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特表2024-534008過酸化水素、炭化水素、及び合成ガスを産生するための装置、システム、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】過酸化水素、炭化水素、及び合成ガスを産生するための装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20240910BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H05H1/24
B01J19/08 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508521
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 AU2022050868
(87)【国際公開番号】W WO2023015343
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】2021902528
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519238934
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・シドニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・カレン
(72)【発明者】
【氏名】レンウ・ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】ティエンチ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシップ・クネゼヴィッチ
【テーマコード(参考)】
2G084
4G075
【Fターム(参考)】
2G084AA18
2G084CC02
2G084CC03
2G084CC35
2G084FF11
4G075AA04
4G075AA05
4G075AA37
4G075BA10
4G075BD27
4G075CA47
4G075CA54
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB01
4G075EB41
4G075EC21
(57)【要約】
過酸化水素(H)、1種以上の炭化水素、及び合成ガスを生成するためのプラズマバブル反応器、反応器システム、及び方法を開示する。反応器は、液体を保持するように構成される容器と、二酸化炭素(CO)ガスを含む入力フィードを受け、COからプラズマを生成して、液体中で形成された複数の気泡に封入された、活性化COガスを産生するように構成される、容器と連携した、プラズマ生成手段を備え、活性化COガスは、気泡と周囲の液体との間で形成されるプラズマ液体界面において、水(HO)と反応して、過酸化水素(H)、1種以上の炭化水素、及び合成ガスを産生する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマバブル反応器であって、
- 液体を保持するように構成される容器と、
- 二酸化炭素(CO)ガスを含む入力フィードを受け、前記COからプラズマを生成し、前記液体中で形成された複数の気泡に封入された、活性化COガスを産生するように構成される、前記容器と連携した、プラズマ生成手段であって、前記活性化COガスは、前記気泡と周囲の液体との間で形成されるプラズマ液体界面において、水(HO)と反応し、過酸化水素(H)、1種以上の炭化水素、及び合成ガスを産生する、プラズマ生成手段と、
を備える、プラズマバブル反応器。
【請求項2】
前記プラズマ生成手段は2つの電極を備え、前記2つの電極のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に前記液体に浸漬された高電圧(HV)電極であり、前記電極にまたがり電位差が適用される際に、前記気泡に封入された前記COガスを活性化するために、前記液体を通して、放電を生成するように構成される、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記2つの電極はそれぞれ、少なくとも部分的に前記液体に浸漬されている、請求項2に記載の反応器。
【請求項4】
前記2つの電極はそれぞれ、少なくとも部分的に前記液体に浸漬されたHV電極である、請求項3に記載の反応器。
【請求項5】
前記2つの電極のうちの他方は、前記容器の外壁に電気的に接続された接地電極である、請求項2に記載の反応器。
【請求項6】
前記HV電極は、前記HV電極の長さに沿って部分的に延びるガス通路を画定する管の中に部分的に囲まれており、前記管は、前記入力フィードと流体連通しており、前記管の下部に1つ以上の出口を有し、前記気泡に封入された前記活性化COガスが、そこから前記容器内の液体に出ることを可能にする、請求項2~5のいずれか1項に記載の反応器。
【請求項7】
前記2つの電極は、DC又はAC電源と電気的に接続されている、請求項2~6のいずれか1項に記載の反応器。
【請求項8】
前記管に対して、前記HV電極の垂直位置を調整して、前記ガス通路内により長いプラズマストリーマを生成するための手段を更に備える、請求項4に記載の反応器。
【請求項9】
前記HV電極の垂直位置は、前記管に対して、約0mm~約60mmの範囲内で調整可能である、請求項8に記載の反応器。
【請求項10】
前記HV電極の前記管は、前記活性化COガスとHOとの間の反応を触媒するための、触媒活性物質を備える、請求項6に記載の反応器。
【請求項11】
前記触媒活性物質は、複数の酸化アルミニウムビーズを含む、請求項10に記載の反応器。
【請求項12】
前記1種以上の炭化水素は、ギ酸、酢酸、及びシュウ酸からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の反応器。
【請求項13】
反応器システムであって、前記反応器システムは、
-2つ以上のプラズマバブル反応器であって、各プラズマバブル反応器は、
- 液体を保持するように構成される容器であって、各容器は、複数のポートを備える、容器と、
- 二酸化炭素(CO)ガスを含む入力フィードを受け、COからプラズマを生成し、液体中で形成された複数の気泡に封入された、活性化COガスを産生するように構成される、前記容器と連携した、プラズマ生成手段であって、活性化COガスは、気泡と周囲の液体との間で形成されるプラズマ液体界面において、水(HO)と反応し、過酸化水素(H)と、1種以上の炭化水素と、合成ガスと、を産生する、プラズマ生成手段と、
- 複数の流体管であって、各流体管は、隣接するプラズマバブル反応器を、対応するポートを介して操作可能に連結し、COガス、H、1種以上の炭化水素、合成ガス、及び/又はHOのうちの1つ以上を、隣接するプラズマバブル反応器間で流体連通可能にする、流体管と、
を備えるプラズマバブル反応器を備える、反応器システム。
【請求項14】
前記プラズマ生成手段は2つの電極を備え、前記2つの電極のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に前記液体に浸漬された高電圧(HV)電極であり、前記電極にまたがり電位差が適用される際に、前記気泡に封入された前記COガスを活性化するために、前記液体を通して、放電を生成するように構成される、請求項13に記載の反応器システム。
【請求項15】
前記2つの電極のうちの他方は、前記容器の外壁に電気的に接続された接地電極である、請求項14に記載の反応器システム。
【請求項16】
水を、給水源から、前記2つ以上のプラズマバブル反応器のうちの1つにおける前記容器に、流体連通させるためのポンプを更に備える、請求項13~15のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項17】
COガスの、前記入力フィードから、前記2つ以上のプラズマバブル反応器のうちの1つにおける前記容器への流れを向上させるためのコンプレッサーを更に備える、請求項13~16のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項18】
前記コンプレッサーと、前記一つのプラズマバブル反応器における前記容器との間に直列に配置される、前記COガスの流量を監視するための流量計を更に備える、請求項17に記載の反応器システム。
【請求項19】
前記2つ以上のプラズマバブル反応器のうちの1つにおける前記容器からのHを受けるための液体レシーバーを更に備える、請求項13~18のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項20】
前記1種以上の炭化水素は、ギ酸、酢酸、及びシュウ酸からなる群から選択される、請求項13~19のいずれか1項に記載の反応器システム。
【請求項21】
過酸化水素(H)、1種以上の炭化水素、及び合成ガスを産生するための方法であって、前記方法は、
- 二酸化炭素(CO)ガスを含む入力フィードからプラズマを生成し、液体中で形成された複数の気泡に封入された活性化COガスを産生するステップと、
- 前記活性化COガスを、前記気泡と前記周囲の液体との間で形成されるプラズマ液体界面において、水(HO)と反応させ、過酸化水素(H)と、1種以上の炭化水素と、合成ガスと、を産生するステップと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記プラズマは、2つの電極にわたって電位差を適用することにより生成され、前記2つの電極のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に前記液体に浸漬された高電圧(HV)電極であり、前記気泡に封入された前記COガスを活性化するために、前記液体を通して、放電を生成するように構成される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記放電はパルス放電である、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記電位差は、約1kV~約100kVの範囲である、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記液体は水性媒体である、請求項21~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記水性媒体は電解質を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記反応は、実質的に大気圧及び室温下の容器で行われる、請求項21~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記入力フィードは、前記COガスと、第2のガスとの混合物を含む、請求項21~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記第2のガスは、一酸化炭素(CO)、水蒸気/蒸気(HO)、メタン(CH)、水素(H)、窒素(N)、及びこれらのいずれかの混合物からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記HV電極は、前記HV電極の長さに沿って部分的に延びるガス通路を画定する管の中に部分的に囲まれており、前記方法は、
- 前記管の垂直位置に対して、前記HV電極の垂直位置を調整して、前記ガス通路内により長いプラズマストリーマを生成するステップ
を更に含む、請求項22~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記HV電極の垂直位置は、前記管の垂直位置に対して、約0mm~約60mmの範囲内で調整可能である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記活性化COガスとHOとの間の反応を触媒するステップを更に含む、請求項21~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記1種以上の炭化水素は、ギ酸、酢酸、及びシュウ酸からなる群から選択される、請求項21~32のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素、1種以上の炭化水素、及び合成ガスを産生するための装置、システム、及び方法に関する。
【0002】
本発明は主に、化学産業に有用な前駆体の生成で用いるために開発されており、この用途を参照して、以下に記載する。しかし、本発明は、この特定の使用分野に限定されないことが理解されよう。
【背景技術】
【0003】
生物圏における二酸化炭素(CO)の全世界平均濃度は、18世紀中盤の280ppmから増加し、2021には416ppmに達した。これは主に、人間由来の活動、特に、石炭、石油、及び天然ガスなどの化石燃料の燃焼によるものである。COの濃度増加は、地球温暖化、砂漠化、及び海洋の酸性化を含む、一連の問題を引き起こしている。これらの問題に対応して、CO放出を著しく減少させる、革新的技術の開発に大いなる注目が集まっており、近年では、特に、国際的な放出減少目標、及び、パリ協定へのコミットメントを達成するための、国家間での勢いの下で、この目標まで、実質的な進行がなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
COを転換する主たる課題は、CO分子の高い安定性を克服すること、換言すれば、直鎖及び中心対称性の二重結合(O=C=O)を破壊することにある。従来の戦略では、COを、付加価値ある化学物質、又は、再生可能な燃料(例えば、CO、CH、及び液体化学物質)に転換することを調査し、これが開発されてきた。これには主に、熱触媒、電気触媒、及び光触媒プロセスが含まれる。しかし、これらの方法に基づく、燃料及び化学物質の産生はエネルギー集約的であり、より重要なことには、いくつかのプロセスで、大量の貴重な高純度水素が消費されてしまう。
【0005】
近年、電気エネルギーを、供給ガスに加えることで生成される、非熱プラズマ(NTP)が、不活性CO分子を、より反応性の、振動又は電子的に励起状態に活性化し、CO分子の解離を促進し、したがって、非常に安定した二重結合(O=C=O)の破壊を促進する魅力的な解決策を提供する、効果的なツールであると示されている。
【0006】
NTPを使用することで、COが、より価値の高い化学物質及び燃料に、効率的に転換される。NTPで産生されるエネルギー性電子は、1~10eVの平均電子温度を有し、イオン化、励起、及び解離によりCO分子を活性化することができ、化学反応を開始し伝播することができる、反応種(例えば、励起原子、イオン、分子、及びラジカル)のなだれを作り出す。NTPを用いてCOを転換する主な課題は、エネルギー効率の増大、プラズマ法の競合力の増加、及び、化合物の選択的生成にある。
【0007】
本発明は、先行技術の欠点の少なくともいくつかを克服する、若しくは実質的に改善する、過酸化水素、1種以上の炭化水素、及び合成ガスを産生するための装置、システム、及び方法を提供しようとする、又は、少なくとも代替物を提供しようとする。
【0008】
何らかの先行技術情報が本明細書で参照される場合、そのような参照は、当該情報が、オーストラリア、又は任意の他の国において、当該技術分野における共通の一般知識の一部を形成するという承認を構成するものではないことと理解されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に従うと、プラズマバブル反応器が提供され、反応器は、
- 液体を保持するように構成される容器と、
- 二酸化炭素(CO)ガスを含む入力フィードを受け、COガスからプラズマを生成し、液体中で形成された複数の気泡に封入された、活性化COガスを産生するように構成される、容器と連携した、プラズマ生成手段と、を備え、
- 活性化COガスは、気泡と周囲の液体との間で形成されるプラズマ液体界面において、水(HO)と反応し、過酸化水素(H)、1種以上の炭化水素、及び合成ガスを産生する。
【0010】
一実施形態では、プラズマ生成手段は2つの電極を備え、2つの電極のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に液体に浸漬された高電圧(HV)電極であり、電極にまたがり電位差が適用される際に、気泡に封入されたCOガスを活性化するために、液体を通して放電を生成するように構成される。
【0011】
一実施形態では、2つの電極はそれぞれ、少なくとも部分的に液体に浸漬されている。
【0012】
一実施形態では、2つの電極はそれぞれ、少なくとも部分的に液体に浸漬されたHV電極である。
【0013】
一実施形態では、2つの電極のうちの他方は、容器の外壁に電気的に接続された接地電極である。
【0014】
好ましくは、HV電極は、HV電極の長さに沿って部分的に延びるガス通路を画定する管の中に部分的に囲まれており、ここで、管は、入力フィードと流体連通しており、その下部は1つ以上の出口を有して、気泡に封入された活性化COガスが、そこから容器内の液体に出ることを可能にするように構成される。
【0015】
好適には、2つの電極は、DC又はAC電源と電気的に接続されている。
【0016】
一実施形態では、反応器は、管に対して、HV電極の垂直位置を調整して、ガス通路内により長いプラズマストリーマを生成するための手段を更に備える。
【0017】
好ましくは、HV電極の垂直位置は、管に対して、約0mm~約60mmの範囲内で調整可能である。
【0018】
一実施形態では、HV電極の管は、活性化COガスとHOとの間の反応を触媒するための、触媒活性物質を備える。
【0019】
一形態では、触媒活性物質は、複数の酸化アルミニウムビーズを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、1種以上の炭化水素は、ギ酸、酢酸、及びシュウ酸からなる群から選択される。
【0021】
好ましい実施形態では、炭化水素(複数可)はシュウ酸である。
【0022】
本発明の第2の態様に従うと、反応器システムが提供され、反応器システムは、
2つ以上のプラズマバブル反応器であって、各プラズマバブル反応器は、
- 液体を保持するように構成される容器であって、各容器は、複数のポートを備える、容器と、
- 二酸化炭素(CO)ガスを含む入力フィードを受け、COからプラズマを生成し、液体中で形成された複数の気泡に封入された、活性化COガスを産生するように構成される、容器と連携した、プラズマ生成手段であって、活性化COガスは、気泡と周囲の液体との間で形成されるプラズマ液体界面において、水(HO)と反応し、過酸化水素(H)、1種以上の炭化水素、及び合成ガスを産生する、プラズマ生成手段と、
- 複数の流体管であって、各流体管は、隣接するプラズマバブル反応器を、対応するポートを介して操作可能に連結し、COガス、H、1種以上の炭化水素、合成ガス、及び/又はHOのうちの1つ以上を、隣接するプラズマバブル反応器間で流体連通可能にする、流体管と、
を備える、プラズマバブル反応器を備える。
【0023】
一実施形態では、プラズマ生成手段は2つの電極を備え、2つの電極のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に液体に浸漬された高電圧(HV)電極であり、電極にまたがり電位差が適用される際に、気泡に封入されたCOガスを活性化するための液体を通して、放電を生成するように構成される。
【0024】
一実施形態では、2つの電極のうちの他方は、容器の外壁に電気的に接続された接地電極である。
【0025】
好ましくは、反応器システムは、水を、給水源から、2つ以上のプラズマバブル反応器のうちの1つにおける容器に、流体連通させるためのポンプを更に備える。
【0026】
好ましくは、反応器システムは、COガスの、入力フィードから、2つ以上のプラズマバブル反応器のうちの1つにおける容器への流れを向上させるためのコンプレッサーを更に備える。
【0027】
好ましくは、反応器システムは、コンプレッサーと、一つのプラズマバブル反応器における容器との間に直列に配置される、COガスの流量を監視するための流量計を更に備える。
【0028】
好ましくは、反応器システムは、2つ以上のプラズマバブル反応器のうちの1つにおける容器からのHを受けるための液体レシーバーを更に備える。
【0029】
いくつかの実施形態では、1種以上の炭化水素は、ギ酸、酢酸、及びシュウ酸からなる群から選択される。
【0030】
好ましい実施形態では、炭化水素(複数可)はシュウ酸である。
【0031】
本発明の第3の態様に従うと、過酸化水素(H)、1種以上の炭化水素、及び合成ガスを産生するための方法が提供され、方法は、
- 二酸化炭素(CO)ガスを含む入力フィードからプラズマを生成し、液体中で形成された複数の気泡に封入された活性化COガスを産生するステップと、
- 活性化COガスを、気泡と周囲の液体との間で形成されるプラズマ液体界面において、水(HO)と反応させ、過酸化水素(H)、1種以上の炭化水素、及び合成ガスと、を産生するステップと、を含む。
【0032】
一実施形態では、プラズマは、2つの電極にわたって電位差を適用することにより生成され、2つの電極のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に液体に浸漬された高電圧(HV)電極であり、気泡に封入されたCOガスを活性化するために、液体を通して放電を生成するように構成される。
【0033】
一実施形態では、放電はパルス放電である。
【0034】
好ましくは、電位差は、約5kV~約100kVの範囲である。
【0035】
好ましくは、液体は水性媒体である。
【0036】
好ましくは、水性媒体は電解質を含む。
【0037】
好ましくは、反応は、実質的に大気圧及び室温下の容器で行われる。
【0038】
一実施形態では、入力フィードは、COガスと、第2のガスとの混合物を含む。
【0039】
好ましくは、第2のガスは、一酸化炭素(CO)、水蒸気/蒸気(HO)、メタン(CH)、水素(H)、窒素(N)、及びこれらのいずれかの混合物からなる群から選択される。
【0040】
一実施形態では、HV電極は、HV電極の長さに沿って部分的に延びるガス通路を画定する管の中に部分的に囲まれており、方法は、
- 管の垂直位置に対して、HV電極の垂直位置を調整して、ガス通路内により長いプラズマストリーマを生成するステップ
を含む。
【0041】
好ましくは、HV電極の垂直位置は、管の垂直位置に対して、約0mm~約60mmの範囲内で調整可能である。
【0042】
一実施形態では、方法は、
- 活性化COガスとHOとの間の反応を触媒するステップ
を更に含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、1種以上の炭化水素は、ギ酸、酢酸、及びシュウ酸からなる群から選択される。
【0044】
好ましい実施形態では、炭化水素(複数可)はシュウ酸である。
【0045】
本発明の他の態様もまた、開示される。
【0046】
本発明の範囲内となり得る任意の他の形態にかかわらず、本発明の好ましい実施形態を、添付図面を、単に例として参照することで、ここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の好ましい実施形態に従った、水(HO)との後続反応のために、プラズマを使用して二酸化炭素(CO)を活性化して、過酸化水素(H)、シュウ酸(C)、並びに合成ガス(CO、H、及びO)を産生するように構成される、プラズマバブル反応器の略図を示す。
図2】(a)反応器、(b)調整可能な高電圧(HV)電極高さ(h)を有する反応器、(c)触媒で修飾されたHV電極を装着した反応器、及び、(d)2つのHV電極を装着した反応器を含む、図1のプラズマバブル反応器の、4つの異なる構成の略図を示す。
図3】プラズマにより駆動されるプロセスが、COガスの入力フィードを用いる場合の、図2(a)、2(b)、及び2(c)のプラズマバブル反応器が関係する反応からの気相出力における、ガス比率を示すプロットを示す。
図4】Aは、COをグリーン燃料に電気還元するための水中マイクロバブルを生成するための、再生可能エネルギーにより駆動されるプラズママイクロバブル反応器を示す。Bは、プラズマ放電後の、時間(分)に対する溶液のH濃度(mg L-1)のプロットを示す。Cは、COの還元流量(sccm)に対するシュウ酸の産生速度(mg L-1)対のプロットを示す。Dは、COの還元流量(sccm)に対するHの産生速度(mg h-1)のプロットを示す。
図5図4Aのプラズママイクロバブル反応器の、電気特性(5.8kV、1500Hz、35.5W、10sccmのCO)を示す。
図6】Aは、ギ酸及び酢酸濃度の産生速度(mg h-1)に対する、異なる初期pH値でのCOプラズマ放電における、pHの効果を示し(NMRにより定量、ここで、Bは、対照群のNMRスペクトルを示す)、Cは、シュウ酸濃度の産生速度(mg h-1)に対する効果を示し(オキサレ-トアッセイにより定量)、Dは、H濃度の産生速度(mg h-1)に対する効果を示す(硫酸チタン(IV)法により測定)。
図7】410nmにおける硫酸チタン(IV)法による、H濃度(mg L-1)のUV-Vis標準曲線を示す。
図8図4Aのプラズママイクロバブル反応器を用い、図5に概略を示すのと同じ電気特性(5.8kV、1500Hz、35.5W、10sccmのCO)で作動する、シュウ酸産生の依存性を示す、時間(分)に対するシュウ酸濃度(ppm)のプロットを示す。
図9】Aは、プラズマにより駆動されるプロセスが、COガスの入力フィードを用いる場合の、図4Aのプラズマバブル反応器が関係する反応からの気相出力における、ガス比率(%)を示すプロットを示す。Bは、CO流量(sccm)が増加する、及び、COエネルギー効率(g kWh-1)(円)が増加すると共に、CO転換率(%)(菱形)が低下することを示すプロットを示す。
図10】複数の流体管を介して互いに操作可能に連結し、COガス、H、1種以上の炭化水素、合成ガス、及び/又はHOのうちの1つ以上を、これらの間で流体連通可能にする、3つのプラズマバブル反応器を備える、本発明の別の好ましい実施形態に従ったプラズマバブル反応器システムの略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下の説明では、異なる実施形態における同様の、又は同一の参照番号は、同一又は同様の特徴を表すことに留意されたい。
【0049】
本発明は、二酸化炭素(CO)ガスを、過酸化水素(H)及び合成ガス(それぞれ、乾燥再形成及びアントラキノンプロセスと、より一般的に関連する生成物)という、重要かつ産業上有用な生成物、並びに、ギ酸(CH)、酢酸(CHCOOH)、及びシュウ酸(C)を含むがこれらに限定されない、1種以上の炭化水素に転換するためのプロセスの発見に基づく。
【0050】
ここで、本発明者らは、非熱プラズマ(NTP)の使用を用いることで、非常に安定したCOのO=C=O結合と関連する活性化エネルギーギャップを克服して、水(HO)分子と反応させるために使用可能な活性種を生成することができることを発見した。ここで、HOをグリーンな還元剤及び酸素レシーバーとして用い、Hを生成物として産生する。
【0051】
本プロセスにおける2つの重要なステップは主に、プラズマの予活性化、及び、HOとプラズマ活性化COガスとの相互作用を含む。エネルギー準位が異なる様々な種(電子、イオン、ラジカル、分子断片を含む)が、プラズマイオン化ガス中に存在する。
【0052】
高バルクガス温度(典型的には、5×10Kよりも高い)を有する熱プラズマ(平衡プラズマ)とは異なり、NTPはより周囲温度条件で作用するが、これは、生成物の優れた選択性、及び、高エネルギー効率を有しながら、安定した分子を活性化させ、エネルギーギャップにわたり反応をドライブするのに十分なエネルギーを与える。
【0053】
それ故、本プロセスは、COの還元に典型的には、貴重な水素又はメタンガスを用い、必然的により多くのエネルギーを消費する、従来の産業プロセスとは著しい対照をなす。
【0054】
図1は、本発明の好ましい実施形態に従った、水(HO)を含む液体媒質に浸漬された高電圧(HV)電極により生成された非熱プラズマ(NTP)を用い、二酸化炭素(CO)を活性化するように構成され、プラズマ活性化COはHOと反応して、H、シュウ酸(C)及び合成ガス(CO、H、O)を産生する、簡略化したプラズマバブル反応器5の略図を示す。
【0055】
いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、基底状態の二酸化炭素分子(CO)を、プラズマと関連する電界を強力に変化させながら活性化することで、励起状態の分子(CO 、CO)を形成し、原子状酸素原子(O)を放出することができると、本発明者らは考えている。これらの反応種を、液体媒質中で水分子と更に反応させ、H、CO、O、H、並びに、ギ酸(CH)、酢酸(CHCOOH)、及びシュウ酸(C)を含むがこれらに限定されない、1種以上の炭化水素を形成することができる。
【0056】
反応器のデザイン、及びプラズマの状態を制御し、触媒とカップリングすることで、3つの貴重な化学物質/燃料:液相にH及び上記炭化水素(複数可)、並びに、気相に合成ガス(H+CO+O)として、化学的出力を有することができる。
【0057】
この後に、図1のプラズマバブル反応器5、H、上記炭化水素(複数可)、及び合成ガスを連続産生するために構成される反応器システム400、並びに、これらの産生方法の、4つの異なる構成の詳細の説明が続く。
【0058】
プラズマバブル反応器
図2は、(a)単一の反応器10、(b)調整可能な高電圧(HV)電極高さ(h)を有する単一の反応器110、(c)触媒で修飾されたHV電極を装着した単一の反応器210、並びに、(d)HV電極及び低電圧(LV)電極を装着した2つの反応器310を含む、図1のプラズマバブル反応器5の、4つの異なる構成の略図を示す。
【0059】
以下の説明は、4つの異なる構成のそれぞれの、構造上の詳細を概略する。
【0060】
図2(a)に表す最も簡単な構成では、プラズマバブル反応器10は、基底部15aと、基底部15bから直立し、液体媒質25を保持するように構成されるキャビティ20を画定する壁15bと、容器15の上部にある開口部15cと、を備える、容器15を備える。
【0061】
プラズマバブル反応器10は、開口部15cを通り、液体媒質25に部分的に浸漬された、容器15のキャビティ20内に位置する、2つの電極30、40の形態の、プラズマ生成手段を更に備える。
【0062】
2つの電極30、40は、AC電源50と電気的に接続されている。しかしながら代替的実施形態では、2つの電極30、40がDC電源(図示せず)に電気的に接続され得ることが、当業者には明らかであろう。
【0063】
第1の電極30は高電圧(HV)電極(又はカソード)であり、第2の電極40は対極(又はアノード)である。
【0064】
HV電極30は、HV電極30の長さに沿って部分的に延びるガス通路を画定する石英管35に、部分的に囲まれている。管35は、その上部に、COガス供給部(図示せず)からの二酸化炭素(CO)ガスを含む入力フィードを受けるように構成される、ガス入口(図示せず)と、その下部に、1つ以上のガス出口35a、35bと、を備え、ここで、HV電極30の下部は、液体媒質25の中に完全に浸漬されている。
【0065】
代替の構成
図2(b)、(c)、(d)の、3つの他のプラズマバブル反応器の構成110、210、310の構成要素を、図2(a)におけるものと同様の方法で標識し、ここで、「1」、「2」、又は「3」の接頭辞は、各構成要素の参照数字の前に使用し、構成要素が、それぞれ、図2(b)、(c)、(d)の対応するプラズマバブル反応器10、10、10に関係することを表す。
【0066】
図2(b)においては、プラズマバブル反応器110は、HV電極130の、それが部分的に囲まれている管135に対する垂直位置「h」を調整するための手段(図示せず)を更に備える。一実施形態では、管135に対するHV電極130の高さを、約0mm~約60mmの範囲内で調整することができる。本構成により、管135のガス通路内で、プラズマストリーマの長さを増加又は減少させ、これにより、ガスイオン化/励起の程度を増加又は低下させる手段をもたらすことが可能となる。
【0067】
図2(c)では、HV電極230の管235は、活性化COガスとHOとの間の反応を触媒するための、触媒活性物質を更に備える。
【0068】
一実施形態では、触媒活性物質は、管235内で支持される、複数の粒子、ビーズ、ペレット、又はフレークの形態をとる。この構成において、粒子、ビーズ、ペレット、又はフレークは支持触媒として作用し、典型的には、ポリマー、セラミック、ガラス、又は金属酸化物から製造される。
【0069】
特に好ましい一実施形態では、触媒活性物質は、複数のAlビーズを含む。
【0070】
図2(d)では、容器315内の液体媒質25に部分的に浸漬される2つの電極は、第1の反応器に電気を送るHV電極330と、第2の反応器に電気を送る低電圧(LV)電極340と、で構成される。低電圧電極340により駆動される第2の反応器を用いることで、H及び合成ガス生成速度が増加し、かつ、エネルギー効率が改善されると、本発明者らは考える。
【0071】
方法
一般ガイドとして図2(a)の単一反応器を用いる、過酸化水素(H)、1種以上の炭化水素、及び合成ガスの産生方法をここで記載する。
【0072】
方法の第1のステップに従い、電位差を2つの電極30、40にまたがり適用し、HV電極30に、管35内で放電を生成させる。放電により、入力フィードを通して管35に供給されているCOガスからプラズマが生成され、活性化COガスが産生される。活性化COガスは、ガス出口35a、35bを通って管35から出て、液体媒質25中で複数の気泡を形成し、液体媒質25は、本実施形態の目的のためには、電解質を含む水性液体媒質である。
【0073】
一実施形態では、放電は、約50Hz~約10MHzの範囲に収まる周波数で繰り返し適用されるパルス放電である。このような条件下では、2つの電極30、40にわたり適用される電位差は、典型的には、約1kV~約100kVの範囲である。
【0074】
方法の第2のステップに従うと、気泡に封入された活性化COガスは、CO 、CO、及び酸素原子(O)からなる群から選択される、複数の励起分子を産生する。これらの励起分子を、続いて、気泡と、周囲の液体媒質25との間に形成されるプラズマ-液体界面において、水性液体媒質25中で水(HO)と反応させ、少なくとも過酸化水素(H)、並びにギ酸(CH)、酢酸(CHCOOH)、及びシュウ酸(C)を含むがこれらに限定されない1種以上の炭化水素とを含む液相と、合成ガスを含む気相とを産生する。
【0075】
一実施形態では、反応は、実質的に大気圧及び室温下で行われるが、これらのパラメーターの一方又は両方を変化させることを、COガスが、H、上記1種以上の炭化水素、及び合成ガスに転換する速度を増加又は減少させる手段として用いることができることが、当業者により理解されよう。
【0076】
結果
プラズマ入力電圧(振幅及びパルス幅)、周波数(放電及び共鳴)、COガスの入力フィードでのガス流量、並びに/又は、HOの液体流量のうちの1つ以上を変化させることにより、COガスが、H、上記1種以上の炭化水素、及び合成ガスに転換する速度を変化させることが可能となることを、本発明者らは発見した。
【0077】
例えば、本発明者らは、入力電圧が、プラズマ種の比率を変化させ、差異化された反応選択性及び電力効率をもたらすことを発見した。一方周波数は、電力効率を変化させずに、総電力入力及びプラズマ密度は変化させる。
【0078】
いかなるいずれの特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、プラズマ-液体界面における反応は、2つの主要経路に寄与する可能性があると、本発明者らは考えている。一つの経路は、電子衝撃による水のスパッタリング及び分裂、続いて、電子衝撃により産生される2つのOHラジカルの組み合わせを伴い、これは、比較的小さな画分のH形成に寄与する。Hの大部分はHO分子と、COガスから産生された原子状酸素との反応に由来する。第2の経路は、電子衝撃により生成される2つのHラジカルの組み合わせによる、液体水性媒体中での少量のHの産生に寄与する。
【0079】
図3は、プラズマにより駆動されるプロセスが、COガスの入力フィードを用いる場合の、図2(a)、2(b)、及び2(c)のプラズマバブル反応器10、110、210からの気相出力流における、ガス比率を示すプロットを示す。
【0080】
COガスの流量
例えば、図2(a)に示す、入力フィードから、プラズマバブル反応器10の容器15へのCOガスの流量が、200sccmから5sccmに減少した場合、出力流に存在するCOガスの総体積が、91%から53%まで減少していることにより示されるように、より多くの割合の入力フィードCOガスが、プラズマ活性化(及び、その後の、HOとの反応)を受けることを、図3(A)の対応する結果は示す。
【0081】
図3(A)の結果は、出力流での、COガスの体積の3倍の増加、加えて、H及びOの両方の体積の、著しい増加もまた示す。
【0082】
観察される結果に基づくと、入力COガスの流量を減少させることにより、産生可能な個別の合成ガス構成成分の体積を増加させることが可能となることが明らかである。
【0083】
ギャップサイズ(「h」)
図2(b)に示すプラズマバブル反応器110の場合、HV電極130が、固定流量のCOガス(5sccm)で5mm~20mmまで、管135内で上昇するときに、プラズマ活性化(及び、その後の、HOとの反応)を受ける入力フィードCOガスの割合は、ギャップのサイズ(「h」)に関係なく、ほぼ同じままであることを、図3(B)の対応する結果は示す。しかし、ギャップサイズ(「h」)が5mmから20mmまで増加すると、産生されるCOの体積は、およそ1.5倍増加する。対照的に、出力流でのHガスの体積は、ギャップサイズ(「h」)の同じ変化に対して、17%から4%までの著しい減少を示す一方で、Oの体積は、17%から11%までの、わずかな減少しか示さない。
【0084】
ギャップサイズ(「h」)が、過酸化水素(H)の産生にどのような影響を及ぼすかを測定する、対応する試験では、COガスの流れを、同じ5sccmの流量で維持して、ギャップのサイズ(「h」)を0mmから30mmまで増加させる場合、産生されるHの体積は減少することが明らかとなる(表1を参照されたい)。
【表1】
【0085】
観察される結果に基づくと、ギャップサイズ(「h」)を変化させることで、H、シュウ酸(C)、及び、産生可能な個別の合成ガス構成成分の体積を選択的に制御することが可能となることが明らかである。
【0086】
触媒
図2(c)に示すプラズマバブル反応器210の場合、HV電極230の管235が、メッシュプレート及びグラスウールにより、管235内で支持されている複数のAlビーズ(「x」と標識)により修飾されている場合、COガスの流量及びギャップサイズ(「h」)が、それぞれ5sccm及び20mmで維持される場合に、COの体積の3%増加、及び、Hの体積の7%の増加と共に、(ビーズなしのみでのプラズマ活性化を伴う対照実験と比較した際に)出力流に存在するCOガスの体積の、約7%の顕著な減少があることを、図3(C)の対応する結果は示す。
【実施例
【0087】
図4Aに示すように、二酸化炭素を電気還元してグリーン燃料にするための、水中マイクロバブルを生成するための、再生可能エネルギーにより駆動されるプラズママイクロバブル反応器が開発されている。カラムに分布しているマイクロサイズの穴は、マイクロプラズマ生成用の溝として機能するだけでなく、反応性プラズマ種を移動させる小型マイクロバブルもまた生成する。
【0088】
プラズママイクロバブル反応器の電気特性(5.8kV、1500Hz、35.5W、10sccmのCO)を、図5に示す。
【0089】
COは、1~1000sccmの範囲の異なる流量のフィードガスとして用いられる。
【0090】
COをプラズマカラムに通して供給し、放電が生成されたら、プラズマが生成した種は気泡により送達された後、水性媒体に移動される、及び/又は、水性媒体中の水分子と反応する。これらの気泡は、大きな気体-液体界面を有する固有のマイクロ反応器として機能すると予想され、これにより、プラズマ-液体界面でのCO転換が促進される。
【0091】
COプラズマ-水系で生成されたH水溶液を、NaNを添加しながら、硫酸チタン(IV)を用いて定量分析した。
【0092】
図4Bは、プラズマ放電に対する、溶液中でのHの時間依存性濃度を示す。この図に示すように、H濃度は、プラズマバブルカラムを駆動させるためのより高い電位振幅と共に線形に向上し、200Vでのプラズマ処理の30分後のH濃度は、190.8mgL-1であった。
【0093】
COプラズマ-水系の更なる最適化には、COの流量及び溶液pHを変化させることが伴った(図4C、及び図4D)。
【0094】
例えば、図4Dに示すように、Hの産生量(mg h-1)は最初、COの流量(sccm)が低下すると共に増加し、その後ガス流が更に減少するときに減少した。COプラズマ放電の放電電力は、ガス流がどれだけ多く変化しても、ほぼ不変のままであることに留意すべきである。
【0095】
図4Dに示すように、シュウ酸の産生量(mg h-1)は、Hで観察されたもの(図4Cを参照されたい)の、実質的に2倍であった。
【0096】
の最大産生量は、10sccmの流量で達成され、約3.6g kWh-1の、比較的高いエネルギー効率であった。
【0097】
COプラズマ-水系で生成された液体炭化水素燃料を、低温NMR分光法、及び、比色分析アッセイと連結したUV-vis分光法を用いて定量する。
【0098】
COプラズマ放電後の処理済溶液のNMRスペクトルは、図6Aに示すように、ギ酸(CH)及び酢酸(CHCOOH)の存在をはっきりと示す。
【0099】
別のC炭化水素種(シュウ酸)を、酵素化学アッセイを用いて定量し、CO流量(sccm)の関数としての、その産生量(mg h-1)及びHとのエネルギー効率の、同様の傾向を図4Dに示す。数百ppmオーダーのシュウ酸含有量と比較して、COプラズマ-水系で産生されたギ酸及び酢酸の収率は、わずか数ppmで、極めて低いことに留意すべきである。
【0100】
いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、このような液体炭化水素燃料を産生するための、可能性のある一反応経路は、誘電体バリア放電(DBD)セクションで生成し、その後、プラズマ-液体界面で、HOから分離したHラジカルと反応する、振動励起CO 種の組み合わせにより生じると、本発明者らは考えている。
【0101】
上述のとおり、COプラズマ-水系でガス流として産生される合成ガスは主に、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、及び水素(H)を含み、例えば、水素(H)、アンモニア(NH)、メタノール(CHOH)、及び他の合成炭化水素燃料を産生するための中間体源として広範に用いることができる。
【0102】
図9は、出力気相での生成物の比率が、ガス流量によりどのように調節できるかを示す。COガスの転換は、総ガス流量(sccm)の増加に伴い下向き傾向をはっきりと示し、COの最大転換は、5sccmのガス流量にて得られた。これは、放電エリアでのガス状分子の長い滞留時間が、エネルギー性電子とCO分子との力強い衝突に寄与し、COの転換に有利となるという事実に起因し得る。これはまた、他のDBD放電における、COの分離及びCOの水素化における結果と一致する。
【0103】
材料及び方法
【0104】
プラズマのパラメーター及び特性決定
【0105】
デジタルオシロスコープ(RIGOL DS6104)を用いて、高電圧プローブ(Tektronics P6015A)及び電流プローブ(Pearson 4100)をそれぞれ用い、印加電圧及び電流を記録した。放電電力を、以前に報告された研究に基づき計算した。
【0106】
の定量
【0107】
濃度を、硫酸チタン法を用いて測定した。チタン(IV)イオンTi4+が過酸化水素と反応すると、410nmにおけるUV-可視吸光の、黄色の錯体が形成される(Ti4+ + H + 2HO → HTiO + 4H)。Shimadzu(Japan)のUV-2600i UV-可視光分析装置を、比色分析に用いた。
【0108】
ガスクロマトグラフィー(GC)定量
C18及び5Åカラムを用いるFID、TCD、及びECD検出器を装着したShimadzu(Australia)のNexis GC-2030により、ガス状生成物化合物を定量した。水素(H)及び酸素(O)を、TCD検出器により定量した。一酸化炭素(CO)及び二酸化炭素(CO)を、メタナイザーを備えたFID検出器により定量した。CO(7%)、CO(15%)、O(4%)、及びCH(4.5%)のガス組成の、標準ガス(Supelco(登録商標)501743)を、Sigma-Aldrich(Australia)から購入した。
【0109】
シュウ酸の定量
Sigma-Aldrich(Australia)製のオキサレ-トアッセイキット(MAK315)を用いて、COプラズマ放電により生成したシュウ酸を定量した。アッセイキットの使用は、製品情報に従った。
【0110】
計算は、以下の式に基づき行った。
【数1】
式中、Dは希釈率を表し、ODは、595nmの波長でUV-可視分光法によって収集した光学密度値を表す。
【0111】
NMRの定量
低温トリプル核プローブヘッドを装着した、Bruker(Germany)のAVIII 600MHz NMR分光計を用いて、核磁気共鳴(NMR)分光法により、ギ酸及び酢酸を定量した。
【0112】
O及びジメチルスルホキシド(DMSO、内部標準)溶液と混合し、最終10%のDO、及び10ppmのDMSO濃度とすることで、NMRサンプル全てを調製した。
【0113】
600MHzでの1D-1 H-NMRスペクトルを、zgesgppeパルス系列を用いて水のシグナルを抑制し、記録した。14ppmのスペクトル幅、67kの時間ドメインデータサイズ、8回のダミースキャン、及び32回のスキャンを用いて、298Kにて取得を維持した。
【0114】
化学物質
硫酸(HSO、ACS試薬、95.0%~98.0%)、塩化チタン(IV)(TiCl、ReagentPlus(登録商標)、99.9%微量金属ベース)、過酸化水素溶液(HO中に30% w/w、安定剤を含有)、同位体二酸化炭素(C18、95%原子18O)、重水(DO、99.9atom%のD)、ジメチルスルホキシド(DMSO、ACS試薬、≧99.9%)、アジ化ナトリウム(NaN、99.0%以上)、オキサレ-トアッセイキット(MAK315)を、更に精製することなく、Sigma-Aldrich(Australia)から購入した。二酸化炭素(CO、高純度グレード、99.99%)ガスシリンダーを、BOC Gas(Australia)から購入した。
【0115】
反応器システム
2つ以上のプラズマバブル反応器を互いに操作可能に連結することで、二酸化炭素(CO)及び水(HO)の連続フィードがシステムに供給されるときに、過酸化水素(H);ギ酸(CH)、酢酸(CHCOOH)、及びシュウ酸(C)を含むがこれらに限定されない1種以上の炭化水素;並びに合成ガスの連続産生を可能にする反応器システムを実現することが可能となることを、本発明者らは発見した。
【0116】
例えば、図10は、一連の流体管を介して互いに操作可能に連結され、COガス、H、上記1種以上の炭化水素、合成ガス、及び/又はHOのうちの1つ以上を、これらの間で流体連通可能にする、3つのプラズマバブル反応器410、510、610を備える反応器システム400の略図を示す。
【0117】
図10に示すように、3つのプラズマバブル反応器410、510、610は、図2に示すものとは僅かに異なる。例えば、第1のプラズマバブル反応器410を参照すると、プラズマ生成手段は、容器415内の液体に部分的に浸漬される単一のHV電極430と、容器415の外壁に電気的に接続された接地電極440と、を備える。
【0118】
プラズマバブル反応器410、510、610間での操作可能な連結を容易にするために、対応する容器415、515、615はそれぞれ、COガス、H、合成ガス、及び/又はHOの、一つの容器から次の容器への流体連通を可能にする、対応する流体管に接続されることができる、複数のポートを備える。
【0119】
3つのプラズマバブル反応器410、510、610に加えて、反応器システム400は、水(HO)を、給水源(図示せず)から、最も近い(第3の)プラズマバブル反応器610の容器615まで流体連通するためのポンプ800と、COガスの入力フィード(図示せず)と、最も近い(第1の)プラズマバブル反応器410の容器415との間に直列に配置され、それぞれ、COガスの、入力フィードから容器415への流れを向上させ、及び、流量を監視する、コンプレッサー700及び流量計710と、最後に、3つのプラズマバブル反応器410、510、610全てにより産生されるHを受けるための液体レシーバー900と、を備える。
【0120】
使用の際、給水源からのHOは、導管760に沿って、第3のプラズマバブル反応器610の容器615のポート615fまで、ポンプ800により加えられる圧力によって補助されながら、流体連通される。容器615が満たされると、HOの水位は、ポート615eのレベルに達するまで上昇する。この時点で、ポンプ800により加えられる圧力は、HOの流れを、導管770に沿って、中央の(第2の)プラズマバブル反応器510の容器515のポート515fまで駆動する。同様に、HOの水位が、この容器515のポート515eのレベルまで達したら、HOは次に、導管780に沿って、第1のプラズマバブル反応器410の血容器415のポート415fに流体連通される。
【0121】
3つの容器415、515、615のそれぞれが、十分な体積のHOを含むと、COガスの流れは次に、導管720に沿って、入力フィードから、第1のプラズマバブル反応器410の容器415中のHOに部分的に浸漬されるHV電極430の管435まで直接、流体連通する。
【0122】
次に、電位差が、第1のプラズマバブル反応器410の2つの電極430、440にまたがり適用され、管435内のCOガスからプラズマを生成する。結果として産生された活性化COガスは次に、出口435a、435bを通って、管435から、活性化COガスを封入する複数の気泡の形態で、容器415内の液体媒質に出る。
【0123】
気泡に封入された活性化COガスと関連する、励起分子(CO 、CO、O)は次に、気泡と、周囲の水(HO)との間で形成されるプラズマ-液体界面にて、容器415中のHOと反応し、少なくとも過酸化水素(H)及び上記炭化水素のうちの1種以上を含む液相と、合成ガスを含む気相とを産生する。
【0124】
産生したHは、ポンプ800により加えられる圧力により駆動し、容器415のポート415eを出て、ここでその後、導管790に沿って、液体レシーバー900と流体連通する。同時に、合成ガス、及び、反応で残ったあらゆる非活性化COガスは、コンプレッサー700により支えられる入力フィードから、容器415の出口ポート415dへのCOガスの流れにより駆動され、導管730に沿って、第2のプラズマバブル反応器510の容器515中のHOに部分的に浸漬されるHV電極530の管535のポート535cに流体連通する。
【0125】
次に、電位差が、第2のプラズマバブル反応器510の2つの電極530、540にまたがり適用され、管535内の非活性化COガスからプラズマを生成する。結果として産生された活性化COガスは次に、複数の気泡に封入されて管535の出口535a、535bを出て、気泡と、HOとの間で形成されるプラズマ-液体界面にて、容器515内のHOと反応し、より多くのH、及び、より多くの合成ガスを産生する。
【0126】
容器515中の任意のHOと組み合わさったHは、次に、ポンプ800により加えられた圧力により駆動し、ポート515eを出て、導管780に沿って、第1のプラズマバブル反応器410の容器415と流体連通し、この場所でその後、容器415中の任意のHOと共に、第1のプラズマバブル反応器410により産生される任意のHと組み合わさり、続いて、導管790に沿って、液体レシーバー900と流体連通する。合成ガス、及び、反応で残ったあらゆる非活性化COガスは、入力フィードから出口ポート515dへのCOガスの流れにより駆動され、導管740に沿って、第3のプラズマバブル反応器610の容器615中のHOに部分的に浸漬されるHV電極630の管635のポート635cに流体連通する。
【0127】
ここで、非活性化COガスは、電位差が、2つの電極630、640に適用されたときに管635で生成されたプラズマにより活性化される。結果として産生された活性化COガスは、次に、以前の反応でのあらゆる合成ガスと共に、気泡の形態で、管635の出口635a、635bを出る。気泡に封入される活性化COガスと関連する、励起分子(CO 、CO、O)は次に、気泡と、周囲のHOとの間で形成されるプラズマ-液体界面にて、管615中の水(HO)と反応し、より多くのH、及びより多くの合成ガスを産生する。
【0128】
容器615で産生された合成ガスは、容器615にまた存在する、第1及び第2のプラズマバブル反応器410、510により産生された任意の合成ガスと共に、コンプレッサー700により加えられる正圧により出口ポート615dまで駆動され、その後、ここで導管750に沿って、ガス収集容器(図示せず)と流体連通する。
【0129】
容器615中の任意のHOと組み合わさったHは、ポンプ800により加えられる圧力により、出口ポート615eまで駆動され、導管770に沿って、第2のプラズマバブル反応器510の容器515のポート515fと流体連通される一方で、これは、次いで、第2のプラズマバブル反応器510により産生される任意のHと共に、導管780に沿って、第1のプラズマバブル反応器410の容器415のポート415fと流体連通し、その後最終的に、第1のプラズマバブル生成器410により産生された任意のHと共に、導管790に沿って、液体レシーバー900と、最終的に流体連通する。
【0130】
上記構成によって、本発明者らは、二酸化炭素(CO)及び水(HO)の入力フィードが、システム400に連続して供給されるときに、過酸化水素(H)及び合成ガスの連続産生を可能にする反応器システム400を特定した。
【0131】
利点:
本発明は、以下を含むが、これらに限定されない、いくつかの利点を提供する。
【0132】
産業的に重要な生成物(H及び合成ガス)を生成する、拡張性のある「グリーンな」技術を実現すること。
【0133】
二酸化炭素(CO)ガスを利用する、つまり、環境に存在する(CO)ガスの量を減らすのに役立つ可能性がある手段の実現。
【0134】
実施形態:
本明細書を通しての、「一実施形態」、又は「実施形態」への言及は、当該実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書にわたる様々な箇所における、「一実施形態では、」又は「実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが、同一実施形態を言及しているわけではないが、言及している場合がある。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、本開示の当業者には明らかとなるであろうように、1つ以上の実施形態において、任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0135】
同様に、本発明の実施形態の上記説明においては、本発明の様々な特徴が、場合によっては、本開示を合理化し、また、様々な本発明の態様の1つ以上の理解を助けるために、その単一の実施形態、図、又は記載においてまとめてグルーピングされることが理解されなければならない。しかし、本開示の本方法は、各特許請求の範囲に明示的に列挙されているもの以外の、より多くの特徴を、特許請求された発明が必要とする意図を反映しているものと解釈してはならない。むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されるように、本発明の態様は、前述の、開示した単独の実施形態における全ての特徴よりも少ない。したがって、発明を実施するための形態に続く特許請求の範囲はここで、発明を実施するための形態に明示的に組み込まれ、各特許請求の範囲は、それらが本発明の個別の実施形態として、それ自体で存在する。
【0136】
更に、本明細書に記載するいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの、ただし、他のものではない特徴を含むものの、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であることが意図され、当業者により理解されるであろうように、異なる実施形態を形成する。例えば、以下の特許請求の範囲において、特許請求された実施形態のいずれをも、任意の組み合わせで用いることができる。
【0137】
他の実施形態:
上述の本発明の好ましい実施形態は、純粋な二酸化炭素(CO)を入力フィードガスとして使用することに関するが、プラズマにより駆動されるプロセスは、第2のガスと組み合わせてCOガスを用いることもまたできることが、当業者により理解されよう。
【0138】
例えば、入力フィードは、CO/CO、CO/HO(気体)、CO/CH、及び、CO/Hの混合物を、入口ガスとして用いることを含み得る。
【0139】
異なる対象物の例
本明細書で使用する場合、別様に明記しない限り、共通の対象物を説明するための順序形容詞「第1」、「第2」、「第3」などの使用は、同様の対象物の異なる例が参照されていることを示すに過ぎず、このように記載された対象物が、時間的、空間的、順位、又は任意の他の様式のいずれかで所与の順序となる必要があることを暗示することを意図するものではない。
【0140】
具体的な詳細
【0141】
本明細書で提供する記載において、多数の具体的な詳細が説明される。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なくても実践され得ることが理解される。他の具体例では、周知の方法、構造、及び技術は、この説明の理解を曖昧にしないために、詳細に示されていない。
【0142】
用語
図に示される本発明の実施形態を説明するために、特定の用語を、明確性のために用いる。しかし、本発明は、そのように選択される具体的な用語に限定されることを意図するものではなく、それぞれの具体的な用語は、同様の技術目的を達成するために、同様の方法で作用する、あらゆる技術的等価物を含むことと理解されるべきである。「前に」、「後ろに」、「放射状に」、「周辺に」、「上向きに」、「下向きに」などの用語は、基準点を示すために便利な語として用いられ、用語を限定するものと解釈されてはならない。
【0143】
「備える」、及び「含む」
後に続く特許請求の範囲、及び、先行する本発明の説明においては、表現言語又は必要な示唆によって別様に文脈が必要とする場合を除いて、「備える(comprise)」という語、又は、「備える(comprises)」若しくは「備えること」などの変形は、包括的な意味で用いられる、即ち、本発明の様々な実施形態において、述べられた特徴の存在を明示しながら、更なる特徴の存在又は追加を除外するものではない。
【0144】
本明細書で使用する場合、「含むこと」、又は「含む(which includes)」、又は「含む(that includes)」の用語のいずれもまた、当該用語に続く要素/特徴を少なくとも含み、他のものを除外しないこともまた意味する、オープンな用語である。したがって、「含むこと」は、「備えること」と同義であり、「備えること」もまた意味する。
【0145】
発明の範囲
したがって、本発明の好ましい実施形態と考えられるものが説明されているが、他の、及び更なる修正を、本発明の精神から逸脱することなくこれらに加えることが可能であり、そのような変化及び修正は全て、本発明の範囲内に収まるものとして特許請求されることが意図されることを、当業者は認識するであろう。例えば、上記のいずれかの式は単に、使用可能な手順を表すものである。ブロック図に機能性を追加、又はそこから削除することができ、操作はブロック図の間で交換することができる。本発明の範囲内で、記載した方法にステップを追加、又は削除することができる。
【0146】
本発明は、具体例を参照して説明されているものの、本発明は、多くの他の形態で具現化可能であることが、当業者によって理解されるであろう。
【0147】
産業上の利用可能性
記載した構成を化学業界に適用可能であることが、上記から明らかである。
図1
図2
図3
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図5
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【国際調査報告】