(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】バッテリーパック、それを含む電力貯蔵装置および自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/35 20210101AFI20240910BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20240910BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240910BHJP
【FI】
H01M50/35 201
H01M50/367
H01M50/342 201
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510379
(86)(22)【出願日】2023-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 KR2023009504
(87)【国際公開番号】W WO2024010361
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2022-0083104
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・スク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ファン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヒョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ビュン・ド・ジャン
【テーマコード(参考)】
5H012
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012BB08
5H012CC10
5H012DD03
(57)【要約】
本発明は、バッテリーセルまたはバッテリーモジュールを収容するバッテリーパックに関するものであって、バッテリーパック内で発生するベンティングガスをサイドフレームに形成されたベンティング入口を介してバッテリーパックの外部に効率的に排出しながら、ベンティング入口を一方向に開閉し得る逆流防止機構によって、上記ベンティングガスがバッテリーパック内に逆流することを防止し得るバッテリーパックに関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のバッテリーセルまたは複数個のバッテリーモジュールが収容されるバッテリーパックであって、
ガスベンティングチャネルが内部に形成され、前記ガスベンティングチャネルと連通するベンティング入口が前記バッテリーセルまたはバッテリーモジュールと対向する内壁の少なくとも1箇所に形成されたサイドフレームを含むパックハウジングと、
一側辺が開放された図形形状のカッティングラインで囲まれたプレート切開部と、前記プレート切開部を囲むプレート本体部とを備え、前記ベンティング入口を覆って前記サイドフレームの内壁に結合されるベンティングプレートと、
前記ベンティング入口と反対側の前記ベンティングプレートの内側に、前記プレート切開部を覆って前記ベンティングプレートに結合される規制部材と、を含み、
前記プレート切開部は、前記プレート本体部と連結される一側辺を支持軸として前記ベンティング入口の内側への移動が可能であるが、前記ベンティング入口と反対側の方向への移動が前記規制部材によって遮断される、バッテリーパック。
【請求項2】
前記ガスベンティングチャネルは、前記バッテリーセルまたはバッテリーモジュールの縁に沿って前記サイドフレーム内に形成される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記ベンティング入口は、前記バッテリーセルまたはバッテリーモジュールの両側の前記サイドフレームの内壁にそれぞれ形成され、
前記ベンティングプレートおよび前記規制部材は、前記ベンティング入口上にそれぞれ設置される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記ベンティング入口は、前記バッテリーセルの端子部または前記バッテリーモジュールの端子部と対向する前記サイドフレームの内壁に形成され、
前記ベンティングプレートおよび前記規制部材は、前記ベンティング入口上に設置される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記ベンティング入口は、前記サイドフレームの長手方向に沿って所定の長さに形成され、前記プレート切開部は、前記ベンティング入口に挿入可能な大きさに形成される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記プレート切開部が前記ベンティング入口上に位置した状態で、前記プレート本体部が前記ベンティング入口の周りの前記サイドフレームの内壁に結合される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記規制部材は、前記プレート切開部と対向する部分にベンティングホールと前記プレート切開部の移動を遮断する遮断フレームとを備えた遮断ブラケットである、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記遮断ブラケットの縁部と前記プレート本体部が締結部材により前記ベンティング入口の周りの前記サイドフレームの内壁に共に締結される、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記サイドフレームの外壁に前記ガスベンティングチャネルと連通するベンティング出口が形成される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記ベンティング出口は、前記ベンティング入口が形成された前記サイドフレームに対して垂直に配置されるサイドフレームの外壁に形成される、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記ベンティング出口を覆って外部に延在されるベンティングキャップを備えた、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記ベンティング出口または前記ベンティングキャップ内に設置され、所定の圧力および/または所定の温度以上で変形されて前記ベンティング出口を外部に開放するガス密封部材をさらに含む、請求項11に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記プレート切開部は、前記プレート本体部に対で形成される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記ガスベンティングチャネルは、前記サイドフレームの高さ方向に所定の間隔で複数個形成され、
前記ベンティングプレートおよび前記規制部材は、各前記ガスベンティングチャネルと連通するサイドフレームの内壁の各ベンティング入口上に設置される、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
前記ベンティングプレートは、1つのプレート本体部と、前記ガスベンティングチャネルに対応するように高さ方向に所定の間隔で形成される複数個の前記プレート切開部とを備え、
各前記プレート切開部が各前記ベンティング入口上に位置した状態で、前記プレート本体部が前記サイドフレームの内壁の各前記ベンティング入口の周りをすべて覆って前記サイドフレームに結合され、
1つの前記規制部材が前記プレート切開部を覆って前記ベンティングプレートに結合される、請求項14に記載のバッテリーパック。
【請求項16】
請求項1~15のうちいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む電力貯蔵装置。
【請求項17】
請求項1~15のうちいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーセルまたはバッテリーモジュールを収容するバッテリーパックに関するものである。
【0002】
より詳しくは、本発明は、バッテリーパック内で発生するベンティングガスをバッテリーパックの外部に効率的に排出しながら、上記ベンティングガスがバッテリーパック内に逆流することを防止し得るバッテリーパックに関するものである。
【0003】
本発明はまた、上記バッテリーパックを含む電力貯蔵装置および自動車に関するものである。
【0004】
本出願は、2022年7月6日付の韓国特許出願第10-2022-0083104号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0005】
電気自動車などに適用されるバッテリーパックは、高出力を得るために複数の二次電池を含む多数のバッテリーモジュールを直列または並列に連結した構造を有している。そして、上記二次電池は、正極および負極集電体、セパレーター、活物質、電解液などを含む構成要素間の電気化学的反応によって繰り返しの充放電が可能である。
【0006】
二次電池は、充放電を繰り返しながら、いつでも使用中に内部からガスが発生し得、それをベンティングガス(venting gas)と呼ぶ。例えば、過電流が流れると二次電池内部の温度が急速に上昇する。このような温度の急速な上昇は、電解液の分解反応を引き起こしてガスが発生し得る。バッテリーパック内部の二次電池からガスが発生した場合に、このようなガスがパック内部に捕集されてバッテリーパックが爆発するか、またはバッテリーパックの冷却用ダクトなどを介して車両などの内部に流入し得る。そこでバッテリーパックには、内部のガスを外部に排出して内部圧力を減少させるガスベンティングチャネルなどのベンティング機構を備えている。
【0007】
例えば、バッテリーパック内に設置された複数個のバッテリーモジュールのうち1つのモジュールで熱暴走が発生してベンティングガスが発生した場合には、上記ベンティング機構を介してベンティングガスを排出し得る。
【0008】
しかしながら、上記ベンティングガスが外部に排出されず、バッテリーパック内に逆流する場合がある。例えば、上記ガスベンティングチャネルのベンティング出口に設置された破裂シートが設定圧力に到達したにもかかわらず破裂せず、ガスベンティングチャネル内の圧力がより大きくなる場合に、ベンティングガスがむしろバッテリーパック内部に逆流し得る。あるいは、複数個のバッテリーモジュールで熱暴走が発生した場合に、熱暴走圧力がさらに大きいバッテリーモジュール側からそれより圧力が低い側のバッテリーモジュールに上記ガスベンティングチャネルを介してベンティングガスが逆流する場合も想定し得る。
【0009】
こうなると、ベンティングガスを排出するためのガスベンティングチャネルがむしろ熱暴走を他のモジュールに伝達する通路となってしまい、熱暴走が同時多発的に発生する危険性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2018-0039986号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのものであって、ベンティングガスを円滑に排出すると同時にその逆流を防止することにより、熱暴走の伝播を防止または遅延させ得るバッテリーパック、およびそれを含む電力貯蔵装置および自動車を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係るバッテリーパックは、複数個のバッテリーセルまたは複数個のバッテリーモジュールが収容されるバッテリーパックであって、ガスベンティングチャネルが内部に形成され、上記ガスベンティングチャネルと連通するベンティング入口が上記バッテリーセルまたはバッテリーモジュールと対向する内壁の少なくとも1箇所に形成されたサイドフレームを含むパックハウジングと、一側辺が開放された図形形状のカッティングラインで囲まれたプレート切開部と、上記プレート切開部を囲むプレート本体部とを備え、上記ベンティング入口を覆って上記サイドフレームの内壁に結合されるベンティングプレートと、上記ベンティング入口と反対側の上記ベンティングプレートの内側に、上記プレート切開部を覆って上記ベンティングプレートに結合される規制部材と、を含み、上記プレート切開部は、上記プレート本体部と連結される一側辺を支持軸として上記ベンティング入口の内側への移動は可能であるが、上記ベンティング入口と反対側の方向への移動は上記規制部材によって遮断されることを特徴とする。
【0013】
上記ガスベンティングチャネルは、上記バッテリーセルまたはバッテリーモジュールの縁に沿って上記サイドフレーム内に形成され得る。
【0014】
上記ベンティング入口は、上記バッテリーセルまたはバッテリーモジュールの両側のサイドフレームの内壁にそれぞれ形成され、上記ベンティングプレートおよび規制部材は、上記ベンティング入口上にそれぞれ設置され得る。
【0015】
また、上記ベンティング入口は、上記バッテリーセルの端子部または上記バッテリーモジュールの端子部と対向するサイドフレームの内壁に形成され、上記ベンティングプレートおよび規制部材は、上記ベンティング入口上に設置され得る。
【0016】
また、上記ベンティング入口は、上記サイドフレームの長手方向に沿って所定の長さに形成され、上記プレート切開部は、上記ベンティング入口に挿入可能な大きさに形成され得る。
【0017】
上記プレート切開部が上記ベンティング入口上に位置した状態で、上記プレート本体部が上記ベンティング入口の周りのサイドフレームの内壁に結合され得る。
【0018】
上記規制部材は、上記プレート切開部と対向する部分にベンティングホールと上記プレート切開部の移動を遮断する遮断フレームとを備えた遮断ブラケットであり得る。
【0019】
また、上記遮断ブラケットの縁部と上記プレート本体部が締結部材により上記ベンティング入口の周りのサイドフレームの内壁に共に締結され得る。
【0020】
一方、上記サイドフレームの外壁に上記ガスベンティングチャネルと連通するベンティング出口が形成され得る。
【0021】
この場合、上記ベンティング出口は、上記ベンティング入口が形成されたサイドフレームに対して垂直に配置されるサイドフレームの外壁に形成され得る。
【0022】
一実施形態のバッテリーパックは、上記ベンティング出口を覆って外部に延在するベンティングキャップを備え得る。
【0023】
この場合、上記バッテリーパックは、上記ベンティング出口または上記ベンティングキャップ内に設置され、所定の圧力および/または所定の温度以上で変形されて上記ベンティング出口を外部に開放するガス密封部材をさらに含み得る。
【0024】
上記プレート切開部は、プレート本体部に対で形成され得る。
【0025】
上記ガスベンティングチャネルは、上記サイドフレームの高さ方向に所定の間隔で複数個形成され、上記ベンティングプレートおよび規制部材は、上記各ガスベンティングチャネルと連通するサイドフレームの内壁の各ベンティング入口上に設置され得る。
【0026】
また、上記ベンティングプレートは、1つのプレート本体部と、上記ガスベンティングチャネルに対応するように高さ方向に所定の間隔で形成される複数個のプレート切開部とを備え、上記各プレート切開部が各ベンティング入口上に位置した状態で、上記プレート本体部が上記サイドフレームの内壁の各ベンティング入口の周りをすべて覆って上記サイドフレームに結合され、1つの規制部材が上記プレート切開部を覆って上記ベンティングプレートに結合され得る。
【0027】
一方、本発明の一実施形態は、上述したバッテリーパックを含む電力貯蔵装置を提供する。
【0028】
また、本発明の一実施形態は、上述したバッテリーパックを含む自動車を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、以上の多様な実施形態に従って、ベンティングガスを効率的にバッテリーパックの外部に排出し得る。
【0030】
また、以上のような多様な実施形態に従って、ガスベンティングチャネルのベンティングガスがバッテリーパック内部に逆流することを防止することにより、隣接するバッテリーモジュールに熱暴走が伝播することを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態のバッテリーパックを示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る逆流防止機構の結合斜視図である。
【
図3】本発明に係る逆流防止機構の分解斜視図である。
【
図4】
図2のベンティングプレートの動作を示す概略図である。
【
図5】本発明の逆流防止機構の作動状態を示す概略図である。
【
図6】
図1のバッテリーパックからベンティングガスが排出される経路を示す概略図である。
【
図7】本発明のバッテリーパックに備えられたベンティング出口部の一例を示す図面である。
【
図8】本発明の他の実施形態のバッテリーパックを示す概略図である。
【
図9】
図8のベンティングプレートの動作を示す概略図である。
【
図10】本発明の他の実施形態のバッテリーパックを示す概略図である。
【
図11】
図10のベンティングプレートの動作を示す概略図である。
【
図12】本発明の他の実施形態のバッテリーパックを示す概略図である。
【
図13】
図12のベンティングプレートの動作を示す概略図である。
【
図14】本発明の別の実施形態のバッテリーパックを示す概略図である。
【
図15】本発明の別の実施形態のバッテリーパックを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明することによってより明らかになるであろう。ここで説明される実施形態は、発明の理解を助けるために例示的に示したものであり、本発明は、ここで説明される実施形態とは異なるように多様に変形されて実施され得ることを理解すべきであろう。また、発明の理解を助けるために添付された図面は実際の縮尺で図示されたものではなく、一部の構成要素の寸法が誇張されて図示され得る。
【0033】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0034】
本発明の一実施形態に係るバッテリーパックは、複数個のバッテリーセルまたは複数個のバッテリーモジュールが収容されるバッテリーパックであって、ガスベンティングチャネルが内部に形成され、上記ガスベンティングチャネルと連通するベンティング入口が上記バッテリーセルまたはバッテリーモジュールと対向する内壁の少なくとも1箇所に形成されたサイドフレームを含むパックハウジングと、一側辺が開放された図形形状のカッティングラインで囲まれたプレート切開部と、上記プレート切開部を囲むプレート本体部とを備え、上記ベンティング入口を覆って上記サイドフレームの内壁に結合されるベンティングプレートと、上記ベンティング入口と反対側の上記ベンティングプレートの内側に、上記プレート切開部を覆って上記ベンティングプレートに結合される規制部材と、を含み、上記プレート切開部は、上記プレート本体部と連結される一側辺を支持軸として上記ベンティング入口の内側への移動が可能であるが、上記ベンティング入口と反対側の方向への移動が上記規制部材によって遮断されることを特徴とする。
【0035】
一方、本発明の一実施形態は、上述したバッテリーパックを含む電力貯蔵装置を提供する。
【0036】
また、本発明の一実施形態は、上述したバッテリーパックを含む自動車を提供する。
【0037】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態のバッテリーパックを示す斜視図であり、
図2および
図3は、本発明に係る逆流防止機構の結合斜視図および分解斜視図であり、
図4は、
図2のベンティングプレートの動作を示す概略図である。
【0038】
図1~
図4を参照すると、本発明のバッテリーパック100は、複数個のバッテリーセル積層体10と、パックハウジング110と、ベンティングプレート120と、規制部材130と、を含む。
【0039】
上記バッテリーセル11は二次電池であって、パウチ型二次電池、角型二次電池または円筒型二次電池であり得る。以下、本実施形態では、上記バッテリーセルをパウチ型二次電池に限定して説明する。
【0040】
上記バッテリーセル11は、バッテリーパック100内に複数個備えられる。上記複数個のバッテリーセルは、互いに電気的に連結され得るように積層して配置され得る。本発明のバッテリーパック100は、
図1のように複数個のバッテリーセル積層体10を収容してもよいが、後述する他の実施形態のように複数個のバッテリーモジュールを収容してもよい。バッテリーモジュールを収容するバッテリーパックは、従来通常に使用されてきたバッテリーパックである。しかしながら、最近、バッテリーパックの構造を簡素化し、モジュールなしでバッテリーセルから直にバッテリーパックを構成するいわゆるセルツーパック(CELL TO PACK)形態のバッテリーパックが開発されている。
図1のバッテリーパック100もセルツーパック構造を意図したものであって、モジュールなしで複数個のバッテリーセル11が収容されている。バッテリーパック単位の電気容量を得るために、モジュール内に備えられるバッテリーセルより数多くのバッテリーセルが上記バッテリーパック100内に積層配置され得る。あるいは、通常のバッテリーセルより大きい大型および大容量のバッテリーセルをバッテリーパック100内に配置し得る。
【0041】
上記パックハウジング110は、上記バッテリーセル積層体10と電装品アセンブリ(図示せず)を内部に収容する空間を形成する。また、上記パックハウジング110には、車両の車体に結合され得るように所定のブラケットが設けられている構造物である。
【0042】
具体的には、上記パックハウジング110は、バッテリーセルが安着されるベース板111と、上記ベース板111の縁に沿って形成されるサイドフレーム112と、上記バッテリーセルの上部を覆って上記サイドフレーム112に結合されるパックカバー(図示せず)と、を含み得る。後述するように、バッテリーモジュールを収容するパックハウジング110の構造は本実施形態と異なる。
【0043】
上記サイドフレーム112は、具体的には、ベース板111の周縁に沿って垂直に結合されて壁体を形成する前方フレーム112aと、後方フレーム112bと、右側フレーム112cと、左側フレーム112dで構成される。特定のパックハウジング110では、上記右側フレーム112c、左側フレーム112dのみをサイドフレーム112と称することがある。しかしながら、本発明では、パックハウジング110の壁体を形成するすべてのフレームにガスベンティングチャネルおよび後述する逆流防止機構Bが設置され得るため、前方フレーム112aおよび後方フレーム112bまでもサイドフレーム112として定義され得る。
【0044】
上記ベース板111およびフレームを溶接およびボルト締結して、上記パックハウジング110を組み立て得る。
【0045】
図2および
図3に図示されたように、上記サイドフレーム112は、内部にガスベンティングチャネルHが形成される中空状のフレームである。例えば、内部に空き空間が形成されるようにアルミニウムを押出して上記サイドフレーム112を製作し得る。このようにフレームを中空状に構成することによって、パックハウジング110の重量を減らし得る。また、上記空間にリブ状の隔壁を形成すると、フレームの機械的剛性を信頼性のあるレベルに維持し得る。また、この場合は後述するように、隔壁によりフレーム内部にガスベンティングチャネルHを複数個形成し得るので、ガス排出効果を向上させ得る。
【0046】
サイドフレーム112は、バッテリーセルと対向する内壁の少なくとも1箇所にベンティングガスが流入するベンティング入口Iを備える。上記ベンティング入口Iは、サイドフレーム112内部のガスベンティングチャネルHと連通し、パック内部で発生するベンティングガスが上記ベンティング入口IおよびガスベンティングチャネルHを介して外部に排出され得る。
【0047】
上記サイドフレーム112はバッテリーセルの縁に沿って配置され、上記ガスベンティングチャネルHも上記バッテリーセルの縁に沿ってサイドフレーム112内に形成され得る。したがって、一部のバッテリーセルでベンティングガスが発生した場合に、ベンティング入口Iに導入された上記ベンティングガスは、サイドフレーム112に沿った長い経路のガスベンティングチャネルHを介して排出される。この過程で不完全燃焼したベンティングガスが完全燃焼するか、あるいは高温高圧のベンティングガスの温度と圧力を下げることができる。すなわち、ベンティング経路を長くすることにより、不安定なベンティングガスの状態を安定化し得るので、ベンティングガスによる事故の危険性を低下させ得る。
【0048】
本発明のベンティング入口Iは、後述するベンティングプレート120の一部が挿入され得るように、サイドフレーム112の長手方向に沿って所定の長さに形成されることが好ましい。
【0049】
本発明は、隣接するバッテリーセルに高温のベンティングガスが伝播することを防止するために所定の逆流防止機構Bを備えることを特徴とする。
【0050】
図2および
図3を参照すると、上記逆流防止機構Bは、上記ベンティング入口I上に設置される。ガスベンティングチャネルHは狭く、サイドフレーム112の内部に形成されるので、ガスベンティングチャネルHの通路に逆流防止機構を設置することは非常に困難である。例えば、チェックバルブなどの逆流防止機構をガスベンティングチャネルの通路に設置することは困難である。また、通路に設置するためには、チェックバルブに含まれる構成要素をより小さく、細密に設計する必要があるという難しさがある。本発明は、外部に露出したサイドフレーム112の内壁に形成されたベンティング入口I側に逆流防止機構Bを設置するので、パックハウジング110に容易に逆流防止機構Bを装着し得る。また、ベンティング入口I自体を遮断するように逆流防止機構Bを構成したので、後述するように、逆流防止機構Bの構成要素を比較的大きく作ることができ、製作が容易である。特に、ガスベンティングチャネルの通路にチェックバルブなどを設置する場合に、チェックバルブ後の通路部分でのベンティングガスの逆流を防ぎ得るかどうか分からないが、チェックバルブ前、例えば、バッテリーセルとチェックバルブとの間のガスベンティングチャネル部分に逆流が発生した場合には、ベンティングガスの逆流を防ぎ得ないという問題がある。
【0051】
本発明は、ベンティング入口I自体に逆流防止機構Bを設置し、ベンティングガスが他のバッテリーセルやバッテリーモジュールに伝播することを源泉的に遮断し得るという長所がある。
【0052】
図2および
図3を参照すると、本発明の逆流防止機構Bは、ベンティングプレート120と規制部材130とを含んで構成される。
【0053】
上記ベンティングプレート120は、一側辺が開放された図形形状のカッティングラインCで囲まれたプレート切開部121と、上記プレート切開部121を囲むプレート本体部122と、を備える。
【0054】
上記プレート切開部121の一側辺121aはプレート本体部122から延在しており、カッティングラインCが形成されない。プレート切開部121の他の側辺は、カッティングラインCによってプレート本体部122と分離されている。したがって、上記カッティングラインCで囲まれたプレート部分であるプレート切開部121は、
図4のように、上記一側辺121aを支持軸としてベンティング入口I側またはその反対側への移動が可能である。例えば、ベンティングガスが有する圧力によって、上記プレート切開部121は、上記支持軸を中心としてベンティング入口Iに移動する片持ち運動をし得る。より具体的には、上記支持軸を中心にプレート切開部121の一端部がベンティング入口Iやその反対方向に向かって曲がる弾性変形が可能である。
図2~
図4では、上記カッティングラインCがU字状に形成され、上記プレート切開部121は、一側辺121aが開放された略長方形の形状からなっている。しかしながら、カッティングラインCおよびプレート切開部121の形状は、これに限定されるものではない。一側辺がプレート本体部122と連結されていれば、上記カッティングラインCおよびプレート切開部121は、一側辺が開放された三角形形状、または一側部分が開放された円形、楕円形状、その他の多角形形状も可能である。ただし、上記プレート切開部121は、ベンティング入口I内に移動してベンティング入口Iを開放する役割を果たすので、その大きさは上記ベンティング入口Iの大きさを考慮して決定され得る。例えば、上記ベンティング入口Iは、
図2のように、サイドフレーム112の長手方向に沿って所定の長さに形成され得る。すなわち、ベンティング入口Iは、ベンティングガスの効率的な排出のために楕円形または長方形の形態に長く形成され得る。これにより、上記プレート切開部121も上記ベンティング入口Iに対応する長さに長く形成され得、上記ベンティング入口Iに挿入可能な大きさに形成される。
【0055】
上記ベンティング入口Iは、サイドフレーム112の内壁においてバッテリーパック100の内部に向かって開放されている。また、上記ベンティング入口IはガスベンティングチャネルHと連通しているので、上記ベンティング入口Iと上記ガスベンティングチャネルHとの間には、サイドフレーム112の内壁厚さに該当する短い長さの連通空間が形成される。上記プレート切開部121は、一側辺を支持軸としてベンティング入口Iを介して上記連通空間内に移動し得る。すなわち、上記連通空間は、ベンティング入口IとガスベンティングチャネルHとの間でプレート切開部121が移動し得る余裕空間となる。
【0056】
上記ベンティングプレート120は、一側辺を中心にプレート切開部121が弾性変形可能な材質のものを採択し得る。ただし、バッテリーパック100内で発生する高温高圧のベンティングガスに耐えることができる材質のものでなければならない。例えば、スチール、ステンレスなどの金属材質で上記ベンティングプレート120を作ることができる。
【0057】
図3のように、上記ベンティングプレート120は、ベンティング入口Iを覆って上記サイドフレーム112の内壁に結合される。
【0058】
具体的には、上記プレート切開部121が上記ベンティング入口I上に位置した状態で、プレート本体部122が上記ベンティング入口Iの周りのサイドフレーム112の内壁に結合される。ベンティングプレート120の結合のために、
図2のように、サイドフレーム112の内壁およびプレート本体部122の縁には所定の締結孔h1、h2が形成され、締結部材によりベンティングプレート120をサイドフレーム112のベンティング入口部に結合し得る。あるいは、溶接などの他の方法によってもベンティングプレート120をサイドフレーム112に結合し得るが、結合方法はこれに限定されるものではない。プレート切開部121周囲のプレート本体部122は、プレート切開部121の移動時にそれを支持する役割を果たすので、上記プレート本体部122は、上記サイドフレーム112の内壁に強固に結合される必要がある。
【0059】
図2を参照すると、上記ベンティングプレート120の内側、すなわち、ベンティング入口Iと反対側のベンティングプレート120の側面には、上記プレート切開部121の移動を規制する規制部材130が位置する。上記規制部材130は、少なくとも上記プレート切開部121を覆うように上記ベンティングプレート120に結合される。
【0060】
上記規制部材130は、プレート切開部121の移動を遮断するブラケット状の部材であり得る。
図2には、上記規制部材130として、ベンティング入口Iおよびプレート切開部121の形態に対応する四角枠状の遮断ブラケットが図示されている。上記遮断ブラケットは、プレート切開部121の移動のみを遮断し、ベンティングガスの流れは許容しなければならない。したがって、上記遮断ブラケットのプレート切開部121と対向する部分には、ベンティングガスの通路であるベンティングホール132を備えている。また、上記対向部分である遮断ブラケットの略中央部分には、プレート切開部121の移動を遮断するための遮断フレーム133が設置されている。すなわち、本実施形態の遮断ブラケットは、四角枠の縁フレーム131とベンティングホール132付近の遮断フレーム133によってベンティングプレート120の移動を規制している。
【0061】
上記遮断ブラケットの大きさおよび形状は、ベンティングプレート120との結合面積、プレート切開部121の遮断容易性などを考慮して好適に決定し得る。また、上記遮断ブラケットのベンティングホール132の大きさ、位置、個数と遮断フレーム133の形状および位置、縁フレーム131の大きさおよび形状もプレート切開部121の遮断容易性などを考慮して好適に変更し得る。
【0062】
上記遮断ブラケットの材質は、高温高圧のベンティングガスに耐えることができる金属、プラスチック樹脂などの材質を採用し得る。
図3に図示されたように、遮断ブラケットの縁フレーム131を上記ベンティングプレート本体部122に結合し得る。この場合、上記遮断ブラケットの縁部(縁フレーム131)とプレート本体部122を締結部材により上記ベンティング入口Iの周りのサイドフレーム112の内壁に共に締結し得る。したがって、逆流防止機構Bの設置作業を一度の締結作業により容易に行い得る。また、上記遮断ブラケットの縁フレーム131が上記プレート本体部122と共にサイドフレーム112の内壁に強固に締結されるので、この締結部によって支持されながら上記プレート切開部121が安定的に弾性変形され得る。
【0063】
上記遮断ブラケットの内側にはバッテリーセルまたはバッテリーモジュールが位置し、異常高熱発生時に上記セルまたはモジュールからベンティングガスが発生して、上記遮断ブラケット側へ排出され得る。
【0064】
上記ベンティングプレート120と規制部材130(遮断ブラケット)とを含む逆流防止機構Bは、バッテリーセルまたはバッテリーモジュールと対向する内壁の少なくとも1箇所に設置され得る。また、効率的なガス排出のために、上記ベンティング入口Iは、少なくとも上記バッテリーセルまたはバッテリーモジュールの両側のサイドフレーム112の内壁に形成され得、この場合、上記ベンティングプレート120および規制部材130が上記ベンティング入口上にそれぞれ設置され得る(
図1参照)。ベンティング入口Iが両側サイドフレーム112に形成されると、バッテリーパック100内の両側で発生するベンティングガスを同時に排出し得るので、迅速にベンティングガスを排出し得る。また、一側のベンティング入口Iに偏重してベンティングガスが排出されることを防止し得るので、バッテリーパック100内の内圧をバランスよく維持し得る。ベンティング入口Iが両側サイドフレーム112に形成されるときに、ガスの逆流を防止するために、上記ベンティングプレート120および規制部材130は両側の各ベンティング入口I上に設置される。
【0065】
また、バッテリーセルの端子部12またはバッテリーモジュールの端子部は高熱のベンティングガスが発生しやすいため、それに対向するサイドフレーム112の内壁にベンティング入口Iおよび上記逆流防止機構Bを設置することが好ましい(
図1参照)。
【0066】
図5は、本発明の逆流防止機構Bの作動状態を示す概略図であり、
図6は、本実施形態に従ってベンティングガスが排出される経路を示す概略図である。
【0067】
図1のように、サイドフレーム112の外壁には、上記ガスベンティングチャネルHと連通するベンティング出口Oが形成される。ベンティング入口Iとベンティング出口Oの位置によって、サイドフレーム112を介するガスベンティング経路が変わり得る。ベンティング出口Oをベンティング入口Iから遠ざけると、ガスベンティング経路を長くし得る。好ましくは、
図1および
図6のように、ベンティング入口Iが形成されたサイドフレーム112c、112dに対して垂直に配置されるサイドフレーム112aの外壁にベンティング出口Oを形成すると、水平方向から垂直方向に続く長い経路のガスベンティング経路を得ることができる。
【0068】
図1、
図4、
図5および
図6を参照して、本発明に係る逆流防止機構Bの作動を説明する。
【0069】
熱暴走が発生しない通常のバッテリーパック100の運転状態では、上記ベンティングプレート120によってベンティング入口Iが覆われているので、ベンティングガスがベンティング入口Iおよびそれと連通するガスベンティングチャネルHにほとんど排出されない。例えば、ベンティングガスの圧力がプレート切開部121を移動させるほど大きくない場合には、微量のベンティングガスが上記ベンティングプレート120のカッティングラインC、すなわち、プレート本体部122とプレート切開部121との間の狭いギャップを介してガスベンティングチャネルHに移動されるのみである。このとき排出されるベンティングガスの量は、上記カッティングラインCの大きさによって変わる。カッティングラインCの幅と長さは、上記プレート切開部121の移動を妨げない程度に設定され得る。例えば、カッティングラインCの幅が大きいと、プレート切開部121が容易に移動され得る。また、カッティングラインCの幅と長さが大きいと、より多い量のベンティングガスをガスベンティングチャネルHに送り得る。
【0070】
上記ベンティング出口Oが遮断されない場合には、このように微量のベンティングガスが少しずつ外部に排出されると、バッテリーパック100内の圧力上昇を防止し得る。この場合、上記ベンティングプレート120のカッティングラインCは、パック内のベンティングガスを排出するベンティングホールとしての役割を果たすことになる。
【0071】
一方、バッテリーセルまたはバッテリーモジュールに異常高熱現象が発生して多量のベンティングガスが発生し、そのベンティングガスの圧力がプレート切開部121を動かし得る所定の設計圧力以上になる場合に、上記ベンティングプレート120は変形される。すなわち、
図4および
図5に図示されたように、上記プレート切開部121がベンティングプレート120との連結部である一側辺121aを支持軸として上記ベンティング入口I内に移動することになる。このとき、上記一側辺121aと反対側のプレート切開部121の端部がベンティング入口Iに向かうように、上記プレート切開部121が弾性変形される。ベンティング入口Iを覆っていたプレート切開部121がベンティング入口Iの内側に移動することにより、ベンティング入口Iが確実に開放される。これにより、多量のベンティングガスが上記ベンティング入口Iを介してガスベンティングチャネルHに移動し得る。
図5の(b)では、プレート切開部121が一側辺を支持軸としてベンティング入口Iに向かって移動することが図示されている。
図3を参照すると、上記ベンティング入口I表面と上記ガスベンティングチャネルHとの間には、サイドフレーム112の内壁厚さほどの段差が形成される。したがって、上記プレート本体部122に続くプレート切開部121の一側辺121aとそれに隣接する部位は、プレート切開部121の移動時に上記段差部分に押されて緩やかに曲がることができる。
【0072】
図6のように、上記ベンティングガスは、サイドフレーム112内に形成されたガスベンティングチャネルHを介してサイドフレーム112の外壁に形成されたベンティング出口Oに移動し、上記ベンティング出口Oからバッテリーパック100の外部に排出される。したがって、バッテリーパック100内の単位時間当たりの圧力増加を減少させ、熱暴走がバッテリーパック100内で連鎖的に発生することを防止し得る。また、上記ベンティング経路を介してベンティングガスの他に火炎も排出し得るので、熱暴走が発生したバッテリーセルまたはモジュールの他に、他のバッテリーセルおよびモジュールに火炎が伝播することも防止し得る。
【0073】
このとき、
図5に図示されたように、上記ベンティングプレート120のプレート切開部121は、ベンティング入口I側への移動が可能であるが、その反対方向への移動が、上記遮断ブラケットによって遮断される。例えば、何らかの理由でバッテリーパック100の外部の圧力がパックの内部の圧力よりさらに高くなった場合に、上記プレート切開部121は、ガスベンティングチャネルH側からベンティング入口Iに向かう方向の圧力を受けることになる。あるいは、一側のガスベンティングチャネルHの圧力が他側のガスベンティングチャネルHの圧力より高くなった場合に、上記他側のガスベンティングチャネルHと連結されたベンティング入口Iにベンティングガスの圧力が加わることになる。上記プレート切開部121は、カッティングラインCによって上記プレート本体部122と分離されている。したがって、この場合、上記プレート切開部121は、ベンティングガスの圧力によって一側辺121aを中心にバッテリーパック100の内側、すなわち、遮断ブラケットに向かって移動する片持ち運動をしようとする。しかしながら、上記遮断ブラケットは、上記プレート切開部121を覆いながら、上記プレート本体部122およびサイドフレーム112の内壁に固定されているので、上記プレート切開部121がベンティング入口Iと反対方向に移動することは源泉的に遮断される。これにより、ベンティングガスがガスベンティングチャネルHからベンティング入口Iを介してバッテリーパック100内部に逆流することを確実に防止し得る。上記遮断ブラケットは、プレート本体部122と結合される縁フレーム131と、上記縁フレーム131を横切る方向に延在した遮断フレーム133と、を備え、上記プレート切開部121は、この遮断フレーム133によってバッテリーパック100の内側に移動することはできない。ただし、上記遮断ブラケットは、上記遮断フレーム133と縁フレーム131との間にベンティングホール132(ベンティング空間)を備えているので、バッテリーパック100内のベンティングガスがベンティング入口Iに向かって流れるようにする一方向移動は許容している。
【0074】
このように、本発明に係るバッテリーパック100は、外部へのベンティングガスの排出が可能であるため、パック内部の圧力増加を防止し、熱暴走の連鎖発生を効果的に遮断しながらも、上記ベンティングプレート120と規制部材130(遮断ブラケット)により、パック内部へのベンティングガスの逆流を防止して、隣接するバッテリーセルまたはバッテリーモジュールに高温のベンティングガスが伝播することを防止し得る。これにより、本発明のバッテリーパック100の安全性は一層強化される。
【0075】
また、
図6のように水平方向に設置されるサイドフレーム112c、112dにベンティング入口IおよびガスベンティングチャネルHを形成し、上記ベンティング入口Iが形成されたサイドフレーム112c、112dに対して垂直に配置されるサイドフレーム112a、112bに上記ガスベンティングチャネルHと連通するガスベンティングチャネルおよびベンティング出口Oを形成すれば、より長い経路を介してベンティングガスを排出し得る。これにより、高温のベンティングガスがすぐにパックの外部に排出されることを遮断して安全性を高めることができる。特に、高温高圧のベンティングガスが上記長い経路を介して移動することにより温度および圧力が低くなって、ベンティング出口Oでの安全性をさらに改善し得る。
【0076】
図7は、本発明のバッテリーパックのベンティング出口Oに備えられたベンティング機構部113の一例を示す図面である。
【0077】
上記ベンティング機構部113は、上記ベンティング出口Oにベンティングガスの流出を防ぐためのベンティングキャップ114を備えている。上記ベンティングキャップ114はベンティング出口Oを覆い、所定の長さほど外部に延在してベンティングガスを外部に誘導する経路を形成する。したがって、上記ベンティングキャップ114の長さほどベンティング経路を延在し得る。
【0078】
上記ベンティング出口Oまたは上記ベンティングキャップ114内には、ガス密封部材115が設置され得る。上記ガス密封部材115は、例えばシート状の部材であり得る。上記ガス密封部材115は、所定の圧力および/または所定の温度以上で変形されて上記ベンティング出口Oを外部に開放し得る。例えば、上記ガス密封部材115は、ベンティングガスの圧力が一定圧力以上になる場合には破裂するように構成された破裂シートであり得る。あるいは、上記シート部材は、所定の温度以上で溶けながら上記ベンティング出口Oを開放し得る。このために、上記シート部材は、高温に脆弱なフィルムまたはフォーム(foam)物質で設けられ得る。
【0079】
上記ベンティングキャップ114およびガス密封部材115がベンティング出口Oに設置される場合には、微量のベンティングガスがバッテリーパック内で発生してもベンティングガスが外部に排出されないので、バッテリーパック100の安全性を高めることができる。また、バッテリーパック100内の気密性を維持することにより、バッテリーパック100の作動安定性を強化し得る。この場合、上記ベンティングプレート120のカッティングラインCを介して上記ベンティング入口Iに移動される微量のベンティングガスは、上記ガス密封部材115によってバッテリーパック100の外部に排出されることが防止され得る。ただし、実際にはバッテリーパック100内を完全に気密に維持することは難しいため、上記ガス密封部材115以外のパックハウジング110の微細な隙間を介して極微量のベンティングガスがパックの外部に放出されることもできる。
【0080】
図7のベンティングキャップ114とガス密封部材115とを備えたバッテリーパック100の場合に、バッテリーセルまたはバッテリーモジュールに異常高熱現象が発生して多量のベンティングガスが発生し、パック内部の圧力が上記ガス密封部材115の設定された破裂圧力を超える場合に、上記ガス密封部材115は破裂してベンティング出口Oが開放される。あるいは、ガス密封部材115の耐熱限界を超える高温のベンティングガスが排出される場合には、ガス密封部材115が溶けて上記ベンティング出口Oが開放され得る。
【0081】
この場合、上記ベンティングガスの圧力により、上記プレート切開部121がベンティングプレート120との連結部である一側辺を支持軸として上記ベンティング入口I内に移動する。これにより、ベンティング入口Iが確実に開放され、多量のベンティングガスがベンティング入口Iを介してガスベンティングチャネルHに移動され、上記開放されたベンティング出口Oを介してバッテリーパック100の外部に排出される。
【0082】
これにより、バッテリーパック100内の単位時間当たりの圧力増加を減少させ、熱暴走がバッテリーパック100内で連鎖的に発生することを防止し得る。また、上記ベンティング経路を介してベンティングガスの他に火炎も排出し得るので、他のバッテリーセルおよびモジュールに火炎が伝播することも防止し得る。
【0083】
このとき、上記ベンティングプレート120のプレート切開部121は、ベンティング入口I側への移動が可能であるが、その反対方向への移動が上記遮断ブラケットによって遮断される。すなわち、上記遮断ブラケットによって、上記プレート切開部121がベンティング入口Iと反対側の方向に移動されることは源泉的に遮断される。これにより、ベンティングガスがガスベンティングチャネルHからベンティング入口Iを介してバッテリーパック100の内部に逆流することを確実に防止し得る。特に、本発明は、上記ガス密封部材115が設定された圧力または温度に達しても破壊されない場合の安全性をさらに向上させ得る。例えば、上記ガス密封部材115が設定圧力または温度を超えても破壊されなければ、ベンティングガスが上記ベンティング出口Oを介して排出されない。この場合、ガスベンティングチャネルH内のベンティングガスの圧力が上昇し、バッテリーパック100の内部圧力より大きくなる。したがって、ガスベンティングチャネルH内のベンティングガスがバッテリーパック100の内部に向かう圧力を受けて逆流しようとする。もし本発明のようなガス逆流防止機構がないと、上記ベンティングガスがバッテリーパック100内部に流入して熱暴走が発生しないバッテリーセルまたはバッテリーモジュールに瞬時に伝播して連鎖的な爆発を引き起こし得る。しかしながら、本発明は、ベンティングプレート120と規制部材130とを備えてベンティングガスの逆流を防止し得るので、このような連鎖的な爆発を防止または遅延させ得る。また、ベンティングガスの逆流が防止されている間にガスベンティングチャネルHの圧力や温度がさらに高くなると、上記ガス密封部材115が破壊され得る。すなわち、ガス密封部材115が破壊されるまで、バッテリーパック100の内部は、上記逆流防止機構によって保護され得、さらに、上記ガス密封部材115が破壊されるまでの時間を確保し得る。これにより、上記ガス密封部材の作動のための時間的なマージンを確保し、バッテリーパック100のベンティング信頼性も改善し得る。
【0084】
(第2実施形態)
図8は、本発明の他の実施形態のバッテリーパックを示す概略図であり、
図9は、
図8のベンティングプレート120の動作を示す概略図である。
【0085】
図2~
図5に図示されたバッテリーパックのベンティングプレート120は、プレート本体部122に1つのプレート切開部121を備えている。本実施形態では、上記ベンティングプレート120がプレート本体部122に対でプレート切開部121、121’を備えている。すなわち、本実施形態では、プレート本体部122の左側と右側にそれぞれ一側辺が開放されたカッティングラインCを形成し、上記カッティングラインCで囲まれたプレート切開部121、121’が一列に配列されるように、上記プレート切開部121、121’を一対で備えている。本例では、1つのプレート切開部の長さが
図4の例に比べて小さい。長さが小さいプレート切開部121、121’は弾性変形が容易であるため、より小さなガス圧力でも片持ち運動が可能であり、ベンティング時のベンティング入口Iの開放がより容易に行われ得る。また、一対のプレート切開部121、121’がベンティング入口I内側に共に移動するので、ベンティングガスの圧力を一対のプレート切開部121、121’の移動により形成された空間にそれぞれ均一に配分し得る。また、一対のプレート切開部121、121’が移動してそれぞれ開放空間を形成するため、
図3のベンティングプレート120よりベンティング入口Iへの開放空間の面積を大きくし得る。したがって、より多い量のベンティングガスをベンティング入口Iに誘導し得る。
【0086】
(第3実施形態)
図10は、本発明の他の実施形態のバッテリーパックを示す概略図であり、
図11は、
図10のベンティングプレート120の動作を示す概略図である。
【0087】
本実施形態は、パックハウジング110が備えるサイドフレーム112のガスベンティングチャネルHを高さ方向に複数個形成している。すなわち、上記ガスベンティングチャネルHがサイドフレーム112の高さ方向に所定の間隔で複数個形成されたものである。図示された実施形態では、高さ方向に所定の間隔を置いて3つのガスベンティングチャネルH1、H2、H3が形成されているが、2つまたは4つまたはそれ以上の個数でガスベンティングチャネルHを形成し得る。理論的には、バッテリーパックの側壁高さが許容する範囲でガスベンティングチャネルHの個数を高さ方向に必要な個数ほど形成し得る。
【0088】
例えば、上記サイドフレーム112を押出加工により製作する場合に、押出部材の進行方向に沿って1つまたは複数個の内部空間が形成され、上記内部空間をガスベンティングチャネルHとし得る。
図2および
図3のように、サイドフレーム112に1つの大きな中空を形成し、それをガスベンティングチャネルHとした場合には、ベンティングガスの排出量は増やし得るが、サイドフレーム112の機械的剛性が不足し得る。
【0089】
一方、
図10のように上記中空空間にリブ状の隔壁Rを形成すれば、サイドフレーム112の機械的剛性を高めながらパックハウジング110の重量を減らし得る。また、高さ方向に複数個のガスベンティングチャネルH1、H2、H3を形成することにより、バッテリーセルまたはバッテリーモジュールの高さ方向に沿った特定部分でガスが発生した場合には、その位置に応じてベンティングガスを好適にガスベンティングチャネルHに誘導し得る。
【0090】
この場合、サイドフレーム112の内壁には、上記各ガスベンティングチャネルH1、H2、H3に対応してベンティング入口も3つ形成される。
図10を参照すると、高さ方向に沿って3つのベンティング入口I1、I2、I3がサイドフレーム112の内壁に形成され、このベンティング入口I1、I2、I3が上記ガスベンティングチャネルH1、H2、H3とそれぞれ連通することが分かる。この場合、上記各ベンティング入口I1、I2、I3にベンティングガスを移動させながら、バッテリー内側にベンティングガスが逆流することを防止するために、上述したベンティングプレート120および規制部材130が上記サイドフレーム112の内壁のベンティング入口I1、I2、I3上にそれぞれ設置され得る。すなわち、本発明の逆流防止機構Bも、ベンティング入口I1、I2、I3およびガスベンティングチャネルH1、H2、H3の個数に対応して3つを設置し得る。
【0091】
しかしながら、
図10の実施形態では、ベンティング入口Iを覆う逆流防止機構Bを1つのみ設置して装置構成を簡素化している。すなわち、逆流防止機構Bを構成するベンティングプレート120および遮断ブラケット130は、各ベンティング入口IおよびガスベンティングチャネルHに対して1つのみを設置して装置製作コストを低減するようにした。代わりに、上記各ベンティング入口Iの開閉のために、上記ベンティングプレート120に設置されるプレート切開部をベンティング入口Iの数に対応して複数個形成した。
図10および
図11を参照すると、上記ベンティングプレート120は、1つのプレート本体部122と、上記ガスベンティングチャネルH1、H2、H3およびベンティング入口I1、I2、I3の個数に対応するように高さ方向に所定の間隔で3つのプレート切開部121、123、125とが備えられている。すなわち、一側辺が開放された図形形状のカッティングラインCが上記プレート本体部122上に高さ方向に3つ備えられる。したがって、上記カッティングラインCで囲まれたプレート切開部121、123、125も3つである。
【0092】
上記それぞれのプレート切開部121、123、125がそれぞれのベンティング入口I1、I2、I3上に位置した状態で、上記プレート本体部122は、上記サイドフレーム112の内壁の各ベンティング入口Iの周りをすべて覆ってサイドフレーム112に結合される。
【0093】
また、規制部材130である上記遮断ブラケットも1つのみ備えられ、この1つの遮断ブラケットが上記3つのプレート切開部121、123、125をすべて覆いながら上記ベンティングプレート120に結合され得る。
【0094】
本実施形態において、微量のベンティングガスは、上記3つのカッティングラインCを介してガスベンティングチャネルH1、H2、H3に流出し得る。多量のベンティングガスが発生して設定された圧力以上になる場合には、
図11のように、上記3つのプレート切開部121、123、125がそれぞれ対応するベンティング入口I1、I2、I3内に移動して、多量のベンティングガスをそれぞれのガスベンティングチャネルH1、H2、H3に誘導し得る。この場合、各プレート切開部121、123、125が高さ方向にそれぞれのベンティング入口I1、I2、I3を開放し得、上記各ベンティング入口I1、I2、I3と連結されたガスベンティングチャネルH1、H2、H3にベンティングガスがそれぞれ移動して、最終的にサイドフレーム112の外壁に形成されたベンティング出口Oに上記ベンティングガスが排出され得る。
【0095】
(第4実施形態)
図12は、本発明の他の実施形態のバッテリーパックを示す概略図であり、
図13は、
図12のベンティングプレートの動作を示す概略図である。
【0096】
本実施形態のベンティングプレート120は、
図9のように、プレート切開部121がプレート本体部122の左側と右側に対で形成されたものである。また、上記ベンティングプレート120は、
図10および
図11のように、ガスベンティングチャネルHに対応するように高さ方向に所定の間隔でプレート切開部を3つ備えている。したがって、本実施形態では、高さ方向に3対のプレート切開部121、121’、123、123’、125、125’を備える。
【0097】
このベンティングプレート120も、
図9のベンティングプレート120のようにプレート切開部の長さを小さくし得るので、弾性変形をより容易にし得る。また、プレート切開部の数が増加するほど、
図13のように各ベンティング入口Iへの開放面積が増加し、多量のベンティングガスをより容易にガスベンティングチャネルHに排出し得る。
【0098】
(第5実施形態)
図14は、本発明の別の実施形態のバッテリーパックを示す概略図である。
【0099】
本実施形態は、パックハウジング内に複数個のバッテリーモジュールが収容されるバッテリーパック200に関するものである。
【0100】
図示されたように、パックハウジング210のベース板211上に複数個、例えば、6つのバッテリーモジュールM1~M6が収容され、サイドフレーム212は、上記6つのバッテリーモジュールM1~M6を囲みながら上記ベース板211の縁に沿って結合されてパックハウジング210を形成する。
【0101】
バッテリーモジュールのモジュールケース内には、複数個のバッテリーセルが収容され得る。このために、上記モジュールケースには、複数個のバッテリーセルを収容するための収容空間が設けられ得る。上記バッテリーパックは、複数個のバッテリーモジュールと、電装品アセンブリ(図示せず)と、パックハウジングと、を含む。
【0102】
電装品アセンブリは、リレー装置、電流センサ、ヒューズ、BMS、MSD(Manual Service Disconnector)などを収容し得る。このような電装品アセンブリは、バッテリーモジュールと共にパックハウジングによって外部に露出しないようにパッケージングされ得る。
【0103】
図14のパックハウジング210は、複数個のバッテリーモジュールを収容し得るように、
図1のパックハウジングと形態が多少異なる。すなわち、
図14のパックハウジング210は、ベース板211上にセンターフレーム214と、上記センターフレーム214とサイドフレーム212との間にバッテリーモジュールを区画設置し得るように隔壁(クロスビーム215)が設置される。バッテリーモジュールの縁に沿ってサイドフレーム212がベース板211上に設置される。また、パックカバー(図示せず)が上記バッテリーモジュールを覆い、サイドフレーム212の上部に設置される。すなわち、パックカバー、サイドフレーム212、ベース板211、センターフレーム214、クロスビーム215がモジュールを収容するパックハウジング210を構成する。
【0104】
上記サイドフレーム212は、内部に中空状のガスベンティングチャネルHを備える。
図14のように、サイドフレーム212に沿って1つのガスベンティングチャネルHを形成する場合には、各バッテリーモジュール別にこの1つのガスベンティングチャネルHとそれぞれ連通するベンティング入口I1、I2、I3をそれぞれ形成し得る。また、サイドフレーム212の一側外壁には、上記ガスベンティングチャネルHと連通するベンティング出口Oまたは
図7に図示されたようなベンティング機構部213が形成され得る。
【0105】
上記各ベンティング入口I上に、本発明に係るベンティングプレート220および遮断ブラケット230が設置される。この場合、
図14に図示されたように、バッテリーモジュール両側のサイドフレーム212c、212dの内壁にベンティング入口Iと上記逆流防止機構B1、B2、B3がそれぞれ設置されることが好ましい。これにより、バッテリーパック内部の両側に配置されたバッテリーモジュールからベンティングガスをバランスよく上記ベンティング入口 I1、I2、I3に排出し得る。また、両側のサイドフレーム212c、212dから、それらに対して垂直に配置された前方フレーム(前方サイドフレーム212a)に向かってベンティングガスをバランスよく移動させ得る。
【0106】
また、上記バッテリーモジュールの端子部が形成された側のサイドフレーム212の内壁にベンティング入口 I1、I2、I3および逆流防止機構B1、B2、B3が設置されることが好ましい。モジュール端子部は、ベンティングガスが発生しやすいため、それに対向するサイドフレーム212の内壁にベンティング入口 I1、I2、I3を形成すれば、ベンティングガスをより容易に外部に排出し得る。
【0107】
本実施形態においても、各ベンティング入口 I1、I2、I3上に設置されるそれぞれの逆流防止機構B1、B2、B3は、ベンティングガスをベンティング入口 I1、I2、I3に一方向に排出し得るようにしながら、バッテリーモジュール内側に逆流することを防止し得る。
【0108】
これにより、特定のバッテリーモジュールから排出されるベンティングガスの圧力が高い場合にも、上記逆流防止機構B1、B2、B3により、そのベンティングガスが隣接する他のバッテリーモジュールに逆流することを防止し得る。
【0109】
(第6実施形態)
図15は、本発明の別の実施形態のバッテリーパックを示す概略図である。
【0110】
本実施形態は、
図12のようにサイドフレーム212の高さ方向に沿って複数個のガスベンティングチャネルH1、H2、H3を備えたものである。サイドフレーム212の内部空間をリブのような隔壁Rによって区画すると、上記内部空間を複数個のガスベンティングチャネルH1、H2、H3とし得る。また、上記リブの剛性によってサイドフレーム212の機械的剛性を維持し得る。
【0111】
この場合、高さ方向に沿って位置する各ガスベンティングチャネルH1、H2、H3を各バッテリーモジュールのガスベンティングのための専用のガスベンティングチャネルとして割り当てることができる。
【0112】
すなわち、
図15に図示されたように、高さ方向に沿った3つのガスベンティングチャネルH1、H2、H3のうち最上端のガスベンティングチャネルH1は、M1のバッテリーモジュールと連通するように、M1のバッテリーモジュールと対向する最上端のサイドフレーム212の内壁にベンティング入口I1を形成し得る。また、中間のガスベンティングチャネルH2は、M2のバッテリーモジュールと連通するように、M2のバッテリーモジュールと対向するサイドフレーム212の内壁中間部にベンティング入口I2を形成し得る。また、最下端のガスベンティングチャネル H3は、M3のバッテリーモジュールと連通するように、M3のバッテリーモジュールと対向するサイドフレーム212の内壁最下端にベンティング入口I3を形成し得る。こうすると、バッテリーパック内で隣接するバッテリーモジュール間に高温のベンティングガスが流動することを防止しながら、それぞれのベンティング入口I1、I2、I3に迅速に各バッテリーモジュールで発生するベンティングガスを効率的に排出し得る。また、各モジュール別に専用のガスベンティングチャネルH1、H2、H3が形成されるので、1つのモジュールで発生するベンティングガスがベンティング入口I1、I2、I3位置で他のモジュールのガスベンティングチャネルH1、H2、H3に流入しにくい。したがって、ガスベンティングチャネル間の圧力干渉によって発生するベンティングガスの逆流現象をさらに減らし得る。
【0113】
また、上記各ガスベンティングチャネルの高さ方向に沿って配列されるベンティング入口I1、I2、I3にそれぞれベンティングプレート120および遮断ブラケット130を設置し得る。したがって、本実施形態は、上記専用のガスベンティングチャネルH1、H2、H3と逆流防止機構Bによってバッテリーパックの安全性をさらに高めることができる。
【0114】
すなわち、上記3つのガスベンティングチャネルH1、H2、H3のうち、M1のバッテリーモジュールと連通する最上端のガスベンティングチャネルH1のベンティング入口I1には、専用のベンティングプレート120および遮断ブラケット130が設置され得る。また、中間のガスベンティングチャネルH2のベンティング入口I2にも別途の専用ベンティングプレート120’および遮断ブラケット130’が設置され得る。次に、最下端のガスベンティングチャネルH3と連通するベンティング入口I3に別途の専用ベンティングプレート120’’および遮断ブラケット130’’を設置し得る。これにより、ベンティングガス発生時に各ベンティングプレート120、120’、120’’のプレート本体部122、122’、122’’からプレート切開部121、121’、121’’が各ベンティング入口I1、I2、I3内に移動して、ベンティングガスを各ガスベンティングチャネルH1、H2、H3に排出し得るようになる。
【0115】
一方、M1、M2、M3と反対側に配置されたM4、M5、M6と対向するサイドフレーム212にも同じように高さ方向に沿って3つのガスベンティングチャネルH1、H2、H3を形成し得る。また、上記対向するサイドフレーム212の内壁にも、各バッテリーモジュールおよびガスベンティングチャネルHと連通するベンティング入口を形成し、各ベンティング入口上にベンティングプレートおよび遮断ブラケットをそれぞれ設置し得る。
【0116】
これにより、各バッテリーモジュールからそのモジュール別に割り当てられた各ガスベンティングチャネルに効率的にベンティングガスを排出しながらも、上記ガスベンティングチャネルから各バッテリーモジュールへのガス逆流を防止し得る。
【0117】
一方、高さ方向に沿って複数個のガスベンティングチャネルH1、H2、H3が各サイドフレーム212に形成される場合に、各ガスベンティングチャネルの出口端、すなわち、サイドフレーム212の外壁に形成されたベンティング出口Oでは、各ガスベンティングチャネルのベンティングガスが収束されて排出されるようにし得る。このために、複数個のガスベンティングチャネルは、ベンティング出口O付近で集まるようにサイドフレーム212を成形し得る。
【0118】
上記ベンティング出口Oの個数もベンティング入口Iが形成される位置に対応して決定し得る。例えば、
図1、
図6および
図14のように、バッテリーセルまたはバッテリーモジュールの左右両側に配置されたサイドフレーム112c、112d、212c、212dの内壁にベンティング入口Iをそれぞれ形成する場合に、上記ベンティング出口Oは、ベンティング入口Iが形成されたサイドフレーム112c、112d、212c、212dに対して垂直に配置されたサイドフレーム112a、212aの外壁において左右両側の2箇所に対応するようにそれぞれ形成し得る。これにより、バッテリーパックの両側にベンティングガスがバランスよく排出され得る。
【0119】
以上のような多様な実施形態に従って、ベンティングガスを効率的に排出しながらも逆流を防止することにより、安全性が向上した上記バッテリーパックを含む電力貯蔵装置(別途図示せず)を提供し得る。
【0120】
また、本発明の一実施形態は、ベンティングガスを効率的に排出しながらも逆流を防止することにより、安全性が向上した上記バッテリーパックを含む自動車(別途図示せず)を提供し得る。
【0121】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正および変形が可能であろう。したがって、本発明に開示された図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。
【0122】
一方、本明細書では上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が用いられているが、これらの用語は説明の便宜のためのものであり、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは自明である。
【符号の説明】
【0123】
10:バッテリーセル積層体
100、200:バッテリーパック
110、210:パックハウジング
111、211:ベース板
112、212:サイドフレーム
113、213:ベンティング機構部
114:ベンティングキャップ
115:ガス密封部材
B、B1、B2、B3:逆流防止機構
120、220:ベンティングプレート
121、121’:プレート切開部
123、123’:プレート切開部
125、125’:プレート切開部
122:プレート本体部
C:カッティングライン
130、130’、130’’、230:規制部材(遮断ブラケット)
131:縁フレーム
132:ベンティングホール
133:遮断フレーム
H、H1、H2、H3:ガスベンティングチャネル
I、I1、I2、I3:ベンティング入口
R:隔壁
O:ベンティング出口
M1~M6:バッテリーモジュール
214:センターフレーム
215:クロスビーム
【国際調査報告】