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特表2024-534047膵臓ベータ細胞の特定のバイオマーカーに対する細胞表面抗体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】膵臓ベータ細胞の特定のバイオマーカーに対する細胞表面抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240910BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240910BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 51/10 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240910BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240910BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C12N15/13
A61K51/10 200
A61K39/395 D
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K39/395 R
A61P3/10
A61K39/395 N
A61K48/00
G01T1/161 D
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509132
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 US2022075156
(87)【国際公開番号】W WO2023023607
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/235,237
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/388,005
(32)【優先日】2022-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】501335771
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】308032460
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ コロラド,ア ボディー コーポレイト
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF COLORADO,a body corporate
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100230891
【弁理士】
【氏名又は名称】里見 紗弥子
(72)【発明者】
【氏名】ダー フー
(72)【発明者】
【氏名】リーピン ユー
(72)【発明者】
【氏名】チェン グオ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4C188
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA92Y
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA13
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZC351
4C084ZC352
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB31
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4C085HH03
4C085KA03
4C085KA04
4C085KA26
4C085KA28
4C085KA29
4C085KB02
4C085KB07
4C085KB11
4C085KB82
4C085LL05
4C188EE02
4C188FF04
4C188FF07
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA71
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA54
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は免疫学の分野に関する。より具体的には、本発明は、膵臓亜鉛輸送体であるZnT8に対する抗体の使用を対象とした方法および組成物を提供する。特定の実施形態では、抗ZnT8抗体は、ZnT8の膜貫通型ドメインに特異的に結合する。より具体的な実施形態では、抗ZnT8抗体は、膜貫通型ドメインの細胞外表面に特異的である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛トランスポーター-8(ZnT8)の膜貫通型ドメインの3つの細胞外ループに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
前記ZnT8の3つの細胞外ループは、SEQ ID NO:31のアミノ酸95~99、169~175、および242~245を含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)それぞれSEQ ID NO:3~5を含む重鎖相補性決定領域(CDR)1、2および3と、
(b)それぞれSEQ ID NO:8~10を含む軽鎖CDR1、2および3と、
を含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)それぞれSEQ ID NO:3~5を含む重鎖相補性決定領域(CDR)1、2および3と、
(b)それぞれSEQ ID NO:8~10を含む軽鎖CDR1、2および3、と、
を含み、
前記重鎖CDRは、SEQ ID NO:3~5の1つ以上の内に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含み、および/または軽鎖CDRは、SEQ ID NO:8~10の1つ以上の内に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、
請求項1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19に対して少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、
(b)SEQ ID NO:7に対して少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列と、
を含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
前記重鎖可変領域配列は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19に対して少なくとも95%の配列同一性を有し、前記軽鎖可変領域配列は、SEQ ID NO:7に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項5に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19を含む重鎖可変領域配列と、
(b)SEQ ID NO:7を含む軽鎖可変領域配列と、
を含む、請求項5に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
前記フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)、Fab-SH、Fv、ダイアボディ、直鎖抗体、または単鎖可変フラグメント(scFv)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
前記重鎖定常領域は、免疫グロブリンG1(IgG1)アイソタイプである、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項10】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化抗体またはキメラ抗体である、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項11】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、治療剤に接合されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項12】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、造影剤に接合されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項13】
治療有効量の請求項1から11のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合フラグメントをコードする核酸分子。
【請求項15】
請求項14に記載の核酸を含むベクター。
【請求項16】
請求項15に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項17】
ZnT8の膜貫通型ドメインの3つの細胞外ループに特異的に接合する抗体薬物複合体を作製する方法であって、
(a)抗体の産生に適した条件下で請求項16に記載の宿主細胞を培養するステップと、
(b)抗体を治療剤に結合させるステップと、
を含む、ZnT8の膜貫通型ドメインの3つの細胞外ループに特異的に接合する抗体薬物複合体を作製する方法。
【請求項18】
ZnT8の膜貫通型ドメインの3つの細胞外ループに特異的に接合する抗体造影剤複合体を生成する方法であって、
(a)抗体の産生に適した条件下で請求項16に記載の宿主細胞を培養するステップと、
(b)抗体を造影剤に接合させるステップと、
を含む、ZnT8の膜貫通型ドメインの3つの細胞外ループに特異的に結合する抗体造影剤複合体を生成する方法。
【請求項19】
請求項1から11に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは請求項13に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象におけるZnT8に関連する疾患または症状を治療するための方法。
【請求項20】
前記疾患または症状は、1型または2型糖尿病を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項12に記載の抗体またはその抗原接合フラグメントを対象に投与すること、および抗体またはその抗原結合フラグメントに結合した造影剤を検出することを含む、in vivoで膵臓ベータ細胞を検出する方法。
【請求項22】
検出ステップは、陽電子放射断層撮影法(PET)、単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)/CTイメージング、核磁気共鳴(NMR)分光法、または近赤外(NIR)光学イメージングを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗体または抗原結合フラグメントは、(a)SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19を含む重鎖可変領域配列と、(b)SEQ ID NO:7を含む軽鎖可変領域配列と、一本鎖可変フラグメント(scFv)を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記重鎖可変領域配列は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19内に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含み、および(b)軽鎖可変領域配列は、SEQ ID NO:7内に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記造影剤は、放射性金属である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記造影剤は、放射性金属であり、検出ステップは、PETを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記放射性金属は、64Cu、67Cu、68Ga、60Ga、89Zr、86Y、および94mTcからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記造影剤は、放射性金属であり、検出ステップは、SPECTを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記放射性金属は、111In、67Ga、99mTc、および177Luからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
(a)SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19の重鎖可変領域配列、および(b)SEQ ID NO:7の軽鎖可変領域配列を含む、ZnT8の膜貫通型ドメインの3つの細胞外ループに結合する(scFv)またはその抗原結合フラグメントを含む単鎖可変フラグメント。
【請求項31】
前記重鎖可変領域配列は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19内に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含み、(b)軽鎖可変領域配列は、SEQ ID NO:7内に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む、請求項30に記載のscFv。
【請求項32】
前記scFvは、造影剤に接合している、請求項30に記載のscFv。
【請求項33】
造影剤は、放射性金属である、請求項31に記載のscFv。
【請求項34】
放射性金属は、64Cu、67Cu、68Ga、60Ga、89Zr、86Y、94mTc、111In、67Ga、99mTc、および177Luからなる群から選択される、請求項32に記載のscFv。
【請求項35】
(a)SEQ ID NO:20を含む軽鎖および(b)SEQ ID NO:21~24の1つを含む重鎖を含む抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項36】
(a)SEQ ID NO:20を含む軽鎖および(b)SEQ ID NO:27~30の1つを含む重鎖を含む抗体またはその抗原結合フラグメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年8月20日に出願された米国仮特許出願第63/235,237号、および2022年7月11日に出願された米国仮特許出願第63/388,005号に対する優先権を主張し、それらの全体を参照によって本明細書に援用する。
【0002】
(配列表)
本出願には、448070440WO1.xmlという名前のXMLファイルとして電子的に提出された配列表が含まれる。2022年8月17日に作成されたXMLファイルのサイズは54,472バイトである。XMLファイル内の内容を、参照によってその全体を本明細書に援用する。
【0003】
(技術分野)
本明細書では、免疫学および糖尿病の分野に関連する材料および方法を提供する。より具体的には、本明細書では膵臓亜鉛輸送体、ZnT8に対する抗体の使用を対象とした方法および組成物を提供する。
【0004】
(連邦政府の援助を受けた研究または開発)
本発明は、米国立衛生研究所によって授与された助成金DK125746およびDK123435に基づく政府支援により行われた。政府は発明に関して一定の権利を有する。
【背景技術】
【0005】
(背景技術)
膵臓β細胞は専門的な分泌細胞として、人体内で血糖値を制御するためのインスリンの唯一の供給源となる。β細胞はグルコース変動に応答してインスリン産生の大きな動的能力を進化させてきたが、1型糖尿病におけるβ細胞自己免疫脆弱性の根底にある膵島炎症や代謝ストレス[1]、および2型糖尿病におけるβ細胞不全および消失に対処する能力[2]が不十分である。したがって、原発性β細胞欠陥は、両方の形態の糖尿病に対する感受性の中心にある。糖尿病の病因をより深く理解し、治療介入を評価するには、疾患および治療条件下でのβ細胞の運命を正確にモニタリングする必要がある。しかし、インスリン/C-ペプチドレベル、空腹時血糖値、経口耐糖能の測定などの日常的な検査では、糖尿病の前臨床段階および介入療法を受けた後におけるインスリン産生β細胞の量と機能に関する適切な情報が得られない。高い細胞表面密度でインスリン分泌生物学に直接関連する細胞表面バイオマーカーは、β細胞機能および薬物送達の非侵襲的モニタリングに適用可能である細胞表面モノクローナル抗体(mAb)開発の貴重な標的である。
【発明の概要】
【0006】
膵島におけるインスリン産生β細胞の機能不全と消失とは糖尿病の主な原因であるが、β細胞の量と機能のin vivoモニタリングや標的薬物送達の方法はまだ開発されていない。β細胞におけるインスリンの産生と貯蔵とは、細胞の亜鉛濃縮と機能的に結びついており、これは膵島特異的亜鉛トランスポーター-8(ZnT8)の過剰発現によって制御されている。本明細書では、ZnT8の細胞外エピトープに対してナノモル以下の結合親和性および立体構造特異性を有する自己反応性抗体(mAb43)について説明する。グルコース刺激によって細胞外細胞表面上のZnT8-mAb43の結合が増加し、mAb43を使用して膵臓全体の単細胞懸濁液からβ細胞を単離し、全身投与後のマウスにおける蛍光タグの膵島ホーミングを誘導することが可能になった。いくつかの実施形態では、自己反応性抗体は、イメージングペイロードおよび抗体薬物接合体のin vivo送達のためにβ細胞表面ZnT8を標的とし得る。
【0007】
本明細書では、亜鉛トランスポーター-8(ZnT8)の膜貫通型ドメインの3つの細胞外ループに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。いくつかの実施形態では、ZnT8の3つの細胞外ループは、SEQ ID NO:31のアミノ酸95~99、169~175、および242~245を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)それぞれSEQ ID NO:3~5を含む重鎖相補性決定領域(CDR)1、2および3と、(b)それぞれSEQ ID NO:8~10を含む軽鎖CDR1、2および3以下と、を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:3~5の1つ以上の内の少なくとも1つの保存的アミノ酸置換、および/またはSEQ ID NO:8~10の1つ以上の内の少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、(a)SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19に対して少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域配列と、(b)SEQ ID NO:7に対して少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域配列と、を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域配列は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19に対して少なくとも95%の配列同一性を有し、軽鎖可変領域配列は、SEQ ID NO:7に対して少なくとも95%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、(a)SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19を含む重鎖可変領域配列と、(b)SEQ ID NO:7を含む軽鎖可変領域配列と、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)、Fab-SH、Fv、ダイアボディ、直鎖抗体、または単鎖可変フラグメント(scFv)を含む。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域は免疫グロブリンG1(IgG1)アイソタイプのものである。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、治療剤に接合される。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、造影剤に接合される。
【0010】
また、本明細書では、治療有効量の本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれかを含む医薬組成物をも提供する。
【0011】
また、本明細書では、本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメントのいずれかをコードする核酸分子をも提供する。本明細書では、本明細書に記載の核酸のいずれかを含むベクターをも提供する。また、本明細書に記載されるベクターのいずれかを含む宿主細胞をも提供する。
【0012】
また、本明細書では、ZnT8の膜貫通型ドメインの3つの細胞外ループに特異的に結合する抗体薬物接合体を作製するための方法を提供し、本方法は、(a)本明細書に記載の宿主細胞のいずれかを抗体の産生に適した条件下で培養することと、(b)抗体を治療剤に接合させることと、を含む。
【0013】
また、本明細書では、ZnT8の膜貫通型ドメインの3つの細胞外ループに特異的に結合する抗体造影剤複合体を産生する方法をも提供し、この方法は、(a)抗体の産生に適した条件下で本明細書に記載の宿主細胞のいずれかを培養することと、(b)抗体を造影剤に接合させることと、を含む。
【0014】
また、本明細書では、対象におけるZnT8に関連する疾患または状態を治療するための方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメントのいずれかを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、1型または2型糖尿病を含む。
【0015】
また、本明細書では、in vivoで膵臓ベータ細胞を検出するための方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の抗体または抗原結合フラグメントのいずれかを対象に投与すること、および抗体またはその抗原結合フラグメントに接合した造影剤を検出することを含む。いくつかの実施形態では、検出ステップは、陽電子放射断層撮影法(PET)、単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)/CTイメージング、核磁気共鳴(NMR)分光法、または近赤外(NIR)光学イメージングを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、(a)SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19を含む重鎖可変領域配列と、(b)SEQ ID NO:7を含む軽鎖可変領域配列と、を含む、単鎖可変フラグメント(scFv)を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域配列は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19内に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含み、(b)軽鎖可変領域配列は、SEQ ID NO:7内に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、造影剤は放射性金属である。いくつかの実施形態では、造影剤は放射性金属であり、検出ステップはPETを含む。いくつかの実施形態では、放射性金属は、64Cu、67Cu、68Ga、60Ga、89Zr、86Y、および94mTcからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、造影剤は放射性金属であり、検出ステップはSPECTを含む。いくつかの実施形態では、放射性金属は、111In、67Ga、99mTc、および177Luからなる群から選択される。
【0018】
また、本明細書では、(a)SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19の重鎖可変領域配列を含み、(b)SEQ ID NO:7の軽鎖可変領域配列を含む、ZnT8の膜貫通型ドメインの3つの細胞外ループに結合する(scFv)またはその抗原結合フラグメントを含む単鎖可変フラグメントをも提供する。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域配列は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19内に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含み、(b)軽鎖可変領域配列は、SEQ ID NO:7内に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、scFvは造影剤に接合される。いくつかの実施形態では、造影剤は放射性金属である。いくつかの実施形態では、放射性金属は、64Cu、67Cu、68Ga、60Ga、89Zr、86Y、94mTc、111In、67Ga、99mTc、および177Luからなる群から選択される。
【0020】
また、本明細書では、(a)SEQ ID NO:20を含む軽鎖と、(b)SEQ ID NO:21~24の1つを含む重鎖と、を含む抗体またはその抗原結合フラグメントをも提供する。また、本明細書では、(a)SEQ ID NO:20を含む軽鎖と、(b)SEQ ID NO:27~30の1つを含む重鎖と、を含む抗体またはその抗原結合フラグメントをも提供する。
【0021】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施に使用することができるが、適切な方法および材料を下記に記載する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。矛盾が生じた場合には、定義を含む本仕様が優先される。さらに、材料、方法、および実施例は、単なる例示であり、限定することを意図したものではない。
【0022】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および下記の説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1Aは、抗TMD抗体の誘導および生化学的特徴を示す。亜鉛イオンが結合したZnT8ホモ二量体上の3つの短いループ(ボールアンドスティック、右)によって形成されるZnT8の膜と同一面の細胞外表面(空間充填表示、左)を示す。TMDは脂質二重層に埋め込まれているが、CTDは細胞質内に拡張されている。図1Bは、抗TMD抗体の誘導および生化学的特徴を示す。3つの細胞外ループ(ECL)の配列アラインメントを示す。図1Cは、抗TMD抗体の誘導および生化学的特徴を示す。示されるように、プロテオリポソームまたはリポソームを注射されたZnT8-KOマウスからのマウス血清の、flZnT8またはCTDのいずれかに対するELISA滴定を示す。図1Dは、抗TMD抗体の誘導および生化学的特徴を示す。NOD雌マウスの使用を想定したことを除き、図1C中と同じものを示す。エラーバーは、4匹のZnT8-KOまたは4匹のNODマウスからの標準誤差、*p<0.01(n=4)である。図1Eは、抗TMD抗体の誘導および生化学的特徴を示す。示されるように、界面活性剤で可溶化されたflZnT8に対するmAb43およびmAb20の滴定を示す。図1Fは、抗TMD抗体の誘導および生化学的特徴を示す。CTDに対するmAb43およびmAb20の力価を示す。図1Gは、抗TMD抗体の誘導および生化学的特徴を示す。ZnT8プロテオリポソームに対するmAb43およびmAb20の滴定を示す。プロテオリポソーム内のZnT8は、示されているようにTMDまたはCTDのいずれかを抗体結合にさらす混合膜貫通配向を採用していることに留意されたい。実線は、r2>0.98の双曲線関数への結合曲線の最小二乗当てはめである。
図2図2Aは、ZnT8および細胞表面マーカーへの抗体結合を示す。示されるように、mAb43またはmAb20を用いた生Endoc-βH1細胞のIF標識を示す。細胞をCD71抗体およびDAPIで対比染色した。図2Bは、ZnT8および細胞表面マーカーへの抗体結合を示す。PFA固定および界面活性剤透過処理後のEndoc-βH1細胞の平行したIF標識を示す。図2Cは、ZnT8および細胞表面マーカーへの抗体結合を示す。示したように、mAb43、Na+/K+ATPase抗体およびDAPIを用いた野生型またはZnT8-KO INS-1E生細胞のIF染色を示す。図2Dは、ZnT8および細胞表面マーカーへの抗体結合を示す。PFA固定および界面活性剤透過後の野生型細胞またはZnT8-KO INS-1E細胞の平行したIF標識を示す。図2Eは、ZnT8および細胞表面マーカーへの抗体結合を示す。示されるように、ZnT8ecA陽性ヒト血清、マウスmAb43、または血清-mAb43の組み合わせを用いた生Endoc-bH1細胞のIF標識を示す。図2Fは、ZnT8および細胞表面マーカーへの抗体結合を示す。図2A図2Bにおける生Endoc-bH1細胞のmAb43またはmAb20免疫標識による細胞表面(S)および細胞内(I)の蛍光強度の定量化、または図2C~2DにおけるWT細胞またはZnT8-KO INS-1E細胞のいずれかのmAb43免疫標識による細胞表面(S)および細胞内(I)の蛍光強度の定量化を示す。蛍光強度は、示されているように、対照群の各ペアにおけるmAb43の強度に対して正規化された。白丸は個々のセルのデータポイントである。エラーバーは標準誤差である。図2Gは、ZnT8および細胞表面マーカーへの抗体結合を示す。図2Eに記載のZnT8ecA陽性ヒト血清、マウスmAb43、または血清/mAb43の組み合わせによる生Endoc-βH1細胞の細胞表面IF標識の定量を示す。分数強度は、示されているように、対照群の各ペアの血清強度とmAb43強度の合計に対して正規化された血清またはmAb43シグナルである。
図3図3Aは、ECLへのmAb43エピトープのマッピングを示す。示されるように、ZnT8-GFPとmAb43、mAb20、またはFLAG抗体との安定なタンパク質結合複合体のサイジング-HPLCクロマトグラムを示す。破線は、示されているように、遊離または結合したZnT8-GFPのピーク位置のアラインメントを示す。図3Bは、ECLへのmAb43エピトープのマッピングを示す。示されるように、ZnT8FLAG-GFPとmAb43、mAb20、またはFLAG抗体との安定なタンパク質結合複合体のクロマトグラムを示す。図3Cは、ECLへのmAb43エピトープのマッピングを示す。ヒトEndoc-βH1細胞のSDS変性全溶解物を用いた、mAb43、mAb20および抗ペプチドZnT8抗体の免疫ブロット分析を示す。矢印は、内因性ZnT8の2つのスプライス変異体を示す。図3Dは、ECLへのmAb43エピトープのマッピングを示す。2つのZnT8プロトマーのうちの1つに結合したFab43分子を示す、ネガティブ染色されたZnT8-Fab43複合体の電子密度マップの側面図を示す。楕円形の密度は、ZnT8ホモ二量体と関連する界面活性剤/脂質分子からなる。絵図はそれぞれヒトZnT8とFab分子をドッキングさせたものである。破線の矢印は、楕円形の短軸と一致するZnT8ホモ二量体の二重軸を示す。
図4図4Aは、マウスβ細胞に対するmAb43の特異性を示す。陰性対照としてmAb20およびPBSを用いた、パラフィン包埋マウス膵臓切片における内在性ZnT8のmAb43免疫標識およびジアミノベンジジン検出を示す。図4Bは、マウスβ細胞に対するmAb43の特異性を示す。マウスmAb43またはマウスIgG2bアイソタイプ対照、その後の抗マウスIgG-PE、抗インスリン-APC、抗グルカゴン-488およびDCVを使用した、単離されたマウス膵島からの酵素的に分散された膵島細胞のIF標識を示す。すべての膵島細胞は、免疫標識前にPFA固定され、界面活性剤透過処理された。図4Cは、マウスβ細胞に対するmAb43の特異性を示す。DAPI対比染色を用いた、剖検ヒト膵臓の凍結切片のmAb43および抗インスリン共免疫標識を示す。図4Dは、マウスβ細胞に対するmAb43の特異性を示す。酵素的に分散させた膵臓全体に由来する単一細胞懸濁液の免疫標識および蛍光活性化細胞選別を示す。分散した全膵臓細胞をDCV、キメラmAb43またはmAb20で標識し、示されているようにPE接合抗ヒトIgGで検出した。インタクトな細胞(DCV陽性)をゲートし、mAb43-PE陽性(R1)集団と陰性(R0)集団とに分類した。破線は、DCVおよびmAb43-PEゲートの閾値を示す。R1およびR0ゲート内の無傷の細胞の合計の割合が示される。データは4つの独立した実験の代表である。図4Eは、マウスβ細胞に対するmAb43の特異性を示す。示されたmAb43標識細胞の異なる集団におけるインスリンおよびグルカゴン発現の共焦点顕微鏡分析を示す。選別された膵臓細胞をマトリゲルでコーティングしたガラス表面上で増殖させ、PFAで固定し、透過処理した後、mAb43で免疫標識し、続いて示されているように抗インスリンAPC、抗グルカゴン488、および抗ヒトIgG-PEで免疫標識した。挿入図は、細胞質におけるインスリンとZnT8のとの共局在を示す、R1ゲート内の通常のβ細胞の拡大図である。図4Fは、マウスβ細胞に対するmAb43の特異性を示す。図4Eの濃縮膵臓細胞のmAb43および抗インスリンIF強度の定量化を示す。mAb43または抗インスリンIF強度は、R1細胞集団の強度に対して正規化されている。白丸は個々のセルのデータポイントである。エラーバーは標準誤差である。
図5図5Aは、グルコース刺激によるZnT8-mAb43の取り込みを示す。37℃でのEndoc-βH1細胞におけるmAb43-A647の取り込みを示す。生細胞を、示されているように、高グルコース(20mM)または基礎グルコース(2mM)のいずれかの存在下で、mAb20-A647またはmAb43-A647に曝露した。各画像について、左側のパネルはA647-IFを示し、右側のパネルはA647、CellMaskグリーン、およびDAPI信号を統合したものである。すべてのスケールバーは10μmである。図5Bは、グルコース刺激によるZnT8-mAb43の取り込みを示す。8℃での細胞表面mAb-A647結合を示す。図5Cは、グルコース刺激によるZnT8-mAb43の取り込みを示す。示されるように8℃または37℃で、グルコース刺激(20/2mM)の有無にかかわらず、任意の単位(a.u.)での総A647-IF強度の画像定量化を示す。白丸は個々のセルのデータポイントである。エラーバーは標準誤差である。
図6図6Aは、マウスにおいて全身投与された抗体の生体内分布を示す。示されるキメラmAb43またはmAb20の注射後1日目にC57BL/6マウスから切除された異なる器官のSDS可溶化組織のウエスタンブロット分析を示す。組織タンパク質を0.5mg/レーンで搭載し、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)化学発光によって検出した。図6Bは、マウスにおいて全身投与された抗体の生体内分布を示す。異なる器官におけるmAb43(黒色のバー)またはmAb20(灰色のバー)の相対的な組織存在量を示す。ウエスタンブロット強度を、注射後の同じ時点での膵臓mAb43シグナルに対して正規化し、注射後1、3、5、6日目に採取した組織からの4つの独立した測定値の平均をとった。白丸は個々のデータポイントである。エラーバーは標準誤差である。図6Cは、マウスにおいて全身投与された抗体の生体内分布を示す。示されるように、膵臓mAb43または腎臓mAb20の時間依存性の減少を示す。ヒトIgG標準の段階希釈物を同じゲルに搭載して、mAb43およびmAb20の強度を校正した。図6Dは、マウスにおいて全身投与された抗体の生体内分布を示す。示されるように、注射後の様々な時点での膵臓mAb43および腎臓mAb20の定量を示す。エラーバーは、4つの独立したウエスタンブロット測定からの標準誤差である。図6Eは、マウスにおいて全身投与された抗体の生体内分布を示す。示されるように、NOD(黒色のバー)またはdb/dbマウス(白色のバー)におけるmAb43の相対的な組織取り込みを示す。ウエスタンブロット強度を膵臓mAb43シグナルに対して正規化し、注射の2日後に採取した組織からの4匹のNODまたは4匹のdb/dbマウスの平均を求めた。白丸は個々のデータポイントである。エラーバーは標準誤差である。図6Fは、マウスにおいて全身投与された抗体の生体内分布を示す。示されるように、3つの異なるマウス系統における膵臓mAb43取り込みの比較を示す。膵臓のmAb43取り込みレベルは、さまざまな系統の個々のマウスのFBGレベルと相関している。図6Gは、マウスにおいて全身投与された抗体の生体内分布を示す。示されるように、異なるマウス染色における平均膵臓mAb43取り込みの定量化を示す。白丸は個々のマウスのウェスタンブロットデータポイントであり、対応するFBGレベルが右パネルに示されている。エラーバーは、示されているように、各マウス群の4匹のマウスからの標準誤差である。
図7図7Aは、平らな膵臓におけるmAb43-mScarletの分布を示し、mScarletのin vivo膵島ホーミングを実証している。15mg/kgのmAb43-mScarlet注射を受けたMIP-GPFマウスから切除された膵臓のホールマウント画像を示す。GFP、mScarlet、および明視野画像が統合され、クローズアップ表示に使用される対象領域(ROI)に番号が付けられる。図7Bは、平らな膵臓におけるmAb43-mScarletの分布を示し、mScarletのin vivo膵島ホーミングを実証している。膵島クラスターにおける分枝細動脈およびGFPおよびmScarletの共局在を示す、異なるROI(1、2、3)の拡大図を示す。図7Cは、平らな膵臓におけるmAb43-mScarletの分布を示し、mScarletのin vivo膵島ホーミングを実証している。異なるROIにおける重複するGFPおよびmScarlet蛍光を有する個々の島の拡大図(4、5、6)を示す。図7Dは、平らな膵臓におけるmAb43-mScarletの分布を示し、mScarletのin vivo膵島ホーミングを実証している。異なるROIにおける追加の散乱mScarlet蛍光を有する個々の島の拡大図(7、8、9)を示す。図7Eは、平らな膵臓におけるmAb43-mScarletの分布を示し、mScarletのin vivo膵島ホーミングを実証している。mAb43-mScarletに曝露された単離されたマウス膵島におけるmScarletの取り込みを示す。図7Fは、平らな膵臓におけるmAb43-mScarletの分布を示し、mScarletのin vivo膵島ホーミングを実証している。mAb20-mScarletに曝露された単離されたマウス膵島におけるmScarletの取り込みが存在しないことを示す。代表的な膵島画像は2つの独立した実験から得られた。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、本明細書に記載される特定の方法および構成要素などに限定されず、これらは変更される可能性があることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を単に説明する目的に使用されており、本発明の範囲を限定するものではないことも理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、文脈上明らかに別段の指示がない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は複数形を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「タンパク質」への言及は、1つ以上のタンパク質への言及であり、当業者に既知であるその等価物などを含む。
【0025】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。特定の方法、装置、および材料を記載しているが、本明細書に記載されているものと類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実施または試験に使用し得る。
【0026】
すべての雑誌記事、書籍、マニュアル、公開された特許出願、および発行された特許を含む、本明細書で引用されるすべての刊行物は、参照により本明細書に援用される。さらに、明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲で使用される特定の用語および語句の意味を提供する。これらの定義は実質的に限定することを意図したものではなく、本発明の特定の態様をより明確に理解するために役立つものである。
【0027】
ZnT8は、ハウスキーピングαチューブリンのタンパク質発現レベルに匹敵するタンパク質発現レベルを有する、β細胞における主要な亜鉛トランスポーターである[3]。活性亜鉛輸送体を生成するこの驚異的な細胞能力は、人体のβ細胞の細胞内亜鉛含有量の中で最も高いものの一つをもたらす。ZnT8の組織分布は、ほぼ独占的に膵島に限定されている[4,5]。膵島内のZnT8mRNAは、α、β、γ、δ、ε細胞を含むすべての内分泌細胞タイプで検出されたが、mRNAレベルは、異なる細胞タイプにおけるZnT8の対応するタンパク質レベルと大まかに関連しているだけである可能性がある[6,7]。細胞の亜鉛含有量に基づく細胞選別によって、他の島細胞からβ細胞が明確に分離される結果となり[8]、細胞の亜鉛含有量とそれに関連するZnT8タンパク質レベルがβ細胞に特有のバイオマーカーであることが示唆された。ZnT8の細胞内分布は、細胞表面膜、インスリン分泌顆粒および小胞体の間で動的平衡状態にあり、ZnT8は亜鉛隔離トランスポーターとして機能する[3、9、10]。濃縮された亜鉛イオンは、プロインスリンのプロセシングと亜鉛-インスリン六量体の結晶パッケージングに必要である[9~13]。結果として、ZnT8の細胞内分布は、インスリンの処理、貯蔵、分泌と密接に結びついている[14]。グルコース刺激によるインスリン分泌は、ZnT8の細胞表面への輸送を促進し[15]、ZnT8を1型糖尿病患者における自己抗体の主要な細胞表面抗原標的としている[16]。同様に、表面化されたZnT8は、mAbベースの免疫検出の機能的バイオマーカーとして機能する可能性があり得る。
【0028】
ZnT8の細胞外ループに由来する直鎖ペプチドに対する初期のZnT8 mAbは、中程度の結合親和性(108nM)と低い特異性[17]をもたらした。in vivoβ細胞のイメージングおよびターゲティングには、空間配置に配置された複数の細胞外ループに対する絶妙な構造特異性を備えた高親和性 mAbsの開発が必要である。ZnT8は、コンパクト膜貫通型ドメイン(TMD)とサイトゾルC末端ドメイン(CTD)からなる2モジュール式タンパク質である。TMDは細胞外ドメインを欠いているが、その細胞外表面は膜と同一面であり、3つの短い細胞外ループ(ECL1~3)によって形成されている(図1A)。エピトープの利用可能性が限られていることに加えて、これらのループは、ECL3における高度に保存されたEからDへの置換を除いて、マウスとヒトのZnT8の間で準不変であるため、抗原性が低い(図1B)。本明細書に記載されるように、マウス免疫化戦略は、天然にフォールディングされたZnT8の細胞外エピトープの免疫原性を増強するために確立され、立体構造特異性を有する細胞外ループに対するmAb43を同定し、β細胞精製およびイメージングプローブの標的送達におけるmAb43の有用性を実証した。
【0029】
(I.定義)
「抗体」という用語は、タンパク質(例えば、ZNT8、そのサブユニット、または受容体複合体)、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、またはそれらの組み合わせなどの標的を認識し、特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介して、上記の反応が行われる。通常の抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2本の重(HC)鎖と2本の軽(LC)鎖を含む。各重鎖は、「重鎖可変領域」または「重鎖可変ドメイン」(本明細書ではVHと略す)および重鎖定常領域で構成される。重鎖定常領域は、CHI、CH2、CH3の3つのドメインで構成される。各軽鎖は、「軽鎖可変領域」または「軽鎖可変ドメイン」(本明細書ではVLと略す)および軽鎖定常領域で構成される。軽鎖定常領域は1つのドメインCIで構成される。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が点在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分され得る。各VH領域とVL領域は3つのCDRと4つのFRで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端まで、FRI、CDRI、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置されている。重鎖および軽鎖の可変領域には、抗原と相互作用する結合ドメインが含まれている。本明細書で使用される「抗体」という用語は、無傷のポリクローナル抗体、無傷のモノクローナル抗体、抗体フラグメント(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Facb、およびFvフラグメントなど)、単鎖Fv(scFv)、ミニボディ(例えば、sc(Fv)2、ダイアボディ)、少なくとも2つの完全な抗体から生成される二重特異性抗体などの多重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体などの多重特異性抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、および抗体が所望の生物学的活性を示す限り、抗原認識部位を含む他の任意の修飾免疫グロブリン分子を包含する。したがって、「抗体」という用語には、抗体全体およびその任意の抗原結合フラグメントまたは一本鎖が含まれる。抗体は、素のままの場合もあれば、毒素、放射性同位元素、小分子薬物、ポリペプチドなどの他の分子と接合している場合もある。
【0030】
「単離された抗体」という用語は、自然環境の成分から同定され、分離および/または回収された抗体を指す。自然環境の汚染成分は、抗体の診断または治療用途を妨げる物質であり、酵素、ホルモン、その他のタンパク質性または非タンパク質性溶質が含まれ得る。いくつかの実施形態では、抗体は、(1)例えばLowry法によって決定される抗体の95重量%を超えるまで精製され(99重量%を含む)、(2)スピニングカップシークエネーターの使用によって、N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を取得するのに十分な程度まで精製され、または(3)クーマシーブルーまたは銀染色を使用した還元または非還元条件下でのSDS-PAGEによって均質に精製される。抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、単離された抗体には、組換え細胞内のin situ抗体が含まれる。しかしながら、通常、単離された抗体は少なくとも1つの精製ステップによって調製される。
【0031】
「ヒト化」免疫グロブリンという用語は、ヒトフレームワーク領域および非ヒト(通常はマウスまたはラット)免疫グロブリン由来の1つ以上のCDRを含む免疫グロブリンを指す。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンは「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは「アクセプター」と呼ばれる。定常領域は存在する必要はないが、存在する場合、それらはヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一、すなわち少なくとも約85~90%、好ましくは約95%以上同一でなければならない。したがって、おそらくCDRを除いて、ヒト化免疫グロブリンのすべての部分は、天然ヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。「ヒト化抗体」は、ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖免疫グロブリンを含む抗体である。例えば、ヒト化抗体は、例えば、キメラ抗体の可変領域全体が非ヒトであるため、上記で定義した通常のキメラ抗体を包含しないであろう。
【0032】
「抗原結合フラグメント」という用語は、無傷の抗体の一部を指し、無傷の抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体のフラグメントによって実行され得ることが当技術分野で知られている。抗原結合抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Facb、Fd、およびFvフラグメント、直鎖抗体、一本鎖抗体、および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、抗体フラグメントは、無傷の抗体または完全な抗体のタンパク質分解消化によって調製され得る。例えば、抗体フラグメントは、抗体全体をパパイン、ペプシン、プラスミンなどの酵素で処理することにより得られ得る。抗体全体をパパイン消化すると、F(ab)2またはFabフラグメントが生成される。抗体全体をペプシン消化すると、F(ab’)2またはFab’が生成される。抗体全体のプラスミン消化によって、Facbフラグメントが得られる。
【0033】
「Fab」という用語は、酵素パパインによる免疫グロブリン(通常、IgG)の消化によって得られるものと実質的に等価な抗体フラグメントを指す。Fabフラグメントの重鎖セグメントはFd部分である。このようなフラグメントは、完全な抗体のフラグメント化によって酵素的または化学的に生成することも、部分抗体配列をコードする遺伝子から組換え生成することもでき、あるいは全体的または部分的に合成的に生成することもできる。「F(ab’)2」という用語は、pH4.0~4.5で酵素ペプシンを用いた免疫グロブリン(通常、IgG)の消化によって得られるフラグメントと実質的に等価である抗体フラグメントを指す。このようなフラグメントは、完全な抗体のフラグメント化によって酵素的または化学的に生成することも、部分抗体配列をコードする遺伝子から組換え生成することもでき、あるいは全体的または部分的に合成的に生成することもできる。「Fv」という用語は、非共有結合的相互作用によって結合された1つのNHドメインおよび1つのNドメインからなる抗体フラグメントを指す。
【0034】
「ZNT8抗体」、「抗ZNT8抗体」、「抗ZNT8」、「ZNT8に結合する抗体」という用語およびその文法的変形は、十分な親和性でZNT8に特異的に結合することができる抗体を指す。抗体は、ZNT8を標的とする治療剤または診断試薬として有用である。本明細書に開示される抗ZNT8抗体の無関係な非ZNT8タンパク質への結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、BIACORE(商標)(分析物としての組換えZNT8およびリガンドとしての抗体の使用、またはその逆)、または当技術分野で知られている他の結合アッセイなどの、測定された抗ZNT8抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、ZNT8に結合する抗体は、1μM未満、100nM未満、50nM未満、10nM未満、または1nM未満の解離定数(KD)を有する。
【0035】
2つのポリペプチド(またはポリヌクレオチド)配列間の「同一性%」という用語は、2つの配列を最適なアラインメントを整列させるために導入しなければならない付加または欠失(すなわち、ギャップ)を考慮した、比較ウィンドウにわたって配列によって共有される同一の一致位置の数を指す。一致する位置とは、標的配列と参照配列の両方に同一のヌクレオチドまたはアミノ酸が存在する任意の位置である。ギャップはヌクレオチドまたはアミノ酸ではないため、ターゲット配列に存在するギャップはカウントされない。同様に、参照配列からのヌクレオチドまたはアミノ酸ではなく、標的配列のヌクレオチドまたはアミノ酸がカウントされるため、参照配列に存在するギャップはカウントされない。配列同一性のパーセンテージは、両方の配列で同一のアミノ酸残基または核酸塩基が存在する位置の数を決定し、一致する位置の数を求め、一致する位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で割り、結果に100を乗じて、配列同一性のパーセンテージを算出することによって計算される。配列の比較と2つの配列間の配列同一性パーセントの決定は、オンライン使用とダウンロードとの両方で容易に入手可能なソフトウェアを使用して行われ得る。タンパク質配列とヌクレオチド配列の両方のアラインメントに適したソフトウェアプログラムがさまざまなソースから入手可能である。配列同一性パーセントを決定するのに適したプログラムの1つはbl2seqであり、これは、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センターBLAST Webサイトから入手できるBLASTスイートプログラムの一部である。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムを使用して2つのシーケンス間の比較を実行する。BLASTNは核酸配列の比較に使用され、BLASTPはアミノ酸配列の比較に使用される。他の適切なプログラムは、例えば、バイオインフォマティクスプログラムのEMBOSSスイートの一部であるNeedle、Stretcher、Water、またはMatcherであり、欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)(www.ebi.ac.uk/Tools/psa)から入手可能である。特定の実施形態では、第1のアミノ酸配列の第2の配列のアミノ酸に対する同一性パーセンテージ「X」は、100×(Y/Z)として計算され、Yは、(目視検査または特定の配列アラインメントプログラムによってアラインメントされた)第1および第2の配列のアラインメントにおいて同一の一致としてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、Zは第2の配列内の残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列よりも長い場合、第2の配列に対する第1の配列の同一性パーセントは、第1の配列に対する第2の配列の同一性パーセントよりも高くなる。当業者は、配列同一性パーセントを計算するための配列アラインメントの生成が、もっぱら一次配列データによって駆動されるバイナリ配列-配列比較に限定されないことを理解するであろう。配列アラインメントは、複数の配列アラインメントから派生され得る。複数の配列アラインメントを生成するのに適したプログラムの1つは、ClustalW2である(ClustalXは、Windows環境に移植されたClustalW2プログラムのバージョンである)。別の適切なプログラムはMUSCLEである。ClustalW2およびMUSCLEは、例えば欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)から入手可能である。
【0036】
「治療剤」という用語は、疾患または障害の治療に使用される任意の生物学的薬剤または化学薬剤を指す。治療薬には、任意の適切な生物学的に活性な化合物、細胞、ペプチド、抗体、およびポリヌクレオチドなどの生物学的に由来する成分、および放射性同位体などの放射化学治療剤が含まれる。いくつかの実施形態では、治療剤は化学療法剤または鎮痛剤を含む。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「治療」、「治療すること」、「治療する」などは、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを指す。この用語は、「治療有効量」の薬剤、例えば抗ZnT8抗体の投与の文脈でも使用される。この効果は、特定の転帰、疾患またはその症状を完全または部分的に予防するという点で予防的であり得、および/または疾患および/または疾患に起因する副作用の部分的または完全な治癒という点で治療的であり得る。本明細書で使用される「治療」は、対象、特にヒトにおける疾患のあらゆる治療を包含し、(a)病気の素因があるかもしれないが、まだ病気であると診断されていない対象における病気の発生を予防すること、(b)病気を阻害する、すなわち、その発症を阻止すること、および(c)疾患を軽減すること、例えば疾患の退行を引き起こすこと、例えば疾患の症状を完全にまたは部分的に除去することを含む。特定の実施形態では、この用語は、糖尿病を含む任意のZnT8媒介疾患の予防または治療の文脈で使用される。
【0038】
(II.抗ZnT8抗体)
本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、ZNT8に特異的に結合する。特定の実施形態では、これらの抗体または抗原結合フラグメントはヒトZNT8に特異的に結合する。特定の実施形態では、これらの抗体または抗原結合フラグメントは、ZNT8の膜貫通型ドメインに特異的に結合する。本明細書で使用される「特異的に結合する」とは、抗体または抗原結合フラグメントが他のタンパク質よりもZNT8(例えば、ヒトZNT8、マウスZNT8)に優先的に結合することを意味する。特定の例において、本開示の抗ZNT8抗体は、他のタンパク質よりもZNT8に対して高い親和性を有する。ZNT8に特異的に結合する抗ZNT8抗体は、ヒトZNT8に対して1×10-7M以下、2×10-7M以下、3×10-7M以下、4×10-7M以下、5×10-7M以下、6×10-7M以下、7×10-7M以下、8×10-7M以下、9×10-7M以下、1x10-8M以下、2x10-8M以下、3×10-8M以下、4×10-8M以下、5×10-8M以下、6×10-8M以下、7×10-8M以下、8×10-8M以下、9×10-8M以下、1×10-9M以下、2×10-9M、3×10-9M以下、4×10-9M以下、5×10-9M以下、6×10-9M以下、7x10-9M以下、8x10-9M以下、9x10-9M以下、1x10-10M以下、2×10-10M以下、3×10-10M以下、4×10-10M以下、5×10-10M以下、6×10-10M以下、7×10-10M以下、8×10-10M以下、9×10-10M以下、1×10-11M以下、2×10-11M以下、3×10-11M以下、4×10-11M以下、または5×10-11M以下、6×10-11M以下、7×10-11M以下、8×10-11M以下、9×10-11M以下、1×10-12M以下、2×10-12M以下、3×10-12M以下、4×10-12M以下、5×10-12M以下、6×10-12M以下、7×10-12M以下、8×10-12M以下、または9x10-12M以下の結合親和性を有し得る。抗体の結合親和性を測定する方法は当技術分野で周知であり、表面プラズモン共鳴(SPR)(MortonおよびMyszka’’Kinetic analysis of macromolecular interactions using surface plasmon resonance biosensors’’Methods in Enzymology(1998)295、268-294)、生物層干渉法、(Abdiche、’’Determining Kinetics and Affinity of Protein Interactions using a Parallel Real-time Label-free Biosensor,the OCTET’’ Analytical Biochemistry(2008)377,209-217)、速度論的排除アッセイ(KinExA))(DarlingおよびBraault’’Kinetic exclusion assay technology:characterization of tongue interactions’’AssayおよびDrug Dev Tech(2004)2,647-657)、等温熱量測定(Pierceら’’Isothermal Titration Calorimetry of Protein-Protein Interactions’’Methods(1999))19、213~221)および分析用超遠心分離(Lebowitzら’’Modem analytical ultracentrifugation in protein science:A tutorial review’’Protein Science(2002)、11:2067~2079)が含まれる。
【0039】
一態様では、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗ZnT8抗体またはその抗原結合フラグメントを本明細書において提供し、重鎖可変領域は、(i)SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を含むCDR-H2、および(iii)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を含むCDR-H3、を含み、および/または軽鎖可変領域は、(i)SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(ii)SEQ ID NO:9のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および(iii)SEQ ID NO:10のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含み、抗ZnT8抗体のCDRは、Kabat番号付けスキームによって定義される。
【0040】
一態様では、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインとSEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗ZnT8抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書において提供する。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書では、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗ZnT8抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。特定の実施形態では、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインは、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または参照配列と比べた欠失を含有し、ZnT8(例えば、ヒトZnT8)に結合する能力を保持する。特定の実施形態では、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19において、合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入および/または欠失されている。特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4、または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR内)で起こる。いくつかの実施形態では、抗ZnT8抗体は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19の重鎖可変ドメイン配列(その配列の翻訳後修飾を含む)を含む。特定の実施形態では、重鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:19に対して1つの点変異を含む。さらなる実施形態では、1つの点変異はCDR領域に位置する。
【0042】
いくつかの実施形態では、本明細書では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗ZnT8抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。特定の実施形態では、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインは、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または参照配列と比べた欠失を含有し、ZnT8(例えば、ヒトZnT8)に結合する能力を保持する。特定の実施形態では、SEQ ID NO:7において、合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入および/または欠失されている。特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失(例えば、1、2、3、4、または5個のアミノ酸)は、CDRの外側の領域(すなわち、FR内)で起こる。いくつかの実施形態では、抗ZnT8抗体は、SEQ ID NO:7の軽鎖可変ドメイン配列(その配列の翻訳後修飾を含む)を含む。特定の実施形態では、軽鎖可変ドメイン配列は、SEQ ID NO:7に対して少なくとも1つの点変異を含む。さらなる実施形態では、1つの点変異はCDR領域に位置する。
【0043】
したがって、特定の実施形態では、配列は少なくとも1つの保存的置換を含み得る。「少なくとも1つ」という語句は「1つ以上」と同義であり、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15・・・少なくとも「N」、「N」は特定の順序でアミノ酸の総数に等しい(つまり、1つ以上、2つ以上、3つ以上など)、などの値を含むことを理解されたい。
【0044】
シーケンスは、最大1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、最大10、最大11、最大12、最大13、最大14、最大15・・・最大「N」、「N」は特定の配列におけるアミノ酸の総数に等しい、でも構成され得る。あるいは、特定の配列は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下などのアミノ酸位置での置換を含み得る。
【0045】
特定の実施形態において、本発明は、ZnT8に特異的に結合する単離された抗体またはその抗体結合フラグメントを提供し、抗体または抗体結合フラグメントは、重鎖相補性決定領域(CDR)1、2および3を含み、重鎖CDR1は、SEQ ID NO:3に記載のアミノ酸配列、または3つ以下のアミノ酸位置が置換されたSEQ ID NO:3に記載のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:4に記載のアミノ酸、または7つ以下のアミノ酸位置が置換されたSEQ ID NO:4に記載のアミノ酸を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:5に記載のアミノ酸配列、または4つ以下のアミノ酸位置が置換されたSEQ ID NO:5に記載のアミノ酸配列を含む。
【0046】
さらなる実施形態では、単離された抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖CDR1、2および3をさらに含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列、または6つ以下のアミノ酸位置が置換されたSEQ ID NO:8に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:9に記載のアミノ酸、または4つ以下のアミノ酸位置が置換されたSEQ ID NO:9に記載のアミノ酸を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:10に記載のアミノ酸配列、または5つ以下のアミノ酸位置が置換されたSEQ ID NO:10に記載のアミノ酸配列を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、抗ZnT8抗体、または抗ZnT8抗体-薬物接合体の抗ZnT8抗体はモノクローナル抗体である。
【0048】
免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの5つのクラスがあり、それぞれα、δ、ε、γ、μと呼ばれる重鎖を有する。γおよびμクラスはさらにサブクラスに分類される。例えば、ヒトはIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2次のサブクラスを発現する。IgG1抗体は、アロタイプと呼ばれる複数の多型変異体で存在し得(Jeferis and Lefranc 2009.mAbs Vol 1 Issue41-7で概説)、そのいずれも本明細書のいくつかの実施形態での使用に適している。ヒト集団における一般的なアロタイプ変異体は、文字a、f、n、z、またはそれらの組み合わせで指定されるものである。本明細書の実施形態のいずれかにおいて、抗体は、ヒトIgGFc領域を含む重鎖Fc領域を含み得る。さらなる実施形態では、ヒトIgGFc領域はヒトIgG4を含む。
【0049】
抗体はまた、共有結合が抗体のZnT8への結合、または細胞に対する細胞増殖抑制効果または細胞毒性効果の発揮を妨げないように、修飾された、すなわち、抗体への任意のタイプの分子の共有結合によって修飾された誘導体を含み得る。例えば、限定するものではないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解的切断、細胞リガンドへの結合、または他のタンパク質などが含まれる。多数の化学修飾のいずれも、特定の化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない既知の技術によって実行され得る。さらに、誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含み得る。
【0050】
(抗体フラグメント)
本開示は、ZNT8(例えば、ヒトZNT8(ZNT8の膜貫通型ドメインを含むがこれに限定されない))に特異的に結合する能力を保持する、本明細書に記載の抗体フラグメントまたはドメインを包含する。抗体フラグメントには、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fab、およびFvが含まれる。これらのフラグメントは、ヒト化されている場合もあり得、完全にヒト型であり得る。抗体フラグメントは、無傷の抗体のタンパク質分解消化によって調製され得る。例えば、抗体フラグメントは、抗体全体をパパイン、ペプシン、プラスミンなどの酵素で処理することにより得られ得る。抗体全体をパパイン消化すると、F(ab)2またはFabフラグメントが生成され、抗体全体をペプシン消化すると、F(ab’)2またはFab’が得られ、抗体全体をプラスミン消化すると、Facbフラグメントが得られる。
【0051】
あるいは、抗体フラグメントは組換えによって生成され得る。例えば、対象の抗体フラグメントをコードする核酸を構築し、発現ベクターに導入し、適切な宿主細胞で発現させ得る。例えば、Co,M.S.ら、J Immunol.,152:2968-2976(1994);Better,M.およびHorwitz,A.H.,Methods in Enzymology,178:476-496(1989);Pluckthun,AおよびSkerra,A,Methods in Enzymology,178:476-496(1989);Lamoyi,E.,Methods in Enzymology,121:652-663(1989);Rousseaux,J.ら、Methods in Enzymology,(1989)121:663-669(1989);およびBird,RE.ら、TIBTECH,9:132-137(1991))を参照されたい。抗体フラグメントは大腸菌内で発現し、大腸菌から分泌されるため、これらのフラグメントを大量に容易に生産し得る。抗体フラグメントは抗体ファージライブラリーから単離され得る。あるいは、Fab’-SHフラグメントを大腸菌から直接回収し、化学的に結合させてF(ab)2フラグメントを形成することもでき得る(Carterら、Bio/Technology、10:163-167(1992))。別のアプローチによれば、F(ab’)2フラグメントは組換え宿主細胞培養物から直接単離され得る。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含む、in vivo半減期が増加したFabおよびF(ab’)2フラグメントは、米国特許第5,869,046号明細書に記載されている。
【0052】
(ミニボディ)
また、本明細書に記載の抗体のミニボディも包含される。抗ZNT8抗体の低分子化抗体には、ダイアボディ、一本鎖(scFv)、一本鎖(Fv)2(sc(Fv)2)が含まれる。
【0053】
「ダイアボディ」は、遺伝子融合によって構築された二価ミニボディである(例えば、Holliger,P.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.U S.A.,90:6444-6448(1993);欧州特許出願公開第404,097号明細書;国際公開第93/11161号を参照のこと)。ダイアボディは、2つのポリペプチド鎖で構成される二量体である。ダイアボディの各ポリペプチド鎖のVLドメインとVHドメインはリンカーによって結合されている。リンカーを構成するアミノ酸残基の数は、2~12残基(例えば、3~10残基、または5または約5残基)であり得る。ダイアボディ内のポリペプチドのリンカーは、通常、VLとVHが互いに結合するには短すぎる。したがって、同じポリペプチド鎖にコードされるVLとVHは単鎖可変領域フラグメントを形成できず、異なる単鎖可変領域フラグメントと二量体を形成する。その結果、ダイアボディには2つの抗原結合部位が存在する。
【0054】
scFvは、VHとVLをリンカーで連結することによって得られる単鎖ポリペプチド抗体である(例えば、Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、85:5879-5883(1988);およびPluckthun、’’モノクローナル抗体の薬理学’’第113巻、エド・リセンバーグおよびムーア、シュプリンガー・フェアラグ、ニューヨーク、269~315頁、(1994)を参照))。各可変ドメイン(またはその一部)は、同じまたは異なる抗体に由来する。単鎖Fv分子は、好ましくは、VHドメインとVLドメインとの間に介在するscFvリンカーを含む。例示的なscFv分子は当技術分野で知られており、例えば、米国特許第5,892,019号明細書;米国特許第5,892,019号明細書;および米国特許第5,892,019号明細書、Hoら、Gene、77:51(1989);Birdら、Science、242:423(1988);Pantolianoら、Biochemistry、30:101 17(1991);Milenicら、Cancer Research、51:6363(1991)、Takkinenら、Protein Engineering、4:837(1991)に記載されている。
【0055】
本明細書で使用される「scFvリンカー」という用語は、scFvのVLドメインとVHドメインとの間に介在する部分を指す。scFvリンカーは、好ましくは、scFv分子を抗原結合立体構造に維持する。いくつかの実施形態では、scFvリンカーは、scFvリンカーペプチドを含むか、またはscFvリンカーペプチドからなる。特定の実施形態では、scFvリンカーペプチドは、Gly-Serペプチドリンカーを含むか、またはGly-Serペプチドリンカーからなる。いくつかの実施形態では、scFvリンカーはジスルフィド結合を含む。
【0056】
VHとVLとの接続順序は特に限定されず、どのような順序で配置されてもよい。配置の例には[VH]リンカー[VL];または[VL]リンカー[VH]が含まれる。scFvにおけるH鎖V領域およびL鎖V領域は、本明細書に記載される任意の抗ZNT8抗体またはその抗原結合フラグメントに由来し得る。
【0057】
sc(Fv)2は、2つのVHと2つのVLとがリンカーで連結されて一本鎖となったミニボディである(Hudsonら,J Immunol.Methods,(1999)231:177-189(1999))。sc(Fv)2は、例えばscFvをリンカーで連結することにより作製され得る。本発明のsc(Fv)2には、好ましくは2つのVHと2つのVLとがVH、VL、VH、VL([VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL])の順に配置され、単鎖ポリペプチドのN末端から始まる、抗体が含まれる。しかしながら、2つのVHと2つのVLの順序は、上記の配置に限定されるものではなく、任意の順序で配置され得る。配置の例を、下記に示す。
[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]
[VH]リンカー[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]
[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VL]
[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]
[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]
【0058】
通常、4つの抗体可変領域をリンクする場合は3つのリンカーが必要である。使用されるリンカーは同一であっても異なっていてもよい。ミニボディのVH領域とVL領域とを連結するリンカーは特に限定されない。いくつかの実施形態では、リンカーはペプチドリンカーである。リンカーとしては、3~25残基程度(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18)の任意の単鎖ペプチドを使用し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、リンカーは、合成化合物リンカー(化学架橋剤)である。市販されている架橋剤の例には、Nヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ジスクシンイミジルスベレート(DSS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS3)、ジチオビス(スクシンイミジルイプロピオネート)(DSP)、ジチオビス(スルホスクシンイミジルイプロピオネート)(DTSSP)、エチレングリコールビス(スクシンイミジルコハク酸塩)(EGS)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルコハク酸塩)(スルホ-EGS)、酒石酸ジスクシンイミジル(DST)、酒石酸ジスルホスクシンイミジル(スルホ-DST)、ビス[2-(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSocOES)、およびビス[2-(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(スルホ-BSocOES)が含まれる。
【0060】
抗体フラグメントまたはミニボディにおけるVHまたはVLのアミノ酸配列には、置換、欠失、付加および/または挿入などの修飾が含まれ得る。例えば、修飾は、本明細書に記載の抗ZNT8抗体のCDRの1つ以上の中にあり得る。特定の実施形態では、修飾は、抗ZNT8ミニボディのVHの1つ、2つもしくは3つのCDRおよび/またはVLドメインの1つ、2つもしくは3つのCDRにおける1つ、2つもしくは3つのアミノ酸置換を含む。このような置換は、抗ZNT8ミニボディの結合および/または機能活性を改善するために行われる。いくつかの実施形態では、抗ZNT8抗体またはその抗原結合フラグメントの6つのCDRのうちの1つ以上の1つ、2つ、または3つのアミノ酸は、VHとVLとが関連付けられるときZNT8結合および/または機能的活性が存在する限り、欠失または付加され得る。
【0061】
(VHH)
ナノボディとしても知られるVHHは、軽鎖を持たないラクダやラマに見られる重鎖抗体の抗原結合可変重鎖領域(VHH)に由来する。本開示は、ZNT8に特異的に結合するVHHを包含する。
【0062】
(新しい抗原受容体(VNAR)の可変ドメイン)
VNARは、新しい抗原受容体(IgNAR)の可変ドメインである。IgNARはサメの血清中に共有結合した重鎖ホモ二量体として存在する。それは、異なる数の定常ドメインを持つ可変ドメイン(VNAR)からなる可溶性および受容体結合型として存在する。VNARは、CDR1およびCDR3で構成され、CDR2の代わりにHV2およびHV4ドメインを有する(例えば、Barelle and Porter,Antibodies,4:240-258(2015)を参照)。本開示は、ZNT8に特異的に結合するVNARを包含する。
【0063】
(定常領域)
本開示の抗体は、抗体全体または単鎖Fc(scFc)であり得、当技術分野で知られている任意の定常領域を含み得る。軽鎖定常領域は、例えば、カッパ型またはラムダ型の軽鎖定常領域、例えば、ヒトカッパまたはヒトラムダ軽鎖定常領域であり得る。重鎖定常領域は、例えば、アルファ型、デルタ型、イプシロン型、ガンマ型、またはミュー型重鎖定常領域、例えば、ヒトアルファ型、ヒトデルタ型、ヒトイプシロン型、ヒトガンマ型、またはヒトミュー型重鎖定常領域であり得る。特定の例において、抗ZNT8抗体は、IgA抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体、またはIgM抗体である。
【0064】
いくつかの実施形態では、軽鎖または重鎖定常領域は、天然に存在する定常領域のフラグメント、誘導体、変異体、またはムテインである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗ZNT8抗体の可変重鎖は、CH1ドメインおよびヒンジ領域を含む重鎖定常領域に連結される。いくつかの実施形態では、可変重鎖は、CH2ドメインを含む重鎖定常領域に連結される。いくつかの実施形態では、可変重鎖は、CH3ドメインを含む重鎖定常領域に連結される。いくつかの実施形態では、可変重鎖は、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖定常領域に連結される。いくつかの実施形態では、可変重鎖は、ヒンジ領域、CH2およびCH3ドメインを含む重鎖定常領域に連結される。CH1、ヒンジ領域、CH2、および/またはCH3は、IgG抗体(例えば、IgG1、IgG4)に由来し得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗ZNT8抗体の可変重鎖は、IgG4からのCH1ドメイン、ヒンジ領域、およびCH2ドメイン、ならびにIgG1からのCH3ドメインを含む重鎖定常領域に連結される。特定の実施形態では、このようなキメラ抗体は、キメラ抗体の安定性を高める重鎖定常領域に1つ以上の追加の変異を含み得る。特定の実施形態では、重鎖定常領域は、抗体の特性を改変する置換を含む。
【0065】
特定の実施形態では、本開示の抗ZNT8抗体は、IgGアイソタイプ抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はIgG1である。別の実施形態では、抗体はIgG2である。さらに別の実施形態では、抗体はIgG4である。場合によっては、IgG4抗体は、機能的に一価の形式を採用することを低減または妨げる1つ以上の変異を有する。例えば、IgG4のヒンジ領域を変異させて、ヒトIgG1のヒンジ領域とアミノ酸配列とを同一にし得る(ヒトIgG4ヒンジのセリンからプロリンへの変異)。いくつかの実施形態では、抗体はキメラ重鎖定常領域を有する(例えば、IgG4のCH1、ヒンジ、およびCH2領域、ならびにIgG1のCH3領域を有する)。
【0066】
(二重特異性抗体)
特定の実施形態では、本開示の抗ZNT8抗体は二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、ZNT8タンパク質の2つの異なるエピトープに結合し得る。
他のそのような抗体は、ZNT8結合部位を別のタンパク質の結合部位と組み合わせ得る。二重特異性抗体は、完全長抗体またはその低分子量形態として調製され得る(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体、sc(Fv)2二重特異性抗体、ダイアボディ二重特異性抗体)。
【0067】
全長二重特異性抗体の従来の産生は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づいており、2つの鎖は異なる特異性を有する(Millsteinら、Nature,305:537-539(1983))。別のアプローチでは、望ましい結合特異性を持つ抗体可変ドメインが免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。免疫グロブリン重鎖融合体、および必要に応じて免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、別々の発現ベクターに挿入され、適切な宿主細胞に同時トランスフェクトされる。これによって、3つのポリペプチドフラグメントの比率を調整する際の柔軟性が高まる。しかしながら、少なくとも2つのポリペプチド鎖を等しい比率で発現させて高収率が得られる場合には、2つまたは3つすべてのポリペプチド鎖のコード配列を単一の発現ベクターに挿入することが可能である。
【0068】
米国特許第5,731,168号明細書に記載されている別のアプローチによれば、一対の抗体分子間の界面を操作して、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の割合を最大化し得る。好ましい界面は、CH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、最初の抗体分子の界面にある1つ以上の小さなアミノ酸側鎖は、より大きな側鎖(チロシンまたはトリプトファンなど)に置き換えられる。大きな側鎖および同一または同様のサイズの代償的な「キャビティ」は、大きなアミノ酸側鎖を小さなもの(アラニンまたはトレオニンなど)に置き換えることによって、二次抗体分子の界面に作成される。これは、ホモ二量体などの他の望ましくない最終生成物よりもヘテロ二量体の収量を増加させるメカニズムを提供する。
【0069】
二重特異性抗体には、架橋抗体または「ヘテロ接合体」抗体が含まれる。例えば、ヘテロ接合体の抗体の1つはアビジンに結合し、もう1つはビオチンに結合され得る。ヘテロ接合体抗体は、任意の便利な架橋方法を使用して作成され得る。
【0070】
「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体フラグメントを作成するための代替メカニズムを提供する。このフラグメントは、同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーによってVLに接続されたVHを含む。したがって、1つのフラグメントのVHおよびVLドメインは、別のフラグメントの相補的なVLおよびVHドメインと強制的に対形成され、それによって2つの抗原結合部位が形成される。
【0071】
(接合抗体)
本明細書に開示される抗体または抗原接合フラグメントは、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGで修飾されたポリエチレンイミン(PEI)(PEI-PEG)、ポリグルタミン酸(PGA)(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)コポリマー)などの高分子物質、ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメント、放射性物質(90Y、131Iなど)、蛍光物質、発光物質、ハプテン、酵素、金属キレート、および薬物を含む様々な分子と結合され得る。
【0072】
特定の実施形態では、抗ZNT8抗体またはその抗原結合フラグメントは、循環中、例えば血液、血清、または他の組織中でのその安定化および/または保持を、例えば少なくとも1.5、2、5、10、15、20、25、30、40、または50倍、改善する部分で修飾される。例えば、抗ZNT8抗体またはその抗原結合フラグメントは、ポリマー、例えば、ポリアルキレンオキシドまたはポリエチレンオキシドなどの実質的に非抗原性ポリマーと結合(例えば、接合)され得る。適切なポリマーは、重量によって実質的に異なる。約200~約35,000ダルトン(または約1,000~約15,000、および2,000~約12,500)の範囲の数平均分子量を有するポリマーを使用し得る。例えば、抗ZNT8抗体またはその抗原結合フラグメントは、水溶性ポリマー、例えば、親水性ポリビニルポリマー、例えば、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンに接合され得る。このようなポリマーの例には、ブロックコポリマーの水溶性が維持される限り、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンオキシドホモポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール、それらのコポリマー、およびそれらのブロックコポリマーが含まれる。追加の有用なポリマーには、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、およびポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックコポリマーなどのポリオキシアルキレン、ポリメタクリレート、カルボマー、および分岐または非分岐の多糖類が含まれる。
【0073】
上記の接合抗体またはフラグメントは、本明細書に記載の抗体またはその低分子量形態に化学修飾を施すことによって調製され得る。抗体を修飾する方法は当技術分野でよく知られている。
【0074】
(III.抗体の特性評価)
本明細書に記載される抗体のZNT8結合特性は、任意の標準的な方法、例えば、OCTET(登録商標)、表面プラズモン共鳴(SPR)、BIACORE(登録商標)分析、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射性免疫測定法)、および蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の方法のうちの1つ以上によって測定され得る。
【0075】
対象のタンパク質(抗ZNT8抗体またはその機能的フラグメント)と標的(ZNT8など)の結合相互作用は、OCTET(登録商標)システムを使用して分析され得る。この方法では、ForteBio社製のさまざまな機器(OCTET(登録商標)QKeおよびQKなど)の1つを使用して、タンパク質の相互作用、結合特異性、およびエピトープマッピングを決定する。OCTET(登録商標)システムは、カスタムチップを通過してセンサーに戻る偏光の変化を測定することによって、リアルタイムの結合を監視する簡単な方法を提供する。
【0076】
対象のタンパク質(抗ZNT8抗体またはその機能的フラグメント)と標的(ZNT8など)の結合相互作用は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して分析され得る。SPRまたは生体分子相互作用分析(BIA)は、相互作用物質を標識せずに、生体特異的相互作用をリアルタイムで検出する。
【0077】
BIAチップの結合表面の質量変化(結合イベントを示す)によって、表面付近の光の屈折率(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学現象)が変化する。屈折率の変化によって検出可能なシグナルが生成され、生体分子間のリアルタイム反応の指標として測定される。SPRを使用する方法は、例えば、米国特許第5,641,640号明細書、Raether(1988)Surface Plasmons Springer Verlag;SjolanderおよびUrbaniczky(1991)Anal.Chem 63:2338-2345、Szaboら、(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699-705およびBIAcore International AB(スウェーデン、ウプサラ)によって提供されるオンラインリソースに記載されている。SPRからの情報を使用して、平衡解離定数(Kd)、および生体分子の標的への結合に関する速度論パラメーター(KonおよびKoffを含む)の正確かつ定量的な測定を提供し得る。
【0078】
エピトープはまた、BIACOREクロマトグラフィー技術を使用して、ヒトZNT8への結合に関して互いに競合する異なる抗ZNT8抗体またはその機能的フラグメントの能力を評価することによって直接マッピングもされ得るる(Pharmacia BIAtechnology Handbook、’’pitope Mapping’’、セクション6.3.2、(1994年5月));Johneら、(1993)J.Immunol.Methods,160:191-198も参照されたい)。
【0079】
酵素免疫測定法を用いるとき、抗体を含む試料、例えば抗体産生細胞の培養上清または精製抗体を抗原コートプレートに添加する。アルカリホスファターゼなどの酵素で標識した二次抗体を加えてインキュベートし、洗浄後、p-ニトロフェニルリン酸などの酵素基質を加え、吸光度を測定することで抗原結合活性を評価する。
【0080】
例えばウエスタンブロットおよび免疫沈降アッセイなど、抗体を評価するための追加の一般的なガイダンスは、Antibodies:A Laboratory Manual,HarlowおよびLane編、Cold Spring Harbor press(1988)、中に見られ得る。
【0081】
(IV.親和性の成熟)
いくつかの実施形態では、抗ZNT8抗体またはその抗原結合フラグメントは、例えば突然変異誘発によって修飾されて、修飾された抗体のプールを提供する。次いで、修飾された抗体を評価して、変化した機能特性(例えば、結合の改善、安定性の改善、抗原性の低下、またはin vivoでの安定性の増加)を有する1つ以上の抗体を同定する。一実施形態では、ディスプレイライブラリ技術を使用して、修飾抗体のプールを選択またはスクリーニングする。次いで、より高い親和性の抗体が、例えばより高いストリンジェンシーまたはより競合的な結合および洗浄条件を使用することによって、第2のライブラリーから同定される。他のスクリーニング技術も使用され得る。親和性成熟をもたらす方法には、ランダム突然変異誘発(例えば、Fukudaら、Nucleic Acids Res.,34:el27(2006));標的突然変異誘発(例えば、Rajpalら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,102:8466-71(2005);シャッフリングアプローチ(例えば、Jermutusら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、98:75-80(2001));およびシリカアプローチ(例えば、Lippowら、Nat.Biotechnol、25:1171-6(2005)が含まれる。
【0082】
いくつかの実施形態では、突然変異誘発は、結合界面にあることが知られている領域、または結合界面にある可能性が高い領域を標的とする。例えば、同定された結合タンパク質が抗体である場合、本明細書に記載されるように、突然変異誘発は重鎖または軽鎖のCDR領域に向けられ得る。さらに、突然変異誘発は、CDRの近くまたは隣接するフレームワーク領域、例えば、特にCDR接合部の10、5、または3アミノ酸以内のフレームワーク領域に向けられ得る。抗体の場合、例えば段階的に改善するために、突然変異誘発を1つまたはいくつかのCDRに限定し得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、突然変異誘発を使用して、抗体を1つ以上の生殖系列配列により類似させる。1つの例示的な生殖系列化方法は、単離された抗体の配列に類似する(例えば、特定のデータベースにおいて最も類似する)1つ以上の生殖系列配列を同定することを含み得る。次に、単離された抗体に、段階的に、組み合わせて、またはその両方で変異(アミノ酸レベルで)を加え得る。例えば、考えられる生殖系列変異の一部またはすべてをコードする配列を含む核酸ライブラリーが作成される。次いで、変異抗体を評価して、例えば、単離された抗体と比較して1つ以上の追加の生殖系列残基を有し、なお有用である(例えば、機能的活性を有する)抗体を同定する。いくつかの実施形態では、できるだけ多くの生殖系列残基が単離された抗体に導入される。
【0084】
いくつかの実施形態では、突然変異誘発を使用して、1つ以上の生殖系列残基をCDR領域に置換または挿入する。例えば、生殖系列CDR残基は、修飾される可変領域に類似した(例えば、最も類似した)生殖系列配列に由来し得る。突然変異誘発後、抗体の活性(例えば、結合または他の機能活性)を評価して、生殖系列残基が許容されるかどうかを決定し得る。同様の突然変異誘発をフレームワーク領域でも実行され得る。
【0085】
生殖系列配列の選択は、さまざまな方法で実行され得る。例えば、生殖系列配列は、選択性または類似性についての所定の基準、例えば少なくとも一定の同一性パーセント、例えばドナー非ヒト抗体と比較して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または99.5%の同一性を満たす場合に選択され得る。選択は、少なくとも2、3、5、または10個の生殖系列配列を使用して実行され得る。CDR1およびCDR2の場合、類似の生殖系列配列を同定することは、そのような配列の1つを選択することを含み得る。CDR3の場合、類似の生殖系列配列の同定には、そのような配列を1つ選択することが含まれるが、アミノ末端部分とカルボキシ末端部分に別々に寄与する2つの生殖系列配列を使用することが含まれ得る。他の実施形態では、例えば、コンセンサス配列を形成するために、1つまたは2つを超える生殖系列配列が使用される。
【0086】
2つの配列間の「配列同一性」の計算は次のように実行される。配列は、最適な比較目的のためにアラインメントされる(例えば、最適なアラインメントのために第1および第2のアミノ酸配列または核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができ、比較目的のために非相同配列を無視することができる)。最適なアラインメントは、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用し、ギャップペナルティ12、ギャップ拡張ペナルティ4、およびフレームシフトギャップペナルティ5のBlossum62スコアリングマトリックスを使用して、最良のスコアとして決定される。アミノ酸残基または、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のヌクレオチドが比較される。第1の配列内の位置が、第2の配列内の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められているとき、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、配列によって共有される同一の位置の数の関数である。
【0087】
いくつかの実施形態では、抗体は、変化したグリコシル化パターン(すなわち、元のまたは天然のグリコシル化パターンから変化)を有するように修飾され得る。この文脈で使用される場合、「改変された」とは、1つ以上の炭水化物部分が欠失していること、および/または元の抗体に1つ以上のグリコシル化部位が付加されていることを意味する。ここで開示される抗体へのグリコシル化部位の付加は、グリコシル化部位コンセンサス配列を含むようにアミノ酸配列を改変することによって達成され得る。このような技術は当技術分野でよく知られている。抗体上の炭水化物部分の数を増やす別の手段は、抗体のアミノ酸残基へのグリコシドの化学的または酵素的結合によるものである。これらの方法は、例えば、国際公開第87/05330号、およびAplinおよびWriston(1981)CRC Crit.Rev.Biochem.、22:259-306。抗体上に存在する炭水化物部分の除去は、当該技術分野で記載されているように化学的または酵素的に達成され得る(Hakimuddinら、(1987)Arch.Biochem.Biophys.,259:52;Edgeら、(1981)Anal.Biochem、118:131;およびThotakuraら(1987)Meth.Enzymol.、138:350)。例えば、サルベージ受容体結合エピトープを提供することによってin vivo半減期を増加させる修飾については、米国特許第5,869,046号明細書を参照されたい。
【0088】
いくつかの実施形態では、抗ZNT8抗体は、本明細書に記載のものとは異なる1つ以上のCDR配列(例えば、Chothia、増強されたChothia、またはKabat CDR)を有する。いくつかの実施形態では、抗ZNT8抗体は、CDRが5~7アミノ酸の長さである場合には1、2、3、または4個のアミノ酸の置換、またはCDRの長さが8アミノ酸以上である場合にはCDRの配列内のアミノ酸の1、2、3、4、または5個アミノ酸の置換などのアミノ酸変化を含む1つ以上のCDR配列を有する。置換されるアミノ酸は、同様の電荷、疎水性、または立体化学的特徴を有し得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は保存的置換である。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置換される置換である。同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例:リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例:アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例:グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例、スレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖(例、チロシン)、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は非保存的置換である。置換されたCDRを含む抗体またはその抗体フラグメントをスクリーニングして、対象の抗体を同定し得る。
【0089】
CDRとは異なり、抗体の結合特性に悪影響を与えることなく、構造フレームワーク領域(FR)にさらに実質的な変更を加え得る。FRへの変更には、非ヒト由来フレームワークのヒト化、または抗原接触または結合部位の安定化に重要な特定のフレームワーク残基の操作、例えば定常領域のクラスまたはサブクラスの変更、Fc受容体結合などのエフェクター機能を変化させる可能性のある特定のアミノ基の変更(Lundら、J Immun.、147:26S7-62(1991);Morganら、Immunology、86:319-24(199S))、または定常領域の由来となる種の変更が含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
(V.ヒト化抗体)
ヒト化抗体は、非ヒト「ドナー」抗体のCDRがヒト「アクセプター」抗体配列に移植された、遺伝子操作された抗体である。例えば、Queen、米国特許第5,530,101号明細書および第5,585,089号明細書、Winter、米国特許第5,225,539号明細書、Carter、米国特許第6,407,213号明細書、Adair、米国特許第5,859,205号明細書、およびFoote、米国特許第6,881,557号明細書を参照されたい。アクセプター抗体配列は、例えば、成熟ヒト抗体配列、そのような配列の複合体、ヒト抗体配列のコンセンサス配列、または生殖系列領域配列であり得る。いくつかの実施形態では、重鎖の場合、アクセプター配列は、生殖系列VエクソンV1-2(文献ではHV1-2とも呼ばれる)(Shinら、1991、EMBO J.10:3641-3645)であり、ヒンジ領域(JH)の場合、エクソンJH-6(Mattilaら、1995、Eur.J.Immunol.25:2578-2582)である。軽鎖の場合、アクセプター配列はエクソンVK2-30(文献ではKV2-30とも呼ばれる)を含み得、ヒンジ領域の場合、エクソンJK-4を含み得る(Hieterら、1982,J.Biol.Chem.257:1516-1522)。したがって、ヒト化抗体は、完全にまたは実質的にドナー抗体に由来するいくつかまたはすべてのCDR、ならびに可変領域フレームワーク配列および存在する場合には完全にまたは実質的にヒト抗体配列に由来する定常領域を有する抗体である。同様に、ヒト化重鎖は、完全にまたは実質的にドナー抗体重鎖に由来する少なくとも1つ、2つ、通常は3つすべてのCDR、ならびに存在する場合には実質的にヒト重鎖可変領域フレームワークおよび定常領域配列に由来する重鎖可変領域フレームワーク配列および重鎖定常領域を有する。同様に、ヒト化軽鎖は、完全にまたは実質的にドナー抗体軽鎖に由来する少なくとも1つ、2つ、通常は3つすべてのCDR、ならびに存在する場合には実質的にヒト軽鎖可変領域フレームワークおよび定常領域配列に由来する軽鎖可変領域フレームワーク配列および軽鎖定常領域を有する。ナノボディおよびdAb以外に、ヒト化抗体はヒト化重鎖およびヒト化軽鎖を含む。ヒト化抗体のCDRは、対応する残基(Kabatによって定義される)の少なくとも60%、85%、90%、95%または100%がそれぞれのCDR間で同一であるとき、非ヒト抗体中の対応するCDRに実質的に由来する。抗体鎖の可変領域フレームワーク配列または抗体鎖の定常領域は、Kabatによって定義される対応する残基の少なくとも85%、90%、95%または100%が同一であるとき、それぞれ実質的にヒト可変領域フレームワーク配列またはヒト定常領域に由来する。いくつかの実施形態では、本発明のZnT8抗体はヒト化抗体である。
【0091】
ヒト化抗体はマウス抗体の6つすべてのCDR(好ましくはKabatによって定義されたとおり)をしばしば組み込むが、マウス抗体のすべてのCDRよりも少ないCDR(例えば、少なくとも3、4、または5つ)のCDRを使用して作成され得る。例えば、Pascalisら、J.Immunol.169:3076、2002、Vajdosら、Journal of Molecular Biology、320:415-428、2002;Iwahashiら、Mol.Immunol.36:1079-1091、1999;およびTamuraら、Journal of Immunology、164:1432-1441、2000を参照されたい。
【0092】
ヒト化抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、ヒト定常領域の少なくとも一部に連結され得る。定常領域の選択は、部分的には、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性、抗体依存性細胞食作用、および/または補体依存性細胞傷害性が望ましいかどうかに依存する。例えば、ヒトアイソトープIgG1およびIgG3は強い補体依存性細胞傷害性を有し、ヒトアイソタイプIgG2は弱い補体依存性細胞傷害性を有する。IgG4には補体依存性の細胞毒性がない。ヒトIgG1およびIgG3はまた、ヒトIgG2およびIgG4よりも強力な細胞媒介エフェクター機能を誘導する。軽鎖定常領域はラムダまたはカッパであり得る。抗体は、2つの軽鎖と2つの重鎖を含む四量体として、別個の重鎖、軽鎖、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvとして、または重鎖と軽鎖が可変である単鎖抗体として発現され得る。ドメインはスペーサーを介して連結され得る。
【0093】
ヒト定常領域は、異なる個体間でアロタイプ変動およびアイソアロタイプ変動を示す。つまり、定常領域は、1つ以上の多型位置で異なる個体間で異なり得る。アイソアロタイプは、アイソアロタイプを認識する血清が1つ以上の他のアイソタイプの非多型領域に結合するという点でアロタイプとは異なる。
【0094】
重鎖のC末端リジンなど、軽鎖および/または重鎖のアミノ末端またはカルボキシ末端の1つまたはいくつかのアミノ酸は、分子の一部またはすべてで欠落しているか誘導体化されている場合があり得る。定常領域に置換を行って、補体媒介性細胞毒性もしくはADCCなどのエフェクター機能を減少もしくは増加させ得る(例えば、Winterら、米国特許第5,624,821号明細書;Tsoら、米国特許第5,834,597号明細書;Tsoら、米国特許第5,834,597号明細書、およびLazarら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 103:4005,2006を参照)、またはヒトにおける半減期を延長させ得る(例えば、Hintonら、J.Biol.Chem.279:6213,2004を参照)。
【0095】
例示的な置換には、アミノ酸位置234、235、237、239、267、298、299、326、330、または332に導入される天然アミノ酸のシステイン残基へのアミノ酸置換が含まれ、好ましくはヒトIgG1アイソタイプ(米国特許出願公開第20100158909号明細書)におけるS239C変異である。追加のシステイン残基の存在によって、鎖間ジスルフィド結合の形成が可能になる。このような鎖間ジスルフィド結合の形成は立体障害を引き起こし得、それによってFc領域-FcγRの結合相互作用の親和性が低下する。IgG定常領域のFc領域内またはその近傍に導入されたシステイン残基は、治療薬剤への接合(つまり、薬物のマレイミド誘導体などのチオール特異的試薬を使用した細胞傷害性薬物の結合)のための部位としても機能する。治療剤は立体障害を引き起こすため、Fc領域-FcγR結合相互作用の親和性がさらに低下する。
【0096】
抗体のin vivo半減期もそのエフェクター機能に影響を与え得る。抗体の半減期を延長または短縮して、その治療活性を変更し得る。FcRnは、β2ミクログロブリンと非共有結合するMHCクラスI抗原と構造的に類似した受容体である。FcRnは、IgGの異化作用および組織を越えるそれらのトランスサイトーシスを調節する(GhetieおよびWard、2000、Annu.Rev.Immunol.18:739~766;GhetieおよびWard、2002、Immunol.Res.25:97~113)。IgG-FcRn相互作用はpH6.0(細胞内小胞のpH)で起こるが、pH7.4(血液のpH)では起こらない。この相互作用によって、IgGは循環にリサイクルされて戻されることが可能になる(GhetieおよびWard,2000,Ann.Rev.Immunol.18:739-766;GhetieおよびWard,2002,Immunol.Res.25:97-113)。FcRn結合に関与するヒトIgG1上の領域はマッピングされている(Shieldsら、2001、J.Biol.Chem.276:6591-604)。ヒトIgG1の位置Pro238、Thr256、Thr307、Gln311、Asp312、Glu380、Glu382、またはAsn434におけるアラニン置換は、FcRn結合を増強する(Shieldsら、2001,J.Biol.Chem.276:6591-604)。これらの置換を有するIgG1分子は、より長い血清半減期を有する。結果として、これらの修飾されたIgG1分子は、未修飾のIgG1と比較して、より長期間にわたってエフェクター機能を実行することができ、したがってその治療効果を発揮することができ得る。FcRnへの結合を増加させるための他の例示的な置換には、250位のGinおよび/または428位のLeuが含まれる。EU番号付けは、定常領域内のすべての位置に使用される。
【0097】
ヒト定常領域への言及には、任意の天然アロタイプ、または天然アロタイプの多型位置を占める残基の任意の順列を有する定常領域が含まれる。また、Fcガンマ受容体結合を減少させるか、またはFcRNへの結合を増加させるために上記で示したような、天然のヒト定常領域と比較して、最大1、2、5、または10個の変異が存在し得る。
【0098】
(VI.抗体薬物接合体)
抗ZnT8抗体を治療剤に接合させて、抗体薬物結接合体(ADC)を形成し得る。特定の実施形態では、治療剤は、細胞傷害性剤、プロドラッグ変換酵素、放射性同位体もしくは化合物、または毒素を含み得る。例えば、抗ZnT8抗体は、毒素(例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素などの細胞増殖抑制剤または細胞破壊剤)などの細胞傷害剤に接合され得る。
【0099】
抗ZnT8抗体は、プロドラッグ変換酵素に接合され得る。プロドラッグ変換酵素は、既知の方法を使用して抗体に組換え的に融合させるか、または抗体に化学的に接合され得る。例示的なプロドラッグ変換酵素は、カルボキシペプチダーゼG2、ベータ-グルクロニダーゼ、ペニシリン-V-アミダーゼ、ペニシリン-G-アミダーゼ、β-ラクタマーゼ、β-グルコシダーゼ、ニトロレダクターゼおよびカルボキシペプチダーゼAである。
【0100】
治療剤をタンパク質、特に抗体に接合させる技術はよく知られている。例えば、MonoClonal Antibodies And Cancer Therapy(Reisfeldら編、Alan R.Liss,Inc.、1985)におけるArnonら、’’Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy’’、Controlled Drug Delivery、(Robinsonら編、Marcel Dekker,Inc.、第2版、1987)におけるHellstromら、’’Antibodies For Drug Delivery’’、MonoClonal Antibodies’84:Biological And Clinical Applications(Pincheraら編、1985)におけるThorpe、’’Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review’’、MonoClonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy(Baldwinら編、Academic Press,1985)における’’Analysis,Results,and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy’’、Thorpeら、1982,Immunol.Rev.62:119-58を参照されたい。例えば特許国際公開第89/12624号をも参照されたい。
【0101】
治療剤は、抗体から切断されない限り(例えば、加水分解、抗体分解、または切断剤によって)その活性を低下させる方法で接合され得る。このような治療剤は、ZnT8発現癌細胞の細胞内環境での切断には感受性があるが、細胞外環境では実質的に感受性がない切断可能なリンカーを用いて抗体に結合されており、これがZnT8発現細胞によって取り込まれるとき、(例えば、エンドソーム内で、または例えばpH感受性またはプロテアーゼ感受性により、リソソーム環境またはカベオレ環境内で)その結果、接合体は抗体から切断される。
【0102】
通常、ADCは、治療剤と抗ZnT8抗体との間にリンカー領域を含む。上記のように、通常、リンカーは細胞内条件下で切断可能であり、リンカーの切断によって細胞内環境(例えば、リソソーム、エンドソーム、またはカベオレア内)で抗体から治療剤が放出される。リンカーは、例えば、リソソームプロテアーゼまたはエンドソームプロテアーゼを含む細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素によって切断されるペプチジルリンカーであり得る。通常、ペプチジルリンカーは少なくとも2アミノ酸長、または少なくとも3アミノ酸長である。最も典型的には、ZnT8発現細胞に存在する酵素によって切断可能なペプチジルリンカーである。他のそのようなリンカーは、例えば米国特許第6,214,345号明細書に記載されている。特定の実施形態では、細胞内プロテアーゼによって切断可能なペプチジルリンカーは、Val-CitリンカーまたはPhe-Lysジペプチドを含む(例えば、Val-Citリンカーを用いたドキソルビシンの合成を記載している米国特許第6,214,345号明細書を参照されたい)。治療剤の細胞内タンパク質分解放出を使用する利点の1つは、治療剤が接合すると通常減弱化され、接合体の血清安定性が通常高いことである。
【0103】
切断可能なリンカーは、pH感受性、すなわち、特定のpH値での加水分解に対して感受性があり得る。通常、pH感受性リンカーは酸性条件下で加水分解可能である。例えば、リソソーム中で加水分解可能な酸不安定性リンカー(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、シス-アコニットアミド、オルトエステル、アセタール、ケタールなど)を使用し得る。例えば、米国特許第5,122,368号明細書;第5,824,805明細書号;および第5,622,929号、DubowchikおよびWalker、1999、Pharm.Therapeutics83:67-123;Nevilleら、1989、Biol.Chem.264:14653-14661を参照されたい。このようなリンカーは、血液中などの中性pH条件下では比較的安定であるが、リソソームのおおよそのpHであるpH5.5または5.0未満では不安定になる。特定の実施形態では、加水分解性リンカーは、チオエーテルリンカー(例えば、アシルヒドラゾン結合を介して治療剤に結合したチオエーテル(例えば、米国特許第5,622,929号を参照)など)である。
【0104】
他のリンカーは還元条件下で切断可能である(例:ジスルフィドリンカー)。ジスルフィドリンカーには、SATA(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)ブチレート)およびSMPT(N-スクシンイミジル-オキシカルボニル-アルファ-メチル-アルファ-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)、SPDBおよびSMPTを使用して形成できるものが含まれる。例えば、Thorpeら、1987,Cancer Res.47:5924-5931;Wawrzynczakら、’’mmunoConjugates:Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer’’(C.W.Vogel編、Oxford U.Press、1987)を参照されたい。米国特許第4,880,935号明細書をも参照されたい。
【0105】
リンカーは、マロン酸リンカー(Johnsonら、1995、Anticancer Res.15:1387-93)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lauら、1995、Bioorg-Med-Chem.3(10):1299-1304)、または3’-N-アミド類似体(Lauら、1995、Bioorg-Med-Chem.3(10):1305-12)でもあり得る。リンカーは、マロン酸リンカー(Johnsonら、1995、Anticancer Res.15:1387-93)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lauら、1995、Bioorg-Med-Chem.3(10):1299-1304)、または3’-N-アミド類似体(Lauら、1995、Bioorg-Med-Chem.3(10):1305-12)でもあり得る。
【0106】
リンカーはまた、治療剤(例えば、薬物)に直接結合するマレイミド-アルキレン-リンカーまたはマレイミド-アリールリンカーなどの非切断性リンカーであり得る。活性薬物リンカーは、抗体の分解によって放出される。
【0107】
通常、リンカーは細胞外環境に対して実質的に感受性がなく、これは、ADCのサンプル中のリンカーの約20%以下、典型的には約15%以下、より典型的には約10%以下、さらにより典型的には約5%以下、約3%以下、約1%以下が、ADCが細胞外環境(例えば、血漿中)に存在する場合、切断されることを意味する。
【0108】
リンカーが細胞外環境に対して実質的に感受性がないかどうかは、例えば、(a)ADC(「ADCサンプル」)および(b)等モル量の非接合抗体または治療剤(「対照サンプル」)の両方を血漿とともに所定の期間(例えば、2、4、8、16、または24時間)独立してインキュベートすることによって、および次いで、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定された、ADCサンプル中に存在する非接合抗体または治療薬の量を対照サンプル中に存在する量と比較することによって、決定され得る。
【0109】
リンカーは細胞内在化をも促進し得る。リンカーは、治療剤に接合した場合(すなわち、本明細書に記載のADCまたはADC誘導体のリンカー-治療剤部分の環境で)細胞内在化を促進し得る。あるいは、リンカーは、治療剤と抗ZnT8抗体との両方に接合した場合(すなわち、本明細書に記載のADCの環境下で)、細胞内在化を促進し得る。
【0110】
抗ZnT8抗体は、抗体のヘテロ原子を介してリンカーに接合させ得る。これらのヘテロ原子は、自然な状態で抗体上に存在し得、または抗体に導入され得る。いくつかの態様では、抗ZnT8抗体は、リジン残基の窒素原子を介してリンカーに接合される。他の態様では、抗ZnT8抗体は、システイン残基の硫黄原子を介してリンカーに接合される。システイン残基は天然に存在し得、または抗体に組み込まれたものでもあり得る。リジンおよびシステイン残基を介してリンカーおよび薬物リンカーを抗体に接合させる方法は、当技術分野で知られている。
【0111】
(VII.イメージング)
別の態様では、抗体は標識剤に接合される。「標識剤」(または「検出可能な標識」)とは、対象の用途(例えば、インビトロおよび/またはin vivo研究および/または臨床用途)において抗体が検出され得るように、その薬剤が抗体を検出可能に標識することを意味する。対象の検出可能な標識には、放射性同位体、検出可能な生成物を生成する酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、蛍光タンパク質、常磁性原子などが含まれる。特定の態様では、抗体は、検出可能な標識の特異的結合パートナーに接合される(例えば、アビジン/ストレプトアビジンを含む検出可能な標識を介して検出が起こり得るようにビオチンに接合される)。
【0112】
特定の実施形態において、薬剤は、限定されないが、近赤外(NIR)光学イメージング、単光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)/CTイメージング、陽電子放出断層撮影法(PET)、核磁気共鳴(NMR)分光法などのin vivoイメージングに使用される標識剤である。このような用途に使用される標識剤としては、蛍光標識、放射性同位体などが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、標識剤は、2つ以上のイメージングアプローチを使用してin vivoイメージングを可能にするマルチモーダルin vivo造影剤である。Thorp-GreenwoodおよびCoogan(2011)Dalton Trans.40:6129-6143を参照されたい。他の実施形態において、標識剤は、近赤外(NIR)イメージング用途に使用されるin vivo造影剤であり、この薬剤は、Kodak X-SIGHT色素、Pz 247、DyLight 750および800 Fluors、Cy 5.5および7つの蛍光体、Alexa Fluor 680および750色素、IRDye 680および800CW蛍光体から選択される。いくつかの実施形態では、標識剤は、SPECTイメージング用途に使用されるin vivo造影剤であり、この剤には、99mTc、In-111、123-In、201T1、および133Xeが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、標識剤は、陽電子放出断層撮影法(PET)イメージング用途に使用されるin vivoイメージング剤であり、その剤としては、C、13N、15O、18F、64Cu、62Cu、124I、76Br、82Rb、68Gaが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0113】
(VIII.抗ZNT8抗体の作製方法)
本開示の抗ZNT8抗体(または抗体の抗原結合ドメインもしくはその機能的フラグメント)は、細菌細胞または真核細胞において産生され得る。対象のポリペプチドを産生するには、そのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを構築し、発現ベクターに導入し、その後、適切な宿主細胞で発現させる。標準的な分子生物学技術を使用して、組換え発現ベクターの調製、宿主細胞のトランスフェクト、形質転換体の選択、宿主細胞の培養、および抗体の回収が行われる。
【0114】
抗体が細菌細胞(例えば、大腸菌)内で発現される場合、発現ベクターは細菌細胞内でのベクターの増幅を可能にする特性を有するべきである。加えて、JM109、DH5a、HB101、またはXL I-Blueなどの大腸菌を宿主として使用するとき、ベクターは、プロモーター、例えばlacZプロモーター(Wardら、341:544-546(1989)、araBプロモーター(Betterら、Science、240:1041-1043(1988))、または大腸菌における効率的な発現を可能にするT7プロモーターを有さなければならない。このようなベクターとしては、例えば、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR-Script、pGEX-5X-1(Pharmacia)、「QIAexpress system」(QIAGEN)、pEGFP、およびpET(この発現ベクターが使用されるとき、宿主は、好ましくはT7 RNAポリメラーゼを発現するBL21である)を含む。発現ベクターには、抗体分泌のためのシグナル配列が含まれ得る。大腸菌のペリプラズム内への産生のために、pelBシグナル配列(Leiら、J.Bacteriol.、169:4379(1987))を抗体分泌のためのシグナル配列として使用され得る。細菌発現の場合、塩化カルシウム法またはエレクトロポレーション法を使用して発現ベクターを細菌細胞に導入し得る。
【0115】
抗体がCHO、COS、293、293T、およびNIH3T3細胞などの動物細胞で発現される場合、発現ベクターには、これらの細胞での発現に必要なプロモーター、例えばSV40プロモーター(Mulliganら、Nature、277:108(1979))、MMLV-LTRプロモーター、EF1aプロモーター(Mizushimaら、Nucleic Acids Res.、18:5322(1990))、またはCMVプロモーターが含まれる。免疫グロブリンまたはそのドメインをコードする核酸配列に加えて、組換え発現ベクターは、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)および選択可能なマーカー遺伝子などの追加の配列を担持し得る。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(例えば、米国特許第4,399,216号明細書、第4,634,665号明細書および第5,179,017号明細書を参照)。例えば、通常、選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を与える。選択マーカーを有するベクターの例には、pMAM、pDR2、pBK-RSV、pBK-CMV、pOPRSV、およびpOP13が含まれる。
【0116】
いくつかの実施形態では、抗体は哺乳類細胞内で産生される。ポリペプチドを発現するための例示的な哺乳動物宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(UrlaubおよびChasin(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA77:4216-4220に記載されている、dhfr-CHO細胞、DHFR選択マーカー、例えば、Kaufman and Sharp(1982)Mol.Biol.159:601-621とともに使用される、を含む)、ヒト胎児腎臓293細胞(例えば、293、293E、293T)、COS細胞、NIH3T3細胞、リンパ球細胞株、例えば、NSO骨髄腫細胞およびSP2細胞、ならびにトランスジェニック動物、例えばトランスジェニック哺乳動物、からの細胞が挙げられる。例えば、細胞は乳房上皮細胞である。
【0117】
本開示の抗体は、宿主細胞の内部または外部(培地など)から単離され得、実質的に純粋で均質な抗体として精製され得る。ポリペプチドに一般的に使用される単離および精製のための方法は、本明細書に記載される抗体の単離および精製のために使用され得、いかなる特定の方法にも限定されない。抗体は、例えば、カラムクロマトグラフィー、濾過、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈降、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動、透析、再結晶等を適宜選択および組み合わせることによって単離および精製され得る。クロマトグラフィーには、例えば、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、および吸着クロマトグラフィーが含まれる(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual.Ed Daniel R.Marshakら、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1996)。クロマトグラフィーは、HPLC、FPLCなどの液相クロマトグラフィーを用いて行われ得る。親和性クロマトグラフィーに使用されるカラムには、タンパク質Aカラムおよびタンパク質Gカラムが含まれる。タンパク質Aカラムを用いたカラムとしては、Hyper D、POROS、Sepharose FF(GEヘルスケアバイオサイエンス社)等が挙げられる。本開示には、これらの精製方法を使用して高度に精製された抗体も含まれる。
【0118】
本開示はまた、本明細書に開示される抗ZNT8抗体またはその抗原結合分子をコードする核酸分子または核酸分子のセットを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載の抗ZNT8抗体またはその抗原結合分子の軽鎖を含むポリペプチド鎖をコードする核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載の抗ZNT8抗体またはその抗原結合分子の重鎖を含むポリペプチド鎖をコードする核酸分子を含む。
【0119】
また、そのような核酸分子または核酸分子のセットもしくはその相補体を含むベクターまたはベクターのセット、ならびにベクターを含む宿主細胞をも提供する。
【0120】
本開示はまた、本明細書に開示されるZNT8もしくはその抗原結合分子、またはキメラ分子を産生するための方法を提供し、そのような方法は、本明細書に開示される宿主細胞を培養し、培地から抗体、その抗原結合分子、またはキメラ分子を回収することを含む。
【0121】
本明細書に開示されるZNT8抗体もしくはその抗原結合分子、または本明細書に開示されるキメラ分子を組換え的に産生するために、様々な方法が利用可能である。コードの縮重のため、さまざまな核酸配列がポリペプチドのアミノ酸配列をコードすることが理解されるであろう。所望のポリヌクレオチドは、デノボ固相DNA合成によって、または事前に調製されたポリヌクレオチドのPCR突然変異誘発によって生成され得る。
【0122】
組換え産生の場合、ポリペプチド(例えば、本明細書に開示されるZNT8抗体もしくはその抗原結合分子、または本明細書に開示されるキメラ分子のいずれか)をコードするポリヌクレオチド配列が、適切な発現媒体、すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要な要素を含むベクター、またはRNAウイルスベクターの場合、複製および翻訳に必要な要素を含むベクター、に挿入される。
【0123】
ポリペプチドをコードする核酸(例えば、本明細書に開示されるZNT8抗体もしくはその抗原結合分子、または本明細書に開示されるキメラ分子のいずれか)は、適切なリーディングフレームでベクターに挿入される。次いで、発現ベクターは、ポリペプチドを発現する適切な標的細胞にトランスフェクトされる。当技術分野で公知のトランスフェクション技術には、リン酸カルシウム沈殿(Wiglerら、1978,Cell 14:725)およびエレクトロポレーション(Neumannら、1982,EMBO J.1:841)が含まれるが、これらに限定されない。様々な宿主発現ベクター系を利用して、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、本明細書に開示のZNT8抗体もしくはその抗原結合分子、または本明細書に開示のキメラ分子のいずれか)を真核細胞内で発現され得る。いくつかの実施形態では、真核細胞は、哺乳動物細胞(例えば、293細胞、PerC6、CHO、BHK、Cos、HeLa細胞)を含む動物細胞である。ポリペプチドが真核細胞内で発現されるとき、ポリペプチドをコードするDNA(例えば、本明細書に開示されるZNT8抗体もしくはその抗原結合分子、または本明細書に開示されるキメラ分子のいずれか)はまた、ポリペプチドの分泌を可能にするシグナル配列をコードすることもできる。当業者は、ポリペプチドが翻訳される間にシグナル配列が細胞によって切断されて成熟キメラ分子を形成することを理解するであろう。様々なシグナル配列が当技術分野で知られており、当業者にはよく知られている。あるいは、シグナル配列が含まれないとき、ポリペプチド(例えば、本明細書に開示されるZNT8抗体もしくはその抗原結合分子、または本明細書に開示されるキメラ分子のいずれか)は、細胞を溶解することによって回収され得る。
【0124】
(IX.医薬組成物)
本開示はまた、(i)本明細書に開示されるZNT8抗体またはその抗原結合分子、(ii)本明細書に開示されるZNT8抗体または抗原結合分子をコードする核酸分子または核酸分子のセット、または、(iii)本明細書に開示されるベクターまたはベクターのセット、および薬学的に許容される担体の1つ以上を含む医薬組成物を提供する。
【0125】
本明細書に記載の抗ZNT8抗体またはそのフラグメントは、例えば本明細書に記載の障害を治療するために対象に投与するための医薬組成物として製剤化され得る。通常、医薬組成物には、薬学的に許容される担体が含まれ得る。本明細書で使用する「薬学的に許容される担体」には、生理学的に適合するあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。組成物は、薬学的に許容される塩、例えば、酸付加塩または塩基付加塩を含み得る(例えば、Berge,S.M.ら、(1977)J.Pharm.Sci.66:1-19を参照)。
【0126】
医薬製剤は十分に確立された技術であり、例えば、Gennaro(編),Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th ed.,Lippincott,Williams&Wilkins(2000)(ISBN:0683306472)、Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版、Lippincott Williams&Wilkins Publishers(1999)(ISBN:0683305727)、およびKibbe(編)、Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association,第3版(2000)(ISBN:091733096X)にさらに記載されている。
【0127】
医薬組成物は様々な形態であり得る。これらには、例えば、液体、半固体、および固体の剤形、例えば、溶液(例えば、注射用および注入用溶液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸薬、粉末、リポソームおよび座薬が含まれる。好ましい形態は、意図される投与様式および治療用途に依存し得る。通常、本明細書に記載の薬剤の組成物は、注射可能または注入可能な溶液の形態である。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体は、クエン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、一塩基性リン酸ナトリウム、Tween(登録商標)-80、および安定剤などの賦形剤材料を用いて製剤化される。例えば、適切な濃度の緩衝溶液中で提供され得、2~8℃で保存され得る。いくつかの実施形態では、組成物のpHは、約5.5~7.5(例えば、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、および7.5)であり得る。
【0129】
医薬組成物はまた、製剤化された場合に抗体の凝集を減少させる薬剤を含み得る。凝集低減剤の例としては、メチオニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グリシン、およびグルタミン酸からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸が挙げられる。これらのアミノ酸は、約0.5mM~約145mM(例えば、0.5mM、1mM、2mM、5mM、10mM、25mM、50mM、100mM)の濃度で製剤に添加され得る。医薬組成物はまた、糖(例えば、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、またはキシリトール)および/または等張性調整剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール、またはソルビトール)および/または界面活性剤(例えば、ポリソルベート-20またはポリソルベート-80)を含み得る。
【0130】
組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または高濃度での安定した保存に適した他の規則構造として製剤化され得る。無菌の注射用溶液は、必要に応じて、上に列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに、適切な溶媒中に必要な量の本明細書に記載の薬剤を組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製され得る。
【0131】
概して、分散液は、塩基性分散媒および上記に列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌媒体に本明細書に記載の薬剤を組み込むことによって調製される。無菌注射用溶液を調製するための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、本明細書に記載の薬剤の粉末および、事前に滅菌濾過したその溶液から任意の追加の所望の成分を加えた真空乾燥および凍結乾燥である。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散の場合には必要な粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって維持され得る。注射可能な組成物の持続的な吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物中に含めることによってもたらされ得る。
【0132】
特定の実施形態では、抗体は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤などの急速な放出から化合物を保護する担体を用いて調製され得る。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用し得る。このような製剤を調製するための多くの方法は特許公開されているか、一般的に知られている。例えば、持続放出および制御放出薬物送達システム、J.R.Robinson編、Marcel Dekker,Inc.、ニューヨーク(1978)を参照されたい。
【0133】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、約0.005mg/mL~500mg/mL(例えば、0.005mg/mL、0.01mg/mL、0.05mg/mL、0.1mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL、200mg/mL、250mg/mL、300mg/mL、350mg/mL、400mg/mL、450mg/mL、500mg/mL)の濃度で、薬学的に許容される担体とともに配合された、抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗体は滅菌蒸留水またはリン酸緩衝生理食塩水中で製剤化される。医薬製剤のpHは、5.5~7.5(例えば、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.3、7.4、7.5)であり得る)。
【0134】
医薬組成物は、本明細書に記載の薬剤の「治療有効量」を含み得る。このような有効量は、投与される薬剤の効果、または複数の薬剤が使用される場合には薬剤の組み合わせ効果に基づいて決定され得る。薬剤の治療有効量はまた、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重などの要因、ならびに個体において所望の反応、例えば少なくとも1つの障害パラメーターの改善、または障害の少なくとも1つの症状の改善を誘発する化合物の能力によっても変化し得る。治療有効量はまた、組成物のあらゆる毒性または有害な効果を治療上有益な効果が上回る量である。
【0135】
本開示の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはそれをコードする核酸は、様々な方法によって対象、例えばそれを必要とする対象、例えばヒトまたは動物対象に投与することができる。多くの用途では、投与経路は静脈内注射または非経口、点滴(IV)、皮下注射(SC)、腹腔内(IP)、または筋肉内注射、腫瘍内(IT)のいずれかである。他の非経口投与方法も使用され得る。このようなモードの例には、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、および硬膜外および胸骨内注射が含まれる。
【0136】
いくつかの実施形態では、本発明の抗体の投与経路は非経口である。本明細書で使用される非経口という用語には、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸または膣内投与が含まれる。非経口投与の静脈内投与形態が好ましい。これらすべての投与形態は明らかに本発明の範囲内であると考えられるが、投与形態は注射用溶液、特に静脈内または動脈内注射または点滴用の溶液であろう。通常、注射に適した医薬組成物は、緩衝液(例えば、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、またはクエン酸緩衝液)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、必要に応じて安定化剤(例えば、ヒトアルブミン)などを含み得る。本明細書の教示によれば、ポリペプチドを有害な細胞集団の部位に直接送達することができ、それにより、治療薬に対する罹患組織の曝露が増加する。
【0137】
非経口投与用の製剤には、滅菌水性または非水性溶液、懸濁液、および乳濁液が含まれる。非水溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、オレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。水性担体には、水、アルコール/水溶液、乳濁液または懸濁液(生理食塩水および緩衝媒体を含む)が含まれる。
【0138】
薬学的に許容される担体には、0.01~0.1M、好ましくは0.05Mのリン酸緩衝液または0.8%の生理食塩水が含まれるが、これらに限定されない。他の一般的な非経口媒体には、リン酸ナトリウム溶液、ブドウ糖リンゲル液、ブドウ糖と塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液、または固定油が含まれる。静脈内媒体には、液体および栄養補給剤、リンガーブドウ糖をベースにしたものなどの電解質補給剤などが含まれる。防腐剤および他の添加剤、例えば抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、および不活性ガスなども存在し得る。
【0139】
より具体的には、注射用に適した医薬組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射液または分散液を即時調製するための滅菌粉末が含まれる。このような場合、組成物は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に液体である必要がある。それは、製造および保管の条件下で安定であるべきであり、細菌や真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されることが好ましい。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散の場合には必要な粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0140】
微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成され得る。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、または塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射可能な組成物の持続的な吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含めることによってもたらされ得る。
【0141】
いずれの場合でも、滅菌注射用溶液は、本明細書に列挙される成分の1つまたは組み合わせを有する適切な溶媒中に必要な量の活性化合物(例えば、ポリペプチド単独で、または他の活性剤と組み合わせて)を組み込み、必要に応じて、続いて濾過滅菌することによって調製され得る。
【0142】
概して、分散液は、基本的な分散媒および上記に列挙したものからの必要な他の成分を含む滅菌媒体に活性化合物を組み込むことによって調製される。無菌注射用溶液を調製するための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は真空乾燥および凍結乾燥であり、これによって、有効成分と事前に無菌濾過された溶液からの任意の追加の所望の成分との粉末が得られる。注射用製剤は、当技術分野で知られている方法に従って処理され、アンプル、バッグ、ボトル、シリンジまたはバイアルなどの容器に充填され、無菌条件下で密封される。さらに、製剤を包装し、キットの形態で販売することもできる。このような製品は、関連する組成物が凝固障害に罹患している、または凝固障害になりやすい対象の治療に有用であることを示すラベルまたは添付文書を有することが好ましい。
【0143】
状態の治療のための本開示の組成物の有効投与量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、患者が人間であるか動物であるか、投与される他の薬剤、および投与される薬剤を含む多くの異なる因子、および治療が予防的であるか治療的であるかにに応じて、変化する。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物も治療することができる。治療投与量は、安全性および有効性を最適化するために、当業者に知られている日常的な方法を使用して滴定することができる。
【0144】
抗ZNT8抗体またはそのフラグメントの投与経路および/または投与様式は、例えば対象をモニタリングすることによって、個々の症例に合わせて調整することもできる。
【0145】
抗体またはそのフラグメントは、固定投与量として、またはmg/kg用量で投与され得る。投与量はまた、抗ZNT8抗体またはそのフラグメントに対する抗体の産生を低減または回避するように選択することもできる。投与計画は、所望の反応、例えば、治療反応または併用療法効果を提供するように調整される。概して、対象に生体利用可能な量の薬剤を提供するために、抗体またはそのフラグメント(および場合により第二の薬剤)の投与量を使用し得る。例えば、0.1~100mg/kg、0.5~100mg/kg、1mg/kg~100mg/kg、0.5~20mg/kg、0.1~10mg/kg、または1~10mg/kgの範囲の用量を投与し得る。他の投与量も使用され得る。特定の実施形態では、抗体またはそのフラグメントによる治療を必要とする対象に、抗体またはそのフラグメントを約1mg/kg~約30mg/kgの投与量で投与する。いくつかの実施形態では、抗ZNT8抗体またはそのフラグメントによる治療を必要とする対象に、抗体またはそのフラグメントを1mg/kg、2mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、7mg/kg、10mg/kg、12mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、28mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、または50mg/kgの投与量で投与する。特定の実施形態では、抗体またはそのフラグメントは、1mg/kg~3mg/kgの投与量で皮下投与される。別の実施形態では、抗体またはそのフラグメントは、4mg/kg~30mg/kgの投与量で静脈内投与される。
【0146】
組成物は、約1mg/mL~100mg/mL、または約10mg/mL~100mg/mL、または約50~250mg/mL、または約100~150mg/mL、または約100~250mg/mLの、抗体またはそのフラグメントを含み得る。
【0147】
本明細書で使用される投与単位形態または「固定投与量」とは、治療される対象に対する単位投与量として適した物理的に別個の単位を指す。各単位は、必要な医薬担体と関連して、および場合により他の薬剤と関連して、所望の治療効果を生み出すように計算された所定量の抗体またはそのフラグメントを含む。単回または複数回の投与量を与えてもよい。あるいは、またはそれに加えて、抗体またはそのフラグメントは、持続注入によって投与されてもよい。
【0148】
抗体またはそのフラグメントの用量は、十分な期間(治療コース)にわたって、例えば少なくとも2回、3回、5回、10回以上、例えば1日1回または2回、または1週間に約1~4回、または好ましくは週単位で、隔週(2週間ごと)、3週間ごと、月単位で、例えば約1~12週間、好ましくは2~8週間、より好ましくは約3~7週間、さらにより好ましくは約4、5、または6週間を包含する、定期的な間隔で、投与され得る。対象を効果的に治療するために必要な投与量およびタイミングに影響を与え得る要因としては、例えば、疾患または障害の段階または重症度、製剤、送達経路、以前の治療、対象の一般的な健康状態および/または年齢、および他の病気が存在する。さらに、治療有効量の化合物による対象の治療は、単一の治療を含み得、または好ましくは一連の治療を含み得る。
【0149】
対象が本明細書に記載の障害を発症するリスクがある場合、抗体またはそのフラグメントは、例えば予防措置として、障害が完全に発症する前に投与することができる。このような予防的治療の期間は、抗体またはそのフラグメントの単回投与であってもよく、または治療は継続してもよい(例えば、複数回の投与)。例えば、障害のリスクがある対象、または障害の素因を有する対象を、障害の発生または劇症化を防ぐために、抗体またはそのフラグメントで数日、数週間、数ヶ月、さらには数年間治療することができる。
【0150】
特定の実施形態では、抗体またはそのフラグメントは、約1mg/mL~約500mg/mL(例:1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL、200mg/mL、225mg/mL、250mg/mL、275mg/mL、300mg/mL、325mg/mL、350mg/mL、400mg/mL、450mg/mL)の濃度で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ZNT8抗体またはそのフラグメントは、50mg/mLの濃度で皮下投与される。別の実施形態では、抗体またはそのフラグメントは、約1mg/mL~約500mg/mLの濃度で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗体またはそのフラグメントは、50mg/mLの濃度で静脈内投与される。
【0151】
上記範囲の中間の投与量も本発明の範囲内であることが意図される。対象には、そのような用量を毎日、隔日、毎週、または経験的分析によって決定された任意の他のスケジュールに従って投与することができる。例示的な治療は、長期間、例えば少なくとも6ヶ月にわたる複数回投与を必要とする。いくつかの方法では、2つ以上のポリペプチドを同時に投与することができ、その場合、各ポリペプチドの投与量は、示された範囲内に入る。
【0152】
本発明のポリペプチドは複数回投与することができる。単回投与の間隔は、毎日、毎週、毎月、または毎年であり得る。患者の修飾ポリペプチドまたは抗原の血中濃度を測定することによって示されるように、間隔は不規則であり得る。あるいは、ポリペプチドを徐放性製剤として投与することもでき、この場合、必要な投与量および頻度は少なくて済む。投与量と頻度は、患者におけるポリペプチドの半減期に応じて異なる。
【0153】
投与量および頻度は、治療が予防的であるか治療的であるかによって異なる。予防的用途では、本発明のポリペプチドまたはそのカクテルを含む組成物を、まだ疾患状態にない患者に投与して、患者の抵抗力を強化するか疾患の影響を最小限に抑える。このような量は「予防的有効投与量」として定義される。比較的低投与量を、長期間にわたって比較的低頻度の間隔で投与する。患者の中には生涯治療を受け続ける人もいる。
【0154】
(X.治療用の機器およびキット)
抗ZNT8抗体またはそのフラグメントは、キットとして提供され得る。いくつかの実施形態では、キットは、(a)本明細書に記載の抗ZNT8抗体またはそのフラグメントを含む組成物を含む容器、および必要に応じて(b)情報資料を含む。情報資料は、本明細書に記載される方法および/または治療効果のための薬剤の使用に関連する、説明、指導、マーケティング、または他の資料であり得る。
【0155】
特定の実施形態では、キットは、本明細書に記載の障害、すなわち、ZnT8によって媒介されるか、またはZnT8に関連する疾患または状態(例えば、1型または2型糖尿病)を治療するための第2の薬剤も含む。例えば、キットは、抗ZNT8抗体またはそのフラグメントを含む組成物を含有する第1の容器と第2の薬剤を含有する第2の容器とを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、キットはまた、造影剤などの第2の薬剤も含む。例えば、キットは、抗ZNT8抗体またはそのフラグメントを含む組成物を含有する第1の容器と第2の薬剤を含む第2の容器とを含有する。
【0157】
キットの情報資料の形式は限定されない。いくつかの実施形態では、情報資料には、化合物の製造、化合物の分子量、濃度、有効期限、バッチまたは製造場所の情報などに関する情報が含まれ得る。いくつかの実施形態では、情報資料は、本明細書に記載の疾患に罹患したことのある対象、または疾患のリスクがある対象を治療するために、抗ZNT8抗体またはそのフラグメントを、例えば、適切な投与量、剤形、または投与様式(例えば、本明細書に記載される投与量、剤形、または投与様式)で投与する方法に関する)、投与方法に関する。情報は、印刷されたテキスト、コンピュータ可読資料、ビデオ録画、音声録画、またはインターネットなどの実体資料へのリンクやアドレスを提供する情報など、さまざまな形式で提供され得る。
【0158】
抗ZNT8抗体またはそのフラグメントに加えて、キット内の組成物には、溶媒または緩衝剤、安定剤、または保存剤などの他の成分が含まれ得る。抗ZNT8抗体またはそのフラグメントは、任意の形態、例えば、液体、乾燥形態または凍結乾燥形態で提供され得、好ましくは実質的に純粋および/または無菌である。薬剤が溶液中で提供される場合、溶液は好ましくは水溶液である。特定の実施形態では、溶液中の抗ZNT8抗体またはそのフラグメントは、約25mg/mL~約250mg/mL(例えば、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、75mg/mL、85mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、および200mg/mL)の濃度であり得る。抗ZNT8抗体またはそのフラグメントが凍結乾燥製品として提供される場合、抗ZNT8抗体またはそのフラグメントは、約75mg/vial~約200mg/vial(例えば、100mg/vial、108.5mg/vial、125mg/vial、150mg/vial)である。凍結乾燥粉末は概して、適切な溶媒を添加することによって復元される。溶媒(例えば、滅菌水または緩衝液(例えば、PBS))は、必要に応じてキットに含まれ得る。
【0159】
キットは、薬剤を含む組成物または複数の組成物のための1つ以上の容器を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、組成物および情報資料用の別個の容器、仕切りまたは区画を含有する。例えば、組成物はボトル、バイアル、または注射器に入れられ得、情報資料はプラスチックのスリーブまたはパケットに入れ得る。いくつかの実施形態では、キットの別個の要素は、単一の分割されていない容器内に含まれる。例えば、組成物は、ラベルの形態の情報資料が取り付けられたボトル、バイアル、または注射器に収容される。いくつかの実施形態では、キットは、複数(例えば、パック)の個別の容器を含み、各々の容器は、薬剤の1つ以上の単位剤形(例えば、本明細書に記載される剤形)を含む。容器は、組み合わせ単位投与量、例えば、抗ZNT8抗体またはそのフラグメントと第2の薬剤の両方を、例えば所望の比率で含む単位を含み得る。例えば、キットは、複数の注射器、アンプル、ホイルパケット、ブリスターパック、または医療器具を含み、例えば、各々が単一の組み合わせ単位投与量を含む。キットの容器は、気密性、防水性(例えば、湿気の変化または蒸発に対して不透過性)、および/または遮光性であり得る。
【0160】
キットは必要に応じて、組成物の投与に適した装置、例えば注射器または他の適切な送達装置を含む。デバイスには、エージェントの一方または両方を事前にロードした状態で提供することも、空の状態でも搭載に適した状態で提供することもできる。
【0161】
さらに詳しく説明することなく、当業者であれば、上記の説明を用いて、本発明を最大限に利用できると考えられる。実施例は単なる例示であり、いかなる形であっても本開示の残りの部分を限定するものではない。
【実施例
【0162】
下記の実施例は、本明細書に記載され特許請求されている化合物、組成物、物品、デバイス、および/または方法がどのように作製および評価されているかについての完全な開示および説明を当業者に提供するために提示され、これらは単に例示的なものであることを意図し、発明者らが発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではない。数値(例えば、量、温度など)の正確性を確保するために努力が払われているが、ここでは多少の誤差や偏差を考慮する必要がある。別段の指示がない限り、部は重量部であり、温度は摂氏度または周囲温度であり、圧力は大気圧または大気圧に近いものである。記載されたプロセスから得られる生成物の純度および収率を最適化するために使用され得る、反応条件、例えば、成分濃度、所望の溶媒、溶媒混合物、温度、圧力、および他の反応範囲および条件には、多数のバリエーションおよび組み合わせが存在する。このようなプロセス条件を最適化するには、合理的かつ日常的な実験のみが必要である。
【0163】
(実施例1:mAb43の生成および特性評価)
(材料および方法)
(動物)NOD、C57BL/6、およびMIP-GFPマウスをJackson Laboratoryから購入し、ZnT8-KOマウスをTaconicから購入した。マウスを12時間の明/12時間の暗サイクルで飼育し、水および標準的なげっ歯類の餌を自由に摂取できる病原体のないバリア施設内の滅菌容器内の集団飼育で維持した。すべての動物手順は、ジョンズ・ホプキンス大学医学部の施設内動物管理使用委員会およびコロラド大学バーバラ・デイビス糖尿病センターによって承認された。
【0164】
(ヒトZnT8抗原の生成とプロテオリポソームの再構成)ヒトZnT8アイソフォーム-2cDNA(NM_001172814.1)を、C末端Hisタグを有する哺乳類pCMV6ベースの発現ベクターにサブクローニングした[16]。発現プラスミドをFreeStyle 293-F細胞に導入し、メーカーの指示に従って無血清培地の懸濁培養で一過的に発現させた。ヒトCTD-Hisは、ZnT8-His構築物からTMD配列全体を除去するためにN末端欠失によって構築され、上記のように293-F細胞で一時的に発現した。ZnT8-HisまたはCTD-Hisを発現する細胞をトランスフェクションの18時間後に採取し、マイクロフルイダイザーを使用してホモジナイズした。細胞膜を超遠心分離によってサイトゾル画分から分離した。膜結合ZnT8-Hisは、以前に記載されているように界面活性剤抽出および精製された[16]。精製されたZnT8-Hisを、1/20(wt/wt)のZnT8/脂質の比で、2:1:1の比のDOPC、DOPE、およびDOPGで構成されるプロテオリポソームに再構成した。リピドA助剤を、総脂質含量の10%の濃度まで再構成脂質混合物に添加した。プロテオリポソーム内で再構成されたZnT8-Hisは機能的に活性なままであり、洗剤によって再可溶化されてサイジングHPLCで単分散種を形成し得る[26]。リポソームを、脂質再構成混合物にZnT8-Hisを添加することなく、プロテオリポソームと並行して調製した。
【0165】
(マウスの免疫化およびmAb43の生成)4対の7週齢雄/雌ホモ接合性ZnT8-KOマウスをプロテオリポソーム免疫化に使用し、1対の雄/雌同腹子をリポソーム免疫化に使用した。10週齢の5匹のNOD雌をプロテオリポソーム免疫に使用し、3匹のNOD雌同腹子をリポソーム免疫に使用した。各マウスに、プロテオリポソームエマルジョン中の50~60μgの精製ZnT8、または等量のリポソームエマルジョン(100μl)を毎週腹腔内注射した。注射の3週間後に頤下出血を採取し、比較ZnT8およびCTD ELISAによる血清抗体力価測定に使用した。すべてのマウスを注射後5週間で安楽死させた。流入リンパ節および脾臓を収集し、電気融合によってハイブリドーマ融合体を生成した。融合細胞をHATで選択し、半固体ClonaCell(商標)-HY培地Dでクローン化し、比較ELISAによるmAbスクリーニングのために96ウェルプレートの培地Eで増殖させた(下記を参照)。大規模なmAb生産のために、12個の陽性クローンをAOF培地で増殖させた。細胞培養グレードのmAbは、PBS中でのサイズ排除HPLC精製によって生成され、ヒトZnT8-GFPを安定的に発現するINS-1E細胞の表面上のZnT8結合に基づく生細胞スクリーニングに使用された[11]。ハイブリドーマ細胞内のmAb43転写産物の可変領域の配列を決定し、ヒトシグナルペプチド、カッパおよびガンマ定常領域を保持する哺乳動物のバイシストロニックIRES発現ベクター(Takara Bio、pIRES Vector、Addgene、pVITRO1-dV-IgG1/κ;pVITRO1-トラスツズマブ-IgG2/κ、pVITRO1-トラスツズマブ-IgG3/κ、pVITRO1-トラスツズマブ-IgG4/κ)にサブクローニングした。さまざまなIgGアイソタイプの組換えmAb43コンストラクトを293-F細胞で一時的に発現させた後、精製し、蛍光サイズ排除HPLCでの安定なmAb43-ZnT8-GFP複合体の形成に基づいてZnT8結合について検証した。
【0166】
(ELISAの比較)プロテオリポソームベースのELISAの場合、100μlのPBSで希釈した4μgのプロテオリポソーム(重量で5%のヒトZnT8-Hisを含む)を高結合96ウェルプレートの各ウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートした。受動的に固定化されたプロテオリポソームを5%BSAでブロックし、ハイブリドーマ培養上清でテストした。溶液ベースのELISAでは、ヒトZnT8-HisまたはCTD-Hisを発現する293-F細胞をマイクロフルイダイザーを使用して機械的に溶解し、超遠心分離によって細胞残骸を除去した。次いで、界面活性剤で可溶化した細胞膜からの0.2μgのヒトZnT8-His、または100μlのPBS中の細胞溶解物からの0.1μgのCTD-Hisを、C末端Hisタグを介してニッケルコート96ウェルプレートの各ウェルに固定化した。固定化されたタンパク質を5%のBSAでブロックし、その後3倍連続希釈のマウス血清またはハイブリドーマ培養上清でテストした。結合した血清抗体は、Flexstation-3マイクロプレートリーダー上のHRP接合ヤギ抗マウスIgG二次抗体(1:3000)によって検出した。
【0167】
(免疫蛍光標識および画像分析)Endoc-βH1細胞を、βコートで予めコーティングされたガラス底マイクロウェルディッシュに播種し、OPTI細胞培養培地中、37℃、5%の、CO2加湿雰囲気下で2日間増殖させた。細胞表面のIF標識では、生細胞を高グルコース(20mM)Krebs緩衝液で洗浄し、8℃で30分間冷却した後、mAb43(1:100)、mAb20(1:100)、抗CD71(1:50)または抗Na+/K+ATPase(1:50)抗体に曝露した。8℃で1時間インキュベートした後、高グルコースKrebs緩衝液を使用して2回洗浄することによって、未結合の抗体を除去した。次に、細胞を蛍光抗IgG二次抗体(1:400)に0.5時間曝露し、未結合の二次抗体を洗浄して除去した後、63倍の油対物レンズを有する、Zeiss LSM 700倒立共焦点顕微鏡での蛍光イメージングのためにDAPI/DCVを培地に添加した。細胞内IF標識の場合、生細胞を高グルコース(20mM)Krebs緩衝液で洗浄し、フローサイトメトリー固定緩衝液を使用してRTで20分間固定し、PBSを使用して再度洗浄し、フローサイトメトリー透過化緩衝液でRTで20分間透過処理し、PBS+5%BSAに30分間曝露した後、mAb43(1:1000)、mAb20(1:1000)、抗CD71(1:200)または抗Na+/K+ATPase(1:200)抗体に室温で2時間暴露した。二次抗体免疫標識、DAPI対比染色および免疫蛍光イメージングを、上記と同じ手順を使用して実行した。野生型INS-1E細胞またはZnT8-KO INS-1E細胞[13]を用いた実験では、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)、100単位/mlペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、10mMのHEPES、2mMのグルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウムおよび50μMのβ-MEを供給したRMPI 1640培地で細胞を増殖させた。免疫蛍光標識およびイメージングは上記と同じ手順に従った。Endoc-βH1細胞における抗体内部移行のために、最初にmAb43(1:100)およびNTPDase3(1:100)をそれぞれAlexa fluor-647(1:200)およびAlexa fluor-488二次抗体(1:200)と共インキュベートした。蛍光抗体複合体を形成するために、IFイメージングの前に、Endoc-βH1生細胞に37℃で1時間添加した。
【0168】
(免疫組織化学)切除したマウス膵臓を4%のPFA中に4℃で4時間固定し、処理してからパラフィンに包埋した。組織切片(4μm)を脱脂および再水和し、1時間ブロックした後、ユニバーサル抗体希釈緩衝液中で1:50のキメラmAb43またはキメラmAb20と4℃で16時間インキュベートし、その後37℃で30分間、二次ビオチン化抗ヒトIgG抗体(1:400)で、その後アビジンビオチン化ペルオキシダーゼ複合体で37℃で30分間処理した。次に、ジアミノベンジジン基質を適用して、最適な染色強度を開発した。比色反応は、dH2Oで洗浄することによって停止させた。次に、膵臓切片をエオシンで対比染色し、脱水し、イメージング用にキシレン互換封入剤で封入した。
【0169】
(蛍光サイズ排除HPLC分析)ZnT8-GFPまたはZnT8FLAG-GFPを発現する約3×106個の安定にトランスフェクトされたINS-1E細胞を、200μlのアッセイ緩衝液(20mM HEPES、100mM NaCl、pH7.0)+0.5%DDMを使用して可溶化した。ZnT8-GFPまたはZnT8FLAG-GFPを含む界面活性剤粗抽出物をサイズ排除TSK HPLCカラムに注射し、蛍光検出器(488/510nm)を使用してGFP蛍光をモニタリングした。ZnT8-GFPを単分散ピーク画分として収集した。次に、HPLCで単離したZnT8-GFPまたはZnT8FLAG-GFPをmAb43、mAb20、または抗FLAG抗体とともに氷上で1時間インキュベートし、その後HPLCカラムに再注射した。ZnT8抗体複合体をイムノブロッティング分析用に収集し、結合複合体中のZnT8および抗体の両方の存在を検証した。
【0170】
(ZnT8-Fab43の精製およびEM単一部分分析)mAb43を、無血清AOF培地で3週間増殖させたハイブリドーマ細胞によって生成し、タンパク質A/Gビーズによって捕捉し、IgG溶出緩衝液によって溶出し、メーカーのプロトコルに従ってPiercers Fab調製キットを使用してFab生成のために約20mg/mlに濃縮した。精製したFab43を、再構成プロテオリポソーム中の精製ZnT8と5:1のモル比および1%DDMで混合し、脂質に富んだ界面活性剤溶液中にFab43-ZnT8を可溶化した。Fab43-ZnT8複合体を、20mM HEPESおよび100mM NaCl中0.05%DDM、pH=7.0で平衡化したTSKサイズ排除HPLCカラムを通して精製した。HPLC脱脂を3回実行した後、ZnT8-Fab複合体が単分散溶出ピークとして収集された。精製タンパク質サンプルを20μg/mlに希釈し、3μlの希釈サンプルのアリコートを、連続的な薄い炭素膜で覆われたグロー放電EMグリッド上に適用し、2%ギ酸ウラニル水溶液で0.5分間染色した。120kVの高圧で動作するTecnai Spirit電子顕微鏡にグリッドを装着した。電子顕微鏡写真は、Gatan Orius CCDカメラを使用し、アンダーフォーカス値が1~2.5μmの範囲で、標本レベル2.3オングストローム/ピクセルに相当する、倍率30,000倍の低線量モード(10e-/オングストローム)で記録された。合計92枚の顕微鏡写真を収集し、各画像のコントラスト伝達関数パラメーターをCTFFIND4.1.10によって決定した。顕微鏡写真から12,778個の粒子を抽出した。RELION3.0で2D分類し、cryoSPARC3.1で3D分類した後、9,216個の粒子画像を3D再構成のために保存した。cryoSPARC3.1を使用して3Dリファインメントを実行し、推定解像度1.5nmの3D EMマップを得た。本発明者らは、Fab構造(PDB 1M71)、ヒトZnT8の低温EM構造(PDB 6XPD)、および剛体ドッキングを使用して、成分構造をZnT8-Fab43複合体のEMマップに適合させた。
【0171】
(組織の分散と膵臓細胞の標識)C57BL/6マウスから切除した膵臓を小片に切断し、細かく刻み、70μmストレーナー上でHBSSで洗浄して造血細胞を除去した。洗浄した組織ペレットをアキュターゼに再懸濁し、37℃で30分間インキュベートした。DCVを添加して生細胞のDNAを染色した。分散した細胞を、1200rpmで2分間穏やかに回転させることによって、ストレーナーを通して濾過した。残りの組織ペレットは、完全な細胞分散を達成するために、アキュターゼ消化と細胞濾過の追加サイクルを受けた。分散した細胞をプールし、DNaseおよびトリプシン/キモトリプシン阻害剤を含む冷細胞培養培地で洗浄した。この時点で、トリパンブルー排除法で測定した細胞生存率は通常80%以上であった。分散した細胞をフローサイトメトリーチューブ内で細胞密度106/100μlに調整し、キメラmAb43(1mg/mlの106細胞/1μLのmAb43ストック)とともに氷上で1時間インキュベートし、その後、次いで、氷上で1時間、抗ヒトIgG二次抗体(1mg/mlの106細胞/1μLの抗体ストック)とPE接合させた。キメラmAb20をアイソタイプ対照として使用した。
【0172】
(蛍光活性化細胞選別および共焦点顕微鏡分析)標識した膵臓細胞を、405および561nmレーザーを備えたMoFlo XDPセルソーター(Beckman Coulter)ですぐに分析および分類した。データを、前方散乱光、側方散乱光、および440nmおよび578nmの蛍光チャネルで収集した。前方散乱と側方散乱でゲートした細胞によって、100万を超える単一細胞計数イベントが得られた。R0またはR1ゲートで選別した細胞を、穏やかな遠心分離(1200rpm、1分)によってマイクロウェルディッシュのガラス底に堆積させた。マトリゲル(1:100)でコーティングした表面に細胞を付着させた後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで20分間固定し、その後透過処理した。細胞内標識は、キメラmAb43を含む2%BSAを含む透過化緩衝液中で実行され、続いて抗ヒトIgG-PE、抗インスリンAPC、および抗グルカゴンAlexa Fluor 488で標識した。洗浄および核DAPI対比染色後、免疫蛍光画像は、上記のようにZeiss LSM 700を使用して取得した。
【0173】
(マウスにおけるmAb生体内分布のウエスタンブロット分析)。10~11週齢の雄C57BL/6マウスに、キメラmAb43またはキメラmAb20を5mg/kgの投与量で静脈内または腹腔内投与した。注射から1~6日後、マウスを安楽死させ、さまざまな臓器から組織を切除し、ストレーナー上で簡易に回転させて乾燥させ、重量を量り、DNaseおよびプロテアーゼ阻害剤を含むPBS中でホモジナイズした。組織懸濁液を4X SDS-PAGEサンプリング緩衝液に50mg/mLの濃度で溶解した。各組織内のキメラmAb43またはキメラmAb20を、抗ヒトIgGイムノブロッティングによって検出し、同じブロット上でヒトIgG標準の段階希釈を使用して定量した。組織取り込みを、組織重量と総投与量で補正した。保持された抗体の量は、収集した各組織のグラム当たりの注射されたmAbのパーセンテージとして計算された(%mAb注射/g)。
【0174】
(平らなホールマウント膵臓の準備)10~11週齢の雄/雌C57BL/6マウスに、mAb43-mScarlet、mAb20-mScarlet、またはPBSを5mg/kgの投与量で静脈内投与した。注射の1日後、マウスを安楽死させ、膵臓全体を切除し、一対の顕微鏡スライドの間に置き、ガラスサンドイッチの上に重りを置いて平らにし、4%PFAで2時間固定した。次に、部分的に固定した膵臓をガラスサンドイッチから取り出し、さらに4時間固定した。次に、固定した膵臓を飽和スクロースに約48時間移し、次に100%グリセロールに一晩移した。組織の平坦化から光学的透明化までの全手順を、組織の劣化を最小限に抑えるためにコールドルーム(8℃)で実行した。β細胞免疫標識のために、平らにしてPFAで固定した膵臓を、1%Triton X-100 PBS+2%BSAに一晩移した。次に、膵臓を、0.2%BSAを含む0.1%トリトンX-100中の抗インスリン-APC(1:50)とともに12時間インキュベートし、洗浄し、上記のように光学的透明化に供した。透明なホールマウント膵臓を顕微鏡スライドとカバースリップの間に置き、次にカバースリップをフルオロゲルで密封しながら、重いおもりを使用して再び平らにした。10週齢の雄/雌MIP-GFPマウスのペアに、mAb43-mScarletを3倍量(15mg/kg)で腹腔内投与した。注射の3日後、膵臓を切除し、上記のようにPFA固定および光学的透明化を行った。
【0175】
(ホールマウント膵臓のイメージングおよびデータ分析)ホールマウント膵臓の画像を、4x/0.2 PlanApo対物レンズを備えたImageXpress Microハイコンテンツ分析システムで取得した。MetaXpressソフトウェアによって制御されるレーザーオートフォーカスはガラス表面(20mmW.D.)に固定され、17x10μmのZスタック(組織厚さ約0.2mm)の3D再構成からの最大投影によって、それぞれGFP、mAb43-mScarletおよびインスリンAPCの蛍光用のGFP(488nm)、ローダミン(585nm)、およびCy5(692nm)フィルターセットを使用した16ビット平面解像度、3ログ強度範囲、Lumencor SOLA固体蛍光光源からの3色の各位置の2D投影画像が得られた。透過光走査を同時に記録して、明視野画像を生成した。各蛍光チャネルの露光時間(100~200ms)を、PBSまたはmAb20-mScarlet注射を与えたマウスからの膵臓の自己蛍光を示すのにちょうど十分な露光となるように選択した。電動ステージ上でホールマウント膵臓をタイル状にスキャンすると、画像のグリッドが生成され、Fijiステッチングプラグインを使用してこれらの画像が結合され、統合画像が生成された。平らにした膵臓の標本と光学的透明化によって、均一な自己蛍光バックグラウンドが得られた。単一のバックグラウンド蛍光レベルが各蛍光チャネルについて測定され、画像全体にわたって数値的に減算され、さらに変更を加えずにImageJによって表示された。マンダーのオーバーラップ係数は、バックグラウンド補正なしでGFPおよびmScarlet蛍光の自動閾値を超えるすべてのピクセルを使用して、膵臓全体にわたって計算された。
【0176】
(マウス膵島の調製とイメージング)マウスの膵臓は、肝臓近くの胆管束を縫合して閉じながら、乳頭で十二指腸に付着した胆管にカニューレを挿入することによって、5mlの事前に冷却したコラゲナーゼP(1mg/ml)で灌流した[44]。完全に膨張した膵臓を切除し、37℃で7分間消化し、G溶液(HBSSプラス0.35g/LのNaHCO3および1%BSA)で洗浄し、メッシュで濾過し、1200rpmで2分間ペレット化した。ペレットを15mlのHistopaque 1100[45]に再懸濁し、1200rpmで20分間遠心分離することによって膵島を組織破片から分離した。上層を収集し、25mlのG溶液で希釈し、その後、膵島を1500rpmで4分間、2回洗浄しながらペレット化した。ペレットを膵島培養培地(RPMI 1640プラス2mM L-グルタミン、10%FBS、100U/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシン)に再懸濁した。健康な膵島を、ガラス底マイクロウェルディッシュ内の20mMグルコースを補充した新鮮な培地に採取した。mAb43-mScaletまたはmAb20-mScaletを膵島培養培地に最終濃度0.01mg/mLになるように添加し、37℃のCO2インキュベーターで2時間インキュベートし、HBSS緩衝液で1回洗浄し、膵臓のホールマウントイメージングに使用されるガラスサンドイッチ(約0.4mm間隔)に搭載した。膵島イメージャーを、上記のように、膵臓ホールマウントイメージングと同じ設定を使用して、ImageXpress Microハイコンテンツ分析システムにおいて室温で取得した。
【0177】
(統計分析)すべての値は、平均値±平均値の標準誤差として表される。両側スチューデントのt検定は、グループを比較するために使用される。図中に示される重要性は*で示され、P<0.01である。
【0178】
(実施例2:抗TMD抗体の誘導および生化学的特性評価)
ZnT8の高度に保存したエピトープに対する抗体の産生の原因となるリンパ球は、リンパ球が自己抗原を攻撃するのを防ぐ自己寛容の発達中に排除され得る。この支障を克服するために、ヒトZnT8に対する抗体応答を誘発するために、(1)免疫学的に無傷なマウスにおけるネガティブ選択を回避するためにZnT8遺伝子を欠失すること、および(2)免疫寛容に欠陥のある免疫学的に構成したマウスにおけるZnT8に対する自己反応性を刺激することの、2つの異なる免疫化戦略を使用した。したがって、本発明者らは、自然発生的な自己免疫性糖尿病を発症しやすいZnT8-KOマウスおよび非肥満糖尿病(NOD)雌マウスを免疫した。血液循環に注射した後のZnT8抗原の本来のフォールディングを保存するために、本発明者らは、リポソーム再構成ZnT8製剤を開発した[14、16]。ZnT8は、膜貫通型ドメイン(TMD)およびサイトゾルC末端ドメイン(CTD)からなる2モジュール式タンパク質である(図1A)。TMDの天然のフォールディングにはCTDの存在が必要であるため、TMDに対するマウス抗体応答を、全長ZnT8(flZnT8)およびそのCTDに対する比較ELISAによって調べた。両方のマウス系統は、対照として空のリポソーム注射を受けたマウスのバックグラウンドレベルを上回る強力な抗flZnT8(TMD+CTD)および抗CTD応答を示した。ZnT8-KOマウスは、flZnT8およびCTDに対する血清滴定に差を示さず、これはすべての血清抗体がCTDに向けられたことを示唆している(図1C)。比較すると、NODマウスは、より低い血清希釈でflZnT8に対する有意に高い血清反応性を示し(図1D)、プロテオリポソームを注射したNODマウスにはCTD反応性に加えて抗TMD反応性が存在することが示唆された。次に、本発明者らは、免疫化したZnT8-KOおよびNODマウスからハイブリドーマ細胞を生成した。ZnT8-KOマウスに由来するすべてのmAbは、ZnT8の細胞内CTD部分を標的とした。同様に、NODマウス由来のmAbは主にCTDを認識した。それにもかかわらず、本発明者らは、CTDに対する反応性が検出できないが、flZnT8(TMD+CTD)に対してのみ反応性である抗TMD mAb(mAb43)を同定した(図1E~1F)。界面活性剤で可溶化したヒトZnT8をプロテオリポソームに再構成すると、mAb43の反応性が6.29倍増加し、膜内で天然フォールディングされたTMD立体構造が優先的に認識されることが実証された(図1G)。検証済みの抗CTD mAb20を結合コントロールとして使用した(17)。3つの異なる抗原形式:界面活性剤可溶化ZnT8、CTD、およびリポソーム再構成ZnT8に対するmAb20の反応性において差は観察されなかった(図1E~1G)。このmAb20結合プロファイルは、独立して天然フォールディングされた可溶性ドメインとしてのCTDと一致している(18)。ZnT8プロテオリポソームに対するmAb43およびmAb20の滴定では、それぞれ0.42±0.05および0.57±0.07 nMの結合親和性が得られた。
【0179】
(実施例3:細胞表面の結合および特異性)
観察されたmAb43の抗TMD反応性がTMDの細胞外表面に向けられたものであるかどうかを確認するために、mAb43、mAb20、および豊富な細胞表面マーカーCD71に対する抗体による生ヒトβ細胞(Endoc-βH1)の免疫蛍光(IF)標識と比較した。すべての実験は、抗体のエンドサイトーシスを阻止するために8℃で、ZnT8表面化を刺激するために20mMグルコースの存在下で行われた(11)。mAb43および抗CD71は細胞表面に強いIFパンクテーションを生じたが、mAb20は検出可能なシグナルを生成しなかった(図2A)。一方、mAb20およびmAb43は両方とも、それぞれサイトゾルCTDおよび管腔TMDエピトープを認識するため、透過処理されたEndoc-βH1細胞を強く標識した(図2B)。本発明者らはさらに、豊富な細胞表面マーカーNa+/K+ ATPaseに対するげっ歯類反応性抗体と比較して、ラットβ細胞株(INS-1E)に対するmAb43の交差反応性を調査した。mAb43および抗Na+/K+ATPaseは、生INS-1E細胞の細胞表面上に強いIFパンクテーションを生じた(図2C)。比較すると、透過処理されたINS-1E細胞の免疫標識によって、それぞれmAb43およびNa+/K+ATPase抗体による小胞および核の標識が明らかになった(図2D)。Na+/K+ATPaseは、細胞表面に加えて核膜にも局在していることが以前に報告されている[19]。最後に、INS-1E細胞におけるCRISPR/Cas9媒介ZnT8ノックアウトは、細胞表面および細胞内小胞におけるmAb43のIF標識を廃止し、げっ歯類β細胞におけるZnT8特異性を検証した(図2C~2D)。Endoc-bH1細胞のmAb43またはmAb20 IF標識、および野生型またはZnT8-KO INS-1E細胞のmAb43 IF標識における差異を定量することによって、細胞表面ZnT8の特異的mAb43免疫標識をさらに検証した(図2F)。最後に、マウスmAb43と、以前にZnT8ecA陽性と判定されたヒト血清によるZnT8の競合結合を調査した。生Endoc-bH1細胞をマウスmAb43またはヒト血清のいずれかに曝露すると、細胞表面に強いマウスまたはヒトIgGのパンクテーションが生じた。比較すると、生Endoc-βH1細胞をマウスmAb43およびヒト血清の両方に曝露すると、血清またはmAb43のプレブロッキングに関係なく、主にマウスIgGのパンクテーションが生じた(図2E)。画像定量化によって、mAb43が細胞表面上の血清IgGの点状の80%を超えて置換されたことが示された(図2G)。この発見は、糖尿病患者由来のポリクローナル血清ZnT8ecAが、名目上、mAb43が共有する細胞表面ZnT8エピトープに向けられていることを示す。
【0180】
(実施例4:エピトープマッピングおよび立体構造特異性)
mAb43エピトープをZnT8細胞外ループ(ECL)にマッピングするために、本発明者らは、個々のECLにFLAG-オクタペプチドを挿入してその局所構造を乱し、次いで、天然ZnT8およびZnT8FLAGに対するmAb43の結合を比較した。9つの挿入コンストラクトのうち、ECL-2挿入のみがINS-1E細胞でZnT8FLAG発現を引き起こした[11]。蛍光サイズ排除HPLCによってバイナリmAb-ZnT8複合体の形成をモニタリングするために、強化された緑色蛍光タンパク質(GFP)をZnT8 C末端に付加した。mAb43結合は、ZnT8-GFPピークを左にシフトさせ、安定なmAb43-ZnT8-GFP複合体の形成を示した(図3A)。FLAGタグは、ZnT8FLAG-GFPへのmAb43の結合を消滅させたが、安定な抗FLAG-ZnT8FLAG-GFP複合体を形成する抗FLAG結合を追加した(図3B)。FLAGタグは、ZnT8FLAG-GFPの単分散プロファイルを変化させず、mAb20-CTD複合体の形成にも影響を与えなかった(図3B)。したがって、mAb43およびFLAG抗体は、天然フォールディングされたZnT8のTMD表面上のECL-2をめぐって直接競合した。さらに、mAb43は、未変化のECL-2ループの存在にもかかわらず、免疫ブロット上でSDS変性ZnT8に対して反応性を示さなかった(図3C)。この発見は、mAb43の立体構造特異性をさらに実証した。比較すると、mAb20はEndoc-βH1細胞の溶解物中に2つのSDS変性ZnT8スプライス変異体を検出したが[4、17]、抗ペプチドZnT8抗体は高い非特異的反応性を有する変性ZnT8を検出した(図3C)。最後に、ネガティブ染色電子顕微鏡(EM)単粒子分析を使用して、mAb43の抗原結合フラグメント(Fab43)と界面活性剤で可溶化したZnT8との結合複合体を視覚化した。脱脂したZnT8は、EMグリッドの調製に耐えるのに安定したFab43-ZnT8複合体を形成可能ではなかった。それにもかかわらず、Fab43-ZnT8複合体は、最小限に脱脂したZnT8を用いて捕捉され、ZnT8ホモ二量体と複合体を形成するFab43分子は1つだけ見出された(図3D)。ZnT8ホモ二量体密度へのFab43の結合点は、2重ホモ二量体軸から約18°離れており、広がったTMDと一致していた。このFab43結合様式は、以前に報告されたFab20-ZnT8複合体における2重軸でのCTDへのFab20のドッキングとは明らかに異なる[12、17]。ZnT8ホモ二量体中の2つのZnT8プロトマーは異なる立体構造をとるため[20]、Fab43は外側または内側を向いた立体構造を認識すると考えられる。総合すると、生化学データは、mAb43がECL-2ループへの立体構造特異的結合を通じてZnT8と安定な複合体を形成することを示している。
【0181】
(実施例5:マウス膵島およびβ細胞に対する特異性)
mAb43の特異性を、パラフィン包埋マウス膵臓切片においてex vivoで調査した。mAb43標識およびジアミノベンジジン免疫組織化学によって、ランゲルハンス島へのmAb43結合の特異的局在化が明らかになった。比較すると、mAb20は、マウスZnT8に対する交差反応性が欠如しているため、膵島を免疫標識しなかった(図4A)。酵素的に分散され界面活性剤透過処理されたマウス膵島細胞を抗インスリン、抗グルカゴンおよびmAb43で共免疫標識したところ、mAb43はa細胞とb細胞の両方を認識したが、アイソタイプ(IgG2b)対照は検出可能なIFシグナルを生成しなかったことが示された(図4B)。2人の異なるT2D患者からのヒト膵臓凍結切片の同時免疫標識によって、抗インスリンシグナルおよびmAb43のIFシグナルの共局在化が明らかになり、ヒト膵島に対するmAb43の特異性が実証された(図4C)。いくつかの島では、茶色の染色のない細胞の輪が明らかであった。これらの細胞は、通常、正常なマウス島の周囲に局在するα細胞およびδ細胞であると考えられる。次に、蛍光活性化セルソーティングを使用して、酵素的に分散されたマウス膵臓の混合細胞集団におけるβ細胞のmAb43標識を調査した。mAb43標識細胞はフィコエリトリン(PE)接合二次抗体を使用して検出され、無傷の島細胞は細胞透過性DNA色素DyeCycle Violet(DCV)による陽性染色に基づいて大きな細胞破片および顆粒小胞に対してゲートされた。単一細胞イベントのゲートには、前方散乱制限と側方散乱制限が適用された。膵臓分散液のごく一部(1.7%)のみがDCV(+)/mAb43-PE(+)象限に該当した(図4D)。この低いパーセンテージは、膵臓塊全体の2%未満を構成する膵臓β細胞集団と一致している。選別した細胞を、マトリゲルコーティングされたガラス表面上で増殖させ、その後固定し、透過処理し、ZnT8、インスリン、およびグルカゴンの三重IF染色に供した。選別されたすべてのDCV(+)/mAb43-PE(+)細胞は、ZnT8およびインスリンの両方について陽性であったが、グルカゴンについては陰性であった(図4E)。比較すると、ほとんどの選別されたDCV(+)/mAb43-PE(-)細胞は、ZnT8、インスリン、およびグルカゴンに対して陰性であった。インスリンおよびZnT8免疫標識の定量化によって、mAb43 IF強度の上昇と相関するb細胞の明らかな濃縮が明らかになった(図4F)。したがって、mAb43標識細胞のフローソーティングによって、膵臓塊の大部分(98.3%)を構成する腺房および管組織からβ細胞を分離することが可能であった。mAb43のマウス反応性は、mAb43がZnT8 自己エピトープに対するNOD自己免疫から生じたことを示す。初代マウスβ細胞に対するmAb43の特異性は、β細胞に対するNOD 自己免疫の高度に選択的な性質と一致しているが、島細胞の残りの部分は自己免疫寛容である。
【0182】
(実施例6:グルコース刺激によるZnT8-mAb43の取り込み)
mAb43の細胞表面捕捉とその後のZnT8媒介mAb43エンドサイトーシスを追跡するために、mAb20およびmAb43を標識する蛍光A647二次抗体、およびCellMask緑色染色を使用して細胞境界を画定した。生EndoC-βH1細胞の抗体表面結合と内部移行をモニタリングした。mAb43-A647は37℃で急速に内部移行したが、mAb20-A647の曝露では検出可能なシグナルが得られなかった(図5A)。EndoC-βH1細胞を8℃で冷却すると、mAb43-A647のエンドサイトーシスは停止したが、mab43-A647の細胞表面結合は持続した(図5B)。重要なことに、グルコース濃度を20mMから2mMに下げると、8℃でのmAb43細胞表面結合と37℃でのmAb43-A647の取り込みとの両方が著しく減少した(図5A~5B)。画像定量化は、グルコース刺激(20mM)が総mAb43-A647 IF標識を37℃および8℃でそれぞれ22.1倍および15.0倍増加させることを示唆した(図5C)。37℃と8℃との間のmAb43-A647 IFシグナルの差は、正味のmAb43-A647取り込みに近似した。グルコース刺激によって、ZnT8媒介mAb43の取り込みが30.9倍増加した(図5C)。グルコース依存性のmAb43の捕捉および内部移行を、mAb43と単量体赤色蛍光タンパク質mScarletの融合を使用して観察した。
【0183】
(実施例7:マウスにおけるin vivo mAb43生体内分布)
マウスにおけるin vivo mAb43取り込みを特徴付けるために、マウスFab/ヒトFcキメラmAb43を生成し、4匹の雄C57BL/6マウス(C1-4)に5mg/kgの低投与量で注射し、次に、抗ヒトIgGイムノブロッティングを使用して、切除された臓器パネル内のキメラmAb43を検出した。C1~C3はmAb43を静脈内に、C4は腹腔内に投与した。血漿中の循環mAb43は、低用量投与における標的媒介抗体クリアランスのマウス薬物動態モデルと一致して、1日以内に急速に除去された(図6A)。注射後1日から6日まで、mAb43は主に膵臓で検出され、その生体内分布プロフィールは投与経路に関係なく変化しなかった(図6B)。mAb43の膵臓対血清の比は24.6~66.2の範囲であった。マウス/ヒトキメラmAb20を用いた対照実験では、注射後3日までに膵臓において検出可能なシグナルが得られなかった(図6A~6C)。比較すると、膵臓におけるmAb43の半減期は約1週間で、注射後1日目の初期膵臓濃度は21.1±0.9%mAbinjected/gであり、徐々に減少してそれぞれ注射後5日目および6日目に、14.3±1.5%および11.1±1.0%mAbinjected/gとなった(図6D)。膵臓特異的mAb43生体内分布は、全身投与を通じてmAb43を膵臓に標的化することが可能であることを示している。この発見は、膵島に対するex vivomAb43の特異性(図4A~4F)と併せて、mAb43が膵島に特異的に向けられていることをさらに示唆する。次に、T1DおよびT2D のマウスモデルでmAb43の生体内分布を調査した。生後18週のNOD雌4匹(N1~N4)とdb/db雄4匹(D1~D4)に、mAb43を5mg/kg単回腹腔内注射し、組織へのmAb43の取り込みを注射から48時間後に測定した。18週齢では、NOD雌の膵島におけるリンパ球浸潤は十分に確立されているが、db/db雄では明らかな肥満が発症する。両方のマウス系統は、C57BL/6と同様の生体内分布プロファイルを示し、mAb43が主に膵臓に蓄積した(図6E)。膵臓のmAb43取り込みレベルを、正常血糖から高血糖までの範囲の異なる空腹時血糖(FBG)レベルを有する異なる染色の個々のマウス間で比較した(図6F)。平均して、C57BL/6マウスは、それぞれNODマウスおよびdb/dbマウスよりも若干高いmAb43取り込みを有していた(図6G)。1匹のNODマウスおよび2匹のdb/dbマウスが糖尿病になり(FBG>250mg/dL)、これらのマウスは膵臓mAb43取り込みの大幅な減少を示した。
【0184】
(実施例8:膵島へのmScarletの標的送達)
イメージングペイロードのin vivo送達のためのmAb43の実現可能性を評価するために、本発明者らは、C57BL/6マウスにmAb43-mScarlet、mAb20-mScarlet、またはPBS対照を注射し、次いでホールマウント膵臓イメージングを実施して切除膵臓におけるmScarletの取り込みを検出した。mAb43-mScarlet注射のみが膵臓全体に特徴的なmScarlet点をもたらした。界面活性剤で透過処理した膵臓のβ細胞を抗インスリンAPC免疫標識すると、同様のAPC涙点分布が得られたが、界面活性剤処理によって細胞内に捕捉されたmScarletが消失したため、mScarlet点が消失した。mScarletの膵島ホーミングを直接評価するために、本発明者らは、mAb43-mScarlet注射を受けたトランスジェニックMIP-GFPマウスにおいてGFPタグ付きβ細胞を使用した(25)。ホールマウント膵臓イメージングによって、GFPとmScarletとの間の高度な全体的共局在が明らかになり、GFPと重複するmScarletの画分、およびmScarletと重複するGFPの割合について、マンダーの重複係数がそれぞれ0.93および0.79であった(図7A)。21%の不一致GFPシグナルは、膵臓動脈およびその分枝における赤血球GFP自己蛍光に主に起因しており、mScarletシグナルは完全に存在しなかった(図7B)。対照的に、GFP-mScarletの共起は、大きな血管を取り囲む膵島クラスターではほぼ絶対的であった(図7B)。同様の血管系関連膵島クラスターがヒトの膵臓でも報告されている[26]。高倍率倍率によって、個々のGFPおよびmScarlet涙点が共局在することが確認された(図7C)。一部の領域では、マイナーなmScarletシグナルがGFPシグナルと重なり合うことなく散乱した(図7D)。それらはおそらく小さなβ細胞クラスターであり、組織の除去中に界面活性剤が使用されなかった場合、そのGFPシグナルは目に見えなかった[27]。最後に、単離したマウス島のex vivoでのmScarletの取り込みについて調査した。個々の島のサイズは、ホールマウント膵臓イメージングによって明らかになったmScarletクラスターのサイズと一致した。単離したマウス島のmAb43-mScarlet曝露は、強いmScarlet蛍光を生じたが、mAb20-mScarletでの曝露は検出可能な取り込みを示さなかった(図7E~7F)。これらの発見は、β細胞表面上のZnT8結合を介したmAb43媒介mScarlet取り込みの特異性をさらに実証した。
【0185】
データは、mAb43の生成が、ZnT8に対するCD4+自己反応性T細胞が自発的に発生するNODマウスにおける自己寛容の崩壊に依存しているが、それらは弱い病原性を有することを示している。したがって、ECLに対する自己反応性を高めるには、ZnT8プロテオリポソーム免疫化が必要である。ZnT8-KOマウスでZnT8遺伝子を欠失しても、ヒトZnT8のECLに対する抗体を誘導するには不十分であり、これはおそらく、細胞外ZnT8エピトープがZnTタンパク質ファミリーの他のホモログ(ZnT1-10)で種を超えて保存されているためと考えられる。特に、ZnTシグネチャシーケンスの一部はECL1に位置する。得られたmAb43は、T1Dの顕著なin vivo膵島特異性を備えた細胞表面ZnT8エピトープを認識する自己抗体である。mAb43のサブナノモル結合親和性は、NODマウスの自発的自己抗体レパートリーではまれに発生する。mAb43-ZnT8の結合は、明らかに構造特異的である。個々のECLは独立してフォールディングには短すぎるため、mAb43の認識可能な立体構造を形成するには複数のECLとその相互作用が必要である。ZnT8の限られた細胞外表面積上にマルチループmAb43エピトープがあるとすると、mAb43エピトープはその全体または少なくとも一部がポリクローナル血清ZnT8ecAによって共有されるべきである。したがって、mAb43結合は、T1D患者の血清ZnT8ecAに対してZnT8細胞外エピトープを効果的に保護し得る。mAb43のIgDおよびIgM形態は、ZnT8特異的自己反応性B細胞のBCRである。BCRとしてのmAb43を使用すると、ZnT8-BCR(mAb43)中心の免疫学的シナプスの形成を介して、自己反応性B細胞によるβ細胞の分子認識および関与を調べることができる。
【0186】
膵臓切片の膵島特異的免疫標識と組み合わせたmAb43の膵臓特異的体内分布は、全身投与されたmAb43がin vivoで膵島に特異的に送達される可能性があることを示唆している。mScarletをプローブとして使用したホールマウント膵臓イメージングによって、膵臓周縁部の膵島クラスターにおける局所的なmAb43-mScarletの濃縮が明らかになった。これらの高度に血管新生した島は、循環中へのインスリンの迅速な放出を可能にし、一方、局所的なGSIS活性は、ZnT8表面化とその後の循環mAb43の捕捉と機能的に結合している。膵臓のmAb43取り込みは、T1DモデルとT2Dモデルの両方の糖尿病マウスで維持されるが、疾患マウスにおけるβ細胞の質量および/または機能の消失を反映して、mAb43取り込みレベルは減少する。
【0187】
mAb43のin vivo膵島特異性は、ZnT8の膵島特異的発現と一致している。膵島内では、ZnT8は概して、すべての種類の終末細胞で発現される細胞内タンパク質であると考えられる。β-セルは、β-セルの次に多いセルタイプである。界面活性剤透過処理されたα-およびβ細胞はmAb43よって免疫標識されたが、膵臓細胞集団全体からFACS濃縮されたのは無傷のβ細胞のみであり、ZnT8表面化はGSISによって駆動されるβ細胞に特異的な機能であり得ることが示唆されている。細胞表面上の特定のマーカーを認識する抗体は、非膵島組織に有毒な造影剤または薬物を送達するためにβ細胞を標的とするために使用され得る。mAb43およびECL2のペプチド配列を対象とする別のZnT8抗体(Ab31)によって標的とされるZnT8に加えて、スフィンゴミエリンパッチおよびNTPDase3もβ細胞表面マーカーとして標的とされている。これまでのところ、mAb43だけが、イメージングペイロードおよび抗糖尿病誘発薬物の膵島ホーミングへの有用性を裏付ける膵臓特異的な生体内分布プロファイルを実証している。
【0188】
(実施例9:In Vivoイメージングおよび抗体薬物複合体の標的送達のためのmAb43の使用)
in vivoイメージングおよび抗体薬物接合体の標的送達に対するmAb43の実現可能性を評価するために、mAb43重鎖のC末端に部位特異的ビオチン化を有する組換えmAb43を生成する。ビオチン標識は、蛍光ストレプトアビジンをイメージングプローブとして接合するために使用される。マウス膵島細胞はmAb43-ストレプトアビジンで標識され、細胞表面のIF強度と細胞の亜鉛感受性蛍光に基づいて分類される。FACSからのポジティブまたはネガティブにゲートされた細胞は継代培養され、PFA固定され、その後インスリンおよびグリコーゲン抗体でIF標識される。二次フローサイトメトリー分析では、すべてのmAb43陽性細胞がインスリンまたはグルカゴン陽性であるのに対し、mAb43陰性細胞はインスリンまたはグルカゴン陰性であることが示されることが期待される。さらなる分析によって、mAb43とインスリン陽性の正の相関関係が明らかになり得、表面化ZnT8が島細胞の混合集団からインスリン産生b細胞を精製するためのバイオマーカーとして使用され得ることが示される。一部のグルカゴン産生a細胞もまたmAb43陽性であり得るが、mAb43のIF強度はb細胞の強度よりも大幅に低いと予想され、細胞の亜鉛含有量との相関は示されない。最後に、ビオチン化mAb43をマウスに注射し、ストレプトアビジン-HPRによるmAb43の組織分布を調査する。組織組織学によって、膵島におけるmAb43の蓄積が明らかになり、膵島へのmAb43のin vivo標的送達が実証されることが期待される。
【0189】
(実施例10:生成熟幹細胞由来ベータ細胞(sBC)の精製)
mAb43は、不均一な細胞混合物から生成熟sBCを精製するために使用される。以前の実験では、PFA固定および透過処理後にCペプチド陽性sBCを選別するためにmAb20が使用された。mAb20と比較すると、mAb43は同様のZnT8親和性と特異性を有するが、細胞表面上のZnT8密度はおそらく細胞内密度の5%未満である。したがって、PEまたはAPCなどの明るい色素はシグナル増幅に使用され得る。部位特異的蛍光標識を備えた組換えmAb20/43が生成される。
【0190】
mAb43をENTPD3(NTPDase3)およびINS/Cpepと比較して、成熟幹細胞由来ベータ細胞(sBC)を同定する研究が行われる。未成熟および成熟sBCを含むhES、iPSC、およびT1D-iPSC sBCクラスターが使用される。
【0191】
生sBCクラスターの単一細胞懸濁液を調製し、mAbを使用した標識効率を定量する。mAb陽性/陰性集団を分類し、インスリン/Cペプチド発現との相関を調査る。これらのクラスター/細胞にはpInsulin-GFPレポーターも含まれているため、mAb43-GFP相関を直接調べ得る。
【0192】
mAb43はマウスIgG2bであり、対照mAb20はマウスIgG2aである。組換え抗体はヒトIgG-4に切り替えられる。SEQ ID NO:20~30を参照されたい。
【0193】
【表1】

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0194】
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図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
【配列表】
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【国際調査報告】