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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】構造群、駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20240910BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20240910BHJP
   F16B 2/06 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
H02K5/22
F16B2/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508731
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2022072476
(87)【国際公開番号】W WO2023020917
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021209101.6
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ハウフェ,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】チョティ,ヤーノス タマス
(72)【発明者】
【氏名】ダウト,ロベルト アレキサンダー
【テーマコード(参考)】
3J022
5H605
【Fターム(参考)】
3J022DA20
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC22
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA04
5H605AA03
5H605CC01
5H605CC02
5H605DD09
5H605DD32
5H605EB10
5H605EB16
5H605EC04
5H605EC18
5H605EC20
5H605GG18
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】
本発明は、第1のエレメント(21)と第2のエレメント(22)とを有する構造群(20)であって、前記エレメント(21,22)は、これらのエレメント(21,22)が一緒に構造群内部(23)を取り囲むように互いに固定されており、導電性ケーブル(24)が前記エレメント(21,22)の間に形成されたケーブル通路(25)を通って前記構造群内部(23)内に突入している形式のものに関する。少なくとも一方の前記エレメント(21,22)が、前記ケーブル通路(25)に対応配設された微粒子シール(27)を形成するために少なくとも1つの突起(28)を有しており、該突起(28)が他方の前記エレメント(21,22)に向かう方向に突き出していて、前記ケーブル(24)を前記他方のエレメント(21,22)に向かって押し付けるようになっている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のエレメント(21)と第2のエレメント(22)とを有する構造群であって、前記エレメント(21,22)は、これらのエレメント(21,22)が一緒に構造群内部(23)を取り囲むように互いに固定されており、導電性ケーブル(24)が前記エレメント(21,22)の間に形成されたケーブル通路(25)を通って前記構造群内部(23)内に突入している形式のものにおいて、
少なくとも一方の前記エレメント(21,22)が、前記ケーブル通路(25)に対応配設された微粒子シール(27)を形成するために少なくとも1つの突起(28)を有しており、該突起(28)が他方の前記エレメント(21,22)に向かう方向に突き出していて、前記ケーブル(24)を前記他方のエレメント(21,22)に向かって押し付けることを特徴とする、構造群。
【請求項2】
前記ケーブル(24)がフラット平型ケーブル(24)として構成されていることを特徴とする、請求項1記載の構造群。
【請求項3】
前記ケーブル通路(25)が、前記第1のエレメント(21)の通路面(42)と前記第2のエレメント(22)の通路面(43)とによって画成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の構造群。
【請求項4】
前記突起(28)が前記エレメント(21,22)の前記通路面(42,43)に配置されていて、前記ケーブル(24)を前記他方のエレメント(21,22)の前記通路面(42,43)に向かって押し付けることを特徴とする、請求項3記載の構造群。
【請求項5】
前記突起(28)が、前記エレメント(21,22)の前記通路面(42,43)に隣接する前記エレメント(21,22)の面に配置されていて、前記ケーブル(24)を、前記他方のエレメント(21,22)の前記通路面(42,43)に隣接する、前記他方のエレメント(21,22)の面に向かって押し付けることを特徴とする、請求項3記載の構造群。
【請求項6】
前記突起(28)が弾性的に変形可能に構成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の構造群。
【請求項7】
前記第1のエレメント(21)がプリント基板(21)であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の構造群。
【請求項8】
前記微粒子シール(27)は、前記構造群内部(23)を、少なくとも前記プリント基板(21)の隣接し合う導体路間の最小間隔よりも大きい微粒子に対してシールするように構成されていることを特徴とする、請求項7記載の構造群。
【請求項9】
前記突起(28)が、前記プリント基板(21)上に配置された電気部品(28)であることを特徴とする、請求項7または8記載の構造群。
【請求項10】
前記第2のエレメント(22)が、前記プリント基板(21)を支持する支持体エレメント(22)であることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載の構造群。
【請求項11】
前記支持体エレメント(22)が前記突起(28)を有しており、該突起(28)と前記支持体エレメント(22)の基体(40)とが、同じ材料より製作されていることを特徴とする、請求項10記載の構造群。
【請求項12】
前記支持体エレメント(22)が前記突起(28)を有しており、該突起(28)が第1の材料より製作されていて、前記支持体エレメント(22)の基体(40)が第2の材料より製作されており、前記第1の材料の弾性係数が前記第2の材料の弾性係数より小さいことを特徴とする、請求項10記載の構造群。
【請求項13】
回転可能に軸受された回転子(12)を備えた、ハウジング(3)内に配置された電気機械(4)を有する駆動装置において、
請求項1から12までのいずれか1項記載の構造群(20)が設けられていることを特徴とする、駆動装置。
【請求項14】
前記構造群(20)が、センサエレメントを有していて、該センサエレメントによって前記回転子(12)の回転位置を検出するように構成されていることを特徴とする、請求項13記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のエレメントと第2のエレメントとを有する構造群であって、これらのエレメントは、これらのエレメントが一緒に構造群内部を取り囲むように互いに固定されており、導電性ケーブルが2つのエレメントの間に形成されたケーブル通路を通って構造群内部内に突入している形式のものに関する。
【0002】
さらに本発明は、このような形式の構造群を有する駆動装置に関する。
【背景技術】
【0003】
冒頭に述べた形式の構造群は従来技術より公知である。例えば特許文献1には、電子回路ハウジングとして構成された構造群が開示されており、この構造群は第1のエレメントと第2のエレメントとを有していて、これらのエレメントは共に構造群内部を取り囲むように互いに固定されている。2つのエレメント間に形成されたケーブル通路を通って導電性のケーブルが構造群内部内に突入する。一般的に、ケーブル通路は、このケーブル通路を通ってガイドされたケーブルよりも大きい横断面を有しているので、ケーブル通路の横断面はケーブルによって部分的にしか満たされていない。したがって、ケーブル通路を通って微粒子が構造群内部内に侵入することがあるが、これは不都合である。微粒子がケーブル通路を通って侵入することを阻止するために、特許文献1に記載された構造群においては、シールエレメントが設けられていて、このシールエレメントは、ケーブルに固定されていてケーブルを取り囲んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0052141号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明による構造群は、少なくとも一方のエレメントが、ケーブル通路に対応配設された微粒子シールを形成するために少なくとも1つの突起を有しており、この突起が他方のエレメントに向かう方向に突き出していて、ケーブルを他方のエレメントに向かって押し付けるようになっている請求項1の特徴を有する点で優れている。微粒子シールによって少なくとも特定の微粒子、例えば限界値を超える微粒子が除去される。本発明によれば、微粒子シールはケーブル通路に対応配設されている。したがって、微粒子シールは、除去された微粒子がケーブル通路を通って構造群内部に侵入するのを阻止する。冒頭に記載した公知の構造群と比較して、本発明による解決策は特に安価に実行することができる。本発明によれば、2つのエレメントの少なくとも一方が少なくとも1つの突起を有しており、この突起は他方のエレメントに向かう方向に突き出していて、ケーブルを他方のエレメントに向かって押し付けるようになっている。例えば第1のエレメントだけが少なくとも1つの突起を有していて、この突起が第2のエレメントに向かう方向に突き出していてケーブルを第2のエレメントに向かって押し付けるようになっている。代替的に、第2のエレメントが少なくとも1つの突起を有していて、この突起が第1のエレメントに向かう方向に突き出してケーブルを第1のエレメントに向かって押し付けるようになっている。また代替的に、2つのエレメントがそれぞれ少なくとも1つの突起を有していて、これらの突起が他方のエレメントに向かう方向に突き出していて、ケーブルを他方のエレメントに向かって押し付けるようになっている。特に、2つのエレメントの少なくとも一方が複数の突起を有していて、これらの突起が他方のエレメントに向かう方向に突き出していてケーブルを他方のエレメントに向かって押し付けるようになっている。突起とは、突起を有するエレメントの、突起以外は連続的な延在形状から隆起する構造であると解釈されてよい。好適な形式で、構造群内部はケーブル通路を除いて閉じた構造を有している。代替的に、ケーブル通路に追加して、構造群内部を構造群外部と接続する少なくとも1つの別の通路が設けられている。好適な形式で、突起はケーブルに直に当接する。つまり、突起とケーブ若しくはケーブルの絶縁部との間に接触接続が存在する。
【0006】
好適な形式で、ケーブルはフラット平型ケーブルとして構成されている。ケーブルのこのような構造は有利である。何故ならば、ケーブルを他方のエレメントに押し付ける際に他方のエレメントとケーブルとの間に大きい面にわたって接続が得られるからである。これによって、特に効果的な微粒子シールが得られる。好適な形式で突起の幅はフラット平型ケーブルの幅よりも大きい。
【0007】
好適な実施例によれば、ケーブル通路は、第1のエレメントの通路面と第2のエレメントの通路面とによって画成されている。
【0008】
好適な実施例によれば、突起がエレメントの通路面に配置されていて、ケーブルを他方のエレメントの通路面に向かって押し付けるようになっている。このような配置の突起によれば、エレメントは突起をケーブル通路の領域内に有している。相応に、ケーブル通路の横断面は、部分的にケーブルによって、また部分的に突起によって満たされる。つまり、ケーブル通路の自由横断面は突起によってさらに縮小され、それによって効果的な微粒子シールが得られる。
【0009】
選択的な実施例によれば、好適には、突起が、エレメントの通路面に隣接するエレメントの面に配置されていて、ケーブルを、他方のエレメントの通路面に隣接する他方のエレメントの面に向かって押し付けるようになっている。相応に、エレメントはケーブル通路に隣接する領域内に突起を有している。この実施例では、微粒子シールは、ケーブル通路に前置接続されているかまたは後置接続されている。これによっても効果的な微粒子シールが得られる。微粒子シールがケーブル通路に前置接続されていれば、微粒子シールはケーブル通路を構造群外部に対してシールする。微粒子シールがケーブル通路に後置接続されていれば、微粒子シールは構造群内部をケーブル通路に対してシールする。
【0010】
さらに、前記選択的な実施例の組合せも可能である。別の実施例によれば、突起が、エレメントの通路面に配置されていて、ケーブルを、他方のエレメントの通路面に隣接する他方のエレメントの面に向かって押し付けるようになっている。別の実施例によれば、突起が、エレメントの通路面に隣接するエレメントの面に配置されていて、ケーブルを、他方のエレメントの通路面に向かって押し付けるようになっている。
【0011】
好適な形式で、突起は弾性的に変形可能に構成されている。これにより、第1のエレメントおよび/または第2のエレメントに関する製造に基づく公差は突起によって補正され得る、という利点が得られる。
【0012】
好適には、第1のエレメントはプリント基板である。したがって構造群内部は、部分的にプリント基板によって画成される。これによって、構造群内部に面したプリント基板の端面側上に形成されるか若しくは配置された電子回路素子および導体路は、微粒子シールによって微粒子から保護されている。構造群内部とは反対側の、プリント基板の端面側に、好適にはセンサエレメントが配置若しくは構成されている。この場合、構造群とは、センサ装置のことである。例えば、センサエレメントは、導体路としてプリント基板上に構成された少なくとも1つの受信側コイルを有している。好適な形式で、プリント基板として構成された第1のエレメントは突起を有している。しかしながら、第1のエレメントは、この第1のエレメントが突起を有することなしに、プリント基板として構成されていてもよい。
【0013】
好適な実施例によれば、微粒子シールは、構造群内部を、少なくともプリント基板の隣接し合う導体路間の最小間隔よりも大きい微粒子に対してシールするように構成されている。このような形式の微粒子シールの構成によって、少なくとも導体路間の電気的な短絡を引き起こす微粒子が除去される。これに対して、プリント基板の隣接し合う導体路間の最小間隔よりも小さい微粒子は、少なくとも電気的な短絡に関連して害はない。
【0014】
好適な形式で、突起はプリント基板上に配置された電気部品である。このような構成の突起は、例えば特に全自動式のSMD装着法によって技術的に特に簡単に実装可能であるので有利である。好適な形式で、電気部品は、微粒子シールの構成に関連した機能は別として、機能しない。好適な実施例によれば、電気部品は、電気抵抗またはコンデンサである。
【0015】
好適な形式で、第2のエレメントは、プリント基板を支持する支持体エレメントである。好適な形式で、支持体エレメントとして構成された第2のエレメントは突起を有している。しかしながら、第2のエレメントは、この第2のエレメントが、突起を有することなしに、支持体エレメントとして構成されていてもよい。
【0016】
好適な実施例によれば、支持体エレメントが突起を有しており、この突起と支持体エレメントの基体とが、同じ材料より製作されている。これによって、突起を有する支持体エレメントの特に簡単な製作が可能となる。好適な形式で、支持体エレメントおよび突起が構成される材料は、プラスチックである。好適な形式で、支持体エレメントの基体と突起とは、例えば射出成形によって互いに一体的に構成されている。好適な形式で、突起の厚さは、支持体エレメントの基体の厚さよりも小さい。これによって、基体および突起が同じ材料から構成されているにもかかわらず、基体が機械的に頑丈に構成され、しかも突起は弾性的に変形可能に構成され得る。
【0017】
好適な実施例によれば、支持体エレメントが突起を有しており、突起が第1の材料より製作されていて、支持体エレメントの基体が第2の材料より製作されており、第1の材料の弾性係数が第2の材料の弾性係数より小さい。これによっても、支持体エレメントの機械的に頑丈な構成および突起の弾性的に変形可能な構成が同時に得られる。好適な形式で、第1の材料と第2の材料とは異なるプラスチックである。好適な形式で、支持体エレメントの基体と突起とは、この実施例においても互いに一体的に構成されており、例えば突起が支持体エレメントの基体に射出成形されている。
【0018】
本発明による駆動装置は、回転可能に軸受された回転子を備えた、ハウジング内に配置された電気機械を有していて、本発明の構造群による請求項13の特徴を有する点で優れている。このことからも前記利点が得られる。そのほかの好適な特徴および特徴の組合せは、以上の説明並びに請求項から得られる。好適な形式で、構造群は、駆動装置のハウジング内で特にハウジグに固定されて配置されている。
【0019】
好適な実施例によれば、構造群は、センサエレメントを有していて、このセンサエレメントによって回転子の回転位置を検出するように構成されている。つまり、構造群はセンサ装置である。好適な形式でセンサエレメントは、プリント基板の、構造群内部とは反対側の端面側に配置若しくは構成されている。好適な形式で、プリント基板はリングディスク状に構成されていて、回転子を支持する駆動軸に対して同軸的に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ブレーキ装置のための圧力発生器の斜視図である。
図2】圧力発生器の駆動装置の断面図である。
図3】駆動装置の構造群の詳細図である。
図4】構造群の別の詳細図である。
図5】構造群の別の実施例を示す図である。
図6】構造群の別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を、以下に図面を用いて詳しく説明する。
【0022】
図1は、自動車の液圧式のブレーキ装置のための圧力発生器1の斜視図を示す。圧力発生器1は電動式の駆動装置2を有している。駆動装置2はハウジング3を有しており、このハウジング3はここでは円形の横断面を有している。駆動装置2は、さらに電気機械4を有している。電気機械4はハウジング3内に配置されているので、図1には示されていない。圧力発生器1は作業機械として、少なくとも1つの流体ポンプを備えたポンプ装置5を有している。駆動装置2のハウジング3は、複数の固定手段6を用いてポンプ装置5のハウジング7に固定されている。駆動装置2は、電気機械4を用いてポンプ装置5の少なくとも1つの流体ポンプを操作するために構成されている。さらに、圧力発生器1は、電気機械4を駆動制御するためのコントロールユニット8を有している。ポンプ装置5は、一方では駆動装置2と他方ではコントロールユニット8との間に配置されている。
【0023】
図2は、駆動装置2の断面図を示す。図2から分かるように、駆動装置2は駆動軸9を有しており、この駆動軸9は、ハウジング3内で回転軸線10を中心にして回転可能に軸受されている。駆動軸9は、略示されている伝動装置11によってポンプ装置5の少なくとも1つの流体ポンプと連動接続されている。
【0024】
電気機械4は、駆動軸9に相対回動不能に配置された回転子12を有している。回転子12の回転軸線は、駆動軸9の回転軸線10に相当する。さらに電気機械4は、ハウジングに固定して配置された固定子13を有している。固定子13は、見やすさの理由により図示されていない多相のモータコイルを有しており、このモータコイルは、回転子12およびひいては駆動軸9がモータコイルを適切に通電することによって回転可能若しくは駆動可能であるように、回転子12を巡って分配配置されている。
【0025】
ハウジング3は、固定子13を支持するカップ形極14を有している。図1から分かるように、カップ形極14はカップ状に構成されている。ハウジング3はさらに軸受シールド17を有している。軸受シールド17は、駆動軸9を軸受するために構成されている。このために軸受シールド17は、電気機械4を覆っていて、それによってハウジング3のハウジングカバーを形成している。軸受シールド17は、軸方向に延在するスリーブ状の軸受セクション18を有している。軸受セクション18と駆動軸9との間に旋回軸受19が配置されており、この旋回軸受19は、ここでは転動体軸受19である。軸受シールド17はさらに、軸方向に延在するスリーブ状の固定セクション16を有している。軸受シールド17は、固定セクション16によってカップ形極14に、例えば摩擦締結、接着接合、溶接接合および/または少なくとも1つの固定手段によって固定されている。
【0026】
駆動装置2はさらに、ハウジング3内に配置された構造群20を有している。図3および図4は、構造群20のそれぞれ詳細図を示す。構造群20は、第1のエレメント21および第2のエレメント22を有している。これらのエレメント21,22は、これらのエレメント21,22が一緒に構造群内部23を取り囲むように、互いに固定されている。ここでは、第1のエレメント21と第2のエレメント22とは、係止接続によって互いに固定されている。代替的に、エレメント21とエレメント22とは、接着接合によって互いに固定されている。第1のエレメント21および第2のエレメント22は、リングディスク状に構成されていて、駆動軸9に対して同軸的に配置されている。
【0027】
構造群20は、さらに導電性ケーブル24を有しており、この導電性ケーブル24は、ケーブル通路25を通って構造群内部23内に突入している。ケーブル24はここではフラット平型ケーブル24である。ケーブル通路25は、第1のエレメント21と第2のエレメント22との間に形成されている。ケーブル通路25は、第1のエレメント21の通路面42と第2のエレメント22の通路面43とによって画成されている。ここでは、第2のエレメント22は、ケーブル通路25を形成するための切欠26を有している。ケーブル通路25を除いて、構造群内部23はこの実施例では閉鎖されている。図2図3および図4から分かるように、ケーブル通路25はケーブル24よりも大きい横断面を有しているので、ケーブル24はケーブル通路25の横断面を完全に満たしてはいない。
【0028】
ケーブル通路25に、構造群内部23を微粒子に対してシールする微粒子シール27が対応配設されている。微粒子シール27を形成するために突起28が設けられている。図2図3および図4に示された実施例によれば、第1のエレメント21が突起28を有している。ここでは、突起28は、第1のエレメント21の通路面42に配置されている。突起28は、第1のエレメント21から第2のエレメント22に向かって突き出していて、ケーブル24を第2のエレメント22に押し付ける。代替的に、第2のエレメント22が突起28を有しており、この突起28が第1のエレメント21に向かって突き出していて、ケーブル24を第1のエレメント21に押し付けるようになっていてよい。
【0029】
ここでは、第1のエレメント21はプリント基板21である。構造群20は、第2のエレメント22によって軸受シールド17に固定されている。相応に構造群20はハウジングに固定して配置されている。第2のエレメント22はプリント基板21を支持しているので、第2のエレメント22はここでは支持体エレメント22である。支持体エレメント22はプラスチックより製作されている。
【0030】
プリント基板21は、第1の端面側31と第2の端面側32とを有している。第1の端面側31は、回転子12に面していて、回転子12に向き合っているか若しくはこの回転子12に相対回動不能に連結された測定値送信器33に軸方向で向き合っている。第1の端面側31上にセンサエレメントが配置されている。構造群20は、センサエレメントによって回転子12の回転位置を検出するために構成されている。相応に、構造群20はセンサ装置20として構成されている。ここでは、構造群20は誘導式センサとして構成されている。このために、センサエレメントは少なくとも1つの送信側コイルと少なくとも1つの受信側コイルとを有しており、この場合、コイルは、導体路としてプリント基板21の第1の端面側32上に構成されている。第2の端面側32は、構造群内部23に面している。第2の端面側32上に電子回路素子34が配置されている。ここでは、電子回路素子34は特定用途向け集積回路(ASIC)である。電子回路素子34は、センサエレメントのセンサ信号を復調するために構成されている。
【0031】
構造群内部23内に突入する、ケーブル24の第1の端部セクション35は、プリント基板21に電気的に接続されている。ケーブル24の第2の端部セクション36は、接続装置38に電気的に接続されている。駆動装置2が、図1に示されているように圧力発生器1内に組み込まれていれば、接続装置38は、コントロールユニット8に電気的に接続されている。
【0032】
図2図3および図4に示された実施例によれば、突起28は、プリント基板21上に配置された電気部品28である。電気部品28は例えば電気抵抗28またはコンデンサ28である。好適な形式で電気部品28は、微粒子シール27の構成に関連した機能を除いて機能しない。
【0033】
微粒子シール27は好適な形式で、この微粒子シール27が構造群内部23を少なくとも、プリント基板21の隣接し合う導体路間の最も小さい間隔よりも大きい微粒子に対してシールするように構成されている。これは、特に突起28の寸法設計によって得られる。図4から分かるように、突起28の幅Bは、ケーブル通路25の幅B’よりも少しだけ小さい。したがって、ケーブル通路25の自由横断面は、プリント基板21の隣接し合う導体路間の最小の間隔よりも大きい微粒子が通過することはない程度に小さい。ここでは、突起28の幅Bはケーブル24の幅B’’よりも大きい。
【0034】
図5は別の実施例による構造群20を示す。図5に示された実施例は、図2図3および図4の実施例とは、主に突起28の構成に関して異なっている。図5に示された実施例では、支持体エレメント22が突起28を有している。突起28は、支持体エレメント22の基体40に配置されている。基体40と突起28は一緒に射出成形部分として構成されている。突起28および基体40は、同じ材料若しくはプラスチックより製作されている。突起28の弾性的な変形可能性を高めるために、突起28は、基体40よりも薄い厚さを有している。突起28は、プリント基板21に向かう方向に突き出していて、ケーブル24をプリント基板21の第2の端面側25に向かって押し付ける。したがって、突起28に、突起28を弾性的に変形させる力が作用する。ここでは、突起28が支持体エレメント22の通路面43に配置されていて、ケーブル24をプリント基板21の通路面42に向かって押し付ける。
【0035】
図6は、別の実施例による構造群20を示す。図6に示された実施例は、図5に示された実施例とは、突起28の構成に関連して異なっている。図6に示した実施例においても、支持体エレメント22は突起28を有しており、この突起28は、プリント基板21に向かう方向に突き出していて、ケーブル24をプリント基板21に向かって押し付ける。しかしながら図6に示された実施例では、基体40と突起28とは異なるプラスチックより製作されている。突起28は第1のプラスチックより製作されている。基体40は第2のプラスチックより製作されている。突起28の弾性的な変形可能性を高めるために、第1のプラスチックの弾性係数は第2のプラスチックの弾性係数よりも小さい。好適な形式で、突起28は基体40に射出成形されている。
【符号の説明】
【0036】
1 圧力発生器
2 電動式の駆動装置
3 ハウジング
4 電気機械
5 ポンプ装置
6 固定手段
7 ハウジング
8 コントロールユニット
9 駆動軸
10 回転軸線
11 伝動装置
12 回転子
13 固定子
14 カップ形極
16 固定セクション
17 軸受シールド
18 軸受セクション
19 旋回軸受、転動体軸受
20 構造群、センサ装置
21 第1のエレメント、プリント基板
22 第2のエレメント、支持体エレメント
23 構造群内部
24 導電性ケーブル、フラット平型ケーブル
25 ケーブル通路
26 切欠
27 微粒子シール
28 突起、電気部品、電気抵抗、コンデンサ
31 第1の端面側
32 第2の端面側
33 測定値送信器
34 電子回路素子
35 第1の端部セクション
36 第2の端部セクション
38 接続装置
40 基体
42,43 通路面
B,B’,B’’ 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のエレメント(21)と第2のエレメント(22)とを有する構造群であって、前記エレメント(21,22)は、これらのエレメント(21,22)が一緒に構造群内部(23)を取り囲むように互いに固定されており、導電性ケーブル(24)が前記エレメント(21,22)の間に形成されたケーブル通路(25)を通って前記構造群内部(23)内に突入している形式のものにおいて、
少なくとも一方の前記エレメント(21,22)が、前記ケーブル通路(25)に対応配設された微粒子シール(27)を形成するために少なくとも1つの突起(28)を有しており、該突起(28)が他方の前記エレメント(21,22)に向かう方向に突き出していて、前記ケーブル(24)を前記他方のエレメント(21,22)に向かって押し付けることを特徴とする、構造群。
【請求項2】
前記ケーブル(24)がフラット平型ケーブル(24)として構成されていることを特徴とする、請求項1記載の構造群。
【請求項3】
前記ケーブル通路(25)が、前記第1のエレメント(21)の通路面(42)と前記第2のエレメント(22)の通路面(43)とによって画成されていることを特徴とする、請求項1記載の構造群。
【請求項4】
前記突起(28)が前記エレメント(21,22)の前記通路面(42,43)に配置されていて、前記ケーブル(24)を前記他方のエレメント(21,22)の前記通路面(42,43)に向かって押し付けることを特徴とする、請求項3記載の構造群。
【請求項5】
前記突起(28)が、前記エレメント(21,22)の前記通路面(42,43)に隣接する前記エレメント(21,22)の面に配置されていて、前記ケーブル(24)を、前記他方のエレメント(21,22)の前記通路面(42,43)に隣接する、前記他方のエレメント(21,22)の面に向かって押し付けることを特徴とする、請求項3記載の構造群。
【請求項6】
前記突起(28)が弾性的に変形可能に構成されていることを特徴とする、請求項1記載の構造群。
【請求項7】
前記第1のエレメント(21)がプリント基板(21)であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の構造群。
【請求項8】
前記微粒子シール(27)は、前記構造群内部(23)を、少なくとも前記プリント基板(21)の隣接し合う導体路間の最小間隔よりも大きい微粒子に対してシールするように構成されていることを特徴とする、請求項7記載の構造群。
【請求項9】
前記突起(28)が、前記プリント基板(21)上に配置された電気部品(28)であることを特徴とする、請求項7記載の構造群。
【請求項10】
前記第2のエレメント(22)が、前記プリント基板(21)を支持する支持体エレメント(22)であることを特徴とする、請求項7記載の構造群。
【請求項11】
前記支持体エレメント(22)が前記突起(28)を有しており、該突起(28)と前記支持体エレメント(22)の基体(40)とが、同じ材料より製作されていることを特徴とする、請求項10記載の構造群。
【請求項12】
前記支持体エレメント(22)が前記突起(28)を有しており、該突起(28)が第1の材料より製作されていて、前記支持体エレメント(22)の基体(40)が第2の材料より製作されており、前記第1の材料の弾性係数が前記第2の材料の弾性係数より小さいことを特徴とする、請求項10記載の構造群。
【請求項13】
回転可能に軸受された回転子(12)を備えた、ハウジング(3)内に配置された電気機械(4)を有する駆動装置において、
請求項1からまでのいずれか1項記載の構造群(20)が設けられていることを特徴とする、駆動装置。
【請求項14】
前記構造群(20)が、センサエレメントを有していて、該センサエレメントによって前記回転子(12)の回転位置を検出するように構成されていることを特徴とする、請求項13記載の駆動装置。
【国際調査報告】