(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】データセンタ用冷却システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20240910BHJP
F28D 5/00 20060101ALI20240910BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
G06F1/20 D
F28D5/00
F24F5/00 101Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509509
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 US2022075230
(87)【国際公開番号】W WO2023023656
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523411134
【氏名又は名称】インテグラ ミッション クリティカル,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Integra Mission Critical, LLC
【住所又は居所原語表記】17000 Dallas Pkwy, Ste 200, Dallas, Texas 75248, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メコッツィ、ウォルター ポール
(72)【発明者】
【氏名】ムシッリ、ジュニア、ジョン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】コラール、ジョン
【テーマコード(参考)】
3L054
3L103
【Fターム(参考)】
3L054BA05
3L054BE03
3L054BE10
3L054BF02
3L103AA37
(57)【要約】
システム(100)は、データホール(110)内に配置された1つ以上のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)(114)を含み、各MHACUは、データホール内の1つ以上のサーバ(112)を冷却するように構成されている。システムはまた、1つ以上のMHACUから加熱された流体を受け取り、加熱流体を冷却流体に冷却して冷却流体を出力するように構成された流体冷却器(130)を含む。システムはまた、データホール内の加熱空気を冷却するために、冷却流体を1つ以上のMHACUに運ぶように構成された流体供給ラインを含む。システムはまた、加熱流体及び冷却流体の流れを制御するように構成されたポンプパッケージ(120)を含む。流体冷却器、1つ以上のMHACU及びポンプパッケージは単一の流体ループを形成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データホール(110)内に配置され、各々が前記データホール内の1つ以上のサーバ(112)を冷却するように構成された1つ以上のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)(114)と、
前記1つ以上のMHACUから加熱流体を受け取り、前記加熱流体を冷却流体に冷却して前記冷却流体を出力するように構成された流体冷却器(130)と、
前記データホール内の加熱された空気を冷却するために、前記冷却流体を前記1つ以上のMHACUに運ぶように構成された流体供給ラインと、
前記加熱流体及び前記冷却流体の流れを制御するように構成されたポンプパッケージ(120)と、
を含み、
前記流体冷却器、前記1つ以上のMHACU及び前記ポンプパッケージは単一の流体ループを形成している、
システム(100)。
【請求項2】
前記流体冷却器は第1のコイル(302)及び第2のコイル(304)を含み、
前記第2のコイルは、前記加熱流体が前記第2のコイルを通過する際に前記加熱流体を冷却するように構成されており、
前記第1のコイルは、前記加熱流体が前記第2のコイルの通過後に前記第1のコイルを通過する際に前記加熱流体をさらに冷却するように構成されており、
前記第1のコイル及び前記第2のコイルは共通の気流内に共に配置されており、空気は前記第1のコイル、次いで前記第2のコイルを通って流れる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流体冷却器は、
前記共通の気流を制御するように構成された1つ以上の可変速ファン(316)と、
前記加熱流体が前記第1のコイルを通過する間に前記第1のコイル上に水を噴霧するように構成された複数のスプレーノズル(306)であって、噴霧された前記水は前記気流の蒸発冷却をもたらす、複数のスプレーノズル(306)と、
をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体冷却器は、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間に配置され、噴霧された前記水が前記第2のコイルに達するのを防ぐように構成された水分除去構造(314)をさらに含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記流体冷却器は、前記流体冷却器の周りの周囲乾球温度、及び前記冷却流体の冷却負荷のうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1のコイル上への前記水の前記噴霧を制御するように構成されたコンピューティングデバイス(140)をさらに含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体冷却器から出力された前記冷却流体をさらに冷却するように構成されたトリムチラー(210)をさらに含み、
前記トリムチラーは、前記1つ以上のMHACUから受け取った前記加熱流体に前記冷却流体からの熱エネルギーを伝達するように構成された冷却ループを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ポンプパッケージは、前記1つ以上のMHACUの下流、及び前記流体冷却器の上流に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
データホール(110)内に配置され、各々が前記データホール内の1つ以上のサーバ(112)を冷却するように構成された1つ以上のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)(114)からの加熱流体を流体冷却器(130)において受け取る(701)こと、
前記流体冷却器において前記加熱流体を冷却流体に冷却する(703、705)こと、
前記流体冷却器から前記冷却流体を出力する(709)こと、
前記データホール内の加熱された空気を冷却するために、前記冷却流体を前記1つ以上のMHACUに運ぶ(713)こと、ならびに
ポンプパッケージ(120)を用いて前記加熱流体及び前記冷却流体の流れを制御すること、
を含み、
前記流体冷却器、前記1つ以上のMHACU及び前記ポンプパッケージは単一の流体ループを形成している、
方法。
【請求項9】
前記流体冷却器において前記加熱流体を前記冷却流体に冷却することは、
前記加熱流体が第2のコイル(304)を通過する際に前記流体冷却器の前記第2のコイル内の前記加熱流体を冷却する(703)こと、及び
前記加熱流体が前記第2のコイルの通過後に第1のコイル(302)を通過する際に、前記流体冷却器の前記第1のコイル内の前記加熱流体をさらに冷却する(705)こと、
を含み、
前記第1のコイル及び前記第2のコイルは共通の気流内に共に配置されており、空気は前記第1のコイル、次いで前記第2のコイルを通って流れる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1つ以上の可変速ファン(316)を用いて前記共通の気流を制御することと、
前記加熱流体が前記第1のコイルを通過する間に前記第1のコイル上に水を噴霧(707)することであって、噴霧された前記水は前記気流の蒸発冷却をもたらす、前記第1のコイル上への前記水の噴霧と、
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記流体冷却器の周りの周囲乾球温度、及び前記冷却流体の冷却負荷のうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1のコイル上への前記水の前記噴霧を制御することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記流体冷却器から前記冷却流体を出力した後、トリムチラー(210)を用いて前記冷却流体をさらに冷却(711)することをさらに含み、
前記トリムチラーは、前記1つ以上のMHACUから受け取った前記加熱流体に前記冷却流体からの熱エネルギーを伝達するように構成された冷却ループを含む、請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記ポンプパッケージは、前記1つ以上のMHACUの下流、及び前記流体冷却器の上流に配置されている、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
冷却器(130)であって、
第1のコイル(302)と、
第2のコイル(304)と、
前記第1のコイル及び前記第2のコイルを共に直列に接続するように設けられた流体供給ラインと、
を含み、
前記第2のコイルは、前記冷却器の外部から前記流体供給ラインを通って運ばれた加熱流体を受け取り、前記加熱流体が前記第2のコイルを通過する際に前記加熱流体を冷却流体に冷却するように構成されており、
前記第1のコイルは、前記冷却流体が前記第2のコイルの通過後に前記第1のコイルを通過する際に前記冷却流体をさらに冷却するように構成されており、
前記流体供給ラインは、前記冷却流体が前記第1のコイルを通過した後に前記冷却流体を前記冷却器の外部に運ぶように構成されており、
前記第1のコイル及び前記第2のコイルは共通の気流内に共に配置されており、空気は前記第1のコイル、次いで前記第2のコイルを通って流れる、
冷却器(130)。
【請求項15】
前記共通の気流を制御するように構成された1つ以上の可変速ファン(316)と、
前記冷却流体が前記第1のコイルを通過する間に前記第1のコイル上に水を噴霧するように構成された複数のスプレーノズル(306)であって、噴霧された前記水は前記気流の蒸発冷却をもたらす、複数のスプレーノズル(306)と、
前記冷却器の周りの周囲乾球温度、及び前記冷却流体の冷却負荷のうちの少なくとも1つに基づいて、前記第1のコイル上への前記水の前記噴霧を制御するように構成されたコンピューティングデバイス(140)と、
をさらに含む、請求項14に記載の冷却器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は冷却システムに関し、特にコロケーションデータセンタ用の冷却システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コロケーションデータセンタでは通常、多様な顧客の要求に対応するために、空間利用に柔軟性が求められる。たとえば、一部のコロケーションデータセンタでは、ASHRAE(American Society of Heating,Refrigerating,and Air-Conditioning Engineers、アメリカ暖房冷凍空調学会)が許容する顧客とASHRAEが推奨する顧客の双方に空間を提供するよう設備を備えていなければならない。多くのデータセンタプロバイダは、冷却のために直接外気をデータホールに供給しないクローズドシステムを好む。このため、直接蒸発冷却及びエアサイドエコノマイゼーションによって達成できるASHRAE許容冷却の利点が減少する。また、クローズドシステムでは通常は機械的な冷蔵が必要であり、これによって高いエネルギー使用量や高い設置コストが生じる。既存のコロケーションデータセンタは、ASHRAEが推奨する条件で直接蒸発冷却及び/又は外気によるソリューションを大口顧客に提供することができる気候サイトに限定したデータセンタに比べて不利な立場にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、コロケーションデータセンタ用の冷却システム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の実施形態において、システムは、データホール内に配置された1つ以上のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)を含み、各MHACUは、データホール内の1つ以上のサーバを冷却するように構成されている。システムはまた、1つ以上のMHACUから加熱された流体を受け取り、加熱流体を冷却流体に冷却して冷却流体を出力するように構成された流体冷却器を含む。システムはまた、データホール内の加熱空気を冷却するために、冷却流体を1つ以上のMHACUに運ぶように構成された流体供給ラインを含む。システムはまた、加熱流体及び冷却流体の流れを制御するように構成されたポンプパッケージを含む。流体冷却器、1つ以上のMHACU及びポンプパッケージは単一の流体ループを形成している。
【0005】
第2の実施形態において、方法は、データホール内に配置され、各々がデータホール内の1つ以上のサーバ(112)を冷却するように構成された1つ以上のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)からの加熱流体を流体冷却器において受け取ることを含む。この方法はまた、流体冷却器において加熱流体を冷却流体に冷却することを含む。この方法はまた、流体冷却器から冷却流体を出力することを含む。この方法はまた、データホール内の加熱された空気を冷却するために、冷却流体を1つ以上のMHACUに運ぶことを含む。この方法はまた、ポンプパッケージを用いて加熱流体及び冷却流体の流れを制御することを含む。流体冷却器、1つ以上のMHACU及びポンプパッケージは単一の流体ループを形成している。
【0006】
第3の実施形態において、冷却器は、第1のコイルと、第2のコイルと、第1のコイル及び第2のコイルを共に直列に接続するように設けられた流体供給ラインとを含む。第2のコイルは、冷却器の外部から流体供給ラインを通って運ばれた加熱流体を受け取り、加熱流体が第2のコイルを通過する際に加熱流体を冷却流体に冷却するように構成されている。第1のコイルは、冷却流体が第2のコイルの通過後に第1のコイルを通過する際に冷却流体をさらに冷却するように構成されている。流体供給ラインは、冷却流体が第1のコイルを通過した後に冷却流体を冷却器の外部に運ぶように構成されている。第1のコイル及び第2のコイルは共通の気流内に共に配置されており、空気は第1のコイル、次いで第2のコイルを通って流れる。
【0007】
他の技術的特徴は、以下の図面、説明及び特許請求の範囲から、当業者に容易に明らかとなりうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示による、データセンタを冷却するための例示的な冷却システムを示している。
【
図2】本開示による、データセンタを冷却するための別の例示的な冷却システムを示している。
【
図3】本開示による流体冷却器の一例のさらなる詳細を示している。
【
図4】本開示によるトリムチラーの一例のさらなる詳細を示している。
【
図5A】本開示による、異なるレベルの冷却密度を有する例示的なデータホールを示している。
【
図5B】本開示による、異なるレベルの冷却密度を有する例示的なデータホールを示している。
【
図5C】本開示による、異なるレベルの冷却密度を有する例示的なデータホールを示している。
【
図6】本開示による冷却システムで使用するコンピューティングデバイスの例を示している。
【
図7】本開示の種々の実施形態による、
図1の冷却システムを用いた冷却プロセスの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
後述する
図1~
図7、及び本明細書において本開示の原理を説明するために使用される種々の実施形態は説明のためのものにすぎず、決して本開示の範囲を限定するものと 解釈されるべきではない。当業者は、適切に配置されたいずれのシステム又は装置においても本開示の原理が実施可能であることを理解するであろう。
【0010】
簡略化及び明瞭化のために、いくつかの特徴及び構成要素は、他の図面に関連して示されるものを含め、全ての図面に明示的に示されているわけではない。図面に示す全ての特徴を、説明する実施形態のいずれにも使用できることが理解されるであろう。特定の図面からの特徴又は構成要素の省略は簡略化及び明瞭化のためであり、その特徴又は構成要素を、その図面に関連して説明される実施形態において使用できないことを意味するものではない。本開示の実施形態は、本明細書に記載する特徴のうち任意の1つ、2つ以上、又は全てを含むことができることが理解されよう。また、本開示の実施形態は、これに加えて又はこれに代えて、本明細書に列挙していない他の特徴を含むことができる。
【0011】
前述のように、コロケーションデータセンタでは通常、多様な顧客の要求に対応するために、空間利用に柔軟性が求められる。たとえば、一部のコロケーションデータセンタでは、ASHRAEが許容する顧客とASHRAEが推奨する顧客の双方に空間を提供するよう設備を備えていなければならない。多くのデータセンタプロバイダは、冷却のために直接外気をデータホールに供給しないクローズドシステムを好む。このため、直接蒸発冷却及びエアサイドエコノマイゼーションによって達成できるASHRAE許容冷却の利点が減少する。また、クローズドシステムでは通常は機械的な冷蔵が必要であり、これによって高いエネルギー使用量や高い設置コストが生じる。既存のコロケーションデータセンタは、ASHRAEが推奨する条件で直接蒸発冷却及び/又は外気によるソリューションを大口顧客に提供することができる気候サイトに限定したデータセンタに比べて不利な立場にある。
【0012】
これらの問題及び他の問題に対処するために、本開示の実施形態は、コロケーションデータセンタと共に使用する室外流体冷却システムを提供する。開示される室外流体冷却システムは、広範囲の流入流体温度(EFT)及び流出流体温度(LFT)で作動するように設計されている。この広範囲の熱能力により、クローズドシステムの設計及び設定は、直接蒸発冷却及びエアサイドエコノマイゼーションのエネルギー効率のよい能力の範囲内に収まる。流体冷却の効率の1つは、室内モジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)システムからの流体の流れの連続加熱を用いて蓄積され、及び/又は制御された上昇EFTからもたらされる。この室内システムは、一連の弁、センサ及び制御シーケンスを介して、ラック、列、部屋又は設備のための所定の供給空気設定で、可能な限り高い熱流体熱量を戻すことができる。この流体冷却システムは、MHACU内の液体-液体熱交換伝達及び/又は液体-空気伝達において、ASHRAE推奨及びASHRAE許容の「A1~A4」計算クラスを満たすことが可能なLFTを提供することができる。外部流体冷却システムは、ASHRAE又は特定のコンピューティングデバイス製造業者によって指定された熱変化率を維持するための蓄熱及び/又は混合タンクを含むことができる。
【0013】
流体冷却システムは、直列、並列及び/又はバイパストポロジーで構成された1つ以上の排熱ソリューションを組み合わせる、及び/又は順次適用する(すなわち、「ハイブリッド」)ことにより、所定の効率及び出力を達成することができる。このハイブリッド流体冷却システムは、周囲の環境条件、空気及び/又は水を利用することができ、一連のコイルを介してさらなる熱除去経路を追加することができる。ハイブリッド流体冷却システムは、LFTをエンドユーザの要請のための所定値に絞るために機械的冷却及び/又は吸収冷却を含むことができる。ハイブリッド冷却システムは、直接蒸発冷却の利点を機械的冷蔵冷却の最小限の使用と混合することにより、はるかに改善された効率をもたらす。
【0014】
図1は、本開示によるデータセンタを冷却するための例示的な冷却システム100を示している。
図1に示す冷却システム100の実施形態は説明のためのものにすぎない。冷却システム100の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0015】
図1に示すように、冷却システム100はデータホール110、ポンプパッケージ120、流体冷却器130及びコンピューティングデバイス140を含んでいる。
【0016】
データホール110は、コロケーションデータセンタの少なくとも一部を表しており、サーバラックに配置された複数のサーバ112を収容する密閉空間である。当技術分野で知られているように、サーバ112は、データホール110内の空間を加熱する傾向のある大量の熱エネルギーを生じるため、サーバ112が適切に動作し、データホール110内の全ての人員が快適に過ごせるように、データホール110の温度を適切なレベルに維持するための冷却を必要とする。
【0017】
データホール110は、1つ以上のモジュール式ホットアイル冷却ユニット(MHACU)114を含んでいる。MHACU114は、サーバ112の上方、後方、前方又はそれ以外の場合はサーバ112に近接して配置されており、サーバ112を冷却するように動作可能である。特に、各MHACU114を、データホール110内のサーバ112の後方及び/又は前方にあるホットアイルの上方に取り付けることができる。MHACU114は、サーバ112から上昇する加熱空気(例えば、ASHRAE許容では約110°F~140°F、又はASHRAE推奨では約100°F)を受け取り、加熱空気を冷却空気に冷却し(例えば、ASHRAE許容では約95°F、又はASHRAE推奨では約80°F)、冷却空気を出力してサーバ112を冷却することによりサーバ112を冷却する。各MHACU114はモジュール式であり、サーバ112の1つ以上のラックの上方、後方及び/又は前方に位置している。
図1は3つのMHACU114を示しているが、実施形態に応じてより多くてもよく、より少なくてもよい。MHACU114の数は、アプリケーションに合わせて容易に変更され、サーバ112の負荷密度、各MHACU114の冷却能力などに依存している。いくつかの実施形態において、各MHACU114は約150kW~300kWを超える冷却能力を提供することができるが、他の値も可能であり、それらは本開示の範囲内である。
【0018】
各MHACU114を個別に制御して(空気スループット、排出空気温度及び排出流体温度を含む)、データホール110の異なる部分においてリアルタイムで冷却レベルをカスタマイズすることができる。例えば、サーバ112のうちのいくつかがより大きな負荷を生じ、追加の冷却を必要とする場合、これらのサーバ112の近傍にある1つ以上のMHACU114を制御して冷却能力を高めることができる。
【0019】
MHACU114は、互いに直列又は並列に接続されており、1つ以上の流体供給ラインを介してポンプパッケージ120及び流体冷却器130に流体結合されている。いくつかの実施形態において、ポンプパッケージ120はMHACU114の下流及び流体冷却器130の上流に配置されている。ポンプパッケージ120は、加熱流体をMHACU114から流体冷却器130へポンプで送るように動作し、流体は、1つ以上の流体供給ラインを介して冷却されてからMHACU114に運ばれる。MHACU114、ポンプパッケージ120及び流体冷却器130は共に、ポンプパッケージ120のポンプ作用によって動作する単一の流体ループを形成している。
【0020】
動作の一態様において、流体冷却器130から受け取った冷却流体(例えば、ASHRAE許容では約90°F、又はASHRAE推奨では約75°F)は各MHACU114に流れ込み、サーバ112からの加熱空気を冷却するために使用される。流体がデータホール110内の加熱空気を冷却すると、加熱流体はポンプパッケージ120に流れ、次いで流体冷却器130にポンプで戻される。いくつかの実施形態において、加熱流体の少なくとも一部を、浸漬冷却システムと共に使用する1つ以上の浸漬槽145に送ることができる。いくつかの実施形態において、流体は水であるが、他の適切な流体を使用してもよく、それらは本開示の範囲内である。
【0021】
図3は、本開示による流体冷却器130の一例のさらなる詳細を示している。
図3に示すように、流体冷却器130は、第1のコイル302及び第2のコイル304を含む複数の冷却コイルを備えている。いくつかの実施形態において、第1のコイル302は第2のコイル304の下方又は前に取り付けられている。第1のコイル302及び第2のコイル304は、1つ以上の可変速ファン316によって制御される共通の気流内に共に配置されている。温度計又は他のセンサに結合された制御システム(コンピューティングデバイス140の一部とするか又はコンピューティングデバイス140を含むことができる)を使用して、ファン316の動作及び速度を制御することができる。ファン316の動作時、周囲空気は第1のコイル302の下方から上方へ、又は第1のコイル302の前方から横切って引き込まれ、第1のコイル302及び第2のコイル304を通過する。移動する空気は、流体冷却器130を通過する加熱流体を冷却する。動作時、加熱流体は第2のコイル304を通過し、ここで流体は部分的に冷却され、次いで第1のコイル302を通過し、ここで流体はさらに冷却される。
【0022】
第1のコイル302は、複数のスプレーノズル306、槽308すなわちサイト(敷地、用地)への直接給水接続式加圧配水、及びポンプ310を含むスプレーコイルシステムの一部である。流体冷却器130の動作時、ポンプ310は選択的にオンオフされるように動作可能である。ポンプ310がオンの際、ポンプ310は槽308すなわち加圧配水から水312を引き込み、第1のコイル302の上に水312を噴霧する。第1のコイル302上の水312は第1のコイル302を冷却する蒸発冷却効果をもたらし、これは第1のコイル302を通過する流体の冷却に役立つ。
【0023】
第1のコイル302と第2のコイル304との間には水分除去構造314が配置されており、第1のコイル302及び第2のコイル304は水分除去構造314を収容するのに十分な間隔を空けている。水分除去構造314は、第1のコイル302にかかる水しぶきが第2のコイル304に達するのを阻止する。これにより、第2のコイル304が乾燥した状態を保ち、水分から守られることが保証される。水分除去構造314は、第2のコイル304からの水分を遮るための防水膜又は任意の他の適切な構造を含むことができる。
【0024】
流体冷却器130では、流体を冷却するための冷却負荷の一部のみが湿った第1のコイル302によって行われている。さらなる冷却は、乾いた第2のコイル304によって行われる。第1のコイル302を濡らすための水312の噴霧は、流体冷却器130の周りの周囲乾球温度、流体の冷却負荷(例えば、冷却流体の所望の出力温度)、又はこれらの組み合わせに基づいて制御されている。例えば、温度計又は他のセンサに結合された制御システム(コンピューティングデバイス140の一部とするか又はコンピューティングデバイス140を含むことができる)を使用して、ポンプ310の動作を制御することができる。周囲環境温度が所定の閾値温度を上回る(例えば約75°Fを超える)場合、ポンプ310を作動させ、水312を噴霧して第1のコイル302を濡らし、第1のコイル302での冷却を高めることができる。周囲環境温度が十分に低い(例えば約75°F未満である)場合、適切な冷却を流体にもたらすために第1のコイル302を濡らす必要はない。これにより、冷却に用いる水のピーク量及び全体量の双方が低減される。例えば、同様の冷却負荷能力を有する既存の冷却塔と比較して、流体冷却器130はピーク時の水使用量を50%も低減することができ、全体的な水使用量を90%も低減することができ、これによって年間数百万ガロンの水を節約することができる。
【0025】
第2のコイル304は、複数のスプレーノズル305、槽308すなわちサイトへの直接給水接続式配水、及びポンプ311を含む独立したスプレーコイルシステムの一部である。流体冷却器130の動作時、ポンプ311は選択的にオンオフにされるように動作可能である。ポンプ311がオンの際、ポンプ311は槽308すなわち加圧配水から水312を引き込み、第2のコイル304の上に水312を噴霧する。第2のコイル304上の水312は冷却流体を予冷し、第1のコイル302に入る流体を冷却する第1段階の蒸発冷却効果をもたらす。第1のコイル302上の水312は、第1のコイル302の所定のLFTを満たすために必要であれば、さらなる蒸発冷却効果をもたらす。冷却流体は、次にMHACU114へ直接戻される。
図3は1つの槽310しか示していないが、これは一例にすぎない。他の実施形態は、第1のコイル302及び第2のコイル304に水312を供給するための別個の槽310を含むことができる。
【0026】
第2のコイル304について、スプレーノズル305は、ポンプ/槽システム又は加圧水システムを使用して第1のコイル302と併用される場合、極端な気象事象の際に容量を増大させるように補助的な冷却ブーストを提供する。第2のコイル304の1つの機能は、水を節約し、周囲空気が第1のコイル302を通過する際の周囲空気の蒸発冷却効果を利用することである。ポンプ311がオフの際、第2のコイル304は、ファン316によってもたらされる冷却気流にのみ顕熱を伝達することができる。
【0027】
ポンプ310及び311がオンの際、熱伝達は異なる。コイルからの熱はコイル302の表面上の水膜に伝達されて蒸発し、コイル302とコイル304との間の空間内の湿球温度が上昇する。湿球温度のこの上昇は比較的小さく、例えば1°F~3°Fである。気流は、水の蒸発から熱を吸収すると同時に空気を断熱冷却し、乾球温度を低下させる。これにより、乾燥状態の気流に熱を伝達する第2のコイル304の有効性が高まる。冷却塔と比較すると、節水は乾いた第2のコイル304による断熱空気冷却の回復によるものであり、これは開ループ又は閉ループの冷却塔では起こらない。
【0028】
いくつかの実施形態において、第1のコイル302及び第2のコイル304はそれぞれ流体冷却器130の冷却能力の約半分を提供するようにサイズ決めされている。これにより、同様のサイズの冷却塔と比較して水の使用量がほぼ50%削減される。これにより、ピーク時の水使用量が50%減少する。周囲乾球温度が65°Fを下回った場合にポンプ310及び311を遮断し、水を蒸発させずに流体冷却器130を動作させることができるため、従来の閉鎖式又は開放式冷却塔と比較して年間水使用量を90%も低減することができる。
【0029】
スプレーノズルを有する加圧水噴霧システムを使用することでサンプが不要になり、表面蒸発損失、ブローダウン、及びこの構成要素のために必要なメンテナンスも不要になる。加圧水噴霧システムは、水を霧又はミストのような液滴に噴霧するように設計された高圧(例えば>1000psi)水噴霧コンプレッサ及びポンプ318~319に直接つながっている。この噴霧機能は、周囲空気温度、コイル流体温度、及びコイル表面を横切る空気の流れを測定する入力センサから得られるポンプ/コンプレッサ制御出力によってパルス化される。コントローラの計算により、コイル表面から蒸発させるのに必要な正確な量の水をミスト又は霧として送出し、所定のコイルLFTを満たすことができる。いくつかの実施形態では、所定のLFT出力に達するようにサンプ及び/又は霧吹技術を任意の数のコイルと併用することができる。
【0030】
流体冷却器130はまた、既存の直接蒸発冷却システムと比較して、エネルギーの節約及びより良好な湿度制御をもたらす。例えば、外気湿球温度が85°F以下である場合、流体冷却器130により、データホール110内の温度をASHRAE許容条件に制御することができる。湿球温度に近いため、ASHRAEが許容するデータホールではコンプレッサなしで冷却することができる。同様に、流体冷却器130を使用することで、ASHRAEが推奨するサイトではトリムチラー(
図2参照)内のコンプレッサのサイズを縮小することができる。流体冷却器130を使用することで、直接蒸発及び同等の水使用量を使用する冷却システムよりも良好な電力使用効率(PUE)がもたらされる。
【0031】
いくつかの実施形態において、システム100はまた、1以上の熱回収ユーザのニーズをサポートするために、下流の熱回収で使用する回収熱交換器150を含んでいる。いくつかの実施形態において、浸漬槽145は、下流の熱回収に適したより高品質の熱を生じることもできる。この高品質の熱は、熱回収ユーザのニーズをサポートするように回収熱交換器150で利用可能である。
【0032】
図1は1つの流体冷却器130を有する冷却システム100を示しているが、これは一例にすぎない。他の実施形態では、冷却システム100は、それぞれが独立した流れを有する複数の流体冷却器130を含むことができる。さらなる実施形態において、冷却システム100は、冗長性のために、個々に直列に接続された、及び/又は組み合わされた流れで並列に接続された複数の流体冷却器130を含むことができる。さらに他の実施形態において、冷却システム100は、複数のデータホール110を冷却するために組み合わされた流れを有する複数の流体冷却器130を含み、よってさらに低コストで冗長性を高めることができる。
【0033】
前述のように、冷却システム100は、冷却システム100の動作を制御するために1つ以上のコンピューティングデバイス140を含んでいる。いくつかの実施形態において、各コンピューティングデバイス140は、人又は会社などの第三者によって運営されるサービスであってもよい。各コンピューティングデバイス140は、冷却システム100の残りの部分が位置する場所とは異なる場所に収容され、操作されてもよい。すなわち、各コンピューティングデバイス140は特定の場所に限定されない。
【0034】
図2は、本開示によるデータセンタを冷却するための別の例示的な冷却システム200を示している。
図2に示す冷却システム200の実施形態は説明のためのものにすぎない。冷却システム200の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0035】
図2に示すように、冷却システム200は、
図1の対応する構成要素と同じか又は同様の複数の構成要素を含んでいる。例えば、冷却システム200は、データホール110、ポンプパッケージ120、流体冷却器130及びコンピューティングデバイス140を含んでいる。冷却システム200は、流体冷却器130とMHACU114との間に流体結合されたトリムチラー210も含んでいる。
図1の冷却システム100はASHRAEが許容するサイトに適している(かつ、特定の実装及び場所に応じてASHRAE推奨サイトに適している場合がある)が、冷却システム200にトリムチラー210を追加することで、冷却システム200にさらなる冷却能力が追加される。具体的に、トリムチラー210により、冷却システム200は、サイトの最大湿球温度で流体冷却器130が達成できるよりも低い温度で、冷却流体をMHACU114に送ることができる。これにより、冷却システム200が、全てのASHRAE推奨サイトに適していることが保証される。いくつかの実施形態では、流体冷却器の排出流体温度(LFT)が設備の要件を満たす場合、プロセスからトリムチラー210を除去するバイパスループ212を開くようトリムチラー210の下流又は上流の制御弁211に命令することができる。この動作によって冷却方法全体の効率がさらに改善される。
【0036】
例えば、80°Fの最大サイト周囲湿球温度を有するいくつかの実施形態では、85°F又はその付近の流体温度を出力するように流体冷却器130を操作することができる。冷却アイルの空気温度(すなわち、本質的にMHACU114を出る空気の温度)が80°Fであることを必要とするASHRAE推奨条件をサポートするには、この流体温度は高すぎる可能性がある。排出空気温度を80°Fにするには、75°F前後の流入流体温度が必要となりうる。トリムチラー210は、流体温度を75°Fに下げることができる。トリムチラー210は、流体冷却器130から戻る流体の流れと直列に接続された低温熱交換器を含む。
【0037】
動作の一態様において、MHACU114は、必要な冷却アイル温度をもたらし、流体温度の大きな上昇(例えば15~25°F)を生じるように制御される。MHACU114での流体温度の上昇がトリムチラー210での流体温度の降下よりも大きい限り、トリムチラー210の容量要件はデータホール110での冷却負荷よりも低い。この例において、トリムチラー210における低温流体の温度降下は10°Fである。MHACU114における流体温度の上昇を選択し、15°Fで制御する場合、トリムチラー210は冷却負荷の67%を供給すればよい。MHACU114における流体温度の上昇を25°Fに制御する場合、トリムチラー210は冷却負荷の40%を供給すればよい。
【0038】
MHACU114からの出力流体はトリムチラー210内の高温熱交換器に流れ、高温熱交換器は熱を受け取って流体温度を上昇させる。次に、流体は流体冷却器130に流れ、サーバ112からの熱及びコンプレッサ出力からの追加熱は周囲空気に送られない。
【0039】
トリムチラー210の電力入力は、周囲湿球温度が最大値を下回って低下すると低減され、この例では、流体冷却器130が約70°F湿球以下でMHACU114に冷却流体を生じることができる場合は不要である。周囲乾球温度が65°Fを下回る場合、水の消費は不要である。
【0040】
図4は、本開示によるトリムチラー210の一例のさらなる詳細を示している。
図4に示すように、トリムチラー210は、コンプレッサ402、凝縮器404、膨張弁406及び蒸発器408を含む冷却ループを備えている。トリムチラー210は、冷却流体(例えば約85°F)を流体冷却器130から受け取り、この冷却流体をより低い温度(例えば、ASHRAE推奨サイトに適した約75°F)にさらに冷却する。冷却流体を冷却するために、トリムチラー210は冷却ループを使用して、冷却流体からの熱エネルギーをポンプパッケージ120から受け取った加熱流体(例えば、約90.3°F)に伝達する。この熱エネルギー伝達の結果、加熱流体はより高い温度(例えば約101.8°F)にさらに加熱される。加熱流体はトリムチラー210から流体冷却器130に出力される一方で、冷却流体はトリムチラー210からデータホール110内のMHACU114に出力される。
【0041】
図5A~
図5Cは、本開示による、異なるレベルの冷却密度を有する例示的なデータホール110を示している。特に、
図5Aは低密度冷却(例えば、ラック当たり約3kW~9kW)のデータホール110を示し、
図5Bは中密度冷却(例えば、ラック当たり約15kW)のデータホール110を示し、
図5Cは高密度冷却(例えば、ラック当たり約30kW)のデータホール110を示している。
図5A~
図5Cに示すように、各データホールの上方に配置されたMHACU114の数は、より大きな冷却密度をもたらすように増加されている。
【0042】
図1~
図5Cは冷却システム100、200の例及びこれらに関連する詳細を示しているが、
図1~
図5Cには種々の変更を加えることができる。例えば、冷却システム100、200における種々の構成要素を組み合わせたり、さらに細分したり、複製したり、再配置したり、省略したりすることができ、特定のニーズに従って追加の構成要素を追加することができる。特定の例として、ポンプパッケージ120は流体冷却器130の上流に示されているが、ポンプパッケージ120を流体冷却器130とMHACU114(
図1)との間、又はトリムチラー210とMHACU114(
図2)との間など、流体冷却器130の下流に配置することができる。別の例として、より大きなデータホール110を有するデータセンタにおいて、冷却システム100、200は、データホール110内の全ての構成要素を共通に流体接続するよう並列接続された複数の流体冷却器130、複数のトリムチラー210及び複数のポンプパッケージ120を含むことができる。さらに別の例として、いくつかのデータホールでは、1つ以上のMHACU114に加えて、又はそれらの代わりに、1つ以上のコンピュータルーム用エアハンドラ(CRAH)ユニットを実装することができる。また、
図1~
図5Cはデータセンタで使用する例示的な冷却システムを示しているが、説明した機能を任意の他の適切なデバイス又はシステムで使用することができる。
【0043】
図6は、本開示による冷却システムで使用するコンピューティングデバイス600の例を示している。コンピューティングデバイス600は、
図1で前述したコンピューティングデバイス140であってもよい。コンピューティングデバイス600は、システム100、200内の種々の構成要素における動作を制御するように構成することができる。例えば、コンピューティングデバイス600は、MHACU114、ポンプパッケージ120、流体冷却器130又はトリムチラー210に関連する動作を制御又は監視することができる。
【0044】
図6に示すように、コンピューティングデバイス600は、プロセッサ610、記憶装置615、 通信インターフェース(又は回路)620及び入力/出力(I/O)ユニット625間の通信をサポートするバスシステム605を含んでいる。プロセッサ610は、メモリ630にロードすることのできる命令を実行する。プロセッサ610は、任意の好適な数及びタイプのプロセッサ、又は任意の適切な構成の他のデバイスを含むことができる。プロセッサ610のタイプの例としては、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路及びディスクリート回路が挙げられる。
【0045】
メモリ630及び永続的記憶装置635は、情報(一時的又は永久的に、データ、プログラムコード及び/又は他の適切な情報など)を記憶し、その検索を容易にすることができる任意の構造を表す記憶装置615の例である。メモリ630は、ランダムアクセスメモリ、又は任意の他の適切な揮発性もしくは不揮発性の記憶装置を表すことができる。永続的記憶装置635は、読取専用メモリ、ハードドライブ、フラッシュメモリ又は光ディスクなど、データの長期記憶をサポートする1つ以上のコンポーネント又はデバイスを含むことができる。例えば、永続的記憶装置635は、データ、標準データ、結果データ、クライアントアプリケーションなどのうち1つ以上のデータベースを記憶することができる。
【0046】
通信インターフェース620は、他のシステム又はデバイスとの通信をサポートする 。例えば、通信インターフェース620は、システム200又はシステム100を介した通信を容易にするネットワークインターフェースカード又はワイヤレストランシーバを含むことができる。通信インターフェース620は、(1つ以上の)任意の適切な物理的又はワイヤレス通信リンクを介した通信をサポートすることができる。I/Oユニット625はデータの入出力を可能にする。例えば、I/Oユニット625は、キーボード、マウス、キーパッド、タッチスクリーン、又は他の適切な入力デバイスを介してユーザ入力のための接続を提供することができる。また、I/Oユニット625は、ディスプレイ、プリンタ又は他の適切な出力デバイスに出力を送ることもできる 。
【0047】
図6はコンピューティングデバイス600の一例を示しているが、
図6には種々の変更を加えることができる。例えば、
図6の種々の構成要素を組み合わせたり、さらに細分したり、省略したりすることができ、特定のニーズに従って追加の構成要素を追加することができる。特定の例として、コンピューティングデバイス600は1つの装置として示されているが、遠隔配置が可能な複数の計算システムを含むことができる。別の例では、異なる計算システムが、本開示による処理、記憶及び/又は通信リソースの一部又は全部を提供することができる。
【0048】
図7は、本開示の種々の実施形態による、
図1の冷却システム100を用いた冷却プロセス700の例を示すフローチャートである。
図7に示す冷却プロセス700の実施形態は説明のためのものにすぎない。冷却プロセス700の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0049】
図7を参照すると、動作701において、MHACU114からの加熱流体がポンプパッケージ120を介して流体冷却器130に供給される。動作703において、加熱流体は流体冷却器130の第2のコイル304を通過し、ここで、第2のコイル304の上を流れる周囲空気によって流体が部分的に冷却される。動作705において、流体は第1のコイル302を通過し、ここで、第1のコイル302の上を流れる周囲空気によって流体がさらに冷却される。動作707において、スプレーノズル306は、第1のコイル302、第2のコイル304又は双方のコイル上に水312を噴霧して、流体を冷却するための蒸発冷却をもたらす。動作709において、冷却流体が流体冷却器130を出る。動作711において、冷却流体は任意選択的にトリムチラー210に入り、トリムチラー210内でさらに冷却される。動作713において、冷却流体はMHACU114に搬送され、データホール110内の加熱された空気を冷却する。
【0050】
前述のプロセス700は本開示の原理に従って実施することのできる例示的な動作を示しており、種々の変更をプロセス700に加えることができる。例えば、プロセス700における種々のステップは一連のステップとして示されているが、重複してもよく、並行して生じてもよく、異なる順序で生じてもよく、複数回生じてもよい。別の例では、ステップを省略してもよいし、他のステップに置き換えてもよい。
【0051】
本特許文書全体を通して使用される一定の語句の定義を記載することが好都合である。「結合する」という用語とその派生語は、2つ以上の要素が互いに物理的に接触しているかどうかにかかわらず、それらの要素間の任意の直接的又は間接的な連絡を指す。「送信する」、「受信する」及び「通信する」という用語、ならびにこれらの派生語は、直接的な通信及び間接的な通信の双方を包含する。「含む(include)」及び「含む/備える(comprise)」という用語、ならびにこれらの派生語は、限定されない包含を意味する。「又は」という用語は包括的であり、及び/又はを意味する。「~に関連する」という語句とその派生語句は、~を含む、~内に含まれる、~と相互接続する、~を含有する、~内に含有される、~に接続する、~に結合する、~に伝達可能である、~と協働する、~とインターリーブする、~と並置する、~と近接する、~に結合される、~を有する、~の特性を有する、~と関係がある等を意味する。「~など」という語句は、用語の間に使用される場合、その後に列挙される用語が先に列挙された用語の例であり、これ(ら)を限定するものではないことを意味する。「~のうちの少なくとも1つ」という語句は、項目のリストと共に使用される場合、列挙された項目のうちの1つ以上の異なる組み合わせを使用することができ、リスト中の1つの項目のみを必要とする場合があることを意味する。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、ならびにA及びB及びCの組み合わせのうちのいずれかを含む。
【0052】
さらに、各々がコンピュータ可読プログラムコードから形成され、コンピュータ可読媒 体内で実施される1つ以上のコンピュータプログラムにより、本明細書で説明した種々の 機能を実施又はサポートすることができる。「アプリケーション」及び「プログラム」と いう用語は、1つ以上のコンピュータプログラム、ソフトウェアコンポーネント、命令の セット、手順、関数、オブジェクト、クラス、インスタンス、関連データ、又は適切なコ ンピュータ可読プログラムコードにおける実施のために構成されたその一部分を指す。「 コンピュータ可読プログラムコード」という語句は、ソースコード、オブジェクトコード 及び実行可能コードを含む、任意のタイプのコンピュータコードを含む。「コンピュータ 可読媒体」という語句は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RA M)、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク (DVD)、又は任意の他のタイプのメモリなど、コンピュータによるアクセスが可能な 任意のタイプの媒体を含む。「非一時的な」コンピュータ可読媒体は、一時的な電気信号 又は他の信号を伝送する有線、無線、光又は他の通信リンクを除外する。非一時的なコン ピュータ可読媒体は、データを永久的に記憶することのできる媒体と、書き換え可能光ディスクや消去可能なメモリデバイスなど、データを記憶して後で上書きすることのできる 媒体とを含む。
【0053】
他の特定の語句の定義が本特許文書全体を通して提供される。当業者は、殆どとは言わないまでも多くの場合において、このような定義された語句の先の使用及び後の使用にこのような定義が適用されることを理解すべきである。例示的な実施形態を用いて本開示を説明したが、種々の変更及び修正を当業者に示唆することができる。本開示は、添付の特許 請求の範囲内に入るような変更及び修正を包含するように意図される。本願の説明のいずれも、特定の要素、ステップ又は機能が特許請求の範囲に含まれなければならない必須の要素であることを意味するものとして解釈されるべきではない。特許対象の主題の範囲は、特許請求の範囲によって定義される。
【国際調査報告】