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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】半導体基板の静電気除去装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240910BHJP
   H01J 37/20 20060101ALN20240910BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01J37/20 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508483
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 KR2022008958
(87)【国際公開番号】W WO2023017998
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0106506
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523269018
【氏名又は名称】ネクスティン,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ナ, スン-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】パク, フン-ギュン
【テーマコード(参考)】
5C101
5F004
【Fターム(参考)】
5C101FF02
5C101FF25
5F004AA16
5F004BA09
5F004BA20
5F004BB05
5F004BB13
5F004BB14
5F004BB18
5F004BB24
5F004BB29
5F004BB32
5F004CA03
5F004CA06
5F004DA23
5F004DA26
(57)【要約】
本発明は、VUV光を用いて半導体基板および半導体基板に位置するパターンに形成された静電気を中和する装置に関するものであって、より具体的に、半導体基板側に照射されるVUV光の範囲を拡張させて大面積半導体基板上の薄膜内部に埋め込まれた(Embedded)静電気を簡単に除去できるようにする技術に関する。
本発明による半導体基板の静電気除去装置は、真空チャンバ内部に配置された半導体基板にVUV(Vacuum Ultraviolet Ray)光を照射して半導体基板上に形成された静電気を除去する半導体基板の静電気除去装置において、真空チャンバの上側に配置され、真空チャンバの内側に狭帯域のVUV光を放出するVUVランプが備えられたVUV発生器と、VUV発生器の下側に配置され、入射するVUV光を広帯域に拡散して下側に位置する半導体基板に出力する光拡散部と、を含んで構成されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバ内部に配置された半導体基板にVUV(Vacuum Ultraviolet Ray)光を照射して半導体基板上の薄膜内部に埋め込まれた(Embedded)静電気を除去する半導体基板の静電気除去装置において、
真空チャンバの上側に配置され、真空チャンバの内側に狭帯域のVUV光を放出するVUVランプが備えられたVUV発生器と、
VUV発生器の下側に配置され、入射するVUV光を広帯域に拡散して下側に位置する半導体基板に出力する光拡散部と、を含んで構成されることを特徴とする半導体基板の静電気除去装置。
【請求項2】
真空チャンバ内部に配置された半導体基板にVUV光を照射して半導体基板上に形成された静電気を除去する半導体基板の静電気除去装置において、
真空チャンバの上側に配置され、プロセスガスと反応してプラズマを形成することによって、真空チャンバの内側にVUV光を放出するプラズマ発生器と、
プラズマ発生器の下側に配置され、入射するVUV光を広帯域に拡散して下側に位置する半導体基板に出力する光拡散部と、を含んで構成されることを特徴とする半導体基板の静電気除去装置。
【請求項3】
前記光拡散部は、ビームスプリッタであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体基板の静電気除去装置。
【請求項4】
前記光拡散部は、メタルメッシュまたは複数のホールが形成されたメタルプレートからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体基板の静電気除去装置。
【請求項5】
前記光拡散部は、MgF、CaF、LiFまたはサファイアのうちの1つの素材からなる基板上に複数のマイクロレンズが配置されたマルチレンズアレイ構造からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体基板の静電気除去装置。
【請求項6】
前記光拡散部の下側には、中央部分に配置される一定サイズの中央電極領域と、前記中央電極領域の周辺に1つ以上の帯状を有する周辺電極領域が1つ以上配置されて電極領域が分離された構造を有するグリッドプレートがさらに配置されて構成され、
前記電極領域は、メタル素材で複数のホールが形成され、各電極領域に異なる電圧が供給されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体基板の静電気除去装置。
【請求項7】
前記真空チャンバの内部には、光拡散部を基準として上部空間と下部空間とを分離する分離板をさらに備えて構成され、
前記光拡散部は、分離板上に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体基板の静電気除去装置。
【請求項8】
前記真空チャンバの上部空間と下部空間には、当該空間の真空状態を設定するための真空設定部がそれぞれ備えられて構成され、
上部空間の真空度と下部空間の真空度は、異なるように設定されることを特徴とする請求項7に記載の半導体基板の静電気除去装置。
【請求項9】
前記基板支持台は、メタル素材からなり、正(+)または負(-)のバイアス電圧が供給されるが、
電子を半導体基板1側に誘導するためには、正(+)のバイアス電圧が供給され、イオンを半導体基板1側に誘導するためには、負(-)のバイアス電圧が供給されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体基板の静電気除去装置。
【請求項10】
前記真空チャンバの上側には、一定間隔に離隔してVUVを放出する複数のVUV発生器が配置され、
前記光拡散部は、前記VUV発生器から放出される多数のVUV光を半導体基板の全面に拡張して出力することを特徴とする請求項1に記載の半導体基板の静電気除去装置。
【請求項11】
前記真空チャンバの上側には、一定間隔に離隔してVUVを放出する複数のプラズマ発生器が配置され、
前記光拡散部は、前記VUV発生器から放出される多数のVUV光を半導体基板の全面に拡張して出力するが、
前記各プラズマ発生器は、互いに異なるプロセスガスと反応して互いに異なる帯域のVUVを放出するように構成されることを特徴とする請求項2に記載の半導体基板の静電気除去装置。
【請求項12】
前記半導体基板を支持する基板支持台の下側には、VUV発生器からVUV光が放出される間に基板支持台を回転させる回転手段が備えられて構成され、
前記光拡散部は、半導体基板の中心から偏心して位置する少なくとも1つの光拡散モジュールからなることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の半導体基板の静電気除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VUV光を用いて半導体基板および半導体基板に位置するパターンに形成された静電気を中和する装置に関するものであって、より具体的に、半導体基板側に照射されるVUV光の範囲を拡張させて大面積半導体基板上の薄膜内部に埋め込まれた(Embedded)静電気を簡単に除去できるようにする技術に関する。
【0002】
【背景技術】
【0003】
最近、半導体産業の集積化が高まるほど、半導体素子のサイズが小さくなる傾向にある。これにより、半導体素子を形成するパターンのサイズや薄膜の厚みが減少しており、特に従来では大きく影響しなかった要因が半導体素子開発において重要な要素として台頭する傾向がある。これらの要素の1つとしては、基板に形成された静電気がある。
【0004】
半導体基板に形成される静電気の発生原因は、イオンが除去された脱イオン水(Deionized Water)利用および帯電したプラスチック材料から電荷移動(Charge Transfer)、または誘導帯電(Induction Charge)などがある。
【0005】
このような半導体基板の静電気は、回転運動を用いるフォトプロセスや洗浄プロセスで主に発生し、これは遠心力の差によって中央部に最も多くの静電気が集中するものと知られている。すなわち、フォトレジスト(Photo Resist)コーティングプロセスにおけるウェハ(Wafer)の高速回転で基板中心部の空気流れの集中度は、外郭に比べて3倍以上高くなり、相対的に遠心力が弱い中心部を中心に静電気が形成される。特に、中心部に形成される強い電界による静電気は、ウェハ上の多層膜の内部および表面に形成されたフォトレジストパターンに充填(Charge)される。
【0006】
図1(A)には、半導体基板1の中央部分から外郭側に-50V、-30V、-10Vの静電気電圧が現れた形状が例示されている。
【0007】
しかし、図1(A)に示すように、半導体基板1の中心部を中心に高い電圧でチャージされる場合、図1(B)における基板の中央部分に該当する領域(図1(A)で静電気電圧が-50Vである領域)には、絶縁体であるフォトレジストパターン(PR、Photo Resist)あるいは酸化膜などの半導体基板1表面だけでなく、基板表面の一定深さDまで電荷がチャージされ、低い運動エネルギーを有するイオンによる中和が不可能な状態が発生することがある。このように半導体基板にチャージされる静電気電圧は、プロセスの種類や材料およびパターン形状などの多くの変数があり、一般に-200V~+200Vの間で形成される。
【0008】
これに関連して、先行文献1(韓国登録特許10-1698273号)と先行文献2(韓国公開特許10-2004-0040106号)には、イオナイザを用いて半導体基板の静電気を除去する構成が開示されている。
【0009】
例えば、図1(B)に示すように、10nm以内の微細回路内の絶縁膜または「5」以上のアスペクト比(Aspect Ratio)を有するパターンPが形成されるなどの半導体基板1に100V以下のチャージ電圧が形成されると、パターン幅が狭くなり、イオナイザで発生するカチオンとアニオン間の自己中和効果および半導体基板とイオン間の低い電圧差による低い起電力によるイオンの衝突低減により、基板上の薄膜内部に蓄積された静電気除去に困難がある。
【0010】
また、半導体基板に1000Vで充填された静電気を軟X線(Soft Xray)イオナイザで100V以内に減らすことは、1~2秒以内のディケイ(Decay)タイムが要求されるが、初期100V以下のチャージ電圧が形成されるとき、チャージ電圧を所望の電圧以下に減少させるのに長い時間がかかる。
【0011】
また、イオナイザは、紫外線を発生させて基板上の静電気を除去するが、イオナイザのランプから放出される紫外線の発散角度は、約±7°と非常に小さく、大面積半導体基板の静電気除去のためには、イオナイザと半導体基板との間に非常に長い離隔距離が要求される。すなわち、半導体基板面積に対応して当該半導体基板の静電気除去プロセスを行う真空チャンバのサイズをより大きく設計しなければならない問題があることはもちろん、紫外線は、照射距離に応じてそのエネルギーが急激に減少するため、半導体基板に充填された一定レベル以上の静電気除去のためには、長い静電気除去時間が必要となる問題がある。
【0012】
また、一般にイオナイザのイオン密度が10であることを考慮すると、半導体基板内フォトレジスト下部の酸化膜内部にイオン密度が10以上となる場合には、従来のイオナイザを用いて半導体基板に形成された静電気を除去できなくなる。
【0013】
このような場合は、真空チャンバ内に10以上の高密度プラズマを発生して半導体基板の静電気を除去する方法があり得る。
【0014】
しかし、真空チャンバ構成の場合、プラズマタイプに応じたセルフバイアスとプラズマ均一性によって全面にイオンビームがさらにチャージされるという問題が発生し得る。また、半導体基板には、微細回路が一定でないパターンで形成され得、パターンの特性に応じて各部分ごとに異なる電圧の静電気がチャージできる。すなわち、半導体基板の部分に応じて、-100~+100Vの静電気電圧を分布させることができる。
【0015】
したがって、基板に均一にイオンを供給すると、基板の表面全体に同じ強度のイオンが半導体基板に放出され、これにより、半導体基板に発生した静電気電圧よりも高い電圧レベルが印加された領域では、行過ぎによるチャージがさらに発生し得る。
【0016】
さらに、酸化膜および/またはパターンの内部に電荷が充填された場合には、静電気を中和するために高いエネルギーでイオンを提供しなければならないが、高いエネルギーで反応性ラジカルおよび/または反応性イオンを基板に照射すれば、基板と基板の表面に形成されたパターンに衝突して損傷を引き起こす可能性がある。
【0017】
特に、パターンが10nm以下の極微細化構造の半導体基板の場合、カチオンまたはアニオンまたは電子によるチャージにより半導体素子の性能および収率により多くの影響を及ぼすことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ここに、本発明は、前述の事情に鑑みて創出されたものであって、VUV発生器から発生する狭い面積のVUV光を回折光学素子を介して拡張して半導体基板側に照射することによって、真空チャンバの面積を拡張させなくても大面積半導体基板上に形成された静電気を容易に中和できるようにする半導体基板の静電気除去装置を提供することにその技術的目的がある。
【0019】
また、本発明によると、相互分離される互いに異なる領域の複数の電極領域に互いに異なる電圧を供給し、電極領域上に形成されたホールを介して半導体基板に形成された静電気電圧に対応するVUV光を半導体基板に放出することによって、短時間で半導体基板上の薄膜の内部に埋め込まれた(Embedded)チャージされた静電気を正確かつ迅速に除去できるようにする半導体基板の静電気除去装置を提供することにまた他の技術的目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記目的を達成するための本発明の一側面によると、真空チャンバ内部に配置された半導体基板にVUV(Vacuum Ultraviolet Ray)光を照射して半導体基板上の薄膜内部に埋め込まれた(Embedded)静電気を除去する半導体基板の静電気除去装置において、真空チャンバの上側に配置され、真空チャンバの内側に狭帯域のVUV光を放出するVUVランプが備えられたVUV発生器と、VUV発生器の下側に配置され、入射するVUV光を広帯域に拡散して下側に位置する半導体基板に出力する光拡散部と、を含んで構成されることを特徴とする半導体基板の静電気除去装置が提供される。
【0021】
また、前記目的を達成するための本発明のまた他の一側面によると、真空チャンバ内部に配置された半導体基板にVUV光を照射して半導体基板上に形成された静電気を除去する半導体基板の静電気除去装置において、真空チャンバの上側に配置され、プロセスガスと反応してプラズマを形成することによって、真空チャンバの内側にVUV光を放出するプラズマ発生器と、プラズマ発生器の下側に配置され、入射するVUV光を広帯域に拡散して下側に位置する半導体基板に出力する光拡散部と、を含んで構成されることを特徴とする半導体基板の静電気除去装置が提供される。
【0022】
また、前記光拡散部は、ビームスプリッタであることを特徴とする半導体基板の静電気除去装置が提供される。
【0023】
また、前記光拡散部は、メタルメッシュまたは複数のホールが形成されたメタルプレートからなることを特徴とする半導体基板の静電気除去装置が提供される。
【0024】
また、前記光拡散部は、MgF、CaF、LiFまたはサファイアのうちの1つの素材からなる基板上に複数のマイクロレンズが配置されたマルチレンズアレイ構造からなることを特徴とする半導体基板の静電気除去装置が提供される。
【0025】
また、前記光拡散部の下側には、中央部分に配置される一定サイズの中央電極領域と、前記中央電極領域の周辺に1つ以上の帯状を有する周辺電極領域が1つ以上配置されて電極領域が分離された構造を有するグリッドプレートがさらに配置されて構成され、前記電極領域は、メタル素材で複数のホールが形成され、各電極領域に異なる電圧が供給されることを特徴とする半導体基板の静電気除去装置が提供される。
【0026】
また、前記真空チャンバの内部には、光拡散部を基準として上部空間と下部空間とを分離する分離板をさらに備えて構成され、前記光拡散部は、分離板上に形成されることを特徴とする半導体基板の静電気除去装置が提供される。
【0027】
また、前記真空チャンバの上部空間と下部空間には、当該空間の真空状態を設定するための真空設定部がそれぞれ備えられて構成され、上部空間の真空度は、下部空間の真空度よりも高く設定されることを特徴とする半導体基板の静電気除去装置が提供される。
【0028】
また、前記基板支持台は、メタル素材からなり、正(+)または負(-)のバイアス電圧が供給されるが、電子を半導体基板1側に誘導するためには、正(+)のバイアス電圧が供給され、イオンを半導体基板1側に誘導するためには、負(-)のバイアス電圧が供給されることを特徴とする半導体基板の静電気除去装置が提供される。
【0029】
また、前記真空チャンバの上側には、一定間隔に離隔してVUVを放出する複数のVUV発生器が配置され、前記光拡散部は、前記VUV発生器から放出される多数のVUV光を半導体基板の全面に拡張して出力することを特徴とする半導体基板の静電気除去装置が提供される。
【0030】
また、前記真空チャンバの上側には、一定間隔に離隔してVUVを放出する複数のプラズマ発生器が配置され、前記光拡散部は、前記VUV発生器から放出される多数のVUV光を半導体基板の全面に拡張して出力するが、前記各プラズマ発生器は、互いに異なるプロセスガスと反応して互いに異なる帯域のVUVを放出するように構成されることを特徴とする半導体基板の静電気除去装置が提供される。
【0031】
また、前記半導体基板を支持する基板支持台の下側には、VUV発生器からVUV光が放出される間に基板支持台を回転させる回転手段が備えられて構成され、前記光拡散部は、半導体基板の中心から偏心して位置する少なくとも1つの光拡散モジュールからなることを特徴とする半導体基板の静電気除去装置が提供される。
【0032】
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、真空チャンバの内部から半導体基板側に照射されるVUVの出力範囲を拡張して真空チャンバの面積を拡張させなくても大面積半導体基板上に形成された静電気を容易に中和できる。
【0034】
また、半導体基板上にチャージされた静電気に対応するようにグリッドプレートに印加される電源を調整し、半導体基板側に照射されるVUV光量を調整することによって、半導体基板上に異なってチャージされた静電気を正確に除去して半導体製造プロセスによる不良率を最小化することはもちろん、より信頼性の高い半導体素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】半導体基板の静電気除去の問題を説明するための図である。
【0036】
図2】本発明の第1実施形態による半導体基板の静電気除去装置を概略的に示す図である。
【0037】
図3図2に示す光拡散部200の構造を例示した図である。
【0038】
図4】本発明の第2実施形態による半導体基板の静電気制御装置を説明するための図である。
【0039】
図5】本発明の第3実施形態による半導体基板の静電気制御装置を説明するための図である。
【0040】
図6図5に示すグリッドプレート400の構造を例示した図である。
【0041】
図7】本発明の第4実施形態による半導体基板の静電気制御装置を説明するための図である。
【0042】
図8図7に示す光拡散部200の構造を例示した図である。
【0043】
図9】本発明の第5実施形態による半導体基板の静電気制御装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明に記載された実施形態および図面に示される構成は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて表現するものではないため、本発明の権利範囲は、本文に説明された実施形態および図面によって制限されるものと解釈されてはならない。すなわち、実施形態は、様々な変更が可能であり、様々な形態を有し得るため、本発明の権利範囲は、技術的思想を実現することができる均等物を含むものと理解されるべきである。また、本発明で提示される目的および効果は、特定の実施形態がこれをすべて含むべきであるか、またはそのような効果のみを含むべきであるという意味ではないため、本発明の権利範囲は、これによって限定されるものと理解されてはならない。
【0045】
本明細書で使用されるすべての用語は、別段の定義がない限り、本発明が属する分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されている用語は、関連技術の文脈上の意味と一致すると解釈されるべきであり、本発明で明確に定義されていない理想的または過度に形式的な意味を有するものと解釈されてはならない。
【0046】
【0047】
図2は、本発明の第1実施形態による半導体基板の静電気除去装置を概略的に示す図である。
【0048】
図2を参照すると、本発明による半導体基板の静電気除去装置は、半導体基板1が配置される真空チャンバCMの上側にVUV発生器100が配置され、真空チャンバCMの内側には、VUV発生器100から放出されるVUVの放出範囲を拡張させて出力する光拡散部200が配置され、光拡散部200の下側には、基板支持台10の上面に半導体基板1が配置される。そして、真空チャンバCMの内部に配置された装置は、制御装置(図示せず)を介して制御される。
【0049】
VUV発生器100は、VUV(Vacuum Ultraviolet Ray)イオナイザからなり得る。VUVイオナイザは、真空チャンバCMの内部に110nm~400nm帯域波長のVUV光を発生させ、VUV光が真空チャンバCMの内部のプロセスガスと反応してガス粒子を分解することによって、カチオンと電子を発生させながら半導体基板1側に照射される。このとき、VUVイオナイザは、薄膜のバンドギャップ(Band-Gap)より大きい光エネルギーであるVUV(Vacuum Ultraviolet Ray)を基板下側の静電気が蓄積された薄膜に放出して薄膜内に電子とホールのペアを形成することによって、半導体基板1上に積層された(Embedded)静電気を中和する。
【0050】
このとき、VUVイオナイザは、重水素(Deuterium)ランプを介してVUVを真空チャンバCMの内部に放出するが、重水素ランプを介して放出されるVUVの光発散面積は、約10mm×10mm程度であり、光発散角度は、±7°程度である。
【0051】
光拡散部200は、VUV発生器100から放出されるVUVの発散角度を拡張して出力するものであり、回折光学素子(DOE、Diffractive Optical Element)からなり得る。
【0052】
DOEは、レンズ内部またはレンズ表面の構造による回折現象を用いて光路を拡散させる光学素子であって、Fresnel Lens、Binary Optics、Fresnel Zone Plate、Hybrid Lensなどを用いて製造され、Beam Shaping、Dlite Beam Splitter、Transmission Grating Random Dot Generationなどの素子がある。特に、回折スポットビームスプリッタ(Diffractive Spot Beam Splitter)が用いられ得、このようなビームスプリッタは、MgF、CaF、LiF、またはサファイアからなり得る。
【0053】
また、光拡散部200は、複数のホールを有するメタル素材のボードからなり得る。例えば、メタルボードは、図3(A)に示すように、メタル素材のメッシュ、すなわちメタルメッシュからなるか、または、一定の厚さを有して複数のホールHが形成されたメタルプレートからなり得る。
【0054】
メタルボードは、VUV発生器100から放出されるVUVをメタル素材によって反射させ、ホールを介して周囲に拡散しながら下側に放出させる。例えば、メタルボードの光反射率は、UVでポリッシュされたアルミニウム(Al)の場合、120nm波長帯で70~80%の反射率を有する。
【0055】
また、光拡散部200は、複数のレンズが配列された構造のマルチレンズアレイ(Multi Lens Array)構造からなり得る。
【0056】
マルチレンズアレイは、図3(B)に示すように、基板I上に多数のマイクロレンズLが配列された形であって、MgF、CaF、LiFまたはサファイアのうちの1つの素材からなる基板I上にフォトレジストでパターン形成した後、ICPなどのプラズマを用いてマイクロレンズアレイを形成する。このとき、基板Iの中央部分に5倍以上の光幅が拡張される20mm×20mmサイズの2μmマイクロレンズアレイを配置し、半導体基板1との距離を100mm以内に配置して実験した結果、300mmウェハプロセス時のパンプアウト(Pump Out)時間などを考慮すると、半導体基板1を回転させない状態で30%以上の効率が増大する効果があることを確認した。これは、半導体基板1のサイズを考慮すると、従来3つ以上のVUVランプを配置しなければならない構造に比べて1つのVUVランプのみで静電気除去が可能であり、複数個を用いるときに部分的に発生するVUVによるオーバードーズ(Over Dose)を防止できる。
【0057】
このような構造の光拡散部200は、VUV発生器100から放出される10mm×10mmサイズの狭帯域範囲の光を例えば、300nm×300mmサイズの広帯域範囲に拡張して下側に放出する。
【0058】
そして、光拡散部200を介して半導体基板1に放出されたVUVは、半導体基板10のSiO層の内部に浸透してオキサイド内で正孔と電子を発生させ、これにより膜内部に蓄電された電荷すなわち、静電気を除去する。
【0059】
このとき、VUV発生器100から放出されるVUVは、真空チャンバCMの内部真空度によってエネルギー減衰が激しいため、VUVが放出される真空チャンバCMの真空度を10-4トル(Torr)に設定してVUVのエネルギー減衰を最小化するように設定することが好ましい。
【0060】
また、VUV発生器100と光拡散部200との間の距離を最小化し、VUV発生器100から放出されるVUVエネルギー減衰を最小化することが好ましい。
【0061】
また、光拡散部200は、図4に示すように、真空チャンバCMの内部空間を分離する分離板300の中央部分に配置され得る。
【0062】
分離板300は、光拡散部200が真空チャンバCMの内側に位置するように支持するとともに、真空チャンバCMの内側面に接しながらその内接部分を真空シールして真空チャンバCMの内部を光拡散部200を基準として上部空間S1と下部空間S2に分離する役割をする。
【0063】
このとき、真空チャンバCMの上部空間S1と下部空間S2には、当該空間にガスを注入して真空状態を調整するための真空形成部21、22がそれぞれ備えられ得る。これらの真空形成部21、22は、当該空間内部にガスを注入するガス注入口と、真空チャンバの外部にガスを排出するガス排出口と、を含み、上部空間S1の真空度と下部空間S2の真空度を異なるように設定できる。
【0064】
例えば、本発明において、真空チャンバCMの上部空間S1は、VUV発生器100から放出されるVUVエネルギー減衰特性を考慮して真空度を10-4トルに設定し、真空チャンバCMの下部空間S2は、10-2トルに設定できる。
【0065】
また、真空チャンバCMの上部空間S1と下部空間S2には、異なるプロセスガスを注入し得る。
【0066】
また、真空チャンバCMの内部に備えられる基板支持台10は、メタル素材からなり、前記基板支持台10に一定レベルのバイアス電圧が供給され得る。これは、半導体基板1側に流入するVUV光によって生成された電子およびイオンが方向性を有しながら半導体基板1の下部膜まで到達するためのものであり、電子を半導体基板1側に誘導するためには、正(+)のバイアス電圧が供給され、イオンを半導体基板1側に誘導するためには、負(-)のバイアス電圧が供給される。このとき、バイアス電圧は、1V~±200Vの範囲に設定される。
【0067】
【0068】
一方、本発明は、静電気除去対象半導体基板1の上面に一定以上のアスペクト比を有するパターンが形成されたことを考慮し、半導体基板1側にVUVの光路が垂直に放出される構造を有するように構成し得る。
【0069】
このために、本発明は、図5に示すように、光拡散部200の下側に複数のホールが形成されたグリッドプレート400をさらに配置して構成し得る。このとき、グリッドプレート400は、半導体基板1と100mm以内の離隔距離を有する位置に配置され、サイズは、半導体基板1と同じか大きく設定され、半導体基板1と同様の形状、例えば、円形または四角形の形状で構成される。
【0070】
グリッドプレート400は、1~10mmの厚さを有するメタル素材の板状に形成され、0.1~5mmの直径を有する複数のホールを備えるが、ホール全体の開口率は、グリッドプレート面積の60%以上になるように設定され得、メタルメッシュまたはホールが備えられたメタルプレート(図3(A)参照)構造で構成され得る。
【0071】
すなわち、グリッドプレート400は、上側のVUVがホール壁面から反射しながら、光路が半導体基板1に入射するように変更されて半導体基板1側に放出されることによって、半導体基板1の静電気が形成された薄膜へのVUV浸透効率が向上する。
【0072】
このようなグリッドプレート400は、中央部分に配置される一定サイズの中央電極領域と、前記中央電極領域の周辺に1つ以上の帯状を有する周辺電極領域が1つ以上配置されて電極領域が相互分離された構造を有する。
【0073】
例えば、グリッドプレート400は、図6に示すように、異なる直径を有する楕円または同心円状に一定面積を有する複数の円形電極領域LXが同一中心点を基準に外側方向に一定距離離隔された年輪状に配置されて構成され得る。
【0074】
このとき、各電極領域LXは、絶縁板I上に配置され、絶縁板Iによって相互電気的に絶縁されるように配置され、各電極領域上に形成されるホールHは、絶縁板Iを貫通して形成される。ここで、絶縁板IのホールHの壁面には、アルミニウム(Al)や銅(Cu)などのメタル物質がコーティングできる。
【0075】
これは、半導体プロセス特性によって半導体基板1上に形成された静電気電圧が半導体基板1の中央部分で最も高く、外側に向かうにつれて低くなるパターン特性に応じて電極領域を形成したものである。
【0076】
このとき、グリッドプレート400の中央部分の電極領域は、一定面積を有する円板状に構成し、その外側の帯状の電極領域に比べてより多くのホールHを形成するように構成し得、ホールの直径は、0.1~5mmのサイズに設定できる。
【0077】
また、本発明においては、グリッドプレート400の各電極領域LXに異なる電圧を供給し得る。このとき、半導体基板1上に形成された静電気電圧に対応して半導体基板1に形成された互いに異なる領域に形成された互いに異なるレベルの静電気電圧を中和させるように光量を調整する。例えば、中央部分の電極領域LXの電圧V1を最も大きく設定し、その外側に行くほど電極領域LXの電圧が次第に小さくなるように設定できる(V2>V3>V4・・・)。
【0078】
【0079】
一方、前記実施形態においては、真空チャンバCMの中央部分に1つのVUVイオナイザ700を備えた半導体プロセスシステムについて説明したが、図7に示すように、真空チャンバCMの上側に互いに異なる位置でVUVを出力する2つ以上のVUVイオナイザ110、120を備えた半導体プロセスシステムにも適用して実施できる。図6には、第1および第2VUV発生器110、120が配置された形状が例示されている。
【0080】
このとき、光拡散部は、図7(A)に示すように、第1および第2VUV発生部110、120に対応する位置に一対一に対応するように、第1および第2光拡散部210、220が配置されて構成され得る。
【0081】
また、光拡散部は、図7(B)に示すように、第1および第2VUV発生部110、120の全体のサイズに対応するサイズで1つの光拡散部200からなり得る。
【0082】
このとき、基板支持台10の下面には、基板支持台10を回転させる回転手段500がさらに備えられ得、静電気除去プロセスによりVUV光が発生する間に基板支持台10を回転させることによって、半導体基板1を一定速度で回転させることができる。
【0083】
このように回転手段500が備えられた構造においては、前記光拡散部200の中心が図7(A)に示すように半導体基板1の中心Cから偏心して位置し得、光拡散部200の直径は、半導体基板1の半径よりも大きいか、または同じであることがある。したがって、光拡散部200の直径が半導体基板10の直径よりも小さいが、半導体基板1が回転することによって、半導体基板1の全面にVUVが提供される。
【0084】
また、光拡散部200は、複数の光拡散部210、220を備える構造においても、各光拡散部210、220は、半導体基板1の半径よりも小さい直径を有し得、図8(B)に示すように、各光拡散部210、220は、半導体基板1の中心Cから偏心して位置し得る。このとき、複数の光拡散部210、220は、半導体基板1が回転するとき、半導体基板1にVUVが提供されない部分がないように配置され、半導体基板1の中央部分にトラップされたより多くの量のVUVが照射されるように配置され得る。
【0085】
【0086】
一方、本発明においては、VUVイオナイザ100を介して放出されるVUVを用いて半導体基板1にトラップされた静電気を除去するように実施したが、図1図4図5および図7に示す構造でVUV発生器の代わりにプラズマ発生器を備えてVUVを生成することによって、半導体基板1の薄膜内部に埋め込まれた(Embedded)静電気を除去するように構成し得る。図9には、複数のプラズマ発生器700を備えた構造が例示されている。
【0087】
一実施形態において、プラズマ発生器700は、容量性結合プラズマ(CCP、Capacitively Coupled Plasma)形成装置であって、装置内に位置する2つの分離された金属電極にRF、直流、高周波ないし低周波の電気的信号が提供されることによりプラズマが形成される。一実施形態において、プラズマ形成部110に提供される電気的信号は、パルス、連続波(CW、Continuous Wave)であり得る。
【0088】
他の実施形態において、プラズマ発生器700は、誘導結合性プラズマ(ICP、Inductively Coupled Plasma)形成装置であって、装置内に位置するコイルに電流が流れることによって磁場が生成され、誘導結合性プラズマ形成装置は、このように形成される磁場からプラズマを形成する装置である。一実施形態において、プラズマ形成部110に提供される電気的信号は、パルス、連続波(CW、Continuous Wave)であり、1MHz以上帯域の信号が提供できる。
【0089】
また他の実施形態において、プラズマ発生器700は、マイクロ波提供装置であり得、RF帯域の電気的信号を紫外線形成真空チャンバに提供してプラズマを生成し得る。一実施形態において、プラズマ発生器に提供される電気的信号の周波数は、2.45GHz以上であり、パルスまたは連続波が提供され得る。プラズマ形成部110は、例示したようにプラズマを形成し、パルス時間変調されたプラズマ(Pulse-Time-Modulated Plasma)を形成することが好ましい。
【0090】
すなわち、プラズマ発生器700によって形成されたプラズマで励起された電子は、再び基底状態に下がり、励起状態と基底状態との間のエネルギー差に対応するエネルギーを有する光を外部に放出する。このように形成される光の波長帯域は、赤外線領域、可視光領域および紫外線領域であり得るが、半導体基板および/または半導体基板に形成されたパターン内にトラップされた電荷を中和するために、本実施形態においては、真空紫外線(VUV)帯域の紫外線を形成する。
【0091】
また、プラズマ発生器700は、プラズマ源内で使用するプロセスガスの種類に応じて外部に放出されるVUV波長帯域が異なるように設定され、半導体基板1上に形成される静電気が領域ごとに異なり得るため、本発明においては、半導体基板1の互いに異なる位置に形成された互いに異なる静電気レベルに応じてプラズマ発生器700から放出されるVUV波長帯域を異なるように設定できる。
【0092】
例えば、半導体基板1上に形成された静電気レベルが小さい領域に対応する位置の第1プラズマ発生器は、アルゴン(Ar)によってプラズマを形成して104.4nm波長帯域のVUV光を放出し、静電気レベルが大きい領域に対応する位置の第2プラズマ発生器は、酸素Oによってプラズマを形成して130.5nm波長帯域のVUV光を放出できる。
【0093】
これにより、静電気レベルが小さい領域の半導体基板1に高域のVUV光によって絶縁膜にVUV光が浸透して膜特性が変化することを防止できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】