(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】安全性が向上した電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240910BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20240910BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20240910BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20240910BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240910BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20240910BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20240910BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20240910BHJP
H01M 10/627 20140101ALI20240910BHJP
A62C 3/16 20060101ALI20240910BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20240910BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/264
H01M50/251
H01M50/242
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M50/211
H01M10/647
H01M10/658
H01M10/627
A62C3/16 C
H01M50/262 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510475
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 KR2022020482
(87)【国際公開番号】W WO2023121142
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0185391
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0169563
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】アン,ジョンギュ
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ジョンオ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジェギ
(72)【発明者】
【氏名】キム,キユン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョンギュ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ギドン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヨンウォン
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK02
5H040AA14
5H040AA28
5H040AA37
5H040AS01
5H040AT04
5H040AY04
5H040CC34
5H040LL06
(57)【要約】
本発明の一実施形態による電池パックは:複数の電池セルが積層された電池セル積層体を含むセルモジュールアセンブリー;前記セルモジュールアセンブリーを収納するようになり、上面が開口された形状のパックケース;および前記セルモジュールアセンブリーの上に位置し、前記パックケースを覆う消火タンクを含み、前記消火タンクは:消火剤を収容する内部空間;および前記消火タンクのベース板の厚さが相対的に薄く形成された部分であって、前記電池セルの加熱により溶融して開口される複数個の脆弱部を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層された電池セル積層体を含むセルモジュールアセンブリー;
前記セルモジュールアセンブリーを収納する、上面が開口された形状のパックケース;および
前記セルモジュールアセンブリーの上に位置し、前記パックケースを覆う消火タンクを含み、
前記消火タンクは:
消火剤を収容する内部空間;および
前記消火タンクのベース板の厚さが相対的に薄く形成された部分であって、前記電池セルの熱的イベントにより溶融して開口される複数個の脆弱部を含む、電池パック。
【請求項2】
前記脆弱部は、線形状であり、前記消火タンクの一縁と平行に配列され、それぞれの脆弱部は互いに平行に配列され、
前記脆弱部の長さ方向と前記電池セルの長さ方向とは互いに直交する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記脆弱部は、線形状であり、前記消火タンクの一縁と平行に配列され、それぞれの脆弱部は互いに平行に配列され、
前記脆弱部の長さ方向と前記電池セルの長さ方向とは互いに平行であり、
前記脆弱部は互いに隣接した二つの電池セルの間に配置される、請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記消火タンクは、プラスチック射出成形で製作されたものである、請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記消火タンクの前記ベース板は、段差を有し、前記複数個の脆弱部が配置された部分の高さが最も低い、請求項1に記載の電池パック。
【請求項6】
前記セルモジュールアセンブリーは:
前記電池セルの積層体の前面と後面に配置される一対のバスバーハウジング;および
前記電池セルの積層体の両側端に前記電池セルと平行に配置される一対のエンドプレートを含み、
前記一対のバスバーハウジングの間を一対のエンドプレートが連結する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項7】
前記セルモジュールアセンブリーは:
前記セルモジュールアセンブリーの結束を強化するように、前記電池セル積層体の前記一対のエンドプレートの上部側と下部側をそれぞれ連結するストラップを含む、請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記ベース板は、段差を有し、前記複数個の脆弱部が配置された部分の高さが前記ストラップの上に位置する部分の高さより低い、請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
互いに隣接した電池セルの間に配置された板形状の遮断部材をさらに含み、
前記遮断部材は、支持プレート、および前記支持プレートの両面に備えられる一対のスウェリングパッドを含む、請求項1に記載の電池パック。
【請求項10】
前記消火剤は、液体状態の消火剤である、請求項1に記載の電池パック。
【請求項11】
前記パックケースは、上面が開口されたボックス形状を有し、
一体に成形されるか、または少なくとも一面が隣接した他面と結合する方式で製作されたものである、請求項1に記載の電池パック。
【請求項12】
前記電池パックは、複数個で備えられ、
前記複数個の電池パックの間が互いに機械的連結または電気的連結で結合されている、請求項1に記載の電池パック。
【請求項13】
前記複数個の電池パックは、上下方向に積層が可能である、請求項12に記載の電池パック。
【請求項14】
前記複数個の電池パックの電圧が多様に具現されるように、前記複数個の電池パックの間の電気的連結は直列に連結されている、請求項12に記載の電池パック。
【請求項15】
前記複数個の電池パックの蓄電容量が多様に具現されるように、前記複数個の電池パックの間の電気的連結は並列に連結されている、請求項12に記載の電池パック。
【請求項16】
請求項1に記載の電池パックを含むエネルギー貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2021年12月22日付韓国特許出願第10-2021-0185391号および2022年12月7日付韓国特許出願第10-2022-0169563号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池に関し、より詳しくは、熱的イベントが発生した場合にも安全性を確保することができるように構成された電池パックなどに関する。
【背景技術】
【0003】
現在商用化された二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあるが、このうちリチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由であり、自己放電率が非常に低く、エネルギー密度が高いという長所のため、脚光を浴びている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレータを間に置いて配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と共に密封収納する外装材、つまり、電池ケースとを備える。
【0005】
一般的にリチウム二次電池は、外装材の形状により、電極組立体が金属カンに内蔵されているカン型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池とに分類され得る。
【0006】
このような二次電池は、携帯型電子機器のような小型装置だけでなく、電気自動車や電力貯蔵システム(Energy Storage System;ESS)のような中大型装置にも幅広く利用されており、その利用程度が急激に増大している。また、最近は電力を貯蔵するための用途として、住宅用電池パックを利用する傾向が増えている。
【0007】
このような家庭用電池パックをはじめとする多様な電池パックには、容量および/または出力増大のために、複数個の電池セル(二次電池)が含まれる。特に、電池パックのエネルギー密度を高めるために、複数個の電池セルは非常に狭い空間に密集した状態で配置される場合が多い。
【0008】
このような電池パックの構成において、代表的に重要な問題の一つは安全性である。特に、電池パックに含まれている複数個の電池セルのうち、いずれか一つの電池セルで熱的イベントが発生した場合、このようなイベントの他の電池セルへの伝播(propagation)は抑制される必要がある。もし、電池セル間の熱的伝播が良好に抑制されない場合、これは電池パックに含まれている多くの電池セルの熱的イベントを起こすようになり、電池パックの発火や爆発など、より大きい問題を招くことがある。また、電池パックで発生した発火や爆発は、周辺の人命や財産上の大きな被害をもたらすことがある。特に、住宅用電池パックの場合、発火や爆発が発生すると、住宅に居住する人の安全を害することがあり、住宅の火災へ拡散されてより大きな被害を発生させることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、前記のような問題点を解決するために創案されたものであって、電池パック内部で発生した熱的イベントを適切に制御することができるように構造が改善された電池パックなどを提供することを目的とする。
【0010】
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の課題に制限されず、言及されていない他の課題は、以下に記載された発明の説明から当業者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような目的を達成するための本発明の一態様による電池パックは、一つ以上の電池セルを備えるセルモジュールアセンブリー;内部空間に前記セルモジュールアセンブリーを収納するパックケース;および消火剤を保有し、前記セルモジュールアセンブリーの上部に配置された消火タンクを含む。
【0012】
ここで、前記消火タンクは、前記セルモジュールアセンブリーから熱が印可される場合、前記セルモジュールアセンブリー側に消火剤を排出するように構成され得る。
【0013】
前記消火タンクは、前記セルモジュールアセンブリーから印可された熱により少なくとも一部分が溶融するように構成され得る。
【0014】
前記消火タンクは、前記電池セルから噴出されたベンティングガスまたは前記電池セルの温度により溶融するように構成され得る。
【0015】
前記消火タンクは、液体状態の消火剤を保有することができる。
【0016】
前記消火タンクは、ベース板の厚さが位置別に差を有するように構成され得る。
【0017】
前記消火タンクは、相対的に薄い厚さを有する脆弱部が互いに水平方向に積層されたセルの間の中央部分に位置することができる。
【0018】
前記パックケースは、上下方向に積層可能に構成され得る。
【0019】
前記のような目的を達成するための本発明の他の態様によるエネルギー貯蔵装置は、本発明による電池パックを一つ以上含む。
【0020】
本発明の一実施形態による電池パックは:複数の電池セルが積層された電池セル積層体を含むセルモジュールアセンブリー;前記セルモジュールアセンブリーを収納するようになり、上面が開口された形状のパックケース;および前記セルモジュールアセンブリーの上に位置し、前記パックケースを覆う消火タンクを含み、前記消火タンクは:消火剤を収容する内部空間;および前記消火タンクのベース板の厚さが相対的に薄く形成された部分であって、前記電池セルの熱的イベントにより溶融して開口される複数個の脆弱部を含むことができる。
【0021】
前記脆弱部は、線形状であり、前記消火タンクの一縁と平行に配列され、それぞれの脆弱部は互いに平行に配列され、前記脆弱部の長さ方向と前記電池セルの長さ方向とは互いに直交することができる。
【0022】
前記脆弱部は、線形状であり、前記消火タンクの一縁と平行に配列され、それぞれの脆弱部は互いに平行に配列され、前記脆弱部の長さ方向と前記電池セルの長さ方向とは互いに平行であり、前記脆弱部は互いに隣接した二つの電池セルの間に配置され得る。
【0023】
前記消火タンクは、プラスチック射出成形で製作されたものであり得る。
【0024】
前記消火タンクの前記ベース板は、段差を有し、前記複数個の脆弱部が配置された部分の高さが最も低くてもよい。
【0025】
前記セルモジュールアセンブリーは:前記電池セルの積層体の前面と後面に配置される一対のバスバーハウジング;および前記電池セルの積層体の両側端に前記電池セルと平行に配置される一対のエンドプレートを含み、前記一対のバスバーハウジングの間を一対のエンドプレートが連結することができる。
【0026】
前記セルモジュールアセンブリーは:前記セルモジュールアセンブリーの結束を強化するように、前記電池セル積層体の前記一対のエンドプレートの上部側と下部側をそれぞれ連結するストラップを含むことができる。
【0027】
前記ベース板は、段差を有し、前記複数個の脆弱部が配置された部分の高さが前記ストラップの上に位置した部分の高さより低くてもよい。
【0028】
互いに隣接した電池セルの間に配置された板形状の遮断部材をさらに含み、前記遮断部材は、支持プレート、および前記支持プレートの両面に備えられる一対のスウェリングパッドを含むことができる。
【0029】
前記消火剤は、液体状態の消火剤であり得る。
【0030】
前記パックケースは、上面が開口されたボックス形状からなり、一体に成形されるか、または少なくとも一面が隣接した他面と結合する方式で製作されたものであり得る。
【0031】
前記電池パックは、複数個で備えられ、前記複数個の電池パックの間を互いに機械的連結および/または電気的連結で結合することができる。
【0032】
前記複数個の電池パックは、上下方向に積層が可能なものであり得る。
【0033】
前記複数個の電池パックの電圧が多様に具現されるように、前記複数個の電池パックの間の電気的連結は直列に連結され得る。
【0034】
前記複数個の電池パックの蓄電容量が多様に具現されるように、前記複数個の電池パックの間の電気的連結は並列に連結され得る。
【0035】
前記のような目的を達成するための本発明の他の態様によるエネルギー貯蔵装置は、本発明による前述の電池パックを一つ以上含む。
【発明の効果】
【0036】
本発明の一態様によれば、安全性が向上した電池パックを提供することができる。
【0037】
特に、本発明の一実施形態によれば、電池パック内部で熱的イベントが発生しても、このような熱的イベントが迅速に制御され得る。
【0038】
また、電池パックに含まれている複数個の電池セルのうち、一部の電池セルで熱暴走や発火などのイシューが発生した場合、このようなイシューが他のモジュールに転移されることを効果的に防止することができる。
【0039】
また、本発明の一態様によれば、簡単な構造を有しながらも、熱的安全性が強化された電池パックを提供することができる。
【0040】
特に、本発明の一実施構成によれば、消火剤を投入するための新たな部品の追加が不要であるため、製造性と経済性に優れた電池パックを提供することができる。
【0041】
また、本発明の一態様によれば、特別な防水防塵構造に対する設計などが不要となる。
【0042】
そして、本発明の一態様によれば、同じ種類の電池パックを複数個積層することによって、多様な電圧および/または蓄電容量の製品を提供することができる。
【0043】
その他にも本発明の多様な実施形態により、様々な他の追加的な効果が達成され得る。このような本発明の多様な効果については各実施形態で詳細に説明するか、当業者が容易に理解することができる効果についてはその説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明と共に本発明の技術思想を一層理解させる役割を果たすものであるため、本発明はその図面に記載された事項にのみ限定して解釈されてはならない。
【
図1】本発明の一実施形態による電池パックの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【
図2】
図1の電池パックで消火剤が排出される構成を概略的に示す図面である。
【
図3】本発明の他の実施形態による電池パックの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図5】本発明のさらに他の実施形態による電池パックの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【
図6】
図5の電池パックに含まれるセルモジュールアセンブリーの斜視図である。
【
図7】
図5の電池パックに含まれる遮断部材の斜視図である。
【
図10】
図5の電池パックに含まれるパックケースの斜視図である。
【
図11】
図10のセルモジュールアセンブリーをパックケースに収納する場合を説明する図面である。
【
図12】
図10のセルモジュールアセンブリーをパックケースに収納する場合を説明する図面である。
【
図13】
図5の電池パックに含まれる消火タンクの斜視図である。
【
図15】消火タンクの下部タンクを上方から眺めた上部断面図である。
【
図16】
図5乃至
図15を参照して前述の電池パックの各構成要素を全て結合した電池パックの斜視図である。
【
図18】
図17に示されたパックケースが互いに異なる個数で積層された実施形態を示す図面である。
【
図19】
図17に示されたパックケースが互いに異なる個数で積層された実施形態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、添付した図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書および請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に基づいて本発明の技術的な思想に符合する意味と概念に解釈されなければならない。
【0046】
したがって、本明細書に記載された実施形態と図面に示された構成は、本発明の最も好適な一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想を全て代弁するのではないため、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0047】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0048】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ずしも図示されたものに限定されるのではない。図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0049】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には中間にまた他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の「上」にあるということは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって「上」に位置することを意味するのではない。
【0050】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0051】
また、明細書全体において、「平面上」という時、これは対象部分を上方から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を側方から見た時を意味する。
【0052】
図1は、本発明の一実施形態による電池パックの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【0053】
図1を参照すれば、本発明による電池パックは、セルモジュールアセンブリー100、パックケース300および消火タンク400を含む。
【0054】
前記セルモジュールアセンブリー100は、一つ以上の電池セル110を備えることができる。ここで、それぞれの電池セル110は、二次電池を意味し得る。二次電池は、電極組立体、電解質および電池ケースを備えることができる。特に、セルモジュールアセンブリー100に備えられた電池セル110は、パウチ型二次電池であり得る。ただし、二次電池の他の形態、例えば円筒型電池や角型電池も本発明のセルモジュールアセンブリー100に採用され得る。
【0055】
複数個の二次電池は、互いに積層された形態でセルモジュールアセンブリー100を形成することができる。つまり、電池セル積層体の形態でセルモジュールアセンブリー100を形成することができる。 例えば、複数個の電池セル110は、それぞれ上下方向(図面のZ軸方向)に立てられた状態で水平方向(図面のX軸方向)に配列された形態で積層され得る。それぞれの電池セル110は、電極リードを備えることができるが、このような電極リードは、各電池セル110の両端部に位置したり一端部に位置したりすることができる。電極リードが両方向に突出した二次電池は両方向セルといい、電極リードが一方向に突出した二次電池は単方向セルといえる。
図1には、両方向セルが図示されている。ただし、本発明はこのような二次電池の具体的な種類や形態により制限されず、本発明の出願時点に公知となっている多様な形態の二次電池が本発明のセルモジュールアセンブリー100に採用され得る。
【0056】
前記パックケース300は、内部に空いた空間が形成されて内部空間にセルモジュールアセンブリー100を収納するように構成され得る。例えば、パックケース300は、
図1に示されているようにボックス形態で構成され得る。ボックス形態のパックケース300は、一体に成形されたものであってもよく、少なくとも一面を隣接した面と結合する方式で製作されたものであってもよい。
【0057】
前記消火タンク400は、消火剤を保有することができる。特に、消火タンク400は、内部空間を備えて、そのような内部空間に消火剤を保有することができる。例えば、消火タンク400は、
図1に示されているように、下部タンク410と上部カバー420を備えることができる。ここで、下部タンク410は、上部が開放されたボックス形態で構成され、消火剤を保有することができる空間を提供することができる。そして、上部カバー420は、下部タンク410の上部開放部を覆い、下部タンク410の消火剤保有空間を密閉させるように構成され得る。
【0058】
前記消火タンク400は、パックケース300の内部に収納され得る。特に、前記消火タンク400は、パックケース300の内部空間においてセルモジュールアセンブリー100の上部側に配置され得る。
【0059】
本発明のこのような実施構成によれば、セルモジュールアセンブリー100の上部側に位置した消火タンク400から消火剤が排出されることによって、セルモジュールアセンブリー100の熱的イベントがより容易に制御され得る。特に、消火タンク400から排出された消火剤は、重力により下部方向に容易に移動することができる。したがって、消火剤によるセルモジュールアセンブリー100の熱や火災鎮圧がより容易に行われ得る。
【0060】
特に、前記セルモジュールアセンブリー100が、
図1に示されているように、水平方向、つまり、左右方向(X軸方向)に並んで配置された複数個の電池セル110を備える場合、上部に位置した消火タンク400から消火剤が排出されると、電池セル110全体に消火剤が容易に供給され得る。したがって、このような実施構成によれば、セルモジュールアセンブリー100全体に対する熱的イベントの鎮圧がより効果的に行われ得る。
【0061】
前記消火タンク400は、セルモジュールアセンブリー100から熱が印可される場合、セルモジュールアセンブリー100側に消火剤を排出するように構成され得る。これについては、
図2を参照してより具体的には説明する。
【0062】
図2は、
図1の電池パックで消火剤が排出される構成を概略的に示す図面である。
【0063】
図2を参照すれば、セルモジュールアセンブリー100の上部に消火タンク400が位置する。左右方向(例えば図面のX軸方向)に積層された複数個の電池モジュールのうち、A1で表示された部分のように、特定の電池セル110で過熱、発火、または熱暴走(thermal runaway)のような熱的イベントが発生することがある。この場合、当該電池セル110で生成された熱が消火タンク400側、例えば
図2のA2で表示されたような部分に印加され得る。すると、消火タンク400から、矢印A3で表示されたように、消火剤が排出され得る。
【0064】
特に、前記消火タンク400は、セルモジュールアセンブリー100から印可された熱により少なくとも一部分が溶融するように構成され得る。例えば、
図2の構成で、消火タンク400のA2で表示された部分が熱により溶融することができる。すると、このように溶融した部分を通じて、矢印A3で表示されたように消火剤が排出され得る。
【0065】
このために、前記消火タンク400は、少なくとも一部分が、セルモジュールアセンブリー100から印可された熱により溶融可能な材質で構成され得る。例えば、前記消火タンク400は、全体的にプラスチック材質で構成され得る。特に、前記消火タンク400は、プラスチック射出物の形態で構成され得る。
【0066】
また、消火タンク400は、電池セル110から噴出されたベンティングガスや熱により溶融するように構成され得る。例えば、電池セル110で熱暴走が起きてベンティングガスが噴出された場合、このようなベンティングガスは一定温度以上の高温状態であり得る。前記消火タンク400は、このような高温のベンティングガスにより溶融可能な材質および/または形態で構成され得る。または、電池セル110で熱暴走が起きた場合、ベンティングガスは噴出されなくても電池セル110は正常状態より高温であり得る。前記消火タンク400は、このような異常な高温状態の電池セル110から印可される熱により溶融可能な材質および/または形態で構成され得る。
【0067】
特に、前記消火タンク400は、電池セル110のイベント時に発生する熱および/またはガスの高い温度により、ベース板411が溶融するように構成され得る。この場合、消火剤は、消火タンク400の底部の溶融部分に流入されて下部方向に排出され得る。したがって、消火剤がセルモジュールアセンブリー100側に迅速に注入され得る。
【0068】
本発明のこのような実施構成によれば、射出物が溶融する方式で消火剤が注入されて、電池パック内部の熱的イベントを効果的に鎮圧する一方で、電池セル110間の熱的イベント伝播を最小化することができる。
【0069】
前記消火タンク400は、液体状態の消火剤を保有することができる。この場合、消火剤は、消火液と称され得る。例えば、前記消火タンク400は、水や他の冷却液を消火剤として保有することができる。また、前記消火タンク400は、不凍液を消火剤として保有することができる。特に、電池パックが冬のように温度が低い季節または極地方のように温度が低い地域で使用される場合、消火タンク400は低い温度でも簡単に凍らない不凍液を消火剤として保有することができる。さらに、住宅用電池パックの場合、室外に位置することがあるため、不凍液が消火剤として備えられ得る。
【0070】
前記消火タンク400は、ベース板411の厚さが位置別に差を有するように構成され得る。これについては、
図3および
図4を参照してより具体的には説明する。
【0071】
図3は、本発明の他の実施形態による電池パックの構成を概略的に示す斜視図である。ただし、
図3では、説明の便宜のために、一部の構成については透明に図示されるようにした。また、
図4は、
図3のA4-A4’線による断面図である。本実施形態をはじめとして本明細書に含まれている多様な実施形態については、他の実施形態で説明された部分が同一または類似に適用され得る部分については詳細な説明を省略し、差異がある部分を中心に説明する。
【0072】
図3および
図4を参照すれば、前記消火タンク400は、ベース板411および側壁412を備えることができる。ここで、側壁412は、ベース板411の縁から上部方向に突出した形態で構成され得る。そして、消火タンク400は、このようなベース板411と側壁412とにより下部と側部が限定されて、消火剤を保有することができる空間が形成され得る。この時、消火タンク400の上部はパックケース300により密閉され得る。つまり、
図4に示されているように、パックケース300は下部ケース300aと上部ケース300bを備え、消火タンク400の上部は上部ケース300bにより覆われることによって消火剤が消火タンク400の内部に保有され得る。または、消火タンク400は、前記
図1に示されているように、上部カバー420を備えて、消火剤保有空間の上部を密閉させるように構成され得る。
【0073】
このように、ベース板411が備えられた消火タンク400の構成において、ベース板411は部分別に厚さが異なるように形成され得る。特に、前記消火タンク400は、
図3および
図4において図面符号411aで表示された部分のように特定部分の厚さが薄く構成され得る。例えば、消火タンク400のベース板411は、全体的に1mmの厚さを有するプラスチック射出物の形態で構成されるが、411aで表示された部分は0.5mmの厚さを有するように構成され得る。
【0074】
特に、消火タンク400のベース板411において厚さが薄く形成された部分は脆弱部411aとして機能することができる。つまり、セルモジュールアセンブリー100で温度が上がると、このような脆弱部411aが先に破損され得る。そして、脆弱部411aが破損されると、消火タンク400内部に保有された消火剤が脆弱部411aを通じてセルモジュールアセンブリー100側に排出され得る。
【0075】
複数個の脆弱部411aが備えられ得る。脆弱部411aは例えば、幅は狭く、長さは長い形状であり得る。つまり、線形状であり、消火タンク400の一縁と平行に配列された直線形状であってもよく、それぞれの脆弱部411aは互いに平行に配列され得る。
【0076】
前記実施構成によれば、セルモジュールアセンブリー100側で熱暴走によるベンティングガスや火災などが発生する場合、冷却水のような消火剤の投入構造を別途に設ける必要がない。したがって、簡単な構造で電池パック内部の消火剤投入構成が具現され得る。さらに、このような構成では、イベントの発生時、厚さが薄く形成された脆弱部411aを通じて消火剤が排出され得るため、消火剤が排出される部分が予め指定され得る。
【0077】
前記実施構成において、
図4に示されているように、一つの消火タンク400に複数個の脆弱部411aが備えられ得る。さらに、複数個の脆弱部411aは、消火タンク400のベース板411で、セルモジュールアセンブリー100の積層方向に沿って所定距離が離隔した形態で配置され得る。例えば、セルモジュールアセンブリー100で複数個の電池セル110は、左右方向(X軸方向)に積層され得るが、このようなセルモジュールアセンブリー100の上部に位置した消火タンク400のベース板411で、複数個の脆弱部も互いに離隔した状態で左右方向に配置され得る。
【0078】
特に、前記消火タンク400は、相対的に薄い厚さを有する脆弱部411aが、水平方向に積層されたセルの間の中央部分に位置するように構成され得る。
【0079】
例えば、
図4の構成で、セルモジュールアセンブリー100の左側部分には、2個の電池セル110であるB1とB2が左右方向に隣接した状態で配置されている。この時、多数個の脆弱部411aのうち、最も左側に位置した脆弱部411aは、左右方向にB1とB2との間に配置され得る。つまり、脆弱部411aは、上下方向(Z軸方向)にはB1とB2の上部に位置しているが、水平方向(X軸方向)にはB1とB2との間に位置しているといえる。また、B1とB2以外に他の電池セル110に対しても、隣接した2個の電池セル110ごとに一つの脆弱部411aが、水平方向にその間の空間に位置するように構成され得る。
【0080】
本発明のこのような実施構成によれば、特定の電池セル110で熱的イベントが発生して上部に位置した脆弱部411aに熱が印可される場合、当該脆弱部411aは破損され得る。そして、破損された脆弱部411aを通じて消火剤が排出されて、
図4において矢印で表示されたように、隣接した電池セル110の間の空間に消火剤が流入され得る。
【0081】
したがって、このような実施構成によれば、電池セル110間で熱的イベントが伝達されることがより効果的に防止され得る。また、本発明の前記実施構成によれば、過熱や発火など熱的イベントが発生した電池セル110周辺に集中的な消火剤の投入が可能であるため、より効果的な冷却および消火動作が行われ得る。したがって、前記実施構成によれば、電池内部で火災などが発生する場合、消火タンク400以外の他の部品なしに、適時適所に消火剤の投入が可能になり得る。
【0082】
図5は本発明のまた他の実施形態による電池パックの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【0083】
図5を参照すれば、電池パックは、セルモジュールアセンブリー100、遮断部材200、パックケース300、消火タンク400、外部カバー500、および電気的連結ユニット600を含む。
【0084】
図5でもセルモジュールアセンブリー100は、複数個の電池セル110はそれぞれ上下方向(例えば、図面のZ軸方向)に立てられた状態で水平方向(例えば、図面のX軸方向)に沿って配列された形態で積層され得る。この時、電池セル110の長さ方向は例えば、図面のY軸方向である。
【0085】
図6は
図5の電池パックに含まれるセルモジュールアセンブリー(Cell Module Assembly)100の斜視図である。
【0086】
参考までに、セルモジュールアセンブリー100に含まれる構成要素をより明確に示すために、
図6では複数個の電池セル110を除いた残りの構成要素を示す。複数個の電池セル110は、通常のパウチ型電池セルまたは角型電池セルであり得る。
【0087】
図6を参照すれば、複数個の電池セル110積層体の前面と後面には、一対のバスバーハウジング130が配置される。バスバーハウジング130のそれぞれは電池セル110の長さ方向と直交する方向(例えば、図面のX軸方向)に配置される。
【0088】
複数個の電池セル110の積層体の最も端の両側端には一対のエンドプレート120がそれぞれ備えられる。エンドプレート120は電池セル110と平行に並んで配置される。一対のバスバーハウジング130の間を一対のエンドプレート120がそれぞれ連結する。
【0089】
一対のエンドプレート120の間の上部側および下部側のそれぞれには一対のエンドプレート120の間を連結する少なくとも一つのストラップ140を含むことができる。ストラップ140はセルモジュールアセンブリー100の結束を強化する。より具体的には、一対のエンドプレート120およびその間に配置された複数個の電池セル110積層体の結束を強化する。これにより、複数個の電池セル110積層体の整列がずれることを防止することができる。
【0090】
その他にセルモジュールアセンブリー100に関する説明は
図1で説明したものと重複するため、
図1と関連して前述したものを参照する。
【0091】
一方、
図5に示されているように、複数個の電池セル110は所定の個数でグループ化して収納され得る。また、
図5乃至
図9に示されているように、複数個(所定の個数)の電池セル110のグループと隣接した複数個(所定の個数)の電池セル110のグループとの間には遮断部材200を備える。
【0092】
図7は
図5の電池パックに含まれる遮断部材200の斜視図である。
図8は
図7の遮断部材200の分解斜視図である。
図9は
図7の遮断部材200の上面図である。
【0093】
遮断部材200は、隣接する電池セル110の間に介されて熱を遮断させるように構成され得る。例えば、一部の電池セル110で熱的イベントが発生して、熱や高温のベンティングガスが生成された場合、生成された熱やガスは、遮断部材200により隣接する電池セル110に転移されることが抑制乃至遮断され得る。また、遮断部材200は、特定の電池セル110で噴出された火炎やスパークなどを遮断させる役割を果たすことができる。
【0094】
遮断部材200は、ほぼ板状の形状を有する。遮断部材200は、上下方向に立てられたプレート形態で構成され得る。また、遮断部材200は、同様に上下方向に立てられた電池セル110の高さと同一または類似の高さを有することができる。遮断部材200の高さは、電池セル110の高さよりも低くてもよく、高くてもよい。
【0095】
電池セルの個数に応じた個数の遮断部材200が含まれ得る。そして、前述のように、遮断部材200は、電池セル110と共に積層された形態で、セルモジュールアセンブリー100を構成することができる。
【0096】
本発明のこのような実施構成によれば、複数個の電池セル110が含まれている電池パックで、遮断部材200によりセル間の熱暴走伝播などが効果的に防止され得る。
【0097】
また、遮断部材200は、大きく3重構造からなることができる。例えば、支持プレート210の両面にそれぞれ一対のスウェリングパッド220を備える。支持プレート210は遮断部材200の形態および剛性を維持するようにし、電池セル110間の電池セル110で噴出された火炎やスパークなどを遮断する。支持プレート210は、例えば金属材質からなることができる。スウェリングパッド220は、電池セル110の膨張時に支持プレート210により電池セル110に加えられる圧力を減少させる。スウェリングパッド220は、例えばシリコン材質や軟性プラスチック材質からなることができる。
【0098】
一方、支持プレート210には
図9で詳しく示されているように、支持プレート210を上下方向に貫通して形成される複数個の貫通孔230を含み、複数個の貫通孔230は、支持プレート210の長さ方向に沿って配列される。
【0099】
セルモジュールアセンブリー100の上部に位置した消火タンク400からセルモジュールアセンブリー100に消火剤(消火液)が投入される時に、複数個の貫通孔230内にも消火剤(消火液)が入るようになる。つまり、複数個の貫通孔230内に消火剤(消火液)が滞留することによって、熱的イベントが発生した電池セル110をより効果的に冷却および消火させることができるようにする。
【0100】
複数個の貫通孔230は支持プレート210の上面および下面の両側に全て開口された形態であってもよい。または、複数個の貫通孔230は上面のみが開口され、消火剤(消火液)が貫通孔230内により長く滞留することができるように下面は閉鎖された形状であってもよい。前者の場合に遮断部材200の支持プレート210がパックケース300の内側下部面に密着するように配置すれば、後者の場合のように消火剤(消火液)が貫通孔230内に長く滞留することができる。
【0101】
図10は
図5の電池パックに含まれるパックケース300の斜視図である。
図11および
図12は
図10のセルモジュールアセンブリー100をパックケース300に収納する場合を説明する図面である。
【0102】
図10を参照すれば、パックケース300は、ボックス形態で構成され得る。ボックス形態のパックケース300は、一体に成形されたものであってもよく、少なくとも一面を隣接した面と結合する方式で製作されたものであってもよい。
【0103】
パックケース300は、少なくとも一つのベンティング口320を含む。ベンティング口320にはフィルターが装着される。
【0104】
パックケース300の内部に収納された電池セル110で熱的イベントが発生した場合、当該電池セル110で発生するベンティングガスを、ベンティング口320を通じて排出することができる。ベンティング口320で排出されたベンティングガスはパックケース300と外部カバー500(
図5参照)との間の空間を過ぎて、外部カバー500の外部に排出され得る。
【0105】
一方、
図11および
図12に示されているように、
図6に示されたセルモジュールアセンブリー100を補助ケース310の内部空間に収納した後、パックケース300に装着することもできる。セルモジュールアセンブリー100を補助ケース310の内部空間に一次的に収納した後、最終的にパックケース300に収納することによって、セルモジュールアセンブリー100の剛性を補完し、セルモジュールアセンブリー100での複数個の電池セル110積層体の整列がずれることを防止することができる。補助ケース310は、例えば金属またはステンレススチールなどからなることができる。
【0106】
図13は
図5の電池パックに含まれる消火タンク400の斜視図である。
図14は
図13の消火タンク400の斜視断面図であり、
図5のA5-A5’線に沿った断面を示す。
図15は消火タンク400の下部タンク410を上方から眺めた上部断面図である。
【0107】
消火タンク400は
図1で前述したように、下部タンク410と上部カバー420を含む。下部タンク410と上部カバー420は、別途に製作されて密封結合されたものであってもよく、一体形で製作されたものであってもよい。上部カバー420には消火剤を注入することができる注入口430を追加的に含むことができる。注入口430をキャップで閉じて消火タンク400を密封することができる。
【0108】
下部タンク410のベース板411において厚さが薄く形成された部分は脆弱部411aとして機能することができる。つまり、セルモジュールアセンブリー100の電池セル110で熱的イベントが発生した場合、このような相対的に厚さが薄い脆弱部411aが先に破損され得る。脆弱部411aが破損されてベース板411に開口が形成されると、消火タンク400内部に保有された消火剤が当該脆弱部411aを通じてセルモジュールアセンブリー100側に排出され得る。
【0109】
複数個の脆弱部411aが備えられ得る。脆弱部411aは例えば、幅は狭く、長さは長い形状であり得る。つまり、線形状であり、消火タンク400の一縁と平行に配列された直線形状であってもよく、それぞれの脆弱部411aは互いに平行に配列され得る。
【0110】
本実施形態によれば、電池セル110の長さ方向(例えば、図面のY軸方向)と脆弱部411aの長さ方向(例えば、図面のX軸方向)とは互いに直交することができる。つまり、複数個の脆弱部411aが当該電池セル110の長さ方向と交差して配置される。これにより、熱的イベントが発生した電池セル110の長さ方向に沿って、当該電池セル110全体にかけて複数個の開口された脆弱部411aを通じて一斉に消火剤を供給することができ、より効率的かつ迅速に熱的イベントが発生した電池セル110を消火させることができる。
【0111】
また、
図14を参照すれば、下部タンク410のベース板411は段差を有する。より具体的には、ベース板411は大きく次のように区分される。脆弱部411aが位置する部分A7、パックケース100のストラップ140と当接する部分A8、電気的連結ユニット600側に位置する部分A9からなる。このうち、脆弱部411aが位置する部分A7のベース板411の高さが最も低い。
【0112】
下部タンク410の脆弱部411aができる限り電池セル110に最も隣接して配置されるようにすることによって、一部の電池セル110に過熱や発火状況が発生した時、迅速な初期鎮圧を通じて、隣接したバッテリーセル100への熱または火炎の伝達による2次爆発などの危険状況の発生をより効果的に未然に防止することができるようにする。
【0113】
追加説明すれば、セルモジュールアセンブリー100に関する
図6に示されているように、ストラップ140が位置した部分や、バスバーハウジング130が位置した部分などにより、セルモジュールアセンブリー100の高さが一定ではない。これと関係なく消火タンク400の下部タンク410のベース板411の高さが全体的に一定であれば、相対的に消火タンク400のベース板411とセルモジュールアセンブリー100の上部面との間に空いた空間が生じるようになる。そのような場合、温度が上昇した電池セル110から脆弱部411aへの熱伝達に空いた空間による支障が発生して消火がその分、遅延するようになる。
【0114】
電池セル110の過熱時、脆弱部411aが当該温度が上昇した電池セル110に直ぐに隣接して配置されるようにすることによって、脆弱部411aが直ちに破損されて迅速に電池セル110を冷却させることができ、消火させることができる。
【0115】
整理すれば、消火タンク400のベース板411の下部面とセルモジュールアセンブリー100の上部面とは互いにほぼ一致する形状を有する。これにより、消火タンク400がセルモジュールアセンブリー100に一層密着して配置されるため、温度上昇が発生した電池セル110をより効果的に冷却することができ、過熱や発火が発生した電池セル110に一層迅速に消火剤を投入することができる。また、消火タンク400に消火剤を効率的に一層多く収容することができるようになる。つまり、消火タンク400の下部タンク410のベース板411の高さが全体的に一定であれば、当該空いた空間の分、消火タンク400は消火剤を少なく収容するようになる。
【0116】
消火タンク400に備えられる消火剤としては、例えば消火液の形態であってもよく、重複する説明は省略し、前述したものを参照する。
【0117】
図16は、
図5乃至
図15を参照して前述の電池パックの各構成要素を全て結合した電池パックの斜視図である。
【0118】
その他に、
図5乃至
図16の電池パックに関する説明が
図1乃至
図4の電池パックと関連して説明した部分と重複する部分は、
図1乃至
図4で前述したものを参照する。
【0119】
一方、複数個の前記パックケース300が備えられ、上下方向に積層可能に構成され得る。これについては、
図17を参照してより具体的には説明する。
【0120】
図17は、本発明の
図1乃至
図16の電池パックの少なくとも一部の構成を概略的に示す斜視図である。また、
図18および
図19は、
図17に示されたパックケース300が複数個積層された実施形態を示す図面である。
【0121】
図17を参照すれば、前記パックケース300は、底部と側壁部を備えることができる。このようなパックケース300の内部空間には、セルモジュールアセンブリー100が収納され得、セルモジュールアセンブリー100の上面を消火タンク400で覆うことによって、電池パックが構成される。参考までに、
図17ではパックケース300の上部側の高さが消火タンク400の上部面の高さよりも高く示されている。しかし、
図17は概略図であって、一実施形態に過ぎず、本発明は
図17に示されたものに限定されない。つまり、正反対に消火タンク400の上部面の高さがパックケース300の上部側の高さよりも高くてもよく、消火タンク400の上部面の高さとパックケース300の上部側の高さとが同一であってもよいなど、多様な変形変更が可能である。
【0122】
複数の、
図17に示されたようなパックケース300が備えられて、
図18または
図19に示されているように電池パックの積層構造が形成され得る。この時、
図17の電池パックは、一つの単位パックであり得る。そして、このような単位パックが複数個で備えられることによって、
図18や
図19に示されたようなモジュール積層式の全体電池パックが構成され得る。
【0123】
より具体的には、例えば、
図18の構成では、3個の単位パックDが上下方向に積層された形態が示されている。そして、
図19の構成では、5個の単位パックDが上下方向に積層された形態が示されている。本発明は図示されたものに限定されず、本発明が具現される環境に合うように単位パックDの個数を多様に変更して具現することができる。
【0124】
例えば、本発明の電池パックがエネルギー貯蔵装置(energy storage system;ESS)として具現される場合、単位電池パックの個数を調節することによって、エネルギー貯蔵装置の多様な電圧および/または蓄電容量を当該環境に合うように具現することができる。本発明のこのような実施構成によれば、共通した構造を有する一つの単位パックを多様に積層させ、積層個数により多様な電圧および/または蓄電容量の製品対応が可能になり得る。例えば、同一の単位パックの積層個数を調節することによって、
図18に示されたような低圧領域の製品や、
図19に示されたような高圧領域の製品の具現が全て可能になり得る。したがって、特定の電圧の規格のみに限定された製品に比べて、経済性や互換性などが向上することができる。また、このような実施構成により、積層個数により多様な容量の製品を具現することもできる。
【0125】
言い換えると、積層される単位パックの間に直列に連結されると積層個数により多様な電圧の製品で具現することができる。また、積層される単位パックの間に並列に連結されると多様な積層個数により多様な容量(蓄電容量)の製品で具現することができる。
【0126】
特に、それぞれの単位パックDは、内部にセルモジュールアセンブリー100を備えることができる。また、それぞれの単位パックDは、前述のように、積層時にそれぞれのセルモジュールアセンブリー100を互いに電気的に連結することができるようにコネクタ610を含む。特に、このようなコネクタ610は、各単位パックDの上下積層により、互いに結合するように構成され得る。
【0127】
また、前記実施構成において、それぞれの単位パックDにはセルモジュールアセンブリー100と共に消火タンク400が収納され得る。つまり、それぞれの単位パックDは、前述のように、セルモジュールアセンブリー100の上部に消火タンク400を含む。複数個積層された電池パックは、上部から下部方向に、消火タンク400-セルモジュールアセンブリー100-消火タンク400-セルモジュールアセンブリー100の積層構造を有する。このような構造を有する本発明の積層式電池パックは、多様な電圧および/または蓄電容量を増加させるためにセルモジュールアセンブリー100の個数を増加させて(拡張して)電池パックを構成することができながらも、セルモジュールアセンブリー100の火災などの熱的イベントなどにも安全に備えることができるようにした。したがって、本発明のこのような実施構成によれば、電池パックの安全性がより向上することができる。
【0128】
上下に積層された電池パック(パックケース)300間の結合方式のまた他の例示として、再び
図17を参照すれば次のとおりである。パックケース300の側壁部の上端には、結合用段差部C1のように、内側方向に凹状に形成された段差が存在することができる。例えばパックケース300の側壁部の厚さが薄い部分となる。また、
図17には示されていないが、パックケース300の底部には、このような側壁部の結合用段差部C1が挿入されるように結合用凹部が形成され得る。つまり、パックケース300は、互いに異なるパックケース300を上下方向に積層する時、下層パックケース300の側壁部上端に形成された結合用段差部C1が、上層パックケース300の底部に形成された結合用凹部に挿入されるように構成され得る。これにより、複数個のパックケース300が上下方向に積層して結合される時、パックケース300の外部面が全体的に平坦な形状を有することができる。
【0129】
一方、上下に積層された電池パック間の締結構造に関する結合方式は、
図17および/または
図10に示されたものに限定されず、その他の多様な結合方式を変形、変更して本発明に適用することができる。
【0130】
また、本発明の電池パックは、電池管理システム(BMS、図示せず)に連結され得る。電池管理システムは、電池パック(ら)をモニタリングし、管理する。電池管理システムは、上下に積層された電池パックの最上層に位置することができる。しかし、電池管理システムの位置は、前述したものに限定されず、本発明が具現される方式や環境に合うように多様に変形、変更可能である。
【0131】
本発明による電池パックは、前述の構成要素以外に、電池パックに含まれる他の多様な構成要素をさらに含むことができる。例えば、本発明による電池パックは、電池管理システム(BMS)やリレー、ヒューズ、電流センサーなど電池パックの充放電を制御または管理するための多くの電装品を含むことができる。
【0132】
本発明によるエネルギー貯蔵装置(Energy Storage System、ESS)は、前述の本発明による電池パックを一つ以上含む。また、本発明によるエネルギー貯蔵装置は、このような電池パック以外に、エネルギー貯蔵装置に含まれる一般的な構成要素をさらに含むことができる。
【0133】
一方、本明細書では、上、下、左、右のような方向を示す用語が使用され得るが、このような用語は説明の便宜のためのものに過ぎず、対象となる事物の位置や観測者の位置などにより変わり得ることは本発明の当業者に自明である。
以上のように、本発明は限定された実施形態と図面により説明されたが、本発明はこれにより限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により本発明の技術思想と以下に記載される特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正および変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0134】
100:セルモジュールアセンブリー
110:電池セル
120:エンドプレート
130:バスバーハウジング
140:ストラップ
200:遮断部材
210:支持プレート
220:スウェリングパッド
230:貫通孔
300:パックケース
300a:下部ケース
300b:上部ケース
310:補助ケース
320:ベンティング口
400:消火タンク
410:下部タンク
411:ベース板
411a:脆弱部
412:側壁
420:上部カバー
430:注入口
500:外部カバー
600:電気的連結ユニット
610:コネクタ
【手続補正書】
【提出日】2024-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層された電池セル積層体を含むセルモジュールアセンブリー;
前記セルモジュールアセンブリーを収納する、上面が開口された形状のパックケース;および
前記セルモジュールアセンブリーの上に位置し、前記パックケースを覆う消火タンクを含み、
前記消火タンクは:
消火剤を収容する内部空間;および
前記消火タンクのベース板の厚さが相対的に薄く形成された部分であって、前記電池セルの熱的イベントにより溶融して開口可能である複数個の脆弱部を含む、電池パック。
【請求項2】
前記脆弱部は、線形状であり、前記消火タンクの一縁と平行に配列され、それぞれの脆弱部は互いに平行に配列され、
前記脆弱部の長さ方向と前記電池セルの長さ方向とは互いに直交する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記脆弱部は、線形状であり、前記消火タンクの一縁と平行に配列され、それぞれの脆弱部は互いに平行に配列され、
前記脆弱部の長さ方向と前記電池セルの長さ方向とは互いに平行であり、
前記脆弱部は互いに隣接した二つの電池セルの間に配置される、請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記消火タンクは、プラスチックにより一体的に成形されたものである、請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記消火タンクの前記ベース板は、段差を有し、前記複数個の脆弱部が配置された部分の高さが最も低い、請求項1に記載の電池パック。
【請求項6】
前記セルモジュールアセンブリーは:
前記電池セルの積層体の前面と後面に配置される一対のバスバーハウジング;および
前記電池セルの積層体の両側端に前記電池セルと平行に配置される一対のエンドプレートを含み、
前記一対のバスバーハウジングの間を一対のエンドプレートが連結する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項7】
前記セルモジュールアセンブリーは:
前記セルモジュールアセンブリーの結束を強化するように、前記電池セル積層体の前記一対のエンドプレートの上部側と下部側をそれぞれ連結するストラップを含む、請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記ベース板は、段差を有し、前記複数個の脆弱部が配置された部分の高さが前記ストラップの上に位置する部分の高さより低い、請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
互いに隣接した電池セルの間に配置された板形状の遮断部材をさらに含み、
前記遮断部材は、支持プレート、および前記支持プレートの両面に備えられる一対のスウェリングパッドを含む、請求項1に記載の電池パック。
【請求項10】
前記消火剤は、液体状態の消火剤である、請求項1に記載の電池パック。
【請求項11】
前記パックケースは、上面が開口されたボックス形状を有し、
一体的に成形されたものであるか、または少なくとも一面が隣接した他面と結合する方式で構成されたものである、請求項1に記載の電池パック。
【請求項12】
前記電池パックは、複数個で備えられ、
前記複数個の電池パックの間が互いに機械的連結および電気的連結で結合されている、請求項1に記載の電池パック。
【請求項13】
前記複数個の電池パックは、上下方向に積層が可能である、請求項12に記載の電池パック。
【請求項14】
前記複数個の電池パックの間の電気的連結は直列に連結されている、請求項12に記載の電池パック。
【請求項15】
前記複数個の電池パックの間の電気的連結は並列に連結されている、請求項12に記載の電池パック。
【請求項16】
請求項1に記載の電池パックを含むエネルギー貯蔵装置。
【国際調査報告】