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特表2024-534013多汗症を治療するための医薬組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】多汗症を治療するための医薬組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/216 20060101AFI20240910BHJP
   A61K 31/4178 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61K31/216
A61K31/4178
A61P17/00
A61P43/00 121
A61K9/48
A61K47/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508642
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 US2022039822
(87)【国際公開番号】W WO2023018709
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/260,154
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】524054462
【氏名又は名称】セラヴィダ,インコーポレイテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アンドリューズ,ステファン ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】バリック,サムエル ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ジェット,ジョン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】レミング,ロベルト ミカエル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC18
4C076DD28C
4C076EE31A
4C076EE32
4C076FF31
4C076FF33
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC38
4C086GA02
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA37
4C086NA06
4C086NA12
4C086ZA89
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB13
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA57
4C206NA12
4C206ZA89
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示の態様は、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む固定用量医薬組成物と、対象における多汗症を治療するための方法とを含む。いくつかの実施形態では、複数のビーズはサイズ3のカプセルにカプセル化されている。特定の実施形態に係る方法を実施する上で、遅延型即時放出プロファイルを達成するための様々な製剤が記載されており、ここではピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩は、対象への本医薬組成物の投与から10分で30%以下が放出され、45分で85%以上が放出され、かつオキシブチニンは投与後すぐに放出される。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシブチニン成分およびピロカルピン成分を含む固定用量医薬組成物であって、
前記オキシブチニン成分は複数の即時放出ビーズであり、各即時放出ビーズは、
約450μm~約700μmの直径を有する前記即時放出ビーズの不活性コアと、
前記即時放出ビーズの前記不活性コア上にコーティングされたオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩を含む前記即時放出ビーズの薬物層と
を含み、かつ
前記ピロカルピン成分は複数の遅延型即時放出ビーズであり、各遅延型即時放出ビーズは、
約250μm~約700μmの直径を有する前記遅延型即時放出ビーズの不活性コアと、
前記遅延型即時放出ビーズの前記不活性コア上にコーティングされたピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を含む前記遅延型即時放出ビーズの薬物層と、
前記遅延型即時放出ビーズの前記薬物層上にコーティングされた前記遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングと
を含み、
ここでは前記オキシブチニン成分は約2mg~約10mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩を含み、かつ
ここでは前記ピロカルピン成分は約2mg~約10mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を含む固定用量医薬組成物。
【請求項2】
前記複数の即時放出ビーズおよび前記複数の遅延型即時放出ビーズはサイズ3のカプセルにカプセル化されている、請求項1に記載の固定用量医薬組成物。
【請求項3】
前記即時放出ビーズのそれぞれは前記即時放出ビーズの前記薬物層上にコーティングされたシールコーティングをさらに含む、請求項1に記載の固定用量医薬組成物。
【請求項4】
前記即時放出ビーズの前記シールコーティングは前記即時放出ビーズの約0.5%~約5.0%重量/重量である、請求項3に記載の固定用量医薬組成物。
【請求項5】
前記即時放出ビーズの前記不活性コアは前記即時放出ビーズの約70%~約95%重量/重量の微結晶性セルロース球である、請求項1に記載の固定用量医薬組成物。
【請求項6】
前記即時放出ビーズの前記薬物層は結合剤および粘着防止剤をさらに含む、請求項1に記載の固定用量医薬組成物。
【請求項7】
前記オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩は前記即時放出ビーズの約2%~約15%重量/重量であり、前記結合剤は前記即時放出ビーズの約2%~約15%重量/重量であり、かつ前記粘着防止剤は前記即時放出ビーズの約1%~約10%重量/重量である、請求項6に記載の固定用量医薬組成物。
【請求項8】
複数の即時放出ビーズを含み、各ビーズは、
約450μm~約700μmの直径を有する前記即時放出ビーズの不活性コアと、
前記即時放出ビーズの前記不活性コア上にコーティングされたオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩を含む前記即時放出ビーズの薬物層と
を含み、
ここでは前記複数の即時放出ビーズは約2mg~約10mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の総量を含む医薬組成物。
【請求項9】
前記即時放出ビーズの前記薬物層はシールコートでさらにコーティングされている、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記即時放出ビーズの前記シールコートは前記即時放出ビーズの約0.5%~約5.0%重量/重量であり、かつ
前記即時放出ビーズの前記不活性コアは前記即時放出ビーズの70%~約95%重量/重量の微結晶性セルロース球を含む、
請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記即時放出ビーズの前記薬物層は結合剤および粘着防止剤をさらに含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
請求項1の固定用量医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、多汗症を治療する方法。
【請求項13】
前記多汗症は、原発性(局所)多汗症、続発性多汗症、腋窩多汗症、手掌多汗症、足底多汗症、頭蓋顔面多汗症、全身性多汗症および術後の代償性発汗からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
オキシブチニンによって引き起こされる1つ以上の副作用を減少させる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の副作用はドライマウスを含む、請求項14に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は35 U.S.C.§119(e)に従って、2021年8月11日に出願された米国仮特許出願第63/260,154号の出願日に対する優先権を主張する。この出願の開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
汗はヒトの生存にとって不可欠な生理機能であり、体の冷却剤として機能し、体が過熱するのを防ぐ。エクリン腺は、蒸発によって放熱を促進することにより体がその温度を制御するのを助ける無臭の透明な流体を分泌する。アポクリン腺は、腋窩の中および生殖器の近くで見られることが多いより濃い流体を生成する。エクリンおよびアポクリン汗腺はどちらも神経によって活性化される。
【0003】
多汗症は、体温調節のために必要とされる量を超過した異常な量の発汗を特徴とする障害である。多汗症は全身性であるか、あるいは手、足、腋窩および生殖器領域を含む体の特定の部分に局所的なものであり得る。2~3%の米国人が脇の下(腋窩多汗症)、手掌(手掌多汗症)または足底(足底多汗症)の過剰な発汗に悩まされていると推定されている。長期多汗症により冷たくべとべとした手、脱水ならびに皮膚感染が生じる可能性がある。しかし最も一般には、多汗症に悩まされている対象は心理的、感情的および社会的観点からかなりの生活の質の悩みを経験しており、多くの場合にその状態に適応するように自身のライフスタイルを変えるが、それにより職業、学業および社会生活が日常生活に支障を来すほどになる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様は、治療的有効量のオキシブチニンの即時放出製剤および治療的有効量のピロカルピンの遅延型即時放出製剤を含む様々な医薬組成物ならびに前記医薬組成物による対象における多汗症を治療するための方法を含む。いくつかの実施形態では、そのような医薬組成物は対象に投与し、対象における多汗症を抑え、かつオキシブチニンのドライマウス副作用を減らすのに十分である。
【0005】
ピロカルピンは発汗の増加を引き起こすことが知られている。例えばサラジェン(登録商標)(ピロカルピンHCl)製品の添付文書(著作権2003 MGI Pharma社)を参照されたい。従って、本主題の方法に従ったオキシブチニンおよびピロカルピンの両方を含む医薬組成物の投与が、多汗症を有効に治療すると共にドライマウス副作用を減らすことは予期せぬことであった。驚くべきことに、ピロカルピンが多汗症の治療におけるオキシブチニンの有効性を低下させたり、ピロカルピンの投与により一般に予期されるように対象における発汗の増加を引き起こしたりしないことが分かった。
【0006】
しかし、治療的有効量のオキシブチニンおよび治療的有効量のピロカルピンの両方を含む単一の医薬組成物を開発することは難しい。多汗症を有効に治療し、かつオキシブチニンの有害な副作用すなわちドライマウスを防ぐために、ピロカルピンはオキシブチニンの放出から約30分後に放出させる必要があることを発見した。従って、ピロカルピンを遅延型即時放出ビーズに製剤化した。単一のカプセルで治療的有効量のオキシブチニンおよび治療的有効量のピロカルピンの両方を投与するために、オキシブチニンを顆粒として遅延型即時放出ピロカルピンビーズと組み合わせた。しかし、遅延型即時放出ピロカルピンビーズを含む即時放出オキシブチニン顆粒製剤は、1)顆粒状オキシブチニンの使用は特に高湿度環境において水を吸収する可能性がある、2)カプセルの充填はより複雑になり、顆粒状オキシブチニンおよびピロカルピンビーズを組み合わせた場合にカプセル内で非均一分布が存在し得る、および3)最終製品のサイズが大き過ぎる、という数多くの問題を引き起こした。この問題を解決するために当業者に知られている複数の可能性があり、いくつか例を挙げると、各APIのために圧縮コーティング錠を創出すること、外層として即時放出APIおよび内層として遅延型即時放出APIを含む単一の二層錠剤を作製すること、APIが相互作用するのを防止するために緩衝層を含む単一の三層錠剤または各APIの多粒子を含むカプセルを開発することなどである。
【0007】
ここに記載されているように、上記問題を解決するための試みとしてオキシブチニンをビーズとして製剤化したが、それは必要な溶解および薬物動態プロファイルを有しながらもヒトの対象に経口投与するのに適するカプセルの中に、製剤化された遅延型即時放出ピロカルピンビーズと共に収めるために十分に小さい即時放出オキシブチニンビーズをどのように製剤化するかを決定するためにさらなる試験も必要とした。即時放出オキシブチニンビーズの開発中に、オキシブチニンと賦形剤であるHPMCとの間に有害な相互作用が存在し、加工可能性に悪影響を与えることを発見した。
【0008】
本明細書に記載されている以下の実施形態は、これらの問題を解決し、かつオキシブチニン成分およびピロカルピン成分を含む固定用量医薬組成物を含み、ここではオキシブチニン成分は複数の即時放出ビーズであり、各即時放出ビーズは約250μm~約700μmの直径を有する即時放出ビーズの不活性コアと、即時放出ビーズの不活性コア上にコーティングされたオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩を含む即時放出ビーズの薬物層とを含み、かつピロカルピン成分は複数の遅延型即時放出ビーズであり、各遅延型即時放出ビーズは約250μm~約700μmの直径を有する遅延型即時放出ビーズの不活性コアと、遅延型即時放出ビーズの不活性コア上にコーティングされたピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を含む遅延型即時放出ビーズの薬物層と、遅延型即時放出ビーズの薬物層上にコーティングされた遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングとを含み、ここではオキシブチニン成分は約2mg~約10mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩を含み、かつピロカルピン成分は約2mg~約10mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ポリマー層の重量増加率(%)に対するピロカルピンの放出プロファイルをグラフで示す。
【0010】
図2】様々なポリマー層の重量増加率(%)におけるピロカルピンの放出プロファイルをグラフで比較する。
【0011】
図3】ビーズ製剤に対する顆粒状オキシブチニンの放出プロファイルをグラフで比較する。
【0012】
図4】PVPがビーズ製剤に使用されている場合のオキシブチニンの放出プロファイルをグラフで比較する。
【0013】
図5】MCC Cellets上に積層されたオキシブチニン/HPMC固体分散体のXRPD分析を表す。
【0014】
図6】異なるレベルの機能性コーティングを有する(a)即時放出ビーズおよび(b)遅延放出ビーズの溶解プロファイルを表す。
【0015】
図7】(a)機能性コーティングの重量増加率(%)をインビトロ試験中に観察された遅延時間(分)と相関させる経験的モデル、(b)エンドポイント決定のための(エチルセルロース)重量増加率(%)とd50(mm)と遅延時間(分)との間の関係をグラフで示す。
【0016】
図8】オキシブチニンCl薬物積層ビーズの溶解結果を表す。
【0017】
図9】オキシブチニンCl薬物積層ビーズの溶解結果を表す。
【0018】
図10】オキシブチニンCl薬物積層ビーズ(透明なシールコート)の溶解結果を表す。
【0019】
図11】オキシブチニンCl薬物積層ビーズ(透明なシールコート)の溶解結果を表す。
【0020】
図12】ピロカルピンHCl薬物積層ビーズ(長期安定性バッチNo.1)の溶解結果を表す。
【0021】
図13】ピロカルピンHCl薬物積層ビーズ(長期安定性バッチNo.2)の溶解結果を表す。
【0022】
図14】2つのAPI販売業者からのピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズの溶解プロファイルの比較である。
【0023】
図15】350μmおよび500μmのMCC球上に20%のコーティング重量増加で3:1のEC/HPCでコーティングされたピロカルピンHCl薬物積層ビーズの溶解結果の比較である。
【0024】
図16】溶解速度に対するコート組成物の効果を表す。
【0025】
図17】12.5%、15%および17.5%のポリマー層コーティングレベルでコーティングされた3:1のEC:HPC比におけるポリマー層の溶解比較である。
【0026】
図18】非コーティングおよびシールコーティングされたピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズの溶解比較である。
【0027】
図19】A)オキシブチニンCl(6mg)およびピロカルピンHCl(4mg)ならびにB)オキシブチニンCl(6mg)およびピロカルピンHCl(8mg)のバルク保持研究における溶解プロファイルを示す。
【0028】
図20】A)ピロカルピンHClカプセル(4mg)およびB)オキシブチニンClカプセル(6mg)の初期溶解プロファイルを示す。
【0029】
図21】A)25℃/60%RH、B)30℃/75%RH、およびC)40℃/75%RHの貯蔵条件下でのオキシブチニンCl(6mg)およびピロカルピンHCl(C2)(4mg)を含むカプセルの溶解プロファイルを示す。
【0030】
図22】A)25℃/60%RH、B)30℃/75%RH、およびC)40℃/75%RHの貯蔵条件下でのオキシブチニンCl(6mg)およびピロカルピンHCl(Iwaki社)(8mg)を含むカプセルの溶解プロファイルを示す。
【0031】
図23】オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の標的溶解プロファイルを示す。
【0032】
図24】ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の標的溶解プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示についてより詳細に説明する前に、本開示は記載されている特定の実施形態に限定されず、従って当然ながら変更が可能であることを理解されたい。また本明細書で使用される用語は単に特定の実施形態を記述するためのものであって、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって限定されるため本発明を限定することは意図していないことも理解されたい。
【0034】
値の範囲が提供されている場合、当然ながら文脈が明らかにそうでないことを示していない限り、下限の単位の10分の1までその範囲の上限と下限との間の各その間の値、およびその記載されている範囲内の任意の他の記載されている値またはその間の値が本開示に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は独立してそのより小さい範囲に含まれてもよく、かつその記載されている範囲におけるあらゆる具体的に除外される限界を条件にそれも本開示に包含される。記載されている範囲がそれらの限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方または両方を除外する範囲も本開示に含まれる。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(前記)(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲はあらゆる記載されている要素を除外するために起草されている場合があることにさらに留意されたい。従ってこの記載は、請求項要素の記載との関連で「単に」および「のみ」などのような排他的な用語の使用または「否定的な」限界の使用のための先行詞として機能することが意図されている。
【0036】
特定の範囲は、「約」という用語が前に付いた数値と共に本明細書において提供されている。「約」という用語は、後に来る正確な数に文字どおりの支持を与え、かつその用語が後に来る数に近いまたは大体その数である数を提供するために本明細書で使用されている。数が具体的に列挙されている数に近いか大体その数であるか否かを決定する際に、その近いまたは大体その数である記載されていない数は、それが提供されている文脈において具体的に記載されている数の実質的均等物を提供する数であってもよい。いくつかの実施形態では、「約」という用語は値を修正するために使用されている場合、「約」という用語によって修正されている値の10%以内である値を包含する。「約」という単語は数値の直前にある場合、本開示の文脈がそうでないことを示していない、またはそのような解釈と矛盾しない限りその値の±10%の範囲を意味し、例えば「約50」は45~55を意味し、「約25,000」は22,500~27,500を意味する(他も同様)。さらに値に関する「約~未満」または「約~超」という語句は、本明細書において提供されている「約」という用語の定義を考慮して理解されるべきである。
【0037】
本明細書で使用される「投与する」、「投与すること」および「投与」という用語は、化合物(目的の薬剤ともいう)または当該化合物(目的の薬剤)の薬学的に許容される塩または組成物のいずれかを対象に直接投与することを指す。
【0038】
「~を含む(including)」、「~を含有する(containing)」または「~を特徴とする」と同義である「~を含む(comprising)」という移行用語は、包括的または非限定的であり、さらなる記載されてない要素または方法工程を排除しない。対照的に「~からなる(consisting of)」という移行句は、請求項に指定されていないあらゆる要素、工程または成分を排除する。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という移行句は、請求項の範囲を指定されている材料または工程および特許請求されている主題の「基本的かつ新規な特性に実質的に影響を与えないもの」に限定する。「~を含む(comprising)」という用語が移行句として使用されているいくつかの実施形態または請求項では、そのような実施形態は、「~を含む(comprising)」という用語を「~からなる(consisting of)」または「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語で置き換えることにより構想することもできる。
【0039】
「医薬組成物」という用語は、哺乳類(例えば、限定されるものではないがヒト)における指定されている有効な結果についての調査に適している少なくとも1種の有効成分を含む組成物を意味する。当業者であれば、有効成分が当業者の必要性に基づいて所望の有効な結果を有するか否かを決定するのに適した技術を理解および認識しているであろう。
【0040】
本明細書で使用される「治療的有効量」は、研究者、獣医、医師または他の臨床医によって探求される組織、系、動物、個体またはヒトにおける生物学的もしくは医薬的応答を誘発する活性化合物または医薬品の量を指し、その応答は(1)疾患を予防すること、例えば疾患、状態または障害に罹患しやすいが疾患の病態または症候をまだ経験したり示したりしていない個体において疾患、状態または障害を予防すること、(2)疾患を阻害すること、例えば疾患、状態または障害の病態または症候を経験していたり示していたりする個体において疾患、状態または障害を阻害すること(すなわち、病態および/または症候のさらなる発生を停止または遅延させること)、および(3)疾患を寛解させること、例えば疾患、状態または障害の病態または症候を経験していたり示していたりする個体において疾患、状態または障害を寛解させること(すなわち、病態および/または症候を回復または減少させること)のうちの1つ以上を含む。
【0041】
「薬学的に許容される」という語句は、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応あるいは他の問題または合併症を生じさせることなく適切な医学的判断の範囲内で人間および/または他の哺乳類の組織との接触に使用するのに適した、妥当な利益/リスク比に釣り合った目的の薬剤/化合物、塩、組成物、剤形などを指すために本明細書において用いられる。いくつかの態様では、「薬学的に許容される」は哺乳類(例えば動物)、より詳細にはヒトに使用するために連邦または州政府の規制当局によって認可されているか、米国薬局方または他の一般に認識されている薬局方に列挙されていることを意味する。
【0042】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、過度の毒性、刺激およびアレルギー反応などを生じさせることなく適切な医学的判断の範囲内でヒトおよび下等動物の組織との接触に使用するのに適し、かつ妥当な利益/リスク比に釣り合った塩を示すことが意図されている。薬学的に許容される塩は当該技術分野でよく知られている。例えばBergeら(1977)J.Pharm.Sciences,第6巻.1-19は、薬学的に許容される塩について詳細に記載している。
【0043】
「治療する」という用語は、特定の障害、疾患または状態の予防、特定の障害、疾患または状態に関連する症状の軽減および/または特定の障害、疾患または状態に関連する症状の予防を意味するように解釈されてもよい。いくつかの実施形態では、この用語は障害、疾患または状態の進行を遅らせること、または特定の障害、疾患または状態に関連する症状を軽減することを指す。いくつかの実施形態では、この用語は障害、疾患または状態の進行を遅らせることを指す。いくつかの実施形態では、この用語は特定の障害、疾患または状態に関連する症状を軽減することを指す。いくつかの実施形態では、この用語は特定の障害、疾患または状態により損なわれたか失われた機能を回復させることを指す。
【0044】
「患者」および「対象」という用語は、本発明の化合物により治療することができるあらゆる生物と互換可能であり、かつそれらを意味するように解釈されてもよい。従って「患者」および「対象」という用語は限定されるものではないが、あらゆる非ヒト哺乳類、霊長類またはヒトを含んでもよい。いくつかの実施形態では、「患者」または「対象」は、マウス、ラット、他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類またはヒトなどの哺乳類である。いくつかの実施形態では、患者または対象は成人、小児または乳幼児である。いくつかの実施形態では、患者または対象はヒトである。
【0045】
別段の定めのない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または同等のあらゆる方法および材料を本開示の実施または試験に使用することもできるが、代表的な例示的な方法および材料が以下に記載されている。
【0046】
本開示を読めば当業者に明らかであるように、本明細書に記載および図示されている個々の実施形態のそれぞれが、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離したり組み合わせたりすることができる別個の構成要素および特徴を有する。あらゆる記載されている方法は、記載されているイベントの順序または論理的に可能な任意の他の順序で行うことができる。
【0047】
本明細書において引用されている全ての刊行物および特許は、あたかも各個々の刊行物または特許が参照により本明細書に組み込まれることが具体的に、かつ個々に示されているかのように参照により本明細書に組み込まれ、かつ引用されている刊行物に関連する方法および/または材料を開示および記載するために参照により本明細書に組み込まれる。どの刊行物の引用も出願日に先行するその開示のためのものであり、本開示が先行開示によりそのような刊行物に先行する権利を有しないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供されている刊行物の日付は、独立して確認する必要があり得る実際の刊行物の日付とは異なる場合がある。
【0048】
いくつかの実施形態は、オキシブチニン成分およびピロカルピン成分を含む固定用量医薬組成物に関し、オキシブチニン成分は複数の即時放出ビーズであり、各即時放出ビーズは、約450μm~約700μmの直径を有する即時放出ビーズの不活性コアと、即時放出ビーズの不活性コア上にコーティングされたオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩を含む即時放出ビーズの薬物層と、任意に遅延放出コーティング上にコーティングされたシールコートとを含み、かつピロカルピン成分は複数の遅延型即時放出ビーズであり、各遅延型即時放出ビーズは約250μm~約550μmの直径を有する遅延型即時放出ビーズの不活性コアと、遅延型即時放出ビーズの不活性コア上にコーティングされたピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を含む遅延型即時放出ビーズの薬物層と、遅延型即時放出ビーズの薬物層上にコーティングされた遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングと、任意に遅延放出コーティング上にコーティングされたシールコートとを含み、ここではオキシブチニン成分は約2mg~約10mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩を含み、かつピロカルピン成分は約2mg~約10mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0049】
オキシブチニンの即時放出ビーズ
いくつかの実施形態では、医薬組成物は複数の即時放出ビーズを含み、各即時放出ビーズは、約450μm~約700μmの直径を有する即時放出ビーズの不活性コアと、即時放出ビーズの不活性コア上にコーティングされたオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩を含む即時放出ビーズの薬物層と、任意に遅延放出コーティング上にコーティングされたシールコートとを含み、ここでは医薬組成物の複数の即時放出ビーズのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の総量は、治療的有効量すなわち約2mg~約10mgである。好ましい実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は約6mgである。好ましい実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は約4mgである。好ましい実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は約2mgである。
【0050】
特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩は結晶形または非晶形である。
【0051】
特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの不活性コアは、微結晶性セルロース球(本明細書ではMCCまたはCelletsという場合もある)を含む。他の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの不活性コアは、SUGLETS(登録商標)、糖球(sugar sphere)、酒石酸ペレットおよびTAP(登録商標)から選択される。特定の実施形態では、即時放出ビーズの不活性コアは即時放出ビーズの約70%~約95%重量/重量の微結晶性セルロース球である。特定の実施形態では、即時放出ビーズの不活性コアは即時放出ビーズの約91.75%重量/重量の微結晶性セルロース球である。特定の実施形態では、即時放出ビーズの不活性コアは即時放出ビーズの約85.5%重量/重量の微結晶性セルロース球である。特定の実施形態では、即時放出ビーズの不活性コアは即時放出ビーズの約79.25%重量/重量の微結晶性セルロース球である。特定の実施形態では、即時放出ビーズの不活性コアは即時放出ビーズの約75%重量/重量の微結晶性セルロース球である。特定の実施形態では、即時放出ビーズの不活性コアは即時放出ビーズの約73.5%重量/重量の微結晶性セルロース球である。特定の実施形態では、即時放出ビーズの不活性コアは即時放出ビーズの約72.1%重量/重量の微結晶性セルロース球である。
【0052】
特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの不活性コアは、約450μm~約700μm、約500μm~約650μmまたは約550μm~約600μmの直径を有する微結晶性セルロース球を含む。好ましくは、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの不活性コアは、約500μmの直径を有する微結晶性セルロース球を含む。
【0053】
特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、結合剤および粘着防止剤をさらに含む。
【0054】
特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、即時放出ビーズの約2%~約15%重量/重量のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩、即時放出ビーズの約2%~約15%重量/重量の結合剤、および即時放出ビーズの約1%~約10%重量/重量の粘着防止剤を含む。特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、即時放出ビーズの約10%重量/重量のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩と、即時放出ビーズの約10%重量/重量の結合剤と、即時放出ビーズの約5%重量/重量の粘着防止剤とを含む。特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、即時放出ビーズの約9.8%重量/重量のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩と、即時放出ビーズの約9.8%重量/重量の結合剤と、即時放出ビーズの約4.9%重量/重量の粘着防止剤とを含む。特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、即時放出ビーズの約2.5%重量/重量のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩、即時放出ビーズの約2.5%重量/重量の結合剤、および即時放出ビーズの約1.25%重量/重量の粘着防止剤を含む。特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、即時放出ビーズの約5%重量/重量のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩、即時放出ビーズの約5%重量/重量の結合剤、および即時放出ビーズの約2.5%重量/重量の粘着防止剤を含む。特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、即時放出ビーズの約7.5%重量/重量のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩、即時放出ビーズの約7.5%重量/重量の結合剤、および即時放出ビーズの約3.75%重量/重量の粘着防止剤を含む。特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、即時放出ビーズの約9.6%重量/重量のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩、即時放出ビーズの約9.6%重量/重量の結合剤、および即時放出ビーズの約4.8%重量/重量の粘着防止剤を含む。
【0055】
特定の実施形態では、本医薬組成物中の複数の即時放出ビーズのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は約2mg~約10mg、約2mg~約4mg、約2mg~約6mgまたは約4mg~約6mgである。特定の実施形態では、本医薬組成物中の複数の即時放出ビーズのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は約2mgである。特定の実施形態では、本医薬組成物中の複数の即時放出ビーズのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は約4mgである。特定の実施形態では、本医薬組成物中の複数の即時放出ビーズのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は約8mgである。最も好ましくは、本医薬組成物中の複数の即時放出ビーズのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は約6mgである。
【0056】
特定の実施形態では、即時放出ビーズ中のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は1:1~1.5:1である。特定の実施形態では、即時放出ビーズ中のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は1:1~2:1である。特定の実施形態では、即時放出ビーズ中のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は5:1である。特定の実施形態では、即時放出ビーズ中のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は1:1~1:1.5である。特定の実施形態では、即時放出ビーズ中のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は1:1~1:2である。特定の実施形態では、即時放出ビーズ中のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は1:1である。
【0057】
本明細書に記載されている実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層の結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポビドンK29/32、ラクトース、マンニトール、スクロース、液体グルコース、アカシア、トラガント、ゼラチン、澱粉ペースト、アルファ化澱粉、アルギン酸、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリレート、EUDRAGIT(登録商標)、メチルセルロース、酢酸酪酸セルロースおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0058】
本明細書に記載されている実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層の粘着防止剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび他のステアリン酸塩、中鎖トリグリセリド(MCT)、タルク、ジベヘン酸グリセリル、二酸化ケイ素およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0059】
特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、塩化オキシブチニン、結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および粘着防止剤としてタルクを含む。特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、即時放出ビーズの約2%~約15%重量/重量の塩化オキシブチニン、即時放出ビーズの約2%~約15%重量/重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および即時放出ビーズの約1%~約10%重量/重量のタルクを含む。特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、即時放出ビーズの約10%重量/重量の塩化オキシブチニン、即時放出ビーズの約10%重量/重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および即時放出ビーズの約5%重量/重量のタルクを含む。特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、即時放出ビーズの約9.8%重量/重量の塩化オキシブチニン、即時放出ビーズの約9.8%重量/重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および即時放出ビーズの約4.9%重量/重量のタルクを含む。特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、即時放出ビーズの約2.5%重量/重量の塩化オキシブチニン、即時放出ビーズの約2.5%重量/重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および即時放出ビーズの約1.25%重量/重量のタルクを含む。特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、即時放出ビーズの約5%重量/重量の塩化オキシブチニン、即時放出ビーズの約5%重量/重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および即時放出ビーズの約2.5%重量/重量のタルクを含む。特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズの薬物層は、即時放出ビーズの約7.5%重量/重量の塩化オキシブチニン、即時放出ビーズの約7.5%重量/重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および即時放出ビーズの約3.75%重量/重量のタルクを含む。
【0060】
特定の実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、即時放出ビーズの薬物層上にコーティングされたシールコーティングをさらに含む。シールコートは、(1)異なる着色シールコートの使用により2種類の異なるビーズを区別する、(2)カプセル中の薬物層と他のビーズ(および他のAPI)との間にさらなる分離層を提供することにより安定性を高める、(3)APIへの曝露を最小限に抑えることにより製造オペレーターを保護する、および(4)カプセル化プロセス中に静電気を軽減する、という有利な特性を各ビーズに与えてもよい。特定の実施形態では、即時放出ビーズのシールコーティングは即時放出ビーズの約0.5%~約5.0%重量/重量である。特定の実施形態では、即時放出ビーズのシールコーティングは、即時放出ビーズの約1%~約4.5%、約1.5%~約4.0%、約2%~約3.5%、約2.5%~約3.0%、約1.0%~約3%、約1.0%~約2.5%または約1.2%~約2.0%重量/重量である。特定の実施形態では、即時放出ビーズのシールコーティングは即時放出ビーズの約2.0%重量/重量を含む。特定の実施形態では、即時放出ビーズのシールコーティングは即時放出ビーズの約3.8%重量/重量を含む。特定の実施形態では、シールコーティングは、あらゆる非機能性の市販コーティング、例えばオパドライ(Opadry)(登録商標)製品ラインまたはそれらの一般的な同等物すなわちシェラックなどの透明なコートである。
【0061】
いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、9.6%w/wの塩化オキシブチニン、9.6%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および4.8%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた72.1%w/wの700μm不活性コアを含み、かつ当該薬物層は3.8%w/wのシールコートでコーティングされている。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、3.8mg/用量の塩化オキシブチニン、3.8mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および1.9mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた28.8mg/用量の700μm不活性コアを含み、かつ当該薬物層は任意に1.6mg/用量のシールコートでコーティングされている。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、5.8mg/用量の塩化オキシブチニン、3.8mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および2.9mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた43.3mg/用量の700μm不活性コアを含み、かつ当該薬物層は2.4mg/用量のシールコートでコーティングされている。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、7.7mg/用量の塩化オキシブチニン、3.8mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および3.8mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた57.7mg/用量の700μm不活性コアを含み、かつ当該薬物層は3.2mg/用量のシールコートでコーティングされている。
【0062】
いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは10%w/wの塩化オキシブチニン、10%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および5%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた75%w/wの700μm不活性コアを含む。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、7.5mg/用量の塩化オキシブチニン、7.5mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および3.75mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた56.25mg/用量の700μm不活性コアを含む。本明細書に記載されている実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズの用量当たりの総充填量は75mgである。
【0063】
いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、2.5%w/wの塩化オキシブチニン、2.5%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および1.25%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた91.75%w/wの500μm不活性コアを含み、かつ当該薬物層は2%w/wのシールコートでコーティングされている。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、2.0mg/用量の塩化オキシブチニン、2.0mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および1.0mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた73.4mg/用量の500μm不活性コアを含み、かつ当該薬物層は1.6mg/用量のシールコートでコーティングされている。本明細書に記載されている実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズの用量当たりの総充填量は80mgである。
【0064】
いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、5%w/wの塩化オキシブチニン、5%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および2.5%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた85.5%w/wの500μm不活性コアを含み、かつ当該薬物層は2%w/wのシールコートでコーティングされている。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、4.0mg/用量の塩化オキシブチニン、4.0mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および2.0mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた68.4mg/用量の500μm不活性コアを含み、かつ当該薬物層は1.6mg/用量のシールコートでコーティングされている。本明細書に記載されている実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズの用量当たりの総充填量は80mgである。
【0065】
いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、7.5%w/wの塩化オキシブチニン、7.5%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および3.75%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた79.25%w/wの500μm不活性コアを含み、かつ当該薬物層は2%w/wのシールコートでコーティングされている。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、6.0mg/用量の塩化オキシブチニン、6.0mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および3.0mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた63.4mg/用量の500μm不活性コアを含み、かつ当該薬物層は1.6mg/用量のシールコートでコーティングされている。本明細書に記載されている実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズの用量当たりの総充填量は80mgである。
【0066】
いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、9.8%w/wの塩化オキシブチニン、9.8%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および4.9%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた73.5%w/wの500μm不活性コアを含み、かつ当該薬物層は2%w/wのシールコートでコーティングされている。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の各即時放出ビーズは、8.0mg/用量の塩化オキシブチニン、8.0mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および4.0mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた60mg/用量の500μm不活性コアを含み、かつ当該薬物層は1.6mg/用量のシールコートでコーティングされている。本明細書に記載されている実施形態では、8mg用量当たりのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズの総充填量は81.6mgである。本明細書に記載されている実施形態では、6mg用量当たりのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズの総充填量は61.2mgである。本明細書に記載されている実施形態では、4mg用量当たりのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズの総充填量は40.8mgである。
【0067】
本明細書に記載されている実施形態は、Cmax、TmaxおよびAUCと同等の標的溶解プロファイルを有するオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズに関する。図23に示すように標的溶解プロファイルは、0.1NのHClにおいてインビトロで測定される。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズのAUCは約8ng*hr/ml~約12ng*hr/mlである。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズのCmaxは約3ng/ml~約6ng/mlである。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の即時放出ビーズのTmaxは約0.75時間~約1時間である。
【0068】
いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズは、対象への本医薬組成物の投与から約10分以内にオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の約50%以上、約60%以上、約75%以上、約90%以上、約95%以上、約99%以上または100%を放出する。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズは、対象への本医薬組成物の投与から約5分以内にオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の約50%以上、約60%以上、約75%以上、約90%以上、約95%以上、約99%以上または100%を放出する。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズは、対象への本医薬組成物の投与直後にオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の約50%以上、約60%以上、約75%以上、約90%以上、約95%以上、約99%以上または100%を放出する。
【0069】
いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズは、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間または少なくとも24週間にわたって25℃/60%相対湿度(RH)で安定である。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズは、少なくとも1ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間または少なくとも18ヶ月間にわたって25℃/60%相対湿度(RH)で安定である。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズは、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間または少なくとも24週間にわたって30℃/75%RHで安定である。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズは、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間または少なくとも24週間にわたって40℃/75%RHで安定である。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズは、少なくとも1ヶ月間、少なくとも3ヶ月間または少なくとも6ヶ月間にわたって40℃/75%RHで安定である。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズは、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間または少なくとも24週間にわたって50℃/周囲条件(AMB)で安定である。
【0070】
ピロカルピンの遅延型即時放出ビーズ
本明細書に記載されている実施形態では、医薬組成物は複数の遅延型即時放出ビーズを含み、各遅延型即時放出ビーズは、約250μm~約700μmの直径を有する遅延型即時放出ビーズの不活性コア、遅延型即時放出ビーズの不活性コア上にコーティングされたピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を含む遅延型即時放出ビーズの薬物層、遅延型即時放出ビーズの薬物層上にコーティングされた遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティング、および任意に遅延放出コーティング上にコーティングされたシールコートを含み、ここでは本医薬組成物の複数の遅延型即時放出ビーズのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の総量は、治療的有効量すなわち約2mg~約10mgである。好ましい実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は約4mgである。他の好ましい実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は約8mgである。
【0071】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩は結晶形または非晶形である。
【0072】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの不活性コアは、微結晶性セルロース球(本明細書ではMCCまたはCelletsという場合もある)を含む。他の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの不活性コアはSUGLETS(登録商標)、糖球、酒石酸ペレットおよびTAP(登録商標)から選択される。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズの不活性コアは遅延型即時放出ビーズの約10%~約75%重量/重量の微結晶性セルロース球である。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズの不活性コアは遅延型即時放出ビーズの約71.69%重量/重量の微結晶性セルロース球である。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズの不活性コアは遅延型即時放出ビーズの約31.25%重量/重量の微結晶性セルロース球である。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズの不活性コアは遅延型即時放出ビーズの約26.32%重量/重量の微結晶性セルロース球である。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズの不活性コアは遅延型即時放出ビーズの約20.83%重量/重量の微結晶性セルロース球である。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズの不活性コアは遅延型即時放出ビーズの約17.86%重量/重量の微結晶性セルロース球である。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズの不活性コアは遅延型即時放出ビーズの約14.71%重量/重量の微結晶性セルロース球である。
【0073】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの不活性コアは約250μm~約700μm、約300μm~約650μm、約350μm~約600μmまたは約400μm~約500μmの直径を有する微結晶性セルロース球を含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの不活性コアは約500μmの直径を有する微結晶性セルロース球を含む。
【0074】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、結合剤および粘着防止剤をさらに含む。
【0075】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約5%~約15%重量/重量のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩、遅延型即時放出ビーズの約1%~約15%重量/重量の結合剤、および遅延型即時放出ビーズの約1%~約10%重量/重量の粘着防止剤を含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約8.43%重量/重量のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩、遅延型即時放出ビーズの約1.69%重量/重量の結合剤、および遅延型即時放出ビーズの約2.53%重量/重量の粘着防止剤含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約12.5%重量/重量のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩、遅延型即時放出ビーズの約12.5%重量/重量の結合剤、および遅延型即時放出ビーズの約6.25%重量/重量の粘着防止剤を含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約10.53%重量/重量のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩、遅延型即時放出ビーズの約10.53%重量/重量の結合剤、および遅延型即時放出ビーズの約5.26%重量/重量の粘着防止剤を含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約8.33%重量/重量のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩、遅延型即時放出ビーズの約8.33%重量/重量の結合剤、および遅延型即時放出ビーズの約4.17%重量/重量の粘着防止剤を含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約7.14%重量/重量のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩、遅延型即時放出ビーズの約7.14%重量/重量の結合剤、および遅延型即時放出ビーズの約3.57%重量/重量の粘着防止剤を含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約5.88%重量/重量のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩、遅延型即時放出ビーズの約5.88%重量/重量の結合剤、および遅延型即時放出ビーズの約2.94%重量/重量の粘着防止剤を含む。
【0076】
特定の実施形態では、本医薬組成物中の複数の遅延型即時放出ビーズのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は、約2mg~約10mg、約2mg~約4mg、約2mg~約6mgまたは約4mg~約6mgはである。特定の実施形態では、本医薬組成物中の複数の遅延型即時放出ビーズのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は約4mgである。特定の実施形態では、本医薬組成物中の複数の遅延型即時放出ビーズのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は約6mgである。特定の実施形態では、本医薬組成物中の複数の遅延型即時放出ビーズのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の治療的有効量は約8mgである。
【0077】
特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズ中のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は1:1~5:1である。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズ中のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は1:1~2.5:1である。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズ中のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は5:1である。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズ中のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は1:1~1:5である。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズ中のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は1:1~1:2.5である。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズ中のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は1:1である。好ましくは、遅延型即時放出ピロカルピンビーズにおける原薬:結合剤比は5:1である。
【0078】
本明細書に記載されている実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層の結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポビドンK29/32、ラクトース、マンニトール、スクロース、液体グルコース、アカシア、トラガント、ゼラチン、澱粉ペースト、アルファ化澱粉、アルギン酸、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート(EUDRAGIT(登録商標))、メチルセルロース、酢酸酪酸セルロースおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0079】
本明細書に記載されている実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層の粘着防止剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび他のステアリン酸塩、ステアリン酸、中鎖トリグリセリド(MCT)、タルク、ジベヘン酸グリセリル、二酸化ケイ素およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0080】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、塩酸ピロカルピン、結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および粘着防止剤としてタルクを含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約5%~約15%重量/重量の塩酸ピロカルピン、遅延型即時放出ビーズの約1%~約15%重量/重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および遅延型即時放出ビーズの約1%~約10%重量/重量のタルクを含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約8.43%重量/重量の塩酸ピロカルピン、遅延型即時放出ビーズの約1.69%重量/重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および遅延型即時放出ビーズの約2.53%重量/重量のタルクを含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約12.5%重量/重量の塩酸ピロカルピン、遅延型即時放出ビーズの約12.5%重量/重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および遅延型即時放出ビーズの約6.25%重量/重量のタルクを含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約10.53%重量/重量の塩酸ピロカルピン、遅延型即時放出ビーズの約10.53%重量/重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および遅延型即時放出ビーズの約5.26%重量/重量のタルクを含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約8.33%重量/重量の塩酸ピロカルピン、遅延型即時放出ビーズの約8.33%重量/重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および遅延型即時放出ビーズの約4.17%重量/重量のタルクを含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約7.14%重量/重量の塩酸ピロカルピン、遅延型即時放出ビーズの約7.14%重量/重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および遅延型即時放出ビーズの約3.57%重量/重量のタルクを含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層は、遅延型即時放出ビーズの約5.88%重量/重量の塩酸ピロカルピン、遅延型即時放出ビーズの約5.88%重量/重量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および遅延型即時放出ビーズの約2.94%重量/重量のタルクを含む。
【0081】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、孔形成剤、水不溶性ポリマーおよび可塑剤を含む。
【0082】
特定の実施形態では、孔形成剤:水不溶性ポリマー比は遅延放出コーティングにおいて1:1~3:1である。特定の実施形態では、孔形成剤:水不溶性ポリマー比は遅延放出コーティングにおいて1:1~1:3である。特定の実施形態では、孔形成剤:水不溶性ポリマー比は遅延放出コーティングにおいて1:3である。
【0083】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約1%~約35%重量/重量の孔形成剤、遅延型即時放出ビーズの約5%~約35%重量/重量の水不溶性ポリマー、および遅延型即時放出ビーズの約1%~約10%重量/重量の可塑剤を含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約2.66%重量/重量の孔形成剤、遅延型即時放出ビーズの約7.97%重量/重量の水不溶性ポリマー、および遅延型即時放出ビーズの約1.18%重量/重量の可塑剤を含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約17.08%重量/重量の孔形成剤、遅延型即時放出ビーズの約17.08%重量/重量の水不溶性ポリマー、および遅延型即時放出ビーズの約3.33%重量/重量の可塑剤を含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約21.57%重量/重量の孔形成剤、遅延型即時放出ビーズの約21.57%重量/重量の水不溶性ポリマー、および遅延型即時放出ビーズの約4.22%重量/重量の可塑剤を含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約26.56%重量/重量の孔形成剤、遅延型即時放出ビーズの約26.56%重量/重量の水不溶性ポリマー、および遅延型即時放出ビーズの約5.22%重量/重量の可塑剤を含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約29.29%重量/重量の孔形成剤、遅延型即時放出ビーズの約29.29%重量/重量の水不溶性ポリマー、および遅延型即時放出ビーズの約5.71%重量/重量の可塑剤を含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約32.16%重量/重量の孔形成剤、遅延型即時放出ビーズの約32.16%重量/重量の水不溶性ポリマー、および遅延型即時放出ビーズの約6.27%重量/重量の可塑剤を含む。
【0084】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングの孔形成剤は水溶性ポリマーである。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングの孔形成剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、スクロースおよび他の糖、重炭酸ナトリウムなどの塩、界面活性剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポビドンK29/32、ラクトース、マンニトール、スクロース、液体グルコース、アカシア、トラガント、ゼラチン、澱粉ペースト、アルファ化澱粉、アルギン酸、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリレート、EUDRAGIT(登録商標)、メチルセルロース、酢酸酪酸セルロースおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0085】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングの水不溶性ポリマーは、エチルセルロース(EC)、ポリアクリレートまたはポリメタクリレート、酢酸セルロース、ワックス、シェラックおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0086】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングの可塑剤は、セバシン酸ジブチル、PEG400、低分子量PEG(MW<1500)、グリセロール、クエン酸トリエチル(TEC)、トリアセチンを含む分岐鎖状エステル、セバシン酸ジブチル(DBS)、フタル酸ジエチル(DEP)を含む二酸エステル、または分留ココナッツオイル(FCO)、オレイン酸(OA)、水添植物油を含む脂肪酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0087】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、孔形成剤としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、水不溶性ポリマーとしてエチルセルロース(EC)、および可塑剤としてセバシン酸ジブチルを含む。特定の実施形態では、HPC:EC比は1:3である。
【0088】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約1%~約35%重量/重量のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、遅延型即時放出ビーズの約5%~約35%重量/重量のエチルセルロース(EC)、および遅延型即時放出ビーズの約1%~約10%重量/重量のセバシン酸ジブチルを含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約2.66%重量/重量のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、遅延型即時放出ビーズの約7.97%重量/重量のエチルセルロース(EC)、および遅延型即時放出ビーズの約1.18%重量/重量のセバシン酸ジブチルを含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約17.08%重量/重量のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、遅延型即時放出ビーズの約17.08%重量/重量のエチルセルロース(EC)、および遅延型即時放出ビーズの約3.33%重量/重量のセバシン酸ジブチルを含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約21.57%重量/重量のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、遅延型即時放出ビーズの約21.57%重量/重量のエチルセルロース(EC)、および遅延型即時放出ビーズの約4.22%重量/重量のセバシン酸ジブチルを含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約26.56%重量/重量のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、遅延型即時放出ビーズの約26.56%重量/重量のエチルセルロース(EC)、および遅延型即時放出ビーズの約5.22%重量/重量のセバシン酸ジブチルを含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約29.29%重量/重量のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、遅延型即時放出ビーズの約29.29%重量/重量のエチルセルロース(EC)、および遅延型即時放出ビーズの約5.71%重量/重量のセバシン酸ジブチルを含む。特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングは、遅延型即時放出ビーズの約32.16%重量/重量のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、遅延型即時放出ビーズの約32.16%重量/重量のエチルセルロース(EC)、および遅延型即時放出ビーズの約6.27%重量/重量のセバシン酸ジブチルを含む。
【0089】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズの薬物層または遅延放出コーティングは、MCCPH102、デンプングリコール酸ナトリウム、リン酸二カルシウム、二酸化ケイ素、クロスポビドンXL10、スターチ1500、Fast-Flo Lactoseおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される賦形剤をさらに含む。
【0090】
特定の実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティング上にコーティングされたシールコーティングをさらに含む。シールコートは、(1)異なる着色シールコートの使用により2種類の異なるビーズを区別する、(2)カプセル中の薬物層と他のビーズ(および他のAPI)との間にさらなる分離層を提供することにより安定性を高める、(3)APIへの曝露を最小限に抑えることにより製造オペレーターを保護する、および(4)カプセル化プロセス中に静電気を軽減する、という有利な特性を各ビーズに与える。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズのシールコーティングは約0.5%~約5.0%である。特定の実施形態では、即時放出ビーズのシールコーティングは、即時放出ビーズの約1%~約4.5%、約1.5%~約4.0%、約2%~約3.5%、約2.5%~約3.0%、約1.0%~約3%、約1.0%~約2.5%または約1.2%~約2.0%重量/重量である。特定の実施形態では、遅延型即時放出ビーズのシールコーティングは遅延型即時放出ビーズの約3.85%重量/重量を含む。特定の実施形態では、シールコーティングは、あらゆる非機能性の市販コーティング、例えばオパドライ(登録商標)製品ラインまたはそれらの一般的な均等物すなわちシェラックなどの着色コートである。
【0091】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、12.5%w/wの塩化ピロカルピン、12.5%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および6.25%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた31.25%w/wの700μm不活性コア、17.08%w/wのヒドロキシプロピルセルロース、17.08%w/wのエチルセルロースおよび3.33%w/wのセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングを含む。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、7.5mg/用量の塩化ピロカルピン、7.5mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および3.75mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた18.75mg/用量の700μm不活性コアと、10.25mg/用量のヒドロキシプロピルセルロース、10.5mg/用量のエチルセルロース、および2.0mg/用量のセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングとを含む。本明細書に記載されている実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズの用量当たりの総充填量は60mgである。
【0092】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、10.53%w/wの塩化ピロカルピン、10.53%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および5.26%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた26.32%w/wの700μm不活性コアと、21.57%w/wのヒドロキシプロピルセルロース、21.57%w/wのエチルセルロースおよび4.22%w/wのセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングとを含む。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、7.5mg/用量の塩化ピロカルピン、7.5mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および3.75mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた18.75mg/用量の700μm不活性コアと、15.37mg/用量のヒドロキシプロピルセルロース、15.37mg/用量のエチルセルロース、および3.01mg/用量のセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングとを含む。本明細書に記載されている実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズの用量当たりの総充填量は71.25mgである。
【0093】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、8.33%w/wの塩化ピロカルピン、8.33%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および4.17%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた20.83%w/wの700μm不活性コアと、26.56%w/wのヒドロキシプロピルセルロース、26.56%w/wのエチルセルロースおよび5.22%w/wのセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングとを含む。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、7.5mg/用量の塩化ピロカルピン、7.5mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および3.75mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた18.75mg/用量の700μm不活性コアと、23.9mg/用量のヒドロキシプロピルセルロース、23.9mg/用量のエチルセルロース、および4.7mg/用量のセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングとを含む。本明細書に記載されている実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズの用量当たりの総充填量は90mgである。
【0094】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、7.14%w/wの塩化ピロカルピン、7.14%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および3.57%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた17.86%w/wの700μm不活性コアと、29.29%w/wのヒドロキシプロピルセルロース、29.29%w/wのエチルセルロースおよび5.71%w/wのセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングとを含む。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、7.5mg/用量の塩化ピロカルピン、7.5mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および3.75mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた18.75mg/用量の700μm不活性コアと、30.75mg/用量のヒドロキシプロピルセルロース、30.75mg/用量のエチルセルロース、および6.0mg/用量のセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングとを含む。本明細書に記載されている実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズの用量当たりの総充填量は105mgである。
【0095】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、6.45%w/wの塩化ピロカルピン、6.45%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および3.22%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた16.12%w/wの700μm不活性コアと、30.85%w/wのヒドロキシプロピルセルロース、30.85%w/wのエチルセルロースおよび6.02%w/wのセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングとを含む。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、7.5mg/用量の塩化ピロカルピン、7.5mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および3.75mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた18.75mg/用量の700μm不活性コアと、35.88mg/用量のヒドロキシプロピルセルロース、35.88mg/用量のエチルセルロース、および7mg/用量のセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングとを含む。本明細書に記載されている実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズの用量当たりの総充填量は116.3mgである。
【0096】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズは、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間または少なくとも24週間にわたって25℃/60%相対湿度(RH)で安定である。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズは、少なくとも1ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間または少なくとも24ヶ月間にわたって25℃/60%相対湿度(RH)で安定である。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズは、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間または少なくとも24週間にわたって30℃/75%RHで安定である。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズは、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間または少なくとも24週間にわたって40℃/75%RHで安定である。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズは、少なくとも1ヶ月間、少なくとも3ヶ月間または少なくとも6ヶ月間にわたって40℃/75%RHで安定である。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズは、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間または少なくとも24週間にわたって50℃/周囲条件(AMB)で安定である。
【0097】
固定用量組成物
オキシブチニン成分が複数の即時放出ビーズであり、かつピロカルピン成分が複数の遅延型即時放出ビーズである、2~10mgのオキシブチニン成分および2~10mgのピロカルピン成分を含む固定用量医薬組成物の実施形態は、上に記載されているオキシブチニンの即時放出ビーズとピロカルピンの遅延型即時放出ビーズとの任意の組み合わせを含んでもよい。そのような実施形態は、以下のとおり開示される具体的な組成物も含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは8.43%w/wの塩化ピロカルピン、1.69%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および2.53%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた71.69%w/wの500μm不活性コアと、2.66%w/wのヒドロキシプロピルセルロース、7.97%w/wのエチルセルロースおよび1.18%w/wのセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングと、遅延放出コーティング上にコーティングされた3.85%w/wのシールコートとを含む。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、4.0mg/用量の塩化ピロカルピン、0.8mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および1.2mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた34mg/用量の500μm不活性コアと、1.26mg/用量のヒドロキシプロピルセルロース、3.78mg/用量のエチルセルロース、および0.56mg/用量のセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングと、遅延放出コーティング上にコーティングされた1.82mg/用量のシールコートとを含む。本明細書に記載されている実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズの用量当たりの総充填量は47.42mgである。
【0099】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは8.43%w/wの塩化ピロカルピン、1.69%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および2.53%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた71.69%w/wの500μm不活性コアと、2.66%w/wのヒドロキシプロピルセルロース、7.97%w/wのエチルセルロースおよび1.18%w/wのセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングと、遅延放出コーティング上にコーティングされた3.85%w/wのシールコートとを含む。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、6.0mg/用量の塩化ピロカルピン、1.2mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および1.8mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた51mg/用量の500μm不活性コアと、1.89mg/用量のヒドロキシプロピルセルロース、5.67mg/用量のエチルセルロース、および0.84mg/用量のセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングと、遅延放出コーティング上にコーティングされた2.76mg/用量のシールコートとを含む。本明細書に記載されている実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズの用量当たりの総充填量は71.13mgである。
【0100】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは8.43%w/wの塩化ピロカルピン、1.69%w/wのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および2.53%w/wのタルクを含む薬物層でコーティングされた71.69%w/wの500μm不活性コアと、2.66%w/wのヒドロキシプロピルセルロース、7.97%w/wのエチルセルロースおよび1.18%w/wのセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングと、遅延放出コーティング上にコーティングされた3.85%w/wのシールコートとを含む。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の各遅延型即時放出ビーズは、8.0mg/用量の塩化ピロカルピン、1.6mg/用量のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および2.4mg/用量のタルクを含む薬物層でコーティングされた68mg/用量の500μm不活性コアと、2.52mg/用量のヒドロキシプロピルセルロース、7.56mg/用量のエチルセルロース、および1.12mg/用量のセバシン酸ジブチルを含む薬物層上にコーティングされた遅延放出コーティングと、遅延放出コーティング上にコーティングされた3.65mg/用量のシールコートとを含む。本明細書に記載されている実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズの用量当たりの総充填量は94.85mgである。
【0101】
本明細書に記載されている実施形態は、Cmax、TmaxおよびAUCと同等の標的溶解プロファイルを有するピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズに関する。図24に示すように標的溶解プロファイルは、0.1NのHClにおいてインビトロで測定される。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズのAUCは約67ng*hr/ml~約85ng*hr/mlである。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズのCmaxは約23ng/ml~約30ng/mlである。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズのTmaxは約1.75時間~約2時間である。
【0102】
本明細書に記載されている実施形態は、オキシブチニンの約30分後にピロカルピンを投与した場合に達成されるCmax、TmaxおよびAUCと同等の標的溶解の80%~125%を達成するピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の遅延型即時放出ビーズに関する。いくつかの実施形態では、達成される有効性および/または副作用プロファイルは、オキシブチニンの約30分後にピロカルピンを経口投与することによって達成することができるものよりも良好である。
【0103】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズは、対象への本医薬組成物の投与から約10分以内にピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の30%以下を放出し、かつ対象への本医薬組成物の投与から45分後にピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の85%以上を放出する。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズは、対象への本医薬組成物の投与から10分以内にピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の約30%未満、約0%~約25%、約5%~約20%または約10%~約15%を放出する。いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズは、対象への本医薬組成物の投与から約45分以上後にピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の約85%以上、約85%~約100%、約90%~約100%または約95%~約100%を放出する。
【0104】
本明細書に記載されている実施形態では、複数の即時放出ビーズとしてのオキシブチニン成分および複数の遅延型即時放出ビーズとしてのピロカルピン成分は、ビーズ充填のために好適にサイズ決めされたカプセルにカプセル化されている。カプセルはHPMCまたはゼラチンベースの硬カプセルであってもよい。好ましくは、カプセルはサイズ3以下である。
【0105】
本発明の実施形態は、75mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび60mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、7.5mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および7.5mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0106】
本発明の実施形態は、75mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび71.25mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、7.5mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および7.5mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0107】
本発明の実施形態は、75mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび90mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、7.5mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および7.5mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0108】
本発明の実施形態は、75mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび105mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、7.5mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および7.5mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0109】
本発明の実施形態は、75mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび127.5mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、7.5mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および7.5mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0110】
本発明の実施形態は、80mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび47.42mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、2mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および4mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0111】
本発明の実施形態は、80mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび71.13mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、2mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および6mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0112】
本発明の実施形態は、80mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび94.85mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、2mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および8mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0113】
本発明の実施形態は、80mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび47.42mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、4mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および4mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。本発明の実施形態は、40.8mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび47.42mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、4mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および4mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0114】
本発明の実施形態は、80mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび71.13mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、4mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および6mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。本発明の実施形態は、40.8mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび71.13mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、4mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および6mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0115】
本発明の実施形態は、80mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび94.85mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、4mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および8mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。本発明の実施形態は、40.8mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび94.85mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、4mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および8mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0116】
本発明の実施形態は、80mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび47.42mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、6mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および4mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。本発明の実施形態は、61.2mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび47.42mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、6mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および4mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0117】
本発明の実施形態は、80mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび71.13mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、6mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および6mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。本発明の実施形態は、61.2mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび71.13mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、6mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および6mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0118】
本発明の実施形態は、80mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび94.85mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、6mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および8mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。本発明の実施形態は、61.2mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび94.85mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、6mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および8mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0119】
本発明の実施形態は、81.6mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび47.42mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、8mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および4mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0120】
本発明の実施形態は、81.6mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび71.13mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、8mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および6mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0121】
本発明の実施形態は、81.6mgの本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび94.85mgの本明細書に記載されているピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズが充填されたカプセルを含む固定用量医薬組成物であって、8mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩および8mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を送達する固定用量医薬組成物に関する。
【0122】
いくつかの実施形態では、本固定用量医薬組成物のオキシブチニンの複数の即時放出ビーズおよびピロカルピンの複数の遅延型即時放出ビーズは、上に記載されているとおりである。
【0123】
特定の実施形態では、本固定用量医薬組成物は、8mgのオキシブチニン総量を与えるオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび8mgのピロカルピン総量を与えるピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む。
【0124】
特定の実施形態では、本固定用量医薬組成物は、6mgのオキシブチニン総量を与えるオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび6mgのピロカルピン総量を与えるピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む。
【0125】
特定の実施形態では、本固定用量医薬組成物は、4mgのオキシブチニン総量を与えるオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび4mgのピロカルピン総量を与えるピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む。
【0126】
特定の実施形態では、本固定用量医薬組成物は、8mgのオキシブチニン総量を与えるオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび6mgのピロカルピン総量を与えるピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む。
【0127】
特定の実施形態では、本固定用量医薬組成物は、8mgのオキシブチニン総量を与えるオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび4mgのピロカルピン総量を与えるピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む。
【0128】
特定の実施形態では、本固定用量医薬組成物は、6mgのオキシブチニン総量を与えるオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび8mgのピロカルピン総量を与えるピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む。
【0129】
特定の実施形態では、本固定用量医薬組成物は、6mgのオキシブチニン総量を与えるオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび4mgのピロカルピン総量を与えるピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む。
【0130】
特定の実施形態では、本固定用量医薬組成物は、4mgのオキシブチニン総量を与えるオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび8mgのピロカルピン総量を与えるピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む。
【0131】
特定の実施形態では、本固定用量医薬組成物は、4mgのオキシブチニン総量を与えるオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよび6mgのピロカルピン総量を与えるピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズ、およびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む本明細書に記載されている固定用量医薬組成物は、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間または少なくとも24週間にわたって25℃/60%相対湿度(RH)で安定である。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズ、およびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む本明細書に記載されている固定用量医薬組成物は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間または少なくとも24ヶ月間にわたって25℃/60%相対湿度(RH)で安定である。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズ、およびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む本明細書に記載されている固定用量医薬組成物は、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間または少なくとも24週間にわたって30℃/75%RHで安定である。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズ、およびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む本明細書に記載されている固定用量医薬組成物は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間または少なくとも12ヶ月間にわたって30℃/75%RHで安定である。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズ、およびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む本明細書に記載されている固定用量医薬組成物は、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間または少なくとも24週間にわたって40℃/75%RHで安定である。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズ、およびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む本明細書に記載されている固定用量医薬組成物は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも3ヶ月間または少なくとも6ヶ月間にわたって40℃/75%RHで安定である。いくつかの実施形態では、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズ、およびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズを含む本明細書に記載されている固定用量医薬組成物は、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間または少なくとも24週間にわたって50℃/周囲条件(AMB)で安定である。
【0133】
本医薬組成物は医薬品に含まれる従来の成分、例えば1種以上の担体、結合剤、滑沢剤、賦形剤(例えば、制御放出特性を付与するため)、pH調整剤、甘味料、増量剤、着色料またはさらなる活性薬剤を含むこともできる。
【0134】
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサールおよびそれらの任意の組み合わせなどの微生物の増殖を予防または阻止するための抗菌剤も含んでいてもよい。
【0135】
また1種以上の抗酸化剤を用いてもよい。本医薬組成物の酸化およびひいては劣化を減少または予防することができる抗酸化剤としては、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムおよびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0136】
また1種以上の界面活性剤が本発明の医薬組成物に含まれていてもよい。例えば好適な界面活性剤としては、限定されるものではないが、Tween20およびTween80などのポリソルベート、F68およびF88(BASF社、ニュージャージー州マウントオリーブ)などのプルロニック、ソルビタンエステル、レシチンなどのリン脂質などの脂質および他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン(但し、好ましくはリポソーム形態ではない)、脂肪酸および脂肪酸エステル、コレステロールなどのステロイド、EDTAなどのキレート剤ならびに亜鉛および他のカチオンが挙げられる。
【0137】
また酸または塩基が本発明の医薬組成物中に存在していてもよい。例えば酸としては限定されるものではないが、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。塩基の例としては限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウムおよびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0138】
経口投与用医薬組成物中の任意の個々の賦形剤の量は、賦形剤の性質および機能、経口投与送達媒体および本医薬組成物の特定の必要性によって異なる。場合によっては、日常的な実験法により、すなわち様々な量の賦形剤(少ない量から多くの量まで)を含む医薬組成物を調製し、その安定性および他のパラメータを調べ、次いで有意な有害作用なしに最適な性能が達成される範囲を決定することにより、任意の個々の賦形剤の最適量を決定する。但し一般に賦形剤は、30重量%未満を含む約15重量%~約95重量%の賦形剤などの約5重量%~約98重量%などの約1重量%~約99重量%の量で経口投与用医薬組成物中に存在する。医薬用賦形剤については目的の医薬組成物に用いることができる他の賦形剤と共に「Remington:The Science&Practice of Pharmacy」,第19版,Williams&Williams,(1995),「The Physician’s Desk Reference」,第52版,Medical Economics,ニュージャージー州モントベール(1998)、およびKibbe,A.H.,「Handbook of Pharmaceutical Excipients」,第3版,American Pharmaceutical Association,ワシントンD.C.,2000に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0139】
本医薬組成物が経口製剤である場合、本医薬組成物は、例えばラクトース、マンニトール、コーンスターチまたはジャガイモ澱粉などの従来の添加剤、結晶性セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンなどの結合剤、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉またはカルボキシルメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および所望であれば希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤および着香料を含む、錠剤、粉末、顆粒またはカプセルを作製するために適当な添加剤を含んでいてもよい。
【0140】
多汗症を治療するための方法
いくつかの実施形態は、本明細書に記載されている固定用量医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、多汗症を治療する方法に関する。
【0141】
いくつかの実施形態は、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズおよびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズの組み合わせを含む固定用量医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、多汗症を治療する方法に関する。
【0142】
いくつかの実施形態では、本固定用量医薬組成物をそれを必要とする対象に経口投与する。いくつかの実施形態では、本固定用量医薬組成物を必要に応じて1日2回、1日2回または1日3回投与する。好ましい実施形態では、本固定用量医薬組成物を1日2回投与する。
【0143】
いくつかの実施形態では、多汗症は原発性(局所)多汗症、続発性多汗症、腋窩多汗症、手掌多汗症、足底多汗症、頭蓋顔面多汗症、全身性多汗症または術後の代償性発汗からなる群から選択される。
【0144】
いくつかの実施形態では、多汗症を治療することは、対象によって報告されるか重量測定評価、多汗症疾患重症度評価尺度(HDSS)、経表皮水分蒸散量(例えば、水分蒸散計、Delfin Technologies社、フィンランドのクオピオ)による測定、多汗症視覚的定量化尺度(HHVQS、例えばHHVQSaまたはHHVQSp)、多汗症視覚的アナログ尺度(HHVAS)またはそれらの任意の組み合わせによって決定される対象による過剰な発汗を約5%以上、10%以上、20%以上、25%以上、50%以上、75%以上、90%以上または99%以上減少させるなど、対象によって経験される過剰な発汗を減少させることを含む。他の実施形態では、多汗症を治療することは対象によって経験される過剰な発汗をなくすことを含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、当該治療は、対象によって報告されるか重量測定評価、多汗症疾患重症度評価尺度(HDSS)、経表皮水分蒸散量(例えば、水分蒸散計、Delfin Technologies社、フィンランドのクオピオ)による測定、多汗症視覚的定量化尺度(HHVQS、例えばHHVQSaまたはHHVQSp)、多汗症視覚的アナログ尺度(HHVAS)またはそれらの任意の組み合わせによって決定される過剰な発汗を約5%~約25%、約25%~約50%、約75%~約90%または約90%~約99%減少させるのに十分である。
【0146】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩は、ドライマウスなどのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩によって引き起こされる1つ以上の副作用を減らす。特定の実施形態では、対象によって報告されるか、ドライマウス視覚的アナログ尺度(DMVAS)、唾液の流れの測定、例えば本明細書に記載されているドライマウス重症度/発生率質問表またはそれらの組み合わせによって評価されるドライマウス副作用を約25%以上、約50%以上、約75%以上、約90%以上、約95%以上または約99%以上減少させる。いくつかの実施形態では、対象によって報告されるか、ドライマウス視覚的アナログ尺度(DMVAS)、唾液の流れの測定、例えば本明細書に記載されているドライマウス重症度/発生率質問表またはそれらの組み合わせによって評価されるドライマウスの重症度を約25%~約50%、約50%~約75%、約75%~約90%、約90%~約95%または約95%~約99%減少させる。いくつかの実施形態では、対象によって報告されるか、ドライマウス視覚的アナログ尺度(DMVAS)、唾液の流れの測定、例えば本明細書に記載されているドライマウス重症度/発生率質問表またはそれらの組み合わせによって評価されるオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩によって引き起こされるドライマウスを完全に軽減させる。
【0147】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩をオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩と共に、対象によって報告されるか、ドライマウス視覚的アナログ尺度(DMVAS)、唾液の流れの測定、例えば本明細書に記載されているドライマウス重症度/発生率質問表またはそれらの組み合わせによって評価される中度から重度のドライマウスの発生回数を約25%~約50%、約50%~約75%、約75%~約90%、約90%~約95%または約95%~約99%減らすのに十分な量で対象に投与する。
【0148】
いくつかの実施形態では、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩をオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩と共に、対象によって報告されるか、ドライマウス視覚的アナログ尺度(DMVAS)、唾液の流れの測定、例えば本明細書に記載されているドライマウス重症度/発生率質問表またはそれらの組み合わせによって評価されるオキシブチニンによって引き起こされる中度または重度のドライマウスの発生回数を完全になくすのに十分な量で対象に投与する。
【0149】
本明細書に記載されている実施形態は、本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩およびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の固定用量医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む多汗症を治療する方法であって、本固定用量医薬組成物の経口投与により標的PKプロファイルに到達させる方法に関する。本明細書で使用される「PKプロファイル」は、血液または血漿中の薬物濃度のプロファイルを指す。そのようなプロファイルは、経時的な薬物濃度の関係(すなわち、「濃度-時間PKプロファイル」)または投与される用量の回数に対する薬物濃度の関係(すなわち、「濃度-用量PKプロファイル」)であってもよい。PKプロファイルはPKパラメータによって特徴づけられる。本明細書で使用される「PKパラメータ」は、1)「薬物Cmax」すなわち血液または血漿中の達成される薬物の最大濃度、2)「薬物Tmax」すなわちCmaxを達成するための摂取後経過時間、および3)「薬物曝露」すなわち選択された期間(t)にわたる薬物放出の時間経過の曲線下面積(AUC)を用いて測定することができる、選択された期間にわたって血液または血漿中に存在する薬物の総濃度などの、血液または血漿中の薬物濃度の尺度を指す。1つ以上のPKパラメータの修正は修正されたPKプロファイルを提供する。
【0150】
本明細書に記載されている実施形態は、本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩およびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の固定用量医薬組成物をそれを必要とする対象に経口投与することを含む多汗症を治療する方法であって、本固定用量医薬組成物の経口投与により、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩では約3ng/ml~約6ng/ml、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩では約23ng/ml~約30ng/mlの標的Cmaxに到達させる方法に関する。
【0151】
本明細書に記載されている実施形態は、本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩およびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の固定用量医薬組成物をそれを必要とする対象に経口投与することを含む多汗症を治療する方法であって、本固定用量医薬組成物の経口投与により、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩では約0.75時間~約1時間、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩では約1.75時間~約2時間の標的Tmaxに到達させる方法に関する。
【0152】
本明細書に記載されている実施形態は、本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩およびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の固定用量医薬組成物をそれを必要とする対象に経口投与することを含む多汗症を治療する方法であって、本固定用量医薬組成物の経口投与により、オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩では約8ng*hr/ml~約12ng*hr/ml、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩では約67ng*hr/ml~約85ng*hr/mlの標的AUCに到達させる方法に関する。
【0153】
本明細書に記載されている実施形態は、本明細書に記載されているオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩およびピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の固定用量医薬組成物をそれを必要とする対象に経口投与することを含む多汗症を治療する方法であって、固定用量医薬組成物の経口投与により、オキシブチニンから約30分後にピロカルピンを投与した場合に達成されるCmax、TmaxおよびAUCと同等の標的溶解の80%~125%を達成する方法に関する。
【0154】
上記実施形態では、達成される有効性および/または副作用プロファイルは、オキシブチニンの約30分後にピロカルピンを経口投与することによって達成することができるものよりも良好である。
【0155】
本明細書に記載されている実施形態は、オキシブチニン成分およびピロカルピン成分を含む固定用量医薬組成物をそれを必要とする対象に経口投与することを含む多汗症を治療する方法であって、本固定用量医薬組成物の経口投与により、投与から10分以内にピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の30%以下を放出し、投与から45分後に85%以上を放出し、かつ投与から10分以内にオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の90%超を放出する方法に関する。
【0156】
本明細書に記載されている主題の実施形態を含む態様は単独で、あるいは1つ以上の他の態様または実施形態と組み合わせたものが有利であり得る。上記説明を限定するものではないが、1~40の番号が付されている本開示の特定の非限定的な態様が以下に提供されている。本開示を読めば当業者には明らかであるように、個々に番号が付された態様のそれぞれを先行または後続する個々に番号が付された態様のいずれかと共に使用したり、それらと組み合わせたりしてもよい。これは態様の全てのそのような組み合わせの支持を提供することを意図しており、以下に明示的に提供されている態様の組み合わせに限定されない。
1.オキシブチニン成分およびピロカルピン成分を含む固定用量医薬組成物であって、
前記オキシブチニン成分は複数の即時放出ビーズであり、各即時放出ビーズは、
約450μm~約700μmの直径を有する前記即時放出ビーズの不活性コアと、
前記即時放出ビーズの前記不活性コア上にコーティングされたオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩を含む前記即時放出ビーズの薬物層と
を含み、かつ
前記ピロカルピン成分は複数の遅延型即時放出ビーズであり、各遅延型即時放出ビーズは、
約250μm~約700μmの直径を有する前記遅延型即時放出ビーズの不活性コアと、
前記遅延型即時放出ビーズの前記不活性コア上にコーティングされたピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を含む前記遅延型即時放出ビーズの薬物層と、
前記遅延型即時放出ビーズの前記薬物層上にコーティングされた前記遅延型即時放出ビーズの遅延放出コーティングと
を含み、
ここでは前記オキシブチニン成分は約2mg~約10mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩を含み、かつ
前記ピロカルピン成分は約2mg~約10mgのピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩を含む固定用量医薬組成物。
2.前記複数の即時放出ビーズおよび前記複数の遅延型即時放出ビーズはサイズ3のカプセルにカプセル化されている、1に記載の固定用量医薬組成物。
3.前記即時放出ビーズのそれぞれは前記即時放出ビーズの前記薬物層上にコーティングされたシールコーティングをさらに含む、1に記載の固定用量医薬組成物。
4.前記即時放出ビーズの前記シールコーティングは前記即時放出ビーズの約0.5%~約5.0%重量/重量である、3に記載の固定用量医薬組成物。
5.前記即時放出ビーズの前記不活性コアは前記即時放出ビーズの約70%~約95%重量/重量の微結晶性セルロース球である、1に記載の固定用量医薬組成物。
6.前記即時放出ビーズの前記薬物層は結合剤および粘着防止剤をさらに含む、1に記載の固定用量医薬組成物。
7.前記オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩は前記即時放出ビーズの約2%~約15%重量/重量であり、前記結合剤は前記即時放出ビーズの約2%~約15%重量/重量であり、かつ前記粘着防止剤は前記即時放出ビーズの約1%~約10%重量/重量である、6に記載の固定用量医薬組成物。
8.前記オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は約1:1である、6に記載の固定用量医薬組成物。
9.前記結合剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であり、かつ前記粘着防止剤はタルクである、6に記載の固定用量医薬組成物。
10.塩化オキシブチニンは前記即時放出ビーズの約9.8%重量/重量であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は前記即時放出ビーズの約9.8%重量/重量であり、かつタルクは前記即時放出ビーズの約4.9%重量/重量である、9に記載の固定用量医薬組成物。
11.前記オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズは、対象へ前記固定用量医薬組成物の投与から約10分以内にオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の約90%以上、約95%以上、約99%以上または100%を放出する、1に記載の固定用量医薬組成物。
12.前記遅延型即時放出ビーズの前記不活性コアは前記遅延型即時放出ビーズの約10%~約75%重量/重量の微結晶性セルロース球である、1に記載の固定用量医薬組成物。
13.前記遅延型即時放出ビーズの前記薬物層は結合剤および粘着防止剤をさらに含む、1に記載の固定用量医薬組成物。
14.前記遅延型即時放出ビーズの前記薬物層は、前記遅延型即時放出ビーズの約5%~約15%重量/重量のピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩、前記遅延型即時放出ビーズの約1%~約15%重量/重量の前記結合剤、および前記遅延型即時放出ビーズの約1%~約10%重量/重量の前記粘着防止剤を含む、13に記載の固定用量医薬組成物。
15.前記ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は約5:1である、13に記載の固定用量医薬組成物。
16.前記薬物層は塩酸ピロカルピン、前記結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および前記粘着防止剤としてタルクを含む、13に記載の固定用量医薬組成物。
17.塩酸ピロカルピンは前記遅延型即時放出ビーズの約8.43%重量/重量であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は前記遅延型即時放出ビーズの約1.69%重量/重量であり、かつタルクは前記遅延型即時放出ビーズの約2.53%重量/重量である、請求項16に記載の固定用量医薬組成物。
18.前記遅延型即時放出ビーズの前記遅延放出コーティングは、孔形成剤、水不溶性ポリマーおよび可塑剤を含む、1に記載の固定用量医薬組成物。
19.前記孔形成剤は前記遅延型即時放出ビーズの約1%~約35%重量/重量であり、前記水不溶性ポリマーは前記遅延型即時放出ビーズの約5%~約35%重量/重量であり、かつ前記可塑剤は前記遅延型即時放出ビーズの約1%~約10%重量/重量である、18に記載の固定用量医薬組成物。
20.前記孔形成剤:水不溶性ポリマー比は約1:3である、18に記載の固定用量医薬組成物。
21.前記遅延放出コーティングは前記孔形成剤としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、前記水不溶性ポリマーとしてエチルセルロース(EC)、および前記可塑剤としてセバシン酸ジブチルを含む、18に記載の固定用量医薬組成物。
22.前記遅延放出コーティングは、前記遅延型即時放出ビーズの2.66%重量/重量のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、前記遅延型即時放出ビーズの7.97%重量/重量のエチルセルロース(EC)、および前記遅延型即時放出ビーズの1.18%重量/重量のセバシン酸ジブチルを含む、21に記載の固定用量医薬組成物。
23.前記遅延型即時放出ビーズのそれぞれは前記遅延型即時放出ビーズの前記遅延放出コーティング上にコーティングされたシールコーティングをさらに含む、1に記載の固定用量医薬組成物。
24.前記遅延型即時放出ビーズの前記シールコーティングは前記遅延型即時放出ビーズの約0.5%~約5.0%重量/重量である、23に記載の固定用量医薬組成物。
25.前記ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の複数の遅延型即時放出ビーズは、対象への前記医薬組成物の投与から10分でピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の30%以下、45分でピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩の85%以上を放出する、1に記載の固定用量医薬組成物。
26.複数の即時放出ビーズを含み、各ビーズは、
約450μm~約700μmの直径を有する前記即時放出ビーズの不活性コアと、
前記即時放出ビーズの前記不活性コア上にコーティングされたオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩を含む前記即時放出ビーズの薬物層と
を含み、
ここでは前記複数の即時放出ビーズは約2mg~約10mgのオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の総量を含む医薬組成物。
27.前記即時放出ビーズの前記薬物層はシールコートでさらにコーティングされている、26に記載の医薬組成物。
28.前記即時放出ビーズの前記シールコートは前記即時放出ビーズの約0.5%~約5.0%重量/重量である、27に記載の医薬組成物。
29.前記即時放出ビーズの前記不活性コアは前記即時放出ビーズの70%~約95%重量/重量の微結晶性セルロース球を含む、26に記載の医薬組成物。
30.前記即時放出ビーズの前記薬物層は結合剤および粘着防止剤をさらに含む、26に記載の医薬組成物。
31.前記即時放出ビーズの前記薬物層は前記即時放出ビーズの約2%~約15%重量/重量のオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩、前記即時放出ビーズの約2%~約15%重量/重量の前記結合剤、および前記即時放出ビーズの約1%~約10%重量/重量の前記粘着防止剤を含む、30に記載の医薬組成物。
32.前記オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩:結合剤比は約1:1である、30に記載の医薬組成物。
33.前記即時放出ビーズの前記薬物層は、塩化オキシブチニン、前記結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および前記粘着防止剤としてタルクを含む、30に記載の医薬組成物。
34.塩化オキシブチニンは前記即時放出ビーズの約9.8%重量/重量であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は前記即時放出ビーズの約9.8%重量/重量であり、かつタルクは前記即時放出ビーズの約4.9%重量/重量である、33に記載の医薬組成物。
35.前記オキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の複数の即時放出ビーズは、対象への前記医薬組成物の投与から約10分以内にオキシブチニンまたはその薬学的に許容される塩の約90%以上、約95%以上、約99%以上または100%を放出するように製剤化されている、26に記載の医薬組成物。
36.1に記載の固定用量医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、多汗症を治療する方法。
37.前記多汗症は原発性(局所)多汗症、続発性多汗症、腋窩多汗症、手掌多汗症、足底多汗症、頭蓋顔面多汗症、全身性多汗症および術後の代償性発汗からなる群から選択される、36に記載の方法。
38.過剰な発汗を約5%以上、10%以上、20%以上、25%以上、50%以上、75%以上、90%以上または99%以上減少させる、37に記載の方法。
39.オキシブチニンによって引き起こされる1つ以上の副作用を減少させる、36に記載の方法。
40.前記1つ以上の副作用はドライマウスを含む、39に記載の方法。
【実施例
【0157】
実施例1:ピロカルピン放出プロファイル
遅延放出コーティングの重量増加率(%)の上昇と共に遅延放出(tlag)が増加すると共に、それによりtlag後にピロカルピンの放出を減速させることができた。この高い重量増加率(%)における遅い薬物放出の効果に対抗するために、薬物層における薬物:結合剤比を1:1から2:1に増加させた。高水溶性薬物であるピロカルピンは浸透剤として機能することができ、ビーズの中への急速な水の取込みが生じ、より速い放出が生じると仮定した。図1は、ポリマー積層の重量増加率(%)と比較したピロカルピンビーズの遅延放出プロファイルを示す。図2は、様々な重量増加率(%)の間での経時的に溶解したピロカルピンの割合(%)を比較している。
【0158】
実施例2:ビーズに対するオキシブチニン顆粒
図3は、経時的に溶解したオキシブチニンの割合(%)に関してオキシブチニンのビーズおよび顆粒製剤を比較しており、破線は75%の溶解を意味している。図4は、オキシブチニンビーズの溶解プロファイルを提供し、ここでは結合剤をHPMCからPVPに変え、かつ薬物:結合剤比を1:1から5:1(より少ない結合剤)に変えた。オキシブチニンビーズ溶解データは、顆粒と比較したより低い薬物放出およびより高い可変性を示唆している。
【0159】
オキシブチニンビーズの開発は、表1に示されている配合で開始した。
【表1】
【0160】
実施例3:多粒子技術:即時および遅延放出のために流動床コーティングを用いて噴霧積層された非晶質分散体
目的:多粒子(ペレット、ビーズ、ミニ錠剤)は、過量放出懸念がないこと、強さ調整による柔軟性、溶解プロファイルの調整容易性、および製品差別化(製品寿命管理、組み合わせ製品、特殊患者集団)を含む、モノリシック剤形に勝るいくつかの利点を提供する。非晶質固体分散製剤は難水溶性薬物の溶解性および経口生物学的利用能を高めるために広く使用されており、噴霧乾燥または加熱溶融押出のいずれかを用いて一般に製造される。しかし、その配合/プロセス開発およびスケールアップはこれらの技術について多くの課題をもたらす。本研究では、薬物(オキシブチニン)の非晶質固体分散製剤は、即時放出(IR)のために1段階流動床コーティング技術により調製した。さらに機能性コーティングを用いてIRビーズからの当該薬物の放出を修正して遅延薬物放出を達成して、臨床試験のためのインビボでの薬物動態学的要件を満たした。
【0161】
結果:2種類の異なる結合剤(HPMCおよびPVP)を用いて薬物積層(IR)ビーズを調製し、オキシブチニン(薬物X)の固体についてXRPDを用いて分析し、その結果から、当該薬物が非晶質状態にあることが実証された(図5)。溶媒、薬物:結合剤比、結合剤の種類、コーティングのレベルおよび粘着防止剤のレベルの溶解に対する効果を調べた。オキシブチニン/HPMC固体分散体(IRビーズ)の溶解により急速な放出が得られたが、その薬物放出は粘着防止剤としてのタルクの存在が原因で、予期したものよりも遅かった(図6a)。結合剤としてのPVPの使用により、HPMCと比較してより速い溶解が生じるが、PVPによる処理は困難であり、検討されなかった。エチルセルロース障壁コーティングを用いて薬物放出開始時間を修正し、異なる障壁コーティングレベルによる溶解プロファイルを評価した(図6b)。遅延時間(単位:分)は、IRビーズに適用された重量増加率(%)レベル(50%~240%)に対して線形従属を示した。経験的モデルを開発して重量増加率%(障壁-コーティング)を遅延時間(分)と相関させ、これを使用して所望の遅延時間を達成するために必要な重量増加率(%)を予測した(図7a)。さらにCamsizerからの粒径データ(d50)を使用して、薬物積層および機能性コーティング後のビーズの成長を推定した。エンドポイントの決定のために、重量増加率%(障壁-コーティング)とd50(mm)と遅延時間(分)との関係を確立した(図7b)。
【0162】
結論:本研究では、流動床コーティング技術を用いて固体分散体を調製する実行可能性を調べ、経験的モデリングを用いて溶解に対する機能性コーティングの効果を調べた。この結果は、流動床コーティング技術が非晶質固体分散体の調製において潜在的使用を有することを示している。さらに流動床コーティング技術を使用して、機能性コーティングを用いて固体分散体の放出を修正した。この技術は非晶質固体分散製剤の製造およびスケールアップに適用することができる。
【0163】
実施例4:オキシブチニンCL薬物積層(DL)ビーズの製造プロセスおよび配合
より小さいビーズを用いてオキシブチニンCl薬物積層(DL)ビーズを開発して用量単位体積を減少させ、かつサイズ3のカプセルへの組み合わせ製剤DMVT-504、すなわちピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズ+オキシブチニンCl薬物積層ビーズの組み合わせのカプセル化を可能にした。表2および表3の配合に従い、公知の処理条件を用いてオキシブチニンCl薬物積層(DL)ビーズを製造した。
【表2】


【表3】
【0164】
考察
薬物積層:第II相臨床試験での使用のためのオキシブチニンClビーズ最適化の目的は2つであった。第1に、機械充填できるだけでなく様々なピロカルピンHClビーズ充填重量を含む様々な充填重量として、サイズ3の硬ゼラチンカプセルシェルの中に収まることもできるビーズを作製することである。第2に、そのインビボPKプロファイルを変えることなく第I相のビーズに対してオキシブチニンClビーズのサイズを減少させることである。これらの目的を達成するために2つの戦略を調査した。
【0165】
第1の戦略は、より少ないタルクおよび結合剤を使用してオキシブチニンClを700μmコアビーズに充填し、それにより得られるビーズのサイズを減少させることであった。この戦略は、オキシブチニンClとHMPC結合剤との相互作用が原因でかなり難しいことが分かった。結合剤レベル(薬物:結合剤比)を減少させることによりビーズの表面における薬物内容物の量が増加するにつれて、処理中およびその後のバルク包装中にビーズが互いに付着する傾向が強まる。プロセスパラメータ調整により、この発生はなくならなかった。当該薬物はビーズの表面で乾燥した後に粘着性であり、それを結合剤で希釈して薄めることが、これを生じさせないようにするための唯一の方法であった。従ってこの戦略により、第I相のオキシブチニンClビーズのサイズを直接減少させることはできなかった。
【0166】
そのため第2のサイズ減少戦略に至り、それはより小さい開始基材ビーズを使用することであった。開始基材ビーズをMCC-700(700~1000μm)からMCC-500(500~750μm)に減少させた。薬物:結合剤比を常に1:1の薬物:結合剤またはより高い結合剤レベルに設定するという点で上に記載されている学習を使用して、MCC-500ビーズの開発を開始した。主にコーティング懸濁液の高い粘度に起因する新しい問題が直ちに観察された。オキシブチニンClビーズが凝集するか、かなりの噴霧乾燥を処理中に行うことになる。いずれの場合にも得られるビーズは常に許容し難い程に低いアッセイ値を有していた。そのため現在のプロセスは噴霧乾燥であり、かつ有効成分の一部が当該基材上にコーティングされないという結論に至った。
【0167】
タルクレベルを増減させたが効果はなかった。コーティング懸濁液の固形分(%)を15~20%の固体から調べたが効果はなかった。コーティング溶液中の溶媒の組成を100%の水と83:17の水:エチルアルコールとの間で変えたが効果はなかった。
【0168】
ビーズが互いに付着するのを防止するために、結合剤の量をコーティング溶液中の薬物の量とほぼ等しくすることが望ましいということが分かった。高い結合剤レベルはコーティング溶液を非常に粘性にさせる。コーティング溶液の粘度により、液体を細かい液滴に剪断するための高い噴霧空気圧(2~5バール)およびビーズ上の粘着性液滴を乾燥するための高い製品温度(52~58℃)などの攻撃的な処理パラメータとなる。高い噴霧空気圧および製品温度により噴霧乾燥を行う結果となる可能性があり、次いでそれが低いアッセイ値に繋がる。コーティング溶液の噴霧乾燥を防止するために、次の工程は溶液粘度を著しく低下させることであり、従って攻撃的がより少ないコーティング条件を使用することができた。
【0169】
安定性:以下のバッチのオキシブチニンClビーズを、最適化されたパラメータおよび本明細書において特定されている配合を用いて製造した。さらに、各バッチを透明のオパドライ:タルク懸濁液でオーバーコーティングしてカプセル化作業中にオペレーターを保護し、かつそれらをピロカルピンHClビーズと区別した。
【0170】
結論:オキシブチニンClビーズの配合を最適化させて、許容される重量制御により自動化充填プロセスのために許容され、かつサイズ3のカプセルの中に残っている十分な体積により、DMVT-504製品においてカプセル当たり4mgおよび8mgのピロカルピンHClの様々なレベルの8.43%w/wのピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズを充填することが可能になるより小さいビーズ製品を作製した。MCSは、最初に開始基材ビーズをMCC-500(500~750μm)開始サイズに減少させて当該製品の全体的な充填体積を減少させることにより、オキシブチニンCl薬物積層ビーズを最適化させた。第2に、透明なシールコートを薬物積層ビーズに追加して、それをDMVT-504製品に含まれている青色のコーティングされたピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズと区別し、かつカプセル化プロセス中にオペレーターのためにオキシブチニンCl粉塵への曝露を制限するためのシールコートを与えた。
【0171】
薬物の積層:開始基材サイズをMCC-700ビーズからMCC-500ビーズまで減少させて、当該製品の放出プロファイルに影響を与えることなく最終オキシブチニンCl薬物積層ビーズのサイズを有効に減少させた。当該薬物積層製剤はオキシブチニンClの粘着性を理由に、25%w/wのタルクと共に元の1:1のAPI:HPMC比から修正しなかった。但し処理を助け、かつコーティングプロセス中の噴霧乾燥を減少させるために、薬物積層懸濁液を76:24の水:エチルアルコール溶媒比を有する23.4%w/wの全固形分から、80:20の水:エチルアルコールの溶媒比を有する10%w/wの全固形分懸濁液に希釈した。しかしこの変更により製造時間が2倍以上延びた。
【0172】
この製品の最適化を上手く完了し、4mgおよび8mgの用量レベルで、ピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズと同時にサイズ3のカプセルの中に上手く充填することができる最終オキシブチニンCl薬物積層製品を達成した。
【0173】
実施例5:ピロカルピンビーズの最適化
先に配合した遅延放出コーティングビーズを塩化オキシブチニン(オキシブチニンCl)ビーズと共にカプセルの中に充填したが、ピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズは許容される自動化充填プロセス制御には大き過ぎた。以下は、自動カプセル充填機によるカプセル化のために許容されるより小さい開始MCC球を用いて再配合したピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズである。
【0174】
ピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズ(先に配合:配合A)は、700~1000μm開始サイズであり、次いで10%セバシン酸ジブチルを含む1:1比のエチルセルロース:ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EXF)でポリマーコーティングされた微結晶性セルロース(MCC)球上に、1:1のAPI:HPMC比で12.5%w/wのピロカルピンHClが薬物積層されていた。第I相臨床試験からの臨床データに基づいて、最適化されたピロカルピンHCl製剤のために30分間の標的化遅延放出を選択した。さらに当該製品に青色のHPMCコーティングを施した。このシールコーティングの目的は2つであった。第1に、シールコーティングを施して、ピロカルピンHClコーティングビーズとオキシブチニンClコーティングビーズとの間に障壁を設けることにより、場合により固定用量組み合わせ製品の安定性を高めた。第2に、青色のシールコート層により、ピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズをオキシブチニンCl薬物積層ビーズと区別する。
【0175】
ピロカルピンHCl薬物の積層
より小さいビーズ製剤を達成するために、3つの異なるサイズの開始MCC球を評価した。200~350μm(MCC-200)、350~500μm(MCC-350)および500~700μm(MCC-500)の様々なサイズを有するMCC球をそれぞれ、5:1のAPI:HPMC比の10%w/wのピロカルピンHClでコーティングした。製造の容易さおよび許容される最終コーティングビーズサイズに基づいて、MCC-500球を最も実行可能な基材として選択した。
【0176】
表4(10%)、表5(8.77%)および表6(8.43%)の配合に従い、公知の処理条件を用いてピロカルピンHCl薬物積層(DL)ビーズを製造した。
【表4】


【表5】
【表6】
【0177】
C2からのAPIを含むピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズのバッチを製造するために使用される配合およびプロセスパラメータは、Iwaki社製APIを用いて製造するものに完全に適用可能であった。両方のAPI源によって共有される重要な品質としては、薬物積層溶液を調製するための水への急速溶解性および図14の下に示されている最終ビーズと同等の溶解プロファイルが挙げられる。
【0178】
考察
ピロカルピンHCL遅延型即時放出ビーズの投与体積を減少させ、かつ自動カプセル化機上での許容される重量制御を可能にするために、ピロカルピンビーズを2つの別個の手法を用いて再配合した。第1の手法は、ピロカルピンHCL薬物積層ビーズのサイズを減少させることであった。第2の手法は機能性ポリマーコートのコーティングレベルを低下させることであった。さらに、ピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズの機能性コートを塩化オキシブチニンビーズから分離すると共に、これらの2つのビーズの視覚的区分を与えるためにシールコートを施した。
【0179】
得られるビーズが第I相のピロカルピンHClビーズから得られた溶解プロファイルに一致するかそれよりも僅かに速くなるような方法で、これらの修正の全てを組み込んだ。従って、10分で30%以下が放出され、かつ45分で85%以上が放出されるという要件を満たさなければならない。
【0180】
ピロカルピンHCl薬物積層ビーズプロセスの開発:以下の考えを考慮してピロカルピン薬物積層ビーズのサイズを減少させた。
・開始微結晶性セルロース(MCC)ビーズサイズを減少させる。
・MCCビーズへの薬物充填を20%w/wから10%w/wに減少させる。
・ビーズ製剤中の結合剤レベルを1:1から5:1の薬物:結合剤に減少させる。
【0181】
当該製品の再配合中にMCC球の3つの異なるサイズを評価すると同時に、結合剤レベルを5:1の薬物:結合剤に減少させ、かつ微結晶性セルロースビーズへの薬物充填を10%w/wに減少させる。MCC-200(200~350μm)、MCC-350(350~500μm)およびMCC-500(500~750μm)を全て、5:1の薬物:HPMC比を有する10%w/wの薬物層でコーティングした。
【0182】
ピロカルピンHClポリマー層プロセス開発:上述のようにピロカルピンHCl薬物積層ビーズのサイズを減少させた後に、次の開発段階は機能性ポリマーコートのコートレベルを減少させることに焦点を当てた。以下の考えを機能性ポリマーコートに組み込んでピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズのサイズを減少させた。
・薬物積層ビーズのサイズを変える(350または500μm)。
・コート組成すなわちエチルセルロース:ヒドロキシプロピルセルロース比を変える。
・機能性コートの重量増加を変える。
【0183】
第1に、薬物積層ビーズサイズがポリマーコート要件に対してどんな効果を有するかを検討することが重要である。溶解プロファイルに対するビーズサイズの効果の簡単な考察が以下に示されている。
【0184】
バッチ18/1557-15Cおよび18/1556-65A薬物積層ビーズを、3:1のEC:HPC比および10%のセバシン酸ジブチルを含むポリマー層でさらにコーティングした。以下の図15は、開始基材のサイズのみについての溶解に対する効果を示す。500μmの薬物積層ビーズを選択するための決定において他の因子を検討し、それらが表7に示されている。


【表7】
【0185】
ピロカルピンHCl DRビーズのサイズを減少させるために探求された第2の因子は、ポリマーコート組成を変えることであった。これらの実験では、エチルセルロース(水不溶性ポリマー):ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(水溶性ポリマー)比を1:1から2:1、3:1に変えた。図16に示すように、エチルセルロースレベルが1:1から3:1に増加するにつれて溶解速度は減少する。3:1のポリマー組成は1:1または2:1のいずれかよりも非常にゆっくりであるため、この関係は線形ではないことに留意されたい。従って、かなりより少ないポリマーコートを使用して第I相のピロカルピンHClビーズプロファイルに一致させることが可能となる。第I相のビーズは1:1のエチルセルロース:HPCの60%w/wのコートを用いて製造したため、3:1のコート組成および20%w/w未満のコートレベルを有する同様のピロカルピンビーズはかなりより小さくなる。この理由のために、3:1のエチルセルロース:HPC比を最終ピロカルピンHCl DRビーズ設計に組み込んだ。
【0186】
500μmに設定した開始ビーズサイズおよび3:1のエチルセルロース:HPCに設定したコート組成という因子と共に設定する第3の因子はコートレベルであった。図17はコートレベルの関数としての溶解速度の関係を示す。コートレベルが増加するにつれて溶解速度は減少する。12.5~17.5%w/wのコートレベルを第I相の溶解プロファイルとまとめた。
【0187】
当該製品のためのポリマーコーティングレベルの最終決定は、主としてバッチ19684-92から収集された分析データに基づいていた。このバッチを17.5%のコーティングレベルまで3:1のEC:HPC比を有するポリマー層でコーティングし、さらに試料を除去し、12.5%および15%の重量増加で試験した。15%および17.5%のコーティングレベルはどちらも、第I相のCTM標的化放出プロファイルの放出速度に対して同様の放出プロファイル曲線を有する。15%のコーティングレベルは僅かにより速く放出した(図16を参照)。シールコーティング層が薬物の放出を僅かに遅らせるはずであるという理論に基づき、14%のポリマーコーティングレベルを選択した。
【0188】
ピロカルピンHCl遅延型即時放出シールコーティング層プロセスの開発:DMVT-504製品内のピロカルピンHClビーズとオキシブチニンClビーズとの間に障壁を設け、かつピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズをオキシブチニンClビーズと区別するために、青色のオパドライ03K105035のシールコーティングをピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズの上にコーティングした。青色のオパドライ03K105035および精製水の10%w/wの全固形分懸濁液を用いて、バッチ19684-22をコーティングした。このバッチを4%の重量増加までコーティングし、さらなる試料を2%および3%のコーティング重量増加でこのバッチから取り出した。
【0189】
ピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズ(バッチ19684-92-17.5)を4%の重量増加のオパドライでコーティングした。このバッチを溶解について試験して当該製品の溶解に対するシールコート層の効果を決定した。予期したとおり、シールコーティングされたバッチは非コーティングバッチよりも僅かにゆっくり放出した。図18を参照されたい。
【0190】
結論:ピロカルピンビーズ最適化の目的は、許容される重量制御により自動カプセル充填機でカプセル化することができる製品を作製することであった。先の試みでは、許容される自動化充填プロセス制御のために大き過ぎる12.5%w/wのピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズを用いて配合した。従って、サイズ3の硬ゼラチンカプセルの中への自動カプセル充填機によるカプセル化のために許容されるより小さい開始MCC球を用いて、ピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズを再配合した。
【0191】
ピロカルピンHCl薬物積層ビーズを、MCC700(700~1000μm)からより小さいMCC-500(500~750μm)基材まで開始微結晶性セルロース基材を減少させることにより再配合した。薬物積層ビーズ上への薬物充填を20%から10%w/wに減少させることにより薬物積層プロセスをさらに修正して、1カプセル当たりの必要とされるビーズの数を増加させた。さらに、HPMC結合剤レベルを1:1から5:1の薬物:結合剤比に減少させた。これにより処理時間の減少が生じ、最終ビーズの全体的なサイズをさらに減少させた。この薬物層配合の変更は、より小さいピロカルピンHCl薬物積層ビーズの再配合のために許容されるものとみなした。ポリマー層を、1:1のEC:HPCポリマー層の60%w/wのコーティングから3:1のEC:HPCポリマー層の14%w/wのコーティングに再配合して同じ標的、すなわち第I相の12.5%w/wのピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズについて観察された同様の溶解放出を達成した。このポリマー層配合の変更を、より小さいピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズの再配合のために許容されるものとみなした。
【0192】
製品内のピロカルピンHClビーズとオキシブチニンClビーズとの間に障壁を設け、かつピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズをオキシブチニンClビーズと区別するために、青色のオパドライ03K105035の4%の重量増加のシールコーティングをピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズの上にコーティングした。目視観察に基づいて4%のコーティング重量増加を許容されるものであると決定した。
【0193】
再配合した8.43%w/wのピロカルピンHCl遅延型即時放出シールコーティングビーズを許容される重量制御により自動カプセル充填機で上手くカプセル化した。これらのカプセル化されたバッチを包装し、安定した状態で置いた。
【0194】
実施例6:賦形剤の適合性
賦形剤適合性研究の目的は、塩酸ピロカルピン(ピロカルピンHCl)および塩化オキシブチニンの両方を含む8種類の多成分混合物を総不純物に関してランク付けすることである。両方のAPIを一緒にした対照混合物およびプラセボ混合物も調べた。賦形剤適合性研究は、40℃/75%RHおよび50℃/AMB(周囲)条件下での安定性研究の方法でセットップした。これらの混合物を8週間の期間にわたって非常に厳しい条件下で貯蔵して、不純度レベルのかなりの変化を誘発した。この期間中に、12週目にさらなる試験点が必要されないような所望の応答における十分な変化が見られた。さらなる試験は、試験点のそれぞれにおける各多成分混合物の水分および任意のアッセイ値を含んでいた。表8は試験した製剤を示す。

【表8】

【0195】
外観、LOD、API分析、ピロカルピン不純物およびオキシブチニン不純物を評価した。
【0196】
考察:塩化オキシブチニンは、全ての製剤および時点について両方の貯蔵条件下で非常に安定であることが分かった。ピロカルピンHClは50℃/周囲条件下で良好な安定性を有していた。ピロカルピンHClの全ての製剤は40℃/75%RH条件下で劣化し、従って水媒介経路であると考えられる。40℃/75%RH条件下で最も安定な製剤は製剤DおよびGであった。これらのアッセイ値は初期条件下では散発的であることが分かった。調査からこれは混合手順の可変性によるものであり、次いでこれがアッセイの可変性に影響を与えることが判明した。
【0197】
結論:製剤劣化の結果は、好ましい製剤は製剤GおよびDであり、次いで製剤C、F、H、B、AおよびEであることを示している。
【0198】
実施例7:DMVT-504オキシブチニン/ピロカルピンカプセル:カプセル化の最適化
以下は、より小さいビーズを用いて用量単位体積を減少させて、サイズ3のカプセルにおける組み合わせ製剤DMVT-504、すなわちピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズ+オキシブチニンCl薬物積層ビーズのカプセル化を可能にするためのプロセスの開発に関する情報を提供する。
【0199】
このプロジェクトの第I相のためのDMVT-504カプセルは、700~1000μmの開始サイズである微結晶性セルロース(MCC-700)球上にコーティングされた両方の薬物が積層されたオキシブチニンClビーズおよびピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズを含んでいた。この薬物積層製品は、薬物充填すなわち用量当たりの少なすぎるビーズおよび各ビーズのサイズが原因で自動化充填機には適していなかった。MCSを縮小させて修正し、かつ様々な用量強度でサイズ3のカプセルの中に自動カプセル充填機で充填されるピロカルピンHClおよびオキシブチニンClの両方を含むDMVT-504組み合わせ製品を製造するのに適する製剤を開発した。
【0200】
9.80%w/wのオキシブチニンCl薬物積層ビーズ:より小さいビーズ製剤を達成するために、オキシブチニンCl製剤を、1:1のAPI:HPMC比で500~750μmの開始サイズである微結晶性セルロース(MCC-500)球上にコーティングされる9.80%w/wのオキシブチニンClに修正した。次いで、薬物積層オキシブチニンビーズを、90:10比で添加されるさらなるタルクを含む2%の重量増加の透明のオパドライ03K19229でコーティングした。さらに、オキシブチニンビーズを青色のピロカルピンビーズと区別するためのシールコーティングを追加した。さらにシールコートは、カプセル化プロセス中に粉塵の発生を減少させることによりオペレーターへの保護の追加を与えた。
【0201】
8.43%w/wのピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズ:より小さいビーズ製剤を達成するために、ピロカルピンHCl製剤を、5:1のAPI:HPMC比で500~750μmの開始サイズである微結晶性セルロース(MCC-500)球上にコーティングされる8.43%w/wのピロカルピンHClに修正した。次いで、14%の重量増加までコーティングされる3:1のエチルセルロース:ヒドロキシプロピルセルロース比のポリマー層で薬物積層ビーズをコーティングして、標的の第I相の製剤Aと同様の放出プロファイルを達成した。次いで当該ビーズを4%の重量増加の青色のオパドライ03K105035の審美的コーティングでコーティングして、カプセル化プロセス中の粉塵の発生を減少させ、かつピロカルピンHClビーズをオキシブチニンClビーズと区別した。
【0202】
DMVT-504カプセル、すなわちオキシブチニンCl(6mg)+ピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズ(4mgおよび8mg):IMA社製Zanasi 16E Plusカプセル充填機でDMVT-504カプセルを製造した。この機械は3k/Hrから16k/Hrに調整可能な動作速度を有する。バッチサイズにより初期の試行は3k/Hrで動作させたが、最終的にその速度を10k/Hrまで上昇させて製品重量のばらつきを減少させた。当該カプセルはサイズ3の青色の硬ゼラチンであり、サイズ4もしくはサイズ5のDosatorsを用いて9.80%w/wのオキシブチニンClビーズおよび8.43%w/wのピロカルピンHCl遅延型即時放出ビーズの両方を充填した。成分ビーズのそれぞれの小さい充填体積を考慮して、サイズ5のDosatorを最終的に選択した。
【0203】
最適化されたパラメータおよびこの報告書内に特定されている製剤を用いて、以下のバッチのカプセルを製造した。図19図22は、安定条件および試験した時点のそれぞれについての溶解プロファイルを示す。
【0204】
考察:このプロジェクトの目的は、サイズ3のカプセルを各有効成分のために許容される重量制御により自動カプセル充填機を用いて、即時放出製剤中に6mgのオキシブチニンClおよび遅延型即時放出製剤中に4mg、6mgまたは8mgのピロカルピンHClを充填することであった。
【0205】
DMVT-504製品のために製造されたバッチを25℃/60%RH、30℃/75%RHおよび40℃/75%RHの貯蔵条件下で開発的安定状態に置いた。当該アッセイ、含量均一性およびこの報告からの溶解データは、ピロカルピンおよびオキシブチニン有効成分の両方について全ての貯蔵条件下で許容される結果を有する。
【0206】
結論:DMVT-504オキシブチニン/ピロカルピンカプセルの目的、すなわち第II相のカプセル化の最適化は、各有効成分のために許容される重量制御、アッセイおよび含量均一性で、自動カプセル充填機を用いてサイズ3のカプセルに6mgのオキシブチニンClおよび4mg、6mgまたは8mgのピロカルピンHClを充填することであった。最適化された有効剤形のそれぞれのための小さい用量体積を考慮して、サイズ5のDosatorsを用いて当該製品をカプセル化して、各用量強度のために適切な重量制御を確保することを決定した。
【0207】
実施例7:健康な志願者おけるRVT-504の異なる固定用量の組み合わせ製剤の単回経口用量の薬物動態、安全性、忍容性および食事への影響を評価するための第I相、部分無作為化、7方向剤クロスオーバー試験
第I相臨床試験(試験番号:DVMT-504-1001)では、ピロカルピン、R-オキシブチニンおよびS-オキシブチニンの血漿中濃度を測定した。オキシブチニンのR-およびS-鏡像異性体を測定し、R-オキシブチニン鏡像異性体は当該薬物の活性のおよそ90%に関与し、S-オキシブチニン鏡像異性体はその活性のおよそ10%のみに関与している。表12を参照されたい。


【表9】


【0208】
表13および表14は、治験で評価され、かつサイズ1のカプセルの中に配合されるピロカルピンおよびオキシブチニンビーズの製剤をそれぞれ提供する。
【表10】


【表11】
【0209】
表15はR-オキシブチニン鏡像異性体のデータを提供する:CmaxはDMVT-504製剤の3Aカプセルを投与した場合の5.349ng/mLと比較して、オキシブチニン+ピロカルピン錠剤を投与した場合に4.239ng/mLであった。


【表12】
【0210】
表16はS-オキシブチニン鏡像異性体データを提供する:Cmaxはオキシブチニン+ピロカルピン錠剤を投与した場合に7.413ng/mLであり、DMVT-504製剤3Aカプセルを投与した場合に9.014ng/mLであった。


【表13】
【0211】
表17はピロカルピンデータを提供する:Cmaxは、DMVT-504製剤3Aカプセルを投与した場合の30.88ng/mLと比較してオキシブチニン+ピロカルピン錠剤を投与した場合に30.12ng/mLであった。


【表14】

図1
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【国際調査報告】