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特表2024-534062誘導性サイトカインプロドラッグ及びPD-1/PD-L1併用療法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】誘導性サイトカインプロドラッグ及びPD-1/PD-L1併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/19 20060101AFI20240910BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20240910BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 14/55 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 14/56 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 14/565 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 14/57 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 14/52 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61K38/19
A61P35/00 ZNA
A61P43/00 123
A61K39/395 U
A61K38/20
A61K47/65
A61K39/395 N
A61K9/08
A61K9/19
C07K16/18
C07K16/28
C07K14/55
C07K14/54
C07K14/56
C07K14/565
C07K14/57
C07K14/52
C07K19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509374
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 US2022040478
(87)【国際公開番号】W WO2023023065
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/234,001
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/275,714
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520446126
【氏名又は名称】ウェアウルフ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウィンストン, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ヒックリン, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】サルメロン-ガルシア, ホセ アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】サイデル-デュガン, シンシア
(72)【発明者】
【氏名】ブロドキン, ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】スタイナー, フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA29
4C076AA95
4C076BB13
4C076CC27
4C076CC42
4C076EE59M
4C076GG06
4C084AA02
4C084BA41
4C084BA44
4C084CA59
4C084DA01
4C084DA12
4C084DA14
4C084DA22
4C084DA23
4C084DA24
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA15
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB17
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA01
4H045DA02
4H045DA04
4H045DA16
4H045DA17
4H045DA18
4H045EA20
(57)【要約】
プロドラッグは、プロテアーゼ切断性リンカーを介して、サイトカインブロッキングドメイン及び典型的には半減期延長ドメインと結合している天然サイトカインポリペプチドを含む。本開示は、誘導性サイトカインプロドラッグを使用するリンパ腫を含むがんを処置するための方法及び組成物、ならびに抗PD-1抗体及び抗PD-L1抗体と組み合わせて誘導性サイトカインプロドラッグを含む併用療法に関する。
【選択図】図1E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の(i)サイトカインポリペプチド[A]、ブロッキング要素[D]、任意に半減期延長要素[H]及びプロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーを含む誘導性サイトカインプロドラッグと、(ii)抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体とを含む、がんの処置を必要とする対象における前記処置に使用するための組み合わせであって、
前記サイトカインポリペプチドと、前記サイトカインブロッキング要素と、存在する場合に前記任意の半減期延長要素とは、前記プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーによって作動可能に連結され、前記誘導性サイトカインプロドラッグは、減弱されたサイトカイン受容体活性化活性を有し、前記誘導性サイトカインプロドラッグの前記サイトカイン受容体活性化活性は、前記プロテアーゼ切断性リンカーの切断によって生成される前記サイトカインポリペプチドを含有するポリペプチドのサイトカイン受容体活性化活性よりも少なくとも約10倍低い、前記組み合わせ。
【請求項2】
がんの処置を必要とする対象に、治療有効量の(i)サイトカインポリペプチド[A]、ブロッキング要素[D]、任意に半減期延長要素[H]及びプロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーを含む誘導性サイトカインプロドラッグと、(ii)抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体とを投与することを含む、前記対象におけるがんを処置する方法であって、
前記サイトカインポリペプチドと、前記サイトカインブロッキング要素と、存在する場合に前記任意の半減期延長要素とは、前記プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーによって作動可能に連結され、前記誘導性サイトカインプロドラッグは、減弱されたサイトカイン受容体活性化活性を有し、前記誘導性サイトカインプロドラッグの前記サイトカイン受容体活性化活性は、前記プロテアーゼ切断性リンカーの切断によって生成される前記サイトカインポリペプチドを含有するポリペプチドのサイトカイン受容体活性化活性よりも少なくとも約10倍低い、前記方法。
【請求項3】
前記サイトカインポリペプチドが、IL-2、IL-12、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、または前述のいずれかのムテインもしくは活性断片である、請求項1に記載の使用または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記サイトカインポリペプチドが、IL-2、または前述のいずれかのムテイン、バリアント、活性断片もしくはサブユニットである、請求項3に記載の使用または方法。
【請求項5】
前記サイトカインポリペプチドが、IL-12、または前述のいずれかのムテイン、バリアント、活性断片もしくはサブユニットである、請求項3に記載の使用または方法。
【請求項6】
前記サイトカインポリペプチドが、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、または前述のいずれかのムテインもしくは活性断片である、請求項3に記載の使用または方法。
【請求項7】
前記誘導性サイトカインプロドラッグが、以下の式を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の使用または方法:
[A]-[L1]-[H]-[L2]-[D]
[D]-[L2]-[H]-[L1]-[A]
[A]-[L1]-[D]-[L2]-[H]
[H]-[L2]-[D]-[L1]-[A]
[H]-[L1]-[A]-[L2’]-[D]
[D]-[L1]-[A]-[L2’]-[H]
式中、Aは、サイトカインポリペプチドであり、Dは、ブロッキング部分であり、Hは、半減期延長部分であり、L1は、プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーであり、L2は、任意にプロテアーゼ切断性であるポリペプチドリンカーであり、L2’は、プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーである。
【請求項8】
前記誘導性サイトカインプロドラッグが、単一ポリペプチド鎖である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項9】
前記誘導性サイトカインプロドラッグが、少なくとも2つのポリペプチド鎖を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項10】
前記誘導性サイトカインプロドラッグが、少なくとも3つのポリペプチド鎖を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項11】
前記サイトカインポリペプチドが、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、または前述のもののアミノ酸配列バリアントを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項12】
a)化合物1が、配列番号1の第1のポリペプチド鎖及び配列番号5の第2のポリペプチド鎖を含み、化合物1のアミノ酸配列バリアントが、配列番号1に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号5に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含み、b)化合物2が、配列番号2の第1のポリペプチド鎖及び配列番号5の第2のポリペプチド鎖を含み、化合物2のアミノ酸配列バリアントが、配列番号2に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号5に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含み、C)化合物3が、配列番号3の第1のポリペプチド鎖及び配列番号5の第2のポリペプチド鎖を含み、化合物3のアミノ酸配列バリアントが、配列番号3に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号5に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含み、c)化合物4が、配列番号1の第1のポリペプチド鎖及び配列番号4の第2のポリペプチド鎖を含み、化合物4のアミノ酸配列バリアントが、配列番号4に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号5に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含む、請求項11に記載の使用または方法。
【請求項12】
前記サイトカインポリペプチドが、化合物5、化合物6、化合物7、化合物8、化合物9、もしくは化合物10、または前述のもののアミノ酸配列バリアントである、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項13】
a)化合物5が、配列番号6の第1のポリペプチド鎖及び配列番号12の第2のポリペプチド鎖を含み、化合物5のアミノ酸配列バリアントが、配列番号6に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号12に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含み、b)化合物6が、配列番号7の第1のポリペプチド鎖及び配列番号12の第2のポリペプチド鎖を含み、化合物6のアミノ酸配列バリアントが、配列番号7に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号12に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含み、C)化合物7が、配列番号8の第1のポリペプチド鎖及び配列番号13の第2のポリペプチド鎖を含み、化合物7のアミノ酸配列バリアントが、配列番号8に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号13に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含み、c)化合物8が、配列番号9の第1のポリペプチド鎖及び配列番号13の第2のポリペプチド鎖を含み、化合物8のアミノ酸配列バリアントが、配列番号9に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号13に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含み、d)化合物9が、配列番号10の第1のポリペプチド鎖及び配列番号13の第2のポリペプチド鎖を含み、化合物9のアミノ酸配列バリアントが、配列番号10に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号13に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含み、e)化合物10が、配列番号11の第1のポリペプチド鎖及び配列番号13の第2のポリペプチド鎖を含み、化合物10のアミノ酸配列バリアントが、配列番号11に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号1に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含む、請求項12に記載の使用または方法。
【請求項14】
前記誘導性サイトカインプロドラッグが、14~20から選択されるアミノ酸、または配列番号14~20に対して少なくとも約80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項15】
抗PD-1抗体が投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項16】
前記抗PD-1抗体が、AMP-224(AstraZenica)、609A(3SBio)、704(3SBio)、705(3SBio)、ABBV-181(AbbVie)、ADU-1503/bion-004(Chinook Therapeutics)、AGEN2034/バルスチリマブ(Agenus)、AK103(Akeso)、AK104(Akeso)、AK112(Akeso)、AK123(Akeso)、AMG256(Amgen)、AMG404(Amgen)、ANB030(AnaptysBio)、ANKEBIO抗PD1産物(Anhui Anke Biotechnology)、抗PD-1/抗CD47(DiNonA)、ASKG915(Ask Gene Pharmaceuticals)、AV-MEL-1(Aivita Biomedical)、BCD-100(Biocad CJSC)、BI754091(Boehringer Ingelheim)、BiCKI-IL-7(OSE Immunotherapeutics)、Boehringer-PD-1-未知(Boehringer Ingelheim)、BSK-050K01(Biosion)、カンレリズマブ(Jiangsu Hengrui Medicine)、CB201(Crescendo Biologics)、CB213(Crescendo Biologics)、CC-90006(AnaptsBio)、セトレリマブ(J&J)、chPD1(Kiromic Biopharma)、CMAB819(Mabpharm)、CS1003(CStone Pharmaceuticals)、CS17938(Shenzhen Chipscreen Biosciences)、CTX-8371(Compass Therapeutics)、CX-072(CytomX Therapeutics)、CX-188(CytomX Therapeutics)、シパリズマブ(Harbin Gloria Pharmaceuticals)、DB004(DotBio)、EMB02(EpimAb Biotherapeutics)、ゲプタンブリマブ(Geptanblimab)/ゲノリムズマブ(Apollomics)、GS19(Suzhou Zelgen Biopharmaceuticals)、HLX10(Shanghai Henlius Biotech)、HX008(Taizhou HanZhong Pharmaceuticals)、HY003(Juventas Cell Therapy)、IBI315/BH2950(Innovent Biologics)、IBI318(Innovent Biologics)、IBI319(Innovent Biologics)、IMM1802(ImmuneOnco Biopharma)、IMT200(TrueBinding)、Jemperli/ドスタルリマブ(AnaptysBio)、JTX-4014(Jounce Therapeutics)、Keytruda/ペンブロリズマブ(Merck)、LBL-006(Nanjing Leads Biolabs)、Libtayo/セミプリマブ-rwlc(Regeneron Pharmaceuticals)、LVGN3616(Lyvgen Biopharma)、LXF821(Novartis)、LY01015(Luye Pharma Group)、LY3462817(Eli Lilly)、MCLA-134(Merus N.V.)、MEDI5752(AstraZenica)、NIR178(Novartis)、ONCR-177(Oncorus)、ONO-4685(Ono Pharmaceutical)、Opdivo/ニボルマブ(Ono Pharmaceutical)、MGD019(MacroGenius)、PD1-GDT CAR-T(Kiromic Biopharma)、ペンプリマブ(Akeso)、PSB205(Qilu Puget Sound Biotherapeutics)、PT-001(Merck)、PT627(Merck)、RB-M1(Refuge Biotechnologies)、レチファンリマブ(MacroGenics)、RG6139(Roche)、RG6279(Roche)、RTX-002(RubrYc Therapeutics)、ササンリマブ(Pfizer)、Servier-PD1xLAG3-未知(Servier)、SL-279252/TAK-252(Shattuck Labs)、Sofusa抗PD1(Sorrento Therapeutics)、スパルタリズマブ(Novartis)、SSI-361(Lyvgen Biopharma)、Sym021(Servier)、テボテリマブ(MacroGenics)、チスレリズマブ(BeiGene)、TSR-075(AnaptsBio)、Tuhura-DO/PD-1-未知(Tuhura Biopharma)、トリパリマブ(Shanghai Junshi Biosciences)、シンチリマブ(Innovent Biologics)、Unicar-CAR-T&PD-1-未知(Shanghai Unicar-Therapy Bio-Medicine Technology)、Xdivane(Xbrane Biopharma)、XmAb20717(Xencor)、XmAb23104(Xencor)、YBL-006(Y-Biologics)、ジンベレリマブ(Arcus Biosciences)からなる群より選択される、請求項15に記載の使用または方法。
【請求項17】
前記抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブ、ドスタルリマブ、セミプリマブ-rwlc、ニボルマブ、カンレリズマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、シンチリマブまたは前述のいずれかのバイオシミラーである、請求項16に記載の使用または方法。
【請求項18】
抗PD-L1抗体が投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項19】
前記抗PD-L1抗体が、A167(Sichuan Kelun)、ABL501(ABL Bio)、ABL503(ABL Bio)、ABSK041(Abbisko Therapeutics)、ACE1708(Acepodia)、ACE-NK-PDL1(Acepodia)、ADG104(Adagene)、AK106(Akeso)、ALPN-202(Alpine Immune Sciences)、AN4005(Adlai Nortye Biopharma)、BMS-936559/MDX-1105(BMS)、APL-502/TQB2450(Apollomics)、Arbutus-PD-L1-未知(Arbutus Biopharma)、ASC22(Ascletis Pharma)、ATG-101(Antengene)、AVA-004(Avacta Group)、AVA021(Avacta Group)、AVA027(Avacta Group)、AVA-040-100(Avacta Group)、AVA04-Vbp(Avacta Group)、Bavencio/アベルマブ(Merck)、BCD-135(Biocad CJSC)、BGB-A333(BeiGene)、Bintrafuspアルファ/GSK4045154(Merck)、CA-170/aupm-170(Dr. Reddy’s Laboratories)、CCX559(ChemoCentryx)、CDR101(CDR-Life)、コシベリマブ(Checkpoint Therapeutics)、CTX-8371(Compass Therapeutics)、DiNonA-固形腫瘍-未知(DiNonA)、DR30207(Zhejiang Doer Biologics)、DuoBody-PD-L1x4-1BB(Ligand Pharmaceuticals)、エンバフォリマブ(Alphamab Oncology)、EPIM-001(Elpis Biopharmaceuticals)、ES101(Elpiscience Biopharma)、INBRX-105(Inhibrx)、FAZ053(Novartis)、FS118(F-star Therapeutics)、GB262(Genor Biopharma)、GS-4224(Gilead)、GT900008(Kintor Pharmaceuticals)、GX-P2(Genexine)、Hamni-PS-L1/CD47-未知(Hanmi Pharmaceutical)、HBM7015(HBM Holdings)、HBM9167(HBM Holdings)、HLX20(Shanghai Henlius Biotech)、HTI-1088(Jiangsu Hengrui Medicine)、IBI318(Innovent Biologics)、IBI322(Innovent Biologics)、IBI323(Innovent Biologics)、IGM-7354(IGM Biosciences)、IMC-001(Sorrento Therapeutics)、Imfinzi/デュルバルマブ(AstraZenica)、IMM25(ImmuneOnco Biopharma)、IMM2502(ImmuneOnco Biopharma)、IMM2503(ImmuneOnco Biopharma)、IMM2504(ImmuneOnco Biopharma)、INCB86550(Incyte)、IO103(IO Biotech)、JS003(Shanghai Junshi Biosciences)、Jubilant-PD-L1-未知(Jubilant Therapeutics)、KD033(Kadmon Holdings)、KN046(Alphamab Oncology)、KY1003(Sanofi)、KY1043(Sanofi)、LY3300054(Eli Lilly)、LY3415244(Eli Lilly)、MRNA-6981(Moderna)、MSB2311(Transcenta Holding)、MT-6035(Molecular Templates)、ND021/NM21-1480(Numab Therapeutics)、OX001R(Oxford BioTherapeutics)、PD-L1ベースのBsAbs(I-Mab)、PD-L1 Boltbody ISAC(Bolt Biotherapeutics)、PDL-GEX(Glycotope GmbH)、PMC-122(PharmAbcine)、PMI06(D&D Pharmatech)、Protheragen-RV-scFv-PDL1-未知(Protheragen)、PRS-344(Pieris Pharmaceuticals)、Q-1802(Merck)、RC98(Yantai Rongchang Pharmaceutical)、RV-scFv-PDL1(Protheragen)、SenI_TAAx22P(Hebei Senlang Biotechnology)、SHC020(Nanjing Sanhome Pharmaceutical)、スゲマリマブ(Ligand Pharmaceuticals)、アテゾリズマブ(Roche)、TST005(Transcenta Holding)、TT-01(Topmunnity Therapeutics)、TTX-siPDL1(TransCode Therapeutics)、UniCAR-T-PD-L1(GEMoaB monoclonals)、Vaximm(VXM10)及びYBL-013(Y-Biologics)からなる群より選択される、請求項18に記載の使用または方法。
【請求項20】
前記抗PD-1抗体が、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブまたは前述のいずれかのバイオシミラーである、請求項19に記載の使用または方法。
【請求項21】
前記半減期延長要素が、ヒト血清アルブミン、ヒト血清アルブミンに結合する抗原結合ポリペプチド、または免疫グロブリンFcもしくはその断片である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項22】
前記プロテアーゼ切断性リンカーが、カリクレイン、トロンビン、キマーゼ、カルボキシペプチダーゼA、カテプシン、エラスターゼ、PR-3、グランザイムM、カルパイン、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、ADAM、FAP、プラスミノゲンアクチベータ、カスパーゼ、トリプターゼ、または腫瘍プロテアーゼから選択されるプロテアーゼによって切断され得る配列を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項23】
前記プロテアーゼが、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンD、カテプシンE、カテプシンK、カテプシンLまたはカテプシンGから選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項24】
プロテアーゼが、MMP1、MMP2、MMP3、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13またはMMP14であるマトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項25】
前記ブロッキング要素が、前記サイトカインポリペプチドに結合する、先行請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項26】
前記ブロッキング要素が、IFNに対する同族受容体のリガンド結合ドメインまたは断片、IFNポリペプチドに結合する抗体または抗体の抗原結合断片を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項27】
前記抗体または抗原結合断片が、前記IFNポリペプチドに結合する単一ドメイン抗体、FabまたはscFvである、先行請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項28】
前記誘導性サイトカインプロドラッグが、前記抗PD-1抗体または前記抗PD-L1抗体の前、同時または後に投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項29】
前記がんが、副腎皮質癌、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、基底細胞癌、脳腫瘍、胆管癌、膀胱癌、骨癌、乳癌、気管支腫瘍、未知原発性の癌腫、心臓腫瘍、子宮頸癌、脊索腫、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、腺管癌、胚性腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、嗅神経芽腫、繊維性組織球腫、ユーイング肉腫、眼癌、生殖細胞腫瘍、胆嚢癌、胃癌(gastric cancer)、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠絨毛性疾患、神経膠腫、頭頸部癌、肝細胞癌、組織球増加症、下咽頭癌、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、口唇及び口腔癌(oral cavity cancer)、肝癌、非浸潤性小葉癌、肺癌、マクログロブリン血症、悪性繊維性組織球腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、原発不明の転移性頸部扁平上皮癌、NUT遺伝子に関連する正中線上の癌、口腔癌(mouth cancer)、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉症、骨髄異形成性症候群、骨髄異型性/骨髄増殖性腫瘍、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽腫、非小細胞肺癌、中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、乳頭腫、傍神経節腫、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盂・尿管癌、網膜芽細胞腫、ラブドイド腫瘍、唾液腺癌、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部肉腫、脊髄腫瘍、胃癌(stomach cancer)、T細胞リンパ腫、奇形腫、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫・胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、膣癌、外陰癌、ならびにウィルムス腫瘍である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項30】
前記がんが、結腸癌、肺癌、黒色腫、腎細胞癌または乳癌である、請求項29に記載の使用または方法。
【請求項31】
前記がんが、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、尿路上皮癌、高頻度マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復欠損癌、高頻度マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復欠損結腸直腸癌、胃癌、食道癌(esophageal cancer)、子宮頸癌、肝細胞癌(HCC)、メルケル細胞癌(MCC)、腎細胞癌(RCC)、子宮内膜癌、高腫瘍遺伝子変異量癌、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、結腸直腸癌、または食道癌(oesophageal carcinoma)である、請求項29に記載の使用または方法。
【請求項32】
前記がんが、転移性腎明細胞癌または転移性皮膚悪性黒色腫である、請求項29に記載の使用または方法。
【請求項33】
誘導性サイトカインプロドラッグと、抗PD-1または抗PD-L1抗体と、適切な担体とを含む医薬組成物。
【請求項34】
前記組成物が、静脈内投与用の液体組成物である、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記組成物が、凍結乾燥組成物である、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記凍結乾燥組成物が、静脈内投与に適する製剤用の水を用いる再構成のためである、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記がんが、リンパ腫である、請求項1~32のいずれか一項に記載の使用、方法または組成物。
【請求項38】
前記リンパ腫が、B細胞リンパ腫またはT細胞リンパ腫である、請求項37に記載の使用、方法または組成物。
【請求項39】
前記リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫である、請求項37に記載の使用、方法または組成物。
【請求項40】
前記リンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、バーキットリンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、灰色帯リンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、トリプルヒットリンパ腫、特に指定されない高悪性度B細胞リンパ腫、リンパ芽球リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、MALTリンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、ナチュラルキラー(NK)細胞リンパ腫、菌状息肉腫、セザリー症候群、腸症型T細胞リンパ腫、または肝脾ガンマ/デルタT細胞リンパ腫である、請求項37に記載の使用、方法または組成物。
【請求項41】
リンパ腫の処置を必要とする対象に有効量の誘導性サイトカインプロドラッグを投与することを含む、リンパ腫を処置する方法。
【請求項42】
リンパ腫を処置する際に使用するための誘導性サイトカインプロドラッグ。
【請求項43】
前記誘導性サイトカインプロドラッグが、誘導性IL-12プロドラッグまたは誘導性IFNαプロドラッグである、請求項41または42に記載の方法または使用。
【請求項44】
前記リンパ腫が、B細胞リンパ腫またはT細胞リンパ腫である、請求項41または42に記載の方法または使用。
【請求項45】
前記リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫である、請求項41または42に記載の方法または使用。
【請求項46】
前記リンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、バーキットリンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、灰色帯リンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、トリプルヒットリンパ腫、特に指定されない高悪性度B細胞リンパ腫、リンパ芽球リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、MALTリンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、ナチュラルキラー(NK)細胞リンパ腫、菌状息肉腫、セザリー症候群、腸症型T細胞リンパ腫、または肝脾ガンマ/デルタT細胞リンパ腫である、請求項41または42に記載の方法または使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願
本出願は、2021年8月17日に出願された米国仮特許出願第63/234,001号、及び2021年11月4日に出願された米国仮特許出願第63/275,714号の利益を主張するものであり、各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
腫瘍微小環境においてプロテアーゼ切断を通じて条件的に活性化され、腫瘍内で完全に活性な天然サイトカインを放出し、強力な抗腫瘍免疫応答を刺激する誘導性サイトカインプロドラッグは、国際公開第WO2019/222294、WO2019/222295、WO2019/222296、WO2021/097376号に記載されている。これらのプロドラッグは、典型的には、プロテアーゼ切断性リンカーを介して、サイトカインブロッキングドメイン及び典型的には半減期延長ドメインに結合される天然サイトカインポリペプチドを含む。例えば、IL-2プロドラッグは、プロテアーゼ切断性リンカーを介して半減期延長ドメイン(例えば、VHドメインなどの抗ヒト血清アルブミン抗体結合断片)及びIL-2ブロッキング要素(例えば、Fabなどの抗IL-2抗体結合断片)に結合して、末梢の正常組織上のIL-2β/γ受容体へのIL-2の結合を遮断する天然IL-2分子を含むことができる。腫瘍微小環境におけるプロテアーゼ切断性リンカーの切断により、完全に活性な天然IL-2が腫瘍内で放出され、強力な抗腫瘍免疫応答を刺激する。
【0003】
免疫チェックポイント阻害剤は、T細胞機能を調節するタンパク質である。T細胞エフェクター機能は、腫瘍を処置するための免疫治療アプローチに重要である。しかし、免疫抑制とエフェクター機能の低下とは、腫瘍が成長し、癌が進行するにつれて見られることが多い。この現象の1つのメカニズムは、癌細胞による免疫チェックポイント阻害剤の活性化であり、抗腫瘍免疫応答の抑制をもたらす。これは、典型的には、癌細胞が、腫瘍微小環境においてT細胞の表面上の免疫チェックポイントタンパク質と相互作用してT細胞の活性を抑制し得るタンパク質をその表面上に発現する場合に生じる。免疫チェックポイントタンパク質は、例えば、リガンドPD-L1(B7-H1、CD274)及びPD-L2(B7-DC、CD273)に結合するPD-1、B7-1(CD80)及びB7-2(CD86)に結合するCTLA-4(CD152)、ガレクチン3、LSECtin及びFGL1に結合するLAG3(CD223)、リガンドCeacam1及びガレクチン9に結合するTIM3(HAVCR2)、CD112及びCD155と結合するTIGIT(VSTM3、WUCAM)、HVEM(TNFRSF14)、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、VISTA(B7-H5)、KIR、CD44(2B4)に結合するBTLA(CD272)、HVEMに結合するCD160(BY55)、CD252(OX-40L)に結合するCD134(TNRFSR4、OX40)を含む。
【0004】
免疫チェックポイントタンパク質に結合し、それらの免疫抑制活性を阻害する抗体などの治療剤が、抗腫瘍剤として開発されている。抗PD1抗体であるペンブロリズマブ(KEYTRUDA)、ドスタルリマブ(JEMPERLI)、セミプリマブ-rwlc(LIBATYO)、ニボルマブ(OPDIVO)、カムレリズマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ及びシンチリマブ(TYVYT)、抗PD-L1抗体であるアベルマブ(BAVENCIO)、デュルバルマブ(IMFINZI)及びアテゾリズマブ(TECENTRIQ)、ならびに抗CTLA-4抗体であるイピリムマブ(YERVOY)を含む幾つかのそのような薬剤が、がん治療のために現在市販されている。このような免疫チェックポイント阻害剤を用いた治療は、がん治療に対する利点を提供するが、全体的な成功率は低いままであり、再発が起こり、チェックポイント阻害に対する耐性が発生する。
リンパ腫は、リンパ系細胞に由来する血液学的悪性腫瘍の異種群である。リンパ腫において、免疫系の活性化と抑制との間の正常なバランスは、腫瘍細胞によって顕著な免疫抑制に頻繁にシフトされ、これは、腫瘍細胞をT細胞媒介性殺傷から保護し得る。(Ansell,SM Hematology Am Soc,Hematol Educ Program(2017),2017(1):618-621.)アゴニスト抗体(例えば、抗CD27、抗CD40、抗CD137)を用いた免疫調節は、リンパ腫を処置する試みにおいて用いられたが、臨床研究において認められるわずかな治療上の利益のみを有し、リンパ腫における免疫抑制腫瘍微小環境を克服するという課題を強調している。(同書)
がんを処置するための改良された方法に対する医療上の必要性は、まだ満たされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/222294号
【特許文献2】国際公開第2019/222295号
【特許文献3】国際公開第2019/222296号
【特許文献4】国際公開第2021/097376号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Ansell,SM Hematology Am Soc,Hematol Educ Program(2017),2017(1):618-621.
【発明の概要】
【0007】
3.概要
本開示は、有効量の誘導性サイトカインプロドラッグを、化学療法剤及び/または免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体)などの追加の治療剤と任意に組み合わせて投与することを含む、対象におけるリンパ腫を処置する方法に関する。本開示はまた、誘導性サイトカインプロドラッグと、化学療法剤及び/または免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体)などの追加の治療剤とを含む、リンパ腫を処置するために使用することができる組み合わせに関する。
【0008】
本開示は、有効量の誘導性サイトカインプロドラッグと、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体とを投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法に関する。本開示はまた、誘導性サイトカインプロドラッグと、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体とを含む、がんを処置するために使用することができる組み合わせに関する。場合によっては、抗PD-1抗体を誘導性サイトカインプロドラッグと組み合わせる。場合によっては、抗PD-L1抗体を誘導性サイトカインプロドラッグと組み合わせる。
【0009】
誘導性サイトカインプロドラッグは、サイトカインポリペプチド[A]と、ブロッキング要素[D]と、任意に半減期延長要素[H]と、プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーとを含む。サイトカインポリペプチドと、サイトカインブロッキング要素と、存在する場合に任意選択の半減期延長要素とは、プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーによって作動可能に連結され、誘導性サイトカインプロドラッグは、減弱されたサイトカイン受容体活性化活性を有する。誘導性サイトカインプロドラッグのサイトカイン受容体活性化活性は、プロテアーゼ切断性リンカーの切断によって生成されるサイトカインポリペプチドを含むポリペプチドのサイトカイン受容体活性化活性よりも少なくとも約10倍低い。
【0010】
サイトカインポリペプチドは、IL-2、IL-12、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγもしくはムテイン、または前述のいずれかの活性断片であり得る。サイトカインポリペプチドは、IL-2、または前述のいずれかのムテイン、バリアント、活性断片、もしくはサブユニットであり得る。サイトカインポリペプチドは、IL-12、または前述のいずれかのムテイン、バリアント、活性断片、もしくはサブユニットであり得る。サイトカインポリペプチドは、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、または前述のいずれかのムテインもしくは活性断片であり得る。
【0011】
誘導性サイトカインプロドラッグは、式:
[A]-[L1]-[H]-[L2]-[D]
[D]-[L2]-[H]-[L1]-[A]
[A]-[L1]-[D]-[L2]-[H]
[H]-[L2]-[D]-[L1]-[A]
[H]-[L1]-[A]-[L2’]-[D]
[D]-[L1]-[A]-[L2’]-[H]を有し得る。
【0012】
Aは、サイトカインポリペプチドであり、Dは、ブロッキング部分であり、Hは、半減期延長部分であり、L1は、プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーであり、L2は、任意にプロテアーゼ切断性であるポリペプチドリンカーであり、L2’は、プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーである。
【0013】
誘導性サイトカインプロドラッグは、単一ポリペプチド鎖であり得る。誘導性サイトカインプロドラッグは、少なくとも2つのポリペプチド鎖を含み得る。誘導性サイトカインプロドラッグは、少なくとも3つのポリペプチド鎖を含み得る。
【0014】
サイトカインプロドラッグは、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、または前述のもののアミノ酸配列バリアントを含み得る。化合物1は、配列番号1の第1のポリペプチド鎖及び配列番号5の第2のポリペプチド鎖を含むことができ、化合物1のアミノ酸配列バリアントは、配列番号1に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号5に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含むことができる。化合物2は、配列番号2の第1のポリペプチド鎖及び配列番号5の第2のポリペプチド鎖を含むことができ、化合物2のアミノ酸配列バリアントは、配列番号2に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号5に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含むことができる。化合物3は、配列番号3の第1のポリペプチド鎖及び配列番号5の第2のポリペプチド鎖を含むことができ、化合物3のアミノ酸配列バリアントは、配列番号3に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号5に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含むことができる。化合物4は、配列番号1の第1のポリペプチド鎖及び配列番号4の第2のポリペプチド鎖を含むことができ、化合物4のアミノ酸配列バリアントは、配列番号4に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号5に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含むことができる。
【0015】
誘導性サイトカインプロドラッグは、化合物5、化合物6、化合物7、化合物8、化合物9、もしくは化合物10、または前述のもののアミノ酸配列バリアントであり得る。化合物5は、配列番号6の第1のポリペプチド鎖及び配列番号12の第2のポリペプチド鎖を含むことができ、化合物5のアミノ酸配列バリアントは、配列番号6に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号12に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含むことができる。化合物6は、配列番号7の第1のポリペプチド鎖及び配列番号12の第2のポリペプチド鎖を含むことができ、化合物6のアミノ酸配列バリアントは、配列番号7に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号12に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含むことができる。化合物7は、配列番号8の第1のポリペプチド鎖及び配列番号13の第2のポリペプチド鎖を含むことができ、化合物7のアミノ酸配列バリアントは、配列番号8に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号13に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含むことができる。化合物8は、配列番号9の第1のポリペプチド鎖及び配列番号13の第2のポリペプチド鎖を含むことができ、化合物8のアミノ酸配列バリアントは、配列番号9に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号13に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含むことができる。化合物9は、配列番号10の第1のポリペプチド鎖及び配列番号13の第2のポリペプチド鎖を含むことができ、化合物9のアミノ酸配列バリアントは、配列番号10に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号13に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含むことができる。化合物10は、配列番号11の第1のポリペプチド鎖及び配列番号13の第2のポリペプチド鎖を含むことができ、化合物10のアミノ酸配列バリアントは、配列番号11に対して少なくとも約80%の同一性を有する第1のポリペプチド鎖及び配列番号1に対して少なくとも約80%の同一性を有する第2のポリペプチド鎖を含むことができる。
【0016】
誘導性サイトカインプロドラッグは、14~20から選択されるアミノ酸、または配列番号14~20に対して少なくとも約80%の同一性を有するアミノ酸配列を含むことができる。
【0017】
半減期延長要素は、ヒト血清アルブミン、ヒト血清アルブミンに結合する抗原結合ポリペプチド、または免疫グロブリンFcもしくはその断片であり得る。
【0018】
プロテアーゼ切断性リンカーは、カリクレイン、トロンビン、キマーゼ、カルボキシペプチダーゼA、カテプシン、エラスターゼ、PR-3、グランザイムM、カルパイン、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、ADAM、FAP、プラスミノゲンアクチベータ、カスパーゼ、トリプターゼ、または腫瘍プロテアーゼから選択されるプロテアーゼによって切断され得る配列を含み得る。
【0019】
特に、プロテアーゼは、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンD、カテプシンE、カテプシンK、カテプシンL、またはカテプシンGから選択することができる。特に、プロテアーゼは、MMP1、MMP2、MMP3、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、またはMMP14であるマトリクスメタロプロテアーゼから選択することができる。
【0020】
ブロッキング要素は、サイトカインポリペプチドに結合し得る。ブロッキング要素は、サイトカインポリペプチドに対する同族受容体のリガンド結合ドメインまたは断片、サイトカインポリペプチドに結合する抗体または抗体の抗原結合断片を含むことができる。抗体または抗原結合断片は、サイトカインポリペプチドに結合する単一ドメイン抗体、Fab、またはscFvであり得る。
【0021】
誘導性サイトカインプロドラッグは、追加の治療剤、例えば、化学療法剤、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体、または抗PD-L1抗体など)の前、同時、または後に投与することができる。
【0022】
抗PD-1抗体は、AMP-224(AstraZeneca)、609A(3SBio)、704(3SBio)、705(3SBio)、ABBV-181(AbbVie)、ADU-1503/bion-004(Chinook Therapeutics)、AGEN2034/バルスチリマブ(Agenus)、AK103(Akeso)、AK104(Akeso)、AK112(Akeso)、AK123(Akeso)、AMG256(Amgen)、AMG404(Amgen)、ANB030(AnaptysBio)、ANAKBIO抗PD1産物(Anhui Anke Biotechnology)、抗PD-1/抗CD47(DiNonA)、ASKG915(Ask Gene Pharmaceuticals)、AV-MEL-1(Aivita Biomedical)、BCD-100(Biocad CJSC)、BI754091(Boehringer Ingelheim)、BiCKI-IL-7(OSE Immunotherapeutics)、Boehringer-PD-1-未知(Boehringer Ingelheim)、BSK-050K01 (Biosion)、カンレリズマブ(Jiangsu Hengrui Medicine)、CB201(Crescendo Biologics)、CB213(Crescendo Biologics)、CC-90006(AnaptsBio)、セトレリマブ(J&J)、chPD1(Kiromic Biopharma)、CMAB819(Mabpharm)、CS1003(CStone Pharmaceuticals)、CS17938(Shenzhen Chipscreen Biosciences)、CTX-8371(Compass Therapeutics)、CX-072(CytomX Therapeutics)、CX-188(CytomX Therapeutics)、シパリズマブ(Harbin Gloria Pharmaceuticals)、DB004(DotBio)、EMB02(EpimAb Biotherapeutics)、ゲプタンブリマブ(Geptanblimab)/ゲノリムズマブ(Apollomics)、GS19(Suzhou Zelgen Biopharmaceuticals)、HLX10 (Shanghai Henlius Biotech)、HX008(Taizhou HanZhong Pharmaceuticals)、HY003(Juventas Cell Therapy)、IBI315/BH2950(Innovent Biologics)、IBI318(Innovent Biologics)、IBI319(Innovent Biologics)、IMM1802(ImmuneOnco Biopharma)、IMT200(TrueBinding)、Jemperli/ドスタルリマブ(AnaptysBio)、JTX-4014(Jounce Therapeutics)、Keytruda/ペンブロリズマブ(Merck)、LBL-006(Nanjing Leads Biolabs)、Libtayo/セミプリマブ-rwlc(Regeneron Pharmaceuticals)、LVGN3616(Lyvgen Biopharma)、LXF821(Novartis)、LY01015(Luye Pharma Group)、LY3462817(Eli Lilly)、MCLA-134(Merus N.V.)、MEDI5752(AstraZenica)、NIR178(Novartis)、ONCR-177(Oncorus)、ONO-4685(Ono Pharmaceutical)、Opdivo/ニボルマブ(Ono Pharmaceutical)、MGD019(MacroGenius)、PD1-GDT CAR-T(Kiromic Biopharma)、ペンプリマブ(Akeso)、PSB205(Qilu Puget Sound Biotherapeutics)、PT-001(Merck)、PT627(Merck)、RB-M1(Refuge Biotechnologies)、レチファンリマブ(MacroGenics)、RG6139(Roche)、RG6279(Roche)、RTX-002(RubrYc Therapeutics)、ササンリマブ(Pfizer)、Servier-PD1xLAG3-未知(Servier)、SL-279252/TAK-252(Shattuck Labs)、Sofusa抗PD1(Sorrento Therapeutics)、スパルタリズマブ(Novartis)、SSI-361(Lyvgen Biopharma)、Sym021(Servier)、テボテリマブ(MacroGenics)、チスレリズマブ(BeiGene)、TSR-075(AnaptsBio)、Tuhura-DO/PD-1-未知(Tuhura Biopharma)、トリパリマブ(Shanghai Junshi Biosciences)、シンチリマブ(Innovent Biologics)、Unicar-CAR-T&PD-1-未知(Shanghai Unicar-Therapy Bio-Medicine Technology)、Xdivane(Xbrane Biopharma)、XmAb20717(Xencor)、XmAb23104(Xencor)、YBL-006(Y-Biologics)、ジンベレリマブ(Arcus Biosciences)からなる群より選択できる。
【0023】
好ましい抗PD-L1抗体は、ペンブロリズマブ、ドスタルリマブ、セミプリマブ-rwlc、ニボルマブ、カムレリズマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、シンチリマブ、または前述のいずれかのバイオシミラーである。
【0024】
抗PD-L1抗体は、A167(Sichuan Kelun)、ABL501(ABL Bio)、ABL503(ABL Bio)、ABSK041(Abbisko Therapeutics)、ACE1708(Acepodia)、ACE-NK-PDL1(Acepodia)、ADG104(Adagene)、AK106(Akeso)、ALPN-202(Alpine Immune Sciences)、AN4005(Adlai Nortye Biopharma)、BMS-936559/MDX-1105(BMS)、APL-502/TQB2450(Apollomics)、Arbutus-PD-L1-未知(Arbutus Biopharma)、ASC22(Ascletis Pharma)、ATG-101(Antengene)、AVA-004(Avacta Group)、AVA021(Avacta Group)、AVA027(Avacta Group)、AVA-040-100(Avacta Group)、AVA04-Vbp(Avacta Group)、Bavencio/アベルマブ(Merck)、BCD-135(Biocad CJSC)、BGB-A333(BeiGene)、Bintrafuspアルファ/GSK4045154(Merck)、CA-170/aupm-170(Dr. Reddy’s Laboratories)、CCX559(ChemoCentryx)、CDR101(CDR-Life)、コシベリマブ(Checkpoint Therapeutics)、CTX-8371(Compass Therapeutics)、DiNonA-固形腫瘍-未知(DiNonA)、DR30207(Zhejiang Doer Biologics)、DuoBody-PD-L1x4-1BB(Ligand Pharmaceuticals)、エンバフォリマブ(Alphamab Oncology)、EPIM-001(Elpis Biopharmaceuticals)、ES101(Elpiscience Biopharma)、INBRX-105(Inhibrx)、FAZ053(Novartis)、FS118(F-star Therapeutics)、GB262(Genor Biopharma)、GS-4224(Gilead)、GT900008(Kintor Pharmaceuticals)、GX-P2(Genexine)、Hamni-PS-L1/CD47-未知(Hanmi Pharmaceutical)、HBM7015(HBM Holdings)、HBM9167(HBM Holdings)、HLX20(Shanghai Henlius Biotech)、HTI-1088(Jiangsu Hengrui Medicine)、IBI318(Innovent Biologics)、IBI322(Innovent Biologics)、IBI323(Innovent Biologics)、IGM-7354(IGM Biosciences)、IMC-001(Sorrento Therapeutics)、Imfinzi/デュルバルマブ(AstraZenica)、IMM25(ImmuneOnco Biopharma)、IMM2502(ImmuneOnco Biopharma)、IMM2503(ImmuneOnco Biopharma)、IMM2504(ImmuneOnco Biopharma)、INCB86550(Incyte)、IO103(IO Biotech)、JS003(Shanghai Junshi Biosciences)、Jubilant-PD-L1-未知(Jubilant Therapeutics)、KD033(Kadmon Holdings)、KN046(Alphamab Oncology)、KY1003(Sanofi)、KY1043(Sanofi)、LY3300054(Eli Lilly)、LY3415244(Eli Lilly)、MRNA-6981(Moderna)、MSB2311(Transcenta Holding)、MT-6035(Molecular Templates)、ND021/NM21-1480(Numab Therapeutics)、OX001R(Oxford BioTherapeutics)、PD-L1ベースのBsAbs(I-Mab)、PD-L1 Boltbody ISAC(Bolt Biotherapeutics)、PDL-GEX(Glycotope GmbH)、PMC-122(PharmAbcine)、PMI06(D&D Pharmatech)、Protheragen-RV-scFv-PDL1-未知(Protheragen)、PRS-344(Pieris Pharmaceuticals)、Q-1802(Merck)、RC98(Yantai Rongchang Pharmaceutical)、RV-scFv-PDL1(Protheragen)、SenI_TAAx22P(Hebei Senlang Biotechnology)、SHC020(Nanjing Sanhome Pharmaceutical)、スゲマリマブ(Ligand Pharmaceuticals)、アテゾリズマブ(Roche)、TST005(Transcenta Holding)、TT-01(Topmunnity Therapeutics)、TTX-siPDL1(TransCode Therapeutics)、UniCAR-T-PD-L1(GEMoaB monoclonals)、Vaximm(VXM10)及びYBL-013(Y-Biologics)からなる群より選択できる。
【0025】
好ましい抗PD-1抗体は、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブまたは前述のいずれかのバイオシミラーである。
【0026】
化学療法剤は、例えば、シクロホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、イフォスファミド、ブスルファン、N-ニトロソ-N-メチルウレア(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチン、ストレプトゾトシン、ダカルバジン、マイトゾロミド、テモゾロミド、チオテパ、マイトマイシン、ジアザクオン(AZQ)、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、メトトレキセート、ペメトレキセド、フルオロウラシル(例えば、5-フルオロウラシル)、カペシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、ペントスタチン、チオグアニン、メルカプトプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ビンフルニン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、テニポシド、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシン、ミトキサントロン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ビサントレン、ゲムシタビン及び/またはシタラビン、ならびにこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0027】
本明細書に開示される方法は、任意のがんに適し得る。例示的ながんとしては、限定されないが、副腎皮質癌、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、基底細胞癌、脳腫瘍、胆管癌、膀胱癌、骨癌、乳癌、気管支腫瘍、未知原発性の癌腫、心臓腫瘍、子宮頸癌、脊索腫、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、腺管癌、胚性腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、嗅神経芽腫、繊維性組織球腫、ユーイング肉腫、眼癌、生殖細胞腫瘍、胆嚢癌、胃癌(gastric cancer)、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠絨毛性疾患、神経膠腫、頭頸部癌、肝細胞癌、組織球増加症、下咽頭癌、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、口唇及び口腔癌(oral cavity cancer)、肝癌、非浸潤性小葉癌、肺癌、マクログロブリン血症、悪性繊維性組織球腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、原発不明の転移性頸部扁平上皮癌、NUT遺伝子に関連する正中線上の癌、口腔癌(mouth cancer)、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉症、骨髄異形成性症候群、骨髄異型性/骨髄増殖性腫瘍、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽腫、非小細胞肺癌、中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、乳頭腫、傍神経節腫、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盂・尿管癌、網膜芽細胞腫、ラブドイド腫瘍、唾液腺癌、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部肉腫、脊髄腫瘍、胃癌(stomach cancer)、T細胞リンパ腫、奇形腫、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫・胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、膣癌、外陰癌、ならびにウィルムス腫瘍を含む。本方法は、好ましくは、結腸癌、肺癌、黒色腫、腎細胞癌、または乳癌に有用である。がんは、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、高頻度マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復欠損癌、高頻度マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復欠損結腸直腸癌、胃癌、食道癌(esophageal cancer)、子宮頸癌、肝細胞癌(HCC)、メルケル細胞癌(MCC)、腎細胞癌(RCC)、子宮内膜癌、高腫瘍遺伝子変異量癌、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、尿路上皮癌、結腸直腸癌、または食道癌(oesophageal carcinoma)であり得る。がんは、転移性腎明細胞癌または転移性皮膚悪性黒色腫であり得る。
【0028】
特定の実施形態では、がんは、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、バーキットリンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、灰色帯リンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、トリプルヒットリンパ腫、特に指定されない高悪性度B細胞リンパ腫、リンパ芽球リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、MALTリンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、ナチュラルキラー(NK)細胞リンパ腫、菌状息肉腫、セザリー症候群、腸症型T細胞リンパ腫、肝脾ガンマ/デルタT細胞リンパ腫などのリンパ腫である。
【0029】
特定の実施形態では、がんは、黒色腫、非小細胞肺癌、頭頸部扁平上皮癌、古典的ホジキンリンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、尿路上皮癌、高頻度マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復欠損癌、胃癌、食道癌、子宮頸癌、肝細胞癌、メルケル細胞癌、腎細胞癌、子宮内膜癌、高腫瘍遺伝子変異量を有する腫瘍を特徴とする癌、皮膚扁平上皮癌、及びトリプルネガティブ乳癌からなる群より選択される。
【0030】
本開示は、誘導性サイトカインプロドラッグと、化学療法剤及び/または免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体)などの追加の治療剤と、適切な担体とを含む医薬組成物にも関する。本開示は、誘導性サイトカインプロドラッグ、抗PD-1または抗PD-L1抗体と、適切な担体とを含む医薬組成物にも関する。医薬組成物は、静脈内投与用の液体組成物であり得る。医薬組成物は、凍結乾燥組成物であり得る。医薬組成物は、静脈内投与に適する製剤用の水を用いる再構成のための凍結乾燥組成物であり得る。
4.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】誘導性IL-2プロドラッグ、抗PD1抗体、または誘導性IL-2プロドラッグ及び抗PD1抗体で処置したマウスのデータ(腫瘍体積及び/または体重)を示す。
図1B】誘導性IL-2プロドラッグ、抗PD1抗体、または誘導性IL-2プロドラッグ及び抗PD1抗体で処置したマウスのデータ(腫瘍体積及び/または体重)を示す。
図1C】誘導性IL-2プロドラッグ、抗PD1抗体、または誘導性IL-2プロドラッグ及び抗PD1抗体で処置したマウスのデータ(腫瘍体積及び/または体重)を示す。
図1D】誘導性IL-2プロドラッグ、抗PD1抗体、または誘導性IL-2プロドラッグ及び抗PD1抗体で処置したマウスのデータ(腫瘍体積及び/または体重)を示す。
図1E】誘導性IL-2プロドラッグ、抗PD1抗体、または誘導性IL-2プロドラッグ及び抗PD1抗体で処置したマウスのデータ(腫瘍体積及び/または体重)を示す。
図1F】誘導性IL-2プロドラッグ、抗PD1抗体、または誘導性IL-2プロドラッグ及び抗PD1抗体で処置したマウスのデータ(腫瘍体積及び/または体重)を示す。
図2A】誘導性IL-2プロドラッグ、抗PD1抗体、または誘導性IL-2プロドラッグ及び抗PD1抗体で処置したマウスのデータ(腫瘍体積及び/または体重)を示す。
図2B】誘導性IL-2プロドラッグ、抗PD1抗体、または誘導性IL-2プロドラッグ及び抗PD1抗体で処置したマウスのデータ(腫瘍体積及び/または体重)を示す。
図3A】マウスを100μgの化合物1、200μgの化合物1、またはビヒクルのみで処置したB16F10腫瘍モデルにおける腫瘍体積の進行を示すグラフである。1x10の腫瘍細胞を動物の側腹部に移植し、腫瘍成長をモニタリングした。腫瘍が30~60mmの平均体積に達したら、動物を無作為化し、投薬した。腫瘍体積及び体重を週に3回記録した。
図3B】マウスを100μgの化合物1、200μgの抗PD-1抗体(RMP1-14)単独、100μgの化合物1及び200μgの抗PD-1抗体(RMP1-14)、またはビヒクルのみで処置したB16F10腫瘍モデルにおける腫瘍体積の進行を示すグラフである。1x10の腫瘍細胞を動物の側腹部に移植し、腫瘍成長をモニタリングした。腫瘍が30-60mmの平均体積に達したら、動物を無作為化し、投薬した。腫瘍体積及び体重を週に3回記録した。
図4】マウスを化合物1、化合物1及びRMP1-14、またはビヒクルのみで処置したB16F10腫瘍モデルにおける体重の進行を示すグラフである。1x10の腫瘍細胞を動物の側腹部に移植し、腫瘍成長をモニタリングした。腫瘍が30-60mmの平均体積に達したら、動物を無作為化し、投薬した。体重を週に3回記録した。
図5A】同系A20マウス腫瘍モデルにおける誘導性IL-12プロドラッグ(WW0757/636)の分析結果を示すグラフである。グラフは、30μg WW0757/636(菱形)、100μg WW0757/636(四角)及び300μg WW0757/636(丸)で処置したマウスにおける経時的な平均腫瘍体積を示す。ビヒクル単独は、黒丸(最大の腫瘍体積を有する上の線)によって示される。このデータは、より高い濃度のWW0757/636で処置したマウスにおいて、用量依存的様式で経時的に腫瘍体積の増加が阻害されたことを示す。
図5B】同系A20マウス腫瘍モデルにおける誘導性IFNαプロドラッグWW0610の分析結果を示すグラフである。これは、45μg WW0610(菱形)及び133μg WW0610(四角)で処置したマウスにおける経時的な平均腫瘍体積を示す。ビヒクル単独は、黒丸(最大の腫瘍体積を有する上の線)によって示される。このデータは、より高い濃度のWW0610で処置したマウスにおいて、用量依存的様式で経時的に腫瘍体積の増加が阻害されたことを示す。
図6A】同系EG7.OVAマウス腫瘍モデルにおける誘導性IL-12プロドラッグ(WW0757/636)の分析結果を示すグラフである。これは、30μg WW0757/636(菱形)、100μg WW0757/636(四角)及び300μg WW0757/636(丸)で処置したマウスにおける経時的な平均腫瘍体積を示す。ビヒクル単独は、黒丸(18日目まで最大の腫瘍体積データを有する上の線)によって示される。このデータは、より高い濃度のWW0757/636で処置したマウスにおいて、用量依存的様式で経時的に腫瘍体積の増加が阻害されたことを示す。
図6B】同系EG7.OVAマウス腫瘍モデルにおける誘導性IFNαプロドラッグ(WW0610)の分析結果を示すグラフである。これは、45μg WW0610(菱形)及び133μg WW0610(四角)で処置したマウスにおける経時的な平均腫瘍体積を示す。ビヒクル単独は、黒丸(18日目まで最大の腫瘍体積データを有する上の線)によって示される。このデータは、より高い濃度のWW0610で処置したマウスにおいて、用量依存的様式で経時的に腫瘍体積の増加が阻害されたことを示す。
図7A】ビヒクル(PBS、丸)、誘導性IL-2プロドラッグ(WW0621/WW0523、四角)、抗PD-1(三角)、またはWW0621/WW0523及び抗PD-1(菱形)で処置したマウスにおける平均腫瘍体積を示すグラフである。投薬スケジュールも示す(矢印)。
図7B】ビヒクルで処置した個別のマウスにおける腫瘍体積のグラフである。
図7C】WW0621/WW0523で処置した個別のマウスにおける腫瘍体積のグラフである。
図7D】抗PD-1で処置した個別のマウスにおける腫瘍体積のグラフである。
図7E】WW0621/WW0523及び抗PD-1で処置した個別のマウスにおける腫瘍体積のグラフである。
図7F】ビヒクル(PBS、丸)、誘導性IL-2プロドラッグ(WW0621/WW0523、四角)、抗PD-1(三角)、ならびにWW0621/WW0523及び抗PD-1(菱形)で処置したマウスの平均体重を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
5.詳細な説明
A.誘導性サイトカイン
本開示は、少なくとも1つのポリペプチド鎖を含み、所望であれば、2つ以上のポリペプチドを含み得る誘導性サイトカインプロドラッグに関する。誘導性サイトカインプロドラッグは、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、またはIFN)、ブロッキング要素、プロテアーゼ切断性リンカー、及び半減期延長要素を含む。任意の目的のサイトカインが、本開示の誘導性サイトカインポリペプチドプロドラッグに適し得る。例示的なサイトカインとしては、限定されないが、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23、IFN-α(例えば、ヒトIFN-α1、ヒトIFN-α2、ヒトIFN-α4、ヒトIFN-α5、ヒトIFN-α6、ヒトIFN-α7、ヒトIFN-α8、ヒトIFN-α10、ヒトIFN-α13、ヒトIFN-α14、ヒトIFN-α16、ヒトIFN-α17、ヒトIFN-α2)、IFN-β、IFN-κ、またはIFN-εなどのインターロイキン、リンホトキシン、TGF-β1、TGFβ2、TGFβ3、GM-CSF、CXCL10、CCL19、CCL20、CCL21、及び前述のいずれかの機能的断片またはムテインが挙げられる。本明細書に開示される誘導性サイトカインプロドラッグに使用するための好ましいサイトカインは、IL-2、IL-12、IFN、ムテイン、機能的バリアント、及び機能的断片、または前述のいずれかのサブユニットである。
【0033】
本開示の誘導性サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、またはIFN)プロドラッグは、サイトカイン受容体アゴニスト活性が減弱され、循環半減期が延長される。誘導性サイトカイン受容体アゴニスト活性は、ブロッキング要素を介して減弱される。半減期延長要素は、例えば立体効果を介して減弱に寄与することもできる。ブロッキング要素は、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、またはIFN)への非共有結合によって、及び/または受容体結合を立体的に遮断することによって、サイトカインの受容体アゴニスト活性の全部または一部を遮断することができる。プロテアーゼ切断性リンカーの切断により、活性な(例えば、サイトカインポリペプチドプロドラッグよりも活性な)サイトカインの形態が放出される。典型的には、放出されたサイトカインは、サイトカインポリペプチドプロドラッグよりも少なくとも10倍活性が高い。好ましくは、放出されたサイトカインは、サイトカインポリペプチド複合体よりも少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも300倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍、少なくとも約10,000倍活性が高い。
【0034】
誘導性サイトカインプロドラッグの切断により放出されるサイトカインの形態は、典型的には、短い半減期を有し、これは、しばしば、天然に存在するサイトカインの半減期と実質的に同様である。誘導性サイトカインプロドラッグの半減期が延長されても、循環する誘導性サイトカインプロドラッグのアゴニスト活性が減弱され、活性サイトカインが所望の活性部位(例えば、腫瘍微小環境)を標的とするので、毒性は低減または消去される。
【0035】
ポリペプチド鎖の数、ならびにポリペプチド鎖上の要素、半減期延長要素、プロテアーゼ切断性リンカー(複数可)、及びブロッキング要素(ならびにVHまたはVLドメインなどのそのような要素の成分)の位置が、変化でき、しばしば設計上の好みであることが、当業者によって理解される。全てのこのような変形は、本開示に包含される。
【0036】
誘導性サイトカインプロドラッグは、単一ポリペプチド鎖を含み得る。典型的には、単一ポリペプチド複合体は、サイトカインポリペプチド[A]と、ブロッキング要素[D]と、半減期延長要素[H]と、プロテアーゼ切断性リンカー[L]とを含む。サイトカイン[A]ポリペプチドは、プロテアーゼ切断性リンカーによって、ブロッキング要素、半減期延長要素、またはブロッキング要素及び半減期延長要素の両方に作動可能に連結され得る。
【0037】
例えば、ポリペプチドは、式(I)~(VI)のいずれでもあり得る。
[A]-[L1]-[H]-[L2]-[D](I);
[D]-[L2]-[H]-[L1]-[A](II);
[A]-[L1]-[D]-[L2]-[H](III);
[H]-[L2]-[D]-[L1]-[A](IV);
[H]-[L1]-[A]-[L2’]-[D](V);
[D]-[L1]-[A]-[L2’]-[H](VI)。
【0038】
式(I)~(VI)において、[A]は、サイトカインポリペプチドであり、[D]は、ブロッキング要素であり、[H]は、半減期延長要素であり、[L1]は、プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーであり、[L2]は、任意にプロテアーゼ切断性であるポリペプチドリンカーであり、[L2’]は、プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーである。[L1]及び[L2]または[L1]及び[L2’]は、所望により、同一または異なるアミノ酸配列及び/またはプロテアーゼ切断部位(L2がプロテアーゼ切断性である場合)を有し得る。
【0039】
配列番号21~30は、式(I)~(VI)に包含され、本開示に従って使用するための誘導性IL-2プロドラッグの具体例である。配列番号21~30及びその活性に関する追加の詳細は、国際公開第WO2021/097376号に開示されている。
【0040】
配列番号31~40は、式(I)~(VI)に包含され、本開示に従って使用するための誘導性IL-12プロドラッグの具体例である。配列番号31~40及びそれらの活性に関する追加の詳細は、国際出願第PCT/US2021/33014号及び国際公開第WO2019/222295号に開示されている。
【0041】
場合によっては、単一ポリペプチド複合体は、サイトカインポリペプチド[A]と、ブロッキング要素(すなわち、立体ブロッキングポリペプチド)[D]と、プロテアーゼ切断性リンカー[L]と、任意の半減期延長要素とを含む。ブロッキング要素[D]は、例えば、HSAまたはHSAに結合する抗体もしくは抗体断片(例えば、scFv)であり得る。
【0042】
例として、ポリペプチドは、式(VII):[D]-[L1]-[A]-[L2]-[D]であり得る。配列番号14~20は、本開示に従って使用するための誘導性IFNプロドラッグの具体例である。配列番号14~20及びその活性に関する追加の詳細は、国際出願第PCT/US2020/060624号に開示されている。
【0043】
場合によっては、誘導性IFNプロドラッグは、IFNポリペプチド[A]と、ブロッキング要素[D]と、半減期延長要素[H]と、プロテアーゼ切断性リンカー[L]とを含むことができる。IFN[A]ポリペプチドは、プロテアーゼ切断性リンカーによって、ブロッキング要素、半減期延長要素、またはブロッキング要素及び半減期延長要素の両方に作動可能に連結され得る。
【0044】
IFNポリペプチド及びブロッキング要素及び半減期延長要素は、プロテアーゼ切断性ポリペプチドにより作動可能に連結される。例えば、ポリペプチドは、式(I)~(IX)のいずれかであり得る。
[A]-[L1]-[H]-[L2]-[D](I);
[D]-[L2]-[H]-[L1]-[A](II);
[A]-[L1]-[D]-[L2]-[H](III);
[H]-[L2]-[D]-[L1]-[A](IV);
[H]-[L1]-[A]-[L2’]-[D](V);
[D]-[L1]-[A]-[L2’]-[H](VI);
[H]-[L]-[D]-[L2]-[A]-[L3]-[D’](VII);
[D]-[L]-[A]-[L2]-[D’]-[L3]-[H](VIII);
[D]-[L]-[H]-[L2]-[D’]-[L3]-[A](IX)。
【0045】
式(I)~(IX)において、[A]は、IFNポリペプチドであり、[D]は、IFNブロッキング要素(例えば、IFNα受容体1(IFNAR1)またはIFNα受容体2(IFNAR2)の細胞外部分)であり、[D’]は、[D]に存在しないIFNα受容体1(IFNAR1)またはIFNα受容体2(IFNAR2)のいずれかであり、[H]は、半減期延長要素であり、[L1]は、プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーであり、[L2]は、任意にプロテアーゼ切断性であるポリペプチドリンカーであり、[L2’]は、プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーである。[L1]及び[L2]または[L1]及び[L2’]は、所望により、同一または異なるアミノ酸配列及び/またはプロテアーゼ切断部位(L2がプロテアーゼ切断性である場合)を有し得る。
【0046】
本明細書に開示される誘導性サイトカインプロドラッグは、好ましくは、1つの半減期延長要素及び1つのブロッキング要素を含むが、そのような要素は、同じポリペプチド鎖上または異なるポリペプチド鎖上に存在する2つ以上の成分を含み得る。この例として、そして本明細書に開示及び例示されるように、ブロッキング要素の成分は、別個のポリペプチド鎖上に存在し得る。例えば、第1のポリペプチド鎖は、抗体軽鎖(VL+CL)または軽鎖可変ドメイン(VL)を含むことができ、第2のポリペプチドは、第1のポリペプチド上のVL+CLまたはVLに相補的な抗体重鎖Fab断片(VH+CH1)または重鎖可変ドメイン(VH)を含むことができる。そのような状況では、これらの成分は、ペプチド複合体中で会合して、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、またはIFN)に結合し、サイトカイン活性を減弱させるFabなどの抗原結合部位を形成することができる。
【0047】
例えば、誘導性サイトカインプロドラッグは、式(X~XI)の第1のポリペプチドを有することができる。式X:[D]-[L]-[A]-[L2]-[H]または式XI:[H]-[L]-[A]-[L2]-[D]。式(X)~(XI)において、[A]は、サイトカインポリペプチドであり、[D]は、抗体重鎖Fab断片(VH+CH1)または重鎖可変ドメイン(VH)であり、[H]は、半減期延長要素であり、[L1]は、プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーであり、[L2]は、任意にプロテアーゼ切断性であるポリペプチドリンカーであり、[L2’]は、プロテアーゼ切断性ポリペプチドリンカーである。[L1]及び[L2]または[L1]及び[L2’]は、所望により、同一または異なるアミノ酸配列及び/またはプロテアーゼ切断部位(L2がプロテアーゼ切断性である場合)を有し得る。第2のポリペプチド抗体軽鎖(VL+CL)または軽鎖可変ドメイン(VL)は、VH+CH1またはVHに相補的である。
【0048】
例えば、誘導性サイトカインプロドラッグは、2つのポリペプチド鎖を含み得る。第1のポリペプチド鎖は、サイトカインポリペプチドから、プロテアーゼ切断性リンカー、半減期延長要素(例えば、抗ヒト血清アルブミン(HSA)結合単一抗体可変ドメイン)、ならびにサイトカイン(例えば、IL-2、IL-12サブユニット、すなわち、p35、p40、もしくはp35p40ヘテロ二量体複合体、またはIFN)に結合する抗体のVH及びCH1を含むことができる。第2のポリペプチド鎖は、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12サブユニット(すなわち、p35、p40、またはp35p40ヘテロ二量体複合体)、またはIFN)に結合し、第1のポリペプチド鎖のVH及びCH1と共に、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12サブユニット(すなわち、p35、p40、またはp35p40ヘテロ二量体複合体)、またはIFN)ポリペプチドに結合するFabを形成する抗体のVL及びCLを含むことができる。
【0049】
化合物1、2、3及び4は、本開示に従って使用するための2つのポリペプチド鎖を含む誘導性IL-2プロドラッグの具体例である。化合物1、2、3、及び4、ならびにそれらの活性に関するさらなる詳細は、WO2021/097376に開示されている。
【表1】
【0050】
IL-12などの2つのサブユニットを含むサイトカインは、また、2つ以上の異なるポリペプチドを含み得る。例えば、第1のポリペプチドは、IL-12サブユニット、及び任意にブロッキング要素を含み得る。ブロッキング要素は、存在する場合、第1のプロテアーゼ切断性リンカーを介してIL-12サブユニットに作動可能に連結され得る。第2のポリペプチド鎖は、第2のプロテアーゼ切断性リンカーを介して半減期延長要素に作動可能に連結されたIL-12サブユニット、及び任意にIL-12ブロッキング要素を含み得る。IL-12ブロッキング要素は、存在する場合、プロテアーゼ切断性リンカーを介してIL-12サブユニットに作動可能に連結され得るか、または任意にプロテアーゼ切断性であるリンカーを介して半減期延長要素に作動可能に連結され得る。第1及び第2のポリペプチドの一方のみがIL-12ブロッキング要素を含む。第1のポリペプチドにおけるIL-12サブユニットがp35である場合、第2のポリペプチドにおけるIL-12サブユニットはp40であり、第1のポリペプチドにおけるIL-12サブユニットがp40である場合、第2のポリペプチドにおけるIL-12サブユニットはp35である。ブロッキング要素は、IL-12またはその抗原結合断片に結合する単鎖抗体であり得る。この複合体中の切断性リンカーは、同じであっても異なっていてもよい。
【0051】
誘導性サイトカインポリペプチドプロドラッグは、3つの異なるポリペプチドを含み得る。例えば、1つのポリペプチド鎖は、p35またはp40のIL-12サブユニットのいずれかを含むが、両方を含まず、第2のポリペプチドは、他方のIL-12サブユニットを含み、第3のポリペプチドは、ブロッキング要素の少なくとも一部(成分)を含む。第1のポリペプチドは、IL-12サブユニット、及び任意に半減期延長要素を含み得る。半減期延長要素は、存在する場合、プロテアーゼ切断性リンカーを介してIL-12サブユニットに作動可能に連結され得る。
【0052】
第2のポリペプチドは、IL-12サブユニット、少なくとも抗体軽鎖の抗原結合部分または抗体重鎖の抗原結合部分、及び任意に半減期延長要素を含むことができる。半減期延長要素が存在する場合、それは、プロテアーゼ切断性リンカーを介してIL-12サブユニットに作動可能に連結することができ、抗体重鎖または軽鎖は、a)第2のプロテアーゼ切断性リンカーを介してIL-12サブユニットに作動可能に連結されているか、またはb)任意に切断性であるリンカーを介して半減期延長要素に作動可能に連結されている。
【0053】
第3のポリペプチドは、第2のポリペプチド中の軽鎖に相補的な抗体重鎖の抗原結合部分、または第2のポリペプチド中の重鎖に相補的であり、かつ前記軽鎖と共にIL-12結合部位を形成する抗体軽鎖を含み得る。第1のポリペプチドにおけるIL-12サブユニットがp35である場合、第2のポリペプチドにおけるIL-12サブユニットはp40であり、第1のポリペプチドにおけるIL-12サブユニットがp40である場合、第2のポリペプチドにおけるIL-12サブユニットはp35である。この複合体において、IL-12ブロッキング要素は、好ましくは抗体の抗原結合断片である。抗原結合断片は、別個の成分として、抗体軽鎖の少なくとも抗原結合部分及び相補的抗体重鎖の少なくとも抗原結合部分を含む。この誘導性IL-12ポリペプチド複合体中のプロテアーゼ切断性リンカーは、同じであっても異なっていてもよい。
【0054】
誘導性ポリペプチド複合体は、p35及びp40が同じポリペプチド鎖上に位置する2つの異なるポリペプチドを含むことができる。第1のポリペプチドは、p35、p40、半減期延長要素、及び抗体軽鎖の少なくとも抗原結合部分を含み得る。p35及びp40は、作動可能に連結され得、半減期延長要素は、第1のプロテアーゼ切断性リンカーを介してp40に作動可能に連結され得、抗体軽鎖の抗原結合部分は、プロテアーゼ切断性リンカーを介してp35に作動可能に連結され得る。
【0055】
あるいは、半減期延長要素は、プロテアーゼ切断性リンカーを介してp35に作動可能に連結され得、抗体軽鎖の抗原結合部分は、プロテアーゼ切断性リンカーを介してp40に作動可能に連結される。第2のポリペプチドは、第2のポリペプチド中の軽鎖に相補的であり、前記軽鎖と共にIL-12結合部位を形成する抗体重鎖の少なくとも抗原結合部分を含む。この複合体中のプロテアーゼ切断性リンカーは、同じであっても異なっていてもよい。
【0056】
代替のフォーマットにおいて、第1のポリペプチド鎖は、p35、p40、半減期延長要素、及び抗体重鎖の少なくとも抗原結合部分を含み得る。p35及びp40は、作動可能に連結され得、半減期延長要素は、プロテアーゼ切断性リンカーを介してp40に作動可能に連結され得、抗体重鎖の抗原結合部分は、プロテアーゼ切断性リンカーを介してp35に作動可能に連結され得る。あるいは、半減期延長要素は、プロテアーゼ切断性リンカーを介してp35に作動可能に連結され得、抗体重鎖の抗原結合部分は、第2のプロテアーゼ切断性リンカーを介してp40に作動可能に連結され得る。第2のポリペプチドは、第2のポリペプチド中の重鎖に相補的であり、前記軽鎖と共にIL-12結合部位を形成する抗体軽鎖の少なくとも抗原結合部分を含む。この複合体中のプロテアーゼ切断性リンカーは、同じであっても異なっていてもよい。
【0057】
一例では、IL-12ポリペプチド複合体は、第1のポリペプチドを含み、ブロッキング要素を含まず、第2のポリペプチドは、式:[A]-[L1]-[B]-[L3]-[D]または[D]-[L3]-[B]-[L1]-[A]または[B]-[L1]-[A]-[L2]-[D]または[D]-[L1]-[A]-[L2]-[B]を有し、ここで、Aは、IL-12サブユニットであり、L1は、第1のプロテアーゼ切断性リンカーであり、L2は、第2のプロテアーゼ切断性リンカーであり、L3は、任意に切断性であるリンカーであり、Bは半減期延長要素であり、Dはブロッキング要素である。
【0058】
別の例では、第1のポリペプチドは、式:[A]-[L1]-[D]または[D]-[L1]-[A]を含み;第2のポリペプチドは、式:[A’]-[L2]-[B]または[B]-[L2]-[A’]を有し、ここで、Aは、p35またはp40のいずれかであり、Aがp35である場合、A’はp40であり、Aがp40である場合、A’はp35であり、A’は、p35またはp40のいずれかであり、L1は、第1のプロテアーゼ切断性リンカーであり、L2は、第2のプロテアーゼ切断性リンカーであり、Bは、半減期延長要素であり、Dは、ブロッキング要素である。
【0059】
化合物5、6、7、8、9及び10は、本開示に従って使用するための2つのポリペプチド鎖を含む誘導性IL-12プロドラッグの具体例である。化合物5、6、7、8、9及び10、ならびにそれらの活性に関するさらなる詳細は、国際出願第PCT/US2021/33014号に開示されている。
【表2】
【0060】
上記のように、サイトカインは、所望であれば、ムテインであり得る。サイトカインムテインは、活性、例えば、内因性IL-12/IL-2/IFN受容体アゴニスト活性を保持する。
【0061】
B.半減期延長要素
半減期延長要素は、in vivo半減期を増加し、誘導性サイトカインプロドラッグの薬力学及び薬物動態の変化をもたらす。理論に束縛されるものではないが、半減期延長要素は、誘導性サイトカインプロドラッグの組織分布、浸透及び拡散の変化を含む薬力学的特性を変化させる。いくつかの実施形態では、半減期延長要素は、半減期延長要素を有さないタンパク質と比較して、組織の標的化、組織の浸透、組織内の拡散、及び増強された有効性を改善することができる。理論に束縛されるものではないが、ポリペプチドの薬物動態を改善する例示的な方法は、内皮細胞上のFcRn受容体及びトランスフェリン受容体などのリソソーム中で分解されるのではなく、細胞の原形質膜に再循環される受容体に結合するポリペプチド鎖中の要素の発現によるものである。3つのタイプのタンパク質、例えば、ヒトIgG、HSA(または断片)、及びトランスフェリンは、リソソーム中で分解されるよりもむしろ再利用される受容体に結合するそれらの能力の関数である、それらのサイズによって予測されるであろうよりもはるかに長く、ヒト血清中に存続する。これらのタンパク質または断片は、FcRn結合を保持し、他のポリペプチドに日常的に連結されて、それらの血清半減期を延長する。HSAは、医薬組成物に直接結合してもよいか、または短いリンカーを介して結合してもよい。HSAの断片も使用することができる。HSA及びその断片は、ブロッキング要素及び半減期延長要素の両方として機能し得る。ヒトIgG及びFc断片も、同様の機能を実行し得る。
【0062】
血清半減期延長要素は、血清アルブミン、トランスフェリンなどの長い血清半減期を有するタンパク質に結合する抗原結合ポリペプチドでもあり得る。このようなポリペプチドの例としては、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、単鎖可変断片(scFv)、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)及びラクダ型ナノボディ(VHH)の可変ドメインなどの単一ドメイン抗体、dAbなどを含む抗体及びその断片が挙げられる。他の適切な抗原結合ドメインは、アンチカリン、アフィリン、アフィボディ分子、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、DARPin、フィノマー、kunitzドメインペプチド、モノボディ、ならびにSpA、GroEL、フィブロネクチン、リポカリン及びCTLA4足場などの他の操作された足場に基づく結合ドメインなどの、抗体結合及び/または構造を模倣する非免疫グロブリンタンパク質を含む。抗原結合ポリペプチドのさらなる例としては、所望の受容体に対するリガンド、受容体のリガンド結合部分、レクチン、及び1つ以上の標的抗原に結合または会合するペプチドが挙げられる。
【0063】
本明細書で提供される半減期延長要素は、好ましくは、ヒト血清アルブミン(HSA)結合ドメイン、及びヒト血清アルブミンまたは免疫グロブリンFcまたはその断片に結合する抗原結合ポリペプチドである。
【0064】
誘導性サイトカインプロドラッグの半減期延長要素は、誘導性サイトカインプロドラッグの半減期を少なくとも約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日以上延長する。
【0065】
C.ブロッキング要素
ブロッキング要素は、サイトカインに結合し、サイトカインポリペプチドがその受容体に結合し活性化する能力を阻害する任意の要素であり得る。ブロッキング要素は、例えば、サイトカインポリペプチドを立体的に遮断し、及び/または非共有結合することによって、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、またはIFN)がその受容体に結合し、及び/または活性化する能力を阻害することができる。本明細書に開示されるブロッキング要素は、IL-2、IL-12(例えば、p35、p40、またはヘテロ二量体)、またはIFN(例えば、IFN-α(例えば、ヒトIFN-α1、ヒトIFN-α2、ヒトIFN-α4、ヒトIFN-α5、ヒトIFN-α6、ヒトIFN-α7、ヒトIFN-α8、ヒトIFN-α10、ヒトIFN-α13、ヒトIFN-α14、ヒトIFN-α16、ヒトIFN-α17、ヒトIFN-α2)、IFN-β、IFN-γ)に結合し得る。
【0066】
適切なブロッキング要素の例としては、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、またはIFN)の同族受容体の全長もしくはサイトカイン結合断片、またはムテインが挙げられる。IL-2の同族受容体は、IL-2α鎖、IL-2β鎖、IL-2γ鎖またはそれらの組み合わせであり得る。IL-12の同族受容体は、IL-12Rβ1及び/またはIL-12Rβ2であり得る。IFNの同族受容体は、IFNGR受容体またはその一部であり得る。例えば、インターフェロンポリペプチドがINFα2aなどのIFNαである場合、ブロッキング要素は、IFNα受容体1(IFNAR1)の細胞外部分またはそのインターフェロン結合部分もしくはムテイン、またはIFNα受容体2(IFNAR2)の細胞外部分、またはそのインターフェロン結合部分もしくはムテインであり得る。インターフェロンポリペプチドがIFNγである場合、ブロッキング要素は、IFNγ受容体1(IFNGR1)の細胞外部分、またはそのインターフェロン結合部分もしくはムテイン、またはIFNγ受容体2(IFNGR2)の細胞外部分、またはそのインターフェロン結合部分もしくはムテインであり得る。
【0067】
また、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、単鎖可変断片(scFv)、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)及びラクダ型ナノボディの可変ドメイン(VHH)などの単一ドメイン抗体、dAbなどを含む、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、またはIFN)に結合する抗体及びその抗原結合断片を用いることができる。サイトカインポリペプチドに結合する他の適切な抗原結合ドメインも用いることができ、アンチカリン、アフィリン、アフィボディ分子、アフィマー、アフィチン、アルファボディ、アビマー、DARPin、フィノマー、kunitzドメインペプチド、モノボディ、ならびにSpA、GroEL、フィブロネクチン、リポカリン及びCTLA4足場などの他の操作された足場に基づく結合ドメインなどの、抗体結合及び/または構造を模倣する非免疫グロブリンタンパク質を含む。適切なブロッキングポリペプチドのさらなる例としては、その同族受容体への結合を立体的に阻害または遮断するポリペプチドが挙げられる。有利には、そのような部分は、半減期延長要素としても機能し得る。例えば、PEGなどの水溶性ポリマーへの結合によって修飾されるペプチドは、その受容体へのサイトカインの結合を立体的に阻害または防止することができる。血清アルブミン(ヒト血清アルブミン)、免疫グロブリンFc、トランスフェリンなど、ならびにそのようなポリペプチドの断片及びムテインなど、長い血清半減期を有するポリペプチドまたはその断片も使用することができる。
【0068】
特に好適なブロッキング要素は、単鎖可変断片(scFv)またはFab断片である。
【0069】
サイトカインに対して特異性を有するブロッキング要素を含み、さらに半減期延長要素を含む誘導性サイトカインプロドラッグも本明細書に開示される。
【0070】
ブロッキング要素は、同じポリペプチド鎖上または別個のポリペプチド鎖上に存在する2つ以上の成分を含み得る。第1のポリペプチド鎖は、抗体軽鎖(VL+CL)または軽鎖可変ドメイン(VL)を含むことができ、第2のポリペプチドは、第1のポリペプチド上のVL+CLまたはVLに相補的な抗体重鎖Fab断片(VH+CH1)または重鎖可変ドメイン(VH)を含むことができる。そのような状況では、これらの成分は、ペプチド複合体中で会合して、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、IFN)に結合し、サイトカイン活性を減弱させるFabなどの抗原結合部位を形成することができる。
【0071】
D.プロテアーゼ切断性リンカー
本明細書に開示されるように、誘導性サイトカインプロドラッグは、1つ以上のリンカー配列を含む。リンカー配列は、ポリペプチド間に柔軟性を提供する役割を果たし、その結果、例えば、ブロッキング要素は、サイトカインの活性を阻害することができる。リンカーは、サイトカインサブユニット、半減期延長要素、及び/またはブロッキング要素の間に位置し得る。本明細書に記載されるように、誘導性サイトカインプロドラッグは、プロテアーゼ切断性リンカーを含む。プロテアーゼ切断性リンカーは、1つ以上の所望のプロテアーゼのための1つ以上の切断部位を含み得る。好ましくは、所望のプロテアーゼは、サイトカイン活性の所望の標的部位(例えば、腫瘍微小環境)で濃縮または選択的に発現される。従って、誘導性サイトカインプロドラッグは、所望のサイトカイン活性の標的部位で優先的にまたは選択的に切断される。
【0072】
適切なリンカーは、典型的には約100アミノ酸未満である。そのようなリンカーは、1アミノ酸(例えば、Gly)~30アミノ酸、1アミノ酸~40アミノ酸、1アミノ酸~50アミノ酸、1アミノ酸~60アミノ酸、1~70アミノ酸、1~80アミノ酸、1~90アミノ酸、及び1~100アミノ酸などの異なる長さであり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、または約100アミノ酸長である。好ましいリンカーは、典型的には約5アミノ酸~約30アミノ酸である。
【0073】
好ましくは、リンカーの長さは、2~30アミノ酸で変化し、リンカーが連結ドメインのコンホメーションまたは相互作用に対して拘束を課さないように、各条件に対して最適化される。好ましい実施形態では、リンカーは、切断剤、例えば酵素によって切断できる。好ましくは、リンカーは、プロテアーゼ切断部位を含む。場合によっては、リンカーは、1つ以上の切断部位を含む。リンカーは、単一のプロテアーゼ切断部位を含み得る。リンカーはまた、2つ以上のプロテアーゼ切断部位を含み得る。例えば、2つの切断部位、3つの切断部位、4つの切断部位、5つの切断部位またはそれ以上。リンカーが2つ以上のプロテアーゼ切断部位を含む場合、切断部位は、同じプロテアーゼまたは異なるプロテアーゼによって切断され得る。2つ以上の切断部位を含むリンカーは、「タンデムリンカー」と呼ばれる。2つ以上の切断部位は、任意の所望の向きで配置され得、これには、限定されないが、別の切断部位に隣接する1つの切断部位、別の切断部位に重複する1つの切断部位、または2つの切断部位の間に介在するアミノ酸を伴う別の切断部位が後に続く1つの切断部位が含まれる。
【0074】
本発明において特に興味深いのは、疾患特異的なプロテアーゼ切断性リンカーである。末梢循環に対して、腫瘍微小環境などの体内の所望の位置で優先的に切断されるプロテアーゼ切断性リンカーも好ましい。例えば、腫瘍微小環境においてプロテアーゼ切断性リンカーが切断される速度は、末梢循環(例えば、血漿中)と比較して、体内における所望の位置、例えば腫瘍微小環境において、少なくとも約10倍、少なくとも約100倍、少なくとも約1000倍、または少なくとも約10,000倍速くなり得る。
【0075】
疾患細胞または組織に関連することが知られているプロテアーゼとしては、限定されないが、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、アスパラギンペプチドリアーゼ、血清プロテアーゼ、カテプシン、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンD、カテプシンE、カテプシンG、カテプシンK、カテプシンL、カリクレイン、hKl、hK10、hK15、プラスミン、コラゲナーゼ、IV型コラゲナーゼ、ストロメリシン、第Xa因子、キモトリプシン様プロテアーゼ、トリプシン様プロテアーゼ、エラスターゼ様プロテアーゼ、サブチリシン様プロテアーゼ、アクチニダイン、ブロメリン、カルパイン、カスパーゼ、カスパーゼ-3、Mirl-CP、パパイン、HIV-1プロテアーゼ、HSVプロテアーゼ、CMVプロテアーゼ、キモシン、レニン、ペプシン、マトリプターゼ、レグマイン、プラスメプシン、ネペンテシン、メタロエキソペプチダーゼ、メタロエンドペプチダーゼ、マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)、MMP1、MMP2、MMP3、MMP8、MMP9、MMP13、MMP11、MMP14、ウロキナーゼプラスミノゲンアクチベータ(uPA)、エンテロキナーゼ、前立腺特異的抗原(PSA、hK3)、インターロイキン-1β変換酵素、トロンビン、FAP(FAPα)、ジペプチジルペプチダーゼ、メプリン、グランザイム及びジペプチジルぺプチダーゼIV(DPPIV/CD26)を含む。リンカーアミノ酸配列(本明細書に提供されるキメラ核酸配列によってコードされ得る)を切断することができるプロテアーゼは、例えば、前立腺特異的抗原(PSA)、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、ディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAM)、プラスミノゲンアクチベータ、カテプシン、カスパーゼ、腫瘍細胞表面プロテアーゼならびにエラスターゼからなる群から選択され得る。MMPは、例えば、マトリクスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)、マトリクスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)、マトリクスメタロプロテイナーゼ14(MMP14)であり得る。加えて、または代替として、リンカーは、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンD、カテプシンE、カテプシンG、カテプシンK及び/またはカテプシンLなどのカテプシンによって切断され得る。好ましくは、リンカーは、MMP14またはカテプシンLによって切断され得る。
【0076】
リンカーの切断及び本明細書に開示される誘導性サイトカインプロドラッグにおける使用に有用なプロテアーゼを表3に示し、例示的なプロテアーゼ及びその切断部位を表4に示す。

【表3-1】
【表3-2】
【表4-1】
【表4-2】
【0077】
例示的なプロテアーゼ切断性リンカーとしては、限定されないが、カリクレイン切断性リンカー、トロンビン切断性リンカー、キマーゼ切断性リンカー、カルボキシペプチダーゼA切断性リンカー、カテプシン切断性リンカー、エラスターゼ切断性リンカー、FAP切断性リンカー、ADAM切断性リンカー、PR-3切断性リンカー、グランザイムM切断性リンカー、カルパイン切断性リンカー、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)切断性リンカー、プラスミノゲンアクチベータ切断性リンカー、カスパーゼ切断性リンカー、トリプターゼ切断性リンカー、または腫瘍細胞表面プロテアーゼが挙げられる。具体的には、MMP9切断性リンカー、ADAM切断性リンカー、CTSL1切断性リンカー、FAPα切断性リンカー、及びカテプシン切断性リンカーである。いくつかの好ましいプロテアーゼ切断性リンカーは、MMP及び/またはカテプシンによって切断される。
【0078】
本明細書に開示される分離部分は、典型的には100未満のアミノ酸である。このような分離部分は、1アミノ酸(例えばGly)~30アミノ酸、1アミノ酸~40アミノ酸、1アミノ酸~50アミノ酸、1アミノ酸~60アミノ酸、1~70アミノ酸、1~80アミノ酸、1~90アミノ酸、及び1~100アミノ酸などの異なる長さであり得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、または約100アミノ酸長である。好ましいリンカーは、典型的には約5アミノ酸~約30アミノ酸である。
【0079】
好ましくは、リンカーの長さは、2~30アミノ酸で変化し、リンカーが連結ドメインのコンホメーションまたは相互作用に対して拘束を課さないように、各条件に対して最適化される。
【0080】
いくつかの実施形態では、リンカーは、配列GPAGLYAQ(配列番号195);GPAGMKGL(配列番号196);PGGPAGIG(配列番号197);ALFKSSFP(配列番号198);ALFFSSPP(配列番号199);LAQRLRSS(配列番号200);LAQKLKSS(配列番号201);GALFKSSFPSGGGPAGLYAQGGSGKGGSGK(配列番号202);RGSGGGPAGLYAQGSGGGPAGLYAQGGSGK(配列番号203);KGGGPAGLYAQGPAGLYAQGPAGLYAQGSR(配列番号204);RGGPAGLYAQGGPAGLYAQGGGPAGLYAQK(配列番号205);KGGALFKSSFPGGPAGIGPLAQKLKSSGGS(配列番号206);SGGPGGPAGIGALFKSSFPLAQKLKSSGGG(配列番号207);RGPLAQKLKSSALFKSSFPGGPAGIGGGGK(配列番号208);GGGALFKSSFPLAQKLKSSPGGPAGIGGGR(配列番号209);RGPGGPAGIGPLAQKLKSSALFKSSFPGGG(配列番号210);RGGPLAQKLKSSPGGPAGIGALFKSSFPGK(配列番号211);RSGGPAGLYAQALFKSSFPLAQKLKSSGGG(配列番号212);GGPLAQKLKSSALFKSSFPGPAGLYAQGGR(配列番号213);GGALFKSSFPGPAGLYAQPLAQKLKSSGGK(配列番号214);RGGALFKSSFPLAQKLKSSGPAGLYAQGGK(配列番号215);RGGGPAGLYAQPLAQKLKSSALFKSSFPGG(配列番号216);SGPLAQKLKSSGPAGLYAQALFKSSFPGSK(配列番号217);KGGPGGPAGIGPLAQRLRSSALFKSSFPGR(配列番号218);KSGPGGPAGIGALFFSSPPLAQKLKSSGGR(配列番号219);またはSGGFPRSGGSFNPRTFGSKRKRRGSRGGGG(配列番号220)を含む。
【0081】
特定の好ましい分離部分は、配列GPAGLYAQ(配列番号195)またはALFKSSFP(配列番号198)を含む。本明細書に開示される分離部分は、同一または異なる1つ以上の切断モチーフまたは機能的バリアントを含み得る。分離部分は、1、2、3、4、5、またはそれ以上の切断モチーフまたは機能的バリアントを含み得る。30個のアミノ酸を含む分離部分は、2つの切断モチーフもしくは機能的バリアント、3つの切断モチーフもしくは機能的バリアント、またはそれ以上を含み得る。リンカーの「機能的バリアント」は、標的部位(例えば、高レベルのプロテアーゼを発現する腫瘍微小環境)において高い効率で切断される能力を保持し、末梢(例えば、血清)において切断されないか、または低い効率で切断される。例えば、機能的バリアントは、配列番号195~220または447~448のいずれか1つを含むリンカーの切断効率の少なくとも約50%、約55%、約60%、約70%、約80%、約85%、約95%またはそれ以上を保持する。
【0082】
1つより多い切断モチーフを含む分離部分は、配列番号195~201または447~448及びそれらの組み合わせから選択され得る。1つより多い切断モチーフを含む好ましい分離部分は、配列番号202~220から選択されるアミノ酸を含む。
【0083】
リンカーは、ALFKSSFP(配列番号198)及びGPAGLYAQ(配列番号195)の両方を含むことができる。リンカーは、各々が配列GPAGLYAQ(配列番号195)を有する2つの切断モチーフを含むことができる。あるいは、またはさらに、リンカーは、各々が配列ALFKSSFP(配列番号198)を有する2つの切断モチーフを含むことができる。リンカーは、同じまたは異なる第3の切断モチーフを含むことができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号195~配列番号220または447~448と、配列番号195~220または配列番号447~448の全長にわたって少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0085】
本開示はまた、配列番号195~220または447~448を含む分離部分の機能的バリアントに関する。配列番号195~220または447~448を含む分離部分の機能的バリアントは、一般に、配列番号195~220または447~448と1つまたは数個のアミノ酸(置換、欠失、挿入、またはそれらの任意の組み合わせを含む)が異なり、プロテアーゼによって切断されるそれらの能力を実質的に保持する。
【0086】
機能的バリアントは、配列番号195~220または447~448を含む分離部分に対して、少なくとも1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、または挿入を含むことができる。機能的バリアントは、配列番号195~220または447~448を含む分離部分と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸改変を含むことができる。いくつかの好ましい実施形態では、機能的バリアントは、配列番号195~220を含むリンカーと、10個未満、8つ未満、5つ未満、4つ未満、3つ未満、2つ未満または1つのアミノ酸改変、例えば、アミノ酸の置換または欠失が異なる。他の実施形態では、機能的バリアントは、配列番号195~220または447~448と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を含み得る。アミノ酸置換は、保存的置換または非保存的置換であり得るが、好ましくは保存的置換である。
【0087】
他の実施形態では、分離部分の機能的バリアントは、配列番号195~220または447~448を含む分離部分と比較して、1、2、3、4、または5以上の非保存的アミノ酸置換を含み得る。非保存的アミノ酸置換は、当業者に認識され得る。リンカーの機能的バリアントは、好ましくは、1、2、3、4、または5つ以下のアミノ酸欠失を含む。
【0088】
分離部分に開示されるアミノ酸配列は、切断されやすい結合に対するリンカー中の相対的な直線位置によって記載され得る。当業者に十分に理解されるように、8アミノ酸プロテアーゼ基質を含む分離部分(例えば、配列番号195~201または447~448)は、位置P4、P3、P2、P1、P1’、P2’、P3’、P4’にアミノ酸を含有し、ここで、切断されやすい結合は、P1とP1’との間である。例えば、配列GPAGLYAQ(配列番号195)を含むリンカーのアミノ酸位置は、以下のように記載することができる。
【表13】
【0089】
配列ALFKSSFP(配列番号198)を含むリンカーのアミノ酸位置は、以下のように記載することができる。
【表14】
【0090】
好ましくは、切断部位を取り囲むアミノ酸(例えば、配列番号195~201または447~448の位置P1及びP1’)は置換されない。
【0091】
実施形態では、リンカーは、配列GPAGLYAQ(配列番号195)もしくはALFKSSFP(配列番号198)、または配列番号195の機能的バリアント、または配列番号198の機能的バリアントを含む。本明細書に記載されるように、PAGLYAQ(配列番号447)またはALFKSSFP(配列番号198)の機能的バリアントは、1つ以上のアミノ酸置換を含むことができ、プロテアーゼによって切断されるそれらの能力を実質的に保持することができる。具体的には、GPAGLYAQ(配列番号195)の機能的バリアントは、MMP14によって切断され、ALFKSSFP(配列番号198)の機能的バリアントは、カプテプシンL(CTSL1)によって切断される。機能的バリアントはまた、標的部位(例えば、高レベルのプロテアーゼを発現する腫瘍微小環境)において高効率で切断されるそれらの能力を保持する。例えば、GPAGLYAQ(配列番号195)またはALFKSSFP(配列番号198)の機能的バリアントは、それぞれ、アミノ酸配列GPAGLYAQ(配列番号195)またはALFKSSFP(配列番号198)を含むリンカーの切断効率の少なくとも約50%、約55%、約60%、約70%、約80%、約85%、約95%またはそれ以上を保持する。
【0092】
好ましくは、GPAGLYAQ(配列番号195)またはALFKSSFP(配列番号198)の機能的バリアントは、GPAGLYAQ(配列番号195)またはALFKSSFP(配列番号198)と比較して、1、2、3、4、または5つ以下の保存的アミノ酸置換を含む。好ましくは、位置P1及びP1’のアミノ酸は置換されない。配列番号195の位置P1及びP1’のアミノ酸は、G及びLであり、配列番号198の位置P1及びP1’のアミノ酸は、K及びSである。
【0093】
GPAGLYAQ(配列番号195)の機能的バリアントは、好ましくは、以下の1つ以上を含み得る:a)位置P4でのアルギニンアミノ酸置換、b)位置P3でのロイシン、バリン、アスパラギン、またはプロリンアミノ酸置換、c)位置P2でのアスパラギンアミノ酸置換、d)位置P1でのヒスチジン、アスパラギン、またはグリシンアミノ酸置換、e)位置P1’でのアスパラギン、イソロイシン、またはロイシンアミノ酸置換、f)位置P2’でのチロシン、またはアルギニンアミノ酸置換、g)位置P3’でのグリシン、アルギニン、またはアラニンアミノ酸置換、h)位置P4’でのセリン、グルタミン、またはリシンアミノ酸置換。以下のアミノ酸置換は、GPAGLYAQ(配列番号195)の機能的バリアントにおいて好ましくない:a)位置P3でのアルギニンまたはイソロイシン、b)位置P2でのアラニン、c)位置P1でのバリン、d)位置P1’でのアルギニン、グリシン、アスパラギン、またはスレオニン、e)位置P2’でのアスパラギン酸またはグルタミン酸、f)位置P3’でのイソロイシン、g)位置P4’でのバリン。いくつかの実施形態では、GPAGLYAQ(配列番号195)の機能的バリアントは、位置P1及び/またはP1’にアミノ酸置換を含まない。
【0094】
GPAGLYAQ(配列番号195)の機能的バリアントのアミノ酸置換は、好ましくは、位置P4及び/またはP4’にアミノ酸置換を含む。例えば、GPAGLYAQ(配列番号195)の機能的バリアントは、位置P4にロイシン、または位置P4にセリン、グルタミン、リシン、もしくはフェニルアラニンを含み得る。あるいは、またはさらに、GPAGLYAQ(配列番号195)の機能的バリアントは、位置P4’にグリシン、フェニルアラニン、またはプロリンを含み得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、GPAGLYAQ(配列番号195)の位置P2またはP2’でのアミノ酸置換は好ましくない。
【0096】
いくつかの実施形態では、GPAGLYAQ(配列番号195)の機能的バリアントは、配列番号221~295から選択されるアミノ酸配列を含む。GPAGLYAQ(配列番号195)の特定の機能的バリアントは、GPLGLYAQ(配列番号259)、及びGPAGLKGA(配列番号249)を含む。
【0097】
LFKSSFP(配列番号448)の機能的バリアントは、好ましくは、疎水性アミノ酸置換を含む。LFKSSFP(配列番号448)の機能的バリアントは、好ましくは、以下の1つ以上を含み得る:(a)位置P4でのリジン、ヒスチジン、セリン、グルタミン、ロイシン、プロリン、またはフェニルアラニン;(b)位置P3でのリジン、ヒスチジン、グリシン、プロリン、アスパラギン、フェニルアラニン;(c)位置P2でのアルギニン、ロイシン、アラニン、グルタミン、またはヒスチジン;(d)位置P1でのフェニルアラニン、ヒスチジン、スレオニン、アラニン、またはグルタミン;(e)位置P1’でのヒスチジン、ロイシン、リシン、アラニン、イソロイシン、アルギニン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン酸、またはグリシン;(f)位置P2’でのフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、リシン、アラニン、グルタミン、またはプロリン;(g)位置P3’でのフェニルアラニン、ロイシン、グリシン、セリン、バリン、ヒスチジン、アラニン、またはアスパラギン;及びフェニルアラニン、ヒスチジン、グリシン、アラニン、セリン、バリン、グルタミン、リシン、またはロイシン。
【0098】
配列番号448の機能的バリアントにおけるアスパラギン酸及び/またはグルタミン酸の含有は、一般に好ましくなく、回避される。LFKSSFP(配列番号448)の機能的バリアントにおいて、以下のアミノ酸置換もまた、好ましくない:(a)位置P3でのアラニン、セリン、またはグルタミン酸;(b)位置P2でのプロリン、スレオニン、グリシン、またはアスパラギン酸;(c)位置P1でのプロリン;(d)位置P1’でのプロリン;(e)位置P2’でのグリシン;(f)位置P3’でのリシンまたはグルタミン酸;(g)位置P4’でのアスパラギン酸。
【0099】
LFKSSFP(配列番号448)の機能的バリアントのアミノ酸置換は、好ましくは、位置P4及び/またはP1にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、位置P4’におけるLFKSSFP(配列番号448)の機能的バリアントのアミノ酸置換は好ましくない。
【0100】
いくつかの実施形態では、LFKSSFP(配列番号448)の機能的バリアントは、配列番号296~374から選択されるアミノ酸配列を含む。LFKSSFP(配列番号448)の特定の機能的バリアントは、ALFFSSPP(配列番号199)、ALFKSFPP(配列番号346)、ALFKSLPP(配列番号347)、ALFKHSPP(配列番号335)、ALFKSIPP(配列番号348)、ALFKSSLP(配列番号356)、またはSPFRSSRQ(配列番号297)を含む。
【0101】
本明細書に開示される分離部分は、それらが連結するアミノ酸配列(例えば、ドメイン)とともに生理学的条件下で安定なプロドラッグを形成し得る一方で、プロテアーゼによって切断され得る。例えば、リンカーは、循環中で安定であり(例えば、切断されないかまたは低い効率で切断される)、標的部位(すなわち、腫瘍微小環境)でより高い効率で切断される。したがって、本明細書に開示されるリンカーを含む融合ポリペプチドは、所望であれば、別個の分子実体としての融合ポリペプチドの成分と比較して、循環半減期が延びている、及び/または循環中の生物学的活性が低くなっていることができる。さらに、所望の位置(例えば、腫瘍微小環境)にある場合、リンカーは、リンカーによって一緒につながれる成分を放出し、成分の半減期及び生物学的活性を別個の分子実体として回復させるかまたはほぼ回復させるために、効率的に切断され得る。
【0102】
リンカーは、望ましくは、少なくとも2時間、少なくとも5時間、少なくとも10時間、少なくとも15時間、少なくとも20時間、少なくとも24時間、少なくとも30時間、少なくとも35時間、少なくとも40時間、少なくとも45時間、少なくとも50時間、少なくとも60時間、少なくとも65時間、少なくとも70時間、少なくとも80時間、少なくとも90時間、またはそれ以上、循環中で安定なままである。
【0103】
いくつかの実施形態では、リンカーは、標的位置と比較して、循環中で90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、20%、5%、または1%未満切断される。リンカーはまた、リンカーを切断することができる酵素の非存在下で安定である。しかしながら、適切な酵素(すなわち、プロテアーゼ)に曝露すると、リンカーは切断され、連結ドメインの分離を生じる。
【0104】
追加の抗がん剤
本開示は、がん(例えばリンパ腫)を処置するための1つ以上の追加の薬剤、例えば化学療法剤(例えば、シクロホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、イフォスファミド、ブスルファン、N-ニトロソ-N-メチルウレア(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチン、ストレプトゾトシン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、チオテパ、マイトマイシン、ジアジクオン(AZQ)、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、メトトレキセート、ペメトレキセド、フルオロウラシル(例えば、5-フルオロウラシル)、カペシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、ペントスタチン、チオグアニン、メルカプトプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ビンフルニン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、テニポシド、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシン、ミトキサントロン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ビサントレン、ゲムシタビン、シタラビンなど)、免疫腫瘍学的薬剤及び免疫チェックポイント阻害剤(例えば抗PD-L1、抗CTLA4、抗PD-1、抗CD47、抗GD2)、腫瘍溶解性ウイルスなどと組み合わせた、本明細書に開示される誘導性サイトカインプロドラッグ(例えばIL-2ポリペプチド及びIL-12ポリペプチド、またはIFNポリペプチドを含む誘導性サイトカイン)のいずれかとの併用治療剤に関する。
【0105】
本明細書に開示される誘導性サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、及びIFN)プロドラッグは、任意の所望の追加の抗がんと組み合わせることができる。本明細書に開示される誘導性サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、及びIFN)プロドラッグは、任意の所望の抗PD-1抗体または任意の所望の抗PD-L1抗体と組み合わせることができる。
【0106】
誘導性サイトカインプロドラッグと組み合わせることができる例示的な抗PD-1抗体は、限定されないが、AMP-224(AstraZenica)、609A(3SBio)、704(3SBio)、705(3SBio)、ABBV-181(AbbVie)、ADU-1503/bion-004(Chinook Therapeutics)、AGEN2034/バルスチリマブ(Agenus)、AK103(Akeso)、AK104(Akeso)、AK112(Akeso)、AK123(Akeso)、AMG256(Amgen)、AMG404(Amgen)、ANB030(AnaptysBio)、ANKEBIO抗PD1産物(Anhui Anke Biotechnology)、抗PD-1/抗CD47(DiNonA)、ASKG915(Ask Gene Pharmaceuticals)、AV-MEL-1(Aivita Biomedical)、BCD-100(Biocad CJSC)、BI754091(Boehringer Ingelheim)、BiCKI-IL-7(OSE Immunotherapeutics)、Boehringer-PD-1-未知(Boehringer Ingelheim)、BSK-050K01 (Biosion)、カンレリズマブ(Jiangsu Hengrui Medicine)、CB201(Crescendo Biologics)、CB213(Crescendo Biologics)、CC-90006(AnaptsBio)、セトレリマブ(J&J)、chPD1(Kiromic Biopharma)、CMAB819(Mabpharm)、CS1003(CStone Pharmaceuticals)、CS17938(Shenzhen Chipscreen Biosciences)、CTX-8371(Compass Therapeutics)、CX-072(CytomX Therapeutics)、CX-188(CytomX Therapeutics)、シパリズマブ(Harbin Gloria Pharmaceuticals)、DB004(DotBio)、EMB02(EpimAb Biotherapeutics)、ゲプタンブリマブ(Geptanblimab)/ゲノリムズマブ(Apollomics)、GS19(Suzhou Zelgen Biopharmaceuticals)、HLX10 (Shanghai Henlius Biotech)、HX008(Taizhou HanZhong Pharmaceuticals)、HY003(Juventas Cell Therapy)、IBI315/BH2950(Innovent Biologics)、IBI318(Innovent Biologics)、IBI319(Innovent Biologics)、IMM1802(ImmuneOnco Biopharma)、IMT200(TrueBinding)、Jemperli/ドスタルリマブ(AnaptysBio)、JTX-4014(Jounce Therapeutics)、Keytruda/ペンブロリズマブ(Merck)、LBL-006(Nanjing Leads Biolabs)、Libtayo/セミプリマブ-rwlc(Regeneron Pharmaceuticals)、LVGN3616(Lyvgen Biopharma)、LXF821(Novartis)、LY01015(Luye Pharma Group)、LY3462817(Eli Lilly)、MCLA-134(Merus N.V.)、MEDI5752(AstraZenica)、NIR178(Novartis)、ONCR-177(Oncorus)、ONO-4685(Ono Pharmaceutical)、Opdivo/ニボルマブ(Ono Pharmaceutical)、MGD019(MacroGenius)、PD1-GDT CAR-T(Kiromic Biopharma)、ペンプリマブ(Akeso)、PSB205(Qilu Puget Sound Biotherapeutics)、PT-001(Merck)、PT627(Merck)、RB-M1(Refuge Biotechnologies)、レチファンリマブ(MacroGenics)、RG6139(Roche)、RG6279(Roche)、RTX-002(RubrYc Therapeutics)、ササンリマブ(Pfizer)、Servier-PD1xLAG3-未知(Servier)、SL-279252/TAK-252(Shattuck Labs)、Sofusa抗PD1(Sorrento Therapeutics)、スパルタリズマブ(Novartis)、SSI-361(Lyvgen Biopharma)、Sym021(Servier)、テボテリマブ(MacroGenics)、チスレリズマブ(BeiGene)、TSR-075(AnaptsBio)、Tuhura-DO/PD-1-未知(Tuhura Biopharma)、トリパリマブ(Shanghai Junshi Biosciences)、シンチリマブ(Innovent Biologics)、Unicar-CAR-T&PD-1-未知(Shanghai Unicar-Therapy Bio-Medicine Technology)、Xdivane(Xbrane Biopharma)、XmAb20717(Xencor)、XmAb23104(Xencor)、YBL-006(Y-Biologics)、及びジンベレリマブ(Arcus Biosciences)を含む。
【0107】
誘導性サイトカインプロドラッグと組み合わせることができる抗PD-1抗体は、典型的には、承認された抗PD-1抗体である。承認された抗PD-1抗体は、限定されないが、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA)、ドスタルリマブ(JEMPERLI)、セミプリマブ-rwlc(LIBATYO)、ニボルマブ(OPDIVO)、カムレリズマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ及びシンチリマブ(TYVYT)を含む。
【0108】
誘導性サイトカインプロドラッグと組み合わせることができる例示的な抗PD-L1抗体は、限定されないが、A167(Sichuan Kelun)、ABL501(ABL Bio)、ABL503(ABL Bio)、ABSK041(Abbisko Therapeutics)、ACE1708(Acepodia)、ACE-NK-PDL1(Acepodia)、ADG104(Adagene)、AK106(Akeso)、ALPN-202(Alpine Immune Sciences)、AN4005(Adlai Nortye Biopharma)、BMS-936559/MDX-1105(BMS)、APL-502/TQB2450(Apollomics)、Arbutus-PD-L1-未知(Arbutus Biopharma)、ASC22(Ascletis Pharma)、ATG-101(Antengene)、AVA-004(Avacta Group)、AVA021(Avacta Group)、AVA027(Avacta Group)、AVA-040-100(Avacta Group)、AVA04-Vbp(Avacta Group)、Bavencio/アベルマブ(Merck)、BCD-135(Biocad CJSC)、BGB-A333(BeiGene)、Bintrafuspアルファ/GSK4045154(Merck)、CA-170/aupm-170(Dr. Reddy’s Laboratories)、CCX559(ChemoCentryx)、CDR101(CDR-Life)、コシベリマブ(Checkpoint Therapeutics)、CTX-8371(Compass Therapeutics)、DiNonA-固形腫瘍-未知(DiNonA)、DR30207(Zhejiang Doer Biologics)、DuoBody-PD-L1x4-1BB(Ligand Pharmaceuticals)、エンバフォリマブ(Alphamab Oncology)、EPIM-001(Elpis Biopharmaceuticals)、ES101(Elpiscience Biopharma)、INBRX-105(Inhibrx)、FAZ053(Novartis)、FS118(F-star Therapeutics)、GB262(Genor Biopharma)、GS-4224(Gilead)、GT900008(Kintor Pharmaceuticals)、GX-P2(Genexine)、Hamni-PS-L1/CD47-未知(Hanmi Pharmaceutical)、HBM7015(HBM Holdings)、HBM9167(HBM Holdings)、HLX20(Shanghai Henlius Biotech)、HTI-1088(Jiangsu Hengrui Medicine)、IBI318(Innovent Biologics)、IBI322(Innovent Biologics)、IBI323(Innovent Biologics)、IGM-7354(IGM Biosciences)、IMC-001(Sorrento Therapeutics)、Imfinzi/デュルバルマブ(AstraZenica)、IMM25(ImmuneOnco Biopharma)、IMM2502(ImmuneOnco Biopharma)、IMM2503(ImmuneOnco Biopharma)、IMM2504(ImmuneOnco Biopharma)、INCB86550(Incyte)、IO103(IO Biotech)、JS003(Shanghai Junshi Biosciences)、Jubilant-PD-L1-未知(Jubilant Therapeutics)、KD033(Kadmon Holdings)、KN046(Alphamab Oncology)、KY1003(Sanofi)、KY1043(Sanofi)、LY3300054(Eli Lilly)、LY3415244(Eli Lilly)、MRNA-6981(Moderna)、MSB2311(Transcenta Holding)、MT-6035(Molecular Templates)、ND021/NM21-1480(Numab Therapeutics)、OX001R(Oxford BioTherapeutics)、PD-L1ベースのBsAbs(I-Mab)、PD-L1 Boltbody ISAC(Bolt Biotherapeutics)、PDL-GEX(Glycotope GmbH)、PMC-122(PharmAbcine)、PMI06(D&D Pharmatech)、Protheragen-RV-scFv-PDL1-未知(Protheragen)、PRS-344(Pieris Pharmaceuticals)、Q-1802(Merck)、RC98(Yantai Rongchang Pharmaceutical)、RV-scFv-PDL1(Protheragen)、SenI_TAAx22P(Hebei Senlang Biotechnology)、SHC020(Nanjing Sanhome Pharmaceutical)、スゲマリマブ(Ligand Pharmaceuticals)、アテゾリズマブ(Roche)、TST005(Transcenta Holding)、TT-01(Topmunnity Therapeutics)、TTX-siPDL1(TransCode Therapeutics)、UniCAR-T-PD-L1(GEMoaB monoclonals)、Vaximm(VXM10)及びYBL-013(Y-Biologics)を含む。
【0109】
誘導性サイトカインプロドラッグと組み合わせることができる抗PD-L1抗体は、典型的には、承認された抗PD-L1抗体である。承認された抗PD-L1抗体は、限定されないが、アベルマブ(BAVENCIO)、デュルバルマブ(IMFINZI)及びアテゾリズマブ(TECENTRIQ)を含む。
【0110】
E.治療用及び医薬組成物
本開示は、誘導性サイトカインプロドラッグ(例えば、IL-2、IL-12、またはIFN)を使用してがん(リンパ腫)を処置するための方法、及び本明細書に記載される賦形剤と組み合わせて誘導性サイトカインプロドラッグ(例えば、IL-2、IL-12、またはIFN)を含有する医薬組成物を含む、そのような方法で使用するための医薬組成物に関する。
【0111】
本開示は、さらに、本明細書に開示されるがん(リンパ腫など)を処置するための1つ以上の追加の薬剤と組み合わせた、誘導性サイトカインプロドラッグ(例えば、IL-2、IL-12、またはIFN)を含む併用療法を使用する、がん(リンパ腫)を処置するための方法、及び本明細書に記載されるがん(リンパ腫など)を処置するための1つ以上の追加の薬剤と組み合わせた、誘導性サイトカインプロドラッグ(例えば、IL-2、IL-12、またはIFN)を含む医薬組成物を含む、そのような方法で使用するための医薬組成物に関する。
【0112】
本開示はさらに、本明細書に開示される抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と組み合わせた誘導性サイトカインプロドラッグ(例えば、IL-2、IL-12、またはIFN)を含む併用療法を用いてがんを処置するための方法、及び抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と組み合わせた誘導性サイトカインプロドラッグ(例えば、IL-2、IL-12、またはIFN)を含む医薬組成物を含む、そのような方法で使用するための医薬組成物に関する。
【0113】
本開示は、がんの処置を必要とする対象に、誘導性サイトカインプロドラッグと、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体とを含む有効量の併用療法を投与することを含む、がんを処置する方法に関する。誘導性サイトカインプロドラッグ及び抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、2つの治療薬の薬理活性が重複するように対象に投与される。したがって、誘導性サイトカインプロドラッグは、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体の前、後、同時またはほぼ医療手順中に投与することができる。方法のいくつかの実施において、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、誘導性サイトカインプロドラッグの前に投与される。方法のいくつかの実施において、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体を投与し、次いで、投与が完了した後、誘導性サイトカインプロドラッグを投与する。
【0114】
誘導性サイトカインプロドラッグ及び抗PD-1/抗PD-L1抗体は、典型的には、例えば、静脈内注射または好ましくは静脈内注入によって全身的に投与される。他の型の投与は、例えば経口、非経口、静脈内(intravenous)、静脈内(intravenously)、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、経皮、肝内、頭蓋内、噴霧/吸入、気管支鏡検査を介した設置により、または腫瘍内などを使用することができる。
【0115】
本明細書に開示される方法及び組成物は、任意の適切ながん、特に肉腫及び癌腫などの固形腫瘍を処置するために使用することができる。例えば、本明細書に開示される方法及び組成物は、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、基底細胞癌、脳腫瘍、胆管癌、膀胱癌、骨癌、乳癌、気管支腫瘍、未知原発性の癌腫、心臓腫瘍、子宮頸癌、脊索腫、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、腺管癌、胚性腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、嗅神経芽腫、繊維性組織球腫、ユーイング肉腫、眼癌、生殖細胞腫瘍、胆嚢癌、胃癌(gastric cancer)、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠絨毛性疾患、神経膠腫、頭頸部癌、肝細胞癌、組織球増加症、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、口唇及び口腔癌(oral cavity cancer)、肝癌、非浸潤性小葉癌、肺癌、マクログロブリン血症、悪性繊維性組織球腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、原発不明の転移性頸部扁平上皮癌、NUT遺伝子に関連する正中線上の癌、口腔癌(mouth cancer)、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉症、骨髄異形成性症候群、骨髄異型性/骨髄増殖性腫瘍、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽腫、非小細胞肺癌、中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、乳頭腫、傍神経節腫、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盂・尿管癌、網膜芽細胞腫、ラブドイド腫瘍、唾液腺癌、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部肉腫、脊髄腫瘍、胃癌(stomach cancer)、T細胞リンパ腫、奇形腫、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫・胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、膣癌、外陰癌、ならびにウィルムス腫瘍を処置するために用いることができる。
【0116】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、副腎皮質癌、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、基底細胞癌、脳腫瘍、胆管癌、膀胱癌、骨癌、乳癌、気管支腫瘍、未知原発性の癌腫、心臓腫瘍、子宮頸癌、脊索腫、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、腺管癌、胚性腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、嗅神経芽腫、繊維性組織球腫、ユーイング肉腫、眼癌、生殖細胞腫瘍、胆嚢癌、胃癌(gastric cancer)、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠絨毛性疾患、神経膠腫、頭頸部癌、肝細胞癌、組織球増加症、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、口唇及び口腔癌(oral cavity cancer)、肝癌、非浸潤性小葉癌、肺癌、悪性繊維性組織球腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、原発不明の転移性頸部扁平上皮癌、NUT遺伝子に関連する正中線上の癌、口腔癌(mouth cancer)、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉症、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽腫、非小細胞肺癌、中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、乳頭腫、傍神経節腫、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盂・尿管癌、網膜芽細胞腫、ラブドイド腫瘍、唾液腺癌、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部肉腫、脊髄腫瘍、胃癌(stomach cancer)、T細胞リンパ腫、奇形腫、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫・胸腺癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、膣癌、外陰癌、非ホジキンリンパ腫、頭頸部の扁平上皮癌、悪性胸膜中皮腫ならびにウィルムス腫瘍を処置するために用いることができる。
【0117】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、尿路上皮癌、高頻度マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復欠損癌、高頻度マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復欠損結腸直腸癌、胃癌、食道癌、子宮頸癌、肝細胞癌(HCC)、メルケル細胞癌(MCC)、腎細胞癌(RCC)、子宮内膜癌、高腫瘍遺伝子変異量癌、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、尿路上皮癌、結腸直腸癌または食道癌を処置するために用いられる。
【0118】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、メルケル細胞癌(MCC)、尿路上皮癌(UC)、腎細胞癌(RCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、子宮内膜癌、皮膚扁平上皮癌(CSCC)、基底細胞癌(BCC)、黒色腫、悪性胸膜中皮腫、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、頭頸部の扁平上皮癌(SCCHN)、肝細胞癌(HCC)、食道扁平上皮癌(ESCC)、非扁平上皮非小細胞肺癌または鼻咽頭癌(NPC)を処置するために使用される。
【0119】
好ましくは、本明細書に開示される方法及び組成物は、結腸癌、肺癌、黒色腫、腎細胞癌または乳癌を処置するために使用される。
【0120】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、黒色腫を処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、切除不能または転移性の黒色腫を有する対象における黒色腫を処置するために使用することができる。別の例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、完全切除後にリンパ節(複数可)の関与を伴う黒色腫を有する対象のアジュバント処置に使用することができる。
【0121】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、非小細胞肺癌(NSCLC)を処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、FDA承認試験によって決定される、PD-L1を発現するNSCLC(例えば腫瘍割合スコア(TPS)≧1%)を有し、EGFRまたはALKゲノム腫瘍異常を伴わず、外科的切除または根治的化学放射線照射の候補ではないか、または転移性でないステージIIIである対象におけるNSCLCを処置するために使用することができる。別の例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、FDA承認試験によって決定される、腫瘍がPD-L1(TPS≧1%)を発現する転移性NSCLCを有し、白金含有化学療法中またはその後に疾患が進行した患者におけるNSCLCを処置するために使用することができる。別の例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、EGFRまたはALKゲノム腫瘍異常を伴わない、転移性非扁平上皮NSCLC患者の第一選択処置として、ペメトレキセド及び白金化学療法と組み合わせて使用することができる。別の例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、転移性扁平上皮NSCLC患者の第一選択処置として、カルボプラチン及びパクリタキセルまたはタンパク質結合パクリタキセルのいずれかと組み合わせて使用することができる。
【0122】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、SCLCを処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、白金ベースの化学療法及び少なくとも1つの他の前治療ライン中またはその後に疾患が進行した、転移性SCLCを有する対象における、SCLCを処置するために使用することができる
【0123】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、HNSCCを処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、FDA承認試験によって決定される、腫瘍がPD-L1を発現する(例えば複合陽性スコア(CPS)≧1)、転移性または切除不能の再発性HNSCCを有する対象におけるHNSCCを処置するために使用することができる。別の例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、白金含有化学療法中またはその後に疾患が進行した、再発性または転移性HNSCCを有する対象におけるHNSCCを処置するために使用することができる。別の例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、転移性または切除不能な再発性HNSCCを有する患者の第一選択処置のために、白金及びフルオロウラシルと組み合わせて使用することができる。
【0124】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、cHLを処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、再発性または難治性cHLを有する対象におけるcHLを処置するために使用することができる。別の例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、難治性cHL、または2回以上の治療ライン後に再発したcHLを有する小児対象におけるcHLを処置するために使用することができる。
【0125】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、PMBCLを処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、難治性PMBCLを有する対象、または2回以上の以前の治療ライン後に再発した対象におけるPMBCLを処置するために使用することができる。
【0126】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、尿路上皮癌を処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、シスプラチン含有化学療法に適格でなく、FDA承認試験により決定される腫瘍がPD-L1を発現する(例えば、複合陽性スコア(CPS)≧10)局所進行性もしくは転移性尿路上皮癌を有する対象、またはPD-L1状態に関わらず任意の白金含有化学療法に適格でない対象における尿路上皮癌を処置するために使用することができる。別の例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、白金含有化学療法の間もしくは後に、または白金含有化学療法によるネオアジュバントもしくはアジュバント処置の12ヶ月以内に疾患が進行した、局所進行性または転移性尿路上皮癌を有する対象における尿路上皮癌を処置するために使用することができる。別の例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、膀胱摘出術を受けるのに適格でないか、または受けないと選んだ乳頭腫瘍を有するかまたは有さない上皮内癌(CIS)を有するバチルスカルメット-ゲラン(BCG)非応答性高リスク筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)を有する対象における尿路上皮癌を処置するために使用することができる。
【0127】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)癌を処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、固形腫瘍が、以前の処置後に進行し、対象が、満足な代替処置オプションを有さないか、または結腸直腸癌が、フルオロピリミジン、オキサリプラチン及びイリノテカンによる処置後に進行した、切除不能なまたは転移性のMSI-HまたはdMMR癌を有する対象におけるMSI-HまたはdMMR癌を治療するために使用することができる。
【0128】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)結腸直腸癌を処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、切除不能または転移性MSI-HまたはdMMR結腸直腸癌を有する対象におけるMSI-HまたはdMMR結腸直腸癌を処置するために使用することができる。
【0129】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、胃癌を処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、FDA承認試験によって決定される、腫瘍がPD-L1を発現し(例えば複合陽性スコア(CPS)≧1)、フルオロピリミジン及び白金含有化学療法を含む治療の2回以上の以前の治療ライン、そして適切な場合には、HER2/neu標的療法中またはその後に疾患が進行した、再発性の局所進行性または転移性の胃または胃食道接合部腺癌を有する対象における胃癌を処置するために使用することができる。
【0130】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、食道癌を処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、白金及びフルオロピリミジンベースの化学療法と組み合わせて、外科的切除または根治的化学放射線照射に適さない局所進行性または転移性の食道または胃食道接合部(GEJ)(例えば、GEJより1~5センチメートル上のエピセンターを有する腫瘍)癌を有する対象における食道癌を処置するために使用することができる。別の例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、FDA承認試験によって決定される、PD-L1(CPS≧10)を発現する扁平細胞組織学的腫瘍を有する患者に対する1回以上の以前の全身治療ラインの後に、外科的切除または根治的化学放射線照射に適さない局所進行性または転移性の食道または胃食道接合部(GEJ)(例えば、GEJより1~5センチメートル上のエピセンターを有する腫瘍)癌を有する対象における食道癌を処置するために使用することができる。
【0131】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、子宮頸癌を処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、FDA承認試験によって決定される、腫瘍がPD-L1を発現する(例えば、複合陽性スコア(CPS)≧1)化学療法中またはその後に疾患が進行した再発性または転移性子宮頸癌を有する対象における子宮頸癌を処置するために使用することができる。
【0132】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、HCCを処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、ソラフェニブで以前に処置された対象におけるHCCを処置するために使用することができる。
【0133】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、MCCを処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、再発性の局所進行性または転移性のMCCを有する対象におけるMCCを処置するために使用することができる。
【0134】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、RCCを処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、進行性RCC患者の第一選択処置のために、アキシチニブと組み合わせて使用することができる。
【0135】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、子宮内膜癌を処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、以前の全身治療後に疾患が進行し、かつ治療的外科手術または放射線照射の候補ではない、MSI-HまたはdMMRではない進行性子宮内膜癌を有する患者の処置のために、レンバチニブと組み合わせて使用することができる。
【0136】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、高腫瘍遺伝子変異量(TMB-H)癌を処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、以前の処置後に進行し、満足な代替処置オプションを有さない、FDA承認試験によって決定される、切除不能なまたは転移性の高腫瘍遺伝子変異量(例えば、≧10変異/メガベース(mut/Mb))の固形腫瘍を有する対象におけるTMB-H癌を処置するために使用することができる。
【0137】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、皮膚扁平上皮癌(cSCC)を処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、外科手術または放射線照射によって治癒可能でない再発性または転移性の皮膚扁平上皮癌を有する対象におけるcSCCを処置するために使用することができる。
【0138】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)を処置するために使用される。一例として、本明細書に開示される方法及び組成物は、FDA承認試験によって決定される、腫瘍がPD-L1を発現する(例えば、複合陽性スコア(CPS)≧10)局所再発性の切除不可能または転移性のTNBCを有する対象の処置のために、化学療法と組み合わせて使用することができる。
【0139】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、メルケル細胞癌(MCC)を処置するために使用することができる。一例として、アベルマブを含む組み合わせを、転移性MCCを有する対象におけるMCCを処置するために使用することができる。
【0140】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、尿路上皮癌(UC)を処置するために使用することができる。一例として、アベルマブを含む組み合わせを、白金含有化学療法の間または後に疾患が進行した局所進行性または転移性UCを有する対象におけるUCを処置するために使用することができる。別の例として、アベルマブを含む組み合わせを、白金含有化学療法によるネオアジュバントまたはアジュバント処置の12ヶ月以内に疾患が進行した局所進行性または転移性UCを有する対象におけるUCを処置するために使用することができる。
【0141】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、腎細胞癌(RCC)を処置するために使用することができる。一例として、アベルマブ及びアキシチニブを含む組み合わせを、進行性RCCを有する対象において使用することができる。
【0142】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、尿路上皮癌(UC)を処置するために使用することができる。一例として、デュルバルマブを含む組み合わせを、白金含有化学療法の間または後に疾患が進行した局所進行性または転移性尿路上皮癌を有する対象におけるUCを処置するために使用することができる。別の例として、デュルバルマブを含む組み合わせを、白金含有化学療法によるネオアジュバントまたはアジュバント処置の12ヶ月以内に疾患進行を有する局所進行性または転移性尿路上皮癌を有する対象におけるUCを治療するために使用することができる。
【0143】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、非小細胞肺癌(NSCLC)を処置するために使用することができる。一例として、デュルバルマブを含む組み合わせを、同時白金ベースの化学療法及び放射線照射療法の後に疾患が進行していない、切除不能なステージIIIの非小細胞肺癌(NSCLC)を有する対象におけるNSCLCを処置するために使用することができる。
【0144】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、小細胞肺癌(SCLC)を処置するために使用することができる。一例として、デュルバルマブを含む組み合わせを、エトポシド及びカルボプラチンまたはシスプラチンのいずれかと組み合わせて、広範なステージの小細胞肺癌(ES-SCLC)を有する成体対象の第一選択処置として使用することができる。
【0145】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、尿路上皮癌(UC)を処置するために使用することができる。一例として、アテゾリズマブを含む組み合わせを、シスプラチン含有化学療法に適格でなく、FDA承認試験によって決定される、腫瘍がPD-L1を発現する(例えば、PD-L1染色腫瘍浸潤免疫細胞[IC]が、腫瘍面積の≧5%をカバーする)か、またはPD-L1状態に関係なく、任意の白金含有化学療法に適格でないか、または任意の白金含有化学療法の間もしくは後に、もしくはネオアジュバントもしくはアジュバント化学療法の12ヶ月以内に疾患が進行した、局所進行性または転移性尿路上皮癌を有する成体対象におけるUCを処置するために使用することができる。
【0146】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、NSCLCを処置するために使用することができる。一例として、アテゾリズマブを含む組み合わせを、FDA承認試験によって決定される、腫瘍が高いPD-L1発現を有し(例えば、PD-L1が腫瘍細胞の≧50%を染色するか[TC≧50%]、またはPD-L1染色腫瘍浸潤免疫細胞[IC]が腫瘍面積の≧10%をカバーする[IC≧10%])、EGFRまたはALKゲノム腫瘍異常を有さない転移性NSCLCを有する成体対象におけるNSCLCを処置するために使用することができる。別の例として、アテゾリズマブを含む組み合わせを、ベバシズマブ、パクリタキセル及びカルボプラチンと組み合わせて、EGFRまたはALKゲノム腫瘍異常を有さない転移性非扁平上皮NSCLCを有する成体対象の第一選択処置として使用することができる。別の例として、アテゾリズマブを含む組み合わせを、タンパク質結合パクリタキセル及びカルボプラチンと組み合わせて、EGFRまたはALKゲノム腫瘍異常を有さない転移性非扁平上皮NSCLCを有する成体対象の第一選択処置として使用することができる。別の例として、アテゾリズマブを含む組み合わせを、白金含有化学療法の間または後に疾患が進行した転移性NSCLCを有する成体対象におけるNSCLCを処置するために使用することができる。
【0147】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)を処置するために使用することができる。一例として、アテゾリズマブを含む組み合わせを、タンパク質結合パクリタキセルと組み合わせて、FDA承認試験によって決定される、腫瘍がPD-L1を発現する(例えば、任意の強度のPD-L1染色腫瘍浸潤免疫細胞[IC]が≧1%の腫瘍面積をカバーする)切除不能な局所進行性または転移性TNBCを有する成体対象を処置するために使用することができる。
【0148】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、小細胞肺癌(SCLC)を処置するために使用することができる。一例として、アテゾリズマブを含む組み合わせを、カルボプラチン及びエトポシドと組み合わせて、広範なステージの小細胞肺癌(ES-SCLC)を有する成体対象の第一選択処置として使用することができる。
【0149】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、子宮内膜癌を処置するために使用することができる。一例として、ドスタルリマブを含む組み合わせを、白金含有レジメンによる以前の処置中またはその後に進行した、FDA承認試験によって決定される、ミスマッチ修復欠損(dMMR)再発性または進行性子宮内膜癌を有する成体対象における子宮内膜癌を処置するために使用することができる。
【0150】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、皮膚扁平上皮癌(CSCC)を処置するために使用することができる。一例として、セミプリマブ-rwlcを含む組み合わせを、治療的外科手術または治療的放射線照射の候補ではない転移性皮膚扁平上皮癌(mCSCC)または局所進行性CSCC(laCSCC)を有する対象におけるCSCCを処置するために使用することができる。
【0151】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、基底細胞癌(BCC)を処置するために使用することができる。一例として、セミプリマブ-rwlcを含む組み合わせを、ヘッジホッグ経路阻害剤で以前に処置されたか、またはヘッジホッグ経路阻害剤が適切でない局所進行性BCC(laBCC)を有する対象におけるBCCを処置するために使用することができる。
【0152】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、NSCLCを処置するために使用することができる。一例として、セミプリマブ-rwlcを含む組み合わせを、FDA承認試験によって決定される、腫瘍が高いPD-L1発現(例えば、腫瘍割合スコア(TPS)≧50%)を有し、EGFR、ALKまたはROS1異常を有さず、対象が外科的切除または根治的化学放射線照射の候補でなく局所進行であるか、または転移性である対象におけるNSCLCを処置するために使用することができる。
【0153】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、黒色腫を処置するために使用することができる。一例として、ニボルマブを含む組み合わせを、切除不能または転移性の黒色腫を有する対象における黒色腫を、単一の薬剤として、またはイピリムマブと組み合わせて処置するために使用することができる。別の例として、ニボルマブを含む組み合わせを、完全な切除を受けたリンパ節関与または転移性疾患を有する黒色腫を有する対象における黒色腫を、アジュバント設定で処置するために使用することができる。
【0154】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、NSCLCを処置するために使用することができる。一例として、ニボルマブを含む組み合わせを、イピリムマブと組み合わせた第一選択処置として、FDA承認試験によって決定される、PD-L1を発現し(≧1%)、EGFRまたはALKゲノム腫瘍異常を有さない転移性非小細胞肺癌を有する成体対象におけるNSCLCを処置するために使用することができる。別の例として、NSCLCを含む組み合わせを、イピリムマブ及び2サイクルの白金併用化学療法と組み合わせて、第一選択処置として、EGFRまたはALKゲノム腫瘍異常を有さない転移性または再発性の非小細胞肺癌を有する成体対象における黒色腫を処置するために使用することができる。別の例として、NSCLCを含む組み合わせを、転移性非小細胞肺癌を有し、白金ベースの化学療法中またはその後に進行した対象における黒色腫を処置するために使用することができる。
【0155】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、悪性胸膜中皮腫を処置するために使用することができる。一例として、ニボルマブを含む組み合わせを、イピリムマブと組み合わせた第一選択処置として、切除不能な悪性胸膜中皮腫を有する成体対象における悪性胸膜中皮腫を処置するために使用することができる。
【0156】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、RCCを処置するために使用することができる。一例として、ニボルマブを含む組み合わせを、イピリムマブと組み合わせた第一選択処置として、リスクが中間または乏しい進行性腎細胞癌を有する対象におけるRCCを処置するために使用することができる。別の例として、ニボルマブを含む組み合わせを、カボザチニブと組み合わせた第一選択処置として、進行性腎細胞癌を有する対象におけるRCCを処置するために使用することができる。別の例として、ニボルマブを含む組み合わせを、以前の抗血管新生治療を受けた進行腎細胞癌を有する対象におけるRCCを処置するために使用することができる。
【0157】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)を処置するために使用することができる。一例として、ニボルマブを含む組み合わせを、自己造血幹細胞移植(HSCT)及びブレンツキシマブベドチン、または自己HSCTを含む3回以上の全身的治療ラインの後に再発または進行したcHLを有する成体対象におけるcHLを処置するために使用することができる。
【0158】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、頭頸部の扁平上皮癌(SCCHN)を処置するために使用することができる。一例として、ニボルマブを含む組み合わせを、白金ベースの治療中またはその後に疾患が進行した、頭頸部の再発性または転移性扁平上皮癌を有する対象におけるSCCHNを処置するために使用することができる。
【0159】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、尿路上皮癌(UC)を処置するために使用することができる。一例として、ニボルマブを含む組み合わせを、白金含有化学療法の間もしくは後に疾患が進行したか、または白金含有化学療法によるネオアジュバントもしくはアジュバント処置から12か月以内に疾患が進行した、局所進行性または転移性尿路上皮癌を有する対象におけるUCを処置するために使用することができる。
【0160】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、結腸直腸癌を処置するために使用することができる。一例として、ニボルマブを含む組み合わせを、フルオロピリミジン、オキサリプラチン及びイリノテカンによる処置後に進行した高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)の転移性結腸直腸癌を有する対象における結腸直腸癌を、単剤として、またはイピリムマブと組み合わせて、処置するために使用することができる。
【0161】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、肝細胞癌(HCC)を処置するために使用することができる。一例として、ニボルマブを含む組み合わせを、以前にソラフェニブで処置されたHCCを有する対象におけるHCCを、単剤として、またはイピリムマブと組み合わせて処置するために使用することができる。
【0162】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、食道扁平上皮癌(ESCC)を処置するために使用することができる。一例として、ニボルマブを含む組み合わせを、以前のフルオロピリミジン及び白金ベースの化学療法の後の切除不能な進行性、再発性または転移性の食道扁平上皮癌を有する対象におけるESCCを処置するために使用することができる。
【0163】
特定の好ましい実施形態では、カムレリズマブを含む組み合わせを、cHLを処置するために使用することができる。
【0164】
特定の好ましい実施形態では、チスレリズマブを含む組み合わせを、非扁平上皮非小細胞肺癌を処置するために使用することができる。特定の好ましい実施形態では、チスレリズマブを含む組み合わせを、肝細胞癌(HCC)を処置するために使用することができる。
【0165】
特定の好ましい実施形態では、トリパリマブを含む組み合わせを、尿路上皮癌を処置するために使用することができる。特定の好ましい実施形態では、トリパリマブを含む組み合わせを、黒色腫を処置するために使用することができる。特定の好ましい実施形態では、トリパリマブを含む組み合わせを、上咽頭癌(NPC)を処置するために使用することができる。
【0166】
特定の好ましい実施形態では、シンチリマブを含む組み合わせを、非扁平上皮非小細胞肺癌を処置するために使用することができる。特定の好ましい実施形態では、シンチリマブを含む組み合わせを、cHLを処置するために使用することができる。
【0167】
本開示の方法及び組成物を用いて処置されるがんは、転移性癌であり得る。本明細書に開示される方法及び組成物は、転移性腎明細胞癌または転移性皮膚悪性黒色腫を処置するために使用することができる。
【0168】
特定の実施形態では、がんは、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、バーキットリンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽球リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、灰色帯リンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、トリプルヒットリンパ腫、特に指定されない高悪性度B細胞リンパ腫、リンパ芽球リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、MALTリンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、ナチュラルキラー(NK)細胞リンパ腫、菌状息肉腫、セザリー症候群、腸症型T細胞リンパ腫、肝脾ガンマ/デルタT細胞リンパ腫などのリンパ腫である。
【0169】
所望であれば、本明細書に記載されるように、追加の治療剤を対象に投与することができる。典型的には、そのような追加の治療剤は、化学療法剤(例えば、アドリアマイシン、セルビジン、ブレオマイシン、アルケラン、ベルバン、オンコビン、フルオロウラシル、チオテパ、メトトレキセート、ビスアントレン、ノアントロン、チグアニン、シタラビン、プロカラビジン)、他の免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗CTLA4(イピリムマブ(YERVOY))、他のサイトカイン(例えば、IL-12、誘導性IL-12プロドラッグ、誘導性IFN、誘導性IFNプロドラッグ、IL-2またはIL-2プロドラッグ)、血管新生阻害剤、抗体薬物複合体(例えば、トラスツズマブエムタンシン(KADCYLA)、トラスツズマブデルクステカン(ENHERTU)、エンホルツマブベドチン(PADCEV)、サシツズマブゴビテカン(TRODELVY)、細胞療法(例えば、CAR-T、TCT-T、T細胞療法、例えば腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法)、腫瘍溶解性ウイルス、放射線療法、及び/または小分子などの抗がん剤である。
【0170】
追加の治療剤は、例えば、ペメトレキセド、白金化学療法剤、カルボプラチン、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル、フルオロウラシル、フルオロピリミジン系化学療法剤、またはアキシチニブであり得る。
【0171】
本開示はまた、誘導性サイトカインプロドラッグ及び抗PD-1または抗PD-L1抗体を含む医薬組成物、及びそのような医薬組成物のがんを処置するための使用に関する。
【0172】
医薬組成物は、様々な形態、例えば、液体、凍結乾燥をとり得、典型的には適切な薬学的に許容される担体を含む。薬学的に許容される担体(又は賦形剤)とは、医薬組成物の非活性成分であり、生物学的または他の理由で望ましくないことはなく、すなわち、この材料は、望ましくない生物学的効果を引き起こすか、またはそれが含まれる薬学的製剤もしくは組成物の他の成分と有害な方法で相互作用することなく、対象に投与される。担体は、しばしば、活性成分の分解を最小限にし、対象における有害な副作用を最小限にするように選択される。
【0173】
適切な担体及びそれらの製剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,David B.Troy,ed.,Lippicott Williams&Wilkins(2005)に記載される。薬学的に許容される担体の例としては、限定されないが、滅菌水、生理食塩水、リンガー溶液のような緩衝溶液及びデキストロース溶液が挙げられる。他の担体は、免疫原性ポリペプチドを含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスなどの徐放性調製物を含む。マトリクスは、成形物品の形態、例えば、フィルム、リポソームまたは微粒子である。特定の担体は、例えば、投与経路及び投与される組成物の濃度により好適に応じ得る。担体は、キメラポリペプチドまたはキメラポリペプチドをコードする核酸配列をヒトまたは他の対象に投与するのに適した担体である。
【0174】
非経口投与用の調製物は、滅菌水性または非水性溶液、懸濁液、及び乳液を含む。非水性溶剤の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水性担体としては、水、アルコール/水性溶液、乳液または懸濁液が挙げられ、生理食塩水及び緩衝媒体を含む。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンガー液または固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルとしては、流体及び栄養補充剤、電解質補充剤(例えば、リンガーデキストロースに基づくもの)などが挙げられる。例えば、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート化剤及び不活性ガスなどの保存剤及び追加の添加剤が、任意に存在する。典型的には、適当な量の薬学的に許容される塩を製剤に用いて、製剤を等張性にするが、製剤は、所望であれば、高張性または低張性であり得る。溶液のpHは、一般に、約5~約8または約7~7.5である。
【0175】
局所投与用の製剤としては、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐薬、スプレー、液体、及び粉末が挙げられる。従来の薬学的担体、水性、粉末または油性基質、増粘剤等は、任意に必要であるか、または望ましい。
【0176】
経口投与用の組成物としては、粉末もしくは顆粒、水もしくは非水性媒体中の懸濁液もしくは溶液、カプセル、サシェまたは錠剤が挙げられる。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散補助剤または結合剤は、任意に望ましい。
【0177】
本開示はまた、a)好適な容器(例えば、バイアル、バッグなど)中の、例えば、液体組成物または凍結乾燥組成物としての、誘導性サイトカインプロドラッグ組成物と、b)好適な容器(例えば、バイアル、バッグなど)中の、例えば、液体組成物または凍結乾燥組成物としてのペンブロリズマブ組成物とを含有する医薬組成物を含むキットに関する。キットは、凍結乾燥組成物の再構成のための滅菌水または生理食塩水などの他の成分をさらに含むことができる。
【0178】
F.定義
特に定義されない限り、本明細書で使用される、全ての技術的用語、標記、及びその他の科学的用語は、本発明が関する当業者に一般的に理解される意味を有する。場合によっては、一般的に理解される意味を有する用語を、明確性及び/または容易に参照するために本明細書で定義するが、このような定義を本明細書に含めることは、当該技術において一般に理解されるものと異なることを表すと常に解釈されるべきでない。本明細書に記載または参照される技術及び手順は、一般に十分に理解され、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 4th ed.(2012)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYに記載される広く利用されている分子クローニング方法などの当業者による従来の方法を用いて一般的に使用される。適切ならば、市販のキット及び試薬の使用を含む手順は、特に明記しない限り、一般に、製造業者が規定するプロトコル及び条件に従って実施される。
【0179】
「サイトカイン」は、特に免疫系の細胞によって分泌され、免疫系のモジュレーターである免疫調節タンパク質(インターロイキンまたはインターフェロンなど)の任意のクラスを指す周知の用語である。本明細書に開示される融合タンパク質において使用され得るサイトカインポリペプチドは、限定されないが、TGF-α及びTGF-β(例えば、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3)などのトランスフォーミング増殖因子;インターフェロン-α、インターフェロン-β、インターフェロン-γ、インターフェロン-κ及びインターフェロン-ωなどのインターフェロン;IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-21及びIL-25などのインターロイキン;腫瘍壊死因子α及びリンホトキシンなどの腫瘍壊死因子;ケモカイン(例えば、C-X-Cモチーフケモカイン10(CXCL10)、CCL19、CCL20、CCL21)及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CS)、ならびにサイトカインに対する同族受容体を活性化するそのようなポリペプチドの断片(すなわち、前述のものの機能的断片)を含む。「ケモカイン」は、近くの応答性細胞において有向走化性を誘導する能力を有する小サイトカインのファミリーのいずれかを指す技術用語である。
【0180】
本明細書で使用する場合、「誘導性」という用語は、タンパク質、すなわち、プロドラッグの一部であるIL-2、IL-12、またはIFNが、その受容体に結合し、腫瘍微小環境においてプロドラッグの切断により活性を達成する能力を指す。本明細書に開示される誘導性サイトカインプロドラッグは、サイトカインアゴニスト活性が減弱しているかまたは全くないが、腫瘍微小環境における切断により、活性サイトカインを放出する。
【0181】
「減弱された」活性は、生物活性及び典型的にはサイトカイン(すなわち、IL-2、IL-12、またはIFN)アゴニスト活性が、天然サイトカイン(すなわち、IL-2、IL-12、またはIFN)の活性と比較して減少することを意味する。本明細書に開示される誘導性サイトカインプロドラッグは、天然サイトカイン(すなわち、IL-2、IL-12、またはIFN)と比較して、少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約250倍、少なくとも約500倍、少なくとも約1000倍アゴニスト活性が低い、減弱されたサイトカイン受容体アゴニスト活性を有する。腫瘍微小環境における切断により、活性であるサイトカインが放出される。典型的には、放出されるサイトカインは、プロドラッグのIL-2受容体活性化活性よりも少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約250倍、少なくとも約500倍、または少なくとも約1000倍大きいサイトカイン受容体アゴニスト活性を有する。
【0182】
本明細書で使用する場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」、または「タンパク質」という用語は、ペプチド結合により連結される2つ以上のアミノ酸を意味するように広く用いられる。タンパク質、ペプチド、及びポリペプチドも、本明細書において、アミノ酸配列を指すように互換的に用いられる。ポリペプチドという用語は、分子を構成するアミノ酸の特定のサイズまたは数を示唆するために、本明細書において用いられないこと、及び本発明のペプチドは、最大数個のアミノ酸残基またはそれ以上を含むことができることを認識されたい。
【0183】
本明細書全体で使用する場合、「対象」は、脊椎動物、より具体的には哺乳類(例えば、ヒト、ウマ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、マウス、ウサギ、ラット、及びモルモット)、鳥類、爬虫類、両生類、魚類及び任意の他の動物であることができる。この用語は、特定の年齢または性別を表さない。したがって、雄であろうと雌であろうと、成体及び新生児対象が包含されることが意図される。本明細書で使用する場合、「患者」または「対象」は互換的に用いられてよく、疾患または障害(例えば、がん)の対象を指すことができる。患者または対象という用語は、ヒト及び獣医学の対象を含む。
【0184】
本明細書で使用する場合、「処置」、「処置する(treat)」、または「処置する(treating)」という用語は、疾患もしくは状態の影響、またはその疾患もしくは状態の症状を低減する方法を指す。したがって、開示される方法において、処置は、腫瘍体積の低減、腫瘍負荷の低減、死の低減などの、確立された疾患もしくは状態の重症度またはその疾患もしくは状態の症状の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または実質的に完全な低減を指すことができる。例えば、疾患を処置するための方法は、対照と比較して、対象における疾患の1つ以上の症状が10%低減する場合に処置であると見なされる。したがって、この低減は、天然レベルまたは対照レベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または10%~100%の間の任意の低減率であり得る。処置が、疾患、状態、または疾患もしくは状態の症状の治癒または完全な除去を必ずしも指さないことが理解される。
【0185】
本明細書で使用する場合、疾患もしくは障害を「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」、及び「予防」という用語は、対象が疾患もしくは障害の1つ以上の症状を示し始める前、またはそれとほぼ同時に起こる、例えばキメラポリペプチドもしくはキメラポリペプチドをコードする核酸配列の投与などの動作を指し、疾患もしくは障害の1つ以上の症状の発症または増悪を阻害または遅延させる。
【0186】
本明細書で使用する場合、「減少する」、「低減する」、または「阻害する」への言及は、適切な対照レベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれ以上の変化を含む。このような用語は、アゴニスト活性などの機能または特性の完全な排除を含み得るが、必ずしもそれを含むとは限らない。
【0187】
「配列バリアント」という用語は、参照ポリペプチドと実質的に類似の生物学的活性を有するが、アミノ酸配列が異なるポリペプチドのアミノ酸配列、または参照配列と実質的に類似の生物学的活性を有する(例えば、実質的に類似の活性を有するタンパク質をコードする)が、ヌクレオチド配列が異なる核酸のヌクレオチド配列を指す。典型的には、「配列バリアント」のアミノ酸またはヌクレオチド配列は、参照配列のアミノ酸またはヌクレオチド配列に高度に類似している(例えば、少なくとも約80%類似している)。当業者は、2つのポリペプチドまたは2つの核酸の同一性の判断法を容易に理解する。例えば、規定された数のヌクレオチドまたはアミノ酸にわたって同一性がその最高レベルになるように2つの配列をアラインメントした後に、同一性を計算することができる。比較のための配列の最適なアラインメントは、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的同一性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の同一性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性方法の検索によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化実装によって(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WI内のGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)、または検査によって、行うことができる。
【0188】
「保存的アミノ酸置換」という用語は、ポリペプチド中のアミノ酸を、参照アミノ酸と類似のサイズ、電荷及び疎水性などの生化学的特性を有する別のアミノ酸で置き換えることを指す技術分野の用語である。ポリペプチドのアミノ酸配列における保存的アミノ酸置換は、しばしば、ポリペプチドの全体的な構造または機能を有意に変化させないことが公知である。アミノ酸の保存的置換は、当業者に知られている。アミノ酸の保存的置換は、限定されないが、以下の群内のアミノ酸の間で行われる置換を含むことができる:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;及び(g)E、D。例えば、当業者は、ロイシンのイソロイシンもしくはバリンによる孤立した置換、アスパラギン酸によるグルタミン酸による孤立した置換、スレオニンのセリンによる孤立した置換、またはアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸による類似の置換が、得られる分子の生物学的活性に対して大きな影響を有さないことを合理的に予測する。
【0189】
用語「有効量」は、本明細書で使用する場合、投与条件下で、腫瘍サイズを低減させ、腫瘍負荷を低減させ、無増悪生存期間を延長し、または全生存を延長するなどの所望の効果を達成するために投与される薬剤(誘導性サイトカインプロドラッグ及び抗PD-1または抗PD-L1抗体)の量を指す。選択される実際の有効量は、処置される特定のがん及びその病期ならびに対象の年齢、性別、体重、民族性、以前の処置及びそれらの処置に対する応答及び他の因子などの他の因子に依存する。投与される誘導性サイトカインプロドラッグ及びペンブロリズマの適切な量、ならびに特定の患者に対する用量スケジュールは、これらの及び他の考慮に基づいて、通常の熟練した臨床家によって決定され得る。
【0190】
好ましくは、本明細書に開示される方法及び組成物は、結腸癌、肺癌、黒色腫、腎細胞癌、乳癌、頭頸部の扁平上皮癌を処置するために使用される。
【0191】
特定の好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法及び組成物は、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、尿路上皮癌、高頻度マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復欠損癌、高頻度マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復欠損結腸直腸癌、胃癌、食道癌、子宮頸癌、肝細胞癌(HCC)、メルケル細胞癌(MCC)、腎細胞癌(RCC)、子宮内膜癌、高腫瘍遺伝子変異量癌、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、尿路上皮癌、結腸直腸癌、または食道癌を処置するために使用される。
【0192】
6.等価物
本明細書に記載される本発明の方法の他の適切な改変及び好適化は、明らかであり、開示または実施形態の範囲から逸脱することなく、適切な等価物を用いて行うことができることは、当業者には容易に明らかであろう。特定の化合物及び方法を詳細に記載してきたが、例示のためにのみ導入され、限定することを意図しない以下の実施例を参照することによって、これらがより明確に理解される。
【実施例
【0193】
7.実施例
以下は、本発明の方法及び組成物の実施例である。本明細書に提供される一般的な記載に鑑みて、様々な他の実施形態が実施され得ることが理解される。
【0194】
実施例1.CT26実験-ACP16単独または抗PD1抗体との組み合わせによる処置
in vitroでMMP9を発現する急速成長結腸腺癌細胞株であるCT26細胞株を使用した。この腫瘍モデルを用いて、腫瘍成長に影響を与える融合タンパク質の能力を調べた。
【表5】
【0195】
細胞の移植のために、マウスをイソフルランで麻酔して、潰瘍形成を軽減した。CR雌BALB/cマウスに、0%マトリゲル中の3x105 CT26腫瘍細胞を側腹部にscで設定した。細胞注入容量は、0.1mL/マウスであった。開始日のマウス年齢は8~12週であった。腫瘍が100~150mmの平均サイズに達した場合に対合し、処置を開始した。ACP16は、200μg/動物で抗PD-1抗体(RMP1-14)を含むかまたは含まずに、70、230または500μg/動物で投与した(表5参照)。体重を開始時、次いで終了まで隔週で測定した。キャリパー測定は、終了まで隔週で行った。任意の有害反応は、直ちに報告した。30%を超える体重減少が1回観察されるか、または25%を超える体重減少が3回連続して測定された任意の個々の動物は、安楽死させた。平均体重減少が>20%または>10%死亡率を有する任意の群は、投薬を停止し、その群は、安楽死させず、回復させる。20%を超える体重減少を有する群内で、個々の体重減少エンドポイントに達した個体は、安楽死させた。群処置に関連する体重減少が、元の体重の10%以内に回復する場合、投薬は、より低い用量またはより少ない頻度の投薬スケジュールで再開した。非処置体重%回復の例外は、個別に許容した。エンドポイントは、腫瘍成長遅延(TGD)であった。動物を個々にモニタリングした。実験のエンドポイントは、1500mm3の腫瘍体積または45日のどちらか最初に達成したほうであった。レスポンダーは、より長く追跡した。エンドポイントに達したら、動物を安楽死させる。結果を、図1A~1F及び図2A~2Bに示す。
【0196】
実施例2.抗PD1抗体と組み合わせたIL-2
誘導性IL-2プロドラッグを、抗PD1抗体(RMP1-14)の添加を伴うまたは伴わずにB16F10同系腫瘍モデルにおいて試験した。1×10個の腫瘍細胞を動物の側腹部に移植し、腫瘍成長をモニタリングした。腫瘍が30~60mm3の平均体積に達したら、動物を無作為化し、表6に示すように投薬した。
【表6】
【0197】
腫瘍体積及び体重を、2回の測定の間に2~3日の間隔で、1週間に3回記録した。誘導性IL-2プロドラッグによる処置は、単剤療法として用量依存的な有効性を示した。このモデルにおける抗PD1による単剤療法は、有効性を有さず、抗PD1処置マウスにおける腫瘍体積は、ビヒクルのみで処置したマウスにおけるものと同様であった。しかし、誘導性IL-2プロドラッグ及び抗PD-1を用いた併用療法は、腫瘍管理を相乗的に改善し、誘導性IL-2プロドラッグまたは抗PD-1のいずれよりも効果的であった。結果を、図3A、3B及び4に示す。
【0198】
実施例3.CT26実験-誘導性IFNプロドラッグ単独または抗PD1抗体との組み合わせによる処置
in vitroでMMP9を発現する急速成長結腸腺癌細胞株であるCT26細胞株を使用する。この腫瘍モデルを用いて、腫瘍成長に影響を与える融合タンパク質の能力を調べる。
【表7】
【0199】
細胞の移植のために、マウスをイソフルランで麻酔して、潰瘍形成を低減する。CR雌BALB/cマウスに、0%マトリゲル中の3×10CT26腫瘍細胞を側腹部にscで設定する。細胞注入容量は、0.1mL/マウスであった。開始時のマウス年齢は、8~12週である。表7に示すように、腫瘍が100~150mmの平均サイズに達する場合に対合し、処置を開始する。ACP16を、200μg/動物で抗PD-1抗体(RMP1-14)を含むかまたは含まない70、230または500μg/動物で投与する。体重を開始時、次いで終了まで隔週で測定する。キャリパー測定は、終了まで隔週で行う。任意の有害反応は、直ちに報告する。30%を超える体重減少が1回観察されるか、または25%を超える体重減少が3回連続して測定された任意の個々の動物は、安楽死させる。平均体重減少が>20%または>10%死亡率を有する任意の群は、投薬を停止し、その群は、安楽死させず、回復させる。20%を超える体重減少を有する群内で、個々の体重減少エンドポイントに達した個体は、安楽死させる。群処置に関連する体重減少が、元の体重の10%以内に回復する場合、投薬は、より低い用量またはより少ない頻度の投薬スケジュールで再開する。非処置体重%回復の例外は、個別に許容する。エンドポイントは、腫瘍成長遅延(TGD)である。動物を個々にモニタリングする。実験のエンドポイントは、1500mmの腫瘍体積または45日のどちらか最初に達成したほうである。レスポンダーは、より長く追跡した。エンドポイントに達したら、動物を安楽死させる。
【0200】
実施例4.抗PD1抗体と組み合わせたIFN
誘導性IFNプロドラッグを、抗PD1抗体(RMP1-14)の添加を伴うまたは伴わずに、B16F10同系腫瘍モデルにおいて試験する。1×10個の腫瘍細胞を動物の側腹部に移植し、腫瘍成長をモニタリングする。腫瘍が30~60mmの平均体積に達したら、動物を無作為化し、表8に示すように投薬する。
【表8】
【0201】
腫瘍体積及び体重を、2回の測定の間に2~3日の間隔で、1週間に3回記録する。誘導性IFNプロドラッグによる処置は、単剤療法として用量依存的な有効性を示す。このモデルにおける抗PD1による単剤療法は、有効性を有さず、抗PD1処置マウスにおける腫瘍体積は、ビヒクルのみで処置したマウスにおけるものと同様である。しかし、誘導性IFNプロドラッグ及び抗PD-1を用いた併用療法は、腫瘍管理を相乗的に改善し、誘導性IFNプロドラッグまたは抗PD-1のいずれよりも効果的であると予想される。
【0202】
実施例5.A20リンパ腫モデル
急速成長B細胞リンパ腫細胞株であるA20細胞株を使用した。この腫瘍モデルを用いて、腫瘍成長に影響を与える誘導性サイトカインプロドラッグの能力を調べた。ヒトIL-12及びIFΝα2bはマウスにおいて交差反応性ではないので、マウス/ヒトキメラIL-12(WW0757/636)またはマウスIFΝα1(WW0610)から成る代用誘導性サイトカインプロドラッグ分子を作製して、同系血液癌モデルにおける抗腫瘍応答を探索した。
【表9】
【0203】
60匹の雌BALB/cマウスに、0%マトリゲル中の5x10個のA20腫瘍細胞を側腹部にscで設定した。細胞注入容量は、0.1mL/マウスであった。開始日のマウス年齢は、8~12週であった。腫瘍が90~130mmの平均サイズに達した場合に対合を行い、表9に従って処置を開始した。これは、研究開始の11日目であった。キャリパー測定は、終了まで隔週で行った。任意の有害反応は、直ちに報告した。25%を超える体重減少が1回観察されるか、または20%を超える体重減少が3回連続して測定された任意の個々の動物は、安楽死させた。任意の群が>20%の平均体重減少または>10%の死亡率を有する場合、投薬を停止し、群を安楽死させず、回復させた。20%を超える体重減少を有する群内で、個々の体重減少エンドポイントに達した個体は、安楽死させた。群処置に関連する体重減少が、元の体重の10%以内に回復した場合、投薬は、より低い用量またはより少ない頻度の投与スケジュールで再開した。非処置体重%回復の例外は、個別に許容した。エンドポイントは、腫瘍成長遅延(TGD)であった。動物を個々にモニタリングした。研究のエンドポイントは、2000mmの腫瘍体積または40日のどちらか最初に達成した方であった。エンドポイントに達したら、動物を安楽死させた。結果を、図5A及び5Bに示す。
【0204】
実施例6.EG7.OVAリンパ腫モデル
急速成長Tリンパ芽球細胞株であるEG7.OVA細胞株を使用した。この腫瘍モデルを用いて、腫瘍成長に影響を与える融合タンパク質の能力を調べた。ヒトIL-12及びIFΝα2bはマウスにおいて交差反応性ではないので、マウス/ヒトキメラIL-12(WW0757/636)またはマウスIFΝα1(WW0610)から成る代用誘導性サイトカインプロドラッグ分子を作製して、同系血液癌モデルにおける抗腫瘍応答を探索した。
【表10】
【0205】
60匹の雌C57Bl/6マウスに、0%マトリゲル中の10x105 EG7.OVA腫瘍細胞を側腹部にscにて設定した。細胞注入容量は、0.1mL/マウスであった。開始日のマウス年齢は、8~12週であった。腫瘍が63~135mmの平均サイズに達した場合に対合を行い、表10に従って処置を開始した。これは、研究開始の5日目であった。キャリパー測定は、終了まで隔週で行った。任意の有害反応は、直ちに報告した。25%を超える体重減少が1回観察されるか、または20%を超える体重減少が3回連続して測定された任意の個々の動物は、安楽死させた。任意の群が>20%の平均体重減少または>10%の死亡率を有する場合、投薬を停止し、群を安楽死させず、回復させた。20%を超える体重減少を有する群内で、個々の体重減少エンドポイントに達した個体を安楽死させた。群処置に関連する体重減少が、元の体重の10%以内に回復する場合、投薬は、より低い用量またはより少ない頻度の投与スケジュールで再開した。非処置体重%回復の例外は、個別に許容した。エンドポイントは、腫瘍成長遅延(TGD)であった。動物を個々にモニタリングした。実験のエンドポイントは、2000mmの腫瘍体積または40日のどちらか最初に達成したほうであった。エンドポイントに達したら、動物を安楽死させた。結果を図6A及び6Bに示す。
【0206】
実施例7.CT26実験-誘導性IL-2プロドラッグまたは抗PD1単独もしくは組み合わせによる処置
in vitroでMMP9を発現する急速成長結腸腺癌細胞株であるCT26細胞株を使用した。この腫瘍モデルを用いて、腫瘍成長に影響を与える融合タンパク質の能力を調べた。
【表11-1】
【0207】
細胞の移植のために、マウスをイソフルランで麻酔して、潰瘍形成を低減した。雌BALB/cマウスに、1.5x10個のCT26腫瘍細胞を側腹部にscで設定した。細胞注入容量は、0.1mL/マウスであった。開始日のマウス年齢は、8~12週であった。腫瘍が100~150mmの平均サイズに達した場合に対合を行い、表11に従って処置を開始した。誘導性IL-2プロドラッグは、WW0621及びWW0523を含む二本鎖ポリペプチドであり、抗PD-1抗体は、RMP1-14であった。体重を開始時、次いで研究終了まで隔週で測定した。腫瘍サイズのキャリパー測定を、研究の終了まで隔週で行った。任意の有害反応は、直ちに報告した。30%を超える体重減少が1回観察されるか、または25%を超える体重減少が3回連続して測定された任意の個々の動物は、安楽死させた。平均体重減少が>20%または>10%死亡率を有する任意の群は、投薬を停止し、その群は、安楽死させず、回復させた。動物を個々にモニタリングした。研究のエンドポイントは、1500mmの腫瘍体積または45日のどちらか最初に達成したほうであった。レスポンダーは、より長く追跡した。エンドポイントに達したら、動物を安楽死させた。結果を、図7A~7Fに示す。
【0208】
8.構築物
表8に示すポリペプチド構築物の要素は、以下の略語を含む:「X」は、リンカーを指す。「X」は、切断性リンカーを指す。リンカー3は、CTSL-1基質モチーフ配列を含むリンカーを指す。
【表11-2-1】

【表11-2-2】
【0209】
9.配列開示
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【表12-4】
【表12-5】
【表12-6】
【表12-7】
【表12-8】
【表12-9】
【表12-10】
【表12-11】
【表12-12】
【表12-13】
【表12-14】
【表12-15】
【表12-16】
【表12-17】
【表12-18】
【表12-19】
【表12-20】
【表12-21】
【表12-22】
【表12-23】
【表12-24】
【表12-25】
【表12-26】
【表12-27】
【表12-28】
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
【配列表】
2024534062000001.xml
【国際調査報告】