(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】マイクロリソグラフィ投影露光装置の照明装置で特に用いる光学コンポーネント群
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240910BHJP
G02B 19/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
G02B19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508054
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2022073980
(87)【国際公開番号】W WO2023046421
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102021210491.6
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100230514
【氏名又は名称】泉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル パトラ
【テーマコード(参考)】
2H052
2H197
【Fターム(参考)】
2H052BA03
2H052BA06
2H052BA12
2H197AA10
2H197BA03
2H197BA10
2H197CA10
2H197CB16
2H197GA01
2H197GA10
2H197GA11
2H197GA12
2H197HA03
2H197HA05
(57)【要約】
本発明は、マイクロリソグラフィ投影露光装置の照明装置で特に用いる光学コンポーネント群であって、第1反射層系を有する第1反射コンポーネントと、第2反射層系を有する第2反射コンポーネントとを備え、第1反射コンポーネント及び第2反射コンポーネントは、光学有効面の形状が相互に対応し、入射電磁放射線の所与の波長間隔及び所与の入射角に関して、第1反射層系のスペクトル反射プロファイル(r1s(λ),r1p(λ))が、第2反射層系の対応するスペクトル反射プロファイル(r2s(λ),r2p(λ))とは異なり、第1反射層系のスペクトル反射プロファイルは、s偏光放射の場合及びp偏光放射の場合の反射率の各波長依存性を表す光学コンポーネント群に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィ投影露光装置の照明装置で特に用いる光学コンポーネント群であって、
第1反射層系を有する第1反射コンポーネントと、
第2反射層系を有する第2反射コンポーネントと
を備え、前記第1反射コンポーネント及び前記第2反射コンポーネントは、光学有効面の形状が相互に対応し、
入射電磁放射線の所与の波長間隔及び所与の入射角に関して、前記第1反射層系のスペクトル反射プロファイル(r
1s(λ),r
1p(λ))が、前記第2反射層系の対応するスペクトル反射プロファイル(r
2s(λ),r
2p(λ))とは異なり、前記第1反射層系の前記スペクトル反射プロファイルは、s偏光放射の場合及びp偏光放射の場合の反射率の各波長依存性を表す光学コンポーネント群。
【請求項2】
請求項1に記載の光学コンポーネント群において、前記第1反射層系が以下の条件:
(λ
0-Δλ
0/2)≧λ
1sl,(λ
0+Δλ
0/2)≦λ
1sr
及び
(λ
0-Δλ
0/2)≦λ
1pl又は(λ
0+Δλ
0/2)≧λ
1pr
を満たすように、波長λ
0が幅Δλ
0の所与の波長間隔[(λ
0-Δλ
0/2),(λ
0+Δλ
0/2)]における平均波長として存在し、式中、前記第1反射層系の前記反射プロファイル(r
1s(λ),r
1p(λ))において、λ
1sl及びλ
1plは、s偏光放射及びp偏光放射それぞれが最大反射率の50%以上の反射率で反射される最短波長を示し、λ
1sr及びλ
1prは、s偏光放射及びp偏光放射それぞれが最大反射率の50%以上の反射率で反射される最長波長を示すことを特徴とする光学コンポーネント群。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光学コンポーネント群において、前記第2反射層系が以下の条件:
(λ
0-Δλ
0/2)≧λ
2sl,(λ
0+Δλ
0/2)≦λ
2sr
及び
(λ
0-Δλ
0/2)≧λ
2pl,(λ
0+Δλ
0/2)≦λ
2pr
を満たすように、波長λ
0が幅Δλ
0の所与の波長間隔[(λ
0-Δλ
0/2),(λ
0+Δλ
0/2)]における平均波長として存在し、式中、前記第2反射層系の前記反射プロファイル(r
2s(λ),r
2p(λ))において、λ
2sl及びλ
2plは、s偏光放射及びp偏光放射それぞれが最大反射率の50%以上の反射率で反射される最短波長を示し、λ
2sr及びλ
2prは、s偏光放射及びp偏光放射それぞれが最大反射率の50%以上の反射率で反射される最長波長を示すことを特徴とする光学コンポーネント群。
【請求項4】
請求項1に記載の光学コンポーネント群において、前記第1反射層系が以下の条件:
(λ
0-Δλ
0/2)≧λ
1sl,(λ
0+Δλ
0/2)≦λ
1sr
及び
(λ
0-Δλ
0/2)≦λ
1pl又は(λ
0+Δλ
0/2)≧λ
1pr
を満たし、且つ前記第2反射層系が以下の条件:
(λ
0-Δλ
0/2)≧λ
2sl,(λ
0+Δλ
0/2)≦λ
2sr
及び
(λ
0-Δλ
0/2)≧λ
2pl,(λ
0+Δλ
0/2)≦λ
2pr
を満たすように、波長λ
0が幅Δλ
0の所与の波長間隔[(λ
0-Δλ
0/2),(λ
0+Δλ
0/2)]における平均波長として存在し、式中、前記第1反射層系の前記反射プロファイル(r
1s(λ),r
1p(λ))及び前記第2反射層系の前記反射プロファイル(r
2s(λ),r
2p(λ))において、λ
1sl、λ
1pl、λ
2sl、及びλ
2plは、s偏光放射及びp偏光放射それぞれが最大反射率の50%以上の反射率で反射される最短波長を示し、λ
1sr、λ
1pr、λ
2sr、及びλ
2prは、s偏光放射及びp偏光放射それぞれが最大反射率の50%以上の反射率で反射される最長波長を示すことを特徴とする光学コンポーネント群。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の光学コンポーネント群において、前記波長間隔[(λ
0-Δλ
0/2),(λ
0+Δλ
0/2)]にわたって積分されたs偏光放射及びp偏光放射に対する反射率の比として定義される前記第1反射層系の偏光度は、前記第2反射層系の偏光度よりも1.5倍以上大きいことを特徴とする光学コンポーネント群。
【請求項6】
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の光学コンポーネント群において、前記第1反射コンポーネント及び前記第2反射コンポーネントの両方は、ファセットミラー(810)の、特に瞳ファセットミラー(820、920、1020、1120)又は視野ファセットミラー(810)の少なくとも1つのミラーファセットを含むことを特徴とする光学コンポーネント群。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の光学コンポーネント群において、前記第1反射コンポーネント及び前記第2反射コンポーネントの両方は、ファセットミラー、特に複数の瞳ファセットを有する瞳ファセットミラー(820、920、1020、1120)又は複数の視野ファセットを有する視野ファセットミラー(810)であることを特徴とする光学コンポーネント群。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1項に記載の光学コンポーネント群において、前記第1反射コンポーネント及び前記第2反射コンポーネントの両方は、コレクタミラー(803)であることを特徴とする光学コンポーネント群。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか1項に記載の光学コンポーネント群において、前記第1反射コンポーネント及び前記第2反射コンポーネントの両方は、鏡面反射器のマイクロミラーを含むことを特徴とする光学コンポーネント群。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の光学コンポーネント群において、前記第1反射コンポーネント及び前記第2反射コンポーネントは、30nm未満、特に15nm未満の動作波長用に設計されることを特徴とする光学コンポーネント群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年9月21日に出願された独国特許出願第10 2021 210 491.6号の優先権を主張する。当該出願の内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、マイクロリソグラフィ投影露光装置の照明装置で特に用いる光学コンポーネント群に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロリソグラフィは、例えば集積回路又はLCD等の微細構造コンポーネントの製造に用いられる。マイクロリソグラフィプロセスは、照明装置及び投影レンズを含むいわゆる投影露光装置で実行される。この場合、照明装置により照明されたマスク(レチクル)の像を、投影レンズにより、感光層(フォトレジスト)で被覆されて投影レンズの像面に配置された基板(例えばシリコンウェハ)に投影することで、マスク構造を基板の感光コーティングに転写するようにする。
【0004】
EUV領域用に設計した投影レンズでは、すなわち例えば約13nm又は約7nmの波長では、適当な光透過屈折材料が利用可能でないことにより、ミラーを結像プロセス用の光学コンポーネントとして用いる。
【0005】
投影露光装置の動作中には、照明装置において結像コントラストの最適化の目的で瞳面及び/又はレチクルにおける特定の偏光分布を設定する必要があり、且つ投影露光装置の動作中に偏光分布の変更を実行可能である必要もある。したがって、開口数(NA)が比較的大きな値である場合のいわゆるベクトル効果を考慮すると、特に特定の構造を結像する投影露光装置の場合に、できる限り高い像コントラストを得るためにs偏光の使用は有利であり得る。
【0006】
しかしながら、偏光放射での動作ではなく非偏光放射の使用が有利である状況も、投影露光装置の動作中に実際に起こる。例として、このような状況になり得るのは、開口数(NA)の値が大きくても、リソグラフィプロセスの範囲内で結像対象の構造が直線的な構造又は他の形で好ましい向きを規定する構造ではなく、好ましい動作のない構造(例えばコンタクトホール)である場合である。この場合、直線偏光放射の使用は、利点を生まないだけでなく、不所望の非対称性が誘発される結果として不利であることさえ分かり得る。
【0007】
さらに他の関連する状況として、従来のような利用されるEUV源(例えばプラズマ源)による非偏光放射の最初の生成に伴い、偏光放射が供給されると、特に各不所望の偏光成分の出力結合が必要である結果、原則として放射束の損失が生じ、これがさらに投影露光装置の性能を低下させる。
【0008】
したがって、上記の側面を考慮すると、投影露光装置の動作シナリオに応じて、特に結像対象の構造それぞれに応じて、原理上は偏光放射での動作モードと非偏光放射での動作モードとの間で切り替えることができる必要もある。
【0009】
しかしながら、EUVで動作するよう設計された投影露光装置でのこのような切替えの実施は、第1には照明装置へのビーム入射又は照明装置からのビーム出射に関して当てはまるビーム形状を実用的観点から維持すべきだが、第2にはビームスプリッタ等の適当な透過偏光光学コンポーネントが関連するEUV波長域で利用可能でないことにより、より困難になる。しかしながら、EUV領域で利用可能であるようなブリュースター角未満の反射に基づく偏光操作には、同時に不変のビーム形状が確保される場合、1つ又は複数の付加的なビーム偏向の導入と、ひいては大幅な光損失とを伴う。
【0010】
従来技術に関しては、純粋に例として特許文献1、特許文献2、及び非特許文献1を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2008 002 749号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2018 207 410号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】M. Y. Tan et al.: "Design of transmission multilayer polarizer for soft X-ray using a merit function", OPTICS EXPRESS Vol. 17, No. 4 (2009), pp. 2586-2599
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記に鑑みて、本発明の目的は、透過損失なく偏光放射での動作と非偏光放射での動作との間での柔軟な切替えを容易にする、マイクロリソグラフィ投影露光装置の照明装置で特に用いる光学コンポーネント群を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、独立請求項1の特徴により達成される。
【0015】
マイクロリソグラフィ投影露光装置の照明装置で特に用いる、本発明による光学コンポーネント群は、
第1反射層系を有する第1反射コンポーネントと、
第2反射層系を有する第2反射コンポーネントと
を備え、第1反射コンポーネント及び第2反射コンポーネントは、光学有効面の形状が相互に対応し、
入射電磁放射線の所与の波長間隔及び所与の入射角に関して、第1反射層系のスペクトル反射プロファイル(r1s(λ),r1p(λ))が、第2反射層系の対応するスペクトル反射プロファイル(r2s(λ),r2p(λ))とは異なり、第1反射層系のスペクトル反射プロファイルは、s偏光放射の場合及びp偏光放射の場合の反射率の各波長依存性を表す。
【0016】
特に、本発明は、EUV照明装置の光ビーム経路に位置する反射コンポーネントを表面形状が同一だが反射層系が異なる別の反射コンポーネントと交換することにより、適用シナリオに応じて、且つリソグラフィプロセスにおける結像対象の構造それぞれに応じて、照明装置において偏光動作モードと非偏光動作モードとの間での柔軟な切替えを実現することで、付加的なビーム偏向を回避するという概念に基づく。
【0017】
本願の意味の範囲内において、照明装置は、現実又は仮想の光源の放射を適切に整形し直すことによりレチクルを規定の空間及び角度分布で照明する光学系を意味すると理解される。特に、本発明によるEUV照明装置は、コレクタを介してプラズマ(すなわち現実の光源)の放射を受光することができる。さらに他の実施形態において、EUV照明装置は、中間焦点(すなわち仮想の光源)からの放射も受光することができる。
【0018】
本発明によれば、以下で説明するように、s偏光放射及びp偏光放射に対するスペクトル反射プロファイルが相互に異なるがそれ以外は表面形状が相互に対応する2つの異なる交換可能な反射コンポーネントを設けることにより、偏光動作と非偏光動作との間での切替え(すなわち、偏光照明装置と非偏光照明装置との間の切替え)のために一方のコンポーネントを他方のコンポーネントに交換した後でも、照明装置内のビーム経路の全体形状は変わらず、したがって不所望の光損失を伴う付加的なビーム偏向が必要ない。
【0019】
この場合、本発明は、s偏光放射及びp偏光放射にそれぞれ当てはまる、本発明に従って交換される反射コンポーネントの各反射層系により提供されるスペクトル放射プロファイルを、光学系全体(すなわち、特に照明装置のビーム経路において後続の光学コンポーネント)の関連する「透過間隔」に対する適切な適合(例えば、反射層系の積層体を形成する個々の層の厚さスケーリング)により目標通りにシフトさせることができるという、包括的なシミュレーションに基づき本発明者が得た見識に特に基づく。
【0020】
s偏光放射及びp偏光放射に当てはまるスペクトル反射プロファイルのこの目標通りの調整又はシフトはさらに、特に、照明装置又は投影露光装置の「偏光動作」で用いられる反射コンポーネントの場合、p偏光放射に当てはまるスペクトル反射プロファイルの各最大反射率値ではなくs偏光放射に当てはまるスペクトル反射プロファイルの各最大反射率値が光学系の上記透過間隔内に位置付けられるように実施することができる。これに対して、s偏光放射及びp偏光放射に当てはまるスペクトル反射プロファイルのこの目標通りの調整又はシフトは、照明装置又は投影露光装置の「非偏光動作」で用いられる反射コンポーネントの場合、両方のスペクトル反射プロファイル(すなわち、p偏光放射のスペクトル反射プロファイル及びp偏光放射のスペクトル反射プロファイルの両方)の最大反射率値が上記透過範囲内に位置付けられるように実施することができる。
【0021】
一実施形態によれば、第1反射層系が以下の条件:
(λ0-Δλ0/2)≧λ1sl,(λ0+Δλ0/2)≦λ1sr
及び
(λ0-Δλ0/2)≦λ1pl又は(λ0+Δλ0/2)≧λ1pr
を満たすように、波長λ0が幅Δλ0の所与の波長間隔[(λ0-Δλ0/2),(λ0+Δλ0/2)]における平均波長として存在し、式中、第1反射層系の反射プロファイル(r1s(λ),r1p(λ))において、λ1sl及びλ1plは、s偏光放射及びp偏光放射それぞれが最大反射率の50%以上の反射率で反射される最短波長を示し、λ1sr及びλ1prは、s偏光放射及びp偏光放射それぞれが最大反射率の50%以上の反射率で反射される最長波長を示す。
【0022】
一実施形態によれば、第2反射層系が以下の条件:
(λ0-Δλ0/2)≧λ2sl,(λ0+Δλ0/2)≦λ2sr
及び
(λ0-Δλ0/2)≧λ2pl,(λ0+Δλ0/2)≦λ2pr
を満たすように、波長λ0が幅Δλ0の所与の波長間隔[(λ0-Δλ0/2),(λ0+Δλ0/2)]における平均波長として存在し、式中、第2反射層系の反射プロファイル(r2s(λ),r2p(λ))において、λ2sl及びλ2plは、s偏光放射及びp偏光放射それぞれが最大反射率の50%以上の反射率で反射される最短波長を示し、λ2sr及びλ2prは、s偏光放射及びp偏光放射それぞれが最大反射率の50%以上の反射率で反射される最長波長を示す。
【0023】
有利なのは、上記不等式条件を満たすように両方の反射層系が共通の間隔[(λ0-Δλ0/2),(λ0+Δλ0/2)]を有し得ることである。
【0024】
したがって、一実施形態によれば、第1反射層系が以下の条件:
(λ0-Δλ0/2)≧λ1sl,(λ0+Δλ0/2)≦λ1sr
及び
(λ0-Δλ0/2)≦λ1pl又は(λ0+Δλ0/2)≧λ1pr
を満たし、且つ第2反射層系が以下の条件:
(λ0-Δλ0/2)≧λ2sl,(λ0+Δλ0/2)≦λ2sr
及び
(λ0-Δλ0/2)≧λ2pl,(λ0+Δλ0/2)≦λ2pr
を満たすように、波長λ0が幅Δλ0の所与の波長間隔[(λ0-Δλ0/2),(λ0+Δλ0/2)]における平均波長として存在し、式中、第1反射層系の反射プロファイル(r1s(λ),r1p(λ))及び第2反射層系の反射プロファイル(r2s(λ),r2p(λ))において、λ1sl、λ1pl、λ2sl、及びλ2plは、s偏光放射及びp偏光放射それぞれが最大反射率の50%以上の反射率で反射される最短波長を示し、λ1sr、λ1pr、λ2sr、及びλ2prは、s偏光放射及びp偏光放射それぞれが最大反射率の50%以上の反射率で反射される最長波長を示す。
【0025】
【0026】
一実施形態によれば、波長間隔[(λ0-Δλ0/2),(λ0+Δλ0/2)]にわたって積分されたs偏光放射及びp偏光放射に対する反射率の比として定義される第1反射層系の偏光度は、第2反射層系の偏光度よりも1.5倍以上大きい。
【0027】
【0028】
本発明の実施形態において、第1反射コンポーネント及び第2反射コンポーネントの両方を、ファセットミラー、特に複数の瞳ファセットを有する瞳ファセットミラー又は複数の視野ファセットを有する視野ファセットミラーとすることができる。さらに他の実施形態において、第1反射コンポーネント及び第2反射コンポーネントの両方が、ファセットミラーの、特に瞳ファセットミラー又は視野ファセットミラーの少なくとも1つのミラーファセットを含むこともできる。
【0029】
さらに他の実施形態において、第1反射コンポーネント及び第2反射コンポーネントの両方をコレクタミラーとすることができる。
【0030】
さらに他の実施形態において、第1反射コンポーネント及び第2反射コンポーネントの両方が、鏡面反射器の少なくとも1つのマイクロミラーを含むこともできる。
【0031】
一実施形態によれば、第1反射コンポーネント及び第2反射コンポーネントは、30nm未満、特に15nm未満の動作波長用に設計される。
【0032】
本発明のさらなる改良は、本明細書及び従属請求項から得ることができる。
【0033】
添付図面に示す例示的な実施形態に基づいて、本発明を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1a】反射層系の層パラメータの変更により得ることができるs偏光及びp偏光に対する反射率の異なる値を説明する図を示す。
【
図1b】反射層系の層パラメータの変更により得ることができるs偏光及びp偏光に対する反射率の異なる値を説明する図を示す。
【
図1c】反射層系の層パラメータの変更により得ることができるs偏光及びp偏光に対する反射率の異なる値を説明する図を示す。
【
図1d】反射層系の層パラメータの変更により得ることができるs偏光及びp偏光に対する反射率の異なる値を説明する図を示す。
【
図2】光学系の例示的な透過間隔に対応する強度の通常の波長依存プロファイルを示す。
【
図3】
図3aは、s偏光及びp偏光それぞれに対する1つの反射層系の反射率の波長依存プロファイルを示す。
図3bは、s偏光及びp偏光それぞれに対する別の反射層系の反射率の波長依存プロファイルを示す。
【
図4】
図4aは、より大きな波長域にわたる1つの反射層系の反射率の波長依存プロファイルを示すと同時に、本発明の基本概念を説明するために例示的な透過間隔を強調して示す。
図4bは、より大きな波長域にわたる別の反射層系の反射率の波長依存プロファイルを示すと同時に、本発明の基本概念を説明するために例示的な透過間隔を強調して示す。
【
図5】本願内で用いられる用語を説明する図を示す。
【
図6a】r
sの全範囲に対して最小及び最大r
pを有する層を表した、例示的な入射角に対する周期的層系の層厚を示す図である。
【
図6b】r
sの全範囲に対して最小及び最大r
pを有する層を表した、例示的な入射角に対する周期的層系の層厚を示す図である。
【
図6c】r
sの全範囲に対して最小及び最大r
pを有する層を表した、例示的な入射角に対する周期的層系の層厚を示す図である。
【
図6d】r
sの全範囲に対して最小及び最大r
pを有する層を表した、例示的な入射角に対する周期的層系の層厚を示す図である。
【
図6e】r
sの全範囲に対して最小及び最大r
pを有する層を表した、例示的な入射角に対する周期的層系の層厚を示す図である。
【
図6f】r
sの全範囲に対して最小及び最大r
pを有する層を芦原下、例示的な入射角に対する周期的層系の層厚を示す図である。
【
図7】
図7aは、r
s-r
p図における例示的な周期的又は非周期的積層体で得ることができる領域を入射角の関数として表す図を示す。
図7bは、r
s-r
p図における例示的な周期的又は非周期的積層体で得ることができる領域を入射角の関数として表す図を示す。
図7cは、r
s-r
p図における例示的な周期的又は非周期的積層体で得ることができる領域を入射角の関数として表す図を示す。
図7dは、r
s-r
p図における例示的な周期的又は非周期的積層体で得ることができる領域を入射角の関数として表す図を示す。
図7eは、r
s-r
p図における例示的な周期的又は非周期的積層体で得ることができる領域を入射角の関数として表す図を示す。
図7fは、r
s-r
p図における例示的な周期的又は非周期的積層体で得ることができる領域を入射角の関数として表す図を示す。
図7gは、r
s-r
p図における例示的な周期的又は非周期的積層体で得ることができる領域を入射角の関数として表す図を示す。
図7hは、r
s-r
p図における例示的な周期的又は非周期的積層体で得ることができる領域を入射角の関数として表す図を示す。
【
図8】照明装置の原理上可能な構造の概略的且つ非常に簡略化した図を示す。
【
図9】瞳ファセットミラーにおける本発明の例示的な実現を説明する概略図を示す。
【
図10】瞳ファセットミラーのセグメントにおける本発明のさらなる実現の可能性を説明する概略図を示す。
【
図11】瞳ファセットミラーの個々の瞳におけるさらなる実現の可能性を説明する概略図を示す。
【
図12a】視野ファセットミラーにおける本発明のさらなる実現の可能性を説明する概略図を示す。
【
図12b】視野ファセットミラーにおける本発明のさらなる実現の可能性を説明する概略図を示す。
【
図13】EUVで動作するよう設計された投影露光装置の基本的に可能な構造の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に記載する本発明の実施形態に共通するのは、所与の波長間隔に関して、2つのコンポーネントの一方が偏光動作モードに適し2つのコンポーネントの他方が非偏光動作モードに適するように、スペクトル反射プロファイルが異なる反射光学コンポーネントを提供するという基本概念である。この場合、上記波長間隔は、本発明による反射光学コンポーネントが対象とする各光学系(例えば、マイクロリソグラフィ投影露光装置の照明装置)の透過間隔とすることができ、これは、光学系にある残りの光学コンポーネント(例えば、光ビーム経路に対して下流の光学コンポーネント)の反射プロファイルにより通常は決まる。
【0036】
以下において、偏光動作及び非偏光動作それぞれに対する本発明による反射光学コンポーネントの各反射層系の上記目標通りの調整の基礎となる原理を、
図1~
図5の図を参照して最初に説明する。
【0037】
原理上、電磁放射線の所与の入射角及び所与の波長スペクトルに対する所与の反射層系は、s偏光放射の反射率に特定の値r
s及びp偏光放射の反射率に特定の値r
pを含む。したがって、
図1aによれば、反射層系は、r
s-r
p図で単一の点として表すことができる。
【0038】
反射層系内の個々の層の所与の材料で、r
s及びr
pの値はさらに、各層厚に応じて変わるので、これらの層厚を変えることにより異なる値ペア(r
s,r
p)を有する反射層系を提供することができる。結果として、異なる値ペア(r
s,r
p)をそれぞれ有する複数の対応する反射層系を提供することで、例えば
図1bに示すr
s-r
p図の特定の領域をカバーすることができる。r
s-r
p図におけるこの「取得可能領域」の具体的な設計はさらに、反射層系内の個々の層の材料の組合せを変えることにより変えることができ、その目的で、
図1cは、r
s-r
p図の取得可能領域の例示的なさらに可能な形状を示す。
【0039】
したがって、
図1dによれば、複数の提供された反射層系において、個々の層の対応する異なる材料の組合せが許されるか又は存在している場合、関連する取得可能領域の対応する結合が起こる。
【0040】
したがって、原理上は、複数の反射層系又はそれにより形成された反射光学コンポーネントのシミュレーション後に、意図された用途又は動作モードに応じて一意に規定された層構造に対応するrs-rp図の規定点の適切な選択を行うことができ、それに対応して製造された反射光学コンポーネントを必要に応じて交換することができる。この場合も、使用シナリオに応じて、反射層系により提供される全反射率を最大化するため又は特定の偏光度(s偏光放射及びp偏光放射に対してそれぞれ得られる反射率の比に対応する)を提供するためにこの選択を代替的に行うことができる。
【0041】
これに関連して留意すべきなのは、例えば
図1b~
図1dによれば、最終的に実用向きの又は好ましい値ペア(r
s,r
p)が取得可能領域の各縁に位置付けられることである。したがって、これらの状況は、上記縁に囲まれた領域内に位置するr
s-r
p図の点が概して好ましくないことに由来し得るものであり、その理由は、同じ偏光度で全体的に反射率がより高いか又は同じ反射率でより高い偏光度をもたらす上記領域の縁に直接位置付けられる点又は対応する値ペア(r
s,r
p)を見つけることは、容易に可能だからである。
【0042】
本発明に従って用いられる反射層系は、周期的層系及び非周期的層系の両方であり得る。s偏光放射及びp偏光放射両方に対して異なるスペクトル反射プロファイルを提供するために、対応する層設計が適切に変更される結果として、関連する透過間隔における各反射率rs及びrpの波長依存プロファイルは、最終的に偏光又は非偏光動作にそれぞれ適した形状を有する。
【0043】
最初に、
図2は、EUV放射源のスペクトル放射束の通常の形状を示す。この曲線は、残りの光学コンポーネントの各スペクトル反射プロファイルを考慮すると光学系又は照明装置において実際に像面又はウェハ面にも達する波長域外でカットオフされている。光学系又は照明装置のスペクトル透過プロファイルは、通常は漸次的にゼロに近付くだけなので、2つのカットオフ波長はそれぞれ近似的に特定できるにすぎない。
【0044】
図5は、スペクトル反射プロファイルr(λ)の図を示す。ここで、最大反射率r
mは波長λ
mで生じる。放射線が最大反射率の50%以上の反射率で反射される最短波長をλ
lで示す。放射線が最大反射率の50%以上の反射率で反射される最長波長(r
m/2の反射率に対応)をλ
rで示す。
【0045】
次に、
図3a及び
図3bは、2つの例示的な反射層系(この例では非周期的なMo-Si層系)のs偏光及びp偏光に対する反射率の各波長依存曲線を示す。この場合、関連する多層設計は、p偏光放射に対して得られる反射率r
pが
図3aに示す反射層系で最小であり
図3bに示す反射層系で最大であるように、複数のシミュレートされた層設計から選択される。このとき、
図3aと
図3bとの比較から容易に識別可能な波長依存反射率の定性的に異なる曲線は、
図4a及び
図4bによれば、比較的大きな波長域でそれぞれ考慮すると実用的な関連性が明らかとなる。
【0046】
図4a及び
図4bから明らかなように、s偏光及びp偏光に対してそれぞれ得られる反射率のピークは幅が異なり、予想通りに、s偏光に対する反射率の波長依存プロファイルのピークは、p偏光に対するピークに比べて幅が大きい。ここで、p偏光に当てはまる反射率r
pに関する2つの上記「極端な」層設計により、またこれらの状況を利用することにより、
図4bに示す反射層系では両方の(すなわち、s偏光及びp偏光に対する)ピークが透過間隔内に位置付けられるのに対して、
図4aに示す反射層系ではs偏光に対する最大反射率値は透過間隔内に位置付けられるがp偏光に対する最大反射率値はそうではない(むしろ
図4aによれば、p偏光では、反射率曲線の対応するピークの下り勾配が透過間隔内に位置する)。
【0047】
結果として、
図4aに示す反射層系は、
図4bに示すものに比べて、入射電磁放射線に対する偏光効果が実質的に強い。換言すれば、
図4aに示す反射層系は、偏光放射での動作モードに適しており、
図4bに示す反射層系は、非偏光放射での動作モードに適している。
【0048】
非周期的な多層系の形態の反射層系における本発明による上述の概念の実現により、層設計を変更することで、波長依存反射率プロファイルにおける各ピークの幅及び位置の2つのパラメータに相互に独立して影響を及ぼすことができる。所与の層設計では、s偏光及びp偏光に対応する値は相関するので、s偏光及びp偏光に対するピークの幅及び位置は相互に完全に独立して選択することができない。しかしながら、
図4a及び
図4bに基づいて既に説明したように、これは必要でもない。これに対して、所与の2つの異なる層材料(「二重層」)を交互に周期的に配列した周期的層系の形態の反射層系で本発明を実現する場合、自由に選択できるのは実質的にピークの位置のみであり、ピークの幅に対する影響は限られたものにしかできない。
【0049】
表1~表1は、正確にはモリブデンシリコン(MoSi)又はルテニウムシリコン(RuSi)からなる系用の非周期的な層設計を例示的に表す。rs=0.7で固定の場合、各表は、最大及び最小rpそれぞれを有する層設計を示す。
【0050】
例示的な入射角に関して、
図6a~
図6hは、周期的層系の層厚を示す。この場合、最小及び最大r
pを有する層を、r
sの全範囲に対してそれぞれ示す。この場合、最小及び最大r
pを有する層を、r
sの全範囲に対してそれぞれ示す。
図6a及び
図6dはそれぞれ、r
pの達成可能な極値を示す。
図6b及び
図6eはそれぞれ、個々の層厚を示す。最大r
pの場合のシリコンの厚さを長破線で表す。最大r
pの場合のモリブデン又はルテニウムの厚さを短破線で表す。最小r
pの場合のシリコンの厚さを一点鎖線で表す。最小r
pの場合のモリブデン又はルテニウムの厚さを二点鎖線で表す。
図6c及び
図6fは、各周期厚、すなわち2つの個々の厚さ(モリブデン及びシリコン又はルテニウム及びシリコン)の和を示す。
【0051】
図7a~
図7hは、r
s-r
p図における周期的又は非周期的積層体によりMoSi又はRuSiで達成可能な範囲を入射角の関数として示す。相互に交換可能な2つのコンポーネントは、材料の組合せ(MoSi又はRuSi)及び/又は構造(周期的又は非周期的な配列)が対応している必要はない。特に0°及び約45°のブリュースター角とは十分に異なる角度では、r
s-r
p図における利用可能な選択範囲が極めて大きい。
【0052】
[表1]
(RuSi;入射角60°;r
s=0.7;r
p最小
層1のシリコン層は、基板上に直接位置付けられる。層50のルテニウム層は、EUV使用放射線の入射面を形成する。)
【表1-1】
【表1-2】
【0053】
[表2]
(RuSi;入射角60°;r
s=0.7;r
p最大
層1のシリコン層は、基板上に直接位置付けられる。層50のルテニウム層は、EUV使用放射線の入射面を形成する。)
【表2-1】
【表2-2】
【0054】
[
表3]
(MoSi;入射角25°;rs=0.7;r
p最小
層1のシリコン層は、基板上に直接位置付けられる。層50のモリブデン層は、EUV使用放射線の入射面を形成する。)
【表3-1】
【表3-2】
【0055】
[表4]
(MoSi;入射角25°;rs=0.7;rp最大
層1のシリコン層は、基板上に直接位置付けられる。層50のモリブデン層は、EUV使用放射線の入射面を形成する。)
【表4-1】
【表4-2】
【0056】
動作モードを「偏光」と「非偏光」との間で変えるために、光ビーム経路に位置付けられた少なくとも1つの反射コンポーネントを、表面形状は対応するが存在する反射層系が異なるコンポーネントと交換するという本発明による概念は、原則として光学系又は照明装置の異なるコンポーネントに対して実現することができる。
【0057】
最初に、
図8は、EUV波長域で動作するよう設計されたマイクロリソグラフィ投影露光装置の照明装置の可能な基本構造の概略的且つ非常に簡略化した図を示す。この場合、EUV放射源802(例えばプラズマ源)により生成されたEUV放射線は、コレクタミラー803での反射後に中間焦点801を介して、(例えば、異なる照明設定を設定するために)複数の独立して調整可能な視野ファセットを有する視野ファセットミラー810に到達する。視野ファセットミラー810から、EUV放射線は、瞳ファセットミラー820に入射してから光ビーム経路の下流に配置された投影レンズ(
図8には図示せず)の物体面に位置するレチクル830に入射する。
【0058】
本発明は、
図8に示す照明装置の構造に限定されない。したがって、さらに他の実施形態において、例えば1つ又は複数の偏向ミラーの形態の1つ又は複数のさらなる光学素子をビーム経路に配置することもできる。
【0059】
本発明による「コンポーネント交換」の可能な実施態様を、
図9~
図12の単に概略的な図を参照して以下で説明する。
【0060】
最初に
図9を参照すると、動作モードを「偏光」と「非偏光」との間で変える目的で本発明によるコンポーネント交換を実施するために、瞳ファセットミラー(
図9に「920」で示す)は、全体として別の瞳ファセットミラー920’(本発明による概念によれば、瞳ファセットミラー920と表面形状が異なるがスペクトル反射プロファイル又は反射層系は異ならない)と交換することができる。この実施態様は、単一のコンポーネントのみを交換すればよいという点で有利である。
【0061】
図10に示すさらに別の実施形態において、瞳ファセットミラー1020の個々のセグメント(
図10に「1021」~「1024」で示す)を他のセグメント(
図10に「1021’」~「1024’」で示す)と交換することも可能であり、各セグメントもまた複数の瞳ファセットを含む。この実施形態は、交換可能なものとして実現すべき要素の数が比較的少ないという点で有利である。
図11に示すように、さらに別の実施形態において、瞳ファセットミラー1120の単一の瞳ファセット(例えば、「1121」又は「1122」)を、別の瞳ファセット1121’又は1122’(本発明による概念に従って、表面形状は同じだがスペクトル反射プロファイル又は反射層系は異なる設計である)と交換することもできる。
【0062】
上述の実施形態における瞳ファセットミラーに言及した範囲で、視野ファセットミラーも同様に実現することができる。
【0063】
図12a及び
図12bは、本発明によるコンポーネント交換のさらに別の実施オプションを純粋に概略図で示す。この場合、特許文献2から自体公知の配置で、最大3つの視野ファセットミラー1250、1250’、1250’’をローラとして設計された交換装置1260に配置することができ、ローラの回転により上記視野ファセット1250、1250’、1250’’間の「切替え」を可能にする。回転軸を傾斜させることにより、瞳ファセットミラーの所望の瞳ファセットが照明されるように、それぞれ選択された視野ファセット1250、1250’、1250’’を傾斜させることができる。この場合、本発明によれば、共通のローラ上に位置する3つの視野ファセット1250、1250’、1250’’には異なる反射層系が設けられる。
【0064】
図8を再度参照すると、さらに別の変形形態において、反射層系はコレクタミラー803に取り付けることができる。コレクタミラーの非常に正確な交換を簡略化するためのコレクタミラーの有利な実施形態は、独国特許出願公開第10 2013 200 368号明細書から既知である。
【0065】
図13は、EUVで動作するよう設計され本発明を実現することができる例示的な投影露光装置の概略図を示す。
図13によれば、EUV用に設計された投影露光装置1375の照明装置1380は、視野ファセットミラー1381(ファセット1382を有する)及び瞳ファセットミラー1383(ファセット1384を有する)を含む。プラズマ源1386及びコレクタミラー1387を含む光源ユニット1385からの光は、視野ファセットミラー1381へ指向される。第1テレスコープミラー1388及び第2テレスコープミラー1389が、瞳ファセットミラー1383の下流の光路に配置される。偏向ミラー1390が、光路の下流に配置され、当該偏向ミラーは、入射した放射線を6つのミラーM1~M6を含む投影レンズ1395の物体面OPの物体視野1391へ誘導する。投影レンズ1395(6つのミラーM1~M6を含む)を用いて像面IPに結像される反射構造担持マスクMが、物体視野1391の場所に配置される。
【0066】
本発明は特定の実施形態に基づいて説明されているが、例えば個々の実施形態の特徴の組合わせ及び/又は交換により、複数の変形形態及び代替的な実施形態が当業者には明らかとなるであろう。したがって、当業者には明らかなように、かかる変形形態及び代替的な実施形態も本発明に包含され、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の意味の範囲内にのみ制限される。
【国際調査報告】