(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】船舶洗浄
(51)【国際特許分類】
B63B 59/06 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
B63B59/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509136
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 AU2022050988
(87)【国際公開番号】W WO2023023761
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524058862
【氏名又は名称】クリーンサブシー オペレーションズ ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CLEANSUBSEA OPERATIONS PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル ロースト,ダーク
(72)【発明者】
【氏名】ピッテ,アーロン
(57)【要約】
水中表面(11)を洗浄するための洗浄機(10)は、駆動装置(12)と、洗浄機の進行方向の前方において駆動装置の前に配置された少なくとも1つの洗浄ヘッド(14)とを備える。駆動装置は、ポンプ(20)と、水中表面から洗浄された物質を受け取るためのポンプ入口(22)と、物質を排出するためのポンプ出口(24)と、水中表面に沿って洗浄機を推進するための牽引手段(18)とを備え、牽引手段の水中表面との接触は、少なくとも1つの洗浄ヘッド(14)によって洗浄される幅内にある。少なくとも1つの洗浄ヘッドは、駆動装置(12)から突出する支持構造(70)によって支持される。1つまたは複数の磁石(36)は、水中表面に対する粗および/または微細距離調整によって位置決めすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中表面を洗浄するための洗浄機であって、該洗浄機は、駆動装置および少なくとも1つの洗浄ヘッドを備え、前記少なくとも1つの洗浄ヘッドは、前記洗浄機の進行方向の前方において前記駆動装置の前に配置され、
前記駆動装置は、ポンプ、前記水中表面から洗浄された物質を受け取るためのポンプ入口、および前記物質を排出するためのポンプ出口、および、前記水中表面に沿って前記洗浄機を推進するための牽引手段を含み、
前記牽引手段と前記表面との接触は、前記少なくとも1つの洗浄ヘッドによって洗浄される幅内にある
ことを特徴とする、洗浄機。
【請求項2】
前記ポンプは、前方牽引手段と後方牽引手段との間にあることを特徴とする、請求項1に記載の洗浄機。
【請求項3】
前記ポンプは、駆動装置の一体構造部分であるか、または駆動装置のシャーシまたはサブシャーシの一部であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の洗浄機。
【請求項4】
磁石位置決め/展開手段を備え、該磁石位置決め/展開手段は、少なくとも1つの磁石の回転位置決め/展開および/または格納を提供する少なくとも1つのアクチュエータアセンブリを含むことを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄機。
【請求項5】
前記磁石位置決め/展開手段は、前記水中表面に対する少なくとも1つの磁石の粗位置決めおよび微細位置決めを含むことを特徴とする、請求項4に記載の洗浄機。
【請求項6】
洗浄されるまたは洗浄中の前記表面に前記洗浄機を引き付けるために、前記洗浄機の後方に向かって位置決めされる少なくとも1つの前記磁石を含むことを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の洗浄機。
【請求項7】
少なくとも1つの前記磁石は、前記洗浄機の前部牽引手段と後部牽引手段との間に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の洗浄機。
【請求項8】
少なくとも1つの前記磁石は、前記駆動装置の2つの隣接する牽引手段の間に配置されることを特徴とする、請求項6または7に記載の洗浄機。
【請求項9】
前記少なくとも1つの洗浄ヘッドは、少なくとも1つの洗浄ポッドを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の洗浄機。
【請求項10】
前記少なくとも1つの洗浄ポッドは、少なくとも前方または後方枢動/旋回配置、または前記前方および前記後方枢動/旋回配置の両方を含み、前記それぞれの洗浄ポッドが前後軸の周りで枢動/旋回できることを特徴とする、請求項9に記載の洗浄機。
【請求項11】
少なくとも1つの前記洗浄ポッドを直接的または間接的に支持する、少なくとも1つのキャスターまたは他のホイールまたはトラックを含むことを特徴とする、請求項9または10に記載の洗浄機。
【請求項12】
少なくとも1つの支持配置は、それぞれの洗浄ヘッドの少なくとも一部を支持するように前記駆動装置から延在することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の洗浄機。
【請求項13】
前記支持配置は、前記駆動装置の前部牽引手段と後部牽引手段との間で前記駆動装置に接続し、前記洗浄ヘッドに接続するように突出することを特徴とする、請求項12に記載の洗浄機。
【請求項14】
水中表面から物質を洗浄するための洗浄機の駆動装置であって、該駆動装置は、ポンプ、前記水中表面から洗浄された物質を受け取るためのポンプ入口、および前記物質を排出するためのポンプ出口、および、前記水中表面に沿って前記洗浄機を推進するための牽引手段を含み、該索引手段は、前方および後方ホイールを含み、前記ポンプは、前記前方ホイールと前記後方ホイールとの間に配置される
ことを特徴とする、駆動装置。
【請求項15】
水中表面から物質を洗浄するための洗浄機の洗浄ヘッドであって、該洗浄ヘッドは、少なくとも1つの洗浄ポッドを含み、少なくとも1つの前記洗浄ポッドは、少なくとも1つの回転可能なブレードなどの洗浄装置のためのハウジングを含み、
それぞれの前記洗浄ポッドは、該洗浄ポッドのハウジングが前記洗浄ヘッドまたは前記洗浄機の前後軸を中心に枢動または旋回することを可能にするように設けられた枢動または旋回配置の少なくとも一部を含む
ことを特徴とする、洗浄ヘッド。
【請求項16】
水中表面を洗浄する方法であって、
前記水中表面上に洗浄機を配置する工程、
前記水中表面を横切って前記洗浄機を移動させながら前記水中表面を洗浄する工程、および
前記洗浄機の少なくとも1つの洗浄ヘッドによって洗浄される幅内で前記洗浄機の牽引手段を前記水中表面と接触させる工程
を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶洗浄に関する。
【0002】
特に、船体または他の水中構造物の水中部分を洗浄する際に使用するための1つまたは複数の配置、機器および/またはシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
船舶の水中部分または構造物の水中部分は、海洋生成物の成長に伴って経時的にだんだんと汚損する可能性があることが知られている。そのような生物付着は、生物が船舶または構造物の水中部分に付着してその上で成長し、時間の経過とともに深さおよび表面積が増加することによって起こる。生物付着のリスクがある船舶構造物には、船体表面、プロペラ、アンカー、ニッチエリアおよび漁具が含まれる。
【0004】
非天然海洋生物種が、特定の海洋生物種によって以前は影響を受けなかった領域に不注意に運ばれ、これによって、非天然海洋生物種の侵入、生物多様性の保護、ならびにサンゴなどの在来種および海洋生息域へのその後の損傷がもたらされる危険性があり、経済的および健康的に有害な影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
そのような汚損が船体または構造物から除去されない場合、船体または構造物への損傷、船舶の場合には船舶の航海性能および燃費の低下、ならびにそれに伴うGHG排出量の増加を含む、重大な問題が生じ得る。
【0006】
水中洗浄が制御されていないと、化学的および生物学的汚染物質が地域環境に放出される可能性があり、例えば、生殖器官、または再生可能な植物および動物の断片の放出を刺激し得る。
【0007】
地域海洋環境へのそのような汚染物質の放出を回避するために、従来の船体洗浄技術は、船舶を水中から引き上げ、その後船体を洗浄する工程を必要としていた。しかしながら、この方法は高価で時間がかかる。
【0008】
特許文献1では、水中表面を洗浄するための洗浄ヘッドが開示されている。洗浄ヘッドの実施形態は、本体部分と、本体部分の周囲に延在するスカート部分と、水中表面上の物質を水中表面から分離させるように水中表面に接触して相対的に移動する回転可能なブレードとを有する。分離された物質は、ポンプによって吸引開口部を通して洗浄ヘッドから引き離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】豪国特許出願公開第2012244227号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来のシステムに対処し、または少なくともその代替手段を提供しようとするものである。
【0011】
本明細書において任意の先行技術が言及される場合、そのような言及は、先行技術がオーストラリアまたは任意の他の国における当該技術分野における一般的な知識の一部を形成することを認めるものではないことを理解されたい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
水中表面を洗浄するための洗浄機が開示され、洗浄機は、駆動装置および少なくとも1つの洗浄ヘッドを備え、前記少なくとも1つの洗浄ヘッドは、前記洗浄機の進行方向の前方において前記駆動装置の前に配置され、前記駆動装置は、以下:
ポンプ、前記水中表面から洗浄された物質を受け取るためのポンプ入口、および前記物質を排出するためのポンプ出口、および
前記水中表面に沿って前記洗浄機を推進するための牽引手段
を含み、
前記牽引手段は、前記少なくとも1つの洗浄ヘッドによって洗浄される幅内にある。
【0013】
また、水中表面から物質を洗浄するための洗浄機のための駆動装置が開示され、駆動装置は、ポンプ、前記水中表面から洗浄された物質を受け取るためのポンプ入口、および前記物質を排出するためのポンプ出口、および、前記水中表面に沿って前記洗浄機を推進するための牽引手段を含み、前記牽引手段は、前輪および後輪を含み、前記ポンプは、前輪と後輪との間に配置される。
【0014】
また、水中表面から物質を洗浄するための洗浄機のための洗浄ヘッドが開示され、洗浄ヘッドは、少なくとも1つの洗浄ポッドを含み、少なくとも1つの前記洗浄ポッドは、少なくとも1つの回転可能なブレードなどの洗浄装置のためのハウジングを含み、それぞれの洗浄ポッドは、洗浄ポッドのハウジングが洗浄ヘッドまたは洗浄機の前後軸を中心に枢動または旋回することを可能にするように設けられた枢動または旋回配置の少なくとも一部を含む。
【0015】
洗浄機と、水中表面から洗浄/除去される材料または水中表面との第1の物理的接触は、洗浄ブレードなどの少なくとも1つの洗浄ヘッドの洗浄装置によって行うことができる。
【0016】
あるいは、洗浄機と水中表面との第1の物理的接触は、水中表面から物質が洗浄された後に、少なくとも1つの洗浄ヘッドの後方に設けられた牽引手段によって行うことができる。
【0017】
ポンプ入口は、ポンプの前方/前にあってもよい。ポンプ出口は、ポンプの後方にあってもよい。ポンプ入口は、ポンプ出口よりも低く(水中表面に近く)てもよい。
【0018】
ポンプ入口、ポンプ、およびポンプ出口のうちの1つまたは複数は、牽引手段の上部境界/縁部よりも低く(水中表面に近く)てもよい。例えば、牽引手段のホイールの上部範囲は、入口、ポンプおよび/またはポンプ出口よりも高い/上方であり得る。
【0019】
ポンプ出口は、フローを駆動デバイスから離れるように方向付け、てこの作用を低減し、および/またはアンビリカルホースの取り扱いおよび洗浄機の関連する制御を容易にするために、上方に/直接後方ではなく、角度付けることができる。
【0020】
ポンプは、前方牽引手段と後方牽引手段との間に設けられてもよい。これは、駆動装置の重心を低くするのに役立つ、および/または駆動装置/ポンプと水中にない濾過システムとの間に接続されたアンビリカルによるてこの作用を低減するのに役立つ。好ましくは、前方牽引手段は、ポンプと少なくとも1つの洗浄ヘッドとの間に設けられる。
【0021】
ポンプは、駆動装置のシャーシまたはサブシャーシの一部に/一部から一体化されてもよい。したがって、ポンプは、駆動装置の一体構造部分に、好ましくは、それに接続された構成要素、例えば、水中表面への洗浄機の選択的/制御可能な磁気付着のための牽引手段および/または磁石配備配置を提供してもよい。
【0022】
磁気付着は、駆動装置に対して選択的および/または制御可能に位置決め可能な磁石によって提供され得る。特に、磁石は、洗浄機を適切な金属製の前記水中表面(例えば、鉄系-鋼など)に磁気的に引き付ける/付着させるために、水中表面に向かって配置されてもよい。
【0023】
磁石は、後につくアンビリカルおよびホースにより生じる抗力および/または剥離力を低減/抵抗するのを助けるために、駆動装置の後方に向かって設けられてもよい。磁石は、駆動装置のそれぞれの後方牽引手段(ホイールなど)に隣接して配置される少なくとも1つの磁石を含むことができる。少なくとも1つの前記磁石は、駆動装置の2つの隣接する牽引手段(隣接するホイールなど(例えば、一方の端部および側部))の間に配置され、それらの間に展開可能/格納可能である。
【0024】
磁石位置決めまたは展開手段は、少なくとも1つのアクチュエータアセンブリを含んでもよく、アクチュエータアセンブリは、電気アクチュエータ(例えば、モータ駆動アクチュエータ)、または空気圧アクチュエータまたは油圧アクチュエータ、例えば少なくとも1つのラム(リターン付勢(return biasing)手段/ばねを備えた複動式または単動式)などの少なくとも1つのアクチュエータを含んでもよい。少なくとも1つのアクチュエータアセンブリは、少なくとも1つの前記磁石の回転位置決めおよび/または格納を作動させることができる。例えば、少なくとも1つの前記磁石は、リンク機構上に回転して枢動可能に設けられ、少なくとも1つのアクチュエータによって駆動されてもよい。
【0025】
磁石位置決め/展開手段は、少なくとも1つの磁石の回転位置決め/展開および/または格納を提供する少なくとも1つのアクチュエータアセンブリを含むことができる。磁石位置決め/展開手段は、水中表面に対する少なくとも1つの磁石の粗位置決めおよび/または微細位置決めを含むことができる。粗位置決めは、微細位置決めよりも、表面に対する磁石の位置決めに対する精密な制御が小さい。
【0026】
例えば、磁石位置決めまたは展開手段は、粗位置決め(距離De、
図5B)および微位置決め(D
F、
図5C)能力、ならびにそれらの間の位置変動の制御を含むことができる。例えば、磁石位置決め/展開手段は、水中表面に対するそれぞれの磁石の回転位置決め/展開およびカム作動微細距離位置決めを含むことができる(
図5Bおよび5C参照)。
【0027】
少なくとも1つの前記磁石は、洗浄されるまたは洗浄中の表面に洗浄機を引き付けるために、洗浄機の後方に向かって位置決めされ得る。好ましくは、少なくとも1つの前記磁石は、洗浄機の前部牽引手段と後部牽引手段との間に配置される。
【0028】
少なくとも1つの支持装置は、それぞれの洗浄ヘッドの少なくとも一部を支持するために、駆動装置から突出/延在することができる。支持装置は、駆動装置の前部牽引手段と後部牽引手段との間で駆動装置に接続され、洗浄ヘッドに接続するように突出してもよい。
【0029】
少なくとも1つの洗浄ヘッドは、洗浄装置と洗浄装置の周りのハウジングとを有する少なくとも1つの洗浄ポッドを含むことができる。ポンプ吸引出口は、ハウジングに接続されてもよく、これにより、洗浄ポッドの下方の水中表面から洗浄された流体および物質がハウジングからポンプ吸引出口を通ってポンプに流出する。
【0030】
1つまたは複数の前記洗浄ポッドは、前方および後方枢動/旋回接続部を含むことができ、これにより、それぞれの洗浄ポッドは、前後軸を中心に枢動/旋回して、洗浄ヘッドを洗浄される水中表面の輪郭/曲線に適合させるのを補助する。
【0031】
少なくとも1つの洗浄ヘッドは、洗浄中に、当該または各洗浄ポッドを水中表面から離した状態に維持することができる、すなわち、当該または各洗浄ポッドと水中表面との接触をゼロにすることができる(したがって、それぞれの洗浄装置、例えば可撓性または硬いブレードの接触をゼロにすることができる)。
【0032】
少なくとも1つの前記洗浄ポッドは、それぞれの洗浄ポッドおよび/または少なくとも1つの洗浄ヘッドを支持および/または安定化するのを補助するために、それに直接的または間接的に取り付けられた/備え付けられた少なくとも1つのキャスターまたは他のホイールまたはトラックを有することができる。
【0033】
それぞれのキャスター、ホイールまたはトラックは、より前方の前記洗浄ポッドの間または少なくとも後方に設けられてもよい。例えば、少なくとも1つの洗浄ヘッドは、複数の洗浄ポッドを含んでもよく、少なくとも1つの支持キャスター、ホイール、またはトラックは、少なくとも1つの前方の洗浄ポッドの後方および/または前方の洗浄ポッドと後方の洗浄ポッドとの間に設けられる。
【0034】
少なくとも1つのキャスター、ホイールまたはトラックは、クランプまたはブラケットなどによって、それぞれの洗浄ポッドに取り付けられてもよい。
【0035】
それぞれの洗浄ポッドは、少なくとも2つのキャスター、ホイールまたはトラックを含んでもよく、好ましくは、それらの間にそれぞれのピボットまたは旋回接続部を有する。
【0036】
少なくとも1つのキャスター、ホイールまたはトラックは、より前方に配置された洗浄ポッドの後ろに設けることができる。
【0037】
洗浄ヘッドは、駆動装置への接続によって支持されてもよい。
【0038】
1つまたは複数の後方の洗浄ポッド(より前方に位置する洗浄ポッドに対して後方)は、駆動装置に枢動可能に接続され得る。
【0039】
少なくとも1つの支持アームまたはフレームは、それぞれの洗浄ヘッドの少なくとも一部を支持するように駆動装置から延在することができる。
【0040】
それぞれの洗浄ポッドの洗浄装置への駆動は、ポンプによる吸引によって提供される洗浄ポッドを通る流体の流れによって提供されてもよい。
【0041】
あるいは、洗浄装置への駆動は、電気、空気圧または油圧駆動によって提供されてもよく、ポンプ吸引によって洗浄ポッドを通る流体の流れが生成される。
【0042】
洗浄装置は、少なくとも1つのブレードを含む回転装置を含むことができる。
【0043】
それぞれの洗浄ポッドは、覆い(shroud)またはスカートを含むことができ、これは、覆い/スカートの下面と水中表面との間の間隙を介して吸引および流体の流れを制御および/または維持する。
【0044】
少なくとも1つの洗浄装置は、使用中に洗浄ヘッドが水中表面上に配置され、それぞれの洗浄装置が水中表面に対して移動する際に、水中表面上の物質を水中表面から分離させる。
【0045】
使用中、洗浄機が水中表面上に配置され、少なくとも1つの吸引開口部が負圧を生成するために洗浄ヘッドと流体連通して接続されるとき、少なくとも1つの洗浄装置によって水中表面から分離された物質は、吸引開口部を通して洗浄ヘッドから引き離される;少なくとも1つの洗浄ポッドは、使用中に水中表面と接触しないように配置および構成され、それぞれの洗浄ポッドの覆いまたはスカートは、水中表面に対してその下に間隙を有する。
【0046】
実施形態は、水中表面を洗浄する方法を含み、これは以下を含む:水中表面上に洗浄機を配置する工程、水中表面を横切って洗浄機を移動させながら水中表面を洗浄する工程、および、洗浄機の少なくとも1つの洗浄ヘッドによって洗浄される幅内で洗浄機の牽引手段を水中表面と接触させる工程。
【0047】
本発明の好ましい実施形態を参照して本発明をさらに説明することが便宜であろう。他の実施形態も可能であり、したがって、以下の議論の特殊性は、本発明の前述の説明の一般性に取って代わるものとして理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1A】洗浄領域内を追跡する本発明の少なくとも1つの実施形態による洗浄機の例を示す図
【
図1B】洗浄領域内を追跡する本発明の少なくとも1つの実施形態による洗浄機の例を示す図
【
図1C】洗浄領域内を追跡する本発明の少なくとも1つの実施形態による洗浄機の例を示す図
【
図1D】洗浄領域内を追跡する本発明の少なくとも1つの実施形態による洗浄機の例を示す図
【
図1E】本発明の一実施形態による洗浄ヘッドに連結された洗浄機駆動装置の側面図
【
図1F】本発明の一実施形態による、洗浄ヘッドの洗浄ポッドを駆動装置のポンプ配置に接続する導管と、表面に延在する出口導管およびアンビリカルとを有する洗浄機の側面図
【
図1G】本発明の一実施形態による、洗浄ヘッドの洗浄ポッドを駆動装置のポンプ配置に接続する導管と、表面に延在する出口導管およびアンビリカルとを有する洗浄機の斜視図
【
図2A】本発明の一実施形態による駆動装置の様々な図
【
図2B】本発明の一実施形態による駆動装置の様々な図
【
図2C】本発明の一実施形態による駆動装置の様々な図
【
図2D】本発明の一実施形態による駆動装置の様々な図
【
図3A】本発明の少なくとも一実施形態による洗浄ポッドの様々な図
【
図3B】本発明の少なくとも一実施形態による洗浄ポッドの様々な図
【
図3C】本発明の少なくとも一実施形態による洗浄ポッドの様々な図
【
図4A】本発明の少なくとも一実施形態による洗浄ポッドの様々な図
【
図4B】本発明の少なくとも一実施形態による洗浄ポッドの様々な図
【
図5A】本発明の一実施形態による磁石位置決め/展開配置の位置図
【
図5B】本発明の一実施形態による磁石位置決め/展開配置の位置図
【
図5C】本発明の一実施形態による磁石位置決め/展開配置の位置図
【
図6A】本発明の一実施形態による、磁石がそれぞれのキーパーに向かって格納された状態の磁石位置決め/展開配置を示す図
【
図6B】本発明の一実施形態による、磁石がそれぞれのキーパーに向かって格納された状態の磁石位置決め/展開配置を示す図
【
図7A】本発明の一実施形態による、磁石がそれぞれのキーパーから離れて展開/位置決めされた状態の磁石位置決め/展開配置を示す図
【
図7B】本発明の一実施形態による、磁石がそれぞれのキーパーから離れて展開/位置決めされた状態の磁石位置決め/展開配置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下の詳細な説明では、詳細な説明の一部を形成する添付の図面を参照する。詳細な説明に記載され、図面に示され、特許請求の範囲に定義される例示的な実施形態は、限定を意図するものではない。提示される主題の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、他の変更が行われてもよい。本明細書で概して説明され、図面に示される本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置、置換、組み合わせ、分離、および設計することができ、そのすべてが本開示において企図されることが容易に理解されよう。
【0050】
本発明の実施形態は、船舶の船体、貯蔵タンク、または他の水中構造物13などの水中表面を洗浄するための洗浄機10である。洗浄機10は、船舶の水中船体を洗浄するのに特に有効である。
【0051】
船舶または構造物の表面13上の接触は、その洗浄された領域11上のみにあることが理解されるであろう。すなわち、洗浄機は、ある領域を洗浄し、ホイールまたはトラック、ならびに表面上の任意のキャスターまたは他の支持体は、洗浄機によってすでに洗浄された領域のみに接触する。
【0052】
洗浄機10は、洗浄機に運動を与えるための駆動装置12と、水中表面から物質を除去するための洗浄ヘッド14とを有する。少なくとも1つの洗浄ヘッドは、1つまたは複数の、好ましくは複数の洗浄ポッド16を含むことができる。
【0053】
駆動装置は、複数のホイールなどの牽引手段18を含むことができる。ホイールは、水中表面と係合するタイヤ/トレッドを有してもよく、またはトラックを駆動してもよい。
【0054】
駆動装置の両側のホイール18への駆動力は異なっていてもよい。例えば、洗浄機は、駆動装置の一方の側のホイールが、駆動装置の他方の側のホイールよりも大きい動力を供給されるか、または異なる方向に回転するように動力を供給されることによって、差動ステアリングを有することができる。駆動装置の両側でホイールに差動的に動力を供給することに対するそのような制御は、強化されたステアリングおよび操縦特性を提供する。ホイールの代わりにトラックへの差動駆動、またはトラックとホイールとの組み合わせを提供することもできる。
【0055】
ホイール/トラック18への駆動は、表面から少なくとも1つのホースを介して提供される油圧/動力などによる油圧式であり得る。
【0056】
例えば、ホイール18への油圧駆動の場合、油圧動力は、駆動装置の一方の側のホイールに他方の側よりも大きく提供されてもよい、または、油圧動力は、反対方向に流れるように反転または方向転換され、駆動装置の一方の側のホイールを他方の側のホイールに対して反転または停止させてもよい。したがって、洗浄機は、操作性が非常に高く、きわめてきつく回転したり、その場で回転したりすることができる。
【0057】
駆動装置の一部としてポンプ20を設けることができる。ポンプの本体21は、駆動装置のホイール18の前部セットと後部セットとの間に主にまたは完全に配置することができ、ポンプが比較的大きく重い構成要素であるため、比較的低い重心を可能にする-重心が低いことはまた、接続されたアンビリカルおよびホースが洗浄機を水中表面からてこで動かす傾向を低減する。
【0058】
ポンプ入口22、ポンプ20、およびポンプ出口24は、インラインで設けることができ、好ましくは、入口が先導する、すなわち、洗浄機の前方に向き、ポンプ20が中央であり、出口24が後方に向いてる。好ましくは、出口は、出口延長部24aなどによって、水中表面から上方に/離れるように角度を付けられる。傾斜した出口を有することはまた、アンビリカルおよびホースからの誘導剥離効果を低減するのに役立つ。
【0059】
ポンプは、駆動装置12のシャーシまたはサブシャーシ26の一部を形成することができる。ホイール支持体は、シャーシ/サブシャーシ26に取り付けることができる。
【0060】
ポンプ入口22は、ホース80によって洗浄ポッドの出口32に接続することができ、流体および除去された物質の流れは、ポンプ出口24を介してポンプ20によって表面の濾過システムに圧送される。ホース80は、マニホルドまたは受容ヘッド82などを介して、除去された物質を物質受容導管84に供給することができる。ポンプ出口24は、ポンプ20から供給導管86を介して表面に、除去された物質を圧力下で供給することができる。油圧および/または電気供給部を含むようなアンビリカル配置88は、洗浄機に接続され、洗浄機の制御および動力動作のためのサービスを形成する。
【0061】
1つまたは複数の旋回/枢動配置28を、例えば駆動装置と1つまたは複数の洗浄ポッドとの間および/または洗浄ポッド間に設けることができる。1つまたは複数の旋回/枢動配置28は、旋回/枢動ピン29および旋回/枢動ピン受け31を含むことができる。洗浄ヘッド14の1つまたは複数の洗浄ポッド16は、旋回/枢動配置によって取り付けることができる。洗浄ポッドは旋回/枢動ピン29を有することができ、旋回/枢動ピン受け31は支持体30上にあってもよく、逆もまた同様であることが理解されよう。支持体30は、駆動装置12と洗浄ポッドとの間を接続することができる。
【0062】
好ましくは、各旋回/枢動配置28のための、例えば、それぞれの洗浄ポッド16のための旋回/枢動取付を提供する各旋回/枢動ピン29のための旋回/枢動軸Asは、軸方向に位置合わせされる。
【0063】
磁石位置決め/展開手段32は、少なくとも1つのアクチュエータアセンブリ34を含むことができ、駆動装置12上に設けられて、駆動装置、したがって洗浄機を水中表面に磁気的に付着させるのに使用するために、少なくとも1つの磁石36を位置決め/展開し、格納することができる。
【0064】
磁石36は、2つの隣接するホイール18の間で旋回運動するように取り付けられてもよい。例として、磁石位置決め/展開手段32(例えば、少なくとも1つのアクチュエータアセンブリ34を含む)を使用するそれぞれの磁石36の格納位置(6A、6B)および展開位置(7A、7B)を示す
図6A、6B、7Aおよび7Bを参照されたい。
【0065】
少なくとも1つのアクチュエータアセンブリ34は、少なくとも1つのアクチュエータ38(電気駆動、空気圧または油圧ラムなど)を含むことができ、これは、回転リンク機構または部材40を作動させて、それぞれの磁石36を格納位置から展開位置に回転させ、展開された磁石36を展開位置から収容位置に格納させるように配置および構成される。収容位置では、それぞれの磁石36は、キーパー42(例えばスチール製のキーパープレート)に引き付けられ、磁石が偶発的に展開できないことを確保し得る。
【0066】
少なくとも1つのアクチュエータアセンブリは、粗磁石位置決めおよび微細磁石位置決めを含むことができる。例えば、格納位置から展開位置へのそれぞれの磁石の初期回転は、粗位置決めを提供することができ、磁石は、表面に対する必要な引力の量に理想的であるよりも水中表面から離れてもよい(すなわち、表面上に存在する物質の深さおよび/または物質の密度または種類に起因して)。
【0067】
微細位置決めは、それぞれの磁石と表面との間の間隙を減少させて、磁気引力を増大させ、洗浄機を水中表面に保持するのを助けることができる。
【0068】
微細位置決めは、アクチュエータの初期作動が磁石を初期位置に回転させ、さらなる作動が磁石を水中表面に近づけるように、カム配置52によって行うことができる。
【0069】
それぞれのアクチュエータは、リンク機構または部材40と係合したウォームギヤなどのねじ式駆動部44を作動させて、リンク機構または部材40を回転させることができる。
【0070】
少なくとも1つの前記磁石36は、回転して枢動可能な枢動部材45上に提供されてもよく、枢動リンク部材46によって駆動されまたは移動可能にされてもよい。
【0071】
枢動部材45は、内部でアクチュエータ38によって作動される駆動部材50が受容される弓状スロット48を含むことができる。弓状スロット48内での駆動部材50の前進は、リンク機構または部材40を回転させ、したがって、枢動部材45および磁石は、キーパープレート42から離れて磁石展開位置に向かって回転する。
【0072】
弓状スロット48内での駆動部材50のさらなる前進によって、カム配置52は磁石36を水中表面のより近くに移動させる。
【0073】
磁石と水中表面との間の間隙は、アクチュエータの作動によって、カム配置を移動させ、それによって、水中表面に対する磁石の微細な距離制御/位置決めを適用することにより、制御することができる。
【0074】
磁石位置決め/展開手段は、粗位置決め/展開および微細位置決め/展開能力、例えば粗位置決め距離制御(De、
図5B)および微細位置決め距離制御(D
F、
図5C)を含むことができる。例えば、磁石展開手段は、水中表面に対するそれぞれの磁石の回転展開およびカム作動微細距離位置決めを含むことができる。
【0075】
洗浄ヘッド14は、回転可能な支持体上の少なくとも1つの回転可能なブレード58などの洗浄装置56のためのハウジング54を含む少なくとも1つの洗浄ポッド16を有し、好ましくは、油圧流により動力供給される(例えば、それぞれのポッド16に接続された油圧ホースによる)またはハウジングを通る吸引によって流れる。
【0076】
それぞれの洗浄ポッド16は、洗浄ポッドのハウジング54が洗浄ヘッドまたは洗浄機の前後軸(軸F-R)を中心に枢動または旋回することを可能にするように設けられた枢動または旋回配置60、62の少なくとも一部を含む。各洗浄ポッドのための旋回/枢動配置は、洗浄ヘッドのポッドが表面の形状に概ね適合することを可能にすることができる。例えば、船舶船体は、ある曲率半径(この半径は遷移し得る)に縦方向におよび異なる曲率半径(この場合も、そのような半径は遷移し得る)に垂直方向に湾曲する、複合曲線を有することができる。旋回/枢動配置は、好ましくは、少なくとも1つの前方から後方への旋回/枢動軸AS上にジンバル配置を提供し、洗浄ヘッド全体が概して洗浄される表面の曲率に従うことができるように、洗浄ポッドが互いに対して移動することを可能にする。
【0077】
キャスター64は、水中表面の洗浄された部分と接触することによってそれぞれの洗浄ポッド16を支持する、すなわち、キャスター64は、洗浄ヘッド14の先行する洗浄ポッド16に追従する。
【0078】
キャスター64または各キャスター64は、それぞれのキャスター旋回/枢動配置65によってそれぞれの洗浄ポッド16に取り付けることができる。
【0079】
洗浄ヘッド14の駆動装置12への接続は、駆動装置12の前部の1つまたは複数の接続点において、および/または駆動装置と洗浄ヘッドとの間に延在する支持配置70によって行うことができる。支持配置70は、少なくとも1つの支持アームまたはフレーム72を含むことができる。支持配置70は、その前輪と後輪との間で駆動装置12に接続し、重心を下げ、洗浄機10全体の安定化に役立つことが理解されよう。洗浄ヘッド14の前方重量のてこの効果は、前輪の前方で洗浄ヘッドを駆動装置に接続する場合と比較して低減される。好ましくは、支持配置は、ポンプ/ポンプハウジング20、21などの駆動装置の中央部分に接続する。支持配置は、ポンプハウジングから洗浄ヘッドまで延在する1つまたは複数のアーム、好ましくは2つのアームを含むことができる。
【0080】
洗浄機と、水中表面から洗浄/除去される物質または水中表面との第1の物理的接触は、洗浄ブレード33a、33bなどの少なくとも1つの洗浄ヘッド14の洗浄装置33によるものであり得る。洗浄ブレードまたは各洗浄ブレードは、可撓性、部分的に可撓性、または剛性であってもよい。好ましくは、ブレードまたは各ブレードは、洗浄される表面と接触しない。
【0081】
1つまたは複数の洗浄ポッドは、ブレード33に回転駆動するための回転駆動装置41を含むことができる。回転駆動装置は、油圧または空気圧駆動装置を含むことができる。ブレード33によって表面から除去された物質は、出口37を介して洗浄ポッドのチャンバ39から除去することができる。
【0082】
洗浄ポッドまたは各洗浄ポッドは、発泡材料を含むことができる本体部分17を含むことができる。発泡材料は、好ましくは、耐摩耗性/ポリマーコーティングなどのコーティングを有する硬質発泡材料を含むことができる。
【0083】
本体部分は、洗浄ポッドを交換または取り外す必要なく、交換することができる交換可能/消耗可能/摩耗部品であってもよい。例えば、保持手段19は、本体部分の取外しのために解放され、交換用の本体部分の挿入後、バンドおよびクランプ配置などの再締め付けされ得る、解放可能保持具19aを含んでもよい。
【0084】
洗浄機と水中表面との第1の物理的接触は、水中表面が物質を水中表面から洗浄された後、少なくとも1つの洗浄ヘッドの背後に設けられた牽引手段によって行うことができる。
【0085】
当業者には明らかであろう修正および変形は、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0086】
以下の特許請求の範囲および本発明の前述の説明において、文脈が明示的な文言または必要な含意により別段に必要とされる場合を除き、「備える」または「含む」などの変形語は、包括的な意味で使用される、すなわち、記載された特徴の存在を特定するが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を排除するものではない。
【国際調査報告】