(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】低屈折率媒体を使用した単一導波路赤-緑-青(RGB)アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240910BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510352
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 US2022039907
(87)【国際公開番号】W WO2023022909
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリク,エリエゼル
(72)【発明者】
【氏名】リー,ルオピン
(72)【発明者】
【氏名】ラベ,イド
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H199CA12
2H199CA23
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA32
2H199CA42
2H199CA54
2H199CA67
2H249AA03
2H249AA13
2H249AA50
2H249AA60
2H249AA62
2H249AA64
2H249AA65
(57)【要約】
仮想画像は、仮想画像を表すディスプレイ光を生成するための光エンジン、回折導波路、および各々が回折導波路に光結合されるインカプラおよびアウトカプラを介してユーザに表示される。動作中、インカプラは、光エンジンからディスプレイ光を受け取り、受け取ったディスプレイ光を回折導波路の中、および1つまたは複数の多次元中間回折格子へ導く。多次元中間回折格子は、ディスプレイ光を回折導波路を通してアウトカプラへ向け直し、今度はアウトカプラがディスプレイ光の少なくとも一部を回折導波路からユーザの眼に向け直す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤、緑および青(RGB)ディスプレイ光を光エンジンからユーザの眼に導くための導波路
を備え、前記導波路は、
光基板と、
前記光エンジンから前記RGBディスプレイ光を受け取り、かつ、前記RGBディスプレイ光を前記導波路の中へ導くためのインカプラ回折格子と、
前記RGBディスプレイ光の少なくとも一部を前記導波路から前記ユーザの前記眼に導くためのアウトカプラ回折格子と、
前記RGBディスプレイ光の1つまたは複数の部分を前記インカプラ回折格子から前記アウトカプラ回折格子へ導くための1つまたは複数の中間回折格子と
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記1つまたは複数の中間回折格子は複数の中間回折格子を含み、前記RGBディスプレイ光を前記導波路の中へ導くことが、前記RGBディスプレイ光の第1の部分を前記光エンジンから前記複数の中間回折格子のうちの第1の中間回折格子へ導き、かつ、前記RGBディスプレイ光の第2の部分を前記複数の中間回折格子のうちの第2の中間回折格子へ導くことを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記インカプラ回折格子および前記1つまたは複数の中間回折格子は、前記RGBディスプレイ光の赤成分を第1の経路に沿って前記アウトカプラ回折格子へ導くためのものであり、また、前記RGBディスプレイ光の緑成分および青成分を第2の経路に沿って前記アウトカプラ回折格子へ導くためのものである、請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記1つまたは複数の中間回折格子は、前記RGBディスプレイ光の前記赤成分を前記第1の経路に沿って導くための第1の中間回折格子、および前記RGBディスプレイ光の前記緑成分および前記青成分を前記第2の経路に沿って導くための第2の中間回折格子を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記複数の中間回折格子の各々は、前記光基板の一部に形成された2つ以上のセットの実質的に平行の構造を備える多次元回折格子である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記光基板は1つまたは複数の光コーティングを備え、前記1つまたは複数の中間回折格子のうちの少なくとも1つは、前記1つまたは複数の光コーティングのうちの少なくとも1つの光コーティングの中に少なくとも部分的に形成される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記アウトカプラ回折格子および前記インカプラ回折格子のうちの少なくとも一方は多次元回折格子であり、各々の多次元回折格子は前記光基板の一部に形成された2つ以上のセットの実質的に平行の構造を備える、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記光基板は1.6以下の屈折率を有する、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
導波路のインカプラ回折格子で赤、緑および青(RGB)ディスプレイ光を受け取ることと、
前記RGBディスプレイ光を前記インカプラ回折格子から前記導波路の1つまたは複数の中間回折格子へ導くことと、
前記RGBディスプレイ光を前記1つまたは複数の中間回折格子を介して前記導波路のアウトカプラ回折格子へ導くことと、
前記RGBディスプレイ光の少なくとも一部を前記アウトカプラ回折格子からユーザの眼に導くことと
を含む、方法。
【請求項10】
前記RGBディスプレイ光を前記1つまたは複数の中間回折格子へ導くことが、前記RGBディスプレイ光の第1の部分を光エンジンから第1の中間回折格子へ導き、かつ、前記RGBディスプレイ光の第2の部分を前記光エンジンから第2の中間回折格子へ導くことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の部分が前記RGBディスプレイ光の赤成分を含み、前記第2の部分が前記RGBディスプレイ光の緑成分および青成分を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記RGBディスプレイ光の赤成分を第1の経路に沿って前記アウトカプラ回折格子へ導くことと、前記RGBディスプレイ光の緑成分および青成分を第2の経路に沿って前記アウトカプラ回折格子へ導くこととを含む、請求項9~請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記RGBディスプレイ光を前記1つまたは複数の中間回折格子を介して導くことが、前記RGBディスプレイ光を1つまたは複数の多次元回折格子を介して導くことを含み、各々の多次元回折格子が前記導波路の光基板の中に形成された2つ以上のセットの実質的に平行の構造を備える、請求項9~請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記アウトカプラ回折格子および前記インカプラ回折格子のうちの少なくとも一方は多次元回折格子である、請求項9~請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
導波路のインカプラ回折格子で前記RGBディスプレイ光を受け取ることが、1.6以下の屈折率を有する光基板の中に形成されたインカプラ回折格子で前記RGBディスプレイ光を受け取ることを含む、請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
一組の実行可能命令を具体化する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記一組の実行可能命令はコンピュータシステムを操作して、導波路の少なくとも部品を製造するプロセスの一部を実施し、前記導波路は、
光基板と、
光エンジンから赤、緑および青(RGB)ディスプレイ光を受け取り、かつ、前記RGBディスプレイ光を前記導波路の中へ導くためのインカプラ回折格子と、
前記RGBディスプレイ光の少なくとも一部を前記導波路からユーザの眼に導くためのアウトカプラ回折格子と、
前記RGBディスプレイ光の1つまたは複数の部分を前記インカプラ回折格子から前記アウトカプラ回折格子へ導くための1つまたは複数の中間回折格子と
を備える、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記1つまたは複数の中間回折格子は複数の中間回折格子を含み、前記RGBディスプレイ光を前記導波路の中へ導くことが、前記RGBディスプレイ光の第1の部分を前記光エンジンから前記複数の中間回折格子のうちの第1の中間回折格子へ導き、かつ、前記RGBディスプレイ光の第2の部分を前記複数の中間回折格子のうちの第2の中間回折格子へ導くことを含む、請求項16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記インカプラ回折格子および前記1つまたは複数の中間回折格子は、前記RGBディスプレイ光の赤成分を第1の経路に沿って前記アウトカプラ回折格子へ導くためのものであり、また、前記RGBディスプレイ光の緑成分および青成分を第2の経路に沿って前記アウトカプラ回折格子へ導くためのものである、請求項16または請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記複数の中間回折格子の各々は、前記光基板の一部に形成された2つ以上のセットの実質的に平行の構造を備える多次元回折格子である、請求項16~請求項18のいずれか1項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記光基板は1.6以下の屈折率を有する、請求項16~請求項19のいずれか1項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
本開示は、一般に、現実世界のビューをヘッド-アップディスプレイオーバレイと融合する拡張現実感(AR)眼鏡に関する。着用可能ヘッド-アップディスプレイ(WHUD)は、現実世界と仮想画像を結合するための光結合器を使用している着用可能電子デバイスである。光結合器は、1つまたは複数のレンズと統合して、WHUDの支持フレームにはめ込むことができる結合器レンズを提供することができる。動作中、結合器レンズは、WHUDがユーザの頭に着用されると、ユーザが見ることができる視覚ディスプレイを提供する。
【0002】
光結合器の1つの等級は、光を伝達するための1つまたは複数の導波路(ライトガイドとも呼ばれる)を使用している。通常、WHUDのプロジェクタ、マイクロ-ディスプレイまたは他の光エンジンからの光は、インカプラを通って結合器の導波路に入射し、内部全反射(TIR)を介して導波路に沿って伝搬し、かつ、アウトカプラを通って導波路から射出する。ユーザの眼のひとみがアウトカプラによって提供される1つまたは複数の射出ひとみと整列すると、アウトカプラを通って射出する光の少なくとも一部がユーザの眼のひとみに入射することになり、それによりユーザは仮想画像を見ることができる。光結合器は実質的に透明であるため、ユーザは現実世界を同じく見ることができることになる。
【発明の概要】
【0003】
実施形態の簡単な概要
本明細書においては実施形態が説明され、実施形態では、仮想画像は、仮想画像を表すディスプレイ光を生成するための光エンジン、回折導波路、および各々が回折導波路に光結合されるインカプラおよびアウトカプラを介してユーザに表示される。動作中、インカプラは、光エンジンからディスプレイ光を受け取り、受け取ったディスプレイ光を回折導波路の中、および1つまたは複数の中間多次元回折格子へ導く。中間多次元回折格子は、ディスプレイ光を回折導波路を通してアウトカプラへ向け直し、今度はアウトカプラがディスプレイ光の少なくとも一部を回折導波路からユーザの眼に向け直す。
【0004】
いくらかの実施形態では、デバイスは、赤、緑および青(RGB)ディスプレイ光を生成するための光エンジンと、RGBディスプレイ光をユーザの眼に導くための導波路とを備える。導波路は、光基板と、光エンジンからRGBディスプレイ光を受け取り、かつ、RGBディスプレイ光を導波路の中へ導くためのインカプラ回折格子と、RGBディスプレイ光の少なくとも一部を導波路からユーザの眼に導くためのアウトカプラ回折格子と、RGBディスプレイ光の1つまたは複数の部分をインカプラ回折格子からアウトカプラ回折格子へ導くための1つまたは複数の中間回折格子とを備える。
【0005】
1つまたは複数の中間回折格子は、RGBディスプレイ光を導波路の中へ導くことが、RGBディスプレイ光の第1の部分を光エンジンから複数の中間回折格子のうちの第1の中間回折格子へ導き、かつ、RGBディスプレイ光の第2の部分を複数の中間回折格子のうちの第2の中間回折格子へ導くことを含むよう、複数の中間回折格子を含むことができる。
【0006】
インカプラ回折格子および1つまたは複数の中間回折格子は、RGBディスプレイ光の赤成分を第1の経路に沿ってアウトカプラ回折格子へ導き、また、RGBディスプレイ光の緑成分および青成分を第2の経路に沿ってアウトカプラ回折格子へ導くことができる。
【0007】
複数の中間回折格子の各々は、光基板の一部に形成された2つ以上のセットの実質的に平行の構造を備える多次元回折格子であってもよい。
【0008】
アウトカプラ回折格子およびインカプラ回折格子のうちの少なくとも一方は、各々の多次元回折格子が光基板の一部に形成された2つ以上のセットの実質的に平行の構造を備えるよう、多次元回折格子であってもよい。
【0009】
光基板は1.6以下の屈折率を有することができる。
一実施形態では、方法は、導波路のインカプラ回折格子で赤、緑および青(RGB)ディスプレイ光を受け取ることと、RGBディスプレイ光をインカプラ回折格子から導波路の1つまたは複数の中間回折格子へ導くことと、RGBディスプレイ光を1つまたは複数の中間回折格子を介して導波路のアウトカプラ回折格子へ導くことと、RGBディスプレイ光の少なくとも一部をアウトカプラ回折格子からユーザの眼に導くこととを含む。
【0010】
少なくとも1つの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は一組の実行可能命令を具体化し、一組の実行可能命令はコンピュータシステムを操作して、導波路が、光基板と、光エンジンからRGBディスプレイ光を受け取り、かつ、RGBディスプレイ光を導波路の中へ導くためのインカプラ回折格子と、RGBディスプレイ光の少なくとも一部を導波路からユーザの眼に導くためのアウトカプラ回折格子と、RGBディスプレイ光の1つまたは複数の部分をインカプラ回折格子からアウトカプラ回折格子へ導くための1つまたは複数の中間回折格子とを備えるよう、導波路の少なくとも部品を製造するプロセスの一部を実施する。
【0011】
本開示は、添付の図面を参照することによってより良好に理解することができ、また、本開示の多くの特徴および利点が当業者に明らかになる。異なる図面における同じ参照記号の使用は、同様または全く同じアイテムを示している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】いくつかの実施形態による例示的着用可能ディスプレイデバイスを示す図である。
【
図2】いくつかの実施形態による着用可能ディスプレイデバイスを示す図である。
【
図3】例示的高屈折率(n=2)回折導波路の正面図である。
【
図4】
図3の高屈折率回折導波路を通って移動するRGBディスプレイ光の成分波長のk-空間図である。
【
図5】いくつかの実施形態による例示的低屈折率(n=1.5)回折導波路の正面図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、
図5の低屈折率回折導波路を通って移動するRGBディスプレイ光の成分波長のk-空間図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、RGBディスプレイ光を低屈折率回折導波路を介してユーザの眼に導くことができる例示的方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
いくつかのディスプレイデバイスは複数の導波路(ライトガイドとも呼ばれる)を使用してディスプレイ光をユーザの眼に案内している。例えばWHUDデバイスは導波路を使用して光を光エンジンからユーザの眼に案内している。導波路のためのいくつかの従来のアーキテクチャは回折光学素子を使用している。これらのアーキテクチャは、眼に見える各々の色に個別の導波路を利用して、青の光、緑の光および赤の光をそれらの独自の導波路の中に分離している。しかしながら複数の全く異なる導波路を組み込むことは、通常、より大きく、かつ、より重いデバイスに対応し、これは、通常、着用可能デバイスには不利である。
【0014】
導波路ディスプレイシステムの場合、システムによって導かれる波長に対して提供される視野(FOV)は、その光学仕様を評価するためのキーパラメータである。提供されるFOVの角マグニチュード(角マグニチュードは大きいほど望ましい)に影響を及ぼす要因は、導波路材料の屈折率および導かれる波長スペクトルを含む。
【0015】
いくつかの導波路アーキテクチャは、屈折率が高い材料(例えば屈折率n=2)を使用することにより、単一の導波路を介してすべての波長-すなわちRGBディスプレイ光の赤、緑および青(RGB)成分のすべて-を導くことができる。しかしながらこのような高屈折率媒体は、典型的には、比較的高価で、かつ、重いガラスを含み、ナノ転写リソグラフィ(NIL)複製および他の表面レリーフ型回折格子(SRG)処理を困難に、かつ、高価にしており、また、場合によっては屈折率がより低い(例えば屈折率n=1.6以下など)材料(例えばポリカーボネート材料、レギュラーガラス、等々)を使用する他の回折技術(例えば体積型ホログラフィック回折格子(ブラッグ回折格子))の利用を不向きにし得る。一方、このような低屈折率を有する材料から形成された導波路は、適当なFOVを使用してRGBディスプレイ光のすべてのRGB成分を射出ひとみの中へ導くことにそれらの能力が限定されている。先行する技法は、例えば、RGBディスプレイ光を導くために複数の単色または他の波長制限導波路を利用し、あるいは単色または他の波長制限光エンジンを利用することによる、このような制限の回避策である。
【0016】
本明細書において提供される技術の実施形態は、インカプラ光回折格子(回折格子および光回折格子は、本明細書においては交換可能に使用されている)、アウトカプラ(アウトカプラ回折格子など)、および1つまたは複数の中間回折格子を介して、RGBディスプレイ光の実質的にすべての波長をユーザの眼に導く比較的屈折率が低い(n=1.6以下)光基板を備えた単一の導波路を提供する。例えばいくらかの実施形態では、RGBディスプレイ光は、導波路の内部全反射(TIR)体積内の複数の波長弁別経路に沿ったこのような回折格子を介して導かれ、インカプラ回折格子および第1の中間回折格子は、RGBディスプレイ光の赤成分波長をアウトカプラに導くように動作し、また、インカプラ回折格子および第2の中間回折格子は、RGBディスプレイ光の緑成分波長および青成分波長をアウトカプラに導くように動作する。実施形態によれば、多次元光回折格子を使用して、導波路の体積内の異なる経路に沿って入射するRGBディスプレイ光の異なる波長成分を導くことにより、これらの波長成分のすべてを屈折率が比較的低い(例えばn=1.5)回折導波路によって提供される屈折空間内で適応させることができる。
【0017】
本明細書において使用されているように、回折格子は、エッチングされた回折格子、または他の表面回折格子、体積型ホログラフィック回折格子(VHGまたはブラッグ回折格子)、偏光VHG、あるいは光基板の中および/または光基板の1つまたは複数の光コーティングの中に形成された他の回折格子であってもよい。いくらかの実施形態では、複数の中間回折格子の各々、およびインカプラ回折格子およびアウトカプラ回折格子のうちの少なくとも一方は、光基板の一部に形成された2つ以上のセットの実質的に平行の構造(例えばトレンチ、トラフまたは他の構造)を含む多次元回折格子を備えている。動作中、これらの複数の実質的に平行の構造の各々のセットは、多次元回折格子で受け取ったすべてのRGBディスプレイ光のうちの特定の部分-例えば波長成分のサブセット-を導くための一次元回折格子として作用する。いくらかの実施形態およびシナリオでは、二次元回折格子は、光基板の1つの部分に形成された第1の単一次元(1D)回折格子、および光基板の別の重畳部分-例えば基板層の反対側に形成された第2の1D回折格子を備えることができる。
【0018】
本明細書において考察されている特定の実施形態は、着用可能ディスプレイデバイスの部品として光または他の構成要素の利用を含むが、追加実施形態は、本明細書において説明されている技術による様々な他のタイプのデバイスを介してこのような構成要素を利用することができることは認識されよう。
【0019】
図1は、様々な実施形態による例示的着用可能ディスプレイデバイス100を示したものである。示されている実施形態では、着用可能ディスプレイデバイス100は、眼鏡(例えばサングラス)フレームの一般的な形および外観(すなわちフォームファクタ)を有する近眼ディスプレイシステムである。着用可能ディスプレイデバイス100は、第1のアーム104、第2のアーム105、および第1のアーム104および第2のアーム105に物理的に結合されているフロントフレーム103を含む支持構造102を含む。ユーザによって着用されると、ユーザの頭の第1の側に第1のアーム104を配置することができ、一方、ユーザの頭の第1の側とは反対側の、ユーザの頭の第2の側に第2のアーム105を配置することができ、また、ユーザの頭の前側にフロントフレーム103を配置することができる。示されている実施形態では、支持構造102は、導波路を介してユーザの眼に向けて画像を投影するように構成される光エンジン(例えばレーザプロジェクタ、マイクロ-LEDプロジェクタ、シリコン上液晶(LCOS)プロジェクタ、等々)を収納している。ユーザは、投影された画像を、着用可能ディスプレイデバイス100の1つまたは複数の光ディスプレイ要素を介して、レンズ構造108、110のうちの一方または両方におけるディスプレイの視野(FOV)領域106に表示されているものとして知覚する。
【0020】
支持構造102は、光エンジンおよび導波路などの、ユーザの眼に向けたこのような画像の投影を容易にするための様々な構成要素を包含するか、さもなければ含む。いくつかの実施形態では、支持構造102は、1つまたは複数の前向きカメラ、後ろ向きカメラ、他の光センサ、運動センサ、加速度計、等々などの様々なセンサをさらに含む。いくつかの実施形態では、支持構造102は、Bluetooth(商標)インタフェース、WiFiインタフェース、等々などの1つまたは複数の無線周波数(RF)インタフェースまたは他の無線インタフェースを含む。さらに、いくつかの実施形態では、支持構造102は、着用可能ディスプレイデバイス100の電気構成要素に電力を供給するための1つまたは複数の電池または他の携帯型電源をさらに含む。いくつかの実施形態では、着用可能ディスプレイデバイス100のこれらの構成要素のうちの一部またはすべては、完全に、または部分的に、支持構造102の領域112における第1のアーム104内などの支持構造102の内部体積内に包含されている。例示的フォームファクタが示されているが、他の実施形態では、着用可能ディスプレイデバイス100は、
図1に示されている眼鏡フレームとは異なる形および外観を有することができることは認識されるであろうことに留意されたい。本明細書における「または」という用語の実例は、特に言及されていない限り、「または」の非排他的定義を意味していることを理解されたい。例えば本明細書における「XまたはY」という語句は、「XまたはYのいずれか、あるいは両方」を意味している。
【0021】
レンズ構造108、110のうちの一方または両方が着用可能ディスプレイデバイス100によって使用され、描写された図形内容を重畳させることができ、さもなければレンズ構造108、110を通してユーザによって知覚される現実世界ビューと共に提供することができる拡張現実感(AR)ディスプレイを提供する。例えば着用可能ディスプレイデバイス100の投影システムは、光を使用して、様々な実施形態による、投影システムの光エンジン、対応するレンズ構造108または110の中に少なくとも部分的に形成された導波路、および1つまたは複数の光学ディスプレイ素子を介してユーザの眼に光を投影することによって知覚可能画像または一連の画像を形成する。様々な実施形態では、着用可能ディスプレイデバイス100の光学ディスプレイ素子は、少なくとも、導波路(その参照は、本明細書において使用されているように、ライトガイドおよび導波路の両方を含み、かつ、包含する)、ホログラフィック光学素子、プリズム、回折格子、光反射体、光反射体アレイ、光屈折体、光屈折体アレイ、コリメーションレンズ、走査ミラー、光リレー、または光エンジンからのAR内容をユーザの眼に向かって向け直すように配置され、かつ、配向された、所与のアプリケーションのために適した任意の他の光リダイレクション技術を含むグループから選択される光構成要素の1つまたは複数の実例を含む。さらに、レンズ構造108、110および光学ディスプレイ素子の一部またはすべては、個別に、および/または集合的に、1つまたは複数の構造を中に形成することができる光基板を備えることができる。例えば光学ディスプレイ素子は、レンズ構造108、110の光基板材料の中に形成された様々な光回折格子(インカプラ回折格子としてであれ、アウトカプラ回折格子としてであれ、あるいは中間回折格子としてであれ)を含むことができる。
【0022】
レンズ構造108、110のうちの一方または両方は、導波路のインカプラによって受け取られたディスプレイ光を導波路のアウトカプラへ経路指定する導波路の少なくとも一部を含み、アウトカプラはディスプレイ光を着用可能ディスプレイデバイス100のユーザの眼に向かって出力する。ディスプレイ光は、ユーザがディスプレイ光を画像として知覚するよう、変調され、かつ、ユーザの眼に投影される。さらに、レンズ構造108、110の各々は十分に透明であり、ユーザはレンズ構造を通して見ることができ、それにより画像が現実世界環境の少なくとも一部と重畳して出現するよう、ユーザの現実世界環境の視野を提供することができる。
【0023】
レンズ構造135は複数のレンズ層を含むことができ、それらの各々は、1つまたは複数の光学ディスプレイ素子(眼の側)よりもユーザの眼の近くに配置することができ、あるいは1つまたは複数の光学ディスプレイ素子(世界側)よりもユーザの眼からさらに遠くに配置することができる。レンズ層は、例えば成形または鋳造することができ、薄膜またはコーティングを含むことができ、また、1つまたは複数の透明キャリアを含むことができ、透明キャリアは、本明細書において説明されているように、光リダイレクタを担うように、あるいは支持するように作用する材料を意味することができる。一例として、透明キャリアは眼鏡レンズまたはレンズアセンブリであってもよい。さらに、いくらかの実施形態では、複数のレンズ層のうちの1つまたは複数はコンタクトレンズとして実現することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ100の投影システムの光エンジンは、デジタル光処理ベースプロジェクタ、走査レーザプロジェクタ、またはレーザあるいは1つまたは複数の発光ダイオード(LED)などの変調光源の任意の組合せ、および1つまたは複数の動的スキャナなどの動的反射体機構、反射パネルまたはデジタル光プロセッサ(DLP)である。いくつかの実施形態では、光エンジンは、マイクロ-LEDディスプレイパネル(例えばマイクロ-AMOLEDディスプレイパネルまたはマイクロ無機LED(i-LED)ディスプレイパネル)あるいはマイクロ-液晶ディスプレイ(LCD)ディスプレイパネル(例えば低温ポリシリコン(LTPS)LCDディスプレイパネル、高温ポリシリコン(HTPS)LCDディスプレイパネル、またはイン-プレーンスイッチング(IPS)LCDディスプレイパネル)などのマイクロ-ディスプレイパネルを含む。いくつかの実施形態では、光エンジンはシリコン上液晶(LCOS)ディスプレイパネルを含む。いくつかの実施形態では、光エンジンのディスプレイパネルは、光(表示のための画像または画像の一部を表す)をディスプレイシステムの導波路の中に出力するように構成される。導波路は光を拡張し、かつ、アウトカプラを介してユーザの眼に向かって光を出力する。
【0025】
光エンジンは、コントローラおよび非一時的プロセッサ可読記憶媒体すなわちメモリに通信結合されており、メモリは、コントローラによって実行されると、そのコントローラが光エンジンの動作を制御することになるプロセッサ実行可能命令および他のデータを記憶している。いくつかの実施形態では、コントローラは光エンジンを制御して、FOV領域106の場所およびサイズを選択的に設定している。いくつかの実施形態では、コントローラは、着用可能ディスプレイデバイス100で表示される内容を生成する1つまたは複数のプロセッサ(図示せず)に通信結合されている。光エンジンは、導波路を介して着用可能ディスプレイデバイス100のFOV領域106に向かって光を出力する。いくつかの実施形態では、導波路のアウトカプラの少なくとも一部はFOV領域106と重畳している。
【0026】
図2は、いくつかの実施形態による着用可能ディスプレイデバイス200の図を示したものである。いくつかの実施形態では、着用可能ディスプレイデバイス200は着用可能ディスプレイデバイス100の態様を実現することができ、あるいは着用可能ディスプレイデバイス100の態様によって実現することができる。例えば示されている実施形態では、着用可能ディスプレイデバイス200は、第1のアーム210、第2のアーム220およびフロントフレーム230を含む。第1のアーム210はヒンジ219によってフロントフレーム230に結合されており、それにより第1のアーム210はフロントフレーム230に対して回転することができる。第2のアーム220はヒンジ229によってフロントフレーム230に結合されており、それにより第2のアーム220はフロントフレーム230に対して回転することができる。
【0027】
図2の例では、着用可能ディスプレイデバイス200は折り畳まれていない構成であり、第1のアーム210および第2のアーム220は、着用可能ディスプレイデバイス200をユーザの頭に着用することができるよう回転しており、第1のアーム210はユーザの頭の第1の側に位置し、第2のアーム220は、第1の側とは反対側のユーザの頭の第2の側に位置し、また、フロントフレーム230はユーザの頭の前方に位置している。第1のアーム210および第2のアーム220は、着用可能ディスプレイデバイス200を長方形、円筒状または長円形のケースに便利に適合するコンパクトな形にすることができるよう、第1のアーム210および第2のアーム220の両方がフロントフレーム230に対してほぼ平行になるまで、フロントフレーム230に向かって回転させることができる。別法としては、第1のアーム210および第2のアーム220は、着用可能ディスプレイデバイス200を折り畳むことができないよう、フロントフレーム230に固定して取り付けることも可能である。
【0028】
図2では、第1のアーム210は光エンジン211を担っている。第2のアーム220は電源221を担っている。フロントフレーム230は、インカプリング光回折格子(インカプラ)231、中間回折格子232および233、およびアウトカプリング光回折格子(アウトカプラ)234を含む回折導波路235を担っている。少なくとも1つのセットの導電電流経路(図示せず)が電源221と第1のアーム210が担っている電気構成要素(光エンジン211など)の間の電気結合を提供している。このような電気結合は、電源回路などを通して間接的に提供され、あるいは電源221から第1のアーム210の中の各々の電気構成要素へ直接提供される。本明細書において使用されているように、担うという用語または同様の用語は、必ずしも1つの構成要素が別の構成要素を物理的に支持していることを意味していない。例えば上では、第1のアーム210は光エンジン211を担っている、と言及されている。これは、光エンジン211は、第1のアーム210が光エンジン211を物理的に支持するように第1のアーム210に取り付けられ、あるいは第1のアーム210内に取り付けられていることを意味し得る。しかしながら第1のアーム210が必ずしも光エンジン211を物理的に支持していない場合であっても、直接結合関係または間接結合関係を同じく記述することが可能である。
【0029】
光エンジン211は、ユーザによって見られるAR内容または他の表示内容を表すディスプレイ光290(この例のために単純化されている)を出力することができる。ディスプレイ光290は、ユーザがAR内容を見ることができるよう、回折導波路235によってユーザの眼291に向かって向け直すことができる。光エンジン211からのディスプレイ光290はインカプラ231に衝突し、向け直されて、回折導波路235の体積の中を移動し、そこで回折導波路235を通してディスプレイ光290が導かれる(例えば内部全反射(TIR)によって、またはホログラムあるいは反射コーティングなどの表面処理によって)。次に、回折導波路235の体積の中を移動するディスプレイ光290は中間回折格子232および/または233に衝突し、中間回折格子232および/または233はディスプレイ光290をアウトカプラ234へ向け直し、アウトカプラ234は、さらに、ディスプレイ光290を回折導波路235からユーザの眼291に向かって導く。示されている実施形態では、中間回折格子232および233は、回折導波路235の世界側表面の表面回折格子として示されているが、様々な実施形態では、このような中間回折格子は、回折導波路235の体積に対して他の位置(体積内のVHG、等々として導波路の眼の側表面など)に形成することも可能であることは認識されよう。回折導波路(回折導波路235など)の体積を通るディスプレイ光の伝送経路に関する追加詳細は、以下の
図3~
図6に関連して考察される。
【0030】
着用可能ディスプレイデバイス200は、それには限定されないが光エンジン211を含む、着用可能ディスプレイデバイス200の中の電気構成要素の各々に通信結合されているプロセッサ(図示せず)を含むことができる。プロセッサは、それらに限定されないが、マイクロ-コントローラ、マイクロプロセッサ、マルチ-コアプロセッサ、集積回路、ASIC、FPGA、プログラマブル論理デバイスまたはこれらの構成要素の任意の適切な組合せを含む、命令または論理を実行することができる任意の適切な構成要素であってもよい。着用可能ディスプレイデバイス200は、プロセッサによって実行されると、そのプロセッサに、光エンジン211にユーザによって見られる表示内容を表す光290を出力させること、ユーザ入力を受け取らせること、ユーザインタフェースを管理させること、ユーザに提示される表示内容を生成させること、着用可能ディスプレイデバイス200が担っている任意のセンサからデータを受け取らせ、かつ、管理させること、外部データおよびメッセージを受け取らせ、かつ、処理させること、および所与のアプリケーションのために適切な任意の他の機能を実施させることを含む任意の数の機能を実行させることができるプロセッサ可読命令をその上に記憶することができる非一時的プロセッサ可読記憶媒体を含むことができる。非一時的プロセッサ可読記憶媒体は、それらに限定されないが、不揮発性メモリまたは揮発性メモリ、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、レジスタ、磁気ハードディスク、光ディスクまたはこれらの構成要素の任意の組合せを含む、命令、論理またはプログラムを記憶することができる任意の適切な構成要素であってもよい。
【0031】
図3は、例示的高屈折率(n=2)回折導波路335の正面図を示したものであり、この回折導波路335は、示されている実施形態では、眼鏡レンズのフォームファクタを近似するフォームファクタを有している。導波路335は、入射するRGBディスプレイ光をユーザの眼(図示せず)に導くための複数の光回折格子が中に形成されている光基板を備えている。詳細には、導波路335は、インカプラ回折格子331、単一の二次元中間回折格子332およびアウトカプラ回折格子334を含む。
【0032】
動作中、入射するRGBディスプレイ光がインカプラ回折格子331で受け取られ(図示されていない近傍の光エンジンなどから)、インカプラ回折格子を介して中間回折格子332へ導かれ(示されている経路310などに沿って)、回折格子332はRGBディスプレイ光をアウトカプラ回折格子334へ向け直し(示されている経路311などに沿って)、アウトカプラ回折格子334はRGBディスプレイ光を回折導波路335からユーザ(図示せず)の眼へ向け直す。示されている経路310および311は、向け直されたRGBディスプレイ光がたどる一般的な移動方向を示すために提供されたものであり、そのRGBディスプレイ光の何らかの特定の成分の特定の経路を正確に示すことは意図されていないことは認識されよう。
【0033】
図4は、
図3の高屈折率回折導波路335を通って移動するRGBディスプレイ光の成分波長の正規化k-空間表現400を示したものである。k-空間表現400(kは波長の逆数であり、すなわちk=1/λである)では、内部屈折境界401は半径がn=1の円として表され、外部伝送媒体(空気)と関連付けられた屈折率であり、外部屈折境界499は、
図3の回折導波路335の屈折率である屈折率n=2に対応している。
【0034】
k-空間表現400の文脈では、示されている屈折率を有する導波路(回折導波路335など)を介してユーザの眼に首尾よく、かつ、正確に導かれるRGBディスプレイ光(例えば総カラーAR内容)の場合、RGBディスプレイ光の各々の赤成分、緑成分および青成分は、内部屈折境界401内に示されている空間に含まれている外部位置410から導波路に入射する。これらの成分は、導波路の体積(内部屈折境界401と外部屈折境界499の間に示されている空間)内の1つまたは複数の経路に沿って導かれ、次に、向け直されて導波路から射出する(また、それにより内部屈折境界401内の外部空間へ戻る)。内部屈折境界401と外部屈折境界499の間に示されているディスプレイ光成分は、導波路を介してユーザへ伝搬する。外部屈折境界499の外側に示されているディスプレイ光成分(それらはいずれもk-空間表現400には存在していない)は、すべて、外部で失われるか、あるいは仮想成分を含むかのいずれかであるディスプレイ光成分などのように伝搬しない(ディスプレイ光成分の数学モデル化においてのみ出現するよう)。
【0035】
動作中、また、引き続いて
図3および
図4の両方を参照すると、回折導波路335を通して導かれる、屈折位置410を始発点とするRGBディスプレイ光の各々のRGB成分は、インカプラ回折格子331を介して回折導波路の体積へ提供される。
図4では、赤ディスプレイ光成分412、緑ディスプレイ光成分414および青ディスプレイ光成分416は、それらが到達し、かつ、中間回折格子332(
図3)によって向け直されているものとして示されている。その向け直しの結果として、それらは、赤ディスプレイ光成分422、緑ディスプレイ光成分424および青ディスプレイ光成分426として示されている屈折位置においてアウトカプラ回折格子334に到達し、それらはアウトカプラ回折格子によって向け直されて回折導波路335から射出する(示されているように、始発屈折位置410へ戻る経路を介して)。
【0036】
したがってk-空間表現400は、回折導波路335を通して導かれる際の入射するRGBディスプレイ光の各々のRGB成分のビューを提供している。とりわけ、内部屈折境界401と外部屈折境界499の間のこれらのディスプレイ光成分412、414、416、422、424、426のそれぞれの位置によって示されているように、RGB成分が高屈折率回折導波路335を通して導かれる際に、RGB成分のすべてが高屈折率回折導波路335によって提供される比較的大きい屈折空間によって適応される。
【0037】
図5は、例示的低屈折率(n=1.5)回折導波路535の正面図を示したものであり、回折導波路535は、示されている実施形態では(また、
図3の回折導波路335と同様)、眼鏡レンズのフォームファクタを近似するフォームファクタを有している。回折導波路335に関連して説明した方法と同様の方法で、回折導波路535は、入射するRGBディスプレイ光をユーザの眼(図示せず)に導くための複数の光回折格子が中に形成されている光基板を備えている。詳細には、導波路535は、インカプラ回折格子531、第1の二次元中間回折格子532、第2の二次元中間回折格子533およびアウトカプラ回折格子534を含む。本明細書のどこかで考察されるように、二次元回折格子(2つのセットの実質的に平行の周期構造が中に形成され、各々の平行セットは個別の方向に配向されている)は、それらが光を2つの異なる方向に屈折させる点で従来の一次元回折格子(単一のセットの実質的に平行の周期構造が中に形成されている)とは全く異なっている。したがって中間回折格子532または中間回折格子533などの2D光回折格子は、光基板の表面に形成されると、光基板中に、各々異なる角度でエッチングされた2つのセットの平行トラフまたはトレンチを有する。
【0038】
少なくとも示されている実施形態では、インカプラ回折格子531も同じく二次元回折格子であり、インカプラ回折格子531は、入射するRGBディスプレイ光の第1の部分を第1の方向に導き(例えば示されている経路510に沿って)、一方、RGBディスプレイ光の第2の部分を第2の方向に導くことができる(例えば示されている経路520に沿って)。ここでは、インカプラ回折格子531は、受け取ったRGBディスプレイ光の赤ディスプレイ光成分を示されている経路510に沿って中間回折格子532へ導くように構成され、また、受け取ったRGBディスプレイ光の緑ディスプレイ光成分および青ディスプレイ光成分を示されている経路520に沿って中間回折格子533へ導くように構成されている。中間回折格子532は、受け取った赤ディスプレイ光成分を経路511に沿ってアウトカプラ回折格子534へ向け直すように構成されている。同様に、中間回折格子533は、受け取った緑ディスプレイ光成分および青ディスプレイ光成分を経路521に沿ってアウトカプラ回折格子534へ向け直すように構成されている。アウトカプラ回折格子334は、次に、RGBディスプレイ光を回折導波路535からユーザ(図示せず)の眼の中へ向け直す。示されている実施形態では、アウトカプラ回折格子534は二次元回折格子を備えており、回折導波路535から単一の方向-すなわちユーザの眼に向かって射出するよう、2つの異なる方向から(例えばそれぞれ示されている経路511および521から)到着するディスプレイ光成分を向け直すように構成される。
【0039】
図3に示されている経路310および311の場合と同様、示されている経路510、511、520、521は、導かれたRGBディスプレイ光の様々なディスプレイ光成分がたどる一般的な移動方向を示すために提供されたものであり、そのRGBディスプレイ光の何らかの特定の成分の特定の経路を正確に示すことは意図されていないことは認識されよう。
【0040】
したがって動作中、インカプラ回折格子531および中間回折格子532および533は相俟って動作して、RGBディスプレイ光の赤成分を第1の経路(510、511)に沿ってアウトカプラ回折格子へ導き、また、RGBディスプレイ光の緑成分および青成分を第2の経路(520、521)に沿ってアウトカプラ回折格子534へ導く。
【0041】
図6は、
図5の低屈折率回折導波路535を通って移動するRGBディスプレイ光の成分波長の正規化k-空間表現600を示したものである。k-空間表現600では、内部屈折境界601は半径がn=1の円として表され、空気の屈折率であり、外部屈折境界499は屈折率n=1.5に対応し、比較的低い屈折率の光基板は回折導波路535を備えている。したがって
図4の正規化k-空間表現400とは対照的に、ディスプレイ光成分に適応するために利用することができる内部屈折境界601と外部屈折境界699の間の屈折空間は、それぞれの屈折境界401と499の間で利用することができる比較的大きい屈折空間より著しく狭い。
【0042】
k-空間表現600の文脈では、示されている屈折率を有する導波路(回折導波路535など)を介してユーザの眼に首尾よく、かつ、正確に導かれるRGBディスプレイ光の場合、RGBディスプレイ光の各々の赤成分、緑成分および青成分は、内部屈折境界601内に示されている空間に含まれている外部位置610から導波路に入射する。これらの成分は、導波路の体積(内部屈折境界601と外部屈折境界699の間に示されている空間)内の複数の経路に沿って導かれ、次に、向け直されて、外部位置610へ導波路から射出する(射出ひとみへの移動を表し、また、それにより図示されていないユーザの眼への移動を表している)。
図4の屈折境界401および499に関連して説明した方法と同様の方法で、内部屈折境界601と外部屈折境界699の間に示されているディスプレイ光成分は、導波路を介してユーザへ伝搬する。外部屈折境界699の外側に示されているディスプレイ光成分は全く伝搬しない。k-空間表現600から分かるように、いくつかのこのような非伝搬ディスプレイ光成分は、以下で考察されるように、比較的低い屈折率の回折導波路535を使用することによって生じる。
【0043】
動作中、また、引き続いて
図5および
図6の両方を参照すると、回折導波路535を通して導かれるRGBディスプレイ光の各々のRGB成分は、始発点である屈折位置610からインカプラ回折格子531を介して回折導波路の体積へ提供される。しかしながら上で考察したように、また、高屈折率回折導波路335に関連して説明したシナリオとは対照的に、二次元インカプラ回折格子531は、受け取ったRGBディスプレイ光を2つの個別の方向に導き、これらの2つの個別の方向の各々は、インカプラ回折格子531の部品として形成された個別のセットの実質的に平行の構造(図示せず)に対応している。詳細には、インカプラ回折格子531の第1のセットの実質的に平行の構造は、入射するRGBディスプレイ光を第1のセットの屈折位置612(R)、614(G)および616(B)へ導き、赤ディスプレイ光成分のための屈折位置612のみが回折導波路535の体積内に配置されている。屈折位置614および616は内部屈折境界601内であるため、これらの屈折位置へ導かれた緑ディスプレイ光成分および青ディスプレイ光成分は、事実上、導波路からアウトカップルされ(すなわち遠ざかる方向に導かれる)、また、回折導波路535を通して首尾よく導かれない。インカプラ回折格子531の第2のセットの実質的に平行の構造は、入射するRGBディスプレイ光を第2のセットの屈折位置622(R)、624(G)および626(B)へ導く。ここでは、屈折位置644および626は、インカプラ回折格子531の第2のセットの実質的に平行の構造によって向け直された緑ディスプレイ光成分および青ディスプレイ光成分は、回折導波路535を通して首尾よく導かれているが、赤ディスプレイ光成分は、外部屈折境界699の外側である屈折位置622へ導かれていることを示しており、-このような赤ディスプレイ光成分は非伝搬であることを示している。
【0044】
以上の動作を要約すると、二次元インカプラ回折格子531によって受け取られたRGBディスプレイ光は、赤ディスプレイ光成分が屈折位置612で中間回折格子532に首尾よく到達するように、また、緑ディスプレイ光成分および青ディスプレイ光成分がそれぞれ屈折位置624および626で中間回折格子533に首尾よく到達するように導かれる。
【0045】
k-空間表現600の文脈を使用してもう一度説明すると、
図5の二次元中間回折格子532は、赤ディスプレイ光成分を屈折位置632で屈折位置612からアウトカプラ534へ向け直し、同様に、二次元中間回折格子533は、緑ディスプレイ光成分および青ディスプレイ光成分をアウトカプラ534でそれらのそれぞれの屈折位置624および626から新しいそれぞれの屈折位置634および636へ向け直す。上で考察したように、アウトカプラ534は二次元回折格子であるため、アウトカプラ534は、2つの個別の方向(赤ディスプレイ光成分が屈折位置632で受け取られる第1の方向に対応し、また、緑ディスプレイ光成分および青ディスプレイ光成分が屈折位置634および636で受け取られる第2の方向に対応する)からディスプレイ光成分を受け取り、かつ、回折導波路535から射出するよう、結果として得られるRGBディスプレイ光を向け直すように構成されている(示されているように、始発屈折位置610へ戻る経路を介して)。
【0046】
示されている実施形態では、比較的低い屈折率の回折導波路535は、特定のディスプレイ光成分のいくつかの付帯的非伝搬損失をもたらす。詳細には、屈折位置632からの赤ディスプレイ光成分の仮想部分-その実成分は、ユーザの眼に向かって回折導波路535から有利に射出するように向け直される-は、外部屈折境界699の外側である新しい屈折位置628へ向け直されるものとして示されている。より重要なことには、緑ディスプレイ光成分および青ディスプレイ光成分の微小部分は、アウトカプラ534によってそれらのそれぞれの屈折位置634および636からそれぞれ新しい屈折位置638および640へ向け直される。k-空間表現600で分かるように、これらの屈折位置におけるディスプレイ光成分は導波路から首尾よく射出せず、その代わりにそれらは、提供されるFOVの側におけるこれらの波長(緑および青)で些細なゴースト効果の原因になりがちである。しかしながらこれらの効果は、効率およびアイボックス位置決めによって抑制することができ、結果として得られる表示に対するあらゆる負の影響を回避し、あるいは小さくすることができる。
【0047】
図7は、1つまたは複数の実施形態による、RGBディスプレイ光が低屈折率回折導波路(例えば
図5の回折導波路535)を介してユーザの眼に導かれる例示的方法を示したものである。
【0048】
方法はブロック705で開始し、RGBディスプレイ光が導波路のインカプラ回折格子(例えば
図5のインカプラ回折格子531)で受け取られる。
【0049】
ブロック710で、RGBディスプレイ光がインカプラ回折格子から導波路の1つまたは複数の中間回折格子(例えば
図5の中間回折格子532および533)へ導かれる。
【0050】
ブロック715で、RGBディスプレイ光が1つまたは複数の中間回折格子を介して導波路のアウトカプラ回折格子へ向け直される。
【0051】
ブロック720で、RGBディスプレイ光の少なくとも一部がアウトカプラ回折格子を介して導波路からユーザの眼に導かれる。
【0052】
いくつかの実施形態では、上で説明した技術のいくらかの態様は、ソフトウェアを実行する処理システムの1つまたは複数のプロセッサによって実現することができる。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記憶され、さもなければ非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に有形的に具体化された1つまたは複数のセットの実行可能命令を含む。ソフトウェアは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、その1つまたは複数のプロセッサを操作して、上で説明した技術の1つまたは複数の態様を実施する命令およびいくらかのデータを含むことができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、例えば磁気ディスク記憶デバイスまたは光ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリなどのソリッドステート記憶デバイス、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の不揮発性メモリデバイス、あるいはデバイス、等々を含むことができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記憶される実行可能命令は、ソースコード、アセンブリ言語コード、オブジェクトコード、または翻訳され、さもなければ1つまたは複数のプロセッサによる実行が可能な他の命令フォーマットであってもよい。
【0053】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令および/またはデータをコンピュータシステムに提供するために使用している間、コンピュータシステムによるアクセスが可能な任意の記憶媒体または記憶媒体の組合せを含むことができる。このような記憶媒体は、それらに限定されないが、光媒体(例えばコンパクトディスク(CD)、デジタル汎用ディスク(DVD)、Blu-Rayディスク)、磁気媒体(例えばフロッピーディスク(登録商標)、磁気テープまたは磁気ハードドライブ)、揮発性メモリ(例えばランダムアクセスメモリ(RAM)またはキャッシュ)、不揮発性メモリ(例えばリードオンリメモリ(ROM)またはフラッシュメモリ)、あるいは微小電気機械システム(MEMS)ベース記憶媒体を含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピューティングシステムの中に埋め込むことができ(例えばシステムRAMまたはROM)、コンピューティングシステムに固定して取り付けることができ(例えば磁気ハードドライブ)、コンピューティングシステムに取外し可能に取り付けることができ(例えば光ディスクまたはユニバーサルシリアルバス(USB)ベースフラッシュメモリ)、あるいは有線ネットワークまたは無線ネットワークを介してコンピュータシステムに結合することができる(例えばネットワークアクセス可能記憶装置(NAS))。
【0054】
一般説明の中で上で説明したアクティビティまたは要素のすべてが必要であるわけではないこと、場合によっては特定のアクティビティまたはデバイスの一部は必要ではないこと、また、説明されているアクティビティに加えて、1つまたは複数のさらなるアクティビティを実施することができ、あるいは要素を含むことができることに留意されたい。さらに、アクティビティが列挙されている順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。また、概念は特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら当業者は、以下の特許請求の範囲に示されている本開示の範囲を逸脱することなく、様々な修正および変更を加えることができることを認識する。したがって本明細書および図は、制限の意味ではなく、説明的な意味で解釈されるべきであり、また、すべてのこのような修正は本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0055】
以上、利益、他の利点および問題に対する解決法について、特定の実施形態に関連して説明した。しかしながら利益、利点、問題に対する解決法、および何らかの利益、利点または解決法を生じさせ、あるいはそれらをより明確にし得る何らかの特徴は、いずれかの請求項またはすべての請求項の、重要な、必要な、あるいは本質的な特徴として解釈してはならない。さらに、開示されている主題は、本明細書における教示の恩恵を有する当業者には明らかである修正が可能であり、また、異なってはいるが、等価である方法で実践することができるため、上で開示した特定の実施形態は単なる例証的なものにすぎない。以下の特許請求の範囲で説明されているものを除き、本明細書において示されている構造または設計の詳細に対する制限は意図されていない。したがって上で開示した特定の実施形態は変更または修正が可能であり、すべてのこのような変形態様は、開示されている主題の範囲内であると見なされることは明らかである。したがって本明細書において探求される保護は、以下の特許請求の範囲に示されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤、緑および青(RGB)ディスプレイ光を光エンジンからユーザの眼に導くための導波路
を備え、前記導波路は、
光基板と、
前記光エンジンから前記RGBディスプレイ光を受け取り、かつ、前記RGBディスプレイ光を前記導波路の中へ導くためのインカプラ回折格子と、
前記RGBディスプレイ光の少なくとも一部を前記導波路から前記ユーザの前記眼に導くためのアウトカプラ回折格子と、
前記RGBディスプレイ光の1つまたは複数の部分を前記インカプラ回折格子から前記アウトカプラ回折格子へ導くための1つまたは複数の中間回折格子と
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記1つまたは複数の中間回折格子は複数の中間回折格子を含み、前記RGBディスプレイ光を前記導波路の中へ導くことが、前記RGBディスプレイ光の第1の部分を前記光エンジンから前記複数の中間回折格子のうちの第1の中間回折格子へ導き、かつ、前記RGBディスプレイ光の第2の部分を前記複数の中間回折格子のうちの第2の中間回折格子へ導くことを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記インカプラ回折格子および前記1つまたは複数の中間回折格子は、前記RGBディスプレイ光の赤成分を第1の経路に沿って前記アウトカプラ回折格子へ導くためのものであり、また、前記RGBディスプレイ光の緑成分および青成分を第2の経路に沿って前記アウトカプラ回折格子へ導くためのものである、請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記1つまたは複数の中間回折格子は、前記RGBディスプレイ光の前記赤成分を前記第1の経路に沿って導くための第1の中間回折格子、および前記RGBディスプレイ光の前記緑成分および前記青成分を前記第2の経路に沿って導くための第2の中間回折格子を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記複数の中間回折格子の各々は、前記光基板の一部に形成された2つ以上のセットの実質的に平行の構造を備える多次元回折格子である、請求項1
または2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記光基板は1つまたは複数の光コーティングを備え、前記1つまたは複数の中間回折格子のうちの少なくとも1つは、前記1つまたは複数の光コーティングのうちの少なくとも1つの光コーティングの中に少なくとも部分的に形成される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記アウトカプラ回折格子および前記インカプラ回折格子のうちの少なくとも一方は多次元回折格子であり、各々の多次元回折格子は前記光基板の一部に形成された2つ以上のセットの実質的に平行の構造を備える、請求項1
または2に記載のデバイス。
【請求項8】
前記光基板は1.6以下の屈折率を有する、請求項1
または2に記載のデバイス。
【請求項9】
導波路のインカプラ回折格子で赤、緑および青(RGB)ディスプレイ光を受け取ることと、
前記RGBディスプレイ光を前記インカプラ回折格子から前記導波路の1つまたは複数の中間回折格子へ導くことと、
前記RGBディスプレイ光を前記1つまたは複数の中間回折格子を介して前記導波路のアウトカプラ回折格子へ導くことと、
前記RGBディスプレイ光の少なくとも一部を前記アウトカプラ回折格子からユーザの眼に導くことと
を含む、方法。
【請求項10】
前記RGBディスプレイ光を前記1つまたは複数の中間回折格子へ導くことが、前記RGBディスプレイ光の第1の部分を光エンジンから第1の中間回折格子へ導き、かつ、前記RGBディスプレイ光の第2の部分を前記光エンジンから第2の中間回折格子へ導くことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の部分が前記RGBディスプレイ光の赤成分を含み、前記第2の部分が前記RGBディスプレイ光の緑成分および青成分を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記RGBディスプレイ光の赤成分を第1の経路に沿って前記アウトカプラ回折格子へ導くことと、前記RGBディスプレイ光の緑成分および青成分を第2の経路に沿って前記アウトカプラ回折格子へ導くこととを含む、請求項9~請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記RGBディスプレイ光を前記1つまたは複数の中間回折格子を介して導くことが、前記RGBディスプレイ光を1つまたは複数の多次元回折格子を介して導くことを含み、各々の多次元回折格子が前記導波路の光基板の中に形成された2つ以上のセットの実質的に平行の構造を備える、請求項9~請求項
11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記アウトカプラ回折格子および前記インカプラ回折格子のうちの少なくとも一方は多次元回折格子である、請求項9~請求項
11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
導波路のインカプラ回折格子で前記RGBディスプレイ光を受け取ることが、1.6以下の屈折率を有する光基板の中に形成されたインカプラ回折格子で前記RGBディスプレイ光を受け取ることを含む、請求項9
~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
コンピュータシステム
に、導波路の少なくとも部品を製造するプロセスの一部を実施
させるプログラムであって、前記導波路は、
光基板と、
光エンジンから赤、緑および青(RGB)ディスプレイ光を受け取り、かつ、前記RGBディスプレイ光を前記導波路の中へ導くためのインカプラ回折格子と、
前記RGBディスプレイ光の少なくとも一部を前記導波路からユーザの眼に導くためのアウトカプラ回折格子と、
前記RGBディスプレイ光の1つまたは複数の部分を前記インカプラ回折格子から前記アウトカプラ回折格子へ導くための1つまたは複数の中間回折格子と
を備える、
プログラム。
【請求項17】
前記1つまたは複数の中間回折格子は複数の中間回折格子を含み、前記RGBディスプレイ光を前記導波路の中へ導くことが、前記RGBディスプレイ光の第1の部分を前記光エンジンから前記複数の中間回折格子のうちの第1の中間回折格子へ導き、かつ、前記RGBディスプレイ光の第2の部分を前記複数の中間回折格子のうちの第2の中間回折格子へ導くことを含む、請求項16に記載の
プログラム。
【請求項18】
前記インカプラ回折格子および前記1つまたは複数の中間回折格子は、前記RGBディスプレイ光の赤成分を第1の経路に沿って前記アウトカプラ回折格子へ導くためのものであり、また、前記RGBディスプレイ光の緑成分および青成分を第2の経路に沿って前記アウトカプラ回折格子へ導くためのものである、請求項16または請求項17に記載の
プログラム。
【請求項19】
前記複数の中間回折格子の各々は、前記光基板の一部に形成された2つ以上のセットの実質的に平行の構造を備える多次元回折格子である、請求項16
または請求項17に記載の
プログラム。
【請求項20】
前記光基板は1.6以下の屈折率を有する、請求項16
または請求項17に記載の
プログラム。
【国際調査報告】