(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】フルクトース不耐症およびフルクトース吸収不良を治療するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/54 20060101AFI20240910BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20240910BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240910BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240910BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240910BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240910BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240910BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240910BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240910BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240910BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240910BHJP
A61K 38/44 20060101ALI20240910BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240910BHJP
A61K 38/52 20060101ALI20240910BHJP
C12N 9/92 20060101ALN20240910BHJP
C12N 9/04 20060101ALN20240910BHJP
C12N 9/08 20060101ALN20240910BHJP
【FI】
A61K38/54
A61K9/19
A61P3/00
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/16
A61K9/08
A61P1/00
A61P3/06
A61P3/04
A61P3/10
A61K38/44
A61P43/00 121
A61K38/52
C12N9/92 ZNA
C12N9/04 D
C12N9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508917
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 US2022074934
(87)【国際公開番号】W WO2023019266
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524055724
【氏名又は名称】アナグラム セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】マーゴリン,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】シェノイ,バーミ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC16
4C076CC21
4C076FF04
4C076GG06
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA44
4C084CA17
4C084DC23
4C084DC27
4C084MA16
4C084MA34
4C084MA35
4C084MA36
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA44
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA691
4C084ZA692
4C084ZA701
4C084ZA702
4C084ZC331
4C084ZC332
4C084ZC351
4C084ZC352
4C084ZC751
(57)【要約】
特にフルクトース不耐症およびフルクトース吸収不良を治療するために使用され得る、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼ酵素および過酸化物分解酵素(例えばカタラーゼ酵素)を含む医薬組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素、グルコースオキシダーゼ酵素、過酸化物分解酵素および薬学的に許容され得る賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項2】
グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素が噴霧乾燥または凍結乾燥される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素が細菌性グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素またはその機能的断片もしくはバリアントである、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素がストレプトミセス・ムリヌス由来である、請求項1~3いずれか記載の医薬組成物。
【請求項5】
グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素が配列番号:5またはその機能的断片もしくはバリアントを含む、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
約1,000~約250,000国際単位(I.U.)のグルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素を含む、請求項1~5いずれか記載の医薬組成物。
【請求項7】
グルコースオキシダーゼ酵素が噴霧乾燥または凍結乾燥される、請求項1~6いずれか記載の医薬組成物。
【請求項8】
グルコースオキシダーゼ酵素が細菌性グルコースオキシダーゼ酵素またはその機能的断片もしくはバリアントである、請求項1~7いずれか記載の医薬組成物。
【請求項9】
グルコースオキシダーゼ酵素がアスペルギルス・ニガー由来である、請求項1~8いずれか記載の医薬組成物。
【請求項10】
グルコースオキシダーゼ酵素が配列番号:2またはその機能的断片もしくはバリアントを含む、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
約1,000~約250,000国際単位(I.U.)のグルコースオキシダーゼ酵素を含む、請求項1~10いずれか記載の医薬組成物。
【請求項12】
過酸化物分解酵素が噴霧乾燥または凍結乾燥される、請求項1~11いずれか記載の医薬組成物。
【請求項13】
過酸化物分解酵素がカタラーゼ酵素またはペルオキシダーゼ酵素である、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項14】
過酸化物分解酵素がカタラーゼ酵素である、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
カタラーゼ酵素が細菌性カタラーゼ酵素またはその機能的断片もしくはバリアントである、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
カタラーゼ酵素がアスペルギルス・ニガー由来である、請求項14または15記載の医薬組成物。
【請求項17】
カタラーゼ酵素が配列番号:4またはその機能的断片もしくはバリアントを含む、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
約1,000~約2,500,000国際単位(I.U.)の過酸化物分解酵素を含む、請求項1~12いずれか記載の医薬組成物。
【請求項19】
グルコース(キシロース)イソメラーゼの国際単位対グルコースオキシダーゼ酵素の国際単位の比が0.1~10の範囲にある、請求項1~18いずれか記載の医薬組成物。
【請求項20】
グルコースオキシダーゼの国際単位対過酸化物分解酵素の国際単位の比が0.1~10の範囲にある、請求項1~19いずれか記載の医薬組成物。
【請求項21】
経口剤型(例えば固体または液体経口剤型)として製剤化される、請求項1~20いずれか記載の医薬組成物。
【請求項22】
散剤、サシェ(satchel)、顆粒、ペレット、マイクロペレット、錠剤、ミニ錠剤、エリキシル、シロップまたはドロップとして製剤化される、請求項21記載の医薬組成物。
【請求項23】
散剤、サシェまたは錠剤として製剤化される、請求項21または22記載の医薬組成物。
【請求項24】
室温で、少なくとも3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、48ヶ月、60ヶ月、72ヶ月、84ヶ月、96ヶ月、108ヶ月または120ヶ月の貯蔵寿命を有する、請求項1~23いずれか記載の医薬組成物。
【請求項25】
フルクトース不耐症の治療を必要とする被験体に、請求項1~24いずれか記載の医薬組成物を経口投与する工程を含む、該被験体においてフルクトース不耐症を治療する方法。
【請求項26】
フルクトース不耐症が遺伝性フルクトース不耐症である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
フルクトース不耐症が食事性フルクトース不耐症である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
被験体に、請求項1~24いずれか記載の医薬組成物を経口投与する工程を含む、被験体においてフルクトースレベルを低減する方法。
【請求項29】
被験体の血液中および/または被験体の胃腸管中でフルクトースのレベルを低減する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
被験体由来の試料中でフルクトースのレベルを低減する、請求項28または29記載の方法。
【請求項31】
試料が体液試料である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
体液試料が血液、血清または血漿である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
曲線下面積(AUC)分析により決定する場合に、食事または間食の0~240分後または0~360分後に被験体の血液中のフルクトースのレベルを、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する、請求項28~32いずれか記載の方法。
【請求項34】
食事または間食後に被験体の血液中のフルクトースCmaxを、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する、請求項28~33いずれか記載の方法。
【請求項35】
食事または間食後に被験体の血液中のフルクトースTmaxを、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する、請求項28~34いずれか記載の方法。
【請求項36】
食物と一緒に投与される場合に、食物のカロリー摂取を、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する、請求項28~35いずれか記載の方法。
【請求項37】
被験体が、食事性フルクトース不耐症、遺伝性フルクトース不耐症、過敏性腸症候群(IBS)、FODMAP(発酵性オリゴ糖、二糖、単糖およびポリオール)の不耐症もしくは吸収不良、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血糖症または高インスリン血症を有する、請求項28~36いずれか記載の方法。
【請求項38】
医薬組成物が、1日に1、2、3、4または4回より多く被験体に投与される、請求項25~37いずれか記載の方法。
【請求項39】
医薬組成物が、食事または間食と一緒に被験体に投与される、請求項25~38いずれか記載の方法。
【請求項40】
医薬組成物が、それぞれの食事または間食で被験体に投与される、請求項25~39いずれか記載の方法。
【請求項41】
被験体が、ヒト成人またはヒト小児の被験体である(as)、請求項25~40いずれか記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての他所参照
本願は、2021年8月13日に出願された米国仮特許出願第63/232,922号の利益およびそれに対する優先権を主張し、該出願の開示は、全ての目的でその全体において参照により本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は一般的に、フルクトース不耐症およびフルクトース吸収不良を治療するための方法および組成物に関し、より具体的に、本発明は、グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素、グルコースオキシダーゼ酵素および過酸化物分解酵素(例えばカタラーゼ酵素)を含む組成物ならびにフルクトース不耐症およびフルクトース吸収不良の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
糖の消費の増加は、肥満および糖尿病ならびにそれらの関連のある心代謝リスクの一因であると考えられる。その特有の代謝特性の結果として、糖のフルクトース構成成分は特に有害であり得る。高フルクトース食は、メタボリックシンドロームの重要な特徴の全てを生じ得る。
【0004】
フルクトースは、西洋諸国の食事において広く消費される6炭素単糖(ポリヒドロキシケトン)である。フルクトースは典型的に:純粋な単糖として;酵素スクラーゼにより加水分解され得るフルクトースに結合するグルコースなどの二糖スクロースとして;ならびにオリゴ糖および多糖などの重合形態としての3つの形態で摂取される。フルクトースの重合形態は、イヌリン、フルクタンおよびフルクト‐オリゴ糖として不定に記載される。その種々の形態のフルクトースは、肥満発症の一因である(特に米国において)過敏性腸症候群(IBS)に関連し、非アルコール性脂肪肝疾患の病因に関与すると考えられる。Lambertz et al. (2017) FRONTIERS IN IMMUNOLOGY 8: 1, DiNicolantonio and Lucan (2015) MED. HYPOTHESES 85(3): 295。
【0005】
米国において、フルクトース消費の顕著な増加があった。この高レベルのフルクトース消費は、食品製造における甘味料としての高フルクトースコーンシロップ(HFCS)の使用により生じると考えられる。HFCSは、スクロースのより安価な代替品であり、80%までのフルクトースを含む。Gibson et al. (2007) ALIMENT. PHARMACOL THER. 25: 349。砂糖入り飲料(SSB)は、世界中で食事に添加される砂糖の主要な供給源であり、ソーダ、フルーツフレーバー飲料およびスポーツドリンクが挙げられる。平均で、SSBは、一日のカロリーの約7%および食事に添加される砂糖のほぼ50%に寄与する。Hannou et al. (2018) J. CLIN. INVEST. 128(2): 545, Tappy and Le (2010) PHYSIOL. REV. 90: 23。
【0006】
2つの別個の種類のフルクトース不耐症-遺伝性フルクトース不耐症(HFI)および食事性フルクトース不耐症(DFI)がある。Hou et al. (2019) FRONTIERS IN GENETICS 10: 1。HFIは、酵素アルドラーゼB(ALDOB)の欠損および肝臓、腸および腎臓での毒性のフルクトース1-リン酸塩の細胞内蓄積に関連するフルクトース代謝の稀な遺伝的障害である。フルクトースの摂取は、嘔吐および下痢などの急性の症状、さらには急性低血糖症、嗜眠、尿細管性アシドーシス(renal tubularacidosis)および急性肝不全などの生命を脅かす症状も引き起こす。Di Dato et al.(2019) NUTRIENTS 11: 2397。フルクトースの慢性の摂取は、不十分な食物摂取、成長の失敗または成育の遅延、肝臓および腎臓の損傷を生じる。早期に診断され、治療される場合、HFIは、予防可能であるが、迅速な介入なしでは致死であり得る。DFIは、遊離フルクトースが、小腸粘膜を通って吸収され得る前に、管腔の細菌による発酵性代謝に利用可能となる状況を含む。
【0007】
フルクトース吸収の大部分は、GLUT5およびGLUT2として知られる2つの主要な輸送因子を介して起こる。Ferraris et al.(2018) ANNU. REV. NUTR. 38: 41。GLUT5は、条件的な輸送因子(それは該輸送因子にわたる基質の移動のための濃度勾配に依存する)であり、フルクトースに特異的である。これは頂上部細胞膜に見られる。フルクトースが循環から迅速に除去されるので、フルクトースの管腔取込みは確実になる。この取込み機構は低い能力を有するが、該輸送因子は小腸の長さに沿って存在する。GLUT2は、グルコース、フルクトースおよびガラクトースを輸送し得る低親和性の条件的な輸送因子である。これは基底外側膜上に構成的に存在し、そこでヘキソースを、細胞の外側の濃度勾配に沿って(down)輸送する。フルクトースを吸収する腸の容量は飽和可能であり、遊離フルクトースを吸収する健常な成人の能力は典型的に、1日当たり5g未満から50gより高くまでの範囲である。Ferraris et al.(2018) ANNU. REV. NUTR. 38: 41。吸収されないフルクトースは、遠位の小腸および結腸に浸透負荷を課し得、胃腸の症状に寄与し得る。さらに、フルクトースは、細菌性発酵の基質として働き得、気体および他の細菌性代謝産物の形成をもたらし、それらは腸の運動性に影響を及ぼして、腹痛および鼓脹などの種々の症状を引き起こし得る。過剰なフルクトース消費は、脂肪症および非常に低い密度のリポ蛋白の形態の循環トリグリセリドレベルの増加の両方に寄与する脂質代謝、高インスリン血症の誘導、肥満症の増加および高血圧に大きな影響を有し得る。
【0008】
今日まで、フルクトース不耐症およびフルクトース吸収不良のために利用可能な治療は、フルクトース、ソルビトールおよびスクロース(FSS)を含まない食事のみである。これらの糖の全ての排除は、多くの食品に含まれる隠れた少量のフルクトースのために容易には実行可能ではない。したがって、フルクトース吸収を制御するためならびにフルクトース不耐症(例えば遺伝性フルクトース不耐症および食事性フルクトース不耐症)およびフルクトース吸収不良を治療するための新規で有効な医薬組成物および治療のための進行中の必要性がある。
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
本発明は部分的に、フルクトース不耐症(例えば遺伝性フルクトース不耐症または食事性フルクトース不耐症)および/またはフルクトース吸収不良の治療を必要とする被験体においてフルクトース不耐症(例えば遺伝性フルクトース不耐症または食事性フルクトース不耐症)および/またはフルクトース吸収不良を治療するために使用され得る、グルコース(キシロース)イソメラーゼ(フルクトースイソメラーゼとしても公知)酵素、グルコースオキシダーゼ酵素および過酸化物分解酵素(例えばカタラーゼ酵素)を含む医薬組成物の発見に基づく。
【0010】
したがって、一局面において、本発明は、グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素、グルコースオキシダーゼ酵素、過酸化物分解酵素(例えばカタラーゼ酵素)および薬学的に許容され得る賦形剤を含む(または本質的にそれからなる)医薬組成物を提供する。
【0011】
ある態様において、グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素は、噴霧乾燥または凍結乾燥される。グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素は、微生物グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素またはその機能的断片もしくはバリアントであり得る。グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素は、ストレプトミセス・ムリヌス(Streptomyces murinus)由来であり得る。ある態様において、グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素は、配列番号:5またはその機能的断片もしくはバリアントを含む。ある態様において、医薬組成物は、約1,000~約250,000国際単位(I.U.)のグルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素を含む。
【0012】
ある態様において、グルコースオキシダーゼ酵素は、噴霧乾燥または凍結乾燥される。グルコースオキシダーゼ酵素は、微生物グルコースオキシダーゼ酵素またはその機能的断片もしくはバリアントであり得る。グルコースオキシダーゼ酵素は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来であり得、例えばグルコースオキシダーゼ酵素は、配列番号:1、配列番号:2またはその機能的断片もしくはバリアントを含む。ある態様において、医薬は、約1,000~約250,000国際単位(I.U.)のグルコースオキシダーゼ酵素を含む。
【0013】
ある態様において、過酸化物分解酵素は噴霧乾燥または凍結乾燥される。ある態様において、過酸化物分解酵素は、カタラーゼ酵素またはペルオキシダーゼ酵素であり得る。ある態様において、過酸化物分解酵素は、細菌性カタラーゼ酵素であり得るカタラーゼ酵素またはその機能的断片もしくはバリアントである。ある態様において、カタラーゼ酵素はアスペルギルス・ニガー由来であり、例えばカタラーゼ酵素は、配列番号:3、配列番号:4またはその機能的断片もしくはバリアントを含む。ある態様において、医薬は、約1,000~約250,000国際単位(I.U.)のカタラーゼ酵素を含む。
【0014】
該状況に応じて、医薬組成物中のグルコース(キシロース)イソメラーゼの国際単位対グルコースオキシダーゼ酵素の国際単位の比は、0.1~10の範囲にある。さらにまたは代替的に、医薬組成物中のグルコースオキシダーゼの国際単位対過酸化物分解酵素の国際単位の比は0.1~10の範囲にある。
【0015】
ある態様において、医薬組成物は、経口剤型として製剤化される。医薬組成物は、固体経口剤型、例えば散剤、サシェ(satchel)、顆粒、ペレット、マイクロペレット、錠剤またはミニ錠剤として製剤化され得る。代替的に、医薬組成物は、液体経口剤型、例えばエリキシル、シロップまたはドロップとして製剤化され得る。医薬組成物は、室温で少なくとも3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、48ヶ月、60ヶ月、72ヶ月、84ヶ月、96ヶ月、108ヶ月または120ヶ月の貯蔵寿命を有し得る。
【0016】
別の局面において、本発明は、フルクトース不耐症(例えば食事性フルクトース不耐症または遺伝性フルクトース不耐症)の治療を必要とする被験体において、フルクトース不耐症(例えば食事性フルクトース不耐症または遺伝性フルクトース不耐症)を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される酵素または組成物のいずれかの有効量を投与(例えば経口投与)して、被験体においてフルクトース不耐症を治療する工程を含む。
【0017】
別の局面において、本発明は、過敏性腸症候群(IBS)、FODMAP(発酵性オリゴ糖、二糖、単糖およびポリオール)不耐症もしくは吸収不良、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血糖症または高インスリン血症の治療を必要とする被験体において過敏性腸症候群(IBS)、FODMAP(発酵性オリゴ糖、二糖、単糖およびポリオール)不耐症もしくは吸収不良、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血糖症または高インスリン血症を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される酵素または組成物のいずれかの有効量を投与(例えば経口投与)して、被験体においてフルクトース不耐症を治療する工程を含む。
【0018】
別の局面において、本発明は、フルクトースレベルの低減を必要とする被験体においてフルクトースレベルを低減する方法を提供する。該方法は、被験体に、本明細書に記載される酵素または組成物のいずれかの有効量を投与(例えば経口投与)して、被験体においてフルクトースレベルを低減する工程を含む。ある状況において、該方法は、被験体の血液中および/または被験体の胃腸管中でフルクトースのレベルを低減する。代替的または付加的に、該方法は、被験体由来の試料(例えば体液試料、例えば血液、血清または血漿)中でフルクトースのレベルを低減する。
【0019】
ある態様において、該方法は、食事または間食の0~240分または0~360分後、被験体の血液中のフルクトースのレベルを、曲線下面積(AUC)分析により決定される場合に、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する。ある態様において、該方法は、食事または間食後の被験体の血液中のフルクトースCmaxを、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する。ある態様において、該方法は、食事または間食後の被験体の血液中のフルクトースTmaxを、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する。ある態様において、食物と一緒に投与される場合に、該方法は、食物のカロリー摂取量を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%だけ低減する。
【0020】
前述の方法のいずれかのある態様において、被験体は、食事性フルクトース不耐症、遺伝性フルクトース不耐症、過敏性腸症候群(IBS)、FODMAP(発酵性オリゴ糖、二糖、単糖およびポリオール)の吸収不良および/または不耐症、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血糖症または高インスリン血症を有する。
【0021】
前述の方法のいずれかのある態様において、酵素または組成物は、1日当たり1、2、3、4回または4回より多く被験体に投与される。ある態様において、酵素または組成物は、食事または間食と共に(例えばそれぞれの食事または間食で)被験体に投与される。
【0022】
本発明のこれらおよび他の局面および特徴は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲において記載される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面の説明
本発明は、以下の図面に関してより完全に理解され得る。
【
図1】
図1は、pH7.4および37℃でのフルクトース(1%)の変換に対するグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼの効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
本発明は部分的に、種々の障害、例えばフルクトース不耐症(例えば食事性フルクトース不耐症または遺伝性フルクトース不耐症)、過敏性腸症候群(IBS)、FODMAP(発酵性オリゴ糖、二糖、単糖およびポリオール)吸収不良および/または不耐症、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血糖症または高インスリン血症の治療を必要とする被験体において種々の障害、例えばフルクトース不耐症(例えば食事性フルクトース不耐症または遺伝性フルクトース不耐症)、過敏性腸症候群(IBS)、FODMAP(発酵性オリゴ糖、二糖、単糖およびポリオール)吸収不良および/または不耐症、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血糖症または高インスリン血症を治療するために使用され得る、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼ酵素および過酸化物分解酵素(例えばカタラーゼ酵素)を含む医薬組成物の発見に基づく。
【0025】
本発明の種々の特徴および局面を、以下で詳細に議論する。
【0026】
I. 酵素
特に、本発明は、例えば本明細書に記載される障害の1つ以上の治療に有用な、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼ酵素および過酸化物分解酵素を含む医薬組成物を提供する。フルクトースレベルがこれらの障害に直接関連し得ると仮定すると、本明細書に記載される方法および組成物は、被験体においてフルクトースレベルを低減するように設計される。本明細書に記載される組成物の使用は、グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素を介してフルクトースのグルコースへの変換を容易にする。しかしながら、フルクトースとグルコースの間の天然の平衡を考慮すると、グルコースオキシダーゼおよびペルオキシダーゼ酵素は、グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素により産生されるグルコースの少なくとも一部を除去して、グルコースがフルクトースに再変換されることを妨げるように平衡をシフトさせる。
【0027】
本明細書で使用する場合、用語「グルコース(キシロース)イソメラーゼ」は、少なくとも以下の反応:
【化1】
を触媒し得る任意の酵素またはその機能的断片をいう。
【0028】
グルコース(キシロース)イソメラーゼは、例えばD-キシロースイソメラーゼ、D-キシロースケトイソメラーゼ、D-キシロースケトール-イソメラーゼ、D-キシロースケトールイソメラーゼ、D-キシロース:ケトール-イソメラーゼ、D-キシルロースケト-イソメラーゼ、グルコースイソメラーゼ、グルコース/キシロースイソメラーゼ、EC 5.3.1.5、D-XI、GXI、MaxazymeTM、OptisweetTM、SweetaseTMおよびSpezymeTMとも称される。
【0029】
用語グルコース(キシロース)イソメラーゼは、野生型グルコース(キシロース)イソメラーゼ配列および/またはグルコース(キシロース)イソメラーゼを含む融合タンパク質もしくはコンジュゲートに対して1つ以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入を有するバリアントを含む。本明細書で使用する場合、グルコース(キシロース)イソメラーゼの用語「機能的断片」は、対応する全長の天然に存在するグルコース(キシロース)イソメラーゼの酵素活性の例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%を保持する、全長グルコース(キシロース)イソメラーゼの断片をいう。グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素活性は、当該技術分野で公知の任意の方法によりアッセイされ得る。例示的なグルコース(キシロース)イソメラーゼ活性アッセイは、Abcam (Cambridge, UK;グルコースイソメラーゼ活性アッセイキット(Colorimetric);ab273289)およびBiovision (Milpitas, CA, USA)から入手可能である。
【0030】
例示的なグルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素としては、ストレプトミセス・ムリヌス由来のグルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素が挙げられる。ストレプトミセス・ムリヌス由来の例示的な野生型グルコースオキシダーゼ酵素のアミノ酸配列を配列番号:5(UniProtKB-P37031)に示す。
【0031】
さらなる例示的なグルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素としては、大腸菌、肺炎桿菌、乳酸短桿菌、ラクトバチルス・ペントーサス、枯草菌、カルディセルロシルプトル・ベスシイ(Caldicellulosiruptor bescii)、スタフィロコッカス・キシローサス、サーモアナエロバクター・エタノリクス(Thermoanaerobacter ethanolicus)、サーモアナエロバクター・サーモスルフロゲネス(Thermoanaerobacter thermosulfurogenes)、アルトロバクター属、アクチノプラネス・ミズーリエンシス(Actinoplanes missouriensis)、アムプラリエラ属(Ampullariella sp.)、ストレプトミセス・ビオラセオニガー(Streptomyces violaceoniger)、ストレプトミセス・ムリヌス、ストレプトミセス・ロケイ(Streptomyces rochei)、ストレプトミセス・ルビギノーサス(Streptomyces rubiginosus)、ストレプトミセス・オリボクロモゲネス(Streptomyces olivochromogenes)、サーマス・サーモフィルスまたはサーモトガ・ネオポリタナ(Thermotoga neopolitana)由来のグルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素が挙げられる。さらなる例示的なグルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素は、brenda-enzymes.org/enzyme.php?ecno=5.3.1.5#ORGANISMまたはbrenda-enzymes.org/enzyme.php?ecno=5.3.1.5でワールドワイドウェブ上に見られ得る。
【0032】
グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素は、コンセンサス配列VX1WX2GREGX3E(配列番号:6)を含み得、ここでX1は任意のアミノ酸であり、X2はGまたはPであり、X3はY、S、T、AまたはEである。代替的にまたは付加的に、グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素は、コンセンサス配列X1EPKPX2X3P(配列番号:7)を含み得、ここでX1はL、I、VまたはMであり、X2は任意のアミノ酸であり、X3はEまたはQである。
【0033】
本明細書で使用する場合、用語「グルコースオキシダーゼ」は、β-D-グルコースのD-グルコノ-ω-ラクトンおよび過酸化水素への酸化および/またはD-グルコノ-ω-ラクトンのグルコン酸への変換を触媒し得る任意の酵素またはその機能的断片をいう。グルコースオキシダーゼは典型的に少なくとも以下の反応:
β-D-グルコース+O2→D-グルコノ-ω-ラクトン+H2O2
を触媒する。
【0034】
グルコースオキシダーゼは、EC 1.1.3.4、グルコースオキシヒドラーゼ、コリロフィリン(corylophyline)、ペナチン(penatin)、グルコースエアロデヒドロゲナーゼ(glucose aerodehydrogenase)、ミクロシド(microcid)、β-D-グルコースオキシダーゼ、D-グルコースオキシダーゼ、D-グルコース-1-オキシダーゼ、β-D-グルコース:キノンオキシドレダクターゼ、グルコースオキシヒドラーゼおよびデオキシン(deoxin)-1とも称され、そうではないと示されない限り、該用語は、本明細書において交換可能に使用される。用語グルコースオキシダーゼとしては、野生型グルコースオキシダーゼ配列および/またはグルコースオキシダーゼを含む融合タンパク質もしくはコンジュゲートに対して1つ以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入を有するバリアントが挙げられる。本明細書で使用する場合、グルコースオキシダーゼの用語「機能的断片」は、対応する全長の天然に存在するグルコースオキシダーゼの酵素活性の例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%を保持する全長グルコースオキシダーゼの断片をいう。グルコースオキシダーゼ酵素活性は、当該技術分野で公知の任意の方法によりアッセイされ得る。例示的なグルコースオキシダーゼ活性アッセイは、Sigma-Aldrich (Cat. No. MAK097)から入手可能である。
【0035】
例示的なグルコースオキシダーゼ酵素としては、アスペルギルス・ニガー由来のグルコースオキシダーゼ酵素が挙げられる。アスペルギルス・ニガー由来の例示的な野生型グルコースオキシダーゼ酵素のアミノ酸配列は、配列番号:1(シグナル配列あり)および配列番号:2(シグナル配列なし)に示される。さらなる例示的なグルコースオキシダーゼ酵素は、brenda-enzymes.org/enzyme.php?ecno=1.1.3.4#ORGANISMまたはbrenda-enzymes.org/enzyme.php?ecno=1.1.3.4で、ワールドワイドウェブ上に見られ得る。
【0036】
本明細書で使用する場合、用語「過酸化物分解酵素」は、過酸化水素を分解し得る任意の酵素またはその機能的断片をいう。例示的な過酸化物分解酵素としては、カタラーゼおよびペルオキシダーゼ酵素が挙げられる。
【0037】
本明細書で使用する場合、用語「カタラーゼ」は、過酸化水素の水および酸素への分解を触媒し得る任意の酵素またはその機能的断片をいう。カタラーゼは典型的に、以下の反応:
2H2O2→O2+2H2O
を触媒する。
【0038】
カタラーゼは、EC 1.11.1.6、エクイラーゼ(equilase)、カペラーゼ(caperase)、オプチダーゼ(optidase)、カタラーゼ-ペルオキシダーゼおよびCATとも称され、そうではないと示されない限り、該用語は本明細書において交換可能に使用される。用語カタラーゼとしては、野生型カタラーゼ配列および/またはカタラーゼを含む融合タンパク質もしくはコンジュゲートに対して1つ以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入を有するバリアントが挙げられる。本明細書で使用する場合、カタラーゼの用語「機能的断片」は、対応する全長の天然に存在するカタラーゼの酵素活性の例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%を保持する全長カタラーゼの断片をいう。例示的なカタラーゼ活性アッセイは、Sigma-Aldrich (Cat. Nos. CAT100および219265)から入手可能である。
【0039】
例示的なカタラーゼ酵素としては、アスペルギルス・ニガー由来のカタラーゼ酵素が挙げられる。アスペルギルス・ニガー由来の例示的な野生型カタラーゼ酵素のアミノ酸配列は、配列番号:3(シグナル配列あり)および配列番号:4(シグナル配列なし)に示される。さらなる例示的なカタラーゼ酵素は、brenda-enzymes.org/enzyme.php?ecno=1.11.1.6#ORGANISMまたはbrenda-enzymes.org/enzyme.php?ecno=1.11.1.6で、ワールドワイドウェブ上に見られ得る。
【0040】
本明細書で使用する場合、用語「ペルオキシダーゼ」は、化合物を酸化または重合生成物に変換し得る遊離ラジカルの機構による酸化-還元反応を触媒し得る任意の酵素またはその機能的断片をいう。ペルオキシダーゼは典型的に、以下の反応:
H2O2+AH2→2H2O+A
を触媒する。
【0041】
用語ペルオキシダーゼとしては、野生型ペルオキシダーゼ配列および/またはペルオキシダーゼを含む融合タンパク質もしくはコンジュゲートに対して1つ以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入を有するバリアントが挙げられる。本明細書で使用する場合、ペルオキシダーゼの用語「機能的断片」は、対応する全長の天然に存在するペルオキシダーゼの酵素活性の例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%を保持する全長ペルオキシダーゼの断片をいう。例示的なペルオキシダーゼ活性アッセイは、Sigma-Aldrich (Cat. No. MAK092)から入手可能である。
【0042】
ペルオキシダーゼは大きな群の酵素を示す。例示的なペルオキシダーゼ酵素は、brenda-enzymes.org/enzyme.php?ecno=1.11.1.7#ORGANISMまたはbrenda-enzymes.org/enzyme.php?ecno=1.11.1.7で、ワールドワイドウェブ上に見られ得る。
【0043】
ある態様において、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、本明細書に開示される野生型グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素に対して少なくとも1つ(例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つ)の変異(1つ以上)を含む。
【0044】
ある態様において、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、本明細書に開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素に対して1つ以上の保存的置換を含む。他の態様において、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、本明細書に開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素に対して1つ以上の非保存的置換を含む。本明細書で使用する場合、用語「保存的置換」は、構造的に同様のアミノ酸での置換をいう。例えば、保存的置換は、以下の群:SerおよびCys;Leu、IleおよびVal;GluおよびAsp;LysおよびArg;Phe、TyrおよびTrp;ならびにGln、Asn、Glu、AspおよびHis内のものを含み得る。保存的置換は、BLAST (Basic Local Alignment Search Tool)アルゴリズム、BLOSUM置換マトリックス(例えばBLOSUM 62マトリックス)またはPAM置換:pマトリックス(例えばPAM 250マトリックス)によっても定義され得る。非保存的置換は、保存的置換ではないアミノ酸置換である。
【0045】
ある態様において、開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素(またはそれを含む医薬組成物、例えば固体医薬組成物)は、室温で、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも21ヶ月、少なくとも24ヶ月、少なくとも36ヶ月、少なくとも48ヶ月、少なくとも60ヶ月、少なくとも72ヶ月、少なくとも84ヶ月、少なくとも96ヶ月、少なくとも108ヶ月または少なくとも120ヶ月の貯蔵寿命を有する(例えばその生物学的活性の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%を保持する)。ある態様において、開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素(またはそれを含む医薬組成物、例えば固体医薬組成物)は、室温で、約3~約120ヶ月、約3~約96ヶ月、約3~約72ヶ月、約3~約48ヶ月、約3~約24ヶ月、約3~約21ヶ月、約3~約18ヶ月、約3~約15ヶ月、約3~約12ヶ月、約3~約9ヶ月、約3~約6ヶ月、約6~約120ヶ月、約6~約96ヶ月、約6~約72ヶ月、約6~約48ヶ月、約6~約24ヶ月、約6~約21ヶ月、約6~約18ヶ月、約6~約15ヶ月、約6~約12ヶ月、約6~約9ヶ月、約9~約120ヶ月、約9~約96ヶ月、約9~約72ヶ月、約9~約48ヶ月、約9~約24ヶ月、約9~約21ヶ月、約9~約18ヶ月、約9~約15ヶ月、約9~約12ヶ月、約12~約120ヶ月、約12~約96ヶ月、約12~約72ヶ月、約12~約48ヶ月、約12~約24ヶ月、約12~約21ヶ月、約12~約18ヶ月、約12~約15ヶ月、約15~約120ヶ月、約15~約96ヶ月、約15~約72ヶ月、約15~約48ヶ月、約15~約24ヶ月、約15~約21ヶ月、約15~約18ヶ月、約18~約120ヶ月、約18~約96ヶ月、約18~約72ヶ月、約18~約48ヶ月、約18~約24ヶ月、約18~約21ヶ月、約21~約120ヶ月、約21~約96ヶ月、約21~約72ヶ月、約21~約48ヶ月、約21~約24ヶ月、約24~約120ヶ月、約24~約96ヶ月、約24~約72ヶ月、約24~約48ヶ月、約48~約120ヶ月、約48~約96ヶ月、約48~約72ヶ月、約72~約120ヶ月、約72~約96ヶ月または約96~約120ヶ月の貯蔵寿命を有し得る。
【0046】
グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素の安定性、貯蔵寿命または半減期は、選択された条件(例えば温度、pHおよび/または湿度条件)で選択された時間の酵素のインキュベーション後に、酵素活性またはSDS-PAGE分析などの当該技術分野で公知の任意の方法により測定され得る。グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素の安定性、貯蔵寿命または半減期は、それが測定される実験条件に依存することが理解される。
【0047】
ある態様において、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、本明細書に開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。
【0048】
例えば、ある態様において、グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素は、配列番号:5に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。ある態様において、グルコースオキシダーゼ酵素は、配列番号:1または配列番号:2に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。ある態様において、過酸化物分解酵素は、配列番号:3または配列番号:4に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する。配列同一性は、当該技術分野の技術の範囲内にある種々の方法で、例えば公的に利用可能なコンピューターソフトウェア、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign (DNASTAR)ソフトウェアを使用して決定され得る。プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxにより使用されるアルゴリズムを使用したBLAST (Basic Local Alignment Search Tool)分析(Karlin et al., (1990) PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 87:2264-2268;Altschul, (1993) J. MOL. EVOL. 36, 290-300; Altschul et al., (1997) NUCLEIC ACIDS RES.25:3389-3402、参照により援用される)は、配列類似性の検索のために調整される。配列データベースの検索における基本的な問題の議論については、参照により十分に援用されるAltschul et al., (1994) NATURE GENETICS 6:119-129参照。当業者は、比較される配列の全長にわたり最大の整列(alignment)を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、整列を測定するための適切なパラメーターを決定し得る。ヒストグラム、ディスクリプション、アラインメント、エクスペクト(すなわちデータベース配列に対する適合を報告するための統計的有意さ閾値)、カットオフ、マトリックスおよびフィルターについての検索パラメーターは、デフォルト設定にある。blastp、blastx、tblastnおよびtblastxにより使用されるデフォルトスコアリングマトリックスは、BLOSUM62マトリックスである(Henikoff et al., (1992) PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 89:10915-10919、参照により十分に援用される)。4つのblastnパラメーターは以下の通りに調整され得る:Q=10(ギャップ生成ペナルティー);R=10(ギャップ伸長ペナルティー(gap extension penalty));wink=1(クエリに沿ってwink.sup.thの位置毎にワードヒットを生じる);およびgapw=16(ギャップのあるアラインメントが生成されるウィンドウ幅を設定する)。同等のBlastpパラメーター設定は、Q=9;R=2;wink=1;およびgapw=32であり得る。検索はまた、NCBI (National Center for Biotechnology Information) BLAST Advanced Optionパラメーターを使用して実施され得る(例えば:-G、オープンギャップについてのコスト[整数]:デフォルト=ヌクレオチドについて5/タンパク質について11;-E、伸長ギャップについてのコスト[整数]:デフォルト=ヌクレオチドについて2/タンパク質について1;-q、ヌクレオチドミスマッチについてのペナルティー[整数]:デフォルト=-3;-r、ヌクレオチド適合についての報酬(reward)[整数]:デフォルト=1;-e、予測値[実数]:デフォルト=10;-W、ワードサイズ[整数]:デフォルト=ヌクレオチドについて11/megablastについて28/タンパク質について3;-y、ビットでのblast伸長についてのドロップオフ(X):デフォルト=blastnについて20/その他について7;-X、ギャップのあるアラインメントについてのXドロップオフ値(ビット(in bit)):デフォルト=全てのプログラムについて15であるがblastnには適用可能ではない;および-Z、ギャップのあるアラインメントについての最終Xドロップオフ値(ビット):blastnについて50、その他について25)。ペアワイズタンパク質アラインメントについてのClustalWも使用され得る(デフォルトパラメータは、例えばBlosum62マトリックスおよびギャップオープンペナルティー(Gap Opening Penalty)=10およびギャップ伸長ペナルティー=0.1を含み得る)。GCGパッケージバージョン10.0において利用可能な配列間の最適合比較はDNAパラメーターGAP=50(ギャップ生成ペナルティー)およびLEN=3(ギャップ伸長ペナルティー)を使用し、タンパク質比較における同等の設定はGAP=8およびLEN=2である。
【0049】
開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、改変、遺伝子工学で作り変えまたは化学的にコンジュゲートされ得ることが企図される。例えば、開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、標準的なインビトロコンジュゲーション化学を使用して、エフェクター剤にコンジュゲートされ得ることが企図される。エフェクター剤がポリペプチドである場合、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、エフェクターに化学的にコンジュゲートされ得るかまたは融合タンパク質としてエフェクターに連結され得る。融合タンパク質の構築は、当該技術分野の通常の技術の範囲内にある。
【0050】
ある態様において、投与の特定の様式または活性の部位に応じて、開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、循環中、例えば血液、血清または他の組織中のその安定性および/または保持を向上する部分により改変され得る。例えば開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、ポリマー、例えば実質的に非抗原性のポリマー、例えばポリアルキレンオキシドまたはポリエチレンオキシドにコンジュゲートされ得る。ある態様において、開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、水溶性ポリマー、例えば親水性ポリビニルポリマー、例えばポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンにコンジュゲートされる。かかるポリマーの例としては、ポリアルキレンオキシドホモポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール、それらのコポリマーおよびそれらのブロックコポリマーが挙げられる。さらなる有用なポリマーとしては、ポリオキシアルキレン、例えばポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンおよびポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロックコポリマー、ポリメタクリレート、カルボマーおよび分岐または非分岐の多糖が挙げられる。
【0051】
II. 酵素作製
本発明のグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素を作製するための方法は当該技術分野で公知である。例えばグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコードするDNA分子は、本明細書に提供される配列情報を使用して化学的に合成され得る。合成DNA分子は、例えば発現制御配列などの他の適切なヌクレオチド配列にライゲーションされて、所望のグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコードする従来の遺伝子発現構築物を作製し得る。
【0052】
所望のグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコードする核酸は、発現ベクターに組み込まれ(ライゲーションされ)得、これは従来のトランスフェクションまたは形質転換技術により宿主細胞に導入され得る。形質転換された宿主細胞は、宿主細胞がグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコードする遺伝子を発現することを可能にする条件下で増殖され得る。
【0053】
ある態様において、本発明の組換えグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコードする核酸は、当該技術分野で公知の方法を使用して、異種細胞、例えば酵母細胞(例えばピキア細胞)または大腸菌細胞内での発現のためにコドン最適化され得る。
【0054】
特異的な発現および精製の条件は、使用される発現系に応じて変化する。例えば、遺伝子が大腸菌で発現される場合、遺伝子は、遺伝子工学で作り変えられた遺伝子を適切な細菌性プロモーター、例えばTrpまたはTacおよび原核生物シグナル配列の下流に配置することにより、発現ベクターにクローニングされ得る。発現された分泌タンパク質は、屈折体または封入体に蓄積し、フレンチプレスまたは超音波処理による細胞の破壊の後に採取され得る。次いで、屈折体を可溶化して、当該技術分野で公知の方法によりタンパク質をリフォールドおよび切断する。
【0055】
グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、かかるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコードする発現ベクターをトランスフェクトされた宿主細胞を、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素の発現を可能にする条件下で増殖(培養)することにより作製され得る。発現後、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、採取されて、当該技術分野で公知の技術、例えばグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)およびヒスチジンタグなどのアフィニティタグを使用して精製または単離され得る。
【0056】
ある態様において、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は乾燥、例えば噴霧乾燥される。医薬タンパク質は、多くの方法で、例えばN2、空気または不活性気体による乾燥、真空オーブン乾燥、凍結乾燥、揮発性有機溶媒での洗浄、その後の溶媒の蒸発、ヒュームフード内での蒸発、トレイ乾燥、流体床乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥またはローラー乾燥などの手段による水、有機溶媒または液体ポリマーの除去により乾燥され得る。
【0057】
グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素を噴霧乾燥することにより、水はグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素調製物から分離され、エマルジョンおよびポンプ可能懸濁液などの液体供給原料からの粉末、顆粒または塊り形態の乾燥固体の連続作製が可能になる。噴霧乾燥は、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素を含む液体供給原料の、液滴のスプレーへの噴霧、および乾燥チャンバー内での液滴と熱い空気または気体との接触を含む。噴霧プロセスは、液体供給原料と、圧縮空気または窒素などの乾燥気体を混合する2流体アトマイザーを使用して実行され得る。作動条件および乾燥器設計は、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素の乾燥特徴ならびに所望の粉末品質に従って選択される。酵素を噴霧乾燥するための例示的な方法は、米国特許出願公開第2015/0353913号に記載される。グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび過酸化物分解酵素は、別々にまたは合わせて噴霧乾燥され得、一緒に噴霧乾燥され得る。
【0058】
ある態様において、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は固定される。例えばグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、IRA-904樹脂、アルギン酸カルシウムビーズ、Ludox HS-30またはシリカビーズに固定され得る。
【0059】
III. 医薬組成物
治療用途について、本明細書に記載されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素は、好ましくは薬学的に許容され得る担体と合わされる。用語「薬学的に許容され得る」は、本明細書で使用する場合、過度な毒性、刺激、アレルギー応答または他の問題もしくは合併症を有することなく、妥当な利益/リスク比に釣り合った、ヒトおよび動物の組織との接触における使用に適した、正常な医学的判断の範囲内にあるこれらの化合物、材料、組成物および/または剤型をいう。
【0060】
用語「薬学的に許容され得る担体」は、本明細書で使用する場合、過度な毒性、刺激、アレルギー応答または他の問題もしくは合併症を有することなく、妥当な利益/リスク比に釣り合った、ヒトおよび動物の組織との接触における使用に適したバッファ、担体および賦形剤をいう。薬学的に許容され得る担体は、リン酸緩衝化食塩水溶液、水、エマルジョン(例えば油/水または水/油エマルジョンなど)および種々の型の湿潤化剤などの標準的な医薬担体のいずれかを含む。該組成物はまた、安定化剤および保存剤を含み得る。担体、安定化剤およびアジュバントの例について、例えばMartin, Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th Ed., Mack Publ. Co., Easton, PA [1975]参照。薬学的に許容され得る担体としては、薬学的投与に適合性であるバッファ、溶媒、分散媒体、コーティング、等張剤および吸収遅延剤等が挙げられる。薬学的に活性な物質のためのかかる媒体および薬剤の使用は、当該技術分野で公知である。
【0061】
天然に存在するまたは組み換えの本明細書に開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素を含む医薬組成物は、単位剤型で存在し得、任意の適切な方法で調製され得る。医薬組成物は、その意図される投与経路と適合性であるように製剤化されるべきである。医薬組成物は、種々の形態であり得る。例えばこれらとしては、液体溶液、分散剤または懸濁物、錠剤、丸薬、散剤、リポソームおよび坐剤などの液体、半固体および固体剤型が挙げられる。好ましい形態は、投与および治療適用の意図される様式に依存する。
【0062】
組成物は、好ましくは経腸的(例えば経口)の投与のために製剤化されるが、かかる組成物は、非経口の様式(例えば静脈内、皮下、腹腔内または筋内注射)により投与され得る。句「非経口投与」および「非経口的に投与される」は、本明細書で使用する場合、通常注射による、経腸的および局所投与以外の投与の様式を意味し、限定されることなく、静脈内、筋内、動脈内、鞘内、包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊椎内、硬膜外および胸骨下の注射および注入が挙げられる。
【0063】
組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散剤、リポソームまたは高濃度での安定な保存に適した他の規則正しい構造として製剤化され得る。滅菌注射可能溶液は、本明細書に記載される薬剤を、必要な場合は上に列挙される成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒中に必要な量で一体化し、次いで濾過滅菌により調製され得る、一般的に、分散剤は、本明細書に記載される薬剤を、基本的分散媒体および上に列挙されるものからの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに一体化することにより調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、本明細書に記載される薬剤の粉末および以前に滅菌濾過されたその溶液由来の任意のさらなる所望の成分を生じる真空乾燥および凍結乾燥である。溶液の適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用により、分散剤の場合は必要な粒径の維持によりおよび界面活性剤の使用により維持され得る。注射可能組成物の延長された吸収は、組成物中に吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを含むことにより達成され得る。
【0064】
例えば非経口投与による投与の様式に応じて、滅菌性である医薬製剤を作製することが望ましくあり得る。滅菌は、任意の適切な方法、例えば滅菌濾過膜による濾過により達成され得る。組成物が凍結乾燥される場合、フィルター滅菌は、凍結乾燥および再構成の前または後に行われ得る。
【0065】
ある態様において、開示される組成物は、例えばグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素をコーティングし得るポリイオン性試薬を含む(例えば該組成物はポリイオン性コーティングを含む)。例示的なポリイオン性試薬としては、PSS(ポリ(ナトリウム4-スチレンスルホネート)、PAA(ポリアクリル酸ナトリウム塩)、PMG(ポリ(メチレン-コ-グアニジン)塩酸塩)、DS(硫酸デキストラン)、PMA(ポリ(アクリル酸メチル))またはPVS(ポリビニルシロキサン)が挙げられる。
【0066】
ある態様において、開示される組成物および/または用量は:(i)約750~約250,000、約750~約200,000、約750~約150,000、約750~約100,000、750~約75,000、約750~約60,000、約750~約45,000、約750~約30,000、約750~約15,000、約750~約10,000、約750~約7,500、約750~約5,000、約750~約2,500、約750~約1,000、約1,000~約250,000、約1,000~約200,000、約1,000~約150,000、約1,000~約100,000、1,000~約75,000、約1,000~約60,000、約1,000~約45,000、約1,000~約30,000、約1,000~約15,000、約1,000~約10,000、約1,000~約7,500、約1,000~約5,000、約1,000~約2,500、約2,500~約250,000、約2,500~約200,000、約2,500~約150,000、約2,500~約100,000、2,500~約75,000、約2,500~約60,000、約2,500~約45,000、約2,500~約30,000、約2,500~約15,000、約2,500~約10,000、約2,500~約7,500、約2,500~約5,000、約5,000~約250,000、約5,000~約200,000、約5,000~約150,000、約5,000~約100,000、5,000~約75,000、約5,000~約60,000、約5,000~約45,000、約5,000~約30,000、約5,000~約15,000、約5,000~約10,000、約5,000~約7,500、約7,500~約250,000、約7,500~約200,000、約7,500~約150,000、約7,500~約100,000、7,500~約75,000、約7,500~約60,000、約7,500~約45,000、約7,500~約30,000、約7,500~約15,000、約7,500~約10,000、約10,000~約250,000、約10,000~約200,000、約10,000~約150,000、約10,000~約100,000、10,000~約75,000、約10,000~約60,000、約10,000~約45,000、約10,000~約30,000、約10,000~約15,000、約15,000~約250,000、約15,000~約200,000、約15,000~約150,000、約15,000~約100,000、15,000~約75,000、約15,000~約60,000、約15,000~約45,000、約15,000~約30,000、約30,000~約250,000、約30,000~約200,000、約30,000~約150,000、約30,000~約100,000、約30,000~約75,000、約30,000~約60,000、約30,000~約45,000、約45,000~約250,000、約45,000~約200,000、約45,000~約150,000、約45,000~約100,000、約45,000~約75,000、約45,000~約60,000、約60,000~約250,000、約60,000~約200,000、約60,000~約150,000、約60,000~約100,000、約60,000~約75,000、約75,000~約250,000、約75,000~約200,000、約75,000~約150,000、約75,000~約100,000、約100,000~約250,000、約100,000~約200,000、約100,000~約150,000、約150,000~約250,000、約150,000~約200,000、約200,000~約250,000国際単位(I.U.)のグルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素;および/または(ii)約750~約250,000、約750~約200,000、約750~約150,000、約750~約100,000、750~約75,000、約750~約60,000、約750~約45,000、約750~約30,000、約750~約15,000、約750~約10,000、約750~約7,500、約750~約5,000、約750~約2,500、約750~約1,000、約1,000~約250,000、約1,000~約200,000、約1,000~約150,000、約1,000~約100,000、1,000~約75,000、約1,000~約60,000、約1,000~約45,000、約1,000~約30,000、約1,000~約15,000、約1,000~約10,000、約1,000~約7,500、約1,000~約5,000、約1,000~約2,500、約2,500~約250,000、約2,500~約200,000、約2,500~約150,000、約2,500~約100,000、2,500~約75,000、約2,500~約60,000、約2,500~約45,000、約2,500~約30,000、約2,500~約15,000、約2,500~約10,000、約2,500~約7,500、約2,500~約5,000、約5,000~約250,000、約5,000~約200,000、約5,000~約150,000、約5,000~約100,000、5,000~約75,000、約5,000~約60,000、約5,000~約45,000、約5,000~約30,000、約5,000~約15,000、約5,000~約10,000、約5,000~約7,500、約7,500~約250,000、約7,500~約200,000、約7,500~約150,000、約7,500~約100,000、7,500~約75,000、約7,500~約60,000、約7,500~約45,000、約7,500~約30,000、約7,500~約15,000、約7,500~約10,000、約10,000~約250,000、約10,000~約200,000、約10,000~約150,000、約10,000~約100,000、10,000~約75,000、約10,000~約60,000、約10,000~約45,000、約10,000~約30,000、約10,000~約15,000、約15,000~約250,000、約15,000~約200,000、約15,000~約150,000、約15,000~約100,000、15,000~約75,000、約15,000~約60,000、約15,000~約45,000、約15,000~約30,000、約30,000~約250,000、約30,000~約200,000、約30,000~約150,000、約30,000~約100,000、約30,000~約75,000、約30,000~約60,000、約30,000~約45,000、約45,000~約250,000、約45,000~約200,000、約45,000~約150,000、約45,000~約100,000、約45,000~約75,000、約45,000~約60,000、約60,000~約250,000、約60,000~約200,000、約60,000~約150,000、約60,000~約100,000、約60,000~約75,000、約75,000~約250,000、約75,000~約200,000、約75,000~約150,000、約75,000~約100,000、約100,000~約250,000、約100,000~約200,000、約100,000~約150,000、約150,000~約250,000、約150,000~約200,000、約200,000~約250,000国際単位(I.U.)のグルコースオキシダーゼ酵素;および/または(iii)約750~約250,000、約750~約200,000、約750~約150,000、約750~約100,000、750~約75,000、約750~約60,000、約750~約45,000、約750~約30,000、約750~約15,000、約750~約10,000、約750~約7,500、約750~約5,000、約750~約2,500、約750~約1,000、約1,000~約250,000、約1,000~約200,000、約1,000~約150,000、約1,000~約100,000、1,000~約75,000、約1,000~約60,000、約1,000~約45,000、約1,000~約30,000、約1,000~約15,000、約1,000~約10,000、約1,000~約7,500、約1,000~約5,000、約1,000~約2,500、約2,500~約250,000、約2,500~約200,000、約2,500~約150,000、約2,500~約100,000、2,500~約75,000、約2,500~約60,000、約2,500~約45,000、約2,500~約30,000、約2,500~約15,000、約2,500~約10,000、約2,500~約7,500、約2,500~約5,000、約5,000~約250,000、約5,000~約200,000、約5,000~約150,000、約5,000~約100,000、5,000~約75,000、約5,000~約60,000、約5,000~約45,000、約5,000~約30,000、約5,000~約15,000、約5,000~約10,000、約5,000~約7,500、約7,500~約250,000、約7,500~約200,000、約7,500~約150,000、約7,500~約100,000、7,500~約75,000、約7,500~約60,000、約7,500~約45,000、約7,500~約30,000、約7,500~約15,000、約7,500~約10,000、約10,000~約250,000、約10,000~約200,000、約10,000~約150,000、約10,000~約100,000、10,000~約75,000、約10,000~約60,000、約10,000~約45,000、約10,000~約30,000、約10,000~約15,000、約15,000~約250,000、約15,000~約200,000、約15,000~約150,000、約15,000~約100,000、15,000~約75,000、約15,000~約60,000、約15,000~約45,000、約15,000~約30,000、約30,000~約250,000、約30,000~約200,000、約30,000~約150,000、約30,000~約100,000、約30,000~約75,000、約30,000~約60,000、約30,000~約45,000、約45,000~約250,000、約45,000~約200,000、約45,000~約150,000、約45,000~約100,000、約45,000~約75,000、約45,000~約60,000、約60,000~約250,000、約60,000~約200,000、約60,000~約150,000、約60,000~約100,000、約60,000~約75,000、約75,000~約250,000、約75,000~約200,000、約75,000~約150,000、約75,000~約100,000、約100,000~約250,000、約100,000~約200,000、約100,000~約150,000、約150,000~約250,000、約150,000~約200,000、約200,000~約250,000国際単位(I.U.)の過酸化物分解酵素を含む。
【0067】
該状況に応じて、グルコース(キシロース)イソメラーゼの国際単位数対グルコースオキシダーゼ酵素の国際単位数の比は、0.1~10、例えば0.1~9、0.1~8、0.1~7、0.1~6、0.1~5、0.1~4、0.1~3、0.1~1または0.1~1、0.5~10、0.5~9、0.5~8、0.5~7、0.5~6、0.5~5、0.5~4、0.5~3または0.5~2、0.5~1、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3または1~2の範囲にある。
【0068】
該状況に応じて、グルコースオキシダーゼの国際単位数対ペルオキシダーゼ分解酵素の国際単位数の比は、0.1~10、例えば0.1~9、0.1~8、0.1~7、0.1~6、0.1~5、0.1~4、0.1~3、0.1~1または0.1~1、0.5~10、0.5~9、0.5~8、0.5~7、0.5~6、0.5~5、0.5~4、0.5~3または0.5~2、0.5~1、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3または1~2の範囲にある。
【0069】
該状況に応じて、特定の用量で被験体に投与されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/またはペルオキシダーゼ分解酵素の量は、約50~約20,000、約50~約15,000、約50~約10,000、約50~約7,500、約50~約5,000、約50~約4,000、約50~約3000、約50~約2000、約50~約1,000、約50~約750、約50~約500または約50~約150国際単位/kg、例えば約20,000、約15,000、約10,000、約5,000、約4,000、約3,000、2,000、1,000国際単位/kgの範囲であり得る。
【0070】
180kgのヒトについて、約500,000~約4,000,000、500,000~約3,000,000、約500,000~約2,000,000、500,000~約1,000,000、1,000,000~約4,000,000 1,000,000~約3,000,000または1,000,000~約2,000,000国際単位のグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/またはペルオキシダーゼ分解酵素が単回用量で投与され得ることが企図される。
【0071】
ある態様において、開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素または組成物は、食事または間食と一緒に被験体に投与される。ある態様において、開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素または組成物は、被験体が食べるそれぞれの食事または間食と一緒に被験体に投与される。ある態様において、開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素または組成物は、7日毎に1回、6日毎に1回、5日毎に1回、4日毎に1回、3日毎に1回、2日毎に1回、毎日1回、毎日2回、毎日3回、毎日4回、毎日5回、毎日6回または毎日6回より多く被験体に投与される。
【0072】
該状況に応じて、組成物は、散剤、顆粒、ペレット、マイクロペレットまたはミニ錠剤として製剤化され得る。組成物は、カプセル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル、軟ゼラチンカプセルまたは硬ゼラチンカプセル内に封入され得る。代替的に、組成物は、錠剤剤型として製剤化され得る。組成物はまた、液体経口剤型、例えばエリキシル、シロップ剤またはドロップとして製剤化され得る。
【0073】
IV. 治療的用途
本明細書に開示される方法および組成物は、疾患または障害を治療するために使用され得る。例えば、本発明は、フルクトース不耐症(例えば食事性フルクトース不耐症または遺伝性フルクトース不耐症)、過敏性腸症候群(IBS)、FODMAP(発酵性オリゴ糖、二糖、単糖およびポリオール)吸収不良および/または不耐症、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血糖症または高インスリン血症を治療する方法を提供する。該方法は、被験体に、(i)グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素、(ii)グルコースオキシダーゼ酵素および/または(iii)過酸化物分解酵素の有効量を投与する工程を含む。例えば、該方法は、(i)噴霧乾燥または凍結乾燥されたグルコース(キシロース)イソメラーゼ、(ii)噴霧乾燥または凍結乾燥されたグルコースオキシダーゼ酵素および/または(iii)噴霧乾燥または凍結乾燥された過酸化物分解酵素を含む、開示される医薬組成物を投与する工程を含み得る。
【0074】
用語「有効量」は、本明細書で使用する場合、有益または所望の結果をもたらすのに十分な活性剤(例えば開示されるグルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/または過酸化物分解酵素)の量をいう。有効量は、1つ以上の投与、適用または用量において投与され得、特定の製剤または投与経路に限定されることを意図しない。
【0075】
本明細書で使用する場合、「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」および「治療(treatment)」は、被験体、例えばヒトにおける疾患の治療を意味する。これは、(a)疾患の阻害、すなわちその発症の阻止;および(b)疾患の軽減、すなわち疾患状態の後退を引き起こすことを含む。本明細書で使用する場合、用語「被験体」および「患者」は、本明細書に記載される方法および組成物により治療される生物をいう。かかる生物としては好ましくは、限定されないが、哺乳動物(例えば、マウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ等)が挙げられ、より好ましくはヒトが挙げられる。
【0076】
本発明はまた、被験体、例えばフルクトース不耐症(例えば食事性フルクトース不耐症または遺伝性フルクトース不耐症)、過敏性腸症候群(IBS)、FODMAP(発酵性オリゴ糖、二糖、単糖およびポリオール)の吸収不良および不耐症、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血糖症または高インスリン血症を有する被験体においてフルクトースのレベルを低減する方法を提供する。該方法は、被験体に、(i)グルコース(キシロース)イソメラーゼ、(ii)グルコースオキシダーゼ酵素および/または(iii)過酸化物分解酵素の有効量を投与する工程を含む。例えば、該方法は、(i)噴霧乾燥または凍結乾燥されたグルコース(キシロース)イソメラーゼ、(ii)噴霧乾燥または凍結乾燥されたグルコースオキシダーゼおよび/または(ii)噴霧乾燥または凍結乾燥された過酸化物分解酵素を含む、開示される医薬組成物を投与する工程を含み得る。被験体中のフルクトースのレベルは、被験体の体液(例えば血液、血漿、血清または尿)、組織、臓器、細胞および/または胃腸管中、または前述のいずれかの試料中のフルクトースのレベルをいい得る。
【0077】
フルクトースレベル、例えば血液フルクトースレベルは、当該技術分野で公知の任意の方法により測定され得る。例示的なフルクトース測定キットは、Sigma Aldrich (FA20-1KT)およびBiovision (K439-100)から入手可能である。
【0078】
本明細書に記載される方法および組成物は、単独または他の治療剤および/またはモダリティーと組み合わせて使用され得る。用語「組み合わせて」投与されるは、本明細書で使用する場合、患者に対する治療の効果がある時点で重複するように2つ(またはそれ以上)の異なる治療が、障害を有する被験体の苦痛の経過の間に被験体に送達されることを意味すると理解される。ある態様において、1つの治療の送達は、第2のものの送達が開始される際に依然として行われているので、投与期間の重複がある。これは、時々本明細書において「同時(simultaneous)」または「同時(concurrent)送達」と称される。他の態様において、1つの治療の送達は、他の治療の送達が開始する前に終了する。いずれかの場合のある態様において、組み合された投与のために治療はより効果的である。例えば、第2の治療はより効果的であり、例えばより少ない第2の治療を用いて同等の効果が見られるか、または第2の治療は、第1の治療の非存在下で第2の治療が投与される場合に見られるよりも大きい程度にまで症状を低減するか、または第1の治療により同様の状況が見られる。ある態様において、送達は、症状または障害に関連する他のパラメーターの低減が、他のものの非存在下で送達される1つの治療により観察されるものよりも大きいようなものである。2つの治療の効果は、部分的に相加的、全体的に相加的または相加的よりも大きいものであり得る。送達は、送達される第1の治療の効果が、第2のものを送達する場合に依然として検出可能であるようなものであり得る。
【0079】
本記載を通して、組成物が具体的な構成成分を有する、含む(including)、または含む(comprising)と記載される場合、またはプロセスおよび方法が具体的な工程を有する、含むまたは含むと記載される場合、さらに、記載される構成成分から本質的になるかまたはそれからなる本発明の組成物があること、ならびに記載されるプロセス工程から本質的になるかまたはそれからなる本発明によるプロセスおよび方法があることが企図される。
【0080】
本願において、要素または構成成分が記載される要素または構成成分のリストに含まれるおよび/またはそれから選択されるといわれる場合、要素または構成成分が記載される要素または構成成分のいずれか1つであり得るか、あるいは要素または構成成分が記載される要素または構成成分の2つ以上からなる群より選択され得ることが理解されるべきである。
【0081】
さらに、本明細書に記載される組成物または方法の要素および/または特徴は、本明細書において明示的であるか黙示的であるかのいずれであろうと、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の方法において組み合され得ることが理解されるべきである。例えば特定の化合物について参照がなされる場合、文脈からそうではないことが理解されない限り、化合物は、本発明の組成物の種々の態様において、および/または本発明の方法において使用され得る。すなわち、本願において、態様は、記載および図示される明確かつ簡潔な適用を可能にする方法で記載されかつ示されるが、態様は本教示および本発明(1つまたは複数)から逸脱することなく、種々に組み合され得るかまたは分離され得ることが意図され理解される。例えば、本明細書に記載されかつ示される全ての特徴は、本明細書に記載され、示される発明(1つまたは複数)の全局面に適用可能であり得ることが理解される。
【0082】
表現「の少なくとも1つ」は、文脈および用途からそうではないと理解されない限り、該表現の後に記載されるもののそれぞれおよび記載されるものの2つ以上の種々の組合せを個々に含むことが理解されるべきである。3つ以上の記載されるものに関する表現「および/または」は、文脈からそうではないと理解されない限り同じ意味を有すると理解されるべきである。
【0083】
それらの文法的同等物を含む用語「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(contain)」、「含む(contains)」または「含む(containing)」の使用は、そうではないと具体的に記載されないかまたは文脈から理解されない限り、例えばさらなる記載されない要素または工程を排除しない開放型および非限定的であると一般的に理解されるべきである。
【0084】
用語「約」の使用が量的値の前にある場合、本発明は、具体的にそうではないと記載されなければ、具体的な量的値自体も含む。本明細書で使用する場合、用語「約」は、そうではないと示されないか推測されない限り、名目上の値から±10%の変動をいう。
【0085】
工程の順序または特定の行為を行うための順序は、本発明が実行可能なままである限りは重要でないことが理解されるべきである。さらに2つ以上の工程または行為は同時に行われてもよい。
【0086】
任意および全ての例、または本明細書における例示的用語、例えば「など(such as)」または「含む(including)」の使用は、本発明を単によりよく説明することが意図され、特許請求されない限りは、本発明の範囲に限定を課さない。本明細書における用語は、任意の特許請求されない要素を本発明の実施に必須として示すように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0087】
実施例
以下の実施例は単なる例示であり、いかなる方法においても本発明の範囲または内容を限定することは意図されない。
【0088】
実施例1
この実施例には、グルコースオキシダーゼの非存在下および存在下でのフルクトースの変換に対するグルコース(キシロース)イソメラーゼの効果を試験する試験が記載される。
【0089】
この実施例および以下の実施例に使用される材料は以下の通りであった:フルクトース(Sigma, Cat. No. F2543-100G)、グルコース(Sigma Cat. No. G8270-100G)、リン酸バッファ食塩水(GIBCO Life Technologies Cat. No. 70011-044)、酢酸ナトリウム(Emplura MERC Cat. No. 1.93644.0521G)、グルコースアッセイキット(Agappe Diagnostics Ltd.またはBeacon Diagnostics Pvt. Ltd.のそれぞれからのLyphochekグルコースまたはLyphozyme)、フルクトースアッセイキット(Sigma Cat. No. FA20-1KT)、グルコースイソメラーゼ(Sigma Cat. No. G4166-50G)、グルコースオキシダーゼ(Sigma Cat. No. G7141-10KU)およびカタラーゼ(Cat. No. C3515-25MG)。そうではないと示される場合を除き、全ての試薬およびキットは、製造業者の指示書に従って使用した。
【0090】
表1に示されるように、フルクトース(1%溶液)を、グルコース(キシロース)イソメラーゼおよび/またはグルコースオキシダーゼとインキュベートし、グルコース(キシロース)イソメラーゼによるフルクトースのグルコースへの変換ならびにグルコースオキシダーゼによるグルコースのグルコン酸および過酸化水素への分解をモニタリングした。腸のpH条件を模倣するために、酢酸塩バッファ、pH5.0およびリン塩酸緩衝化食塩水(PBS)、pH7.4の両方でアッセイを行った。
【表1】
【0091】
試験試料を2mLエッペンドルフチューブ内に調製し、一定の撹拌で、37℃でインキュベートした。2および4時間でアリコートを抜き取り、遠心分離フィルター(0.2μm)を通して濾過し、グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素(固定される場合)を分離して、フルクトースのグルコースへのさらなる変換を防いだ。次いで、対応するアッセイキットを使用して、グルコースおよびフルクトース濃度について試料を試験した。
【0092】
表2にグルコースについておよび表3にフルクトースについての結果を示す。データは、グルコース(キシロース)イソメラーゼが単独で、2時間後にフルクトース濃度のさらなる低下がないようにおよび2時間後にグルコース濃度のさらなる増加がないように、平衡までフルクトースをグルコースに変換することを示す。しかしながら、グルコースオキシダーゼの存在下で、グルコースオキシダーゼによるグルコースの分解のためにグルコースのさらなる低下があった。結果は、グルコース(キシロース)イソメラーゼおよびグルコースオキシダーゼの混合物が、pH5.0および7.4で、3~4時間以内に、溶液内で70より高くから80%までのフルクトースを変換または分解したことを示す。
【表2】
【表3】
【0093】
実施例2
この実施例には、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼの非存在下および存在下でのフルクトースの変換に対するグルコース(キシロース)イソメラーゼの効果を試験する試験が記載される。
【0094】
表4に示されるように、フルクトース(1%溶液)を、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよび/またはカタラーゼとインキュベートし、グルコース(キシロース)イソメラーゼによるフルクトースのグルコースへの変換ならびにグルコースオキシダーゼによるグルコースのグルコン酸および過酸化水素への分解をモニタリングした。腸のpH条件を模倣するために、酢酸塩バッファpH5.0およびリン塩酸緩衝化食塩水(PBS)pH7.4の両方中でアッセイを行った。
【表4】
【0095】
2mLエッペンドルフチューブ内に試験試料を調製し、一定の撹拌で、37℃でインキュベートした。1、2、3および4時間でアリコートを抜き取り、遠心分離フィルター(0.2μm)を通して濾過し、グルコース(キシロース)イソメラーゼ酵素(固定される場合)を分離し、フルクトースのグルコースへのさらなる変換を防いだ。次いで、対応するアッセイキットを使用して、グルコースおよびフルクトース濃度について試料を試験した。
【0096】
表5にグルコースについておよび表6にフルクトースについての結果を示す。pH7.4での結果は
図1にも示す。示されるように、カタラーゼの存在は、フルクトースの分解を向上した。グルコース(キシロース)イソメラーゼおよびグルコースオキシダーゼとの1時間のインキュベーションにより、42%(pH7.4)または34%(pH5.0)の残存するグルコースが生じた。しかしながら、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼとの1時間のインキュベーションにより、2%(pH7.4)または0.2%(pH5.0)の残存するグルコースが生じた。予期されずに、pH7.4と比較して、pH5.0でより良い結果が見られた。これは、グルコース(キシロース)イソメラーゼ(pH7.4でより良く働くと予想される)ではなく、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼのpHプロフィールのためであり得ると仮説が立てられる。これらの結果は、インビボにおいて、グルコース(キシロース)イソメラーゼ、グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼの組合せは胃内で活性であり得ることを示唆する。
【表5】
【表6】
【0097】
【配列表】
【国際調査報告】