(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ゼリーロール型電極組立体、およびこれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0587 20100101AFI20240910BHJP
H01M 50/463 20210101ALI20240910BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240910BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20240910BHJP
【FI】
H01M10/0587
H01M50/463 B
H01M10/052
H01M50/107
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508956
(86)(22)【出願日】2023-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 KR2023010624
(87)【国際公開番号】W WO2024019598
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0090108
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、セヨウン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ、ジェオンフン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H021
5H029
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011KK01
5H021CC17
5H021CC19
5H021HH03
5H021HH04
5H029AJ11
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL11
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029DJ04
5H029HJ04
5H029HJ07
(57)【要約】
本発明は、ゼリーロール型電極組立体、およびこれを含む二次電池に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、第1セパレータ、第2電極、および第2セパレータが順次積層されて巻取されたゼリーロール型電極組立体であって、
第1電極、第1セパレータ、第2電極、および第2セパレータは、それぞれ長さ方向に沿って巻取りが始まる第1端部、および巻取りが終わる第2端部を含み、
前記第1セパレータまたは第2セパレータの第2端部は、前記第2電極の第2端部よりも長く延伸し、前記第2電極の第2端部側に折曲またはローリングされた段差緩和部を含む、ゼリーロール型電極組立体。
【請求項2】
前記段差緩和部は、前記第1セパレータまたは第2セパレータの第2端部が、前記第2電極の第2端部側に3回以上16回以下に折曲またはローリングされた、請求項1に記載のゼリーロール型電極組立体。
【請求項3】
前記ゼリーロール型電極組立体は、前記第1電極が前記第2電極の第2端部を覆っている領域に形成される空の空間である段差部を含み、
前記段差緩和部は、前記段差部内に備えられる、請求項1に記載のゼリーロール型電極組立体。
【請求項4】
前記段差部は、前記段差緩和部の厚さによって形成された第1段差;および
前記第2電極の厚さと前記段差緩和部の厚さとの差によって形成される第2段差;
を含む、請求項3に記載のゼリーロール型電極組立体。
【請求項5】
前記第1段差は、前記第2電極の第2端部厚さの20%以上95%以下である、請求項4に記載のゼリーロール型電極組立体。
【請求項6】
前記段差緩和部の体積は、前記段差部の体積の5%以上95%以下である、請求項3に記載のゼリーロール型電極組立体。
【請求項7】
前記段差緩和部の厚さは、20μm以上150μm以下である、請求項1に記載のゼリーロール型電極組立体。
【請求項8】
前記段差緩和部の長さ方向長さは、8mm以上30mm以下である、請求項1に記載のゼリーロール型電極組立体。
【請求項9】
前記第1電極の第2端部は、前記第2電極の第2端部よりも長く延伸されて、前記ゼリーロール型電極組立体の外郭にさらに巻き取られる、請求項1に記載のゼリーロール型電極組立体。
【請求項10】
前記第1電極は負極であり、前記第2電極は正極である、請求項1に記載のゼリーロール型電極組立体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のゼリーロール型電極組立体;および
前記ゼリーロール型電極組立体を収容するための電池ケース;
を含む、二次電池。
【請求項12】
前記電池ケースは、円筒状である、請求項11に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼリーロール型電極組立体、およびこれを含む二次電池に関し、より具体的には、外周タブ構造のゼリーロール型電極組立体、およびこれを含む円筒状二次電池に関する。本出願は、2022年7月21日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0090108号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
円筒状電池の場合、幅が決まっている長い電極をロール状に巻いてゼリーロール(Jelly Roll)型の電極組立体を製造する。このようなゼリーロール型電極組立体を電池ケースに挿入して製造される円筒状電池は、充放電の時、電極の収縮/膨脹を繰り返すようになり、ゼリーロールの構造によって段差による応力が形成される。
【0003】
特に、負極最外郭構造のゼリーロール型電極組立体の場合、最外郭の負極が正極の末端を覆っており、正極フリーエッジ(free edge)の隣の空間が正極の厚さにより空いている。このとき、正極厚さによる段差は負極に応力を形成するようになり、このような応力は、充放電時に正極と対向する面の反対面に集中されて負極外郭クラックを誘発する。
【0004】
このような負極外郭クラックの発生を防止するために、当該領域において負極応力の集中を改善することができる技術の開発が必要な実状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ゼリーロール型電極組立体の設計を変更したゼリーロール型電極組立体、およびこれを含む二次電池を提供することを目的とする。
【0006】
ただ、本発明が解決しようとする課題は、前記言及した課題に制限されず、言及されなかったまた他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得るはずである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様は、第1電極、第1セパレータ、第2電極、および第2セパレータが順次積層されて巻取されたゼリーロール型電極組立体であって、第1電極、第1セパレータ、第2電極、および第2セパレータは、それぞれ長さ方向に沿って巻取りが始まる第1端部、および巻取りが終わる第2端部を含み、前記第1セパレータまたは第2セパレータの第2端部は、前記第2電極の第2端部よりも長く延伸され、前記第2電極の第2端部側に折曲またはローリングされた段差緩和部を含む、ゼリーロール型電極組立体を提供する。
【0008】
本発明の他の実施態様は、前記ゼリーロール型電極組立体;および前記電極組立体を収容するための電池ケース;を含む、二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体、およびこれを含む二次電池は、正極厚さによる段差を緩和することにより、最外郭負極に集中される応力の集中を改善して、電極組立体のクラックおよび変形を防止することができる。
【0010】
また、本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体、およびこれを含む二次電池は、ゼリーロール型電極組立体の設計を変更した段差緩和部を利用するので、経済的でありながらも、当該領域においてリチウム析出のような局所的な問題発生を防止することができる。
【0011】
本発明の効果は、前述した効果に限定されず、言及されなかった効果は、本願明細書および添付された図面から当業者に明確に理解され得るはずである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施態様による第1セパレータがローリングされた段差緩和部を含むゼリーロール型電極組立体を示した図である。
【
図2】本発明の一実施態様による第2セパレータがローリングされた段差緩和部を含むゼリーロール型電極組立体を示した図である。
【
図3】本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体を具現したイメージである。
【
図4】本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体の段差部を模式的に示した図である。
【
図5】本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体の積層構造を模式的に示した図である。
【
図6】実施例1による二次電池のクラック改善評価結果を示したSEMイメージである。
【
図7】実施例2による二次電池のクラック改善評価結果を示したSEMイメージである。
【
図8】比較例1による二次電池のクラック改善評価結果を示したSEMイメージである。
【
図9】実施例1による二次電池のクラック改善評価結果を示したシミュレーションイメージである。
【
図10】実施例2による二次電池のクラック改善評価結果を示したシミュレーションイメージである。
【
図11】比較例1による二次電池のクラック改善評価結果を示したシミュレーションイメージである。
【符号の説明】
【0013】
1000 ・・・ゼリーロール型電極組立体
100、100' ・・・第1電極
101 ・・・第1電極集電体
102、103 ・・・第1電極活物質層
110 ・・・第1電極の第1端部
120 ・・・第1電極の第2端部
20 ・・・第1セパレータ
21 ・・・第1セパレータの第1端部
22 ・・・第1セパレータの第2端部
300 ・・・第2電極
301 ・・・第2電極集電体
302、303 ・・・第2電極活物質層
310 ・・・第2電極の第1端部
320 ・・・第2電極の第2端部
40 ・・・第2セパレータ
41 ・・・第2セパレータの第1端部
42 ・・・第2セパレータの第2端部
50 ・・・段差緩和部
60 ・・・段差部
70 ・・・断線防止テープ
H1 ・・・第1段差
H2 ・・・第2段差
T1、T1' ・・・段差緩和部の厚さ
T2 ・・・第2電極の第2端部厚さ
L1 ・・・段差緩和部の巻取軸方向長さ
L2 ・・・段差緩和部の長さ方向長さ
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0015】
本願明細書全体において、ある部材が他の部材「上に」位置しているという場合、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、2つの部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0016】
以下、図面を参照して本発明について詳しく説明する。しかしながら、図面は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲が図面によって限定されるものではない。
【0017】
本発明の一実施態様は、第1電極、第1セパレータ、第2電極、および第2セパレータが順次積層されて巻取されたゼリーロール型電極組立体であって、第1電極、第1セパレータ、第2電極、および第2セパレータは、それぞれ長さ方向に沿って巻取りが始まる第1端部、および巻取りが終わる第2端部を含み、前記第1セパレータまたは第2セパレータの第2端部は、前記第2電極の第2端部よりも長く延伸され、前記第2電極の第2端部側に折曲またはローリングされた段差緩和部を含む、ゼリーロール型電極組立体を提供する。本発明に係るゼリーロール型電極組立体は、前記段差緩和部の厚さによって所定段差を形成して、前記第2電極の第2端部厚さによって形成される段差を緩和することができ、第1電極の第2端部に対向する面の反対面に集中される応力集中を改善して、電極組立体の外郭に発生するクラックおよび変形を防止することができる。
【0018】
図1は、本発明の一実施態様による第1セパレータがローリングされた段差緩和部を含むゼリーロール型電極組立体を示し、
図2は、本発明の一実施態様による第2セパレータがローリングされた段差緩和部を含むゼリーロール型電極組立体を示す。
【0019】
図1を参照すると、本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体は、第1電極100、第1セパレータ20、第2電極300、および第2セパレータ40は、それぞれ長さ方向に沿って巻取りが始まる第1端部、および巻取りが終わる第2端部を含み、前記第1セパレータ20の第2端部22は、前記第2電極300の第2端部よりも長く延伸され、前記第2電極300の第2端部320側に折曲またはローリングされた段差緩和部50を含んでもよい。
【0020】
図2を参照すると、本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体は、第1電極100、第1セパレータ20、第2電極300、および第2セパレータ40は、それぞれ長さ方向に沿って巻取りが始まる第1端部、および巻取りが終わる第2端部を含み、前記第2セパレータ40の第2端部42は、前記第2電極300の第2端部320よりも長く延伸され、前記第2電極300の第2端部320側に折曲またはローリングされた段差緩和部50を含んでもよい。
【0021】
ここで、前記折曲は、前記第1セパレータまたは第2セパレータの第2端部が段差緩和部の中心部に位置するように、第1セパレータまたは第2セパレータを所定間隔で2回以上折曲して、複数重のシート形態を形成することであってもよく、前記ローリングは、第2端部が段差緩和部の中心部に位置するように、第1セパレータまたは第2セパレータを所定間隔で2回以上巻き取って卵円形の断面を有するロール形態に形成することであってもよく、前記折曲またはローリング形態は、前記第1セパレータまたは第2セパレータの材料の柔軟性によって異なり得る。
【0022】
図3は、本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体を具現したイメージである。
【0023】
図3を参照すると、本発明の一具現例によるゼリーロール型電極組立体1000において、前記第1セパレータ20の第2端部は、前記第2電極300の第2端部よりも長く延伸され、前記第2電極の第2端部側にローリングされて段差緩和部50を形成するものであってもよく、所定厚さを有し、かつ卵円形の断面を有するロール形態を形成するものであってもよい。
【0024】
本発明の一実施態様によれば、前記段差緩和部の巻取軸方向長さL1は、前記第1電極の巻取軸方向長さ100%を基準として、50%以上100%以下であってもよい。具体的には、前記段差緩和部の巻取軸方向長さは、前記第1電極の巻取軸方向長さ100%を基準として、55%以上、60%以上または65%以上であってもよく、前記段差緩和部の巻取軸方向長さは、前記第1電極の巻取軸方向長さ100%を基準として、95%以下、90%以下または85%以下であってもよい。前記範囲の段差緩和部の巻取軸方向長さ範囲を満たす場合、前記第2電極の第2端部によって形成される段差によって第1電極の前記第2段差に対向する面の反対面に集中される応力が効果的に分散されることができ、これによるクラック発生などの問題点を効果的に低減して、電池の安定性を確保することができる。
【0025】
本発明の一実施態様によれば、前記段差緩和部は、前記第1セパレータまたは第2セパレータの第2端部が前記第2電極の第2端部側に3回以上16回以下に折曲またはローリングされたものであってもよい。具体的には、前記段差緩和部は、前記第1セパレータまたは第2セパレータの第2端部が前記第2電極の第2端部側に4回以上、6回以上または8回以上に折曲またはローリングされたものであってもよく、前記段差緩和部は、前記第1セパレータまたは第2セパレータの第2端部が前記第2電極の第2端部側に14回以下、12回以下または10回以下に折曲またはローリングされたものであってもよい。例えば、前記第2電極の厚さによる段差が170μmである場合、13μmの厚さを有する第1セパレータまたは第2セパレータを4回以上10回以下に折曲またはローリングして、55μm以上130μm以下の厚さ範囲の段差緩和部を形成してもよく、前記第2電極の厚さによる段差が130μmである場合、12.5μmの厚さを有する第1セパレータまたは第2セパレータを4回以上10回以下に折曲またはローリングして、50μm以上100μm以下の厚さ範囲の段差緩和部を形成することにより、所定比率に厚さ範囲を調節してもよい。前記範囲の折曲またはローリング回数を満たす場合、前記段差緩和部の厚さが前記第2電極の第2端部厚さに対して所定比率を満たすことによって、段差緩和効果が優れるようになり、過度な折曲またはローリングによって発生し得る追加段差形成問題および工程上非経済性問題を防止することができる。
【0026】
図4は、本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体の段差部を模式的に示した図である。
【0027】
図4を参照すると、本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体は、前記第1電極100が前記第2電極300の第2端部320を覆っている領域に形成される空の空間である段差部60を含み、前記段差緩和部50は、前記段差部60内に備えられたものであってもよい。具体的には、本発明の一実施態様による電極組立体は、最外郭に位置した第1電極100が前記第2電極300の第2端部320よりも長く延伸されて、前記電極組立体の外郭に追加巻取されるものであってもよく、前記第2電極300の第2端部320の隣には、第2電極の厚さによる段差が形成されてもよい。すなわち、本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体は、巻取された状態で第1電極/第1セパレータ/第2電極/第2セパレータ/第1電極の積層構造を形成してもよいが、第2電極の長さが残り層より短くてもよく、最外郭で第1電極/第1セパレータ/空いた空間/第2セパレータ/第1電極の積層構造を形成する領域が存在してもよい。言い換えれば、前記第1電極100または第1電極の内周面に接する第1セパレータ(図示せず)/第2電極300の第2端部320/第1電極100'または第2セパレータ(図示せず)で囲まれた空の空間である段差部60が形成されてもよい。具体的には、前記段差緩和部50は、前記段差部60内に備えられてもよく、電極組立体の内側に位置した第1電極100'の巻取軸に対向する面の反対面上に備えられてもよい。また、前記段差緩和部は、最外郭に位置した第1電極100の内周面と追加的に接する領域を形成することにより、前記第2電極300の第2端部320が第1電極100の内周面に接する領域に集中される応力を分散させることができる。
【0028】
本発明の一実施態様によれば、前記段差緩和部は、前記第2電極の第2端部と直接接触または離隔して備えられてもよい。具体的には、前記段差緩和部が第2電極の第2端部と離隔して備えられる場合、前記段差緩和部と第2電極の第2端部との離隔距離は、1mm以上2mm以下であってもよい。より具体的には、前記段差緩和部と第2電極の第2端部との離隔距離は、1mm以上1.5mm以下または1.5mm以上2mm以下であってもよく、前記範囲の離隔距離を満たす場合、前記第1電極と第2電極の第2端部が接する領域に集中される応力を効果的に分散させるために、第1セパレータまたは第2セパレータを折曲またはローリングして、適正厚さの段差緩和部を形成する工程が容易になり、不必要な材料の損失を防止して、経済性を確保することができる。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、前記段差部は、前記段差緩和部の厚さによって形成される第1段差;および前記第2電極の厚さおよび前記段差緩和部の厚さの差によって形成される第2段差;を含んでもよい。
【0030】
図4を参照すると、前記第1段差H1は、段差緩和部の厚さT1と同じであってもよく、前記第2段差H2は、第2電極の厚さT2と段差緩和部の厚さT1との差と同じであってもよい。具体的には、第1段差H1は、段差緩和部と第1電極の内周面が接する位置で測定される段差緩和部の厚さT1と同じであってもよく、第2段差H2は、第2電極の第2端部と第1電極の内周面が接する位置で測定される第2電極の厚さT2と段差緩和部と第1電極の内周面が接する位置で測定される段差緩和部の厚さT1との差と同じであってもよい。
【0031】
より具体的には、
図1を参照すると、前記段差緩和部は、第1セパレータ20が折曲またはローリングされて形成されてもよく、前記第1段差H1は、段差緩和部50と第1電極100の内周面が接する位置で巻取軸に向かって垂直な方向で測定した第1電極100と第2セパレータ40との間の直線距離である段差緩和部の厚さT1を意味してもよい。一方、
図2を参照すると、前記段差緩和部50は、第2セパレータ40が折曲またはローリングされて形成されてもよく、前記第1段差H1は、段差緩和部と第1電極の内周面に接する第1セパレータが接する位置で巻取軸に向かって垂直な方向で測定した第1セパレータと第1電極との間の直線距離である段差緩和部の厚さT1'を意味してもよい。ただ、段差緩和部および第1電極を形成する材料の柔軟性、折曲またはローリング形態差によって前記第1電極の内周面に接する位置が異なることがあり、前記段差緩和部の厚さT1、T1'は、段差緩和部の中心部の厚さから第1セパレータまたは第2セパレータの一層の厚さを引いた値に近似されることができる。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、前記第1段差は、前記第2電極の第2端部厚さの20%以上95%以下であってもよい。具体的には、
図4を参照すると、前記第1段差H1は、前記第2電極の第2端部厚さT2の25%以上、30%以上、35%以上または40%以上であってもよく、前記第1段差H1は、前記第2電極の第2端部厚さT2の90%以下、85%以下、80%以下または75%以下であってもよい。前記範囲の数値範囲を満たす場合、段階的な2段の段差形成が可能であり、第1段差および第2段差によって第1電極の第2段差に対向する面の反対面に集中される応力が効果的に分散されることができ、これによるクラック発生などの問題点を効果的に低減して、電池の安定性を確保することができる。
【0033】
本発明の一実施態様によれば、前記段差緩和部の体積は、前記段差部の体積の5%以上95%以下であってもよい。具体的には、前記段差緩和部の体積は、前記段差部の体積の10%以上、15%以上、20%以上、25%以上または30%以上であってもよく、前記段差緩和部の体積は、前記段差部の90%以下、85%以下、80%以下または75%以下であってもよい。
図3および
図4を参照すると、前記段差緩和部は、前記第1セパレータまたは第2セパレータの第2端部が前記第2電極の第2端部側に折曲またはローリングされる場合、直方体に近似する形態であるので、前記段差緩和部の体積は、直方体体積公式によって近似的に計算されてもよい。具体的には、段差緩和部の巻取軸方向長さL1、段差緩和部の長さ方向長さL2および段差緩和部の厚さT1を利用して近似的に計算されてもよい。また、前記段差部は、セルの製造過程で、製造装置の張力、充放電状態、ゼリーロールの外径などによって体積が異なることがあるので、前記段差部の体積は三角関数を通じて近似的に計算されてもよい。具体的には、前記第2電極の第2端部厚さT2を高さにし、前記段差部を囲む第1電極または第2セパレータの長さを底辺にする仮想の三角形を作図して、近似的に計算されてもよい。場合によって、前記段差部の体積は、断層撮影(Computed Tomography、CT)技法によって確認されてもよい。前記範囲の段差緩和部の体積範囲を満たす場合、第1段差によって第1電極の第2段差に対向する面の反対面に集中される応力が効果的に分散されることができ、電極組立体の電解液含浸時にも前記段差緩和部の体積が前記段差部の体積を超えないので、二次電池の充放電サイクルによる電極組立体の体積変化時に追加的に発生し得る電極組立体の損傷問題を防止することができる。
【0034】
本発明の一実施態様によれば、前記段差緩和部の厚さは、20μm以上150μm以下であってもよい。具体的には、前記段差緩和部の厚さは30μm以上、40μm以上、50μm以上または60μm以上であってもよく、前記段差緩和部の厚さは、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下または100μm以下であってもよい。前記段差緩和部の厚さは、前記第1セパレータまたは第2セパレータの第2端部が位置する段差緩和部の中心部で最も大きい値を有してもよく、前記第1セパレータまたは第2セパレータが折曲またはローリングされる段差緩和部の端部で最も小さい値を有してもよい。前記範囲の段差緩和部の厚さ範囲を満たす場合、前記第2電極の厚さによる段差を効果的に緩和することができ、これによって集中される応力を効果的に分散させることができる。例えば、前記第2電極の厚さによる段差が170μmである場合、55μm以上130μm以下の厚さ範囲の段差緩和部を形成してもよく、前記第2電極の厚さによる段差が130μmである場合、50μm以上100μm以下の厚さ範囲の段差緩和部を形成することによって、所定比率の第1段差および第2段差を備えて前記第2電極の厚さによる段差を緩和するように、段差緩和部の厚さ範囲を調節してもよい。
【0035】
図3を参照すると、本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体に含まれる前記段差緩和部の長さ方向長さL2は、8mm以上30mm以下であってもよい。具体的には、前記段差緩和部の長さ方向長さL2は、10mm以上、12mm以上、14mm以上または16mm以上であってもよく、前記段差緩和部の長さ方向長さL2は、28mm以下、26mm以下、24mm以下、22mm以下または20mm以下であってもよい。前記段差緩和部の長さ方向長さは、前記第1セパレータまたは第2セパレータが折曲またはローリングされる段差緩和部の一端部から他端部まで測定される長さを意味してもよい。前記範囲の段差緩和部の長さ範囲を満たす場合、前記第2電極の厚さによる段差を効果的に緩和することができ、巻取されたゼリーロール型電極組立体の最外郭に位置して、前記段差部を囲む第1電極が適切な傾斜度および屈曲を有するようになって、第2電極の第2端部と接する領域の損傷または空の空間の反対面に作用する圧力による損傷を最小化することができる。
【0036】
本発明の一実施態様によれば、前記第1電極の第2端部は、前記第2電極の第2端部よりも長く延伸されて、前記電極組立体の外郭に追加巻取されてもよい。また、本発明の一実施態様によれば、前記第1電極は負極であり、前記第2電極は正極であってもよい。具体的には、電極組立体の最外郭層である第1電極が負極であってもよく、前記電極組立体は、負極/セパレータ/正極/セパレータが巻取される負極最外郭構造であってもよい。言い換えれば、ゼリーロール型電極組立体の最外郭に負極を露出させる外周タブ構造を有してもよい。
【0037】
本発明の一実施態様によれば、前記負極は、負極集電体、および前記負極集電体上に備えられた負極活物質層を含んでもよい。具体的には、前記負極は、負極集電体、および前記負極集電体の一面または両面に形成され、負極活物質を含む負極活物質層を含んでもよい。言い換えれば、前記負極活物質層は、前記負極集電体の負極活物質部に形成され、前記負極活物質層が備えられていない面は、負極無地部に表現されてもよい。
【0038】
本発明の一実施態様によれば、前記負極集電体は、負極活物質層が形成される負極活物質部、負極活物質層が形成されていない負極無地部を含んでもよく、負極無地部上にタブを含んでもよい。具体的には、前記負極集電体は、負極無地部を含んでもよく、前記負極無地部に形成された負極タブを含んでもよい。これにより、製造される電極組立体は、負極タブを1個以上含んでもよい。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、前記負極活物質層は、シリコン系物質および炭素系物質からなる群より選択される1以上を含む負極活物質を含んでもよい。具体的には、前記負極活物質層は、シリコン系物質を0%超過20%以下の含量で含んでもよい。また、前記負極活物質層は、負極導電材および負極バインダーをさらに含んでもよく、前記負極活物質;負極導電材;および負極バインダーは、当業界で用いられる物質が制限なしに使用可能である。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、前記負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ、高い導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、前記負極集電体としては、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが用いられてもよい。具体的には、銅、ニッケルのような炭素をよく吸着する遷移金属を負極集電体として用いてもよい。
【0041】
前記負極集電体の厚さは、70μm以上180μm以下であってもよいが、前記負極集電体の厚さがこれに制限されるものではない。
【0042】
本発明の一実施態様によれば、前記負極バインダーは、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidenefluoride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ポリアクリル酸(poly acrylic acid)、およびこれらの水素がLi、Na、またはCaなどで置換された物質からなる群より選択される少なくともいずれか一つを含んでもよく、また、これらの多様な共重合体を含んでもよい。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、前記負極導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ、導電性を有するものであれば、特に制限されず、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;炭素ナノチューブなどの導電性チューブ;フルオロカーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが用いられてもよい。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記正極は、正極集電体、および前記正極集電体上に備えられた正極活物質層を含んでもよい。具体的には、前記正極は、正極集電体、および前記正極集電体の一面または両面に形成され、正極活物質を含む正極活物質層を含んでもよい。言い換えれば、前記正極活物質層は、前記正極集電体の正極活物質部に形成され、前記正極活物質層を備えられていない面は、正極無地部に表現されてもよい。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記正極集電体は、正極活物質が形成される正極活物質部および正極活物質が形成されていない正極無地部を含んでもよく、正極無地部上にタブを含んでもよい。具体的には、前記正極集電体は、正極無地部を含んでもよく、前記正極無地部に形成された正極タブを含んでもよい。これによって、製造される電極組立体は、正極タブを1個以上含んでもよい。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記正極集電体は、電池に化学的変化を誘発せず、かつ、導電性を有するものであれば、特に制限されず、具体的には、前記正極集電体としては、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものが用いられてもよい。
【0047】
また、前記正極集電体は、通常、80~190μmの厚さを有してもよく、前記集電体の表面上に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めてもよい。例えば、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で用いられてもよい。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記正極活物質は、通常用いられる正極活物質であってもよい。具体的には、前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物や1またはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;LiFe3O4などのリチウム鉄酸化物;化学式Li1+xMn2-xO4(0≦x≦0.33)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-yMyO2(ここで、Mは、Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B、およびGaからなる群より選択された少なくともいずれか一つであり、0.01≦y≦0.3を満たす)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-zMzO2(ここで、Mは、Co、Ni、Fe、Cr、Zn、およびTaからなる群より選択された少なくともいずれか一つであり、0.01≦z≦0.1を満たす)、またはLi2Mn3MO8(ここで、Mは、Fe、Co、Ni、Cu、およびZnからなる群より選択された少なくともいずれか一つである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4などが挙げられるが、これに限定されない。前記正極は、Li-metalであってもよい。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記正極活物質層は、正極導電材および正極バインダーをさらに含んでもよい。前記正極導電材は、電極に導電性を付与するために用いられるもので、構成される電池において、化学的変化を誘発せず、かつ、電子導電性を有するものであれば、特に制限なく使用可能である。具体的には、前記正極導電材は、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの導電性高分子などが挙げられ、これらの1種単独または2種以上の混合物が用いられてもよい。
【0050】
また、前記正極バインダーは、正極活物質粒子間の付着および正極活物質と正極集電体との接着力を向上させる役割をする。具体例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの多様な共重合体などが挙げられ、この中の1種の単独または2種以上の混合物が用いられてもよい。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記第2電極の第2端部はフリーエッジ(free edge)形態であってもよい。ここで、フリーエッジ形態は、電極第2電極活物質層の端部と電極集電体の端部とが一致する形態を意味してもよい。すなわち、本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体は、フリーエッジ形態である前記第2電極の第2端部を最外郭層である第1電極が覆っている構造を有してもよく、前記第1電極が前記第2電極の第2端部を覆っている領域に形成される空の空間である段差部を含んでもよく、前記段差部内にフリーエッジ形態の前記第2電極の第2端部の一側に直接接触または離隔して備えられる段差緩和部を含んでもよい。
【0052】
図5は、本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体の積層構造を模式的に示す。
【0053】
図5を参照すると、前記第1電極100,100'で、前記電極組立体1000の最外郭には第1電極100が存在し、前記第1電極100は、第1電極集電体101の両面にそれぞれ第1電極活物質層102、103を備え、無地部(non-coating area)を含んでもよい。一方、前記電極組立体1000の最外郭には第2電極300が存在し、前記第2電極300は、第2電極集電体301の両面にそれぞれ正極活物質層302,303を備えるが、無地部(non-coating area)を含まなくてもよい。言い換えれば、第2電極集電体と第2電極活物質層の末端が一致するフリーエッジ(free edge)形態であってもよい。すなわち、前記第2電極300の第2端部320は、長さ方向に同じ長さを有する第2電極活物質層302,303の端部と第2電極集電体301の端部を含んでもよく、前記第2電極300の第2端部320は、前記第2電極活物質層302、303の端部と第2電極集電体301の端部とが一致してもよい。一方、本発明の一実施態様によれば、前記第1電極100の前記第2電極300の第2端部320の端部に対向する面の反対面上に存在する無地部は、当該領域の応力集中による短絡またはクラックの発生可能性を減らすために付着された断線防止テープ70をさらに含んでもよい。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記ゼリーロール型電極組立体は、複数のセパレータをさらに含んでもよい。例えば、前記ゼリーロール型電極組立体は、第1電極/第1セパレータ/第2電極/第2セパレータを順に積層した構造であってもよい。前記セパレータは、第1電極と第2電極とを分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するもので、通常、二次電池でセパレータとして用いられるものであれば、特に制限なしに使用可能であり、特に、電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら、電解質含湿能力が優れているものが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリルレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの2層以上の積層構造体が用いられてもよい。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス纎維、ポリエチレンテレフタルレート纎維などからなる不織布が用いられてもよい。また、前記セパレータは、通常、10μm以上20μm以下の厚さを有してもよく、耐熱性または機械的強度を確保するために、セラミックス成分または高分子物質が含まれたコーティングされたセパレータが用いられてもよく、選択的に、単層または多層構造で用いられてもよい。
【0055】
本発明の一実施態様は、前記ゼリーロール型電極組立体;および前記電極組立体を収容するための電池ケース;を含む、二次電池を提供し、前記ゼリーロール型電極組立体に含まれる内容は前述と同じである。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、前記二次電池は、前記電池ケースの開口部に結合されるキャップアセンブリを含んでもよく、前記キャップアセンブリは、トップキャップ、安全ベントおよび電流遮断素子などを含んでもよい。
【0057】
本発明の一実施態様によれば、前記第1電極は、電池ケースの内面と直接接触して、前記電池ケースが第1電極端子の役割を果たすものであってもよい。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記電池ケースの内部は電解質を含んでもよい。具体的には、前記電解質は、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質または溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。具体的には、前記電解質は、非水系有機溶媒と金属塩を含んでもよい。
【0059】
本発明の一実施態様によれば、前記非水系有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が用いられてもよい。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、前記金属塩は、リチウム塩であってもよく、前記リチウム塩は、前記非水電解液に溶解しやすい物質であり、例えば、前記リチウム塩のアニオンとしては、F-、Cl-、I-、NO3
-、N(CN)2-、BF4
-、ClO4
-、PF6
-、(CF3)2PF4
-、(CF3)3PF3
-、(CF3)4PF2
-、(CF3)5PF-、(CF3)6P-、CF3SO3
-、CF3CF2SO3
-、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、CF3CF2(CF3)2CO-、(CF3SO2)2CH-、(SF5)3C-、(CF3SO2)3C-、CF3(CF2)7SO3
-、CF3CO2
-、CH3CO2
-、SCN-および(CF3CF2SO2)2N-からなる群より選択される1種以上を用いてもよい。
【0061】
本発明の一実施態様によれば、前記電解質には、前記電解質の構成成分以外にも、電池の寿命特性の向上、電池容量減少抑制、電池の放電容量の向上などを目的に、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、または三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれてもよい。
【0062】
本発明の一実施態様によれば、前記電池ケースは円筒状であってもよい。すなわち、本発明に係るゼリーロール型電極組立体は、円筒状電池ケースに収容されることができ、正極、負極、セパレータを含む組立体;キャップアセンブリ;および電解質が含まれている電池ケースが円筒状を有するので、製造される二次電池自体の形態が円筒状であってもよい。
【0063】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。しかしながら、本発明に係る実施例は、様々な形態に変形されてもよく、本発明の範囲が以下で記述する実施例に限定されることに解釈されない。本明細書の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供される。
【0064】
実施例
実施例1
電極組立体の製造
正極集電体としてAl箔を用意し、正極集電体上に正極活物質スラリーを塗布および乾燥することによって正極活物質層を形成して、第2電極として正極を製造した。
【0065】
次に、負極集電体として厚さ8μmの純銅(Pure Cu)箔を用意し、前記負極集電体上に負極活物質スラリーを塗布および乾燥することによって負極活物質層を形成して、第1電極として負極を製造した。
【0066】
一方、第1セパレータおよび第2セパレータとしてシート状のポリエチレン基材層の一面上にコーティング層が形成されたセパレータ2枚をそれぞれ用意した。
【0067】
その後、第1セパレータおよび第2セパレータの長さ方向一端部から巻き取り始めて、前記第1電極および第2電極を順次投入して、ゼリーロール型電極組立体を製造した。
【0068】
この時、前記ゼリーロール型電極組立体の最外郭部で、第2電極の第2端部よりも第1セパレータが長く延伸されるように設け、前記第1セパレータの第2端部を前記第2電極の第2端部側に15回ローリングすることによって、前記第1電極が前記第2電極の第2端部を覆っている領域に形成される空の空間である段差部内に段差緩和部を設けて、
図1による構造を有するようにした。この時、前記第2電極の第2端部の厚さは130μm、前記段差緩和部の厚さは117μm、前記段差緩和部の長さ方向長さは11mmであり、前記段差緩和部は、前記第2電極の第2端部から1mm離隔して備えた。
【0069】
二次電池の製造
前記ゼリーロール型電極組立体を円筒状電池ケースに挿入した後、電解液を注液し、円筒状電池缶を密封して二次電池を製造した。
【0070】
実施例2
前記第1セパレータの第2端部を前記第2電極の第2端部側に7回ローリングすることによって、前記段差緩和部の厚さは117μm、前記段差緩和部の長さ方向長さは10mmに備えることを除いては、前記実施例1と同様の方法でゼリーロール型電極組立体および二次電池を製造した。
【0071】
比較例1
段差緩和部を設けないことを除いては、前記実施例1と同様の方法でゼリーロール型電極組立体および二次電池を製造した。
【0072】
実験例
実験例1-電極クラック改善評価(SEM)
実施例1、実施例2、および比較例1による二次電池を用意した。その後、23℃の条件、SOC 0%~100%範囲で、充放電を50サイクル(Cycle)行った。
【0073】
サイクル以後に、前記実施例1、実施例2、および比較例1による二次電池をそれぞれ分解し、前記第2電極の第2端部に対応する位置の第1電極をArイオンビームでイオンミリング(Ion Milling)し、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を利用して、サイクル後の前記第1電極の厚さを測定した。
【0074】
その後、下記式1による前記段差緩和部の厚さ比率および下記式2による前記第1電極の変形率を比較することによって、電極クラック改善度を評価した。この時、評価条件および評価結果を下記表1および
図6~
図8に示した。
【0075】
[式1]
段差緩和部の厚さ比率(%)={段差緩和部の厚さ(T1、μm)/第2電極第2端部の厚さ(T2、μm)}×100
【0076】
[式2]
第1電極の変形率(%)={50サイクル後の第1電極の厚さ(μm)/第1電極の厚さ(μm)}×100
【0077】
【0078】
図6は、実施例1による二次電池のクラック改善評価結果を示したSEMイメージであり、
図7は、実施例2による二次電池のクラック改善評価結果を示したSEMイメージであり、
図8は、比較例1による二次電池のクラック改善評価結果を示したSEMイメージである。前記表1および
図6~
図8を参照すると、実施例1および実施例2による二次電池は、比較例1による二次電池に比べて、第1電極の変形率が8.12%~14.75%減少したことを確認した。特に、段差緩和部の厚さ比率が90%である実施例1による二次電池の第1電極変形率が0.75%と最も低いことを確認した。
【0079】
実施例1および実施例2と比較例1を比較すると、サイクルを行う時、電極の収縮/膨脹が繰り返される場合、第2電極の第2端部によって、第1電極に応力が集中されて、クラックの発生および変形が発生する可能性があるが、第2電極の第2端部の隣に形成される空の空間である段差部内に段差緩和部を備えて、第2電極の厚さによる段差を緩和することによって、第1電極の応力集中を改善して、クラック発生可能性を低減することができることが分かる。
【0080】
また、段差緩和部の厚さT1(μm)および段差緩和部の厚さ比率(T1/T2、%を)特定の範囲に調節する場合、第2電極の第2端部による第1電極のクラック発生可能性の低減効果がより優れていることが分かる。
【0081】
すなわち、本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体、およびこれを含む二次電池は、正極厚さによる段差を緩和することによって、最外郭負極に集中される応力集中を改善して、電極組立体のクラックおよび変形を防止することができることが分かる。
【0082】
実験例2-電極クラック改善評価(シミュレーション)
実施例1、実施例2および比較例1による二次電池に対して、第2電極の第2端部に対面する第1電極での電極クラック改善度をシミュレーション評価した。具体的には、段差部内に備えられる段差緩和部の体積変化シミュレーションによって、ゼリーロール型電極組立体の膨脹時に第1電極の最大変形率を測定し、その結果を下記
図9~
図11にそれぞれ示した。この時、第2電極は、第2電極集電体と第2電極活物質層が同じ位置で長さ方向端部を有するフリーエッジ(free edge)を有し、第1電極は、銅箔(Cu Foil)と同じ条件に設定した。
【0083】
図9は、実施例1による二次電池のクラック改善評価結果を示したシミュレーションイメージであり、
図10は、実施例2による二次電池のクラック改善評価結果を示したシミュレーションイメージであり、
図11は、比較例1による二次電池のクラック改善評価結果を示したシミュレーションイメージである。
【0084】
図10および
図11を参照すると、第2電極の第2端部の厚さに対比して45%厚さを有する段差緩和部を含む実施例2の場合、第1電極の第2電極の第2端部と対面する一面の反対面で最大変形率が発生することを確認した。
【0085】
具体的には、比較例1による二次電池の第1電極の最大変形率は0.0651、実施例2による二次電池の第1電極の最大変形率は0.0468で、実施例2は比較例1に比べて最外郭第1電極の最大変形率が28.1%減少したことを確認した。
【0086】
これによって、段差部内に段差緩和部を備える場合、第2電極の第2端部で第1電極の折曲が緩和されて最大変形率が減少することによって、第1電極のクラック発生可能性が減少することが分かる。
【0087】
図9および
図11を参照すると、実施例1による二次電池は、第2電極の第2端部で第1電極の折曲がほとんど発生しない一方、段差緩和部の長さ方向端部で第1電極の折曲が発生し、これにより第1電極の最大変形率が測定されることを確認した。実施例1による二次電池の第1電極の最大変形率は0.0259であり、これは比較例1による二次電池の第1電極の最大変形率に対比して60.2%減少したことを確認した。
【0088】
これによって、段差部内に段差緩和部を備える場合、第2電極の第2端部での第1電極の折曲を緩和し、第1電極の最大変形率が減少することによって第1電極クラック発生可能性が減少し、第2電極の第2端部と類似の厚さで段差緩和部を備える場合、すなわち実施例1の場合、第1電極のクラック発生可能性が最も低いことが分かる。
【0089】
すなわち、本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体、およびこれを含む二次電池は、正極厚さによる段差を緩和することによって、最外郭負極に集中される応力の集中を改善して、電極組立体のクラックおよび変形を防止することができることが分かる。
【0090】
また、本発明の一実施態様によるゼリーロール型電極組立体、およびこれを含む二次電池は、ゼリーロール型電極組立体の設計を変更した段差緩和部を利用するので、経済的でありながらも、当該領域のリチウム析出のような局所的な問題の発生を防止することができることが分かる。
【0091】
以上、本発明の理解を助けるために好ましい実施状態を提示したが、前記実施状態は本記載を例示するだけであって、本記載の範疇および技術的思想範囲内で多様な変更および修正が可能であることは当業者にとって自明であり、このような変形および修正が特許請求範囲に属することは当然である。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
1000 ・・・ゼリーロール型電極組立体
100、100' ・・・第1電極
101 ・・・第1電極集電体
102、103 ・・・第1電極活物質層
120 ・・・第1電極の第2端部
20 ・・・第1セパレータ
21 ・・・第1セパレータの第1端部
22 ・・・第1セパレータの第2端部
300 ・・・第2電極
301 ・・・第2電極集電体
302、303 ・・・第2電極活物質層
320 ・・・第2電極の第2端部
40 ・・・第2セパレータ
41 ・・・第2セパレータの第1端部
42 ・・・第2セパレータの第2端部
50 ・・・段差緩和部
60 ・・・段差部
70 ・・・断線防止テープ
H1 ・・・第1段差
H2 ・・・第2段差
T1、T1' ・・・段差緩和部の厚さ
T2 ・・・第2電極の第2端部厚さ
L1 ・・・段差緩和部の巻取軸方向長さ
L2 ・・・段差緩和部の長さ方向長さ
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
実施例2
前記第1セパレータの第2端部を前記第2電極の第2端部側に7回ローリングすることによって、前記段差緩和部の厚さは58.5μm、前記段差緩和部の長さ方向長さは10mmに備えることを除いては、前記実施例1と同様の方法でゼリーロール型電極組立体および二次電池を製造した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
[式2]
第1電極の変形率(%)={(第1電極の厚さ(μm)-50サイクル後の第1電極の厚さ(μm))/第1電極の厚さ(μm)}×100
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】