(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】対象に物質を送達するための方法、システム及びコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
A01K 13/00 20060101AFI20240910BHJP
G16H 20/17 20180101ALI20240910BHJP
【FI】
A01K13/00 Z
G16H20/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508932
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 US2022075004
(87)【国際公開番号】W WO2023023505
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523346456
【氏名又は名称】ターガン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】グレノン、 ジョシュア、 デビッド
(72)【発明者】
【氏名】アダムズ、 ジョナサン、 エム.
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
動いている対象に物質を正確に投与するための方法が提供され、対象の1つ以上のスキャンを取得することを含む。対象は、物質の送達のための少なくとも1つの定められた標的領域をその表面に有する。取得された対象の1つ以上のスキャンに基づいて、動いている対象の3次元位置が計算される。3次元位置は、3次元位置を定義するX座標、Y座標、及びZ座標を含む。動いている対象の計算された3次元位置に基づいて、タイミング調整が計算される。少なくとも1つの定められた標的領域への物質の送達のタイミングは、計算されたタイミング調整を用いて対象に基づいて調整される。取得、3次元位置の計算、タイミング調整の計算及び調整は、少なくとも1つのプロセッサによって行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動いている対象に物質を正確に投与するための方法であって、
前記物質の送達のための少なくとも1つの定められた標的領域をその表面に有する前記対象の1つ以上のスキャンを取得することと、
取得した前記対象の1つ以上のスキャンに基づいて前記動いている対象の3次元位置を計算することと、
前記動いている対象の計算された3次元位置に基づいてタイミング調整を計算することと、
計算された前記タイミング調整を用いて前記対象の前記少なくとも1つの定められた標的領域への前記物質の送達のタイミングを調整することと
を含み、
前記3次元位置は、前記3次元位置を定義するX座標、Y座標、及びZ座標を含み、
前記取得することと、前記3次元位置を計算することと、前記タイミング調整を計算することと、前記送達のタイミングを調整することとは、少なくとも1つのプロセッサによって行われる、方法。
【請求項2】
少なくとも85%の前記対象が、前記少なくとも1つの定められた標的領域において前記物質の送達を受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
92%を超える前記対象が、前記少なくとも1つの定められた標的領域において前記物質の送達を受ける、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1つ以上のスキャンを取得することは、動いている対象全体の単一のスキャンを取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
取得することは、
前記動いている対象の第1のスライススキャンを取得することであって、前記第1のスライススキャンは対象全体よりも小さいスキャンであることと、
定められた標的領域全体が前記第1のスライススキャンにおいて可視であることを示す閾値を前記第1のスライススキャンが超えているか否かを判定することと、
前記第1のスライススキャンにおいて前記定められた標的領域全体が可視であると判定された場合に、前記第1のスライススキャンに基づいて前記動いている対象の3次元位置を計算することに進むことと、
前記第1のスライススキャンが閾値を超えていないと判定された場合に、更なるスライススキャンを取得することと、
前記第1のスライススキャンと前記更なるスライススキャンとを合成して合成スキャンを提供することと、
前記合成スキャンが閾値を超えているか否かを判定することと、
閾値を超えていると判定されるまで取得ステップと合成ステップとを繰り返すことと、
前記定められた標的領域全体が可視であることを示す閾値を超えていると判定されたときに前記合成スキャンに基づいて前記動いている対象の3次元位置を計算することに進むことと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記動いている対象の計算された3次元位置に基づいてノズル調整係数を計算することと、
計算された前記ノズル調整係数に基づいて前記物質を投与するために使用される少なくとも1つのノズルの位置を調整することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記タイミング調整及び前記ノズル調整係数を計算することは、前記対象がそれに乗って移動しているコンベヤベルトの速度(v
b)、前記物質が前記対象に送達される前の飛行時間(TofF)、前記物質が送達される速度(v
s)、前記少なくとも1つの定められた標的領域の、前記物質を送達するノズルからの距離(d
tn)、及び前記コンベヤベルトの幅(w
c)のうちの1つ以上に基づいて前記タイミング調整及び前記ノズル調整係数を計算することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ノズル調整係数及び/又は前記タイミング調整によって変更された時間及び位置で前記対象の前記少なくとも1つの定められた標的領域に前記物質を投与することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのノズルは1つ以上のノズル列を備える、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記対象は鳥であり、前記少なくとも1つの定められた標的領域は、前記鳥の1つ以上の目の粘膜、前記鳥の1つ以上の目の周囲の領域、前記鳥の鼻孔、前記鳥の口、及び/又は消化管及び/又は気道に通じる前記鳥の頭部のあらゆる開口部のうちの1つ以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記対象はブタであり、前記方法はさらに、少なくとも1つの針又は無針注入器を用いて前記物質を前記ブタに送達することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記物質は対象当たり120μl以下の量で送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記方法はさらに、孵化の日から雛が5日齢になるまで前記対象に前記物質を送達することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記対象は、前記物質を受け取るあらゆるヒト又は動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
動いている対象に物質を正確に投与するためのシステムであって、
前記物質の送達のための少なくとも1つの定められた標的領域をその表面に有する前記対象の1つ以上のスキャンを取得する走査システムと、
位置特定モジュールであって、
取得された前記対象の1つ以上のスキャンに基づいて前記動いている対象の3次元位置を計算し、
前記動いている対象の計算された3次元位置に基づいてタイミング調整を計算し、かつ
計算された前記タイミング調整を用いて前記対象の前記少なくとも1つの定められた標的領域への前記物質の送達のタイミングを調整する位置特定モジュールと
を備え、
前記3次元位置は、前記3次元位置を定義するX座標、Y座標、及びZ座標を含む、システム。
【請求項16】
前記走査システムは、動いている対象全体の単一のスキャンを取得する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記走査システムは、前記動いている対象の第1のスライススキャンを取得し、前記第1のスライススキャンは、対象全体よりも小さいスキャンであり、
前記位置特定モジュールは、定められた標的領域全体が前記第1のスライススキャンにおいて可視であることを示す閾値を前記第1のスライススキャンが超えているか否かを判定し、前記定められた標的領域全体が前記第1のスライススキャンにおいて可視であると判定された場合に、前記第1のスライススキャンに基づいて前記動いている対象の3次元位置を計算し、
前記走査システムは、前記第1のスライススキャンが前記閾値を超えていないと判定された場合に更なるスライススキャンを取得し、
前記位置特定モジュールは、前記第1のスライススキャンと前記更なるスライススキャンとを合成して合成スキャンを提供し、前記合成スキャンが前記閾値を超えているか否かを判定し、
前記走査システムと前記位置特定モジュールは、前記閾値を超えていると判定されるまで、繰り返し取得と合成とを行い、
前記位置特定モジュールは、前記定められた標的領域全体が可視であることを示す閾値を超えていると判定されたときに前記合成スキャンに基づいて前記動いている対象の3次元位置を計算する、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記動いている対象に前記物質を投与するために使用される少なくとも1つのノズルをさらに備え、
前記位置特定モジュールは、前記動いている対象の計算された3次元位置に基づいてノズル調整係数を計算し、計算された前記ノズル調整係数に基づいて前記少なくとも1つのノズルの位置を調整する、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記位置特定モジュールは、前記対象がそれに乗って移動しているコンベヤベルトの速度(v
b)、前記物質が前記対象に送達される前の飛行時間(TofF)、前記物質が送達される速度(v
s)、前記少なくとも1つの定められた標的領域の、前記物質を送達するノズルからの距離(d
tn)、及び前記コンベヤベルトの幅(w
c)のうちの1つ以上に基づいて前記タイミング調整及び前記ノズル調整係数を計算する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つのノズルは、前記ノズル調整係数及び/又は前記タイミング調整によって変更された時間及び位置で前記対象の前記少なくとも1つの定められた標的領域に前記物質を投与する、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つのノズルは1つ以上のノズル列を備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記対象は鳥であり、前記少なくとも1つの定められた標的領域は、前記鳥の1つ以上の目の粘膜、前記鳥の1つ以上の目の周囲の領域、前記鳥の鼻孔、前記鳥の口、及び/又は消化管及び/又は気道に通じる前記鳥の頭部のあらゆる開口部のうちの1つ以上である、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記対象は、動きやすいあらゆるヒト又は動物の対象である、請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
動いている対象に物質を正確に投与するためのコンピュータプログラム製品であって、
前記物質の送達のための少なくとも1つの定められた標的領域をその表面に有する前記対象の1つ以上のスキャンを取得するためのコンピュータ読取可能プログラムコードと、
取得された前記対象の1つ以上のスキャンに基づいて前記動いている対象の3次元位置を計算するためのコンピュータ読取可能プログラムコードであって、前記3次元位置は、前記3次元位置を定義するX座標、Y座標、及びZ座標を含む、コンピュータ読取可能プログラムコードと、
前記動いている対象の計算された3次元位置に基づいてタイミング調整を計算するためのコンピュータ読取可能プログラムコードと、
計算された前記タイミング調整を用いて前記対象の前記少なくとも1つの定められた標的領域への前記物質の送達のタイミングを調整するためのコンピュータ読取可能プログラムコードと
を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項25】
前記取得するためのコンピュータ読取可能プログラムコードは、
前記動いている対象の第1のスライススキャンを取得するためのコンピュータ読取可能プログラムコードであって、前記第1のスライススキャンは、対象全体よりも小さいスキャンである、コンピュータ読取可能プログラムコードと、
定められた標的領域全体が前記第1のスライススキャンにおいて可視であることを示す閾値を前記第1のスライススキャンが超えているか否かを判定するためのコンピュータ読取可能プログラムコードと、
前記定められた標的領域全体が前記第1のスライススキャンにおいて可視であると判定された場合に、前記第1のスライススキャンに基づいて前記動いている対象の3次元位置を計算するためのコンピュータ読取可能プログラムコードと、
前記第1のスライススキャンが前記閾値を超えていないと判定された場合に、更なるスライススキャンを取得するためのコンピュータ読取可能プログラムコードと、
前記第1のスライススキャンと前記更なるスライススキャンとを合成して合成スキャンを提供するためのコンピュータ読取可能プログラムコードと、
前記合成スキャンが前記閾値を超えているか否かを判定するためのコンピュータ読取可能プログラムコードと、
前記閾値を超えていると判定されるまで前記取得ステップと前記合成ステップとを繰り返すためのコンピュータ読取可能プログラムコードと、
前記定められた標的領域全体が可視であることを示す閾値を超えていると判定されたときに前記合成スキャンに基づいて前記動いている対象の3次元位置を計算するためのコンピュータ読取可能プログラムコードと
を含む、請求項24に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明概念は、全体として、対象への物質の送達に関し、より詳細には、物質を送達する際に対象の3次元での動きに対応することに関する。
【0002】
優先権の主張
本出願は、2021年8月17日に出願された「対象に物質を送達するための方法、システム及びコンピュータプログラム製品」と題する米国仮特許出願第63/234,034号の利益及び優先権を主張するものであり、上記仮出願の全内容は、参照により本明細書に含まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
細菌、ウイルス及び真菌感染症及び他の疾患は、多くの場合、ワクチン接種又は対象への薬の送達によって治療される。すべての動物、特に脊椎動物又は魚類、及び甲殻類などの無脊椎動物において、ワクチン、生物学的製剤及び他の薬剤の送達は、多くの場合、疾患又は死亡の可能性を低減するため、又は全体的な良好な健康状態を維持するために送達される。多くの畜産経営及び水産経営において、すべての動物が効果的に治療されていることを確認することが課題である。対象の数及び大きさのばらつきは、各対象へのワクチン接種及び他の薬剤の送達を困難にする。
【0004】
例えば、家禽のワクチン接種は、ワクチン接種時の家禽の大きさ及び一度にワクチン接種を受ける動物の数により、特に困難な可能性がある。現在、家禽は卵の中にいる間にワクチン接種を受けることもあれば、孵化後に雛が治療を受けることもある。具体的には、これらの方法は、18日目又は19日目に「卵内で」(卵の内部で)で実施される孵化場での自動ワクチン接種、「孵化後」に実施される孵化場での自動集団ワクチン接種、「孵化後」に実施される孵化場での手作業のワクチン接種、「成長農場」で飼料又は水に加えるワクチン投与/薬剤投与、及びワクチン投与/薬剤投与の手作業又は集団噴霧器で雛に噴霧するワクチン投与/薬剤投与を含み得る。
家禽産業は、ワクチン及び他の物質に年間ベースで30億ドル超を費やしているが、ワクチン又は他の物質を送達する方法に関する課題のために、それらの投資に対する利益は保証されていない。前述の各方法は、顕著かつ重大な欠点を示している。したがって、動物にワクチンを送達するための自動システム及び方法が、例えば、特許文献1に記載されるように開発されており、その開示は、参照により本明細書に含まれるものとする。しかしながら、自動システムであっても、各動物がワクチンの有効量を受け取ったことを確認するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明概念のいくつかの実施形態は、動いている対象に物質を正確に投与するための方法を提供し、この方法は、対象の1つ以上のスキャンを取得することを含む。対象は、物質の送達のための少なくとも1つの定められた標的領域をその表面に有する。取得された対象の1つ以上のスキャンに基づいて、動いている対象の3次元位置が計算される。3次元位置は、3次元位置を定義するX座標、Y座標、及びZ座標を含む。動いている対象の計算された3次元位置に基づいて、タイミング調整が計算される。少なくとも1つの定められた標的領域への物質の送達のタイミングは、計算されたタイミング調整を用いて対象に基づいて調整される。取得、3次元位置の計算、タイミング調整の計算、及び送達タイミングの調整は、少なくとも1つのプロセッサによって実行される。
【0007】
更なる実施形態では、動いている対象全体の単一のスキャンのみを取得することができる。
【0008】
さらに別の実施形態では、動いている対象の第1のスライススキャンを取得することができる。第1のスライススキャンは、対象全体よりも小さいスキャンである。定められた標的領域全体が第1のスライススキャンにおいて可視であることを示す閾値を第1のスライススキャンが超えていることが判定される。定められた標的領域全体が第1のスライススキャンにおいて可視であると判定されると、動いている対象の3次元位置が第1のスライススキャンに基づいて計算される。第1のスライススキャンが閾値を超えていないと判定されると、更なるスライススキャンを取得することができる。第1のスライススキャンと更なるスライススキャンとを合成して合成スキャンを提供することができる。合成スキャンが閾値を超えているか否かが判定される。閾値を超えていると判定されるまで取得ステップと合成ステップとが繰り返され、定められた標的領域全体が可視であることを示す閾値を超えていると判定されたときに、合成スキャンに基づいて動いている対象の3次元位置が計算される。
【0009】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、動いている対象の計算された3次元位置に基づいてノズル調整係数を計算することを含むことができる。物質を投与するために使用される少なくとも1つのノズルの位置は、計算されたノズル調整係数に基づいて調整することができる。
【0010】
更なる実施形態では、タイミング調整及びノズル調整係数を計算することは、対象がそれに乗って移動しているコンベヤベルトの速度(vb)、物質が対象に送達される前の飛行時間(TofF)、物質が送達される速度(vs)、少なくとも1つの定められた標的領域の、物質を送達するノズルからの距離(dtn)、及びコンベヤベルトの幅(wc)のうちの1つ以上に基づいてタイミング調整及びノズル調整係数を計算することを含むことができる。
【0011】
さらに別の実施形態では、物質は、ノズル調整係数及び/又はタイミング調整によって変更された時間及び位置で対象の少なくとも1つの定められた標的領域に投与され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのノズルは、1つ以上のノズル列であり得る。
【0013】
更なる実施形態では、対象は鳥であり得、少なくとも1つの定められた標的領域は、鳥の1つ以上の目の粘膜、鳥の1つ以上の目の周囲の領域、鳥の鼻孔、鳥の口、及び/又は消化管及び/又は気道につながる鳥の頭部のあらゆる開口部であり得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、対象はブタであり得る。これらの実施形態では、方法はさらに、少なくとも1つの針又は無針注入器を用いてブタに物質を送達することを含み得る。
【0015】
更なる実施形態では、物質は、対象当たり120μl以下の量で送達され得る。
【0016】
さらに別の実施形態では、方法はさらに、孵化の日から雛が5日齢になるまで対象に物質を送達することを含み得る。
【0017】
いくつかの更なる実施形態では、対象は、物質を受け取るあらゆるヒト又は動物であり得る。
【0018】
更なる実施形態では、少なくとも85%の対象が、少なくとも1つの定められた標的領域において物質の送達を受ける。
【0019】
さらに別の実施形態では、92%を超える対象が、少なくとも1つの定められた標的領域において物質の送達を受ける。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】本発明概念のいくつかの実施形態による位置特定モジュールを含むシステムを示す基本ブロック図である。
【0021】
【
図1B】本発明概念のいくつかの実施形態による対象に物質を投与するためのシステム全体の簡略化された概略上面図を示す。
【0022】
【
図1C】本発明概念のいくつかの実施形態による中に雛を含む
図1Bのシステムの図である。
【0023】
【
図2】本発明概念のいくつかの実施形態による対象の動き及びそれに関連する起こり得る誤差を概略的に示す図である。
【0024】
【
図3】本発明概念のいくつかの実施形態によるx方向の空間的変化を示す図である。
【0025】
【
図4】本発明概念のいくつかの実施形態によるx方向の動きを補正しない結果を示す図である。
【0026】
【
図5】本発明概念のいくつかの実施形態によるy方向の空間的変化を示す図である。
【0027】
【
図6】本発明概念のいくつかの実施形態によるz方向の空間的変化を示す図である。
【0028】
【
図7】本発明概念のいくつかの実施形態による適応ノズル投与を示す図である。
【0029】
【
図8】本発明概念のいくつかの実施形態によるベルトの側面に配置された複数のスキャナを含む実施形態を示すブロック図である。
【0030】
【
図9】本発明概念のいくつかの実施形態による複数列ノズルを示す図である。
【
図10】本発明概念のいくつかの実施形態による複数列ノズルを示す図である。
【0031】
【
図11】本発明概念の様々な実施形態による方法の処理ステップを示すフローチャートである。
【
図12】本発明概念の様々な実施形態による方法の処理ステップを示すフローチャートである。
【0032】
【
図13】本発明概念のいくつかの実施形態による全雛走査方法及びスライス方法を比較した図である。
【0033】
【
図14】本発明概念のいくつかの実施形態による鳥がノズルに近づくときの鳥の目の位置の計算を示す図である。
【0034】
【
図15】本発明概念のいくつかの実施形態によるスキャナ及びデータプロセッサを含むシステムのブロック図である。
【0035】
【
図16A】本発明概念のいくつかの実施形態による部分パターン同時投与を示す図である。
【
図16B】本発明概念のいくつかの実施形態による部分パターン同時投与を示す図である。
【0036】
【
図17】本発明概念の様々な実施形態による物質が送達される一般的な対象を示す高レベルの図である。
【0037】
【
図18】本発明概念のいくつかの実施形態による物質を送達するために使用され得る注入システムの図である。
【0038】
【
図19A】ブタに物質を送達するための本明細書に記載の方法の使用を示す図である。
【
図19B】ブタに物質を送達するための本明細書に記載の方法の使用を示す図である。
【
図19C】ブタに物質を送達するための本明細書に記載の方法の使用を示す図である。
【
図19D】ブタに物質を送達するための本明細書に記載の方法の使用を示す図である。
【0039】
【
図20A】魚に物質を送達するための本明細書に記載の方法の使用を示す図である。
【
図20B】魚に物質を送達するための本明細書に記載の方法の使用を示す図である。
【
図20C】魚に物質を送達するための本明細書に記載の方法の使用を示す図である。
【
図20D】魚に物質を送達するための本明細書に記載の方法の使用を示す図である。
【
図20E】魚に物質を送達するための本明細書に記載の方法の使用を示す図である。
【0040】
【
図21】本発明概念のいくつかの実施形態による機械学習モデルを訓練する例を示す図である。
【0041】
【
図22】本発明概念のいくつかの実施形態による訓練済み機械学習モデルを鳥の目の位置の特定に関連する新たな観測結果に適用する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、発明概念の例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下でより十分に発明概念を説明する。しかしながら、この発明概念は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、発明概念の範囲が当業者に十分に伝わるように提供されるものである。同様の符号は、全体を通して同様の要素を指す。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、1つ以上の関連する列挙された項目のありとあらゆる組み合わせを含む。同様に、本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、包含的及び排他的OR条件をカバーすることを意図している。言い換えれば、A又はB又はCは、特定の用途に適した以下の代替的な組み合わせ、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBのみ、A及びCのみ、B及びCのみ、及びA及びB及びCのいずれか又はすべてを含む。
【0043】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、発明概念を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに別のことを示していない限り、複数形も含むことが意図されている。本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことがさらに理解されるであろう。
【0044】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明概念が属する技術の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般に使用される辞書で定義されているもののような用語は、関連技術及び本明細書の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義されない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが理解されるであろう。
【0045】
次に、様々な代替の例示的な実施形態及び添付の図面を詳細に参照する。各例示的な実施形態は、説明のために提供されるものであり、限定として提供されるものではない。本開示及び特許請求の範囲又は主旨から逸脱することなく、修正及び変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示又は説明された特徴を別の実施形態に関連して使用して、さらに別の実施形態をもたらすことができる。したがって、本開示は、添付の請求項及びそれらの等価物の範囲内に入る修正及び変更を含むことが意図されている。
【0046】
背景で説明したように、対象に物質、例えばワクチン又は他の薬剤を送達する従来の方法のいずれも、物質の正しい用量が実際に対象に投与されたことを十分に確認することができない。家禽、すなわち孵化した雛の例を挙げると、雛への物質の自動送達に関する1つの問題は、雛が本来的に動くことである。したがって、雛が自動システムにおいてワクチン接種ポイントに近づくとき、雛は「標的捕捉」の間にランダムに配向される可能性があり、したがって、雛が実際に正しい用量で物質を受け取ったことを確認することは困難である。
【0047】
また、標的(すなわち、雛の目)の位置が特定された時点で、雛はまだ物質の投与前に動くことができ、これもまた、雛が実際に適切な用量で物質を受け取ったことを確認するのを困難にする。したがって、本発明概念のいくつかの実施形態は、対象に物質を送達するための方法であって、3次元における対象の位置のばらつきに対応し、標的捕捉、すなわち対象の位置特定と対象への物質の送達との間の時間を最小化し、
図1から
図14に関連して本明細書でさらに説明されるように、対象が実際に適切な用量で物質を受け取る可能性を高めるような方法を提供する。
【0048】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、物質を受け取る動物又はヒトを指す。本発明概念の実施形態は、家禽、すなわち雛の例示的な対象に関して本明細書で説明される。しかしながら、対象は、本明細書で説明される方法、システム、及びコンピュータプログラム製品から利益を得ることができるあらゆる対象であり得る。例えば、対象は、ニワトリ、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、ホロホロチョウ、ホロホロチョウ、クジャク、ヤマウズラ、ハト、エミュー、ダチョウ、外来種の鳥などを含むがこれらに限定されない、あらゆるタイプの家禽であり得る。対象はまた、雌ウシ、雄ウシ、ヒツジ、ロバ、ヤギ、ラマ、ウマ、及びブタ(豚)などの家禽以外の家畜であり得る。
【0049】
さらに本明細書で用いる場合、「物質」は、対象に投与され得るあらゆる物質を指す。例えば、物質は、ワクチン又は他のタイプの薬剤であり得る。さらに、物質はまた、薬剤、化粧品、又は薬用化粧品の効果をもたらす溶液の局所コーティング又は塗布であり得ることが考えられる。説明を容易にするために、本明細書で説明される実施形態は、ワクチンに言及する。また、「標的」は、物質が送達される対象上の場所を指す。例えば、対象として雛を使用する場合、標的は、雛の目、又は雛の消化管及び/又は気道につながり得る雛又は雛の顔のあらゆる開口部であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で説明される方法及びシステムは、雛のそれぞれの目を個別に標的とし、これにより、雛当たり2つの別個の「標的ゾーン」が生成され得る。
【0050】
詳細には、物質を対象に投与するための従来の方法及びシステムは、物質が適切な用量で実際に対象によって受け取られたことを十分に保証しない可能性がある。家禽の例では、物質、例えば、ワクチンは、鳥の粘膜、例えば、鳥の目の粘膜、鳥の1つ以上の目の周囲の領域の粘膜、鳥の鼻孔の粘膜、鳥の口の粘膜、及び/又は消化管及び/又は気道につながる鳥の頭部のあらゆる開口部の粘膜に向けられるべきである。いくつかの実施形態では、粘膜への噴霧塗布によって雛に与えられるワクチン又は他の物質の種類は、例えば、ニューカッスル病、感染性気管支炎ウイルス、大腸菌、サルモネラ菌、コクシジウム、カンプリオバクター、マレック病、伝染性ファブリキウス嚢病、腱滑膜炎、脳脊髄炎、鶏痘、鶏伝染性貧血、喉頭気管炎、家禽コレラ、マイコプラズマ・ガリセプティカム、ND B1-B1、LaSota、DW、出血性腸炎、SC、丹毒、リエメレラ・アナティペスティファー、アヒルウイルス性肝炎、及びアヒルウイルス性腸炎に対するワクチン接種を含み得る。しかしながら、上述のように、本明細書で説明される実施形態は、家禽又は鳥に限定されない。したがって、本明細書の実施形態は、ヒトを含む他の動物及び哺乳類の粘膜への物質の自動送達に適用できることも予想される。詳細には、乳児又は小児、又は身体障害者の顔面粘膜への物質の自動送達に適した特定の用途が存在し得る。加えて、本明細書に記載される自動送達システムは、家畜、げっ歯類、及び他の商業的に飼育される動物などの他の動物に適用可能であり得る。
【0051】
次に
図1Aを参照して、1つ以上の対象への物質の自動送達に使用されるシステム105の基本ブロック図を説明する。
図1に図示されるように、システムは、複数の対象101がそれに乗って移動しているコンベヤベルト210を含む。図示されるように、いくつかの実施形態では、対象101は、任意選択のバリア117によって分離され得るか又はコンベヤベルト210上の別々の容器に配置され得る。システム105はさらに、本明細書で説明される実施形態に従って位置特定モジュール160と通信する1つ以上の噴霧ノズル115又はノズル列(バンク)を含む。ノズル115は、当業者に知られているあらゆる通信方法を用いて位置特定モジュール160と通信することができる。例えば、通信190は、本発明概念の範囲から逸脱することなく有線又は無線であり得る。
【0052】
位置特定モジュール160は、ノズルが物質を含む噴霧を対象の標的にいつどこで送達すべきか分かるように、ノズル115と通信する。図示されるように、各対象101は、物質を送達すべき場所を示す標的領域Tを含む。
【0053】
さらに図示されるように、位置特定モジュール160は、走査/撮像システム165と、バッファ170と、プロセッサ(
図15の1538)によって実行される複数のスクリプト175とを含む。位置特定モジュール160は、対象101の1つ以上のスキャンを使用して、対象の3次元(3D)位置を特定し、特定された3次元位置に基づいて特定の時間及び場所で物質を噴霧するようにノズル115に指示する。本明細書で使用される場合、対象の3D位置は、3次元座標又は3次元目座標と呼ばれることがある。3次元座標は、対象/目のX位置、Y位置、及びZ位置によって定義される。詳細には、本明細書で説明される3次元座標(3次元目座標)は、スカラーX位置、Y位置、及びZ位置から構成することができ、これらの位置のいずれも、対象/目の3次元座標を正確に定義するために必要に応じて調整することができる。本明細書におけるX、Y、及びZの位置、座標、方向などへの言及は、対象/目の3次元座標を指す。
【0054】
走査/撮像システム165は、例えば、別個の1次元(1D)センサを備えた2次元(2D)走査システム、3次元(3D)走査システム又は3次元断層撮影システム、又は能動的又は受動的な1次元、2次元、又は3次元センサのあらゆる組み合わせを含むことができる。対象101のX位置、Y位置、及びZ位置を特定する例示的な方法の詳細については、以下でさらに説明する。物質が対象101に送達されると、対象101は、所定の速度v
bでコンベヤベルト210を下流に移動し、格納ユニット125に送られる。
図1Aに図示されるシステム105は例としてのみ提供され、したがって本発明概念の実施形態はこれに限定されないことが理解されるであろう。例えば、単一のノズル及び走査システムのみが示されているが、本発明概念の範囲から逸脱することなく、あらゆる要素を2つ以上含むことができる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「スキャン」又は「走査」は、本発明概念の範囲から逸脱することなく、グローバルシャッター及び/又はローカルシャッターを組み込んだシステムを使用する走査を指す。これらの走査システムは、いくつかの実施形態では撮像システムに組み込むことができ、又はスタンドアロンシステムであることができる。したがって、本明細書で説明される実施形態に従ってユーザが対象の位置を示す対象のスキャン又は画像を取得することを可能にするあらゆるシステムを、本発明概念の範囲から逸脱することなく使用できることが理解されるであろう。
【0056】
本明細書では、本発明概念の実施形態を、対象として雛を用い、噴霧される物質の標的として雛の目を用いて説明する。これは説明を容易にするために行われたものであり、本発明概念の実施形態はこれによって限定されるものではない。
【0057】
上述のように、物質の自動噴霧送達で生じる問題は、対象、例えば雛が動くことである。対象は、上下、左右、前後及びそれらのあらゆる組み合わせで動くことができる。これにより、システム105に問題が生じる。なぜなら、システム105は、物質を標的、すなわち、雛の目の粘膜、雛の1つ以上の目の周囲の領域の粘膜、雛の鼻孔の粘膜、雛の口の粘膜、及び/又は消化管及び/又は気道につながる雛の頭部のあらゆる開口部の粘膜に適切に送達できるように、雛の位置を知る必要があるからである。また、雛の位置が取得/特定された後に、雛は、位置特定(標的捕捉)と物質の塗布との間に動くことができ、送達がさらに複雑になる。
【0058】
本明細書で説明される方法が使用され得る例示的なシステムが
図1Bに図示される。
図1Bは、本発明概念のいくつかの実施形態による対象に物質を投与するためのシステム全体の簡略化された概略上面図を示す。簡略化された図は、システム10の様々な領域に設けられた機器のいくつかを含まないことが理解されるであろう。対象が雛である実施形態では、システム10は、おそらく、ニワトリの孵化場の孵化日の部屋に配置されるであろう。図示されるように、システム10は、雛/殻分離器12を含む。雛/殻分離器12は、孵化したての雛をその殻から分離するための手段を提供する。第1のコンベヤ14は、雛を雛/殻分離器12から分離壁16の開口部を通して第2の幅広のコンベヤ18へと矢印15の方向に移動させる。分離壁16は、殻分離プロセスを物質送達プロセスから分離する。
【0059】
第2の幅広のコンベヤ18は雛を広げ始め、これにより個々の雛の処理が容易になる。雛は、第2のコンベヤ18から、矢印15の方向に、それぞれコンベヤ18よりも幅が広い第3のコンベヤ20及び第4のコンベヤ22に輸送される。第5のコンベヤ24は、コンベヤアセンブリの上部から吊り下げることができる仕切り26を有する。仕切り26は、最終的に縦一列の列になる狭い列に雛を移動させるのに役立つレーンを形成する。雛は、センサ(33、34)及びカメラ35を通って、いくつかのコンベヤ(28、30)上を、傾斜したコンベヤベルト30の下に位置する一連の個々の搬送装置32まで移動することができる。各搬送装置32は、カップ、ケージ又はバスケットに類似しており、単一の雛を受け入れる大きさに作られる。雛は、搬送装置32内で噴霧42され、コンベヤ42上をコンテナ42まで移動することができる。
図1Cは、中に雛を有するシステム10を示す。
図1B及び
図1Cに図示される実施形態は例としてのみ提供されており、本発明概念の実施形態はこれらに限定されないことが理解されるであろう。
【0060】
次に
図2を参照して、上述した対象の動きに関する問題を示す図を説明する。
図1Aに図示されるように、対象は雛100である。一番上の列Aは、雛100の現在の状況、標的捕捉と物質の塗布との間に雛100が移動することになる時間の量T、物質の塗布時の想定位置L、物質の塗布時の実際位置AL、及びそれらに関連する誤差TEを示す。二番目の列Bは、本明細書で説明される方法及びシステムと連携した同じ詳細を示し、したがって以下でさらに説明するように誤差TEを減少させる。
【0061】
詳細には、示されるように、列Aでは、雛100の位置が特定され、次いで雛100が物質を受け取るのを待っている間に、移動時間Tがある。したがって、雛100は位置Lにいると想定され得る。しかしながら、物質が実際に投与される前に、雛100は再び移動する可能性があり、したがって、雛は、物質が送達されるときに実際には位置Lではなく実際位置ALに位置する。したがって、物質が投与されるときにシステムが想定する場所に雛100がいないという事実に基づいて送達に関連する「誤差」TEが存在する。
【0062】
したがって、雛100が上下、前後及び左右に動くことが分かっていると仮定して、本発明概念の実施形態は、いつ、どこに物質を送達するかを決定する際に、この動きを考慮に入れる。言い換えれば、捕捉中の雛のランダムな向きに対応するために、本発明概念のいくつかの実施形態は、標的領域(雛の個々の目)の3次元(3D)座標(X、Y、及びZ)を特定し、個々の雛ごとの個々の目に対する送達タイミング(例えば、噴霧タイミング)を変えることによって、X方向、Y方向、及びZ方向の位置のばらつきに対応する。3次元位置(X、Y、及びZ)の情報が有用であるために、位置の特定と物質の投与との間の応答時間を可能な限り短縮又は最小化するべきである。
【0063】
再び
図2を参照すると、列Bでは、雛100の位置の特定と物質の実際の投与との間の時間Tが大幅に短縮される。したがって、標的設定誤差TEも低減され得る。雛100の位置の特定(スキャン)と物質(噴霧)が雛100の標的領域に送達される時間との間の時間の量を短縮することは、その後、送達システムにおけるエラーの可能性を低減し得る。したがって、本明細書で説明されるいくつかの実施形態に従って、システム全体の応答時間が短くなると、位置のスキャンと送達(噴霧)との間に雛が移動することになる時間の量も短縮される。これにより、雛の動きに関連する標的設定誤差(TE)の平均量が低減される。
【0064】
本明細書でさらに説明されるように、本発明概念のいくつかの実施形態は、対象の標的ゾーン(雛の目)への物質(噴霧)の正確な送達を提供するために、対象の位置変化に応じて調整するための方法、システム及びコンピュータプログラム製品を提供する。また、いくつかの実施形態は、送達される用量の有効性を改善しかつ走査から送達までの時間を短縮するための方策を提供する。
【0065】
3方向X、Y、及びZすべてにおける対象の動きに適切に対応するために、以下で説明されるように、それぞれに対する誤差を考慮して計算しなければならない。詳細には、本発明概念のいくつかの実施形態は、「適応ノズルタイミング」を提供する。「適応ノズルタイミング」は、各雛/対象の3次元位置を個別に評価し、それぞれの送達される用量に対する送達のタイミング(噴霧タイミング)を個別に変更する噴霧システムの能力を指す。言い換えれば、各雛の3次元座標が特定され、物質が標的(目)に達しかつ適切な用量が送達される可能性を高めるべく送達のタイミングを選択するために使用される。
【0066】
適応ノズルタイミングは、本明細書で説明される例示的な実施形態に従ってX方向、Y方向、及びZ方向を考慮する。最初に
図3を参照して、本発明概念のいくつかの実施形態によるX方向の空間的変化を示す図を説明する。本明細書で説明される実施形態によるX方向の適応ノズルタイミングは、コンベヤベルト210の幅全体にわたる雛の位置に対応する。雛100は、物質を雛100に送達する送達システムに向かってコンベヤベルト210上を移動している。
図3に図示されるように、雛100の位置は、コンベヤベルト210上でX方向に変化し得る。詳細には、位置P1の雛100はベルト210の左側を下流に移動し、位置P2の雛はベルト120の中央を下流に移動し、位置P3の雛100はベルト210の右側に沿って移動する。送達時にはベルトのこの部分に1羽の雛しかいないが、
図3は、例示の目的で、ベルト210上の3つの異なる位置にいる同じ雛を示していることが理解されるであろう。3つの位置のみが図示されているが、本発明概念の範囲から逸脱することなく、あらゆる数の位置に対応できることが理解されるであろう。雛100が常にベルト210の中心を、すなわち位置P2で、下流に移動していると仮定すると、位置P1及び位置P3では送達は標的から外れるであろう。
【0067】
それぞれの位置P1、P2及びP3に対応しないことの影響は、例えば、
図4に図示される。
図4に図示されるように、雛100は、ノズル列120に向かって速度v
bでコンベヤベルト210上を移動している。示されるように、位置P1の雛100は目に噴霧を受けず(早いミスヒット)、位置P3の雛100はコンベヤ210の下流に離れすぎており、同様に目に噴霧を受けない(遅いミスヒット)。したがって、本発明概念のいくつかの実施形態によれば、x方向において正確に標的を定めるために、噴霧のタイミングの計算において2つの主要な調整が行われる。これら2つの調整は、噴霧が空気中を移動するときの噴霧の速度(v
s)と、各噴霧器から各雛の標的ゾーンまでの距離(d)である。
【0068】
詳細には、ノズル120は、既知の速度(v
s)を有するベクトルで物質を噴霧し、コンベヤ210上を速度v
bで移動する標的領域、例えば雛100の目が、流体パターンが標的領域と接触する正確な瞬間に噴霧パターンの直下を横切るようにする。標的領域が噴霧パターンを横切る前に雛がベルトに沿って移動する距離は、噴霧の速度v
s、コンベヤに沿って移動する標的(雛)の速度v
t、及び噴霧ノズルから標的領域までの距離(d)の関数である。したがって、有用な関係は以下のように定義される。
(飛行時間)=(ノズルから標的までの距離(d
tn))/
(投与される流体の速度(v
s)) 式(1)
ここで、飛行時間(TofF)は、噴霧が送達されるまでの移動中に雛100がベルト210上を移動する時間であり、距離dは、噴霧ノズルから標的領域までの距離であり、速度v
sは、ノズルからの噴霧の速度である。各雛100に対する噴霧タイミングは、ベルト210の幅(w
c)に対する雛の目(標的)のX位置に基づいて個別に計算される。上述のように、この寸法が考慮されていない場合、雛がノズルに近いときに噴霧パターンがより早く雛の目に到達する結果となり(早いミスヒット、
図4)、雛がノズルから離れているときに噴霧パターンが遅れて雛の目に到達する結果となる(遅いミスヒット、
図4)。x方向における適応ノズルタイミングは、右目と左目の両方について個別に計算され、それぞれ独自のX位置調整と計算されたノズルタイミングを有する2つの別個の「標的領域」を生成する。
【0069】
ノズル120から標的(雛の目)までの距離(dtn)は、次のように特定することができる。コンベヤベルトが6インチ(15.24センチメートル)の幅(wc)を有し、雛がベルトの中央に配置され(3インチ(7.62センチメートル)でベルトの幅の1/2)、雛の目が標的であり、雛の頭部の幅が1.0インチ(2.54センチメートル)であると仮定すると、雛が前方を見ている場合、雛の目(標的)はノズルから2 1/2インチ(6.35センチメートル)であり得る。これは、6インチ(15.24センチメートル)のベルト幅からベルトの幅の半分(3インチ(7.62センチメートル))と雛の頭部の幅の半分(0.5インチ(1.27センチメートル))を引いたものである。
【0070】
流体噴霧速度(vs)を補正することは、X方向における位置のばらつきに対応する最初のステップにすぎないことが理解されるであろう。本発明概念の実施形態が噴霧速度のみを補正する場合、システムは、雛の頭部がベルト210の中心線とちょうど一致し、目が中心線を中心に均等に配置されているときにのみ正確であるが、中心線からの距離が大きくなるにつれて、次第に大きな誤差で標的を定めることになる。流体速度の噴霧タイミングオフセットと噴霧ノズルに対するベルトに沿ったX位置の両方を考慮することによって、標的ゾーンへの正確な流体送達のために正確な噴霧タイミング調整を行うことができる。
【0071】
X方向における適応ノズルタイミングの計算例を以下に示す。以下の例では、ベルト速度(vb)は、30インチ/秒(in/s)(76.2センチメートル/秒)であると仮定され、噴霧速度(vs)は、200インチ/秒(500センチメートル/秒)であると仮定され、コンベヤベルトの幅(wc)は、6インチ(in)(15.24センチメートル)であると仮定され、雛の頭部の幅(wbh)は、1.0インチ(2.54センチメートル)であると仮定されている。上記の式(1)(TofF=(wc-dtn)/vs)を用いて、
TofF=((6インチ/2)-1/2インチ)/200インチ/秒
=0.0125秒
したがって、雛100のTofFは0.0125秒である。誤差は以下のように計算できる。
Derror=vb*TofF 式(2)
ここで、Derrorは距離誤差であり、vbはベルトの速度であり、TofFは計算された飛行時間であり、以下のようになる。
Derror=30インチ/秒*0.0125秒=0.375インチ(9.525ミリメートル)
したがって、システムは、ノズルの位置をX方向に0.375インチ(9.525ミリメートル)補正する必要がある。これは例としてのみ提供されており、本発明概念の範囲から逸脱することなく他の幅、速度などを使用できることが理解されるであろう。
【0072】
本発明概念の実施形態は、雛がそれに乗って移動しているベルトを横切って物質が直線的に提供される例を提供するが、本発明概念の実施形態は、直線的な噴霧に限定されないことが理解されるであろう。例えば、本発明概念の範囲から逸脱することなく、物質をベルトに対して斜めに噴霧することができる。これらの実施形態では、ノズルは、所望の角度で噴霧を生成するように配置することができる。
【0073】
上述のように、本発明概念の実施形態は、X方向、Y方向、及びZ方向を調整する。次に、Y方向に対する適応ノズルタイミングを説明する。適応ノズルタイミングは、ベルトの長さに沿った標的領域(雛の目)の位置のばらつきに対応する。X方向の補正と同様に、Y方向の補正は、ベルトのY軸(ベルトの長さ)に沿った標的領域の位置を測定し、各雛に対する噴霧タイミングを適応的に変化させて、Y軸に沿った様々な標的位置でも噴霧パターンが目を横切るようにする。
図5に図示されるように、雛100は、ベルト210に沿って前後に移動することができる。本発明概念の実施形態が、例えば、設定された時間値を用いて、Y寸法に対応しない場合、標的設定は、ベルト上の単一の点に対してのみ正確であり、大きな誤差原因が誘発され、標的設定の不正確さを生じる。Y方向における適応ノズルタイミングは、右目と左目の両方について個別に計算され、それぞれ独自のY位置調整と計算されたノズルタイミングを有する2つの別個の標的領域を生成する。
【0074】
噴霧タイミングを定義する方程式は、ベルト210の方向に沿った雛の目のY方向の位置の直接的な測定であり、噴霧パターンの中心を個々の雛の標的ゾーンと交差させるために噴霧器を作動させるのに必要な様々な遅延を適応的に考慮している。噴霧を遅らせる時間の量は、下記の式(4)を用いて計算することができる。
DelaySpray=(dm)/(vb) 式(3)
ここで、DelaySprayは、システムが雛への噴霧を遅延させるべき時間であり、dmは、測定された距離であり、標的、例えば雛の目に対するy座標であり、vbはベルトの速度である。
【0075】
同様に、
図6は、示されるように上下の、Z方向における雛の移動(ベルトからの距離)を示している。したがって、
図6に図示される「誤差」は、コンベヤベルト210に対して垂直な上下の雛110の変位である。Z方向における調整は、Z方向における標的領域(雛の目)の位置を正確に測定し、
図6に示されるように噴霧されるパターンが雛100の高さに集中するように一連の高さ選択(上下の差)に対して「噴霧パターン」を選択することによって行われる。これもまた、右目及び左目の両方について個別に計算され、それぞれ独自のZ位置調整を有する2つの別個の標的領域を生成することができる。
【0076】
上述した本発明概念の実施形態は、対象に物質を送達する、例えば、雛又は子ブタにワクチンを噴霧するノズルの位置を調整し、X位置、Y位置、及びZ位置における雛又は子ブタの移動に対応するように噴霧のタイミングを調整する。しかしながら、いくつかの実施形態では、X方向、Y方向、及びZ方向の移動は、各雛の位置に移動するノズルのバンクを提供することによって対応することができる。例えば、これは、それぞれが液体の流れ(ストリーム)を噴射するオリフィスのマニホールド又は噴霧コーンのマニホールドであり得る。いくつかの実施形態では、マニホールドは、X平面、Y平面、及びZ平面内を移動することができるガントリ上に配置され得る。そうすることによって、マニホールドは、各雛、子ブタ、又は魚に対して同じノズルを噴射するが、マニホールドの位置は、標的ゾーンの高さ、ベルトの長さに沿った距離に適合するように適応的に移動され、噴霧のタイミングは、ベルトに沿った幅に沿って変化する標的ゾーン位置に適合するように適応的に変更される。また、いくつかの実施形態では、ノズル列は、可能な限り走査に近い位置に移動させることができる。これは、個々の雛、子ブタ、又は魚に基づいてノズル列を適応的に移動させ、向きに関係なく各対象に対してノズルを可能な限り近くに配置することによって撮像から噴霧までの時間を最小化することを含むことができる。
【0077】
噴霧システムの目的は、定められた用量を雛の標的領域(目)に送達することである。雛の目の位置は、走査及び噴霧サイクル中に雛がその頭部を保持する向きによって決まるため、噴霧器の1つが標的領域、すなわち片目又は両目を見ることができない特定の向きがある。雛100の様々な位置は、例えば、
図7に図示される。これらの実施形態では、標的領域を見ることができる噴霧器が同じ噴霧器から片目又は両目に用量を効果的に送達するように、ノズル投与を適応的に変化させることが有益であり得る。これが有益である1つの注目すべき向きは、互いに180度反対に配向された噴霧マニホールドである。この状況で、雛が両目で単一の噴霧ノズルを真っすぐ見ている場合、その後頭部は反対のノズルに向けられる。一方のノズルを目に向け、他方のノズルを後頭部に向けて発射する代わりに、本発明概念の実施形態は、雛の頭部が一方のノズルから離れた方を向いていることを認識し、したがって、雛が面しているノズルバンドからそれぞれの目に対して送達するべき全用量を送達し、反対のノズルからは何も噴霧しないであろう。また、「ダブルショット」角度を定義することもでき、雛の頭部が噴霧ノズルの1つを真っすぐ見ている状態から特定の角度内に向いている場合、この「ダブルショット」機能が作動し、噴霧器は、単一バンクから両目を標的とするように適応的に変化する。上流及び下流のノズル列を含む実施形態では、上流の列から一方の目に発射し、下流の列から第2の目に発射するように決定することができる。この構成により、噴霧角度及び噴霧タイミングの両方の最適化が可能になる。適応噴霧器を含む実施形態は、上述のようにX位置、Y位置、及びZ位置における位置の変化にも対応することができ、片目又は両目を標的とするために使用できることが理解されるであろう。再び
図7を参照すると、「ダブルショット角度」は、雛の解剖学的構造に基づいて雛の目/顔に当たる割合が最大になるように、片側から噴霧を発射するための最適な角度と考えることができる。
【0078】
状況によっては、システムが片目のみを標的とすることが有益であり得る。例えば、片目を標的とすることにより、投与量を減少させること又は全てのワクチン粒子の片目への発射を可能にすることができる。雛又は鳥を用いる実施形態では、噴霧するのに最適な目を決定するために頭部の角度を使用することができる。最も直接的に到達させるために、噴霧ヘッドに最も直交する目を選択することができる。また、左右の噴霧ノズルの間の角度が同等である場合、飛行時間を短縮するか又は場合によっては最小化し、それによって撮像から噴霧までの時間を最小化するために、噴霧ノズルに最も近い目を選択することができる。
【0079】
上述したような位置走査の1つの欠点は、走査がトップダウンビューから取得されることである。したがって、走査の間、雛の目は直接走査されない。いくつかの実施形態では、目は噴霧標的領域であるため、目の位置は雛の解剖学的仮定に基づいて計算される。したがって、仮定された解剖学的オフセットが正しくない場合、雛の頭部のいくつかの位置は適応しない。例えば、いくつかの実施形態では、雛の高さが求められ、所定の幾何学的形状がデータのサブセットに適合され、次いで、目の想定位置(標的領域)が計算される。雛が真っすぐに見上げるか真っすぐに見下ろすように頭部を回転させるか、又は頭を横に傾けている場合、想定された雛の解剖学的位置が実際には正しくないことを知る方法はない。いくつかの実施形態では、これは、目を直接走査することによって対処される。例えば、
図8に図示されるように、スキャナ450及び451は、それらが目を直接走査する能力を有するように、コンベヤ210に対して斜めに配置される。
図8に図示される実施形態は、不正確な解剖学的仮定によって生じる位置誤差をなくすという利点を提供する。
【0080】
例えば、
図8に図示される「直接的な目の撮像(ダイレクトアイイメージング)」を用いて、画像処理アルゴリズムが画像データに対して動作し、標的領域(例えば、目)の位置を計算する。このようなアルゴリズムの簡単な例は、閾値の輝度値よりも暗いすべてのピクセルを選択することによって、目が画像の最も暗い部分であるという事実を利用し、隣接する選択されたピクセルをグループ化し、グループの中心位置を目の位置として計算する。目の位置を特定するためのアルゴリズム計算は、単純な二値化アルゴリズムを使用して、目と羽毛との間のコントラストを高め、目を目立たせて容易に検出させることができる。アルゴリズムを実行してこの機能を果たすのに必要な空間解像度は非常に小さく、目の検出には1.0MP未満のスキャナで十分である。これにより、システム全体の応答時間の改善が可能となり、標的設定性能が向上する。近赤外線(NIR)、短波赤外線(SWIR)、中波赤外線(MWIR)又は長波赤外線(LWIR)を含む赤外線、可視光スペクトル、紫外線(「UVA」、「UVB」、及び「UVC」帯域を含む)、又は他の波長の装置を使用して、鳥の解剖学的特徴(例えば、羽毛、目、くちばし、鼻孔など)の検出を改善することができる。
【0081】
上述のように、本発明概念のいくつかの実施形態は、例えば、
図9及び
図10に図示される複数列ノズル880を含むことができる。走査システムから異なる距離にされた複数の(複数列)ノズルを有することによって、走査から噴霧までの時間を短縮するか又は場合によっては最小化することができる。例えば、
図2を参照されたい。前向きの雛(
図9)の場合、頭部は体よりもベルトの下流にあり、後向きの雛(
図10)の場合はその逆である。ベルトに沿って異なる位置に配置された複数のノズル列を有することによって、ノズルを事前に配置して、様々な向きの雛に対するシステム応答時間を最小化することができる。前向きの雛(
図9)は遠くの列で噴霧することができ、後向きの雛(
図10)は近くの列で噴霧することができる。ノズルの位置は、平均システム応答時間が最小化されるように最適化することができる。例えば、これは、雛がベルトを下流に移動するときの雛の体の位置の分布を測定し、自分自身を特定の姿勢に向ける統計的尤度を使用することによって行うことができる。このデータセットは、雛が自分自身を向ける可能性が最も高い位置を適応的に学習するために、システム内でリアルタイムに強化することができる。このデータは、その後、撮像と噴霧との間の応答時間を平均して短縮するか又は場合によっては最小化する最適なノズル位置を設定するために使用することができる。上述のように、いくつかの実施形態では、定位置にある噴霧マニホールドの代わりに、マニホールドは、撮像からスキャンまでの待ち時間を最小化するために、各雛がスキャンされた後に各雛に移動することができる。
【0082】
例えば、上述した3次元(3D)走査又は3次元断層撮影法を使用する、スキャン取得に関する詳細を説明する。更なる変位、色、及び/又は強度情報を有するピクセルのアレイを含む点群は、例えば、スキャン(ピクセルの行)又はエリアスキャン(ピクセルのアレイ)装置によって生成される。装置は、1つ以上の装置であってもよく、本明細書で説明される実施形態から逸脱することなく、標的の真上から、標的の両側から、又は他のあらゆる位置からスキャンすることができる。生成されたスキャンは、「画像」を生成するために1つとして又は別々に、例えば、立体視として解析することができる。走査装置は、内部又は外部のトリガ機構を有することができ、スキャン又はピクセル情報をバッファに入れたり連続的にストリーミングしたりする場合もあれば、しない場合もある。
【0083】
詳細には、「LMI」(例えば、Gocatorブランド)は、プロファイル、又はX、Y、及びZ(変位、又は高さ)を有するデータ点及び強度情報からなる単一行を報告する走査レーザー表面形状測定装置(プロフィロメータ)である。装置は、連続的な「自走」モードで使用することができる。このモードでは、装置は、プロファイルを連続的に取得し、各プロファイルをバッファに入れ、プログラム可能な閾値を使用して画像を開始及び終了するオンボードアルゴリズムを有する。更なるZ高さ及び強度情報を有するXY座標の2次元(2D)アレイが、解析アルゴリズム(解析モジュール)に渡される。「自走」モードアルゴリズムは、既知のアルゴリズムであり、センサ製造業者によるセンサの基本的な特徴であることが理解されるであろう。本発明概念の範囲から逸脱することなく、他のアルゴリズムを使用することができる。
【0084】
位置特定モジュールは、画像解析を行って、標的(雛)の全体(又は部分)スキャン(又は点群)を取得し、標的ゾーン(例えば、雛の場合は雛の目)の推定又は直接測定されたXY位置(又はZ座標も含む)を報告する。Z高さは、本発明概念の範囲から逸脱することなく、スキャンから間接的に測定することができ、又は直接的に測定することができる。
【0085】
次に
図11のフローチャートを参照して、全体スキャン解析のための処理ステップを説明する。
図11に図示されるように、ブロック1100で、標的、例えば、単一又は複数の雛の「全体スキャン」を返すことによって処理ステップが始まる。1つ又は複数のスキャンが取得されると、スキャンは全体的又は部分的に解析され、スキャン内の標的ゾーンの位置、例えば、ニワトリの目を特定する。上述のように、「標的」又は「標的ゾーン」は、物質、例えば、ワクチンの送達のための標的上の位置である。雛の標的の場合、雛の片目又は両目が標的ゾーンとなる。標的が雛の場合、この解析は、雛の頭部又は他の識別可能な特徴を探すことができ、推定された左右の目の位置を報告することができる。直接測定された目の位置のZ値又は頭部を見つけるために使用される「ピーク」値も報告することができる。目の位置の直接検出と目の位置の推定に関する更なる詳細を以下でさらに説明する。
【0086】
LMIを使用する場合、LMI上のオンボードアルゴリズムは、そこに含まれる「部分検出」アルゴリズムによって報告された各全体スキャンを処理する。動作はブロック1105に進み、そこで得られた全体スキャンをフィルタリングし、ごみ、反射などによって生じるノイズを除去する。
【0087】
全体スキャンが解析され、それが幾何学的状態及び計算のセット又はサブセットに適合するか否かが判定される。ここで、特定のシステム応答が発生する可能性がある。画像は、関心領域を含むと仮定又は判定され、次いで、上述のXYZアルゴリズムが実行される(ブロック1115)。
【0088】
走査長を超えていないと判定されると(ブロック1110)、スキャン内の所定の関心点が見つけられる(ブロック1115)。関心点の周囲のデータの特別に定義された領域が取得され、所定の幾何学的形状が、測定される対象の種類に適したこの領域内のデータの周囲に適合される(ブロック1120)。雛の頭部の方向は、雛の頭部の既知の解剖学的構造に照らして幾何学的状態を評価することによって特定される(ブロック1125)。X、Y、及びZ空間における標的ゾーン(目)の想定位置が計算される(ブロック1130)。
【0089】
アルゴリズムモジュールは、センサの製造業者によって提供されるインタフェース及び言語(例えば、C)で記述されたカスタムスクリプトを使用することができる。カスタムスクリプトは、想定される目の位置「前方」及び「横方向」(所定の幾何学的形状の中心点から)に対応するミリメートル(mm)単位のオフセットを定義することができる。特定されると(ブロック1130)、目の位置及び頭の角度が報告される(ブロック1135)。報告された値に基づく適応ノズルタイミングが計算される(ブロック1140)。
【0090】
スキャンの計算された全体の長さが所定の閾値を超えている場合(ブロック1110)、標的(雛)は、スキャンの取得中に移動したと見なされる。これらの実施形態では、スキャンの終わりからデータの単一プロファイルが使用される(ブロック1150)。動作は、他の測定及び計算をバイパスして、直接ブロック1130に進む。
【0091】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態では、アルゴリズムは、センサ製造業者が提供するツールを用いて構築され、ツール間の入力、出力、及びデータフローを有するツールセットに編成され、アルゴリズムのカスタム記述スクリプト部分に供給される。しかしながら、本発明概念の実施形態はこれに限定されないことが理解されるであろう。
【0092】
次に
図12を参照して、本発明概念のいくつかの実施形態による雛の頭部/目を検出する方法の処理ステップを示すフローチャートを説明する。これらの実施形態では、
図12に関して上述した実施形態とは異なり、センサはもはや単一の雛/標的の単一のスキャンを返さない。雛のスライスが撮像され、その後、雛全体が撮像されるまで、所定のスライス長を有するすべての画像に対して雛の画像が追加されるように、バッファに追加される。バッファが新しい「スライス」を受け取るたびに、スキャンが解析される。詳細には、ブロック1201で、標的/雛からデータのスライスを取得することによって動作が始まる。取得されたスライスはバッファに提供され、既にバッファに入れられたスライスがあれば、それに追加される(ブロック1206)。次いで、標的/雛全体のスキャンを取得するために更なるスライスを取得するのに更なるスキャンが必要か否かを判定する(ブロック1211)。更なるスキャンが必要な場合(ブロック1211)、動作はブロック1201に戻り、新しいスライスを取得する。一方、更なるスキャンが必要ないと判定された場合に(ブロック1211)、動作はブロック1216に進む。
【0093】
スキャンの全体の長さが計算され、長さが所定の閾値を超えているか否かが判定される。閾値を超えた場合、事前定義された移動の増分(すなわち、「スライス」の長さ)ごとに処理するために新しいスキャンが返される。閾値を超えていない場合、スキャンは処理のために返される。処理モジュールは、前述の定義された長さの「スライス」をバッファに入れるように設計された特別なツールを含む。スキャンが返されるたびに、設定可能な数を超えるスキャンが既にバッファ内にある場合、バッファはクリアされる。各スキャンはまた、移動方向に沿って最後のプロファイルが取得された「場所」も分かる。最後に返された画像が、バッファ内の前のプロファイルから定義されたスライス長よりも遠い場合、つまり連続した画像でない場合、バッファはクリアされる。
【0094】
センサの走査特性により、雛の完全な画像は一度に一度に1スライスずつ取得され、単一のプロファイルを標的の完全なスキャンに構築する際にセンサの下を通過する。システムの応答時間は、スキャンの解析が可能になる前に雛全体がレーザーラインの下を通過するのに要する時間と、更なる解析時間とを含む。これらの実施形態では、各部分スキャン(スライス又は合成した複数のスライス)は、次の「スライス」が取得されるのと同時に解析され、
図13に見られるように、頭部を含む部分スキャンはシステム応答(ノズルからの噴霧)をトリガすることができ、頭部を含まない画像の残りの部分の更なる取得時間を節約する。言い換えれば、スライスを用いて、雛の噴霧が可能になる前に雛の目を含む頭部のみを取得する必要がある。したがって、雛の残りの部分を走査するのにかかる時間だけ、時間を短縮することができる。これは
図13に図示される。
【0095】
詳細には、
図13に図示されるように、フレームAでは、雛の頭部の一部のみが、上述した両方の方法、すなわち、雛全体及びスライスを用いて走査されている。しかしながら、フレームBでは、雛の頭部全体は走査されているが、完全な雛はフレームBまで走査されない。したがって、スライス法を用いて、標的(雛の目の1つ以上)が走査され、それらの位置が分かっているため、フレームBの後に噴霧を行うことができる。したがって、スライス法は、雛全体の走査を待つ必要がないため、検出と噴霧の間のタイミングを短縮するために使用することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、鳥/雛は、位置が固定され、噴霧パターンに対してタイミング調整が行われる前に、鳥が可能な限りノズルに近づくことを可能にするためにアルゴリズムを用いて複数のフレームを通じて追跡することができる。このようなアルゴリズムの簡単な例は、例えば、
図8に関して上述した方法のステップを用いて、
図13のフレームBにおける標的領域(この例では目)を検出し、次いで、鳥/雛の動きの既知の速度を用いてフレームCにおける目の位置を予測する。次に、フレームCにおいて同じ検出方法を用いて、アルゴリズムは、予測された位置に最も近い検出された暗い画素群を、フレームBにおいて検出されたのと同じ目として特定することができる。このプロセスは、現在のフレームから次のフレームまでの予測された位置が噴霧できるポイントを超えて進むまで、後続のフレームの間中継続することができる。その時点で、現在のフレームからの目の位置を使用して噴霧パターンを固定する。
【0097】
図14を参照して、対象/鳥が可能な限りノズルに近づくことを可能にする漸進的走査に関する本発明概念の実施形態を説明する。
図14に図示されるように、標的ゾーンの追跡は、位置情報を可能な限り新鮮にし、撮像から噴霧までの時間を短縮することができる。これはまた、
図10,880に示す二重セットとは対照的に、単一セットの噴霧マニホールドを使用することによって性能の損失なしに、システム応答時間の損失なしにシステムを簡素化する可能性を開く。これは、システムの複雑さ、システム保守コスト、及び全体的なシステムハードウェアコストの両方を低減する上で大きな利点となる。詳細には、
図14に示されるように標的ゾーン(位置1、位置2、位置3…位置n)を漸進的にスキャンし、対象がベルトに沿って移動するときに対象の位置を計算することによって、予測位置アルゴリズムを適用して、標的ゾーンの最終的な想定位置を修正することもできる。このタイプのアルゴリズムは、その最終位置が固定される前の瞬間の鳥の動きの方向を利用することによって、撮像から噴霧までの時間中の鳥の動きに予測的に対応する。アルゴリズムはその結果、その速度と加速度を使用して、噴霧の正確な衝突の瞬間における鳥の最終位置を予測する。後述する人工知能/機械学習も、目の位置推定を改善するために運動学的整合性のためのアルゴリズムと共に使用することができる。3次元における目の対の位置及び向きの追跡を使用して、追跡アルゴリズムに解剖学的データを供給して探しているものの境界を示すことにより、誤警報を減らすことができる。例えば、特定の鳥の雛の目の対は、互いに特定の距離内にあるはずである。
【0098】
再び
図12を参照すると、操作はブロック1216に進み、そこで得られたスキャンが(すべてのスライスをまとめて)フィルタリングされ、次いで、所定の関心点が見つけられる。測定される対象領域に適した所定の幾何学的形状が、所定の関心点の周りに適合される(ブロック1221)。雛の頭の方向は、雛の頭の既知の解剖学的構造に照らして標的領域を評価することによって特定される。
【0099】
X、Y、及びZ空間における標的ゾーン(目)の想定位置が計算される(ブロック1231)。更なる所定の幾何学的形状及び画像パラメータを計算して、さらに正確な位置情報、例えば、空間における頭部のより正確な照準を提供することができる(ブロック1236)。上述のように、カスタムスクリプトがセンサ上で実行される。目のオフセットが定義され、頭部の方向が見出され、目の位置が推定される。しかしながら、
図12に図示される実施形態では、これらの特性はすべて、現在のスキャンが有効であるか否か、すなわち、このスキャンがシステム応答をトリガするべきか否かを判定するように設計された状態のルーブリックに供給される(ブロック1241)。状態は、例えば、所定の幾何学的形状が雛の頭部の特徴的な方法で雛に適合していない、推定されたアイポイントがスキャンの終わりに近すぎるか又は解剖学的仮定と一致しない、画像の最後の行が「完全な」画像の特徴ではない、などを含む。いくつかの状態は、組み合わせて又は単独で採用される。次に、カスタムスクリプトは、この評価された状態(真又は偽)を、目の位置、高さなどと共に制御システムに報告する(ブロック1246)。これらの状態及び他の情報を解析するためのビットフィールドも返される。制御システムは、真偽状態を評価して、報告されたXYZの目の座標情報に対して応答するべきか、又は次の画像が処理されるのを待つべきかを判定する。現在の画像を使用すべきであると判定されると、報告された値に基づく適応ノズルタイミングが計算される(ブロック1251)。適応タイミングは、噴霧が成功する可能性を高めるために適切な時間に標的に噴霧するために使用される。
【0100】
上述のように、本発明概念のいくつかの実施形態は、鳥の目の位置を推定し、この推定された位置をアルゴリズムへの入力として使用する。鳥の目を直接撮像してその位置を特定しないと、システムに問題が生じる可能性があることが理解されるであろう。例えば、
図14に図示されるように、鳥100が上から下に撮像/走査165される場合、目を直接見ることができないため、目の位置をアルゴリズムで計算しなければならない。これにより、計算された目の位置の精度が非常に低い、めったに発生しない厄介なケースの余地が残される。目を直接撮像することで、この障害モードを低減するか、場合によっては排除することができる。また、目を直接撮像する場合、撮像から噴霧までの時間を大幅に短縮することができる。これは、「関心領域」であり、いくつかの実施形態では標的ゾーンである目を、鳥がコンベヤベルトを下流に移動するときに追跡でき、目が噴霧器880にかなり近づくまで目の位置の固定を遅らせることができるためである。これにより、システムは、鳥が噴霧ノズル880にどんどん近づくにつれて、視野内の鳥の目の位置を常に計算することができる。鳥が噴霧ノズルにかなり近づくと、それぞれの目の位置を個別に固定することができ、鳥が移動する時間がほとんどなくなる。また、位置の差を使用して、鳥が移動する速度を測定し、噴霧が鳥に衝突する瞬間の「標的ゾーン」(すなわち目)の位置を適応的に予測することができる。
【0101】
直接的な目の撮像を行う場合、様々な変数が関連し得る。これらには、フレーム期間、露光時間、アルゴリズム処理及び通信、弁応答時間、飛行時間、投与時間が含まれる。本発明概念の範囲から逸脱することなく、他の変数も関連し得ることが理解されるであろう。
【0102】
例えば、
図14の説明の目的で本明細書において使用される場合、「フレーム期間」は、所与のフレームレート(フレーム/秒(fps)で表される)のビデオカメラについて画像取得間の時間の量を指す。「露光時間」は、ビデオカメラによって撮影された各フレームに対してデジタルセンサが光にさらされる時間の量を指す。その時間の量はシャッタースピードであり、秒の分数で表される。1.0ミリ秒のシャッターは、秒シャッタースピードの1/1000である。「アルゴリズム処理及び通信」は、デジタルカメラで取得した画像を解析及び処理し、鳥のそれぞれの目のX座標、Y座標、及びZ座標を特定するために必要な時間の量を指す。「弁応答時間」は、噴霧を制御する電気機械弁が開くのに必要な時間の量を指す。「飛行時間」は、ノズルから出た液体が空気中を通って標的に衝突するための時間の量を指す。「投与時間」は、弁が開いた位置にある時間の量を指す。これは、ベルト速度と共に、標的に適用されるパターンの長さを定義する。
【0103】
図14に図示されるように、鳥の目がベルトに沿って位置1に移動すると、鳥100がビデオカメラ165の視野に入る。ビデオカメラは、その位置を計算しようとしている目に対してすべてのフレームをスキャンする。カメラは、鳥が位置1に入ったときに初めて目を捉え、その3次元座標を計算する。この計算時間中に、鳥は位置2に移動する。噴霧ノズルまでの残りの距離と、特定のX座標、Y座標、及びZ座標で鳥に発射するために必要なタイミング補正とに基づいて、システムは、位置が固定される前に鳥がノズルに近づくことを可能にする更なるX、Y、及びZ位置を計算できるか否かを判断する。
図14は、システムが位置2、位置3、及び位置4で新しいX座標、Y座標、及びZ座標を計算することを示している。鳥は、その目の位置が計算されている間にベルトに沿って移動し、位置4からのX座標、Y座標、及びZ座標が計算されるまでに、鳥の目は位置5に移動する。この時点で、鳥の目は噴霧ノズル880にかなり近づいている。位置5の鳥100の目を計算することはできない。なぜなら、これが行われた場合、X座標、Y座標、及びZ座標を返すのに必要な時間の量により、目がノズル880の近くに移動しすぎて、弁応答時間、噴霧の飛行時間、及び噴霧の用量を適切に補正することができなくなるからである。したがって、位置4のX座標、Y座標、及びZ座標は、システムがキャプチャできる噴霧に最も近いX座標、Y座標、及びZ座標であるため、この鳥に使用される。鳥の向きは位置1から4まで変化したが、目の座標が最後の瞬間に固定されたので、最も正確な目の座標を固定する最適な機会がシステムに与えられたことに留意されたい。
【0104】
いくつかの実施形態では、ノズルに可能な限り近い鳥の目の位置の計算における処理ステップは、以下のとおりである。鳥の目(標的領域)がベルトの下流に移動するとき、X座標、Y座標、及びZ座標が特定される。ハードウェアのフレームレートは、次に新しい座標を取得できる時間を決定する。あらゆる2つの連続するX座標、Y座標、及びZ座標を比較することによって、それらの互いに対する相対位置を特定することができる。静止していて動かない鳥の場合、座標の差は、鳥がベルトを下流に移動する距離によって定義される。この予想される位置(動かない鳥の場合)は、位置間の鳥の実際の位置と比較できる。例えば、位置3と4の間のX座標、Y座標、及びZ座標の差である。この例では、この差は、コンベヤ上にいるためにベルトを下流に移動していることに加えて、鳥はまた下方に動いていることを示している。固定することができる最も遅いX座標、Y座標、及びZ座標は位置4からの座標であるが、位置3と4の間で鳥が下方に動いていることを特定することで、この同じ量の動きを位置5の標的位置に予測的に適用することができる。このタイプのアルゴリズムは、前の瞬間の鳥の動きの方向を利用し、その動きを継続することによって、撮像から噴霧までの時間中の鳥の動きに予測的に対応する。これをさらに正確にして、複数の位置点をつなぎ合わせて予測的な加速又は減速を作成することができる。この予測的な位置決めは、本発明概念の範囲から逸脱することなく、3つの軸すべてにおいてそれぞれの目に対して個別に行うことができる。
【0105】
図14に図示される実施形態は、アルゴリズムにおけるシャッタースピードがフレームレートに等しいと仮定していることが理解されるであろう。アルゴリズムがフレームレートよりも高速である場合、より少し最新の最終的なX、Y、及びZ位置を得る機会が存在する可能性がある。
【0106】
いくつかの実施形態では、鳥の目の位置を直接測定するのではなく、ベルトを下流に移動するときに鳥の目を空間内で追跡し、噴霧ステーションに可能な限り近くなるまで目の位置を固定するのを待つことができる。これは、例えば、単純な二値化処理又はブロブ検出アルゴリズム及び二次元カメラのアレイを用いて実現することができる。
【0107】
上記の説明から明らかなように、本発明概念のいくつかの態様は、データ処理システムと、走査システム、バッファ、スクリプトなどを含む位置特定モジュールとによって実施することができる。データ処理システムは、本発明概念の範囲から逸脱することなく、システムのあらゆるモジュールに含めることができる。
図15を参照して、本発明概念の実施形態に従って構成されたデータ処理システム1530の例示的な実施形態を説明する。データ処理システム1530は、例えば、キーボード又はキーパッドなどの入力装置、ディスプレイ、スピーカ及び/又はマイクロフォンを含むユーザインタフェース1544と、プロセッサ1538と通信するメモリ1536とを含むことができる。データ処理システム1530はさらにI/Oデータポート1546を含むことができ、I/Oデータポート1546もプロセッサ1538と通信する。I/Oデータポート1546は、例えば、インターネットプロトコル(IP)接続を用いて、データ処理システム1530と別のコンピュータシステム又はネットワークとの間で情報を転送するために使用することができる。これらのコンポーネントは、本明細書に記載されるように動作するように構成することができる、多くの従来のデータ処理システムで使用されるもののような従来のコンポーネントであり得る。
【0108】
図示されるように、プロセッサ1538は、上述した本発明概念の様々な態様を行う位置特定モジュール1560及び走査システム1565と通信する。例えば、走査システム1565は、様々な実施形態に関して上述したスキャンを取得するために使用され、これらのスキャンのいくつかは、バッファ1570に「スライス」として記憶することができる。さらに図示されるように、位置特定モジュール1560は、走査システム1565及びバッファ1570にアクセスし、これらのスキャンを使用して、上述のように、標的位置を特定し、噴霧タイミングを計算することができる。カスタムスクリプト1575を使用して、スキャンを解析し、それに従ってノズル及び噴霧を調整することができる。
【0109】
本明細書で説明される実施形態によるシステム及び方法を用いて、いくつかの実施例のテストを実施した。これらのテストのいくつかの結果を本明細書で説明する。これらのテストで使用されるパラメータ及びその結果は、例としてのみ提供され、したがって、本発明概念の実施形態はこれらに限定されないことが理解されるであろう。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される実施形態よるシステム及び方法は、目又は顔に噴霧された鳥の少なくとも85%の目/顔の標的設定パーセンテージを生じ得る。特定のテスト実行は、2つの孵化場全体でテストされた22,000羽の鳥を含み、目/顔標的設定の少なくとも約92.7%の目/顔標的設定パーセンテージを生じた。この例では、ベルトの速度は少なくとも15インチ/秒(38.1センチメートル/秒)、例えば45インチ/秒(114.3センチメートル/秒)であり、220ul以下の噴霧送達量であった。いくつかの実施形態では、送達量は120ul/雛以下であり得る。この噴霧送達量で雛を噴霧することは、雛の健康に悪影響を与える可能性がある雛の冷えを最小限に抑えるという点で利益をもたらす可能性がある。
【0111】
いくつかの実施形態では、円錐角噴霧の代わりにマルチストリームノズル噴霧を使用して、ベルトの幅にわたってパターンサイズ及びワクチンパターン領域を効果的に制御することができる。いくつかの実施形態では、マルチノズル列を選択して、標的領域、例えば、鳥の目の一方又は両方に平行な流れ(ストリーム)を発射することができる。これにより、噴霧ノズルからの鳥の距離に関係なく、最大の位置調整及びワクチン効率が提供され得る。
【0112】
様々なパターンのマルチノズル噴霧を含む実施形態は、例えば、
図16A及び16Bに図示される。示されるように、いくつかの実施形態では、流れは、ノズルが噴霧する際に空間内でのノズルの配向が鳥へのパターンを形成するのに役立つように、ベルトの長さに沿って配向された複数のノズルによって加えることができる。これには、標的がコンベヤに沿って移動してパターンを作成するのを待つことなく、特定のパターンサイズの用量を投与することができ、画像形成から噴霧の終了までの時間を短縮し、したがって雛が動く機会を減少させるという利点を有する。
【0113】
詳細には、
図16A及び
図16Bに図示されるように、例えば、30インチ/秒(76.2センチメートル/秒)のベルト速度で、対象の鳥の目に6mmのパターンを送達することは、弁のオン時間の5ミリ秒に相当する。非常に高速な画像取得及びアルゴリズム速度では、ワクチンを投与する時間は、撮像からワクチン投与終了までの全体の待ち時間のかなりの部分になる。
図16A及び
図16Bは、鳥に完全なパターンを投与するのにかかる時間を短縮することによって、鳥への完全なパターンを形成するために流れの異なる部分を同時に発射することでどのように時間を節約するかを示す。図は2つのセクションに分割された流れを示しているが、実施形態はこれに限定されないことが理解されるであろう。流れは、完全なドットマトリックスに分割することができ、一旦作動されると、パターンの完全な形状が空中を飛び、鳥にほぼ同時に衝突する。
図16A及び
図16Bに図示される概念を使用すると、あらゆるパターンサイズ又は形状の作成が可能になるが、同時に、投与に関連するほとんどすべての時間を排除する。言い換えれば、弁をオンにして、噴霧を通してベルトが鳥を移動させるのを待つ代わりに、パターンが鳥に向かって空中を飛び、衝突時にパターンが所望の形状を作成する。
【0114】
いくつかの実施形態では、パラメータ(
図2)は、200ミリ秒以下の鳥の移動時間(T)(鳥が撮像と噴霧の間に移動することになる時間の量)を含み得る。いくつかの実施形態では、鳥の移動時間(T)は、約74ミリ秒から約118ミリ秒の範囲内で、平均約87ミリ秒であり得る。
図11を参照すると、いくつかの実施形態では、ブロック1105から終了までの処理ステップは、50ミリ秒未満のソフトウェア応答時間を有し得る(画像解析から計算完了まで)。いくつかの実施形態では、平均システム応答時間は、約20ミリ秒から約35ミリ秒の範囲で、約25ミリ秒であり得る。いくつかの実施形態では、平均システム応答時間は、約40ミリ秒から約85ミリ秒の範囲で、約60ミリ秒であり得る。いくつかの実施形態では、平均システム応答時間は、約23ミリ秒から約45ミリ秒の範囲で、約35ミリ秒であり得る。いくつかの実施形態では、平均システム応答時間は、約14ミリ秒から約32ミリ秒の範囲で、約24ミリ秒であり得る。いくつかの実施形態では、平均システム応答時間は、約10ミリ秒から約25ミリ秒の範囲で、約17ミリ秒であり得る。いくつかの実施形態では、平均システム応答時間は、約5ミリ秒から約12ミリ秒の範囲で、約9ミリ秒であり得る。
【0115】
上記で簡単に説明したように、本発明概念のいくつかの実施形態は、対象の標的ゾーン(雛の目)への物質(噴霧)の正確な送達を提供するために、対象の位置変化に応じて調整するための方法、システム、及びコンピュータプログラム製品を提供する。また、いくつかの実施形態は、送達される用量の有効性を改善しかつ走査から送達までの時間を短縮するための方策を提供する。したがって、本発明概念の実施形態は、噴霧の精度を改善すると共にタイミングを短縮する。
【0116】
上述のように、本発明概念のいくつかの実施形態は、噴霧によって物質を例えば鳥に送達するために使用され得る。しかしながら、上述のように、本発明概念の実施形態はこの構成に限定されない。次に
図17を参照して、本発明概念の様々な実施形態に従って物質を受け取る一般的な対象を説明する。詳細には、本発明概念の例示的な実施形態は、対象として鳥を有するものとして本明細書において提供されるが、本発明概念の実施形態はこれに限定されない。
図17に図示されるように、様々な標的領域X、X1及びX2を有する対象1702が示されている。
図17には3つの標的領域のみを有する1つの対象1702のみが示されているが、本発明概念の実施形態はこれに限定されない。3つより多い又は少ない標的領域を有する複数の対象が存在し得る。
【0117】
対象1702は、例えば、ニワトリ、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、ホロホロチョウ、ホロホロチョウ、クジャク、ウズラ、ハト、エミュー、ダチョウ、外来種の鳥などを含むがこれらに限定されない、あらゆるタイプの家禽であり得る。対象はまた、雌ウシ、雄ウシ、ヒツジ、ロバ、ヤギ、ラマ、ウマ、及びブタ(豚)などの家禽以外の家畜、ならびに水産動物であり得る。標的領域X、X1及びX2は、物質を受容するのに適した対象1702のあらゆる領域であり得る。例えば、標的領域は、本発明概念の範囲から逸脱することなく、対象1702の口もしくは突き出た鼻、首、臀部、目もしくは鼻部分、又は水産動物の下腹部でさえもあり得る。
【0118】
図1から
図16に関して上述したものと同様のアルゴリズム及び方法を使用して、対象及びその関連する標的領域の位置及び/又は向きを特定することができる。対象1702の位置及び/又は向きが特定されると、物質1795は様々な方法1796の1つを用いて送達することができる。送達される物質は、例えば、ニューカッスル病、感染性気管支炎ウイルス、大腸菌、サルモネラ菌、コクシジウム、カンプリオバクター、マレック病、伝染性ファブリキウス嚢病、腱滑膜炎、脳脊髄炎、鶏痘、鶏伝染性貧血、喉頭気管炎、家禽コレラ、マイコプラズマ・ガリセプティカム、ND B1-B1、LaSota、DW、出血性腸炎、SC、丹毒、リエメレラ・アナティペスティファー、アヒルウイルス性肝炎、及びアヒルウイルス性腸炎に対するワクチン接種であり得る。しかしながら、実施形態はこれらに限定されない。上述した本発明概念の実施形態は、噴霧送達方法に焦点を合わせているが、物質は、本発明概念から逸脱することなく、例えば、針又は無針注入、又はあらゆる他の可能な送達システムを用いて送達することができる。
【0119】
例えば、
図18に図示される自動注入システムを使用して、対象が走査された後に物質を送達することができる。
図18に図示されるように、自動注入システム82は、対象を治療するために使用されるワクチン、薬、生物学的製剤、又は他の薬剤などの物質86で満たされたリザーバ84を含む。注入システム82はまた、加圧ガス供給源90と注入ヘッド91とを含む。加圧ガスは、予め加圧されたガスカプセルを介して、又は代替的に集中コンプレッサに取り付けられたガス配管を介して、自動注入システム82に送達することができる。
【0120】
注入システム82は、注入システムの高さ、奥行き及び長さの自動調整を可能にするフレーム92に調整可能に取り付けることができる。フレーム92は、固定構造物に固定的に取り付けられる。注入システム82の自動調整可能性は、対象及びその表面の標的領域X、X1及びX2の位置に対する注入システム82の高さ、幅及び奥行きを自動的かつ遠隔的に調整することができる機構によって得られる。加圧ガス供給源90を使用して、リザーバ84内の物質86を対象に送達することができる。加圧ガス供給源90及び物質86の制御は、無針送達装置の当業者には理解されることが分かる。したがって、注入は、針又は無針であり得る。
図18に図示される注入システムは例としてのみ提供されており、したがって本発明概念の実施形態はこれに限定されないことが理解されるであろう。
【0121】
詳細には、本明細書で説明される実施形態に従って物質を対象に送達するための方法は、
図19Aから19Dに図示されるように、物質をブタに送達するために使用され得る。
図19Aに図示されるように、これらの図示の実施形態における対象はブタ1953である。さらに図示されるように、ブタ1953は、雛について
図1B及び
図1Cに関して上述した実施形態と同様に、壁によって区切られた一連の長い列に並べられる。
図19Bに図示されるように、ブタ1953が注入システム(又は噴霧システム)1982に近づくと、ブタは、ブタ1953の標的ゾーンX、X1及びX2(
図19C)の位置を特定するために本明細書で説明される実施形態に従って走査1977される。ブタ1953は、上述のように雛が動くのと同じようには動かない可能性があることが理解されるであろう。したがって、アルゴリズムは、本発明概念の範囲から逸脱することなくブタ1953の標的ゾーンX、X1及びX2の位置を特定するために調整することができる。
図19Dに図示されるように、1つ以上の標的ゾーンX、X1及びX2の位置が特定されると、注入システム1982を用いて物質をブタ1953に注入することができる。
【0122】
同様に、いくつかの実施形態では、本明細書で説明される実施形態に従って物質を対象に送達するための方法は、
図20Aから
図20Eに図示されるように魚に物質を送達するために使用され得る。
図20Aに図示されるように、魚2054は、第1のプール2007から第2のプール2008まで一連のチューブ2009を通って泳ぐ。チューブ2009内を泳ぐ魚2054の分解図が
図20Bに提供される。
図20cに図示されるように、魚2054がチューブを通って第1のプール2007から第2のプール2008まで泳ぐとき、魚は、例えば、金属プレート2057を用いて捕獲される。本発明概念の実施形態はこの構成に限定されず、各魚を分離する他の方法は魚の前後に配置された膨張可能な袋を含み得ることが理解されるであろう。捕獲されると、
図20Dに示されるように、魚2054は、魚2054の標的ゾーンX(
図20E)の位置を特定するために本明細書で説明される実施形態に従って走査2077される。魚2054は、上述のように雛が動くのと同じようには動かない可能性があることが理解されるであろう。したがって、アルゴリズムは、本発明概念の範囲から逸脱することなく魚2054の標的ゾーンX、X1及びX2の位置を特定するために調整することができる。
図20Eに図示されるように、1つ以上の標的ゾーンX、X1、及びX2の位置が魚上で特定されると、注入システム2082を使用して魚2054に物質を注入することができる。図示されるように、走査システム2077及び注入システム2082は、注入を標的Xに送達できるように左右に移動し得る。魚2054はその後、第2のプール2008に解放される。
【0123】
雛、ブタ及び魚の特定の実施形態が本明細書で説明されているが、本発明概念の実施形態はこれらの例に限定されない。上述したあらゆる対象が、本発明概念の範囲から逸脱することなく本明細書で説明されるように物質を送達され得る。
【0124】
上述のように、本発明概念のいくつかの実施形態は、機械学習及び/又は人工知能を利用する。次に
図21を参照して、本開示に関連して機械学習モデルを訓練する例を示す図を説明する。本明細書に記載される機械学習モデルの訓練は、機械学習システムを用いて行うことができる。機械学習システムは、コンピューティングデバイス、サーバ、クラウドコンピューティング環境などを含むことができ、又はこれらに含めることができる。
【0125】
機械学習モデルは、観測結果のセットを用いて訓練され得る。観測結果のセットは、本明細書に記載される1つ以上のプロセス中に収集されたデータなどの履歴データから取得及び/又は入力され得る。例えば、観測結果のセットは、本明細書の他の箇所で説明されるように、噴霧ノズルに対するベルト上の鳥の位置について収集されたデータを含むことができる。いくつかの実施形態では、機械学習システムは、位置特定モジュール160(
図1A)から又は記憶装置から観測結果のセットを(例えば、入力として)受信することができる。
【0126】
観測結果のセットから特徴セットを導き出すことができる。特徴セットは一連の変数を含むことができる。変数は特徴と呼ばれ得る。特定の観測結果は、一連の変数に対応する一連の変数値を含み得る。一連の変数値は、観測結果に固有のものであることができる。場合によっては、異なる観測結果を、時として特徴値と呼ばれる異なる一連の変数値に関連付けることができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、機械学習システムは、位置特定モジュール160から受信した入力に基づいて、観測結果のセットに関する変数及び/又は特定の観測結果に関する変数値を特定することができる。例えば、機械学習システムは、テーブルの特定の列からデータを抽出すること、フォーム及び/又はメッセージの特定のフィールドからデータを抽出すること、及び/又は構造化データフォーマットで受信したデータを抽出することなどによって、機械学習システムに入力された構造化データから特徴セット(例えば、1つ以上の特徴及び/又は対応する特徴値)を識別することができる。追加的に又は代替的に、機械学習システムは、オペレータから入力を受信して特徴及び/又は特徴値を特定することができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、機械学習システムは、自然言語処理及び/又は別の特徴識別技術を行って、テキストからキーワード及び/又はキーワードに関連する値を識別することなどによって、機械学習システムに入力されたテキスト(例えば、非構造化データ)から特徴(例えば、変数)及び/又は特徴値(例えば、変数値)を抽出することができる。
【0129】
一例として、観測結果のセットに対する特徴セットは、ベルト上の鳥の第1の位置、ベルト上の鳥の第2の位置などを含むことができる。これらの特徴及び特徴値は例として提供されており、他の例では異なり得る。例えば、特徴セットは、鳥の目の位置、鳥の目の高さ、ベルト上の鳥の相対位置などの特徴の1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、機械学習システムは、前処理及び/又は次元削減を実行して、特徴セットを削減し、及び/又は特徴セットの特徴を組み合わせて最小の特徴セットにすることができる。機械学習モデルは最小の特徴セットで訓練されることができ、それによって機械学習モデルを訓練するために使用される機械学習システムの資源(例えば、処理資源及び/又はメモリ資源)が節約される。
【0130】
観測結果のセットは、目標変数に関連付けることができる。目標変数は、数値(例えば、整数値又は浮動小数点値)を有する変数を表すことができ、値の範囲内にある数値又はいくつかの離散的な可能な値を有する数値を有する変数を表すことができ、複数の選択肢の1つ(例えば、複数のクラス、分類又はラベルの1つ)から選択可能な変数を表すことができ、又は他の例の中でも特に、ブール値(例えば、0又は1、真又は偽、Yes又はNo)を有する変数を表すことができる。目標変数は、目標変数値に関連付けることができ、目標変数値は、観測結果に固有のものであることができる。場合によっては、異なる観測結果を異なる目標変数値に関連付けることができる。目標変数は、最初の観測結果のXYZ値(3次元座標値)を有する鳥の位置であることができる。上記の特徴セットと目標変数は例として提供されており、他の例は上記のものとは異なり得る。
【0131】
目標変数は、機械学習モデルが予測するように訓練されている値を表すことができ、特徴セットは、目標変数の値を予測するために訓練済み機械学習モデルに入力される変数を表すことができる。観測結果のセットは、目標変数値につながる特徴セット内のパターンを認識するように機械学習モデルを訓練することができるように、目標変数値を含むことができる。目標変数値を予測するように訓練された機械学習モデルは、教師あり学習モデル又は予測モデルと呼ばれる場合がある。目標変数が連続する目標変数値(例えば、数値の範囲)に関連付けられている場合、機械学習モデルは回帰手法を使用することができる。目標変数がカテゴリ目標変数値(例えば、クラス又はラベル)に関連付けられている場合、機械学習モデルは分類手法を使用することができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、機械学習モデルは、目標変数を含まない(又は目標変数を含むが、機械学習モデルが目標変数を予測するために実行されていない)観測結果のセットで訓練することができる。これは、教師なし学習モデル、自動化データ解析モデル、又は自動化信号抽出モデルと呼ばれる場合がある。この場合、機械学習モデルは、ラベル付け又は監視なしで観測結果のセットからパターンを学習することができ、クラスタリング及び/又は関連付けを使用して観測結果のセット内の関連する項目のグループを識別することなどによって、そのようなパターンを示す出力を提供することができる。
【0133】
図21に示されるように、機械学習システムは、観測結果のセットを、観測結果のセットのうちの観測結果の第1のサブセットを含む訓練セット2120と、観測結果のセットのうちの観測結果の第2のサブセットを含むテストセット2125とに分割することができる。訓練セット2120は、機械学習モデルを訓練(例えば、適合又は調整)するために使用することができ、一方、テストセット2125は、訓練セット2120を用いて訓練された機械学習モデルを評価するために使用することができる。例えば、教師あり学習の場合、テストセット2125は、観測結果の第1のサブセットを用いた初期モデル訓練に使用することができ、テストセット2125は、訓練されたモデルが観測結果の第2のサブセット内の目標変数を正確に予測するか否かをテストするために使用することができる。いくつかの実施形態では、機械学習システムは、観測結果のセットの第1の部分又は第1のパーセンテージ(例えば、他の例の中でも特に、75%、80%、又は85%)を訓練セット2120に含めること、及び観測結果のセットの第2の部分又は第2のパーセンテージ(例えば、他の例の中でも特に、25%、20%、又は15%)をテストセット2125に含めることによって、観測結果のセットを訓練セット2120とテストセット2125とに分割することができる。いくつかの実施形態では、機械学習システムは、訓練セット2120及び/又はテストセット2125に含める観測結果をランダムに選択することができる。
【0134】
符号2131で示されるように、機械学習システムは、訓練セット2120を用いて機械学習モデルを訓練することができる。この訓練は、機械学習システムによって、機械学習アルゴリズムを実行して、訓練セット2120に基づいてモデルパラメータのセットを決定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、回帰アルゴリズム(例えば、線形回帰又はロジスティック回帰)を含むことができ、回帰アルゴリズムは、正規化回帰アルゴリズム(例えば、Lasso回帰、Ridge回帰、又はElastic-Net回帰)を含むことができる。追加的に又は代替的に、機械学習アルゴリズムは、決定木アルゴリズムを含むことができ、決定木アルゴリズムは、ツリーアンサンブルアルゴリズム(例えば、バギング及び/又はブースティングを用いて生成される)、ランダムフォレストアルゴリズム、又はブーストツリーアルゴリズムを含むことができる。モデルパラメータは、モデル(例えば、訓練セット2120)へのデータ入力から学習される機械学習モデルの属性を含むことができる。例えば、回帰アルゴリズムの場合、モデルパラメータは回帰係数(例えば、重み)を含むことができる。決定木アルゴリズムの場合、モデルパラメータは、一例として、決定木分割位置を含むことができる。
【0135】
符号2135で示されるように、機械学習システムは、1つ以上のハイパーパラメータセット2141を使用して機械学習モデルを調整することができる。ハイパーパラメータは、機械学習アルゴリズムに適用される制約など、機械学習システムによる機械学習アルゴリズムの実行を制御する構造パラメータを含むことができる。モデルパラメータとは異なり、ハイパーパラメータは、モデルに入力されたデータから学習されない。正規化回帰アルゴリズムのハイパーパラメータの例には、機械学習モデルの訓練セット2120への過剰適合を軽減するために回帰係数に与えられるペナルティの強度(例えば、重み)が含まれる。ペナルティは、係数値のサイズに基づいて与えることができ(例えば、Lasso回帰の場合、大きな係数値にペナルティを与えるなど)、係数値の二乗サイズに基づいて与えることができ(例えば、Ridge回帰の場合、大きな二乗係数値にペナルティを与えるなど)、サイズと二乗サイズの比に基づいて与えることができ(例えば、Elastic-Net回帰の場合)、及び/又は1つ以上の特徴値をゼロに設定することによって与えることができる(例えば、自動特徴選択の場合)。決定木アルゴリズムのハイパーパラメータの例には、適用されるツリーアンサンブル手法(例えば、バギング、ブースティング、ランダムフォレストアルゴリズム、及び/又はブーストツリーアルゴリズム)、評価する特徴の数、使用する観測結果の数、各決定木の最大深度(例えば、決定木に許される分岐の数)、又はランダムフォレストアルゴリズムに含める決定木の数が含まれる。
【0136】
機械学習モデルを訓練するために、機械学習システムは、(例えば、1つ以上の機械学習アルゴリズムを識別するオペレータ入力に基づいて及び/又は機械学習アルゴリズムのセットのランダム選択に基づいて)訓練する機械学習アルゴリズムのセットを識別することができ、訓練セット2120を用いて機械学習アルゴリズムのセットを(例えば、セット内の各機械学習アルゴリズムに対して独立して)訓練することができる。機械学習システムは、(例えば、使用されるハイパーパラメータセット2141を識別するオペレータ入力に基づいて及び/又はハイパーパラメータ値をランダムに生成することに基づいて)1つ以上のハイパーパラメータセット2141を用いて各機械学習アルゴリズムを調整することができる。機械学習システムは、特定の機械学習アルゴリズム及び対応するハイパーパラメータセット2141を用いて特定の機械学習モデルを訓練することができる。いくつかの実施形態では、機械学習システムは、複数の機械学習モデルを訓練して、各機械学習モデルに対してモデルパラメータのセットを生成することができ、各機械学習モデルは、機械学習アルゴリズムとその機械学習アルゴリズムのためのハイパーパラメータセット2141との異なる組み合わせに対応する。
【0137】
いくつかの実施形態では、機械学習システムは、機械学習モデルを訓練するときに交差検証を行うことができる。交差検証は、(例えば、グループの数を識別するオペレータ入力に基づいて及び/又はグループの数をランダムに選択することに基づいて)訓練セット2120をいくつかのグループに分割し、それらのグループを使用してモデル性能を推定することなどによって、テストセット2125を使用せずに訓練セット2120のみを使用して機械学習モデル性能の信頼できる推定値を取得するために使用することができる。例えば、k分割交差検証を用いて、訓練セット2120内の観測結果を(例えば、順番に又はランダムに)k個のグループに分割することができる。訓練手順では、1つのグループをホールドアウトグループとしてマークし、残りのグループを訓練グループとしてマークすることができる。訓練手順では、機械学習システムは、訓練グループで機械学習モデルを訓練し、次にホールドアウトグループで機械学習モデルをテストして交差検証スコアを生成することができる。機械学習システムは、異なるホールドアウトグループ及び異なるテストグループを用いてこの訓練手順を繰り返して各訓練手順に対して交差検証スコアを生成することができる。いくつかの実施形態では、機械学習システムは、機械学習モデルをk回独立して訓練することができ、個々のグループは、ホールドアウトグループとして1回使用され、訓練グループとしてk-1回使用される。機械学習システムは、各訓練手順に対する交差検証スコアを組み合わせて、機械学習モデルの全体交差検証スコアを生成することができる。全体交差検証スコアは、例えば、(例えば、すべての訓練手順にわたる)平均交差検証スコア、交差検証スコア全体の標準偏差、又は交差検証スコア全体の標準誤差を含むことができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、機械学習システムは、(例えば、グループの数を識別するオペレータ入力に基づいて及び/又はグループの数をランダムに選択することに基づいて)訓練セットを複数のグループに分割することによって機械学習モデルを訓練するときに交差検証を行うことができる。機械学習システムは、複数の訓練手順を行うことができ、各訓練手順に対して交差検証スコアを生成することができる。機械学習システムは、特定の機械学習アルゴリズムに関連付けられた各ハイパーパラメータセット2141に対して全体交差検証スコアを生成することができる。機械学習システムは、特定の機械学習アルゴリズムに関連付けられた異なるハイパーパラメータセット2141の全体交差検証スコアを比較することができ、機械学習モデルを訓練するために最高の(例えば、精度が最も高い、誤差が最も低い、又は所望の閾値に最も近い)全体交差検証スコアを有するハイパーパラメータセット2141を選択することができる。次いで、機械学習システムは、交差検証なしで(例えば、ホールドアウトグループなしで訓練セット2120内のすべてのデータを用いて)、選択されたハイパーパラメータセット2141を用いて機械学習モデルを訓練し、特定の機械学習アルゴリズムに対する単一の機械学習モデルを生成することができる。次いで、機械学習システムは、テストセット2125を用いてこの機械学習モデルをテストし、平均二乗誤差(例えば、回帰の場合)、平均絶対誤差(例えば、回帰の場合)、又は受信者動作特性曲線下面積(例えば、分類の場合)などの性能スコアを生成することができる。機械学習モデルが(例えば、閾値を満たす性能スコアで)適切に機能する場合、機械学習システムは、
図22に関連して以下に説明するように、その機械学習モデルを、新たな観測結果を解析するために使用される訓練済み機械学習モデル2145として格納することができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、機械学習システムは、正規化回帰アルゴリズム、様々なタイプの正規化回帰アルゴリズム、決定木アルゴリズム、又は様々なタイプの決定木アルゴリズムなどの複数の機械学習アルゴリズムに対して(例えば、独立して)、上述のように交差検証を行うことができる。複数の機械学習アルゴリズムに対して交差検証を行うことに基づいて、機械学習システムは、各機械学習モデルが対応する機械学習アルゴリズムに対して最高の全体交差検証スコアを有する複数の機械学習モデルを生成することができる。次いで、機械学習システムは、訓練セット2120全体を用いて(例えば、交差検証なしで)各機械学習モデルを訓練することができ、テストセットを用いて各機械学習モデルをテストして各機械学習モデルに対して対応する性能スコアを生成することができる。機械学習モデルは、各機械学習モデルに対する性能スコアを比較することができ、最高の(例えば、精度が最も高い、誤差が最も低い、又は所望の閾値に最も近い)性能スコアを有する機械学習モデルを訓練済み機械学習モデル2145として選択することができる。
【0140】
上で示したように、
図21は例として提供されている。他の例は、
図21に関連して説明されるものとは異なり得る。例えば、機械学習モデルは、
図21に関連して説明されているものとは異なるプロセスを用いて訓練することができる。追加的に又は代替的に、機械学習モデルは、ベイズ推定アルゴリズム、k-最近傍アルゴリズム、アプリオリアルゴリズム、k-平均アルゴリズム、サポートベクターマシンアルゴリズム、ニューラルネットワークアルゴリズム(例えば、畳み込みニューラルネットワークアルゴリズム)、及び/又は深層学習アルゴリズムなど、
図21に関連して説明されているものとは異なる機械学習アルゴリズムを使用することができる。
【0141】
図22は、訓練済み機械学習モデルを対象への物質の送達に関連する新たな観測結果に適用する例を示す図である。新たな観測結果は、
図21に関連して上述された訓練済み機械学習モデル2145などの訓練済み機械学習モデル2145を格納する機械学習システムに入力され得る。機械学習システムは、コンピューティングデバイス、サーバ、又はクラウドコンピューティング環境を含むことができ、又はこれらに含めることができる。
【0142】
機械学習システムは、新たな観測結果(又は新たな観測結果のセット)を受信することができ、新たな観測結果を機械学習モデルに入力することができる。示されるように、新たな観測結果は、第1の特徴、第2の特徴、第3の特徴などを含むことができる。機械学習システムは、訓練済み機械学習モデル2145を新たな観測結果に適用して出力2271(例えば、結果)を生成することができる。出力のタイプは、機械学習モデルのタイプ及び/又は実行される機械学習タスクのタイプによって決まり得る。例えば、出力2271は、教師あり学習が使用される場合などに、目標変数(例えば、連続的な値の範囲内の値、離散値、ラベル、クラス、又は分類)の予測(例えば、推定)値を含むことができる。追加的に又は代替的に、出力2271は、教師なし学習が使用される場合などに、新たな観測結果が属するクラスタを識別する情報、及び/又は新たな観測結果と(例えば、以前に機械学習モデルに入力された新たな観測結果及び/又は機械学習モデルを訓練するために使用された観測結果であった可能性がある)1つ以上の以前の観測結果との間の類似度を示す情報を含むことができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、訓練済み機械学習モデル2145は、鳥の位置のXYZ値を予測することができる。この予測に基づいて(例えば、特定のラベル又は分類を有する値に基づいて又は閾値を満たすか満たさない値に基づいて)、機械学習システムは、物質を鳥に送達すべきであるという指示を提供するなど、勧告及び/又は勧告の決定のための出力を提供することができる。追加的に又は代替的に、機械学習システムは、自動化されたアクションを行うことができ、及び/又は(例えば、別のデバイスに自動化されたアクションを行うように指示することによって)自動化されたアクションを行わせることができる。いくつかの実施形態では、勧告及び/又は自動化されたアクションは、特定のラベルを有する目標変数値(例えば、分類又はカテゴリー化)に基づくことができ、及び/又は目標変数値が1つ以上の閾値を満たすか否か(例えば、目標変数値が閾値より大きいか、閾値より小さいか、閾値と等しいか、閾値の範囲内にあるか)に基づくことができる。
【0144】
このようにして、機械学習システムは、厳密かつ自動化されたプロセスを適用して、鳥の位置及びいつそこに物質を送達すべきかを特定することができる。機械学習システムは、数十、数百、数千、又は数百万の観測結果に対する数十、数百、数千、又は数百万の特徴及び/又は特徴値の認識及び/又は識別を可能にし、それによって、数十、数百、又は数千のオペレータが手作業で鳥にワクチン接種を行うのに割り当てられる必要な資源(例えば、コンピューティング資源又は手作業)と比べて、精度及び一貫性が向上し、雛のワクチン接種に関連する遅延が減少する。
【0145】
上述のように、
図22は例として提供される。他の例は、
図22に関連して説明されるものとは異なり得る。
【0146】
前述のフローロジック及び/又は方法は、本明細書に記載される様々なサービス及びアプリケーションの機能及び動作を示す。ソフトウェアで具現化される場合、各ブロックは、特定の論理機能を実行するためのプログラム命令を含むモジュール、セグメント、又はコードの一部分を表すことができる。プログラム命令は、プログラミング言語で書かれた可読ステートメントを含むソースコード、又はコンピュータシステム又は他のシステム内のプロセッサなどの好適な実行システムによって認識可能な数値命令を含むマシンコードの形態で具現化することができる。マシンコードは、ソースコードなどから変換することができる。他の好適なタイプのコードには、コンパイル済みコード、解釈済みコード、実行可能コード、静的コード、動的コード、オブジェクト指向コード、ビジュアルコードなどが含まれる。例は、この文脈に限定されるものではない。
【0147】
ハードウェアで具現化される場合、各ブロックは、特定の論理機能を実行するための回路又は複数の相互接続された回路を表すことができる。回路は、AMD(登録商標)のAthlon(登録商標)、Duron(登録商標)及びOpteron(登録商標)プロセッサ、ARM(登録商標)のアプリケーション、組み込み及びセキュアプロセッサ、IBM(登録商標)及びMotorola(登録商標)のDragonBall(登録商標)及びPowerPC(登録商標)プロセッサ、IBM及びSony(登録商標)のCellプロセッサ、Qualcomm(登録商標)のSnapdragon(登録商標)、Intel(登録商標)のCeleron(登録商標)、Core(2)Duo(登録商標)、Core i3、Core i5、Core i7、Itanium(登録商標)、Pentium(登録商標)、Xeon(登録商標)、Atom(登録商標)及びXScale(登録商標)プロセッサ、Nvidia Jetson(登録商標)クラスのプロセッサ(Xavier及びOrinファミリなど)及び類似のプロセッサを含むがこれらに限定されない、様々な市販のプロセッサのいずれかを含むことができる。他のタイプのマルチコアプロセッサ及び他のマルチプロセッサアーキテクチャも回路の一部として使用することができる。いくつかの例によれば、回路はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むことができ、モジュールは、ASIC又はFPGAのハードウェア要素として実装され得る。さらに、実施形態は、チップ、チップセット又はパッケージの形態で提供され得る。
【0148】
前述のフローロジック及び/又は方法はそれぞれ特定の実行順序を示しているが、実行順序は図示されているものとは異なり得ることが理解される。また、フローチャートに連続して示される動作は、同時に又は部分的に同時に実行することができる場合がある。さらに、いくつかの実施形態では、1つ以上の動作をスキップ又は省略することができる。加えて、任意の数のカウンタ、状態変数、警告セマフォ、又はメッセージを、ユーティリティの向上、課金、性能測定、又はトラブルシューティング支援の提供などの目的で、本明細書に記載される論理フロー又は方法に追加することができる。すべてのこのような変形例が本開示の範囲内にあることが理解される。また、フローロジック又は方法に示されているすべての動作が新規な実施形態に必要ではないかもしれない。
【0149】
本明細書で説明されるあらゆる動作又はコンポーネントがソフトウェアの形態で実施される場合、例えば、C、C++、C#、Objective C、Java、Javascript、Perl、PHP、Visual Basic、Python、Ruby、Delphi、Flash、又は他のプログラミング言語などの複数のプログラミング言語のうちのいずれか1つを使用することができる。ソフトウェアコンポーネントは、メモリに格納され、プロセッサによって実行可能である。この点で、「実行可能」という用語は、最終的にプロセッサで実行できる形式のプログラムファイルを意味する。実行可能プログラムの例は、例えば、メモリのランダムアクセス部分にロードしてプロセッサで実行できる形式でマシンコードに変換できるコンパイル済みプログラム、メモリのランダムアクセス部分にロードしてプロセッサで実行できるオブジェクトコードなどの適切な形式で表現できるソースコード、又はメモリのランダムアクセス部分にプロセッサで実行される命令を生成するために別の実行可能プログラムによって解釈され得るソースコードなどである。実行可能プログラムは、メモリのあらゆる部分又はコンポーネントに格納することができる。本開示の文脈では、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システムによって使用されるか又は命令実行システムに関連して使用される、本明細書に記載されるロジック又はアプリケーションを含み、格納し、又は維持することができるあらゆる媒体(例えば、メモリ)であり得る。
【0150】
メモリは、本明細書では、製造品として定義され、揮発性及び/又は不揮発性メモリ、取り外し可能及び/又は取り外し不可能なメモリ、消去可能及び/又は消去不可能なメモリ、書き込み可能及び/又は再書き込み可能なメモリなどを含む。揮発性コンポーネントは、電力損失時にデータ値を保持しないコンポーネントである。不揮発性コンポーネントは、電力損失時にデータを保持するコンポーネントである。したがって、メモリは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、USBフラッシュドライブ、メモリカードリーダーを介してアクセスされるメモリカード、関連するフロッピーディスクドライブを介してアクセスされるフロッピーディスク、光ディスクドライブを介してアクセスされる光ディスク、適切なテープドライブを介してアクセスされる磁気テープ、及び/又は他のメモリコンポーネント、又はこれらのメモリコンポーネントのあらゆる2つ以上の組み合わせを含むことができる。加えて、RAMは、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、又は磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)及び他のそのようなデバイスを含むことができる。ROMは、例えば、プログラマブル読取専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読取専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読取専用メモリ(EEPROM)、又は他の同様のメモリデバイスを含むことができる。
【0151】
本明細書に記載されるデバイスは、それぞれ並列処理回路で動作する、複数のプロセッサ及び複数のメモリを含むことができる。このような場合、通信バスなどのローカルインタフェースは、複数のプロセッサのうちのあらゆる2つの間、あらゆるプロセッサとあらゆるメモリの間、又はあらゆる2つのメモリの間などの通信を容易にすることができる。ローカルインタフェースは、例えば、負荷バランシングを行うことを含む、この通信を調整するように設計された更なるシステムを含むことができる。プロセッサは、電気的なもの又は他の利用可能な構造のものであり得る。
【0152】
本開示の上記実施形態は本開示の原理を明確に理解するために記載された実施形態の可能な例にすぎないことが強調されるべきである。当然ながら、コンポーネント及び/又は方法の考えられるすべての組み合わせを記載することは不可能であるが、当業者は、多くの更なる組み合わせ及び置換が可能であることを認識するであろう。すなわち、本開示の主旨及び原理から実質的に逸脱することなく、上記実施形態に対して多くの変形及び修正を行うことができる。すべてのこのような変形及び修正が本開示の範囲内で本明細書に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されるよう意図されている。
【国際調査報告】