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特表2024-534032ボツリヌス毒素中毒を処置するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ボツリヌス毒素中毒を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/435 20060101AFI20240910BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 39/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61K31/435
A61P25/00
A61P31/04
A61P39/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508945
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 US2022074849
(87)【国際公開番号】W WO2023023463
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/234,970
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522023613
【氏名又は名称】カタリスト ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マクナット, パトリック
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZB35
4C086ZC37
(57)【要約】
本開示はボツリヌス中毒を処置する方法に関連し、この方法は、それを必要とする対象に、有効量の3,4-ジアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を、持続注入によってか、単回ボーラス注入によってか、または経口的に、投与する工程を含む。本発明は、例えば、ボツリヌス症の処置を必要とする対象においてボツリヌス症を処置する方法であって、有効量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を薬学的に受容可能なビヒクル中で持続注入によって前記対象に静脈内投与する工程を含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボツリヌス症の処置を必要とする対象においてボツリヌス症を処置する方法であって、
有効量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を薬学的に受容可能なビヒクル中で持続注入によって前記対象に静脈内投与する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記有効量の3,4-ジアミノピリジンが前記対象の体重1kg当たり1時間につき約0.5mg~前記対象の体重1kg当たり1時間につき約3mgの速度で注入される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有効量の3,4-ジアミノピリジンが前記対象の体重1kg当たり1時間につき約1.4mgの速度で注入される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記有効量の3,4-ジアミノピリジンが、約80mg~約160mgの範囲の総一日用量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩で提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対象がヒト対象である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩の投与が、定常状態血漿濃度約120ng/mLの3,4-ジアミノピリジンを前記対象において達成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記総一日用量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を持続注入によって連続する複数日間投与する工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ボツリヌス症がボツリヌス神経毒素血清型Aによって引き起こされる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ボツリヌス症が限局性ボツリヌス神経毒素中毒を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ボツリヌス症の処置を必要とする対象においてボツリヌス症を処置する方法であって、
有効量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を薬学的に受容可能なビヒクル中で複数の単回ボーラス注入によって前記対象に投与する工程
を含む、方法。
【請求項11】
前記複数の単回ボーラス注入の各々が、前記対象の体重1kg当たり約1mg~約3mgの3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の単回ボーラス注入の各々が、前記対象の体重1kg当たり約2mgの3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記有効量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩が、約80mg~約160mgの範囲の総一日用量の3,4-ジアミノピリジンで提供される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記対象がヒト対象である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩の投与が、定常状態血漿濃度約120ng/mLの3,4-ジアミノピリジンを前記対象において達成する、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記総一日用量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を連続する複数日の各々中に投与する工程を含む、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ボツリヌス症がボツリヌス神経毒素血清型Aによって引き起こされる、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ボツリヌス症が限局性ボツリヌス神経毒素中毒を含む、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ボツリヌス症の処置を必要とする対象においてボツリヌス症を処置する方法であって、
有効量の3,4-ジアミノピリジンリン酸塩を前記対象に経口投与する工程
を含む、方法。
【請求項20】
前記有効量の3,4-ジアミノピリジンリン酸塩が、約80mg~約160mgの3,4-ジアミノピリジン遊離塩基と等価な総一日用量で提供される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記総一日用量の3,4-ジアミノピリジンリン酸塩が1日につき複数の単回用量で投与される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記3,4-ジアミノピリジンリン酸塩の投与が、定常状態血漿濃度約120ng/mLの3,4-ジアミノピリジンを前記対象において達成する、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象がヒト対象である、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記総一日用量の3,4-ジアミノピリジンリン酸塩を複数日の各々中に投与する工程を含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ボツリヌス症がボツリヌス神経毒素血清型Aによって引き起こされる、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記ボツリヌス症が限局性ボツリヌス神経毒素中毒を含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
ボツリヌス神経毒素(BoNT)は、Clostridium属の嫌気性細菌によって生成される非常に強力な毒である。その活性神経毒素は、100kDa重鎖(HC)と50kDa軽鎖(LC)との間のヘテロダイマーである。このHCは、末梢ニューロンのシナプス前膜上にあるエンドソームレセプターへの選択的結合を媒介する。シナプスエンドサイトーシスによるニューロン取込み後に、このLCは神経終末に移動し、その神経終末でこのLCは、神経伝達物質放出に必須であるニューロン可溶性N-エチルマレイミド感受性因子付着タンパク質受容体(SNARE)タンパク質を特異的に切断する。SNAREタンパク質の切断は有芯小胞融合複合体の集合を遮断し、小胞融合およびアセチルコリン放出を防止する。切断されたSNAREタンパク質の濃度が増加すると、運動神経終末は筋収縮を確実に誘発することができなくなり、弛緩性麻痺へと進行する筋力低下を引き起こす。
【0002】
ボツリヌス症の臨床的症状は、典型的には、BoNTへの曝露の12時間~36時間後に出現し、神経筋接合部および自律神経終末における神経伝達の末梢的遮断によって引き起こされる。致死量では、神経麻痺症状が、生命を脅かす呼吸低下へと急速に進行する脳神経機能不全として出現する。ボツリヌス症の臨床的に認可されている唯一の処置は、抗毒素による曝露後予防であり、これは、BoNTのニューロン取込みを遮断するが、ニューロンに既に結合している毒素分子に対しても、ニューロン内部に移行した毒素分子に対しても、何の効果も有しない。ニューロン取込みと毒性出現との間の遅延が原因で、実質的なニューロン取込みは、症状が出現する前に生じ得る。結果的に、全身性ボツリヌス症に罹患して抗毒素で処置された症候性患者の大多数は、生存するために数週間の集中治療サポートをさらに必要とする。中規模のアウトブレイクでさえ地域の医療ケア資源に対して破壊的な影響を有する可能性があるので、BoNTは、米国政府によってティア1の指定生物剤(Tier 1 select agent)と考えられている。BoNT血清型A(BoNT/A)は、米国における天然でのボツリヌス症症例の約半分の原因である病原因子であり、これはまた、ほとんどの神経毒素ベースの医薬品における活性成分でもある。神経毒素ベースの医薬品(これらは、医薬目的または美容目的のために筋肉に注射される)は、過剰投与または置き違いされた場合に、オフターゲット効果を引き起こし得る。限局的BoNT注射のオフターゲット効果としては、その処置部位近辺における望まれない限局的筋力低下または麻痺が挙げられ得る。結果的に、天然BoNT/Aボツリヌス症および医原性BoNT/Aボツリヌス症の処置は、優先度が高い。
【0003】
抗毒素処置の明確な限界は、抗ボツリヌス治療の探索を必要とした。かなりの努力が解毒処置、主に、神経終末の内部でのLCメタロプロテアーゼ活性を特異的に遮断する低分子インヒビター(SMI)に、向けられてきた。SMIの開発は、広大な基質-酵素間の境界面、トポロジー的に制約された活性部位、コンフォメーション上の高度の柔軟性および構造的に多様な毒素血清型を遮断するために複数のSMIが必要であることが挙げられる、複数の要因によって複雑化される。結果的に、現在まで、どのSMIも認可されていない。あるいは、治療抗体のニューロン内送達が非ヒト霊長類における解毒効力を有し、数日間にわたってボツリヌス症の症状の生理学的逆転が生じたと、最近報告された。治療的利点のこの遅れは、ボツリヌス症からの症状回復の前にインタクトなSNAREタンパク質を再生する必要性と一致しており、LCインヒビターが毒性徴候に対して急性効果を有する可能性がないことを強調する。
【0004】
抗毒素の限界および認可された細胞内SMIがないことを考慮すると、毒性が減少するまでコリン作動性神経伝達を維持する、全身性BoNT中毒および限局性BoNT中毒に対する迅速に作用する対症療法についての重大な必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(簡単な概要)
本開示は、ボツリヌス症の処置における3,4-ジアミノピリジンおよびその薬学的に受容可能な塩の使用に関連する。詳細には、本開示は、ボツリヌス症を処置する方法に関連し、この方法は、有効量の3,4-ジアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を、持続注入によってか、複数回の用量の注射によってか、または複数回の用量の経口投与によって、投与する工程を含む。
【0006】
一局面において、本開示は、ボツリヌス症の処置を必要とする対象においてボツリヌス症を処置する方法を提供し、この方法は、有効量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を薬学的に受容可能なビヒクル中で持続注入によってその対象に静脈内投与する工程を含む。
【0007】
一部の局面において、その有効量の3,4-ジアミノピリジンは、その対象の体重1kg当たり1時間につき約0.5mg~その対象の体重1kg当たり1時間につき約3mgの速度で注入される。
【0008】
一部の局面において、その有効量の3,4-ジアミノピリジンは、その対象の体重1kg当たり1時間につき約1.4mgの速度で注入される。
【0009】
一部の局面において、その有効量の3,4-ジアミノピリジンは、約80mg~約160mgの範囲の総一日用量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩で提供される。
【0010】
一部の局面において、その対象はヒト対象である。
【0011】
一部の局面において、その3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を持続注入によって投与することは、定常状態血漿濃度約120ng/mLの3,4-ジアミノピリジンをその対象において達成する。
【0012】
一部の局面において、その方法は、その総一日用量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を持続注入によって連続する複数日間投与する工程を含む。
【0013】
一部の局面において、そのボツリヌス症はボツリヌス神経毒素血清型Aによって引き起こされる。
【0014】
一部の局面において、そのボツリヌス症は限局性ボツリヌス神経毒素中毒を含む。
【0015】
別の局面において、本開示は、ボツリヌス症の処置を必要とする対象においてボツリヌス症を処置する方法を提供し、この方法は、有効量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を薬学的に受容可能なビヒクル中で複数の単回ボーラス注入によってその対象に投与する工程を含む。
【0016】
一部の局面において、その複数の単回ボーラス注入の各々は、その対象の体重1kg当たり約1mg~約3mgの3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0017】
一部の局面において、その複数の単回ボーラス注入の各々は、その対象の体重1kg当たり約2mgの3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0018】
一部の局面において、その有効量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩は、約80mg~約160mgの範囲の総一日用量の3,4-ジアミノピリジンで提供される。
【0019】
一部の局面において、その対象はヒト対象である。
【0020】
一部の局面において、その3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を複数の単回ボーラス注入によって投与することは、定常状態血漿濃度約120ng/mLの3,4-ジアミノピリジンをその対象において達成する。
【0021】
一部の局面において、その方法は、その総一日用量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を連続する複数日の各々中に投与する工程を含む。
【0022】
一部の局面において、そのボツリヌス症はボツリヌス神経毒素血清型Aによって引き起こされる。
【0023】
一部の局面において、そのボツリヌス症は限局性ボツリヌス神経毒素中毒を含む。
【0024】
別の局面において、本開示は、ボツリヌス症の処置を必要とする対象においてボツリヌス症を処置する方法を提供し、この方法は、有効量の3,4-ジアミノピリジンリン酸塩をその対象に経口投与する工程を含む。
【0025】
一部の局面において、その有効量の3,4-ジアミノピリジンリン酸塩は、約80mg~約160mgの3,4-ジアミノピリジン遊離塩基と等価な総一日用量で提供される。
【0026】
一部の局面において、その総一日用量の3,4-ジアミノピリジンリン酸塩は1日につき複数の単回用量で投与される。
【0027】
一部の局面において、その3,4-ジアミノピリジンリン酸塩を経口投与することは、定常状態血漿濃度約120ng/mLの3,4-ジアミノピリジンをその対象において達成する。
【0028】
一部の局面において、その対象はヒト対象である。
【0029】
一部の局面において、その方法は、その総一日用量の3,4-ジアミノピリジンリン酸塩を複数日の各々中に投与する工程を含む。
【0030】
一部の局面において、そのボツリヌス症はボツリヌス神経毒素血清型Aによって引き起こされる。
【0031】
一部の局面において、そのボツリヌス症は限局性ボツリヌス神経毒素中毒を含む。
【0032】
本開示のさらなる局面および利点が、以下の説明において部分的に示され、その説明から生じるか、または本開示の実施によって習得され得る。本開示の局面および利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘されている要素および組合せによって実現および達成される。
【0033】
上記の概要および以下の詳細な説明の両方は例示および説明のためのものに過ぎず、それらは特許請求される発明を限定しないことが、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、ラットにおける2.5LD50のBoNT/AでのBoNT/A効力決定および疾患進行を示す。
【0035】
図2図2は、ナイーブラットにおける3,4-DAP薬力学パラメータを示す。
【0036】
図3A図3Aは、実施例1において記載される実験の実験ストラテジーの概要を示す。
【0037】
図3B図3Bは、実施例1において記載される実験についてのビヒクル処置ラットおよび3,4-DAP処置ラットの経時的な毒性徴候のメジアン±四分位数間比(interquartile ratio)(IQR)を示す。
【0038】
図3C図3Cは、実施例1において記載される実験についてのビヒクル処置ラットおよび3,4-DAP処置ラットの生存曲線を示す。
【0039】
図4図4は、3,4-DAPの注入用量がラットにおける3,4-DAP定常状態血漿濃度に直線的に関係することを示す。
【0040】
図5A図5Aは、実施例2において記載される実験の実験ストラテジーの概要を示す。
【0041】
図5B図5Bは、実施例2において記載される実験についてのビヒクル処置ラットおよび3,4-DAP処置ラットの注入開始時および経時的な毒性徴候のメジアン±IQRを示す。
【0042】
図5C図5Cは、実施例2において記載される実験についてのビヒクル処置ラットおよび3,4-DAP処置ラットの生存曲線を示す。
【0043】
図5D図5Dは、実施例2において記載される実験についてのビヒクル処置ラットおよび3,4-DAP処置ラットの経時的な毒性徴候のメジアンを示す。
【0044】
図5E図5Eは、実施例2において記載される実験についての経時的な生存ラットの正規化した体重を示す。
【0045】
図5F図5Fは、実施例2において記載される実験についての1.44mg/kg・hの3,4-DAPで1日目から5日目まで注入した群に由来するラット(n=3)の毒性徴候のメジアン±IQRを示す。
【0046】
図6図6A図6Eは、実施例2において記載される以下の群の間での横隔膜終板成功率、終板電位(EPP)、微小EPP(mEPP)、および素量数(quantal content)(QC)の比較を示す:BoNTナイーブラット;110U/kgのBoNT/Aで中毒にさせ0.98mg/kg・hまたは1.44mg/kg・hで3,4-DAPを1日目から14日目まで注入し21日目に安楽死させたラット;および110U/kgのBoNT/Aで中毒にさせ1.44mg/kg・hの3,4-DAPを1日目から5日目まで注入し安楽死させたラット。
【0047】
図7A図7A図7Bは、統計的比較に関する詳細を提供する表(表3)である。
図7B図7A図7Bは、統計的比較に関する詳細を提供する表(表3)である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
(詳細な説明)
本明細書において提供される見出しは、本開示の種々の局面の限定ではなく、本開示は、本明細書を全体として参照することによって定義され得る。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書において使用される用語法は、特定の局面を記載することのみを目的とし、限定することは意図されないこともまた、理解されるべきである。
【0049】
3,4-ジアミノピリジン(アミファンプリジンまたは3,4-DAPとしても知られる)は、毒性が減少するまでコリン作動性神経伝達を維持する、全身性BoNT中毒および限局性BoNT中毒に対する迅速に作用する対症療法についての重大な必要性に対する解決法である可能性がある。3,4-DAPは、多くの希少な筋肉疾患(例えば、先天性筋無力症候群)の処置において薬物として使用されてきた。3,4-DAPは、電位開口型カリウムチャネルを可逆的に遮断することによって活動電位持続時間を延長して、シナプス前Ca2+流入を促進しアセチルコリン放出を増加する、カリウムチャネル遮断薬である。3,4-DAP遊離塩基形態は商標名Ruzurgi(登録商標)として販売されており、これは小児科患者においてLEMSを処置するために認可されている。3,4-DAPのリン酸塩は商標名Firdapse(登録商標)として販売されており、これは成人においてLEMSを処置するために認可されている。
【0050】
3,4-DAPは、複数のBoNT血清型によって中毒にされた単離されたマウス横隔膜において筋麻痺を逆転させ、血清型Aの処置において特に有効性があることが、示されている。3,4-DAPによる短期間処置は、末期のボツリヌス症のマウスにおいて呼吸機能を改善し生存を延長して、インビボでの対症的有効性を確認したことが、示されている。しかし、3,4-DAPは、短い薬力学的半減期を有する。実施例1および実施例2に関して以下で記載される実験の前は、3,4-DAPの反復投与または持続投与が、時には3,4-DAPの反復投与に関連する急性神経毒性の症状(例えば、てんかん発作)を回避しながら、神経筋機能がボツリヌス症麻痺から回復する(数週間かかり得るプロセス)まで対症的利点を維持し得るか否かは、未知のままであった。
【0051】
(定義)
便宜上、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲において使用される一部の用語および句の意味が、以下に提供される。別途示されることも文脈から暗示されることもない場合は、以下の用語および句は、以下に提供される意味を有する。別途定義されない限りは、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。当該分野におけるある用語の使用法と本明細書において提供されるその用語の定義との間に明らかな矛盾が存在する場合は、本明細書において提供される定義が優先する。
【0052】
冠詞「ある(1つの)(a)」、「ある(1つの)(an)」および「その(該)(the)」は、その冠詞の1つまたは1つよりも多い(すなわち、少なくとも1つ)文法上の目的語を指すために本明細書において使用される。例として、「ある(1つの)(an)要素」は、1つの要素または1つよりも多い要素を意味する。
【0053】
本明細書において使用される場合、用語「約」は、別途示されない限りは、特定の値±10%を意味する。
【0054】
複数の数または連続する数の前にある用語「少なくとも」は、その用語「少なくとも」に隣接する数、および文脈から明らかである、論理的に含まれ得るそれに続くすべての数または整数を含むことが理解される。「少なくとも」が連続する数またはある範囲の前に存在する場合、「少なくとも」は、その連続中または範囲中の数の各々を修飾し得ることが、理解される。
【0055】
本明細書において使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、「含む(containing)」などは、「含むが、それらに限定はされない(挙げられるが、それらに限定はされない)」を意味する非限定的用語である。本明細書において開示される所定の局面が特定の要素を「含む」場合、本開示はそれらの要素「から本質的になる」局面およびそれらの要素「からなる」局面を具体的には企図し開示することが、理解されるべきである。
【0056】
本明細書において使用される場合、用語「から本質的になる(consists essentially of)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」などは、ある局面の基本的で新規な特徴に実質的に影響を与える他の成分が何も含まれないことを意味する、半限定的用語として解釈されるべきである。
【0057】
本明細書において使用される場合、用語「からなる(consists of)」、「からなる(consisting of)」などは、特定の要素セット「からなる」局面がその局面において特定されていないいかなる要素も工程も成分も排除するような、限定的用語として解釈されるべきである。
【0058】
用語「処置する(treat)」、「処置する(treating)」および「処置(treatment)」とは、ある損傷、疾患、もしくは状態の処置または好転における成功の何らかの指標を指し、その指標としては、何らかの客観的パラメータまたは主観的パラメータ、例えば、症状の軽減;症状の寛解;症状の減少(diminishing)、またはその損傷、疾患、もしくは状態を患者にとってより許容可能にすること;変性または減退の速度の緩徐化;あるいは患者の身体的または精神的な健康状態を改善することが挙げられる。症状の処置または好転は、客観的パラメータまたは主観的パラメータ(身体検査の結果、精神神経検査の結果、または精神医学的評価の結果が挙げられる)に基づき得る。
【0059】
句「有効量」とは、非毒性であるが、薬物または薬剤が望ましい効果を提供するのに十分な量を指す。「有効」である量は、個体の年齢および全般的状態、特定の活性薬剤または活性薬剤群などに依存して、対象ごとに変動する。したがって、正確な「有効量」を特定することは、常に可能というわけではない。しかし、何らかの個別の場合における適切な「有効」量は、慣用的な実験を使用して当業者によって決定され得る。一般に、全身性BoNT中毒を処置するための「有効」量を構成する3,4-DAPの量は、対象が曝露されたBoNTの用量に依存する。例えば、特定の理論によって縛られることは望まないが、全身性BoNT中毒に罹患している対象がより大量のBoNTに曝露されていた場合に効力を達成するためには、より大量の総一日用量の3,4-ジアミノピリジンが必要とされ得、一方、対象がより少量のBoNTに曝露されていた場合には、より少ない用量の3,4-ジアミノピリジンが有効であり得る。BoNTへの曝露のレベルを決定し、それを必要とする対象を処置するために必要とされる3,4-ジアミノピリジンの「有効量」を選択または用量設定する(titrate)ことは、その対象が全身性BoNT中毒に罹患しているかまたは限局性BoNT中毒に罹患しているかに関わらず、当業者である医師の技量の範囲内にある。
【0060】
用語「薬学的に受容可能な塩」とは、薬学的に受容可能な無機酸および薬学的に受容可能な有機酸から調製された塩基性化合物(例えば、3,4-DAP)の塩を指す。
【0061】
用語「持続注入」とは、長い時間にわたる皮下空間または血管中への流体の投与を指す。その長い時間は、約1時間~約24時間の任意の適切な持続時間(例えば、1時間、2時間、3時間、もしくは4時間)であり得;または約1日間~約21日間、もしくは約1週間~約12週間などの、任意の適切な持続時間であり得る。
【0062】
本明細書において使用される用語「ボツリヌス症」とは、任意の血清型のBoNT(例えば、BoNT/A)による全身性中毒または限局性中毒によって引き起こされる状態を指し、この状態としては、その状態を獲得した様式に関わらず、関連する筋肉症状および/または呼吸症状が挙げられる。
【0063】
本明細書において使用される用語「毒性徴候」とは、ボツリヌス症に関連する生理的徴候を指す。毒性徴候としては、呼吸徴候(例えば、奇異呼吸(abdominal paradox)および死戦期呼吸パターン(agonal respiratory pattern));ならびに骨格筋徴候(例えば、流涎、嗜眠、および全身麻痺)が挙げられる。
【0064】
(BoNT中毒を処置する方法)
全身性BoNT中毒(例えば、腐敗した食物もしくは飲料を摂取することから生じるか、またはBoNTへの曝露から生じる、ボツリヌス症)は、罹患した対象に対して深刻な結果を有し得る。適切な処置がなければ、全身性ボツリヌス症を有する対象は、筋麻痺、呼吸促迫を経験し得、未処置のまま放置された場合または遅すぎる時期に処置された場合には、呼吸虚脱による死を経験し得る。
【0065】
同様に、(例えば、メージュ症候群、片頭痛、歯ぎしり、顔面の皺、四肢痙縮、痙攣性発声障害などが挙げられる状態を処置するための)BoNTベースの医薬品の医薬的使用および/または美容的使用から生じるオフターゲット効果は、特にそのBoNTベースの医薬品が処方量または認可された量を超える量で投与された場合か、そのBoNTベースの医薬品が誤った位置に投与された場合か、またはそのBoNTベースの医薬品が適切に投与されたが周囲組織に「漏出する」場合に、重大な懸念事項である。BoNTベースの医薬品のオフターゲット効果としては、望まれない限局性筋力低下もしくは麻痺、眼瞼下垂もしくは他の筋肉下垂、咀嚼困難、および声帯麻痺に由来する声の弱さもしくは気息音が挙げられるが、それらに限定はされない。
【0066】
一局面において、本開示は、ボツリヌス症の処置を必要とする対象においてボツリヌス症を処置する方法を提供し、この方法は、有効量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を薬学的に受容可能なビヒクル中で持続注入によってその対象に静脈内投与する工程を含む。3,4-DAPの注入は、少なくとも1時間(例えば、1時間~24時間)または少なくとも1日間(例えば、1日間~21日間)または少なくとも1週間(例えば、1週間~12週間)、継続し得る。
【0067】
一部の局面において、その有効量の3,4-ジアミノピリジンは、その対象の体重1kg当たり1時間につき約0.1mg~その対象の体重1kg当たり1時間につき約5.0mg、例えば、1kg当たり1時間につき約0.5mg~1kg当たり1時間につき約4.5mg、1kg当たり1時間につき約1.0mg~1kg当たり1時間につき約4.0mg、1kg当たり1時間につき約1.5mg~1kg当たり1時間につき約3.5mg、または1kg当たり1時間につき約2.0mg~1kg当たり1時間につき約3.0mgの速度で、注入され得る。
【0068】
一部の局面において、その有効量の3,4-ジアミノピリジンは、その対象の体重1kg当たり1時間につき0.1mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約0.2mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約0.3mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約0.4mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約0.5mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約0.6mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約0.7mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約0.8mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約0.9mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約1.0mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約1.1mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約1.2mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約1.3mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約1.4mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約1.5mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約1.6mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約1.7mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約1.8mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約1.9mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約2.0mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約2.1mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約2.2mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約2.3mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約2.4mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約2.5mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約2.6mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約2.7mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約2.8mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約2.9mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約3.0mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約3.1mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約3.2mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約3.3mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約3.4mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約3.5mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約3.6mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約3.7mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約3.8mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約3.9mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約4.0mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約4.1mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約4.2mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約4.3mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約4.4mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約4.5mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約4.6mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約4.7mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約4.8mg、その対象の体重1kg当たり1時間につき約4.9mg、またはその対象の体重1kg当たり1時間につき約5.0mgの速度で、注入され得る。
【0069】
一部の局面において、その注入は、約1時間~約24時間、例えば、約2時間~約22時間、約4時間~約20時間、約6時間~約18時間、約8時間~約16時間、または約10時間~約14時間にわたって、行われ得る。
【0070】
一部の局面において、その注入は、約1時間にわたって、約2時間にわたって、約3時間にわたって、約4時間にわたって、約5時間にわたって、約6時間にわたって、約7時間にわたって、約8時間にわたって、約9時間にわたって、約10時間にわたって、約11時間にわたって、約12時間にわたって、約13時間にわたって、約14時間にわたって、約15時間にわたって、約16時間にわたって、約17時間にわたって、約18時間にわたって、約19時間にわたって、約20時間にわたって、約21時間にわたって、約22時間にわたって、約23時間にわたって、約24時間にわたって、行われ得る。
【0071】
一部の局面において、3,4-DAP(もしくはその薬学的に受容可能な塩)の注入は、1日よりも長い期間にわたって、例えば、約3日間~約21日間、約5日間~約19日間、約7日間~約17日間、約9日間~約15日間、または約11日間~約13日間にわたって、上記の速度のいずれかで行われ得る。
【0072】
一部の局面において、3,4-DAP(もしくはその薬学的に受容可能な塩)の注入は、約1日間にわたって、約2日間にわたって、約3日間にわたって、約4日間にわたって、約5日間にわたって、約6日間にわたって、約7日間にわたって、約8日間にわたって、約9日間にわたって、約10日間にわたって、約11日間にわたって、約12日間にわたって、約13日間にわたって、約14日間にわたって、約15日間にわたって、約16日間にわたって、約17日間にわたって、約18日間にわたって、約19日間にわたって、約20日間にわたって、または約21日間にわたって、上記の速度のいずれかで行われ得る。
【0073】
一部の局面において、3,4-DAP(もしくはその薬学的に受容可能な塩)の注入は、1週間よりも長い期間にわたって、例えば、約2週間~約12週間、約3週間~約11週間、約4週間~約10週間、約5週間~約9週間、または約6週間~約8週間にわたって、上記の速度のいずれかで行われ得る。
【0074】
一部の局面において、3,4-DAP(もしくはその薬学的に受容可能な塩)の注入は、約1週間にわたって、約2週間にわたって、約3週間にわたって、約4週間にわたって、約5週間にわたって、約6週間にわたって、約7週間にわたって、約8週間にわたって、約9週間にわたって、約10週間にわたって、約11週間にわたって、または約12週間にわたって、上記の速度のいずれかで行われ得る。
【0075】
一部の局面において、その有効量の3,4-ジアミノピリジンは、約1mg~約200mgの範囲(例えば、約5mg~約195mg、約10mg~約190mg、約15mg~約185mg、約20mg~約180mg、約25mg~約175mg、約30mg~約170mg、約35mg~約165mg、約45mg~約160mg、約50mg~約155mg、約55mg~約145mg、約60mg~約140mg、約65mg~約135mg、約70mg~約130mg、約75mg~約125mg、約80mg~約120mg、約85mg~約115mg、約90mg~約110mg、もしくは約95mg~約100mg)の総一日用量の3,4-ジアミノピリジン、または等価量のその薬学的に受容可能な塩で、提供され得る。
【0076】
一部の局面において、その有効量の3,4-ジアミノピリジンは、約1mg、約5mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、または約200mgの総一日用量で提供され得る。
【0077】
一部の局面において、その対象はヒト対象であり得る。
【0078】
一部の局面において、本明細書において記載されるとおり3,4-ジアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与することは、3,4-ジアミノピリジン定常状態血漿濃度約70ng/mL~約200ng/mL(例えば、約85ng/mL~約195ng/mL、約90ng/mL~約190ng/mL、約95ng/mL~約185ng/mL、約100ng/mL~約180ng/mL、約105ng/mL~約175ng/mL、約110ng/mL~約165ng/mL、約115ng/mL~約160ng/mL、約120ng/mL~約155ng/mL、約125ng/mL~約150ng/mL、または約130ng/mL~約145ng/mL)をその対象においてもたらし得る。
【0079】
一部の局面において、本明細書において記載されるとおり3,4-ジアミノピリジンを投与することは、3,4-ジアミノピリジン定常状態血漿濃度約70ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約85ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約105ng/mL、約110ng/mL、約115ng/mL、約120ng/mL、約125ng/mL、約130ng/mL、約135ng/mL、約140ng/mL、約145ng/mL、約150ng/mL、約155ng/mL、約160ng/mL、約165ng/mL、約170ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約185ng/mL、約190ng/mL、約195ng/mL、または約200ng/mLをもたらし得る。
【0080】
一部の局面において、その方法は、その総一日用量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を本明細書において記載される速度のいずれかで持続注入によって連続する複数日間投与する工程を含み得る。
【0081】
一部の局面において、そのボツリヌス症はボツリヌス神経毒素血清型Aによって引き起こされ得る。
【0082】
別の局面において、本開示は、ボツリヌス症の処置を必要とする対象においてボツリヌス症を処置する方法を提供し、この方法は、有効量の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を薬学的に受容可能なビヒクル中で複数の単回ボーラス注入によってその対象に投与する工程を含む。
【0083】
一部の局面において、その複数の単回ボーラス注入の各々は、その対象の体重1kg当たり約0.1mg~約5.0mg(例えば、約0.5mg/kg~約4.5mg/kg、約1.0mg/kg~約4.0mg/kg、約1.5mg/kg~約3.5mg/kg、もしくは約2.0mg/kg~約3.0mg/kg)の3,4-ジアミノピリジンまたは等価量のその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0084】
一部の局面において、その複数の単回ボーラス注入の各々は、その対象の体重1kg当たり約0.1mg、もしくはその対象の体重1kg当たり約0.2mg、その対象の体重1kg当たり約0.3mg、その対象の体重1kg当たり約0.4mg、その対象の体重1kg当たり約0.5mg、その対象の体重1kg当たり約0.6mg、その対象の体重1kg当たり約0.7mg、その対象の体重1kg当たり約0.8mg、その対象の体重1kg当たり約0.9mg、その対象の体重1kg当たり約1.0mg、その対象の体重1kg当たり約1.1mg、その対象の体重1kg当たり約1.2mg、その対象の体重1kg当たり約1.3mg、その対象の体重1kg当たり約1.4mg、その対象の体重1kg当たり約1.5mg、その対象の体重1kg当たり約1.6mg、その対象の体重1kg当たり約1.7mg、その対象の体重1kg当たり約1.8mg、その対象の体重1kg当たり約1.9mg、その対象の体重1kg当たり約2.0mg、その対象の体重1kg当たり約2.1mg、その対象の体重1kg当たり約2.2mg、その対象の体重1kg当たり約2.3mg、その対象の体重1kg当たり約2.4mg、その対象の体重1kg当たり約2.5mg、その対象の体重1kg当たり約2.6mg、その対象の体重1kg当たり約2.7mg、その対象の体重1kg当たり約2.8mg、その対象の体重1kg当たり約2.9mg、その対象の体重1kg当たり約3.0mg、その対象の体重1kg当たり約3.1mg、その対象の体重1kg当たり約3.2mg、その対象の体重1kg当たり約3.3mg、その対象の体重1kg当たり約3.4mg、その対象の体重1kg当たり約3.5mg、その対象の体重1kg当たり約3.6mg、その対象の体重1kg当たり約3.7mg、その対象の体重1kg当たり約3.8mg、その対象の体重1kg当たり約3.9mg、その対象の体重1kg当たり約4.0mg、その対象の体重1kg当たり約4.1mg、その対象の体重1kg当たり約4.2mg、その対象の体重1kg当たり約4.3mg、その対象の体重1kg当たり約4.4mg、その対象の体重1kg当たり約4.5mg、その対象の体重1kg当たり約4.6mg、その対象の体重1kg当たり約4.7mg、その対象の体重1kg当たり約4.8mg、その対象の体重1kg当たり約4.9mg、もしくはその対象の体重1kg当たり約5.0mgの3,4-ジアミノピリジン、または等価量のその薬学的に受容可能な塩を含み得る。
【0085】
別の局面において、本開示は、ボツリヌス症の処置を必要とする対象においてボツリヌス症を処置する方法を提供し、この方法は、有効量の3,4-ジアミノピリジンリン酸塩をその対象に経口投与する工程を含む。
【0086】
一部の局面において、その有効量の3,4-ジアミノピリジンリン酸塩は、約1mg~約200mgの3,4-ジアミノピリジン遊離塩基と等価な総一日用量(例えば、約5mg~約195mg、約10mg~約190mg、約15mg~約185mg、約20mg~約180mg、約25mg~約175mg、約30mg~約170mg、約35mg~約165mg、約45mg~約160mg、約50mg~約155mg、約55mg~約145mg、約60mg~約140mg、約65mg~約135mg、約70mg~約130mg、約75mg~約125mg、約80mg~約120mg、約85mg~約115mg、約90mg~約110mg、または約95mg~約100mgと等価な総一日用量)で提供され得る。
【0087】
一部の局面において、その有効量の3,4-ジアミノピリジンリン酸塩は、約1mg、約5mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、または約200mgと等価な総一日用量で提供され得る。
【0088】
一部の局面において、その総一日用量の3,4-ジアミノピリジンリン酸塩は、1日につき複数の単回用量で投与され得る。
【0089】
一部の局面において、本明細書において記載されるとおり3,4-ジアミノピリジンリン酸塩を投与することは、定常状態3,4-ジアミノピリジン血漿濃度約70ng/mL~約200ng/mL(例えば、約85ng/mL~約195ng/mL、約90ng/mL~約190ng/mL、約95ng/mL~約185ng/mL、約100ng/mL~約180ng/mL、約105ng/mL~約175ng/mL、約110ng/mL~約165ng/mL、約115ng/mL~約160ng/mL、約120ng/mL~約155ng/mL、約125ng/mL~約150ng/mL、または約130ng/mL~約145ng/mL)をその対象においてもたらし得る。
【0090】
一部の局面において、本明細書において記載されるとおり3,4-ジアミノピリジンリン酸塩を投与することは、3,4-ジアミノピリジン定常状態血漿濃度約70ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約85ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約105ng/mL、約110ng/mL、約115ng/mL、約120ng/mL、約125ng/mL、約130ng/mL、約135ng/mL、約140ng/mL、約145ng/mL、約150ng/mL、約155ng/mL、約160ng/mL、約165ng/mL、約170ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約185ng/mL、約190ng/mL、約195ng/mL、または約200ng/mLをもたらし得る。
【0091】
一部の局面において、その方法は、その総一日用量の3,4-ジアミノピリジンリン酸塩を複数日の各々中に投与する工程を含み得る。
【0092】
3,4-DAPの持続注入または3,4-ジアミノピリジンの反復投与は、ボツリヌス症に罹患している対象においてこの疾患の急性期の間に毒性徴候を減少し得、生存を維持し得たこと、それが、神経毒性の症状を引き起こすことなく数週間まで持続し得ることが、驚くべきことに発見された。例えば、実施例2に関して以下に記載される実験において、BoNTを致死的にチャレンジされたラット対象における毒性徴候は、14日間クールの3,4-ジアミノピリジンの持続注入後に消散した。有効な一日用量は、本明細書の他の箇所で議論されている。
【0093】
本方法における3,4-ジアミノピリジンおよびその塩の治療効力は、臨床医によって、例えば、任意の適切な評価を使用することによって、決定され得る。適切な評価としては、記録された横隔膜終板電位の分析、毒性徴候の目視観察および分析、応答可能なヒト対象のアンケート調査などが挙げられ得るが、それらに限定はされない。
【0094】
(薬学的製剤)
一部の局面において、本開示は、非経口投与のために適切な組成物を提供する。例えば、3,4-ジアミノピリジンが、注射による(例えば、ボーラス注入または持続注入による)非経口投与のために製剤化され得る。注射用製剤は、単位剤形で(例えば、アンプル中、または複数回用量容器中で)、追加の保存剤とともに提供され得る。その組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中の懸濁物、溶液、もしくは乳濁物などの形態を採り得、懸濁剤、安定化剤、および/または分散剤などの製剤化剤(formulatory agent)を含み得る。
【0095】
有効量の3,4-ジアミノピリジンが静脈内注射、皮膚注射、または皮下注射によって投与される場合、その組成物は、発熱物質を含まない非経口的に受容可能な水溶液の形態であり得る。pH、等張性、安定性などに相応の注意を払ったそのような非経口的に受容可能な溶液の調製は、当業者の範囲内にある。一部の局面において、静脈内注射、皮膚注射、または皮下注射のための組成物は、典型的には、等張性ビヒクルを含む。
【0096】
非経口投与のための薬学的組成物は、3,4-ジアミノピリジンの水溶液を含み得る。さらに、3,4-ジアミノピリジンの懸濁物は、適切な油性注射用懸濁物として調製され得る。適切な親油性溶媒または親油性ビヒクルとしては、脂肪油または合成脂肪酸エステルが挙げられる。水性注射用懸濁物は、その懸濁物の粘度を増加する物質を含み得る。必要に応じて、その懸濁物はまた、適切な安定化剤、または3,4-ジアミノピリジンの溶解度を増加して高濃縮溶液の調製を可能にする作用物質を含み得る。あるいは、組成物は、適切なビヒクル(例えば、発熱物質を含まない滅菌水)で使用前に構成するための粉末形態であり得る。
【0097】
3,4-ジアミノピリジンはまた、非経口的に(例えば、静脈内に、筋肉内に、皮下に、または冠動脈内に)注射され得る。非経口投与のために、3,4-ジアミノピリジン組成物は、溶液を血液と等張性にする他の物質(例えば、塩、またはマンニトールもしくはグルコースなどの単糖)を含み得る滅菌水溶液の形態で使用され得る。
【0098】
さらなる局面として、本開示は、1種もしくは複数種の化合物または組成物を、本明細書において記載されるボツリヌス症を処置する方法を実施するためにそれらの使用を容易にする様式で包装した状態で含む、キットを含み得る。一局面において、そのキットは、方法の実施のために有用であると本明細書において記載される化合物または組成物(例えば、3,4-ジアミノピリジを含む組成物)を、容器(例えば、密封された瓶または容器)に包装された状態で含み得、本開示の方法を実施するためのその化合物または組成物の使用を記載する表示がその容器に添付されているかもしくはそのキットに含まれている。特定の局面において、その化合物または組成物は、単位剤形に包装され得る。そのキットは、意図される投与経路にしたがってその組成物を投与するために適切なデバイス(例えば、シリンジまたは点滴バッグ)をさらに含み得る。別の局面において、3,4-ジアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、凍結乾燥物であり得る。この場合、そのキットは、その凍結乾燥物の再構成のために有用な溶液を含む追加の容器をさらに含み得る。
【0099】
一部の局面において、その有効量の3,4-ジアミノピリジンまたはその薬学的に受容可能な塩は、経口投与のために適切な薬学的製剤(例えば、商標名Firdapse(登録商標)としてCatalyst Pharmaceuticals,Inc.により販売されているそのリン酸塩の錠剤製剤)で提供および/または投与され得る。
【0100】
一部の局面において、その経口製剤は、固体経口製剤、半固体経口製剤、および液体経口製剤からなる群より選択され得る。一部の局面において、その固体経口製剤は、錠剤、丸剤、糖衣剤、散剤、顆粒剤、またはカプセル剤であり得る。適切な液体製剤としては、例えば、水性懸濁剤、液剤、エリキシル剤、およびシロップ剤が挙げられる。適切な半固体製剤としては、例えば、経口ゲルが挙げられる。
【0101】
経口投与される薬学的製剤は、当該分野において公知の従来の賦形剤を含み得、従来の方法によって調製され得る。本開示の経口投与される薬学的製剤は、1種または複数種の薬学的に受容可能な賦形剤を含み得る。適切な賦形剤としては、充填剤(例えば、糖類、例えば、ラクトースもしくはスクロース)、マンニトール、サッカリンナトリウムもしくはソルビトール、炭酸マグネシウム、セルロース調製物および/またはリン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウムもしくはリン酸水素カルシウム))ならびに結合剤(デンプンペースト(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、イネデンプン、ジャガイモデンプンを使用する)、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドンなど)が挙げられる。望ましい場合は、崩壊剤(例えば、上記のデンプンおよびカルボキシメチルデンプン、架橋型ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)およびデンプングリコール酸ナトリウム)が、添加され得る。適切な賦形剤としては、薬学的に口当たりの良い調製物を提供するための、流動調整剤(flow-regulating agent)ならびに滑沢剤(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム)、および/またはポリエチレングリコール);甘味料(例えば、フルクトース、アスパルテームまたはサッカリン);矯味矯臭剤(flavoring agent)(例えば、ペパーミント、ウィンターグリーンオイル、またはサクランボ);着色料;ならびに保存剤もまた、挙げられる。さらに、染料または顔料が、例えば、識別のため、または活性化合物用量の組合せを特徴付けるために、錠剤または糖衣剤コーティングに添加され得る。適切な薬学的賦形剤の他の例は、参照によって本明細書に援用されるRemington’s Pharmaceutical Sciences、pp.1447~1676(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995)に記載されている。一局面において、その賦形剤は医薬グレードの賦形剤である。
【0102】
一部の局面において、3,4-ジアミノピリジンまたはその塩は、その経口製剤を調製する前に微粒子化され得る。当該分野において公知の方法が、3,4-ジアミノピリジンまたはその塩の微粒子化のために使用され得る。例えば、粒径を減少するために摩擦をベースとする伝統的な微粒子化技術(例えば、製粉(milling)、バッシング(bashing)および粉砕)が、使用され得る。代表的な産業用製粉機(mill)は、鋼鉄製の球を通常は含む円筒状金属ドラムから構成されている。そのドラムが回転すると、その内側の球が固体粒子と衝突し、それによりその固体粒子を破砕してより小さい直径にする。粉砕の場合は、その固体の粒子がそれらの間に捕捉されている間にデバイスの粉砕ユニットが互いに当たって擦れる際に、固体粒子が形成される。破砕および切断などの方法もまた、粒子直径を減少するために使用され得る。破砕は、ハンマー様の道具を使用して、衝撃によって固体を破壊してより小さい粒子にする。切断は、鋭利な刃を使用して、粗い固体片を切断してより小さい固体片にする。さらに、微粒子化プロセスにおいて超臨界流体を使用する現代的微粒子化方法が、使用され得る。これらの方法は、超臨界流体を使用して過飽和状態を誘導し、この過飽和状態は、個々の粒子の沈殿をもたらす。適切な技術としては、RESS(超臨界溶液急速膨張(Rapid Expansion of Supercritical Solution))プロセス、SAS(超臨界貧溶媒化(Supercritical Anti-Solvent))法およびPGSS(ガス飽和溶液懸濁(Particle from Gas Saturated Solution))法が挙げられる。これらの現代的技術は、そのプロセスのより高い調整可能性を可能にする。相対圧力および相対温度、溶質濃度、ならびに貧溶媒対溶媒比などのパラメータは、望ましい粒径を得るために調節するために変更され得る。その超臨界流体法は、粒子直径、粒径の分布および形態の一貫性に対するより精密な制御をもたらす。
【0103】
一部の局面において、本開示の経口製剤における使用のために適切な微粒子化された3,4-ジアミノピリジンまたはその塩は、その粒子の90%以上が20ミクロン以下(すなわち、≦20μm)の粒径を有する、組成物であり得る。一部の局面において、本開示の経口薬学的製剤は、微粒子化された3,4-ジアミノピリジンリン酸塩を含む。一部の局面において、その微粒子化された3,4-ジアミノピリジンリン酸塩中の粒子の90%以上は、20ミクロン以下の粒径を有する。
【実施例
【0104】
(実施例)
本明細書において記載されている処置の方法は、以下の実施例に関連してここにさらに詳述される。これらの実施例は例示のみを目的として提供され、本明細書において記載されている局面は、これらの実施例に限定されるとは決して解釈されるべきではない。むしろ、それらの局面は、本明細書において提供されている教示の結果として明らかになるありとあらゆる変化形を含むと解釈されるべきである。
【0105】
(実施例1)
(3,4-DAPの連続的投与は、BoNT/Aによる致死的チャレンジ後の生存を延長する)
3,4-DAPがラットにおいてボツリヌス毒性を逆転することを確認するために、3,4-DAPの反復投与の効果を、110U/kgのBoNT/A(2.5LD50;図1Aを参照のこと)の静脈内投与によって致死的にチャレンジしたラットにおいて、まず評価した。
【0106】
図1は、ラットにおける2.5LD50でのBoNT/A効力決定および疾患進行を一般的に示す。図1Aは、ラット静脈内LD50の決定を示す。ラットに尾静脈注射によって22U/kg~69U/kgのBoNT/Aを投与し、24時間間隔で7日目まで生存についてモニターした。生存ラットは7日目に元気で、機敏で、敏感に反応し、ボツリヌス症の毒性徴候が減少した。そのLD50は、単純線形回帰を使用して生存転帰から算出した。図1Bは、110U/kg(2.5LD50)のBoNT/Aでチャレンジしたラット(n=12)における毒性徴候の進行を示す。図1Cは、図1Bに由来するラットの生存曲線を示す。統計的比較に関する詳細は図7A図7B(表3)に示されている。
【0107】
その処置開始時間は、毒性効力研究における毒性徴候出現(図1B)および死亡までの時間(図1C)に基づいた一方で、その処置間隔は、(図2において示されるとおりに決定した)2mg/kgの3,4-DAPで処置したナイーブラットにおいて観察された呼吸効果の持続期間から推定した。ナイーブラットにおいて、≦8mg/kgの3,4-DAPの単回用量または2mg/kgの3,4-DAPの15回の継続的注射は、急性神経毒性の生理的指標を誘発せず(以下の表1の「ボーラス注入」の欄を参照のこと)、これは、この処置レジメンが十分に許容されたことを示唆した。
【表1】
【0108】
図2は、ナイーブラットにおける3,4-DAP薬力学パラメータを一般的に示す。横隔膜電極を移植し代謝ケージ飼育に維持したラットに、ビヒクル生理食塩水または2mg/kgの3,4-DAPを皮下注射によって投与した(1群当たりn=4)。図2Aは、この実験ストラテジーの概要を示す。図2B図2Dは、3,4-DAP処置(傾向線「a」)がVO2(図2B)、呼吸数(図2C)および一回換気量(図2D)の一過性増加を誘発することを示す。二元配置反復測定ANOVAを使用し、その後、Sidak多重比較検定を行って、平均値を各時点でビヒクル(傾向線「b」)と比較した。図2Bについて、サンプルを5分のビンごとで収集した一方、図2Cおよび図2Dについて、値は30分間隔で収集した。****=p<0.0001;***=p<0.001;**=p<0.01;および=p<0.05。統計的比較に関する詳細は図7A図7B(表3)にある。
【0109】
図3は、3,4-DAPの反復投与がボツリヌス症の臨床徴候を逆転させ、生存を延長することを、一般的に示す。ラットを、中毒の32時間後から開始して90分間隔で15回の継続的注射によって、2mg/kgの3,4-DAPまたは生理食塩水ビヒクルで処置した(各々n=6;図3A)。以前の研究において、2mg/kgの3,4-DAPは、BoNT/Aで中毒にしたマウスにおいて呼吸および骨格筋の低下を逆転させた。3,4-DAP薬物動態特性はラットとマウスとの間で同様であり、このことは、2mg/kgの3,4-DAPがラットにおいて急性ボツリヌス症を逆転することにおいても有効であることを示唆する。
【0110】
図3Bは、ビヒクル処置ラット(傾向線「a」)および3,4-DAP処置ラット(傾向線「b」)についての経時的な毒性徴候のメジアン±四分位数間比(IQR)(各時点における二元配置反復測定ANOVAおよびSidak多重比較検定)を示す。処置開始時に、中毒にされたラットは、全身性ボツリヌス症の徴候(奇異呼吸、嚥下障害および四肢筋力低下が挙げられる)を示した。ビヒクルと比較して、3,4-DAPは30分以内に毒性徴候を減少し、処置期間を通して対症的利点を維持した。
【0111】
図3Cは、ビヒクル処置ラット(傾向線「a」)および3,4-DAP処置ラット(傾向線「b」)の生存曲線(Mantel-Coxログランク検定)を示す。パネルBおよびパネルC中の灰色の四角は、処置期間を示す。統計的比較に関する詳細は図7A図7B(表3)にある。3,4-DAPは、最終注射時点で生存率を0%(ビヒクル)から100%(3,4-DAP;p=0.002)へと有意に増加した。毒性徴候は3,4-DAP処置停止の約1.5時間後に悪化し、最終注射の2時間~4時間後にラットは死亡した。まとめると、図3Bおよび図3Cに示されるデータは、ボツリヌス症末期のラットにおける毒性徴候および生存に対する3,4-DAPの反復ボーラス注入の一過性だが強固な効果を示す。
【0112】
(実施例2)
(3,4-DAPの持続注入は毒性徴候を逆転し生存を可能にした)
(概要):3,4-DAPを、BoNT血清型Aで致死的にチャレンジしたラットに13日間持続注入した。臨床的に適切な用量の3,4-DAPは、毒性徴候を安定化し、処置中止後に有害作用も毒性の再出現も伴わずに生存を可能にした。注入したラットから得た横隔膜終板記録は、5日目における顕著な神経筋抑制と、これが21日目に生存ラットにおいて部分的に逆転されたことを明らかにし、解毒有効性のための機能的な機構を提供した。これらのデータは、臨床的ボツリヌス症の処置における3,4-DAPの強力な橋渡し的可能性(translationl potential)を示す。
【0113】
図4は、注入用量が3,4-DAP定常状態濃度に直線的に関係することを一般的に示す。3,4-DAPの治療的利点がより長期間にわたって維持され得るか否かを決定するために、致死的に中毒にしたラットに皮下カテーテルを通じて3,4-DAPを持続注入した。まず、3,4-DAP注入用量と血清濃度との間の定常状態の関係を、0mg/kg・h、0.36mg/kg・h、0.72mg/kg・hまたは1.44mg/kg・hの3,4-DAPを24時間注入した後の3,4-DAP血清レベルを測定することによって、確立した(図4A;用量につきn=7ラット)。注入用量速度(IDR)とCSSとの間の関係を、線形回帰によって決定した。CSSは注入用量に直線的に関係しており、このことは、1.44mg/kg・hの3,4-DAPまで飽和効果が存在しなかったことを示した(図4B;最良適合(best-fit)式がグラフの上に示されている)。神経毒性の行動徴候は、どの用量でも注入中に観察されなかった(上記表1の「注入」の欄を参照のこと)。統計的比較に関する詳細は図7A図7B(表3)にある。
【0114】
図5は、3,4-DAPの持続注入が、致死的に中毒にされたラットにおいて対症的効果および解毒効果の両方を有することを一般的に示す。有効性研究のために、ラットを2.5LD50のBoNT/Aで致死的に中毒にし、無作為に処置群またはビヒクル群へ分けた。毒性徴候、体重、および生存を、24時間間隔でモニターした。灰色の四角は注入期間を示す。
【0115】
図5Aは、実験ストラテジーの概要を示す。カテーテル処置したラットを、110U/kgのBoNT/Aの静脈内注射によって中毒にした。中毒の24時間~27時間後に開始して、持続注入を生理食塩水ビヒクル(n=14)で開始し、または0.54mg/kg・hの3,4-DAP(標的CSS=70ng/mL;n=8)、0.98mg/kg・hの3,4-DAP(標的CSS=126ng/mL;n=10)もしくは1.44mg/kg・hの3,4-DAP(標的CSS=186ng/mL;n=8)を中毒の27時間後に開始した。これらの注入用量は、経口投与によって生じる臨床範囲内にある3,4-DAP血液レベルを生じることを意図した。
【0116】
図5Bは、注入開始時の毒性徴候(p=0.36;Kruskal-Wallis検定)を示し、データはメジアン±IQRとして示される。注入開始時に、92.3%(36/39)のラットは累積毒性徴候スコア≧1を示し、群の間で毒性徴候の差は存在しなかった。
【0117】
図5Cは、各処置群の生存曲線(Mantel-Coxログランク検定;全体的p<0.0001)を示す。傾向線「a」は生理食塩水ビヒクル群に対応する。傾向線「b」は0.54mg/kg・hの3,4-DAPを投与された群に対応する。傾向線「c」は0.98mg/kg・hの3,4-DAPを投与された群に対応する。傾向線「d」は1.44mg/kg・hの3,4-DAPを投与された群に対応する。これらの指定は、パネルC~パネルEを通して一貫している。有意性指標は、生理食塩水ビヒクル群に対して行ったペアワイズ比較を示す。ビヒクル注入ラットのメジアン生存時間は2.5日(範囲:2.0日~4.5日)であった。すべての処置条件のうち、3,4-DAPの注入が、ビヒクルと比較して生存比率(p<0.0001)およびメジアン生存時間(p<0.0001)を改善した。ペアワイズ分析は、生存に対する3,4-DAP注入速度の明らかな用量依存的効果を明らかにした。0.54mg/kg・hの3,4-DAPによる処置はメジアン生存時間をビヒクルと比較してほぼ2倍にした(4.7日;p=0.015)が、わずか12.5%のラットしか21日目まで生存しなかった(1/8;ビヒクルと比較してp=0.36)。0.98mg/kg・hまたは1.44mg/kg・hの3,4-DAPの注入は、それぞれ、90%の生存(ビヒクルと比較してp<0.0001)および100%の生存(ビヒクルと比較してp<0.0001)を生じた。少なくとも約120ng/mLの標的CSSについて、ヒト等価総一日用量は約1mg/日~約200mg/日であり得る。持続注入されたラットの転帰の概要は、以下の表2に示されている。
【表2】
【0118】
図5Dは、各群についての経時的なメジアン毒性徴候(二元配置ANOVAおよびTukey;全体的p<0.0001)を示す。有意性指標は、ビヒクルに対して行ったペアワイズ比較を示す。毒性徴候は、生存ラットにおいて2日目までに中程度の奇異呼吸、四肢筋力低下および流涎として安定化し、14日目までに消散し、その時点で注入を停止した。毒性徴候は、0.98mg/kg・hまたは1.44mg/kg・hの3,4-DAPの注入によってビヒクルと比較して改善し(p<0.0001)、このことは、持続注入が対症的利点を維持したことを示した。
【0119】
図5Eは、0.98mg/kg・h処置群および1.44mg/kg・h処置群における生存ラットについての正規化した体重の平均±SD(二元配置ANOVA;p=0.54)を示す。注入停止後に、生存ラットは活発で機敏で敏感に反応する状態のままであり、21日目まで症状のリバウンドはなく(図5D)、体重が徐々に回復した(図5E)。ビデオ記録は、3,4-DAP注入ラットが2.5LD50のBoNT/Aによるチャレンジの21日後に活発であったことを示した。ビデオ記録をBoNT/A中毒後21日目に収集し、それらのビデオ記録はラットの活動を表した。生存ラットは、高レベルの活動(毛づくろい、探索行動および食料消費が挙げられる)を示した。
【0120】
図5Fは、1.44mg/kg・hの3,4-DAPを1日目から5日目まで注入したラット(n=3)における毒性徴候のメジアン±IQRを示す。処置を5日目に中止し、毒性徴候を6時間間隔でモニターした。****=p<0.0001、=p<0.05。統計的比較に関する詳細は図7A図7B(表3)にある。解毒効果が3,4-DAPの持続注入を必要としたか否かを決定するために、BoNT/Aで中毒にしたラット(n=3)に1.44mg/kg・hの3,4-DAPを1日目から5日目まで注入し、その後、生理食塩水ビヒクルに切り替えた。(1)100%のビヒクル注入ラットが5日目までに死亡した(これは、生存のために十分なレベルを下回る呼吸機能の低下を示した)、および(2)毒性徴候が3,4-DAP注入生存ラットにおいて3日目と5日目との間で最大に到達した(これは、麻痺が重症度のピークに到達したことを示唆した)という理由で、この5日目の時点を選んだ。3,4-DAP注入の停止後、毒性徴候は3時間~6時間以内に悪化し、すべてのラットが12時間以内に死亡した。5日目を過ぎて3,4-DAPによる持続処置を行う必要性があることは、解毒の有効性が、維持された対症的利点から生じたことを示唆した。
【0121】
致死的BoNT/Aチャレンジの生存ラットは、5日目から21日目まで神経生理学的機能の顕著な回復を示した。
図6は、3,4-DAPを注入した中毒ラットにおける横隔膜終板電位の時間依存的回復を一般的に示す。3,4-DAP処置ラットにおける呼吸機能の回復に寄与する機構を同定するために、誘発終板電位(EPP)および自発性微小終板電位(mEPP)を横隔膜筋線維から記録し、ナイーブラット、BoNT/Aチャレンジの21日後(3,4-DAP注入中止の7日後)に安楽死させた生存ラット、およびBoNT/Aチャレンジの5日後(1.44mg/kg・hの3,4-DAPの注入開始の4日後;図3A)に安楽死させたラットの間で比較した。0.2Hzの10連発のインパルスによる横隔神経刺激は、ナイーブラットにおいて100%の成功率でEPPを生じた(図3A)。
【0122】
図6B図6Eは、(B)EPP振幅、(C)mEPP周波数、(D)QCおよび(E)mEPP振幅についての平均±SEMの散布ドットプロットを示す。B~Eについて、二元配置ANOVAとその後のTukey多重比較検定を使用して、平均を比較した。****=p<0.0001。統計的比較に関する詳細は図7A図7B(表3)にある。BoNT/A処理後に、平均EPP成功率は5日目に60.5±5.3%へと減少し(ナイーブと比較してp<0.0001)、21日目に75.4±3.5%(0.98mg/kg・h;5日目と比較してp<0.0001)および79.7±2.5%(1.44mg/kg・h;5日目と比較してp<0.0001)へと回復した。同様に、平均EPP振幅(図3B)、微小EPP(mEPP)周波数(図3C)および素量数(quantal content)(QC;図3D)(これは、各神経刺激中に融合する小胞の数を推定する)は、5日目に顕著に抑制され、21日目は部分的に回復した。対照的に、mEPP振幅は中毒後に変化せず、これは、BoNTはmEPP周波数を減少するが素量サイズ(quantal size)は減少しない(図6E)という知見と一致した。0.98mg/kg・h処置群と1.44mg/kg・h処置群とはEPP振幅(p>0.99)においても、mEPP周波数(p>0.99)においても、QC(p>0.99)においても何も差を示さず、このことは、1日目から14日目までの3,4-DAPの注入が21日目における神経伝達の回復に対して用量依存的効果を有しなかったことを示した。すなわち、3,4-DAP注入は、横隔神経伝達が顕著に抑制された時期に生存を維持した。
【0123】
(考察)
本明細書において記載される実施例は、1日目から14日目までの3,4-DAPの持続注入が、2.5LD50のBoNT/Aでチャレンジしたラットにおいて用量依存的な対症的有効性および解毒有効性を有することを示す。ラットは、横隔膜運動終板において残存する障害の神経生理学的証拠にも関わらず、処置中止後に無症状のままであった。まとめると、これらのデータは、ヒト等価用量の3,4-DAPの注入が、ボツリヌスへの致死的曝露からの生存を可能にし得る対症的利点を維持したことを示す。
【0124】
ボツリヌス毒血症の処置における3,4-DAPの薬力学効果を延長するための持続注入システムの開発中に、3,4-DAP注入速度が、高用量の神経学的影響および用量間の症状の突発(breakthrough)を回避しながら、対症的利点を最大化するように調整され得ることが、決定された。注入期間を通じて機能的毒性または有効性喪失の証拠は何も存在せず、これは、13日間の持続注入が十分に許容され得ることを示唆した。その延長として、ボツリヌス症を処置することにおける3,4-DAPの持続された有効性は、持続注入がLEMS患者の処置においても有効であり得ることを示唆する。
【0125】
5日目の終板記録において観察された神経伝達の顕著な減少と比較して、ナイーブラットと比較すると依然として抑制されたが、21日目の生存ラットから単離された横隔膜において神経伝達が顕著に改善された。これらのデータは、(1)コリン作動性神経伝達に対する≧0.98mg/kg・hの3,4-DAPの対症的利点が、それ以外の方法では致死的な時点で生存を維持するために十分であること、および(2)シナプス機能が、3,4-DAP中止後に生存を支持するために14日目までに十分に回復されることを、示す。それにも関わらず、これらのデータは、BoNT/Aによる致死的チャレンジ後の生存ラットにおいて、5日目における神経伝達の顕著な急性抑制および21日目における顕著な回復を明らかに示す。
【0126】
症候性食餌性ボツリヌス症の症例は、典型的には、メジアンが1.5週間~2週間の期間、人工呼吸を必要とする。症状出現後の抗毒素投与の主要な臨床的利点は疾患の持続期間の減少であり、これは、抗毒素が細胞内毒素負荷を減少し、したがって中毒の重症度を減少することを、示唆する。3,4-DAPの有効性は中毒の重症度とは逆に関係するので、3,4-DAPによる対症療法は、抗毒素で処置された患者においてボツリヌス症の症状を逆転することにおいてより有効であると期待され得る。3,4-DAPは抗毒素に対して直交性に作用し、有害な薬物相互作用のリスクは低い。抗毒素と3,4-DAPとを用いる集学的治療は、ボツリヌス症からの回復を加速すること、生命を脅かす院内感染疾患のリスクを減少すること、処置コストを減少すること、および限られた資源を他の重篤な患者のために解放することによって、いずれか一方の薬物による単独治療を上回るいくつかの利点を提供し得る。BoNT軽鎖を除去または不活化する細胞内解毒剤と組み合わせると、この集学的治療は、ボツリヌス症についての包括的処置ストラテジーであり得る。さらに、ボツリヌス症患者の大多数は、退院後に神経障害および筋力低下を示し続ける。持続性症状の原因である病態生理は未知のままであるが、それらの病態生理は、(図3によって示唆されるとおり)抑制された神経伝達に関連があり得、3,4-DAP処置に対して同様に感受性であり得る。
【0127】
神経伝達に対するBoNTの毒性機構を理解するための以前の努力は、単離された横隔膜筋調製物の超生理学的中毒または骨格筋への麻痺性用量の局所投与のいずれかに依存してきたが、これらはいずれも、致死的全身チャレンジの毒物動態を再現しない。これは、致死的全身ボツリヌスチャレンジに反応した神経伝達変化が、回復中の生理学的測定基準と機能的に相関した、最初の動物モデルであった。
【0128】
ボツリヌス症の症例は通常は5LD50未満に関わるが、稀な症例では、曝露が100LD50を超え得る。特定の理論によって縛られることは望まないが、3,4-DAPは、より重篤に麻痺した筋肉においてはより低い有効性であり得ると考えられ、これは、3,4-DAPはより高いBoNT用量に関わる症例においては減少した有効性を有し得ることを示唆する。しかし、そのような減少した有効性は、神経筋接合部修復が進行するにつれて少なくとも部分的に好転され得、それにより総回復時間を減少させ得る。
【0129】
まとめると、3,4-DAPの持続注入は、致死量のBoNT/Aでチャレンジしたラットにおいて対症的効果および解毒効果の両方を有した。治療的利点は、標準的な臨床投与により生じた3,4-DAP曝露レベルで出現した。生存には5日を超える3,4-DAP持続注入が必要であり、これは、持続された対症的効果から解毒転帰が出現したことを示唆した。これらのデータは、ヒト疾患と最も一般的に関連がある血清型によって引き起こされる臨床的ボツリヌス症の処置としての3,4-DAPの強力な橋渡し的可能性を示す。
【0130】
今では本開示を十分に記載したので、本開示は、本発明の範囲にもそのどの局面にも影響を与えずに、広範囲で同等の範囲の条件、製剤、およびパラメータ内で実施され得ることが、当業者によって理解される。
【0131】
本開示の他の局面は、本明細書を考慮することおよび本明細書において開示される発明を実施することから当業者に明らかになる。本明細書は例示に過ぎないと考えられ、本発明の真の範囲および趣旨は添付の特許請求の範囲によって示されることが、意図される。
【0132】
本明細書において引用されたすべての特許、特許出願および公開物は、本明細書における参照によってその全体が完全に援用される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】