(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】抗CD25抗体
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240910BHJP
C12N 5/04 20060101ALI20240910BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240910BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/74 20060101ALI20240910BHJP
C12N 15/83 20060101ALI20240910BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240910BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240910BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240910BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240910BHJP
A61P 37/00 20060101ALI20240910BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240910BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N5/04
C12N5/10
C12N1/21
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N15/74 100Z
C12N15/83 Z
A61K39/395 N
A61K48/00
A61P35/00
A61P37/08
A61P37/00
A61K45/00
A61P43/00 121
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509310
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 US2022075266
(87)【国際公開番号】W WO2023028451
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522441541
【氏名又は名称】アイバイオ, インク.
【氏名又は名称原語表記】iBio, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】ファン ディロン
(72)【発明者】
【氏名】ブレナー マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ベルキスト ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】キップ ピーター
(72)【発明者】
【氏名】フオン タム
(72)【発明者】
【氏名】バビロニア ケビン
(72)【発明者】
【氏名】スー トム
(72)【発明者】
【氏名】フー リューフェイ
(72)【発明者】
【氏名】テイラー ジュニア ジェイムス タルメージ
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ コリー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA11X
4B065AA89X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA43
4B065CA44
4C084AA13
4C084AA19
4C084NA14
4C084NA20
4C084ZB131
4C084ZB132
4C084ZB261
4C084ZB262
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4C084ZC752
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4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
CD25に結合する抗体又はその部分の断片及びバリアントを含有するポリペプチドを、単独で又は他の抗腫瘍剤と組み合わせて、がんを治療するために使用するための材料及び方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトCD25に結合するヒト化抗体又は結合性断片であって、
配列番号1若しくは9の可変重鎖アミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%の配列同一性を含む配列;及び
配列番号4若しくは11の可変軽鎖アミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%の配列同一性を含む配列;
を含む、前記ヒト化抗体又は結合性断片。
【請求項2】
抗体又は結合性断片が、配列番号1若しくは9の可変重鎖アミノ酸配列、又は配列番号1若しくは9に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を含む配列を含む、請求項1に記載のヒト化CD25抗体。
【請求項3】
抗体又は結合性断片が、配列番号4若しくは11の可変軽鎖アミノ酸配列、又は配列番号4若しくは11に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を含む配列を含む、請求項1に記載のヒト化CD25抗体。
【請求項4】
配列番号1又は9をコードする核酸が、それぞれ配列番号2、3、若しくは10に示される核酸配列に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を有する、請求項1に記載のヒト化CD25抗体。
【請求項5】
配列番号4又は11をコードする核酸が、それぞれ配列番号5、6、若しくは12に示される核酸配列に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を有する、請求項1に記載のヒト化CD25抗体。
【請求項6】
配列番号4又は9をコードする核酸が、植物における発現のために配列最適化されている、請求項1に記載のヒト化CD25抗体。
【請求項7】
抗体又は結合性断片が、フレームワーク領域に対する1又は2以上の変異をさらに含む、請求項1に記載のヒト化CD25抗体。
【請求項8】
抗体又は結合性断片が、ヒトCD25及びカニクイザルCD25に結合するが、マウス又はラットのCD25に結合しない、請求項1~7のいずれかに記載のヒト化CD25抗体。
【請求項9】
ヒトCD25及びカニクイザルCD25に対する結合のEC50比が、約0.75~約1.25である、請求項1~8のいずれかに記載のヒト化CD25抗体。
【請求項10】
抗体又は結合性断片が脱フコシル化されている、請求項1~9のいずれかに記載のヒト化CD25抗体。
【請求項11】
抗体又は結合性断片が、CHO細胞又は植物細胞においてin celluloで脱フコシル化されている、請求項1~9のいずれかに記載のヒト化CD25抗体。
【請求項12】
抗体又は結合性断片が、エフェクターT細胞機能を、前記抗体又は結合性断片と接触させた場合に増加させる、請求項1~11のいずれかに記載のヒト化CD25抗体。
【請求項13】
請求項1~11のいずれかに記載のヒト化CD25抗体又は結合性断片のいずれか1つを含む医薬組成物。
【請求項14】
請求項1~11のいずれかに記載のヒト化CD25抗体又は結合性断片のいずれか1つをコードする単離された核酸配列。
【請求項15】
請求項14に記載の単離された核酸を含む発現ベクター。
【請求項16】
請求項14に記載の核酸配列を含むベクター。
【請求項17】
それを必要とする対象を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~11のいずれかに記載のヒト化CD25抗体若しくは結合性断片又は請求項13に記載の医薬組成物のいずれか1つを、前記対象に投与するステップを含む、前記方法。
【請求項18】
対象において制御性T細胞の数を枯渇させる方法であって、治療有効量の請求項1~11のいずれかに記載のヒト化CD25抗体若しくは結合性断片又は請求項13に記載の医薬組成物のいずれか1つを、前記対象に投与するステップを含む、前記方法。
【請求項19】
対象が、がんを患っている、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
対象が、自己免疫関連疾患又は障害を患っている、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項21】
対象が、併用療法を提供される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項22】
末梢血単核細胞を含む試料中の制御性T細胞の数を枯渇させる方法であって、前記試料を、請求項1~11のいずれかに記載のヒト化CD25抗体又は結合性断片のいずれか1つと接触させるステップを含む、前記方法。
【請求項23】
請求項1~11のいずれかに記載の抗体又は請求項13に記載の医薬組成物のいずれか1つを含むキット。
【請求項24】
請求項12に記載の発現ベクターを含むアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞。
【請求項25】
抗がん活性を有するポリペプチドを作製する方法であって、
(a)抗がん活性を有する配列番号1又は3及び5、又は9及び10のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む植物ウイルスベクターを、植物に導入するステップ;並びに
(b)前記植物を、前記ポリペプチドが少なくとも一部の植物細胞において発現するのに十分な条件下及び時間、維持するステップ;
を含む、前記方法。
【請求項26】
導入するステップが、真空浸潤を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
植物を採取するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法であって、前記植物が、抗がん活性を有するポリペプチドを含む、前記方法。
【請求項28】
抗がん活性を有するポリペプチドを、植物から抽出するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
抗がん活性を有するポリペプチドを精製するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
抗体が、抗体依存性細胞傷害性活性を有する、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月25日に出願された米国仮出願第63/237,100号、2022年2月21日に出願された米国仮出願第63/312,213号、及び2022年5月6日に出願された米国仮出願第63/339,182号に対する優先権を主張し、これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
この文献は、がんを治療するための材料及び方法、並びに特には、制御性T細胞を低減又は排除するため、エフェクターT細胞を増加させるため、及びがんを治療するための抗CD25抗体の使用に関する。
【0003】
コンパクトディスク上で提出される資料の参照による組込み
本出願は、EFS-Webを介してASCIIフォーマットにおいて提出され、参照により全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。2022年8月22日に作成された前記ASCIIコピーは、txt_IBIO2014WO.xmlという名称であり、16,384バイトのサイズである。
【背景技術】
【0004】
本発明の範囲を限定することなく、その背景が、CD25(IL-2受容体のアルファ鎖)との繋がりにおいて記載される。
【0005】
ヒトにおけるCD25(インターロイキン-2受容体のアルファ鎖である)は、IL2RA遺伝子によりコードされるタンパク質である。インターロイキン2(IL2)受容体アルファ(IL2RA)鎖、(IL2RB)鎖、及びガンマ鎖(IL2RG)は一緒になって高親和性IL-2受容体を形成する。ホモ二量体アルファ鎖(IL2RA)は低親和性受容体を結果としてもたらす。ホモ二量体ベータ(IL2RB)鎖は中親和性受容体を産生する。
【0006】
CD25は制御性T細胞により発現される。制御性T細胞は、CD25を構成的に発現し、エフェクターT細胞の拡大増殖を抑制するため、及び健常な状態を維持するため、及びエフェクターT細胞が自己抗原に対して反応すること又は外来抗原に対して過剰反応することを阻害するために作用する。増殖性疾患の場合、がん細胞は、制御性T細胞の量を増加させ、それによりそれらに対するエフェクターT細胞の生成を限定することにより健常な免疫応答を不能にする。
【0007】
必要とされるのは、例えばがん療法における使用のために免疫系を減弱するため又は自己免疫疾患における使用のために免疫系を上方調節するために、CD25発現制御性T細胞の増殖を変更する新規の剤である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書において具体化及び広く記載されるように、本開示の一態様は、ヒトCD25に結合するヒト化抗体又は結合性断片であって、配列番号1若しくは9の可変重鎖アミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%の配列同一性を含む配列;及び配列番号4若しくは11の可変軽鎖アミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%の配列同一性を含む配列を含む、ヒト化抗体又は結合性断片に関する。1つの態様において、抗体又は結合性断片は、配列番号1若しくは9の可変重鎖アミノ酸配列、又は配列番号1若しくは9に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を含む配列を含む。別の態様において、抗体又は結合性断片は、配列番号4若しくは11の可変軽鎖アミノ酸配列、又は配列番号4若しくは11に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を含む配列を含む。別の態様において、配列番号1又は9をコードする核酸は、それぞれ配列番号2、3、又は10に記載される核酸配列に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を有する。別の態様において、配列番号4又は11をコードする核酸は、それぞれ配列番号5、6、又は12に記載される核酸配列に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を有する。別の態様において、配列番号4又は9をコードする核酸は、植物における発現のために配列最適化されている。別の態様において、抗体は、フレームワーク領域に対する1又は2以上の変異をさらに含む。別の態様において、抗体は、ヒトCD25及びカニクイザルCD25に結合するが、マウス又はラットCD25に結合しない。別の態様において、ヒトCD25及びカニクイザルCD25に対する結合のEC50比は約0.75~約1.25である。別の態様において、抗体は脱フコシル化されている(afucosylated)。別の態様において、抗体は、CHO細胞又は植物細胞においてin celluloで脱フコシル化されている。別の態様において、抗体又は結合性断片は、エフェクターT細胞機能を、抗体又は結合性断片と接触させた場合に増加させる。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に上記されるヒト化CD25抗体又はその断片のいずれか1つを含む医薬組成物である。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に上記されるヒト化CD25抗体のいずれか1つをコードする単離された核酸配列である。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に上記される単離された核酸を含む発現ベクターである。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に上記される核酸配列を含むベクターである。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、それを必要とする対象を治療する方法であって、対象に治療有効量の本明細書に上記されるヒト化CD25抗体又は医薬組成物のいずれか1つを投与するステップを含む、方法である。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、対象において制御性T細胞の数を枯渇させる方法であって、対象に治療有効量の本明細書に上記されるヒト化CD25抗体又は医薬組成物のいずれか1つを投与するステップを含む、方法である。1つの態様において、対象はがんを患っている。別の態様において、対象は自己免疫関連疾患又は障害を患っている。別の態様において、対象は併用療法を提供される。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、末梢血単核細胞を含む試料中の制御性T細胞の数を枯渇させる方法であって、試料を本明細書に上記されるヒト化CD25抗体のいずれか1つと接触させるステップを含む、方法である。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に上記される抗体又は医薬組成物のいずれか1つを含むキットである。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に上記される発現ベクターを含むアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞である。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、抗がん活性を有するポリペプチドを作製する方法であって、(a)植物中に、抗がん活性を有する配列番号1及び2のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む植物ウイルスベクターを導入するステップ;並びに(b)ポリペプチドが少なくとも一部の植物細胞中で発現される十分な条件下及び時間にわたり植物を維持するステップを含む、方法である。別の態様において、導入するステップは真空浸潤を含む。別の態様において、植物は、抗がん活性を有するポリペプチドを含む。別の態様において、ポリペプチドは、植物由来の抗がん活性を有する。別の態様において、ポリペプチドは、抗がん活性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の特色及び利点のより完全な理解のために、添付の図面と共に本発明の詳細な説明がこれより言及される。
【
図1】植物発現システムにおいて発現された回収された抗体を示すクマシーブルー染色されたゲルであり、野生型植物において産生された抗CD25抗体はSD-889825-PW-A(IBIO-101、野生型植物)としても参照され、c-105株において生産された抗CD25抗体はSD-889825-PC-A(IBIO-101、c-105植物 脱フコシル化)である。
【
図2】植物により産生されたhD11重鎖及び軽鎖(C105植物)の質量の代表的な質量分析である。
【
図3】植物により産生されたhD11(C105植物)から放出されたグリカンの質量分析を示し、hD11は、インビボでの高いADCC活性を促進するためにフコースなしで産生された。
【
図4】植物において産生された抗体の純度を示すHPLCを示すグラフである。
【
図5】軽鎖のデコンボリューションされたMWの質量分析特徴付けを示すグラフである。
【
図6】脱グリコシル化された重鎖のデコンボリューションされたMWの質量分析特徴付けを示すグラフである。
【
図7】グリコシル化された重鎖のデコンボリューションされたMWの質量分析特徴付けを示すグラフである。
【
図8】インタクトな脱グリコシル化された試料のデコンボリューションされたMWの質量分析特徴付けを示すグラフである。
【
図9】インタクトなグリコシル化された試料のデコンボリューションされたMWの質量分析特徴付けを示すグラフである。
【
図10】ヒトCD25についてのCD25結合ELISAグラフを示すグラフである。
【
図11】カニクイザルCD25についてのCD25結合ELISAグラフを示すグラフである。
【
図12】マウスCD25についてのCD25結合ELISAグラフを示すグラフである。
【
図13】IBIO-101は、SUDHL-1ヒトリンパ腫細胞株上に内因的に発現されるCD25に対する強い結合を呈することを示す。
【
図14】CHO及び植物脱フコシル化IBIO-101はSUDHL-1ヒトリンパ腫細胞株に対するADCC効力を同様に増強したことを示す。
【
図15】IBIO-101分子はIL2/STAT5シグナル伝達経路を阻害しないことを示すグラフである。
【
図16】本発明の抗体のウエスタンブロット及びクマシーブルー染色されたゲルを示し、野生型植物において産生された抗CD25抗体はSD-889825-PW-A(IBIO-101、野生型植物)としても参照され、c-105株において生産された抗CD25抗体はSD-889825-PC-A(IBIO-101、c-105植物 脱フコシル化)である。
【
図17E】Carterra LSAを使用して特徴付けられたCD25に結合するモノクローナル抗体(IBIO-101)の結合を示す。
図17A:CHO細胞において産生されたIBIO-101 野生型Ab、
図17B:植物細胞において産生されたIBIO-101 野生型Ab、
図17C:CHO細胞において産生されたIBIO-101 脱フコシル化、
図17D:植物細胞において産生されたIBIO-101 脱フコシル化、
図17E:ダクリズマブ。
【
図18】IBIO-101は、誘導されたヒトT
reg(iT
reg)上に内因的に発現されるCD25に対する強い結合を呈することを示す。
【
図19】CHO及び植物脱フコシル化IBIO-101は、誘導されたヒトT
reg(iT
reg)に対するADCC効力を同様に増強したことを示す。
【
図20】脱フコシル化IBIO-101は強いSUDHL-1ヒトリンパ腫細胞死滅を呈することを示す。
【
図21】IBIO-101分子はCD25発現SUDHL-1及び誘導されたヒトT
reg(iT
reg)細胞に対して高い結合を示すが、他の初代免疫細胞に対して低い結合を示すことを示す。
【
図22】IBIO-101分子は汎B細胞に対して特異的結合を示さないことを示す。FACS分析は、CHO及び植物において産生されたWTフコシル化及び脱フコシル化IBIO-101分子並びにダクリズマブは汎B細胞に同様に結合することを示す。
【
図23】iT
reg枯渇アッセイゲーティング戦略を示す。
【
図24】iT
reg、活性化CD4+及び活性化CD8+細胞におけるhIgG1アイソタイプ、ダクリズマブ、IBIO-101-plant-afuc及びIBIO-101-CHO-afucを用いた処理からの細胞毒性パーセントを示す代表的なFACSプロットのiT
reg枯渇を示す。
【
図25D】iBio-101処理後の誘導されたヒトT
reg(iT
reg)の選択的な枯渇を示す。
【
図26】hCD25 TGマウスにおけるiBio-101薬物動態プロファイルを示すグラフである。
【
図27】iBio-101インビボ有効性研究の設計を示す。
【
図28】iBio-101インビボ有効性研究の結果 - すべての群についての体重(BW)を示すグラフである。
【
図29】iBio-101インビボ有効性研究の結果 - 腫瘍体積についての結果を示すグラフである。
【
図30A】有効性研究におけるTregのためのゲーティング戦略 - 3日目の血液試料のFACS分析を示す。
【
図30B】有効性研究におけるCD4+及びCD8+エフェクター細胞のためのゲーティング戦略 - 3日目の血液試料のFACS分析を示す。
【
図31】hIgG1アイソタイプ、IBIO-101-CHO-afuc及びIBIO-101-plant-afucを用いた処理後の血液中のT
regパーセンテージを示す代表的なFACSプロットの有効性研究FACS分析からの投薬後3日目の血液試料を示す。
【
図32E】IBIO-101分子は有効性研究の処理の3日後に血液中のT
reg細胞を低減させることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の様々な実施形態の作製及び使用が下記において詳細に議論されるが、本発明は、多様な特有の文脈において具体化され得る多くの応用可能な発明概念を提供することが理解されるべきである。本明細書において議論される特有の実施形態は、本発明を作製及び使用するための特有の仕方の単に実例的なものであり、本発明の範囲を限定しない。
【0021】
本発明の理解を促すために、多数の用語が下記において定義される。本明細書において定義される用語は、本発明に関連する分野における当業者により一般的に理解されるような意味を有する。「a」、「an」及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことが意図されるのではなく、その特有の例が実例のために使用され得る一般的なクラスを含む。本明細書における学術用語は、本発明の特有の実施形態を記載するために使用されるが、それらの用法は、請求項において範囲を示されている場合を除いて、本発明を限定しない。
【0022】
用語。本開示の様々な実施形態の検討を促すために、特有の用語の以下の説明が提供される。
【0023】
他に記載されなければ、技術用語は従来の用法に従って使用される。分子生物学における一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes V, Oxford University Press, 1994 (ISBN 0-19-854287-9); Kendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0-632-02182-9);及びRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference, VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8)(これらの関連する部分は参照により本明細書に組み込まれる)において見出され得る。
【0024】
動物:生きている多細胞脊椎動物生物であり、例えば、哺乳動物及び鳥を含むカテゴリーである。哺乳動物という用語は、ヒト及び非ヒト哺乳動物の両方を含む。同様に、用語「対象」はヒト及び獣医学的対象の両方を含む。
【0025】
cDNA(相補的DNA):内部の、非コーディングセグメント(イントロン)及び転写を決定する調節配列を欠いたDNAの小片である。cDNAは、細胞から抽出されたメッセンジャーRNAからの逆転写により実験室において合成される。
【0026】
保存的バリアント:「保存的」アミノ酸置換は、抗体又はその部分の活性、例えば、単独で、又は別の抗腫瘍療法と組み合わせて、がん及び/又は制御性T細胞を予防、低減又は排除するポリペプチドの能力に実質的に影響することも、それを減少させることもない置換である。保存的置換の特有の非限定的な例は以下を含む:
【表1】
【0027】
保存的変化という用語はまた、非置換の親アミノ酸の代わりに置換されたアミノ酸を使用しているが、但し、置換されたポリペプチドに対して産生された抗体が非置換のポリペプチドとも免疫反応を起こすものを含む。非保存的置換は、活性、例えば線維症を阻害するタンパク質の能力を低減させる置換である。
【0028】
本明細書において使用される場合、移行句「からなる」は、指定されたアミノ酸配列から本質的になり、いかなる追加のアミノ酸残基も含まないポリペプチドを指す。指定されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、いかなる追加のアミノ酸残基も含まず、追加の生物学的構成要素、例えば核酸、脂質、糖も含まず、標識も含まない。
【0029】
移行句「から本質的になる」は、ポリペプチドの基本的な及び新規の特徴に実質的に影響しない追加の非ペプチド構成要素、例えば標識(例えば、蛍光、放射性、若しくは固体粒子標識)、糖又は脂質を含むことができるポリペプチドを指す。指定されるアミノ酸配列からなるか又はから本質的になるポリペプチドは、グリコシル化され得るか又はアミド修飾を有することができる。ポリヌクレオチドに関して、指定される核酸配列から本質的になるポリヌクレオチドはいかなる追加の核酸残基も含まない。しかしながら、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの基本的な及び新規の特徴に実質的に影響しない追加の非核酸構成要素、例えば標識(例えば、蛍光、放射性、若しくは固体粒子標識)又はポリペプチドを含むことができる。指定される核酸配列からなるポリヌクレオチドは、いかなる追加の核酸残基も含まず、追加の生物学的構成要素も標識も含まない。
【0030】
縮重バリアント:遺伝コードの結果として縮重している配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。20の天然アミノ酸があり、そのほとんどは1つより多くのコドンにより指定される。したがって、すべての縮重ヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列によりコードされる抗体ポリペプチドのアミノ酸配列が変化しない限り、本開示に含まれる。
【0031】
発現制御配列:それが作動可能に連結された異種核酸配列の発現を調節する核酸配列である。発現制御配列は、それが核酸配列の転写、及び、適当な場合、翻訳を制御及び調節する場合に、核酸配列に作動可能に連結されている。そのため、発現制御配列は、適当なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質コーディング遺伝子の前にある開始コドン(すなわち、ATG)、イントロンのためのスプライシングシグナル、mRNAの適正な翻訳を可能にするためのその遺伝子の正確なリーディングフレームの維持、及び終止コドンを含むことができる。用語「制御配列」は、その存在が発現に影響を及ぼすことができる構成要素を最小でも含むことが意図され、その存在が有利である追加の構成要素、例えば、リーダー配列及び融合パートナー配列もまた含むことができる。発現制御配列はプロモーターを含むことができる。
【0032】
プロモーターは、転写を指令するために十分な最小の配列である。プロモーター依存性遺伝子発現を細胞型特異的、組織特異的、又は外的なシグナル若しくは剤により誘導可能とするために制御可能なものとするために十分なプロモーターエレメントもまた含まれ;そのようなエレメントは遺伝子の5’又は3’領域に位置してもよい。構成的プロモーター及び誘導性プロモーターの両方が含まれる(例えば、Bitter et al., Meth Enzymol 153:516-544, 1987を参照)。例えば、細菌システム中にクローニングする場合、誘導性プロモーター、例えばバクテリオファージラムダのpL、plac、ptrp、及びptac(ptrp-lacハイブリッドプロモーター)などが使用され得る。一部の実施形態において、哺乳動物細胞システム中にクローニングする場合、哺乳動物細胞(例えばメタロチオネインプロモーター)又は哺乳動物ウイルス(例えばレトロウイルス長鎖末端反復;アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)のゲノムに由来するプロモーターが使用され得る。組換えDNA又は合成技術により産生されるプロモーターもまた、核酸配列の転写を提供するために使用され得る。
【0033】
宿主細胞:ベクターが繁殖可能であり、そのDNAが発現され得る細胞である。細胞は原核性又は真核性であってもよい。細胞は、哺乳動物、例えばヒト細胞であることができる。該用語はまた、対象宿主細胞のいかなる子孫も含む。複製の間に変異が起こり得るため、すべての子孫が親細胞と同一とは限らないことが理解される。しかしながら、そのような子孫は、用語「宿主細胞」が使用される場合に含まれる。
【0034】
疾患の阻害又は治療:疾患、例えばがんの阻害は、疾患の完全な発症を阻害することを指す。複数の例において、疾患の阻害はがんの低減又は排除を指す。「治療」は、疾患又は疾患、例えばがんに関する病的状態の徴候又は症状を寛解させる治療的介入を指す。
【0035】
単離された:「単離された」生物学的構成要素(例えば核酸又はタンパク質又は細胞小器官)は、構成要素が天然に存在する生物の細胞中の他の生物学的構成要素、例えば、他の染色体及び染色体外DNA及びRNA、タンパク質並びに細胞小器官から実質的に分離又は精製されている。「単離され」ている核酸及びタンパク質は、標準的な精製方法により精製された核酸及びタンパク質を含む。該用語はまた、宿主細胞中での組換え発現により調製された核酸及びタンパク質の他に、化学的に合成された核酸を包含する。
【0036】
標識:別の分子の検出を促すためにその分子に直接的に又は間接的にコンジュゲートされる検出可能な化合物又は組成物である。標識の特有の、非限定的な例は、蛍光タグ、酵素連結、及び放射活性同位体を含む。
【0037】
リンカー配列:リンカー配列は、2つのポリペプチドドメインを共有結合的に連結するアミノ酸配列である。リンカー配列は、連結されたポリペプチドドメインに回転自由度を提供し、それにより適正なドメインフォールディング及びMHCへの提示を促進するために本明細書に開示される抗体又はその部分の間に含まれ得る。例として、抗体ポリペプチドを含有する組換えポリペプチドにおいて、抗体又はその部分-リンカー-抗体又はその部分を含有するポリペプチドのように、リンカー配列がそれらの間に提供され得る。一般に2~25アミノ酸長であるリンカー配列は当技術分野において周知であり、Chaudhary et al., Nature 339:394-397, 1989により記載されるグリシン(4)-セリンスペーサー(×3)を含むが、これに限定されない。
【0038】
哺乳動物:この用語はヒト及び非ヒト哺乳動物の両方を含む。同様に、用語「対象」はヒト及び獣医学的対象の両方を含む。
【0039】
オリゴヌクレオチド:最大約100ヌクレオチド塩基長の直鎖状ポリヌクレオチド配列である。
【0040】
オープンリーディングフレーム(ORF):いかなる内部終止コドンも有しないアミノ酸をコードするヌクレオチドトリプレット(コドン)のシリーズである。これらの配列は通常はポリペプチドに翻訳可能である。
【0041】
作動可能に連結された:第1の核酸配列は、第2の核酸配列と機能的な関係性に置かれている場合に、第2の核酸配列と作動可能に連結されている。例えば、プロモーターは、コーディング配列、例えば抗体又はその部分をコードする配列の転写又は発現に影響する場合に、コーディング配列に作動可能に連結されている。一般に、作動可能に連結されたDNA配列は、2つのタンパク質コーディング領域を接合するために必要な場合、同じリーディングフレームにおいて連続している。
【0042】
ペプチド修飾:抗体又はその部分は、本明細書に記載されるポリペプチドの合成による実施形態を含む。追加的に、これらのタンパク質のアナログ(非ペプチド有機分子)、派生物(開示されるポリペプチド配列から出発して得られる化学的に機能化されたポリペプチド分子)及びバリアント(ホモログ)が本明細書に記載される方法において利用され得る。本開示の各々のポリペプチドは、L-及び/又はD-アミノ酸、天然に存在するもの並びにその他であってもよい、アミノ酸の配列から構成される。
【0043】
薬学的に許容される担体:使用される薬学的に許容される担体は従来のものである。Remington’s Pharmaceutical Sciences, E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, Pa., 15th Edition (1975)(その関連する部分は参照により本明細書に組み込まれる)は、本明細書において開示される融合タンパク質の薬学的送達のために適切な組成物及び製剤を記載している。
【0044】
一般に、担体の性質は、用いられている投与の特定のモードに依存する。例えば、非経口製剤は、薬学的に及び生理学的に許容される流体、例えば水、生理食塩水、平衡塩溶液、水性デキストロース、又はグリセロールなどを媒体として含む注射可能な流体を通常は含む。固体組成物(例えば粉末、丸剤、錠剤、又はカプセル形態)のために、従来の非毒性固体担体は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、又はステアリン酸マグネシウムを含むことができる。生物学的に中性の担体に加えて、投与される医薬組成物は、微量の非毒性助剤物質、例えば湿潤又は乳化剤、防腐剤、及びpH緩衝化剤など、例えば酢酸ナトリウム又はモノラウリン酸ソルビタンを含有することができる。
【0045】
「治療有効量」は、治療されている対象において所望される効果を達成するための組成物の量である。例えば、これは、免疫応答を誘導するため、がんを阻害するため、瘢痕体積を低減させるため、又は線維性状態の外面的な症状を測定できる程度に変更するために必要な量であることができる。対象に投与される場合、インビトロでの効果を達成することが示されている(例えば、皮膚細胞又は肺組織中での)標的組織濃度を達成する投薬量が一般に使用される。
【0046】
ポリヌクレオチド:ポリヌクレオチド又は核酸配列という用語は、少なくとも10塩基長のヌクレオチドのポリマー形態を指す。組換えポリヌクレオチドは、由来する生物の天然に存在するゲノム中で直ちに連続するコーディング配列の両方(5’端上のもの及び3’端上のもの)と直ちに連続するものではないポリヌクレオチドを含む。該用語は、したがって、例えば、ベクター中;自律複製プラスミド中若しくはウイルス中;若しくは原核生物若しくは真核生物のゲノムDNA中に組み込まれているか、又は他の配列から独立して別々の分子(例えば、cDNA)として存在する組換えDNAを含む。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はいずれかのヌクレオチドの修飾された形態であることができる。該用語は、DNAの一本鎖及び二本鎖形態を含む。
【0047】
ペプチド又はポリペプチド:長さ又は翻訳後修飾(例えば、グリコシル化若しくはリン酸化)にかかわらず、アミノ酸の任意の鎖である。一部の実施形態において、ポリペプチドは抗体又はその部分である。ポリペプチドは5~60アミノ酸長であることができる。一部の実施形態において、ポリペプチドは約10~約55アミノ酸長である。さらに別の実施形態において、ポリペプチドは約20~約50アミノ酸長である。さらに別の実施形態において、ポリペプチドは約50アミノ酸長である。ポリペプチドに関して、語「約」は整数の量を指し示す。そのため、1つの例において、「約」50アミノ酸長のポリペプチドは49~51アミノ酸長である。一部の実施形態において、ポリペプチドは多量体形態であることができる。
【0048】
翻訳後修飾:新たに形成されたタンパク質の修飾は、アミノ酸の欠失、ある特定のアミノ酸の化学修飾(例えば、アミド化、アセチル化、リン酸化、グリコシル化、ピログルタミン酸の形成、メチオニン上のサルファ基の酸化/還元、又はある特定のアミノ酸への類似した小分子の付加)を伴ってもよい。
【0049】
プローブ及びプライマー:プローブは、検出可能な標識又はレポーター分子に結合した単離された核酸を含む。プライマーは、約15又はより多くのヌクレオチド長の短い核酸、好ましくはDNAオリゴヌクレオチドである。プライマーは、核酸ハイブリダイゼーションにより相補的な標的DNA鎖にアニールして、プライマーと標的DNA鎖との間のハイブリッドを形成してもよく、次にDNAポリメラーゼ酵素により標的DNA鎖に沿って伸長されてもよい。プライマーペアは、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又は当技術分野において公知の他の核酸増幅方法による、核酸配列の増幅のために使用され得る。特定のプローブ又はプライマーの特異性はその長さと共に増加することを当業者は理解する。そのため、例えば、20個の連続するヌクレオチドを含有するプライマーは、15個のヌクレオチドのみの対応するプライマーよりも高い特異性で標的にアニールする。そのため、より高い特異性を得るために、約20、25、30、35、40、50又はより多くの連続するヌクレオチドを含有するプローブ及びプライマーが選択され得る。
【0050】
精製された:本明細書に開示される抗体又はその部分は、当技術分野において公知の手段(例えば、Guide to Protein Purification, ed. Deutscher, Meth. Enzymol. 185, Academic Press, San Diego, 1990;及びScopes, Protein Purification: Principles and Practice, Springer Verlag, New York, 1982を参照)(これらの関連する部分は参照により本明細書に組み込まれる)のいずれかにより精製(及び/又は合成)され得る。実質的な精製は、他のタンパク質又は細胞構成要素からの精製を表す。実質的に精製されたタンパク質は、少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、98%又は99%の純度である。そのため、1つの特有の、非限定的な例において、実質的に精製されたタンパク質は、他のタンパク質又は細胞構成要素の90%を含まない。
【0051】
ネイティブな抗体及び免疫グロブリンは、通常は、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖から構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各々の軽鎖は、1つの共有結合性ジスルフィド結合により重鎖に連結されている。ジスルフィド連結の数は異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間で変動する。各々の重鎖及び軽鎖はまた、定期的に間隔を置いた鎖内ジスルフィドブリッジを有する。各々の重鎖は、1つの末端において可変ドメイン(VH)、続いて多数の定常ドメインを有する。各々の軽鎖は、1つの末端において可変ドメイン(VL)及びその他の末端において定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと位置合わせされ、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと位置合わせされる。特定のアミノ酸残基は、軽鎖及び重鎖可変ドメインの間で境界面を形成すると考えられる(Clothia et al., J. Mol. Biol. 186, 651-66, 1985); Novotny and Haber, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82 4592-4596 (1985);これらの関連する部分は参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
そのため、精製されたという用語は、絶対的な純粋性を要求せず;むしろ、それは相対的な用語として意図される。例えば、精製された核酸は、細胞内でのその天然の環境にある核酸よりも濃縮された核酸である。追加の実施形態において、核酸又は細胞調製物は、核酸又は細胞が調製物のそれぞれ全核酸又は細胞含有量の少なくとも約60%(例えば、以下に限定されないが、70%、80%、90%、95%、98%又は99%)となるように精製される。
【0053】
組換え:組換え核酸は、天然に存在しない配列を有するか、又は2つのさもなければ分離されている配列のセグメントの人工的な組合せにより作製される配列を有する核酸である。この人工的な組合せは、多くの場合に、化学合成により、又は、より一般的には、例えば、遺伝子操作技術による、核酸の単離されたセグメントの人工的なマニピュレーションにより達成される。
【0054】
選択的にハイブリダイズする:関連しないヌクレオチド配列を除外する中又は高ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションである。
【0055】
核酸ハイブリダイゼーション反応において、特定のストリンジェンシーのレベルを達成するために使用される条件は、ハイブリダイズされている核酸の性質に依存して変動する。例えば、核酸のハイブリダイズする領域の長さ、相補性の程度、ヌクレオチド配列組成(例えば、GC対AT含有量)、及び核酸タイプ(例えば、RNA対DNA)は、ハイブリダイゼーション条件の選択において考慮され得る。追加の考慮は、核酸の1つが、例えば、フィルター上に、固定化されているかどうかである。
【0056】
漸進的により高いストリンジェンシー条件の特有の例は以下のとおりである:2×SSC/0.1% SDS、約室温(ハイブリダイゼーション条件);0.2×SSC/0.1% SDS、約室温(低ストリンジェンシー条件);0.2×SSC/0.1% SDS、約42℃(中ストリンジェンシー条件);及び0.1×SSC、約68℃(高ストリンジェンシー条件)。当業者は、これらの条件におけるバリエーションを容易に決定することができる(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., vol. 1-3, ed. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)(その関連する部分は参照により本明細書に組み込まれる)。洗浄は、これらの条件の1つのみ、例えば、高ストリンジェンシー条件を使用して実行され得るか、又は条件の各々は、例えば、列挙されるステップのいずれか若しくはすべてを繰り返して、上記に列挙される順序で、各々10~15分間、使用され得る。しかしながら、上述されるように、最適な条件は、伴われる特定のハイブリダイゼーション反応に依存して変動し、経験的に決定され得る。
【0057】
配列同一性:アミノ酸配列の間の類似性は、他に配列同一性として参照される、配列の間の類似性の観点で表される。配列同一性は、同一性(又は類似性若しくは相同性)パーセンテージの観点で頻繁に測定され;パーセンテージが高ければ高いほど、2つの配列はより類似している。抗体又はその部分のホモログ又はバリアントは、標準的な方法を使用してアライメントされた場合に相対的に高い程度の配列同一性を有する。
【0058】
比較用の配列のアライメントの方法は当技術分野において周知である。様々なプログラム及びアライメントアルゴリズムが、Smith and Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482, 1981; Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443, 1970; Higgins and Sharp, Gene 73:237, 1988; Higgins and Sharp, CABIOS 5:151, 1989; Corpet et al., Nucleic Acids Research 16:10881, 1988;及びPearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444, 1988において記載されている。Altschul et al., Nature Genet. 6:119, 1994は、配列アライメント方法及び相同性算出の詳細な考慮を提示しており、その関連する部分は参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403, 1990)(その関連する部分は参照により本明細書に組み込まれる)は、配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn及びtblastxとの繋がりで使用するために、National Center for Biotechnology Information(NCBI、Bethesda、Md.)を含む、いくつかの供給元から及びインターネット上で利用可能である。このプログラムを使用して配列同一性を決定する方法の記載はインターネット上のNCBIウェブサイトにおいて利用可能である。
【0060】
抗体又はその部分のホモログ及びバリアントは、デフォルトのパラメーターに設定されたNCBI Blast 2.0、gapped blastpを使用して抗体又はその部分のアミノ酸配列と全長アライメントにかけてカウントされた少なくとも75%の、例えば少なくとも80%の、配列同一性を有することにより典型的には特徴付けられる。約30個より多くのアミノ酸のアミノ酸配列の比較のために、Blast 2シークエンス機能は、デフォルトのパラメーター、(11のギャップ存在コスト、及び1の残基当たりギャップコスト)に設定されたデフォルトのBLOSUM62マトリックスを使用して用いられる。短いペプチド(約30個未満のアミノ酸)をアライメントする場合、アライメントは、Blast 2シークエンス機能を使用し、デフォルトのパラメーター(オープンギャップ9、エクステンションギャップ1のペナルティ)に設定されたPAM30マトリックスを用いて行われるべきである。参照配列に対してよりいっそう高い類似性を有するタンパク質は、この方法により評価された場合に増加する同一性パーセンテージ、例えば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を示す。全体より小さい配列が配列同一性のために比較されている場合、ホモログ及びバリアントは、10~20アミノ酸の短いウィンドウにかけて少なくとも80%の配列同一性を典型的には有し、参照配列に対するそれらの類似性に依存して少なくとも85%又は少なくとも90%又は95%の配列同一性を有することができる。そのような短いウィンドウにかけて配列同一性を決定する方法はインターネット上でNCBIウェブサイトにおいて利用可能である。これらの配列同一性範囲はガイダンスのためにのみ提供されており;提供される範囲の外側に入る大きな意義を持つホモログを得ることが完全に可能であることを当業者は理解する。
【0061】
治療有効量:治療されている対象において所望される効果を達成するために十分な化合物、例えば抗体又はその部分の量である。例えば、これは、対象においてがん、例えば皮膚又は肺がんを治療し又は寛解させるために必要な量であることができる。一部の実施形態において、それは、時間的期間にかけて測定可能な量だけ対象を治療するため、又は対象において疾患の進行を測定できる程度に阻害するために必要な量である。他の実施形態において、治療有効量は、疾患を予防的に阻害するために必要な量である。
【0062】
有効量の抗体又はその部分は、単回用量において、又は、治療の過程の間に、例えば1日毎に、複数回用量において、投与されてもよい。しかしながら、有効量は、適用される化合物、治療されている対象、病気の重症度及びタイプ、並びに化合物の投与の方式に依存する。
【0063】
本発明は、1又は2以上の抗腫瘍剤を用いて提供され得る。他の抗腫瘍剤との併用療法の例は、例えば、アクラルビシン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、ANGER、アンセスチム、ARGLABIN、三酸化ヒ素、BAM 002(Novelos社)、ベキサロテン、ビカルタミド、ブロクスウリジン、カペシタビン、セルモロイキン、セトロレリクス、クラドリビン、クロトリマゾール、シタラビンオクホスファート、DA 3030(Dong-A社)、ダクリズマブ、デニロイキンジフチトクス、デスロレリン、デクスラゾキサン、ジラゼプ、ドセタキセル、ドコサノール、ドキセルカルシフェロール、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ブロモクリプチン、カルムスチン、シタラビン、フルオロウラシル、HITジクロフェナク、インターフェロンアルファ、ダウノルビシン、ドキソルビシン、トレチノイン、エデルフォシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エミテフール、エピルビシン、エポエチンベータ、リン酸エトポシド、エキセメスタン、エキシスリンド、ファドロゾール、フィルグラスチム、フィナステリド、リン酸フルダラビン、フォルメスタン、フォテムスチン、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン(gemtuzumab zogamicin)、ギメラシル/オテラシル/テガフールの組合せ、グリコピン、ゴセレリン、ヘプタプラチン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎児アルファフェトプロテイン、イバンドロン酸、イダルビシン、イミキモド、インターフェロンアルファ又はインターフェロンアルファファミリーメンバー、インターフェロンベータ又はインターフェロンベータファミリーメンバー、インターフェロンガンマ又はインターフェロンガンマファミリーメンバー、インターロイキン-1ベータ、ヨーベングアン、イリノテカン、イルソグラジン、ランレオチド、LC 9018(Yakult社)、レフルノミド、レノグラスチム、レンチナンスルフェート、レトロゾール、白血球アルファインターフェロン、リュープロレリン、レバミゾール+フルオロウラシル、リアロゾール、ロバプラチン、ロニダミン、ロバスタチン、マソプロコール、メラルソプロール、メトクロプラミド、ミフェプリストン、ミルテホシン、ミリモスチム、ミスマッチ二本鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトキサントロン、モルグラモスチム、ナファレリン、ナロキソン+ペンタゾシン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ニルタミド、ノスカピン、新規赤血球生成刺激タンパク質、NSC 631570オクトレオチド、オプレルベキン、オサテロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロン酸、ペガスパルガーゼ、ペグインターフェロンアルファ-2b、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、ペントスタチン、ピシバニール、ピラルビシン、ウサギ抗胸腺細胞ポリクローナル抗体、ポリエチレングリコールインターフェロンアルファ-2a、ポルフィマーナトリウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラスブリエンボディメント(rasburiembodiment)、エチドロン酸レニウム186Re、RIIレチナミド、リツキシマブ、ロムルチド、153サマリウムレキシドロナム、サルグラモスチム、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソネルミン、塩化89ストロンチウム、スラミン、タソネルミン、タザロテン、テガフール、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、サリドマイド、チマルファシン、チロトロピンアルファ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ-131ヨウ素、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トリロスタン、トリメトレキセート、トリプトレリン、腫瘍壊死因子アルファ、天然、ウベニメクス、膀胱がんワクチン、丸山ワクチン、黒色腫溶解液ワクチン(melanoma lysate vaccine)、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、VIRULIZIN、ジノスタチンスチマラマー、又はゾレドロン酸;アバレリクス;AE 941(Aeterna社)、アンバムスチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、bcl-2(Genta社)、APC 8015(Dendreon社)、セツキシマブ、デシタビン、デクスアミノグルテチミド(dexaminoglutethimide)、ジアジコン、EL 532(Elan社)、EM 800(Endorecherche社)、エニルウラシル、エタニダゾール、フェンレチニド、フィルグラスチムSD01、フルベストラント、ガロシタビン(galocitabine)、ガストリン17免疫原、HLA-B7遺伝子療法(Vical社)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒスタミン二塩酸塩、イブリツモマブチウキセタン、イロマスタット、IM 862(Cytran社)、インターロイキン-2、イプロキシフェン(iproxifene)、LDI 200(Milkhaus社)、レリジスチム(leridistim)、リンツズマブ、CA 125 MAb(Biomira社)、がんMAb(Japan Pharmaceutical Development社)、HER-2及びFc MAb、イディオタイプ105AD7 MAb、イディオタイプCEA MAb(Trilex社)、LYM-1-131ヨウ素MAb(Techniclone社)、多型上皮ムチン-イットリウム90 MAb(Antisoma社)、マリマスタット、メノガリル、ミツモマブ、モテキサフィンガドリニウム、MX 6(Galderma社)、ネララビン、ノラトレキセド、P 30タンパク質、ペグビソマント、ペメトレキセド、ポルフィロマイシン、プリノマスタット、RL 0903(Shire社)、ルビテカン、サトラプラチン、フェニル酢酸ナトリウム、スパルフォシン酸、SRL 172(SR Pharma社)、SU 5416(SUGEN社)、TA 077(Tanabe社)、テトラチオモリブデート、タリブラスチン、トロンボポエチン、エチルエチオプルプリンスズ、チラパザミン、がんワクチン(Biomira社)、又はバルスポダルを含む。
【0064】
PD-1(プログラム細胞死-1)受容体の非限定的な例は、活性化されたT細胞の表面上に発現される。そのリガンド、PD-L1及びPD-L2は、樹状細胞又はマクロファージの表面上に発現される。PD-1及びPD-L1/PD-L2は、T細胞応答の発生を停止させるか又は限定することができる共阻害性因子として作用する免疫チェックポイントタンパク質のファミリーに属する。PD-1/PD-L1相互作用は、免疫系が、慢性自己免疫性炎症の可能性を最小化するために、適当な時点においてのみ活性化されることを確実にする。免疫チェックポイントタンパク質の遮断の例は、モノクローナル抗体と共に、抗PD-1、抗PD-L1及び抗CTLA-4を含む。
【0065】
形質導入された:形質導入された細胞は、分子生物学技術により核酸分子を導入されている細胞である。本明細書において使用される場合、形質導入という用語は、ウイルスベクターを用いるトランスフェクション、プラスミドベクターを用いる形質転換、並びにエレクトロポレーション、リポフェクション、及び粒子銃加速によるネイキッドDNAの導入を含む、核酸分子がそのような細胞に導入され得るすべての技術を包含する。
【0066】
ベクター:宿主細胞に導入され、それにより形質転換された宿主細胞を産生する核酸分子である。ベクターは、それが宿主細胞中で複製されることを可能にする核酸配列、例えば複製起点を含んでもよい。ベクターはまた、1又は2以上の選択マーカー遺伝子及び当技術分野において公知の他の遺伝子エレメントを含んでもよい。ベクターは、グラム陰性及びグラム陽性細菌細胞中での発現用のプラスミドを含む、プラスミドベクターを含む。例示的なベクターは、大腸菌(E. coli)及びサルモネラ(Salmonella)中での発現用のベクターを含む。ベクターはまた、ウイルスベクター、例えば、以下に限定されないが、レトロウイルス、オルソポックス、アビポックス、ファウルポックス、カプリポックス、スイポックス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、アルファウイルス、バキュロウイルス、シンドビスウイルス、ワクシニアウイルス及びポリオウイルスベクターを含む。ベクターはまた、酵母細胞及び昆虫細胞中での発現用のベクターを含む。
【0067】
これら又は他の位置において置換、挿入又は欠失され得る他のアミノ酸は、生物学的アッセイと連結された変異誘発研究により同定され得る。上記のアライメントはガイドラインとしてのみ提供される。
【0068】
例示的な実施形態において、抗体は、二重特異性(bispecific)、三重特異性(trispecific)、又は多重特異性(multi-specific)となるように操作され、抗体は2又は3以上の別個の抗原結合性領域を含む。1つの例において、抗体は、CD25に特異的な二重特異性又は三重特異性抗体である。二重特異性又は三重特異性抗体を作製する方法は当技術分野において公知である。例えば、Marvin and Zhu, Acta Pharmacologica Sinica 26: 649-658 (2005)及び米国特許第6,551,592号明細書(これらの関連する部分は参照により本明細書に組み込まれる)を参照。別の例において、結合性コンストラクトは、CD25の第1のエピトープ及びCD25の第2のエピトープに特異的な二重特異性抗原結合性コンストラクトである。抗体は、クアドローマ、ヘテロ二量体二重特異性抗体、二重特異性抗体融合タンパク質、二重特異性抗体断片、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、又は多重特異性抗体であることができる。抗体は、二価、三価、又は多価となるように操作され得る。例えば、Cuesta et al., “Multivalent antibodies: when design surpasses evolution” Trends in Biotechnology 28, 355-362 (2010); Holliger et al., “Engineered antibody fragments and the rise of single domains” Nat. Biotechnol. 23, 1126-1136 (2005); Chan et al., “Therapeutic antibodies for autoimmunity and inflammation” Nat Rev Immunol 10, 301-316 (2010); Byrne et al., “A tale of two specificities: bispecific antibodies for therapeutic and diagnostic applications” Trends Biotechnol. 31, 621-632 (2013)(これらの関連する部分は参照により本明細書に組み込まれる)を参照。抗体が単量体形態である場合、抗体はまた、1又は2以上の他の抗体(すなわち、第1の抗体と同じ又は異なるエピトープを認識する)にコンジュゲートされ得る。そのため、抗体は、二量体、ポリマー、オリゴマー、又は多量体形態であることができる。
【0069】
抗体の抗原結合性断片は、抗体の「抗原結合性ドメイン」又は「抗原結合性部分」を含む。抗原結合性断片は、少なくとも1つの抗原結合性部位を有し、Fab、F(ab’)2、単一特異性若しくは二重特異性Fab2、三重特異性Fab、一価IgG、scFv、dsFv、scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、ミニボディ、又はIgNARの断片(例えば、V-NAR)、ビス-scFv、又はFab発現ライブラリーにより発現される断片を含むが、これらに限定されない。
【0070】
抗体又はその結合性断片は、単量体又はポリマー、二重特異性又は三重特異性、二価又は三価であることができる。例示的な態様において、本明細書において提供される融合タンパク質は、単一特異性、二重特異性又は三重特異性、二価又は三価であり、完全にヒトのものであることができる。
【0071】
抗体分子の抗原結合性ドメインを含有する抗体断片は、当技術分野において公知の技術により生成されてもよい。例えば、そのような断片は、抗体分子のペプシン消化により産生され得るF(ab’)2断片;F(ab’)2断片のジスルフィドブリッジを還元することにより生成され得るFab’断片;並びにパパイン及び還元剤を用いて抗体分子を処理することにより生成され得る2つのFab’断片を含むが、これらに限定されない。
【0072】
一本鎖可変領域断片(sFv)抗体断片は、合成ペプチドを介して抗体軽鎖のVドメインに連結された抗体重鎖の可変(V)ドメインを含む短縮型Fab断片であり、ルーチンの組換えDNA技術を使用して生成され得る。ジスルフィド安定化可変領域断片(dsFv)は、組換えDNA技術により調製され得る(例えば、Reiter et al., Protein Engineering, 7, 697-704 (1994);その関連する部分は参照により本明細書に組み込まれるを参照)。
【0073】
組換え抗体断片、例えばscFvはまた、異なる標的抗原に対する高い結合アビディティ及び特異性の安定な多量体オリゴマーにアセンブルするように操作され得る。そのようなダイアボディ(二量体)、トリアボディ(三量体)又はテトラボディ(四量体)は当技術分野において周知であり、例えば、Kortt et al., Biomol Eng. 2001 18:95-108, (2001)及びTodorovska et al., J Immunol Methods. 248:47-66, (2001)(これらの関連する部分は参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0074】
ある特定の例において、抗原結合性断片は、2又は3以上の別個の抗原結合性ドメインを含むことができる。1つの例において、結合性コンストラクトは、CD25の第1のエピトープ及びCD25の第2のエピトープに特異的な二重特異性抗原結合性断片である。1つの例において、結合性ドメインは、ヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフを介して二量体化、三量体化又は多価とされ得る。
【0075】
本明細書に包含されるのはまた、以下に記載される融合ポリペプチドを含む、抗体又はその部分を含有するポリペプチドの多量体である。一部の実施形態において、多量体は、二量体、三量体、四量体、又は五量体であることができる。
【0076】
本明細書に包含されるのはまた、異種ペプチド、例えば、抗体又はその部分の検出、精製、安定化、又は可溶化のために使用され得るペプチドに融合した抗体又はその部分である。一部の実施形態において、C末端ポリペプチドは、そのN末端において免疫グロブリン(Ig)定常重鎖若しくは軽鎖ドメイン又はその部分に連結され得る。例えば、ポリペプチドは、重鎖のCH1、CH2及び/又はCH3ドメインに連結されてもよい。定常領域が軽鎖からのものである場合、それはカッパ又はラムダ軽鎖からのものであることができる。定常領域が重鎖からのものである場合、それは、抗体の以下のクラス:IgG、IgA、IgE、IgD、及びIgMのいずれか1つの抗体からのものであることができる。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4であることができる。定常ドメインはFc断片であってもよい。定常ドメインは、哺乳動物抗体、例えばヒト抗体からのものであることができる。可溶性受容体-IgG融合タンパク質は一般的な免疫学的試薬であり、それらの構築方法は当技術分野において公知である(例えば、米国特許第5,225,538号明細書、同第5,726,044号明細書;同第5,707,632号明細書;同第750,375号明細書、同第5,925,351号明細書、同第6,406,697号明細書及びBergers et al. Science 1999 284: 808-12を参照)。1つの例において、免疫グロブリンは、ヒトIgG、特にはIgG1の重鎖の定常部分であり、2つの重鎖の間の二量体化はヒンジ領域において起こる。融合ポリペプチドの部分としてFc領域のCH2及びCH3ドメインを含めることは、Fc領域を含むポリペプチドのインビボ循環半減期、及び該ポリペプチドを含むオリゴマー又は二量体のインビボ循環半減期を増加させることが認識される。
【0077】
以下の配列は、これらの特有の場合においてscFvにされている、モノクローナル抗体の様々な軽鎖及び重鎖についての核酸及びアミノ酸配列を含む。さらに、相補性決定領域(CDR)は、Kabat規則を使用してIMGT.orgから入手可能なソフトウェアを使用して決定した。以下の表は、Kabat、Clothia、及びIMGT規則を比較する代替的なCDR配列を含み、これらのすべては、本明細書に開示されるCDRを用いて抗体骨格(例えば、ヒト抗体)を改変するために本発明と共に使用され得る。
【0078】
配列例1。配列番号1はExtSP-hD11重鎖(HC)である。
下線は重鎖定常領域であり、太字はエクステンシンシグナルペプチドである。
【0079】
配列番号2はExtSP-hD11 HC、コドン最適化バージョン1であり、
下線は重鎖定常領域であり、太字はエクステンシンシグナルペプチドである。
【0080】
配列番号3はExtSP-hD11 HC、コドン最適化バージョン2であり、
下線は重鎖定常領域であり、太字はエクステンシンシグナルペプチドである。
【0081】
配列番号4はExtSP-hD11軽鎖(LC)であり、斜体は軽鎖定常領域であり、太字はエクステンシンシグナルペプチドである。
【0082】
配列番号5はExtSP-hD11軽鎖(LC)、コドン最適化バージョン1であり、斜体は軽鎖定常領域であり、太字はエクステンシンシグナルペプチドである。
【0083】
配列番号6はExtSP-hD11軽鎖(LC)、コドン最適化バージョン2であり、斜体は軽鎖定常領域であり、太字はエクステンシンシグナルペプチドである。
【0084】
ヒンジ領域、並びにドメインCH2及びCH3を含むヒトIgG1のFc部分は、ヌクレオチド配列(配列番号7):
GAG CCC AAA TCT TGT GAC AAA ACT CAC ACA TGC CCA CCG TGC CCA GCA CCT GAA CTC CTG GGG GGA CCG TCA GTC TTC CTC TTC CCC CCA AAA CCC AAG GAC ACC CTC ATG ATC TCC CGG ACC CCT GAG GTC ACA TGC GTG GTG GTG GAC GTG AGC CAC GAA GAC CCT GAG GTC AAG TTC AAC TGG TAC GTG GAC GGC GTG GAG GTG CAT AAT GCC AAG ACA AAG CCG CGG GAG GAG CAG TAC AAC AGC ACG TAC CGT GTG GTC AGC GTC CTC ACC GTC CTG CAC CAG GAC TGG CTG AAT GGC AAG GAG TAC AAG TGC AAG GTC TCC AAC AAA GCC CTC CCA GCC CCC ATC GAG AAA ACC ATC TCC AAA GCC AAA GGG CAG CCC CGA GAA CCA CAG GTG TAC ACC CTG CCC CCA TCC CGG GAT GAG CTG ACC AAG AAC CAG GTC AGC CTG ACC TGC CTG GTC AAA GGC TTC TAT CCC AGC GAC ATC GCC GTG GAG TGG GAG AGC AAT GGG CAG CCG GAG AAC AAC TAC AAG ACC ACG CCT CCC GTG CTG GAC TCC GAC GGC TCC TTC TTC CTC TAC AGC AAG CTC ACC GTG GAC AAG AGC AGG TGG CAG CAG GGG AAC GTC TTC TCA TGC TCC GTG ATG CAT GAG GCT CTG CAC AAC CAC TAC ACG CAG AAG AGC CTC TCC CTG TCT CCG GGT AAA TGA、
を有し、これは、アミノ酸配列(配列番号8):
Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Asp Glu Leu Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys
を有するポリペプチドをコードする。
【0085】
配列例2。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
定常Igドメインはまた、1又は2以上のエフェクター機能、例えば、Fc受容体への結合及び補体活性化を低減させるか又は排除する1又は2以上の変異を含有することができる(例えば、Morrison, Annu. Rev. Immunol., 10, pp. 239-65 (1992); Duncan and Winter (1988) Nature 332: 738-740;及びXu et al. (1994) J Biol. Chem. 269: 3469-3474を参照)。例えば、ヒトIgG1のLeu235及びPro331に対応するアミノ酸のそれぞれGlu及びSerへの変異が提供される。そのようなコンストラクトは米国特許第6,656,728号明細書においてさらに記載されている。
【0091】
ペプチドは、実質的に純粋な調製物として使用可能であり、例えば調製物中のペプチドの少なくとも約90%は所望されるペプチドである。少なくとも約50%、60%、70%、又は80%の所望されるペプチドを含む組成物もまた使用されてもよい。ペプチドは、変性又は非変性であることができ、その結果として凝集又は非凝集であってもよい。
【0092】
本明細書に包含される他の抗体又はその部分は、修飾されたアミノ酸を含むものである。例示的なペプチドは、グリコシル化、ペグ化、リン酸化又は由来するペプチドの少なくとも1つの生物学的機能を保持する任意の類似した処理により修飾されたものであってもよい派生物ペプチドである。ペプチドはまた、1又は2以上の天然に存在しないアミノ酸を含んでもよい。例えば、非古典的なアミノ酸又は化学的なアミノ酸アナログがペプチド中に置換又は付加として導入され得る。非古典的なアミノ酸は、一般的なアミノ酸のD異性体、2,4-ジアミノ酪酸、アルファ-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、ガンマ-Abu、イプシロン-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、ベータ-アラニン、フルオロ-アミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えばベータ-メチルアミノ酸、Cアルファ-メチルアミノ酸、Nアルファ-メチルアミノ酸、及び一般にアミノ酸アナログを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態において、セレノメチオニンでの置換は(例えば、X線回折分析のために)有用であり得る。さらに、アミノ酸はD(右旋性)又はL(左旋性)であることができる。他の特有の実施形態において、本明細書に列挙されるペプチドの分岐バージョンは、例えば、配列内の1又は2以上のアミノ酸を、1又は2以上のアミノ酸とペプチド結合を形成する能力を有する(及びそのため「分岐」を形成する能力を有する)遊離側鎖を有するアミノ酸又はアミノ酸アナログで置換することにより提供される。環状ペプチドもまた想定される。
【0093】
含まれるのはまた、合成の間又はその後に、例えばベンジル化、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、ペグ化、公知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、抗体分子又は他の細胞リガンドへの連結などにより差次的に修飾されたペプチド派生物である。特有の実施形態において、ペプチドは、N末端におけるアセチル化及び/又はC末端におけるアミド化をされている。
【0094】
提供されるのはまた、抗体又はその部分の派生物、例えば化学的に修飾されたペプチド及びペプチド模倣物である。ペプチド模倣物は、ペプチド及びタンパク質に基づくか、又はそれらから誘導された化合物である。ペプチド模倣物は、非天然アミノ酸、配座制限、及び等配電子置換などを使用して公知のペプチド配列の構造修飾により得られ得る。対象ペプチド模倣物は、ペプチドと非ペプチド合成構造物との間の構造空間の連続体を構成し;ペプチド模倣物は、したがって、ファーマコフォアの描写及び親ペプチドの活性を有する非ペプチド化合物へのペプチドの翻訳を助けるのに有用であり得る。
【0095】
抗体又はその部分のミメトープ(Mimetopes)は本開示に含まれる。そのようなペプチド模倣物は、加水分解不可能(例えば、プロテアーゼ若しくは対応するペプチドを分解させる他の生理学的条件に対する増加した安定性)、細胞分化を刺激するための増加した特異性及び/又は効力などの属性を有することができる。実例的な目的のために、ペプチドアナログは、例えば、ベンゾジアゼピン(例えば、Freidinger et al., Peptides: Chemistry and Biology, G. R. Marshall ed., ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988を参照)、置換されたガンマラクタム環(Garvey et al., Peptides: Chemistry and Biology, G. R. Marshall ed., ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988, p 123)、C-7模倣物(Huffman et al., Peptides: Chemistry and Biology, G. R. Marshall ed., ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988, p. 105)、ケト-メチレン偽ペプチド(Ewenson et al. (1986) J Med Chem 29:295;及びEwenson et al., Peptides: Structure and Function (Proceedings of the 9th American Peptide Symposium) Pierce Chemical Co. Rockland, Ill., 1985)、βターンジペプチドコア(Nagai et al. (1985) Tetrahedron Lett 26:647;及びSato et al. (1986) J Chem Soc Perkin Trans 1: 1231)、β-アミノアルコール(Gordon et al. (1985) Biochem Biophys Res Commun 126:419;及びDann et al. (1986) Biochem Biophys Res Commun 134:71)、ジアミノケトン(Nataraj an et al. (1984) Biochem Biophys Res Commun 124:141)、並びにメチレンアミノ修飾(Roark et al., Peptides: Chemistry and Biology, G. R. Marshall ed., ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988, p 134)を使用して生成され得る。一般に、Session III: Analytic and synthetic methods, Peptides: Chemistry and Biology, G. R. Marshall ed., ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988も参照されたい。
【0096】
ペプチド模倣物を生成するために実行され得る様々な側鎖置換に加えて、本開示は、ペプチド二次構造の配座制限された模倣物の使用を特に想定する。多数の代用物がペプチドのアミド結合のために開発されている。アミド結合のための頻繁に活用される代用物は、以下の基(i)トランス-オレフィン、(ii)フルオロアルケン、(iii)メチレンアミノ、(iv)ホスホンアミド、及び(v)スルホンアミドを含む。追加的に、ペプチドの骨格のより実質的な修飾に基づくペプチド模倣物が使用され得る。このカテゴリーに入るペプチド模倣物は、(i)レトロインベルソアナログ、及び(ii)N-アルキルグリシンアナログ(いわゆるペプトイド)を含む。さらには、コンビナトリアル化学の方法が、ペプチド模倣物を産生するために使用され得る。例えば、いわゆる「ペプチドモーフィング」(peptide morphing)戦略の一部の実施形態は、広範囲のペプチド結合代用物を含むペプチドアナログのライブラリーのランダムな生成に焦点を当てている。例示的な実施形態において、ペプチド模倣物は、ペプチドのレトロインベルソアナログとして誘導され得る。そのようなレトロインベルソアナログは、当技術分野において公知の方法、例えばSisto et al.、米国特許第4,522,752号明細書に記載される方法に従って作製され得る。レトロインベルソアナログは、例えばPCT国際公開第WO00/01720号パンフレットに記載されるように生成され得る。混合されたペプチド、例えば一部の通常のペプチド連結を含むものが生成され得る。一般的なガイドとして、タンパク質加水分解に対して最も感受性の部位が典型的には変更され、より低い感受性のアミド連結は模倣性スイッチングのために任意である。最終生成物、又はその中間体は、HPLCにより精製され得る。
【0097】
抗体又はその部分(ペプチドのアミド化された形態を含む)は、当技術分野において周知の自動化された固相手順により容易に合成され得る。固相合成のための技術及び手順は、Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach, E. Atherton and R. C. Sheppard, IRL, Oxford University Press, 1989に記載されている。代替的に、これらのペプチドは、例えば、Liu et al., Tetrahedron Lett. 37:933-936, 1996; Baca et al., J. Am. Chem. Soc. 117:1881-1887, 1995; Tam et al., Int. J. Peptide Protein Res. 45:209-216, 1995; Schnolzer and Kent, Science 256:221-225, 1992; Liu and Tam, J. Am. Chem. Soc. 116:4149-4153, 1994; Liu and Tam, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:6584-6588, 1994;及びYamashiro and Li, Int. J. Peptide Protein Res. 31:322-334, 1988に記載されるように、セグメント縮合によって調製されてもよい。本開示のペプチドを合成するために有用な他の方法は、Nakagawa et al., J. Am. Chem. Soc. 107:7087-7092, 1985に記載されている。本開示のペプチドはまた、合成ペプチドの商用供給業者から容易に購入することができる。そのような供給業者は、例えば、Advanced ChemTech社(Louisville、Ky.)、Applied Biosystems社(Foster City、Calif.)、Anaspec社(San Jose、Calif.)、及びCell Essentials社(Boston、Mass.)を含む。
【0098】
抗体又はその部分をコードするポリヌクレオチド及び宿主細胞。
【0099】
本明細書に開示される抗体又はその部分をコードするポリヌクレオチドもまた提供される。これらのポリヌクレオチドは、所望のペプチドをコードするDNA、cDNA及びRNA配列を含む。コーディング配列中のサイレント変異は、1つより多くのコドンが同じアミノ酸残基をコードすることができる遺伝コードの縮重(すなわち、重複)の結果としてもたらされる。そのため、例えば、ロイシンは、CTT、CTC、CTA、CTG、TTA、又はTTGによりコードされ得;セリンは、TCT、TCC、TCA、TCG、AGT、又はAGCによりコードされ得;アスパラギンはAAT又はAACによりコードされ得;アスパラギン酸は、GAT又はGACによりコードされ得;システインはTGT又はTGCによりコードされ得;アラニンは、GCT、GCC、GCA、又はGCGによりコードされ得;グルタミンはCAA又はCAGによりコードされ得;チロシンはTAT又はTACによりコードされ得;イソロイシンは、ATT、ATC、又はATAによりコードされ得る。標準的な遺伝コードを示す表は、様々な供給源において見出され得る(例えば、Stryer, 1988, Biochemistry, 3.sup.rd Edition, W.H. 5 Freeman and Co., NYを参照)。
【0100】
抗体又はその部分をコードする核酸は、インビトロの方法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ鎖反応(LCR,ligase chain reaction)、転写ベース増幅システム(TAS,transcription-based amplification system)、自己持続性配列複製システム(3SR,self-sustained sequence replication system)及びQβレプリカーゼ増幅システム(QB)によりクローニング又は増幅され得る。例えば、タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、分子のDNA配列に基づくプライマーを使用してcDNAのポリメラーゼ連鎖反応により単離され得る。多様なクローニング及びインビトロ増幅の方法論が当業者に周知である。PCR法は、例えば、米国特許第4,683,195号明細書;Mullis et al., Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 51:263, 1987;及びErlich, ed., PCR Technology, (Stockton Press, NY, 1989)に記載されている。ポリヌクレオチドはまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で所望されるポリヌクレオチドの配列から選択されるプローブを用いてゲノム又はcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより単離され得る。
【0101】
抗体又はその部分をコードするポリヌクレオチドは、自律複製プラスミド若しくはウイルス中のベクター中に若しくは原核生物若しくは真核生物のゲノムDNA中に組み込まれるか、又は他の配列から独立した別々の分子(例えばcDNA)として存在する組換えDNAを含む。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はいずれかのヌクレオチドの修飾された形態であることができる。該用語は、DNAの一本鎖及び二本鎖形態を含む。
【0102】
一部の実施形態において、ベクターは、酵母、例えばS.セレビシエ(S. cerevisiae)又はクルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)における発現のために使用される。複数のプロモーターが、酵母発現システムにおける使用のために公知であり、例えば形質膜H+-ATPアーゼ(PMA1)、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)、ホスホグリセリン酸キナーゼ-1(PGK1)、アルコールデヒドロゲナーゼ-1(ADH1)、及び多剤耐性ポンプ(PDR5,pleiotropic drug-resistant pump)の構成的プロモーターがある。追加的に、多くの誘導性プロモーターが使用され、例えばGAL1-10(ガラクトースにより誘導される)、PHO5(低い細胞外無機リン酸により誘導される)、及びタンデム熱ショックHSEエレメント(37℃への温度上昇により誘導される)がある。滴定可能な誘導因子に応答して可変の発現を指令するプロモーターは、メチオニン応答性MET3及びMET25プロモーター並びに銅依存性CUP1プロモーターを含む。これらのプロモーターのいずれも、発現レベルにおける追加のレベルの制御を与えるために複数コピー(2μ)又は単一コピー(CEN)のプラスミドにクローニングされてもよい。プラスミドは、酵母における選択用の栄養マーカー(例えばURA3、ADE3、HIS1、及びその他)並びに細菌における繁殖用の抗生物質耐性(AMP)を含むことができる。K.ラクティスにおける発現用のプラスミドは公知であり、例えばpKLAC1がある。そのため、1つの例において、細菌における増幅後に、プラスミドは、細菌形質転換と類似した方法により対応する酵母栄養要求株に導入され得る。ポリヌクレオチドはまた、昆虫細胞における発現のために設計され得る。
【0103】
抗体又はその部分は、様々な酵母株において発現され得る。例えば、7つの多剤耐性トランスポーター、YOR1、SNQ2、PDR5、YCF1、PDR10、PDR11、及びPDR15が、それらの活性化転写因子、PDR1及びPDR3と共に、酵母宿主細胞において同時に欠失されており、これは結果的な株を薬物に対して感受性としている。形質膜の脂質組成の変更を伴う酵母株、例えばエルゴステロール生合成において欠陥性のerg6変異体もまた利用され得る。タンパク質加水分解に対して高度に感受性のタンパク質は、他の液胞ヒドロラーゼの活性化を制御するマスター液胞エンドペプチダーゼPep4を欠いた酵母において発現され得る。遺伝子の温度感受性(ts)アレルを有する株における異種発現が、対応するヌル変異体が生存不能である場合に用いられ得る。
【0104】
本明細書に開示される抗体又はその部分をコードするウイルスベクターもまた調製され得る。ポリオーマ、SV40(Madzak et al., 1992, J. Gen. Virol., 73:15331536)、アデノウイルス(Berkner, 1992, Cur. Top. Microbiol. Immunol., 158:39-6; Berliner et al., 1988, Bio Techniques, 6:616-629; Gorziglia et al., 1992, J. Virol., 66:4407-4412; Quantin et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:2581-2584; Rosenfeld et al., 1992, Cell, 68:143-155; Wilkinson et al., 1992, Nucl. Acids Res., 20:2233-2239; Stratford-Perricaudet et al., 1990, Hum. Gene Ther., 1:241-256)、ワクシニアウイルス(Mackett et al., 1992, Biotechnology, 24:495-499)、アデノ随伴ウイルス(Muzyczka, 1992, Curr. Top. Microbiol. Immunol. 158:91-123; On et al., 1990, Gene, 89:279-282)、HSV及びEBVを含むヘルペスウイルス(Margolskee, 1992, Curr. Top. Microbiol. Immunol., 158:67-90; Johnson et al., 1992, J. Virol., 66:29522965; Fink et al., 1992, Hum. Gene Ther. 3:11-19; Breakfield et al., 1987, Mol. Neurobiol., 1:337-371; Fresse et al., 1990, Biochem. Pharmacol. 40:2189-2199)、シンドビスウイルス(Herweijer et al., 1995, Human Gene Therapy 6:1161-1167;米国特許第5,091,309号明細書及び同第5,217,879号明細書)、アルファウイルス(Schlesinger, 1993, Trends Biotechnol. 11:18-22; Frolov et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:11371-11377)並びに鳥類(Brandyopadhyay et al., 1984, Mol. Cell Biol., 4:749-754; Petropouplos et al., 1992, J. Virol., 66:3391-3397)、マウス(Miller, 1992, Curr. Top. Microbiol. Immunol., 158:1-24; Miller et al., 1985, Mol. Cell Biol., 5:431-437; Sorge et al., 1984, Mol. Cell Biol., 4:1730-1737; Mann et al., 1985, J. Virol., 54:401-407)、及びヒト起源(Page et al., 1990, J. Virol., 64:5370-5276; Buchschalcher et al., 1992, J. Virol., 66:2731-2739)のレトロウイルスを含む、多数のウイルスベクターが構築されている。バキュロウイルス(オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス;AcMNPV)ベクターもまた当技術分野において公知であり、商用の供給元(例えばPharMingen社、San Diego、Calif.;Protein Sciences Corp.社、Meriden、Conn.;Stratagene社、La Jolla、Calif.)から得られ得る。
【0105】
そのため、一部の実施形態において、抗体又はその部分をコードするポリヌクレオチドはウイルスベクター中に含まれる。適切なベクターは、レトロウイルスベクター、オルソポックスベクター、アビポックスベクター、ファウルポックスベクター、カプリポックスベクター、スイポックスベクター、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、アルファウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、シンドビスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター及びポリオウイルスベクターを含む。特有の例示的なベクターは、ポックスウイルスベクター、例えばワクシニアウイルス、ファウルポックスウイルス及び高度に弱毒化されたワクシニアウイルス(MVA)、アデノウイルス、並びにバキュロウイルスなどである。
【0106】
使用されるポックスウイルスは、オルソポックス、スイポックス、アビポックス、及びカプリポックスウイルスを含む。オルソポックスは、ワクシニア、エクトロメリア、及びアライグマポックスを含む。使用されるオルソポックスの1つの例はワクシニアである。アビポックスは、ファウルポックス、カナリアポックス及びピジョンポックスを含む。カプリポックスはゴートポックス及びシープポックスを含む。1つの例において、スイポックスはスワインポックスである。発現用のポックスウイルスベクターの例は、例えば、米国特許第6,165,460号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。使用され得る他のウイルスベクターは、他のDNAウイルス、例えばヘルペスウイルス及びアデノウイルス、並びにRNAウイルス、例えばレトロウイルス及びポリオを含む。
【0107】
適切なベクターは、例えば、米国特許第6,998,252号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。1つの例において、組換えポックスウイルス、例えば組換えワクシニアウイルスは、抗体又はその部分をコードする隣接するワクシニア調節DNA配列と天然において連続していないDNA配列と隣接しているワクシニア調節配列又はそれと機能的に同等のDNA配列を含有するキメラ遺伝子の挿入により合成的に改変される。そのようなキメラ遺伝子を含有する組換えウイルスは、抗体又はその部分の発現において有効である。1つの例において、ワクチンウイルスベクターは、(A)(i)抗体又はその部分をコードする第1のDNA配列及び(ii)抗体又はその部分をコードするDNA配列に隣接し、該DNA配列にかけて転写制御を発揮するポックスウイルスプロモーター、を含むセグメント;並びに前記セグメントに隣接して、(B)ポックスウイルスゲノムの非必須領域からのDNAを含む。ウイルスベクターは選択マーカーをコードすることができる。1つの例において、ポックスウイルスは、例えば、チミジンキナーゼ遺伝子(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,998,252号明細書を参照)を含む。
【0108】
抗体又はその部分をコードする核酸配列に作動可能に連結された少なくとも1つの発現制御エレメントの制御下の、エクステンシンシグナルペプチド及び抗体又はその部分を含む融合タンパク質をコードするポックスウイルスベクター。発現制御エレメントは、核酸配列の発現を制御及び調節するためにポックスウイルスベクターに挿入される。これらのベクターにおいて使用される発現制御エレメントの例は、lacシステム、ファージラムダのオペレーター及びプロモーター領域、酵母プロモーター並びにポリオーマ、アデノウイルス、レトロウイルス又はSV40に由来するプロモーターを含むが、これらに限定されない。追加の操作可能なエレメントは、リーダー配列、終止コドン、ポリアデニル化シグナル並びに宿主システムにおける抗体又はその部分をコードする核酸配列の適当な転写及び引き続いての翻訳のために必要な任意の他の配列を含むが、これらに限定されない。発現ベクターは、宿主システムにおける核酸配列を含有する発現ベクターの移入及び引き続いての複製のために必要な追加のエレメントを含有することができる。そのようなエレメントの例は、複製起点及び選択マーカーを含むが、これらに限定されない。そのようなベクターは、従来の方法(Ausubel et al., (1987), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, New York, N.Y.)を使用して容易に構築され、また商業的に入手可能であることが当業者によりさらに理解される。
【0109】
抗体又はその部分をコードする異種DNA配列を含有する組換えDNAウイルスを調製するための基本的な技術は当技術分野において公知である。そのような技術は、例えば、ドナープラスミド中のDNA配列に隣接するウイルスDNA配列と親ウイルス中に存在する相同配列との間の相同組換えを伴う(Mackett et al., 1982, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:7415-7419)。特に、組換えウイルスベクター、例えばポックスウイルスベクターは、遺伝子の送達において使用され得る。ベクターは、例えば、当技術分野において公知のステップ、例えば、米国特許第5,093,258号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるファウルポックスウイルスの合成組換え体を作出する方法に類似のステップにより構築され得る。他の技術は、親ウイルスベクター中に天然に存在するか又は人工的に挿入された独特の制限エンドヌクレアーゼ部位を使用して異種DNAを挿入するステップを含む。
【0110】
抗体又はその部分をコードするDNA配列は、適切な宿主細胞中へのDNA移入によりインビトロで発現され得る。細胞は原核性又は真核性であってもよい。該用語はまた、対象宿主細胞の任意の子孫を含む。複製の間に変異が起こり得るため、すべての子孫が親細胞と同一とは限らないことが理解される。安定な移入、すなわち外来DNAが宿主中で連続的に維持される方法は当技術分野において公知である。
【0111】
上述されるように、抗体又はその部分をコードするポリヌクレオチド配列は、発現制御配列に作動可能に連結され得る。コーディング配列に作動可能に連結された発現制御配列は、コーディング配列の発現が発現制御配列と適合性の条件下で達成されるようにライゲートされる。発現制御配列は、適当なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質コーディング遺伝子の前にある開始コドン(すなわち、ATG)、イントロンのためのスプライシングシグナル、mRNAの適正な翻訳を可能にするためのその遺伝子の正確なリーディングフレームの維持、及び終止コドンを含むが、これらに限定されない。
【0112】
宿主細胞は、微小生物、酵母、昆虫及び哺乳動物宿主細胞を含むことができる。
【0113】
原核生物中で真核又はウイルス配列を有するDNA配列を発現させる方法は当技術分野において周知である。適切な宿主細胞の非限定的な例は、細菌、古細菌、昆虫、真菌(例えば、酵母)、植物、及び動物細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えばヒト)を含む。使用される例示的な細胞は、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、SF9細胞、C129細胞、293細胞、ニューロスポラ(Neurospora)、並びに不死化された哺乳動物骨髄及びリンパ系細胞株を含む。培養における哺乳動物細胞の繁殖のための技術は周知である(Jakoby and Pastan (eds), 1979, Cell Culture. Methods in Enzymology, volume 58, Academic Press, Inc., Harcourt Brace Jovanovich, N.Y.を参照)。一般的に使用される哺乳動物宿主細胞株の例は、VERO及びHeLa細胞、CHO細胞、並びにWI38、BHK、及びCOS細胞株であるが、細胞株、例えば、より高い発現、望ましいグリコシル化パターン、又は他の特色を提供するように設計された細胞が使用されてもよい。上記で議論されたように、酵母細胞の形質転換のための技術、例えばポリエチレングリコール形質転換、プロトプラスト形質転換及び遺伝子銃もまた当技術分野において公知である(Gietz and Woods, Meth Enzymol 350: 87-96, 2002を参照)。
【0114】
組換えDNAでの宿主細胞の形質転換は、当業者に周知のように従来技術により実行され得る。宿主が原核性、例えば、以下に限定されないが、大腸菌である場合、DNA取込みする能力を有するコンピテント細胞は、指数増殖期後に採取された細胞から調製され、引き続いて当技術分野において周知の手順を使用してCaCl2法により処理され得る。代替的に、MgCl2又はRbClが使用され得る。形質転換はまた、所望される場合に宿主細胞のプロトプラストを形成した後に、又はエレクトロポレーションにより行われ得る。
【0115】
宿主が真核生物である場合、リン酸カルシウム共沈殿などのDNAのトランスフェクション方法、従来の機械的な手順、例えば微量注射、エレクトロポレーション、リポソーム中に包まれたプラスミド、又はウイルスベクターの挿入が使用され得る。真核細胞はまた、抗体又はその部分をコードするポリヌクレオチド配列、及び選択可能な表現型をコードする第2の外来DNA分子、例えば単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子と併用形質転換され得る。別の方法は、真核細胞に一過的に感染させるか又は真核細胞を形質転換し、タンパク質を発現させるために真核ウイルスベクター、例えばシミアンウイルス40(SV40)又はウシパピローマウイルスを使用する(例えば、Eukaryotic Viral Vectors, Cold Spring Harbor Laboratory, Gluzman ed., 1982を参照)。
【0116】
抗体又はその部分及びバリアントはまた植物において産生され得る。例えば、ポリペプチドは、例えば、米国特許第7,491,509号明細書(参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、IBIOLAUNCH(商標)遺伝子発現プラットフォーム(iBio, Inc.社、Newark、DE)を使用して植物において発現され得る。IBIOLAUNCH(商標)プラットフォームは、非トランスジェニック植物において高いレベルの標的タンパク質を産生するために使用され得る。このプラットフォームは、動物細胞、又は微小生物を利用する方法を上回る、トランスジェニック植物を要求するシステムを上回る利益を有することができる。
【0117】
このシステムを使用するために、所望される遺伝子はIBIOLAUNCH(商標)ベクター中にクローニングされ、該ベクターは(例えば、自動化された真空浸潤により)植物の葉に導入される。ベクターは、幹及び葉における細胞に拡大され、そこで所望されるタンパク質は次の4~7日にかけて極めて高いレベルで発現される。緑色植物材料は次に採取され、タンパク質産物は精製される。IBIOLAUNCH(商標)遺伝子発現方法の全体は、同じ設備において新たな植物作物を用いて異なるタンパク質について繰り返すことができ、これによりこの技術は、タンパク質薬物及びワクチンを産生するための最も柔軟で最も迅速な仕方となる。1つの例において、軽鎖及び重鎖は、浸潤のために別々のベクター上にあるが、同じベクター上で発現され得る。
【0118】
植物発現ベクターシステムは、1又は2以上のウイルスベクター構成要素を含むことができる。様々な植物種に感染し、ポリヌクレオチド発現のために用いられ得る多様なウイルスが公知である。植物に感染するウイルスの科は、トバモウイルス科(Tobamoviridae)、カリモウイルス科(dsDNA)、ジェミニウイルス科(ssDNA)、レオウイルス科及びパルティティウイルス科(dsRNA)、及びラブドウイルス科、ブニヤウイルス科、ブロモウイルス科、及びコモウイルス科(ssRNA)を含むが、これらに限定されない。追加の情報は、例えば、“The Classification and Nomenclature of Viruses, Sixth Report of the International Committee on Taxonomy of Viruses” (Ed. Murphy et al.), Springer Verlag: New York, 1995(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)に見出され得る(Grierson et al., Plant Molecular Biology, Blackie, London, pp. 126-146, 1984; Gluzman et al., Communications in Molecular Biology: Viral Vectors, Cold Spring Harbor Laboratory, NY, pp. 172-189, 1988;及びMathew, Plant Viruses Onlineも参照)。
【0119】
局所(葉内)感染又は全身感染のいずれかを成功裏に確立するためにウイルスは複製できなければならない。多くのウイルスは、複製プロセスに参加する1又は2以上のタンパク質(本明細書において複製タンパク質又はレプリカーゼタンパク質と称される)をコードする遺伝子を含有する。例えば、多くのRNA植物ウイルスはRNAポリメラーゼをコードする。追加のタンパク質、例えばヘリカーゼ又はメチルトランスフェラーゼタンパク質もまた要求され得る。ウイルスゲノムは、複製タンパク質をコードする機能的な遺伝子に加えて様々な配列構成要素を含有してもよく、これもまた複製のために要求されるか又は複製を促す。
【0120】
植物に感染するいかなるウイルスも、本明細書に記載される方法に従ってウイルスベクター又はベクターシステムを調製するために使用され得る。ssRNAウイルス、特に(+)鎖ゲノムを有するssRNAウイルスは特に有用であり得る。そのようなウイルス中に存在する遺伝材料をマニピュレートするための技術及び試薬は、当技術分野において周知のものを含む。典型的には、例えば、ウイルスゲノムのDNAコピーが調製され、微小生物ベクター(例えば、細菌ベクター)中にクローニングされる。ジェミニウイルスを含む、ある特定のssDNAウイルスは特に有用である。一般にベクター及びウイルスゲノムはRNA又はDNA形態において存在してもよいことが理解される。追加的に、DNAベクター内に存在する、RNAウイルスのゲノム又はその部分などの特色が言及される場合、該特色はRNA形態のDNAコピーとして存在することが理解されるべきである。
【0121】
多数の異なるタイプのウイルスが使用され得る。適切なウイルスは、例えば、ブロモウイルス科(例えば、ブロモウイルス、アルファモウイルス、イラルウイルス)及びトバモウイルス科のメンバーを含む。有用なウイルス種は、例えば、アルファルファモザイクウイルス(AlMV)、リンゴクロロティックリーフスポットウイルス、リンゴステムグルービングウイルス、オオムギ斑葉モザイクウイルス、オオムギ黄萎ウイルス、ビーン黄萎ウイルス、ビート黄化ウイルス、ソラマメ斑点ウイルス、ソラマメウィルトウイルス、ブロムモザイクウイルス(BMV)、カーネーション潜在ウイルス、カーネーション斑点ウイルス、カーネーション輪紋ウイルス、ニンジン斑点ウイルス、キャッサバ潜在ウイルス(CLV)、ササゲクロロティック斑点ウイルス、ササゲモザイクウイルス(CPMV)、キュウリ緑斑モザイクウイルス、キュウリモザイクウイルス、レタス感染性黄化ウイルス、メイズクロロティック斑点ウイルス、メイズラヤドフィノウイルス(Maize Rayado Fino Virus)、メイズ条斑ウイルス(MSV)、パースニップ黄化フレックウイルス、エンドウマメひだ葉モザイクウイルス、ポテトウイルスX、ポテトウイルスY、ラズベリー黄化ウイルス、イネ壊死ウイルス(RNV)、イネ縞葉枯ウイルス、イネツングロ球状ウイルス、ライグラスモザイクウイルス、ムギ類モザイクウイルス、インゲンマメ南部モザイクウイルス、タバコエッチウイルス(TEV)、タバコモザイクウイルス(TMV)、タバコ壊死ウイルス、タバコラトルウイルス、タバコリングスポットウイルス、トマトブッシースタントウイルス、トマトゴールデンモザイクウイルス(TGMV)、及びカブ黄色モザイクウイルス(TYMV)を含む。
【0122】
これらの植物ウイルスのエレメントは、本明細書において提供される抗体又はその部分を含む、所望のポリペプチドの植物産生における使用のためのウイルスベクターを生成するために公知の技術(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Press, NY, 1989; Clover et al., Molecular Cloning, IRL Press, Oxford, 1985; Dason et al., Virology, 172:285-292, 1989; Takamatsu et al., EMBO J. 6:307-311, 1987; French et al., Science 231: 1294-1297, 1986; Takamatsu et al., FEBS Lett. 269:73-76, 1990; Yusibov and Loesch-Fries, Virology, 208(1): 405-7, 1995;及びSpitsin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96(5): 2549-53, 1999を参照)に従って遺伝子操作される。少なくとも2つのベクターが用いられ、その1つ又は両方は全身感染する能力を有しないが、一緒になって、ベクターの少なくとも1つの全身感染をサポートするため及び植物の全体を通じて所望のポリヌクレオチドの発現を可能とするために必要とされるすべての機能を提供する。そのため、ウイルス構成要素は、全身感染能力を提供するためにトランスで互いを補完することができる。
【0123】
特に、プロデューサーベクターが調製される。このベクターは、関連する植物宿主において発現を指令する調節配列の制御下の所望のポリヌクレオチド(例えば、抗体又はその部分をコードするポリヌクレオチド)を含む。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、ウイルスプロモーター、例えばCPプロモーターの制御下に置かれる。例えば、それは、天然のウイルスCP遺伝子を所望のポリヌクレオチドで置き換えるために望ましいものであることができる。プロデューサーベクターは、全身移動のために要求される1又は2以上の構成要素を欠いている。例えば、プロデューサーベクターは、機能的なCP(例えば、CP遺伝子)の発現のために十分な配列を含有しなくてもよいが、細胞間移動タンパク質をコードする遺伝子を含んでもよい。プロデューサーベクターは、シスで存在する場合にウイルスの拡大を促すためにシスで要求され得る1又は2以上の配列エレメント(例えば、アセンブリーの起点)を含有してもよい。例えば、プロデューサーベクターは、プロデューサーウイルスとしての同じタイプのウイルスからの又は別のウイルスからの、CPの活性のために必要とされるか又は該活性を促すアセンブリーの起点を含有してもよい。そのような配列エレメントは、CPのための認識部位を含んでもよい。他の実施形態において、プロデューサーベクターは、機能的なMP及び/又はレプリカーゼタンパク質の発現のために十分な配列を欠いていてもよい。これらの実施形態において、プロデューサーベクターは、機能的なCPの発現のために十分な配列を欠いていてもよく、又はそうでなくてもよい。
【0124】
キャリアベクターもまた調製される。このベクターは、プロデューサーベクター中に欠けている全身感染のために必要とされる構成要素を提供するようにプロデューサーベクターを補完する。例えば、ある特定のキャリアベクターは、機能的なコートタンパク質をコードする構成要素を含む。これらのキャリアベクターは、機能的なコートタンパク質をコードする構成要素を欠いたプロデューサーベクターを補完するために適切である。キャリアベクターは、プロデューサーベクター中にもそのような構成要素が存在しないという条件で、植物の全身感染成功のために要求される少なくとも1つのウイルス構成要素(例えば、レプリカーゼ又は移動タンパク質をコードする遺伝子)を欠いていてもよい。キャリアベクターは、所望のポリヌクレオチド(プロデューサーベクター中の所望のポリヌクレオチドと同じであってもよく、又は異なってもよい)を含んでもよい。そのような場合において、非標的植物への組換えキャリアベクターの拡大を最小化するために、例えば、1又は2以上の必要なシス作用性配列を欠いていることを理由として、全身感染のために欠陥性であるキャリアベクターを使用することが望ましい場合がある。
【0125】
キャリアベクターは、細胞間移動構成要素(例えば、細胞間移動タンパク質若しくは細胞間移動のために必要とされる非コーディング構成要素をコードする遺伝子)を含んでもよく(但しその必要はない)、及び/又は1若しくは2以上のレプリカーゼタンパク質をコードする構成要素を欠いていてもよい。キャリアベクターが細胞間移動構成要素(例えば、機能的なMPをコードする構成部分)を含まない実施形態において、そのような構成要素はプロデューサーベクター中に含まれるべきである。
【0126】
完全なベクターセットは、所望のポリヌクレオチドの全身ウイルス感染及び発現の成功のために必要なすべての構成要素を含む。用語「構成要素」は、タンパク質コーディング配列及び非コーディング配列、例えばシス作用性配列(例えば、プロモーター、アセンブリーの起点、mRNA中の非翻訳領域に対応する部分)の両方を含むことが意図される。異なるベクター、又はベクターエレメントは、異なる植物ウイルスに由来してもよい。実際に、異なるウイルス的特徴(例えば、宿主範囲、プロモーター活性レベル、ビリオンの寸法など)を利用するために異なるウイルスのエレメントからベクターを調製することが望ましい場合がある。
【0127】
一部の実施形態において、所望のポリヌクレオチド、レプリカーゼ遺伝子、及び移動タンパク質遺伝子を含むが、機能的なコートタンパク質をコードする構成要素を欠いているプロデューサーベクターが提供され、コートタンパク質遺伝子を発現するキャリアベクターが提供される。例えば、プロデューサーベクターは、TMV CPコーディング配列が、TMV CPプロモーターの制御下の、所望のポリヌクレオチドにより置き換えられているTMVベースベクターを含んでもよい。このプロデューサーベクターは全身的に移動することができない。野生型AlMVベクターはキャリアベクターとして役立つことができる。AlMVベクターは、機能的なコートタンパク質をコードする構成要素を含有する。プロデューサーベクター及びキャリアベクターの両方を用いた併用感染は、TMVベースベクターを補完するためにAlMVベクターCPコーディング配列からCPが産生されることを可能として、TMVベースベクターの全身移動及び最初に感染していなかった葉におけるポリヌクレオチドの発現を結果としてもたらす。代替的に、AlMV CPの発現のために要求されるウイルス構成要素以外の1又は2以上のウイルス構成要素が除去されているAlMVベースベクターが使用可能であり(例えば、機能的なMP又は複製タンパク質をコードする構成要素を欠いたAlMVベースベクター)、但し、機能的なCPコーディング配列及び作動可能に連結されたプロモーターが存在する。CPは、AlMV又は別のウイルスからのものであることができる。
【0128】
一部の実施形態において、CPは、キャリアベクターの全身移動を可能とし、他の実施形態において、キャリアベクターの全身移動を可能としないがプロデューサーベクターの全身移動を可能とするCPが選択される。AlMV CPの発現のために要求されるウイルス構成要素以外のウイルス構成要素の1又は2以上をキャリアベクターが欠いている実施形態において、プロデューサーベクターはキャリアベクターを補完してもよい。例えば、プロデューサーベクターは、構成要素、例えばキャリアベクター(及び、一部の場合においてまた、プロデューサーベクター)のそれぞれ細胞間移動又は複製を可能とする機能的なMP又はレプリカーゼタンパク質コーディング配列を供給してもよい。プロデューサー又はキャリアのいずれかが、複製タンパク質をコードする構成要素(例えば、機能的なRNAポリメラーゼをコードする構成要素)を欠いており、他のベクター(それぞれキャリア又はプロデューサー)が欠けている構成要素を供給する場合、複製機能の有効なトランス補完を達成するために、機能的な複製構成要素を供給するベクターからのプロモーター(例えば、ゲノムプロモーター)を、機能的な複製タンパク質をコードする構成要素を欠いたベクターに挿入することが多くの場合に望ましいことが理解される。
【0129】
有用なウイルスベクターシステムの別の例は、所望のポリヌクレオチドがAlMVベクターに挿入されて、ネイティブなAlMV CPをコードする構成要素を置き換えているプロデューサーベクターを含む。所望のポリヌクレオチドはAlMV CPプロモーターの制御下に置かれる。このプロデューサーベクターは、CPを欠いているため全身感染する能力を有しないが、感染した葉内で複製され、細胞間移動することができる。システムはまた、カリフラワーモザイクウイルス(CMV)ベースキャリアベクターを含み、該キャリアベクターにおいて、AlMV CPをコードする部分は、AlMV CP 3’UTRあり又はなしでCMVベクターに挿入されて、天然に存在するCMVのゲノム中に見出されるCMV CPをコードする構成要素を置き換えている。AlMV CPをコードする構成要素はCMV CPプロモーターの制御下に置かれる。このベクターはAlMV CPを発現する。プロデューサー及びキャリアベクターを用いた併用感染は、キャリアベクターからCPが発現されて、機能的なCPをコードする構成要素をプロデューサーベクターが欠いていることをトランスで補完して、プロデューサーベクターの全身移動を可能とする。AlMV CPはまたキャリアベクターの全身移動を可能とする。
【0130】
一部の実施形態において、コーディング又は非コーディング配列の部分をキャリアベクターからプロデューサーベクターへ、又はその逆に挿入することが望ましい場合があり得る。例えば、ある特定の配列は、複製を増強するか又は細胞間若しくは長距離移動を促してもよい。特に、ある特定の配列は、ウイルス転写物とCPとの間の複合体の形成のための認識部位(例えば、アセンブリーの起点)として役立ってもよい。そのような場合、第1のウイルスベクターの全身移動が、第2のウイルスベクターからトランスで提供されるCPを使用して達成されるべき場合、CPの活性を促す第2のウイルスベクターからのそのような配列を第1のウイルスベクターに挿入することが望ましい場合がある。そのような配列は、例えば、ウイルス転写物3’UTRの部分又は全体を含んでもよい。一部の場合において、AlMVのRNA3 3’UTRの部分又は全体が異なるウイルスベクター、例えば、TMVベースベクターに挿入される。TMVベースベクター中にこの構成要素を含めることは、機能的なTMV CPをコードする部分を欠いているTMVベースベクターをトランスで補完するAlMV CPの能力を促す。この一般的な原理は、トランス補完性ベクター、例えば、トランス補完性プロデューサー及びキャリアベクターシステムを含むいかなるウイルスベクターシステムに応用されてもよいことが理解される。
【0131】
当業者により理解されるように、ベクターセットが、全身ウイルス感染する能力を有しない(例えば、1又は2以上の機能的な複製タンパク質、移動タンパク質、又はコートタンパク質をコードする構成要素を欠いている)プロデューサーベクター及びプロデューサーベクターにおいて欠いている機能を提供するキャリアベクターを含む限り、そのセットは、本明細書に記載される方法による使用のために適当である。一部の実施形態において、個々のベクターのいずれも全身ウイルス感染する能力を有しないが、セットとして、ベクターの1つ又は両方は、そのような感染及び所望のポリヌクレオチドの発現の能力がある。そのようなシステムは多数の利点を付与することができる。例えば、プロデューサーベクターがキャリアベクターの非存在下で植物に感染する場合、全身感染は結果として生じないことが理解される。これは、所望のポリヌクレオチドが、標的植物と同じ種であっても、意図されない(非標的)植物において発現されるリスクを減少させる。特に、キャリアベクターが複製若しくは細胞間移動の能力がない(複製若しくは細胞間移動のために要求される構成要素を欠いているため)場合又はキャリアベクターが全身感染の能力がない(例えば、シス作用性配列、例えば長距離移動のために要求されるアセンブリーの起点を欠いているため)場合、プロデューサーベクター及びキャリアベクターの両方が意図されない植物宿主に同時感染する可能性は大きく低減される。
【0132】
一般に、ウイルス機能を保存するため及び遺伝子マニピュレーションの容易性のために単純化するために、ベクターは、(例えば、特定の遺伝子を除去することにより、及び/又は特定の配列を破壊若しくは置換してそれらを不活性化若しくは置き換えることにより)既存の植物ウイルスゲノムを変更することにより調製される。そのような状況において、ベクターは、天然のウイルスゲノムと非常に高い配列同一性を示す。当然ながら、完全に新規のベクターもまた、例えば、個々の所望される遺伝子エレメントを別々に単離し、追加のエレメントを任意に含めると共に、それらを連結して一緒にすることにより調製されてもよい。また、特定のベクターが所与の遺伝子、タンパク質、又は活性を欠いている(例えば、プロデューサーベクターがコートタンパク質遺伝子を欠いている)といわれる場合、ベクターが関連するコーディング配列を依然として有していたとしても、そのようなタンパク質又は活性が感染の条件下でベクターから発現されない場合にそれは十分であることが留意されるべきである。一般に、しかしながら、関連するコーディング配列をベクターから除去することが典型的には望ましい。
【0133】
類似的に、ベクターが特定のタンパク質又は活性を肯定的に発現するといわれる場合、関連する遺伝子は、天然において見出される対応する遺伝子と同一である必要はない。例えば、コートタンパク質は場合により小さい欠失を許容できることが見出されている(例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる国際公開第00/46350号パンフレットを参照)。タンパク質が機能的である限り、それは本明細書に記載される方法に従って使用されてもよい。天然タンパク質との非常に高い配列同一性が、しかしながら、最も有用であると一般に考えられる。例えば、大きい欠失(例えば、約25アミノ酸より大きい)は一般に回避されるべきである。典型的には、ウイルスタンパク質は、対応する天然のウイルスタンパク質と少なくとも50%(例えば、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を示す。より特には、ウイルスタンパク質は、関連する天然のウイルスタンパク質の(典型的には少なくとも複数のアミノ酸、多くの場合に少なくとも10、20、30、40、50又はより多くのアミノ酸の)不可欠な機能的部分と100%の同一性を典型的には有するべきである。
【0134】
多くのタンパク質の場合、多数のアミノ酸変化が、タンパク質の機能的活性及び/又は様々な他の特性、例えば安定性などに重大に影響することなく為され得ることが留意される。特に、多くのタンパク質は、活性における重大な低減なしに保存的アミノ酸変化、すなわち類似した特性を有する異なるアミノ酸でのアミノ酸の置換を許容する。保存的アミノ酸置換は当技術分野において周知であり、アミノ酸配列を変更しながら所与のポリペプチドの特性と類似した又は実質的に類似した特性を有するポリペプチドを得るための1つのアプローチとなる。一般に、アミノ酸は、(1)電荷(正、負、又は非荷電);(2)体積及び極性;(3)Granthamの物理化学的距離;並びにこれらの組合せに従って群に分類及び分割されている。例えば、Zhang, J. Mol. Evol., 50:56-68, 2000; Grantham, Science, 85:862-864, 1974; Dagan et al., Mol. Biol. Evol., 19(7), 1022-1025, 2002; Biochemistry, 4th Ed., Stryer et al., W. Freeman and Co., 1995;及び米国特許第6,015,692号明細書を参照。例えば、アミノ酸は、以下のカテゴリーに体積及び極性に基づいて分割されてもよい:特殊(C);中性であり小さい(A、G、P、S、T);極性であり相対的に小さい(N、D、Q、E)、極性であり相対的に大きい(R、H、K)、非極性であり相対的に小さい(I、L、M、V)、及び非極性であり相対的に大きい(F、W、Y)。保存的アミノ酸置換は、1つのアミノ酸を同じ群中のアミノ酸で置き換える置換として定義されてもよい。そのため、様々な機能的に同等のタンパク質が、所与のウイルスタンパク質において1又は2以上の保存的アミノ酸置換を行うことにより誘導され得る。
【0135】
ウイルス感染に感受性のいかなる植物も、本明細書に記載される方法に従って利用され得る。一般に、定義された条件下の、例えば温室中及び/又は水性システム中の、成長に適する植物を利用することが多くの場合に望ましい。人間若しくは家畜動物により典型的には消費されず、及び/又は典型的にはヒト食物連鎖の部分ではない植物を選択することが望ましい場合もあり、その結果、それらは、発現されるポリヌクレオチドが望ましくなく摂取され得る懸念なしに外で生育され得る。他の実施形態において、しかしながら、可食植物を用いることが望ましい。
【0136】
多くの場合に、ある特定の望ましい植物の特徴は、発現されるべき特定のポリヌクレオチドにより決定される。ほんの少数の例を与えるために、(例えば、治療用タンパク質が発現されるべき場合に、多くの場合に該当するように)ポリヌクレオチドが高い収率で産生されるべきタンパク質をコードする場合、相対的に高いバイオマスを有する植物(例えば、ウイルス感染に高度に感受性であり、短い成長期間を有し、ヒト食物連鎖にないという追加の利点を有する、タバコ)を選択することが多くの場合に望ましい。ポリヌクレオチドが、その完全な活性が特定の翻訳後修飾を要求する(又は特定の翻訳後修飾により阻害される)タンパク質をコードする場合、関連する修飾(例えば、特定のグリコシル化)を達成するある特定の植物種の能力(又は不能力)は選択を指令してもよい。
【0137】
一部の実施形態において、作物植物、又は作物関連植物が利用される。一部の実施形態において、可食植物が利用される。
【0138】
本明細書に記載される方法による使用のために適切な植物は、被子植物、蘚苔植物(例えば、ゼニゴケ類、スギゴケ類など)、シダ植物(例えば、シダ、スギナ(horsetails)、ヒカゲノカズラ(lycopods))、裸子植物(例えば、球果植物、サイカセ(cycase)、イチョウ(Ginko)、グネツム科植物(Gnetales))、並びに藻類(例えば、緑藻綱、褐藻綱、紅藻綱、粘藻綱、黄緑藻綱、及びユーグレナ藻綱)を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態において、マメ科(Leguminosae)(マメ科(Fabaceae);例えば、エンドウマメ、アルファルファ、ダイズ);イネ科(Gramineae)(イネ科(Poaceae);例えば、トウモロコシ、コムギ、イネ);ナス科(Solanaceae)、特にはトマト属(Lycopersicon)(例えば、トマト)、ナス属(Solanum)(例えば、ジャガイモ、ナス)、トウガラシ属(Capsium)(例えば、コショウ)、又はニコチアナ属(Nicotiana)(例えば、タバコ);セリ科(Umbelliferae)、特にはニンジン属(Daucus)(例えば、ニンジン)、オランダミツバ属(Apium)(例えば、セロリ)、又はミカン科(Rutaceae)(例えば、オレンジ);キク科(Compositae)、特にはアキノノゲシ属(Lactuca)(例えば、レタス);及びアブラナ科(Brassicaceae)(アブラナ科(Cruciferae))、特にはアブラナ属(Brassica)又はシロガラシ属(Sinapis)のメンバーは、特に有用であり得る。例えば、有用なアブラナ科メンバーは、アブラナ(Brassica campestris)、アビシニアガラシ(B. carinata)、カラシナ(B. juncea)、セイヨウアブラナ(B. napus)、クロガラシ(B. nigra)、ヤセイカンラン(B. oleraceae)、アフリカカラシナ(B. tournifortii)、シロガラシ(Sinapis alba)、及びダイコン(Raphanus sativus)を含む。例示的なニコチアナ植物は、Schneider et al. (Plant Physiology and Biochemistry 92 (2015), 39-47)(その関連する部分は参照により本明細書に組み込まれる)により教示されるもの、例えば修飾されたN-グリコシル化を有するGalT-dXT/FTニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)植物、又は修飾されたN-グリコシル化を有するC105 dXT/FTニコチアナ・ベンサミアナ植物を含む。
【0139】
発現システムは、感染させるため、並びに/又は、例えば、成熟した植物、実生、芽、及び種子を含む発生の任意のステージの植物においてポリヌクレオチドを発現させるために用いられてもよい。システムは、植物の任意の部分(例えば、根、葉、幹など)に感染させるために用いられてもよい。一部の実施形態において、システムは、芽に感染させるために用いられる。一般に、植物は、外的な栄養分又は正常な発芽温度を達成するために要求されるものを超える光若しくは熱の形態のエネルギーを要求しない実生である場合に芽であると考えられる。多くの場合に、2週齢未満、及び典型的には10日齢未満の実生は芽であると考えられる。
【0140】
一般に、ウイルスベクターは、公知の技術に従って植物に送達されてもよい。例えば、ベクター自体が、(例えば、擦傷接種(abrasive inoculations)、機械化された噴霧接種、真空浸潤、粒子衝撃、又はエレクトロポレーションを介して)植物に直接的に適用されてもよい。代替的に、ビリオンが(例えば、既に感染した植物から)調製されてもよく、公知の技術に従って他の植物に適用されてもよい。
【0141】
上述されるように、一部の実施形態において、ウイルスベクターは(例えば、浸潤又は機械的な接種[噴霧]を通じて)芽に適用される。
【0142】
感染が植物へのウイルスゲノムの直接的な適用により達成されるべき場合、いかなる利用可能な技術も、ゲノムを調製するために使用されてもよい。例えば、本明細書に記載される方法に従って有用に用いられる多くのウイルスはssRNAゲノムを有する。ssRNAは、インビボ又はインビトロのいずれかでの、ゲノムのDNAコピーの転写により、又はRNAコピーの複製により調製されてもよい。容易に使用できるインビトロ転写システム(例えば、SP6、T7、網状赤血球溶解液など)が容易に利用可能であること、そしてまたRNAベクターのDNAコピーの維持の簡便性を考慮して、ssRNAベクターは、インビトロ転写により、特にはT7又はSP6ポリメラーゼを用いて、多くの場合に調製されることが予想される。
【0143】
一部の実施形態において、ポリヌクレオチド発現産物を発現する植物組織から該ポリヌクレオチド発現産物を単離することが望ましい。そのような単離された産物をそれらの意図される使用(例えば、医薬品又は診断剤として、試薬としてなど)のために製剤化することもまた望ましい場合がある。他の実施形態において、産物を発現する植物組織の一部又は全体と共に産物を製剤化することが望ましい。
【0144】
発現産物を発現する植物組織の一部又は全体から発現産物を単離するために、任意の利用可能な精製技術が用いられてもよい。当業者は広範囲の分画及び分離手順に精通している(例えば、Scopes et al., Protein Purification: Principles and Practice, 3rdEd., Janson et al., “Protein Purification: Principles, High Resolution Methods, and Applications,” Wiley-VCH, 1998; Springer-Verlag, NY, 1993;及びRoe, Protein Purification Techniques, Oxford University Press, 2001を参照;これらの各々は参照により全体が本明細書に組み込まれる)。多くの場合に、産物を約50%より高い、好ましくは約60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%より高い純度にすることが望ましい。
【0145】
植物材料と共に産物を製剤化するために、関連するレシピエント(例えば、ヒト又は他の動物)に対して毒性でない植物を利用していることが多くの場合に望ましい。関連する植物組織(例えば、葉)は、発現された産物の活性を維持するための然るべき考慮と共に、当技術分野において公知の技術に従って単純に採取及び加工されてもよい。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、材料が引き続いて食べられ得るように可食植物において(及び特に植物の可食部分において)発現され得る。例えば、ポリヌクレオチドが、(適正に製剤化された場合に)経口送達後に活性である栄養学的に関連するタンパク質又は治療用タンパク質をコードする場合、可食植物部分においてタンパク質を産生すること、及びポリヌクレオチドが発現された植物材料の一部又は全体と共に経口送達のために発現されたポリヌクレオチドを製剤化することが有用であり得る。
【0146】
ポリヌクレオチドが治療剤をコード又は産生する場合、それは公知の技術に従って製剤化されてもよい。例えば、有効量の薬学的に活性の産物は、1又は2以上の有機又は無機の、液体又は固体の、薬学的に適切な担体材料と共に製剤化され得る。薬学的に活性の産物は、タンパク質の生物学的活性がそのような投薬形態により破壊されない限り、投薬形態、例えば錠剤、カプセル、トローチ、分散剤、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾル、粉末パケット、液体溶液、溶媒、希釈剤、表面活性剤、等張剤、増稠又は乳化剤、防腐剤、及び固体結合剤において用いられてもよい。
【0147】
薬学的に許容される担体として役立ち得る材料は、糖、例えばラクトース、グルコース及びスクロース;デンプン、例えばコーンスターチ及びジャガイモデンプン;セルロース並びにその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばココアバター及び坐剤ワックス;油、例えばピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及びダイズ油;グリコール、例えばプロピレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;寒天;緩衝化剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェン非含有水;等張食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール、並びにリン酸緩衝溶液の他に、他の非毒性の適合性の滑沢剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを含むが、これらに限定されず、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、及び芳香剤、防腐剤、及び抗酸化剤もまた、調合者の判断に従って、組成物中に存在することができる(Remington’s Pharmaceutical Sciences, Fifteenth Edition, E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton PA, 1975も参照)。例えば、ポリヌクレオチド発現産物は、従来の混合顆粒化糖衣錠製造、溶解、凍結乾燥、又は類似した加工の手段により医薬組成物として提供されてもよい。
【0148】
一部の実施形態において、皮下に又は筋肉内に注射される薬学的に活性の産物(例えば、タンパク質)の吸収を緩慢化させることにより医薬調製物の効果を長期化させることが有用であり得る。これは、乏しい水溶性を有する結晶性又は非結晶性材料の液体懸濁液の使用により達成されてもよい。産物の吸収の速度は次にその溶解の速度に依存し、溶解の速度は次いでサイズ及び形態に依存し得る。代替的に、非経口的に投与される産物の遅延された吸収は、油媒体中に産物を溶解又は懸濁することにより達成される。注射可能なデポー形態は、生分解性ポリマー、例えばポリラクチド-ポリグリコリド中のタンパク質のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより製造される。産物とポリマーとの比及び用いられる特定のポリマーの性質に依存して、放出の速度は制御され得る。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)を含む。デポー注射可能な製剤は、身体組織と適合性のリポソーム又はマイクロエマルション中に産物を封入することにより調製されてもよい。
【0149】
薬学的に活性の産物の腸管に投与される調製物は、固体、半固体、懸濁液又はエマルション形態において導入されてもよく、任意の薬学的に許容される担体、例えば水、懸濁化剤、及び乳化剤と共に配合されてもよい。発現産物はまた、特に予防的措置として投与される場合に、対象において疾患の発症を予防するため又は既に確立された疾患を寛解若しくは遅延させるために、ポンプ又は持続放出形態の手段により投与されてもよい。
【0150】
任意に植物組織と共に、薬学的に活性の産物は、医薬組成物としての経口投与のために特に良好に適し得る。採取された植物材料は、所望される治療用産物の特性及びその所望される形態に依存して、様々な仕方(例えば、空気乾燥、フリーズドライ、抽出など)のいずれかにおいて加工されてもよい。好ましい実施形態において、上記されているような組成物は、経口的に単独で摂取されるか、又は食品若しくは飼料若しくは飲料と共に摂取される。経口投与用の組成物は、感染させた植物;感染させた植物の抽出物、及び乾燥粉末、食料品、水性若しくは非水性溶媒、懸濁液、又はエマルションとして提供される感染させた植物から精製されるタンパク質を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、魚油、及び注射可能な有機エステルである。水性担体は、水、水-アルコール溶液、食塩水及び塩化ナトリウム溶液を含む緩衝化医療非経口媒体、リンゲルデキストロース溶液、デキストロース+塩化ナトリウム溶液、ラクトースを含有するリンゲル溶液又は固定油を含む、エマルション又は懸濁液を含む。乾燥粉末の例は、乾燥、例えば、凍結乾燥、空気乾燥、又は噴霧乾燥されている任意の感染させた植物バイオマスを含む。例えば、植物は、バイオマスが5%未満の重量の水分を含有するようになるまで華氏約120度の商用の空気乾燥機中にそれらを置くことにより空気乾燥されてもよい。乾燥させた植物は、さらなる加工のためにバルク固体として貯蔵されてもよいか、又は所望されるメッシュサイズの粉末まで摩砕することによりさらに加工されてもよい。代替的に、フリーズドライが、空気乾燥に対して感受性の産物のために使用されてもよい。産物は、バイオマスが約5%未満の重量の水分を含有するようになるまで、それらを真空乾燥機に入れ、真空下で凍結乾燥することにより凍結乾燥されてもよい。乾燥させた材料はさらに加工され得る。
【0151】
感染させた植物は、1若しくは2以上の薬草調製物として又は1若しくは2以上の薬草調製物と共に投与されてもよい。有用な薬草調製物は液体及び固体薬草調製物を含む。薬草調製物の一部の例は、チンキ、抽出物(例えば、水性抽出物、アルコール抽出物)、煎剤、乾燥調製物(例えば、空気乾燥、噴霧乾燥、凍結、又はフリーズドライ)、粉末(例えば、凍結乾燥粉末)、及び液体を含む。薬草調製物は、任意の標準的な送達媒体、例えばカプセル、錠剤、坐剤、液体投薬量などにおいて提供され得る。当業者は、応用され得る薬草調製物の送達の様々な製剤及びモダリティーを理解する。
【0152】
当業者はまた、所望される薬学的に活性の産物を得る特に有用な方法は抽出によるものであることを理解する。感染させた植物は、所望される産物を残留バイオマスから取り出すために抽出されてもよく、それにより産物の濃度及び純度は増加され得る。植物はまた、緩衝化溶液中に抽出されてもよい。
【0153】
例えば、新鮮な採取された植物は、例えば、リン酸緩衝液を用いて、緩衝化されている1対1の重量比の量の氷冷水に移されてもよい。プロテアーゼ阻害剤もまた、要求に応じて加えられ得る。植物は、緩衝溶液中に懸濁されながら激しい混合又は摩砕により破壊され得、抽出されたバイオマスは濾過又は遠心分離により取り出され得る。溶液中に入れられた導入遺伝子産物は、追加のステップによりさらに精製され得るか、又はフリーズドライ若しくは沈殿により乾燥粉末に変換され得る。抽出はまた、プレスにより実行され得る。生きた植物はまた、プレスにおいてプレスすることにより、又は近い間隔で置かれたローラーを通過させながら圧砕されることにより抽出され得る。圧砕された植物から発現される流体は、当技術分野において周知の方法に従って収集及び加工される。プレスすることによる抽出は、より濃縮された形態の産物の放出を可能とする。しかしながら、産物の全体収率は、産物が溶液中で抽出された場合よりも低いことがある。
【0154】
感染させた植物、抽出物、粉末、乾燥した調製物及び精製されたタンパク質産物などはまた、上述されている1又は2以上の賦形剤を伴う又は伴わない被包された形態であることができる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、及び顆粒の固体投薬形態は、コーティング及びシェル、例えば腸溶性コーティング、放出制御コーティング及び薬学的製剤化技術において周知の他のコーティングを用いて調製され得る。そのような固体投薬形態において、活性産物は、少なくとも1つの不活性希釈剤、例えばスクロース、ラクトース又はデンプンと混合されてもよい。そのような投薬形態はまた、通常の実施と同様に、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、錠剤化滑沢剤並びに他の錠剤化補助剤、例えばステアリン酸マグネシウム及び微結晶セルロースを含んでもよい。カプセル、錠剤及び丸剤の場合、投薬形態はまた緩衝化剤を含んでもよい。それらは、乳白剤を任意に含有してもよく、任意に、遅延された方式において、腸管のある特定の部分のみにおいて、又は該部分において優先的に、活性成分を放出する組成であることもできる。使用され得る包埋組成物の例はポリマー物質及びワックスを含む。
【0155】
一部の実施形態において、薬学的に活性の産物を発現する感染させた植物、又は感染させた植物のバイオマスは、薬用食品として経口的に投与される。そのような可食組成物は、固体形態である場合は生で食べることにより、又は液体形態である場合は飲むことにより消費される。一部の実施形態において、トランスジェニック植物材料は、先立つ加工ステップなしで又は最小の調理後に直接的に摂取される。例えば、薬学的に活性のタンパク質は、直接的に食べることができる芽(例えば、アルファルファスプラウト、ムングマメスプラウト、又はホウレンソウ若しくはレタスリーフスプラウト)において発現される。一部の実施形態において、植物バイオマスは加工され、加工ステップ後に回収された材料が摂取される。
【0156】
治療方法及び医薬組成物。
【0157】
本明細書に開示される抗体若しくはその部分、又は抗体若しくはその部分をコードする核酸は、がんを治療するために使用され得る。複数の例において、抗体若しくはその部分、又はこれらのポリペプチドをコードする核酸は、例えば対象において、がんを減少させるために使用される。そのため、複数の実施形態において、方法は、がんを減少させるために、対象に治療有効量の本明細書に開示される抗体若しくはその部分、又はこれらのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの1又は2以上を投与するステップを含む。しかしながら、本明細書に開示される抗体又はその部分のいずれも、がんを減少させるために使用され得る。一部の実施形態において、ペプチドは単位用量として投与され得る。一部の実施形態において、ポリペプチドは多量体として投与される。
【0158】
治療的に効果的な量の抗体若しくはその部分、又はペプチドをコードするポリヌクレオチドは、薬学的に許容される担体中で投与され得る。薬理学的に許容される担体(例えば、生理学的に又は薬学的に許容される担体)は当技術分野において周知であり、生理的pH(例えば約7.0~約8.0のpH、又は約7.4のpH)の緩衝化溶液を含むが、これに限定されない。生理学的に適合性の緩衝化溶液の1つの特有の、非限定的な例はリン酸緩衝食塩水である。他の薬理学的に許容される担体は浸透剤を含み、これは、(例えば治癒を促進するための外科的創傷への塗布において)外用で塗布されることが意図される薬学的製剤のために特に適切である。
【0159】
本明細書に開示される薬理学的な組成物は、がんを減少させるための、インビボ又はエクスビボのいずれかでの、少なくとも1つの抗体若しくはその部分、又は抗体若しくはその部分をコードするポリヌクレオチドの使用を促す。そのような組成物は、任意の適切な対象への活性成分の送達のために適切なものであることができ、それ自体公知の方式において、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、乳化、被包、封入又は凍結乾燥加工の手段により、生産され得る。薬理学的な組成物は、1又は2以上の薬理学的に(例えば、生理学的に又は薬学的に)許容される担体の他に、薬学的に使用され得る調製物への活性化合物の加工を促す任意の助剤を使用して従来の方式において製剤化され得る。適正な製剤は、選択される投与の経路に依存する。そのため、注射のために、活性成分は水性溶液中で製剤化され得る。経粘膜投与のために、透過されるべき障壁にとって適当な浸透剤が製剤において使用される。そのような浸透剤は当技術分野において一般に公知である。
【0160】
経口投与のために、治療有効量の少なくとも1つの抗体若しくはその部分、又はペプチドをコードする核酸は、錠剤、丸剤、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、及び懸濁液などへの組込みのために適切な担体と組み合わせられ得る。
【0161】
タンパク質薬物は、酵素、例えばトリプシン、キモトリプシン、及び刷子縁ペプチダーゼの作用を通じて消化管中でプロテアーゼ媒介性分解に供され、その結果、大きいタンパク質分子の経口投与は多くの場合に意図される治療効果を結果としてもたらさない(Soltero and Ekwruibe, 2001 Innovations in Pharmaceutical Technology, 1:106-110)。
【0162】
一部の実施形態において、非経口投与のために、治療有効量の抗体若しくはその部分、又はペプチドをコードする核酸は、注射により、例えばボーラス注射又は連続注入により投与され得る。そのような組成物は、油性又は水性媒体中の懸濁液、溶液又はエマルションなどの形態を取ることができ、配合剤、例えば懸濁、安定化及び/又は分散剤を含有することができる。他の薬理学的な賦形剤は当技術分野において公知である。
【0163】
任意に、抗体若しくはその部分、又はペプチドをコードするポリヌクレオチドは、インビトロの投与又はインビボの投与のいずれのためであれ、異種タンパク質、炭化水素若しくは脂質内に含有され得るか、又は異種タンパク質、炭化水素若しくは脂質とコンジュゲートされ得る。併用投与は、抗体若しくはその部分、又はペプチドをコードするポリヌクレオチドが、タンパク質、炭化水素、又は脂質の前、実質的に同じ時点、又は後に投与されるようなものであることができる。一部の実施形態において、抗体若しくはその部分、又はペプチドをコードするポリヌクレオチドは、タンパク質、炭化水素、又は脂質と実質的に同じ時点に投与される。
【0164】
他の送達システムは、時間放出、遅延放出又は持続放出送達システムを含むことができる。そのようなシステムは、上記される本発明の組成物の繰返しの投与を回避して、対象及び医師にとっての簡便性を増加させることができる。多くのタイプの放出送達システムが当業者に利用可能及び公知である。それらは、ポリマーベースシステム、例えばポリ(ラクチド-グリコリド)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、及びポリ無水物を含む。薬物を含有する以上のポリマーのマイクロカプセルは、例えば、米国特許第5,075,109号明細書に記載されている。送達システムはまた、非ポリマーシステム、例えばステロール、例えばコレステロール、コレステロールエステル及び脂肪酸又は中性脂肪、例えばモノ-、ジ-及びトリ-グリセリドを含む脂質;ハイドロゲル放出システム;シラスティックシステム;ペプチドベースシステム;ワックスコーティング;従来の結合剤及び賦形剤を使用した圧縮錠剤;並びに部分的に融合されたインプラントなどを含む。特有の例は、(a)抗体若しくはその部分、又はペプチドをコードするポリヌクレオチドが、マトリックス内の形態において含有される浸食性(erosional)システム、例えば米国特許第4,452,775号明細書;同第4,667,014号明細書;同第4,748,034号明細書;同第5,239,660号明細書;及び同第6,218,371号明細書に記載されるもの並びに(b)活性成分が制御された速度でポリマーから浸透する拡散システム、例えば米国特許第3,832,253号明細書及び同第3,854,480号明細書に記載されるものを含むが、これらに限定されない。追加的に、ポンプベースハードウェア送達システムが使用可能であり、その一部は移植のために適合される。
【0165】
抗体若しくはその部分、又はペプチドをコードするポリヌクレオチドの治療有効量は、利用される抗体若しくはその部分、又はペプチドをコードするポリヌクレオチド、治療されている対象、病気の重症度及びタイプ、並びに投与の方式に依存する。例えば、ペプチドをコードするポリヌクレオチドの治療有効量は、体重1キログラム(kg)当たり約0.01μgから体重1kg当たり約1gまで、例えば体重1kg当たり約1μg~約5mg、又は体重1kg当たり約5μg~約1mgで変動することができる。正確な用量は、特有の化合物の効力、対象の年齢、体重、性別及び生理学的条件に基づいて当業者により容易に決定される。
【0166】
核酸の投与に関して、核酸の投与のための1つのアプローチは、プラスミドDNA、例えば哺乳動物発現プラスミドを用いた直接的な治療である。上記のように、抗体又はその部分をコードするヌクレオチド配列は、分子の発現を増加させるためにプロモーターの制御下に置かれ得る。
【0167】
ウイルスベクターがインビボでの投与のために利用される場合、哺乳動物1mg当たり約105~約1010プラーク形成単位の範囲内の組成物中の各々の組換えウイルスの投薬量をレシピエントに提供することが望ましいが、より低い又はより高い用量が投与され得る。組換えウイルスベクターの組成物は、がんの任意の証拠に先立って、又はがんに罹患した哺乳動物において疾患の退縮を媒介するために哺乳動物に導入され得る。哺乳動物に組成物を投与する方法の例は、エクスビボでの組換えウイルスへの細胞の曝露、又は影響された組織中への組成物の注射又はウイルスの静脈内、皮下、皮内若しくは筋肉内投与を含むが、これらに限定されない。代替的に組換えウイルスベクター又は組換えウイルスベクターの組合せは、薬学的に許容される担体中でがん性病変中に直接注射により局所的に投与されてもよい。一般に、投与される1又は2以上の抗体又はその部分の核酸配列を有する組換えウイルスベクターの量は、ウイルス粒子の力価に基づく。投与される免疫原の例示的な範囲は、哺乳動物、例えばヒト当たり105~1010個のウイルス粒子である。
【0168】
1つの特有の、非限定的な例において、静脈内投与用の医薬組成物は、1日当たりで患者当たり約0.1μg~10mgの抗体又はその部分を含む。1日当たりで患者当たり0.1~約100mgの投薬量が、特には剤が循環又はリンパシステム中ではなく隔離された部位、例えば身体腔中又は臓器の内腔中に投与される場合に、使用され得る。投与可能な組成物を調製する実際の方法は、当業者に公知又は明らかであり、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19thEd., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1995などの刊行物により詳細に記載されている。
【0169】
組成物の単回又は複数回投与は、対象により要求及び忍容されるような投薬量及び頻度に依存して投与される。一部の実施形態において、投薬量は、ボーラスとして1回投与されるが、別の実施形態において、治療結果が達成されるまで定期的に適用され得る。一般に、用量は、対象に対して許容できない毒性を生成することなく疾患の症状又は徴候を治療するか又は寛解させるために十分なものである。全身又は局所投与が利用され得る。
【0170】
さらなる方法において、追加の剤が投与される。1つの例において、この投与は逐次的である。他の例において、追加の剤は、抗体又はその部分と同時に投与される。
【0171】
本発明が以下の実施例においてさらに記載されるが、これらの実施例は、請求項に記載される本発明の範囲を限定しない。
【実施例1】
【0172】
材料及び方法。
図1は、植物発現システムにおいて発現された回収された抗体を示すクマシーブルー染色されたゲルである。発現ベクターを野生型植物中に併用浸潤させた。植物組織を採取し、抽出し、hD11抗体を捕捉し、プロテインAクロマトグラフィーにより溶出させ、PAGEにより分離した。HR;加熱及び還元。NHNR;非加熱、非還元。野生型植物において産生された抗CD25抗体はSD-889825-PW-A(IBIO-101、野生型植物)としても参照され、c-105株において生産された抗CD25抗体はSD-889825-PC-A(IBIO-101、c-105植物 脱フコシル化)である。本明細書において使用される場合、以下の学術用語は交換可能に使用される:(SD-889825-CW-AはIBIO-101、野生型CHO細胞である);(SD-889825-CG-AはIBIO-101、CHO細胞 脱フコシル化である);(SD-889825-PW-AはIBIO-101、野生型植物である);及び(SD-889825-PC-AはIBIO-101、c-105植物 脱フコシル化である)。
【0173】
フコシル化及びキシロシル化を欠損したC105 DXT/DFT植物に発現ベクターを併用浸潤させた。植物組織を採取し、抽出し、hD11抗体を捕捉し、プロテインAクロマトグラフィーにより溶出させ、PAGEにより分離した。HR;加熱及び還元。NHNR;非加熱、非還元。
【0174】
図2は、植物により産生されたhD11重鎖及び軽鎖(C105植物)の質量の代表的な質量分析である。
【0175】
図3は、植物により産生されたhD11(C105植物)から放出されたグリカンの質量分析を示し、hD11は、インビボでの高いADCC活性を促進するためにフコースなしで産生された。
【実施例2】
【0176】
がんにおける有効なTreg枯渇のための新規のIL-2シグナル伝達許容性抗CD25抗体の植物ベース発現及び糖操作
腫瘍微環境中のエフェクターT細胞におけるIL-2-STAT5シグナル伝達を遮断することなく制御性T細胞(Treg)枯渇のためにCD25を標的化するモノクローナル抗体は、単剤療法として前臨床モデルにおいて固形腫瘍に対して好都合な応答を提供することが示されている。追加的に、免疫チェックポイント遮断とのCD25抗体の併用療法は相乗効果を示している。構造的エピトープのエピトープ実施形態を予測する能力を有する新規のAI/MLプラットフォームを使用して、特異的なエピトープに向けた抗体選択を進めた。リード分子RTX-003(IBIO-101)は、従来の及びエピトープ選択的なクローンの一団から選択され、ニコチアナ・ベンサミアナ植物を使用する植物ベース発現システムにおいて発現される抗CD25抗体である。ベータ1,2-キシロシルトランスフェラーゼ及びアルファ1,3-フコシルトランスフェラーゼ活性を欠いた、糖操作(GE)されたデルタXT/FT N.ベンサミアナ宿主を使用して、我々は、有意に増加したエフェクター機能を有する脱フコシル化IBIO-101を製造することができた。IBIO-101は、CD25+がん性細胞に特異的に結合し、pSTAT5を介するIL-2シグナル伝達を保存し、強力な抗体依存性細胞傷害性(ADCC)活性を誘発した。iBio社のFASTPHARMING(登録商標)及びGLYCANEERING(商標)プラットフォームを用いて製造されたIBIO-101の前臨床評価は、CHOにより産生されたIBIO-101と比較して同等の有効性及び効力を示した。GMP材料を製造するための予想される時間節約と共にGE植物ベース発現システムの迅速なスケーラビリティは、臨床開発へのIBIO-101の前進をサポートする。
【0177】
図4は、植物において産生された抗体の純度を示すHPLCを示すグラフである。
図5は、軽鎖のデコンボリューションされたMWの質量分析特徴付けを示すグラフである。
図6は、脱グリコシル化された重鎖のデコンボリューションされたMWの質量分析特徴付けを示すグラフである。
図7は、グリコシル化された重鎖のデコンボリューションされたMWの質量分析特徴付けを示すグラフである。
図8は、インタクトな脱グリコシル化された試料のデコンボリューションされたMWの質量分析特徴付けを示すグラフである。
図9は、インタクトなグリコシル化された試料のデコンボリューションされたMWの質量分析特徴付けを示すグラフである。
【0178】
IBIO-101分子は、ヒト及びカニクイザルCD25に結合するがマウスCD25に結合しないことが見出された。ELISAアッセイは、CHO及び植物において産生されたWTフコシル化及び脱フコシル化IBIO-101分子並びにダクリズマブは、固定化されたヒト又はカニクイザルCD25に濃度依存的な方式で結合することを示す。固定化されたマウスCD25に対する結合は検出されなかった。プロットされた値は、450nmの波長における測定された吸光度である。EC50値はn≧3回の実験の平均である。
【0179】
CD25結合ELISA。ELISAプレート(Biolegend社、423501)を最初に、pH9.5の50mM炭酸緩衝液(Teknova社、S9225)中4℃で終夜、1μg/mLのヒトCD25(Sino Biologicals社、10165-H08H)又はカニクイザルCD25(Sino Biologicals社、90265-C08H)でコーティングした。翌日、プレートを洗浄緩衝液[0.1% Tween-20を含む1×PBS(Teknova社、P0207)]で3回洗浄し、続いて遮断緩衝液[1×PBS、1% BSA(Teknova社、B0101)]を室温で1時間加えた。遮断後に、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄し、続いて増加性濃度(0.0006~10μg/mL)の洗浄緩衝液中の抗CD25又は対照抗体を室温で1時間加えた。インキュベーション後に、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄し、続いて洗浄緩衝液中1:2500の希釈のヤギ抗ヒトIgG-HRP二次抗体(Biorad社、STAR126P)を室温で1時間加えた。二次抗体とのインキュベーション後に、プレートを洗浄緩衝液で6回洗浄し、続いてTMB基質(VWR社、95059-154)を室温で5分間加えた。TMB基質とのインキュベーション後に、ELISA停止溶液(Thermo Fisher社、SS04)をTMB基質と等しい体積でプレートに加え、吸光度を450nmで読み取った。GraphPad Prism 9.3.0ソフトウェアを使用してデータをプロットし、EC50値をソフトウェアにより算出した。
【0180】
SUDHL-1及びiTreg細胞結合アッセイ。SUDHL-1細胞(ATCC、CRL-2955)を、10% FBS(ATCC、30-2020)及び1×ペニシリン-ストレプトマイシン(Corning社、30-002-CI)を補充したRPMI 1640(ATCC、30-2001)中で培養した。ヒト誘導性Treg(iTreg)細胞を、25μl/mlのImmunocult Human CD3/CD28/CD2 T cell Activator(Stemcell社、10970)、及び3000IU/mlのIL2(Miltenyi Biotec社、130-097-74)を補充したImmunocult XF Tcell expansion media(Stemcell社、10981)中で培養した。
【0181】
細胞結合アッセイのために、2% FBSを補充したDPBS(VWR社、45000-436)をアッセイ緩衝液として使用した。SUDHL-1細胞又はiTreg細胞をカウントし、次にアッセイ緩衝液に再懸濁し、次に96ウェルプレート(VWR社、89089-826)に1×105細胞/ウェルで播種した。プレートを遠心分離にかけ、次に上清の吸引後の残りのアッセイ(essay)ステップのために氷上に保った。上清吸引後に、アッセイ緩衝液中の抗CD25又は対照抗体を細胞に増加性濃度(0.64~10,000ng/mL)で20分間、氷上で加えた。インキュベーション後に、プレートを遠心分離にかけ、上清を吸引し、次に細胞をアッセイ緩衝液で1回洗浄し、続いて遠心分離及び上清吸引を行った。洗浄後に、ラット抗ヒトIgG Alexa Fluor 647二次抗体(Biolegend社、410714)をアッセイ緩衝液中1:200の希釈で20分間、氷上で加えた。インキュベーション後に、プレートを遠心分離にかけ、上清を吸引し、次に細胞をアッセイ緩衝液で1回洗浄し、続いて遠心分離及び上清吸引を行った。洗浄後に、DAPI(Biolegend社、422801)を細胞にアッセイ緩衝液中1:5000の希釈で加えた。細胞結合をMiltenyi MACSQuant 16フローサイトメーター上で分析した。フローサイトメトリーデータをFlowJoフローサイトメトリー分析ソフトウェアで分析した。グラフの作成及びEC50値の算出のためにGraphPad Prism 9.3.0を使用した。
【0182】
SUDHL-1及びiTreg ADCCレポーターアッセイ。SUDHL-1細胞(ATCC、CRL-2955)を、10% FBS(ATCC、30-2020)及び1×ペニシリン-ストレプトマイシン(Corning社、30-002-CI)を補充したRPMI 1640(ATCC、30-2001)中で培養した。ヒト誘導性Treg(iTreg)細胞をImmunocult XF Tcell expansion media(Stemcell社、10981)、25μl/mlのImmunocult Human CD3/CD28/CD2 T cell Activator(STEMCELL社、10970)、及び3000IU/mlのIL2(Miltenyi社、130-097-74)中で培養した。Jurkat NFAT/CD16細胞(Invivogen社、jktl-nfat-cd16)を、10% FBS(Sigma社、F4135500)及び100μg/mlノルモシン(Normocin)を補充したIMDM(ATCC、30-2005)中で培養した。選択を維持するために、10μg/mlのブラストサイジン及び100μg/mlのゼオシンを増殖培地にJurkat NFAT/CD16細胞の2回目の継代毎に加えた。
【0183】
ADCCレポーターアッセイのために、SUDHL-1細胞又はiTreg細胞をカウントして細胞数及び生存を評価した。細胞を遠心分離にかけ、Xvivo 15培地(Lonza社、BE02-053Q)に1×106細胞/mlで再懸濁した。ウェル当たり5×104個の細胞を96ウェルプレート(VWR社、89131-676)に播種した。播種後に、Xvivo 15培地中の抗CD25又は対照抗体を細胞に増加性濃度(0.32~5000ng/mL)で20分間、37℃、5% CO2で加えた。抗体とのインキュベーション後に、1×105個のJurkat NFAT/CD16細胞を各々のウェルに加え、次に37℃、5% CO2で16~17時間インキュベートした。インキュベーション後に、アッセイプレートを室温で15分間平衡化した後に、プレートを読み取った。レポーター細胞活性化を見るために、アッセイプレートの各々のウェルからの20μLの培地を、50μL/ウェルのQUANTI-Luc Gold(Invivogen社、rep-qlcg1)溶液と共に平底白色96ウェルプレート(VWR社、89130-330)の対応するウェルに加えた。0.5秒/ウェルの積算時間での発光読み取りのために設定されたPromega GloMaxプレートリーダーを使用してプレートを読み取った。ブランクウェルからの平均ベースライン発光値をすべての他のウェルから引くことによりデータを正規化し、EC50値の算出を含めて、Graphpad Prism 9.3.0を使用して分析した。
【0184】
PhosphoSTAT5(pSTAT5)アッセイ。HEK-Blue IL-2細胞(Invivogen社、Hkb-il2)を、10% FBS(VWR社、45001-108)、1×ペニシリン-ストレプトマイシン(VWR社、45000-652)、100mg/mLノルモシン(Invivogen社、Ant-nr-1)、1μg/mLピューロマイシン(Invivogen社、Ant-pr-1)を補充したDMEM(VWR社、45001-304)中で培養した。1×HEK-Blue CLR selection(Invivogen社、HB-csm)をこのアッセイにおいて使用した。pSTAT5アッセイのために、10% FBS、1×ペニシリン-ストレプトマイシン、及び100mg/mLノルモシンを補充したDMEMを試験培地として使用した。HEK-Blue IL-2細胞をカウントし、次にPBS中に1×106細胞/mLで再懸濁した。細胞をLIVE/DEAD Fixable Aqua Dead Cell Stain(Thermo Fisher社、L34957)を用いて氷上で30分間染色した。染色後に、細胞を遠心分離にかけ、次にPBSで洗浄した。洗浄後に、細胞を遠心分離にかけ、試験培地を用いて再懸濁し、次に96ウェルプレート(VWR社、89089-826)に1×105細胞/ウェルで播種した。播種後に、プレートを遠心分離にかけ、上清を除去し、細胞を、増加性濃度(0.1~100μg/mL)の抗CD25又は対照抗体を含有する試験培地中に再懸濁し、37℃、5% CO2で15分間インキュベートした。抗体とのインキュベーション後に、IL-2(VWR社、10779-568)を含有する試験培地を細胞に100ng/mLの最終IL-2濃度で加え、さらに10分間37℃、5% CO2でインキュベートした。IL-2とのインキュベーション後に、プレートを遠心分離にかけ、上清を除去し、細胞を固定緩衝液(BD Biosciences社、554655)に再懸濁し、室温で15分間インキュベートした。固定後に、プレートを遠心分離にかけ、上清を除去し、細胞を、氷冷したFACS緩衝液(2% FBS及び2mM EDTAを含むPBS)で洗浄した。洗浄後に、プレートを遠心分離にかけ、上清を除去し、細胞を、氷冷した透過処理緩衝液(BD Biosciences社、558050)に再懸濁し、氷上で15分間インキュベートした。その後に、プレートを遠心分離にかけ、上清を除去し、細胞を、氷冷したFACS緩衝液でさらに1回洗浄した後にマウス抗Stat5(pY694)Alexa Fluor 488(BD Biosciences社、562075)を細胞に加え、氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後に、プレートを遠心分離にかけ、上清を除去し、細胞を、氷冷したFACS緩衝液で洗浄した。pSTAT5レベルをMiltenyi MACSQuant 16フローサイトメーター上で分析した。フローサイトメトリーデータをFlowJoフローサイトメトリー分析ソフトウェアで分析し、GraphPad Prism 9.3.0.でプロットした。GraphPad Prism 9.3.0.はEC50値を算出するためにも使用した。
【0185】
インビトロiTreg ADCCアッセイ。iTregの単離及び拡大増殖。EasySep Treg negative isolation kit(Stemcell社、19232)を使用してヒト末梢血単核細胞からTreg細胞を単離した。新たに単離されたTregを106細胞/mLでヒト誘導性Treg(iTreg)細胞増殖培地(25μl/mlのImmunocult Human CD3/CD28/CD2 T cell Activator(Stemcell社、10970)、及び3000IU/mLのIL-2(Miltenyi Biotec社、130-097-743)を補充したImmunocult XF Tcell expansion media(Stemcell社、10981))中にTregの誘導のために播種した。細胞を生存についてモニターし、新鮮なiTreg増殖培地を加えることにより生存細胞密度を2~3日毎に約1×106~2×106細胞/mLに調整した。単離されたiTregの純度を、CD3-BV605(BioLegend社、317322)、CD4-PerCP/cy5.5(BioLegend社、300530)、CD25-APC-cy7(BioLegend社、302614)及びFoxP3-FITC(BioLegend社、320106)を用いた染色により評価した。
【0186】
ADCCの評価。iTreg細胞をカウントし、細胞生存を評価した。細胞を遠心分離にかけ、アッセイ培地(RPMI 1640、10% FBS、1%のペニシリン/ストレプトマイシン、5ng/mlのIL2)に再懸濁した。96ウェルプレートのウェル当たり5000個のiTreg細胞を播種した。細胞を播種した後に、hIgG1アイソタイプ対照又は抗CD25抗体を細胞に増加性濃度(0.64~10000ng/mL)で10分間、37℃、5% CO2で加えた。その後に、96ウェルプレートのウェル当たり105個の末梢血単核細胞(PBMC)(Stemcell社、70025.1)を加えた。細胞及び抗体を37℃で5% CO2のインキュベーター中で3日間インキュベートした。試料をLIVE/DEAD(商標)fixable Aqua Dead Cell Stain Kit(Thermo Fisher社、L34957)で染色し、続いてTruStain FCX blocking antibody(BioLegend社、422302)を用いて氷上で15分間染色した。その後に、細胞を抗ヒトCD3-BV605(BioLegend社、317322)、CD4-PerCP/Cy5.5(BioLegend社、300530)、CD8a-APC(BioLegend社、300912)、CD69-PE(BioLegend社、31090)、CD25-APC-Cy7(BioLegend社、302614)を用いて氷上で30分間染色した。試料を次に固定し、透過処理し、FoxP3-FITC(BioLegend社、320106)のために氷上で30分間染色した。
【0187】
iTreg細胞をゲーティングした(CD3+、CD4+、CD25+、Foxp3+)。全iTreg当たりの死iTreg(CD3+、CD4+、CD25+、Foxp3+、aqua Live/dead+)%によりiTreg細胞溶解の%を算出した。活性化CD4+細胞をゲーティングした(CD3+、CD4+、Foxp3-、CD69+)。全活性化CD4+細胞当たりの死活性化CD4+(CD3+、CD4+、Foxp3-、CD69+、aqua Live/dead+)%により活性化CD4+細胞溶解の%を算出した。活性化CD8+細胞をゲーティングし(CD3+、CD8+、CD69+)、全活性化CD8+細胞当たりの死活性化CD8+(CD3+、CD8+、CD69+、aqua Live/dead+)%により活性化CD8+細胞溶解の%を算出した。
【0188】
インビボiTreg ADCCアッセイ。IL2RAhuman/humanヒト化マウスをこれらの実験のために使用した。ヒトIL2RAの細胞外ドメインをコードする配列を挿入して、マウスIL2RAの細胞外ドメインをコードする配列を置き換えた。ホモ接合マウスを実験のために使用した。実験はBiocytogen Pharmaceuticals社(Beijing、China)において行った。
【0189】
hIgG1アイソタイプ対照又は抗CD25抗体での処理の3日後に抗凝固剤(EDTA-K2)を用いてマウスの眼窩洞から約120μLの血液を収集した(4匹のマウス/群)。フローサイトメトリー分析のために、100μLの血液試料を1mLの赤血球細胞溶解緩衝液と室温で5分間混合し、続いて500gで5分間4℃で遠心分離を行った。全細胞数のカウント及び記録を、自動化された細胞カウンターを使用して行った。血液細胞をPBS中に、フローサイトメトリーのための要求される体積まで再懸濁した。Treg及びTeff細胞を検出するために試料を2つのセットに分割した。
【0190】
Tregの検出のために、試料を抗CD16/CD32(Biolegend社、101302)を用いて室温で15分間染色し、続いてマウスCD45+-APC/cy7抗体(Biolegend社、103116)、マウスCD3+-Alexa Fluor 700抗体(Biolegend社、100216)、マウスCD4+-FITC(Biolegend社、100406)抗体、マウスCD8+-BV605(Biolegend社、100748)抗体、ヒトCD25+-APC(Biolegend社、302610)抗体を含有する抗体カクテルを用いて氷上で30分間染色した。その後に、試料を固定し、透過処理し、マウスFoxp3-PE/Cy7(eBioscience社、25-5773-82)抗体で染色した。
【0191】
CD4+及びCD8+エフェクターT細胞の検出のために、マウスCD45+-APC/Cy7抗体(Biolegend社、103116)、マウスCD3+-Alexa Fluor 700抗体(Biolegend社、100216)、マウスCD4+-FITC(Biolegend社、100406)抗体、マウスCD8+-BV605(Biolegend社、100748)抗体、マウスCD44-PE抗体(Biolegend社、103008)、マウスCD62L-PerCP/Cy5.5抗体(Biolegend社、104432)を含有する抗体カクテルを用いて試料を染色した。カウントをフローサイトメトリーにより分析した。
【0192】
初代免疫細胞結合アッセイ。セクション[0187]に記載されるようにヒトPBMCからiTregを単離した。SUDHL-1細胞(ATCC、CRL-2955)、ヒト単球(Stemcell社、70034)、ヒト汎B細胞(Stemcell社、70023)、ヒト汎T細胞(Stemcell社、700024.1)、ヒトエフェクターメモリーCD8+ T細胞(Stemcell社、200-0383)及びヒトNK細胞(Stemcell社、70036)を、10% FBS(Sigma社、F4135)及び1×ペニシリン-ストレプトマイシン(Corning社、30-002-CI)を補充したRPMI 1640(ATCC、30-2001)中で培養した。
【0193】
DPBS(VWR社、45000-436)、2% FBS及び0.1% EDTA(Quality Biological社、351-027-721)からなるアッセイ緩衝液を調製し、使用まで氷上で保った。細胞をカウントし、96ウェルプレート(VWR社、89089-826)中1×105細胞/ウェルでアッセイ緩衝液中に播種した。プレートを300gで5分間の遠心分離にかけ、上清を除去した。ヒトIgG1アイソタイプ(Biolegend社、403502)、ダクリズマブ(Absolute antibody社、Ab00187-10.0)、IBIO-101-CHO-WT(SD-889825-CW)、IBIO-101-CHO-afuc(SD-889825-CG)、IBIO-101-plant-WT(SD-889825-PW)、IBIO-101-plant-afuc(SD-889825-PC)を個々のウェルにアッセイ緩衝液中10μg/mLの濃度で加えた。細胞を氷上で20分間インキュベートした。インキュベーション後に、プレートを300gで5分間の遠心分離にかけ、上清を除去することにより細胞を洗浄し、次に細胞をアッセイ緩衝液で1回洗浄し、上清を遠心分離後に除去した。アッセイ緩衝液中に希釈(1:200)されたラット抗ヒトIgG Alexa Fluor 647二次抗体(Biolegend社、410714)を細胞に加え、続いて氷上で20分間、暗所中でインキュベートした。二次抗体とのインキュベーション後に、細胞をアッセイ緩衝液で1回洗浄した。その後、DAPI(Biolegend社、422801)を細胞にアッセイ緩衝液中1:5000の希釈で加えた。細胞をMiltenyi MACSQuant 16フローサイトメーター上で分析した。フローサイトメトリーデータをFlowJo(Becton, Dickinson & Company社)分析ソフトウェアで分析した。細胞集団を最初に同定し、それらの前方及び側方散乱によりゲーティングした。側方散乱面積及び側方散乱高さを使用することによりシングレットをゲーティングした。DAPI(BV-421)の陰性染色を使用して生シングレット細胞を同定した。CD25-APC細胞を次に生細胞集団から決定した。
【0194】
SEC-HPLC。sec分析のための試料調製。移動相、200mMホスフェート、pH6.2、250mM塩化カリウムを用いてプライムした0.2μmスピンフィルターを使用してすべての試料を濾過した後に、分析のために300μlオートサンプラーバイアルに移した。
【0195】
SECデータの取得。IBIO-101試料をTSKG3SWxl、5μm 7.8mm×30cm及びTSKGuard SWxl 7μm、6.0mm×4cmにロードした。20~25℃で30分の分析時間と共に、移動相として200mMホスフェート、pH6.2、250mM塩化カリウムを用いて0.5mL/分でクロマトグラフィーを行った。BEH200 SEC標準品(Waters社)を使用して、システムの性能を評価し、保持時間の参照を得た。
【0196】
データ処理。ピーク積分を自動設定において行った。ピークを7.5~22分の範囲において積分した。ベースラインを7.5分から算出し、ショルダーをドロップした。主ピークは、インタクトな完全にアセンブルされたIBIO-101であると推定された。
【0197】
LC-MS - 放出されたグリカンの分析。LC-MS分析のための試料調製。脱グリコシル化されたインタクトな試料をこの分析のために使用する。
【0198】
LC-MSデータの取得。インタクトな試料についてのLC-MS分析を通常のMS方法で行った。5.3kVのエレクトロスプレー電位でTurbo VTMイオン供給源を使用してアナライトイオン化を行った。カーテンガスを30プサイに設定した。ガス1及び2の圧力を両方とも80プサイに設定した。ガス2の温度を675℃に設定した。MSスキャンのための質量範囲は900Da~2000Daであった。アキュムレーション時間(accumulation time)は0.4sであった。TOFビンサイズは80であった。方法持続期間は22分であった。以下のパラメーターをHPLCのために使用した:(i)BioZen Glycan(150×2.1、2.6um、(ii)相AはH20中の0.10% FAであり、(iii)相BはACN中の0.10% FAであり;カラムオーブンを65℃に設定し、(iv)流速を0.43mL/分に設定し;勾配時間=25分であった。
【0199】
LC-MSデータの処理。*.wiff形式の未加工データを追加の処理なしにPeakViewソフトウェアに直接的にアップロードした。抽出されたイオンクロマトグラムをグリカンの分子量に基づいて生成する。
【0200】
表1はCD25結合ELISAの要約表である。表2AはSUDHL-1細胞結合アッセイの要約表である。表2BはiTreg細胞結合アッセイの要約表である。
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
【0207】
図17A~
図17Eは、Carterra LSAを使用して特徴付けられたCD25に結合するモノクローナル抗体(IBIO-101)の結合を示す。
図17A:CHO細胞において産生されたIBIO-101 野生型Ab、
図17B:植物細胞において産生されたIBIO-101 野生型Ab、
図17C:CHO細胞において産生されたIBIO-101 脱フコシル化、
図17D:植物細胞において産生されたIBIO-101 脱フコシル化、
図17E:ダクリズマブ。
【0208】
【0209】
図13及び
図18は、IBIO-101は、SUDHL-1ヒトリンパ腫細胞株(
図13)及び誘導されたヒトT
reg(iT
reg)(
図18)上に内因的に発現されるCD25に対する強い結合を呈することを示す。FACS分析は、CHO及び植物において産生されたWT及び脱フコシル化IBIO-101分子並びにダクリズマブはSUDHL-1及びiT
reg上のCD25に結合することを示す。プロットされた値は中央値蛍光強度である。EC50値はn≧3回の実験の平均である。
【0210】
図14及び
図19は、CHO及び植物脱フコシル化IBIO-101はSUDHL-1ヒトリンパ腫細胞株(
図14)及び誘導されたヒトT
reg(iT
reg)(
図19)に対するADCC効力を同様に増強したことを示す。NFAT CD16 Jurkat ADCCレポーター細胞株を使用して、CD25発現SUDHL-1及びiT
reg標的細胞に対するCHO及び植物において産生されたWT及び脱フコシル化IBIO-101並びにダクリズマブによるADCC効力が示されている。EC
50値はn≧3回の実験の平均である。
【0211】
図15は、IBIO-101分子はIL2/STAT5シグナル伝達経路を阻害しないことを示すグラフである。FACS分析は、HEK blueヒトIL2R過剰発現細胞株におけるIL2による又はダクリズマブ、IBIO-101-CHO-WT、IBIO-101-CHO-afuc、IBIO-101-plant-WT、若しくはIBIO-101-plant-afucの存在下でのSTAT5の用量依存的活性化を示す。STAT5活性化は、リン酸化されたSTAT5タンパク質についての染色により測定される。CHO又は植物において産生されたフコシル化及び脱フコシル化IBIO-101分子はIL2/STAT5シグナル伝達に対して阻害効果を示さないが、ダクリズマブはIL2によるSTAT5活性化を有意に阻害する。EC
50値はn≧3回の実験の平均である。
【0212】
図20は、脱フコシル化IBIO-101は強いSUDHL-1ヒトリンパ腫細胞死滅を呈することを示す。FACS分析は、CD25発現SUDHL-1標的細胞及びエフェクター細胞としてのヒトPBMCに対するCHO又は植物により産生された脱フコシル化IBIO-101によりトリガーされた細胞死を示す。細胞毒性は、CFSE染色された標的細胞のlive/dead BV510色素染色により測定された。EC50値はn=3回の実験の平均である。
【0213】
図21は、IBIO-101分子はCD25発現SUDHL-1及び誘導されたヒトT
reg(iT
reg)細胞に対して高い結合を示すが、他の初代免疫細胞に対して低い結合を示すことを示す。FACS分析は、CHO及び植物において産生されたWTフコシル化及び脱フコシル化IBIO-101分子並びにダクリズマブはヒトリンパ腫SUDHL-1細胞及びiT
reg細胞に対する高いレベルの結合を有することを示す。汎T細胞、NK細胞、単球、及びCD8+エフェクターT細胞は、IBIO-101分子に対する低いレベルの結合を実証した。代表的なFACSプロットは、指し示される細胞型におけるCD25と対比した前方散乱(FSC)と共に示されており、ヒトIgG1アイソタイプ、IBIO-101分子、又はダクリズマブに対する結合のパーセンテージが各々のプロットに指し示されている;n=2。
【0214】
図22は、IBIO-101分子は汎B細胞に対して特異的結合を示さないことを示す。FACS分析は、CHO及び植物において産生されたWTフコシル化及び脱フコシル化IBIO-101分子並びにダクリズマブは汎B細胞に同様に結合することを示す。結合シグナルのレベルは二次抗体のみでの染色と同等である。代表的なFACSプロットは、汎B細胞におけるCD25と対比した前方散乱(FSC)と共に示されており、ヒトIgG1アイソタイプ、IBIO-101分子、又はダクリズマブに対する結合のパーセンテージが各々のプロットに指し示されている;n=2。
【0215】
【0216】
図23はiTreg枯渇アッセイゲーティング戦略を示す。
【0217】
図24は、iT
reg、活性化CD4+及び活性化CD8+細胞におけるhIgG1アイソタイプ、ダクリズマブ、IBIO-101-plant-afuc及びIBIO-101-CHO-afucを用いた処理からの細胞毒性パーセントを示す代表的なFACSプロットのiT
reg枯渇を示す。
【0218】
図25A~
図25Dは、iBio-101処理後の誘導されたヒトT
reg(iT
reg)の選択的な枯渇を示す。FACS分析は、ヒトIgG1アイソタイプ及びダクリズマブは培養における処理の3日後にiT
reg、活性化CD4+及びCD8+細胞を有意に枯渇させないことを示す(それぞれ
図25A及び
図25B)。しかしながら、CHO及び植物において産生された脱フコシル化iBio-101分子はiT
regの溶解を強く誘導し、最小のレベルの細胞毒性が同じ処理期間内に活性化CD4+及びCD8+細胞において観察された(それぞれ
図25C及び
図25D)。
【0219】
Tg-hCD25マウス。ヒトIL2RAの細胞外ドメインをコードする配列を挿入して、マウスIL2RAの細胞外ドメインをコードする配列を置き換えた。この研究におけるマウスの遺伝子型はホモ接合であった(IL2RAhuman/human)。Tg-hCD25マウスに2.5mpkのIBIO-101-plant-afucを腹腔内(IP)投与した。投与後の5、15、30分、1、2、4及び8時間時、1日目~7日目に1日毎に、7~17日目に1日おきに、17日目~28日目に週2回、血液試料を収集した。IBIO-101-plant-afucは約47時間の半減期を実証し、Tg-hCD25マウスにおいて2時間のTmax及び10.1ug/mlのCmaxであった。週2回の2.5mpkの腹腔内投与はヒトPBMC ADCC活性のEC90カバレージを提供する。そのため、週2回のIP注射をTg-hCD25マウスにおける有効性研究のために実行した。
【0220】
図26は、hCD25 TGマウスにおけるiBio-101薬物動態プロファイルを示すグラフである。
【0221】
図27はiBio-101インビボ有効性研究の設計を示す。現行のS.O.C.に対するIBIO-101-plant及びIBIO-101-CHOの有効性を評価する。単剤としての又は抗PD-1抗体と組み合わせたIBIO-101を調べる。治療されたマウスの免疫細胞においてIBIO-101の作用の機序を決定する。
【0222】
B-hIL2RAマウスにおける皮下MC38結腸癌モデルの治療におけるIBIO-101-plant及びIBIO-101-CHOの有効性のインビボ有効性評価。B-hIL2RAマウスの皮下にMC38腫瘍細胞を注射した。腫瘍接種の約7日後に、平均腫瘍サイズが約50~100mm3に達したときに腫瘍保有動物を8つの研究群に無作為に登録した。各々の群は7匹のマウスからなる。初期治療を群分けの日(0日目)に投与した。試験品をPK研究プロファイルに基づいて週2回投与した。キャリパーを使用して2次元で腫瘍サイズを週2回測定し、式:V=0.5a×b2(式中、a及びbは腫瘍のそれぞれ長い及び短い寸法である)を使用して体積をmm3で表す。作用の機序を免疫プロファイリング(TregとTeffとの比)するために高い範囲のCmax領域の中央点である3日目に血液を収集した。
【0223】
図28は、iBio-101インビボ有効性研究の結果 - すべての群についての体重(BW)を示すグラフである。動物を体重により群に無作為化し、次に実験の間に週に2回及び実験のエンドポイントの直前に計量した。明らかな臨床的な徴候及び動物の死は実験の間に観察されず、すべての試験品に対する動物の良好な忍容性を指し示した。経時的な平均体重変化はすべての治療群において類似しており、すべての治療について安全性の問題がないことを指し示した。
【0224】
図29は、iBio-101インビボ有効性研究の結果 - 腫瘍体積についての結果を示すグラフである。すべての治療群は、最終日にアイソタイプ媒体の場合とは有意に異なった。脱フコシル化Planta及びCHO iBio-101抗体の両方は、用量依存的な抗腫瘍効果を実証した。抗PD1(2.5mpk)抗体との脱フコシル化Planta又はCHO iBio-101(1mpk)の組合せは、単独での抗PD-1抗体よりも有意に高い腫瘍抑制を示す。データは平均±SEMである。N=7/群。* p<0.05対アイソタイプ対照、#:p<0.05対抗PD1、二元配置ANOVA多重比較、続いてチューキー検定。
【0225】
図30Aは、有効性研究におけるTregのためのゲーティング戦略 - 3日目の血液試料のFACS分析を示す。
図30Bは、有効性研究におけるCD4+及びCD8+エフェクター細胞のためのゲーティング戦略 - 3日目の血液試料のFACS分析を示す。
【0226】
図31は、hIgG1アイソタイプ、IBIO-101-CHO-afuc及びIBIO-101-plant-afucでの治療後の血液中のT
regパーセンテージを示す代表的なFACSプロットの3日目の血液試料のFACS分析を示す。
【0227】
図32は、3日目に、planta又はCHOはアイソタイプ対照の場合と比較してT
regを枯渇させたことを示すグラフである。
【0228】
図32A~
図32Eは、IBIO-101分子は治療の3日後に血液中のT
reg細胞を低減させることを示す。FACS分析は、循環性T
reg(
図33A)、CD4+エフェクター細胞(
図33B)、及び血液中のCD8+エフェクター細胞(
図33C)に対する抗PD1のみ又はヒトアイソタイプ対照と比較したCHO及び植物において産生された脱フコシル化IBIO-101分子の用量依存的な細胞毒性効果を示す。CD4+エフェクター/T
reg及びCD8+エフェクター/T
reg細胞の間の比をそれぞれ
図33D及び
図33Eに示す。プロットされた値は平均細胞数±SEMである(n=4/群)。列1 - hIgG1アイソタイプ対照;列2 抗PD1、2.5mg/kg;列3 - IBIO-101-plant-afuc、0.1mg/kg;列4 - IBIO-101-plant-afuc、1.0mg/kg;列5 - - IBIO-101-CHO-afuc、0.1mg/kg;列6 - IBIO-101-CHO-afuc、1.0mg/kg;列7 - IBIO-101-plant-afuc、1.0mg/kg + 抗PD1、2.5mg/kg;列8 - IBIO-101-CHO-afuc、1.0mg/kg + 抗PD1、2.5mg/kg。
【0229】
エピトープ選択的抗体発見プラットフォームと組み合わせて人工知能を使用して、新規のCD25 mAbであるIBIO-101を設計した。糖操作されたトランスジェニックN.ベンサミアナ植物株(ΔXT/FT)を用いて植物ベースIBIO-101を製造した。植物ベースIBIO-101は、動態親和性においてCHOにより産生されたIBIO-101と同等であり、ヒト及びカニクイザルCD25に選択的に結合するが、マウスCD25に結合しない。植物により産生されたIBIO-101及びCHOにより産生されたIBIO-101の両方は、IL-2遮断シグナル伝達経路を逃れながら、SUDHL1、CD25高発現がん細胞株及びヒトiTreg細胞に対する高い親和性を有する。糖操作された脱フコシル化IBIO-101は、ヒトTregも枯渇させながら、ヒトPBMCを介するADCC活性及びがん細胞死滅を増強した。植物により産生されたIBIO-101及びCHOにより産生されたIBIO-101の両方は、Teff細胞を保存しながらTreg細胞を枯渇させることによりhTg CD25マウスにおいてMC38(結腸がん)腫瘍の低減において用量依存性を実証した。IBIO-101は、MC38 TgCD25マウス異種移植モデルにおいて抗PD1抗体併用療法と腫瘍低減において付加的な効果を示した。植物により産生されたIBIO-101とCHOにより産生されたIBIO-101との間の効力の同等性は、CHOベース生物製剤及び植物ベース生物製剤の両方はヒトがん療法のために適切かつ実行可能なオプションであることを実証する。
【0230】
本明細書において具体化及び広く記載されるように、本開示の一態様は、ヒトCD25に結合するヒト化抗体又は結合性断片であって、配列番号1若しくは9の可変重鎖アミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%の配列同一性を含む配列;及び配列番号4若しくは11の可変軽鎖アミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%の配列同一性を含む配列を含むか、から本質的になるか又はからなる、ヒト化抗体又は結合性断片に関する。1つの態様において、抗体又は結合性断片は、配列番号1若しくは9の可変重鎖アミノ酸配列、又は配列番号1若しくは9に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を含む配列を含む。別の態様において、抗体又は結合性断片は、配列番号4若しくは11の可変軽鎖アミノ酸配列、又は配列番号4若しくは11に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を含む配列を含む。別の態様において、配列番号1又は9をコードする核酸は、それぞれ配列番号2、3、又は10に記載される核酸配列に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を有する。別の態様において、配列番号4又は11をコードする核酸は、それぞれ配列番号5、6、又は12に記載される核酸配列に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を有する。別の態様において、配列番号4又は9をコードする核酸は、植物における発現のために配列最適化されている。別の態様において、抗体は、フレームワーク領域に対する1又は2以上の変異をさらに含む。別の態様において、抗体は、ヒトCD25及びカニクイザルCD25に結合するが、マウス又はラットCD25に結合しない。別の態様において、ヒトCD25及びカニクイザルCD25に対する結合のEC50比は約0.75~約1.25である。別の態様において、抗体は脱フコシル化されている。別の態様において、抗体は、CHO細胞又は植物細胞においてin celluloで脱フコシル化されている。別の態様において、抗体又は結合性断片は、エフェクターT細胞機能を、抗体又は結合性断片と接触させた場合に増加させる。
【0231】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に上記されるヒト化CD25抗体又はその断片のいずれか1つを含むか、から本質的になるか、又はからなる医薬組成物である。
【0232】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に上記されるヒト化CD25抗体のいずれか1つをコードする単離された核酸配列である。
【0233】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に上記される単離された核酸を含む発現ベクターである。
【0234】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に上記される核酸配列を含むベクターである。
【0235】
別の実施形態において、本発明は、それを必要とする対象を治療する方法であって、対象に治療有効量の本明細書に上記されるヒト化CD25抗体又は医薬組成物のいずれか1つを投与するステップを含むか、から本質的になるか、又はからなる、方法である。
【0236】
別の実施形態において、本発明は、対象において制御性T細胞の数を枯渇させる方法であって、対象に治療有効量の本明細書に上記されるヒト化CD25抗体又は医薬組成物のいずれか1つを投与するステップを含むか、から本質的になるか、又はからなる、方法である。1つの態様において、対象はがんを患っている。別の態様において、対象は自己免疫関連疾患又は障害を患っている。別の態様において、対象は併用療法を提供される。
【0237】
別の実施形態において、本発明は、末梢血単核細胞を含むか、から本質的になるか、又はからなる試料中の制御性T細胞の数を枯渇させる方法であって、試料を本明細書に上記されるヒト化CD25抗体のいずれか1つと接触させるステップを含む、方法である。
【0238】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に上記される抗体又は医薬組成物のいずれか1つを含むか、から本質的になるか、又はからなるキットである。
【0239】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に上記される発現ベクターを含むか、から本質的になるか、又はからなるアグロバクテリウム・ツメファシエンス細胞である。
【0240】
別の実施形態において、本発明は、抗がん活性を有する抗体を作製する方法であって、(a)植物中に、抗がん活性を有する配列番号1及び2、又は配列番号1及び2に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を含む配列のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む植物ウイルスベクターを導入するステップ;並びに(b)抗体が少なくとも一部の植物細胞中で発現される十分な条件下及び時間にわたり植物を維持するステップを含むか、から本質的になるか、又はからなる、方法である。別の態様において、導入するステップは真空浸潤を含む。別の態様において、植物は、抗がん活性を有する抗体を含む。別の態様において、植物からの抗がん活性を有する抗体である。別の態様において、抗体は抗がん活性を有する。
【0241】
本発明はその詳細な説明と組み合わせて記載されているが、以上の記載は本発明の範囲を示すことが意図され、それを限定することは意図されず、該範囲は、添付の請求項の範囲により定義されることが理解されるべきである。他の態様、利点、及び修飾は以下の請求項の範囲内にある。
【0242】
本明細書において議論される任意の実施形態は、本発明の任意の方法、キット、試薬、又は組成物に関して実行可能であり、その逆も成り立つことが想定される。さらには、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用され得る。
【0243】
本明細書に記載される特定の実施形態は、本発明の限定としてではなく実例として示されていることが理解される。本発明の主要な特色は、本発明の範囲から離れることなく様々な実施形態において用いられ得る。当業者は、本明細書に記載される特有の手順に対する多数の均等物を認識するか、又はルーチン以下の実験を使用してそれを確認することができる。そのような均等物は、本発明の範囲内にあると考えられ、請求項によりカバーされる。
【0244】
本明細書において言及されるすべての刊行物及び特許出願は、本発明が関する技術分野の当業者の技術水準を指し示す。すべての刊行物及び特許出願は、各々の個々の刊行物又は特許出願が参照により組み込まれることを特に及び個々に指し示されたのと同じ程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0245】
請求項及び/又は明細書中で用語「含む」と組み合わせて使用された場合の語「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用は、「1つの」を意味し得るが、「1つ又は2つ以上」、「少なくとも1つの」、及び「1つ又は1つより多い」の意味とも合致する。請求項中の用語「又は」(若しくは)の使用は、選択肢のみを指すことが明示的に指し示されるか、又は選択肢が相互に排他的である場合を除いて、「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示は、選択肢のみ並びに「及び/又は」を指す定義をサポートする。本出願の全体を通じて、用語「約」は、値が、値を決定するために用いられているデバイス、方法についての誤差の本来的な変動、又は研究対象の間で存在する変動を含むことを指し示すために使用される。
【0246】
本明細書及び請求項において使用される場合、語「含む」(comprising)(並びに含むの任意の形態、例えば「含む」(comprise)及び「含む」(comprises))、「有する」(having)(並びに有するの任意の形態、例えば「有する」(have)及び「有する」(has))、「含む」(including)(並びに含むの任意の形態、例えば「含む」(includes)及び「含む」(include))、又は「含有する」(containing)(並びに含有するの任意の形態、例えば「含有する」(contains)及び「含有する」(contain))は、包含的又はオープンエンドであり、追加の、記載されていない要素又は方法ステップを除外しない。本明細書において提供される組成物及び方法のいずれかの実施形態において、「含む」は、「から本質的になる」又は「からなる」で置き換えられ得る。本明細書において使用される場合、語句「から本質的になる」は、指定される整数又はステップの他に、請求項の発明の特徴又は機能に実質的に影響しない整数又はステップを要求する。本明細書において使用される場合、用語「からなる」は、記載される整数(例えば、特色、要素、特徴、特性、方法/方法ステップ若しくは限定)又は整数の群(例えば、特色、要素、特徴、特性、方法/方法ステップ若しくは限定)のみの存在を指し示すために使用される。
【0247】
用語「又はその組合せ」は、本明細書において使用される場合、該用語に先行する列挙された項目のすべての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C、又はその組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABCの少なくとも1つ、及び順序が特定の文脈において重要である場合、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABも含むことが意図される。この例を続けて、1又は2以上の項目又は用語の反復を含有する組合せ、例えばBB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、及びCABABBなどが明示的に含まれる。他に文脈から明らかである場合を除いて、典型的には任意の組合せにおける項目又は用語の数に限定はないことを当業者は理解する。
【0248】
本明細書において使用される場合、おおよそのものを表す語、例えば、限定なく、「約」、「実質的な」又は「実質的に」は、そのように修飾されている場合に、必ずしも絶対的でも完璧でもないと理解されるが、存在するとして条件を指定することを正当化するために当業者にとって十分に近いと考えられる条件を指す。記載が変動し得る程度は、どれほど大きな変化が導入され、依然として、修飾されていない特色の要求される特徴及び能力を依然として有しているとして修飾された特色を当業者に認識させることができるのかに依存する。先行する議論の対象となるが、一般に、おおよそのものを表す語、例えば「約」により修飾されている本明細書における数値は、少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12又は15%だけ記載された値から変動し得る。
【0249】
追加的に、本明細書におけるセクションの見出しは、37 CFR 1.77の下での示唆との一貫性のために又は他に文書編成上の手がかりを提供するために提供される。これらの見出しは、本開示から発行され得る任意の請求項に示される発明を限定も特徴付けもしない。特に及び例として、見出しは「技術分野」に言及するが、そのような請求項は、いわゆる技術分野を記載するためのこの見出しの下で該表現により限定されるべきではない。さらに、「背景技術」のセクションにおける技術の記載は、技術が本開示における任意の発明に対する先行技術であるという承認として解釈されるべきではない。「要約」は、発行された請求項に記載される発明の特徴付けであると考えられるべきではない。さらには、単数形の「発明」に対する本開示におけるいかなる言及も、本開示において新規性となる単一の点のみ存在すると議論するために使用されるべきではない。複数の発明が、本開示から発行される複数の請求項の限定に従って記載され得、そのような請求項は、それにより保護される発明、及びそれらの均等物を然るべく定義する。すべての事例において、そのような請求項の範囲は、本開示に照らしてそれら自体で考慮され、本明細書に記載される見出しにより制約されるべきではない。
【0250】
本出願において開示及びクレームされる組成物及び/又は方法のすべては、本開示に照らして過度の実験なしに作製及び実行され得る。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施形態の観点において記載されているが、バリエーションが、本発明の概念、精神及び範囲から離れることなく、本明細書に記載される組成物及び/又は方法に対して並びにステップにおいて又は方法のステップの配列において適用され得ることは当業者に明らかである。当業者に明らかなすべてのそのような類似した代用及び修飾は、添付の請求項により定義される本発明の精神、範囲及び概念内にあるとみなされる。
【0251】
本出願に添付される請求項の解釈において特許庁、及び本出願において発行される任意の特許の任意の読者を補助するために、語「~のための手段」又は「~のためのステップ」が特定の請求項において明示的に使用される場合を除いて、添付の特許請求の範囲のいずれも、本出願の出願日において存在するとして、35 U.S.C.§112のパラグラフ6、U.S.C.§112パラグラフ(f)、又はそれに等しいものを行使することは意図されないことを出願人は注記する。
【0252】
請求項の各々について、先行する請求項が請求項の用語又は要素のための適正な先行詞を提供する限り、各々の従属請求項は、独立請求項並びに各々の及びあらゆる請求項のための先行する従属請求項の各々に従属することができる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトCD25に結合するヒト化抗体又は結合性断片で
あるヒト化CD25抗体であって、
配列番号1若しくは9
の重鎖アミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%の配列同一性を含む配列;及び
配列番号4若しくは11
の軽鎖アミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも70%の配列同一性を含む配列;
を含む、前記
ヒト化CD25抗体。
【請求項2】
ヒト化抗体又は結合性断片が、配列番号1若しくは9
の重鎖アミノ酸配列、又は配列番号1若しくは9に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を含む配列を含む
こと;あるいは
ヒト化抗体又は結合性断片が、配列番号4若しくは11の軽鎖アミノ酸配列、又は配列番号4若しくは11に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を含む配列を含むこと;
の少なくとも1つである、請求項1に記載のヒト化CD25抗体。
【請求項3】
ヒト化抗体又は結合性断片が、ヒトCD25及びカニクイザルCD25に結合するが、マウス又はラットのCD25に結合しないか、
あるいは、ヒトCD25及びカニクイザルCD25に対する結合のEC50比が、約0.75~約1.25である、請求項
1に記載のヒト化CD25抗体。
【請求項4】
ヒト化抗体又は結合性断片が、脱フコシル化されている
か、あるいは、CHO細胞又は植物細胞においてin celluloで脱フコシル化されている、請求項
1に記載のヒト化CD25抗体。
【請求項5】
ヒト化抗体又は結合性断片が、エフェクターT細胞機能を、前記
ヒト化抗体又は結合性断片と接触させた場合に増加させる、請求項
1に記載のヒト化CD25抗体。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれかに記載のヒト化CD25抗
体のいずれか1つを含む医薬組成物。
【請求項7】
請求項1~
5のいずれかに記載のヒト化CD25抗
体のいずれか1つをコードする単離された核
酸。
【請求項8】
配列番号1又は9の重鎖アミノ酸配列をコードする核酸が、それぞれ配列番号2、3、若しくは10に示される核酸配列に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を有する;
配列番号4又は11の軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸が、それぞれ配列番号5、6、若しくは12に示される核酸配列に対して少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を有する;あるいは
配列番号4の軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸、若しくは配列番号9の重鎖アミノ酸配列をコードする核酸が、植物における発現のために配列最適化されているか、又はフレームワーク領域に対する1若しくは2以上の変異を含む;
請求項7に記載の単離された核酸。
【請求項9】
請求項
7に記載の単離された核酸を含む発現ベクター。
【請求項10】
対象において制御性T細胞の数を枯渇させるための、又は末梢血単核細胞を含む試料中の制御性T細胞の数を枯渇させるための、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項11】
対象が、がん、自己免疫関連疾患又は障害を患っている、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
対象が併用療法を提供される、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~
5のいずれかに記載の
ヒト化CD25抗
体を含むキット。
【請求項14】
請求項
9に記載の発現ベクターを含むアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞。
【請求項15】
抗がん活性を有するポリペプチドを作製する方法であって、
(a)抗がん活性を有する配列番号1又は3及び5、又は9及び10のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む植物ウイルスベクターを、植物に導入するステップ;並びに
(b)前記植物を、前記ポリペプチドが少なくとも一部の植物細胞において発現するのに十分な条件下及び時間、維持するステップ;
を含
み、任意に前記抗体が、抗体依存性細胞傷害性活性を有する、前記方法。
【国際調査報告】