IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エナジー ソリューション リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-火災監視装置及び方法 図1
  • 特表-火災監視装置及び方法 図2
  • 特表-火災監視装置及び方法 図3
  • 特表-火災監視装置及び方法 図4
  • 特表-火災監視装置及び方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】火災監視装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240910BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240910BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20240910BHJP
   G08B 17/10 20060101ALI20240910BHJP
   A62C 37/40 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G08B17/00 E
H01M10/48 Z
H02H7/18
G08B17/00 J
G08B17/00 C
G08B17/10 G
A62C37/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509082
(86)(22)【出願日】2023-01-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2023000989
(87)【国際公開番号】W WO2023140673
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0008139
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヨ-ファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キュン-ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ウォン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-ミン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-ス・イ
【テーマコード(参考)】
2E189
5C085
5G053
5G405
5H030
【Fターム(参考)】
2E189GB05
5C085AA03
5C085AA08
5C085AB08
5C085CA04
5C085CA20
5C085CA26
5G053AA14
5G053BA09
5G053CA08
5G405AA01
5G405AA06
5G405AB02
5G405AB03
5G405AC06
5G405CA05
5G405CA27
5G405CA29
5G405CA36
5G405CA44
5H030AA06
5H030AS20
5H030FF51
(57)【要約】
本発明の一実施形態による火災監視装置は、複数のバッテリーモジュールが設けられたエネルギー貯蔵装置の火災を監視するための装置であって、前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた煙センサーから煙感知信号を受信し、前記煙を感知した前記煙センサーの数に応じて火災のレベルを決定するように構成された火災レベル決定部と、前記決定された火災のレベルに対応する火災鎮圧措置として、前記エネルギー貯蔵装置に対する空調ユニット、消火ユニット、注水ユニット及び換気ユニットのうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成された制御部と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーモジュールが設けられたエネルギー貯蔵装置の火災を監視するための装置において、
前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた複数の煙センサーから少なくとも1つの煙感知信号を受信し、煙を感知した前記煙センサーの数に応じて火災のレベルを決定するように構成された火災レベル決定部と、
前記決定された火災のレベルに対応する火災鎮圧措置として、前記エネルギー貯蔵装置に対する空調ユニット、消火ユニット、注水ユニット及び換気ユニットのうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成された制御部と、
を含む、火災監視装置。
【請求項2】
前記火災レベル決定部は、
前記複数の煙センサーのうちのいずれか1つにおいてのみ前記煙が感知された場合、前記火災のレベルを第1のレベルとして決定し、
前記複数の煙センサーのうちの複数において前記煙が感知された場合、前記火災のレベルを第2のレベルとして決定するように構成されている、請求項1に記載の火災監視装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記火災のレベルが前記第1のレベル又は前記第2のレベルとして決定された場合、前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた前記空調ユニットの動作を中断させるように構成されている、請求項2に記載の火災監視装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記火災のレベルが前記第2のレベルとして決定された場合、前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた前記消火ユニットを駆動して、前記消火ユニットの内部に含まれている消火薬剤を前記エネルギー貯蔵装置の内部に噴射するように構成されている、請求項2に記載の火災監視装置。
【請求項5】
前記注水ユニットは、
対応するバッテリーモジュールの温度に応じて破損可能なバルブが設けられたパイプラインを介して前記エネルギー貯蔵装置に設けられたそれぞれのバッテリーモジュールに連結されるように構成され、
前記制御部は、
前記火災のレベルが前記第2のレベルとして決定された場合、前記注水ユニットを駆動して前記注水ユニットに設けられた消火液を前記パイプラインに流れ込ませるように構成されている、請求項2に記載の火災監視装置。
【請求項6】
前記消火液は、
前記注水ユニットにより前記パイプラインに流れ込み、前記複数のバッテリーモジュールのうち、対応するパイプラインのバルブが破損されたバッテリーモジュールの内部に流れ込むように構成されている、請求項5に記載の火災監視装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記注水ユニットに設けられた消火液の水位を決定し、
決定された水位が予め設定されたしきい値水位以下であれば、前記換気ユニットを駆動して外気を用いて前記エネルギー貯蔵装置を換気させるように構成されている、請求項5に記載の火災監視装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記注水ユニットに設けられた消火液の水位を決定し、
決定された水位が予め設定されたしきい値水位以下であれば、前記エネルギー貯蔵装置にバッテリーの火災が起きたと判断し、
前記決定された水位が前記しきい値水位を超えると、前記エネルギー貯蔵装置に電気火災が起きたと判断するように構成されている、請求項5に記載の火災監視装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記エネルギー貯蔵装置に設けられたガスセンサーから測定されたガスの濃度を受信し、前記測定されたガスの濃度が予め設定されたしきい値濃度以上であれば、前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた前記空調ユニットの動作を中断させ、前記換気ユニットを駆動して外気を用いて前記エネルギー貯蔵装置を換気させるように構成されている、請求項1に記載の火災監視装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項による火災監視装置及びエネルギー貯蔵装置を含む、火災監視システム。
【請求項11】
複数のバッテリーモジュールが設けられたエネルギー貯蔵装置の火災を監視するための方法において、
前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた複数の煙センサーから少なくとも1つの煙感知信号を受信する煙感知信号受信ステップと、
煙が感知された場合、前記煙を感知した前記煙センサーの数に応じて火災のレベルを決定する火災レベル決定ステップと、
前記決定された火災のレベルに対応する火災鎮圧措置として、前記エネルギー貯蔵装置に対する空調ユニット、消火ユニット、注水ユニット及び換気ユニットのうちの少なくとも1つの動作を制御する火災制御ステップと、
を含む、火災監視方法。
【請求項12】
前記煙感知信号受信ステップと並行して、前記エネルギー貯蔵装置に設けられたガスセンサーから測定されたガスの濃度を受信し、前記測定されたガスの濃度と予め設定されたしきい値濃度とを比較した結果に基づいて、前記空調ユニット及び前記換気ユニットの動作を制御する換気制御ステップをさらに含む、請求項11に記載の火災監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年01月19日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0008139号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、火災監視装置及び方法に関し、さらに詳細には、バッテリーの火災の発生有無を監視し、火災が起きたときに関連する措置をとることのできる火災監視装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に伸び、ロボット、電気自動車などの商用化が本格化するにつれて、繰り返して充放電可能な高性能二次電池に対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在、商用化されているバッテリーとしてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などが挙げられるが、中でも、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きないため充放電が自在であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという長所で脚光を浴びている。
【0005】
一方、このようなバッテリーは、外部サージと高温に脆弱であるという欠点があるため、バッテリーを集約させて貯蔵するエネルギー貯蔵装置(ESS、energy storage system)は、火災のリスクが常に存在しているという問題がある。
【0006】
一般に、エネルギー貯蔵装置の火災は、個別のバッテリーセル単位で発火が始まり、この後、バッテリーラック単位で火災が進行する可能性がある。この場合、バッテリーセル単位で起きた火災がエネルギー貯蔵装置の全体に燃え広がったり燃え移ったりすることが懸念されるため、火災の発生有無を監視し、火災の発生の初期にこれに対応する措置を速やかに取ることが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するために案出されたものであって、エネルギー貯蔵装置内部の火災を監視し、火災を早期に鎮圧することのできる火災監視装置及び方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面による火災監視装置は、複数のバッテリーモジュールが設けられたエネルギー貯蔵装置の火災を監視するための装置であり得る。
【0010】
火災監視装置は、前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた複数の煙センサーから少なくとも1つの煙感知信号を受信し、煙を感知した前記煙センサーの数に応じて火災のレベルを決定するように構成された火災レベル決定部と、前記決定された火災のレベルに対応する火災鎮圧措置として、前記エネルギー貯蔵装置に対する空調ユニット、消火ユニット、注水ユニット及び換気ユニットのうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成された制御部と、を含み得る。
【0011】
前記火災レベル決定部は、前記複数の煙センサーのうちのいずれか1つにおいてのみ前記煙が感知された場合、前記火災のレベルを第1のレベルとして決定するように決定され得る。
【0012】
前記火災レベル決定部は、前記複数の煙センサーのうちの複数において前記煙が感知された場合、前記火災のレベルを第2のレベルとして決定するように構成され得る。
【0013】
前記制御部は、前記火災のレベルが前記第1のレベル又は前記第2のレベルとして決定された場合、前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた前記空調ユニットの動作を中断させるように構成され得る。
【0014】
前記制御部は、前記火災のレベルが前記第2のレベルとして決定された場合、前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた前記消火ユニットを駆動して、前記消火ユニットの内部に含まれている消火薬剤を前記エネルギー貯蔵装置の内部に噴射するように構成され得る。
【0015】
前記注水ユニットは、対応するバッテリーモジュールの温度に応じて破損可能なバルブが設けられたパイプラインを介して前記エネルギー貯蔵装置に設けられたそれぞれのバッテリーモジュールに連結されるように構成され、前記制御部は、前記火災のレベルが前記第2のレベルとして決定された場合、前記注水ユニットを駆動して前記注水ユニットに設けられた消火液を前記パイプラインに流れ込ませるように構成され得る。
【0016】
前記消火液は、前記注水ユニットにより前記パイプラインに流れ込み、前記複数のバッテリーモジュールのうち、対応するパイプラインのバルブが破損されたバッテリーモジュールの内部に流れ込むように構成され得る。
【0017】
前記制御部は、前記注水ユニットに設けられた消火液の水位を決定し、決定された水位が予め設定されたしきい値水位以下であれば、前記換気ユニットを駆動して外気を用いて前記エネルギー貯蔵装置を換気させるように構成され得る。
【0018】
前記制御部は、前記注水ユニットに設けられた消火液の水位を決定し、決定された水位が予め設定されたしきい値水位以下であれば、前記エネルギー貯蔵装置にバッテリーの火災が起きたと判断し、前記決定された水位が前記しきい値水位を超えると、前記エネルギー貯蔵装置に電気火災が起きたと判断するように構成され得る。
【0019】
前記制御部は、前記エネルギー貯蔵装置に設けられたガスセンサーから測定されたガスの濃度を受信し、前記測定されたガスの濃度が予め設定されたしきい値濃度以上であれば、前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた前記空調ユニットの動作を中断させ、前記換気ユニットを駆動して外気を用いて前記エネルギー貯蔵装置を換気させるように構成され得る。
【0020】
本発明の他の側面による火災感知システムは、本発明の一側面による火災監視装置及びエネルギー貯蔵装置を含み得る。
【0021】
本発明のさらに他の側面による火災監視方法は、複数のバッテリーモジュールが設けられたエネルギー貯蔵装置の火災を監視するための方法であり得る。
【0022】
火災監視方法は、前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた複数の煙センサーから煙感知信号を受信する煙感知信号受信ステップと、煙が感知された場合、前記煙を感知した前記煙センサーの数に応じて火災のレベルを決定する火災レベル決定ステップと、前記決定された火災のレベルに対応する火災鎮圧措置として、前記エネルギー貯蔵装置に対する空調ユニット、消火ユニット、注水ユニット及び換気ユニットのうちの少なくとも1つの動作を制御する火災制御ステップと、を含み得る。
【0023】
火災監視方法は、前記煙感知信号受信ステップと並行して、前記エネルギー貯蔵装置に設けられたガスセンサーから測定されたガスの濃度を受信し、前記測定されたガスの濃度と予め設定されたしきい値濃度とを比較した結果に基づいて、前記空調ユニット及び前記換気ユニットの動作を制御する換気制御ステップをさらに含み得る。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一側面によれば、エネルギー貯蔵装置の内部において起きる煙に基づいて、火災の発生レベルが決定され、決定された火災の発生レベルに応じて適切な火災鎮圧措置が行われることが可能になるという長所がある。したがって、たとえエネルギー貯蔵装置の内部において火災が起きたとしても、早期に火災が鎮圧されることが可能になる。
【0025】
また、本発明の一側面によれば、エネルギー貯蔵装置の内部に含まれているガスの濃度に基づいて、火災鎮圧措置が行われることも可能になる。したがって、エネルギー貯蔵装置の爆発などの事故が未然に防がれることが可能になる。
【0026】
本発明の効果は上述した効果に何ら制限されるものではなく、言及されていない他の効果は特許請求の記載から当業者にとって明確に理解できるものであろう。
【0027】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の内容とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割のためのものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態による火災監視装置を概略的に示す図である。
図2】本発明の他の実施形態による火災監視システムを概略的に示す図である。
図3】本発明のさらに他の実施形態による火災監視方法を概略的に示す図である。
図4図3の火災監視方法をより具体的に示す図である。
図5】本発明のさらに他の実施形態による火災監視方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されるものである。
【0030】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0031】
また、本発明を説明するに当たって、本発明と関わる公知の技術についての具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にする虞があると認められる場合にはその詳細な説明を省略する。
【0032】
第1、第2などの序数を含む言い回しは、様々な構成要素のうちのいずれか一つをその他の要素と区別するために使われたものであり、これらの言い回しによって構成要素が限定されることはない。
【0033】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは、特に言及しない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0034】
ちなみに、明細書の全体において、ある部分が他の部分と「接続(連結)」されているというとき、これは「直接的に接続(連結)」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「間接的に接続(連結)」されている場合も含む。
【0035】
以下、添付図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態による火災監視装置100を概略的に示す図である。図2は、本発明の他の実施形態による火災監視システムを概略的に示す図である。
【0037】
本発明の一実施形態による火災監視装置100は、複数のバッテリーモジュールが設けられたエネルギー貯蔵装置200の火災を監視するための装置であり得る。
【0038】
まず、図2を参照すると、火災監視システムは、火災監視装置100と、エネルギー貯蔵装置200及び注水ユニット300を含み得る。非制限的な図2の実施形態において、注水ユニット300は、火災監視装置100及びエネルギー貯蔵装置200の外部に示されているが、注水ユニット300は、エネルギー貯蔵装置200の内部に設けられてもよいということに留意されたい。
【0039】
エネルギー貯蔵装置200は、複数のバッテリーラックR1~R5と、煙センサー210と、ガスセンサー220と、空調ユニット230と、消火ユニット240及び換気ユニット250を含み得る。
【0040】
複数のバッテリーラックR1~R5は、エネルギー貯蔵装置200に設けられるセルアセンブリであり得る。
【0041】
例えば、バッテリーラックは、バッテリーモジュールが載置可能なフレーム構造に形成され得る。それぞれのバッテリーラックには、複数のバッテリーモジュールが含まれ得る。そして、それぞれのバッテリーモジュールには、複数のバッテリーセルが含まれ得る。
【0042】
ここで、バッテリーセルは、負極端子と正極端子を備え、物理的に分離可能な1つの独立したセルを意味する。一例を挙げると、リチウムイオン電池又はリチウムポリマー電池がバッテリーセルとみなされ得る。非制限的な図2の実施形態において、エネルギー貯蔵装置200に5つのバッテリーラックR1~R5が設けられた実施形態が示されているが、エネルギー貯蔵装置200に含まれ得るバッテリーラックの数は制限されないということに留意されたい。
【0043】
煙センサー210は、エネルギー貯蔵装置200の内部において生じる煙を感知可能なセンサーである。好ましくは、煙センサー210は、エネルギー貯蔵装置200の内部に複数設けられ得る。
【0044】
ガスセンサー220は、エネルギー貯蔵装置200の内部において生じるガスを感知可能なセンサーである。例えば、ガスセンサー220は、Hを感知し得る。
【0045】
空調ユニット230は、エネルギー貯蔵装置200の内部に設けられ得る。そして、空調ユニット230は、エネルギー貯蔵装置200の内気を循環させるように構成され得る。すなわち、空調ユニット230は、エネルギー貯蔵装置200の内部の空気と外部の空気との熱交換を行うことで、内部の空気の温度を下げ、温度の下がった内部の空気を循環させることができる。例えば、空調ユニット230には、HVAC(Heating、ventilation and air conditioning、暖房、換気、および空調)が適用され得る。
【0046】
消火ユニット240は、エネルギー貯蔵装置200の内部に設けられ得る。そして、消火ユニット240が駆動されれば、消火ユニット240に貯留された消火薬剤がエネルギー貯蔵装置200の内部に噴射され得る。例えば、消火ユニット240には、NOVEC(商標名)1230が適用され得る。
【0047】
換気ユニット250は、エネルギー貯蔵装置200に設けられ得る。換気ユニット250が駆動されれば、エネルギー貯蔵装置200の内部に外気が流れ込み得る。すなわち、換気ユニット250は、エネルギー貯蔵装置200を換気させるように構成され得る。例えば、換気ユニット250には、能動的な換気システム(AVS:Active ventilation system)が適用され得る。
【0048】
注水ユニット300は、消火液を貯液するように構成され得る。そして、注水ユニット300は、対応するバッテリーモジュールの温度に応じて破損可能なバルブが設けられたパイプラインPLを介してエネルギー貯蔵装置200に設けられたそれぞれのバッテリーモジュールに連結されるように構成され得る。例えば、パイプラインPLは、それぞれのバッテリーラックに含まれている複数のバッテリーモジュールにそれぞれ接続され得る。
【0049】
そして、バッテリーモジュールに接続されるパイプラインPLの端部には、バルブが設けられ得る。バルブは、対応するバッテリーモジュールの温度が一定の温度以上に上昇すれば破損され得る。すなわち、注水ユニット300が駆動されてパイプラインPLに消火液が流れ込んだ場合、バルブが破損されたパイプラインPLを介して対応するバッテリーモジュールの内部に消火液が噴出され得る。別の言い方をすれば、消火液は、注水ユニット300によりパイプラインPLに流れ込み、複数のバッテリーモジュールのうち、対応するパイプラインPLのバルブが破損されたバッテリーモジュールの内部に流れ込み得る。例えば、消火液は、バッテリーモジュールに起きた火災を鎮圧するためのものであれば、制限なしに適用され得る。一実施形態において、消火液は、水であり得る。
【0050】
図1を参照すると、火災監視装置100は、火災レベル決定部110及び制御部120を含み得る。
【0051】
火災レベル決定部110は、エネルギー貯蔵装置200の内部に設けられた煙センサー210から煙感知信号を受信するように構成され得る。
【0052】
具体的には、火災レベル決定部110は、エネルギー貯蔵装置200の内部に設けられた煙センサー210と有線及び/又は無線通信を介して接続され得る。
【0053】
以下では、エネルギー貯蔵装置200の内部に煙センサー210が複数設けられたことを想定して説明する。火災レベル決定部110は、複数の煙センサー210のそれぞれと接続され、それぞれの煙センサー210から煙感知信号を受信し得る。
【0054】
火災レベル決定部110は、煙を感知した煙センサー210の数に応じて火災のレベルを決定するように構成され得る。
【0055】
具体的には、複数の煙センサー210のうちのいずれか1つおいてのみ煙が感知された場合、火災レベル決定部110は、火災のレベルを第1のレベルとして決定するように構成され得る。逆に、複数の煙センサー210のうちの複数において煙が感知された場合、火災レベル決定部110は、火災のレベルを第2のレベルとして決定するように構成され得る。
【0056】
例えば、火災レベル決定部110は、エネルギー貯蔵装置200の内部において生じた煙を感知した煙センサー210から煙感知信号を受信し得る。火災レベル決定部110は、複数の煙センサー210のそれぞれと接続されるため、それぞれの煙センサー210から受信する煙感知信号の数を決定し得る。したがって、火災レベル決定部110は、受信した煙感知信号の数に応じて火災のレベルを第1のレベル又は第2のレベルとして決定することができる。
【0057】
制御部120は、決定された火災のレベルに対応する火災鎮圧措置として、エネルギー貯蔵装置200に対する空調ユニット230、消火ユニット240、注水ユニット300及び換気ユニット250のうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成され得る。
【0058】
具体的には、制御部120は、決定された火災のレベルに対応する火災鎮圧措置を行い得る。すなわち、火災のレベルが第1のレベルである場合に行われる火災鎮圧措置と火災のレベルが第2のレベルである場合に行われる火災鎮圧措置とは、一部が異なり得る。
【0059】
このような火災のレベルに応じて異なってくる火災鎮圧措置は、煙を感知した煙センサー210の数に起因し得る。消火薬剤が噴射されたり、バッテリーモジュールに消火液が流れ込んだりする場合、当該バッテリーモジュール及び/又はエネルギー貯蔵装置200に設けられたバッテリーモジュールは再使用できなくなる可能性がある。したがって、火災鎮圧措置は、実際にエネルギー貯蔵装置200に火災が起きたか否かを正確に判断した上で行われることが好ましい。
【0060】
例えば、一般に、エネルギー貯蔵装置200は、外部と密閉されており、内部においては空調ユニット230により内気の循環が進められる。この場合、仮に1つの煙センサー210おいてのみ煙感知されたならば、火災によって煙が生じた可能性よりは、煙を感知した煙センサー210のセンシング誤りである可能性の方がさらに大きい可能性がある。逆に、仮に複数の煙センサー210において煙が感知されたならば、火災によって煙が生じる可能性の方が、複数の煙センサー210のセンシング誤りである可能性よりもさらに大きい可能性がある。したがって、制御部120は、煙を感知した煙センサー210の数に基づいて決定される火災のレベルに応じて火災鎮圧措置を行うように構成され得る。
【0061】
したがって、本発明の一実施形態による火災監視装置100は、煙センサー210のセンシング誤りの可能性を考慮してエネルギー貯蔵装置200に対する火災の発生有無を監視し、監視の結果に対応するように適切な火災鎮圧措置をとることができる。例えば、煙センサー210のセンシング誤りの場合、最小限の措置のみが行われてエネルギー貯蔵装置200が保護されることが可能になるという長所がある。逆に、火災が起きた場合、早期に火災鎮圧措置が行われて速やかに火災が鎮圧されることが可能になるという長所がある。
【0062】
一方、火災監視装置100に設けられた制御部120は、本発明において行われる多種多様な制御ロジックを起動するために、当業界において知られているプロセッサー、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuits)、他のチップセット、論理回路、レジスター、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。また、前記制御ロジックがソフトウェアにより実現されるとき、前記制御部120は、プログラムモジュールの集合により実現され得る。このとき、プログラムモジュールはメモリに記憶され、制御部120により起動され得る。前記メモリは、制御部120の内部または外部に存在し得、よく知られている様々な手段により制御部120と接続され得る。
【0063】
また、火災監視装置100は、記憶部130をさらに含み得る。記憶部130は、火災監視装置100の各構成要素が動作及び機能を行うのに必要となるデータやプログラム、又は動作及び機能が行われる過程において生成されるデータなどを記憶し得る。記憶部130は、データの記録、消去、更新及び読出を行い得ると知られている公知の情報記憶手段であれば、その種類に格別な制限がない。一例を挙げると、情報記憶手段には、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ(ROM:read-only memory)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM:electrically erasable programmable read-only memory)、レジスターなどが含まれ得る。また、記憶部130は、制御部120により起動可能なプロセスが定義されたプログラムコードを記憶し得る。
【0064】
以下では、決定された火災のレベルに応じた火災鎮圧措置について詳しく説明する。
【0065】
火災のレベルが第1のレベル又は第2のレベルとして決定された場合、制御部120は、エネルギー貯蔵装置200の内部に設けられた空調ユニット230の動作を中断させるように構成され得る。
【0066】
具体的には、制御部120は、エネルギー貯蔵装置200に設けられた空調ユニット230と接続され得る。そして、制御部120は、空調ユニット230の動作を制御し得る。
【0067】
一般に、エネルギー貯蔵装置200に火災が起きていない正常の状況下で、空調ユニット230は、常時駆動されてエネルギー貯蔵装置200の内部の空気を循環させ得る。
【0068】
但し、火災のレベルが第1のレベル又は第2のレベルとして決定された場合、すなわち、1つ以上の煙センサー210において煙が感知された場合、空調ユニット230が起動され続ければ、煙又は火災がエネルギー貯蔵装置200の内部において燃え広がったり燃え移ったりしやすい。
【0069】
火災のレベルが第1のレベルである場合には、煙センサー210のセンシング誤りの可能性もあるものの、実際に1つの煙センサー210おいてのみ煙を感知した場合も排除するわけにはいかない。仮に、1つの煙センサー210において実際に煙を感知した場合であれば、空調ユニット230が駆動され続けることにより、エネルギー貯蔵装置200に煙及び/又は火災が燃え広がったり燃え移ったりするリスクがある。したがって、制御部120は、火災のレベルが第1のレベルである場合であっても、空調ユニット230の駆動を中断させるように構成され得る。
【0070】
また、火災のレベルが第2のレベルである場合には、エネルギー貯蔵装置200の内部において煙が生じた可能性が非常に高いため、制御部120は、空調ユニット230の駆動を中断させるように構成され得る。
【0071】
したがって、制御部120は、火災のレベルが第1のレベル又は第2のレベルとして決定されれば、空調ユニット230の動作を中断させることにより、エネルギー貯蔵装置200の内部の空気の循環を中断させることができる。
【0072】
また、火災のレベルが第2のレベルとして決定された場合、制御部120は、エネルギー貯蔵装置200の内部に設けられた消火ユニット240を駆動するように構成され得る。ここで、制御部120により消火ユニット240が駆動されれば、消火ユニット240の内部に含まれている消火薬剤がエネルギー貯蔵装置200の内部に噴射され得る。
【0073】
具体的には、制御部120は、エネルギー貯蔵装置200の内部に設けられた消火ユニット240と接続され得る。そして、消火ユニット240の駆動は、制御部120により制御され得る。
【0074】
例えば、火災のレベルが第2のレベルとして決定された場合、制御部120は、エネルギー貯蔵装置200の内部において煙及び/又は火災が循環されることを防ぐために、空調ユニット230の駆動を先に中断させ得る。そして、制御部120は、消火ユニット240を駆動することにより、消火薬剤をエネルギー貯蔵装置200の内部に噴射し得る。
【0075】
エネルギー貯蔵装置200において起き得る火災は、電気火災とバッテリーの火災とに大別できる。
【0076】
電気火災は、エネルギー貯蔵装置200に過電流が流れるなど電気的な原因によって起き得る火災を意味する。
【0077】
バッテリーの火災とは、バッテリーセルの内部の問題、例えば、リチウムメッキによる正極活物質と負極活物質との接触(内部短絡)及びスウェリングによるバッテリーセルのベント(Venting)などにより起き得る火災のことを意味する。
【0078】
電気火災を鎮圧するためには、消火薬剤の噴射が求められ、バッテリーの火災を鎮圧するためには、バッテリーモジュールの内部への注水が求められる。但し、感知される煙だけでは、電気火災とバッテリーの火災とを正確に見分けることができない。
【0079】
したがって、制御部120は、火災のレベルが第2のレベルとして決定された場合、まず、電気火災を鎮圧するために消火ユニット240を駆動してエネルギー貯蔵装置200の内部に消火薬剤を噴射し得る。
【0080】
そして、火災のレベルが第2のレベルとして決定された場合、制御部120は、注水ユニット300を駆動して注水ユニット300に設けられた消火液をパイプラインPLに流れ込ませるように構成され得る。
【0081】
具体的には、制御部120は、注水ユニット300と接続されて注水ユニット300の駆動を制御し得る。
【0082】
火災のレベルが第2のレベルとして決定された場合、制御部120は、消火ユニット240を駆動して消火薬剤をエネルギー貯蔵装置200の内部に噴射し、注水ユニット300を駆動してパイプラインPLに消火液を流れ込ませ得る。
【0083】
例えば、エネルギー貯蔵装置200において起きた火災が電気火災であれば、バッテリーラックに含まれているバッテリーモジュールの温度は上昇しない可能性がある。したがって、パイプラインPLに消火液が流れ込んだものの、パイプラインPLに設けられたバルブが破損されないので、バッテリーモジュールの内部に消火液が流れ込まない可能性がある。これに対し、電気火災は、噴射される消火薬剤により鎮圧可能である。
【0084】
他の例を挙げると、エネルギー貯蔵装置200において起きた火災がバッテリーの火災であれば、火災が起きたバッテリーモジュールの温度が急激に上昇する可能性がある。この場合、当該バッテリーモジュールに対応するバルブが破損され、パイプラインPLを介して当該バッテリーモジュールに消火液が流れ込み得る。したがって、バッテリーの火災が消火液により鎮圧可能になる。
【0085】
このように、制御部120は、決定された火災のレベルが第2のレベルである場合、電気火災とバッテリーの火災を両方とも鎮圧するために、消火ユニット240及び注水ユニット300の動作を制御し得る。したがって、それぞれ互いに異なる原因によって起き得る火災が有効に鎮圧されることが可能になる。
【0086】
制御部120は、注水ユニット300に設けられた消火液の水位を決定するように構成され得る。
【0087】
具体的には、制御部120は、注水ユニット300を駆動して消火液をパイプラインPLに流れ込ませた後、注水ユニット300に貯液された消火液の水位を決定し得る。
【0088】
例えば、注水ユニット300には、消火液の水位を測定する水位センサーが含まれ得る。水位センサーは、制御部120と通信可能に接続され、予め設定された周期ごとに測定された水位に関する情報を制御部120に送信し得る。そして、制御部120は、水位センサーから受信した水位に関する情報に基づいて、消火液の水位を決定し得る。
【0089】
制御部120は、決定された水位が予め設定されたしきい値水位以下であれば、換気ユニット250を駆動して外気を用いてエネルギー貯蔵装置200を換気させるように構成され得る。
【0090】
具体的には、消火液の水位がしきい値水位以下である場合には、注水ユニット300に含まれている消火液が少なくとも1つのバッテリーモジュールに流れ込んだ場合であり得る。上述したように、消火液がパイプラインPLに流れ込んだとしても、バルブが破損されなければ、消火液はバッテリーモジュールの内部に流れ込むことができない。したがって、消火液の水位がしきい値水位以下に低くなったことは、パイプラインPLに設けられた複数のバルブのうちの少なくとも1つが破損されたことを意味し、1つ以上のバッテリーモジュールに消火液が流れ込んだことを示し得る。
【0091】
消火液がバッテリーモジュールの内部に直接的に流れ込んでバッテリーの火災が鎮圧される場合、エネルギー貯蔵装置200の内部には、消火薬剤(消火ユニット240の駆動により噴射される)、水蒸気及びHなどが多量で含まれている可能性がある。したがって、制御部120は、換気ユニット250を駆動してエネルギー貯蔵装置200を換気させることにより、エネルギー貯蔵装置200が爆発することを防ぐことができる。
【0092】
本発明の一実施形態による火災監視装置100は、電気火災、バッテリーの火災及び爆発が起こり得る状況下での多種多様な条件を考慮して、それぞれの場合に対する適切な火災鎮圧措置を行うことができるという長所がある。したがって、エネルギー貯蔵装置200において火災が起きたとしても、早期に鎮圧可能になるだけでなく、さらに大きな事故が引き起こされることが防がれることが可能になる。
【0093】
一方、制御部120は、決定された水位が予め設定されたしきい値水位以下であれば、エネルギー貯蔵装置200にバッテリーの火災が起きたと判断するように構成され得る。逆に、制御部120は、決定された水位がしきい値水位を超えると、エネルギー貯蔵装置200に電気火災が起きたと判断するように構成され得る。
【0094】
具体的には、決定された火災のレベルが第2のレベルである場合、エネルギー貯蔵装置200の内部に火災が起きた場合であり得る。但し、煙センサー210の煙感知信号だけでは、火災の原因が電気火災であるか、バッテリーの火災であるかを見分けることが決して容易ではない。
【0095】
上述したように、バッテリーの火災の場合、バッテリーモジュールの温度が急激に上昇するため、対応するバルブが破損されてパイプラインに流れ込んだ消火液がバッテリーモジュールの内部に流れ込み得る。したがって、バッテリーの火災の場合、注水ユニット300に含まれている消火液の水位がしきい値水位以下に低くなる。
【0096】
これに対し、電気火災の場合、バルブが破損されないため、煙は感知されるものの、消火液の水位はしきい値水位以下に低くならないのである。
【0097】
すなわち、制御部120は、消火ユニット240及び注水ユニット300を駆動した後、消火液の水位を予め設定されたしきい値水位と比較した結果に基づいて、火災の原因を電気火災又はバッテリーの火災として具体的に区別して診断することができる。
【0098】
したがって、本発明の一実施形態による火災監視装置100は、エネルギー貯蔵装置200に起きる火災を早期に鎮圧することができるのみならず、火災の原因を具体的に分析することができる。また、火災監視装置100は、具体的な火災の原因を使用者又は外部に報知することにより、火災の原因の分析に必要となる情報を提供することができるという長所がある。
【0099】
制御部120は、エネルギー貯蔵装置200に設けられたガスセンサー220から測定されたガスの濃度を受信するように構成され得る。
【0100】
具体的には、制御部120は、エネルギー貯蔵装置200に設けられたガスセンサー220と通信可能に接続され得る。そして、制御部120は、ガスセンサー220が測定したガスの濃度に関する情報を受信し得る。
【0101】
例えば、ガスセンサー220が測定するガスは、可燃性気体又は爆発性気体であり得る。より具体的には、ガスセンサー220が測定するガスは、Hであり得る。すなわち、ガスセンサー220は、Hの濃度を測定するように構成され得る。
【0102】
制御部120は、測定されたガスの濃度が予め設定されたしきい値濃度以上であれば、エネルギー貯蔵装置200の内部に設けられた空調ユニット230の動作を中断させるように構成され得る。
【0103】
例えば、ガスの濃度がしきい値濃度以上であれば、エネルギー貯蔵装置200の爆発のリスクがあるため、制御部120は、エネルギー貯蔵装置200の内気の循環のための空調ユニット230の動作を中断させ得る。
【0104】
そして、制御部120は、換気ユニット250を駆動して外気を用いてエネルギー貯蔵装置200を換気させるように構成され得る。すなわち、制御部120は、エネルギー貯蔵装置200の密閉された内部に含まれているガスを外部に排出するために換気ユニット250を駆動し得る。したがって、エネルギー貯蔵装置200の内部に含まれているガスの濃度が次第に低くなることにより、エネルギー貯蔵装置200の爆発のリスクが低くなる。
【0105】
本発明の一実施形態による火災監視装置100は、エネルギー貯蔵装置200の内部において生じる煙のみならず、エネルギー貯蔵装置200の内部に含まれているガスの濃度をも考慮して火災鎮圧措置を行うことができる。
【0106】
図3は、本発明のさらに他の実施形態による火災監視方法を概略的に示す図である。
【0107】
好ましくは、火災監視方法の各ステップは、火災監視装置100により行われ得る。以下では、説明のしやすさのために、上述した内容と重複する内容は省略したり簡略に説明したりする。
【0108】
火災監視方法は、複数のバッテリーモジュールが設けられたエネルギー貯蔵装置200の火災を監視するための方法であり得る。
【0109】
図3を参照すると、火災監視方法は、煙感知信号受信ステップ(S100)と、火災レベル決定ステップ(S200)及び火災制御ステップ(S300)を含み得る。
【0110】
煙感知信号受信ステップ(S100)は、エネルギー貯蔵装置200の内部に設けられた煙センサー210から煙感知信号を受信するステップであって、火災レベル決定部110により行われ得る。
【0111】
例えば、火災レベル決定部110は、複数の煙センサー210と接続され、それぞれの煙センサー210から煙感知信号を受信し得る。
【0112】
火災レベル決定ステップ(S200)は、煙が感知された場合、煙を感知した煙センサー210の数に応じて火災のレベルを決定するステップであって、火災レベル決定部110により行われ得る。
【0113】
例えば、火災レベル決定部110は、1つの煙センサー210から煙感知信号を受信すれば、火災のレベルを第1のレベルとして決定し得る。他の例を挙げると、火災レベル決定部110は、複数の煙センサー210から煙感知信号を受信すれば、火災のレベルを第2のレベルとして決定し得る。仮に、火災レベル決定部110が煙感知信号を受信できなかった場合、火災のレベルは第0のレベル又はNULLとして決定され得る。
【0114】
火災制御ステップ(S300)は、決定された火災のレベルに対応する火災鎮圧措置として、エネルギー貯蔵装置200に対する空調ユニット230、消火ユニット240、注水ユニット300及び換気ユニット250のうちの少なくとも1つの動作を制御するステップであって、制御部120により行われ得る。
【0115】
火災制御ステップ(S300)については、図4を参照して詳しく説明する。
【0116】
図4は、図3の火災監視方法をより具体的に示す図である。
【0117】
図4を参照すると、火災制御ステップ(S300)は、ステップ(S310)~ステップ(S370)を含み得る。
【0118】
ステップ(S310)において、火災レベル決定ステップ(S200)において決定された火災のレベルが第1のレベル又は第2のレベルであるか否かが判断され得る。仮に、決定された火災のレベルが第1のレベル又は第2のレベルである場合にステップ(S320)が行われ、そうではない場合に煙感知信号受信ステップ(S100)が行われ得る。
【0119】
ステップ(S320)において、制御部120は、エネルギー貯蔵装置200に設けられた空調ユニット230の動作を中断させ得る。したがって、エネルギー貯蔵装置200の内気の循環が中断されることが可能になる。
【0120】
ステップ(S330)において、火災レベル決定ステップ(S200)において決定された火災のレベルが第2のレベルであるか否かが判断され得る。仮に、決定された火災のレベルが第2のレベルである場合にステップ(S330)が行われ、そうではない場合に煙感知信号受信ステップ(S100)が行われ得る。
【0121】
ステップ(S340)において、制御部120は、消火ユニット240を駆動し得る。具体的には、制御部120は、第2の火災のレベルにおいて起き得る電気火災を鎮圧するために消火ユニット240を駆動し得る。この場合、消火ユニット240に貯留された消火薬剤がエネルギー貯蔵装置200の内部に噴射され得る。
【0122】
ステップ(S350)において、制御部120は、注水ユニット300を駆動し得る。具体的には、制御部120は、第2の火災のレベルにおいて起き得るバッテリーの火災を鎮圧するために注水ユニット300を駆動し得る。この場合、注水ユニット300に貯液された消火液がパイプラインPLに流れ込み得る。
【0123】
ステップ(S360)において、注水ユニット300の水位(注水ユニット300に含まれている消火液の水位)がしきい値水位以下であるか否かが判断され得る。仮に、注水ユニット300が水位がしきい値水位以下であれば、ステップ(S370)が行われ、そうではなければ、ステップ(S350)が行われ得る。
【0124】
ここで、注水ユニット300の水位がしきい値水位以下であることは、パイプラインPLに設けられた複数のバルブのうちの少なくとも1つが破損されたことを意味する。そして、破損されたバルブを介して消火液がバッテリーモジュールの内部に流れ込んだため、注水ユニット300が水位がしきい値水位以下に低くなったことを意味する。
【0125】
一方、ステップ(S350)が行われてから所定の時間が過ぎたものの、注水ユニット300の水位がしきい値水位以下に低くなっていない場合には、パイプラインPLに設けられた複数のバルブがいずれも破損されていないことを意味する。この場合、複数の煙センサー210が感知した煙は、電気火災に起因する煙であり、電気火災は、ステップ(S340)において消火ユニット240の駆動により鎮圧されている可能性がある。したがって、バルブが破損されなかったため、注水ユニット300の水位がしきい値水位以下に低くならないことが可能になる。図5及び図6には示されていないが、制御部120は、ステップ(S350)が最初に行われてから所定の時間が過ぎるまで注水ユニット300の水位がしきい値水位以下に低くならなければ、開始ステップを再び行い得る。
【0126】
ステップ(S370)において、制御部120は、換気ユニット250を駆動し得る。具体的には、制御部120は、バッテリーモジュールの内部に消火液が流れ込んでバッテリーの火災が鎮圧された場合、エネルギー貯蔵装置200に含まれている消火薬剤、水蒸気及びHなどを処理するために換気ユニット250を駆動し得る。この場合、エネルギー貯蔵装置200に外気が流れ込み、エネルギー貯蔵装置200が換気され得る。したがって、エネルギー貯蔵装置200の内部に含まれているガスが抜け出ることが可能になるので、エネルギー貯蔵装置200の爆発の可能性が低くなる。
【0127】
本発明の一実施形態による火災監視方法は、煙を感知したセンサーの数に基づいて、空調ユニット230と、消火ユニット240と、注水ユニット300及び換気ユニット250を適切に制御しながら火災鎮圧措置をとることができる。したがって、火災監視方法は、煙センサー210が誤作動した場合を見分けることができ、たとえ火災が起きたとしても、火災の種類(電気火災又はバッテリーの火災)に対応するように適切な火災鎮圧措置をとることができるという長所がある。
【0128】
図5は、本発明のさらに他の実施形態による火災監視方法を概略的に示す図である。
【0129】
図5を参照すると、火災監視方法は、換気制御ステップ(S400)をさらに含み得る。
【0130】
換気制御ステップ(S400)は、煙感知信号受信ステップ(S100)と並行して行われ得るステップである。
【0131】
換気制御ステップ(S400)は、エネルギー貯蔵装置200に設けられたガスセンサー220から測定されたガスの濃度を受信し、測定されたガスの濃度と予め設定されたしきい値濃度とを比較した結果に基づいて、空調ユニット230及び換気ユニット250の動作を制御するステップであって、制御部120により行われ得る。
【0132】
具体的には、ステップ(S410)において、制御部120は、エネルギー貯蔵装置200に設けられたガスセンサー220からガスの濃度に関する情報を受信し得る。
【0133】
ステップ(S420)において、ガスの濃度が予め設定されたしきい値濃度以上であるか否かが判断され得る。仮に、ガスの濃度が予め設定されたしきい値濃度以上であれば、ステップ(S430)が行われ、そうではなければ、ステップ(S410)が行われ得る。
【0134】
ステップ(S430)において、制御部120は、エネルギー貯蔵装置200に設けられた空調ユニット230の動作を中断させ得る。したがって、エネルギー貯蔵装置200の内気の循環が中断されることが可能になる。
【0135】
ステップ(S440)において、制御部120は、換気ユニット250を駆動し得る。具体的には、制御部120は、エネルギー貯蔵装置200の内部にしきい値濃度以上のガスが含まれている場合、エネルギー貯蔵装置200の爆発を防ぐために換気ユニット250を駆動し得る。
【0136】
例えば、ガスセンサー220により濃度が測定されるガスは、可燃性気体又は爆発性気体であり得る。より具体的には、ガスは、Hであり得る。
【0137】
密閉されたエネルギー貯蔵装置200内にHがしきい値濃度以上分布している場合、Hとスパークなどが接触されれば爆発が起こり得る。したがって、制御部120は、ガスの濃度がしきい値濃度以上であれば、換気ユニット250を駆動してガスをエネルギー貯蔵装置200の外部に排出することにより、エネルギー貯蔵装置200の爆発の可能性を著しく低くすることができる。
【0138】
以上説明した本発明の実施形態は、装置および方法によってのみ実現されるものではなく、本発明の実施形態の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を介して実現されてもよい。このような実現は、上述した実施形態の記載から本発明が属する技術分野の専門家であれば容易に実現できるものである。
【0139】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0140】
また、以上で説明した本発明は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の置換、変形及び変更が可能であるため、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるのではなく、様々な変形のため各実施形態の全部または一部が選択的に組み合わせられて構成され得る。
【符号の説明】
【0141】
100 火災監視装置
110 火災レベル決定部
120 制御部
130 記憶部
200 エネルギー貯蔵装置
210 煙センサー
220 ガスセンサー
230 空調ユニット
240 消火ユニット
250 換気ユニット
300 注水ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーモジュールが設けられたエネルギー貯蔵装置であって、空調ユニット、消火ユニット、注水ユニット及び換気ユニットを備えるエネルギー貯蔵装置の火災を監視するための装置において、
前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた複数の煙センサーから少なくとも1つの煙感知信号を受信し、煙を感知した前記煙センサーの数に応じて火災のレベルを決定するように構成された火災レベル決定部と、
前記決定された火災のレベルに対応する火災鎮圧措置として、前記エネルギー貯蔵装置に対する前記空調ユニット、前記消火ユニット、前記注水ユニット及び前記換気ユニットのうちの少なくとも1つの動作を制御するように構成された制御部と、
を含む、火災監視装置。
【請求項2】
前記火災レベル決定部は、
前記複数の煙センサーのうちのいずれか1つにおいてのみ前記煙が感知された場合、前記火災のレベルを第1のレベルとして決定し、
前記複数の煙センサーのうちの複数において前記煙が感知された場合、前記火災のレベルを第2のレベルとして決定するように構成されている、請求項1に記載の火災監視装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記火災のレベルが前記第1のレベル又は前記第2のレベルとして決定された場合、前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた前記空調ユニットの動作を中断させるように構成されている、請求項2に記載の火災監視装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記火災のレベルが前記第2のレベルとして決定された場合、前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた前記消火ユニットを駆動して、前記消火ユニットの内部に含まれている消火薬剤を前記エネルギー貯蔵装置の内部に噴射するように構成されている、請求項2に記載の火災監視装置。
【請求項5】
前記注水ユニットは、
対応するバッテリーモジュールの温度に応じて破損可能なバルブが設けられたパイプラインを介して前記エネルギー貯蔵装置に設けられたそれぞれのバッテリーモジュールに連結されるように構成され、
前記制御部は、
前記火災のレベルが前記第2のレベルとして決定された場合、前記注水ユニットを駆動して前記注水ユニットに設けられた消火液を前記パイプラインに流れ込ませるように構成されている、請求項2に記載の火災監視装置。
【請求項6】
前記消火液は、
前記注水ユニットにより前記パイプラインに流れ込み、前記複数のバッテリーモジュールのうち、対応するパイプラインのバルブが破損されたバッテリーモジュールの内部に流れ込むように構成されている、請求項5に記載の火災監視装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記注水ユニットに設けられた消火液の水位を決定し、
決定された水位が予め設定されたしきい値水位以下であれば、前記換気ユニットを駆動して外気を用いて前記エネルギー貯蔵装置を換気させるように構成されている、請求項5に記載の火災監視装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記注水ユニットに設けられた消火液の水位を決定し、
決定された水位が予め設定されたしきい値水位以下であれば、前記エネルギー貯蔵装置にバッテリーの火災が起きたと判断し、
前記決定された水位が前記しきい値水位を超えると、前記エネルギー貯蔵装置に電気火災が起きたと判断するように構成されている、請求項5に記載の火災監視装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記エネルギー貯蔵装置に設けられたガスセンサーから測定されたガスの濃度を受信し、前記測定されたガスの濃度が予め設定されたしきい値濃度以上であれば、前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた前記空調ユニットの動作を中断させ、前記換気ユニットを駆動して外気を用いて前記エネルギー貯蔵装置を換気させるように構成されている、請求項1に記載の火災監視装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項による火災監視装置及びエネルギー貯蔵装置を含む、火災監視システム。
【請求項11】
複数のバッテリーモジュールが設けられたエネルギー貯蔵装置であって、空調ユニット、消火ユニット、注水ユニット及び換気ユニットを備えるエネルギー貯蔵装置の火災を監視するための方法において、
前記エネルギー貯蔵装置の内部に設けられた複数の煙センサーから少なくとも1つの煙感知信号を受信する煙感知信号受信ステップと、
煙が感知された場合、前記煙を感知した前記煙センサーの数に応じて火災のレベルを決定する火災レベル決定ステップと、
前記決定された火災のレベルに対応する火災鎮圧措置として、前記エネルギー貯蔵装置に対する前記空調ユニット、前記消火ユニット、前記注水ユニット及び前記換気ユニットのうちの少なくとも1つの動作を制御する火災制御ステップと、
を含む、火災監視方法。
【請求項12】
前記煙感知信号受信ステップと並行して、前記エネルギー貯蔵装置に設けられたガスセンサーから測定されたガスの濃度を受信し、前記測定されたガスの濃度と予め設定されたしきい値濃度とを比較した結果に基づいて、前記空調ユニット及び前記換気ユニットの動作を制御する換気制御ステップをさらに含む、請求項11に記載の火災監視方法。
【国際調査報告】