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特表2024-534034抗VEGFR1抗体及びそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】抗VEGFR1抗体及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240910BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240910BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240910BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C07K16/28
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 Y
A61K47/68
A61K31/7088
A61K48/00
A61K35/12
A61P43/00 105
A61P13/12
A61P3/10
A61K39/395 N
A61K39/395 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508965
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022074891
(87)【国際公開番号】W WO2023023465
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/233,343
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/322,273
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100209037
【弁理士】
【氏名又は名称】猪狩 俊博
(72)【発明者】
【氏名】ブレイヤー,マシュー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス ヴィラロボス,ロメール エー.
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ラトコスキ,トーマス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スワンソン,ロナルド ヴィー.
(72)【発明者】
【氏名】ゼン,ガン
(72)【発明者】
【氏名】ゼン,ソンマオ
(72)【発明者】
【氏名】ゼン,シロン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC17
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA13
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA81
4C084ZC01
4C084ZC35
4C085AA14
4C085AA25
4C085BB11
4C085DD33
4C085DD62
4C085EE01
4C085HH01
4C085KA04
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZC01
4C086ZC35
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZA81
4C087ZC01
4C087ZC35
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA15
4H045GA26
(57)【要約】
本明細書では、血管内皮増殖因子受容体1(VEGFR1)に結合する抗体又はその抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、及びそれらを使用して慢性腎疾患を治療する方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号173又は配列番号4のアミノ酸配列内のエピトープに結合する単離された抗体又はその抗原結合断片であって、VEGFAのVEGFR1への結合を防止する、抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗体又はその抗原結合断片が、アミノ酸配列FPLDTL(配列番号143)若しくはEIGL(配列番号144)を有するVEGFR1上のエピトープに結合するか、又はアミノ酸配列FPLDTL(配列番号143)及びEIGL(配列番号144)を有するエピトープに結合する、請求項1に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
前記抗体又はその抗原結合断片が、ヒト、マウス、ラット及び/又はカニクイザルVEGFR1に結合する、請求項1又は2に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記抗体又はその抗原結合断片が、ヒトVEGFR1に結合する、請求項3に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
前記抗体又はその抗原結合断片が、ヒトVEGFR1、並びにカニクイザル、マウス及びラットからなる群から選択される少なくとも1つの種に由来するVEGFR1に結合する、請求項4に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
前記抗体又はその抗原結合断片が、ヒトVEGFR1、並びにカニクイザル、マウス及びラットからなる群から選択される少なくとも2つの種に由来するVEGFR1に結合する、請求項5に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
前記抗体又はその抗原結合断片が、ヒトVEGFR1、並びにカニクイザル、マウス及びラットに由来するVEGFR1に結合する、請求項6に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
前記抗体又はその抗原結合断片が、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用することで決定される、6×10-8M以下、特に1×10-8M以下、より具体的には5×10-9M以下、1×10-9M以下、5×10-10M以下、又は1×10-10M以下のKで、ヒトVEGFR1、マウスVEGFR1、及びカニクイザルVEGFR1に結合する、請求項1~7のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
配列番号31、33、34、36、38又は39のVHの重鎖相補性決定領域(HCDR)、及び配列番号32、35、37又は40のVLの軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
a.配列番号31のアミノ酸配列を有する前記VHのHCDR、及び配列番号32のアミノ酸配列を有する前記VLのLCDR、
b.配列番号33のアミノ酸配列を有する前記VHのHCDR、及び配列番号32のアミノ酸配列を有する前記VLのLCDR、
c.配列番号34のアミノ酸配列を有する前記VHのHCDR、及び配列番号35のアミノ酸配列を有する前記VLのLCDR、
d.配列番号36のアミノ酸配列を有する前記VHのHCDR、及び配列番号37のアミノ酸配列を有する前記VLのLCDR、
e.配列番号38のアミノ酸配列を有する前記VHのHCDR、及び配列番号37のアミノ酸配列を有する前記VLのLCDR、又は
f.配列番号39のアミノ酸配列を有する前記VHのHCDR、及び配列番号40のアミノ酸配列を有する前記VLのLCDR、
を含む、請求項9に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項11】
HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有するVHと、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有するVLとを含み、前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3が、
a.それぞれ配列番号7、175、9、10、11、及び12、
b.それぞれ配列番号7、8、9、10、11、及び12、
c.それぞれ配列番号13、14、15、16、17、及び18、
d.それぞれ配列番号19、20、21、22、23、及び24、
e.それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30、
f.それぞれ配列番号71、176、73、74、75、及び76、
g.それぞれ配列番号71、72、73、74、75、及び76、
h.それぞれ配列番号77、78、79、80、81、及び82、
i.それぞれ配列番号83、84、85、86、87、及び88、
j.それぞれ配列番号89、90、91、92、93、及び94、
k.それぞれ配列番号95、177、97、98、99、及び100、
l.それぞれ配列番号95、96、97、98、99、及び100、
m.それぞれ配列番号101、102、103、104、105、及び106、
n.それぞれ配列番号107、108、109、110、111、及び112、
o.それぞれ配列番号113、114、115、116、117、及び118、
p.それぞれ配列番号119、178、121、122、アミノ酸配列LNS、及び配列番号124、
q.それぞれ配列番号119、120、121、122、アミノ酸配列LNS、及び配列番号124、
r.それぞれ配列番号125、126、127、128、アミノ酸配列FNF、及び配列番号130、
s.それぞれ配列番号131、132、133、134、アミノ酸配列YD、及び配列番号136、又は
t.それぞれ配列番号137、138、139、140、アミノ酸配列FNS、及び配列番号142、
のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項12】
前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3が、それぞれ配列番号7、175、9、10、11及び12のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項13】
前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3が、それぞれ配列番号13、14、15、16、17及び18のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項14】
前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3が、それぞれ配列番号25、26、27、28、29及び30のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項15】
前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3が、それぞれ配列番号7、8、9、10、11及び12のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項16】
前記HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3が、それぞれ配列番号19、20、21、22、23及び24のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項17】
配列番号31、33、34、36、38、又は39のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)と、配列番号32、35、37、又は40のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項18】
a.それぞれ配列番号31及び32、
b.それぞれ配列番号33及び32、
c.それぞれ配列番号34及び35、
d.それぞれ配列番号36及び37、
e.それぞれ配列番号38及び37、又は
f.それぞれが配列番号39及40、
のアミノ酸配列を含むVH及びVLを含む、請求項17に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項19】
配列番号39のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一である前記VHと、配列番号40のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一である前記VLとを含む、請求項18に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項20】
配列番号39のアミノ酸配列を有する前記VHと、配列番号40のアミノ酸配列を有する前記VLとを含む、請求項19に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項21】
配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一である前記VHと、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLとを含む、請求項18に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項22】
配列番号33のアミノ酸配列を含む前記VHと、配列番号32のアミノ酸配列を含む前記VLとを含む、請求項21に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項23】
配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一である前記VHと、配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一である前記VLとを含む、請求項18に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項24】
配列番号38のアミノ酸配列を含む前記VHと、配列番号37のアミノ酸配列を含む前記VLとを含む、請求項23に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項25】
配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一である前記VHと、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一である前記VLとを含む、請求項18に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項26】
配列番号31のアミノ酸配列を含む前記VHと、配列番号32のアミノ酸配列を含む前記VLとを含む、請求項25に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項27】
配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一である前記VHと、配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一である前記VLとを含む、請求項18に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項28】
配列番号36のアミノ酸配列を含む前記VHと、配列番号37のアミノ酸配列を含む前記VLとを含む、請求項27に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項29】
配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一である前記VHと、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一である前記VLとを含む、請求項18に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項30】
配列番号34のアミノ酸配列を含む前記VHと、配列番号35のアミノ酸配列を含む前記VLとを含む、請求項29に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項31】
配列番号51、配列番号53、配列番号54、配列番号56、配列番号58、又は配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖(HC)と、配列番号52、配列番号55、配列番号57、又は配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖(LC)とを含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項32】
配列番号51、52、53、54、55、56、57、59、及び60からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項33】
a.配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む前記HC、及び配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む前記LC、
b.配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む前記HC、及び配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む前記LC、
c.配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む前記HC、及び配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む前記LC、
d.配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む前記HC、及び配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む前記LC、
e.配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む前記HC、及び配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む前記LC、又は
f.配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む前記HC、及び配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む前記LC、
を含む、請求項32に記載の単離された抗体。
【請求項34】
配列番号51のアミノ酸配列を含む前記HCと、配列番号52のアミノ酸配列を含む前記LCとを含む、請求項33に記載の単離された抗体。
【請求項35】
配列番号53のアミノ酸配列を含む前記HCと、配列番号52のアミノ酸配列を含む前記LCとを含む、請求項33に記載の単離された抗体。
【請求項36】
配列番号54のアミノ酸配列を含む前記HCと、配列番号55のアミノ酸配列を含む前記LCとを含む、請求項33に記載の単離された抗体。
【請求項37】
配列番号56のアミノ酸配列を含む前記HCと、配列番号57のアミノ酸配列を含む前記LCとを含む、請求項33に記載の単離された抗体。
【請求項38】
配列番号58のアミノ酸配列を含む前記HCと、配列番号57のアミノ酸配列を含む前記LCとを含む、請求項33に記載の単離された抗体。
【請求項39】
配列番号59のアミノ酸配列を含む前記HCと、配列番号60のアミノ酸配列を含む前記LCとを含む、請求項33に記載の単離された抗体。
【請求項40】
単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号33のアミノ酸配列を含むVHのHCDR、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、
b.それぞれ配列番号7、8、及び9のアミノ酸配列のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を有するVH、並びにそれぞれ配列番号10、11、及び12のアミノ酸配列のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を有するVL、
c.配列番号33のアミノ酸配列を有するVH、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVL、及び/又は、
d.配列番号53のアミノ酸配列を有するHC、及び配列番号52のアミノ酸配列を有するLC、
を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項41】
単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号34のアミノ酸配列を含むVHのHCDR、及び配列番号35のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、
b.それぞれ配列番号13、14、及び15のアミノ酸配列のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を有するVH、並びにそれぞれ配列番号16、17、及び18のアミノ酸配列のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を有するVL、
c.配列番号34のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号35のアミノ酸配列を有するVL、及び/又は、d.配列番号54のアミノ酸配列を有するHC及び配列番号55のアミノ酸配列を有するLC、
を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項42】
単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号38のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)のHCDRを有するVH、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)のLCDRを有するVL、
b.それぞれ配列番号19、20、及び21のアミノ酸配列を有するHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含むVH、並びにそれぞれ配列番号22、23、及び24のアミノ酸配列を有するLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むVL、
c.配列番号38のアミノ酸配列を有するVH、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVL、及び/又は、
d.配列番号58のアミノ酸配列を有するHC、及び配列番号57のアミノ酸配列を有するLC、
を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項43】
単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)のHCDRを有するVH、及び配列番号40のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)のLCDRを有するVL、
b.それぞれ配列番号25、26、及び27のアミノ酸配列を有するHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含むVH、並びにそれぞれ配列番号28、29、及び30のアミノ酸配列を有するLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むVL、
c.配列番号39のアミノ酸配列を有するVH、及び配列番号40のアミノ酸配列を有するVL、及び/又は、
d.配列番号59のアミノ酸配列を有するHC、及び配列番号60のアミノ酸配列を有するLC、
を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項44】
単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)のHCDRを有するVH、及び配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)のLCDRを有するVL、
b.それぞれ配列番号7、175、及び9のアミノ酸配列を有するHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含むVH、並びにそれぞれ配列番号10、11、及び12のアミノ酸配列を有するLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むVL、
c.配列番号31のアミノ酸配列を有するVH、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVL、及び/又は、
d.配列番号51のアミノ酸配列を有するHC、及び配列番号52のアミノ酸配列を有するLC、
を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項45】
単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号36のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)のHCDRを有するVH、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)のLCDRを有するVL、
b.それぞれ配列番号19、20、及び21のアミノ酸配列を有するHCDR1、HCDR2、及びHCDR3含むVH、並びにそれぞれ配列番号22、23、及び24のアミノ酸配列を有するLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むVL、
c.配列番号36のアミノ酸配列を有するVH、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVL、及び/又は、
d.配列番号56のアミノ酸配列を有するHC、及び配列番号57のアミノ酸配列を有するLC、
を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項46】
前記抗原結合断片が、scFv、(scFv)、Fv、Fab、F(ab’)、Fd、dAb、VHH又は一本鎖抗体である、請求項1~45のいずれか一項に記載の単離された抗原結合断片。
【請求項47】
前記抗体又はその抗原結合断片が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプである、請求項1~46のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項48】
前記抗体又はその抗原結合断片が、IgG1アイソタイプである、請求項47に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項49】
Ig定常領域又はIg定常領域の断片を含む、請求項48に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項50】
前記Ig定常領域又は前記Ig定常領域の断片が、Fcγ受容体(FcγR)への前記単離された抗体又はその抗原結合断片の低減された結合をもたらす少なくとも1つの変異を含む、請求項49に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項51】
前記抗体又はその抗原結合断片のFcγRへの低減された結合をもたらす少なくとも1つの変異が、F234A/L235A、L234A/L235A、L234A/L235A/D265S、V234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、F234A/L235A、S228P/F234A/L235A、N297A、V234A/G237A、K214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D365E/L358M、H268Q/V309L/A330S/P331S、S267E/L328F、L234F/L235E/D265A、L234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S、S228P/F234A/L235A/G237A/P238S、及びS228P/F234A/L235A/G236欠失/G237A/P238Sからなる群から選択され、残基番号付けがEUインデックスに従う、請求項50に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項52】
前記Ig定常領域又は前記定常領域の断片が、L234A_L235A_D265Sの変異を含む、請求項51に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項53】
前記FcγRが、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB若しくはFcγRIII、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項52に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項54】
前記Ig定常領域又は前記Ig定常領域の断片が、前記抗体又はその抗原結合断片の半減期を調節する少なくとも1つの変異を更に含む、請求項53に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項55】
前記抗体又はその抗原結合断片の半減期を調節する少なくとも1つの変異が、H435A、P257I/N434H、D376V/N434H、M252Y/S254T/T256E/H433K/N434F、T308P/N434A、及びH435Rからなる群から選択され、残基番号付けが、EUインデックスに従う、請求項54に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【請求項56】
治療剤又は造影剤にコンジュゲートされた、請求項1~55のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片を含む、イムノコンジュゲート。
【請求項57】
請求項1~55のいずれか一項に記載の単離された抗体若しくはその抗原結合断片又は請求項56に記載のイムノコンジュゲート、及び医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項58】
請求項1~55のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項59】
配列番号41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、61、62、63、64、65、66、67、68、69又は70のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるポリヌクレオチド配列を含む、請求項58に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項60】
請求項58又は59に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項61】
請求項60に記載のベクターを含む宿主細胞などの、請求項1~55のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片を発現する宿主細胞。
【請求項62】
請求項1~55のいずれか一項に記載の単離された抗体若しくはその抗原断片、請求項56に記載のイムノコンジュゲート、請求項57に記載の医薬組成物、請求項58若しくは59に記載の単離されたポリヌクレオチド、請求項60に記載のベクター又は請求項61に記載の宿主細胞の有効量を被験者に投与し、それによってVEGFAのVEGFR1への結合を防止することを含む、それを必要とする前記被験者においてVEGFAのVEGFR1への結合を防止する方法。
【請求項63】
前記被験者が、慢性腎疾患(CKD)の治療を必要としているか、タンパク尿を減少させる必要があるか、進行した4期若しくは5期の慢性腎疾患を有するか、又はタンパク尿、アルブミン尿若しくは糖尿病を伴うCKDを有する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
治療を必要とする被験者における慢性腎疾患(CKD)を治療する方法であって、請求項1~55のいずれか一項に記載の単離された抗体若しくはその抗原断片、請求項56に記載のイムノコンジュゲート、請求項57に記載の医薬組成物、請求項58若しくは59に記載の単離されたポリヌクレオチド、請求項60に記載のベクター又は請求項61に記載の宿主細胞の治療有効量を、CKDを治療するのに十分な時間にわたり前記被験者に投与することを含む、方法。
【請求項65】
前記被験者が進行した4期又は5期の慢性腎疾患を有する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記被験者が3期の慢性腎疾患を有する、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記被験者が、タンパク尿、アルブミン尿又は糖尿病を伴うCKDを有する、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
タンパク尿の減少を必要とする被験者におけるタンパク尿を減少する方法であって、請求項1~55のいずれか一項に記載の単離された抗体若しくはその抗原断片、請求項56に記載のイムノコンジュゲート、請求項57に記載の医薬組成物、請求項58若しくは59に記載の単離されたポリヌクレオチド、請求項60に記載のベクター又は請求項59に記載の宿主細胞の治療有効量を、前記被験者のタンパク尿を減少するのに十分な時間にわたり前記被験者に投与することを含む、方法。
【請求項69】
請求項1~55のいずれか一項に記載の単離された抗体若しくはその抗原結合断片、請求項56に記載のイムノコンジュゲート、請求項57に記載の医薬組成物、請求項58若しくは59に記載の単離されたポリヌクレオチド、請求項60に記載のベクター又は請求項61に記載の宿主細胞を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「抗VEGFR1抗体及びそれらの使用」と題する2021年8月16日に出願された米国特許仮出願第63/233,343号、及び2022年3月22日に出願された米国特許仮出願第63/322,273号に対する優先権を主張するものであり、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、XMLファイルフォーマットで電子的に提出済みである、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。当該XMLコピーは、2022年7月22日に作成され、名称はJBI6512WOPCT1_SL.xmlであり、サイズは181,681バイトである。
【0003】
(発明の分野)
血管内皮増殖因子受容体1(VEGFR1)に結合する抗原結合ドメイン又はその断片を含むタンパク質、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、及びそれらを使用して慢性腎疾患を治療する方法が提供される。
【背景技術】
【0004】
慢性腎疾患(CKD)は、老年人口及び糖尿/肥満の流行とともに増大し続ける世界的な公衆衛生問題である。CKDは、全死因及び心血管死亡率、並びに生存のために透析又は腎臓移植を必要とする末期腎疾患のリスクを増加させる。CKD4~5期の患者は、腎不全のリスクが最も高く、5年死亡率は約40%である。糖尿病(38%)及び高血圧(25%)は、後期及び末期腎疾患の主な原因である。最も一般的なCKDである糖尿病性腎疾患は、診断から10年以内に2型糖尿病患者の約25%に生じる。レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系阻害剤、すなわち、アンジオテンシン変換酵素阻害剤若しくはアンジオテンシン受容体遮断薬の標準治療、又はSGLT2阻害剤の最近の導入にもかかわらず、ほとんどの「リスクのある」患者又は不十分な反応者は、依然として末期腎疾患に進行する。米国だけでも、年間100,000人を超える患者が透析に進んでいる。透析中の患者の70%が5年以内に死亡する。
【0005】
後期CKD患者における腎臓保護又は機能回復によって末期腎疾患を予防又は治療する療法に対する医学的必要性は、非常に高いままである。
【0006】
腎臓において、糸球体足細胞及び尿細管上皮細胞によって作られる血管内皮増殖因子A(VEGFA)は、糸球体の完全性、腎臓の微小血管系、及び機能を維持するのに不可欠である。CKD患者において、患者の腎生検のmRNAマイクロアレイ分析は、減少したVEGFA発現を示し、糸球体及び尿細管間質におけるVGFA発現のレベルは、eGFR、タンパク尿又は血管希薄化と相関する(Bortoloso,Del Prete et al.2004,Martini,Nair et al.2014,Pan,Jiang et al.2018)。健康な腎臓において、局所的に生成されたVEGFA、VEGFR2を介したシグナル伝達は、内皮の健康を保護する糸球体濾過バリアを促進する。CKDにおいて、VEGFA欠損は、そのデコイ受容体VEGFR1による隔離と共に、VEGFR2シグナル伝達の抑制をもたらす。抗VEGFR1遮断抗体は、VEGFA隔離を遮断し、局所VEGFA利用可能性を増加させ、内皮保護、糸球体濾過バリアの保存及び腎機能回復を可能にするために開発された。
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、VEGFR1の配列番号173内のエピトープに結合し、VEGFAのVEGFR1への結合を防止する単離された抗体又はその抗原結合断片が提供される。
【0008】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、アミノ酸配列FPLDTL(配列番号143)又はEIGL(配列番号144)を有するVEGFR1上のエピトープにVEGFR1を結合する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、アミノ酸配列FPLDTL(配列番号143)及びEIGL(配列番号144)を有するVEGFR1上のエピトープにVEGFR1を結合する。
【0009】
いくつかの実施形態では、単離された抗体又はその抗原結合断片が、ヒト、マウス、ラット及び/又はカニクイザルVEGFR1に結合する。
【0010】
いくつかの実施形態では、単離された抗体又はその抗原結合断片が、ヒトVEGFR1に結合する。いくつかの実施形態では、単離された抗体又はその抗原結合断片が、ヒトVEGFR1並びにカニクイザル、マウス及びラットからなる群より選択される少なくとも1つの種に由来するVEGFR1に結合する。いくつかの実施形態では、単離された抗体又はその抗原結合断片が、ヒトVEGFR1並びにカニクイザル、マウス及びラットからなる群から選択される少なくとも2つの種に由来するVEGFR1に結合する。いくつかの実施形態では、単離された抗体又はその抗原結合断片が、ヒト、カニクイザル、マウス及びラットVEGFR1に結合する。
【0011】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片が、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用することで決定される、6×10-8M以下、特に1×10-8M以下、より具体的には5×10-9M以下、1×10-9M以下、5×10-10M以下、又は1×10-10M以下のKDで、ヒトVEGFR1、マウスVEGFR1、及びカニクイザルVEGFR1に結合する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本出願の単離された抗体又はその抗原結合断片が、配列番号31、33、34、36、38又は39のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)の重鎖相補性決定領域(HCDR)を有するVHと、配列番号32、35、37又は40のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)の軽鎖相補性決定領域(LCDR)を有するVLと、を含む。
【0013】
特定の実施形態では、単離された抗体又はその抗原結合断片が、
a.配列番号31のアミノ酸配列を有するVHのHCDR、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、
b.配列番号33のアミノ酸配列を有するVHのHCDR、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、
c.配列番号34のアミノ酸配列を有するVHのHCDR、及び配列番号35のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、
d.配列番号36のアミノ酸配列を有するVHのHCDR、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、
e.配列番号38のアミノ酸配列を有するVHのHCDR、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、又は
f.配列番号39のアミノ酸配列を有するVHのHCDR、及び配列番号40のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、を含む。
【0014】
本明細書では、単離された抗体又はその抗原結合断片が提供され、単離された抗体又はその抗原結合断片は、
それぞれ配列番号7、175、9、10、11、及び12、
それぞれ配列番号7、8、9、10、11、及び12、
それぞれ配列番号13、14、15、16、17、及び18、
それぞれ配列番号19、20、21、22、23、及び24、
それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30、
それぞれ配列番号71、176、73、74、75、及び76、
それぞれ配列番号71、72、73、74、75、及び76、
それぞれ配列番号77、78、79、80、81、及び82、
それぞれ配列番号83、84、85、86、87、及び88、
それぞれ配列番号89、90、91、92、93、及び94、
それぞれ配列番号95、177、97、98、99、及び100、
それぞれ配列番号95、96、97、98、99、及び100、
それぞれ配列番号101、102、103、104、105、及び106、
それぞれ配列番号107、108、109、110、111、及び112、
それぞれ配列番号113、114、115、116、117、及び118、
それぞれ配列番号119、178、121、122、アミノ酸配列LNS、及び配列番号124、
それぞれ配列番号119、120、121、122、アミノ酸配列LNS、及び配列番号124、
それぞれ配列番号125、126、127、128、アミノ酸配列FNF、及び配列番号130、
それぞれ配列番号131、132、133、134、アミノ酸配列YD、及び配列番号136、又は
それぞれ配列番号137、138、139、140、アミノ酸配列FNS、及び配列番号142、
のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体又はその抗原結合断片は、VEGFR1に結合する。
【0015】
本開示は更に、VEGFR1に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
配列番号31のVH及び配列番号32のVL、
配列番号33のVH及び配列番号32のVL、
配列番号34のVH及び配列番号35のVL、
配列番号36のVH及び配列番号37のVL、
配列番号38のVH及び配列番号37のVL、又は
配列番号39のVH及び配列番号40のVL、を含む。
【0016】
本開示は更に、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、配列番号39のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVHと配列番号40のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLとを含む。
【0017】
本開示は更に、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、配列番号31のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVHと配列番号32のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLとを含む。
【0018】
本開示は更に、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、配列番号33のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVHと配列番号32のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLとを含む。
【0019】
本開示は更に、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、配列番号34のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVHと配列番号35のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLとを含む。
【0020】
本開示は更に、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、配列番号36のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVHと配列番号37のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLとを含む。
【0021】
本開示は更に、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、配列番号38のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVHと配列番号37のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLとを含む。
【0022】
本開示は更に、VEGFR1に結合し、配列番号51、52、53、54、55、56、57、58、59、及び60からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0023】
本開示は更に、VEGFR1に結合し、配列番号51又は52のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0024】
本開示は更に、VEGFR1に結合し、配列番号53又は52のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0025】
本開示は更に、VEGFR1に結合し、配列番号54又は55のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0026】
本開示は更に、VEGFR1に結合し、配列番号56又は57のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0027】
本開示は更に、VEGFR1に結合し、配列番号58又は57のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0028】
本開示は更に、VEGFR1に結合し、配列番号59又は60のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0029】
いくつかの実施形態では、本出願の単離された抗体は、
a.配列番号51のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号52のアミノ酸配列を含むLC、
b.配列番号53のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号52のアミノ酸配列を含むLC、
c.配列番号54のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号55のアミノ酸配列を含むLC、
d.配列番号56のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号57のアミノ酸配列を含むLC、
e.配列番号58のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号57のアミノ酸配列を含むLC、又は
f.配列番号59のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号60のアミノ酸配列を含むLC、を含む。
【0030】
本開示は更に、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
それぞれ配列番号7、175、9、10、11、及び12のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
配列番号31のVH及び配列番号32のVL、並びに/又は
配列番号51のHC及び配列番号52のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片、を含む。
【0031】
本開示は更に、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
それぞれ配列番号7、8、9、10、11、及び12のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
配列番号33のVH及び配列番号32のVL、並びに/又は
配列番号53のHC及び配列番号52のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片。
【0032】
本開示は更に、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
それぞれ配列番号13、14、15、16、17、及び18のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
配列番号34のVH及び配列番号35のVL、並びに/又は
配列番号54のHC及び配列番号55のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片、を含む。
【0033】
本開示は更に、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
それぞれ配列番号19、20、21、22、23、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
配列番号36のVH及び配列番号37のVL、並びに/又は
配列番号56のHC及び配列番号57のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片、を含む。
【0034】
本開示は更に、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
それぞれ配列番号19、20、21、22、23、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
配列番号38のVH及び配列番号37のVL、並びに/又は
配列番号58のHC及び配列番号57のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片、を含む。
【0035】
本開示は更に、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
配列番号39のVH及び配列番号40のVL、並びに/又は
配列番号59のHC及び配列番号60のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片、を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、単離された抗体又はその抗原結合断片が、半減期延長部分にコンジュゲートされる。任意選択で、半減期延長部分は、免疫グロブリン(immunoglobulin、Ig)、Igの断片、Ig定常領域、Ig定常領域の断片、Fc領域、トランスフェリン、アルブミン、アルブミン結合ドメイン、又はポリエチレングリコールである。任意選択で、Ig定常領域の断片は、Fc領域を含む。任意選択で、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、Ig定常領域又はIg定常領域の断片のC末端にコンジュゲートされる。
【0037】
任意選択で、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプである。任意選択で、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、IgG1アイソタイプである。任意選択で、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、IgG4アイソタイプである。任意選択で、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、タンパク質のFcγ受容体(Fcγ receptor、FcγR)への低減された結合をもたらす少なくとも1つの変異を含む。任意選択で、FcγRへの低減された結合をもたらす少なくとも1つの変異は、F234A/L235A、L234A/L235A、L234A/L235A/D265S、V234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、F234A/L235A、S228P/F234A/L235A、N297A、V234A/G237A、K214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D365E/L358M、H268Q/V309L/A330S/P331S、S267E/L328F、L234F/L235E/D265A、L234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S、S228P/F234A/L235A/G237A/P238S、及びS228P/F234A/L235A/G236欠失/G237A/P238Sからなる群から選択され、残基番号付けはEUインデックスに従う。任意選択で、FcγRへのタンパク質の結合の低減をもたらす変異は、L234A_L235A_D265Sである。任意選択で、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、タンパク質の半減期を調節する少なくとも1つの変異を含む。任意選択で、タンパク質の半減期を調節する少なくとも1つの変異は、H435A、P257I/N434H、D376V/N434H、M252Y/S254T/T256E/H433K/N434F、T308P/N434A、及びH435Rからなる群から選択され、残基番号付けは、EUインデックスに従う。
【0038】
本開示は更に、治療剤又はイメージング剤にコンジュゲートされた単離された抗体又はその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートを提供する。
【0039】
本発明は更に、VEGFR1に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片と、医薬的に許容される担体と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0040】
本開示は更に、VEGFR1に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0041】
任意選択で、VEGFR1に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドは、配列番号41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、61、62、63、74、65、66、67、68、69、又は70のポリヌクレオチド配列を含む。
【0042】
任意選択で、VEGFR1に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドは、配列番号41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、61、62、63、64、65、66、67、68、69、又は70のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるポリヌクレオチドを含む。
【0043】
本開示はまた、本開示のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0044】
本発明は更に、本開示のポリヌクレオチド又はベクターを含む、宿主細胞を提供する。
【0045】
本開示は更に、単離された抗体若しくはその抗原結合断片を発現し、及び/又は本開示のポリヌクレオチド若しくはベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0046】
本開示は更に、それを必要とする被検者においてVEGFAのVEGFR1への結合を防止する方法であって、本開示の単離された抗体若しくはその抗原結合断片のいずれか、本開示のイムノコンジュゲートのいずれか、本開示の医薬組成物のいずれか、本開示の単離されたポリヌクレオチド若しくはベクターのいずれか、又は本開示の宿主細胞のいずれかの有効量を被検者に投与し、それによってVEGFAのVEGFR1への結合を防止することを含む方法を提供する。
【0047】
本開示は更に、被検者における慢性腎疾患(CKD)を治療し、その進行を遅延させる方法であって、本開示の単離された抗体若しくはその抗原結合断片のいずれか、本開示のイムノコンジュゲートのいずれか、又は本開示の医薬組成物のいずれか、本開示の単離されたポリヌクレオチド若しくはベクターのいずれか、又は本開示の宿主細胞のいずれか、の治療有効量を、CKDを治療するのに十分な時間にわたり、被検者に投与することを含む方法を提供する。任意選択で、被検者は、進行した4期又は5期の慢性腎疾患を有する。任意選択で、被検者は、初期慢性腎疾患を有する。
【0048】
本開示は更に、本開示の単離された抗体若しくはその抗原結合断片のいずれか、本開示のイムノコンジュゲートのいずれか、本開示の医薬組成物のいずれか、本開示の単離されたポリヌクレオチド若しくはベクターのいずれか、又は本開示の宿主細胞のいずれか、を含むキットを提供する。
【0049】
本開示は更に、それを必要とする被検者においてCKDを治療する方法であって、本開示の単離された抗体若しくはその抗原結合断片のいずれか、本開示のイムノコンジュゲートのいずれか、本開示の医薬組成物のいずれか、本開示の単離されたポリヌクレオチド若しくはベクターのいずれか、又は本開示の宿主細胞のいずれか、の治療有効量を、被検者においてタンパク尿を減少させるのに十分な時間にわたり、被検者に投与することを含む方法を提供する。
【0050】
本開示は更に、それを必要とする被検者においてタンパク尿を減少させる方法であって、本開示の単離された抗体若しくはその抗原結合断片のいずれか、本開示のイムノコンジュゲートのいずれか、本開示の医薬組成物のいずれか、本開示の単離されたポリヌクレオチド若しくはベクターのいずれか、又は本開示の宿主細胞のいずれか、の治療有効量を、被検者においてタンパク尿を減少させるのに十分な時間にわたり、被検者に投与することを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
上述の「発明の概要」及び以降の「発明を実施するための形態」は、添付の図面と併せて読むことでより良好に理解されるであろう。本発明は、図面に示される正確な実施形態に限定されない点を理解する必要がある。
図1】種々の種由来のVEGFR1(ドメイン2-ドメイン3)のリガンド結合領域のアミノ酸配列アラインメントを示す。ヒト配列と同一の残基をドットで示す。同一でない残基を明示的に示す。図1は、出現順に配列番号179~184をそれぞれ開示する。
図2】ヒト、カニクイザル、及びマウスVEGFR1に対するVEGFR1抗体(VGFB54、VGFB71、VGFB78及びVGFB82)の種交差反応性を示すが、VEGFR2又はVEGFR3よりもVEGFR1に対する特異性を保持する、代表的なFACS結合データを示す。ヒトVEGR1、カニクイザルVEGFR1、マウスVEGFR1、ヒトVEGFR2、及びヒトVEGFR3は、細胞の表面上で過剰発現された。該当VEGFRタンパク質を過剰発現する細胞株を用いて、平均蛍光強度をプロットする。
図3】VGFB78 VHの105位におけるグルタミン(Q)と比較したSHMロイシン(L)の相対頻度の評価を示す。
図4A】VEGFR1(VGFW1)に対する4つの抗VEGFR1抗体(VGFB54、VGFB71、VGFB78及びVGFB82)の重鎖可変ドメインのパラトープマップを示す。図4Aは、出現順に配列番号31、34、36及び39をそれぞれ開示する。
図4B】VEGFR1(VGFW1)に対する4つの抗VEGFR1抗体軽鎖(VGFB54、VGFB71、VGFB78及びVGFB82)の軽鎖可変ドメインのパラトープマップを示す。強調された残基は、IMTG描写に基づくHCDR及びLCDRを表す。VEGFR1への結合時に-1.0kcal/mol以下の自由エネルギー変化を有する残基は、スケールに示されるように、中灰色から暗灰色への勾配色で示される。VEGFR1への結合時に安定化されなかった残基は、明灰色で示された。交換が速すぎるか又は遅すぎて結合時の摂動が見られない残基を灰色で示す。色のない残基は、残基をカバーするペプチドが存在しないか、又は残基がペプチドの最初の2つの残基であるため、HDX挙動がモニタされなかったことを示す。図4Bは、出現順に配列番号32、35、37及び40をそれぞれ開示する。
図5】カニクイザルにおける単回IV/SC投与後の経時的な総VGFB54及び遊離VGFB54の血漿濃度(ng/mL)を示す。
図6】カニクイザルにおける単回IV/SC投与後の経時的な総VGFB78及び遊離VGFB78の血漿濃度(ng/mL)を示す。
図7】カニクイザルにおける単回IV/SC投与後の経時的な総VGFB82及び遊離VGFB82の血漿濃度(ng/mL)を示す。
図8】カニクイザルにおける単回IV/SC投与後の経時的な総VGFB80及び遊離VGFB80の血漿濃度(ng/mL)を示す。
図9】カニクイザルにおけるVGFB54の単回IV/SC投与後の経時的な総PlGF血漿濃度(pg/mL)を示す。
図10】カニクイザルにおけるVGFB78の単回IV/SC投与後の経時的な総PlGF血漿濃度(pg/mL)を示す。
図11】カニクイザルにおけるVGFB82の単回IV/SC投与後の経時的な総PlGF血漿濃度(pg/mL)を示す。
図12】カニクイザルにおけるVGFB80の単回IV/SC投与後の経時的な総PlGF血漿濃度(pg/mL)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
定義
本開示の単離抗VEGFR1抗体、その抗原結合断片、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、組成物、キット、及び方法は、本開示の一部を形成する添付図面に関してなされる以下の詳細な説明を参照することで、より容易に理解することができる。開示される抗体、抗原結合ドメイン、抗体断片、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、組成物、キット及び方法は、本明細書に具体的に記載及び/又は図示した単離された抗体、抗原結合ドメイン、抗体断片、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、組成物、キット及び方法に限定されず、また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を例によって説明するためだけのものであり、特許請求される抗体、抗原結合ドメイン、抗体断片、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、組成物、キット及び方法を限定することを意図しないことを理解されたい。
【0053】
別段の具体的な指定がない限り、可能な機序若しくは作用様式、又は改善のための理由についてのあらゆる記載は、説明のみを意図したものであり、開示される抗体、抗原結合ドメイン、抗体断片、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、組成物、キット及び方法は、いかなるかかる提案された機序若しくは作用様式、又は改善のための理由の是非によっても制限されない。
【0054】
本明細書通して、説明は、抗体、その抗原結合断片、及び抗原結合ドメインを使用する方法に言及する。本開示が抗原結合ドメインに関連する特徴又は実施形態について説明する、又は特許請求する場合、かかる特徴又は実施形態は、抗原結合ドメインの使用法にも等しく適用可能である。同様に、本開示が抗原結合ドメインの使用法に関連する特徴又は実施形態について説明する、又は特許請求する場合、かかる特徴又は実施形態は、抗原結合ドメインにも等しく適用可能である。
【0055】
数値の範囲が本明細書で列挙又は確立される場合、この範囲は、その端点、並びにその範囲内の全ての個々の整数及び有理数を含み、更に、これらの端点及び内部整数及び有理数の全ての種々の可能な組み合わせによって形成される、その中のより狭い範囲のそれぞれを含み、それらのより狭い範囲のそれぞれが明示的に列挙されたかのように、記載の範囲内の値のより大きい群の小群を形成する。数値の範囲が、記載される値よりも大きいと本明細書に記載される場合、その範囲はそれにもかかわらず有限であり、本明細書に記載される本発明の文脈内で動作可能である値によって、その上限が画定される。数値の範囲が、記載される値よりも小さいと本明細書に記載される場合、その範囲は、それにもかかわらず、ゼロでない値によって、その下限が画定される。本発明の範囲が、範囲を定義する際に列挙される特定の値に限定されることを意図しない。範囲はいずれも境界値を含み、組み合わせが可能である。
【0056】
値が、先行詞「約」を用いて近似値として表現される場合、その特定の値は、別の実施形態を形成すると、理解されたい。特定の数値に関する言及は、文脈上その他に明記されない限り、少なくともその特定の値を含むものとする。
【0057】
別個の実施形態に照らして明確にするために本明細書に記載される、本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わされて提供されてもよいことが理解される。すなわち、明白に不適合であるか又は具体的に除外されない限り、各個々の実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせ可能であるとみなされ、このような組み合わせは、別の実施形態であるとみなされる。逆に、単一の実施形態に照らして簡潔にするために記載される本発明の異なる特徴は、別々に又は任意の部分的組み合わせとして提供されてもよい。最後に、実施形態は、一連の工程の一部として又はより全般的な構造の一部として記載されてもよいが、その各工程は、他と組み合わせ可能である、独立する実施形態であるとみなされてもよい。
【0058】
特別な記述がない限り、動作に関する可能なメカニズム又は形態、あるいは改善の理由についての記載は、説明のみを意図したものであり、本開示の方法は、提案されている動作に関するメカニズム又は形態、あるいは改善の理由の是非によって制限されない。
【0059】
本明細書の態様に関する様々な用語が、本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される。別段の指示がない限り、このような用語には、当該技術分野におけるそれらの通常の意味が与えられるものとする。他の具体的に定義される用語は、本明細書で提供される定義と一致する様式で解釈されるものとする。
【0060】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、その内容に別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「細胞(a cell)」という言及には、2つ又は3つ以上の細胞の組み合わせ等が含まれる。
【0061】
移行句「備える/含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting of)」は、特許用語において一般的に受け入れられている意味を含意することを意図している、すなわち、(i)「備える/含む(comprising)」は、「含む」、「含有する」、又は「特徴とする」と同義であり、包括的又は非制限的なものであり、その他の列挙されていない要素又は方法工程を除外するものではなく、(ii)「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲において指定されていない、あらゆる要素、工程、又は成分を除外し、かつ、(iii)「から本質的になる(consisting essentially of)」は、指定の材料又は工程、及び特許請求される開示の「基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を与えないもの」に、特許請求の範囲の範囲を制限する。「備える/含む」という語句(又はその同義語)を伴って記載される実施形態はまた、「からなる」及び「から本質的になる」を伴って独立して記載される実施形態として提供する。「から本質的になる」という語句(又はその同義語)を伴って記載される実施形態は更に、「からなる」を伴って独立して記載される実施形態として提供する。
【0062】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、語句「並びにその断片」は、リストに付け加えられている場合、関連するリストのうちの1つ以上のメンバーの断片を含む。リストは、一例として、語句「ペプチドA、B、及びC、並びにその断片からなる群」が、A、B、C、Aの断片、Bの断片、及び/又はCの断片を含むマーカッシュ群を指定又は列挙するように、マーカッシュ群を含み得る。
【0063】
「単離された(Isolated)」とは、組換え細胞などにおける分子が産生される系のその他の成分から離して実質的に分離及び/又は精製された分子の均質な集団(例えば、合成ポリヌクレオチド又はポリペプチド)、並びに少なくとも1つの精製工程又は単離工程に供されたタンパク質を指す。「単離された」とは、その他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含まない分子を指し、より高い純度、例えば80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の純度まで単離された分子を包含する。
【0064】
「ポリヌクレオチド」とは、糖-リン酸骨格鎖又は他の同等の共有結合化学によって共有結合されたヌクレオチド鎖を含む、合成分子を指す。cDNAは、ポリヌクレオチドの典型例である。
【0065】
「ポリペプチド」又は「タンパク質」とは、ペプチド結合によって連結されてポリペプチドを形成する少なくとも2つのアミノ酸残基を含む、分子を指す。50個未満のアミノ酸からなる小分子ポリペプチドは、「ペプチド」と称され得る。
【0066】
本明細書で使用される場合、「Tagg」は、タンパク質が二量体化又はオリゴマー化のいずれかによって凝集し始める温度を指す。凝集温度は、凝集の開始を検出し、タンパク質が凝集する傾向を示す温度である。Taggは、示差走査熱量測定(DSC)、示差走査蛍光測定(DSF)、又は円二色性(CD)によって測定することができる。これらの技術は、タンパク質のコンホメーションの小さな変化を検出することができ、したがって凝集の開始点を検出することができる。Tagg値は、Tmよりも低くても高くてもよい。TaggがTmよりも低い場合、タンパク質は、最初に二量体化及び/又はオリゴマー化し、次いで、Taggよりも高い温度で後にアンフォールディングを開始する。TaggがTmよりも高い場合、タンパク質は最初にアンフォールディングし始め、次いでTmよりも高い温度で凝集する。いずれの事象も、一般に観察され、アミノ酸組成及びタンパク質コンホメーションに依存する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「Tm」又は「中間点温度」は、熱変性曲線の温度中間点である。これは、アミノ酸配列の50%がその自然のコンホメーションにあり、他の50%が変性されている温度を指す。熱変性曲線は、典型的には温度の関数としてプロットされる。Tmは、タンパク質の安定性を測定するために使用される。概して、より高いTmは、より安定なタンパク質の指標である。Tmは、当業者に周知の方法、例えば、円偏光二色性分光法、示差走査熱量測定、示差走査蛍光測定(内因性及び外因性色素ベースの両方)、UV分光法、FT-IR及び等温熱量測定(ITC)を用いて容易に測定することができる。
【0068】
「相補性決定領域(CDR)」とは、抗原に結合する抗体の領域である。VHには3つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3)が存在し、VLには3つのCDR(LCDR1、LCDR2、LCDR3)が存在する。CDRは、Kabat(Wu et al.(1970)J Exp Med 132:211-50、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)、Chothia(Chothia et al.(1987)J Mol Biol 196:901-17)、IMGT(Lefranc et al.(2003)Dev Comp Immunol 27:55-77)、及びAbM(Martin and Thornton J Bmol Biol 263:800-15,1996)などの様々な記述を使用して定義することができる。様々な記述と可変領域の付番との間の対応関係が記載されている(例えば、Lefranc et al.(2003)Dev Comp Immunol 27:55-77、Honegger and Pluckthun(2001),J Mol Biol 309:657-70;International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース、World Wide Web:imgt.org)。UCL Business PLCによるabYsisなどの利用可能なプログラムを使用して、CDRを記述することができる。本明細書で使用される場合、「CDR」、「HCDR1」、「HCDR2」、「HCDR3」、「LCDR1」、「LCDR2」、及び「LCDR3」という用語は、明細書で別途明示的に記載のない限り、上述したKabat、Chothia、IMGT、又はAbMの方法のいずれかにより定義されるCDRを含む。例えば、Kabat番号付け及びIMGT固有の番号付けシステムを含む番号付けシステム間の対応関係は、当業者に周知である(例えば、上記のKabat、上記のChothia、上記のMartin、上記のLefrancらを参照されたい)。
【0069】
【表1】
【0070】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する重鎖ドメイン又は軽鎖ドメインを指す。重鎖又は軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH及びVL)は、4つのフレームワーク領域(FR)及び3つの相補性決定領域(CDR)を含む。
【0071】
「被検者」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」としては、あらゆる脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの哺乳類及び非哺乳類が挙げられる。「被検者」及び「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0072】
「キット」及び「製造物品」という用語は、同義語として使用される。
【0073】
本明細書に引用される、特許及び特許出願を含むがそれらに限定されない全ての刊行物は、完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
VEGFR1に結合する抗体
本開示は、単離された抗VEGFR1抗体及びその抗原結合断片に関する。「単離された抗体」、「その抗原結合断片」及び「抗VEGFR1抗体」という用語などは、互換的に使用され、VEGFR1に結合し、VEGFR1に特異的に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む抗体を指す。
【0075】
本開示の抗体は、VEGFR1への高親和性結合、VEGFR1へのVEGFA結合の遮断、及び慢性腎疾患(CKD)を治療する能力を含み、これらに限定されない、1つ以上の機能的特性を有する。いくつかの実施形態では、本発明は、VEGFR1に特異的に結合する単離された抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0076】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、広義の意味を有し、モノクローナル抗体(マウス、ヒト、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体を含む)、抗原結合断片、二重特異性、三重特異性、四重特異性などの多重特異性抗体、二量体、四量体、又は多量体抗体、一本鎖抗体、ドメイン抗体、並びに必要とされる特異性の抗原結合部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された形態を含む免疫グロブリン分子を含む。抗体という用語は、完全長抗体、全抗体、インタクトな抗体、抗体断片、抗原結合断片及び抗原結合ドメインを含む。
【0077】
一般に、抗体は、特定の抗原に対する結合特異性を示すタンパク質又はペプチド鎖である。抗体の構造は、周知である。免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて5つの主なクラス(すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM)に割り当てることができる。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。したがって、本発明の抗体は、5つの主要なクラス又は対応する下位クラスのいずれかのものであることができる。好ましくは、本発明の抗体はIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4である。脊椎動物種の抗体軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて2つの明確に異なるタイプ、すなわちカッパ及びラムダのうちの一方に割り当てることができる。したがって、本発明の抗体は、κ又はλ軽鎖定常ドメインを含有することができる。いくつかの実施形態によれば、本発明の抗体は、ラット又はヒト抗体由来の重鎖及び/又は軽鎖定常領域を含む。重定常ドメイン及び軽定常ドメインに加えて、抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域からなる抗原結合領域を含有し、これらのそれぞれは3つのドメイン(すなわち相補性決定領域1~3、CDR1、CDR2、及びCDR3)を含有する。軽鎖可変領域ドメインは、代替的にLCDR1、LCDR2、及びLCDR3と称され、重鎖可変領域ドメインは、代替的にHCDR1、HCDR2、及びHCDR3と称される。
【0078】
本明細書で使用するとき、用語「単離された抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、VEGFR1に特異的に結合する単離された抗体は、VEGFR1に結合しない抗体を実質的に含まない)。加えて、単離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まない。「単離抗体」は、純度が80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の抗体など、高純度に単離された抗体を包含する。
【0079】
本明細書で使用するとき、用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、微量に存在する可能性のある自然発生変異を除いて同一である。本発明のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、ファージディスプレイ技術、単一リンパ球遺伝子クローニング技術、又は組換えDNA法によって作製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、トランスジェニック非ヒト動物、例えば、トランスジェニックマウス又はラットから得られるB細胞を含むハイブリドーマによって生成され得、ヒト重鎖導入遺伝子及び軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する。
【0080】
本明細書で使用される場合、「VEGFR1」又は「VEGFR-1」は、血管内皮増殖因子受容体1と呼ばれる公知のタンパク質を指す。VEGFR1は、FLT1遺伝子によってコードされる。特定されない限り、本明細書で使用される場合、VEGFR1は、ヒトVEGFR1を指す。ヒトVEGFR1のアミノ酸配列は、Uniprot(アクセッション番号P17948)から検索可能である。完全長ヒトVEGFR1のアミノ酸配列を配列番号170に示す。VEGFR1の配列は、7つの免疫グロブリン(Ig)様モチーフを含む細胞外リガンド結合ドメイン(アミノ酸残基27~758)からなる(ドメインD1-ドメインD7:D1残基32~123、D2残基151~214、D3残基230~327、D4残基335~421、D5残基428~553、D6残基556~654、D7残基661~747)、キナーゼインサート(アミノ酸残基827~1158)によって分割されたキナーゼドメインを含む単一膜貫通ドメイン及び細胞質ドメイン、並びにカルボキシル末端を含む。ヒトVEGFR1 D2ドメインのアミノ酸配列は、配列番号171に示される。ヒトVEGFR1 D3ドメインのアミノ酸配列は、配列番号172に示される。ヒトVEGFR1 D2-D3ドメインのアミノ酸配列は、配列番号173に示される。VEGFR1は、膜受容体及び可溶性タンパク質の両方として産生される。可溶性VEGFR1は、この因子に結合し、その膜受容体との相互作用を防止することによって、VEGFAの活性の負の調節因子として作用する。
【0081】
配列番号170、ヒトVEGFR1(Uniprotアクセッション番号P17948)
MVSYWDTGVLLCALLSCLLLTGSSSGSKLKDPELSLKGTQHIMQAGQTLHLQCRGEAAHKWSLPEMVSKESERLSITKSACGRNGKQFCSTLTLNTAQANHTGFYSCKYLAVPTSKKKETESAIYIFISDTGRPFVEMYSEIPEIIHMTEGRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHLYKTNYLTHRQTNTIIDVQISTPRPVKLLRGHTLVLNCTATTPLNTRVQMTWSYPDEKNKRASVRRRIDQSNSHANIFYSVLTIDKMQNKDKGLYTCRVRSGPSFKSVNTSVHIYDKAFITVKHRKQQVLETVAGKRSYRLSMKVKAFPSPEVVWLKDGLPATEKSARYLTRGYSLIIKDVTEEDAGNYTILLSIKQSNVFKNLTATLIVNVKPQIYEKAVSSFPDPALYPLGSRQILTCTAYGIPQPTIKWFWHPCNHNHSEARCDFCSNNEESFILDADSNMGNRIESITQRMAIIEGKNKMASTLVVADSRISGIYICIASNKVGTVGRNISFYITDVPNGFHVNLEKMPTEGEDLKLSCTVNKFLYRDVTWILLRTVNNRTMHYSISKQKMAITKEHSITLNLTIMNVSLQDSGTYACRARNVYTGEEILQKKEITIRDQEAPYLLRNLSDHTVAISSSTTLDCHANGVPEPQITWFKNNHKIQQEPGIILGPGSSTLFIERVTEEDEGVYHCKATNQKGSVESSAYLTVQGTSDKSNLELITLTCTCVAATLFWLLLTLFIRKMKRSSSEIKTDYLSIIMDPDEVPLDEQCERLPYDASKWEFARERLKLGKSLGRGAFGKVVQASAFGIKKSPTCRTVAVKMLKEGATASEYKALMTELKILTHIGHHLNVVNLLGACTKQGGPLMVIVEYCKYGNLSNYLKSKRDLFFLNKDAALHMEPKKEKMEPGLEQGKKPRLDSVTSSESFASSGFQEDKSLSDVEEEEDSDGFYKEPITMEDLISYSFQVARGMEFLSSRKCIHRDLAARNILLSENNVVKICDFGLARDIYKNPDYVRKGDTRLPLKWMAPESIFDKIYSTKSDVWSYGVLLWEIFSLGGSPYPGVQMDEDFCSRLREGMRMRAPEYSTPEIYQIMLDCWHRDPKERPRFAELVEKLGDLLQANVQQDGKDYIPINAILTGNSGFTYSTPAFSEDFFKESISAPKFNSGSSDDVRYVNAFKFMSLERIKTFEELLPNATSMFDDYQGDSSTLLASPMLKRFTWTDSKPKASLKIDLRVTSKSKESGLSDVSRPSFCHSSCGHVSEGKRRFTYDHAELERKIACCSPPPDYNSVVLYSTPPI
【0082】
配列番号171(Ig様D2ドメイン)
GRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGH
【0083】
配列番号172(Ig様D3ドメイン)
IDVQISTPRPVKLLRGHTLVLNCTATTPLNTRVQMTWSYPDEKNKRASVRRRIDQSNSHANIFYSVLTIDKMQNKDKGLYTCRVRSGPSFKSVNTSVH
【0084】
配列番号173(Ig様D2-D3)
GRELVIPCRVTSPNITVTLKKFPLDTLIPDGKRIIWDSRKGFIISNATYKEIGLLTCEATVNGHIDVQISTPRPVKLLRGHTLVLNCTATTPLNTRVQMTWSYPDEKNKRASVRRRIDQSNSHANIFYSVLTIDKMQNKDKGLYTCRVRSGPSFKSVNTSVH
【0085】
「特異的に結合する(specifically binds)」、「特異的結合(specific binding)」、「特異的に結合している(specifically binding)」、又は「結合する(binds)」とは、タンパク質性分子が、抗原又は抗原内のエピトープに、その他の抗原に対する親和性よりも高い親和性で結合することを指す。典型的には、タンパク質性分子は、約1×10-7M以下、例えば約5×10-8M以下、約1×10-8M以下、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、又は約1×10-12M以下の平衡解離定数(K)で抗原又は抗原内のエピトープに結合し、典型的には、Kは、非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合についてのKよりも少なくとも100倍小さい。「K」という用語は、Kd対Ka(すなわち、Kd/Ka)の比から得られ、モル濃度(M)として表される解離定数を指す。抗体のK値は、本開示を考慮して当該技術分野における方法を用いて決定することができる。例えば、抗体のKは、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用することによって、例えば、Biacore(登録商標)システムのバイオセンサシステムを使用することなどによって、又はOctet RED96システムなどのバイオレイヤインターフェロメトリー技術を使用することによって、求めることができる。抗体のKの値が小さいほど、抗体が標的抗原に結合する親和性が高い。
【0086】
本明細書で使用される場合、「VEGFR1に結合する」又は「VEGFR1に特異的に結合する」抗体は、1×10-7M以下、好ましくは、1×10-8M以下、より好ましくは5×10-9M以下、1×10-9M以下、5×10-10M以下、又は1×10-10M以下のKで、VEGFR1、好ましくはヒトVEGFR1に結合する抗体を指す。
【0087】
いくつかの実施形態では、「VEGFR1に結合する」又は「VEGFR1に特異的に結合する」抗体又はその抗原結合断片は、1×10-7M以下のKでVEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片を指す。特定の実施形態において、抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片は、好ましくは1×10-8M以下、より好ましくは5×10-9M以下、1×10-9M以下、5×10-10M以下、又は1×10-10M以下のKで、ヒトVEGFR1に特異的に結合する。
【0088】
本開示の抗VEGFR1抗体は、全抗体、VEGFR1に特異的に結合する抗体断片、及びVEGFR1に特異的に結合するその抗原結合断片を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、本開示の抗VEGFR1抗体は、全抗体又は全長抗体、Fv断片、一本鎖scFv断片(scFv)、Fab、F(ab)、又は一本鎖抗体を含む。いくつかの実施形態では、本開示の抗VEGFR1抗体は、全抗体又は全長抗体である。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示の抗VEGFR1抗体は、VEGFR1に特異的に結合する抗体断片又は抗原結合ドメインである。
【0091】
「全長抗体」、「全抗体」及び「インタクトな抗体」という用語は、本明細書において互換的に使用され、天然抗体に類似した構造を有する抗体を指す。「インタクト抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された、2本の重鎖(heavy chain、HC)及び2本の軽鎖(light chain、LC)、並びにこれらの多量体(例えばIgM)で構成される。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)、及び重鎖定常領域(ドメインCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3からなる)で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域(light chain constant region、CL)で構成される。VH領域及びVL領域は、フレームワーク領域(framework region、FR)が散在しており相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)と呼称される超可変領域に更に細分化され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で配置された、3つのCDR及び4つのFRセグメントで構成される。免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。どのような脊椎動物種の抗体軽鎖も、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に異なるタイプ、すなわち、カッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てることができる。
【0092】
本明細書で使用される場合、「抗体断片」及び「抗原結合断片」という用語は、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗原結合断片は、合成の、酵素的に入手可能な、又は遺伝子操作されたポリペプチドであってもよく、抗原に結合する免疫グロブリンの部分、例えば、VH、VL、VH及びVL、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd及びFv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)、二重特異性dsFv(dsFv-dsFv’)、ジスルフィド安定化ダイアボディ(dsダイアボディ)、一本鎖抗体分子(scFv)、単一ドメイン抗体(sdab)、scFv二量体(二価ダイアボディ)、1つ以上のCDRを含む抗体の一部から形成される多重特異性抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、1つのVHドメイン又は1つのVLドメインからなるドメイン抗体(dAb)、サメ可変IgNARドメイン、ラクダ化VHドメイン、VHHドメイン、抗体のCDRを模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位、例えば、FR3-CDR3-FR4部分、HCDR1、HCDR2及び/又はHCDR3並びにLCDR1、LCDR2及び/又はLCDR3、抗原に結合する代替足場、二価ドメイン抗体、抗原結合断片を含む多重特異性タンパク質、又は抗原に結合するが完全な抗体構造を含まない任意の他の抗体断片を含む。
【0093】
「dAb」又は「dAb断片」は、VHドメインで構成される抗体断片を指す(Ward et al.,Nature 341:544 546(1989))。
【0094】
「Fab」又は「Fab断片」は、VH、CH1、VL、及びCLドメインで構成される抗体断片を指す。
【0095】
「F(ab’)2」又は「F(ab’)2断片」は、ヒンジ領域内のジスルフィド架橋によって接続された2つのFab断片を含有する抗体断片を指す。
【0096】
「Fd」又は「Fd断片」は、VH及びCH1ドメインで構成される抗体断片を指す。
【0097】
「Fv」又は「Fv断片」は、抗体の単一のアーム由来のVHドメイン及びVLドメインで構成される抗体断片を指す。Fv断片は、Fab(CH1及びCL)領域の定常領域を欠いている。Fv断片におけるVH及びVLは、非共有結合性相互作用によって一緒に保持される。
【0098】
抗原結合断片(VH及びVLなど)は、合成リンカーを介して互いに連結して、VH/VLドメインが分子内又は分子間で対合して一価の抗原結合ドメイン、例えば一本鎖Fv(scFv)又はダイアボディを形成し得る、様々な種類の一本鎖抗体設計を形成してもよい。組換え発現系にて、リンカーはペプチドリンカーであり、任意の天然に存在するアミノ酸を含み得る。リンカーに含まれ得る例示的なアミノ酸は、Gly、Ser Pro、Thr、Glu、Lys、Arg、Ile、Leu、His、及びTheである。リンカーは、VEGFR1への結合などの所望の活性を保持するように、互いに対して正確な高次構造を形成するような方式でVH及びVLを連結させるのに適切である長さを有している必要がある。リンカーは、約5~50個のアミノ酸長であり得る。
【0099】
「一本鎖Fv」又は「scFv」は、軽鎖可変領域(VL)を含む少なくとも1つの抗体断片と、重鎖可変領域(VH)を含む少なくとも1つの抗体断片と、を含む融合タンパク質であり、VL及びVHは、ポリペプチドリンカーを介して連続的に連結され、一本鎖ポリペプチドとして発現することができる。本明細書で使用される場合、scFvは、VL及びVH可変領域を、例えばポリペプチドのN末端及びC末端を基準として、いずれの順序で有してもよく、scFvは、VL-リンカー-VHを含んでも、VH-リンカー-VLを含んでもよい。
【0100】
二価又は二価一本鎖可変断片(di-scFv、bi-scFv)は、2つのscFvを連結することによって操作され得る。「(scFv)」又は「タンデムscFv」又は「ビスscFv」断片は、2つの軽鎖可変領域(VL)及び2つの重鎖可変領域(VH)を含む融合タンパク質を指し、2つのVL領域及び2つのVH領域は、ポリペプチドリンカーを介して連続的に連結されており、一本鎖ポリペプチドとして発現することができる。2つのVL及び2つのVHは、ペプチドリンカーによって融合されて、二価分子VL-リンカー-VH-リンカー-VL-リンカー-VHを形成して、2つの異なる抗原又はエピトープに同時に結合することができる2つの結合部位を形成する。(scFv)2は、一本鎖ポリペプチドとして発現され得る。
【0101】
VEGFR1に結合する本明細書で同定されたVHドメイン及びVLドメインのいずれも、VH-リンカー-VL又はVL-リンカー-VH配向のいずれかのscFvフォーマットで遺伝子操作され得る。本明細書において同定されるVHドメイン及びVLドメインのいずれも、VH-リンカー-VL-リンカー-VL-リンカー-VH、VH-リンカー-VL-リンカー-VH-リンカー-VL、VH-リンカー-VH-リンカー-VL-リンカー-VL、VL-リンカー-VH-リンカー-VH-リンカー-VL、VL-リンカー-VH-リンカー-VL-リンカー-VH、又はVL-リンカー-VL-リンカー-VH-リンカー-VHなどのsc(Fv)構造を生成するために使用することができる。
【0102】
「ダイアボディ」は、それぞれがVH及びVLドメインを含有する2つの鎖から形成される二価の二量体である。鎖内の2つのドメインは、鎖内二量体化を促進するには短すぎるリンカーによって分離されており、頭-尾配置で二量体化する2つの鎖をもたらす。リンカーは、五量体グリシンリッチリンカー(G4S)であり得る。
【0103】
「VHH」は、重鎖の抗原結合ドメインで排他的に構成される単一ドメイン抗体又はナノボディを指す。VHH単一ドメイン抗体は、従来のFab領域の重鎖のCH1ドメイン及び軽鎖を欠いている。いくつかの実施形態では、本開示の抗VEGFR1抗体は、Fv断片、一本鎖scFv断片(scFv)、(scFv)、Fab、F(ab)、ダイアボディ、VHH、dAb、Fd、Fv、又は他の一本鎖抗体を含む。
【0104】
本開示の抗VEGFR1抗体は、VEGFR1に特異的に結合するキメラ抗体、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体を含む。
【0105】
「ヒト抗体」とは、ヒト被検体に投与される場合に、最小の免疫応答を有するように最適化された抗体を指す。ヒト抗体の可変領域は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体が定常領域又は定常領域の一部を含む場合、その定常領域もヒト免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体は、ヒト抗体の可変領域がヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られた場合、ヒト起源の配列に「由来する」重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。このような例示的な系は、ファージにディスプレイされたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリ、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座を保有するトランスジェニック非ヒト動物、例えばマウス又はラットである。「ヒト抗体」は、典型的には、ヒト抗体及びヒト免疫グロブリン遺伝子座を得るために使用した系の違い、フレームワーク若しくはCDRへの体細胞変異の導入若しくは置換の意図的な導入、又はこれらの両方により、ヒトで発現した免疫グロブリンと比較したときにアミノ酸の違いを含有する。
【0106】
典型的には、「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされているアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列が少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である。場合によっては、「ヒト抗体」は、例えばKnappik et al.,(2000)J Mol Biol 296:57-86に記載されるヒトフレームワーク配列分析に由来するコンセンサスフレームワーク配列、又は例えばShi et al.,(2010)J Mol Biol 397:385-96及び国際公開第2009/085462号に記載される、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリに組み込まれた合成HCDR3を含有し得る。少なくとも1つのCDRが非ヒト種に由来する抗体は、「ヒト抗体」の定義には含まれない。
【0107】
自身のゲノムにヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座を保有するマウス、ラット、又はニワトリなどのトランスジェニック動物を使用して、VEGFR1に結合する抗原結合断片を作製することができ、これらは例えば、米国特許第6,150,584号、国際公開第1999/45962号、国際公開第2002/066630号、同第2002/43478号、同第2002/043478号、及び同第1990/04036号に記載されている。このような動物の内因的な免疫グロブリン遺伝子座を破壊又は欠失させてもよく、相同又は非相同組換えを使用して、導入染色体(transchromosome)を使用して、又はミニ遺伝子を使用して、少なくとも1つの完全な又は部分的なヒト免疫グロブリン遺伝子座を動物のゲノムに挿入してもよい。Regeneron(World Wide Web:regeneron.com)、Harbour Antibodies(World Wide Web:harbourantibodies.com)、Open Monoclonal Technology,Inc.(OMT)(World Wide Web:omtinc.net)、KyMab(World Wide Web:kymab.com)、Trianni(World Wide Web:trianni.com)及びAblexis(World Wide Web:ablexis.com)などの会社は、選択された抗原に対するヒト抗体を提供することに携わり得る。
【0108】
非ヒト動物を免疫することによって生成されたVEGRF1に結合する抗体又はその抗原結合断片をヒト化してもよい。ヒトアクセプタフレームワークの選択を含む例示的なヒト化技術としては、CDR移植(米国特許第5,225,539号)、SDR移植(米国特許第6,818,749号)、リサーフェシング(Padlan,(1991)Mol Immunol 28:489-499)、特異性決定残基リサーフェシング(米国特許出願公開第2010/0261620号)、ヒトフレームワーク適合(米国特許第8,748,356号)、又は超ヒト化(米国特許第7,709,226号)が挙げられる。これらの方法では、CDRの長さの類似性若しくはカノニカル構造の同一性、又はそれらの組み合わせに基づいて、親フレームワークに対する全体的な相同性に基づき選択され得るヒトフレームワークに、親抗体のCDR又はCDR残基のサブセットを移植する。
【0109】
ヒト化抗原結合ドメインは、国際公開第1090/007861号及び同第1992/22653号に記載されているものなどの技術により、変化させたフレームワーク支持残基を組み込んで結合親和性を保持することによって(復帰変異)、又はCDRのいずれかに多様性を導入して、例えば抗原結合ドメインの親和性を改善することによって、所望の抗原に対するその選択性又は親和性を改善するように更に最適化してもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片が提供され、単離された抗体又はその抗原結合断片は、VEGFR1に結合し、
a.それぞれ配列番号7、175、9、10、11、及び12、
b.それぞれ配列番号7、8、9、10、11、及び12、
c.それぞれ配列番号13、14、15、16、17、及び18、
d.それぞれ配列番号19、20、21、22、23、及び24、
e.それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30、
f.それぞれ配列番号71、176、73、74、75、及び76、
g.それぞれ配列番号71、72、73、74、75、及び76、
h.それぞれ配列番号77、78、79、90、81、及び82、
i.それぞれ配列番号83、84、85、86、87、及び88、
j.それぞれ配列番号89、90、91、92、93、及び94、
k.それぞれ配列番号95、177、97、98、99、及び100、
l.それぞれ配列番号95、96、97、98、99、及び100、
m.それぞれ配列番号101、102、103、104、105、及び106、
n.それぞれ配列番号107、108、109、110、111、及び112、
o.それぞれ配列番号113、114、115、116、117、及び118、
p.それぞれ配列番号119、178、121、122、アミノ酸配列LNS、及び配列番号124、
q.それぞれ配列番号119、120、121、122、アミノ酸配列LNS、及び配列番号124、
r.それぞれ配列番号125、126、127、128、アミノ酸配列FNF、及び配列番号130、
s.それぞれ配列番号131、132、133、134、アミノ酸配列YD、及び配列番号136、又は
t.それぞれ配列番号137、138、139、140、アミノ酸配列FNS、及び配列番号142のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号7、175、9、10、11、及び12のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号7、8、9、10、11、及び12のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号13、14、15、16、17、及び18のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号19、20、21、22、23、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、本開示は、VEGFR1に結合し、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR1、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0117】
本開示は更に、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
配列番号31の重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)の重鎖相補性決定領域(heavy chain complementarity determining region、HCDR)1、HCDR2、及びHCDR3、並びに配列番号32の軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)の軽鎖相補性決定領域(light chain complementarity determining region、LCDR)1、LCDR2、及びLCDR3、又は配列番号33のVHのHCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びに配列番号32のVLのLCDR1、LCDR2、及びLCDR3、又は配列番号34のVHのHCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びに配列番号35のVLのLCDR1、LCDR2、及びLCDR3、又は配列番号36のVHのHCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びに配列番号37のVLのLCDR1、LCDR2、及びLCDR3、又は配列番号38のVHのHCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びに配列番号37のVLのLCDR1、LCDR2、及びLCDR3、又は配列番号39のVHのHCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びに配列番号40のVLのLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。いくつかの実施形態では、単離された抗体又はその抗原結合断片が、配列番号39のVHのHCDR1、HCDR2、及びHCDR3と、配列番号40のVLのLCDR1、LCDR2、及びLCDR3とを含み、抗体又はその抗原結合断片は、VEGFR1に結合する。
【0118】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号31のVH及び配列番号32のVL、
b.配列番号33のVH及び配列番号32のVL、
c.配列番号34のVH及び配列番号35のVL、
d.配列番号36のVH及び配列番号37のVL、
e.配列番号38のVH及び配列番号37のVL、
f.配列番号39のVH及び配列番号40のVL、を含み、又は
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0119】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号31のVH及び配列番号32のVLを含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又は抗原結合断片は、配列番号33のVH及び配列番号32のVLを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又は抗原結合断片は、配列番号34のVH及び配列番号35のVLを含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又は抗原結合断片は、配列番号36のVH及び配列番号37のVLを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又は抗原結合断片は、配列番号38のVH及び配列番号37のVLを含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、本開示は更に、配列番号51、52、53、54、55、56、57、58、59、及び60からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0126】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号51のアミノ酸配列を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0127】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号52のアミノ酸配列を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0128】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号53のアミノ酸配列を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0129】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号54のアミノ酸配列を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0130】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号55のアミノ酸配列を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0131】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号56のアミノ酸配列を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0132】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号57のアミノ酸配列を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0133】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号58のアミノ酸配列を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0134】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号59のアミノ酸配列を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0135】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号60のアミノ酸配列を含む単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0136】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号51のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号52のアミノ酸配列を含むLC、
b.配列番号53のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号52のアミノ酸配列を含むLC、
c.配列番号54のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号55のアミノ酸配列を含むLC、
d.配列番号56のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号57のアミノ酸配列を含むLC、
e.配列番号58のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号57のアミノ酸配列を含むLC、又は
f.配列番号59のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号60のアミノ酸配列を含むLC、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0137】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
それぞれ配列番号7、175、9、10、11、及び12のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
配列番号31のVH及び配列番号32のVL、並びに/又は
配列番号51のHC及び配列番号52のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0138】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
それぞれ配列番号7、8、9、10、11、及び12のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
配列番号33のVH及び配列番号32のVL、並びに/又は
配列番号53のHC及び配列番号52のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0139】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
それぞれ配列番号13、14、15、16、17、及び18のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
配列番号34のVH及び配列番号35のVL、並びに/又は
配列番号54のHC及び配列番号55のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
それぞれ配列番号19、20、21、22、23、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
配列番号36のVH及び配列番号37のVL、並びに/又は
配列番号56のHC及び配列番号57のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0141】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
それぞれ配列番号19、20、21、22、23、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
配列番号38のVH及び配列番号37のVL、並びに/又は
配列番号58のHC及び配列番号57のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0142】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
配列番号39のVH及び配列番号40のVL、並びに/又は
配列番号59のHC及び配列番号60のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0143】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
配列番号31のVH及び配列番号32のVL、
配列番号51のHC及び配列番号52のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0144】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
配列番号33のVH及び配列番号32のVL、
配列番号53のHC及び配列番号52のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0145】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
配列番号34のVH及び配列番号35のVL、
配列番号54のHC及び配列番号55のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0146】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
配列番号36のVH及び配列番号37のVL、
配列番号56のHC及び配列番号57のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0147】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
配列番号38のVH及び配列番号37のVL、
配列番号58のHC及び配列番号57のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0148】
いくつかの実施形態では、本開示は、単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
配列番号39のVH及び配列番号40のVL、
配列番号59のHC及び配列番号60のLC、を含み、
VEGFR1に結合する、抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0149】
いくつかの実施形態では、単離された抗体又はその抗原結合断片が、全長抗体である。いくつかの実施形態では、単離された抗体又はその単離抗原結合ドメインは、抗体断片又は抗原結合断片である。
【0150】
保存的置換を有する相同抗体及びその抗原結合断片
抗体又はその抗原結合断片の誘導体、相同抗原結合ドメイン、機能的等価物、又はバリアントも、本開示の目的である。本開示の抗体は更に、本開示の抗体の可変ドメイン若しくは超可変ドメインのアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するポリペプチド、又は保存的置換を有するポリペプチドを含む、VEGFR1に結合する開示された抗体又はその抗原結合断片の相同抗体、相同抗原結合ドメイン、機能的等価物又はバリアントを含む。本開示の相同抗体及び抗原結合ドメイン、機能的等価物又はバリアントは、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片の配列と十分な相同性を有し、VEGFR1への結合を保持するか又は未改変抗体の活性の少なくとも1つを保持するために未改変抗VEGFR1抗体と機能的に類似する。
【0151】
「抗体誘導体」、「相同抗原結合ドメイン」、「機能的等価物」又は「バリアント」という用語は、1つ以上のアミノ酸残基の1つ以上の変異、置換、欠失及び/又は付加を含む抗体を指す。このような付加、置換又は欠失は、分子中の任意の場所に位置し得る。いくつかのアミノ酸が添加、置換又は欠失されている場合、得られる抗体が少なくとも本発明の抗体の有利な特性を依然として有するという条件で、添加、置換又は欠失の任意の組み合わせを考慮することができる。
【0152】
本開示の配列は、上記の配列に対して少なくとも80%の同一性又は相同性を有するアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、配列同一性は、本開示のVEGFR1に結合する抗原結合ドメインに対して約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%であってよい。VEGFR1に結合する抗原結合ドメインのバリアントは、親抗原結合ドメインと比較したときに改善された機能的特性を保持するか又は有する限り、VEGFR1に結合する抗原結合ドメインに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、又は29個のアミノ酸置換を含み、本開示の範囲内である。VEGFR1に結合する抗原結合ドメインの機能的等価物又はバリアントは、1つ以上のアミノ酸残基の1つ以上の欠失及び/又は付加を含む。このような付加、置換又は欠失は、分子中の任意の場所に位置し得る。いくつかのアミノ酸が添加、置換又は欠失されている場合、得られる抗体が少なくとも本発明の抗体の有利な特性を依然として有するという条件で、添加、置換又は欠失の任意の組み合わせを考慮することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号31のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVH及び配列番号32のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVLを含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号33のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVH及び配列番号32のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVLを含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号34のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVH及び配列番号35のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVLを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号36のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVH及び配列番号37のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVLを含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号38のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVH及び配列番号37のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVLを含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVH及び配列番号40のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVLを含む。
【0159】
本開示は更に、配列番号39のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVH及び配列番号40のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLを含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0160】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVH及び配列番号40のVLを含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVH及び配列番号40のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVLを含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVHと少なくとも95%同一であるVH及び配列番号40のVLと少なくとも95%同一であるVLを含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVHと少なくとも95%同一であるVH及び配列番号40のVLと少なくとも99%同一であるVLを含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVHと少なくとも99%同一であるVH及び配列番号40のVLと少なくとも99%同一であるVLを含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVHと少なくとも99%同一であるVH及び配列番号40のVLと少なくとも95%同一であるVLを含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVHと、配列番号40のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVLとを含み、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0167】
本開示は更に、配列番号39のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVH及び配列番号40のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLを含み、抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0168】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVHと、配列番号40のVLとを含み、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVHと、配列番号40のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%)同一であるVLとを含み、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVHと少なくとも95%同一であるVHと、配列番号40のVLと少なくとも95%同一であるVLとを含み、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVHと少なくとも95%同一であるVHと、配列番号40のVLと少なくとも99%同一であるVLとを含み、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVHと少なくとも99%同一であるVHと、配列番号40のVLと少なくとも99%同一であるVLとを含み、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号39のVHと少なくとも99%同一であるVHと、配列番号40のVLと少なくとも95%同一であるVLとを含み、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0174】
一部の実施形態において、本開示は更に、配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供し、抗体又はその抗原結合断片はVEGFR1に結合する。
【0175】
一部の実施形態では、本開示は更に、配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供し、抗体又はその抗原結合断片はVEGFR1に結合する。
【0176】
いくつかの実施形態では、本出願の単離された抗体又はその抗原結合断片が、配列番号51、配列番号53、配列番号54、配列番号56、配列番号58、又は配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖(HC)と、配列番号52、配列番号55、配列番号57、又は配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖(LC)を含む。
【0177】
本開示は更に、配列番号59のHCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるHC及び配列番号60のLCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるLCを含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0178】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号59のHCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるHC及び配列番号60のLCを含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号59のHC及び配列番号60のLCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるLCを含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号59のHCと少なくとも95%同一であるHC及び配列番号60のLCと少なくとも95%同一であるLCを含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号59のHCと少なくとも95%同一であるHC及び配列番号60のLCと少なくとも99%同一であるLCを含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号59のHCと少なくとも99%同一であるHC及び配列番号60のLCと少なくとも99%同一であるLCを含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、配列番号59のHCと少なくとも99%同一であるHC及び配列番号60のLCと少なくとも95%同一であるLCを含む。
【0184】
本開示は更に、配列番号59のHCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるHC及び配列番号60のLCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるLCを含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供し、抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体は、配列番号59のHCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるHCと、配列番号60のLCとを含み、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体は、配列番号59のHCと、配列番号60のLCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%)同一であるLCとを含み、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体は、配列番号59のHCと少なくとも95%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも95%同一であるLCとを含み、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体は、配列番号59のHCと少なくとも95%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも99%同一であるLCとを含み、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体は、配列番号59のHCと少なくとも99%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも99%同一であるLCとを含み、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体は、配列番号59のHCと少なくとも99%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも95%同一であるLCとを含み、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0191】
本開示は更に、配列番号59のHCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるHC及び配列番号60のLCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるLCを含む、単離された抗体を提供し、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体は、配列番号59のHCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるHCと、配列番号60のLCを含み、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体は、配列番号59のHCと、配列番号60のLCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%)同一であるLCとを含み、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体は、配列番号59のHCと少なくとも95%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも95%同一であるLCとを含み、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体は、配列番号59のHCと少なくとも95%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも99%同一であるLCとを含み、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体は、配列番号59のHCと少なくとも99%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも99%同一であるLCとを含み、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体は、配列番号59のHCと少なくとも99%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも95%同一であるLCとを含み、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む。
【0198】
「同一である」又は「同一性」パーセントという用語は、2つ以上の核酸又はポリペプチド配列(例えば、抗VEGFR1抗体及びそれをコードしているポリヌクレオチド)の文脈において、以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを使用して又は目視検査によって測定した場合、比較し、対応が最大になるようにアラインメントしたときに同じであるか、又は指定の百分率のアミノ酸残基若しくはヌクレオチドが同じである2つ以上の配列又はサブ配列を指す。参照ポリペプチドに対するパーセント(%)アミノ酸配列同一性は、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である所与の配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。2つの配列間の同一性パーセント(%)は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列により共有される同一の位置の数の関数(すなわち、同一性%=同一の位置の数/位置の総数×100)である。2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、BLAS、BLAST-2、ALIGNなどの公的に利用可能なソフトウェアを使用して、当技術分野の技能の範囲内である様々なアルゴリズムを使用して決定することができる。GCGソフトウェアパッケージで利用可能なGAPプログラム又はMegalin(DNASTAR)。
【0199】
ポリペプチドは、典型的には、第2ポリペプチドと実質的に同一であり、例えば、2つのペプチドは保存的置換によってのみ異なる。本開示の抗体は更に、結合特性、機能的特性又は物理的特性が直接変異によって改善されたものを含む。いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗原結合ドメインのバリアントは、VEGFR1に結合する親抗原結合断片の所望の機能的特性を保持しながら、CDR領域のいずれかに1つ又は2つの保存的置換を含む。
【0200】
「保存的改変」は、アミノ酸修飾を含む抗体の結合特性に著しく影響を与えることも変化させることもないアミノ酸修飾を指す。保存的改変は、アミノ酸の置換、付加、及び欠失を含む。保存的アミノ酸置換は、あるアミノ酸が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられる置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、明確に定義されており、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン、トリプトファン)、芳香族側鎖(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン)、脂肪族側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン)、アミド(例えば、アスパラギン、グルタミン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び含硫黄側鎖(システイン、メチオニン)を有するアミノ酸を含む。更に、ポリペプチド中の任意の天然残基はまた、アラニンスキャニング変異誘発(MacLennan et al.,(1988)Acta Physiol Scand Suppl 643:55-67;Sasaki et al.,(1988)Adv Biophys 35:1-24)について以前に記載されているように、アラニンで置換され得る。本発明の抗体に対するアミノ酸置換は、既知の方法、例えばPCR突然変異誘発(米国特許第4,683,195号)により行うことができる。代替的に、バリアントのライブラリは、例えば、ランダムコドン(NNK)又は非ランダムコドン(例えば、11個のアミノ酸(Ala、Cys、Asp、Glu、Gly、Lys、Asn、Arg、Ser、Tyr、Trp)をコードするDVKコドン)を用いて生成することもできる。得られるバリアントは、本明細書に記載のアッセイを用いて、その特徴について試験することができる。
【0201】
種交差反応性
いくつかの実施形態では、抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片は、ヒト、マウス、ラット及びカニクイザルVEGFR1に結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に開示される抗VEGFR1抗体に有意な価値を提供する同様の親和性でヒト、マウス、ラット及びカニクイザルVEGFR1に結合することができる種交差反応性抗体である。
【0202】
いくつかの実施形態では、抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片は、ヒト及びマウスVEGFR1に結合する。いくつかの実施形態では、抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片は、ヒト及びラットVEGFR1に結合する。いくつかの実施形態では、抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片は、ヒト、マウス及びラットVEGFR1に結合する。いくつかの実施形態では、抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片は、ヒト、マウス、及びカニクイザルVEGFR1に結合する。いくつかの実施形態では、抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片は、ヒト、ラット及びカニクイザルVEGFR1に結合する。いくつかの実施形態では、抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片は、ヒトVEGFR1に結合する。
【0203】
抗体の種交差反応性の程度を定量化する1つの方法は、別の種の抗原と比較した1つの種の抗原に対するその親和性の倍数差、例えば、ヒトVEGFR1対マウスVEGFR1、対ラットVEGFR1、又は対カニクイザルVEGFR1に対する親和性の倍数差である。親和性は、本明細書の他の箇所に記載されるように、SPRによって決定される抗体-抗原反応の平衡解離定数を指すKとして定量化され得る。種交差反応性抗VEGFR1抗体は、500倍以下、250倍以下、100倍以下、50倍以下、25倍以下、10倍以下、又は5倍以下である、ヒト及びマウスVEGFR1、ヒト及びラットVEGFR1、又はヒト及びカニクイザルVEGFR1への結合に対する親和性の倍数差を有し得る。別の言い方をすれば、ヒトVEGFR1への結合のKは、マウス、ラット、又はカニクイザルVEGFR1への結合のKの500倍、250倍、100倍、50倍、25倍、10倍、又は5倍以内であり得る。いくつかの実施形態では、ヒトVEGFR1に結合する抗体は、ヒトに対する親和性よりも500倍弱い親和性以下(例えばヒトVEGFR1に対する親和性よりも500倍、250倍、100倍、50倍、25倍、10倍又は5倍弱い親和性以下)で、マウス、ラット又はカニクイザルに結合し得る。いくつかの実施形態では、ヒトVEGFR1に結合する抗体は、ヒトに対する親和性よりも500倍強い親和性以下(例えばヒトVEGFR1に対する親和性よりも500倍、250倍、100倍、50倍、25倍、10倍又は5倍強い親和性以下)で、マウス、ラット又はカニクイザルVEGFR1に結合し得る。抗体は更に、2つの異なる種の抗原への結合についてKが閾値を満たす場合(例えば、ヒトVEGFR1への結合のK及びマウス、ラット又はカニクイザルVEGFR1への結合のKが10nM以下、5nM以下、1nM以下である場合)、交差反応性であるとみなすことができる。Kは、10nM以下、5nM以下、2nM以下又は1nM以下であってもよい。Kは、0.9nM以下、0.8nM以下、0.7nM以下、0.6nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM以下、又は0.1nM以下、0.01nM以下、0.001nM以下であってもよい。
【0204】
ヒトVEGFR1及びマウス、ラット又はカニクイザルVEGFR1への結合について交差反応性の代替的尺度は、VEGFA結合又はPlGF結合などのVEGR1へのリガンド結合を遮断する抗体の能力である。種交差反応性抗VEGFR1抗体は、マウス、ラット又はカニクイザルへのVEGFAの結合又はPlGFの結合を遮断するためのIC50の25倍、20倍、15倍、10倍又は5倍以内である、ヒトVEGFR1へのVEGFA結合又はPlGF結合を遮断するためのIC50を有し得る。別の代替として、種交差反応性抗体は、動物における循環若しくは組織VEGFA又は循環若しくは組織PlGFレベルを調節する能力を有し得る。例えば、ヒトVEGFR1に結合する抗体は、マウス、ラット及び/又はカニクイザルにおける循環若しくは組織VEGFA又はPlGFレベルを調節し得る。
【0205】
種交差反応性抗体は、いくつかの種にわたる翻訳研究を可能にし、開発段階において代替抗体を必要とせずに、確立された前臨床疾患モデルにおいて有効性及び薬力学特性を実証するのに役立ち得る。報告された初期の抗VEGFR1抗体は、ヒト又はマウスのいずれかに特異的であり、不十分な種交差反応性を示した。
【0206】
種交差反応性であり、ヒトと他種との間で保存されているエピトープに結合するモノクローナル抗体を生成することは困難である。本開示の種交差反応性抗VEGFR1抗体は、(1)VEGFR1 D2及びD3ドメインを含むヒト及びマウスVEGFR1抗原の両方の選択、(2)系統発生学的に離れた免疫化種であるニワトリの選択、(3)ヒトVEGFR1 D2-D3とマウスVEGFR1 D2-D3との間で交互に行う免疫化ブースト、並びに(4)ヒト及びマウスVEGFR1の両方に対する反応性を示す血清力価の注意深いモニタリング及び選択を含む固有の免疫化アプローチを介して生成された。
【0207】
いくつかの実施形態では、本開示の抗VEGFR1抗体は、ヒトVEGFR1(Uniprotアクセッション番号P17948)のアミノ酸残基130~331の配列内のエピトープに結合することができる。いくつかの実施形態では、本開示の抗VEGFR 1抗体は、配列番号173内のエピトープを認識して結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗VEGFR 1抗体は、配列番号4内のエピトープを認識して結合する。
【0208】
いくつかの実施形態では、抗VEGFR1は、配列番号143(FPLDTL)及び配列番号144(EIGL)に記載のVEGFR1上のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗VEGFR1抗体は、配列番号144に記載のVEGFR1上のエピトープに結合する。
【0209】
いくつかの実施形態では、単離された抗体又はその抗原結合断片が、ヒトVEGFR1に特異的に結合し、カニクイザル、マウス、及びラットからなる群から選択される少なくとも1つの非ヒト種由来のVEGFR1に特異的に結合することもできる。特定の実施形態では、本出願の単離された抗体又はその抗原結合断片が、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用することで決定される、6×10-8M以下、特に1×10-8M以下、より具体的には5×10-9M以下、1×10-9M以下、5×10-10M以下、又は1×10-10M以下のKで、ヒトVEGFR1、マウスVEGFR1、及びカニクイザルVEGFR1に特異的に結合する。
【0210】
「エピトープ」とは、抗体が特異的に結合する抗原の一部分を指す。エピトープは、典型的には、化学的に活性な(極性、非極性、又は疎水性など)部分の表面集団、例えばアミノ酸又は多糖側鎖からなり、特定の三次元構造特性並びに特定の電荷特性を有し得る。エピトープは、立体配座的な空間単位を形成する連続的な、かつ/又は不連続的なアミノ酸で構成され得る。不連続なエピトープでは、抗原の直鎖配列の異なる部分にあるアミノ酸が、タンパク質分子の折り畳みにより三次元空間でごく近接するようになる。
【0211】
「パラトープ」は、抗原に特異的に結合する抗体の部分を指す。パラトープは元来線状であっても又は不連続であってもよく、一つながりの線状のアミノ酸よりも、抗体の隣接していないアミノ酸同士の空間関係によって形成されてよい。「軽鎖パラトープ」及び「重鎖パラトープ」又は「軽鎖パラトープのアミノ酸残基」及び「重鎖パラトープのアミノ酸残基」はそれぞれ、抗原と接触する抗体の軽鎖残基及び重鎖残基を指し、あるいは概して「抗体パラトープ残基」は、抗原と接触するこれらの抗体アミノ酸を指す。
【0212】
抗体が結合するhVEGFR1内の残基の決定は、通常の当業者に公知の任意の技術によって決定され得る。いくつかの実施形態では、抗体が結合するhVEGFR1内の残基は、H/D交換アッセイによって決定される。H/D交換アッセイでは、組換え的に発現させたhVEGFR1を、抗体の存在又は非存在下、重水素化水中で、所定の時間にわたってインキュベートすると、抗体によって保護されていない交換可能な水素原子で重水素の組み込みが生じ、続いて、タンパク質のプロテアーゼ消化及びLC-MSを使用するペプチド断片の分析を行う。H/D交換アッセイは、既知のプロトコルを使用して行うことができる。いくつかの実施形態では、クエンチング緩衝液(例えば、8M尿素、1M TCEP、pH3.0)の添加によってH/D交換混合物をクエンチした後、室温で、平衡化された固定化ペプシン/FPXIIIカラムに通す(例えば、600μL/分)。次いで、消化性断片を逆相トラップカラムにロードし(例えば、600μL/分)し、脱塩し(例えば、600μLで1分間)し、分離し(例えば、C18カラム)、質量分析によって分析する(例えば、キャピラリー温度275℃、分解能150,000、及び質量範囲(m/z)300~1,800で、LTQ(商標)Orbitrap Fusion Lumos質量分析計(Thermo Fisher Scientific)を用いる)。
【0213】
VEGFR1へのVEGFA結合を遮断する抗体
いくつかの実施形態では、本開示の抗VEGFR1抗体は、VEGFR1のD2-D3ドメイン中のエピトープを認識して結合し、血管内皮増殖因子A(VEGFA)の結合を防止することができる。
【0214】
腎臓において、糸球体足細胞及び尿細管上皮細胞によって作られるVEGFAは、糸球体の完全性、腎臓の微小血管系、及び機能を維持するのに不可欠である。腎臓の発達、構造及び機能におけるVEGFAの重要な役割は、条件的又は誘導性VEGFAノックアウト(KO)マウスにおいて観察される重篤な表現型において明らかにされる。慢性腎疾患(CKD)患者において、患者の腎生検のmRNAマイクロアレイ分析は、減少したVEGFA発現を示し、糸球体及び尿細管間質におけるVGFA発現のレベルは、eGFR、タンパク尿症又は血管希薄化と相関する(Bortoloso,Del Prete et al.2004,Martini,Nair et al.2014,Pan,Jiang et al.2018)。VEGFAは、2つの内皮制限受容体:1)主要シグナル伝達受容体VEGFR2、及び2)デコイ受容体VEGFR1を介して機能し、デコイ受容体VEGFR1は、10倍高い結合親和性でVEGFR2からVEGFAを隔離するが、弱い又は検出不可能なチロシンキナーゼ活性(TK)を有する。本開示の抗VEGFR1は、そのデコイ受容体VEGFR1によるVEGFAの隔離を遮断することによって、腎臓における損なわれたVEGFAレベル及びVEGFA活性を回復させることを目的とする。本開示の抗VEGFR1抗体は、VEGFA隔離を遮断し、局所VEGFA利用可能性を増加させ、これは次に、内皮保護、糸球体濾過バリア(GFB)の保存及び腎機能回復を可能にする。
【0215】
コンジュゲーション及びFc操作
上記の改変に加えて、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片及びそれらの機能的等価物は、他の抗体、タンパク質、抗原結合断片又は代替足場にコンジュゲートされてもよい。
【0216】
本開示の抗VEGFR1抗体、その抗原結合断片、及び機能的等価物は、半減期延長部分にコンジュゲートされてもよい。例示的な半減期延長部分は、アルブミン、アルブミンバリアント、アルブミン結合タンパク質及び/又はドメイン、トランスフェリン並びにその断片及び類似体、免疫グロブリン(Ig)又はその断片、例えばFc領域である。前述の半減期延長部分のアミノ酸配列は既知である。本開示の抗VEGFR1抗体、その抗原結合断片、及び機能的等価物にコンジュゲートさせることができる追加の半減期延長部分としては、所望の特性のための、ポリエチレングリコール(PEG)分子、例えば、PEG5000又はPEG20,000、異なる鎖長の脂肪酸及び脂肪酸エステル、例えば、ラウリン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ステアリン酸エステル、アラキジン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレイン酸エステル、アラキドン酸エステル、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸など、ポリリジン、オクタン、炭水化物(デキストラン、セルロース、オリゴ糖又は多糖類)が挙げられる。これらの部分は、本開示の抗体又は抗原結合断片と直接融合させてもよく、標準的なクローニング及び発現技術によって生成されてもよい。代替的に、周知の化学的カップリング方法を使用して、組換えで産生された本開示の抗体又は抗原結合断片にその部分を結合させてもよい。
【0217】
例えば、VEGFR1に結合する抗体又は抗原結合断片のC末端にシステイン残基を組み込むか、又は遺伝子操作してシステインをVEGFR1結合部位から離れる方向に面する残基位置にし、周知の方法を用いてペギル基をシステインに結合させることによって、VEGFR1を結合する抗体又はその抗原結合断片にペギル部分をコンジュゲートさせることができる。
【0218】
いくつかの実施形態では、半減期延長部分は、アルブミンである。
【0219】
いくつかの実施形態では、半減期延長部分は、アルブミン結合ドメインである。
【0220】
いくつかの実施形態では、半減期延長部分は、トランスフェリンである。
【0221】
いくつかの実施形態では、半減期延長部分は、ポリエチレングリコールである。
【0222】
いくつかの実施形態では、コンジュゲーションは、検出可能な受容体分子へのコンジュゲーションを更に含むが、これらに限定されない。
【0223】
いくつかの実施形態では、半減期延長部分は、Ig定常領域又はIg定常領域の断片である。
【0224】
いくつかの実施形態では、半減期延長部分は、Igである。
【0225】
いくつかの実施形態では、半減期延長部分は、Igの断片である。
【0226】
いくつかの実施形態では、半減期延長部分は、Ig定常領域である。
【0227】
いくつかの実施形態では、半減期延長部分は、Ig定常領域の断片である。
【0228】
いくつかの実施形態では、半減期延長部分は、Fc領域である。
【0229】
本開示の抗体又はその抗原結合断片中に存在するFc領域などのIg定常領域又はIg定常領域の断片は、任意のアロタイプ又はアイソタイプ(すなわち、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA及びIgE)のものであり得る。
【0230】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、IgG1アイソタイプである。
【0231】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、IgG2アイソタイプである。
【0232】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、IgG3アイソタイプである。
【0233】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又はIg定常領域の断片は、IgG4アイソタイプである。
【0234】
アロタイプは結合又はFc媒介性エフェクター機能などのIg定常領域の特性に影響を与えないことが予想される。断片のIg定常領域を含む治療用タンパク質の免疫原性は、輸注反応のリスク増大及び治療応答の期間短縮と関連している(Baert et al.,(2003)N Engl J Med 348:602-08)。断片のIg定常領域を含む治療用タンパク質が宿主において免疫応答を誘導する程度は、Ig定常領域のアロタイプによってある程度決定され得る(Stickler et al.,(2011)Genes and Immunity 12:213-21)。Ig定常領域のアロタイプは、抗体の定常領域配列における特定の位置のアミノ酸配列の変異に関連する。
【0235】
本開示の抗体又はその抗原結合断片及びそれらの機能的等価物は、抗体又は抗原結合断片のエフェクター機能、例えばADCC、ADCP及び/若しくはADCP並びに/又は薬物動態特性を調節するために、Ig定常領域又はIg定常領域の断片にコンジュゲートされてもよい。これは、変異したFcの活性化FcγRs(FcγRI、FcγRIIa、FcγRIII)、FcγRIIb、及び/又はFcRnへの結合を制御する変異をFcに導入することによって達成可能である。
【0236】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、Ig定常領域又はIg定常領域の断片に少なくとも1つの変異を含むIg定常領域又はIg定常領域の断片にコンジュゲートされる。
【0237】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの変異は、Fc領域にある。
【0238】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、Fc領域に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個の変異を含むIg定常領域又はIg定常領域の断片にコンジュゲートされる。
【0239】
新生児Fc受容体(FcRn)は、IgGの細胞輸送及び血清半減期において中心的な役割を果たす。いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、抗体又は抗原結合断片のFcRnへの結合を調節し、抗体又は抗原結合断片の半減期を調節するFc領域における少なくとも1つの変異を含むIg定常領域又はIg定常領域の断片にコンジュゲートされる。
【0240】
いくつかの実施形態では、Ig定常領域又は第1のIg定常領域の断片は、単離された抗体又はその抗原結合断片の半減期を調節する少なくとも1つの変異を含む。
【0241】
半減期(例えば、FcRnへの結合)を調節するために変異させることが可能なFcの位置としては、位置250、252、253、254、256、257、307、376、380、428、434、及び435が挙げられる。単独で、又は組み合わせで行われ得る例示的な変異は、変異T250Q、M252Y、I253A、S254T、T256E、P257I、T307A、D376V、E380A、M428L、H433K、N434S、N434A、N434H、N434F、H435A、及びH435Rである。抗体の半減期を増加させるように行われ得る例示的な単独で又は組み合わせでの変異は、変異M428L/N434S、M252Y/S254T/T256E、T250Q/M428L、N434A及びT307A/E380A/N434Aである。いくつかの実施形態では、本開示の抗体又はその抗原結合断片及びそれらの機能的等価物の半減期を調節する少なくとも1つの変異は、H435A、P257I/N434H、D376V/N434H、M252Y/S254T/T256E/H433K/N434F、T308P/N434A、及びH435Rからなる群から選択され、残基番号付けは、EUインデックスに従う。
【0242】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、M252Y/S254T/T256E変異を含むIg定常領域又はIg定常領域の断片にコンジュゲートされる。
【0243】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片及びそれらの機能的等価物は、活性化Fcγ受容体(FcγR)へのタンパク質の結合を低減し、及び/又はC1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、若しくは貪食作用(ADCP)などのFcエフェクター機能を低減する、Fc領域における少なくとも1つの変異を含むIg定常領域又はIg定常領域の断片にコンジュゲートされる。
【0244】
活性化FcγRへのタンパク質の結合を低減させ、続いて、エフェクター機能を低減させるために変異させ得るFc位置としては、位置214、233、234、235、236、237、238、265、267、268、270、295、297、309、327、328、329、330、331、及び365が挙げられる。単独で、又は組み合わせで行われ得る例示的な変異は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4における、変異K214T、E233P、L234V、L234A、G236の欠失、V234A、F234A、L235A、G237A、P238A、P238S、D265A、S267E、H268A、H268Q、Q268A、N297A、A327Q、P329A、D270A、Q295A、V309L、A327S、L328F、A330S、及びP331Sである。ADCCが低減したタンパク質をもたらす例示的な組み合わせの変異は、IgG1におけるL234A/L235A、IgG1におけるL234A/L235A/D265S、IgG2におけるV234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、IgG4におけるF234A/L235A、IgG4におけるS228P/F234A/L235A、全てのIgアイソタイプにおけるN297A、IgG2におけるV234A/G237A、IgG1におけるK214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D365E/L358M、IgG2におけるH268Q/V309L/A330S/P331S、IgG1におけるS267E/L328F、IgG1におけるL234F/L235E/D265A、IgG1におけるL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S、IgG4におけるS228P/F234A/L235A/G237A/P238S、及び、IgG4におけるS228P/F234A/L235A/G236欠失/G237A/P238Sの変異である。また、IgG2由来の残基117~260及びIgG4由来の残基261~447を有するFcなどのハイブリッドIgG2/4 Fcドメインを使用してもよい。
【0245】
いくつかの実施形態では、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、IgG1重鎖定常領域又はIgG1重鎖定常領域の断片にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、IgG1重鎖定常領域は、FcγRに対する抗体の結合の低減をもたらす少なくとも1つの変異を含む。いくつかの実施形態では、FcγRへの低減された抗体結合をもたらす少なくとも1つの変異は、F234A/L235A、L234A/L235A、L234A/L235A/D265S、V234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、F234A/L235A、S228P/F234A/L235A、N297A、V234A/G237A、K214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D365E/L358M、H268Q/V309L/A330S/P331S、S267E/L328F、L234F/L235E/D265A、L234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S、S228P/F234A/L235A/G237A/P238S、及びS228P/F234A/L235A/G236欠失/G237A/P238Sからなる群から選択され、残基番号付けは、EUインデックスに従う。いくつかの実施形態では、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む。いくつかの実施形態では、FcγRは、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、若しくはFcγRIII、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0246】
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片及びそれらの機能的等価物は、Fcγ受容体(FcγR)へのタンパク質の結合を増強し、並びに/又はC1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、及び/若しくは貪食作用(ADCP)などのFcエフェクター機能を増強する、Fc領域における少なくとも1つの変異を含むIg定常領域又はIg定常領域の断片にコンジュゲートされる。
【0247】
タンパク質の活性化FcγRへの結合を増加させる、及び/又はFcエフェクター機能を増強するために変異させ得るFc位置としては、位置236、239、243、256,290,292、298、300、305、312、326、330、332、333、334、345、360、339、378、396、又は430(EUインデックスに従う残基番号付け)が挙げられる。単一で又は組み合わせて行われ得る例示的な変異は、G236A、S239D、F243L、T256A、K290A、R292P、S298A、Y300L、V305L、K326A、A330K、I332E、E333A、K334A、A339T及びP396Lである。ADCC又はADCPが増加したタンパク質をもたらす例示的な組み合わせの変異は、S239D/I332E、S298A/E333A/K334A、F243L/R292P/Y300L、F243L/R292P/Y300L/P396L、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L及びG236A/S239D/I332Eである。
【0248】
CDCを増強させるように変異され得るFc位置としては、位置267、268、324、326、333、345及び430が挙げられる。単一で又は組み合わせで行われ得る例示的な変異は、S267E、F1268F、S324T、K326A、K326W、E333A、E345K、E345Q、E345R、E345Y、E430S、E430F及びE430Tである。CDCが増加したタンパク質をもたらす例示的な組み合わせの変異は、K326A/E333A、K326W/E333A、H268F/S324T、S267E/H268F、S267E/S324T、及びS267E/H268F/S324Tである。
【0249】
いくつかの実施形態では、本開示は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む単離された抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えばIgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0250】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む単離された抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0251】
いくつかの実施形態では、配列番号39のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVHと配列番号40のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるVLとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0252】
本開示は更に、配列番号39のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるVH及び配列番号40のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるVLを含む単離された抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0253】
いくつかの実施形態では、配列番号39のVHと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%)同一であるVHと、配列番号40のVLとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0254】
いくつかの実施形態では、配列番号39のVHと、配列番号40のVLと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%)同一であるVLとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0255】
いくつかの実施形態では、配列番号39のVHと少なくとも95%同一であるVHと、配列番号40のVLと少なくとも95%同一であるVLとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0256】
いくつかの実施形態では、配列番号39のVHと少なくとも95%同一であるVHと、配列番号40のVLと少なくとも99%同一であるVLとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0257】
いくつかの実施形態では、配列番号39のVHと少なくとも99%同一であるVHと、配列番号40のVLと少なくとも99%同一であるVLとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0258】
いくつかの実施形態では、配列番号39のVHと少なくとも99%同一であるVHと、配列番号40のVLと少なくとも95%同一であるVLとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0259】
いくつかの実施形態では、本開示は更に、配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む単離された抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又はその抗原結合断片がVEGFR1に結合し、抗体又はその抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0260】
いくつかの実施形態では、本開示は更に、配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるアミノ酸配列を含む単離された抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又はその抗原結合断片がVEGFR1に結合し、抗体又はその抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0261】
本開示は更に、配列番号59のHCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるHCと配列番号60のLCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるLCとを含む単離された抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0262】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%)同一であるHCと、配列番号60のLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0263】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと、配列番号60のLCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%)同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0264】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも95%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも95%同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0265】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも95%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも99%同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0266】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも99%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも99%同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0267】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも99%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも95%同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0268】
本開示は更に、配列番号59のHCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるHC及び配列番号60のLCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるLCを含む単離された抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0269】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%)同一であるHCと、配列番号60のLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0270】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと、配列番号60のLCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%)同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0271】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも95%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも95%同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0272】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも95%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも99%同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0273】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも99%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも99%同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0274】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも99%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも95%同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0275】
本開示は更に、配列番号59のHCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるHC及び配列番号60のLCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるLCを含む単離された抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含み、抗体又は抗原結合断片は、IgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0276】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%)同一であるHCと、配列番号60のLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVHと配列番号40のVLとを含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0277】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと、配列番号60のLCと少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%)同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVHと配列番号40のVLとを含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0278】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも95%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも95%同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVHと配列番号40のVLとを含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0279】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも95%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも99%同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVHと配列番号40のVLとを含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0280】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも99%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも99%同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVHと配列番号40のVLとを含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0281】
いくつかの実施形態では、配列番号59のHCと少なくとも99%同一であるHCと、配列番号60のLCと少なくとも95%同一であるLCとを含み、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、抗体又は抗原結合断片は、配列番号39のVHと配列番号40のVLとを含み、抗体又は抗原結合断片がIgG1(例えば、IgG1λ)であり、任意選択で、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び/又は第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含み、例えば、第1のIg定常領域若しくは第1のIg定常領域の断片及び第2のIg定常領域若しくは第2のIg定常領域の断片が以下の変異:L234A_L235A_D265Sを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0282】
ポリヌクレオチド
本開示の抗VEGFR1抗体又は抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド及びそれらの機能的等価物も提供される。本開示は、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片のいずれかをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0283】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号31のVHをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0284】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号33のVHをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0285】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号34のVHをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0286】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号36のVHをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0287】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号38のVHをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0288】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号39のVHをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0289】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号32のVLをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0290】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号35のVLをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0291】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号37のVLをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0292】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号40のVLをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0293】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号51の重鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0294】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号53の重鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0295】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号54の重鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0296】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号56の重鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0297】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号58の重鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0298】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号59の重鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0299】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号52の軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0300】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号55の軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0301】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号57の軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0302】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号60の軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0303】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号59及び60のポリヌクレオチド配列をコードする、単離されたポリヌクレオチド配列を提供する。
【0304】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、61、62、63、64、65、66、67、68、69、又は70の単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0305】
いくつかの実施形態では、本開示は、配列番号41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、61、62、63、64、65、66、67、68、69、又は70のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%(例えば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0306】
本開示の抗VEGFR1抗体又は抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドは、本開示のポリヌクレオチドの核酸配列と実質的に同じ核酸配列を有するポリヌクレオチドを含む。「実質的に同じ」核酸配列は、本明細書において、2つの配列を整列させた場合に別の核酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有する配列として本明細書で定義される。第1核酸によりコード化されるポリペプチドが、第2核酸によりコード化されるポリペプチドと免疫学的に交差反応性である場合、2つの核酸配列は実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一である別の指標は、2つの分子がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。
【0307】
修飾ヌクレオチドを使用して、本開示のポリヌクレオチドを生成することができる。例示的な修飾ヌクレオチドは、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、N-置換アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルキューオシン、5”-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトシン、シュードウラシル、キューオシン、ベータ-D-ガラクトシルキューオシン、イノシン、N-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、及び2,6-ジアミノプリンである。
【0308】
抗VEGFR1抗体をコードするポリヌクレオチドを含むベクター
本開示の抗VEGFR1抗体又は抗原結合断片をコードするDNAを含むベクターも提供される。開示されるベクターは、例えば、上記で開示される抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片のいずれかを作製するために使用することができる。本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片のいずれかをコードするポリヌクレオチドは、標準的な分子生物学的方法を使用してベクターに組み込まれてもよい。
【0309】
いくつかの実施形態では、本開示は、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。このようなベクターは、プラスミドベクター、ウイルスベクター、バキュロウイルス発現用ベクター、トランスポゾンベースのベクター、又は任意の手段によって所与の生物又は遺伝的バックグラウンドに本発明の合成ポリヌクレオチドを導入するのに好適な任意の他のベクターであってよい。本開示のベクターは、VEGFR1抗体ポリペプチドの効率的な合成、並びに酵母及び哺乳動物細胞培養を含むがこれらに限定されない原核生物系及び真核生物系における本開示のVEGFR1抗体ポリペプチドの発現のための発現ベクターであってもよい。
【0310】
使用され得る例示的なベクターは、細菌:pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene、La Jolla,Calif.,USA);pTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、及びpRIT5(Pharmacia、Uppsala,Sweden)。真核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG及びpSVL(Pharmacia)、pEE6.4(Lonza)並びにpEE12.4(Lonza)である。追加のベクターとしては、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences、Glen Burnie,Md.)、pBluescriptシリーズ(Stratagene、LaJolla,Calif.)、pETシリーズ(Novagen、Madison,Wis.)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech、Uppsala,Sweden)、及びpEXシリーズ(Clontech、Palo Alto,Calif.)が挙げられる。λGT10、λGT11、λEMBL4、及びλNM1149、λZapII(Stratagene)などのバクテリオファージベクターを使用することができる。例示的な植物発現ベクターとしては、pBI01、pBI01.2、pBI121、pBI101.3、及びpBIN19(Clontech)が挙げられる。例示的な動物発現ベクターとしては、pEUK-Cl、pMAM、及びpMAMneo(Clontech)が挙げられる。発現ベクターは、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター、例えば、ガンマレトロウイルスベクターであり得る。
【0311】
本開示のベクターは、プロモータ及びエンハンサ配列を含有し得る。本開示のVEGFR1結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、VEGFR1結合タンパク質の発現を確実にする発現ベクター中の制御配列に動作可能に連結され得る。そのような調節エレメントとしては、転写プロモータ、好適なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、並びに転写及び翻訳の終了を制御する配列を挙げることができる。発現ベクターは更に、1つ以上の非転写エレメント、例えば、複製起点、発現する遺伝子に連結された好適なプロモータ及びエンハンサ、他の5’若しくは3’隣接非転写配列、5’若しくは3’非翻訳配列(例えば、必須リボソーム結合部位)、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプタ部位、又は転写終結配列を含んでもよい。宿主において複製する能力を付与する複製の起点もまた、組み込まれ得る。
【0312】
本開示のベクターはまた、1つ又は2つ以上の内部リボソーム侵入部位(Internal Ribosome Entry Site、IRES)を含有してもよい。IRES配列を融合ベクターに含めることは、一部のタンパク質の発現を増強させるのに有益であり得る。いくつかの実施形態では、ベクター系は、1つ又は2つ以上のポリアデニル化部位(例えば、SV40)を含み、その部位は、前述の核酸配列のうちいずれかの上流又は下流にあってもよい。ベクターの成分は、近接して連結されてもよいか、又は遺伝子産物を発現させるのに最適な間隔を提供するように(すなわち、ORF間に「スペーサー」ヌクレオチドを導入することにより)配置されてもよいか、又は別の方式で位置付けられてもよい。また、調節エレメント、例えば、IRESモチーフが、発現に最適な間隔を提供するように配置されてもよい。
【0313】
本開示のベクターは、環状であっても線形であってもよい。これらは、原核生物又は真核生物の宿主細胞において機能的な複製系を含有するように調製され得る。複製系は、例えば、ColE1、SV40、2μプラスミド、λ、ウシパピローマウイルスなどに由来してもよい。
【0314】
組換え発現ベクターは、一過性の発現のため、安定な発現のためのいずれか、又はその両方のために設計され得る。また、組換え発現ベクターは、構成的発現又は誘導性発現のために作製され得る。
【0315】
ベクターはまた、当技術分野において周知の選択マーカーを含んでいてもよい。選択マーカーは、陽性及び陰性選択マーカーを含む。マーカー遺伝子は、殺生物剤耐性(例えば、抗生物質、重金属などに対する耐性)、栄養要求性宿主における原栄養を提供するための補完などを含む。例示的なマーカー遺伝子としては、抗生物質耐性遺伝子(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ペニシリン耐性遺伝子、ヒスチジノール耐性遺伝子、ヒスチジノール×耐性遺伝子)、グルタミン合成酵素遺伝子、ガンシクロビル選択用のHSV-TK、HSV-TK誘導体、又は6-メチルプリン選択用の細菌プリンヌクレオシドホスホリラーゼ遺伝子が挙げられる(Gadi et al.,7 Gene Ther.1738-1743(2000))。選択マーカーをコードする核酸配列又はクローニング部位は、目的のポリペプチドをコードする核酸配列又はクローニング部位の上流にあっても下流にあってもよい。
【0316】
宿主細胞
本開示は更に、本開示のベクターのいずれかを含む宿主細胞を提供する。「宿主細胞」は、ベクターが導入されている細胞を指す。宿主細胞という用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の後代、また特定の対象細胞から生成された安定な細胞株も指すことを意図すると理解される。変異又は環境による影響のいずれかにより、後続世代においてある特定の改変が生じることがあるため、そのような後代は親細胞と同一ではないことがあるが、本明細書で使用される「宿主細胞」という用語の範囲内には依然として含まれる。そのような宿主細胞は、真核細胞、原核細胞、植物細胞、又は古細菌細胞であってもよい。原核宿主細胞の例は、Escherichia coli、Bacillus subtilisなどの桿菌、及びサルモネラ、セラチア、及び様々なシュードモナス種などの他の腸内細菌科である。酵母などの他の微生物も発現に有用である。好適な酵母宿主細胞の例は、サッカロミセス(Saccharomyces)(例えば、S.セレビジアエ(S.cerevisiae))及びピキア(Pichia)である。例示的な真核細胞は、哺乳動物、昆虫、鳥類、又は他の動物由来のものであってもよい。哺乳類真核細胞としては、SP2/0(American Type Culture Collection(ATCC),Manassas,VA,CRL-1581)、NS0(European Collection of Cell Cultures(ECACC),Salisbury,Wiltshire,UK,ECACC No.85110503)、FO(ATCC CRL-1646)、及びAg653(ATCC CRL-1580)ネズミ細胞株などのハイブリドーマ又は骨髄腫の細胞株などの不死化細胞株が挙げられる。例示的なヒト骨髄腫細胞株は、U266(ATTC CRL-TIB-196)である。他の有用な細胞株としては、CHO-K1SV(Lonza Biologics(Walkersville,MD))、CHO-K1(ATCC CRL-61)、又はDG44などの、チャイニーズハムスターの卵巣(Chinese Hamster Ovary、CHO)細胞に由来するものが挙げられる。
【0317】
本開示は更に、本開示の発現ベクターのいずれかを含む組換え宿主細胞を提供する。VEGFR1結合タンパク質又はその断片のいずれかをコードする核酸は、適切な哺乳動物宿主細胞の形質転換に使用することができる。宿主細胞の形質転換、培養、抗体発現、及び精製は、周知の方法を使用して行われる。
【0318】
細胞株は、目的のVEGFR1抗体の高レベルの発現及び宿主細胞タンパク質からの最小限の混入に基づいて選択され得る。発現のための宿主細胞として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該分野で周知であり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO-K1SV(Lonza Biologics、Walkersville、MD)、CHO-K1(ATCC CRL-61)、又はCHO DG44)、及びベビーハムスター腎臓(BHK)細胞由来が挙げられるが、これらに限定されない。これらの細胞株は、抗体の発現に適した条件下で細胞を培養し、宿主細胞又は宿主細胞周辺の培地から抗体を精製することによって、本開示の抗VEGFR1抗体又は抗体断片のいずれかを産生するために使用することができる。
【0319】
本開示は更に、抗VEGFR1結合タンパク質が発現する条件下で本開示の宿主細胞を培養することと、当技術分野で周知の方法を使い宿主細胞によって生成された抗VEGFR1結合タンパク質を回収することと、を含む、本開示の抗VEGFR1結合タンパク質の産生方法も提供する。対象タンパク質は、実質的に純粋、例えば、純度が少なくとも約80%~85%、純度が少なくとも約85%~90%、純度が少なくとも約90%~95%、又は純度が少なくとも約98%~99%、若しくはそれ以上であってよく、例えば、細胞残屑、対象タンパク質以外の巨大分子などの夾雑物を含んでいなくてよい。
【0320】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の単離された抗体又はその抗原結合断片のいずれかを発現する宿主細胞を提供する。
【0321】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示のベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0322】
医薬組成物
慢性腎疾患を治療するための医薬の調製のための、開示される抗体のいずれかの使用も提供される。
【0323】
慢性腎疾患を治療するための医薬組成物の調製のための、開示される抗体のいずれかの使用も提供される。
【0324】
更に、本開示の抗体又はその抗原結合断片と、医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物が提供される。
【0325】
治療用途では、本開示の抗VEGFR1抗体及びその抗原結合断片は、医薬的に許容される担体中に活性成分として有効量の抗体を含有する医薬組成物として調製することができる。
【0326】
「担体」は、本発明の抗体が共に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、又はビヒクルを指す。このようなビヒクルは、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの液体であってもよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを用いてよい。これらの溶液は滅菌され、概して粒子状物質を含まない。これらは、従来周知の滅菌技術(例えば、濾過)によって滅菌することができる。組成物は、生理学的条件に近づけるために必要とされる医薬的に許容される補助物質、例えば、pH調節剤及び緩衝剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤などを含み得る。そのような医薬製剤中の本発明の抗体の濃度は、約0.5重量%未満から通常少なくとも約1重量%まで、最大で15又は20重量%まで変動し得、また、選択される投与方法に従って、必要とされる用量、流体体積、粘度などに主に基づいて選択され得る。好適なビヒクル及び製剤(他のヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含む)は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Troy,D.B.ed.,Lipincott Williams and Wilkins,Philadelphia,PA 2006,Part 5,Pharmaceutical Manufacturing pp 691-1092に記載されており、特にpp.958-989を参照されたい。
【0327】
医薬的に許容される担体としては、バッファ、賦形剤、安定剤、又は防腐剤を挙げることができる。医薬的に許容される担体の例は、生理学的に適合性の溶剤、分散媒体、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤などであり、例えば、塩、緩衝液、抗酸化剤、糖類、水性若しくは非水性担体、防腐剤、湿潤剤、界面活性剤、若しくは乳化剤、又はこれらの組み合わせである。医薬組成物中の医薬的に許容される担体の量は、担体の活性及び製剤の所望の特性、例えば安定性及び/又は最小酸化に基づいて実験的に決定され得る。
【0328】
医薬組成物は、酢酸、クエン酸、ギ酸、コハク酸、リン酸、炭酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、ホウ酸、トリス緩衝液、HEPPSO、HEPES、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液、グルコース、マンノース、スクロース又はデキストラン、マンニトールなどの炭水化物、タンパク質、グリシンなどのポリペプチド又はアミノ酸、抗酸化剤、EDTA又はグルタチオンなどのキレート剤、補助剤(例えば、水酸化アルミニウム)、抗菌剤及び抗真菌剤;並びに防腐剤を含み得る。
【0329】
本開示の医薬組成物は、非経口投与又は経口投与の様々な手段のために製剤化することができる。一実施形態では、組成物は、注入又は静脈内投与向けに製剤化され得る。本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、無菌液体調製物、例えば、等張水溶液、エマルション、懸濁液、分散液、又は粘性組成物として提供することができ、これらは、所望のpHに緩衝され得る。経口投与に好適な製剤としては、液体溶液、カプセル剤、サッシェ剤、タブレット剤、ドロップ剤、及びトローチ剤、適切な液体及び乳剤中の粉末液体懸濁液を挙げることができる。
【0330】
医薬組成物に関して本明細書で使用される場合、「医薬的に許容される」という用語は、動物及び/又はヒトにおける使用について、連邦政府若しくは州政府の規制機関によって承認されているか、又は米国薬局方若しくは他の一般に認められている薬局方に列挙されていることを意味する。
【0331】
治療及び使用方法
慢性腎疾患を治療するための、開示される抗体、その抗原結合断片又は医薬組成物のいずれかの使用も提供される。
【0332】
慢性腎疾患などの疾患若しくは障害を「治療する」、「治療すること」、又は「治療」とは、以下、障害の重篤度及び/若しくは期間を低減する、障害の進行を遅延する、障害の進行を減速する、治療される障害に特徴的な症状の悪化を抑制する、以前に障害を有していた被検者における障害の再発を制限若しくは予防する、又は障害について以前に症候性であった被検者における症状の再発を制限若しくは予防する、のうちの1つ以上を達成することを指す。本明細書で使用されるとき、「その進行を遅延させる」又は「その進行を緩徐化する」という用語は、(a)疾患、状態若しくは障害の1つ以上の症状若しくは合併症の発症を遅延させる若しくは減速させること、(b)疾患、状態若しくは障害の1つ以上の新しい/更なる症状若しくは合併症の発症を遅延させる若しくは減速させること、及び/又は(c)疾患、状態若しくは障害の当該疾患、状態若しくは障害の後期若しくはより深刻な形態への進行を遅延させる若しくは減速させること、を含むものとする。
【0333】
「被検者」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」は、全ての脊椎動物、例えば哺乳動物及び非哺乳動物を含む。本明細書で使用される場合、用語「哺乳動物」は、あらゆる哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、ヒトなどが挙げられるが、これらに限定されない。「被検者」及び「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用することができる。いくつかの実施形態では、被検者又は患者は、ヒトである。
【0334】
本出願の単離された単離された抗体又はその抗原断片は、それを必要とする被検者においてVEGFAのVEGFR1への結合を防止することができる。したがって、本出願の別の一般的な態様は、それを必要とする被験者においてVEGFR1へのVEGFAの結合を防止する方法であって、本出願の単離された抗体若しくはその抗原断片、イムノコンジュゲート、医薬組成物、単離されたポリヌクレオチド、ベクター又は宿主細胞の有効量を被験者に投与し、それによってVEGFAのVEGFR1への結合を防止することを含む方法に関する。被検者は、VEGFAのVEGFR1への結合に関連する疾患、障害又は医学的状態の治療を必要とし得る。
【0335】
いくつかの実施形態では、被検者は、慢性腎疾患(CKD)の治療を必要としているか、タンパク尿を減少させる必要があるか、進行した4期若しくは5期の慢性腎疾患を有するか、又はタンパク尿、アルブミン尿、若しくは糖尿病を伴うCKDを有する。
【0336】
いくつかの実施形態では、それを必要とする被検者においてVEGFR1へのVEGFAの結合を防止する方法は本開示の単離された抗体若しくはその抗原断片のいずれか、本開示のイムノコンジュゲートのいずれか、本開示の医薬組成物のいずれか、本開示の単離されたポリヌクレオチドのいずれか、本開示のベクターのいずれか、又は本開示の宿主細胞のいずれかの有効量を被験者に投与し、それによってVEGFAのVEGFR1への結合を防止することを含む。
【0337】
抗VEGFR 1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を、それを必要とする被検者に投与することによって医学的状態を治療する方法も提供される。いくつかの実施形態では、医学的状態は慢性腎疾患である。「治療有効量」とは、必要な用量及び期間で所望の治療結果を得るための有効量を指す。治療有効量は、個々の疾患状態、年齢、性別、及び体重などの要因に応じて変化し得る。
【0338】
いくつかの実施形態では、医学的状態は慢性腎疾患である。いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患を治療する方法であって、被検者に開示されている医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0339】
「慢性腎疾患」は、任意の病因の、又は慢性腎疾患に関連する任意のタイプの状態によって引き起こされ、慢性腎疾患に関連する全てのタイプの症状を生じる全てのタイプの慢性腎疾患(CKD)を含むことを意味する。CKDには、一次糸球体疾患(腎症及び巣状分節性糸球体硬化症を含むが、これらに限定されない)、二次糸球体疾患(ループス腎炎を含むが、これらに限定されない)、血栓性微小血管症、尿細管間質性疾患、虚血性腎症、糖尿病性腎症、多発性嚢胞腎、高血圧性腎症、巣状分節性糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、及び閉塞性尿路疾患(逆流性腎症を含むが、これらに限定されない)が含まれる。
【0340】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における糖尿病性腎疾患を治療する方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体若しくはその抗原結合断片のいずれか又は本開示の開示されている医薬組成物のいずれかの治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0341】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患を治療する方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、慢性腎疾患が糖尿病性腎症である、方法を提供する。
【0342】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患の進行を遅延させる又は進行を減速させる方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、慢性腎疾患が糖尿病性腎症である、方法を提供する。
【0343】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患を治療する方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体の治療有効量を投与することを含み、慢性腎疾患が巣状分節性糸球体硬化症である、方法を提供する。
【0344】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患の進行を遅延させる又は進行を減速させる方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体の治療有効量を投与することを含み、慢性腎疾患が巣状分節性糸球体硬化症である、方法を提供する。
【0345】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患を治療する方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、慢性腎疾患が高血圧性腎症である、方法を提供する。
【0346】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患の進行を遅延させる又は進行を減速させる方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、慢性腎疾患が高血圧性腎症である、方法を提供する。
【0347】
いくつかの実施形態では、被検者は、慢性腎疾患(CKD)を有する。慢性腎疾患は、腎疾患の5つの病期に分類されている。腎臓疾患の病期は、腎臓が血液から老廃物及び余分な流体を濾過することができる速度に基づいて分類される。推定糸球体濾過量(eGFR)数は、血液中のクレアチン及び老廃物のレベルに基づき、1期の非常に軽度の損傷から5期の腎不全までの腎臓損傷の5つの病期を分類するために使用されている。
【0348】
いくつかの実施形態では、それを必要とする被検者において、慢性腎疾患(CKD)を治療する方法は、本開示の単離された抗体若しくはその抗原断片のいずれか、本開示のイムノコンジュゲートのいずれか、本開示の医薬組成物のいずれか、本開示の単離されたポリヌクレオチドのいずれか、本開示のベクターのいずれか、又は本開示の宿主細胞のいずれかの治療有効量を、CKDを治療するのに十分な時間にわたり、被検者に投与することを含む。
【0349】
いくつかの実施形態では、本開示は、糸球体濾過量(GFR)の喪失の減少で使用するためのVEGFR1抗体を提供する。
【0350】
いくつかの実施形態では、本開示は、糸球体濾過量(GFR)の喪失を減少させるための方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又は抗原結合断片の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0351】
いくつかの実施形態では、被検者は、60mL/分/1.73m未満のeGFR(推定糸球体濾過量)を伴う進行した3期、4期、又は5期の慢性腎疾患を有する。いくつかの実施形態では、被検者は、30mL/分/1.73m以下の測定されたeGFRを伴う進行した4期又は5期の慢性腎疾患を有する。いくつかの実施形態では、被検者は、30~60mL/分/1.73mの測定されたeGFRを伴う3期の慢性腎疾患を有する。いくつかの実施形態では、被検者は、30~45mL/分/1.73mの測定されたeGFRを伴う3b期の慢性腎疾患を有する。いくつかの実施形態では、被検者は、進行した4期又は5期の慢性腎疾患を有し、透析中ではない。いくつかの実施形態では、被検者は、進行した4期又は5期の慢性腎疾患を有し、透析中である。
【0352】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患を治療する方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、被検者が、30mL/分/1.73m以下の測定されたeGFRを伴う4期又は5期の慢性腎疾患を有する、方法を提供する。
【0353】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患の進行を遅延させる又は進行を減速させる方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、被検者が、30mL/分/1.73m以下の測定されたeGFRを伴う4期又は5期の慢性腎疾患を有する、方法を提供する。
【0354】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患を治療する方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、被検者が、30~60mL/分/1.73mの測定されたeGFRを伴う3期の慢性腎疾患を有する、方法を提供する。
【0355】
いくつかの実施形態は、本開示は、被検者における慢性腎疾患の進行を遅延させる又は進行を減速させる方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、被検者が、30~60mL/分/1.73mの測定されたeGFRを伴う3期の慢性腎疾患を有する、方法を提供する。
【0356】
いくつかの実施形態では、被検者は、タンパク尿を伴う慢性腎疾患を有する。いくつかの実施形態では、被検者は、アルブミン尿を伴う慢性腎疾患を有する。いくつかの実施形態では、被検者は、糖尿病を伴う慢性腎疾患を有する。
【0357】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患を治療する方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、被検者が、タンパク尿を伴う慢性腎疾患を有する、方法を提供する。
【0358】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患の進行を遅延させる又は進行を減速させる方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、被検者が、タンパク尿を伴う慢性腎疾患を有する、方法を提供する。
【0359】
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする被検者において、タンパク尿を減少させる方法であって、本開示の単離された抗体若しくはその抗原断片のいずれか、本開示のイムノコンジュゲートのいずれか、本開示の医薬組成物のいずれか、本開示の単離されたポリヌクレオチドのいずれか、本開示のベクターのいずれか、又は本開示の宿主細胞のいずれかの治療有効量を、被検者においてタンパク尿を減少させるのに十分な時間にわたり、被検者に投与することを含む方法を提供する。
【0360】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患を治療する方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、被検者が、アルブミン尿を伴う慢性腎疾患を有する、方法を提供する。
【0361】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患の進行を遅延させる又は進行を減速させる方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、被検者が、アルブミン尿を伴う慢性腎疾患を有する、方法を提供する。
【0362】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患を治療する方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、被検者が、糖尿病を伴う慢性腎疾患を有する、方法を提供する。
【0363】
いくつかの実施形態では、本開示は、被検者における慢性腎疾患の進行を遅延させる又は進行を減速させる方法であって、それを必要とする被検者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含み、被検者が、糖尿病を伴う慢性腎疾患を有する、方法を提供する。
【0364】
「タンパク尿」は、尿中のタンパク質増量の存在を指す。タンパク尿症は、a)高分子量タンパク質に対する糸球体透過性の増加(アルブミン尿又は糸球体タンパク尿症)、b)正常に濾過された低分子量タンパク質の不完全な尿細管再吸収(尿細管性タンパク尿)、又はc)低分子量タンパク質の血漿中濃度の増加(免疫グロブリン軽鎖などの過剰産生タンパク尿症)による血漿タンパク質の異常な喪失を反映し得る。タンパク尿は更に、腎臓(尿細管損傷による腎尿細管細胞構成要素)及び下部尿路に由来するタンパク質の異常な喪失を反映し得る。
【0365】
「アルブミン尿症」は、アルブミンが尿中に存在する状態である。健康な個体において、アルブミンは、腎臓によって濾過される。腎臓が尿から大きい分子(アルブミン等)を適切に濾過しない場合、アルブミンは、尿中に排出され、典型的には、腎臓損傷の兆候である。アルブミン尿は、CKD患者において一般的であるが一様ではない状態である。アルブミン尿は、糖尿病性腎硬化症を含む糸球体疾患の最も初期のマーカーであり、一般的にeGFRの減少の前に現れる。アルブミン尿は、高血圧性腎硬化症のマーカーであるが、eGFRの減少後まで現れない可能性がある。
【0366】
糖尿病性腎症は、糖尿病の細小血管合併症のうちの1つであり、持続性アルブミン尿症及び腎機能の進行性の低下によって特徴付けられる。
【0367】
いくつかの実施形態では、本開示は、慢性腎疾患を有する患者においてタンパク尿を減少させる方法であって、それを必要とする患者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0368】
いくつかの実施形態では、本開示は、タンパク尿を減少させる方法であって、それを必要とする患者に、本開示の抗VEGFR1抗体又は抗原結合断片の治療有効量を患者に投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、タンパク尿は、慢性腎疾患によって引き起こされる。他の実施形態において、タンパク尿は、糖尿病性腎症によって引き起こされる。
【0369】
いくつかの実施形態では、本開示は、慢性腎疾患を有する患者においてアルブミン尿を減少させる方法であって、それを必要とする患者に、本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0370】
更に、サンプル中のVEGFR1を検出する方法であって、サンプルを入手することと、サンプルを本開示の抗VEGFR1抗体又はその抗原結合断片と接触させることと、サンプル中の結合したVEGFR1を検出することと、を含む、方法を提供する。
【0371】
いくつかの実施形態では、サンプルは、尿、血液、血清、血漿、唾液、腹水、循環細胞、滑液、循環細胞、組織に会合していない細胞(すなわち、遊離細胞)、組織(例えば、外科的に切除された組織、穿刺吸引を含む生検材料)、組織プレパラートなどに由来し得る。VEGFR1は、既知の方法を用いて検出することができる。例示的な方法としては、蛍光若しくは化学発光標識、又は放射線標識を使用して抗体を直接標識すること、あるいは本発明の抗体に、ビオチン、酵素、又はエピトープタグなどの容易に検出可能な部分を結合させることが挙げられる。例示的な標識及び部分は、ルテニウム、111In-DOTA、111In-ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ及びベータガラクトシダーゼ、ポリ-ヒスチジン(HISタグ)、アクリジン染料、シアニン染料、フルオロン染料、オキサジン染料、フェナントリジン染料、ローダミン染料、及びAlexafluor(登録商標)染料である。
【0372】
本開示の抗体又はその抗原結合断片は、サンプル中のVEGFR1を検出するための様々なアッセイで使用してもよい。例示的なアッセイは、ウェスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、表面プラズモン共鳴、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散、電気化学発光(electrochemiluminescence、ECL)イムノアッセイ、免疫組織化学的検査、蛍光活性化細胞選別(fluorescence-activated cell sorting、FACS)、又はELISAアッセイである。
【0373】
キット
本開示の抗体若しくは抗原結合断片又はそれらの機能的等価物を含むキットが本明細書に記載される。
【0374】
本発明は更に、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片を含むキットも提供する。
【0375】
キットは、治療用途のために、及び診断キットとして使用することができる。
【0376】
キットを使用して、サンプル中のVEGFR1の存在を検出することができる。
【0377】
いくつかの実施形態では、キットは、本開示の抗VEGFR1抗体又は抗原結合断片と、VEGFR1結合タンパク質を検出するための試薬とを含む。キットは、使用説明書、他の試薬、例えば、標識、治療剤、又はキレート化若しくは別の方法のカップリングに有用な薬剤、標識若しくは治療剤に対する抗体、又は放射線防護組成物、投与するために抗体を調製するためのデバイス又は他の材料、医薬的に許容される担体、及び被検者に投与するためのデバイス又は他の材料を含む、1つ以上の他の要素を含み得る。
【0378】
いくつかの実施形態では、キットは、容器中のVEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片と、キットの使用説明書とを含む。
【0379】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の単離された抗体又は抗原結合断片のいずれか、本開示のイムノコンジュゲートのいずれか、本開示の医薬組成物のいずれか、本開示の単離されたポリヌクレオチドのいずれか、本開示のベクターのいずれか、本開示の宿主細胞のいずれかを含むキットを備える。
【0380】
いくつかの実施形態では、キット中のVEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片は、標識される。
【0381】
いくつかの実施形態では、キットは、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片を含み、
配列番号31のVH及び配列番号32のVL、
配列番号33のVH及び配列番号32のVL、
配列番号34のVH及び配列番号35のVL、
配列番号36のVH及び配列番号37のVL、
配列番号38のVH及び配列番号37のVL、又は
配列番号39のVH及び配列番号40のVL、を含む。
【0382】
いくつかの実施形態では、キットは、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0383】
いくつかの実施形態では、キットは、配列番号51、52、53、54、55、56、57、59、又は60のアミノ酸配列を含む、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0384】
いくつかの実施形態では、キットは、VEGFR1に結合する抗体又はその抗原結合断片を含み、(a)配列番号51及び配列番号52、(b)それぞれ配列番号53及び配列番号52、(c)それぞれ配列番号54及び配列番号55、(d)それぞれ配列番号56及び配列番号57、(e)配列番号58及び配列番号57、並びに配列番号59及び配列番号60、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0385】
実施形態
以下の実施形態のリストは、前述の説明を置き換え又は取って代わるものではなく、補完することを意図している。
【0386】
実施形態1.配列番号173又は配列番号4のアミノ酸配列内のエピトープに結合する単離された抗体又はその抗原結合断片であって、VEGFAのVEGFR1への結合を防止する、抗体又はその抗原結合断片。
【0387】
実施形態2.配列番号173のアミノ酸配列内のエピトープに結合する単離された抗体又はその抗原結合断片であって、VEGFAのVEGFR1への結合を防止する、抗体又はその抗原結合断片。
【0388】
実施形態3.配列番号4のアミノ酸配列内のエピトープに結合する単離された抗体又はその抗原結合断片であって、VEGFAのVEGFR1への結合を防止する、抗体又はその抗原結合断片。
【0389】
実施形態4.アミノ酸配列FPLDTL(配列番号143)若しくはEIGL(配列番号144)を有するVEGFR1上のエピトープに結合するか、又はアミノ酸配列FPLDTL(配列番号143)及びEIGL(配列番号144)を有するエピトープに結合する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0390】
実施形態5.抗体又はその抗原結合断片は、アミノ酸配列FPLDTL(配列番号143)を有するVEGFR1上のエピトープに結合する、実施形態4に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0391】
実施形態6.抗体又はその抗原結合断片は、アミノ酸配列EIGL(配列番号144)を有するVEGFR1上のエピトープに結合する、実施形態4に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0392】
実施形態7.抗体又はその抗原結合断片が、ヒト、マウス、ラット及び/又はカニクイザルVEGFR1に結合する、実施形態4に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0393】
実施形態8.抗体又はその抗原結合断片が、ヒトVEGFR1に結合する、請求項7に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0394】
実施形態9.抗体又はその抗原結合断片が、ヒトVEGFR1、並びにカニクイザル、マウス及びラットからなる群から選択される少なくとも1つの種に由来するVEGFR1に結合する、実施形態8に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0395】
実施形態10.抗体又はその抗原結合断片が、ヒト及びマウスVEGFR1に結合する、実施形態9に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0396】
実施形態11.抗体又はその抗原結合断片が、ヒト及びラットVEGFR1に結合する、実施形態9に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0397】
実施形態12.抗体又はその抗原結合断片が、ヒト、マウス及びラットVEGFR1に結合する、実施形態9に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0398】
実施形態13.抗体又はその抗原結合断片が、ヒト及びカニクイザルVEGFR1に結合する、実施形態9に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0399】
実施形態14.抗体又はその抗原結合断片が、ヒト、マウス、ラット及びカニクイザルVEGFR1に結合する、実施形態9に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0400】
実施形態15.抗体又はその抗原結合断片が、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用することで決定される、6×10-8M以下、特に1×10-8M以下、より具体的には5×10-9M以下、1×10-9M以下、5×10-10M以下、又は1×10-10M以下のKで、ヒトVEGFR1、マウスVEGFR1、ラットVEGFR1及びカニクイザルVEGFR1に結合する、実施形態9に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0401】
実施形態16.抗体又はその抗原結合断片が、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用することで決定される、6×10-8M以下、特に1×10-8M以下、より具体的には5×10-9M以下、1×10-9M以下、5×10-10M以下、又は1×10-10M以下のKで、ヒトVEGFR1、マウスVEGFR1、及びカニクイザルVEGFR1に結合する、実施形態9に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0402】
実施形態17.抗体又はその抗原結合断片が、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用することで決定される、6×10-8M以下、特に1×10-8M以下、より具体的には5×10-9M以下、1×10-9M以下、5×10-10M以下、又は1×10-10M以下のKでヒトVEGFR1及びマウスVEGFR1に結合する、実施形態9に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0403】
実施形態18.抗体又はその抗原結合断片が、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用することで決定される、6×10-8M以下、特に1×10-8M以下、より具体的には5×10-9M以下、1×10-9M以下、5×10-10M以下、又は1×10-10M以下のKでヒトVEGFR1及びラットVEGFR1に結合する、実施形態9に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0404】
実施形態19.抗体又はその抗原結合断片が、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用することで決定される、6×10-8M以下、特に1×10-8M以下、より具体的には5×10-9M以下、1×10-9M以下、5×10-10M以下、又は1×10-10M以下のKでヒトVEGFR1及びカニクイザルVEGFR1に結合する、実施形態9に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0405】
実施形態20.配列番号31、33、34、36、38又は39のVHの重鎖相補性決定領域(HCDR)、及び配列番号32、35、37又は40のVLの軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0406】
実施形態21.
a.配列番号31のアミノ酸配列を有するVHのHCDR、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、
b.配列番号33のアミノ酸配列を有するVHのHCDR、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、
c.配列番号34のアミノ酸配列を有するVHのHCDR、及び配列番号35のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、
d.配列番号36のアミノ酸配列を有するVHのHCDR、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、
e.配列番号38のアミノ酸配列を有するVHのHCDR、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、又は
f.配列番号39のアミノ酸配列を有するVHのHCDR、及び配列番号40のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、を含む、実施形態20に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0407】
実施形態22.HCDR1、HCDR2及びHCDR3を有するVHと、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を有するVLとを含み、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3が、
a.それぞれ配列番号7、175、9、10、11、及び12、
b.それぞれ配列番号7、8、9、10、11、及び12、
c.それぞれ配列番号13、14、15、16、17、及び18、
d.それぞれ配列番号19、20、21、22、23、及び24、
e.それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30、
f.それぞれ配列番号71、176、73、74、75、及び76、
g.それぞれ配列番号71、72、73、74、75、及び76、
h.それぞれ配列番号77、78、79、80、81、及び82、
i.それぞれ配列番号83、84、85、86、87、及び88、
j.それぞれ配列番号89、90、91、92、93、及び94、
k.それぞれ配列番号95、177、97、98、99、及び100、
l.それぞれ配列番号95、96、97、98、99、及び100、
m.それぞれ配列番号101、102、103、104、105、及び106、
n.それぞれ配列番号107、108、109、110、111、及び112、
o.それぞれ配列番号113、114、115、116、117、及び118、
p.それぞれ配列番号119、178、121、122、アミノ酸配列LNS、及び配列番号124、
q.配列番号119、120、121、122、アミノ酸配列LNS、及び配列番号124、
r.それぞれ配列番号125、126、127、128、アミノ酸配列FNF、及び配列番号130、
s.それぞれ配列番号131、132、133、134、アミノ酸配列YD、及び配列番号136、又は
t.それぞれ配列番号137、138、139、140、アミノ酸配列FNS、及び配列番号142を含む、実施形態21に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0408】
実施形態23.HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3が、それぞれ配列番号7、175、9、10、11及び12のアミノ酸配列を含む、実施形態22に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0409】
実施形態24.HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3が、それぞれ配列番号13、14、15、16、17及び18のアミノ酸配列を含む、実施形態22に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0410】
実施形態25.HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3が、それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のアミノ酸配列を含む、実施形態22に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0411】
実施形態26.HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3が、それぞれ配列番号7、8、9、10、11及び12のアミノ酸配列を含む、実施形態22に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0412】
実施形態27.HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3が、それぞれ配列番号19、20、21、22、23及び24のアミノ酸配列を含む、実施形態22に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0413】
実施形態28.配列番号31、33、34、36、38、又は配列番号39のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン(VH)と、配列番号32、35、37、又は40のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン(VL)とを含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0414】
実施形態29.
a.それぞれが配列番号31及び配列番号32、
b.それぞれが配列番号33及び配列番号32、
c.それぞれが配列番号34及び配列番号35、
d.それぞれが配列番号36及び配列番号37、
e.それぞれが配列番号38及び配列番号37、又は
f.それぞれが配列番号39及び40、のアミノ酸配列を含むVH及びVLを含む、実施形態28に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0415】
実施形態30.配列番号39のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又100%)同一であるVHと、配列番号40のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLとを含む、実施形態29に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0416】
実施形態31.配列番号39のアミノ酸配列を有するVHと、配列番号40のアミノ酸配列を有するVLとを含む、実施形態30に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0417】
実施形態32.配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVHと、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLとを含む、実施形態29に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0418】
実施形態33.配列番号33のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号32のアミノ酸配列を含むVLとを含む、実施形態32に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0419】
実施形態34.配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVHと、配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLとを含む、実施形態29に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0420】
実施形態35.配列番号38のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号37のアミノ酸配列を含むVLとを含む、実施形態34に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0421】
実施形態36.配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVHと、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLとを含む、実施形態29に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0422】
実施形態37.配列番号31のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号32のアミノ酸配列を含むVLとを含む、実施形態36に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0423】
実施形態38.配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVHと、配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLとを含む、実施形態29に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0424】
実施形態39.配列番号36のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号37のアミノ酸配列を含むVLとを含む、実施形態38に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0425】
実施形態40.配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVHと、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるVLとを含む、実施形態29に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0426】
実施形態41.配列番号34のアミノ酸配列を含むVHと、配列番号35のアミノ酸配列を含むVLとを含む、実施形態40に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0427】
実施形態42.配列番号51、配列番号53、配列番号54、配列番号56、配列番号58、又は配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖(HC)と、配列番号52、配列番号55、配列番号57、又は配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖(LC)とを含む、実施形態1~41のいずれか1つに記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0428】
実施形態43.配列番号51、52、53、54、55、56、57、59、及び60からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態42に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0429】
実施形態44.単離された抗体であって、
a.配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は少100%)同一であるアミノ酸配列を含むHC、及び配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むLC、
b.配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むHC、及び配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むLC、
c.配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むHC、及び配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むLC、
d.配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むHC、及び配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むLC、
e.配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むHC、及び配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むLC、又は
f.配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むHC、及び配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%)同一であるアミノ酸配列を含むLC、を含む、実施形態43に記載の単離された抗体。
【0430】
実施形態45.配列番号51のアミノ酸配列を含むHCと、配列番号52のアミノ酸配列を含むLCとを含む、実施形態44に記載の単離された抗体。
【0431】
実施形態46.配列番号53のアミノ酸配列を含むHCと、配列番号52のアミノ酸配列を含むLCとを含む、実施形態44に記載の単離された抗体。
【0432】
実施形態47.配列番号54のアミノ酸配列を含むHCと、配列番号55のアミノ酸配列を含むLCとを含む、実施形態44に記載の単離された抗体。
【0433】
実施形態48.配列番号56のアミノ酸配列を含むHCと、配列番号57のアミノ酸配列を含むLCとを含む、実施形態44に記載の単離された抗体。
【0434】
実施形態49.配列番号58のアミノ酸配列を含むHCと、配列番号57のアミノ酸配列を含むLCとを含む、実施形態44に記載の単離された抗体。
【0435】
実施形態50.配列番号59のアミノ酸配列を含むHCと、配列番号60のアミノ酸配列を含むLCとを含む、実施形態44に記載の単離された抗体。
【0436】
実施形態51.単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号33のアミノ酸配列を含むVHのHCDR、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、
b.それぞれ配列番号7、8、及び9のアミノ酸配列のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含むVH、並びにそれぞれ配列番号10、11、及び12のアミノ酸配列のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むVL、
c.配列番号33のアミノ酸配列を有するVH、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVL、及び/又は、
d.配列番号53のアミノ酸配列を有するHC、及び配列番号52のアミノ酸配列を有するLC、を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0437】
実施形態52.単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号34のアミノ酸配列を含むVHのHCDR、及び配列番号35のアミノ酸配列を有するVLのLCDR、
b.それぞれ配列番号13、14、及15のアミノ酸配列のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含むVH、並びにそれぞれ配列番号16、17、及び18のアミノ酸配列のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むVL、
c.配列番号34のアミノ酸配列を有するVH及び配列番号35のアミノ酸配列を有するVL、及び/又は、d.配列番号54のアミノ酸配列を有するHC及び配列番号55のアミノ酸配列を有するLC、を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0438】
実施形態53.単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号38のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)のHCDRを有するVH、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)のLCDRを有するVL、
b.それぞれ配列番号19、20、及び21のアミノ酸配列を有するHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含むVH、並びにそれぞれ配列番号22、23、及び24のアミノ酸配列のLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むVL、
c.配列番号38のアミノ酸配列を有するVH、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVL、及び/又は、
d.配列番号58のアミノ酸配列を有するHC、及び配列番号57のアミノ酸配列を有するLC、を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0439】
実施形態54.単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)のHCDRを有するVH、及び配列番号40のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)のLCDRを有するVL、
b.それぞれ配列番号25、26、及び27のアミノ酸配列を有するHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含むVH、並びにそれぞれ配列番号28、29、及び30のアミノ酸配列を有するLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むVL、
c.配列番号39のアミノ酸配列を有するVH、及び配列番号40のアミノ酸配列を有するVL、及び/又は、
d.配列番号59のアミノ酸配列を有するHC、及び配列番号60のアミノ酸配列を有するLC、を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0440】
実施形態55.単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)のHCDRを有するVH、及び配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)のLCDRを有するVL、
b.それぞれ配列番号7、175、及び9のアミノ酸配列有するHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含むVH、並びにそれぞれ配列番号10、11、及び12のアミノ酸配列有するLCDR1、LCDR2、及びLCDR3含むVL、
c.配列番号31のアミノ酸配列を有するVH、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVL、及び/又は、
d.配列番号51のアミノ酸配列を有するHC、及び配列番号52のアミノ酸配列を有するLC、を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0441】
実施形態56.単離された抗体又はその抗原結合断片であって、
a.配列番号36のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)のHCDRを有するVH、及び配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)のLCDRを有するVL、
b.それぞれ配列番号19、20、及び21のアミノ酸配列を有するHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含むVH、並びにそれぞれ配列番号22、23、及び24のアミノ酸配列を有するLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むVL、
c.配列番号36のアミノ酸配列を有するVH、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVL、及び/又は、
d.配列番号56のアミノ酸配列を有するHC、及び配列番号57のアミノ酸配列を有するLC、を含む、単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0442】
実施形態57.抗原結合断片が、scFv、(scFv)、Fv、Fab、F(ab’)、Fd、dAb、VHH又は一本鎖抗体である、実施形態1~56のいずれか一項に記載の単離された抗原結合断片。
【0443】
実施形態58.抗体又はその抗原結合断片が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のアイソタイプである、実施形態1~57のいずれか一項に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0444】
実施形態59.抗体又はその抗原結合断片が、IgG1アイソタイプである、実施形態58に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0445】
実施形態60.Ig定常領域又はIg定常領域の断片を含む、実施形態59に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0446】
実施形態61.Ig定常領域又はIg定常領域の断片が、Fcγ受容体(FcγR)への単離された抗体又はその抗原結合断片の低減された結合もたらす少なくとも1つの変異を含む、実施形態60に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0447】
実施形態62.単離された抗体又はその抗原結合断片のFcγRへの低減された結合をもたらす少なくとも1つの変異が、F234A/L235A、L234A/L235A、L234A/L235A/D265S、V234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、F234A/L235A、S228P/F234A/L235A、N297A、V234A/G237A、K214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D365E/L358M、H268Q/V309L/A330S/P331S、S267E/L328F、L234F/L235E/D265A、L234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331S、S228P/F234A/L235A/G237A/P238S、及びS228P/F234A/L235A/G236欠失/G237A/P238Sからなる群から選択され、残基番号付けがEUインデックスに従う、実施形態61に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0448】
実施形態63.Ig定常領域又は定常領域の断片が、L234A_L235A_D265Sの変異を含む、実施形態62に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0449】
実施形態64.FcγRが、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB若しくはFcγRIII、又はそれらの任意の組み合わせである、実施形態62に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0450】
実施形態65.Ig定常領域又はIg定常領域の断片が、抗体又はその抗原結合断片の半減期を調節する少なくとも1つの変異を更に含む、実施形態64に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0451】
実施形態66.抗体又はその抗原結合断片の半減期を調節する少なくとも1つの変異が、H435A、P257I/N434H、D376V/N434H、M252Y/S254T/T256E/H433K/N434F、T308P/N434A、及びH435Rからなる群から選択され、残基番号付けが、EUインデックスに従う、実施形態65に記載の単離された抗体又はその抗原結合断片。
【0452】
実施形態67.治療剤又は造影剤にコンジュゲートされた、実施形態1~66のいずれか一つに記載の単離された抗体又はその抗原結合断片を含む、イムノコンジュゲート。
【0453】
実施形態68.実施形態1~66のいずれか1つに記載の単離された抗体若しくは抗原結合断片、又は実施形態67に記載のイムノコンジュゲート、及び医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【0454】
実施形態69.実施形態1~66のいずれか1つに記載の単離された抗体又はその抗原結合断片をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【0455】
実施形態70.配列番号41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、61、62、63、64、65、66、67、68、69又は70のポリヌクレオチド配列と少なくとも80%(例えば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%又は100%)同一であるポリヌクレオチド配列を含む、実施形態69の単離されたポリヌクレオチド。
【0456】
実施形態71.実施形態69又は70に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【0457】
実施形態72.実施形態71に記載のベクターを含む宿主細胞などの、実施形態1~70のいずれか1つに記載の単離された抗体又はその抗原結合断片を発現する宿主細胞。
【0458】
実施形態73.実施形態1~66のいずれか1つに記載の単離された抗体若しくはその抗原断片、実施形態67に記載のイムノコンジュゲート、実施形態68に記載の医薬組成物、実施形態69若しくは70に記載の単離されたポリヌクレオチド、実施形態71に記載のベクター又は実施形態72に記載の宿主細胞の有効量を被験者に投与し、それによってVEGFAのVEGFR1への結合を防止することを含む、それを必要とする被験者においてVEGFAのVEGFR1への結合を防止する方法。
【0459】
実施形態74.被検者が、慢性腎疾患(CKD)の治療を必要としているか、タンパク尿を減少させる必要があるか、進行した4期若しくは5期の慢性腎疾患を有するか、又はタンパク尿、アルブミン尿若しくは糖尿病を伴うCKDを有する、実施形態73に記載の方法。
【0460】
実施形態75.治療を必要とする被検者における慢性腎疾患(CKD)を治療する方法であって、実施形態1~66のいずれか1つに記載の単離された抗体若しくはその抗原断片、実施形態67に記載のイムノコンジュゲート、実施形態68に記載の医薬組成物、実施形態69若しくは70に記載の単離されたポリヌクレオチド、実施形態71に記載のベクター又は実施形態72に記載の宿主細胞の治療有効量を、CKDを治療するのに十分な時間にわたり被検者に投与することを含む、方法。
【0461】
実施形態76.被検者が進行した4期又は5期の慢性腎疾患を有する、実施形態75に記載の方法。
【0462】
実施形態77.被検者が3期の慢性腎疾患を有する、実施形態75に記載の方法。
【0463】
実施形態78.被検者が、タンパク尿、アルブミン尿又は糖尿病を伴うCKDを有する、実施形態75に記載の方法。
【0464】
実施形態79.タンパク尿の減少を必要とする被検者におけるタンパク尿を減少する方法であって、実施形態1~66のいずれか1つに記載の単離された抗体若しくはその抗原断片、実施形態67に記載のイムノコンジュゲート、実施形態68に記載の医薬組成物、実施形態69若しくは70に記載の単離されたポリヌクレオチド、実施形態71に記載のベクター又は実施形態72に記載の宿主細胞の治療有効量を、被検者のタンパク尿を減少するのに十分な時間にわたり被検者に投与することを含む、方法。
【0465】
実施形態80.アルブミン尿の減少を必要とする被検者におけるアルブミン尿を減少する方法であって、実施形態1~66のいずれか1つに記載の単離された抗体若しくはその抗原断片、実施形態67に記載のイムノコンジュゲート、実施形態68に記載の医薬組成物、実施形態69若しくは70に記載の単離されたポリヌクレオチド、実施形態71に記載のベクター又は実施形態72に記載の宿主細胞の治療有効量を、被検者のタンパク尿を減少するのに十分な時間にわたり被検者に投与することを含む、方法。
【0466】
実施形態81.実施形態1~66のいずれか1つに記載の単離された抗体若しくはその抗原結合断片、実施形態67に記載のイムノコンジュゲート、実施形態68に記載の医薬組成物、実施形態69若しくは70に記載の単離されたポリヌクレオチド、実施形態71に記載のベクター、又は実施形態72に記載の宿主細胞を含む、キット。
【実施例
【0467】
実施例1.抗原の生成
血管内皮増殖因子受容体1(VEGFR1)は、7つの細胞外免疫グロブリン(Ig)様ドメイン、単一の膜貫通ドメイン、及び細胞質キナーゼドメインからなる受容体チロシンキナーゼ(RTK)のV型サブファミリーのメンバーである。構造研究では、VEGFR1へのリガンド結合が、Igドメイン2及びドメイン3(D2及びD3)によって媒介され、2つのドメインが、それぞれ、結合界面に約800及び700Å寄与することが以前に実証された(Markovic-Mueller,S.et al,Structure,25(2),341-352,2017)。このことは、ヒトVEGF165(R&D Systems)に対する組換えヒトVEGFR1(D1-D3)及びヒトVEGFR1(D2-D3)の親和性がSPRによってそれぞれ<45pM及び<30pMであると決定された結合分析によって確証された。hVEGFR1単独のドメイン2は、22nMの有意に低い親和性(親和性において約1,000倍の減少)を示し、これは、VEGFR1単独のD2(Flt-1(2)-IgG)がVEGF165に対して実質的に減少した親和性を示すことを実証する以前に公開された生化学データと一致した(Davis-Smyth,T.et al,EMBO Journal,15(18),4919-4927,1996)。
【0468】
したがって、VEGFR1へのリガンド結合を遮断することができる抗体を同定するために、D2-D3又はD1-D3のみを含むVEGFR1細胞外ドメイン(ECD)の切断型バージョンを、抗体発見中の一次免疫原として使用した。ヒトVEGFR1の第2及び第3の免疫グロブリン(Ig)様ドメインのFcキメラ(hVEGFR1 D2-D3-Fc-6xHis)は、アミノ酸残基130-331(UniProtアクセッション番号P17948)を、HRV3Cプロテアーゼ認識配列「LEVLFQGP」(配列番号174)を介してヒト免疫グロブリン重鎖定常ガンマ1(UniProtアクセッション番号P01857)の残基100-330に融合することによって作製した。柔軟な精製オプションのために、6XHisタグを構築物のC末端に添加した(構築物VGFW8、配列番号1)。更に、マウスVEGFR1の第1~第3の免疫グロブリン(Ig)様ドメインのFcキメラ(mVEGFR1 D1-D3-Fc-6xHis)は、残基23-332(UniProtアクセッション番号P35969)を、HRV3Cプロテアーゼ認識配列「LEVLFQGP」(配列番号174)を介してヒト免疫グロブリン重鎖定常ガンマ1(UniProtアクセッション番号P01857)の残基100-330に連結することによって作製した。
【0469】
類似の構築物(mFlt(1-3-IgG)は、VEGF及び/又はPlGF活性の強力な阻害剤として以前に記載された(Ferrara,N.et al,Nature Medicine,4(3),336-340 1998)。更に、柔軟な精製方法のために、6XHisタグを構築物のC末端に添加した(構築物construct VGFW9、配列番号2)。追加の構築物を設計し、ヒト、マウス、又はカニクイザル由来のVEGFR1細胞外ドメイン(ECD)(カニクイザル)の一部又は全体を、Aviタグ及び6×Hisタグ配列を有するC末端に付加した。これらは、ヒトVEGFR1のIg様ドメイン2(Uniprotアクセッション番号P17948の残基130-225、構築物VGFW2、配列番号3)、ヒトVEGFR1のIg様ドメイン2及びドメイン3(Uniprotアクセッション番号P17948の残基130-331、構築物VGFW3、配列番号4)、マウスVEGFR1のIg様ドメイン1~3(Uniprotアクセッション番号P35969の残基23-332、構築物VGFW4、配列番号5)、及びサルVEGFR1の全細胞外ドメイン(アクセッション番号XP_005585612.1の残基27-758、構築物VGFW5、配列番号6)。
【0470】
ポリエチレンイミンを使用して、VEGFR1 ECD発現構築物をHEK 293-6E細胞に一過性にトランスフェクションした。培養物の生存率が<80%に低下した場合、収集前に、バッチ供給Waveバッグ(Cultiバッグ)20L[Sartorius、Flexsafe(登録商標)RM 20L optical Cat#DFO020L]中で5%COを用いて細胞を37℃で6日間インキュベートした。細胞を遠心分離により除去し、Ni Sepharose 6 Fast Flow resin(GE Healthcare)を使用する固定化金属親和性クロマトグラフィー(IMAC)、続いて、ダルッベッコリン酸生理食塩水緩衝液pH7.2(1×DPBS)中における分取サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で平衡化されたSuperdex 200カラム(GE Healthcare)を使用して、Hisタグを有する可溶性VEGFR1タンパク質を培地から精製した。代替的に、VGFW8及びVGFW9については、MabSelect SuReプロテインAクロマトグラフィー樹脂(GE Healthcare)への適用及びそれからの溶出によって、使用済み上清から組換えタンパクを捕捉した。生成された抗原のアミノ酸配列を表2に示す。
【0471】
【表2-1】
【0472】
【表2-2】
【0473】
実施例2.scFv-FcフォーマットにおけるVEGFR1抗体の生成及び予備的特徴付け
免疫方法
糖尿病性腎疾患(DKD)の十分に確立されたげっ歯類モデルにおける非臨床的安全性及び薬理学/有効性研究の両方を可能にするために、カニクイザル並びにげっ歯類を含む様々な種(ヒトに加えて)にわたって広範な交差反応性を示すリガンド遮断抗VEGFR1抗体を同定することが強く好まれた。発見キャンペーンの開始時に種交差反応性抗体を作製する能力は、生物学の複雑性を考慮すると、目的の抗体の挙動を模倣していない可能性がある代替抗体を開発する必要性を排除した。
【0474】
広範な種交差反応性(げっ歯類を含む)を有する抗体を得ることは、ストリンジェントな設計要件を表し得る。実際、以前に報告された抗VEGFR1抗体は、厳密にマウス特異的又は厳密にヒト特異的のいずれかであり、異種間反応性が乏しいか又は全くないことを示した。参照として本明細書で使用されるVGFB80は、強力なヒトVEGFR1結合剤であるが、げっ歯類由来VEGFR1への結合を示さない。広く交差反応性の抗体の生成は、抗体発見のために典型的に使用される哺乳動物種(例えば、マウス、ラット、及びウサギ)にわたって保存されているエピトープに対する免疫学的寛容による妨害が多いことが十分に確立されている。典型的な抗体発見種(すなわち、マウス及びラット)にわたるVEGFR1のリガンド結合ドメインの保存は、図1及び表3に示されるアミノ酸配列同一性によって証明される。VEGFR1ドメイン2及びドメイン3について、ヒトとマウス/ラットとの間で、それぞれ約80%及び67%の配列同一性が観察される。
【0475】
【表3】
【0476】
代替的に、ニワトリなどのより系統発生的に遠い種の免疫化は、「汎哺乳動物」エピトープに対する免疫寛容を克服することができる場合がある(Ching,K.H.et al,MAbs,10(1),71-80,2018)。マウス及びラットと比較して系統発生的にヒトから離れているトランスジェニックOmnichickenは、保存されたヒトタンパク質に対する強固な免疫応答を実証した。しかしながら、Omnichicken単独の使用は、高親和性種交差反応性抗体を保証しない。
【0477】
本明細書に記載される高親和性及び種交差反応性抗VEGFR1抗体は、(1)特有の抗原(VEGFR1のリガンド結合サブドメイン)の選択及び設計、(2)免疫のための系統発生的に遠い種(ニワトリ)の選択、(3)固有の免疫手順、及び(4)広範な種反応性を有する抗VEGFR1抗体を同定する綿密な血清力価スクリーニングプロセスを含む固有の抗体産生方法を使用して作製された。ヒト化免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックニワトリ(n=12)(OmniChicken;Ligand Pharmaceuticals;Emeryville,CA and Schusser,B.et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 110,20170-20175,2013)を、hVEGFR1 D2-D3-Fc-6xHis(VGFW8)又はVGFW8及びmVEGFR1 D1-D3-Fc-6xHis(VGFW9)の交互ブーストのいずれかで免疫化した。トリの血清中力価を、VGFW2(hVEGFR1_D2-Avi-His)、VGFW3(hVEGFR1_D2-3 Avi His)、VGFW4(mVEGFR1_D1-3_Avi-6xHis)、及びVGFW5(cynoVEGFR1_ECD_Avi-6xHis)精製組換えタンパク質を使用するELISAによってモニタした。ヒト及びマウスVEGFR1組換えタンパク質の両方に対して最良の力価を有するトリから脾臓を採取した。リンパ球を脾臓から単離し、VGFW4並びにVGFW3及び/又はVGFW2でコーティングした両方のビーズへの陽性結合について調べた。v遺伝子配列を回収するために、リンパ球に対して単一細胞逆転写酵素PCRを行った。VH配列及びVL配列を、哺乳動物発現ベクター中でscFv-Fc(ヒトIgG1)分子として組み立てた。哺乳動物発現構築物を使用して、一過性トランスフェクションによって小規模(96ウェルフォーマット)で抗体を産生した。小規模発現からの上清を、精製抗原を使用するELISAによって、VEGFR1に対する特異性を有する組換え抗体の存在についてスクリーニングした。再確認された陽性クローンを6ウェルプレート(2mL)に増殖させ、上清の連続希釈を使用してELISA及びFACS分析を繰り返して、ヒト、カニクイザル、及びマウスVEGFR1への結合を、細胞外ドメインの可溶性精製組換えタンパク質として、及びヒト、カニクイザル、又はマウスVEGFR1のいずれかを過剰発現するように操作されたHEK細胞上の全長細胞表面結合受容体としての両方で確認した。更に、増殖したクローンを、それぞれhVEGFR2及びhVEGFR3を過剰発現するように操作されたHEK及びK562細胞上でカウンタースクリーニングした(図2)。
【0478】
ELISA及びFACSによってヒト、カニクイザル、及びマウスVEGFR1への特異的結合を提示したクローンのサブセットを配列決定し、ヒトモノクローナルIgG1(L234A/L235A/D265S)分子(2H:2L)として再フォーマットして、FcRn親和性を保存しながら任意のFc受容体エフェクター機能を無効にした。最初に調べた約800個のリンパ球のうち、43個の固有の分子が、上記の基準を満たした結果となった(5.6%)。残りのクローンは、一般に、マウスVEGFR1に対する交差反応性を欠くか、又はVEGFR1に対する特異的結合を示さなかった(すなわち、細胞上のヒトVEGFR2又はヒトVEGFR3にも結合した)。対照的に、より従来的なげっ歯類免疫化キャンペーンを並行して行い(n=42動物を免疫化した)、約2,200のMSD一次ヒットを細胞に対してスクリーニングしたところ、Hu/Cy/Mo VEGFR1の広範な種交差反応性(0.18%ヒット率)を実証したクローンは4つしかなく、これらの分子は最終的に、リガンド結合の遮断において有効性が低いことが証明されたか、又は望ましくない配列障害を有していた。
【0479】
ヒトモノクローナルIgG1(L234A/L235A/D265S)分子として再フォーマットされた43個の固有のOmnichicken由来クローンを発現させ、小規模(2mL)で精製し、(1)SPRによるヒト、カニクイザル、及びマウスVEGFR1に対する親和性決定、(2)リガンド遮断効力(生化学及び細胞ベースの両方)、(3)温度安定性、(4)表面疎水性、(5)非特異的結合、(6)ストレス/強制分解試験後の改変の欠如を含む広範な追加の特徴付けに供した。43個の分子のうち28個(約65%)が、10~11個の配列ファミリーに相当する強力なリガンド遮断薬として同定された。8つの抗VEGFR1mAbを、db/dbマウスにおける単回投与PK-TE-PD試験において評価した。VGFB54、VGFB71、VGFB78及びVGFB82をカニクイザルにおける単回投与PK-TE試験において評価し、固有の特性及び構造的特徴付けの広範なパネルに供した。
【0480】
VGFB883及びVGFB400の設計
VGFB54は、重鎖CDR2において「NG」脱アミド化配列障害を含有することが観察され、ペプチドマッピングによって、pH8.5(40C)で1週間維持した場合に有意な脱アミド化(14.7%)を受けることが観察された。このリスクに対処するために、N54又はG55のいずれかがあらゆる可能な代替アミノ酸(Cys又はTrpを除く)で置換されたバリアントの小さなライブラリを作製した。次いで、バリアントのライブラリを、生化学的リガンド遮断アッセイ及び細胞結合アッセイの両方において、標的への保持された結合について評価した。ほぼ全てのバリアントが、VEGFR1への結合の保持又はわずかな改善を示した。VGFB54のN54Qバリアント(VGFB883)は、最も化学的に保存的なアミノ酸置換の1つであり、翻訳後改変リスクを解決し、標的への結合の保持を示したので、更なる開発のために選択した(表4)。
【0481】
【表4】
【0482】
トランスジェニック動物から得られた抗体配列は、フレームワーク領域及びCDR領域に体細胞超変異を含有し得る。体細胞超変異は、ヒトフレームワーク領域において異常な又は低頻度の残基をもたらし、生物学的治療薬の安定性及び免疫原性に影響を与える可能性がある。親抗VEGFR1抗体VGFB78重鎖可変領域は、フレームワーク領域内の110位(105Chothia描写)に体細胞超変異を含有した。110位のロイシン残基(105Chothia)は、典型的には、その位置で最も頻繁に見出されるグルタミン(Q)残基(頻度76%)と比較して、典型的に低頻度の残基(頻度1%未満)である(図3)。したがって、L11Q変異をVGFB78の重鎖において操作して、VGFB400をもたらし、この位置における生殖系列同一性への復帰を表す。この置換は、この位置における最も一般的な同一性を反映するように選択された。
【0483】
ExpiCHO小規模トランスフェクション及び精製
免疫化キャンペーンから同定された抗体をクローニングし、IgG1-AAS(L234A/L235A/D265S)として2mlスケールで発現させ、精製した。ExpiCHO(商標)細胞(ThermoFisher Scientific)を、37℃、7%CO2でExpiCHO(商標)発現培地中で培養した。細胞を継代培養し、この場合、生存率98~99%で、密度が4-6 × 10生存細胞/mLで対数増殖に達した。トランスフェクションの日に、生存細胞密度及び生存率を求めた。細胞を、製造業者のトランスフェクションプロトコル(24及び96ディープウェルブロック及びミニバイオリアクタチューブのためのThermoFisher ExpiCHO Expressionシステムプロトコル)に従って、6×10生存細胞/mLの密度でトランスフェクトした。トランスフェクション後7日目に850×gで15分間遠心分離することによって培養上清を収集した後、精製した。MabSelect Sure resin(GE Healthcare)を使用して清澄化した上清から抗体を精製し、PBSに透析した。DropSense Instrument(Trinean NV/SA)を使用して、濾液に対する280nmの吸収度測定により、タンパク質濃度を求めた。
【0484】
抗VEGFR1抗体の配列
表5は、選択された抗VEGFR1抗体のKabat HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を示す。表6は、選択された抗VEGFR1抗体のKabat LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を示す。表7は、選択された抗VEGFR1抗体のChothia HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を示す。表8は、選択された抗VEGFR1抗体のChothia LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を示す。表9は、選択された抗VEGFR1抗体のABM HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を示す。表10は、選択された抗VEGFR1抗体のABM LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を示す。表11は、選択された抗VEGFR1抗体のIMTG HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を示す。表12は、選択された抗VEGFR1抗体のIMTG LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を示す。表13は、選択された抗VEGFR1抗体のVH及びVLアミノ酸配列を示す。表14は、選択された抗VEGFR1抗体のVH核酸配列を示す。表15は、選択された抗VEGFR1抗体のVL核酸配列を示す。
【0485】
表16は、選択された抗VEGFR1抗体のHCアミノ酸配列を示す。表17は、選択された抗VEGFR1抗体のLCアミノ酸配列を示す。表18は、選択された抗VEGFR1抗体のHCヌクレオチド配列を示す。表19は、選択された抗VEGFR1抗体のLCヌクレオチド配列を示す。表20は、選択された抗VEGFR1抗体に割り当てられた配列番号を要約する。
【0486】
【表5】
【0487】
【表6】
【0488】
【表7】
【0489】
【表8】
【0490】
【表9】
【0491】
【表10】
【0492】
【表11】
【0493】
【表12】
NA=該当なし
【0494】
【表13】
【0495】
【表14-1】
【0496】
【表14-2】
【0497】
【表15-1】
【0498】
【表15-2】
【0499】
【表16-1】
【0500】
【表16-2】
【0501】
【表17】
【0502】
【表18-1】
【0503】
【表18-2】
【0504】
【表18-3】
【0505】
【表19-1】
【0506】
【表19-2】
【0507】
【表20】
【0508】
実施例3.抗VEGFR1抗体の生物物理学的特徴付け及びインビトロ活性プロファイリング
VEGFR1を過剰発現する細胞への結合の確認
親CHO-K1細胞、ヒトVEGFR1を安定的に発現するCHO-K1細胞、Ba/F3親細胞、及びマウスVEGFR1を安定に発現するBa/F3細胞を、それぞれ染色なし、CSFE、CTV、又はCTV+CSFEのいずれかで4℃で10分間染色した。続いて、細胞を熱不活性化FBSを含有する培地で洗浄し、遠心分離によって収集し、組み合わせ、染色緩衝液中に再懸濁し、プレーティングした(95μL/ウェル、ウェル当たり200,000の各細胞型)。抗体サンプルを10nMの最終濃度まで添加し(5μL/ウェル)、遮光して4℃で60分間インキュベートした。細胞を150μL/ウェルの染色緩衝液で2回洗浄した。AlexaFluor 647コンジュゲート抗ヒトIgG1二次抗体を添加し(100μL/ウェル)、遮光して4℃で30分間インキュベートした。細胞を150μLの染色緩衝液で2回洗浄し、最終的に30μLのランニング緩衝液に再懸濁し、iQueフローサイトメーターで読み取った。この単一濃度アッセイを、細胞上のヒト及びマウスVEGFR1への結合の迅速な確認として使用した。10nMの単一濃度でカニクイザルVEGFR1を安定的に過剰発現するHEK293細胞への候補抗体の結合を確認するために、同様のアッセイを行った。更に、VEGFR1に対する特異性を実証するために、同様のカウンタースクリーニングアッセイも実施して、単一の高濃度(10nM)でヒトVEGFR2を安定的に発現するHEK293細胞又はヒトVEGFR3を安定的に発現するK562細胞のいずれかに対する抗VEGFR1抗体の結合の欠如を確認した(表21)。
【0509】
【表21】
CyVEGFR1についての陽性の閾値は、S/B>3であった
ND=決定されず
ヤギ抗ヒトVEGFR2=R&D Systemsカタログ番号AF357
ヤギ抗ヒトVEGFR2=R&D Systemsカタログ番号AF349
【0510】
細胞上のVEGFR1に対する抗VEGFR1抗体の結合についての完全な用量反応曲線も作成した。親CHO-K1細胞及びヒトVEGFR1を安定的に発現するCHO-K1細胞(CHO-K1\hVEGFR1)をaMEM+10%FBS及び10μg/mLピューロマイシンを含有するaMEM+10%FBS中でそれぞれ培養した。CHOK1/hVEGFR1を上記のようにCSFEで染色し、親CHO-K1細胞を未染色のままにした。細胞を洗浄し、合わせて(約0.5×10細胞/mL)、ウェル当たり約40,000細胞(75μL/ウェル)でプレーティングした。次いで、連続希釈した抗体サンプルを細胞に添加し、37℃で1時間インキュベートした。細胞を染色緩衝液で2回洗浄し、次いでAF647コンジュゲート二次抗体で4℃にて30分間染色した。プレーティングした細胞を2回洗浄し、続いてSytox Blue(1:1000)を含有するリード緩衝液を添加し、iQueフローサイトメーターで読み取った。データをフィットさせてEC50値を得た(表22)。
【0511】
【表22】
【0512】
リガンド遮断:生化学的及び細胞ベース
VEGFA又は胎盤増殖因子(PlGF)リガンドのVEGFR1への結合を防止する抗VEGFR1抗体の能力を、生化学的電気化学発光(ECL)アッセイ及び細胞ベースのアッセイフォーマットの両方で決定した。
【0513】
簡潔には、MSD MA6000 384プレートを、冷室で16時間、TBS中の0.5ug/mlのプロテインA/G(Thermo Fisher Scientific)又は抗His mAb(R&D)でコーティングした。プレートを1×TBSで2回洗浄し、35μl/ウェルのブロッカーAで室温にて1時間遮断した。組換えヒト若しくはマウスVEGFR1-Fcタンパク質(R&D Systems)、又はHisタグ化カニクイザルVEGFR1を0.5ug/mlでプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。未結合のVEGFR1タンパク質を、70ul/ウェルの1×MSD Tris Wash緩衝液を使用して洗い流した。半対数連続希釈の非標識VEGFR1リガンド又は抗VEGFR1抗体を、結合したVEGFR1と共に室温で30分間プレインキュベートし、次いで、希釈したビオチン標識ヒトVEGFA165(0.2nM)、マウスVEGFA164(0.2nM)又はPLGF(2nM)を結合のために添加した。注目すべきことに、カニクイザル及びヒトVEGFA及びPlGFのアミノ酸配列は同一であり、ビオチン標識ヒトVEGF-A及びPlGFをカニクイザルVEGFR1競合アッセイのリガンドとして使用した。結合したリガンドを、1μg/mlのスルホタグ化ストレプトアビジンを添加することによって検出した。シグナルを生成し、35μl/ウェルの2×MSDリード緩衝液Tの存在下でMSD Imager、SECTOR S 600(Meso Scale C Diagnostics、シリアル番号1201180626620)で検出した。ECL読み取り値を使用して、結合%、IC50及び最大阻害%を計算した。
●%結合=(((サンプル-平均(バックグラウンド))÷(平均(総結合)-平均(バックグラウンド)))×100
○総結合=ビオチンリガンドのみ
○バックグラウンド=ブロッカーもビオチンリガンドもない
●非線形回帰ログ(阻害剤)対応答-可変勾配(4つのパラメータ)を使用して曲線をフィットさせた。
○式:Y=底値+(頂点-底値)/(1+10^((LogIC50-X)×ヒル勾配))
○Prism 8ソフトウェアからIC50を抽出した。
●最大阻害%=100-平均(最高濃度での結合%)
【0514】
ヒト、カニクイザル、マウスVEGFR1への結合からVEGFA/PlGFを置換する際のVEGFR1 mAbのインビトロ有効性(最大阻害%)及び効力(IC50)を表23及び表24に要約する。抗VEGFR1抗体は、約100%の最大阻害でヒト及びカニクイザルVEGFR1への結合において強力なリガンド遮断活性を示した。IC50値はナノモル以下の範囲であり、そのリガンドに匹敵した。VGFB80はマウスVEGFR1に対する結合もリガンド競合も有さなかったが、他のVEGFR1 mAbは、このアッセイにおいてマウスVEGFR1に対して高い遮断効力及び効力を示した。
【0515】
【表23】
【0516】
【表24】
【0517】
細胞上のリガンド遮断を以下のように決定した。Cell Trace Violet CSFE(ThermoFisher Scientific)で染色した細胞を、FACS染色緩衝液中で、ウェル当たり15,000細胞(30μL/ウェル、CHO親細胞又はヒトVEGFR1を過剰発現するように操作されたCHO細胞)。等量の段階希釈した試験抗体を細胞に適用し、4℃で1時間インキュベートした。細胞を200μL/ウェルの染色緩衝液で2回洗浄し、続いて100μL/ウェルのビオチン化VEGF Aリガンド(500pM)を添加した。細胞を4℃で更に1時間インキュベートした後、50μL/ウェルのAF647コンジュゲートストレプトアビジン(3nM)を添加した。プレートを遮光して4℃で30分間インキュベートし、200μL/ウェルの染色緩衝液で2回洗浄し、遠心分離によって収集し、Sytox Blue生/死染色を含有するランニング緩衝液に再懸濁し、次いでIntellicyt iQue Plusフローサイトメーターで読み取った。データをフィットさせてIC50値を得た。リガンド遮断パーセントを各試験抗体の各濃度について計算し、IC50値を決定した(表25)。
【0518】
【表25】
【0519】
熱安定性の決定
各抗体の熱安定性を、Nanotemper Technologiesからの自動化Prometheus機器を使用してNanoDSF法によって決定した。濃度0.25mg/mLでサンプルを384ウェルサンプルプレートから24ウェルキャピラリーにロードすることによって、測定を行った。各試料について2回測定が行われる。Prometheus NanoDSFユーザインターフェース(Melting Scanタブ)を使用して、実施のための実験パラメータを設定する。典型的なIgGサンプルのサーマルスキャンは、1.0℃/分の速度で20℃~95℃にわたって行われる。NIST mAb(及び/又はCNTO3930、CNTO5825)を対照として含め、二連で実行した。330及び350nmにおける分子固有の蛍光を使用して、温度ランプ中のアンフォールディングをモニタし、経時的な蛍光強度の変化として記録する。T開始は、アンフォールディングが始まる温度である。
【0520】
【表26】
【0521】
選択された候補の熱安定性も、示差走査熱量測定(DSC)によって行った。MicroCal VP-Capillary DSC装置を使用した。サンプルを1×DPBS又は別の適切な緩衝液中に一晩透析した。サーマルスキャンは、サンプル細胞及び参照細胞の温度を25~95℃まで60℃/時間の速度で上昇させることによって行った。サーモグラムは、「非2状態」パラメータを用いてフィットさせた。全てのサンプルについてのTm1は、Fabアンフォールディングを表し得、68~73℃の範囲である。Tm2及びTm3は、バリアントIgG1 Fcアンフォールディングに関連する。
【0522】
【表27】
【0523】
動力学的排除アッセイによる親和性測定
動力学的排除アッセイ(KEA、KinExA)を使用して、ヒト、マウス及びカニクイザルVEGFR1への抗VEGFR1抗体の結合を分析した。KEAは蛍光ベースの溶液法であり、文献(Darling and Brault,2004)に詳細に記載されている。相互作用の親和性を測定するために、固定濃度の1つの相互作用体(A)及び様々な濃度の別の相互作用体(B)を有する一連の溶液を調製し、平衡に到達させる。平衡化後、遊離Aの濃度は、平衡化された混合物を、反応物Bで修飾されたビーズを充填したカラムに流すことによって決定される。遊離Aはビーズに結合し、次いで蛍光標識ポリクローナル抗体を使用して検出される。平衡が破壊されない(置き換えられない)こと、すなわち、BがAB複合体から解離しないこと(動力学的排除)を確実にするために、混合物とビーズとの間の短い接触時間を達成するために、サンプルを速い流速でカラムにロードする。
【0524】
簡潔には、固定濃度(300pM、60pM、12pM、2.4pM又は0.5 pM)のAbを使用して、抗原の連続希釈物(2nM~0.52pM、又は800pM~5.37fM)を調製した。複合体滴定物を室温でインキュベートして、少なくとも2日間結合平衡に到達させた。インキュベーション後、サンプルをKinExA3200又はKinExA4000装置にかけて、反応中の遊離抗体を評価した。これらの研究の間、実験が不合格であったか、合格基準に不合格であったので、データの一部は拒絶された。マウスVEGFR1について、60及び300pM濃度は、高い滴定剤関連NSBに起因して拒絶された。KinExA Proソフトウェアのn曲線分析機能を用いて、解離平衡定数(K)を決定した。このプログラムは、1:1結合モデルに全体的に適合させたデータの非線形最小二乗回帰分析を使用する。(CI=信頼区間)。
【0525】
【表28】
マウスVEGFR1特異的抗体。ヒト、カニクイザル又はラットVEGFR1に結合しない
【0526】
5つのmAbに対するVEGFRのHDXエピトープマッピング
5つのmAb、VGFB54、VGFB71、VGFB78、VGFB80、及びVGFB82に対するVEGFR1のエピトープを、HDX-MSによってマッピングした。VGFB80は、本明細書に記載される抗体生成の試みにおいて発見されなかった参照分子であった。mAbへの結合時に2kcal/molを超えて自由エネルギーを減少させたセグメントは、HDX-MSによって定義された「強い」エピトープである。mAbへの結合時に自由エネルギーを1~2kcal/mol減少させたセグメントは、「弱い」エピトープと考えられる。試験した全てのmAbに対するVEGFR1のエピトープは非常に類似している。VGFB54に対するVEGFR1の強いエピトープは、セグメント172~177(FPLDTL、配列番号143)及び201~204(EIGL、配列番号144)である。VGFB71に対するVEGFR1の強いエピトープは、セグメント172~177(FPLDTL、配列番号143)、200(K)、及び201~204(EIGL、配列番号144)である。VGFB78に対するVEGFR1の強いエピトープは、セグメント172~177(FPLDTL、配列番号143)、200(K)、及び201~204(EIGL、配列番号144)である。VGFB82に対するVEGFR1の強いエピトープは、セグメント201~204(EIGL、配列番号144)である。VGFW1の配列カバー率は、0.4mM FC-14、8M尿素、1M TCEP、pH3.0でクエンチした後にペプシン/FPXIII混合床カラムによって消化した場合、88%(=285/326)であった。5つの潜在的な糖鎖付加部位のうち、N196は非糖ペプチドによってカバーされ、他の4つの部位はカバーされなかった。
【0527】
【表29】
【0528】
VEGFR1に対する4つのmAbのHDXパラトープマッピング
VEGFR1に対する4つのmAbのパラトープをHDX-MSによってマッピングした(図4A及び図4B)。mAbへの結合の際に1kcal/molを超えて自由エネルギーを減少させたセグメントは、HDX-MS規定エピトープである。VEGFR1に対するVGFB54のパラトープは、重鎖セグメント32~35(YGMN、HCDR1、配列番号145)、38~46(RQAPGKGLD、配列番号146)、49~54(SSINRN、HCDR2、配列番号147)、55~59(GDIST、HCDR2、配列番号148)、69~77(FTISRDNSK、配列番号149)及び97~104(CTKNHDYH、HCDR3、配列番号150)並びに軽鎖セグメント1~32(QSVLTQPPSASGTPGQRVTISCSGSRSNIGNN、LCDR1、配列番号151)及び51~74(LNSQRPSGVPDRFSGSKSGTSASL、LCDR2、配列番号152)である。VEGFR1に対するVGFB71のパラトープは、重鎖セグメント30~34(RDYNM、HCDR1、配列番号153)、39~47(QAPGKGEW、配列番号154)及び49~68(SIITNDGSSTAYSDSVKGRF、HCDR2、配列番号155)並びに軽鎖セグメント1~34(QSVLTQPPSASGTPGQRVTISCSGGSSNIGSNYV、LCDR1、配列番号156)、50~51(YF、LCDR2)、54~74(QRPSGVPDRFSGSKSGTSASL、配列番号158)及び94~98(DRVNV、LCDR3、配列番号159)である。VEGFR1に対するVGFB78のパラトープは、軽鎖セグメント50~73(YYD-QRPSGVPDRFSGSKSGTSASL、LCDR2、配列番号160)である。VEGFR1に対するVGFB82のパラトープは、重鎖セグメント7~18(SGGGLVQPGGSL、配列番号161)、23~28(EASGFD、HCDR1、配列番号162)、31~33(TYA、HCDR1)、38~46(RQAPGKGLE、配列番号163)、51~68(INSEGTITSHAPAVKGRFT、HCDR2、配列番号164)及び96~116(CSSTTGTTHGMDVWG、HCDR3、配列番号165)並びに軽鎖セグメント1~34(QSVLTQPPSA SGTPGQRVTISCSGSSSNIQNNYV、LCDR1、配列番号166)、50~51(YF、LCDR2)、52~74(NSQRPSGVPDRFSGSKSGTSASL、LCDR2、配列番号167)及び95~100(SLNGWV、LCDR3、配列番号168)である。
【0529】
チロシンキナーゼ活性化アッセイ
抗VEGFR1抗体を試験して、それらがVEGFR1シグナル伝達を活性化できないことを確認した。VEGFR1の本質的に弱いシグナル伝達活性のために、以前に記載された細胞ベースのバイオアッセイを使用した(Makinen,T.et al.EMBO Journal,20(17),4762-4773,2001)。キメラ受容体を安定的に発現するBa/F3細胞で、ヒトVEGFR1の細胞外ドメイン(残基1~758、Uniprotアクセッション番号P17948)を、マウスエリスロポエチン受容体(EpoR、残基250~507、Uniprotアクセッション番号P14753)の膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインに融合)に融合し、これらの細胞のIL-3非依存性増殖を、抗VEGFR1抗体又は陽性対照としてのhVEGFR1の存在下又は非存在下で決定した。簡潔には、約20,000細胞/ウェルを、マウスIL-3を欠く培地(RPMI+10%FBS+0.5μg/mlピューロマイシン)中にプレーティングした。マウスIL-3を最終濃度10ng/mLで対照ウェルに添加した。他のウェルは、抗VEGFR1抗体(最終濃度10nM若しくは50nM)、hVEGFA165(5nM、R&D Systems)、又は基本培地(mIL-3を含まない)のいずれかを受領した。細胞を37℃、5%COで72時間インキュベートした。増殖を50μL/ウェルのCellTiter Glo(Promega)の添加、室温で10分間のインキュベーションによって測定した。最後に、プレートをEnvision 2105プレートリーダーでUltrasensitive Luminescenceプロトコールを用いて読み取った。BaF3\hVEGFR1-mEpoR細胞の増殖をmIL-3依存性条件と比較した。mIL-3の非存在下で細胞の生存率をレスキューすることが実証されたhVEGF(5nM)とは異なり、試験した抗VEGFR1抗体はいずれも、試験した濃度のいずれにおいてもIL-3非依存性増殖を促進することができなかった(表30)。この結果は、抗VEGFR1抗体がチロシンキナーゼ活性化又は更に下流のシグナル伝達を刺激できないことと一致する。
【0530】
【表30】
【0531】
特異性細胞表面-ome
広範な種の交差反応性抗体に関連する1つのリスクは、オフターゲット障害の増加である。細胞マイクロアレイ技術を実施して(Retrogenix Ltd.)、VEGFR1に対する抗VEGFR1抗体の特異性及び任意の「オフターゲット」障害の非存在を確認した。
【0532】
このヒト細胞マイクロアレイ方法論は、以前に文献に記載されている(Freeth,J.et al,SLAS Discovery,25(2),223-230,2020)。一次スクリーニングを、固定されたHEK293細胞と共にアレイ化されたスライド上で実施し、HEK293細胞の各スポットは、細胞表面-ome由来の固有なタンパク質、細胞表面係留ヒト分泌タンパク質、又はヘテロ二量体ヒト細胞表面受容体のいずれかを発現した。合計で、5,528の固有の遺伝子産物が、この一次スクリーニングにおいて表された(4,103のヒト原形質膜タンパク質(+いくつかの非係留分泌タンパク質)+1,425の細胞表面係留ヒト分泌タンパク質)。簡潔には、固定されたトランスフェクトHEK293細胞を含有するスライドに、試験抗体(2μg/mL)の溶液を重層し、インキュベートし、洗浄した。AlexaFluor647コンジュゲート抗ヒトIgG Fc検出抗体及びImageQuantでの蛍光定量を使用して結合を評価した。予想されるように、試験した全ての抗VEGFR1分子は、ヒトVEGFR1のアイソフォーム(FLT1アイソフォーム1、2及び3)への結合を示した(表31~34)。VGFB54、VGFB80、及びVGFB82は、このスクリーニングによって捕捉された任意の他の表面-omeタンパク質への結合を示さなかった。抗VEGFR1抗体のうちの2つ(VGFB71及びVGFB78)は、無関係な細胞表面タンパク質(表32)ネクチン1、FGFR2(線維芽細胞増殖因子受容体2)、ISLR(ロイシンリッチリピートタンパク質を含有する免疫グロブリンスーパーファミリー)及びCRELD2(タンパク質ジスルフィドイソメラーゼCRELD2)への予想外の結合を示した。ERに位置して、CRELD2へのオフターゲット結合はあまり重要ではなかった。一方、ネクチン-1、FGFR2、及びISLRは、広範な組織発現プロファイルを提示する。これらのタンパク質に対する交差反応性は、これらの標的への結合が分子の薬物動態及び生体内分布プロファイルに著しい影響を及ぼす可能性があるため、望ましくない。続いて、このオフターゲット結合を、一次スクリーニングにおいて同定されたこれらの「オフターゲット」タンパク質を一過性に発現する生HEK293細胞に対するフローサイトメトリーによって確認した。これらのデータを使用して、知られていないオフターゲット障害を有する抗VEGFR1抗体を更に選択した。
【0533】
【表31】
【0534】
【表32】
【0535】
【表33】
【0536】
【表34】
【0537】
実施例4.カニクイザルにおける抗VEGFR1抗体の全身薬物動態及び標的関与バイオマーカープロファイル
抗VEGFR1抗体の生物物理学的及びインビトロ活性プロファイリングに加えて、全身性薬物動態(PK)及び標的関与(TE)バイオマーカープロファイルをカニクイザルにおいて特徴付けた。
【0538】
ナイーブ雄カニクイザル(Macaca Fascicularis、年齢2~7歳、Envigo RMS)を、体重によってそれぞれ2匹の動物の群に無作為化した。0.3mg/kg、2mg/kg、及び10mg/kgのVGFB54、VGFB78、VGFB82及びVGFB80を、1日目に約2分間かけて静脈内(IV)投与し、その後15日目に皮下(SC)投与した。投与前、並びにIV投与の1時間、6時間、24時間、48時間、96時間及び168時間後、並びにSC投与の1時間、6時間、24時間、48時間、96時間、168時間及び336時間後の時点で、各動物からのK2 EDTAを含有するチューブに大腿静脈を介して血液サンプル(合計0.5~2mL)を採取した。血液サンプルを2~8℃で維持した後、遠心分離して血漿を得た(採取から1時間以内)。血漿サンプルをPK及びTEアリコートに採取し、サンプル分析まで-70℃で保存した。
【0539】
抗VEGFR1抗体のイムノアッセイ生体分析
カニクイザル血漿中の抗VEGFR1 mAbの「総」及び「遊離」mAb濃度を、電気化学発光検出による典型的なサンドイッチフォーマットを用いたイムノアッセイ法を使用して決定した。簡潔に述べると、MSD Goldストレプトアビジンプレート(Meso Scale Discovery)をブロッキング緩衝液で予め湿らせ、軽く叩いて乾燥させた。最終作業濃度の捕捉及び検出試薬を含有するマスターミックス溶液を、希釈標準、品質管理(QC)及びサンプル(15μL/ウェル)と共にプレートに添加し(35μL/ウェル)、60分間インキュベートした。洗浄後、1×MSD-Tリード緩衝液を全てのウェルに添加した。その後すぐ、プレートをMSD Sector S600 Imagerで読み取った。「総」及び「遊離」VEGFR1 mAbについての定量可能な範囲は、それぞれ0.010~2560μg/mL及び0.020~5120μg/mLと定義され、血漿サンプルについては10×最小必要希釈であった。「総」mAbの測定のために、ビオチン化及びルテニウム標識抗ヒトFc mAb(R10Z8E9)を捕捉/検出試薬として使用した。「遊離」mAbの測定のために、ビオチン化組換えカニクイザルVEGFR1[D1-D3]-Avi6xHis、及びルテニウム標識抗ヒトFc mAb(R10Z8E9)を捕捉/検出試薬として使用した。
【0540】
生のECLカウントを含有するMSD出力ファイルをCyberlab Content Manager(Agilent)に掃引し、分析のためにWatson LIMS(Thermo Scientific)回帰ソフトウェアにインポートした。Watson研究回帰は、アッセイ認定の間に予め定義され、1/Y2重み付け係数を用いた5パラメータロジスティック(自動推定)フィットを使用した。
【0541】
血漿中薬物濃度-時間プロファイルを図5図8で説明する。総濃度及び遊離濃度は、4つ全ての分子について全ての時点にわたって同様であった。非コンパートメント解析を使用して推定した血漿PKパラメータを表35に示す。1つの投与間隔の終末相半減期(T1/2、最大血漿薬物濃度(Cmax)、及び薬物血清濃度-時間曲線下面積(AUC)は、用量に比例する様式よりも大きく用量とともに増加した。非線形PKプロファイル、及び低用量でのより短い半減期は、標的媒介性薬物動態(TMDD)を示唆する。VGFB54、VGFB82、及びVGFB80の10mg/kg IVの平均半減期は、それぞれ約4.9日、5.7日、4.5日であった(総PKの非コンパートメント分析に基づく)。しかしながら、有意なTMDD、短いサンプリング時間、及び終末相が完全に特徴付けられていない可能性があるため、T1/2及びクリアランス(CL)は慎重に解釈されるべきである。VGFB82、VGFB54、及びVGFB80のサルPKプロファイルは更に、最小の生理学的に基づくPKモデルを使用して特徴付けられた。VGFB54、VGFB82、及びVGFB80のSCバイオアベイラビリティは、約83.7%、95.4%、及び87.7%であった。
【0542】
【表35】
【0543】
max、最大(ピーク)濃度、AUClast、最後のサンプリング点までの濃度-時間曲線下面積、AUCinf、無限大に外挿された濃度-時間曲線下面積、CL、総クリアランス、T1/2、半減期、NA、該当なし
【0544】
VEGFR1 mAbの投与に応答した血漿PlGF
VEGFAに加えて、VEGFR1は胎盤増殖因子(PlGF)にも結合する。VEGFR1及びVEGFR2の両方に結合するVEGFAとは異なり、PlGFはVEGFR1の選択的リガンドである。PlGF及びVEGFAは、同等の結合親和性を有するVEGFR1(D2-D3)上の重複した結合ドメインを共有するので、VEGFA結合を遮断する抗VEGFR1抗体は、PlGFのVEGFR1への結合を競合的に遮断し、PlGFのレベルの増加をもたらす。
【0545】
カニクイザルにおける未結合及び結合VEGFR1の両方を含む総血漿PlGFレベルを、段階的電気化学発光アッセイ(ヒトPlGF Vプレックスキット、MSD K151MED-4)を使用して決定した。捕捉抗体でコーティングしたプレートを遮断し、1時間インキュベートした。PlGFキャリブレーター(ヒトPlGF、R&D Systems)、品質管理(QC)、及び血漿サンプルを、抗VEGFR1抗体(167μg/mL)を含有する緩衝液で1:10に希釈した。抗VEGFR1抗体は可溶性VEGFR1に結合し、したがってVEGFR1がPlGFに結合することによって引き起こされるシグナル抑制を緩和する。室温で少なくとも15分間インキュベートした後、遮断後の洗浄したMSDプレートに混合物を添加し、4℃で一晩インキュベートした。洗浄後、SulfoTagとコンジュゲートした検出抗体を添加し、室温で2時間インキュベートした。MSDプレートを洗浄し、1×MSD-Tリード緩衝液を全てのウェルに添加した。その後すぐ、プレートをMSD Sector S600 Imagerで読み取った。
【0546】
生のECLカウントを含むMSD出力ファイルを、分析のためにWatson LIMS(Thermo Scientific)回帰ソフトウェアにインポートした。Watson研究回帰は、アッセイ認定の間に予め定義され、1/Y2重み付け係数を有する4パラメータロジスティックフィットを使用した。
【0547】
VEGFR1 mAbのIV又はSC投与後、全身PlGFレベルは用量及びPK関連様式で増加した(図9図12)。PlGFレベルの増加は、VGFB82とVGFB54との間で同等であり、VGFB80及びVGFB78よりも高い傾向にある。
【0548】
実施例5.db/dbマウスにおけるマウス再フォーマット抗VEGFR1リードの標的関与バイオマーカープロファイル
マウスにおけるヒト抗VEGFR1 mAbの免疫原性を低下させて、マウスにおける長期投薬及び有効性研究を可能にするために、ヒト抗VEGFR1抗体のマウス再フォーマットバージョンを作製し、ここで、ヒト抗VEGFR1 mAb(VH/VL)の可変領域を、重鎖についてはサイレントマウスIgG1_D265A(CH1、CH2、CH3)から構成されるマウス定常領域、及び軽鎖についてはマウスラムダの定常領域に移植した。対照は、VEGFR1に結合しない同じアイソタイプの対照抗体である。
【0549】
マウスPlGFの測定には、マウスPlGF-2 Quantikine ELISA Kit(R&D System Catalog MP200)を用いた。アッセイの線形検出範囲(1.84pg/mLの感度で23.4~1500pg/mLのアッセイ範囲)内に読み出しを維持するために、用量レベル及び時点に従って、試験血漿サンプルをキャリブレーター希釈剤RD 5~17で1:4~1:15に希釈した。450nmに設定したSpectraMaxプレートリーダー(Molecular Devices Model Paradigm)でプレートを読み取り、マウス血漿サンプル中のPLGF-2の濃度をSoftMax(登録商標)Pro 7.1を使用して計算した。
【0550】
db/db雌マウス(The Jackson laboratory,Stock No.000642)に0日目、7日目及び14日目に1mg/kg又は10mg/kgで週1回反復皮下投与すると、マウス再フォーマットVGFB54、VGFB78及びVGFB82は、同じ用量レベルで異なるレベルのPlGF応答を誘発した(表36及び表37)。再フォーマットVGFB78は、3つのリードの中で血漿PlGFの最も強い増加を誘導した。再フォーマットVGFB82もPLGFの増加をもたらした。しかしながら、VGFB78と比較して、VGFB82は、マウスにおいて有意に低いレベルでPlGF応答を誘導した(10mg/kgでのVGFB78よりも約4倍低い)。再フォーマットVGFB54は、マウスにおいてTEバイオマーカーの増加が最小限であった。
【0551】
【表36】
【0552】
【表37】
【0553】
実施例6.高血圧性一側性腎摘出db/dbマウスにおけるアルブミン尿減少に対するVGFB82及びVGFB78の効果
抗VEGFR1リードmAbの有効性を評価するために、本明細書においてReninAAV uNx db/dbモデルにちなんで名付けられた重度の進行性糖尿病性腎疾患マウスモデルを使用した(Harlan SM,et al.J Am Soc Nephrol 2018;29:477-91;Harlan SM,et al.Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 2015;309:R467-74)。このモデルにおいて、レニン発現アデノ随伴ウイルスの送達によって誘導された持続性高血圧は、一側性腎摘出db/dbマウスにおける疾患進行及び腎傷害を更に加速する。ReninAAV uNx db/dbマウスは、尿中アルブミン対クレアチニン比(UACR)の有意な上昇、糸球体濾過量(GFR)の低下、及び血清クレアチニンの増加を特徴とする重度の腎機能障害を示す。組織病理学的特徴付けは、メサンギウム拡大、糸球体硬化症、尿細管変性並びに尿細管間質炎症及び線維症を含む、進行したヒト糖尿病性腎疾患の類似の特徴を示した。
【0554】
雌db/dbマウスを7~8週齢で一側性腎摘出し(Jackson LaboratoryからのSurg 3041)、12~13週齢でレニン発現アデノ随伴ウイルス(1×1010ゲノムコピー)に感染させた。6週間後、マウスを、それらのUACR、収縮期血圧、及び体重に基づいて、IRINIソフトウェアでそれぞれ0.8、0.1、0.1の加重を用いて、それぞれ9~15匹の動物の群に無作為化した。血中グルコース>300mg/dL及びUACR>5000mg/gを無作為化に入るための包含基準として使用した。マウスに、ビヒクル、リシノプリル(飲料水中10mg/kg)、アイソタイプ対照、低用量又は高用量のマウス再フォーマットVGFB82又はVGFB78のいずれかを、皮下注射によって、指定された投与頻度で4~6週間投与した。尿サンプルは、治療の2時間前、及び投与後2週間毎に、代謝ケージ(MMC100、Hatteras Instruments)にマウスを個々に収容することによって収集した。アルブミン及びクレアチニンの尿中濃度を、Sekisui Diagnostics Microalbuminアッセイキット(カタログ番号252-20)、酵素クレアチニンアッセイキット(カタログ番号265-30)及びVet Axcel Chemistry Analyzer(Alfa Wassermann)を使用して測定した。血漿サンプルをPlGF測定のために収集した。
【0555】
データは、平均±SEとして提示された。GraphPad Prism(Ver 8.0 GraphPad)及び二元配置反復測定ANOVA又は/及び線形混合効果モデルを治療比較のために使用した。
【0556】
3mg/kg及び30mg/kgのマウス再フォーマットVGFB82(VGFB877)を週1回(QW)4週間、続いて30mg/kgを週3回(TW)及び90mg/kgを週1回、それぞれ更に2週間にわたり、SC投与した。表38は、投与後2週目、4週目及び6週目におけるUACR及びベースラインからの変化率を示した。表39は、投与後4週目及び6週目の血漿PlGFレベルを示した。ビヒクル治療群は、治療を通して継続的かつ持続的なUACR増加を提示した。リシノプリル、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEi、標準治療)は、4週目にビヒクル対照と比較して、UACRをそのベースラインから約26%まで有意に減少させた。3mg/kg QWのVGFB877で4週間にわたり治療したマウスは、ビヒクル群と比較した場合、UACRの識別可能な変化を示さなかった。30mg/kg/QWでの高用量のVGFB877は、4週目にビヒクル治療マウスと比較した場合、UACR進行を部分的に停止させた(ベースラインからの%変化、VGFB877について+15%対ビヒクルについて+83%)。用量及び投与頻度が3mg/kg QWから30mg/kg TWに増加した場合、ベースラインからのUACR%変化は、6週目に+63%から+28%に減少した。用量を30mg/kg QWから90mg/kg QWに調整した場合、ベースラインからのUACR%変化は、6週目に+15%から+6%に減少した。改善されたUACR低下と一致して、血漿中PlGFレベルは、VGFB82の用量レベル又は頻度が増加した場合に上昇した。
【0557】
【表38】
【0558】
【表39】
【0559】
マウス再フォーマットVGFB78(VGFB876)の有効性研究のために、ReninAAV uNx db/dbマウスに3mg/kg及び10mg/kg TW SCを4週間投与した。表40~41は、投与後2週目及び4週目におけるUACR及びベースラインからの変化率を示した。表39は、投与後4週目の血漿PlGFレベルを示した。ビヒクル及びアイソタイプ治療マウスにおけるUACRの漸進的増加とは対照的に、VGFB876は、対照群と比較して4週目にUACRを有意に減少させた。3mg/kgの低用量はUACRをベースラインから約9%低下させ、10mg/kgの高用量を約20%低下させ、これはACEiに匹敵する。有意なPD効果(UACR低下)と一致して、VGFB876は、マウスVEGFR1に対するその高い結合効力と一致して、血漿PlGFレベルの強い用量依存的増加を誘導した。
【0560】
【表40】
【0561】
【表41】
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【配列表】
2024534034000001.xml
【国際調査報告】