウム」又は「3-ヒドロキシアゼチジニウム」という用語は、
【化7】

の正に帯電した(すなわち、カチオン性の)、二価ラジカル(又は基若しくは部分)を指す。
【0058】
ポリマー系材料又は官能基に関する「熱架橋性」という用語は、ポリマー系材料又は官能基が、比較的高い温度(約40℃~約140℃)で別の材料又は官能基と架橋反応(又はカップリング反応)を行うことができる一方、このポリマー系材料又は官能基が、約5℃~約15℃の温度で約1時間の時間に検出可能な程度に別の材料又は官能基と同じ架橋反応(又はカップリング反応)を行うことができないことを意味する。
【0059】
本出願で使用される場合、「ホスホリルコリン」という用語は、
【化8】

(式中、nは、1~5の整数であり、R、R及びRは、互いに独立して、C~Cアルキル又はC~Cヒドロキシアルキルである)の双性イオン性の基を指す。
【0060】
本出願で使用される場合、「反応性ビニル系モノマー」という用語は、カルボキシル基、一級アミノ基、及び二級アミノ基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する任意のビニル系モノマーを指す。
【0061】
本出願で使用される場合、「非反応性ビニル系モノマー」という用語は、カルボキシル基、一級アミノ基、二級アミノ基、エポキシド基、イソシアネート基、アズラクトン基、又はアジリジン基を含まない任意のビニル系モノマー(親水性又は疎水性ビニル系モノマーのいずれか)を指す。
【0062】
フリーラジカル開始剤は、光開始剤か又は熱開始剤かのどちらかであることができる。「光開始剤」は、光の使用によりフリーラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を指す。「熱開始剤」は、熱エネルギーを使用することによりフリーラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、コンタクトレンズに関しての「バルクシリコーンハイドロゲル材料」という用語は、相互に言い換え可能であり、コンタクトレンズの三次元形状を実質的に有するシリコーンハイドロゲル材料の層を意味する。
【0064】
材料の固有の「酸素透過性」Dkは、酸素が材料を通過する割合である。酸素透過性は、通常、バーラーの単位で表され、「バーラー」は、[(cm酸素)(mm)/(cm)(秒)(mmHg)]×10-10として定義される。
【0065】
インサート又は材料の「酸素透過係数」Dk/tは、測定される領域全体で平均厚さt[mm単位]の特定のインサート又は材料を酸素が通過する割合である。酸素透過係数は、通常、バーラー/mmの単位で表され、「バーラー/mm」は、[(cm酸素)/(cm)(秒)(mmHg)]×10-9として定義される。
【0066】
レンズを通る「イオン透過性」は、イオノフラックス拡散係数と相関する。イオノフラックス拡散係数D([mm/分]の単位)は、以下のフィックの法則を適用することによって決定される:
D=-n’/(A×dc/dx)
(式中、n’=イオン輸送速度[mol/分]であり;A=露出したレンズの面積[mm]であり;dc=濃度差[mol/L]であり;dx=レンズの厚さ[mm]である)。
【0067】
コンタクトレンズ又は物質に関して「弾性率(modulus)」又は「弾性係数(elastic modulus)」という用語は、引張弾性率、すなわち、ヤング率を意味し、これは、コンタクトレンズ又は物質の埋込の尺度である。弾性率は、実施例1に記載の手順に従って測定することができる。
【0068】
「ドライレンズ前駆体」という用語は、成形型中での重合性組成物の注型成形によって得られ、抽出及び/又は水和ポスト成形プロセスを受けていない(すなわち、成形後に水又はいずれかの有機溶媒又はいずれかの液体と接触していない)注型成形コンタクトレンズを指す。
【0069】
「湿潤性シリコーンハイドロゲ(hydroge)コンタクトレンズ」という用語は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約5秒、好ましくは少なくとも約10秒、より好ましくは少なくとも約15秒、更により好ましくは少なくとも約20秒の水膜破壊時間(「WBUT」)を有することを意味する。水膜破壊時間(「WBUT」)は、実施例1に記載される手順に従って測定することができる。
【0070】
「光学的に透明なシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ」という用語は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、400~700nmの範囲で、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも93%、更により好ましくは少なくとも95%の光透過率を有することを意味する。400~700nmの範囲でのコンタクトレンズの光透過率は、実施例1に記載される手順に従って測定することができる。
【0071】
「平均水接触角」は(液滴法(Sessile Drop)によって測定された)水接触角を指し、これは少なくとも3つの個々のコンタクトレンズ又はシリコーンハイドロゲル材料の試料の測定値を平均化することによって得られる。
【0072】
一般に、本発明は、光学的に透明で、湿潤性のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを費用効果が高く、且つ環境に優しい方法で製造するための方法を目的とする。本発明は、ヒドロキシエチルメタクリレート、アルコキシエチルメタクリレート(例えば、エトキシエチルメタクリレート又はメトキシエチルメタクリレート)、カルボキシル含有(メタ)アクリルオキシモノマー(例えば、アクリル酸又はメタクリル酸)及び親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤などの選択された重合性成分が、眼科的に適合性のある有機溶媒(例えば、プロピレングリコール)中で配合されて、比較的高い酸素透過性(少なくとも50バーラー)を有する光学的に透明なシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを作製することが可能なレンズ配合物を形成することができるという発見に部分的に基づいている。本発明はまた、注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、抽出及び水和プロセスに供する必要がなく、オートクレーブ中にレンズパッケージ内のパッケージング溶液中で直接表面改質され得るという発見に部分的に基づいている。
【0073】
本発明は、以下の利点を提供する。第1に、眼科的に不適合な有機溶媒が、本発明の方法で使用されないことである。眼科的に不適合な有機溶媒を排除することによって、成形後の抽出及び水和工程が排除され得る。そのため、製造は大幅に簡素化され、生産コストを著しく低下させることができ、製造プロセスは環境に優しいものとなる。第2に、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ上にベースコーティングを形成する工程が排除されることである。ベースコーティング工程及び濯ぎ工程に関連する生産コストが排除される。
【0074】
本発明は、一態様において、コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法であって、(1)重合性組成物をレンズ成形型に導入する工程であって、重合性組成物が、(a)少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤と、(b)任意選択で、ヒドロキシエチルメタクリレートと、(c)少なくとも1つのC~Cアルコキシエチル(メタ)アクリレートと、(d)全ての重合性成分の総量に対して、約2重量%~約10重量%の少なくとも1つのカルボキシル含有(メタ)アクリルオキシモノマーと、(e)少なくとも1つのフリーラジカルと、(f)任意選択で、水、プロピレングリコール、約400ダルトン以下の分子量を有するポリエチレングリコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒と、を含む、導入する工程と、(2)レンズ成形型中の重合性組成物を熱硬化又は化学線硬化させて、カルボキシル基を含むバルクシリコーンハイドロゲル材料を含むシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を形成する工程と、(3)任意選択で、工程(2)で得られたシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を水又は水溶液中で水和させて、水和されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを得る工程と、(4)工程(2)で得られたシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体又は工程(3)で得られた水和されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを、約6.5~約9.5のpHを有し、且つ少なくとも1つの水溶性で熱架橋性の親水性ポリマー材料を含む水溶液中で、約60℃~約140℃の温度で直接加熱して、バルクシリコーンハイドロゲル材料とバルクシリコーンハイドロゲル材料に共有結合された架橋親水性ポリマー材料の層とを含むコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを形成する工程と、を含む方法を提供し、コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約5秒(好ましくは、少なくとも約10秒、より好ましくは少なくとも約15秒、更により好ましくは少なくとも約20秒)の水膜破壊時間(WBUT)、及び少なくとも約50バーラー(好ましくは少なくとも約60バーラー、より好ましくは少なくとも約70バーラー、更により好ましくは少なくとも約80バーラー)の酸素透過性を呈する。
【0075】
本発明の好ましい実施形態によると、成分(a)~(e)の量の合計は、重合性組成物中の全ての重合性成分の総量に対して、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約92重量%、より好ましくは少なくとも約94重量%、更により好ましくは少なくとも約96重量%である。
【0076】
本発明のいずれかの先行する実施形態によると、重合性組成物は、ヒドロキシエチルメタクリレートを含む。
【0077】
本発明のいずれかの先行する実施形態によると、重合性組成物は、水、ポリエチレングリコール、約400ダルトン以下の分子量を有するポリエチレングリコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含む。
【0078】
本発明によると、それが少なくとも約1.50(好ましくは、少なくとも約2.0、より好ましくは少なくとも約2.5、更により好ましくは少なくとも約3.0)のミリ当量/グラム(「meq/g」)の親水性部分を含む限りにおいて、あらゆる親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤を本発明で使用することができ、親水性部分は、好ましくは、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NHRN1(式中、RN1はH又はC~Cアルキルである))、アミド部分(-CO-NRN1N2(式中、RN1はH又はC~Cアルキルであり、RN2は共有結合、H、又はC~Cアルキルである))、N-C~Cアシルアミノ基、ウレタン部分(-NH-CO-O-)、尿素部分(-NH-CO-NH-)、
【化9】

(式中、Nは2~20の整数であり、TはH、メチル又はアセチル又はホスホリルコリン基、若しくはそれらの組み合わせである)のポリエチレングリコール鎖である。
【0079】
いずれかの先行する実施形態では、当該少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤は、(1)ジメチルシロキサン単位及び、各々が、1つのメチル置換基と、2~6個のヒドロキシル基を有する1つの一価C~C40有機ラジカル置換基とを有する親水化シロキサン単位を含むポリシロキサンセグメントと、(2)2つの末端(メタ)アクリロイル基と、を含むポリシロキサンビニル系架橋剤を含む。より好ましくは、当該少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤は、式(1)
【化10】

(式中:
ω1/υ1が約0.035~約0.15(好ましくは約0.040~約0.12、更により好ましくは約0.045~約0.10)であることを条件として、υ1は30~500の整数であり、ω1は1~75の整数であり;
01は、O又はNRであり、ここでRは、水素又はC~C10-アルキルであり;
は、水素又はメチルであり;
及びRは、互いに独立して、置換若しくは非置換C~C10アルキレン二価ラジカル又は-R-O-R-の二価ラジカルであり、ここでR及びRは、互いに独立して、置換若しくは非置換C~C10アルキレン二価ラジカルであり;
は、式(2)~(7)のいずれか1つの一価ラジカルであり、
【化11】

p1は、ゼロ又は1であり;m1は2~4の整数であり;m2は1~5の整数であり;m3は3~6の整数であり;m4は2~5の整数であり;
は、水素又はメチルであり;
は、(m2+1)の価数を有するC~C炭化水素ラジカルであり;
は、(m4+1)の価数を有するC~C炭化水素ラジカルであり;
10は、エチル又はヒドロキシメチルであり;
11は、メチル又はヒドロメチルであり、
12は、ヒドロキシル又はメトキシであり;
は、-S-の硫黄結合又は-NR13-の三級アミノ結合であり、ここでR13は、C~Cアルキル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、又は2,3-ジヒドロキシプロピルであり;
は、
【化12】

のアミド結合であり、ここでR14は、水素又はC~C10アルキルであり、
PCは、-CH-CHR-R15-、-C-O-R16-、
【化13】

の二価ラジカルであり、ここで、q1は1~20の整数であり、R15は直鎖若しくは分枝鎖のC~C10アルキレン二価ラジカルであり、R16は直鎖若しくは分枝鎖のC~C10アルキレン二価ラジカルであり、R17は直接結合又は直鎖若しくは分枝鎖のC~Cアルキレン二価ラジカルである)のポリシロキサンビニル系架橋剤を含む。
【0080】
いずれかの先行する実施形態では、Rは式(2a)~(2y)
【化14】

(式中、p1は0又は1であり(好ましくは1であり)、m1は2~4の整数であり(好ましくは3であり)、Rは水素又はメチルである(好ましくは水素である))のうちの1つの一価ラジカルである。
【0081】
いずれかの先行する実施形態では、代替的にRは式(3a)~(3y)
【化15】

(式中、X
【化16】

のアミド結合であり、ここでR14は、水素又はC~C10アルキルである)のうちの1つの一価ラジカルである。
【0082】
いずれかの先行する実施形態では、代替的にRは式(4a)又は(4b)の一価ラジカルである。
【化17】
【0083】
いずれかの先行する実施形態では、代替的にRは式(5a)~(5c)のうちの1つの一価ラジカルである。
【化18】
【0084】
いずれかの先行する実施形態では、代替的に一価ラジカルRは式(6)のラジカルであり、ここで、m1は3であり、p1は1であり、Rは水素である。そのような好ましい第1のポリシロキサンビニル系架橋剤は、式(A)
【化19】

(式中、υ1及びω1は、上で定義された通りである)によって表される。
【0085】
いずれかの先行する実施形態では、代替的にRは式(7a)
【化20】

の一価ラジカルである。
【0086】
式(1)のポリシロキサンビニル系架橋剤を調製するための手順は、米国特許第10,081,697号明細書及び米国特許出願第63/147624号明細書(2021年2月9日出願)に詳細に記載されている。
【0087】
本発明によると、あらゆるカルボキシル含有(メタ)アクリルオキシモノマーが、本発明で使用され得る。カルボキシル含有(メタ)アクリルオキシモノマーの例としては、限定されずに、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、プロピアクリル酸(propyacrylic acid)、(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、モノ-2-[(メタ)アクリロイルオキシ]エチルスクシネート、(メタ)アクリルロイルオキシプロパン酸、及び(メタ)アクリロイルオキシブタン酸が挙げられる。
【0088】
本発明によると、フリーラジカル開始剤は、光開始剤か又は熱開始剤かのどちらかであることができる。「光開始剤」は、光の使用によりフリーラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を指す。「熱開始剤」は、熱エネルギーを使用することによりフリーラジカル架橋/重合反応を開始する化学物質を指す。
【0089】
任意の熱重合開始剤を本発明で使用することができる。好適な熱重合開始剤は、当業者に公知であり、例えば、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、アゾ-ビス(アルキル-又はシクロアルキルニトリル)、過硫酸塩、ペルカーボネート、又はそれらの混合物を含む。好ましい熱重合開始剤の例としては、限定されずに、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシド、t-アミルペルオキシベンゾエート、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ビス(1-(tert-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ-t-ブチル-ジペロキシフタレート、t-ブチルヒドロペルオキシド、t-ブチルペルアセテート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(Perkadox 16)、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、t-ブチルペルオキシピバレート(Lupersol 11);t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Trigonox 21-C50)、2,4-ペンタンジオンペルオキシド、ジクミルペルオキシド、過酢酸、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩(VAZO 44)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO 64又はAIBN)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88);2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレート)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、熱開始剤は、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN又はVAZO 64)である。
【0090】
好適な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン並びにDarocur及びIrgacurタイプ、好ましくはDarocur 1173(登録商標)及びDarocur 2959(登録商標)、ゲルマニウム系のノリッシュI型光開始剤(例えば、米国特許第7,605,190号明細書に記載されているもの)である。ベンゾイルホスフィン開始剤の例としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-プロピルフェニルホスフィンオキシド;及びビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-N-ブチルフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。例えば、マクロマー中へ組み込むことができる又は特殊なモノマーとして使用することができる反応性光開始剤も好適である。反応性光開始剤の例は、欧州特許第632329号明細書に開示されているものである。
【0091】
本発明のいずれかの先行する実施形態によると、重合性組成物は、当業者に既知の1つ以上の追加の重合性成分(成分(a)~(e)以外の)を更に含むことができるが、それらの追加の重合性成分の合計量が、重合性組成物中の全ての重合性成分の総量に対して、約10重量%以下、好ましくは約8重量%以下、より好ましくは約6重量%以下、更により好ましくは約4重量%以下であることを条件とする。
【0092】
本発明のいずれかの先行する実施形態によると、重合性組成物は、好ましくは、エチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、200~10,000ダルトンの数平均分子量を有するポリエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、グリセロールジ-(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ-(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ-(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオール-(メタ)アクリレート、グリセロール1,3-ジグリセロレートジ-(メタ)アクリレート、エチレンビス[オキシ(2-ヒドロキシプロパン-1,3-ジイル)]ジ-(メタ)アクリレート、ビス[2-(メタ)アクリルオキシエチル]ホスフェート、トリメチロールプロパンジ-(メタ)アクリレート、並びに3,4-ビス[(メタ)アクリロイル]テトラヒドロフラン、ジアクリルアミド(すなわち、N-(1-オキソ-2-プロペニル)-2-プロペンアミド)、ジメタクリルアミド(すなわち、N-(1-オキソ-2-メチル-2-プロペニル)-2-メチル-2-プロペンアミド)、N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-メチルアミン、N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-エチルアミン、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-2-ヒドロキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-2,3-ジヒドロキシブチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,3-ビス(メタ)アクリルアミド-プロパン-2-イルリン酸二水素(すなわち、N,N’-2-ホスホニルオキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド)、ピペラジンジアクリルアミド(又は1,4-ビス(メタ)アクリロイルピペラジン)、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、エチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、200~10,000ダルトンの数平均分子量を有するポリエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0093】
本発明のいずれかの先行する実施形態によると、重合性組成物はまた、他の重合性材料、例えば、当業者に既知であるようなUV吸収性ビニル系モノマー、重合性UV/高エネルギー紫光線(「HEVL」)吸収性化合物(以下に記載されるUV/HEVL吸収性ビニル系モノマー、及び/又は米国特許出願公開第20150316688号明細書に記載される重合性Cu(II)-ポルフィリンを含む)重合性フォトクロミック化合物、重合性着色剤(重合性染料)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0094】
本発明の予備形成SiHyコンタクトレンズを調製するために、いずれの適切なUV吸収ビニル系モノマー及びUV/HEVL吸収ビニル系モノマーも重合性組成物中に使用することができる。好ましいUV吸収及びUV/HEVL吸収ビニル系モノマーの例としては、限定されないが、2-(2-ヒドロキシ-5-ビニルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2(2-ヒドロキシ-5-アクリロイルオキシフェニル)-2Hベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルアミドメチル-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリルアミドフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリルアミドフェニル)-5-メトキシベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-グリシドオキシプロピル-3’-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリルオキシプロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシ-5-メトキシ-3-(5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)ベンジルメタクリレート(WL-1)、2-ヒドロキシ-5-メトキシ-3-(5-メトキシ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)ベンジルメタクリレート(WL-5)、3-(5-フルオロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジルメタクリレート(WL-2)、3-(2Hベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジルメタクリレート(WL-3)、3-(5-クロロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジルメタクリレート(WL-4)、2-ヒドロキシ-5-メトキシ-3-(5-メチル-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)ベンジルメタクリレート(WL-6)、2-ヒドロキシ-5-メチル-3-(5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)ベンジルメタクリレート(WL-7)、4-アリル-2-(5-クロロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-6-メトキシフェノール(WL-8)、2{2’-ヒドロキシ-3’-tert-5’[3”-(4”-ビニルベンジルオキシ)プロポキシ]フェニル}-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール、フェノール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1,1ジメチルエチル)-4-エテニル-(UVAM)、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(2-メタクリルオキシエチル)フェニル)]-2H-ベンゾトリアゾール(2-プロペン酸、2-メチル-、2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルエステル、Norbloc)、2{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-2H-ベンゾトリアゾール、2{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール(UV13)、2-{2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-[3’-メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール(UV28)、2[2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(3’-アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]-5-トリフルオロメチル-2H-ベンゾトリアゾール(UV23)、2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリルアミドフェニル)-5-メトキシベンゾトリアゾール(UV6)、2-(3-アリル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(UV9)、2-(2-ヒドロキシ-3-メタリル-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(UV12)、2-3’-t-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(3”-ジメチルビニルシリルプロポキシ)-2’-ヒドロキシフェニル)-5-メトキシベンゾトリアゾール(UV15)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロイルプロピル-3’-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール(UV16)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-アクリロイルプロピル-3’-tert-ブチルフェニル)-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール(UV16A)、2-メチルアクリル酸3-[3-tert-ブチル-5-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]-プロピルエステル(16-100、CAS#96478-15-8)、2-(3-(tert-ブチル)-4-ヒドロキシ-5-(5-メトキシ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)フェノキシ)エチルメタクリレート(16-102);フェノール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-メトキシ-4-(2-プロペン-1-イル)(CAS#1260141-20-5);2-[2-ヒドロキシ-5-[3-(メタクリロイルオキシ)プロピル]-3-tert-ブチルフェニル]-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール;フェノール、2-(5-エテニル-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-、ホモポリマー(9CI)(CAS#83063-87-0)が挙げられる。本発明によると、重合性組成物は、重合性組成物中の全重合性成分の量に対して約0.1重量%~約3.0重量%、好ましくは約0.2重量%~約2.5重量%、より好ましくは約0.3重量%~約2.0重量%の1つ又はそれ以上のUV吸収ビニル系モノマーを含む。
【0095】
好ましいフォトクロミックビニル系モノマーの例としては、重合性ナフトピラン、重合性ベンゾピラン、重合性インデノナフトピラン、重合性フェナントロピラン、重合性スピロ(ベンズインドリン)-ナフトピラン、重合性スピロ(インドリン)ベンゾピラン、重合性スピロ(インドリン)-ナフトピラン、重合性スピロ(インドリン)キノプラン、重合性スピロ(インドリン)-ピラン、重合性ナフトキサジン、重合性スピロベンゾピラン;重合性スピロベンゾピラン、重合性スピロベンゾチオピラン、重合性ナフタセンジオン、重合性スピロオキサジン、重合性スピロ(インドリン)ナフトキサジン、重合性スピロ(インドリン)ピリドベンゾキサジン、重合性スピロ(ベンズインドリン)ピリドベンゾキサジン、重合性スピロ(ベンズインドリン)ナフトキサジン、重合性スピロ(インドリン)-ベンゾオキサジン、重合性ジアリールエテン及びそれらの組み合わせが含まれる。これらは米国特許第4929693号明細書、同第5166345号明細書、同第6017121号明細書、同第7556750号明細書、同第7584630号明細書、同第7999989号明細書、同第8158037号明細書、同第8697770号明細書、同第8741188号明細書、同第9052438号明細書、同第9097916号明細書、同第9465234号明細書、同第9904074号明細書、同第10197707号明細書、同第6019914号明細書、同第6113814号明細書、同第6149841号明細書、同第6296785号明細書及び同第6348604号明細書に開示される通りである。
【0096】
いずれかの先行する実施形態によると、重合性組成物は、全ての重合性成分の総量に対して、好ましくは約30重量%~約65重量%(より好ましくは約35重量%~約60重量%、更により好ましくは約40重量%~約60重量%)の成分(a)と、好ましくは約30重量%~約65重量%(より好ましくは約35重量%~約60重量%、更により好ましくは約40重量%~約60重量%)の成分(b)及び(c)と、好ましくは約2重量%~約10重量%(より好ましくは約3重量%~約9重量%、更により好ましくは約4重量%~約8重量%)の成分(d)と、を含む。
【0097】
いずれかの先行する実施形態では、重合性組成物中の成分(c)の成分(b)に対する重量比は、約40~約10、好ましくは約35~約15、より好ましくは約30~約15、更により好ましくは約23~約11である。
【0098】
様々なシリコーン含有ビニル系モノマー、ポリシロキサンビニル系架橋剤、親水性ビニル系モノマー、及び疎水性ビニル系モノマーを含む他の重合性成分(材料)は、当業者に周知である。1つ以上のそのような重合性成分は、それらの量が、重合性組成物中の全ての重合性成分の総量に対して、約10重量%未満(好ましくは約8重量%未満、より好ましくは約6重量%未満、更により好ましくは約4重量%未満)である限り、本発明の重合性組成物において使用され得る。
【0099】
いずれかの先行する実施形態によると、重合性組成物はまた、例えば、生物活性剤(例えば、薬物、アミノ酸、ポリペプチド、タンパク質、核酸、2-ピロリドン-5-カルボン酸(PCA)、アルファヒドロキシル酸、リノール酸及びガンマリノール酸、ビタミン、又はそれらの任意の組み合わせ)、浸出性潤滑剤(例えば、5,000~500,000、好ましくは10,000~300,000、より好ましくは20,000~100,000ダルトンの平均分子量を有する非架橋性親水性ポリマー)、浸出性涙液安定化剤(例えば、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、糖脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質、8~36個の炭素原子を有する脂肪酸、8~36個の炭素原子を有する脂肪アルコール、又はそれらの混合物)、離型剤、並びにそれらの混合物などの当業者に既知の他の必要な成分を含み得る。
【0100】
本発明の重合性組成物は、当業者に既知であるように、望ましい成分の全てをブレンドすることによって調製され得る。
【0101】
ハイドロコンタクトレンズなどのコンタクトレンズを作製するためのレンズ成形型は、当業者によく知られており、例えば、キャスト成形又はスピンキャスティングに用いられる。例えば、(注型成形用の)成形型は、一般に、少なくとも2つの成形型片(若しくは部分)又は成形型半体、すなわち第1及び第2の成形型半体を含む。第1の成形型半体は、第1の成形(又は光学)面を画定し、第2の成形型半体は、第2の成形(又は光学)面を画定する。第1及び第2の成形型半体は、第1の成形面と第2の成形面との間にレンズ形成キャビティが形成されるように、互いを受け取るように構成される。成形型半体の成形面は、成形型のキャビティ形成面であり、重合性組成物と直接接触する。
【0102】
コンタクトレンズを注型成形するための成形型片を製造する方法は、一般に当業者によく知られている。本発明の方法は、成形型を形成する特定の方法に限定されない。実際、本発明では、成形型を形成するための任意の方法を使用することができる。
【0103】
一般に、コンタクトレンズの注型成形用のレンズ成形型は、少なくとも2つの成形型半体(又は、成形型片)、1つの雄型半体及び雌成形型半体を含む。雄成形型半体は、コンタクトレンズの注型成形用の重合性組成物と直接接触し、成形されたコンタクトレンズの後面(凹面)を画定する第1の成形(又は光学)表面を有し、雌成形型半体は、重合性組成物と直接接触し、成形されたコンタクトレンズの前面(凸面)を画定する第2の成形(例えば、光学)表面を有する。雄成形型及び雌成形型半体は、第1の成形面と第2の成形面との間にレンズ形成キャビティが形成されるように、互いを受け取るように構成される。
【0104】
成形型半体は、射出成形などの様々な手法により形成することができる。コンタクトレンズを注型成形するための成形型半体を製造する方法は、一般に当業者によく知られている。本発明の方法は、成形型を形成する特定の方法に限定されない。実際、本発明では、成形型を形成するための任意の方法を使用することができる。第1及び第2の成形型半体は、射出成形又は旋盤などの様々な手法により形成することができる。成形型半体を形成するための好適なプロセスの例は、米国特許第4444711号明細書、同第4460534号明細書、同第5843346号明細書、及び同第5894002号明細書に開示されている。
【0105】
成形型を製造するための当該技術分野で知られる事実上全ての材料を、コンタクトレンズを作製するための成形型の製造に使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、Topas(登録商標)COCグレード8007-S10(Frankfurt、Germany及びSummit、New JerseyのTicona GmbH製の、エチレンとノルボルネンとの透明な非晶質コポリマー)などの、ポリマー材料を使用することができる。石英ガラス及びサファイアなどの、UV光を透過可能な他の材料を使用することができるであろう。
【0106】
本発明によると、重合性組成物は、任意の公知の手法よって、レンズ成形型中に分散され得る。例えば、特定の量の重合性組成物が、典型的には、分配装置によって雌成形型半体中に分配され、次いで、雄成形型半体が配置され、成形型が閉じられる。成形型が閉じると、いかなる過剰な重合性組成物も、雌成形型半体上(或いは、雄成形型半体上)に提供されるオーバーフローに押し込まれる。
【0107】
成形アセンブリ(すなわち、第2の重合性流体組成物及びその中に浸漬された部分的に架橋された環状層を閉じ込める閉鎖された成形型)は、その後、当業者に既知であるように熱硬化又は化学線硬化され、カルボキシル基を含むバルクシリコーンハイドロゲル材料を含むシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を形成する。バルクシリコーンハイドロゲル材料の表面上及び/又はその近くのカルボキシル基が、架橋された親水性ポリマー材料の層が共有結合され得る反応性部位として機能し得ることが理解される。
【0108】
硬化後に、成形型は、当業者に既知の任意の手法に従って開放することができる。成形型が分離された後、シリコーンハイドロゲルレンズ前駆体は、雄成形型半体及び雌成形型半体のうちの1つに固着する。
【0109】
レンズ固着成形型半体上に固着されたシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体は、レンズ固着成形型半体から取り外され、次いで1つ以上の成形後処理に供され得る。
【0110】
本発明によると、水溶性で熱架橋性の親水性ポリマー材料は、好ましくはアゼチジニウム基又はエポキシ基又はそれらの組み合わせを含む。好ましくは、水溶性で架橋性の親水性ポリマー材料は、三次元ネットワーク及び熱架橋性基、好ましくはネットワーク内又はネットワークに連結されているアゼチジニウム基を含む部分的に架橋されたポリマー材料である。ポリマー材料に関する「部分的に架橋された」という用語は、架橋反応において、ポリマー材料を作製するための出発材料の架橋性基が完全に消費されていないことを意味する。例えば、そのような熱架橋性の親水性ポリマー材料は、アゼチジニウム基を含み、スキームIに示される架橋反応に従う、少なくとも1つのアゼチジニウム含有ポリマーと、少なくとも1つのカルボキシル、一級アミン、二級アミン、又はチオール基を有する少なくとも1つの親水性増強剤(すなわち、湿潤剤)との部分的反応生成物であり、
【化21】

式中、Xは、-S-*、-OC(=O)-*、又は-NR’-*であり、ここでR’は、水素又はC~C20の無置換又は置換アルキル基であり、*は、有機ラジカルを表す。
【0111】
エポキシ基を含む好ましい水溶性で熱架橋性の親水性ポリマー材料の例としては、限定されずに、各々が末端エポキシ基を有する1つ以上のマルチアーム型ポリエチレングリコール;末端エポキシ基を有するマルチアーム型ポリエチレングリコールと、各々が一級アミン基、二級アミン基、カルボキシル基、チオール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される末端官能基を有する1つ以上のポリエチレングリコールとの混合物;末端エポキシ基を有するマルチアーム型ポリエチレンとアミノ基、カルボキシル基、チオール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する親水性増強剤との部分的反応生成物(米国特許第9,505,184号明細書に開示されるような、米国特許第6,440,571号明細書に開示される親水性ポリマー)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0112】
アゼチジニウム基を含む好ましい水溶性で熱架橋性の親水性ポリマー材料の例としては、限定されずに、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンコポリマー(米国特許第9,720,138号明細書に開示されている)、化学修飾されたポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンコポリマー米国特許第9,720,138号明細書に開示されている)、化学修飾されたポリアミドアミン-エピクロロヒドリン(米国特許第8,529,057号明細書に開示されている)、アゼチジニウム含有ビニル系モノマーと1つ以上の親水性ビニル系モノマーとのコポリマー(米国特許第9,422,447号明細書に開示されている)、アゼチジニウム含有ビニル系モノマーと1つ以上の親水性ビニル系モノマーとの化学修飾されたコポリマー(米国特許第9,422,447号明細書に開示されている)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0113】
本発明によると、アゼチジニウム基を有する水溶性で熱架橋性の親水性ポリマー材料に関する「化学修飾された」という用語は、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンコポリマー、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン又はアゼチジニウム含有ビニル系モノマーのコポリマーが、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する親水性増強剤で部分的に反応されていること(すなわち、アゼチジニウム基の全てを消費していないこと)を意味する。化学修飾されたポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンコポリマー又はポリアミドアミン-エピクロロヒドリン又はアゼチジニウム含有ビニル系モノマーのコポリマーは、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ上に、比較的厚く、且つ柔らかい非シリコーンハイドロゲルコーティングを形成するために特に有用であり得る。
【0114】
任意の好適な親水性増強剤が、それらが少なくとも1つのアミノ基、少なくとも1つのカルボキシル基、及び/又は少なくとも1つのチオール基を含有する限りにおいて、本発明で使用することができる。
【0115】
親水性増強剤の好ましいクラスとしては、限定されずに、一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル若しくはチオール含有単糖類(例えば、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、1-チオールグリセロール、5-ケト-D-グルコン酸、ガラクサミン、グルコサミン、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルコサミン酸、マンノサミン、サッカリン酸1,4-ラクトン、サッカライド酸、ケトデオキシノヌロソン酸、N-メチル-D-グルカミン、1-アイノ-1-デオキシ-β-D-ガラクトース、1-アミノ-1-デオキシソルビトール、1-メチルアミノ-1-デオキシソルビトール、N-アミノエチルグルコンアミド);一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル若しくはチオール含有二糖類(例えば、コンドロイチン二糖類ナトリウム塩、ジ(β-D-キシロピラノシル)アミン、ジガラクツロン酸、ヘパリン二糖類、ヒアルロン酸二糖類、ラクトビオン酸);並びに一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル若しくはチオール含有オリゴ糖類(例えば、カルボキシメチル-β-シクロデキストリンナトリウム塩、トリガラクツロン酸);及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0116】
親水性増強剤の別の好ましいクラスは、1つ以上の(一級若しくは二級)アミノ、カルボキシル及び/又はチオール基を有する親水性ポリマーである。より好ましくは、親水性増強剤としての親水性ポリマー中のアミノ(上で定義されたようなR’を有する-NHR’)、カルボキシル(-COOH)及び/又はチオール(-SH)基の含有量は、親水性ポリマーの総重量に基づいて、約40重量%未満、好ましくは約30重量%未満、より好ましくは約20重量%未満、更により好ましくは約10重量%未満である。
【0117】
親水性増強剤としての親水性ポリマーの1つの好ましいクラスは、(一級若しくは二級)アミノ若しくはカルボキシル含有多糖類であり、例えば、カルボキシメチルセルロース(繰り返し単位、─[C10~m(CHCOH)]─(ここで、mは1~3である)の組成に基づいて推定される約40%以下のカルボキシル含量を有する)、カルボキシエチルセルロース(繰り返し単位、─[C10~m(CCOH)]─(ここで、mは1~3である)の組成に基づいて推定される約36%以下のカルボキシル含量を有する)、カルボキシプロピルセルロース(繰り返し単位、─[C10~m(CCOH)]─(ここで、mは1~3である)の組成に基づいて推定される約32%以下のカルボキシル含量を有する)、ヒアルロン酸(繰り返し単位、─(C1320NCOH)─の組成に基づいて推定される約11%のカルボキシル含量を有する)、硫酸コンドロイチン(繰り返し単位、─(C121813NSCOH)─の組成に基づいて推定される約9.8%のカルボキシル含量を有する)、又はそれらの組み合わせなどである。
【0118】
親水性増強剤としての親水性ポリマーの別の好ましいクラスとしては、限定されずに、モノ-アミノ(一級若しくは二級アミノ)、カルボキシル又はチオール基を有するポリ(エチレングリコール)(PEG)(例えば、PEG-NH、PEG-SH、PEG-COOH);HN-PEG-NH;HOOC-PEG-COOH;HS-PEG-SH;HN-PEG-COOH;HOOC-PEG-SH;HN-PEG-SH;1つ以上のアミノ(一級若しくは二級)、カルボキシル又はチオール基を有するマルチアーム型PEG;1つ以上のアミノ(一級若しくは二級)、カルボキシル又はチオール基を有するPEGデンドリマー;非反応性親水性ビニル系モノマーのジアミノ-(一級若しくは二級)又はジカルボキシル末端ホモ若しくはコポリマー;非反応性親水性ビニル系モノマーのモノアミノ-(一級若しくは二級)又はモノカルボキシル末端ホモ若しくはコポリマー;(1)約60重量%以下、好ましくは約0.1重量%~約30重量%、より好ましくは約0.5重量%~約20重量%、更により好ましくは約1重量%~約15重量%の1つ以上の反応性ビニル系モノマーと、(2)少なくとも1つの非反応性親水性ビニル系モノマーとを含む組成物の重合生成物であるコポリマー、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。反応性ビニル系モノマー及び非反応性親水性ビニル系モノマーは、前に記載されたものである。
【0119】
本発明によると、親水性増強剤を作製するための反応性ビニル系モノマーは、カルボキシル含有ビニル系モノマー、一級アミノ含有ビニル系モノマー、又は二級アミノ含有ビニル系モノマーであり得る。好ましいカルボキシル含有ビニル系モノマーの例としては、限定されずに、アクリル酸、メタクリルエチルアクリル酸、N-2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい一級及び二級アミノ含有ビニル系モノマーの例としては、限定されずに、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0120】
本発明によると、親水性増強剤を作製するための非反応性ビニル系モノマーは、いかなるカルボキシル基、一級アミノ基、二級アミノ基、エポキシド基、イソシアネート基、アズラクトン基、又はアジリジン基も含まないビニル系モノマーである。非反応性ビニル系モノマーは、好ましくはカルボキシル又はアミノ基を含まない非電荷親水性ビニル系モノマー(上述のいずれかのものが、本明細書で使用され得る)、ホスホリルコリン含有ビニル系モノマー(上述のいずれかのものが、本明細書で使用され得る)、又はそれらの組み合わせである。
【0121】
より好ましくは、親水性増強剤としての親水性ポリマーは、
-NH、-SH又は-COOHの1つの単独の官能基を有するポリ(エチレングリコール);
-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポリ(エチレングリコール);
-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアーム型ポリ(エチレングリコール);
非反応性親水性ビニル系モノマーのモノアミノ、モノカルボキシル、ジアミノ若しくはジカルボキシル末端ホモ又はコポリマー;
(1)約0.1重量%~約30重量%、好ましくは約0.5重量%~約20重量%、より好ましくは約1重量%~約15重量%の反応性ビニル系モノマーと、(2)少なくとも1つの非反応性ビニル系モノマーと、を含む組成物の重合生成物であるコポリマーである。
【0122】
好ましい反応性ビニル系モノマーの例としては、限定されずに、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0123】
好ましい非反応性親水性ビニル系モノマーの例としては、限定されずに、アルキル(メタ)アクリルアミド(上述のいずれか1つ)、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル含有アクリル系モノマー(上述のいずれか1つ)、N-ビニルアミドモノマー(上述のいずれか1つ)、メチレン含有ピロリドンモノマー(すなわち、それぞれが3位又は5位でピロリドン環に連結されたメチレン基を有するピロリドン誘導体)(上述のいずれか1つ)、C~Cアルコキシエトキシ基を有するアクリル系モノマー(上述のいずれか1つ)、ビニルエーテルモノマー(上述のいずれか1つ)、アリルエーテルモノマー(上述のいずれか1つ)、ホスホリルコリン含有ビニル系モノマー(上述のいずれか1つ)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0124】
好ましくは、非反応性親水性ビニル系モノマーは、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスホネート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスホネート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスホネート、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するC~C-アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスホネート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスホネート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスホネート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスホネート、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有する、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、更により好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスホネート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスホネート、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0125】
官能基を有するPEG及び官能基を有するマルチアーム型PEGは、様々な商業的供給元、例えば、Polyscience、及びShearwater Polymers,inc.などから得ることができる。
【0126】
1つ以上の非反応性親水性ビニル系モノマーの、又はホスホリルコリン含有ビニル系モノマーのモノアミノ、モノカルボキシル、ジアミノ若しくはジカルボキシ末端ホモ又はコポリマーは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,218,508号明細書に記載される手順に従って調製され得る。例えば、非反応性親水性ビニル系モノマーのジアミノ若しくはジカルボキシル末端ホモ又はコポリマーを調製するために、非反応性ビニル系モノマー、アミノ若しくはカルボキシル基を有する連鎖移動剤(例えば、2-アミノエタンチオール、2-メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオ酪酸、若しくは他のヒドロキシメルカプトン、アミノメルカプトン、又はカルボキシル含有メルカプトン)及び任意選択で、他のビニル系モノマーが、フリーラジカル開始剤の存在下で、反応性ビニル系モノマー(アミノ若しくはカルボキシル基を有する)と重合される(熱的に又は化学線的に)。一般に、連鎖移動剤の反応性ビニル系モノマー以外のビニル系モノマーの全てのものに対するモル比は約1:5~約1:100であり、これに対して連鎖異動剤の反応性ビニル系モノマーに対するモル比は1:1である。そのような調製において、アミノ若しくはカルボキシル基を有する連鎖移動剤は、得られる親水性ポリマーの分子量を制御するために使用され、1つの末端アミノ若しくはカルボキシル基を有する得られる親水性ポリマーを提供するために、得られる親水性ポリマーの末端を形成し、一方、反応性ビニル系モノマーは、得られる親水性ポリマーに他の末端カルボキシル若しくはアミノ基を提供する。同様に、非反応性親水性ビニル系モノマーのモノアミノ若しくはモノカルボキシル末端ホモ又はコポリマーを調製するために、非反応性ビニル系モノマー、アミノ若しくはカルボキシル基を有する連鎖移動剤(例えば、2-アミノエタンチオール、2-メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオ酪酸、若しくは他のヒドロキシメルカプトン、アミノメルカプトン、又はカルボキシル含有メルカプトン)及び任意選択で、他のビニル系モノマーが、いかなる反応性ビニル系モノマーの不在下で重合される(熱的又は化学線的に)。
【0127】
非反応性親水性ビニル系モノマー及び反応性ビニル系モノマー(例えば、カルボキシル含有ビニル系モノマー、一級アミノ基含有ビニル系モノマー又は二級アミノ基含有ビニル系モノマー)を含むコポリマーは、任意の周知のラジカル重合法に従って調製することができるか、又は商業的供給元から得ることができる。メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及びカルボキシル含有ビニル系モノマー(又はアミノ含有ビニル系モノマー)を含有するコポリマーは、NOP Corporationから得ることができる(例えば、LIPIDURE(登録商標)-AC01、及びAE)。
【0128】
少なくとも1つのアミノ、カルボキシル若しくはチオール基を有する親水性ポリマー(親水性増強剤として)の重量平均分子量Mは、好ましくは約500~約2,000,000、より好ましくは約1,000~約500,000、更により好ましくは約5,000~約250,000ダルトンである。
【0129】
水溶性且つ熱架橋性親水性ポリマー材料は、米国特許出願公開第US2019/0179055A1号明細書並びに米国特許第8529057号明細書、及び同第9422447号明細書、同第9720138号明細書に開示されるプロセスに従って調製することができる。
【0130】
好ましい実施形態では、水溶性、熱架橋性ポリマー材料は、少なくとも1つのアゼチジニウム含有ポリマーとアミノ基、カルボキシル基、チオール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する少なくとも1つの親水性増強剤(すなわち、湿潤剤)とを含む反応性水溶液を約35℃~約85℃の温度に加熱し、その温度を十分な時間(約8時間以下、好ましくは約5時間、より好ましくは約2時間~約4時間)維持することによって得ることができる。反応性水溶液は、好ましくは約70mM~約170mM(好ましくは約90mM~約150mM、より好ましくは約100mM~約130mM)の1つ以上のイオン性成分を含み、少なくとも8.0(好ましくは少なくとも8.5、より好ましくは少なくとも9.0、更により好ましくは9.5)のpHを含む。反応時間は、親水性増強剤をアゼチジニウム含有ポリマーのポリマー鎖上に共有結合するのに十分長いべきであるが、アゼチジニウム含有ポリマーの全てのアゼチジニウム基を消費せず、且つアゼチジニウム含有ポリマーと親水性増強剤との間で形成されたあまりに多くの架橋のために、ゲル(すなわち、水溶性ではない)を形成しないのに十分短いべきであることを理解されたい。得られたポリマー材料は高度に分岐した構造を有し、依然として熱架橋性アゼチジニウム基を含む軽度に架橋されたポリマー材料である。
【0131】
当業者であれば、例えば、塩基(例えば、NaOH、KOH、NHOH、若しくはそれらの混合物)又は酸(例えば、HCl、HSO、HPO、クエン酸、酢酸、ホウ酸、若しくはそれらの混合物)を添加することによって、反応性混合物のpHをどのように調製するかを十分に理解している。
【0132】
本発明によると、あらゆるイオン性化合物を反応性混合物中で使用することができる。好ましくは、イオン性化合物は、眼科用溶液中で使用されるイオン性張度調整剤及びイオン性緩衝剤として使用されるものである。好ましいイオン性張度調整剤の例としては、限定されずに、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好ましいイオン性緩衝剤の例としては、リン酸の様々な塩(例えば、NaHPO、NaHPO、NaPO、KHPO、KHPO、KPO、又はそれらの混合物)、ホウ酸の様々な塩(例えば、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、又はそれらの混合物)、クエン酸の様々な塩(例えば、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム、又はそれらの混合物)、カルボン酸の様々な塩(例えば、NaCO、NaHCO、KCO、KHCO、又はそれらの混合物)が挙げられる。
【0133】
水溶性、熱架橋性ポリマー材料を調製するための反応性水溶液は、所望の量のアゼチジニウム含有ポリマー、所望の量の少なくとも1つの反応性官能基を有する親水性増強剤、及び所望の量の他の成分(例えば、イオン性緩衝剤、イオン性張度調整剤など)を水中(又は水と少量の水溶性有機溶媒との混合物中)で溶解させて水溶液を形成し、次いで、必要に応じて、水溶液のpHを調整することによって調製することができる。
【0134】
本発明によると、水性反応性溶液中のアゼチジニウム含有ポリマーに対する親水性向上剤の濃度比は、得られる水溶性の熱架橋性ポリマー系材料を非水溶性(すなわち室温で水100ml当たり0.005g未満の溶解度)にしないように、且つアゼチジニウム含有ポリマーのアゼチジニウム基が約99%、好ましくは約98%、より好ましくは約97%、更に好ましくは約96%を超えて消費されないように選択されなければならない。
【0135】
好ましい実施形態では、反応性水溶液は、0.01重量%~約10重量%(好ましくは0.05重量%~約5重量%、より好ましくは0.08重量%~約1重量%、更により好ましくは0.1重量%~約0.4重量%)のアゼチジニウム含有ポリマーと、約0.01重量%~約10重量%(好ましくは0.02重量%~約5重量%、より好ましくは0.05重量%~約2重量%、更により好ましくは0.08重量%~約1.0重量%)の少なくとも1つの反応性官能基(カルボキシル、一級アミノ、二級アミノ基)を有する親水性増強剤と、を含み、アゼチジニウム含有ポリマーの親水性増強剤に対する濃度比は、約1000:1~1:1000(好ましくは約500:1~約1:500、より好ましくは約250:1~約250:1、更により好ましくは約100:1~約1:100)である。
【0136】
好ましい実施形態では、水溶性、熱架橋性ポリマー材料は、(i)約20重量%~約95重量%のポリアミドアミン-エピクロロヒドリン若しくはポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンに由来する第1のポリマー鎖と、(ii)約5重量%~約80重量%のアミノ基、カルボキシル基、チオール基、及びそれらの組み合わせ(好ましくは、カルボキシル又はチオール基)からなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する、少なくとも1つの親水性増強剤に由来する親水性部分若しくは第2のポリマー鎖であって、親水性部分若しくは第2のポリマー鎖が、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン若しくはポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンの1つのアゼチジニウム基と、親水性増強剤の1つのアミノ、カルボキシル若しくはチオール基との間で各々形成された1つ以上の共有結合を通して、第1のポリマー鎖に共有結合されている、親水性部分若しくは第2のポリマー鎖と、(iii)第1のポリマー鎖の一部であるか、又は第1のポリマー鎖に共有結合されたペンダント若しくは末端基であるアゼチジニウム基と、を含む。化学修飾されたポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリン又は化学修飾されたポリアミドアミン-エピクロロヒドリンの組成は、上記のスキームIに示された架橋反応に従って、そのようなポリマーに対して使用される反応混合物の組成(反応物の総重量に基づく)によって決定される。例えば、反応混合物が、反応物の総重量に基づいて、約75重量%のポリアミドアミン-エピクロロヒドリン及び約25重量%の少なくとも1つの親水性増強剤を含む場合には、得られる化学修飾されたポリアミドアミン-エピクロロヒドリンは、約75重量%のポリアミオアミン(polyamioamine)-エピクロロヒドリンに由来する第1のポリマー鎖と、約25重量%の当該少なくとも1つの親水性増強剤に由来する親水性部分若しくは第2のポリマー鎖とを含む。
【0137】
本発明によると、加熱する工程は、好ましくは、密封されたレンズパッケージ内のパッケージング溶液(すなわち、緩衝水溶液)中に浸漬されたシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を、約115℃~約125℃の温度でおよそ20~90分間オートクレーブ処理することによって実施される。本発明のこの実施形態によると、パッケージング溶液は、オートクレーブ処理後に眼科的に安全である緩衝水溶液である。
【0138】
レンズパッケージ(又は容器)は、ソフトコンタクトレンズをオートクレーブ処理し、保存することに関して当業者によく知られている。任意のレンズパッケージを本発明で使用することができる。好ましくは、レンズパッケージは、ベースとカバーとを含むブリスターパッケージであり;ここで、カバーは、ベースに着脱可能なように密封され、ここで、ベースは、滅菌パッケージング溶液とコンタクトレンズとを受け入れるためのキャビティを含む。
【0139】
レンズは、個別のパッケージにパッケージングされ、密封され、使用者に分配される前に(例えば、加圧下に少なくとも30分間約120℃以上でオートクレーブにより)滅菌される。当業者は、レンズパッケージを密封する及び滅菌する方法をよく理解するであろう。
【0140】
本発明によると、パッケージング溶液は、少なくとも1種の緩衝剤と、当業者に公知の1種以上の他の成分とを含有する。他の材料の例としては、限定するものではないが、等張化剤、界面活性剤、抗菌剤、防腐剤及び潤滑剤(例えば、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン)が挙げられる。
【0141】
パッケージング溶液は、パッケージング溶液のpHを所望の範囲に維持するのに、例えば、好ましくは約6.8~約8.5、より好ましくは約7.0~8.2、更により好ましくは約7.2~約8.0に維持するのに十分な量で緩衝剤を含有する。バルクシリコーンハイドロゲル材料のカルボキシル基の全て又はかなりの部分がイオン化されることを確実にするために、より高いpHが望ましいことが判明している。その結果、得られるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、オートクレーブ処理及び保存中に、パッケージング溶液中で寸法的に安定性になり、改善された潤滑性を有し得る。
【0142】
生理的に適合性のある任意の既知の緩衝剤を使用することができる。本発明によるコンタクトレンズケア組成物の構成成分としての適切な緩衝剤は、当業者に既知である。好ましくは、リン酸緩衝液(一塩基性リン酸二水素(例えば、NaHPO、KHPO、又はそれらの混合物)と二塩基性リン酸一水素(例えば、NaHPO、KHPO、又はそれらの混合物)との混合物から本質的になる)が、パッケージング溶液のpHを維持するために使用される。様々な好ましい実施形態では、一塩基性リン酸二水素及び二塩基性リン酸一水素の総濃度は、少なくとも30mM(好ましくは少なくとも35mM、より好ましくは少なくとも40mM、更により好ましくは少なくとも45mM)である。
【0143】
本発明による溶液は、好ましくは、それらが涙液と等張であるように処方される。涙液と等張性の溶液は、通常、その濃度が0.9%の塩化ナトリウム溶液の濃度(308mOsm/kg)に相当する溶液であると理解される。この濃度からの逸脱は、全体を通して可能である。
【0144】
涙液との等張性、又は更に別の望まれる張度は、張度に影響を与える有機又は無機物質を添加することによって調整することができる。眼科的に許容される好適な等張化剤としては、限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセロール、プロピレングリコール、ポリオール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、及びそれらの混合物が挙げられる。パッケージング溶液の張度は、典型的には、約200~約450ミリオスモル(mOsm)、好ましくは約250~350mOsmであるように調整される。
【0145】
好ましい実施形態では、1つ以上の有機等張化剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、200~800ダルトンの数平均分子量を有するポリエチレングリコール)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、及びそれらの混合物)は、パッケージング溶液の張度を調整するために、少なくとも70mM(好ましくは少なくとも90mM、より好ましくは少なくとも110mM、更により好ましくは少なくとも130mM)の量で存在する。得られるシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、パッケージング溶液のイオン強度が低下されるとき(例えば、NaClの一部を有機等張化剤、例えば、プロピレングリコールで置き換えることによって)、改善された潤滑性を有し得ることが判明している。
【0146】
好ましい実施形態では、パッケージング溶液は、好ましくは、約0.01重量%~約2重量%、より好ましくは約0.05重量%~約1.5重量%、更に好ましくは約0.1重量%~約1重量%、最も好ましくは約0.2重量%~約0.5重量%のアゼチジニウム基を有する水溶性、熱架橋性の親水性ポリマー材料を含む。
【0147】
別の態様では、本発明は、バルクシリコーンハイドロゲル材料と、その上の非シリコーンハイドロゲル材料(すなわち、架橋された親水性ポリマー材料)の層とを含むコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを提供し、バルクシリコーンハイドロゲル材料が、(a)少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤の繰り返し単位と、(b)ヒドロキシエチルメタクリレートの繰り返し単位と、(c)少なくとも1つのC~Cアルコキシエチル(メタ)アクリレートの繰り返し単位と、(d)少なくとも1つのカルボキシル含有(メタ)アクリルオキシモノマーのカルボキシル含有繰り返し単位と、(e)任意選択で、非シリコーンビニル系架橋剤、UV吸収性ビニル系モノマー、重合性UV/高エネルギー紫光線吸収性化合物、重合性フォトクロミック化合物、重合性着色剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの重合性成分の繰り返し単位と、を含み(但し、成分(e)の量が、バルクシリコーンハイドロゲル材料の乾燥状態での総重量に対して、10重量%未満であることを条件とする)、非シリコーンハイドロゲル材料の層がカルボキシル含有繰り返し単位のカルボキシル基を通して、バルクシリコーンハイドロゲル材料に共有結合されており、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約5秒(好ましくは少なくとも約10秒、より好ましくは少なくとも約15秒、更により好ましくは少なくとも約20秒)の水膜破壊時間(WBUT)、少なくとも約50バーラー(好ましくは少なくとも約60バーラー、より好ましくは少なくとも約70バーラー、及び更により好ましくは少なくとも80バーラー)の酸素透過性(Dk)、及び0.2MPa~約1.8MPa(好ましくは約0.2MPa~約1.5MPa、より好ましくは約0.3MPa~約1.2MPa、更により好ましくは約0.4MPa~約1.0MPa)の弾性率を有する。
【0148】
バルクシリコーンハイドロゲル材料の乾燥状態での総重量に対する成分(e)の量は、バルクシリコーンハイドロゲル材料を形成するための重合性組成物中の全ての重合性成分の総重量に対する成分(e)の重量パーセントに基づいて計算することができる。
【0149】
様々な好ましい実施形態では、バルクシリコーンハイドロゲル材料は、少なくとも1つの非シリコーンビニル系架橋剤の繰り返し単位、少なくとも1つのUV吸収性ビニル系モノマーの繰り返し単位、少なくとも1つの重合性UV/HEVL吸収性化合物の繰り返し単位、少なくとも重合性フォトクロミック化合物の繰り返し単位、又はそれらの組み合わせを更に含む。
【0150】
様々な好ましい実施形態では、非シリコーンハイドロゲル材料は、
(1)少なくとも25モル%(好ましくは少なくとも35モル%、より好ましくは少なくとも45モル%、更により好ましくは少なくとも55モル%)の少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーの繰り返しモノマー単位を含む架橋されたポリマー材料であって、少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーが、アルキル(メタ)アクリルアミド(以下に記載されるいずれか1つ)、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル含有アクリル系モノマー(以下に記載されるいずれか1つ)、N-ビニルアミドモノマー(以下に記載されるいずれか1つ)、メチレン含有ピロリドンモノマー(すなわち、各々が3位若しくは5位でピロリドン環に連結されたメチレン基を有するピロリドン誘導体)(以下に記載されるいずれか1つ)、C~Cアルコキシエトキシ基を有するアクリル系モノマー(以下に記載されるいずれか1つ)、ビニルエーテルモノマー(以下に記載されるいずれか1つ)、アリルエーテルモノマー(以下に記載されるいずれか1つ)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される(好ましくは、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するC~C-アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、更により好ましくは(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される)架橋されたポリマー材料;
(2)少なくとも25モル%(好ましくは少なくとも35モル%、より好ましくは少なくとも45モル%、更により好ましくは少なくとも55モル%)の少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニル系モノマー(以下に記載されるいずれか1つ)の繰り返しモノマー単位を含む架橋されたポリマー材料であって、少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニル系モノマーが、好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、架橋されたポリマー材料;
(3)ポリ(エチレングリコール)鎖を含む架橋されたポリマー材料であって、ポリ(エチレングリコール)鎖が、好ましくは、(a)-NH、-SH又は-COOHの1つの単独の官能基を有するポリ(エチレングリコール)、(b)-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポリ(エチレングリコール)、(c)-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアーム型ポリ(エチレングリコール)、並びに(d)それらの組み合わせから直接誘導される、架橋されたポリマー材料である。
【0151】
アルキル(メタ)アクリルアミドの例としては、限定されずに、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0152】
ヒドロキシル含有アクリル系モノマーの例としては、限定されないが、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0153】
好ましいN-ビニルアミドモノマーの例としては、限定されずに、N-ビニルピロリドン(別名、N-ビニル-2-ピロリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン(別名、N-ビニル-2-ピペリドン)、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム(別名、N-ビニル-2-カプロラクタム)、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、及びそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、N-ビニルアミドモノマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、又はそれらの組み合わせである。
【0154】
好ましいメチレン含有(=CH)ピロリドンモノマーの例としては、限定されずに、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0155】
~Cアルコキシエトキシ基を有する好ましいアクリル系モノマーの例としては、限定されずに、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大1500の重量平均分子量を有するC~C-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0156】
好ましいビニルエーテルモノマーの例としては、限定されずに、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0157】
好ましいアリルエーテルモノマーの例としては、限定されずに、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、エチレングリコールメチルアリルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0158】
好ましいホスホリルコリン含有ビニル系モノマーの例としては、限定されずに、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(別名、MPC又は2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート)、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン(別名、3-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート)、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2’-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)-エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニルアミノ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ブテノイルオキシ)エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0159】
親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤、カルボキシル含有(メタ)アクリルオキシモノマー、非シリコーンビニル系架橋剤、UV吸収性ビニル系モノマー;重合性UV/HEVL吸収性化合物;重合性フォトクロミック化合物、フリーラジカル開始剤、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを作製するために好適であることが知られている他の重合性成分、非シリコーンハイドロゲルコーティングをシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ上に形成するための水溶性且つ熱架橋性の親水性ポリマー材料の様々な実施形態が上で記載されており、本発明のこの態様において使用することができる。
【0160】
本発明のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、約20重量%~約75重量%(好ましくは約25重量%~約70重量%、より好ましくは約30重量%~約65重量%)の平衡含水率(すなわち、完全に水和される場合)、約3.0以下(好ましくは約2.5以下、より好ましくは約2以下、更により好ましくは約1.5以下)の摩擦評価、液滴法による約90度以下(好ましくは約80度以下、より好ましくは約70度以下、更により好ましくは約60度以下)の平均水接触角、又はそれらの組み合わせを更に有する。
【0161】
本発明の様々な実施形態を、特定の用語、デバイス、及び方法を用いて記載してきたが、このような記載は、例示目的のみのためである。用いられている語は、限定の語よりもむしろ説明の語である。当業者に明らかなように、本開示の新規な概念の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって本発明の多くの変形形態及び修正形態がなされ得る。加えて、以下に示すように、本発明の様々な実施形態の態様は、全体的又は部分的に交換され得るか、又はいずれかの様式で組み合わされ得、且つ/又は一緒に使用され得ることが理解されるべきである。
1.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法であって、
(1)重合性組成物をレンズ成形型に導入する工程であって、重合性組成物が、(a)少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤と、(b)任意選択で、ヒドロキシエチルメタクリレートと、(c)少なくとも1つのC~Cアルコキシエチル(メタ)アクリレートと、(d)全ての重合性成分の総量に対して、約2重量%~約10重量%の少なくとも1つのカルボキシル含有(メタ)アクリルオキシモノマーと、(e)少なくとも1つのフリーラジカルと、(f)任意選択で、水、プロピレングリコール、約400ダルトン以下の分子量を有するポリエチレングリコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒と、を含む、重合性組成物を導入する工程と、
(2)レンズ成形型中の重合性組成物を熱硬化又は化学線硬化させて、カルボキシル基を含むバルクシリコーンハイドロゲル材料を含むシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を形成する工程と、
(3)任意選択で、工程(2)で得られたシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を水又は水溶液中で水和させて、水和されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを得る工程と、
(4)工程(2)で得られたシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体又は工程(3)で得られた水和されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを、約6.8~約8.5のpHを有し、且つ少なくとも1つの水溶性で熱架橋性の親水性ポリマー材料を含む水溶液中で、約60℃~約140℃の温度で直接加熱して、バルクシリコーンハイドロゲル材料とバルクシリコーンハイドロゲル材料に共有結合された架橋親水性ポリマー材料の層とを含むコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを形成する工程と、を含み、
コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約5秒の水膜破壊時間(WBUT)、及び少なくとも約50バーラーの酸素透過性を呈する、方法。
2.成分(a)~(e)の量の合計が、重合性組成物中の全ての重合性成分の総量に対して、少なくとも約90重量%である、実施形態1に記載の方法。
3.成分(a)~(e)の量の合計が、重合性組成物中の全ての重合性成分の総量に対して、少なくとも約92重量%である、実施形態1に記載の方法。
4.成分(a)~(e)の量の合計が、重合性組成物中の全ての重合性成分の総量に対して、少なくとも約94重量%、更により好ましくは少なくとも約96重量%である、実施形態1に記載の方法。
5.成分(a)~(e)の量の合計が、重合性組成物中の全ての重合性成分の総量に対して、少なくとも約96重量%である、実施形態1に記載の方法。
6.重合性組成物が、全ての重合性成分の総量に対して、約30重量%~約65重量%の成分(a)を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.重合性組成物が、全ての重合性成分の総量に対して、約35重量%~約60重量%の成分(a)を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
8.重合性組成物が、全ての重合性成分の総量に対して、約40重量%~約60重量%の成分(a)を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
9.重合性組成物が、全ての重合性成分の総量に対して、約30重量%~約65重量%の成分(b)及び(c)を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.重合性組成物が、全ての重合性成分の総量に対して、約35重量%~約60重量%の成分(b)及び(c)を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
11.重合性組成物が、全ての重合性成分の総量に対して、約40重量%~約60重量%の成分(b)及び(c)を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
12.重合性組成物が、全ての重合性成分の総量に対して、約2重量%~約10重量%の成分(d)を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.重合性組成物が、全ての重合性成分の総量に対して、約3重量%~約9重量%の成分(d)を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
14.重合性組成物が、全ての重合性成分の総量に対して、約4重量%~約8重量%の成分(d)を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
15.重合性組成物中の成分(c)の成分(b)に対する重量比が、約40~約20である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
16.重合性組成物中の成分(c)の成分(b)に対する重量比が、約35~約15である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
17.重合性組成物中の成分(c)の成分(b)に対する重量比が、約30~約15である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
18.重合性組成物が、(g)非シリコーンビニル系架橋剤、(h)UV吸収性ビニル系モノマー、(i)重合性UV/高エネルギー紫光線吸収性化合物、(j)重合性フォトクロミック化合物、(k)重合性着色剤、及び(l)それらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の重合性成分を更に含み、但し、成分(g)~(l)の合計が、全ての重合性成分の量に対して10重量%未満である、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
19.重合性組成物が、エチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、200~10,000ダルトンの数平均分子量を有するポリエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、グリセロールジ-(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ-(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ-(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオール-(メタ)アクリレート、グリセロール1,3-ジグリセロレートジ-(メタ)アクリレート、エチレンビス[オキシ(2-ヒドロキシプロパン-1,3-ジイル)]ジ-(メタ)アクリレート、ビス[2-(メタ)アクリルオキシエチル]ホスフェート、トリメチロールプロパンジ-(メタ)アクリレート、並びに3,4-ビス[(メタ)アクリロイル]テトラヒドロフラン、ジアクリルアミド(すなわち、N-(1-オキソ-2-プロペニル)-2-プロペンアミド)、ジメタクリルアミド(すなわち、N-(1-オキソ-2-メチル-2-プロペニル)-2-メチル-2-プロペンアミド)、N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-メチルアミン、N,N-ジ(メタ)アクリロイル-N-エチルアミン、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-2-ヒドロキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’-2,3-ジヒドロキシブチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,3-ビス(メタ)アクリルアミド-プロパン-2-イルリン酸二水素(すなわち、N,N’-2-ホスホニルオキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド)、ピペラジンジアクリルアミド(又は1,4-ビス(メタ)アクリロイルピペラジン)、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される非シリコーンビニル系架橋剤を更に含む、実施形態18に記載の方法。
20.非シリコーンビニル系架橋剤が、エチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、200~10,000ダルトンの数平均分子量を有するポリエチレングリコールジ-(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態19に記載の方法。
21.加熱工程が、好ましくは、密閉されたレンズパッケージ内のパッケージング溶液(すなわち、緩衝水溶液)中に浸漬されたシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を、約115℃~約125℃の温度でおよそ20~90分間オートクレーブ処理することによって実施される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
22.当該少なくとも1つの水溶性且つ熱架橋性の親水性ポリマー材料が、アゼチジニウム基、エポキシ基又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
23.当該少なくとも1つの水溶性且つ熱架橋性の親水性ポリマー材料が、三次元ネットワーク及びネットワーク内又はネットワークに結合されている熱架橋性基を有する、実施形態22に記載の方法。
24.当該少なくとも1つの水溶性且つ熱架橋性の親水性ポリマー材料が、各々が末端エポキシ基を有する1つ以上のマルチアーム型ポリエチレングリコール;末端エポキシ基を有するマルチアーム型ポリエチレングリコールと、各々が一級アミン基、二級アミン基、カルボキシル基、チオール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される末端官能基を有する1つ以上のポリエチレングリコールとの混合物;末端エポキシ基を有するマルチアーム型ポリエチレンとアミノ基、カルボキシル基、チオール基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する親水性増強剤との部分的反応生成物;又はそれらの組み合わせである、実施形態22に記載の方法。
25.当該少なくとも1つの水溶性且つ熱架橋性の親水性ポリマー材料がアゼチジニウム基を含み、アゼチジニウム含有ポリマーと一級アミン基、二級アミン基、カルボキシル基、チオール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する親水性増強剤との部分的反応生成物である、実施形態22に記載の方法。
26.アゼチジニウム含有ポリマーが、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンコポリマー、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン、アゼチジニウム含有ビニル系モノマーと1つ以上の親水性ビニル系モノマーとのコポリマー、又はそれらの組み合わせである、実施形態25に記載の方法。
27.親水性増強剤が、一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル若しくはチオール含有単糖類、一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル若しくはチオール含有二糖類、一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル若しくはチオール含有オリゴ糖、又はそれらの組み合わせである、実施形態25又は26に記載の方法。
28.親水性増強剤が、1つ以上の一級若しくは二級アミノ基、1つ以上のカルボキシル基、1つ以上のチオール基、又はそれらの組み合わせを有する親水性ポリマーである、実施形態25又は26に記載の方法。
29.親水性増強剤が、一級アミン基、二級アミン基、カルボキシル基、又はそれらの組み合わせを有する多糖類である、実施形態28に記載の方法。
30.親水性増強剤が、
-NH、-SH又は-COOHの1つの単独の官能基を有するポリ(エチレングリコール);
-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポリ(エチレングリコール);
-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアーム型ポリ(エチレングリコール);
非反応性親水性ビニル系モノマーのモノアミノ、モノカルボキシル、ジアミノ若しくはジカルボキシル末端ホモ又はコポリマー;
(1)約0.1%~約30%(好ましくは約0.5%~約20%、より好ましくは約1%~約15%)の反応性ビニル系モノマーと、(2)少なくとも1つの非反応性親水性ビニル系モノマーを含む組成物の重合生成物であるコポリマーであり、
反応性ビニル系モノマーが、カルボキシル基、一級アミン基、及び二級アミン基からなる群から選択される官能基を有するビニル系モノマーであり、
非反応性親水性モノマーが、いずれのカルボキシル基、一級アミン基、二級アミン基、エポキシド基、イソシアネート基、アズラクトン基、又はアジリジン基も含まない親水性ビニル系モノマーである、実施形態28に記載の方法。
31.反応性ビニル系モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、2-(メタ)アクリルアミドグリコール酸、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、又はそれらの組み合わせであり、
非反応性親水性ビニル系モノマーが、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するC~C-アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態30に記載の方法。
32.水溶液が約7.0~約8.2のpHを有し、水溶液が約0.01重量%~約2重量%(好ましくは約0.05重量%~約1.5重量%、より好ましくは約0.1重量%~約1重量%、更により好ましくは約0.2重量%~約0.5重量%)の当該少なくとも1つの水溶性、熱架橋性の親水性ポリマー材料を含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
33.水溶液が約7.2~約8.0のpHを有し、水溶液が約0.01重量%~約2重量%(好ましくは約0.05重量%~約1.5重量%、より好ましくは約0.1重量%~約1重量%、更により好ましくは約0.2重量%~約0.5重量%)の当該少なくとも1つの水溶性、熱架橋性の親水性ポリマー材料を含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
34.水溶液が、水溶液のpHを維持するために一塩基性リン酸二水素と二塩基性リン酸一水素との混合物を含み、一塩基性リン酸二水素及び二塩基性リン酸一水素の総濃度が、少なくとも30mMである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
35.一塩基性リン酸二水素及び二塩基性リン酸一水素の総濃度が、少なくとも35mMである、実施形態34に記載の方法。
36.一塩基性リン酸二水素及び二塩基性リン酸一水素の総濃度が、少なくとも40mMである、実施形態34に記載の方法。
37.一塩基性リン酸二水素及び二塩基性リン酸一水素の総濃度が、少なくとも45mMである、実施形態34に記載の方法。
38.水溶液の張度が、約200~約450ミリオスモル(mOsm)に調整され、水溶液がグリセロール、プロピレングリコール、200~800ダルトンの数平均分子量を有するポリエチレングリコール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の有機等張化剤を含み、当該1つ以上の有機等張化剤の総濃度が、少なくとも70mMである、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
39.当該1つ以上の有機等張化剤の総濃度が、少なくとも90mMである、実施形態38に記載の方法。
40.当該1つ以上の有機等張化剤の総濃度が、少なくとも110mMである、実施形態38に記載の方法。
41.当該1つ以上の有機等張化剤の総濃度が、少なくとも130mMである、実施形態38に記載の方法。
42.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであって、バルクシリコーンハイドロゲル材料と、その上の非シリコーンハイドロゲル材料の層と、を含み、
バルクシリコーンハイドロゲル材料が、(a)少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤の繰り返し単位と、(b)任意選択で(しかし好ましくは)、ヒドロキシエチルメタクリレートの繰り返し単位と、(c)少なくとも1つのC~Cアルコキシエチル(メタ)アクリレートの繰り返し単位と、(d)少なくとも1つのカルボキシル含有(メタ)アクリルオキシモノマーのカルボキシル含有繰り返し単位と、(e)任意選択で、非シリコーンビニル系架橋剤、UV吸収性ビニル系モノマー、重合性UV/高エネルギー紫光線吸収性化合物、重合性フォトクロミック化合物、重合性着色剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの重合性成分の繰り返し単位(但し、成分(e)の量が、バルクシリコーンハイドロゲル材料の乾燥状態での総重量に対して、10重量%未満であることを条件とする)と、を含み、
非シリコーンハイドロゲル材料の層が、カルボキシル含有繰り返し単位のカルボキシル基を通してバルクシリコーンハイドロゲル材料に共有結合されており、
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも5秒の水膜破壊時間(WBUT)、少なくとも50バーラーの酸素透過性(Dk)、及び約0.2MPa~約1.8MPaの弾性率を有する、コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
43.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約10秒の水膜破壊時間(WBUT)を有する、実施形態42に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41のいずれか1つに記載の方法。
44.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約15秒の水膜破壊時間(WBUT)を有する、実施形態42に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41のいずれか1つに記載の方法。
45.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約20秒の水膜破壊時間(WBUT)を有する、実施形態42に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41のいずれか1つに記載の方法。
46.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約60バーラーの酸素透過性(Dk)を有する、実施形態42~45のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~45のいずれか1つに記載の方法。
47.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約70バーラーの酸素透過性(Dk)を有する、実施形態42~45のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~45のいずれか1つに記載の方法。
48.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約80バーラーの酸素透過性(Dk)を有する、実施形態42~45のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~45のいずれか1つに記載の方法。
49.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、約0.2MPa~約1.5MPaの弾性率を有する、実施形態42~48のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~48のいずれか1つに記載の方法。
50.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、約0.3MPa~約1.2MPaの弾性率を有する、実施形態42~48のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~48のいずれか1つに記載の方法。
51.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、約0.4MPa~約1.0MPaの弾性率を有する、実施形態42~48のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~48のいずれか1つに記載の方法。
52.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、約20重量%~約75重量%の平衡含水率(すなわち、完全に水和された場合の)を有する、実施形態42~51のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~51のいずれか1つに記載の方法。
53.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、約25重量%~約70重量%の平衡含水率(すなわち、完全に水和された場合の)を有する、実施形態42~51のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~51のいずれか1つに記載の方法。
54.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、約30重量%~約65重量%の平衡含水率(すなわち、完全に水和された場合の)を有する、実施形態42~51のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~51のいずれか1つに記載の方法。
55.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、約3.0以下の摩擦評価を有する、実施形態42~54のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~54のいずれか1つに記載の方法。
56.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、約2.5以下の摩擦評価を有する、実施形態42~54のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~54のいずれか1つに記載の方法。
57.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、約2以下の摩擦評価を有する、実施形態42~54のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~54のいずれか1つに記載の方法。
58.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、約1.5以下の摩擦評価を有する、実施形態42~54のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~54のいずれか1つに記載の方法。
59.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、液滴法による約90度以下の平均水接触角を有する、実施形態42~58のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~58のいずれか1つに記載の方法。
60.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、液滴法による約80度以下の平均水接触角を有する、実施形態42~58のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~58のいずれか1つに記載の方法。
61.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、液滴法による約70度以下、更により好ましくは約60度以下)の平均水接触角を有する、実施形態42~58のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~58のいずれか1つに記載の方法。
62.コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、液滴法による約60度以下の平均水接触角を有する、実施形態42~58のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~58のいずれか1つに記載の方法。
63.当該少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤が、少なくとも約1.50ミリ当量/グラム(「meq/g」)の親水性部分を含み、それが好ましくは、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NHRN1(式中、RN1がH又はC~Cアルキルである))、アミド部分(-CO-NRN1N2(式中、RN1がH又はC~Cアルキルであり、RN2が共有結合、H、又はC~Cアルキルである))、N-C~Cアシルアミノ基、ウレタン部分(-NH-CO-O-)、尿素部分(-NH-CO-NH-)、
【化22】

(式中、nが2~20の整数であり、TがH、メチル又はアセチル又はホスホリルコリン基である)のポリエチレングリコール鎖、又はそれらの組み合わせである、実施形態42~62のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~62のいずれか1つに記載の方法。
64.当該少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤が、少なくとも約2.0meq/gの親水性部分を含む、実施形態63に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は方法。
65.当該少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤が、少なくとも約2.5meq/gの親水性部分を含む、実施形態63に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は方法。
66.当該少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤が、少なくとも約3.0meq/gの親水性部分を含む、実施形態63に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は方法。
67.当該少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤が、(1)ジメチルシロキサン単位及び、各々が、1つのメチル置換基と、2~6個のヒドロキシル基を有する1つの一価C~C40有機ラジカル置換基とを有する親水化シロキサン単位を含むポリシロキサンセグメントと、(2)2つの末端(メタ)アクリロイル基とを含むポリシロキサンビニル系架橋剤である、実施形態42~66のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は実施形態1~41及び43~66のいずれか1つに記載の方法。
68.当該少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤が、式(1)
【化23】

(式中:
ω1/υ1が約0.035~約0.15であることを条件として、υ1が30~500の整数であり、且つω1が1~75の整数であり;
01が、O又はNRであり、ここでRが、水素又はC~C10-アルキルであり;
が、水素又はメチルであり;
及びRが、互いに独立して、置換若しくは非置換C~C10アルキレン二価ラジカル又は-R-O-R-の二価ラジカルであり、ここでR及びRが、互いに独立して、置換若しくは非置換C~C10アルキレン二価ラジカルであり;
が、式(2)~(7)のいずれか1つの一価ラジカルであり、
【化24】

p1が、ゼロ又は1であり;m1が2~4の整数であり;m2が1~5の整数であり;m3が3~6の整数であり;m4が2~5の整数であり;
が、水素又はメチルであり;
が、(m2+1)の価数を有するC~C炭化水素ラジカルであり;
が、(m4+1)の価数を有するC~C炭化水素ラジカルであり;
10が、エチル又はヒドロキシメチルであり;
11が、メチル又はヒドロメチルであり;
12が、ヒドロキシル又はメトキシであり;
が、-S-の硫黄結合又は-NR13-の三級アミノ結合であり、ここでR13が、C~C10アルキル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、又は2,3-ジヒドロキシプロピルであり;
が、
【化25】

のアミド結合であり、ここでR14が、水素又はC~C10アルキルであり;
PCが、-CH-CHR-R15-、-C-O-R16-、
【化26】

の二価ラジカルであり、ここで、q1が1~20の整数であり、R15が直鎖若しくは分枝鎖のC~C10アルキレン二価ラジカルであり、R16が直鎖若しくは分枝鎖のC~C10アルキレン二価ラジカルであり、R17が直接結合又は直鎖若しくは分枝鎖のC~Cアルキレン二価ラジカルである)のポリシロキサンビニル系架橋剤を含む、実施形態67に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は方法。
69.式(1)中、Rが、式(2a)~(2y)
【化27】

(式中、p1はゼロ又は1であり、m1が2~4の整数であり、Rが水素又はメチルである)のいずれか1つの一価ラジカルである、実施形態68に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は方法。
70.式(1)中、Rが、式(3a)~(3y)
【化28】

(式中、X
【化29】

のアミド結合であり、ここでR14が、水素又はC~C10アルキルである)のいずれか1つの一価ラジカルである、実施形態68に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は方法。
71.式(1)中、Rが、式(4a)又は(4b)
【化30】

の一価ラジカルである、実施形態68に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は方法。
72.式(1)中、Rが、式(5a)又は(5c)
【化31】

のいずれか1つの一価ラジカルである、実施形態68に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は方法。
73.式(1)中、Rが、式(6)の一価ラジカルであり、ここでm1が3であり、p1が1であり、Rが水素である、実施形態68に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は方法。
74.式(1)中、Rが、式(7)の一価ラジカルであり、ここでLPC
-C-O-C
の二価ラジカルである、実施形態68に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ又は方法。
75.非シリコーンハイドロゲル材料が、少なくとも25モル%(好ましくは少なくとも35モル%、より好ましくは少なくとも45モル%、更により好ましくは少なくとも55モル%)の少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーの繰り返しモノマー単位を含む架橋されたポリマー材料であり、少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーが、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大1500の重量平均分子量を有するC~C-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態42~74のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
76.非シリコーンハイドロゲル材料が、少なくとも25モル%(好ましくは少なくとも35モル%、より好ましくは少なくとも45モル%、更により好ましくは少なくとも55モル%)の少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーの繰り返しモノマー単位を含む架橋されたポリマー材料であり、少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーが、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するC~C-アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態42~74のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
77.非シリコーンハイドロゲル材料が、少なくとも25モル%(好ましくは少なくとも35モル%、より好ましくは少なくとも45モル%、更により好ましくは少なくとも55モル%)の少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーの繰り返しモノマー単位を含む架橋されたポリマー材料であり、少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーが、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルアリルエーテル、ビニルアルコール、アリルアルコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態42~74のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
78.非シリコーンハイドロゲル材料が、少なくとも25モル%(好ましくは少なくとも35モル%、より好ましくは少なくとも45モル%、更により好ましくは少なくとも55モル%)の少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーの繰り返しモノマー単位を含む架橋されたポリマー材料であり、少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーが、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、最大1500の数平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、最大1500の重量平均分子量を有するメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態42~74のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
79.非シリコーンハイドロゲル材料が、少なくとも25モル%(好ましくは少なくとも35モル%、より好ましくは少なくとも45モル%、更により好ましくは少なくとも55モル%)の少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニル系モノマーの繰り返しモノマー単位を含む架橋されたポリマー材料である、実施形態42~78のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
80.当該少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニル系モノマーが、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホリルコリン、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-[(メタ)アクリロイルアミノ]-エチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3-[(メタ)アクリロイルアミノ]プロピル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-[(メタ)アクリロイルアミノ]ブチル-2’-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態79に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
81.非シリコーンハイドロゲル材料が、ポリ(エチレングリコール)鎖を含む架橋されたポリマー材料である、実施形態42~80のいずれか1つに記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
82.ポリ(エチレングリコール)鎖が、各々、(a)-NH、-SH又は-COOHの1つの単独の官能基を有するポリ(エチレングリコール)、(b)-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポリ(エチレングリコール)、(c)-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアーム型ポリ(エチレングリコール)、並びに(d)それらの組み合わせから直接誘導される、実施形態81に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【0162】
当業者であれば、上記開示により、本発明を実施することができるであろう。本明細書に記載される種々の実施形態に、種々の修正、変更及び組み合わせを実施することができる。読者の特定の実施形態及びその利点の理解をより十分可能にするために、以下の実施例への参照が提案される。明細書及び実施例は例示的であると考えられることが意図される。
【実施例
【0163】
実施例1
酸素透過性の測定
明記しない限り、レンズ及びレンズ材料の酸素透過係数(Dk/t)、固有の(又はエッジ補正された)酸素透過性(Dk又はDk)は、ISO 18369-4に記載される手順に従って測定する。
【0164】
水膜破壊時間(WBUT)試験
レンズの表面親水性(オートクレーブ処理後)は、米国特許出願公開第20210181379A1号明細書の実施例1に記載されている手順に従って、水膜がレンズ表面で壊れ始めるのに要する時間を測定することによって評価する。
【0165】
平衡含水率
コンタクトレンズの平衡含水率(EWC)は、米国特許出願公開第20210181379A1号明細書の実施例1に記載されている手順に従って決定される。
【0166】
弾性率
コンタクトレンズの弾性率は、米国特許出願公開第20210181379A1号明細書の実施例1に記載されている手順に従って決定される。
【0167】
光透過率
コンタクトレンズを、目の上に乗せたときと同じようにレンズの形状を維持できる特別に製造された試料ホルダーなどに手作業で配置する。次いで、このホルダーを、参照としてリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH約7.0~7.4)が入っている1cmの経路長の石英セルの中に浸漬する。この測定では、LabSphere DRA-CA-302ビームスプリッターなどを備えたVarian Cary 3E UV-Visible分光光度計などのUV/可視分光光度計を使用することができる。パーセント透過スペクトルは、250~800nmの波長範囲で収集され、%T値は0.5nm間隔で収集される。コンタクトレンズの光透過率は、400nm~700nmの平均透過%である。
【0168】
水接触角(WCA)の測定。水接触角(WCA)の測定は、純粋(Fluka、20℃での表面張力72.5mN/m)を用いて、Kruess GmbH,GermanyからのDSA 10液滴形成分析システムで液滴法によって実施される。測定の目的のために、コンタクトレンズを貯蔵溶液からピンセットを用いて取り出し、穏やかに振盪することによって過剰の貯蔵溶液を除去する。コンタクトレンズをレンズ成形型の雄型部分上に置き、乾燥した清浄な布で優しく拭き取る。次いで、水滴(およそ1μl)をレンズの頂点に投入し、この液滴の経時的な接触角の変化(WCA(t)、サークルフィッティングモード)が監視される。WCAは、グラフWCA(t)をt=0に外挿することによって計算される。
【0169】
水和コンタクトレンズのレンズ直径の決定
水和コンタクトレンズのレンズ直径は、米国特許出願公開第20210181379A1号明細書の実施例1に記載されている手順に従って決定される。
【0170】
潤滑性の評価。
コンタクトレンズの潤滑性は、0~4の摩擦評価尺度でレンズ表面の滑りやすさを定性的に特性評価する指感触(finger-felt)潤滑性試験を使用することによって評価される。摩擦評価が高いほど、滑りやすさ(又は潤滑性)が低い。
【0171】
市販のレンズ:DAILIES(登録商標)TOTAL1(登録商標);ACUVUE(登録商標)OASYS(商標);ACUVUE(登録商標)ADVANCE PLUS(商標);DAILIES(登録商標)Aqua Comfort Plus(登録商標);及びAIR OPTIX(登録商標)に、それぞれ0、1、2、3、及び4の摩擦評価(以降、「FR」と示される)を割り当てる。それらは、試験されるレンズの摩擦評価を決定するために、標準レンズとして使用される。
【0172】
試料を、それぞれ30分間の少なくとも2回の濯ぎのためにPBSに入れ、次いで、評価の前に新鮮なPBSに移す。評価の前、手を石鹸溶液で濯ぎ、DI水でしっかりと濯ぎ、次いでKimWipe(登録商標)タオルで拭く。試料に指の間で触れ、上述される上記の標準レンズと比べて、各試料に数値を割り当てる。例えば、レンズがAIR OPTIX(登録商標)レンズよりわずかに良好であると決定される場合、レンズに3の数値を割り当てる。摩擦評価の値は、2人以上によるコンタクトレンズの少なくとも2回の摩擦評価の結果を平均することによって、及び/又は1人による2つ以上のコンタクトレンズ(レンズ製造の同一のバッチからの)の摩擦評価を平均することによって得られるものである。
【0173】
コンタクトレンズの指潤滑性(すなわち、摩擦評価)は、パック外(out-of-pack)(OOP)で直接決定することができるが、上述した手順に従ってPBS中に≧30分浸漬した後に決定することができる。
【0174】
化学物質
以下の実施例において、以下の略語が使用される:HEMAは、ヒドロキシエチルメタクリレートを表し;EOEMAはエトキシエチルメタクリレートを表し;MAAはメタクリル酸を表し;AAはアクリル酸を表し;PEG-DAはポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(Mn約800g/mol)を表し;PGはプロピレングリコールを表し;Vazo 52は2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を表し;Vazo 67は2,2’-アゾジ(2-メチルブチロニクニトリル(methylbutyronicnitrile))を表し;Perkadox 16はジ(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートを表し;MPCは2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを表し;EGMAは2-メトキシエチルメタクリレートを表し;AMAはアリルメタクリレートを表し;TEGDMAはトリ(エチレングリコール)ジ-メタクリレートを表し;TEGDVEはトリ(エチレングリコール)ジビニルエーテルを表し;Noblocは2-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレートを表し;RB247はReactive Blue 247を表し;PBSは25℃で7.2±0.2のpHを有し、且つ約0.044重量%のNaHPO・HO、約0.388重量%のNaHPO・2HO、及び約0.79重量%のNaClを含有するリン酸緩衝生理食塩水を表し;wt.%は重量パーセントを表し;HO-PDMS-MAはグリシジルメタクリレートと
【化32】

との反応生成物を表し(ここで、n=4~10である);「G2」マクロマーは、式(A)
【化33】

のジ-メタクリロイルオキシプロピル末端ポリシロキサン(Mn約8Kg/mol、OH含量約3.5meq/g)を表す。
【0175】
実施例2
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
リン酸緩衝生理食塩水は、以下の組成を有するように、所定量の精製水(蒸留又は脱イオン)中にNaHPO・HO、NaHPO・2HO、及びNaClを溶解することによって調製する:約0.044w/w%のNaHPO・HO、約0.388w/w/%のNaHPO・2HO及び約0.79w/w%のNaCl。
【0176】
パッケージング生理食塩水-生理食塩水-1の調製
Copolymer 845は、N-ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー(ポリエチレンオキシド標準に対してGPCでM約700,000~1,200,000g/mol、M/M約5.7~8.5)であり、ISPから入手する。
【0177】
【化34】

のポリ(エチレングリコール)-ポリ(ブチレングリコール)ブロックコポリマーは、米国特許第8318144号明細書に記載される手順に従って調製する。
【0178】
以下の組成を有するパッケージング生理食塩水は、1Lの水に全ての成分を溶解することによって調製する:0.77重量%のNaCl;0.076重量%のNaHPO・HO;0.47重量%のNaHPO・7HO;1.0重量%のCopolymer-845;及び0.015重量%のCHO(EO)45(BO)10
【0179】
インパッケージコーティング生理食塩水-IPC-1の調製
IPC生理食塩水(IPC-1)は、リン酸緩衝生理食塩水中で適切な量のポリ(AAm-co-AA)又は他の湿潤剤をPAEと混合することによって調製し、特定の温度で所望の時間で前処理される。ポリ(AAm-co-AA)(90/10)部分ナトリウム塩、ポリ(AAm-co-AA)90/10、Mw200,000)は、Polysciences,Inc.から購入し、受け取ったままの状態で使用する。異なる固形分のKymene又はPAE溶液を、水溶液としてSolenisから購入し、受け取ったままの状態で使用する。0.07%のPAAm-PAAと約0.1%のKymeneをPBS中で一緒に混合し、60℃で約6時間前処理される。熱による前処理後、IPC生理食塩水を0.22ミクロンのメンブレンフィルターを使用して濾過し、冷却して室温に戻す。バイオバーデンの成長を防止するために、5ppmの過酸化水素を最終IPC生理食塩水に添加することができ、IPC生理食塩水は、0.22ミクロンのメンブレンフィルターを使用して濾過する。
【0180】
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表1に示すような組成を有するように調製する。
【0181】
【表1】
【0182】
配合物は、記載の成分をそれらの目標量で清浄な瓶内に入れ、撹拌子を用いて室温において30分間600rpmで混合することによって調製する。全ての固形物が溶解した後、2.7μmのガラスマイクロファイバーフィルター(GMF)を使用することにより、配合物の濾過を行う。
【0183】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
レンズ配合物を、室温で30~35分間、窒素でパージする。Nパージしたレンズ配合物をポリプロピレン製成形型内に入れ、以下の硬化条件下、窒素下でオーブン内にて熱硬化させる:約7℃/分の昇温速度で室温から55℃まで昇温;55℃で約30分間保持;約7℃/分の昇温速度で55℃から80℃まで昇温;80℃で約30分間保持;約7℃/分の昇温速度で80℃から100℃まで昇温;100℃で約30分間保持。成形型を開け、成形されたレンズを成形型から取り出す。
【0184】
次いで、レンズをパッケージング生理食塩水中で30分間水和させ、検査し、滅菌(121℃で45分間のオートクレーブ処理)のためにパッケージ生理食塩水中、ガラスバイアル内にパッケージ化する。レンズ特性を表2にリストする。
【0185】
【表2】
【0186】
実施例3
ポリアクリル酸(PAA)溶液の調製
ポリアクリル酸(PAA)の溶液(LubrizolからのCarbopol(登録商標)907ポリマー、Mw 82k)を、5重量%の濃度を有するようにプロピレングリコール中に溶解する。
【0187】
パッケージング生理食塩水-生理食塩水-2の調製
ポリビニルピロリドン(PVP)(SigmaからM約360K)を、1重量%の濃度を有するように、実施例2で調製したPBS中に溶解する。
【0188】
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表3に示すような組成を有するように調製する。
【0189】
【表3】
【0190】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後、SiHyレンズ前駆体を生理食塩水2中で約30分間水和させ、検査して、滅菌(121℃で45分間のオートクレーブ処理)のために、パッケージ生理食塩水中でガラスバイアル内にパッケージ化する。レンズ特性を表4にリストする。
【0191】
【表4】
【0192】
実施例4
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表5に示すような組成を有するように調製する。
【0193】
【表5】
【0194】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体を配置し、検査し、滅菌(121℃で45分間のオートクレーブ処理)のために、実施例2で調製されたIPC-1中でガラスバイアル内にパッケージ化する。レンズ特性を表6にリストする。
【0195】
【表6】
【0196】
実施例5
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表7に示すような組成を有するように調製する。
【0197】
【表7】
【0198】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体を配置し、検査し、滅菌(121℃で45分間のオートクレーブ処理)のために、実施例2で調製されたIPC-1中でガラスバイアル内にパッケージ化する。レンズ特性を表8にリストする。
【0199】
【表8】
【0200】
実施例6
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表9に示すような組成を有するように調製する。
【0201】
【表9】
【0202】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、デュードロップブリスターシェル内で、実施例2で調製された0.85mLのIPC-1中に個々にパッケージ化し、続いて滅菌した(121℃で45分間のオートクレーブ処理)。レンズ特性を表10にリストする。
【0203】
【表10】
【0204】
パック外及びPBS中に特定時間浸漬させた両方のレンズ直径データを、実施例1に記載された手順に従って測定する。表11に示すように、両方のタイプのレンズについてのレンズ直径は、PBS浸漬中に経時的に増加する。
【0205】
【表11】
【0206】
この直径の増加については、パッケージ生理食塩水(0.85mLのIPC-1)が十分に高いpHを有することができないか、又はバルクSiHy材料中のカルボン酸基(すなわち、メタクリル酸)を中和するのに十分な緩衝能を有することができないと考えられる。したがって、SiHyレンズ前駆体がPBS中に配置される場合、PBS中のリン酸塩(すなわち、より多くの緩衝液)がカルボン酸の脱プロトン化を保持し、レンズを膨潤させる可能性がある。
【0207】
この仮説を裏付けるために、IPC-1の緩衝能を計算し、[NaHPO・2HO]=21.8mM;[NaHPO・HO]=3.2mMを有するとする。カルボキシル基(MAA又はAAからの)の濃度を、1)ドライレンズ重量が20mgであり、2)パッケージ生理食塩水容量が0.85mLであると仮定することによって計算して、それぞれ16.4mM及び19.6mMとする。これらの計算に基づくと、緩衝能(特に、カルボン酸を中和するための二塩基性リン酸塩)は、酸基の全て、又は大部分を中和するための酸濃度に非常に近いことが明らかである。
【0208】
実施例7
リン酸緩衝液(PB)
水溶液のリン酸緩衝液(PB)は、以下の組成を有するように、所定量の精製水(蒸留又は脱イオン)中にNaHPO・HO、NaHPO・2HOを溶解することによって調製する:約1.164w/w%のNaHPO・2HO、約0.044w/w/%のNaHPO・HO。
【0209】
インパッケージコーティング生理食塩水-IPC-2の調製
IPC生理食塩水(IPC-2)は、実施例2で調製されたIPC-1と上記で調製されたPBとを1:1の重量比でブレンドすることによって調製する。IPC-2の組成は、約0.05重量%のPAE;0.035重量%のポリ(AAm-co-AA)(90/10)、0.776重量%のNaHPO・2HO、0.044重量%のNaHPO・HO、及び0.395重量%のNaClである。IPC-1と比較して、IPC-2は2倍の濃度のNaHPO・2HOを有するが、一方IPC-2中のPAE、ポリ(AAm-co-AA)及びNaClの濃度は半分だけ低減されている。
【0210】
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表12に示すような組成を有するように調製する。
【0211】
【表12】
【0212】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、デュードロップブリスターシェル内で、実施例2で調製された0.85mLのIPC-1中に個々にパッケージ化し、続いて滅菌した(121℃で45分間のオートクレーブ処理)。
【0213】
レンズ特性を、表13及び14にまとめる。IPC-1をIPC-2(より高い二塩基性リン酸塩濃度及びより高いpHを有する)で置き換えた後に、レンズ直径がPBS中に浸漬される場合に非常により安定になり、指潤滑性もまた改善されるように思われることが明らかである。これらの特性の改善は、IPC-2がIPC-1と比較して、半分のPAE/ポリ(AAm-co-AA)濃度を含有するにも関わらず達成される。
【0214】
【表13】
【0215】
【表14】
【0216】
実施例8
インパッケージコーティング生理食塩水-IPC-3の調製
IPC生理食塩水(IPC-3)は、実施例7で調製されたIPC-2、実施例7で調製されたPB、及びプロピレングリコール(PG)を50:50:1の重量比でブレンドすることによって調製する。IPC-3の組成は、約0.05重量%のPAE;0.035重量%のポリ(AAm-co-AA)(90/10)、0.768重量%のNaHPO・2HO、0.044重量%のNaHPO・HO、0.196重量%のNaCl;及び0.99重量%のPGである。
【0217】
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表15に示すような組成を有するように調製する。
【0218】
【表15】
【0219】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、デュードロップブリスターシェル内で0.85mLの実施例7で調製されたIPC-2又は上記で調製されたIPC-3中に個々にパッケージ化し、その後滅菌する(121℃で45分間のオートクレーブ処理)。
【0220】
レンズ特性(レンズ直径及び指潤滑性)を、表16にまとめる。表に示すように、レンズ直径はPBS中で安定である。IPC-2と比較して、IPC-3は更に良好な指潤滑性を供与することができ、これはオートクレーブ処理中のカルボキシレート-IPC電荷錯体形成及びそれらの後続の反応を更に強化することができるそのより低いNaCl濃度による可能性が高い。
【0221】
【表16】
【0222】
実施例9
インパッケージコーティング生理食塩水-IPC-4の調製
生理食塩水IPC-4は、以下の組成に基づいて調製する-約0.05重量%のPAE;0.035重量%のポリ(AAm-co-AA)(90/10)、0.776重量%のNaHPO・2HO、0.044重量%のNaHPO・HO、0.198重量%のNaCl;並びに0.0005重量%の過酸化水素及び1%のグリセロール。
【0223】
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表17に示すような組成を有するように調製する。
【0224】
【表17】
【0225】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、デュードロップブリスターシェル内で0.85mLの実施例7で調製されたIPC-2又は上記で調製されたIPC-4中に個々にパッケージ化し、その後滅菌する(121℃で45分間のオートクレーブ処理)。
【0226】
レンズ特性を、表18及び19にまとめる。表に示すように、レンズ直径はPBS中でわずかにシフトする。これは、グリセロール拡散効果に起因し得る。
【0227】
【表18】
【0228】
【表19】
【0229】
実施例10
インパッケージコーティング生理食塩水-IPC-4の調製
IPC生理食塩水(IPC-4)の調製は、実施例9と同じである。
【0230】
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表20に示すような組成を有するように調製する。
【0231】
【表20】
【0232】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、デュードロップブリスターシェル内で0.85mLの実施例7で調製されたIPC-2又は上記で調製されたIPC-4中に個々にパッケージ化し、その後滅菌する(121℃で45分間のオートクレーブ処理)。
【0233】
レンズ特性を、表21及び22にまとめる。表に示すように、レンズ直径はPBS中でなおわずかにシフトする。AA対HEMA比のような他の因子が存在することを示した。10-5の組成物は、<1のIP値をもたらした。これは、形成されたレンズネットワークが水性媒体中のイオン浸透を可能にしないことを意味している。
【0234】
【表21】
【0235】
【表22】
【0236】
実施例11
インパッケージコーティング生理食塩水-IPC-5の調製
生理食塩水IPC-5は、以下の組成に基づいて調製する-約0.05重量%のPAE;0.035重量%のポリ(AAm-co-AA)(90/10)、0.776重量%のNaHPO・2HO、0.044重量%のNaHPO・HO、0.160重量%のNaCl;及び100%にする水の適量。
【0237】
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表23に示すような組成を有するように調製する。
【0238】
【表23】
【0239】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、デュードロップブリスターシェル内で0.85mLの上記で調製されたIPC-5中に個々にパッケージ化し、続いて滅菌する(121℃で45分間のオートクレーブ処理)。
【0240】
レンズ特性を、表24及び25にまとめる。
【0241】
【表24】
【0242】
【表25】
【0243】
実施例12
インパッケージコーティング生理食塩水-IPC-5の調製
IPC生理食塩水(IPC-5)の調製は、実施例11と同じである。
【0244】
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表26に示すような組成を有するように調製する。
【0245】
【表26】
【0246】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、デュードロップブリスターシェル内で0.85mLの実施例11で調製されたIPC-5中にパッケージ化し、続いて滅菌する(121℃で45分間のオートクレーブ処理)。
【0247】
【表27】
【0248】
レンズ特性を、表27及び28にまとめる。表に示すように、配合物中のMPCは、レンズIP改善において大きな役割を果たす。
【0249】
【表28】
【0250】
実施例13
インパッケージコーティング生理食塩水-IPC-5の調製
IPC生理食塩水(IPC-5)の調製は、実施例11と同じである。
【0251】
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表29に示すような組成を有するように調製する。
【0252】
【表29】
【0253】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、デュードロップブリスターシェル内で0.85mLの上記で調製したIPC-5生理食塩水中に個々にパッケージ化し、続いて滅菌する(121℃で45分間のオートクレーブ処理)。
【0254】
【表30】
【0255】
レンズ特性を、表30及び31にまとめる。MPC対HEMA比が、レンズIPに対する別の因子であることを実証した。
【0256】
【表31】
【0257】
実施例15
インパッケージコーティング生理食塩水-IPC-5の調製
IPC生理食塩水(IPC-5)の調製は、実施例11と同じである。
【0258】
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表32に示すような組成を有するように調製する。
【0259】
【表32】
【0260】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、デュードロップブリスターシェル内で0.85mLの上記で調製したIPC-5生理食塩水中に個々にパッケージ化し、続いて滅菌する(121℃で45分間のオートクレーブ処理)。
【0261】
【表33】
【0262】
レンズ特性を、表33にまとめる。実験は、MPCがまたレンズ透明度を改善することを示した。
【0263】
実施例16
インパッケージコーティング生理食塩水-IPC-5の調製
IPC生理食塩水(IPC-5)の調製は、実施例11と同じである。
【0264】
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表34に示すような組成を有するように調製する。
【0265】
【表34】
【0266】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、デュードロップブリスターシェル内で0.85mLの上記で調製したIPC-5生理食塩水中に個々にパッケージ化し、続いて滅菌する(121℃で45分間のオートクレーブ処理)。
【0267】
【表35】
【0268】
レンズIP値を、表35にリストする。実験は、配合物中の少量のNVP、AMA又はTEGDVEがレンズIPを改善しないことを示した。
【0269】
実施例17
インパッケージコーティング生理食塩水-IPC-5の調製
IPC生理食塩水(IPC-5)の調製は、実施例11と同じである。
【0270】
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表36に示すような組成を有するように調製する。
【0271】
【表36】
【0272】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って注型成形する。乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、デュードロップブリスターシェル内で0.85mLの上記で調製したIPC-5生理食塩水中に個々にパッケージ化し、続いて滅菌する(121℃で45分間のオートクレーブ処理)。
【0273】
【表37】
【0274】
実施例18
インパッケージコーティング生理食塩水-IPC-7の調製
IPC生理食塩水(IPC-7)を、以下の組成物に基づいて調製する-約0.05重量%のPAE;0.07重量%のポリ(AAm-co-AA)(90/10)、0.776重量%のNa2HPO4.2H2O、0.044重量%のNaH2PO4.H2O、0.160重量%のNaCl;及び100%にするための適量の水。
【0275】
インパッケージコーティング生理食塩水-IPC-7Bの調製
IPC生理食塩水(IPC-7B)を、以下の組成物に基づいて調製する-約0.05重量%のPAE;0.07重量%のポリ(AAm-co-AA)(90/10)、0.776重量%のNa2HPO4.2H2O、0.044重量%のNaH2PO4.H2O、0.160重量%のNaCl;EDTA 10ppm、及び100%にするための適量の水。
【0276】
重合性組成物の調製
重合性組成物(SiHyレンズ配合物)を、表38に示すような組成を有するように調製する。
【0277】
【表38】
【0278】
注型成形されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、実施例2に記載される手順に従って、レンズ配合物17-1及び17-3から注型成形する。
【0279】
SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)は、レンズ配合物17-2及び17-4から以下のように注型成形される。レンズ配合物を、室温で30~35分間、窒素でパージする。Nパージしたレンズ配合物をポリプロピレン製成形型内に入れ、以下の硬化条件下、窒素下でオーブン内にて熱硬化させる:約7℃/分の昇温速度で室温から55℃まで昇温;55℃で約30分間保持;約7℃/分の昇温速度で55℃から100℃まで昇温;及び100℃で約100分間保持。
【0280】
乾式離型/レンズ取り出し後に、SiHyレンズ前駆体(ドライレンズ)を、デュードロップブリスターシェル内で、0.85mLの上記で調製されたIPC-7又はIPC-7B中に個々にパッケージ化し、続いて滅菌する(121℃で45分間のオートクレーブ処理)。
【0281】
【表39】
【0282】
本出願において上記に引用された刊行物、特許及び特許出願の刊行物の全ては、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法であって、
(1)重合性組成物をレンズ成形型に導入する工程であって、前記重合性組成物が、(a)少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤と、(b)任意選択で、ヒドロキシエチルメタクリレートと、(c)少なくとも1つのC~Cアルコキシエチル(メタ)アクリレートと、(d)全ての重合性成分の総量に対して、約2重量%~約10重量%の少なくとも1つのカルボキシル含有(メタ)アクリルオキシモノマーと、(e)少なくとも1つのフリーラジカルと、(f)任意選択で、水、プロピレングリコール、約400ダルトン以下の分子量を有するポリエチレングリコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒と、を含む、工程と、
(2)前記レンズ成形型中の前記重合性組成物を熱硬化又は化学線硬化させて、カルボキシル基を含むバルクシリコーンハイドロゲル材料を含むシリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を形成する工程と、
(3)任意選択で、工程(2)で得られた前記シリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を水又は水溶液中で水和させて、水和されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを得る工程と、
(4)工程(2)で得られた前記シリコーンハイドロゲルレンズ前駆体又は工程(3)で得られた前記水和されたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを、約6.8~約8.5のpHを有し、且つ少なくとも1つの水溶性で熱架橋性の親水性ポリマー材料を含む水溶液中で、約60℃~約140℃の温度で直接加熱して、バルクシリコーンハイドロゲル材料と前記バルクシリコーンハイドロゲル材料に共有結合された架橋親水性ポリマー材料の層とを含むコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを形成する工程と、を含み、
コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約5秒の水膜破壊時間(WBUT)、及び少なくとも約50バーラーの酸素透過性を呈する、方法。
【請求項2】
成分(a)~(e)の量の合計が、前記重合性組成物中の全ての重合性成分の総量に対して、少なくとも約90重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重合性組成物が、全ての重合性成分の総量に対して、約30重量%~約65重量%の成分(a)と、約30重量%~約65重量%の成分(b)及び(c)とを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記重合性組成物中の成分(c)対成分(b)の重量比が、約40~約20である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記重合性組成物が、(g)非シリコーンビニル系架橋剤、(h)UV吸収性ビニル系モノマー、(i)重合性UV/高エネルギー紫光線吸収性化合物、(j)重合性フォトクロミック化合物、(k)重合性着色剤、及び(l)それらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の重合性成分を更に含み、但し、前記成分(g)~(l)の合計が、全ての重合性成分の量に対して10重量%未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱する工程が、好ましくは、密封されたレンズパッケージ内で緩衝水溶液であるパッケージング溶液中に浸漬された前記シリコーンハイドロゲルレンズ前駆体を、約115℃~約125℃の温度で、およそ20~90分間オートクレーブ処理することによって実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの水溶性且つ熱架橋性の親水性ポリマー材料が、アゼチジニウム基、エポキシ基又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの水溶性且つ熱架橋性の親水性ポリマー材料が、各々が末端エポキシ基を有する1つ以上のマルチアーム型ポリエチレングリコール;末端エポキシ基を有するマルチアーム型ポリエチレングリコールと、各々が一級アミン基、二級アミン基、カルボキシル基、チオール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される末端官能基を有する1つ以上のポリエチレングリコールとの混合物;末端エポキシ基を有するマルチアーム型ポリエチレンとアミノ基、カルボキシル基、チオール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する親水性増強剤との部分的反応生成物である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの水溶性且つ熱架橋性の親水性ポリマー材料がアゼチジニウム基を含み、アゼチジニウム含有ポリマーと一級アミン基、二級アミン基、カルボキシル基、チオール基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性官能基を有する親水性増強剤との部分的反応生成物である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記アゼチジニウム含有ポリマーが、ポリ(2-オキサゾリン-co-エチレンイミン)-エピクロロヒドリンコポリマー、ポリアミドアミン-エピクロロヒドリン、アゼチジニウム含有ビニル系モノマーと1つ以上の親水性ビニル系モノマーとのコポリマー、又はそれらの組み合わせであり、
前記親水性増強剤が、(a)一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル若しくはチオール含有単糖類;(b)一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル若しくはチオール含有二糖類;(c)一級アミノ、二級アミノ、カルボキシル若しくはチオール含有オリゴ糖;(d)一級アミン基、二級アミン基、カルボキシル基、又はそれらの組み合わせを有する多糖類;(e)-NH、-SH又は-COOHの1つのみの官能基を有するポリ(エチレングリコール);(f)-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポリ(エチレングリコール);(g)-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアーム型ポリ(エチレングリコール);(h)非反応性親水性ビニル系モノマーのモノアミノ、モノカルボキシル、ジアミノ若しくはジカルボキシル末端ホモ又はコポリマー;(i)(1)約0.1%~約30%の反応性ビニル系モノマーと、(2)少なくとも1つの非反応性親水性ビニル系モノマーとを含む組成物の重合生成物であるコポリマーであり、前記反応性ビニル系モノマーが、カルボキシル基、一級アミン基、及び二級アミン基からなる群から選択される官能基を有するビニル系モノマーであり、前記非反応性親水性モノマーが、いずれかのカルボキシル基、一級アミン基、二級アミン基、エポキシド基、イソシアネート基、アズラクトン基、又はアジリジン基も含まない親水性ビニル系モノマーである、コポリマー、又は(j)それらの組み合わせである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記水溶液が約7.0~約8.2のpHを有し、前記水溶液が約0.01重量%~約2重量%の前記少なくとも1つの水溶性、熱架橋性の親水性ポリマー材料を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズであって、バルクシリコーンハイドロゲル材料と、その上の非シリコーンハイドロゲル材料の層と、を含み、
前記バルクシリコーンハイドロゲル材料が、(a)少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤の繰り返し単位と、(b)任意選択で、ヒドロキシエチルメタクリレートの繰り返し単位と、(c)少なくとも1つのC~Cアルコキシエチル(メタ)アクリレートの繰り返し単位と、(d)少なくとも1つのカルボキシル含有(メタ)アクリルオキシモノマーのカルボキシル含有繰り返し単位と、(e)任意選択で、非シリコーンビニル系架橋剤、UV吸収性ビニル系モノマー、重合性UV/高エネルギー紫光線吸収性化合物、重合性フォトクロミック化合物、重合性着色剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの重合性成分の繰り返し単位(但し、前記成分(e)の量が、前記バルクシリコーンハイドロゲル材料の乾燥状態での総重量に対して、10重量%未満であることを条件とする)と、を含み、
前記非シリコーンハイドロゲル材料の前記層が、前記カルボキシル含有繰り返し単位の前記カルボキシル基を通して前記バルクシリコーンハイドロゲル材料に共有結合されており、
前記コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも5秒の水膜破壊時間(WBUT)、少なくとも50バーラーの酸素透過性(Dk)、約0.2MPa~約1.8MPaの弾性率、約20重量%~約75重量%の平衡含水率(すなわち、完全に水和されている場合の)、約3.0以下の摩擦評価、液滴法による約90度以下の平均水接触角を有する、コーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤が、少なくとも約1.50ミリ当量/グラム(「meq/g」)の親水性部分を含み、それが好ましくは、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NHRN1(式中、RN1がH又はC~Cアルキルである))、アミド部分(-CO-NRN1N2(式中、RN1がH又はC~Cアルキルであり、RN2が共有結合、H、又はC~Cアルキルである))、N-C~Cアシルアミノ基、ウレタン部分(-NH-CO-O-)、尿素部分(-NH-CO-NH-)、
【化1】

(式中、nが2~20の整数であり、TがH、メチル又はアセチル又はホスホリルコリン基である)のポリエチレングリコール鎖、又はそれらの組み合わせである、請求項12に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤が、(1)ジメチルシロキサン単位及び、各々が、1つのメチル置換基と、2~6個のヒドロキシル基を有する1つの一価C~C40有機ラジカル置換基とを有する親水化シロキサン単位を含むポリシロキサンセグメントと、(2)2つの末端(メタ)アクリロイル基とを含むポリシロキサンビニル系架橋剤である、請求項12は13に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの親水化ポリシロキサンビニル系架橋剤が、式(1)
【化2】

(式中:
ω1/υ1が約0.035~約0.15であることを条件として、υ1は30~500の整数であり、且つω1は1~75の整数であり;
01が、O又はNRであり、ここでRが、水素又はC~C10-アルキルであり;
が、水素又はメチルであり;
及びRは、互いに独立して、置換若しくは非置換C~C10アルキレン二価ラジカル又は-R-O-R-の二価ラジカルであり、ここでR及びRは、互いに独立して、置換若しくは非置換C~C10アルキレン二価ラジカルであり;
が、式(2)~(7)のうちのいずれか1つの一価ラジカルであり、
【化3】

p1が、ゼロ又は1であり;m1が2~4の整数であり;m2が1~5の整数であり;m3が3~6の整数であり;m4が2~5の整数であり;
が、水素又はメチルであり;
が、(m2+1)の価数を有するC~C炭化水素ラジカルであり;
が、(m4+1)の価数を有するC~C炭化水素ラジカルであり;
10が、エチル又はヒドロキシメチルであり;
11が、メチル又はヒドロメチルであり、
12が、ヒドロキシル又はメトキシであり;
は、-S-の硫黄結合又は-NR13-の三級アミノ結合であり、ここでR13が、C~Cアルキル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、又は2,3-ジヒドロキシプロピルであり;
が、
【化4】

のアミド結合であり、ここでR14が、水素又はC~C10アルキルであり、
PCが、-CH-CHR-R15-、-C-O-R16-、
【化5】

の二価ラジカルであり、ここで、q1が1~20の整数であり、R15が直鎖若しくは分枝鎖のC~C10アルキレン二価ラジカルであり、R16が直鎖若しくは分枝鎖のC~C10アルキレン二価ラジカルであり、R17が直接結合又は直鎖若しくは分枝鎖のC~Cアルキレン二価ラジカルである)のポリシロキサンビニル系架橋剤を含む、請求項14に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項16】
前記非シリコーンハイドロゲル材料が、少なくとも25モル%の少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーの繰り返しモノマー単位を含む架橋されたポリマー材料であり、前記少なくとも1つの親水性ビニル系モノマーが、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-3-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ジ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-3-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチル-2-ピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-5-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4,4-ジメチル-2-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-4,6-ジメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3,5,7-トリメチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-n-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-n-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-tert-ブチル-3-メチレン-2-ピロリドン、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、最大1500の重量平均分子量を有するC~C-アルコキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、最大1500の数平均分子量を有するメトキシ-ポリ(エチレングリコール)エチル(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノビニルエーテル、エチレングリコールメチルビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)メチルビニルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12又は13に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項17】
前記非シリコーンハイドロゲル材料が、少なくとも25モル%の少なくとも1つのホスホリルコリン含有ビニル系モノマーの繰り返しモノマー単位を含む架橋されたポリマー材料である、請求項12又は13に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項18】
前記非シリコーンハイドロゲル材料が、ポリ(エチレングリコール)鎖を含む架橋されたポリマー材料である、請求項12又は13に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項19】
前記ポリ(エチレングリコール)鎖が、各々、(a)-NH、-SH又は-COOHの1つの反応基のみを有するポリ(エチレングリコール)、(b)-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される2つの末端官能基を有するポリ(エチレングリコール)、(c)-NH、-COOH、-SH、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の官能基を有するマルチアーム型ポリ(エチレングリコール)、並びに(d)それらの組み合わせから直接誘導される、請求項18に記載のコーティングされたシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ。
【国際調査報告】