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特表2024-5340003Dプリンタの構造部分または構造群に影響を与える方法
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  • 特表-3Dプリンタの構造部分または構造群に影響を与える方法 図1
  • 特表-3Dプリンタの構造部分または構造群に影響を与える方法 図2
  • 特表-3Dプリンタの構造部分または構造群に影響を与える方法 図3a
  • 特表-3Dプリンタの構造部分または構造群に影響を与える方法 図3b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】3Dプリンタの構造部分または構造群に影響を与える方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20240910BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240910BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240910BHJP
   B29C 64/165 20170101ALI20240910BHJP
   B29C 64/205 20170101ALI20240910BHJP
   B22F 10/85 20210101ALI20240910BHJP
   B22F 10/31 20210101ALI20240910BHJP
   B22F 10/38 20210101ALI20240910BHJP
   B22F 10/60 20210101ALI20240910BHJP
   B22F 12/60 20210101ALN20240910BHJP
   B22F 12/90 20210101ALN20240910BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y50/02
B33Y10/00
B29C64/165
B29C64/205
B22F10/85
B22F10/31
B22F10/38
B22F10/60
B22F12/60
B22F12/90
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508348
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 DE2022000088
(87)【国際公開番号】W WO2023016594
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021004139.9
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520052363
【氏名又は名称】レンペ・メスナー・シントー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーデマイヤー・フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィントゲンス・ルドルフ
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AR08
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL74
4F213WL85
4K018CA33
4K018CA44
(57)【要約】
【課題】
本発明は、3Dプリンタ(1)における構造部分または構造群に影響を与える方法であって、本発明の課題は、3Dプリンタ内の構造部分または構造群に影響を与えるための方法を提供することであり、それによって、3Dプリンタ内の構造部分または構造群の自動再調整または変更された制御が達成されることである。
【解決手段】
この課題は、処理ステップ(15)において、3Dプリンタ(1)における3D構造体(10)の生成が制御されるパラメータを含む制御データ(8)が入力データ(9)から生成され、そして3D構造体(10)を生成し、生成された3D構造体(10)が測定され、生成された3D構造体(10)の実際の寸法を決定し、そしてデータとして記憶され、その所定の寸法を含む入力データ(9)と実際の寸法のデータとが比較され、そして差が決定され、そのような差が決定された場合、又はそのような差が所定の公差閾値を超えた場合、制御データ(8)の少なくとも一つのパラメータが変更される、ことによって解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリンタ(1)における構造部分または構造群に影響を与える方法であって、
この方法は、3Dプリンタ(1)で生成された3D構造体(10)の、この3D構造体(10)の所定の寸法に対する差が決定され、続いて3Dプリンタ(1)での構造部分または構造群に影響を及ぼす、当該方法において、
処理ステップ(15)において、生成されるべき3D構造体(10)の所定の寸法を記述する入力データ(9)から、3Dプリンタ(1)における3D構造体(10)の生成が制御されるパラメータを含む制御データ(8)が生成され、そして3D構造体(10)を生成し、
生成された3D構造体(10)が測定され、その実際の寸法を決定し、実際の寸法のデータとして保存され、
その所定の寸法を含む入力データ(9)と実際の寸法のデータとが比較され、そして差が決定され、
そのような差が決定された場合、又はそのような差が所定の公差閾値を超えた場合、制御データ(8)の少なくとも一つのパラメータが変更され、
このパラメータは、その後に生成される3D構造体(10)に対する差が低減または除去されるように変更され、続けて、制御データ(8)の少なくとも1つの変更されたパラメータを用いて別の3D構造体(10)が生成され、
制御データ(8)のパラメータは、3Dプリンタ(1)のプリントヘッドにおけるノズルの制御時点、または3Dプリンタ(1)の作業器機(5)の構造域(2)上での移動速度であり、
3Dプリンタ(1)の作業器機(5)は、粒子状の構造材料(3)を排出するための手段、排出された粒子状の構造材料(3)を平滑化するための手段、または粒子状の構造材料(3)を圧縮するための手段である、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記入力データ(9)が、生成されるべき前記3D構造体(10)の前記所定の寸法を、生成されるべき前記3D構造体(10)の各層ごとに記述することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理ステップ(15)で生成された前記制御データ(8)は、前記3Dプリンタ(1)の作業機器(5)に送信され、前記作業機器(5)の機能モード及び動作モードを制御することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記生成された3D構造体(10)の測定は、三次元の測定によって実行され、前記生成された3D構造体(10)の表面上の複数の点に対する3Dデータ(13)が生成され、保存されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の寸法のデータと前記実際の寸法のデータとの間の比較が、前記所定の寸法の3Dデータと前記実際の寸法の3Dデータとの比較として実行することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
正または負に決定された差の前記所定の公差閾値が同じであるかまたは異なることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の公差閾値は、+0.5mm~-0.5mmの範囲内、特に+0.3mm~-0.3mmの範囲内であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
その所定の寸法を含む入力データ(9)と実際の寸法のデータとの比較を、点ごとに実行することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンタ内の構造部分または構造群に影響を与える方法に関し、3Dプリンタ内で生成された3D構造体からの逸脱が決定され、続いて、構造部分または構造群が3Dプリンタ内で影響を受ける。
【背景技術】
【0002】
ここで、3Dプリンタ内の構造部分または構造群に影響を与えるという用語は、例えば、3Dプリンタ内の構造部分または構造群の再調整と、3Dプリンタ内の構造部分または構造群の制御における変更との両方を意味するものと理解される。例えば、3Dプリンタのプリントヘッド内のノズルの起動する時点など、3Dプリンタ内の構造部分または構造群を制御するためのパラメータを変更することができる。
【0003】
さらに、3Dプリンタの構造域の表面上を移動する3Dプリンタの構造群の移動速度も変更することができる。そのような構造群は、粒子状の構造材料を排出または適用するための手段、排出された粒子状構造材料を平滑化するための手段、粒子状構造材料を圧縮するための手段、またはバインダを適用するためのプリントヘッドなどの3Dプリンタの作業機器であり得る。
【0004】
加えて、プリントヘッドを用いて配量されるべき量、例えばバインダの量を増減することができる、または、例えば、バインダの配量の変化が期待する結果にならないと決定された場合に、洗浄プロセスを開始することができる。
【0005】
影響を与える構造部分または構造群という用語は、構造域に適用される粒子状構造材料の量の変化も含む。
【0006】
さらに、バインダを適用するプリントヘッドにいて使用するノズルまたは使用しないノズルの選択または数を変更することもできる。
【0007】
本発明は、特に、3Dプリンタの構造部分または構造群に対する自動化された影響を実現することができる解決策を提供する。
【0008】
個々の又は大量生産の部品、工作物又は型を製造するために、いわゆる3Dプリント又はいわゆる3Dプリント法を用いることが知られている。この種のプリント法では、三次元の部品又は工作物が層ごとに構築されて製造される。
【0009】
構築は、所定の寸法及び形状に従って、1つ以上の種類の液体材料又は固体材料から数値制御される。プリントされるべき部品又は工作物の基準値は、例えばいわゆるコンピュータ支援設計システム(CAD、英語computer-aided design)によって提供できる。
【0010】
3D構造体又は3D部品をプリントするとき、物理的又は化学的な硬化プロセス又は溶融プロセスが、成形材料とも称される粒子状の構造材料内で行われる。この種の3Dプリント法用の材料として、構造材料又は成形材料、例えばプラスチック、合成樹脂、セラミック、鉱物または砂などの未硬化沈降物、及び金属等が使用される。
【0011】
3Dプリント法を実施する場合、様々な製造法シーケンスが知られている。
【0012】
しかしながら、これらの方法シーケンスのいくつかは、以下の例示的な方法ステップを含む。
・硬化されていない粒子状材料の層を形成するために、粒子状材料または粉末状の構築材料とも呼ばれる粒子状の構造材料を、構造域上に部分的に適用または全面に適用するステップであって、粒子状の構造材料を部分的に塗布または全面に塗布することには、粒子状の構造材料の排出および平滑化を含む、ステップ
・例示的には、例えば、プリンタヘッドを用いたバインダなどの処理剤を選択的に圧縮、プリント、若しくは塗布することによって、またはレーザを使用することによって、硬化されていない粒子状の構造材料が適用された層を所定の部分領域で選択的に硬化するステップ、
・別の層平面での先行の方法ステップの繰り返しにより、部品または工作物を層ごとに構築するステップ。そのために、新たな層が部分的又は全面的に適用される前に、構造域上に層ごとに構築される又はプリントされる部品又は工作物が、構造域と共に、それぞれ1つの層平面又は層厚だけ降下する、又は3Dプリント装置が、それぞれ1つの層平面又は層厚だけ、構造域に対して上昇することが企図されている。
・製造された部品または工作物を取り囲む、硬化されていない緩い粒子状の構造材料を、続けて除去するステップ。
【0013】
粒子状の構造材料とは、一般に、物質のまたは混合物の個々の微粒子集合体であると解され、各微粒子は三次元の拡がりを有する。これらの粒子は、主に、丸い、卵形又は細長い粒子と把握することができるので、大抵は0.1mm~0.4mmの範囲にある微粒子の平均的な直径を示すことが可能である。この種の粒子状の構造材料は、流動体の特性を有し得る。
【0014】
従来技術において、3D構造体を製造する又は3D構造体を作製するために構造域上に粒子状の構造材料を排出及び適用する様々な方法が知られている。
【0015】
特許文献1において、流動体を適用する方法及び装置並びにその使用が知られている。
【0016】
流動体を適用する方法は、特に、被覆されるべき領域に適用される粒子材料に関し、方法において、ブレードの前進方向に見てブレードの前方で、流動体は、被覆されるべき領域に適用され、その後、ブレードが、適用された流動体上を移動する。
【0017】
課題は、被覆されるべき領域上の流動体の材料の可能な限り平らな分配を達成することができる、装置、方法及び装置を提供することである。
【0018】
ブレードがある種の回動運動の振動を行うことが、解決のために企図されている。ブレードの振動性の回動運動によって、被覆されるべき領域に適用される流動体が流動化される。これにより、凝集する傾向の強い粒子材料を可能な限り平らで滑らかに適用できるだけでなく、振動による流動体の圧縮に影響を与えることも更に可能である。
【0019】
好ましい一実施形態では、被覆されるべき領域への流動体の適用が過剰に行われ、そこで、ある種の回転運動のように振動するブレードの連続的な運動によって、流動体の余剰分は、ブレードの前進移動方向に見て、ブレードの前方で、ブレードの前進移動によって、流動体又は粒子材料から形成されるロールにおいて均一化される。これにより、場合によっては生じる、個々の粒子状凝固物の間の空隙が充填され、より大きな凝固物の粒子材料が、ロール運動によって破壊され得る。
【0020】
これらの公知の従来技術の欠点は、通常、所定の寸法からの逸脱について、生成された3D構造体の試験または品質検査がないことにある。
【0021】
生成された3D構造体の品質検査が、例えば、生成された3D構造体を測定することによって行われる場合、3D構造体の所定の寸法からの検出された偏差は、通常、3Dプリンタの構造部分または構造群を機械的に再調整することによってのみ補正することができる。
【0022】
しかし、そのような機械的な再調整は、調整されるべき構造部分または構造群に到達するために、例えば3Dプリンタを部分的に分解する必要があるので、大抵は複雑である。加えて、そのような再調整はまた、3Dプリンタを停止させる、すなわち、3Dプリンタにおける3D構造体の作製を中断させる。
【0023】
これは、特に、3D構造体の製造において非常に厳しい公差が設けられている分野では特に不利である。そのような公差範囲は、例えば、+0.3mm~-0.3mmの間の所定の最大偏差がある。したがって、例えば、製造された3D構造体の長さは、所定の狭い公差に適合するために、最大0.3mm長い、または最大0.3mm短くてもよい。
【0024】
特許文献2では、改良された積層造形のためのシステムおよび方法が知られている。造中、複数の要因に基づいて3Dオブジェクトを作製する際に問題が生じる可能性があり、その結果、3Dオブジェクトが使用できなくなることがある。このような問題を回避するために、1つ以上の構築パラメータを使用する1つ以上の積層造形の機械と直接的または間接的に通信するデバイスが提供される。デバイスは、部品または3Dオブジェクトに関する複数の構築情報を分析するように設定されている。デバイスはまた、既存のデータと既存のデータ以外のデータとの間の1つ以上の違いが、3Dオブジェクトの逸脱または改善をもたらすかどうかをチェックするように設定されている。加えて、行われた試験の結果として、3Dオブジェクトの1つ以上の構築パラメータを自動的に変更することができる。
【0025】
特許文献3は、生成する製造法によって製造される少なくとも1つの三次元の部品を撮像するための方法を開示している。また、特許文献3は、そのような方法を実施するための装置に関する。この文献の課題は、生成する製造法によって製造された少なくとも1つの部品を撮像するための方法を提供することであり、この方法は、製造された部品の品質の改善された評価を可能にする。別の課題は、この方法を実施するための適切な装置を提供することである。
【0026】
生成的な製造法によって製造される少なくとも1つの三次元の部品を撮像するための方法の一実施形態は、少なくとも以下のステップ、
・部品へのエネルギー入力を特徴付ける測定変数を空間に関して分解された方法で把握するように構成されている検出装置によって、部品の製造中にその部品の少なくとも2つの層画像を決定するステップ、
・演算装置によって、決定された層画像に基づいて、部品の三次元の画像を生成するステップ、
・表示デバイスによって画像を表示するステップ、
を含む。
【0027】
したがって、この方法は、部品の製造中に部品に入力されたエネルギーを空間に関して分解された方法で把握することを可能にする。部品は、例えば、熱ガスタービン、航空機エンジンなどのための部品でもよい。
【0028】
特許文献4は、三次元の印刷プロセスを監視するためのシステム、装置、および方法を開示している。三次元の印刷プロセスは、現場で及び/又はリアルタイムで監視することができる。三次元の印刷プロセスの監視は、非侵入的に実行してもよい。コンピュータ制御システムは、三次元の印刷によって形成されている三次元の物体の生成を制御するために、1つ以上の検出器および信号処理ユニットに結合できる。
【0029】
特許文献5は、フィラメント押出プリンタである3Dプリンタにおける3D印刷の部品のインプロセス検査のための方法を開示している。実質的に全てのシェル容積について、シェル容積に対応する印刷材料シェルを堆積さするためのツールパスを生成することができる。印刷材料シェルを定義するツールパスは、3Dプリンタによる塗布のための識別とともに転送することができる。別の態様では、3Dプリンタのプロセス中印刷較正のための方法では、距離測定スキャナを、印刷材料堆積ヘッドとともに共有キャリッジに搭載することができる。
【0030】
したがって、従来技術によれば、3D構造体の生成中に適切な品質検査または品質保証の十分に正確かつ効果的な可能性は、存在しない。
【0031】
したがって、既知の従来技術の改善、ひいては3Dプリンタの構造部分または構造群に影響を及ぼすための改善された方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】独国特許発明第10117875号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102018115432号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/314504号明細書
【特許文献4】国際公開第2016/094827号
【特許文献5】米国特許出願公開第2019/009472号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明の課題は、3Dプリンタ内の構造部分または構造群に影響を与えるための方法を提供することであり、それによって、3Dプリンタ内の構造部分または構造群の自動再調整または変更された制御が達成される。この方法はまた、3Dプリンタの停止時間を低減し、生成される3D構造体の品質を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
この課題は、独立請求項の請求項1に記載の特徴を有する3Dプリンタの構造部分または構造群に影響を与える方法によって解決される。発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0035】
従来技術によれば、3Dプリンタにおいて生成された3D構造体が、3D構造体の所定の寸法と3D構造体の3Dプリンタによって生成された寸法との間の偏差を決定するために、3Dプリンタにおいて生成した後に測定することができる。そのような偏差は、例えばコンピュータ支援設計システムによって生成される、生成されるべき3D構造体の寸法のデータと、生成される3D構造体の実際の寸法との間の差を表す。
【0036】
このような差異の要因は、例えば、3Dプリンタの機械的な公差であるか、または、不均一な圧縮による凝集物または「ギャップ」を有する可能性がある粒子上の構造材料の品質の変化によっても引き起こされる可能性がある。
【0037】
加えて、バインダを適用することが想定されるプリントヘッドの1つ以上の詰まったノズルは、寸法間の差につながる可能性がある。硬化若しくは乾燥中の3D構造体の反り、または製造後の3D構造体の不適切な洗浄も、寸法間の差の原因となり得る。
【0038】
生成された3D構造体を測定する場合、例えば、3D構造体の外部輪郭または内部輪郭の寸法は、従来技術から知られている従来の測定装置および方法を使用して決定することができる。そのような測定は、その高さ、その幅、およびその長さなど、生成された3D構造体の1つ以上の寸法にわたって行ってもよい。
【0039】
従来技術によれば、例えば、いくつかの測定値または寸法が決定され、所定の表の形態で記される。次に、所定の表に記されている、生成された3D構造体のこれらの寸法が、比較寸法または基準寸法と比較される。そのような基準寸法は、例えば、コンピュータ支援設計システムの所定の寸法に対応する。
【0040】
ある場合には、そのような決定された寸法および基準寸法は、いわゆる3Dデータでもよく、これらのデータはまた、互いの逸脱についてもチェックされる。
【0041】
特定の数の、例えば、実際の寸法と基準寸法とのそのような比較は、3Dプリンタの適切に適格者によって実行することができる。次いで、このオペレータは、例えば、既知の公差限界を遵守しながら、これらの寸法間の差が特定の公差を超えるかどうか、および生成された3D構造体の必要な品質が達成されたかどうかを決定しなければならない。
【0042】
この必要な品質が達成されない場合、所定の品質要件に対応するために、3Dプリンタ内の構造部分または構造群を再調整するための適切な措置が取られなければならない。
【0043】
従来技術から知られているこの方法の欠点は、オペレータによる寸法のこの比較または評価が誤った解釈につながり、その結果、再調整の必要がないにもかかわらず、3Dプリンタが停止され、解体され、点検され、または新たに調整されることである。
【0044】
したがって、本方法によれば、ある定数の実際の寸法と基準寸法との比較が自動的に実行されることが企図されている。これは、例えば、各寸法が、高さ、幅、若しくは長さなどの単一の値であるか、又は、その寸法が三次元のデータの形態であるということにかかわらず、実行する。例えば、このような三次元のデータは、基準点や基準座標系を起点として、三次元座標系におけるX成分、Y成分、Z成分などの値を有する。例えば、3Dデータ、すなわち、X成分、Y成分、およびZ成分を指定することによって、生成された3D構造体の表面上の特定の点を記述することができる。
【0045】
定数の実際の寸法および基準寸法のこの自動的な比較は、比較される寸法間のそれぞれの差を決定し、これは正の偏差または負の偏差であり得る。
【0046】
自動的な比較はまた、所定の公差または公差限界を考慮して実行できる。これらの公差または公差限界は、正の偏差および負の偏差に対してもあらかじめ設定することができる。一変形例では、正の偏差に対するこれらの公差限界は、負の偏差に対する公差限界と同じ大きさである。代替的な変形例では、正の偏差に対するこれらの公差限界は、負の偏差に対する公差限界と同じ大きさではない。このようにして、所定の品質仕様に対応するために、例えば、いわゆるオーバーサイズに対して、いわゆるアンダーサイズに対してとは異なる条件を適用することができる。
【0047】
本方法によれば、3Dプリンタの構造部分または構造群に自動的に影響を及ぼすかまたは再調整することによって、検出された偏差または所定の公差限界を超える状態にある検出された偏差が除去されることがさらに企図されている。
【0048】
再調整は、例えば、構造部分または構造群の位置または配置または向きの機械的な変化とすることができることが企図されている。
【0049】
このため、3Dプリンタは、自動的に再調整するための適切なオプションを備えていなければならない。このようにして、例えば、3Dプリンタのプリントヘッドの位置及び/又は向きの再調整を行うことができる。
【0050】
所定の公差限界を超える偏差を排除するために、適用されるべき粒子状の構造材料の層の厚さが変更されるか、またはプリントヘッドを使用して配量されるべきバインダの量が増減されることがさらに企図されている。粒子状の構造材料またはバインダの組成も変更することができる。これらの措置の代替案として、プリントヘッドのクリーニングまたは中間クリーニングは、発生する偏差を低減できる。
【0051】
代替的には、構造部分または構造群の位置、配置、または向きの機械的な変更が行われず、代わりに、例えば、3D構造体を生成するためのコンピュータ支援設計システムによって生成されたデータが影響されることが企図されている。
【0052】
例えば、プリントヘッドのノズルが作動する時点、すなわち制御時点のパラメータを変更することができる。プリントヘッドが、構造域の表面から一定の距離で、構造域の表面上を均一に移動する場合、このノズルから突出されるバインダの液滴が構造域の表面に衝突する位置は、プリントヘッドのノズルが作動する時点によって変化する。このようにして、パラメータである制御時点を変更することによって、生成される3D構造体の寸法の精度の必要な再調整を行うことができる。
【0053】
したがって、本方法に従って検出された偏差または所定の公差限界を超える偏差は、偏差を低減または排除するために、3Dプリンタの1つ以上のプリントヘッドの1つ以上のノズルのパラメータである制御時点のシフトをもたらす。
【0054】
パラメータである制御時点に影響を及ぼすことに加えて、プリントヘッドなどの構造部分または構造群が構造域の表面上を移動するパラメータである速度の変化も企図されている。
【0055】
別の場合には、パラメータである制御時点への影響と、プリントヘッドの速度の変化との両方を企図することができる。
【0056】
別の可能性は、プリントヘッドで使用されるノズルの選択を変更することである。例えば、プリントヘッドを使用して構造域上で粒子状の構造材料にバインダを適用する際に、有効な幅を増減または移動させるためにノズルをオンまたはオフに切り替えることができる。
【0057】
生成された3D構造体の実際の寸法を把握するために、三次元の測定または三次元スキャンによってこの把握を実施することが企図されている。その際、生成された3D構造体の実際の寸法と、所定の寸法、すなわち、基準寸法との比較に必要なデータが、三次元の3Dデータの形態で生成される。
【0058】
この提供された3Dデータ(3D構造体の表面上の選択された点における生成された3D構造体の実際の寸法を示す)は、同じく3Dデータとして存在する所定の寸法または基準寸法と比較され、このようにして実際の寸法と基準寸法との間の差が決定される。
【0059】
三次元スキャンを用いて生成された3D構造体の実際の寸法を把握することは、データを自動的にデジタルで生成し、したがって、現在の方法を実行するプログラムに即座に転送できる可能性を提供する。このプログラムは、デジタル形式での寸法比較も実現する。プログラムは、この比較の間、所定の公差を監視し、それらが所定の公差の範囲外にある場合にのみエラーを出力する。これらの検出された誤差に基づいて、例えば、生成された3D構造体の表面上の特定の点における検出された差または偏差を低減または除去するために、1つのプリントヘッド又はいくつかのプリントヘッドの1つ以上のノズルのパラメータである制御時点が変更される。
【0060】
本方法を実施するプログラムは、例えば、3Dプリンタの中央制御装置で実行される。この中央の制御ユニットは、生成されるべき3D構造体の寸法に関する転送されるデータに基づいて、3D構造体を生成するプロセスも制御する。そのようなデータは、例えば、コンピュータ支援設計システムによって生成され、中央制御ユニットに転送することができる。したがって、中央制御ユニットは、3Dプリンタを制御するためのパラメータ、例えば、ノズルの制御時点のパラメータ、または、構造域にわたる構造群の移動速度のパラメータを使用するか、または、生成する。したがって、例えば、ノズルのパラメータである制御時点が中央の制御ユニットによって影響を受ける可能性がある。ノズルのこのパラメータの制御時点は、制御時点のその所定の値と比較して中央の制御ユニットによって時間的にシフトすることができ、その結果、シフトされた制御時点は、制御時点の所定の値の前または後である。このシフトの方向は、寸法の決定された偏差の方向に依存する。
【0061】
作成されたいくつかのまたはすべての3D構造体が、三次元の測定によって、または3Dスキャンを用いて測定されることが企図されている。単一のスキャンとは対照的に、発生したエラーまたは大きすぎる偏差は、単一のランダムな誤差であったかどうか、または系統上の偏差がであったかどうかを判断することができる。
【0062】
こうすることで、例えば、一回限りの誤差又は一回限りの大きすぎる偏差が発生した場合、系統上の誤差や大きすぎる偏差が発生した場合とは異なる誤差のプロセスを開始することができる。
【0063】
例えば、プリントヘッドのノズルの作動時点などのパラメータは、系統上の誤差が発生した場合にのみ変更することができる。
【0064】
また、系統上の誤差が生じた場合には、検出された偏差の平均化が実行され、この決定された平均値に基づいてプリントヘッドのノズルの制御時点等のパラメータが自動的に変更されることも企図されている。
【0065】
本発明の前述の特徴及び利点は、付属の図面と共に、本発明の、ここでは好適でありこれに制限されない例示的な形態の以下の詳細な説明を注意深く検討した上で、より良好に理解され、評価される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】本発明の実施例の概略図を示す。
図2】方法の基本シーケンスの図を示す。
図3a】3Dプリンタで生成した3D構造体と、関連する基準との比較を示す。
図3b】3Dプリンタで生成した3D構造体と、関連する基準との比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明の実施例の概略図を図1に示す。
【0068】
基本的にだけに描画されている3Dプリンタ1は、構造域2を有する。構造域2には、粒子状の構造材料3で緩い形態があり、部分領域では、粒子状の構造材料3の選択的に固化した形態4である。3D構造体は、粒子状の構造材料3が固化した形態4で存在するこの部分領域に生成される。
【0069】
構造域2の上方では、3Dプリンタの作業器機5は、例えば、描画された移動方向6に、構造域2の表面までの一定の間隔で移動される。このような3Dプリンタの作業器機5は、例えば、粒子状の構造材料3を排出または適用するための手段、搬送された粒子状の構造材料3を平滑化するための手段、粒子状の構造材料3を圧縮するための手段、またはバインダを適用するためのプリントヘッドでもよい。
【0070】
少なくとも1つのノズルを有する少なくとも1つのプリントヘッドが、作業器機5の領域に配置され、それによって、例えば、粒子状の構造材料3を選択的に固化するためのバインダの液滴が、構造域2の表面上に適用または配量される。
【0071】
中央制御ユニット7は、3Dプリンタ1内の全ての作業シーケンスを制御し、かつ制御データ8を、3D構造体10を生成するための作業機器5に送信する。この制御データ8はまた、例えば、例示的な移動方向6における作業器機5の移動速度、または作業器機5のプリントヘッドにおけるノズルの制御時点を決定するパラメータを含む。
【0072】
3D構造体10を生成するために、例えば、生成されるべき3D構造体10の寸法を記述する入力データ9は、中央制御ユニット7に送信される。この入力データ9は、生成されるべき3D構造体10の各層についても、生成されるべき3D構造体10の寸法を記述または含んでもよい。この入力データ9を使用して、中央制御ユニット7は、そのパラメータを有する制御データ8を生成する。
【0073】
これは、例えば、3D構造体10が生成された後、生成された3D構造体の実際の寸法に関するデータを得るために、3D構造体10が三次元的に測定される。この測定は、例えば三次元走査アセンブリ11を用いて行ってもよい。この目的のために、3D走査アセンブリ11は、例えば、生成された3D構造体10を複数の方向から走査する複数のセンサ12を有し、したがって、生成された3D構造体10の表面上の個々の点に対する3Dデータ13を生成する。この3Dデータ13は、中央制御装置7に送信される。
【0074】
中央制御ユニット7では、デフォルトデータまたは入力データ9が、スキャンで生成された3Dデータ13と比較される。したがって、生成されるべき3D構造体に対する所定寸法と、生成された3D構造体の(3Dプリンタによって生成された)寸法との間の偏差が決定される。そのような偏差は、コンピュータ支援設計システムによって生成された入力データ9と、生成された3D構造体の実際の寸法の走査において生成された3Dデータ13との間の差を表す。
【0075】
このように決定された差に基づいて、例えば、3Dプリンタ1におけるプリントヘッドのノズルの制御時点を変更することができる。ノズルの制御時点を時間的に移動することによって、粒子状の構造材料3が構造域2上で選択的に固化された形態4で存在する部分領域が変更またはずらされる。この移動はまた、生成されるべき3D構造体の内部輪郭または外部輪郭の寸法を変化させる。
【0076】
このようにして、生成されるべき3D構造体10の精度を改善するために、3Dプリンタ内の構造部分または構造群に対する方法どおりの影響が達成される。
【0077】
このプロセスの間、許容される差または偏差に対する所定の公差も観察することができる。例えば、ノズルの制御時点の移動は、許容される公差を超えた場合、または許容される公差を下回った場合にのみ企図される。ここでは、差または偏差の異なる方向に対する異なる公差も考慮に入れることができる。例えば、オーバーサイズに対してはアンダーサイズに対してとは異なる公差を設けることができる。
【0078】
図2は、この方法の基本的なシーケンスの図を示す。
【0079】
ステップ14における方法の開始後、そのパラメータを有する制御データ8の入力データ9からの生成は、後続の処理ステップ15において実行される。制御データ8のこの生成は、図2には描画されていない中央制御ユニット7によって実行される。このようにして生成された制御データ8は、3Dプリンタ1の作業器機5に送信される。
【0080】
この制御データ8を用いて、3Dプリンタ1での3D構造体10の生成が行われる。3Dプリンタ1、制御データ8、および3D構造体10は、図2に描画されていない。
【0081】
次の比較16または比較ステップ16において、3Dプリンタ1での3D構造体10がまだ生成されていない場合、パラメータまたは制御データ8に変化はない。
【0082】
続いて、ステップ17において、3D構造体が生成される。
【0083】
ステップ18において、生成された3D構造体10の三次元の測定が行われる。そのような測定は、対応する測定データを生成し、これを例えば3Dデータ13として中央制御ユニット7に送信できる、従来技術から知られている方法を使用して実行できる。
【0084】
図1の例では、三次元スキャンを用いて三次元の測定を行っている。そのような測定は、対応する3Dデータ13を生成し、これらはステップ16に戻される。
【0085】
ステップ19では、生成された3D構造体の生成および測定が完了し、方法はステップ20で終了する。代替的には、この方法は、数個の3D構造体を次々に生成するために、数回実行できる。この方法に対応するスタートへの戻りは、図2には描画されていない。
【0086】
対応する3Dデータ13がステップ16に戻される場合、比較がステップ16で行われる。この比較の間、所定の寸法と3Dプリンタによって生成された3D構造体10の実際の寸法との間の偏差が決定され、差または偏差として記憶される。このような比較では、所定の寸法のデータが、実際の寸法のデータと比較される。
【0087】
この比較中に決定された差または偏差が所定の公差を超える場合、ステップ16において、検出された偏差を低減または除去するために、制御データ8の少なくとも1つのパラメータが変更される。このようなパラメータは、例えば、バインダを適用するプリントヘッドにおけるノズルを作動させる時点であり、数ノズル分の数時点も変更可能である。
【0088】
代替的には、所定の寸法と3Dプリンタによって生成された3D構造体10の実際の寸法との間で偏差が検出された場合、検出された偏差を低減または除去するために、ステップ16において、公差を考慮することなく、制御データ8の少なくとも1つのパラメータを変更することができる。
【0089】
この場合、ステップ17において、比較16において調整または変更された制御データ8と、その調整または変更されたパラメータとを考慮して、さらなる3D構造体が生成される。
【0090】
図3aおよび3bは、それぞれ、三次元印刷によって生成された3D構造体10及び関連する基準21がそれらの外形寸法の比較で少なくとも描画されていて、図3aは斜視図を示し、図3bは上面図を示す。
【0091】
基準21は、3Dプリンタにおいて3D構造体を生成するプロセスによって生成すべき3D構造体であり、所定の寸法からの逸脱はない。
【0092】
生成された3D構造体10は、3Dプリンタでの3D構造体の生成結果であり、所定の寸法からの望ましくない製造に関連する偏差を有し得る。
【0093】
代替的に、基準21は、データセットとして、または生成されるべき3D構造体のための所定の寸法のデータとしてのみ理解することができる。本方法およびデータまたは3Dデータの比較のために、基準21が物理的に存在する必要はない。
【0094】
図3aの例で見られるように、生成された3D構造体10は三次元の延長部を有し、その際、構造体10の描画されているX方向の延長部は長さ、描画されているY方向の延長部は幅、及び描画されているZ方向の延長部は高さと称されるものである。
【0095】
図3aでは、生成された3D構造体10の基本的な図を、その関連する基準21と共に示している。これは、製造公差によって偏差が発生することを説明するためのもので、偏差は、一次元、二次元、または三次元すべてにおいてのみ発生できる。
【0096】
図3bではいくつかの点線を用いて描画されているように、許容される偏差の公差閾値が設定される。正および負の偏差に対するこれらの公差閾値は、例えば、図3bに描画されているように、+0.3mmおよび-0.3mmとすることができ、偏差の値または対称性のいずれに関しても制限は設けられていない。
【0097】
例えば、生成された3D構造体10が、X方向にその長さでオーバーサイズを有する場合、この偏差は、所定の公差限界が使用される場合に+0.3mmまでであってもよく、そうでない場合は、生成された3D構造体10の長さは、所定の公差限界内にない。
【0098】
所定の公差限界を使用しない場合、所定の寸法と、3Dプリンタによって生成される3D構造体10の実際の寸法との間で決定される各々の差を、補正されるべき偏差としてみなされ、その後に生成される3D構造体10に対して、そのような決定された差を低減または除去するために、制御データ8の少なくとも1つのパラメータを変更することが企図されている。
【0099】
生成された3D構造体10が、例えば、X方向にその3D構造体の長さでアンダーサイズを有する場合、この偏差は、-0.3mmまでであってもよく、そうでない場合、生成された3D構造体10の長さは、所定の公差閾値内に入らない。
【0100】
例えば、図3bの左部分に偏差22aとして描画されるように、生成された3D構造体10の長さの公差閾値が最大+0.3mmを超えた場合、制御データ8の少なくとも1つのパラメータが、本方法に従って変更される。その際、このパラメータの変更は、後に生成されるべき3D構造体10の差が低減または除去されるように実行される。
【0101】
偏差22aは、図3bに描画される生成された3D構造体10の本体の左端部上の点として示されているが、これは、本方法が、データまたは3Dデータの実施されるべき比較が点ごとに実行できるためである。このようにして、例えば、図3bには描画されていない、3D構造体10の本体の左端部上の様々な偏差を、点ごとに認識し、点ごとに処理し、点ごとに異なる補正をすることができる。
【0102】
この方法の単純化は、偏差22aのようなある偏差の1点のみ、または本体の左端部に見られる2つ、3つ、または4つの偏差から形成される平均値が、少なくとも1つのパラメータをこの方法に従って変更するために使用されることであってもよい。
【0103】
図3bの例では、プリントヘッドのノズルが作動する時点、すなわち、ノズルのパラメータの制御時点を変更することができる。図3bにおいて、バインダを塗布するプリントヘッド(図示せず)は、3D構造体10の生成中に、構造域上を左から右に移動し、偏差22aに関連するノズルを有すると仮定する。図3bの場合、プリントヘッドの対応するノズルが作動する時点としてより遅い時点が選択されると、本体の左端又は図3bにおける偏差22aが右にシフトする。これにより、偏差22aが小さくなる。ノズルの制御時点が対応してずれる場合、図3bには描画されていないが、例えば、本体の左縁が、+0.2mmの偏差で所定の公差閾値内に収まるので、偏差22aが生じなくなる。
【0104】
加えて、生成された3D構造体10の点または本体エッジの偏差が、公差閾値内にあるか、または、例えば、+0.3mmにおける公差閾値の限界にいくつかある場合、適格者によって、方法とは無関係に少なくとも1つのパラメータの変更を行うことが企図され得る。
【0105】
加えて、3Dプリンタで生成された3D構造体10と関連する基準21との比較は、3D構造体が層ごとの生成に従って、層ごとに行われることが、本方法において企図されている。このようにして、異なる層での様々な偏差を、認識することができ、かつ方法に従って低減することができ又は除去することができる。
【0106】
三次元構造体10の生成中の異なる層における偏差の差は、例えば、粒子状の構造材料または粒子状の構造材料を選択的に固化させるためのバインダが、3Dプリンタの作業器機の異なる移動方向に適用されるということによって引き起こすことができる。これは、例えば、粒子状の構造材料および/またはバインダが、構造域にわたる3Dプリンタの作業機器の第1の移動方向と、構造域にわたる3Dプリンタの作業機器の第2の移動方向との両方に適用され、第2の移動方向が、第1の移動方向とは反対に向けられている場合である。
【0107】
3Dプリンタで生成された3D構造体10と関連する基準21の寸法の差のさらなる例として、図3bには、一例として、偏差22bが示されている。この場合、生成された3D構造体10の幅に関して、許容しうる公差閾値-0.3mmを下回る。この場合でも、図3bの3D構造体10の偏差22bまたは下側の本体縁部全体をシフトさせ、したがって、その後に生成されるべき3D構造体10に対する差を低減または排除するために、少なくとも1つのパラメータが方法に従う変更が実行される。この場合、バインダを塗布するプリントヘッドのノズルのうち、以前は使用されていなかったノズルが作動される又はスイッチオンされることが企図され得る。1つ以上の追加のノズルのこの制御は、生成されるべき3D構造体10の幅を増加させ、したがって、幅に生じたアンダーサイズを排除する。
【0108】
続いて作成されるべき3D構造体のためのプリントヘッドのノズルのオン又はオフの切り替えは、3D構造体10を生成するときのノズルの制御時点の変化でもある。
【符号の説明】
【0109】
1 3Dプリンタ
2 構造域
3 粒子状の構造材料
4 粒子状の構造材料の選択的に固化された形態
5 作業器機
6 移動方向
7 中央の制御装置
8 制御データ/パラメータ
9 入力データ
10 3D構造体
11 3D走査アセンブリ
12 センサ
13 3Dデータ
14 開始
15 処理ステップ/制御データの生成
16 比較
17 3D構造体の生成
18 測定
19 3D構造体の製造と測定
20 終了
21 基準
22a、22b 偏差
図1
図2
図3a
図3b
【手続補正書】
【提出日】2022-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリンタ(1)における構造部分または構造群に影響を与える方法であって、
この方法は、3Dプリンタ(1)で生成された3D構造体(10)の、この3D構造体(10)の所定の寸法に対する差が決定され、続いて3Dプリンタ(1)での構造部分または構造群に影響を及ぼす、当該方法において、
処理ステップ(15)において、生成されるべき3D構造体(10)の所定の寸法を記述する入力データ(9)から、3Dプリンタ(1)における3D構造体(10)の生成が制御されるパラメータを含む制御データ(8)が生成され、そして3D構造体(10)を生成し、
3Dプリンタ(1)でその3D構造体(10)が生成された後に、3D構造(10)は、三次元的に測定され、生成された3D構造体(10)の実際の寸法を決定し、実際の寸法のデータとして保存され、
その所定の寸法を含む入力データ(9)と実際の寸法のデータとが比較され、そして差が決定され、
そのような差が決定された場合、又はそのような差が所定の公差閾値を超えた場合、制御データ(8)の少なくとも一つのパラメータが変更され、
このパラメータは、その後に生成される3D構造体(10)に対する差が低減または除去されるように変更され、続けて、制御データ(8)の少なくとも1つの変更されたパラメータを用いて別の3D構造体(10)が生成され、
制御データ(8)のパラメータは、3Dプリンタ(1)のプリントヘッドにおけるノズルの制御時点、または3Dプリンタ(1)の作業器機(5)の構造域(2)上での移動速度であり、
3Dプリンタ(1)の作業器機(5)は、粒子状の構造材料(3)を排出するための手段、排出された粒子状の構造材料(3)を平滑化するための手段、または粒子状の構造材料(3)を圧縮するための手段である、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記入力データ(9)が、生成されるべき前記3D構造体(10)の前記所定の寸法を、生成されるべき前記3D構造体(10)の各層ごとに記述することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理ステップ(15)で作製された前記制御データ(8)は、前記作業機器(5)の機能モード及び動作モードを制御することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記生成された3D構造体(10)の測定は、三次元の測定によって実行され、前記生成された3D構造体(10)の表面上の複数の点に対する3Dデータ(13)が生成され、保存されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の寸法のデータと前記実際の寸法のデータとの間の比較が、前記所定の寸法の3Dデータと前記実際の寸法の3Dデータとの比較として実行することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
正または負に決定された差の前記所定の公差閾値が同じであるかまたは異なることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の公差閾値は、+0.5mm~-0.5mmの範囲内、特に+0.3mm~-0.3mmの範囲内であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
その所定の寸法を含む入力データ(9)と実際の寸法のデータとの比較を、点ごとに実行することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】