(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】低GWPを有する不燃性冷媒、並びに冷蔵を提供するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C09K 5/04 20060101AFI20240910BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C09K5/04 F
C09K5/04 E
F25B1/00 396Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509472
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022075124
(87)【国際公開番号】W WO2023028436
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】プロヒト、ニレシュ
(72)【発明者】
【氏名】ポトカー、グスタボ
(72)【発明者】
【氏名】セティ、アンキット
(72)【発明者】
【氏名】モッタ、サミュエル ヤナ
(57)【要約】
本発明は、75~80重量%のHFO-1234ze(E)、6重量%~12重量%以下のHFC-134a、及び11重量%~約17重量%のHFO1336mzz(E)を含む冷媒組成物と、電子冷却、低温及び中温冷蔵を含む、熱交換システムにおける冷媒の使用と、加熱及び冷却用途のための冷媒R-410Aの代替物としてのそのような組成物の使用と、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒であって、
(a)約75重量%~約80重量%のHFO-1234ze(E)と、
(b)6重量%~11重量%未満のHFC-134aと、
(c)11重量%~約17重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる、冷媒。
【請求項2】
(a)約75重量%~約79重量%未満のHFO-1234ze(E)と、
(b)6重量%~10重量%以下のHFC-134aと、
(c)約11重量%~約15重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる、請求項1に記載の冷媒。
【請求項3】
(a)75重量%~78重量%のHFO-1234ze(E)と、
(b)8重量%~11重量%未満のHFC-134aと、
(c)11重量%~約17重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる、請求項1に記載の冷媒。
【請求項4】
(a)約78重量%のHFO-1234ze(E)と、
(b)10重量%+2.0重量%/-0.5重量%のHFC-134aと、
(c)約12重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる、請求項3に記載の冷媒。
【請求項5】
(a)78重量%+0.5重量%/-2.0重量%のHFO-1234ze(E)と、
(b)10重量%+2.0重量%/-0.5重量%のHFC-134aと、
(c)12重量%+2.0重量%/-0.5重量%のHFO-1336mzz(E)と、からなる、請求項4に記載の冷媒。
【請求項6】
前記冷媒が、クラス1A冷媒であり、150未満のGWPを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の冷媒。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の冷媒と、POE及びPVEから選択される少なくとも1つの潤滑剤と、を含む、熱伝達組成物。
【請求項8】
圧縮機と、蒸発器及び凝縮器と、を備え、かつ請求項1~6のいずれか一項に記載の冷媒を含む、熱伝達システム。
【請求項9】
圧縮機と、蒸発器及び凝縮器と、を備え、かつ請求項7に記載の熱伝達組成物を含む、熱伝達システム。
【請求項10】
電子冷却システム、低温冷蔵、中温冷蔵、カスケード冷蔵、輸送用冷蔵、二次ループシステム、空調、ヒートポンプ、及びORCのうちの1つ以上を備える、請求項9に記載の熱伝達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年7月25日に出願された米国出願第17,872421号及び2001年8月23日に出願された米国仮出願第63/235,818号の優先権の利益を主張するものであり、これらの出願は、参照によりその全体が、本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、熱伝達用途において有用性を有し、中温及び低温冷蔵システム、カスケード冷蔵システム、輸送用冷蔵システム、並びにヒートポンプにおける特定の利点を伴う、高効率、高容量、低地球温暖化係数(low-global warming potential、「低GWP」)の組成物、方法、及びシステムに関し、特定の態様では、中温及び低温冷蔵システム、カスケード冷蔵システム、輸送用冷蔵システム、並びにヒートポンプを含む、様々な加熱及び冷却用途のための冷媒R-22、R404A、R407F、R448A、R449A、R-134a、R404A、及びR410Aの代替のための冷媒組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
クロロフルオロカーボン(chlorofluorocarbon、「CFC」)、ヒドロクロロフルオロカーボン(hydrochlorofluorocarbon、「HCFC」)、及びヒドロフルオロオレフィン(hydrofluorolefin、「HFO」)を含む、特定の単一成分フルオロカーボンが、多くの熱伝達用途において使用されてきた。単一成分流体が冷媒として有する1つの利点は、所与の圧力に対して沸点が一定であることである。これは、冷媒が蒸発器を通って流れるときに、圧力低下がほとんど又は全くないと仮定して、蒸発プロセス中に本質的に一定のままである、蒸発器に沿った冷媒温度を用いて、冷蔵システム又は方法を設計することを可能にするため、非常に望ましい。
【0004】
本発明以前には、当業者は、多くの冷蔵用途で、HFC-134aなどの単一成分冷媒を主に利用してきており、冷媒ブレンドを回避しており、何故なら、ブレンドは、一般に、蒸発時に沸点温度の有意な変化を受け、これは、かかるシステムにおいて有用であるための特性の正しいバランスを有するブレンドを識別する能力に対する主な障害としてこれまで認識されてきたからである。この沸点温度の変化は、一般に、ブレンドの「グライド」として知られる、ブレンドの特性に反映される。一般に、グライドが大きいほど、各種の冷蔵機器内で生じる沸点の差が大きくなる。多くの重要な用途では、このパラメータは、冷媒、及び/又は冷媒が使用される冷蔵システムの成功にとって重要であると考えられ、3℃未満のグライドは、多くの重要な用途において有意な利点を提供する。
【0005】
現在多くの用途にとって重大な意味を持つまでに、近年ますます重要になってきた別の冷媒特性が、冷媒の環境適合性である。この環境適合性は、大気への冷媒の放出が地球温暖化に対して有するであろう予測される影響によって、少なくとも部分的に測定することができる。この予測される影響は、冷媒の地球温暖化係数(global warming potential、GWP)として測定されることが多く、GWPを有する冷媒は、非常に好ましく、及び/又は多くの用途における使用に法的に要求される。
【0006】
可燃性は、用途において使用される冷媒に関する別の重要な考慮事項である。現在、それは、ASHRAEによってクラス1に分類される不燃性物質に対する冷媒にとって、最も好ましい。不燃性の第2の好ましいクラスは、ASHRAEによるクラス2Lの分類である。出願人ら及び当分野の他の人々は、同時に、環境適合性であり、好ましくは150未満のGWPを有し、低いグライド、好ましくは3℃未満を有し、不燃性であり、好ましくは2L又は1の等級を有する、新しい冷媒を開発することが、非常に困難であることを認識するようになった。出願人らは、本明細書で考察されるタイプの用途において、冷媒を特に有利なものにする特性の完全セットを有する単一成分流体を識別することは、多くの用途において著しく困難であり、そのような完全セットを有する成分のブレンドである冷媒を特定することはなおさらであることを、特に理解するようになってきた。例えば、多くの重要な用途において、同時に、(1)実用的なグライド、例えば、約3℃未満、更により好ましくは約2.5℃を下回るグライドを有し、(2)低い地球温暖化係数(GWP)(すなわち、約150未満)を有し、(3)不燃性であり(すなわち、ASHREによるクラス1である)、(4)低毒性を有するか、又は実質的に毒性を有さず、(5)特定の用途、特に中温熱伝達システムにおけるニーズに適合する熱伝達及び他の特性(化学的安定性など)を有する、冷媒、を識別する必要がある。単一成分冷媒の使用は、多くの場合、これらの項目のうちの1つ又は2つを満たすことが可能である一方、当業者は、5つの項目全てを満たすことができる、すなわち、項目(1)~(5)の各々が達成される冷媒(単一成分であるかそうでないかを問わず)をこれまで見出すことは(不可能でないにしても)困難であることを見出した。ここで、低毒性物質は、ASHRAE Standard 34-2016によってクラス「A」として分類される。不燃性かつ低毒性である物質は、ASHRAE Standard 34-2016によって「A1」として分類される。
【0007】
冷媒ブレンドを形成するための複数成分の使用に基づく冷媒が、提案されてきた。例えば、米国特許出願公開第2016/0115362号(Rached)は、炭化水素ハイドロフルオロカーボン、エーテルハイドロフルオロカーボンエーテル、及びフルオロオレフィンなどの1つ以上の他の成分と組み合わせた(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(HFO-E-1336mzz)に基づく冷媒組成物を説明している。この刊行物に説明されている多数の可能性のあるブレンドの中に、HFO-E-1336mzz、HFO-1234ze、及びHFC-134aを含むブレンドが、含まれる。(段落[0197]及び[0210]参照)。これら3つの成分を用いて大々的に取り組んだにもかかわらず、Rachedで提案されたブレンドは全て、上記の重要な要件のうちの1つ以上を満足できない。例えば、段落[0197]は、10%以下のHFO-E-1336mzzを含有するブレンドを含み、これらのブレンドはいくつかの望ましい特性を有し得るが、全ての場合において、開示されたブレンドは可燃性であると、出願人らによって決定されている。Rachedの段落[0210]は、これらの3つの成分を含む18の異なるブレンドを開示しているが、これらの可能性のあるブレンドの全ての中で、開示されたブレンドのうちの5つのみが、3℃未満のグライドを達成することができ、3℃未満のグライドを有する全ての場合において、ブレンド中のR-134aの量が20重量%以上であるため、開示されたブレンドのいずれも、3℃を下回るグライド及び150未満のGWPを同時に達成することができない。
【0008】
上で言及されるRachedにおけるブレンドの失敗にもかかわらず、出願人らは、以下に詳細に説明されるように、慎重に選択された量のHFO-E-1336mzz、HFO-1234ze、及びHFC-134aの組み合わせに基づいた特定の冷媒が、(1)3℃未満、更により好ましくは2.5℃以下のグライドを有し、(2)150未満の、後に説明されるように測定される地球温暖化係数(GWP)を有し、(3)不燃性であり(すなわち、本明細書で使用される場合、ASHRAEによるクラス1である)、(4)低毒性を有するか、又は実質的に毒性を有さず、(5)多くの重要な用途のニーズに適合する熱伝達及び他の特性(化学的安定性など)を有する、冷媒、を一度に達成することができることを、予想外にかつ有利に見出した。
【発明の概要】
【0009】
出願人らは、本発明の組成物の1つ以上を冷媒として利用する冷媒組成物、冷媒を含む熱伝達組成物、冷蔵方法及びシステムを発見した。
【0010】
したがって、本発明は、約150未満のGWPを有し、ASHRAEによってA1(不燃性かつ低毒性)として分類され、かつ3℃未満、更により好ましくは2.5℃未満の蒸発器グライドを有する、HFO1336mzz(E)、HFO-1234ze(E)、及びHFC-134aを含む冷媒、を含む。
【0011】
本発明は、
約75重量%~約80重量%のHFO-1234ze(E)と、
6重量%~11重量%未満のHFC-134aと、
11重量%~約18重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる冷媒を含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒1と称されることがある。
【0012】
本発明はまた、
75重量%~79重量%未満のHFO-1234ze(E)と、
6重量%~10重量%以下のHFC-134aと、
11重量%~18重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる冷媒を含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒2と称されることがある。
【0013】
本発明はまた、
73重量%~78重量%のHFO-1234ze(E)と、
8重量%~11重量%未満のHFC-134aと、
11重量%~約16量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる冷媒を含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒3と称されることがある。
【0014】
本発明はまた、
76重量%~79重量%未満のHFO-1234ze(E)と、
8重量%~10重量%以下のHFC-134aと、
11重量%~約15重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる冷媒を含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒4と称されることがある。
【0015】
本発明はまた、
75重量%~79重量%未満のHFO-1234ze(E)と、
8重量%~10重量%以下のHFC-134aと、
11重量%~約14重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる冷媒を含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒5と称されることがある。
【0016】
本発明はまた、
75重量%~79重量%未満のHFO-1234ze(E)と、
8重量%~11重量%以下のHFC-134aと、
11重量%~約15重量%のHFO-1336mzz(E)と、からなる冷媒を含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒6と称されることがある。
【0017】
本発明はまた、
約78重量%のHFO-1234ze(E)と、
10重量%+2/-0.5重量%のHFC-134aと、
約12重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる冷媒を含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒7と称されることがある。
【0018】
本発明はまた、
約78重量%のHFO-1234ze(E)と、
10重量%+2/-0.5のHFC-134aと、
約12重量%のHFO-1336mzz(E)と、からなる冷媒を含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒8と称されることがある。
【0019】
本発明はまた、
約75重量%~約80重量%のHFO-1234ze(E)と、
6重量%~約10重量%以下のHFC-134aと、
約12重量%~18重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる冷媒を、冷媒が、3℃未満の蒸発器グライド及び150未満のGWPを有するという条件で、含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒9と称されることがある。
【0020】
本発明はまた、
約75重量%~約80重量%のHFO-1234ze(E)と、
6重量%~約10重量%以下のHFC-134aと、
約12重量%~約17重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる冷媒を、冷媒が、3℃未満の蒸発器グライド、150未満のGWPを有し、かつクラス1不燃性冷媒であるという条件で、含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒10と称されることがある。
【0021】
本発明はまた、
約75重量%~約80重量%のHFO-1234ze(E)と、
6重量%~約10重量%以下のHFC-134aと、
約12重量%~約15重量%のHFO-1336mzz(E)、から本質的になる冷媒を、冷媒が、2.5℃以下の蒸発器グライド及び150未満のGWPを有するという条件で、含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒11と称されることがある。
【0022】
本発明はまた、
約75重量%~約80重量%のHFO-1234ze(E)と、
6重量%~約10重量%以下のHFC-134aと、
約12重量%~約15重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる冷媒を、冷媒が、2.5℃以下の蒸発器グライド、150未満のGWPを有し、かつクラス1不燃性冷媒であるという条件で、含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒12と称されることがある。
【0023】
本発明はまた、
78重量%+0.5重量%/-2重量%のHFO-1234ze(E)と、
10重量%+2重量%/-0.5重量%のHFC-134aと、
12重量%+2重量%/-0.5重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる冷媒を含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒13と称されることがある。
【0024】
本発明はまた、
78重量%+0.5重量%/-2重量%のHFO-1234ze(E)と、
10重量%+2重量%/-0.5重量%のHFC-134aと、
12重量%+2重量%/-0.5重量%のHFO-1336mzz(E)と、からなる冷媒を含む。この段落による冷媒は、本明細書では便宜上、冷媒14と称されることがある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】空調、低温冷蔵、及び中温冷蔵において有用な、例示的な熱伝達システムの概略図である。
【
図2】低温及び中温冷蔵において有用であり、蒸気注入器を含む、例示的な熱伝達システムの概略図である。
【
図3】低温及び中温冷蔵において有用であり、液体注入器を含む、例示的な熱伝達システムの概略図である。
【
図4】低温及び中温冷蔵において有用であり、吸引ライン/液体ライン熱交換器を含む、例示的な熱伝達システムの概略図である。
【
図5】低温及び中温冷蔵において有用であり、蒸気注入器及びオイルセパレータを含む、例示的な熱伝達システムの概略図である。
【0026】
好ましい組成物の説明
定義:
「能力」という用語は、冷蔵システムにおいて冷媒によって提供される冷却の量(BTU/hr)である。これは、冷媒が蒸発器を通る際の冷媒のエンタルピ(BTU/lb)の変化を、冷媒の質量流量で乗じることによって実験的に決定される。エンタルピは、冷媒の圧力及び温度の測定から決定することができる。冷蔵システムの能力は、冷却される領域を特定の温度に維持する能力に関連する。冷媒の能力は、冷媒が提供する冷却又は加熱の量を表し、冷媒の所与の体積流量に対する熱量をポンプ圧送する圧縮機のある程度の能力を提供する。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高い能力を有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。
【0027】
「性能係数」という句(以下「coefficient of performance、COP」)は、冷媒の蒸発又は凝縮を伴う特定の加熱又は冷蔵サイクルにおいて冷媒の相対的な熱力学的効率を表すのに特に有用な、広く受け入れられている冷媒性能の尺度である。冷蔵工学では、この用語は、蒸気の圧縮時に圧縮機によって印加されるエネルギーに対する有効な冷蔵又は冷却能力の比率を表し、したがって冷媒などの熱伝達流体の所与の体積流量に対する熱量をポンプ圧送する所与の圧縮機の能力を表す。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高いCOPを有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。特定の運転条件における冷媒のCOPを推定するための1つの手段は、標準的な冷蔵サイクル分析技術を使用する冷媒の熱力学的特性からのものである(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、R.C.Downing,FLUOROCARBON REFRIGERANTS HANDBOOK,Chapter 3,Prentice-Hall,1988を参照されたい)。
【0028】
「吐出温度」という句は、圧縮機の出口における冷媒の温度を指す。低い吐出温度の利点は、好ましくは圧縮機部品を保護するように設計されたシステムの熱防御面を作動させることなく既存の設備の使用を可能にし、吐出温度を下げるための液体注入などの高価な制御装置の使用を回避することである。
【0029】
「地球温暖化係数」(以下「GWP」)は、異なる気体の地球温暖化への影響を比較することを可能にするために開発された。これは、特定の質量の気体によって捕捉された熱量を、特定の時間期間にわたって、同様の質量の二酸化炭素によって捕捉された熱量と比較する。二酸化炭素は、標準気体として気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、IPCC)によって選択されたものであり、そのGWPを1とする。GWPが大きいほど、所与の気体は、CO2と比較して、その期間にわたって地球をより一層温めることになる。GWPに通常使用される期間は、100年である。GWPは、アナリストが異なる気体の放出推定値を合計することを可能にする、一般的な尺度を提供する。http://www.protocolodemontreal.org.br/site/images/publicacoes/setor_manufatura_equipamentos_refrigeracao_arcondicionado/Como_calcular_el_Potencial_de_Calentamiento_Atmosferico_en_las_mezclas_de_refrigerantes.pdfを参照のこと。
【0030】
「職業曝露限界(Occupational Exposure Limit、OEL)」という用語は、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsに従って決定される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「許容可能な毒性」という句は、組成物が、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsによってクラス「A」として分類され、ASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1に説明されていることを意味する(各規格は本出願の出願日時点で存在するとおり)。不燃性かつ低毒性である物質は、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsによって「A1」として分類され、ASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1(各規格は本出願の出願日時点で存在するとおり)に説明されている。
【0032】
「質量流量」という用語は、単位時間当たりの導管を通過する冷媒の質量である。
【0033】
「不燃性」という用語は、ASTM Standard E-681-2009 Standard Test Method for Concentration Limits of Flammability of Chemicals(Vapors and Gases)に従って、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerants、及びASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1(各規格は本出願の出願日時点で存在するとおり)に説明されている条件で判定される際、不燃性と判定される化合物又は組成物を指し、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる(「不燃性試験」)。燃焼性は、発火及び/又は炎を広げる組成物の能力として定義される。この試験下で、火炎角を測定することによって可燃性を判定する。不燃性物質は、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerants(各規格は本出願の出願日時点で存在するとおり)によってクラス「1」として分類される。
【0034】
本明細書で使用される場合、「蒸発器グライド」という用語は、蒸発器出口における圧力が入口における圧力と同じであると仮定して、蒸発器の入口における冷媒の飽和温度と、蒸発器の出口における冷媒の露点との間の差を意味する。本明細書で使用される場合、「飽和温度」という句は、液体冷媒が、所与の圧力で沸騰して蒸気になる温度を意味する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「許容可能な毒性」という句は、組成物が、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsによってクラス「A」として分類され、ASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1に説明されていることを意味する(各規格は本出願の出願日時点で存在するとおり)。不燃性かつ低毒性である物質は、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsによって「A1」として分類され、ASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1(各規格は本出願の出願日時点で存在するとおり)に説明されている。
【0036】
本明細書で使用される場合、「代替」という用語は、別の冷媒とともに用いるために設計されている、又はそれとともに用いるのが好適な熱伝達システムにおける、本発明の組成物の使用を意味する。例えば、本発明の冷媒又は熱伝達組成物が、R-22とともに用いられるように設計された熱伝達システムにおいて用いられるとき、本発明の冷媒又は熱伝達組成物は、当該システムにおけるR-22の代用である。したがって、「代替」という用語は、R-22などの指定された冷媒とともに用いるために設計されている、又はそれとともに用いるのが好適な新しいシステム及び既存のシステムの両方において、本発明の冷媒及び熱伝達組成物を使用することを含むことが理解されるであろう。
【0037】
「商用冷蔵」という用語は、商用環境で使用される冷蔵設備を指し、食品及び飲料などの品目を、平均室温を下回るが、氷点を上回って保つために使用される商用冷却器、腐敗しやすい品物を冷凍しておくために使用される商用冷凍庫、及び商用冷却器/冷凍庫を含む。商用冷蔵の例としては、スーパーマーケット、高級食品専門店、コンビニエンスストア、ドラッグストア、及び食料品店で見られるリーチイン冷蔵庫及び冷凍庫;レストラン及びカフェテリアで見られるウォークイン冷凍庫及び冷蔵庫;プラグイン密閉式自動販売機;ドロップインクーラ;生ビールシステム;カウンター下冷蔵庫;冷蔵陳列ケース、及び冷蔵倉庫が、挙げられる。
【0038】
「低温冷蔵システム」という用語は、約20℃~約60℃の凝縮温度、及び約-45℃~-12℃(この温度を含む)の蒸発温度で作動する熱伝達システムを指す。
【0039】
「中温冷蔵システム」という用語は、約20℃~約60℃の凝縮温度、及び-12℃~約0℃の蒸発温度で作動する熱伝達システムを指す。
【0040】
「過熱度」又は単に「過熱」という用語は、冷媒の飽和蒸気温度(又は露点温度)を上回る蒸発器の出口における冷媒の温度上昇を意味する。
【0041】
「HFO-1234ze(E)」及びトランスHFO-1234zeという用語は、1,3,3,3-テトラフルオロプロペンのトランス異性体を意味する。
【0042】
「HFO-1234yf」という用語は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを意味する。
【0043】
「HFO-1336mzz(E)」及び各トランスHFO-1336mzzという用語は各々、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンのトランス異性体を意味した
【0044】
「HFC-134a」及び「R-134a」という用語は各々、1,1,1,2,-テトラフルオロエタンを意味する。
【0045】
「R-22」という用語は、クロロジフルオロメタンを意味する。
【0046】
「R-404A」という用語は、44重量%±2重量%のR-125、52重量%±2重量%のR-143a、及び4重量%±2重量%のR134a)からなる、冷媒のブレンドを意味する。
【0047】
「R407F」という用語は、30重量%±2重量%のR-32、30重量%±2重量%のR-125、及び40重量%±2重量%のR134a)からなる冷媒のブレンドを意味する。
【0048】
「R-410A」という用語は、50重量%+0.5/-1重量%のR-32及び50重量%+1.5/-0.5重量%のR125)からなる、冷媒のブレンドを意味する。
【0049】
「R-448A」という用語は、26重量%のR-32、26重量%のR-125、26重量%のR-125、21重量%のR134a;7重量%のトランスHFO-1234ze;及び20重量%のHFO-1234yf)からなる、冷媒のブレンドを意味する。
【0050】
「R-449A」という用語は、24.3重量%のR-32、24.7重量%のR-125、25.7重量%のR-134a、及び25.3重量%のHFO-1234yf)からなる、冷媒のブレンドを意味する。本明細書で使用される場合、2%を超える量について重量パーセントで表される量に関連する「約」という用語は、成分の量が、±2重量%の量だけ変動する可能性があることを意味する。
【0051】
本発明の目的では、摂氏度(℃)の温度に関する「約」という用語は、規定温度が+/-5℃の量で変動し得ることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0052】
冷媒及び熱伝達組成物
出願人らは、本明細書において説明される冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒が、熱伝達特性、許容可能な毒性及び不燃性(すなわち、クラス1Aである)、ゼロ又はほぼゼロのオゾン層破壊係数(ozone depletion potential、「ODP」)、及び中温冷蔵システム、低温冷蔵システム、カスケード冷蔵システム、輸送用冷蔵システム、並びにヒートポンプにおいて使用される動作温度及び濃度範囲の全体にわたるPOE及び/又はPVE潤滑剤との混和性を含む潤滑剤相容性を含む、非常に有利な特性を提供することができることを見出した。
【0053】
特に冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒の特定の利点は、それらが、不燃性であり、許容可能な毒性を有する、すなわち、各々がクラスA1冷媒であることである。冷媒の可燃性は、特定の重要な熱伝達用途において考慮される特性であり得ること、及びクラスA1として分類される冷媒は、クラスA1でない冷媒よりも有利であり得ることが多いことが、当業者によって理解されるであろう。したがって、優れた熱伝達特性、許容可能な毒性、ゼロ又はほぼゼロのODP、並びに中温及び低温冷蔵システム、カスケード冷蔵システム、輸送用冷蔵システム、及びヒートポンプ(住宅用空気-水ヒートポンプシステムを含む)において使用される動作温度及び濃度範囲の全体にわたるPOE及び/又はPVE潤滑剤との混和性を含む潤滑剤適合性を有し、使用時に不燃性を維持する、R-22、R404A、R407F、R448A、R449A、R-134a、R404A、及びR410A 410Aなどの従来の不燃性冷媒の代替品として(又はR-32の、及びR454Bの代替品又はレトロフィットとして)使用することができる冷媒組成物を提供することが、当技術分野において望まれている。この望ましい利点は、本発明の冷媒によって達成され、満たされ得る。
【0054】
出願人らは、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒組成物が、特に低いGWPを含む、達成困難な特性の組み合わせを達成することができることを見出した。したがって、本発明の組成物は、150以下のGWPを有する。
【0055】
加えて、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒組成物は、ゼロ又はほぼゼロのODPを有する。したがって、本発明の組成物は、0.02以下、より好ましくはゼロのODPを有する。
【0056】
加えて、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒組成物は、許容可能な毒性を示し、好ましくは約400よりも大きいOELを有する。当業者が認識しているように、約400より大きいOELを有する不燃性冷媒は、ASHRAE規格34のうちの、望ましい「クラスA」に分類されている冷媒をもたらすため、有利である。
【0057】
本発明の好ましい冷媒組成物は、ASHRAE規格34の下で許容可能な毒性及び不燃性の両方を示し、したがって、クラスA1冷媒である。出願人らは、本明細書において説明される冷媒1~14の各々を含む熱伝達組成物を含む、本発明の熱伝達組成物が、良好な熱伝達特性、使用条件下での化学的安定性、許容可能な毒性、不燃性、ゼロ又はほぼゼロのオゾン層破壊係数(「ODP」)、並びに中温及び低温冷蔵システム、カスケード冷蔵システム、輸送用冷蔵システム、及びヒートポンプ(住宅用空気-水ヒートポンプシステムを含む)において使用される動作温度及び濃度範囲の全体にわたるPOE及び/又はPVE潤滑剤との混和性を含む潤滑剤適合性を含む、特性の非常に有利かつ予想外の組み合わせを提供することができることを見出した。
【0058】
熱伝達組成物は、冷媒1~14の各々を含む、本発明の任意の冷媒から本質的になることができる。
【0059】
本発明の冷媒は、熱伝達組成物中に提供され得る。したがって、本発明の熱伝達組成物は、本明細書に開示される好ましい冷媒組成物のいずれか、及び特に冷媒1~14の各々を含む本発明の冷媒を含む。好ましくは、本発明は、熱伝達組成物であって、冷媒1~14の各々を含む冷媒を、熱伝達組成物の少なくとも約80重量%、又は熱伝達組成物の少なくとも約90重量%、又は熱伝達組成物の少なくとも約97重量%、又は熱伝達組成物の少なくとも約99%重量の量で含む、熱伝達組成物に関する。熱伝達組成物は、冷媒から本質的になり得るか、又は冷媒からなり得る。
【0060】
本発明の熱伝達組成物は、冷媒1~14の各々を含む、本発明の任意の冷媒からなることができる。
【0061】
本発明の熱伝達組成物は、ある特定の機能性を増強させるか、又はそれを組成物に提供する目的で他の成分を含み得る。そのような他の成分は、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒に加えて、潤滑剤、不動態化剤、可燃性抑制剤、染料、可溶化剤、相溶化剤、安定剤、酸化防止剤、腐食防止剤、極圧添加剤、及び耐摩耗添加剤、並びに、熱伝達組成物の特定の特性を調節する他の化合物及び/又は成分のうちの1つ以上を含み得、全てのそのような化合物及び成分の存在は、本発明の広い範囲内である。
【0062】
潤滑剤
本発明の熱伝達組成物は、冷媒1~14の各々を含む、本明細書において説明される冷媒、及び潤滑剤を含むことができる。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物1と称されることがある。
【0063】
本発明の熱伝達組成物は、また冷媒1~14の各々を含む、本明細書において説明される冷媒、及びポリオールエステル(polyol ester、POE)潤滑剤を含み得る。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物2と称されることがある。
【0064】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒7及びPOE潤滑剤を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物3と称されることがある。
【0065】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒12及びPOE潤滑剤を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物4と称されることがある。
【0066】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒14及びPOE潤滑剤を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物5と称されることがある。
【0067】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒10及びPOE潤滑剤を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物6と称されることがある。
【0068】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒7及びポリビニルエーテル(polyvinyl ether、PVE)潤滑剤を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物7と称されることがある。
【0069】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒12及びPVE潤滑剤を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物8と称されることがある。
【0070】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒14及びPVE潤滑剤を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物9と称されることがある。
【0071】
本発明の熱伝達組成物は、特に、冷媒10及びPVE潤滑剤を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物10と称されることがある。
【0072】
出願人らは、熱伝達組成物1~10の各々を含む、本発明の熱伝達組成物が、冷媒に関して本明細書で識別される有利な特性に加えて、一般的には商用冷蔵において、具体的には中温冷蔵において使用される動作温度及び濃度範囲の全体にわたるPOE及び/又はPVE潤滑剤との混和性を含む優れた冷媒/潤滑剤相容性を含む、非常に有利な特性を提供することができることを見出した。加えて、熱伝達組成物1~10の各々を含む、本発明の熱伝達組成物は、低温冷蔵、固定式空調システム(住宅用空調、商用空調、VRF空調を含む)、冷却器(空冷式冷却器を含む)、及びヒートポンプシステム(住宅用空気-水ヒートポンプシステムを含む)において使用される動作温度及び濃度範囲の全体にわたるPOE及び/又はPVE潤滑剤との混和性を含む優れた冷媒/潤滑剤相容性を含む、非常に有利な特性を提供することができる。
【0073】
ASTM D445に従って測定される、40℃で約30~約70の粘度を有するPOEから本質的になる潤滑剤は、本明細書では、潤滑剤1と称される。
【0074】
本発明の熱伝達組成物中に使用するのに好ましい市販のPOEとしては、Emery2917(登録商標)及びHatcol2370(登録商標)として入手可能なジペラルゴン酸ネオペンチルグリコール、並びにCPI Fluid Engineeringによって商品名Emkarate RL32-3MAF及びEmkarate RL68Hとして販売されているものを含むペンタエリスリトール誘導体が挙げられる。Emkarate RL32-3MAF及びEmkarate RL68Hは、以下で識別される特性を有する好ましいPOE潤滑剤である。
【0075】
【0076】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒1~14の各々を含む本発明の冷媒、及び潤滑剤1を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物11と称されることがある。
【0077】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒7及び潤滑剤1を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物12と称されることがある。
【0078】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒12及び潤滑剤1を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物13と称されることがある。
【0079】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒14及び潤滑剤1を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物14と称されることがある。
【0080】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒10及び潤滑剤1を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物15と称されることがある。
【0081】
熱伝達組成物の重量に基づいて、ASTM D445に従って測定される、40℃で約30~約70の粘度を有するPOEから本質的になる潤滑剤は、本明細書では潤滑剤2と称される。
【0082】
ASTM D445に従って測定される、40℃で約30~約70の粘度を有する、本発明の熱伝達組成物中に使用するのに好ましい市販のポリビニルエーテルとしては、Idemitsuから商品名FVC32D及びFVC68Dで販売されているそれらの潤滑剤が挙げられる。
【0083】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒1~14の各々を含む本発明の冷媒、及び潤滑剤2を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物16と称されることがある。
【0084】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒7及び潤滑剤2を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物17と称されることがある。
【0085】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒12及び潤滑剤2を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物18と称されることがある。
【0086】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒14及び潤滑剤2を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物19と称されることがある。
【0087】
好ましい熱伝達組成物は、冷媒10及び潤滑剤2を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物20と称されることがある。
【0088】
本発明は、熱伝達組成物1~20の各々を含む、本発明の熱伝達組成物であって、潤滑剤が、熱伝達組成物中に、熱伝達組成物の約0.1重量%~約5重量%の量で存在する、熱伝達組成物、を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物21と称されることがある。
【0089】
本発明は、熱伝達組成物1~20の各々を含む、本発明の熱伝達組成物であって、潤滑剤が、熱伝達組成物中に、熱伝達組成物の約0.1重量%~約2重量%の量で存在する、熱伝達組成物、を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物22と称されることがある。
【0090】
本発明は、熱伝達組成物1~20の各々を含む、本発明の熱伝達組成物であって、潤滑剤が、熱伝達組成物中に、熱伝達組成物の約0.1重量%~約1重量%の量で存在する、熱伝達組成物、を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物23と称されることがある。
【0091】
本発明は、熱伝達組成物1~20の各々を含む、本発明の熱伝達組成物であって、潤滑剤が、熱伝達組成物中に、熱伝達組成物の約0.1重量%~約0.5重量%の量で存在する、熱伝達組成物、を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物24と称されることがある。
【0092】
本発明は、熱伝達組成物1~20の各々を含む、本発明の熱伝達組成物であって、潤滑剤が、熱伝達組成物中に、熱伝達組成物の約0.2重量%~約0.5重量%の量で存在する、熱伝達組成物を含む。この段落において説明される熱伝達組成物は、便宜上、熱伝達組成物25と称されることがある。
【0093】
本発明の新規及び基本的な特徴から逸脱することなく、本明細書に含まれる教示を考慮して、本明細書において言及されていない他の添加剤もまた含まれ得る。
【0094】
また、その開示は参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,516,837号に開示されるように、油溶性を補助するために、界面活性剤及び可溶化剤の組み合わせが本発明の組成物に添加され得る。
【0095】
方法、使用、及びシステム
システム
本発明は、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の熱伝達組成物を含む、全てのタイプの熱伝達システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム1と称されることがある。
【0096】
本発明はまた、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の熱伝達組成物を含む低温冷蔵システムを含み、それに関連して特定の利点を提供する。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム2と称されることがある。
【0097】
本発明はまた、冷媒1を含む低温冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム2Aと称されることがある。
【0098】
本発明はまた、冷媒7を含む低温冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム2Bと称されることがある。
【0099】
本発明はまた、冷媒12を含む低温冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム2Cと称されることがある。
【0100】
本発明はまた、冷媒13を含む低温冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム2Dと称されることがある。
【0101】
本発明はまた、冷媒14を含む低温冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム2Eと称されることがある。
【0102】
本発明はまた、熱伝達組成物15を含む低温冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム2Fと称されることがある。
【0103】
本発明はまた、熱伝達組成物20を含む低温冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム2Gと称されることがある。
【0104】
本発明はまた、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の熱伝達組成物を含む中温冷蔵システムを含み、それに関連して特定の利点を提供する。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム3と称されることがある。
【0105】
本発明はまた、冷媒1を含む中温冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム3Aと称されることがある。
【0106】
本発明はまた、冷媒7を含む中温冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム3Bと称されることがある。
【0107】
本発明はまた、冷媒12を含む中温冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム3Cと称されることがある。
【0108】
本発明はまた、冷媒13を含む中温冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム3Dと称されることがある。
【0109】
本発明はまた、冷媒14を含む中温冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム3Eと称されることがある。
【0110】
本発明はまた、熱伝達組成物15を含む中温冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム3Fと称されることがある。
【0111】
本発明はまた、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の熱伝達組成物を含むカスケード冷蔵システムを含み、それに関連して特定の利点を提供する。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム4と称されることがある。
【0112】
本発明はまた、冷媒1を含むカスケード冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム4Aと称されることがある。
【0113】
本発明はまた、冷媒7を含むカスケード冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム4Bと称されることがある。
【0114】
本発明はまた、冷媒12を含むカスケード冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム4Cと称されることがある。
【0115】
本発明はまた、冷媒13を含むカスケード冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム4Dと称されることがある。
【0116】
本発明はまた、冷媒14を含むカスケード冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム4Eと称されることがある。
【0117】
本発明はまた、熱伝達組成物15を含むカスケード冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム4Fと称されることがある。
【0118】
本発明はまた、熱伝達組成物20を含むカスケード冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム4Gと称されることがある。
【0119】
本発明はまた、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の熱伝達組成物を含む冷却器(空冷式冷却器を含む)を含み、それに関連して特定の利点を提供する。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム5と称されることがある。
【0120】
本発明はまた、冷媒1を含む輸送用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム5Aと称されることがある。
【0121】
本発明はまた、冷媒7を含む輸送用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム5Bと称されることがある。
【0122】
本発明はまた、冷媒12を含む輸送用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム5Cと称されることがある。
【0123】
本発明はまた、冷媒13を含む輸送用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム5Dと称されることがある。
【0124】
本発明はまた、冷媒14を含む輸送用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム5Eと称されることがある。
【0125】
本発明はまた、熱伝達組成物15を含む輸送用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム5Fと称されることがある。
【0126】
本発明はまた、熱伝達組成物20を含む輸送用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム5Gと称されることがある。
【0127】
本発明はまた、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の熱伝達組成物を含むヒートポンプシステムを含み、それに関連して特定の利点を提供する。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム6と称されることがある。
【0128】
本発明はまた、冷媒1を含むヒートポンプシステム(空気熱源ヒートポンプ温水器を含む)を含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム6Aと称されることがある。
【0129】
本発明はまた、冷媒7を含むヒートポンプシステム(空気熱源ヒートポンプ温水器を含む)を含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム6Bと称されることがある。
【0130】
本発明はまた、冷媒12を含むヒートポンプシステム(空気熱源ヒートポンプ温水器を含む)を含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム6Cと称されることがある。
【0131】
本発明はまた、冷媒13を含むヒートポンプシステム(空気熱源ヒートポンプ温水器を含む)を含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム6Dと称されることがある。
【0132】
本発明はまた、冷媒14を含むヒートポンプシステム(空気熱源ヒートポンプ温水器を含む)を含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム6Eと称されることがある。
【0133】
本発明はまた、熱伝達組成物15を含むヒートポンプシステム(空気熱源ヒートポンプ温水器を含む)を含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム6Fと称されることがある。
【0134】
本発明はまた、熱伝達組成物20を含むヒートポンプシステム(空気熱源ヒートポンプ温水器を含む)を含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム6Gと称されることがある。
【0135】
本発明はまた、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む、及び/又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の熱伝達組成物を含む商用冷蔵(低温商用冷蔵及び中温商用冷蔵を含む)を含み、それに関連して特定の利点を提供する。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7と称されることがある。
【0136】
本発明はまた、冷媒1を含む低温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Aと称されることがある。
【0137】
本発明はまた、冷媒7を含む低温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Bと称されることがある。
【0138】
本発明はまた、冷媒12を含む低温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Cと称されることがある。
【0139】
本発明はまた、冷媒13を含む低温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Dと称されることがある。
【0140】
本発明はまた、冷媒14を含む低温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Eと称されることがある。
【0141】
本発明はまた、熱伝達組成物15を含む低温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Fと称されることがある。
【0142】
本発明はまた、熱伝達組成物20を含む低温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Gと称されることがある。
【0143】
本発明はまた、冷媒1を含む中温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Hと称されることがある。
【0144】
本発明はまた、冷媒7を含む中温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Iと称されることがある。
【0145】
本発明はまた、冷媒12を含む低温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Jと称されることがある。
【0146】
本発明はまた、冷媒13を含む中温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Kと称されることがある。
【0147】
本発明はまた、冷媒14を含む中温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Lと称されることがある。
【0148】
本発明はまた、熱伝達組成物15を含む中温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Mと称されることがある。
【0149】
本発明はまた、熱伝達組成物20を含む中温商用冷蔵システムを含む。この段落において説明される熱伝達システムは、便宜上、熱伝達システム7Nと称されることがある。
【0150】
システム内に圧縮機及び圧縮機用潤滑剤を含む、本発明の熱伝達システムの場合、システムは、システム内の潤滑剤充填量が、約5重量%~60重量%、又は約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約20重量%~約30重量%、又は約30重量%~約50重量%、又は約30重量%~約40重量%であるように、冷媒1~14の各々を含む本発明の冷媒、及びPOE並びにPVE潤滑剤などの潤滑剤の充填量を含むことができる。本明細書で使用するとき、「潤滑剤充填量」という用語は、システム内に含まれる潤滑剤及び冷媒の合計の割合として、システム内に含まれる潤滑剤の総重量を指す。このようなシステムはまた、熱伝達組成物の約5重量%~約10重量%、又は約8重量%の潤滑剤充填量を含み得る。
【0151】
特定の態様では、本発明の熱伝達組成物は、低温冷蔵システムにおいて、冷媒1~14のうちのいずれか1つ、及び潤滑剤を、以下のように含む。
【0152】
【0153】
熱伝達組成物は、中温冷蔵システムにおいて、冷媒1~14のうちのいずれか1つ、及び潤滑剤を、以下のように含む。
【0154】
【0155】
熱伝達組成物は、小売食品冷蔵システムにおいて、冷媒1~14のうちのいずれか1つ、及び潤滑剤を、以下のように含む。
【0156】
【0157】
熱伝達組成物は、輸送用冷蔵システムにおいて、冷媒1~14のうちのいずれか1つ、及び潤滑剤を、以下のように含む。
【0158】
【0159】
例示的な熱伝達システム
以下に詳細に説明されるように、本発明の好ましいシステムは、熱伝達組成物の冷媒及び関連する成分が、既知の方式でシステムを通って流れ、冷蔵サイクルを完了することができるように、配管、弁、及び制御システムを使用して全てが流体連通した、圧縮機、凝縮器、膨張デバイス、及び蒸発器を含む。このような基本的なシステムの例示的概略図を
図1に例解する。特に、
図1に概略的に例解するシステムは圧縮機10を示し、これは、圧縮された冷媒蒸気を凝縮器20に提供する。圧縮された冷媒蒸気は、凝縮して液体冷媒を生成し、これが次に、低減された温度及び圧力の冷媒を生成する膨張デバイス40に向けられ、この低減された温度及び圧力の冷媒が、次に、蒸発器50に提供される。蒸発器50内で、液体冷媒は体からの熱、又は冷却されている流体を吸収することにより冷媒蒸気を生成し、これが次に、圧縮機の吸引ラインに提供される。
【0160】
図2に例解される冷蔵システムは、熱交換器30及びバイパス膨張バルブ25を含む蒸気注入システムを含むことを除いて、
図1に関連して上で説明されるものと同じである。バイパス膨張デバイス25は、凝縮器出口において、冷媒流の一部分を、デバイスを通して迂回させることにより、液体冷媒を熱交換器30に減圧において、かつそれ故低温において、熱交換器30に提供する。次いで、この相対的に冷たい液体冷媒は、熱を、凝縮器からの相対的に高温の残りの液体と交換する。この動作により、主要膨張デバイス40及び蒸発器50に過冷却液体が生成され、相対的に冷たい冷媒蒸気が圧縮機10に戻される。このようにして、冷却された冷媒蒸気を、圧縮機の吸引側に注入することが、圧縮機の吐出温度を許容可能な限度に維持する役割を果たし、このことは、高圧縮比を有する圧縮機を利用する低温システム及び/又は他のタイプのシステムにおいて特に有利であり得る。
【0161】
図3に例解される冷蔵システムは、バイパスバルブ26を含む液体注入システムを含むことを除いて、
図1に関連して上で説明されるものと同じである。バイパスバルブ26は、凝縮器を出る液体冷媒の一部分を、圧縮機、好ましくは、圧縮機10内の液体注入ポートに迂回させる。このようにして、液体冷媒を圧縮機の吸引側に注入することが、圧縮機の吐出温度を許容可能な限度に維持する役割を果たし、このことは、高圧縮比を有する圧縮機を利用する低温システムにおいて特に有利であり得る。
【0162】
図4に例解される冷蔵システムは、液体ライン/吸引ライン熱交換器35を含むことを除いて、
図1に関連して上で説明されるものと同じである。バルブ25は、凝縮器出口において、冷媒流の一部分を液体ライン/吸引ライン熱交換器に迂回させ、ここで、熱が液体冷媒から、蒸発器50を離れる冷媒蒸気に変換される。
【0163】
図5に例解される冷蔵システムは、圧縮機10の出口に接続されたオイルセパレータ60を含むことを除いて、
図1に関連して上で説明されるものと同じである。当業者に知られているように、ある程度の量の圧縮機潤滑剤は典型的には、圧縮機排出冷媒蒸気に運搬され、オイルセパレータが、潤滑剤液体を冷媒蒸気から切り離す手段を提供するように含められ、潤滑剤油含有量が減少した、得られた冷媒蒸気が凝縮器入口に進み、次いで液体潤滑剤が、潤滑剤受容器などの圧縮機を潤滑化させるのに使用するために、潤滑剤リザーバに戻される。好ましい実施形態では、オイルセパレータは、好ましくは、フィルタ又は中実コアの形態の、本明細書において説明される封鎖材料を含む。
【0164】
当業者により、
図2~
図5の各々に個別に示す、異なる機器/構成オプションを、任意の用途に有利とみなされるように組み合わせ、ともに使用することができることが理解されよう。
【0165】
使用:
一般的使用
本発明の方法及びシステムは、冷媒1~14の各々を含む冷媒、又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物を利用して、熱を吸収するか、又は熱を廃棄するかのいずれか、若しくは熱の吸収及び廃棄の両方を行う、任意の熱伝達システム及び/又は任意の熱伝達方法を含み得る。したがって、本発明は、冷媒1~14の各々を含む冷媒を使用して、又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物を使用して、流体又は物体を加熱又は冷却する使用及び方法を提供する。
【0166】
本発明は、以下の表の使用番号によって示されるような、熱伝達システムにおける本発明の冷媒の使用を含み、冷媒欄の番号は、本明細書で定義される冷媒番号を指す。
【0167】
【0168】
代替使用
本発明はまた、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒の、様々な既存の冷媒の代替としての使用を含み、それに関連して特定の利点を提供する。以下の表において説明される様々な代替使用が、本発明に含まれ、代替冷媒の中の番号は、本明細書で定義されている冷媒番号を指す。
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
冷却方法
本発明は、冷却を提供するための方法であって、
(a)冷却される物体又は物品又は流体の近傍で、本発明による冷媒(冷媒1~14の各々から選択される任意の冷媒を含む)を蒸発させることと、
(b)当該冷媒蒸気を圧縮して、約150℃未満の吐出温度の冷媒を生成することと、
(c)当該圧縮機からの冷媒を凝縮させることと、を含む、方法、を含む。この段落による冷却方法は、本明細書では、冷却方法1と称される。
【0176】
本発明は、熱伝達システム1~7の各々を含む、本発明の熱伝達システムを使用して、冷却方法1に従って冷却を実施することを含む。
【0177】
本発明は、冷却を提供するための方法であって、
(a)約-40℃~約+10℃の温度に冷却される物体又は物品又は流体の近傍で、本発明による冷媒(冷媒1~14の各々から選択される任意の冷媒を含む)を蒸発させて、冷媒蒸気を生成することと、
(b)当該冷媒蒸気を圧縮して、約150℃未満の吐出温度の冷媒を生成することと、
(c)当該圧縮機からの冷媒を、約20℃~約70℃の温度で凝縮させて、冷媒蒸気を生成することと、を含む、方法、を含む。この段落による冷却方法は、本明細書では、冷却方法2と称される。
【0178】
本発明は、熱伝達システム1~7の各々を含む、本発明の熱伝達システムを使用して、冷却方法2に従って冷却を実施することを含む。
【0179】
本発明は、当該蒸発工程における冷媒が、3.0℃未満の冷媒グライドを有する、冷却方法1による方法を含む。この段落による冷却方法は、本明細書では、冷却方法3と称される。
【0180】
本発明は、熱伝達システム1~7の各々を含む、本発明の熱伝達システムを使用して、冷却方法3に従って冷却を実施することを含む。
【0181】
本発明は、当該蒸発工程における冷媒が、2.5℃未満の冷媒グライドを有する、冷却方法1による方法を含む。この段落による冷却方法は、本明細書では、冷却方法4と称される。
【0182】
本発明は、熱伝達システム1~7の各々を含む、本発明の熱伝達システムを使用して、冷却方法4に従って冷却を実施することを含む。
【0183】
本発明は、中温冷蔵システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を実施することを含む。
【0184】
本発明は、低温冷蔵システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を実施することを含む。
【0185】
本発明は、輸送用冷蔵システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を実施することを含む。
【0186】
本発明は、カスケード冷蔵システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を実施することを含む。
【0187】
本発明は、電子冷却システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を実施することを含む。
【0188】
本発明は、ヒートポンプシステムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を実施することを含む。
【0189】
本発明は、商用冷蔵システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を実施することを含む。
【0190】
本発明は、商用低温冷蔵システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を実施することを含む。
【0191】
本発明は、商用中温冷蔵システムにおいて、冷却方法1~4のいずれかに従って冷却を実施することを含む。
【0192】
特定の冷却方法を以下により詳細に説明する。
【0193】
出願人らは、実質的な利点が、冷媒1~14の各々を含む冷媒、又は熱伝達組成物1~25を含む、本発明の冷媒を含む本発明の熱伝達組成物が、例えば、生産物及び/若しくは他の冷蔵食品を冷却するために生じ得る、又は特定の電子デバイスの冷却に関連して生じ得る、物品を取り囲む、又はさもなければ物品自体に、物品自体と熱連通する流体からの熱を吸収するために使用される熱伝達方法に関連して、達成され得ることを見出した。そのような場合に、流体は、空気又は二次クーラント(例えば、水、グリコール、水/グリコール混合物、食塩水など)であり得、例えば、冷却されている物品又は流体の温度が特定の限界を下回る温度に曝露されないことを必要とするシステム及び方法において蒸発器に使用される冷媒の場合に生じるものである。
【0194】
したがって、一般的に、本発明の方法は、本発明の冷媒又は熱伝達組成物が熱を吸収することを可能にする装置及び/又はプロセス、並びにその後、吸収された熱を冷媒から除去する装置及び/又はプロセスを利用する。
【0195】
冷却されている物品又は流体から熱を吸収するために使用される蒸発器は、例えば、冷却コイルなどの導管などを含み得、それを通って、冷媒1~14の各々を含む冷媒が、そのような導管が、(直接的又は間接的に)冷却されている物品又は流体に露出されている間に流れることが、理解されるであろう。このようにして、熱は、冷却されている流体(例えば空気)及び/又は近傍に位置する物品(例えば、果物、野菜、及び花などの新鮮な生産物)から、導管の金属又は他の熱伝導性材料を通って、冷媒1~14の各々を含む本発明の冷媒内へ流れる。
【0196】
出願人らは、冷媒1~14の各々を含む本発明の冷媒組成物が、約3℃未満、更により好ましくは約2.5℃未満の蒸発器グライドを有する方法及びシステムにおいて蒸発されることを発見した。出願人らは、そのような特性が、一般に冷蔵システムにとって有益であり、中温冷蔵システム、低温冷蔵システム、カスケードシステム、輸送用冷蔵システム、及びヒートポンプシステムにおいて、特に有益であることを見出した。好ましい実施形態では、冷却方法1~4の各々を含む、本発明の方法は、冷却された排気が約2℃~約5℃の温度に制御される冷気を生成し、その時、冷却された排気は、約2℃~約4℃の温度にあり、より好ましくは、特定の実施形態(例えば、新鮮なカットされた果物、野菜、及び花を冷却するなど)では、冷却された排気は、約2℃~約3℃の温度にある。本発明の特定のシステム及び方法を以下に説明する。
【0197】
冷蔵方法 本発明はまた、冷蔵システムを使用して、流体又は物体を冷却するための方法を提供し、方法は、(a)冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒組成物を、冷却される流体又は物体の近傍で蒸発させる工程と、(b)冷媒を凝縮させる工程と、を含む。好ましい熱伝達方法の特定の好ましい動作を以下に説明する。
【0198】
中温冷蔵方法
本発明の冷媒及び熱伝達組成物は、任意の冷蔵システムにおいて使用することができる。しかしながら、出願人らは、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒、及び熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の冷媒を含む本発明の熱伝達組成物が、中温冷蔵システムにおいて特定の利点を提供することを見出した。したがって、本発明は、中温冷蔵システムにおいて流体又は物体を冷却する方法であって、(a)冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒組成物、又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物を、冷却される流体又は物体の近傍で蒸発させる工程と、(b)冷媒を凝縮させる工程と、を含み、蒸発器温度が、約-15℃~約5℃、より好ましくは約-10℃~約5℃である、方法、を提供する。
【0199】
したがって、本発明は、中温冷蔵システムにおいて流体又は物体を冷却する方法であって、(a)冷却される流体又は物体の近傍で冷媒1を蒸発させる工程と、(b)冷媒を凝縮させる工程と、を含み、蒸発器温度が、約-15℃~約5℃、より好ましくは約-10℃~約5℃である、方法、を提供する。
【0200】
したがって、本発明は、中温冷蔵システムにおいて流体又は物体を冷却する方法であって、(a)冷却される流体又は物体の近傍で冷媒7を蒸発させる工程と、(b)冷媒を凝縮させる工程と、を含み、蒸発器温度が、約-15℃~約5℃、より好ましくは約-10℃~約5℃である、方法、を提供する。
【0201】
したがって、本発明は、中温冷蔵システムにおいて流体又は物体を冷却する方法であって、(a)冷却される流体又は物体の近傍で冷媒12を蒸発させる工程と、(b)冷媒を凝縮させる工程と、を含み、蒸発器温度が、約-15℃~約5℃、より好ましくは約-10℃~約5℃である、方法、を提供する。
【0202】
したがって、本発明は、中温冷蔵システムにおいて流体又は物体を冷却する方法であって、(a)冷却される流体又は物体の近傍で冷媒13を蒸発させる工程と、(b)冷媒を凝縮させる工程と、を含み、蒸発器温度が、約-15℃~約5℃、より好ましくは約-10℃~約5℃である、方法、を提供する。
【0203】
したがって、本発明は、中温冷蔵システムにおいて流体又は物体を冷却する方法であって、(a)冷却される流体又は物体の近傍で冷媒14を蒸発させる工程と、(b)冷媒を凝縮させる工程と、を含み、蒸発器温度が、約-15℃~約5℃、より好ましくは約-10℃~約5℃である、方法、を提供する。
【0204】
本明細書で使用される場合、中温冷蔵システムは、1つ以上の圧縮機を利用し、以下、(a)約15℃~約60℃、好ましくは約25℃~約45℃の凝縮器温度、(b)約-15℃~約5℃、好ましくは約-10℃~約5℃の蒸発器温度、任意選択的に(c)約0℃~約10℃の蒸発器出口の過熱度、好ましくは約1℃~約6℃の蒸発器出口の過熱度、任意選択的に(d)約5℃~約40℃の吸気ライン内の過熱度、好ましくは約15℃~約30℃の吸気ライン内の過熱度、の条件下又は条件内で動作する冷蔵システムを指す。吸気ラインに沿った過熱は、熱交換器によって生成され得る。
【0205】
中温冷蔵システム及び中温冷蔵方法の例としては、小型冷蔵システム(自動販売機、製氷機、及び家庭用電気器具を含む)、商用冷蔵システム(スーパーマーケット冷蔵システム及びウォークインクーラなど)、住宅用冷蔵システム、産業用冷蔵システム(工業用プロセス冷蔵を含む)、及びスケートリンクが挙げられる。
【0206】
中温冷蔵システムにおける、又は中温冷蔵方法を使用する、野菜及び果物などの腐敗しやすい生産物の貯蔵の場合、例えば、冷却される流体は、約2℃~約5℃、好ましくは約2℃~約4℃、より好ましくは(例えば、新鮮なカットフルーツ、野菜、及び花の冷却など)約2℃~約3℃の所望の冷却温度を有する空気である。更に、多くの用途において、蒸発器に沿った冷媒温度は、霜の形成を回避するために、約0℃(水の氷点)未満に達しないことが好ましい。好ましくは、同時に、蒸発器の出口における過熱は、約3℃~約5℃、好ましくは約4℃の典型的な値に維持されるべきである。
【0207】
したがって、本発明は、冷媒1~14の各々を含む冷媒、又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物を含み、冷媒の蒸発温度が約0℃~約5℃である、中温冷蔵方法を含む。
【0208】
したがって、本発明は、約0℃~約5℃の温度で冷媒1を蒸発させることを含む中温冷蔵方法を含む。
【0209】
したがって、本発明は、約0℃~約5℃の温度で冷媒7を蒸発させることを含む中温冷蔵方法を含む。
【0210】
したがって、本発明は、約0℃~約5℃の温度で冷媒12を蒸発させることを含む中温冷蔵方法を含む。
【0211】
したがって、本発明は、約0℃~約5℃の温度で冷媒13を蒸発させることを含む中温冷蔵方法を含む。
【0212】
したがって、本発明は、約0℃~約5℃の温度で冷媒15を蒸発させることを含む中温冷蔵方法を含む。
【0213】
カスケード冷蔵方法
本発明はまた、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を含むカスケード冷蔵方法に関する。一般に、カスケードシステムは、2つ以上の段を有する。カスケードシステムが2つの段を有する場合、これらは一般に、上段及び下段と称される。冷媒1~14の各々を含む本発明の冷媒、又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物が、カスケード冷蔵システムの上段又は下段のいずれかで使用され得る。しかしながら、冷媒1~14の各々を含む本発明の冷媒、又は熱伝達組成物の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物が、カスケードシステムの上段に使用されることが好ましい。本明細書に含まれる教示を考慮すると、当業者は、カスケードシステムの下段で使用するのに好適な冷媒を決定することができ、例えばCO2、R1234yf、及びR455Aを含めることができる。R455Aは、75.5%のR1234yf、21.5%のR32、及び3%のCO2のブレンドである。カスケードシステムでは、本発明の冷媒は、例えば、R404Aに置き換えることができる。
【0214】
低温冷蔵方法
本発明はまた、冷媒1~14の各々を含む冷媒、又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物を含む低温冷蔵方法を提供する。本発明はまた、低温冷蔵システム内で流体又は物体を冷却する方法であって、(a)冷却される流体又は物体の近傍で、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒組成物を蒸発させる工程と、(b)当該冷媒を凝縮させる工程と、を含む、方法、を提供する。好ましくは、蒸発器内の冷媒の温度は、約-40℃~約-15℃未満、より好ましくは約-40℃~約-25℃である。
【0215】
本発明はまた、低温冷蔵システムにおいて流体又は物体を冷却する方法であって、(a)冷却される流体又は物体の近傍で冷媒1を蒸発させる工程と、(b)当該冷媒を凝縮させる工程と、を含み、蒸発器内の冷媒の温度が、約-40℃~約-15℃未満、より好ましくは約-40℃~約-25℃である、方法、を提供する。
【0216】
本発明はまた、低温冷蔵システムにおいて流体又は物体を冷却する方法であって、(a)冷却される流体又は物体の近傍で冷媒7を蒸発させる工程と、(b)当該冷媒を凝縮させる工程と、を含み、蒸発器内の冷媒の温度が、約-40℃~約-15℃未満、より好ましくは約-40℃~約-25℃である、方法、を提供する。
【0217】
本発明はまた、低温冷蔵システムにおいて流体又は物体を冷却する方法であって、(a)冷却される流体又は物体の近傍で冷媒12を蒸発させる工程と、(b)当該冷媒を凝縮させる工程と、を含み、蒸発器内の冷媒の温度が、約-40℃~約-15℃未満、より好ましくは約-40℃~約-25℃である、方法、を提供する。
【0218】
本発明はまた、低温冷蔵システムにおいて流体又は物体を冷却する方法であって、(a)冷却される流体又は物体の近傍で冷媒13を蒸発させる工程と、(b)当該冷媒を凝縮させる工程と、を含み、蒸発器内の冷媒の温度が、約-40℃~約-15℃未満、より好ましくは約-40℃~約-25℃である、方法、を提供する。
【0219】
本発明はまた、低温冷蔵システムにおいて流体又は物体を冷却する方法であって、(a)冷却される流体又は物体の近傍で冷媒14を蒸発させる工程と、(b)当該冷媒を凝縮させる工程と、を含み、蒸発器内の冷媒の温度が、約-40℃~約-15℃未満、より好ましくは約-40℃~約-25℃である、方法、を提供する。
【0220】
に対して本明細書で使用される場合、低温冷蔵システムは、1つ以上の圧縮機を利用し、以下、(a)約15℃~約50℃、好ましくは約25℃~約45℃の凝縮器温度、(b)約-40℃~約-15℃又は約-15℃未満、好ましくは約-40℃~約-25℃の蒸発器温度、任意選択的に(c)約0℃~約10℃、好ましくは約1℃~約6℃の蒸発器出口の過熱度、及び任意選択的に(d)約15℃~約40℃、好ましくは約20℃~約30℃の吸気ライン内の過熱度、の条件下又は条件内で動作する冷蔵システムを指す。
【0221】
低温冷蔵システム及び方法の例としては、スーパーマーケット冷蔵システム、商用冷凍庫システム(スーパーマーケット冷凍庫を含む)、住宅用冷凍庫システム、及び産業用冷凍庫システムが挙げられる。低温冷蔵システムは、例えば、冷凍品を冷却するために使用され得る。
【0222】
輸送用冷蔵方法
輸送用冷蔵は、正しい温度環境において冷凍又は冷却された生産物がエンドユーザに到達することを可能にする低温流通体系内のリンクを作成する。本発明は、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒、又は熱伝達組成物の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物を含む輸送用冷蔵システムに関する。輸送用冷蔵の例としては、冷蔵道路車両(トラック及びバンなど)、列車貨車、並びに道路車両、列車、及び船舶/ボートによって輸送可能なコンテナが挙げられる。
【0223】
ヒートポンプ方法
本発明は、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒、又は熱伝達組成物1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物を含むヒートポンプ方法に関する。
【0224】
本発明はまた、ヒートポンプを使用して、流体又は物体を加熱する方法であって、(a)加熱される流体又は物体の近傍で、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒組成物を凝縮させる工程と、(b)冷媒を蒸発させる工程と、を含む、方法、を提供する。ヒートポンプの例としては、ヒートポンプ回転式乾燥機、可逆ヒートポンプ、高温ヒートポンプ、及び空気対空気ヒートポンプが挙げられる。
【0225】
二次ループ方法
冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒、又は冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物が、二次ループシステムにおいて二次流体として使用され得る。二次ループシステムは、一次冷媒を使用する一次蒸気圧縮システムループを含み、二次ループ流体を冷却する蒸発器を有する。次いで、二次流体は、用途のために必要な冷却を提供する。このようなループ内の冷媒は、冷却空間付近でヒトに曝露される可能性があるため、二次流体は不燃性であり、低毒性を有する必要がある。換言すれば、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒は、「二次流体」として使用され得る。一次ループ(蒸気圧縮サイクル、ループの外部/屋外部品)で使用するための一次流体には、以下の冷媒、R404A、R507、R410A、R455A、R32、R466A、R44B、R290、R717、R452B、R448A、R1234ze(E)、R1234yf、及びR449Aが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0226】
空調システム
本発明は、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒、又は熱伝達組成物1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物を含む空調システムに関する。本発明はまた、空調システムを使用する空調の方法であって、(a)冷却される物体の流体の近傍で、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒組成物を蒸発させる工程と、(b)当該冷媒を凝縮させる工程と、を含む、方法、を提供する。空気は、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒によって直接又は間接的に、のいずれかで調整され得る。空調システムの例としては、自動車、トラック及びバスなどの道路車両の空調、並びにボート及び列車の空調を含む、冷却器、住宅用、産業用、商用、及び移動式の空調が挙げられる。
【0227】
本発明の好ましい冷蔵システムとしては、特に、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む冷却器が挙げられる。
【0228】
本発明の好ましい冷蔵システムとしては、特に、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む住宅用空調システムが挙げられる。
【0229】
本発明の好ましい冷蔵システムとしては、特に、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む産業用空調システムが挙げられる。
【0230】
本発明の好ましい冷蔵システムとしては、特に、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む商用空調システムが挙げられる。
【0231】
本発明の好ましい冷蔵システムとしては、特に、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒を含む移動式空調システムが挙げられる。
【0232】
冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒、又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物を使用する上記の冷蔵システム、空調システム、又はヒートポンプシステムのうちのいずれかが、吸気ライン/液体ライン熱交換器(suction line/liquid line heat exchanger、SL-LL HX)を含み得ることが理解されるであろう。
【0233】
有機ランキンサイクルシステム
冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒組成物、又は熱伝達組成物の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物が、有機ランキンサイクル(organic Rankine cycle、ORC)で使用され得る。ORCの文脈において、これらのシステムで使用される冷媒はまた、「作動流体」として分類され得る。ランキンサイクルシステムは、熱エネルギーを機械的軸動力に変換するための単純かつ信頼性の高い手段であることが知られている。
【0234】
工業環境では、特に工業環境が既に現場で作業中又は保管中の大量の可燃物を有する場合に、トルエン及びペンタンなどの可燃性作動流体を使用することが可能であり得る。しかしながら、人口の多い地域又は建物付近での発電など、可燃性かつ/又は毒性作動流体の使用に関連するリスクが許容可能でない場合、作動流体として不燃性かつ/又は非毒性冷媒を使用する必要がある。また、GWPの観点から業界内にはこれらの材料を環境的に許容可能なものにする動きもある。
【0235】
有機ランキンサイクルシステムで廃熱を回収するためのプロセスは、プロセスストリームなどの外部(廃)熱源が、作動流体を加熱し飽和蒸気又は過熱蒸気中に蒸発させる熱交換器(ボイラ)を通じて液相作動流体をポンプ圧送することを伴う。この蒸気は、タービンを通って膨張し、廃熱エネルギーは、機械エネルギーに変換される。続いて、気相作動流体を液体に凝縮し、熱抽出サイクルを繰り返すためにボイラにポンプ圧送し戻す。したがって、本発明は、有機ランキンサイクルにおける、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒、又は熱伝達組成物1~25の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物の使用に関する。
【0236】
したがって、本発明は、ランキンサイクルにおいて熱エネルギーを機械エネルギーに変換するためのプロセスを提供し、この方法は、i)作動流体を熱源で気化させ、得られた蒸気を膨張させるか、又は作動流体を熱源で気化させ、得られた蒸気を膨張させる工程と、次いで、ii)作動流体をヒートシンクで冷却して蒸気を凝縮させる工程と、を含み、作動流体は、冷媒1~14の各々を含む、本発明の冷媒若しくは、又は熱伝達組成物の各々を含む、本発明の冷媒を含む熱伝達組成物である。機械仕事は、発電機などの電気デバイスに送信されて電力を生成することができる。
【0237】
熱源は、産業廃熱、太陽エネルギー、地熱温水、低圧蒸気、燃料電池を利用する分散発電機器、内燃機関エンジン、又は原動機から選択される熱エネルギー源によって提供され得る。好ましくは、低圧蒸気は、低圧の地熱蒸気であるか、又は化石燃料動力発電プラントによって提供される。
【0238】
特定の燃焼ガス及び一部の燃料電池については、熱源温度は、広く、例えば、約90℃~800℃超で変動する可能性があり、地理、時期などを含む無数の要因に依存し得ることが理解されるであろう。例えばプラスチック製造プラント、及び/又は化学若しくは他の工業プラント、石油製油所などからの廃水若しくは低圧蒸気などの供給源、並びに地熱に基づくシステムは、約100℃以下、場合によっては約90℃程度に低い、又は更には約80℃程度に低い供給源温度を有し得る。微粒子及び/又は腐食性種を除去するための後続の処理が低温をもたらす燃焼プロセスからの又は任意の熱源からの排気ガスなどのガス状熱源はまた、約130℃以下、約120℃以下、約100℃以下、約100℃以下、場合によっては、約90℃程度の低さ、又は更には約80℃程度の低さの供給源温度を有し得る。
【0239】
電子冷却
冷媒1~14のうちのいずれか1つを含む、本発明の冷媒組成物は、チップ、電子基板、電池(自動車、トラック、バス、及び他の電子輸送車両に使用される電池を含む)、コンピュータなどの冷却など、電子冷却のシステム及び方法に関連して使用され得る。
【実施例】
【0240】
以下の実施例では、対象冷媒組成物は、以下の表1の組成物A1~A8として識別される。冷媒A1~A8の各々を熱力学的分析に供して、様々な冷蔵システムにおいてR-134aの動作特性と一致するための能力を判定した。冷媒中に使用されている成分の様々な二成分対及び三成分対の特性について収集した実験データを使用して分析を実施した。実験評価において各組の組成を一連の相対百分率にわたって変化させ、各組の混合パラメータを実験的に得られたデータに回帰させた。実施例では、National Institute of Science and Technology(NIST)Reference Fluid Thermodynamic and Transport Properties Databaseソフトウェア(Refprop 9.1 NIST Standard Database 23 from April 2016)で入手可能な、既知の蒸気/液体平衡挙動データを使用した。分析を行うために選択したパラメータは、全ての冷媒について同じ圧縮機容積、全ての冷媒について同じ動作条件、全ての冷媒について同じ圧縮機等イソトロピー効率及び体積効率であった。各実施例では、測定された気液平衡データを使用してシミュレーションを行った。各実施例についてシミュレーション結果を報告する。
【0241】
冷媒A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、及びA8として以下の表1において識別される冷媒組成物は、本明細書において説明されるような本発明の広い範囲内の冷媒であるが、冷媒A1、A2、及びA8は、A1及びA2の場合、冷媒の蒸発器グライドが3℃未満でなく、A8の場合、冷媒のGWPが150以下ではないので、最も好ましい実施形態の範囲外である。
【0242】
【0243】
実施例1:不燃性、低GWP、及び低グライドの組成物
冷媒A7は、150未満のGWPを依然として維持しながら、約2℃のその優れたグライドのために非常に望ましい冷媒であると、出願人らによって考えられ、これらの結果に基づいて、A7の場合のように、約10%のR-134aを有する冷媒ブレンドを調べることが決定された。特に、以下の表E1においてB1~B11とラベル付けされた冷媒は、不燃性であることを示すことができるそのような冷媒ブレンドを決定するために、約10%のR-134aのレベルを維持することに基づいて、配合及び研究された。
【0244】
【0245】
表E1の結果から分かるように、約10重量%のR-134aを含むブレンドについては、80%以上の量のR-1234ze(E)及び10%以下の量のR-1336mzz(E)(冷媒B1及びB2)は可燃性冷媒であり、すなわち、クラス1冷媒ではない。一方、冷媒B3~B10の各々は、予想外にも、不燃性であること、3℃以下のグライドを有すること、及び150以下のGWPを有することの達成困難な組み合わせを有する。したがって、本発明の組成物は、好ましくは、約10%のR134a、約72%~約79%のR1234ze(E)、及び11%~18%のR1336mzz(E)、又は好ましくは約10%のR134a、75%~約79%のR1234ze(E)、及び11%~15%のR1336mzz(E)を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。
【0246】
実施例2:吸気ライン(Suction Line、SL)/液体ライン(Liquid Line、LL)熱交換器(Heat Exchanger、HX)を有する場合及び有しない場合の中温冷蔵システムの性能
吸気ライン/液体ライン熱交換器(SL/LL HX)を有する場合及び有しない場合の中温冷蔵システムで、冷媒B4、B7、及びB9について性能試験を行った。分析を実施して、以下の条件下におけるSL-LL HXの異なる熱交換率レベルでの、本システムにおける冷媒B4、B7、及びB9の効率(COP)を評価した。
【0247】
動作条件は、以下のとおりであった:
●凝縮温度=45℃
●凝縮温度-周囲温度=10℃
●凝縮器過冷却=0.0℃(受容器を有するシステム)
●蒸発温度=-8℃
●蒸発器過熱=5.5℃
●圧縮機断熱効率=65%
●体積効率=100%
●吸気ラインでの温度上昇=10℃
●吸気ライン/液体ライン熱交換器の熱交換率:0%、35%、55%、75%
【0248】
【0249】
【0250】
表E2A及び表E2Bは、中温冷蔵システムにおける冷媒の性能及び冷蔵能力を示す。SL-LL HXに対する「0%」効率の欄の中の結果は、SL-LL HXを有しないシステムを表すこと、及び冷媒B7~B9は、SL/LL熱交換器が使用されるとき、効率(COP)の点でR134aよりも改善された性能を示すことが理解されるであろう。
【0251】
実施例3:2段蒸気注入圧縮(Two-Stage Vapor Injected Compression)を有する中温冷蔵システムにおける性能
2段注入圧縮を有する中温冷蔵システムにおいて、冷媒B4、B7、及びB9について性能試験を行った。分析を実施して、以下の条件下での本システムにおける冷媒B4、B7、及びB9の効率(COP)を評価した。
【0252】
動作条件は、以下のとおりであった:
●凝縮温度=45℃
●凝縮温度-周囲温度=10℃
●凝縮器過冷却=5.0℃
●蒸発温度=-8℃、対応する庫内温度=1.7℃
●蒸発器過熱=5.5℃
●圧縮機断熱効率=70%
●体積効率=100%
●吸気ラインでの温度上昇=10℃
●蒸気注入熱交換器(HX)の熱交換率:15%、35%、55%、75%
【0253】
【0254】
【0255】
表E3A及び表E3Bは、中温冷蔵システムにおける冷媒の性能及び冷蔵能力を示す。組成物B4、B7、及びB9は、蒸気注入を伴う2段階圧縮において、効率(COP)に関してR134aよりも改善された性能を示す。
【0256】
実施例4:CO2カスケード冷蔵システムにおける性能
カスケードシステムは、一般に、周囲温度と庫内温度との間に大きな温度差(例えば、約60~70℃などの約50~80℃)(例えば、高段における凝縮器の空気側と、低段における蒸発器の空気側との間の温度差)が存在する用途において使用される。例えば、カスケードシステムは、スーパーマーケットにおいて製品を凍らせるために使用されてよい。以下の実施例では、本発明の例示的な組成物をカスケード冷蔵システムの高段の冷媒として試験した。システムの低段で使用される冷媒は、二酸化炭素であった。
【0257】
動作条件は、以下のとおりであった:
●凝縮温度=45℃
●高段凝縮温度-周囲温度=10℃
●高段凝縮器過冷却=0.0℃(受容器を備えるシステム)
●蒸発温度=-30℃、対応する庫内温度=-18℃
●低段蒸発器過熱度=3.3℃
●高段及び低段圧縮機断熱効率=65%
●体積効率=100%
●吸気ライン低段での温度上昇=15℃
●吸気ライン高段での温度上昇=10℃
●中間熱交換器CO2凝縮温度=0℃、5℃、及び10℃
●中間熱交換器過熱=3.3℃
●中間熱交換器での温度差=8℃
【0258】
【0259】
【0260】
表E4A及び表E4Bは、カスケード冷蔵システムの高段における冷媒の性能及び冷蔵能力を示す。組成物B4、B7、及びB9は、低段サイクルの異なる凝縮温度に対してR134aの効率と一致する。
【0261】
実施例5:吸気ライン/液体ライン熱交換器を有する場合及び有しない場合の低温冷蔵システムにおける性能
吸気ライン/液体ライン熱交換器(SL/LL HX)を有する場合及び有しない場合の低温冷蔵システムで、冷媒B4、B7、及びB9について性能試験を行った。分析を実施して、以下の条件下におけるSL-LL HXの異なる熱交換率レベルでの、本システムにおける冷媒B4、B7、及びB9の効率(COP)を評価した。
【0262】
動作条件は、以下のとおりであった:
●凝縮温度=45℃
●凝縮温度-周囲温度=10℃
●凝縮器過冷却=0.0℃(受容器を有するシステム)
●蒸発温度=-35℃、対応する庫内温度=-25℃
●蒸発器過熱=5.5℃
●圧縮機断熱効率=65%
●体積効率=100%
●吸気ラインでの温度上昇=10℃
●吸気ライン/液体ライン熱交換器の熱交換率:0%、35%、55%、75%
【0263】
【0264】
【0265】
表E5A及び表E5Bは、低温冷蔵システムにおける冷媒の性能及び冷蔵能力を示す。SL-LL HXに対する「0%」効率の欄の中の結果は、SL-LL HXを有しないシステムを表すこと、及び冷媒B7~B9は、SL/LL熱交換器が使用されるとき、効率(COP)の点でR134aよりも改善された性能を示すことが理解されるであろう。
【0266】
実施例6:吸気ライン/液体ライン熱交換器を有する自動販売機における性能
吸気ライン/液体ライン熱交換器(SL/LL HX)を有する場合及び有しない場合の自動販売機冷蔵システムで、冷媒B4、B7、及びB9について性能試験を行った。分析を実施して、以下の条件下におけるSL-LL HXの異なる熱交換率レベルでの、本システムにおける冷媒B4、B7、及びB9の効率(COP)を評価した。
【0267】
動作条件:
●凝縮温度=45℃
●凝縮温度-周囲温度=10℃
●凝縮器過冷却=5.5℃
●蒸発温度=-8℃
●蒸発器過熱=3.5℃
●圧縮機断熱効率=60%
●体積効率=100%
●吸気ラインでの温度上昇=5℃
●吸気ライン/液体ライン熱交換器の熱交換率:0%、35%、55%、75%
【0268】
【0269】
【0270】
表E6A及び表E6Bは、SL/LL HXを有する場合及び有しない場合の自動販売機システムにおける冷媒の性能を示す。SL-LL HXに対する「0%」効率の欄の中の結果は、SL-LL HXを有しないシステムを表すこと、並びに冷媒B4、B7、及びB9は、SL/LL熱交換器が使用されるとき、効率(COP)の点でR134aよりも改善された性能を示すことが理解されるであろう。
【0271】
実施例7:空気熱源ヒートポンプ温水器における性能
空気熱源ヒートポンプ温水器システムにおいて、冷媒B4、B7、及びB9について性能試験を行った。分析を実施して、以下の条件下で本システムにおける冷媒B7~B9の効率(COP)を評価した。
【0272】
動作条件は、以下のとおりであった:
●凝縮温度=55℃
●水入口温度=45℃、水出口温度=50℃
●凝縮器過冷却=5.0℃
●蒸発温度=-5℃、対応する周囲温度=10℃
●蒸発器過熱=3.5℃
●圧縮機断熱効率=65%
●体積効率=100%
●吸気ラインでの温度上昇=5℃
●吸気ライン/液体ライン熱交換器の熱交換率:0%、35%、55%、75%
【0273】
【0274】
表E7は、ヒートポンプ温水器における冷媒の性能、加熱能力、及び圧縮機吐出温度を示す。冷媒B4、B7、及びB9は、R134aと同様の効率を示す。冷媒B4、B7、及びB9は、R134aよりも低い吐出温度を示し、圧縮機のためにより高い信頼性を示す。
【0275】
実施例8:吸気ライン/液体ライン熱交換器を有する空気熱源ヒートポンプ温水器における性能
吸気ライン/液体ライン熱交換器(SL/LL HX)を有する場合及び有しない場合の空気熱源ヒートポンプ温水器システムで、冷媒B4、B7、及びB9について性能試験を行った。分析を実施して、以下の条件下におけるSL-LL HXの異なる熱交換率レベルでの、本システムにおける冷媒B7~B9の効率(COP)を評価した。
【0276】
動作条件は、以下のとおりであった:
●凝縮温度=55℃
●水入口温度=45℃、水出口温度=50℃
●凝縮器過冷却=5.0℃
●蒸発温度=-5℃、対応する周囲温度=10℃
●蒸発器過熱=3.5℃
●圧縮機断熱効率=65%
●体積効率=100%
●吸気ラインでの温度上昇=5℃
●吸気ライン/液体ライン熱交換器の熱交換率:0%、35%、55%、75%
【0277】
【0278】
【0279】
表E8Aは、SL/LL HXを有するヒートポンプ温水器における冷媒の性能及び圧縮機吐出温度を示す。一方、表E8Bは、加熱能力を示す。組成物B4、B7、及びB9は、SL/LL熱交換器が使用されるとき、R134aよりも高い効率を示す。冷媒B4、B7、及びB9は、R134aよりも低い吐出温度を示し、圧縮機のためにより高い信頼性を示す。
【0280】
実施例9:移動式空調システム(バス、列車、車)における性能
様々な凝縮器温度条件下で、移動式空調システムにおいて冷媒B4、B7、及びB9について性能試験を行った。分析を実施して、以下の条件下で本システムにおける冷媒B4、B7、及びB9の効率(COP)を評価した
【0281】
動作条件:
●凝縮温度=45℃~75℃
●凝縮器過冷却=5.0℃
●蒸発温度=4℃、対応する室内温度=35℃
●蒸発器過熱=5.0℃
●圧縮機断熱効率=65%
●体積効率=100%
●吸気ラインでの温度上昇=0℃
【0282】
【0283】
【0284】
表E9A及び表E9Bは、移動式ACシステムにおける冷媒の性能及び冷却能力を示す。表E9Bにおいて、冷媒B4、B7、及びB9は、異なる周囲温度に対応する凝縮温度の範囲にわたって、R134aと同様の効率を示す。
【0285】
実施例10:マイクロカスケード冷蔵システム
マイクロカスケードシステムは、流体発明で動作する吸気ライン液体ライン熱交換器(suction line liquid line heat exchanger、SLHX)を有する又は有しない従来の中温DX冷蔵システムを、上段が流体発明を使用し、いくつかの小さな低温段に接続されている低温カスケード冷蔵と、限定するものではないが、CO2、R1234yf、及びR455Aなどの流体を使用して、自己完結型の形態で組み合わせる。本明細書で使用するとき、「中温DX冷蔵システム」という用語は、蒸発器が乾燥蒸発器である中温システムを指す。
【0286】
有用なマイクロカスケードシステムは、係属中の2018年6月21日出願の米国特許出願第16/014,863号及び2018年6月21日出願の米国特許出願第16/015,145号に開示され、それらは2017年6月21日出願の米国特許出願第62/522386号、2017年6月21日出願の米国特許出願第62/522846号、2017年6月21日出願の米国特許出願第62/522851号、及び2017年6月21日出願の米国特許出願第62/522860号に対する優先権を主張し、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。動作条件:
ベースラインR404Aは、MTシステムとLTシステムとを組み合わせた
●冷蔵能力
○低温:33,000W
○中温:67,000W
●容積効率:MT及びLTのいずれも95%
●圧縮機断熱効率
○中温=70%及び低温=67%
●凝縮温度:105°F
●中温蒸発温度:20°F
●低温蒸発温度:-20°F
●蒸発器過熱:10°F(中温及び低温の両方)
●吸気ライン温度上昇(周囲への熱伝達による)
○ベースライン:中温:25°F、低温:50°F
○カスケード/SLHXなしの自己完結型:中温:10°F、低温:25°F
○カスケード/SLHXありの自己完結型:中温:10°F、低温:15°F
●使用時のSLHX効率:65%
【0287】
【0288】
表E10は、マイクロカスケードシステムが、R404Aを用いたベースライン中温DXシステムよりも約125%高いCOPを有することを示す。
【0289】
実施例11:大気圧を上回る圧力を有する不燃性二次冷媒
冷媒B4、B7、及びB9の各々を含む本発明の冷媒、又は冷媒B4、B7、及びB9の各々を含む本発明の冷媒を含む熱伝達組成物は、二次流体として機能することができる。冷媒B4、B7、及びB9の各々を含む本発明の冷媒は、冷媒の動作圧力が、所与の蒸発器温度で大気圧を下回らないことを確実にするために必要な特性を有し、その結果、空気は、システムに入らず、同時に、有意な漏れを防止するのに十分低い。
●表E11は、空調用途の様々な動作条件を網羅する、-5℃~10℃の範囲の蒸発温度に対する冷媒の圧力を示す。
●全ての冷媒が、大気圧より高い圧力を維持することが、表から観察され得る。
●蒸気圧縮ループで使用される一次冷媒は、R404A、R507、R410A、R455A、R32、R466A、R44B、R290、R717、R452B、R448A、R1234ze(E)、R1234yf、及びR449Aからなる群から選択され得る。
●冷却される空気/物体の温度-約25℃~約0℃。
【0290】
【0291】
実施例12:固定式空調システムにおける性能
様々な凝縮器温度条件下で、固定式空調システムにおいて冷媒B4、B7、及びB9について性能試験を行った。分析を実施して、以下の条件下での本システムにおける冷媒B4、B7、及びB9の効率(COP)を評価した。
【0292】
動作条件:
●凝縮温度=45℃~65℃
●凝縮器過冷却=5.0℃
●蒸発温度=10℃、対応する室内室温=35℃
●蒸発器過熱=5.0℃
●圧縮機断熱効率=72%
●体積効率=100%
【0293】
【0294】
【0295】
冷媒B4、B7、及びB9は、異なる周囲温度に対応する凝縮温度の範囲にわたって、R134aと同様の効率を示す。
【0296】
実施例13:商用空調システムにおける性能
様々な凝縮器温度条件下で、商用空調システムにおいて冷媒B4、B7、及びB9について性能試験を行った。分析を実施して、以下の条件下での本システムにおける冷媒B4、B7、及びB9の効率(COP)を評価した。
【0297】
動作条件:
●凝縮温度=45℃~65℃
●凝縮器過冷却=5.0℃
●蒸発温度=10℃
●蒸発器過熱=5.0℃
●圧縮機断熱効率=72%
●体積効率=100%
【0298】
【0299】
【0300】
冷媒B4、B7、及びB9は、異なる周囲温度に対応する凝縮温度の範囲にわたって、R134aと同様の効率を示す。
【0301】
実施例14:吸気ライン(SL)/液体ライン(LL)熱交換器(HX)を有する場合及び有しない場合の輸送用(冷蔵トラック、コンテナ)中温冷蔵用途における性能
中温冷蔵条件で、吸気ライン/液体ライン熱交換器(SL/LL HX)を有する場合及び有しない場合の輸送用冷蔵システムで、冷媒B4、B7、及びB9について性能試験を行った。分析を実施して、以下の条件下におけるSL-LL HXの異なる熱交換率レベルでの、本システムにおける冷媒B4、B7、及びB9の効率(COP)を評価した。
【0302】
動作条件は、以下のとおりであった:
●凝縮温度=45℃
●凝縮温度-周囲温度=10℃
●凝縮器過冷却=0.0℃(受容器を有するシステム)
●蒸発温度=-8℃、
●蒸発器過熱=5.5℃
●圧縮機断熱効率=65%
●体積効率=100%
●吸気ラインでの温度上昇=15℃
●吸気ライン/液体ライン熱交換器の熱交換率:0%、35%、55%、75%
【0303】
【0304】
【0305】
表E14A及び表E14Bは、中温輸送用冷蔵システムにおける冷媒B4、B7、及びB9の性能及び冷蔵能力を示す。SL-LL HXに対する「0%」効率の欄の中の結果は、SL-LL HXを有しないシステムを表すこと、並びに冷媒B4、B7、及びB9は、SL/LL熱交換器が使用されるとき、効率(COP)の点でR134aよりも改善された性能を示すことが理解されるであろう。
【0306】
実施例15:吸気ライン/液体ライン熱交換器を有する場合及び有しない場合の輸送用(冷蔵トラック、コンテナ)低温冷蔵用途における性能
低温冷蔵条件で、吸気ライン/液体ライン熱交換器(SL/LL HX)を有する場合及び有しない場合の輸送用冷蔵システムで、冷媒B4、B7、及びB9について性能試験を行った。分析を実施して、以下の条件下におけるSL-LL HXの異なる熱交換率レベルでの、本システムにおける冷媒B4、B7、及びB9の効率(COP)を評価した。
【0307】
動作条件は、以下のとおりであった:
●凝縮温度=45℃
●凝縮温度-周囲温度=10℃
●凝縮器過冷却=0.0℃(受容器を有するシステム)
●蒸発温度=-35℃、対応する庫内温度=-25℃
●蒸発器過熱=5.5℃
●圧縮機断熱効率=65%
●体積効率=100%
●吸気ラインでの温度上昇=15℃
●吸気ライン/液体ライン熱交換器の熱交換率:0%、35%、55%、75%
【0308】
【0309】
【0310】
表E15A及び表E15Bは、低温輸送用冷蔵システムにおける冷媒B4、B7、及びB9の性能及び冷蔵能力を示す。SL-LL HXに対する「0%」効率の欄の中の結果は、SL-LL HXを有しないシステムを表すこと、並びに冷媒B4、B7、及びB9は、SL/LL熱交換器が使用されるとき、効率(COP)の点でR134aよりも改善された性能を示すことが理解されるであろう。
【0311】
実施例16:電子冷却
冷媒B4、B7、及びB9について性能試験を行って、ヒートパイプ、熱サイフォンなどの形態、並びに蒸気圧縮冷却を含む、電子機器の冷却(チップ、電子基板、電池(自動車、トラック、バス、及び他の電子輸送車両に使用される電池を含む)、コンピュータなどの冷却を含む)を評価する。分析を実施して、これらの用途における冷媒B4、B7、及びB9の性能を評価する。冷媒B4、B7、及びB9は、R134aと同様の性能を示す。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒であって、
(a)約75重量%~約80重量%のHFO-1234ze(E)と、
(b)6重量%~11重量%未満のHFC-134aと、
(c)11重量%~約17重量%のHFO-1336mzz(E)と、から本質的になる、冷媒。
(a)
【請求項2】
冷媒であって、
(a)78重量%+0.5重量%/-2.0重量%のHFO-1234ze(E)と、
(b)10重量%+2.0重量%/-0.5重量%のHFC-134aと、
(c)12重量%+2.0重量%/-0.5重量%のHFO-1336mzz(E)と、からなる、冷媒。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の冷媒を含み、かつ電子冷却システム、低温冷蔵、中温冷蔵、カスケード冷蔵、輸送用冷蔵、二次ループシステム、空調、ヒートポンプ、及びORCのうちの1つ以上を備える、熱伝達システム。
【国際調査報告】